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1953-07-30 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十日(木曜日)     午後二時四十二分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君 理事 松前 重義君       庄司 一郎君    玉置 信一君       齋藤 憲三君    柴田 義男君       甲斐 政治君    松井 政吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君  委員外出席者         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 七月二十九日  委員河野一郎辞任につき、その補欠として根  本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員三浦寅之助辞任につき、その補欠として  庄司一郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四五号)  (請願別紙)  一 公共放送諏訪中継所設置に関する請願(    原茂紹介)(第九一号)  二 日本放送協会テレビジヨン放送免許決    定等に関する請願伊藤郷一君紹介)(第    五六四号)  三 電気通信施設整備改善に関する請願(岩    川與助紹介)(第七四〇号)  四 豊岡電報電話局電話施設整備拡充に関す    る請願有田喜一紹介)(第八五五号)  五 塩沢郵便局電話交換台新設請願(河原    田稼吉君紹介)(第一一〇四号)  六 杉生郵便局電話交換事務開始請願(山    口丈太郎紹介)(第一二一三号)  七 公共放送岡谷中継所設置に関する請願(    原茂紹介)(第一二一四号)  八 四和村に飛地多数共同電話架設請願(山    崎岩男紹介)(第一二一五号)  九 御坊電報電話局舎新築等請願田渕光一    君紹介)(第一三四〇号) 一〇 鹿屋電報電話局舎新築請願永田良吉君    紹介)(第一八四三号) 一一 鹿屋、鹿児島間に超短波無線電話設置の請    願(永田良吉紹介)(第一八四四号) 一二 歌垣郵便局電報電話事務開始請願(松    原喜之次君外一名紹介)(第二二九九号) 一三 下関市の電話施設拡充に関する請願(田中    龍夫君紹介)(第二五九七号) 一四 亀崎電信電話局統合に関する請願早稻田    柳右エ門紹介)(第二七九七号) 一五 東里村の電話施設整備拡充に関する請願(    伊瀬幸太郎紹介)(第二七九八号) 一六 水窪、遠山局間電話市外回線設置請願(    足立篤郎紹介)(第二七九九号) 一七 山田村内電話吹田電話局に移管切替えの    請願淺香忠雄紹介)(第三二二二号) 一八 電話事業開放に関する請願椎熊三郎君紹    介)(第三三六四号) 一九 夜間及び早朝の電話通話料割引制度復活の    請願田口長治郎紹介)(第三六〇七    号) 二〇 口永良部島に超短波無線電話架設請願(    岩川與助紹介)(第三六〇八号) 二一 戸木小田山線テレビジヨン中継所設置の    請願高津正道紹介)(第三六四五号) 二二 公衆電気通信法案の一部修正に関する請願    (小笠公韶君紹介)(第三九八二号) 二三 電話事業開放に関する請願羽田武嗣郎君    紹介)(第三九八三号) 二四 電信電話料金値上げ反対請願高橋圓三    郎君紹介)(第四〇三〇号) 二五 日吉土居線電話架設請願井谷正吉君外    二名紹介)(第四二六〇号) 二六 電信電話料金値上げ反対請願成田知巳    君紹介)(第四五七二号) 二七 同(中村梅吉紹介)(第四六三四号) 二八 同(原茂紹介)(第四六八九号) 二九 国立療養所入所者ラヂオ聴取料免除に関    する請願正木清紹介)(第四五七三    号) 三〇 亀崎電信電話局統合に関する請願早稻田    柳右エ門紹介)(第四六三五号) 三一 御蔵島村に電話架設請願菊池義郎君紹    介)(第五五二一号) 三二 電信電話料金値上げ反対請願大石ヨシ    エ君紹介)(第五七四九号) 三三 奈良市の電話施設整備拡充に関する請願(    秋山利恭紹介)(第五七六六号)     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  本日公報に掲載されました請願三十三件を一括議題といたします。各請願趣旨は、文書表によりよく御承知のことと存じますので、請願紹介説明はこれを省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。  なお各請願に対する政府所見は、後ほど文書をもつて求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 成田知巳

    成田委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお以上各請願の採否は、慎重に審査いたしました上で決したいと存じます。     ―――――――――――――
  5. 成田知巳

    成田委員長 次に、放送法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続けます。通告順にこれを許します。斎藤君。
  6. 齋藤憲三

    齋藤委員 一昨日甲斐委員質問に対しまして、郵政大臣お答えになつたのでありますが、そのお答えによりますると、非常に激職を幾つもお持ちになつておられるので、この放送法の一部改正審議中の委員会には努めて出席をしておるのであるが、なかなか思うようにならないというお答えがあつたのであります。私の観点から考えますると、いかなる激職をお持ちになつておるかは存じませんけれども、この電波行政というものは、今日の世界情勢から考えて非常に重要なものである。そういう点から。私は今日の郵政大臣のお立場に一面御同情を申し上げると同時に、国政の建前から非常な不満を持つておるのであります。しかしこれは別問題といたしまして、そのときお答えの中に、甲斐委員質問経営委員会状態について、もつと専門家をそろえたらいいじやないかという意味のことかあつたのでありますが、これに対して郵政大臣は、むしろ専門家よりは常識を持つたしろうとの方がいい、自分しろうとだ、しか大局からすべての電波行政というものには判断を下すのである、ここに集まつておる電通当該委員専門の方はおられないだらうが、大局から常識をもつて審議をせられるということが、この一部改正法案に対する結論を得る意味において妥当であると考える、こういう言葉がございましたので、私も非常に安心をいたしました。しろうとの、ことに常識もあまり持つておりません私の質問でございますから、はたしてその核心をつくかどうか、質問の時間に価値を認めるかどうかはわかりませんが、とにかく私の考えから申しますると、今日の事態における電波行政というものの日本における価値というものは、これは非常に貴重なものである、尊重しなければならぬ、私はかように考えておるのであります。こういう意味合いにおきまして、まず勢頭郵政大臣の持つておられまする電波行政に対する抱負経論、認識をひとつ承つておきたいと思います。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理   着席〕
  7. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 どうも私の電波行政というものが非常に重要なものであるということは、先日もお答え申し上げた通り、そうしてしかも今日重要であるばかりでなく、今後一層重要性を高めて行くものであるというように考えておるわけでありますが、何にいたしましてもしろうとでありますので、この方面に関しての抱負経綸というようなものは何も持つておりませんので、まことにどうも恐縮でございますが、御了承願いたいと存じます。
  8. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうも電波行政抱負経輪を伺わないで、この改正法論議ずるということは、意味をなさないと考えるのであります。ことにこの一部改正法律案提出理由を拝聴いたしますと、これはもつと研究をする必要があるのだ、全般的にやらなければいけない、電波法及び放送法は、電波放送の発展に対処し、法制整備を広く要望されている、こう言われております。郵政大臣大臣におなりになつて、おそらく私の考えでは、電波法放送法も読んでおられないだろうと思う。しか電波というものが今はいかなる貴重性を持つて世界の全般にわたつて交錯しておるかということもお考えにならないで、なぜ今突如としてこういうような改正法律案をお出しになるのか、それをひとつ承つておきたいと思います。
  9. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 抱負経論を言えというお話でありましたが、抱負経綸ということになると、抽象的にいろいろなことを申し上げないと一向抱負経綸の形をなさないのでありますけれども、断片的にこういう問題についてどうだということでありますれば、就任以来若干の点は研究もし、またいろいろ部局長説明を聞きましたので、何がしか考え方はまとまつてつているわけであります。そういう意味において、具体的にこの問題をどうするかということであれば、何がしかお答えができると思います。  そこでその話は別といたしまして、十分まだ放送法電波法も読んでおらぬじやないかということは、まさに御指摘通りでありまして、十分頭に入つておるほどは読んでおらぬのであります。しかしそうはいいましても、やはり今日の段階で最小限度に必要だと思われるものは、一応局長の話を聞くなりして、それに必要な範囲において検討してみますれば、おのずから独自の結論というものは出て参るというふうに申されるわけでありまして、少くとも当面これくらいの措置はしておく方が、今後の仕事の運営上非常によいのではないかという程度最小限度のものを改正案として出しまして、先般来いろいろと御審議を願つているわけであります。
  10. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまの御答弁によりますと、電波監理局長説明によつて、これは必要であるということをお考えになつているということでありますが、電波監理局長は、もちろん電波法精神及び放送法核心を縫うところの精神十分大臣に御説明なつた上に、ぜひともこの改正案は現下において必要である、こういう御認定の上で御説明なつたと思いますが、局長はいかがでございますか。
  11. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。電波法並び放送法の問題につきましては、大臣に御説明申し上げ、今回その中で放送法の一部を改正する当面の問題についても御説明申し上げ、御了解を得まして、国会の御審議を得たいと存ずる次第であります。
  12. 齋藤憲三

