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1953-07-22 第16回国会 衆議院 文部委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午後四時八分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 天野 公義君 理事 坂田 道太君    理事 原田  憲君 理事 田中 久雄君    理事 前田榮之助君 理事 中村 梅吉君       相川 勝六君    伊藤 郷一君       竹尾  弌君    今井  耕君       町村 金五君    石村 英雄君       高津 正道君    下川儀太郎君       野原  覺君    大西 正道君       松平 忠久君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者        専  門  員  石井つとむ君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 七月二十二日  委員辻原弘市君、山崎始男君及び世耕弘一君辞  任につき、その補欠として石村英雄君、下川儀  太郎君及び中村梅吉君が議長の指名で委員に選  任された。 同日  理事世耕弘一君の補欠として中村梅吉君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 七月二十一日  高等学校定時制教育及び通信教育振興に関する  請願牧野寛索紹介)(第四八二〇号)  私立学校教職員共済組合法制定に関する請願(  世耕弘一紹介)(第四八二一号)  公立学校施設整備費国庫補助増額等に関する請  願(大橋武夫紹介)(第四八二二号)  国旗記念日制定に関する請願今井耕紹介)  (第四八二三号)  伊勢二所神宮の御正殿、御饌殿及び御炊殿返上  に関する請願原田憲紹介)(第四八二四  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  義務教育費国庫負担に関する陳情書  (第一〇四八号)  同(第  一〇四九号)  同(第一〇五〇  号)  私立学校教職員共済組合法制定促進に関する  陳情書  (第一〇五  一号)  同  (第一〇五二号)  青年学級振興法案に関する陳情書  (第一〇五三号)  公立学校施設費国庫負担法早期制定に関する  陳情書  (第一〇五四号)  公立学校施設費国庫負担法案に関する陳情書  (第一  〇五五号)  義務教育学校施設整備促進に関する陳情書  (第一〇八七号)  教職員給与三本建案反対に関する陳情書  (第一〇八八  号)  私立学校教職員共済組合法制定促進に関する  陳情書  (第一〇八  九号)  教育委員会法改正等に関する陳情書  (第一〇九〇号)  義務教育費国庫負担に関する陳情書  (第一一二五号)  同  (第一二六号)  公立学校施設費国庫負担法案に関する陳情書  (第一一二  七号)  教員給与三本建案反対に関する陳情書  (  第一一二八号)  私立学校教職員共済組合法制定促進に関する  陳情書  (第  一一二九号)  同  (第一一三〇  号)  同  (第一一三一号)  同  (第一一三二号)  同  (第一一三三号)  同  (第一一三四号)  同  (第一一三五号)  同  (第一一三六号)  六・三制学校建設費並びに老朽校舎改築費の増  額に関する陳情書  (第一一三七号)  小学校舎建築に対し国庫補助並びに起債わくの  拡大に関する陳情書  (第一一三八号)  老朽校舎改築費国庫補助並びに起債わく拡大に  関する陳情書(第  一一三九号)  老朽あり害校舎改築に対する国庫補助増額に関  する陳情書(第一  一四〇号)  台風第二号等による大分県下の被害私立学校救  済に関する陳情書  (第一一四一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事互選  公立学校施設費国庫負担法案内閣提出第一四  九号)  危険校舎改築促進臨時措置法案内閣提出第一  四七号)  文部行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選挙を行います。理事世耕弘一君が委員を辞任せられましたので、理事補欠選挙を行います。理事選挙はその手続を省略し、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認め、中村梅吉君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 辻寛一

    辻委員長 公立学校施設費国庫負担法案議題とし、審査を進めます。  本案に対する修正案坂田道太君外二十四名より提出されております。その提案理由説明を聴取することにいたします。坂田君。
  5. 坂田道太

    坂田(道)委員 公立学校施設費国庫負担法案に対する修正案提出いたします。  ただいま提案になりました公立学校施設費国庫負担法案に対する修正案につきまして、その骨子及び提案理由を御説明申し上げます。  まず第一に、公立学校施設災害復旧及び戦災復旧に対する国の負担率であります。従来公立学校災害復旧について国の負担率は二分の一でありましたが、他の災害復旧事業国庫負担率を見ますとおおむね三分の二以上になつておりますので、学校災害復旧に対する国の負担率が二分の一であるのははなはだしく不合理であり、特に憲法にうたわれている教育機会均等の趣旨から言いましても、公立学校災害復旧が他に劣を結果になる一とはとうてい許せないところであります。そこでこの修正案では災害復旧の国の負担率を三分の二といたしております。また戦災復旧につきましては、政府案では高等学校及び大学は国の負担率が三分の一になつておりますが、昭和二十六年度までは高等学校大学も小、中学校と同様二分の一でありました経緯もあり、高等学校大学をことさら三分の一にする理由もありませんので、公立学校戦災復旧はすべて二分の一といたした次第であります。  第二に、公立学校施設範囲でありますが、これは第三条第二項において政令で定めることになつており、その範囲が不明確でありますので、これを法律において明確化することとし、戦災復旧及び義務教育年限延長に伴う公立学校施設建設につきましては、従来通り建物のみとし、災害復旧にあつては、単に建物のみならず、設備工作物校地をもその対象に加えております。これはこのたびの西目十等の水害において工作物校地設備建物被害に劣らぬ甚大な被害をこうむつております点から見ましてもその必要性は明瞭であります。  第三に、第五条第二項の義務教育年限延長に伴う公立学校施設建設に要する経費は、政府案においては、政令で定める児童及び生徒一人当り坪数及び一坪当り建築単価基準として算定することになつておりますが、これではその児童生徒一人当り坪数が不明確であるのみでなく、現在の予算措置における児童及び生徒一人当り〇・七坪で打切るという誤解を牛じますので、本修正案においてその基準となる坪数中学校盲学校及び聾学校教育を行うに必要な最低限度坪数と規定し、附則において、それは当分の間、中学校校舎については生徒一人当り〇・七坪、盲学校及び聾学校については校舎児童生徒一人当り二・五五坪、寄宿舎は三・二〇坪といたしております。従つて近き将来において〇・七坪以上に基準引上げ、もつて中学校等教育を行うに必要な最低限度施設を充足するよう措置すべきものと考える次第であります。  第四に、第十二条第一号の災害復旧の場合の適用除外でありますが、本修正案において国庫負担対象建物一ほか工作物、土地及び設備をも加えましたので、これらについてはそれぞれ政令で定める金額に達しないものは国庫負担対象としないことにいたしております。  第五に、附則において、この法律は四月一日から適用するこことし、なお昭和二十八年三月三十一日以前に災害をこうむつた公立学校施設災害復旧については従前の例によることと六たしております。  以上がこの修正案骨子であります。従来公立学校施設整備については、地方財政においてきわめて重要な地位を占め、ひいては地方財政に圧迫を加え、各地方公共団体に多大の心労を払わしているのでありまして、中には学校建築のため自らの生命を絶つにいたつた痛ましくも尊き犠牲者さえあるのであります。今後かかることのなきよう、そしてまた教育振興充実を一段と高める意味においてこの修正案提案いたした次第であります。  各位におかれましてはこれらの事情を十分御賢察の上、何とぞこの修正案に御賛成くださるようお願いいたします。
  6. 辻寛一

