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1953-07-02 第16回国会 衆議院 農林委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君    理事 佐竹 新市君 理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    川俣 清音君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (食糧庁総務部         検査課長)   松岡寅治郎君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二日  委員佐竹新市君辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月一日  農業機械化促進法案平野三郎君外十六名提出、  衆法第一四号) 同日  桑園の凍霜害対策確立に関する請願小山倉之  助君紹介)(第二二二三号)  凍霜害対策確立に関する請願原茂紹介)(  第二二二四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  蚕糸業振興に関する陳情書  (第五二六号)  電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関する陳  情書  (第五五  三号)  凍霜害並びにひよう害対策に関する陳情書  (第五五四  号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による農林漁業資金  の償還延期陳情書  (第六〇二号)  ジユデイ台風及び豪雨による被害のため政府所  有の麦類原価払下げに関する陳情書  (第六〇三号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による麦類菜種の  政府買上げ並びに検査手数料免除陳情書  (第六〇四号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による麦類菜種等  の種子確保並びに菜種特別補償に関する陳情  書(第六〇五  号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による農業共済金の  概算払並びに営農資金の助成に関する陳情書  (第六〇六号)  ジユディ台風及び豪雨被害による開拓地営農  資金貸付に関する陳情書  (第六〇七号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による災害荒廃地並  びに災害林道復旧に関する陳情書  (第六〇八号)  ジユデイ台風及び豪雨被害による農地及び農業  用施設応急工事費補助並びに復旧繋資金の融  資に関する陳情書  (第六〇九号)  兵庫県の麦類被害対策に関する陳情書  (第六一〇  号)  梅雨前線及び台風第二号による被害対策に関す  る陳情書  (第六一五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農産物検査法の一部を改正する法律案金子輿  重郎君外七名提出衆法第一六号)  昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被  害農家に対する資金の融通に関する特別措置法  案(内閣提出第八七号)  農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関  する法律案内閣提出第一〇〇号)の取扱いに  関する件  駐留軍の行為による農林関係損失補償に関す  る件  食品に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  金子與重郎君外七名提出農産物検査法の一部を改正する法律案議題といたし、昨日に引続き審査を進めます。質疑または意見があれば発言を許します。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題については、昨日の提案理由説明によつて大体了承されたわけでありますが、なお一、二点についてお伺いしたいと思うのであります。  第一点は、委託加工をやる場合においても検査を受ける必要があるという点でありますが、委託加工をやる場合においても受検しなければならぬのは、生産者利益をどのように保護するという意図から出ておるか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  4. 金子與重郎

    金子委員 委託加工をやる場合にどうして事前に検査をする必要があるか、それは結局委託加工のような形においで次の形へ変化をするのであつて、それは売買でないのだから、そのところを押えて、委託加工をする者に対して検査をすることについて疑問があるが、どうかという点であります。この点は農家人たち個人々々にいたしますと、自分でつくつておりますものの規格がどういうものであるかということが、きわめてあらましの点でなければはつきりわからない。一方検査をいたしますことによつて、御承知のように検査品規格というものは、粉なりあるいは精麦なりにするものに対して、一等、二等、三等、各等級ごとにどれだけの歩合が出て来るのだという製品別歩合というものを検査の中には相当大きいウエートを持つて規格をきめておりますので、従つてこれだけの等級のものを何俵出せば製品が何貫できるということは、取引でなくとも委託加工の採算上、はつきり出て来るはずなんであります。それをつかんでいた方がかえつて農民の方には利益になる。それをしないということになると、無検査物を込みでやると、あなたのは非常にいいと思つたけれど、こなしてみたら案外歩が出なかつたというようことで、結局こみやられてしまうのではないか、それなら農民保護立場において、やはり無検査のまま加工委託して行くということは、その加工者についておるわけじやありませんから、結局加工業者にこみやられる心配がある。それが一点と、もう一つの点は、委託加工でございますという名において運搬する。そうして工場へ入れてしまうと、それをこなしてしまつて、実質的には売買清算をするというふうな悪弊を生む。この二点がその理由であります。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 第一点の理由の場合は、従来の検査法よりも一歩前進したよう形なが含まされておるということは察知できるわけでありますが、そういうような生産者利益を守る指導的な意味が含まされておるとすれば、検査を受けた場合に、たとえば一等品であるとか二等品の場合、製粉の歩どまりとか何とか、そういうもののよるべき基準等を、何らかの方法で示して、この条項の持つておるところの目的が、さらに具体的に達せられるような措置を、あわせてするようなお考えがあるかどうか。
  6. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの御説は非常にごもつともな御意見だと思います。従来の検査というものが、検査員が無機的にさしを通して、規格をきめて、そうして供出に追い込むというような、ややもすれば、非常に指導的な立場から離れた検査のあり方が非常に間違つておるので、むしろこういつた機会に、生産物規格に対しましては、さかのぼつて品種肥培の問題にまで及び、またその後においては、芳賀委員のおつしやるように、この規格品はどれだけの生産歩合が出るのだということを、法律として出さないまでも、これを今後の検査の方針、農村の生産者指導という立場に前進させるよう別の立場において要望したい、こういうふうに考えております。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお伺いしたい点は、この調査の条項でありますが、この改正案によると、農林大臣が必要と認めた場合においては、生産者販売業者加工業者あるいは倉庫業者に対して、必要な事項報告を徴することができる。それと同時に、これらの圃場事務所事業場倉庫その他必要な場所に立ち入つて調査させることができるということが、規定されておるわけであります。生産者を除くそれ以外の業者等に対しては、この改正案趣旨を実施するためには、当然必要な措置と思いますけれども、生産者に対して、今までより一歩前進して、報告を徴するとか、圃場に立ち入るという権限を持つということは、理由としてはいろいろあると思いますけれども、この規定から見ると、何か生産者自主性というものをある程度抑圧するような感じを受けるわけでありますが、これらについて具体的に、生産者がこの条項に挿入されておるという点についての御説明を願いたいと思います。
  8. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの御質問は、この法律が、一つ取締りというような観点に立つて、その部面から見ましたときに、生産者あるいは業者というものを並べて書いてあるというところに、ただいま芳賀委員のおつしやる通り考え方として、生産者にその必要がどこにあるかという感じの起ることはごもつともだと思います。私自体もこの法文の並べ方に対して、そういう感じが出るということに今気がつかないわけではないのでありますが、ここの条文は、検査に対する全般の問題に対しての問題を押えたために、生産者に対する報告ないし圃場立入りというものと、加工業者販売業者に対するそういう場合とは場合が違うのでありまして、たとえば採種組合等は、常に種子用のものを検査するという立場になりますると、地方の採種組合役員等検査員圃場に直接立ち入りまして、そうして出穂が一斉になつておるかなつておらぬか、あるいは熱期が、この辺で刈つてもらわないと困るとか、あるいはもう少し早目にした方がいいとかいう具体的な問題を、直接取扱う場合が多いのでありまして、そういう場合にはやはり圃場へ入つてもいいのだということをきめておく必要があるというのが、ここに関連があるのであります。また生産者から報告をしてもらうということは、いろいろ検査に至るまでの間、あるいは検査の後において、肥培管理指導的な立場に一歩入るためには、いろいろ生産者からも報告をとることがあるかもしれない。そういうときに、検査員には報告する義務がないというようなことでつつ張られないために、ここへ軽くそういう意味を取上げてあつても、別に支障がないのではないか。従つて決して生産者が、要するに検査規格品あるいは無規格品を移動することの取締りというような考え方で、ここへ生産者というものを入れたのではないのであります。ただ、ここへそういうものと一緒に並べたところに、ただいま芳賀委員のおつしやるような、感じとして割切れないようなものが出ておると思うのでありますが、実はそういうことであるので、御了承願いたいと思います。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 御趣旨の点は大体わかるわけでありますが、しかしこれが法文となつて、さらに末端の、現地の実際にこれを取扱うところの食糧事務所の職員あるいはこれの適用を受けるところの生産者立場においても、一抹の不安さえもないような状態の中においてこの法の目的を生かすということが、最善の配慮であるというふうに考えられるわけであります。もちろん今後の農産物検査目的というものは、一つ農産物市場性を高めるというような、そういう見地から見た指導性というものは、最高限度に活用されることが必要であつて、そういうために、検査を受ける前に、その規格品を一応見てもらつてそれらの指導を受けるとか、あるいは種子法規定によつて圃場において、いかに良心的な種子が栽培されるかという成育の過程をも確認する必要はもちろんあると思うわけでありますが、そういう場合においては、特にこの法の精神の持つておるところの指導的なねらいというものは、もう少し条文の中において明確化した方が、さらに生きて来るのではないかというふうに私は考えておるわけでありますが、こういう点について、さらにこの点を再検討するお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  10. 金子與重郎

    金子委員 ただいま芳賀委員のおつしやいました御意見に対しては、提案者はまつた同感でありまして、その点はむしの私の方から提案をいたしまして、それをはつきりと打出さなかつたところに、まだ提案者踏み切りがつかなかつたような感も、率直に申し上げるとしておるのであります。今までの検査というものは、ただ単に無機的に、できた物を規格統制をして、そうして政府に売り上げるということに対しては、提案者も非常に遺憾に思つておりますので、検査というものは、単にできた物に対して一つ等級づけをするという無機的な考え方ではいけない。そういう物ができた原因、あるいはできた後において、その規格をつけたための農民利害関係という、その前とうしろにわたつて、非常に考え方を広く、あくまで指導的な見地に立つて検査をすることにおいてこそ、農産物検査特異性があると思いますので、できるならばそういう条項を設けて、今問題になつておりますところも、別わくにすれば非常によろしいと思うのでありますが、考え方としてはまつた同感であります。ただこの点法案の作文上踏み切りが弱かつたということは、私自身も考えておるところでございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの提案者の御説明によつて大体了承されたので、その言われるところの、踏ん切りの悪い点をどうか是正せられるように期待するわけであります。
  12. 田口長治郎

  13. 川俣清音

    川俣委員 農産物検査法改正の要点について、提案者意図及びねらいはよく理解できるのでありますが、二、三質問いたしましてこの法の運用の適正を得たいと思います。  問題は生産者から買受けまたは売渡し委託を受けるという点について、今日までの状態から見て、これに受検義務を負わせることは私は当然だと思う。ただ問題は、芳賀委員からも質問の出ました、みずからの消費する目的加工委託をする場合はこの限りではないという規定を設けておりまするけれども、しかしながら委託加工ということになりますと、どこまでがみずから消費するものであるか、あるいは販売または売り渡すための加工委託であるかという限界が、なかなか容易じやないと思うのです。これを誤りますると、わずかな反別をもつて自家用につくつておりますものを非常に圧迫することになる。将来ますます拡大しなければならない生産を阻害するような結果にもなる。これは金子さんのような麦作地帯でありますれば、割合に問題はないと思うのです。これは譲渡用であるとか、あるいは売渡し用であるとかいうことは、生産状態から見て割合よくわかるのです。自家用加工であるかどうかということは、その耕作者耕作面積に応じて規定できるのですが、金子さんの考えておられる以外の、たとえば非常に遅れておりまする、ようやく二毛作に入つたところなどにおいては、実際耕作する者自体が、売り渡すためにつくつておるのか、あるいは試験的につくつておるのかという問題もあるのです。そこで一体こういう検査を一々受けなければならないということになりますと、ようやく二毛作の奨励に入つておるときに、やはり大きな阻害になりはせぬかという不安が出て来る。これは大きな麦作地帯では問題はありません。むしろ私は、後進的にようやく二毛作地帯に入つたところへ、こうした制限を設けることによるところの被害の方が大きいという感じがする。そこで問題は、ようやく二毛作地帯に入つたようなところは除外する考え方があるかどうか、お伺いしたい。
  14. 金子與重郎

