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1953-07-08 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       小川 平二君    小金 義照君       田中 龍夫君    土倉 宗明君       笹本 一雄君    山手 滿男君       加藤 清二君    齋木 重一君       下川儀太郎君    中崎  敏君       山口シヅエ君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         大蔵事務官   長谷井輝夫君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    林田悠紀夫君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   柿手 操六君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月七日  特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部  を改正する法律案小笠公韶君外十八名提出、  衆法第二六号) 同日  四国通商産業局近永アルコール工場存置に関す  る請願井谷正吉君外二名紹介)(第二九六九  号)  石炭危機打開対策確立に関する請願伊藤卯四  郎君紹介)(第二九七九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (山手滿男君外十一名提出衆法第一七号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出、第一二八号)  通商産業政策基本方針に関する件  石炭に関する小委員長より中間報告聴取の件  水害による石炭鉱業被害復旧対策に関し水害  地緊急対策特別委員会に申し入れの件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 それではこれより会議を開きます。  本日は、まず中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案議題といたします。まず提出者より提案理由説明を求めます。山手滿男君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ちよつと議事進行について……。委員長にお伺いしたいのですが、当委員会からスト規制法に対して労働委員会合同審査を申し込んだ覚えがあるかいなや。申し込んだとすればいつそういうことを決定なすつたか明らかにしていただきたい。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 お答えいたします。理事会を開きまして御相談をいたして、そうして申し込むという決定になつて、二十七日にそれを申し込んでおります。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そのときの理事会には理事のどなたが出ておられたか。
  6. 大西禎夫

    大西委員長 出席をいたしました理事は村上君、小平君、永井君、伊藤君。それから理事の代理として認めて笹本さんが御出席になつてつたのです。理事としては四名です。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ありがとうございました。
  8. 大西禎夫

  9. 山手滿男

    山手委員 ただいま、議題となりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  終戦後七年有半を閲しまして、待望の独立を迎えましたが、政治上の独立を確立いたしますためには、経済自立の裏づけが必要であることは、贅言を要しません。このためには、我が国経済の基盤を形成するところの中小商工業に対してその育成振興を強力に具現いたさなければならないこともまた多言を要しないところであります。しかるに、わが国の中小企業は、資本力が脆弱であるのみならず、経営、技術の面においても不合理な点が多く、かかる欠陥が循環的に資本力の脆弱さを倍加いたしておるのが実情でございます。従つて、国内外の経済情勢の変動の影響を最も敏感に受けやすい立場に置かれながら、財政、金融税制等中小企業を囲繞する外的な諸条件の合理化努力しなければならないと同時に、中小企業者自身もまた相互扶助精神に基く協同組合を組織し、団結の力によつて企業経営内容健全合理化をはかるための自立的、積極的な努力をもいたさなければなりません。  この組織化協同化に関する基本法として生誕いたしました、昭和二十四年法律第一八一号、中小企業等協同組合法は、いわば中小企業基本法典とも申すべきものでありまして、公布以来三年有半本法に基く中小企業者組織化は着々として進捗いたし、その間法の不備を補い、短を改めて、今日に至つたのであります。  しかるに組合員相互自家保険に関しては、戦後の損害保険業者の独占的かつ高率保険料強行の重圧より免れんとする中小企業者自己防衛的手段として、爾来各地に保険組合運動、特に火災共済運動が、消費生活協同組合法に準拠し、あるいはまた中小企業等協同組合またはこの連合会附帯事業として営まれ、または営まれんとする形勢が生じて参つたのであります。  このことは本法制定当時関係者の間で、本法第七十条第一項第三号の事業協同組合事業中「組合員権利厚生に関する施設」の解釈につき、組合員相互保険に関する事業を包含するやいなやについて相当の論議があつたのでありまして、中小企業者の意図する相互協同精神に画竜点睛を欠いたうらみを残したまま今日に至つたのであります。この際、現行法規のあいまいな表現を一擲し、中小企業等協同組合法中にあらためて火災保険組合及び火災保険中央会に関する条項を追加改正せんとするのが本法律案提出趣旨であります。  次にその大要を申し上げます。第一に、保険組合は、地域組合及び業種組合の二種であります。これは保険そのものの性質から考え、危険の単位地域を現在の行政区域にまで拡大し、リスクの分散をはからんとするのがねらいであり、業種組合は、業種ごと全国を地区として、それぞれ一個とするもりであります。  第二に、組合員の資格に関しては、農外畜水産業者を除く中小企業者及びその従業員対象とし、員外利用を認めない方針といたしたのであります。  第三は、中小企業者範囲の限定でありますが、これは中小企業等協同組合法に規定する中小企業者範囲と同一といたした点であります。  第四は、保険の種類でありまして、これは人の生命または身体に関する事故による損害を除き、火災によつてこうむる損害を補填するだめの相互保険事業保険組合が営むものであります。  第五は、保険組合出資組合である点でありまして、その出資総額限度を百万円以上と規定しており、一組合員保険契約保険金額最高限三百万円と制限しておることであります。  第六の点は、商工組合中央金庫法の一部を改正し、商工組合中央金庫をして、火災保険組合保険に対する再保険を引受けせしめることとし、再保険引受けによる損失は、国がこれを補償することといたした点であります。  第七の点は、保険組合に対する監督は、通商産業大臣の所管とし、その保険事業については、保険業法適用除外といたしたことであります。  以上が改正案の主要な点であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて提案理由説明は終了いたしました。質疑次会においてこれを行うことといたします。     —————————————
  11. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。小平久雄君。
  12. 小平久雄

    小平(久)委員 今回の改正案によりますと、従来の保険金額は、保険価額に対しまして百分の七十五であつたものを八十にする、これは金融機関の場合でございますが、それから保証協会の場合には、従来百分の五十であつたものを六十にする、それぞれ引上げになつておりましてたいへんけつこうだと思うのであります。ただここで考えられますことは、特に最近における金融情勢、それも中小企業者のうちの特に小さいもの、いわゆる小企業者と申しますか、それらの人たちが、最近はやりのいわゆるやみ金融等にたよる部面が非常に多くなつて来ておる。それがまた業者への非常な圧迫にもなつておる、こういうような見地からいたしますならば、もう少し特に小さい業者を何とかこれらのやみ金融から救つてやる。しかして正常なる金融機関にこれを結びつけるというふうに何とか一段のくふうができないものかということが考えられるのであります。それには今回改正になる率を小企業の場合、すなわち一定金額以下の少額融資の場合には、さらにこの率を上げるとか、あるいは進んでは保険料率そのものすなわち百分の三でありますか、このうち多分金融機関が百分の一、業者の方が百分の二を負担しておるかと思いますが、これを業者の場合におきましても少くとも百分の一で済ませる、こういつた料率自体をあわせて改正することができないものか、これらの点について承りたいのであります。  さらにまとめて承りますが、今回の水害等関係もありましておそらく中小企業者資金需要というものは、復興資金としても相当多額に上るのじやないかと思われますが、これについても当局はどのような施策を行おうとしておるのか、この点もあわせてこの際承つておきたいと思います。
  13. 岡田秀男

