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1953-07-10 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 首藤 新八君       小川 平二君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    馬場 元治君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       下川儀太郎君    中崎  敏君       山口シヅエ君    始関 伊平君       川上 貫一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月十日  委員坪川信三君辞任につき、その補欠として塚  原俊郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月八日  四国の電源開発促進に関する請願中村時雄君  紹介)(第一四九八号) 同月九日  信用協同組合育成強化ため障害除去に関する  請願井堀繁雄紹介)(第三二一三号)  電気事業法の一部改正に関する請願中村時雄  君紹介)(第三二一四号)  計量法の一部改正に関する請願松野頼三君紹  介)(弟三二一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二八号)  輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三六号)  繊維に関する件  化学肥料に関する小委員長より中間報告聴取  の件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず化学肥料に関する小委員長より中間報告をいたしたい旨の申出がありますから、これを許します。土倉委員長
  3. 土倉宗明

    土倉委員 化学肥料に関する小委員会国政調査について中間報告を申し上げます。  まずこれまでの経過についてその概要を申し上げます。六月二日第一回を開催いたし、委員会運営方針などについて協議いたしました結果、化学肥料中、特に硫安工業について調査を行うこと、調査の初めにおいて、関係政府委員その他関係業界各方面の代表者を招いて実情を聴取することに決定いたしました。かくて六月五日には関係政府委員、六月十一日午前は消費者側実情を聴取いたしまして、午後は生産者側代表を、六月十二日には輸出業者及び国内流通業者側代表をそれぞれ参考人といたしまして招致いたし、これら各方画実情や、国会に対する要望等を聴取いたしました。次いで去る七月三日第五回を開会いたしまして、問題の所在並びにこれが解決のために今後いかに調査を進めるべきかについて検討協議いたしました結果、おおむねこれから申し述べるがごときものであることを各委員の間において意見の一致を見たのであります。  これまでの経過は大体以上のごとくでありまして、今後も引続き調査を進めますが、この際これら主要なる問題点について一応中間報告をいたしたいと存ずる次第であります。  第一は価格の問題であります。硫安国内販売価格をいかに決定するかということは取も重要な問題でありますが、これには生産原価と、そして企業が生きて行くための一定の利潤を加え、一方農産物の価格などともにらみ合せて、国内販売標準価格決定することが必要でありましよう。いずれにしても、適正なる価格決定には、生産原価を的確に把握することが絶対的前提条件でありまして、これがためには、政府現行物価統制令を活用することも一応考慮すべきかと思うのであります。  第二は配分の問題であります。これがためには、農家の実需を合理的に算定し、これを確保するため実需量以外に、さらに相当量のランニング・ストックを保有する必要がありましよう。一方輸出条件を最も有利ならしめるためには、あらかじめ輸出割当量を定め、その範囲内において、いつでも、最も有利なときに、適宜輸出せしめることが必要であり、これがためには、肥料年度ごと需給計画を定め、その範囲内で、すべてを計画的に配分する必要があると思うのであります。  ここでちよつと、硫安輸出の問題に言及いたしたいと存じます。先般、大量の出血輸出を行つたため、その跡始末を国内消費者に輸嫁するのではないかということで大きな政治問題となり、世間の一部には、硫安輸出等はやめてしまえ、出血輸出外貨を獲得するくらいならば、これを国内に増配し、主食の増産、輸入の抑制によつて、間接に外貨の獲得をはかるべきだと論ずる者もあるようであります。しかしながら、土質その他からいつて国内消費にもおのずから限度がありましよう。ことに、硫安はすべての原材料国内で自給し得ること、相手国東南アジア地方は、年間百六十万トンの輸入を必要としており、しかもこれらの地方からは、米その他の食糧、綿花その他の原材料等供給を仰いでおるという特殊の間柄であること、地の利を得ておること、すなわち競争国たる西独等とは、海上運賃において、現在でもなお五ドルないし八ドルの開きがあること等から見て、まさに絶好の輸出物資であると申さねばなりません。  わが国硫安生産量は、現在二百万トンを越えており、国内需要量百五十万トンに対して、五十万トン以上の輸出余力があります。しかも設備能力からいえば、年間二百九十万トンに上るものがあるのであります。  一方生産原価の構成を見ると、生産量とともに増減しない固定費が約四割を占めております。従つて国内需要だけを充足する程度に減産するとすれば、たちまち国内価格の暴騰、ひいては外国よりの輸入国内重要産業の倒壊を招来することは必至と申さなければなりません。  もともと何故に出血輸出になるかと申しますると、過去の実例が示すごとく、輸出時機を誤る、すなわち割高な引合いがあつても、国内事情ため、ますます有利な時機を見送らざるを得ないというようなこともありますが、主たる原因は、競争相手に比べて、わが国生産原価が高いということであります。すなわち電解法における電力供給不足ため操業度が五〇%余にすぎないこと、ガス法における石炭コークス等入手価格の割高なこと、金利の安くないこと、設備の老朽陳腐化せること等が主たる原因であります。従つて電力供給が円滑になり、石炭コークス入手価格が下り、また硫安工業自体合理化が断行せられまするならば、現在よりも、トン当り、十二ドルないし十四ドルの値下げとなり、海上運賃の差と相まつて、優に国際競争に参加し得るのでありまして、この点においては、政府当局に於ても明るい見通しを持つておるようであります。  かような次第でありますから、硫安輸出については、これを抑制するがごときことなく、もちろん内需の確保は絶対的でありますが、これと同時に、輸出振興についてもまた大いに努めなければならないと思うのであります。賠償支払等に際しても硫安輸出を特に考慮する必要があるかと存ずるのであります。  第三は輸出機構の問題であります。輸出による損益と、国内販売勘定とを截然と区別し、いやしくも、農民の犠牲において出血輸出するかのごとき疑惑を生ぜせしめないためにも、また冬生産業者がそれぞれの貿易商を通じて個別に行う不利を避け、輸出強化をはかるためにも、輸出ため特別機構を設けることが必要だと考えるのであります。  第四は審議会の問題であります。前述の価格決定需給計画決定等ため生産消費流通方画代表者学識経験者を加えた審議会を設けろ必要があると考えます。  第五は合理化所要資金のあつせんであります。操業合理化を断行し、原価の低減をはかるためには、前に申しましたごく、電力不足による操業度の短縮、石炭コークス等原材料の割高等、関連鉱工業合理化にまつこと大なるものもありますが、硫安工業自体に於てもまた、コツパース微粉炭完全ガス化炉の採用、尿素、硫燐安等製品形態転換等々によつてトン当り生産費約六ドルの節約は可能なりと見られるのであります。しかしながらこれがためには、総計二百三億の合理化資金が必要なりと算定せられておるのであります。  ところで、敗戦後復興途上にあるわが国工業の通弊として資本の蓄積がなく、ことに厖大な固定設備を必要とし、しかも特殊の産業として、価格や収益について常に政略的制約を受けておる硫安工業は、自己資金によつてこれを調達する能力がありませんから、低利長期資金の融通あつせんが強く要望せられる次第であります。  第六は税制上の考慮についてであります。合理化を容易ならしめるため輸入機械関税免除合理化ため置きかえ配置せられた設備、装置の固定資産税免除等はもとより、さらに進んで西独が実施しておるような輸出奨励ため税制上の特別措置についても考慮する必要があろうかと考える次第であります。  以上をもつて大体化学肥料に関する小委員会中間報告といたしたいのでございます。  以上申し上げましたことについて、さらに御了解にならない点がありまするならば、同僚委員からも補足して中間報告をしていただきたいと存ずる次第であります。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて化学肥料に関する小委員長よりの中間報告は終了いたしました。     —————————————
  5. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありまするからこれを許します。加藤清二君。
  6. 加藤清二