    辻委員長 坂田君外二十四名により提出修正案に対しまして御質疑ざいませんか——質疑がなければ、原案並びに修正案に対する質疑は、これにて全部終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」に呼ぶ者あり〕
  7. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。  それではこれより原案及び修正案を一括して討論に付します。原田憲君。
  8. 原田憲

    原田委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま修正されました公立学校施設費国庫負担法修正案賛成いたすものでございます。  公立学校施設災害復旧に対して三分の二の国庫負担をいたし、公共学校施設戦災復旧に関し二分の一の負担をするというこの修正案は、私はまことに当を得ておるものであると考えます。地方公共団体において地方財政が非常に圧迫されておりまして、従来の二分の一の国庫負担補助を返上しなければならないというような事例が各所にたくさん見られておるのであります。この際災害復旧に対する国庫負担を三分の二、戦災復旧に対する国庫負担を二分の一と修正されましたことは、まことに当を得たものであると思います。  なおこの際申しておきたいことは、附則において、これは当分の間云々と今坂田氏から提案理由説明がございました。この現在行われているところの〇・七坪、この一人当り坪数というものは、盲学校聾学校及び中等学校の現在の基準よりも、近き将来において基準引上げて施行するということは、十分政府において考慮されまして、一日も早く実行に当られることを希望いたし、以上これによつて私は修正案並び修正部分を除く原案賛成の意を表するものでございます。(拍手
  9. 辻寛一

    辻委員長 町村金五君。
  10. 町村金五

    町村委員 私は改進党を代表いたしまして、本法案修正部分を除く部分並びに修正案に対しまして賛成の意を表する次第であります。  今回の法律によりまして、非常な財政困難な状態に陥つておりまする市町村が、これによりましてある程度公立学校施設充実することができるように相なりますことはまことに御同慶にたえない次第と考えます。ことに今回の修正におきまして、災害によりまする国の負担率を二分の一から三分の二に引上げることにいたしたのでありまするが、災害をこうむりました当該町村は、他に各種の負担を非常に多く持つような場合でありまするので、学校復旧のために多額の支出をすることは非常に困難な場合が多いのであります。従いまして政府原案の二分の一がさらに三分の二に引上げられましたことは、これらの学校復旧を促進する上に非常な効果があることと考えまして、この修正案賛成するものであります。  以上をもちまして私は、ただいま申し上げました通り、本法案修正部分を除きまする原案並びに修正案に簡単に賛成いたす次第であります。(拍手
  11. 辻寛一

    辻委員長 次に野原覺君。
  12. 野原覺

    野原委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま修正せられました公立学校施設費国庫負担法案に対しまして賛成いたすものであります。  この法律案は従来政令により実施されて来たのでございますが、災害御旧、戦災復旧、六・三建築に対する国庫負担の件を法律化いたしたものでございまして、この原案の内容は、御承知のように、負担率経費の種目などを定めまして、これが施行に必要な事項政令によることと規定していたのでございますが、政令が規定いたしますことは、従来の政府当局のやり方よりいたしまして、多分に問題があると考えましたので、これを法律で規定することに修正することのできましたことは、校舎増改築のためにまことに望ましいことであると思うのであります。ただ私は質疑の際も申し上げましたように、校舎増改築の問題は、実は災害復旧にいたしても、戦災復旧にいたしましても、すみやかに合理的な年次計画を立てて解消することが必要でございますので、望むらくは政府当局におかれましては、学徒諸君が安んじて学業に精励でき得るためにも、合理的年次計画を立てて、すみやかな解消のための措置をとるように要望いたしまして、賛成いたすものであります。(拍手
  13. 辻寛一

    辻委員長 前田榮之助君。
  14. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題なつておりまする公立学校施設費国庫負担法案について修正動議が出ておりまする修正案並びにその残余の原案について賛成の意をごく簡単に申し上げたいと思うのであります。なお春日委員から希望条項が出ております点は、同じくわれわれの強く希望する点であることをも附加しておきたいと思うのであります。  ただこの際当局に念のために申し上げておきたいのは、補助率上つたために、起債額に相違ができるおそれ永ありまして、各府県及び町村において非常に財政困難な際において、著しく起債の点に不利なことのないように十分留意されて、本案の執行に当つていただきたいという点と、将来こういう公立学校施設に対する予算等増額等については十分な努力をお願い申し上げまして、賛成の意を表するものであります。(拍手
  15. 辻寛一

  16. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私は自由党、但し第十四控室の自由党を代表いたしまして、ただいま議題なつておる公立学校施設費国庫負担法案並びに修正動議に対して賛成の意を表するものであります。現在地方費負担の中で、教育施設費が最も負担過重で困難にあえいでおる現状であります。これが原案並びに修正案によりまして、災害復旧については二分の一を三分の二に、あるいは公立学校戦災復旧については小学校中学校高等学校大学いずれも二分の一に修正をせられ、その他所要の修正を加えましたので、修正案並び修正案を除く原案に対して賛成の意を表するものであります。今後なお政府におかれましては、特に義務教育施設充実については一層熱意を持つて意を注がれんことを強く要望いたしまして、賛成の意を表する次第であります。(拍手
  17. 辻寛一

