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1953-06-29 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十九日(月曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君       庄司 一郎君    玉置 信一君       齋藤 憲三君    廣瀬 正雄君       甲斐 政治君    松井 政吉君       三輪 壽壯君    風見  章君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社営業局長   吉澤 武雄君         日本電信電話公         社経理局長   秋草 篤二君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 六月二十六日  委員中村梅吉辞任につき、その補欠として田  中彰治君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員柴田義男辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十七日  鹿屋電報電話局舎新築請願永田良吉君紹  介)(第一八四三号)  鹿屋鹿児島間に超短波無線電話設置請願(  永田良吉君紹介)(第一八四四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  諏訪中継放送局設置に関する陳情書  (第四七一号)  電話料金引上げ反対に関する陳情書  (第四七  二号)  都市を中心とする通信網整備拡充陳情書  (第五〇六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れに関する件  九州地方豪雨による電信電話施設災害状況に  関する件  公衆電気通信法案内閣提出第九一号)  有線電気通信法案内閣提出第九二号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第九三号)     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまから開会いたします。  お諮りいたしますが、ただいま労働委員会において審査中の公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会といたしましても多大の関心を持つておりますので、本案について、労働委員会連合審査会開会を申出たいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 成田知巳

    成田委員長 次に日本電信電話公社当局より、九州地方豪雨による電信電話施設災害状況につき、報告いたしたい旨の申出がありますので、これを許します。梶井説明員
  5. 梶井剛

    梶井説明員 今日の北九州における水害は、その被害が非常に甚大でございまして、損害額は約二十億に上るだろうといわれております。しかし詳細はまだ情報が十分に得られない場所もございますので、正確な数字はいましばらくお待ちを願いたいと思います。  大体におきまして、福岡までは通信はできております。福岡から以南、熊本方面までが、通信が非常に困難になつておりまして、現状におきまして、福岡、折尾間一回線、福岡、戸畑一回線、福岡、久留米七回線、福岡、大牟田二回線、福岡鹿児島二回線、福岡熊本二回線、これらのものは現在通信が可能であります。しかし洪水の現地にはまだ行かれないという状態なつております。  被害のパーセンテージを申しますと、福岡県は市外線が約三二%、電信が四三%、市内加入者が二一%、大分市外線が五九%、電信が九八%、市内加入者が一四%、長崎が市外線が四五%、電信が二八%、市内加入者が八%、佐賀市外線が五八%、電信が九二%、市内加入者が六〇%、熊本市外線が五八%、電信が一〇〇%、市内加入者が四一%という状態なつております。交換機の浸水したもの等が相当数多くなつておりまして、市内交換機能を失つている局が福岡において十局、大分において四局、佐賀において七局、熊本において五局ございます。現在通信をできるだけ迅速にはかすために、臨時の回線あるいは臨時中継によりまして通信をはかしておりますが、電信につきましては多少の停頓を来しております。電話の方は至急通話また非常通話を主としていたしております。  従業員罹災状況について申し上げますと、大体被害地域におります従業員は、一万三千人おります。そのうち約六千人が罹災者に推定されております。そうして死者の数は、熊本県内において二名、また職員家族が六名家屋流失によつて死んだのでございます。また佐賀県におきましては職員が二名、家族が三名行方不明になつております。目下これらの従業員救済至急にやるために、広島から三百トンの海底線敷設船に、食糧、衣料、医薬品その他応急資材を積み込みまして、熊本県の三角に送りました。それによつて、さしむき仕事に支障のないようにという方法をとつております。また本社からは、建設部長初め数名の者が福岡方面に参つております。また中国通信局四国通信局からも応援を出しております。なお詳しい情報を得次第、できるだけ早く復旧いたしますように、資材手配を目下こつちで考えておる程度であります。
  6. 成田知巳

    成田委員長 ただいまの災害報告について御質疑ございませんですか。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの御報告によりまして、非常に厖大損害が生じたようでありますが、この二十億の災害復旧予算的措置等について御説明を願いたい。
  8. 梶井剛

    梶井説明員 災害復旧予備費で支弁するつもりでございますが、現在暫定予算において四億五千万円の予備金なつております。現在審議されておりまする予算におきまして、十一億の予備費がございます。でありまするから十一億の予備費によつて災害を復旧するわけでありますが、もしこの金額をもつてまかない得ない場合におきましては、さらに現在の経費のうちから差繰つてやりまするけれども、将来において、補正予算の際にその不足分をお願いしなければならぬと思つております。
  9. 庄司一郎

    庄司委員 電通関係災害地域内におけるところの住宅——個人住宅はしばらくおいて、公の官舎的な公舎といいましようか、そういう住宅被害とか、九州災害によつて家屋が倒壊したとか、あるいは職員が住む住宅がなくなつたというような被害がどのくらいあるか。まだ御調査になつておりませんか。あるいはそれに対する被害があれば、職員住生活を安定させるための対策等に関して、何らかの御計画があるでしようか。
  10. 梶井剛

    梶井説明員 職員住宅流失等につきましては、まだ詳しい報告が参つておりません。しかし先ほど申し上げましたように熊本県内において職員が二名、家族が六名、また佐賀県におきまして職員が二名、家族が三名死んでおります。さような次第でありまするから、住宅においても相当被害があるだろうと思います。一応これらの罹災した家族のうちで、家を失つた人々に対しましては、他の社宅に収容するとか、あるいは局舎の中に収容するとかいう方法をもつて応急措置を講じなければならぬと思います。従つてこれらの人々に対する見舞金救済金その他につきましては、それぞれ手配をいたしております。
  11. 庄司一郎

    庄司委員 よろしゆうございます。
  12. 成田知巳

    成田委員長 ほかに御質疑ございませんか。——ないようでございますから、この際御報告申し上げます。  先般の委員会におきまして、委員長一任なつておりました公衆電気通信法案外二案についての参考人を決定いたしましたので、御報告申し上げます。  六月三十日の火曜日午前十時から、豊島区会議員粕谷美彌子君、東京証券取引所理事日本証券業協会連合会長小池厚之助君、電気通信協会専務理事、元逓信省工務局長篠原登君、全国銀行協会連合会長千代田銀行頭取金良宗三郎君、日本経済新聞社論説委員長友光正昭君、翌日の七月一日水曜日午前十時から、全国電気通信労働組合中央執行委員長石辰正君、公益事業学会事務局長明大講師北久一君、東京私設電話連合会理事三島一郎君、東京商工会議所商業部部会長樋口裕人君、電話工事協会会長横山誠太郎君、以上の通りであります。     —————————————
  13. 成田知巳

    成田委員長 では前会に引続きまして、公衆電気通信法案有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題とし、審査を進めます。  先般郵政大臣より三法案の大綱について説明を聴取したのでありますが、この際政府委員よりやや詳細な補足説明を求める必要があると存じますので、質疑を続行いたします前にその説明を求めます。金光政府委員
  14. 金光昭

