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1953-07-09 第16回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月九日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 高橋  等君    理事 八木 一郎君 理事 上林與市郎君    理事 鈴木 義男君 理事 松田竹千代君       江藤 夏雄君    津雲 國利君       永田 良吉君    長野 長廣君       平井 義一君    船田  中君       牧野 寛索君    高瀬  傳君       粟山  博君    神近 市子君       島上善五郎君    中居英太郎君       中村 高一君    辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         行政管理庁次長 大野木克彦君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         保安庁次長   増原 惠吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         大臣官房長   大江  晃君         外務省参事官         (大臣官房審議         室付)     廣瀬 節男君  委員外出席者         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 七月八日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員山崎巖辞任につき、その補欠として江藤  夏雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員冨吉榮二辞任につき、その補欠として中  村高一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月八日  軍人恩給復活に関する請願山崎岩男紹介)  (第二九八〇号)  同(大村清一紹介)(第二九八一号)  同(小高熹郎君紹介)(第二九八、号)  同(相川勝六紹介)(第二九八三号)  未復員者給与法による入院患者傷病恩給等支  給に関する請願柳田秀一紹介)(第二九八  四号)  同(島上善五郎紹介)(第二九八五号)  公務員の給与改訂に伴う恩給改訂に関する請願  (荒舩清十郎紹介)(第二九八六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  八一号)  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二一号)  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五〇号)     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。  外務省設置法の一部を改正する法律案議題とし本案討論に付します。討論通告があります。神近市子君。
  3. 神近市子

    神近委員 私はこれには反対でございます。というのは、昨日もいろいろ質問がございました通りに、今までの外務省海外移民に対するいろいろな事務的な態度は非常に不親切をきわめておるものであり、そして結果としては移民というものは全部棄民の状態に置かれている。それで今度の予算はそんなに厖大なものではございません。新しい増員は六人にとどめてあるし、この一億六千二百万円のうちの一億三千万円が移民に対する貸付でありまして、その経費は多いとは言えないのです。説明書にもうたつてあります通りに、戦前外務省及び拓務省に比較するときわめて貧弱であり、今後増加すべき移民事務を能率的に処理するためには不十分だというのでありますけれども、国の財政その他のことが戦前に何も比較することができるような状態にはないときに、道具立てだけ先に整備しようというのはちよつと順序を前後していやしないかと思うのです。わずかに六人くらいの用員でできるものでありましたならば、今の機構のままで当分これをおやりになつてみる。そして今までの、戦前のような扱い方でなく、もつと親切に、もつと移民というものが効果的にできるようにして、そしてその能率を上げる。その実績を私どもに見せていただいてから、これを拡張するという段階に来たならば拡張した方がいいと思いますが、わずかな国費といいながらその国費はわれわれ国民の全部がこれを負担するのでありますから、その仕事をやつてみてから機構をつくる。今までお役所仕事というものは機構を先につくつてその実体が伴わなかつたというような状態でございますから、この際この説明書にもあります通り戦前状態に帰すというのはもつてのほかの誤つた観念だと思います。それで、仕事をやつてみていただきたい。その上でどうにもやれないような状態になるならば、これを認めるということは私は当然のことだと思います。ともかく、千人そこそこの送り出し、二千人かそこらの呼寄せ移民に対して、今日の機構の中で事務がやれないはずはないと私は思うのです。これはお役所仕事の一番悪いところを見せたものでありまして、私どもにやらせてみてくだされば三千人や四千人の送り出しは能率的にやつてみせるというように考えます。そういう意味から私は反対でございます。
  4. 稻村順三

  5. 高瀬傳

    高瀬委員 私は外務省提出海外移住局設置本案賛成の意を表するものであります。なるほど設置理由説明書の中には、私が昨日の質問において指摘しましたように、積極的施策の見るべきものがないという点は非常に遺憾の意を表する次第でありますが、何分独立後、日本人口増加の比率もはなはだしく、国内産業状態あるいは人口問題の解決等については各界とも非常に苦慮している今日、できるだけわれわれは移民を合理的な方法をもつて奨励し、各国と交渉して、人口、食糧問題の前途に少しでも光明を認めるような施策政府になければ、とうてい日本発展を期することはできなかろうと思うのであります。そういう点で、外務省が率先して海外移住局設置して、日本人口、食糧問題の解決に一石を投じようとする熱意を示したことについては、内容については私は不十分な点があるとは思いますが、一応敬意を表する次第であります。しかも現在においては、何ら移民状態において戦前と大した違いがないという御議論もあるようでありますが、まず、多くの移民の問題が起きてから移民局設置するよりも、多少早いきらいはありましても、今から移民局設置して積極的に移民の方策を講じ、またその指導あるいは誘掖について善処するということは独立国家として当然でありまして、この点について、現在の状態はさして移民局厖大にする必要はないにいたしましても、将来に備えてある程度移民局を増強するということは、私は当然であろうと思います。そういう点で、今回の移民局設置は、予算も大して伴いませんし、人員も少いし、わずかに神戸に移民相談所を置くという程度のものでありますから、この際経費の点から考えましても、人員増加の点から考えましても、大して国費に影響することもないと思いますから、将来の移民発展のための基礎工作として、移民局設置に私は賛成いたします。  ただ、この際当局に切に希望しますことは、旧来通りの、いわゆる古い形の移民政策を行わないように、単なる移民業者のようなものに善良なるわが国民が食いものにならないように、新しい角度から切に御指導願いたいことと、また、単なる農業移民だけということに重点を置かずに、産業発展の立場から、工業移民といいますか、ある程度まで貿易に伴つて日本のほんとうの工業外国に輸出し、それに従つて日本移民がいわゆる工業移民としてどんどんと外国にも出て行けますように、こういう点についても切に御考慮を願うことにいたしまして、私は本案賛成いたします。
  6. 稻村順三

  7. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 日本社会党は、この外務省設置法の一部を改正する法律案に対して反対意見を表明するものであります。  ただいま高瀬委員が御説明なつたことは、そのまま反対意見に転用できることでありまして、私どもは、別に移民を重大な仕事でないと思うのではないのでありまして、きわめて大事なことでありますが、遺憾ながら日本移民を許すところは、世界にブラジルとパラグアイだけしかないのであります。そうしてその人数も限られておるのでありまして、一年にわずかに二百家族とか三百家族、そういうものを送り出すのにそんなに大規模機構がいるはずがない。将来インドネシアとか、ボルネオとか、ニユーギニアとか、あるいは満州とか、いろいろな方面に移民が行われるようになりましたならば、これはもう外務省外局としての移民庁をこしらえてもよろしい、われわれはそれくらいの必要を感ずるのであります。それでも国策としては、一年に十万人ずつ送り出しましても十年に百万、百年かかつても千万でありますから、わが国人口問題の処理としては大したことはないのであります。しかし全力をあげてやらなければならぬことでありますから、そのときはりつぱな官庁をつくることは賛成でありますが、今のこの状態においてこれくらいの仕事をするのに一つの局を設けなければならないという必要はないと思います。むろん分業的な見地から、わずかの人員の局を置いてもさしつかえないという考え方を私どもは持つておりますけれども、局というものをつくれば、どうしてもそれにふさわしくしようとして、これを橋頭堡としてだんだん大きくして、大した仕事もしないが機構だけは完備するというのがわが国官庁のやり方でありますが、私は、この程度仕事量ならば課というものでここ当分はたくさんであると思います。移民課というものを欧米局の中に設け、それでおやりになればよろしい。もし仕事の量及び性質上人間がいるというならば、これは十人ふやそうが二十人ふやそうが私は賛成でありますが、特に欧米局などと対立する局を設けるということは、行政機構全体をできるだけ簡素化し、行政費の節約を主張しまする吉田内閣の方針にも反することであるし、われわれの見地から見て——その取扱いが不親切であるという御質問を昨日申し上げたことは事実でありますけれども、決してそういう感情的なことに基いて反対するのではない。仕事の量及び性質から見て、一局を設けるほどの量を今わが国として持つていないのであるから、当分は課で十分である。その必要を感ずる程度移民が有望になつて参りました場合には喜んでわれわれも、これを局とし、あるいは外局とすることにも賛成するということを申し上げて反対の意思を表明する次第であります。
  8. 稻村順三

    稻村委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。外務省設置法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 稻村順三

    稻村委員長 起立多数。よつて本案は可決いたしました。  なお、ただいま可決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  10. 稻村順三

    稻村委員長 保安庁法の一部を改正する法律案議題といたします。右に関し保安庁長官より発言を求められております。これを許します。木村国務大臣
  11. 木村篤太郎

    木村国務大臣 かねて、警備計画試案に関しましてその提出を求められておつたのでありまするが、この前私が申し上げました通り、これはまつたく各省との連絡もできておらず、また、庁議においてこれを審議したわけでもなし、確定の案に至つていないのであつて、私のただ単純なる、将来の計画案を立てる場合の心組みとして一応の案をつくつたわけであります。さような理由からいたしまして、この試案提出することは差控えたいということを予算委員会においても申し上げ、またこの委員会においても申し上げる次第であります。何とぞ御了承をお願いいたします。
  12. 稻村順三

    稻村委員長 右に関し質疑の通告があります。これを許します。島上善五郎君。
  13. 島上善五郎

    島上委員 ただいまの資料を提出しないということに対しては私は了承できませんが、これは追つてこの法案の審議に関連する質問の中で順々に質問を申し上げたいと存じます。  最初に私は、保安隊性格と申しますか、目的について、これは保安庁法によつて明らかではありますけれどもあと質問の都合上この点をもう一ぺんはつきりと伺つておきたいと存じます。保安隊国内治安を維持するためのものである、直接侵略に対しては米軍がこれに当る、こういうふうに解釈してよろしいかどうかということをはつきりと御答弁を願います。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。保安隊性格は、今仰せになりましたように保安庁法第四條に明確に規定されております。国内の平和と治安を維持し、人命財産を保護するために、特別に必要な場合においてこれを運営管理することになつております。そこで直接侵略に対してはどうするか、これは御承知通り、ただいまにおいては直接侵略に対しては処置いたすべき何らの手段を持たない、これは安保條約においても明記されておる通りであります。従いましてやむを得ず、アメリカ駐留軍の手においてこれを処置するということになつておる次第であります。
  15. 島上善五郎

