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1953-07-18 第16回国会 衆議院 農林委員会水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十八日(土曜日)     午前十一時五分開議  出席委員   農林委員会    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    福田 喜東君       松岡 俊三君    松野 頼三君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       芳賀  貢君    稲富 稜人君       川俣 清音君   水産委員会    委員長 田口長治郎君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 日野 吉夫君 理事 小高 熹郎君       遠藤 三郎君    玉置 信一君       夏堀源三郎君    濱田 幸雄君       赤路 友藏君    田中幾三郎君       辻  文雄君    中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 中里 久夫君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農林漁業組合連合会整備促進法案内閣提出第  一三一号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより農林委員会水産委員会連合審査会を開会いたします。  農林漁業組合連合会整備促進法案議題といたし、審査を進めます。  なお、水産委員各位に申し上げますが、本案趣旨は、お手元にお配りいたしました提案理由説明書をごらん願うこととし、ただちに質疑に入ることにいたしたいと思いますから、御了承願います。     —————————————
  3. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより質疑を許します。玉置信一君。
  4. 玉置信一

    玉置委員 ただいま議題になつておりまする農林漁業組合連合会整備促進法案内容を見ますると、きわめて時宜に適した立法措置考えまして、私ども全幅の賛意を表するものであります。ところがこれに一つ欠くる点があるのであります。それは何かと申しますと、漁業不可分関係にありまする水産加工連合会がこれから落ちておる。御承知のように、漁業振興して自立経済基盤を確立するということになりますと、どの角度から見ましても加工というものを無視することはできない。漁獲処理の面におきましては、これは九州本州でもその通り北海道至つてもまさにその通りでありまするが、漁獲された魚を処理する上におきまして、生送りをする。生で消費者に供給するという、それ一方的でもつて漁業というものは成り立たない。そこにはやはり生の魚を第一次、第二次、第三次の加工をすることによつて漁業生産者の経営がスムーズに成り立つわけであります。こうした点を考えてみますると、ひとしく加工連というもののつながりなくして、単に漁業だけの振興を期し得られないということは、私が申し上げるまでもないことでございます。しかるに前段申し上げましたように、この加工連がこれから落ちているということは非常な片手落ちな処置考えられますので、私は当然この整備促進内容加工連一つ加えるべきであると思うのでありまするか、どういう関係で落ちておるのかということが一点。  それから現地実情を申しますと、九州におきましては、長崎が特にこの点に当てはまる点があろうと思います。本州におきましても、あげれば相当数になりますが、北海道に至りましては、御承知のごとく函館あるいは室蘭、札幌、苫小牧小樽、釧路、根室、稚内、留萠旭川、こうした主要なる地区が、みな漁獲の面においては加工団体不可分関係において漁業振興がはかられておるわけであります。かような点から申しまして、実態はあくまでも一貫した立法措置を講じなければ、今日まで政府が必配しておられますところの中小企業振興という、この建前から見ましても、どうしてもこれは当然含まなければならない問題があるわけであります。特に今日の日本自立経済基盤をなすものは、申すまでもなく中小商工業者、このうちにはむろん農漁村が含まれるわけでございまして、この点まことに残念に思つておるわけでございますが、これに対しまして政府いかようにお考えになつておりますか、まず最初にお伺いいたしたいのでございます。
  5. 篠田弘作

    篠田政府委員 ただいま玉置君が言われました水産加工協同組合をなぜこの対象に加えないかという問題につきましては、この法律をつくるときに、実は私も非常にふしぎに思つた。この問題については同様の疑問を私も持ちまして議論をいたしました。ところが、今回の整備促進措置は、従来の再建整備をらさに促進するという立場から、再建整備法対象となつておる農業漁業あるいは森林組合といつたような、言いかえれば原始画業だけをその対象としたものであつて加工というものはその対象にしないという建前とつたわけであります。そこで今の北海道加工はどうするかということになりますと、北海道の場合は、加工組合の同連合会というものがあるのは全国で北海道だけだそうであります。長崎とおつしやいましたけれども長崎は今のところ開店休業のよう元金あるいは利子の取立を出世払いといつたような意味で返せるときが来るまで待つてやろうというような建前をとつておるそうであります。それからもう一つ、これは実例かありますけれども室蘭における製氷会社などには、やはり資金の貸出しをしておる。実際の運営には別に影響がないということになつておるので、再建整備促進法建前から、主として原始産業関係であるところの農業協同組合漁業協同組合森林組合に限定する、これが今回の建前になつております。もし詳しいことが必要でありましたら、事務当局から説明させます。
  6. 玉置信一

    玉置委員 ただいま篠田政務次官の御答弁をお伺いいたしますと、本案立法の当時の事情あるいは今お話になりました農林中金等処置、その方面からながめてこれは一応除いた、こういうお話のようでございますが、しかし農林中金から融資をするという点におきましては、これは事実あるわけでございます。ありますけれども、それはあくまでも各関係団体がひとしくそういう恩恵に浴しておるわけです。ひとりこれは北海道だけではないわけです。長崎ではほとんど開店休業ということでも、やはり実体は存しておるわけであります。そうした窮迫の状態にあればこそ、再建することを、政府の一貫した方針として当然やらなければならぬ、かように私は思うわけであります。ことに北海道を申し上げますと、御承知のごとく北海道のこの連合会は、かつて戦争中の統制団体から引継がれた財産で、これが今日整備を要する、すなわち赤字なつてい対象でございまして、この赤字を解消するために苦心をいたしておる。回収方面におきましても、とうてい望みのないものがあるわけであります。こういうような点を、しからば農林中金救済するかといえば、全然対象にしないわけであります。かかる状態にあるものを、この立法の精神からいいましてこだわるべきでない、あくまでも対象としてこれは再建させるべき、政府としてあたたかい措置を講ずべきであろということを、私はここに確信を持つて申し上げる次第であります。この点に対しまして、なお政府のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  7. 松岡俊三

    松岡委員 ちよつと関連して……政務次官の御答弁の、この法案制定の当初の趣旨はわかるのでございますが、しかし実際問題として魚をとつていかをとつてほす。これまで入れるとどこまで大きくなるかわからぬという御懸念があるのではないかと思う。今の漁業の原始的なものと比べると、資力もありどこまで発展するかわからない、これを一緒にしたのでは、大小軽重均衡がとれないところにあるいは懸念を持つておられるのではないかと思う。しかしほんとう漁民実態を調べると、その加工程度にもよりけりじやないかと思う。非常に大きな加工業者を云々ということと、漁民の保護の問題を混同するということは、あるいはどうか知りませんが、私は実態の上から考えて、ほんとういかをとつてほして加工して行くというようなことは、ちよつとタバコの方面関連するようなこともあるが、その加工の限度についてどういうぐあいにお思いなつていらしやるか、実態について関連してちよつと質問いたします。
  8. 篠田弘作

    篠田政府委員 これは御承知通り、従来の再建整備法に基きまして、これを促進するというのが今度の措置であります。そこで御承知通り農業林業及び漁業振興し、自立経済基盤の確立に資するため農林漁業組合再建整備はかることを目的とするという法律ができておるわけでありす。この法律の中に含まれておる業種だけについて整備促進するというのが今回の目的でありますから、いろいろ実際的な両について関連があるということは十分承知しておりますけれども、法の建前上この法律に定められた業種について促進するというのが今度の目的でありますので、この法の中に含まれていないものは当然今度の措置からは除外される、こういうことになつたわけであります。しかし実際問題として水産加工というものか漁民に直接間接に及ぼしている利益というものは、これはおつしやる通りでありまして、われわれも同感であります。従つてこれを投げておこうというのではもちろんありません。そこで今まで持つてつた任務に対しても、出世払いといいますか、お前ら払えるときに一生懸命やつて払つてくれという態度をとつておるので、決して催促もしておらないのでございます。新しくほかに貸し出していないかというと、特融というような普通のものよりももつと安い利子でさらに貸し出しておるという実情にあるわけでありますから、少くも促進法の問題に関してはこれから除外されておる。しかし助成あるいは金融の面については十分に関心を持つて、別個の方法でやつておるということを御了解願いたいと思います。
  9. 松岡俊三

    松岡委員 多分そうだろうと思うのです。そうすると、当然この整理の機会が来たからこうなつた、法の中に入れることはできなかつたけれども、実際は今の御答弁のように、ふさわしくないところか確かにあるということだけはお認めなつていらつしやるように私は了解するのです。それですから何とかしてこれを修正すべき意図を持つていらつしやるかどうか。実態にふさわしいものにしなければならないというお考えを持つていらつしやらなければならぬと私は思うのでございます。今はしかたがないけれども、こういう実態にはふさわしくないから、何とかしなければならぬというお考えは、漁民に対するあたたかい心持から出て来なければならないと思うのであります。今の加工業が大きくなるということが心配であろうということは私も同感ですけれども、ある程度まではどうしても持つて行かなければ、次官のように実態をよく御存じの方は、これでは無理だということはよくお認めだろうと思う。この点を……。
  10. 篠田弘作