  18. 小林信一

    小林(信)委員 私は先日、九州地方災害の状況を、国会を代表しまして視察したのでございまするが、その際家を失い、あるいは田畑を失つておる人たちが、その問題よりも、自分のかわいい子供にすぐに学用品を手渡されて、しかも学校で勉強ができることを、一日も早く要望する切なる声を聞いて参りまして、この法案が通ることを非常に要望したのでございます。二の際にも、現地におきまして、ただいま修正されました箇所につきましては、非常な希望を述べられて参つたのでございまして、法案通過と、さらにその修正箇所通過に対しまして、非常に喜びを感ずるものでございます。おそらく災害にあつておる現地方々も、この修正案が通ることに非常な喜びを持たれておると思うのでございます。そういう意味からしまして、この修正案に対しまして賛成するものでございますが、ただちにこの法案にのつとりまして、政府計画りつぱにされ、対策を忠実に行つて、一日も早くこうした惨状にある人たちに適切な処置がなされることを希望するものでございます。さらに戦災復旧の問題にいたしましては、もう相当な年月がたつておるのでございますが、地方財政の苦しい問題からいたしまして、校舎復旧に困つておるのでございます。これが実施されるにあたりましては、先ほど野原委員からも申されましたように、すみやかに適切な年次計画を立てられまして、ただちに実施されるよう希望するものでございます。委員方々にもお願いすることは、委員会の意向として、この法案と同時に、この戦災復旧年次計画等がすみやかに実施されるよう、決議のような形で促進方希望するものでございます。  以上申し上げまして、賛成意見といたします。(拍手
  19. 辻寛一

    辻委員長 これにて討論は終局いたしました。これより公立学校施設費国庫負担法案及び修正案について採決いたします。  まず坂田君外二十四名提出修正案について採決いたします。坂田君外二十四名提出修正案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  20. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて坂田君外二十四名提出修正案は可決いたしました、  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。ただいまの修正部分を除いた原案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  21. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて原案修正議決いたしました。  天野公義君より附帯決議提出されております。まずその決議の御説明を願います。天野公義君。
  22. 天野公義

    天野委員 ただいま議決になりました本法案について、附帯決議提出いたします。案文を朗読いたします。    公立学校施設費国庫負担法案に関する附帯決議   本委員会は、公立学校施設費国庫負担の実施に関し、政府はすみやかに左記の措置をとられるよう決議する。  一、災害復旧及び戦災復旧に要する経費算定基準政令で定めるにあたつては、従来の基準によることなく、とりあえず少くとも最低基準小学校一人当り〇・九坪、中学校一人当り一・二六坪)までの復旧を実現すると共にさらに将来は原形復旧するよう考慮すること。  二、戦災復旧については少くとも五ケ年を限度として措置すること。 以上が決議案文でございます。委員各位の御賛同のほどをお願い申し上げます。
  23. 辻寛一

    辻委員長 これより附帯決議について採決いたします。賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  24. 辻寛一

    辻委員長 起立総員天野君の附帯決議は可決せられました。まつて原案附帯決議を付し、修正議決せられました。(拍手)  なお報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 辻寛一

    辻委員長 御異議なければその通り決します。     —————————————
  26. 辻寛一

    辻委員長 次に、危険校舎改築促進臨時措置法案議題とし、審議を進めます。質疑があればこれを許ます。
  27. 田中久雄

    田中(久)委員 あるいはすでに質問をせられた方があるかもしれませんので、もし重複をしておればお許しを願いたいと思いますが、本法案のうちで非常に重大な点であり、ことに実際問題として、各施設者である市町村において、非常に心配をしております点でありますが、それはこの第二条の第二項であります。法文では「校舎危険度その他前項の規定により国が補助を行うことができる危険校舎範囲決定について必要な事項は、政令で定める。」とありますが、危険度というのはどの程度のものであるか。こまかくは非常にむずかしいことと思いますが、実際において、市町村、ことに父兄の考え方から見て、非常に危険であると考えておりますことが、予算その他の関係から、その係官において危険とはみなされない。たとえばすでに一つの地方事務所において、本年度の危険校舎として割当てるべきものが千坪であると内定をせられておる。しかし実際において危険校舎として村が要求しているものは二千坪である。こういう場合には、実際に危際でありましても、それが認められない場合が起るであろうということが、各市町村において非常に憂慮せられておるところでございます。いずれ政令で出されるでありましようけれども、この際大体の構想をお持ちであるならば、伺いたいと思うのが第一点であります。  その次には、「危険校舎範囲決定」ということであります。ちよつとこの意味をとりかねますけれども、かりに現在の校舎が三百坪ありまして、これの建てかえをしたいという場合は、坪数原形が認められるかどうか。同じ原形と申しましても、屋根が高いままとか、あるいはそれを低いままというのでなしに、少くとも坪数において、現在の危険校舎坪数が認められるかどうか、この点を非常に憂慮いたしております。それが〇・七坪で制限せられて、それ以上は地元負担であるというようなことになれば、実際において、これの改築が不可能な状態に追い込まれると思いますので、各地におきましては、ぜひとも原形に復するということにお願いをしたいというのが切なる要望であります。この二百につきまして、お考えを伺いたいと思います。
  28. 近藤直人

    近藤政府委員 校舎の危険の判定でありますが、その点につきましては、目下私どもにおきまして、検討中であります。大体の方針といたしましては、これは技術的にわたりまするが、校舎の水平荷重並びに鉛直荷重考えまして、それを各方面から検討し、点数制によつて危険度を出すという方針をもちまして、ただいまその詳細な案について検討を進めております。ただいま地方から出ておりまする危険校舎坪数は、御承知通り年齢により、かつまた県の方で建築基準法に基きまして、使用禁止命令あるいは使用制限命令を出しておるものにつきましてこちらで取上げ、それらにつきまして、私どもにおきまして、先ほど申し上げました見地からこれを再検討いたしまして、ここに実際の校舎の危険の度合を算出するつもりでございます。  それから危険校舎範囲決定でございますが、これは一応私ども考えております点につきましては、百六十五万坪の全部取上げるか、あるいは四十八万坪を取上げるかという問題になろうかと思いますが、私どもは一応百六十五万坪につきまして、これを対象として政令に規定いたしたい。かようにただいまのところは考えております。なお御承知と思いますが、予算の上におきましては、百六十五万坪のうち、最も危険度の高いもの四十八万坪を四年計画改築するという意味におきまして、十二万坪が当初予算に計上されたのでございますが、このたび予算増額修正が行われまして、金額的に申し上げましてこれが二十二億円、約十万坪の増加が見込まれております。先ほど申し上げましたように、私たちといたしましては百六十五万坪をぜひこの危険校舎範囲の中に入れて、政令を考慮いたしたい、かように考えております。
  29. 田中久雄

