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1953-06-20 第16回国会 衆議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 綱島 正興君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 佐竹 新市君 理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    佐藤洋之助君       松山 義雄君    吉川 久衛君       芳賀  貢君    古屋 貞雄君       山本 幸一君    稲富 稜人君       川俣 清音君    久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  篠田 弘作君         農林事務官         (官房長)   渡部 伍良君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君  委員外出席者         農 林 技 官         (農業改良局特         産課長)    徳安健太郎君         通商産業事務官         (通商局輸入課         長)      倉八  正君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  凍霜及び台風による農林被害に関する件  農林関係予算に関する説明聴取     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  本日はまず農林関係予算について説明を聴取することにいたします。本年度予算は目下本院において審議中でありますが、昨日の農林大臣の農政の基本施策に関する説明裏づけともなるべき農林関係予算につきまして、この際政府説明を承り、今後本委員会に付託される予定の重要法案の審査や、議長の承認を得ております国政調査に関する調査参考に資したいと思います。  それでは増田会計課長
  3. 増田盛

    増田政府委員 昭和二十八年度予算案の概要に関して御説明申し上げます。  その前にお手元に差上げてあります参考資料でございますが、まず概要に関する印刷が一部、それから一枚刷りの前年度予算対比表というのがあります。そのほかに重要事項一覧をピックアップしまして編集したものを一つ、そのほかに少し厚くなつております予算要求説明資料というものをお手元に差上げてあります。私からはまず二十八年度予算要求農林省関係の全体の規模を申し上げた後に、前年度対比並びに重要事項に関しまして、その概要を簡単に申し上げたいと思います。  本年度予算要求の総額でございますが、農林省所管といたしましては、千百九十七億でございます。前年度が千三百五十九億でございますので、差引百六十一億の減となつておりますが、しかしながら、これは農林省所管として計上されているもののみにとどめたので以上のようなものでありますが、このほかに農林関係予算といたしまして、北海道におきまする公共事業費であるとか、あるいは官庁営繕費、それに大蔵省所管なつております農林漁業金融公庫への政府出資、こういうものがそれぞれ相当額ありますので、こういうものも全部合算いたしまして、農林関係予算として一括して申し上げますと、     〔委員長退席金子委員長代理着席〕 二十八年度は千四百四十二億に達するわけでございまして、二十七年度と比較いたしますと、三十四億の増加に相なる次第でございます。この関係を一枚刷りの前年度予算対比表を見ていただきたいと思います。これは二十八年度農林関係一般会計予算年度対比表としてありまして、これは三つ対比表からなつております。まず、前年度額、それから例の不成立予算要求額、それから国会に提出いたしまして御審議を煩わしております二十八年度要求額、この三つから成り立つておるわけでありますが、一番下のしりの欄をごらんになりますと、ただいま申し上げました農林省関係予算合計といたしまして、前年度が千四百七億、不成立予算案が千三百八十四億、今回提出いたしておりますものが千四百四十二億ということに相なるわけであります。そしてその内容がどういうふうに組み立てられているかという大ざつぱなからくりがこの中に書いてあるわけでありまして、大体特別会計に対する繰入れをそれぞれの特別会計種類別に分類いたしました。第二は公共事業費、第三がその他の一般経費というふうにわけまして、さらに農林省所管ではありませんが、実質的に農林省が使用いたしますところの北海道関係公共事業費官庁営繕費並びに農林漁業金融公庫へそれぞれ出資いたした次第であります。この表を見ていただいて一目瞭然であるのでありますが、非常に大きな金額的な変化を来しておりますものは、まず食糧管理特別会計に対する繰入れといたしましての輸入補給金であります。前年度の三百八十億に対しまして、今回は三百億、実に八十億の減となつております。
  4. 川俣清音