    齋藤委員 その改正法律案がぜひとも必要であるという御結論に到達いたします前提として、法案提出説明の中には、法制整備む広く要望されておるので、この状態に即応して抜本的な改正もやらなければならぬ、こういう電波局長のこの間の御答弁もあつたのでありますが、一体電波というものの進歩は、しろうとの私から考えましても刻々に変転きわまりなきものである。しかるに三年もたつて、この電波法改正を必要と考えておられるにかかわらず、今この一部改正法律を出したので、その一部改正法律案をやつておるうちに、電波はもうどんどん進歩しておる。抜本的な改正をやらんとすることはお考えになつておられるのでありましようし、この抜本的に広く法制整備もやるのに、調査、研究に時日を要するということも言つておられるのでありますが、これはどういうような建前で今研究を進めておられるのか。
  13. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。今回御審議をいただいておりますものは、元来放送法の一部改正であります。もちろんこの放送法に基きまして、現在放送を行つておる放送局は、電波法によつて免許を受けております。電波法が広く放送も含めまして、日本における無線局の規律を定めた法律でございます。申し上げるまでもないのでありますが、電波法につきましてはこれまでも制定以来、その都度必要な改正をいただいております。しか放送法につきましては、先般大臣かりも、これの根本的な改革につきましては、いろいろ影響するところが非常に大きいので、慎重に研究をし、また各方面意見等も十分に聞きまして成案を得たい、こういうことでその成案を得るべく急ぎ研究いたしております。電波法につきましても、同じような問題がないわけでもございませんけれども、大体今までその都度改正をいただいておりますので、本国会におきましては、放送法の一部を改正する法律案だけの御審議をお願いをいたしまして、電波法改正につきましては、型審議をいただくほどの問題もありませんので、今回は提出をしていない次第であります。
  14. 齋藤憲三

    齋藤委員 この改正法律案条項に関しましては、後ほど逐条質問をいたしたいと思うのでございまするが、電波法を見ますると第二条に、十キロサイクルから芝百万メガサイクルという光に近い電波までも、この電波法の中に収めております。従つてこの放送法の一部改正というものは、いろいろな条項から狭めて参りますと、番組の編成という、いわゆる憲法第三十一条の言論の自由という問題に対する命令、監督以外には、電波法を逐次調べてみるとあと余地がないのであります。こういうふうにわれわれ考えますと、この点は非常に大きな改正意味しておるのではないか。いわゆる電波というものに対するところの行政の点で、根本的な考え方がかわつておるのではないかというふうに思うのであります。従つてわれわれからいたしますならば、今根本的に改正を加えなければならないような態勢にある電波法、あるいは放送法、こういうものに対してこの会期差迫つたとぎに手をつけるということよりも、これを一時御撤回なされて、来るべき国会に根本的に時勢に適合するような電波法及び放送法改正法律案を御提出なさいまして、かくのごとき総入歯が欠けたような委員出席状態にあらずして、もつと充実したところの委員会においてこれを審議いたしまして、この改正を抜本的に行うということが、私は最も妥当な方法ではないかと考えるのでありますが、これに対しまして、大臣のお考えをひとつ伺つておきたいと思います。
  15. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 斎藤委員のお考えのような考え方も、私は一つのものの考え方であると思うのであります。ただ私どもといたしましては、仕事をいたして参ります上にやはり気がつきましたものは、最小限度においてはその都度都度に直して行きませんと、仕事の運営の上にさしさわりが出て参りますものでから、そういう意味におきまして、ほんの最小限度部分を今度は修正をした、こういうように考えておりますので、この点法案提出時期その他若干は遅れておりましたけれども、ぜひ今会期に御審議を得て、御賛成を得たいというように考えている次第であります。従つてこれを撤回してどうこうということは、今のところは考えてはおりません。
  16. 齋藤憲三

