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1953-07-14 第16回国会 衆議院 農林委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)     午前十一時三十一分開議     ―――――――――――――  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君    理事 足鹿  覺君 理事 佐竹 新市君    理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    佐藤洋之助君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松山 義雄君    吉川 久衛君       井谷 正吉君    芳賀  貢君       川俣 清音君    久保田 豊君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農林経済局         農業協同組合         部長)     谷垣 專一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月十四日  委員石橋湛山君辞任につき、その補欠として安  藤覺君が議長の指名で委員選任された。 同日  安藤覺君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  農林漁業組合連合会整備促進法案内閣提出第  一三一号)  肥料に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  この機会理事補欠選任についてお諮りいたします。ただいま理事が一層欠員になつておりますが、その補欠委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、安藤覺君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 井出一太郎

    井出委員長 次に肥料問題について調査を進めます。政府は昨年来化学肥料需給の円滑と価格の公正をはかり、農業経営肥料工業改善発達を期するため、肥料対策委員会に対し、肥料対策についてとるべき方策諮問いたしておりましたが、先般肥料対策委員会より答申がなされたことはすでに御承知通りであります。つきましてはこの際その答申内容につきまして、政府説明を求めることにいたします。岩武政府委員
  5. 岩武照彦

    岩武政府委員 肥料対策委員会のことにつきましては、いつぞや一応中間の御報告をいたしたところでございますが、その後硫安需給調整の問題、それから合理化の問題につきまして、四月初旬以来検討を続けておつたわけでございます。いろいろな案が出まして、中途でいろいろ変転いたしましたが、今月の初めになりましてやつとまとまりまして、五日付をもちまして政府に対して答申があつたわけでございます。その内容につきましてはお手元に配布してあると存じますが、概要を御説明いたしますと、この需給調整の方につきましては、とりあえず硫安中心に考えております。合理化の方につきましては、硫安中心でございまするが、なおほかの過燐酸並びに石灰窒素につきましてはこれに準ずるという点でございます。  需給調整の方の概要を申し上げますと、この需給調整方策は、主目的といたしましては国内価格の安定と、それから価格引下げ並びに輸出振興という三点を重点に考えておるわけでございます。そのうちの価格につきましては、これは国内向け販売価格につきまして、生産者の売値を公定しようというような結論なつたわけでございます。この公定の程度をどの辺にきめまするか。これにつきましてはいろいろな論も出ましたが、しかしこれはあとで御説明いたしまするが、諮問委員会硫安委員会というものもできることになつておりまするし、また政府の方で最後的な決定をすることでございますので、一応明確な基準は設けませんで、あげて委員会並びに政府決定するところによるというようになつておりまして、ただ考慮いたしますべき要素につきまして、メーカーコスト並びに利潤、国内農産物価格などを考慮に入れるべしというふうになつております。このメーカーコストにつきましては、従来からいろいろ議論がございましたが、政府においてもそれを明確に把握しておりませんので、この際法的な権限をもちましてメーカー生産費政府において調査し、その結果を硫安委員会報告すべしということに定められたわけでございます。  それから需給の方でございまするが、需給の方もいろいろ輸出内需関係等、種々な論議がございましたが、結論といたしましては、内需に対しまして潤澤に供給するとともに、余分をもつて輸出に充てるという考え方でございまして、そのためには、まずこの肥料年度ごと需給計画をつくりまして、これを政府が公表する。それでこの需給計画につきまして問題になりますのは、まず内需の量でございまして、これはいろいろ過去ので荷の実績等を見ますると、いろいろ働いておりますので、この対策委員会といたしましては、この算定は過失の三年くらいの間の出荷実績を平均で見るべきだ。それになお現在行つております食糧増産のためには、必ずや追加的な所要量があるであろうから、それを考慮して加算すべし。それからもう一つは、そういうふうにいたしまして算定いたしましても、なお種々の事情等もございましようし、あるいは災害等のこともございましようし、そういうふうな用途に充てるために、一定量需給調整用とし保留すべしということになつておりまして、この保留の量を何トンといたしまするか、これにつきましても、あるいは十万トンとかいろいろな意見も出ましたが、これはむしろそのときどきの情勢政府においてきめたらいいじやないかということで、委員会としましては、特に数量を明示することを避けております。そうしましてこの保留量は適当な団体に買い取つて保管させまして、その出荷等につきましては政府指示従つて行うべしということになつております。  それから輸出の方は、その需給計画輸出計画も入つておりまするので、その計画範囲内で随時随意に行つてつたらどうかということでございまして、従来許可制度運用にあたりまして、ややともすれば迅速に行いかねまして、かえつて商機を逸して不利な輸出をしたという現象の現われたこともなきにしもあらずということが問題になりまして、まず国内需要量を確保いたしますれば、その残余の分は自由にさせたらどうかというのがこの対策委員会方向でございます。