    篠田政府委員 今松岡さんからふさわしくないというふうにお認めかというお話でありましたが、そういうふうに認めておりません。この法案はこの法案としてふさわしいと認めておるわけであります。そこで問題となりますのは、要するに先ほど申しました原始産業、端的にいえば漁民、農民あるいは林業に携わる者というものが目的でありまして、言いかえれば、水産業から見ると水産加工というのは第二次産業だと思うのです。そういう意味で直接のいわゆる原始産業的なものだけを目標にしておるから、この法律の中に加工業を加えるということは私は無理だと思うのです。だから加えなくても別途に救済なり助成なりし得る方途を講じて行けばいいのじやないか、その意味におきまして私は賛成です。
  11. 玉置信一

    玉置委員 時間を拝借して恐縮ですが、先ほど申し上げましたように、北海道の例の実態を申し上げますと、御承知のように北海道水産加工業協同組合連合会というのがあります。これの固定化債権というものは、先ほど申しましたように、旧北海道水産物製造協会という、戦争中の統制団体引継ぎ債権、それから創立早々における昭和二十五、昭和二十六年両年度経済界混乱によりまして、傘下単位加工協同組合及び販売先商社に対する債権固定化に原因いたしまして、非常に会の運営の円滑も欠けるに至つたわけであります。そこで少し詳しくお話をさしていただきますが、製造協会より引継ぎ債権は、当該団体といたしましては鋭意回収に努力をして参つておりますが、過去三箇年間の回収実績は総額の二十パーセント程度にすぎないのでありまして、このおもなる原因は、債務者のいずれも現在におきましては弱小企業体に転落したものか多いのであります。かつすでに倒産あるいは死亡、あるいは所在不明等が過半数に達しておるという現状であります。従つて回収可能と目されているものでありましても、早期回収するということはいずれも困難な事情でありまして、大部分は回収不能と思わなければならないものでございます。また引継ぎ固定資産におきましても、建物、漁場、設備を除きましてはほとんど形のみの資産でありまして、約四〇%程度は償却せざるを得ない現状に立つておる、かような現状でございます。  次に両年度固定化債権事情を申し上げますと、傘下加工協同組合に対する分は、当時の経済界混乱によりまして原料高製品暴落の大打撃を受けました結果、資金固定化いたしまして、これら組合再建整備について鋭意協力指導を行いまして、最近ようやくその緒についたのではありますか、組合現状から見まして、前段申しましたように早期回収はきわめて困難でありまして、少くとも五箇年以上の期間を持たなければ、この債権回収はなかなか困難であるという事情に置かれておるわけであります。販売代金固定化は、前申しましたと同様に、当時の経済界混乱に基く製品の値下りによる販売代金固定等によりまして、ひいては本会に対する債権の支払い困難を来した事情でありまして、このうちの一部はすでに先ほど申しましたように、倒産あるいは倒産せざるも営業不振のために、これらに対する債権の一部はもう回収不能という状態になりまして、長期回収のやむを得ない事情にあるというようなこの実体考えますときにおきまして、この連台会の持つ役割は、今日北海道原始産業である漁獲の面にいか影響を及ぼしておるかと申しますと、先ほどお話出し上げましたように、この加工処理機関があることによりまして、原始産業に立つ漁業者が価格の維持をこれによつてできるわけであります。これは私が申し上げるまでもなく、皆さん御承知であろうと思いますが、この加工処理機関がなければ、単に漁獲したものが一気にこれが処理されようということは考えられません。いかの例をお話がありましたが、いかにいたしましてもその通り、特ににしんにいたしましてもしかりでありまして、その他の漁獲されるものは、北海道のような地域においては、内地の交通事情等と比較いたしまして、ただちにこれが生のままで処理されようということは考え得られない。時期を過しますとこれが腐敗をいたしまして、肥料に落すだけである。今日わが国における食糧緩和一つの重大な使命を担つておりますこの漁獲が、こうした機関の破産によりまして、漁獲処理機関がなくなることによつて漁獲処理が完全にスムーズに行かない。その結果はこれが肥料に落すというようなことになりますと、わが国経済に及ぼす影響はきわめて大きい。ことに北海道は御承知のように、今日におきましては日本全体の三分の一の漁獲を示しておる。この北海道がかかる機関倒産いたすことによつて処理機関がなくなる、漁獲の面において生で置くことができない、これを肥料に落さなければならぬというようなことになりますと、北海道経済界に及ぼす影響というものはをわめて甚大であることを、政府もおそらく御存じないことはないと私は思うのであります。ただ立法処置をして、いろいろな角度から考えて、ことに林業連合会等傘下にこういうものがある。ああいうものがあるということにこだわつてこれを無視するということは、とうてい許されないことである、かように私は考えるのでありますが、これに対しまして基本的なお考えを、重ねて政務次官からお伺いいたしたいのであります。
  12. 篠田弘作

    篠田政府委員 ただいま玉置委員の言われたことについてはまつた同感であります。私も御承知通り北海道出身でありますから、北海道加工業実態というものについては多少の認識を持つております。そこでこれは再建整備促進の中に入れるということは、何といいましても法律で限定されておりますから無理でありますが、御説の通りのそういうような方法で、漁民と直接関連を持つておるこの水産加工というものに対する助成について、あるいは救済というものに対しては、絶対的な必要があると思いますので、水産庁にも十分に申しまして、別途の方法で御趣旨に沿うように努力させる考えでございます。どうかその程度で御了解願いたいと思います。
  13. 玉置信一

    玉置委員 きわめて御親切な政務次官の御答弁でありますから、これを反駁して申し上げるわけではないのですが、なるほど別途の措置が講ぜられれば私もけつこうだと思う。ところがこうした問題は、別途の措置を講じ得られない事精にあることは、農林事務当局でもおそらく御存じのはずです。ややもすると役所の考え方といたしましては、一つ立法措置を講ずる基本的な線を打ち出しますと、それにこだわつてどうしてもこういうことをやりたがらないということは私もよくわかるが、この問題だけはこの線に載せておかないと、これはとうていできない。私が先ほど申しましたように、あくまでも漁業加工業との一体不可分関係に行かなければ、原始産業である漁業者は立ち行かないのです。これは専門家であればだれもうなずくだろうと私は思うが、農林省事務当局の人も、みずから漁業を営んでみれば一番よくわかる。これはだれが何とりくつをつけましても、この問題だけは無視できない現状にあることに思いをいたすならば、そうしたただ単なる他の事例に比較してこれはできないというようなことは、この際賢明なる篠山政務次官において、どうしてもひとつ思い直していただきたい。この点はほんの一項を加えればいいのです。何もむずかしくはない。ただ水産加工連というものをひとつ加えればそれで済むわけなんです。どうかもう一度ひとつ思い直していただきたい。大象漁業のためです。加工業のためではないのです。ただ加工連とあると、すぐ加工業者をお考えになるが、それは事務当局のお考えで、これはあくまでも漁業一体でありまして、漁業振興の半分をこれによつて補うことができるという基本的な考え方根本的な考え方にひとつ思いをいたして、私どもの希望する、また全道の多数の漁民一体となつて希望するこの措置を、ぜひ講じていただきたい思うわけでございます。
  14. 篠田弘作

    篠田政府委員 玉置君は、水産加工連というのを一字加えればいいとおつしやいますけれども、そうなると、農業加工林業加工というものを今度はまた加えなければならぬということで非常に範囲が大きくなつて水産加工だけを加えてしまういうわけには行かないのであります。そこでたびたび申し上げましたが、大体法の目的としているのは漁民である。加工連というものは漁民主体としておるのではなくて、加工業者連合会というのでありますから、加工業者主体としている。もちろん直接間接関係というものについては政府認めておるわけでありますが、しかしこの法は、要するに漁民を直接の主体としておるのでありまして、加工業者連合会というものが直接の漁民主体としているものではないということは、玉置委員は私よりよく御存じだと私は思うのです。そこで水産加工連というものを一字加えろとおつしやいますけれども、それでは農産加工連をどうするか、林産加工連をどうするかということになると、範囲が広くなつて、漠然として法の趣旨に沿うことができなくなるおそれがあるのでありますから、これはその点をよく御了解願いまして、私が先ほど来申すように、あくまでも水産庁を督励いたしまして、これは私の責任においてお約束しますから、この法律の中に加工連を加えることだけは、非常に無理であることは、ひとつこの程度で了解してもらえないものだろうか、こういうふうに考えます。
  15. 玉置信一

