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1953-08-06 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       小川 平二君    小金 義照君       田中 龍夫君    土倉 宗明君       村上  勇君    笹本 一雄君       山手 滿男君    加藤 清二君       齋木 重一君    下川儀太郎君       中崎  敏君    始関 伊平君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦澤 大義君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局アル         コール第二課         長)      渡邊 五六君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      森  誓夫君         通商産業事務官 藤田 忠寛君         通商産業技官         (軽工業局窯業         課長)     武内 謙二君         通商産業技官         (工業技術院標         準部繊維化学規         格課長)    三輪 大作君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 八月三日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として下  川儀太郎君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員井上良二辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  日野吉夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長補欠選任  閉会中審査申出の件  委員派遣承認申請に関する件  石炭に関する小委員長より報告聴取の件  石炭鉱業に関する件     ―――――――――――――  請願  一 信用協同組合育成強化のための障害除去に    関する請願關谷勝利紹介)(第八五三    号)  二 同(櫻内義雄紹介)(第二二二五号)  三 同(松平忠久紹介)(第二二二六号)  四 同(小笠公韶君紹介)(第二二九七号)  五 同(山下春江紹介)(第二三六九号)  六 同(黒金泰美紹介)(第二三七〇号)  七 同(杉山元治郎紹介)(第二三七一号)  八 同(稲富稜人君紹介)(第二三七二号)  九 同(熊本虎三紹介)(第二五九三号) 一〇 同外二件(淺沼稻次郎紹介)(第二七八    一号) 一一 同(稻村順三君紹介)(第二七八二号) 一二 同(和田博雄紹介)(第二七八三号) 一三 同(櫻井奎夫君紹介)(第二七八四号) 一四 同(猪俣浩三紹介)(第二七八五号) 一五 同(井堀繁雄紹介)(第三二一三号) 一六 同(高橋禎一紹介)(第三六三九号) 一七 同(加藤鐐五郎紹介)(第四三三一号) 一八 同(井上良二君外三名紹介)(第四五六三    号) 一九 同(松田竹千代紹介)(第四六二五号) 二〇 同(早稻田柳右エ門紹介)(第四六八三    号) 二一 同(原田憲君外六名紹介)(第四六八四    号) 二二 同(佐藤洋之助紹介)(第五一九一号) 二三 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の    一部改正に関する請願高橋禎一紹介)    (第三六四〇号) 二四 同(早稻田柳右エ門紹介)(第四六二八    号) 二五 同(福田赳夫紹介)(第四八三六号) 二六 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の    指定業種印刷工業指定請願(小金義    照君紹介)(第二三七三号) 二七 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の    指定業種清涼飲料水製造業を加入の請願    (早稻田柳右エ門紹介)(第四六八二    号) 二八 企業組合育成強化に関する請願田中稔    男君紹介)(第一四八号) 二九 同(川上貫一紹介)(第八五一号) 三〇 同(稲富稜人君紹介)(第八五二号) 三一 中小企業維持育成に関する請願有田二郎    君紹介)(第二二九六号) 三二 中小企業対策に関する請願早稻田柳右エ    門君紹介)(第四六二七号) 三三 綾部市に中小企業金融公庫代理所設置に関    する請願大石ヨシエ紹介)(第二〇七    〇号) 三四 電気事業法の一部改正に関する請願中村    時雄君紹介)(第三二一四号) 三五 四国電源開発促進に関する請願中村時    雄君紹介)(第一四九八号) 三六 四国電源開発促進に関する請願中村時    雄君紹介)(第三〇一二号) 三七 奈半利川の電源開発に関する請願井谷正    吉君外三名紹介)(第三三六三号) 三八 公営及び自家発電に関する請願渡邊良夫    君紹介)(第七四一号) 三九 盛岡市に電気試験所支所設置請願(柴田    義男君紹介)(第四一〇六号) 四〇 電気料金値上げ反対請願高橋圓三郎君    紹介)(第四〇二九号) 四一 農事用電力料金引下げ請願高津正道君    紹介)(第三九七七号) 四二 石炭危機打開対策確立に関する請願伊藤    卯四郎紹介)(第二九七九号) 四三 屋久島地下資源調査並びに開発に関する    請願岩川與助紹介)(第三六〇六号) 四四 天然ガスさく井に関する地質調査請願(    玉置信一紹介)(第二二五号) 四五 菅平硫黄採掘反対に関する請願吉川久衛    君外三名紹介)(第四〇二四号) 四六 陶磁器産業振興に関する請願早稻田柳右    エ門紹介)(第二七八〇号) 四七 四国通商産業局近永アルコール工場存置に    関する請願井谷正吉君外二名紹介)(第    二九六九号) 四八 磐城セメント煙害調査団派遣に関する請願    (山田長司紹介)(第一五七〇号) 四九 計量法の一部改正に関する請願松野頼三    君紹介)(第三二一五号) 五〇 中国に対する輸出制限撤廃に関する請願(    山花秀雄紹介)(第一八三九号) 五一 中国向け鉄道車両輸出許可に関する請願(    岡田五郎紹介)(第四五六四号) 五二 日中貿易促進に関する請願帆足計君外二    名紹介)(第三九七九号) 五三 在日朝鮮人中小企業政府資金特別融資に    関する請願村上勇紹介)(第七八九    号)     ―――――――――――――  陳情書  一 本流案による只見川電源開発促進陳情書    (第六九号)  二 同    (第七〇号)  三 同    (第七一号)  四 同    (第七二号)  五 同    (第七三号)  六 同    (第七四号)  七 同    (第七五号)  八 同    (第七六号)  九 同    (第七七号) 一〇 同    (第七八号) 一一 同    (第七九号) 一二 同    (第八〇号) 一三 同    (第八一号) 一四 只見川電源開発に関する陳情書    (第八二号) 一五 中小企業金融対策拡充強化に関する陳情    書(第    八三号) 一六 中小企業者に対する保険制度確立に関す    る陳情書    (第一五四号) 一七 電源開発促進に関する陳情書    (第一五五号) 一八 只見川電源早期開発に関する陳情書    (第一五六号) 一九 商工組合中央金庫に対する政府指定預託金    償還延期等に関する陳情書    (第一八四    号) 二〇 中小企業対策に関する陳情書    (第二一四    号) 二一 稚内市に火力発電所設置に関する陳情書    (第二七〇    号) 二二 ガス事業法改正に関する陳情書    (第三七三号) 二三 同(第三七四号) 二四 本流案による只見川電源開発促進陳情書    (第三七五    号) 二五 中小企業等協同組合法による共同施設助成    補助金増額陳情書(    第四〇八号) 二六 ガス事業法改正に関する陳情書    (第四三三号) 二七 自動自転車整備に関する陳情書    (第四三四号) 二八 日中貿易促進に関する陳情書    (第五〇一号) 二九 石炭需給対策並びに金融対策樹立とその    実施化に関する陳情書    (第五〇二号) 三〇 中小企業信用保険法運用適正化等に関す    る陳情書(第    五〇三号) 三一 特定中小企業の安定に関する臨時措置法改    正に関する陳情書    (第五五五号) 三二 電気料金値上げ反対に関する陳情書    (第六一一号) 三三 電源開発に伴う損失補償に関する陳情書    (第六    五九号) 三四 ガス事業法改正に対する陳情書    (第六七八号) 三五 炭価対策に関する陳情書    (第    六九三号) 三六 本邦輸出物価割高是正に関する陳情書    (第七七    九号) 三七 中小企業に対する金融対策に関する陳情書    (第七八〇号) 三八 電力料金地域差早期実現に関する陳情書    (第七八一号) 三九 四国電源早期開発に関する陳情書    (第七八二号) 四〇 日中貿易促進に関する陳情書    (第八二六号) 四一 鉱業施策実施に関する陳情書    (第八三〇号) 四二 日中貿易促進に関する陳情書    (第九四八号) 四三 国内万年筆の規格表示実施撤廃に関する    陳情書    (第九四九号) 四四 日中貿易促進に関する陳情書    (第九八五号) 四五 中小企業金融対策拡充強化に関する陳情    書(第一〇    二〇号) 四六 只見川電源早期開発に関する陳情書    (第一〇二    一号) 四七 火薬類販売営業者定員制復活に関する陳    情書    (第一    〇六〇号) 四八 中小炭鉱危機打開対策樹立に関する陳    情書(第一〇    六一号) 四九 山口下中小企業者に対する災害復旧資金    融資増額に関する陳情書    (第一〇六二号) 五〇 鉱害復旧事業工事促進に関する陳情書    (第一〇九七号) 五一 道南地方電力充実等に関する陳情書    (第一一四八号) 五二 石炭業基本政策に関する陳情書    (第一二〇二号) 五三 中小企業金融公庫法成立促進に関する陳    情書(第一二    〇三号) 五四 中小企業金融公庫法案に関する陳情書    (第一    二一八号) 五五 電力料金地域差撤廃に関する陳情書    (第一三〇六号)     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前にお諮りいたします。委員下川儀太郎君が委員を一辞任せられ、再び委員に選任せられましたが、下川儀太郎君は石炭に関する小委員長でありましたので、下川儀太郎君を石炭に関する小委員及び石炭に関する小委員長に選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 異議なければさようとりはからいます。  この際石炭に関する小委員長より中間報告をいたしたい旨の申出がありまするから、これを許します。
  4. 下川儀太郎

    下川委員 本小委員会はさきに中間報告行つた水害復旧対策に関する国政調査の一段落を待つて、当初の予定通り石炭鉱業合理化その他に関する諸般の問題についてしさいに検討した結果、次のごとき施策政府に要望すべきであるとの結論に達しました。一、長期エネルギー総合対策確立石炭鉱業地下資源産業の特性として生産弾力性に乏しく需要の変動に対して供給を即座に対応させることは不可能であるから、今後石炭鉱業経営を安定せしめつつ合理化促進するためには、長期的なエネルギー需給総合対策を早急に確立して、将来における石炭鉱業の規模とそのあり方に一定の指針を示すことが必要である。この場合国内資源有効利用国民経済基盤強化観点から、供給条件の不安定な外国炭及び重油に過当なウエートを置くことなく、国内炭積極的開発とその生産方法合理化に最大の重点を置くべきである。  二、石炭鉱業合理化対策確立、(1)縦坑開鑿計画促進、(2)中小炭鉱機械化近代化促進、(3)右に必要な国家資金の確保と長期低利貸出条件の適用、(4)旧復金債務負担軽減、(5)税制の改正、(イ)鉱業設備補填引当金の設定、石炭鉱業は操業の進むに従つて採掘箇所が深部に移行し、かつ条件が悪化するのが常態で、生産を維持するためには経営的に設備補填費用が必要であるが、一応の基準をもつてあらかじめ引当金を設け、その損金処理を容認する制度確立すること、(ロ)鉱床補填費控除制度確立鉱床基本的投資である埋蔵鉱体減耗性資産であり、その経営を維持継続するためには、常に新鉱体を発見開発して減耗分を補填して行かなければならないが、新鉱体の再調達には多分の危険性投機性を伴い、また資源の発見、開発の順序としては立地条件賦存状態の有利なものから逐次着手される傾向にあるので、後から着手されるものほど割高となるため、現行税法で認められている鉱業権減価償却額をもつてしては、新鉱体の再調達は不可能である。従つてそのための費用をあらかじめ一定基準従つて売上げ代金の中より控除し、その損金処理を容認する制度確立すること。  右の通りでございます。以上報告をいたしました。
  5. 大西禎夫

    大西委員長 この際伊藤委員より発言を求められておりまするから、これを許します。
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 ちようど石炭局長が見えておりますから、今小委員長から報告をいたしました内容とそれ以外の点で、二、三点明らかにしておきたいと思うのであります。  第一点は、中にもありますように、企業合理化の問題でありますが、最近貯炭が非常にふえて来たことと、石炭界外国の弱粘結炭、あるいは重油等に圧迫されて、炭鉱経営がおもしろくないというような点から、企業整備相当促進されつつあるわけでございます。ところがこの企業整備労働者首切りに、三井、三菱を初めとして最近相当露骨に行われつつあります。それからまた水害によることを理由にして相当企業整備首切りが行われつつあります。こういう対社会的な問題を経営者側自己経営に有利に運用して、労働者首切りを行うということは、はなはだけしからぬやり方であると思つておるのでございます。従つてこの合理化促進されて、日本炭鉱を再建して行く。そして外国石炭重油等に対抗して、日本炭鉱を救うという問題については私も双手をあげて賛成でございます。ただその場合に今申し上げたような労働者のみにはね返りの、しわ寄せする首切りをして経営権建直しということは、われわれが了承できぬところであります。これらについて石炭局長十分注意をせられ、監視、監督をしてもらわなければならぬのでございます。これらの点に対しての石炭局長信念のほどをこの際一言承つておきたいと思うのでございます。  それからいま一点は、日本炭鉱地域は非常に限定されておりまして、従つて相当もう古くなつております。そういう点から、やはり若返らすためには、生産費の切下げ、能率を上げるためには、どうしても鉱区整理統合をやる必要があります。もちろんこれは鉱業法等にも関係することでありましようけれども、やはり炭鉱若返り一つとして鉱区整理統合を行うということもあわせて考えねばならぬと思うが、これらの促進方について石炭局長はどのような信念を持つて扱おうとされておるかという点が一点。  いま一点は、一面蜂の巣をつついたようになつて掘り尽しておりますが、その反面にはまた今後百年、二百年掘つてもなお掘り尽せない厖大な鉱区が、所有者のために、睡眠というか、遊眠というか、そういう形で眠つておるわけでございます。私はこれらをほうつておくということは、国家経済の上からどうかと思うわけでございます。これらも、炭鉱を若返らせ、日本石炭外国石炭と太刀打ちさせて、国際市場において打勝たすためには、当然私はこれらの開発を、国家権力の上に立つて断行すべきじやないかと思うのでございます、これは当然のことです。こういうことについても、炭鉱若返りを熱望しておられる石炭局長としては当然お考えになつておると思うけれども、これらに着手することはかなり困難の点もありますので、どのようなお考えを持つておられるか。必要によつてはまたわれわれ国会が相当力を貸してあげてもいいと考えるのでありますが、この三つの点についてこの際石炭局長信念のほどを伺つておきたいと思うわけでございます。
  7. 佐久洋