    島上委員 そういたしますと、国内治安の維持、すなわち平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するために、特別の必要ある場合に動員するものである。これはわかりましたが、それでは今日の日本状態国内治安状況及び今われわれが予想し得る限りにおいて、保安隊出動を必要とする事態があるとすれば、大体どのようなものを予想されておるのでしようか。
  16. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま具体的にはそれを申し上げることはできないのであります。少くとも日本国内治安を維持するという上におきましては、いろいろの考え方があるのであります。もつとも警察の手において処置すべきことは、警察の手において処置するのは当然であります。それらの手においてとうてい処置することができないような大きな事変が起つた場合に、これは保安隊出動しなければなりません。またかりに、不幸にいたしまして間接侵略と直接侵略とが同時的に勃発するということは、いずれの国においても見得るところであるのであります。従つてさようなときに対処することをあらかじめわれわれは考慮の上に置いて、保安隊のいろいろの訓練とかあるいはそれに対する装備とかいうことを充実する必要がある、こう考えておる次第であります。
  17. 島上善五郎

    島上委員 いろいろの場合がある、こうおつしやいますが、保安隊国内治安を維持するためのものであるならば、長官の言われるそのいろいろの場合を考えて訓練なり装備なりをするのは、これは当然だと思うのです。従つて現在行つておる訓練なりあるいは現在持つている装備なり、あるいはせんだつて行つた演習なりというものは、そのいろいろの場合ということを想定して行つておるものだと考えますが、そうでしようか。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今仰せになりましたのは、おそらく富士裾野でやつた演習をおさしになるものと了解するのであります。これは何も仮想のものを対象としてやつたわけではないのであります。ただ保安隊が今持つておりまする編成装備その他の訓練の点について、一体どうなつておるか、改善すべきことは改善したい、いろいろな点からこれを検討いたしたいというので、一応のああいう訓練をやつたわけであります。これは何を目的としてということで、やつたわけではないのであります。
  19. 島上善五郎

    島上委員 今私は富士裾野のことばかり言つておるわけじやない。保安隊国内治安を維持するために、保安庁法にあります平和と秩序を守り、人命及び財産を保護するために、特別に必要とする場合に出動する、こういうことになつておりますから、従つてふだんの訓練あるいは訓練に必要な装備というようなものは、そのことを考えてするのが当然だと思うのです。そういう訓練なり、またそれにふさわしい装備なりを持つているかどうかということを伺いたいわけなんです。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 さようであります。いろいろな場合に想定して訓練をやつております。また装備の点においてもさようであります。今申し上げましたように、警察の手ではとうてい処置し得ないような大きな事変が起るような場合に、こういうものを頭のうちに考えて、いろいろなことをやつておる次第であります。
  21. 島上善五郎

    島上委員 いろいろとおつしやいますが、あまり抽象的でつかみどころがありません。たとえばどういう場合を想定してどういう訓練をしておるか、現在持つている装備がそれに相当したものであるかどうか。たとえて言えばどういう場合を考えておるかということを、一、三でもいいから具体的に言つてもらいたい。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 たとえて申しますると、大きな内乱、擾乱が起り、またこれと同時に集団暴徒が侵入して来た場合のようなことを一面において頭に描き、または内地において突発的に大きな暴動事件が起つて警察の手で処置することができぬような場合を考慮して、それに応じた訓練をいたしておるわけであります。
  23. 島上善五郎

    島上委員 あとで現在保安隊がどのような装備を持つておるかということを伺いたいと思いますが、私ども承知している限りでは、特にせんだつて富士裾野演習で見て参りましたが、バズーカ砲であるとか、戦車であるとか、高射砲であるとかいうものをもつて訓練が主であるようであります。そのような訓練を主として行つておるように思われる。そういたしますると、今想定される国内擾乱というものは高射砲を必要とし、戦車を必要とし、対戦車砲を必要とする、そういうことを長官は想定されていらつしやるでしようか。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただちに今どうこうということは考えておりませんが、将来万一そういうような場合があるかもしれぬ。これはふだんからさようなことを訓練しておきませんと、一たび突発的にそういう事変が起りますると間に合わないのであります。そういうことを十分に考慮して、それに対する平素の心構えその他処置を講じておきたい、こういうことからやつておる次第であります。
  25. 島上善五郎

    島上委員 将来不幸にしてそういうことが起り得るかもしれませんが、そのような事態以外に、国内治安が乱れて保安隊出動を必要とするような場合、たとえばこの前のメーデーの事件警察でもつて片づきましたけれども、ああいうような場合を考えてそういう訓練、そういう装備などをお持ちになつておるのかどうか伺いたいと思います。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 警察の手においてとうてい処置し得ないような場合を考慮いたしまして、さような場合に対処すべき訓練なり、装備なりはやはり持つておる次第であります。
  27. 島上善五郎

    島上委員 ここにいう人命財産を保護するためということは、たとえばせんだつて九州に起つた大水害のようなものもその中に入ると思いますが、そして九州水害には出動されましたが、ああいう水害に対処する訓練あるいはそういう装備を今日お持ちでしようか。
  28. 木村篤太郎

    木村国務大臣 人命財産を擁護するのは、われわれ保安隊任務であります。せんだつて北九州災害あたりにおきましては、目のあたり保安隊出動しております。そうして一方あるいは人命救助その他のことについては、着々と保安隊がこれに当つておるのであります。その場合に使うべきいろいろな施設、あるいは装備という点につきましては、不十分ながら持つておる次第であります。なお今後ともこの不幸を契機とし、研究材料として、将来に対処いたしたいとせつかく考慮中であります。
  29. 島上善五郎

    島上委員 日本は不幸にして水害とか震災などが非常に多い国で、私どもの常識からしますれば、先ほど長官が言われたような大規模集団暴徒が蜂起して、戦車高射砲バズーカ砲を必要とする場合ということは、ちよつと考えられませんが、水害とか震災とかいうことは、今言つたような大規模擾乱よりも、水害のごときは毎年秋に一ぺん必ず起るというほどに起つておる問題ですから、そういうことに対して出動することも任務一つであるとするならば、それに対する訓練なり、あるいは設備なりというものこそ、まつ先に必要ではないかと思うのですが、私が聞き及んだところによりますれば、今度の九州水害出動した保安隊は、シャベルだけしか持つていなかつた。船を必要とするが、保安隊は船を一そうも持つていない。もう一つは、保安隊出動が被害を受けた現地の知事の指示によつて動いたのではなくして、アメリカ顧問のさしずによつて動いた。出てくれたことは非常にありがたいことではあるが、実際にはそういうことを予想した訓練なり施設なりをしてなかつたために、出た割合に、非常に役に立つたと言いがたいものがあつたということを聞いておるのです。そこで、あの水害にはシヤベルだけではとうてい話にならぬと思うのですが、ああいう水害の際に出動するに必要な設備道具等を持つていらつしやるかどうか。そういう訓練をしたことがあるかどうかということを、この際はつきり聞いておきたいと思います。
  30. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま水害の救援に際してアメリカ顧問団の指揮のもとにやつたというお話でありますが、これは全然デマであります。私は保安隊の名誉のためにこれをはつきり申し上げます。さような事実は毛頭なし。しこうして保安隊におきまして、この北九州災害におきましては、身命を賭してあらゆる方法を講じてやつております。現に佐賀県県会におきましては、保安隊に対して感謝決議をしております。関係県におきましても、おつつけ全部保安隊に対する感謝決議をしようというようなことを、今申合せ中であると聞き及んでおります。おそらく二、三日中に実現されることかと考えております。そのような次第であつて、今度の水害に対しては、保安隊がいかに役立つたかということをまのあたりに示したわけであります。そうしてこれに対してどういうことをやつたかと申しますと、保安隊には施設部隊というものがあります。あるいは道路、あるいは橋梁の修繕、改修の機具を用意しております。これがいち早く出動いたしまして、鉄道の復旧道路復旧あるいは橋梁復旧について万全の策を講じております。またこういう場合に一番必要なのは飲料水であります。その飲料水濾過器を不断から保安隊においては準備いたしておりましたので、これをいち早く持つて行きまして、市民に飲料水を供給して、非常な感謝を得ておるのであります。あるいは衛生部隊出動いたしまして、赤痢の蔓延の防止等について万全を尽しておる次第であります。しかし将来もまたかようなことがあるいはあるかもしれません。これを一つ契機として大いに研究いたし、改善すべきことは改善いたしたい、こう考えております。
  31. 島上善五郎

    島上委員 高射砲戦車バズーカ砲よりも、そういう水害震災に対する装備施設あるいは訓練の方が、今の日本にとつてはより重要ではないか、それよりもこつちの方が先に重要なことではないかと私どもは考えていますが、長官はどのようにお考えになりますか。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私は両々相まつて行くべきものであろうと考えます。
  33. 島上善五郎

    島上委員 それではお伺いいたしますが、今日御承知のように、保安隊アメリカ軍隊と同じような——厳格にいつて同じであるかどうかわかりませんが、私どもが見れば、アメリカ軍隊と同じ服装をしておる。それから装備訓練の方式もまつたく同じだと聞いておりますが、日本国内治安対策のために、あるいはそういう非常災害対策のために、特にアメリカ服装訓練装備というものを必要とする理由をお伺いしたい。
  34. 木村篤太郎

    木村国務大臣 服装の点でありますが、服装は必ずしもアメリカを全部まねておるわけではありません。アメリカのいいところをとりまして、活動を最も能率的にやりたいという観点から、これをつくつておるのであります。なお将来改善すべきことは改善いたしたいと、こう考えております。訓練の点につきましては、御承知通り警察予備隊時代においては、アメリカの示唆を受けまして、アメリカのいろいろな編成装備その他の点を取入れてやつたことは事実であります。しかし昨年十月十五日保安隊発足以来、われわれは何としても日本独自の考え方、また日本独自の方式をもつてやりたいという観点からいたしまして、今着々とそういう是正すべきことは是正しておる次第であります。おそらく近き将来において、全部日本式になることとわれわれは確信して疑いません。
  35. 島上善五郎