    川俣委員 説明中ですが、これには四月、五月、六月の暫定予算も入れてあるのですね。
  5. 増田盛

    増田政府委員 本予算は全部暫定予算まで含めて計上することになつております。  それから非常にかわつておりますのは、農林漁業資金融通特別会計出資といたしまして、特別会計に対して一般会計から六十五億繰入れておつたのでありますが、これが今回は特別会計の廃止に伴いまして、公庫に対する出資ということになりまして、特別会計の欄ではなく、最後から三番目の項目公庫出資といたしまして百八十億、こういう点がきわめて大きく変化いたしております。なお特別会計のそれぞれの項目に関しましては後刻また申し上げます。さらに公共事業費は、農業山林、水産と三つにわけておりまして、前年度と比較いたしますと、相当程度増額を見ております。  次に、重要事項一覧表をごらん願いたいと思います。この中に農林関係一般会計重要事項が網羅されておりますが、このうちのさらに重要事項に関しまして、きわめて簡単に御説明いたしたいと思うのであります。まず左の項目を追いまして御説明申し上げます。  まず官房の中の総合助成施設、これは前年度予算額は零となつております。それから不成立予算額決定予算案額とありますが、不成立予算額は先の国会不成立なつ予算額、次の決定予算案額は、今回提出いたしております予算案であります。実ははなはだ恐縮なのでありますが、お手もとに正誤表が届いていることと思いますが、一々直す時間がなかつたのですが、この表の決定予算案額も、一億二千五百と書いてありますが、これは一億二百五十五万の誤りであります。この総合助成施設に関しましては、積雪寒冷単作地帯に関連いたしまして計上した経費でありまして、右の方にそれぞれ説明が書いてあります。これは一町村当り百万円、その二分の一補助ということにいたしまして、二百町村を選定いたしまして、市町村農村振興計画に取上げられました施設に対して補助いたすわけでございます。これは大体一つ町村に対し二箇年継続ちようど二百万円相当事業をやりまして、それで完了いたすわけであります。  次の二ページに移りまして、農林経済局関係でありますが、農業委員会費、これは農業団体編成主要事項でございまして、前年度三十三億に対しまして、今回は二十九億九千二百万円と相なつております。これはすでに御承知の通り、いわゆる農業団体編成の三原則に基きまして予算編成されております。大きくかわつた点は、市町村農業委員会技術員を設置するわけでありまして、一名の書記を技術員に振り向けております。そういう関係補助率もかわつたわけでございますが、さらに若干の旅費、庁費の節約がございまして、そのために不成立予算よりさらに減額なつております。  次に、農業協同組合でございますが、これに関しては特別申し上げる点がないのでございまして、おおむね予算といたしましては前年度踏襲でございますが、但し、農業団体の再編成一環としまして、四ページのところに書いてあるのでありますが、しかも(4)の農業協同事業活動促進対策費、これはいわゆる全国農業協同組合中央会並びに府県の中央会に対します活動費補助であります。これが八千万円、不成立予算とまつたく同じように計上されております。それから一つ飛びまして農林金融行政、ここに計上されておりますのは、これは単なる事務的な経費で、きわめて少額でございます。先ほど申し上げました通り、右の欄にあります農林漁業金融公庫に対する出資が、実は公庫出資は全部大蔵省管財局のところに計上されている関係で、予算面といたしましては大蔵省計上されておるのでありますが、この一般会計からの繰入れ出資が百八十億、不成立予算当時は百億であつたのでありますが、それが資金運用部資金等の金繰りなどの事情によりまして、八十億ふえまして百八十億、それに九千三百万円という端数がついておりますのは、凍霜害対策の一部といたしまして、国庫からの貸付がありますから、その分でありまして、百八十億と九千三百万円。財源といたしましては、二百四十億九千三百万円でございまして、それはそれぞれその内訳がそこに書いてある通りでございます。  次に七ページに参りまして、農業共済保険実施金額が前年度九十三億、今回が百八億、相当程度増額を見ております。それぞれの予算項目に関します金額が書いてあるわけでございますが、大づかみにいいまして、農業共済保険に関しましては相当程度改訂行つたのでございまして、特に農作物共済掛金率改訂を行つた水稲陸稲、麦に関しまして掛金率改訂を行つたわけであります。水稲に関しましては、すでに二十七年度におきまして法律改正が行われておるわけでありますが、陸稲、麦に関しましても、いずれ近く改訂が行われるはずになつておるのであります。それからさらに蚕繭共済制度、これに関しましては御存じ通り先日法律改正が行われまして、従来の通年制共済制度改正しまして、蚕期別の春蚕、夏秋蚕の二つにわけまして共済を行うことに改正されたのであります。これらの共済掛金率改訂並びに制度自体改善を通じまして実施をいたしましたことは、従来の実績に徴しまして保険料率あるいは共済金額等をそれぞれ引上げたのでありますが、これに伴いまして、農家負担がそのままでは増加いたしますので、この農家負担を増加させないように、逆に言いますと、国庫負担の分をふやすためにいろいろ苦心をいたしまして、今の負担区分の割合に対しまして、新しい方式を打立てたわけでございます。なおさらに改正した点といたしましては、家畜共済制度におきまして、従来の実績に照しまして、家畜最低共済金額を大体五割程度引上げまして、できるだけ実情に沿うようにした点でございます。共済に関しましては一応以上にとどめます。  次は十ページの農地局関係に移ります。農地局関係といたしましてはいろいろ経費がございますが、特に前年度と比較しまして大きく変化した点はあまりないのでありまして、おおむね前年度の線を踏襲いたしておるわけでございます。ただ十二ページにあります自作農創設維持関係であります。十二ページから十三ページにわたりまして事項三つにわかれております。自作農創設維持と書きまして、既墾地未墾地経理事務と書いてあるのでございますが、特に自作農創設維持特別会計のことをこの際一言いたしたいと思うのでございます、これは一般会計予算でございますが、この際特に自作農創設維持特別会計で見ております例の農地担保金融と称されております政府の買取り方式による実質的な農地金融の点でございます。これは一応一般会計予算面には出て来ないのでありますが、一般会計からの繰入れはやらないで、特別会計自体余裕金をもつて従来の機能を発揮しておつた。この金額は大体予備金といたしまして八億五千万円計上をしております。これは前年度と同額であります。  農地局関係につきましては、一般経費に関しましては特に御説明申し上げませんが、十六ページに参りますと、いわゆる食糧増産対策経費中核をなしますところの土地改良事業土地開拓事業等経費が出て参るのでございます。これに関しましては、農林省には御存じ通り食糧増産計画に関しましては十箇年計画がありまして、このうちの前半期の五箇年計画を基礎にしまして、二十八年度予算要求大蔵省にしたのでありますが、この計画自体大蔵省当局の認めるところとならないのでありまして、私どもの要求した線からはかなり下まわつた数字に相なつているわけでございます。しかし前年度と比較しますと、それぞれ相当経費増額は見ておりますけれども、農林省基本施策中核となる食糧増産対策経費でありますので、今後さらに相当の検討を加えて参りたいと思うわけでございます。この土地改良事業開拓事業の中で、表の中に背いてはございませんが、これは不成立予算当時と比較して若干の追加計上が今回の予算編成直前に行われたのでございます。まず土地改良事業に関しましては、北上川総合開発計画一環猿ケ石ダムに対する負担金が三月予算に比較しまして増額しております。     〔金子委員長代理退席委員長着席〕それから開拓事業につきましては、石川県の内灘の開拓地に対します予等が五千万円追加計上をされております。そういう点があつた関係上、この欄でごらんいただくとわかるのでございますが、それぞれ不成立予算に比較しまして予算がふえております。  さらに申し遅れましたが、土地改良事業の中には例の海岸砂地地帯振興対策法律不成立予算編成後に成立いたしましたので、その関係経費がおおむね七千万円ほどついております。海岸砂地地帯経費に関しましては、この土地改良のほかに林野庁関係山林事業の中におおむね一億ほどついております。  さらに十七ページの一番最後にあります災害復旧事業費でございますが、これは前年度百十九億より今回百三十六億に相当程度増額されたのでありますが、実はまだ過年度災害復旧が遅々たる有様でございまして、この程度予算計上に関しましては、なかなか古い時代の災害復旧すらも十分でないという状況でございます。大体二十三年度災は完全に片づきますが、二十四年度災がおおむね片づくという程度でありまして、前途ほど遠しという感を受けるのでございます。  それから次の十八ページの農業改良局関係でありますが、農業改良局関係経費は順を追いまして食糧増産対策経費のうちの耕種改善経費が盛られてございます。御存じ通り農林省は前国会食糧自給促進法を提出いたしたのでありますが、これの対象なつております食糧増産対策は、先ほど申しました土地改良開拓のほかに、耕種改善経費がございまして、その中に第三の経費といたしまして、畜産振興経費があつたのでありますが、この第二の経費といたしまして耕種改善経費であります。この経費に関しましても、種子対策経費に関しましては、特に大きくかわつた点はないのでありまして、若干の新規項目が盛られている程度でございます。  それから次のページに移りまして二十一ページ耕土培養対策は、前回の一億三千七百が今回一億八千二百と、相当程度ふえておりますが、ただこの経費の点でかわつた点は、従来の補助率が二分の一だつたのに対しまして、三分の二ということになつたのであります。これは国、県、農家負担率というものを一方において考えましてこれを合理化する。さらに相当厖大な事業量がありますので、国の経費増額しますが、しかし補助率を三分の一とすることによりまして、できるだけ事業量を消化しよう、こういう関係から三分の一になつております。しかしこれも内容の点に関しましては前年度と比較しまして事業量がふえた点と、今の補助率の点だけで大差はありません。  次に特殊土壤アカホヤ対策でありますが、これも前年度の線を踏襲しております。補助率はやはり二分の一から三分の一になつております。  次に北海道農業振興、これに関しては前年度の線の踏襲でございまして、ただ金額的に若干ふえているだけでございます。  二十四ページに参りまして西南暖地等水田生産力増強、これは新規事項であります。前年度はゼロでありまして、今回二千四百万円、すでに内容御存じ通りでございまして、いろいろ新しい構想が盛り込まれておるのでございますが、実は本予算の成立の時期が八月というふうに予定されている関係でございまして、こういう補助金はすでにスタートを切つているわけでございますので、月割で若干の減額を見ております。非常にいい予算なのでございますが、そういう関係減額分が一千二百万円ということになつております。  それから項目一つ飛びまして植物防疫に移ります。前回十一億八千九百万円、今回が十二億八千五百万円でございます。これも内容は大体前年度の線を踏襲しておりますが、特に申し上げたいことは、二十六ページの(3)に書いておるのでございますが、異常災害発生対策費五千万円、前回は二億でありますが、今後災害発生に伴いまして問題となるのでございます。