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1953-08-05 第16回国会 衆議院 農林委員会通商産業委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月五日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員   農林委員会    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 安藤  覺君       遠藤 三郎君    小枝 一雄君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    川俣 清音君       中澤 茂一君    久保田 豊君  通商産業委員会    委員長 大西 禎夫君    理事 福田  一君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       土倉 宗明君    村上  勇君       加藤 清二君    齋木 重一君       下川儀太郎君    中崎  敏君       始関 伊平君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   柿手 操六君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    泉 美之松君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隈  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  臨時硫安需給安定法案内閣提出第一六七号)  硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案  (内閣提出第一六八号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより農林委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  臨時硫安需給安定法案及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案一括議題といたし審査を進めます。  前会に引続き質疑を行います。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 私は本日もつばら通産大臣を中心として質疑を行いたいと思つてつたのでございますが、聞くところによると、通産大臣は病気で休んでおるという話もあるし、登院しておるという話もあるし、その辺が明確でないのであります。はたして本日の委員会出席が可能であるかどうかという点を、委員長から確認していただいて、大臣が来られないとすれば、通産次官の御出席願つて、それから質疑に入りたいと思います。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀君に申し上げますが、通産大臣は病あつくして本日はお見えにならぬということを確認いたしました。さらに通産次官は、ただいま参議院の本会議に入られたそうでありまして、出席方を要求してありますので、後刻見えるはずでございます。中村軽工業局長もおられますので、質疑をその辺からお始めを願いたいと思います。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 では最初に伺いたいと思いますることは、この法案が出る以前に、例の肥料対策委員会で約五箇月余にわたつて会議をやつて、その答申というものが七月の五日に出されたわけでありますが、あの委員会答申というものが、たとえば需給安定法合理化及び輸出のこの両法案に対してどのような基本的な影響を持つておるかという点を、まずお伺いしたいのであります。
  6. 岩武照彦

    岩武政府委員 それでは対策委員会関係もございますので、経済審議庁の方からとりまとめてお答えしたいと思います。答申案の詳細はすでにお手元にございますように、また御説明したことと存じまするが、その内容は大別しまして、一つ国内需給並びに価格の安定、それからもう一つは、合理化によるコストの低下と輸出振興、この三点になつておりまして、それでこの答申の中におきまして、若干この前の委員会でも御指摘がございましたが、意味がある程度不明確ではないかというふうなお話もございましたが、それは当時御説明いたしました通り対策委員会といたしまして、結論を早急にまとめます関係上、字句の解状に至りましては、あるいはこの対策委員会としまして、一定の確定した意味を持たすということまでは至りませんで、委員各位の解釈にまかすというふうに委員長の一万田氏から宣言された事項もございます。従いまして、その点につきましての意味確定等もございますので、大体のところと申しましては、この需給調整方策にありまする主要な価格並びに需給関係いたしておりまする事項は、これは需給安定法の方に織り込んでおります。またこの需給安定調整策後段にございまする輸出関係のところは、これは合理化におけるコストの部分と合せまして、これを一本としまして、輸出調整法の方に譲つておるわけでございます。当時の対策委員会の論議を通じまして、いろんな意見が出ましたところを両法案に盛つておるのでございまして、その間の関係は緊密についておるものと存じております。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 この答申内容を見ますと、一つ国内需給価格の安定、一つ肥料産業合理化最後には輸出振興ということになつておるわけでありますが、ただ答申案の中において、非常に不明確な点は、後段輸出振興をいかにして具体的に推進するかというような方策に対しては、まつたく触れておらないのであります。それがこの法案の中においては、輸出会社をつくつて、それによつて輸出振興をはかるということになると思うわけでありますが、これらの一つ答えは、どういうような内外の判断の上に立つて関連性がどこから発展して来ておるものか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  8. 岩武照彦

    岩武政府委員 その点は、この答申案の文句は必ずしも明確ではないと存じまするが、その際答申趣旨としましては、具体的な、つまり硫安輸出はこれは国内の需要が増して余裕があるんだから、しかも近隣の諸国ことに日本の旧領土でありますとか、あるいは食糧等を購入します重要な地域でございますので、何とかこれにも輸出考えなければいかぬ、ただその具体的な方策につきましては、これはいろいろ政府並びに国会の方においても、いろんな議論もあるだろうし、またこの政策のいろんな方向並びに系列等もございましようかしら、これはひとつ国会並びに政府において具体的に取上げてもらいたい、こういうのがこの答申案趣旨でございまして、これは最後委員会におきまして、一万田会長からも明白に申されております。従いましてこの輸出会社お尋ねの点でございますが、これは当時の委員会審議を通じまして、需給調整の方の小委員会の当初から問題になつ事項でございまして、これを会社形態がいいとかあるいは特別のいわば政府機関に近い性格を持つたものがいいとか、あるいはそういうふうな集合的な処理を考えなくて、会社個々メーカー自体に責任を持たしたらいいじやないかという、いろんな議論が出たわけであります。しかしその具体的な形態については、これはいろいろ予算上の措置もございましようし、また政府機関となりますと、これは予算上の措置もございまして、当時としましては、おそらくこの予算審議には間に合わないという事態もございましたのと、もう一つはそういうふうな具体的な事項は、これは諮問機関である審議会として、具体的にこれによるべしということを出すのは不適当ではないかというような問題もございます。ただはつきりしていることは、一つ輸出差損といいますか、これはメーカー他人に迷惑をかけないで、自分で負担すべし、これは非常にはつきりしておる。それともう一つは、需給価格を通じまして、内需安定確保が第一であるから、その上の輸出という観念、これもはつきりしております。そういうふうな前提に立つて、じや具体的にどういうふうな機構がいるのか、あるいはいいのかというふうな問題は、ひとつ政府国会で話してもらおう、こういうことであります。それで爾来政府側におきましていろいろ検討いたしたところでございますが、当初昨年の暮れ以来、肥料輸出問題で一番問題になりましたのは、要するに、輸出価格内需価格とが相当開いておつたのでございますが、そのために、たとえば輸出赤字内需に転嫁するのではないかとか、あるいは輸出がかりにペイしておれば内需も下げたらいいじやないかという議論が出たわけでございます。結局いろいろ詰めて考えますと、輸出内需とを数量的にもあるいは価格の面からも絶縁しませんと、どうしてもその関係は割切れないわけでありますが、これは対策委員会時代からいろいろ議論もありましたし、その後も考えて参つたのでありますが、やはり絶縁する何かの措置がいるじやないか、それには個々メーカーにまかして、ばらばらに処理させますと、どうしてもその関係はつきりしなくなつて、やはり先ほど申し上げましたようないろいろの問題も起るわけでございますので、そこで遮断する一つ方法として輸出機構が必要ではないかというふうな結論になりました。輸出機構といたしまして考えられますのは、対策委員会時代にも出ましたが、結局政府機関でやるか、あるいは会社形態でやるかしかありません。政府形態になりますと、これは予算の問題もありますが、同時に、メーカーが終局的には自分で負担するのだ、他人に迷惑をかけないというふうな考え方とは大分違つて来ますので、結局そう詰めて参りますと、まあ会社形態しかないということになつたのでございます。従つて輸出会社機構を提案いたしましたのも、大体対策委員会需給調整方策結論を論理的に詰めて参りますと、結局この形態しか考えられないというふうになつたのであります。従つてそういうことでいろいろ考えましたあげく、この輸出会社という案にいたしまして、国会に提案した次第でございます。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの御答弁の中に非常に問題点があるのであります。この点については、当委員会において保利農林大臣は、内需輸出を明確に区分して、その間に壁を一つ入れて、そうして内需用硫安価格に対しては輸出損失は絶対附加しないために、この法案さえも別に用意して、内需輸出を明確に区分してあるのだ、決して輸出会社の分の損失内需価格に転嫁するようなことをしないためにこの法律はつつたのだということを、前会に言つたわけです、今あなたの説明の中においても、そういう点がくどくどしく敷衍されておるわけでありますが、この肥料製造メーカー限つて自分損失について他人に迷惑をかけたくない。これは社会的、公益的な立場に立つて非常にりつぱな考えではあるけれども、輸出の、しかも全体の生産数量の二五%にも及ぶというこの大量のものの輸出を行う場合において、これは出血であり、損失であることが明確である場合において、その損失をたれにも迷惑のかからぬようにするという場合には、企業の中において次第に損失を累増して行つた場合、はたしてそういう企業形態というものが持続して成り立つかどうかというところに、これは常識的に考えても大きな疑問が浮ぶわけであります、そういう点をわれわれはまつたく理解することができないわけです。輸出内需との間にはつきり障壁を設けて絶縁して、内需に対しては迷惑をかけないと言いながら、輸出価格内需価格との問においては、一かます二百五十円とか三百円の開きがあるというこの事実に対しては、どういうような解明を与えるか、この点をお伺いしたいのであります。
  10. 岩武照彦

    岩武政府委員 その点は昨日御指摘があつたかと存じまするが、個々メーカーにそれを処理させますと、先ほど申し上げましたような懸念といいますか、あるいは経理上の問題も残りますので、これをある一箇所にまとめまして、他方合理化を促進いたしまして、国際的な価格にできるだけ近寄らせるというふうな構想でございますし、また御指摘がありましたが、輸出価格内需価格との開きも、これはもう御承知だと思いますが、相当動きがございます。これは肥料輸出の特殊な問題だと思いますが、国際的な入札で参ります場合もございますし、あるいは通常の貿易形態の場合もございます。従つて国際的な競争という点が、ケースによりましていろいろ違つて参つておりますので、この輸出に対して幾ら差損になるかという点は、これはなかなか一概にはきまりませんが、まあ一つはだんだんにコストを下げて参り、国内価格を下げて参りますれば、輸出にある程度応じ得る価格にだんだん近づいて参ると思います。従つてあるところにたな上げしておりましても、それはだんだんに減少して参る、こういうふうに考えております。なお今御指摘がありましたように、一体赤字がどうかというふうな問題もありましよが、これも実は官庁側としまして、どの会社幾ら赤字をどの輸出に出したかということはなかなかつかめません。この際、これもコスト調査を通じましてあわせてはつきりさせて行こうというわけでございます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと関連してこの際お聞きしておきたいのですが、輸出会社法によるのほか輸出の合理的な形態はないという御説明でしたが、この十四条に独禁法除外規定をわざわざ設けておりますが、この規定はどうして設けなければならなかつたかという点について、経審と通産省から御答弁願いたい。
  12. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは輸出会社が、輸出会社を構成しております製造業者から買い取る数量あるいは取引条件というものにつきまして、一つ協定をいたす必要がありますが、この協定は現在の独禁法から申しますと違反になりますので、会社の運営上こういう規定を設けたわけでございます。もちろん価格につきましては、国内公定価格をつくりますので、価格に関する協定は含みません。
  13. 岩武照彦

    岩武政府委員 お尋ねの十四条は、独禁法の方で一手買取りという形の会社は、取引を制限する共同行為に相なるということで禁止されております。それで例外を設けたのでございます。
  14. 川俣清音

    川俣委員 そうすると今までの説明によりますると、現在やつていることをただ会社にするだけだという説明は、ちよつと当てはまらぬことになるのですが、現在硫安協会がやつておりますことを、そのまま会社の形式に持つて行くんだという説明が今まで行われておるわけです。そうすると現在の硫安協会はこの脱法行為をいたしておるというふうにお認めにならざるを得ないのではないかと思うのです。従いまして、この会社独禁法の十四条の除外規定を設けられましたということは、現在やつていることが独禁法に触れておるから、それを触れていないよにするために会社をつくつた、こういうふに解釈してよろしいのですか。
  15. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問は、十三条並びに十四条の問題について、現在硫安協会がこれと同一実態のカルテル協定的なものをやつておるというような御趣旨の御質問のように承るのでございますが、現状におきましては、私はそういう協定はやつておらぬと考えておるのでございます。輸出会社にいたします場合に、輸出についてだけは当然このような例外規定認めまして、輸出会社の運営を円滑にやつて参りたい、こういう趣旨認めた法文でございます。
  16. 川俣清音

    川俣委員 私は関連質問で立つたのでありますから、しつこくは食い下らないつもりでありますが、現在なぜこの条項を挿入されたかということについての御説明を承つたのです。その内容をもつて今日硫安協会がやつておるということは、これはあまりにも明らかです。違うとおしつやいますならば、今どのようにして輸出をやつておられますか。今あなた方御説明通り内容で、入札した会社輸出行為をやつているかというと、必ずしもそうじやない。硫安協会一本にまとめて、各会社から割当をして、それを輸出する、そうじやないのですか。もしそうでないとすれば、あつた場合にはどう処分されるか。
  17. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 国際入札の場合には、各輸出業者がそれぞれ違つたばらばらな入札を現在いたしております。価格についても協定はいたしておりません。輸出会社ができました場合には、もちろん輸出会社が単独で入札あるいはその代行をさせるというように相なつております。
  18. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、会社経営内容から見て、赤字を出してまで輸出をするということは考えられない。全部一様に輸出に参加いたしております。ある会社だけが入札に参加し、その輸出を甲という会社だけが行つておりますかどうか、それとも硫安協会が共同して輸出をいたしておりますか、その点を明らかにしていただきたい。局長答弁のように、ほんとう入札した会社のみが輸出しており、硫安協会がそれに参加していないとすれば、それでもよろしゆうございますか、もしもこれに関連してあつた場合においては、将来硫安協会をお認めになる模様でありますか、または輸出に対してどのような処置を講ぜられるつもりでありましようか、この点をお尋ねしておきます。
  19. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 国際入札の場合におきます入札につきましては、全メーカー入札に参加する場合もありますし、数量的に少い場合は、数社が入札に参加した例がございます。入札した場合に、落札した会社輸出するという建前になつております。
  20. 川俣清音

    川俣委員 局長の御答弁のようでありますれば問題ありませんが、もしもそれと違つた、私のお尋ねしておるような行為があつた場合においては、さかのぼつていかなる処置をお考えになつておられますか。
  21. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 今申し上げたよなのが事実でございまして、それと違つたような事例はないと私は考えますが、念のため調査いたしてみたいと存じます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどの御答弁でありますが、他人に迷惑をかけない、この点がもう少しはつきりしなければならぬのであります。他人というのはたれをさして言うのか、外国輸出をしてこれを使用するところの外国農民に対して迷惑をかけないというサービスの意味か、そのことは逆に、日本農民に対しては内輪だから迷惑をかけてもこれは迷惑にならぬということを考えながら言つておられるのじやないかと思うわけです。これはあとになつてはつきりわかるわけですが、この法律が施行された場合において、現在まで行われておるところの内需価格が、この法律一つの効果によつてどれだけ価格引下るかということが立証せられて来ると思うわけです。五年後においては相当引下るかもしれませんが、少くとも内需価格が、今のたとえば第二次の安定帯価格より実際どのくらい下るという、具体的の数字があつての上そういう御発言がなされておると思うので、その点に対して年次的に、第一年にはこれだけ下る、第二、第三年にはどうなるということを、具体的に御説明を願いたいと思います。
  23. 岩武照彦

