運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-06-29 第16回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十九日(月曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 八木 一郎君 理事 山崎  巖君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 島上善五郎君    理事 鈴木 義男君 理事 中村 梅吉君       大村 清一君    津雲 國利君       長野 長廣君    平井 義一君       船田  中君    高橋  等君       高瀬  傳君    粟山  博君       井谷 正吉君    柴田 義男君       中村 高一君    冨吉 榮二君       辻  政信君  出席国務大臣         保安庁長官   木村篤太郎君  出席政府委員         内閣官房長官 江口見登留君         宮内庁次長   宇佐美 毅君         保安政務次官  前田 正男君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         外務事務官         (大臣官房長) 大江  晃君  委員外出席者         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ――――――――――――― 六月二十九日  委員石橋湛山君辞任につき、その補欠として松  田竹千代君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十七日  戦没者遺族公務扶助料復活等に関する請願外  二件(逢澤寛君紹介)(第一八二六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  軍人恩給復活法案に関する陳情書  (第四一一  号)  憲法改正に関する陳情書  (第四一二号)  軍人恩給法案に関する陳情書  (第四三七号)  文官恩給増額に関する陳情書  (第四三八号)  未復員者給与法による入院患者傷病恩給又は  生活扶助料支給等陳情書  (第四三九  号)  拘禁中の戦争受刑者恩給復活に関する陳情書  (第四四〇号)  同(第四  四一号)  同  (第四四二号)  同  (第四四三号)  同  (第四四四号)  同(第  四四五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  皇室経済法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  保安隊及び警備隊に関する件     ―――――――――――――
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。本日の議題に入ります前に、辻委員から発言を求められておりますから、これを許します。辻政信君。
  3. 辻政信

    ○辻(政)委員 一昨日の本委員会における私の質問東条時代そつくり質問であり、国会を侮辱し委員会を侮辱するという発言鈴木義男さんからあつたのであります。これがはたして国会を侮辱するものかどうかという点を、速記録によつて私は慎重に検討いたしましたが、断じてそういう理由はないということをお答え申し上げたいのであります。それにつき捜して若干説明を加えたいと思いますが、防衛五箇年計画といわゆる新聞に報道された、保安隊を三十万にふやし、艦艇を十四万にし、飛行機を手数百機持つというようなあの内容でありましたならば、これは当然予算を伴うものでありますから、国会審議にかけるのは常識であります。古いことにたとえてまことに恐縮ですが、昔は国防計画というものがありました。それは陸軍をどうし海軍をいかにふやし飛行機をどれだけつくるかというような、兵力量の問題か主体となつてつたのであります。この国防計画というものは東条時代においても国会審議にかけられております。それからその範囲内においてつくられた陸海軍戦争目的のためにいかに運営するかというのが作戦計画であります。この作戦計画はきわめて機密性を要しますので、参謀総長以下。ごく限られた参謀本部主任者以外には絶対に公開しなかつたものであり、陸軍大臣といえどもそれに関与できなかつたものであります。これが過去における作戦計画防衛計画との関係であります。今日は軍隊がないのでありますからそういうものはもちろんありません。軍機保護法もありません。防衛五箇年計画という新聞報道木村長官が発表なさつたとすれば、これは当然過去の国防計画に相当するものであつて国会審議を要することは先ほど申し上げた通りでありますが、その国会審議を経てつくられた保安隊というものを運営しまして、いかにして国内治安に備え、内乱に備えるかということがいわゆる警備計画になるのであります。これは軍事上の一般常識であります。長官はしばしば防衛計画ではなくて警備計画である、あのような数字は言つた覚えはないということをはつきり言明されておりますので、私もその内容はもちろん知りませんけれども、それを信じまして、そういう種類の警備計画であつたならばこれは出すべきものではない。もしそれをしも出すというのならば、徳田球一を逮捕するという警視庁の捜査計画までも公表するというような結果になるのでありまして、これは国家活動としては私はとうていできない問題であると考えております。その意味におきまして、私の発言はいわゆる警備計画なるものは、国会で取上げるべきものではなくして、委託された範囲内において保安庁長官任務を達成するための手段方法をどうするかというのが警備計画の本質であると考えるのであります。保安隊内容国会審議することは当然であります。前国会において編成装備等につきましては、私も痛烈に批判をしております。保安隊というものは、本年度の予算におきましても、七百十八億という厖大な予算を消費するのでありますから、その内容編成装備訓練等につきまして、皆様が自由に討論なさることは当然と思い、私もその問題については、予算委員会または本委員会の席上において、痛烈に批判をしたいと考えて準備しております。決してこれに鉄のカーテンをおろすべきではありません。しかしそのようにしてできた保安隊を、国内治安と平和を維持するためにいかに運営するかという、いわゆる警備計画、これは私は国会論議のらち外に置かるべき性質のものと信じて疑わないのであります。その意味におきまして、一昨日の私の発言は、取消す意味はないと信じております。
  4. 稻村順三

    稻村委員長 ただいまの辻委員発言に対しまして、何かほかの委員の方に御意見はありませんか。
  5. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 辻議員は一昨日の発言に対して、少しも取消すべき必要を認めないと仰せられるのは、はなはだ心外であります。われわれはこの速記録に基いて申し上げるのでありますが、大体一昨々日から一昨日にわたつた私の質問、あるいは高瀬君の質問、あるいは島上君の質問等をさしておると思うのでありますが、「昨日からいろいろ与党野党の間の政争を見て参りましたのですが、」というのは、何が政争であるか。われわれは決して政争のために質問をしたつもりはないのであります。あくまで国家の重大事でありまするから、いわゆる木村長官保安隊に対する将來の計画質問しておつたのであります。大体それを政争として、われわれがなすまじきことをやつたかのごとき御糾弾は、はなはだ心外でございます。そして続いて、「木村試案にしろ、あるいは保安庁試案にしろ、——きわめて重要な秘密事項である警備計画を持つのは当然なんです。その警備計画政争の具に供して国会に出せということは、私ははなはだ適当ではない、」という発言をしておられるのであります。われわれはこれを示せ、またそれを示してもらうごとによつて、初めて保安庁に関する改正案審議もでき、予算審議もできるのでありますから、出せということを主張しておるわけでありまして、それが出すべきでないという御議論であります。そして、現段階において、木村長官がいわゆる試案として持つておられたものは、過去の軍における作戦計画と同様の性質のものである。どこの国にその作戦計画内容国会審議にかけて暴露したものがあるか。」この言はきわめて聞き捨てならない言葉であります。われわれはごうも作戦計画と思つておりませんし、また今日本作戦計画があるはずもありませんが、作戦計画類似のものとも思つておりません。そしてあとで、国家を愛するという言葉があることから見ますれば、いかにもわれわれが非国民であるかのごとき印象を与える発言であります。これについてあとで、「じようだんじやありません。私は国家を愛するのだ。」辻さんは御自分の考えておる国家を愛しておられるのかもしれませんが、われわれもわれわれの考えておる国家を愛してここに質問をし、審議を尽しておるつもりであります。そういう意味におきまして、この発言はわれわれの審議権制限せんとするものであり、許しがたきことでありまするし、発言内容もわれわれのやつおることが間違つておるということを断言しております。あくまでも取消しを要求いたしますとともに、取消さないならば、委員会権威のために、どうか懲罰に付せられんことを求めるものであります。
  6. 島上善五郎

