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1953-07-17 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君    理事 伊藤卯四郎君 理事 首藤 新八君       小金 義照君    土倉 宗明君       坪川 信三君    笹本 一雄君       加藤 清二君    下川儀太郎君       始関 伊平君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         通商産業政務次         官       古池 信三君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     馬郡  巖君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月十六日  信用協同組合育成強化のための障害除去に関す  る請願(加藤鐐五郎君紹介)(第四三三一号)  の審査を本委員会に付託された。     —————————————  本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  中小企業金融公庫法案内閣提出第四六号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 ではこれより会議を開きます。  本日は、中小企業金融公庫法案を議題といたし質疑を続行いたします。首藤新八君。
  3. 首藤新八

    首藤委員 今度の金融公庫に対して一般財政資金から百億出すということに相なつておるのでありまするが、これは昨年の十一月に議員提案決議によつて中小企業に対する金融の操作をする決議案を出したのでありまして、これに政府が同じこの百億の基金を出すと私どもは了解しておるのであります。別個自転車競技法によつてこの年の国庫納付金の三分の二を限つて自転車産業振興育成のために還元するという法があるわけであります。しかるに今回の通産省予算を見ますると、これが入つてないのであります。そこでこの三分の一の金額はどうしたかということを通産省政府委員にただしたところが、これは中小企業金融公庫の中に入つておるのだという合弁を実は受けて驚いておるのであります。そこで私の質問いたしたいのは、この自転車競技法によつて第十条の二項にはつきり百分の三以内を還元するという法文があり、今日まで毎年これが還元されておつたにもかかわらず、今年に限つてこれを別個法案による中小企業金融公庫に合算して入れるということが、どういう根拠によつて行われたか、この点を主計局長に聞きたい、こう考えます。
  4. 河野一之

    河野(一)政府委員 競輪の金をどういうふうに配分するか、これは自転車産業振興のために三分の一を使うことになつておるのでございますが、これは、昨年までのやり方といたしましては、おつしやるように、自転車産業に対する貸付金というものが別に中小企業庁予算に載つてつたわけです。ところが今回中小企業金融公庫というものをつくることになりまして、従来のこういつた中小企業に対する政府貸付金を統一しまして公庫で行うという建前なりましたので、それに相当する金額中小企業金融公庫の方にまわしまして、そのうちから四億円でありましたか、優先的に自転車産業の方に融資をいたし、また貸付利率等も従来のものを引継いで実施をする、こういう建前にいたしまして、その一部の財源出資として計上することにいたしたわけであります。
  5. 首藤新八

    首藤委員 便宜公庫の方に入れたという答弁でありまするが、片一方自転車競技法というはりきりした単独の法律があり、その法によつて還元しなければならぬということが明記されておるにもかかわらず、この法律を無視して、かつて中小企業金融公庫に合計して入れるということは、法的にこれは許される問題でありますか、その点を明らかにしてもらいたい。
  6. 河野一之

    河野(一)政府委員 競輪の益金を自転車産業還元するというのはその通りでありまして、これをどういうものに配分いたすかということは、行政当局においていろいろ協議をいたしまして、その配分をきわめておるのでございます。そうしてまたそれによりまして国会の御承認を得ておるのでございます。同様な例が競馬についてもあるのでございますが、この一部を畜産振興のために充てねばならぬといつた場合におきましても、そういうものをいろいろ合算いたしまして実は計算をいたしておるのでございまして、私どもといたしましては、中小企業当該自転車産業に対する貸付分は、中小企業に対するものである以上、出資の一部として振りかえて——振りかえると申しますか、その計算をいたしても、決して法律に違反しておるというふうに考えておらない次第であります。
  7. 首藤新八

    首藤委員 しからばこういう趣旨でこの公庫の中に考慮して入れるということであるならば、公庫法案の中にこれも入れるということを明記しなければ効果がないのではないかと思うのであります。これがために第五条には「公庫資本金は、政府一般会計からの出資金百億円と第三十二条第六項の規定により政府産業投資」云々とありますが、これは要するに開発銀行回収金公庫の方に投入するということをはつきりさせたものと思います。ところが今言われたところの自転車競技法によるところの還元資金は、どこにもそういう明文がないのであります。片一方でははつきり還元するという法律があり、そうしてかつてにそれを公庫の中に入れると言いながら、公庫法案にはどこにもそういうものがない。入れるべきものははつきり明記してあるのです。しかし競技法によるところの還元金額だけは明記せられていないのであります。  それから公庫融資対象は第二条によつてはつきりされており、中小企業者融資対象になつているわけであります。しかし自転車競技法におけるところの融資対象中小企業限つておりません。自転車事業関係しているものであれば、それが大企業であろうと、小企業であろうと、必要な企業に対して融資するということになつているのでありまして、もしこれを公庫法の中に入れた場合、公庫法の第二条によつて中小企業の定義が下されていて、この範囲を出ては融資ができないと思うのであります。しかりとすれば、融資対象としてもしこれをやるとすれば違法であると考えるのであります。どういう根拠便宜的にそういうことができるのか、この点を明確にしておきたいと思う。
  8. 河野一之

    河野(一)政府委員 お言葉でございますが、私は違法であるとは考えておないので、ございまして、一般会計からの出資百億円の財源は税金もございましようし、いろいろございますが、そのうちの四億円というものは競輪の金を中小企業金融公庫を通じて返還をするという趣旨を入れて、それを書いてあるのでございます。そうして中小企業自転車産業に関連するという趣旨のことにつきましては、中小企業金融公庫事業計画はつきりと書いてあるわけでございます。それによつて国会承認を得ているわけであります。  それからまた今おつしやいました中小企業以外に自転車産業があるではないか、これもごもつともなお尋ねでございますが、中小企業はここにも法律で規定いたしているごとく、一千万円以下のもので、従業員三百人以下ということで、大部分自転車産業はこれに入る。またそういつた中小自転車産業に優先的に融資考えるのが、現下の中小企業実態、あるいは自転車産業実態からして当然であろうというような考え方をいたしまして、中小企業に対する出資として、それを通じて自転車産業還元されるという建前考えているわけであります。     〔委員長退席中村委員長代理着席
  9. 首藤新八

    首藤委員 ますます私はおかしいと思うが、そういう詭弁はなるべくやめてもらわなければいかぬ。はつきり競輪法で制限を付せずして、自転車産業であるならば大企業であろうと、小企業であろうと融資を必要とする場合には融資ができるということになつておるのであります。中小企業金融公庫法案は、第二条によつて、これこれの条件に合わないものは融資対象にならないということがはつきりされておるのであります。そうすると、便宜上この資金を投入するということは、これはあとで議論するとして、一応これを是認するとしても、融資対象として、たとい法律違反までして便宜上の措置ができるのですか。この点がどうなつておるのかお聞きしたい。
  10. 河野一之

    河野(一)政府委員 私は法律に違反するとは思わないのでありまして、競輪の利益の三分の一を返す場合に、どういうものに返すかということは、これは行政当局にいろいろおまかせ願つて、もちろん予算の姿において国会の御承認をいただくわけでありますが、その場合において、去年まではそういつた貸付金の姿になつてつた政府が直接に貸付金をするということはいろいろな点において問題があろうというような点もございましたので、今回中小企業公庫をつくつてそこでもつて政府の本来やるべき仕事を代行しようということになつたのであります。その分の金をこの公庫に入れて、これを通じてやるということは、やはり還元ということの法律建前に決して違反しておらない、こう考えておるのであります。
  11. 首藤新八

    首藤委員 実に私はけしからぬ答弁だと思うのだが、それならば公庫に入れたという御答弁でありまするが、この公庫法には自転車還元の金が入つておるということはどこにも表現されていないのであります。そこでしからば自転車競技法によつてこの三分の一を還元せいと、別個に当然独立法案でありまするから、要求できると思うが、その場合にどういう措置をとるのですか。
  12. 河野一之