これは実はこの五千万円ではとうてい間に合わないのでございますが、もし五千万円で不足した場合には、大蔵省で所管しております百億の災害対策予備費から支出をする、こういうことで、本年度からそういうふうに取扱うという了解が一方にありまして、それからさらに前年度の二億という数字の中には、相当程度化メイ虫防除のためのホリドール補助費が入つてつたのでありますが、本年度はこの二億の中から特に抜き出しまして、ホリドール経費をほかの項目にあげてありますので、一応五千万円ということに減額した次第でございます。しかし今後災害発生いたしますと、この経費相当問題になるだろうと思います。  それから二つ飛びまして生活改善普及でございますが、これも前年度の線を踏襲した程度で、(2)に若干の施設費新規事項を認めておる程度でございます。なお普及事業全体を通じまして、普及員の数をふやしてくれという地方の要望が強いのでございますが、団体編成帰趨等関係いたしますので、この問題は一年間おあずけにしまして、二十九年度予算で本格的に検討しよう、こういうことに相なつております。  それから二十八ページに移りまして、都道府県農業試験場拡充強化でございますが、これは新規事項でございます。  次は畜産局、これは先ほど申し上げました通り、広義の食糧増産対策経費の第三の経費であります畜産対策経費が入つておるわけであります。まず家畜改良増殖でございますが、これも金額が前年度より若干増額しておる程度で特にかわつた点はないのであります。  それから次の事項に移りまして三十ページでありますが、草資源造成改良、これは前回五千三百万円に対しまして一億一千八百万円、倍以上にふえておりますが、この点は家畜増殖対策裏づけといたしまして、片方では飼料自給安定法の線があるわけでありますが、さらに国内資源開発といたしまして牧野改良を取上げて行く、こういうことで相当程度増額をいたしたのでありますが、従来の経過にかんがみましてこれの成果が上るのがなかなかむずかしいのでありまして、この増額と同時にしつかりした調査なり実施が期待されるわけでございます。  次に有畜農営の確立でございますが、これは実は利子補給の前年度の線を踏襲しまして、この利子補給経費を要求いたしております。金額が著しくふえておりますのは、前年度に導入した家畜購入代金分に関しましても、引続いて利子補給をやるわけでございますので、その分が大きくふくらんで参つたわけでございます。導入頭数に関しましては三十二ページの説明の欄に詳しく書いてありますので読んでいただきたいと思います。  次に三十三ページに移りまして、集約酪農地区の設定でございます。これはすでに御存じ通りでございますが、新しい事業でございまして、従来内地にございまするホルスタイン種にかえましてジヤージー種外国から輸入しまして、しかも輸入した六百頭という頭数をできるだけ集約的にこれを植えつけて行くということで、全国のうちで二地区を選びまして、これは大体一地区二箇年継続事業になるわけでございますが、これを国で買つて貸し付けるという国有貸付形式をとりまして、しかもその代金は大体十年ほどで国庫に返してもらう仕組になつておるのでありますが、そういう制度にしまして模範的な酪農地帯を設置する、まつたく日本で今までほとんど飼つておらなかつた特殊な乳牛でございますので、相当これに関しましても実施の面に関しまして周到な注意が必要であると思うのであります。  次の自給飼料関係に関しましても、金額が若干ふえておる程度でございまして、特別申し上げる点はないのでございますが、畜産局の一番最後三十五ページに、飼料品質改善に必要な経費というのがございますが、これを見ていただきますと、前年度予算額もゼロ、不成立予算額もゼロ、今回のが五百三十万と書いてありますが、これは実は不成立予算編成したあと飼料品質改善法という法律が通過いたしましたので、それに伴いまして追加計上した経費でございます。  次に蚕糸局に関しましても、ここにいろいろな経費があるのでございますが、特に生糸の需要増進のために宣伝費を二千万円組んだ、これが新規事項でございますが、あとは特別な新規項目はございません。三十六ページの養蚕振興対策中の(2)でございますが、今回の凍霜害でやはり問題になりましした蚕桑病害虫防除費こういうものが二千万円組まれておつたわけでございます。前年度が五百万円で二千万円でございますが、この経費が今回の大災害にかんがみまして、きわめて少額でありますので、これではだめだということで、別に予備費から予備費支出を行いまして、これの解決をしたことは御存じ通りでございます。蚕糸局に関しましては、以上の点で特に申し上げる点はございません。  次に三十八ページの食糧庁の食生活の改善でございますが、前年度九千六百万円、今回が十六億八千七百万円、この十六億八千七百万円の主要な部分は学童給食に対します小麦粉の特別な払下げによります損失補填金でございまして(4)に書いてあります。これの対象なつておる人員は、小学校の学童が五百十三万人ほどでございまして、そのほかに保育所の生徒が三十八万人でございます。それは部厚い資料の方に出ておるのでございますが、大体五百五十万人ほどを対象にいたしております。これに対しまして、原麦を半分で払い下げておるのでございますが、そうしますと、ちようど十五億六千六百万損失が出ますので、これを一般会計から繰入れる、こういうことになつております。実はこの措置前回行つたのでございます。前年度に対しましても同じような方法でやつたのでありますが、ただ予算形式としまして、最初から繰入れをしないで食管会計の中でそういうことをやつてつて、結果として赤字が出て参りましたので、それを二十七年度の補正で穴埋めをした、こういうかつこうになつておる関係がありますので、実は前年度予算額の中にそういう経費がこの欄としては載せてないわけでございますが、実は前年度もそういう措置をやつておるのであります。さらに(3)に利子補給の金が出ておりますが、これは御存じのように脱脂粉乳の購入資金に対する利子補給金でございます。次に輸入食糧価格調整補給金の点でございますが、これは三百八十億円が前年度でございますが、今回は三百億円でございます。不成立予算に比較しましても、二十億の減になつておりますが、これは食糧需給計画を検討した結果、不成立予算編成当時と比較しまして、いろいろ想定がかわつて参りまして、幸いに二十七年度の米作が豊作であつた点や、あるいは外国食糧の輸入が順調に行われた点等を考えまして、不成立予算のベースよりさらに輸入食糧を、米におきまして六万トン、大麦におきましても相当程度減額いたしまして、さらにこの二十億という点を差引いて減額いたしたのであります。この補給金の問題に関しましては、詳細につきましては食糧庁より御聴取願いたいと思います。  次に林野庁関係でございますが、林業振興対策の経費に関しましても、おおむね前年度の線を踏襲いたしております。特にこの三十九ページの一番しまいに載つております民有林森林計画という点でございますが、この点は御承知の通り森林法の改正が二十六年に行われまして、それ以来この新森林法の裏づけなつておるものでありますが、今回はこの内容を特に強化することにいたしまして、この森林計画は国の責任でつくつておるわけでございます。従いまして大体県庁の職員がこれに協力いたしまして、これに対して補助金を出しておるわけでありますが、さらに森林組合が実施するときには、この森林計画の樹立に対しまして協力活動をやつておるわけでございます。これに対しまして森林組合のこの活動の実行費に対しまして助成をいたすことになりました。これが四十ページにあります。(ハ)に実行費と書いてあります。この実行費の一億七百万円、前年度はなかつたのであります。これは新規事項であります。なお次の林業改良普及に関しましても、前年度とほとんど内容に大差はないのでございますが、若干の改善を行つております。さらに四十二ページに参りまして、森林害虫防除関係でございますが、この点に関しましても、大体前年度の線を踏襲いたしておりまして、一時猖獗をきわめました松食虫が大分下火になつて来まして、そのかわりにくりたまばちの害が大分ひどくなつたということになつております。  さらに公共事業の点でありますが、これは一括して四十三ページに山林事業といたしまして掲げてございます。前回八十八億に対しまして、今回百一億で、相当大幅な増額を見ておりますが、やはり新しい森林法の改正に伴いまして、治山、造林、林道を強力に実行して行く点に関しましては、まだこの経費では不十分なように見受けられるのであります。  以上をもちまして、大体一般会計の点を申し上げたのでございますが、なお特別会計に関しましても、農林省に対しましては十種類の特別会計があるのでありまして、それは食糧管理特別会計農業共済保険特別会計、あるいは国有林野事業特別会計等、いろいろだくさんあるのでございますが、この点に関しましては、いずれそれぞれ詳細な説明が局からなされるはずでございますので、特別会計内容に関しましては、私が先ほど一般会計説明の際に融れました程度にとどめまして、今回は省略いたしたいと思います。以上をもちまして、簡単でございますが、概要の御説明を終ります。
  6. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいまの御説明は昨日の農林大臣の御説明と表裏一体をなすものでありますから、両者を一括して次会より質疑を行うことにいたします。  次に凍害、霜害及び台風による農林被害に関しまして調査を進めます。質疑の通告がございますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは官房長に取初お伺いしておきたいと思いますが、これは風水害に限つたことではございません、凍霜害にも共通する問題でありますが、先般の凍霜害の対策の際には、いち早く応急対策に対する数字的な検討がなされまして、近来まれに見る敏速な対策がとられました。風水害につきましても、五党会談等が行われて、いろいろと構想が練られておりますが、被害の性質上いまだその被害の程度等が明らかにならない点もあつて、これに対する応急措置の具体的な問題が非常に不明確であります。これは先例の凍霜害の際にも非常に臨機な措置がとられたのでありますから、当局においては具体的な計算に基いて応急費のわく等についても検討ができておると思うのですが、それをきようは具体的に承つてみたいと思います。大体どの程度まで進行しておりますか。
