○笹本
委員 会期もだんだん迫
つて参りましたので、この際
大臣に対し、議事進行に関して発言をしたいと思います。
戦前戦後を通じまして
大臣が更迭いたしますと、よく車中談等によ
つて自分の抱懐するところの政見を発表するのであります。ところがそれが二月、三月たつうちに、事務当局との
関係で蹉跌を来しまして、それがみんな反古にな
つてしまう。この
委員会の始まつた当初におきまして、
委員から
通産大臣に対する抱負いかんという
質問が出たのに対し、自分は就任そうそうであ
つて、いまだ勉強中であります。いや、それは
大臣としての、政治家としての
通産行政に対する
意見いかにと言われましたが、これに対しても目下勉強中であるという
答弁で、まことにたよりなか
つたのであります。ところが、休会明けのこの
委員会におきましては、
大臣は実にりつぱな、そして慎重に研究された政策を発表されて、非常に力強く感じたのであります。どうかその発表されたことをそのままひとつ実行に移して、
日本再建のために推進していただきたいのであります。
私はこの本
委員会の化学肥料に関する小
委員会の
委員をや
つております。そして休会中におきましても、
関係官庁あるいはまた消費者、企業家、あらゆる方においでを願いまして、いろいろと
意見を聞き、なお自分としても勉強いたしました。ところがその結論といたしましては、なかなか広範囲になります。あるいは電気とかあるいはまた
石炭、金融の
関係とか、利子とか、税金あるいは労働問題等、その波及するところは非常に大きいのであります。従
つてこれらの化学肥料の値を下げるということも総合的の施策をも
つていたさなかつたならば、とうてい化学肥料の値を下げる二とはできない。
日本がかくのごとき敗戦に追い込まれたというのはいろいろな事情がありましようが、つきつめて言うと総合学、つまり総合行政、総合技術、総合施策、たとえて言いますと軍需生産についても当時の陸軍、海軍及び軍需省が互いに言いたいことを言い
合つて、それを総合することができなかつた。そこにおいてかくのごとき結果に
なつた。これなどその最もよい例であります。
大臣は経審の長官もされており、そこに総合的に施策を進行していただきたい。
次に、
大臣にこの際希望したいことは、戦前の内閣の形体を見ますと、総理
大臣があ
つて、内務
大臣が副総理格で、外務、大蔵というぐあいにな
つてお
つて、商工
大臣は伴食
大臣とい
つて一番末席にお
つたのであります。ところが戦争に負けまして、戦後におけるところの内閣の
責任というものは、
日本を再建するにある。そうしてみますと、物動を扱うところの
大臣、つまり生産を上げて
輸出を増し、
国民の生活の充実をつかさどるところの
通産大臣が内閣の中心でなくちやならない、副総理でなくちやならないと私は思うのであります。この意味におきまして
大臣は、よく内閣の副総理であるという気魄と自信とを持
つていただきたい。承るところによりますと、
大臣は、吉田ワンマン総理に非常に信任が厚い。あなたの気魄と非常なる信念の強いことが買われておるのであります。そこで吉田総理に当り、また大蔵
大臣は前任の
通産大臣でありますから、これともよく折衝しまして、強力なる推進をしていただきたいのであります。さいぜんも
川上先生が烈々たる
質問をされておりましたが、国
会議員は言うまでもなく
国民の
代表でありまして、
日本再建の
責任を持
つて、有権者の輿望と信頼とをにな
つて、ここに当選して来ておるのであります。わが改進党も特にこの政局及び民生安定を強い政治信念といたしまして、
政府の諸提案に対しましては、
国家的、大局的の見地より是々非々の態度をと
つておるのであります。従
つて通産省から提案される諸方策に対しましては、忌憚なき論評、追究を加えますが、これは今申し上げましたるごとく大きなるところの
国家的見地よりするものであります。今の
川上委員の質向のごときも、やはりいかに
国家を再建するかという熱情から出ておるのであります。
大臣におかれては、どうか躊躇逡巡することなく、勇敢に、腹蔵なく自分の御所見を開陳し、も
つて国民の熱望するところの通産諸政策を推進されて、われわれとともに邁進されんことを切に望むのであります。
たとえば
石炭の問題でありますが、
石炭のごとき問題も、中小炭鉱の人の一部がもうけたという小さい事実に何の臆することもなく、現下
石炭問題の重要性を強く主張されるとともに、長期需給計画あるいは縦坑のごとき開発を促進することにこれが万全の策を講じていただきたいのであります。
五箇年有半の吉田内閣における
通産行政を見て参りますと、さいぜん私が申し上げましたるごとく、すべての
日本の再建は、副総理たるあなた
通産大臣にかか
つておることは大である。その
通産大臣を参議院の懐柔の
関係とか、いろいろな
関係で、短かきは二月あるいは半年というように更迭しておる。今ここに
委員の皆さんが来ておられますが、吉田内閣以来の
通産大臣の名前を言
つてみろと言われても、おそらくは言えないであろう。それくらい更迭しておる。先般の
委員会あたりにおきましても
通産省の汚職事件、スキャンダル事件がいろいろ追究せられておりますが、そのように
大臣が二月、三月でごろごろかわらされておりましても、今日
通産行政が曲りなりに来たということは、あえて
通産省の官僚をほめるのでありませんが、幕僚あるいは官僚が他省に比べて優秀であつたということが言えるのであります。ただ惜しむらくは齋木先生からもお話がありましたごとく、繊維政策のごときも、あの戦争によ
つて、アジア全域におきまして物がなく
なつた。そのときに海外から
日本の繊維が非常に好評であるというと、単に
輸出を奨励するばかりであ
つて、これに対して長期にわたり、大局的に立
つて、この施設の改善とか、あるいはまた生産コストの合理化といつた遠大なる総合的政策が立
つておらなかつたということはまことに遺憾と思うのであります。今後はあくまでも
川上先生のおつしやつた
通り、中共の情勢にしてもあるいは
アメリカの情勢にしても、国際情勢、世界の大勢とにらみ合せまして、今日はソビエト圏内以外には大公使館あるいは在外事務所またジェトロというものがあるのであります。これらとにらみ合せまして、そうして国内の生産と需給、量と質との改善、世界市場の需給調整と総合判断によりまして、基本政策をぜひ確立していただきたいと思うのであります。繰返して申し上げまするが、
通産行政こそは、わが国再建に直結するところの重要なる任務を持つものであります。当
委員会におきまして、
委員の皆さんは、その自覚と職責に立
つて議論を交え、審議を進めているのであります。自由党の方にはなはだ何でございまするが、
委員長も非常に苦慮しておるのであります。私は一回もこの
委員会を休んだことはありませんが、自由党の良識あるところの当
委員会の人たちは、出席がどうしてこう少いのだろう、
大臣の御出席が少いので、他党の人たちに対して何のかんばせがあるかという状態じやないか。自由党のこの
委員会の人は良識豊富であります。どうか
大臣、ほかの
委員会が忙しくとも、
通産行政をも
つて、
日本を再建する共同
責任を持つところの
委員会であるから、どこのことをおいてもこの
委員会にはなるべく出席をされて、そうして
大臣の熱意あるところの
意見を発表し、また懇切にわれわれの言うところの
意見をお聞きいただきまして、忌憚なく
答弁されるとともに、大胆率直に所信を開陳されることが、すなわち通産
委員会の議事を能率的に進行させるものと私は思うのであります。どうも
大臣の御出席が少いようでございます。余日もなくだんだんと期間が迫
つております。どうか
大臣は勉強されて、この議事の進行をなるべく早く推進できるように切に希望して、私の議事進行にかえたいと思います。