    岩武政府委員 他人にと申しましたのは、要するに国内消費者にもあるいは政府にも迷惑をかけないというくらいのごく常識的な意味であります。  それから価格の方の問題、これはこの法律が施行されまして、具体的にコストを調べましてやるわけでありますので、幾らに相なりますか、ちよつと予測がつかぬということでございます。私としてはそう申し上げるより方法がございません。これはコストをいろいろ洗つてみまして、また算定の方法がいろいろきまりまして、硫安審議会等答申がありました結果でないと、いかほど下りますか、これはちよつと今この席で申し上げる材料を持ち合せておりません。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう一番大事な点に対して確信もないし、見通しもない、ただこの法律が通れば下るであろうということでは了承できないのであります。政治というものは、少くとも三歳の童子でも了承できるようなことをやつて見せるというのが政治だと思います。最近資料として硫安コストの表が出ておるわけです。全体を平均した場合においては、十貫かますで九百三十四円六十二銭、ABC三クラスにわけた場合には、Aが八百九十一円三十五銭、Bが九百四十円六十大銭、Cが九百八十円四十銭であります。これはメーカが一方的に当局の検討を加えないなまのまま出して来たものを資料として出されておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  25. 岩武照彦

    岩武政府委員 今御指摘がありましたコスト資料は、これはすでに御説明があつたと思いまするが、肥料対策委員会の方に、会長の要望に応じまして、メーカー側委員から出された資料であります。従つてその内容等につきましては、これは官庁側としましては何ごとも承知しておらないわけであります。いわば無関係で出たというようなことでございます。そういうことでございまするので、対策委員会におきましても、その資料の中身をもう少し具体的に検討してみたらどうかということで、小委員会をつくり、なおさらに部会の専門の人にも頼みまして検計をしてもらつたわけでございまするが、その結論として報告されましたところでは、これはいわば硫安メーカー委員の要請に応じまして各社から出されました資料で、それをその委員のもとで集計されたにすぎない。従つてその各原価項目内容なりとり方等についても、若干検討の必要があるようだ。しかしこの対策委員会下部機構である専門委員あるいは小委員会としては、それの信憑性を確かめるために、たとえば会社帳簿を洗うとか、あるいは伝票をひつくり返すというよなことは、これはそういうふうな権限はありませんので、そこまで入れなかつた従つて結論的に言えることは、数字的な点について、この資料ほんとう原価計算のルールに合せて妥当なものかどうかということは、結論するわけに参らないというふうな結論になつたのでございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 今度の法律の中においても、審議会を設置して、その審議会一つ調査権をもつようなことになると思うわけであります。この審議会がかつて肥料対策委員会のような、本体あれと類似したような形になると甲うわけでありますが、半年たつて結論さへも出ないというような審議会を何回つくつてつたところで、はたしてそこから期待に沿うような答えが生まれるかどうかということは、今からもう案じられる点が多いのであります。それにもかかわらずメーカー側は、非常に公益的な考えの上に立つて他人には迷惑をかけないと言いながら、こういうようなずさんきわまる原価計算を出しておる。こういうようなものに対抗して、もうけておらぬおらぬと言いながら、あくなき利潤を追求しておるメーカーに対して、やはり明確にその内容を解剖するだけの力がなけれげならぬわけでありますが、はたしてこの審議会が設置されて、あるいはまたこの法律によつて調査権という一つの武器を持つという場合において、これを解剖した場合において、これから何割くらいコストが下るかという、そういう見通しを聞かしてもらいたいのであります。
  27. 岩武照彦

    岩武政府委員 ただいまのお話でございますが、このコスト等調査は、これはこの法案にありまする硫安審議会権限ではございませんで、これは農林大臣並びに通産大臣自分権限として、部下をして報告を聴取させ、あるいは必要あれば事務所等に立ち入つて帳簿書類守を検査させて調べる。その結果を硫安審議会に持ち寄りまして、そこで価格決定一つの要素として検討してもらう、こうなつております。この点はこの法案の第十三条の一項、二項にあるところでございまして、審議会としましては、これはあくまで審議機関でございまして、直接民間の会社工場等に対して権力的にものを調べたり、資料をとつたりということは、これはできないわけでございます。この審議会の方で、そういうふうな官庁から出ましたコスト報告を見て、なお不十分で、検討すべき余地ありという意見でありますれば、それを受けまして、官庁側として農林大臣並びに通産大臣が、さらに必要な事項メーカーから報告をとり、あるいは現場を調べて妥当なものを求める、こういうふうになつておるのが、法の建前でございます。このコスト報告を精査し、検討しますのは、直接には官庁職員でございまするので、その辺のいろいろの能力の問題はともかくといたしまして、硫安議会は、これはいろいろ各方面の代表者、権威者だと思いまするので、その辺でいろいろ大局的な検討もできるのではないかと思つております。ただ御質問がありましたように、幾ら下るのだということは、片一方に合理化の進捗もございまするので、具体的にここで幾らに相なるということは、年次別等にははなはだ申し上げにくいところでございますが、ただ合理化法案の方の説明で申し上げておりますように、五年たてば云々程度は、これは少くとも下げ得るというのが、これがコスト一つの目標でございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 調査権の問題でちよつとあげ足をとられたような形ですが、もちろん政府調査権を持つておるわけですが、その調査した結果というものは、当然審議会等において、その妥当性というものは検討されるというふうに私は考えておるわけであります。ただ問題は、こういうものをつくつたところで、結果において今までと何もかわりがなかつたということになつた場合においては、すでに国内においては五十万トンも六十万トンも、内需だけから見れば過剰生産になつておる。むしろ野放しにして、外安に対しては、やはり国際的な市場において、十分実力の上に立つて対抗できるような一つの条件の中に、これを裸にして投げ出してみるというようなことで、むしろ硫安工業の合理化とか健全化というものが推進されるのではないかというふうにも考えられるわけであります。ただ内需だけをしつかり防壁の中に囲い入れて、これが妥当な価格であるということで、むしろそれによつて温存して、外国に対する輸出の分に対しては、毎年々々それをたな上げして、五箇年間でどれだけその赤字というものが累積されるかしれませんけれども、おそらくこの法律の効力の終る昭和三十三年の最終段階において、このたな上げされたものが合理化や何かによつて完全に解消されるというようなことは絶対あり得ない、最終年次においても、おそらく国際価格にどれだけ近づいたかというくらいにしか行かぬ場合において、一方そういう意味で累積される赤字の総額、それから国内においては、この一つの防波堤によつて内需価格が下つて行かないというような場合においては、はたしてこの法律のねらいというものは——日本の農業生産に従属したところの肥料産業というような、そういう立場で私たちはこの肥料産業を見たいのであります。そういう場合において、どれだけ日本の農業にこの法律の及ぼす功績があるかということを考えた場合に、大きな期待というものは全然持てないのであります。それはなぜかというと、この法律の中においても、国内における需給調整というものは農林当局が担当する。それから合理化輸出の方は、もつぱら通産省が受持つ。それから審議会の方は経済審議庁の方でやるというふうにして、寸断している。むしろこれらのことは、肥料行政を一元化するという強力な態勢に持つて行くべきであるにもかかわらず、こういうように行政面においても寸断して、そうして国内における農民に目隠しをして、これだけがほんとうのものであつて外国に出している分は全然別なのだということをするのは、これはまつたく大きな逸脱であるというふうに考えるわけです。この疑問を解明するためには、これによつて内需価格がどれだけ下るとか、それから国際市場に対してどれだけ抵抗するだけの力がついて行くかということは、具体的に現在証明しなければならないと私は考えておるわけでありますが、そういう点に対して、今までの御説明を伺いますと、何ら満足するようなお答えを与えておらないわけであります。  それでさらにお伺いしたいことは、今後合理化の面に対して、国の財政投資があるいは百六十億であるとか、自己調達が百二十億であるとか、いろんな資料が出ておりますが、この十四社のメーカーの中においては、大幅な硫安の面における原価の引下げが行われるような会社もあるわけでありますが、たとえば東海硫安の場合においては、大体一トン六千円くらいの原価の引下げが可能である。これに対しては二十一億くらいの合理化資金の投入が必要になるかもしれませんけれども、こういうことが出ておる。それから次は新日本窒素としては五千百円くらい引下げができる、あるいは東北肥料は四千四百円の引下げができる。こういう資料があるわけなんですが、そうすると、メーカーによつて今後非常に合理化が進むことによつてコストに大きな差異が出て来ると思うわけです。先ほど私が申し上げました、最優秀と最劣等では九十円くらいのコストの差があるということは全然信用が置けないわけでありますが、今後合理化が進んだ場合においては、優秀なるメーカーと劣等なるメーカーの間においてどのくらいのコスト開きが出て来るか。そういうことの御検討は一応できると思いますが、いかがですか。
  29. 岩武照彦

    岩武政府委員 コスト低下の具体的な目標並びにその内容につきましては、通産当局から御説明すると思います。前段の問題でございまするが、これは実はわれわれ政府委員からお答えするのはいかがかと存じまするが、一応事務的に考えておりますところをお話いたしますると、お話の点は経済政策に対する一つ考え方だと存じまするが、内需を固定しておいて輸出の方で外界の世界に対応さして参るという考え方をとつたわけでございます。内需をある程度自由にしてというふうなお話のようにとれましたが、その点は実は国際的な商品でコストを下げるのに一番いいのは、これは経済的な合理性を追求さすために、輸出も輸入も自由にして、国内も全部自由にしてしまうというような考え方があると思います。ただこれはこういうふうな農業生産の一番基本的な商品でありまする化学肥料を、そういう不安定な状態に置いていいかという問題にすぐぶつかります。ことに輸出の時期は、東南アジア等におきましては比較的国内の需要期と一致しますので、これはとてもそういうことにはならぬだろう。従つてまず国内の方を安定さしておいて、余つたものを輸出の面で外界の世界に対応さして参るというふうな手段が、こういうふうな商品としましては一番適当な方法考えております。またある商品の販路の一定部分を、ある条件で国内にくぎづけしてしまうということで、かえつて指摘のような肥料産業を農業生産に十分に寄与せしめるというふうな効果を発するのじやないかと思つております。逆に参りますと、農業の方が被害者になるということになりますので、これはむしろ肥料産業を農業生産に直結さして、まず内需を安定させ確保さすというふうな方法がやはり必要かと存じております。  ただ、そういう輸出の面で国際的な情勢に対応さすとしても、はたしてその見込みがあるかどうかという御指摘でございます。これは今までのいろんな輸出の外界諸国の値段等を見てみましても、なるほどずいぶん安い輸出もございますが、同時にある程度の価格でこちらからも出し得る場合がございまして、これは先ほど申し上げましたように、この商売はどうも、たとえば綿布のような非常に普通的な国際商品と違いまして、比較的ケース・バイ・ケースのいわば特例といつたようなものが多いようでございますので、決して現在のような価格で国際競争に勝てるとも思いませんが、さりとて将来これが一割五分か二割くらいのコスト低下を見込みますときに、これでやれない、あるいはそれ以上にまだ下らないというふうなことは考えられないと思つております。その詳細は通産当局から御説明いたしまするが、われわれ事務当局としましては、大体の考えとしては、こういう措置を講じて参れば、十分国際競争に勝ち得るだけの価格のさや寄せもできるし、また企業の自立もできて参る、こういうように考えております。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 肥料行政の一元化問題等は、後刻大臣かあるいは次官が出席されてから、政策面のことはその場所でお伺いしたいと思いますが、小倉局長最後にお伺いしたい点は、内需用の分に向ける生産者販売価格を決定するわけでありますが、そういう場合の価格決定方法は、これは各業者の全体のコストを総平均したような、そういう方法で販売価格の基準をきめる考えであるか、あるいはまたコストの低い優秀メーカーから順次これを充当するような形にして、いわゆる加重平均のような方法でやるのか、その方法についてのお考えを聞きたい。
  31. 小倉武一

    ○小倉政府委員 公定価格をきめます場合の計算の基準のとり方の問題でございますが、これは法律の第三条に書いてございます国内消費見込み数量、これに需給調整用としての保留数量を加えました合計量に達しまする数量までコストの安い順序に積み上げまして、その数量の加重平均が妥当であるというふうに考えております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 なおこの場合一割の保留分がありますが、これは普通に考えると百六十万トンで内需に間に合うという場合は、あと余つたら一応輸出ということになるわけであります。そういう場合に保留する分を内需価格の高い方へ入れてきめてやるというようなことは、これはどうですか、むしろそういうような余剰性のある分は、余れば結局安く輸出しなければならぬわけであります。これもやはり数量において十五万トン、十六万トンですが、こういう分くらいは輸出価格で買上げをして、そうして調整用に向けるということになれば、政府の財政面における損失も少いし、農民に対する一つのサービスになると考えますが、局長はどうお考えでありますか。
  33. 小倉武一

    ○小倉政府委員 先ほども申し上げました通り考えております。調整用の保留分は御指摘のようにその分だけは結果的に見れば、あるいはこれが年度経過の途中におきましては、先行き見込みということを考えまして輸出用に振り向けられることも当然予想されるのであります。しかしながら保留数量として特に一定の数量を特定いたしまして国内に保留いたしまするゆえんのものは、輸出ということよりもむしろ国内の需要充足ということにございますので、これは国内の需要のために必要な措置ということでございますので、価格をきめます場合にも、そういう数量はやはり確保できるような価格ということが妥当であるというふうに考えておるのであります。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点お伺いいたします。先ほど経審庁の調整部長のお答えでは、全然内需価格に対する農民の側から見た安定感というものが生れて来ないわけであります。しかし、小倉局長の話では、少くとも農民に対する肥料を少しでも安くしてやりたいという配慮はしておるわけでありますが、この需給調整法が通つた場合においては、いわゆる内需に対して価格の面においてどのくらいの期待が持てるか、農民に対して安定を与えるか、肥料メーカーに対して安定を与えるか、これは法律がどつちにウエートを置くかという観点がおのおのあると思うわけでありますが、何かこの質問応答の中において、どのくらい価格が安くなるかというくらいの答えが、一つぐらいはなされないと、これに対して審議を進めても、ただ既成事実だけを法律の中で守つてやるということにしかならないと思いますが、どうですか。
  35. 小倉武一

