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1953-10-28 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十八日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君    理事 松永  東君       河原田稼吉君    吉田 重延君       鈴木 幹雄君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         検     事         (法務省民事局         長)      村上 朝一君         検     事         (法務省刑事局         長)      岡原 昌男君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  保全経済会休業に関する問題  町村合併促進に関する問題  地方制度調査会の答申に関する問題  奄美大島復帰に関する問題     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について、まず調査を進めることといたします。本委員会におきましては、昨日来保全経済会休業に関する問題につきまして、種々国警本部大蔵当局及び警視庁当局質疑を行うて参つたのでありますが、い、ずれも直接の責任はないとのことでありますので、本日さらに法務省当局の御出席を要求した次第であります。なお本日法務当局出席者は、法務省民事局長村上朝一君、法務省刑事局長岡原昌男君。このお二人であります。質疑の通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 それでは最初に法務省の方にお聞きをするのでありますが、昨日この問題銀行局長さんにおいでを願いましていろいろお話を進めて来ましたが、結局せんじ詰めて行くと、最後には、自分の方の受持ちでない、こういうことなんです。そうすると、日本で法律ができておつて、その法律に基いて仕事が行われておるのに、一体どこがこれの責任者かということになるのです。法律がある以上は、どこかにやはりその法律の根拠に基いたよりどころがなければならないと思う。それがたまたま法務省だという御意見でありましたので、実は法務省の方にお願いしたのであります。従つて先に確かめておきたいと思いますことは、はたしてこの保全経済会問題等は、いわゆる匿名組合に関する問題については、法務省主管官庁というか、責任官庁というのかわからぬが、とにかく責任を持つて取扱われるという立場にあるのかないのかということを、先に聞いておきたいと思います。
  4. 村上朝一

    村上説明員 商法匿名組合規定に不備な点がある、これを改正しなければならぬということでありますと、商法改正法務省所管になるわけであります。ただ具体的にありますこの種の類似金融機関と申しますか、この種の機関に対する取締り行政を担当するのは、法務省ではないと考えて盛ります。なおこれらの行為罰則に触れるというようなことがあれば、これまた法務省所管ということになるかと思います。
  5. 門司亮

    門司委員 そうすると、罰則その他に触れれば法務省ということになりますが、それでなけれで法務省でないということになるのですか。
  6. 村上朝一

    村上説明員 この点について大蔵省当局意見の食い違いがあるかもしれません。まだ十分大蔵省当局と打合せておりませんけれども、私ども考えでは、一種の類似金融機関でありまして、これに対する取締り大蔵省において担当せられるものと解釈いたしております。
  7. 門司亮

    門司委員 そうなつて参りますと、昨日の銀行局長答弁とまつたく食い違うわけですが、昨日の銀行局長答弁を聞いていますと、金融あるいは証券等売買というようなものの事実がどうもはつきりしない、従つて自分の方の受持ちではないということですが、銀行局長、どうですか、あなたの方の主管かどうか。
  8. 河野通一

    河野説明員  この点につきましては、昨日たびたび繰返して御答弁申し上げました通りでありまして、去る三月に法務省当局と打合せをいたしました結果、私から当院の大蔵委員会で御説明申し上げました趣旨を、きのう繰返して概要だけを申し上げたのであります。その趣旨は、重複いたしまして非常に恐縮でありますが、もう一ぺん、はつきりいたしますために申し上げておきたい。第一点は、この匿名組合方式あるいはそれに準ずるような投資機関——つまり私はきのう以来金融機関と申し上げたことはないのでありますが、投資機関は、匿名組合あるいは匿名組合に準ずるような無名契約によつて投資家から出資を集める形態であり、それは金融法規に書いてある預金を集めるという行為あるいは預金に準ずるような行為とは言いがたい。従つてこれは金融法規対象になる問題ではないということであります。それから第二点は、保全経済会等は、その業務として有価証券投資不動産投資とをやつてつて、私の承知しているところでは、貸金業は行つていない。従つて貸金業等取締に関する法律という法律が私ども所管としてございますが、この対象にもならない。これだけのことを申し上げたのであります。従いまして、第三点といたしまして出て参りますことは、これらの問題をかりに何か取締らなければならないものといたしましても、それは金融行政対象として特別立法をするということは、私どもとしては考えられない。この考え方は、去る三月に各省とお打合せした結果として申し上げたわけであります。  以上申し上げましたような趣旨から、私は昨日も実は門司先生からの御質問に対してお答えするのに、所管問題なので非常に躊躇いたしたのでありますが、どこかに所管官庁がありとすれば、法務省ではないだろうかということを申し上げたのでありますけれども、これは私自身自信を持つて申し上げることはできませんが、私ども所管に属する問題ではない。何か非常に消極的な権限争いのようなことで、私も非常に申しにくいのでありますけれども、私は毛頭そういう意味で申しておるのではないので、この点は去る三月に御答弁申し上げましたところで、はつきりしていると思うのであります。
  9. 門司亮

    門司委員 両方で争つていてもなかなかきまりがつかないと思いますが、商法による匿名組合立法精神は、やはり親戚であるとか、あるいはごく身近かな少数の人が特定の人を信頼して投資をする、こういう行為が大体この法律が認めれらた原因だと思います。法文の精神だと考えておる。ところがたまたまこの保全経済会は十五万というような不特定な、非常に大きなものであつて、法の精神を逸脱していると思う。立法精神を逸脱したものであるということに、大体法務省としては解釈できるかどうか。
  10. 村上朝一

    村上説明員 商法匿名組合規定精神は、ただいま門司委員からお述べになりました通り考えておるのであります。さらにこれを敷衍して申し上げますと、御承知のように匿名組合は、当事者の意向、すなわち匿名組合員が、相手方たる営業者のために出資をして、その営業から生ずる利益を分配することを約束するという契約であります。この出資対象になります事業は、法律的には営業事業でありますけれども、経済的には匿名組合員、すなわち出資者営業者との共同事業であります。営業者営業年度毎ごとに損益を計算して、利益があればこれを匿名組合員に分配するということを本質としておるのであります。問題となつております保全経済会実体を、実は私ども十分に明らかにしておりませんので、具体的なことは申し上げられませが、法律精神はそこにある、かように考えるのであります。
  11. 門司亮

    門司委員 私は法の精神を逸脱したと思われるようなこういう行為については、やはり何らかの取締りが行われなければならないはずだと考えるのであります。これについてそれの主管官庁がわからぬということになりますと、取締るものがないということであります。取締らなければならないということはわかつておるのだが、取締るものがない。そこで今日のようになつて非常に迷惑しておる。  そこでさらにもう一つ聞いておきたいと思いますことは、法の精神を逸脱した行為であるということになつて参りますと、これは当然取締ることができるはずでありますが、法務省としてはそういうことに気がつかなかつたかどうか。これは見方によつては明らかに法律に対しまする違反行為であり、当然法務省がこれを取締るべきだということになつて参ると思いますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
  12. 村上朝一