    加藤(清)委員 中小企業信用保険法改正の点でちよつとお尋ねしたいのですが、第二条で、資本金の五百万円までの制限を一千万円に引上げたということと、それから人数の二百人までを三百人に引上げられたという点と、それから調整組合及びその連合会を加える、つまり範囲を、数量においても金額においても、員数においても、それから組合の領域においても広げられたという理由を承りたいのであります。
  7. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 これは今日の中小企業実情からいたしまして、現在の制限では狭過ぎると考えるのであります。と申しますのは、すでに現在動いておりますところのいろいろの中小金融の諸制度、たとえて申しますれば開発銀行でやつておりまする中小企業向け見返り資金の融資でありますとか、あるいは今御提案申し上げておりますところの中小企業金融公庫の中の条文、あるいは大都市におきまするところの信用保証協会におきます保証限度等が、大体今度改正をねらいといたしておりますところの中小企業信用保険における中小企業の新しい定義と合致いたしておるのであります。  それから調整組合を加えましたのは、今度中小企業安定法議員提出改正案が出ておりますが、調整組合経済行為をやつたり、またそのために必要な金の調達をするということも許されるわけでございまするので、調整組合が金を調達します場合に、その保険利用し得るようにいたしておきまする方が親切な事柄であろう。それらの点をかみ合わしまして横にも縦にも範囲を拡張したというふうなことに相なつておるのであります。
  8. 加藤清二

    加藤(清)委員 同じく第四条で、この貸付金の額が五百万円から一千万円にふえ、片や二千万が三千万にふえているという理由を承りたい。
  9. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 これはただいま申し上げました中小企業者定義を広げましたこととうらはらに相なるのでございまして、現在の中小企業実情によりますと、全部が全部ではございませんけれども、五百万円では、たとえば一中小企業者普通金融機関から借ります限度は五百万円になつております。それを一千万円にいたしませんと、実情に合わぬ点があるのであります。私ども中小企業庁といたしましては、各府県を主として実施機関といたしまして、企業の診断というものを、かなり熱意を入れて実施いたしているのであります。各企業ないし協同組合等の内部を調べまして、企業不振である原因はどこにあるか、その業態の中におきまする病根を摘出いたしますとともに、今後は企業体が現在のむずかしい経済界の中において発展向上して行くにはいかにいたすべきかというような方途について勧告をいたすことにいたしているのでありますが、さような場合において、かようにしたらよろしいでありましようという勧告をした、それには金が必要である、その場合、やはり数百万円ないし七、八百円程度の金がいるような事例が割にあるのであります。従いまして、中小企業者定義を広げますとともに、一中小企業者ないし組合等が借ります金の限度、またそれを保険に付します限度法律に計いてありますように広げることが必要であろう、こう考えたわけであります。
  10. 加藤清二

    加藤(清)委員 その理由は大体わかりましたが、それでは次に中小企業信用保険に関して政府援助と申しましようか、政府から何がしかの援助資金というものが出ておるかいないか、この点をお尋ねしたい。
  11. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 この信用保険は、大体保険の性質上当然と申せるのかもしれませんが、独立採算制建前といたしておりまして、保険料といたしましては、たとえば現行制度によりますれば、百に対して七五%をこの信用保険でとる。また、今申しましたのは金融機関中小企業者に金を貸した場合でありますが、信用保証協会保証いたしました債務は五〇%のものを保険にとることにいたします。その保険にとりました額に対して百分の三を保険料としていただくことになつておるのであります。それによりまして収支のバランスがとれて行くという建前にいたしておるのでありまして、原則としては、国家として、基金として二十億の金を出しておりますけれども、それは運転資金みたように回転して行く元金であります。事務費を含めまして損得なしにやつて行くというのが建前になつておるのであります。従いまして百分の三の保険料が高いか安いかという議論が非常に頻繁に行われまして、これを下げよという要求が強いのでありますが、現在までの統計によりますと、百分の三の保険料を下げますと独立採算が非常に危うくなるということに相なつております。従いまして現在のところにおきましては、いわゆる国が損をしてもよろしいという建前保険運用されておらぬのでありまして、独立採算運用されておるということになつております。
  12. 加藤清二

