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1953-07-10 第16回国会 衆議院 農林委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)     午前十一時七分開議     —————————————  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君    理事 足鹿  覺君 理事 佐竹 新市君    理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    佐藤洋之助君       松岡 俊三君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    稲富 稜人君       川俣 清音君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君         食糧庁長官   前谷 重夫君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 七月八日  砂糖の輸入量増加等に関する請願辻寛一君紹  介)(第三〇〇五号)  六ヶ所村に開拓地診療所設置請願山崎岩男  君紹介)(第三〇〇六号)  農民組合法制定に関する請願井谷正吉君外二  名紹介)(第三〇〇七号)  肥料対策に関する請願井谷正吉君外二名紹  介)(第三〇〇八号)  昭和二十八年産米価格等に関する請願井谷正  吉君外二名紹介)(第三〇〇九号)  西日本水害対策確立に関する請願大石ヨシエ  君紹介)(第三〇一〇号) 同月九日  朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請願外一  件(熊谷憲一紹介)(第三二〇九号)  福岡県下の農作物水害対策確立に関する請願(  熊谷憲一紹介)(第三二一〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業委員会法の一部を改正する法律案内閣提  出第七三号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第七四号)  食糧に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  農業委員会法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたし、審査を進めます。これより質疑に入ります。——追つて大臣が見えるはずでありますが、それまでちよつと食糧問題について質疑があるそうですから、これを許します。安藤覺君。
  3. 安藤覺

    安藤(覺)委員 食糧庁長官お尋ねいたしたいのでありますが、現在、外米、外麦等はどういうような経路をもつて輸入なさつておられるのでございましようか。
  4. 前谷重夫

    前谷政府委員 御承知のように、大体輸入食糧につきましては、四月から九月の約半年につきまして、外貨の大体半年間の計画ができるわけであります。その半年間の計画のもとにおきまして、米につきましては、大体地域別商社を指定いたしておりまして、それでたとえば一月の間に食糧庁としてはこれだけのものがいると予定いたしますと、それをこれらの国から輸入するということを公表いたします。公表は通産省で出すわけでありますが、その公表に基きまして、いわゆる入札をいたします。競争入札によつて申込みをとりまして、そしてその数量に基いて大体売買の予約をする。それによつて外貨割当てまして、現実に買い付けることになるのであります。
  5. 安藤覺

    安藤(覺)委員 その商社はどのくらいの数に達しておるのでありますか。
  6. 前谷重夫

    前谷政府委員 食糧輸入に関しましては、大体登録制をとつておりまして、従来実績がありますものは、約三十八社と思つております。
  7. 安藤覺

    安藤(覺)委員 その三十八社のうちほとんどが外地まで出かけて行きまして、買付をしておるような状況でありますか。それとも外国から日本へ渡つて来ておるバイヤー等仲介にして、輸入しておるようなものもあるのでありますか。
  8. 前谷重夫

    前谷政府委員 大部分のものは海外に出張員を派遣いたしております。ただ地域によりましては、輪番制をとりまして、この期間はこの商社が行くというふうに、数量少い関係もありますし、またそういう時期の関係もありまして、数社が交替で行つて、共同的にやつておる、こういう地域もございます。
  9. 安藤覺

    安藤(覺)委員 商社の間において、近ごろ硫安の場合と逆に出血輸入という言葉が出て来まして、とうていこれでは商社がたえられぬから、何とか方法を講ぜられたいというようなことを申し合せまして、輸入食糧協議会とかいうようなものをつくつて、そして何か政府へ要求をしておるようなことはございませんか。
  10. 前谷重夫

    前谷政府委員 大体米につきましては、地域別商社を指定してやつております。麦につきましては、フリーなビッドで行つておるわけであります。そういたしますと、御承知のように輸入につきましては、カナダあたりでありますると、米、小麦価格値段一定しておる。アメリカにいたしましても、大体相場は、特に生産地から集荷して参るという関係ではございませんから、買値というものは一定しておるわけであります。従いまして、行商社間の競争というものはフレートの問題とそのほかチャージの問題がありまして、御承知のような出血受注と申しますか、出血して出しておる競争関係は、ごく限られた範囲の運賃の関係とそのほかの積込み、積卸等の諸掛りだけの競争になつておる、そういう話は聞いておるわけであります。これに対しまして自由競争制をとりつ、しかも妥当な形において輸入する方式がどうかということで、いろいろわれわれも検討いたしておるわけであります。麦につきまして指定制度をとるということは、現在考えておりませんが、無益な競争を排除して、一定の適正な安い値段で買い入れる。しかも商社においても不利益な競争はなるたけ避ける。もちろん入札制度でやるわけでありますから、絶対的に競争がないということはないわけでございまして、入札制度をとる以上は、当然競争がある。また競争があるべきものであるというふうにわれわれは考えております。そういう競争の原理のもとにおきまして、どの程度に適正な方法をもつて不当な競争がやめられるか。と申しますのは、いわゆる大手筋が非常に出血する力を持つておりますから、大手筋が多く出血することによつて実績を確保しよう、こういう動きもありますので、そういう点について検討いたしておる次第であります。
  11. 安藤覺

    安藤(覺)委員 適当な自由競争を許しながら、しかもあまり多くの商社をして出血せしめないで行こうという方法を承りましたが、まだ私はよくのみ込めないが、もう少し具体的に案がおありになるのではありませんか、お聞せ願います。
  12. 前谷重夫

    前谷政府委員 まだわれわれの内部で検討しておる案でありますが、たとえば政府輸入しますものが、かりに百八十万トンなら百八十万トンとしますと、これに二十万トンとか三十万トンのものを加えまして、その加えたものでもつて配分した一つの商社最高限度を設けるが、補償はしない。しかし、あまり大手筋があばれまわつて、大部分輸入をとつてしまうということのないように、ある程度の頭打ちをして行く。しかし、頭打が全輸入量でありますと、政府としてに補償するという形になつてまずいと思います。その総体の数量を相当上乗せする。そうすればそこに競争関係があり得て、しかも大手筋が独占するということも起らないというふうな考えをもつて検討いたしております。
  13. 安藤覺

    安藤(覺)委員 そういたしますと、輸入食糧協議会とやらというものから政府に提出されておるところの要請については、そのままお許しになるお気持は現在ございませんですね。
  14. 前谷重夫

    前谷政府委員 輸入食糧協議会としては、いろいろ業者の要望事項があろうと存じますが、われわれとしましては、その内容を検討いたしまして、とるべきものはとり、そうでないものは捨てるということで、これは別個の立場で検討いたしたいと思つております。
  15. 安藤覺

    安藤(覺)委員 もしでき得ますならば、その輸入食糧協議会とやらから提出されておる、要望書等をわれわれにもお見せ願いたいと思いますが、いかがですか。
  16. 前谷重夫

    前谷政府委員 私、聞いておりますところによりますと、正大に書面で来ておりません。口頭でもつて、たとえば指定制をしてもらいたいとか、あるいは何か競争を防止してもらいたいとか、こういう抽象的なものであります。あるいはさらに具体的に来るかとも思いますが、抽象的に口頭でいろいろの陳情があつたわけでありまして、まだ書面では私の手元へは来ておりません。
  17. 安藤覺

    安藤(覺)委員 この問題につきましては、少くとも日本に来ておるバイヤー仲介として、そこでちよこちよこと商談をきめて輸入して行くというようなあまりにもみじめな資本のもとにおいて行つて行く行き方というものは、商社出血輸入のうちはいいのですけれども、逆に町民が出血輸入をせなければならぬというようなことになりやすい憂いがあります。そうかといつて、一面あまりにも商社を限定いたしまして、五十数社のうち三十何社に限定して、そうして数が減ることによつて大手筋だけの談合というようなことに相なつても、これはまことに好ましからぬ結果が現われるのじやないかと思うのであります。といつてまたあまりに、お話のごとく自由に放任しまして、大資本のものばかり数社に限定せられますと、やがてはそれが独占になりがちで、これこそまた大きな弊害も伴つて来るだろうと思いますけれども、しかしこうした資本主義の形をとつて日本があくまでも進んで行く以上は、ある程度まで大きな資本において先を派遣して、そうして血みどろに闘いながら安いものを買い付け、よきものを買い付けて来るという行き方は、現状において一応好ましいものじやないか、こんなふうに考えられますので、この輸入食糧協議会とやらから出ております要請につきましては、具実現下の情勢のみならず、遠い将来にまでお見通しをおつけになられまして、毅然として当局の態度を御決定あらんことを切に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  18. 井出一太郎