    島上委員 私も、ただいまの鈴木議員発言に賛成であります。というのは、あの日の最後に私は木村長官質問しまして、いわゆる戦前作戦計画のような性質のものであるがゆえに発表できないのか、その地の理由によつて発表できないのか、こう言つたら、戦前作戦計画のような、そういう意味で発表しないのではない、そういうものはないということをはつきり長官答弁をしております。そして、今まだ私の心づもりの試案段階だから、発表を差控えたいと思うので、いずれは発表して皆さんの審議を経なければならぬ性質のものであるということをはつきり答弁している。そして予算委員会における質疑応答も、また本委員会における質疑応答も、そういう性質のものであつた従つてそれを否定するこの言動については、われわれは断じて承服するわけには行かぬ。今その速記録か配付されましたが、私は今見たばかりですが、これを議員もごらんになつて、どうしても取消さぬと言うならば、われわれは委員会権威国会議員任務を全うするために、このような国会議員発言を制約し、あるいは否定するような言動は、断じて承服することはできませんから、懲罰に付したいと思います。
  7. 平井義一

    平井委員 ただいまの鈴木さん並びに島上さんの取消せというのは、全部取消せという意味でございますが、どこを取消せという意味ですか、ひとつお聞きしたいと思います。
  8. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私はこの速記録にある「発言する者多し」というところまでを意味しておるのであります。これは質問でも何でもない。質問ならば長官に向つて質問すべきでありまして、関連質問ならば関連質問をすべきでありますが、同僚の言論を批判して、そしてこれをけしからぬと言つて攻撃している発言にすぎない。ゆえにかくのごときものは、発言の形式から言つても、質問続行中における関連質問でないのでありますから、適当ならざる発言であるし、議事進行についての発言とも見えない。ゆえに私はこの部分全部をお取消しになることを求めておるのであります。
  9. 平井義一

    平井委員 これはしかし、警備五箇年計画を出せという長官に対する質問に対して、辻さんが出すべきでないという見地から、長官関連質問したのであつて、全然質問になつておらぬということでは、ちよつと違うと思います。(「なつていない」と呼ぶ者あり)島上君、一番最後をごらんください。「私は、長官の責任において断じて出すべきものではないと考えております。」とあつて、これは関連質問だと思います。
  10. 島上善五郎

    島上委員 それはこじつけりくつというものですよ。全体の質問を見て下さい。質問になつておらないし、長官答弁していない。(「それはかつてだ」と呼ぶ者あり)かつてだと言つても、これは質問でないから答弁しなくてそのままひつ込んでいる。質問ならば答弁をしないはずがない。
  11. 中村高一

    中村(高)委員 平井君から今、どの部分というようなことの御質問があつたようでありますが、こういうふうに一つ内容になつて述べているのを、その一部だけ取上げて取消すというようなことは、なかなか困難であると思います。そこでこれは、辻さん自身がおれは取消す意思がないと言うのでありますから、これは平井君がいくらどの部分と言うて救うとしても、辻さん自身がどこも取消す意思はありませんと言うのを、どこかだけを引出して取消させようとしてもそれはむだなことでありますから、その問題をおやめになつて、辻さん自身が取消す意思がないというならば、これは委員会で適当に扱うよりほかにしかたがないことだと思うのでありますが、われわれもこういう問題で同僚議員を問題にするというようなことは決して希望しておることでもありませんし、そういうようなことより、むしろわれわれは政府に向つて問題の計画を発表させるということが目的なのでありまして、こういうことは枝葉のことではありますけれども、しかし辻さんの発言はきわめて重要でありまして、国会審議をいたしておりまするものを審議をせなくてもいいとか、あるいはこの速記録にないのでありまするが、何か書類を提出するには及ばないというようなことを言つてつたようであります。(「一番最後だ、最後を読んでみろ」と呼ぶ者あり)書類は断じて出すべきものではないというようなことは全く国会法を無視しておるのでありまして、国会法では政府に向つて必要な書類を要求することガできるのでありまするから、こういうようなことはまことにどうもみずから国会審議権を無視しておるようにも見えるのであります。もう一つ、これは参考のために、いろいろこの問題を進めて参りますると出て来ると思うのでありまするが、辻さんは一体政府で言うておりまするいわゆる木村試案というようなものは、憲法にありまする戦力に該当するかしないかは別といたしまして、憲法改正しないでこういう計画というようなものがさしつかえないというお考えを持つておられるのかどうか、この点も辻さんから一緒に御説明を願つておきたいと思うのであります。
  12. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま同僚議員辻君からいろいろ釈明がありました。それに対して社会党鈴木中村島上の三君からいろいろ御意見開陳がありましたが、私はこの速記録を見まして、辻君に一言伺いたいことは、先ほどの釈明と関連いたしますが、まず第一に「与党野党の間の政争を見て参りましたのですが」という点であります。私どもは別に政争をこれ事としてかくのごとき質問を展開しておつたのではないのでありまして、日本の置かれた現在の国際的立場から勘案いたしまして、わが国の警備計画あるいは防衛に対する根本的な現内閣考え方というようなものについて、いわゆるMSAの受入れの問題と関連いたしまして、まじめに政府の真意を知りたいために質問を展開して来たわけであります。従つて健全なる野党としてかくのごとき質問を展開のは、われわれの権利であると同時に重大なる責務でありますので、これを単なる戦争前軍閥はなやかなりし時代にあつたよう与党野党とのいわゆる醜い政争というふうに一見お考えなつ辻君発言に対して、私はいささかその点を同僚議員である辻君に反省を促したい。  それからもう一つうしろの方に、「木村長官がいわゆる試案として持つておられたものは、過去の軍における作戦計画と同様の性質のものである。」という御発言がございます。先ほどの辻君お話によりますと、かつて戦争前における国防の問題に関しては、予算の協賛を要するところの国防計画、いわゆる防衛計画なるものと、その予算に基いてできた国防計画をいかに運営するかという作戦計画と三つにわかれている、いやしくもこの作戦計画なるものは、参謀本部においてこれを慎重に運営するものであるということでありますが。この問題は一種の警備計画である。この警備計画は、辻君の言によりますと、かつての軍の作戦計画と同様にお考えになつておられるようでありますが、しかしながら最も根本的に、考え方の根本を辻君は取違えておられると思うのであります。われわれの聞いておつたのは、いわゆるこの保安隊——あるいはMSAを受入れた将来いかなる計画をするかは知りませんが、その計画内容をいかに運営するかという段階寮では至つておらないのであります。われわれとしてはその国防計画あるいは自衛計画をいかにするかという根本的な、いわゆるかつての軍の国防計画に相当するものの詳細なる説明保安長官に求めておるのでありまして、この点は決して、いわゆるかつての軍の作戦計画に相当するところの保安隊の運用の内容について明らかにせよと言つておるのではないのであります。従つて私はこの点社会党の諸君とも立場を異にいたしますが、この際率直に言つて辻君考え方違つていた、先ほど言われた辻君釈明によりましても、明らかに根本的な前提の考え方違つてわれわれの議論をお聞取りになつてつたという点がありますので、私は特に辻君意見開陳を願いたいことは、「与党野党の間の政争」とあるが、単なる戦争前にあつた醜い政争ではないという点について、辻君のはつきりした認識と意見を伺いたいということと、それからあとの方のいわゆる「作戦計画と同様の性質のものである。」という点は、先ほどの辻君釈明によつても明らかでありますように、われわれのたださんとしておるところが決してかつての軍の作戦計画に類するものではないということをはつきり認識されて、その点を辻君から明快なる答弁を得れば、私としては懲罰に付するとかそういう点は考えていないのであります。一言この際関連質問として辻君のこの点に関する意見を求めたいと思います。
  13. 稻村順三