    加藤(清)委員 独立採算企業が行われるということはけつこうなことでございます。ところで、ただいま運転資金が二十億まわされておるというが、現在の幅、現在のわくであつても、なお独立採算制危機に瀕することがあると、こういうお答えでございまするが、その際にこのわくを広げることによつて、つまりこうなりますと、組合の恩恵を受ける人が多くなるわけでございますね。そのことによつてその企業が一層危機に瀕するとするのか、いやそうではなくて、わくが広がれば保険加入者がふえるのでもうかるというのか、いずれでございますか。
  13. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 保険利用利用者がふえて来ますれば、自然危険が分散いたしますから、保険経済としては内容か健全になつて来ると考えるのが普通であろうかと思うのであります。ただこの信用保険は、信用保険制度自体として、これを利用する方の信用を検査するといいますか、審査する制度にはなつておりませんで、金融機関ないし信用保証協会がこの保険利用しようと思えば自動的に利用できるような仕組みになつておりますので、いわゆる逆選択が公然と許されているのであります。その点で先ほど申しましたように、この保険料を下げるというところまでのはつきりしたデータがないと申しましたのは、逆選択関係があるのであります。ともかくも保険範囲を広げまして利用者の数がふえれば、これは一応は逆選択が許されていると申しましても、金融機関はそれぞれ自分でもその危険を一部負担している関係もありまして、そう野放図な貸出しをするはずも、ございませんから、保険としては基礎が確立すると考えられるのでございます。しかし保険につけられます金額が非常にふえて参りますれば、基金もふやさなければならぬのは、これは常識であります。今度の予算ではこれは一応見送つてはおりますけれども、近い機会におきまして保険特別会計基金もふやすという必要が生じて来ようかと、その点については具体的に大蔵省とよりより相談をいたしておる点であります。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の方の党といたしましては、実はその点だけを問題にしておるのじやないのでして、運転資金なり、資本なりが、そのままの状態にあつて、そうして仕事わくがふえ、仕事の量がふえて行く。その際に、それでは今のお話で、加入者がふえた場合に企業が独立して成り立つということは、これはごもつともな話であります。経済原則はそうあらねばならぬ。ところがはたしてこれだけのわくをふやして今の政府援助二十億だけで足りるか足りないか、もし万一足りなかつた場合にあとでふやすとおつしやいました。それはそれでけつこうでしよう。何もこの法律があした行われたからといつて、あしたからお客がふえるわけのものではないですからいいでしようが、そのわくを広げたことによつてただいままでこれに加入していた人も潤おう分がそう十分であつたとは考えられない。それがわくは広げられるわ、政府からの援助は同じにとどめられたということになりますと、過去よりも一層政府の親心が薄らぐではないか、さすれば過去のこれに加入していた人が不利を招く結果が生じて来るではないか、この点を心配するわけでありますが、そういう心配はありやなしや、それは杞憂にすぎるということであれば、まことにけつこうなことであります。
  15. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 本特別会計基金につきまして御心配の点、ある意味におきましてはまことにごもつともでございまして、特別会計を設定いたしました当初におきましては、保険金額の一〇%を準備するという、一応これは絶対的な基準ではございませんけれども一つ基準をつけまして今やつたわけでありまして、それを適用上ますれば、数億の基金をふやさねばならぬという機械的な計算になるわけであります。ところが最近までの二年有半にわたります経験によりますと、今ただちにその基金をふやしておかぬでも、特別会計運営上支障を来さないという点がはつきりいたしておりますので、今度改正をいたしまして様子を見ながらその点を注意して行けば間違いはなかろうと考えますので、今ただちに基金をふやすということはいたしませんけれども、それによりまして保険運用支障を来すということは、絶対ないように十分注意して行くつもりであります。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 先ほど長官お話にもありましたように、第一条のわくが広げられました場合においては、これかこの法案だけにとどまるのか、それとも今度行われようとしている中小企業長期金融公庫にもそれが適用されるのか、いずれでございますか。
  17. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 先ほどの私の説明でもちよつと申したと思うのでありますが、最近におきます中小企業金融の状況から判断いたしまして、この程度の拡張が必要であろうと考えましたということを申したのでありますが、その点は中小企業金融公庫につきましても同様でございまして、中小企業金融公庫並びに保険に関しまして、中小企業定義を少しかえて広げたわけであります。ですから、公庫の方の関係もこれと同様の規定に相なつております。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 もしこれが今度行われようとしております長期金融公庫にも適用されることに相なりますと、これは先般行われました中小企業者の大会における決議にもございまして、長官よく御存じと存じますが、なるほどわくを広げてもらいたいという希望も一部あるようでございますけれども、ほとんどはわくを広げないでもらいたいという希望が多いようでございます。その理由は、あの長期金融公庫金額が他の大企業に多分にまわされぬように行われておればけつこうでございますけれどもほんとうに腹の減つた方々に対する焼石に水程度のものでございまして、これをわくを広げて一十万の資本金を有するとか、従業員は三百人、一部は千人までも許す、こういうことに相なつて参りました場合におきましては、当然起り得る結果としてその資本金の大きい、従業員の多い刀々の方がはるかに力が大きい。従つて金を借りる場合におきましては、この窓口が問題でございまして、過去のいわゆる市中銀行にこれをゆだねました場合におきましては、みんな信用程度によつてこれを貸し付ける。審査部審査はみなさようになつておりますことはよく御存じだと思います。そういたしますと、ほんとうに困つている方々には、三十万、五十万、百万の金も困つている方々にそれが渡らずに銀行からも借りられぬ。もし困つたときには要すれば地方銀行の支店が困るので、銀行援助もいたしましよう、要すれば銀行管理もしてお手伝いをしてあげましようという、その中小のうちの大の方にほとんどとられてしまう憂いが十分にございますが、この点むしろ中小の小にウエートを置かれることが今日の資金保険、いわゆる金のめぐつて行く、潤う率からいつて、当然そういう手だてをすることが必要ではないかと考えておりまするが、わくを広げなさることによつて、その精神がかえつて逆に行つてしまう憂いが十分あると思いまするが、これに対する手だてがはたしてできておりまするか、おりませんか。もしおるとするならば、具体的にどのような方策が講じられておりまするか、承りたいと存じます。
  19. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 今度御提案申し上げておりますところの、中小企業金融公庫が対象といたしまする中小企業範囲、これをただいま御説明申し上げました中小企業信用保険と同じように、中小企業定義を拡張いたしたということに関連いたしまして、公庫運用中小企業の中でも比較的大きな企業の方へ公庫の金が偏在するようなことにならないかという御懸念であつたように思いますが、私どもといたしましても、それがかりに極端なことになりますれば一千万円の限度があるといたしまして、一千万円の貸金が千集まりますと、百億でありましてもう窓口なんか開くまでもなく千件貸してしまつた公庫は一年間昼休みということになるのでありまして、これは極端な例でありますけれども、さようなような傾向が強く現われて参りますと、これはいけないと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、過去のいろいろな中小企業金金融実績を検討してみますると、開発銀行が昨年の九月から限度一千万円、資本金一千万円以下の会社というので、大体の仕組みといたしますれば、新たに御提案申し上げておりますところの公庫とほとんど同一の条件で貸し出しをやつておるのでありますが、その平均残高が三百万円前後に相なつておるのでありまして、何らの手当を加えませんでも、平均が三百万円程度になつておるという一つ実例があるわけでございます。それからまた信用保険は、これは限度を従来は五百万円でやつてつたのでありまするが、これも平均が百二十五万円程度でございまして、かりにこの信用保険のうち商工中金その他でやつておりますところの組合金融を除外して、個人金融でやつてみますると、平均が八十万円前後になつておるというふうなことがあるのであります。かように自然にまかしておきましても、かなり資金というものは公平に出ておるというのが一応過去の実績に相なつておるのであります。しかしながらお話のような御懸念は、これは今後やはり頭の中に置いて金融運用に当らなければならぬことは当然でありますので、私どもといたしましては、公庫ができ上りましたならば、たとえば代理店公庫が与えますところの手数料というふうなものがございまするが、それを一口当りの金額の大小によりまして、小の方は金融機関が大体手数がかかるし、いろいろな意味で分の悪い貸付けでございますから、分の悪い貸付けに対しては手数料を、たとえば分のいい分よりは多目にするというふうな操作をひとつ考えますることによりましても、ある程度の効果が出て来るのではなかろうか、あるいはまた限度一千万円までの貸出しを代理店にまかす場合におきましても、たとえばその中間的なところへ一つの線を引きまして、それから上一千万円までの部分については、公庫の本部に内容等を具してどうだろうかという相談をさすというようなことをやらしてみるというふうなことも一つの方法ではなかろうかとも思うのでありまして、さようないろいろな点で、一方に偏しないようには努力しなくちやならぬかとも思いますが、一方また零細金融というに、あまりに片寄り過ぎてしまいましても、国民金融公庫との関係がまたあるのでありまして、国民金融公庫は一般の貸出しが一件当り五十万円限度でございまして、連帯保証で貸します場合は一件当りの限度が二百万円に相なつておるのであります。従いまして中小企業金融公庫が今度生れました場合に、連帯で二百万円、一件で五十万円という点にあまりにこれが集中しますと、せつかくできました公庫が既存の国民金融公庫と領域を二重にやるというようなことにもなろかと思うのでありまして、この二つの公庫がおのおのそのところを得て、それぞれ適切な領分において中小企業金融に役立ち得るというような働きができますれば幸いと存じておるのでありまして、御懸念のような結果になりませんように、十分の注意を払つて行きたい、かように考えております。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 この第一条のわくが他にも適用されるというところにこの問題があるので、ございまして今長官のお答えになりました同じ趣旨のことが、かつての工業新聞にも発表されていたことを私、知つておりまするが、貸出し残高が三百万であるから決してそう片寄つていないという、こういう考え方については少々異論を持つておるものでございます。それから銀行利用高についても少々異論があるのです。これはいずれまた別な長期金融公庫の出ました折にまた御方針を伺うということにいたしまして、この法案については別に異論はございません。
  21. 大西禎夫

    大西委員長 次に首藤新八君。
  22. 首藤新八

    ○首藤委員 今回の改正が、非常に困難を来しておる金融の疏通に相当効果があるという考え方から、私はこれに賛成するのでありますが、ただいま加藤委員から言われておつた保険料の問題、すなわち従来七割五分が八割になる。そうすると五分方保険料を多く負担せなければならぬことになつて来るわけであります。今日までにおいても、普遍の金利の上に保険料という余分な負担を課せられておる。しかもこの前保険料の負担が銀行業者の不当な要求によつて銀行の負担がはるかに軽減され、被融通者の負担が多くなつておる。その上にさらに五分方保険料が引上げられたことは、金融打開に効果はあるが、しかし一方において保険料はそれだけ余分に負担しなければならぬということになつて来るのであります。そういう点を考えると、この融通を受ける人の負担を何とかもう少し軽減する必要はありはしないか。率直に言いますと、七割五分で融資を受けておつた方が、今度の五分だけ余分に払わねばならぬという不合理な事態に直面するのであります。そこで今日までの保険料の収支、基金を含んで、その実態がどういうふうになつておるか、この点を明確にしていただきたい、こう思います。
  23. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 実は特別会計の収支のバランスを詳細お示しする数字をここに持合せておりませんので、それは後刻整備いたしましてお届けすることにさせていただたいと思うのであります。  御指摘の保険料の点でありますが、確かに五分方高くなるわけでございますが、具体的に申し上げてみますると、保険は従来は一〇〇に対しまして七五保険にとつてつた。それに対して年三分の保険料でございますから、借りました金額にこれを直しますと、二分二厘五毛の金利になる。それを借りました者が三分の二負担をするわけでありますから、年一分五厘の負担になる。今度八〇%保険にとるわけでありまして、それの三分でありますから、借りました金に直せば、二分四厘になろうかと思います。その三分の二といいますと、一分六厘、差が一厘に相なるのであります。たとい一厘といえども、高くなることがつらいという点からいえばごもつともでございますけれども、それによつてかりにかなり金融機関の貸申しが円滑化するといたしますれば、一厘の上りというものはお許しを願えるのではなかろうか、かように考えておるのでありますが、ともかく開始いたしましてから二年とちよつと程度経過を経ております信用保険特別会計の収支のバランスにつきましては、ちよつと時間をおかし願いまして、後日提出させていただきたいと思います。
  24. 首藤新八