    佐久政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、石炭小委員長からの御報告内容について申し上げたいと思います。これは現在までわれわれがぜひ実現しなくてはならぬという考えのもとに相当の努力を払つて参つたのでありますが、いろいろの事情で実際に実現の過程に入つていない問題がほとんどでございます。ことに総合燃料対策というようなことは、今日至急に検討しなくてはならぬ重大問題でございまして、ただわれわれとしてこの検討に入る前に、日本石炭需要が将来どの程度の数量あるべきものなのかということを一つ探り出さなければならぬのであります。それをやるためには、今後の、たとえば中共貿易とか、あるいはMSAの援助の形、あるいはその金額とか、あるいは南方諸地域への貿易の進展の状況とかいうことが一つ前提となりますので、そういう問題がある程度はつきりいたしませんと、実は石炭恒常的需要量をつかみにくい状況になつておりますが、いずれにしてもこれはぜひわれわれの力で検討を加えたい、こういうふうに考えております。  それから鉱業設備補填引当金とかあるいは鉱床補填費控除制度も、従来あまり問題にされなかつたことでありますが、これも石炭鉱業に限らず、およそ地下資源については基本的に解決さるべき問題と思いますので、一応理論構成としては私ども検討を加えております。今後実現に努力したい、かように考えておる次第であります。  それから伊藤委員からの御質問で、現在石炭相当過剰になつておる、その結果企業整備が行われる、結局労働者の犠牲において企業整備を行つておる、こういうことでございますが、私自身としては、日本の将来の産業安定のために、石炭自身が過剰だとは決して考えておりません。ただ相対的な関係需要がそれに伴つていない、その関係石炭が過剰の現象を来しておる、これが現実であります。そこで、根本的にはやはり石炭有効需要増大をはかるということが基礎的な問題だと思いますが、当面の一つの切抜け策として、残炭がほとんどないとか、あるいは現在の自然条件が悪いために生産費が非常に高い、あるいは品質が非常に悪いとかいうことのために、実際に石炭を掘つても売れない、企業として成り立たないというような関係で、やむにやまれず一時休廃止をしておるという炭鉱が、小さな炭鉱ではありますが、全国的に見て、私ども調査によりますと百鉱ほどございます。それによりまして従来の職場失つた労働者が四千五百ほど出ておるということは認めざるを得ないのでありますが、先ほど申しましたように、これは決して望ましい現象ではございませんので、今後有効需要増大というような基礎的な問題の解決と同時に、先ほど小委員長からお話がありましたようないろいろの施案を実施することによつて職場増大雇用機会増大をはかつて行きたい、かように考えておる次第であります。  なお第二の質問鉱区が非常に錯雑しておる、これを整理統合する意思はないかというお話でございましたが、確かに全国的に見ますると、各会社の鉱区がかなり入り乱れた状態になつております。そのために、先ほどの小委員長からの御報告にありました縦坑開鑿というようなことにつきましても、前提として鉱区整理が将来の有効な採掘上必要であるという具体的な事例もございます。今の法制的な制度では、強制的な鉱区整理統合という方法がございません。二、三話合い鉱区整理統合を実施したことはございますが、戦時中の重要鉱物増産法というような特別な法律でもあればやりやすいのでありますが、しかしこの問題は、戦時中でも非常に困難な問題でありまして、これは検討すべき問題ではありますが、今すぐにそれをやるというだけの実は確信もないわけでございます。できるだけ話合いによつてこの問題の解決をはかつて行きたい、こういうふうに思つております。  それから睡眠鉱区相当方々にあるというお話でありますが、将来何十年か先には手をつけざるを得ないという鉱区を持つておる鉱業者はかなりございます。ただこれの開発に当る場合に、相当合理化された、しかも規模的にも大きな組織としてやはりやるべきだというふうに私は思いますので、ただその睡眠鉱区を少さく分割して山をたくさんつくるということが必ずしも合理的な開発になるかどうかという点については、私自身一つの疑念を抱いております。今後の地下資源開発という観点から申しますると、これを各私企業にまかすということがいいかどうかという点も考慮しなければなりません。今国の権力睡眠鉱区を全部開発して行くという結論ちよつと申しかねますが、今後の研究課題といたしたい、かように思います。
  8. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたします。ただいまの石炭に関する小委員長報告委員会の決議として議長報告すると同時に、通産、経審大蔵当局に参考送付いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  10. 大西禎夫

    大西委員長 それではこれより請願及び陳情書審査に入りまするが、請願審査紹介議員の見えられておりまするものについては紹介議員より説明を聴取し、紹介議員の見えておられない請願につきましては、便宜長谷川委員より文書表によつて説明を願いましたあと、政府より意見を求め、御質疑があればその際お願いいたすことにいたしたいと存じまするが、御質疑はなるべく簡潔に願います。  なお請願についての委員会の決定は、一応請願全部について審査を行いました後に決定いたしたいと存じますからさよう御了承願います。  それではまず請願日程中第一ないし第二二、信用協同組合育成強化のための障害除去に関する請願は同一趣旨でありますので、一括議題といたします。紹介議員が見えられておりませんので、便宜長谷川委員より紹介説明を願います。長谷川四郎君。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 紹介議員関谷君外二十二名でありましてこの請願の要旨は、わが国産業中核体である中小企業は、信用協同組合との連携において、着々その業績を向上し、信用協同組合もまた健全なる運営によつて中小企業振興に寄与しているが、いまだ組合員以外の預金制限組合連合会出資基準の高額、出資株金払込み証明の発行不能等信用協同組合育成強化のための障害が除去されていないことは、まことに遺憾である。ついては、すみやかにこれらの障害を除去し、信用協同組合育成による中小企業金融対策強化に推進されたいというのであります。
  12. 大西禎夫

    大西委員長 政府の意見を求めます。
  13. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業対策といたしましての信用協同組合育成強化ということにつきましては、政府といたしましてもつとに意を用いている次第でありまして、先ほど来、たとえば政府預託金の預託先等につきましても、着々信用協同組合をも対象にいたしたいと存じておる次第であります。組合員外預金の受入れを認める制度その他につきましては、かねて来検討いたしておるのであります。また同様趣旨の法案が当国会におきましても出されている次第でございますので、これらの関係ともにらみ合せまして、十分に検討をいたしたいと存じておる次第でございます。
  14. 大西禎夫

    大西委員長 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  15. 大西禎夫

    大西委員長 日程第二三ないし二五、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部改正に関する請願一括議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は日本燐寸工業会理事長森一郎君外一名。紹介議員高橋禎一君であります。本請願の要旨は、特定中小企業の安定に関する臨時措置法は、その立法趣旨の高邁なるにかかわらず、その目的達成のための不可欠の要件が欠けているため、調整組合の運営は困難であり、所期の効果を上げるに至つていない。ついては本法を一、恒久立法し、二、新規開業の抑制措置に関する規定を設け、三、第二十九条の勧告の段階を廃止し及び命令の内容に関する規定を強制加入的命令規定に変更し、四、調整組合に価格協定、共同販売その他経済活動を許容し、五、調整組合に対する融資の道を開く等改正されたいというのであります。
  17. 大西禎夫

    大西委員長 政府の意見を求めます。
  18. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業の安定のための臨時措置法改正につきましては、私どももつとに検討いたしておつたのでありますが、先ごろ成立公布を見ました中小企業安定法によりまして、本請願の趣旨はおおむね達成せられるのではないかと考えておるのでございます。すなわち恒久立法化する点でございますとか、新規開業の抑制でございますとか、あるいは二十九条の勧告及び命令の段階の整備でございますとか、あるいは価格協定等の特例を認めます点でございますとか、あるいは中小企業等に対する利子補給の措置等につきましても法文化いたしておる次第でございまして、今回改正法律を誠実かつ適正に実行することによつて政府のこれらの対策を振興いたしたいと存じます。
  19. 大西禎夫

    大西委員長 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  20. 大西禎夫

    大西委員長 次に日程第二六、特定中小企業の安定に関する臨時措置法指定業種印刷工業指定請願及び日程第二七、特定中小企業の安定に関する臨時措置法指定業種清涼飲料水製造業を加入の請願一括議題といたします。長谷川委員説明を願います。
  21. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は東京都中央区新富町日本印刷工業会長佐久間長吉郎、紹介議員小金義照君であります。  本請願の要旨は、印刷業界は、そのほとんどが中小企業者である上に、最近の出版業界の不況、貿易の不振等により、多大な打撃を受けて、倒産を余儀なくされる業者が続出しているありさまである。ついては、特定中小企業の安定に関する臨時措置法指定業種印刷工業指定されたいというのであります。  次の請願者は愛知県瀬戸市権現町愛知県清涼飲料工業会理事長浅井金之丞、紹介議員は早稲田柳右工門君であります。     〔委員長退席、中村委員長代理着     席〕  本請願の要旨は、清涼飲料水製造業者は、設備過剰と製品乱売による採算割れを来たし、大多数の中小業者は多額の物品税を滞納する結果となり、一方採算割れによる非衛生品や脱税商品が市場に氾濫し、業界では中小企業等協同組合法によつて、自主的な生産調整を行つた地区もあるが、この不況を克服するには安定法による保護以外にない。ついては、清涼飲料水製造業特定中小企業の安定に関する臨時措置法指定業種に追加されたいというのであります。
  22. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  23. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 印刷業並びに清涼飲料水製造業法につきましては、つとに私どもにも要望が参つておるところでございますが、今回同法の改正によりましてこの両業種はそれぞれ法の措置につきまして指定業種と相なつておるのでありまして、この法律を適正に実施することによりまして請願の趣旨に沿い得ると考えております。
  24. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  25. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程二八ないし第三〇、企業組合育成強化に関する請願を議題といたします。長谷川委員より説明を願います。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は久留米市荘島明治商店街共栄企業組合久留米出張所長末安朝吉、紹介議員田中稔男君であります。  本請願の要旨は、中小商工業者は、現在の経済状態のもとに最低の営業と生活権を否定され、特に課税面においての圧迫はなはだしく、苦境のどん底にある。ついては、不況に対処する中小企業の自主的組織である企業組合育成強化のため、所得税、法人税の改悪を行わず、中小企業等協同組合法強化中小企業庁の充実及び中小商工業者の組織化と保護育成に努められたいというのであります。
  27. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  28. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 零細企業者の振興安定のために企業組合の組織を通じまして、政府中小企業対策振興させようということは、つとに重要な施策となつておつたところでありまするが、不幸にいたしまして企業組合のあるものにつきまして、その本来の趣旨の線からはずれまして、これが税法上の脱税の手段にされるというような弊害がございましたので、先般法人税法並びに所得税法の改正によりまして、名目上法人格を備えておりましても、実態がこれにそぐわないものにつきましては、一定の制限のもとに、その実態が十分なる法人的活動をなしておるものということの挙証を法人側に義務づける法案が成立いたしたのでございますが、もちろんこの法律は誠実なる企業組合の発展活動を阻止する意図のもとに行われたものではないのでありまして、改正法律の実施につきましては、国税、通産両当局間におかれまして、十分なる話合いを行いかつ実施につきましては、従来正しい企業組合活動を行つておりましたものを決して弾圧したり妨害したりすることのないような措置を講ずることといたしておるのでございまして、改正法人税法、所得税法等の施行を通じまして、企業組合があるいは弱体化されましたりあるいはその活動が不必要に妨げられるようなことのないように、十分に考慮を払つて参る所存であります。
  29. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  30. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程三一中小企業維持育成に関する請願を議題といたします。御説明を願います。長谷川委員
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大阪市実聯協会長中山太一君の請願紹介議員有田二郎君であります。本請願の要旨は、現在中小商工業者は不正競争または信用の破壊、乱売等により、倒産もしくは共倒れを招来するごとき実例が起りつつあることは、看過し得ない問題である。ついては、独占禁止法を改正し、または特別法を制定して、同一製造業者の同一製品については価格協定を認め、小売業者が生活維持に必要な最低利益を確保し得るよう措置せられたいというのであります。
  32. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  33. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業者が不必要な競争をいたしまして、共倒れになりまする弊害は、つとに私どもも認めておるのでありまして、中小企業等協同組合の結成によるこれらの排除等が従来企図されておつたのでありますが、それだけではなお不十分でございまして、今回の独占禁止法の改正にあたりましても、単に不公正競争の制限ということのほかに、不公正取引を制限いたしまして、商取引が公正に行われるようにということの趣旨がより一層明らかになつたのみならず、さらに再販売価格の維持等を契約できめるようにいたしたのでありまして、これらの措置によりまして、ほぼ請願の要旨に沿えるような効果を期待し得るものと考えておる次第でございます。
  34. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  35. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程第三二、中小企業対策に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  36. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 東京都中小企業団体連盟会長豊田雅孝、紹介議員早稻田柳右エ門君、本請願の要旨は、最近の国際的、国内的政治経済の不安定は、中小企業に重圧を加え、これがため中小企業は未曽有の苦難に当面している。ついては、これが対策として、一、政府預託金の引上げを延期するとともに、さらに大幅の資金を預託すること、二、中小企業金融公庫の運用にあたつては、業界の組織化を育成助長するよう配慮するとともに、その業務取扱については中小専門金融機関に重点をおくこと。三、中小法人の資本蓄積を可能ならしめるため、その所得の最初の一定金額(五百万円未満)については、税率を軽減すること。四、事業協同組合及び同連合会に預金の受入れを認めること。五、中小企業に対する労働基準法については、中小企業が完全に遵守し得る程度に緩和すること等を実現されたいというのであります。
  37. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  38. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業振興対策につきましては、金融上、税法上、あるいはその企業組織上の欠陥を除去して参ることは、私どもも平素大いに期待しておるところであります。請願にございます政府預託金の引上げ延期ないしは中小企業金融公庫の運用の適正化等につきましては、預託は随時あるいは引揚げを延期し、あるいは新規預託をなす等の措置を講じ、また中小企業金融公庫の運用につきましては、国会における御決議の趣旨にも沿いまして、中小企業専門金融機関に重点を置く取扱いをなすのみならず、中小企業の組織化の線に沿えるように運用いたす所存でございます。なお中小法人の資本の蓄積をなさしめるための所得の法人税率の軽減また事業協同組合連合会の預金の受入れ等につきましては、税法全体の問題、ないしは金融制度自体の問題といたしまして、相当検討の要があると存ずるのでありまするが、将来十分に検討を加えて参りたいと存じております。なお中小企業に対する労働基準法の適正化という問題につきましては、私どもも現に慎重な検討を加えておるのでございまして、今後も十分に検討いたしまして、実情に沿うような方向に向つて、要すれば改正等に努力いたしたいと考えております。
  39. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  40. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程第三三、綾部市に中小企業金融公庫代理所設置に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  41. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 京都府出口亀次郎、紹介議員大石ヨシエ君、本請願の要旨は、綾部市は京都府下丹波、丹後地方の中心地であり、かつ、山陰、北陸両方面の交通上における要衝であるが、本市内の綾部信用金庫は、近時中小企業者の金融機関として飛躍的に発展し、すでに八年にわたり国民金融公庫代理所としての業務の経験と優秀なる成績をあげつつある。ついては、京都府内に中小企業金融公庫代理所を設置するときは、本市所在の綾部信用金庫を指定されたいというのであります。
  42. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  43. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業金融公庫の代理所の選定につきましては、各金融グループ別に機関を設けて、これを選定いたす所存でございまするが、綾部地方あるいは京都の丹波地方といつた方面に、そのような金融機関が必要でありまするが、おそらく十分国民金融公庫の代理所といたしまして、相当の成績を上げておるという事実はきわめて有力なる事実と存じますので、十分調査いたしまして、請願の趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  44. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。
  45. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程第三四、電気事業法の一部改正に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  46. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は愛媛県松山市井部栄治、紹介議員中村時雄君であります。  本請願の要旨は、今回電気事業法改正のため、審議会において法案を審議中とのことであるが、民間電力需用者として、一、電気事業のうち、一般需用のみならず、特定需用を含めた供給事業をも電気事業と認めること、二、電力会社のサービス悪い場合等においては、同一供給区域内でも住民の意思により二以上の公益事業の許可を与えること、三、人為的、故意の停電に対する損害賠償の条項を加えること及び電気の融通、料金その他の供給条件地域差の調整等は現行通り存置し、聴聞、苦情申立制度の改善等を実現するよう同法案を改正されたいというのであります。
  47. 中村幸八