    島上委員 せんだつてもちよつとお伺いしたのですが、現にアメリカヘ百四十何名かの留学生を送つておる。そうしてその留学生は、アメリカにおいて、アメリカ軍隊における中隊長の訓練を受けていると私ども聞いておる。そしてまたその諸君は、帰つて来たら、日本保安隊の中堅唐と申しますか指導者と申しますか、そういう役目を持つていると聞いておりますが、もしそうだとするならば、今後だんだん日本独自の方式に改善して行くということとは逆ではないかと思う。どうも今の長官の答弁は、その場限りの答弁としては、それで過ごされるかもしれませんが、今後時日がたてば、そのことがほんとうであるか、うそであるかということがはつきりいたしますので、私はこのことについて、それ以上争そおうとしませんが、私どもの見るところでは、どうもそうではない、長官のただいまの答弁と逆ではないかと思われる。そこでお伺いしたいのですが、現在アメリカ顧問団は、保安隊に何人おつて、どういう任務を持つていらつしやるのでしようか。
  36. 木村篤太郎

    木村国務大臣 人数の点は、私は詳細にここでお答えすることはできませんが、しかし保安隊訓練その他の点については、何ら顧問団の示唆と申しましようか、そういうものは受けておりません。ただアメリカから借りておりまする武器の操作その他の点について、これに習熟するために、一部アメリカ顧問団の人たちの示唆を受けておる事実はあるのであります。これもほどなく終りまするから、顧問団はおそらく引揚げることと考えております。
  37. 島上善五郎

    島上委員 アメリカ顧問団が現在場どのくらいおるか言えないということでしたが、今年の春か昨年か期日ははつきりしておりませんが、たしか参議院における質問の際に当時六百人おるという答弁をしておるように伺つておる。その六百人が数が減つたのかふえたのか。そして言えないのは、現在数をはつきりと掌握していないので言えないのであるか、その他の理由があつて言えないのであるか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今わかりましたから申し上げます。全部で顧問将校が百八十五人、補助下士官が三百一人、総計四百八十六人の現在数であります。
  39. 島上善五郎

    島上委員 MSAの援助については今これから交渉を進めようとしておるのでございますが、日本政府の志向はMSAの援助を受けるという意図があるようで、そしてMSAの援助を受けるとそれは保安隊が対象になるということは明らかです。その場合にはさらに顧問団が派遣されるということが伝えられておりすすが、その場合の顧問団はどういう任務を持つて来るものか。それから現在の顧問団との関係はどういうことになりますか。
  40. 木村篤太郎

    木村国務大臣 MSA援助につきましては、その交渉はまだ開始されておりません。今後にまたなければなりません。どういうことになりますかは私はここで申し上げることはできかねますが、しかしかりにMSA援助を受くると仮定いたしましても、私は、保安隊日本保安隊であります、日本独自の方式をもつてこれをやりたいと思つております。顧問団のことは今考えておりません。
  41. 島上善五郎

    島上委員 日本の安全保障については将来集団防衛という方式で行きたいと個人としては考えておるという御答弁がございましたが、その集団防衛ということは、その場合に日本米軍その他と共同作戦をするということになろうかと思いますがいかがでしようか。
  42. 木村篤太郎

    木村国務大臣 かりに共同作戦を必要とする場合におきましても、私は日本保安隊日本の指揮下においてこれを処置すべきであつて、いやしくもアメリカの指揮下には入るべきものでないという建前をとつておるものであります。
  43. 島上善五郎

    島上委員 長官は、これはアメリカのことだから知らぬと言われればそれまでですが、アメリカでは新聞、雑誌等で日本保安隊のことをネーテイヴ・アーミイ、アメリカ軍の指揮下に入る植民地軍あるいは土民軍というような言葉でもつてつておるということを御存じでしようか。
  44. 木村篤太郎

    木村国務大臣 アメリカが何と申しましようと日本保安隊日本保安隊であります。われわれは断じてアメリカの土民軍とか傭兵だとか、そういうことはかりそめにも考えておりません。
  45. 島上善五郎

    島上委員 私どもは今の保安隊服装装備訓練それから顧問の指導を受けておる事実等からして、どうもかつて日本が満州国に満州国軍というものをつくつて日本軍隊の手先に使つた、ああいう運命になるのではないかという心配がしてならない。従つてまた海外に派兵をさせられるという運命が待ち構えておるのではないかという心配があつてしかたがない。そういうことがないというはつきりした保証があるでしようか。
  46. 木村篤太郎

    木村国務大臣 われわれはさようなことば断じて考えておりません。どうか島上君初め皆さんがかりそめにもそういうことのないようにひとつ御監視を願いたい。われわれはさようなことはさしたくないと考えております。
  47. 島上善五郎

    島上委員 今出されている保安庁法の一部改正は、三千二百五人の増員ですが、これは在来吉田内閣が主張して参りましたいわゆる自衛力漸増の本年度の計画と了解してよろしいでしようか。
  48. 木村篤太郎

    木村国務大臣 従来の方針の自衛力の漸増とはこれは別個の問題であります。これは結果から見れば自衛力漸増ということはできましよう。一人でもふやせばこれは自衛力漸増であります。しかし吉田内閣のいつているいわゆる自衛力漸増とま、これはその性質を異にしておると考えております
  49. 島上善五郎

    島上委員 そうしますと自衛力漸増と全然関係がないとおつしやるのですか。
  50. 木村篤太郎

    木村国務大臣 結果から見れば自衛力の漸増になることと思います。しかし、将来どういう方式で自衛力を漸増しようかということは今後の問題であると思います。
  51. 島上善五郎

    島上委員 今年大蔵省へ保安庁の経費として当初要求しましたのが千二百二十億と記憶しております。そしてこの前の解散直前の予算、つまり不成立予算では八百三十億、今回七百十九億になつておりますが、もし当初予算の要求が通つたといたしますれば、人員増加についても現在の三千二百五人よりも多くしようというお考えがあつたのか、それとも装備の強化ということであるのか、その点をはつきり伺いたい。
  52. 木村篤太郎

    木村国務大臣 当初の予算が成立したといたしましても、いわゆる保安隊員の定員はふえないということであります。
  53. 島上善五郎

    島上委員 千二百二十億と七百十億ではかなり大きな違いがあるのですが、そうすると、もし千二百二十億が要求通り通つたとすれば、その約五百億ほどの莫大なる予算はどの方面でお使いになるお考えでしたか。
  54. 木村篤太郎

    木村国務大臣 政府委員からその点については答弁をいたさせます。
  55. 増原惠吉

    ○増原政府委員 資料を差上げた方が明確であるかと思いますが、査定をされました額はどこでどうというふうにまとまつたものでありませんで、各款項目にわたりまして査定を受けておるわけであります。
  56. 島上善五郎

    島上委員 各款項目にわたつてはいるでしようが、莫大なる金ですから、主としてどの方面にお使いになるお考えであつたか。
  57. 増原惠吉

    ○増原政府委員 主としてどこで使うべきものを削られたというものではありません。各款項目についてそれぞれ大蔵省の査定を受けたという形のものであります。御必要があれば資料を差上げます。
  58. 島上善五郎

    島上委員 それでは後ほど資料を御提出願いたいと存じます。MSAの援助についてはただいま交渉中だということで、先のことはわからぬとおつしやいましたが、交渉が進展して、かりに援助を受けるということになりますれば、援助の額も今日はきまつてはいないようですが、そういう場合には、保安隊人員をふやす方面に使うのか、それとも装備を強化しあるいは改善する方面に使う考えか、承りたいと思います。
  59. 木村篤太郎

    木村国務大臣 MSA援助については、まだ内容を十分検討しなければならぬのであります。われわれはこの内容について何ら関知いたしておりません。また今後どういうことになるのかも予測できないのであります。そういう次第でありまするから、これが遅れた場合にどうなるかということは、ただいま申し上げることはできかねるのであります。
  60. 島上善五郎

    島上委員 しかし日本政府は援助を受けたくて、受けようという考えのもとに、交渉を進めておるのですから、そうしてアメリカあるいは日本の新聞等の報道によれば、一億五千万ドルといい、あるいは一億一千万ドルといい、一億ドルと伝えられておりますが、大体一億ドル以上の援助が受けられる。こういたしますと、その莫大な援助をどういう方面に使うかということは大体腹の中にあるはずだと思います。装備は今のバズーカ砲高射砲では足らぬから、もつとジエツト機をつくろうとか、あるいは軍艦をふやそうとか、あるいは人員を十五万にしようとか、私の聞き及んでおるところによりますれば、アメリカ保安隊人員を早急に十五万にという要求を持つておるようであります。ですからそういうことはまるつきり考えがないということは、先だつての例の警備計画みたいなもので、あつても言わぬということならば別ですけれども、まるつきり言わぬということはおかしい。
  61. 木村篤太郎

    木村国務大臣 交渉の内容を十分承知いたさなければわれわれははつきりした計画が立たないのであります。さような次第でありますから、私はその場合にどうなるかということはただいまは申し上げかねる次第であります。
  62. 島上善五郎

    島上委員 いや、はつきりした計画をここで言えとは私はちつとも言つていない。しかし一億ドル以上、四百億円程度の援助を受けるということになりますれば、これは相当の金なんです。それをもつて、大体現在の装備では不十分だからもつと装備を完璧なものにするとか、あるいは人員が少いから人員をもつとふやすとか、大体のそれこそ心づもりと申しますか、長官はよく心づもりと言いますが、そういう心づもりぐらいはありそうなものだと思いますが、その意いかがですか。
  63. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私はその点についてはまだ何ら考えておりません。ただこれだけ申し上げることができます。常常言つておりますように日本保安隊である限り、日本保安隊員についてもつと適切な装備をさせてやりたい、武器を持たせてやりたい、今のようなアメリカから借りた武器は、どうもわれわれ日本保安隊に適さないのである。できる限りは日本保安隊に適当な武器を日本でつくつて持たせてやりたいという気持は持つております。しかしそれがどうなるかはわかりません。
  64. 島上善五郎

    島上委員 MSAの援助を受けるということになれば、私は何らかの條件がつけられ、いわゆるひもつき援助になると思うのです。まつたく無條件で日本の自由自在になるという、そういう甘い考えでいたら、これはとんでもないことになると思います。しかしそれは今後の交渉にまたなければならぬということならば、私がこまかいことを開いてもしかたがないと思いますが、しかしMSAの援助を受けるということになりますれば、吉田内閣の今まで言つて来た防衛力漸増計画に変更を余儀なくされるということは私は事実だと思いますが、どうでしようか。
  65. 木村篤太郎

    木村国務大臣 MSA援助をどういう形で受けるかということは今後の問題であります。それはひもつきになるというお考えでありましようが、われわれはさようなことはないと考えておりますから、これははつきりしたことはいよいよ交渉をしてその内容を承知しなければわからないのであります。
  66. 島上善五郎