    村上説明員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、この保全経済会実体を、まだ明らかにしておりませんので、これをはたして商法上の匿名組合契約と見るべきかどうかについては疑問があると考えておるのであります。この保全経済会のやつております行為は、金融法規その他現行法違反となるかどうかという点も、これはあるいは所管刑事局長からお答えするのが適当かと思いますが、実体を明らかにした上でなければ、にわかに断定できないと思うのでありますが、世間に伝えられておりますように、高利えさとして大衆資金を集めて、これを有価証券とか不動産等投資しておるというような事業であるといたしますならば、これは経済知識に乏しい大衆に、不測の損害を与えるおそれもあるわけでありますので、何らかの取締りが必要であろうとは考えております。もし現行法上これを取締規定を欠いておるといたしますならば、あるいは新たな立法が必要かとも考えられるのでありますが、私どもといたしましては、この商法匿名組合に関する規定の不備によるものではないと考えておりますので、商法改正問題としては取上げて考えていないのであります。ただ匿名組合その他名義のいかんを問わず、高利えさとして、大衆資金を集めるような行為は、これを取締り対象として考えなければならぬということは考えますが、まだ具体的にそれを検討する段階に至つておりません。
  13. 門司亮

    門司委員 それではもう一つその先をお聞きしますが、今のお話のようでありますと、取締りは全然できないわけではない。そこで具体的の問題になつて参りますが、たとえば休業をするというような、そうした営業を停止するということが明らかになつており、しかもその直前に投資をする者があるといたしますと、営業いたしております者は、自分考え方というものは、それが長い期間であるか短い期間であるかは別といたしまして、一応自分営業を停止するのでありますから、それがわかつてつて金を集める、いわゆる投資をさせるというようなことは、私は正常な行為ではないというように考えられるのでありますが、この点については当局としてはどういうようにお考えになつておりますか。
  14. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいまお尋ねのような条件がそろつておるといたしますれば、詐欺の嫌疑がかなり濃厚である、かように申し上げることが可能であると思います。
  15. 門司亮

    門司委員 私ども内容を十分具体的に実地に調査をしたわけではございませんので、はつきりここでだれそれがこういう行為をしておるということを申し上げるわけに参らぬのでありますが、新聞あるいは巷間伝えられます話を聞いてみると、休業の前日までも投資をした人があるという話を聞いておるのであります。もしこういうことが事実とすれば、今の御答弁のように、私は明らかにその行為自身違反になると思うのです。従つて当局としては、これを取調べるというか、あるいは調査される御意思があるかどうかということを承つておきます。
  16. 岡原昌男

    岡原説明員  この点につきましては、お尋ねもつともでございまして、私どもとしましては、保全経済会休業を宣しました直後に、最高検から全国指示いたしまして、その後の成行きを厳重に監視するように、そうして事態に即応するように指示をいたしてございます。今のところまだ具体的に告訴告発等が出て参つたという報告が参つておりませんので、いずれそれらの具体的な事情が固まるに従いまして、全貌がはつきりして来るのではないかと存じます。
  17. 門司亮

    門司委員 これはきのうも警察諸君にお聞きをしたのですが、むろん個人の告発その他があればこれは当然ですが、告発のあるなしにかかわらず調査されることが当然であります。しかし世間で今問題になつておりますのは、当局がそういう態度よりも、私はむしろ前にさかのぼつて、この保全経済会行為自身が法の精神から逸脱したものであるとすれば、その点についても当局としてはやはり当然ある種の手が打たれなければならぬと思う。行為自体が逸脱しておる、間違つておることをやつておると考えても、被害者はつきりしないとか、あるいは被害者の方から届出がないから、当局はそのまま見ておるというのでは、私は秩序が保てないと思う。秩序を保とうとすれば、やはり法の精神から逸脱したこうした大きな問題であり、ことにこの問題は今始まつたわけではありませんで、銀行局長等答弁から総合して参りましても、またわれわれが関知しておる範囲におきましても、相当以前から、いつかこういう事態が来るのではないか、少し行き過ぎておるのではないかということはしばしば議論されておつたところである。従つてその間に、取調べとか、とりつぶすとかいうことは別としまして、こういつた間違いのないように事前に注意が与えられたり、あるいは適当な処理がとられておつたなら、世間にこれだけ大きな騒ぎを起さないし、また同時に非常に多くの人に迷惑をかけずに済んだと思う。従つてその政治的の責任というものは、私はあげて政府にあると考えるのだが、しかし政府にあるといつても、どうも主管がわからぬということになりますと、どこを責めていいかわからぬということになる。従つて私のもう一つ聞いておきたいと思いますことは、そういう告発あるいは告訴等があつてもなくても、さつきから申し上げておりますように、世間周知の事実として、匿名組合を定めた法律精神から逸脱した行為であるということに間違いがないとするならば、その方からでも私はこの問題は相当内容を究明さるべきではないかと考えるのでありますが、当局としては、その点についてはそういう究明はできないものですか。
  18. 岡原昌男

    岡原説明員 ただいまお尋ね匿名組合商法で当初予想した内容から、逸脱しておるという点につきましてはごもつともでございます。ただ商法規定を逸脱して、本来のあるべき姿から少しゆがめられた姿に移つて行つた、そういう姿で逸脱しておるということ自体には、実は罰則その他はございません。われわれの方でもすぐにどうこう言う筋はないわけでございます。いわゆる民事法的な規定あるいは精神違反するというだけのことでございます。それがたとえば先ほどお尋ねのございました詐欺あるいは背任であるとか、横領であるとかいつたような事実に移つて参りまして、初めて刑事的な取締りということが出て来るのでございまして、私どもといたしましては、このことあるを予想してというと、少し語弊がございますが、本年の二、三月ごろから数回にわたりまして、近くはつい先週の十九、二十日でございますか、全国次席検事会同の際にも、この種金融業者の動向については厳重に監視をするように、違反があればこれを取締るようにという指示をいたしたような次第でございまして、現に今まで各地におきまして類似事件について若干手をつけております。すでに起訴して有罪の判決の下つたのもございます。ただ今度問題になりましたこの保全経済会の具体的な事情につきましては、なるほど新聞等でいろいろ言われておりますけれども、必ずしもすぐこれをまつ正面から信じ込んで逮捕状を請求したり、あるいは強制捜査に移るのもどうかと思いまして、内偵は続けておる次第でございます。
  19. 門司亮