    中村委員長代理 政府委員がおりませんようですから、後ほどこの点については御説明いたさせます。     —————————————
  48. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程第四二、石炭危機打開対策確立に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  49. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は東京都港区芝三田四国町重枝君であります。紹介議員伊藤卯四郎君。  本請願の要旨は、石炭の本年度需給関係は、わが国経済活動の一般的伸び悩みと無制限の外国炭輸入等のため、需要量の減退を来しつつあるに加えて、各炭鉱は従来の増産態勢をそのまま続けているため莫大な貯炭を生じつつある現状であり、従つて各炭田においては廃休山、企業整備が行われ、賃金の引下げ、労働強化等の社会問題を起しつつある。ついては、この窮状を打開するため、一、恒久的対策として、総合的石炭政策の樹立国内炭有効需要の開拓及び合理化、機械化、新坑開発等のため長期国家資金の融資、二、応急的対策として、外国炭及び重油の輸入制限、中小炭鉱へ、の融資、労働不安の除去、炭鉱労働者の失業防止等の措置を講ぜられたいというのであります。
  50. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  51. 佐久洋

    佐久政府委員 ただいまの請願内容は、いずれも私どもがかねがね一部は実施し、また今後も実施したいと考えておる問題であります。最善を尽したい、かように考えております。
  52. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——なければ、次に移ります。     —————————————
  53. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程第四三、屋久島地下資源調査並びに開発に関する請願を議題といたします。長谷川委員より説明を願います。
  54. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は、鹿児島県深田直彦君外五名、紹介議員岩川與助君。  本請願の要旨は、鹿児島県熊毛郡屋久島は、地下資源として金、タングステン、錫、砂鉄、水晶等が埋蔵されており、ことにタングステンの採掘は島民の唯一の稼業となつているが、大企業工場なく、全島の埋蔵規模を明確にできないため、大企業家の誘致等を不可能ならしめている。ついては、国家的見地から屋久島地下資源を徹底的に調査して、その資源の種類、埋蔵量並びに埋蔵規模等を明らかにし、開発設備の導入及び資金のあつせん等を実現されたいというのであります。
  55. 中村幸八

    中村委員長代理 政府より説明を求めます。
  56. 川上為治

    川上政府委員 鹿児島県の屋久島地方に相当地下資源があるんじやないかという点につきましては、私どもの方としましても、そう考えていたのですが、特にタングステンにつきましては、現在におきましてもある程度出しておりますので、この際早急に調査をした方がいいのではないかというふうに考えまして、先ほどから通産省の福岡の通商局及び地下資源調査の方が一緒になりまして、また県ともいろいろ連絡をとりまして、現在調査を進めておりますので、請願の趣旨につきましては、今後十分にわれわれの方としては考えて努めて行きたいと思います。
  57. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——なければ、次に移ります。     —————————————
  58. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程第四四、天然ガスさく井に関する地質調査請願を議題といたします。長谷川委員より御説明願います。
  59. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は北海道天塩郡赤松満太郎君外二名、紹介議員玉置信一君。  本請願の要旨は、北海道天塩郡天北地帯は、埋蔵量十億トンと称せられる石炭と有望な石油資源を有し、この石油鉱脈に随伴して天然ガスが豊富に埋蔵され、推定十二億立方メートルは確実とする識者もあり、各所に自噴している現状である。ついては、諸産工業の発展を助長する見地から、天然ガス鑿井に関する地質の調査を実施されたいというのであります。
  60. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  61. 川上為治

    川上政府委員 北海道の天塩の天北地帯におきましては、石炭、石油あるいは天然ガス、そうした資源相当有望であるということはかねがねわれわれも聞いておりますし、従来から調査いたしております。特に石油につきましては、帝国石油株式会社が従来におきましてもある程度調査をいたしております。しかし国の調査の経費がそうありませんので、なかなか思うように行きません。また帝国石油会社におきましても、最近におきましては非常に困難な資金繰りになつておりますので、十分な調査ができませんが、何とかして石油資源なりあるいは天然ガスなり、こうしたものにつきましては調査を進めて行きたいと考えております。
  62. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。
  63. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ちよつと簡単に聞きますが、東京の江東区と千葉の天然ガスは、これは向うの要求があつて国で調査したのか、天然ガス会社がみずからの力によつて調査を進めたか、どつちが進めたのですか。
  64. 川上為治

    川上政府委員 はつきりしたことは覚えておりませんが、私聞いておるところでは、会社の方から要求がありまして、地下資源調査の方がこれと一緒になりまして、そうして調査をしたように聞いております。
  65. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次に移ります。     —————————————
  66. 中村幸八

    中村委員長代理 日程第四五、菅平硫黄採掘反対に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  67. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は長野県の堀込義雄君外十名でありまして、紹介議員吉川久衛君、井出一太郎君、松平忠久君、羽田武嗣郎君であります。  本請願の要旨は、長野県小県郡長村十ノ原において、昭和二十六年六月より硫黄を試掘中であるが、この試掘個所を水源とする神川を利用する町村は一市十箇村に及び、上田市及び神科村ではすでに上水道水源として施設し、豊里村も近日着工の運びとなつている。しかるにこの水系に硫黄の鉱毒を流される場合には十万住民の飲用水を失い、水田の収穫も皆無と化し、生存権に重大な影響を及ぼすものである。ついては、菅平の硫黄採掘に絶対反対するというのであります。
  68. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  69. 川上為治

    川上政府委員 菅平地区の硫黄の採掘につきましては、現在まだ採鉱中でありまして、すなわち試掘中でありまして、採掘の域には達しておりません。大体鉱害があります場合におきましては、完全なる、あるいは完全に近い予防措置を講じましてから採掘をさしたいというふうに考えておりますので、もしこの地方におきまして相当の硫黄の資源があつて、むしろ国家的に見ましてこれを採掘さした方がいいという場合におきましては、予防措置を十分させました上で採掘をやらしたいと考えておりますが、もしこの地方におきまして、硫黄の資源というのはそれほど大したことはない。また品位につきましてもそう大したことがないというような場合におきましては、今後あるいは採掘の許可を不許可にするとかいうような措置も講じたいと思うのですが、いずれにしましても現在この地区につきましては調査をいたしておりますので、また先般土地調整委員会におきまして、この地方の問題について公聴会も開催されまして、その公聴会の意見等も十分しんしやくされまして、また私の方からも調査をいたしまして、この問題につきましては善処したいというふうに考えております。
  70. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑がありませんか。御質疑がないものと認めます。     —————————————
  71. 中村幸八

    中村委員長代理 この際先ほどの日程第三四に関する政府側の意見をお願いいたします。
  72. 森誓夫

    ○森説明員 電気事業法の一部改正に関する請願についてお答えいたします。ただいま電気事業法改正につきまして、電気及びガスに関する法令改正審議会というものが設置されまして、関係の各層から委員が出まして、そこでいろいろな角度から審議をいたしておるわけでございますが、ここへ出されておりまする電気事業の範囲とか、あるいは電気事業の独占の限度をどういうふうにするかというふうな問題もいろいろ議論されております。ただいまのところでは、電気事業の範囲としてはやはり一般の需用に供給するものと、その電気事業に電気の卸売りをするものの二つに限りたいということが大体有力な意見になつておりまして、ここに言われております特定需用を含めた供給事業を電気事業とするというふうにはなつておりません。ただ特定需用を対象とするような事業でも非常に国民経済に重大な影響を及ぼすようなものについては、電気事業に準ずるものとしての扱いをしてはどうかというふうな考えもございます。そういう点につきましてなお委員の御意見をさらに伺つた上で態度をきめたいと思つております。  それからサービスの悪い地域に二以上の公益事業の許可を与えるようにされたいというのでございますが、これも電気事業の本来の性質として非常に厖大な固定資産を広汎な地域にわたつて配置する事業でございまするので、同一の地域に二以上の事業の存立を許すことは、かえつてコスト高を結果し、終局的には需用者に対してあまり利益にならないというような通説があるわけでございまして、委員会考えとしては大体こういう考えをとらないで、ある程度独占権は認める。そのかわり監督権を法律に規定して、たとえば業務改善命令を政府が出し、それを聞かない場合にはまたほかの事業の許可を取消すというふうにいたしまして、そういう方向でこの問題の解決をはかろうというふうに動いておるようでございます。  その他問題がございまするが、これらもただいまいろいろ審議会で検討中でございまするので、その結果を見まして政府として態度をきめたいと存じております。
  73. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はございませんか。
  74. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 三の答弁を抜かしたようですが、「人為的、故意の停電に対する損害賠償の条項を加えること及び電気の融通、料金その他の供給条件地域差の調整等は現行通り存置し」とあるのでありますが、これはどうですか。
  75. 森誓夫

    ○森説明員 人為的、故意の停電に対する損害賠償の条項と申しますのは、おそらく争議行為等のあつた場合のことであろうと思うのでありますが、こういう場合の取扱いは、むしろ一般の民法その他の一般法によつて損害賠償の問題を解決すべきではないかというふうに考えております。もしこれに対してどうしても社会政策的に、こういう事業者に損害賠償の責任を負わせるということになりますと、それを料金に盛り込むというようなことをしなければなりません、しかもそうしますと料金が高くなつて参りまするし、あるいはその賠償額が予想がつかないというふうな困難な問題を伴うことと存じまするので、電気関係の法規でこういうものを規定するということは避けた方がいいのじやないかというような意見でございます。  それから融通とか、あるいは地域差の調整等は現行通り存置すべきだという御希望がございますが、それは現在審議会の意向としてはこういうふうに動いております。また聴聞とか苦情申立制度等についても、聴聞は大いに活用させるとか、苦情申立制度はもう少し活用するように考慮を加えるというふうに、これがただいま審議会のおもなる意見のようであります。
  76. 中村幸八

    中村委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  77. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程三五及び三六四国電源開発促進に関する請願を議題といたします。長谷川委員に御説明をお願いいたします。
  78. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者松山市井部榮吉君外五名。紹介議員中村時雄君であります。  本請願の要旨は、四国電源開発中国、九州または関西地方に送電し、裨益せしめる国策的開発で、すみやかに開発に着手すべきであるが、目下四国電力会社と住友共同電力会社間で高知県奈半利川の水利権をめぐつて係争中で、両社その立場を異にしているため解決至難の実情にある。ついては、大乗的見地から両社を協調せしめるとともに、開発会社によつて四国電源開発促進されたというのであります。
  79. 森誓夫

    ○森説明員 ここに述べられております高知県の奈半利川開発の問題につきましては、いろいろ四国電力と住友共同電力との間に争いがあつたのでございまするが、政府としましては、ただいまいずれにも開発担当者を決定することをいたしませんで、さしあたり電源開発会社をして、さらに総合的に調査をせしめるということで、先般電源開発調整審議会におきまして、奈半利川を電源開発会社の調査地点に指定いたしたのであります。奈半利川の開発は、単に四国の電気の需用を満たすのみならず、中国、九州に四国の電気を流して、西日本の電気全体の、需給調整をはかるという意味から検討されなければならない問題でございまして、そういう意味でそういう角度から開発会社で調査してもらうことになつております。なおその結果によりまして、適当な開発担当者を決定いたしました上で、できるだけすみやかにその開発をやりたいというふうに考えております。
  80. 中村幸八

    中村委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑ございませんければ、次の日程に入ります。     —————————————
  81. 中村幸八

    中村委員長代理 次は第三七でありまするが、これはただいまの御説明で尽きておると思いますから、次の日程に移ります。     —————————————
  82. 中村幸八

    中村委員長代理 日程第三八、公営及び自家発電に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  83. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は新潟県議会議長児玉龍太郎君、紹介議員渡邊良夫君、本請願の要旨は政府は、新設水力発電設備に関する昭和二十八年度の電力割当にあたり、公営発電を行う地方公共団体が特定企業供給し得る電力量を、その発電量の三割程度にとどめ、また自家発電については、その発電量の五割程度を従来当該企業が所要する電力量から控除する方針がとられるように、仄聞するが、かかる措置は公営及び自家発電を奨励する本旨に反するのみならず、発電を行う企業開発意欲を減退させるおそれがある。ついては、公営発電についてはその発電量の五割以上の特定供給を認め、自家発電には発電全量を自家用に供給する措置を認められたいというのであります。
  84. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  85. 森誓夫

    ○森説明員 公営発電につきましては、最近公営発電の奨励をはかるという意味で特に考慮いたしまして、その発電した電力の三割ないし五割は県で一定供給をしてもよろしいということを——これは一定条件のもとにおいてでありますが、そういう方針をきめたのでございます。その県の総会開発に資せしめようという意図もあるわけでございますが、ただ県営発電に使います資金はほとんど全部が国家資金でございます。国家資金を使つて開発した電気を、特定の地域内で、また特定の需用家に対し大いに恩典を与えるような使い方をするということは、やはり反省されなければならない点があると存じまして、全量を県の自由処分にまかせるということはいたさなかつたのでございます。将来もそういう点についての反省はやはりある程度あると思うのでございますが、ただ需給関係がだんだん緩和されて参りますと、また政府考え方も緩和されることになると考えております。  それから自家発電全量を自家用に供給する措置を認めるという問題ですが、これはまことにごもつともな御趣旨でございまして、現在のように電気の需給の逼迫しておる折から、自家発電開発を奨励する意味から、政府としてはその発電量の全量を自由にその工場で処理できるようにいたしたいのでございますが、ただこれも地方的な需給関係に悪影響を及ぼすという場合には、無制限にそれを行うわけにも参らないのでございます。すなわちある地域——たとえば九州なんかその典型的な例ですが、自家発電の量が非常に多くて、それを十分考慮した上で割当量を手かげんして少く割当てているということによつて、他の需用家が非常に助かつておるという地域において、もし自家発電量を全部自由に処理し得るということになりますと、他の需用家が非常に電気の不足を来すということになります。そういうふうな関係を見ながら、できる範囲で自家発電量を優遇して行きたいという趣旨で、政府としては年々この御趣旨の方向に向つて、その制限を緩和しつつある状態でございます。今後もその方針を続けて参りいと考えております。
  86. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に入ります。     —————————————
  87. 中村幸八