    齋藤委員 私の方では非常に大きな意図を持つたところの改正法律案だと考えている。政府当局の方では、これは最小限度の必要によつてやるのであるという見解の相違があるのでありますが、先ほど大臣お答えにもありました通り、まだ電波法も読んでおらぬ。放送法も読んでおらぬ。ただ局長の大ざつぱな説明を聞いて、ああそうかという程度で、こういう重要な放送法に手をお染めになるということは、私は大臣一個人のために惜しむのみならず、国家のために惜しむ、私はかように考えているのでありますが、どうしてもこれは撤回しない、どこまでも審議を続けるということでありますならば、いたしかたありませんから、貴軍な時間を拝借して、これから逐条的に御質問申し上げてみたいと思うのであります。  第一に伺いたいことは、これは大臣でも政務次官でも局長でもどなたでも適宜御回答を願います。「第九条第二項第一号中「音楽団等」を「音楽団その他これに準ずるもの」に改め、」の「その他これらに準ずるもの」というものは、どういうことをお考えになつているのでありますか。
  17. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。現在の法律におきましては「等」という言葉使つてございますが、この「等」というのは、実際には「これらに準ずるもの」と同様なものだと私思います。これは新旧ほぼ同様な内容のものでありますが、ここにこういう言葉を入れませんと、今回追加をお願いしております第九号の助成に入るものではないかという疑義が起る。第九号でありますと、一々認可を必要とする関係もありますので、こういうような種類のものは今御指摘になりましたような九条第二項に入つてつてしかるべきではないか。そういうふうな考えでいるのでありますが、なお該当すると思われますものは、舞踊団とかバレー団とか、今後テレビジヨンを本格的にやつて参りますのに、音楽団と同様に放送協会考えて行かなければならないものを予定しております。
  18. 齋藤憲三

    齋藤委員 その次に第九条の八、第二項に次の二号を加える。いわゆる八号ですが、「放送進歩発達に必要な研究を委託すること。」こうありますが、放送協会にはりつぱな研究所が設けられているはずなのであります。その研究所NHKあとう限りの金をつぎ込んで研究をするということが、私は最もよい建前だと思うのでありますが、NHKの持つている研究所以外に、NHKが金を出して研究を委託しなければならないということは、一体どういうようなことがありますか。
  19. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。御指摘のようにNHK放送技術研究所及び放送文化研究所等研究機関をみずから持つて放送発達のために長いこと尽力し、貢献をいたしております。しかし御案内のように、放送技術が最近非常に発達をして参りまして、おのずからその研究の分野が専門化して、細分化して参りました。従いまして、いかに大規模な研究所を持ちましても、それだけで十分まかない得ることのできない面が多々出て来たわけであります。たとえば電気に関する研究でありましても、材料の面から化学方面機械方面にまで入つて行かなければならないのでありまして、こういうことから、今後の限りない放送進歩発達に即応した研究を行つて行くためには、放送協会みずからが十分な研究機関を持つと同時に、部外研究機関、たとえば大学その他一流の製造会社等との共同研究の形をとつたり、あるいは特定の事項を指定しまして研究の委託を行つたり、そういうことをして行くことが、結局は日本科学技術の総力を発揮する上において必要ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  20. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、放送法の第九条で規定してある分では足りないということなんですね。
  21. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。現行の放送法第九条の第一項第一号に、放送進歩発達のために必要な研究施設を設置すること、そういう規定がありまして、部外に委託するということができない形になつておりますので、どうしても今回のような改正が必要になつて参るのであります。
  22. 齋藤憲三

    齋藤委員 そう承るとそうでございますが、これはあまり大切なことではないと思いますけれども、その第二項の五に「放送に必要な特許権及び実用新案権並びにこれらの実施権を取得すること。」ということがございますが、これによりますと特許権及び実用新案権、その他のものを取得するという建前から、幾らでも研究費がつぎ込めるというように考えられるのですが、いかがでありますか。
  23. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。研究機関放送協会として経費をつぎ込むことも、もちろん経営全体から見まして、ある程度限度があると存じます。また先ほど申し上げましたように、放送協会研究機関に各専門部分の人を常にかかえておくということが、国全体として見た場合に、はたして妥当かどうかというようなことも考えなければなりませんので、どうしてもある特定部分については、外部に研究委託するということが必要になつて来るのではないかと思います。
  24. 齋藤憲三

    齋藤委員 これはただいまの御答弁で了承いたします。  その次に「第九条に次の二項を加える。6 協会は、放送進歩発達に必要な研究成果を公表しなければならない。」とありますが、一体これはなぜ公表しなければならないのか。
  25. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。放送協会は、御案内のように公的な機関でございまして、聴取料協会に対して、平易な言葉で申しますと税金と同じような形で納められる。また協会の設立の目的からいたしましても、公的なものでございますので、そのような機関行つた研究の結果は、広く日本放送発達のために寄与するのが当然でございます。その趣旨からいいまして、この研究の結果を公表し、広く日本工業界なりあるいは放送界がこれを利用するごとによりまして、円満な発達を期するのが当然だと考えまして、この規定を今回入れたわけであります。
  26. 齋藤憲三

    齋藤委員 大臣に承りますが、放送協会進歩発達に必要な研究に金を助成して、そしてこれを公表するという建前で、その研究の結果を握ることができるとお考えになつておりますかどうですか。
  27. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 研究の結果を握るというお尋ねは、発表しないでおくという意味で握つておく、こういうことですか。
  28. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうです。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはもちろん常識的に考えれば、研究して結果が出れば、発表もするでありましようし、発表しておるのでありますけれども、しかしはつきりと規定をしておきませんと、そういうことをしないというおそれも出て来る。そこで法律の上ではつきりと規定した方がいいし、もともと放送協会本来のあり方は、日本放送実施面のサンプルみたいなものでありますから、そこでやつたことは、全部日本放送に利用させるという本来のねらいからも、発表を義務づけておく方がいいのではないか、こう思つております。
  30. 齋藤憲三

    齋藤委員 それは私は逆の考えを持つておるのでありまして、これには反対なのであります。なぜかと申しますと、放送協会自分研究所研究のできないような重大な研究を、放送協会がどれだけ助成金を出すのか知りませんけれども、ある一つ会社ないしは研究所にこの研究を委託いたし卒して、それだけの助成金のみでその研究が完成されるということは考えられないのであります。従つて勢いこれは共同研究ということになりまして、その発明の結果生じて参りますところの特許権あるいは実用新案権、そういうものに、ある意味におきましては共同所有権という形において、ある程度の秘密を守つてつてこそ、初めて研究成果が上るのであつて、わずかの助成金をもらつて、その工場を動員して研究した結果を公表しなければならないということになつたならば、そんな研究というものは事実上行われるものではないと私は思う。同時にNHKが せつかく金使つて、いい研究をいたしたそのことを公にして、外国がこれをすぐまねて、大きな生産力をもつで逆に日本の市場を圧迫するというようなことは、まことにばかな金の使い方であつて、あくまでも研究はさせるけれども、この放送進歩発達に対して、何らかの発明、発見が行われた場合には、これを何らか慎重に取扱うということが、将来日本電波を守る意味において非常に貴重なんじやないか、私はさように考えますが、もう一度この点について大臣の御所見を伺います。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それはまことに御指摘通りになつておるはずなのでありまして、研究の結果が、今御指摘のように特許とか、そういうものを構成するほどの重要なものでありますならば、当然そういう措置がとられる。その場合には、もちろん研究共同研究の結果になるでありましようから、それを当然権利者たるべき人が申請して権利とし、その権利なつたものを協会が買い入れるという形に、さつき御指摘条項にあるはずでありますが、そういう形のものはそういうふうにする。従つて研究発表するというものは、そういう部類に属しない部分をさしておる、こういうふうに御了解願いたいのであります。
  32. 齋藤憲三