    金子委員 これは非常にむずかしい問題でありまして、それならどこまでが自家用なんだ——たとえば農家の人がリヤカーの上へ未検査品をつけて、これは加工委託するのだということで持つてつたときに、これを自家用目的であるか、あるいは販売用目的であるかということを認定するものは、結局第三者の認定というか、常識によつて、たとえばその家族の構成員が、それだけのものがあれば半年食べられる、ないしはそれは一年たつても食べ切れないというような量は、結局常識的に判断さるべきものでありまして、実際において自家用だと言いましても、それを自家用の名において精麦いたし、あるいは製粉いたしましてから、やみ屋に一升売つたとか一斗売つたとかいうような、限界の点から参りますと、この範囲のことでは区別がつかないのであります。つかないのでありますけれども、この点はやはりほかのケースの問題と違いますので、たとえばトラック一台積んで行つて、これはおれのうちの自家用だというようなことは、常識として認められないのじやないか。だからそれはある程度まで第三者常識的な判断によるものでありますので、この点につきまして法律にそういうこまごましいことは書きせんが、実際これを施行する上に、この事項生産者に対する圧迫にならないような通牒なり、あるいはその他必要があるならば政令等によつて、その点規十分注意させたい、こう考えております。ただ遺憾ながらそれを一々法文に書く方法がありませんので、こういうふうに規定したわけであります。
  15. 川俣清音

    川俣委員 金子さんの御説明でやや了解するのでありますが、それは麦作地帯におきましても、法網をくぐつて自家用と称する場合もあり得ると思いますから、そのくらいの厳格な規定によつて——生産者全体の規格が上ることによつて生産者に益するところが大きいと思いますが、ところがそこまでに達しない、いわゆる試験的につくつておるような地帯もあるわけです。早く言うと秋田のようなところは、ほとんど試作的につくつてつて、ようやく盛んになつて来た。大体耕作すること自体販売用につくるのか自家用につくるのか、非常に疑問なところもあるわけです。そういうところを検査しなければならないということになると、おそらくこれは生産を阻害する大きな原因になるのではないかというおそれがあるわけですが、こういう区域施行区域外に置くかどうか。また盛んになつて来れば、生産者のために厳格に規定することによつて品位向上をはかつて、本来の農作物のいわゆる生産に入る、こういうことは好ましいと思うのですが、この区域を除外するというようなことは考えられませんか。
  16. 金子與重郎

    金子委員 これは生産したものをそのままどうしても検査しなければならないというのではなくて、生産者自体生産して、販売の用に供するとか、あるいはそれを大量委託に出すとかいう場合には検査をしなければならぬというのでありまして、たとえば小規模に生産したものを売ろうか、自家用にしようか、どうしようかということで、判断がきまらないで、自分のところの納屋や倉庫にあるものに対して検査しておけという法律ではありませんので、そういう必要が生じたときに検査すればよろしいのでありまして、ただいまのお話もつともだと思います。お話はわかるのでありますが、技術的にかりに地区的に抜くというようなことは、実際の施行上どういうふうにやるかということで疑問がありますので、むしろこれは検査をしなければならないといつても、あくまで販売なりあるいは委託加工に出すというときの話でありますので、農家がそれを持つておる場合に、検査品でないのに、持つてつてはいかぬということはないのでありますから、その点はその程度で緩和できないかどうかということなのであります。逆にいうと、私の方でお伺いいたしたいのであります。
  17. 川俣清音

    川俣委員 金子さんにそう打明けて言われると質問が大分困難になつて来ますが、実際はこういうことだと思うのであります。一般麦作地帯は、検査を受けることによつて生産者品種改良になりまして、結果は益するところが大きいと思うのであります。ところが先ほど申しましたように、ようやく麦作に入つたような地帯は、検査を受けることによつて、相対的にはかえつてかなり割安な農産物の収入になつて来るというおそれ出て来るわけであります。麦作地帯は全体の品位向上することによつて農民に益するところは大きいと思うのでありますから、検査の不便、あるいは障害よりも、全体の利益が上つて来るということがこれがかんじんなねらいだと思うのであります。そうでなく、小面積をつくつておるところは、むしろ検査によつて圧迫を受ける点が大きい。麦作地帯が受けて、こういう二毛作地帯は非常に犠牲にならなければならぬという結果になるので、この区域を除外することが考慮されてよいのではないか。将来やはり奨励して、麦作地帯になつて、多くの者が販売用につくるという情勢が生れますれば、施行区域に入れるということが考慮されないものかどうか。
  18. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの川俣委員お話よくわかるのであります。私どもも、今ここに議題に上つておりますのは麦でありますが、要するに農産物産地というものが非常にかわつておりますので、主産地のような生産量の多い主産地というものは、すべての場合検査その他は非常に安直に、何の作為なしに、習慣的な形の上においてなされておる。しかしながら今の川俣委員お話を逆に適用するならば、みかんを三、四本つくつている人たちが、検査を受けなければ売らせないということでありますと、そういうことではややつこしいから、こいてしまつた方がいいということになるのと同じ意味のことを、川俣君がおつしやつていることは、私にはよくわかるのであります。それで、それらの問題につきまして、話がよくわかつているだけに、私といたしましては、今そういうことを法律はつきりやつたらいいか、あるいはやらなんだらいいかということに対して、率直なところはつきり確信を持つておりませんが、この問題は非常にデリケートな問題でありますので、当局ともよく相談いたしまして、何とか善処する方法考えて行きたいと思つております。
  19. 川俣清音

    川俣委員 続いて、これは金子提案者にお聞きすることはどうかと思いますが、御承知通り検査員には非常勤検査員がおるのであります。この非常勤検査員というのは、実際は予算上のところから生れて来る非常勤検査員と、実際上の非常勤検査員と二色あると思いますが、非常勤検査員は、非常に優秀な者と優秀でない者との混合でありますことは、現に認めなければならぬと思うのですが、こういう中において、将来せつかくこの法律をつくりましても、実際に当るところの検査員が、農業生産について十分理解を持ち、また将来の米作振興の上に理解を持つた人でなければならぬということは、同僚芳賀委員から述べられたところでありまして、私はこの点から検査員研修所等をつくりまして、十分検査員の訓練が必要だと思いますし、もう一つは、非常勤検査員という無責任な形においてこの法律を適用されるについて、非常に疑義を持つのでありますが、この点に関する提案者説明並びに政府の見解を承りたいと思います。
  20. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの川俣君の御質問は、検査員というものの素質によつて、同じ法律を適用するのにしても、それが非常にプラスにもなるし、逆に殺す材料にもなる。これはまことにごもつともでございまして、ことに今その点を注意しなければならないのは、戦時中強制供出をいたしたときから、多少その弊害が大きく出ております。それは私も認めておるところでありまして、たとえば国営検査になる以前に県営で検査をいたしておりました当時、同じ穀物検査をやりましても、ある県の検査所長は、農業技術なり、指導に非常に熱心で、その所長の下の検査員は一応その方向に向いておりますが、今度ある県のごとく、検査員がほんとうに俸給生活者として流れて来た性格の者がそこに参りますと、その部下は非常に無気力で、農民のかたきになるような検査員になりやすい。従つて今度は、農産物検査収買検査でない立場におります。今日におきましては、あなたの御意見は非常に重大な問題でありますので、これに対しては検査助手の問題も含めまして、この際法律改正をいたしたい。検査首脳部から、その方向に対して一般の骨を折るようにさせたいと思います。なおその考え方について当局から答弁いたさせます。
  21. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまの点について私からお答え申し上げます。まず第一点の、末端検査員素質向上の問題でありますが、実はお話のように、これを常時訓練いたしまして、できるだけりつぱな腕を持つた検査員にしようというわけで、ささやかながらも数年前から研修所でもつてつておりますが、何分にもたくさんな人数があり、その上年々研修を受ける人数が限られておる等の関係もありまして、大体今年の前半期におきまして、出張所長らいの幹部がようやく一まわり終えるような状態でありますが、漸次実際の第一線の検査に携つておる人々の研修にこれから入つてお話のように急速に素質向上のための訓練、研修を行いたいと考えます。  それから非常勤職員の待遇の問題でございますが、これもそういうような研修に伴いまして、漸次素質向上するとともに、非常勤というよりは、ほんとうの検査員と同じだけの仕事ができるようにやつて参りますし、現にお話通り非常勤職員の中にはほんとうの検査員と同じような仕事をやつてもらつておる人もありますので、できるだけ早い機会にこれらの人の待遇を改善しなければならないわけでありますが、定員等のことで、なかなか思うにまかせないのであります。機会あるごとに、欠員補充等の場合には、非常勤職員を優先的に本職員に採用し、あるいはその他待遇改善については、できるだけ配慮をいたして行きたい、かように考えておる次第であります。
  22. 川俣清音

    川俣委員 こういう検査法が新しく改正せられますと、取扱い数量が非常に多くなるのですが、これでもなお今の定員でやり通せるという自信をお持ちですか、またこの法律に伴つて、当然予算上の措置が必要だというふうにお考えになつておりますが。
  23. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは出まわりの数量の関係でなかなかむずかしい問題でございますが、麦の百取引につきましては、別途規格並びに取引の安定措置がございますので、そう一時に殺到して出まわるということもないといたしますれば——今後今までよりも相当荷物が多くなつて参りますことは事実でありますが、当面現在の職員でやつて行きたいと考えております。
  24. 川俣清音

    川俣委員 これはたいへんな御答弁だと思う。これは手数料を十円とるのであります。収入になつておるのに検査員をふやさないというような考え方ですと、手数料をとらなくてもやられるということになりますか。現在の定員でやられるならば、検査手数料の必要はないと思うのですが、あるいは減額してもよろしいと思うのですが、私はおそらくそういう点で増員をしなければならないので、なかなか検査手数料を減らすことが困難だというように説明を聞いておつたのですが、今の説明ですと、現在の定員でやられるとするならば、もつ検査手数料を減額してもよろしいのではないかと思うのですが、どうですか。
  25. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査手数料収入と食管会計の関係でございますが、従来は確かに検査手数料の収入の範囲内で、検査関係に関する歳出予算がそれに見合つて立てられていたわけですが、確かに検査手数料二十円から十円になりますと、それだけ検査手数料の収入が減つて参ります。それに対応して予算が減りますということが必然的だといたしますと、非常に検査は困難になるわけであります。これは現在大蔵当局と話合いをいたしておりまして、技術面でいろいろの点で節約をしてできるだけ国庫に負担をかけないという話合いはしておりますが、検査手数料が二十円のときに考えられておりました検査経費の繰入れを、今後も同じようにやつて行こうというようなことで話合いをしておりますので、検査手数料の収入が減つたが、それによつてつた範囲内でどうにでもなるのだということではありませんので、実はそういうような措置で大蔵省と話合いをしておるわけであります。
  26. 川俣清音

    川俣委員 提案者にお聞きしますが、金子さんのねらいから言うと、この法律によつて、現在よりも平年作にしてどの程度検査数奥がふえるというような予定でしようか。また当局はこの法律によつてどのくらい検査数量が増加するというふうにお考えになりますか。
  27. 金子與重郎