    玉置委員 政府次官が非常に御心配になつて御苦心くださる点はよく了承いたしましたが、それでは事務当局にお伺いしたい。  先ほど私は、ただいま政務次官から御答弁なつたうちの林業加工の話が出るであろうと思いましたから、先手を打つて林業方面の問題をちよつぴり申し上げておいたのでありますが、こういうことに関連して、これにこだわるであろうということを申し上げたのです。林業加工漁業加工との実情一体どうなつているかということは、私が申し上げるまでもなく御存じだろうと思いますが、一応申し上げます。これは今北海道における漁業を申しましたから北海道における林業加工の問題を申し上げますが、しからば北海道林業連合会傘下林業加工というものが林業振興のためにどういうふうな役割を果しているかというと、これは数的に分析して、科学的なデータを出すまでに至つておりません。これは私が申し上げるまでもないことなんです。ところが、くどいようでありますが、現地においてにしんを揚げますと、ただちに加工の方へ何ぼ割当てて、何ぼとつてくれないかというほどまでに実はやるくらいなのであります。それでなければ、その土地のにしん生産計画というものは立たない。たとえば東京へ何ぼ、東北に何ぼ、あるいは京都、大阪へ何ぼという生送り計画を立てて、そのうちの何パーセントは地元の加工へまわす、そのうちの何パーセントは小樽室蘭苫小牧、あるいは旭川、その他どこかへまわすというように、二月になりますと、東北六県、東京等から各県の代表、専門家が集まりまして、現地において生産計画を立てるわけです。林業においてこういう計画がありますか。これはおそらく事務当局においても否定できないだろうと思う。かかる不可分関係にあるものを、単に法律の基本的な考えによつてこういうものをきめたらどうか、これでがまんをしてくれということは、原始産業の一環の振興をはかろうとする場合においては、それはどうしても成り立たない議論である。これに対して農林省事務当局一体いか考えておられるか、これをまずお伺いしたいのであります。
  16. 谷垣專一

    谷垣政府委員 漁業の面におきまして、とれました魚を加工し、あるいは生のままで出るものもありましようが、そういう意味において関連が非常にあるという御議論はその通り私たちも認めているわけであります。しかしこれはほかの農林加工の面におきましても、やはりよく似た事情があると思います。たとえばみかんが非常に豊作で腐るような可能性があるような場合、あるいはトマトが出た場合、あるいは落りんごが非常にありまして、それに対してどういうような手を打つかというふうな問題等、よく似た例はあるわけでありまして、ここで今御審議預つております法案につきましては、先ほど政務次官の方からお答え申し上げましたように、すでに施行されております再建整備法対象であつて十分にできなかつたものに対して、これを一部促進をして行く、実は当初からこういう法律建前になつておりまして、どちらかと申しますと、すでに施行いたしまして二年有余過ぎております再建整備法の補完的の役創をいたしているわけであります。今御指摘になりましたような水産加工の問題は、非常に重要な問題であることは重々承知いたしておりますけれども、実は再建整備法の当初におきましてその対象にいたしておりませんので、そういうような関係から、このたび議論をいたします際に促進法という名前で入れるわけに行かない、かようなことになつているわけでございます。その点御了承願いたいと思います。
  17. 玉置信一

    玉置委員 ただいま部長の御答弁でありましたが、法律に基いていますが、その法律立法府でつくつた法律ですから、その法律に欠陥があり誤りがあれば、これを是正することは当然である、国家国民の利益になることは、当然立法府で直すべきだ。法律がこうできておるからといつて、いいもの悪いものをごつちやに考えるということは当らぬと思う。みかんの例を引かれましたが、みかんの落ちる、腐るという問題は三日、五日を争う問題でないことは、あなた御承知でしよう。ところが生魚というものは一日、二日を争うのです。この計画によつてこわれるということになりますと、一体どうなりますか、この点はあなたはどうお考えになりますか。
  18. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そのできます生産品によつて、いろいろと問題が違うかと思います。落ちりんごの場合もあれば、落ちみかんの場合もありましようし、あるいは魚の場合もありましようし、あるいはまたミルクのような場合もございましようし、これはいろいろと問題があろうかと思います。しかし、この法律で言つておりまする建前は、要するにこの対象になりまする組合を組織しておりまするその諸君が農民であり、あるいはまた漁民であり、また山林の方で申しますれば、そういう仕事を直接やつておる諸君というふうに、少し主体をかえておりまするので、実はその点がこの法律一つの区切りのようなかつこうになつておるわけでございます。先ほど再建整備法促進法関係につきまして、法律の形は確かに両方独立はいたしておりますけれども、その出ましたゆえんもの、その他内容等の立法議論されました論議の過程が、実は再建整備法の実績を見まして議論が起きておりますので、さように御了承を願いたいと思います。
  19. 玉置信一

    玉置委員 どうもお答えがぴんと来ないのです。再建整備法を補うためにこれをやつたということはわかる。この法律をこのまま読んでみれば、この通り当てはまるべきなんです、それは私よくわかる。わかるんだが、そもそも原始産業をどうして生かすか、原始産業というものを実際に生かすということになれば、これはほかの事情と違うわけです。政府が一旦こういうものを出して、これはどうしてもこの法律の中においてきめなければならぬという行き方は、私もわかるのです。私も立場をかえて考えれば、それは当然と思うが、しかし原始生産者である漁業の立場を考えると、これによつて一層生きる、生きることをあくまでもこの法律にこだわつて阻止するということは、理論上成り立たぬ。だから、もしあたたかい思いやりをやつて、これをやつたからといつて、そう数もないことであるし、これによつて漁業振興されて行くということは、これほどいい施策はないではないか政府としては当然措置をすべきであると考えるわけであります。先ほどのみかんのお話のお答えは、きわめて曖昧模糊としておりまして、私にはぴんと来ないのですが、これは私の納得するような他の単位組合実情をお述べになることは、おそらくできないだろうということは私は承知しておるがゆえに、特にこの点を指摘して御考慮を煩わしているわけであります。
  20. 篠田弘作

    篠田政府委員 漁業と非常に関係のある水産加工の問題を離して阻止するというふうな、ただいまのお考えのようであるが、それは児然あなたの考えの方が違つておる。別に阻止しているわけでも何でもない、大いに助成しようという気持はある。けれども承知通り一つ法律建前として——たとえば私の家を一軒つくつた、ところがそれが機能を発揮しないために模様がえをする、あるいは設計がえをするというような場合と同じでありまして、そのためにあなたのうちをつくらないわけではない、あなたはそれを一緒につくれ、自分のうちをわきにくつつけよというのであるが、これは別個に模様がえしてもさしつかえない、そういう意味合いにおいてやつておるのでありまして、決して阻止するとかなんとかいうのではありません。今言つたように、法律建前は、ある一定の局限されたものを目的としておりますから、そのほかのものについては別個に考えるということが建前だと思う。今魚が腐りやすいというふうなお話もありましたけれども、農産物の中にも一時間か二時間で腐るものもずいぶんあるわけです。そういう意味合いにおいて先ほど来私が申しましたように、決して阻止をするとか、助成をしないとか、救済しないとかいうのではありません。あくまでもします。ですから、あなたの論議は、私が聞く範囲では十分尽きたと思うのであります。どうかこの程度で了承撒いたいと思います。
  21. 井出一太郎

    ○井出委員長 川村善八郎君。
  22. 川村善八郎

    ○川村委員 玉木君の水産物加工組合連合会に対する議論は、議論としては押したり押されたりしているようなことで、私は別な角度から事務当局にお伺いしたいと思います。  前に農林漁業協同組合再建整備法に載つておらなかつたから、これが抜けたということは、これはわれわれも法律を見て大体わかります。ただ、なぜ抜いたかということなんです。今度もまたせつかく農林漁業連合会を助けて行かなければならぬ、そうして今後この協同組合運動の強化をやつて漁業生産の拡充、漁民の経済力の発展をはかりたいという目的があるのに抜いたということそもそもが、私らはふに落ちないということなんです。そこで協同組合についての構成員はいろいろ違うだろうけれども、今度の連合会の場合は名前が同じなんです。私けさ法律をすつかり調べて来たのですが、こうなつております。水産業協同組合法の第一条は「この法律は、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図り、国民経済の発展を期することを目的とする。」となつておる。その組合の種類はどうなつておるかというと、「水産業協同組合は、漁業協同組合漁業生産組合及び漁業協同組合連合会並びに水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会とする。」こうなつて目的の中にも組合の中にも、はつきりこれが唱われておる。それを前の農林漁業協同組合再建整備法のときに入れなかつたということは、われわれも子の審議にあたつて少し手落ちだつたことを認めざるを得ない。  それから事業でございますが、これも同じであります。事業の種類は、第四章の八十七条の第一項の第一号から第十何号までございます。一号は「会員の事業に必要な資金の貸付」、二号は「会員の貯金の受入」、三号は「連合会を直接又は間接に構成する者の事業に必要な物資の供給」、四号は「所属員の事業に必要な共同利用に関する施設」、五号は「所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売」、まだたくさんございますけれども、これは漁業協同組合の場合も連合会の場合も、水産加工業協同組合の場合も同連合会の場合も同じなんです。この同じ趣旨に基き、同じ目的に基いて今日まで運営して来て、そうして漁業協同組合連合会同様に、やはり加工協同組合も苦んでおる、こういう実情なんです。そこであなた方によりますと、かつての農林漁業協同組合再建整備に織り込まれなかつたら、今度も織り込まない、こういうことだろうと思う。そこでわれわれは手落ちであつたということを認めざるを得ないが、おそらく農林当局もそこまで気がつかなかつたというとこを私は認めざるを得ないと思う。そこで目的も仕事も同じような、ただ片方は漁業主体としており、片方は漁業からあげたものを加工をするという、主体がかわつておるだけであつて、事業は同じです。そうしてやはり戦時中から戦後の食糧事情の非常に窮迫の時期に、漁業協同組合連合会も、あるいは水産加工業協同組合も同連合会も、同じ方法で皆さんの食糧のために貢献して来たのだ。それが片方が今度入り、片方の加工業協同組合連合会が入らぬとすれば、これが片手落ちであるということは、だれが見てもわかる。そこでこの法案を出しました政府当局においては、おそらく自分の出したものを悪いとは、これは当然言われない。王置さんが今、立場は違うが同じ北海道出身の篠山政務次官に聞いておるが、立場がかわつたつて同じことだろうと思う。でありまするから、先ほど篠出政務次官の、別途な方法を講ずるということで、この法律を通しますと、それが今後加工業連合会を助けて行くということは、どういう方法で行くかわかりませんけれども、できたら何かここに条文の一部修正をして、別途これを取扱つて救済をするという意味の字句を加えて行つたならば、政務次官お話されたことも明らかになりますし、それから玉置君の質問の趣旨にもお答えすることができる、私はかように考えておるようなわけでございます。原案を主張されるあなた方のお気持はわかるけれども、でき得るならばここに一項を入れて、何とか救済を講じていただいたならばどうかということを私は申し上げて、事務当局のまず御所見を求めます。
  23. 谷垣專一