    井出委員長 網鳥正興君。
  19. 綱島正興

    綱島委員 ただいまの米の買付けの問題でありますが、実質上の質問をする前に、ちよつと伺つてみたいと思いますが、今月の七日に参議院で、新聞の伝えるところでありますから、ほんとうかどうかわかりませんが、念のために伺つておきますが、大体今年の米の輸入見込量が九十万トンで、大体トン当り二百十三ドル見込みであると御発表になつております。それから大麦が六十二万トンで九十三ドル、小麦が百五十三万ドンで九十ドル、こういう見込みを立てておるという御発表があつたのでありますが、この数字は大体間違いございませんか。
  20. 前谷重夫

    前谷政府委員 大体間違いございませんが、小麦輸入数量は百五十七万三千トンでございます。
  21. 綱島正興

    綱島委員 大体米の輸入先予定として、タイ三十万トン、ビルマ十五万トン、アメリカ二十万トン、その余が二十五万トンという数字をお見込みだという御発表でのりますが、これも間違いございませんか。
  22. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。タイにつきましては、協定によりまして、二十万トンが一応保障されておるわけでございます。そのほかに日本政府要請によつて十万トンまで交渉によつて追加し得る、こういうことになつております。そこで一応協定の建前を尊重いたしまして、また入手等関係考えまして、一応そういう予定を立てておるわけでございます。ビルマにつきましては、協定によりまして、やはり十五万トンというものを買い得ることになつております。これはビルマ輸出余力等関係もございますので、一応協定がそういうことになつておりますので、予定を立てておるわけでございます。アメリカにつきましては、御承知のように、国際割当といたしまして、輸出割当が実施されております。従いまして、その数量現実割当になるかどうかということは、今後のアメリカ輸出割当の模様によつてきまるわけでございますが、まあ過去の実績等から考えると、この程度のものは割当があり得るのではなかろうかという推測なんでございまして、アメリカにつきましては、割当状況いかん、またそれ以外の国につきましては、現実の出まわり状況等によつて相当かわり得ることが予想されておりますが、現実状況等から見ると、およそそれくらいになるのではなかろうかという予定でおるわけでございます。
  23. 綱島正興

    綱島委員 ただいま大体御予定としては、タイの三十万トン、ビルマの十五万トン、実は競争入札をして大体輸入をあらかじめおきめになりますと、タイにおいても、ビルマにおいてもそれに相応するだけの値段向うの方で引上げる、特にタイの十万トンの分に対しては、ことさら政府操作をして、むしろ出血しなければならぬように向うできめて行くというような実情であると聞いておりますが、そういう点はいかがでございましようか。
  24. 前谷重夫

    前谷政府委員 タイにつきましては、二十万トンはGGベースという形で大体向う政府がきめますから、F ○B価格については一定しておると思いますが、余の十万トンについては、一種国際入札の形になつておりまして、食糧庁が大体予定価格をもちまして、その入札価格はこれくらいで入札したいということを商社と何する場合にやりまするので、その価格いかんによつては、入札が落ちないという場合もあり得るわけでございます。入札状況によりまして、入手し得る場合もあり、値段によりましては入手できない場合もある、こういう形になつておるわけであります。
  25. 綱島正興

    綱島委員 私が承知しておるところによりますと、一定量のものは政府機密操作米というようなものに、タイではなつておるそうでありまして、それについては政治的価格というものが少からず入る。そこで日本商社が行きましても、すでにこちらの買付け入札価格がきまつておりますので、どうにもならぬ。実際にはそれを何らかの操作をこちらですれば、そんなに高く出さないでもできる可能性があるということを、これは実はタイの商人から何回も私は聞いておるわけでございますが、それについて何らか御研究なつたことがございましようか。
  26. 前谷重夫

    前谷政府委員 お一話のようにフリークオータの分については、タイ政府といたしましては、財政収入その他の事情が相当あるようでございまして、できるだけ高く売ろうということでやつておるわけでございます。それで食糧庁といたしましては、そうした反面におきまして、できるだけ安く買おうということで、国際米価市況等をにらみ合せまして、一応の予定価格考えるわけでありますが、商社といたしましては、その中に入りまして、両方の中間にはさまつて、出血するという場合も想像されるわけでございまして、われわれといたしましても、この買付けにつきましては、外交交渉等を通じて、できるだけ安く買うような交渉はいたしておりまするが、今綱島委員お話のように、タイ政府自身の特別の財政上の事情その他によつて、その交渉ができない、ただタイ国といたしましては、昨年度の傾向から見ますると、できるだけGGベースを少くして、フリークオータの分を多くしよう、そうしてそれによる収入をあげようということで、いろいろやつてつたようでございますが、御承知のように世界的な米の需給関係も漸次改善されて参りまして、昨年度におきましては、タイ政府が相当フリークオータの分を予定しておつたところ、その値段帯いために、わが国もそうでありますが、各国とも買い入れないということで、これが余つて参りまして、今度は値段を下げて売り出す、こういう実例もあるわけであります。やはりわれわれといたしましては、この点につきましては、需給事情ともにらみまして、買付関係をできるだけ不必要にタイ国需要が過大にならないように注意して参るということになりますと、自然にGGベースも安くなりますし、またフリークオータの分も各国ともに買い控えるということになりまして、自然に値段が下つて来るということが昨年度の経験でもありますので、そういう点を十分注意してやつて参りたい、かように考えております。
  27. 綱島正興

    綱島委員 今のフリークオータの分でございますが、その部分については従来の入札制度というものがどうか。これは役所からお考えになれば、責任回避といつては失礼ですけれども、何か痛くない腹を探られることはいやだということで、やむを得ぬからして入札制度をとる。そうすればその日に電報は向う行つて、買うのは、どこの商社がこれで入札しておるから、これまでは買わなければならぬというので、向うはちやんと待ち構えておつて、何としてもそれより安く買えない。こういう事情で、これは毎年繰返してもどうにもならぬ問題ですから、ひとつ研究して、痛くない腹を探られないようなことで、公正な立場で国民に利益する事柄を御発見にならなければ、毎年々々きつと損をするのではなかろうか、こういう考えをしておるのでありますが、何らかそこに御研究がございましようかどうか。
  28. 前谷重夫

    前谷政府委員 綱島先生お話ごもつともでございますが、タイ米につきましても約八社の商社を指定しておりますが、これを非常に極端に制限しますとか、あるいは随意契約でやるとかいうことは、一面におきまして、相手方に対しての秘密と申しますか、相手方に乗せられる点が現在よりも少くなる利点もございますと同時に、商社の努力というものが逆に減殺されるという点もございますので、そういう点、十分両者考えて検討いたしたいと思つております。フリークオータの分は、結局タイ政府としては、極端に申し上げますと、できる限り高く売る、需要がありますればどこまでも上げて行く、それに対して需要がなければ、その需要に応ずる程度に下げて行くというような傾向がございますので、ここのアリー・クオータ買い方は、他の国の買い方とも非常に関連して参るわけでありまして、そういう情報をできるだけ集めて、その時期々々に適切な手を打つということが必要でなかろうかと考えております。     —————————————
  29. 井出一太郎

    井出委員長 それでは先ほどの両案の質疑にもどりまして、足立篤郎君。
  30. 足立篤郎

    足立委員 私は農業団体編成の問題につきまして、承つてみたいと思います。  まず第一にお伺いしたいことは、この政府提案法律案が実施をされました場合におきまして、農業技術指導体系はどうなるか、また政府は、将来この農業技術指導体系をどう持つて行こうという意図のもとにこの法律案をお出しになつたかということにつきまして、まず大綱について伺いたいと思います。
  31. 小倉武一

