○古屋(貞)
委員 ただいまの御答弁の中に、承諾を得ておるけれども落されるということがきま
つておるので、どうも気の毒でやりずらいというのですが、私は
人権擁護などをいたしまする人は少くとも社会的な公共的観念において認識がなければいかぬと思う。これは問題であります。ただいま御説明のような、現在の
制度をかえてさらに少くするということは、むしろ独断専行に陥る弊害がありはしないかと思う。ことにただいま
弁護士会などの意見を聞くと申しますけれども、むしろ
弁護士会などは、推薦母体に加えた方がもつと私は効果的だと思います。それからもう一つは、現在の
人権擁護委員が
人権擁護委員として任命されて、どういう
活動をしておるか、ただいま
井伊委員から申されましたように、警察が昔の警察のよう
なつもりで、堂々と人のうちに入り込んで、か
つてに
調査したり、酒を飲んで黙
つて帰
つてしまうというようなことが相当ございますが、こういうような
人権が尊重されていない現状において、一体今までの
人権擁護委員が何をしていたのか、私は
弁護士としまして第一線の
実情を存じておりますが、ほとんどちんぷんかんぷんである。これはもちろん御
承知の通り、ただいまのような実費すらもこれに使
つていただけないような状況では、現在のような社会情勢では実際はとてもできません。従いまして経済的に相当な優遇を与える。ことに困るへ々については相当な社会的な、何と申しましようか、確信を与えて差上げなければならぬのでございますから、今言
つたように
人権を尊重する問題につきましては、特に農村に参りますると日本ではまだ非常に封建性が強いのでありますから、
政府は相当の
努力と相当の
経費をこれに投じましても――将来の民主的な平和日本建設のためには非常に大事な問題である。従いまして、本日は政務次官もいらつしやらない、大臣もいらつしやらない、しかもこの議案を審議しろということでは私はきわめて不満である。
政府自身まことに
基本的人権の尊重に無関心である。現在の
制度の
関係、
予算の
関係、ただいま御答弁を承りますと、
大蔵省かこの問題についてははつきりと認識していないというようなことを申しておりますけれども、私は少くともこの
基本的人権が保障されるという
ところにあらゆる社会の大きな問題がだんだん片づけられて行くのじやないかというふうに
考える。ことに労働基準法の第一条なんかにしても、はつきりと憲法を受けて
基本的人権の尊重を明確にしておる。従いまして私どもは、貧困の者に対して
訴訟の
費用を
援助してやるということはけつこうなことでございましようけれども、まずその前に、憲法の保障しておる
ところの
基本的人権を
擁護するために、第一線には相
当りつぱな
人権擁護委員を選ばなければならなぬと思う。それには、今のようなおざなり的な選定の
方法ではなく、これを公選に持
つて行くような
考え方にまで、進めて行かなければならぬ。その前提といたしましては、私が申し上げたような、
市町村内におけるあらゆる公的な
団体の長などの意見を聞き、これを推薦母体の参考意見とすることが必要であ
つて、私はそういう改正を望みたい。それからこの
委員になることは、ある問題におきましては公的な職務でありまして、従
つて推薦をする前に一応承諾をしなければならぬというような問題ではないと思います。むしろ、どう申しましようか、
人権擁護委員というものは
制度上社会的に尊敬さるべきものでなければならぬ。社会人がこれに対して尊敬を持つような待遇と処置をしてやることも大事である。従いましてこの問題につきましては、やはりなるべく多くの人を候補者にあげて、その中から選定していただくという
制度にして行くことが民主主義ではないか、かように思う。ただ半分が必ず欠格者になるので気の毒であるからこれを減らすというようなことは、むしろ逆じやないか、私どもはさように
考えるのでありますが、
政府では
擁護委員を選ぶ上において何かもう少し
考えを持
つておらぬかどうか、要するに、ただいまの御答弁のような民主的な選定
方法を講ずるようにいたしまする御意思があるかどうか、ただいま申し上げたような公的
団体の意見を聞くというような
制度にかえる意思があるかどうか、この点も承りたい。
〔
鍛冶委員長代理退席、田嶋
委員長代理着席〕