    金光政府委員 それでは私より、ただいま当委員会において御審査をお願いしております有線電気通信法案公衆電気通信法案及び両法の施行法案、三法案につきまして逐条説明にかえまして、内容の重要な点につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  現在有線電気通信関係につきましてのわが国の基本法は、すでに御承知のごとく電信法電信線電話線建設条例電信電話料金法といつたものがこの基本法規と相なつておるわけでありまするが、そのうちで電信法につきましては明治三十三年の法律でありますし、また電信線電話線建設条例に至りましては明治二十三年、旧帝国議会開会前の法律でございます。かかる状態で、これら基本法は現在新憲法下におきましては、その内容におきまして相当修正を要する点があるということで、この際これら有線電信電話に関しまする基本法についての根本的な改案をいたすことといたしまして、ただいま御提出申し上げましたような三法案の形に、今回はこれを整理統合いたした次第でございます。そこで従来の電信法におきましては、一方におきまして有線電信電話に対しまする監督規律規定をその内容に持ちますと同時に、公衆の一般的に利用いたします電信電話についての利用関係の基本的な関係を、同じ法律の中で律しておつたのでございますが、この二つのものはその性質から見まして相当相違がありますので、この際は、ただいま申しましたような有線電気通信に関する監督規律法律一つと、それから日本電電公社及び国際電信電話株式会社の行います公衆電気通信業務に対しまする業務関係基本法律一つ、それからこの両法案を施行するに必要な経過的な措置及び関係法令整理等制定いたしました両法の施行法案、こういう三つの形にいたした次第でございます。  そこでまず有線電気通信法内容につきまして、最初に御説明申し上げたいと存じます。この有線電気通信法制定基本方針といたしましては、従来の電信法電信電話政府専掌、官営の方針を貫きますと同時に、私設電信電話につきましては極度にこの設置範囲制限しておつたのでございます。そのために本来ならばその事業遂行上当然専用電気通信設備を施設したいというような事業につきましても、これらの設置が認められない。あるいは農山漁村等の非常な辺鄙な地域におきまして、従来国営時代におきましては、当然これは政府においてそれらの地域についての電信電話サービスも実施すべきでありますが、予算その他の関係で、それらの地域電信電話の便益を与えることができない、さればといつてこれらの地域におきます住民等によります設備等も一切認めないといつたような建前になつておつたわけでございますが、今回はこれらの方針を一擲いたしまして、私設有線電気通信設備につきましても、その設置原則として自由とする。しかし一方におきまして公衆電気通信一元化をそこなうという面からの制約ということは当然考えるべきでございますので、公衆電気通信業務につきましては、主として国内電気通信業務につきましては日本電信電話公社国際電気通信業務につきましては国際電信電話株式会社の独占的の経営を認める。しかしその独占を侵害するようなおそれのない私設有線電気通信設備につきましては、これをできるだけ自由にする。しかしそれらの設備のうちにおきましても、その設備共同設置とか、設備相互間の接続とか、あるいは他人通信媒介等のごとき、公衆通信類似の行為につきましては、これは所要制限を加える必要かありますので、それらについての制限をなすということにいたしたのであります。  次に第二点といたしまして、これらの私設有線電気通信設備設置につきましては、特にこの法律によりまして制限を加えるべき点は何かと申しますと、他の通信妨害を与えないということがまず一つであります。それから次に人体危害を及ぼしたり、あるいは物件損傷を与えたりしないことということが一つ、これの二つと、先ほど申しましたような公衆電気通信業務についての一元性をそこなわぬという、この三つの要請を満たし得ればそれでよいのではないか。そこで設備的に見て他の通信妨害を与えるとか、あるいは人体物件危害損傷を与えるということにつきましては、その設備設置及び維持につきまして必要最小限度技術基準を定める。その技術基準によりまして、できるだけ施設者が自分で自律してこの技術基準を守るということを基本方針としたのであります。  第三に、これらによりまして定められた設備設置及び使用に関する規律の保持につきましては、ただいま申し上げましたように、できるだけ施設者の自律にまちまして、許可だとか届出等の行政的な措置というようなものをできるだけ少くする。これによりまして行政簡素化の趣旨に沿うということを考えた次第でございます。以上三つ基本方針に基きまして、この有線電気通信法制定いたしたわけでございます。  次に、この法案のおもな内容を御説明申し上げたいと思います。  第一に、まず有線電気通信法規律する対象は何かということを明かにしたわけでございます。有線電気通信設備としてこの法律規律する対象といたしましては、導体を利用して電磁的方式によつて、符号、音響または映像を送受する一切の有線電気通信設備というものの対象を明らかにし、それと同時に本来の有線電気通信設備ではございませんが、これに非常に類似しております信号設備の技術的な面につきましては、やはりこの有線電気通信法対象に入れることといたしたのでございます。  次に、私設有線電気通信設備設置につきましては、先ほど基本方針で申し上げましたように、従来の電信法におきましては非常にこの範囲を制限しておつたのでございますが、今回は一人の専用に供するために単独で設置する設備である限りにおきましては、公衆電気通信系の、一元化をそこなうおそれがありませんので、現在の社会経済情勢から見まして、これをできるだけ自由にするということといたしたのであります。しかしながら一人以外の者、たとえば共同設置する者ということになりますと、これを無放任にいたすことになれば、公衆通信一元化という問題と関連が出て参りますので、原則として禁止するが、一構内等設備だとかあるいは有線放送設備につきましては、それらの公衆通信一元化をそこなうおそれがありませんので、これを自由に設置することを認める。しかしそれ以外の、たとえば共同で行う業務だとか、あるいは非常に緊密な関係を有する業務使用するために、共同で二人以上の設置するもの、そういう設備、あるいは公社電話加入区域に属さないような農山漁村等の辺鄙な地域、これをこの法律では特定地域設備と称しておりますが、これらの地域設置されます設備というものにつきましては、郵政大臣許可を受けて設置をするということといたした次第でございます。  次にこの設備をいよいよつくりまして、それを使用する場合における制限といたしましては、私設有線電気通信設備をつくりました場合に、二つ以上の設備接続ということが行われ得るわけでございますが、この接続につきましては、ただいまの二人以上の人が共同設置するものと、結局接続した後における形は同様でございますので、ただいま申し上げましたと同様に、一構内等設備あるいは有線放送設備相互間におきましては、これを自由にする、あるいは非常事態等におきましては、郵政大臣命令をして緊急通信を行うために接続をさせるというような場合におきましては当然でありますが、それ以外の共同業務であるとか、あるいは緊急業務に必要な設備接続等につきましては、共同設置と同様に、郵政大臣許可を必要とするということにいたしたわけであります。  その他他人通信を媒介する、あるいはその設備他人通信利用させるというようなことにつきましては、現在の電信法におきましては主務大臣命令があつた場合以外は認められておりませんが、今回のこの法案におきましては、非常事態におきまして郵政大臣命令して緊急通信を行わせる必要がある場合、あるいはただいま申しましたような接続を許された者相互間の通信、その他法令に基きまして通信を行う場合、あるいはその設備特定地域設備または有線放送設備である場合、これらの場合につきましてのみ、他人通信の媒介あるいは他人通信の用に供するということを認めることといたした次第でございます。  次に第四点といたしまして先ほど申し上げましたような設備の技術的な根拠といたしまして、混信等設備相互間の妨害、あるいは人体または物件等に対する危害損傷を未然に防止する、あるいはこれを排除するために必要最小限度技術基準を設けるごとといたしたわけでございます。この法案におきましては、ただいま申し上げましたような基本方針のみを定めまして、技術的なこまかな基準につきましては、これを政令にゆだねることといたした次第でございます。  第五といたしましては、これらの技術基準に基きまして設置をされました設備につきましては、もしその設備技術基準に合致しないために、他の通信妨害を与える、あるいは人体危害を与える、あるいは物件損傷を与えるといつたような場合におきましては、必要な限度におきまして郵政大臣設備使用の停止または改造、修理等措置を命じ得ることといたした次第でございます。また先ほど申し上げましたような共同設置接続他人使用許可等につきましては、その設備許可の条件に適合しなくなつた場合におきましては、郵政大臣はその許可を取消すということができ得ることといたした次第でございます。  第六といたしまして、先ほど申し上げましたような共同設置接続等に関連いたしまして、許可あるいは認可等行政処分があるわけでございますが、これらの行政処分中、不当な行政処分救済をはかるために、異議申立ての道を開き、また行政処分の公正を期するため、許可の取消しを行う場合あるいは異議申立てを受理した場合におきましては、公開による聴聞を行うことといたしまして、権利の保護について万全を期した次第でございます。  第七に、先ほど申しましたように本来の有線電気通信設備ではございませんが、これに非常に類似し、または他の通信にも妨害を与えるおそれがございます信号設備につきましては、やはり技術基準及びこれに関連した技術的な事項については当然これを準用する必要がございますので、それらに必要な所要規定を設けた次第でございます。  以上が、有線電気通信法内容のおもな事項でございます。  次に引続き公衆電気通信法内容について、主要な点を御説明申し上げたいと存じます。  