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1953-07-01 第16回国会 衆議院 農林委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月一日(水曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 佐竹 新市君    理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       山本 幸一君    川俣 清音君       日野 吉夫君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         議     員 松平 忠久君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   森本  潔君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      幸田 午六君         通商産業事務官         (鉱山局鉱政課         長)      村田  繁君         通商産業事務官         (鉱山保安局鉱         山課長)    蟹江 良長君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 七月一日  委員古屋貞雄君辞任につき、その補欠として井  谷正吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月三十日  広島県東部の農業災害対策確立に関する請願(  岡本忠雄紹介)(第二〇六五号)  同(船越弘紹介)(第二〇六六号)  凍霜ひよう害対策確立に関する請願(船田中君  紹介)(第二〇六七号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農産物検査法の一部を改正する法律案金子與  重郎君外七名提出衆法  第一六号)  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第九号)  農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関  する法律案内閣提出第一〇〇号)  農林漁業組合連合会整備促進法案内閣提出第  一三一号)  開拓融資保証法案内閣提出第一〇五号)  (予)  鉱毒による農林被害に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昨日、本委員会付託になりました金子與重郎君外七名提出農産物検査法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず本案の趣旨について提出者説明を求めます。吉川久衛君。
  3. 吉川久衛

    吉川(久)委員 農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして提案者を代表して提案理由を御説明申し上げます。  御承知通り農産物検査法施行以来本法による農産物検査は、その受検農産物の量も増加し、また検査の精度も向上し、農産物の公正かつ円滑な取引に寄与するとともに、農産物品質改善に貢献するところがあるのは御同慶の至りであります。しかしながら農産物検査法はその対象とする農産物取引が複雑でありますので、これら取引実態に応じ検査を進めて参りますことを必要とするわけであります。ことに昨年六月麦類統制廃止後におきまして、麦類取引実態統制中に比較して格段の変化を見たのでありまして、麦類には受検義務があるにもかかわらず、一部におきまして未検査のままで取引が行われるいう現象が生じ、公正な取引がその限りにおいて阻害される事態を見るのであります。もちろん受検義務がある麦類と申しましても、いたずらに検査を強制する面のみを強化することは避くべきでありまして、生産者その他取引関係者の理解にまつべきはもちろん、検査手数料その他検査手続及び方法にも改善を加うべきものはこれを改善することが必要であります。このうち検査手数料につきましては、先刻麦の手数料が二十円から十円に減額を見たことは御承知通りであります。このような見地に立ちまして、農産物検査法に所要の改正を加えることが適当であると考えまして、ここに農産物検査法の一部を改正する法律案提案いたしました次第であります。  次に本法案の骨子につきまして御説明を申し上げます。まず第一点といたしましては大麦裸麦または小麦生産者は、その生産した大麦裸麦または小麦加工委託をする場合には、その委託前に国の検査を受けなければならないことといたしたのであります。もちろんこの場合においてもみずから消費する目的加工委託をする場合は検査を受けなくてもさしつかえないことにすることは当然であります。  第二点としては、未検査米麦または精米買受等禁止でありまして、すなわち米麦または精米売買取引または加工を業とする者は、国の検査を受けるべき米麦または精米で未検査のものをその生産者から買い受け、売渡しの委託を受けまたは加工委託を受けてはならないものといたす点であります。  第三点としては、検査規格公示余裕期限の短縮であります。すなわち検査規格を設定し、変更しまたは廃止しようとするときにおいて、災害その他やむを得ない事情によつて農林大臣が必要があると認めるときは、公示の日から施行期日までの期間現行法では三十日になつていますのでこれを短縮することができるようにする点であります。  第四点といたしましては、農林大臣検査法目的を達成するため必要があるときは、農産物生産者等に対して必要な事項の報告を徴し、または当該職員に必要な場所に立ち入つて調査させることができるようにいたす点であります。  以上簡単でありますが、提案理由概要を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————
  4. 井出一太郎

    井出委員長 次に、去る六月二十四日付託になりました、内閣提出農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案、六月二十九日付託になりました、内閣提出農林漁業組合連合会整備促進法案、及び六月二十五日予備審査のため付託になりました、内閣提出開拓融資保証法案、以上三案を順次議題といたし、審査に入ります。  各案の趣旨について逐次政府説明を求めます。篠田農林政務次官
  5. 篠田弘作

