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1953-07-07 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       小川 平二君    小金 義照君       土倉 宗明君    坪川 信三君       馬場 元治君    笹本 一雄君       山手 滿男君    加藤 清二君       齋木 重一君    下川儀太郎君       中崎  敏君    始関 伊平君       川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (通商局長)  片場 信彦君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦澤 大義君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月七日  理事村上勇君の補欠として中村幸八君が理事に  当選した。 同日  伊藤卯四郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 七月六日  陶磁器産業振興に関する請願早稻田柳右エ門  君紹介)(第二七八〇号)  信用協同組合育成強化のため障害除去に関する  請願外二件(淺沼稻次郎紹介)(第二七八一  号)  同(稻村順三君紹介)(第二七八二号)  同(和田博雄紹介)(第二七八三号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第二七八四号)  同(猪俣浩三紹介)(第二七八五号) の審査を本委員会を付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  小委員会における参考人より意見聴取の件  通商産業政策基本方針に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入りまする前にお諮りいたします。理事でありました伊藤卯四郎君が委員を辞任せられ、再び委員に選任せられましたので、伊藤卯四郎君を再び理事に御指名いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさよう決定いたしました。  次に伊藤卯四郎君は石炭に関する小委員でありましたので、再び伊藤卯四郎君を石炭に関する小委員に選任いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。  次に理事村上勇君より理事辞任の申出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。  つきましては理事補欠選挙を行いたいと存じまするが、理事補欠選挙は先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ中村幸八君を理事に御指名いたします。
  7. 大西禎夫

    大西委員長 それではこれより通商産業政策に関し質疑の通告がありまするから順次これを許します。川上貫一君。
  8. 川上貫一

    川上委員 同僚委員の御質問もたまつていると思いますので、私は中日貿易を中心としたことで二、三の、質問大臣にしたいと思います。簡単に聞きますからどうか簡単に要点を答えてちようだい。それから私は大臣に聞くのでありますから、ほかの人は返事をせぬように、大臣でわからぬことはわからぬと言つてもらいたい。  まず一番最初に山梨県の蚕糸業県代表香港に渡航することを申請したのが不許可になつたのでありますが、あれはどういう理由で不許可にされたのか、これをお伺いいたしたい。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私今あなたから初めて伺うのでありまして、存じておりませんです。
  10. 川上貫一

    川上委員 山梨県の蚕糸業県代表が、山梨県の蚕糸業がつぶれるというので、できるだけ中国との貿易をしたいというので、香港への渡航を申請した。それが許可にならぬ。それを通産大臣は知らぬ。これは私はおかしいと思う。日本蚕糸業、これは重要な問題、全体の経済に関する問題だ。しかも中国との貿易はとめてある。ほとんどとめておるのだ。これは通産大臣権限でとめておる。こんなことをしておいて、そして県代表が、これはたしか県会で決議しておると思う。そうして言つて来ておると思う。私に誤りがあればこれは訂正しますが、私はそう理解しておる。そしてそれはわれわれの方に陳情も来ておる。ところがこれが許可にならぬ。しかしこれはお知りにならぬならよろしいのです。いくら言うてもしかたがないから、ひとつ調べておいてもらいたい。  第二の問題は、樺太炭五十万トンの輸入の問題がありまして、その時分に石炭向け外貨予算を六〇%削減しておる事実があると思うのです。これはどういうわけでこんなことをやつたのか、これをお聞きしたい。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 樺太炭輸入につきましては、私聞いておつたのでございますが、これはまだはつきりと契約が成立しまして入つたものとは、私の今の考えでは思つておりません。もしも樺太炭が入りますならば、それとメリツトをかみ合せまして、そうしてそれだけ粘結炭輸入をほかの方面でやめて、すなわち外貨節約に資しよう、こういうことで、六六とかの勘定であると覚えておりますが、樺太炭が一トン入りましたら、ほかの方面から入る同性質石炭を六六減らして外貨を割当てるということになつていますが、政府委員に私聞いてもよろしゆうございますか。私からじかに言えとおつしやるのですが。——やはり私の考え通りでありまして、もし樺太炭が入りましたら、メリット計算上六六ですか、減らす、こういうことになつております。
  12. 川上貫一

    川上委員 樺太炭は入るのですか、入らないのですか。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 入るような商社の動きがいろいろあつたのでございますが、ただいまどうも売れ口が悪いとかいうので、これをどうしようかといつて、まだ躊躇しておるのじやないかと私は考えております。
  14. 川上貫一

    川上委員 通産大臣はどうなのですか、できるだけ入れた方がいいと思うのですか。
  15. 岡野清豪

    岡野国務大臣 樺太炭バーターで入るものでございますから、バーターでもし入つて日本の方で切りかえて行けるならば、やはり外貨節約になりますから、少くとも日本で需要の範囲内並びに日本の立場を欄乱せぬ程度におきましては入れてよろしい、こう考えております。
  16. 川上貫一

    川上委員 この問題はあとですぐ出て来ると思いますから……。中国向け亜鉛板や肥料や工作機械をなかなか許可しておりません。これはどういう理由でなかて許可しないのか。
  17. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは、御承知通りに、日本国連協力の線に沿うて貿易もやつて行くということになつていますので、国連協力関係上、制限物資がございますから、その制限物資の中に入つておるので許可ができないということです。しかしわれわれといたしましては、その許可制限をだんだんと緩和して行きたいと思つて、終始努力しておる次第であります。
  18. 川上貫一

    川上委員 国連協力をしておるからということですが、国連協力をして、これだけのものは輸出をとめるという、どういう国際契約があるのですか。法的の根拠はどういうことか。国際的な根拠はどういうことか。国連協力というので、日本の徳義でやつているのか。これはどちらなんでしよう。
  19. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは自由主義国家群お互い利益を守ろうじやないかという申合せのもとに制限しておる、こういうことであります。
  20. 川上貫一

    川上委員 それのとりきめは、いつ、どういう代表資格で、どこでやつたのですか。
  21. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御承知通りに、日本では被占領下時代から非常にやかましい制限があつたのでございますが、独立しましてから、やはりほかの国と同じようにやつて行こうという希望を持ちまして、十三箇国ほどが集まりまして、戦略物資について話合いをしています。そこでわれわれはいろいろ各国と話合いをし、日本の主張をしておるわけであります。
  22. 川上貫一

    川上委員 そのいきさつを文書その他で発表しておりますか。あるいは、これは国際協約上、法的にはどうなるのですか。十三箇国間でやつたというのですが、それは日本国民に対して国際法上どういう拘束力があるのですか。
  23. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはココムの十三箇国が集まつて協議しておりますが、第一の根拠は、やはり国連協力をしておるという日本平和条約に基きまして、その中に入つてわれわれは協調しておる、こういうことであります。
  24. 川上貫一

    川上委員 そういうことを聞いておるのじやないのです。相談はかつてに何なりとしたらよろしい。その協議が、国際法上どういう根拠によつて国民を拘束することができるか、これを聞いておる。相談をするのは何ぼしてもいい。
  25. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その点は通商局長からお答えいたさせます。
  26. 川上貫一

    川上委員 通商局長からは聞きたくない。この重要な問題を通産大臣がよう答えないようなことで通産行政ができるか、これがわからぬようなことでは……。これは根本問題ですよ。一体日本経済が困つておるのは何で困つておるか。中国との貿易をとめたことで一番困つておる。あなたは大阪出身でしよう。大阪の商人やその他がいかに中日貿易を要求しておるかわかつておるはずです。これをとめた根本を聞くのです。これについて申合せするのは政府のかつてです。しかしそれが法律上いかにして国民を拘束することができるかということです。それは私には言えぬというが、それでは通産大臣というものはなくても同じです。ほかの人の意見は聞きたくない。私は通産大臣根拠を聞いておるのです。何も法律のことを聞いておるのではない、通産大臣が真に日本経済のことを考えておるかどうかということを聞いておるのです。
  27. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、国連協力ということは言えましよう。これは平和条約によつてうたわれている通りでございます。われわれもそのつもりでおつて、その線に沿うて通商産業省で輸出管理令というものをつくつて、それによつてつております。
  28. 川上貫一

    川上委員 そうすれば中国貿易制限国連協力をするという道義上の問題で、国際的の義務は何もない。これが一点。この禁輸の責任通産省通産大臣政府が持つておるのであつて、とめるのも出すのも政府限りの考えであつて、何も国際的な関係一つも受けぬ、こう解釈してよろしゆうございますか。
  29. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。国際協力ということは、これは私は当然国際協約上の義務でございますから、われわれは国家として拘束されると思います。その国際協力の線に沿いまして通産省輸出管理会によつてこれをとめておる、こういうことでございます。
  30. 川上貫一

    川上委員 そうすれば、いろいろ事情かありましてとか、アメリカの方と打合せなければならぬとかいうことを公式、非公式の場合によく言われるが、こういう義務一つもないのであつて中国貿易をとめておるのは通産省が自由に、かつてにとめておる、こう解釈してよろしいですか。
  31. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は通産省がかつてにしたということにも割切れないのです。むろん通産省の省令で出してはおりますけれども、しかし国連協力ということが日本最高国策としてきめられております。その根拠はどこにあるかといえば平和条約にある。そこでその点に対しましてわれわれといたしましてはこうするのがよい、同時にこれをコロムでお互いに協議し合いまして、そうしてできるだけこれを緩和して行こう。これは自主的にやることであります。そうして新聞に……。
  32. 川上貫一

    川上委員 もうよろしい。時間がない。そういう答弁ではいかぬ。私の聞くことと違う。国連協力ということはよろしい。私はよくないと思うが、そのことだけは認めます。そうだろうと認める。しかし国連協力しておる国は日本だけではない。ほかの国にも一ぱいある。国連協力するということだけで中国並びソ同盟に対する貿易承認、禁止ということを政府というか、通産省がやつておる。このことは国際的には何らの関係義務もない、道義的には別として、法的にはない。ただ日本政府が自由自在にとめたり出したりしておるのかということを聞いておるんだ。このことなんです。
  33. 岡野清豪

    岡野国務大臣 われわれといたしましては、国際的の義務によつてそういうような制限をしている、こういうことでございます。
  34. 川上貫一

    川上委員 国際的の義務ということで、ある特定の商行為を通産大臣あるいは通産省、その他日本政府のところでかつてにやつておるのですか。ここは大事な点ですからはつきり答えてもらいたい。たとえばアメリカに対してこういう約束がある、またこういうような協約もあるのだ、そこでこういうことがあるのだから、日本政府としてはやりたいけれどもできないというのなら、是非善悪は別として、りくつだけは通るのです。ところがそんなものは何にもない。国際協力だけでやる、自由国家との協力だけだということになれば、つまり中国との貿易承認、不承認ということは、その時分時分政府がかつてにきめる。こういう解釈でよいかという、ここをまぎらわさぬように、まわりくどくなくて、はつきり聞きたいのです。日本政府責任でかつてにやつておる、こういうのか、国際的に法的義務があるというのか、どつちなんです。
  35. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、根本の思想としましては、日本国連協力という責任を負つております。しかしやつていることは自主的にやつておるのであります。それで政府はその自主的にやることを、通産行政でありますから通産省がやつている、こう品いうことであります。
  36. 川上貫一

    川上委員 そういたしますと、中国との貿易MSAによつてとめられるのではないかという質問に対し、今でもちやんととめられておるのだから、MSAを受けても、これ以上のことにはなりませんという答弁は、これはどういうことになりますか。私の聞いてまるところは、今でもとめられておるのだからという点を聞いておるのです。ほかのことじやない。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ほかのMSAを受けている国におきましても、やはりそれによつて今の程度輸出はできておる。それから日本といたしましては、MSA中国へ入る品物の緩和ということとは直接関係も何もございませんで、われわれは、MSAがかりに何かの形で入るとしましても、これ以上制限を受けるということはございませんし、またココムにおいてわれわれは常時不断の努力をしまして、制限物資緩和に努めておりますから、緩和の方向に向う方が多い、こう考えております。
  38. 川上貫一

    川上委員 通産大臣もたびたびいろいろな大臣をしたので、なかなかうまいことを言うことが上手になつておる。私の聞いておるところは違うのだ。ほかのことを答えておる。そんなことではだめなんです。そうすると、今でもとめられておるからこれ以上ならぬという、今でもとめられておる、それを聞いておる、それはどういうことか。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今とめられておるということは、これはココムの間でお互いに話し合つて、そうしてこういうふうにしようじやないかという線に沿うてやつているのですから、これは関係ないわけです。
  40. 川上貫一

    川上委員 お互いに話合つておるものは、国民を拘束することはできないのです。ここを聞いておる。政府お互いに話をしておるということで国民の権利を阻害されては困ると言うのです。国際的な協約があるとか、あるいは条約があるとか、交換文書があるとかいうことになれば、是非善悪は別として、これは拘束され得ることはあるのですが、何もないのです。相談しておるのだからやらなければならぬというようなことを言い出したら、道理は混乱するのです。そうすると中国との貿易をとめておるのは、ただ相談づくで、政府はどこかしらぬが相談をして、それをたてにとつて海産省がかつてにとめたりあるいは許可したりしておるのだ、こう解釈してよろしいかということです。この質問に対しては、そうだとか、そうではないとかだけ答えてもらいたい。
  41. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは元へもどると私は思うのですが……。
  42. 川上貫一