    ○首藤委員 なるほど、差は一画であるから大したことはないとお考えになるかもしれませんが、しかし中小企業に対してはあらゆる面から指導育成という気持でやつて行かなければならぬと思います。金利において大企業よりも非常な不利な立場におる。この上にまた保険料という余分なものまで負担しなければならぬ。こういうことになれば、さしあたつて金融が従来よりも円滑に疏通するという点は非常に効果的であるが、しかしそれだからといつて、片一方の負担がふえても知らぬ顔しておるということは、趣旨に反すると思うのであります。そこでできる限り中小企業者の負担を軽減するという考え方のもとに進めて行かなければならぬ。これがためには今日までの収支計算がどういうことになつておるか、それが大体独立採算が立つて行くというような状態か、あるいはまた多少余裕があるという状態になつておるかというような点を考慮して、そうしてもし引上げなくとも行けるということになれば、ことに今度七五%が八〇%になれば、従来より金融は著しく円滑になると思います。適用範囲も相当拡大されたから、保険料も相当増徴できると思うのであります。そういう点を考えますと、この際その面に格段の考慮を払うべきではないか、私はかように考えております。ただ当面九州の風水害を考慮して、災害地の金融を円滑にしたいという考え方から、一日も早くこれを通過させたいという立場に置かれておるから、この国会でもしもそれが困難であれば、その点を考慮して、次の国会ででもこれを修正するという方向に持つて行くべきだ、かように考えております。
  25. 大西禎夫

    大西委員長 次に柳原三郎君。
  26. 柳原三郎

    ○柳原委員 私はごく簡単な質問であります。この中小企業定義が今回かわりまして、中小企業わくが広がつた。今までたとえば開発銀行を通じて中小企業に融資が行われておる。あの開発銀行の貸出しの規則の中にうたつてある中小企業と、こういう法案の中の小企業定義というものは、従前は同じ解釈であつたはずでありますが、どうですか。
  27. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 現行信用保険法で申しまする中小企業というのは、資本金でいえば五百万円以下でございました。開発銀行が、先ほども申しましたように、昨年の九月から見返り資金中小企業に貸し出す制度を引受けまして、新たに出発したのであります。従来協調融資とか、いろいろな中小企業向け貸出しの結果を勘案いたしまして、割合簡単な形でスタートしたのであります。そのときにおきまする相手方の中小企業は、資本金一千万円ということで出発したのであります。この方は法律が特にいりませんので、大体これを中小企業者ということにして、それに金を貸そうじやないかという要領といいますか、要綱みたいなことで出発したと思うのであります。それに対して保険の方が合わなかつたわけであります。それを今度合わそうというので、中小企業の定、義をかえさしていただこう、こう考えております。
  28. 柳原三郎

    ○柳原委員 そうするとこういうことですね。開発銀行を通じておつた中小企業定義とこの保険法にいう中小企業定義とは、前はおのずから違つてつたわけですね。
  29. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 さようであります。それを合せるためにこの改正案の一条項として定義改正をお願いするわけであります。
  30. 柳原三郎

    ○柳原委員 今開発銀行が貸し出す中小企業定義らしきもの、そういうものについて資料がないと思うのですが、たとえば今度の中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の中の中小企業定義、これはやがて出て来る中小企業金融公庫法の定義と同じことなんですが、ここに「資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人」云云と書いてあるのです。この「並びに」という言葉を一般の銀行窓口では非常に誤解しておつて、たとえば開発銀行で現在貸し出しておるのは、この「並びに」をオアという解釈ではなくして、資本金が一千万円以下であつて従業員が三百人以上ならばだめである、三百人以下の従業員企業であつても、資本金が一千万円以上であればだめである、こういう解釈をとつて取扱つておるわけです。これは間違つておるじやないでしようか。
  31. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 現在の開発銀行のは並びにじやなしにまたはというのじやないかと思います。私今持つておりませんが、どつちか一つ条件を満たせばいいというのではなくて、両方の条件を満たさなければいかぬというのが開発銀行の駐在の行き方ではなかろうかと思います。つまり資本金一千万以下で、同時に従業員が三百人以下でなければならぬ。今度の私どものこれを読みますと、資本の額または出資の額が一千万以下の会社は対象になる。それからまた常時使用する従業員の数が三百人以下の会社または個人というものも対象になる。もとよりその菜種を縛りますけれども資本金または出資一千万以下の会社は入るんだ、一方常時使用する従業員の数が三百人以下、ちよつと括弧がありますが、会社、個人も入るんだ、どつちてもよろしいということになるのであります。開発銀行の方は両方の条件を具備しないといかぬということになつておるのでありまして、その点は今度のわれわれの改正の万が広いと思います。
  32. 柳原三郎

    ○柳原委員 これはどうですか、文法上からいつても、今度提案された保険法の一部を改正する法律案の中の一千万以下の会社並びに常時云々とある「並びに」という言葉をあるいはと書くと、末端においても定義がはつきりして来るのですか、どういうふうに違うのですか。
  33. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 「この法律において「中小企業者」とは、左に掲げるものをいう。」とありますから、ここは「並びに」と書かぬと、それぞれの条件がみな本法でいう中小企業者だということにならないというのが、法文を書く技術上の問題になつておるわけでありまして、これで読みますれば誤解なくどつちか一つ条件を具備しておれば、この保険法に申します中小企業者ということになると思うのであります。
  34. 柳原三郎

    ○柳原委員 大体わかりました。私の今の質問は公庫法案の審議のときに大体質問すべきものだと思うのですが、たまたまこの定義の問題が先ほどから議題にもなりましたので、私は関連質問の意味で質問をしておるわけなのです。  そこで先ほど言われたように、開発銀行中小企業定義、それから——今後開発銀行公庫に受継がれるのでよろしいが、そうすると、従前のものと今後のものとで、中小企業定義が狂つて来るが、その辺はよろしく調整されるのてすか。
  35. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 中小企業定義は、ここ数年来頻繁にかわつて来ておるのであります。たとえば中小企業等協同組合法におきましても、早々におきましては、中小企業の協同組合に入り得る中小企業者は、従業員百人未満であつた時代もございます。その時代々々で逐次変転して参りまして、現在といたしましては、一番広いのが、開発銀行定義が一番大きなことになつておるのであります。そうして今度はこの保険法を改正しますし、新規に公庫法ができ上りますれば、二つの法律で認めますものが新しいものになります。それに応じまして金融の問題が動くわけでございまして、開発銀行中小企業向けに貸し出しております債権は、今度公庫ができますると、出資ないしは開発銀行からの借入れの形で、債権が公庫に移つて参ります。その辺は都合よく運営できるようになろうかと考えております。
  36. 柳原三郎