    ○小倉政府委員 公定価格をきめますゆえんのものは、単に硫安製造業者に再生産費にある程度の利潤をプラスした価格を保証するということだけに尽きるのではありませんで、御指摘のような農家の経済あるいは農産物の価格というようなことを考えまして、農家としての農業生産の再生産もやはり可能になるように考えなくてはなりませんので、再生産という点から見ますれば、硫安と農業生産と両面から当然考えられるべきものだと思うのであります。そこで先ほどからの価格低下の問題でございますが、これは法案には直接文句としては表われてませんけれども、両法案趣旨は、御承知の通り国際価格国内価格との差が相当開いておりまするので、五箇年計画をもちまして、国際価格に可及的に接近しまして、国際価格国内価格との開きによる農民の不満不平を解消しよう、こういうねらいでございますので、価格をきめまする場合にも、これは当然合理化の進歩状況というようなことがしんしやくされると思うのであります。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 時間がないという委員長の御注意がありましたので、残余の質問大臣並びに次官が御出席の上行うことにいたします。
  37. 井出一太郎

    井出委員長 次に加藤清二君。前二回の御質疑の補足という範囲においてお願いいたします。
  38. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、補足の範囲ということになりますと、どうしても農林大臣さんに聞きたいことなんでございますが、いらつしやらないようです。せめて次官さんなりともお尋ねしたいのですが、次官さんの御都合いかがですか。
  39. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと申し上げます。大臣出席の予定になつております、そこでそのうちには見えると思いますので、もし他の局長でよければ御質問を願いますし、どうしても大臣の列席をまつてということならば、次の順位の方に譲つていただきます。
  40. 加藤清二

    加藤(清)委員 この前の続きと仰せられますが、私、灰ざらが降り、ジヨツキが降つて来ても大臣さんか次官さんかにお尋ねしたいところでございますが、いらつしやらないということならばやむを得ませんから、いらつしやるお方でわかることをお尋ねしたいと思います。  そこでまず第一番に、今度こういう法案をつくらなければならぬというゆえんのものは、国際価格国内価格とに非常に開きが多い。それでもしかしたならば、国内農民の出血によつて農民の犠牲において国際価格を保持しておるのではないかという疑いが全国的に澎湃として起つて来たので、こういう対策委員会が設けられ、こういう法案が生れて来たと考えておるわけです。ところがこれをずつと読んでみますと、国際価格国内価格とをさや寄せするという目的に合うような条項が、私の頭では見当らないように思う。そういう意図がどこに盛られておるかという点にウエートを置いてお尋ねしたいと存じますので、お答えなさるお方もそこに中心を置いて、ほかのことを思わずにお答え願いたいと存じます。ここにマル秘と書いてある硫安平均価格表という資料をいただいておりますが、これは私ふしぎでかなわない。コストが九百三十円台をしておるわけですが、それがマル秘だというのですから、さつぱり見当がつかない。何でこんなものがマル秘でなければならないのか、わけがわからない。そこでまずコストの編成でございまするが、原価要素につきましてお尋ねいたします。原材料費のところにずいぶん高い値段がうたつてございまするが、この場合にわれわれしろうとが考えますると、副産物があるはずでございます。肥料の場合にはそういう副産物がないとおつしやるのか。それともあつても零とお考えになつていらつしやるのか、ないしは実際の原材料の仕入価格から、生じて来たところの副産物をマイナスしたものがここへうたわれてあるのか、その実態をお聞かせ願いたいと思います。
  41. 柿手操六

    柿手政府委員 配付いたしました資料は、先ほど経済審議庁から御説明があつたと思うのですが、ことしの春、肥料対策委員会におきまして、生産者側の藤山委員硫安コストの提出の要求がございまして、それによつて藤山委員から硫料対策委員会に提出になつ資料であります。従いまして、これは政府の方で調査いたしました原価調べでありませんので、御指摘の点は不明でありますが、副産物はむろんございますので、副産物は普通の経理でいいますと、副産物収入とかあるいは戻入とかいう項目で、マイナスの要素で、プラス・マイナスして最後に原価が出ることになつておるのですが、これはおそらく戻入という費目はございいませんので、原材料の方か経費の方で評価がえをしてあるのではないかと思つております。
  42. 加藤清二

    加藤(清)委員 お説の通りでございまして、普通の原価計算書には、正直なものならば、副産物というほんとうはマイナスの項目があらねばならないはずなのです。これがない。そこでお尋ねいたしまするが、この原材料費というのは副産物をさつぴいた価格であるという旨の御説明肥料審議会において、行われたのですか。
  43. 柿手操六

    柿手政府委員 原価につきましてそういうこまかい点までの論議はございませんでした。
  44. 加藤清二

    加藤(清)委員 実はこのコストが問題の中心点でありまするにもかかわりませず、そのコスト表があまりにも—安ければ問題にしなくてもいいでしようけれども、九百何ぼということしの春肥の安定帯価格を上まわるコストが出ているにもかかわりませず、その重要な原価計算の要素の審議が詳細に行われていなかつたとすると、遺憾ながらこれに対する信憑性が薄らいで来る、こういう結論に導かざるを得ませんですが、それでよろしゆうございますでしようか。
  45. 柿手操六

    柿手政府委員 これは加藤委員の御意見でありますから何でありますが、この対策委員会は、コストを調べて、そうしてそのコストによつて適正なる価格をきめるということを目的にした委員会でありませんでしたので、要するにあの委員会は、お説の通り昨年の秋以来非常に安くなければ輸出できない、いわゆる出血輸出問題が起きまして、その問題を契機として硫安対策の基本方針をいかにして講ずべきかというところを中心にして議論されたときの参考に、実はこの原価が問題になつたのであります。原価を調べて適正価格をきめるということが特にそのときの委員会の中心議題ではなかつたというふうに思うのであります。
  46. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、出発点は、同じ東京駅まで行つたけれども、一人は関西行の切符を買い、一人は東北行の切符を買つた。こういう結果になるわけでございます。政府側からもいろいろな資料を御提出いただきまして、この点感謝にたえないわけですが、それと同時に、消費者側からまたこれに対するいろいろな資料が出まして、これはほとんど反対の意見が多いようでありまするが、これほど国民的な関心を呼んでおるゆえんのものは何かといえば——輸出が出血である、だからそれを何とか解決しなければならないという問題が中心であつたようにお答えになりましたですね。ところが国民的関心を呼んでいるその中心は何かというと、国際価格よりも国内価格が一かますについて三百円も高い。なぜ肥料は国際価格を上まわつて買わなければならないだろうか、日本農民は何がゆえにお米は安く売つて日本政府は、何がゆえにお米を輸入するときは国内価格を上まわつて買わなければならないだろうか、肥料だけは、何がゆえに内地のお百姓さんには国際価格を上まわつて高く売つて外国のお百姓さんには安く売らなければならないだろうか、これが問題の中心なんです。だから、内地のお百姓さんに売つている値段がはたして正常でありやいなやということが問題にされかけたので、この前の国会の折から原価計算書を出してもらいたい、出してもらいたいという声が、私のみならず皆さんから出ておつたはずなのです。この問題は、政府委員のお方にお尋ねする筋合いではございません。ここから先は農林大臣が見えました折にお尋ねすることでございまするから、この程度にとどめまするが、ここをとくとお考えいただかないと、東京駅へ一緒にそろつて行つたけれども、一人は東北へ行つてしまうし、一人は関西へ行つてしまつた、こういうことになりまするので、恐れ入りまするけれどもこの点を特に——農林省側の政府委員の方もすでに御存じのはずなんです。お百姓さんの、肥が高い、肥が高いという声は百も御承知のはずなのですから、ピントを間違えないように、ぜひ慎重審議をしていただきたいと思います。  次にお尋ねしたいことがございまするが、原価要素のうちに労務費経費という点がございます。そこで一番最初にうたつてございます労務費、これの電解法、ガス法との違い、それを、AB、Cグルーブにわけておりますが、これが違つておる。これは当然だと思います。この点はわかりますが、私のわからない点は、これを一体いつのべ—スでございますかということでございます。
  47. 柿手操六

    柿手政府委員 これは昨年の九月、十月、十一月、大体硫安の操業度は、年間渇水期、豊水期で非常に差がある。ですから、これは正確には一箇月間くらいずつ区切つて調べないと正常なものが出ないのでありますけれども、非常にとり急いだ関係上、大体昨年の九月、十月、十一月というのは年間平均の操業度に近いだろうということで、その三月のうち最も年間平均に近いだろうという任意の月を選びまして、そして各社で出して来たものを集計した、こういうふうに承知いたしております。
  48. 加藤清二

    加藤(清)委員 各社が提出したと仰せられますると、その折には労務費だけを各社が拠出したものでございましようか、それとも原価計算の一覧表を出して、そのうちに含まれた労務費、こう考えてよろしゆうございますか。
  49. 柿手操六

    柿手政府委員 非常に詳しいことになりますと、私どもで直接調査いたしておりませんから、責任を持つて申し上げかねますが、おそらくこれは硫安の方の藤山委員が対策委員でありますので引受けられまして、業界メンバーに対して、こういうフォームで今申し上げました期間の適当な月を選んで各種目のトン当りの計算を出してください。こういう要求をして、各社が計算して出して来たものであろうと想像いたしております。
  50. 加藤清二

    加藤(清)委員 もしお言葉の通り各者が提出したとするならば、各社はおそらく労務費だけでなく、ほかの項目のものも提出したに違いないと存じますが、でき得べくんばその各社提出のものを見せていただくことにでないものでございましよか。先般の参考人招致の場合藤山さんは、私のこの要求に対して、審議会の方へ提出してあるから、そちらで見てくれと、こういうお言葉であつたことは、記録を見ていただいてもはつきりしていると思いまするが、そこででき得べくんば、各社の出されました資料を、こうやつて集計せずに、そのまま生地のままを見せていただきたいものだと、この点は、済みませんが、委員長に要求しておきます。  それから労務費でございまするが、この電気は今お答え通り月によつて配電量が違うと存じます。それによつて労務費もまたいろいろな関係を生じて来ると存じますので、こういうものは何年何月ある月というふうに限らずに、ほんとうは年間の平均ベースをとられるのが常識ではないかと考えております。そこで今後こういうものが出される場合には、いわゆる世間一般並みの常識で通用するところのものをおとりになつた方が、疑いがかからぬで済むじやないか、こう思うわけであります。それがほんとうにこの出されました資料を信頼するための基礎になると、こう思いまするので、これはお尋ね申し上げることではございません。これも大臣に申し上げることで、大臣がおられぬので、あなたに申し上げるのですから、まことに局長さんには相済みませんが、これは私の考えです。  次に、ここに減価償却費という項目がございます。これもそれぞれの種類別及びクラス別によつて違います。違つている意味も大体想像がつきます。ところがこれは一体何年間を目途としての償却でございましようか。その点どんな話合いが行われているか。
  51. 柿手操六

    柿手政府委員 これも私ははつきりここで確実には申し上げかねますが、大体十年償却くらいが標準になつておるように思います。多分これも十年償却基準で出してある、こういうふうに思います。
  52. 加藤清二

    加藤(清)委員 まあそれは機械によつていろいろありましようし、法律にきまつていることでございまするから、必ずしも十年であるとか、十五年であるとかいうことはここでは断定できないのでございましよう。この先のことを質問すると、やはりこれもまた大臣、とこういうことになりまするので、私はこの償却についてのこの先の質問大臣にさしていただきたいと思います。  次にここでもう一つこの表についてお尋ねしたいことがございまするが、運賃諸掛でございます。これが電解法とガス法によつて違うております。一かますについて……。これは目方が違うとおつしやいまするのか、それとも包装が違うとおつしやいまするのか、あるいはその庭先渡しあるいはレール渡しという意味で違うとおつしやいまするのか、ないしは会社の位置が違うておるからこういうふうな値段で運賃諸掛に相違ができたとおつしやるのか、これはいずれでございましようか。
  53. 柿手操六

    柿手政府委員 これは御説の通り会社の販売が今統制いたしておりませんから、いろいろな特約その他もありまして、販売の方法が違つておりますので、工場から消費地の最寄り貨車乗せまで行く運賃諸掛りがメーカーの負担になつておびますから、その会社の販売方法、従来のお得意との関係、あるいはまた工場から出荷します出荷の便不便、というようなことで、諸掛の点、鉄道の運賃の点等も違うというようなことから、これはたまたまある月の実績でありますから、年間平均こうなるかどうか、ということについては、正確には申し上げられぬかと思いますが、このある月をとつたときの実績はこういうようになつているということでございます。
  54. 井出一太郎

    井出委員長 加藤君、大体申合せの時間が来ておりますから……。
  55. 加藤清二

    加藤(清)委員 それならもうこれだけであとはしんぼうします。特にここで承りたいことがあります。この運賃諸掛は、会社別になつているのかいないのか知りませんが、荷を渡す場所は、会社の庭先でございまするか、オン・レールでございまするか、それとも消費者の倉庫渡しでございますか、いずれでございますか。
  56. 柿手操六

    柿手政府委員 今の商取引は、消費者の最寄り貨車乗せ渡しでございます。従いまして運賃は、工場から出荷する諸掛と、鉄道運賃、それから船で行く場合には船賃というようなものであります。
  57. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは大事なことなんでしてね。そうすると、会社から荷を出しますね。その会社の庫から出す、その庫出料は会社持ちですね。ここに入つていますね。
  58. 柿手操六

    柿手政府委員 はあ。
  59. 加藤清二

    加藤(清)委員 それからレールまで持つて行く、これも会社の方に入つていますね。それからレールに乗つた。汽車に乗つた。今船賃もとおつしやいましたね。そうすると汽車賃も保険料もみな会社持ちでございますね。そうするとどこから消費者になりますか。
  60. 柿手操六

    柿手政府委員 消費者は消費地の最寄り貨車乗せでありますから、貨車より下すところから、乗つけたままで渡すわけです。貨車下しから消費者の方の……。
  61. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。委員長、もうだめだとおつしやいましたが、時間がもう切れているのですか。実は私は今の話で、大臣さんに質問しなければならぬことがよけいあるし、今度私はこれを逐条でお尋ねしたかつたのですが、もうそれはだめだとおつしやいますと、それはもう永久にだめですか。
  62. 井出一太郎

    井出委員長 いや、それはまだそこまで行つていませんが、きようのところはひとつ結論にお入りください。加藤君、一問に限つて……。
  63. 加藤清二

    加藤(清)委員 今度は質問ではございません。委員長にお願いがございます。私は、これでもう無罪放免ということにされると、まだまだ緒論に入つたばかりでございます。実はこれを逐条で質問がしたいし、それから結論的にこの法案の指向している点についての討議を大臣といたしたいのでございます。これは何も引延ばしのつもりではございません。具体的にいいますれば、この運賃諸掛あたりも、お百姓さんの身になつてみると、いろいろなものが加えられておる。そういう事実を私は知つているのです。だからどこからどこまでの運賃が会社持ちであるかということを尋ねたいのです。それできようは私は硫安の原価表についてお尋ねしたわけでございまするが、こちらの表は済みましたけれども、今度はこちらの表でございます。そこでどうしてもこれは聞いておかねばわからない点がある。どんなりこうな人が考えても、どんな学者が調べてみても、これだけではわからない点がある。そこでぜひこれを聞くところの機会を与えていただきたい。それでなければ、この表なら、もしそういうことで納得できればよろしい、そうでなかつたら、この原価計算書はマル秘とはなつておりますけれども、まことにこれずさんなものであつて、決して世の中一般に通用するものでないという証拠をもつて断定することができる、こういうことになつてしまう。そうすると政府は、法案を通す場合の一番大事な原価計算書がずさんであつた。そしてそれを審議にかけて、いいかげんのまま通して行つたということになつたら、これは末代に恥を残すだけでなしに、全国の農民からどのような問題を提起されても、今度こそ答弁がしきれなくなるだろう、こう思いまするので、恐れ入りますが、委員長さんに、願わくばこれについてもう二、三点質問の時間をお与えいただきたい、こう思うわけであります。
  64. 齋木重一