    中村委員長代理 日程第三九、盛岡市に電気試験所支所設置に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  88. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は盛岡市長二見直三、紹介議員柴田義男君。本請願の要旨は、電気試験所は、東北において福島支所があるのみで、盛岡市を中心とする岩手、青森、秋田の各県下の企業界がこれを活用することは事実上不可能の状況である。については、盛岡市に電気試験所支所を設置されたというのであります。
  89. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  90. 藤田忠寛

    ○藤田説明員 御趣旨のように、電気計器の検定ということから考えますと、これは交通機関でもつてあちこち運ぶということは検定の趣旨に反し、計器の精度を害するということになりますので、国におきましてもこれをなるべく所在地において検定するという精神はとりたいのでありますが、予算等も考慮し、東北のみならず日本国全体におけるバランス等も考慮して、将来十分請願の御趣旨に沿いたい、こういうふうに考えます。
  91. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はございませんか。——御質疑なければ次に入ります。     —————————————
  92. 中村幸八

    中村委員長代理 日程第四〇、電気料金値上げ反対請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  93. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は島根県議会議長中島龍一、紹介議員高橋圓三郎君。本請願の要旨は、電力会社は今回またまた料金の値上げの計画を進めている由であるが、電力は国民生活上絶対欠くことのできないものであり、また現段階においては、会社自体の経営合理化によつて容易に解決し得る問題であり、これを需用者に転嫁するごときは国民生活を脅かすのみならず、産業の発展を阻止する結果となる。ついては、電気料金の値上げに反対するというのであります。
  94. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  95. 森誓夫

    ○森説明員 電気料金は国民生活や産業に非常に重大な影響を与えるものでございますので、極力これを低位にとどめることは政府の従来とつて来た方針でございます。ただ電気事業の経理を赤字状態に陥れてまでそれを低位にするということはできませんので、料金各構成要素の値上りの結果やむを得ない場合には、これは値上げを考えなければならない問題だと思います。しかしその場合にもここに言われておりますように、極力企業自体の経営合理化によつて、その経費の増高分を吸収させるという努力をいたすべきでございまして、今後政府が料金値上げの問題を扱う場合には、需用家に対する影響の甚大であるということをよく考えまして、極力その値上げの程度を下げ、また時期を遅らすというふうに考慮いたしたいと考えております。
  96. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ次に移ります。     —————————————
  97. 中村幸八

    中村委員長代理 日程四一農事用電力料金引下げ請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  98. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は中国五県町村議会議長会連合会長長林栄三、紹介議員高津正道君。本請願の要旨は、食糧増産上不可欠の農事用電力料金は、再度の料金引上げに伴い、農民の負担を増高し、農家経済に及ぼす影響が少くない。ついては、農事用電力料金を引下げられたいというのであります。
  99. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  100. 森誓夫

    ○森説明員 農事用の電力料金は従来から農業経営を非常に容易にしようという意味で安くきめておつたのであります。そうして現行料金におきましても、実は他の料金よりは安くきめられております。すなわち脱穀調製用のものについても、大体普通の六割程度にとどめており、あるいは灌漑排水のものについても、大体二割引をしておるというふうにして、他のものよりも優遇措置を講じておるのであります。これをこの際ただちに引下げるということは困難であろうかと思いまするが、将来ともこういうふうな考え方はある程度尊重して、今後の料金問題を処理して行きたいと考えております。
  101. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——次に移ります。     —————————————
  102. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程第四六、陶磁器産業振興に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  103. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は瀬戸市陶原町一丁目瀬戸商工会議所会頭宮崎泰三、紹介議員早稲田柳石工門君、本請願の要旨は、愛知県瀬戸市を中心とする陶業地一帯で生産する陶磁器は、ドル支払いの伴わないわが国にとつては、もつとも貴重な輸出品であるが、一昨年下期より北米向け輸出が不振となり、続いて東南アジア諸国、特にインドネシア政府の輸入抑制措置が大きく影響して、今や全滅寸前にある。ついては、東南アジア向け輸出促進施策を講じ、特に陶磁器に関してポンド決済を認めること及び中共地区に対する陶磁器輸出を可能ならしめるよう措置すること、あるいは陶磁器を賠償物資、役務賠償の一部に加える等の輸出促進の措置を講ぜられたいというのであります。
  104. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  105. 武内謙二

    ○武内説明員 陶磁器の問題につきましては、ただいまのお話のごとく、最近の非常な輸出不振につきまして、いろいろその原価の切下げ問題それから相互競争の防止問題、たとえば中小企業安定法におきまして、統制組合によつてその相互の競争を防止するというような点、それから輸出の適、不適というような点につきまして、その検査制度強化するというような点、それから滞貨金融等の問題につきましても、極力その都度いろいろなあつせん、相談に尽力しているわけでありますので、輸出し得る能力というものは、十分にあるというふうに考えられ、また海外の競争にも耐え得るというような点が十分に考えられるのでございますが、いろいろ海外情勢の貿易通商上の問題その他が主とした原因となりまして、最近はなかなか出にくくなつておるというようなことが起きているわけでございます。なおポンド決済の問題とか、中共地区の輸出の問題とか、それから役務賠償をできれば製品賠償にするというような問題につきましても、いろいろ関係各局と目下研究中でございまして、ひとつ御了承願いたいと思います。
  106. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ちよつとお伺いいたしますが、インドネシア政府の輸入制限処置、輸入抑制処置というようなことが盛られておりますが、これらに対して、あなたの方から特にインドネシア政府の方へ外交的、政治的な何か御交渉等をなすつておられますか。
  107. 武内謙二

    ○武内説明員 この問題につきましては、軽工業局といたしましては、これは担当の局であります通商局の方といろいろ折衝をいたしておりまして、さらに外務省等を通じてお話をいたすとか、いろいろ折衝中の問題でございますが、直接公式にどういうことはあまり確認しておりません。
  108. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ごもつともでございまして、通商局の方とあなたの方が十分折衝していただきたい。御承知の通り陶磁器は国をあげての輸出品でございますので、その点に十分御留意なすつて、あなたの精力あるだけを、続けてひとつ輸出の促進に努力していただきたいということを特に申し上げておきます。
  109. 中村幸八

    中村委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。     —————————————
  110. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑がなければ、次は日程第四七、四国通商産業局近永アルコール工場存置に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  111. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者は愛媛県北宇和郡近永村長川添日和郎外八十三名、紹介議員井谷正吉君、山本友一君、高橋英吉君、本請願の要旨は、愛媛県北宇和郡近永町地区は、気候、土質の関係上、かんしよの品質きわめて優良で、その生産は全国の十分の一を占め、地方農民はかんしよ販売によつて生計を維持している現状であるが、もし、当地方の四国通商産業局近永アルコール工場が廃止されるときは商工関係者ことに農家経済は破綻を来し、他に類例のない窮乏に陥ることは明白である。ついては、四国通商産業局近永工場を官営存置されたいというのであります。
  112. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  113. 渡邊五六

    渡邊説明員 国営アルコール工場の払下げにつきましては、一昨年、昨年と二へん実施したのでありますが、ここ最近におきまして、約二回の工業用アルコールの価格引下げによりまして、工業アルコールの需要も出て来ておりますし、また新規の需要も出て来ておりますので、需要面において非常に好転のきざしがあるという点からいいましても、また国営工場と民間工場の生産の能率性から考えましても、国営必ずしも民間工場に劣るという点もありません。かえつて原料あるいは石炭等の原単位は、国営工場の方が優秀な成績を上げておるというような点から見まして、国営工場を存置して参りたい、さらに国営工場の合理化等をはかつて、工業用アルーコールの確保を期したいというような方針でおりますので、この請願の趣旨に沿つて参りたいと思います。
  114. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。     —————————————
  115. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑がなければ、次は日程第四八、盤城セメント煙害調査団、派遣に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  116. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 請願者、栃木県安蘇郡葛生町三百四十八番地横塚勘一外二千六百六十一名、紹介議員山田長司君、本請願の要旨は、栃木県安蘇郡葛生町は、石ヘン景気によつて一躍世に大きくクローズ・アップされて来た山峡の町で、盤城セメント株式会社の栃木工場があり、その煙突からは昼夜をわかたず煙と塵埃が吐き出されており、田畑はもちろん人家、校舎の窓ガラス、洗濯物等ありとあらゆるものにその塵埃が降りかかつており、その農作物に及ぼす影響、環境衛生と人体に及ぼす影響、商店街や一般家庭に及ぼす影響等、そのはかり知れざる害悪に悩まされているので、しばしば会社とも交渉したが改善を見ない実情である。ついては、すみやかに調査団を派遣されて実情調査の上、適切なる措置を講ぜられたいというのであります。ここで一言申し添えておきますが、この派遣されたいというのは、議員団を派遣されたいというのか、政府から派遣されたいというのか、その判別がはつきりしておりません。そのおつもりで御答弁を願います。
  117. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  118. 武内謙二

    ○武内説明員 本件につきましては、軽工業局といたしまして、一応調査をいたしました結果では、各方面の、たとえば人畜、農作物、その他にいろいろ被害の程度については、農林省なり厚生省なり、関係の部局が多いので、そちらの方と目下折衝をいたしておりまして、その内容についで研究を依頼しております。なお本工場は一億四千四百万円でございますか、防塵についての設備費用を投じまして、鋭意目下その防塵の効果が上るように努力中というふうに思います。それでなおそれの完成が九月末になるという予定でおりますので、九月末になりましたならば、またいずれかの形でその調査をいたしまして、その結果によつてはつきりしたことを考えるべきではないかと思いますので、目下進行中の問題として御承知を願います。
  119. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次に移ります。     —————————————
  120. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程第四九、計量法の一部改正に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  121. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 熊本県熊本市出水町国府乙丸千百六番地佐藤芝夫、紹介議員松野頼三君、本請願の要旨は、現代の建設工業上コンクリートの強度試験は欠くことのできないことであるが、従来求められなかつたコンクリートの正味圧縮強度を求める方法及び装置が現在特許されているにかかわらず、計量法の実施に伴い、コンクリートの強度試験器が計量のわく外にあるため、これが証明力を失い、建築基準法あるいは国家的にも大なる損失となるばかりでなく、発明者の研究意欲も挫折せざるを得ない。ついては、佐藤芝夫発明に基く計量器により法定計量単位を用い、コンクリート強度測定を可能ならしめるよう計量法の一部を改正されたいというのであります。
  122. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  123. 葦澤大義

    葦澤政府委員 最近特に河川工事あるいはコンクリート建築等の必要の上からこれの強度の試験器が問題になつて来ておりまして、現在それの検定方法、またはそれが一体うまくできるかどうかということを検討中でありますが、この検討ができ次第、この試験器につきまして、請願の趣旨を達成するようにいたしたいと思つておりますが、計量法にかりにまだ指定をされずにおりましても、これを取引上証明として使用することはさしつかえないのでありまして、実際に使用されまして、それが取引界において漸次確実性をもつて参るという事態と相まちまして、請願の趣旨の達成をいたしたいというふうに考えている次第であります。
  124. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次に移ります。     —————————————
  125. 中村幸八

    中村委員長代理 次に日程第五〇、中国に対する輸出制限撤廃に関する請願日程第五一、中国向け鉄道車両輸出許可に関する請願日程第五二、日中貿易促進に関する請願一括議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  126. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 東京都武蔵野市吉祥寺三千番地横河電気労働組合伊藤伝一郎、紹介議員山花秀雄君、本請願の要旨は、対中国貿易がほとんど杜絶の状態に陥つているため、鉄鉱、化学油脂、その他原料の輸入が不可能になり、日本の諸産業に深刻な影響を与え、また厖大な市場を失つたので、日本経済は安定の基礎を失つている。ついては、中国に対する鉄鋼、鉄板等の重要輸出品目の制限を撤廃されたいというのであります。  以下同文。
  127. 中村幸八

    中村委員長代理 政府より説明を求めます。
  128. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 中共貿易促進につきましては、かねがね通産大臣初め関係大臣から御答弁があつたのでありますが、非常に国際的な制約はありますが、その範囲内においてもできるだけ促進をして参るということについては、もうすでにたびたび申し上げられた通りでありますが、今御指摘のありました鉄鋼、鋼材等につきましては、遺憾ながら国際的に多数国家の間におきまして一応禁輸品目ということで措置をいたしておりますので、日本だけがこれを許可して参るということは、さしあたり非常に困難ではなかろうかと思います。国際情勢が激変をいたしますれば別でありますが、さしあたりとしては、今請願にありました品目については相当困難だ、こういうふうに考えております。
  129. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次に移ります。     —————————————
  130. 中村幸八

    中村委員長代理 次は日程等五三、在日朝鮮人中小企業政府資金特別融資に関する請願を議題といたします。長谷川委員より御説明を願います。
  131. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 東京都台東区御徒町三丁目六番地在日本朝鮮人商工連合会理事長李在東、紹介議員村上勇君、本請願の要旨は、朝鮮人中小企業は、日本中小企業と比べ、経済上の立場が不利であり、特に金融機関における信用上の差別待遇はその立場を一層困難ならしめ、想像以上の資金難で、苦境のどん底にある実情である。ついては、一、朝鮮人中小企業に対する融資のわくを設けること。二、国民金融公庫資金を朝鮮人中小企業にも融資すること。三、生業資金を朝鮮人にも貸し付けること等をすみやかに実現されたいというのであります。
  132. 中村幸八

    中村委員長代理 政府の意見を求めます。
  133. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 朝鮮人ないしは韓国人の国内における地位につきましては、いまだ旧鮮間の基本的な外交関係確立されておりませんので、いろいろと問題があるのでありますが、従来の扱いにおきましては、金融上もまた諸制度の利用上も、ほとんど内国人と同様な待遇を受けておるのではないかと思うのであります。中小企業金融対策といたしましても、朝鮮人なるがゆえに、特に除外するというような態度は、従来ともとつておらないのでありまして、政府関係機関といたしましても、朝鮮人なるがゆえに融資を拒否するとか、あるいは融資を特別に扱うというようなことはなかつたと思つておるのでございます。従いまして朝鮮人のために特別に融資のわくをつけるというようなことは、日本人に対しましても、特定業種、特定地域等にわくを設ける制度がないのでありますから困難かと存じますが、日鮮ほぼ同一の扱いという金融上の建前では、たとえば信用保険の建前にいたしましても、協同組合の設立につきましても、従来とも扱つておつたつもりでございます。今後もそのような方針で善処いたしたいと思います。
  134. 中村幸八

