○
小倉政府委員 ただいまの
お尋ねでございまするが、この
普及員制度と
協同組合の
技術指導、この
両者の
関係について、どうもすつきりしないものがあるではないか、こういうことがございまして、それからの
お尋ねだと
承知するのであります。これは沿革的に申しますると、農会、
農業会という
制度が終戦後根本的に改革されまして、
農業会の
技術指導を国が助成する、特にその人件費について助成をするということをやめまして、地方庁の職員としての
普及員に、国が人件費を助成するという
制度に切りかえて、いわば
農業会がや
つてお
つた仕事を、県庁なり国が取上げたというかつこうにな
つておるのでありますが、そういう沿革の
関係もございまするし、それからその後の事態を
考えてみましても、一方国と県が協同してや
つておりまする普及事業のほかに、依然としてやはり
協同組合が自主的に
生産技術の
指導ということをや
つておられるのであります。従いまして、
現実にそこに何らかのトラブルがあるということも、地方によ
つて、村によ
つてはあり得ることだと私どもも
考えております。この点につきましても、
考え方でございますが、
技術指導ということは、これは
食糧増産の根本の問題であろうかと思うのであります。従いまして、これを趣旨として、農民の
団体、結局は
農家の経済的負担においてやるということでなくて、本質的には、やはり国、県等の公共の費用でやるということが、私は根本の建前でなくてはならぬのではないか、かように思うのであります。
技術指導だからとい
つて、これを
農業団体にか
つてにやらしておくのではなく、国がある
程度の、
一定の助成をするということがいいのではないかということであります。それでは国なり県なりが、投入をもつと増員いたしまして、全部公務員でや
つたらどうかということになりますけれども、これは
程度問題でございます。特に県の役人といたしまして、
末端の
町村におるということになりますると、これがどういう活動ぶりをしておるのかという監督というようなこともなかなかできにくい。ただ村でぶらぶらしておるという非難がむしろ生じやすいように思います。他方また、一人の
指導者が
技術者としていかにりつぱでありましても、村のいろいろな有識者の
協力というものがなくては、成立がなかなかむずかしい。ところが
日本の
農家の場合に、
普及員に
協力して、自費でも
つて村をかけまわ
つて技術指導をしてもらうというような篤志家を期待することは、なかなかむずかしいのであります。従いまして、この
普及員制度の欠陥と申しまするか、足りない
部分と、それから村のこうい
つたような、
日本の農民の置かれたような実情とを考慮いたしまして、国なり県なりが援助する、村の技術上の
指導者というものを置くということが必要にな
つて来ると思うのであります。そういうふうな
考え方で、普及事業の
技術指導と、村に実質的に補助するというような二つのやり方が、
協力してもらうということによ
つて、初めて
技術指導が徹底的に
農家の欲するように行い得られるというふうに
考えるのであります。そこで
末端の
技術者をどこに置くかということでございますが、これはいろいろの、先ほど
足立委員からも
お話がございましたようないきさつもございますが、
末端の
技術員を補助する場合に、どういう機関なり機能であれば、最も国の
財政支出が容易に、最も手厚くできるかということを
考え、他方
委員会の
仕事、あるいは
協同組合の
仕事、その他
農業関係の
技術指導に最もよくサービスし得る態勢はどうであるかということを
考えました場合に、
農業委員会の書記を
技術員に一人切りかえ、そうして
協同組合の
仕事と
協力して行くということが、やはり
現実的に最も有効な
方法ではないか、かように
考えたのでございまして、御心配の点はもちろん私どもも同感でございまするが、こういうことをいたしますならば、
両者の間にだんだんと了解がつきまして、技術の
指導あるいは
農業生産技術の発展のために、非常に望ましい効果が期待できる、かように信じておるのであります。