そういたしまして、これらの価格需給に関しまする根本的な事項につきましては、別にこの諮問委員会としまして硫安委員会――仮称でありますが、そういうふうな名前のものを設けましてそこにおいて政府諮問に応じてそれらの重要事項調査審議の上、政府答申せしめるというふうに相なつております。この硫安委員会構成等につきましてもいろいろ論議が出まして、また数の問題等も出ましたが、これもあげて政府決定にまつたらどうか。ただ構成要素としましては、メーカー側並びに国内販売業者輸出業者、それから消費者及び学識経験者というふうな要素は入れるべきだ。それから委員の数も事柄を迅速に運びまする関係上、できるだけ少い方がいいではないかというふうな意向でございます。  それからなお硫安委員会は、関係官庁からいろいろな資料提出があると思いますが、なお自分から、必要に応じまして関係官庁に対し直接に、あるいは官庁を通じまして間接に、関係業者に対して必要な資料提出を求め、その審議に遺憾なからしめるというふうな考慮が加えられております。  それからその他の事項といたしましては、特に問題になりまするのは、一つ輸出の問題、それから国内保留分のいろいろな費用等関係でございます。二番目の方の保留分の金利、倉敷等費用につきましては、これは委員会としきては、いろいろな事情によつて事柄が違うと考えられまするので、これはそのときのこともあるだろうから、政府において別途考えた方がいいだろうという意味でありまして、逆を言いまするならば、政府においてこれを補填するかどうかということは、これはそのときの事情その他を考えて、政府において別途にきめた方がいいだろう。しよつぱなから政府が全部補填するということは、対策委員会としては、すぐ結論を出すのはどうかというふうな意向でございます。  それから輸出の問題でございまするが、この点が、御承知のように最後まで意見一致を見なかつた問題でございまするが、まず第一に、輸出国内販売価格との差額、これを俗に輸出差損あるいは赤字と称しておりますが、それはます第一には、メーカーが自主的に処理してもらいたい。これを国内価格に転嫁するとか、あるいは政府においてしりを見るとかいうふうなことは避けたいというのが根本的な考え方であります。  次に、そういうようにしましても、現在のいろいろな輸出価格の振り合い上問題が残りますので、その次には輸出振興策の一環としまして、法人税の問題につきまして、現在いろいろ民間団体等で論ぜられておりまするし、またドイツなんかで行つておりまするが、輸出金額一定率法人税運用上損金に算入さして、その部分だけ税を軽減するというふうな措置、これはひとり硫安だけに限つたわけではございませんが、なおこの際硫安についてもそういうふうな措置を講ずる必要が特にあるのではないかというふうなことで、その点を要望されております。  それから輸出機構の問題につきましては、これは御案内のように輸出をつくる案であるとか、あるいは特別な公団というような、政府の公的な機関を設けて整理する案でありまするとか、あるいは輸出業者方面からする輸出組合というふうな案も出ましたし、また何もつくらなくてもいいじやないか、これはメーカーの勘定で処理すべきではないかというふうな意見もございましたが、その辺につきましては、政府並びに国会の方において、四囲の情勢を勘案の上決定されることにして、対策委員会では特にどの案が適当であるということにつきましては、結論を出しておらない次第でございまして、輸出を円滑に処理するように必要な措置政府において考慮すべしというふうな結論なつているわけであります。  それから合理化の話が出たのでありますが、これも大体硫安中心に論ぜられましたが、この合理化方策は、ある程度地種肥料にも適用されるかと存じております。この合理化方策審議にあたりましては、まずどの程度硫安生産を持つた方がいいか、つまり国内需要をまかなつてなお近隣諸国に対する需要等を考えて、現在程度以上に生産せしめることも必要ではないか。その点については新しく設備の拡張、あるいは増設といつたものは、特に必要ではなくて、むしろ現在の設備、あるいはそれに若干手を入れる強度でいいのではないか。その程度によつて操業度を上げることによつても、ある程度コストが下るのではないかという結論で、一応の目安として、正式の文書には出ておりませんが、大体年間二百五十万トン程度生産目標に考えたらどうだろうかというふうな案が基調になつております。  それから現在の設備につきましても、何せ日本硫安設備は、世界のいろいろな製法を集めておりますのと、もう一つは相当古い設備、あるいは能率の悪い設備もあるようでありますから、そういうような設備技術等近代化を特にはかる必要があるだろう。そのためには必要な合理化設備資金を供給する必要がある。これはほかの電力、造船、あるいは鉄鋼、石炭というような産業に準じて、財政投資を確保してもらいたいという意向でございまして、この所要設備資金は、五箇年間で大体二百億程度と一応概算されておりますが、この中で財政資金を幾らつけるかというようなことは、これはいろいろな議論も出ましたが、むしろそのときどきの財政事情、あるいは民間業者調達能力等関係もございますから、現在ただちに幾らを財政資金から出すということは決定されません。要するに重点産業扱いにすべきだというふうな結論でございます。  それから設備合理化のほかに、原料であります石炭、コークス、あるいは硫化鉱等の値上りも相当ございますので、その方の価格引下げ方策政府としては考慮してもらいたいという要望があつたのであります。  なお操業度向上につきましては、先ほど二百五十万トン程度と申し上げておきましたが、それに必要な電力の割当も考慮して参るというふうな結論でございます。電力問題につきましては、目下例電源開発計画の第一年度に入つておりますが、これが昭和三十一年末期において一応目標に到達いたしますれば、大体試算いたしますれば、二百五十万トンに必要な電力は一応ここでできるかと存じております。  それからなお現在の販売、あるいは輸送の問題に関連いたしますが、いろいろな関係交錯輸送なんか行われておるようでございまして、これなんかもむしろ近まわりの需要家に主として販売するということになれば、運賃の節減もできるのじやないか。あるいは包装の方面においても、現在のかます入れ方法もありますが、この方法についてもある程度研究をくだす必要があるというふうな意見も出たわけでございます。これにつきましては、具体的にどうすべしというふうな結論は出ておらないわけであります。そういたしまして、こういうふうな方法コスト低下をはかりまするが、なおいろいろな弱体と申しますか、あるいはどうしても設備関係上、立地の関係等コストの下げにくい企業もございますので、それらにつきましては、あるいは企業形態の変更、たとえば燐酸肥料とかみ合せまして硫燐安というような形のものをつくるとか、あるいは尿素といつたようなものを考えてみるというふうなことも必要ではないか。それから最後にどうしてもコストが下らないで、片一方需給調整で申し上げましたような、国内の公定された価格との関係で、どうしても企業経営難という企業につきましては、これはむしろ積極的に企業の合同でありますとか、あるいは委任経営でありますとか、企業間の連携といつた形で、競争力なり企業の自力を強化すべきではないかというようなことが話をされたわけであります。  大体以上のような方策をもちまして、ねらいとしましては設備近代化、更新によりまして、大約現在公表されておりまするコストの一割程度引下げをはかり、さらに操業度向上によりましてこれまた一割程度コスト低下をはかる、こういうことにしたらどうだろうかというのが、この合理化方策結論でございます。  大体以上がその需給調整合理化方策答申内容であります。