    河野(一)政府委員 重ねてのお尋ねでございますが、自転車関連産業振興に使うということは、これは直接補助金その他について使うこともございましようし、融資のかつこうで使うこともございましようし、それが一般会計の直接融資という姿でなけたば、法律的には違法であると私ども考えておりませんので、出資をして、その出資を通じて自転車関連産業還元される、そのうちこれこれは自転車産業への貸代金であるということは、中小企業公庫事業計画で御提出申し上げて、御審議を煩わしておる以上、われわれとして法律違反をやつおるとは考えておらない次第であります。
  13. 首藤新八

    首藤委員 この公庫出資金は、一般会計からの出資金ということになつておるのであります。むろん自転車国庫納付金一般会計に入るであろうことは考えられまするが、しかしこの自転車競技法によつて政府は、毎会計年度、前項の規定こよる納付金に係る歳入予算額の三分の一」をここに国庫納付金という一つわくをこしらえて、そうしてその中の三分の一ということを明記してあるのでありまして、一般会計に入るけれども、一応法律で別わくをつくつてある。しかるにもかかわらず、この公庫資本金は百億というわくがあつて、しからばこれに何ぼ入つておるか、あるいはその内容はどうなんだということがはつきり明記されていないのであります。質疑応答答弁された方はそれはわかるかもしれませんけれども、少くとも法案の上で見た場合に、これに競輪の金が入つておるということは、どこにも発見されないのであります。もし局長の言うような答弁であつたならば、農林金融公庫出資金がある、しかしこれもめんどうくさいから、便宜上この中小企業金融公庫に合算して入れてしまう。そういう措置ができるのですか。
  14. 河野一之

    河野(一)政府委員 三分の一の金額 をどういうふうに配分するか。補助金もございましようし、あるいは行政庁経費もございましようが、そういうものに三分の一の金額は別わくにして、それはどういうふうに使うかということをまずきめられると思います。そのきめられた場合において、どういう形式においてこれを使うかという場合に、一般会計の直接の補助金その他の歳出について使う場合もございますし、また一部を出資金にして従来貸付金として一般会計から直接やつておりましたものを、形式をあらためて中小企業金融公庫出資して、そのかつこうでやるというような形式考えました場合に、その四億円というものは、当然関連産業に対するものである、また使う考え方でその納付金還元しておるという考え方になつておるのでございまして、法律建前として、私は決して違法でない、ただ中小企業出資の中に、どれを予定しているかということにつきましては、これは事業計画として、国会にこの予算書の姿において御承認を願つておるので、何らその点に違法の措置はないと考えておるのであります。
  15. 首藤新八

    首藤委員 私のただしたいのは、別の二の法律が出ておるわけです。しかるにもかかわらず、一つ法律を無視して、ただ便宜ということで、一つ法案の方に合算して入れるということは違法にならないかということをお伺いしておる。これがもし便宜上そういうことができるならば、たとえば農林金融公庫に入れる金を、もう二つにわけるのはめんどうくさいから、中小企業金融公庫に合算して入れてもいいのじやないかということも考えられる。これは極端な議論のようでありますけれども……。も法律二つあるのだから、二つ法律によつて表現したことを明らかに筋を通したことにやらなければいかぬじやないか。ただ便宜ということで、一つ法案に入れてしまう。もし入れるならばこの公庫法案自転車競技法によるところの金が入つておるということを明記する必要はないかということを私はお尋ねしておるのであります。
  16. 河野一之

    河野(一)政府委員 農林金融公庫ということになりますと、これはもう自転車関連産業と全然関係がございませんので、そういうことには法律上はできないわけでありますが、これが自転車産業中小企業でありますのてそういう中小企業、ことに従来の中小企業に対する分は、関連産業で大企業もございましたが、少くとも中小企業分公庫を通じてやる方が便利でもありますし、また実態にも即応する、もちろんただいま首藤さんのおつしやつたよりに、一千万円以上のものはどうするか、こうおつしやる御疑問はございますが、この問題につきましては、従来七億五千万円以上貸出しをいたしておるのでありますが、それの回収金もございますので、それによつてその融資ももちろんできると思いますが、こういうことは首藤委員のおつしやる点の御議論もあろうかと思いますが、われわれとしては決し違法の措置をいたしておると考えているわけではないので、従来のやり方をそのまま踏襲して行く姿においては、今回中小企業金剛公庫ができた以上は、こういう形式にやつた方が適当じやなかろうか、こういう考え方でやつておるわけであります。
  17. 首藤新八

    首藤委員 もしそういうことで公庫に入れた方がいいのではないかという考え方で入れたのならば、公庫法案に、この競輪法によるところの還元の金が入つておるということを明記する必要がなければならぬと私は考えるのだが、それもなくして、何ら表現せずして、このままでいいのですかと私は聞くのです。
  18. 河野一之

    河野(一)政府委員 それは立法論にあるいはなるかもしれないのでございますが、これは法制技術の問題として、あるいはそうおつしやるような御議論があろうかと思いますが、私どもといたしましては、あるいはその競輪法律の方にこれこれと具体的にこまかく書いてありますれば、あるいはそれは一つの政令で定めるということで、それでも出るだろうと思いますが、それは法制技術の問題で、おつしやるような点もありますが、この点につきましては、別に中小企業公庫事業計画についての予算書を提出いたしておる次第でございましてそしてこの予算書にも現われておることでもありますので、そこで御了承いただけるというつもりで考えておつたわけであります。
  19. 首藤新八

    首藤委員 御了承いただけるということでありまするが、これはこの事情を了解しておるものはいいかもしれませんが、第三者の何ら事情を知らぬ方がこの法案を見た場合に、これに自転車の金が入つておるということは、とうてい了解できぬのじやないかということを私は申し上げる。しかも先ほど局長は、大企業があつても従来の融資した金の還元があるから、それを融資したらいいというお考えであるが、できるとかできぬということは別問題として、第一この中小企業金融公庫法案の第二条によつて融資対象を明確にされておる。自転車産業の方は、ここにはつきり書いておる通り、「三分の一に相当する金額以内の金額を、予算の定めるところにより、自転車改良増産輸出増加国内需要充足及びこれらに関連する必要な経費に充てるものとする。」とはつきり限定されておる。しかも自転車産業におきましては、事実から申し上げても、あるいは岡本であるとかあるいは宮田であるとか、あるいは日米であるとか、かような企業家は、この中小企業金融公庫法の第二条を見ますと、いずれにも該当しないのであります。従業員三百人以上、資本金も千万円以上で、これはいずれにも該当しない。そうしてこういう企業体が数年来の不況によつて最も融資を必要とする状態に置かれておる。従つてかりに従来の融資のものが返つたからといつても、はたしてそれで充足し得るかいなか疑問である。第一法の建前からそれはできぬじやありませんか。できぬにもかかわらず、便宜上これをやる。法律を無視して便宜上ということはできるのでありますか、その点を私は明確にしておきたいと思います。
  20. 河野一之

    河野(一)政府委員 便宜上と申しますか、前に銀行を通じて政府が貸して、それが自転車産業行つてつたわけであります。おつしやるような一千万円以上のものもあつたと思いますが、そういつた企業にも貸す分が落ちておるのではないか、こうおつしやる趣旨については、あるいはそういうふうに思われるのもごもつともだと思いますが、そういつた今までは銀行を通じて、銀行貸付金をして、それがさらに流れて行くというかつこうを、それを中小企業政府出資の形にして、中小企業に貸すという形でありまして、法律上のただ名称の差はあると思うのでありますが、その点につきましては、何ら従来とは扱いはかわつておらないと考えて、今度の予算の組み方もし、通産省の御承認も得た次第であります。
  21. 首藤新八

    首藤委員 局長答弁は私は了解に苦しむのであります。私のお尋ねするのは、自転車競技法という独立法案によつて三分の一の還元金はこれこれのものに貸すんだ。たとえば自転車改良増産輸出増加国内需要充足、こういうものに貸すのであつて企業体が小であろうが大であろうと、実際にはかまわない。必要とする企業にはできるんだ。こういうのである。ところが金融公庫法案では、第二条によつて、「中小企業者」とは、左に掲げるものをいう。」、こうして一々列挙してありまするが、それにはこの自転車産業企業家で入らないものがたくさんある。その入らないものに対しても便宜上これはできるという答弁でありまするが、これは法律を無視することになるのではないかということを私はお尋ねするのです。
  22. 河野一之