  8. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 風水害の対策費の関係でありますが、お話のように、府県の数字農林省の調べに相当食い違いがありますので、凍霜害のときには、ある程度現物をサンプル的に見れば大体見当がついたので、確定と申しましても腰だめの確定でありますが、それができたのでございます。今度の場合には、立毛のもの、流失したものいろいろありますので、府県の調査報告を見ましても、面積で来ているのがあり、金額で来ているのがあり、実は取扱いに困つてつたのであります。私どもの方としましては、とにかく腰だめでもいいから早く金額をきめて、第一回、次いでもう少し確定すれば第二回というようなことでもやつたらいいのではないか、こういうふうな案も立てたのでありますが、いずれにしましても、先般地方長官会議がありまして相当係官が来たのでありますが、その係官が来たのに聞いてみましても、なかなか具体的な数字をはじくところまでに行かないのであります。大体大きい見当はどの程度になるだろうかというのは、先般も申し上げました府県の被害を集計しまして、府県別に見ますと、あの数字は、たとえば県によりましては、石当りの麦の金額を五千五百万円に計上しているとか、あるいは四千五百万円に計上しているとかいろいろありますけれども、大観しますれば、あのトータルを大体七掛なり八掛にして、それに基いて、営農資金であれば大体二割なり三割を見ていいではないか。あるいは保険共済金の支払いは、麦は二百億と出ておりますが、それもやはり七掛なり八掛にして、それの三分の一が今までの経過によれば共済金として支払えるから、それに対する概算払い川の資金を準備すればいいではないか、こういう心組みをいたしまして、大蔵省なり中央金庫の方に話しておるのであります。また一方県に対しましては、やはりいろいろ困難な問題があるかもしれないけれども、県としては、ともかくも現地であるから一番に手を打つことははつきりできるわけであります。それは凍霜害の例にもありますように、農林省に報告が来る前に、腰だめの数字を出して、県が腰を入れて、たとえば静岡等のごとく二億円を出す。あとで追金をもつと出すけれども、とりあえずこれで処置してくれという手を打つたのであります。そういう手を府県の方には講じてくれ、あとは、この間から農林省でも案を出しておりますように、また各党から要求がありますような、蔬菜、果樹等の病虫害の防除、流失した種子の代作用の補助、そういつたものは間違いなく行くだろう。問題になるのは菜種その他非共済作物の損失の補償の分であるが、この問題は凍霜害ではやつていないのであるから、あとに問題が残るかもしれないけれども、その他の事故については大体凍霜害の例にならつてつていただけばいい。しかも資金の融資等については、一応県が利子補給を出してそれに国が補助するという建前になつておるのだから、とにかく手を打つておいてくれ、こういうふうにしてやつて来ておるのであります。そういうふうな状況でありますので、私の方でも、ある程度予備金支出をやりますのには妥当な数字をつかまなければいかぬ。これは特に凍霜害の例等でありますが、府県間の被害状況に対する金の流し方の均衡をとるということも必要でありますので、ゆうべ立つたか、今日出ますか、中国、四国、九州、近畿と四班にわけまして、もう一ぺんある程度数字を確認することにしておりますので、おそらく大体来週の終りには、大蔵省相当まとまつた交渉ができると思います。ただいまのところは、総体的な概略的な見積りをやつている程度でありますので、府県の方で実施するものに対して金の用意をしている程度であります。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 非常にスロモーな話でたよりないのですが、この間六月十五日にわれわれに示された対策要綱というものは、大体十項目にわたつて掲げられています。適切な事項であると思いますが、その中でややはつきりしておるのは、五十億の金融措置に対する利子補給の一億二千五百万円程度というものが、一応明らかになつておるのと、麦の共済に対する概算払いとしての再保険負担金国庫負担が当然ふえるというものだけで、あとはほとんど具体化しておりません。これは腰だめでもけつこうですから、もう調査々々に日を暮しておつてもしようがないと思うので、ある程度その作業をお進めになつて、五党会談等いろいろ御心配になつているようでありますから、すみやかに具体的な方向に入つていただかぬと、せつかく出す金が死金になつてしまうというきらいが従来もありますので、特にその辺を強く要請しておきたいと思いますが、もう少し具体的な問題で私が承つておきたいことは、対策要綱の八に「被害農家に対し政府保有麦の貸付を行うものとする」という事項があります。これは私が先般北関東の凍霜害を現地に見ましたときに、しみじみ悲痛な農家の叫びも聞きましたし、また今回の九州を中心とする被害農家もその叫びは共通しておると思うが、飯用麦にも困るという状態でありまして、これには農家が供出したものをそつくりまたそのまま貸付して行くというような、何か便宜の措置を講じられる御意思はないでしようか。また、食糧管理法第七条によりますと、第一項に「政府ハ政令ノ定ムル所ニ依り主要食糧貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」とあるのです。この七条に基いて貸付ということをお考えになつておると思うのですが、実際を見ると、貸付というよりもむしろ貸付一本ではなくして、交付という方向へお考えにならないと、農家の実態には合わぬのではないか。私は九州の現地を見ておりませんから、その点については申し上げることはできませんが、私の見た栃木、群馬方面の山間地帯では、ほとんど米をつくつておらないで、麦に依存をして食生活をやつている農家は、その麦が全然ない。しかも水稲の植付をするためにば麦の早刈りをしなければならぬ。その実らない、無効出穂したものをまた涙をのんで刈つているという状態なんです。貸してみたところで、これは来年の麦からまた返還をさせることになりますと、だんだん持ち越して行くようなことになつてしまつて、実際には、合わぬと思うのです。ですから、一概に全部とは申しませんが、少くとも農家の被害の程度なり、自家消費と保有麦とをにらみ合せて、償還のほとんどできない農家に対しては、この食管法第七条の規定を発動して、交付をすべきものであると私は思いますが、そういう点については考慮を払われておらぬのでありますか。その点について、なされておらなければ検討されて、もう少し地についた、実態に即応した対策をとつていただきたいと思うのですが、いかがでしようか。
  10. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 初めに、先ほどの私の説明が少し足りませんでしたが、常農資金の内容で、府県の概算払いのほか、病虫害の防除やいろいろの措置は県で先に手を打つておるわけで、そのしりが来るわけです。その手の打ち方によつて府県の数字がはつきりつかめますので、金は府県の方で立てかえてやつております。こちらの準備が遅れるから、手の打ち方が遅れないように、県の方には督励さしております。これは凍霜害の場合もやはり同じでありまして、結局凍霜害の場合も金が出て行くのはずつと遅れます。  第二の、政府の保有麦の交付でありますが、現在のところ無償で交付することは考えていないのであります。貸付の方法は、府県に貸しまして、府県から市町村を通じて個人に貸す、こういうふうな考え方をしておるのであります。従いまして、ただいまお話がありましたように、被害の程度、それから農家の経営規模等によつて無償でやるべきであるというものもあるいは出るかもしれません。そういう点は、風水害の場合だと、これは流れてしまつたというのではつきりしたものが出て来るかもしれませんが、霜害対策の場合は、これは二割の収量になるか三割の収量になるか、全滅の地帯というのはそうたくさんなかつたものですから、そこまで深刻に考えていなかつたのであります。この点はさらに検討を加えてみたいと思います。ただ食糧管理の方に何もかも赤字を背負わすというのは、食糧管理特別会計の建前から行つてめんどうがありますので、もしそういう必要があれば、その交付の金を特に一般会計から繰入れるなら繰入れるということをやつてやらないと、ぐあいが悪いと思いますので、よく研究したいと思います。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 よく御研究願うそうでありますから、あえて追究はいたしませんが、麦の場合はそうひどくないというふうな御認識は誤りだろうと思います。これは悲痛な叫びになつている。開拓地にしてももうまつたくやりきれない。九州や中国、近畿、四国方面の場合は、これは全部流失したのですから明瞭でありますが、とにかく貸付というようなこの要綱を、一部交付というふうに御検討を早く願いたい。これは営農補償ということももちろん応急対策の中にはありますが、現段階に入つて参りまして、被害の程度が判明して参りますと、どちらかというと、生活保障の政策に漸次切りかえて進展さしていただかないと、実態にマッチしないと私は見ておりますが、対策要綱第八項を、政府保有麦の貸付または交付を行うものとするというふうに、これは大臣か政務次官か、政府の責任ある人から御言明を願いたいと私は思いますので、委員長において、政務次官か大臣かおいでになつたときに、さらにこの点は言明を願いたいと思います。  それから麦に関連いたしまして、対策要綱の第九項は「被害農家よりの五等麦の買入れを行うものとする。」という項目がありますが、これはまことにけつこうでありまして、一般農家が切実に要望いたしているところであります。それでその五等麦を買い入れるときの格差の問題です。大体現在の格差標準から行きますと、非常に大きく値幅が出て来ます。それでは、いわゆる風水害なり凍霜害なりの対策としては、ただ五等品を設けるということだけで農家は満足できない。その格差の問題について、相当思い切つてこの格差を縮めて、農家救済の一端にしてもらわないと、五等麦を設けることによつて、ややもすれば、四等に行くような場合でも五等にどんどん損されて、逆に農家は損をすることが従来あるのです。でありますから、その点について、農産物検査法の改正等の御用意があれば、でき得れば、五等麦の下をすぐに格外というようなふうにしないで、五等麦の中に、昔もあつたように甲乙というふうにわけて、そうして被害農家にあたたかい対策を講じて行くということが必要ではないかと思います。その格差の点と、五等麦の格付の方法について、いきなり五等の下はすぐ格外に持つて行くか、あるいは甲乙というふうにわけて行くか、そういうふうな具体的な点について御検討が進んでおれば、それも麦に関連しておりますので、聞いておきたいと思います。
  12. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 災害地における検査の仕方については、特に親切にやるようにということで、指示を出すことにして、もう出したかと思います。  それから五等麦等の標準品以下の等級間の格差を縮めるということについては、米価審議会の答申もありますので、検討を加えております。早急に具体案をお示しすることができると思います。なお五等麦の中に甲乙をつけるか、規格外品として、それと同様な趣旨を達成するようにするか、その点はまだ結論は出ておらないようでありますが、規格外麦の買入れをせいという昨日の決議もありますので、その点は研究しております。この点は具体的な数字が早急にきまると思いますから、あらためて御報告申し上げたいと思います。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 これは米価審議会の答申の六つのうちに、今述べたようなことはみんなうたつてありますので、御検討ができておると思いますが、非常に農家が営農資金にも困り、生活費にも困るというような状態から、悪辣な商人たちの買いたたきも相当起きて来ると思います。また農業手形の決済等の関係で、いろいろそこには農家が売り急いで行く場合等も出て来て、米価審議会の内麦確保のために強力な措置を講ぜよというような点についても、十分御準備になつて行かぬというと、もうすでに麦は出まわつておるし、検査も始まつておる。きのうも非公式な話で、検査料の十円の問題も早く現地へ流して参りたいということも申し入れて御了解を願つたと思うのですが、そういうような点で至急にやつていただきませんと、六日のあやめで役に立たない。特にこの問題については、まあ巧遅より拙速でもいい、ずんずん進めて行く、一つ一つ片づけて行くということにしていただかないと、非常に遺憾な点が出て来ると思います。その点を特に私は要望しておきたいと思いますが、内麦確保のための強力な措置を講ずるという一点については、具体的な問題について私どもは意見を持つておりますから、またあらためて別な機会にでも申し上げたいと思います。十分にひとつ施策の早急推進をお願いいたしたい。まだあとにたくさんありますが、災害地の人がおられますから、その方面から御意見があろうと思いますので、私は終ります。
  14. 井出一太郎