  6. 平野三郎

    平野(三)委員 ちよつと念のためにお尋ねしますが、この答申案を拝見しますと、四の二の「輸出は右の計画の限度内においては各社随意、随時、随量に行い得るものとする。」一方また五の二、最後の項目に「輸出を円滑に処理するため輸出に必要なる措置を講ずるよう政府に於て考慮する。」とありますが、この点は若干明瞭を欠いておるように思われます。なお今の説明でもこの点がはつきりしなかつたように思つておるのですが、委員会意向としては、四の二については各社がばらばらにやらなければならないのだという特定意思表示があつたものであるか、あるいは各社が随意に連合して輸出をすることができるというような解釈もできるわけですが、そういう点においてはこれは非常に漠然としておりまするので、結局委員会としては、こうした点においてはこの答申案政府がどういうふうに解釈したらよろしいか、あるいは委員会として何か特定解釈をするというような意見が強くあつたものかどうか、その点念のためにちよつと伺つておきたいと思います。
  7. 岩武照彦

    岩武政府委員 この四の二の項の問題は、これもいろいろな議論がございましたが、この立案の過程を見てみますと、この項は主として現在の輸出許可制度運用にかかつておるのでございまして、今までともしますと輸出許可運用円滑を欠きまして、不利な時期に輸出をするというように、時期をミスしてしまうというような傾向もあつた。こういうような議論が出まして、これは輸出のわくの範囲内では自由活溌にやるべしというふうな点が重点でございまして、そこで四の二と、それから五の二の関係につきましては、これは特定意味解釈すべしというような点は意見一致を見ておりませんで、一万田会長もこれは各委員各自の解釈によるべし、従つてこれを受けました政府において適当なことを考えるべし、こういうふうな意見でございます。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 私は理事会申合せによつて政府にはこの肥料の問題については御質問申し上げません。またあらためてお尋ねをしますが、肥料小委員長ちよつと伺いたいのです。  この国会の成立直後に肥料小委員会ができて、一回か二回か会合を開かれたきりで、全然肥料の小委員会を活用しおいでになりません。いろいろと御都合もあろうと思いますが、ただいま正式に肥料対策委員会答申並びにその説明政府から聞いたわけでありますが、今後肥料小委員会をどういうふうに御活用になる御所存でありますか。私どもとしては、でき得る限り当初の話合いもありまして、この肥料の問題については農林委員会の、農民の立場に立つた、でき得る限り最大公約数のわれわれの意向をまとめたい、こういう意向のもとに、私どももあえて今日まで――委員長の党内その他における御事情もあろうと思いまして、あえて開催の要求もいたさなかつたのでありますが、全然何らの連絡もなしに、こういう重大な段階なつておるにもかかわらずお開きにならないということは、どういう御所存であるのでありますか、その点を今後の委員会運用について、御所見をこの際承つておきたいと思います。
  9. 平野三郎

    平野(三)委員 実は肥料問題はきわめて重大でありますので、そのために本委員会においては小委員会も設けられ、不肖小委員長に御選任をいただいたわけでありますが、従つて小委員会をできるだけ活用いたしまして、この問題の円滑なる処理を期したい、このことにつきましてはまつたく御同感でございます。しかしながら委員諸君承知のごとく、この問題については本委員会から政府に対して強く要望いたしました結果、政府硫安対策委員会を設けられて今日まで慎重審議をして来られたわけであります。この審議の結果を見てそれによつて審議を進めるということが最も妥当である、こういうことから私といたしましても、できるだけすみやかに対策委員会結論を得るように努力するように政府に要望いたしておつたわけでありますが、ようやく最近において決定を見て、本日本委員会において正式に政府から発表があり、その経過の報告があつたわけであります。これによつて小委員会としては活動ができる段階に入つたものと考えますので、さつそく明日にでも小委員会を開いて、そうしてできますれば連日でも、結論に達するまで最大の努力をいたしたい、かように考えておるのであります。御了承をいただきたいと思います。
  10. 川俣清音

    川俣委員 同僚足鹿委員から肥料小委員会開催促進の動議を出しましたので、私もさらに一言御了解を得ておきたいと思います。と申しますのは、もう対策委員会決定新聞紙上をもちまして十日以前われわれは了解いたしておるわけであります。従いまして、正式発表があるかないかという問題は別にいたしましても、硫安についてはすでに小委員会において検討されていなければならなかつたと思うのです。そういう意味で、おそまきながら明日からやられるということでございますから、あえて追究いたしませんけれども、荏苒日を待つことができませんので、われわれはこれに対応するような法案を用意せざるを得なくなりましたから、こういう用意をしながら小委員に臨むことになりましたことを御了解願つておかなければならぬ。これが一点です。  もう一点は、これに関連することでありますが、昨年の秋、横田公取委員長独禁法違反のおそれがあるということで硫安協会に対して警告を発しておるはずであります。この警告がどのように実施されておるか、具体化されたかということについて、先般独禁法審議する委員会において質問いたしましたところ、この警告従つて実績があがつておるような答弁であつたのです。ところがさらにつつ込んでみますと、いまだその実績がよく現われておりませんので、調査をいたすということでありましたが、農林省において、あるいは通産省におきましては、一体これらの警告がどのように実施されておるかということ、具体化されておるかということを御検討なつておりますか、そういう検討なしに小委員会、小委員会ということでおやりになつておつたのでありますか、この点を一応確かめて、あらためてこの問題についての質疑を続けたいと思いますが、この一点だけお尋ねいたしておきます。