    岡田政府委員 お答えいたします。  まず第一点の保険金填補率の問題でございますが、従来の填補率は、金融機関中小企業者に貸しました貸金の七五%を信用保険にとる、信用保証協会の保証いたしました債務に関しましては、五〇%を信用保険にとるということに相なつておりましたものを、今回の改正によりましてこれを八〇%と六〇%にそれぞれ引上げることといたしたのであります。今の御質問趣旨によりますればさらに少額貸金につきましてはこれをいま一歩進めまして、たとえば金融機関の貸しつけるものについて八五%等に引上げることを考えたらどうかというふうなお尋ねがあつたように存ずるのであります。実はこの信用保険特別会計は、独立採算制趣旨によつて運用いたしておるのでありまして、その特別会計創設以来いまだ二年半程度にしかなつておりませんので、そのはつきりした統計的データが欠けておりまするので、この七五%を八〇%に上げて御提案申し上げておる点につきましても、八〇%に上げればどれだけ中小企業金融金融機関の手によつて促進する効果を発生するかということにつきましての的確なる資料を実は持つておらぬのであります。しかしながら、ともかくもこの信用保険で七五%しか填補をしないということによつて中小企業金融がある程度阻害されておるという輿論が非常に強いのであります。そこでさしあたり八〇%ということにいたしたのでありますが、この填補率をどの程度にするかという場合に、まず第一に考えねばなりませんことは、中小企業金融の促進に効果があるということと、同時にこれをあまり高くいたしますると、金融機関自主性と申しますか、貸出しをいたします場合の審査態度を非常にルーズにならしめるかもしれないというようなことが心配に相なつて来るのであります。そこで彼我勘案いたしました結果、金融機関不安感を除いてやりまして、中小企業者信用力を補填する効果を十分に発揮しながらも、金融機関自主性をそこなわず、両々都合のよい点を見出すということが一番むずかしいところであろうと思うのであります。さしあたりのところ、私どもといたしましては、まず八〇%程度填補率を実施いたしてみまして、その結果を見た上で、ただいまの御説のような点も考慮しながら、さらにその填補率引上げるべきやいなやを検討の上、必要がございますればあらためてさらに改正するというふうに進んで行くことが今の段階としては適当ではなかろうかと考えておるのであります。なお保険料の三%の問題でありますが、この点も危険の発生率なり特別会計負担になつて参りますところの貸倒れの率が三%より低いということがはつきりして参りますれば、これは当然引下げ得るのでございます。その点はいまだはつきりしたデータを持ち合せないのでありますが、現在ありますデータだけから見ますと、三%でも特別会計としては若干危険があるのじやなかろうかというふうな統計資料に相なつております。この点も前の填補率の問題と同様に、いましばらく時をかしていただきたいと存ずるのであります。  九州地方災害復旧資金の問題でございますが、最近まれに見る非常な大水害でありまして、中小企業者の受けました損害相当莫大なものがあるようでございます。西の方から参つております報告も区々まちまちでありますが、百七、八十億円ないし二百三十億円程度被害があつたというのが今のところの報告に相なつておるのであります、私どもといたしましては、とりあえず大蔵省と、中小企業者復旧資金を比較的簡易、低利に、そうして安定した形において供給する方途を相談いたしておるのであります。現在までのところまとまりました大体の構想は、近く生れ出ずべき中小企業金融公庫当てにいたしまして、開発銀行をしてさしあたり、水害影響を受けました中小企業者に一件あたり、たとえば百万円とか百五十万円とかいう限度をきめて金を出させまして、金利を桑の損害等の貸出金と似たような意味における六分五厘程度のあるいは若干動くかもしれませんが、大体六分五厘程度金利で五年間ぐらい貸し出させるととにいたしました。そうして公庫ができますればこの金は開発銀行から公庫が引受けるということで出発いたしましたらいかがであろうかと考えておるのであります。この保険料につきましては、当該地方府県公共団体が一%の保険料負担するならば、国といたしましても一%の保険料負担いにします。結局銀行並びに借り受けますところの中小企業者負担する保険州は、両者合せて一%ということにいたしたい、かように考えておるのであります。なおさしあたりの応急資金といたしましては、指定預金といたしまして、関係地方に十五億の指定預託金をいたしたのであります。その行先は銀行に五億円、相互銀行に四億円、信用金庫二億円、中金四億円ということに相なるのであります。また国民金融公庫といたしましては取急ぎ六億の金を用意いたしまして、一応の復旧に応ぜんとしておりますし、商工中金といたしましては先ほど申しました預託資金のほかに自己資金を十億程度用意いたしまして、これまた緊急の用に充てんとしておるのであります。これらによりまして一応九州方面中小企業者に対する応急措置は何とか行けるのじやなかろうかという段階になつておるのでございます。
  14. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの長官の御説明大体了承するのでございますが、ただ御説明のうちに、九州方面水害に要する応急資金として、近く発足を予定される金融公庫資金当てにして、開銀をしてとりあえず融資させるというような御説明がありましたが、言うまでもなく四月以降の開銀の貸出しは、公庫発足後は債券を買い取ることに法案はなつておるはずであります。ところがもともとこの法案ができます際には、九州災害といつたような非常の事態を勘定に入れておそらくやつたのでなかろうと思う。しかもこの水害による資金というものが相当の観に上つて来ることになりますと、この公庫設立に際して当然予想しなかつた事態が起きた、そうするとこの公庫資金自体が、本来の方へ流れる資金が非常に食われるということになると思うのですが、この点については最も近き将来にこの公庫資金を充実してカバーするというようなことを、当局としてはもちろん責任を持つて政府資金でやられると思うのですが、いかがでしようか。これは長官大蔵省と両方からはつきり承つておきたい。
  15. 岡田秀男

    岡田政府委員 できます公庫の金を当てにしまして開発銀行からやらせまして、それをできました公庫が買い取るということになりますと、こういう事態が起きなかつたならば出すであろうと予定されました金額がそれだけ減るということは御説の通りでございます。それは考えますことは、かりに現在公庫がすでにできておつたといたしますならば、かような事態が起きた場合は必ずや公庫としては相当資金九州方面にまわさざるを得なかつたであろうと思うのです。しかし一方それによつて公庫の予定されておつた運用金額が減るということもまことに遺憾なことでございますので、御説の通り適当な機会を得まして、この金額相当大穴があくということになれば必ずそれを埋めることに最善の努力を尽すということを申し上げておきたいと思います。
  16. 長谷井輝夫

    長谷井説明員 ただいま中小企業庁長官からお話がございましたように、中小企業金融公庫ができましたとき開銀から買取り資金の形で出て参りますと、資金計画全体としては狂いが出て来ることは御説の通りでございます。なお国民金融公庫の場合に例をとつてみましても、六億円ばかりのものが今度対象になります関係で、やはり六億円ばかりが年末に迫りますと非常に食い込んで来る。住宅金融公庫も同様でございまして、住宅の場合も今度四億円ばかりを予想しておりますので——木造建築が三億円、耐火建築が一億円、この四億円も実は狂いが参つております。私ども銀行局立場といたしましては、これは予算を要求する立場中小企業者と同じ立場でございますが、近い将来においては何とか、いろいろな方法があると思いますが、研究いたしまして埋め合せをしなければならぬ、こういうように考えております。ただ、今の段階でただちに予算的な措置をとるかというようなことは、これは大蔵省でも説明いたしかねるのではないか、かように考えております。
  17. 小平久雄

    小平(久)委員 本公庫がすでに発足をしておつたならば、おそらくこれから出たろうというようなことは、これはどうもおもしろい仮定であつて、今審議中なのですから、しかも本来そういつた非常災害用資金なんというものは織り込んでないはずなんです。従つて非常災害用資金がいるとすれば、それは本来からいえば本公庫とは全然別個に考慮されるべき筋合いのものだ。従つて、ただいまの言明もありましたが、どうかこの災害のために本来の資金が、そうでなくても足らぬところにますます足らぬというようなことがないように、これは企業庁長官せつかくの今後の御努力を、この際特にお願いいたしておきます。  さらに、せつかく銀行局が来ておりますから、関連して承りたいのですが、最近新聞紙上等を見ますと、いわゆるやみ金融に対していろいろ銀行局で手を打つておるようであります。その調査の結果等について、この機会に当委員会にも御説明を願いたいことと、今後これらの金融会社に対してどういう方針で行くのか、これまたこの機会にあわせて説明を願つておきたいと思います。
  18. 長谷井輝夫

    長谷井説明員 ただいま御質問がございましたやみ金融の問題でございますが、これは問題が非常に広い問題でございまして、一応私ども金融法規に関連いたしまして不正の問題、こういうように考えられる業態をつかまえて、通常やみ金融といわれております点に説明を限定してお答えいたしたいと思います。  その前に大体貸金業と称せられる、いわゆる高利貸しでございますが、この業種は大体どのくらいあつてどういう金融法規と関連があるかということを先に申し上げてみたいと思います。貸金業につきましては、御承知のように、昭和二十四年に貸金業等取締りに関する法律というのが制定公布されまして、その結果貸金業については、届出すれば自分の金で融資ができる、こういう体制に相なつております。それで現在まで届出をいたしておりますのが、若干古い資料になつておりますが、昨年の十二月末日には九千三百有余の貸金業者がおるわけでありますが、ことしの六月現在をとりますれば、おそらく一万二千くらいの貸金業というものが全国にあるのじやないかと思われるのであります。そのうち法人個人が約半々でございますから、おそらく五千ないし六千のものが法人個人として貸金業をやつておる、こういうことになつております。それから私ども調査で参りますと、大体資金を動かしている資金量でありますが、その資金量はおそらく四百億円を越えるんじやないか、こういうような資料がございます。  ところで問題になりますのは、法人組織貸金業の場合に、いわゆる株の増資の手続につきまして、役員に株を引受けさせまして、その引受けた株を一般公衆に対して会社が媒介して売りつける。売りつける場合に、会社が金を貸すことにいたしまして、その貸した金を日掛あるいは月掛で回収して行くという方法が、いわゆる株主相互金融という方法であります。この株主相互金融という方法につきまして、一般的に公衆から金を預かるといいますか、金を受入れることが、はたして銀行法あるいは貸金業取締りに関する法律に禁止いたしておりますところの預かり金に相当するかどうかというのが、第十五国会以来非常に問題になつて来たところであります。その預かり金かどうかにつきましては、三月四日でございましたか、大蔵省の見解が最終的にきまりまして、衆議院で私ども局長から御説明があつたのであります。その要旨は、こういつた株主相互金融の典型的なやり方で、株を売りつけることによつて、その代金を回収して資金を受入れる、こういう形につきましては、金融法規違反とは断じがたい、こういうような態度をとつて参つたのであります。ただ現実の姿といたしましては、その後そういう株主相互金融の形が——これは話が前後しますが、大体全国で四百ないし五百くらいあるわけであります。その会社について見ますれば、そういう株を一般公衆に売りつけまして、それから金を受取るというような形で行きますとぎに、融資を受けないものには月二分程度配当をやるわけでございます。月二分といいますと、定期預金が年六分でございますから、相当高い利子なんでございます。これを株主にやる。それから融資を受ける人には引受けた殊の三倍までを貸す、こういうやり方になつております。その月二分の配当につきまして、実は国税庁とも協議いたしまして、大蔵省としては最終的にこれは利子ではありません、株の配当でありますという立場から、損金否認をいたしまして、それに対しても法人税対象とする、あるいは源泉課税対象にいたしますという措置をとりました関係上、株主相互金融という会社は、その税金の問題、それから実際に証券取引法関係でうまく増資ができない関係がありますので、その二点を回避する意味で、株主から借入金をやる傾向か非常にふえて参りました。これが実際相当弊害を生ずるおそれがありましたので、実は四月二十七日から全国財務局を動員いたしまして、株主相互金融の一曹検査を始めたわけであります。その結果十一社ばかり検査いたしたのでありますが、特に関東財務局管内の四位につきましては、いずれも資本金をはるかに上まわる、おそらく二倍ないし三倍くらいの借入金をやつておるということを発見いたしました関係で、これにつきまして明らかにこれは法律に違反しているということを各会社に警告いたしたのであります。これからの問題といたしましては、そういう貸金業借入金というような名前で金を借り入れる、預かり金をするということはいけないということをはつきりして、今後とも検査を進めて参る段階になつております。それはいわゆる株主相互金融の問題であります。将来に対する取締りも、そういう預かり金違反ということで取締りを進めて行く予定でございます。  それからそれに関連しまして、いわゆるやみ金融という問題がもう一つありますが、それは匿名組合契約、これは商法の五百三十五条の規定でございますが、名前を隠して出資してもらつて、それから利益がありましたらもらうという契約で集めていますが、おそらくそういう形式でやつているのが全国で二百ばかりあると思いますが、それは資金量相当つておりますが、この匿名組合契約につきましても、個個にその契約の実態を調べて参りませんとわかりませんが、現在見ている限りにおきましては、それは商法の匿名組合契約そのものでありまして、これを金融法規違反と今の段階で断ずる段階ではないように考えられます。  以上簡単でございますが、いわゆるやみ金融の問題の現状と将来の対策について御説明申し上げます。     —————————————
  19. 大西禎夫