    金子委員 これは大体において収穫実収高から農家の消費予想の数字をマイナスいたしまして、残つたものをかりに販売品とすれば、その販売品の数量と去年の検査量との差がそれだけだというふうに答える以上、俵数では何ともはつきり申し上げられせんが、そういうふうな見解から行きますと、少くとも二、三割は確実にふえるじやないか、それ以上ふえる数字になつても、実際はそうなるじやないかという考え方をしております。  それからもう一つ、これは提案者としての個人的な意見になりまして失礼でありますが、今の農産物検査法を通しますときに、大蔵省との折衝上、検査というものを国営でやりましても、検査料と独立採算で行けるというような建前で交渉しました。しかもそれが最近でありますので、その経緯から今総務部長はそういうような答弁をしておるのだと思いますが、私個人といたしましての今後の農産物検査に対する考え方としては、独立採算でやるくらいなら国営検査をしなくてもいい、農業特異性と食糧生産特異性があるから、国家自体が、しかも指導的な立場に立つて検査をやるのだ、農業生産助成の一つだ、こういう見解で私打ち出しているつもりであります。従つて大蔵省が言うように、独立採算で、営業するようなつもりで検査機構を置くのなら、検査を国営にすることはもともと必要ない。今後だんだんに追い込みまして、大蔵省にその性格を認識させなければならぬということを考えておりますので、ことにつけ加えておきますが、検査料の十円なり二十円から出ておる——役所から思えばそうかもしれませんが、実際はそうでない。検査員はたださしを刺すだけであつて末端へ行けば、農村の各部落の役員たちが、一日日を費して、その下検査、秤量検査、通知をする等雑務が非常に多く、それらの検査料として表に出ないで、農民がうちうちで負担しているものが実はあるのであります。その上に、検査員というものがたださしを刺す、その点だけを今国家が持つて、それを独立して行くということだつたら、たいへん考え方が間違つておりますので、今後政治的に皆様にお願いして、この大蔵省の考え方を直させたい、こういう考え方でおります。
  28. 川俣清音

    川俣委員 そこで初めて提案者の本法案提案される根拠がはつきりして来まして、私どももまつた同感なんです。従つてこの法案提案される金子さんといたしましては、そういう点私ら以上に十分御理解があるのだから、これはやはり大蔵と折衝しまして、もう少しこの裏づけをして、この法案を生かすように一段の努力が必要だと思うのです。そうすれば私もこの法案に賛成する。趣旨には決して反対していない。ただそういう裏づけなしにこの法律をつくると、金子さんはそうでないにいたしましても、受ける者はそう受けられる情勢でありますので、そういう点の折衝を十分尽されなければ提案者の責任は果せないと思います。それで一段の御奮闘を願いたいと思います。  さらに総務部長にお聞きしますが、今の金子さんの御答弁について、総務部長はどういうふうにお考えになつておりますか、この点もう一度念を押しておきたいと思います。
  29. 新澤寧

    ○新澤説明員 私ども農林省の立場といたしましては、まつた同感なんでありまして、今後私どもといたしましても、ひとつ先生方のお力を借りて努力いたしたい、こう考えております。
  30. 川俣清音

    川俣委員 さらにもう一点だけお伺いしたいのですが、去年秋田県におきましては、米質の検査向上意味から、余ますを一俵につきまして百目ないし百五十目入れないと検査を拒絶した例がありますが、麦もやはりこんなような取扱いを指導される予定でりあますかどうか。法規の上からいいますと、受検時においてキロ数があればよいのでありますが、一週間後、あるいは二月、三月たつて欠斤、ます目が減るであろう、あるいは重量が減るであろうということから、あらかじめ余ますを入れるというようなことをやられたようでありますが、こういうことは再来やらないつもりでありますか、あるいは検査法ができた機会に、麦等についてもそういう指導をなさるつもりであるか、その点をお聞きしたい。
  31. 松岡寅治郎

    松岡説明員 今の点にお答えいたします。現在の検査法の六十キロあれば、検査をいたしましてそれに余ますを入れろという指導方針では現在やつておりません。将来もやらないつもりでおります。
  32. 川俣清音

    川俣委員 もしも去年のように余ますを入れなければ検査しないというようなことが現われて参りました場合、どういうような指導及び監督をされる予定でありますか。
  33. 松岡寅治郎

    松岡説明員 自由商品になりますと、その土地の声価をあげるために、従来競つて余ますをしてわけであります。政府の買入れます米についてはそういう問題はありませんが、麦のように統制がはずれますと、自分の県のものを市場において声価を上げさしたいという生産者の意欲がありますものですから、その点者にまた立ちかえりまして、余ますを入れたいという農村におきます指導があるかもわかりませんが、検査の面におきましては、そういうような六十キロ、調製、品質その他におきまして市場の声価、すなわち検査に合格したものとして品質を保証するというので、量においてそういうような指導も決してしませんし、またもしそういうことがありますれば、通牒なりあるいは各種の会合を通じまして、そういうことのないように指導して行きたいと思います。
  34. 川俣清音

    川俣委員 これが国営検査でなくて県営検査のような場合は、その県の品質を宣伝する上から、あるいは商品としての価値を高める上から、甲乙のあつた例も過去にはあるわけです。国営検査というようなことになりますと、県の特徴をそこに織り込むということは、国営検査趣旨に反することだと思います。これは私の説明するまでもないことであります。去年秋田県におきまして、政府供出しました米の約半分くらいは余ますを入れて、けんけんごうごうたる問題を起した。本省ではそういうことはないと言いながら、実際に一県か二県あつたならばこれは検査官の個人的な見解でやつたというようにも見えるでしようが、秋田県全体にわたつて行われたことでありますから、一検査官の問題ではない。もし今年もそういうようなことが現われますならば、どういう責任をとられるか、この点をあらかじめお聞きしておきたい。
  35. 松岡寅治郎

    松岡説明員 麦の統制撤廃に続きまして米の統制撤廃という声がちらほら出ますものですから、昨年あたりから各県で自県産の米の声価を維持したいためにそういう気持が出たことは確かでありますが、今年産につきましては、その点よく注意いたしまして、そういうことのないように指導して行きたいと思います。
  36. 川俣清音

    川俣委員 それではやはりそういうことがあつたということを暗にお認めなんですね。県営検査の場合はそういうこともあり得るということは想像されますし、またあつてもしかるべきだと思います。国営検査でありまするから、これは全体統一された検査方法でなければならないはずであります。従つて食糧管理法に基くところの、法規の上に立つた検査でなければ国営検査員としての価値はない。県の情勢に支配されるというのならば、国営検査の実質を没却するものだと思うが、この点についての御見解をもう一度伺いたいと思います。
  37. 松岡寅治郎

    松岡説明員 その点は繰返して申しますが、検査規格に明記してありますように、六十キロを厳守したい。そういう方針で検査官にも指導し、特にそういう問題がありました秋田その他の地方につきましては、ことしは特に注意をいたしまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。
  38. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 関連して、金子委員並びに政府の方にお伺いいたしたいのですが、これにつきまして、特に今回加工ということを加えました点が、実際の生産者たる農民立場からどれだけの実益があるというふうにお考えになつておるのか、少し御説明をいただきたい、こう思うのです。
  39. 金子與重郎

    金子委員 これは先ほど芳賀委員に御説明申し上げた通りでありますが、この加工の問題をどうして事前検査にするかということは、二つのねらいを持つておるわけであります。一つは未検査品によつて加工委託をいたしますると、その精麦なりあるいは製粉がどれだけの歩どまりをしているかということに対しての押えがつかないのであります。従つて不幸にして、あなたのところは案外粉が出なかつた、あなたのところの麦は歩どまりがあまりよくなかつたというふうなことを言われても、それに対してどうするという基礎がないのであります。そこへ行きますと、検査というものはいろいろの条件は付しますけれども、主として製品になつた場合のことを一番ウエートを大きく、検査規格といたしておりますのて、そういう点を今後農村の方々に浸透するように規格をきめる。この検査を取締ると同時に、指導的にも指導する、そうしますと、公正な加工賃によつて公正な歩どまりを要求することができるということで、農家のプラスになることが一つと、第二点は、従来産地におきまして、未検査品の取引が途中でかりにつかまつた場合、これは加工委託を受けているのですというので、その場所をのがれて、そうして実質的には買取りをして、そしてつぶして行くというようなことが非常に多く行われているわけでございます。その後者の場合もやはり農民のプラスにはならない、こういうような二つの点をさして、この問題を入れたわけであります。
  40. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 農家自分で消費する場合には、確かに歩どまりその他の問題があるわけですけれども、しかし多くはここで問題になるのは——農家の消費に向けられるものは問題ないわけです。結局売るという場合、売る場合には、非常に麦作の大きな地帯、ないしは大農の場合には、これは加工品で売るという場合もあるでしようが、実際には私ども経験をしておるほとんど、大部分の農家というものは、やはり製粉にしたり、精麦にして売るということは、近所売りの場合、いわゆる隣りづき合いの場合以外は実際にはないのです。そういう場合には、特に加工をする場合にでも検査をするという意味は、かえつてどうも私どもの承知をしておる農村の実況からいうと……。しかもこれは片方において生産者にも検査義務を負わしておる。売渡しを受ける方のものにも検査を、両方に、しかも罰則がついておる。こういうことになりますと、かえつてこれが買いたたきの材料になるように私には思われる。この点に対する御見解はどうかという点です。
  41. 金子與重郎

    金子委員 麦作のあまり盛んでない県におきましては、ただいま久保田委員のおつしやるような考え方がおありになると思いますが、実は麦の生産地におきましては、相当加工委託と称して動く量もあるのでございます。それから今までこの法律で罰則の問題が出ておりますが、御承知のように、この法案は、もともと麦類は強制検査になつておるわけであります。従つて生産者立場からは、未検査品売買することは禁じられておる。にもかかわらずそれを買つた方は、これは何らの拘束を受けないをいうことは片手落ちではないか。これは一つの国の法律でありますので、売買というものは、売つた者が悪いのだということになりますと、買つた者も責任を負うのが当然じやないか。農民だけに責任を負わせるのは無理だ、こういう意味一つの両罰としたわけでございます。  それから今の自家用の問題はもちろん除いてありますので、これは、では何俵までが自家用で、何俵までが販売委託加工だという限界でありますが、先ほど川俣委員からの御質問に対してお答えして、御了承を得た通りでありまして、この点は結局良識にまつよりほかはない。トラック一台持つて行つて、これが自家用だということは通らぬ。またリヤカーに二俵三俵つかつたものを、これを自家用と称して、うちへ持つて来て、やみ屋に一升二升売つたからといつて、これは自家用だ。販売用だという見解はとらないということで、これは運用上で注意させるよりほはない、こういう点におちついたわけであります。
  42. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 政府の方にお聞きしますが、私どもよく大体の点から見ると、政府で買い取る麦は大体農協を通じて買いと取るのが多いと思う。その場合においては大体検査を受ける。当然これは受けるようになる。この場合はほとんどこの規定があつても大した実害はないと思う。問題は、農協以外に売る麦、しかもその麦がどうさばかれるかという場合に、この実益がよしにしろ、あしにしろ出て来る。政府買い取りの麦の中で、大体において検査を通らずに業者の手を通じて、業者がつまり検査を抜きで買い集めて、そうして政府に売り渡すものは、全体の取締るものはどれくらいあるか。
  43. 新澤寧

    ○新澤説明員 政府が買います場合には必ず検査を受けたものでなければ買わないことになつております。未検査で、商人に売つて、商人が検査を受けて、政府へ売つてくると、こういうあれでございますか。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうです。そういうものはどのくらいあるか。農協の場合はほとんど問題はないと思うが…。
  45. 井出一太郎