    川上委員 ちつとももどらぬ。もどるような返事をあなたがしておるのです。
  43. 岡野清豪

    岡野国務大臣 しかし問題は、国際的にわれわれは条約上、また道義上いろいろの責任がある。そうして自主的に十三箇国と共同一致した歩調をもつて、自国の大きな利益を守るという意味において制限をしようじやないかという会があるのだから、それに入つて、その会の中で、このくらいのものははずしてもいいのじやないか、このくらいのものは入れてもいいのじやないかということを、お互いに一致すれば、それによつて申し合せた通りお互い歩調を一にして、これを出したり入れたりする、こういうことでございますから、私はそれでいいと思います。
  44. 川上貫一

    川上委員 そうすればほかの方から行きます。あなたはうそばかり言つておる。アメリカ大使館にシンガーという商務官がおる。この商務官通産省へしよつちゆう来ておる。これが一番よく会うのは山下事務官という輸出課の主任です。その輸出課分室というものがあるが、あそこは何をしておるのですか。これは絶対に何も関係がないとはつきり言い切れますか。  第二点は、あなたのところにリストがあるはずです。あのリストというものは、一体どのようなものですか。単に相談してやつたのか、通産省だけでかつてにつくつたのか、この二点をはつきりと答えてもらいたい。
  45. 岡野清豪

    岡野国務大臣 リストのあることは確かでありまして、これは日発表されておるそうでございます。それからシンガーとかいう方が、どこへ来てどうとかいう話、これは私詳しく存じませんか……。
  46. 川上貫一

    川上委員 局長答弁はよろしい。通産大臣はそれを知らぬという、そこに問題がある。毎日来ておるのだ。しよつちゆう来ている。これを通産大臣が知らぬ——ほんとうに知らぬのなら、通産大臣はロボットになる。一切の仕事は分室でやつてしまつておる。山下事務官がやつている。ほんとう知つてつて知らぬと言うのならよほどずうずうしい。  それからリストの問題ですが、リストはあると言われましたが、リストの種類は幾らあるのか。それから第二には、そのリストをこの委員会に今度出してもらいたい、こういうことなんです。
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 何種類あるか知りません。しかし公表しているものだそうですから、御必要なら資料として出させます。
  48. 川上貫一

    川上委員 その答弁はいかぬです。ほんまにいかぬ。このリストは、これはアメリカの押しつけたものなんです。これはAリストBリストとある。そして今度Cリストを八月一ぱいにつくれと言われて、輸出課分室でやつているじやないか。それを通産大臣が知らぬなんて、ほんとうに知らぬのならおかしい。知つているに違いない。このリスト許可する、許可せぬのもとじやないか。しかもこのリストは、日本政府がつくつたものじやない。押しつけられたものなんだ。これはひもがついておるのだ。これは押しつけられておるのか、国際協約の上に立つておるのか、交換文書の上に立つておるのかということを私は聞いた。そうしたら何の上にも立つておらぬ、日本独自でやつておるという通産大臣答弁です。このリスト日本独自でやつておるのならば通産大臣知らぬはずはない。これを知らぬなら通産大臣なんかいりません。中日貿易のもとなんじやないか。また実際に知らぬはずはないのに知らぬとおつしやるのは、これは委員会をあざむくものだ。これははつきり言うた方がよろしい。アメリカに押しつけられてしかたなしにやつておる。わしも日本人じやからこんなことはしたくないのだけれども、やむを得ずやつておるのだと正直に言うのなら、私はそのことを大阪帰つて報告をすることができる。そうでなかつたら、大阪出身通産大臣というのはこんなことばかり言うておるということは、私も大阪だからほんとうは言いたくない。これじやわけがわからぬ。ほんまに知りませんか。全然通産大臣リストが何ぼあるか知らぬですか。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 全然存じません。
  50. 川上貫一

    川上委員 ここに私は持つておる。これを知らぬという、こんな話では、私は同僚委員の諸君にも訴えたい。これが問題になつて中国貿易がとめられておるのだ。これを押しつけられておる。これを通産大臣は知らぬと言う。こんなことが日本経済を一体建直しができるか。これは私はできないと思う。日本経済根本中日貿易を開くか開かぬかというところにある。これが根本です。このことを明らかにしないでおいて、あれをする、これをするというのはから念仏、それでは通産行政などというものはできないのみならず、通産大臣資格はありません。私はこれは非常に遺憾なことだと思いますが、これ以上は申しません。  次にMSAの問題ですが、MSAを受けても中国貿易には影響はない、一向さしつかえないということを外務大臣も御答弁になつておるのでありますが、通産大臣もそのように思われておるように、いろいろな御発言で聞いておるのでありますが、そう理解してよろしいのでありますか。
  51. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私はこう考えます。MSAというものはまだ交渉が始まつておりませんので、内容はわかりません。でございますから、それが中国貿易とか日本貿易にどんなに影響するかという結論は、私は出せぬと思いますが、しかしこの間外務大臣の発表しました交換文書によりますと、日本経済には影響を与えない、こういうことをはつきり向うが言つておりますから、その日本経済影響を与えぬということは、貿易にも支障が出て来ない、こう私は考えます。
  52. 川上貫一

    川上委員 これは時間をとるばかりですから私は議論したくないのですが、MSAの問題については権限アメリカの議会にあつて政府にないということはもうこれは世界中わかつておる。いわんや一片の手紙なんかには権限もありません。この根本原則には共産圏への輸出制限という原則があるのだ、これは動かすべからざる大原則、この原則があるにもかかわらず、MSAを受けて、中共貿易にも日本経済にも関係がないとお考えになりますか。あるいはもう一つ言わしてもらえば、たつた一億ドルという金をもらうて、将来中国貿易を棒に振つても、日本経済には影響がないというようなお考えになるのだろうか、この点はどうだろうかという点をお伺いしたい。
  53. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはMSAを受けるというときの、その条件いかんにかかると思います。もしMSA日本に一億何千万ドル来るということになつておりまして、そうしてそれが日本貿易全体に非常に影響を及ぼすということなら、これは受けるべきものじやないと思います。しかしそういうことはあるかないかまだわからないので、今後の交渉にまつてわれわれとしては意思表示をしなければならぬ、こう考えます。
  54. 川上貫一

    川上委員 MSAというものの性質くらいは政府は十分に研究しているはずだ。交渉して受けてみなければどうなるかわからぬというのじや政治になりません。このMSA援助というものは世界的にきまつておる。それだけの条件がつくということはしろうとでもわかつておる。ところが専門家岡崎外務大臣などというのがおるのです。また政府はそれぞれこれを研究しておるはずです。やつてみなければわからぬというのは常套手段です。やつて国民に押しつける。そんなことと違います。MSAというものの援助のもと、これは軍事的な力を強めることと、共産圏に対する貿易制限原則です。この原則をどうして抜けるのですか。向うはこれがとれますか。日本だけとると言うのですか。そういう何か申合せがありますか。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 言葉じりをちよつととるようでございますが、受けてみて何とかというお話でございますが、受ける交渉をする過程において、日本貿易に非常な支障が起きるということなら、これを受けるべきじやない。受けないことになるからそれでよろしい。もし受ける交渉のうちに、これを受けてみても一向日本の内政並びに貿易上支障がないという見通しをつければこれを受ける、こういうことになります。この交渉の過程において断定すべきものでないと思います。
  56. 川上貫一

    川上委員 そういう答弁MSAというものの本質を国民にごまかそうとしておる。受けてみなければわからぬとか、交渉しなければわからぬとかいうものと違うということを私は言つておる。原則はきまつておる。  第二点は、政府は受けるつもりであるということを言うておる。条件が悪かつたら受けぬかもしれぬ。受けるかもしれぬが、まあ交渉してみると言うておるのじやない。受けるつもりだと言つておる。はつきり答弁しておる。研究も何もせずに受けるのですか。いよいよぶつかつてみなければ、わけもわからぬで受けるつもりになつたのか。こういう答弁ではいけない。政府委員というものはこういうことを繰返しておるのです。私はこれが日本国民に災いをしておると思うのです。ほんとうに正直に私は答弁すべきだと思う。反対の意見はありましよう。恐れることはありません。これはあるいは考え方の違う他党からは反撃を受けるかもしれません。受けてもけつこうじやないか。これを明らかにしながら慎重に審議を尽して国政をやつて行くというのが政治のやり方じやないか。だましておいて、ごまかしておいて、いいくらいにして、とにかく法案の仕事を片づけて前こうという行き方が、日本をとんでもない方へ持つて行つおる。われわれは反対するかもしれませんが、恐れる必要はない。なぜはつきりと正直に言わないのですか。中国貿易には関係します。けれどもこういう事情があつて受けなければいかぬのだと、なぜ言えないのですか。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 MSAを受けても、ほかの国ではやはり中国貿易を続けておるのでありますから、私はこのMSAをかりに受けるとしましても、そういうような欠陥は出て来ないと思いますし、同時にこのMSAを受けるについて、中国貿易並びにいろいろな貿易上に支障があるというようなことであれば、私は断つてもさしつかえないということに考えておりますので、私の考え方についてはかわりはございません。
  58. 川上貫一

    川上委員 これ以上は議論になるから言いません。他の議員さん方にも時間のじやまになりますから申し上げませんが、今後そういう答弁を私は委員会において言つてもらいたくない。これは非常に無責任答弁だ。というのは、今までは何の国際的な義務もない。何のとりかわしの文書もない。日本政府限り独自にやつておるにすぎない。MSAの援助を受けたら今度は協約共産圏への輸出制限を規定されるのです。もう問題は簡単なんだ。今までは国際的な規定はない。今度これが規定になり、条件になる。それでもやつてみなければまだわからぬと言うのですか。これは答弁じやありません。単なる言いのがれです。私はこれ以上言いませんが、願わくば、通産大臣日本通産行政を背負つておられるのでありますから、そういうような態度をするのじやなしに、是非善悪はつきりさせて、たといこれに反対があろうとも政府の所信として断固とそれを主張するだけの決心を持つてもらいたいと思う。この決心がなければアメリカに対しても諸外国に対しても抵抗することはできません。この決心がないから国民は塗炭の苦しみを受けておるのです。政府の信ずるところはたとい反対意見があろうとも、断じてこれを主張するというだけの決心があつてこそ、祖国を背負うところの力が出て来る資格がある。私はこれを特に通産大臣に要請しておきたいと思う。  その次にもう一つ聞きたいのですが、中日貿易を、これは必ずMSAで棒に振つてしまうのですが、まあやつてみなければわからぬというようなことを通産大臣は言つておられるけれども、これはそのかわりそこに政府委員の方もおられるが、良心があれば、ほんとう考えてみたら、通産大臣がこんなことを言つておるかということは、はずかしく聞いておるだろうと思う。ここではうまいことを言わなければならぬから言うておるでありましようが、ほんとうに良心があり、日本人としての根性があれば、なるほどこれはうそを言うておる。政府はぺてんだということはおそらく腹の中にあると思う。ここで顔に出なかつたら、帰つてからかわいい子供の顔を見ながら、どつちがほんとうを言つておるかということをもう一ぺん考えてみる必要がある。その根性がないということが日本の不幸なんです。日本の悲劇なんだ。大体政府がこの精神を持つておらぬということが国民の不幸なんです。中日貿易が必ずそういう制限を受けるのでありますが、そうすると政府は一体どういうことをやつて日本貿易を打開し、産業を建て直して行くのかわからぬ。われわれの考えるところでは、政府のやろうとしておるのは貿易では東南アジア主義、産業は特需とMSAに依存する、これは再軍備主義。第三には財政投資と補給金、これは必然的に軍需生産に傾斜をすることは明らかだ、独占資本の利益の引下げを考える、これはおそらく政府としては用いない。その半面に企業合理化を言つておるが、普通の形じや絶対できませんから、労働条件を下げる。それで国民が怒るから、国民を弾圧するに違いない。ちやんと保安隊というものをつくつておる。このほかに何かありますが。もつとも私が言つた以外に起死回生の日本経済の状態を挽回し、自立し、平和の産業を起す政策が何かありますか、どうするのですか。この抱負を簡単な形で通産大臣から聞きたい、どうするのですか。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはもうどなたがお考えになつても、日本経済界というものは非常に苦しい危機に立つていることはお説の通りでございます。そこでこれをどう打開して行くかということにわれわれは毎日腐心しておるわけであります。そこで今お説のように東南アジアにひとつ一生懸命貿易を伸張したいと思います。私は通産大臣としてではなしに、経審の長官といたしまして、いろいろ先のことを考えておりますが、これはいつも申し上げまするように、特需とか、MSAというものは臨時的なものである。日本経済自立ということに対しましては、どうしてもそういうものに依存することなしに正常貿易によつて日本経済を自立して行かなければならぬ、こういう考えでいろいろな施策をしておるわけであります。そこでただいまのところは非常にコスト高であつて、今後世界の不況、というのは少し言葉が大き過ぎるかもしれませんけれども、景気があまりよくない、スロー・ダウンして来る、国際競争場裡において非常に交易競争が激化して来る、それにどう対応して行くかということに対して非常な心配と努力をしておるのです。そこでいろいろの鉄鋼でありますとか、石炭の計画であるとかいうことでコストの切下げをやつて行きましようし、同時に今問題になつておりますところの輸出を、長い目ではやつて行けるけれども、目先これを建て直して行くのには間に合わない、それにはどうしたらいいだろうかということにつきまして、私は税法上の諸点、また金利とか、金融財政投資というような面でこの目先の不況を切り抜けるのに、万全の策を立てたいと考えておる次第であります。
  60. 川上貫一