    門司委員 これはいつまで押問答しておつても始まらぬ問題であります。従つて私が政府当局はつきり聞いておきたいと思いますことは、こういう問題法律的に検察当局の目から見れば、いずれ犯罪事実として明確なものがない限りは、どうも取締るわけには行かないということでございますが、しかし問題は大体予想されなかつたわけでは決してないのでありまして、かくなるであろう、こういう問題が起りはしないかということは、何度も申し上げておりますようにその行為自身が法の精神から逸脱しておるということで、そういう臆測は実はできるわけであります。従つてそこには明らかに一つ犯罪としての予備行為とまでは言わなくてもいいかもしれないが、予備行為的の問題は私はあつたと思う。だから、もし犯罪となるべき予備行為的のものがあつたとするならば、それについてはやはり当局としてはこれに注意をするなり、あるいは間違いのないように、これを処置することが当然だと考える。しかし、どうも法律から行き過ぎておることはわかつておるのだが、それを取締るということ、あるいはこれをやかましく言うということは困るといつたものの考え方から、私は今日のような事態が来ておると思います。  それからもう一つ、私は忌憚なく聞いておきますが、往々にして伝えられておりますように、これは非常に広範囲にわたつております関係と、かなり社会的に知られた諸君が、これに関係をしておるということがある。さらにきのうのどなたかの御質問にもありましたように、警視総監自身も非常に大きな政治性を持つているので、なかなか手がつけられないというようなことを漏らしたという話もあります。これらを総合いたして参りますと、事態を収拾するには、当局としてはかなり大きな腹をきめてかからないと、ちよつと困るのだということで、私はこの事件に手をつけること自体、多少おじけがついているのじやないかと思う。従つて主管問題で、お互いが大蔵省だとか法務省だとか、まごまごしていると通産省に行くかもしれないが、一体どこが主体であるかわからぬということで、法律があつてもその法律に対する責任を持つ省がないということになつて参りますと、これくらいあぶないものはない。われわれはそういう不安な状態に置くわけには行かぬと思う。従つて、ひとつ政府当局といたしましては、この次の委員会までには、この種の問題に対しては、どこが一体めんどうを見ど省であるか、こういう間違いの起らぬようにするには、どうすればいいかということを、はつきりしていただきたいと思います。今ここで私は大蔵省両方主管争いを見ておるわけには参りませんので、その点をひとつはつきりしておいていただきたい、こう考えております。  それから匿名組合問題でありますが、これについてはいろいろの行為があると私は思つております。従つて銀行局長さんに念のために……。法務省の方から言わせますと、金融関係だ、こういうことが出ております。そういたしますと、これは銀行局の方にも全然私は関係がないことではないと思います。金融関係その他に関係があるというなら、私の方に関係があるけれども金融関係関係しておると思わないから、私の方に関係がない。単に証券取引あるいは不動産に対する問題だけなら私の方の関係じやないのだ、こういう御答弁であつた法務省では金融関係をやつておるようである、こういう見解から大蔵省ではないかというお話であります。従つてこの点はひとつ私は明確にしておきたいと思いますが、この保全経済会自身がこうした金融関係というものが、全然なかつたかどうかということであります。それからもう一つ聞いておきたいことは、この会の内容の中には、これも私どもはつきり本人に聞いたわけではないのでありまして、新聞その他の伝えるところによりますと、これは期限の来たものは返してもらえる投資のように見受けられる。そうすると純然たる投資ではないのじやないか、やはり預けるという意識が非常に強いのではないか、ひとつの預金意識が強い。いわゆる期限が来れば返してもらえるということになれば、その間の利潤をもらうということになつて参りますと、これは明らかに一つ金融関係にひとしいものではないか。預ける方から行けば預金のような形が強い。保全経済会の方がその金を不動産あるいは証券業者に貸し付けて、そうして利潤を得ておつたかどうかということについては、その点から金融関係ではない、金融関係でないかもしれないが、しかし預金行為である、これは預金行為といつてさしつかえないのではないかということも考えられますが、その点あなた方の解釈はどうですか。
  20. 河野通一

    河野説明員 この点は昨日も私としては詳細にお答え申し上げたと思うのであります。私どもといたしましては、先ほどもちよつと申し上げましたように、非常に法律論としてはむずかしい問題でありまして、過去一年有半にわたつて、この問題法務省とも検討をいたして参つたのであります。その結果昨日申し上げましたように、これは匿名組合であるか、あるいは匿名組合に準ずる無名契約であるか、その点十分なる調査をいたしておりませんからわかりませんが、いずれにいたしましても、少くともその行為金融法規に言つております預金あるいはそれに準ずるような貯金でありますとか、いろいろございますが、そういつたものではない、そういうものであるとは言えないという結論が、これは法務省とも御相談して出ておるのであります。ただ具体的に保全経済会というものが、どういうものであるかということにつきましては、これは昨日来申し上げておりますように、私ども実は検査をいたしたこともございませんし、また検査権限ももちろんございませんので、的確なことは申し上げかねるのでありますけれども、私どもの得ておる材料から判断いたしますならば、これもやはり預金行為といえないという結論に到達いたしておるわけであります。  それから金融機関であるかどうかという問題でありますが、これは御承知のように、普通いわれておる金融機関というのは受信行為、つまり預金を預かる行為と、与信行為与信行為と申しますと、これはおわかりのように、買付なり、手形の割引なり、そういつた受信与信両方行為をやるのが金融機関であります。この保全経済会の場合におきましては、私ども調査したところでは、その両者ともないわけです。一方の受信行為としての預金行為はない。それから与信行為としての貸付なり手形の割引はしていない。個々に一件、二件の行為があつても、これは業として貸付をやつていない場合においては、与信業とは言えないということからいたしまして、昨日もどなたからの御質問にお答え申したのでありますが、貸金業をやつていない。そういたしますと、残る問題は結局有価証券に対する投資、これが一体どういう関係に立つかという問題である。この点は昨日も申しましたように、有価証券投資をいたしている関係であつて有価証券売買を業とするいわゆる証券業ではない。つまり保全経済会というものは、相当多額の株券その他の売買をいたしまして、その投資をいたしておりますが、これは必ず有価証券業者たる証券業者を通じて、市場で証券を買い、また場合によつたらその証券を手離すいうことをやつておりますけれども証券業業者としての行為はやつていない。これは有価証券投資をやつておるわけであります。従いましてその観点からいたしましてもこれは証券業者という観念には入らない、こういうふうに私どもは見ておるわけであります。ただいまお話のように預金行為かどうかにつきまして、たとえば三箇月たつたら、お払いもどしをいたしますというふうなことになつておる。払いもどすという関係はどういうことであるかという点は、これは法務省当局とも長い間、実は研究をいたしたのであります。それがそういうことをやつておれば、それは定期預金と同じではないかという議論も、実は政府内部で一時出たこともございます。研究いたしました結果、昨日来たびたび申し上げおりますように、金融法規に触れるという点はない、こういうふうな結論なつたわけであります。ただこの点も非常に弁解がましくなつて、私も申しにくいのでありますけれども保全経済会自体の実態は、これは私どもも実は正確にはつかんでおりません。きのう申し上げましたように貸金業は私はやつていないと思いますけれども、あるいは調べてみた場合に、貸金業をやつておるかもしれません。今私ども調査したところでは、貸金業もやつていないし、それから私どものいろいろな材料によつて調べたところでは、今申し上げましたような意味の預金行為をやつているとは言えない、こういう結論になつているわけであります。これをさらに十分な調査をいたしますと、この結論があるいはかわるということがあるかもしれませんけれども、私どもの知り得た、しかも私どものできる限りの方法、権限内において調べたところでは、今申し上げたような結論になつている、こういうことを申し上げているのであります。
  21. 門司亮