    河野(一)政府委員 法律を無視しておるとおつしやいますが、実際問題といたしまして、従来大企業について貸付金行つてつたのですが、今度中小企業金融公庫貸付になつたために、法律上そこにはまわらなくなるという点があるということについては、それはそういうことをお認めするにやぶさかでないのでありますが、私は法律論といたしましては、これは決して法律に違反しておるものではない。つまり関連産業還元する場合に、その還元方法でありまして、いかなる方法をとるかは、行政的な取扱いでもありますし、また国会に御承認をいただくことでありますので、これがいけないという御議論で御修正になるということであれば、また別であります。われわれの立場としましては、その点は法律違反ではないという考え方をとつておるのであります。もちろん今言つた企業の問題については議論があります。これは少し私が言い過ぎかも存じませんが、従来の貸付回収金というもので、相当その部分についての運用はなお続けられると思うので、支障はないとは申し上げませんが、そういつた面の要請も緩和せられるのではないかという意味合いで申し上げたのであります。
  23. 川上貫一

    川上委員 関連して。私聞いておりますと、私の質問はほかにあるのですが、今の局長の方の答弁は違うのです。これをはつきりせぬと、時間がかかるばかりでしようがない。三分の一は還元するということに自転車競技法ではなつておる。これが一つ。そうすれば、ここに繰入れる五億何ぼの金は、三分の一の中なのか、その外なのか、これが一つ。もし三分の一の中だとすれば、ここに持つて来た金は、自転車産業並びにこれに関連する産業以外へ貸せます。もちろん金庫ですから貸せます。そうすると、三分の一の金を関連産業還元するということが自転車競技法の中にある。ところがその三分の一の中で、五億なら五億、八億なら八億ここへ持つて来て、その金を競輪産業には何ら関係のないところへ融資したら——公庫法では融資できまずから、融資したら、それが実際においては関連産業に行かぬことになる。これは違法じやないかということを首藤さんの質問は言つておるのではないかと思う。いま一つはこの三分の一というわくの中で五億なり八億使うのであれば、その分の金は自転車産業並びにこれに関連する産業還元しなければ法律違反になるじやないか、それだから五億なりつて、個々の指定した業種の中で、自転車産業並びにその他の関連するものへやるんだ、こうきめてなければ違法じやないかというこの質問なんです。だからほかのことを言いおつてはさつぱり処置ない。
  24. 河野一之

    河野(一)政府委員 三分の一以内という以内と書いてございますが、われわれの建前としては、三分の一の金額を配分いたしておるわけですが、そのうちに中小企業者に対する出資の分も含まれておる、また四億に相当する分は自転車関連産業融資するという建前、かつその運用をそういうふうにいたすことにいたしておりますので、還元されるという事実にはかわりはないので、法律違反ではないと思います。
  25. 川上貫一

    川上委員 それは違う。その四億なり自転車関連産業融資するという規則がない。場合によつてはこの四億をとんでもない産業へ全部貸すかもしれない。それでもさしつかえないのかこの金庫法では自転車関連産業に行かなくても少しもさしつかえない。そんなことができるのか、これを首藤委員は問うておる。これをはつきりせぬとどうも問答がこんにやく問答のようでどうにもならぬ。
  26. 河野一之

    河野(一)政府委員 おつしやる点は、四億円を必ず自転車関連産業へ貸すという保証がないではないか、法律上ほかの方へまわしても何とも言えぬじやないかこれは、ごもつともだと思います。思いますが、この事業計画といたしまして自転車産業にこれこれ出すのであるという予算の姿において御承認国会でいただいておるわけで、その政府機関というものはやはり予算を出して御承認をいただく以上、国会の御承認を受けた趣旨において実行しなければならない義務を負つておると思うのです。
  27. 川上貫一

    川上委員 そういうことを答弁しちやいかぬ。どうして議員だけが法を無視してほかへ使うことがいいということが承認できるのか、法律を無視して自転車関連産業以外へ貸すということを承認できるのですか、そういうむちやくちやな答弁をしちやいかぬ。聞いておることは違うのです。国会承認せいと言うが法を無視して承認できますか。
  28. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは中小企業庁長官からたびたび御明示をいただいておるそうでありますが、四億円を優先的にその中から運用する方針であるという政府方針にはかわりはないのでありまして、監督権中小企業庁で持つておるわけでありますから、私はその点でこれは確保されるという考えでおります。
  29. 小平久雄

    小平(久)委員 関連して先ほど主計局長の御答弁のうちに、公庫法に規定する中小企業わくに入らない自転車産業の大企業、それには回収金運用によつてまわせる、こういうようなお話がありましたが、たとえば今年度はこの分の回収金があるのですか。
  30. 馬郡巖

    ○馬郡説明員 二十八年度におきまする従来の七億円の範囲の回収金は、二十八年度を通じまして、二項四百二十二万円でございまして、そのうち商工中金の関係の分が五千八百一万円でございますので、差引中小企業以外のものに融資でき得るものが、一億四千二百三十一万二千円と相なつております。
  31. 小平久雄

    小平(久)委員 そうすると、おそらく大企業融資できるものは一億四千数百万円である、こういうのですか。この点も先ほど主計局長の御答弁によると、競輪にまわす分もせつかく公庫というものができるのだから、これに統一して融資をしよう、こういう趣旨で繰入れたのだ、こういうお話ですが、この点は不徹底に、なるわけですが、それはどうお考えなりますか。
  32. 河野一之

    河野(一)政府委員 不徹底と申しますか、大部分のものが中小企業にまわるということを考えまして中小企業の方に今まで貸付金の、少くとも当該分というものは中小企業に振り向けられるという建前で、法律案ができております。
  33. 小平久雄

    小平(久)委員 その点は、先ほどの説明とやはり一致しない事態が起きると思う。一方においては、政府の金を直接貸し付けるということをやつておる。同じ法律に基いて出る金を、片や公庫を通じて貸し付ける、片や直接貸し付ける。どうもそういう例はあまりないのじやないかと私は思うのだが、ほかに例があれば、ひとつ御説明を願いたいと思う。それと、なおこの際お尋ねしておきたいと思う点は、私は根本的に、なるほど公庫ができたのだから、これを通じて競輪法に規定するところの融資をするということも、一つ便宜的な考え方だと思うのですが、一旦公庫ができてしまつた以上は、公庫への出資なんだ。法律に書いてある通りです。今までは金融機関を通じて貸し付けておる。出資政府の金ですが、一旦出資になつた以上は、政府の金であるかしらぬが、形式的にあくまでも公庫の金になつてしまう。貸付金の場合は、あくまでも政府の金でしよう。そういう点から、資金の性質が、全然違つて来てしまつておる。そういう点で、出資貸付をごつちやに考えたので、便宜こういう方法に出られたのじやないかという気がするのですが、それはいずれといたしましても、一切今後公庫を通じて貸し出す。それがもどつて来た場合は、どうなるのですか。それはあくまでも公庫の金であつて、あらためて今度はいかなる企業でも、いわゆる法にきめてある中小企業ならば、その金というものはほかへ貸しても一向にさしつかえない性質のものになるのではないかと思う。今までは回収されれば、一般会計の方にもどつた。しかし今度は公庫出資金ですから、これは一般会計にはもどらぬ性質のものだと思う。
  34. 河野一之

    河野(一)政府委員 私は出資にした方が資金の安定性があると思うのです。政府貸付金でありますと、一般会計の歳入になります。また出すためには、翌年度の競輪産業に三分の一ということになります。これが出資ということになりますと、一般会計に将来返すことはない。その分は、自転車産業の分は回転して来まして、また貸して行つて一般会計にもどらないので、かえつて安定性があるのではないかというふうに考えております。
  35. 小平久雄

    小平(久)委員 そこで、最後のところをちよつとお尋ねいたしたいのですが、一般会計にはもどらぬで、公庫までもどるのだ。これは御説の通りだと私も思う。その場合にもどつた金というものは、一般中小企業に貸し出してよろしいものであつて、あくまでも競輪関係に使う必要はないものだと私は思うのだが、そこはいかがですか。
  36. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 私どもの方といたしましては、競輪に対しまして、従来毎年四億の貸付がございましたからそれを既成事実として尊重いたしまして、公庫運用といたしましては、四億の貸出しは今後も継続して行かねばならぬというふうに考えております。
  37. 小平久雄