    ○齋木委員 関連いたしまして、ちよつと一言お聞きいたします。先ほど加藤委員に御答弁になられました局長さんの貨車乗せ渡しの運賃の計算方式でありますが、一つの例を申し上げますと、大体荷物を運搬するのは、遠いところに行くほど運賃が高くなると思うのですが、いかがですか。
  65. 柿手操六

    柿手政府委員 さように考えます。
  66. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると、福井県の実例で申しますと、福井市は鉄道の本線の停車場でありまして、その福井市の農協、農民が受取る価格は高くて、それから十里も電車で運搬し、自動車で運搬して行つた山奥の硫安価格が安い、こういうことになつているのです。そうすると、それと逆になるように思うのですが、その算出方法はどういうぐあいの運賃の算出方法をおやりになるのでしようか。
  67. 柿手操六

    柿手政府委員 この問題は、先ほど加藤さんにもお答えしたのでありますが、ここの原価に出ております運賃諸掛といいますのは、消費地のもより駅の貨車乗せのところまでの運賃でありまして、それから先は買つた人の負担になるわけでありますから、今御指摘のようなこと、つまり相場の変動等の場合にはメーカーの売値いかんにかかわらず、非常にコストのかからない、要するに経費のかからないような駅のそばよりも、そこからさらに小運送賃を要するいなかの方が安いというようなことはあるだろうと思いますが、ここに出ております経費は、そういう小運送のところまでは計算に入つておらないのであります。
  68. 齋木重一

    ○齋木委員 私は小運送のことを言うのではありません。福井の大野というところは福井市の駅から電車で九里行くのであります。それで電車の停留場で引きおろして、それからまた三里行く、それは小運送になるかも存じませんが、その九里先は電車で貨車乗せ渡しで渡すのであります。これは県購連でやるわけです。だから、買い入れたときも全然同一の買入れ価格において買い入れられた。それがその福井市のそばの停車場でとつたところのものは高くて、九里電車で行つて、貨車乗りでもらつたところは安い、一かますに四十円の差があつて安いということは私は納得ができないのであります。そうすると、局長さんの御答弁と食い違うのです。やはり急行券のように、長いと安くて、短いところは高くなる、こういうふうなぐあいに解釈されることになると思うのでございますが、どんなものでありましようか。
  69. 柿手操六

    柿手政府委員 そういうことは同じ時期にはおそらくないのではないかと思いますが、今の問題は、メーカーから直接協同組合が買うというような場合はないので、全購連からさらに県購連に行つて、県購連から協同組合に売られているのだろうと思いますが、これは県購連対協同組合の売値でありまして、これが即メーカーの売値というふうには行かないのではないかというふうに考えております。
  70. 齋木重一

    ○齋木委員 それではまだ納得がいかないのです。全購連を通じて買うのでありますが、同一の福井県の協同組合なりが一緒に注文して、別々に買入れて時期が遅れれば、そういつたような価格において差ができるかも存じませんが、第一回の買付において全購連を通じて買つた、それが福井のほんのそばのところのものは高くて、九里も電車に乗つてつて、貨車乗せ渡しで受取つたところが安い、こういう逆になつておる、それで私はお尋ね申すのであります。
  71. 柿手操六

    柿手政府委員 全購連を通り県購連を通りそして單位組合に行くというケースでありましたら、そういうことは同じ時期においてはあり得ないじやないかと私は思います。特にこれは私も詳しく存じませんが、全購連は共同計算でそういうものを配給しておりますから、同じ時期にそういうことがあるとは私どもとしてちよつと想像しかねるのであります。
  72. 齋木重一

    ○齋木委員 それは局長さんは現地においでにならぬからそう思うのですが、私どもは現地に行つてそういつた農民の声を聞くからお問い申すのです。何も齋木個人の問題じやありません。福井県の農民として、近いところが商い肥料を押しつけられて、遠いところのものが安い肥料を買う、そういうふうな矛盾したことはないと思うから、それで言うのです。運賃の計算においても、そういつたようなことで、貨車乗りレール渡しということになつたならばそういつたようなことはないだろう、むしろ遠いところの方が高くなるのが条理であろうと私は思うのであります。
  73. 柿手操六

    柿手政府委員 ちよつと私非常に大事な説明を落しておりましたが、ここに出ております運賃諸掛というのはその調べた期間のトン当り平均運賃諸掛でありますが、工場のすぐそばの駅であろうと、非常に遠隔の地でありましようとも、売るときは同じ一本価格で売つているのであります。距離を遠く運べば運賃がよけいかかるのはかかりますけれども、それは遠くへ送つても近くへ送つても、今の安定帯価格で申しますと、八百七十円とか八百六十円とかいうものは、工場のそばであろうと遠隔の地であろうと、これは一本で行つているのであります。  それからもう一つ、単協に対する値段の差というのは、これはむしろ農林省の方からお答えつたらいいじやないかと思いますが、ちよつと今注意を受けたのですが、これは現金で決済する場合、農手で決済する場合等決済方式によりましていろいろ値段が違うじやないかというふうに存じております。
  74. 齋木重一

    ○齋木委員 どうもえらい的違いのことを言ているので、これは農林大臣が来たらさらにはつきり質問いたします。
  75. 井出一太郎

    井出委員長 足鹿覺君。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 これは安定法の方ですが、臨時硫安需給安定法の点で昨日私は質問を留保しておつた点についてお尋ねしたい。  それは第十一条の生産業者の販売価格の問題であります。昨日の御答弁では非常にあいまいであつて、特に私が留保しておきました点、すなわち第二項の「前項の販売価格の最高額は、政令の定めるところにより、生産費を基準とし、農産物価格その他の経済事情を参しやくして定める。」とありますことについて、第十一条の冒頭に「農林大臣及び通商産業大臣は、」とありますから、その共管という意味でありましようが、主として生産費を基準とし、農産物価格その他の経済事情を参酌して最高額を政令で定めるということになるのですが、これはどちらの主管になりますか。通産省ですか、農林省ですか、それとも経審ですか。
  77. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはまつたく共管でございます。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 共管ではありますが、主としてどちらがこれを御担当になるのですか。
  79. 小倉武一

    ○小倉政府委員 どちらが主ということでございません。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 そんなはずはない。少くとも政令によつて定めるのであれば、政府全体の政令として出ることは明らかでありますが、従来内閣で非公式におつくりになつ肥料対策委員会の場合も、経審が主としてお当りになつていたのです。しかも通産、農林、経審三者の共管のような形でやつておられたが、その事務局は経審がおやりになつた。だからそういう実際的なことを聞いておるのです。どつちですか。どちらでもない、経審ですか。
  81. 岩武照彦

    岩武政府委員 経済審議庁の方は、各省で意見がまとまらないものを総合調整しようという立場でございます。従つてこの場合は私の方が主管というのでございませんで、両省でやつていただきまするが、なかなか意見がまとまらないというときに、いわば仲に立つて調停して行こうという立場でございます。従つて価格の件も同様に扱つております。従来もそういうことでございまして、安定帯価格をきめましたり、あるいは輸出のわくをきめたような場合に、両省で話がついておるときにはわれわれの方は別段出ませんで、両省でお話がまとまつた通り、やつていただきましたが、なかなかまとまらない場合もございましたので、そういう場合にわれわれが入りまして三者でまとめたという形にしております。本件の場合も同様に御了承願いたいと思います。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 話がまとまらないときには経審が調停役をやる、こういうことでありますがこの「生産費を基準とし」ということについての算定の様式の起案あるいは準備、調査、そういうような具体的なことは、通産と農林とどちらがおやりになりますか。その出発点を聞いておるのです。
  83. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これは先ほども申し上げましたように、技術の問題があるいは解決するかもしれませんけれども、技術の問題は別といたしますれば、これは両省の共管でございまするので、通産省側において先に発案された農林大臣と協議されまして、両大臣として出されることもございましようし、あるいは農林大臣から先に発議されまして、通産大臣に協議されるということもございましよう。しかし実際問題といたしますると、これは両局長なり両課長が会議開きましてやることになりまするので、事柄によりましてこの件は通産省で起案していただくとか、この件は農林省で起案するとかいつたようなことになろうかと思いまして、どちら側だけで起案をするのだいうふうなことは、必ずしも必要でないのじやないかと思つております。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 大体わかりました。そこでこれからお尋ね申し上げることについては、経審、通産、農林三省を代表する御答弁としてお願いしたいのです。そういう意味であればどなたからでもけつこうです。そこで生産費の問題ですが、今度の両法案の骨子になるのはこの点なんです。肥料対策委員会が半歳にわたつて非常に御検討なつた最終答申までには、いろいろ経緯がたくさんありましたが、当初東畑委員から提出された方式なるものを私どもは応知つておりますが、この法律の場合には、その生産費の基準を定める方式としてはどういう方式をおとりになりますか。たとえば東畑案、すなわちコストの最も低いメーカーから国内内需用までの線を加重平均したものを一つの生産費の基準として出されますか。それとも他の方法で出されますか。その方式をお示し願いたい。
  85. 小倉武一

    ○小倉政府委員 その点につきましては、国内の消費見込み量と国内調整用保留数量とを合計いたしまして、その数量に達するまで、コストの低い方から積み上げまして、その積み上げました総量の加重平均というふうに考えております。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 それは政令ではつきりその方式を定められますか。
  87. 小倉武一

    ○小倉政府委員 そのつもりでおります。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 はつきりその政令案をお示しになる用意がありますか。
  89. 小倉武一

    ○小倉政府委員 政令案をつくりましてお示しいたします。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 次に私は輸出調整臨時措置法案についてほんの、二点だけお尋ねしておきたい。時間がありませんから総論はやめまして、具体的な問題、すなわち附則の第四号「通商産業大臣は、発起人を指定して、会社の設立に関する事務を処理させる。」ということになつております。以下これらの関連した点がたくさんあります。この法律案は、硫安輸出調整臨時措置法となつておるのでありますが、その骨格をなしているのは、硫安輸出会社をつくるということに尽きているので、そこで非常にややこしい表現を使つてあるが、事実は硫安輸出会社法なんである。そう解釈してよいと私は思うのですが、この会社はどういう性格のものになりますか。たとえば政府機関に準ずるものと見るのですか、あるいは業者の自発的な意見に基く純然たる商社と解するのでありますか。もしそうだとするならば「通産大臣は、発起人を指定して、会社の設立に関する事務を処理させる。」ということになりますと、これは今まで私どもの聞いておつたものとはよほど趣を異にした強い性格のものになり、準政府機関的なものになると思うのですが、会社の性格をこの際明らかにしていただきたい。
  91. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの会社の性格でございますが、この会社は全額民間出資の会社にいたしております。しかも当初においてはある程度損失をこうむるということも予想される民間会社でございますが、法律的に損失を補償するという建前になつておりませんので、この会社の設立を強制するということは不可能でございますので、附則にございますように、設立のイニシアチーヴをとる意味におきまして、発起人を指定して会社の設立事務を処理させるのでございます。しかし指名を受けましたものが拒否できるかどうかというような問題になりますと、そこは先ほど申しましたように、設立によります損失補償というような点まで規定しておりませんので、強制会社というぐあいに考えることができないのでございます。従いましてこの設立を指名を受けたものが拒否するという権利は一応留保されております。法律的に正確に申しますと、準政府機関であるか、あるいは純粋の民間会社であるかという点になりますと、その設立におきます手続関係、あるいは会社経営上におきます業務に対する監督規定というようなものを総合して判断いたしますと、その間純粋の私法上、商法上の会社とも言い切れない性格を、一面持つております。それを準政府機関であると名づけ得るかどうか、法律的にはいろいろ問題があるかと思いますが、純私法的、商法的な機関に対しまして、いわゆる輸出会社設立の必要が、一面内需輸出調整あるいは損失の処理、海外に対する輸出独占権を与えるというような、いろいろの会社の性格から行きまして、その間にはやはり純商法上の会社とも言い切れませんし、同時に純粋の政府機関とも言い切れない、その間の中間的な性格を持つた会社ではないか、こういうぐあいに考えております。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 私どもあまりそういう方面の知識がありませんから、現在日本にこれに類する構成の、あるいは性格を持つた機構がありますかどうか、あればその資料を具体的にお示し願いたい。
  93. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 実はこの提案の際にも、いろいろの、たとえば配電会社それから電源開発会社、そういつた公共的性格を一面持つた会社機構、あるいはガス事業のごとく、事業自体が公共的性格を持つた場合等をいろいろ検討して、こういうような案になつたのでありますが、こういう案になりまする際に比較勘案しました会社組織についての実例を、資料をもつて提出いたしたいと思います。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 発起人を定めるとありますが、発起人にはどういうものがなりますか。
  95. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 硫安製造業者は十四社でございますが、これを一応全部指定いたす方針でございます。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 それは意外なお話を聞きます。問題は、この輸出会社はその精神において、いかように御答弁になろうとも、準政府機関的な性格を私は椿つておると思います。しかるにその発起人にいわゆる私益追求の十四社のメーカーだけを御指定になるその根拠は一体どこにありますか。まかり間違えば、最後になつて赤字が出れば国が背負い込まなければならない。自己処理ができない場合も、これは予想できるのであります。その点が問題になつておるのであります。そういう重大な使命を持ち、性格を持つた会社の設立発起人に、私益追求の——日本硫安メーカーが今まで日本農民のために、あるいは公共の福祉のために、何をやつたのでありましよう。何もやつておりません。そういういわゆるメーカーのみを発起人に指定して、今中村局長が言われたような会社の性格を全うするようなものが、発足においてできますかどうか。私どもは、これは意外千万な話だと思う。少くとも発起人を指定される場合においては、この会社の性格上、むしろこれは最も公正な立場に立つものを相当指名をされ、そうして将来長きにわたつて、少くとも五箇年間にわたつて重大な使命を持つであろうこの会社の発足は、万全を期せられなければならない性格のものではないかと私は思う。ただ私益追求のメーカーだけを発起人に指定されるということは、一体どういうわけでありますか。
  97. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 いわゆる輸出損失をいかようにして処理するか。いわゆる赤字輸出の問題が契機となりまして、内需との経理面における調整、並びにこれが対外的な輸出の促進、振興という点にかんがみまして、統一的な輸出機構をつくることが必要である、同時にこの輸出におきます損失製造業者において自主的に処理するという、肥料対策委員会におきます答申趣旨をくみまして、製造業者をして自主的にこの赤字輸出の問題を処理せしめるという点が、本機構をつくります中心でございますので、硫安製造メーカーをしてこのような輸出会社をつくらせる方針にいたしたのでございます。  なお御指摘のいわゆる赤字の処理の問題でございますが、政府といたしましては、もちろんさしあたりの当初におきましては、赤字が生ずるかとも考えますが、いわゆる硫安工業の合理化、ないしは石炭あるいは電源開発の増強ということから見まして、硫安の経経営上の利益を総合勘案いたしますと、今後硫安工業の生産コストは順次低下いたしまして、国際価格にもさや寄せして参り得ると考えるのであります。そういつたような施策と相まちましてこの機構の運営を考えますと、赤字は漸減すると同時に、黒字に転換し得るのではないか。従いまして、この輸出会社機構によりまして、自主的に解決し得るもの、こういう見通しのもとに、政府は国家補償あるいは政府出資というような方針をとらなかつたのであります。もちろん政府出資あるいは国家補償ということを考えますことは、ただいま申し上げました合理化を遅滞せしめ、あるいははばむものであると一面考えまするし、同時に輸出機構でございまするので、対外的に、これらの国家補償等がかえつて相手側に買いたたきされる原因とも考えられまするので、政府といたしましては、このようなメーカーの組織をつくりまして、一面赤字の自主的処理を長期にわたつて解決すると同時に、輸出価格をできるだけ有利にきめさせたい、こういう方針でございます。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう御説明幾ら聞いても——今までも聞いておるのです。それは御答弁にならないのです。赤字が出ないようにするのは、これはあたりまえのことなんです。最初から赤字が出るようなことを考えられたら、とんでもない話でありまして、その点は、中村さんはじゆんじゆんと御答弁になりましたが、それでは私の言つておる答弁にはならぬ。しかもこの日本硫安輸出会社は、同一の称号を使つてはならないという禁止規定を設けて、ちやんとその商権を確保しておる。名称の上においても、ちやんと類似会社をつくらせないというふうにしておる。また十一条においては、「会社以外の者は、会社から譲り受けたものでなければ、硫安輸出してはならない。」というふうに。貿易業者に対しても非常な制約を一面に加えておつて、貿易業者が直接輸出をすることはできない、この会社を通じてでなければやれないというふうに、いわゆる貿易商社に対しても、一つの大きな制約をこれに加えておる。いろいろな点でこの会社というものは、相当強い特権を私は持つておると思う。言いかえるならば、政府機関ということが言い過ぎであるならば、今局長お話にありましたように、明らかに国策会社です。そういうものをつくつて行く場合に、私の聞いておるのは、私益追求のみを今までやつて来た日本硫安メーカーのみをもつてすることが妥当であるかどうか。利益があるとか、あるいは赤字がないようにするとかということを聞いておるのではない。これで妥当であるとあなた方はお考えになつておるかということを聞いておるのです。
  99. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、やはり政府が直接の機関を設置いたしまして、政府出資あるいは国家補償の制度をとることは、本問題を解決する適切な手段ではないのじやないかと考えますし、一面また硫安製造業者をして今後の合理化を十分促進いたしまして、国際価格にさや寄せして問題の解決をはかるという見通しから申しまして、やはり硫安メーカーを主体といたしまする会社方式で進むことが妥当ではないか、こういうぐあいに考えておる次第であります。
  100. 足鹿覺