    川上委員 それでは策は一つもない。コストが高いと言いますが、MSA援助を受け、兵器生産をやればこれはインフレです。特需でまかなう。その間に何とかやると言われますが、特需でまかなうことはインフレ政策です。現に今年の政府の散布超過も一千二百億円になんなんとしおる。これはインフレ傾向です。決してデフレじやありません。どんなにしてコストを下げるか、この間にだんだんコストを下げて行く方法がありますか。東南アジア主義と言われますが、東南アジアというところは、これはイギリス、フランス、オランダの植民地です。重工業は発達せず、農業革命は行われておりません。その上にあそこは西欧と、最近はアメリカ輸出の競争場裡です。それに持つてつて、もう一つ日本政府にとつて悪いことは、これはたつた二つの国を除くほかは中国と平等互恵の通商条約を結んでおります。これを結んでいないのは二つの国だけだが、そんなところへ行つてやる。これをやろうと思つたら軍需品だ、これはアメリカの後進国総合開発計画という反共の軍事的政策のお先棒をかつぐだけなんです。それでコストが下りますか。これで日本の平和産業が生きますか。何とかしてやろうと思つているということでは政策ではない。これは単なる言いのがれで、通産大臣として根本的にどのような政策を立てて、日本の平和産業と日本の国際収支の不振を打開するのかという、その政策を聞きたい。何とかやりたいという良心を聞いているのではない。良心はどつちでもよろしい。政策を聞きたい。こうするんだということを具体的に言つてもらいたい。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。政策といたしましては、五箇年後にこのくらいの自立経済を立てて行こうということを考えていろいろなことをやつております。これはこの前の通産委員会でも私の所見を申し上げた次第であります。  それから目先のこの不況を早く切り抜けるという意味におきましては、これは金利引下げとか、金融財政投資でありますとか、また税法上考慮する。また商社が非常に弱体であるから、その商社に対しては強化するような、いろいろ臨時的な税法の特別措置法も出そうとしております。  それからまたアメリカの何によりまして、東南アあたりに兵器を出そうとかいうような、いわゆる防衛に関するものを売るということは、けしからぬじやないかというお考えもあるかもしれませんけれども、しかし何と申しましても、われわれといたしましては、この際日本経済の自立のためには、相手がほしがるものはやはりつくらなければいかぬと思います。その意味におきまして、私は買手があればどんなものでもつくつて出していい。しかしどんなものをつくつて出してもいいと申しましても、これが安定して、ある程度こちらで設備を拡張しましても、それが一つの設備の償却もできないうちに受注がとまるということでは困りますから、やはりある程度の先の見通しをしまして、このくらいの受注はあるだろうと見込んでやります。  それからまたいろいろなインフレが出て来る要因を仰せになりましたが、むろんわれわれといたしましては、インフレはできるだけこれを押えなければならぬ。今度の財政におきましては散布超過として一千億円ございますけれども、これは大蔵大臣がいつも申しておりますように、金融措置によりましてこの散布超過はバランスを合せられる、こういうように申しております。インフレというものに持つて行かないように努力すると同時に、先ほど申し上げましたような考えでできるだけ売れるものを持つて行けるというような方向に運んで行きたいと考えております。
  62. 川上貫一

    川上委員 答弁一つもかわつていないと私は思う。インフレにはならないようにするとか、五箇年計画で何とかするように思つている。これが一番あぶないのです。そうではなく、こうしてインフレでないようにするという具体的なものがなければ政策にならない。MSAや兵器生産では絶対はインフレをとめることはできません。特需で生きて行こうというのであつたなら、インフレというものはとまりません。デフレにしたつてできやしません。散布超過は食いとめると言いますけれども、それは金融措置でとか言いますが、こういう政策を繰返して赤字公債を出してやつてごらんなさい。その上地方の公債のわくを広げて、これでインフレを食いとめることはできません。食いとめることができなかつたら、コスト高は直せません。買手があつたらだれでもやる。買手があつても高いから売れない。これが循環するのです。どうしても根本的に日本経済を建て直すという政策を立てなければならぬ。部分をつつついておつてはとてもいかぬでしよう。その根本のてこは中日貿易、中ソの貿易じやないですか。ここは通産大臣どうなのですか。こういうことをしておいて中国貿易せず、ソ同盟貿易せず、これでどうして建て直るのですか。ほんとうに正直なところを言つてこらんなさい。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 やつと御質問の趣旨がわかりました。問題はソ同盟並びに中共と貿易が自由自在にできて、うんと出せるようにしたらお前の政策がうまく行くのじやないか。日本において経済自立ができるのじやないか、こういうようなお考えで今まで言われておつたのだろうと今気がつきましたが、しかし御承知通りに今われわれといたしましては、自由主義国家群お互いに国を守り合おうじやないかというような平和条約をつくつてつておるのですが、その意味におきまして、国連が中共に対してああいう決議なんかしております以上は、やはり国連側に協力するのが私は当然だと思います。それからもう一つ経済的に考えますと、中共でもソ連でもちやんと国家が管理して貿易をやつておるのでございまして、われわれが第二次大戦以前に自由放任に、また非常に関係の違つた国柄同士であつたときにやつておつたような貿易に返るというようなことは私はないと思います。われわれが売らんと欲するものはなかなか向うが買わない。そういたしますともう中共並びにソ連の方面における内部の事情がかわつておるのですから、その点においては、ソ連とか中共というものと自由自在に貿易してみろとおつしやつても、私の考えではそう大した効果が上らないということは事実認めております。これは観測の違いでありますからあなたの考えと違うかもしれません。しかしこれは見解の相違でございます。
  64. 川上貫一

    川上委員 議論はしたくないから言いませんが、私の言うのは中国貿易すれば金がもうかるということを言つたのではない。中共との貿易を軽視するような政治をしておつてはどうも日本経済は立ち直らない。その根性が日本を立ち遅らせておるのだ。通産大臣はそろばん屋かもしれぬが政治はさりばりわからぬらしい。私の言うておるのはそうじやない。第二点は中国というものと大して貿易ができぬとおつしやいますが、そこでちよつと通産大臣に伺いたいのは、中国の、今度できた五箇年計画の内容について、通産大臣はどの程度お調べになつておりますか。また本年度中国はどれだけの復興をする予算を持つておりますか。これはどの程度御研究になつておりますか。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私はあまり研究いたしておりません。
  66. 川上貫一

    川上委員 もう私はこの質問は打切ります。中国の五箇年計画の研究もしないで中国は大したところではない、こういう出ほうだいなことを言う大臣があるから日本はつぶれる。何ということです。あの世界的に有名な中国の五箇年計画と、本年度百億ドルになんなんとする建設計画、鉄道計画、重工業計画、これを一つも研究なさらずに、中国というところは大したところじやないという結論がどこから出るのです。こういうむちやくちやな政治は政治にならぬと私は思う。話にならぬと思う。これでは難儀をするのは日本国民です。祖国です。こういうことで通産行政をやるなんて言われるのはとんでもない。これで八年間来られて日本はこんなことになつたのだ。私はもう一ぺん心を静かにして考えられることを希望したい。私はしやべることが目的じやない。ほんとうに国を思い、国の将来を思い、われわれの先祖が長い間搾取され、苦労され、軍閥にやられて来たのに対して、われわれの子供がこれからりつぱな日本の人間としてやつて行こうとする希望を持つておる。この責任を持つているのは政府なんだ。この政府がこういう無責任答弁をいつも繰返されて、これで委員会というものが済んでしまつて、どんどん法案が通つて、国をあげてアメリカに隷属する、これが続く限りは日本の将来はあぶない。祖国の将来はあぶない。私はこれ以上質問はしません。しませんが、願わくは通産大臣日本経済責任を八千万国民にかわつて背負つているのだという決心でもう少し勉強されたい。もう少し経済計画を立てられたい。それができぬようならばみずから省みて、みずから省みて私はこの重任をみずから解かれたらけつこうではないかと思う。言い過ぎかもしれませんけれども、私は国民にかわつてこれを言いたい。大阪でありますから同じ選挙区から出ておる。私は通産大臣個人をどうこうしようとは考えておらぬ。岡野通産大臣日本政府通産大臣なるがゆえにこれを言つておる。個人の問題ではありません。どうか私の言つたことに何らかの真理があるとすれば、御研究、御検討をお願いしたい。  聞きたいことが非常にたくさんあります。ありますが、時間をとるし、私はこれ以上聞いても無意味だと思う。もしも政府当局をいじめることによつて快しとするならばなんぼでもやります。われわれはそう思つておらぬ。ほんとうの政策を聞きたいと思つておる。これではもう聞けません。  最後にリストがありますが、このリストを全部本委員会に提出してもらうようにこれを委員長に特に要求しておきまして私の質問は一応これで終ります。
  67. 大西禎夫

    大西委員長 次は齋木重一君。
  68. 齋木重一

    ○齋木委員 私は政治は最大多数の者が最大幸福をもたらすことを基本としなければならないということが原則であると思うのであります。それに関連いたしまして、現在の政府におきまして最も重要であると思うところの、また関心を持たなければならない重大な問題は、これは石炭問題であろうと思うのであります。その現政府石炭政策に対するところの根本考え方を通産大臣より承りたいと思います。
  69. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。石炭は御承知通りにすべての産業の基礎をなすものでございますから、この点におきまして石炭業というものはひとつよく増産をし、同時に増産とコストを引下げて行くということは関連があるかもしれませんが、値段も下げて行く、こういう方向に行きたいと思います。日本石炭の割高であるということは皆さん御承知通りであります。そこでこれを長期的に考えますと、縦坑を掘りまして、これは大きな企業でございますが、できるだけコストを安くするということもございますし、それからまた小さい方の中小炭鉱あたりになりますと、機械の合理化なんかやりまして、これには約五年くらいの計画によりまして財政資金を投入するし、事業者もこれに対して資金を出して着手しておるはずでございます。ただ問題といたしましては、おそらくあとから御質問を受けるかと思いますが、石炭の需給が今不均衡になりはせぬかというような心配が市中にいろいろ出ておりますが、私どもといたしましてはただいまのところではまだこの需給の点におきましては政府が何とかしてこれに考えを及ぼそうということまでは考えておらぬ次第であります。
  70. 齋木重一

    ○齋木委員 何だか声が小さくてはつきり聞き取れないのですが、先般の委員会におきまして、先輩同志各位が通産大臣質問した要項といたしまして、今年の十月、十一月ごろには八百万トンないし一千万トンの蓄炭ができて、今度の九州等の水災害等におきまして相当の何もあるでありましようが、これらから来る蓄炭の状況から見まして、私ども見るところにおきますると、これをいかにして政府が解決をするとか、廃坑とか、または合理化とかいうようなぐあいにして、その究極するところは、労働賃金の引下げ、首切り、それから五大炭鉱等への吸収というようなことにも移行して行くと私どもは思つておるのですが、これらに対して通産省としてはどう対処されんとするのでありますか。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは御承知通りでありますが、昨年の長期にわたるストによりまして、鉄道も動かなくなつたという情勢を目の前に見ておつたのでありますが、今年に入りましてからの採掘状況は非常に順調に進みまして、お説のように、この暮れあたりには八百万トン、大きく言えば一千万トンの貯炭が出るのではないか、こういうような心配もあつたのであります。しかしほぼ五千万トンぐらいはやはり日本としてはいるものでございます。それから貯炭が多いということは、少し需要量が減つたということもありましようが、もう一つは、先が安くなるからというので控えているというような市場心理も手伝つているのではないかと思います。そこで私どもといたしましては、工場並びに山元あたりで、あわせて七、八百万トンくらいの貯炭があることについては、まだ政府といたしまして直接これを何とかしなければならぬというところまで行つておるものではない、こう見ておるわけです。二十五年の暮れでございましたか、たしか七百万トンくらいの貯炭があつたこともあるのでありまして、そのときはどういうことでございましたか知りませんけれども、ただ計数的に申しますと、七百万トン程度くらいまでは情勢を見ておつていいのではないか、こう考えております。
  72. 齋木重一