    稻村委員長 辻君、各委員質問に対しまして、ただ答弁だけなさつて、あまり議論にわたらないようにお願いいたします。
  14. 辻政信

    ○辻(政)委員 鈴木委員質問に対しまして、私は国家を愛する、ほかの者は国家を愛しないような印象を与えるという点は、これはまことに私としても非常に意外に感じたお言葉でありまして、鈴木さんの人格と愛国心に対してごうまつも疑うものではありません。  それから中村委員お話で、憲法改正せずして、一体こういうことができるかどうか、どう考えるかということであります。私は現在の保安隊というものは軍隊でない、こういうことを認めるのであります。その理由を簡単に申します。動員能力を持ち人員の補充能力を持たなければとにかく軍隊ではありません。今日の保安隊動員能力があり、消耗されたときに補充能力があるかということを考えますと、二つともないのであります。まことに薄つぺらなものであります。とうてい戦争の役に立つものではない、こういうふうに考えております。従いまして、私は軍隊にあらず、こう考えます。  次の問題は高瀬さんの言うこと、これはまことにごもつともであります。「政争」という言葉を「論争」、政治の「政」を議論の「論」と修正いたします。
  15. 稻村順三

    稻村委員長 ただいま各委員よりいろいろ意見がありましたが、鈴木委員よりの、辻委員発言を取消すか、または懲罰に付すべしとの御意見につきまして、委員発言取消しを命じ、または懲罰事犯ありとして議長に処分を求めることは委員長の権限でありますので、その点は委員長におまかせ願います。委員長理事の方々とも相談の上善処いたしたいと存じます。     —————————————
  16. 稻村順三

    稻村委員長 次に移ります。  皇室経済法の一部を改正する法律案及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案一括議題とし、その質疑を行います。質疑はございませんか。——鈴木義男君。
  17. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 皇室経済法改正の点は、公共のためになす遺贈または遺産の賜与にかかる場合は制限から除く、こういうことになつております。それはどういう場合であるかをお尋ねしておきたいと思います。
  18. 宇佐美毅

    宇佐美政府委員 公共のためにするという意味は、地方公共団体とか民法上の公益法人でありますとか、社会福祉法人であるとか学校法人であるとか、公益のために働いております各団体に対する場合のみに限定したい。個人的なものにつきましては、当然原則に返る、国会審議を願うということにいたすという意味から、特に公共のためという意味制限をいたしたいと考えるわけであります。
  19. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 趣旨はまことに、ごもつともでございますが、それがやはり相当額になるものであり、政治的な意味を持つというようなことは万あり得ないと思うのでありますが、しかし皇室が特定の公共団体あるいは公共事業にだけそういうものを賜与されるというようなことがあつて問題になる、あるいは物議をかもす、ある種の感情を刺激するというようなことがあつてはおもしろくないと思うのであります。そういう弊害はないということが保障されるでありましようか。
  20. 宇佐美毅

    宇佐美政府委員 特に公共のためとうたいましたのも、ただいま御質問のような趣旨を当然含むものと考えておりまして、皇室立場から特に政治的な色彩が出るということにつきましては、十分な注意をいたして参りたいと考えるわけでございます。
  21. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 次に、これは改正にならないのでありますが、ついでに御質問しておきます。第二条の第四号、「前各号に掲げる場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、皇室がなす賜与又は譲受に係る財産価額が、別に法律で定める一定価額に離するに至るまでの場合、」これは念のために承りますが、皇室がなす賜与または譲り受けにかかる財産価額は、最高限度幾らでありますか。
  22. 宇佐美毅

    宇佐美政府委員 皇室が賜与をなす場合におきましては、天皇、皇后及び内廷におられる皇族を通じまして、年三百七十万円、これが施行法に規定されております。それから受けられる方は同様の条件で年百二十万円でございます。皇族の方はそれぞれ十五万円の制限でございます。
  23. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これはその最高額が現在の経済でその程度に限定されておるのでありますから、弊害はないと思いまするけれども、皇室は新しい制度におきましては、国民の租税を差上げてそれを内廷費としておられるわけでありまして、その中から天災地変等の場合に賜与されるわけでありますので、これは前会にも私申したことがあるのですけれども、皇室が昔のように莫大な財産をもつておられた時代皇室と違うのでありまするから、こういう賜与についても本末を誤らないような方法でやつていただくことが大切ではないかと存ずるのであります。そういう点について宮内庁当局としてどういうお考えを持つておるか承つておきたいと思います。
  24. 宇佐美毅

    宇佐美政府委員 従来、いわゆる終戦前皇室におきましては、年の予算の非常に多くの部分を賜与ということになつております。しかし現状におきましては、ただいま御質問通り法律によつて国予算として計上された国民の税金を基礎とするものでございますので、ただ単に昔のような考え方はとうてい成り立つわけではございません。従つて内廷費皇族費が物価の変動等によりまして、増額になつて参りましたけれども、その賜与する場合あるいは賜与を受ける場合につきましては、ほとんど改正がしてないのでございます。その範囲において従前もいたしておりますので、今後も十分留意をして参りたいと考えておる次第でございます。
  25. 稻村順三

    稻村委員長 ほかに質疑はございませんか。——粟山君。
  26. 粟山博

    粟山委員 私はこの機会に宮内庁の方にお願いをしたい。それはかように皇室の費用も増額されることを私ども快く賛成するものでありますが、近来全国から婦人団体清掃奉仕に参りまして、参入奉仕を許されておることは、その結果において非常によい成績を示しておる。いろいろな意味においてよい影響を与えておると私は見ております。そこで皇居内にも、これらの人々を受入れる設備が何か臨時的に用いられてあるようでありますが、なお一層素朴な姿でもよろしいから、適当なる施設をして、お取扱いになられたならば、いろいろな意味においてよろしいことではないか思うのであります。当局においてこの点御考慮を願いたいと思います。
  27. 稻村順三

    稻村委員長 ほかに御質疑はありませんか。——質疑がなければ両法案を一括して討論に付します。討論はこれを省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 稻村順三

    稻村委員長 御異議なしと認めます。これより採決いたします。皇室経済法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  29. 稻村順三

    稻村委員長 起立多数によつて本案は可決いたしました。  次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  30. 稻村順三

    稻村委員長 起立多数。よつて本案は可決されました。  ただいま可決されました二法案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  31. 稻村順三