    井出委員長 久保田君、発言の許可を得てください。
  46. 新澤寧

    ○新澤説明員 大体政府が昨年買いましたものは、ほとんど全部農協を通じて買うというふうにお考えになつてけつこうだと思います。商人系統を通じて政府の買いましたものは、まずないというふうにお考えいただいて間違いなかろうと思います。
  47. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これは金子委員にお伺いしますが、この場合にこういう検査を受けて、農民の実益は、今市場に出る場合だと、おそらく精麦をしてそれを売るという場合は非常に少いと思う。従つて原麦を業者に売る場合は結局価案差なり何なりが補償される、こういうところは現実には実益があると思う。はたしてそれなら今日の状況で、農民と商人との関係において、この検査を受けるということによつて、かりにたとえば一等なら一等のものが、今のような取引き状況のもとで、補償がつくかというと、私は非常に実は疑問に思う。かえつてこの規定があることによつて、小額のつまり販売農家の大部分は中小以下のものだと思う。そういうものは検査を受ける手間、その手間を勘定した場合に、それを受ける場合の数量、そしてめんどうないろいろなこと、こういうことと市場の麦価とのいろいろな動きというものを考えると、そういう実益は生産者にはほとんど得られない。むしろ集荷業者にこういう制約を加えることによつて、かえつて実際には買いたたきの一つの材料になる危険性の方が多い、こういうふうに、いろいろの経験上私は思うのですが、この点につきまして、どんなふうにお考えになつておりますか。
  48. 金子與重郎

    金子委員 加工委託をいたしますときなり、あるいは売買をいたしますときに、ただいまの久保田委員の御意見といたしましては、大生産者ならば、それだけの手数をかけて検査してもよいが、二俵、三俵の余り麦を売るのに、一々検査の規約をきめても一体どれだけの効果があるかという問題であります。一応そういう点も考えられるのでありますが、また一面から申しますと、麦の生産地等の事情を申し上げますと、相当の量を持つ者こそ、検査を受けないでも、経済的な力と量という有利な条件がありますので、商取引に相当条件がつけられるのであります。問題は二佐、三俵の人たち——私の国の方言で言いますと、こけ買いというのですが、一番こけにされてたたかれるのであります。だから、そういう方々のものを集めて、いわゆるこぼれを拾つて行くのが商人として一番もうかるわけです。ですから、同じ生産者と取引する場合でも、二十俵、三十俵とまとまつたものは商人はもうからない。その検査を受けるのはやつかいだ、幾らでもいいやというのが、農村として集まると大きな損害になつて来る。個々の場合はまつたくお説の通り、そただけのやつかいしてもしようがないじやないかという感情が出て来るのでありますが、そこをつけねらわれて、今度はそういうものが非常に多くなりまして、一村なら一村でそういうものが集まつて何千俵というふうに取引されるということになりますと、その村の収入というものは非常に低くなる。これは麦ばかりでなくて、一般農産物検査でも考えられるが、個人的感情としては、あなたのいわれるような感情が農民個々としては出て参ります。しかしそういうことで、やがて村全体のそういうこけ取引というものが集まりますと——そういう人たちは、その前に金を借りてあるとか、あるいは肥料屋から肥料代を借りておつて、その代償に無検査品を持つて行くということになりますと、まつたく向う様の言い値だということになるのです。それで規約をきめても、その通り守るかというと、はつきり守ると思います。協同組合が一等は幾ら、二等は幾らということで建値をはつきり出しますから、商人の貸しのかたにやるなら別でありますが、それ以外には絶対に売りはしないから、その点は守られると思います。
  49. 井出一太郎

    井出委員長 本法案に対する質疑はこの程度をもつて打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  51. 井出一太郎

    井出委員長 この際駐留軍の行為による農林関係損失補償等の問題につきまして質疑の要求があります。これを許します。川俣清音君。
  52. 川俣清音

    川俣委員 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案が水産委員会提案されておりまして、農林委員会との連合審査をいたしたのでありますが、この法案の体裁は、いわゆる防潜網等から問題が発生いたしまして法律案となつた歴史を物語つているのでありますけれども、農林当局といたしましてどれだけこの法案について関与され、または見解を述べられたか。これは将来連合審査あるいはこの法案の可決の上に重大なる支障を来しますので、この点について二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。  まず林野庁にお尋ねいたしますが、この法案提案される前に、水産庁またはこの関係者とどれだけの打合せを遂げられ、この法案で林野行政の上に何か影響するというふうにお考えになるかどうか、またはこれで十分だというふうにお考えになつているかどうか。この点からまずお尋ねしたいと思います。
  53. 柴田栄

    ○柴田政府委員 この問題に関しましては、農地局が主体になりまして私どもも御相談をいただきまして、林野に対する補償を要する場合の措置についても御相談をいたしたわけであります。個々の場合の程度その他たいへん違つて参りますので、その現われた事実によりまして御相談をして、だんだん検討するということで了解をいたして、補償をしていただくことにした次第であります。
  54. 川俣清音

    川俣委員 これは水産行政と林野行政の上に相当区別されたような印象をこの法律から受けるのでありますけれども、その点はお認めになるかどうか。
  55. 柴田栄

    ○柴田政府委員 特に林野行政に関して軽く見られるというような考え方ではなく、相談をして行ける、かように考えております。
  56. 川俣清音

    川俣委員 これは国有林を主としてはおられますけれども、日本の林野行政全体に対して、一番大きい指導的な役割を果しておられる林野行政から見まして、私どもは実は非常な不安を感ずるのでございます。こういう点についてもう一応検討される必要があるのではないか。時間がありますれば、その検討の要点を申し上げたいのでありますけれども、きようは委員長から、ごくわずかの時間で、という制約を受けておりますので結論的に申し上げますが、もう一度検討する必要があるとお考えになるかどうか、それとも検討する必要がないというふうにお考えになりますか。この点をお尋ねして、私どもはさらに水産委員会とも打合せをして、林野行政の必要のゆえんを十分強調したいというふうに考えます。
  57. 柴田栄

    ○柴田政府委員 ひとり国有林の問題に関する補償だけではなく、民有林の行政に関しましても検討いたしまして——実は具体的に主として問題になりますのは、間接被害に対する補償の問題でありますので、例の九州の芦屋飛行場の整備に関しまして、海岸保安林を伐採したためにその奥の農耕地に被害を及ぼすということに対しまする林野行政としての処置等に関しましても、具体的な問題といたしまして、飛行場には飛砂を防止するために草生地をつくるということも権定いたしまして、農地に対する一時的な収穫減退に対する補償等を考えていただくと同時に、飛行場の陰に防風林を設けるというようなことに対しても、実は補償的に考えるということが具体的に進んでおります。それらの問題は、程度によりまして御相談をしてやつて行ける、それで目的を達するというふうに考えて、御相談をいたした次第でございます。
  58. 川俣清音

    川俣委員 防潜網等は明らかに法律の体裁の上に規定せられ、そうしてこの法案が成立つておるのでありますが、長官はこれは間接被害だけだというふうに考えられておるが、私はそこに問題があると思います。どこまでが直接被害でどこまでが間接被害と区別できないのがこの問題の発生しておる大きな根本なんです。直接被害でありますれば、あえて水産関係といえどもこの法建を必要としない建前だと思います。むしろどこまでが直接で、どこまでが間接かわからぬので、そこにこの法律案の出た根拠もある。従つて直接被害と間接被害の区別ができない問題を救済して行かなければならぬというのが、この法律案の骨子だと私は思うのです。従つて直接被害の方は何とか解決する、間接被害は問題だから政令によつてもいいのだという考え方では私は満足できないので、お尋ねしておるのです。
  59. 柴田栄

    ○柴田政府委員 間接被害であるからきめないでもいいんだという考え方ではないわけでございます。特に防潜網のごとくはつきりとした具体的なものがあれば、法律で御規定願うという必要があると思いますが、そのときそれによつて程度が非常に違うので、政令に譲つて解決する方が妥当である、こういうふうに考えて御相談をいたした次第でございまして、政令に譲つたからごまかしてしまうというような考えは毛頭持つておりませんことを御了承願いたいと思います。
  60. 川俣清音

    川俣委員 私は政令に譲つたからごまかされるというふうには感じない。しかしながら法律というものは、一般国民にできるだけ周知して、この安心の上に林野行政を行うことが必要だと思う。もちろん政令によりますと、それは列挙される点もあろうと思いますけれども、差別されたような印象では、十分林野行政が徹底しないうらみがあるのではないかという不安を感ずるし、また具体的に見ると、今例をあげられましたように、林野の問題あるいは牧野の問題になりますと、どこまでが間接でどこまでが直接かということは、非常に区別がつきにくい。現在の状況から見まして、その基地の中に入れば直接で、基地外は間接だという見方は誤りだというふうに私どもは見ている。基地内のみが直接被害で、基地外は間接だという見解を是正しなければならないという考え方でこの法律が出ておると、私どもは理解しておる。そこで今もお尋ねしたような点を、私はもう一度検討いたしたいと思うのでありますが、これに対する見解をもう一度お聞きしたいと思います。
  61. 柴田栄

    ○柴田政府委員 その問題に関しまして特に御注意がございましたので、法律規定し得るような具体的な例があるかどうかということを、もう一ぺん検討さしていただきたいと思います。
  62. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 関連してお尋ねしますが、山の方の関係は林野庁長官が最も関連が多いのであります。また農地局長もその通りであります。調達庁長官の方において、事務的に取扱つて政令の中に入れるものの中には、堤防、林道、農道、水田用諸施設、排水施設、防災施設、以下云々というように、陸の方に関係なく海の方に関係が多い。林野庁長官としては山菜、採草というものは最も関心を持つていらつしやるが、これに出ておらない。山村の者はほとんど山菜と採草によつて生きているということは、あなたのところではよくおわかりになつておると思うが、これに出ておらない。この点について、あなたは、所管内におるところの山村の者の生活を擁護する方において、駐留軍のためにこうむつた損害について、どういう折衝をされたか、これを明らかにしていただきたい。
  63. 柴田栄

    ○柴田政府委員 その問題に関しましては、私どもも十分に関心を持つており、それに対する補償に関してもいろいろ御相談しておるのでありまして、決してこれを無視しているのではないのであります。山菜等に関しましては、地方別に非常に価値が相違いたしておる、あるいは場所によつては採草の問題等も非常に大きな問題になつておりますが、山菜の問題あるいは採草の問題あるいは枯葉、落葉、落枝等の肥料原料等の問題は、地方によつて事情が違いますので、それに対する損害の補償は個々のウエートによつて相談をさせていただく、こういうことにいたしておる次第でございます。
  64. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 地方別によつてむろん異つておりますけれども、原則としては山菜、採草及び伐木というこの三つの問題は、たとい地方的に厚薄はありましようとも、駐留軍によつて受ける山間民の損害の中では、この三つは特に大きい問題でありますが、これが入つておらない。あなたはこれをお入れになるように今日まで折衝なされたかどうかという問題なんです。あなたは一番よくおわかりのはずです、あの山菜は季節的のものでありますけれども、山のものの中で一番収入の多いものなんです、値打ちがあるものです、それがわからない、これが測定にはまことに困難がありましようが、一番よくわかつておるのがあなたの方で、料金をとつても入山をさせておるのですから、これをどういうあんばいに取扱つたかという交渉の経過をお聞きしたいのです、向うが入れないというのか入れるというのか。実はこの問題については、先般農林省の日米合同委員会で実地検証に当つたときに、調達庁と農林省とが衝突した問題でありますから、この点は明らかにしておきたい。
  65. 柴田栄