先ほど有線電気通信法説明で申しましたごとく、現在の公衆電気通信業務につきましての基本法といたしましては電信法、それから電信線電話線建設条令及び電信電話料金法、それとごく一部ではございますが、電波法によりまして現在なお一部の効力が認められております無線電信法、これらのものがこの公衆電気通信業務についての根拠の法規になつておるわけでございます。ところが先ほども申しましたようにこの法律制定相当年次を経ております。また現在この法律におきましては電信電話の基本的なサービスにつきましても、すべてこれを政令にゆだねております。これらの点から見まして、現在の新しい情勢から見て適当でないということで、この際公衆電気通信法制定することといたした次第でございます。  そこでこの公衆電気通信法制定基本方針を、まずもつて説明申し上げたいと存じます。  第一点といたしまして、この公衆電気通信法は、有線及び無線を通じまして公衆電気通信業務に関する基本的な法律といたした次第でございます。たとい電報電話有線で送られましようが、あるいは無線で送られましようが、公衆通信サービスとして見た場合には、それらの手段にかかわらず、この二つ有線無線の両方を通じて、公衆電気通信法適用を受けることといたした次第でございます。  第二点といたしまして、現在の電信法におきましては事業保護のために各種の特権的な規定だとか、あるいは罰則等が設けられておりますが、新憲法の精神に即応いたしまして、これらの事項をできるだけ廃止し、事業特殊性から見まして必要最小限度のもののみを存置させることといたした次第でございます。  第三点といたしまして、公社公衆電気通信設備建設及び保存につきましては、必要な公用負担土地收用法規定によることを原則とするわけでございますが、公社建設保存しております線路につきましては、その設備が全国に散在し、かつ厖大な数に上つておりますので、土地收用法によることが困難でございますので、特にその特例等を設けまして、土地等使用等に関する手続をこの法律規定いたした次第でございますが、現行の電信線電話線建設条令に比較いたしまして、その規定を民主化し、かつ適当な補償をなすことといたした次第でございます。  第四点といたしまして、現在命令によりまして規定をされております電信電話の基本的なサービスのうちで、特に法律規定することを適当と認められるものにつきましては、これらの規定公衆電気通信法に取入れることといたしました。付属的のサービスにつきましては、公社においてその内容制定し得ることといたした次第でございます。  第五といたしましては、料金につきましては、主要な料金につきましては法律でこれを定めることといたしまして、その他の付属的な料金につきましては、郵政大臣の認可を受けて公社または会社がこれを定めることといたした次第でございます。  第六といたしまして、国際電気通信業務につきましては、別途国際電気通信条約その他の付属規定がございますので、それらの規定規定がございますればこの法律適用されませんが、それらの条約等規定がない場合には、当然この法律適用を受けるということを明らかにしたわけでございます。  次に法案内容につきまして、主要なるものを逐次御説明申し上げたいと思います。この法案は第一章より第八章にまでわたつておりますが、まず第一章の総則におきましては、新憲法規定しております国民の法のもとにおける平等、表現の自由、通信秘密確保を保障するために、公衆電気通信サービスの提供及び利用につきまして、この法案の中にさらに利用の公平、検閲の禁止、秘密確保につきまして必要な規定を設けた次第でございます。  第二に非常災害時におきまして、公衆電気通信サービスの全部を提供することができない場合におきましては、重要通信確保するために、その業務の一部を停止し得る根拠を設けた次第でございます。  第三に現在におきましても、電信電話業務の全部を公社の手で行つているのではないのでありまして、一部郵政省の特定郵便局にその業務を委託しておりますが、これらの根拠が現在の法律にございませんので、この公衆電気通信法に、郵便局に委託できるという根拠を置くわけでございます。  第四といたしまして、ただいまの郵便局に委託のできない場合等におきまして、一例を申しますれば、たとえば国有鉄道あるいは地方鉄道漁業無線局等におきましても、電気通信設備があります際に、公社の定める条件に適合し、また公社郵政大臣の認可を受けて定める条件に適合するものにつきましては、電信電話サービスの一部分を委託し得る、あるいは料金の収納につきまして市中銀行等に委託ができるという根拠を定めた次第でございます。  次に今回国際電信電話会社ができましたことによりまして、主たる国際通信業務は同会社が行うことと相なつたわけでございますが、この法律の建前から申しますと、国際電気通信業務は、会社と公社と両方行い得ることと相なるわけでございますが、それらの同一地域におきまするサービスを、両者の競争状態に置くことはおもしろくないわけでございますので、それぞれの行います国際電気通信業務の範囲は、政令でこれを定めることといたした次第でございます。そういたしまして政令で定められまして、それぞれの国際通信業務につきましては、分担が定まりました後におきまして、それぞれの業務の全部を公社または会社自身でなし得ない場合があるわけでございますので、それらのものにつきましては、さらに相互にそれらの業務の一部を委託し得ることといたした次第でございます。  なお国際電気通信業務の範囲につきまして、一応われわれの考えておりますことは、公社の行います国際電気通信業務は、西南諸島、沖繩向けの通信、及び船舶を相手といたします無線局、海岸局と称しておりますが、この海岸局が外国船舶を相手といたします外国通信を行いますわけで、その他の欧米各地あるいはアジア方面、大洋州方面に対する国際通信は、あげてこれを国際電気通信株式会社をして行わしめることといたしたいと存じている次第でございます。  最後に、先ほど方針の方でも申し上げましたが、国民の通信利用の自由を保障し、また国民の負担を除くために、現行法できめられております特権的な規定はこれを廃止するということにいたした次第であります。  第二章は、電報に関する規定でございますが、この電報に関します規定は、現行の省令の電報規則で定められておりますものとまつたく同様でございます。そのうちの主要事項のみを法律で定めることといたした次第でございます。  第三章は、電話に関する規定でございます。この第三章中主要なる規定を、条項についてのみ御説明申し上げたいと存じます。まず第一に加入電話利用関係につきましては、法律上従来からとかく疑問の点があつたのでございますが、今回はこれを私法上の契約関係といたしまして、従来の疑点を一掃することといたした次第であります。また従来は法人格のない社団または財団等の加入についても、加入者たる地位を認めておつたのでございますが、今回は加入関係を明らかにするために、これらのものについては加入者たるの地位を認めないことといたしたのでございます。  次に従来単独電話共同電話等の電話機の設置場所は、加入者の住所、居所あるいは業務使用する場所ということに限定し、特に官公署あるいは法人名義でそれらの職員住宅設置するものにつきましては、高級職員等に限定しておつたわけでございますが、今回は加入者の使用人あるいは加入者が行う事業に従事する職員であれば、別に高級職員と限定せず、だれでも官公署あるいは法人名義等の電話設置し得ることといたした次第であります。  次に構内の交換電話、従来の増設電話、略称でPBXと申しておりますが、このPBXにつきましては、従来ビルディング等に設置されておりますものにつきましては、やはりビルディング内の同一構内、Aという会社ならAという会社のみしか、このPBXを利用し得ないことといたしておつたのでございますが、現在の電話事情等から見まして、同一ビルデイング内にありますBという会社につきましても、Aの会社の内線電話機の利用を認めることといたした次第であります。もちろんこの場合におきましては、これらのB会社の利用ということをあらかじめ公社と契約して、明らかにしておくということを必要としておるわけでございます。  次に現在の電話需要から見まして、加入申込みの全部に応じ切れませんので、現在やつております優先受理基準、優先的に受理するという方針は、この法律施行後といえども存続するということにいたしておる次第であります。  それから昭和二十四年にポツダム政令が出まして、同年の二月十五日以降に設置されましたいわゆる新電話につきましては、加入権の譲渡を禁止しておつたわけでございます。ところが昨年十月二十四日をもちましてこのポツダム政令が失効になりました。そこでこの失効に伴いまして、昭和二十四年二月十五日以降に設置されました新電話についても、譲渡禁止を解除いたしたわけでございますが、この方針は、この法律においても踏襲することといたした次第であります。しかしながらこれらの譲渡を自由にすることに伴いまして、投機的あるいは射利的な加入申込み等が相当予想されますので、これを抑制するために、電話加入権を譲渡した人は、その譲渡した日から一年以内に新たにその同じ加入区域におきまして、新しく電話の申込みをした場合におきましては、その申込みを場合によつては承諾しないことがあり得るということを根拠に置いたわけでございます。  市外通話につきましては、特別に御説明申し上げるようなことはございません。現行の制度と大体同様でございます。  第四章は公衆電気通信設備専用関係についての規定でございます。これらの専用線につきましても、大体電話の加入とほぼ同様の制度をこの専用に取入れておりまして、特別に御説明申し上げるようなこともございません。  第五章は料金についての規定でございます。現在電報電話の各種サービスにつきましての料金は、電信電話料金法中に細大漏らさずこれを規定しているわけでございます。ただ例外といたしまして、国際電報及び国際電話料金につきましては、郵政大臣の認可料金なつております。ところが公社、あるいは会社となりまして、これらの料金につきましてすべてこれを法定するということはいかがかと思われますので、通常電報の料金あるいは加入電話使用料等、その利用が非常に広汎であり、また普遍的であり、国民経済にも大きな影響を及ぼすもの、あるいはその収入が非常に多額に上るというような料金につきましては、従来通り法律で定めることといたしますが、その他のサービスに対する料金につきましては、公社または会社が郵政大臣の認可を受けて定めることといたした次第であります。  