    稻村委員長 次に保安隊及び警備隊に関する件につき調査を進めます。質疑の通告があります。中村高一雲。
  32. 中村高一

    中村(高)委員 それでは木村保安庁長官がお見えになつておりますから、御質問を申し上げたいのでありますが、今度の保安庁法の一部の改正によりますと、保安隊員の増員が相当に行われることになつておりまして、これによりますると、昨年よりは全部で人数にして三千何ぼという増員のようでありますが、相当に人数も増員されて参りますし、その他におきましても、たとえばアメリカから借りる飛行機なども、本年はふえるのだろうと思いまするが、そういうふうに内容的には順次漸増されて来ているようであります。今年の保安庁予算を励ますると、百億を減らすことになつておりますが、表面上減額をいたして、内容においては発案をさせるというような形をとつておられるようでありますが、これはどういう予算上の方法をもつて、そういう処置をおやりになるのか、まずお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  33. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お害えいたします。ただいま保安隊員の増員ということを仰せられましたが、保安隊員は増員いたしません。警備隊員であります。この警備隊員の増は、御承知の通り、前国会で御承認を得ました、いわゆるアメリカから貸与を受けました船舶、これが相当ふえまするので、それに対して乗り組ませる人数がふえたわけであります。これはやむを得ない数の増加であるのであります。しこうして、本年度予算において百億円余り減額したという事情は、簡単に申し上げますれば、これは装備その他について、ぜひ必要な金額でありまするが、御承知の通り、この大部分の経費は船であります。船をつくりますについては、相当な計画を立てなければなりません。そこらでつくりまする船を、ただちに買うというわけではありません。十分なる設計をいたしまして、これはよほどの検討を要するのであります。それらについて相当の日時を要します。また建造にとりかかつても、実際において完成するまでには多数の日時を要しますので、計画としてはぜひ必要でありますが、金の支払い面におきましては相当遅れるのであります。従いまして、それらに要する費用を後年度に繰越したという次第であります。
  34. 中村高一

    中村(高)委員 この政府説明書を見ますると、保安庁の職員が三千二百五人も増員しようとするのであるが、そのうちの二千七百三十三人が警備官であるが、残りの四百七十二人は保安官及び警備官以外の職員であるとあのますが、そうすると警備官以外にも、別の職員の増員もあるのでありますか。  それから、ただいま、長官説明によりますと、経費はふえないのだ、そこで船舶のようなものを借り入れるというような場合には、別にこれは予算をとるという御趣旨のようでありまするが、予算外の国庫の支出というようなもので、今後もそういう船舶あるいはその他の武計の支払いをしようとせられるのかどうか、あるいは別にまた昨年度の繰越金というようなものがあるから、それで使おうと言われるのか、その辺のところを御説明を願いたいと思います。
  35. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 予算外で支出するというわけでもありません。また昨年度の使い残りの金をこれに充てるというわけでもありません。その詳細なことは次長から御説明いたします。
  36. 増原恵吉

    ○増原政府委員 このたびお願いをしております定員の増につきましては、資料を差上げてあるかと思うのでありますが、保安官、警備官以外の職員としますのは、主として雇用人級の者でありまして、長官官房、各局等に二十九人、第一幕僚監部関係に百二十八人、第二幕僚監部関係に百二十八人、保安研修所に十人、保安大学校に百二人、技術研究所に七十五人、計四百七十二人というふうな数字に相なつております。これは大部分は雇用人級の者であります。予算の百億減つたと申しますのは、先般流れました予算に比較いたしまして、百億減つたわけでございます。これはただいま長官から説明を申し上げましたように、計画としては変更をいたさないで、予算外の国庫負担義務を負う議決をしていただきまして、支払いを後年度にいたす、契約としては一括した契約をいたしたいということで、繰越金を使用する等のことによりまして、これを減額をするということではないわけでございます。
  37. 中村高一

    中村(高)委員 本年の予算は別といたしまして、昨年度の保安庁関係で予定をされておつて未使用分になつておりますものが、今日までにどのくらいまだ残つておりますか。
  38. 増原恵吉

    ○増原政府委員 昭和三十七年度の保安庁関係予算は、予算現額約七百五十二億円の中で、年度内に支出負担行力済みの額が約五百七十五億円、支出負担行為未済で二十八年度へ繰越しました額は約百四十五億円、不用となりました額が約三十三億円という状況でございます。
  39. 中村高一

    中村(高)委員 この保安隊内容についてでありまするけれども、例の警備計画といいまするかあるいは今後の計画というようなものにつきましては、長官の方からいずれまた回答があることになつておりまするが、この計画内容は別といたしまして、保安庁内容充実あるいは隊員の増加というようなことは今後も漸増されて行くものだと思うのでありまするが、毎年なしくずし的に漸増をせられて行くというその方針はいかがでありますか。計画内容は今ただちに聞こうとはいたしませんけれども、漸増して行くというその方針だけは明確にお答えを願う方がいいと思うのであります。
  40. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。将来の治安情勢の変化においてはわかり摂せんが、現在の段階におきましては現在数においてまかなつて行きたい、こう考えております。従つて今仰せになるように、年次別に逐次増加するという計画は立てておりません。
  41. 中村高一

    中村(高)委員 そうすると、今のところでは現有勢力で行こうというものだ、こういう考えのようであります。国内を主たる警備目的にするというのでありまするが、一ぺん入隊をして二年なら二年で帰休して来る隊員があり架するが、こういう隊員と現在の保安隊との間には、帰休後において何か連絡あるいはいざという場合にはこれを動員でもするというような計画でもあるのかどうか。帰休した者との間の関係を御説明願いたいと思います。
  42. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 帰休者との連絡は今のところはついておりません。従いまして今仰せになりますように、事が起つた場合にこれをすぐさま使うとか何とかいうような計画は少しもないわけであります。
  43. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと、保安隊から帰つたならば、もう保安隊には何も関係ないと見てよろしいですか。
  44. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 退職者については法的の根拠は何もないわけであります。その人たちの任意にまかせておるわけであります。
  45. 中村高一

    中村(高)委員 ではそういう法規的な根拠は別といたしまして、保安隊の性格から行きまして、国内治安を守るというのでありまするから、せつかく二箇年なら二箇年養成をした者がそのままで何のつながりもないというのもどうもおかしいように思われるのでありまするけれども、何かそれはお考えがあるのではありませんか。
  46. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今申し上げまする通り、法的の根拠は何もありませんから、現在の段階においてはこれはどうもしようがないのであります。ほんとうにあるいは不幸にして事件が起つたために、これらの人に治安確保のために働いてもらうということにいたしますと、そこに一つの法的根拠を持たなくちやならぬと考えております。しかしただいまの段階においてはそこまで考えておりません。
  47. 中村高一

    中村(高)委員 万一MSAの援助が受けられないというような場合には、従来の武器貸与を受けておりましたものあるいは船舶、飛行機、こういうようなものに何らかの影響があるかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  48. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在使用しておるものについては私は影響はないと思います。MSAの問題がどうなろうと、これは別問題といたしまして、ただ将来アメリカから借りるというような場合におきましては、もとよりMSAの援助を受けなければならぬかと考えております。
  49. 中村高一

