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中尾政府委員 少し専門にわたり過ぎまして、お耳ざわりかもしれませんが、御
理解をよく願うために、私から補足的な
説明を申し上げることにいたします。
少年法によりまして、
少年を
観護処分に付しまして
鑑別所に入れておるわけでありますが、数年前に
少年の
年齢を十八歳から二十歳に引き上げました際に、非常にその対象となりますところの、
鑑別所に入れなければならない
少年の数が激増いたしましたことと、それからそういう
年齢の進みました者の中には、かなり狂暴な者がおります。この
二つの
理由、ございまして、
鑑別所がございますところの
裁判所、つまり
鑑別所は現在全国各都道府県に一箇所ずつございまして、四十九箇所ございますが、そういう地元のところでは
鑑別所に入れることは、これは当然でありますが、
裁判所はその
支部がございまして、
鑑別所から
遠隔の地にありますところの
裁判所支部で、そういう
少年事件を取扱います場合に、
観護処分に付しようということになりますと、その激増した
少年を
本所まで相当時間をかけて連れて行かねばならないということになりますので、その場合に非常に
職員の不足ということと、それから
遠隔の地でありますために、一々遠い所に連れて
行つて、また審理のために翌日連れて来るということをいたしますと、中には片道四時間も五時間もかかる所がありますので、非常に困るのであります。それでやむを得ず一時その
もよりの地に
拘置所がございますから、われわれは
拘置支所とい
つておりますが、それがございますので、そこに一時入れて置くという
処置を認めたわけでございます。しかしそういうおとなの
犯罪者を入れておくような
拘置支所に観
護少年を入れますことは、これは決して適当な
処置でございませんので、あくまでもこの
処置は一時的な借りのものということにいたしまして、やはり長期の計画といたしましては、そういう
場所にもできるだけ
鑑別所の
支所をつくりまして、そして本来の
鑑別所に入れるようにしたいというのがわれわれの
理想でございまして、とりあえずその
期間をこれは
あとでまた一回
延長になりましたが、本年三月三十一日までその
処置は
延長に
なつたわけであります。それで法務省といたしましては、その期限の切れますと同時にいろいろ
処置を考えてお
つたのでございまして、それで四月一日から新しくこれに伴いまして
少年院法、それから
少年法というようなものを改正いたすことにいたしまして、そして
もよりの
拘置所に一時入れました――これを
代用鑑別所と申しておりますが、その
代用鑑別所を廃止いたしましても
支障が起らないように
処置を考えてお
つたのであります。ところがその
法律が
参議院まで参りましたが、そこで成立しないうちに
解散に
なつてしまいましたので、四月一日からの
処置ということはとれなく
なつたわけでございます。それでほう
つておきますと、三月三十一日限りこの
代用鑑別所がなくなるので、一時
空白状態になりまして、その
もよりの
拘置支所に入れておりましたところの
少年を、やはり
本所まで連れて行かなければならないというようなことになるわけであります。そういうことになりますと、片一方私
たちは四月から新しい
処置を考えまして、そういう場合の
予算的手当を考えてお
つたわけでございますが、しかしその
予算の方の
手当ができないうちに
空白状態に
なつてしまいましたので、とりあえずそこの
拘置支所に入
つておりましたところの
少年を、大体これは出してしまわなければならない。あるいは非常に無理なことをして
本所まで連れて行くとかいうような
方法を講じなければ、何とも
処置ができないということになりましたので、とりあえず二箇月間の
延長をお願いいたしまして、そして新しい
法律が通るまで現在の
処置を続けて行かなければならぬというようなことで、その
延長の
暫定処置をお願いしたわけでございますが、今回もやはりそれと同じ
理由によりまして新しい
法律が
通りませんというと、現在
代用鑑別所に入
つております著が、
代用鑑別所がなくなるということによりまして、やはり
処置に困るということになるわけであります。従いましてまたもう一ぺん二箇月の
延長をお願いしなければならぬということに
なつておるわけであります。
またもう
一つは、
特別少年院のことでございますが、
少年院もやはり急に
少年がふえましたので、
少年院を増設いたしておるのでございます。しかしその
少年院の増設が間に合いませんので、とりあえず
少年の中で、
収容上私
たちが一番むずかしい経験を持
つておりますところの
特別少年、この
特別少年に限りまして、
少年刑務所の
一部分に入れることを
臨時に
暫定的処置として今日まで続けて参
つておるのでございますが、これが二十八年度の
予算で、
特別少年院をつくりますところの
予算は全部
ちようだいしておりますので、その建築にかか
つておりますが、しかしいろいろな
関係からいたしまして、
工事が未
完成なところがありまして、
特別少年院が全部
完成いたしますのは、大体この夏ごろまでかかるそうだということでございますので、今
少年刑務所の
一部分の
付設特別少年院に入
つておりますところの
少年を出してしまうということになりますと、また非常に困
つた事態が生ずることになりますので、
従つてやはりその
特別少年院の
建筑が
完成いたしますまでの間は、従来
通り少年刑務所の一角に入れておりますところの
付設特別少年院という
制度を存置さしていただきたい。
完成を待ちまして、ただちにそれを入れるということにいたしますので、それでやはり現在のこの法を延ばすことをお認め願いたいというわけであります。もつともごの方は
法律問題ではございませんで、建物の
完成を待
つているというだけのことでございます。
従つてこの方はもうどんどん建築いたしておりますので、
臨時的処置さえ認めていただきますれば、
少年をこの方へ移すということは滞りなくできることに
なつております。
もう
一つは、それに付随して起る問題でございます。
医療少年院というものがありまして、この
医療少年院は、この
少年院法をつくりましたときは男の
少年と女の
少年を区別して別々の
少年院に入れるというような規定に
なつております。しかしこれは
設備の点あるいは
収容人員の点から申しまして、女の
少年と男の
少年を全国的に全部わけるということは非常に無理がございますので、現在のところはわけているところもございますが、しか1大体同じように
一つの
少年院に入れまして、区画をわけて、ある
部分に女を入れて、ある
部分に男を入れるというような
処置をと
つております。しかしこの
処置を本年三月末までの
臨時的処置といたしておりましたが、しかしその後もいろいろな
国家財政の事情などから考えまして、また実際私
たちがや
つてみた結果によりまして、必ずしもそんなに厳格にわけてしまわなくてもいい。むしろいいお医者、いい
設備というようなものを共通に使わせるためには、現在のようなところを維持してもいいような気がするというようなわけでございますので、
医療少年院に限りましては、男女を完全に独立さした
少年院に
収容するという
制度を必ずしも厳守しなくともいいということにいたしたいということを考えているわけでございます。このことは別にただいま急いで
少年をあちらに移したり、こちらに移したりするというようなことはございませんが、とにかく現在そういう
制度にいたしておりますので、三月三十一日でその効果がなく
なつてしまいますと、やはりまたあちらに持
つて行
つたり、こちらに持
つて行
つたりしなければならぬということになるわけであります。あわせてこの点につきましても
臨時的な
措置で、本法が成立いたしますまでの間お認め願いたいということで、こういうふうな
法律が出たわけであります。以上御
説明申し上げましたが、不十分な点がありましたら、また
あとでつけ加えることにいたしまして、
説明はこれだけにいたします。