    谷垣政府委員 これは申すまでもなく、再建整備法のときに実は十分に御審議を願いましたし、政府部内でも実は十分に論議をいたしたものでございます。もちろん加工の仕事が非常に連関が多いということは、私どもも十分承知いたしております。また一つの協同組合という組織がとられておるということは、これはほかの中小企業等協同組合法等もあるわけでありまして、そういう協同組合がそれぞれ設立されておるということも、十分承知いたしております。ただ問題は、再建整備法が出されましたときにも御論議があつたのでありますけれども、農民、漁民というように、直接原始産業に携わつております、ごく零細なそういう諸君が相集まりまして、そして協同組合をつくつてつておる。これと、少くとも加工業者という形におきまして、若干の資本を持つてつておられる方々の協同組合というものの組織とは、これは若干違うのが筋かと思います。そういうような意味合いにおきまして、まず一番原始産業に従事いたしておりまするものを対象いたしておるわけでありまして、私たちの方では、決して水産加工に対して十分なる援助その他をやるべきことを否定しておるわけではないのであります。ただこの法律におきまする建前というものは、従来申し上げておりますように、この前のときにおいても議論はされておりますし、原始産業部門に限定いたしておる、こういうわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  24. 川村善八郎

    ○川村委員 大体立法当時のやはり心構えというものが、われわれの考えておつたことと違つておるということは、今部長の答弁で明らかになつたのであります。部長の答弁は、原始産業基盤としてやつておる、すなわち農業とか漁業とか、こういうものを主体としておる、それから加工というものは、高度の加工をやつておるのだから、加工協同組合というものは、いわゆる原始産業でない、こういうふうな考え方から出発して、水産加工業協同組合を際いたというようなことが、言葉の上に明らかになつた。そこで私申し上げますが、北海道の場合は、高度の加工業というものはほんのわずかで、ほとんどは漁獲物からすぐいわゆる一次加工処理しておるのであつて、実際に原始産業そのものだ。これはおわかりになると思います。いわゆる北海道では、にしんがとれるというと、一番先みがきをとる。これも加工なんです。それからみがきをさらに東京なり大阪なりの消費地に出して、それをいろいろ加工するというのも加工業なんです。北海道加工というものは、第一次加工業といつて漁業と直接不可分関係にある加工業なんで、部長の考えておる加工業とは違うんです。そこでこの法律に織り込まなかつたということは、さかのぼつて農林漁業協同組合再建整備法に織り込まなかつたということ、こういうことが原因になつておるということは、部長の答弁から明らかだ。そういうふうなことになりますと、やはり部長の考えでは、原始産業にあらざる高度の加工業というものは、これは冷蔵庫もあれば、それからいろいろな大工場を持つておる加工業もあるということになれは、やはりこの法律に入れなくともいいという議論でありますけれども、今までわれわれの議論しておりますのは、いわゆる漁業と直接に関係しておる加工業であつて、そうしてこれで連合会をつくておるものは、やはり漁業協同組合連台会同様に、あるいは再建整備法に織り込まれたところの、いわゆる漁業協同組合農業協同組合と同様に取扱うべきであるという、そこに議論の食い違いがあるので、どういうふうなお考えで部長はこの立案に当つたのか、この点を明らかにすれば、おのずからはつきりしますから、その点をどうか……。
  25. 松岡俊三

    松岡委員 私は公平な立場から申し上げたい。これは常識的な判断です。いかをとつて来て、すぐさいて、あるいはにしんをとつて来てすぐさいて、これを漁業と言うか言わないかという問題なんです。漁業とは何ぞやというんです。この解釈について、農林事務当局はすこぶる狭義に解釈しておる。漁民じやない。漁業なんです。漁業とは何ぞやという、この定義から言わなければならない。これは常識的な第三者の、私のようなしろうとから申し上げるのですから、参考になされてしかるべきじやないかと思う。
  26. 篠田弘作

    篠田政府委員 にしんをとつて、すぐその場で裂いてみかきにするとか、あるいはいかをとつてすぐするめにするというようなことは、これを加工といえば加工かもしれませんけれども、実際の漁業の状況から見れば、漁民自身がこれをやつておるのです。ここで言う加工というのは、少くとも工場を持つて、ある程度の機械設備を持つてつている加工というものも……。ですから言いかえれば、ここで言つているのは加工の大小じやないのです。直接漁民の組織というものを目的としているのでありますから、するめに裂いたり、みかきをつくつている漁民は、結局はこの恩典に浴するわけなんです。漁民というものを目的としておりますから、漁民が直接するめをつくる、直接みかきをつくる、棒だらをつくるというならば、この中に当然入るわけです。ところがそれはこの前につくつたときにこれを織り込まなかつたというよりも、むしろ織り込むべきものでないという判断だつたのです。私はそのとき政務次官でありませんからわかりませんが、そういう判断であつた考えるのです。そこで新しく加工組合の救助なり助成なりをするという別個の法律をつくるということであるなら、これは別に考えていいのじやないか。それをこの中に押し込もうというところに無理がある、私はこういうふうに考えます。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどから玉置委員と農林次官との間においていろいろ質疑が行われておるわけでありますが、それを聞いておると、やはり農林次官もこの促進法の持つておる内容を的確に把握しておられない点があるのじやないか考えるわけです。この中に規定された点は、いわゆる農業協同組合法、森林法、水産業協同組合法、この三つの規定によつて形成された組織の非常に弱体になつたものを補強してやる、再建してやるというところにねらいがあるのであつて玉置委員が言われた加工協同組合連合会というものは、はたしてこれらの水産業協同組合法の規定によつて形式された組合であるかどうかという判断が的確に行われなければならないことと、次官先ほどから加工の段階になれば、すでにそれは適用を受けないのだと言つておられますけれども水産業協同組合の持つ事業というものは、いろいろありますれけども一つ組合員が漁獲したそのものに対する運搬であるとか、加工であるとか、保管であるとか、販売というものは当然協同組合の事業として行わるべきものであります。それらの事業というものはいかに高度の加工事業であつても、この協同組合が行う限りこれを除外することは絶対できないのであつて、そういう場合において農林次官はどういうような解釈を持たれておるか。原始産業加工の限界というものには一定の線があつて、それ以上を越えるものは除外するのだという御説明はどこから出発した論議であるかということを、もう少し明確にしていただきたいと思います。
  28. 篠田弘作

    篠田政府委員 私は加工をする人を除外するというふうには言つていないのでありまして、この法律では、加工協同組合あるいは加工協同組合連合会というものはこの対象になつておりません。直接の対象漁民の設置する漁業協同組合対象になつておるのでありますから、漁業協同組合加工をしている場合には当然この中に入る、こういうように考えております。ただ漁民以外の人が加工をやつている、その加工組合連合会というものはこの中に入らない。松岡さんの言われるように、漁民が自分で協同組合をつくつて加工している場合には当然この中に入るわけです。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次官の言われた点はまだ認識が足りないと思う。もちろん協同組合連合会であるからして、連合会を構成するものは単位協合組合であるということが言えます。そしてなお単位協同組合を形成するものは漁民であり農民であるという個々の人格を持つたものから出発しておるわけでありますけれども、ここで言うところの協同組合というものは、単位協同組合一つの人格を持つて形成したところの協同であつて、いわゆるこれは連合会であります。この規定は、これらの法によつてできた連合会に対して適用するのであるから、当然連合会が行つておる事業によつて生じた損失等に対する整備促進ということにならなければならないのであつて、この単位協同組合に対してこれを適用するということはまつたく間違つた考えではないか思いますが、その点はどうですか。
  30. 篠田弘作