    足鹿委員 会社方式そのものについて私は聞いておるのではないのです。発起人の問題を聞いておるのです。私益追求のメーカーのみをもつて発起人を定めるということを、政府はつきり言明したはずです。そのこと自体が妥当であると思うかどうか。私は妥当だと思わない。今までの日本硫安工業が農村に対してどういうしうちをしたか。去る七月五日に通産、農林両大臣にあてて、肥料対策委員会の一万田会長からの答申を完全に無視しておいでになる。答申需給の第二項に、輸出は右の計画の限度内においては、各社随時、随意、随量に行い得るという旨の答申をしており、これについて、最後の五のその他の二項に、輸出を円滑に処理するため輸出に必要なる措置を講ずるよう政府において考慮するということを一応うたつてはおりますが、やはり需給という一つの大きな柱の中で、肥料対策委員会答申しておる趣旨をまつたく蹂躙しておるような国策会社をつくろうというお気持になられたのは、これは新聞紙の論説にも、また一般の報道にも、世論にもあるように、メーカー側の請託をいれてこの会社を設立するに至つた、これは明らかに世論が見ておるのです。そういう世論の中においてつくられるこの会社に対して、私どもは非常な疑義を持たざるを得ない。私は農林委員であるけれども、農民側の立場のみではなくして日本の一切の新聞の論説、あるいは識者の意見その他のものをごらんになつたらわかるでありましよう。どういう世論をこの問題に対してなしておりますか。あなた方があえてそれを強行されようというときには、少くともそういう世論に聞いて、反省すべき点は反省し、出直すべき点は出直して行かれるのがほんとうの行き方ではないかと私は思う。私であつたらそういたします。にもかかわらず、十四の硫安メーカーを発起人に指定をする。これは政府が指定をするのです。そうして定款を作成した後は通産大臣に認可の申請をして認可を受けなければならぬ。設立の登記をしたときも、ただちに通産大臣に届けなければならないというふうに、通産大臣の一応の監督規定はありますけれども、その出発において、私は少くともこの硫安問題は輸出だけに限られた問題ではない。なるがゆえに、六箇月の間積んだりくずしたりして、肥料対策委員会が、少くとも各界の意見を徴して、われわれの目から見れば、非常に不満な点はありますが、一応出してこれを答申しておるのです。その答申趣旨を蹂躙して会社をつくり、その会社をつくる場合に、さらに発起人はメーカーのみをもつて当てるということは、いかなる理由に基くのでありますか。それで公正妥当な会社が設立できるとお考えになりますか。もちろん発起人が指定される以上、他の者が関与するようなことは会社自体としてはないでありましよう。でき上るところの会社の構成なり性格もおのずから明らかになると思う。前々からこの連合審査会でも問題になつておりますように硫安企業を近代化し、合理化するにしましても、きのう視察に行つた人の話を聞きますと、昭和電工あたりははつきり言つてつたそうじやありませんか。会社の設備は西独に負けない設備を持つておるつもりだ。ただ電力の割当がないのでとか、いろいろな関連産業にこれらのすべてを転嫁しておるような答弁をしておつたと、私どもの同僚委員は昨日の視察で言つております。とすれば、むしろ問題は、こういう国策会社は、単にその業務の内容輸出に限られておつたとしても、少くとも関連産業の関連なしには、日本企業合理化、近代化の一環としてこの問題が取上げられない限り、その任務を完全に遂行することはできない。そういう幅の広い構成を持つた場合に、そこには国が援助をしあるいはある程度の支援をする意味も出て来ますが、メーカーだけを指定してつくらせて、輸出だけをやるのだからそれでいいということにはならないと思う。少くとも関連産業の面において、広く識者を入れ、あるいは学界からも、あるいは実際の体験を持つ識者の中からも選んでやるべき性格のものではないかと思うから申し上げたのでありますが、これ以上は時間もありませんからあえて申し上げませんが、このようなことでは私どもは絶対に承服することはできません。  それから最初にもどつて第二条の『この法律において「硫安」とは、硫酸アンモニア及び政令で定めるその他のアンモニア系窒素肥料をいう。』この「政令で定めるその他のアンモニア系窒素肥料」とは何でありますか。
  101. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 この硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の第二条におきます『「硫安」とは、硫酸アンモニア及び政令で定めるその他のアンモニア系窒素肥料』これの指定の肥料につきましては、需給安定法と歩調をそろえまして、さしあたり尿素と硝安を考えております。
  102. 足鹿覺

    足鹿委員 さしあたりというお話でありましたが、これは将来また追加をされますか。
  103. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいま中村局長からお答えした通りでございますが、もし将来ということでございますが、あるいは多少問題として残りますのは塩安であろうと思いますが、これは量的にも非常に少いのでございますし、またこれはほとんどがソーダ工業の副産物というようなこともございますので、省いた方が適当ではないかというふうに存じております。
  104. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題と直接関連はありませんが、先日いただきました厖大な資料は、詳細に精読する時間もありませんし、よく見てはおりませんが、最近の傾向は、これは参議院でも問題になつておりますが、大体硫安につい知識の欠如を利用して三要素を適宜含んだものであるという触れ込みで化成肥料なるものが盛んに増産され出した。少くとも日本にその銘柄は百種を越えるであろうと言われております。その成分につきましてもなかなか十分正確に捕捉することが困難な実情にあると思う。日本硫安工業は、この会社法がもし成立するならば、ある程度それによつて国内でだぶついたものを放出し、また国内においてはある程度の安定価格を保証され、そしてこの二本建によつてある程度の企業の安定を一面において受けながら、会社企業方針はこれらのやかましい世論を抜けて、漸次手の届かない方向へ逃げ込んで行こうという傾向が顕著のように私どもは見受けますが、通産省は化成肥料の製造を奨励しておいでになりますか。化成肥料に対する通産当局の態度はどういう態度でありますか。
  105. 柿手操六

    柿手政府委員 化成肥料と一口に申しましても、御承知の通り、いろいろな化成肥料があるのであります。ほとんど配合肥料にかわらないような化成肥料もございます。それからさらに、いわゆる高度化成肥料というような、アンモニア硫酸を化合させるかわりにアンモニアと燐酸を化合させて燐酸アンモニアをつくり、それと硫安のまざつたいわゆる硫燐安というような高度燐安一俵運べば硫安と過燐酸を二俵運んだと同じよう高度化成肥料もあります。いろいろ合理的な化成肥料と、配合肥料とほとんどかわらないような化成肥料がありますので、私どもとしては燐酸工場においていわゆる配合とかわらないようなものをつくつておるようなものにつきまして特に奨励するということはいたしておりません。ただ尿素でありますとか、高度化成肥料のように、いわゆる副成分を少くして、そして一かます当り肥料成分の濃厚なもの、運賃諸掛、生産費の安く行く方法のものはこれを奨励をいたすつもりであります。いわゆる過燐酸工場で過燐酸をつくるときに燐鉱に硫安とか塩化カリとかいうものをまぜまして、そうして硫酸をぶつかけてつくりますようなものにつきましては、これは農林大臣の登録を受けて生産流通を認められてはおりますけれども、私の方としてはそれに対して特に奨励するというようなことはいたしておらないのであります。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 奨励をしておいでにならないことは柿手さんのお話でわかりました。おそらくそういうものを常識でもつて奨励されるとは私どもは思わない。これは農林省と通産省と両方にお尋ねしたいのでありますが、八月四日、すなわち昨日付の日本経済新聞は三段抜きで、化成肥料の増産停止問題をめぐつて農林、通産の意見の対立を報道いたしておりますが、農林省から通産省は、この化成肥料の生産量を少くとも現状程度でとどめられるように行政指導を行われたいという申入れを受けられましたか。その事実がありますか。これは中村さんにお聞きしたい。
  107. 柿手操六

    柿手政府委員 便宜私からお答えいたします。先般参議院の農林委員会におきまして、私も農林省とともに呼ばれまして、化成肥料の生産についてのいろいろな御質問がありました。そのときにも申し上げたのでありますが、硫安や過燐酸、塩化カリ等の単肥の価格の適正化をいくらやりましても、それらをまぜて、そうして割高に売るものが非常にふえて来るということでは意味がなくなりますから、不必要な形態にした化成肥料は漸次製造をふやさないようにするということ、それからさらにそれは割高でなく、適正な価格で売られるように措置いたしましても、やはり農家に届くときにはそんなまざつたものでなく、単一の肥料がある数量まとまつて入らないと施肥の都合からいつても困るということがありますので、これはひとり化成肥料ばかりではございません、化成肥料、配合肥料を通じてでありますが、その価格を適正にするという問題と、それから農家の手に渡るときには、少くとも単肥である数量がまとまつて入らなければ、五割以上も配合肥料というのでは施肥上困るということも農家の都合上あろうかと思うのであります。それらをどういうふうに今後やつて参りますか、これは私ども戦前戦後十数年統制をやつて参りましたが、昭和の初めごろにやはり化成肥料、配合肥料の問題で実は悩んだことがあるのであります。だんだん統制がはずれて、自由になつて来るとそういう問題が起つて来たのでありまして、これは私どもも何とかひとつ——戦時中には例の臨時肥料配給統制法というものをつくりまして、それによつて化成肥料の原料を制限しておりましたが、そういう制度をつくるか、まあつくらぬにしても、これは配給統制の面から行政指導、あるいは生産の方の指導、両面からできるだけ流通を少くして行くという方向につきまして、この間も御質問がありまして、どうしたものだろうかということで今小倉さんと協議をいたしておるというのが現状でございます。
  108. 井出一太郎

    井出委員長 金子君に関連質問を許します。
  109. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの答弁は、足鹿君の意見が強いものだから、それにあなたが迎合し過ぎておる。そういうような考え方は間違つておる。たとえば最近起つている化成肥料というものは悪いという世評があることは事実です。けれどもこの問題は、かつてあなたが化成肥料の取締り、制限をやつた時代と今日は違う。たとえば最近非常に問題になつておるところの硫酸根の問題がやかましく言われておる。そうすると、あなたが今御説明になつておられるいわゆる小便化成といわれるような、アンモニア水をふつかけて固めているような化成肥料はできるだけやらせないようにする、成分は同じであつても単に配合したもの、あるいは半化成の状態のものはいけないとか、こういうことをあなたはおつしやつておるのだけれども、硫酸根の弊害を除こうというようなことは、いかに不評判の化成肥料でも一応認めでやらなければならない。問題は、それらの過程を通して一パーセント当り単価を高い価格で売りつけようとするところに問題がある。だからそのものでいいとか悪いとかいうことはあなた方でおきめになつてはいけない。そうでなくて、そういう名において農民に高い価格を要求するような仕組みをつくることがいけないということなんです。従つて先ほどの足鹿君の質問の要旨は私も重要な点であると思うので、この際伺いますが、硫安だとかあるいはアンモニア系窒素ということをやりましても、それならあなたの奨励した硫燐安なら硫燐安でよろしい、しかし、その硫燐安がその中に入つておらぬということになりますと、肥料合理化するために政府の資金を使つて、そして頭を押えてあるところの二、三の硫安肥料というものから、だんだんにそれ以外の品目へ移行するような商業的な政策が行われて来る。そうすると、それに対する価格が押えておらないということならば、全体の窒素工業に対して、合理化の資金を出しておきながら、価格を押えて行く方は数種類しかできない。あとは押えられない方へ当然移行して行くのではないか。そうすると、こういうふうな指定の方法は違う。具体的に言うならば、要するに窒素何パーセント以上を含まれた肥料に対して、窒素一%程度幾らというように価格を押えなければ、ほんとう合理化はできないと考えております。それに対してどう考えますか。
  110. 柿手操六