    篠田政府委員 農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  農業災害補償法におきましては、家畜共済は、死亡廃用共済疾病傷害共済及び生産共済の三つにわかれておりまして、疾病傷害共済に加入いたしますには死亡廃用共済に加入していなければなりませんが、死亡廃用共済に加入いたしますには、必ずしも疾病傷害共済に加入することを必要としない建前になつております。しかしながら、第一には畜産振興上、疾病傷害共済普及徹底と、これによりまする家畜診療普遍化が必要であるという点からみましても、また第二には、疾病傷害事故についての診療が行きわたるに従つて死亡廃用事故率が低下し、従つて全般的に農家掛金負担を軽減できるという点からみましても、この二つの共済を一元化いたしますことが家畜共済事業の充実、農業災害補償制度目的達成をはかります上において必要であると考えるわけであります。  この法律案は、この点にかんがみまして、農業共済組合の中から、一部の農業共済組合をその同意を得て指定し、死亡廃用共済疾病傷害共済とを総合した死廃病傷共済を一定期間試験的に実施させ、一元化された場合の共済掛金率等各般にわたる基礎資料を得ると同時に、家畜共済制度の運営上の諸問題についても検討を加えて参りたいと考えておるのであります。  以下試験的に実施しようとする死廃病傷共済内容について御説明いたしますと、第一に共済掛金でございますが、共済掛金率は、実験段階でありますので、一応従来の死亡廃用共済掛金率疾病傷害共済掛金率とによつて算定せざるを得ないのでありますが、一元化いたすことによりまして、危険率が低下することが十分予期せられますので、収支のバランスの面からみますと若干の余剰が出ると考えられます。そのうち再保険特別会計余剰分を見合いとし、実験を奨励するという意味を含めまして、補助金の形で、農家が負担する共済掛金の一部を割りもどすことといたしました。第二に、支払共済金でございますが、従来、疾病または傷害事故により一年間に農家に支払う共済金には、支払い限度を設けておりましたが、この法案では、一事故に対する支払額には限度を設けますが、年間の総支払額には限度を設けないことにいたしました。これは農家が、診療を容易に利用し得るようにいたしまして、病傷早期発見早期診療徹底を期するためであります。  以上が、この法律案目的及び内容概要でございます。慎重御審議の上可決あらんことをお願いする次第であります。  次にただいま上程せられました農林漁業組合連合会整備促進法案提案理由を御説明申し上げます。  わが国農林漁業を振興し、もつて自立経済の基盤を確立するためには、農林漁業組合整備強化をはかる必要があることは申すまでもないところであります。この目的のために、政府事業不振組合再建整備をはかることにいたしまして、昭和二十六年度から農林漁業組合再建整備法によつて、これに着手いたし、爾来二年間の経過において相当実績をあげてきていることは、各位の御承知通りであります。しかしながら、特に農林漁業組合連合会再建整備実績をさらにしさいに分析し、その実情につき検討を加えてみまするとき、現在の再建整備法による方式のみをもつてしましては、真に農林漁業組合連合会の健全な発達を期するには、なお足らないところのあることを認めざるを得ないのであります。すなわち、農林漁業組合連合会再建整備目標としての増資は、おおむね順調に進捗しているのでありますが、いずれも多額の欠損金を有しておりますために、今後の増資には相当の困難が予想されるのみならず、増資が所期の目標に達した場合におきましても短期間欠損金を補填し、かつ、固定化した債務を償還するに足る事業利益を上げることは困難な実情にあるのであります。  ここにおいて政府は、従来の再建整備方式を確実に実行せしめるとともに、さらに農林中央金庫その他農林漁業系統金融機関が、経済事業を行う農林漁業組合連合会に対し、その固定した債権の利子を経減する等積極的な援助を行うことを期待し、その援助を行う系統金融機関に対して助成する措置を講じ、もつて農林漁業組合連合会整備促進と、その健全な発達を期したいと考え、この法案提出した次第であります。  次に本法案内容概略を御説明いたします。この法律により整備を行おうとする農林漁業組合連合会は、系統金融機関と協議し、その援助を受けて整備計画を樹立するのであります。この整備計画におきましては、今後十箇年間に固定した債務の全部の整理と欠損金の全部の補填を目標といたしており、政府は、この整備計画を新たに設置いたしまする農林漁業組合連合会整備促進審議会の議を経まして、その適否を決定し、その整備計画によつて援助を行う金融機関に対し、毎年補助金を交付するものとするのであります。この外法人税法上の特例を設けまして、その整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会については、所得の計算上、整備期間欠損金の繰越しを認めることとし、農林漁業組合連合会税負担を軽減し、目標を達成しやすくいたしたのであります。  以上がこの法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決されんことをお願いする次第であります。  次に開拓融資保証法案提案理由を御説明いたします。  わが国食糧自給促進の重要な一環としまして、全国十五万戸の開拓者は、日夜その農業経営確立に鋭意努力をしているのであります。政府は、これらの開拓者に対し、農具、家畜等営農基本的手段については、開拓者資金融通法をもちまして長期低利資金を直接融通しているのでありますが、さらに昭和二十五年度より開拓者都道府県及び政府が一定の金額を醵出して、借入れの担保とする開拓信用基金制度を創設し、これによつて開拓者農林中央金庫から肥料資金その他の短期営農資金融通を受けているのであります。  この法律は、開拓者の団体を構成員とする開拓融資保証協会中央及び各都道府県に設立し、保証財源管理運営明確適切にするとともに、あわせて政府及び都道府県の出資によるこの制度への助成の方途を明らかにするよう、現行開拓信用基金制度を法制的に整備確立しようとするものであります。  以上、本法案提案理由について御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願いいたします。     —————————————
  6. 井出一太郎

    井出委員長 この際お諮りいたします。吉川久衛君より鉱毒による農林被害に関しまして、質疑をいたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。それでは吉川君。
  8. 吉川久衛

    吉川(久)委員 長野県小県郡長村において昭和二十六年六月より試掘中の硫黄採掘によつて、その試掘個所水源とする神川本流を利用する上田市を始めとする一市十箇村、十万住民上水道水源であり、また山吹、内の原、小西、窪、横尾、吉田、堀越、新屋、林之郷、岩門、大屋、常田、岩下、久保の十四堰の灌漑用水路により千五百四十六町歩の現水田に灌漑するこの水系に硫黄鉱毒を流される場合は、十万住民生存権重大影響を及ぼすのでありますので、この際関係当局に対してお伺いをするものであります。  第一に、農林省は千五百四十六町歩が年々の水不足を緩和し、その他数十町歩にわたる畑地灌漑目的のために、神川上流大洞ダムの建設を二十六年度より計画をいたしているのでありますが、その経緯御存じでございますか、どういうようになつておりますか。  それでは農林省お答えあと局長が見えてからでけつこうでございますから、厚生省ではこの長野県の長村硫黄試掘中であるということ、並びにここに水源を求めて上田市並びに神科村の上水道設置されております。これが住民飲用水として利用されている事情、それからこの鉱害によつて公衆衛生上その他重大なる関係があると思いますが、この経緯御存じでございますか、御存じでございましたら、これに対して今日までどのような御措置をとつておいでになりますか、経緯を御説明願いたいと思います。
  9. 楠本正康

    楠本政府委員 お答えいたします。本問題は昨年六月ごろ表面化いたしまして、ただいま御指摘のような事態が逐次明らかになつたわけでありますが、これに対して厚生省といたしましては、上田上水道を初め付近十箇町村の飲用水にも関係することでありますので、ただちに八月厚生省担当官現地に派遣いたしまして、同時に農林当局並びに通産省当局とも相談をいたしまして、これら三省の当局が同道をいたしまして、綿密な現地調査を実施いたしました。なおその後引続きまして各省と協力し、あるいは単独調査を進めまして、逐次事態を明らかにしたわけでありますが、目下概要といたしましては、現在硫黄試掘が行われております地域明神沢にございます。そこで明神沢の水を精密に検査をいたしまして、その結果源の明神沢の水並びに明神沢下流となりまして、上田市の上水道入口に至る地域までの水につきましての検査状況は、上流明神沢におきましては、酸性度がやや高く、もちろん飲用として不適であります。なお下流上田上水道の取入口付近におきましても、飲用水としては必ずしも良好でない状況であります。なおかような河川状況がはたして試掘によるものやいなやという点がきわめて大きな問題でありますが、由来この地方は比較的酸性度の強い土地であります関係上、雨が多く降つたとき等は、ややもすると水の酸性度が高まつて参ります。そこで試掘開始前の成績をいろいろ文献その他によつて調査をいたしますと、河川におります生物棲息状態を昔調査したものがございます。そこで現在の調査成績を比べますと、やはり生物の種類によつてはいなくなつておるような点、並びに古い文献でこれらの酸性度を科学的に調べた点等を比較いたしてみますと、やはり試掘によつて多少酸性度が増したのではなかろうかという感じがいたします。そこで厚生省といたしましては、農林省とよく相談をいたしまして、とりあえずかような試掘許可通産省単独で実施いたしましたことについて抗議を申し込みまして、ただちに中止方を依頼いたしたわけであります。一方現地におきましては、土地調整委員会の方でも、本問題を取上げまして、厚生省に対して正式に意見を求めて参りました。そこで厚生省といたしましては、これらの調査成績並びに今後の事態等を詳細に検討いたしまして、一応鉱区禁止地区として設定するよう申入れをいたした次第であります。なお現在これは試掘中止中でございます。
  10. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は戦争の最中に、実は中央重要機関の疎開の関係の仕事を担当いたしておりまして、菅平のホテルの買収に当つたのであります。当時私は菅平に滞在をしておりまして、趣味の釣をやつたのであります。当時あそこには魚がいたのです。ところが地元の人たちの話を聞きますと、試掘を始めてから川の魚が全然いなくなつたということであります。こういうようなことを見ましても、ただいまの厚生省の御説明はうなずけるのであります。しかもここは国立公園特別地区に設定されております。しかるにこの鉱区の近くの土砂汗止林が、最近坑木その他の用に供するために盗伐をされております。水源涵養林であるものがこのように盗伐されている事実は、いろいろ証拠があるのでございますが、農林省はどういうようにごらんになつておいでになるか。農林省の方のお答えあとけつこうでございますが、厚生省の方では、国立公園の面を所管しておいでになりますので、この点どういうようにごらんになつておいでになるか、その辺をひとつ伺いたいと思います。
  11. 森本潔