    篠田政府委員 これはあなたのおつしやる通りです。私は別に単位協同組合とか、そういうことを云々しておりません。漁業協同組合連合会のやつておる仕事であればこれは加工であつても入ります。なぜかというと漁業協同組合連合会というものは、あなたのおつしやる通り漁民対象であるからであります。しかしながら今玉置君の言われる意味は、加工業者というものは必ずしも漁民に限らない。あるいは商人がそれに携わる場合もあるし、また別の資本家がこれに携わる場合もある。そういう人のやつておるいわゆる加工組合というものが集まつて加工協同組合連合会をつくつておるのだから、そういう場合にはそういう人は入らない。漁民のつくつておる協会組合なり協同組合連合会加工しておるという場合には当然この中に入る。別個の人格がつくつておる連合会はこの中に入らない、こういうふうに私は説明しておるわけであります。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことが最初から明確になれば、何もこういう論議を繰返す必要はなかつたのであります。そういうことであれば、玉置さんの言われる加工協同組合連合会というものがこれとまつたく本質的に異なるものであるということになれば、さらに水産協同組合あるいは水産業の一環として営まれるところの加工業、こういうものは同時にこの連関の中において保護されなければならぬという問題がそこに発展した場合において、それを取上げて現在の法の範囲内ではこれは当然適用を受けることはできないけれども、しからば別個にどのようなことをお考えになつておるかということを率直に、具体的に述べられば、前から気にはしておるけれども、どうともならぬとか、原始産業がどうであるとか、加工がどうであるとか、非常に茫漠たる説明をなされておるので、納得できないわけであります。しからばそれ以外の漁業にして、しかも加工事業を営む一つ連合会、これらか損失を非常に大きく持つという場合においては、やはり社会的な判断の上に立つてこれをいかにするというお考えがあるかどうかを聞かしてもらいたい。
  32. 篠田弘作

    篠田政府委員 その問題につきましては先ほど来申し上げました通り水産加工の協同組合連合会というものは、現在のところ北海道きりないのであります。その北海道連合会というものの固定化した債務は五千五百万円、欠損が約五百万円、これが金利の重圧に相当悩んでおる。この問題に対しましては先ほどつたように、金利あるいは元金ともに出世払い——お前たちの方がうまく行つたら払つてくれということで、農林中金でも催促していない。そういう方針をとつております。そのほかに別個に必要であるという場合には、特別資金の融資を安い利子でやつておるので、玉置君の言われるいわゆる加工組合連合会というものに対しては、決してそのまま放任しておるわけではありません。それは先ほど御説明したのでありますが、説明の技術か下手であつたから非常に漠然としたかもしれませんけれども、私ははつきり説明したところであります。そこで松岡さんの言われることも、玉置君の言われることも、あなたの言われることもはつきりしたと思うのであります。でありますから玉置君の言われるように、あくまでこの水産加工組合連合会というものの救済をやろうとするならば、初めからこの中に入るというよりも、むしろ別個の方法を講ずるという以外に、これを修正してやるということは、これは法律建前でできない。これはたとえば川村君にしても、玉置君にしても、私と立場をかえればはつきりわかることだと思います。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、結局これは次官の御説明で聞くと、むしろ再建整備法の適用を受けるよりも、出世払いというか、完定払いというか、そいうことで行けば、あの法律をもつてしては、そのようなことは絶対できないというように考えられるわけであります。ただ問題は、全国に北海道しかそういう連合会がないから、これを特別庇護してやるということであると、類似のものが全国的に続々できて、これが弱体であるという場合には、当然法的に何らかの措置を講じてやる必要があると思うのですが、これらのことはそういう現象が非常に多く全国的にできた場合においては、具体的に考えるという御意思であるかどうか。この点も伺つておきたい。
  34. 篠田弘作

    篠田政府委員 この法律で保護を受けるという意味ではありません。実際的に今男し上げたような保護はしているわけです。そこで現在のところ北海道よりないが、あとで各府県からこういうものができた場合には助成をするかという問題ですが、それは北海道に対する助成と同様な助成をするということはもちろん当然だと考えております。
  35. 玉置信一

    玉置委員 だんだん別途の救済保護の措置を講ずるというたびたびの政務次官の言明でございまするから、これは納得すべきかとは思いまするが、もう一度基本的な問題でありますから聞かなければならぬと思います。先ほど川村委員からも指摘せられたのでありますが、当初の立法措置を講ずる場合に、非常な誤りを来しておる。ここにございますように、この法律が水産協同組合法という面からも来ているわけで、それは私が申し上げるまでもなく事務当局は御承知通りであろうと思います。水産業ということになりますと、加工が含まれ、しかも川村委員の申しましたように、私が劈頭に申し上げましたように、加工には一次、二次、第三次の助工というものがあります。第三次はいわゆる高度の加工であります。第一次というものはほとんど生に近いものを出しておる加工品なんです。そこで私は部長にお伺いしますが、あなたは現地漁獲から加工に移す場合の一貫的な事情を見ましたか、それをまず先にお伺いしたい。
  36. 谷垣專一

    谷垣政府委員 北海道現地で見たというわけではございませんけれども、ほかのところではときどき拝見いたしております。
  37. 玉置信一

    玉置委員 ほかのどういうところです。
  38. 谷垣專一

    谷垣政府委員 私の郷里は丹後なものですから、丹後の国で子供のときから拝見いたしております。
  39. 立川宗保

    ○立川説明員 私ども水産の方の専門でございますから、この法律をつくります際には、私どもの知識をもちまして、農林経済局の当該部長とは十分相談をいたしました。その際に加工等の事柄につきましては、十分含んで相談をいたしたわけであります。そのときにどうしてこういうことになつたかと申しますと、この法律で何をやるかと申しますと、これは申すまでもなく整備計画をつくりまして、その整備計画に基いて、その連合会がうまく動くように欠損金の補填をするように、債務の整理をし得るようなぐあいの措置を講ずることが規定をしてございます。われわれが内部で議論をいたしました際に、一番問題になりましたのは、どうして加工連合会を入れないかという議論でありました。加工実態もいろいろ話をしました。ところがこれは先ほどるる答弁がありましたような建前上除かれた。そうすると法律で規定をしても実態が達せられないかどうかという問題でございますが、欠損金の補填それから債務の整理ということは、北海道一つ連合会でありますから、これはいろんな方法で相談できる。それから現実におきましても、農林当局でこの加工連合会が欠損金の補填をし得るような収益が生れるような援助をなし得る。これは法律には規定はございません。ございませんが、いろいろ御援助して、この法律の実質上目的とすることはやられるのではないか。これが全国にたくさんあればまたいろいろ議論もございますが、北海道だけに限られておるということになれば、われわれの行政指導でも十分できる。かたかた法律建前としても、再建整備法対象にならないものは、どうもやりにくいということでございますから、それならば行政指導でもこの法律目的とする加工連合会に対する措置は十分できるであろう。過去においてもかなりやつておる。十分ではありませんが、将来においてもさらに努力することによつて、この法律と同じような効果が上げられる、かような自信がありましたので、それでは建前もかたがたあり、加工連合会を除こうということになつたのであります。立案当局としては、加工業実態をよく知つております。
  40. 玉置信一

    玉置委員 水産庁の漁政部長が、当初の立法措置を講ずる場合に、そういうお考えで譲られたというところに、専門家としてのあやまちがあつたのではないか思います。あなたが専門家であつたならば、これは譲るべき線ではなかつたはずです。今お話通りに、特別な措置が講じ得られるというならいいのです。ところがどうしてこの法律とは別個にこれとひとしき救済措置が講ぜられるのか、その根拠を承りたい。
  41. 立川宗保

    ○立川説明員 この措置は、まず債務の整理、それから債務の期限の到来に対して適当に猶予をするとか、あるいは利息に対していろいろ考えるということでございますが、それは農林中央金庫法による農林中央金庫の運用で、われわれが具体的に話合いをすることによつて、十分行けると考えております。
  42. 玉置信一

    玉置委員 それは常識の程度ですが、現実の問題として、加工連がこれだけの欠損を来しておる、回収不能な状態だというようなことから、農林中金等に申し入れた特融その他の融資の措置が、どうしてもこれが原因いたして希望通りにできない、圧縮されるわけであります。この法律措置で行くと当然法律に基きまして保護される。被保護者の立場において、正当な理論をつけて要求ができる。それに対して政府は、法律に基いて保護助成しなければならないということは申し上げるまでもないことでありますが、それが別個だということになりましても、よるべき法律がなくちやできないのであります。そこで先ほど政務次官お話のように、よるべき何らかの立法措置を講じていただけるものならば、私はあえて固執するわけではないのですが、どうも私は見通しとしては、そうした立法措置はできないのではないかという考えを持つておるのであります。その点できるかどうかということをお聞きいたします。
  43. 篠田弘作