    ○井出委員長 稲富稜人君
  15. 稲富稜人

    ○稲富委員 大体今同僚から御質問がありましたので、重複する点は省きたいと思いますが、やはりこの措置が非常に遅れておるということに対しましては、被害民の気持を十分忖度されて何とか急な方法をとるようにしていただきたいということを重ねて希望を申し上げたいと思います。  ただいまの御意見にもありましたけれども、政府はあるいは金融措置に際しましても、貸し付けるということに主体を置かれておるようでありますが、現在のような非常なる被害の地方におきましては、もちろん貸付も当然やむを得ないことでありますけれども、何とかして助成その他の直接の救済方策を立てるということが最も妥当だと思うのであります。先日お示しのありました対策要綱を見ましても、三項、四項、五項、六項等には助成だということを表わしてありますが、おそらく私たちの期待し得るような金額ではないだろうと思うのであります。この三項、四項、五項、六項に見積つてあります助成額というものが、見当がついておるならば、概算でもいいですから、一応聞きたいと思うのであります。
  16. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 数字は、先ほど申し上げましたように、今はじき中でありますので、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
  17. 稲富稜人

    ○稲富委員 この助成の数字はわからないそうでありますが、要は先刻申し上げましたように、急を要するのでありまして、先般の七月の暫定予算に十五億だけあるように承つております。おそらくこれには凍霜害に対する問題も含まれておるだろうとわれわれは思うのでありますが、このたびの風水害における農作物の被害は、今日まで表われておる統計を見ましても、三百億を越しておるというような厖大な数字でありまして、緊急にこれをやるといたしましても、おそらく暫定予算の十五億くらいではほとんど間に合わないだろうと思うのでございます。この暫定予算予備費十五億をもつと増額でもする、そうして何とか急に処理をしたいというような御意思が政府にないか、承りたいと思います。
  18. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 このたびの被害の額が非常に多額に上つたのは、三百億のうち二百億以上が麦であります。従いましてこれに対する対策としましては、麦は幸いに農業共済金が行きますので、これは府県の報告そのままを妥当なものとすれば、約五、六十億の共済金が行くことになるわけです。問題はそれ以外の菜種なり蔬菜なり果樹とかいうものであります。これらの金額につきましては、凍霜害の場合とそうかわつていないと思います。従いまして先ほどちよつと触れましたように、菜種に対して農業災害補償法と同様な国が損失補償をいたすとしますれば、これは今府県から上つて来ておる菜種の被害金額が二十五億ということになつておりますので、かりにこの三分の一が行くという今の麦の共済と同じように計算すれば、七、八億の補償ということになります。そういたしませんで、蔬菜、果樹等の病虫害の防除でありますとか、代作用の種子だけを勘定いたしますと、かりに営農資金が凍霜害の場合の三倍の六十億近くになりましても、利子補給の金は凍霜害の場合は四千三百万円ばかりありましたので、これを三倍しても一億二千万円ばかりになりますので、十億というような金は、菜種を除外しますればちよつと計算に出て来ないだろうと思います。そうしますれば、これは計算してみないとどのくらいの金額になるかわからないし、今の菜種の方針もどういうふうに決定するかによつてきまりますが、災害予備費が、この前の暫定予算で五億足らず使いまして、十億余り残つております。それから七月の暫定予算に十五億計上しておりますので、まだ二十五億残つておるのであります。たとえば今の金利のようなものはすぐ支払う金でありませんので、予備金で足りないというような感じは私どもは今のところしておりません。ただいまその要綱に掲げておるような策を講じたので、今計上しておる予備金でまかなえるもの、こういうふうに考えております。
  19. 稲富稜人

    ○稲富委員 菜種の問題はそれでは一応別といたしまして、蔬菜等の被害は相当に多いということを私は聞いております。ことにこれは九州地方、近畿地方、中国地方にあると思いまして、現在これは御調査中でございますが、その蔬菜あるいは果樹等が助成の対象になるものが相当にふえた。しかもこの十五億の中には、まだ未解決のままになつております凍霜害の助成というものがまた出て来るのではないか。おそらく凍霜害の問題はこれで打切るというようなおつもりではないと承つておりますので、急にその集計されたものが出まして、ただいま官房長がお話になりましたように、菜種の分まで合せても足らないというような状態があるならば、ただちに予備費増額されるというような処置をとられるつもりであるか、これを念のために承つておきたいと思います。
  20. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 もちろん金が足りなければ、本予算も遠からずきまりますから——それから言い落しましたが、今申し上げたのは災害復旧の方の予備費でありまして、一般予備費はまだ六億ばかり残つておりますので、三十億ありますから、施設の方の今の予備費支出の要求が、今まで集まつておるのが農業関係で十億余りある、一般の建設の方でも相当出ると思いますが、とにかく応急の措置予備費で大体打てるのではないかと思います。  それから霜害関係は麦の問題が相当つておりますが、これも麦の問題としては、営農資金と共済金の問題でありますので、あと果樹とか桑等その後数県から来ております。それについて金をはじいておりますが、この金はほんとうにわずかな金でありますので、凍霜害の残務処理が多くて風水害の方に食い込んで行くという金額は、多くても数千万円程度だと思いますので、風水害の方に影響を与えることはないと考えております。
  21. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから先刻麦の格外買上げの方途を考究中であるということを承つたのでありますが、さように承知してさしつかえありませんか。さらに被害菜種の買上げの問題に対しましては、何とかこれを買い上げる方法等をお考えになつているかどうか、この点をあわせて承りたいと思います。
  22. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 格外麦の買上げにつきましては、先ほど申し上げました通り検討しております。  それから菜種の買上げにつきましては、これは農産物価格安定法との関連において現在交渉しております。ただ被害の菜種で品質の非常に落ちたものをどういうふうに買い上げるかという問題は、まだ結論が出ておりません。これは現物と照し合せて従来の残等を考えて処置しなければいけませんので、これは今度の調査班が出まして、現地でいろいろ調べて来てくれる結果をまつて処置したいと考えております。
  23. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの菜種の問題に関連してでありますが、ことにこれは地方的な問題でありますが、福岡県のごときは菜種が任意共済の形をとつておりますので、現在の加入と支払額との間に相当の差額を生ずる、これによつて共済組合の運営等に非常に支障を来すという問題が起つて来ると思いますが、こういうような問題に対しましては、いかなる処置をとろうとなさるか、この点に対する政府の御意向を承つておきたいと思います。
  24. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これは御承知の通り県の連合会でやつております任意保険につきましての再保険制度団体としても国営としてもございませんし、他方また不足金につきましての融資の問題についても、一般の農業共済でございますれば、共済基金の方から融資するという道がございますけれども、現在の基金法では、任意共済につきましては融資の道が開かれておりません。従いまして現在の制度上の問題といたしましては、解決の道がございません。従いまして、他の一般の菜種の被害と同じような方策でもつて何かそこに助成の道がございますれば、その線に沿うてやはりいたすべきではないかと思つております。ちよつと問題がむずかしゆうございまして、現在の制度の建前からいうと解決の方法がないのであります。
  25. 稲富稜人

    ○稲富委員 菜種の問題は具体的な今日の問題でございます。さらにこういうような農作被害に対する将来の恒久的な法的特別措置でもとる御意思は今のところありませんか。
  26. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 農業災害補償制度の根本問題につきましては、凍霜害の場合にも果樹、お茶等を共済対象に入れることを恒久制度として考えたらよいじやないかという議論もありました、そういうふうな趣旨の決議もありました。菜種につきましては、当然それと同様に考えなければいけないと思います。この点は本委員会農業災害補償法の一部改正法がかかつておりますので、どういうふうな災害補償の取扱い方にするかということをよく御検討願いたいと思います。そのほか恒久的な措置といたしましては、ただいま私どものところで検討いたしておりますのは、病虫害等はこれは災害異常発生の場合の補助金も含めておりますが、そのほかのものにつきましては恒久的な、たとえば代作用の種子を出すとかいうのはございません。これをどういうふうに恒久制度化するかということを検討いたしております。また営農資金につきましても、災害が起るたびに利子補給予備金を出しておつたのでは、先ほど来いろいろお話のありましたように、手の打ち方が遅れるというので、災害復旧に対して低利資金を融通するために、昔、預金部から低利資金を出しておつたように、迅速に行えるような特別の災害基金というようなものでも置いて、それを循環させて行くような制度を考えたらというので、内部で検討しております。これは結局資金源と資金のコストの問題でありますので、その基金にはコストのかからない財政資金を相当いただかないと意味がありませんので、案ができたら財政当局と打合せて行かなければならない問題であります。まだ案ができませんので、すぐ今度の災害には間に合いませんが、どうしてもそういうふうな恒久制度がなければ、どうせどこかに毎年災害がありますので、農業共済法でまかなえない分をそういうものでまかなつて行く、こういうふうにしたいと考えております。
  27. 吉川久衛

    ○吉川委員 ちよつと関連して……。菜種に限らず農民が自主的に任意共済制度をみずからつくつてつているというような場合に、今小倉局長の御答弁では非常にむずかしい問題のようですが、こういうものこそ特に格別にめんどうを見て育ててやるというような配慮があつてしかるべきだと思うのです。こういう問題について、今まで農林省では災害の場合にこういうものを育てて行く、そのために特別の措置を講じて行くという用意はないと思うのです。しかし、こういうものこそよく見てやらなければならないと思いますので、何か具体的に特別にこれに配慮してやるようなお考えは今つきませんか。
  28. 小倉武一

    ○小倉政府委員 御質問の点はまつたくごもつともでございまして、現在の共済制度も御承知の通り沿革から申しますれば、農村の自主的な共済事業が発展して来た、こういうかつこうになつております。現在の共済制度で漏れております特殊農作物につきましても、できるものにつきましては再保険制度を確立する。再保険制度によりまして政府がそこに若干の助成をする、あるいは政府みずからが再保険をする、こういう制度は当然考えてしかるべきではないかと存ずるのであります。もつとも任意共済と申しましてもいろいろ種類はございまして、全面的に取上げるわけにはなかなか行きかねると思いますけれども、たとえば菜種といつたようなものにつきましては、さような制度が実現されることが望ましいと考えまして、私どもも研究を進めております。
  29. 稲富稜人

    ○稲富委員 いろいろ御質問も多いようでございますし、時間も遅くなりましたから、最後に一言聞きたいと思いますが、これは農林当局がこのたびの風水害の問題に対しましていろいろ救済の処置をとろうとお思いになりましても、もちろん大蔵省関係があると思うのでありますが、これに対しては、われわれも大蔵省に折衝する参考にもなろうと思いますが、今日まで農林省として大蔵省へいかなる折衝をやられておるか、これに対する大蔵省の大体の現在までの態度、こういうことをひとつ参考に承つておきたいと思います。
  30. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 大蔵省に対しましては、この要綱を示しまして、府県の被害がこういうふうにあるから、金の準備をしろ、こういう程度でありまして、大蔵省の方は、ここに書いてある一々につきまして、蔬菜はどこどこの種類までだ、果樹は何々だ、そういうふうな逐一こまかいことで、できるだけ幅を狭めよう、こういう態度に出て来ております。しかしいずれにしましても、それと戦争するのには、ある程度こちらのコンクリートな数字がなければ議論になりませんので、今は数字を固めるのに一生懸命になつている、こういう状態であります。
  31. 稲富稜人

    ○稲富委員 元来大蔵省に対する要望が農林省として非常に弱いのじやないかと思うのです。各農民の陳情等に対しましては、もちろん農林省は御親切に聞いていただく。ところが実際さいふを握つているのは大蔵省である、大蔵省に対して非常に農林省は腰が弱い。その弱い結果は、被害農民にその影響を来して来る、こういうようなことになるのでありまして、これに対しては、やはり農林省といたしましても、もつと具体案をわれわれにお示しになると同時に、大蔵省にも強く要望する、そして現在の農村の実情を場合によつた大蔵省にもひとつ視察をさせる。こういう被害視察なんというのは、農林省の方はわかつている。ところが大蔵省はなかなか出さないために動こうとしない。これに対しては強力なる要望をしてもらいたい。もしも農林省として腰が弱ければ、あるいは困難な点があるならば、われわれも大蔵省に要望してもいいし、一緒にやつてもいいのですから、その点はもつと強く要望してもらうように特に希望しておきたいと思います。
  32. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 御鞭韃で感謝にたえませんが、ぜひ国会のお力も借りまして、私どもの具体案がきまりますれば、御援助願いたい。農林省といたしましては、決して腰弱くやつているつもりはないのでありますが、はたから見ていると歯がゆくてしかたがないだろうと思いますが、ひとつ御鞭韃を願いたいと思います。
  33. 井出一太郎