    ○齋木委員 石炭が七百万トン以上蓄炭されてもいいではないかということは一応了承されるのでありますが、石油の輸入から来るところの蓄炭の増加ということも考えなければならぬ。こういうことも考えて、これらに対してどちらの方を重点としてやるのか、通産省としての根本的なお考えを承りたい。
  73. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。石炭日本で出る国産品でございますが、重油はやはり輸入でございます。その点におきまして、今後自立経済をして行くにつきましては、できるだけ自給によつてやれる、すなわち外貨節約してやれるという方向へ進んで行きたいと思います。これは石炭が出ないで非常に困つた時代に出た話でありますが、重油転換ということが行われておりまして、そのために重油の需要量が少し増しておるのでありますが、今後は重油転換ということをあまり奨励しないで、今までに重油転換してあつたものは補つて行きますけれども、できるだけ石炭で間に合わしてもらいたい、こういうふうに私は考えております。ただ問題は、重油は原動力といたしまして非常な熱量源でございます。また漁船とかなんとか、いろいろな方面に利用価値がたくさんございますので、それかといつて重油を非常に限定してしまうわけにも参らぬ、こういうふうにも考えております。
  74. 齋木重一

    ○齋木委員 一応それはわかつたのですが、石炭は私どもは肥料の製造過程における一つの重要な資源だと考えておる。この肥料を少しでも安く五百万農民に配給する上において、基本的な材料といたしましての石炭の価格の引下げの問題が大いにからんで来ると思う。硫安その他の化学肥料の価格の引下げにあたつては、原材料としての石炭に対する政策がもう少し考えられなければならぬのではないか。これに対して通産省はどうお考えになりますか。
  75. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説のように肥料に対しましては石炭が非常に重要な役割を占めておりますから、石炭はできるだけ値下げして、ひいては肥料を安くして、日本の農民の食糧増産に寄与しなければならぬと思いますので、せつかく炭の値下げの点につきましていろいろ考えをいたしておる次第であります。
  76. 齋木重一

    ○齋木委員 肥料問題につきましては、化学肥料その他の点についての小委員会においても、私どもは大臣にお聞きします。  もう一点次に聞きたいのは旧火薬廠の貸付問題であります。前小笠原通産大臣がやつていたときの旧火薬廠に対する方針と、現在大蔵大臣なつたときにおける関係について、現在の通産大臣としては払下げ問題についてどう考えていらつしやるか、お聞きいたしたいのであります。
  77. 岡野清豪

    岡野国務大臣 旧火薬廠の問題は私はこう心得ております。前通産大臣考えておりました方向に従つて、そのままその方向を踏襲して行きたいと考えております。
  78. 齋木重一

    ○齋木委員 現在大蔵省の申入れ五項目について、通産省が返答を検討しておるということを新聞でも言つておるのでありますが、大蔵省の五項目の申入れに対して通産省はどう考えておるか。イは、払下げとせずに貸付とした理由、口は、賃賃借料の設定にあたり減額措置をとるというが、特定企業に特に減額する理由、ハは、新会社は国有施設を賃貸借によつて借用するのを絶対条件とする理由、二は、施設返還の場合は合理的条件で返還するとあるが、合理的条件とはいかなる内容を示すか。ホは、川越は一企業への払下げが望ましいのに、これを二分割した理由はいかんという五項目にわたる大蔵省の意向が通産省の方に提示されておることを、われわれは拝聴いたしおるのであります。この五項目に対して、通産省としてはどう大蔵省に対して回答をし、処理する考えであるか。
  79. 中野哲夫

    ○中野政府委員 御質問の点にお答え申します。ただいま御指摘になりました旧火薬廠の処理につきまして、五項目にわたり大蔵省から通産省質問書が参つておることは事実でございます。この処理方針につきましては、小笠原大臣の時分にただいまから申し上げますような方針を立てまして、事前に大蔵省とも相談をいたしまして、通産省としての方針を大臣において御決定になつたのでございます。その後事前にわれわれが口頭をもつて大蔵省管財局の了解を得ました点を、大蔵省におきましては、今後数年、数十年にわたるものであるので、文書をもつて通産省の活用処分をきめた当時のことを確かめておきたい、こういう趣旨の手紙でございまして、ただいまこれに対する回答を準備中でございます。  第一の貸代にいたしました点は、今回活用処分のきまりました岩鼻、川越、あるいは宇治、祝園、あるいは西山というような旧火薬廠は、御存じの通り火薬工廠につきましては、保安上の関係等からいたしまして、人家その他に被害を与えないというような特殊の立地条件を必要といたします。またこれらの火薬廠は、かつて日本の軍需火薬をつくりました各種工廠の中でも、施設、立地条件等が非常に残つて、優秀なる地位を占めておる一極の中心的な存在とも見られるわけでございます。一方御承知通り、特需といたしまして、弾薬と相並んで火薬の発注もございまして、関係火薬会社においてこれが活用を希望いたしておつたのでございまするが、今申し上げましたような、きわめて立地条件に恵まれておるということで、この際払下げにいたすよりは、将来のことも考え、一時貸付にしておく、所有権は国に保留しておくということが適当ではないかということを考えたのでございます。  第二の貸付料について減額を当方として希望いたしたということでございます。減額を希望したかどうかという点、ただいま手元にございませんが、これを申し上げました趣旨は、貸付料につきまして法規の許す範囲において低廉を期せられたい。これはその製品のコストを引下げる上におきまして、コストについては特需発注官庁の方からもしばしばこれが引下げの要望もありますので、コストの引下げに役立つ意味において、できるだけ低額にお願いしたい、こういうことを申したのでございます。もつとも国有財産の払下げ代金なり、あるいは貸付料金につきましては、国有財産法の規定がございまするから、その法を曲げて所定の評価よりさらに負けろというようなことを申したわけではないのでございまして、その点は大蔵省管財局においても私がただいま御説明申し上げました趣旨を了解してくれておるような実情でございます。  また一時貸付の後にかりに将来の事態といたしまして、これを国に返還するというような場合がもし起きました場合には、合理的な条件をもつて返還せしめる、こういうことでございまするが、この点は国有財産法の規定によりますと、国有財産の貸付については、将来これを返還せしめ得るというような現行規定にも相なつておるのでございまして、この場合理的な条件と申しますると、貸付を受けました各会社においていろいろな施設の整備もいろいろいたすような関係もございます。そういうことでありまして、将来何らかの事由においてこれを国に返すというような場合には、国の側においても企業者側においても、不合理な損失を負担せしめるのは酷でございますから、その際には合理的なる基準をつくり、双方に不合理な不利益のないようにこれを措置いたしたい、こういり趣旨でございます。  それから最後に、川越旧火薬廠を二分割いたしましたのは、あの工廠は御承知かとも存じまするが、二十数万坪の工廠敷地がちようどまん中で東西にわかれておるようなことになつております。しかも西の部分、東の部分はそれぞれ戦前におきましても火工品とかあるいはその他の火薬品というふうに、製造施設も、残存施設も用途を異にしておるというような関係もございましたので、各活用希望会社の希望も参酌の上、火薬廠の処理方針をきめる上におきまして、あの川越工廠は二分割に定めるのが最も妥当ではないかと考えて、措置をいたしたような次第でございまして、今申し上げましたような趣旨によつて近く大蔵省管財局へは、御指摘の手紙に対する返事をすみやかに出す準備をいたしておるような次第であります。
  80. 齋木重一

    ○齋木委員 二分割にしたというのは、どこに二分割にしたのですか。その会社の名前、それから施設返還の場合に、合理的条件というのは、どういう合理的条件を付してやるのか、こういう問題を具体的に示していただきたい。  それから賃貸借の料金はいかほどに設定するのか、これをお聞きしたい。
  81. 中野哲夫

    ○中野政府委員 川越工廠を東西の二分割にいたしまして、それぞれ別個の会社に貸し付ける方針をきめましたことは、先ほど御説明申し上げた通りでございますが、このほかに西山、岩鼻、宇治、祝園、これだけの旧五工廠をも活用の対象にいたしまして、当時ほぼ十社程度から競願があつたのでございますが、それぞれの希望意見を調整いたしまして、今申し上げました五つの施設を三つの会社、しかもその際の考慮といたしましては、東部地方に一つ、中部地方に一つ、西部地方に一つというような、正確にわからない部分もございますが、地理的な考慮も入れまして、三社に活用せしめるという方針をきめたのでございます。  合理的条件をもつてという点を具体的に説明せよという御質問でございますが、これは各種の附加施設、整備施設等の関係もございましようし、またそのころになれば土地その他貸し付けたものの賃貸料とか、あるいは建屋等というようなものの値上りもございましようし、また滅失もございましようし、将来においてそれらいろいろな事情を国有財産法の評価基準等を適用いたしまして、国の側においても当該企業側においても、一方的に不合理な損失をこうむらないように措置しよう、申さばきわめて常識的なことでございますが、そういうことを考えた次第でございます。それから減額の点も具体的に説明せよというお話でございますが、これも法規を曲げて負けるという意味でなく、実際の評価をいたします場合にはいろいろの角度から高くも安くも——と言うと語弊がありますが、見方があるのでございます。合理的な価格でわれわれとしては評価をしていただきたい、こういうことを事務的に向うへ希望を申し入れた、こういう次第でございます。
  82. 齋木重一

    ○齋木委員 次に官営のアルコール工場も払下げの問題が出ておりましたが、どういつたような計画をもつてアルコール工場の払下げ問題を考えておるか、内容を具体的に示してもらいたい。
  83. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 アルコール工場の払下げにつきましては、すでに二十六年度及び二十七年度の二箇年にわたりまして、二工場ずつ民間に払い下げるという方針で払下げを実施して参つたわけでございます。二十八年度におきましては、これは御承知かと思いますが、当初不成立になりました予算におきましては、本年度も同じように二工場を払い下げるという予定で予算を組んでございました。二工場分につきましては、たしか九月までに払い下げるという予定で予算を組んでおつたわけです。しかるところ、今回の御提案申し上げております予算におきましては、予算成立の時期が延びたという事情もございまして、本年度一ぱいは現存しております工場全体の予算をつけてございます。従つて予算面から本年度中に払い下げるという事情は、今回の再提出いたしました予算におきましてはなくなつているわけでございます。従いまして通産省といたしましては、ただいますぐ今年度中に払い下げるということは考えておりません。かりに払い下げる場合、不成立予算の際にどう考えておつたかという点につきましては、まだ当初予算もきまつておりませんでしたから、具体的には別にどこの工場というところまでは進んでおらなかつたのでございます。
  84. 齋木重一

    ○齋木委員 それでは本年中には二工場は払い下げないというのですか。
  85. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 お話のように本年度中は払い下げないという予定にいたしております。
  86. 齋木重一

    ○齋木委員 福井県は日本全国の人絹の約六割五分も七割も生産をいたしておるのが、福井県の繊維産業の実情でありますが、今福井県の中小繊維工場は、自転車操業とも言わるべき、運転がとまつたらばつたり倒れる、破産寸前にある状態であります。これらに対して通産省はいかなる救済または助成の方法を考えられておるかということをお聞きいたしたいのであります。これは通産大臣に御答弁を願います。
  87. 岡野清豪

    岡野国務大臣 繊維工業が、もつとも小さいところでございますが、今相当に苦しいような立場になりつつあることは私も伺つておりますけれども、ただいまのところ私の考えますところでは、政府が乗り出してどうこうというところまでは来ていないんじやないか、こう考えております。なお詳しい事情は繊維局長から御答弁いたさせます。
  88. 徳永久次

    ○徳永政府委員 人絹関係の中小業者が困つておるというお話でございますが、ごく最近の状況でございますけれども、人絹の糸の値段が急に高騰して参つております。それから原料糸が若干不足ぎみになつておるわけでございまして、これは輸出が非常に伸びましたような効果として、及び国内におきまして、人絹の加工技術が発達いたしまして需要が伸びておる。国内の需要も伸びておるにかかわらず、輸出が出過ぎて、国内の原料が不足ぎみだという現象が出て参つておるわけでございます。私どもこれはある意味におきましては輸出が非常に伸びたことはけつこうだと思つております。さりとて国内の需給関係が、急激に原料下足という状況で原料値段は上る、しかし製品値段はそれほど上り得ないという悩みが人絹織物業界に出て来ておるということは承知いたしておるわけでありますが、しかし人絹関係につきましては、御承知のように先年の秋に暴落いたしまして、その関係で非常に困つた事態があつたわけでありますが、その際に人絹の暴落しました影響をいろいろ考えてみますと、人絹そのものの品質の改善も怠られておりましたし、また糸をつくつております大きなメーカーと機屋さんとの関係が全然別になつておりまして、機屋さんは自分の責任で糸を買つて製品を出しておる。その間品質の向上も鈍くなるし、あるいはとかく過剰生産ということに陥りがちであるというような事情もございまして、糸をつくつております大きなメーカーが機屋をある程度抱えて行くというか、自分の身近な工場として、場合により委託生産というような形、あるいは問屋を通じて連繋工場というような形においてめんどうを見て行くというような方向、同時にそういう過程を通じて技術指導をやつて行くという方向を進めて参つたわけです。その方向は逐次成功いたしまして、それが内需が旺盛になつて来た一つの原因であるというふうに見ているわけであります。ところが現在出ておりますのは、内需が旺盛であるにかかわらず、輸出が出過ぎた。他方原料は設備的な関係からほとんどフル生産に近いという状況で、すぐに不足という形に現われた。さような状況でございまして、私ども客観的に考えてみまして、今のような輸出の好況が続くことも望ましいのでありますが、しかし過去の事例を考えてみますと、この状況の求続性がどの程度あるものであろうかということに若干の疑問を持つわけでありまして、いわばごく短期的、一時的な状況とも見られる点もありますし、いましばらく推移を見てこの事態を勘案すべきではないかというふうに考えているわけです。
  89. 齋木重一