    田中(久)委員 原形に復するかどうかという点でありますが……。
  30. 近藤直人

    近藤政府委員 予算上は原形復旧考えております。但し実際問題にあたりましては、やはり大蔵当局と打合せまして、その間多少出入りがあろうかと思います。建前といたしましては、原形復旧を原則といたしております。
  31. 田中久雄

    田中(久)委員 何かの都合で児童数が非常に減つておるというような現象がかりに起つておるとしますれば——たとえばその付近に戦争中に軍需工場が疎開しておつた。そのために学校が増築せられて、非常に広いものである。しかしこれが改築になるような場合、人口が少くもなつておるというのなら、これは必ずしも原形は要求せられませんが、言うまでもなく、日本人口は非常に増加しております。各町村におきましても、人口が非常に増加しておるのでありまして、原形に復することさえも、実際にはそれでは非常に狭いと見るのがあたりまえでありますから、どうぞその点は特に、少くとも原形に復するという御方針をとつていただきたいと思います。なおこの際、私から特に強くお願いいたしたいと思いますことは、政府原案の十二億円に対しまして、改進党が修正案を出しまして、自由党両派賛成を得て、共同で修正せられましたその原案は、少くとも私の構想によりまして、改進党が提案いたしたのであります。この構想によりますものは、四十八万坪ではないのでありまして、百六十五万坪を七年間に解消するという考えに立ちまして、一年に二十三万坪あまりを消化して行きたい。これがこの計算の基礎であります。従いまして、私は最初の案では十二億の増額を要求したのでありますけれども、いろいろと折衝を重ねましたが、ついに十億となり、二億削られたのであります、これは二十三億が計算の基礎である。こういう点に立つて、百六十五万坪を少くとも七年間に解消という精神を生かしていただきたいのであります。あるいは真偽はわかりませんが、大蔵当局におきましては、あくまで四十八万坪を固執するというようなことを言いふらす係員があるやに聞いております。ふらち千万な話でありまして、国会において責任ある政党が、十分なる検討をしてこういうことを決定いたしたにかかわらず、一属僚がさようなことを文部省にしいるに至つては、言語道断であると考えます。どうぞ文部当局は、この学校施設の拡充という、非常に各党各派が熱意を持つておる問題に対しまして、勇気を持つて当り願いたいと思うのであります。この点において、私は大臣の全幅の御奮闘を信じておるのでありますが、どうぞこの点について、できるだけ勇敢にひとつ御奮闘を願いたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  32. 辻寛一

    辻委員長 本案に対する質疑は、この程度で終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 辻寛一

    辻委員長 御異議ないものと認めます。よつて質疑を終了することに決しました。  これより危険校舎改築促進臨時措置法案討論に付します。野原覺君。
  34. 野原覺

    野原委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に上つておりまする危険校舎改築促進臨時措置法案に対し、要望を付して賛成いたす者でございます。  第一の要望は、質疑において明らかになりましたように、文部当局もこの点は私に対して確認いたしておるのでございますが、御承知のように、危険校舎は構造上危険な状態にあるものでございまするけれども、その危険な状態が実は非常に危険な状態に陥つて建築基準法によるところの使用禁止、使用制限の行政処分を受けておる校舎だけでも、四十八万坪を数えておるのでございます。しかも今日地方財政が非常に困窮しておるために、市町村当局におきましては、改築費の財源の見通しがつかない。同時に改築をいたしましても、児童生徒を一時に収容する建物の余裕がないために、児童父兄への心理的影響をおそれまして、建築基準法によるところの使用禁止、使用制限の行政処分を受けていないのであります。このことを考えますると、まことに肌に粟を生ずる思いがいたすのでございます。日本では地震があり、水難があり、火災があり、台風が来る、こういうような天災国家におきまして、少くとも五十万ないし六十万坪の、今にも倒壊するような危険な校舎の中で、子供が今日学習しておる。このことの解消について、一日も早く措置せられなければならないと考えるのであります。従つてこの解消のために、わずかに二十二万坪というがごときことでなく、少くとも四十八万坪ないしは百六十五万坪について、数年間においてこの解消措置がとり得るようにしてもらいたいという要望を第一に付したいのでございます。  第二点の要望といたしましては、この危険校舎改築促進臨時措置法案の第一条を読んでみますと、公立の義務教育学校危険校舎の解消のための法律のようになつておるのでございますが、私は、今日都道府県あるいは市町村における高等学校もしくは大学校舎が、非常な危険な状態にさらされて、まつたくこれに手をつけることができない事態にあることを知つておるものでございます。従つて政府におかれましては、単に公立の義務制教育学校危険校舎の解消のために適用するだけでなく、これも適当な機会に、すみやかに公立学校全体にこの措置法が適用でき得るよう努力をされることを要望いたしまして、原案賛成いたします。(拍手
  35. 辻寛一

    辻委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  36. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決いたしました。(拍手)  なお報告及び報告書提出については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  文部大臣より発言を求められております。この際これを許します。
  38. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 ただいま公立学校施設費国庫負担法案、並びに危険校舎改築促進臨時措置法案の御議決をいただいたのであります。この両法律案につきましては、当委員会におかれまして、きわめて慎重かつ御親切な御審議をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。この両法律案は、参議院の審議を経た上で成立するものと存ずるのでありますが、ただいま御議決になりましたその御趣旨、特に公立学校施設費国庫負担法案、これに対する修正の御趣旨並びに附帯決議の御趣旨につきましては、当局といたしまして、十分にその趣旨の貫徹をいたしまするように努力するつもりであります。この上とも委員各位の御鞭撻、御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  39. 辻寛一