    大西委員長 次に石炭に関する小委員長より水害による石炭鉱業被害復旧対策に関し報告いたしたい旨の申出がありますので、この際これを許します。下川小委員会委員長
  20. 下川儀太郎

    ○下川委員 この際九州水害対策に関連しまして、緊急を要する件がございますので、とりあえず中間報告として、石炭委員会の協議の模様を御説明申し上げます。  石炭委員会は、去る六月二十六日第一回を開催し、まず運営方針について協議いたしました結果、さしあたり第一次西日本炭鉱地帯の水害につきまして調査することとなりましたが、引続き第三次大水害の勃発を見るに至りましたため、もつぱらこの方面調査に全力を傾注することとなりました。被害の状況等につきましては、早々の際いまだ必ずしも正確を保しがたいものがないではありません。しかしながら伊藤、田中両委員の現地視察報告、政府当局説明、業界参考人の陳述等によつて、おおむね真相を把握し得たと確信いたすものであります。ことにその対策実施が一刻を争う焦眉の急務であります関係上、今回の水害対策について取急ぎ中間報告を申し上げる次第であります。  被害の状況につきましては、詳細は資料として配付いたしました七月六日付石炭提出にかかる西日本水害に伴う炭鉱被害応急対策によつて御承知願いたいと存じますが、要するに、直接被害による出炭減少は約三十万七千トン、被害金額は四十二億円を越えるものと推定せられております。  次に応急対策について申し上げます。昨七日及び今八日午前中の小委員会において全員意見の一致を見ました応急対策は、およそ、次のごときものであります。  第一は資金対策。とりあえず第一次つなぎ融資として、政府資金または政府資金の預託による金融機関の、資金十億円を急速に融通すること。なお預託に際しては、炭鉱に向け融通する旨明示すること。開発銀行中小企業わくを活用すること。中小企業信用保険参わくの拡大、保険料の減免並びに府県の信用保証協会を活用すること。日銀による積極的融資あつせん、手形の期限延長、利子補給のため財政措置を講ずること。  第二は復金債の特別措置でございますが、復金債の返済について、当分の間無利子措置とすること。  第三は生活資金対策。再起不能炭鉱に対しては、従業員救済策として、災害救助法第二十三条の適用による生業資金の確保をはかること、休業中の賃金を補償すること、但し経営者に負担せしめることなく、労働規準法を適用して国庫の負担とすること。生活資金のため財政支出による貸付を行うこと。  第四は免税措置であります。法人税、並びに鉱産税、固定資産税等の地方税を免除すること。  第五は輸送対策。国鉄輸送力の早期回復をはかること。送炭確保のため、貨車の優先配給を行うこと。産業施設道路の急速な復旧と、受益者負担金の免除措置を講ずること。  第六は抗木対策。国有林の大量、急速なる払下げ断行。近接町村の公有林伐採。他の炭鉱地区よりの流通。これに要する優先配車をはかること。抗木商救済のための融資について考慮すること。  第七は鉱害復旧対策でございます。復旧工事施行中、今次水害のため、不測の災害をこうむつたものに対しては、一般水害復旧対策の一環として処理すること。  第八は電力対策。特別大口に対する業種別配分計画の変更並びに特別大口割当わくの一部を被害炭鉱へ優先転用すること。  第九は復旧資材対策。セメントその他一般復旧資材の確保については、他と混同することなきよう、計画的配給措置を講ずること。  以上は当面の応急対策でありますが、なかんずくその眼目とも称すべきものは、つなぎ融資の問題でありましてこれをおいて他に救済策なしと称するも過言ではありません。  このことは、炭鉱自体のみならず、全国広汎な地域に及ぶ関連産業、たとえば炭鉱地方に発送したうら盆用物資の売掛金が回収不能となつておりますが、そのために倒産寸前にある中部、関西方面の木工業界その他の中小企業者を救済しなければならない、こういうことが発生しております。この際こうした現実的な対策以外に、将来再びこういうことの起らないような、いわゆる恒久的な対策を講じてもらいたいということも、われわれが要望するところでございます。  なお参考人からの意見によりますると、労務者関係の意見でございまするが、この水害を利用して休業あるいはまた企業整理を行おうとする悪質な資本家がある。これを十二分に監督していただきたい、こういう点がるる説明されましたが、こういう点も申し添えておきます。政府並びに当局にこれらの委員会の決議事項を十二分に反映して行きたい。皆様の御協力、御賛成をお願いいたします。
  21. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて石炭に関する小委員長報告は終了いたしました。
  22. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 関連して。せつかく通産大臣もお見えになつております。ただいま炭鉱災害緊急救済措置について、石炭委員会でまとめたものを小委員長から報告をいたしました。これに対して通産大臣はどのようにお考えになつておられるか、さらにまたこの問題は、何も今小委員長から報告をしたというだけでなくして、政府自体としても非常に重大な問題として絶えず閣議を開いてその対策を講じられておると思うし、さらに現地には大野国務大臣を派遣して現地本部をつくつてつておられる。さらにまた中央には緒方副総理を中央本部長としてやつておられる。これらに対していずれも緊急であることは論ずるまでもありません。従つていやしくもこの炭鉱問題に対して通産大臣は緊急措置をどのようにやろうとしておられるか。今具体的な九項目をあげておりましたが、特にこのうちでつなぎ資金のごときはその生命線ともいうべきものであるが、これらの点について通産大臣の信念をひとつお伺いしたい。
  23. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいま御研究の結果をよく拝聴いたしました。しごくごもつともな御意見であると考えます。つきましては、私といたしましてはこれを基礎にしまして、できるだけ努力して、善処いたしたいと思います。なお毎日本部で対策委員会も開いておりますから、その方へもひとつお出しを願いますか、取次いでお渡しいたしますか、政府一体となつて考えたいと思います。
  24. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 特につなぎ資金の問題が、先ほども申し上げたようにきわめて重要でありますが、これらに対しては当然政府に厖大なる予備金があるわけでございます。この予備金というものは、こうした場合に処するためにあるもので、また従来からこの予備金をもつて非常処置を講じられておるわけでございます。これらに対して通産大臣は、このつなぎ資金の緊急措置を、予備金というか、あるいは他の方法というか、そういうことに対しておよそどのくらいな程度の日にちにおいてこれらの見通しをつけようとされておるか。これは非常に緊急を要しますので、こういう緊急な問題はこのようにして自分は急がなければならぬというようなお考えが多分にあろうと思いますので、これらに対する大臣の考え方を重ねてお願いいたします。
  25. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先般この水害が起きましてから、さつそく大蔵大臣といろいろ私も——主管は大蔵大臣でございますが話しました。予備金は実のところ二十八年度の予算が通らないと、これに応ずるだけのものが出て来ないだろうというようなお話もありました。しかしこれはたとい予算の成立、不成立は別としまして、あるいは国会法とかで予算の法律は私よくわかりませんけれども、臨時応急ということに対しては、そういうことをするのが政治でございますから、そんなかた苦しいことを言わないで、何とかひねり出していただきたいということを言つておる次第でございます。ただいま十億ばかり出しておりますが、ひとつできるだけ大蔵大臣を鞭撻いたしまして、さつそく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  26. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 政府、また各役所等においてこうした問題に対処された場合に、とかくセクシヨナリズムというか、なわ張り争いで時間を過すということが、国民またその罹災者を失望さすことになつております。ところが今度の場合は政府の方から現地調査を即決主義でやる、そのために国務大臣を派遣し、臨時政府を現地につくるぞという意味において、大野国務大臣のもとに各関係省を代表する幕僚級の人々が派遣されておることは御承知の通り従つて順次その報告の来ているということもわれわれ伺つていますが、即決主義であるならば、すでにつなぎ資金のごときは、一挙に全部はやらなくてもいいのであるから、あるいはその大体の見積りの半分というか三分の一というか、それぞれのつなぎ資金というものを与えることが、復旧へ着手さすところの唯一の方法である。従つて現地からそのようなものが来ていると思うのであるが、来ているかどうか。あるいは来ているとするなら、それに対して中央本部あるいは閣議等においてどのようにそれらに対処して取扱おうとしておられるか。真に役所の管轄争いなどではなくして、少くとも通産大臣のもとにおいて、特に炭鉱被害のごときについては、これこれのつなぎ資金がいる、これだけの復興資金がいる、これだけの第一次のつなぎ資金がいる、これは最低であるというような点について御交渉になつておられるかどうか。またこれらに対してそういう管轄争いでなくして中央本部にやれるだけの方法を講じられておるかどうか。あるいは予備金の問題は、なるほど予算と法律関係はありますけれども、予備金のできることは明らかである。もはやこれは論ずるまでもありません。そういう現状にあるのでありますから、これらに対してきわめて早急を要するのであるが、一体国会においても超党派である、あるいはまた中央本部なり政府に全力をあげて協力をするということを決議されておる。きわめて政府はやりやすい、通産大臣はやりやすいのである。こういう恵まれた立場にあるのでありますから、私は大臣が誠意と熱意をもつてやられるならば、こういう復興への生命線であるつなぎ融資のごときは早急にやられると思うのであるが、今お伺いした点についてもう少し具体的にお示しを願いたい。
  27. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私もなわ張り主義ははなはだよくないと思いますが、私の性格上、ついなわ張りを飛び越えて、人の仕事に介入しまして、閣議の上では国務大臣だから権力があると申しまして、ときどきしかられることもありますが、飛び出してやつております。しかしただいまのお説の通りに今回のことはなわ張りも何もございませんで、非常な熱意をもつて協力してやつております。それから私どもの方に来ます報告は、毎日々々新しい真実が出て来て、もう二、三日前の報告はすでに頭の基礎から離れて、きようの報告によつてまた新しい施策を立てなければならぬ情勢に追い込まれておりまして、事務当局として十分これを反映しておりますと同時に、閣内においてもいろいろやつております。ただ問題は、今現地におきまして、実はわれわれが考えていないような応急的の支出を約束をして、どんどんやつておるようでありまして、当座の非常に急いでやらなければならぬということには、大体手をまわしておるのじやないかという感じもします。いずれあちらから報告が来ると思いますけれども、毎日こちらの対策本部の方でもやつておりますし、万遺漏なくやりたいと思います。お説の通りに閣内一致して、なわ張りなんかなくてできるだけのことをやりつつあり、またこれからもやるつもりでありますから、御了承願いたいと存じます。
  28. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 大臣が一生懸命やろうとしておられる気持は感謝いたします。しかしながら現地の被害者側が、従来とかわつて期待をして、喜んでおるのは現地調査を中央が即決でやる、これが今度この政府の災害地救済復興に非常に役立つであろうということを喜んでおる。ところがこれがまたのんべんだらりにだんだんなつて行くならば、これまた失望させて、私たちはその反動があると思う。反動が起るならいろいろなものが現地にありますから、これらのものがみんなその反動の中に巻き起つて来ることを私は疑いません。そこで大野国務相は一体いつまでにまとめて来るようになつておるのか、そのまとめた報告を聞かなければ閣議決定でこの処置ができないのか、あるいは緒方副総理を中央本部長としておるが、その権限というものをどのように持つておるのか、あるいはまたこの緒方本部長のもとにおいてたとえば通産大臣あるいは農林大臣あるいは建設大臣と、それぞれ被害を引受けられておる所管大臣がおられる、こういう人々と緒方中央本部長との間において、閣議との関係においてどのようにしてやることを即決主義とされておるのか、そういう点をお聞かせ願いたい。
  29. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは山縣国務大臣が先般あちらに参りまして、帰つて来ての話でございますが、大野国務大臣は非常に勇敢にやつて、とにかくこちらで見ますとやり過ぎたというほどやつておるそうであります。そして大野さんとしては、自分自身に九州鎮台を許可してくれという意気込みでがんばつておられるようであります。それから閣内におきましては日々の報告によりましてそれに対する処置を話合いまして、そして対策本部すなわち緒方本部長のところに出しまして、われわれの事務当局におきまして十分なることをやつておると思います。ただこちらでやりますよりは出先の官憲が非常に行き過ぎるくらいやつて応急措置が万全を尽すというまでに行きますまいけれども、非常に効果が上つたということだけは私どもつております。
  30. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 二十億のつなぎ融資を政府はする、あるいは十億をさらに追加して二十億にしてやるというようなことが新聞等にしばしば出ておりますが、その二十億のつなぎ融資という緊急処置は、炭鉱等の関係にはどのようにわくがつくられてあるか、あるいはまた配分されるということになつておるか、その点をひとつ伺いたい。
  31. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私ただいま手元に材料がございませんので、そのわくの配分ということは存じておりません。
  32. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 だれか政府委員でわかつておる人があればお答え願いたい。
  33. 中野哲夫