    森本説明員 ただいま問題になつております菅平地区は、上信越国立公園の中の重要なる保護地区の一つに考えております。昨二十七年十月に今お話のように、特別地域指定をいたしました。従いまして、この特別地域内におきましては、各種の工作物設置いたしたり、相当量木竹伐採をすることは許可がいるわけであります。今、日待を覚えておりませんが、県の方より、硫黄鉱業所付近において若干の木竹伐採、小さな規模の工作物設置があつたという報告を受けております。それで、これは許可がなしにやつたものと考えております。この取扱いにつきましては、たとえば工作物設置あるいは木竹伐採が小量かつ適当であれば許可することになると思いますが、その扱いにつきましては、目下県意見を照会しております。一応今までのところとしましては、許可手続を経ずにさような行為をなしたように聞いております。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員 さような事態のあることがはつきりした場合は、どういうような御処置をとることになつておりますか。
  13. 森本潔

    森本説明員 第一には、設置しました工作物等が、かりに許可できないものであるというような場合には、これは原状回復を命ずることになります。  それから木竹伐採につきましては、これは切つたものでありますから、原状回復ということは一応考えられないわけでありますが、いずれの場合にしましても、さような行為がきわめて悪質なものであるときには、その行為に対する罰則適用がございます。しかしこれを適用するかどうか、これは情状その他事情を調べました上の処置になりますが、原状回復あるいは変更、それから罰則適用、こういうことがございます。いずれの処置をとるかにつきましては、県の意見等をも十分徴しまして、処置をとりたいと思つております。
  14. 吉川久衛

    吉川(久)委員 盗伐をされたのは白樺の汗止林と聞いていますが、その伐採した木を原状に復することはできないので、これは特別に考慮していただかなければならないと思います。  なお厚生省に聞いておきたいと思いますが、比較的酸度が薄くて魚や作物にかりに大して影響がないといたしましても、それが人間に及ぼす影響はどういうふうに見ておいでになりますか。私が今聞いておるところによりますと、魚がほとんどいないということでありますから、人の衛生、健康に及ぼす影響相当大きいと思うのでございますが、そういうことについてどういう御見解を持つておいでになりますか。先ほどの御説明では、禁止区域として申し入れられたということで、私はある程度了承いたしますが、念のためにもう一応……。
  15. 楠本正康

    楠本政府委員 水の酸度を私の方は専門的にPHという数字で計算いたしておりますが、先ほど申し上げました明神沢PHは大体四程度でございます。これらはもちろん人体に支障のある水でございます。おそらく農作物にも支障があるだろうと考えられます。私どもが飲料水として適当な水といたしましては、大体今の係数が七から八程度を正しいものといたしております。なおこの酸性度が強くなりますと胃腸障害、特に慢性下痢症状、あるいは血液の酸度が高まりまして抵抗力が減少し、疲労しやすいというような症状が出て参りますので、酸性度の強いものは特に慎しまなければならぬものと考えております。なお水道管を通しましたような場合、酸性度が強いと水道管が破壊をいたしまして、修理に厖大な金がかかるというような点をも考慮いたしておりますので、ただいま申し上げたような酸性度七ないし八程度を確保するように努力をいたしておる次第であります。
  16. 吉川久衛

    吉川(久)委員 農林省農地局長がお見えでございますから伺いますが、この地区に千五百四十六町歩水田がございます。その上数十町歩畑地灌漑等計画いたしまして、二十六年度から大洞というところにダム計画を立てられているということでございますが、その経緯はどういうようになつておりますか。
  17. 平川守

    平川政府委員 この大洞ダムは、下流千五百町歩ほどの水田の水の不足を補うために必要であると考えておるのでありますが、たまたま問題の鉱山試掘が行われ、現在はまださほど大きな影響はありませんけれども、これが本格的に採掘を始めるということになりますと、この大洞ダムの水がほとんど毒水化するという危険が感ぜられますので、ただいま土地調整委員会の方にこれの禁止地域としての指定を請求しているような状態でございます。
  18. 吉川久衛

    吉川(久)委員 この水源池もあり、しかもこの試掘個所大明神沢の近辺は土砂扞止林になつておるのでありますが、先ほども厚生省にお伺いしたように、坑木その他の用に供するために、この扞止林の樹木が盗伐をされている事実がございます。この事情御存じでございますか。そうしてそれに対してどういう御措置をとつておいでになりますか。
  19. 平川守

    平川政府委員 ただいまの土砂扞止林盗伐の件は、私は実はまだ聞いておりませんでした。しかしこれが保安林でありますならば、当然これを禁止しなければなりません。また盗伐ももちろん違法なわけでございますから、これをとどめるような措置をとる必要があると考えます。
  20. 吉川久衛

    吉川(久)委員 委員長にお伺いしますが、私は鉱山局長おいでをお願いしたのですが、どうしましたか。
  21. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま参議院におきまして鉱業法の一部改正案審議中で、その方でちよつと明けられぬという回答でありました。
  22. 吉川久衛

    吉川(久)委員 はなはだ遺憾ですが、それでは時間の関係もありますので、担当の課長にまずお伺いをいたしまして、納得が行きませんでしたら、局長なり所管大臣なりのおいでを願うことにして、一応お伺いを進めることにいたします。  今の厚生省の御答弁は、禁止区域として申入れが行われておるといううとであります。農林省土地調整委員会に同様な申入れをしておると言われておりますが、それについての内容がはなはだ適当でない、こういうことがはつきりしたのでございます。こういう地域において、こういう事情があるにもかかわらず、通産省としては、なおかつ試掘を認め、この事業を進めて行くお考えがあるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 村田繁