国際電気通信関係料金につきましては、金フランあるいは外国通貨等でその料金が定められておりますが、これを邦貨に換算いたしまして国内の料金を定めるわけでございます。その場合につきましては、やはり郵政大臣の認可を受けるということといたした次第であります。  それから次に料金の返還でございますが、現在におきましてもサービスが非常に遅れるといつたような場合につきましては、料金の返還を認めておるわけでございますが、この法案におきましては現在よりもさらに返還の範囲を拡げるということといたしておるわけでございます。  第六章は土地の使用についてでございます。現在土地の使用につきましては、電信線電話線建設条例というものが定められておるわけでございますが、現在の規定は公共の福祉というものを非常に重く見ましたために、私人の財産権等については若干その保護に欠ける点がございます。そのために今回は公共の福祉の確保と財産権の尊重ということを適当に調整するということによりまして、電信電話線路に必要な土地の使用について、おおむね次のようなことを定めることといたした次第であります。なお電信電話線路に関する土地の使用についてのこれらの特権的な規定は、これは公社のみがその適用を受けるわけでございます。国際電信電話会社にはその適用はございません。  まず第一点といたしましては公社は現在におきましては無制限に線路及び空中線等を建設するために土地、建物等の使用をいたしますが、今回は土地の利用を著しく妨げない限度において使用するということを基本方針といたした次第であります。  次に土地等使用します権利の存続期間につきましては、現行法におきましてはその制限がないわけでございます。一応無期限ということになつておるわけでありますが、今回は電柱等につきましては十五年、その他の堅固な建造物につきましては五十年ということに定めたわけでございます。  それから土地等使用につきましては、今回は土地等の権利者等と一応協議をいたしますが、協議が整わないときには都道府県知事の裁定を求めることといたした次第であります。  それから土地等使用についての損失補償につきましては、御承知のごとく現在の電信線電話線建設条例によりますと、電柱一本につき四銭ということになつておるわけでございますが、今回はこれらの補償につきましては、線路及び土地の種類ごとに政令をもつて具体的にその対価を定めることといたした次第であります。  次に植物の伐除あるいは立入り使用等の場合の補償につきましても、やはりこれは実費補償を原則といたしまして、それらの権利者との間の協議ということにし、その協議の整わない場合におきましては、やはり都道府県知事の裁定をなし得ることといたしたわけであります。  次に水底線路につきましては、漁業権との調整の問題があるわけでありますが、これらの規定を置きまして、都道府県知事にそれらの調整をなし得ることといたさせた次第であります  第七章は雑則の規定でございます。そのうちでまず従來いわゆる増設電話、PBXにつきましては、その設備設置及び保存は公社がなすことを原則といたしまして、加入者の事業の性質上、公社による設置保存が不適当である場合等の特別の場合に限りまして、加入者等の自営を認めていたのでございますが、利用者の要望等にかんがみまして、今回は公社以外に、加入者等におきましてもその設置及び保存をなし得ることといたした次第でございます。ただこの設置及び保存につきまして自由にいたすということになりますと、単に設置者のみならず、一般の公衆電気通信業務にも支障を及ぼすおそれがございますので、その設置及び保存につきましては、支障を防止するために必要な限度におきまして、公社郵政大臣の認可を受けて定めます技術基準に適合するものであること、及び工事に従事する者は郵政省令の定めるところによりまして、公社が認定する資格を有する者でなければならないことといたした次第でございます。  なお利用者の利便をはかりますために、私設有線電気通信設備につきましても、例外的に公衆電気通信設備への接続を認めるごとといたした次第でございます。  次に公社または会社が外国の通信事業者と国際電気通信事業に関します協定あるいは契約等を締結する場合におきましては、その締結、変更等につきまして郵政大臣の認可を受けることといたした次第であります。  もう一つ、従来は電信電話の取扱いにつきましては、一切損害賠償の責に任じない、いわゆる賠償無責任の方針を堅持して参つたわけでございますが、一切の賠償に任じないということは、現在の社会情勢から見て妥当を欠きます。しかし一方におきまして、瞬間的に大量の通信を取扱わなければならない業務の性質上から見まして、民法の一般原則によるということも妥当でないわけでございますので、これらの点を勘案いたしまして、限定賠償の方針をとることといたした次第でございます。そこで、そのサービスを提供すべき場合におきまして、そのサービスを提供しなかつたことによつて利用者に加えた損害が、不可抗力または利用者の故意もしくは過失に基かない場合であつて、電報の遅延及び不達、照合電報の通信文における誤り、加入電話の不通によつて生じた損害につきましては、その料金額の五倍を限度といたしまして賠償することといたした次第でございます。  第八章は罰則でございます。罰則につきましては、公衆電気通信業務運行の確保通信秘密確保公衆電気通信設備の保護、あるいは公社または会社の職員の本法違反の防止に備えるための、必要最小限度規定にとどめた次第でございます。  次に先ほど申しました法律で定めるべき主要な料金につきまして、別表でその金額を定めたわけであります。これにつきましては、先般大臣から提案理由の説明の際に申し上げましたように、この料金額に、現行料金収入に対しまして二五%の増収をはかるため、必要な所要の改訂を加えたわけでございますが、料金改訂につきましては、説明の便宜上最後に譲ることといたしまして、引続き両法の施行法案内容について先に御説明申し上げたいと存じます。  両法の施行法案につきましては、冒頭に申し上げましたように、有線電気通信法及び公衆電気通信法を施行するにあたりまして、現行の法令との関連における経過的の規定、及び関連法令の内容の改廃等を内容といたしたものでございまして、今回この両法案の施行に伴いまして、電信線電話線建設条例電信法電信電話料金法の三法は当然廃止になるわけであります。なお両法案の施行期日をこの施行法案の中で定めておりますが、両法の施行は一応八月一日を予定しておる次第でございます。  次にこの内容のごく主要なものについて申し上げたいと存じます、まず第一といたしましては、明治時代におきましては、電話の申込みは加入申込みの登記の順番によつて開通いたしておつたわけであります。ところが予算の不足によりまして、この申込みの順番による開通ができませんので、この申込み登記の制度と並行いたしまして、電話設備に要します費用だとか、あるいは物件の寄付、あるいは一定の至急開通料を支払うことを条件といたしました開通制度を並用して参りました。そのためにこの申込み登記によります順番開通の方は、われわれと加入者増設がはかどらない。このために申込みがだんだんとたまるばかりでございましたので、大正八年に至りまして、この順番開通による申込みをストップしたのであります。その後におきましても、細々ながらもこの開通はいたして参つたのでございますが、遂に昭和十一年だつたと存じますが、この開通を中止いたしまして今日に至つておるわけでございます。これらの申込み登記をなされた積滞の申込みが、原簿上約十二万あるわけでございます。ところがこの十二万のものにつきましては、その後多年を経過しております。その間におきまして、震災あるいは戦災等を経て参つておるわけでございますので、これらの申込みというものが、現在においてはたしてどれだけ真実の申込みがあるかどうかということについての整理もいたされておらないのでございます。今回電気通信法を根本的に改正するこの機会におきまして、これらの積滞の申込みを一応洗い直しましてそれによりまして、残つたこの申込みにつきましては、公益優先によります受理をそこなわない範囲におきまして、できるだけすみやかにこれを架設するという方針をとることといたした次第であります。  次に、現在はPBXにつきましては、その設置及び保存を公社が行うことといたしておりますが、先ほど公衆法で御説明いたしましたように、今後は利用者の設置及び保存をも認めることといたしましたので、現在加入者が設置いたしておりまして、公社が保存をいたしておりますような設備につきましては、この機会におきまして加入者の意思を尊重いたしまして公社が従来通り委託を受けてやるか、あるいはこの際みずからが保存するかのいずれかを選択せしめる余地を与えることといたした次第であります。  それから今申し上げましたPBXというのは、従来の甲種増設電話機でありますが、それ以外に乙種増設電話機、いわゆる転換機によつて接続される電話機がございます。これは現在公社が保存しておりますが、今後もこれは公社設置及び保存をするということといたしたいと存じております。  それからこの関係法令の改正等のうちで、現在電話設備費負担臨時措置法という法律がございますが、この中で現在PBXを設置せんとする場合におきましては、その設置者がPBXの設置に要します実費を全部設備負担金の形で公社に納め、しかもその財産権は公社に所属するという建前になつておりますが、今回PBXに私営を認めるということにいたしたのと関連いたしまして、今後におけるPBXを公社に申し込む人につきましては、その設置に要する実費は、今後は電信電話債券の引受という形に変更いたしたいと考えておるわけでございます。  以上がこの施行法における重要な点であります。  以上、三法案のごく概要を御説明申し上げたわけでございますが、引続きまして、公衆電気通信法の別表に掲げられております料金額のうちで、今回の二五%の料金改訂につきましてのごく概要を、あわせて御説明申し上げたいと存じます。  今回のこの料金改訂につきましては、本年度におきましては八月一日からの実施を予定いたしております。八月以降来年の三月までの本年度内八箇月分の料金収入といたしましては、一応現行料金におきまして五百二十八億の収入が見込まれるわけでございますが、これの約二五%の増収、すなわち百三十四億というものをこの際はかることとしての値上げを企図しておるわけでございます。なお二五%の増収をはかるための平年額によります増収は約二百億と相なります。  