    ○齋木委員 繊維局長が福井県あたりへ来ると、織物業者を集めて大言壮語して、ほらを吹いて、いかにも起死回生のようなことを言うて、終戦直後栄養失調という言葉がはやつたが、中央から来ると、地方へ栄養をとりに来るから、栄養失調というあだ名をつけられた。そういう喜ばせるようなことを言うけれども、帰つてから少しもそういう実効が現われていない。福井県においては終戦前までは機業台教にして十万台、業者にして三千あつたものが、戦争の苛烈によつて回収されて、三万六千台に減らされ、それが終戦後において六万台くらいに復興になつたという現状になつているのであるが、人絹会社の六社なり七社の大資本につられて糸は高く、その高い糸で織つたものが糸よりは安いなんというばかげたことをやつているので、今の自転車操業で、やめたらひつくり返つてしまうというようなところに追い込まれている。特に戦災と震災という大打撃をこうむつている福井県の中小機業といたしましては、復興資金その他において幾分のさそい水を借り入れて復興いたしたが、これらに対しても、今借入れの銀行その他に対して利息と元金とを返還しなければならないというので、実に四苦八苦なんです。名前を言うては悪いけれども、大会社に対しては、生糸その他の問題等に対して、すぐ国家にしわ寄せをやるが、小さい機業者に対しては、しわ寄せどころの騒ぎではない、自分がしわ寄せられて死んでしまうということになつておるので、全国でもそうでありましようが、福井県の繊維産業は約四、五十億円の借入金等によつてきゆうゆうといたしておる。これらに対して繊維局長——通産大臣でも同じでありますが、九十九箇年くらいの年賦償還というような方法も、金融面においてはとるべきはずだと私は思う。わずかの三十億や四十億のものできゆうゆうして、倒産寸前にある。栄養失調をなさつて腹がふくれたならば、それくらいの施策を講じて、救済の手、助長の手を伸ばしてもまんざら罰は当るまい。私どもはそう考えておる。これらに対してどうお考えになるか。財政面においては大蔵省との関係もあるかもしれませんが、大臣はどうお考えになるか。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その情勢につきましては、まことに私御同情しますけれども、御承知通りただいまのところ中小企業金融公庫をつくりましても資金が百億くらいしか出ないという情勢でございまして、福井県のその一軒の機屋さんに四、五十億の金を九十九箇年貸すというようなことは、私としてはただいま考えられないと思います。しかしその点につきましてはよく実情を調査させまして、何とかそういう自転車にならない、三輪車くらいになるようにして行かなければならぬ、こう考えます。
  91. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま齋木君の言われましたことに関連して大臣にひとらお伺いしたいのですが、大臣は三、四十億福井県に来ておるだろうと言われましたが、そんなものは来ておりませんので、実はもつと少い額であります。これは大臣の言われるように、事情をお調べになつておやりになるのはけつこうでありますが、ただいまの状況を見ておると若干糸が上向きになつて来まして、少しどうも景気が直つたらしいからひとつ金を取立ててやろう、こういう傾向で銀行が資金の取立てにかかつておることは事実であります。ところが今齋木君の言つたように、糸高の織物安という傾向でありますからして、糸は高くなつたけれども織物はさつぱりもうかつておらない。むしろ今は苦しい状況です。そのときにあたつて復金債の取立てを急激にやろうとしておるのは、私は非常に実情とそぐわない面があると思いますので、これはひとつ大蔵当局と十分御連絡をとつていただいて、こういう取立てを急激にやらないように何らかの手をさしあたり打つていただく。そうしないと、せつかく今立ち直りかけそうになつたところで、鶏が少し卵を生みそうになつたところでえさをやらないというのははなはだ下手な方法で、この点はここに繊維局長も来ておられますから、ひとつ十分お調べの上で善処していただきたいということを私から申し上げ、これに対する大臣のお答えを承つておきたいと思います。
  92. 岡野清豪

    岡野国務大臣 復金債の取立てということを伺いましたが、復金あたりのことにつきましては、政府の資金でございますから、何とか大蔵省あたりと話をすれば私はできぬこともないと思います。いずれ実情をよく調査させまして、その上で大蔵省と交渉を始めたいと思います。
  93. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま、調査をしてというお話でしたが、非常に切迫しておりまして、実は陳情がたくさん来て弱つておるわけであります。この点は私たちも緊急の問題と考えておりますので、特にひとつ早くやつていただきたい。その点をお願いしておきます。
  94. 齋木重一

    ○齋木委員 人の質問を横取りするようなことは、福田さん、ちよつとお慎みを願いたいと思う。(笑声)福田さんが言われておるけれども、その点は手ぬるい。調査してと言われるが、官庁が半年も一年もかかつて調査していたのでは死んでしまう。ここでカンフル注射を打たないで、栄養をやるのだ何だと言つていてもどうにもならない。昔、遼東半島を領有した例もあるから、福井県の借入れ資金その他に対する九十九箇年の処置を大蔵省と相談してとるかという話を、ひとつ通産大臣答弁をしていただきたい。
  95. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説しごくごもつともでございますが、九十九箇年をぜひ強行しろということをただいま私お約束申し上げるわけに参りませんが、しかし緊急を要するものでございますから、できるだけ至急に調査いたさせまして、そしてできるだけのことをやつて行きたい、こう考えております。
  96. 齋木重一

    ○齋木委員 できるだけ、とはどれだけができるのでありますか。
  97. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは実情に沿うように実情を調査させましての話であります。
  98. 齋木重一

    ○齋木委員 実情は私どもが調査して質問をいたしているのであります。決してうそは私どもは申しません。だから実情は調査したのだから、私どもの言うことをまともに受けられまして、あたしからでも早急にやつていただきたいと思うのでありますが、大臣の心構えをひとつ伺いたいと思います。
  99. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ひとつ繊維局長によく事情をお教えくださいまして、それで繊維局長の判断にまかしたいと思います。
  100. 齋木重一

    ○齋木委員 了承はいたさぬけれども……。  次にはカリ肥料の問題でありますか、特に今度九州その他、福井県等においても、わずかでありますけれども、約四千町歩の被害を受けておりますので、それで非常にカリ肥料が不足いたしております。この原鉱石その他は輸入にまたなければなりません。その輸入いたしておるところの会社というか、それがカルテル的な行動をとつておる。農村では今水害で弱つておる。農民がカリ肥料をのどから手が出るほど欲求いたしておる。これに対してカリ肥料の製造会社は出さないといつて——ないというのかあるというのかわからないけれども、出さないといつておる。これは農林省の関係になるかもしれないけれども、私は通産省が原料を輸入するもとなのでありますから、幾ら過燐酸の原料をドイツその他から輸入しておるのか、御明答を願いたいと思います。
  101. 片場信彦

    ○片場政府委員 今回の九州の災害にかんがみまして、さしあたり一万五千トンを緊急輸入することにいたしまして、スペインから、ドルで買いますと、普通ドイツあたりから買うより安く買えると思つております。さらにその後需要も非常にふえておりますので、決して不足が起らないように手当をしたいと思います。
  102. 齋木重一

    ○齋木委員 それは九州ばかりではない、福井県等においても約四千町歩からの水害が起きておる。これらに対して何をしておる。一体どこを調査しておるのですか。二万五千トンで完全に配給できると思うのでありますか、いかがでありますか。
  103. 片場信彦

    ○片場政府委員 九州の問題が起りまお前には十分入つておるつもりであります。農林省の方と十分打合せて、この数量はきめておりますので、私どもが主管でございませんので、どの程度まわつておるかということはわからないのであります。農林省の要求がありました数量は全部入れておるつもりであります。
  104. 齋木重一

    ○齋木委員 それでは通産省では十分手当ができた、輸入ができたとすれば、それは製造会社か何かが隠しておるのかどうか、御調査したことがありますか。
  105. 片場信彦

    ○片場政府委員 これは私の関係ではございませんので、農林省の主管だと思います。
  106. 齋木重一

    ○齋木委員 そうするとあひるが卵を生みつぱなしのようなぐあいで、それをかえしもせぬで、通産省輸入なり何なりなさる御計画でありますか、それを承りたい。ただ輸入するだけであとは農林省だ、こういつたのではさつぱり要領を得ないと私は思うのであります。その辺の見解はどうなりますか。
  107. 片場信彦

    ○片場政府委員 はなはだ官僚的に言うようでありますが、役所の方はそういうことになつておりますので、人の領分まで首をつつ込むわけに行きませんので……。
  108. 齋木重一

    ○齋木委員 通商局長でなぐ、大臣はどう考えておられますか。
  109. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は実業界出身でございますが、官庁の方へ入つてみますと、非常に権限争いがきつうございまして、それで共管とかまたあちらの仕事、こちらの仕事ということがございますが、私はこれは将来直して行かなければならぬと思います。ただいまのお説もその通りでございまして、生産の方については通産省がいろいろそういう輸入とか何とかしますけれども、その結果がちようどあなたのお説の通りに、あひるの卵の産みつぱなしというような形にもなりますので、これは何とか制度をかえて行かなければならぬと思います。現実において、はたして肥料が間に合うようにするかないか、ちよつと私ただいま手元に資料を持つておりませんから、はつきりした御答弁はできません。
  110. 齋木重一

