○芳賀
委員 時間の制約がございますので、簡単に大臣に御
質問申し上げますが、問題はただ一点であります。
それは、本日多分二十八年度の
予算が、与党並びに改進党、分自党の
共同の修正によ
つて本
会議を通過するのであろうという見通しが持てるわけでありますが、この中において結局大きくうかがえる点は、行政費の百億の節減と保安庁費を六十五億節減した点、それによ
つて米価を中心とする諸般の
施策に向けるというようなことが修正案の骨子であると思います。私はその中において、米価問題についてこの際大臣の所見をお伺いしたいと思うのであります。過般の
委員会において、大臣と改進党の吉川
委員との間において、いわゆる二重米価の論議が展開されたわけでありますが、今度の修正
予算が通過する場合において、あの二重米価論議というものを
適用した場合に、どのような結論がそこからできるかということについて、具体的にお伺いしたいのであります。発言を簡単に制約する意味において、私は
委員会における議事速記録をここで読み上げまして、
質問の
内容に入りたいと思いますが、吉川
委員から大臣に対してこういうような
質問が行われたわけであります。「二重価格制とは一体どういうことかということについて、国民はよくわか
つていないようでございます。
農林大臣といたしまして、食糧の二重価格制というものを理論的に、また実際的と申しますか、通俗的と申しますか、どういうようにお考えでございますか、御説明を承りたいと思います。」この点に対して
農林大臣は「これはとり方もあると存じますけれども、端的に二重価格というのはどういうのだと言えば、買
つた米よりも売る場合に安くする、消費者に売る場合に安く売るというのが二重米価だと私は常識的に考えております。」、これに対して吉川
委員は、これは通俗的な解釈であるから、もう少し理論的に解明を行
つてもらいたいということを重ねて
質問をされたわけであります。これに対して
農林大臣は「私は、二重米価の主張をと
つておりませんから、従
つて自分の主張としてゴ重米価に対する根拠というものは持たない。あなたの方では二重米価政策を持
つていらつしやるから、その根拠を十分打
つておられると思いますが、ただ概念的に二重米価は何だと言。われれば、農家の
生産費あるいは再
生産を確保するその価格では消費者が負担に耐えかねる、買い切れない、そういう場合に、消費者に対して農家が売り渡す価格以下で売り渡すということが二重米価だと私は考えておる」というふうに、
一つの理論的な概念を敷衍されているわけであります。これに対してさらに吉川
委員は、大臣の二重価格制というものに対しては、非常に考え方が不勉強であるということを前提として、さらに吉川
委員の持
つておるところの二重価格の主張というものをここで解明しているわけであります。それは「一本価格に対して二本建の価格を二重価格と言うので、その一本価格というのは、
生産者価格に対して政府がただいま管理をいたしておりますから、管理諸
費用に配給者のマージンといいますか、というようなものをプラスしたものを消費者価格に対するのが一本価格なんです。それを少しでも割れば二重価格ということになるわけであります。」ということを
言つているわけでありますが、ここで非常に興味のある問題は、大臣が二重価格の主張の上に立
つておらぬと言いながら、概念的な説明をしたその二重価格の考え方というものを、私たちが客観的にこれを批判した場合には、吉川
委員の、大臣が不勉強であると言いながら説明した一本価格と二本価格の違いによ
つて二重価格制の理論の根拠が形成されるという、この二つの論議を比較した場合において、むしろ
農林大臣のお考えの二重米価に対する考え方というものが妥当性を多分に持
つているということを、私はあとで感じたのであります。大臣の言われる点は、
生産者に対する米価の価格算定というものは、でき得ればその
生産費を補償し、再
生産を償うことのできる価格にするというのが当然であるというような
一つの考え方から出発して、それをも
つてしては現在の社会情勢の中において、国民生活の中において占めるところの、いわゆる主食品エンゲル係数といいますか、それらが非常に負担に耐え切れないからして、これを消費者の負担が過重にならないように調節する考え方で国が補償をするという考え方が二重米価制であろうという、この概念は正しいと考え、またこれを支持しようとするものであります。しかしこういうような考え方を持
つておられながら、なおかつ二重米価というものは、自由党の立場の上に立
つてこの主張を支持できないとお考えに
なつたことは一応了解できるのであります。ただ問題は、今度の修正
予算を通じて、いわゆる奨励金は一石八百円でありますが、大体二千五百万石に対して二百億円の財源が必要とな
つて来るわけでありますが、これは改進党の諸君に言わせればいわゆる二重価格である。供出完遂後に奨励金を支出するのではなくて、供出された米の数量に対して八百円の奨励金が付加されるのであるから、当然基本価格として考えるべきものであ
つて、このような八百円の奨励金の形ではあるけれども、実質的に基本価格の上に加算されたこの
生産者に対する米価を、そのまま消費者に転嫁しない、今年度の消費価格の上に転嫁しないという建前の上に立
つた場合には、これは明らかに二重価格制であるということを主張されておるわけでございますが、これらの修正案をそのまま政府は応諾する用意がある場合において、はたして大臣はこのような現象の上に立
つて、なおかつ二重米価を否定して、従来の基本を曲げないというお考えであるかどうかという点について、お伺いしたいのであります。