    ○柳原委員 私は、中小企業というものの定義は、常に横においても一定の線であるべきだと思う。開発銀行中小企業と、その他に言う中小企業というものについて、定義、解釈がそれぞれかわつておるということは、おもしろくないと思うのです。だから定義がかわつた場合には、横にも必ず関連性を持つておるのですから、よく注意してやつてもらいたいと思う。お願いしておきます。
  37. 大西禎夫

    大西委員長 池に御質疑がなければ、小川平二君より修正案が提出されておりまするので、この際その趣旨弁明を願います。小川平二君。     —————————————
  38. 小川平二

    ○小川(平)委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に関しまして、附則第一項のうち「昭和二十八年八月一日」とありますのを「公布の日」に改めたいのであります。ほかでもありませんが、今次の九州地方の水害に関しまして、一日も早く本法案の実施を希望いたしますので、この趣旨からこの改正希望いたしておる次第でございます。
  39. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて修正案の趣旨弁明は終了いたしました。  これより討論に入りまするが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、討論はこれを省略し、ただちに採決に入ります。まず修正案についてお諮りいたします。修正案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  41. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員、よつて修正案は可決いたしました。  次に修正部分を除く原案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  42. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は小川君提出の修正案の通り修正議決いたしました。     —————————————
  43. 大西禎夫

    大西委員長 次に輸出信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これより討論に入りまするが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、討論はこれを省略し、ただちに採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  45. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日議決いたしました両法案の委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、さようおとりはからいいたしたいと存じます。
  47. 大西禎夫

    大西委員長 次に繊維に関する件について質疑の通告がありまするから、これを許します。齋木重一君。
  48. 齋木重一

    ○齋木委員 私は先般来繊維の問題等に関しまして当局に御質問しておつたのでありまするが、繊維局長の御答弁は、聞き取れなかつたのかもしれませんが、要領を得ませんでしたので、お問いをいたしたいと思う次第であります。先般来私が言うております福井県下並びに全国の繊維工業におけるところの自転車操業、運転がとまればただちに倒産するというような現状であることは、同僚、先輩各位も申し上げました通り、原料高の製品安というところの大きな打撃を受けておる。それらに対するところの当局の処置が不十分であると私どもは考えて、お問い申したのでありまするが、何といたしましても、国際価格にさや寄せをして輸出をせなければ、発展もできないし、繊維の打開策もとれないという現状であります。これらに対しまして、もう少し通産省は親切な処置をとられることを望むとともに、根本的な対策を、きようは大臣がおりませんが、繊維局長に重ねてお問いをいたします。
  49. 徳永久次

    ○徳永政府委員 人絹関係の最近の価格の状況が、人絹糸の輸出が一時的に非常に旺盛になりました結果としまして、やや原料高の製品安というような状況に当面いたしておることは、お話の通りでございます。しかしながら、輸出の契約の内容をいろいろと検討いたしてみますると、この状況は長続きしそうな模様ではございません。従いまして、私どもは、目下の状況はきわめて短期的なものだというふうに考えておるわけでございます。若干の時間の推移の間に正常な価格状況に復元するというふうに考えておるわけであります。
  50. 齋木重一

    ○齋木委員 まことに安易なお考えのようで、短期的だというような御説明でありまするが、どだい原糸が高いということそれ自体が——日本国内におけるところの人絹は、限られたところの大資本を擁しておる会社が製造をいたしております。これらが自由にコストを上げる。現在におきましては、三百余円に高騰しております。こういうことに対して、政府はいかなる手を打ち、またいかに考えられておるか。安い外国の人絹糸を輸入いたして、そして国際価格にさや寄せして、これを製織して輸出をする、こういうような一つの方法も考えるならば、安い原糸を輸入する——現在イタリア、イギリス、西独等から入つて来るところの人絹糸は、邦貨に換算しましてまず一万七、八千円で輸入されるのであります。これらを輸入いたしまして、そして安い、いい製品を輸出するということを考えるならば、これによつて国内の人絹製造工場に対する一つの刺戟剤になり、重大なる関係を持つて来るとともに、好影響を与えると私は考えるのであります。現在において、イタリアやイギリス、西独等から安い人絹糸を輸入するという処置を通産省において講ずることこそ、適切な策であり、また日本の繊維工業の輸出の発展助長の上におきましても、また救済の意味合いにおきましても、大きな役割を果すものと私は考えております。この意味において、イタリア、イギリス等の原糸を輸入するところのお考えがないかどうかということをお問いいたすのであります。
  51. 徳永久次

    ○徳永政府委員 日本は人絹工業では、御承知の通り、世界でも有数の国であります。今お話がございました点は、内地は高いから、この際原料の糸を輸入したらいいのではないかというお話でありますけれども、これは先ほど申しましたように、今目先では高くなつていることは事実でございます。しかしこれは、先ほどお話のありますように、メーカーの数が少くて、故意に高く売つておるから高くなつておるということには、私どもは了解しないのであります。輸出が異常に伸びました結果といたしまして、内地が不足ぎみになつて、その需給関係で高くなつたということでございます。私ども輸出の伸びております外国の状況というものを検討いたしておりまするが、その高い状況というものは長続きいたしておりません。従いまして、今目先的に原糸不足の状況を呈しておりますが、これは間もなく正常にもどる、ただ短期的にそういう状況を呈しておると考えられるわけでありまして、さような意味から見まして、今お話のような原糸の輸入という考え方を、私はあえて拒否するものではございませんけれども、そういう考え方をとりました際に、その糸が日本に着いたころには、日本では下つているというようなことも、当然想像されるのではなかろうかと考えられるわけでありまして、午のお話のような趣旨が適切なる対策であるかどうかということには相当の研究をいたさなければ、疑問があるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。
  52. 齋木重一

    ○齋木委員 それでは諸外国では安い人絹糸を製造してどんどん出しておるのに、日本の高いコストの人絹糸でどうして太刀打ちをして、今後の輸出貿易等に対処して行くという考えを持つていらつしやるか、どうして輸出振興ができるか、これをまずお伺いしなければならぬ。
  53. 徳永久次

    ○徳永政府委員 現状は先ほどから申しておりますように、短期的な変則の状態でございまして、日本のものはどんどん輸出されておるのであります。ただ輸出が一時的にされ過ぎまして、内地が不足ぎみになつたという状況、その不足ぎみから来た需給関係の急激な変化から内地の糸が割高になつておる、さような状況を呈しておるわけでございますが、現実には糸もどんどん出ております。製品もどんどん出ております。新聞紙等に、たとえばインドの市場で、イタリアの糸が安くて日本が負けておるというようなことが出ておりますが、これも事実でございますけれども、これも正体はもう少し研究を要しますが、われわれが研究いたしておるところによりますと、あらかたイタリアの人絹は日本に負けておりまして、織物は日本に全然かなわない。その結果としまして、糸の滞貨がふえまして、その滞貨の荷さばきというような形で、インド市場に安く売り出したというような事情も大きな理由だというように考えられておるのでありまして、日本の内地の糸が今高いということは事実でございますけれども、日本の人絹工業の国際競争力に疑問があるということについては、必ずしも賛成いたしかねるという考えを持つております。
  54. 齋木重一