    ○齋木委員 それでは関連して農林大臣なり何なりをここへ委員長からお呼びを願いたいと思います。強く要求いたします。
  111. 大西禎夫

    大西委員長 かしこまりました。
  112. 笹本一雄

    ○笹本委員 会期もだんだん迫つて参りましたので、この際大臣に対し、議事進行に関して発言をしたいと思います。  戦前戦後を通じまして大臣が更迭いたしますと、よく車中談等によつて自分の抱懐するところの政見を発表するのであります。ところがそれが二月、三月たつうちに、事務当局との関係で蹉跌を来しまして、それがみんな反古になつてしまう。この委員会の始まつた当初におきまして、委員から通産大臣に対する抱負いかんという質問が出たのに対し、自分は就任そうそうであつて、いまだ勉強中であります。いや、それは大臣としての、政治家としての通産行政に対する意見いかにと言われましたが、これに対しても目下勉強中であるという答弁で、まことにたよりなかつたのであります。ところが、休会明けのこの委員会におきましては、大臣は実にりつぱな、そして慎重に研究された政策を発表されて、非常に力強く感じたのであります。どうかその発表されたことをそのままひとつ実行に移して、日本再建のために推進していただきたいのであります。  私はこの本委員会の化学肥料に関する小委員会委員をやつております。そして休会中におきましても、関係官庁あるいはまた消費者、企業家、あらゆる方においでを願いまして、いろいろと意見を聞き、なお自分としても勉強いたしました。ところがその結論といたしましては、なかなか広範囲になります。あるいは電気とかあるいはまた石炭、金融の関係とか、利子とか、税金あるいは労働問題等、その波及するところは非常に大きいのであります。従つてこれらの化学肥料の値を下げるということも総合的の施策をもつていたさなかつたならば、とうてい化学肥料の値を下げる二とはできない。日本がかくのごとき敗戦に追い込まれたというのはいろいろな事情がありましようが、つきつめて言うと総合学、つまり総合行政、総合技術、総合施策、たとえて言いますと軍需生産についても当時の陸軍、海軍及び軍需省が互いに言いたいことを言い合つて、それを総合することができなかつた。そこにおいてかくのごとき結果になつた。これなどその最もよい例であります。大臣は経審の長官もされており、そこに総合的に施策を進行していただきたい。  次に、大臣にこの際希望したいことは、戦前の内閣の形体を見ますと、総理大臣があつて、内務大臣が副総理格で、外務、大蔵というぐあいになつてつて、商工大臣は伴食大臣といつて一番末席におつたのであります。ところが戦争に負けまして、戦後におけるところの内閣の責任というものは、日本を再建するにある。そうしてみますと、物動を扱うところの大臣、つまり生産を上げて輸出を増し、国民の生活の充実をつかさどるところの通産大臣が内閣の中心でなくちやならない、副総理でなくちやならないと私は思うのであります。この意味におきまして大臣は、よく内閣の副総理であるという気魄と自信とを持つていただきたい。承るところによりますと、大臣は、吉田ワンマン総理に非常に信任が厚い。あなたの気魄と非常なる信念の強いことが買われておるのであります。そこで吉田総理に当り、また大蔵大臣は前任の通産大臣でありますから、これともよく折衝しまして、強力なる推進をしていただきたいのであります。さいぜんも川上先生が烈々たる質問をされておりましたが、国会議員は言うまでもなく国民代表でありまして、日本再建の責任を持つて、有権者の輿望と信頼とをになつて、ここに当選して来ておるのであります。わが改進党も特にこの政局及び民生安定を強い政治信念といたしまして、政府の諸提案に対しましては、国家的、大局的の見地より是々非々の態度をとつておるのであります。従つて通産省から提案される諸方策に対しましては、忌憚なき論評、追究を加えますが、これは今申し上げましたるごとく大きなるところの国家的見地よりするものであります。今の川上委員の質向のごときも、やはりいかに国家を再建するかという熱情から出ておるのであります。大臣におかれては、どうか躊躇逡巡することなく、勇敢に、腹蔵なく自分の御所見を開陳し、もつて国民の熱望するところの通産諸政策を推進されて、われわれとともに邁進されんことを切に望むのであります。  たとえば石炭の問題でありますが、石炭のごとき問題も、中小炭鉱の人の一部がもうけたという小さい事実に何の臆することもなく、現下石炭問題の重要性を強く主張されるとともに、長期需給計画あるいは縦坑のごとき開発を促進することにこれが万全の策を講じていただきたいのであります。  五箇年有半の吉田内閣における通産行政を見て参りますと、さいぜん私が申し上げましたるごとく、すべての日本の再建は、副総理たるあなた通産大臣にかかつておることは大である。その通産大臣を参議院の懐柔の関係とか、いろいろな関係で、短かきは二月あるいは半年というように更迭しておる。今ここに委員の皆さんが来ておられますが、吉田内閣以来の通産大臣の名前を言つてみろと言われても、おそらくは言えないであろう。それくらい更迭しておる。先般の委員会あたりにおきましても通産省の汚職事件、スキャンダル事件がいろいろ追究せられておりますが、そのように大臣が二月、三月でごろごろかわらされておりましても、今日通産行政が曲りなりに来たということは、あえて通産省の官僚をほめるのでありませんが、幕僚あるいは官僚が他省に比べて優秀であつたということが言えるのであります。ただ惜しむらくは齋木先生からもお話がありましたごとく、繊維政策のごときも、あの戦争によつて、アジア全域におきまして物がなくなつた。そのときに海外から日本の繊維が非常に好評であるというと、単に輸出を奨励するばかりであつて、これに対して長期にわたり、大局的に立つて、この施設の改善とか、あるいはまた生産コストの合理化といつた遠大なる総合的政策が立つておらなかつたということはまことに遺憾と思うのであります。今後はあくまでも川上先生のおつしやつた通り、中共の情勢にしてもあるいはアメリカの情勢にしても、国際情勢、世界の大勢とにらみ合せまして、今日はソビエト圏内以外には大公使館あるいは在外事務所またジェトロというものがあるのであります。これらとにらみ合せまして、そうして国内の生産と需給、量と質との改善、世界市場の需給調整と総合判断によりまして、基本政策をぜひ確立していただきたいと思うのであります。繰返して申し上げまするが、通産行政こそは、わが国再建に直結するところの重要なる任務を持つものであります。当委員会におきまして、委員の皆さんは、その自覚と職責に立つて議論を交え、審議を進めているのであります。自由党の方にはなはだ何でございまするが、委員長も非常に苦慮しておるのであります。私は一回もこの委員会を休んだことはありませんが、自由党の良識あるところの当委員会の人たちは、出席がどうしてこう少いのだろう、大臣の御出席が少いので、他党の人たちに対して何のかんばせがあるかという状態じやないか。自由党のこの委員会の人は良識豊富であります。どうか大臣、ほかの委員会が忙しくとも、通産行政をもつて日本を再建する共同責任を持つところの委員会であるから、どこのことをおいてもこの委員会にはなるべく出席をされて、そうして大臣の熱意あるところの意見を発表し、また懇切にわれわれの言うところの意見をお聞きいただきまして、忌憚なく答弁されるとともに、大胆率直に所信を開陳されることが、すなわち通産委員会の議事を能率的に進行させるものと私は思うのであります。どうも大臣の御出席が少いようでございます。余日もなくだんだんと期間が迫つております。どうか大臣は勉強されて、この議事の進行をなるべく早く推進できるように切に希望して、私の議事進行にかえたいと思います。
  113. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私よく拝聴しましたが、自分自身もこの委員会に出席が非常に少いということは自覚しておりまして、恐縮かつ遺憾に存じております。ただ御承知通りに、予算委員会で非常に手間どれて、また予算委員会の方が非常にむずかしいということで、総理の出るときは必ず出ておれという要望がございまするし、またそうでなくても、大体通産行政と経審長官としての質問がございまして、どうしても抜けることができませんで、非常にごぶさたしております。この点私自覚しておりますが、どうかひとつただいまの国会の情勢をよく御了承願つて、私の苦衷あるところも御了解くださるよう願いたいと思います。私はひまさえあればどこへでも出、十時から出まして帰るまでほとんど自分でぼんやりしている時間はないのでありまして、何かにひつぱられております。いつも十時からの委員会が、経済安定もございますれば通産もございます。それに両委員会がときどきかち合うことがあり、そこへ予算委員会ということでございまして、おそらく幾度も皆様に御不快を与えたと思いますが、しかしこれは私のからだとしてどうしてもそうあけるわけに参りませんで、非常に恐縮している点でございます。むろん時間があきます限りはどこへでも出て行きます。これは自分の一番大事な通産省関係委員会でございますから、皆様の御高説によつて私自身も鞭撻していただきます機会を得ますれば、これは一番大事なことでありますので、努めて御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
  114. 大西禎夫

    大西委員長 中崎君。ちよつと中崎さんに申し上げますが、大臣は予算委員会の閣僚の打合せに出なければいかぬ時間が参つておりますので、ひとつなるべく大臣への質問を先にして、向うへまわすようにしていただくことを希望いたします。
  115. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは時間の範囲内において一応やつて、その後のことはまた協議したいと思います。  日本の産業経済はきわめて困難しております。ことに朝鮮事変以来特需を中心とする一挙手一投足によつて日本経済は大きくゆすぶられておるというような状態であるのであります。この際におきまして、現在、日本の産業をいかに建て直しをするかということは非常に大きな問題だと考えておるのであります。これに対しましては、五箇年間の長期計画を経審の立場において持つておるというような意見を聞いたのでありますが、それがはたしていかなる効果を得るかということは今後の問題といたしましても、とりあえずそうしたようななまぬるいといいますか、そんな余裕を現在見出すことはできないというのが日本の産業経済の実情であるというふうに考えておるのであります。  そこでまず応急的な措置として、この日本の産業経済の行き詰まりにいかに対処して行くかというふうなことについて、もう少し具体的に納得の行くような説明をしてもらいませんと、たとえば税金の面においてある程度軽減の措置をやるとか、あるいは資本蓄積の措置を講ずるとは、輸出の面において店舗についての強化をなすとか、こういうようなことではとうていこの大問題が処理し得るとも考えられないのであります。要はまず日本の基幹産業を中心として、コストの高い問題をいかに処理するか。さらにまた日本の産業経済の根幹をなすいわる基幹産業と重化学工業に対していかなる応急的な対策をとられんとしておるのか。さらにまた金利というふうなものが、長期金融においては一割二分ないし一割五分というのが通常の状態であるというふうに考えているのでありますが、この際、中小企業の大部分はなかなか資金も獲得し得ない、その金利もはるかに高いというふうな、いわば変態的な状態のもとにおいて日本の産業を建て直すということはなかなか容易でないのであります。コスト高の大きな要素である金利の問題について、銀行家出身でもあり、さらに日本の産業を預かつている岡野通産大臣としてはどういうふうに考えられ、どういうふうな措置をとられようとするのかということについて少しこまかく御説明を願いたいと思います。
  116. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。もう御説しごくごもつともでございまして、この間ちよつと私が考えました五箇年計画というものの一端を御批評願つた次第でありますが、しかし私はあの五箇年計画にしましてもまだ物足りないのでございまして、もつともつと五箇年くらいの間には尽すべき手段がたくさんあると思いまして、事務当局に研究さしておりまして、あれはもう少し拡充して行かなければならない。しかしお説のように、五箇年先を待つていて、今この世界情勢が危急のときに日本がどうしてやつて行けるかということは当然の御高見でございまして、私どもといたしまして、それについて非常に苦心いたしておる次第であります。ただ問題は、二十八年度の予算が、御承知通りこの前組まれましたものをそのまま踏襲しておるものでございますから、この予算の中で、いわゆる財政力によりましていろいろな手当てをして行くということはただいまのところできないということを覚悟しております。しかし予算はとれませんでも、いろいろな方法があるだろうというのが——私は金融家出身でございますから、金融と、それから税法の関係と、こういうことは、これは金を伴わなくてもやれることであります、金も伴いますけれども、間接でございまして、伴わなくてもやつて行けることでございます。先般来実は基幹産業の目先のコストを引下げるためには金利でどのくらい行けるか、あるいは税法をどう改正したらいいか、こういうような案を五つ六つ組み合せてコンビネーションをつくつて見たのでありますが、まだただいま確信を持つてこの案ならどうやらこれだけのコストが引下げられて行くだろうという案には列達しておりませんけれども、非常に忙しいところを、夜事務当局に来ていただきまして、いろいろ研究さしておる次第でございますが、またほどなくその成果もお批判を仰ぐ時期が来ると思いますけれども、ただいまのところでは、私はお説の通りに、税法上の改正ということと、それから金利というものに重点を置きまして、これをいろいろ組み合せまして、操作してそうして目先のコスト引下げ、企業の合理化とか、また国際競争力の裏づけというようなことにして行きたいと存じますが、非常にむずかしいことだけは、ただいまお説の通りでございまして、日夜苦心をしておる次第でございます。
  117. 中崎敏

    ○中崎委員 金利がコストの上においても大きな要素であるということはお説の通りでありますが、さてそれを具体的にどういうふうに引下げるように大蔵大臣とも力をいたして行くかということは、銀行家出身の立場においての一つ意見はお持ちと思いますが、この点についても意見をひとつ聞きたいと思います。
  118. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の考えますのは、世界の各国と申しましても、やはり金利の高い国もございますが、しかしわれわれが競争して行くところの相手方の金利の水準を日本の金利の水準を比べてみますと、非常に差がございますから、これの直接すぐできる事態は、政府資金の投資の場合に、これは政府が利子をきめればいいのでありますから、これはよりより大蔵大臣、ことにプラント輸出などに関しましては運輸大臣とも相談しまして、近く閣僚会議でいろいろ検討してみたいと思つて、私の案をつくりつつある次第でございます。それからこれは余談になりますけれども、今まで資本の蓄積、資本の蓄積と申しますよりは、預金の増強ということが、なるほど二十七年度は七千億以上集まつておりまして、二十八年度、ことしの見込みも八千億くらい預金が漸増する、こう考えておりますけれども、しかし私の見るところによりますれば、今預金の伸びない原因もいろいろありましよう。その中でも一番大事なことは、戦前以来でございますが、ことに財政が非常に苦しくなりましてから、いわゆる租税の公平感と申しますか、金持から税金をとらぬのはけしからぬじやないかというので、預金をした金持の一番目立つその預金に十分なる課税をして、いわゆる正義感、ないし公平感というようなものでやつて行こうというので、預金の秘密性というものはこわされて参りまして、同時にその預金に対して相当な税金がかけられる。私は銀行家出身でございまして、預金者にとつて税金が高いということは苦痛でもございますけれども、預金をして行こうという考えをはばむ原因にはならない。むしろ自分が金をためて銀行に預けておるということになりますと、それを人に知られることは非常な苦痛なのであつて、昔から古い銀行論なんかにも書いてありますが、資本というものは何だか非常にティミッドなものであつて、人に体を見られない、それから雷が落ちても原子爆弾が落ちても、自分の体はけがされない、こういうような安全感、秘密性と同時に安全感のあるところへ集まつて行くということをよく書いてありますが、これは私も東西を通じての同じ預金者心理だと思います。そこで私は預金利子に対して税金を負けることも必要でございましよう。源泉課税で利子に対して五〇%を四〇%に負けたという今度大蔵省の措置が出ましたが、しかし私はそれよりも、むしろ預金はとにかく税金を払つてもいいからなるべく人様の目にかからないようにしてやる、すなわち税務署がいじりまわして、そして銀行に帳簿を調べに行つて、あの人は幾らの預金をしているだろう、というようなことをしないような方法に持つて行つたならば、預金はふえると思います。ただいま金利の高い一つの原因は、資金の不足なんです。先般ちよつと経審で調べていただきましたところが、ただいまの銀行預金は二兆二千億くらいでございます。また金融機関全体としまして、三兆四千億くらいになりますが、これを戦前、九——十一年の基準に換算してみますと、そのときの四〇%くらにしか当つていない。そういたしますと、市中における資金の量と申しますものは、戦前の四〇%くらいしかない。すなわち融資の対象になるものは……。それにかかわらず、日本は御承知通り戦災でやられ、またこういうふうに水害が出て来れば、すぐああいうことになる。ほとんど国がいためつけられて、復興はあらゆる方面にしなければならない。同時に民主的にいろいろ新しい事業もして行かなければならぬ。こういたしますと、国民といわず、公共団体といわず、国家といわず、金のいることばかり多い。そういたしますと、資金がもう絶対に不足するということは事実でございまして、金利を下げる根本の抜本的政策といたしましては、市中の資金を増加させる方法をとること、それにはまあいろいろありますけれども、預金の秘密性を保つてやるということでやつて行きたい、こんなことも、大蔵大臣もやはり銀行家出身でございまして、話はよくわかりましてひとつ何とか今度そういうことを考えようじやないかという話合いになつておりますから、そういうことが了解がつきますれば、もう少し国内において資金を市場にたくさんためて行つて、そうしてふんだんに資金を各界に渡して、そうして金利も低めて行きたい、こういう大きな考えを持つているわけですから、これができまして、いつ結果が上りますかと申しますと、これは預金者にそういう安心感を与えれば、私はそう五箇年末でなくたつて、すぐうまく行く非常ないい迅速な方策だ、そういうようなこともいろいろ考えまして、五箇年の計画は五箇年の計画で——しかしその五箇年の計画は私はまだ不満だと思うので、もつと精密な、もつと各方面にわたつた計画を立つて、そうして目先の危機を切り抜ける。すなわち目先の国際競争力を緩和して行くという意味において、いろいろと考えてやつている次第でございます。
  119. 中崎敏