    齋藤委員 その点になりますと、残念ながら郵政大臣答弁は支離滅裂でありますから、これは局長にお伺いした方がいいと思います。いやしくも特許並びに実用新案というようなものに多少とも興味を持つ者は、こういうような研究によつて重大な研究の結果が得られないということは、これはだれでも考えることなのであります。従つてもしただいま大臣答弁をせられましたように、重要でないものの研究の結果を公表するということであるならば、何もこの放送の中にこういうような改正法律案までつつ込んで、公表の義務を負わせるということは私はないと思う。一体ものの研究というものは、何か研究してくれといつて、漠然と研究助成するということはないのであります。ある一つのテーマを見つけて、このナーマを完成することにおいて必ず電波界が進歩する、これを重点的に研究してくれということで、初めてその研究というものが行われるのであります。その重点的なテーマをつかんで、夜術者あるいは学者がすべての施設を動員してここに研究を積んでこそ、初めてその結果というものが生れて来る。これをむぞうさに公表しろといつたならば、だれが一体研究成果発表するめでありますか。こんなことは社会通念からできないことなんです。できないことを法令をもつてやるということであるから、こういう点において賢明なる郵政大臣は、一つ研究してない法案だと私は思うのです。この点について御意見があつたら承つておきます。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それはどうも御質問のお気持がよくわからないのでありますが、私としましてはいろいろな研究がたくさんあると思うのでありますが、そしてその中には特許権や、そういう権利を公表するほどの必要なもの、従つてそういうものは研究の過程においてもいろいろな費用なかなかさん要するでありましよう。研究の結果がそういうものになるならば、それはそれぞれのものがおそらく特許庁に申請をして権利になる。権利になりますれば当然発表の段階というものは――かりに発表されましても、他の者がまねができないというようなことになりまして、そういうものはそういうものとして保護のできるようにおのずからなつておりますので、やはりそうでないもの、いくら研究をいたしましてもそういう権利や何かを構成しないものがきつとあります。そういうものはやはり研究した結果を世間一般に知らせて、同じようなことをたくさんなところでむだな金を使つて研究するほどの必要はない、こういう考え方で今の研究の結果を発表をしろ、こういうようになつておりますので了解してもらいたいと思います。
  34. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもわかりませんが、そうすると大臣の言われる研究成果を公表しなければならないということは、こういうことを研究させてその結果成功であつたとか、不成功であつたとかの大ざつぱな成果発表ということなんでしようか。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それはそうでなしに、発表いたします場合にはその詳細な発表をするという考え方であります。
  36. 齋藤憲三

    齋藤委員 それではこういうものはじやまだからおとりになつてはどうですか。助成するときにその結果を知らせるという約束でもつてやればいいことでありますし、そしてそれを今度審議会なり何なりにかけてこれを公表してもよろしいものだ、しかしこれは国家のためにとつておかなければならないところの成果であるという認識の上でおやりになつたらどうか。こういうふうに条文で成果を公表しなければならないということになつたら、全部の研究の結果というものは発表しなければならない、そういう重大な国家的損矢を意図するところから聞いておる。その点はひとつ慎重にお考え願いたい。
  37. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答えいたします。この条文にございますように「成果を公表しなければならない。」公表とは御案円のように公衆の知り得る状態に置くこいうことで、いわゆる特許の公開を息味しているのではございません。従いまして協会みずから研究いたしましたとか、あるいは委託した場合におきましてもその得た特許権というものを公開せよ、こういう意味において――また公表の時期もあります。特許権等か全部制定された後に公表してもいいりでありまして、この公表を特にここで規定いたしましたのは、同じ目的の研究が二重、三重に行われてはいけない。せつかく放送協会というものが世の中の期待を持つた一つの大きな研究機関を持ち、しかも国の各方面研究機関に委託あるいは助成することによつて放送技術のために、大きく申しますならば国の総力を上げるような形をとつたわけでありますから、二重、三重にダブつた研究が行われないように、研究された成果はこれを公表するということでございまして、決して特許権あるいは実用新案権の内容を公開しろ、こういう意味ではないのでございます。
  38. 齋藤憲三

    齋藤委員 残念ながら局長は、特許権及び実用新案権そのものを知らない。特許及び実用新案が確立すれば、その内容は文書によつて公表してある。私の言うているのはそうじやないのです。研究の結果というものには、重大なるものは特許権にさえかけないものがある。特許権にかけたら特許の内容はわかつてしまう。そうじやないのです。ある一つの大きなテーマを握つて、川HRがほんとうに放送をやつている場合に、ここに一つ研究のテーマがあるということを、日本の総力を上げて研究をする。これは秘密研究の場合もありましよう。その秘密研究をやらなければならぬときに、助成金を出したためにその成果を公表しなければなつないということになつたならば、これは国家的に大きな損失を来さなければならない。そうでなければ法律違反伍しなければならないということが起さると考えられるから、こういうことはおやめになつたらどうですか。どうも今お伺いすると、局長特許とか実用新案ならば秘密にする。そうじやない、特許どか実用新案は確定すれば公表することであります。特許や実用新案にかけない秘密特許を要求しなければならない場合もあるのであります。そういうことを私は懸念しておる。こういう条文を書かれてしまうと、いかなる研究の結果も公表しなければならないということになる。それが国内だけならばよろしいけれども、外国にまで日本の優秀なるところのブレーンの結果を教えなければならないということになつたならば、せつかくわれわれの期待しているところの、電波をもつていわゆる日本の再建のためのパイオニアニしようと考えているときに、こういうふうな法文によつて支障を来す、そういうことを私は聞いておるのですが、一体郵政大臣はどうお考えになりますか。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 今非常に大きな問題をお考えのようでありますけれども、そういう程度の問題を研究いたさすということが、この放送協会の本来の使命からして、今の放送協会のあり方、それから今日の日本世界の国々のあり方として、適当なものであるかどうかということは非常に私は問題があると思う。今の放送協会われわれが期待しているのは、その程度のものという考え方ではなしに、普通にこの放送というものの本来のあり方の上において研究し、また単に放送協会放送だけでなしに、民間放送協会においても利用したならばいいという程度のもの、そういうように考えております。斎藤君の御指摘のような問題でありますれば、研究をさせる場合におきましても、おのずから特殊の目的を持つておりますから、たれにさせるかということも選ばなくちやならぬと考える。そのようなものは今の考え方の中には全然入れてないわけであります。
  40. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもこれはものの考え方が違うのではなはだ残念でありますが、先ほど私申し上げたのですが、電汲法の第二条を見ますと、十キロサイクルから三百万メガサイクルの周波数を電波法では押えているのであります。そういう電波法のいわゆる周波数というものを前提として電波法ができて、そうして今度はその電波のある周波数を限つて放送というものはNHKに委託されている。しかしこの電波というものを使つて放送に従事しているものは、高周波であろうが、短波であろうが、超短波であろうが、極超短波であろうが、電波というものに対するところの研究の方向というものは、大体これはさまつている。でありますから一体軽い研究であるとか重い研究であるとか、重大な結果をもたらすものであるとか、そうでないということは予測できない。それでありますからどうせNHKがそういうふうにしてつくつた金を研究にまかせるのでありますから、なぜ一体ここで研究成果を公表するということを法律でもつてきめなければならぬかというのです。こんなことをきめる必要はないじやないですか。きめることの必要ないのをきめなければならないというのは私はおかしいと思う、もう一ぺん伺いたい。
  41. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは放送法規定しております、ことにただいま問題になつております点は、第七条のこの目的を達するためにということが大前提になつて出て来ておりますので、私は斎藤委員が御懸念になつておりますような問題は、かりに研究する場合があるとすれば、おのずからこれは放送協会もしくは放送協会が委託するその他の機関にというわけになつて参らないのでありまして、たとえば電波研究所というような国の機関でやらなければ、その秘密確保というものはできないから、おのずから委託する研究機関は別にある、かように考えておりますので、この放送法規定している、従つて放送協会の任務として行われる程度のものは、こういうような形で義務づけをされておつてもさしつかえないものである、こういうように了解しております。
  42. 齋藤憲三