    辻委員長 次に高津正道君より、大学教授の権限等について緊急質問の申入れがありますので、これを許します。高津正道君。
  40. 高津正道

    ○高津委員 国立大学の経理に関し及び国立大学教授の権限に関して、大達国務大臣、稻田大学学術局長、またはしかるべき政府委員に対し、緊急質問をいたします。     〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕  質問の第一点、静岡県清水市は一億数千万円の予算をもつて、市庁舎新築を計画いたしておりますが、その清水市庁舎の設計を、東京大学工学部建築科教授岸田日出刀博士に依頼いたしました。市当局と岸田教振との間には、もちろん契約書が交換され、岸田教授の設計図ができ上つて、市当局に渡され、その報酬金は二百五十万円でありましたが、その金額のうち百三十万円は岸田教授に支払われておるのであります。ところで岸田教授は市当局との契約書の中で、東京大学建築科岸田丹下研究室代表者岸田日出刀という名義を使用していられるのであります。従つてこれは岸田個人ではなくて教授たる公職の名前が使用せられている点は、見のがすことができません。しかも東京大学の研究室代表者とまでしるされているのであります。このような場合、その報酬金は教授個人と同研究室と同大学会計、この三つのうちでいずれの所有となるべきであるか、文部当局の見解をお尋ねいたします。ちなみに私はこの事例について、広島大学理学部の友人たる一教授の意見を徴してみましたが、研究室代表者何某教授として契約した場合、たとえば特許を得て、その特許権使用料の収入があつた場合は、その使用料は大学の会計に入つて行くことになつているという回答を得たのであります。同じ国立大学たる東京大学の場合はどうなつているのか、どうなるのが正しいのか、これを確かめておきたいと思います。これが質問の第一点なのであります。
  41. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま御指摘になりました具体的の問題につきまして保、これは調査いたしませんと、具体的な事実を承知いたしませんので、お答えしにくいと思いますが、一般論で申し上げますと、たとえば大学の教授が、大学の教授という肩書きをつけながら、雑誌等に投稿して原稿料をもらう。これは公的の行為か、私的な行為かといつた場合に、多くの場合は、肩書きがついておつても、それは勤務の余暇にいたした行為であつて、個人の行為であり、個人の収入である場合が多いのでございます。ただいまの岸田教授の場合も勤務の余暇に、岸田教授及びその研究室に関係しております何人かの方々が、個人の行為として委託を受けて、設計図を作成して、謝金を受けるという場合でありますれば、これはもう個人の収入になつて、数人の方で適当にこれをおわけになる性質のものだと思うのでございます。何分具体的の問題につきましては、調査いたしませんとわかりませんが、研究室代表という名義を使つたから、必ずそれは公の仕事だとも言いにくいのじやないかと感じた次第でございます。
  42. 高津正道

    ○高津委員 雑誌に何々大学教授ということを書いた場合と、他のそういう一億数千万円に上り、設計料というものが二百数十万円に上るというような場合に、研究室の代表者といえば、雑誌の場合とは事が違うと思いますが、稻田局長は、結局同じ範疇に属するものだ、仲間でわければいいのだという、こういう御見解ですか。
  43. 稻田清助

    ○稻田政府委員 今申し上げましたように、前提としての具体的の事実、経緯を調査いたしませんと明らかにいたしませんので、何分その点確かめた上でないとお答えしにくいのです。ただ、今申し上げましたのは、一般論といたしまして、研究室代表者とあれば必ず公的か、あるいはそうでない場合もあり得るのじやないかという類推、憶測をいたしたわけでありまして、その点につきましては、具体的の問題を調査してから、お答えいたしたいと思います。
  44. 高津正道

    ○高津委員 それでは、この問題についてもう一つお尋ねしますが、東大教授たる岸田博士は、清水市当局との設計書の中で、主体工事請負人、すなわち入札参加者として、鹿島組と大林組と竹中組と大成建設と清水組という、この五大メーカーのみを指名し、電気附帯工事の請負人として関東電気工業、沖電気、東光電気の三者を指定し、電話工事、排水工事、衛生暖房装置工事に至るまで、全部中央の業者を指名しておるのであります。主体工事の入札の当日、市の市庁舎建設委員会が、岸田教授指名にかかる東京の清水組がどうもくさいようだというので、清水組を除外して入札を始めようといたしましたところ、その前に同教授が現われて、わが国代表的建築業者を加えないということは了解できない、もし清水組を加えないならば、この設計書を引揚げて帰京すると、強硬な態度に出られたので、建設委員会ではやむを得ず清水組を加えたというのであります。そのようなことは、地元の静岡新聞に市会議長が公然その事実を発表しております。特に電気附帯建設工事については、本年初めごろから、山本市長にも、市議会にも、静岡県の電気工事業者が入札参加を申し出ていたのでありますが、岸田教授はこれをも拒否して、前に申しましたように東京の三社のみの入札のやむなきに至つた次第であります。公務員たる教授は学術論文を発表することも自由である。雑誌等に論文、随筆等を執筆することももちろん自由である。他からの依頼によつて各種の建築設計をすることもまた自由であります。私は自由でなければならぬと思います。そうして私は、そのような専門的な高度の頭脳活動によつて相当の報酬を教授たちが受けることに対しても異論はないのであります。ではあるが、入札参加それ自体さえも一種の利権だといわれているこの土建業の入札に関して、主体工事にも附帯工事にも、そのように設計者が入札参加者を指名するということは越権ではあるまいか、行過ぎではあるまいか、私はこのように考えるのでありますが、文部省はどういう見解を持つておられるか、お伺いしたい。私はこの問題については、他の大学の教授にただしてみたのでありますが、設計の場合、追つて書きのように、きわめて弱い意味で、どこの鉄筋が自分はいいと思うくらい書き込むのはいいが、そういう事例は、そのようなメーカーと岸田博士との間がさすがにいろいろうわさされておるだけあつて、あんまりそれは学者フアツシヨじやないか、こう言われておるのでありますが、文部省はそれでも今のようにルーズに、学者の自由であると、このようにお考えでありますか。これが質問の要旨であります。
  45. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの点も具体的によく調べませんと、事実の判断に苦しむわけでございますけれども、第一、その岸田教授が清水市に対して何か建築に関する委員を嘱託されているとか、指名競争入札の指名について意見を述べ得る、または述べなければならない責任を持つておるかどうか、これも私はよく知らないのでございます。かりにそういうことがなくて、先ほどお話のように、単に設計図だけの依頼を受けて設計をした設計者にすぎないといたしますれば、指名競争入札の指名については、くちばしを入れる権限は、もちろんないはずでございます。ただ具体的の事実を想像いたしますれば、この専門家が設計いたしました以上、その実施につきましても、いい建築者にいい建築をやつてもらいたいと希望するのもいいのじやないかと思うのでございます。その点において、ただ一つの意見として、こういういい建築業者を指名のうちに加えたらいいのじやないかということを意見として述べ、助言するというようなことはあつても、あながちとがむべき性質のものではないのじやないか。ただお話のうちに、これを強要したとか、何とかいう点がありますけれども、もしそういう権限を持つていなければ、もちろん強要する権限もありませんし、また強要される市当局の立場でもなかろうかと思うのであります。何分にも、この事実をよく存じませんので、一般的、抽象的にお答え申し上げる以外に方法のないのを残念に存じております。
  46. 高津正道