    門司委員 どうもはつきりしないから、もう一つ聞いておきたいと思いますが、これは私の方がはつきりしないのかどうかわからぬが、預金行為自身というものは、今御答弁のありましたように、これは非常にむずかしい問題であると思う。しかし期限がついておつて、大体それに対する利息というか、この場合には利息と言わないで、おそらく収益の形になると思いますが、そういうものが一応約束されている。この行為は私は明らかに一つ預金行為であると見てもさしつかえないと思う。これは長い間研究をしたが、非常にむずかしいというお話でありましたけれども、このこと自身は、投資をするものが、完全にこれが投資であるとするならば、損をすることもあろうし、もうけることもありましよう。従つて期限をつけて返してくれなんというようなことは、これはできる相談でないと私は思う。当然これについては投資以外の目的があつたということは間違いないと思う。その行為は明らかに預金行為だとみなすべきだ。少くともここに関係している諸君はそういうことでやつていたものだと私は考える。それを政府の方では預金行為ではないという解釈が、はつきりするということになつて参りますと、この十五万の人たちというものは一体その財産をどうするか。しかもその財産の名義というものは、伊藤個人に対してこれを投資したという形になつているということになりますれば、一体その権利はどうなるんですか。今の保全経済会の持つております財産がどれくらいあるかわからぬが、その財産についての所有の権利というものは、一体だれが持つことになるのですか、その点、だれのものだということだけはわかりますか。
  22. 河野通一

    河野説明員 今お話のありました、期限がついてその出資を買いもどすと申しますか、払いもどすと申しますか、おそらく買いもどすという形になるのだろうと思いますが、そういつたようなことで出資自体が消えるわけではないと私は思うのでありまして、その出資行為自体の性質をかえるものではないという結論に私どもは到達いたしております。この点は御議論はいろいろあるかと思いますけれども、私どもはそういう結論に三月以来到達しているわけです。それから不動産投資をしたり、あるいは有価証券投資をして、その結果持つている財産というものは、だれに帰属するかという問題でありますが、これは実は法務省の方が御専門でありますから、私の申し上げますところが違つておりましたら、御訂正を願いますが、私はやはり営業者たる保全経済会理事長伊藤斗福個人の財産ということになるだろうというふうに思いますが、なお間違つておりましたら御訂正願います。
  23. 村上朝一

    村上説明員 この出資されました財産が営業者個人の財産になつているという点につきましては、ただいまの銀行局長のお答えと同意見であります。
  24. 門司亮

    門司委員 そうしますと、出資者はこの保全経済会というものについて、これの責任者であります伊藤何がしという人に対して、出資を払いもとしてくれという一つの請求権があるかないかということですが、この点はどうなんですか。
  25. 村上朝一

    村上説明員 先ほど来申し上げましたように、この保全経済会のやつております契約の実態について具体的なことを申し上げるだけの資料を持つていないのでありますが、もしもこの営業者出資者との間に、先ほど申しましたような経済的共同事業と見るべきものがなく、また営業年度ごとに営業から生じた利益を分配するのではなくて、利益の有無と無関係に毎月一定の率による利息の支払いをする、しかも三箇月の期限が来れば返すという趣旨契約であるといたしますならば、これは匿名組合と解釈いたしますよりも、消費貸借なり、消費寄託なり、信託なり、その他の関係になると思いますが、いずれにいたしましても、返還する義務はあるものと考えます。
  26. 門司亮

    門司委員 どうもその点がおかしいのですが、私も法律はきわめてしろうとであつてちつともわかりませんが、会の性質から言えば、伊藤何がし個人の財産であるということになる。ところが実態は御承知のように先ほどから申しておりますように、三箇月間の期限が切られて、そうして一箇月二分とか八分とか言われておりますか、一応の利率がきまつておる。こういうようになつて参りますと、これは明らかに預金したものに対する権利というものが、約束されておると思いますから、当然期限が来たりあるいは利息の支払いというものが不履行に終つた場合は、やはり請求権は明らかにあるのだというふうに解釈することが正しいと思います。そう解釈して参りますと、この問題は結局匿名組合の範囲を明らかに打出していることになりはしないかと考えるのでありますが、これは非常にむずかしいのであります。匿名組合というものを解釈して参りますと、かなりむずかしい解釈になると思いますが、私ども考えますと、どうしてもこの行為自身は、銀行局長お話ではもう全然これをどうするというわけにいかんというお話であり、さらに法務省としても、まだ十分手がつけていないようでありますが、そういうようにわれわれがどう判断していいか的確にわからないようなこと自体にあること自身がおかしいのである。従つてこれは一応念のために聞いておくのでありますが、そういたしますと、法務省のお考えから見ますと、さつきから申し上げておりますように、期限を切つて利息がはつきりきめられておるということになると、これは一つ投資じやないかというように考えられますが、預金行為であるという以外に考えようがないと思います。これはくどいようですが、もう一度法務省の方からひとつお答えを願いたいと思います。
  27. 村上朝一

    村上説明員 どうもはつきりしたお答えができませんで恐縮でございます。実態を十分に明らかにいたしませんと、はたしてこれが銀行法にいう預金の受入れになるかどうかということは、私どもとしても断定できないのであります。先ほど申し上げました事実関係であるといたしますならば、預金の受入れに類似する行為ではないか、かように推測をいたす次第でございます。
  28. 門司亮

    門司委員 次にもう一つはつきりしておきたい。だから結局財産が伊藤のものであつて出資者全体のものでないという結論になりまするならば、結局どう考えても預金行為にひとしいのであるということに解決をせざるを得ないのであります。のしをつけてそうして個人の金をやつて、あとはどうなつてもこちらに権利がないということは、成り立たないと思います。銀行局長さんはそれもやはり預金行為とはみなさないという解釈がつきますか。
  29. 河野通一