    齋藤委員 これはどうも残念ながら納得できません。夜を徹してやつてもいいというならやりますが、また時間があつたらもどることにして、一応保留しておきます。それから第七でありますが、「協会は、第二項第八号又は第九号の業務を行おうとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。」こういうのがありますが、これはどういうために郵政大臣の認可を受けなければならないのでありますか。
  43. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。研究は、先ほども申し上げましたように、協会本来の仕事一つでもございます。放送業務そのものと同様に重要性を有しております。しかし先ほど申上げましたように、ある特定の問題につきまして、みずからやれない場合に、ほかに依頼することができる、こういうふうにし、またその場合には、当然研究費その他の相当の経費を支払うということになるのであります。また一方、助成といたしましても、非常に広範囲にわたりますし、またその金銭的支出を当然伴うわけでございますから、これらの委託あるいは助成を行います場合に、先ほど申し上げましたように、国民のいわゆる聴取料にも相当するような、受信料に依存しておるという点にかんがみまして、放漫な支出を抑制するとともに、ある特定のところとの利害関係が特に深く出てしまうということも注意しなければなりませんし、国会で認められました事業計画あるいは予算ということの正当な支出を管理するという意味からも、郵政大臣の認可を得るのが当然だ、こういうふうに考えてこの規定を設けてある次第であります。
  44. 齋藤憲三

    齋藤委員 先ほどから喜質疑応答を重ねておるのでありますが、質疑応答の場面に現われた状態における局長及び郵政大臣電波に対する御知識では、郵政大臣の認可などというものはやらぬ方がいいと私は思う。申すまでもなく、研究は何よりの資本であるといわれておるのであります。その研究のことそれ自体に対して、郵政大臣が納得行くまでの説明をするといつたら、これは何年かかるかわかりはせぬのです。実際われわれはそう思う。自分たちがあまりにそういう電波というものに対しては知識がない。電波のほんとうの現在の状態をつかんで、これがはたして研究助成の目標であるかどうかということを見きわめて助成するということになつたならば、第一、郵政大臣の頭からかえて行かなければならぬ。そういうことはすでに経営委員会にゆだね、それから電波監理審議会があるのであります。何を好んで、限られたる予算の中で重大なる研究を委するのに、郵政大臣の認可を必要とするのであるか。はたして認可をするだけの頭脳的な権能を持つておるのですか。権力的には持つておるかもしれないが、みずから告白をせられておるように、郵政大臣はそういう頭脳的な力を持つておられないなら、そういう信任したるところの、ことに経営委員会国会及び内閣総理大臣の委任によつてきめられておるものでありますから、こんなくだらない認可なんということは、あつさりおやめになつて、そうして思う存分お前たち予算の許されたる範囲内において研究をして、その効果を上げろということが民主主義の建前で、その研究家に対するほんとうの国家的恩恵である、そういうふうに考えるのであります。これは一々郵政大臣の認可を受けて研究をしろといつたら、せつかく研究しようと思つた研究心がしぼんでしまうのであります。ですからこれはおとりになる考えはありませんか。
  45. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは繰返して申し上げますが、まことにしろうとでありまして何でありますけれども、しか郵政大臣という地位は、そういう問題を判断いたします場合には、おのずからこれを補助してくれる機関を持つておる地位でございますから、そういう場合にはそういう補助機関の助けをかりまして、運営の適正を期するということは当然できなければならない、またできると考えます。そうして認可をする必要があるということは、先ほど長谷政府委員お答え申し上げた通りでありますから、これを撤回するという考えは持つておりません。
  46. 齋藤憲三