    小平(久)委員 私の聞いているのは、今年四億貸すでしよう。それを来年も法の定めに従つて、貸して行つて、それの償還期限が来て返された。そのときには返つた金というものは、少くとも公庫法の規定からいうと、それは今度は公庫の一般的な資金であつて何も競輪だけに貸さなくてもいいという建前になつておる。そこのところはどう運用するおつもりですか。
  38. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 それは、特に競輪用というような色がついて返つて来るわけではありませんから、公庫の一般の運用の中に入るべきものと思います。
  39. 首藤新八

    首藤委員 今の還元する金額ですが、今日までの銀行を通じて業者に融資したものは、代行機関である銀行に十箇年間預託するという建前になつておる。その途中でそれが返却されても、その銀行はまたほかの業者に貸す。それは銀行の自由である。政府の方には還元しないというふうに私は了解しており、そういうふうになつておると思うが、その点を明確にしてもらいたい。
  40. 馬郡巖

    ○馬郡説明員 現在の制度は、銀行の貸し付けました分は十年間を期限としておりまして、銀行から貸し付けました金額が償還されました場合は、また銀行の自由によりまして自転車及び自転車関連産業に貸し付けるわけです。
  41. 首藤新八

    首藤委員 そこで聞きますのは、要するに銀行の貸し付けるものは、十箇年間政府の方には還元しない。ところが局長は先ほど、これを公庫の方に還元するから、それを公庫法中小企業にあらざるものでも融資できるという答弁であつたが、今車両課長が答弁した通りに、返つて来ないのでしよう、その点はどうですか。
  42. 河野一之

    河野(一)政府委員 私から答弁いたします。これは従来の自転車産業に対する貸付けの制度をかえるという趣旨ではございませんので、出資されたものが、もし自転車産業から返つて来るという場合におきましては、従来の制度の運用と同じに、自転車産業に返すのが当然だというふうに私は考えております。
  43. 首藤新八

    首藤委員 どうも局長答弁は私にはわからないのです。わからぬからこういう違法なことをあえてして、なお強弁するのだと私は思うのだが、それで私は大臣に聞きます。自転車競技法の第十条の四に競輪から国庫納付されたものの中から三分の一は自転車産業のために、「自転車改良増産輸出増加国内需要充足及びこれらに関連する必要な経費に充てるものとする。」というはつきりした明文がある。これは単独の法律であります。この法律によつて、今日まで通産省還元しておるのが、昨年は六億二千万円、その前は五億二千万円、その前は二億円、これだけ還元して、そうしてその中から昨年は四億円、それから、一昨年は三億五千万円が自転車産業融資されて、そうして業界の振興に非常な効果を現わしたものであります。しかるに、この法案には何ら修正がないにもかかわらず、本年は競輪法によつて通産省還元されたものは全部削除されて、そしてそれが別途の法案である中小企業金融公庫に合算されて入つたという答弁であります。ところがこの公庫法案には、自転車産業還元するものは、これが入つておるということはどこにも明記されてない、開発銀行に返つたものはこれに入るということは明記されておる。しかし、自転車産業に使うということはどこにも明記されてない。それにもかかわらず、ただ便宜上やつたということで遂行できるものかどうか、非常に重大な問題であると考えます。特に競輪法では対象が中少企業とは限つてない。自転車産業に関連を有する企業体であるならば、どれでもいいと書いてあります。金融公庫法案ではちやんとこれこれのもの以外には貸してはならぬという規定があるのであります。この点からもこれを便宜上やろうとしても、法の建前上できないとわれわれは考える。いわんや先ほど局長から答弁があつたように、このうち相当還元金があるからこれをその方にまわしたらいいということでありますが、しかし、今私が申し上げた通りに、通産省から今日出たものは、十箇年契約によつて銀行に預託されておる。かりに業者から金庫へ返しても、金庫政府に返すのではなくてまた他の業者に融資できる建前になつておるのであつて局長が今言われたような法の不備をこれによつて補うことは、実際問題としてできない。通産大臣はこの点に対してどういう見解を持つておるか、この点をお伺いしたい。
  44. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私の考えといたしましては、事務当局から伺つておりました点は、これは委託業務の通りの性質のものになつておる、そういう感じを持つております。しかし、その点においてもし不備でございますならば、委託業務をはつきりするいうにしなければならぬと思います。
  45. 首藤新八

    首藤委員 もう一つこれは大臣にお伺いしたい。今度の修正予算によつて通産省の行政費が削減されるに従つて自転車関係の行政費が相当削減されるものと思います。ところがこの行政費なるものは、競輪法により三分一以内によるところの還元金、これが今日まであつたのであります。従つて一般財政は削減されても、競輪法による国庫納付金というものは別わくとして計上されておるのであるから、従つてこれは削減される必要はないと私は考える。これは別個のものだと思う。それにもかかわらず、ひとしく削減ということはきわめて筋が通らないような気持がしますが、この点についても大臣はもう一度検討する必要があると思います。これは大蔵省の言うが、ごとく、私はあくまで、大蔵省のやつておることは違法だと思うのでありますが、かりに違法とならないと仮定いたしましも、当然通産省の所管として通産省に入る。そして通産省自転車産業を育成する画において、これが今日まで非常な効果を発揮しておるのであります。それにもかかわらず便宜だということで、しかも明文のない金融公庫の中に入れてしまつて、これを通産省が黙認するということになれば、大臣の大きな面子問題だと私は思う。この点からもこの際はつきりしていただきたいということを特に私は申し上げておきます。
  46. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 今いろいろ国会でお話合いになつておりまして、行政費が減るようになつておりますが、しかし、政府原案としては、むろん減すべき筋合いのものでないのでございまして、まあ、はなはだ苦しい立場でございますけれども国会の最高検威がお直しになるということであれば、執行機関としてはそうせざるを得ないのではないかと思います。それから先ほどのことをもう一度申し上げますが、これは通産大臣といたしまして、委託業務のつもりに了解しておりましたけれども、いろいろお説を伺いますと、それがはつきりしていない。従つてこれははつきりさすべきものだろうと考えております。
  47. 首藤新八

    首藤委員 それでは大臣がはつきり ○すということでありますから、はつきりするまで私は質問を保留いたします。そして大臣からの答弁があつて、あらためて質問を申し上げるということにいたしまして、本日はこれで終ります。
  48. 川上貫一

    川上委員 私は大臣にお聞きいたしたいのですが、公庫法の問題について、公庫法の中身はあとから触れますが、一般的に見て、これは形は非常にいいけれども、実際には大して役に立たないようになつておるのではないかという懸念があるから質問するわけであります。昨年の末に中小企業融資として百億を融資したと思うのですが、これが実際に中少企業の手に具体的に渡つたのは、そのうちでどのくらいでありましようか。金額がわからなければパーセンテージでもけつこうですから、これをちよつと知らせてもらいたい。通産大臣が御承知なら、通産大臣から聞きたいと思います。
  49. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 詳細な統計の計数が手元にございませんので、ちよつと御答弁いたしかねます。
  50. 川上貫一

    川上委員 中小企業庁長官はわかりませんか。
  51. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 実は具体的に中小企業者にどれだけの金額が減つたかという集計は、今のところまだわかつておりません。
  52. 川上貫一

    川上委員 これがほとんど銀行のこげつきに使われてしまつたり、あるいは肩がわりされてしまつたり、結局業者の手にはほとんど入つておらないと業者が言つておるのですが、そういうことはないですか。
  53. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 年末に際しまて、いろいろ政府の方で金融機関に預託金をいたしましたりして以来、かなりの潤いがあつたろうと思われますことは、その以前と比べますれば、われわれの方にいろいろと耳に入つてつた苦情その他が大分緩和されたような点から見まして、相当の効果を上げただろうということが想像できるのであります。それが具体的にどうなつたかというこまなかなか押えるのがむずかしいのですが、また同時に預託金は期限を三箇月程度でやつておりまするから、そうよその方にまわすといつても、他の従来からのこげつきにまわすというふうなことはしにくい性質の金ではないかと思つております。
  54. 川上貫一