    柿手政府委員 実は金子さんとまつたく同意見であります。私も化成肥料化成肥料と一律に現状維持でやるとか、いろいろ議論があるのですが、これはお説の通りに非常に奨励してやつているものもあります。今足鹿さんに申し上げた燐鉱石と硫安にカリを加え硫酸をかけて化成肥料をつくるというような、これは配合肥料とちつともかわらないのであります。今金子さんのおつしやつたような大体いつて配合肥料である。それからもう一つ、化成肥料では、硫安、過燐酸、カリの一成分当りの価格をきめまして、それによつて今の化成肥料の含有量にかけて、そしてトータルして、それに加工費を加えて合理的な価格をきてやりましても、やはり単肥として農家に入る分量は、これはやはり化成肥料ばかりでなく、配合肥料等を除いた単肥として農家には半分以上は行かなければ、農家の施肥に困る。そういう問題もあろうと思うのでありまして、化成肥料、配合肥料全体に何らかの措置を行う。  もう一つ今の硫安の問題ですが、いわゆる硫燐安というのは、今のところまだ生産がありませんから考えておりませんが、さしあたりといつたのは、そういう意味でありまして、硫燐安等についても、これは相当葦がふえて来ますれば、指定してこの法律の適用をすべきだと考えております。
  111. 金子與重郎

    ○金子委員 そういう肥料の長講釈はいらないのです。そういうことはわれわれ専門家ですから、おぼろげながら知つております。問題は肥料の、硫安あるいは尿素というアンモニア系の窒素肥料を政令できめて行くということであるけれども、ほかの化成その他の純化成なりあるいは今日いわゆる小便化成と言われている配合肥料に近い、苛性ソーダに対して肥料会社の営利的な立場から行くので、それは国家全体の肥料の値段を下げようという意図と違つた問題が結果において出て来るのではないか、だからそれを制約するならば、純アンモニアの肥料に対しては幾ら、それからまた硫酸根を持たない尿素のようなものは製造過程から一%幾らにする。その他の総合肥料の中においても、窒素を何パーセント以上含んだ肥料に対しては、その製造の過程と硫酸アンモニアよりも作物に施した場合の影響と、それからもう一つ製造過程を勘案して、一%幾らにするというふうにして、窒素成分の価格を押えなければ抜け穴ができるが、それに対してどうするかしないかということを聞いておるわけであります。
  112. 柿手操六

    柿手政府委員 私、質問があまりに重大なことでありまして、答弁をいたしかねますが、現状におきましては、硫安、過燐酸、単肥の配給量が非常に多数でありますから、お説の通り百パーセント価格をいじろうとすれば、そういうことになりますが、現状においては、そこまでやらなくてもいいのではないか。大太数は単肥で流れておりますから、それに牽制されて行くからいいのではないかと考えております。
  113. 金子與重郎

    ○金子委員 この問題は、率直にいつて政府に腹がきまつていないのです。はつきり言えばいいのです。しかし、その抜け穴を置いて、そうしてこういうふうなたくさんの公金を営利会社に入れることは不当だ、納得できない、こういうことなんです。だからそれはあなた方にも今後考えてもらいたい。  それからもう一点、発起人の問題であります。通産省の説明によります。と、十四のメーカーの自主的な考え方によつて輸出の共同作業をやろう、というように自主的という言葉を幾度か聞いたのですが、自主的におやりになるなら、何も発起人に頭からお前発起人になれということを言わなくてもいいのじやないか、ちよつと了解に苦しむのですが……。
  114. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 私が自主的にと申しますのはいわゆる輸出から生じます赤字処理をメーカーに自主的に処理させる、こういうことが肥料対策委員会趣旨には現われておりますので、その趣旨を体しまして、メーカーの組織体である輸出会社をつくる、こういう意味で、つくること自体が自主的という意味ではありません。
  115. 金子與重郎

    ○金子委員 もう時間がありませんから、私の意見をまぜて言います。十四のメーカーを全部政府が発起人に任命するということは、実際は彼ら自体のカルテルというものによつて、この仕事の主体性を行うのではなく、結局あなたの方は、そうしないと優秀なる要素を持つておる会社がアウトサイダーになることをおそれておるのではないか。アウトサイダーをつくると、今度は対外貿易に対して不利な結果を及ぼしやしないかということを憂えておると思いますが、しかし、まじめに考えてください。アウトサイダーのすべてのあり方は、全体の利益を損させるという機能もときにはありますけれども同時に安価な妥協でなく、自由競争において思い切つてやらせるという一つのつけ火にもなる。これは事実ですよ。なぜならば、その会社はそれだけの能力があるから、そこで今言うように全体を縛つて行かれるということは、一番非能率的な、一番悪い会社も  緒に共同責任において連れて行こうという結果になります。その連れて行こういう結果、迷惑をするのは、それに国費をぶち込む方と、それを買わされる方が迷惑をする。アウトサイダーをつくらないということは、同時に一番弱体な、一番要素の悪い会社もその中に入れて引き連れて行くということになる。それは結局消費者コストが高くなるということです。ですからこの問題は非能率会社の共同計算ということになるのです。それは言いかえれば、ほんとうは優秀な会社と優秀になり得る会社だけを残して、非能率のはやめてもらつて農民はちつとも迷惑ではないのです、これは営利会社なんですからね。今あなたに答弁を求めても、どうせ満足な答弁はできないと思いますから、答弁はいりません。よくお考えなさつてください。
  116. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま金子君の関連質問で、ちよつと私の結論が出ませんので、申し上げておきたいのですが、今問題にしておりました第二条の点で、尿素及び硝安のみに一応限定しておられることについては、先刻から私どもが申し上げた点で、当局も相当御注意になることを自覚されたと思います。現に先刻私が申し上げましたように、化成肥料に逃げておるのです。このものを成分換算によつてある基準をつくり、取締つて行くと、また柿手さんが言われるように、きわめて粗雑な方式をもつてやるものも化成肥料として取扱われ、また高度の技術によつてできたものも同じく化成肥料として市販されておる。これは明らかに柿手さんもお認めになつておる点でありますから、少くとも第二条の問題については、成分換算によつて、これのみではありませんが、他の需給安定法の場合も関連しておるから申し上げるのでありますが、少くとも今後そういう御研究をなされて、すみやかに対策を講ぜられないとよろしくない。すでに農林省から申入れがあつたということについては御答弁がありませんが、少くともこういうことを、新聞がまことしやかにうそをつくわけはないのであります。単肥の場合は卸、小売の手数料が五十円以下であるのに、化成肥料の場合は百十円から百四十円にもなる。そこで大きな棒くいをたんぼに立てて、いかにもそれをやると増産ができるようなことを、これらの販売業者と提携したメーカーが、まことしやかに農村に宣伝をしておる。ところが農民は見さかいがつかないのです。そこに問題があるのでありまして、これはこの法律には直接関係はございませんが、少くとも真剣に御研究になつて、これに対する具体的な対策を講ぜられたいということを、特に申し上げておきます。  最後に、さつき私の申しました、農林省からわれわれが伝え聞いておるような申入れがあつたかどうか、それについてのお考え方はいろいろとあるでしようから、そのことだけひとつ明らかにしておいて、私の質疑はまだたくさんございますが、時間の関係もありますので、きようは打切つておきます。
  117. 柿手操六

    柿手政府委員 先ほども申し上げましたように、過般参議院において化成肥料の問題について質問がございましたが、これは制度がない今日ではなかなか法律的には手がありませんから、これは配給消費の部面と生産の部面とで、行政指導でもつてできるだけ弊害の防止をやろうということで今話合い中であります、何とか現状くらいにできないものかということは、農林省からの意見で申入れがありました。
  118. 井出一太郎