    ○村田説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えをいたします。問題になつておりますのは北信鉱山のことをおつしやつていると思います。この鉱山は御承知のように二十六年の五月に試掘権として登録をせられたものでございまして、これを許可するにあたりましては、鉱業法にもはつきり規定がございます通りの建前もございまして、そこの所属の県庁でございます長野県には事前に十分協議をいたしております。しかも長野県といたされまして、こちらへの意見を述べられるにあたりまして、関係の市町村にもとくと御協議になつたようにわれわれは聞いております。そうしまして試掘権の登録を得ましたから試掘にとりかかつたのでございますが、その試掘をやつた結果かどうか、ただいまお話のように、川に酸性度が多くなつたという点につきまして、昨年の夏から問題が起つたということは、先ほど厚生省からお話があつた通りでございまして、われわれといたしましても、さつそくその点につきましては、先ほど申し上げましたように、担当官現地に参りましていろいろ調査いたしたわけでございます。その報告といたしましては、ただいまの程度では全然実害がなくやれる、こういうふうな話になつておりましたし、また一面におきまして、さつそく山の方にも、今後酸性度の増すことのないように十分な予防措置を講ずるように指導いたしましてそれがために山の附近に沈澱池を設けまして、酸性度を中和させるための施設もこしらえますし、またその廃液の流れるのを防止するために、捨石の堰堤の設置等をもなさしめて、すでにこれができ上つておるような状態でございます。従いまして私たちといたしましては、今までのところでは御迷惑をかけずにやれるのではないかということで今日に至つておる状態でございますが、その間におきまして実は鉱山の方から、試掘程度でなくて本格的な操業をいたしたいということで、これを採掘に切りかえたいというというふうな出願が参つております。御承知のように鉱業の出願は、鉱業法の建前では中央で直接扱わずに、地方の通産局で扱うことになつておりますから、ただいま東京の通産局の方にその関係の書類が出ておるような状態でございます。そこで先ほど来農林省厚生省からこもごも述べられましたように、本格的操業に至つた場合に、今までの予防措置、あるいはまたさらに設備を拡大することによつて、今後も実害なくやれるかどうかということにつきましては、目下現地におきまして保安監督部が中心になつて慎重に検討いたしておるような状態でございます。従いましてその出願につきましては——出願は昨年の四月に出ておりますが、はつきりした見通しのつくまでは許可しない、こういうことで今日に至つておるような状態でございます。
  24. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいま課長の御説明にあります通り、鉱害水の中和施設というものが当局より鉱山側に指示がございまして、石灰中和施設及び沈澱池の築造が行われているそうでございます。しかしそれは名目ばかりのものであるとみえまして、今まで住んでいた川の魚がなくなつてしまつたというような事実を見ると、よく言われておりまする鉱山側の常套手段ではないか。形ばかりの施設をつくつて、実際はその機能を発揮するような最善の努力をやつていないということの証拠として、この川の魚がなくなつたということがあげられるのではないかと思うのです。しかも年々その後調査をいたしておりますところによると、だんだんとそのPHといいますか、酸性の度が川の下の方に強くなつて行くという試験研突が行われております。そういたしますと、これが試掘から本格的に本採掘に移るということになれば、これはゆゆしき問題ではないかと私は思うのです。しかも鉱山局長はどういうふうに考えておいでなつたか知りませんが、鉱山局の御指示をまたないで溶鉱炉なんかの設置もやつております。こういう問題について、東京の通産局の加々美部長、瓜生課長も承知しているはずなんです。そこえ陳情団が参りまして、けしからぬ、通産省の指示にもかかわらず、あるいは許可のないことをもあえて進めているというこの事実は、一体何をしておるのかわけがわからない。ことにあの土砂扞止林盗伐をしたり、通産省許可のない施設を進めたりすることは、いかにもこれは相当の価値のある鉱山であるというようなかつこうをつくつて、そうしてこれをだれかに売りつけようとするような一つの手段であるのかというような疑いも、ただいま地元の人たちに持たれております。はなはだ納得の行かない数々の事件が頻発をいたしておりますので、どうも課長のお答えでは納得が行かないのでございますが、一体東京通産局が今までやつて来られたとお認めになつておりますこの不正の行為について、本省では十分御存じだと思いますが、それについてどういうような御措置をその後おとりになつておいでになりますか。
  25. 村田繁

    ○村田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。試掘権は御承知のように鉱業法の建前では一応二年ということになつております。先ほど申し上げましたように、二十六年の五月に登録になつておりますので、一応ことしの五月でその期限が切れることになるのでございますが、必要に応じまして、随時さらに二年というふうに延ばすことが認められておりますし、その延長の許可がおりない場合でも、その延長の出願をしておりさえすれば、許可が拒否されるか許されるかということのきまるまでは、一応従来通りつていい、こういうことになつております。しかも試掘の場合には、特別な事情の変化があつて、今後掘ることを続けることが非常に公益上支障があるというような特別の理由のない限りは、一応認められる、こういう建前でございます。従いまして、先ほど来お話のありました製錬の設備につきまして、一部つくるということは、今後も引続き試掘を認められるのではないかという配慮から、あるいは鉱山側としてはつくつたのではないかと思います。そのつくるにつきましては、役所の方では直接タッチはできません。ただ問題は、先ほどおつしやいましたような事態があるということを前提として継続がけしからぬ、こういうふうに客観情勢がなつておるにもかかわらず、なおかつそういうことになつたかどうか、こういうことが問題であろうかと思うのでございますが、私たちといたしましては、直接出願の処理に当ります鉱山関係、それから保安の方を担当しております保安監督担当官が、この問題の起りましてから、あるいは先ほど申し上げましたように、農林、厚生の方々と御一緒に参りまして、あるいはその後いろいろ問題があるたびに鉱山側に参りまして、いろいろと実情を調べて参つておりまして、ただいま仰せのようなことがある場合には、はつきりとこれを停止せしめるような方向に持つて行かなければならぬということで種々調査をし、また通産局からも、われわれ随時その連絡を受けてやつておるのでございますが、先ほど来のようなことにつきましては、どうしてもそういう実害のないようにするということが全然不可能だという結論は、ただいまのところ出ておりません。従いまして先ほど申し上げましたように、もう少し慎重に検討した結果、その結論を得たい、かように考えております。
  26. 吉川久衛

    吉川(久)委員 企業としてこの事業が成り立つには、含有量がどのくらいあつたらよろしゆうございましようか。
  27. 村田繁

    ○村田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  大体硫黄分といたしましては、三五%から四%くらいの品位があれば相当優秀だ、こういうことになつております。ただ当鉱山の場合には、あるいは一〇%くらいのものもあるし、それから一部——一部と申しますと非常に誤解を招くのでありますが、一〇%くらいのものもあるし、それから先ほど申しました三五%ないし四十%くらいのものもあるということでございます。全体としましてどの程度になるかということは、試掘中でもございまして、まだ輪郭ははつきりいたしておりません。
  28. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私のお伺いしておるのは、この鉱山について伺つておるのではありません。一般に企業として成り立つ含有量の限界はどのくらいかということです。
  29. 村田繁