まず電報の方から申し上げますと、電報につきましては、これは前回提出いたしました一割の値上げ案の場合と同様でございまして、市外の電報料のみについてこれを行います。市内電報料あるいは翌日配達電報料等については値上げをいたしません。市外電報料につきましても、基本料現在十字まで五十円のものを六十円に値上げするだけにとどめまして、累加料の五字増すごと現在十円をとつておりますが、この累加料につきましてはすえ置きといたします。これによりますと、現在の電報の一通当りの平均字数は二三・五字と相なつております。二三・五字と申しますと、現在の料金で申し上げますと七十八円になります。これが今回の値上げによりまして八十八円と相なりまして、その平均の一通当りの字数で計算いたしますと、ここにありますように値上げ率は一三%と相なるわけでございます。電報につきましてはそれだけでございます。他のものはすべて値上げをいたしません。  次に電話料金でございますが、電話料金につきましては、度数制の局と均一制の局とにわかれるのでありますが、度数制の局につきましては従来の度数料一度ごとに五円をとつてつたわけでございますが、今回はこれを十円といたすことといたしたわけでございます。それと関連いたしまして従来の基本料は、電話を一度も使わなくとも必ず徴収しておつたわけでございますが、今回は最低度数料の制度を加味いたしまして、この基本料の中で一月の使用度数六十度までの分につきましては、この基本料の中にこれを加えたわけでございます。これで参りますと具体的の例をあげますと、東京の事務用の電話で申し上げますと、現在は基本料は五百四十円でございます。この基本料の五百四十円で、現在の東京の一加入者の平均通話度数は一日八・八度でございます。これで計算いたしますと、現在の負担は一加入につきまして千八百六十円でございます。これをただいまの最低度数料を加味いたしました新しい基本料九百円と、それからあと八・八度の一度ごと十円の度数料で計算いたしますと二千八百三十円、約五二%の値上げということに相なるわけでございます。なお大阪で申し上げますと、約四五%ということに相なります。  なお従来は加入者の数によりまして電話局の種別をつけておるのでありますが、加入者五万以上のものにつきましては、これを一級局として全部を一律に扱つてつたわけでございます。ところが現在におきましては、すでに東京の加入者数は二十三万に相なつております、また大阪は現在約八方であります。同じ一級局におきましてもこれほど差があります。利用価値の面あるいは経費の面から申しまして、これを同一に律するということはかえつておかしいわけでございます。今回は一級局の刻み方を改めましで、新一級局と申しますのは加入者二十五万以上のものを申します。新二級局は加入者数十五万から二十五万まで、新三級局は加入者数五万から十五万までというように、現在までの一級局を三段階にわけたわけでございます。  それから従来は度数制の局につきましては、住宅用と事務用とによりまして基本料の差をつけたわけでございます。東京におきましては事務用が基本料五百四十円に対しまして、住宅用は三百八十円というようにしておつたわけでございます。ところが今回この最低度数料をとりますことによりまして、基本料に事務用と住宅用の区別をつけるということがあまり意味がないということになりましたので、この際この区別を廃止することといたした次第であります。現在におきましては住宅用におきましては、一月の電話度数が東京におきましても約六十度でございまして、それで計算いたしますと現在東京におきましては三百八十円の基本料と六十度の一度数五円で、度数料は三百円、計六百八十円のものが、今回は九百円、六十度分までは基本料に含まれますので九百円となる、それで計算しますと値上率は三二・四%と相なるわけであります。もう一つは度数制の局につきましては、従来は大口利用者は全部PBXを利用しておられるわけであります。PBXに収容されております加入電話につきましては、基本料のさらに五割の加算額をとつてつたわけでございます。ところが今回はこの度数料を五円から十円に値上げするということにいたしましたので、大口の利用者に対する負担を若干調整する見地から、この加算額の五割のものを廃止することといたした次第でございます。  以上によりまして、度数制局の基本料と使用料を合せました平均の値上率は五三%に相なるわけでございます。均一制の局につきましては、新しい五級局、昔の三級局というものは、度数制の局と均一制の局とが同じ三級局の中で並存しております、そこでこの同じ三級局の度数制の局の料金とそれから均一制の局の使用料は、大体バランスされることが必要でございますので、ただいま申しましたような平均の通話度数で計算いたしました度数制局の使用料とバランスさせまして、新しい五級局以下の料金を定めたわけでございます。  なお均一制の局につきましては、従来事務用と住宅用の区別がもちろんあつたわけでございますが、これにつきましては今回もこれの区別をなくすということになりますと、住宅用の加入者の負担が一挙に増加いたしますので、従前同様におおむね事務用の使用料の約六割見当の料金住宅用の料金と定めたわけでございます。  公衆電話料につきましては、これは度数料を十円にしたこととあわせまして、また一方硬貨の採用というようなこととかんがみまして、一度ごとに現在五円を十円といたした次第でございます。  次に市外電話料でございますが、現在近距離の区間の料金が、これにかかります経費を相当割つておりますので、近距離の区間の料金を主として上げるということといたした次第であります。またその際現在の電話は、電車、バス等の交通機関等の料金との関係も見まして、大体妥当な線というものは出したわけでございますが、現在最低十キロまでの区間は七円となつておりますが、これを十円にする。それから以下二十キロ以下のところにつきましては、現在それぞれ十円とか十五円になつておりますが、この現行料金にそれぞれ十円ずつ加算することといたした次第であります。そういたしまして、三百八十キロの区間までは、現在の料金に十円ずつ加算する。三百八十キロ以上の区間につきましては、現行料金をすえ置くということといたしたのであります。三百八十キロまでの区間と申しますと、東京から西を例にとりますと東京から豊橋まででございます。そこで東京から名古屋だとか、あるいは大阪以西につきましては、市外通話料は今回は値上げに相なりません。  次に即時、準即時区間につきましては、大体現在同様一般の市外通話との比較権衡を見まして、大体五割から八割増しというふうに定めたわけであります。これはサービス改善等から見まして、大体この程度のところがいいのじやないかというふうにいたした次第であります。また即時、準即時通話区間におきましては、現在特に大都市近郊等におきましてゾーン・メーター・システムと申しまして、たとえば川崎とかあるいは武蔵野の電話局の加入者は、東京の加入者に市外通話をいたす場合にはゼロをまわしまして、あとただちに東京の加入者番号をまわせば、直接東京の加入者と通話ができるようになつております。その場合におきましては、——武蔵野の加入者が武蔵野の局の加入者に通話をいたします場合には、度数計が一回まわるだけでございます。ところが東京都内の加入者にかけますと、その際には度数計が三回まわるようになつております。それらの関係で度数料一回十円ということにいたしますと、どうしても度数料の倍数でなければ、この即時、準即時区間の通話料というものが技術的に困難な点もありますので、それらの点も加味いたしましてこれらの料金を算定いたしたわけでございます。なお今回は来る九月一日より東京・名古屋、東京・大阪、名古屋・大阪の三都市間におきましては、即時通話が実施される運びと相なりました。従来即時、準即時通話というのは大体短距離区間でございましたが、今後におきましてはこれらの長距離の区間におきましても、これらのサービスが実施されることと相なるわけでございましてそれらの料金につきましてもそれぞれ定めたわけでございます。なお即時、準即時区間の特に長距離の部分、八十キロ以上の区間につきましては、夜間の通話の逓減制をこの際実施することといたしました。午後八時より翌朝の午前七時までにおきます夜間通話につきましては、その区間におきます普通通話料と同額といたすことといたした次第であります。これによりますと具体的に申し上げますと、東京、大阪間では現在七百十キロの区間になつております。普通通話料で百六十円でございます。ところが現在におきましては、東京、大阪間におきましては、特急通話が五二%、至急通話が二〇%程度を占めております。それらの通話はそれぞれ四百八十円なりあるいは三百二十円というものを要しておるわけでありますが、今回この即時通話を実施することによりまして、東京、大阪間の料金は二百九十円ということになりますので、実質的に申し上げますれば市外通話の値下げと相なるわけでございます。また従来におきましても東京、大阪間の夜間におきます通話は、普通通話で十分事足りておつたわけでございまして、今回は先ほど申し上げましたような夜間におきます逓減制を実施いたしまして、現在までの普通通話の利用者に対しましては、その料金に変更を加えないというふうな措置を講ずることといたした次第であります。  次に専用料金でありますが、市外専用料金につきましては、ただいま申しました市外通話料を三百八十キロの区間までについて値上げをするに伴います値上り分だけでござまして、一般の専用については普通通話料の二百倍、新聞、放送等につきましては普通通話料の六十倍という倍率につきましては、すえ置きといたすことといたした次第であります。  なお申し忘れましたが、市外通話料の値上率は三一%でございます。ところがこの市外専用料についてはただいま申し上げましたように、中距離以上の区間については値上げをいたしておりませんので、これらをきめますと、一般に市外専用線は長距離のものが相当多いわけでございますので、一般利用については一七・五%、新聞放送関係については一四・三%にとどまるわけでございます。市内専用料及び電信専用料につきましては、この前の一割値上案と同様でございまして、現在それぞれ実費を相当割つておりますので、これをそれぞれ約五割の値上げをいたすことといたした次第でございます。  以上簡単でございますが、三法案逐条説明にかえまして、法案内容のおもなる事項及び料金改訂の主要な事項についての御説明を終りたいと存じます。
  15. 成田知巳