    ○高津委員 ともかくも、このような設計、または建築指導によつて得られた礼金五十万円が、もしその教授個人の所有とならずに、研究室または同大学の会計に納入された場合は、この臨時収入はいかに取扱われ、またいかように使用せらるべきものであるか。文部省の見解を伺いたい。
  47. 稻田清助

    ○稻田政府委員 一般的にいろいろな形態がございます。寄附金というような場合で、外部から金を受けまする場合について、これは歳入にとつて歳用にくずすわけでございます。あるいけ委託研究といつたような場合に、これはものによりまして、それが国の会計には入りまけんけれども、帳簿その他公的に扱いまして、実際国の仕事の余暇に委託研究を受けて実施する、こういう形態のものもございます。あるいは学校に関係いたします研究の法人があつて、教授がやはり勤務の余暇にその法人の仕事に関係する、その法人の仕事として終始いたすというような形態もございます。いま御指摘の場合はどういう形態であるか、これは調べませんと、お答えできないと思います。
  48. 高津正道

    ○高津委員 何もかも調べないとわからないという答弁でありまするが、こういう事例に対してはこうだという答えはあり得るわけなんです。しかしさらに質問を進めましよう。西条八十氏が……(「調べなければわからない。個人の問題じやないか。」と呼ぶ者あり)西条八十氏が全国の多くの都市の、多くの会社の社歌の大部分を引受けることがあまりに多くて、ほとんど独占的の観をなしておるのであります。われわれの目から見ても、あれがその芸術性のゆたかなものでもないし……(「電車の歌だ」と呼ぶ者あり)いまの電車の歌もあるくらいで、国辱的なものでさえあると私は思うのであります。朝倉文夫氏は銅像などの建設において、ほとんど独占者のような観を呈しております。しかしこれは別で、問題の岸田教授は、大建築設計の独占者の感があるのであります。そうして同博士と大メーカーとが結んでおるという巷説はもつぱらであります。そして岸田博士のあの研究室は、東京都の都庁舎の設計に際しては、設計料を五百万円とつておるのであります。そうして宇都宮の市庁舎の設計においても莫大な報酬金を得ております。そうして宇都宮の設計図と、今度の清水市の設計図と、同じ市庁舎でありますから、そうかえるわけにもいかぬでありましようが、ほんの一部ちよつとかえたにすぎないもので、二百五十万円とるというのは、建築指導の部分が入るにしても、あまりにもひどい話だと、そう言われておるのであります。調べた上でと言われるなら、稻田局長、また大津文部大臣は、そこまでをもお調べになるのですかどうですか。そこをちよつと、まず聞いておきたいと思います。
  49. 稻田清助

    ○稻田政府委員 先ほど御質問の一番最初に、大学に関連する会計経理、これは個人であるか、公的のものであるか、そういう点は別といたしましても、大学の行政、運営は大学に任せた以上、御質問がありますれば、それは十分調べてお答え申し上げる用意をしなければならぬと思つております。ただ設計図は、ある人の設計が、どのくらいの評価が適当であるかどうかというような点につきましては、これはちよつと文部省といたしましても、そのところではないような気がいたします。
  50. 高津正道

    ○高津委員 評価はどうですか。
  51. 稻田清助

    ○稻田政府委員 今の点は、高いか安いかという問題じやない。個人が個人の収入としたのか、あるいは公的の収入になつたのか、それに帰すると思います。これはまあ、事実を調べないと、私ども、わからないと思います。
  52. 高津正道

    ○高津委員 清水市は十万人以上の都市でありまして、そこの電気工業家というものは、それだけの電気工事ができないものではないということは、私は専門家から聞いておるのであります。このメーカーの品を使つてこういう工事をすれば、それにはそれぞれ監督機関があつて、ほとんどだれがやつても同じだというようなものだそうであります。そうしてまた東京からそういう業者が乗り出して行つてやるということになれば、宿泊料などがたくさんかさむので、いよいよ市民の税金がたくたん費消される。何としても、中小企業を助ける意味においても、また技術面から考察しても、地元の業者にこれは落すべきものであると常識的にきまつているのに、中共のメーカーを持つて行く。あらゆる事業というものは、政府事業であれ、多くの土建事業が、みんなこの中央の大メーカーが、教授の手伝いまでできて、そして中小企業はいよいよ泣くことになるのであります。私はこういうような点を考えましても、教授の職にある人は十分考慮を払わねばならと思うものであります。そこで、わが党から下川儀太郎君が本日文部委員として出席しておられるのでありますが、この問題について市長等にただされ、実地を調査された下川委員の意見を、あるいはその調査の結果を、われわれは報告として聞きたいと思いますが、これを特にお許しくださることをお願いします。
  53. 坂田道太

    坂田(道)委員長代理 下川君に申し上げますが、簡単に御説明いただきたいと思います。
  54. 下川儀太郎

    ○下川委員 文部委員会の問題ではないというようなことを言つておりますけれども、これは明らかに文部委員会の問題として取上げていただきたいと思います。
  55. 坂田道太