    ○井出委員長 綱島正興君。
  34. 綱島正興

    ○綱島委員 陳情に来ている人方はもう三日にわたつてつておりますので、お尋ねしたいことがたくさんありますが、ただ一項だけ伺いたいと思います。  第八項の麦の貸下げの範囲でありますが、農家で一番困りますのは種子と飯麦でございます。これがなくなつてほんとうに困つております。特に大切なことは、調味料を農家はつくりますのに、梅雨が寝かせどきであるが、これも持たない。こういう点についてのお運び方、それからどの程度まで貸下げをするように食糧庁の方とお話合いができておりますか、その点をちよつと伺つておきたい。
  35. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 飯麦の貸下げに対しては、先ほど足鹿委員からお話がありましたように、食管の七条の手続規定の趣旨を尊重いたしまして、具体的に農家一戸当りあるいは一人当りなんぼということを今検討しておりますが、今のように、主食以外の副食の分をどうするか、そういうこまかい点はまだ私承知いたしておりませんので「後刻食糧庁の方からお答えいたします。
  36. 綱島正興

    ○綱島委員 副食のみそ、しようゆうの問題、これはぜひ入れておいていただかないと、それを買うということになつたら、農家の財政は倒れてしまいます。これはぜひ入れておいていただきたい。  いま一つ、これは御質問というよりも希望ですが、農家育成と食糧増産という点で、大蔵省が持つておられる考え方をもう少しかえてもらわなければならぬことは、英国などでもうんとかわつて来たようですが、いわゆる飢餓輸出という線にはもう限度が来たと英国でも考えられておるようです。その一番根本は、第二次戦争から、原料割高の製品割安という状態は、これは恒久的事情で、決して一時的現象でないということに大体最近のヨーロツパあたりの経済論もなつて来たようですから、その意味で食糧増産ということは非常にウエートが重いということで、特に農村に対しては、今までよりももうちよつとふんどしを強く締めていただいて大蔵省にお話を願いたい、こういうことを希望いたしておきます。
  37. 井出一太郎

    ○井出委員長 久保田豊君。
  38. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いろいろ皆さんから切実なる御意見、御要望があつたわけですが、特に凍霜害の場合でも、今度の場合でも、重要なる点がいつも抜けているように私は思う。その一つは、この前の凍霜害でもそうでありましたし、また今度でも、農林省の考え方も同じのようでありますが、種類によつて違いはありますけれども、いろいろの助成ないしは損失補償をする場合に、中央政府からも金を出す。しかし府県、並びに——この前の凍霜害の場合におきましては、関係市町村でも一部分の負担をしなければならぬ、こういうことになつておる。これについては、この前の五党会談等においても、今回においてもそうだと思うのでありますが、要するに平衡交付金をもつて穴を埋めるということになつているようであります。しかし現実の平衡交付金にこれが入つているかどうか、また特別平衡交付金も十分に考えているかどうか、それらに対する農林省として大蔵省もしくは地方自治庁に対する交渉の経過、並びに今の交渉の具体的な内容、並びにそれに対する大蔵省なり地方自治庁の現在の態度はどうか、まずこれをはつきりしていただきたいと思うのであります。そうでないと、私も町村長をつい最近までやつてつたので、よくわかるのでありますが、こういうかつこうで来ますと、実際にはこの補助をごまかしていいかげんにするか、そうでなければ、見返りに非常な高税をとるよりほかにない。そうすると、凍霜害の場合でもそうですが、今度の場合でも、どの程度になるかわかりませんが、この程度補助をやつたのでは、百姓の方からいつたら、実質的に何ら補助にならないことになる。そこで大事なかなめとして、この前の地方負担分について、平衡交付金といいますか、農林省としてはどういう具体的な考え方で大蔵省に当つておるか、またその内容はどうか、あるいは地方自治庁に対してどういう措置をとり、その具体的内容はどうか、特に平衡交付金については、すでに予算も出ておる、あの中にはたして凍霜害なり、あるいは今度の災害に対する処置の経費が含まれておるかどうか、ただ含まれておるというようなぼやつとしたことでは、地方へ行つたら実際はもらえない。そこで具体的にどういう行政措置をしておるかということを、農林省の立場からはつきりお聞きしたいと思います。
  39. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 お話の通り災害補助金及び利子補給の金は、府県または市町村で国と同額を持つように指令しております。従いまして、地方団体の負担がそれだけ増すのでありますから、特別平衡交付金を増すように、地方自治庁の方に掛け合つております。地方自治庁の方でも、それに基きまして検討をしておるようでありますが、むずかしい計算になりますので、まだこうするという回答は受けておりません。しかしむこうの方で鋭意作業しておる、こういう話を得ております。
  40. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではもう一つ聞きますが、それは特別平衡交付金として考えているのですか、それとも普通平衡交付金のわくの拡大という形で考えているのですか、どつちですか。
  41. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 私の方で承知しているのは、特別平衡交付金の方だというふうに承知しております。ただ特別平衡交付金になると、例の八%の問題がありまして、この中に入るか入らぬかという問題が出て来ますので、その点をあわせて向うの方でどうするかということを研究しておるようです。
  42. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つの点は、これは過般もちよつと問題になつたのですが、特に今度の凍霜害の場合にはそれが少いと思いますが、今度のような風水害の場合、いつも一番末端の農家市町村、そういうところが困るのは、要するに一応災害がありますと、応急の復旧をしないと、植付もできない、こういうことになる。この場合にはつなぎ資金だけは出す、こういうことで出しておる。この負担については、あるいは基本的な復旧をやるという場合の負担については、今言つた平衡交付金の中に含めて、農林省としては地方自治庁なり大蔵省へ請求をしておるのかどうか、またするつもりがあるのかどうか。これらに対する具体的な対策というものがはつきりしないと、この方の負担というものは、そういうふうな該当農家では、とても保険金や貸付金くらいではおつつかないのであります。この点はどうしておるか、この点をはつきり示してもらいたい。
  43. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 ただいまのお話は、施設災害復旧の問題だと思いますが、施設災害復旧のものは従来の通りにやりますので、自治庁の方において、平衡交付金の方の考慮は従来通りだと思います。別に今度新しく問題が起きたのではありませんので、その点は私の方は従来の方針で行くもの、こういうふうに考えております。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 なるほど施設復旧の分については、従来の方針通り行くから、地方平衡交付金を増すことはない、こういうことでありますが、所によりますと、今度の場合非常に災害程度がひどい。中には、県によつては、あるいは市町村によつては、農民とすれば凍霜害を食つた、さらに水害も食つたというような所もあるわけです。こういう所で、応急復旧の、さらに基本復旧のための地元負担を出せといつたつて、出せるはずがない。従つてこれはどうしても順序としては、多くの場合は市町村に泣きつくか、府県に泣きつく以外にない。そうするよりほかに方法がない。そうでなければ、その負担は非常に将来農民にとつてどうにもならぬ問題になつて来る。そこで私の申し上げておるのは、凍霜害並びに今度のような異常な風水害という場合において、今までの農林省のお考えを根本から、そういう点について改正を加えて、何らかの、いわゆる地方に金の流れて行く方策を考えておるか、また考えておるとすればどうか、この点です。従来通りの基準で、何も交渉して来ておらぬということは、こつちがあらかじめ承知しておる。しかしこの前の災害から今度の災害を通観してみると、こういうことを考えないと困る。こういう点について、農林省としては何らか交渉しておるのか、こういう点を平衡交付金と結びつけてお聞きしておるのです。
  45. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 ただいまの点は、行政費の算定の際に災害復旧費をどうするかという問題になつて来ると思いますが、今後これをどういうふうに改めるかについては、今すぐ私の考えはございません。これからよく研究しなければならないと思います。その点で御了承願いたいと思います。
  46. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうすると、今度の場合には、これに対する特別の補助金増額なり、いろいろな資金を流すという考えは、農林省にはない、こういうわけですか。
  47. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 施設の問題につきましては、そういうふうに考えております。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つの点は、こういう結果がどうなるかという農村の実態を考えてみますと、農家として一番心配するのは、税金の問題だと思います。御承知の通り農家の負担する税金のおもなものは、固定資産税と住民税でありまして、固定資産税の方についても、要するに金を払うもとが借りたり、いろいろ補助金をもらつたりしてみたところが、実際は再生産を維持するに足りない程度だと思う。それに固定資産税を今年の所得を中心にしてとるということは、なかなかできないわけです。もう一つ大きな問題は、住民税です。住民税は、前年度の、被害のないときの所得を中心にしてかけられる。しかも今年の金で払わなければならない。ところがその今年の金は、政府からいろいろ補助してもらつたり、借りたりしたところで、再生産に間に合うか合わないか、こういうところです。これは凍霜害のときもその問題が出て、五党会談においてもその処置が言われておつたのですが、今度の問題は、両方通じて、これは何らかの特別の減税措置を講じない限り、農家最後においてはどうにもならぬという問題になると思うのですが、これもまたさきのように大きな経費市町村なり県にぶつかけて、三分の一を負担しろと言われても、県の方も大きな負担をしなければならないが、町村とすると、税金をよけいとるよりしようがない。いいかげんなものををもらつて最後は税金でしぼられたのでは、農家の立つ瀬がない。これについては、農林省としては、これはこの前の五党会談の意思もあるわけですが、両災害を通じて、大蔵省に対して地方税減免の処置、あるいはこれに関連して当然また平衡交付金の問題がすぐ出て来る。こういう問題については、どういうふうな具体的な数字を出し、あるいは計数を出し、もしくはどういう交渉をしておるか。これは当然立法措置が必要だと思うのですが、これらに対して、どういう措置をしておるか、はつきり御説明を願いたい。
  49. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 遺憾でありますが、具体的な結果は出ておりません。これは非常にむずかしい問題になりまして、話がちよつと逆になりましたが、個人に対しては、国税の減免については法律によつて処置しておるわけです。それと同様に、府県税も免税にしたらいいじやないか、こういうお話が第一点に出ると思いますが、一方ではいろいろな費用を県または市町村に持たしておるから、税金もとらなければならぬ。免税しなければならぬということと、税金をとらなければならぬということと、矛盾することになつておると思います。従いまして、これは平衡交付金を増すなり、あるいは施設災害ならば起債を増すということより方法がないじやないか。そこで平衡交付金のものは、施設災害については従来通りの方法で行くので、これはかけ合つていないのでありますが、今の農作物の被害の方は、これは初めての補助金でありますので、大体凍霜害の場合四億近くの地方費の負担増になりますので、それを計算して自治庁の方へ申し出ましたが、自治庁も弱つたつた、これは何とかしなければならぬという程度で、まだ結論が出ていないのは、先ほど申し上げた通りであります。地方税の減免についてもやはり自治庁の問題でありまして、大蔵省とは直接関係がありませんので、結局みんな自治庁で地方税制度をどうするかという根本問題に入つてしまうのじやないかと思います。唯一の逃げ道は、村で一種の再保険的に起債で逃げるという以外に方法がないものが相当出て来るのじやないかと思つております。なお凍霜害あとに府県または市町村で国と同額を持てというのは、県で市町村相当持たすべきものは、市町村に持たせる。市町村にはとてもこれは持たせられないという場合は、県で持つたらいい。必ず市町村に全部持たせなければいかぬというきめではありませんので、そこらも村の財政状況を府県が検討していただきますれば、府県によつては、村の中に甲乙のついた持たせ方ができて来るのじやないか。つき加えて申し上げます。
  50. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今のお話の通りで、地方税制の根本改革というような非常に大きな基本の問題があつて、なかなか簡単に行かないことはもちろんです。私の申しているのはそうではない。今度の災害に連関して、応急の措置として何らか地方税の軽減ということについて措置を講じないと、農家は国税を背負つているのはごくわずかです。大体において地方税を大きくみんな背負つているのです。しかも地方に平衡交付金はやらぬ、負担だけさせれば、地方団体はいや応なしに農家からしぼらざるを得ない。しかもそれは前年度災害のないときの所得を標準にしてとられるのですから、非常な負担になつて来る。そこでこれに対して平衡交付金と連関をして、災害地に対する地方税の減免の措置を、中央から何らかの手を打たなければどうにもならないのじやないか。それを地方でもつてつてにやりなさいということでは、地方ではやれません。これを農林省としても具体的に検討をして、自治庁なり大蔵省なりに交渉しているかどうか、これを聞いておるのであります。地方税の根本の改正問題じやないのですから、この点をはつきりお答えを願いたい。
  51. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 先ほど申し上げましたように、凍霜害の方はやつているのですが、今の施設災害の方はやつていないのです。これはお話よくわかりますので、私の方で……。
  52. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 地方の税制のことはわかつておるのです。地方税の減免についての措置をやつているのですか。
  53. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 これはこの間の五党会談の趣旨に従つてつておりますが、国税だとぴしつと中央で処置ができるのでありますけれども、地方税の減免の分は、中央でぴしつとした結論が出ないのであります。でありますから、ただ話すだけなら話しておりますけれども、私の方でこれがどうなつた、どうするのだという結論を自治庁から得ておりません。ですから結果的には、かけ合つても効果がないので、地方税の減免についてはかけ合わないのと同じ結果になつております。
  54. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の点は、要するに地方にはどうにも手が出ないということですが、手が出ないことはないと思う。地方税の課税並びに徴収に対する特例を設ければできないことはない。ですから私はそれはきめ手がないということはないと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  55. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 結局それを減免すれば一方で平衡交付金をよけいやらなければならぬのです。その計算を合せないとはつきりしたことは自治庁も言えないと思います。ですからこの点は、なおよく自治庁にかけ合いますが、ここでは結論を御説明できないのです。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私はこの際渡部官房長が、北海道地方の凍霜害に対してどのような具体的措置を講ぜられたか、その点をお伺いしたいのです。北海道の凍霜害は五月三日以後に発生した問題であつて、第一次の緊急対策において取上げられなかつたことはもちろんでありますけれども、その後生じた災害に対してどういうような具体的な措置を講ぜられたか、明確にお伺いしたいと思います。
  57. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 先般の凍霜害対策費を出した後に資料が来ましたのは北海道、秋田、島根等であります。これにつきましては、今県と交渉しまして、具体的の数字を固めて、それに基いて措置するように北海道及び府県と相談中であります。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私がここで確認したいことは、仄聞するのに、官房長北海道からあまり明確な報告が来ておらないので、これは取上げる必要はないだろうというようなことを、個人的かもしれぬけれども、漏らされたということを聞いておるのですが、北海道の広域にわたつて出た災害は、単位的に見ればその被害率はあるいは少いかもしれませんが、たとえば温冷床の苗しろの被害の一億七千万円、それから果樹、これは御承知かと思いますけれども、去年の十二月から今年の一月にかけて、北海道果樹栽培面積千八百町歩のうち、大体千二百町歩ぐらいが、凍霜害でなく凍傷を受けて、ほとんど枯死するような状態になつておるのであります。私は自然休会中に帰つたときに、できるだけ広い範囲の地方を非公式に調査したのでありますけれども、ひどいところは一町五反から二町にわたるところのりんご園が、完全に枯死して抜木しなければならぬような状態になつております。これらの報告は、統計調査部の方にも普通の報告としてすでに来ておることと思うのです。これらのことは別に政治的な数字ということでなくて、それらの被害の計数というものはすでに出て来ておると思うのですが、そういう点についてなおこれを立証するために、調査部なりあるいは自治庁のその方の数字を発表願いたいのであります。
  59. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 私が個人として北海道なんか処置しない、こう言つたというお話ですが、それは何かのお間違いでありまして、御訂正願いたいと思います。私の方はむしろ各局に落ちはないか、落ちはないかと言つておるのでありますから、その点は御心配はないと思います。ただ非常に困りますのは、これだけ大きい騒ぎになりますと、とにかく一月も二月もほかの県が騒いで、そのあとにぽかつと出して来て、おれの方にもあつたのだ、こう言われると、まあ係の方は大分ぶうぶう言う者が出ると思います。しかしその後事情をよく調べまして、私の方としては、出すならもう一ぺん調べてから出したらいいじやないか、ほかの話を聞いてそんなものがあとから出て来たのはおかしいじやないか、こういうように言つておりますので、御心配ないように願いたいと思います。  なお北海道の対策につきましては、実は私の方は営農資金をリザーヴして準備しておるのであります。府県と話がつきますれば出すことにする準備は私の方にしておりますから、もうしばらく待つていただけば、話がつくのではないかと思います。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員  私の申し上げたいことは、今官房長のお話の中に、ほかの被害は一月も二月も一生懸命に運動しておる。そうした運動もろくにしないで、ぽかつとこういう災害があつたということを言つて来るのは、熱意がないというような含みかもしれませんが、これは行政を担当する場合に、そういう運動の行われたといなとにかかわらず、特に災害に関しては北海道の特殊性というか、ああいう極地において営まれる農業の形の上には、常にこういう災害というものは繰返されておるわけであります。貧弱な農政的な施策の中において、常に取残されておる北海道のこういう災害、だからして農民大衆は、天候によるところの災害に対しては、政府にたよつては何にもならぬのだという一つの諦観をさえ持つております。幸いにしてこういうふうな全国的な災害ができて——幸いというのは語弊がありますけれども、ようやくこういう自然現象によるところの災害に対して、当然政府は責任を持つてこれに対処しなければならぬというようなことに目ざめて来たのであります。こういう点については、非常によいチャンスであつたかもしれませんけれども、今後においてもそういうような政治でなくて、常に全国的に、どの地域において発生した災害であつても、これは同じような機会均等の上に立つて取上げなければ、面積がどれだけで、災害の額がどれだけであるというようなことよりも、一戸々々の農家の受けた致命的な打撃の深度を十分勘案して、処理されて行くべきであると考えるのでありますが、ただいまの御答弁によつて、誠意を持つて北海道の特殊地帯にできた問題についても、初めて取上げる御意思があるということがわかつたので、私はそれに期待を持つておるわけであります。
  61. 井出一太郎