  11. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 先般の秋肥決定に際しまして、公取から警告がございました。この警告指示に従いまして、硫安メーカーといたしましては個個に契約をいたすという方向に進んでおります。なお春肥価格基準と申しますか、そういう決定につきましては、御案内通り関係経済審議庁長官、通産、農林大臣、この三大臣の勧告と申しますか、これによりまして御承知のような安定帯価格決定されたわけでありまして、この安定帯価格の幅におきまして、個々メーカーがそれぞれ全購連あるいは一般の取引者価格をきめて参るという方向に進んでおります。
  12. 川俣清音

    川俣委員 時間がございませんので、他の機会に譲りますが、この警告があつた結果、おそらく各メーカー需要者との間においては、価格等差がついていなければならぬはずだと思うのです。硫安協会一本の建値でなくなつたはずだと思うのですが、その実績が現われておるかどうかということをお尋ねいたしておる。なお安定帯価格というものがきまりましたけれども安定帯価格内において各社ごと価格が変動していなければならぬはずだと思うのです。等差がついていなければならぬはずだと思うのです。その点が警告されておるはずでありますが、その警告が具体化されておるかどうか。通産省はこれらのメーカー行政監督をいたしておるのでありますから、当然これを十分お知りにならなければならないはずでありますが、これを黙認されておつたのでありますか、あるいは監督が行き届かなかつたのでありますか、この点をひとつお尋ねいたします。
  13. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 個々メーカー需要家とのとりきめの価格は、硫安協会新聞に一応発表をしたというあの建値通りにはなつておらないと思います。私ども承知している範囲におきましては、建値通りではありません。
  14. 川俣清音

    川俣委員 それは非常な詭弁です。硫安協会は、なるほどおのおの独自で契約をするということを発表いたしておりますけれども警告を受けた以前と警告を受けたあとにおいて、内容において、取引において変化をしておりますか。変化をしておらないということを認めておりながら、そういう御答弁をなさるのでありますか。もしも御答弁のようなことがありますならば、現実にお示し願いたい。
  15. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 私は硫安協会建値通りにはなつておらぬと思います。個々のそれぞれの取引価格についてはなお詳細調べて申し上げます。
  16. 井出一太郎

    井出委員長 肥料に関する件についてはこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  17. 井出一太郎

    井出委員長 次に農林漁業組合連合会整備促進法案を議題として質疑を行います。足鹿覺君。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 この法案の名称は農林漁業組合連合会整備促進法案なつておりますが、これは協同組合外のものもその対象にするという意味で、協同という字句が削除されておるのでありますか。それが一つ。それから組合連合会なつておるが、単位組合は含まないのか、なぜ連合会としたか、まずその辺からお尋ねしたいと思います。
  19. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 経済局長がちよつと参議院の方に行つておりますので、かわりまして申し上げます。  第一点の協同組合という文句が入つていないという点でございますが、これは再建設備の方の書き方と同様でありまして、第二條に農林漁業組合連合会というものは云々であるというふう昭和二十八年七月十四日に一応定義をいたしております。従いましてこれは農林漁業協同組合、つまり両建整備の対象になつておりました協同組合関係のものを対象にいたしております。それからこれは単協を含むかどうかという点でございますが、単協は含まない趣旨にいたしております。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、協同の字句はないが、内容協同組合だというわけですね、それで単位組合がこれに含まれないのは、どうして含まれないのですか。
  21. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 これはこれの裏というと語弊がありますが、すでに再建整備の法案を通していただきましてから二年間、再建整備をやつておるわけでございます。これは御存じの通り、単位農協はもちろん連合会も含めましてやつておるわけでありますが、その再建整備の実績等検討いたしまするに、単協に比しまして連合会の持つておりまする欠損等の負担が非常に多い状況になつております。またそれに対しまする業績等を内容に入つて検討いたしました場合におきまして、連合会が今後その欠損等を解消し、あるいはまたそれに見合いますところの債務、それから来る金利の負担というようなもの等を考え合せました場合に、連合会の方が単協よりも、建直しの関係から見ましてより困難性が多いというふうに認められましたので、連合会を対象にして行く、かように御承知を願いたいと思います。なおまた連合会と単協との関係におきまして、どれから手をつけるかという点になりますると、上述しましたような点から、まず連合会を相手にしたいということと、また経済変動等における単協等の負担が、形をかえて県段階の連合会に集中いたしておりまするような関係から、連合会をまず第一に対象に取上げた、こういうふうに御承知を願いたいと思います。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、まず第一に連合会を取上げた、続いて単協もお取上げになるのですか、そのための御用意があるのですか。