    川上委員 そうすると銀行の窓口を通じて、中小企業融資しておりますが、これは政府その他が言うようにどんどん中小企業の救済なつておると考えておられますか。
  55. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 従来の預託金と申しまするものは、銀行に一定の金額を預けまして、そうしてどういうふうに使うかは一定金融機関にまかして、ただ年末に際しまして中小企業等が金融的に困つておりますから、中小企業向けに極力融資してくれるようにという希望はつけ、できるだけ指導はいたしますけれども、いわゆるひもつきの形におきまして金を流させるというような性質のものではなかつたのでありますが、今度の金融公庫の運営といたしましては、その点にかんがみまして、私どもの方としては公庫運用はひもつきにしたいというふうに考えておるわけであります。
  56. 川上貫一

    川上委員 つまり今までの政府の答効ではこういう中小企業向け金融をしておる。このくらしの日銀のわくをつくつた。だから中小企業金融についてはやつておるということを繰返し答弁されておる。そういう答弁でずつとごまかされて来ているのですが、中小善者に聞くと、その金はわれわれの手に入らぬという声が強い。そこで政府の方としては、やはりそういうような答弁なり説明ができているのだから、いやそうではない。中小企業の言うのが間違いだ。われわれの方で融資のあつせんをし、金融わくをつくつたりいろぞれなことをしたり、このくらいのものは必ず中小企業が助かつている、そういう証拠を何も持たないでそういう答弁をしておると解釈をしなければならぬ。これは非常に無責任だ。言いかえれば金融すればするほど銀行救済になつてしまつて中小企業の救済にはならないのだが、これについての調べもない、これについての抱負もないということになるのですか。
  57. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 金融機関が年末等におきまして、中小企業の年末金融にかなりの金を流していることは私はたしかだと思うのでありますが、政府の預託金というものは、金融機関の資金源の中の一部として溶け込んでしまうものでありますから、そのうちのなんぼがどうというふうなけじめをつけての調査がなかなか困難だということを申し上げておるのでございまして、私どもの方といたしましては、たとえば資金金融機関に流しますと同時に、たとえば信用保険でありますとかあるいは信用保証の方法でありますとか、あるいは金融のあつせんでありますとか、また府県庁等におきましても、年末等に際しましては特殊の金融操作もいたしておるのでありまして、それやこれやでかなり具体的に中小企業者に金が行き渡つておろうと考えるのであります。ただ金融機関に政府の預託した、あるいはどうしたといううちのその部分が具体的にどういうふうになつたかということを一つく行先まで突き詰めるということが金の性質上困難であるということを申し上げておるわけであります。
  58. 大西禎夫

    大西委員長 ちよつと川上君にお願い申し上げますが、大蔵委員会からやいく言つて参りますから一蚕に対する御質問がございましたらなるべくそういうふうにしていただきたい。
  59. 川上貫一

    川上委員 大臣にお聞きするのですが、大臣は今のようなことはおそらく知らぬだろうと思つたのであります。しかしお答えはなるべく大臣にしてもらいたい。  ことしの六月の末に東京の手形交換所で三万件の不渡りが出ておる。その三万件の不渡りが一件当り十一万円ないし十三万円になつておる。そうするとこれはほとんど中小企業関係の不渡りと見なければならぬ。こういう状態になつておることは事実なのです。ところがこれの原因は、大企業が代金を払わぬ。銀行が金を貸さぬということです。ほかに購買力の問題、貿易の問題もありましようけれども、直接的には大企業が代金をなかなか払わぬということと、銀行が金を貸してくれぬということが非常に大きな原因だと思う。この点について、そうではないということであればお考えをひとつ聞かしてもらいたい。第二点は、大企業が金を払わぬ、銀行が金を貸さぬということにはいろいろ事情がありましようが、選別融資というこの方針金融界がとつて、これが非常に大きな原因をしておると考えるが、これはどうお考えになるか。  第三点は選別融資は日本の特需経済に原因しておる、これが元だ。ところが特需というのは、これはどうしても新しい企画によつて設備がいります。それからこの設備資金が事業を圧迫するし、それから中介機関があるから、その中介機関の設備を維持し、人間を維持しなければならぬから運転資金の非常なロスが出る。企業の経営は不安定にならざるを得ぬのです。この特需経営というものの不安定をカバーするのが選別融資だと思う。そこでそういう形の融資方針をとつておる。そうすると軍需生産に関係する大きな資本だけを生かす政策になつておる。それがやはり大企業、親企業が代金を払うことができぬという原因をなしておる。また選別融資のような方法をとつておれば、銀行中小企業なんかに金を貸すはずはない。この根本政策がある。こういう根本政策を立てておいて、百二十億くらいの目くされ金を出して中小企業融資して何とかするというようなことで実際に行くと思いますかどうか、ほんとうのところを、これは通産大臣が正直に百二十億ではとても行かぬのだけれども、しかたがないからこうしておくと、こうおつしやるのですか。あるいは百二十億あれば中小企業金融は完全に行くと言われるのかもしなかなか行かぬというのならどのくらいなければいかぬと通産省は思うておられるか。どのくらいなければいかぬと思うのに、なぜその金が出て来ぬのか、これを全体を通じてなるべく簡単にお答えを願いたい。
  60. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 大企業が支払いを遅延をしておるということは私は事実認めております。そのために二、三箇月前、あるいはもう少し前でございましたか、大企業に対して下請工場なんかによく金を払うようにというようなことを通産省として、は唱道しまして同時にみずからその範を垂れるべく政府の支払いを大企業にいたす場合には下請工場というものに金が渡つたか、渡らぬかということをちやんと見きわめるようないろいろな手を尽しまして払うようにしております。それから銀行があまり金を貸さぬのじやないかというようなお話でございますが、これは中小企業のみならず、大企業に対しましてもただいまの日本の金融機関といたしましては十分なる金融をいたしかねておる次第でございます。これはすでに川下さんも御承知の通りでございましようが、戦前におきまするところの水準から申しますと、ただいまの市中銀行の預金の割合は戦前の四〇%、四割にしか達していないのであります。平和の時代において一〇〇%で、ときどき金融が逼迫するというふうな時代があつたものでございますから、戦後におきましては復興とか何とかとにかく資金の需要はほんとうにたくさんございます。一面資金の需要が非常に多いときに、その資金源というものの市中銀行資金というものは戦前の四〇%にもなつていない。こういうことでございますので、市中における金融というものは非常な逼迫をして、十分なるお手当を各業者にしておれないのが実情でございます。  それから第二に選別融資のことでございますが、これは御承知の通りそういうような金融情勢、資金情勢でございますから、どうしても日本の産業というものに金を出します場合には、最も重要なる基幹産業から出して行きまして、そうして経済の建直しをしますのに必要な金になつて行きたい、こう考えまして選別融資はされておるわけです。これは私は所管が違いますけれども、大蔵省の御所管と思いますけれども、私はそう考えております。  それから特需経済ばかりに金を出すというようなお話でございますが、私はそうは考えておりません。特需の、ことに狭義の特需なんかは、二十五年の朝鮮事変が起きまして以来、この七月までに七千二百万ドルの注文を受けておるにすぎないのでございます。この七千二百万ドルだけのことでございますと、全日本の鉱工業生産の指数から参りますと、どのくらいに当るかと申しますと、三億ドルが五%こ当つたわけでございますから、その割合でおはじきくださいますれば、一%か二%くらいになるかと私は思います。そういうふうなことでございますから、銀行融資が特需経済ばかりに出て行くということは当らぬと私は思います。  それから第四点といたしまして、中小企業金融公庫に対して百二十億くらいの資金で、一体中小企業が必要とする金がまかなえるかどうかというと、私は率直に申し上げまして、百二十億では足りぬと思います。けれども、ただいままでいろいろの銀行を通じて預託してやつておりましたものを先ほど中小企業庁長官が申しましたように、ひもつきにして、直接通産省関係中小企業に、それこそ選別して金を出して行きたい、こういうことでありますが、一歩前進して、貸出しの方法が市中銀行のデイスクレシヨンによらずに、中小企業金融公庫中小企業に行き渡るようにという新しい制度をつくつたわけであります。しかしながらこれは初めてできますものでありますから、そうたくさんありましても、これをすぐ今年度に使い切れるような機構ができるかどうかも疑問であります。まず百二十億くらいの資金をもちまして出発いたしまして、だんだんなれて来ますに従つて資金源は増さなければならぬと思つております。しかしこの中小企業金融公庫ができましたからといつて、預託金その他の形におきまして資金を流しますから、ただいままで市中銀行で、また商工中金とかなんとかいう方面で従来やつておりましたような金融措置を閉鎖してしまうわけではございません。この百二十億円というものは、性質は中小企業専門にやつて行こういう一つの性格と同時に、ひもつきでこれをやつて行くという意味におきまして今回は非常にいい制度ができた、この制度はだんだんと発展させて行くべきものである、そうして百二十億では十分ではない、今後は増して行かなければならぬ、こういう考えを持つております。
  61. 川上貫一