    ○柴田政府委員 その問題に関しましては、具体的に大高根の問題で、実は地元からも相当強い声が出ましたし、私どもとしても、あの地方においては、山菜の問題は農家経済に相当大きな影響もあるということで、従来採取いたしておりました実績を国有林において証明いたしまして、それによつてこの折衝を進めまして、補償をお願いすることになつております計画を持つておりますし、具体的にはさような方向で進め得るというふうに考えております。また地方によつては、山菜というものはほとんど農家経済には影響のない地方もありますが、反対に落葉、落枝を堆肥の原料として、これが採集に対しては、非常に大きな影響があるという地方もありますので、そのものに関しましても具体的な問題に関して交渉を進め得る状況になつておりますので、特に個々の事例をあげてここに決定するということにいたさなかつた次第でありますが、そのことはすでに交渉をいたしまして、可能な事態をつかんでおりますことを御了承願いたいと思います。
  66. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 たいへんしつこいようでありますけれども、この間あの通りに農林省の日米合同委員の実地検証の際に、調達庁の官吏と農林省の官吏が採草の問題について、はつきりと衝突したのです。すこぶる無責任だというような言葉さえ出るほどに調達庁を問責しておつたような状態であります。ですから、その内容は、努めておられるようにも察せられますけれども、これを受入れておらないかのようになつておる。しかも山菜の問題は補償問題と重大な関係がある問題です。それですから、この政令の中に万々一でも入らなようなことになりましたら、たいへんなことです。この前の当委員会においては、農地という関係で、山菜及び採草等はみなこの中に入るようなぐあいに解釈せられておつたようでありますが、この本委員会の申出に融通性を持たしむるために、水産委員会においてはさらに交渉をするというようなぐあいになつておるようであります。実地において両方の意見があの通り摩擦があつたということはわかつておるのです。農林省としては、山地におけるこれらの住民の生活の脅威を除くために、よほどの御努力を願わなければならぬ。実に心配である。特に山間民は貧弱なんです。採草、伐木、製炭、山菜の四つの問題は、農林省として強く調達庁方面に要望して善処していただかぬと、政令から落ちたらたいへんなことになる。これを申し上げて、林野庁長官からも、農地局長からも、もう一ぺんこの点についてお言葉をいただきたいと思います。
  67. 柴田栄

    ○柴田政府委員 さような意味において御心配をおかけすることはまことに申訳ないと存じておりますが、私どもは方々に起りまする、あるいは地方的に特に関係の深いいろいろな問題がありますので、それらについてそれぞれ御相談を願うということで了解をいたしておりますが、それを一々指定してやるということになりますと、もし落ちているものに関しては、地方別に起つた問題に関して、指定されてないのじやないかということを言われる方が、かえつて不都合が生じやしないかということで、そういう事象に対しては全部補償を相談するということで了解をいたしておりますが、なお非常に御不安があるということならば、各方面を全部網羅いたしまして、あるいは指定することに関しましても、もう一応検討をさせていただくということにもいたしたいと存じますので、もう少し検討させていただきたいと思います。
  68. 平川守

    ○平川政府委員 区域の中にあります場合には、すべて前の法律で補償ができるのであります。山菜等の場合におきましても、区域内にありますものが、演習のためにとれなくなつたというような場合は、当然前の法律で補償ができるわけであります。区域内における演習のために区域外において損害が起つた場合に今度の法律で補償する、これが間接補償の問題であります。こういう場合に起り得べきおもなケースというものを考えまして、これを立案しました当時、一番顕著なものとして上つておりました例が防潜網の例、それから芦屋の飛行場のような、防風林を伐採したために区域外の農地に損害を与えたというのが、前の法律では救えませんために、今度の新しい法律によつて区域外においても、区域内の行為によつて損害を受けたものを救おう、こういうことになつたわけであります。従つてこの考え方の根本は、施設区域の中における演習行為のために区域外において損害が起つた、この損害に対してはすべて補償するにいう建前でございます。ただあらゆる場合を全部例示することが困難なために、おもな例をあげまして、非常にはつきりしたものを法律にあげ、これに準ずるものを政令であげて、考え方としては、それによつて区域外における経済的な損害はすべて補償するというふうに考えておるわけでありますが、顕著なものについてただいまのような御不安がございますので、この例示につきましては、なお調達庁の方とよく相談をいたしまして、著しいものが落ちたりせぬようにいたしたいと思います。
  69. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 実は営林署長が、相当に損害があるということを言つておる。それを調達庁の方では、なかなか問題にしないでおる。あの通りまるで林野方面が押されているようなあんばいで、山村民の擁護の上にほとんど力が用いられておらないような感を抱くのです。今農地局長からのお話もありましたけれども、あの例示の中には、堤防、林道、農道、水源、用水施設、排水施設、防災施設「タメイケ」又は魚付林の除去云々と書いてある。これほどまでに書いてあるのに、その中に山菜も採草も入つおらない。山菜、採草、製炭、伐木というものは、山間民としては、生活上の主力をなしているものである。これが入つておらない。ここに私はすこぶる遺憾の意を表せざるを得ない。柴田長官は秋田の営林署長として、よく山村の方面は御承知のことだと思う。そのあなたの末端の営林署長が、山菜の損害をちやんと証明しているにもかかわらず、調達庁の方においては、これを認める認めないの問題で、四、五日前の日米合同委員会では、現地において農林省と調達庁は激論をしたくらいなんです。山菜の問題なんか何だというので、実に深刻な議論になろうとしたくらいなんです。それほどまでに問題になつているから、政令から落ちるようなことがあつたら、私ども山間民としては容易ならぬ問題になる。ひいては、政府措置の当を得ないために、日米の間に感情のはなはだしい疎隔を来すところまで行かしめる行政措置になつております。その認識を調達庁にしつかりと持たして行つていただきたい。特に農林省に私は強く要望するゆえんであります。これをもつて終ります。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 林野庁長官が御出席になつたので、私は次の点をお伺いしたいと思うのでございます。お断りしておきますが、お尋ねする問題は、実態を正確に把握して、認識を深めるという前提に立つて質問でありますから、虚心、率直にお答え願いたいと思います。  問題は本年の四月六日に林野庁の職員の賃金の改訂、増額の問題に対して、公共企業体等中央調停委員会の調停が開始され、六月二十六日に調停案が勧告されて、この受諾を双方に求めるという段階に来ておるわけでありますが、私の承知したところによりますと、この調停案の主文には、こういうことが表示されてあるわけです、主文といたしまして、  一、昭和二十八年度における職員(予算定員内の職員にして公労法の適用を受ける者)の職員基本給(職員俸給、扶養手当、勤務地手当)は平均月額二二、三五〇円とすること   職員基本給の内容については両当事者間で協議決定すること  二、常勤労務者の給与は、職員に準じて処理すること  三、常用出来高、期間及び日雇労務者の給与は、人夫給予算を少なくとも一割程度増額し、これを源資として賃金体系の確立を図ること   四、特殊勤務手当の改訂についてはさらに両当事者間で協議し決定すること  五、別居手当、住宅補償費、交通費、結婚手当については、この際特にこれを制度化しないこと  六、役付手当、道具代補償給については、労務者の賃金体系確立に併せてその取扱いを協議決定すること こういうことになつておるわけでありますが、むしろ私よりも林野当局の主宰者の立場におられる長官においては、この勧告案の内容については十分考え方があると思うわけでありますが、その主文を中心として、現在までの経緯並びに御所見をお伺いしたいと思います。
  71. 柴田栄

    ○柴田政府委員 本問題は、二月の初めごろにベース・アツプの問題で団体交渉を持つた次第でございます。その当時マーケツト・バスケツト方式によりまして、定員内職員のベース・アツプを要求して参りまして、その額はちよつと正権に覚えておりませんが一万九千数百円であつたと記憶しております。いろいろ私どもの方でも検討いたしましたが、このままではとうてい受諾できないということで数次の交渉を持ちましたが、遂に妥結を見ませぬで、労組の方から調停委員会への提訴に相なつた次第であります。私どもといたしましても調停にかけることを了承するということで、以後調停委員会で現地調査等もしていただきました。なお私どもは、御承知のように定員外の従業員の関係が非常に複雑になつておりますので、これらの取扱いに関しまして、調停委員会でも非常に調停に関して困難を感じられたようであります。私どもといたしましても、従業員の関係は仕事の内容等によりまして、数量その他で的確に毎年これを計画的につかむということが困難な事情にありますので、それらとにらみ合せで大分遅れておりまして、約二十日間遅らして調停案を提示された次第でございます。従いまして私どもといたしましては、本調停案が必ずしも私どもの立場からしても不当であるというふうには考えておらぬわけであります。従つてこれを受諾することができるかどうかという問題は、ただちに予算の問題に関連いたしております。この財源を予算化し得る内容がはたして可能かどうかということを、現在各局の担当者を集めて協議をいたしておりますので、ここ一、二週間のうちに見当がつくと思います。それによつて大蔵省との折衝をいたして、しかる後に決定をいたしたい、かような考え方で、今できれば受諾いたしたいという方向で、準備いたしておるということを御了承を願いたいと思います。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 参考までに二、三お伺いしておきますけれども、聞くところによりますと、林野庁職員のベースは、他の公務員と比較して大体三号俸低い、結局アンバランスになつておるといというようなことも聞いておるわけでございます。特にその中の労務職員の待遇等にについては、私は北海道の出身であるので、労務職員諸君は現地において、ああいうような非常に困難な諸般の条件において苦労しておるというような実情は、十分わかるわけでありますが、こういう点について、あるいは予算上の関係というものが相当あると思いますけれども、やはり公共性のある、しかも林野庁という官庁の中において、やはり待遇等というものは、これは均一に行わるべきものであるというふうに考えるわけでありますが、こういうような差別的といいますか、アンバラスになつた状態に対しての御認識はどうでございまましようか。
  73. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと先に芳賀君に申し上げますが、今問題になつております駐留軍の損害補償の問題のけりをつけたいと思いますので、この一問程度でよろしうございますか。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 あともう一問でいいです。
  75. 柴田栄

    ○柴田政府委員 職員全体の給与ベースが低過ぎるんじやないかというお話でございますが、これは私どもの仕事の内容上、監理者を除きますると非常に横に広い仕事の内容を持つておりますので、監理者を除いて他の平均べースと比較されるとそういうような計数が出るように思いますが、内容は必ずしもそれほど低いとは考えておりませんが、多少どこにありますような、職階によりまする頭打ち等の完全なる具正ができないということによりまして、特殊な職階において多少なアンバランスがあるということは、私ども了承いたしております。さらに労務者の給与に関しましては、お説の通りまだ全国を通じまする給与準則が確定いたしておりませんので、地方によりまして労務の需給の関係等からいたしまして、それ相当全国を統一したものがないという見地らいたしまして、アンバランスがあるように見えることがあると思いますが、芳賀先生のお話のように、北海道の場合は実はかえつてよそよりも相当高くなつておりまして、これは大部分は季節的に他の地域から移動いたします労務者でございますので、経費等もかかりまして、労務者の給与からいたしますと、かえつて職員よりも高いところにあるというのが実情なんであります。もちろんそれらの地方の実情も入れて準則に付加するものを考えなければ実行するのは困難だ、かように考えておりますが、今回の調停を受諾することになりますれば、これによりまして全国的な給与基準を確定いたしまして、それによつて調整をいたす、かような考え方でございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に一点お伺いいたしますが、あまりに掘り下げるということは、最初のお約束から逸脱することになりますから避けますが、今度の勧告案に対して先ほどの御所見を聞いておりますと、大体この勧告というものはそれほど現行ベースから見ても飛躍している数字ではないのであつて、長官においては、林野庁長官としての親心の最大の限界においてこれを受諾するような、心理の内容においては用意があるように私は解釈しておるわけでありますが、結果においてそのことが立証されるようなことに善処される御意思のほどを一応伺つて質問を終つておきます。
  77. 柴田栄