    河野説明員 この問題はたびたび申し上げました通り、私どもといたしましては、この匿名組合方式による投資機関資金の集め方の実態をいろいろ法務省と長い間検討いたしたのでありますが、その過程におきまして、一番私どもがその当時問題として具体的に考えましたのは、実は保全経済会であつたのであります。が保全経済会が断定的に匿名組合であるかどうか、私は専門家でありませんからわかりませんが、あるいは匿名組合に準ずる一つ無名契約であるかもしれませんが、いずれにいたしましても、そういつた問題金融方式との関係について、いろいろ法務省当局と長い間研究いたしました際に、その例として資料を持ちよつて研究いたしましたのは、実は保全経済会であります。もちろんこの保全経済会を研究したことは公に申しておりませんが、保全経済会のいろいろの業務案内書であるとか、定款というのはございませんが、定款に準ずるようなものであるとかいつたものから、いろいろ今お話がありましたような点を研究した結果、これは法務省当局とも打合せをして、私は三月四日に大蔵委員会において御答弁をしたのであります。その御答弁匿名組合方式であるか、あるいはそれに準ずるような仕組みで資金を集めるという形は、金融法規違反とはいえないという結論になつておるのであります。その結論に関する限りにおきましては、これは法務省当局と長い間十分お打合せをした結果であります。ただ具体的の問題として、それでは保全経済会自体がそれに該当するかしないかにつきましては、私どもは業務案内書その他われわれが入手できる材料を基礎にしてやつておるのでありまして、あるいはもつとほかの方法で調査をして検査いたしました結果は、それとは少し結論が違つて来るということになるかもしれませんが、私どもが入手をし得たあらゆる保全経済会に関する資料から推論いたしました結論は、これは法務省と打合せをした結果の結論であるということを、はつきり申し上げます。
  30. 門司亮

    門司委員 もうこれ以上押問答はいたしません。そこで委員長にお願いしておきたいと思いますことは、ごく近いうちに、一体こういう問題が起つて、そしてこれについての主管といいますか受持といいますか、それの省がどこであるかということがはつきりいたしませんと、国民は非常に迷惑すると思いますので、これはどこの省の主管に属するものであるかということを、はつきりと政府当局意見をまとめてほしいと思うのですが、これを特に委員長から政府当局に要求をしていただきたいと思います。
  31. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお尋ねしますが、今の銀行局長お話では、この問題金融関係ではない、預金ではないという結論を得られたということですが、それは法務省との間に打合せがあつたのですか。そうして、そういう事実を法務省は御承認になつたのですか。
  32. 岡原昌男

    岡原説明員 匿名組合の方式によつたからといつて、ただちに金融法規違反したとは言いがたい、そういうふうな意味の打合せはいたしたことはあります。それ以上は進んでおりません。
  33. 中井一夫

    中井委員長 それはどういうことですか。
  34. 岡原昌男

    岡原説明員 匿名組合の方式によること自体で、金融法規違反になるというふうなことには、すぐには結論づけるのは無理であろう。いろんな状況を判断して結論を出すべきであつて、いろんな場合を想像しなければいけないのであつて、すぐに匿名組合の方式によつたからいかぬ、こういうわけではないという趣旨でございます。
  35. 中井一夫

    中井委員長 そうすると匿名組合の形式によつたからとて犯罪が構成せないとも限らないし、匿名組合の形式によつたからとて金融違反にならないとも限らない。こういうことも言えますね。
  36. 岡原昌男

    岡原説明員 大体そのような趣旨に御了解願いたいと思います。
  37. 北山愛郎

    ○北山委員 一点だけ簡単にお聞きしておきたいのですが、今日聞いておりますと、法務省大蔵省との間には、相当意見の相違があるのですが、そういう意見の相違の問題を、一年半も前から両方でもつて論争しておつたわけですか。その管轄についての遠慮の争いといいますか、そういうことをずつと前からやつてつたというふうに了解してよろしいですか。
  38. 岡原昌男

    岡原説明員 特にこの点について争いということではないのでありまして、ただ私ども刑事局といたしましては、見方を主として犯罪の面から見ておつて犯罪がなければ検挙処罰することはできないということを強調するわけであります。それから大蔵省の方は主として金融行政の方からこれが対象になるかどうかということで、若干根拠が違いますので、それで議論が並行的になる面が若干あるということは、お認め願えると思うのであります。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 大蔵省の方から、この匿名組合規定が不備であるから、こういう問題が出るということで、法務省商法改正について今まで何か申入れをしたということはないのですか。
  40. 村上朝一

    村上説明員 ただいま仰せのような申入れを受けたことはございません。この民事の関係で、実はこれが匿名組合になるかどうかという相談を受けたことはございました。その際、これは匿名組合であるかどうかは、形式だけによつて判断すべきものではなくて、実質について考えなければならぬ。営業案内等にこれが匿名組合の組織であるということを書いてありましても、これは必ずしも商法上の匿名組合と断定することはできないということを、最初から申しておるのであります。
  41. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、この問題はきわめて一般的な考え方からいいますと、結局法の不備を突れたのだ——これは一般的な正しい考えだと思うのですが、そうしますと、それが現行法の適用で済むなればいいのですが、何らか立法措置が必要だということになると思うのです。その際にどこかの管轄でやらなければならぬが、そういうことについて今のように大蔵省法務省意見が現在でも違つておるというようなことでは、こういう措置もとれないのではないか。これが私は今問題になつて来ている大きな原因ではないかと思う。そういう点でやはり責任はあるのだと思うのですが、問題を今後のことにいたしまして、一体そういう見解の相違を早く調整できる見込みがあるかどうか聞いておきたい。それでなければ、いつまでも管轄争いをしていなければならぬ。とにかくどこでもいいから至急に意見を調整して、立法の不備があるならば、それを早急に措置するという見込みがあるかどうかをお聞きしておきたいと思います。
  42. 村上朝一