    坂田(道)委員長代理 文部委員会の問題ではないとは、だれも申し上げないのであります。ただ時間を高津さんと約束いたしまして、あまり長くかかつたら、きようはやらないということにしておりますから、その点は御了解いただきたいと思います。
  56. 下川儀太郎

    ○下川委員 先ほどから政府委員の答弁を聞いておりますると、何もかも知らない、知らないです。しかしそれが一学者の行適ぎた行為によつて地方自治が混乱に陥つている、もう一つは、地方の中小企業が圧迫されている、この二つの問題が、いわゆる学者の行過ぎた行為によつてなされたことならば、一応この文部委員会において、その学者の身分、いわゆる大学の教授の身分から問題を展開して行かなければならぬと思います。それで、まずもう一度お聞きしたいことは、大学の教授が、たとえば工学部の博士が、その設計監督以外に、大企業その他のいわゆる業界の事業に対して、あるいはまた入札等に対して、指名をするだけの権限を持つておるかどうかということは、これは調査しなくとも、いわゆる監督の立場にある政府当局は、はつきりわかつていると思う。大学の教授がそういう指名入札等の権限があるかないか、それをひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  57. 稻田清助

    ○稻田政府委員 その点は、先ほどお答え申し上げましたように、清水市の委員か何かにでも嘱託されてなければ、清水市の機関としては行動できないのではないかと思います。
  58. 下川儀太郎

    ○下川委員 よくわかりました。何ら委員にもなつておりません。しかも一十日に清水市長に会つたところが、最初の契約は設計と監督、しかもその料金は二百五十万円、しかも先ほどの高津委員から話された通りに、これはあくまでも設計監督までの契約です。ところが清水市会におきましても、そうした指名ということは委託してなかつた。それが仕様書を持つて来ると、その仕様書の中に、たとえば電気工業について沖電気、関東電気、あるいは東光電気というような三つのメーカーを指定して来ている。そういうふうな、学者それ自体が天くだり的に、いわゆる学者の権限を逸脱して、地方自治体にこれを強圧して来る。それに対して自治体は非常に混乱している。しかし幾たびか折衝した結果、やはりその教授は、これをがえんぜなかつたために、今、自治体の問題になつている。しかも私、きよう通産委員から文部委員なつたのでありまするが、この地方の中小企業が——単にこれは清水市だけの問題ではない——東大の一教授、権威ある東大の一教授が、設計監督にその立場を利用して、全国各都市の建築の設計、あるいは監督をする場合において、その有名な人が、これをいろいろ指名する場合は、勢い中央の独占企業と結びついての行為がなされる。そうなると全国の中小企業は勢いそ北に圧迫される。同時にそれによつて地方自治体は混乱に陥る。従つて、私は何も大学の教授を攻撃するのではありません。今日文科系統、あるいは農科系統、あるいは理科系統、あるいはまた政経系統の教授は、先般某新聞において、世界学術会議に生活白書を出されておりましたが、実に清潔な、貧困に甘んじた生活をしておる。その一方において、大学を利用して、そうして厖大な設計費をとる。しかも大企業の土建屋と結びつき、あるいは電気業者と結びついて、そういう指名をやるということは、はたして民主的な日本の社会において、これが学者の立場としてでき得るかどうか。おそらく大臣は、そういうフアシヨ的な学者の行動には反対だと思いますけれども、この問題は単に清水市の問題ではない。大学の学者の良心と、それから地方の中小企業、今非常に不況にあえいでいる中小企業の防衛と、もう一つは、それらの天くだり的な学者、大企業の結託によるフアシヨによつて地方の山自治体が混乱する。いわゆる地方自治体の民主化を守るために、私たちはこうして叫んでおるのであります。従いまして、単に知らないとか、あるいは調査しなければわかならいというようなことでなくして——少くとも学校教育だけが文部委員会において論ぜられるものではないと思う。すなわち学者の性格というものは、単に良心的にいいものを建てるとか、いい建築をする、そのために金がある大資本家と結びついて、そうしてそれにやらせようということも一応考えられますが、学者は自分が研究した研究を、普遍的に、日本的に、世界的にこれを推進して行く。そうして技術の遅れた地方のいわゆる土建屋なり、あるいは電気業者その他の人々を育成する任務があるはずだ。単にアカデミツクな、中央の大企業だけを推進する学者のその性格というものは、これは文部行政にも逸脱した行為と言わなくてはならないと思う。(「ヒヤヒヤ」)そうして教育その自体が、やはり単に中央集権的ではなく、全国的に、平均に、国民の向上を目ざさなければならぬ。それと同じように、大学の教授それ自体の性格は、やはり普遍的に、自分が大学の研究室において研鑽し、努力したものを、やはり業者に、あるいは地方の人々にさせなければならない。そういつたことを全然無視し、中小企業を圧迫する、地方自治体を混乱に陥らしめる、そういう大学の教授の行適ぎというものは、やはり徹底的に文部当局は監督する。そして徹底的に追究する。問題の発生は、大学教授の行適ぎによつて生じたことでありまするから、私たちは、それを徹頭徹尾やつていただきたい。それに対して大臣はどのようにお考えなつておられるか。
  59. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 具体的な岸田教授のされたことについては、事実を確かめておりませんので、その点は何んとも申し上げかねます。この点は局長から申し上げた通りであります。ただ私は大学教授として、たとえば清水市と設計に関する契約が、大学もしくは大学の研究室との間にとりかわされて、その結果岸田教授が設計したり、あるいは監督されるというようなことであれば、これはまた話が違うと思うのでありますが、大学教授といえども、もちろん個人の面があるのでありますから、個人としてさような契約をしてやつたということであれば、これは社会的の批判ということは別といたしまして、法律的にこれをどうこうというわけには参らない。むろん、それほどめんどうな先生であれば、そういう人に頼まなければいいじやないかと言えば、それまでのことでありますが、やはり権威者であれば、そういう先生にやつてもらいたい。こういうことも、もつともであります。その場合にその教授が、もちろん個人として設計を引受け、また監督を引受けられたことと思うのでありますが、それが一般的に社会では、学者というものはただ学問、技術の上においてすぐれておるのみならず、大学の教授というものは人格的にもりつぱであるはずだ、こういうふうに思つておるし、また尊敬もしておるのでありますから、それが事実、世間の批判を招くようなことがないことを私は強く希望するのであります。しかし、ただいまのように、社会的な批判は別といたしまして、それを法律的に、大学の教授たる職務をそれがために怠たる、自分の本来の仕事にさしつかえを生ずる、あるいはその仕事をなげうつてしまつて、個人的な契約の仕事ばかりに没頭しておるとかということになれば、大学の教授との仕事の間に間隙が生ずるわけであります。しかし個人としてやつたということであれば、これは社会的な批別は別といたしまして、それをもつてただちに学者の権限とか、教授の権限とかいう問題ではないのでありますから、これはそういうことのないことを要望したい。やはり大学の先生は、人格においても、学問においても、社会の師表になるような人であつてほしい。こういうことを念願するのでありますが、その点は一口にいうと、どうしようもない問題であります。御承知通り大学には大学の自治というものがありまして、文部大臣が、その教授に対してただちにやめろとか、あるいは譴責するとかいうようなことは、今日の制度の上では許されないのであります。一般的に、そういう大学の先生が、社会の師表であるような行動をとられるということは、むろん私は希望してやまぬのでありますが、しかし問題の岸田教授につきまして、その事実はもちろんまだはつきりしたわけでもなし、かりにその事実を調べた結果、大学教授という職責の上において、そういう仕事をしたということであれば、これは確かに問題である。しかし、教授の肩書きを持つた個人が、さようなことをしたということであれば、これは社会の批判にまつということ以上に、これをすぐ監督するとか、責任を問うとかいうところまでは、現在の制度の上においては行けないのじやないか、こう思つております。
  60. 下川儀太郎