    小倉政府委員 農業技術指導につきましては、今回の団体関係法案が成立になつた場合にどういうようなことになるかという第一点のお尋ねでございます。それにつけ加えまして、将来農林省といたしまして、この指導についてどういう方針を持つておるかというお尋ねでございますが、この法案が成立しました場合にも、技術指導の問題につきましての考え方は、根本的にはかわらないと思つておるのであります。技術指導については、農業と申しましてもいろいろございますが、現在農業改良助長法によつてつておりまする農業技術普及制度、これがあくまでもやはり根幹であると考えておるのであります。ただこの制度はいろいろ御批判もあり、御意見もございます。その最も根本的な問題は、末端町村あるいは農家と密接な関係が多少足りなくはないか、地についていないのではないか、こういうことでございます。そこで今回の法案におきましては、その点を補足するということでございまして、技術指導制度といたしましての考え方は、根本においてはかわらない、むしろそれを拡充強化するつもりであります。従つて今後の方針につきましても、そのような方向でもつて充実して参る、かようなつもりでおるのであります。
  32. 足立篤郎

    足立委員 農業委員会の方は一技術員をしてこれを農協に駐在させるという御方針のようでありますが、将来のことを考えますと、ただいま御質問申し上げた点が、まことに不明確になつておるのでありまして、普及技術員制度根幹として将来とも行くという方針であるならば、その根本的な方針農協における技術指導との競合の問題を、どのように将来調整をされて行かれるおつもりであるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  33. 小倉武一

    小倉政府委員 御承知の通り現在の普及員制度におきましては、府県の公務員としての技術者がこれに当つておるのであります。その数も一万人余りになつておりますけれでも、必ずしも十分でございません。またこれをふやしてやるということについても、いろいろ問題があろうかと思います。これを地につけるためには、どうしてもやはり町村に一人の技術者を置きまして、普及員町村駐在技術員とが協力して技術指導完璧を期する、こういうことが必要だろうと思うのであります。ところがこの末端町村における技術員を、それではどういう身分にすると申しますか、所属にするがよろしいかということでございます。これは現在における地方財政の問題あるいは農業団体の問題、いろいろの観点から考えまして、農業委員会所属身分にいたしまして、それと同時に農業委員会技術面仕事協同組合生産指導仕事、それから改良普及員に対する協力、こういつた三つの機能を合せて行つていただく、こういうことによりまして、今申し上げましたような技術指導の筋を通すとともに、町村に一人の技術員をほしいという末岬町村の御要望にもこたえる、かようなつもりでおるのであります。いかにも普及員は県庁の役人であり、末端技術員協同組合なりあるいは町村の人だ、こういうことこなりますと、そこにちぐはぐが生じないかということのおそれが生ずるのではないかと思うのでありますが、いかなる技術員制度を置きましても、技術指導をやりますためには、直接に一人の技術者が個々の農家に接触して指導するということでは、どうしても十分に参りません。そこでどうしても団体というものは協同組合が主になるでありましようが、協同組合に限らず、いろいろの農事の研究のための団体あるいは農家の小組合といつたものと連絡をとつて初めて十分な技術指導ができる、かようにわれわれは考えておるのであります。そういたしますと、身分農業委員会にいたしましても、村のうちの最も有力な農業団体である農協生産技術指導タイアツプするということによりまして、初めて技術指導完璧が期せられるのではないか、こういうのが考え方でございまして、ここに両者協力態勢ができますならば、先ほど申し上げましたような不安は生じないというふうに思つておるのであります。
  34. 足立篤郎

    足立委員 ただいまの御説明でありますが、今度の法案によりましても、ただいまの御説明によりましても、この間の関係がまことに不明瞭でございます。これは、今度の法案一種の妥協の上に立つておりますので、やむを得ない点につきましては私自身もよくわかりますが、やはり政府としては、最も重要な農業技術体系につきましては、将来かくかくの方法のよつて行くのだという方針をお立てになつた上で、こういう農業団体編成の問題にとりかかりませんと、いろいろな誤解も生じ、不明瞭な点が多々生じて来ると思うのであります。私の見るところを率直に申し上げますと、現在の普及技術員制度というものを根幹として将来行かれるということを、口にはおつしやつていますが、その一面、単位農協技術指導力を増強して行くというような方針もおとりになつておる。両者協力させて万全を期して行くということは、まことに作文としてはけつこうでございますが、なかなかむずかしい問題がそこに介在すると思うのでございます。町村によりましては、あまりに錯雑してむずかしいので、特に農業技術指導所というようなものをつくりまして、現在の普及技術員あるいは農業委員会及び農業協組技術員等を合せて一本にして、昔の帝国農会のような形をとりまして、すつきりと経済団体農業技術指導団体というものをわけて運営をしている町村も現在あるのでありまして、かような割切り方がいいか悪いかということは別にいたしまして、現在の御説明及び法案の趣旨等からいたしましても、あまりに不明瞭であるという点は、おおうべくもないと思うのであります。この現在の普及技術員農業協同組合の行う技術指導との関係が、はたして局長の言われる通り協力態勢が実現できるものであるかということについて、はたして局長はどれほどの御自信をお持ちになつておるか。また農業協同組合というもののみずから行う技術指導というのは、ただいまお答えにございましたけれども、将来この普及技術員制度というものを根幹として確立して、なお進むということである以上は、おのずからそこに農協の行う技術指導というものにも、ある程度の制約が加わらなければ調整がとれないと思うのであります。この点につきまして、どのようなお考えを持つておりますか。まことに質問が抽象的でございますが、お答えをいただきたいと思います。
  35. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまのお尋ねでございまするが、この普及員制度協同組合技術指導、この両者関係について、どうもすつきりしないものがあるではないか、こういうことがございまして、それからのお尋ねだと承知するのであります。これは沿革的に申しますると、農会、農業会という制度が終戦後根本的に改革されまして、農業会の技術指導を国が助成する、特にその人件費について助成をするということをやめまして、地方庁の職員としての普及員に、国が人件費を助成するという制度に切りかえて、いわば農業会がやつてつた仕事を、県庁なり国が取上げたというかつこうになつておるのでありますが、そういう沿革の関係もございまするし、それからその後の事態を考えてみましても、一方国と県が協同してやつておりまする普及事業のほかに、依然としてやはり協同組合が自主的に生産技術指導ということをやつておられるのであります。従いまして、現実にそこに何らかのトラブルがあるということも、地方によつて、村によつてはあり得ることだと私どもも考えております。この点につきましても、考え方でございますが、技術指導ということは、これは食糧増産の根本の問題であろうかと思うのであります。従いまして、これを趣旨として、農民の団体、結局は農家の経済的負担においてやるということでなくて、本質的には、やはり国、県等の公共の費用でやるということが、私は根本の建前でなくてはならぬのではないか、かように思うのであります。技術指導だからといつて、これを農業団体にかつてにやらしておくのではなく、国がある程度の、一定の助成をするということがいいのではないかということであります。それでは国なり県なりが、投入をもつと増員いたしまして、全部公務員でやつたらどうかということになりますけれども、これは程度問題でございます。特に県の役人といたしまして、末端町村におるということになりますると、これがどういう活動ぶりをしておるのかという監督というようなこともなかなかできにくい。ただ村でぶらぶらしておるという非難がむしろ生じやすいように思います。他方また、一人の指導者が技術者としていかにりつぱでありましても、村のいろいろな有識者の協力というものがなくては、成立がなかなかむずかしい。ところが日本農家の場合に、普及員協力して、自費でもつて村をかけまわつて技術指導をしてもらうというような篤志家を期待することは、なかなかむずかしいのであります。従いまして、この普及員制度の欠陥と申しまするか、足りない部分と、それから村のこういつたような、日本の農民の置かれたような実情とを考慮いたしまして、国なり県なりが援助する、村の技術上の指導者というものを置くということが必要になつて来ると思うのであります。そういうふうな考え方で、普及事業の技術指導と、村に実質的に補助するというような二つのやり方が、協力してもらうということによつて、初めて技術指導が徹底的に農家の欲するように行い得られるというふうに考えるのであります。そこで末端技術者をどこに置くかということでございますが、これはいろいろの、先ほど足立委員からもお話がございましたようないきさつもございますが、末端技術員を補助する場合に、どういう機関なり機能であれば、最も国の財政支出が容易に、最も手厚くできるかということを考え、他方委員会仕事、あるいは協同組合仕事、その他農業関係技術指導に最もよくサービスし得る態勢はどうであるかということを考えました場合に、農業委員会の書記を技術員に一人切りかえ、そうして協同組合仕事協力して行くということが、やはり現実的に最も有効な方法ではないか、かように考えたのでございまして、御心配の点はもちろん私どもも同感でございまするが、こういうことをいたしますならば、両者の間にだんだんと了解がつきまして、技術の指導あるいは農業生産技術の発展のために、非常に望ましい効果が期待できる、かように信じておるのであります。
  36. 足立篤郎