    村上説明員 関係各省の間で、十分打合せしてみたいと考えます。
  43. 大矢省三

    ○大矢委員 私きのうちよつと尋ねたのですが、両方とも返事がないので、さらに銀行局長並びに法務省にお答えを願いたいと思います。  十五万人から四十五億円という金を集めておるが、昨日来いろいろ答弁を聞いておりますと、一体商法上の匿名組合でないことになるのか、それとも匿名組合に準じてできた組合だから、これは匿名組合として扱うということが妥当でないかという考えなのか。これは商法あるいは民法の一体いずれに属する会社なのか。一方にこういう大きな出資者があつて、こういう大きな事業をやつておることもわかつておる。何もやつていないのではない。これをはつきり把握して、これが一体匿名組合になるのかどうか。金融業とは認めない、また預金でもないから、預金者を保護するということも法的にはできないと言つておるが、しからば今繰返しますように、これは単なる小さな問題ではなくして、名前はかわつておりますけれども、この種の類似した行為が相当各地にあるのです。ですからまたこういう問題は繰返される。そこで民法商法いずれの規定に基くのか。匿名組合なら匿名組合として、脱退したときには返さなければならぬと書いてある。それから財産はその事業の名義人の所属に属する。それから事業が解散した場合には、当然消滅するものであるという規定が、ちやんと匿名組合としてもあるのです。だからどれに属しておるかということは、専門家として言つていただきたい。どつちにも属さぬということになると、幽霊みたいになつてしまう。こういうことになるときわめて心細い。それならそれでこれに当てはめて、これでなければならぬということを業者に明らかに通知する必要がある。それをどつちに属するかということを聞かれても、法的には匿名組合類似のものだということで、それにもよらぬわ、金融でもないわ、また一般の預金行為としてのあれでもない、こういうことになると、一体どこをつかまえていいかわからぬということになる。わからぬなりにやつてつて、ここでいつまでも押問答してもいけないから、よりどころがどこにあるか。もしわからぬなら、これに基いてやるべしという注意なり指令なりを発することは、ちつともさしつかえない。私どもしろうとでありますから、そういうように思いますが、これに対してどうお考えになりますか、いずれに属するかということを、はつきりしておいていただきたい。
  44. 河野通一

    河野説明員 私御答弁は大体同じことを申し上げて恐縮でありますが、この業態が一体匿名組合契約に基くのか、あるいは匿名組合に準ずる無名契約であるのか、その点につきましては、私は専門家ではございませんし、この保全経済会の実情を確実に調査いたしたこともないので、はつきりしたことは申し上げられないのでありますが、少くとも金融行政の立場から見ますると、これは預金行為とかそういつた行為でないという結論だけは持つておるのであります。一体匿名組合でないかどうかという点につきましては、これははなはだ出過ぎたことを申し上げて恐縮でありますが、これはやはりよく内容調査してみなければ、結局法務省当局としてもおわかりにならぬのではないかという気がいたします。しかし私どもが今知り得た情報をあらゆる観点から研究いたしましたところでは、それ自体としては、匿名組合あるいはそれに準ずる無名契約ということでやつているこどだけでは、預金行為とはみなしがたい、こういう結論だけを得ておるのであります。
  45. 中井一夫

    中井委員長 この問題はこの程度で打切ることにしてはいかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 中井一夫

    中井委員長 それではこの程度でこの問題は一応打切ることにいたします。但し昨日来私委員と当局との質疑応答を承つておりますと、あるいは将来この問題が法廷等に現われた場合に、この速記録が引出されるおそれもあるやに思いますが、銀行局長の御意見というものは、この業者のために、きわめて利益になる材料を提供したことになつております。つきましては、最後に一言かようなことを申して、速記録にとどめておいていただきたいと思います。  匿名組合商法第四章第五百三十五条にございます。「匿名組合契約ハ当事者ノ一方カ相手方ノ営業ノ為メニ出資ヲ為シ其営業ヨリ生スル利益ヲ分配スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」しかして第五百三十八条によりますと、「出資カ損失ニ因リテ減少シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス」となつておりまして、ここで匿名組合の大体の内容というものが押えられておると私は信じております。従つてこの規定等より見ますと、匿名組合員利益を要求し得る場合は、その事業利益があつた場合初めてこれを要求することがきるはずであります。要求することがきるはずであります。しかるに問題となつておりまする事件は、その利益があろうがなかろうが、初めからその出資金に対して何分かの利益、普通では見られぬようなたいへんな利息に当るものを与えることを約束をしておるのでありますから、これはいわゆる匿名組合内容にかなうものではないと思われるのであります。この点につき銀行局長も、ただ問題事件匿名組合であつて、そうしてそれは仮装の金融ではないのだ、こういうふうにおつしやらずに、もう少しく御研究になることが一般大衆利益のためだと思いまするし、またあなたの御責任の上にも大切なことだと思います。このことを特に注意をいたしまして、この問題は打切ることにいたします。     —————————————
  47. 中井一夫

    中井委員長 地方自治及び地方財政に関し調査を進めることといたします。加藤君。     〔委員長退席・床次委員長代理着席〕
  48. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 町村合併促進法の実施によりまして、従来市町村合併が特にその必要を認められておりましたのに、さらに拍車をかけられまして、各府県で非常に熱心に論議され、また実行に入つておるところがあるようでありますが、国全体として見た合併の進行状況等について概略を承りたいのであります。さらに自治庁の行政部長が、世界的に見て町村合併の成果をあげたスエーデンの状況を御視察になつておられるということを承りましたので、その状況の概略もあわせて承ることができれば仕合せだと思います。
  49. 鈴木俊一