    ○中崎委員 あまりこの預金の問題を長談義しませんが、今大臣が言われましたほかに、普通の金融機関の利益があまりに多過ぎるのじやないかと感ずる人がある(「その通り」)。そうして一面においては、あの近代的な建物はほとんど金融機関、ことに市中銀行等によつてどんどん建てられおるが、たとえば日本橋にしてもあるいは銀座方面、新宿等にしても、はなはだしいのは坪百万円くらいで、銀行等が地所を買いあおつておる。それがために著しく土地の値段を引上げしめておるという風潮をつくつておるという事実もたくさんあると思うのです。この点については、あまりに今みたいな、国家産業の上に重要な資金がこういう方面に多く殺されてしまつておる。いいかえれば、金融機関としては資産の蓄積にあるいはなるかもしれませんが、他面において、もう少し大きくひとつ考慮を払うべきものじやないかと私はひそかに憂えておるものでありますけれども、この点はひとつ十分に閣議等においても大蔵省に対して、その監督権が十分に反映するように努力を願いたいと思います。  それから、時間がありませんから、一瀉千里で行きますが、長期計画についてであります。大体この自由党内閣になつて以来というものは、いわゆる自由主義の名のもとに、あの経審をも廃止して行こうというふうな考え方のもとに、漸次その機構が縮小されておる。ところが自由主義もある意味において行き詰まつてしまつて、漸次また、統制経済とは言いませんが、計画経済の線に乗つて行かなければ、どうにもできないという事態に追い込まれておるという現実は見のがすことができないと思うのであります。これに歩調を合せまして、経審もやや最近においては機能を発揮して行くような段階に進みつつあるのではないかと考えるのでありますが、さてそういうふうに軽く見られた今日までの機構において、はたして今後の必要に応ずるだけの態勢であるかどうか。先般吉田さんも長期計画を立てる必要があるということを言われるように、その方針がかわつておる。これは現実がしからしめているのだと思うのでありますが、そうであるならば、この経済審議庁をもう少し機構を大きくして、そのかわりに各省で必要でないものはどんどん圧縮してもいいから、とにかく配置転換等によつて公務員等の問題は考えるとして、他の機構としてもう少し強力に、国家百年の計もこれによつて大きく動いて行けるような、そういうスタッフと機構を持つて行かれる必要があると思いますが、これについて御意見を伺いたいと思います。
  120. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は世界の情勢の動きをじつと見ておりますと、アメリカとかフランスもそうでございますが、特にイギリスあたりは国力が強いものでございますから、軍拡のスロー・ダウンで幾らか息をついたという感じが見られるのでありまして、そうして統制というものはだんだんと撤廃の方向に向つて行く、こういうような傾向が見えるのです。ところがそれ以外の、ことに東洋諸国なんかでございますと、統制がだんだん強化して行つているというような傾向が現われております。これは私先般いろいろ詳しいデータによつて調べてみたのでありますが、どうも結局裕福な国というものはだんだん統制を緩和し、はずして行く、しかし非常に苦しいところはやはり統制をやつて行くというのであります。そこで日本の置かれた情勢はどうかと申しますと、これはもう先刻御承知のように非常に苦しい立場でございまして、私どもといたしましては、いつまでも特需とかなんとかいうようなものに依存して、国力以上の臨時的な収入によつてわれわれの生活水準を維持して行くというような経済は、早く打破して行きたい。そうしますと、日本の状態はどうかといいますと、英、米方面の傾向ではなくして、むしろ非常に国力困難なところの国と軌を一にするのではないか、こう考えております。そこで話が元にもどりまして経審の問題でありますが、なるほど安本時代から経審に縮小されましたけれども、経審に残つておるスタツフというものは、通産省と同じようにみな優秀な官僚でございます。そこで私が経審長官になりましたからといつて、これを安本の元へすぐもとして何もできないというよりは、この有力なる官僚に十分勉強してもらつて、経審というものがいかにすべての各官庁に対していろいろの助力をし得るかという実績を見せたい、こういう意味におきまして、また経審の方でも非常に張り切つてつてくれております。そういうふうにしまして、一つの計画を立てさせて行きたい。今までは経審でできました計画と申しますのは、むろんいろいろ各省と打合せまして、そうして大体の落ちついたところをやるようでございますが、私の考えといたしましては、やはり日本経済自立ということが一番大事なことであるならば、一番大事な政策を経審に研究させて、そうして経審で研究したものには——むろんこれはそつがあつてはいけませんけれども、だれが見てもなるほどこれはこうしなければいかぬというような案をつくつて、これを閣内において、全部の省がそれに従つて行くというような方向に、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、そういう方向に持つて行くのがやはり経審の存在じやないかと考えて、いろいろ計画を考えおります。それは私自身といたしましては、この間もただ単に所管といたしまして五箇年計画をごひろう申し上げましたように、皆さん方のお力を借りまして、ああいうような案をもう少し御検討願つて、そしていかにもそうだというようなことになれば、これはやはり閣議で了承してもらつて、その政策を実行に移す1実行に移さない計画なり作文は何にもなりませんから、すぐ実行のできるようなものに裏づけて行きたい、これが私の理想でございます。理想が実現するかいなかは別問題といたしまして、そういうような考えで、今後通産省並びに経審において仕事をして行きたいと考えております。
  121. 大西禎夫

    大西委員長 中崎君にちよつと申し上げますが大臣に向うからやいやい言つて参りますので、どうぞその辺で御了承願います。
  122. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは次に保留します。
  123. 大西禎夫

    大西委員長 何か他の政府委員に御質問ありませんか。
  124. 中崎敏

    ○中崎委員 政府委員にもありますが、すべて根本問題から出て来ますから、やはり源を確かめておきませんと、私の質問は進みません。
  125. 川上貫一

    川上委員 今通産大臣のお話を聞いておつてもそうですし、それからこの前の答弁を見ても、岡崎外務大臣通産大臣答弁はどうも違う。それから衆議院の予算委員会中村委員質問に対して岡野通産大臣は、通商使節団を場出すようなことができればまことによろしいから、むろんやりたいと言うておられる。ところが岡崎外務大臣は、そんなことは原則としてできぬと言うている。また日本中国との貿易禁止の問題についても、岡崎外務大臣は、今でも禁止されているのだから、MSA援助を受けても一向問題はない。通産大臣は国際的には何も拘束を受けておらぬ。ただ徳義的にやつているだけであつて、実際は日本がかつてにやつている、ちよつと問題がある。こう言うている。これは合わぬ。そこで私は本委員会岡崎外務大臣の出席を求めてこの意見を聞かなければどうしてもいかぬ。さらに武器製造法等もありますが、全体を通じてこれは国際的な問題に影響して来ますから、これを要求したい。それからさきに同僚委員より農林大臣がおらなければわからぬじやないかという問題がありました。これとあわせてぜひ農林大臣の出席を願いたいということを委員長の方でおとりはからい願いたい。このことを申し上げておきます。
  126. 大西禎夫

    大西委員長 承知いたしました。
  127. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 委員長にお尋ねやらお願いをするわけでありますが、私は以前に、大臣が来たら必ずお前にやらすからきようしんぼうしてやつでおいてくれということだつたので、私は三回ばかり大臣なしで質問したわけなんです。そうしたところが今日その大臣がいらつしやらないと答えらないというお答えが大分あつたことは委員長さんお記憶のはずでございます。そういう問題を取扱うときに順位をどのようにお考えあそばされていらつしやいますか。私はいまだかつて欠席したことはございません。ちやんと来ております。それで私は陣笠のうちのすげ笠であるからというふうにひがみたくなります。私は重要な問題を持つておる。合えてもらはないと困ることがある。それもほかのお方がお答えになつて、それを大臣にお伝えくださつて、それか実行に移されているというなら何をか言わんや。お忙がしいということはよくわかつております。私らのような陣笠にも行かないすげ笠ですら忙がしいのだから、大臣が忙がしいのは当然です。私は何も大臣さんをいじめようと思つてつているのではないのです。だから、きよう私が大臣のお留守にお尋ねしたことがちやんと伝わつて、実行に移されるならば、私は何も言わぬですが、そのいずれをとつていただけますか。答弁いかんによつては、追つて質問があります。
  128. 大西禎夫

    大西委員長 お答えいたします。大臣の問題については、私できるだけ一生懸命に無理をしてひつぱつて来ておるのは皆さん御承知通り……。
  129. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それはよくわかつております。
  130. 大西禎夫

    大西委員長 それが力足らずして手に入らないというような状況なんです。これはもともと国会の組織そのものに非常に矛盾があつて、あつちでもこつちちでも大臣を要求するというような点から起つてくることもあると私は思いますが、大臣の方へは私はしばしば主管大臣であるし、特にここは重要な諸案件、法律案を審議するところでありますから、ぜひまげて出てくれ。
  131. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私が聞いているのは、前かむ送られている順位をどうしてくれるかということを聞いている。忙しいことはわかつておる。
  132. 大西禎夫

    大西委員長 それは一生県命やつておるのです。通告の順でやつておるのであります。たとえばきようの笹本さんのような場合、どういう形でやられるかという御相談もあつて、議事進行の形でやられるということで、通告して来られたのです。それでものの性質上その方がよかろうということではかつたので、何も横から差込んだわけではないのであります。
  133. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はほかの人がやられたことを文句つけるのではございません。ただ申込みの順位だとおつしやるでしよう、私の申込みはとつくの前です。そうでしよう、なるほどきようの申込みはしてないかもしれません。ところが政府委員の方々みずからが、それは私は答弁できません、大臣の来たときにお願いします、それじや大臣の来たときにやるからと顧み込んでも、まあ君やれやれということで私はやつて大臣でなければ答弁のできないことだけをきよう残しておいた。にもかかわらずやらしてもらえぬ。私は大臣に仕事を実行してもらいさえすれば、それでいい。急ぐ理由を言いましようか。九州の方はたいへんお気の毒だ、しかしやられたのは九州だけじやない、名古屋から送つた荷物、愛知県から送つた荷物が流れています。よくおわかりでしよう、それから向うへ渡つてしまつてからも流れています。その荷物はどうやつてつくつているかというと、先ほど福井県の方々から質問のあつた通り、原料高の製品安をあえて乗り越えて、銀行から金を借りて手形を割つて、そして期日が切れたから払わなければならぬ、ところが九州からもらえない。大臣さんはさつきから、おれは実業家出身だ、銀行家出身だと盛んにおつしやる、今度の大蔵大臣もそうだ、それならまことにけつこうなことだ、それほど銀行界のことがよくわかつておつたら私はお尋ねしたいんだが、とれない場合に手形が落ちて来る、大きな会社はみな銀行管理さしてもらつて、ぬくくとやつて行けるからよいけれども、銀行管理のないところは、一分一秒も待つたなしですよ。大臣さんの答弁いかんによつて、この待つたなしのものが待つたになつで延びて行く、これをどうしてくれますか。銀行家出身、実業家出身で一分一秒を争う。そろばん玉を一銭一厘も間違えぬように手前の方ばかりはじく実業家出身のお方だつたら、官僚のことはわからぬとおつしやつたけれども、このことだけはわかつてもらわなければならぬはずだ。今われわれがここで審議しているこの最中に、ばたばた倒れて行く商社が幾らでもあります。原料高の製品安だけではない、それにかてて加えて、こういう問題がある。今五箇年計画とかなんとか言つている、それはけつこうだ、大賛成だ、ところが五箇年計画を立てぬうちに、今やられて行くものをどうしてくれますか、だから質問を急ぐのです。はつきりしてもらいたい。
  134. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ちよつと委員長にお伺いしたいのですが、この間スト規制法について、労働委員会と連合審査をするということが本委員会できめられ先。委員長からその交渉をされていると思いますが、その経過をお伺いしたい。というのは、スト規制法は政府の方では相当急いでおられるようだが、われわれとしても、あの法律について連合審査をするについては、あらかじめやはり勉強もしなければならぬということもある。そこで委員長から申し込まれたその後の経過がどうなつておるか、本日おわかりになつておれば、幾日の日に連合審査をやるか、そういう点に対する委員長のその後の経過をお聞かせ願いたい。
  135. 大西禎夫