    川上委員 そうしたら、銀行の代貸し制度というものをどうして認めるのか。銀行の金を借りるような中小企業者は、もうしんどいけれども、まあまあ一番苦しいんじやない。一番苦しい企業銀行も金を貸してくれぬというところが一番苦しいので、これへ行かなければならぬと思う。ところが代貸し制度を認めると、これは銀行の窓口を通る、だから、銀行が一部危険負担をしなければならぬから、貸しやしません。また貸したら、必ず肩がわりをやるか、焦げつきとなるのは間違いない。もしほんとうに百二十億では足りぬ、救済しなければならぬと思うなら、なぜ直貸しをしないか、こういうことです。
  62. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御承知の通りに、産業界の実情、ことに金融方面から見ました実情をよく理解し、同時に情勢がわかつておりますのはただいまの市中銀行であります。今出発早々この中小企業金融公庫というものがはたして市中銀行よりまさるりつばつなスタツフ並びに機構ができて、そうしてうまく行くかというと、事実上できないと私は思う。一応市中銀行に代理貸出しをしまして、そうしてそのうちにだんだんと資金もふえ、機構も充実して行く、こういうことがほんとうだろうと思います。
  63. 川上貫一

    川上委員 それは違うのだ。政府はごまかしているのだと思う。代貸し制度を認めて、そうして合理化資金に貸すということになつておる。今中小企業は、合理化をやつて、何年先に金をもうけて行くとかいうようなことじやない。今中小企業が困つておるのは、合理化なんかじやなくて、困つておるのは運転資金なんだ。しかも長期運転資金がほしい。ところがこの法律を見ると、代貸しはすぐ銀行の窓口を通る、そうして貸すのは合理化資金に貸すのである。ところが中小企業は往生してしまつて、よう借りられは上ません。これはほんとうにやる気はないのでごまかしているのだ。いま一つは千万円まで貸せるとあるが、腹はちやんとわかつている。百二十億では千万円のを千二百件貸したら元も子もない。これはなぜこんなことになるかというと、初めからほんとうに零細企業を救う気持がないからである。われわれはこう考えなければならぬ。もしほんとうに救う気なら、合理化資金じやなくて、長期運転資金を貸さなければならぬ。そうしてどんな困難をしても直貸しをしなければならぬ。そうしてほんとうに銀行からはねられているような企業を助けて行かなければ中小企業の救済にならぬ。もしこういう形でやつて行けば、今の選別融資と同じ方向で、企業系列化が行われる。私はさきに特需を言うたが、特需は何でもないというけれども、特需で相当の金を得ている。特需をもらうかもらわぬかが、日本の政府が生きるかどうかのもとでしよう。それを、日本は特需は大したものじやないと言つている。そういうことを考えてみれば、この中小企業金融公庫というのはいいように見えるけれども、実際は中小企業の救済にはなりはせぬのじやないか。中小企業といつても、選別融資を受けたり、企業の系列化が行われたり、軍需産業関係があつたり、こういう中のずつと上の、実際は救済せんでもいいようなものを救済して、軍事的編成を進める役割がそこにちやんとあるということなんです。通産大臣は軍需大臣でもないし、国防大臣でもないのであつて、通産を進めればいいのだから、この点については通産大臣として遺憾の点があるに違いないと私は思う。これじや困るというお考えがほんとうはあるだろうと思う。それを正直にこの委員会なんかでは言うて、通産大臣としての識見を国民の前に明らかにせんといけないだろうと思うが、これはどういうようなお考えでしようか。
  64. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。  合理化資金に出すのであつて、長期運転資金には出さないのだろう、こういうお説でございますが、しかし長期運転資金にも出すことにしております。長期運転資金に出すことは、同時にやはり合理化の一部でございます。少くとも設備資金なんかに焦げついているものを運転資金として高い利子を出して借りるということは企業経営上許すべからざることであります。そこで私どもといたしましては、お説の通り、また先ほども申し上げましたように、これで満足であるとは申しておりません。満足ではないけれども、まずこれで出発いたしまして、今後これを大いに発展させて、中小企業金融面で救つて行くその礎石だと私は考えております。それは百二十億で十分とは申しません。そうかと申しまして、今お説のように、代貸しをやるのはけしからぬじやないかといつて、それじや中央の金融公庫に人を雇いまして、それに直接まかせて一体どのくらい成績が上り、どのくらい中小企業のお役に立つかといいますと、私はそうはいかぬと思います。やはり熟練した人に一応まかせて、その形勢を見ながら資金をうんと増し、同時に機構を充実して行くべきものだと考えます。
  65. 川上貫一

    川上委員 この問題については議論をしてもしかたがないから申しません。大臣は非常に急いでいるというお話ですから、ひとつ中小全業庁長官に伺いますが、何ぼあれば大体中小企業は助かりますか。
  66. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 これは一つの推定でございますが、現在金融機関が中小企業向けの一年以上の貸付をいたしております残高を押えますと、大体千億ぐらいじやなかろうかと考えるのであります。そのうち今度の公庫で百二十億くらいの運用をいたすのであまして決して十分とは申しませんけれども、一年以上であります上に、かつこれは五年までも行き得るという意味合いにおきまして、相当の効果を上げ得るものと思うのであります。それなら公庫資金としてはたして幾らあれば理想の姿になり得るかということは、いま少しく運用してみませんと、はつきり押えることは困難であろうと思われます。
  67. 川上貫一

    川上委員 そうすると、大臣にお聞きしますが、今でも千億ということを言われた。これは実際はもつとなければならぬはずです。この前のずつと物価が低い時分でも、前の企業庁長官は五百億ないし七百億なければいかぬということを言つておられる。今は一千億以上いると思う。ところが資金運用資金には五千億以上ある。このうち郵便貯金が四月末までに五四%、これは零細者が貯金しているわけです。これに簡易保険などを加えると七〇%に達しておるわけです。これが五千億ある。この資金を一千五百八十億使うことになつておる。このうち公庫だけでなしに全体で中小企業のためにどのくらいまわるのですか。なぜこれを聞くかというと、この資金は、中小企業だけでありませんが、零細者が出した金が積り積つて五千億の資金運用資金があるのです。この金を、中小企業の今一番困つている金融の問題、資金の問題にどのくらいまわすつもりなのか。また通産大臣としては、こういう金はどの程度中小企業あるいは零細企業者あるいは零細生活者にまわさなければならぬと考えておるのか、これを参考のためにちよつと聞いておきたい。
  68. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 零細なものから集めたものだから雰細なものに還元しなければならないというのは、これも一応の御見識でございます。しかしこれは日本全体の財政計画のうちからはじき出すものでございまして、むろんいろいろそういうようなお説に従つてやらなければならぬかとも思いますけれども、これは一にかかつて財政計画によるべきものであります。
  69. 川上貫一