    鈴木説明員 町村合併促進法が前国会において御制定せられましたので、それに基いて、政府といたしましてはその法の執行を目下鋭意進めておるのでございます。政府といたしましては、あの法律に基きます施行令を先般まず最初に出したのでありますが、それぞれ具体的な内容につきましては、まだお手元に差上げておらなかつたと思いますので、至急御配付申し上げます。この内容として一番問題のございましたのは、政令の定めるところによつて、予算の範囲内で合併促進のための補助金を国が出すことができる、こういうことになつておるのでございますが、どういう範囲の補助金を政令で出すかということであつたわけでございます。この点につきまして、政令の上では町村合併の計画をつくりますための町村あるいは府県におきますいろいろな調査費あるいは啓蒙宣伝関係の経費、それから各都道府県ごとに置かれます町村合併促進審議会の経費、あるいは関係町村に置かれます町村合併促進協議会の経費といつたような例示を掲げまして、その他町村合併の促進に必要な経費を補助するという意味の政令を先般施行いたしたのでございます。その後また町村合併につきまして、政府の具体的方針を立案いたしますために、朝野各界、各方面の代表の方々の御意向を承つて事をきめたいということから、町村合併推進本部というのを閣議決定により設けまして、先週の土曜日にその第一回の会合を開きました。その結果町村合併の基本計画というのが、合併推進本部で決定せられたのであります。政府はその合併の基本計画に基きまして、これを閣議決定する運びにいたしておりまして、まだ最終の調印は済んでおりませんが、近く閣議決定になる予定であります。その基本計画におきまして、一応政府のめどとしておりますことは、大体今後五箇年を一応の目標にいたしまして、今年度は非常に時期が中に入つてから事がきまりましたので、主として啓蒙宣伝が中心になるのでございますが、合併は全体の一割五分くらいのところを考えて行く、来年度におきましては六割五分のところを考えで行く。御承知のように三十年の四月に地方区の選挙が大体八割程度ございますので、さような町村の機関の切りかわります際が、やはり町村合併のめどになります。従つて来年は最も多くこれに期待して六割五分くらいの合併を全体のうちからやる。三十年、三十一年は残りの一割をそれぞれやる、こういうようなことで一応計画を立てております。合併対象になります町村として一応計画しておりますのは、法律の上では人口八千以上というようなことに相なつて、それが一つの基準になつておりますので、八千未満の町村を対象といたしておりますが、そのうち五%程度は山間の非常に交通の不便なところにある町村で、人口が少くても合併が困難である。その他いろいろな事情からどうしても合併が困難であるというようなものが、従来の経験から申しましてあるということを考えまして、人口八千未満の町村のうち五%程度を除外いたしまして、それ以外の町村を合併の対象考えているわけでございます。それが今申し上げましたように本年度は一割五分、次が六割五分、あとの二年度がそれぞれ一割、こういう見当でやつて行きたい、こういうことでごいます。なおこの町村合併を施行いたしますにつきましては、やはり非常に大きな改革と申しますか大事業でございまして、この趣旨をよく全体に徹底をいたします必要がございまするので、どういう方法で具体的にこの周知徹底あるいは宣伝の方法を考えるか、こういうようなことも、次回の町村合併推進本部の会議で各方面の御意向を承つてきめたいというふうに考えております。また具体的な問題といたしまして、農業団体等との関係とか、あるいは林野関係、学校等の関係とかいうような、それぞれの問題もございまするので、さような点につきましては、なお町村合併推進本部で具体的の指導方針というものを、さらに検討いたして参るというふうな考え方で進めておる次第であります。     〔床次委員長代理退席、西村(力)   委員長代理着席〕  それからなお予算の問題でございますが、これは主として来年度の問題でございますけれども、本年度の補正予算におきましても、町村合併の問題を取上げて、今大蔵省と折衝中でございます。自治庁としまして大体今考えておりまするところは、今年度の補正予算におきましては、当初一割五分を合併対象にいたすということから、大体三十七億程度の予算を要求いたしておつたのでございますが、補正予算の財源が非常にきゆうくつな模様でございまするので、そのうちの、主として関係の町村に対しまする補助費でございますが、今後合併が行われますものは、この十一月の三日あたりを期して行われますものがある程度ございますが、あとは一月あるいは三月一日等でございますけれども、やはり来年の四月一日に行われますようなものが非常に多くございまするので、従つて補助費のうちで四月一日に行われまするようなものにつきましては、来年度に送るというようなことから、対象の町村を補助費の面におきましては若干少ぐいたしまして、来年度にまわすということでぎりぎりにしぼりまして、今最少限度約十億必要であるということで、大蔵省と鋭意予算の折衝をいたしております。もちろん中央におきまする合併推進本部の経費でございまするとか、各種の宣伝、周知徹底のための経費等は、当然これはなければなりませんし、また中央におきまして若干かような事務を推進いたしますための事務部局のある程度の増強ということも必要と考えておりますので、そのような経費も要求いたしておりますが、しかし主体は都道府県の町村合併促進審議会、あるいは関係町村の町村合併推進協議会の経費、並びに関係町村等で基本の調査をいたしまするための経費、そういつたようなものが主体でございます。しかしながら大体十億といたしますると、五%程度のものに本年度内に補助経費を出すということで計上いたしておるのであります。補助関係の経費といたしましては、大体町村が合併されました結果、役場の庁舎をある程度増築する必要を生ずる、あるいはそこに至りますための道路の改修、あるいはところによりましては新しくつける、あるいは新たなる橋梁をつくるといつたような、主として町村において処理しなければならない、さような事業的なものに対しまする補助費を、一面において考えておりますとともに、合併に際しまして長年勤続いたしました、たとえば町村の特別職の中で二十年、三十年勤務いたしましたような者が、この際やめるというようなことがございますので、さような退職金等につきましても、一時に巨額のものを要しますので、さような経費のある程度の援助ということ考えておるのでございます。これはなお今後の折衝で、次に第二次補正予算の中に計上をせられることになるかと考えております。大体町村合併の推進に関しまする事務の今日までの進行の状況は、以上の通りでございます。  なお先般自治庁の行政部長がヨーロッパ、アメリカの地方自治の状況を視察いたしました際に、スエーデンに立寄りまして、スエーデンの町村合併の状況を視察いたして参つたのでございますが、その関係につきましては今行政部長見えておりませんので、いずれ行政部長から詳しく申し上げる機会があると存じますが、私承りました大体を申し上げますと、たしか二千数百の町村をおおむね八百程度すなわち三分の一程度に、約五箇年計画で再編成をいたしたいという話でございます。その関係の資料を行政部長はもらつて来ておるのでございますが、これはいずれもスエーデン語でありまして、スエーデン語をすぐ日本語に翻訳する能力を持つた方がおられないのであります。外務省方面へももちろん連絡したのでありますが、適当な人がおられませんので、スエーデンの大使館にお願いをいたしまして、まずそれを英訳をいたしまして、それから日本訳をするという、少しまわりくどいやり方でございますが、それをやつております。これは御参考になると思いますので、でき次第資料として提出いたしたいと考えております。大体目上の通りであります。
  50. 北山愛郎

    ○北山委員 ちよつと町村合併の関連でお伺いしておきたいのですが、実は最近地方で、今度町村合併をして市をつくるというところが相当あるわけでございます。その際に今度の地方制度調査会の答申案の中で、市の人口三万というものを五万にするという答申案が出た。これは政府がどういうふうに扱うかということによつて、町村合併をして三万ちよつとの市をつくつて、それがまた五万になつたならばどうなるかということがいろいろなことと関連して来まして、そういう問題を起しておる地元では、はたしていつ市の人口といのものが五万になるのかどうかということで、非常に迷つておるようなところがございます。それから同時にこれに関連して、付近の村などを主体にしたところでは、例の連相戸数六割以上なければならぬということを、一体どういうふうに解釈して実際に実施されるのか、厳密に六割という数字的なきちんとしたものさしで行われるかどうかということで、いろいろ迷つておるような話を聞いておりますので、それらの点について、ひとつ見解をお伺いしたいと思います。
  51. 鈴木俊一