    大西委員長 こちらから申入れはしてございますが、向うはまだ決議をいたしておりませんので、その日にち等具体的なことはまだ不明であります。向うで決議ができれば、幾日ということがきまつて参ります。
  136. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 労働委員会の経過を見ると、何だか一刻も早く上げようと政府や自由党の方ではされておるようであるが、まさかそういうことでおいてけぼりを食わすようなことはないでしようね。
  137. 大西禎夫

    大西委員長 それは私の方は……。
  138. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そういうことになつて来ると、委員長の重大な責任問題が起りますから、それをお含みを願いたい。
  139. 大西禎夫

    大西委員長 それは承知いたしております。まだ向うの方できまつておらぬそうですから……。それは私の方できまつたことで、順次とりはからつて行くわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  140. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 事前に委員長の方であらかじめ日取りがきまつたらわれわれ委員に正式に日取りのことを明らかに御報告を願いたいと思います。
  141. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今の問題についてはつきり答弁が願いたいのですが、私はこの際私の態度をはつきりさせておきたいと思います。私はいまだかつて相手が自由党だから、政府だからというので野党的立場に立つて発言したことはありません、私の本性を発揮したことは一度もないです。私はここへ来た以上は敗戦国家を救うために輸出振興が必要だ、経済復興が必要だ、だかつその線に沿つてなるべく御協力を申し上げよう、そう思つておるのです。今後もそう思い続けるのでございましよう。しかしその思い続けておるにもかかわりませず、私のお尋ねした具体的な問題についてお答えもなければその場限りの答弁をしてそれでおしまいであるということであるならば、やむを得ぬから反対せざるを得ぬとこういうことになる。私は言いますが、現にきようでも私らの手元へ早くこの法案を頼む、これだけは早く何とかしてくれと言つて来ておる人がある。そうすると相手方だつてこれだけは頼むということがあるでしよう、早くやりたい、その気持はわかります、そうしたら私のお尋ねせんとすることはもう一日を争うのです。銀行の手形は一日どころか一時間の待つたなしです。それでばつさりやられますよ、だから急ぐのです。急ぐ気持はよくおわかりになるでしよう、そういうものがばたばたと倒れて行く。私らはこういう雨のかからぬところでぬくぬくと会議をやつてつてけつこうです、けれどもこの雨を見てどれだけ悲しんでおる人があるかもしれません。またこれはいかぬというので、それをどうしてくれますかと言うておるのに、そういうことを聞いても一向答弁してもらえぬということになると、私は反対していいのかあおられていいのかわからぬ。それでいよいよいかぬということであつたら、大臣が忙しくて来られぬというのだつたら、私は予算委員にでもなりかわりますし、来られるところへ行つて聞きます。それがいかぬなら本会議で緊急質問をさせていただきます。いずれでもけつこうです、私はそういうことをあえてやらずに1大臣さんは忙しい、それはようわかつておるのだから、ここへ代理の人が来て私の話を聞いてくださつたら、それを実行に移してもらいたい、私は一歩百歩譲つてそう言つておるのです、それをやつていただけますか。
  142. 大西禎夫

    大西委員長 大臣は、今申しましたように、ああいう事情で帰りましたので、もし代理の方でよければ私どもはいつでも……。
  143. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 答えていただくことが私の目的じやない。政府の方々は忙しい、忙しくて困つていらつしやる方方を苦しめることが私の目的ではない、具体的にどうやつてもらえるかということが目的です。
  144. 大西禎夫

    大西委員長 しかしそれは私にお話になつてもちよつと御返答ができかねます。私にどうするかと言われても私は委員長ですからそんなことを言われても……。
  145. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今まで議事進行で委員長にお尋ねしておつたわけですが、それではあらためてこの問題をどう取扱つていただけるかを政府側にお尋ねいたします。
  146. 大西禎夫

    大西委員長 ちよつとお待ちください。順序が永井君の方が先になつておりますから、それが済みましてからにしていただきたいと思います。永井勝次郎君。
  147. 永井勝次郎

    ○永井委員 軽工業局長にお尋ねいたしたいのです。時間がありませんから、簡単に続けてお尋ねします。栃木県下の磐城セメント会社に関する煙害の問題について請願がなされておることを承知されておるかどうか。そうして建設許可については、内容、施設等について、十分適法の措置を講ずるように、十分な検討がなされてあつたかどうか。設備上の不備がないかどうか。それから被害についてのいろいろな実情をどういうふうに承知されておるか、今後の対策をどういうふうに考えておられるか、これを箇条別に御答弁を願います。
  148. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 御質問にお答えいたします。セメント工場におきます煙害の防止対策については、特に粉塵の飛散防止につきまして、電気収塵機を備えつけて、常時飛散防止に努めておるのがセメント工場における実情でございます。なお本件の飛散防止についての実施の状況等を十分調査する必要がありまして、目下係員をして調査中でございます。
  149. 永井勝次郎

    ○永井委員 現在調査中であるということでありますので、調査が完了しましたならば、すみやかに当委員会にその結果を御報告願いたいと思うのであります。あわせてこれが対策について具体的にお示しを願いたいと思うのであります。当地方は養蚕地帯であつたのが、現在は煙害のために全然産業構造がかわつてしまつておる。葉タバコなどはうんと品質が低下しておる。野菜なども二回、三回洗つてもなかなか落ちないというような状態で、洗濯物はよごれて不衛生きわまるものである。また同地方として衛生的にも肺結核患者が非常に多いというように、被害が非常に甚大であるという状態が訴えられておるのでありますが、すみやかにこれが調査を行い、対策を確立して、本委員会に報告せられることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  150. 齋木重一

    ○齋木委員 関連して……。ただいま先輩の永井さんの質問があつたのですが、福井県におきましても敦賀の不二越鉱業の附近において煙害が非常に発生いたしております。百姓などが草を馬にやつたり牛にやつたりすると、みな斃死してしまうというようなことが起きておるのであります。これらに対しても御承知あるかどうか。またそれに対するところの調査、または予防に対するところの対策を講じておるかどうかを、あわせてお聞かせを願いたいと思うのであります。
  151. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 永井委員の御要望の点については、慎重に十分調査を進めたいと思つております。  なお不二越鉱業の御質問につきましては、不二越鉱業の何の工場でございますか、あるいは私の所管でないことかとも思いますが……。
  152. 齋木重一

    ○齋木委員 福井県の敦賀の不二越の硫酸工場かと存じております。
  153. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 硫酸工場でございますれば、なお十分調査した上お答いたしたいと思います。
  154. 齋木重一

    ○齋木委員 先ほど永井さんがおつしやる通り、調査々々で日を暮してはいかぬので、可及的すみやかにその調査と対策とを講じてもらいたいと思うのであります。
  155. 大西禎夫

    大西委員長 次に加藤君。
  156. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 先ほど私のお尋ねいたしました件について、お忙しい大臣では、とても全部の方々の質問を受け切るということはできないでございましよう。それはその通りです。そこで他の方々が受けていただきました折に、実際そのことが実行に移されて行くか行かないか、こういうことについて、まずお尋ねします。
  157. 古池信三

    ○古池政府委員 お答え申し上げます。大臣には、私どもも極力当委員会に出席して皆様の御質疑に対して御答弁をしてもらうようにお願いをしておるのでありますが、実際非常に時間的に多忙でありますので、こちらの方に伺えない場合も、時折ありますことをお断り申し上げます。  次に大臣が出席されない場合に、御要望あるいは御質疑のございました点についてはどう扱うかという問題でございますが、これは申すまでもなく、ここに参つております者は、私どもにしましても、あるいは各局長政府委員が出席してよくお伺いしておるわけでありますから、御趣旨に十分沿うように、問題によりましては、大きな問題は大臣に御相談をして、大臣の決裁を受け、また大臣の決裁を受けなくても、省内で処置できるものは、それぞれの局長あるいは事務次官等のところにおいて処置をいたします。また他省との関連事項は、すみやかに他省に連絡をいたしまして、十分協議の上御希望に沿うように今後とも努力するつもりでありますから、その点はどうか御了承を願いたいと思います。
  158. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、この前私が貿易の問題についてお尋ねいたしました節に、なるべくならば外務大臣をここへ呼んでいただきたいということをお願いしたはずでございます。もうそれから二週間余になつております。もつとも通産大臣でさえも忙しくて自分の所管のところに来られないのでありますから、外務大臣はもつとお忙しいでしよう。来られなくても無理はないのです。私はそういうことがいけないというのではない。それだつたらそれのように、事後報告のように、こういうように交渉してみたけれども、外務大臣は行くひまがない、そういう答弁であつたらそれでもやむを得ません。そのように実行してもらいたいのです。ところがそれに対して何らその後通知がない。そうなると私はこれは一体どうなつたのかと聞きたくなるのですが、それはいかがでありますか。
  159. 古池信三

    ○古池政府委員 実は二週間前にそういうお話があつた席に、私自身は多分いなかつたと思います。今その記憶がございませんが、しかし元来外務大臣を当委員会に出席を要求するかどうかということは、これは実は委員長権限でございまして、委員長から外務大臣にあてて御要求なされば、外務大臣としては出席されるものと考えます。
  160. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私の要求は政府側にしろということであるから政府側にしておるのです。議事進行で委員長大臣の出席の要求をしますと、政府側にしろということであるから、政府側にすると、今度は委員長にということになつて来る。これはもういいです。こんなことを私は言いたくないのです。それではこういうことをお尋ねします。政府側に私がいろいろお尋ねしたことを、通産大臣に連絡をはつきりとつていただけますか、いただけませんか。
  161. 古池信三

    ○古池政府委員 これは事と次第によると思います。
  162. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは具体的に申し上げます。通産大臣は施政方針演説の中で、東南アジア貿易及び中共貿易に努力する、こう言われた。これは予算委員会でもお答えになつていられた。そこで私は先般この会で中共貿易の詳細にわたつてお尋ねをしたわけでございます。概略を和田議員、それからうちの同僚議員その他の連中が予算委員会でやつたはずです。それの引続きを私はここで詳細をお尋ねした。そうしたらそのときには、まあ東南アジアの方はやるけれども、中共貿易の方はまあ見込みがないから、そう大したことないから、それでそんなに力も入れなければ、予算面にも出してない、という話だつた。そこで私は、それじやあなたの意見とはちよつと違つた数字を持つております。そこで失礼ながらと言うて数字を申し上げました。去年度においてイギリスは千二百二十八万ドル、イタリアは千八百万ドル、スイスにおいては千七百万ドルもやつておる。それでパリリストの問題から、国連協力の問題から、いろいろお尋ねした。そのときにこれだけ数字が上つてつてもなおだめですからというふうにお尋ねしたら、それは一ぺん大臣とよく相談の結果という御答弁でございました。ところがきようお尋ねすると、いやそのときにはなるほどそうだつた。これはその数字をあげればごもつともだ、こういうことであつて、それでまたきよう同じ答弁をしていらつしやるようでございます。だからまあそうだつたら、中共貿易の問題は相談がなかつたのかとも考えてみた。あるいはあつたけれども、一千万ドルや二千万ドルの、合計七千万ドルくらいじや問題にならないというふうにお考えになつていらつしやるのか、私はきようも聞いておつて疑問を持つておつた。それで連絡があつたのか、なかつたのかということをお尋ねするわけなんです。そういう問題は、だから重要な問題に属するか、あるいは軽々にほうむつておいてもいい問題でございましようか。
  163. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまのお尋ね、少しはつきりしないところがあるのですが、それは前回に大臣にそういうお尋ねなさつたときに、大臣がそういう数字があれば考えよう、こう言われたのでありましようか。
  164. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 記録で見てもらうとわかりますがね。そのときに私の言うた数字が違うのだつたらよく調べてもらいたいということを言うといた。きようまた同じ質問に対して、大したことはないというお答えだつたからそう聞いたわけです。
  165. 古池信三

    ○古池政府委員 きようは私ちよつと他の委員会の方に出席しておりまして、あなたの質問は承つておりませんでしたが要するにそういう数字を承つて大臣としてはやはり当初から申し上げておるように、中共貿易日本としてはやらなくちやならぬが、しかし今いろいろな障害なり客観情勢のあるのに際して、一挙に大きな貿易を一足飛びにやるということはなかなか困難だ、こういうふうに考えられておるものとわれわれも了承上おります。
  166. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではこの問題につきましては、こういうかいつまんだ話とか、抜き出しの質問じやなくて、もつとこの次また系統立ててお尋ねしたいと思います。  最後に私は委員長さんに申し上げておきます。私は何も大臣さんに答えていただかなければならぬことはございません。私はお忙しい人にそれ以上また忙しさを加えるようなことをあえて希望しておりません。ただ私の質問に対しては、実行に移してもらえればそれでけつこうでございます。そのように委員長におかせられましてもおとりはからい願えればたいへん幸いに存じます。
  167. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたしまするが、石炭に関する小委員長より、明日の小委員会において参考人より意見を聴取いたしたい旨の申出がありますので、これを許可いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  本日はこの程度にいたし、次会は明日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十七分散会