    齋藤委員 これは、研究は必要であるからさせる、しかしその研究に対しては、あくまでも官僚統制を加える、こういう時代逆行の考え方から出発しておるのだと私は思うのであります。研究というものに対して私の観念を申し上げますならば、この研究をさせてこれだけの助成金をやるから、その研究がそれでうまく行くというものではないのです。たとえて申しますならば、まず初めは五万円でもつてこの研究をやらせる、そのために郵政大臣の認可をとつた。ところが研究の過程において、これはどうしてもこういう研究もしなければならぬ、ああいう研究もしなければならぬ、また五万円追加、十万円追加、これを一々郵政大臣の認可を得て、その金を持つて来なければならぬということになりましたならば、その研究すること自体はどうなりますか。研究というものに対しては、継続的に一分一秒を惜しんで継続して行かなければ、研究の効果も現われないときもある。金を持つて来るのに一々郵政大臣の認可がないために、その研究が中途半端になつたら、また初めからやり直しだ。だから能力もないのにそういうような認定を与えるというようなことはやめて、ほんとうに研究助成をされるのならば、ある一定の予算範囲内において、これは経営委員会ないしは会長あるいはその他の機関の人々にまかせて、ほんとうにNHK放送の任務を全うし得るように十分に研究して成果を上げてくれ、こう向うを信頼して、研究を委任するということが一番正しい道であつて、よけいな郵政大臣の認可を得なければ研究費が出ないなんて、幾ら出るか知らぬけれども、そういうことは私はじやまだと思う。これは研究の本質からいつてそうなんであります。それでありますから、郵政大臣はこういうよけいなものはおとりになるお考えはありませんか。
  47. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはもちろん放送協会というような特殊な機関がやるものでなければ、御指示のようにものを考え考え方もあるけれども、しか放送協会というものに国から特殊な権限を持たせて、仕事をしておるという場合には、この金をとういうぐあいに使うかということは、おのずからだれか監督をする立場の者がなくちやならないということは申すまでもないのであります。しかしこれがあつたといたしましても、もちろん放送協会には経営委員会もありますから、そこで第一段の判断はいたします。従つて放送協会が判断をしたものは、おのずから郵政大臣がそれをそのままうのみにのんでもいい程度のものが、大部分のときにあると思うのでありますし、そうしてまたただいま御指摘のように、最初はこれだけやつたが、どうしても追加支出をしなければならぬというような事態があつて、その申請が来れば、おのずから郵政大臣としてもその追加申請というものを承認せざるを得ないし、必ず承認すると思うのであります。しかし物事というものは、いつもそういう普通の状態ばかりを考えておるわけには行かないのでありますから、まれに異例な状態が出て来るときに、それが目的に反すると思えば、これはやはり押えることもできるというようになつておらないと、機構及び法的な規制の形としては整つておらぬ、こういうように考えるわけであります。
  48. 齋藤憲三

    齋藤委員 人格高潔な塚田郵政大臣ならばそれはいいでしようけれども、あなたが郵政大臣をいつまでもやつておられるのではないのでありますから、そういう要求があつたら許すだろうくらいのことで、とてもこういう法案を通すわけには参らない、私はこの点に対しては大臣の御答弁を了承いたしかねます。しかしいつまで問答を繰返しておつても同じでありますから、前に進みます。  「第十六条第一項中「内閣総理大臣」を「内閣」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「内閣総理大臣」を「内閣」に、第十九条も同じく「内閣総理大臣」を「内閣」に、第二十条中の「内閣総理大臣」を「内閣」に、こう改めることになつておりますが、なぜこれは改めなければならぬのでありますか。
  49. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、現行では内閣総理大臣が任命権者になつておりますが、内閣総理大臣とございますのは、この放送法ができました当時、電波監理委員会が総理府の外局として放送行政を担当していたときの規定のままに残つておるのでございます。従いましてこれらの任命権者は、総理府の長としての内閣総理大臣を任命権者としていたのであります。従いまして電波監理委員会の廃止に伴い、主管大臣郵政大臣に変更になりましたのに即しますようにいたしますと、当然郵政大臣になるわけでございますが、他の公共企業体等の例にもならうのが適当であると考えて、内閣というふうにいたした次第てございます。
  50. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はこれあるがゆえに、先ほど郵政大臣電波行政に対する認識及び抱負経綸を承りたいと申したのでありますが、残念ながらそのお答えを得なかつたのであります。電波というものは、今日のごとく郵政大臣一個人のもとに置かるべきものではなくして、これは国家全体の大きな将来性のある問題として、総理大臣直属で管理あるいは運用が行わるべきであるという認識の上に立つているのであります。従つてこの「内閣総理大臣」を「内閣」と是正することに対して私は反対なんです。ただいまの御説明は、他の公共企業体がそうなつておるから主管大臣にするのだ、こういうのでありますが、一体電波局長は、他の公共企業体と同じくこの電波というものを考えておられるのですか、どうですか。それをひとつ承りたい。
  51. 長谷愼一

    長谷政府委員 私が申し上げましたのは、昨年の夏の機構改革によりまして、電波監理委員会が廃止になりまして、電波行政並びに放送行政は郵政省に移管になり、主管大臣郵政大臣となつたのであります。従いまして本来ならば任命権者は郵政大臣と改めていただいて普通だと思いますが、放送協会と同じような公共企業であるそのほかの機関の例にならいまして、内閣といたしたのであります。
  52. 齋藤憲三

    齋藤委員 これはただいまの御説明を承つておく程度にとどめます。  次に「第二十四条中「理事三人及び監事二人」を「理事三人以上七人以下及び監事三人以下」に改める。」これはこの前も質問がございましたので、私いろいろNHKの現在の機構を調べてみたのてありますが、その機構を見ますると、あれだけ整然たる機構でありまして、あえてこの「理事三人及び監事二人」を「理事三人以上七人以下及び監事三人以下」に改める必要もないように考えられるのでありますが、この点に対しましてもう一度御説明を願いたいと思います。
  53. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。御案内のように理事及び監事は、会長、副会長とともに執行機関の幹部でございまして、重要事項を審議し、協会の業務を掌理し、また業務を監査するものでございます。提案理由でも述べましたように、協会の現在まで行つて参りました中波の放送業務の円滑なる運営をはかるほかに、ことしの春から始めましたテレビジヨンの発足、それから今後ともますます拡充強化をはかつて行かねばなりませんところの国際放送等の仕事がふえて参りましたのに伴いまして、その必要な責任担務者の配置によりまして、なお一層の業務の円滑な遂行を期するためには、現在の理事三人、監事二人という定員では、十分であるとは言えないと考えましたので、提案のような増員の改訂をお願いしておるような次第であります。
  54. 齋藤憲三

    齋藤委員 これはNHKからも、今日の理事、監事の数では不足だという要求があつたのでありますか。それを伺います。
  55. 長谷愼一

    長谷政府委員 この理事、監事の人数は、ただいま申し上げましたように協会の執行機関の幹部の人数でありますから、本案をつくります上には、協会の当事者とも連絡をとつております。
  56. 齋藤憲三

    齋藤委員 二十四条は了承しました。「第四十条第二項中「内閣総理大臣を経て」を削る」これは一体どういう意味でありますか。
  57. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。これは字句の整理でございまして、四十条の第二項を読ましていただきますと、現在の条文におきましてはかようになつております。「郵政大臣は、前項の書類を受理したときは、」これは決算でございます。「これを内閣総理大臣を経て内閣に提出しなければならない。」これは当然郵政大臣でございますので、「内閣総理大臣を経て」という字句をとつて「内閣に提出しなければならない。」で十分であるということで、これを削る整理でございます。
  58. 齋藤憲三