    島上委員 援助を受けるということになれば、私の聞きたい要点は、援助を受けるということで今交渉をしておるのですから、いかなる條件で、どれだけの金額をどういうもので受けるかということは今後にまたなければならぬとしましても、援助を受けるつもりで交渉に入ろうとしておるのですから、その援助を受けた場合には、今まで考えていた漸増計画に変更を加えるということになるのは私は当然だろうと思うのです。それを伺つておるのです。
  67. 木村篤太郎

    木村国務大臣 どういう形で漸増計画をするかということは今後の問題でありまして、MSA援助の内容を十分承知しなければ何も計画は立たないわけであります。
  68. 島上善五郎

    島上委員 それではお伺いしますが、政府の今まで言つて参りました漸増計画の最高と申しますか、あるいは最大と言つてもいいのですが、その漸増計画の最後の目標として人員とか装備とかはどういう程度のことをお考えになつておるのでしようか。
  69. 木村篤太郎

    木村国務大臣 どういう程度にするかというようなことは考えておりません。いわゆる自衛力の漸増といいますのは、常に申し上げます通り、物心両面における日本の総合国力の発展であります。しこうして保安隊の増強もこれは自衛力の漸増の一面をなすものと考えておりますが、しかしこの自衛力の一面たる保安隊をいかに増強するかということは、国内情勢、国際情勢をよく判断した上において、これは確立した案を立つべきものと考えております。しかもこれは財政的あるいは技術的面においてあらゆる考慮を払わなければならぬのでありますから、今ただちにどこまで漸増すべきかという、そういうはつきりした線は出しかねるのであります。
  70. 島上善五郎

    島上委員 MSAの援助はアメリカ側の回答にも明らかであります通り、直接侵略にも対抗し得る自衛態勢を日本がみずからつくる、それを最後の目標にしておるように私ども理解しておりますが、そうでしようか。
  71. 木村篤太郎

    木村国務大臣 アメリカの意図はおそらくそこにあるのじやないかと想像いたします。しかしアメリカの意図がどこにあるとを問わず、これは日本みずから独自の見解を持つて対策を立てるべきものであろうと考えております。
  72. 島上善五郎

    島上委員 それでは日本みずからの独自の考えを伺つておるわけですが、私どもは吉田政府の自衛力漸増の最後の目標は、終局的には米軍日本に必要としないということを目標にしておるのではないかと思いますが、どうでしようか。
  73. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは日本国民がすべてその気持であろうと考えております。独立国家なつた以上は、みずからの手によつてみずからの国を守らなければならぬことは当然であります。最高目標は日本国民は一様にそこに置いておることと私は考えております。
  74. 島上善五郎

    島上委員 従いまして、最高目標でも最後の目標でもいいのですが、その農高目標なるものは、米軍日本駐留を必要としないということでありますから、直接侵略に対しても対抗し得る自衛態勢ということになるのではないでしようか。
  75. 木村篤太郎

    木村国務大臣 常に申し上げます通り日本の国力はさような点に参つていないのであります。やむを得ず直接侵略に対してはアメリカの駐留軍の手により、国内の平和秩序を保つために保安隊設置し、両々相まつて日本の安全を期して行くというのが現在の建前であります。
  76. 島上善五郎

    島上委員 現在の建前はわかつております。私が聞いておるのは、あなたが今言つた最後の目標は日本の土地に駐留軍を必要としないこと、すなわち日本みずからが自衛することを目標にしておる、こういうのですから、従つて保安隊の最後の目標は、直接侵略に対しても対抗し得る状態を、最後のあるいは最高の目標としている、こういうことに当然なると思うのですが、それをはつきりしてもらいたい。
  77. 木村篤太郎

    木村国務大臣 保安隊がどうであろうとそれは別問題といたしまして、日本独立国家なつた以上は、どこまでもみずからの手によつてみずからの国を守ろうということは希望するのであります。それは一大理想であります。その日の一日も早からんことを私はこいねがつております。
  78. 島上善五郎

    島上委員 ですからそれは長官の希望としてさもあろうと思いますが、従つてその状態のことは直接侵略に対しても対抗し得る力を——それは軍隊となるか戦力となるかという議論は別にしまして、そういう力を持ちたいということを理想としており、しかもそれが一日も早からんことを期待しておるということになると思いますが……。
  79. 木村篤太郎

    木村国務大臣 もちろん私は一日も早くそういうような日本の国力の回復するときをこい願つております。
  80. 島上善五郎

    島上委員 そういう直接侵略に対抗し得る力というものは、今の保安隊とは量も質もともにかなり違つたものになろうと思いますが、そういう力は戦力と解してよろしいかどうか。
  81. 木村篤太郎

    木村国務大臣 そういう力が戦力となるかどうかということは別問題でありまして、戦力を持つほどの力は今日本にないから、遺憾ながらやむを得ずアメリカ駐留軍によつて直接侵略を防いでもらつておるのであります。そういうことのないように私は国力の増進を期待するのであります。
  82. 島上善五郎

    島上委員 どうも長官は現在のことと混淆してごまかそうごまかそうとしておりますが、私は現在のことはさつき聞いて知つているのです。しかし米駐留軍を必要としない状態ということは、直接侵略にも対抗し得る状態だということだと思うのです。これは当然そうなるのです。従つてそのような事態になる前には当然憲法を改正しなければならないと私どもは理解しているのですが、長官はつきりその通りならその通りと男らしく言つていただきたい。(「遠い先のことは言うな」と呼ぶ者あり)だから先のことを関連して質問している。
  83. 稻村順三

    稻村委員長 静粛に願います。
  84. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。戦力を持つに至りまするのには、憲法を改正する必要があることは当然であります。
  85. 島上善五郎

    島上委員 せんだつてのいわゆる警備計画ないしは防衛計画とも言われておりますが、警備計画でもよろしいが、今言つたような、将来は米軍の駐留を必要としない状態を目標として考えられたものであるかどうか、それを承りたい。
  86. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私はこの前も申し上げました通り日本国内治安情勢の変化に伴つて治安力を増加する必要のある場合にどうしたらよいかという一応の見当をつけるためにやつたのであります。いわゆる日本の警備力の増加の点であります。
  87. 島上善五郎

    島上委員 私はただいまの答弁から判断すれば、木村長官は当然そういう状態を目標に置いて、国内の経済力とかいわゆる客観情勢とかを考えて、それを目標にして計画を考えられているに違いないと思うのです。発表されないということでがんばつておりますが、少くも目標はそこにある。そういうことで警備計画を考えているということはこの際男らしくはつきりと言われた方がいいのじやないかと思います。
  88. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今申し上げた通りであります。いわゆる日本治安力を増加する必要が来た場合には、どういうぐあいにしたらいいかということの一応の見当をつけたのであります。
  89. 島上善五郎

    島上委員 アメリカの第八軍の元司令官であつたアイケルバーガー中将が、最近アメリカの雑誌に、朝鮮問題を論じた末に、日本は安全で有効的な一大前進基地と化し、アメリカにより訓練され装備された日本陸海軍が編成されつある、こういうことを書いてあります。これに対して長官はどのようにお考えになりますか。
  90. 木村篤太郎

    木村国務大臣 アイケルバーガーが何と言おうと、われわれの考えは全然さようではないのであります。
  91. 島上善五郎

    島上委員 私どもは今回提案されました保安庁法の一部改正、すなわち三千二百五人の増員は、政府が今までいわれておる自衛力の漸増の本年度の計画である、このように解釈しております。そして当然来年度の計画、再来年度の計画も、心づもりとしてでもよろしいが、あるべきものだと考えております。そこで例の警備計画の内容が私どものこの法案審議の際にぜひ参考として必要だ、こう考えるのです。だからこそせんだつて来しばしば強くその提出方を要求されておりまするが、自分の心づもりであるから出せない、こういうことです。しかし長官が部下である局長に命じて役所の資料をもつてつくつたものでありますから、まつたくの個人的なものでないことは明瞭であり、そしてそういうものでもけつこうだから委員会審議の必要上出してほしいというのを断り続けておりますが、私どもは憲法、国会法、衆議院規則からして、提出を求められているものは少くとも法的には拒否するという根拠がないように思いますが、法的に拒否する根拠がおありでしたらお示し願いたい。
  92. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この保安庁法一部改正についての増員は、御承知通り前国会において御承認を得ましたアメリカとの船舶貸借協定に基いて借りました船であります。これは国会で御承認になつたのでありますから御承知通りであります。その船に乗せる乗組員をつくりたいということで、決して漸増計画でも何でもありません。もうすでに認められた契約に基いて借りた船に乗せる人をつくろうというのであります。これは既成の事実であります。船を借りても、乗組員がなければ何にもならない。この点を十分御了解いただきたいと思います。
  93. 島上善五郎

    島上委員 フリゲート艦と上陸支援艇はたしか六十八隻借りる約束をしていたと思いますが、現在何隻借りて、残りはいつごろ借りることになつておりますか。
  94. 木村篤太郎

    木村国務大臣 現在もうすでにこちらに引渡しを受けたのは五十二隻であります。残余のものは今年九月中旬ごろまでに引渡しを受ける予定であります。
  95. 島上善五郎

    島上委員 この五十二隻は現にもう人が乗つて訓練しているわけでしようか。
  96. 木村篤太郎

    木村国務大臣 訓練するに至つておりません。ただこれを保管するだけのことであります。一日も早くこれを動かしたいと考えております。九州災害におきましても保安庁の船は動いているのであります。こういう船も動かしたいと思うのでありまするが、乗組員がおりませんから動かせません。どうぞ一日も早く御審議を願いたい。
  97. 島上善五郎

    島上委員 私の聞き違いであれば幸いですが、三千二百五人はすでに現実には増員しておつてつておる、こういう情報を私は聞いておりますが、それは違うかどうかはつきり伺いたい。
  98. 木村篤太郎

    木村国務大臣 そういうことはありません。
  99. 島上善五郎

    島上委員 私の質問は今はこの程度にしますが、しかしこの法案の審議に必要だとわれわれが考える資料を、あるいはその構想をお示しにならないことに対しては、私どもどうしても納得が行きません。このことを申しまして私の質問を終ります。
  100. 稻村順三