    中村(高)委員 そうするとMSAの援助を受けなくても現在のものならば関係ないか。もし受けないということになれば、将来の貸与はあるいは断られるかもしれぬ、こういう答弁ですか。
  50. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まさにその通りであります。
  51. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと、万一MSAの援助を受けないということになれば、保安隊に関しまする予算などというものは、全部日本の経費で引続いてこれからやつて行く、こういうことになると思うのでありますが、これはきわめて重要な点でありまするので、お答えをはつきりしていただきたいと思います。
  52. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 MSAの援助を受けないということになりますると、将来保安隊については相当な経費の増額を行わなければならぬかと考えております。
  53. 中村高一

    中村(高)委員 そうするとMSAの援助を受けるか受けないかということは、保安隊の将来の増強に関しましてきわめて重要な関係があるということは、ただいまの長官説明でよくわかるのでありまするが、そうしますると、長官自身としてはMSAの援助を受けて、そうして保安隊を増強して行く、こういう考えにははつきり賛成だ、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  54. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 少くとも今の保安隊の態勢を維持し、またかりにこれを増強するという必要が生ずる場合におきましては、むろんMSAの援助を受けなくちやなりません。従いまして私はMSAの援助を受けることが望ましいと考えております。
  55. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと、あなたの例の試案だといわれるものは、やはりMSAの援助と関連があるということも一応考えられるのでありまするけれども、将来の計画というものはMSAの援助という静のを目当にして計画を立てておるのではないか、こういう点でありますが、今の御答弁からもそういうふうに考えられまするが、いかがでしようか。
  56. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そうではございません。日本の財政的見地から、日本独用でやり得る場合にはどうかという一応の見当をつけただけであります。MSAとは関係はありません。
  57. 中村高一

    中村(高)委員 保安隊の費用については、将来MSAの援助を受けてそれで充実して行こうということから考えて行きまするならば、これから増強されて行く、何年計画かあるいはどういう計画か知りませんけれども、増強されて行くものについては、MSAの援助によつて増強して行くというそのことはお認めになつていいのじやありませんか。
  58. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 二つの考え方があります。つまりMSAの援助を受けて漸増して行く場合とMSAの援助を受けず、日本の財政的に許す範囲においてどういうぐあいにして増強して行くか、この二つの考え方があると考えます。必ずしもMSAの援助を受けなくても増強し得るかどうか、これはまた別問題であります。
  59. 中村高一

    中村(高)委員 長官計画はその二つのうちのどちらでしようか。国内予算だけでやつて行こうというのか、援助を受けてそれで充実して行つた方がいいというのか、どちらでしようか。
  60. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の一応見当をつけたいところは、日本の財政がどれくらいの程度まで許すかという見当をつけてみたい、こう考えております。
  61. 中村高一

    中村(高)委員 他の諸君もありましようから、この程度で……。
  62. 稻村順三

    稻村委員長 関連質問の申出がありますので、これを許します。島上善五郎君。
  63. 島上善五郎

    島上委員 それでは長官は、日本経済ではどれくらいの範囲まで保安隊の費用にまわすことが適当であるとお考えになつておりますか。
  64. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはまだ検討中でございまして、はつきりしたことは申し上げかねます。せつかく検討中であります。
  65. 島上善五郎

    島上委員 しかし一応の心づもりにせよ何にせよ、試案というものをつくつたのですから、その試案をつくる際に、国家予算から何%の割合で保安隊の費用を計上するのが畑野であるかという考えがないはずはないと思います。それをお伺いしたい。
  66. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは各国の例もありましようし、いろいろの見地から検討しなければならぬのであります。これは私はただいま申し上げることはできません。
  67. 島上善五郎

    島上委員 それではほかのことをちよつとお伺いしますが、土曜日の本委員会において警備計画、私どもは防衛計画新聞で理解しておりまするが、いずれにし属しても、その計画の発表については予算委員会からの要求もあり、本委員会においても強い要望があり、とくと考慮しておくということでありました。その後たしかに本委員会委員長から文書をもつて、本日の正午までに提出するようにという要求があつたやに承つておりますが、長官は昨日の日曜一日ゆつくりお考えなつたと思いまするが、その結果をお伺いいたしたい。
  68. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 いずれ後刻それについて御回答申し上げたいと考えております。
  69. 島上善五郎

    島上委員 もう現に保安庁法の一部改正という法律が出ておりまして、おそらくただちに審議に入ることと思いまするが、これに関連して私どもぜひ伺いたいことがたくさんあるので、その後刻とは一体どの程度の後刻であるか、はつきりしてもらいたい。
  70. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 おそくとも本日中に御回答いたしたいと考えております。あるいは遅れるかもわかりません。
  71. 島上善五郎

    島上委員 そういうあいまいなことでは困る。では本日中と理解しておきます。  もう一つは、私ども土曜日に聞きましたが、この際念のためにもう一ぺんはつきりお伺いしておきたいと思います。木村長官の言われる警備計画なるものは、戦争前の軍が秘密を守つて発表しなかつた作戦計画と同じような性質のものであるかどうかということをお伺いしたい。
  72. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 作戦計画とは違います。
  73. 島上善五郎

    島上委員 辻さん、よく聞いておいてくたさい。  話は飛びますけれども、今保安隊から相当数アメリカヘ留学されているようですか、羊の員数と目的をお伺いしたい。
  74. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その件に関しましては、次長よりお答えいたします。
  75. 増原恵吉

    ○増原政府委員 百二十五名であつたと思いまするが、計百四十三名を行かせる予定であります。参りまする目的は、向うの各種学校でそれぞれのコースに従いまして技術的訓練を受けるということを目的にいたしております。
  76. 島上善五郎

    島上委員 私どもの承知しているところによりますれば、向うへ参つての訓練は、米軍の中隊長の訓練を受けている、こう伺つておりまするが、事実でございますか。
  77. 増原恵吉

    ○増原政府委員 中隊長の訓練を受けているという明確な状況は、まだ把握をいたしておりません。中隊長訓練というふうなこともあるいはやつているかと存じます。
  78. 島上善五郎

    島上委員 どうも送りました目的が、日本保安隊性質にかんがみましてはつきりしない点がございますが、新聞の報道によりますれば、この訓練の学生を送つているところは北大西洋条約機構に参加している国もしくはMSAの援助に基いて米国と共同防衛の態勢にある国である、そうしてアメリカはこの訓練の目的軍隊の標準化、規格化といいますか、アメリカと同じ規格にいたしまして、米軍がこの諸国の軍隊と共同作戦を行う場合を想定してやつている、こういうふうに伝えておりまするし、私どもそうであろうと思いますが、その点はいかがでありましようか。
  79. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 アメリカがどういう目的でやつておるということはわれわれは関知いたしません。しかし私が常に考えておるのは、いわゆるそのりをむなしゆうして天下の善を受けよという気持で、どこまででも研究する必要がある。アメリカと限りません。どこの国でも、いいものならば卒直にこれを受けて研究させることが意義あることと考えております。そこでこの派遣の目的は、今次長から申しましたように、いろいろ向うで技術的の面、ことに今後日本においてはすべての面において技術の向上をはからなければならぬ。それについてはまた保安隊もその一翼を買つているのでありますから、保安隊の質的向上をはかる面からいたしまして、それらの技術の取入れあるいは訓練の方法をよく研究させることが日本のためだろう、こう考えておる次第であります。アメリカの目的はどこにあろうと、われわれは一向そんなことは意に介さないのであります。
  80. 島上善五郎