    齋藤委員 了承いたしました。  その次に、「第四十七条中第二項を削る。」というのは一体どういう意味でありますか。
  59. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。四十七条は、「協会は、郵政大臣の認可を受けなければ、放送設備の全部又は一部を譲渡し、賃貸し、担保に供し、その運用を委託し、その他いかなる方法によるかを問わず、これを他人の支配に属させることができない。」これは郵政大臣の認可を要するということになつておりますが、この場合に、従来は「両議院の同意を得なければならない。」ということになつておりますが、現実的には放送設備は協会がみずからやるのでありますから、現用でない、もう使わなくなつた設備等については、今申し上げたようなことが起るのでありますけれども、それ以外にはこのような事故はほとんど起らない現状でございます。ただ解釈上、すでに放送に現在使つていないで、古い設備となつておる品物等を整理する場合にも、一々国会の御承認を得るという煩瑣なことが起つて来るように存ぜられますので、これは郵政大臣の認可だけにしていただいた方がよろしいのではなかろうか、こういうふうに考えてこの第二項を削除さしていただごう、こういうのであります。
  60. 齋藤憲三

    齋藤委員 しかし、ただいまの局長答弁では満足することができないのであります。この条文を読んでみますと、「協会は、郵政大臣の認可を受けなければ、放送設備の全部又は一部を譲渡し、賃貸し、担保に供し、その運用を委託し、その他いかなる方法によるかを問わず、これを他人の支配に属させることができない。」「郵政大臣は、前項の認可をしようとするときは、両議院の同意を得なければならない。」これはNHK全部を他人に譲渡するときでも両議院の認可を得なくてもいいということになるのでありますが、この点は一体どうなりますか。
  61. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。これは「放送設備の全部」というのは、放送協会の持つておる全部の施設という意味とは私ども解しないのでありますが、なお一件について非常に金額その他規模の大きいものは、当然国会の御承認を得ておる予算なり事業計画に出て来るものであります。従いまして、この条項によりまして随時郵政大臣の認可を得て処理をしなければならないものは、ごく一部分の機械設備等しか現実に起つて来ない問題でありますので、国会の御承認の点は、事業計画、収支予算等におきまして、重要な点は御審議をいただいておるわけでありますので、この点は個々の問題についての御同意はあまりにも煩瑣になると考えて、削除をしたらどうかということで御審議を願つておるわけであります。なお一方放送法によわましては、放送協会は不可抗力な理由がなければ放送を休止してはいけないことになつております。従いまして、そういう点からも当然今御心配になりましたような全部の施設を他人に譲り渡し云々ということは、ここの問題では出て来ない、かように考えております。
  62. 齋藤憲三