  23. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 言葉が少し不十分で申訳ないのでありますが、この法律におきまして単協を取上げる意図は持つておりません。各連合会におきまして、この法案に載つておりますように、審議会その他におきまして十分なる審議をいたしたい。そして連合会の一つ一つの問題に対して検討を加えて行きたい、かように考えております。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 私は一応連合会をお取上げになつたということの意味はわかりますが、これは農協同組合法に基いた場合は、単協も県連も全国段階も同じ系統内にあつて、どちらがびつこになつても、それ全体としての影響が大きいのであります。それを連合会のみに限定されるということは適当ではないと思う。むしろ単位協同組合も合せてかくのごとき措置をとるべきものだ、私はさような見解を持つております。何となれば、連合会の場合を一つつてみますと、連合会の場合は県議会あるいは県というようなものから、相当預託金なんかを受けまして、あるいは金利補給の補助金等も受けまして、国の施策がおそいものだから、いろいろと便宜をはかつてもらい、その結果相当いい成果を漸次上げつある組合もあります。ところが市町村の単協の場合は、経済力の問題もありまして、市町村議会あるいは市町村というようなものが、県段階が受けるように必ずしも手厚いところの措置をこうむつておらない。そういう点で、かつての再建整備法によつて漸次立ち直りつつあるとはいえ、経済界の変動により、特にかんしよの値下り、澱粉の価格変動、あるいは最近においては菜種搾油事業の失敗というようなものによつて、致命的な打撃を受けて、再起不能といわれるような協同組合も相当末端にはあるのであります。そういう協同組合を捨てておいて行くということは、私は少上片手落ちではないかと思う。協同組合の連帯の精神からいつても、また実情からいつても、すみやかに市町村組合に対しても、かかる措置を講ずべきものだと私は思うのであります。それでこの法案の中には含まれないということでありますが、しからば近い機会において、審議会等における検討をすみやかにされて、末端のものに対してもこれに準ずる方途を講ぜられる御意思があるかどうか、これは大臣なりその他適当な方にお聞きしたいのでありますが、おられませんから、谷垣さんに一応主管部長として伺つておきたい。
  25. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 元来再建整備にいたしましても、また御審議を願つておりまする促進法案にいたしましても、協同組合といたしましては、こういうふうな政府の助成なりそういうような手を加えずに堅実な発展をし、またそれがどんどん伸びて行くということが望ましいのでありまして、現在の再建整備の実績を見てみますと、今足鹿委員のおつしやいますように、個々の単協その他におきまして例があるかとも思いますが、全体的に見まして、単協の方の整備は大体順調に行つておる、かように考えられるのであります、もちろんこの順調な趨勢がそのまま伸びきりまして、再建整備のでき上ることを私たちは期待いたしておるのであります。現在の段階におきまして、県連合会に対します整備促進をいたしますのも、これはやむを得ない立場からいたしておるのでありまして、単協の現在の趨勢をそのまま完全な再建整備に持つて行くということを期待し、また県の連合会に対しまする再建整備に関しましても、単に国からの助成その他のみにたよらないで、できるだけ協同組合の全体の再建をしようという意図を振起する形におきまして建て直して行きたい、かように考えておるわけであります。この法案におきましては、もちろん単位協同組合の再建整備の促進を対象にする意図はないのでありますし、またこれからの問題といたしましても、これは大きな政策の問題でありますから、私が答えるのはどうかと思いますけれども、私たちといたしましては、現在やつておる再建整備以上に、促進法に類似するような形を適用することは、むしろ望ましくないのでありまして、単協としては、現任の態勢で安全な再建整備がやれることを私たちはむしろ期待をし、また希望しておるような次第であります。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 これはいかに谷垣さんが御期待になつても、現実はなかなか再建整備法では立直りが困難な実情が各地にある。しかしそういう事態にもかかわらず立直りを期待する、そう信ずるということでありますが、それは少し御検討が足りないじやないかと私は思う。現実にそういつた事態は起きておるのです。本法において対象になる全国段階あるいは県段階において、固定化した債権に対して利子の軽減をはかるということがこの中心なつておるわけですが、固定した債権というものに限らず、これに準ずべきといいますか、やはりその単協の出資額の十倍あるいは十数倍に当るような大きな赤字を出しておる組合等があるのです。連合会や全国段階においては、固定化債権に対して利子の軽減措置を、再建整備法とは別途に講じておつて、末端の単位農協に対しては、ただその再建を期待するのだ、こういうことでは答弁にならないと私は思う、これは重大な政策でありますから、御答弁ができなければ、その点について、大臣なり責任ある政府の御所信を聞くまでは、私はこの法案については賛否を一応留保したい。この案自体には反対ではありませんが、やはり関連して、全国段階や県段階には二本建で救済をしてやる。末端のものは今までの再建整備法でやる。再建整備法自体が完璧ならともかくも、再建整備法というのはまことによくできたものであつて政府の負担を年々軽減して行くような、実に数学的にうまく仕組まれたものである。これでは末端は満足できないと思う。末端がくずれた上にどのように全国段階や県段階が完璧を期せられても、それでは農協自体が健全な発達を遂げるとは考えられません。そういう点につい確たる御答弁がいただけなければ、これは政府の責任者からさらに御答弁をいただきたいと思います。この問題だけは一つ留保しておきます。  次に法第十四條において法人税法の特例を認めておられます。全国の農協は、あげてこの法人税に対する点については長い間意見を持つて、戦前においては特殊法人として法人税の免除を受けておつた。ところがシヤウプ勧告以来、新税制において法人税が課せられるようになつた。政府はいつも占領政策の行き過ぎ是正ということを言つておる。にもかかわらず、趣旨は違いますが、十四條における法人税法の特例を一応認め、繰越し損を認めておきながら、一般的な農協に対する法人税免除の点については、一向当局は取上げられようとしない。これは私は不当だと思う。