    ○齋木委員 どうも、考えられる、考えられると言うのですが、考えられるというのでなくして、現実の問題に立脚してやつてもらわなければ困るのです。こういつたことを皆様お知りになるかどうか、人絹会社は限られた五社なら五社の人絹会社で、市価をつり上げようとするときには、製品を手締めをして出さぬ、そうして市価をつり上げて、これはというときにどつと出して機屋に売りつけて、製品になると、メーカーが手をきゆうつと締めて、お前ら安いとか高いとかなんとか言い、キャンセルとかなんとかへんなことを言うて来る。こういつたようなことで、福井県等においては、人絹の生産の約六割、七割を消費するところの機屋さんが、みなサンドウィッチの肉みたいに、まん中で両方から締めつけられて、塗炭の苦しみをしているのです。実際において大資本に搾取されているのです。これらに対して何ら関心を持たないということは、私ども政府当局としてあまりにも無定見というか、無政策というか、私どもは納得が行かない。だから、それらをさせないところの一つのブレーキといたしましても、安い人絹糸を輸入するというところの心構えで実際にやつたら、日本の製造会社もお灸をすえられて、そういつたようなことはやないだろうという考えも私どもは持つている。だから、ちつとは政治的に通産省も考えてやらなければならぬ。そういう施策を講じなければ、引下げないだろう。自由かつてに人絹会社で上げたり下げたりすることも、やられる状態にあると私は思うのであります。だから外国の安いのをどんどん買い入れる態勢を、繊維局長が、イタリアでもどこでも、現実に安いところの原糸を輸入するのだと、一言新聞に発表しただけで重大な効果があると思う。だから、それらも考えてやつていただかなければならない。これに対してもう少し腹をすえた答弁をしていただきたいと思うのであります。
  55. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これはあとで資料としてお配りいたしますが、人絹の糸及び織物の生産、出荷、それから輸出の統計の資料が用意してございます。生産も若干伸びておるのございますけれども、先ほどから申しますように、輸出が急速に伸びました反射的なものでございしまして、目先の相場だけを考えてみますと、今の原糸を手当して、輸出の織物は採算がとれないというようなことは、ある程度言えようかと思います。言えようかと思いますけれども、今の輸出の数量が長期にわたりまして続きそうなけはいではないのでございます。その点から間もなく、一、二箇月前の正常な状況にもどるというふうに認められまするので、そうなりました場合に、日本の人絹糸は国際競争で十分出ておる品物でございますから、これに競争して外国の糸が入り得るかどうか、疑問があるということを申し上げたわけです。
  56. 齋木重一

    ○齋木委員 実際において、お役所式の頭と実際の私どもがやつている頭と違いがあるかも存じませんが、昔から商売とのこぎりは元が切れなければならないとよく言うている。元が高かつたら、どうしたつて製品は高くなる。それをまず考えなければいけないと思う。昔からことわざに、商売とのこぎりは元が安くなければならないということがありますが、これは今日もその通り。これらに対しての対策を考えなければならぬ。これが根本問題である。そういう観点からいたしまして、元を引下げるという意味におきまして、ここ十日か二十日のうちは三百円であろうが、いつもは二百円台百五十円台である。そういつたサンドウィッチのごとき状態に中小企業は置かれておる。特に福井県等においては、御承知の通り戦災、震災の二回の大被害を受けて、復旧その他に財政的に甲雑なところに置かれておる。これは局長もよくおわかりだろうと思います。これらに対して先般来私は約二、四十億円の融資の問題で、これを九十九箇年に延長してもらいたいということを大蔵省と話合いをしてくれということをお願いしたのですが、そういう観点から今安い糸を入れるというだけで非常に効果的だと考えております。目先のこともあり、将来のこともありましようが、まず目先のことでもそれをやるという一つの腹を繊維局長は、大臣がいないからできないと言われればそうだろうけれども、通商局長とも相談して、これを実施すると言明をしていただきたい。
  57. 徳永久次

    ○徳永政府委員 先般も申しましたが人絹の国内供給力は、ある一つの限界を持つております。現在の生産は、能力に対しましてほぼ九割でありますので、実際能力から見れば、ほとんど一〇〇%動いておるということが申し上げられると思います。内需が非常に旺盛であるとか、輸出が非常に旺盛であるという際には、需給調整の弾力性を持つていないということは、ある程度言えると思います。今回のように輸出が急激に伸びました際に、価格が急に上昇するという現象も、こうしたゆえんであろうと思うのであります。今のような状態が非常に長続きするということを考えました際には、私どもとしてもこの価格のある程度の調節方法を考えなければならぬということになろうかと思います。ことに先般も申しました通り、輸出織物の原料糸をある程度国際価格供給し得るような態勢にするということは、うまく考えませんと、糸だけどんどん出て織物が出ないということになりますと、もつたいないことになり、加工度の高いものが出ないことになりますと、生産過程としておもしろくないということを考えておりますから、そういうことは今度の目先の問題ばかりでなく、恒久対策としても考うべきではなかろうかということで、それにつきましては、寄り寄り協会にもいろんな知恵を出してもらうなり、検討を進めておるような次第であります。そのほか今お話がありましたように、今のような事態が非常に長く続きそうだという際には、その結果として価格が不当に高くなつた状態が長く続くということは好ましくないことになりますので、そういう長続きするということがある程度認められます際には、お話のような不足する原料を輸入するということは、一案として出て参るかと思うのであります。私ども今長続きするものかしないものかということをについて、輸出の状況をこまかく調べておるのですか、ただいまわれわれが握つております判断では、今輸出が非常に出たということは好ましいことでありますけれども、但し長続きしそうにないというのが私どもの判断でありまして、さような意味から国内的に高い現象に対する対応策を特に講じなくても、今の高いのは一時的で、自然に終息するのであろうというふうに考えております。
  58. 齋木重一

    ○齋木委員 短期間というのは、いつごろまでを短期間というのですか。一年も三年間から見れば短期間ということになりますが……。
  59. 徳永久次

    ○徳永政府委員 それにはいろいろな要素があるわけですが、私ども相場が動く主力をなしております供給不足、それの原因輸出の方によけいとられたということにあると考えております。輸出の先物契約の状況を検討いたしてみますと、多少言い過ぎになるかもしれませんが、この一月くらい先からずつと減つておるのでありまして、今の相場は、その事態さへはつきりするならば、一月たたずとも下る。相場というものは、そういうものかと思います。現実に相場がいつからどうなるということは、私どもはつきり申し上げる自信はございませんけれども、需給関係の大きな原因になつておるものの正体を分析しますと、そういう判断か出て来るということであります。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連でございますか、実は繊維局長さんが日々一生懸命にやつておられることは、みんな感謝しておるのです。それから今度化繊に非常にウエートを置いておやりになるということも、まことにけつこうなことで大賛成なんですが、今あなたが短期々々とおつしやつているが、これは問題だと思うのです。これは御承知でもございましようけれども、人絹糸とスフとを比べて見て、人絹糸が高くなるということは常識として考えられないことなんです。ところが、そういうことは間々ある。一時的な現象ではございまするけれども何度も繰返される状況なんです。その折に高い原料を機場が仕込んでつくつて、たまたま製品ができかかつたころに、人絹の輸出が盛んに行われるようになつて高く続いておればいいが、今度は逆にとまつて安くなることがある。そうするとその機場は高い糸を買い、せつかく労賃や技術を加えながら安く売らなければならない、糸値よりも製品が安くなるということがある。そういうことが間々繰返されるので、そういうことをなくする方策がありはしないかということなんです。そういうことをないようにしてもらいたい。そこで今日高いのを安くする刺激材料としてでもその安い糸を入れるという声を上げることなりともできないか。そうすると業界が安くするのではないか、簡単に言うとこういうことなんです。これを六月先のものを買つておいて、六月先に織つたらいいようなものですが、つなぎに使われておるあの三品市場というものは、小さな機場にはほとんど利用されていない。だからほかにもういい手だてはないか、同僚議員の質問の要旨はこういうことなのです。
  61. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ただいま人絹の機場のお話がございましたが、私どもがお聞きしておりまする状況は、むしろ人絹の機場はもつと操業的に発達しておると申しますか、あるいは機屋が人絹業者より、はるかに小さのでございますけれども、しかしながら相場には実に敏感でございまして、福井においては取引所を離れて商売をしていない。極端に申しますならば、糸を買つてそれを織つてそれから単純にそのときの相場で出すというようなのんびりとした商売というものはほとんどしていらつしやらない。糸を買うときは織物の値段を見ながら、それを売りつなぐ。さらにもつと極端に言いますならば、糸そのものへの相場を盛んにしていらつしやるというふうに私は聞いておるのでありまして、その点では現在の自由経済主義の需給調節の最も典型的な機関でありまする取引所というものを、最高度に利用していらつしやる業者であるというふうに私ども了解いたしておるわけであります。その中にもいろいろと実需だけの売り買いの相場の反映もございますし、それから金融の相場の反映もございますし、従いまして売つたものの決済時期が来ますれば、品不足でも買つて埋めなければならないというようなこともあつて実需を離れたものとして相場が上つて行くという要因もあるわけであります。取引所の相場というものはいろいろ複雑な要因を反映するということになろうかと考えます。私どもは自由経済の実態の動きというものは常に十分の注意を怠らないようにしながら、適切な処置をとるようにしなければならぬというふうには考えておるわけでございましてただいま加藤委員お話がありましたように、買つた糸が織物になつたときに、いい場合と悪い場合とあるわけでございますけれども、いい場合、悪い場合のことは別として、原則として福井の人絹の機屋さんは百パーセント商業的に敏感な才能をお持ちになつて御活躍になつておるというふうに、私どもはそれほど優秀であるというふうに了解いたしておるわけであります。
  62. 加藤清二