    ○村田説明員 ちよつと付言いたしまして誤解を招きましたが、三五%もあれば十分だと思います。
  30. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私の聞くところでは、この鉱山では二〇%から二六%と言われております。そういたしますと、この非常に地理的に条件の悪い所で、しかも国立公園特別地区に設定をされておる。しかも今国策として食糧の増産が叫ばれておりまして、国も非常に重い比重をもつて食糧増産をやつておりますときに、この千五百町歩を越えるところの耕地を犠牲にし、しかも飲料水水源地である関係から、人命にも影響を及ぼすような所に、こういう無理を押してまでもこれに本採掘の願いを出して来たようでございますが、それを許可するということは私にはどうも納得ができないのです。この猫嶽とかいう裏の山の向う側でございます上高井の方では、硫黄を確かに採掘をいたしております。この関係町村の諸君がこの上高井の方の実況を調査に参りました。この地方はこの鉱害中和の施設を実によ、やつておるにもかかわらず、鉱害が相当にございまして、たびたび問題を起して、そのために遂に今日では莫大な費用を投じて、千曲川から揚水いたしておるというような事実がございます。ところがこの地区は千曲川から水を揚げるにはあまりに差がございまして、あの高いところまで水を揚げるわけに参りません。そうするとこの十万の住民の生活を守るためには、莫大な金を投じなければならない。食糧増産を阻害し、国民生活を脅かして、それでもなおこんな含有量の低い山を許可しなければならないということは、私には考えられないのです。種々の事情を御検討の上に対処するというお考えのようでございますけれども、こういう困難な事情を乗り越えてまでもおやりにならなければならない御事情があるでございましようか、通産省の方針として、他の国策に矛盾してもあえてやらなければならないかというような方針について、ひとつつておきます。
  31. 村田繁

    ○村田説明員 ただいまの御質問にお管をいたします。われわれといたしましても、他を顧みなくても、ただ鉱産資源の開発さえやればいいというような気持は毛頭持つておりません。あくまでもただいまおつしやいましたような農地の問題、あるいは飲料水の問題との間の兼ね合いという点から慎重に検討いたしまして、どうしても両立しないという場合には、もちろん鉱山自体の問題につきまして善処しなければならぬと思いますが、先ほど来申しました点につきまして、なお一段と現地、あるいは場合によりましては、中央の方といたしましても、通産省だけでなく、厚生省その他にも十分御連絡いたしまして、両立しないかどうかにつきまして、さらに一段調査の上決定いたしたいと思います。
  32. 吉川久衛

    吉川(久)委員 最後に、私は農林省の御説明をいただいているうちに、農林省としてまだ十分この問題について検討がなされていないような感じを受けました。ことに扞止林の問題、水源の涵養地の問題は、農耕に対しても、あるいは上水道関係からいたしましても、きわめて至大な関係がございますから、県とも連絡をとつて、十分調査をされて、しかるべき措置を講じていただきたいと思います。厚生省の方は比較的よく御検討のようでございますが、こういう今申し上げたような実情にございますので、ひとつ地元の住民の要望にこたえて、通産省とも十分連絡をとつていただきたい。通産省は、ただいまの課長のお言葉でございますが、私はあなたがまじめにお答えになつておると認めます。どうかひとつ地元の住民の声を十分聞かれて、何かいろいろの疑いがあるようにわれわれは感じますので、その辺をひとつはつきりして、納得の行くように御措置をとられんことを要望して、私の質問を打切ります。  なお委員長、関連質問を同僚議員から求められておりますが、それをひとつ御採択願いたいと思います。
  33. 井出一太郎

    井出委員長 本件に関して議員松平忠久君より委員外の質疑を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。松平忠久君。
  35. 松平忠久

    ○松平忠久君 ただいま委員長のお許しがありましたので、委員外の発言をさしていただきます。  村田課長のお話の第一点の中に、当時本件は長野県側と十分連絡協議の上で試掘許可があつたように御発言があつたわけでありますが、この点に関しましては、鉱業法によりますと、三十日以内に府県知事から回答がなかつた場合には同意をしたものと認める、こういう但書があの法律にあるわけでありまして、長野県知事からは当時本件については期限に至つても回答がなかつたので、本省においては、これは同意したものと思つて試掘許可を出した。こういうふうにわれわれ見ておるのであります。実は当時私は長野県の副知事をいたしておりましたので、そのころの模様をよく知つておるわけでありますが、これは長村に県知事から照会をすることなく、つまり県側に欠陥があつたわけでありますが、県側にそういう欠陥があつたということを通産省御存じであるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  36. 村田繁

    ○村田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま仰せになりましたことは、なるほど鉱業法にはそういう但書がついております。これは御承知のように、鉱業法改正になる前からでございますが、特に改正後におきましては出願が非常に山積しておりまして、もちろん慎重にやらなければならないことでございますが、ある程度これを迅速に処理するのでなければ、非常に出願者に御迷惑をかける、こういうようなことになつておりますので、従来の経験にかんがみまして、新しい鉱業法では、この出願の処理を迅速にさせたい、こういう意味からそういう但書がついておるのであります。ただ当該長野県の場合には、私の方で通産局から連絡を受けております限りにおきましては、その但書を発動して、長野県庁の意見も十分聞かずに処理したというふうには聞いておらないのでございます。
  37. 松平忠久

    ○松平忠久君 そうすると、先ほど村田課長の言われた、県とも十分連絡をとつた上でということは、そういうことではなく、実際問題としては、三十日を経過したからこれは同意があつたものとして許してしまつた、こういうことになつておるわけでありまして、しかも県知事から地元の長村にこれを照会することなく許可をしてしまつた。言いかえれば、地元の了解もなく試掘許可をしてしまつたということに関しまして、地元からこれに関するいろいろの峯なり、あるいは反対意見というようなものが出て来た場合には、それに対して通産省は好意的な考慮を加える、こういう御方針でありますかどうか、その点をお伺いしておきます。
  38. 村田繁

    ○村田説明員 御質問にお答えいたします。私が先ほど申し上げました点が、表現がまずかつたので、誤解をお与えしたかと思いますが、私が先ほど申し上げましたのは、但書によつて処理をしたということではなく、十分御連絡申し上げまして、意見を聞いた上でああいう処置なつたというふうに聞いております。さように御了承を願います。
  39. 松平忠久

    ○松平忠久君 きようこの席上には、地元の長村の村長とかその他大勢来ておられるのでありますが、そういう方方は、数回にわたつて、おそらくそのいきさつを通産省に陳情申し上げ、当時地元に何らの照会もなく、県側の手続が不備であつたということについて陳情申し上げておるはずであると思います。私自身もそのころ参りまして、その点は通産省の係官に明らかにしたことがあるのであります。従つて今日においては、あなたは御存じないかもしれぬけれども、ほかの係官、通産局の方は、当時そういういきさつがあつたということを御存じだと思うのであります。従つて先ほど申し上げておる通りにかりにそういつた事務上の欠陥があつたという場合に、その結果について地元からその後いろいろな反対の声が出て来たという場合に、おいてその手続上の欠陥ということが、今後本件を処理するにあたりまして、本省において一つの好意的な考慮を加える参考資料として聞いていただけるかどうか、こういうことを質問しておるわけであります。
  40. 村田繁

    ○村田説明員 お答えいたします。ただいまの十分な連絡云々のことにつきましては、私どもといたしましては従来とも通産局の方に、十分そういう点については、現地で利害調整をした上で処理するように申しております。今後ともその点についてはかわりはない、かように考えております。
  41. 松平忠久