    中村委員長代理 御質疑はございませんか。——御質疑はないと認めます。  以上をもつて請願審査は全部終了いたしました。  この際お諮りいたします。本日審査いたしました請願日程中、日程第一ないし第三〇、第三二ないし第四〇、第四二ないし第四四、第四六ないし第四八、第五二はいずれもこれを採択の上内閣に送付いたし、日程三一は、その趣旨は達成せられておりまするので、議決を要せざるものと決したいと存じまするが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。なおその他の請願につきましては決定を留保いたします。  次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました請願委員会報告書作成の件については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 中村幸八

    中村委員長代理 それではさよう決定いたします。     —————————————
  137. 中村幸八

    中村委員長代理 次に陳情書審査についてお諮りいたします。陳情書につきましては文書表によつて御承知のことと存じまするので、その朗読はこれを省略いたし、一括委員会において了承しておくことにいたしたいと存じまするが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。     —————————————
  139. 中村幸八

    中村委員長代理 次に齋木委員より不二越鉱業の煙害に関し発言を求められておりますので、この際これを許します。齋木重一君。
  140. 齋木重一

    ○齋木委員 先般本員が不二越の敦賀工場の煙害についての質問をいたしました。鉱山局長並びに当局が答弁をされ、また調査材料等を提示いたして来たのであります。それによりますると、絶対に七月十八日の試験によつて、最新式の設備が全機能を発揮して、ここに操業技術の探究によつて画期的大成功を収め、この問題は解決できたものと言えるという調査書を私どもに提示されたのでありまするが、その後におきまして先般、七月の二十四日に、三たび、四たびのガスの放出によりまして、風の方向によつて実に莫大なる田畑に損害を与えております。これらも、まだ調査研究と言われますかも存じませんけれども、当局といたしましては、この報告と現実に現われました被害とに対しましていかなる御処置をなす考えであるか、まず第一点を承りたいのであります。
  141. 川上為治

    川上政府委員 不二越鉱業の敦賀工場の煙害の問題につきましては、先般のこの委員会におきましても私からいろいろ申し上げ、また弁明申し上げたのですが、その問題につきまして、まず各方面に対しましていろいろ迷惑をかけておりますのは、まことに私どもといたしましては相済まないと存じおります。  ところで私の方の調査によりますと、七月の十八日に焙焼炉と硫酸製造設備の間の放煙の問題につきましては、技術的にほとんど解決したいということを申し上げたのですが、これはその日の試験によりまして解決したわけでありまして、その後におきましてこの焙焼炉と硫酸製造設備との間のこの放煙の問題につきましては、今齋木委員の方から二十四日に第三回、第四回の莫大なる放煙があつて、被害があつたというようなお話がありましたが、私の方ではいろいろ調べてみましたのですが、その日におきましては別にそういう被害があつたのではないというふうに聞いております。これはその日に実は参つております新聞記者、——東京の方から新聞記者も参りましたが、そういう人たちの話もいろいろ聞きまして、また工場の方からもいろいろ聞きまして、別に煙を出していないというふうに聞いております。これは従来の被害が、最近稲が伸びました関係から、はつきりと被害の場所と被害でない場所が現われまして、そのためにその被害面積というのが非常にはつきりいたしましたので、そういうような誤解があるいはあるのではないかというふうに考えるのですが、私の方としましては、そういうことはないというふうに聞いておりますけれども、なおその問題につきましては、現在いろいろ調べおりますので、調べた上ではつきりいたしたいと考えております。
  142. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま局長の言われるのは、まことに農民にとりましては不穏当な、不親切な答弁だと思つております。二十四日の日には風の方向がかわりまして、問題を起しました面積の方向の反対の方の稲田が、六十余町歩やられております。これは特に甚大な被害を受けております。同一の場所に同一の風が毎日吹いておるのではありません。御承知でないならば私は参考資料といたしまして、八月三日の九時に現地に参りまして調査をいたし、ここに青写真を持つておりますから、これを提示いたします。ここにちやんと持つて来ております。この被害面積が約六十何町歩——被害の現象の程度を入れますと極端に被害のあるところが六十余町歩で、総面積にいたしますと百町歩ぐらいであります。今まではこちらの方にまわつていたのに、こちらの方に吹きまわつて来たのが百余町歩で、極度な被害が六十何町歩と私は最小限度に見たのであります。ところが同一場所に、汽車のレールじやあるまいし、同一方向に風が吹くなどとは思いません。そういうことを考えまして、まことに不親切な調査書とも言うべき筋合いのものであります。ことに局長も、岡田技官を調査にやつておるということがさきごろの答弁にあつたと思いますが、八月の一日に廊下で会つたときには、小川正巳という通商産業技官調査にやつたということを言つて、名刺も私はいただいておる。局長さんも御承知であろうと思う。この岡田技官が調査に行つたのと小川技官が調査に行つたのと、どこか違う。日にちのずれが十八日といつかと違うのだが、岡田技官というのはどこの所属の専門技師なのですか。こういうようなあいまいなことで、実地に行きましたと言うのはいかぬ。当時の説明では、七月の十八日に試験をやつたのは岡田技官が行つて試験をした、こういうふうな百姓の人をちよろまかすような御答弁は、私どもは納得が行かない。これは一体どういうことになつておりますか。
  143. 川上為治

    川上政府委員 私は先般の委員会におきまして、私の部下の小川技官が行つたということをはつきり申し上げたと思うのです。岡田技官とは申し上げなかつたと思うのです。小川技官が現実に十八、十九日ごろにちやんと行きまして、その試験にも立ち会つておりますし、指導もいたしております。実はその技官がきようはここに参つております。これは精錬関係につきましてのエキスパートといいますか、技術の方の担当技官であります。これがちやんと参りまして立ち会つて、この設備の問題につきましては実験いたしております。それから大阪の通産局の矢野という技官が、やはり一緒に参つております。従いまして岡田技官という問題につきましては、この前私、小川技官とはつきり申し上げたつもりでありますけれども、何かもし私が岡田技官と申し上げましたら、それは私の間違いでありまして、小川技官の方が正確であります。  それから農民の方々を非常にちよろまかしておるとおつしやいましたが、私、この問題につきましては誠心誠意をもつてつておるわけでありまして、決してちよろまかしたりすることはしていないつもりであります。  それから二十四日の煙害につきましては、実はその青写真をいただいて、われわれの方でさらに参りまして調査をいたしてみたいと思うのですが。私が今日まで受けておる報告によりましては、そのところに莫大な煙害があつたというふうには、私案は聞いておりませんので、もしそれが誤りでありましたら、あとでまた調べた上で取消しますが、この問題につきましては、私の方でもう一ぺん調査をいたしてみたいと思います。
  144. 齋木重一

    ○齋木委員 調査々々で日を暮しておるうちに百姓は死んでしまう。私がこういうことを言うのはどうかと思いますが、五月の十六日に火入れをし、二十一日にガス漏れがあつて、九万八千円の補償金をやつたという報告もある。これは農民も私も知つております。六月三十日に三十分のガス漏れが起きて、対策委員会をこしらえるということになつたわけなんです。それが発展して、もう絶対にガス漏れがないようになるまでは工場で火入れをしてはいけないという、対策委員会の会社側に対する強い申入れがあつたわけです。それを会社側は、どういう観点からか、その対策委員会から席をけつてつてしまつた。帰つてしまつて操業は中止いたしませんで、どんどんやるという強引な態度をとつてつて来た結果、七月の二十四日の被害ということになつたわけなんです。だから、対策委員会なるものは実に無力である。農民の意思を実際に取入れてやつておるという態度ではない。七月の二十四日の被害のときに、局長さんはそうおつしやるが、中郷というその村の村長、農民代表の四人が通産省のあなたのところに陳情に行つたはずなんです。それをしもあなたの方では玄関払いをしておるではないか。そのあとから、あれが敦賀の農民だとは知らないで、二口社長が通産省から出て来て、あなたの方の係官と玄関で何を言うてわかれたか、ちやんと陳情団が聞いておるのだ。被害が六十町歩、百町歩あると言つたつて、あれは実際はそうじやないのだ、通産省の方でしつかりしてもらわなければ私の方は困るのだと言つて、玄関で打合せをして帰つて行くのを、陳情団がその玄関で聞いておるのだ。あなたらの方が陳情団に対して一顧だにせず、意見も聞かないので、陳情団は泣く泣く帰つておる事実がある。これは局長さんはどうされたのか、会つたのか、会わないのか、私は存じませんけれども調査団がちやんと陳情に来ておるわけです。群馬県の安中工場の視察をするところの調査団とか、四班にわかれて硫酸工場の施設の実地調査に歩いておるわけです。対策委員会としてもそのくらいのことはしなければならぬというので、調査団を編成して調査に歩いているわけです。そして本省に来たときに、けんもほろろな玄関払いをやつておる事実があるじやないか。私はそれを、八月三日の不二越の敦賀工場に対するむしろ旗を立てた農民大会に出席をいたしてつぶさに聞いておるのであります。そうすると、何だか通産省の役人と不二越の社長とがやみ取引をしておるような感じを陳情団にも強く与えておるわけなんです。この事実は、あなたはないと言うかもしれないが、われわれはあると思います。これはあなたの部下の役人が玄関でやつたのです。そして二品社長とそういう打合せをやつてわかれたことを事実において百姓は聞いておるのです。そういうばかげた会社側だけの一方的な意見を聞いてこれをやるということは、見のがすことのできない事実だと私ども考えております。それに対して局長はどういうようにお考えになつておりますか。
  145. 川上為治

    川上政府委員 今ちよつとお言葉がはつきり私に聞き取れなかつたのでありますが、七月二十四日ですか、二十三日ですか、よくわかりませんが、私が玄関払いをしたというようなお話でしたが、向うの農民代表の村長さんらが参られまして、実は私その方々と会つております。そして皆さんの御意見を十分に聞きまして、焙焼炉と硫酸設備との間の煤煙の防止措置とか、あるいは吸収塔よりの煤煙の防止措置とか、沈澱装置の問題とか、あるいは賠償の問題につきましても、会社に対して十分なる措置をさせますということをはつきり申し上げまして、皆さんはこれを了としてお帰りになつておりまして、決して玄関でお断りするようなことはいたしておりませんし、私の方の部下がそういうような玄関払いを食わしたというようなこともないように私は聞いております。それから会社の方に非常に肩を持つて農民の方の肩を持たないというような問題につきましては、私は決してそういうような気持でやつておりません。この前も申しましたように、不二越鉄鋼の焙焼設備の問題は、産業界における非常に画期的な問題と解釈しておりますので、何とかしてこれを成功させたいというように考えておりますが、半面におきまして、そういう煙害防止につきましては、私どもとしても十分措置をとりたいと考えております。今いろいろお話のありましたことと、私の方で調査しまた聞きましたことと、どうもある程度食い違いがあるように考えておりますので、私の方といたしましてはなお十分に調査しまして、善処いたしたいと考えております。
  146. 齋木重一

    ○齋木委員 今善処するなり調査するということを言われましたが、冒頭に申しましたことく、この硫酸に関する煙害の問題に各所に起つておることは局長さんも御存じだろうと思つておりますが、これが農民に対していかなる被害と圧迫を与えておるかということを、調査団の名前で大会において報告いたしております。その一例といたしましては、富山県の日産化学の工場を視察に行つた視察団の報告等におきましても、十分施設のできておる会社ではあるそうでありますけれども、煙害のために先祖伝来の土地を失い、二十一軒ほどの農家が会社の負担において移転させられておる事実がある。この日産化学は非常に設備の完全なる工場であるということが報告されておりますが、なおかつそういうような煙害があるために農家を二十戸もよそに移転させておる。また賠償の問題等に対しても、災害程度を三段階にわけて、たとえば稲田の平均反収が二石五斗だとすれば、一級なら二石五斗の賠償、二級なら一石の賠償というような程度にわけて賠償するようにし、またその付近の農家の子弟だけは絶対優先的に会社が雇用するとか、いろいろな野菜その他においても、会社の必要なものは全部農家の方から入れるとかいうような万全の策を講じておるけれども、なおかつ被害があつて、二十戸も移転をさせなければならぬという現実の姿が富山の日産工場にある。けれども会社は誠意を示してかくのごとき賠償方法を講じておる。また対策を講じて善処をいたしておるということも報告にありました。もう一つは、群馬県の安中の亜鉛工場は十一年に建設をいたし、これらは養蚕地帯でありますが、桑園が亜鉛工場の煙害があるため、一瞬にして蚕さんにやることができ得ないような大被害を受けて、その付近の農家は泣く泣くその先祖伝来の土地を離れ、て、支離滅裂、全滅の状態にあることも、調査団が安中工場に行きまして、その付近の農家に親しく聞いて、上つらでなく、真にすきくわを手に持つておるところの農民の心からなるところの真実を調査団として聞いて来ておる。ただ上つらの問題ではない。またもう一つは新潟県の関屋の硫酸工場、これらも全部その付近の農村が支離滅裂となつて、今日ではわずかに三軒が死を賭して守つておる。これらに対して当局はどういう処置をとり、またどんな賠償をせられたか。ただ調査研究で日を暮してやつているならば、農民は先祖伝来の土地を追い立てられ、困窮のどん底において悲惨なる生活の中に追い込められておる実情がある。だからあなた方の調査研究ということに対しては、われわれは信頼を置けない。この実例をどうするか。今にしてこの硫酸工場の煙害に対して万全なる指導と監督と督励と、会社側に誠意がなければ、この工場は、あの三日の農民大会において退去を望む。存置などはもつてのほかだというような意思決定をしておる。存置などといつて、あんなところに工場を置く必要はないということを主張して、むしろ旗を立てて大会をやつておる。その実情を見ると、大体において村のボスとか村長さんとかいうものを会社が買収して、そのボスの手によつて、純真なる農民はその土地を追い立てられておる。こういうようなところに対しましても通産当局、あなた方の方でどういう処置をなさつておるか、お聞きいたしたい。
  147. 川上為治