    篠田政府委員 御承知通り整備促進法案というものの目的は、債務に対する金利の補給をするわけであります。それがこの法律目的なんであります。ところが北海道水産加工協同組合連合会の場合は、すでに金利はたな上げになつておる。でありますから、目的は達しておるのであります。この法律ができる前に、あなた方の目的は、すでにたな上げになつておる。これは金利がたな上げになつておらない、金利で苦んでおる。この原始産業の協同組合連合会は対して金利を補給してやろうという法律なんですが、あなた方の方は実質上恩恵を、すでにもう法律で先に受けておる。そういう意味で、将来に対する助成の問題をこの法律で論じているのではありません。それを誤解ないようにしてもらいたいと思います。
  44. 玉置信一

    玉置委員 篠田政務次官実態をそこまではつかんでおられないと思う。実態をつかんでおられれば今のようなお話にはならぬと思う。これは時間をあまり費しますから詳しくは申し上げませんが、融資利子の補給という問題があるわけですが、先ほど申しましたように、水産庁の部長は大体内容を知つておられるようです。であるから、部長は今まで私がるる申し上げた方向に、別個の措置を講じ得られるかどうか。あとで政務次官には公式でなくても、非公式にでも私が話をすれば、政務次官も納得できる面があると思う。公式の場合だからそう言わざるを得ないだろうということは、私も立場をかえればよくわかる。でありますから、実質的にこの目的を達し得られるかどうか、達することの別途の措置を講ずるかどうかということを、はつきりここで言明を願いたい。
  45. 篠田弘作

    篠田政府委員 達せられるかどうかというよりも、すでに達しておると言つた方が適当だと考えます。連合会の場合は利子のたな上げをしておりますから、実質的に達しております。それは銀行とかそういうものですから催促はするでしよう。また指導も一面においてしております。達しておらないならば、達し得るように方法を講じます。
  46. 川村善八郎

    ○川村委員 政府はこのたび農林漁業組合連合会整備促進法を制定いたしまして、十年の間に旧借金の整理やあるいは損失の補填をするという目的で、中金その他金融機関と協議をさせて、そうして整備計画を立てて、とにかく再建をはかつて行くという趣旨にはまことに敬意を払うものであります。しかしながら、この運用にあやまちを来すならば、法律をつくつてかえつて災いをなすのではなかろうかと私は心配するものでございます。もちろん第一条の目的達成のために、三条、四条、五条の趣旨によつて計画を立てて、そうして新たに生れる審議会にかけて是非をはつきりさせて、それから第十一条の趣旨に基いて助成をして行くということでありますが、内容を大体見ますと、利子補給と税金の特別扱いをしてやるという二つに尽きておるようでございます。ところで、先ほど水産加工業の連合会の問題で相当論議がありましたが、出世払いにしても、たな上げをしておる。こうしたような、俗に言うと死んだ借金も今度は起きて来て、それに今度は政府が金利を払わなければならぬといつたようなことかできるのではないか。黙つておくと、どうせもうあの連合会はとれないのだからといふので、事実上くれたも同じようなかつこうなのが、今度この法律ができたので利息はとれるのだ、政府処置を講じてもらうことができるのだということで、どんどん死んだ借金が起きて来て、むしろ今度は連合会か事業を何十年も継続して行つて、たけのこのように出ればとられ出ればとられて、いつまでも下敷になつておらなければならないことが起きるのではないか心配するのであります。私はせつかく法律をつくるならば、借金なり損失なりを国家が全部負担をして、きれいにして連合会を立たしめて行くのでなければ、連合会によつては、極端に言うと北海道漁業協同組合連合会のごときは七億も八億も借金を背負つているが、その利息を政府が補填して、十億に近い借金を払つてつたならば、一体この連合会ほんとうの姿に立ち返ることができるだろうかという心配をしているのでございますが、政府はただ単に利息の補給をするのか、税金の特例をとつてそれで損失の補填金に充てるといつたようなことにするのか、ほんとうの腹をひとつぶちまけて、この際御説明を願えれば、その説明によつてさらに御質問を申し上げたいと思つております。
  47. 篠田弘作

    篠田政府委員 水産の漁業協同組合の場合、借金は全国で十六億、赤字が五億、こういう計算になつております。それから北海道水産加工連の場合は、債務約五千五百万円、欠損が五百万円でありますから、両方合せましても六千万円くらいのものです。従つて、これは出ればとられるというふうに考えれば、出ればとられるかもしれませんが、たけのこをこぐように借金や利子をごるわけに行くものではありません。すなわち指導的な立場からこれが立ち上つて行けるように、もちろん加工連の場合もそうであります。それからこつちの場合は、利子の補給をやるくらいでありますから、出ればとるというようなそういう薄情な考え方法律をつくつているわけでないということは、御存じ通りであります。できるだけ立ち直つて行くような方法で、少くもそれぞれの組合にも責任に持つてもらう、こういうのであります。借金を、たとえば水産加工の場合には商人であるとか、実業家であるとかいろいろな人が関係しているものもありますが、やつて失敗すれば国家が全部それに借金を払つてくれるというならば、だれでもみんなどんどんそういうことをやるだろうと考えます。そういう意味ではありませんから、どうか御安心願いたいと思います。
  48. 川村善八郎

    ○川村委員 今政務次官の言われるように、これから損失の出るようなことのないように指導して行くのは当然でございますけれども、私の今伺つておるのは、旧借金をたくさん持つておるところは、それを今後払つて行けと言つても容易でない。なぜかといいますと、連合会は御承知通り単協と違いまして、直接の事業はそうあり得ません。間接の事業であつて連合会の事業が進展して利益が上ればそれは漁民を搾取しておる、あるいは協同組合を搾取しておるという形になるのでございます。これは事務当局政務次官も御承知だと思つております。連合会は主として集荷をして、販売する。でありますから、利益をどんどん上げてというと、手数料を高くするとか、そうしたいろいろな不合理なことをやつて行かなければならぬので、結局利益を上げるということは、その反面に漁民を搾取する、あるいは単協を搾取するということになりますので、連合会の事業というものは容易でない。従つて容易でなかつたから北海道の道漁連のごときはもうすでに八億も借金をしているのであります。これからの事業の問題でなく、事業はこれから法律でも十分保護して行かなければなりませんし、指導して行かなければなりませんが、加工組合のごときは現に死んでおり、払えない状態にあるから、とりたいと言つてもとれない。利息を払えと言つてもとれない。今度はこの法律ができて利息を補填してやるということになると、払う義務がちやんとはつきりそこに確立され、計画を立てるから、いつそのこと、私が玉置君ならば横に寝て、借金は払いません、返上をします、と言つた方がよほど漁民なり加工業組合員に負担をかけないことになる。しかしわれわれはかようなことをしたくない。われわれ協同組合員というものは、できるだけ連合会の建直しをして行つて、まあ出世払いをして行きたいという考え方のもとにおりますから、この法律とは大体考え方が同じなんだ。ただ法律をつくると、何かしらそこに動き出すものがある。たとえて言いますと、漁業権証券を交付した際に、私は水産委員会で中金の湯河理事長を呼んで、この漁業権証券は借金の返済のために渡したのではないのだ、漁業制度の改革をして、漁業生産の向上をはかつて漁民の福祉をはかるということが目的で証券を渡すのであるから、借金をとつてはならぬのだと言つた。とりませんとはつきり言つておることが速記にはつきり残つております。  ところが各単協、連合会からとつておることは、政務次官はよく知つているはずなんだ。特に北海道の道北連に三億を単協から出資した。そのうち一億五千万円は、形はとつておらないようになつておるけれども、まさにはつきりとつておる。でありまするから、この法律をつくつても、特に中金のいわゆる系統機関の金融機関であるから、連合会が行つて中金に刃向いして刀を振りまわすようなことはやめたはずだ。結局彼らを相談をして計画を立てるのであるから、やはり中金様々で計画を立てなければならぬから、死んだ借金も生きるんじやないか。私はそこを玉置君も心配しておると思う。でありますから、利子補給だけでは足りないのだということが第一点と、ほんとう漁民を立ち上らせ、協同組合を立ち上らせ、連合会を立ち上らせようとするならば、今の合計二十一億の金は何も大きなものじやない。真に漁業を立ち上らせれば、これくらいのものは生産によつて所得税ででもあがつて来る。であるから、利子補給ばかりでなく、この計画による事業成績によつて、半分くらいは国が旧債に対して払つて行くというようなことにしてもらわなければ、かえつて利子補給で苦しまなければならないということが、出るのだがそういうお考えをあなた方は持つたことがあるかどうか、また今後持つかどうかという点をお尋ねしたいのであります。
  49. 井出一太郎