    ○松平忠久君 さようでありますならば、これらの手続上に欠陥があつたということについて、地元との間に十分なる連絡、協議がなされていなかつたということでありますので、この点については特に今の点も御考慮願つて、御善処願いたいと思うのであります。  なおもう一点お伺いしたいことは、先ほど吉川委員からも御質問がありましたけれども、この場所において、いろいろ鉱業権者においてやるべきことを怠つておる。あるいは法律を無視して保安林等を伐採してしまつた。あるいは通産局の了解を得ずして製錬所をつくつてしまつてあとで怒られたというような数々の、いわゆる遵法精神を欠いておる、法律を守らない、こういう行為を業者は行つておるわけであります。こういうものに対して、この地域に監督するために監督官を常駐しておられるかどうかということを、お伺いしたいのであります。
  42. 村田繁

    ○村田説明員 鉱山保安の点につきましては、保安法に基きまして、各通産局ごとに保安監督部というものを置いておりまして、その保安監督部にはそれぞれ鉱山に関する専門の技術者が監督官としておりまして、常時鉱山の方には連絡に参りまして、現地において指導をいたしております。ただ山に駐在させきりというような制度は、ただいまのところはとつておりません。
  43. 松平忠久

    ○松平忠久君 山に駐在させないということでありますと、人里離れた所で、監督は非常に困難だと思うのでありますが、そういう場合に業者が遵法精神を持つておらぬ。そういう数々の例のある業者が続出しておるという現状でありますが、一体その監督官なるものは、どういうことを日々監督しているのですか。
  44. 蟹江良長

    ○蟹江説明員 保安局といたしましては、鉱山につきましては毎四半期ごとに一回監督官が参りまして、鉱害の問題について、巡回監督をしておるのでございます。設備の問題につきましては、所管が鉱山局にありますので、私どもの所管外でございますが、人間の数に制限がございますので、しよつちゆうまわつておるわけには参りませんが、四半期ごとに一回参ることになつております。
  45. 松平忠久

    ○松平忠久君 もう一点国立公園部長にお尋ねしたいのですが、先ほどのお話によりますと、大明神沢上流地点においてはPHが非常に低いというので人体に障害があるという御説明でありましたが、この付近国立公園の中にありまして、キャンプ場をやつておりますが、このキャンプの人たちが飲んだら、当然障害がある。そうしますとキャンプをしておる人たちに一体どういう御措置を今後おとりになろうとするか、これは国立公園部長あるいは環境衛生部長の御所管と思うのでありますが、そういう人体に障害のあるところにキャンプ場をつくることをお認めになるつもりであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  46. 森本潔

    森本説明員 PHの害があるかどうか、それが試掘に伴うものであるかどうかという点は、先ほどの説明を聞いておりましても、大体あるであろうというところまではわかつておりますが、断定できないというふうにも聞えております。現にあの菅平のキャンプ場でキャンプをしておつて下痢を起したのがある。それはPH関係だろうというふうに考えております。  それから、そのPHの害が防ぎ得るならば、その方法は試掘の停止もございましようし、中和の施設をするという方法もございましよう。そういう、方法を講じてキャンプ場を利用に供したいと考えております。むしろキャンプ場の利用のために、そういう措置を講じてもらわなければならぬというふうに考えております。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつと関連して通産省にお尋ねいたしますが、鉱業法がたびたび改正されまして、試掘権がかつては鉱業権として存在したのを、採掘権の前提として試掘権を認めるという改正なつた結果、二年という期限がついたはずであります。従いまして、試掘権は本来の鉱業権ではなくして、鉱業権の前提として改正されたと思うのであります。従いましてこの二年をさらに延長して本掘に入るといたしますれば、当然十分な施業案が提出され、その施業案には除害設備の設計が当然伴つていなければならないと思うのであります。これらのものが伴つて施業が提出されておると思いますが、問題とならなければ別でありますが、これだけ問題になつておれば、当然施業案を検討されておるはずであります。これは通産局だけではなく、当然本省においても検討されなければならぬと思いますが、どの程度検討されたか、その点をお尋ねいたします。
  48. 川上為治

    ○川上政府委員 ただいまのお話につきましては、地方通産局におきまして、施業案については詳細これを検討いたしまして、その施業案が、先ほどからお話がありました鉱害問題について、その施設がよくないというようなことでありますれば、地方通産局長としましては、その鉱業権者に対して、その施業案を是正するように指示することができるわけであります。もちろんこういう問題につきましては、各地方通産局にそれぞれのエキスパートがおりまして、十分検討できる態勢になつておりますので、中央通産省におきましては、別に相談を受けてそれをさらに是正するとかというようなことにはなつていないわけであります。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 それは鉱山局長にもう少し御検討願いたい点であります。本論から離れますから、これ以上私はこの点についての追究はやめますが、今までの御説明によりますと、鉱山で除害設備をするとほとんど無害にすることができるというような御説明でありますが、今日本の鉱山で完全に除害設備をしておる鉱山があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  50. 川上為治

    ○川上政府委員 日本の石炭山あるいはメタルの山で、すべてが完全に除害施設をやつておるかどうかという点につきましては、まつたく完全というところまではあるいは行かないかもしれませんけれども、私どもの方としては、なるべく鉱害が生じないように、その施設につきましては、各山におきましても相当程度つておると、私どもの方では考えておるわけでありまして、これがまつたく完全かというような問題になりますと、どの程度までが完全かということになりまして非常に問題でありますが、小くとも鉱害が生じないように、いろいろ各山においてもやつておりますし、それに対しまして、通産局においても、私どもの方としても、いろいろ指導をしておるわけでございます。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 日本の鉱山においてまあ完全に近いような設備をしておるところは、おそらく例をあげて御説明はできないだろうと思う。いずれの箇所におきましても、設備をいたしておりましても鉱害問題が発生し、従いまして鉱害調停という問題まで起つております。もしも無害に近い設備を、監督局において、あるいは本省において施業案を検討されておりましたならば、こういう鉱害問題は起つてないはずであります。起きておるということは、完全な設備ができないために問題が発生しておるということをみずから認めなければならぬと思うのでありますが、この点いかがでございますか。
  52. 川上為治

    ○川上政府委員 すべての鉱山が、ただいまおつしやつたような鉱害を非常に出しておるというふうには、私どもの方では考えていないのでありまして、中には今おつしやいましたように、鉱害を出しておりまして、そのためにいろいろ紛争問題が起きておる山があると思いますし、現にあるわけなんですが、そういうようなものにつきましては、極力設備を完備いたしまして、鉱害を除去するように、私どもの方といたしましては指導しておりますし、今後におきしましても、そういうことのないように努力を払いたいと考えております。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 鉱山局長は非常に日本の実情に対して認識不足だと思います。設備が不完全でありますために十分な除外ができませんから、賠償が払われておるはずであります。賠償ということは無害でない、有害であるためにその損害の補償をいたしておるはずであります。各鉱山とも損害の補償のために相当な経費を見込んでおることは、すでに御承知だと思いますが、その点はお認めにならぬのですか。補償を払つておるというのは、設備が十分でないがために、鉱毒を流すために起るところの損害を賠償しておるというかうにお考えですか、あるいは完全な除害設備をした上になお損害の補償を払つておるというふうにお考えですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  54. 川上為治