    ○中野政府委員 先ほど大臣から言われたように、とりあえずのつなぎ資金のわくとして商工中金に対する融資のわくを約十億程度大蔵省に申し入れて間もなくこれがきまると思いますが、これについては中小炭鉱及びそれ以外の中小企業のわくという数字的根拠はないのでございまして、とりあえずの第一段の措置としていたしたのでございます。このうち十億につきましては、実情に即して中小企業の範疇に属する炭鉱にはそのうち一部がまわり得るものと考えておりますが、同時に中小企業以外の、従来のわく以上の炭鉱等もございますので、それらのとりまとめました運転資金及び復旧資金につきましては、目下石炭局を中心にいたしまして計数の整理を急ぎますと同時に、大蔵省へは前々から融資のあつせんのわくの拡大ということを持ち込んで、向うも私の方からの計数整理をまつて、これを受入れようというような原則的な話合いはついておりますので、目下大急ぎでその計数をとりまとめておりますので、その点数字的にただいまはつきりした数字を申し上げられない状況でございますが、不日数字的に計数がまとまるものと思います。さよう御了承願います。
  34. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 私がわくの問題をお伺いするのは、やはり一応のわくをおつくりにならないと実際そのつなぎ資金融資するということがなかなか手続というか、あるいはまた大臣のきらいだと言われておつた、我田引水的に自分の方になるべくそうしたつなぎ資金を持つて行こうという争いが起つて来ることは明らかである。これは従来もしばしばあつたことであります。そのためにせつかく時間的に急がなければならぬことが遅れて、生きた喜ばしきものが、かえつて逆に死んだような形で使われておるということは従来の例でございます。そこでさきに政府委員から言われたその十億、たとえばそういうものにしても、そのわくを中央できめようとされるのか、また現地のそれぞれの出先機関でやろうとされるのか、その辺も一応明らかにされておかれないと問題が起るのじやないかと思う。だから今つなぎ資金との問題、復旧資金との問題は順次これは出て来ます。そういう場合に現に中央でその大わくをつくつて出先機関に示して、出先機関のいろいろな条件によつてそれを出すようにするのか、また現地にそれをまかすのか、その辺の大筋というものが一応話合いをされてあると思いますから、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  35. 中野哲夫

    ○中野政府委員 つなぎ融資のとりあえずの交渉金額は十億でございますか、これに逐次追加されて参ると思います。そのうち応急的な部分につきましては、私どもは現地の対策本部に地元の通産局、並びに本省から派遣員も参つておりますから、これにまかせていいのじやないか、あまりこまかに中央があれこれとさしずする必要はない、実情に応じて勇猛果敢にやつていいのじやないかと思いますが、復旧資金その他になりますると、もつと巨額の金額にわたり、また大蔵省との話合いもございますので、これは方針的には大きなわくというような点は、中央で現地の意見をもとにして大わくをきめまして、その範囲内で最も効果のあるように地方に実施細目はまかせるというような感じでやつて参りたい、かように考えております。
  36. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 他に質疑の方もあり、大臣の時間の都合もあると思いますので、私はこの問題に対する質問はこれで終ろうと思いますが、先ほど石炭委員長から石炭委員会でまとめた報告をいたしました。これについては大臣並びに関係政府委員においては、非常に重大な緊急問題であるという点は私から申し上げるまでもないが、特に生命線ともいうべきこのつなぎ資金の問題を中心にしていわゆる政府が発表した現地調査を中央即決でやるというこの精神を忘れぬようにやつていただきたい。いずれこの問題については後日質問することにいたしまして、本日はこの程度にします。
  37. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたしますが、ただいま御報告を聴取いたしました、水害による石炭鉱業被害復旧対策に関し、これを通商産業委員会の意見として、その善処方を水害地緊急対策特別委員会に申入れたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 大西禎夫

    大西委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  なお申入れの文書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大西禎夫

    大西委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  なおただいま御決定になりました水害地緊急対策特別委員会に申入れる点に関しましては、政府へもその旨伝達いたしたいと存じまするから、さよう御了承願います。     —————————————
  40. 大西禎夫

    大西委員長 次に通商産業政策に関し、質疑の通告がありまするから、これを許します。中崎敏君。
  41. 中崎敏

    ○中崎委員 先ほど川上君からだつたと思いまするが、指定リストの提出を通産側に要求しておるはずでありますが、それはどういうふうになつておるか、一応御回答願いたい。
  42. 牛場信彦

    牛場政府委員 輸出貿易管理令別表第一というところに輸出統制品目が全部表になつておりまして、その表は法律と一緒に公布されておりますので、それを印刷してさしあげることにいたしております。それ以外に特別な表というものはないのであります。後ほどお届けいたします。
  43. 中崎敏