    川上政府委員 私ども調査研究しましたことを信用されないというような点につきましては、これは私まことに不徳のいたすところでありまして、何とも申し上げられませんが、大体今までの煙害につきましては、今お話がありました新潟県の日産化学工場の問題とか、そういう問題は実に私直接の所管ではありませんが、安中の亜鉛工場の煙害の問題につきましては、私はこの工場に参りまして最近の煙害の状況をいろいろなことをして調べておりますけれども、現在におきましてはそれほど大きな煙害というか、ほとんど煙害がないように私は聞いております。それから従来の煙害につきましては、そのときそのときそれぞれの措置をとられておると私は聞いておりますが、これは被害を受ける方から今日まで私どもの方に強い要望なり何なりということをほとんど聞いておりませんので、ある程度被害はあつたかもしれませんが、おそらくその問題は地方的にいろいろ解決したのじやないかというふうに私は考えておりまして、もし今後におきましてそれらの既設工場におきましても相当の煙害がありますれば、私どもの方としましては遺漏のない措置をとりたいと考えております。
  148. 齋木重一

    ○齋木委員 現実のことを言いませんけれども、冨士の日産とか安中工場とか、こういつたものは、これまでの過程におきましても、農民がそういうような煙害によつて生活が成り立たない、それを大きな声を出してつつぱねるだけの力がなくて、村のポスやそういう者に買収されるなり何なりして、声をあげられないのであります。だから泣く泣く先祖伝来の土地を離れて他に職を求めるという悲惨な状態に陥つて、そのあと何も言う人がなくなつてしまうから何にもない、だろうと言う。これを見て何にもないなどということは正気のさたでない。そのよつて来るところの根本がどこにあつたかということを掘り下げて考えなければ私はいかぬと思うのであります。ただ現実面だけを見たのでは、既設工場では私はそう考えておる。それを再び前轍を繰返さないところの問題として、それらの農民は立ち上つているわけです。既設工場の被害の実情を聞いて、現実に自分もこういつたような被害を受けている、こうなると既設工場の付近の農民のごとく、やがてはわれわれは先祖伝来の土地を立ちのかなければならぬ、離散しなければならぬという一大恐怖心があるわけである。これを考えなければいかぬと思う。私どもは硫酸工場を否定するのではありません。しかしその工場を生かすために、付近の何町歩、何百町歩の田畑を犠牲に供して、どちらが国家的に見て利益があるかということを計算したことがありますか。硫酸工場だけがよくて、あとの付近の何百町歩の田畑を荒地にして、農民が生活を奪われる、これに対して国家的見地から見て、どういうような考えなりそろばんをおとりになつていらつしやるか、そういう研究をなすつたことがありますかどうか。
  149. 川上為治

    川上政府委員 計算につきましては、具体的な問題が起きませんと計算はなかなかむずかしい思うのです。私個人としましては今まで計算をしたことはありませんが、硫酸工場だけが立つて行けばいいとか、あるいは磁硫鉄鉱の焙焼という画期的なこういう問題であるけれども、それだけが立つて行けばいい、あとは稲とかそういうものはどうでもよろしいという考えは毛頭持つておりません。被害が起きないような予防措置は十分講じなければならぬし、また被害が生じましたならば、それに対する賠償も十分しなければならぬというように考えておりまして、できれば両立したいという考えでおります。従いまして今回の問題につきましても、焙焼設備と硫酸設備の間のこの放煙の問題につきましては、前から申し上げておりますように、これは技術的に必ず解決し得る問題と思つておりますし、また世界的にも優秀な技術のものでありますので、そういうことが起ろうはずはないのでありますけれども、不幸にしてそういうことが今まで起きましたので、それがないように指導をいたしました結果、ほとんど間髪を入れないで、ガスが吸収されるような措置がとり得るようになつたということをこの前報告申し上げたのです。それ以外のたとえば吸収塔からの放煙につきましては大体SO2が〇・三から〇・四以内、ほかのいろいろな硫酸工場におきましても、現在何ら特別な措置をとらないで、非常な被害を起しているというようなことは別にわれわれ聞いておりませんが、これにつきましても、たとい〇・三とか〇・四でありましても、被害はそれほどでなくても、これは何とかしなければならぬということで、おそらく日本にはそういう措置を講じているところはないと思うのですが、この工場につきましては煙突をつけて特別な措置を現在講じさしております。これは八月一ぱいにでき上る予定になつております。それから沈澱池の問題につきましてもコンクリートで全部固めるというような措置を現在全部講じております。  それから鉱石の粉塵の防止措置、この粉塵は私の方としましては害も何もないというふうに考えております。色が赤いものですから、ちよつと見るとどうも害があるように見えるのかもしれませんが、これにつきましても粉塵が飛ばないように改良工事を現在進めております。そういうようなわけでありまして、考どもの方としましては、この問題につきましては、ほかのところでやつておる以上にいろいろ煙害の防止措置を現在講じさせつつありますので、必ず御期待に沿うような措置ができるものと私は考えております。
  150. 齋木重一

    ○齋木委員 局長は不二越に大いに腰を入れられておる。それはけつこうですが、私どもは納得が行かない、どうも了解に苦しむ。実際にあなた方のデスク・プランによる問題ではこの機械とこの機械をやりさえすればこうなるのだということは、りくつ上はなると思います。私は専門家でありませんから知りませんが……。けれどもその調節においてうまく行かぬという点においては——人為的に職工さんがガスをぼつとふかしたのです。機械的に夜になるとふかすのだから自然発生じやない。自然発生、でないからガス漏れがするならば、もつと漏らぬようにすればいいということになるかもしれませんけれども、職工さんなり何なりがふかさなくてはいけないようになるのだからしようがない。これはりくつならば、こういう方法によつてこの機械とこの機械を一緒に使つて調節すれば絶対に漏らないのだという一つの理論にはなります。けれども現実に工場に行つてふかさなければならないということが現われておる。やはり夜中でもふかすでしよう。それがあなた方はデスク・プランだからいけないのだ。実際を見ないからいけない。それではこれだけの事実を見ておつて、なぜ二十四日にふかすのですか。そして六十何町歩の稲田に被害をこうむらせるのですか。あなたの御説明ではそういうことはないはずだ。ないはずだけれどもやはりあるのです。やはりふかすのだからしようがない。そこを私どもは言うのですよ。そうなつた場合にどうするか。もう被害が起きておるのです。私はとやかく言うのじやないが、とにかく起きておるのだからしかたがない。百姓は被害をこうむるからやかましく言うのです。その辺をあなたはどうお考えですか。起きておるのだからりくつも理論もありません。
  151. 川上為治

    川上政府委員 私は決してデスクばかりでやつておるつもりはないのです。現場に私の方のエキスパートも出しておりますし、二十四日の問題につきましては、私のところへ来ておる報告におきましては、そういうことはどうしてもやつていないということを言つておりますので、これは齋木さんの方がそういうことをお聞きになりまして、現実に六十数町歩というものを焼いたというふうにお話がありましたが、これは私のほうでもう一ぺんよく調べてみますから御了承を願いたいと思うのです。従来水害相当ありました関係から、この煙害と水害とが一緒になりまして相当の被害があるというふうに聞いておりまして、その水害による害と、煙害との混淆という点もあるのじやないかというふうに考えまして、この対策委員会におきましては、現在いろいろその問題について調査をしまして、ほんとうの煙害による被害というものがどの程度であるかということを調べておるはずでございます。
  152. 齋木重一

    ○齋木委員 それが実に奇怪なことなのだ。新潟県の関屋工場の付近では今農民が三、四軒しかないというのはそこなのです。今度その隣へもつてつてパルプ会社ができた。その汚水によつて、被害が起きた。百姓がその会社へ行つたら、あちらの煙だと言うので、百姓はどこへ行つていいやらわからない。たまたま水が一ぺんついたから、水害だといつてりくつをつけたというのと同じだ。水害によるところの被害と、煙害とは百姓ならば一目見ればわかる。あなたらはデスク・プランで言うのだけれども、私は先月十七日、またこの三日に見に行つた。ちやんと見て来て言つているのです。私どもに稲田の問題をごまかそうと思つたつてごまかされない。機械の構造や工程法なんかは専門的な皆さんはお偉いでしようけれども、職工さんがぽつとふかすのは、機械の設備やりくつにおいて、出ないということになつていても、またあなた方の方が調査に行つて検査する場合は、なるほど機械の調節などはだれでもやります。しかしあなたが帰つてからぽつとやるのだから、それはどうなさるか、そこが納得が行かない。それの監督とかなんとかいう問題が起きている。だから賠償問題等に対してどういうような方法で民間なり何なりに対してやろうという腹案がおありになるのですか。
  153. 川上為治

    川上政府委員 最後にお話がありました賠償についての具体的な問題ですが、私の方では被害すなわち粉煙による被害がどの程度あつたかということをはつきりしませんと、賠償金額なり賠償方法ということがはつきりしませんので、それは先ほど申し上げましたように、対策委員会におきまして皆さんが寄りまして、被害がほんとうにどの程度あるかということを調査中だというふうに私は報告を受けております。これは不日被害がほんとうにどの程度あつたかということがわかると思いますので、それによりまして不二越鉱業会社をして賠償を十分にさせるように私の方は指導いたします。  それからもう一つの問題につきまして、監督の者が帰つてしまうとぽつと出してしまうということにつきまして、そういうことは絶対にさせないようにしてあるのですが、そういうことが当時あつたということは全然われわれは聞いておりませんので、これは場合によりましては、私の方の担当官なりエキスパートをある程度長期にわたりまして滞在せしめて、指導させたいと考えております。
  154. 齋木重一

    ○齋木委員 局長はそういうことを言いますが、調査官なり技術官を長期に派遣しておやりになることが実際においてできますか。  それから賠償の具体的な方法調査研究しなければいかぬというようなことを言うておりますが、それではなかなか農民は納得いたしません。原則において農民はあの工場を他に移転させろという強い要求であります。これはつけ加えておきます。ああいうことをどうにかしなければならない。あんなところではいけない、他の既設工場の被害の実情を見ると問題にならないというのでやつているのであります。原則的に農民はあのところへ硫酸工場を置くことは不賛成である。なぜかと言うとたんぼの方で、敦賀市とは同じ区域になつておるけれども、村と市の境なのだ。農村のものは村で、駅の方から海岸の方は敦賀市ということになつておる。敦賀市の農業会などは乗り気ではなかつた。ところが今度二十四日には敦賀市の百姓の方へすつと来たので、敦賀市の農民も奮起したということになつております。今まで対策委員会においては、敦賀市が工場を誘致したという建前から、会社に対しては強く出られない。農村で被害をこうむつたのは東郷村と中郷村である。敦賀市の百姓へ煙が二十四日に行つて六十何町歩やられた。敦賀も自分の方へ火がついたわけです。そういう対策委員会の中においてもジレンマがあつたと思います。二十四日になつたものだからそらたいへんだということになつて敦賀市の農協等も奮起した、こういうことなのだ。風が一定の方向へちやんときまつて吹くんじやありません。どちらへでもかつてに吹きますから、吹いたときに帆を引下げるとどこへでも行くのですから、あなたの言うように汽車のレールのように一定のところに行くとは限らぬのだから。そういうところは技術者としての頭の融通性のないところなんだな。風は一定のところにしか吹かぬように思つているんだね。そういう頭ではないですか局長さん。だからそれに対する問題をどう処置されて今後対策をやるか。それから技術官を一箇月なり二箇月なり駐在してやつてもらう。そうせぬというと駐在官が寝ていたらまたひよつとやられたら——やるんだから、だからその措置をどうするかということをはつきり言つてもらわなければならぬ。
  155. 川上為治

    川上政府委員 私の方の技術官を長期にわたつて滞在させるかどうかという問題につきましては、私が報告を受けているところとそれから齋木さんのおつしやいますことと大分食い違いがあるように考えておりますので、早急にとにかくもう一ぺん調査に出します。その上で長期に指導すべきかどうかという問題につきまして決定したいと考えておりますが、もしどうしても私の方で監督の目を光らして、長期にわたつて指導させなければ困る、それでなければ絶対にだめだということがはつきりしますれば、私の方としましては極力御趣旨に沿いたいと考えております。  それから賠償の問題につきましては、先ほどからいろいろお話を申し上げましたように、被害の程度はほんとうにどの程度かということがわかりませんと、どういう程度賠償すればいいかということもはつきりしませんので、現在せつかくその対策委員会におきまして賠償の調査をいたしておりますから、その調査が全然まだ参つておりませんので、それによりまして、私の方としましては措置をとりたいと考えております。  それからこの工場の設置の問題につきましては、何も私の方からあそこに工場を建てろと慫慂してつくつた工場では毛頭ありません。これは聞くところによりますならば、敦賀市でありますかどこでありますか、そちらの方から相当工場を誘致されて、あそこに敷地を求めたというふうに聞いておりますが、それは真実でありますかうそでありますかよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても私の方がこの工場をあそこにつくれと言つてつくつた工場ではありません。これは先般から再々申し上げますように磁硫鉄鉱という、日本に現在非常に眠つている、相当鉄を含んでいる鉱石を完全に燃焼させる、そして鉄分をとり、硫酸をとつて、そして、金、銀あるいはニッケル、コバルト等をつくる。そういう画期的な工場でありますので、何も不二越鉱業のためにやつているのではなくて、そういう画期的な事業に対しまして私の方といたしましては援助いたしているわけでありましてそれかといつて先ほど再々申し上げますように、決して農民に被害を与えるというようなことではやりたくありませんので、両々相まつてこれは何とかうまく行くように私の方としてはしたいと考えております。
  156. 齋木重一

    ○齋木委員 えらいほおかむりのようで、両方がいいといつてもなかなか両方がよくなりません。工場もよくなり農民もよくなる、施設そのものも万全を期すとおつしやるが、調査をいたしますとそういつた実例があつて、弱い農民は先祖伝来の土地を立ちのいて行かなければならぬという現実が事実工場付近に行われている。だからあなた方がそういうようなことを言われましてもなかなかそうは行かない。そういうことを考えるならば、農民といたしましてはあの工場を先ほど申しました通り他に移転してもらう。新聞のデマでは、二口社長はとつて行くというようなことを言われた。それじやのしをつけてとつてつてもらおうと農民は実際は言つております。だから、そういうことは会社の計画だから知りませんけれども、あの工場自体をああだこうだということにおいての、国家的見地から非常に効果があるということは私ども論外といたしまして、研究するとか何とかいうことは問題ではありませんが、あなた方の立場としてはやはりそういうぐあいになるかもしれないけれども、ほおかむりで両方がいいなんということは絶対にないことを私は保証いたします。工場もいい、附近農民もいいということは絶対にない、必ず被害があるということを強く主張いたすとともに、その対策については万全の方法を期していただきたいことと、あなたの方で悪かつたら大阪の通産局の技官なり何なり専門的な人を長期に滞在さして監督するということも決定をしていただきたいと私は思います。
  157. 永井勝次郎