    成田委員長 質疑を続けます。質疑は通告順にこれを許します。なお本日は電電公社当局も出席されておりますので、念のために申し上げます。廣瀬正雄君。
  16. 廣瀬正雄

    ○廣瀬委員 二、三質疑をいたしたいと思います。私の質疑は、第一が拡充五箇年計画について、第二が経営の合理化について、第三が料金の値上げについてお尋ねいたしたいと思いますので、政府当局あるいは公社の方から適宜お答えを願いたいと存じます。  まず拡充五箇年計画についてでありますが、今回私どもの手元にわたつております参考資料によりますれば、設備整備拡充をいたしますための五箇年計画というところを拝見したのでありますが、これによると二千七百億円というまことに厖大な資金を必要とするということになつておるのであります。私はこれはあまりに厖大に過ぎはしないかと思うのであります。前の国会におきましては、同じく五箇年計画でありましたけれども、料金の値上げは平均一割であつたわけでありまして、今回の計画も政府資金の繰入れでありますとか、あるいは公募債でありますとかいうような資金によつての拡充計画でありますれば、けつこうでありますけれども、平均料金二割五分の値上げをいたしての拡充計画でございます。そういうことを考えましたときに、私はこの計画は、他の国家の年次的な計画と比べまして、たとえば食糧増産五箇年計画でありますとかいうような他の国家的の年次計画と比較いたしまして、あまりに大き過ぎる計画ではないかというように考えるのであります。従つてその計画の規模を、ただいまの計画の通りに目標を置きますならば、年数を延長いたしますとか、あるいはまたそうでなくて規模を小さくいたしまして、毎年の過程を縮小するということにつきましてのお考えはないか。それは昨今の国民の輿論の反対が非常に強いということから考えまして、あるいはあるのじやないかというように考えるのでありますが、それらのことはいかがでございましようか、お尋ねいたしたいのであります。  それからこの五箇年計画は簡単な計画書でありますので、内容の詳細なことはわかりかねますけれども、これを拝見いたしますと、まことに大都市偏重主義のようであります。加入電話の拡充の問題にいたしましても、電話局新設問題にいたしましても、ことごとく営利主義に基きましたところの、大都市中心主義がうかがえるのでありまして、もともと逓信事業というものは、正確、迅速、秘密、低廉、公平ということと並んで、普及ということをモットーとして以前の逓信省はやつてつたのであります。その後新しく公社になりましたけれども、このたびの公衆電気通信法案の第一条、「あまねく、且つ、公平に」という言葉が使つてあるのでありまして、その「あまねく」という言葉は、私はある程度こうした公共事業におきましては、採算を度外視いたしまして、こうした文化施設というものをどんな僻遠の地にも普及させるということが一つのねらいでなくてはならない、かように考えるのでありますが、そういうようなことを考慮に入れてないということを非常に遺憾に思うのでありますけれども、御当局の見解はいかがでありますか、お尋ねをいたしたいと思います。  次に、前の国会におきましては、資金運用部の資金というものを四十億円借り入れる計画であつたやに承つておりますけれども、今回は全然資金運用部資金の借入れを考えていないようであります。私は、塚田郵政大臣あるいはまた梶井社総裁は、まことに政治的な手腕に富んだ有能な方と思つておりますが、さようなお二人がおられるにかかわりませず、政府資金の借入れができなかつたということは、非常に私は御手腕を疑いたくなるのであります。本年度に限らず、あとの続きます四箇年におきましても、全然さようなことが考慮されてないということを、私はまことにさびしく思うのでございます。この資金運用部の資金の獲得ということにつきましての御経過なり、また今後の御決意なり、御努力の方向なりをお示しを願いたいと思うのであります。  次に、損益勘定から建設資金に七十六億円を繰入れておりますが、これは料金増収の百三十四億円のうちから持つて来ておることになつております。新しい建設によりまして既存の加入者が利益を受けるということはもちろんでありますけれども、原則的に申しますれば、かような建設資金というものは、別途の資金を充当するのがほんとうであろうと思うのであります。この繰入れを全然認めないということは申しませんけれども、この割合をいま少しく削減をするというお考えが必要ではないかと私は思うのでありますが、これらのことにつきましての御意見を承りたいと思うのでございます。以上が第一の拡充五箇年計画についての質問でございます。  第二の経営合理化につきましてお尋ねいたしたいことは、電信の機器あるいは電信線等も、現在は、公社になりましてから会計法の適用がないというようなところから、主要なものにつきましては、大きなメーカーと随意契約でやつておられるようであります。しかしながら私は、経営を合理化し、努めて経費も節約するという観点から申しますれば、一般競争入札でなくても、少くとも指名競争入札というような形式をとることが妥当ではないかと考えるのでありますが、こういうことにつきましての御当局の御見解を承りたいと思います。  次に同じく経営の合理化でございますが、ただいま公社の注文は、これこれの性能を持つた機械をつくつて参るようにというような、まことに殿様式な方式で注文を発せられておるようであります。従いまして、自然コストが高くなるというようなことが考えられるのでありまして、公社の中には権威ある電気通信研究所というようなものもございますから、こういうところで技術の研鑽を積まれて、そうしてさような殿様式の注文でなく、もう少し具体的な、業者からつけ込まれないような、反撃されないような発注ができないかということをお尋ねいたしたいのであります。  次にやはり合理化についてのお尋ねでございますが、ただいま中間監査等によりまして、購入につきましての必要の雑費というものが非常に多いように私は聞いておるのでございますが、この点も事業の合理化のためにまことに遺憾に思いますので、改善の余地はないかということをお尋ねいたしたいと思います。  次に従業員の問題でございますが、私不勉強にいたしましてアメリカの例は知りませんけれども、ある人の話によりますれば、アメリカの通信事業従業員の数は非常に少い、日本に比べて非常に少い従業員しか従事していないというようなことであります。従いましてこれらのことにつきましても、創意、くふうの余地はたくさん残されておるのじやないかと思うのでありまして、ことに管理要員が非常に多いということを承つておりますが、馘首するのでなくて、事業の拡充とともにこうした管理要員を現場要員に転換するというようなことにつきましてのお考えが必要ではないかと私は考えるのであります。これはしろうとの考えでございますけれども、これにつきましてのお考えも承りたいと思うのでございます。  いま一つ、同じく従業員の問題でございますが、従業員に能率的に働いてもらうということがきわめて必要だと思うのでありますが、これについて考えられますことは、養成機関の拡充ということであります。承りますれば、このたび九月一日から東京に、昔の官練の復活でありますところの高等科が設置せられるということでありまして、私ども双手をあげて賛成をし、喜んでおるわけでございますが、しかるにその収容人員はわずかに六、七十名にすぎないということであります。ところが電電公社従業員は、長い間のこういう養成機関の空白がありましたために、希望者は全国的にずいぶん多いであろうと思いますので、わずか六、七十名ではとうてい救済はできない、そうした熱望をかなえることはできないと思うのであります。しかしながらこの高等科というものは、中央に一箇所しかございませんので、さような形態でもいたしかたがないといたしましても、私はこの昔の官練、新しい高等科に対しまして、新しい中等科ともいうべき養成機関の復活が特に必要だと考えるのであります。全従業員は中央の高等科よりも、こちらの方を切実に願望しているということが言えるのではないかと考えるのでありまして、ぜひとも高等科の設置とあわせまして中等科を、ただいま各地方に設置せられておりますところの通信学園に並置いたしまして、——ただいまありますものを普通科というようなことにでもいたしまして、これに中等科を並設するということをごくめんを願つて、そうして限られた従業員の能率を向上させる、教養を高める、技術を習得させるということにつきましてのお考えを願いたいと思うのでありますが、これにつきましての御当局のお考えはどうでありますかということを承りたいと思うのであります。これが二番目の経営の合理化についてのお尋ねでございます。  第三に、料金値上げについてでございますが、お尋ねいたしました第一、第二が、私が考えております通りにかなえられるということになりますれば、料金値上げということは必要でないということになるのではないかということも考えられますけれども、しかしながらある程度の料金値上げというものは、必要であろうということも考えられます。しかし私どもは低物価政策というものを、強く打出さなければならないということを考える。吉田総理も最近コストの引上げということを、貿易の振興等に関連いたしまして申しておるようでありますが、私もさようなことでなければならないと思うのであります。日本の産業の基盤をつちかうともいうべき電電事業におきましては、特にさようなことを考えなくちやならないと思うのでありますが、これにつきまして基本料金が、事務用と家庭用というものを一緒にいたしまして、東京におきましては九百円に値上げする。もつとも六十通話という特典がございますけれども、あまりに基本料金の値上げがひど過ぎはしないか。また家庭用と事務用というものを、度数制の場所におきましてはなくしまして、均一制の場合に残しておるという理由は、那辺にあるかということもお尋ねいたしたいと思うのであります。また度数料を五円から十円に、十割も値上げするということも、私はひど過ぎると思うのでありまして、ある程度の値上げはやむを得ないといたしましても、たとえば三百回までは幾らにするとか、あるいはそれ以上は幾らにするとか、あるいは四百回以上は幾らにするかというような逓減の方途を、度数料においてお考えになる必要はないかということも考えるわけであります。  いま一つ申し上げたいことは、市外通話料でございますが、この値上りは  大したことはないにいたしましても、深夜あるいは早朝の割引が、私は必要ではないかと思います。三割ないし五割の割引が、経営の合理化という点から申しましても望ましいと思うのでございます。私は深夜、早朝の割引をお願いしたいと思つておりますが、その点につきましてのお考えはどうであるか。  料金につきましては、いろいろ申し上げたいことがありますけれども、まだそこまでは進んでおりませんので、その程度にとめまして、以上大きく三つの点につきまして、御当局の御見解を承りたいと思います。
  17. 成田知巳