    ○中崎委員 それではそれをひとつ提出してください。  では質疑を継続いたしますが、まず日本の貿易の振興は、日本経済の安定化の上においてきわめて緊要なものであるということは申すまでもないことなのであります。ところかこの貿易振興のためには、まず国内の物価が非常に高い、この高い物価を一体どうするかということが大きな問題であるのでありますが、これについて通産大臣から具体的にどういうふうな方策をもつてこの物価高に対処されんとしておるか、さらに思い切つて適当な案がないというようなことならば、外国為替の切下げを考えておられるかどうか、この点をひとつお聞きしておきたい。
  44. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。物価高をいかにして引下げるかということは、これは今の日本の経済の一番根幹の問題だろうと思います。そこで先般も申し上げましたように、経済審議庁あたりで考えまして、各省に分担してやつていただいておりますところの五箇年計画というものがございます。しかし五箇年先まで待つていられるかどうかということに対しては、昨日も申し上げましたように、そう待つていられないのであります。そこでそれじやどうしたらいいかと申しますと、これも制約がございまして、二十八年度予算に財政資金を使うとかいろいろな施策をして、そして予算によつてやるということがちよつとできない状態に追い込まれておりますので、これは予算に関係なしに何とかして行く方法を考えなければならぬ、こう考えております。それでただいま考えておりますことは、一番根幹になるところの基幹産業の方面の、いわゆる原材料というものを安くして、それを使つて行く工業がだんだんとコストが安くなるというねらいがまず方法として一つある。それじやそれをどうして行くかといいますと、これは税法上の措置によりまして、税の負担を軽くしてやるということと、それから金融の面におきまして、金融のあつせんはむろんしておりますけれども、この財政資金なり市中銀行に対するところの金利というものをできるだけ引下げてやつて、そうして金利負担を軽くしてやる、こういう方向に持つて行き、同時にいろいろほかに合理化方法もございましようが、目先といたしましては税法上の関係金利の操作によつて至急に手を打つよりほかに方法はないと思いまして、それをただいまいろいろ研究しております。多分近いうちにその結論か出て来はせぬかと思つておる次第でございます。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 基幹産業の中で、ことに駅、石炭、燃料につきましては、これは輸入の関係でありまして、一応為替との関係もあろうと思いますが、鉄、石炭について大体近い将来において価格等についてはどういう見通しを持つておられるか、またどう処置するかということについて具体的にひとつ方向を示していただきたい。
  46. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 具体的に申しますならば、今申し上げましたことを実施に移すわけでありますが、これが実施せられましたときに、大体今のところでは八%ぐらい基幹産業の方が値段が下りはせぬかと見ておりますけれども、それはその数字の計算上非常に誤謬もありますし、また見当違いという点もありますから、これを整理さしております。大体金利とそれから税法上の処置をいたしますと、中間過程としてそろばんを出しましたところによりますと、約八%ぐらいコストが下りはせぬか、こういうような考えを持つておりますが、これはまだ十分検討を要する点もございますので、はつきりと出ていない次第であります。  それから先ほど為替レートの問題にお触れになりましたが、私といたしましては為替レートは引下げるべきでない、為替レートを引下げるということは、輸出貿易には一番の即効薬でございます。それからその次に次善の即効薬といたしましては補給金を出すことでありましようが、為替レートの引下げというものは絶対しない方がいいという結論を持つております。それから補給金の問題でございますが、これはまだ私判断がつきませんが、今金融上の措置、税法上の措置なんかをいたしまして補給金に相当するぐらいの程度まで割り出してみたいという感じでそろばんをはじいておるわけであります。補給金はやむを得なければ出さなければならぬという議論が世間にたくさんございますけれども、しかしその補給金に対するいろいろな欠陥、同時にまたいろいろ再び非常に厳格な官僚統制というような非難を受けるような仕事のやりつぶりになりはせぬかということもおそれておりますし、一つの基幹産業だけにこれが与えられるということでやみませんで、やはり一つの産業に補給金を出せばあちらもこちらも出て来るということになりまして、今度は財政上の負担でインフレを起さないとも限りません。補給金ではやはり消極的な感じであります。そいういたしますと、結論といたしまして、先ほど申し上げましたよりに、税法、金融の適正な措置によつてこれをやつて行くというよりほかにないと存じております。
  47. 中崎敏

    ○中崎委員 基幹産業と、その重要度においてあまり遜色のないところの肥料の問題にいたしましても、外国への輸出の実績を見ましても現に相当出血輸出でやつたのであります。これは国内においては相当農民にしわ寄せせられたというのでごうごうとしておるのでありますが、最近における実情はそれにもかかわらずなおかつ台湾においても朝鮮においてもドイツの側にとられて、とうとう輸出も話合い、商談ができなかつたという実例もあるのでありますが、まずこの輸出の問題に限つてこれを考えてみましても、当然これは補給金等のこともからみ合せつつ、すみやかに解決しなければならぬ問題の一つだというふうに考えておるのでありますが、肥料については一体どういうふうに考えておるか、これは刻下の急を要する解決すべき問題だと思つております。
  48. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。肥料の問題は、御承知の通り四日に肥料対策委員会から答申が出まして、そうして私ども並びに党の方でも研究を進めておるわけでございます。あれは答申でございますので、足りないこともございましようし、また行き過ぎとは申しませんけれども、われわれの見るところでは多少意見もありますので、早急にひとつこれを固めまして、今国会にぜひ皆さんの御審議を仰ぎたいと考えております。
  49. 中崎敏

    ○中崎委員 大臣も御都合があるようですから、質疑がずいぶん残つておるのですが、まず足を早めてやります。  最近におけるところの官界の腐敗というものは非常に憂慮に値するものがあろうと思います。ことに現業庁に関しての場合が非常に多いのでございますが、通産省におきましてもまた輸出入貿易関係を中心といたしまして、相当に好ましからざるような事態が頻々として起つておるということが伝えられておる。その内部においてもなおかつそういうふうな問題が相当にあるのではないかということをわれわれは想像するのでありますが、これに対して通産大臣は一体どういうように考えておられるか。またこうした氷山の一角として表面に現われて来た問題に対して、どういうふうな処置をとられておるのか、それをお聞きしたいと思うのです。
  50. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 多分汚職事件の問題だろうと思いますが、これは御承知の通り小笠原前大臣が特に官紀の粛正強調をいたしまして、通産省の各役人に申し渡しております。私も就任以来、前大臣の趣意を尊重いたしまして、その通りつて行きたい、こういうことを考えておつて、みな自粛を強調しておるわけでございます。ただいまのところは各係ともガラス張りの中で仕事をしておるのだというような信念をもつてつておるようでございます。今後はそういうことのないように注意いたしますから過去のことにつきましても十分せんさくいたしまして、処置すべきものは処置するという方向に進んで行きたいと考えております。そこで私は先ほど補助金とか何とかいう問題で心配をいたしておりますことは、補助金とか補給金というものを出しますと、自然統制的、いわゆる役人の自由裁量とまでは行きませんが、業者からのいろいろの要請によりまして不公正な取扱いをするという機会がたくさん出て来ますから、官紀粛正の一面を見ましても、やはりそういう点で補給金あたりにたよると非常に消極的にならざるを得ない、こういうように思います。要しますのに、前大臣が非常にこの官紀粛正を強調しておられました、その趣旨を尊重いたしまして私自身も臨んで行きたい、こう考えております。
  51. 中崎敏

    ○中崎委員 こういつた重大な問題はその根源するところは相当に根深いようにも思うのであります。ただ単なる一片の訓辞や何かで決して解決つく問題ではないと思います。そこでまず貿易に関連いたしまして、ことにこの比較的少い、しかも国内においては相当に値段の高い物資というようなものの輸入が要望される実情にあるのでありますから、こういうようなものについて、その査定にあたつてはひとつ大臣の方で慎重にこれを注意して行くということが必要であるのではないかと思います。それにはまず第一にこれを決定するに際して、最近においては原局の意見をある程度聞いておられるように思うのでありますが、これはやはり目を多く通すだけ過ちが少くなる、誘惑の機会が少くなる、そこでこの問題についてはもちろん経済審議庁も、根本的な問題、あるいはある程度わくに関する相当大きな問題については、これは関与してもらう必要があると思います。同時にこれは原局の意見を十分に聞いて、そして通産局において最後的決定を独断でする。意見は聞くが聞きつぱなしでかつてに自分で決定するというような実情にあるようでありますから、こういうことでなしに、自分で原局の納得の上で、しかも経済審議庁が大きな原則的なわくのある場合においては、掘り下げ過ぎるところまでタツチして、そしてほんとうに日本の経済全体から見て、どういうふうにあるべきかということを大局的に判断された上で運用されるようにならないと、依然としてこの問題は絶えないというふうに考えるのでありますから、この点についてひとつ大臣の決意のあるところをはつきりこの際聞きたいと思うのであります。
  52. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御趣旨しごくごもつともでございまして、そういう方向に向つてやりたいと思いますし、またいろいろほかに官紀粛正のためには考えなければならぬようなこともあると思いますから、よく研究いたしまして、あくまでもガラス張りでやつて、何らやましい仕事のできないように組織をつくつて行く、こういうことが私一番大事なことだと思いますから、この組織化を研究して行きたいと思います。
  53. 永井勝次郎