一方においては国費を注入してその再建整備を促進し、また今回の整備促進法案においては固定化債権に対して利子の補給をはかり、十箇年間において債務の整理と欠損金の全部の補填をやろうというような措置を国家が直接講じておきながら、一方においては不合理きわまる法人税を存置するということは、首尾一貫しないと思う。何もかにも私はやめなさいとは申しませんが、現在の協同組合は、経済行為はやる。しかし私益追求ではないのである。その点において普通の一般法人と農協の性格というものは著しく異なつておる。これははつきりしておると思いますが、一般農協に対する法人税の免除については、当局では具体的にどのように御検討になり、関係者とどのような折衝をしておられますか、この機会に私は明らかにしていただきたい。そうしてすみやかにこの農業協同組合に対する法人税の免除の措置を講ずる意図があるかどうか。これは焦眉の急であります。一方においては国が直接援助して沸きながら、一方において、経営不振の組合であろうと何であろうと、法人税をとつて行く。しかもその理念の上において明らかに私益追求と経済行為との混同があると私は思う。現段階においてはこれをはつきり区別して、少くとも公益的な性格を多分に持ち、私益追求に終始しない農協に対しては、法人税免除の特例の措置を講じてしかるべきもの、私はかような見解を持つておりますが、農林省の今まで御検討なつた経過、あるいは大蔵省当局との折衝の経過及び結果、将来の見通し、こういうような点について、詳細にひとつ御答弁を願いたい。
  27. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 お答え申します。協同組合が営利を目的としないという点、あるいはまたそれが純然たる一般民間の事業体よりも公益的な面がかなりあるというようなことは、足鹿委員の御指摘の通り、私たちもさように考えております。従いまして現行法では、特殊な取扱いといたしまして、御存じの通り低い税率の適用を受けております。一般が四二%でありますときに、この協同組合関係におきましては三五%の税率という低い特別扱いが行われていることは、御存じの通りであると思います。もちろん昔の産業組合の時分には、法人税の免除があつたのであります。また現在においても、地方税であります事業税の場合におきましては、法定の積立金四分の一に達しますまでの協同組合に対しましては、これを免除いたしているというような事情がございまして、この点少くとも地方税並の扱いをしろという意見は、一般農協側からの意見でありますと同時に、また私ども協同組合の育成を担当しております者の立場から申しましても、従来種々大蔵省とは折衝を重ねているわけであります。まだ残念ながら私どもと大蔵省当局の間に了解点には到達しておりませんが、終始そういう意味におきましてこれが交渉を続けております。問題は、その公益度の濃淡の度合いと申しますか、そういう点における議論が問題であろうかと思います。私どもの方では、公益的な色彩が非常に強いという意味におきまして、その他の免税を受けているものと同様な扱いをしろ。少くとも地方税においてそういうふうな実例もある。また戦前の産業組合等と、今日の場合と若干いろいろな情勢変化がございますが、しかしそういうような先例もあるのであるから、そこまでこれを持つて行つてもらいたいという要求は持つておりますし、また国会議論でもしばしばそういう点に問題がありますような状況もありますから、大蔵当局と折衝を続けておりますが、今のところ妥結点に至つていないのであります。ただ農協一般――と申しますよりも、農協の中でその経営その他が非常に苦しい、そして御指摘のように再建整備の対象になり、あるいはまた今度の促進法案の対象になるというように、国が助成をしてやつておるところに対して法人税をとるということは矛盾ではないか、こういう点でございます。この点は大蔵当局の方とも了解が成立いたしておりまして、すでに再建整備の方に関しましては、その損金の繰越しを再建整備の対象期間であります五年間認めておる、こういう特例になつておるわけであります。そこで御審議をいただいておりまするこの促進法におきましては、原則はそうでございますが、若干それより一歩を進めておるわけでございます。と申しますのは、少し表現がまわりくどい表現をいたしておりまするが、御審議をいただいておりまするこの法案の第十四條におきましては、十年以内でこの促進の対象になる再建整備計画を達成するということになつておりまして、従いまして促進法におきましては――繰越し欠損の五箇年、これが現在の法人税の免除の最大限なのでありますが、この法案におきましては、それを最長十年にするわけであります。つまり従来法人税の損金の繰越しという特例の最年長でありました五箇年を、この法案におきまして延長をいたしておるような次第であります。この点が従来の法人税の問題から一歩進めた点でございます。ただ足鹿委員の御指摘になりまするような全農協、あるいはまたほかの漁業協同組合でも同様でありますが、全体に刺しましての法人税の軽減あるいは免除というような点に関しましては、まだそこまで至つていない、こういうような事情でございます。
  28. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私も単に協同組合との関係においては、足鹿委員とほぼ意見を同じくするものでありますが、その前提としてこういうように連合会を、要する二重に援助する、そこで第一に政府にお伺いしたいのは、要するにこの連合会の赤字というものは全部でどのくらいあるかということ。それがどのような原因で出て来たかということ。それから第三点は、なるほどこれを整備する計画はいろいろあると思いますが、それを整備する方向はどこにおちつくかということ。われわれの経験しております場合の多くは、結局単協の出資増ということにおちつく危険性が非常に多いのです。そうなりますと、連合会は二重に補助を受けるあるいは援助を受ける、そうしてそのしりは単協の出資増というかつこうになる。私どもの今までの経験した場合を見ますと、たいがいそうなる。単協の方は前の再建整備法で手放しにしておいて、上の方だけは二重に補助して、しかも単協にしりぬぐいをさせるという結果に、現実においてはたいがいなると思う。この点はどう理解されておるかということが第三点。第四点は、今後の農業情勢あるいはその他を達観した場合に、今のような形態の連合会がはたして事業的に健全に行ける、かどうか。もつと端的にいいますと、たとえば信用連合会だけは、金融機関として独立してどこも大体において楽に行つておる。しかし事業面については、一方においては供出が非常に少くなる、従つて供出に連関する所得はほとんどなくなるような態勢になつて来る。今は非常に骨を折つて、共同出荷とか何とかいうことをやつておりますが……。また麦の場合においても、そういつた問題が農産物の安定法案の場合においても出て参ります。大勢としてああいつた形で、今のような連合会形態ではたしてやつて行けるかどうか。単協にしりぬぐいをさせずに、自己の事業収入によつてつて行けるかどうか。ほかのいろいろの事業をやつても、農協の連合会等でやる事業はたいがい失敗をする可能性が多い。たとえば購買事業その他については非常に多い。今後においてはなお多いと思う。そういう点の危険性を、どういう見通しの上に立つてこういう法案を出されておるのか、この四点についてはつきりお答え願いたい。