  101. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 先ほど長官から資料は出せないというお言葉があつたのであります。先日祕密会を要求されて、その際にどういうことを仰せられるつもりであつたのか。祕密会でやはり今おつしやつたようなことを言うつもりだつたのですか承りたい。
  102. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それはちようど先月のきようであります。福岡の二日市の旅館において随行の記者諸君と会見したその際のいきさつを申し上げたい、こういう気持であつたのであります。
  103. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そういうことは別に秘密会で語らなくてもいいことである。お話になればよかつたので、秘密会を濫用されるものではないかと思いますから、念のために申し上げておくのであります。そこでこれは国会の先例になると思いますので、この際はつきりさせておきたいと思う。予算委員会でも論議になりお答えになつたようでありますが、この委員会としてもはつきりさせておきたいと思います。われわれは憲法六十二條及び国会法百四條によつて一つ提出義務がある文書として御提出を求めたわけです。しかるに出すことができないというお答えでありますが、この解釈はどういうふうにお考えになつておりますか。
  104. 木村篤太郎

    木村国務大臣 その点については、法制局長官から説明いたします。
  105. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは予算委員会においても、御説明を申し上げたところでございますが、今まで資料の要求について問題が起つたことは、実はおそらく、鈴木先生も長い国会の生活をされ、政府側の地位にお立ちになりましても、私はそういう御経験はなかつたと思いますが、これはみな各委員会政府との話によつて、円滑にお出しできるものならお出しいたしますし、お出しできないものは、かようかくかくの事情とおわび申し上げて、それではやむを得ないということで参つておつたと思います。従いまして、今御指摘の義務があるとか権利があるとかいう点については、私は一回も今まで問題になつたことはないと思います。そこで今憲法六十二條の條文なり、国会法の條文をお引きになつてのお話のようでございますけれども、私自身率直に言つて、その点について断定的な意見は持つておりません。むしろ今まで私が先輩から教えられ、オーソドツクスなりとされておつたところからみますと、憲法で「両議院」ハウスという言葉を使つておるのは、これはいわば院議をもつて行動する場合をいうのである。たとえば定足数は三分の一以上という規定がありますけれども、憲法は委員会というものは予想しておらぬのでありまして、本会議のことしかきめておらぬ、委員会の方の定足数は、御承知のように、国会法でありましたか、二分の一とある。憲法が委員会の分までもカバーしておるとすれば、委員会の定足数を三分の一ときめたことは、憲法違反ということになる。というようなことで、大きく言いまして憲法に言つております。両議院というのは、ハウスのことであると解釈しております。そして国会法にありますのは、そういう要求があつたら応じなければならないという規定であつて、これはもちろん憲法を受けておりますから、応じなければならぬということは、憲法六十二條から来るものをいつておるのであります。そこで委員会の要求権というものはどこにあるかというと、これは衆議院規則にある。これは国会の内部規則として、委員会にそういう要求権をお設けになることは自由でありますが、そういう意味で衆議院規則があるのではないか。しかしそれには応じなければならぬという規定はないというような気持を持つておりまして、院議をもつて出された場合に応ずる義務があるのではないかというふうにとつておるわけです。しかしこれは今申しましたように、今まで何もそんなことは表ざたの問題になつたこともありませんし、これはまた国会の御解釈にまつべき部面がありますから私はそういう考えを持つて来たということだけで、むしろ法の関係の大先輩であらせられる鈴木先生の、お教えを伺わなければならぬと思つております。  そこで問題は、むしろ義務があるとか何とかいう問題じやなくて、こういう場面があつて政府のよりどころとするところは、結局お出しできないということは事実である。またその要求されている資料は、こういう資料であるということもきまつているわけであります。しかし照して見る條文としては、今の衆議院規則でもよろしゆうございますし、国会法でもよろしゆうございますが、みな「記録」という文字が使われておりますし、今回の御要求でも、記録を求めておられるのであります。そこで心ならずもではありますけれども、こういう問題が表ざたになつた以上は、この記録というものはどういう意味を持つているかということは、これは冷静な法律判断で断定を下さなければならない。そこでわれわれが今まで立法に携つており、幾多の立法例がございますが、そういう立法例と照し合せ、かつ社会通念からいつて、記録という意味を探つてみますと、結局その定義と思われるのは、これは役所の場合だから役所について申し上げますと、役所の文書として整理保存の対象とされ、たとえばその手段として文書簿に登録されているというようなものが、一般に今まで記録と観念され、立法例にも使われて来ている。私はそのものずばりであるという狭いことは申しませんけれども、それを中心の観念とすることは、これは誤りないと思います。しこうして今回御要求のものは何かと申しますと、先ほど保安庁長官から申しましたように、その本質というものはまだ部内においても全然固まつておらぬので、もちろん整理保存の対象になるものじやないわけであります。それで今の観念からいうと、この御要求の件はほど遠いものである。その御要求にあたるものは、政府といたしましては持ち合せておりませんと言わざるを得ないと存ずるのであります。
  106. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 法律解釈の泰斗たる法制局長官の御意見は、いかにもそのように聞えますが、それならば、今議会でいろいろ問題が起りますごとに、各官庁に資料の要求をしております。これは別に院議にかかつたわけでもなく、一人の議員が委員長に要求すれば、いつでも各省の必要な——記録といえないが、資料をみな出しているわけです。これは任意に出している。これはどういうふうに解釈しますか。
  107. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 特に私が最初に前置きをいたしましたのは、そのつもりで申し上げておるのであります。非公式な申出であつても、持ち合せておりあるいは御参考になると思うものは、できるだけ今までお出ししております。しかしお出しできないものも、私の経験でもたびたびございました。それはかようかくかくの理由でお出しできませんから、御了承願いますと申し上げれば、それはやむを得ぬだろうということでお話は済んで来ておるのであります。
  108. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それはそうだろうと思いますが、国会は国家の最高機関であつて、そしてあらゆる行政について調査権を持つております。その見地からいうと、法律にどう書いてあろうが、とにかく必要な資料は、これを求める権利があると見なければ、国政調査ということができないことになる。その点どうでしよう。
  109. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それは今申し上げました法律解釈の問題になると思います。かりに国会と政府の関係からいえば、親子の関係ということになりましようけれども、憲法の條文なり国会法の條文は、一個人に対する部面までもあわせて規定しているわけでありまして、個人の側から申すと、これは義務の負担ということにもなり、あるいは権利の制限という面も起きて来ます。そういう点をあわせ考えての文字の解釈ということからいいますと——そういうことはあわせ考える必要もありませんけれども、特にあわせ考えていただけば、御納得できると思いますけれども、そういう結論にならざるを得ない。これをいたずらに拡張解釈するということは、私はどうしてもできないじやないかと思います。私は率直に申しますと、私の部内の法律の専門家に書かせてみた記録の定義というものは、私の言つたよりもつと狭かつたのでありますけれども、今のようなお言葉もあり、私自身も多少はそこに緩和して考えなければならぬのじやないかというわけで、そういうものを中心とする観念ということで、私一存で言葉をつけ加えたところもあるので、その気持はくんでいただけると思いますが、しかしそれは程度があるので、それ以上に拡げるということは、厳正なる法律の文字の解釈としては、私は逸脱するのじやないか。それよりも運用の問題として、今まで通り今後も円滑に、お話合いで行くべきものじやないかという気がしております。
  110. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これは法制長官に聞くのはむりだと思いますが、ここで問題になつているのは、木村長官が朝鮮休戦の場合を想定し、MSA援助の場合を想定して、ここにわが国の警備計画を立てたということを、新聞記者に語つたのであります。ちやんと自分はそういう案を持つており、総理大臣にも出していると言つている。そういうことを言わないならば問題じやないけれども長官みずから言われたものだから、それはたいへんけつこうなことで、長官としてはさもあるべきである。わが国治安の責任を持つている長官としてまことに心がけのよろしいことであるが、その心がけを承りたいと言つたところが、いやそういうものはないのだ、そう言われたのでこれはもめて来たのであります。そういうものはやはりりつぱな国政調査の資料であるとわれわれは考える。法律の條文はどうであろうと、国会としてそういうものを要求することはきわめて妥当なことである、こう思うのですがどうですか。
  111. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま鈴木君の仰せになりましたように、私は記者諸君に対して、朝鮮の休戦会談の結果どうなろう、あるいはこうなろう、それを目標にして計画を立てたということは、一言も言つていない。ただ記者諸君から、朝鮮休戦会談がどうなるだろうかと聞かれたから、朝鮮休戦会談は、あるいは早急にまとまるかもしれないが、今後の政治会談というものはなかなか容易なものではなかろう、これを言つたのであります。私のいわゆる試案なるものとは、全然関係がないわけであります。私はまたMSAの問題についても、MSAの問題は今後の交渉にまたなければならぬのであつて、今そういうことについては何とも言うことはできない、これが話の筋であります。警備計画というものは、国内治安情勢の変化に伴つて治安力を増強する必要がある場合にはどうするかという一応の私の試案を立てたわけであります。しこうしてほんとうの計画を立てるについては、あるいは大蔵省あるいは通産省その他の関係各方面と十分連絡をとつてこれをやらなければほんとうの成案はできないのであります。いわんやその前において保安庁内部において関係各局の者を集めてこれは審議しなければならぬのであります。その審議に至る前提として一応の自分の心構えをつくりたいというわけでやつた次第であります。今申し上げます通り庁内の審議も何も経ていない、これをやるのであれば各関係局の者を集めてやらなければならぬ、まつたくの試案にすぎないのであります。これは御審議の対象になるものでも何でもないのであります。従いましてただ庁内において成案を得ますれば、御要求があれば出して皆さんの御批判を願いたい、これが私の心境であります。
  112. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 速記録を見てから重ねてお尋ねをいたしますが、それは食言のように思う。私はその点特に新聞社の方に語られた言葉を引いた、朝鮮休戦が成立するとすればどうであるかという質問に対して、そういう場合もちやんと考えた上でこの計画は立ててあるということをお答えになつた。そのことをそういうふうに答えたということを長官は私の質問に対してお答えになつておるはずであります。しかし今それを追究してもしかたがありませんから省略いたします。  先ほど自衛ということが最高の目標であると、島上君の質問に対してお答えになつた。朝鮮休戦が成立をしそうであります。しからばその場合に保安隊に対してどういう変化をもたらすか、あるいは編成の上に、装備の上に、配置の上にどういう構想を持つておられるか承りたい。
  113. 木村篤太郎