    井出委員長 久保田君。
  119. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間があまりないようですから、特に通産省側に二、三の問題についてお尋ね申し上げたいと思います。今度の法案は今の肥料業界の実情から見ると、どうしても     〔委員長退席、金子委員長代理着席〕 百姓の立場、国民経済の立場を中心としたものでなく、まつた肥料資本を守る法案のように考える。しかもそれがために現在並びに将来に国に大きな負担をかけて、しかもその効果がどれだけあるかということが、はつきりわからないような法案のように考える。一言にして言えば、まつたく業者中心の救済策のように考えられる面が非常に多い。そこでそれらに関連して、特に通産省側にお伺いしておきたいのは、この前の連合審査会で政府当局に、たしか中村さんだと思つたんですが、中村さんのお話で、大体二百三億並びに業者の自己資金の百二十億を加えた場合においての合理化によつて肥料がどのくらい安くできるかという点についての説明があつた。それによると、私の配憶が間違いでないとすれば、大体合理化による直接の原価引下げ分がトン当り二千五百円くらいである。これはほかの資料を見ても大体そのくらいになつておる。そのほかにどのくらい引下げになるかというと、石炭合理化による引下げ分がトン当り千六百円見当、それから電力の供給なりその他によるものが千三百五十円、結局両方合せて約五千五百円、現在の約二割の生産原価引下げになる、大体こういう御説明であつた。これはいろいろなものを見ても、大体において二千五百円くらいの合理化による引下げはできそうだ。しかしそのほかの石炭の合理化による引下げが大体トン当り千六百円、並びに電力の増配と、電力単価の引下げによる硫安の生産費の減が千三百五十円、この二つがどうも納得できない。なぜかというと、石炭は合理化を相当進めていることは事実である。しかしながら縦坑開発によつてはたして二割なり、二割五分も石炭原価が下るかということは、相当問題です。しかも現在は中小企業からだんだん大企業を中心としたカルテルの方向に行つている。こういう状況ではたしてこれだけのものがトン当りにして硫安が下るかどうか。さらに硫安内容を見ると、つまり電解法の方では硫安の使用量、これは多少下るかもしれないけれども、わずかに三百キロか四百キロ足らず、ガス法によつても一トン当りこれがさらに合理化によつて下る。その場合にその中に含まれる石炭原価がはたしてトン当り千六百円というようなことに下るかどうか。これはどういう根拠から具体的な計算をしたのかお聞きいたしたい。それから電源の単価にいたしましても、現在は大体六〇%くらいしか配給になつておらぬから、操業度もこの前の説明では七五%、あるいは八〇%というお話であつた。しかしこの合理化を完成すれば、今の約二百八十万トンの能力が三百十万トンになる。そういう高い操業度を持つことがはたしてできるかということを考えると、この点も相当私は疑問だと思う。しかも電源単価はどうかといえば、現在キロワット・アワー三万円かそこらでしよう。しかしこれからできるものは十五万円、あるいはもつとする。こいう高いものをもつて大口需用のキロワット・アワー一円十八銭という単価が保てるかどうか。もしそうした場合においてはほかの中小企業なりが非常に高い電力料金を背負わざるを得ない。こういうことがはたしてできるかどうか。全体を通じてみて政府が約百六十億、そのほかを通じて二百億、自己資金を百二十億・大体において三百二十五億を通じて二千五百円の引下げ、そうしてあとは約三千円というものは他産業の合理化に依存しなければならない。こういう合理化方式というものが、はたして今日の自由経済のもとにおいて実を結ぶかどうか疑問だと思う。まかり間違えば、こういうやり方によつて実際には引下げにならないにかかわらず、政府資金なり、何なりを資本家によけいに貸してやる。ほかの産業にもその例がある。うまいことを言つて政府資金をだんだん引上げて行く。そうしてあとはいろいろな政勢力とタイ・アップして不正をしているのがたくさんある。これは船価の問題でもはつきり出ている。わずか十六億が二百七十何億にふえている。しかも何にもしない船主がただもらう、こういう状況が必ず出て来ると思う。連関産業の原価引下げに六割以上依存する、しかもそのために三百数十億の金を投ずるという合理化方式が今日の状況においてはたして適当なりやいなや、これをひとつ、政治的な見地からは別ですが、技術的な見地からお答えを願いたい。できればこれに対するはつきりした資料を要求しておきます。電解法とガス法を通じてみて、他産業に依存する原価引下げが五〇%、三九%、こういうべらぼうなやり方というものが現実に成り立つかどうかを、私は非常に疑問に思います。  その次に、かりに三百二十億を投じてこれだけの原価引下げができたとしても、片方においてどうかというと、当然解安会社なり何なりの負債は増して行くわけです。現在でも二百四十八億ある。そのうち長期のものが百三十億ある。これにさらに百六十億を加え、自己資金を加える場合において、利潤なり利子補給というものはどうするか。現在でも千百十五円が要するに工場原価の中に繰込まれている。それがこれだけふえて行くと、私どもの大ざつぱの計算では、どうしても六千円は利子がふえて来る。二千五百円を減らしても一方千円は利子をふやさなければどうにもならぬあるいは千二百円くらいになる。また当然これだけ自己資本がよけいになる。自己資本がよけいになるから利潤もよけいにしなければならぬ。さらに減価償却はどうか。これまたかれこれ千円近くになる。こういうものを考えてみれば、工場の原材料費や労賃はある程度少なくなるかもしれない。しかしそのほかのいわゆる事業費に相当するもの、これはむしろ原材料費や労賃その他で減つた分だけこつちでふえる。この矛盾をどうして解決するか。そこで政府から出されたいろいろな資料の中にも、現在は一割なんだが、これを七分にするとか五分にすればこうなるという計算が出ている。そうすればいやおうなしにこれはどこかでだれかが利子補給をせざるを得ない。片方において輸出会社をつくつて、年間十五億くらいのものを損をして、その損を覚悟でやつておる。そうして片方において約二千円ないしは二千二百円の利子並びに利潤並びに原価償却がふえて来るのはさまつた話、この矛盾をどうして解決するか。私はちつとも減らないと思う。これらを綜合して考えた場合に、それをどうしても逃げる道がないかといえば、二つしかない。一つ国内の単価を引上げる。そうでなければ政府にくらいついて、またいろいろな形でもつて利子補給をしてもらい、あるいはもとの借金を値引きをしてもらう。今大産業でやつておるのはみなこの手です。石炭屋がやつておる。船屋がやつておる。製鉄屋がやつておる。それをまた肥料工業がやつて、しかもその効果は大してない。私はこの二点から見て、この合理化法案というものは、要するにそのための輸出会社法案であり、あるいは合理化法案であるように思われる。これらについての見解を、事務的な見解でけつこうですから、ひとつ聞かせていただきたい。  それからいろいろの資料をいただきましたが、これだけでは不十分です。これに対する的確な方策がなければならぬ。これに対する利子補給を、かりに皆さんの予定をした五分といたしましても、それには少くとも十億近くの金がいる。この金をどこから持つて来ますか。全部借金が出た場合においては出て来るのです。さらに百二十億の自己資金をためる。これもどこかへまた高く売らなければ金がたまるはずがない。この内容は経済的に見ると、非常に疑問だらけである。この原価引下げ、合理化という一点だけでも、どうしても私どもには納得できない。これをひとつ、政治的な見解は別として、事務的に御解明をいただきたい。
  120. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの硫安工業の合理化の具体的な内容につきましては、本日お手元に配付してある資料は、主として合理化方策となつておりまして、たとえば重油のガス化、石炭のガス化によりますいわゆるコツパース法の採用や、あるいは炭酸ガスを捨てておりましたのを、尿素をつくりますことによりまして合理化する。あるいは従来飽和槽の廃蒸気の回収というような点において設備的に欠けるところがございましたが、設備を新しくつくらせまして合理化をするというような四点につきましての計算の資料を御配付してあると思います。これは硫安工業のほんとうの基本的な部分であります。こういつたような重要な部分を、ただいま二百三億あるいは三百何十億とこういうふうに仰せられましたが、このうちの重要なものだけを抽出いたしますと、百六十億になります。この百六十億に対しましては、大体開銀融資を財政援助のときには採用しておりますので、開銀から約半分程度を五年間に出す。実際は合理化の効果を早急にあげる意味合いで、大体三年間に集中して八十億の開銀融資を出して合理化をやらせていただきたい、こういうぐあいに考えておるわけであります。これが硫安工業それ自体の合理化の中核をなすものでありまして、大体五・九%くらいちようど九ドルくらいの合理化になり、それ以外にメーカーがそれぞれ協定と申しますか、他の市銀なり市中銀行等から借入れてやりますが、これは合理化それ自体としてのメリツトは幾分下まわりまして、一ドルくらいじやないかという見当をつけております。これが先ほど私が説明したように、二千五百円の硫安工業の合理化内容であります。  それから石炭鉱業の合理化という問題につきましては、なるほど御指摘のように、非常に困難な、あるいは重要な問題が伏在いたしまして、今日通産省が計画しております縦坑開鑿計画あるいは機械化ということによりまして、目標それ自体が御指摘のようになかなか困難と考えられる面もあるかと存じまするが、何を申しましても、日本の石炭鉱業というものは、徹底的な合理化がなされません限りにおきましては、あらゆる産業が国際価格上から見て非常に不利益でございまして、この面では、通産省としては重要施策の一環として、石炭鉱業の合理化計画を推進しておるわけであります。この目標に二割の炭価引下げを考えております。この面の電解法に対します効率は、幾分問題が小さいのでありますが、コークス法にとりましては重要な影響がありますので、その観点からいたしまして千六百円程度の合理化が五年後には実現するのではないか、こういうぐあいに私見通しを立てておるのであります。  それから電源開発の問題につきまして、電力料金が現状の程度にとどま出るかどうかという御指摘でございましたが、これは、私が千三百何十円のコスト引下げになりますと申し上げます場合には大口二五%の電力料金の値十り、そういうぐあいに考えておりまして、その差引計算をいたしました上での千三百何がしの合理化でございまして、これを通算いたしまして、最も理想的に実現いたしますと、大体十五ドル見当の引下げができるのでございます。ちよつと国際価格との関連を申し上げさせていただきたいのでございますが、昭和二十七肥料年度におきます輸出価格は平均五十六ドル三十六セントでございます。これを一かますに直しますと、七百六十一円弱になります。七百大十円八十何銭かになりますが、七百大十一円とお考え願いたいのであります。今の安定帯価格のそれと彼此勘案いたしますと、大体中値が一かます八百大十円ということになつております。そうしますとオン・レールの関係とFOBとの諸掛の差が大体トン当り八百円くらいございまして、これを一かますに直すと、大体三十円前後FOBの方が諸掛が安い。こういうぐあいに考えますと、七百大十円に三十円プラスして、取引価格を八百六十円くらいに考えますと、現在の輸出価格の差が一かます七十円から九十円ぐらいになるのではないか、こういう意味合いから申しまして、その差は、比較的短かい期間を考えますと、先ほどの十五ドルというベースが順次実現して行くものとして考えてみますと、硫安工業の合理化あるいは電源開発の促進というような面におきます合理化考えますと、そう驚くには当らぬ価格差じやなかろうか、こういうぐあいに私は一応考えるのであります。それと同時に最近の西独の国内価格を見ますと、昨年の秋ごろあるいはそれ以前コークス原料炭が工場着大体三千五百円くらいだつたと思いますが、最近は四千三百八十円くらいに上つております。西独の国内価格は四十五ドルと称せられておりましたが、大体五十ドル程度になつておるようであります。それから輸出する場合の船運賃の値開き、これは船運賃の移動によつて相当違いますが、大体船運賃は相当下つております。その現状を前提として韓国あるいは台湾というような地域を念頭に置きますと、大体五ドル前後日本側に有利でございます。そういうようなことを彼此勘案いたしますと、われわれの合理化の最終目標が、御指摘のように相当困難なのが石炭等についておありのようでございますが、しかし全体を達観いたしますと、今申しましたような推移からいたしまして、国際価格に対しては大体日本はついて行けるのではないか、場合によつては、日本国内価格が下ると同様に輸出価格も相当下値で売るようになつても、東亜の市場を確保するような基礎はできるのじやないか、こういうぐあいに実は考えておる次第でございます。なお御指摘の詳しい資料等についての御要請でございますが、これにつきましてはできるだけ……。
  121. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 なるほど今のお話合理化による生産費の引下げ、これは直接計画されるのですから、そのくらいのことができなければ困る。しかし石炭並びに電力はこの前もお話があつて、大体において七五%くらいの電力が供給されて、しかも二五%上るそうだというのですが、電力単価が四倍にも五倍にもなるときに、はたして二割五分程度の引下げでもつていけるかどうか。そうすればほかの中小企業は、これに対する非常に大きな負担をしよわなければならぬということも一つの大きな原因だと思う。そういつた点を彼此考えてみる場合に、これは非常に不確実なものだ。その不確実なものを前提として非常に厖大な金を入れるということは、まだほかの合理化策なり、対外策なり、あるいは国内価格引下げなりを検討する余裕はないかということが一つの問題であります。     〔金子委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば使用電力なり、あるいは使用石炭なりについての、わが国でやつておるような補助金政策なりというような点もあわせ考える必要があるのではないかという点が一つの問題であります。それとまた一点お答えがなかつたのでありますが、それによる利子負担やいわゆる利潤量が非常に大きくなる。生産量がかわらぬで資本だけが非常に大きくなる。従つて利潤もよけいにならなければならぬ。配当な上というわけには行かない。それとさらに原価償却も、これまた生産量が一つであつて、大体においてほとんど違はない、おそらく三百二十万トンつくつたということになればなお始末がつかなくなる。そういう場合に、原価償却なりあるいは会社の利潤配分の方向がとられる。利子補給分なり、こういつたものから来る単価の値上りというものに対してはどう対処するか、これがない限り、片方では直接生産原価は下るかもしれないが、間接的には生産原価は上つて来る。この調整をどうするかということが一つの大きな問題だと思うのですが、この点についてはどういうようにお考えですか。
  122. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 利子補給の問題につきましては私がコスト引下げの際に、これを考えて提案いたしたものではございません。もちろん大きな政治問題でございますので私の答弁の限りでもないと存じますが、本日お配りいたしました資料にも明らかにしておきましたが、金利につきましては、たとえば重油ガス化その他の合理化方策にも付記しておきましたが、金利七分あるいは償却十二年定額というような方法をとりまして、どのくらい下るかというような点を資料をもちまして御説明いたしております。もちろんこういつた硫安工業の合理化という問題につきまして、鉄鋼業とか他の重要工業がこれの十倍あるいはもつと厖大なものを出しておりますが、幸いにして化学工業としては、比較的合理化資金としてはただいま申しましたような百六十億のうち大体財政投資が八十億というような程度でございましても、なおかつ六ドル程度の引下げができるのでありまして、大ドル程度下るということは先ほどの輸出価格の現状、国内安定帯価格から見まして、ある程度の国内の生産コストというものを両者勘案して考えますと、私は御指摘のような問題も確かにございます。しかし硫安工業の国際競争力あるいは国内価格引下げということも相当実現し得る確信があるのであります。同時に生産量も五箇年計画の進むに従いまして、コストの低下に伴つて、同時に輸出量も増大し得るのではなかろうか、こういうぐあいに考えておりますので、硫安工業の操業度の上昇ということを今後相当に期待していいのじやないか、その期待の上に相当大きな計画を立てることがむしろ硫安工業の基礎を確立するのではないか、こういうぐあいに実は考えておるわけであります。
  123. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の希望を持たれることは非常にけつこうだと思う。またそうしなければ操作もできないと思う。しかし現実の世界の経済情勢なりあるいはアジアの経済情勢というものは、そんななまやさしいものではないと思う。しかしこれは意見の相違になりますからこれ以上追究しませんけれども、一つ連関してお聞きしますが、合理化資金を各会社に出す場合、あるいはあつせんをする場合、それによる原価引下げを義務づけるのですかどうするのですか、この点何らかの措置をとるのか、あるいは全然措置をとらずに、ただ話合でこれこれと引下げをやつてしまつて、金を使つたが、あとは非常に困るという実例がたくさんある。ことに肥料工業については、昭電事件のごとき天下にはつきりした実例もあるわけです。そういう場合に何らかの連関性を持つたものでなければ、金だけは政府であつせんして使つた、しかしコストはなかなか下らなかつた、こういうことになつても困るわけなんで、これは何らかの法的措置をとつて、これだけのものをこの工場に入れればこれだけ出すという義務づけなり何なり、はつきりしたものをするのかしないのか、この点をはつきりお聞きした。
  124. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 この問題は需給安定法及び硫安工業合理化並びに輸出調整臨時措置法この二つの法案が、一方合理化の問題を促進いたしますと同時に、一方需給安定にございます国内価格公定という制度をつくつているわけでございまして、私の方といたしましては、そのような合理化の促進されるに従いまして、厳重なる価格調査をいたしまして、価格公定の際に、それらの合理化によるコスト低下ということを織り込んで参るわけでございまして、その意味合いにおいては、この合理化資金が一般の国内における需要家に対しても均嘱する道を開き得ますと同時に、輸出に対する底力を養成して参り得ると、こういうぐあいに政府としては考えております。
  125. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 価格構成や生産費調査については、あとでまた私は意見を申し上げたいと思うのですが、それとこれとはやや問題が別です。ただそうすると、今の政府考えとすれば、融資なり、何なり、合理化資金のあつせんの場合においては、引下げについては何らの措置を具体的には、法的にも何もしないと、こういうわけですね。どうでございますか。
  126. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、政府としましては、やはりマル公制度の実施によりましてこれを確保して参る、こういう考え方でございます。
  127. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その次は輸出の問題について二、三お尋ねしたいと思います。重要な点は他の同僚議員からたいていお尋ねがありましたから二、三疑問の点だけをお尋ね申し上げたいと思います。さつきからのいろいろ御答弁を聞いておると、実際に個々のケースによつて、いわゆる貿易の差損が出る場合も出ない場合もあるというふうなお話、しかしこれは何といつたつて、ここに何十億という金をつぎ込んで、わざわざ法律をつくつて何とかやろうという以上は、差損が全体として出ていることは明らかだ。しかもさつきお話のありましたように、大体昨年度の平均の国際入札価格なり売買価格は五十六ドル三十六セントですか、こういうことになるにしても、最近皆さんの方から提供された資料によると、一番安いものは三十九ドル幾らというのが出ています。四十ドルというものも出ている。国際価格の面では四十四ドルから四十五ドルというのが大体において一つの基準になつている。そうすると五十六ドル程度の引下げではとうてい話にならない。同時に今の国内としては、大体において六十六ドル見当になる。そうすると相当にここに当初の間——将来においてはまだ外国硫安工業というものは、なるほど石炭の炭価や何かの開きがあるでしようけれども、しかし今世界全体の動きというものは、価格がだんだん低落方向に行つていることは明らかである。しかもこれが促進されることは明らかである。西ドイツが石炭の炭価がどうなつたというような一時的な現象は起きましようけれども、大勢として一年とか五年とか見る場合には、外国硫安工業がますます合理化されるということは必然だと思う。その場合に、今の程度のお考えを中心としてやられて、はたして赤字が出ないかというと、これは保し得ないと思う。なるほど売り口が一つなつたということは一つの大きな強みでしよう。強みでしようけれども、それだけによつて私は国際上の複雑な価格競争において、アジアにおいても耐え得るかどうか疑問だと思う。これは相当程度赤字が長く続くと見なければならぬ。現状をもつて見れば、さしあたりとしては少くとも年に十五億程度の赤字はどうしても免れない。こういう赤字が出たときに、これを片方においては非常に資金を要し、金利を出し、そして減価償却をよけい出し、自己資金もためねばならぬという状況の会社が寄り集まつて自分でこの十五億の金をどうして穴埋めをして行くか。御説によると、先々もうかるようになるから、それまでたな上げをして待つているのだ。これだけの輸出会社に対して、銀行でもつて年々に先がはつきりわからないのを、計画だけで十五億の金をただ貸してくれますか。私はこんなことはとうていできないと思う。伝えられるところによると、何らかの輸出特権を与え、貿易上の特権を与えて、たとえば台湾からの砂糖の独占をさせるとか、あるいはバナナの独占をさせるとかという話もあるが、もしそういうことをすれば、輸出会社そのものの機能というものはめちやくちやになるだろうと思う。どうしてもここに十億なり十五億なりの損失が相当限度——少くとも最低限合理化の完成する程度のものは見ておかなければならぬ。昨年度の実績じやない。これから先のことですから……。そうするとこれのたな上げ価格というものはどうするのかという点が、私にはどうしても問題になる。現にすでに船会社等においては国際競争力を高めるといつて、相当に高まつたはずのやつが、今になると、外国の船の価格が下つたというので、御承知の通りことしあたりも利子補給金という形で実際に尨大な金をくれておる。それと同じようなことが何らかの形でここに出て来ざるを得ないと思う。損失補償なりあるいは利子補給なりをしなければ、銀行で貸さないと思う。これをどういう形でもつてたな上げをされているのか。抽象的には、将来もうかつたらそれでもつて長い間なしくずしをして行くのだというが、そんなことはただいうだけの話であつて、私は実際にはなかなか困難だと思う。しかも大ざつぱな見当で年々十五億程度の欠損が行くと思う。これを何らかの形でやらなければならぬ反面、今の大体の安定帯価格、もしくは今示されたもの、でもつて、どの程度引下げられるかわからぬが、国内の百姓はどうかというと、国際価格に比べれば、大体の計算からいつて、年々どうしても七十億から八十億の負担増です。どんなに考えても……。この負担増とこの赤字を何らかの形で埋めざるを得ない。そしてしかも合理化のためには、べらぼうな金をつぎ込んで、る、こういうことになる。そのしわ寄せはどうしても私は百姓の方に寄ると思うのですが、この点はどんなふうな見込みに立つて——抽象的な説明はよろしゆうございます。将来もうかるようとなるから、それでもつて穴埋めをするという説明は何回かお聞きした。それでは満足ができない。少くとも年々十億なり十五億の赤字は、今の大勢から見て出そうだ。おそらくこれは常識的にそうなると思う。これをごまかしてみたところがしようがない。明らかにして、措置はつきりする方がほんとうだと思うのだが、この点についてはどんなふうにお考えになるか。
  128. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問の中に、非常に安い価格輸出の例が出ておりましたが、これはばらの輸出の場合の例もあるようにも見受けます。と同時に、非常に異例に安く、たとえば昨年の十一月でございましたか、インドに出しました非常に安い二万トンでございましたか三万トン程度の輸出の値段に似たような価格も御指摘にございましたが、やはり輸出につきましては、輸出会社が外部に対して統一的な機関として、できるだけ有利な価格という態勢、また時期はもちろん必要でございますが、こういつた措置で、御指摘のような、そう低い価格輸出というものは、私の方は考えないでもいいのじやないかというふうに考えるのでございます。もちろん西独方面からの輸出の非常に安い例もございます。しかしこれは数量的に見ますと、きわめて少い数量でございまして、日本が現に出しております数十万トンに達します量が、そのような低価格で競争市場に現われると考えることはいかがと、こういうふうに一応考えまするが、しかし御指摘のように、今後の国際競争は非常に安い方向に激烈に進むのじやなかろうかという点は、私たちも考えておるのでございます。こういう観点で相当大幅な合理化計画を実は立てて、これを目標にして推進して行くといふことは、前から申し上げておる線でございます。また赤字の額の問題でございますが、年々十五億程度の赤字が出るのじやなかろうかという御指摘でございますが、私はその点につきましては、まずさしあたりの国際価格の動きを見まして、かたがた安定帯価格の中心線あるいは市価の線を比較勘案いたしますと、もちろん輸出する量にもよりますが、赤字は御指摘のような厖大なものにならないのではないか、こういうぐあいに寿は考えておる次第でございます。もちろん金融上の措置につきましては、御指摘のようになかなか困難な問題があるかと思いますが、これにつきましては、業者の信男、あるいはわれわれとしまして、できるだけこの輸出機構の安定性ということから見まして、あつせんの労をとつて参りたいと思います。抽象的な御答弁で恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますコストの低下ということは、大体硫安工業それ自体として考えますと、昭和三十年度ぐらいになりますと、財政投資の効果も現われて参りますし、かたがた電源開発も、その当時になりますと操業度の上昇という点に相当貢献して参る見通しでございますので、こういつた根拠からいたしますと、年々十五億程度の赤字を累増して行くのではないかというぐあいには、実は私は考えないのでありまして、会社設立後三年あたりには、何らか黒字の方向に転換する一つ見通しを持ち得るのではないかということを考えております。しかし十五ドルのコストを関連産業を含めて引下げるということは大事業でございまして、これは政治的な意味においても国家的な大問題でございますが、私は石炭あるいは電力操業という点に対しまして、一応今日の計画は推進されるということは期待していいのではなかろうかという見地に立ちまして、一つ輸出会社運営の見通しを立てておるわけでございます。
  129. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点はどうも返答が今までと同じであつて、私どもには満足できないが、今度は法文について二、三非常におもしい点があると思われるのでお聞きしたい。さつき小倉政府委員お話では、内地の硫安公定価格は安いものからとる、要するに内地の消費価格と、それから保留分を安いものからとつてつて、それの加重平均をとる、こういうお話であつた。これは需給計画そのものとも連関して来るのでありますが、そうすると輸出にまわすものはほとんど全部高いものでなければならぬはずであります。安いものから内地のものをずつと段階的にとつて来れば、あと残つたものは高い。要するに能率の悪いものになるはずだ。この関係が今の小倉政府委員説明と通産省側の見解とどうなつておるかという点が一つ。そうなれば今のお話のように、十五ドル下るということはなお実現が困難になるのではないかという見通しも出て来るのでありますから、この点との連関をどう考えるかという点が一つ。  それから十三条には、輸出については、各メーカー輸出会社に売る場合に、売る量や取引条件についてのカルテル協定ができることになつておる。但し通産大臣の許可を得なければならぬということになつておる。このカルテル協定というのは、要するに価格協定になるだろうと思うが、メーカー輸出会社に売る場合の数量あるいは取引条件については協定をすることができるということになつておる。これはおそらく実際においては価格協定が中心になるのではないかと思うが、これは大体どういうふうな内容を予想されておるかという点です。  それからもう一つ、これと連関して矛盾するのは、需給安定法の方にこういう点がある。第九条の第一項に、要するに農林大臣通産大臣は、硫安メーカー国内の業者に売る場合には、その状況によつては指示をすることができることになつている。ではこれはどういう場合かと言えば、メーカーが売惜しみをして、国内の業者になるべく高く売るというような状況の場合に、これの需給調整策として第九条の第一項があると思う。その場合に第二項は何かというと、「前項の規定による指示は、次条第一項の規定により承認を受けた買入計画による買入に支障を及ぼすものであつてはならないとある。」そうすると、これは次条の第一項というのは要するに輸出の分です。輸出の分に支障を来さないような指示しかできないということになつておるが、これは農林大臣も各大臣もともに内需優先だということを盛んに言つておる。ところがここではつきり特に問題はあるときには内需に外需が優先して、それに支障を来さないようなやり方で指示をしなければならぬということになつている。この三つの連関を一つ一つ実行する場合に、私はまつたく矛宿しているように考える。皆さんはこの矛盾をどういうように理解し、また実際どうこれを解釈して運用して行こうとするのか、聞いておきたいと思う。  第一点は、はつきり申しますと、農林省の言う見解では、輸出に安いものを先にとつてしまうとすれば、あとは高いものしかないはずだ。第二点は、会社のカルテル協定国内のそういつたものとどういう連関を持つて来るかということ。第三点は、農林大臣の指示権、通産大臣の指示権は、はつきり言うと輸出を妨害してはならぬということだ。この三点はまつたく今まで言つたことと矛盾しておるので、この解明を願います。
  130. 小倉武一