    ○井出委員長 委員長から申し上げますが、大体御論議は結論に入りつつある段階であると思います。従いましてさような意味を含めての御答弁を願いたいと思います。
  50. 篠田弘作

    篠田政府委員 ただいま川村君の似つしやつたような考えはありません。なぜかと申しますと、この十六億の借金にいたしましても、あるいは赤字にいたしましても、全国の経営の——もちろん一生懸命やつていいのもあるし、悪いのもある。経営のいい人が、借金をすればそれはやがて国家が補つてくれるのだ、なくなるのだという考え方を持つようになれば、結論として一生懸命に経営をする人は当然なくなります。そこでこの審議会におきましても、学識経営者、中にはもちろん協同組合連合会の諸君も入つておるわけでありますが、そういう人たちが集まつて、借金に対する責任を持つのだ、しかし現在の状態としては払えないのだから、国家の救済によつて利子補給をしようというわけであります。加工連の場合においてたな上げしておるというても、借金が消えてなくなつたわけではない。それはあくまで残る。それは自分が使つたり、自分が失敗したり、自分が買つたりする借金に対しては当然責任を持つという建前で行かなければ、私は漁業ばかりでなく、日本そのものの振興はないと考える。従つて国家が借金をみんな払つてつて、きれいさつぱりしても、その次に借金したものはどうなるか。この前の借金は国家が払つた、おれらの借金も払えとなつたら、国家はいつも組合の借金を払つていなければならぬ。そういうような悪循環の政策というものは、私はあくまで反対であります。そういう考え方はありません。
  51. 川村善八郎

    ○川村委員 もちろん私は、全部借金を払えと口では言つているけれども、心の中ではそうじやないのであります。ただ食糧増産時代に、しかも食糧増産をしろ、一にも食糧生産、二にも食糧生産といつて政府が指導した時分に、一銭も援助しないで連合会に仕事をさせたから、多く仕事をすればするほど借金になつたのだ。こうしたものは、政府が払わぬということは当然でございましようが、これらを一体どの程度に軽くして払わせる意思があるかどうか。それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、もうすでに出資をしたものは、とられているものがたくさんある。せつかく農林漁業協同組合再建整備法を制定して安心して出資をしたところが、道北連のごとき一億五千万円もとられておるというものを今後どうするか。それはとられぱなしで、これはもう借金を払つたんだからいいのだというような考えで今後計画を立てさせるか、それとも、それは無理な借金のとり方であるから、それは一応御破算にして、いわゆる出資は出資としてりつぱにそこに保存をさせて、そして今後借金なり損失なりの整理をさせて行く方法をとらせるか、この点のお答えを願いたいと思います。
  52. 篠田弘作

    篠田政府委員 統制時代に政府組合に対して強要したというものは、食糧供出の報奨物資としての衣料だけだそうでありますが、その衣料に対する金はもうすでに払つてつて、今残つておるもので政府が強要してやつたというものはないのであります。だから自発的にやつたものは責任を持つてもらうというわけであります。
  53. 谷垣專一

    谷垣政府委員 実は私は御指摘の北海道の漁連の問題については、ちよつと担当がはずれておりますので、お答えができかねると思いますが、一般的に申し上げたいと思います。  再建整備の当初におきまして、組合の自己資本の過小ということがやはりその経営の弱点の大きな原因になつてつたわけでございます。それで再建整備一つの実際的な目標といたしまして、自己資本を充実させる方法をとりました。従つて出資ということになるのですが、出資に対しまして国が奨励金等を与えて現在にまで至つておるわけであります。これはまだこれから再建整備法が施行されます間続いて行くわけであります。そこでこれはかなりいい成績をあげておりますが、出資されました増資分の金が、運転資金に使われているか、あるいは固定しました債務の償還に充てられているか、これはいろいろな形態があろうかと思います。債務の償還に充てられておると申しましても、これは当然に相当な金利を払つておるわけでございまして、それに対して償還をやつて行くということになれば、それだけ金利の重圧というものがなくなつて従つて経営がそれだけよくなつて来るかと思います。あるいはまたそれが運転資金に使われるということになる場合もあろうかと存じますが、お尋ねの北海道漁連の実情につきましては、あるいは水産庁の方が存じておるかと思いますけれども、経済局の方としてはそう詳しく存じませんが、ただ農協なりあるいは漁連なりの全体の立場をにらんでみますと、出資の増資分が固定債務の償還に充てられているものもあれば、あるいは運転資金に使われているものもおります。しかしこれはどちらに使われているといたしましても、やはり自己資本の増強に使われる金でございますので、経営の再建の上に非常に力強いものになつて来る。かように私どもは了承しております。
  54. 川村善八郎

    ○川村委員 部長のお答えは非常に矛盾があるのではないか。というのは、あなた方は農林漁業協同組合再建整備法をつくつた時分に、出資の増強をはからして事業の運営を円滑にするという建前で行つたものを、借金に払わせるということ自体が悪い。あなたそれでいいと思つて再建整備法を制定したのですか。出資の増強というのは事業の運営を円滑にすることが主たる目的であり、そうして再建をさせて行こうというのが目的なんだ。その趣旨において出資したものを、債務に払えば利息が抜けるから事業の運営がうまく行く、こういう考え方はまつたく違う。であるから、出資したものを借金にとられると、結局新たな金を借りなければならぬから、どうしたつて高い金利を払わなければならぬことは当然だ。ところが出資して、その半分とられても、その半分の金で運営ができればそれはいいでしようけれども、どこの連合会つて、どこの協同組合つて、出資はぎりぎり一ぱいで出資して、それで足りなくて、銀行から借りて運営しておる実情なんだ。そうしたような実情を無視して、中金あたりは唯々諾々として借金を取立てて、そうして新たな金を貸して高い金利をとつておる。この実情をもう少しお調べになつてください。そうするとよくわかる。これは漁業協同組合連合会とかいうものばかりではないでしよう。きつと農協方面にもあるだろうと思つているのだが、とにかく今日中金が非難を受けているのはその点です。ですから、せつかく再建整備法によつてそういう出資の増強をさしたものを借金に払わした、それを私は返させろという議論です。そうしなかつたら、せつかくまたこの法律をつくつて利息を補填してやつても、今度はうんと古い借金を浮き出させて来て、また苦めるということになるから、この際いかなる場合といえども、やはり再建整備法によつて出資の増強をはかつたところの出資額は、一銭だつて借金の返済に払わせないで、今度は再建の整備をこの法律によつてさして行くということでなければこの法律は空文になるから、そういう意思がないかどうか、今私は聞いておるのです。どうかそのことを十分のみ込んで御答弁願いたいのであります。
  55. 谷垣專一

    谷垣政府委員 再建整備計画の中には、もちろん出資の増加を要求いたしております。また債務の弁済あるいは更改等のことの計画も求められておりまして、出資の増加というものがどのような程度でされているか、あるいはまた増資されましたものが債務の弁済にどのように充てられているか、あるいはまた運転資金にどのようにまわされているかというようなことは、これは協同組合の経営の根本的なものであり、経営担当者というものは、そういうことこそこれは眼目にすべきものであろうと思います。これは協同組合といたしましても十分に関心を持ち、また総会その他で論議が行われて決定されて行く問題でありまして、政府といたしましては、その増資のテンポ、増資額に応じまして、それに奨励金を与えて行くという手を打つているわけでありまして、現在の法制のもとにおいては、政府の監督は今御指摘になりましたようなところまでには実は及んでいないのでありまして、それは組合を経営しております経営者が、適切なる判断を下してやるべき基本的な問題であろうかと思います。もちろん政府の方といたしましては、現在検査の権能を持つております。随時に、また毎年定例的に重要な連合会等におきましては検査をいたすのでございまして、債務の状況がどのような状況になつているかということに関しましては、質問という形におきまして警告を発しております。しかしながら経営の内容その他におきましては、現在の法制のもとにおきましては、政府がそこまで立ち入つたことを実は行わないで、組合経営の自主性にまかせている現状でございます。  それからなお御指摘になつております借金を払わなくていいではないかというようなことは、これは政府の方といたしましては、そういう意味の期待はいたしておりません。これは経営を堅実にいたして行く上から申しましても、また組合経営が他力によらないで、自分で経営能力を保つて行く上から申しまして、返すべきせのは返すのが当然であろうと思います。ただそれを即時に払えというような状況がありましても、これは無理があろうかと思います。そういう状況が個々別々のケースとして出て来るわけであろうと思います。従いまして、このたび御審議を願つております整備促進法におきましては、それぞれの専門の各位に集まつていただきまする審議会というもので、十分に個別に検討をいたしたいと思います。そして単に政府が金利を補助するということだけで協同組合の経営が建て直るであろうとは、私どもはつゆ考えていないのであります。協同組合建前から申しまして、それに入つております組合員、あるいは連合会の場合には会員になろうかと思いますが、それが引続いて農民漁民になろうかと思いますけれども、そういう一つの組織員が全部で、ひとつこの際建直しをして行こうじやないかというような気魄が盛り上つて行き、またそのためには当然に連合会の経営に対しまして十分なる批判と同時に、それを援助して行き、お互いに協力してやつて行かなければならぬという気持が盛り上る必要があろうかと思います。これにはもちろん国も若干応援をいたしますけれども、協同組合の他の信連でありますとか、あるいはまた県当局というようなものでありますとか、また中金とかいうようなところが、それぞれその自分の力をもつて応援いたしまして、全体といたしましてこれを建て直すのだという総合的な方策を、審議会において検討すべきだと思うのであります。それに対しまする一つの誘い水として、政府はどのようにするかといえば、これは金利の補助をやつて行こう、こういう考え方でありまして、単に政府の金利補助というようなことでこれだけの大きな建直りができようとは考えていないのであります。それが誘い水となりまして、全体の組織がそれぞれこの建直しに協力して行くという態勢に持つて行きたいと考えるのであります。従いまして、今御指摘になつておりまする増資と借金等の問題におきましても、これは個々の現実に即しまして検討がなされるべきものであり、なされるであろうと私たちは期待いたしております。
  56. 川村善八郎