    ○永井委員 議事進行に関して。昨日の理事会の申合せでは、本日午前中をもつて委員会を終了するという申合せでありましたが、議会のいろいろな情勢、その後の変化によりまして、本日午前中で終了ということでなく、ずつとこれを延長しまして、いつでも再開ができるような態勢に本委員会を持つて行くように、委員長からお諮りを願いたいと思います。
  158. 中村幸八

    中村委員長代理 ただいま永井君からの御発言のごとく、ただいま会期末でいろいろ問題も多いことと存じますので、昨日は一応正午ごろをもつて委員会を打切ることになつておりましたが、本日は何時にても再開できまするような態勢に持つて行きたいと思いまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
  160. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは皆さんお疲れのようでありますけれども、お忙しいところを政府側にわざわざ来ていただいておりますので、続けてやらせていただきます。この国会もいよいよ終末でございますので、実は今国会でいろいろ審議されたこと、特に私が政府側に向つて要請をしておきました点のうちの、通産大臣の施政方針演説にもございまする、貿易振興対策に関連のある点だけを取出しまして、二、三その後の模様をお尋ねしたいと存じます。  まず第一番にお尋ねしたいことは、この国会でも何度も質問に出ておりましたし、新聞でも何度も出ておりました、日平産業の問題でございまするが、これを政府側は行政監督の立場から、原価計算書を提出させて、それが出血であるやいなやの調査を厳重にして、事あれば懲戒処分にするということが、新聞にも出ておつたのでございまするが、この事実はありやいなや、もしありとするならば、通産省はいかなる法的に基くところの権限によつてそれをなさろうとしたのか、その点を承りたいのでございます。この点は実は、通産大臣ないしは政務次官にお尋ねしたいことなんです。それからいろいろなことが出発するのでございます。もしできないとすれば、これは後に譲りたいと思いますが、代理でどなたでもけつこうです。実はその答弁のいかんによつて、私の質問の方向がかわるのでございます。それでそれを最初に提起したのでございますが、大臣も次官も見えないので、次官ないし大臣が来られた折に質問して、私の質問の要旨はあとから理論立てる、こういうことにしたいと思います。  そこでこの行政監督の方向が、武器等製造法の行われない前に行われようとしておりますので、それでこれが他の業界に押し及ぼされるかどうかということが聞きたかつたのでございますので、繊維局長にお尋ねいたします。こういう形式のことが通産省の繊維局には適用できるかできないかということを、まずお尋ねいたします。
  161. 徳永久次

    ○徳永政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、実はどうお答え申し上げたらよろしゆうございましようか、誤解を招いてもいけませんので、実例で申し上げたいと思いますが、昨年の十一月に、御承知のように繊維の暴落がありまして、その際に、綿関係の買手があつたから売つたわけでもございますけれども、アメリカと何がしかのものが商談が成立したのであります。ところがこれはさつそく先方から抗議が参りまして、日本には繊維品の輸出について、輸出承認制度というものがあつて、ある程度コスト割れのような価格のものは出せないというように運用されているにかかわらず、それ以下であると思われるような価格で来て、アメリカの市場を撹乱して非常に問題にされているというような抗議がありました。私どもはそういう際に、業界には、こういうアメリカからの抗議もあり、役所としては役所として考えている、いわゆる適正価格を割つているような輸出は承認するつもりはないのだからというような、非常にやんわりした形でございますが、そういう形のことを業界の団体に伝えまして、この問題を起したような輸出をやつた人々に対しまする、善処方を要望したことがあるのであります。これは何も権力的にどうこうというわけではありませんけれども、輸出業者というものに、いわばかんぬきのようなものを入れなければならぬわけでありますが、そのかんぬきによつて、ダンピングを阻止する以前に、業界の良識をもつて善処してもらうように期待することは、これはどの程度業界がついて来るか来ないかということはございますけれども、業界の行動が目先の利益のみにとらわれず、長い目で見た場合に、業界も得し、日本全体も得するような効果があると思うような場合には、反省を促すような意味のことをすることがある。それが私どものいわゆる行政の、見方によればいい面でもあるのではなかろうか、また一つの義務でもなかろうかというふうに考えております。
  162. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、国民経済に大きな影響を及ぼしたか、あるいは業界に大きな打撃を与えるというような場合には、繊維局としてこれに対して何らかの手を打つことが、過去にはあつた、こういう御答弁でございますね。それで時間がたいへん短かいようでございますから、右とか左とか、白とか黒とか、簡単にお答えいただければけつこうです。さよう解釈してよろしゆうございますね。
  163. 徳永久次

    ○徳永政府委員 最初お尋ねございましたケースは、私どもの所管でもございませんし、正確にその事態に対する回答になつておりますかどうか、若干の疑問はあると思いますが、私どもの具体的に起りました例について申し上げましたので、御参考までに……。
  164. 永井勝次郎

    ○永井委員 日本の経済自立の確立の上には、輸出を増強し、輸入は節減し、両方から、バランスをとるという方向以外にはないと考えるのでありますが、輸出の関係は、相手国があつてなかなかこつちの思う通りにも参らないのでありますが、輸入の節減の点については、こちらの政策いかんによつては、ある程度計画的にこれらの問題に対処できると考えるのであります。その意味から行くと、輸入の大きなものは食糧であり、その次は繊維原料である。この繊維輸入を節減しますために、合成繊維に移行するとか、あるいは国内における繊維産業を振興するとか、いろいろな問題がある思うのであります。いろいろ気候、風土、その他の関係、技術的な関係等から見まして、亜麻の増産ということは当面きわめて切実な問題ではないかとわれわれは考えるのであります。従来の輸出の状況から見ましても、亜麻繊維を増強することは、きわめて当を得たものではないかと考えるのでありますが、これに対し繊維局長はどういうふうに考えられておるか。亜麻の生産に対しての政府考え方をひとつ明らかにしていただきたい。これが一点であります。  もう一つは、委員長に議事進行について、先ほど私いつでも再開できるような態勢にという動議を出したのでありますが、これはいきなり開会するというのでなく、当然その開会に先だつて理事会を持つていただくということを、議事進行の補足にしておきたいと思いますが、委員長の確認を記録の上にはつきりと宣言をしておいていただきたいと思います。
  165. 中村幸八

    中村委員長代理 ただいま永井委員より、委員会再開の場合には必ず理事会の先に開くようにという申出ですが、委員長においても、さようとりはからいたいと思います。
  166. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいま、繊維原料の自給のために亜麻の国内増産をやるべきだと思うが、それに対して繊維局長はどう考えておるかというお尋ねでありますが、私ども、原則的に国内で増産されることに異議は持つておりません。ただ繊維品は国際的な商品でもありますので、国産のものが非常に割高になるというようなことになつては、国内の原料を使い、国内市場だけしか相手にその産業が成り立たないというような事情もありますので、国際的な価格と競争できるような価格で供給されることを一つ前提として考えたいという気持を持つておるわけであります。具体的に亜麻につきましては、ただいま農林省でもいろいろと研究なさつておるようでありまして、日本でもある程度できておるわけでありますけれども、輸入物にとかく負けがちな状況にあるのであります。詳細なことは私は存じませんけれども日本の反当り収量などは非常に悪いので、品種改良とかいろいろなことをやれば有望ではなかろうかというようなことで、農林省でいろいろと研究をされておるということは承知いたしております。まだどの程度の結論に到達しておりますか、ごく最近のことは存じませんが、自給度を高める方向でどういう手を打つべきであろうか、その可能性いかんというようないろいろなことが研究されておるような事情であります。
  167. 加藤清二

    加藤(清)委員 繊維局長さんすでに御存じのことでありますが、私は今国会の当初にも、すでに大臣に警告を発しておいたことで、記憶しておりますことですが、七月になりましてから繊維商社の倒産が続出しております。一月から七月までの集計をあなたの手元でも調査されておることと存じますが、私の調べたところによりますと、金額にして、一千万円以上の借財のある者だけを合せてみて大体百億、それから倒産商社は百五十何がしを数えておるわけでございますが、これを去年度に比較いたしますと、金額は大体二倍、倒産商社の負債が二倍、商社の数は五割増、こういうことに相なつておるようでございますが、この事実に対して繊維局としてはどのような態度に出られようとしておるのか。先ほど同僚議員から、一地方の被害についてるる声涙下る御質問がありましたが、これにもいやまして、この問題は、東京地区、名古屋地区、近畿地区を徹底的にふるえ上らせておる問題でございます。二、三軒ならば首をつつて死んでもいいという言葉も通るかもしれませんが、百五十もの商社が飛んだ、公称資本金四億ないしは八億の商社が吹き飛んで行つたということになりますと、これは九州を侵した大水害よりももつと大きな影響を及ぼすものだと考えておりますが、一体この点について繊維局長はどのようにお考えになり、将来これに対してどういう具体策をもつて指導育成の責任を全うされようとするのか。
  168. 徳永久次

    ○徳永政府委員 商社の倒産が最近になりまして相当出ておるということは、私も承知いたしております。ただ非常にこの原因が複雑のようでございまして、いわゆる不渡り手形の波及を受けておるというのも大きな原因の一つであります。また今年になりまして急に出て参りました原因の一つには、今年の天候が非常に不順でございまして、従いまして夏物の売行きが非常に悪かつた、そういう関係から出て来た影響、それからさらに、もともと繊維そのものがある程度投機的——と言えば語弊がございますけれども、相場の変動の非常にはげしい品物でありますので、その間の見込み違いというようなこと、大きくわけますと、そういう原因がいろいろとこんがらかつておることから来る現象だと思うわけであります。私どもは率直に申しまして、政策的な形をなす対策というものを今のところまだ持ち合せておりません。ただ商社間におきましても、この間の問題に対する善後措置について、いろいろの研究をいたしてもらつております。不渡り手形の波紋を受ける問題も、昔は繊維は現金取引であつたようでありますが、それが手形取引になつてつて、繊維が換物性を持つておるような関係から、人に悪用されてその悪用を受ける、そういうような現象がある。さりとてこれを現金取引にもどすというようなことは、今の日本の経済のもとでは一歩々々そういう方向に向うべきでありましようが、急速にそういうことが簡単にできるわけのものでもありませんし、非常に苦慮はしつつあるわけでございまするが、この対策はいろいろ原因に即し実情によつて考えねばなりませんので、業界の方々のいろいろな事情も察しながら、対応策というものも今役所の政策に現わすべきものであるかないものか摸索しつつあるというのが現状でございます。
  169. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題一つ取上げましても、実は数日間を要するほどの重大な問題でございまして、私の手元にもそれぞれの分析した資料があるのでございまするが、時間がございませんので、これはまたいずれ後日に譲るといたしまして、この際はただこういう状況を放任されるようなことなく、出血であるかないかわからない受注でさえも、原価計算書を提出させて慎重に調査をするというような通産省であるとするならば、その様式は武器製造会社にとどまらず、ぜひとも繊維会社にもそのような親切な手を施していただきたい、将来つまずかんとするものに対して、まずつえを与えるだけの温情を示していただきたい、こういう結論だけをお願い申し上げまして、次に移りたいと存じまするが、何といたしましても、この倒れて行く方々の最も大きい原因と思われる点は、情勢分析すればいろいろございまするけれども、最も大きいもの、集約されたものは原料高の製品安ということではないかと存じます。それからかてて加えていろいろな原因がありますけれども、輸出不振、こういうところがだれしも考えつくところではないかと存じます。この意味におきまして、私はこの際繊維局、通商局両者に対してお礼というとおかしいでございますが、感謝の声が起つておることをお耳に入れておきたいと存じます。それはほかでもございませんが、毛製品のリンクのことが四月二十八日付の御両所の通牒通り実行される、これは私が前にも申し上げておきました通り、あれがもし実行されないとするならば、これでは倒産に輪をかけて機場にまでその影響が及んだことは事実であり、輸出商社にも相当大きな影響を及ぼしたことは事実でございます。しかるにこのたび通商局及び繊維局の御尽力によつて、これが通牒通り実行されるということになつたようでございます。この点業界は苦しい中にも一つの安堵の胸をなでおろした。焼石に水という感じもございましようけれども、いずれにしてもこれは業界にとつては福音の一つであつたというので、たいへん好感を持つてこの点迎えられておりますので、この点責任を持つて発言しました者としまして、この際御両所のその善処方について敬意を表しておきたいと存じます。  ついでにお尋ねしたいのでございまするが、この原料高の製品安という問題でございまするが、私先般繊維局長にもお願いしておいたのでございますが、イギリスの状況をよく御調査願いたい。それから過去の日本における外貨割当の様子もよく御調査願いたいということをお願いしておきましたのでございまするが、私ここに原料高の製品安という点についてイギリスと比較いたしまして、どうしても納得の行かない点がございます。それをお教え願いたいと存じます。それは同じ繊維のうちでも毛製品に例をとつてみますと、詳細は前のときに価格の点について申し上げておきましたから、この際これを省きますけれども、とにかく同じ国から大体同じ値段で原料を買い入れる、船賃も大体距離がひとしい。為替の関係で少々の相違はあるでございましようけれども、工場へ着いた原料の値はほとんど相違ない。しかるに製品にしてみますと、大体イギリスの約二倍と考えてもよろしいかと存じます。一体これがどこに存しておるのか。商社の利潤が大き過ぎるのか、整理屋の加工賃が多過ぎるのか、機場の工賃が多過ぎるのかと調べてみますと、さにあらず、すでに機場に糸が渡る折にイギリスの二倍程度の高値を呼んでおる、こういう状況でございます。特にこの間繊維局がとられました繊維原料の需給調整のために、合成繊維に力を入れるということの声だけでもつて、ポンド当り二百円以上はね上つておる事実を御存じでございましようか。原料が同じ値段で入つていて、糸になつたとたんにはね上つて二倍になつておる。さればといつて工場の原価コストを調べてみますと、工賃は高いくといいつつも、なおイギリスの四分の一なんです。その点は牛場通商局長はぐるつと世界中まわつて見られたので、よく御存じでございましよう。私もまわつて参りました。これは符合することだろうと思います。一体繊維局長日本の毛製品、糸及び織物が高いという原因が那辺にあるのか、もしあるとするならばこれを打開するために、御努力をあそばされるのか、そうでないのか。輸出振興ということが通産大臣の施政方針演説の根本でもあり、これはすでに国民の声とも相なつておる折に、日本の輸出振興の阻害のもとがコスト高である、そのもとが紡績にあるのだ、こういうことに相なつた場合に、一体これに対して通産省としてはどう対処されんとするのか、これも詳細に述べたら一日も二日もかかるでございましようから、簡単にひとつお願いしたいと存じます。
  170. 中村幸八