  29. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 あるいはお手元にまだ届いていないかもしれませんが、早急にお手元に届くことと思いますが、その資料にしるしてございますけれども、今連合会に対しまする信連あるいは中金等の金融機関からいたしまする固定しました債権は百四十四億程度なつております。これの金利の負担が実は非常に膨大に上るわけでありまして、この再建整備をいたしました二十六年、二十七年の実績、損益の状況、事業の内容等を検討いたしまして、損金――これは固定しました債権でありますから、損金と一概に申すわけに参りませんが、損金はそれより若干下まわることになると思いますけれども、それの損失の補填をするということは、なかなか短期間には達成し得ないものであるというふうに私たちは考えておるわけであります。なぜそういう損金が生じたかという原因等につきましては、いろいろ原因があろうと思います。たとえば農業会から引継ぎましたいろいろな財産の評価が十分でなかつたり、あるいはまた終戦後引続きましてのいろいろな資材の困窮をいたしておりました当時に、末端に配給いたしますためにかかえましたところのいろいろな農機具等の資材は、その後の経済状況の変化によりまして、連合会が抱きかかえたまま、不良品として残つておるというような、いろいろな事情がございます。あるいはまた、統制経済から切りかわりました当時におきましての売掛金の損失というような問題もございます。いろいろな問題があるのでありまして、これらを振り返つて見まして、協同組合の内部におきまする経営のやり方、あるいは経営を担当しておりまする理事者のいろいろな能力の問題等々につきましては、十分戒心をして改善をすべき点が多いと実は考えております。そのために再建整備法を出すのであります。それと並行いたしまして、今までやつておりませんところの国の検査をいたしまして、そしてそういうような収支の状況を明らかにし、あるいは経営その他に関しましての一つ基準を示しまして、それにのつとつて改善策が行われるように示唆をいたし、あるいはまた新しい経理基準等を示しまして、一つのモデルの形を示す。また経営を担当いたしておりますところの理事でありますとかあるいは職員の再訓練、と申しますと語弊がありますが、そういう諸君の経営の能力を高めるような方針、そういうようなことに努めて今まで参つたわけでございます。ことに再建整備の場合におきましては、固定しました資本と欠損とに見合いますだけの自己資本の充実が、一つの再建整備の大きな眼目になつておりまして、自己資本の過小という問題があつたのでありまして、その点につきまして出資の増加を促進いたしたのは事実でございます。そのためにこの協同組合の系統組織であります連合会の出資増加が、単協の負担という形になつて現われて参つたわけであります。またもちろん単協自体におきましても、その出資金が過小でありますところは、出資の増加をいたしております。そういう形で、出資金の増加というような形が、再建整備の場合にかなり強い形になつて現われましたことは、御指摘の適りであります。しかしこれは協同組合を全体といたしましての、一本にいだしましたところの組織系統の必然的な一つ方向であり、また自己資本の過小ということを訂正することが、健全な経理をいたしまするやはり基本的な、一つの大切なやり方であるというふうに考えておりますので、そういう方向に進んで行つたわけでございます。もちろんこのたびの促進法を進めて行きまする場合におきましても、これはときには出資の増加という形になつて参る場合もあろうと思いますけれども、これは要するに国が補助金を出したりなんかいたしますことは、どつちかと申しますと、協同組合全体としての一つの立直りに対する促進剤、さそい水とでも申すべき筋のものでありまして、連合会の組織員である単協あるいは単協を通じましての農民の諸君が、皆一体となつ協同組合の連合会の建直しに一奮発していただく、県も地方におきまする農業行政の中心として援助をする、信連あるいは中金等におきましても、これは各県の事情によりましていろいろの事情があろうかと思いますけれども、従来のいろいろ援助というものに、できればもう一気張りの援助をいたして、そういうような全体の態勢が、単に出資金の増加であるとかあるいは金銭的な援助であるとかということにとどまりませずに、健全な系統利用であるというように、あるいはまた、ひいては経営事務の能力をもう少し発揮するような方向へ持つて行くとかいうような、全農業を打つて一丸といたしましての態勢に持つて行く一つの促進剤といたしたい、かような実は考え方で促進法の御審議を願つておるのでありまして、決して単に単協の出資増加のみにこの問題をしわ寄せするというような考えは持つておりません。  また連合会の経営形態、県連の経営形態というものはこれでいいかという点の御指摘でございますが、これはすでに県連の単位におきまするかなり数の多い、乱立傾向にありました連合会が、逐次現在合併の機運に動きまして、かなり事業連の主体でありますところの販連あるいは購連系統の合併が実現いたしておる状況でございます。もちろん信用事業をいたしておりまする信連との合併問題は、これは十分に論議を尽さなければならぬ点が残つておりますけれども、県単位の各連合会が、できるだけ一つに合併をいたして、その力を一つにして強まつて行くということにつきましては、私たちもその方向が正しいと考えておるわけでありまして、そういうふうな指導方針をもつてつて行くべきである。また別途御審議を願つておりまする協同組合の中央会等のものができ上りましたならば、そういうものを中心といたしまして、協同組合内部におきまする自主的な動きとしてそういう方向を進めて行きたい、かように考えておる次第であります、