    足立委員 これ以上申し上げませんが、ただいま質問で申し上げた事柄で十分おわかりのことでございますが、この普及技術員制度というものは、日なお浅いのでありまして、まだ農家個個に対してほんとうに密着し、浸透した実績をあげてないということにつきましては、私も他方の実情はわかつておりますが、進駐軍の申し子とはいいながら、この制度が一応確立されておりますので、今度の団体編成に関する法律案の趣旨から見ますると、この関係がますます不明瞭になつて参りまして、中にはこの普及技術員制度はじきに廃止になるのではないかというような声さえも出ておるのであります。かような不安を与えますことは、さなきだに今までの経験、技術等におきまして、十全とは言えないこの普及技術員に対しまして、さらに不安の念を醸成させまして、勉強をする熱意も失い、努力をする熱意も失われて来るというような結果になりまして、せつかく国家として大方針を立て、いやしくもここに実施いたしました制度が、かような浮草のような状態になるということは、まことに憂慮にたえないわけであります。かような観点からいたしまして、先ほど申し上げました通り、今回の農業団体編成の問題に関連して、かような各種の疑惑を生んでおりますので、政府は将来普及技術員制度を確立して、ますます強化して行くのだという御方針であるならば、その点を明確に御声明なさる必要があるのではないかということを、意見として申し上げておきます。  それから問題を中央に移しまして、農業協同組合中央会というものが、この法律によつて生れる。かつまた全国農業委員会会議所というものが生れる。その職責と申しますか、その果します役割というものは不明確でございますが、これが二本建になりまして、おのおの全国の農民に直結したものでございます。いずれこれらが諸般の政治問題につきまして、活動を開始することになろうと思います。この場合に、一方は農業協同組合という組織を通じて、農民の声を反映する政治活動を行う、一方は農業委員会という組織を通じて、行政組織に並行した組織で、これが活動を開始するということになりまして、その間まことに錯雑した問題が起きやしないかということを憂慮いたすのでありますが、経済局長の御所見を伺いたいと思います。
  37. 小倉武一

    小倉政府委員 全国農業委員会会議所と協同組合の中央会の機能の問題でございますが、これはお話のような、機能が錯雑すると申しますか、あるいは重複するといつた面をまつたく否定するわけには奉りません。両団体とも終局には農民の利害の上に立つておるわけでございますので、これはその意味においては重複するのであります。ただこの両団体の構成の実態を見てみますと、一方は協同組合であり、一方は農民が選下した農業委員を母体にしておるわけであります。それからまたこの委員会協同組合仕事が、これはやはり相当分化をいたしております。何と申しましても、協同組合農家の協同事業ということが主体でございまするし、農業委員会は国なり、県なり、あるいは村なりがやつております農業上の施策に農民の意見を取入れる、こういうことが主たる機能になつておるのでありまして、その間におのずから機能の分化があるわけであります。そこでこの両団体が成立したあかつきにも、もちろん、ある問題につきましては、おのおの別々に所見を出すということもございましようが、中央会の方は協同組合を基盤として、それに関連する問題、特に協同組合の育成、強化ということ、あるいはその指導、連絡ということが事業の主体となりましようし、農業委員会会議所の方は、これは県の農業委員会の育成、従つてまた農民の代表者の意見を農政の上に浸透して行く、こういうことが直接の目的になろうかと存ずるのであります。この両者の機能が円滑に推進されまして、初めて農民の利害が守られる、あるいは農民の地位が向上する、こういうことが期待できるというふうに考えておるのであります。
  38. 足立篤郎

    足立委員 この法律案に関連しての直接の質問は以上で打切つて、あとは保留しておきます。なおこれに関連いたしまして、一つ伺つておきたいと思います。農業協同組合の行う共済事業の問題でございますが、いろいろ今まで政治的な問題を加味してやつていることは、局長みずから御承知の通りであります。なおただいま配付されました資料を拝見いたしましても、農業協同組合行つておる共済事業は、北海道を初め、逐次実績をあげつあることが書かれておりますが、御承知の通り、農業会当時、農業保険として農業会の仕事の一部として行われておりました保険事業が、農業災害補償法の成立によりまして、農業共済団体というものが成立いたしまして、統一的に行われておることは御承知の通りであります。しかるに農業協同組合法に共済事業という字句があるから、これをどんどん伸ばして行つていいのであるという考え方が一部にあるようでありますが、この監督の衝に当られる経済局長は、いかなる方針でこのことに処しておられるか、これは私は一に農家の負担軽減、農家のためになるということで進むべきであると信じておりますが、ともすれば団体の勢力拡張というような考え方から、相当疑問があるのでありまして、こういう点を局長としては、はつきり御方針を割切つて御監督、御指導にならなければならない、かように信じておりますが、局長の御所見をこの機会に伺つておきたいと思います。
  39. 小倉武一

    小倉政府委員 お話のようなむずかしい問題があるのでございまするが、これをどういうふうに割切つて方針を実行するかということになりますと、今のところ割切つた方針といつたものは持ち合わせておらないのであります。御承知の通り、協同組合法が制定されました時分には、農業災害補償法はまだ立案の途中でございまして、現在共済組合がやつておりまするような作物以外の任意共済というような部門については、制度上の欠陥がございまして、協同組合ということでこれをやつて、その欠陥を補うということが適切であろうということで、協同組合法の中に入れられたことと思うのであります。ところがその後共済組合法が成立し、またこれが数次にわたつて改正を加えられた際に、今御指摘のような事業が、広汎に共済組合の事業として取入れられた、かように相なつたのであります。もちろんこの両者仕事が初期的な段階にあつて、そこに摩擦というような問題がなかつた時代にはよろしかつたのでございまするが、両方の仕事が相当程度進んで参るということになりますと、同じ農業団体の内部におきまして、そこに若干いろいろいきさつと申しますか、いざこざが生じて来るということも当然あり得ることであります。昨年農業災害補償法の一部改正を御審議願いました節にも、この間の調整ということが、農林委員会におかれましても論議になりまして、そこである一つの線を引いたらどうか、こういう御議論がございまして、私どももそれに実は努めたのであります。たとえて申しますれば、そのときの大体の考え方は、今もあまりかわつておらないのでございますけれども、協同組合の建物あるいは倉庫、こういつたものは協同組合に、農家の建物は共済組合に、こういうふうな方針でもつて考える。それからまた両共済事業もそれぞれ制度上の欠陥を持つておりますことは御承知の通りでございますが、その欠陥を両者とも相補つて行く、こういうことが根本的な方針としてはよろしいのではないかというふうに思うのでございますが、何しろもう相当事業は進んでおりまして、そういう線をここであつさり引くという訳には実は参らなくなつておるように見受けられるのであります。しかし、今申しましたような補償制度におきましては、再保険の制度が不十分である協同組合におきましては、業務の監督と申しますか、保険の管理の面が不十分であるということがございまするので、いずれの機会かにその点については御審議をお願いしなければならぬと思うのであります。そういう際に両者の事業の法律上の区分けというわけには参りませんでしようけれども、役所ないし団体側の当事者の方針といつたようなものを確立していただくというふうに、私どもは実は期待いたしておるわけでありまして、役所だけである線を引いて、その線を両共済事業に守らすというわけには実は参らなくなつておるのであります。機会あるごとにいろいろ努めておるのでありまするが、現在までの事情を申し上げますと、以上の通りであります。
  40. 足立篤郎