    川上委員 日本全体の経済計画、財政計画が、鉄砲だまさえつくればいいという計画をしているから、ここに来ている。平和産業を推し進めて、中小企業と民旅産業を保護するという政策をとつておらぬ。雰細な金が集まつているのであるから、ここに還元するのがいいと私は主張しているわけではない。こういう金がたくさんある。この金で鉄砲だまをつくる、MSAを受けて軍需産業ばかり興して行こう、再軍備をして行こう、こういう方にばかり使うということが、通産大臣として日本の経済再建に正しいと思うのか、これではとても日本の平和経済、なかんずく中小企業なんかは助からぬと考えておられるか。私がさつき言うたように、通産大臣は軍需大臣でもなければ、陸軍大臣でもない、産業の大臣なんだから、その識見としてどう考えておられるか。これは抽象論のようでありますけれども、そうでない。そこがしつかりしませんと、どんなに言うても、日本の経済、産業というものは立ちはしません。たとい閣議の中において意見が対立し、あるいは与党の中において反対があろうとも、通産大臣というものは日本の経済を再建するために献身奮闘しなければならぬ。これは吉田さんや岡崎君のような人の尻にばかりついてやつてつたら、日本の産業はつぶれてしまう。この識見を聞きたいというのです。
  70. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。鉄砲だまをつくるために金をつぎ込んでしまつているというようなお説でございますが、先ほども申し上げましたように、今朝鮮特需以来駐留軍からいろいろ注文を受けております。その規模と申しますものは、日本の産業の規模においてはそう大したパーセンテージは持つておらぬ。その意味におきまして、鉄砲たまをつくることばかりに金が投ぜられているように仰せられることは、私は当つていないと思います。  それから通産大臣の信念といたしましては、少くとも日本の産業が繁栄して行けばよい。そこで問題はわかれて来ると思います。それならお前は兵器産業がどんどんできて来でそれが繁栄してもいいのかと仰せになるだろうと思いますが、これは大きな国策でございまして、日本が軍備をするかせぬか、またそれに対し兵器産業をどうして行くかということは、国民の意思がそういう方向に向つたときに初めて決定することでありまして昔の独裁内閣で、ござい喜んから、われわれは国民の意思に従つてそういうことがきまつて来ると思います。ただ通産大臣といたしましては、どんなことがありましても、日本の今の経済が自立して来るように、それには各種の産業が発展して行くように、そうして雇用も完全雇用になつて行くように、こういうことを念願してすべてのことをやつている次第でありますから、産業の方向は私は問わない。とにかく一般の雇用者が職を得て、そうしてもつと楽な生活ができ、民生の安定を得て行くというような趣旨のもとに産業行政をやつて行きたいと考えております。
  71. 川上貫一

    川上委員 同じような答弁になつて議論をしても始まらぬのですが、今度二十八年度予算でも軍事費というものは二二%ある。これは厖大なものです。特需は何でもないと言われますけれども、日本の経済は特需で生きているからこそ、特需々々と言うて目をむいている。いま一つは、MSAを受けるのは、軍事援助ではないといつておりますが、日本にはそんなに民間投資は今たくさんあるわけでありません。貿易が振興しているわけでありません一面の設備をどんどん拡充して行くというだけの、そういう貯蓄はありはしません。その時分に、今のような方式でやつて行きますれば、国民の意思によるとか何とか言うけれども、勢い軍需産業に一切の努力と財政投資を向けなければならぬ。こう行くと、国民の意思いかんにかかわらず、軍需産業をのけてはもう抜き差しならぬように今日でもなつている。近い将来ますますこうなる。これについて通産大臣は日本の産業経済、貿易政策としての識見がないのか、これでよいのか。国民の意思によつてやりますなんというんじやなくて、通産大臣としてはこのコースでは困ると思う、これではとても日本は立ち行かないと思うというのか、このコースでよろしいと考えているのか。これは大臣として政策を言わなければだめだと思う。通産大臣としての日本の経済再建と貿易振興、国際収支改善の政策を言わなければいかぬと思う。今の答弁ではさつぱりこの政策がないのです。
  72. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。特需のものが全部軍事費に入つておるというように承りました。しかし聞き違いならようしゆうございますが、昨年の七億八千万ドルの特需のうち、一億四千万ドルは、こちらで労務者を提供して二十四、五万人の人間か職を得て仕事をしていることの代価でございます。それからあと三億ドルぐらにのものは、駐留軍の滞在費、もしくは朝鮮戦線から帰つて来ていろいろなものを買つて行くというようなここで来ておるのです。特需全部が再軍備に持つて行かれるような産業によつてまかなわれておるということは当らないのです。  もう一つ、これは経審長官として皆様方にお聞きを履つておきたいのですが、特需というのは臨時的な収入でございますから、こんなものにたよつて日本の将来が行き得るものではない。またいつ減るかわからない、また当然ある程度時期がたてば減るべき筋合いのものである。通産大臣といたしましては、特需に依存することなく、しかも特需のある間に、この上つた生活水準を維持しながら、自立経済すなわち正常貿易によつて日本の経済を立てて行きたい。その自立経済のためには、各種の産業を発展さして、そうしてこういうふうな臨時的の収入がなくてもやつて行けるような産業立国をやつて行くのが私の趣旨でございます。
  73. 川上貫一

    川上委員 特需のある間に直すんだなどと言いますが、中国との貿易もとめ、今度の予算でも、インフレ予算千三百億という散布超過をやり、賃金は上げぬし、インフレは抑制せぬし、物価の値下げは一向に考えておらぬし、デフレ政策などは考えておらぬ。平和産業を軍需産業に切りかえよることは事実なんです。こうしておいて三十五万の兵隊をつくろうというようなMSAをのもうとしておるのです。この全体の見地に立たなければいかぬと思う。この見地に立つと、通産大臣が特需のある間に切りかえるなんて言うけれども、切りかえるも何もできつこない方向に日本の経済を追い込んでおるのじやないか。これに対して通産大臣は産業政策、経済政策としての識見はないのか。これを言つておるのです。ところが御返事は、いやこの間にだんだんと切りかえるのであります。それは政策でない。それは修身の講義をしておるようなものです。そういうものでない。切りかえられぬのです。ますよす追い込んでしまつて、これよりほかに生きられぬようになつておる。ところがその根本を考えないで、何とかして切りかえるのでありますというようなことを言つておるのですが、これはまつたくごまかしである。おそらく通産大臣もこれは腹の中ではわかつているじやろうと思う。答弁がそれ以上できぬのじやろうと思うから、私はこれ以上しません。  ついでに私はこの際聞いておきますが、中小企業に対してあるいは平和産業に対して、いろいろ熱意を持つておるということでこの法案が出ておるが、今度の税法改正あれによると中小企業は参つてしまいます。これはあなたの方の所管ではありませんが、これに対して通産大臣としてはどう考えるか。ああいう税法改正でよろしいか。今度の税法改正によると、中小企業の法人はとても税金で食われてしまう。つぶれてしまう。これは御承知だろうと思うが、通産大臣としてこれに賛成かどうかということをお聞きしておきたい。
  74. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 今度の改正税法のうち、中小企業関係のあります部分を若干私から大臣にかわつてお答え申し上げたいと思います。今度提案せられております税制改正の法律案中、中小企業関係のあります事項については、たとえば所得税法の関係におきましては現行の基礎控除が五万円でありますものを六万円に引上げるとか、あるいは扶養控除につきまして、最初の扶養親族一人従来二万円でありましたものを三万五千円にいたしますとか、あるいは給与所得の控除の最高限度を、現行三万円を四万五千円にいたしますとか、あるいは生命保険料の控除額を従来の倍に引上げる、あるいは医療費の控除の現行十万円を十五万円に引上げるとか、あるいは青色申告制度における使用者の控除の限度を年五万円から六万円に引上げるとか、あるいは親族の範囲を十五才以上の者に拡大いたしますとか、いろいろこまかい点でございますが、拾い上げましてこれを積み重ねて行きますと、ある程度まとまつた中小不在業向けの税の上の軽減ということをはかり得るような仕組みになつておるのであります。私どもといたしましても、大蔵省の方面に対しまして、中小企業者からの御要望をとりまとめてその都度度財政収支の許しまする範囲におきまして、中小企業関係の税の軽減に努めるようにやつてつておるのであります。今後ともその方針によりまして、なお一層の努力をいたして参りたい、かように考えております。
  75. 川上貫一