    ○下川委員 ただいまの答弁の中に、そのような人には頼まなければよかつたということがありますが、これが問題なのであります。清水市も、どこに設計を依頼しようかということをいろいろ考えたのでありますが、東大の工学部という、そこに魅力があるのであります。東大の工学部に、いわゆる岸田・丹下研究所がある。そこで東大の先生にお願いすれば、りつぱなものができるのだという安易な考えです。地方の人々は安易な考えでそれを委嘱した。文字通り、東大工学部研究所の、いわゆる岸田・丹下の名において、これが契約されております。従いまして地方自治体の方は、指名とかそういこうとはない。やはり一億三千万の市庁舎を建てるにおいては、居住民の血税によつて集められたものである。従つてその市民の業者とか、そういう人たちにやらせたいという気持が自治体の中にある。要するに、設計を頼んだまではよかつた。ところが、持つて来たとたんに、おれの建築はこれだけでなければできない。先ほど高津君が言つたように、すべていわゆる附帯工事も大きな工事も、一切を指名して来た。そこに問題があるのであります。それで研究室に対する報酬は、いわゆる分配方法とか、あるいはまたどのようにそれが使用されたかということは、調べればわかるのですが、それ以外に、市当局が頼まないものを持つて来た。しかも大学教授として、大学研究所の代表者としてそれがなされる場合には、これは一応大学教授の身分が、こうした中小企業あるいは自治体を非常に混乱に陥らしめたということになつております。しかもこの問題は、先ほどの宇都宮市の設計にもからんでおりまするが、宇都宮市がやはり同じように契約をした。そうすると、設計図を持つて来ましたが、やはり同じように指名をして来た。そこで宇都宮市会は、清水市会と違つてこれを拒絶した。そういう権限はあなたにはないはずだというわけで、拒絶したのであります。そのためにその設計を持つてつたということは、宇都宮に一つの前例が残つておる。ですから、これは単に清水の問題ではない。やはり貧困な生活を守つている学者の半面に、そういう大企業と組んで、大学を利用して、そうして地方の中小企業あるいは自治体を混乱せしめるような、学者の良心のない者があるとするならば、やはり文部当局は、文部行政の立場から徹底的にこれを追究して、そうして明朗な学界にしていただきたい、これが私の考えであります。あるいはまた、地元の多くの市民たち考えであります。本件は単に自治体だけの事件だということで片づけてもらいたくない。私は、大学の教授の身分、これをやはり明確にするということ、これが本問題の大きなポイントになると思うのであります。これについて大臣はどのようにお考えなつておりますか。
  61. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 ただいま申し上げますように、岸田教授については、私ども具体的な事実ははつきりつかんでおらぬのでありますから、この人を目標にして言うことは差控えたいのでありますが、しかし大学の教授が、道徳的にも、社会的にも、いろいろと批判を受けることのないようにということは、切に望むのであります。今のお話でも、私は清水市の方が、そういうわがままを言うたとすれば、宇都宮と同じように断つたらよかろうと思うのです。私がさつき申し上げたのは、そんなものと契約しなければいいじやないか、こう言うたのではないのでありまして、りくつを言えば、そういううるさい人ならば、契約しなければいいといえば、それまでのものであるが、しかしなかなか地方の事情もあつて、そうも行かぬ点があろう。こういうふうに申し上げたのでありまして、お話の趣旨と同じように考えておるのであります。要するに、岸田先生のそういう事実があつたと仮定しても、これは岸田個人の問題でありますから、これが職務と関係のない限り、文部省としては、そういうことを希望はするけれども、これを追究するとかなんとかいうことは、実はできない状態であるのであります。
  62. 下川儀太郎

    ○下川委員 個人の問題と言いますけれども、この個人の問題が非常に重大になつて参ります。要するに、大学の名を冠しておることが大きな問題となつて来る。同時に私は、これが非常に重要だと思います。といいますのは、いわゆる大企業と、そういう権威ある学者が結びついて指名をした場合には、押されて来るのは全国の中小企業である。従いまして、通産委員会においても、やはりこれを調査しなければならぬ。同時にまたもつと極端にいえば、もし自治体と学者と、あるいは大企業と結びついたような問題が発生しないとも限らない。これは地方行政、あるいは監察委員会、すべてのものにまで発展するかもしれませんので、これは当局においても、その内容を十分に調査されたい。われわれも調査いたします。本質問はこれで保留いたしまして、調査の結果、皆さんが、いわゆる文部行政の明朗化のために、ひとつ御協力願いたいと思います。
  63. 坂田道太

    坂田(道)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十九分散会