    足立委員 指導監督の責任者である経済局長の言葉としては、まことにおかしな御答弁だと私は思うのでありますが、局長みずからこの方針を確立さるべきであつて、もちろん決定権は大臣にございましようが、局長はその責任者でありますので、私どもはそういうつもりで局長に接しておるし、またこういう機会に御意見を伺うのも、そういう意味で伺つておるのでありますが、その点は実は確固たる御自信を持つてそのことに当つていただきたいということをまずもつて申し上げておきます。  ただいまの局長のお答えにございました通り、この問題を法律で割切るということはむずかしいと思います。なぜかならば農業協同組合もそうした共済事業を行うということについては、これは当然でございますから、そういう趣旨で共済という言葉が農業協同組合法に盛られておるものであると私は解釈しておりますが、さりとて一方農家の諸般の災害に対する共済事業につきましては、農業災害補償法というものが確立されておるのであります以上、おのずからそこに、たとい條文解釈によつて錯雑するものがありましても、この指導監督の衝に当る農林省といたされましては、指導方針が確立されていなければうそなんであります。今までこれが確立されなかつたということは、むしろどうかしていると私は思います。そこで問題は、やはり役所というものはとかくセクシヨナリズムというか、その組織にこだわりますので、いやしくも保険事業、共済事業につきましては、その所管を統一するということが先決問題じやないか、保険事業の指導に関しては、協同組合部がございますが、これに統合するのもけつこうだし、あるいは現在の保険課に保険事業を統合することもけつこうであります。同じ目でこの保険事業を指導監督されれば、ここに今までの対立の相当部分の原因が除去されはしないか、そして見方を統一いたしまして、指導監督に当ることがぜひとも必要であると考えております。この点は局長に希望を申し上げて、私の質問を終ります。
  41. 井出一太郎

    井出委員長 川俣清音君。
  42. 川俣清音

    ○川俣委員 私は農業委員会法農業協同組合法等の改正については、大臣にお尋ねしなければならない点が多々あるのでございますが、大臣は突然尋ねられても答弁に窮すると思いますので、あらかじめ用意のために質問をいたしでおきたいと思います。というよりは、むしろ私は資料を請求するという形において、時間をさいて質問いたしたいのであります。  今日まで農業協同組合に対して、いろいろな補助がなされて来た。あるいは農業委員会に対しても相当な補助をなされて来たのでありますが、これは一体どういう考え方で補助をせられて来たのか、その考え方をひとつ伺つておきたいと思うのです。と同時に、農業協同組合及び農業委員会に対して、終戦後年次別にどのくらいの金額を補助せられて来たか、この点をあとで資料で御提出願いたいと思います。
  43. 小倉武一

    小倉政府委員 農業委員会協同組合関係の補助と申しますか、国庫負担につきましては、資料として御提出をいたします。  考え方につきまして、ちよつとここで御説明いたしまするが、農業委員会仕事は、これは実は現在は多少かわつて参りましたが、おい立ちから申しますと、これは国の仕事である。農地改革、供出、そういう仕事についてのことがほとんど大部分である。従いまして補助ということは、これは法律の用語になりますけれども、国の負担ということが原則であつたわけなんです。いわば国がまるがかり——実際は必ずしもそうでございませんで、町村あるいは県の相当の負担を願つておりまするが、建前はさようなことになつております。協同組合あたりは、建前はまつたく自主的な団体でございまして、国の負担とか助成ということはまずないというのが建前でございます。ところが制度上大きな例外ができましたので、これは協同組合の再建整備でございまして、これによつて制度として協同組合に助成するという道が開かれたのであります。さらに今回御審議を願います再建整備法案によりまして、制度としての助成の道がございます。なおこのほかに個々の仕事に関連いたしまして、委託費というようなものに近い助成ということは、これは協同組合に限りませず、いろいろの農業団体にございますが、その点を別にいたしまして、制度として助成するというのは、この再建整備に始まるわけであります。そこでこの再建整備ということに関連しました助成がなされることによりまして、協同組合の性格がかわつたかどうか、あるいはかわつた考えるべきかどうかということが、実は観念的と申しますか、協同組合考え方といたしましては重要な問題であろうと思うのでありますが、その点については、私どもはかように考えております。再建整備にいたしましても、今回御審議を願います整備促進にいたしましても、これはいわば臨時の立法であります。協同組合の経営が不況に陥るということは、農村経済に及ぼす影響もございますし、あるいはまた組合金融ということも間接には影響がございますので、またこの協同組合が不況に陥るということにつきましては、国などの責任といつたようなことも理論上考えられるということでございまするので、臨時にこれを助成するのだ、従つて根本的な建前としては、協同組合というものは制定当時の趣旨とは、これによつて変更を受けるものではないというふうに実は考えております。もつともこれは見方の相違の点もございますが、油前としてはさように考えております。農業委員会それから協同組合の助成ということについての私の概略の考え方は、以上の通りであります。
  44. 川俣清音

    ○川俣委員 今私は、補助の年次金額ということを申しましたが、これは負担、助成、委託費を含めて資料を御提出願いたいと思います。  次に、農業委員会について二、三お尋ねしておきたいと思います。今日まで農業委員会が行政の末端を引受けて、相当な成果を納めて来たことは、国民のひとしく認めなければならぬところであります。あの戦後の混乱した農村において、農地改革を行い、または自作農創設を行い、農地の交換分合等を行つて参りました。その功績、あるいは食糧の供出に関与いたしましたその功績は、確かにこれは認めてよろしいと思うのであります。これらの功績は高く評価してよろしいと思うのでありますが、ただこれらの功績があつたからして農民の代表機関だというふうに政府は認めておられるのですか。私はむしろ先ほど局長の御説明にありましたように、政府の行政の末端を引受けて来た一つの民間団体であるというふうに見るのでありますが、これは農民のほんとうの利益代表機関だというふうにお認めになつておるのですが、その点ちよつとお尋ねします。
  45. 小倉武一

    小倉政府委員 農業委員会の、農地委員会以来の過去に営みました機能について申し上げる必要にございませんが、ただこの場合に考えなければなりませんことは、農業委員会が主として末端一種の行政機関として果しておつた仕事のほかに、そういう行政機関としての仕事を通じて農民の利害の代表、利益の代表という機能を案は営んで来たのであります。またこの農地委員会あるいは食糧調整委員会あるいは農業調整委員会あるいは現在の農業委員会というものを通じてみまして、なぜこの農民の直接選挙による委員会一種の行政的な機能を果させたかと申しますると、この機関が如実に農民の利得を代表するということにあつたと思うのであります。そういう基盤があつて、農地改革でありましても食糧の供出の割当でありましても、御承知のように機能が相当程度達成せられた、こういうふうに考えるのであります。従いましてこういう基盤があるとすれば、単に行政機関としての仕事でなくて、村なりあるいは県なり、あるいは国がやつておりまするいろいろの農政上の諸問題についても、農民の利害を代表するということで期待し得られるのではないかというのが今回の改正法案の一つの考え方の基盤になつておるのであります。もちろん農民の利益代表ということは、ひとりこれは農業委員会ばかりがやり得るというふうには参りません。そのほかの各種の農業団体あるいは農民団体が、りつぱに利益代表の機能を営んでおることを認めるのにやぶさかではないのでありまするけれども、国が公の政策を営んで行きまする場合に、もつと組織的に、そうして広汎に農民の利害代表の組織ができておりますということが、国が行政をやります場合においても非常に好都合であるというふうに私どもは考えておりますので、単に国の行政の下請といつた面ばかりではなくて、そういう機能も果すのだということを、今回より多く、またより重く見るという趣旨の改正法案ができておるのであります。
  46. 川俣清音

    ○川俣委員 農業委員会については、これ以上のことは大臣に一般質問をした上でいろいろお尋ねいたしたいと思います。  次に農業協同組合について二、三お尋ねいたします。農業協同組合と商工業協同組合というものがありますが、農林省の所管は農業協同組合でありますが、政府の施策としては商工業協同組合と同じような構想のもとに、この協同組合の育成強化が考えられておると思うのでありますが、なぜ今度の改正は商工業協同組合と特に構想をかえなければならなかつたかというところの理由を、ちよつと御説明願いたい。これはいずれ大臣にお尋ねいたしますけれども、ひとつ局長から御答弁いただきたい。
  47. 小倉武一