    成田委員長 今の廣瀬委員の質問は非常に多岐にわたつておりますが、公社側と政府側とどちらに御答弁願うか、お打合せの上、適宜に御答弁を願いたいと思います。
  18. 梶井剛

    梶井説明員 数多くの御質問でありますので、全部をお答えいたしかねると思いますけれども、そのおもなものにつきまして、私からお答えいたします。  第一に、拡張計画の規模が大き過ぎはせぬかという御意見でありますが、現在の日本の電話というものは、過去八十年近くの間官営といたしまして、国家財政の制約のために、ほとんど自然の発達というものはできませんでした。従つて現在の日本の電話の普及率は、御承知の通り世界で二十二番目になつております。従つてさような通信の萎靡した状態におきましては、わが国における経済活動は非常な損害を受けるわけでありまして、経済活動に十分なる電話を架設するためには、一昨年ですか、電通省時代に、審議会において諮問されました際に、その意見として、加入者を五年ないし十年の間に三百万増設しようという御意見が答申されたのであります。それから見ますると、この五年間における加入者の増加数は、わずかに七十万という程度でありまして、決して規模が大に過ぎるというような懸念はないと存じております。むしろ小に過ぎるのではないだろうかと考える次第であります。  また拡張計画において、都市重点主義になつていはせぬかという御意見でございまするが、確かにこの計画においては、都市に重点を置いております。しかし現在における電話の普及の程度を各地別に調査いたしますと、小都市、農村におきましては、むしろ普及が割合に行つておる方でございまして、都市の方が非常に普及しておらぬ。従つて希望者の数というものは、現在積滞しておりますが三十八万ございますけれども、その大部分は大都市のみであります。従つて、決して営利主義によつて都市に重点を置いておるのではなくて、国民の要望に沿う結果といたしまして、都市に重点を置かざるを得なくなつたというわけであります。  また預金部資金につきましては、昨年までは百三十五億の預金部資金を借りておりました。しかるに今度の予算におきましては、預金部資金は一文も借りておらぬじやないか、それははなはだしく政治的手腕を欠如しておるのではないかというおしかりをいただいたのでありまするが、これは大蔵省といたしまして、先般国鉄並びに電電公社に対しては、預金部資金の伸びというものは非常におそくなつて来た。従つて公社におきましては、預金部資金ではなくて、公社の性格上社債が募集できるのであるから、預金部資金にかわるものとして社債の募集によることにするというわけでありまして、従つてこの前の国会に出されました予算におきましては、預金部資金を四十億に減らしまして、そうして社債を百億、百四十億というものが二十七年度の百三十五億に匹敵しておつたわけであります。しかるに国会が不幸にして解散になりました結果、今回の提出予算は四箇月暫定予算になりましたために、残されるところわずか八箇月であります。従つて社債市場の募集の期間というものは非常に短かくなつたので、百億の募集は困難であるから、七十億に削減しなければならない、この点は国鉄も同様な削減を受けたわけであります。また残りの預金部資金四十億が今回削減されておりますが、これにつきましてはわれわれとしては、国家財政の都合上削減されたものと考えますけれども、そのきわめて一部でありますけれども、国際電信電話株式会社が株式を売却いたしました代金が三十二億編入されております。これはこの前の国会においては二十億入つておりましたが、今度は全額三十二億、つまり十二億だけふえているわけでありまして、価といたしましては預金部資金を貸していただけるものならば、もちろん貸していただきたいと考えております。しかも将来においてかような社債または預金部資金というものについては、増額をして借りる意思はないのかというお尋ねでありますが、これは五箇年計画をごらん願えばわかります通りに、昭和二十九年度においては公募債券または政府借入金は、二十八年度七十五億に対しまして、百六十億になつております。また三十年度におきましては百十一億になつております。その後漸減しておりますけれども、やはり二十九年度の計画を実行いたすといたしますならば、来年度におきましては社債はもちろん百億、また預金部資金は六十億程度の借入金をしなければ、この計画は実行できないわけであります。私どもといたしましては、本年度においてこそ預金部資金を借りることはできなかつたけれども、将来においては必ずしも不可能でないと考えておる次第であります。またさような熱意を失つているわけではありません。  それから合理化の問題につきましては、今の物品購入のことは、後ほど資材局長または経理局長から御答弁いたしますが、従業員の問題について申し上げます。従業員の管理要員が多過ぎはせぬかというお話でありますがこれは先般御説明いたしました通り、昨年の十一月の機構改革におきまして、一万四千名の管理要員を現業の方へ配置転換いたしました。今後におきましても再教育をいたしまして、現業において働き得る能力を持つ者を管理要員から漸次現業職員に配置転換して行くということによりまして、現業職員の負担をできるだけ軽くするという方法をとらなくてはならぬと思います。現在現業職員の負担というものは、戦前に比較いたしまして二〇%ないし四〇%負担過重になつております。従つて現業要員は非常な過労をしておりますので、どうしてもわれわれとしましては合理化の見地からして、管理要員から現業要員にかえなければならぬという考えを持つております。また養成機関の問題につきましては、先ほど高等科を地方学園において二箇年の課程をもつてやる、それは非常に賛成であるが、中等科というものはどうしたのかというお尋ねでありますが、現在各通信局におきましてはおのおの十の学園を持つております。その十の学園において、一年の課程をもつて中等科を養成いたしたいという考えでおります。従つて高等科の収容人員が六十名というきわめて少いのでありますけれども、これは教育をいたします先生そのものの用意からいたしませんと、そう急に規模を大きくいたしましても不可能なのでありまして、年々歳々収容人員は増すつもりでおりまするが、地方の中等科においては十箇所でございまするから、少くとも六百人以上の養成ができるものと考えております。  それから料金値上げの問題につきましては、これは非常に多岐にわたりますので、後ほど文書か何かでお答え申し上げます。
  19. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほどの御質問に対しまして、総裁からお答え申し上げましたことに関して、やや経理的な問題、それから資材関係に関する二、三の御質問がございましたので、私からお答えいたします。  損益勘定の七十六億が、建設勘定繰入額としては少し多過ぎはしないかという点でございます。これはただいまの総裁の資金関係説明とうらはらの関係になるのでありますが、私どもはむろん先ほど総裁から御説明申し上げましたように、資金の源泉を預金部からもらいたくないということは毛頭考えてはおらないのでありまして、貸してくれるものならば幾らでもその方面を開拓するということは当然であります。しかしながら公社になりまして、従来のごとくいつでも政府資金に百パーセント依存しているというようなことは、今後相当考えなければいけない。企業とすれば当然今後相当額の利益剰余金というものも出してさしつかえないのじやないか、ただその金額が非常に多額にわたるということならば、公益企業として思わしくないと存じますが、この程度の金額というものは料金収入、現在の全収入に比べまして八%とか九%とかいう程度のものであります。そういう点では今後公社の財政の健全化をはかるという意味におきましては、ある程度の利益剰余金というものを生じてもやむを得ないのじやないか。しかしながら会社ではありませんで、これが配当になるとか、あるいは、公社以外に流出して、むだに流れるということならば、容易ならぬ問題でありますが、そのために公社ができたのでありまして、すべてそうしたものは設備の改良に還元される、あるいは建設にまわる、それはすべて加入者の利益の便宜の向上になるのであるという観点から、この程度の金額は理論的にもさしつかえないのじやないか、こういうふうに勘案いたしまして、この程度の金額が生じたのでありますが、そうかといつてこうしたものだけで建設勘定というものをまかなうものでは毛頭ないのでありまして、一般の公募もたくさんございますし、償却用資金もございますし、それに加えて先ほど総裁が申しましたように政府資金というものは、もし貸してくれるならばむろんこれを辞退する気持は毛頭ないのであります。  それから経営の合理化の点で、資材関係についての御質問がございましたが、まず第一に現在電電公社は大メーカーに対して随意契約でやつておるが、指名競争程度に直したらどうか、この点につきましては必ずしも大メーカーではなく、全部のメーカーに対しまして大体において随意契約でございます。ただ資材の中でもいろいろ品物がございまして、一口に用品と申しますか、従業員の被服とか、自転車とか、車とか、紙とか用度品、器具、こうしたものは競争あるいは指名競争になつておるものが多いのでありますが、通信事業の本体をなしますところの器材、線材につきましては、大部分が随意契約といつてさしつかえないのであります。なぜ随意契約をこうしてやつておるかということは、電気通信事業の特質であり、また電電公社の契約のほんとうの特質であると考えるのであります。それは現在通信事業は御案内のように私どもしかやつてないといつても過言でないのでありまして、ことに有線につきましては絶対電電公社だけでやつておるわけであります。従いましてこうした通信器材を供給するメーカーというものは、依存度が百パーセントないし大部分のパーセントは電電公社に依存しておる。ここに非常に契約資材行政上むずかしい問題が起るのであります。私どもも何とかして現在の業界に刺激を与えて、ある程度競争をさせるということも考えてはおるのでありますが、実際問題としては非常にまた危険もはらむのであります。それはどういうことかと申しますと、マーケットが唯一でありますがゆえに、公社で物を買わないということは、とたんにその会社の不景気とかいう問題ではなくて、つぶれるという問題の起るものが多いわけであります。その点では非常に頭を悩ましておるのでありまして、私どもは単なるバイヤーであつて、最も安くいい物を買えばよろしいのでありまして、つい物を買いながら、電気通信器材につきましてはある程度の行政というものをせざるを得ないという立場にあるのであります。その行政という点は国家のなすべきことであつて、私どものなすべきことではないと言われましても、こうした特異な業界と、それから需要者との関係から、どうしてもこの業者というものを倒さないで行く、しかも温室的に育てて、高いものを買わないようにして行くというむずかしさがあるわけであります。これが一番根本的に私どもの電気通信器材業界、線材業界との関係において、一般の産業と非常に違う特色でございます。  その次には品質の点で、私どもはとにかく技術的に非常に高度な優秀な品物を持ちたいという特色が、ほかの品物以上に強くございまして、その点で随意契約でない一般の競争契約あるいは指名競争にいたしましても、ややもすれば談合になる、あるいは品物が粗悪になるという点で、結局まわりまわつて悪い物を買うという結果になりはしないかという点が、非常にまたわれわれの心配の種になるわけであります。この点は私どももこうした物の買い方をする上において、反面業界が温室育ちになり、企業努力を忘れ、ついつい電電公社に依存するという度合いが高くなるということを警戒をしながら、やはり物は予定価格というものをできるだけ合理的に立てて、そしてメーカーの品質というものやメーカーの会社の経営の内容というものを検討しては、その会社に対していつも勧告なり注意をして、いい物を買つて行く、こういうやり方をとつておるわけであります。その点は私どもも漫然と随意契約しておるのではなくして、逓信省始まつて以来長い間随意契約というものが私どもの仕事に関しては会計法のあるときでも認められた非常に特色であつたのであります。但し御注意のほどもございますから、私どもも一層この点については配慮いたしまして、御忠告の線に沿つて行きたいと思います。  それからやはり同じような回答になると思いますが、殿様式な注文ではないか、コストも高くなつて非常に安易な発注をしておらないかということでございますが、多少その点にも触れたように記憶しておりますが、私どもも納品の仕様については電気通信研究所がございまして、この研究の成果に基いて、仕様課というものがあつて、これに基いて厳正な発注をしておるわけであります。ただあるいは非常にその注文がうるさくて、案外高いものを買うのじやないか、仕様がうるさ過ぎてかえつて高い。もう少し現実的な仕事に合えばいいというような注文の仕方をするという点については、確かに昨今総裁あたりからも注意もございまして、相当改善もしておるのでありまして、ややもするとあまりにも技術的に走り過ぎて、経済的にはマイナスになるというような点があつたかと思いますが、この点は現在十分注意をしておるわけであります。  それから購入について中間雑費が多いというような御指摘でございますが、御質問の趣旨がはつきりは了解できなかつたのでありますが、多分この検査をする場合、あるいはメーカーなり業者が物を売りつける場合の営業費と申しますか、そういつた経費が電信電話関係の品物をサプライする上においては非常に多いという御注意と思いますが、この点については私どもは実際問題として、会社の経営内容を一々見ているわけでもないわけでありますが、私どもは電信電話公社こそ物を買う上においての営業費が最もいらないところだという点を非常な確信を持つて自認しておるのでありますが、この点は私どもつい最近まで資材の方も担当した経験もあるのでありますが、ほかの一般の会社あるいは一般の官庁、いろいろな点と比較して、率直に私どもについてのそうした営業費のコスト高というものがあるかどうかということを、ほんとうに公平な第三者の立場から言つてもらいたい。これはもう普通に質問したところではまともな返事もないと思いますけれども、正直なところまじめな人の御意見を私ども拝聴しまして、最近こうした中間雑費というものは、電信電話公社に関する限り非常に減つて来ているということをたびたび聞かされておるのであります。これはしかしただ私どもがそう思つておるだけではいけないのでありまして、もしそうした御非難なり御注意がありますれば、私ども十分また今後も一層気をつけて、こうした中間雑費を業者なりメーカーにかけないように努力したいと思つております。以上をもちまして総裁のお答えの補足を申し上げた次第であります。
  20. 吉澤武雄