    ○川上政府委員 先ほども申し上げましたように、完全に鉱害防止設備をしておるということは言い切れないと思うのでありまして、完全でないからそういう鉱害補償の問題とかいろいろなことをやつておると思うのであります。その点はただいまお話がありました通りで、私もまつたくその点はその通りだと考えております。ただ鉱害防止施設といいましても、いろいろな点におきまして制約がありまして、なかなか思うようにできませんので、私どもの方としましては、でき得る限りのことはしたいというように考え、また指導をいたしておるわけであります。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 しからばこういうふうに理解してもよろしいですか。工業経営の上に、日本の産業経営の上に重要な採掘をいたすものであるために、少々の鉱毒の被害を及ぼしても、それよりもさらに日本の重要産業のために必要であるという点から賠償等が払われて鉱山経営が成り立つておるのだというように理解してよろしいですか。
  56. 川上為治

    ○川上政府委員 ただいまおつしやいましたように私どもの方としましては考えております。
  57. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますると、前にもどりますが、施業案等も十分検討しましても、ほとんど無害に近いような設備は、今日の日本の経済状態から、また鉱山経営の上から、なかなか困難であるという点が認められると思うのであります。問題は今問題になつておりまする鉱山でございますが、私の多年の経験から申しまして、流水をとつた場合には酸性度はあまり出て参りませんで、むしろ貯水するといいますか、これをためておりますると、空気に触れまして酸性度が増して来るということは、すでに御承知通りだと思います。従いまして流水をとつただけで、すぐ酸性度が薄いとかいう見方は非常に間違いであります。これを一定箇所に貯水いたしますと、沈澱いたしまして、初めて酸性度が増して来るのであります。鉱毒問題が全国に紛争を起しておるのはこのためであろうと思うのであります。問題はそこから見て参りますと、これほど大きい耕地面積に与える被害並びに飲料水に与える被害を考えますと、これは十分今の日本における現状において可能な設備をして、なお経営が成り立つかどうかということを、鉱山業者は真剣に検討さるべき問題だと思うのであります。軽卒に試掘権を与え、軽卒に採掘権を与えるために経営がむしろ困難になるおそれが出て参る。そこで私は、やはり施業案については十分に検討されて、これだけの設備をしなければ鉱山経営は簡単にできないということをほんとうに指導して行くことが、鉱山局の任務であると私は考えますが、この点いかがですか。
  58. 川上為治

    ○川上政府委員 ただいまおつしやつた通りでありまして、私どもの方としましては、耕地に対する影響、あるいは飲料水の問題、そうした方面から鉱害があるということになりますれば、どうしても完全あるいは完全に近い施設をとりまして、その上で経営が成り立たないというようなことになりますれば、これは場合によりましてはその採掘をやめてもらうとか、あるいはその採掘が国家的に見まして、どうしても大事だということになりますれば、助成政策をとりましてでも、その施設を完全にするということをしなければならないと思うのでありますが、この点につきましては、現在試掘権の期限が切れまして、これを延長するかしないかというような問題につきまして、ただいまお話がありましたようなことをいろいろ調査いたしまして、何とか善処したいと考えておりますので、この点御了承願いたいと思うのであります。
  59. 井出一太郎

    井出委員長 川俣君に申し上げますが、あとの議事がございますから簡潔に……。
  60. 川俣清音

    ○川俣委員 これは公園地域指定され、保安林地域指定されておるところでありますから、普通の鉱山の開発と違いまして、十分検討されて、許可あるいは設備の改良等施業案の改正を当然要求せらるべきものであると考えますから、その点十分御検討の上で善処されるよう要望してやみません。以上であります。
  61. 井出一太郎

    井出委員長 吉川君に申し上げますが、結論的に御質問願います。
  62. 吉川久衛

    吉川(久)委員 えらい制約をいただきまして恐縮であります。先ほど農地局長お答えでは、所管外でありますから、私の納得の行くようなお答えができないのは無理はございません。それで専門の幸田林政部長がおいでになりましたから、結論的というわけには参りませんが、二、三きわめて簡潔にお尋ねいたしますから、委員長において御了解を願いたいと思います。  幸田林政部長にお伺いいたしますが、ただいま問題になつておりますところの長野県の長村大明神沢硫黄鉱毒の問題でございますが、この鉱区の近辺は、土砂扞止林になつておるのであります。ところが坑木その他の用に供するために、この扞止林許可なくして盗伐されておる。それは北信鉱山ですが、この鉱山業者が盗伐しておるという事実が最近明らかになつて来ておる。こういうことを林政部長はご存じでありますか。またご存じであるとすれば、それに対してどういう御措置をとつておいでになりますか。
  63. 幸田午六

    ○幸田説明員 まだその事実を承知いたしておりません。
  64. 吉川久衛

    吉川(久)委員 これは今証拠をお見せしてもよろしうございますが、その事実があるのでございますから、すみやかにひとつ県の方に連絡をとつて、御調査を願いたいと思います。そうして適当な措置をとつていただきたいと思います。それから先ほど鉱山局長のお見えになる前に、村田課長にいろいろ質疑をいたしたのでございますが、東京通商産業局の加賀美部長や瓜生課長は、業者がいろいろ違反行為といいますか、監督局の許諾なくして溶鉱炉のごとき施設を設けたり、あるいは今申し上げたような山の盗伐をしたり、それから中和の施設についても申訳的なものであつて、だんだん酸度が下の方まで濃厚になつて行くというこの調査の結果に見るところの事実、こういうところを見ますると、この北信鉱山はきわめて遵法精神に欠けるところの業者であると見なければなりません。ただいま同僚議員に局長お答えなつたように、ただいまの技術的な段階において完全に除毒できないということ、しかもこの鉱山は含有量が二〇%ないし二六%といわれております。採算のとれる事業として成り立つためには三五%以上なければならないといわれております。そういう状態であるのにもかかわらず、本採掘許可されることになると、この事業そのものが成り立たないのみならず、これの及ぼす影響は、私はきわめて甚大であると思います。ことに掘り出し始めて、途中で投げ出してしまつた廃坑から出るところの水は、一体だれが中和の措置をとるのでございましようか。思えばまことに寒心にたえないものがあります。しかも時局下国の重要施策として取上げられている食糧増産問題がございます。その千五百四十六町歩水田を犠牲にしてまでも、課長の御説明は、ただいまの程度の鉱害では許可しなければならないかもしれぬというようなふうに私にはとれたのでございますが、そうでなければ幸いでございますが、その辺の腹の底をひとつこの際はつきりとおつしやつていただきたいと思います。同僚議員の質疑の中にもございました通り、この猫岳の裏側の上高井郡では、完全な除害施設をやつているといいながら、実際には数々の問題を起しておりまして、先ほど課長には申し上げたのですが、千曲川からたいへんな電気料金を払つて揚水をして、高い所へ水をひつぱつてつて、灌漑用水あるいは飲用水に充てているという、経済的に非常なむだをやつているのです。しかしこの個所は全然できないような悪条件下にございます。こういう所へ、この遵法精神のないのにやらせたらどういう結果が生れるかということを考えますと、この問題については、局長は特別慎重な措置をとられなければならないと思いますが、どういうふうにお考えでございますか、ひとつ所信のほどを明らかにしていただきたい。
  65. 川上為治