    中村委員長代理 簡略にお答え願います。
  171. 徳永久次

    ○徳永政府委員 今御指摘ございましたように、羊毛製品の価格は私ども若干上つたかと考えております。問題は二つございまして、それの原因はどこにあるかというお尋ねでありますが、もう一つはそのことで輸出振興をどう考えておるかという二つであろうと思います。  第一点につきまして簡単に申し上げますと、私ども割高な現象を呈しておりまする一番大きな原因は、羊毛原料そのものに対しまする供給量について、羊毛業界が非常な不安を持つているということに、一言にして言えば尽きるのじやなかろうかというふうに考えているわけであります。需給関係から値段がきまるわけでありますけれども需要があるにかかわらず供給不足になるおそれがあるという、その関係であろうと思います。私どもは率直に申し上げまして、ただいまのところ羊毛の需要が他のいろいろな原因によつて自然に減ることは考えておりますけれども、人為的にこれを減らすということを考えているわけではないのでありまして、その意味におきまして、その事態がはつきりして参りますれば、業界の方の予測的な割高という現象も逐次是正されて行くのじやなかろうかというふうに考えているわけであります。とは申しましても、輸出振興について私どもその事態が改善するまで放置しておくわけにも参りませんので、輸出はそれとは別個に伸びる政策を考えなければなりませんので、従来とも羊毛製品の輸出につきましては他の繊維類に比べて優遇度を厚くいたしているつもりではございますけれども、なおかつ羊毛の輸出が他の繊維に比べて非常に少い事態にかんがみまして、最も強度な輸出優遇措置をとるべきであるという考えのもとに、ごく最近に至りまして、新しい方式をきめてやろうといたしているわけでございます。私どもそれの業界側の反応といたしまして、今回とらんとしている措置によりまして、輸出振興には相当の効果を上げ得るということを実は期待もし、半ば確信しているというような状況にあるわけでございます。
  172. 加藤清二

    加藤(清)委員 だんだんの御説明で、まことにけつこうと存じまするけれども、毛製品あるいは綿製品の輸出について、他の業界と比べて優遇策をとつていらつしやるということでございまするし、また先般も私質問いたしたことでございまするが、それ以後もつとそれ以上の優遇策を考究するというお答えの通り、一層その優遇策を研究して実行に移されようとしているその御努力に対しては、感謝のほかございませんが、ここに一つぜひ考えていただきたいことがございます。それは原料高の製品安という声は常識になつていることを御存じでございましよう。それからどの材料から調査してみても、紡績がもうけているから——それは他の業界ももうけているでございましようけれども、紡績が特別にもうけているから、ゆえに糸高になつているということは、紡績自体も認めていることなんです。紡績自体がはつきり言うている。将来のことはわからないが、過去においてはちやんともうかつている。その証拠に、増設、増錘ということになつて行くのでございます。この点は先般の本国会におきましても、すでにどれほどの利潤が蓄積されているかということは述べられているからここで繰返しませんけれども、これは事実なんです。ところが片や同じ系統の業界におつて、同じように国の経済にも貢献し、輸出振興にも努力しているところの機場や、これに連なる商社が、御存じの通りばたばた倒れて行つた、今年になつてからでももう百五十社余倒れておる。こういう事実から考えてみまして、あなたのおつしやるその優遇策は、あなたの時代はどうが知りませんけれども、過去数年間とり来つたところの施策に誤謬がありやいなや、あるいは当時としては誤謬がなかつたかもしれぬけれども、今日この状態に当てはめてみれば、過去のその施策に大きな誤謬があつたということ、これは何人でも認めなければならぬ事実だと思うのでございますが、これに対して繊維局長としてはいかにお考えでございますか。
  173. 徳永久次

    ○徳永政府委員 お言葉を返すようでありますけれども、輸出振興に対しまする優遇措置が適切を欠いたがために、商社、機屋の倒産がそれによつて起つたという点には、私どもちよつと賛成いたしかねるわけであります。商社がつぶれ、機屋の一部もつぶれることがあると思いますけれども、これは輸出振興に対する優遇措置が適切でなかつたというのとは私は別個の原因に基くというふうに見た方が、事態の正しい解釈になるのではなかろうかというふうに考えております。
  174. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういう理論闘争をやるならば、時間をかけて、しからばこういう材料はいかん、こういう材料はどうだということでやらなければなりませんので、私はきようは理論闘争でなくて、時間に制約がございますから、大まかにかいつまんで申し上げているわけで、そういうことも包含されている、そういう態度で進んで行きたいと思います。詳細に分析して理論闘争をやろうということでありますならば、委員長にその時間の増加をお願いしなければならぬことになる。私はきよう何も繊維局長さんをやつつけようとか、つるし上げを食わせようとか、そういう意味でやつているのではございませんから、そのおつもりで簡潔にお答え願いたいと思うのであります。そこでいずれにいたしましても、過去の輸出振興に対する優遇策についての外貨割当ということ、——優遇策は外貨割当一つではございませんが、時間がないからそれ一つだけ取上げるわけであります。外貨割当につきまして、私の過去経験したところ、私の見て来たところ、聞いて来たところでは、紡績にのみ厚く、機場及び輸出商社には薄い、こういうことに相なつているようでございます。そこでお尋ねしたいことは、今日貿易をするにあたつて何が一番力があるかといえば、何といつても外貨であります。それを握つている政府でございます。さればこそ、そこに大きな権益があり、力があればこそ、この割当についていろいろいかがわしい問題までが惹起されている、こういうことでございます。そこでぜひこの際私がお尋ねしておきたいことは、生産のもとを握つているところの紡績に、またぞろ力であるところの外貨をほとんど割当てることによつて、紡績業界は今日は糸へん業界のうちの法王的存在になつておる。従つて、綿もさようでございますが、特に毛におきましては、国内価格の方が上まわつておる今日の状態としては、何もすき好んで輸出しなくてももうかる。こういう意味において内地消化をしてしまう。従つて五十万俵も六十万俵も大量の原料を買いつけながら、輸出はほんの三%か四%にとどまつている、こういう状況です。これは世界の繊維業界のふしぎの一つに数えられておる。こんなばかげたことはあり得ない。一体食糧にでもしてしまうのだろうか、毛を食糧にするわけでもなかろうということさえ言われておるのでございますが、これを一日も早く打開して、戦前のように少くとも三〇%、それができなければ二〇%程度は、国内施策いかんによつては輸出振興がはかり得るところの自信を私は持つておるのでございます、それの方途を持つておりまするが、繊維局としては一体どのような考えをお持ちでございますか。また通商局としては、外貨割当の上から見て、輸出振興の対策をどのように考えておるか、承りたいと思います。
  175. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいま羊毛製品について三割くらい、少くとも二割くらい輸出するようにすべきではないか、またその対策いかんというようなお話でございますが、私どもも、現在の非常に少い状況から——そのことは、程度問題でございまして、そう一朝にしてこの事態が改善されるとは思いませんが、しかし今後一年間に少くとも輸入外貨の二、三割のものは自前でかせぐべきであり、そうしないと、今の日本の外貨事情から見て羊毛工業界の前途が暗くなるというので、品をすつぱくして業界にも申し上げておるのでありまして、同時にそのような意欲を振起させるような政案私どもいろいろと研究しておるわけでありまして先ほども案の内容に触れることは、時間の関係上省略いたしましたが、今私ども考えてまさに実施に移さんとしつつある制度、これによりまして先ほど来申し上げます程度のものは、私ども何とかなるという確信を持つておるわけでございます。
  176. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 今の御指摘は、輸出振興のために外貨割当その他を活用すべしというお考えではなかつたかと思いますが、大分前から、綿花といわず羊毛といわず、あるいはその他の商品も、輸出振興のために外貨についてできるだけそういう配慮をして行く方針をとつてつております。現実の問題としては、ただいま繊維局長からもお話がありましたように、急にやりかえるということについてはいろいろむずかしい点もありますが、大体部内円満に話合いをしまして、今御指摘のありましたような方向には動いておるわけであります。決してそういう点を考えずに外貨割当をただ生産者にだけやつておるというようなことはないわけでありまして、かりに割当を生産者にやるにいたしましても、生産者が輸出業者を通じて輸出をした実績に重点を置くようなやり方をいたしますれば同じことなのであります。その間いろいろ生産段階によりまして事情の違うものもございますが、根本方針としては輸出用の原材料についてはできるだけそれが輸出振興の目的に沿うような割当方をいたしたいということで漸次やつておるわけでございます。別段今繊維局との間でトラブルはないわけでございまして、円満に進んでおります。繊維局長も輸出振興という点についてはわれわれ同様強く考えておられるはずです。御趣旨に沿うたようなつもりでやつておるわけであります。
  177. 加藤清二

    加藤(清)委員 漏れ承るところによれば、ただいま通商局次長のおつしやつた通り、両局が共同で輸出振興のための外貨割当方針について御検討を加えていらつしやるということでございますので、この点敬意を表するわけでございますが、どう考えてみましても、過去の割当方式は紡績中心主義であつた。せつかく……。
  178. 中村幸八

    中村委員長代理 時間が大分過ぎておりますのでなるべく簡単に願います。
  179. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは簡単に申し上げますと、せつかく少々の割当をいただいても、これはまつたく紡績の手中に納まつてしまつて効果を上げることが少かつた。そこで私は、せつかく輸出振興の意味において通産省がお渡しになる外貨であるとするならば、その親心がほんとうに業界の者に行き渡るようにする方策をこの際考えなければならないのじやないか、要すれば、せつかく切符だけはもらつても、その使用する権能がほとんど紡績に帰一されておる、こういう状態では、このような存在をどう考え直してみても改革することはできないと思います。原料高の製品安を是正することもまたおぼつかないことだと存じます。そこでこの際抜本的に、輸出振興のための外貨の特わくを設けられまして、それを輸出振興に携わつたところの、紡績ももちろんですが、機場、整理場、輸出商社、こういうものにあまねくその通産省の親心をわかち与えられる方策をお立てになることが最も時宜に適したものではないか、そのことをすることがとりもなおさず通産大臣の言うところの輸出振興の具体策になるではないか、こう考えるのでございます。この点につきまして繊維局側と通商局とが考え方が一致しているとおつしやいまするので、今度は通商局の松尾さんにどうお考えになつているか、この点をお尋ねしたい。
  180. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 はなはだ口はばつたい言い方ではございますが、外貨予算の編成、それから具体的なやり方というものは非常にこまかい専門的な知識もかなりいりますので、われわれの方では関係課長なり担当官同士で十分協議をいたしましてやつておるわけであります。今先生のおつしやいましたような点も十分織り込んでやつておるわけであります。従いまして、はなはだ失礼な言い方になりますが、われわれにおまかせ願いたいと言いたいのであります。ああせい、こうせいというようなことを御議論がございましても、業界というものにもなかなかまたこれお互いの言い分がありまして、われわれは輸出と輸入と両方の関係を処理するつもりでやつております。人はとかく繊維局が生産に重点があるからとかなんとか言われますが、決して繊維局と通商局とはごたごたもめごとをしておるわけじやございませんで、若干考え方の相違もございまして議論をいたすこともございますが、結論は大体今お話になりましたような点を考えてやつておるわけであります。ところが、輸出の振興のために外貨を使うというと、かりにそれでは一輸出したものに百輸入の割当を認めたらどうかという理論も起つて来るわけであります。しかしこれもまたそうむちやなことをやりましても効果はないのでありまして、出るものは一なら、九十九は余つて、これは国内で使つてしまうということになりますと、結局輸出の効果はないということになります。この辺の率の算定の仕方というものはなかなか技術的にむずかしい点でありまして、その辺は如才なくわれわれはやつておるつもりであります。まあひとつおまかせ願いたいと思います。
  181. 加藤清二

    加藤(清)委員 最後にもう一つ。松尾さんの腹にまかせて間違いない、こういうことであればそんなけつこうなことはございません。われわれしろうとがまた何をか言わんやでございますが、ただまかしたは、あとで背負い投げ食わされたは、うつちやり食わされたということになりますると、今度は恨みも重なりまするので、このたびも、この間の輸出毛製品のソンクのときと同じように、大きい腹でもつて、ほんとうに通産省の親心が業界にあまねく均等に行きわたるようにひとつお願いしたい。この点はもうこれで終りでございますが、この問題につきましては、大蔵省の官房長とも過ぐる委員会において話合いをいたしましたが、そのお答えにいわく、よく通産省とも話し合つて、なるべく御期待に沿うように努力いたしますということでございました。そこで両者が御努力をするとおつしやいましたからもう何をか言わんやでございますが、今日の外貨割当の様式につきましては、それはどんないいことをやつても批評はつきものでございますが、特にぜいたく品であるところのゴルフだとか、化粧品だとか、自動車だとか、あるいは映画だとかといつたような非生産的なぜいたく品に多く外貨の割当が行われている。それについての国民的な批判というものがほうはいとしてちまたに起つているという事実をよく御勘案の上、大蔵省と折衝していただきまして、ポンド、ドルの不足の今日、このものがやがて真にそれを再び生むためのものに使われますように——いや、今日は生んでいないけれども、これにある程度の手だてを加えさえすればただちに三割ないし四割という外貨が獲得できるというところの毛製品あたりには特段の御留意を払われまして、通産大臣の言うところの中共貿易がほんとうにパリ・リストのわく内で操作できるようになれば、満、韓、支向けの毛製品輸出というものは期して待つべきものがあると存じます。業界はこれを早天の慈雨のごとく待ち受けておるのでございます。こういう将来の見通しもございまするので、この点よく御存じの点でございまするが、御勘案の上、まかせました腹をよく御活用いただきますことをこの際お願いいたしまして、きようこの質問は終ります。しかし私はれで終つたわけではない、まだ化繊をどのようにするかということが質問してございませんが、では、この程度でこの回はとめまして、次の、きようの午後なり何なりにお尋ねしたいと存じます。
  182. 中村幸八

    中村委員長代理 この際閉会中審査の件についてお諮りいたします。明日で今国会も終了となりますので、今国会において議長の承認を得ました国政調査事件につきましては、閉会中審査事件といたしまして、議院において、本委員会に付託されたい旨の申出を議長にいたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なければさよう決定いたします。  なお、本委員会に付託されておりまする議案中、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(山手滿男君外十一名提出、衆法第一七号)及び、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案につきましては、本委員会において本会期中に議決いたしません場合には、本案もともに閉会中審査事件として付託されたい旨議長に申し出たいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なければさようにとりはからいます。  次にお諮りいたします。ただいま決定いたしました事件が付託されました場合には、その審査のため閉会中に委員派遣をいたしたい旨議長に申し出たいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議がなければさようとりはからいます。  なお、派遣委員の氏名、期間、派遣地等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 中村幸八

    中村委員長代理 御異議なければさようとりはからいます。  なお、委員派遣に出られる御希望の方は、日程を作成いたす関係もございますので、至急派遣地日時等について委員長はお申出を願います。  暫時休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