    永井委員 中崎委員質問に対する大臣の答弁に対して、関連して一点お伺いしたいと思います。中崎委員から輸出関係についてコスト引下げについて質問がありまして、これに対して大臣は金利の引下げと税法上の措置によつて大体八%の引下げが可能である、こういう御答弁でありました。ただ金利の引下げと税法上の措置によつて八%の引下げが可能である、それにとどまるのか。企業合理化についてのコスト引下げについて何ら大臣は意見を述べられなかつたのでありますが、企業合理化については全然お考えになつておられないのか。金利の引下げと税法上の措置だけで足りるのか、こういうふうにお考えになるのか、これが一点。もう一つは肥料の生産の問題について、農林大臣は農林委員会において法的措置によつて、生産原価を現実に把握できる方法をとるということを言つておるのでありますが、ただいま大臣の御答弁では、法的措置について何ら触れなかつたのでありますが、肥料の生産原価を把握するための法的措置を講じられるお考えがあるのかどうか、これをお伺いいたしたい。
  54. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。合理化はこれはむろんしなければなりませんし、それからいろいろな設備の近代化をはからねばなりませが、この合理化は少し手間がかかると思います。ただいま申し上げましたものは決算して、そしてそろばんが合つてうまく行くとすればすぐできる方法であります。しかし合理化といたしましてはいろいろ手間がかかつて、一年先や二年くらいになると思います。しかしこれはおろそかにすべきじやありませんが、ただいま八%くらいコストが下りやせぬかというそろばんを出しましたものは、合理化は別としておるわけであります。  それから肥料の生産原価の問題でございますが、これは今度の答申案といたしましてやはり出ておるのでありましてわれわれといたしましては、やはりこれは少し統制になりまして考えと違うのでございますけれども、的確な生産原価を知つて、そして国内の消費の値段を最高限度にきめるということにするためにはどうしても法的措置を講じて生産原価を知らせる、こういうようなことをしなければいかぬ。おそらく私の考えといたしましては、政府に各企業会社の帳簿を検査したり、またいろいろな調査報告をとるというような権限を与えていただきまして、そして的確なる生産原価を把握する、こういうような法律につくつてつたらどうか、こう考えております。
  55. 中崎敏

    ○中崎委員 引続いてやります。今合理化のお話が出ましたが、この問題はしばらくおきまして、結局重工業がきわめて経済の進展の上に必要であると同時に、重化学工業もまた必要だと思うのでございます。そしてこれらの問題を通して、技術が非常に日本では遅れている、高い特許をわれわれは買つて、技術の導入のような形において外国の技術に依存しなければならないというふうな形を脱却して、もう一歩進んだ日本独自のレベルに技術を持つて行くということはきわめて必要なことだというように考えておるのであります。ところが実際において、今度の予算に出されましたあの案を見ましても、技術助成のための予算というものが幾らもふえてない、こういうふうな心構えでは、通産省においては技術についてあまり深い関心を持つておられないのではないかということを憂えておるのでありますが、この点について、一体大臣はどういうように今後の考えを持つて行かれるかということをお聞きしたいと思います。
  56. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 技術の振興をはかるということは私が通産大臣になる前から考えておつたことでありまして、これは文部省にも科学技術振興費というものがあります。これは画期的とは申しませんけれども、私ができるだけの努力をしまして、私のときの予算は増しておいたはずでございます。私は結局いろいろな産業が世界の競争に負けないで行くということに対しては、労働者の労力が一番大事な要素であるとは思いますけれども、それに相匹敵するだけの値打はやはり技術の導入というものが根本をなすのだと思います。そういたしますと、技術の振興というものには幾ら金をかけても惜しくないものだというのが私個人の考えであります。しかし国家の財政はそこまで割り切れませんので、その辺の調整を要しますけれども、今後私は技術の振興に対しては相当努力をして行く、こう考えております。
  57. 中崎敏

    ○中崎委員 あまりひつぱるのは遠慮します。しかし今後引続いて質疑をするかどうかを保留しておきます。それでさらに理事会等にも相談してあるいは打切るかどうか考えます。
  58. 大西禎夫

    大西委員長 理事会で相談させていただきます。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは大臣たいへんお忙しいようでございまするので、余談はおいて簡潔に質問いたしますから、簡潔に実行案をお答え願いたいのであります。  九州被害につきまして、石炭についてはただいまのような案がある、現地の救援策についてはいろいろとられているようでございまするが、身は現地になくても財産が現地にあるために被害をこうむつているものが非常に多くございます。全国的にその被害者が散在しております。これについて一体大臣としてはいかように考えていらつしやいまするか、具体策を簡潔に述べていただきたい。
  60. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。本人が現地におるおらぬは別問題でございまして、現地の財産が破壊されて非常に困つておるというようなことは見のがすことはできないのであります。そこでわれわれといたしましてはいろいろのことを考えまして、たとえて申しますれば、被害地に物を送つて手形が不渡りになつたとかいうようなこともございましよう。そういたしますと、これは現地に財産がなくても商売の取引上で現地以外の人があの水害を原因として損害を受けたというようなことも出て来るだろうと思います。そういうことも含めまして十分検討させまして、この融資とかなんとかいう問題につきましては大蔵省にもちやんと話をしまして、懇請しながら努力をしているようなことになつておりますから、これはネグレクトするわけには参らぬと思います。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私のお尋ねしているところは具体的なことでございまして、今大臣が例をとられました荷物を送つたけれども途中で流れた、あるいはせつかく向うの受取人に荷物は渡つたけれどもその決済ができない。ところが荷物を送つた方の側で見れば手形が落ちて来ぬ、手形は実業家のあなた、専門家のあなたが御存じの通り、一分一秒も待つたなしでございます。そこでもし手形を書きかえるとすれば何箇月間延ばすというのか、あるいはそれに対して貸倒れ引当金を充てようとするのか、そういう具体的な問題についてはつきりお答えいただくことが業界を救うゆえんであり、これが手が届かなければばたばたと倒れて行く。銀行屋のめんどう見てくれるところはいいが、もらえないところはどんどん倒れて行くことは銀行屋であるあなたはよく御存じのはずです。それについてお尋ねしているのです。
  62. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 それは事務当局で十分研究させまして、そうして必要なところへ懇談にやらしております。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは十五日に手形が落ちる、今月末に落ちるというのは手が届きますかどうか。
  64. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 それは書きかえしていただくのです。十五日に期日が来ますならばこれは書きかえをするなり、ちよつと方法を私よく覚えておりませんが、少くとも書きかえしておけばそういう問題はない。しかしそれに対して何か償還請求の救済策があるかどうか、これは昔の手形法でありましてよく存じませんが……。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その通りでございまして、その手形の書きかえの原因を延ばせるような指示なり何なりを大臣はする用意があるかないかということなのです。書きかえをしてもらえばいい、それはその通りです、ところが銀行は御存じの通りなかなか書きかえをしてくれませんよ。だから大蔵省の省令なりあるいは通産省なりが書きかえをせよ、あるいは幾日なら幾日に延ばす、あとでめんどう見るなら見ると、そういう一語によつて銀行の方としてはそれをたよりにして延ばすだろうと思う。それは書きかえをしてもらえばいいといつても、銀行はなかなかそれをやつてくれませんよ。だからそういう原因を与えるか与えないかということを聞いているのです。
  66. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの点は、私からお答えいたします。ただいま問題になつておりますように、あの水害を原因といたしまして、被害地域におられる人々と取引をされた場合に、決済が今のようなことで非常に困難であるというような場合の救済につきましては、通産省といたしましても大蔵省に打合せをいたしておりまして、大蔵省銀行局長と本日も打合せをいたしましたが、ただいま問題になつておりますような事態はもちろんありますので、目下具体的に日銀あるいはその他市中銀行等々と大蔵省が打合せ中でいらつしやいます。近くどの程度範囲についてどういう措置をとるかを研究中で、至急にきめて実施に移すということに話合いをしておりますので、今のお話は十五日でございましたが、もつと早い機会にそれがきまりまして、実施に移されることを期待しております。われわれとしては、できるだけ早くただいま御心配のような点が解決するようにいたしたいと存じます。なおつけ加えて申しますと、実は福井の震災のときに同じような趣旨措置をいたしたことがございます。今回ももちろん実現するものと確信しておる次第であります。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 議事進行についてお願いがありますが、きのう大臣の留守に質問したことについて、大臣によく通じておつても、おらなくとも、同じような効果が発生するようにしてもらいたいということをお願いしました。そうでないと議事が進行できません。それでそれをぜひしていただきたいということと、それから今度は大臣みずからが権限委譲と申しましようか、留守でも、お前らの答弁したことは間違いなく必ず自分が引受けてやるという、そういう一札でもとるとか何かしていただけたならば、あるいはスムースに行くのじやないかと思うのですが、これは私の言うことが無理でしようか。
  68. 大西禎夫