    加藤(清)委員 繊維局長さんの研究されていらつしやることもその通りですけれども、問題はこういうところにあるのです。今度通産省がせつかく化繊にウエートを置き、そこで原綿も原毛もなるべく抑制するようにして行こう、これはやむを得ぬし、けつこうなことだと思います。ところがこの化繊というものは人絹によく似ておりまして上り下りが非常に多いのです。それだけ底が浅いといえばそれまででありましようが、そのおかげで機場のこうむる影響か非常に多いのです。今三品市場に目を向けて敏感に時価相場に合うようにやつていると言つていらつしやいますが、それは繊維局長さんのお調べになつたうちや、それからまた繊維局長さんのお耳に入るのはそういうのが多いということなのです。だからそれは事実です。それはうそだとは言いません。ところが実際に三品市場へ機場が参加しているか、いないかということです。あれは御承知の通り会員制度でしよう。会員でなかつたら買つたり売つたりできませんよ。しかもあれは単位がはつきりしておつて、そんな織機を十台や二十台持つている人では、あそこの一番最低の売つたり買つたりの単位まで食いつけませんよ。そういう人が数多く困らされているということなのです。今ここに先輩議員もおられますが、岐阜の方だつて大阪の方だつてみんな経験済みのことなのです。そこでその原糸高の製品安の原因がはつきり言えば紡績の暴利と三品市場におけるそのあぶり方とにあるわけで、この問題は何も繊維局長の責任においてどうこうしようとか、繊維局長の腕だけでどうこうできる問題ではないのです。ところが繊維局長としては、それに対処するにあたつて繊維業に携わりながらごはんをいただいておるそういう小さい連中に対してどうお考えになつておるかというところをお示しいただければそれでけつこうなんです。
  63. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この前もちよつと申し上げたと思いますが、人絹の取引の状況を深刻に私が繊維局長になりまして考えさせられましたのは、昨年の秋の人絹暴落の際であつたのであります。その際に私どもが気つきましたことは、人絹の機場の困つております問題の中に、一つは人絹そのものの他繊維の進歩に比べて進歩がないということが一つの大きな原因一つは綿の紡績に相当しまする人絹の糸メーカーとの連繋がないということ、その問題、それからいま一つ金融上の問題、もう一つがいわゆる協同組織による調整組合的な機能の活用の問題、大きくわけますとそういうような原因が考えられたわけでありましてこの第一と第二の人絹の需要を伸ばし、そうして全体の需要を伸ばすことの方が大事でありまして、縮まる環境の中ではいろいろなことをやりましても、苦しいことしか起りませんので、伸ばすことによつて発展的な解決ということが一番賢明なことと思いますが、その方法として第一、第二の問題がテーマになるわけでありますが、その点が昨年の秋の暴落を契機としまして相当に改善されまして、それがいわば実を結びかけたころが、この二、三、四月ごろであるというふうに私ども了解いたしておるわけであります。従いまして二、三、四月ごろは人絹関係は織物業界も比較的順調な事態を経過したのであります。それが三、四月ごろから輸出が若干出だしました影響がごく最近になつて現われまして原糸高というような形に実は現われて来たわけであります。これはこの前申し上げましたように、いわばある意味ではよ過ぎる悩みといいますか、そういうようなことでもあろうと思います。しかしその事態が長続きということがありますならば、役所としてもただいま御指摘があつたような輸入の問題とかいろいろなことを考えなければならぬことにもなつておりまして、この実体の分析はいろいろ、私どもいたしてみたわけであります。実体の分析では、相場的なものは別として、実体的にはこの長く続く状況は今の目先の高い状況がこの長続きする要素を備えていないというふうに私どもは判断いたしたのであります。そういたしますと、既往の線を改策としては充実して行くということでいわば十分といいますか、そのうち調整組合の機能をうまく活用してやつて行くという点につきましては、法律上の法の不備もありますし、業者として利用しにくい、また利用度に乏しい点もあるわけであります。その点を改善して行こうという点につきましては、今回議員提案によりましても、中小企業安定法の大幅な改正が行われるのでありまして、さような制度を人絹のごとき業者が協同的にうまく活用して参りましたならば、その点からも十分の更生の道、健全な発展の道というものは相当に生れて来るというふうに私どもは考えております。
  64. 齋木重一

    ○齋木委員 どうも人絹糸のごとく細く長くというようなちよろよろした御答弁で、一向要領を得ないのでありますが、この安い外国の人絹糸を輸入する、一つの刺激剤としても原糸を輸入する心構えがあるかどうかということをまず重ねてお聞きいたします。これが一つ、これは繊維局長さんへお尋ねします。  次に先般の、係の方がいらつしやるかどうか知りませんが、通商局長はカリ肥料の輸入を二万五千トンと言われましたが、農林省の肥料課長は三万トン輸入ということを言われておりまして、五千トンの差額が出ております。これは係の方がいなければ、あとにまた留保いたしておきますが、食い違いが五千トンあつたと私は思つているので、あとからお問いしたいと思います。係の方がおいでになれば、この食い違いを承りたいと思います。
  65. 徳永久次