    ○小倉政府委員 国内価格をきめます場合の生産費のとり方と輸出の問題との関連の問題でございますが、これは抽象的な量から考えますると、安い方からとつて行くということがございますので残るものは比較的に申しますと生産費の高いのが残る。それが輸出に充てられるということになりまして、いかにも矛盾をいたすようでございますけれども、これはコストの高い会社あるいは工場の製品を輸出用に向け、比較的コストの低い方を内需用に向けるという出荷と物理的に関係があるのではございませんで、全面的に矛盾をするということではないのでございまして、コストの安い会社輸出用に向けましよし、内需用にも向けよう。コストの高い会社におきましても、内需用に向くのもありますし、一部は輸出に向けるものもあると思います。ただ国内価格といたしましては、その基準を先ほど申し上げましたような生産費によつて出す、かようなことであります。  それから出荷の指示と輸出計画を承認いたします場合には、内需について十分考慮を払つてのことでございますので、そういう考慮を払われた後に、輸出計画というものをむやみに妨げるということでございましたのでは、これは通産大臣ないし農林大臣の承認した計画自体がほごになりますので、実は念のために当然のことを書いたにすぎないのであります。
  131. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 小倉経済局長からお答えいたしました二点につきましては、私も同一意見でございます。  御質問の第二点の、輸出会社の場合におきます十三条の協定の問題でございますが、これは会社に譲渡すべき硫安数量、または取引条件——取引条件は現金とか手形とか、いろいろ取引条件がございますが、価格につきましては、独禁法の本来の規定の二条で禁止されておりますので、この輸出会社に参加いたしております硫安の生産業者の価格協定は一切できません。法律違反でございます。
  132. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の小倉政府委員答弁についてはまだ関連の問題がありますから、あとでもう少しつ込んでお聞きしたいと思いますが、今の協定の場合に、独禁法二条によつて価格協定はできないということになると、各会社自分々々のネットで、会社にそれぞればらばらに売るというわけですか。
  133. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 輸出会社が買い取るべき価格につきましては、需給安定法にございます公定価格を基準にして買い取る。国内取引につきましてはマル公がございますので、このマル公に従つて買い取ることになつております。
  134. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これは大事な点ですから、はつきりお聞きしますが、輸出会社に各メーカー肥料を売り渡す場合も、国内のマル公で売るのですか。
  135. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 輸出会社の買取り契約も、国内に対しまする契約も、この最高価格に縛られるわけでございます。
  136. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうすると、国内のマル公が大体において国際価格より高いことは明らかなのです。その場合の損失輸出会社が背負つて、しかも将来にこれがだんだん穴埋めされるだ出ろうという期待で金を貸してくれるか、あるいはたな上げができますか。これをはつきりお聞きしておきたいと思います。
  137. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 その場合に、輸出会社が買い取るべき価格を、個別価格というようなことで買い取つてはどうかというような御意見もあるかと思いますが、先ほど経済局長からお答えいたしましたように、生産費を基準としてきめます価格によりまして買わしむることが、合理化の面においても有効でございまするので、この一本価格を元にいたしまして買い取るようにいたしたいと思います。なおこれによります輸出価格との差損と申しますか、それは輸出会社が一応たな上げいたしまして、輸出価格の状況、あるいは国内メーカー合理化によるコスト切下げということによつて順次処理して参る、こういうぐあいに考えております。
  138. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の点は非常に大事な点ですが、これは政府として統一された見解ですか、それとも事務当局の見解ですか、どつちでしよう。はつきりお聞きしておきます。
  139. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 政府として統一した意見でございます。
  140. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それじやあとの問題は午後に譲ります。
  141. 井出一太郎

    井出委員長 川俣清音君。
  142. 川俣清音

    川俣委員 この際資料を二点ほど要求いたしたい。一つは、先ほど私の質問に対して局長の御答弁なつた点でありますが、今調べましても、局長答弁は実態と違つておるようであります。国際入札をいたしたときにおきましては、硫安協会数量価格において義務供出をさせているわけです。これは義務供出でないといたしますならば、各入札ごとに硫安協会十四社各メーカー別に参加いたしました数量をお示し願いたい。大体今までは生産高に応じて割当ていたしておるはずであります。問題は硫安協会の中に、生産量に応じた義務供出は非常に不都合だという議論も起つているのです。あるいは地域別なものを加味せよとか、あるいはその他の条件を加味して割当てるべきものだということを議論されているようでありますが、今まではそれらの議論は別にいたしまして、生産高に応じた参加数量が割当てられているはずであります。私はこれは割当てられている、及び価格協定されているということを申し上げたのでありますが、局長はそうでないというお話であります。そうであるかないかということは、かつて台湾、インド、比島等における入札の場合において、各メーガーがどれくらいの数量を出しているかということが出て参りますならば、これは局長答弁が誤まつてつたか、あるいは私のお尋ねした点が正確であつたかということが明らかになつて来ると思いますので、どうしてもこの点だけは明らかにしていただきたい。これはすでに局長が私の質問に詭弁で御答弁になりましたけれども、何といいましても、公取委におきましても、これは価格協定及び数量協定で、違反の疑いがあるということを公取の委員長は申しているわけであります。公取委が知つてつて、実態を把握しておらなければならない通産省が、そういう点について実態を知らずにこの法案を出したとするならば、十分検討が尽されていないという結果にもなると思うのでありまして、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思う。  第二点は、今まで合理化をするのだ、合理化をするのだということでありますが、合理化に二いろあることを私は先ほど指摘したのであります。今久保田委員指摘されている合理化というのは、おそらく生産過程の合理化という点をあげられておるのでありますが、もう一点、この法案には盛られておりませんが、企業合理化があるはずであります。これはすでに通産省においても御承知の通り、現在の日本硫安協会に参加いたしております十四社の中におきましては、最高と最低の開きは約二割二、三分あるはずであります。これらの企業合理化というものが考えられないのかどうかという問題が一つ残されているのです。私どもから見ますと、手取り早く申し上げますと、十四社の中で十一社くらいで三百三、四十万トンの生産能率を上げることができると思うのです。これも私は一つ合理化だと思うのです。ところが、これは問題をたな上げいたしまして、生産過程の合理化だけを今取上げておられるようであります。企業合理化というものはまつた考える余地がないというふうにお考えのようでありますが、これは非常に財界に及ぼす影響等を考えまして問題は大きいのです。大きいけれども、価格引下げるという点から行けば、これも一つの有力な、最も近い合理化の点であります。従いまして私の資料を要求することは、今十四社で二百三、四十万トンの生産能率を上げる設備を持つておりますが、私から見ますならば、幾分の修理並びに手当を加えることによりまして、十社ないし十一社で三百四、五十万トンの能率を上げることが可能だと思う。そういうことが不可能であるかどうか、これは資料によつてひとつお出し願いたい。意見は別です。企業合理化という問題が財界に生える影響等がありますので、それで避けているということなら別でありますが、私の今言つているのは、そういう財界に及ぼす影響ということを除外いたしまして、単にコスト引下げるということになれば、それらのことによつて可能だと思うが、それは可能であるかないか、その点を資料でお出し願いたい。
  143. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま川俣委員要求の資料は御用意できますか。
  144. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの資料の要求でございますが、できるだけ調製いたします。  なお一言だけ、御答弁の形になりますが、御指摘企業合理化でございますが、その点非常に重要な問題でございまして、肥料対策委員会でも実はその点を取上げられて、大分慎重審議を重ねられました。肥料工業の合理化方策の中にその点をうたつてございます。大体その答申趣旨にわれわれも考えておるのでございます、その趣旨と申しますものは、肥料工業の合理化、特に一般的な合理化方策、これは御指摘の生産工程における、あるいは原料部面の合理化を含んだものでございます。しかしこれらの一般的合理化方策をやりましても、なおかつ企業としての国際競争力の培養できないというものがあり得るのでございまして、このような問題につきましては、答申は、競争力の強化困難な場合のものにつきましては、可及的に他の優秀硫安企業との連繋を密にし、相互間にプール計算あるいは委任経営等の措置を講ずるほか、必要によつて企業の合同をも考慮する、こういうようにうたわれております。これはもちろん硫安企業同士の合同というように見えますが、あるいはもう少し幅広に関連企業との合同というような趣旨を否定するものではないように考えられますので、そういう意味合いにおきまして、政府としましては、まず一般的な合理化方策を推進して参りたい。個々企業の競争力という問題がこの合理化方策によつて決定でき得ない部門につきましては、そのようなことも必要ではないか、こういうぐあいに考えております。
  145. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十二分散会