    ○柴田政府委員 これは主務大臣の決定にまつということになりますので、ここで私ぜひとも実現いたすということをお約束いたすわけには参らぬのでございますが、私といたしましては最大の努力をいたしたい、かように考えておりますことを御了承願いたいと思います。
  78. 井出一太郎

    井出委員長 久保田君、林野庁長官に関する分だけ簡単に願います。
  79. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 林野庁長官にちよつとお伺いします。この法案の原案によりますと、大体これは事業の損失補償になつておるわけです。ところが御承知通りいろいろこれに連関して、たとえば薪炭の労働者とか、あるいは伐採の労働者、こういうふうな人たちの、これまた考え様によつては生活保障とも考えられるし、事業所得とも考えられる、これをどういうふうにお考えになつておるか、私どもの考え方では、こういう労務提供者もはつきりある意味において一つの事業と考えている。これは主として、この前の法律ではその点がまだ明確でないという点と、もう一つ、いろいろその中に山火事が起つた場合にはどうなるか、これに連関して火事の起つた場合損害をどうするか、これがはつきり出ていない。この二点をひとつはつきりしてもらいたい。
  80. 柴田栄

    ○柴田政府委員 駐留軍の接収によりまして仕事ができなくなつた者に対しましては、生活補給というようなことも年限をきめて規定いたされておりまするし、あるいは薪炭林等の接収に関しましては、それぞれ妥当な額において将来の代替に対する準備までの補償をいたしております。ただ山火事等の問題に関しては、御承知通りそこまでは実は考えておらぬのでありますが、しかしもし接収地におきまして作業ができないということにつきましては、ただいま申し上げましたような補償がございまするが、接収地の中でも施設を区切つて仕事ができないというばかりではないので、仕事ができなくなれば山火事等の場合にも同等の取扱いで救済ができるんじやないか、かように考えております。
  81. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 接収地の中の問題はそれで多少いいかもしらぬが、こういう問題になつて来ると、接収地外の問題が多々出るわけでありまして、そういう場合にいわゆる間接災害の問題、あるいはいわゆる生活災害といつたものがはつきりしない。そこで今申し上げた点は、接収地内で仕事ができなくなつた。それに対する補償は、ある一定の年限で——これは相当むずかしい問題があるにしても、接収地外に今言つたようなケースが出た場合にこれをどう見るか、今度の事業というわくの中に入れて考えるのか考えないのかという点を、はつきりお聞きしたい。
  82. 柴田栄

    ○柴田政府委員 ちよつとよく事情がわからないのですが、結局演習地に接収された所から、放火その他の原因によつて火災が延焼したというような場合でございましようか。
  83. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 たとえば砲弾が接収地外に落ちて山火事が起つた、あるいは砲弾その他が非常に激しくて、要するに山仕事ができないという人も相当出る。しかもそれは労務者の立場で相当出るという場合にどうするか、これをこの事業という中に含めているか、間接被害ということになるのか、あるいは生活災害という範囲にはつきり入れるか、入れないか、この点はどうですか。
  84. 柴田栄

    ○柴田政府委員 もしそうい具体的なう問題が起りますれば、やはり間接被害として補償を要求することにいたさなければならぬ、かように考えております。
  85. 日野吉夫

    ○日野委員 ただいまの農林委員会からの申入れは、具体的に事例を書き上げているのでありますが、水産委員会の回答はあまり具体的に規定しない方がいいと認める、こういうことでありますが、このことについて農地局長もさつき触れておられますが、特調との相談で、これを例示的にするか、林野庁にも関係いたしますから、例示的な規定にするのか、制限的なものにするのか、その点の打合せがないのですか。
  86. 平川守

    ○平川政府委員 すべてを法律に掲げるということは困難でもあり、またかえつて制限的になり過ぎるということで、法律の方には顕著な例をあげまして、政令で一応今考えられるようなものを掲げる。しかし将来またいろいろなものが出て来るかもしれぬ、そういうものは政令の改正で、その都度追加して行けばいいではないか、こういう考え方であります。
  87. 日野吉夫

    ○日野委員 これは水産委員会でも大分論議になつたようですが、むしろ例示的で、それを具体的な事例があつたたびに取上げて行つた方がいい。こういう考え方のようですが、ただこの場合、この法律を実際に活用するものは不動産審議会なんです。これは主として勧業銀行あたりの不動産関係に詳しい諸君を委員とした不動産審議会の諸君でありまして、この諸君に間接被害というものは何であるかということを判断してもらうことが、非常に危険なことなのでありまして、ここに書き上げておかないと、なかなかこれを取上げる場合に議論があろうと思うのでありまして、この救済には不動産関係以外の円満な良識を持つた何人かの委員を追加するということにはなつておりますけれども、これは明らかに例示的であつて、間接被害に対してはこういう方法でこれを取上げる、全部不動産審議会にまかせずに、それを判断して取上げる別途の機関なり、そうしたものを規定して置く必要があろうと思うのでありますが、いずれはここでこの規定外例示的なものである。間接被害の及び範囲の問題は容易にこれを取上げて対象にする、こういう明確な方針を打出して、委員長の折衝の場合はこれに当つていただきたいと考えるわけであります。  それからもう一つこれについても意見を伺つておきますが、こちらの申入れの平和発効の当時に遡及してというのがありますが、これは語呂が非常にあいまいでありまして、むしろ平和発効の日というのは、昭和二十何年同月何日という明確な規定にして置いた方がよろしいのではないかと考えるのであります。これについてもいろいろ議論があります。どうも遡及を非常にいやがるのでありますが、われわれの考えからすると、刑訴法のような法律ですと、遡及されることによつて人権を侵害されますから、これは厳重に戒めなければならぬけれども、こういう法律は無過失責任を補償するというのでありますから、個人の責任ではありませんで、無過失責任ならばできるだけ遡及して、私たちの主張では占領当時にさかのぼるべきという議論もあるのでありますが、この法律の実際から、そこまではいけないらしいので、やはり講和発効の日が一番適当ではないかと考えるのであります。これはできればすでにその以前のものでも見舞金等で支出をしておりますから、この遡及効力は講和発効の日と明確に規定して、それ以前の問題でも取上げて補償の対象にするというようなことを、委員長はお含みの上折衝していただきたいと考えるわけであります。  それからもしいろいろの対象を規定いたしますと、先ほど林野庁長官は、九州の芦屋の飛行場の防風林の問題を取上げられておりますが、同様の事例が松島飛行場等にもあります。そういうことも御存じでありますか。もし御存じであるならば、過般特調の方でも報告しておつたようでありますが、こういう実例等も忘れずに議題に上していただきたい、こう思うわけであります。
  88. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの日野君の政要請に対しましては、委員長において十分に御意思を含みまして対処いたしたいと思います。
  89. 川俣清音

    川俣委員 今同僚の日野君からやや結論に近いものを出されたので、私は時間の関係から、できるだけ省略いたしまして、政府の答弁を望んで終りたいと思うのですが、農林委員会が水産委員会に対する申入れを行つております。これには御承知通り防潜網の中のものはすでに解決済みのものでありますが、防潜網の外のものが直接被害か間接被害かというような議論がありまして、いわゆる間接被害を救済するというのが本法案趣旨であります。従いまして防潜網と同一の地位にあります農地、林野、牧野等を法文の上に列挙する必要があるであろう。そうでなければ、他の政令にまかせますと、防潜網地帯だけが間接被害として十分取上げられて、その他のものは政令にゆだねるということによつて、一段と格下げになつたような感じを受けるし、あるいは一般にもそういうふうに認識されるであろうから、やはり重要なものは法文の中に列挙されることが、法の体裁の上からも必要ではないか。その他のものは右へならえでこれは政令にゆだねるということは私どもは認める。しかしおもなるものは防潜網と同じ取扱いをしなければ、法律の体裁をなさないのではないか。農地局も林野局もその点において理解が薄いのじやないかと思う。防潜網の内はほかの問題と同じように解決済みなのですが、外の問題なのです。たとえば林道の問題にいたしましても、そこに基地がございまして、そこを遠まわりするので間接被害の問題が起きて来るのです。一般らいえば、基地の中だけは直接被害であるかもしれないが、遠まわりをしなければならぬという分は費用が余分にかかる。直線から今度延長しなければならぬのですから……。それでこれは直接被害か間接被害かという問題が起つて来る。そういう点についても、法文の上にやはり明確にしておく必要がある。防潜網の外も同じなのです。出漁する場合に中から出られない。外に漁場を移さなければならぬ。同じ漁場でもまぐろの漁場もあれば近海の漁場もあるというように、複雑しておることは漁業権の場合でも農地の場合でも林野の場合でも同じです。同じ漁業権でも漁業権の価値がいろいろあるわけです。従つてその防潜網と同じようなものに値いする部分は、農地及び林野に対しましても同一の待遇をしなければならぬという見解で、農林委員会がバツクをしてあなた方を鞭撻しておるわけです。むしろあなた方が率先してやらなければならない問題を、われわれが鞭撻しておるということを御認識にならなければならぬと思う。時間がないから申し上げないが、あなた方はもつと行政を練達にやらなければならない。われわれは鞭撻しておるのであるから、その点に対して農林委員会の意向を尊重されるかどうか。もし御答弁が悪ければもう一度質問します。
  90. 井出一太郎

    井出委員長 平川農地局長明確に御答弁願います。
  91. 平川守

    ○平川政府委員 もちろん御質問なり御意見趣旨が、農業あるいは林業の立場を強く主張するためにわれわれを鞭撻しておられるということはよく理解いたしております。従つてその趣旨に対しましては、われわれとしても十分御協力といいますか、当然その方向で動いて参りたいと思つております。ただ要するに、あの法律を私どもがあれで納得をいたしましたのは、ただ法律の体裁として、一応現在具体的な例のできておるものを掲げておこうじやないか、しかし現実的にこれと類似のケースが起れば、当然同じように扱うのだ、こういう了解でやつておるわけでありまして、従つて農地なりあるいは山林の部分につきまして、あの防潜網あるいは防風林等と並べて書き得るようなケースを、何か例示を掲げ得れば当然けつこうだ、そういうふうに考えます。
  92. 川俣清音

    川俣委員 大体それで了解するのですが、農林委員会で出しました七項目を上げております全部を法文に上げるべきかどうかということについては、私どもはまだ検討してよろしいと思う。また農地局、林野局においても検討されていいと思う。少くとも防潜網その他の点と類似する点があると思う。防潜網と同じような立場のものがあるのです。それをやはり法文の体裁の上からも掲げ、その他のものは今松岡委員から述べられたものは、これは政令にまかせるというような考え方については、われわれも同意見なんです。全部を書かなければならぬというと弊害が生ずるから、やはり防潜網と同じような、対等のものは法文の上から並べるべきであつて、その他のものは政令に譲る。この段階は私は認めてよろしいが、従つてこの七項目全部を必ずしも法文の上に上げなければならぬか、政令の方にゆだねた方がいいかというような問題はもちろんあり得るのですから、この中から主要なものを拾われて法文の上に上げるということについて、もう一度水産庁当局、行政当局へもおはかりになつて政府の方からも修正の意向を明らかにしていただきたい。また委員会におきましては水産委員会に当然申し込みまして、この趣旨を確保いたしたい、こう思つております。委員長よろしくおとりはからい願いたい。
  93. 井出一太郎