    島上委員 私ども今までの御答弁によりまして、日本保安隊国内治安を守るためのものである、こういうふうに承つておりますが、日本国内治安を守るためにアメリカの軍の訓練方式を学ばなければならぬという理由は、日本国内治安とアメリカの国内治安とが非常に似通つているとでも申しますか、そういう点があるので、特にアメリカへ行つてその訓練を受けるのでございましうか。
  81. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そうではございません。アメリカと日本とは国情も違いますし、地勢も違いますから、アメリカの訓練そのままを日本へ受入れるという考えでやつておるわけではありません。つまりアメリカにおいていいところがあればこれを大いに受入れようということの次第にすぎないのであります。
  82. 稻村順三

    稻村委員長 中村梅吉君。
  83. 中村梅吉

    中村(梅)委員 今島上君のお尋ねになつてつた点から先に伺いますが、アメリカに留学する着目四十三名を予定しておるという次長からの御答弁でしたが、百四十三名は、その一部がすでに行つておる、これから行く者も合せて百百十三名を予定しておるというのですか。
  84. 増原恵吉

    ○増原政府委員 百四十三名は相当部分がもう行つておるのであります。全部行つたかどうかちよつと今はつきりしませんが、相当部分は今行つておるのです。
  85. 中村梅吉

    中村(梅)委員 このアメリカへ留学したのは、アメリカ側の要請に基くものですか。日本の自発的に留学をさしたものですか、その点を伺います。
  86. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはもとより日本独自の考え方によつてつておるのであります。アメリカの要請というわけではございません。
  87. 中村梅吉

    中村(梅)委員 先ほど次長の御説明によりますと、留学をさした者は各種の学校に入つてそれぞれのコースに従つて技術の習得をしておるのだというようなお話でございましたが、それぞれの学校あるいはそれぞれのコースというのはどういうところでありますか。アメリカの軍人を養成しておる学校に入つおるようにもわれわれは伺つておるのですが、その現在留学しておる学校について詳細を承りたいと思います。
  88. 増原恵吉

    ○増原政府委員 向うの学校は、大体歩兵学校であるとか、砲兵の学校であるとか、施設の学校であるとかいうふうな、いわゆる軍人の学校と見ていいのであります。コースに従いましてと申しましたが、準教程というふうなコースであります。これは普通向うでは州兵、予備兵、コースト・ガードというような連中が受けるコース、それに準じたもの、そういうものを受けておるわけであります。
  89. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私ども今まで国会における各場面の討議において、今なお了解の完全につかない点は、政府が常に保安隊及び警備隊は自衛力漸増を目的としたものであると言われておるのですが、自衛力漸増の観念ですね。政府は自衛力漸増の目標に向つて進んでおられると言うのですが、一体その最終の目標はどこにあるのか。現段階において国内治安目的としておるものであるということはしばしば政府当局から御説明のあるところでありますが、さてこれはあくまで国内治安のみを目的としておるのか、あるいは最終目的日本の国土防衛をみずからになうという段階主で到達しようとする自衛力漸増であるか、この点を明らかにしていただきたい。
  90. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まことにごもつともな御質問考えます。私は常に申し上げておりまするように、一体独立国たる以上はみずからの手によつてみずからを守るという態勢を一日も早く整えなければならぬと考えております。ところで現在の日本の情勢を考えてみまするに、経済力その他の各方面から検討いたしまして、とうていそれだけの態勢いは整えることができかねるのあります。そこで直接防衛に対しては日米安全保障条約によつてアメリカ駐留軍の手によつてこれをする、国内治安についてに保安隊警備隊によつてこれを、やつて行こう、これが現在の建前であるのであります。そこで自衛力の漸増と申しますと、少くとも今後日本がいかなる国際情勢において治安が撹乱されるようなことがあつても、これを十分にみずからの手によつて行くだけの態勢は整えて行かなければならぬ、こういう建前であらゆる情勢に応ずるように日本保安隊警備隊をしつかりしたものにして行きたい、これが精神であります。その方向に向つて今いろいろわれわれは考えて、国会の御審議を願つておる次第であります。
  91. 中村梅吉

    中村(梅)委員 そういたしますと、保安隊ができた当初であつたと思うのですが、吉田総理が長官を兼ねておりましたときに、保安隊の何かの式に臨みまして訓示をされた中に、諸君は将来国土防衛軍の中核をなすものである、大いにしつかりやれという意味の訓示をしたことが伝えられまして、新聞にも出さして、世間はそれでは保安隊軍隊なのか、あるいは近く軍隊になるのかということで非常に関心を寄せたことがありましたが、大体その線に沿つて現在は進んでおるものと見てよろしゆうございましようか。
  92. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 遺憾ながらただいまのところはその線まで沿つていないのです。これは保安庁法第四条において明確に規定されておりまするが、現在の保安隊といたしましては平和と秩序を維持するということになつておるのであります。しかし総理のいわれたこともそう私は解します。君たちは日本の平和と秩序を維持する根幹である、何よりもまず日本国内の平和と秩序を維持するということが独立国家として当然なすべき事柄である、この任務をお前たちはになつておるのだからどうかしつかりやつてもらいたい。こういう意味であろうと私は解釈しております。
  93. 中村梅吉

    中村(梅)委員 アメリカへ留学に出しておる百四十三名が、アメリカの砲兵、歩兵あるいは機械化部隊のそれぞれの單の学校に入つて勉強をして技術を習得しておるということは、結局するに今私が申し上げたような線に沿つて進んでおるというこれは現実の現われだと思うのですが、その点は長官はどういうふうに御説明になりますか。
  94. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは将来日本の手によつて日本防衛する、つまり直接侵略に対しても日本防衛態勢を立てるか立てないかということは、これは国会において十分御審議を願い、国会で定めらるべきことであるのであります。われわれの職責といたしましては、どこまでも保安庁法の趣旨に沿うて行くほかいたし方がないのでございます。ただアメリカに留学さしておるものにつきましては、私の考えといたしまして、あらゆる技術を習得させるということが将来の日本にかえつていいのじやないか、また保安隊を質的に増強させるについてもこれは妥当な方法だ、こう考えておる次第であります。
  95. 中村梅吉

    中村(梅)委員 先ほどの長官のお言葉からすれば、結局は独立国家である以上は、日本人みずからの手によつて外敵に備える防衛力も十分に持たなければいかぬ、こういう御趣旨と拝聴するのでありますが、その通りつてよろしゆうございますか。
  96. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まさにその通りであります。
  97. 中村梅吉

    中村(梅)委員 そこで私は次に伺いたいと思います点は、あるいは総理に伺うのが妥当であるかもしれませんが、長官保安隊の責任者でありますから、また今の長官のお答えにも関連いたしますので、念のため伺いたいと思うのですが、安全保障条約には多分五箇年の期限が一応ついておると思いましたが、この安全保障条約に定められた期限というものは、延長をしないで、そうしてその期間内に米軍に撤退してもらう、こういう目標に向つて政府としては進んでおられるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  98. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 日米安全保障条約につきましては期限の定めがたしかないはずであります。第四条に規定されておるのですが、念のために一応お読みいたします。「この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。」こういうことになつておるのでありまして、期限の定めはないのであります。
  99. 中村梅吉