    小倉政府委員 中小企業の協同組合農業協同組合の建前がどう違うか、なぜ異ならざるを得ないか、こういうことでございますが、これは沿革的に申しまして、もし抽象的な制度として考えますならば、昔の産業組合といつたような、中小企業でも、農業でも、あるいは労働者でも同じような協同組合を組織し得るといつたよう制度ももちろん考えられると思うのであります。しかしながらだんだんと農業といつたような業態、中小企業といつたような業態あるいは労働者、勤労者を中心とする消費組合といつたようなものが、そこに違いがあるように見受けられるのであります。ことにわが国の農民と申しますと、労働者ともまた中小企業者とも違つた色彩を持つております。そういう違つた色彩が協同組合に反映するというふうに考えられるのであります。もつとも基本的な方針となりますと、おのおの共通点があるのでありまするけれども、日本の農村、それと農民の実情を反映いたしまして、そこに一つの職能的な協同体ということになりますと、別個の法制が必要であるというふうに考えられるのであります。特に今回企図しておりますような中央会の考え方は、これは以前も産業組合自体にもございましたけれども、農民の協同組織として協同組合を育成強化するということが、単に役所だけでやるべき仕事ではない、むしろみずからの団体を通じてやるということがより効果的であるというふうにも考えられますので、そういう機能を最も大きな機能といたしました中央会というような組織も、そういう意味で考えられはしないかと存ずるのでありますので、中小企業等の協同組合におきましても、中央会といつたような組織が、これはなくてよろしいというわけではないと思います。以前の商工協同組合の時代には、やはり商工組合中央会がありましたのですが、戦後の考え方は、こういう育成強化ということは政府みずからやるべきであるという点が、各協同組合制度を通じて共通点になつてつたようでありますけれども、過去五箇年あまりの経験を通じまして、やはり協同組合がみずからの力でもつてみずからの発展をはかるということに、国が助力するということも同時に必要であるというように考えまして、今回の改正になつたのであります。
  48. 川俣清音

    ○川俣委員 中小商工業協同組合農業協同組合との政府の施策としては、私はやはり同一な構想で行わなければならぬと思います。但しその特殊的な業態に応じて育成の方法あるいは強化の方法が異なることは、今局長の説明の通りでありますが、それではなぜ商工業協同組合はかなり自主的な運営をいたしておりますのに、農業協同組合はとかく自主的な運営に困難を来しておるか、この点をどういうふうに見ておられますか。中小商工業は、やはり農業と同じように相当不況の中にありながら、とにかく自主的運営をはかつておるのでありますが、農業協同組合がなぜ自主的な運営をはかり得ないのであるか。従つてこれに対して特別な方法を講ずるというのでありますが、なぜ一体協同組合が自主的な運営に欠けるところがあるのであるか、これをどう見ておられるか。
  49. 小倉武一

    小倉政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、私のお答えで足りるかどうか疑わしいのでありまするけれども、お尋ねによつてお答えをいたしますると、一つは中小企業と農民というものを比べてみました場合に、経済的な力というものが、同じ中小企業あるいは零細企業ということで一括されましても、その中小の程度あるいは零細の程度において、やはり格段の相違があるように思うのであります。それからまた農業につきましては、中小企業以上に、特に戦争中から現在にわたりますまで、国あるいは県、あるいは町村等の関係が、中小企業の場合よりも農民あるいは農業の場合は非常に、密接不可分の関係に実は相なつております。これは国や県の援助ということもございますし、あるいはまた供出制度といつたようなことも関連いたしまして、どうしても統治団体と申しますか、公共団体との関連を無視し得ざるような状態であります。そこでおのずから組合の性格も違つて参ります。中小企業でございますれば、町や市やあるいは県とさほどの密接不可分の関係はございませんけれども、農業協同組合となりますと、どうしても町村あるいは県とより一層密接な関係に相なるわけであります。そうなりますと、自主性が薄れるということももちろん考えられますけれども、何と申しましても、やはりそういう統治団体、公共団体との関連を考えなければならぬということで、おつしやるような自主性が、法制上はほぼひとしくても、実行上薄れて参るということになるのはこれはやむを得ないのではないかと思うのであります。もちろんこれでよろしいというわけではございませんで、むしろ弊害こそあれ、必ずしも望ましいことではないと思うのでありますが、実情としてなぜ自主的な運営ができないかということを考えてみますと、やはりそこに農村の経済力が弱い、それから県、町村といつたようなものと特別深い関係がある。もちろんこれは中小企業協同組合との相対的な関係において申し上げているのでありますが、さようなことが考えられはしないかというふうに思うのであります。
  50. 川俣清音

    ○川俣委員 農業の持つ特殊性からして、災害等の被害を受ける、いわゆる天災を受ける率が非常に多いという点も考慮されなければならぬと思うのでありますが、それと同時に、農民の経済的基盤が弱いということ、浅いということは、もちろん天災にもよりますけれども、もう一つは、農産物の価格政府がある程度押えておる。特に米価においても麦価においても、政府の行政の無理な強要の結果、農民の経済力が弱体化しておるのではないか、この弱体化を別な方面から、補助や助成あるいは他の何らかの形で補うというようなやり方自体に、大きな欠陥があるのではないかと思うのですが、この点についてどのような見解を持つておられるか。むしろ局長が自主性が望ましいというのでありますれば、農民の持つておる経済的基盤、おのおのの農家の基盤を強化してやることが、ほんとうの自主性を尊重する経営をなさしめることになると思うのです。こういう法律によつてのみこの強化をはかろう、あるいはその発展を望もうといいましても、これは大体無理じやないかと思うのです。この点は局長に聞くことは無理であるかもしれませんが、一応これは聞いておいて、後ほど大臣が見えてからもう一度御質問いたしたいと思いますが、この点についての御答弁をもう一度伺いたいと思います。
  51. 小倉武一

    小倉政府委員 仰せの通り、実は私からお答えする問題ではないように思いますけれども、せつかくのお尋ねでございますので、私見を申し上げてお許しを願いたいと思うのであります。これは御承知の通り、国が零細な補助をするといつたことよりも、農産物価格をしかるべき価格で維持するということによつて、農民経済の向上をはかり、ひいては組合などの自主的な運営が期待できるということが当然の根本方針であるべきだと、私は思うのであります。ただそれができませんのは、御承知の通りこれは農民でありながら、一方米を買わなければならぬ、あるいは都市の勤労者の生活水準もさほど高くないといつたようなことが、米価あるいは麦価を圧迫しているという実情でございます。そこに米価問題のむずかしさがございますが、先ほど仰せのように、農民経済の向上なり、ひいては農業の発展、あるいはその団体の自主的運営ということを期待いたしまするには、本筋としては、農産物が適正な価格で売買されることが根本でなくてはならぬというふうに考えるのであります。
  52. 川俣清音

    ○川俣委員 私はもつと続けて質問いたしたいですが、林野庁長官が見えて、芳賀委員から何か緊急質問があるそうですから、私はこれで午前中の分は打切りまして、あらためて質問を続行いたしたいと思います。     —————————————
  53. 井出一太郎

    井出委員長 この際林野庁職員の給与問題につきまして、前会に引続き質疑を許します。芳賀貢君。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私はただいま議題になつているところの農業協同組合法の一部改正、農業委員会法の一部改正の両案については、農林大臣の御出席の場合において、むしろ農業団体の再編成という根本的な展望の上に立つて大臣の所見をただし、それからこの審議に入りたいと考えているので、本日はこの両案に対する質疑は避けまして、ただいま委員長からお許しを得ました林野庁職員の調停案の勧告に対して、先回の委員会においても、林野庁長官からごく平面的なお答えを願つたわけでありますが、この勧告をめぐるところの両当事者の受諾の問題等は、結局現在進行している予算案と一連のつながりがあるし、かかる不可分の関係の上に立つて、時間的にもそれほど荏苒を許さぬというふうに考えているので、実は大臣が御出席であればなおよかつたわけでありますが、林野庁長官から、その後の具体的な進行状態について御説明願いたいと思います。
  55. 柴田栄