    木村国務大臣 朝鮮休戦会談がおそらく成立するであろうとは思いますが、はたしてその結果どうなるかということについてはまだ予想はつきません。従いましてそれに対してどう対処して行くかということについてはまだ見当はついておりません。
  114. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それではMSAの援助を受けるということはほとんど既定の事実のようでございます。その場合この保安隊というものが一つの自衛力のもとになるということは間違いないように思います。これは軍隊に代用する一つの自衛力、行く行くはアメリカ軍隊がいなくなつた場合にも役に立つものとしてお考えになつておるもの、こう了解してよろしゆうございますか。
  115. 木村篤太郎

    木村国務大臣 MSAの援助の点については先ほど申し上げました通り内容も何もわかつていないのです。これをどういう形で受入れるかということは今後の問題であります。この内容もわからぬ今日においてどうするかということは少し早過ぎるのではないか、いよいよ内容がはつきりきまつたときに、始めてわれわれは収集しておる材料によりまして一定の案を立てるべきだろうと考えております。
  116. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それはきわめて形式的な官僚的なお答えでありまして、知らないのは長官一人でありまして、MSAがどういう援助であるかということは世界公知の事実である。すでにあらゆる国々において日本を除いて援助を受けている。どういうやり方をしているかということはみなわかつている。すでにアイケルバーガーの言葉は島上君の質問で引用されましたから略しますが、アレキサンダー・スミスというアメリカの上院議員、確かそうだつたと思いますが名前が間違つておつたら改めますが、この人は、東洋の将来は非常に危険である、日本の武装を強化させて、そうして日本を中核として東洋の治安に任ぜしめるつもりであるというようなことをかつて演説をしているのです。それより何より吉田総理大臣が昨年の保安隊の発足のときに隊員を集めて訓示した言葉が、諸君は新国軍の基礎となるのである、こういうことを言われた、これくらい明らかな将来軍隊に転換すべきものということを予想した言葉はないと思う。それでもなお長官は、これは将来軍隊に転換すべきものでないとしてお扱いになつているか、どうか。
  117. 木村篤太郎

    木村国務大臣 保安隊が将来軍隊に転化すべきかどうか、これは国会の各位で将来決せらるべきものかと考えております。われわれただいまの段階といたしましては、保安隊の質的な向上をはかつて、いかなる場合においても対処し得るだけの心構えとまた訓練をして行きたい、これであります。
  118. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そういう調子ではいくら御質問申し上げても真実を述べないで形式的な答弁でごまかしてしまうわけでありますから、私は質問の意味を認めませんから、この辺で打切りますが、なおしかし将来に質問を留保して、きようはこれで一応打切つておきます。
  119. 松田竹千代

    ○松田(竹)委員 私は議事進行について一言申し上げたいと思います。大分委員会において質疑応答があつたのでありますが、何分にも保安庁は大きな国費を使う仕事である。しかるに本委員会質問は多く保安隊軍隊であろうか、軍隊でないか、あるいは警備計画、保安庁長官のいわゆる計画案を出せ、出さぬ、出せないというようなことで多くの時間をとつて来た、もう少し私は保安隊自体のことについての質問があつてしかるべきであると思う。特に木村長官は大きな国費を使つて日本保安隊の育成に努力されて来た、その木村長官もさびしげな御様子でありますから、この保安隊自体の問題について質疑があつても私はしかるべきであると思う。そうするならばこの委員会においてはそういう面についてなお少し質問する時間があつてしかるべきであると思う。そこで質問の打切りのような話が出ましたから、私はまだ早いのではないか、そういう考えから私はこれはどうしても続けて行つてもらいたいという見地、それから問題がデツド・ロツクに入つてちつとも進まないようなことばかりやらないで、おのずから時期を待つて質問をやつてよろしかろう、そのように私は考える。今後委員会の進行のやり方について少し御考慮を願いたいと思います。
  120. 稻村順三

    稻村委員長 松田君の御意見は後刻理事会において決定したいと思います。  午前中の審議はこの程度にいたし、暫時休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後三時四十九分開議
  121. 稻村順三

    稻村委員長 これより再開いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を一括議題とし、その質疑を行います。質疑の通告があります。高瀬傳君。
  122. 高瀬傳

    高瀬委員 大体行政管理庁において各省の定員を査定して今回きめようという御方針なんですか、それを伺いたい。
  123. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今度の行政機関職員定員法の改正は、御承知のように政府は今年の一月からずつと減員不補充の原則でやつておりますので、その減員不補充の原則でやつておりましたのが相当数減員が出て参りましたので、それを約三割程度定員を落すという目安で、各省の現在の事務の状況をにらみ合せて検討いたしました結果出て参りましたのが今度の数字であります。従つてこれはほんの暫定的なものであつて政府が今考えております行政機構の改革というもの、従つて定員の縮減というものは二十九年度の予算に本格的にこれをやりたいということなのであります。その一部分を今度はとりあえずやつた、こういうふうに御了解を願いたい。
  124. 高瀬傳

    高瀬委員 そうしますと、本格的ないわゆる行政機構の簡素化というものは二十九年におやりになる、従つてここに各省の欠員がございますので、いわゆる定員に対する欠員、これの内容というものは一体どんなものなんですか
  125. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 四月一日現在で申し上げますと、今度の改正をいたしましたるは一月一日現在の欠員を基準にしてありましたが、その後ずつと欠員がふえて参りまして、四月一日現在の欠員を申し上げますと、総数一万百八十九名定員に対して欠員を生じておるわけであります。
  126. 高瀬傳

    高瀬委員 この欠員というものはほとんど病人だつたりなんかして非常に内容が不明瞭であります。ただ総括的にこの最後の表にある一万百八十九名ですかの欠員があるということだけ伺つても何の意味かわからぬから、その点はつきりと説明していただきたい。
  127. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 これは病気の長い人はいずれも休職になつておりまして、この中に入つておりません。主としてここにございますのは、未補充の職員が欠員になつているのが多いようでございます。
  128. 高瀬傳

    高瀬委員 そうなりますと、初めからこれだけの人間がいないということだけをただ表に現わしただけで、何らの意味がないと思うのですが、いかがでしようか。
  129. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 結局これは初めから補充ができない職員と、それから自然退職をしまして、そのあと補充されていない職員、現在は御承知のように欠員の不補充という原則を立てておりますので、特に欠員になつているところもございます。
  130. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは現在のわが国官庁では七十一万九百十九名の定員があるということをこの国会において確認してほしいという一つの要求なんですか。
  131. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 これは定員法の四條によりまして毎月各省が行政管理庁に現在員を報告することになつております。その報告の状況を御参考にお目にかけただけの資料でございます。
  132. 高瀬傳

    高瀬委員 それならよくわかりました。それから定員改正資料についてちよつと伺いますが、これにずつと増減がございますが、この中で郵政省の定員が非常にふえて五千五百六十一名となつておる、この点はどういう理由かちよつと伺つておきたい。
  133. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私も今度の定員法を、自分が管理庁の長官を引受けましてからいろいろ検討してみて、こういう法律はどうして前の国会に出ておつたんだろうといろいろ調べて見て最もふしぎに感じたのは、ただいま高瀬委員が御指摘になつた点であります。いろいろ説明を聞いてみますと、これは郵政電通を分離し、そうして電通を公社にいたしましたときからのいきさつがずつとあるのでありまして、今まで賃金要員になつておりまして当然これは定員にすべきものをされずにおつた、それをこの機会にやつたのだ、こういうことです。
  134. 高瀬傳

    高瀬委員 大体それだけなんです。それから行政管理庁で何か監察制度を強化するということもただいま議題になつておる、それは一体どういう方法でやられるのですか。
  135. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは今度の第五次吉田内閣が非常に重点を置いております政策の一つなんでありまして、事の起りは、私の記憶では前国会におきまして衆議院の予算委員会で、いろいろ国費のむだがある、ことに公共事業費や何かに非常なむだがあるということが強く指摘されまして、われわれもその通りに感じ、総理もそのように了解されて、これだけ国民負担が重い際に、その重い負担によつて成り立つ国費が使われる面に非効率的な面があつてはならないというので、これをぜひなくするようにしたいということがこの行政監察を強化したいという考え方のそもそもの起りなのであります。今行政監察を強化するという考え方従つて、私どもが考えております大体の構想は、御承知のように行政管理庁の中に監察部というのがございまして、監察部は経済調査庁の人員を引継ぎましたのでございまして、昨年の八月発足しましてからまだ間もないのであります。従つて能力も必ずしも十分であるとは考えておらぬのでありますけれども、とりあえずこの人員をもつて今御審議つております予算の範囲内で最大限の、今申し上げましたような監察効果をあげよう、こういう構想でとりかかりました、従つて能力の点などにも十分でない点がありますから、そう応い範囲をやるということでなしに、むしろ非常に範囲を狭めて当面公共事業費と国からの補助金、そういうものに質点を置いて、今の能力で許す範囲の仕事をしよう。それをいたします場合に、今の管理庁設置法によつて与えられております監察をいたします場合の法的な権限その他が十分でない面があります。御承知のように現在監察機構は各省にそれぞれありますのと、会計検査院が持つておりますのと、行政管理庁が今度やりますのと三本建になつておるわけでありますが、この管理庁の監察をいたします場合の権限を各省がそれぞれ監察をいたします場合に持つておる権限程度まで、これを強化したいというのが今度のこの管理庁設置法の改正になつたのでございます。
  136. 高瀬傳