    中村(梅)委員 それでは伺いますが、現在の政府当局は一体アメリカ軍を永久にこの安全保障条約によつて駐留させようとする意図であるか。あるいは先ほど長官の言われたように、そうではなくて、日本みずから自衛の力を持たなければならぬ、こうであるとするならばどの時期に米軍の撤退の完了を求める予定であるか。あるいはまたもろちん米軍の撤退を受けるにしても、一度にはできないことでありましようから、保安隊を増強して、外敵に備える力を持つて、それに即応して逐次撤退を受けるとするならば、どういう順序で進めて行こうとする目標に従つて現在のの保安隊員の養成あるいはアメリカヘの留学、これらのことを進めておられるか、その目安を承りたいと思います。
  100. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 申すまでもなく、日本国民は大多数と申しましようか、一日も早く日本の自衛態勢を整えて、アメリカ駐留軍の引揚げを希望するものと私は思つております。いつまでもアメリカのごやつかいになりたくないというのは日本人の気持だろうと私は思います。そこでこの自衛態勢をいかにして整えて行くかということは、これは国民が真剣に考慮すべきことである。ことに私は国会議員の各位において十分にその点の御検討を一日も早くお願いしたい、こう考えております。そこでわれわれは積極的に、しからばいつの時期においてアメリカ駐留軍を引揚げるまでの段階に達し得べきかということについては、目標も何も率直なところ今持つておりません。そこでわれわれは、これは日本の財政の面、あるいは一面において日本国民の精神力の面その他各方面のことを十分検討いたしまして、どうすればいいかということをわれわれは今後の課題として大いに検討して行きたい、こう考えておる次第であります。
  101. 中村梅吉

    中村(梅)委員 長官の言われるのは、日本人みずから国土の自力防衛力をすみやかに持ちたいというのが、国民の大多数の考えているところだろう、ついてはこのことは国民全体が真剣に考えるべきことだというお説でありましたが、私どももこの点は真剣に全国民が考慮しなければならぬことだと思うのです。そうであるとするならば、なぜ政府もつと真剣にこの点を考えてもらえるように積極的な方途を講じないか。たとえば保安隊のあり方にいたしましても、アメリカヘの留学にいたしましても、まつたくつめを隠すようにして国民にはひた隠しにしている。先ほど中村君の御質問で初めて百四十三名の留学生があるということをわれわれは正式に承知いたしたのでございますが、こういうようなことも広く国民によく周知せしめて、政府の意図するところはここにあるんだという点を明らかにすることが、国民の理解ある協力といいますか、国民の理解ある将来ヘの力強い、盛上る力をつくつて行くゆえんだと私は思うのですが、この点についての政府の今までの態度は、私ども見ておつて、遺憾にたえない。もつと積極的に国民にこの点を真剣に考慮してもらいたいんだという態度で、今後進めることを私は要望して、同時にこれに対する長官の御所感をこの際承りたいと思います。
  102. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 御要望まことにありがたく思います。従来その点については遺憾ながら欠点があつたということは私は率直に認めます。もう少し私はすべての方面において、宣伝と言えば語弊がありますが、十分に国民に理解していただくような処置をとりたい。これは余談でありますが、きようの新聞か何かで拝見いたしますると、保安隊は北九州、災害のときなんかなぜやらないかというようなこと。これも宣伝が足りぬからだと思うのです。実にいち早く出たのは保安隊であります。現在も一千名出ております。あらゆる面において活躍しておるのであります。各災害県の知事から、感謝の電報も来ております。こればかりではありません。北海道の山火事においても率先これを鎮火させたのは保安隊であります。私どもこの前旭川に行きまして、旭川の市長の坂東幸太郎氏から非常に感謝された。これまで税金を払つてつたが、旭川で除雪してくれたことがない。ところが保安隊がただちにブルトーザーでもつて除雪してくれた、まことに感謝いたしますということです。また鳥取の火災のときもそうであります。松江の火災のときもそうであります。かくのごとく保安隊は一朝災害のあるときは喜んで出動いたしまして、民生の安定に寄与していることをこの際に私は特に申し上げたいと思います。宣伝の足りないところはもう少し努力いたします。
  103. 中村高一

    中村(高)委員 今の長官の御説明で、今度の水害に一千名保安隊が出ているという話でありますが、それは九州におるものだけですか、それとも他部隊でも援助が行つているのでしようか、何か新聞を見ると、ほかの部隊も応援に出るとかいうようことが出ておりましたが、それは九州にいる者を一千名動員したというのでしようか。
  104. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまのところはいわゆる第四管区、九州のものであります。しかし第三管区の方へも各県から応援を求めております。即刻これを手配いたしたいと考えております。あらゆる手を打つてこの救済に努力いたしたいと思います。
  105. 中村梅吉

    中村(梅)委員 そこで私は責任者としての長官に伺いたいのですが、最近国会その他世間で非常に問題になつておりますMSAの援助であります。これは援助を与える方のアメリカ側にしてみれば、アメリカの相互安全保障法に基いて出すわけでありまして、大体あの相互安全保障法を見ますると、結局私は、このMSAの援助を受ける以上は、発展して行くところは集団防衛ということになると思うのです。そこで日本の将来の防衛の基本的な考え方ですが、これにはいろいろ考え方があるりまして、一部には無防備中立がいいと言う人もある、あるいは一部には自衛中立がいいと言う人もある、一部には集団防衛でなければ今後の国際戦争には応じられないから、集団防衛がいいのだ、こういう議論もあります。この二つのケースのうち、日本政府としては一体どれをねらいとして今後進めて行くか、この点が私はMSAの問題に関しても根本的な問題だと思うのです。まずこの基本の腹構えがきまらなければ、MSAの援助を受けることか決定できないのじやないかと思う。これを受ける以上、結局アメリカの相互安全保障法に基いて自然発展して行くところは、今は国内治安の維持と保安隊に対する備えの強化だけで向うは援助するかもしれませんが、これは一年、二伸のことであつて、先々は自然に、相互安全保障法に基く他の軍隊を持つた国家と同列に日本は進んで行くのだ、そうなることは、勢いのおもむくところ結局集団防衛に行くのだ、こういうことになつて行くと思うのです。ですから結局この腹構えがはつきりきまつていなければ、MSAの問題も決定できない事項じやないか、こう私は思いますので、この機会にその責任者である長官から、一体国土防衛の将来のケースはどこヘ基幹を置いて進めて行こうとしておられるか、この点をはつきりと承つておきたいと思います。
  106. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それもまことに適切な御意見であると思います。考え方が三つあることはまさにその通りであります。しかし、これは政府で正式にきまつたわけでも何でもありませんが、一個の保安庁長官木村としての考え方は、将来は集団防衛で行くべきであろうと考えておる次第であります。われわれは自由国家群の一翼をになつて世界の平和に邁進する、この建前をとる以上は、自由国家軍と互いに牛を握つて行くということが当然な道であろうと私は考える次第であります。
  107. 中村梅吉