    大西委員長 私の方から御趣旨の点は大臣の方へ、留守の間の答弁は責任を持つてくれるよう、あなたから御発言があつたということで申入れをいたします。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではその続きをやらしていただきますが、今の問題につきまして、通産省側と大蔵省側とが、完全な意見の一致を見ておりますか。食い違いがありますか。
  70. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 大蔵省銀行局長とけさ話合いをいたしたのであります。今申しましたようなケースを、何らかの形で救済——救済と申しますか、措置をする必要があるという点については、大蔵省と意見が一致しております。具体的にいかなるケースが起つて、いかなる場合に、いかなる範囲において措置する必要があるかという点につきましては、大蔵省で、事務当局はもとより、日本銀行とそういうところをお打合せ中でございます。従いまして大蔵省で近くこの範囲のものについて、かような措置をとるという案ができるはずでございます。それを拝見いたしまして、なお打合せをする必要があれば打合せをしますし、その案でよければ、その案を至急に実施してもらいたいということになつております。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 意見の一致を見ているということは、仕事を進める上においてまことにけつこうなことだと思いますが、私も実は銀行局長と話合つてみたのです。それでその銀行局長の意見は、私の考えから行くとまことにおざなりであつて、ほんとうに業者を指導、育成する立場にあるところの通産省の方が、これと意見が一致したということになりますと、まことに心さびしい思いがするわけなんですが、いわば通産省としてはもつと強力に押していただきたい、こういうことなんです。具体的に言いましよう。今お話のありましたような福井の震災の折のような、ああいうものを適用してもらう、あるいはほんとうに流してしまつたものについては保険金もかかつているでしよう。ところが保険金のかかつていないものもございます。いろいろケースはありましようけれども、それを今ここで石炭についてあれほどりつぱなものをつくり、これを要望するということになつておりますので、あれと同じ程度に、この物件についても救援策を施してもらいたいということが第一点。  第二点は、早急を要することでございます。手形が落ちぬで、交換所へまわつてしまつておふれが出てからでは手遅れなんです。これだけは恐れ入りますけれども早急にやつていただかなければ、せつかくの親心が効果を発生しない、こういううらみがありますので、これから慎重審議し、これからよく研究してとおつしやいますが、それをなるべく一日も早く救いの手が、困つている方々に伸びるようにしてもらいたい。そこでその期日を、通産省としては一体いつごろと目途を踏んでいらつしやいますか。
  72. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 お答えいたします。ただいまお話がございました石炭と同様の対策という御趣旨でございましたが、御趣旨としては了承いたします。しかし石炭被害地における被害復旧ということにも問題がございますので、今回は、今問題になつておりますのは、罹災地以外の主として決済関係でございます。まつたく同じということは困難かと思います。御趣旨の点、できるだけきような罹災地外の人で、今回の災害が原因でいろいろ決済手段に困るとか金融上困難をしている場合に、救済をすると申しますか、しかるべく措置を講ずるという点につきましては、できるだけの努力をいたしたいと思います。ただいまお話のございました、どの範囲措置を講ずるかという点については、あるいは銀行当局が言つております点が、御不満だという御趣旨であるかと存じますが、その点もできるだけ——つて福井等でやつた例もございます。福井の場合は、まさに今回と同じようなケースであろうと思います。できるだけかような趣旨でいたしたいと思います。  なお最後の早急にという点は、まことにごもつともでございまして、われわれとしてはできるだけ早くいたします。大蔵当局といたしましても、これから調査をするということではございませんで、具体的にどの範囲対象についてどういうふうにするかということを、今日銀と打合せ中でございまして、できるだけ早く実現いたすように努力いたします。
  73. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこが見解の相違と申しましようか、希望の相違と申しようか、できるだけ早くということは大蔵省も一致しておる。ところがどの程度範囲にとどめるかというところでございますが、私は被害を受けたものは、全部大なり小なりすべきではないか、ただそれが一千万円の被害を受けたから一千万円ということはできないでしよう。一千万円被害を受けたものに、かりに十万円にしても百万円にしても、援助をするならするということは、これは論外として、範囲被害を受けたものが全部ということであつて、私は通産省としてウエートを置くべき点はほかにあると思う、どういう場合かといえば、これに便乗して悪徳の連中が、いやおれの方も送つておいたのだ、送つておいたのだが流れたんだという、うそのケースを持出すということがあり得ると思うのです。過去にもそういう例があるのです。それを確かめるだけがウエートであつて、ほんとうに被害を受けたものについて、お前の方は延ばしておくとか、お前の方は少いからどうということは問題外だ、こう思うのです。その程度にやつてもらいたい。大蔵省の方としては範囲をどうして、金額をどうして、期日をどうしてと、まことにこまかくてけつこうでございます。そういうところに主力を注がずに、これに便乗したか、しないかというところに境を置いて、真実に被害を受けた者、直実に手形に困つておる、その原因のおかげで手形に困つておるものについては、できるだけ早くやつてもらいたい。そこが見解の違うところなんです。その点は通産省としていかがでございますか。
  74. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 私も非常に具体的な問題になりますと、詳しくございませんでわかりませんが、御趣旨のように、この風水害を原因といたしまして、金融あるいは決済の場合に非常に困難を来しておるという場合に、できるだけそれを広範囲に救済手段を講ずることはまつたく同感でございます。ただいまお話のような趣旨でできるだけ完全に実施ができるように努力をいたしたいと思います。
  75. 大西禎夫

    大西委員長 それでは農林省の係官が来ておりますから、齋木君。
  76. 齋木重一

    ○齋木委員 昨日私が通産当局質問いたしました肥料の問題であります。カリ肥料の問題で通商局長は二方五千トンの原鉱石を輸入したということを言明されておりますが、この原鉱石の輸入の割当そのものに対しては、農林省は、毎年々々繰返すところの風水害等が一再ならずあるのでありますが、それを見込んで水害等に対するところの応急的な肥料としてのカリ肥料、これらを通産省に対して申請をして輸入の割当をもらい、それをもつて生産をして配給しているかどうかということをまず一点聞きたいのであります。
  77. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 農林省といたしましてはそういうふうな災害も見込みまして、毎年申請をしておるのでございますが、ことしは年の初めから例外的な気象でございまして、需要が非常に旺盛になりまして、そのためにカリ肥料がうんと消費されるということになつたのでございます。それで需要がそういうふうに多くなりましたものですから、現在非常にきゆうくつになつておりまするが、この今回の水害に対しましては、緊急な措置等いたしまして、三万トン特別輸入をするということにしておる次第であります。
  78. 齋木重一

    ○齋木委員 三万トンはいつ入つてどういうことになるのですか。
  79. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 三万トンにつきましては、八月の中旬から入る予定にいたしておるのでございますが、それでは今の緊急のカリの需要には間に合いませんので、現在の九州水害用といたしましては、全購連に手持ちいたしておりますもの一千百トン、それからそのほかに化成肥料の製造業者の手持ちいたしておりますものを特に九州災害用として四千二百トンぐらい出してもらうということにしまして、五千トンほど緊急に手配いたしまして、今週中にでもこの方にもし鉄道がうまく行きましたら送りたいという予定でおるわけでございます。
  80. 齋木重一