    高瀬委員 そうしますと、あまり行政管理庁の監察機構も権限は大したものではないと思われることと、それからもう一つ今までの例から言うと監察などをやる方の側にまわる人は比較的各省でも何といいますか、とうの立つたような人がまわつて能率があがらぬという弊害は今まであつたように思いますが、そういう点では権限の点と、人的機構の内容について、非常に深甚なる考慮がいると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  137. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私も監察の効果をあげるために、どういうぐあいにするのが最も大事なのかということをいろいろ検討いたしたのでありますが、ただ監察というのが検察庁のやるような仕事にまで立ち入つて行くというようなことは、もちろん考えなくちやいけない。おのずから監察には監察の領域というものがある。そこでその観点からいたしますならば、現在各省の監察機構が持つている程度の権限を持つているならば、法的な措置としては十分ではないか。しかし監察の実効を上げ得ますためには、法的の権限を強化するということよりも、むしろただいま御指摘になりましたように、これをやる人間に問題があるのであつて、監察は一応他の人間がやつたことをあとから行つてみてその適当でない点を指摘するのでありますから、素質的には、やつた人間よりも当然一段上位の素質を持つものでないとやれないことは言うまでもありません。その意味においては経済調査庁から引継ぎました今の人員が必ずしも適当であるとは私は思つておりませんので、従つて当面は、今申しましたように仕事の範囲を狭めて重点的にやるということと同時に、この人員をなるべく短期間に事務に習熟させるということが一つ非常に大事なんじやないかというので、そういうような研修機構を部内に設けるというふうに今やつております。
  138. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま塚田長官の言われた御説ごもつともでありますが、実際に監察する場合に、現地の実情に行政監理庁におられる方々が非常に遠く離れておつて、いきなり一年に一回、あるときは九州だ、あるときは北海道だと行かれて監察しても、ものの実態をつかむのに、非常に経費人員を動員した判合百に効果が上らず、かえつて逆な結果が——早く言えば、ある公共事業について会計監査をやつた、そういう場合に逆な監察などをして能率を阻害し、現地から恨まれるという妙な結果になりはせぬか、こういう点についての御配慮はいかがですか。
  139. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この点は検査院の検査が御指摘のように全部中央に集結しておりまして地方に出て行くというわけなんでありますが、管理庁の場合には各地方に支分局があるわけなんでありまして、そこに人間がおりますので、常時末端で仕事をしておるところに、われわれの方の職員が一応各府県にみな配置されておる。そして現実に仕事をされるところを、そのされる経過について逐次見ながらやつておるということになるので、御指摘のような点はまことに少いのではないか。もちろん私も監察をやります場合に、三本建になつておる今日のような日本の監察では、あちらからも行く、こちらからも行くというようなことになつて、同じものに何重もの監察、検査が重なるとうことになれば、これはプラスの面よりマイナスの面が非常に出て来るから、そういうものは、やる場合に事前に他の部局と十分連絡をとりながら、そういう弊害に陥らないように、またいたずらに、非違を摘発して重箱のすみを突きまわすというような考え方でなしに、大きな行政というものの観点から、このやり方が適当であるかどうか、また予算の使われ方が効率的に行つているかということを見るように指示しております。
  140. 稻村順三

    稻村委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  141. 島上善五郎

    島上委員 厚生省の国立癩療養所の増床に伴う増五十五名となつておりますが、どのくらいの増床で、この五十五名の内訳はおわかりですか。
  142. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 ベツドの増しますのは五百床でございまして、そこに医師、看護婦その他の使用人等が合せて五十五人ふえるのでございますが、内容は、医師が十一人、看護婦が二十五人、炊婦が十二人、その他の用人が七名でございます。それからふえますところは、東北の新生園が二十床、多摩の全生園が六十床、駿河が三十床、長島愛生園が七十床、邑久光明園が七十床、大島青松園が二十床、菊池恵楓園が百七十床、星塚敬愛園が三十床、松ケ丘保養園が三十床、以上でございます。
  143. 島上善五郎

    島上委員 癩療養所の看護婦、職員等がはなはだしく少い、そうして患者同士に作業を手伝わしているという状況であるので、そういうことを勘案して増員したものであるかどうか。
  144. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 これは詳しいことは厚生省でないとちよつとわかりかねますが、大体従来の企画に沿いまして、ベッド数に対する割合の看護婦をつけたのだろうと存じております。
  145. 島上善五郎

    島上委員 今度癩予防法改正に関して入院患者が不満で、作業拒否を一部しておる、そのために療養所の運営に非常に大きな支障を来しているということを聞いておる。それは今私が言つたように、職員が非常に少くて患者に作業をさせている。しかもほとんど強制的にさせている、こういうような状態があるので、職員の諸君から増員方の強い要望がかねてからあつたのですが、どうもこの増員は五百床の増床に伴う五十五人の増員で、そういう職員の要望、現在少な過ぎるという実態を全然考慮に入れていないように思われるのですが、厚生省の方でなくて、よくこの事情がおわかりでなければ、またあとで伺いますが、その点いかがですか。
  146. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 厚生省によく連絡しておくことにいたします。
  147. 島上善五郎

    島上委員 国立療養所の地方委譲に伴う減員三百四十二名とありますが、たしか国立療養所の地方委譲は、厚生省が考えているように進展していないはずなんです。地方では委譲することにおおむね反対です。あまり進展していないようなので、その状況をお伺いできれば幸いであります。
  148. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 お話のように予期したほどの進捗はしていないと思いますが、ここに揚げてありますのは、四月一日から委譲になりますので、秋田、山形、若松、飯坂の四つの国立病院が委管されます。なおおそらくもう行つておるかと思いますが、七月からの予定としては徳島、岐阜、下呂なんかがございます。
  149. 稻村順三

    稻村委員長 他に御質券はございませんか——高橋等君。
  150. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ごく簡単にお伺いしたいと思います。この定員法改正資料の中で増員になります総数と減員になります総数は幾らくらいになつておりますか、お伺いしておきます。
  151. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 増員になる数が八千六百八十二名、減員になる分が三千九百十六名差引四千七百六十六名増員、こういうことになつております。
  152. 高橋等

    ○高橋(等)委員 この減員の三千九百十六名というのは、現在の欠員数一万百八十九名と何らか関係を持つておりますかどうですか。もう少し詳しくお尋ね申し上げますが、現在政府においては欠員の不補充をなさつておられるということであります。ところがここで減員にあげられておりますものが、そのまま欠員を食いまして、増員分の八千六百八十二名が実際に増員になるのかどうか。その点を私はなはだ心配いたしますが、どうでありますか。
  153. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは今度減員の出て来ましたところは、一月一日現在の各省の欠員の合計が八千八百六十九人あるわけであります。これの三割という目標で減員を立てたわけであります。しかしこの中に欠員があるからといつて、どうしても減員のできない、たとえば保安庁関係の職員でありますとか、検察官、刑務官、公安調査官、教官、こういうものがあると考えますから、そういうものを除きまして今の三割ということで行きますと、一千八百四人上か定員の減少ができないことになるわけであります。しかしその考えを一応頭に置きながら、さらに現実の各部局に当つていろいろ検討してみたら、それ以上に三千九百十六人までは減員できる、こういうことであります。そこで現実には確かに三千九百十六人の減員が出たのでありますが、今申し上げましたように、たとえば賃金要員から定員に繰りかえる、こういうものが出た結果、今申し上げた実質上の増員になつた。そこでこの増員と減員というものはどういうところから出て来たかということを私もしさいに検討してみました。たとえば国の定員で減員になりましても地方でふえれば意味がない。それからかりに国が増員になりましても、それだけ地方公務員の方で減れば、それでもさしつかえない。また郵政省の方はなるほど定員はふえたが、賃金要員はそれだけ減るということであれば、これもよい。そういういろいろな考慮をいたしまして、実質上ふえるのか、減るのかということを検討いたしましたところが、実質的にはやはりわずかではありますが、二百三十二名減員になる、こういうことであります。
  154. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうしますと、この定員法が通りました後におきます各省の欠員数は一万百八十九人から三千九百十六人引いたものになると考えてさしつかえないのでございますか。予算面の問題と両方あわせて考えておるのですが……。
  155. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答えいたします。大体お尋ねのような結果になると考えてよろしいと思つております。現在欠員が一万あるのが、定員法が施行されます八月一日からそれだけ定員が落ちますから、三千九百人落ちれば、あと欠員は八月一日には六千人ある。こういうことになろうかと思います。
  156. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうしますと増員八千六百八十二名で、減員三千九百十六人、差引四千七百六十六名の増だと言われますが、実際の増員は八千六百八十二名になるのではありませんか。
  157. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 これはそういうことではないのでありまして、八千六百八十二名が一方にふえますが、三千九百十六人が減るから、差引四千幾らがふえる。しかし四千幾らふえる中でもすでにいろいろな形態の公務員になつておるから、実質的にはほとんどふえない。こういう形になつておるわけであります。
  158. 高橋等

    ○高橋(等)委員 どうもその御説明はちよつと納得が行かないからもう一ぺん伺うのですが、予算面におきまして一万百八十九名の欠員から減を三千九百十六立てる、予算はそれだけ落ちるのであります。ところが実際の増員分は予算面へ八千六百八十二というようにふやさなければ動かぬのですね。そうすると実際に定員法の差引のからくりというものの四千七百六十六——もちろんこれは今言われた賃金要員その他の組みかえということはわかります。またどうしてもふやさなければならぬ。たとえば恩給法の施行に伴う増員、いろいろなものがあることはよくわかります。そうでなしに実際は八千六百八十二名の増員になり、欠員を不補充をしている、不補充をしている欠員を数字の上で差引いて増員を立てているのだ、こういうような心配がいたすのでありますが、その点はどうなんです。ひとつ率直にお答え願いたい。
  159. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 こういうことにお考えいただきたいと思うのであります。すなわち欠員というものは一月一日現在で八千余ありますので、とにかくその八千余の中から三割に相当するものが三千といたしますと、その三千はこの定員法の施行のときから落すということになるわけであります。しかしそれはそれだけで減る。それから今度別に二十八年度の新規事業に基きましてふえるものがあるわけでありますが、そのふえるものが八千幾らございます。それから今度は減る方が先ほど申しました通り三千幾ら、約四千になりますから、それを引いた差引がやはりふえるのだ、それで結局八千から二千幾らを引きました四千幾らがふえるのだというのはその通りのことと存じております。ですから純然たる八千幾らがふえるのではなくて差引の四千だけがふえる、こういうふうに考えております。
  160. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうすると話が二つこんがらかつたので誤解があるかと思いますが、もう一ぺん確かめておきたいのです。一月末八千八百六十九人の三割、すなわち三千幾らの減員ともう一つこの三角のついたものの集計、これとは違うのですか。今の御説明と二つの御説明なつたように思うのですが。
  161. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答え申し上げますが、三割減という形のものも結局総計の四千幾ら減つた、三千九百幾ら減つたという中には入つている形になつております。
  162. 高橋等