    井出委員長 綱島正興君。
  94. 綱島正興

    ○綱島委員 林野庁長官にちよつとお尋ねしておきますが、今度の九州の災害で、家が大分流されたり、ひどいものであります。著しいのは坑木も流されておる。これは非常にひどい。これらについてそれぞれ国有林の払下げ等の御処置をお考えくださいますかどうか。それから払下げのときに業者が、この際というので跳梁するようなことのないように、実際に困つている者に渡すような御注意を払つてお払い下げくださるようなお考えがあるかどうか。
  95. 柴田栄

    ○柴田政府委員 その問題に関しまして、私ども非常の際に放出いたしますれば、いつでも不良な業者の跳梁する例を見ておりますので、さつそく手を打ちまして、応急の復旧用林に対しましては、国有林材をもつての特売によつて裏づけをする。従つて規格、銘柄別に現在価格を基礎として、妥当な値段を県等も入つていただきまして決定を願い、そうして必要量を市町村等でおまとめを願つて、一部配給の形でお渡しするという措置をとつていただきます。それに対しましては、一まず九州の国有林材を公売を停止いたしまして、そちらにまわすという措置をすでにとつておりますので、一方においては取締り当局にもお願いいたしまして、不当な取引をする者を取締つていただくという手段を講じておりますので、混乱はない、かように考えております。
  96. 井出一太郎

    井出委員長 午前の会議はこの程度をもつて打切り、午後二時より再開いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後三時四十八分開議
  97. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 それではただいまより会議を再開いたします。  委員長は本会議法案が上程されておりまして、本会議の方へ参つておりますので、私がしばらくかわつて委員長の職を勤めたいと思います。  農産物検査法の一部を改正する法建案を議題といたします。本案につきましては午前中に質疑を終局いたしておりましたが、この際芳賀君より特に質疑を許されたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 御異議なしと認めます。それでは芳賀君。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 二十条の二の問題であります。調査条項でありますが、この中にうたわれておるところの、この法律目的を達成するために必要がある場合においては、生産者から報告を徴することができる、あるいはまた生産者圃場に立ち入ることができるということが一つ規定されておるわけでありますが、この点につきましては提案者の方からも、この表現の上において若干未熟の点があるということを表明されておるわけであります。もとよりこの点につきましては、御説明によつては十分了承できるわけでありますが、ただ問題は結局この生産者の基本的な立場というものをある程度制約するような節々が出て来るわけであります。そしてこの生産者という規定をどこに求めるかということになつた場合においても、これは必ずしも検査を受けようとする受検者の立場だけを生産者として規定しているわけではないのであります。販売農作物を持たない一般生産者に対しても必要とある場合においては報告を求め、かつその圃場立入りができるということが、この法律の決定になつた場合における効果であるというふうにも考えられるので、そういう場合における逸脱を防ぐ意味において、生産者の基本的な立場をあくまでも守る立場に立つて、しかも生産者利益が本法の改正によつて守られるという場合においては、もう少しこの点を明確にいたす必要があると思うのであります。それでこういう点に対して、農作物の生産者に対していかなる必要が生じた場合において報告を求めるか、あるいはどのような場合に限つて圃場に立ち入るかというような点を、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  100. 金子與重郎

    金子委員 今までの検査の方式、概念というものと、今度の改正案が、単なる検査というものから一歩前進いたしまして生産者指導、あるいは農民の、生産者利益の擁護という点にまで少しく入ろうとしておるけはいを持つておる関係上、もう一面には、ただいま御質疑のありました条項につきましても、法人の書き並べ方についても、ただいま芳賀委員質問のような疑念が出て来ることを私自身も認めておるのでありますが、実はこの内容については、農産物生産者に対して報告を求めるという点でありますが、その点は農産物生産者に対して円滑な検査を実施するために、あらかじめ検査数量の希望は一体どのくらいあるだろうか、それから検査の日取りはいつからいつごろがいいか、あるいはその検査方法は集合検査でさしつかえないかどうか、あるいは個別検査しなければならぬかというようなことを、やはり農村の、生産者立場を尊重する意味において、あらかじめ希望なり、報告なりを求めて、それによつて検査方法なり、日取りなりをきめて行くというような場合について、どうしても一応報告をとることがある。そういうときに検査所から来た、報告する必要なんかないということでは、この仕事をやつて行く上において支障が来ると思いますので、一応そういう場合を予想したのであります。  それから圃場立入りの問題は、今後農業生産上非常に重要な問題でありますところの品種の問題ということになりますと、そこに種としての検査の問題があるのでありますが、種の検査は俵に入つてからこれを検査しようとしても解決できませんので、そういうものを予測したときに、種子生産組合その他の者と一緒に圃場へ参りまして、経過の状況だとか、あるいは穂ぞろいの関係とか病虫害の発生の状況等を見ておく必要も当然出て参ると思います。こういうような点を予測いたしまして、圃場立入りということを予定しておるわけであります。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの金子さんの御説明で大体了承できたわけでありますが、私の憂えた点は、善意なる生産者の基本的な立場をあくまでも守るというその限界、これを越えてはならぬという建前の上に立つて、この法律規定されなければならぬと思います。従つて強権供出によつて一つの権力によつて善意の農民が非常に不安の中に置かれたその余韻というものは、いまだに残つているわけであります。しかも一歩前進したこの法律改正の中で、その意図が十分表現されてこそしかるべきであるというふうに、私たちは考えなければならぬのでありますが、今提案者の言われたそういう明権な一線をこの法律の中で十分に体裁上表現できないとすれば、これはたとえば省令等において十分規定するような御意思があるかないか、そういう点をあわせて伺います。
  102. 金子與重郎

    金子委員 御趣旨の点まつた同感でありまして、この問題をそういつた方向に持つて行くために、一面には午前中の委員会において答弁申し上げました通り検査員の再教育その他再訓練等において、その方向へ強力に持つて行くとともに、ただいま御趣旨にありました法文の書き並べ方の関係上また一面今までの検査のあり方の余韻をくんで、強制的な、一方的なものになるための杞憂を防ぐためには、この問題は政令においてはつきりとこの点を書きわけて、ただいま芳賀委員の御心配になつた点を取除きたい、こういう方針でおります。
  103. 足立篤郎

    ○足立委員長 代理それではこれより討論に入るわけでありますが、別に討論の要求もありませんので、この際討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 御異議なしと認めます。それではこれより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 起立多数、よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に関する報告参書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  107. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 次にこの機会にお諮りいたします。農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案は、昨日提案理由を承りましたが、本案も一応さきに本委員会に設置いたしております農業共済制度に関する小委員会審査に付したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  109. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 次に食品に関する件について吉川君より質疑の要求があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 それでは吉川君。
  111. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私はコカコーラの輸入の問題について若干お伺いをいたしておきたいと思います。芝浦の米軍用のコカコーラの工場の閉鎖を機会に、そのあとへ日本コカコーラ株式会社というのができまして、アメリカからコカコーラの原液を二万石輸入をして、これに加工して全国へ売りさばこうという計画があるやに聞いております。これに対して通産省、農林省は、輸入方針について種々検討中であるといわれておりますが、事実さような計画があり、検討が進められておりますか、その辺の経緯を承りたいと思います。
  112. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 お答え申し上げます。実は大分前からコカコーラの原液を二十万ドル程度輸入をしてもらいたいという許可申請がありまして、実は留保になつておりまして、研究段階でございます。御存じのように最近の社会事情から見まして、やや緊要度の低いものは輸入を抑制すべきであるという意見も強くあるわけでありますし、またわれわれの方も従来からそういう方向考えておつたわけでありますし、コカコーラというものは、なるほど国際的には非常に名声を博し、世界一周の旅行をした者でも、コカコーラを飲まざる者ほとんどなしというくらいでありまして、承りますところによりますと、東亜におきましてもパキスタン一国くらいがまだ飲んでいない、その他のところではほとんど飲んでいるというような実情でもありますし、またこういう産業によつてたとえばびんの輸出ができるとか、あるいは日本に滞存する外国人が飲むことにより、また日本に出入する船に供給することによりまして外貨収入がかなり得られるというふうな面もあるわけであります。しかしこれは先ほども申しますように、何分外貨の支払いを要することであり、かなりの利益もあるかもしれませんが、多方また国内の清涼飲料業に対するような関係もありまして、通産省といたしまして、独断でこれをどうするというつもりもなければ、実は処置に困つているような状況でありまして、農林省の方にいかがなものでありましようかということで研究を御依頼し、われわれもともども研究をいたしておるという段階でございます。
  113. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 農林省からお答えをいただく前に、もう少し伺つておきたいと思います。聞くところによりますと、通産省では、農林省さえよければよかろうという段階まで来ているやに聞くのございますが、その程度まで参つておりますか。
  114. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 そこまで参つておるといいますとちよつと言い過ぎなるかもしれませんが、われわれとしては、農林省にそう御異議がないということになりますれば、そこで結局われわれの方の最後の決定になるわけでありまして、あらためて慎重に考えなければならぬのじやないかというふうな感じをいたしおります。今農林省さえよければすぐわれわれの方も許可をするからという程度にまではまで行つておりません。
  115. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 それでは次に農林省にお伺いをいたしますが、農林省の経済局の方はどういうようにこの問題をごらんになりますか。それからそういつた交渉を受けておいでになると思いますが、どういうようにしようとお考えになつておりますか。それから食糧庁の方は、食品関係としてお取扱いでございますので、多分相談を受けていると思いますが、受けた事実、それに対してどういう返事をしようとお考えになつているか、その辺を別々にお答えを願いたい。
  116. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私どもの関知しておる範囲において申し上げます。コカコーラの二十万ドルの輸入については、そういう申請が参つておるのでありまするが、これについて私どもの考えておりますのは、今松尾次長からもお話がありましたような外貨の面もございます。それをわれわれが飲食品として見た場合に、われわれ日本の実情から申しますと、必需品というにははるかに遠いものでありまするので、輸入することはいかがかと実は考えております。なおそのほか清涼飲料工業との競合ということもございまするし、あるいは最近農村工業でジユースをしぼつておりますのが二、三件現われておりますが、そういうものとどういう関係になるかということについても、多少心配がされるわけであります。多方しかしコカコーラを輸入する必要面としてどういうところがあるかと申しますると、先ほどもお話が出ておりましたように、船員でありますとかあるいは観光客でありますとか、あるいは東南アジア等への輸出といつたような、国内市場に売るというよりは、別な特定の利用をまかなう程度のものはどうかということになるわけでありますが、この点について、国内一般の市場に流れることをいかにして防止するかという点に実は問題がかかつておりまして、その保証がなかなかできがたいのではないか。従いましてどうしても清涼飲料その他の方面とかち合うおそれがございまするので、その点をただいま検討いたしておるのでありまして、まだ実は結論に達しておらない状態であります。
  117. 新澤寧