    ○齋木委員 福井県を対象として考えても約四千町歩ぐらいの被害だということになつております。これらに対しては、各方面調査いたしましたけれども、私はこの原鉱石輸入に対しては、これは通産省も関係あるのですが、これは輸入商それ自体がないしはまた生産工場自体が、こういうような災害を受けた場合に、売り惜しみをやるというところの傾向が濃厚に私どもには見られるのであります。これらに対して、生産工場なり何なりに対してはきついところの放出の方法を農林省は講じておるのかどうか、こういうことをまず一点聞きたいのであります。方々において、また横浜等においてもあつたらしいのであるけれども、ただないというので、痛いところへ針をさすように、百姓がほしいのを見ていて、そうして価格つり上げを待つて放出しようというところの傾向が濃厚にあると私は思います。これらに対して農林省といたしましてはどういうような手を打つているのか、これは早急にやらなければならない問題であります。今水浸しのところにカリ肥料をやらなければ立ち上ることができない。すなわち食糧増産と申しましようか、お米の生産に重大なる関係があるのであります。これらは農林省が専門的に十分おわかりのことと思います。今三万トンどうする、こうするといつてもなかなかできるものではないと思います。それに対して五千トンくらい九州地方にだけやつたところでなかなか十分に出まわりが行かないと思いますが、そのほかに水害等がたくさんあることは報告は皆さんも受けていらつしやると思う。福井県等においては一千トンどころではない。一袋のカリ肥料もないという痛切な叫びを私どもは聞いている。これらに対して全購連なり何なりに手配して配給したかどうかということを聞きたいのであります。
  81. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 各メーカーの手持ちにつきましては、農林省は早速調査をいたしまして、メーカーの手持ちの中から特に災害用といたしまして供出をしてもらうことにいたしまして、それで五千トンほど出してもらうということにきめた次第であります。
  82. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して。カリ肥料でございますが、私もカリ肥料の必要を迫られましたのでずつと会社を調べてみたのです。そうしたら会社は全部手持ちがないという返事だつたのです。それであなたが今おつしやいましたように、全購連にあるからそちらに行つて聞いてくれと、どの会社でも一様にそう言つたのです。ところがきのうこちらで話を聞くと、ちやんと原鉱石は手当がしてあるが、管轄は農林省の方だから農林省に聞いてくれという返事だつた。そこであなたのいらつしやるのを待つていましたというわけです。そこで会社としては事実持つておるのかいないのか、今同僚議員の言つたように、売り惜しみをして値段をこの際つり上げるためにあたためておるのではないかという点が第一点のお尋ねであります。もし全然な上とするならば、外貨割当をもらつて入れた原鉱石からできていたカリはどこに消えてなくなつたか。今の全購連の手持ちの量と原鉱石の量とを比較してみますと、どこかにたくわえられていなければならないはずなのに、ないのです。私は全部会社を調べたのです。うそじやありません。たつた十トンだけでもいいと言つたところが、十トンはおろか五トンもない。五トンもなければやむを得ない、一トンでいいと言つたところがそれがない、私は買手になつてつたのですが、それがないと言うのです。そこでそれじややむを得ぬから一ぺんはつきりと調べてみようということになつたわけです。お宅はよう御存じでありましようけれども、今カリ肥料の必要なのは九州だけではありませんよ。そうでしよう。御存じの通り一週間も稲が水浸しになつておれば二止めい虫がわきますよ。そうし先ら供出どころの騒ぎではない。昨年だつて水浸しに二化めい虫が発生して、政府の予定したところの供米ができなかつた。こういう結果が生じた。九州だけに金購連の手持ちをおやりになるという話でございますが、流れてしまつたところにどんなにカリ肥料をやつても稲は実りません。そこでむしろこのカリ肥料は流れずに水浸しになつたところをよく御調査の上、ここに適当に均分配給をきれることか必要なことではないかと思うわけです。そこでさつきの第一点とそれから配分の方法についてどのような計画を立てていらつしやるかということを承りたい。答弁のいかんによつてつて質問いたします。
  83. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 各製造会社におきましてカリ肥料があるかないかということにつきましては、私らの方で調査いたしまして、それであるものにつきまして五千トンから出してもらうという措置をとつたわけであります。  それからカリ肥料は、御承知のように日本で製造するのとは異なりまして、製品そのものを輸入するという肥料でございます。それで製造会社で製造するというのではなくて、製造会社でそのカリ肥料を原料にしまして、化成肥料をつくる。そのカリ肥料を特に取上げるということになつておるわけであります。それで日本の各地におきましてカリ肥料が必要なことは仰せの通りでございますが、これにつきましてはもうすでに六月にフランスの方の船が出ておりまして、八月の十日ごろに入つて来る予定になつておるのであります。そこでカリ肥料は御承知のように追肥でも間に合いますので、入つて参りましたならばそれを早く全国に配給したい、かように考えております。
  84. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると農林省の方が、御調査なさいましたら五千トンどこかの会社から出て来た、こういうことでございますか。
  85. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 そういうことでございます。
  86. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうなると消費者が金を持つてお願いに行つたときにはないと言い、政府の方がどういう力か知らぬけれども、その力をもつてお調べになると出て来る、こういうふうに解釈してもよろしゆうございましようか。あなたのことを質問しておるのじやなくして、対メーカーなどの態度について質問しておりますから、あなたはそのメーカーの態度をどうお考えになるかということを聞きたい。
  87. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 このメーカーの方におきましては、実はカリ肥料をつくるメーカーではないわけでございます。メーカーでも消費者と同じようにそのカリ肥料を需要しておるところのメーカーなんでございます。それで特に需要者ではございますが、政府としても出させたということになつておりますので、メーカーのところへカリ肥料を買いに行きましてもなかなか売らないのじやないか、かように存じております。
  88. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうなるとおかしいですよ。通産省は原材料に対して外貨資金の割当をやつたということを昨日も言つたのですけれども、そうするとあなたは肥料メーカーは同じ消費者だとおつしやつたのですが——これは何もあなたを攻撃したり、政府を攻撃したりするのじやないのですから、正直に答えていただきたい。そうすると日本の肥料メーカーは、カリ肥料の消費者と心得てよろしゆうございましようか。だから売らないとおつしやつた……。
  89. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 結局需要者になるのじやないかと思います。
  90. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 トンネルしてくぐつて来るでしよう。そこをくぐつてほんとうの消費者に渡るのでしよう。
  91. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 そうです。そのカリ肥料とたとえばアンモニアとか燐酸とか、そういうものを結合しまして化成肥料をつくりまして、それが消費者の方へ配給されるということになるわけでございます。
  92. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうすると結局材料はなるほど消費者に違いないけれども、でき上つたところの化成肥料というものはやはりメーカーでしよう、そうじやないですか。見解の相違だとおつしやれば別ですけれども……。そうすると別な言い方で言いますと、日本の政府が外貨資金の割当をやつて、買つて来たものは立ちどころに全購連に渡ると考えてよろしゆうございましようか。そういうケースになつておるのじやないですか。
  93. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 それはおつしやるように両方あるわけでございます。インポーターから全購連へただちに入つて来るものもあるが、またインポーターがその工場に売るという場合もあるわけであります。
  94. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今の話は完成品の場合でしよう。
  95. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 完成品の場合です。
  96. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 全購連へ着くのは直接稲にまけるものの場合なんでしよう。
  97. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 しかしカリはみな完成品なんです。全然手をつけてない……。
  98. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは観点をかえてお尋ねします。それだつたら外貨の割当をなぜ政府は肥料メーカーにやるのですか。きのうの話と食い違つていますよ。
  99. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 メーカーにはやらないはずでございますが……。
  100. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 どこへ一体やるのですか。
  101. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 輸入業者です。
  102. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その輸入業者から直接にカリについてはすべて全購連に行くのですか。
  103. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 全購連へ行く場合と、カリ肥料を原料にしまして硫安などとくつつけましで肥料をつくるものとか、あるいは配合をするものとかそういうふうなところへも行くわけでございます。
  104. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。そうするとこういうことなのですね。あなたはそういうことをおつしやるから言うのですが、外貨割当が輸入業者に行つて、輸入業者が輸入したものの一部は全購連へ直接行つてしまう。但しこれと化合させてつくる何がしのものはメーカーの方へ行く。そのメーカーから今度は消費者の方へ渡つて来るのだ、こういうことですね。
  105. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 そういうことです。
  106. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうするとその立場でお尋ねいたします。それだつたらメーカーの方に全然ないということは言えないはずですね。
  107. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 一言えないと思います。
  108. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 全購連にはあつたけれども、メーカーの方には全然ないということはあり得ないはずですね。しかしあり得る場合がある。それは売つてしまつた直後であればね。ところがつい最近外貨割当をやつてつておるというお話がきのうの記録に載つておる。ところがメーカーに尋ねてみたら全然なかつた、こういうことなのです。一トンもなかつた。今度の場合ですよ。だからといつてあなたの責任を追究するのではない。その事実を知ればそれで事は足りるわけなのです。メーカーが割当を受けて持つているはずにもかかわらず、それが化合されたか、姿はかわるでしよう、成分もかわつて行くでしよう。しかしいずれにしてもカリに関するものがあつてしかるべきであるにもかかわらず、消費者がこの際緊急でほしい、この際やらなければ困るというときにもなおそれがなかつた。この事実を遺憾ながら認めざるを得ぬ、こういうことになりますね。
  109. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 そういうことになるのでございますが、そのために特に出してもらつて配給することにしたのでございます。
  110. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。それだけ聞けばいいのです。
  111. 齋木重一

    ○齋木委員 どうもあいまいで私ども納得が行かないのですが、五千トンのものを手配したことは最もけつこうだと思うが、福井県等に対しての割当は、県購連を通じて五月二十九日から六月二日にかけての水害に対して要求があつたものに対して割当をやつたのです。あなたの方でお手配をした面に対する調査はどうなつておりますか。
  112. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 肥料は今割当制度でなくなつておりまして、入つて参りましたものが自然に全購連とかあるいは商人を通じまして農家の手に買われているということになつておるわけでございます。それで特に割当てるということはないわけでございますが、特に災害のはなはだしい場合には、政府が乗り出しまして、強制的にでも取上げてそれを配給するということを特別のケースとしてやつたということでございます。
  113. 齋木重一

    ○齋木委員 この水害に対しては特別な手当をやつていて、要求された被害に対しては、それでは福井県の購連その他を通じましてそれはない、ないから苦労してわれわれのところまで来ているので、それに対する対応策としては、何ら福井県の県購連からあなたのところに要求はありませんかどうか。
  114. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 その方のお話は承つておりますので、私たちの方としましては、緊急に輸入したいということで、特に追加の外貨わくを割当ててもらいまして、そしてそれによつて八月の十日ごろには入つて来るということになつておるわけでございます。
  115. 齋木重一

    ○齋木委員 幾ら福井県へ処置したか、お知りならばお聞きしたいと思います。
  116. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 八月に入つて来ましたならば、十分全国の八月の需要はまかない得る、かように存じております。
  117. 齋木重一

    ○齋木委員 八月の需要はまかなえるのじやなくて、五月、六月に起きたものの需要がまかなえるというのじやないのですか。天災というようなことは予想できない。八月までにまた起きるかもしれない。そういうような被害が起きるかわからないのだが、八月までは絶対に水害等が起きないという保証つきでそういうことをやつていらつしやるのかどうか。
  118. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 その点は、実はカリの需要が今までで一番多かつた時分、それは戦前でございますが、その時分に年間三十五万トンでございました。ところがそれ以後戦争もありましたし、だんだん減つて参りまして戦争中はほとんどなかつたのでございまするが、戦後またふえて参つておるのでございます。しかしながら、大体今までの経過から申しまして、年間三十万トンあれば十分だというふうな見通しでやつておるわけでございます。ところで本年は例外的な気候でございまするので、特に十万トンふやしまして、四十万トンの需要を考えまして、それで輸入を手配しておるようなわけでございます。それで入つて来ますにつれて全国の県連とか、あるいはその他業者を通じてその方の手に渡つておるということになつておりまして、今まで特に貯蔵をいたしまして配給するというふうな制度になつておりませんので、今全国的にはカリの需要が急激にふえて参りまして不足を来しておるということになつておりまするが、これは間もなく解消されるというふうに存じております。
  119. 齋木重一

    ○齋木委員 一応丁承するが、今度の五千トンの問題はどこの工場なり、どこの商人なりに手持があつたのですか、お聞きいたしたいのであります。
  120. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 全購連の手持としまして千百トン。それから化成肥料の製造業者で、日産化学とか日東化学あるいはラサ工業、住友化学、石原産業、神島化学等の会社にございまして、これから、出させたような次第でございます。
  121. 齋木重一

    ○齋木委員 八月十日には配給の見込みが確かについているのですか。
  122. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 船は六月十日ごろに向うを出ておりまするので、途中で船が難破したりしない限りは、こちらへ入つて来るようになつております。
  123. 齋木重一

    ○齋木委員 九月十日に配給になる見通しは、確実なる言質を得ましたが、人件費の問題で通産省に伺いたいのですが、通産省の者がいないようですから、この点は留保いたします。
  124. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本日はこの程度にいたし、次会は明後日午後一時より開会いたします。  なお明日は午前十時より経済安定委員会と連合審査会を開会いたしますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時六分散会