    ○徳永政府委員 先ほど来申し上げましたように、目先原糸の高いことも確かでございますが、この状況が長続き上そうだという場合には、お話のような原糸の輸入ということが、需給の調節、従つて価格の調節ということに有効な手段としてなるかと考えるわけであります。何分輸入には時間的なギヤツプもあるわけでございますが、そのものが入りましたころには、需給が正常化いたしておりまして、かえつて入りました品物のさばきがつないということもおそれられますし、また逆に滞貨がふえるということも懸念されるわけであります。さような点から、人絹業界にとつてプラスになりますか、マイナスになりますか、相当の研究問題であろうと考えるわけでございます。私ども今すぐ輸入を考える時期かどうかということにつきましては、まだそこまでの時期と判断するには尚早であるというふうに考えております。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはもう人数も少くておしまいごろにこんなことを言うことはおかしいかもしれませんが、これは大事な問題だと思うのです。というのは、今度繊維局が化繊にウエートを置かないというなら文句はない。ところが、綿や毛の方を軽く見て、化繊にウエートを置く、そしてそこへ相当の政府援助をするという、ところでこの目的が輸出入のバランスから自然にそうなつて来たというだけであるならば別ですけれども、これは名前をあげてもいいが、化繊の工場はいかれかかつている、それでそれを助けるということが、これはりくつは何とでもりつぱにつくが、具体的事実としてそれが大きな原因になつているとなると、そうなつたあかつきには、繊維局だけでなく、よほど大きな手を打つておかれないと、ばたばた倒れる連中がたくさんできます。新しいものに手をつけたら結果がうまく行かないというが、それは何も繊維業界だけじやない。すでに化繊でいかれたというのがたくさんある一編はいかれたくと言いつつも、いかれようが少い。何といつても綿は一番健全だ、その次は毛、その次が人絹であり、化繊だ。その一番あぶない化繊にウエートを置くということでございますので、それぞれこれに対する手だてはできていることでございましようが、今の答弁だけでは安心してこれに機場がついて行くということはちようと困難だと存じます。そこで、いずれこの問題につきましては、時間をあらためてとくと繊維局の研究されたところを発表していただいて、機場が政府の方針に安心してついて行けるように、はつきりとここで御言明が願いたいものと思うわけであります。これが第一点、これは答弁はいりません。  それからもう一つ、この次時間がありますれば、きようでもいいですけれども、最初にお願いいたしました通り、繊維のことについて体系づけて御質問したいと思つておりますので、その際の準備に恐れ入りますが、繊維局といたしましてもすでに御研究済みのことと存じますけれども、英国の輸出産業に占める繊維のパーセンテージを歴史的に調べておいていただきたいと存じます。それからもう一つは、あのイギリスの繊維工場のあり方がどのような状態になつているかということと、政府はこれに対してどういう援助の施策を講じているかという点を、これはよく御存じでございましようけれども、願わくは印刷物にして、簡単に骨子だけでもいいかち、皆さんに行き渡るようにしていただいたならば、これを審議するにあたつて参考資料とも相なりまして、たいへんけつこうなことではないかと存じます。この問題が解決できませんと、独禁法に関連を持つておりますので、これの審議がなかなかむずかしくなるのではないか。私どもは独禁法も全部が全部反対ではありません。ある程度の必要性を認めているものでございますけれども、この問題が解決できないと、ちよつと難渋するじやないかと思つておりますので、恐れ入りますが、ぜひ書類にしておいていただきたいと思います。  もう一つお願いがありますが、今日原料高の製品安ということは、人絹のみに限らず糸へん全部に行き渡る言葉でございまして、そのおかげで中小企業がばたばたといかれ、不渡り手形は糸へんの機場が一番多く出されているということになつておりますので、原料高の製品安の原因が那辺にあるか、その原因政府としてどの程度まで解消するような手だてが立てられるか、あるいは立てられないかもしれません。十大紡や六大毛紡に押されてしまえば、大臣の首でも吹つ飛ぶくらいの勢いのある相手でありますから、これはちよつと手だてができないかもしれませんが、繊維局、通産省としてできる限りの手だてけつこうです。それをひとつよろしくお調べおき願いたいと思います。大体以上でございます。
  67. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 ただいまお話のございましたカリの輸入の問題でございますが、たしか先般通商局長がお答え申し上げましたのは、今度の水害対策の緊急用といたしまして、一万五千トン緊急に輸入するということを申し上げたのではなかろうかと思つております。大体各省で一致いたしました線が一万五千トンでありまして、それにつきましてすでに輸入業者からオツフアーをとりまして、多分きのうあたり決定をいたしたかと思います。ただいまお話がありました農林省で三万トンとか申したそうでありますが、これは例の成分の換算からいたしまして、一〇〇%のものでいえば一万五千トンということになりますが、五〇%換算で行きますと三万トン程度に相なりますので、換算の差でそういう表現があつたのではなかろうかと私は思います。目下のところ、今申し上げました一万五千トンと決定した後、農林省かは別段それを増額されたいという要望は出ておりませんので、多分その換算の差ではなかろうかと思います。全般的にカリ肥料につきましては、この四月、五月の外貨予算におきましても、たしか六万トンくらいの輸入計画を一応組んで実施をいたしておりましたが、その後非常に需要が増加したということで、期の半ばにおきましてたしか倍くらいにふやしたと私は記憶しております。従いまして、大体先の需要動向を見まして元来相当ふやして参つておりますし、今申しますように、今度の水害対算として緊急に一万五千トンの輸入決定したというのが、今までの状況になつております。
  68. 齋木重一

    ○齋木委員 今御説明になりましたけれども、農林省の手持は、一千百トンと四千二百トン、合計五千三百トンになりますが、これを緊急に送つた。それにつけ加えて三万トンの輸入をやつて、六月に船が入つて、八月の十日までには配給できるということを言われた。通商局長は二万五千トン輸入をやることになつたと言明されたように私どもは聞いているのであります。パーセンテージの問題は別として、そこに五千トンの差があるわけです。通商局長の言明と農林省の間に五千トンの差かあるのは、どちらがほんとうかということを私はお伺いするのであります。
  69. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 輸入計画なり、輸入計画の実施といたしましては、今私が申し上げたのが、各省で一致をして実施しているラインであります。ただ国内の配給といたしまして、すでに輸入計画で輸入したもの、あるいは輸入しつつあるものを九州の方に緊急に輸送するという問題は、これは農林省の方で適当に措置をされているのではないかと思います。従いまして、輸入の分のもの、あるいは従来輸入計画の中で輸入したものを緊急に九州の方にまわすという意味の数量も、今のお話のぐあいですと、一部含んでいるのではないかと思います。従つて輸入計画としては、農林省とわれわれの方では一現在までのところは数字士の差異もございませんし、別段意見の相違もないわけであります。
  70. 齋木重一

    ○齋木委員 それでは輸入わくその他に対しては通産省は関係しないというのですか。
  71. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 カリ肥料の国内の配当の問題は農林省で主管いたしておりまして、輸入計画だけをわれわれ通商局の方でやつておりますので、農林省の方からいろいろ御要望があれば、これは大蔵省も入りますが、各省と打合せをして決定しているわけであります。
  72. 齋木重一

    ○齋木委員 その輸入計画そのものを立てるのには、どの省から要求があつて——農林省は年間を通じて三十万トンだということを言明されておりますが、通産省ではどの省からの要求を勘案されてその輸入計画を立てるのですか。
  73. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 ガリ肥料につきましては、需要官庁としては農林省でございますので、農林省の要望がまず第一次の要望になるわけです。それをいろいろ外貨面あるいは通商協定等の関係から地域別にどういうふうな配分をするかというようなことを通商局で一応見まして、最後に、各省で閣僚審議会の幹事会というものをつくつてありますが、そこにかけまして、一応事務的にはきまるのであります。あとは文書で閣僚審議会決定を経るというような手順でやつておるわけでありまして需要官庁の要望がまず第一の前提になるわけです。
  74. 齋木重一

    ○齋木委員 だから私は問うのであります。農林省なり何なりの需要官庁より輸入の量的な要望があり、それによつて通産省は計画を立てるのだろう、こう言うのであります。その観点からすると、農林省は三万トン要求して八月十日に入つて来るという。ところが通産省の方では二方五千トンだというから、その五千トンはばこへ行くのだ、こういうのです。
  75. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 なお調べてお答えをいたしますが、別段今のところ食い違いはないと確信しております。
  76. 齋木重一

    ○齋木委員 その配給面のことについては農林省がやることは、あなたに聞かなくてもわかつておる。輸入計画を立ててどうするという手続は通産省がやるのだが、入つて来たものは農林省でやるのだと通商局ではつつぱねたじやないか。入つてからのことは何だけれども、これについては農林省は八月十日に三万トン入るといい、通産省は二万五千トンというから問題だ。私はそこの食い違いを聞いているのであります。ひとつ調べてください。
  77. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ、本日はこの程度にし、次会は十四日火曜日午後一時より理事会、一時半より委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会