    ○新澤説明員 食糧庁の考えを言えということでありましたが、これはただいま経済局長がお答えいたしました通り、食糧庁だからといつて、農林省の中で違つた考えを持つているわけでありませんので、農林省で統一した考えで仕事をし、通産省の方にお答えしなければならぬので、両者協議しております考え方の基準につきましては、ただいま経済局長の申し上げた点といささかも違つておりません。
  118. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 そうあるべきであろうと思いますが、聞くところによると、農村工業家や経済家あたりでは、これは困るというのですが、また一部にはぜひともやらなければならないというような空気があるやに聞いておりますので、この点も明らかにしておきたいと思つたのであります。  通産省にお尋ねいたしますが、先ほど私が二万石と言つたのは、これは二十万ドルの原液を買いますと、ちようど二万石になるのだそうでございます。これを延ばしますと一億万本になるそうでございます。日本でただいま清涼飲料水が四億本出ております。それに対してアメリカから一億本輸入をするということになりますと、日本のこの既存のジユース産業と申しますか、果汁を加工するところの工業に一大影響を及ぼすということを、私どもは見のがすわけには参りません。こういう点について十分お考えになつておるのかどうか。最近の国際情勢下におけるところの日本の立場が、ただいま次長のおつしやつた通り外貨事情はまことによろしゆうございません。今後ますます悪くなるともよい段階ではございません。こういうときに日本の国内の産業に恐慌を及ぼすようなこういう問題をまじめに取上げること自体が、私どもは非常に不可解に思うのでございますが、これは外貨事情だけではなくて、もつと国内の産業に重大な影響のあるということをひとつお考えを願いたいと思います。  それからいだいま東南アジアに八億万本出ておると言われております。これが入り始めると、東南アジアがすでに八億もびん詰として流れておるのでございますから、日本の国もたちまちコカコーラの洪水になつてしまうことが想像ができるのです。これを持ち込むことによつて日本の清涼飲料水がいろいろに研究をされて一そうしてこれがますます上級品に発達をするから、刺激を与えてよい効果をもたらすからいいのではないかという考え方もあるようでごございすけれども、御案内の通り、コカコーラの原料は南米から入つて来る特産品でございます。従つてバヤリースのように日本の原料をもつてやれるものはけつこうでございます。これとても問題はございますけれども、コカコーラのように日本では全然まねのできないようなものを持ち込まれて——なぜコカコーラが非常に蔓延するかというと、ふぐを食べると、あれには毒がある。内臓などを食べると命をとられるけれども、内臓でないところを食べると適度にしびれる。この刺激が人間の味覚に合いまして、ふぐを食べ始めたらもうやめられないということは、ここに原因があるわけなんです。コカコーラがちようどそれと同じような内容を持つておるものです。だからこれが入つたらたちまち蔓延をしてしまう。そして外貨事情にかかわらずどんどん入り込んで来て、阿片の中毒患者が出るように、日本の国民はコカコーラで参つてしまう時期が来ることを恐れる。だからこういう問題を真剣に御検討になつておいでになるかどうか、びんがなるほど東南アジアに輸出できると言いますけれども、ただいまびんは日本から出ているのではない。アメリカから行つているのです。冷蔵庫もアメリカから行つているのです。日本のものを無条件で入れてくれるというお約束は、東南アジアと日本との今の国際関係において、私は期待できないと思うのです。だから今、次長がびんの輸出ができるというようなことをおつしやつたけれども、こういうことを軽率にお考えになつては困るのです。それから外人に飲ませるから貿易外の収入が入るではないかということもお考えのうちにあつたそうでございますけれども、コカコーラがなければほかのものを飲んでくれるから、日本の品物が売れるのです。このことの方がむしろ外貨収入のために私はいい考え方ではないかと思うので、民族資本の擁護のためにも、あるいはまた日本のジユース産業、日本の農家経済に及ぼす影響のきわめて大きいことをお考えくださいますならば、これはぜひやめていただきたい。そうして日本の産業をもう少し改善、発達させるように御配慮をいただきたいと思いますが、それについての御所見を伺つておきたいと思います。
  119. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ただいま御指摘のありましたように、問題にならぬ申請書、陳情書ではないかというお話でございますが、われわれといたしましては、いかなる申請書であろうと、陳情書であろうと、結論の出ますまでは誠心誠意研究を続けたい、こういうことであります。今御指摘のような点につきましては、われわれも十分とは言えませんが、大体そういうこともあろうかということを考えております。先ほど申しましたように、通産省だけでどうこうするというものでもございませんし、先ほども農林省からお話がありましたように、両者で十分研究をいたしておりますので、そういうことで御了承願いたいと思います。
  120. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 最後に。農林省の小倉局長は、必需品には遠い、農村工業とのかね合い、競合が案じられる、それから外人に飲ませるならいいけれども、一般市場に流れて行くのを防ぎようがないというようなことで、どうも適当でないような考え方のように伺いました。私は非常に妥当なお考えだと思うのです。農林省としてはこれでなくてはならないと思う。それから食糧庁の方は、農林省の考えと二様ではない、小倉局長の言われたのとまつたく同じだと新澤部長はおつしやつた。こういう点から考えてみますると、最後に通産省の腹一つできまるわけなんです。私は陳情請願ばかりでこの問題を取上げたのではない。こういう大きな見出しの新聞がございます。これによりますと「巻き起るコカコーラの旋風、国内製造に反対の火の手、中小企業者は大恐慌、食い違う原液二万石の解釈」というヘツデイングでこういうでかい記事が出ているのであります。これを見て私が農林委員としてはつ感じたのは、日本が狭い国土に大勢の人口を包容して、その人たちが食つて行くためには、農業経営の方式をかえなければいけないという段階に来ているのです。多角的な立体的な集約的ないろいろの農業の方式をただいま検討中なんです。そうして今農林省で指導しているような農村工業も、あるいはまた果樹、園芸の農業も、畜産の問題も、国策として非常に重要視して取扱つているのです。従つて国内の産業、特に日本の農業というものは、保護政策をとらなければ立ち行かないという特殊の事情にあるのです。こういうときに、それがアメリカのコカコーラの旋風にあおられて、つぶされてしまつたら、今までの政府のこの経済施策というものは、根底からくつがえされてしまうことになるのであるから、農民の生活をわれわれがまじめに考えるときに、この問題はひとつ、さつそく中止してもらわなければならない。実は私はこの新聞記事を見て驚いて、お忙しいところをわざわざおいでを願つてお尋ねをしたわけでございます。この新聞記事はまつたく根拠のないものではないと思います。ある程度信用してさしつかえないのじやないかと思う。それを官庁のある方々に私はひそかに尋ねてみたわけなんです。これはそういう事実があるのです。けれども責任ある方々にこの公の委員会において、ひとつお答え願つておかなければということでおいでを願つたわけでありまして、でたらめに質問をしたわけではないから、通産省の次長さんからこれに対してのはつきりした御所信をもう一ぺん伺いたいと思います。
  121. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 実はただいまも通産委員会でそれと同様のお尋ねがございまして、また同様のお答えをいたして来たような実情であります。今、先生の言われたことはごもつともの点は多々あろうと思いますので、十分御意見を勘案して慎重に考えさせていただきたい、こう思います。
  122. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ただいまコカコーラの問題が出たのでありますが、そのほかにオレンジ・ジユースその他の問題の方が非常に重要だと思うのです。現在われわれがちよつちよつと聞いている範囲では、オレンジ・ジユースなどしについては、大分原液をアメリカあたりから入れて国内でつくつている。それが一つの大きな圧迫になつて、国内での原料を土台にしたオレンジ・ジユースの工業というものは、非常に伸び悩んでいるということを聞いておるのですが、実情はどんなふうになつているか、またこれをどんなふうにコカコーラの問題に連関をして考えておられるか。今の実情と今後の方針について、通産省並びに農林省にお尋ねしたいと思います。
  123. 小倉武一

    ○小倉政府委員 コカコーラに付随いたしましての柑橘類のジユースの問題でございますが、これは経過から見ましても、従来柑橘類をジユースにして飲むという慣行と申しますか、そういう風習が比較的日本に少なかつたのでございますが、戦後アメリカの製品が入りまして、それにつれてそういう需要が相当伸びて参りまして、年々需要がふえて参つておるような次第であります。そこで最近二、三の県におきましても、農民の団体でそういうジユース工業が実は発展して参つております。そこで私どももこのせつかく起きた需要が伸びまして、果樹地帯を主とする農村の工業が伸展するということは、はなはだ望ましいことでございますので、その点を十分勘案しておるのであります。外国からの原液の輸入等につきましては、これはまだ国内の生産量が推定される需要量に実ははるかに及ばないような実情なのであります。そこで若干入れるということもできはしないかという点が一点と、もう一つは、若干外国品を入れることによりまして、国内の品質の改善また需要の開拓というようなことにもなりますので、そういう点、需要量の見込み、それから国内の生産への刺激というふうな点を勘案しまして、実は若干輸入をするという方針をとつておるのでございます。それによりまして、国内のせつかく起りました工業が阻害されるということではなくて、むしろそれによつて促進されるということを実は期待しておるような次第であります。     —————————————
  124. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 これより昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。松岡俊三君。
  125. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 私がこれから尋ねて参りたいことは、四月、五月の凍霜害の問題に山形県のかいがら虫の被害が加わるであろうということを期待しておつたのでありますが、むずかしいかのように承りました。さらに六月に起つたこのかいがら虫の被害でありますがゆえに、五月及び六月に起つた水害の方にでも入り得るかと期待しておりましたら、これまたむずかしいような状態にあるように聞いております。さらに北九州の大水害の問題にはむろん入り得ないのでありまして、かように考えますと、老人によつて、山形県の最上川沿岸に起つた被害はかつて見ざる大被害だと言われておるこのかいがら虫の被害が、まつたく捨子同様にどこのわくにも入り得ないようなありさまになることを発見しまして、愕然たらざるを得ないありさまであります。こういうぐあいになりますと、かいがら虫の被害は、三年たたんければ桑をつくり得ないような恐るべき被害でありますので、これを何としてでも助けて行かなければ、単に減産ばかりでなく、桑は隣県より、高いやつを買つてさえもやつて行かなければならぬことになりますが、こういう山形における養蚕の最も盛んな地帯のかいがら虫の発生であります。これをいかようにして当局は救おうとするか、農林当局のかいがら虫の被害を受けている養蚕家に向つて、どういうあたたかい手を伸べていただく道をお考えくださつているかどうかということを、お聞きいたしたいのであります。従来かいがら虫は共済の対象となつておらなかつたが、今度の改正法律にはそれは入つておりませんけれども、幸いにも行政的の措置でこれを認めるということにしていただいたやに聞いておりますが、これもそのようになつたという御答弁をいただければたいへんありがたいと思います。共済の方にだけは入りましたけれども、その以外の融資の方面においては、前申し上げたようなぐあいに、四月、五月の凍霜害にも入らない、また爾後に起つた災害の対象にもなり得ない。そして山形県のごとき、ほんの一部であるけれども、被害が甚大であるにかかわらず、こういう点がきわめて少いために、これを一つ法律として提案するに至るものとは思われないのであります。しかし当局のお考えいかんによつては、何らかの処置も講ぜんければなりませんので、私の腹をきめます上について、当局のあたたかい御返事を期待して質問を申し上げる次第であります。
  126. 小倉武一

    ○小倉政府委員 蚕糸局長の方からもお答えがあるかと思いますが、私どもの関係についてお答え申し上げます。  今回山形県に発生したかいがら虫の被害は異常でございまして、共済の対象にいたすことに蚕糸局とも打合せ措置を了したのであります。  それから営農資金の問題でございますが、お話通り、どちらかといえば局部的な問題でございますので、政府としての特別な措置はなかなかむずかしいと思いますけれども、山形県庁とよく話合いをいたしまして、中金の資金をあつせんいたすように考えたいと思います。
  127. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 そうすると、融資の道を十分に開いていただけるというようにはつきり認めてよろしゆうございますか。融資のわくは今の四月、五月における凍霜害の被害農家における資金の融通に関する件の中には入り得ないけれども、これと同じような措置を講じていただける、かように解釈してよろしいですか。
  128. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御承知通り、特別の法律によりまして利子補給なり、損失補償をするという建前には実は参りませんので、その分はひとつ県庁に十分の御後援を願つて資金といたしましては中金の資金をあつせんしたい、かように考える次第であります。
  129. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 わかりました。
  130. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 他に御発言ございませんか。——御発言がなければ、暫時休憩いたします。     午後四時二十九分休憩      ————◇—————     午後五時開議
  131. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会