    ○井出委員長 小枝君。
  62. 小枝一雄

    ○小枝委員 先刻から当局の御答弁を聞きまして二、三疑点がありますので、ただしておきたいと思います。その一つは、対策要綱の一つでありますが、菜種、麦、ばれいしよその他ということになつておるのでありますが、その他という範囲であります。これは先般当局も、タバコが入つておるかというと、タバコも入つているということでございました。い草が入つておるかというとい草も入つているというような答弁ではなかつたかと思いますが、これは後日の問題になることは明瞭だと思います。ただいま官房長からの御答弁を聞いておりますと、大蔵省は、しからばその他というものについてはどういうものが入つておるかということを、非常にこまかく見ておるということでありますが、そこでこの予算大蔵省に要求せられる場合に、その他というものについては、一々品目を示さずに概括的に予算を要求しておられるのであるかどうか。もし品目を示さずに概括的に要求せられた場合においては、農林省がそれを適当に各品目にわけて、あらゆる災害の農作物に対してそれを分配されるのかどうか、この問題が一つ。  それからもう一つは、先般来からしばしば論議された問題で、今さら繰返すのもどうかと思いますが、従来の災害については、主として農林統計をお用いになつておる。いろいろ府県から詳細な調査を求められて、府県は災害の中にいろいろな努力を払われて正確なる調査報告を農林省に対してしておる。結局は、しかし最後には、農林統計によつてこれを処置するのでは今度の災害は困るのではなかろうかと考えるのであります。今度の災害の種目は広汎にわたり、しかもその被害は深刻である。これは実際に報告する者が一番によく承知しておるのですから今度は農林統計にのみたよらずして、県なり町村からの報告を十分に基礎にしてやられるつもりであるかどうか。  それからもう一つは、調査団を四班にわけて被害地に調査に派遣したということでありますので、今度は農林統計あるいは地元の報告のみにたよらずに農林省独自の立場においても調査かあるいは査定をせられるであろうと考えますが、これが終りまして、いよいよ最後の結末をつけるのはいつごろになるか、その時期をひとつお示しを願いたいと思います。以上、三点についてお聞きいたします。
  63. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 被害の作物の品目は全部であります。一応統計表にはその他と締めくくりますが、これは各品目について全部調べます。  それから府県の報告を尊重したらというお話でありますが、これも先ほどちよつと触れましたように、府県の報告の仕方がまちまちでありますので、どうしてもこれを統一的に考えないといけませんので、被害の状況等はずいぶん府県の報告を尊重しますけれども、統計数字になりますと、府県の報告と違つた数字が出て来て、相当開きが出て来るかと思います。  それから調査団を派遣して、最後の締めくくりはいつごろできるかというお話でありますが、これは昨日でありましたか、一昨日でありましたか、足鹿委員の御質問に対して、二十日過ぎにまとめたいというお話をしましたが、少し遅れまして、来週の終りでないとまとまらない。それに基いてやりたいと思つております。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 政務次官がおいでになりましたので、先刻の食糧管理法第七条の点に関係いたしまして、政府のとらんとする風水害対策並びに過般の凍霜害に関連いたしまして確認をしておきたいと思います。それはほかのことは一切省略しまして、風水害対策要綱の第八項であります。被害農家に対し政府保有麦の貸付を行うものとするという一項がありまして、先刻渡部官房長にこの点を御質問申し上げたのでありますが、現在のところでは貸付という点しか考えておらないというお話でありましたが、しかし先刻も申し述べましたように、営農補償の段階を越えて、現在凍霜害にしろ、風水害ももちろんでありますが、生活保償の対策が講ぜられなければならない段階に達しておる。こういうはつきりした認識の上に政府は立つて、この八項の問題については、食糧管理法の第七条「政府ハ政令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」という条項がありますから、いずれ貸付をされるにしても、政令をもつて定められると思いますが、この政令をもつて定められるときに、貸付または交付を行うというふうな内容にする用意があるかどうか。それにはもちろん全部交付をせよということは、その被害程度なり困窮農家の状態において等差がありますから、全部とは申しません。しかし、実情はもうまつたく飯用麦がない、秋のまきつけの種麦もないという状態でありまして、これはただ単に営農補償の問題のみならず、生活保償の問題で切実な問題だと思います。よつてこの点については十分研究をして、御趣旨に沿うという官房長の御答弁でありましたが、大臣が麦価問題でお見えにならないようでありますから、政府を代表する責任ある答弁を、この際政務次官から承つておきたいと思います。
  65. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 ただいまおつしやつた政府ハ政令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」というこの条項は、御承知の通り第三条「食糧管理法第七条第一項の規定による主要食糧の公付は、公共団体、公益法人その他農林大臣の適当と認める者が主要食糧を試験研究の用に供しようとする場合にこれを行う。」そういうふうになつておりまして、これは御承知の通り、今のところ試験研究の場合交付をするということになつておるわけであります。そこでただいまの足鹿君のお話のように、もうすでに食えなくなつておるものをどうするかという問題でありますが、被害地の人が全部食えなくなつておるというふうには考えられないのでありまして、現に私たちは最も麦の災害のひどい群馬県にも参りました。埼玉県も視察しましたが、農民の希望は飯米の貸付をやつてくれということであります。そこで救済の目的は結局再生産というものを助ける意味で行うのでありまして、全部一般的にその食糧を交付するというふうには考えられないのであります。従つて最大の被害をこうむつてどうしても食えない。どこから見ても食えない。村が見ても県が見てもどうしても食えないという人があれば、これは災害の場合におけるたき出しということもあるのでありますから、それは交付しなければならぬ場合もあるかと思いますけれども、一般的に見ましては、結局再生産をして、農民もある程度自主的に立上り得るというところに救済の目標を置かなければ、今後も非常な災害が予期されておるのでありますから、おそらくそういうことは不可能であると考えております。但し特殊のものについては、もちろんそういう場合があり得ると思います。一般論としては、そういうふうに災害地に対して交付するというふうには考えられない、こういうことであります。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻の官房長の御答弁よりも悪い御答弁をいただいたのでありますが、先ほどの官房長の答弁は、ある程度私の質疑に対しては誠意ある御答弁で、そういう点については研究してみようということだつた。検討して十分御趣旨に沿うということだつたけれども、今の篠田政務次官の御答弁によると、国民を代表して御当選になつた、民意を政府につなぐ立場におられる政務次官が、むしろお役人さんの御答弁よりも農民に対して無理解な御答弁があるとは、私は意外だと思う。そんなばかな話はない。むしろ役人の人が厳しいことを言つても、自分が努力をして今後はそういうふうに努めるというようにおつしやるならば、私どもはある程度理解ができますが、今の御答弁は、食管法の施行令の第三条第一項の規定による交付は、公共団体、公益法人その他農林大臣の適当と認める者とあるわけなんです。その他適当と認める者の解釈を拡大解釈してもこれはできることでもありますし、これは農民がはからざる天災によつてそういう窮乏に追い込められたのであつて、自分の営農上の失敗でも何でもありません。貸付をかりに認めたといたしましても、それは来年の麦からもどさなければならぬ。もどす麦なんかはおそらくないと思う。そういう事態ももうすでに現出しておりまして、あなたも北関東をごらんになつたそうでありますが、私も見ました。現地をよく見ております。お互いが見ておつて切実な陳情をあなたもお聞きになり、私もそれを聞いておるのであつて、そのことに大きな差はないと私は思う。そういう点から推して、実際農民は実らない麦だと知りつつ、期待をかけてたんぼにはやしておつたが、もう裏作の関係で刈取らなければ米の生産にさしつかえる、植付に困るというので、涙をのんでその飼料にもならない青麦を刈つておるのです。これは凍霜害地帯のそういう事実を私は見て来ておる。開拓地においても同様であります。いわんや九州その他を襲つた大風水害によつて、元も子も全部流されてしまつて食うものがない、そのものに対して、貸付内容というものを具体的に承れば、また私としてもいろいろと申し上げたいことはありますが、まだ貸付の条件も何もきまつておらない。いわんやこの法律の規定するところの交付の手段もあり、それから、ただ単に施行令のごときものによつて食管法第七条第一項の精神を全然抹殺するようなただいまの御答弁は、私どもはふに落ちません。むしろ必要があるならば、こういう緊急事態に即応して施行令の三条を改正する用意があるとかなんとか、国民を代表される政務次官であるならば、もう少しそこには理解のある態度をおとりになることを私は要望いたしたい。非常に失礼なことを申し上げたかはしれませんが、少くともそれだけの愛情を災害地の農民に対して持たれるのが私は当然だと思う。いま一応御所見を承つておきたいと思います。
  67. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 役人の答弁よりも国民の代表の答弁の方が悪いというお話ですが、私はそうは思わない。なるほど足鹿君も視察され、私もまる一日視察して参りました。渡部官房長が研究すると言つたことは、そういう特別な場合については研究する、こういうふうに言つたんだということを今ここで申しております。私もおそらくそうだろうと思います。もちろん被害の状況というものは見て来て、非常に場所によつても違い、また個人によつても違つております。でありますから、そういう特殊の事態に対しては、そういうことは研究しなければならないけれども、しかし農民自体が、飯麦を貸し付けてくれ、来年まで買上げの麦を貸し付けてくれという希望をしておるのであります。災害であるから、政府はもちろんのこと、われわれ個人といたしましても、これは農民の過失や怠慢によつたものではありません。従つてわれわれは一生懸命にその対策に苦心し、また愛情、人情、そういうものの立場から、何とかして一日も早くこれを救わなければならないと考えておる点においては、おそらく私と足鹿君は違いはないと思います。そういう意味で農民自体が飯米を貸し付けてくれ、それによつて自分は立ち上るのだ、そのほかの災害補償費とか、あるいは資金の融通とか、肥料の貸与とか、いろいろな面によつてつておるのでありますから、それで農民が立上れるならばそれが一番けつこうじやないか。それを農民が実際において飯米を貸付けてくれといつておるのに、政府が全般的にいやそれは交付するのだ、そういうことをして行つたならば、一体政府の財政というものは国民の税金によつてまかなつておるのでありますから、そういうことはできないと私は思う。ただ実際において食えないという問題が起つたときには研究をする、そういうふうに言つておるのであります。別に薄情で言つておるのではありません。
  68. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですが、私は別に、先刻申し上げましたように、全部くれてやれとは言つておりません。被害の程度なりその困窮の実情に応じて、当然貸付または交付すべきものである。この点について政府の所見はいかがということを言つておるのであります。何でもかんでもくれてやれとは言つておりません。そういう特殊な事態があればと今おつしやいますが、現に起きておるのです。この間の全国の農民大会の決定要請事項を念のため申し上げましよう。その要望事項のうち、全国農民大会の拡大実行委員会の要望第五項に、被害農家食糧用麦確保について原麦の交付または貸付をされたいという、字句は簡単でございますけれども、切実な声が出ております。また現地においても貸してくれればそれで十分だということではありません。とにかく無償交付までも要求しておる。ですから交付の内容なり貸付内容というものについて、いわゆる拡張解釈はどうでもできて行きます。それは政府の農民に対する愛情と適切な施策いかんによつてできるのであります。でありますからただくれてやれ、ただ貸してやれということのその言葉だけを解釈すれば、政務次官が今おつしやつたような解釈もできぬことはありますまいが、しかしその貸付内容、交付の内容というものを、これは法の精神にのつとつて行かれるならば、私は可能であると思う。何もそんなに渋られることはないと思います。施行令の第三条をおかえになる、いわゆる災害対策としてこれをかえられる御用意があれば、この問題は簡単に片づきます。何もこの施行令の第三条が金科玉条ではありますまい。かえてしかるべきものだと思いますが、そういう点について、もう少し——政務次官の慎重を期されるのあまり、今のような御答弁もあるいは出るかもしれませんが、この点は法令の改正でも行つて農家の実態に十分即応した施策をとるということの御言明を願いたいと、私は思うのです。
  69. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 多少思い違いがあつたようであります。そういう意味合いにおきまして、私があればという言葉を使つたけれども、現にあるじやないか、こういうお話でありますが、その場合におきましては、町村なり府県なりの実際において、この人が食えないのだというような証明というものがあつたようなときには、もちろんそういうことをしなければいけないと思つております。そのために必要であるということであるならば、この法令も、そういうあなたのおつしやるような御意見を挿入するために一生懸命研究してみたいと思います。
  70. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと関連して簡単にお尋ねしたいのですが、震災のときやあるいは大火災やまたは津波等に、主食を貸与したり交付したりしておりますが、この貸与または交付の法律的根拠はどこにありますか。
  71. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 法律の名前は今記憶してないのですが、災害救助法だつたと思います。ですから鳥取の大火等のとき、たき出しなどはある程度いたしました。
  72. 川俣清音

    川俣委員 今度九州並びに西日本を襲つた風水害に対して、その法律を適用することが困難でありますか、またはこの法律を適用するにどこが困難であるかという点をお示し願いたいと思います。
  73. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 これは府県知事がそれを発動することになつていると思いますので、堤防が決壊して家屋が流失するとか、そういうような非常な災害の場合ではないかと思います。その程度に達しないものは、その法律の発動でなした、町村なら町村、部落なら部落が自発的にたき出ししておるのではないかと思います。
  74. 川俣清音

    川俣委員 私は食管法の範囲内において、主食でありまするから当然食管法の適用を受けると思う。しからばこうした場合の交付並びに貸与は食管法のどこに基いて交付または貸与していますか。
  75. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 これは地方の公共団体が難民に貸すのでありまして、食管法から直接貸したとかいうのではないと思います。
  76. 川俣清音

    川俣委員 食糧管理法に基かないで、これを貸与または交付することはできないと思います。
  77. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 これは公共国体が食糧事務所の方に米をくれということで金を払つて、そしてたき出しをしておるのであります。
  78. 川俣清音

    川俣委員 地方自治団体が交付を受けるのじやないですか。
  79. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 地方自治団体が無償交付を受けるのではないと思います。これは今の食糧管理令の第三条に、交付する場合は試験研究用に限ることになつておりますから、この規定では動いてない、やはり公共団体からは特別会計の方に金を払つて、そしてわけるのであります。
  80. 川俣清音

    川俣委員 これは今のような事態を解決するためにも、先ほどから足鹿君が申されておりまする研究の要があると思います。慎重に政府の方で研究されんことを願います。
  81. 綱島正興