    ○川上政府委員 現在鉱害がどの程度あるかという問題につきましては、私が現在報告を受けておりますところにおきましては、まあそれほど鉱害というものはないというふうに聞いておりますが、もしそれが、もつと調査をいたしまして相当程度出ておるということでありますれば、この鉱業権者に対しまして、完全あるいは完全に近い予防施設をするように、私どもの方としましてはしたいと考えております。  それから遵法精神がまことに欠けておるというようなことでありますが、その点は私もよく聞いておりませんが、もちろん鉱業法なりあるいは鉱山保安法なりそういう法律に従わないようなものでありますれば、私の方としましては、法律に照しまして十分な措置をしなければならない。これも私あまりよく聞いておりませんので、はたして遵法精神が欠けておるかどうか、実際法律違反の行為をやつておりますかどうか、その点さらに調査の上、私どもの方としましては措置をとりたいというふうに考えております。法律に違反しているものに、私の方は試掘の延長を認めたり、あるいは採掘権を与えたりするようなことはしないつもりでありますが、どういうふうな状況になつているか、その点を十分調べた上で検討してみたいと考えております。  なお先ほど、この品位は非常に悪いというお話でありましたが、今試掘を始めた程度でありますので、はたして今試掘の個所で品位が大体どの程度であるか、さらにもつとボーリングなりして調査したりしまして、品位が非常に上るということになりますれば、将来相当りつばな山になる可能性もありますので、その点ももう少し調査しなければ、はつきりしたことは言えないではないか。品位が非常に悪いと、先ほどおつしやいましたように、採算的にもまつたく成り立たぬというようなことになりますので、私どもの方としましては、その品位がはたしてそういう状況であるのか、また遵法精神が欠けておるのか、ほんとうに法律違反の数々の行為をやつたのかどうか、そういう点もいろいろ検討いたしまして、この問題につきましては善処いたしたい、そういうように考えております。  なおこの問題につきましては、近いうちに土地調整委員会の主催で公聴会を聞くことになつておるように聞いておりますので、その公聴会の意見その他も十分参酌しまして、私の方としましては、耕地あるいは飲料水影響がないように善処いたしたいと考えております。
  66. 吉川久衛

    吉川(久)委員 たいへん御親切なお答えが、ございましたので、私は結果を拝見することにいたしまして、これ以上しつこくは伺いませんけれども、加賀美通産局の部長も、言うことを聞かないでかつてなことをやつてしまうことははなはだどうも地元の諸君に済まない、こればかりはしやつぽを脱ぐ、と言つていられるのです。そういう鉱山業者でございますから、ひとつ十分御検討を願いたいと思います。猫岳の裏の方は相当の含有量を持つた鉱区と聞いております。そうして完全と言われるほどの除害施設をいたしましても問題を起しております。ところがこちらの方は含有量の少い貧鉱で、しかもいろいろ条件の悪いところで、一体どこまで完全な除害中和の施設ができるか、またその施設の使命を達成するために業者が努力するかどうか、疑いなきを得ないのです。しかも山の盗伐をやつたり、通産局が認めないような施設をどんどんやつて、一応のかつこうをつくつているので、これをいかにも優秀な鉱山であるがごとく見せびらかして、さうしてこの権利をたれかに売つて手を引こうというのだという疑いを、多くの人々に持たれている現実でございます。そういう疑いもかけられているような状況でございますから、そこらあたりもひとつお胸に置いて、御検討の上善処されることを要望いたしまして、私の質疑を終るここにいたします。
  67. 川上為治

    ○川上政府委員 今おつしやいましたことを、十分私の方で検討いたしまして、決して——耕地あるいは飲料水に鉱害が極力ないように、そしてまた、できれば鉱山採掘ができるように善処いたしたいと思つております。     —————————————
  68. 井出一太郎

    井出委員長 これより農業災害補償法の一部を改正する法律案議題といたし審査を進めます。  本案に関しましては金子與重郎君より各派共同にかかる修正案が提出いたされております。その内容は各位のお手元におくばりいたした通りであります。  この際本修正案の趣旨について提出者説明を求めます。金子與重郎君。
  69. 金子與重郎

    ○金子委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案の修正案の趣旨弁明を申し上げます。  御承知通り政府提案にかか農業災害補償法の一部を改正する法律案につきましては、本制度の根本問題から論議すべき幾多の問題がありますので、休会前に凍霜害対策の完璧を期するため、別途臨時特例を制定し、昭和二十八年産の蚕繭並びに麦について規定したのでありまして、休会明け後特に農業災害補償法制度に関する小委員会を設けて根本問題を研究することになつたのであります。     〔委員長退席、佐竹委員長代理着席〕 しかしながら当面すでに水稲、陸稲は引受時期に入つておりますし、災害が現実に起つておりますので、一日も放置を許さない事情となつておりますので、特例法で別途規定いたしました残りの分について、根本問題の検討とは一応切り離して早急に法的並びに行政的空白を埋める必要があるのであります。ところで政府案中から特例法で規定しました部分及び根本問題に関連のある共済団体の役員の責任、改選命令、解任命令等に関する部分を除いて修正を加えようとするものであります。  以上がこの修正案を提出いたしました理由でありまして、慎重御審議の上すみやかに可決あらんことをお願いする次第であります。
  70. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員長代理 ただいまの修正案及び原案に対して質疑があればこれを許します。質疑はありませんか。——他に御発言もなければ修正案及び原案を一括して討論に付します。     〔佐竹委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 井出一太郎

    井出委員長 別に討論のお申出もありませんので、討論を省略して採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。これより採決いたします。  まず各派共同にかかる修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  73. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に、ただいま修正と決しました部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  74. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。  この際、金子君より発言を求められております。これを許します。金子與重郎君。
  75. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま可決になりました修正案を除く原案並びに修正案につきまして、この法律が根本的に検討を加えるという時期に際会して、そのために小委員会もつくつてありますので、際農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議をいたしたいと思うのであります。   昭和二十二年農業災害補償法施行を見て以来今日まで数次の改正を行い、その間続発した農業災害に対処して、農家経営の安定、農業生産の確保のため、相当の効果を発揮して来たが、災害の集中的発生の傾向、農家掛金負担の過重、連合会の赤字累積等に関連して、本制度の基本性格に対する批判もまた無視すべからざる程度に至つた。   今回政府より提出された改正法案は、現行制度の存続を前提とする限り、水稲の農家負担を引下げる等の点で一応の改善案であり、かつ水稲共済の引受けを控えて早急に成立を図るべきものであるが、わが国農業経営の現状に関連して農業共済制度の今後のあり方に関し、根本的な検討を加えたものでないことははなはだ遺憾とするものである。   よつて委員会は、政府が這般の事情を率直に認識し、可及的すみやかに、制度の根本的改廃の措置を講ずべきことの必要を認めるものである。  右決議する。   昭和二十八年七月一日            農林委員会
  76. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの金子君の提案になりました附帯決議に関して、御意見があれば発言を許します。——他に御発言もなければ、これより採決いたします。  この附帯決議を付することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、附帯決議を付することに決しました。  なお、本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会