    ○柴田政府委員 その後調停案の検討に入りました。調停案によりますと、調停案実施に対します裏づけにどれくらい要するかということを計算いたしてみた次第であります。そういたしますと、総額において十七億九千四百万円余ということになるわけでありまして、これが予算上の措置、すなわち財源をいかにして確保できるかということでいろいろ苦慮いたしておりますが、現在なお大蔵省と折衝を続けております経過から見ますと、ただちに本年度の予算の実行においてこれを確保するという見通しが、私どもといたしましてもつきかねておりますので、その点で実は大蔵折衝が具体的に展開しないという状況にあることを申し上げざるを得ないと思います。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御説明によると、予算的な面において大蔵省の了承を得る困難性というものを指摘されているわけであります。これは今後の問題になりますが、たとえば一例として予見できることでありますが、労働組合側においてこの勧告を受諾したような場合でも、大蔵省の予算上の了承が得られないという場合には、林野庁としては、それを理由として受諾しないというお考えでございますか。
  57. 柴田栄

    ○柴田政府委員 受諾を得られる、得られないという問題は、おそらく予算において新しい財源を私どもで見出し得るという見通しがつかなければ、かりに私どもが最大の努力をいたすとしても、なかなかお受けいたしかねる問題が出て参ると思いますが、現在最大の努力をいたしましても、増収その他によりまして、本年度の予算内において処置することはなかなか困難な見通しで、非常に苦慮いたしている次第でございまして、組合側においてこれを受諾するといたしましても、なお私どもには相当問題が残るということを申し上げなければならぬと思います。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、本年度の予算内においてはなかなか困難性が多いという場合においては、もう一つの具体的な処理方法として、過去における累積された原資等を考えて、そういう点で解決ができるような可能性はどうですか。
  59. 柴田栄

    ○柴田政府委員 この問題はもしこれによつて処理するということになれば、きわめて簡単な問題だと思つておりますが、実際に私ども特別会計の経過から申し上げまして、実は歳計剰余金の累計で現在百七億ばかり預金部預託があるわけでございます。これは実は従来昭和二十二年から特別会計を創設し、実施に入りまして以来、二十四年までの赤字の経営に非常に苦慮いたしておりました関係上、仕事の内容において非常に手を省かざるを得ないという問題がありましたので、それらに対します今後の必要なる事業を盛り込んで行くということになりますと、今ただちにこれに手をつけるということは、特別会計自体として、私どもとしてはちよつとできないという立場に立つておる次第でございます。何といたしましても、この問題は二十八年度の予算において実施するという見通しを立てたいということでやつておりますし、さらに今後二十九年度以降においても同様の経営内容においてこれを確保するということを考えません場合には、一旦財貨の変動等がございましたときに、これを食いつぶした場合に、特別会計自体も、成立しないという危機にただちに追い込まれるということで、この百七億に関しましては、近い将来において見通しを立てまして、特別会計の損失補償の積立金として考慮しなければならぬものだというふうに私どもは考えておりますので、非常に安易な方法には考えられますが、これには手をつけられないというふうに私どもも考えておることを御了承願いたいと思います。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 六月二十六日に出された勧告案の内容につきまして、あれを性格的に分析した場合においては、むしろベース改訂というようなことでなくて、非常にアンバランスになつている点を是正しなければならぬというような、消極的な面における是正の勧告が主体になつておるというふうに考えるの、であります。そういうことしなると、これは何としても一般ベースの改訂という尺度において考えるのではなくて、非常に遅れておるところの林野庁職員の待遇を、まず一応の線まで引上げてやらなければならぬという配慮が前提にならなければならぬと思うわけでありますが、こういうところに、できればこの勧告を可及的すみやかに実施すべきものであるというふうに私たちは客観的に見ているわけです。たとえば昨年の十一月における国鉄仲裁の場合においては、これが一万三千四百円、専売公社の仲裁裁定は一万三千七百円、電通に対しては一万四千七十五円というように、昨年の十一月においての裁定等も行われておることを考えた場合において、これは特に林野庁職員の待遇を抜きんじてよくするということでなくて、アンバランスになつておる点を、たとえば三号俸程度是正してやるとか、あるいは労務職員に対する一割程度の配慮であるとか、こういうことは、時間的にもすみやかに予算内に組み入れて、大蔵省の了承を得るよう、あるいは長官みずから、あるいは農林大臣を通じてやつていただかなければならぬと思う。これと関連しまして、郵政職員の、いわゆる電電公社とのアンバランスの問題等も、聞くところによると大体明るい見通しが持てるというようなことでありますので、これらの一連のつながりの上において一段と努力をされる御決意のほどをお伺いしたいのであります。
  61. 柴田栄

    ○柴田政府委員 ただいまの芳賀委員お話は、私どもも内容におきましてまつたく同感でございまして、実は私どもの職員は、仕事の内容が比較的単純で、横に非常に幅が広いという内容を持つておりますので、現在までの職階制によりますと非常に頭打ちが多いという関係上、他の現業等と比較いたしますと、お説の通り非常に不公平な点があるということは私ども十分認めております。さらに最近におきますと、地域給等に関しまして、実は私どもの方は都会を離れたいなかで仕事をする面が多いので、現在の地域給によりましては地域給を受ける範囲が非常に狭くなるというような関係等もありまして、現状においては、それらの点も勘案して、アンバランスが非常にひどいということを率直に認めざるを得ない。少くともこの面に関しましては、私どもも全力をあげてこれらの実現に努力いたしたいということで、その範囲内におきましては、私どもといたしましては財源はほとんど見通しを立てております。大蔵省との折衝においても相当の見通しはあるわけでございまして、今着々進めている次第でございます。その他労銀に相当いたします定員外の職員の待遇に関しましては、調停案に指示されておりますような点は、即刻考慮に入れて不合理を是正するということも考えたいと存じますし、実は賃金に相当する内容が非常に複雑になつておりますのと、地域的に非常に異なつた環境にありますために、賃金の基本体系を統一的に立てるという困難さがありましで、実情におきましてはそれらによるアンバランスもこれは率直に認めなければならぬと思つておりますので、この際それらの点に関しましても、これは一応現在の予算内においてただちにこの不合理性の是正に着手いたしまして、合理的な賃金体系を確立して合理化しようという考えは持つておりますので、実際に働く職員に対しましては、これらを通じてある程度の合理化された待遇改善は可能であるという見通しを持つております。定員内の職員に関しましても確かに他と比較して低過ぎるということを認めておりますので、この際この調停案を基礎といたしまして、一応他と均衡をとらしていただくような実現には、責任を持つて最大の努力をいたしたいということを申し上げます。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの長官のお答えによつて大体了承できたわけでありますが、この際委員長にお諮り願いたいことは、この問題は先日来私が主として質疑を行つたわけでありますが、特定の党の立場等を離れて、現われている矛盾に対する是正等は、特に当委員会等においても一つの配慮が行われてしかるべきものと思いますが、これらのことに対する委員会の行動の限界というものはおのずから規制されているわけでありますが、そういう限界を委員長においても十分御研究の上、最大の世界における最大の配慮をひとつお願いしたいと思いますが、その点お諮りを願いたいと思います。
  63. 井出一太郎

    井出委員長 了承いたしました。川俣清音君。
  64. 川俣清音

    ○川俣委員 芳賀委員からるる御質問があつたのでありますが、私は二、三点、長官の決意をもう一度確かめておきたいのであります。今大体誠意を持つてここれ当るということですが、この調停案を長官は妥当と認めて善処されるのであるか、またはこの調停案というものは少し無理だ、不当だというような考え方で対処されておるのでありますか。その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  65. 柴田栄

    ○柴田政府委員 調停案全般につきましては、全般の情勢等をも私どもは勘案いたさなければならぬので、ベース・アップの点まで入りますると、現状においてこれがベース・アップという点を考えてはたして妥当であるかどうかという問題に関しましては、実ははつきり申し上げることを差控えさしていただきたい、こう考えております。この調停案には、一部私どもの減員全体にわたりましてのでこばこ、その他特殊事情等によりまする他の部面との均衡以下にあるという点におきまして、調停案の内容は私どもも十分妥当性をもつて了承いたしておるということをはつきり申し上げたいと思います。
  66. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると、あなたは善処するという基礎をどこに置いて善処されるのか。この調停案がやや無理であるというような見解でありますれば、その善処される基礎をどこに置いて善処されるのか。おそらく善処するというからには、どこかに基礎がなければならぬ。その基礎をどこに置いておるか。この点を明確にされたい。
  67. 柴田栄