    中村(梅)委員 もう少々伺つておきたいと思いますことは、先日来の質疑を拝聴いたしておりますと、長官の言われた言葉の中に、どうもざつくばらんな表現でない結果だろうと思うのですが、保安隊国内治安の維持ということに使命を持つているのだということを力強く表現するために、集団暴徒というようなものも予想される、この集団暴徒に備えるためには現在の保安隊程度の自衛力がなければ因るのだという趣旨の御説明があつたと思うのですが、一体この集団暴徒が予想されるような日本国内治安の状況にあるかどうか、この点は私は大きな問題だと思う。同時にこういう表現をされることは、国民は何か目に見えないところに国内には非常に暗雲が欝積しておつて、危険な状態にあるかのごとくに、むしろ国民のいらざる危惧を招くのではないか、私はこう思うのです。ですから保安隊の性格なり、目標なりというものが、——さつき御説明のように将来は自力防衛段階に行くのだ、あるいは自力防衛と同時に集団防衛段階に進めて行くのだという目標がはつきりすればよろしいのですが、そうでなしに、集団暴徒に備えるのだというようなことは、私は由々しい問題だと思うのです。はたしてそう言われた長官の気持として、あるいは現在の見通しとして、この集団暴徒に保安隊を備えるような状境が現に予想されるのか、また国内治安の状況はどういう状態になつておるか、あまり時間を要しますことは私も遠慮したいと思いますが、もしできれば、木村保安庁長官だけで困難でございましたら、法務大臣にでもおいで願つて、しかるべき機会に、十分われわれなり同時に国民全体が納得の行くような国内治安の状況の詳細について、この委員会説明をしていただきたいと、私はこう思うのです。この国安内治と集団暴徒に関する百長官の見通し、予想、そういうような点あるいは具体的な資料について、この機会に承りたいと思います。
  108. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はただちに集団暴徒が出て来て侵すというようなことは考えおりません。しかしいろいろな点から予想して、さような場合においても、日本治安を維持する態勢を整えて行かねばならぬのであります。これは各国にも例があることでありますから、そう申したのでありますが、いたずらに国民を刺激するということでありますれば、私はまことに遺憾と思います。しかし少くとも考えさせられることは、保安隊としての使命は、国内の平和と秩序を維持することであります。申すまでもなく、不幸にして外国から集団暴徒が侵入して来た場合においては、もとより国内の平和は乱されるのであります。われわれの考えておることは、各国の例を見て明らかでありますごとく、直接侵略と間接侵略と同時的に起るということは常に見るところであります。そういう場合においては区別はつかないのであります。要するにわれわれの保安隊といたしましては、どこまでも、いずれの場合であつても、国内の平和と秩序だけは維持しなければならぬ、この建前は堅持しております。その暴徒の内外たるを問わず、そういうときには保安隊は出動することが当然なる道であろう、こういうふうに私は常に申しておるのであります。そこで現在国内がどういうことになつておるかということにつきましては、これは法務省の一部の公安調査庁において取調べている次第であります。いずれ機会があつたら、その方面から説明してもらうことにいたしたいと思います。
  109. 中村梅吉

    中村(梅)委員 最後に一言、あまり時間をとりますから何したいと思いますが、せんだつて島上氏から五箇年計画の資料の提出を求められました。そういう御計画がたとい腹案なり、試案なりといえどもある以上は、私先日申しましたように、目下のところ保安隊か外敵に備えるものではなしに、もつぱら国内治安の保持にあるのだということであれば、別段軍の作戦計画に関するようなものではございませんので、国内治安状況をつまびらかにすると同時に、保安隊の進め方、増強の仕方等について具体的なものをまとめる前に、私はこういつた国権の最高権威である国会内閣委員会の機構の中にそれを持ち出して、十分に議を練つてともに納得ずくでそれを進めて行く、こういう虚心坦懐な行き方が私は妥当だと思うのです。もちろん、それをお示しになれば、そういうものの考え方なり五箇年計画なりというものについて大いに反対する人もございましようし、あるいは賛成する人もございましよう。最近朝日新聞の世論調査によりますと、国防というものについてのものの考え方国民感情は非常にかわつて来ておる。こういうような段階にあるのでありますから、政府は、どこまでもつめを隠すような行き方でなく、そういうものはもつとざつくばらんにさらけ出して、——百分たちは今こういう腹案を持つておる、考えがある、試案がある、こういうことをざつくばらんにさらけ出して、そうして反対する人には大いに、反対論を述べてもらう、賛成する人には賛成をしてもらう、こういう行き方の方が私は妥当な政治の進め方ができるだろうと思います。そこで質問として伺いたい点は、国会法の百四条には、官庁及び公共団体国会の請求する資料あるいは記録、そういうものを提出する義務があるということがはつきり書かれておる。国会法の解釈からいつて、当委員会なり予算委員会から提出を求められた以上は、これはないものは出せませんが、あるものである以上は政府は出す義務がある、こう私は解釈をいたしますが、この点は、法律家としての長官はいかにお考えになりますか。
  110. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の試案というものは、まだ庁議にもかけていないのであります。もとより私はあなた方らに対して隠すわけではありません。それであなた方らにこれを御検討願うという以上は、庁議にもかけて、その一応の成案を得たものでなければならぬのであります。成案を得ない前にこれをかけるということは、いたずらに混迷を生ずるわけであります。私は、保安庁で、少くとも庁議でもつてこういう案が立つたのだということになれば、率直にこれは御検討を願いたいと思います。もとよりこの警備計画を立てるにいたしましても、元来はこれはあらゆる面からの検討を要するのであります。従つて、この前にも申し上げました通り経済審議庁なり、大蔵省なり、あるいは通産省なりの専門家と連合会議して一つの案を立てることが、これが一番の筋通なのである。しかし、その前提といたしまして一応保安庁において、立てるということはどうかと思う。保安庁内で立てるその心構えだけを私は持ちたいというのでありまして、保安庁の庁内の議もまだ経ていないのであります。その前のものを出すということは、あなた方らに御審議を願う材料にすらならぬものであると考えておるのであります。もとより、保安庁で議を経まして一つの成案を得ますれば、ほかの省に関係は持たなくても、保安庁でこういう成案を得ているのだからということで御審議を願つてもよかろうと考えておる次第であります。
  111. 中村梅吉

    中村(梅)委員 ほかの大臣に対する質疑は保留いたしまして、これで一席打切ります。
  112. 稻村順三

    稻村委員長 島上君、関連質問ですからほんとうに簡単に願います。
  113. 島上善五郎

    島上委員 さつき質問しようと思つて、ちよつと落したので簡単に質問いたします。  アメリカの要請ではなくて日本が自主的に留学生を送つたのだというお話でしたが、この費用はたしかにアメリカ持ちと聞いておりますが、いかがでございましようか。
  114. 増原恵吉

    ○増原政府委員 これは往復旅費、滞在の費用等こちら持ちでございます。日本持ちでございます。ただ、何といいますか、授業料に相当するような部面は向うが免除してくれるという便宜をはからつてくれております。往復旅費、滞在費等こちら持ちでございます。
  115. 稻村順三

    稻村委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は、先刻木村長官より、本日中に委員長要望に対する回答をなす旨の御発言がありましたので、その同等が参つたらただちに開会いたすことにいたします。暫時休憩いたします。      ————◇—————     午後零時五十五分休憩