    ○吉澤説明員 料金の御質問に対しましては大分具体的にこまかい問題がありましたから、私からお答えを申し上げます。一番初めの基本料の値上げが非常に高いという御意見でございますが、今回の料金の建て方につきましては、基本料と度数料という二本建を廃止いたしました。と申しますのは、基本料は度数を使つても使わなくてもそれは払うが、それ以外に一度使えば五円を払うのか度数料で、今日の制度でございます。今回五円を十円にしたという関係もあり、また従来からこの基本料と度数料を含む最低度数制というものが合理的ではないかということを研究しておりました結果、今回の案では、基本料については六十度までは基本料の中に含める、こういうことにしたわけであります。従つてかりに東京の例をとりますと、現在事務用の基本料が五百四十円、それに対しまして一月六十度といたしますと現在五円ずつでありますから三百円、結局八百四十円というのが今回の基本料の九百円に当るわけであります。そういう意味で値上率にしましたら大体七・一%ということに東京の例ではなつております。それ以外の地方についてはほとんど値上げしない、あるいは現在より安くなつているところもあろうと思いますが、一日二度というのは事務用としてはほとんどまれであります。そういうような意味で最低度数料ということが、今の基本料になつているわけであります。そこでそういうような最低度数料をとりましたために、従来の住宅、事務用という区別はほとんどその必要がなくなり、かつ電話を持つてつて一月に六十回以下しか使わぬというようなことはあり得ないということから、事務と住宅の区別を廃してもさしつかえないということにいたしました。しかし均一制の場合におきましては、かりに今の均一使用料について、同じように住宅と事務用の区別を廃したならば、現在の住宅の上り方の率が非常に多くなる。ことに地方におきましては、電話利用価値から見まして、住宅そのものと事務用との利用価値とには、相当差があるわけです。そういうことで今回は均一制においては、住宅と事務用の区別をそのまま存置したことになつているわけであります。  次に度数料の五円を十円にしたことであります。今も触れたことでございますが、最低度数制を一面とつたということは、五円を十円にして一度数ごとに倍になるということでは、はなはだ負担が重かろうということも考えて、最低度数制を採用したのであります。しかし六十一度からは十円ずついただくことになりますが、その際にどのくらい負担が増すであろうかという実際の計算をしてみますと、他の料金をなくしたりあるいはすえ置くということがございまして、必ずしも各人の負担が倍になるということはないのであります。たとえば東京での例を申しますと、大体平均が一日九度使つている、その場合にPBX、いわゆる私設交換も持たない場合でありますと、五八%という値上げになるのでありますが、一日十五度あるいは二十度、三十度の方は、大体PBXを持つています。そのPBXにつきましては、従来の附加使用料はすえ置きまして、なお従来の加入回線につきまして基本料の五割の加算額がありましたが、その加算額を今回廃止したのであります。そのように廃止した点を考え、かつすえ置きの附加使用料を考えますと、PBXを持つている多数の利用者の方の負担は、大体一日四十度電話をお使いになる方で、今のような計算で行きますと五二%程度の負担増加ということになるのでありまして、必ずしも倍ということにはならぬようになつておるわけであります。  次に夜間の市外通話を低減したらどうかという御意見でありますが、これは今回即時、準即時の特別区間につきましては、一般の待合い時間の区間の料金の五割ないし八割というような増額をしております。夜でも今までは普通通話ができたのが、そういう一本の料金で従来よりも八割も高い料金を支払わなくてははなはだ不適当だということを考えましてそのような夜間通話につきましては、夜間八時以後翌日の七時までの受付につき、その当該区間の普通通話料に相当する程度に割引したらどうかということを考えまして、今回の法案にはそういうふうな夜間通話低料制をとつているわけでございます。しかし特定区間以外の待時通話区間におきましては、今日の情勢から見まして、全部に夜間低料制をやるというのは時期尚早だということを考えまして、今後十分に調査いたしまして、一般的に実施したらどうかということを考えております。  なお度数制の逓減制をとつたらどうか、こういうことも研究したのでございますが、この逓減制につきましては、アメリカあたりで逓減制をやつております。しかし日本と多少事情の違うところがありまして、アメリカあたりは電話が普及しており、通話の完了率が非常によいのでございまして、むしろ通話を奨励する、あるいは加入者をうんと募集するという営業政策上、度数料逓減制は非常に意味がございますが、御存じのごとく日本におきましては、まだ通話完了率が四割から五割程度でございます。こういうところでたくさん通話をすることを奨励する意味での度数制逓減ということは、ちよつととりにくいのではないかと思います。かつまたゾーン・メーター制といいます加入者が直接市外通話を自動式にできるところがありますが、そういうところでは市内通話、市外通話が同じようにこみに度数計に現われて来るのであります。そういつた場合にどういうふうに逓減制にするかというような技術上の問題もございまして、なお研究を要すると考えております。
  21. 廣瀬正雄

    ○廣瀬委員 本会議も始まつたようでありますので、一応御意見として承つておきたいと思います。ただ五箇年計画の問題でありまするが、ここでは厖大にできないということでございますけれども、前国会におきましては料金平均一割程度の値上げで五箇年計画を立てておられたのでありまして、今回は二割五分平均で五箇年計画になつておりますが、前回と今回はどの辺が違うかということを研究したいと思いますので、それに関します資料の御提出を願いたいと思います。  それから養成機関でありますが、今の総裁のお話は、地方の各地にあります電気通信学園に新しく昔の高等科を復活するような、中等部というものを常設的に新設する計画だと承つているのですが、それでよろしゆうございますか、それとも現在あるという御説でございますか。
  22. 梶井剛

    梶井説明員 新たに置きますという意味でございます。従来中央学園では電信の技術者を九箇月の期間で養成しております。それはそれといたしまして、新たに中等科程度のものを一箇年の課程で置くというのでございます。
  23. 成田知巳

    成田委員長 本会議開会されたようでございますから、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  なお明三十日、明後一日には、それぞれ午前十時より三法案について参考人より意見を聞くことになつておりますので、念のため申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十四分散会