    ○高橋(等)委員 ただいま大臣からも御説明がありましたように、八千八百六十九人の二判というものを振り制つて三千九百十六人ということになつた。ですから今の数字に直すと一万百八十九人の欠員をとにかくこちらへ一応予算面、定員面として振りかえて三千九百十六人というものを定員の方から落したのだ。そうして結局減員は私どもとしては欠員は六千人くらいになるだろうと考える、欠員の始末はあとで考える、こう了承いたすのであります。そうなつて来るとこの減をお立てになつているものは当然不補充で埋められないものを数字の上で減を立てておるのだ。そうして増の方はふやすなりあるいは賃金要員を組みかえなければいけないものを増に立てているのでしよう。そうすると増員分は組みかえ分を除いては、定員不補充ができなければ、差引四千七百六十六人の増というのは間違いで、実際の増は八千六百八十二人、こう思つて私は質問しているのですが、それはどうなんですか。要するに定理の差引とかなんとか、実際の面においての欠員の不補充という面から考えてみて、それだけ緩和されておるのではないか。それをお伺いしております。
  163. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 少し食い違いがあつたかと思いますが、欠員の三割ということは、抽象的に申しますと、要するに九千あれば三千を落すということでございますが、今高橋さんからお尋ねのありました通り、ただそれと離しまして、今度個々の事項について減員して行くということは、それぞれの省の欠員とは直接に結びついていないわけであります。どの省におきましても、たとえば通産省におきまして、繊維局に十人の欠員がありましても、繊維局の仕事は減らすことはできない。これは幾ら欠員があつても、この欠員は落すことはできない。ところが軽工業局には欠員はございませんけれども、その中のある特定の仕事が二十八年度でもういらなくなつたから落すのだという場合において、軽工業局の十人を落すということになりますれば、現実にそれだけの人は落さなければなりません。しかし現実の場合におきましては、その落す人を、配置転換が可能ならば、これを繊維局にまわすということもありますし、配置転換ができない場合には、現実にその十人の方がやめる、こういうことになりますので、欠員と減員とはそういう点で食い違いは生じて参りますから、必ずしも今度の減員が欠員だけを切つたのだという形にはならないわけでございます。
  164. 高橋等

    ○高橋(等)委員 たとえば今の部局のお話ですが、省全体のやりくりとしまして考えてみますときに、総理府では差引計六百十三、ある省で人間が幾らか減りますと、その減つたのは、その省の欠員を一応落したにすぎないので、実際いる人間は、やはり増員分に合つたものは、賃金要員の組みかえとか、あるいは現実の増員に充てるのじやないのですか。実際不補充になつておるものを、これによつて増員分はそれだけ埋めなければ仕事ができないのじやないでしようか。どういう建て方になつておるのでしようか。
  165. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 ふやす場合におきまして、新しい仕事がふえました場合においてはどうするかという点につきましては、二月二十四日の閣議決定による欠員不補充の措置として、一月一日現在の欠員の三割を削る、そして四月一日になつてからは、四月一日現在の欠員の五割、それから新規に認められた定員の補充はさしつかえないということになつておりますから、新しい仕事で新規の定員が認められた場合においては、補充できるわけであります。ですから、そういう新しい仕事でふえる場合の定員を充員することと、それから欠員を落すこととは、ちよつと離れておるわけであります。
  166. 高橋等

    ○高橋(等)委員 今閣議決定がどうだとかこうだとかと言われましたが、それはいいのであります。私の伺つているのは、そうじやなしに、定員法に現われている八千六百八十二名というものは、埋めるのですか、どうですかということです。
  167. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それは埋めるのでございます。
  168. 高橋等

    ○高橋(等)委員 そうですね、現実に埋めるのですね。そこで実は私は元役所におりましたものですから、役所の状況は非常によくわかる。こう言つては失礼かもしれませんが、割合よくわかるのです。最近の役所の連中の能率々見ますと、実に慨歎にたえないものがある。私は、定員などをふやさないで、むしろ徹底的の減員をなすべきだと思う。これは一例を申し上げてみますと、現業官庁においても、たとえばこれだけの分量の仕事があつて、時間外勤務をせねばならぬというので、それを平素の能率ではじいてみますと、四時間分の時間外勤務をやる必要がある。ところが実際時間外勤務をさせてみますと、二時間で片づく。それで実際四時間分の時間外勤務をとつておるという実例がある。これは現業官庁においてすらあるのでありますから、いわんや非現業における事務の能率というものは慨歎にたえぬと思う。そこで私が特にお伺いをいたしておきたいことは、どうやれば能率が上るだろうか。この点については、お互い国民の全部が、お役人さんは別としまして、も、全部が官庁の能率という問題については非常に寛大な関心を抱いており、政府も関心をお持ちになつていると思います。これらについてのごくふうがあれば、お伺いをいたしたいと思います。それと同時に行政整理に徹底的にやつていただきたいということも希望を申し上げる次第であります。
  169. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 能率をどうしたらば上げられるかということは、いろいろな面から、たとえば公務員のものの考え方を改めるという面からも、能率を上げるくふうがありましようし、また事務のやり方の面からも、能率を上げるくふうがあると思うのでありますが、少くとも行政機構改革をして、人間をなるべく減らして行きたいという考え方から能率を上げて行くのには、やはり多少無理でも人間をふやさない、機構改革でもして人間を減らすという場合には、相当渋く人間を減らしておいて、少い人間でその仕事を片づけるというような心構えに自然と持つて行くようにする以外には、私は能率を上げるくふうはないのじやないか。結局たくさん人間がおれば、その人間がどれもこれも遊ばないようにすれば少しの人間で済む仕事を、長い時間をかけて非能率的な仕事のやり方をするというようになるのでありますから、そこで総理もその点は非常に熱心に考えておりますので、今度の行政整理は相当大幅に、しかも相当シビヤーに案を立てて、国会の皆さん方の御協力を得て、今御指摘のような点の目的を達成したい、こういうように思つております。
  170. 中村高一

    ○中村(高)委員 北海道開発庁というのがここにありますが、これは政治的に大分問題になつ役所だと思うのでありますが、ここにありますこの定員は、元は北海道庁に所属しておつたものが、開発庁ができて異動をしたものでありますか、それともこれは開発庁ができてから新たにできた人数でしようか。一番上の紙のところに、北海道開発庁の三千二百二十三名というのがありますが……。
  171. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 この北海道開発庁の職員は、元北海道庁におりました国費の職員が根幹であります。その後若干ふえているのがあるかもしれませんが、もとになつているのは、ただいま申し上げましたような職員でございます。
  172. 中村高一

    ○中村(高)委員 この役所などは、いらないものを無理につくつたということで、当時私らは国会におりませんでしたが、大分議論があつたのであります。必要があるといえば、役所ですから、必要がありましようが、他府県にも開発の必要なところはありますけれども、他府県においてはどこにも開発庁がないのでありまして、北海道にだけあるのですが、塚田大臣はこういうような開発庁を行政整理の際に整理をするというようなことについて御意見がありませんでしようか。
  173. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この点は私もよくそういう話を聞きますが、自分としては今別に確定した考え方を持つておりませんけれども、これは行政審議会の意向も伺つて十分検討いたしたい、こういうように考えております。
  174. 中村高一

    ○中村(高)委員 大野木さんがよく知つておるんですが、建設省の中に首都建設委員会というのがありますね、これも人間がおらないのですが、予算もなくして名前ばかり首都建設とかいうかけ声で、こんなものは何をしているんだろうというようなことをよく聞きますが、名目上こういうものを置かなければならぬというのは法律があるからだと思うのですけれども、何かこれは仕事をしておるのでしようか。人間はおらぬし、この首都建設委員会というのは何をやつているんでしよう。
  175. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 御承知通り首都建設委員会は昨年の十三国会の機構改革のときまでは総理府の外局として行政委員会であつたのでございますが、昨年八月機構改革になりまして総理府から離れまして建設省の外局に移りました。委員の方々はおいでになりますが、事務局の人間は建設省の計画局の者がこれを兼ねるということになりまして、現在建設省の人たちが実際において作業しているわけでございます。仕事の内容といたしましては、東京都の建設計画につきまして各省といろいろ関係がございますので、それらの調整をいたしましたり、また帝都の建設のプランを立てたりしているようでございます。
  176. 中村高一

    ○中村(高)委員 首都建設に関する予算というものはないのだろうと思うのですが、東京都の建設に関しましておそらくああいう法律があります関係上委員会があるのでしようが、ほとんど何もしておらぬし、どうでもいい委員会でありましようが、おわかりになりますか、首都建設委員会予算なんかあるのですか。
  177. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 今詳しい資料を持つておりませんが予算もございます。それからやはりこの委員会の活動によりまして、東京都の復興計画なんかも大分進んだようでありますし、地下鉄の計画なんかもこの委員会の計画で促進されたように承つております。
  178. 中村高一

    ○中村(高)委員 それからもう一つ。調達庁という役所がありますが、これは何か間接調達であつた当時に比べては今では直用主義になつてアメリカが直接事業ができるということになつて、調達庁の仕事というものはまつたく縮少されたというのでありまするが、当初の調達庁に比べますと今までよりよほど減員になつているのでありましようか。
  179. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 当初の数は今ちよつと覚えておりませんが、ずつと減らして参りまして、昨年度におきましても千人くらい減らしております。今度もまた百九十五名減らしております。だんだん減つて、参つたのでありますが、ちよつとここにございますようにまた漁業補償でありますとか、特別の損失補償とか、使用解除財産の補償とかいうような事務が出て参りましたので若干ふえることになりましたけれども、差引いたしますればことしも百九十五人減になつております。
  180. 中村高一

    ○中村(高)委員 長官がおいででありますが、今の調達庁のことでありまするが、直用主義になつてから業者の方面でもどうもいろいろ鶴をしたりなんかするのにも不便だし、書類などもとても調達関係の書類はめんどうで、それから単価をきめることその他で、とてもこれは直用じやかなわないからもう一ぺんまた元にもどして、調達庁でやつてもらいたいという意見が業者に非常に出ているやに聞いているのでありますが、そういう点はまた逆もどりのような感じもするのでありますが、政府では何かそういうことについて——むろんいろいろの注文をお聞きになつていると思うのでありますが、その点については長官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  181. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私もまだ拝命して間もないので、そういう話はあまり聞いておらぬのでありますが、かりにそういう話があつたといたしましても、私としてはそういう希望を聞いてこれを増員するという考え方は毛頭持つておりませんので、むしろそういうものが商売なんだ、勉強してやりなさいと言つて業者に大いにふんばつていただくつもりでおります。
  182. 中村高一

    ○中村(高)委員 この程度で……。
  183. 稻村順三

    稻村委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会をいたします。     午後四時三十八分散会