    ○柴田政府委員 はつきり申し上げますると、ペース・アップに相当するものだけは今回は考慮に入れないで、他の面において最大の善処をさせていただくということを申し上げているわけであります。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 私は昭和十一年、昭和十二年においても、旧議会においても、営林所管における待遇が非常に劣つているために、一般の公務員との比較においても能率の上らざることを指摘し、しかも労力の過重である点を指摘いたしておるわけであります。それ以来善処方を望んでおるのでありますが、今日の状態から見ましても、調停案において指摘されておりまするように、職員の給与においてはその大きな業務の内容、職務の性質、職員の厚生、労働條件等にわたつて、一般の国家公務員とは著しく事情を異にするということを認めておるのですが、この点は長官も認めておられるはずです。されば、もし職めておられるとすれば、一般の公務員並にベース・アップしなければならぬ、それ以上にしなければならないということは、あなたはお認めにならないのですか。現状は違うということを認めておりながらベース・アップは困難である、あるいは一般の公務員よりも低くてもいいというような考え方で林野行政をおやりになるわけですか。おそらくそれでは林野行政が立つて行かぬと思うのですが、この点はいかがですか。
  69. 柴田栄

    ○柴田政府委員 率直に申し上げますと、ベース・アップの問題は、実は私どもは最初の問題でございます。まずその前に、ただいま御指摘になりましたベース・アップの基礎になるものを、この際調停案にお示しを願つたところに従つて一日も早くつくりたい、こういうことを申し上げている次第でございまして、さらに公務員全体のベース・アップの問題につしては、別途に考えさせていただきたい、こういうことでございますので、御了承を願います。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 時間がないので、いずれまた月曜日の小委員会において、もう少しはつきりいたしたいと思いますが、この理由の中にも、「国有林野事業に従事する職員と労務者との実態の把握並びに調査統計資料等の整備は関係当事者間においても充分とは言えず」こういうように説明されております。こういうように事業量の内容等を十分把握しないでおつて、どうもベース・アップが困難だというようなことを言われることは、みずからの経理、運営の中に幾分ずさんな点がありますために、大蔵省との折衝がうまく行かないのじやないか、林子行政の上における運営がうまく行かないために、大蔵省との折衝がうまく行かないのじやないかと思うのですが、その点どうですか。
  71. 柴田栄

    ○柴田政府委員 さような意味でべース・アップの問題に触れている次第ではないのでありまして、ベース・アッフの問題は、一林野関係のベース・アツプの問題では解決しない。かように考えますので、現状からいたしまして、ベース・アップの問題はさらに私どもにおいても検討する余地があるということで、この際はベース・アップを除いて、他の現状における不公正を特急是正させていただきたいということでございます。ここに示されておりまする問題は、定員外の職員の問題でございますが、これは先生も御承知だと思いまするが、事業分量が一定いたしましても、山によつて仕事内心がその場所場所によつて違うという特殊性がありまするので、私どももいろいろな資料を整備いたしておりまするが、的確につかみ得ない。これは組合側においても、実は現状においては的確につかみ得ないという問題があるわけでございまするが、それがゆえにずさんな仕事をしておる、もつとしぼつたら出るだろうということにはならない、こう思われるので、御子献願いたいと思います。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 その点、それで十分とはいえませんが時間がありませんから……。いずれにいたしましても、林野行政の上から、当然質と量に応じて賃金が構成されるのが今日の情勢でなければならぬのであります。この質と量を職員及び従業員、労務者に負わせておりながら、それをみずから解決できないということでは、私は林野行政の第一段が破綻するのじやないかと思いますが、その点どうですか。
  73. 柴田栄

    ○柴田政府委員 御指摘の点はまことに私どもも恐縮いたしておりますが、この際、従来もでこぼこ是正に関しましては、職階制度の再検討のたびに一部是正をいたして参つた次第でございますが、現在の職階制による仕組みと、私どもの国有林野事業の関係とは、必ずしもうまく行かない点があるわけでございますので、今後はこれらの取扱いに関しましては、団体交渉をもつて合理化をはかつて行くという考えでおりますが、営林といたしましても、ただいま申し上げました通り、従来のでこぼこ是正が十分に行かなかつたために不合理になつておるという点を、私どもは率直に認めておりますので、この機会に解決さしていただきたいということで、最大の努力をいたしておるということを御了承願いたいと思います。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 でこぼこを直すだけでは不十分であるというのが芳賀委員からの意見でもあるし、またわれわれといたしましても、将来の林野行政を国家の産業の基礎として日本の増林計画を立てて行かなければならないときに、やはり相当な質と量を職員に負わして行かなければならぬと思います。その建前から、もう少し長官も熱意を持つて、これらの職員の給与の上において善処されなければ、なかなか末端は動いて参りませんよ。これは大蔵当局が理解がないというのは、今日の林洋行政に対する理解がないというところから来る。こういう点に長官みずからが反省されなければならぬ。単にべース・アップだけの問題ではない。大蔵当局の理解がないというところに今日の林野行政の紛糾がある。単にベース・アップの問題だけではない。この理解さえ深めれば、このベース・アツプの問題は容易に解決できると思いますから、もつとその点を大蔵当局と交渉されるようにわれわれは望みますとともに、われわれは委員会においても善処いたしたい。しかしわれわれが善処いたしましても、長官の腰がふらふら腰ではだめですから、その点しつかりお願いいたします。
  75. 柴田栄

    ○柴田政府委員 不当な職員の待遇の悪さに関しましては、全責任を感じておりまするので、私といたしましては、最大の努力をもつて絶対にその点では腰砕けはしないという覚悟を持つておることを御了承願いたいと思います。  さらにでこぼこ是正によつてというだけでは済まないというお話でございますが、でこぼこ是正ということの中には、職階によるでこぼこ是正と、林野の特殊性というでこぼこをもこの際ぜひ直したいということでございまするので、御了承願いたいと思います。
  76. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 関連して。ただいま川俣委員から質問された問題について、私も林野庁の職員諸君から聞いているのですが、林野庁長官は、この問題に非常に御熱意を持つていられるというので、職員諸君はあなたを非常に感謝して、たいへん期待をかけていられるのです。今の御答弁でも、一生懸命やつておいでになる御帳子でございますが、この問題について大蔵省とどういうような折衝をなさいましたか。  それからあなただけ熱意を持たれても、大臣が第一その気にならなければこれはものになりませんが、大臣就任されて日が浅いのですが、大臣とどのような話合いをなさつておられますか、その二点についてお伺いしたい。
  77. 柴田栄

    ○柴田政府委員 大蔵折衝におきましては、事業内容を現在全部洗つておりまして、それによつて新しい財源の捻出の了解を得ておる次第でございます。まだ具体的にというところまでは行つておりませんが、私ども最大の努力の点までは是が非でも認めていただきたいということで、熱意をかけてやつておりますことを御了承願いたいと思いますが、新大臣に対しましても、調停以来の経過は詳細に申し上げております。さらにこれに善処する方法といたしまして、ただいま申し上げましたことは、大臣にも十分了解を得ておるというつもりでおりまするし、時々連絡をとつておりまするので、大臣自体も、この問題はできる限り善意を持つて解決しなければならぬ、こういうふうに私どもにも御指示をいただいておりますことを申し上げたいと思います。
  78. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 赤旗をかついで騒いでいるのにはめんどうを見てやるが、おとなしくしているのには見てやらないというような傾向が最近まであつたのですが、こういうことではまじめな者が損をすることになつてしまいますので、この際林野庁の職員諸君の要求はきわめて穏健でありますし、妥当であると思いますので、長官も一層努力をされたい。われわれもできるだけ考慮をしたいと思つておりますが、また大臣にも会う機会がありましたら、われわれの方からも十分お話をして協力をしたいと考えておりますから、善処を要望いたします。
  79. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこの程度をもつて散会いたします。     午後零時五十四分散会