    齋藤委員 法律というものは、現実において想定し得なくても、起る場合もあるかもしれないということを前提としてこしらえている場合がたくさんあるのであります。この条文を見ますと、明らかに放送設備全部である。放送設備の全部ということになつたら、放送協会には一体何が残るか。もちろんこの法文そのものに不備があるのかもしれません。不備があるのかもしれませんけれども、とにかく条文には「放送設備の全部又は一部を譲渡し、賃貸し、担保」ということでありまするから、こういうものは可能であるという前提のもとにこの条文があるとしたならば、この第二項というものは削除するわけに参らぬということになる。これだけの重要なものが起り得ると想定してつくつた条文、しかもこれを譲渡するときには郵政大臣の認可だけでやれる、両議院の承認はいらない、こういうようなことは、今局長の言われるように現実の問題では起きないかもしれない。現実の問題では起きないかもしれないが、こういう条文のある限り、両議院の承認を得なくてもいいということは、ある一面から考えれば、官僚の力だけであつて、議会はいらぬということになる。そういうような観念を巻き起すような改正法案というのは、お慎みになつた方がいい。実際こういうものがいらないなら、これは抜本的にかえて行つたらいい。そういうことでわれわれは非常にいやな思いをしおるのです。実際放送協会の全部を他人に譲渡するようなことが一体考えられるか。考えられない。考えられないのだからこの条文はいらないということになつて、この条文を消してしまうとか、この第二項を不備だといつて削除してしまうならこれはよろしい。しかしある事態を想定してこういう四十七条というものを残しておいて、そうして両議院の承認はいらないのだというようなことでは、とうていこの改正法律案というものは通らぬと思うのです。だからこういうずさんなものはおやめになつて、もつと抜本的におやりになつたらどうか、こういうことを申し上げておるのであります。いかがなものですか。
  63. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は、日本放送のこういう機構ができ、そうして放送法ができたときの状態と、今日の状態と事情がかわつているのだと私は考えておるのであります。この条文をこのまますつきり読んでみまして、財産を処分するという場合に国会の承認を得るということは、他の場合には何にもない。むろん国有財産でも主管大臣か独自の判断でやりまして、国会の承認をそのときそれに得て行くものはない。ただなぜ一応放送協会のものになつておるものを、国会の承認を得なければならないということにしておつたかというと、この放送設備の全部を譲渡する、賃貸するということは、おそらくこの法律のできる当初におきましては、この設備等を全部やつて、そうして放送協会経営させようと思つてつた国の考え方が、この放送設備の全部を他人に賃貸するとか、譲渡するとかいうことによつて、やる人間がかわつてしまう場合を不当に心配をし、想定をして、そういうものを郵政大臣か認可をするときには、国会がこうしなければならないというようになつたと思う。しかしその後実際に運画してみますと、これは放送法建前郵政大臣が監督をし、認可すべきものは認可をしておるのでありまするから、郵政大臣がこの法の趣旨を適正に遵奉して行く限りにおいては、放送設備全部の譲渡もしくは賃貸というものが、放送をやる人間がかわつてしまうという形においては許可されるという場合は絶対にあり得ない。従つてこの放送設備の全部というものが依然として何らか意味を持つとすれば、今まで使つてつたものがいらなくなつたという場合にだけ、これが適用される今日の状態になつておると解釈できるわけであります。そういうような状態になつております場合には、普通の財産としての処分でありますから、国会審議を経るというほどの重要な問題でありませんし、従つてこの規定は一項をそのままにしておきましても、今申し上げたような情勢やものの判断の相違からして、第二項というものはなくなつてもさしつかえないし、なくなるのがむしろ正しいあり方だ、こういうように考えておるわけです。大体この四十七条の規定は、できました趣旨からいたしましても、一部の譲渡や賃貸まで両議院の同意を得なければならないというようになつてつたところは、少し規定に過剰部分があるのだと、私はこのように解釈しております。そこまでは国会の同意を得ないでも、おのずから行政権の担当者と立法権の担当者というものは、仕事の分野というものがはつきりしておるのであるから、ここまでは心配しないでよかつたのじやないか。従つて国会の同意を得なければならないと規定したのは、前段の放送設備の全部の賃貸、譲渡が、やる人間がかわる場合を想定してのものであつた、こういうように解しておるわけであります。
  64. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまの郵政大臣のお考えは、国有財産というようなものの考え方なんでありますが、国有財産にもいろいろありましよう。その国有財産というものは市価を持ち、ないしはその他の平価におけるいろいろな算定をやられるところのものもございましようが、先ほどから私申し上げております通り電波というものは価値の算定がないのです。しかも今日の放送状態においては、NHKというものがある意味においてオールマイテイーなんです。でありますから、こういうものの設備全部を他に譲渡するというようなことを想定して書いたところの条文に対して、両議院の承認を得なければならないとしたことは、この当時立法に当つた人がこれは相当考えて、電波重要性を考慮の上でつくつたものでなければならぬと私は思う。これを、そういう場合は起らないだろうから削つてしまう、こういうことは一体電波価値そのものを全然考えておらないところのものの考え方じやないか。国有財産だつて常に値下りを食うくだらない国有財産もたくさんあります。しかし私が先ほどからるる申し上げております通り、今度電波というものを世界的に考えて、アメリカが電波をよけい持つておるとか、日本電波を少く持つておるとかいうことじやない。常にアメリカと同時に国力の増進に使い得るものは電波しかない。ただ電波を起すところのブレーンいかんということで、日本電波による国力の増進ははかり得る態勢にある。この重大なものに対して、郵政大臣は単なる国有財産くらいに考えて、電波法あるいは放送法考えられておる根本が違う。これはそういうような考え方から電波法考え電波法考えておられるということであつたならば、われわれは質疑応答をする必要はない。でありますから、冒頭に私は電波行政に対する郵政大臣の認識及び抱負経綸を伺いたい。いわゆる電波というものを、今日の日本において、どれだけにふんでおるのか、今後電波というものによつて日本の国力の伸張をどういうふうにはかつて行くのか、こういうことをはつきり腹に入れておかなければ、電波法及び放送法行政担当者として、日本の国力の伸張を託するに足りぬと私は思つておる。  今本会議のベルも鳴つたようであります。もう少し長谷局長とお打合せの上で――あしたは四十九条の核心に触れるところの質問をしたいと思うのでありますが、もう一ぺん郵政大臣を呼んでいただかなければならぬ。これから質問いたしますところの四十九条の中に、こういう言葉が入つておるのであります。「郵政大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、協会に対し監督上必要な命令をすることができる。」ということがある。これは広範囲な命令権の付与であります。これはぜひとも郵政大臣電波法放送法をよく読んでいただかなければ、いかに質疑応答を重ねてもむだなんです。私は全身全力を傾注してこの放送法改正がよいものになつて通過してもらいたいと思つておるのでありますから、お忙しいところをはなはだお気の毒でございますけれども、今晩ひとつ宴会でも早く切り上げて、電波法及び放送法をよく読んで、委員の質疑応答に当つていただきたい。常識から考えれば、こういうような改正法は出るべき余地がないと私は思つておる。これは必要があるとかないとかいうものではありません。電波法を読んでみると、こういうものが出るという余地がないのです。一体どこにこういうような公共の福祉に対して郵政大臣が特に命令監督権を持たなければならないという余地があるか。私はだいぶん探してみたのでありますけれども、電波法というものは、放送に関してはがんじがらめにどうしても余地がないように実によくできておるのであります。そういう根本の問題でございますから、ひとつよく御研究くださいまして、あした私がまた御質問いたしますが、わずかな時間で解決するようにひとつおとりはからい願いたいと思います。郵政大臣がそれを読んで頭に入れておかないと、電波法及び放送法逐条質問して行かなければならぬということになります。
  65. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 よく読んで参ります。しかし、私は今までも少くとも今度の修正を御審議願う程度には読んでおりますし、了解もしておるつもりであります。ただいま四十七条の改正に関しまして、いかにも私が電波というものの重要性を知らないというように御指摘になりましたけれども、私は全然考え方が違います。電波というものの重要性と、放送のために使つた設備の、しかも今必要でないものを譲渡するとか、賃貸するとかいうこととは全然違うのでありまして、放送に便つたものでありましても、その目的に使わなくなれば、それは一箇のものでしかないのでありますから、それは他のものと同じように規定するのはあたりまえであります。この四十七条を規定しました時分には、設立の当初でありますから、放送設備の全部を動かすということによつて、この放送法規定しておる日本放送協会の任務が、違つた形において行われるような場合があるかもしれないということを、不当に杞憂してこの条項でがきた。ところが今日の段階では、郵政大臣放送設備の全部を放送協会が譲渡することを承諾して、そうしてそういう形になることは、放送法にのつとつて郵政大臣が監督しておる建前としては、あり得ないことです。あり得なければ、放送設備の全部というような文句ははずしたらよかろうという御意見もあるかもしれませんが、しかし使わなくなつたものがあるとすれば、そういう場合も放送設備の全部とは言えないかもしれないが、言葉としてあつてもさしつかえない、けれどもこれを認可するという実際の場合においては、それはおそらく一個のものとして扱つてさしつかえない場合でなければ、郵政大臣が認可するということはあり得ないので、現実にそういう場合には国会の同意ということは他の場合でもやつておらぬのだし、その必要がない、こういう考え改正の御審議をお願いしており、その意味で御説明申し上げたのであります。
  66. 庄司一郎

    庄司委員 ちよつとお伺いしたいのですが、郵政大臣は今宵はどこかに宴会がございますか。
  67. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 本日は、そのような約束は持つておりません。
  68. 庄司一郎

    庄司委員 明快な御回答であります。よつて、ただいまの質問者は、何か大臣が今夜宴会でも当然あつて、それを早く切り上げろというような意味のことを言つておるが、そういもような当らない質問は、良識に訴えてお取消しを希望いたします。
  69. 齋藤憲三

    齋藤委員 私は必ず宴会があるということは言つておりません。もし宴会がおありになつたならば宴会を早く引揚げて、電波法及び放送法を一ぺん読んでいただいた方が、私がこれから逐条的に審議をするよりは時間が短縮され、お互いのためだ、だからなるべくそういうふうにして時間の短縮をはかつていただきたい。今本会議が開かれておりますから、本会議に出席することがわれわれの務めだ意うから、そう申し上げたのであります。
  70. 庄司一郎

    庄司委員 今の質問者のお話は私納得が行かない。郵政大臣はあたかも毎晩宴会に出るがごとき印象を与える。さような誤解や想像の上に出発してそのような言辞を弄されるということは、良識ある国会議員として尊敬し得ないところであります。誤りは率直に取消すことがゼントルマンの行動であると私は考える。私はあえてお取消しの要求はしませんが、深く同僚として警告を申し上げておきます。お答えはいりません。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 それではこれで散会いたします。     午後四時五十七分散会      ――――◇―――――