    ○綱島委員 ただいまは特に皆様の十分な御質疑を賜わり、御答弁を賜わつて、三百里も隔てたところの方が連日三日にわたつてここに見えて陳情したいといつておられたのでありますが、実はまことに御熱心な討議があるために、自分どもが言いたいことをみな言つていただいて、非常に満足しておられる。ただ一言私ここで申し上げておきたいと思いますことは、このたびの水害では特にほとんど何もないようになつておる一村あるいは一部落、ほんとうに皆無になつておるところがたくさんあります。それはどういう事情かと申し上げますと、六月の一日と二日が雨であつて、三日が天気でございます。その三日に大急ぎで麦、菜種等を全部圃場に刈り倒しておる。その夜に百ミリを越える豪雨であります。それを全部流してしまつた。従つて耕作物全部何もないという家が軒を並べてございますので、それらのことを御考慮賜わりまして、特に今度の食管法等の関連でお考えを願いたい。ほんとうに食えない農家がたくさんあるということをどうぞ御認識を賜わりたいと存じます。
  82. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際、金子君より農林特産物の問題につきまして質疑をいたしたいという申出があります。約十分くらいの予定だそうでありますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。——その前に、古屋君の質問の通告がありましたので、それでは古屋貞雄君。
  84. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 二点だけ承りたいのですが、これは凍霜害関係でございます。一点は、開拓農民の共済組合に加入していないものがございますので、これに対する救済方法は、農林省はいかに具体的に考え措置するか。特にこの問題は相当深刻であります。開拓農民の諸君は、長い間農民として経営して参りました方よりも非常に経済力が弱い。特にいまだ自立的な経済の確立ができていない方が多いのであります。従いまして今回のような凍霜害におきましては、その被害の度合いは同じでありましても、生活並びに再生産に及ぼす影響はあまりに大きいのであります。これについての何らの救済の方法を今見出すわけにいきません。ただこの間特別に緊急措置として御配慮をいただきました五億八千九百四十万円、これといたしましても、ほとんどすずめの涙のようなものでございまして、最低生活ができない。これに対して農林省は最もすみやかに、特に深刻にお考えになつて、対策を講ぜられておるはずでございますが、その対策が講ぜられておりまするならば、具体的に御説明を願いたい。なければこれに至急に対策を講ずる意思があるかどうか、この点を承りたい。
  85. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 開拓者農民が被害にかかられたときに、一般の方よりもさらに一層お困りになるということはわれわれもよくわかつております。そこでこの場合におきましては、先刻来いろいろ申し上げましたような一般の救済のほかに、特に県において営農資金の心配、あるいは開拓者資金、これは三分六厘五毛の利子でありますけれども、そういう面につきまして一層よけいに交付するというふうに今努力しつつあります。
  86. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 一層努力されておるというと、具体的にどういうことなんでしようか。ただいま農民の方からの要求によりますと、今まで決定いたしました農薬並びにその他の種子代の補助金ですが、これとても一体いつ農民諸君の手に具体的に渡るであろうか。それから特段の御配慮をするというならば、どんな率の配慮を行われるか。その予算はどこから御捻出になるか。六月の暫定予算にも見出せませんし、七月の暫定予算にも特にこの点についての御要求がないようであります。ただ前回農林大臣の御答弁の中に、十五億の予備金があるのでこれを使うというお話がありましたが、はたしてしからば、どのくらいの率で、どういうぐあいに補助するのか、御計画を具体的に御説明願いたい。
  87. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 これは前に多分申し上げたと思いますけれども、この災害保険のほかの問題につきましては、二十億の農林中央金庫系、信連、単協その他の機関から資金を出し、それに対する年五分の利子補給、その半額は国庫でやるということであります。それから融通総額の三割を限度として損失を補償する。この場合も国が半分やる。それから償還期限二箇年で農家に貸し付けるが、この利率は年六分五厘、こういうふうにやつておりますけれども、この資金の融通につきましては、県から幾らの資金が必要であるという申出がなければ、貸し出すことはできないと考えております。それから補助金の配付その他につきましては、災害対策本部長であります官房長から説明させた方が具体的によくわかると思います。
  88. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 先ほどのお話でありますが、先般予備費がきまつて、これの交付要綱を府県に出しておりますので、それに従つて申請がどんどん来ておりますから、おつつけ行くことになると思います。  なお開拓地の処置は、一般の凍霜害より少し遅れて府県から報告があつたものですから、この対策が遅れました。しかし一般の営農資金とか病虫害の防除とかいうものは、開拓以外の土地の補助金等と一緒に行つておると思います。ただ市町村等で手続が遅れておりますれば、農家が現金を手に入れることが遅れますから、その点は府県を督励いたしております。
  89. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 ただいま私が次官にお尋ねしたのは、他の農民よりも特段な補助政策を盛つた具体的対策いかんを承つている、その点を重ねて承りたい。
  90. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 それは開拓者資金、要するに利子の安い資金で、一般には行かない資金と申しますか、開拓者にはそれを特によけい出したい、こういうふうに申し上げたのであります。
  91. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 どうも私は納得が行かないのです。特に昨日農林大臣農業対策を承ると、増産をすることが日本の自立経済を獲得するための最も重要な事項であるという御説明を承りましたが、さようなことを考えますときに、開拓農民が、実際に開拓農民としてその土地と取組んで、そこに永住して生産を熱心にやれるような段取りをしてやることは、政府の重大な責務であると思う。大体開拓農民は、外地から裸で引揚げて参りました方、あるいは二、三男で何ら資金がないというような方が多いのであります。しかも従来から長年やつて参りました農民ですら、来年度の生産を準備する金もないような窮状に追い込まれた本年のような凍霜害につきましては、特段の処置を講じなければ、せつかく入植された開拓民が、従来行われていたように、土地を離れて他に転職しなければならぬということは、火を見るよりも明らかである。さような場合に、今お答えになりましたような、はつきりしない、しかも不誠意な愛情のない態度では、私はとうてい日本の増産は行われないと思う。この点において抜本的な英断をもつて処置されるかどうか。  それからもう一つ農林省の態度に誠意がないと思うところから来る私の疑惑かもしれませんが、大蔵省に対する予算措置についての要求が非常に弱い。われわれはむしろ応援をしなければならぬという気持でおるにかかわらず、非常に弱い。それはただいま御答弁にありましたように、七月の予備費の中からかような重大な案件の費用を捻出するという、このつけたり的なお考えが私は承知ができない。むしろ正正堂々と、他の政策に優先して予算を要求すべきだ。私どもは今回の凍霜害などにつきまして、予備費から捻出することで甘んじるわけに行かない。ただこの際私が申し上げたいことは、一般的な問題ですが、農民諸君は労働組合の諸君より戦術が下手であります、上手ではありません。しかしながら農民諸君は長年の間自然と取組み、大地と取組んで参りました結果、不動の気持を持つておりますので、非常に忍耐力が強いと申しましようか、少くとも日本の長年の間の封建制というものも関係いたしまして、かようなところへ参ります陳情が、おそくなるとか運動が延びるとかいう形式的なことにとらわれて、農民諸君の強い要求の意欲を無視することは、農林業政として重要な問題だと思う。農民諸君のほんとうに欲しております気持は、毎日日本中から、風水害にいたしましても、凍霜害にいたしましても、ほんとうに一年中の、収穫を得る時期の一番大事な時間をさいて代表が陳情に参つている姿、農民諸君の気持というものは、労働組合の諸君がこの国会を取巻いてすわり込みをしていると同じ運動の気持でございます。これを忘れて農林当局が、ただわずかばかりの補助金でこれでいいんだというようなお考えであることは、将来の日本の増産計画の上から見ても、農民の経済的、精神的打撃は大きいのですから、農民を失望させることが多いと思う。この点は特に開拓者につきましては、あたたかい気持で、相当熱心に敏速を要する救済策を講じなければ、土地から離れて行かなければならぬ。いかに農林省が別の面において開拓予算を組み、あるいは御熱心に土地改良予算をとりましても、かような場合にほんとうに熱意と愛情を示してやらなければ、勢い増産も開拓も成功しないと思いますが、この点について農林当局の決意を承りたい。
  92. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 盛んに愛情がないないと言われますが、この間も私が申し上げたごとく、私も内地のような好条件の所でなくて、樺太でもつて三年間も開拓をし、実際において災害を受けております。従つて私は、ただ抽象的な、愛情がないというようなことであなた方は私を非難されますけれども、そういうことは当つておらないということをこの際一言申し上げておきます。それからもちろん増産ということがいかに必要であるかということは、これは日本国民全体が感じておることでありまして、われわれももちろんそれは非常に感じております。従つて食糧の増産が何よりも優先的であるということは御同感であります。しかし災害のあつたときに、何からいきなり金を出すかということになれば、十五億の額は少いかもしれませんけれども、七月暫定予算に十五億という予備費計上してあるのでありますから、とりあえずそれから出すということは当然であります。そのために予備費というものが計上してあるのであります。その災害の集計、あるいは救済に対して十五億の予算では少いということであるならば、その場合において当然予算にそれは計上して行かなければならぬと考えます。
  93. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 今の私の質問について、農林次官は愛情がないと攻撃的なようにお考えになつておるかもしれませんが、愛情がないと私どもははつきり具体的に申しましよう。農林省の被害総額の発表が九十一億とあるにかかわらず、五億円や六億円のはした金を出してここで答弁されておるようなことは、具体的に言つてまことに愛情がないのです。そうして農民諸君は、ただいま足鹿君から申し上げたように、相当深刻な要求をしているにかかわらず、陳情を承つているだけで、何もしておらない。私は政務次官個人の攻撃をしたのではありません。政務次官が開拓関係し、御苦心なさつており、そして愛情がございますならば、十五億や二十億の予算でなくして、農林省としては相当大きな要求をされて、農民にこたえるべきだと思います。なぜかと申しますと、本件の凍霜害の問題は、良田そのものがすでに来年の生産を準備する金がない。この良田の収益というものは、一なら一の補助金をこれに与えて、十分に農民の生産意欲を向上させれば、この補助金によりまして、二にも三にも答えが出て来ることは明らかであります。このような場合に、七月予算を拝見しますと、他の土地改良費用であるとかあるいは開墾費用であるとかに莫大な予算を組んでおります。それもいいのですが、それならば、もつと愛情のある予算の組み方をしていただきたいと思うのが私の要求です。決して私は農林次官を攻撃したのでも何でもない。おそらく日本中の農民諸君に承るならば、このくらい薄情な農林政策はないとおつしやいます。ここにたくさん傍聴に来ておりますから、この人たちに聞けばわかります。このようなことは言いたくないけれども、言わざるを得ない。そこで特に私が承りたいのは、他の農民よりも特段な配慮をしたというから、その具体的なものを示してもらいたいということを質問申し上げたのであります。ただいま御説明のありましたような利子補給の問題、あるいはその他の貸付の問題について、しかも農林中金がお貸しになるときにどういう条件でお貸しになるか、これはごらんになればわかりますが、開拓民の農業協同組合のような経済力の弱い、しかも返済に際して非常な懸念のあるところは、いつもあとまわしであります。これは明瞭に申し上げます。信用のある農業協同組合は先に貸し、信用のないところはあとまわしであります。その点も考慮に入れて対策を講じたかどうか承りたい。
  94. 篠田弘作

    ○篠田政府委員 一般の救済は一般でやりますが、そのほかに開拓者に対しては特に——一般の営農資金は六分五厘、二箇年の期限になつておりましてこれももちろん希望があれば貸しますが、そのほかに特にという意味は、開拓者の資金は三分六厘五毛でありまして、返済期限も十五箇年になつているわけです。そういうわけで、一般にやらない開拓者だけの資金を出す、しかも災害地に対しては一般の開拓者よりもよけいに出す、こういうふうに申し上げたのであります。
  95. 金子與重郎

    ○金子委員 時間が非常にずれておりますから、十分間程度で四つの点を簡潔に通産省の方に質問申し上げますから、お答え願います。こんにやくの問題であります。こんにやくの問題は年々問題になつておりまして、この問題は、輸入が内地の生産に非常に鋭敏に響くことから、こういうことになつているのでありますが、まず第一に、通産省と農林省との折衝の結果、十四万円を維持するような状態になつたときには輸入するということになつておりますけれども、今度の輸入計画に入れる考えがあるかどうか、それをちよつとお聞きしておきたいと思います。
  96. 倉八正

    ○倉八説明員 お答えいたします。十四万円を越したらどのくらいの程度を輸入するかという御質問だろうと思いますが、それにつきましては、農林省と検討中でございます。
  97. 金子與重郎

    ○金子委員 農林省と検討中である以上は、農林省との折衝が終らないうちは輸入の数字はきめない、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  98. 倉八正

    ○倉八説明員 さよう御了承願います。
  99. 金子與重郎

    ○金子委員 それからこんにやくの関税問題につきまして、先国会において四五%引上げの問題がありまして、そのまま流れましたが、現在のところこんにやくの輸入税に対してどういう考え方を持つておりますか。
  100. 徳安健太郎

    ○徳安説明員 ただいま関税問題につきましては、四五%のそのままでこの国会に出す予定にいたしております。
  101. 金子與重郎

    ○金子委員 御承知だと思いますが、通産省関係で四日市において、支那産のこんにやくを約二十トンその他の品目を詐称して輸入されておる、こういうことがたまたま発見されておることは、もう既定の事実でありますが、それに対するてんまつを御報告願いたいと思います。
  102. 倉八正

    ○倉八説明員 現在問題になつておりますようなことは四日市ばかりでないのでありまして、実際は三つのケースがございます。しかもこれは、三つのケースで大体八十トン前後のいわゆるこんにやくに類するものが入つておるわけであります。これにつきましては、私の方で具体的に研究いたしまして、その様相を確めておるのでありますが、その八十トンのほかにつきましては、通産省としては関係しておりません。要するにいわゆるマニユーフエインという名前で入つたのがわずか三トンないし四トンでありまして、あとの七トン以上のものは全部詐称で入つておりまして、それにつきましては、貿易管理法に照しまして、私どもの方といたしましては適正な処置をとるつもりであります。
  103. 金子與重郎

    ○金子委員 時間の制約がありますから、このこんにやく並びに類似品の名義詐称その他におきますところの輸入、また今の三つの場合において約八十トンというようなことが出ておるようでありますが、それらのてんまつにつきましては文書をもつてこの次の委員会までに御報告願いたいと思います。
  104. 倉八正

    ○倉八説明員 承知しました。
  105. 金子與重郎

    ○金子委員 もう一点、こんにやくの輸入につきましては、農林省と話合いをつけて後に数量をきめるということは御了承を得たのでありますが、きようは時間がないからこまかいことを伺いませんが、この問題は、年々こういうことを繰返すことのないように、輸入関係あるいは国内の生産関係を考慮して、抜本的な考え方を持ちたいと思つておりますから、しかるべき後の機会にいろいろ討議申し上げ、同時に政府の方針をきめてもらいたい、こう考えておりますから、この輸入の問題は、その間相当時間を食うとは申しましても、おそらく一箇月以内にこの問題は抜本的な解決の方向をたどりたいとわれわれは考えておりますから、この点につきまして通産省、農林省ともに御研究おき願いたいと思います。また再びこの問題を国会で取上げますから、御承知おきを願います。
  106. 井出一太郎

    ○井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十一分散会      ————◇—————