    川上委員 そういう答弁はいけないですよ。大体中小企業庁長官答弁がそういうことではどうもならぬ。中小企業の八団体が何を要求しておるか。民間の意見を聞くとおつしやるけれどもちつとも聞いておらぬじやないか。民間中小企業の八団体は、ほかの法律によつて法人格をきめられたもの、これに対して、法人としての利益を税の面からとつてしまう?法人としての体制を税法でつぶしてしまおうとしておるところに反対しておる。そしてこういうことまで言うておる。企業組合は赤の組合だからつぶしてもいいというようなことまで言つておる。これは大問題だ。こんな税法をしかれたら、金融金庫がどうとか、何とか言いますけれども中小企業はつぶれてしまうのです。むごい税金をとられてしまう。これについて通産省としては賛成か反対か、これを聞いておるのです。
  76. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 前回の解散前の国会におきましては、主として企業組合の関係のものでございました。従来独立の営業をいたしておりましたものが合同いたしまして企業組合をつくつた、その場合に従来の独立であつた店舗の数が相当多数でありまして、見たところ企業組合の形にはなつておるけれども、一見して独立計算をしておるがごとくに見られるような場合におきましては、つまり各業者が自己の独立の存在を企業組合の中に没入しておるという姿とは違つたような姿に見られるような場合、かような場合には一応企業組合の側から、そうでない旨の立証の責任をとつてもらわなければいかぬというふうな法律の改正案が出たのであります。その当時私どもといたしましても大蔵省といろいろと折衝いたしたのであります。大蔵省側におきましても、全部ではございませんが、企業組合が出発いたしました当座におきまして、企業組合を減税の手段に使おうというふうな意味合いで出発した組合がなきにしもあらなかつたというようなことから、調整上非常に苦労された点も確かに一方においてあつた。また同時にむやみに企業組合の法人格を税法上否認するということを簡単にやられたのでは、これは企業組合の発展上非常に固る、両者の主張をある程度調整いたしまして、双方弊害のないような形にせねばいかぬというので、その後、今度の法案におきましては若干緩和いたしておると思うのであります。要するに正常な企業組合が税法上の取扱いによつて否認されるということのないように、従来承認を受けておるものはそのまま税法上においても、企業組合が法人として税法上扱われることを確保するというふうな、いろいろな取扱い上の濫用の点の幣を是正するように申入れいたしまして、両者の調節をとるようにわれわれといたしましては大蔵省に要望いたしまして、まあまあというところまで来ておるものと考えておるのであります。
  77. 川上貫一

    川上委員 もう長くはかかりませんが、」体企業組合にしましてもそれからその他の企業組合でない法人にしましても、法人格をほかの法律でとつているのです。法人格です。人格なんです。それを徴税の面で税務署の手を使うてかつてにこれを否認することになる。そして税金をとるということになる。これが法律上正しいと通産省関係ではお考えになるかどうかということです。もしもいけないならば法人関係の方で法人そのものを改めさすのがあたりまえだ。法人として一方では法律できめておいて、税金をとる時分だけは法人じやないという権利を税務署に与える。そうすると法人を否定する権利が徴税側にある、ところが一方の法律では法人としてちやんと認めてある。もしもそのような、たとえばどうもならぬ法人なら、本法において法人の監督その他をきめべきものであつて、税金をとる時分に法人の資格をつぶしてしまう。しかもその実権が徴税機関にあるというようなことに、賛成されるのですかどうですかという、この結論だけ聞けばいい。中小企業庁にしても通産省にしても、中小企業を守るのが仕事でしよう。税金をとるのが仕事じやないでしよう。守る立場にあるのなら守る立場を堅持しなければいかぬじやないか、こういうことです。
  78. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 法人格を否認す るということに言うてしまいますと言葉が多少行き過ぎるじやないかと思うのでありまして一企業組合が本来あるべき姿において運営されておるのであるという挙証責任といいますか、証拠を企業組合の方から出してもらうようにしようというのであります。われわれの方といたしましては、それが濫用にわたりませんように、その運用方法につきましては、税務当局の方で通牒を出します場合に、一々中小企業庁承認を求めたような共同通牒の形でないと通牒も出せないというふうに、濫用の面を十分防止しておきますれば、これは否認するというよりは、自分が正当な企業組合でちやんと運営しておるのだという証拠を組合から出してもらうというのでありまして、否認してしまうというところまですぐ行くように言うのは言い過ぎじやないかと思うのであります。
  79. 川上貫一

    川上委員 それがおかしいのです。帳簿か何か知らぬけれども、正当な企業組合でないというのなら企業組合法によつてこれは処置すべきで、税法によつて処置するということはいかぬというのである。企業組合法あるいはその他の法人を規定する法律できまつていて、人格を与えてある。それを徴税の面から、特に具体的に言えば税務署が行つて、お前のところは正当法人でないときめてかかる。これは法律上から言うても建前から言うてもうそじやないか。もし正当でないような企業組合、法人であるならば、法人の本法によつて処置すべきものなのである。税務署があれこれ言うべきものじやない。これはどう考えますか。
  80. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 現在の法制の建前といたしましては、企業組合にいたしましても、その他の協同組合にいたしましても、行政官庁はこれにタツチしないというふうな、内部に介入しないという建前をとつております。組合におきましても認証という形でございまして、許可の形をとつておらぬのでございます。従いまして、現行法の建前から言いますれば、一応設立するという意思に基きまして、法律に書いてあります書類を作成して、行政官庁、府県庁ないし私どもの方へ持つて参りますれば、書いてあります書類が法律上違反していない限りにおきましてこれを認めるのでありましてその後の運用がどういうふうになつておるかということを、一々中へ介入し監督しまして、こまかいところまであれこれと申すことはいたさぬ建前になつておるのであります。ところが一方税をとることから申しますれば、企業組合が設立当時に書類で出して来た通り運用をしておりませんで、税法上困るというような場合には、組合の方からそうでないのだということの証拠を出してくれということにしようというのでありますから、その辺のところが現行法制の上から申しますればまずやむを得ぬところではなかろうかと考えているのであります。ただ濫用を防止する上におきましてわれわれといたしましては、税法を運用する官庁方面に対しまして十分なる連携をとり、いやしくも濫用のないように努めて行こう、こういう建前をとつているわけであります。
  81. 川上貫一

    川上委員 それでは私は質問をこれで打切りますが、いろいろ聞きましたが、中小企業をほんとうに助けて行こうというような政策は一つもないということが明らかになつた。このやり方を進めて行けば、必然的に中小企業はもう倒れてしまう。ただ一部の特殊な企業だけが保護を受けるのみで、そうでないということはちつとも立証されない。そこへ持つて行つて金庫法ができる。しかもこの金庫法は、銀行の代貸しを認め、それから設備の融資だというような点を強調されておつて、総額は百二十億にすぎない。これはぺてんなんである。もし中小企業庁長官が、通産大臣もおられるが、ほんとうに中小企業のことを考えておられるなら、こんなものはだめですということを主張しなければならぬ。これは国民を欺くことになる。これの賛否については考えますけれども、これはこの法律だけとつてはわからぬのです。全体から見た分にはごまかしである。実際の中小企業の救済などにはなりつこないものを、こういう形でこしらえておる。こういうことに私は結論がなると思うのです。しかしこの問題については同僚議員の方々のあれもありますし、時間の関係もありますのできようはこれで打切りますが、願わくは、特に中小企業にとつて重要な問題ですから、中小企業庁長官などは多少摩擦があろうとも、どんなことがあろうとも、中小企業を助けるのだというこの一点から、相当の覚悟でいてもらわなければならぬ。そのために戦い敗れて、中小企業のためにならぬことがあつたら腹を切つたらよい。これだけの覚悟がなければ中小企業庁長官としての職務は尽せるものではないと思う。その抱負を残念ながらきようは聞くことができなかつた。もしわれわれがここで一生懸命討議している時分に、真に国民のためを思うて、一身を賭して闘うという、こういう官僚に会うたら、私は頭を下げたいと思う。これが日本では今一番大事だ。通産大臣はその点で遺憾だと思う。願わくは何らかの参考にしてもらつて、御研究をお願いしたいと思います。これで私の質問は終りまする
  82. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたします。石炭に関する小委員長より、小委員会において参考人より意見を聴取いたしたい旨の申出がありますが、これを許可いたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。  本日はこの程度にいたし、散会後理事会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十八分散会