    ○川村委員 時間もありませんので、もう一点だけさつきの答弁関連して、またお願いしたいと思つております。もちろん事業運営については今部長の言われた通りでございます。私は借金を払わないという意思はない。払わせたいが、あまりに古い借金が起きて来たから、払えないような状態にするな、こう言うのです。それから最後のあなたの問題ですが、どこまでも出資の増加をはかつて事業運営をうまくやつて、借金を払えるようにする、利息を補填して、それに救済方法を講じて行く、これは決して悪いとは申さない。しかし現実に、出資をしても借金にとられておるということはたくさんあるんだから、それをまたこの法律をつくられて利子補給をすると、死んだ借金も生きるのじやないかという心配と、出資すればまたぞろ旧債にとられるのではないかという心配があるから言つておる。現に政務次官の選挙区の豊浦、虻田、伊達、あの方面漁業協同組合は、証券があつたけれども、借金でみんなとられていることは、政務次官はよくわかつているはずです。道漁連もその通りであります。だから私が言つているのは、せつかく出資したものを旧債に全部とられてしまつて、そうして新たな資金を貸したようなかつこうで運営しているけれども、帯に短かしたすきに長しで、どうにもならない。これではいくらこの法律をつくつてつても、政府の親心はわかるけれども、立ち上ることはできない。東北でもその通りです。それだから、旧借金はもちろん日をうたつておりますけれどもさかのぼつてその計算をして出資からとつておるものを返させ、いわゆるその旧債は旧債として、この整備に載せずに行つた方がいいのではないかという考えを持つております。これは部長から答弁を願いたいのですけれども、部長はまだ現実を知らないのでぴんと来ないから、現実を知つている政務次官にお尋ねします。
  57. 篠田弘作

    篠田政府委員 ただいま川村君のおつしやいました、せつかく増資をしても、それか借金にとられるのでは何にもならぬという点については御同感であります。古い借金の穴埋めに全部とられておるという弁もあるでありましようが、漁業証券が国会では古い借金に充てないというにもかかわらず、現実の問題としてとられたということは——とられたことは残念ながら私らは知りませんが、今後審議会その他における指導あるいは監督を強化いたしまして、そういうことがないようにできるだけ注意するつもりであります。  ただ、今あなたが私の選挙区に関連しておつしやいましたことは、多少の誤解があります。漁業証券は借金のかたにとられたのではありません。豊浦、虻田、伊達の三漁業協同組合漁業証券は、御承知の噴火湾が不漁になりまして、定置網その他の問題ではだめになりましたので、今度二十五トンの中型漁船を豊浦七隻、虻田四隻、伊達三隻、計十四隻つくりまして、その漁船の建造費に漁業証券を現金にかえて充てたわけであります。この点は誤解のないようにお願いしておきます。
  58. 川村善八郎

    ○川村委員 先ほど豊浦、虻田、伊達の例をとつた、これは最後はその通りなつたのだけれども、当初はとつた、これをつつ込まれてようやく返した、そのかわり借金があるのだということであります。ですから今度も甘いことをやると前の轍を踏むから、甘いことのないように、その出資をとつておるものは返させて、借金の整理をして行けということを私は主張しておるのでありまして、もちろん審議会でこれらを審議するでありましようけれども、十分審議会にそのことの徹底をするようにお願いする次第であります。  そこで審議会が重要な役割をなすのでございまして、学識経験者からこれを出すということになつておりますが、学識経験者といいますと実際範囲が広くなるのであります。漁民の中に漁業協同組合運営に体験のある者がありましたならば、そういう人を出さなければならぬ。これまで学識経験者というと、ただ単にどこそこの学校の教授だとか、どこそこの連合会のただ名前だけの会長というような者を選んだ、それで審議会がほんとうの機構の運営に対して活発なことをやれないということが、これまでのほとんどの審議会のあり方でありますので、今度こそ審議会の委員には漁民の代表である、しかもこうしたような整備に体験のある、学識経験者の尊重できる人を選んで出していただきたいと思いますが、この点についてはどういうような御意見を持つておりますか、伺いたいと思います。
  59. 谷垣專一

    谷垣政府委員 御指摘になりました点はまことにごもつともで、私たちもその通り同感をいたします。再建の促進のために一番役立つやり方をやらなければいけませんので、旧債の借金にまず第一番に充てるということは必ずしもいいとは考えておりません。この点は審議会その他で十分そういうような審議を進めるように、私たちも指導あるいは協力いたしたいと思つております。  それから審議会のメンバーの問題についてごもつともな御意見、私たちもそのように同感をいたしております。そういうふうに進めて行きたいと考えております。
  60. 玉置信一

    玉置委員 私はごく簡単に結論的に申し上げますが、先ほど政務次官よりお答えになりました自分の団体が借金をしたものは自分で借金を返せ、これはごもつともなことと私も同感であります。ただここで申し上げたいことは、最初に質問の形式で申し上げましたように、北海道水産物加工協同組合連合会の債務は、御承知のように、当時の国内の戦争遂行政策の一環として農業会、水産会、こういうように改められた、それが次には負けまして、占領下における政治としてさらにこれが分散されまして、農業協同組合、水産協同組合、こういうことになつたために、各組合か経営難に陥りまして、当時私ども水産委員会におきまして、あるいは農林委員会でもしかり、この団体を育成発展させるために再建整備法というものをつくつたわけであります。そういうようなことで、この連合会もみずからの借金でなくして、先ほどお話申しましたように、北海道水産物製造協会という統制団体の債務を引継いだのがおもなる困窮を来した原因であります。その当時まだはつきり経営方針も立たないどさくさにありまして、この窮状に陥つたというのが現状でありますので、政務次官のたびたびお答えになつた中にも、御好意ある御答弁がありましたが、私は重ねてここでお伺いし、要望いたしたいことは、別個の措置によつて何とか保護を受ける方法を講じていただきたい。言葉をかえて言いますならば、何か特別な別個な立法措置ができて、これに類似の保護を受けることができれば一番いいことでありますか、この利子のたな上げということもありましたけれども、これは好意的なたな上げでありまして、法律上の根拠に基くたな上げでないために、先ほど川村委員からるるお話がありました通り実情考えますと、将来安心して業界の再建、発展を期することはなかなか容易でない。特別な措置によりますると、また別に農林中金等から融資を受ける場合におきましても、農林中金当局が安心してまず融資の道を開いて参ることもできるわけであります。そういうようなことを考えますときに、どうしても何とか特別の立法措置によつて、こうした面にも恩恵を得せしめるような特段の御配慮を煩わしたいと思うのでありますが、これに対して、政府として、篠田政務次官の御意見を求めるものであります。
  61. 篠田弘作

    篠田政府委員 統制時代の借金を引継がれたということは、これは事実であります。しかしその引継ぎというものについて、政府は新しい加工業協同組合に対して、別にこれを引継いでくれという強制はしておらないのであります。新しくできた加工業協同組合は、引継ぐことによつて、たとえば固定資産であるとか、いろいろな問題をその借金と見合せて、引継ぎたいという意向のあつたところだけが引継いだというのが、実情であります。そういういろいろ実際的な経緯がありますから、実際に即した方法によつて、今後の助成あるいは救済というものをやつて行くのが一番いいのであつて、今法律でそれをやるとかなんとかいうことになりますと、小さな一つ連合会に対して、新しく法律をつくるというような煩雑さも出て来ますので、そういう意味合いにおきまして、私が先ほどから言つておりますように、実際に即した救済方法を講じて行きたい、こういうふうに考えております。
  62. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて連合審査会は終りました。  本日はこれで散会いたします。     午後一時二分散会