  30. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 大体お伺いしたわけですが、今の連合会が行き詰まつた一つの原因、これは今御指摘のようにいろいろな原因があろうかと思いますが、ただ私ども一番感ずるのは、連合会の役員、そういう者の責任が一つも明確でない。この点を明確にしなければ、いくら監督したつて何したつて何もならない。もうかるものは自分の方でやつて、もうからない仕事は連合会に押しつける。その場合に赤字になつたという場合が多い。そういう点に一指も触れずにただやるという点は、根本的に考え直さなければだめだと思う。この点に対する何らかの対策をお考えになつているかどうかという点を、ひとつはつきりお伺いしておきたい。  それからもう一つ、なるほど整備計画は、農民も単協も県も、みんなしてそろつて何とか整備する。これをひとつやつて行こうというようなきわめてりつぱなお考えですが、なかなか現在の地方のいろいろの事情というものは、そう簡単に私は行かないと思う。結局単協め出資増加、単協から取上げる県連なり何なりの手数料をよけいにするか、あるいは何かということにおちつくと思うのです。その場合に、今商人やその他が非常に競争が激しくなつて来ているときに、そういうかつこうではたして対抗ができるかどうか。県や町村がこういうふうな整備を一生懸命やるというふうには、とうてい私には考えられない。結局私は単協への出資増加、それでなければおそらく単協その他に対する売渡しなり手数料増という形へ必ずおちつくと思う。それ以外に方法はない。この点についてのお考えを非常に甘く見られているようだが、今までずつとわれわれが経験をして来たところはたいがいそうなんだ、この点、ひとつもう一回はつきり念を押して聞きたい。
  31. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 理事者の責任の問題は、これは私たちも痛感をいたしております。これは別途御審議を願つております協同組合法の一部改正の中に、従来あいまいでありましたところの理事者の連帯責任の制度を明確にいたしております。そして行政庁で監督というと語弊がありますが、検査その他を現在やつております。それによりまして非違の点がある、法律上違反があるというような点から行きまして、必要なる措置をやるようにいたしまして、なおかつそれが遂行されないという場合におきましては、理事者の解任等がやり得る法案を御審議つておるわけであります。これはひとつそういうような点を改正いたしたいと考えておりますので、十分御審議の上に通していただきたいと思います。  それから整備計画内容といたしまして、結局単協の出資増加とか、販売手数料、購買手数料の増加という形となつて現われるのではないかということでありますが、今度の促進法のやり方は、整備法のように一律なやり方をとらずに、個々の県連を具体的に審議会で一つ一つ審議をいたしたいので、整儼計画の中に出資の問題等が当然含まれるわけでありますが、これは強制をするというような意味は私たちは全然考えていないのでありまして、靜岡なら靜岡の県連というものが、どういう形で一番再建ができるかという具体的な問題を取上げて、論議を尽したい、かように考えております。必ずしもすぐにそれが出資増加になり、あるいば手数料の増加という形になるかどうか、これは審議会の審議におきまして、十分そういう意味の単協の意見、一般の組合員の意見が反映されて決定されて行くものと考えております。
  32. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一点、これに直接関係のある問題ではないのですが、お伺いしておきたい。  これによりますと、要するに県連なり連合会に対する監督指導が非常に強くなる。これは必ずしも悪いことではないが、同時にほかの法案において農協中央会を強化しているので、ある意味においては二重監督というか、二重指導のようなかつこうが出て来る。そうしてまた信用制度にいたしましても、農林中金の支店が各県にあり、信連がまたこれにくつついている。ですから今では、へたにまごつくと市中銀行から金を借りるよりも、信連から借りた方が高いというようなこともある。すべてをこういう二重の組繖でやつて、フルに下から吸い上げ、足りない分は政府が税金としてはとつたものでまたやつて行くという、こういう制度が今後はたして能率的なものかどうか。りくつを立てればいろいろある。今後長期計画の資金でも出すということになれば、おそらく農林金庫ですが、こういつたものにしてもだんだん出るが、逐次そういつたかつこうになつて行く、そういう制度になつて来ると、上の方だけ大きくなり、下の方はどんなことをしてもとられることが多いという結果になる。こういうことで行つてはたしてよいかどうか、これらももう一度全般的に再検討する意図があるかどうか、この点をあわせてお伺いしておきたい。
  33. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 農協の本来の建前からいたしまして、国の監督等が最低限、できればそういうもののないということが望ましいのは当然でありますが、先ほど久保田委員の御指摘になりましたような意味の現実があるわけでありまして、これはできるだけ監督その他の少い形においてやつて行きたいと考えております。中央会の問題は、これは協同組合の内部と申しますか、協同組合の系統の内部におきます一つの指導機関、もちろん監督等がやれるように監査その他の機能を高めるようにいたして行きたいと思いますが、そういうことをやるのでありまして、これは必ずしも重複はしていない、実態から申しまして重複はいたしていないのでありまして、むしろ中央会が一日も早くそういう意味の、十分なる指導能力なりあるいは監査能力を持っことを、私たちは期待いたしておるのであります。そういうことが一つと、農林中金と信連との問題でございます。ことに一般市中銀行との問題で、御指摘のよう点は私たちあまり耳にしていないのであります。中金と信連との関係は、これは御指摘のようなところまでは、実は重複していないように私たちは考えております。もちろん中金自体といたしましての仕事もございますので、信連のある場所に中金が支所を設けるというようなことがあるのでありますが、しかし業務内容その他につきまして、まだ御指摘のような重複が行われておるとは承知していないのであります。もちろん機構があたまでつかちになりまして、主体でありまする単協あるいは組合員である農民に対して過重な負担を与えているような状況にありますとすれば、そういう点は当然是正すべきものと考えております。
  34. 井出一太郎

    井出委員長 残余の質疑は次会に延期し、本日はこれをもつて散会いたします。    午後零時五十六分散会