    鈴木説明員 御指摘の町村合併と市制施行との関係は、なかなか微妙な問題でございまして、市制施行を条件といたしまして合併をしようというようなことが相当ございます。事実自治庁の方に今要望がございますのは、たしか十数件さようなものがあると考えております。この十数件のものにつきまして、市制施行を認めますならば、ただちにこの合併が行われるというのが実際の実情であります。  そこで今御指摘のように、いわゆる違和区域内の戸数が六割なければならぬ、あるいは都市的業態の戸数が六割なければならないといつたような、都市としての基礎的要件とのにらみ合せの問題になるわけでございますが、これは連相という概念、考え方をどういうふうに見るか、また都市的業態というものを、どういうふうに見るかということと連なるのでございますけれども問題はやはり都市的業態のものが六割は、いかなる場合でも市制施行を希望しておられるところではあるようでございますけれども、多くは違和の見方の問題が多いと思うのでございます。これにつきましては自治庁といたしましても、非常にそういう強い要望が一面にございますので、さような要望と実際の実情とを、いま少し研究をいたしまして、今出て来ておりまする十数件の問題については、最終の結論を出した上で処置いたしたいというふうに考えております。しかしながら若干私どもといたしましては、この点は少し踏み切つて積極的に考える方向で、ひとつなお問題を研究してみたいというふうに考えております。  それから地方制度調査会の、人口五万というふうに市の要件を引上げたらどうかという勧告でございますが、この点は先般の神戸委員会の勧告にも同様の勧告があつたのでございまして、かような勧告の案につきましては、私ども十分これを尊重して行かなければならぬと考えておりますが、さような実際上の問題とも関連をいたしまして、ことに今日五万未満の市が百を越えておるといつたような実情等も考え合せまして、なおひとつ慎重にこの点は検討して参りたいというふうに考えておる次第であります。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 大矢君、きのうの理事会の申合せもありますので、地方行財政については大筋だけをやつて、あとは次会にまわすというような話になつております——では大矢君。
  53. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど町村合併に対する是正というお話がありましたが、前のこの法案の審議の過程において、国有林を合併の促進の一助としてこれを優先的に払下げをするということが問題になつております。今次のこの水害にかんがみまして、国有林をやたらに伐採し、それを地方の自由にまかすということは、再検討をする必要があるのじやないか。先ほどお話のように、各庁舎の増設あるいは公共施設、学校新築等いろいろな資材を要するから、そこで手近かにあるいはまた必要に応じて国有林の払下げをせよという要望もあり、またそういうことも促進のための一助としてやるということを、前の審議の途中で意思表示があつたのですが、私はこれは今度の水害にかんがみまして、再検討をする必要があるのじやないか、言いかえれば、やたらに伐採し、それを目的としての払下げというものは、これは簡単に行つてはならぬということを強く各方面で経験されたことじやないかと思います。そこで今現に促進されておる町村の間に、国有林の払下げを希望するところが、どの程度あるのか、それについてどういうお考えを持つておられるかということを、この機会にちよつとお聞きしたいと思います。
  54. 鈴木俊一

    鈴木説明員 国有林野のあります町村は、たしか全国で三千ぐらいのように聞いておりますが、さような町村の中で、合併の対象になりますものがやはり相当あろうと考えております。具体的にこの合併の進行状況は、先ほど申し上げましたように、今年度総体の一割五分ということを目途としておりますが、まだ具体的に法律にあります新町村建設計画といつたような、合併後の一つの理想的な新町村の建設計画の段階まで、まだ新しい法律の施行に基くものとしては行つてないものが大多数でございまして、国土の保全上、あるいは災害を防止するというような立場から、国有林野を町村に委譲したがために、そのために濫伐に陥つて、結局国土を災害に導くいうようなことがないようにいたさなければならないことは、これはもう御指摘の通りでございます。また林野庁もさような点を非常に心配をいたしております。従いまして、この問題につきましては、中央におきまして、十分ひとつ林野庁と私どもの方と連絡をとりまして、御指摘のような御心配が起らないように処理いたしたいと考えておりますが、しかしむしろ実際の問題といたしましては、林野庁側におきましては、さようなことを非常に顧慮いたしまするあまり、さような心配がないところまでも、なかなかこの国有林の払下げ譲渡といつたようなことまで進まないといつたようなことの方が多いので、林野庁に対しまして、私どもといたしましては、さような心配がない。町村に委譲せられた後においても、農林大臣として、その点十分監督をするようにしたらいいのではないか。またこの伐採等につきしては、相当のいろいろな承認とか複雑な手続が今日もあるようでございますから、そう簡単には実際上伐採ができないようになつておりますし、さような心配はむしろ杞憂ではないかということを、私どもの方としては向うに申しておるのでございます。しかし根本の御指摘の点はまさしくその通りでございますので、そういうようなことを無視してまでやれという気持は、私どもにはございませんが、十分ひとつこの点は林野庁と打合せをいたしたいと思います。
  55. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 加藤精三君。
  56. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 町村合併につきまして、次長さんにお尋ねしたいことや意見があるのでございますけれども、ちようど非常に御多忙な大臣がお見えになりましたので、大臣にお尋ねしたい。  国民は非常にこの地方制度調査会の答申について関心をもつております。今度大臣はどういうふうな法案をこの地方制度調査会結論に基いて提案なさるかということについては、非常に大きな関心を持つておりますので、それについて大臣が抱負を述べられたことは、まだ新聞雑誌その他にも出ていない。だからそういう意味から見て、私が質問申し上げることは非常に重要だと思つています。第一どうも行政部会の答申と財政部会の答申とでは主義主張がどうもちぐはぐなものがあるのではないか。たとえば私は市町村自治をやつて参りましたが、住民税の問題にいたしましても、何か市町村こそ最も原始的というか、本質的な地方団体として認めるべきであつて、府県というものは、国家行政と地方行政両方含んだような団体になるかのごとき、行政部会の方の気分が多分に盛られておる。地方団体を二つにすることはあつても、そういう気持が多分に盛られておつて、国家の出先行政機関なんかは、府県につつ込んでしまうようなふうに私たちには読まれる。しかるにもかかわらず、県民税的なものが今度できるというようなことは、何か少し首尾一貫しないように思いまするし、その他どうも府県の固有の財源として非常に妥当なような税金までが、どんどん今度は国税に移管されて行くというような感じもございますが、それらについてどう思つておられるかということが一つ。まあできばえがいいと思つておられるか、あまりできばえがよくなかつたと思つておられるかということです。どうも行政部会長と財政部会長がこの委員会におられますから、たいへん率直な意見が申し述べにくいのではないかと思いますけれども、そこは率直におつしやつていただきたいと思つております。  それから第二番目に、地教委の問題ですが、中央教育審議会の方では存置説で、地方制度調査会では廃止説で、しかもどつちの会長も同じ会長になつておるようなことなんでございますが、大臣はどつちの説で、そうしてどういうふうな措置をされるか。そういうようなことにつきましても、国民は非常に関心をもつておりますので、この際ひとつ大臣としての考え方の片鱗をお知らせいただければありがたいと思つております。
  57. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 たいへんおそくなりまして相済みませんでありました。厚くおわび申し上げます。ただいまお尋ねの点でありますが、まあ床次委員がおいでになるから申し上げるわけでは毛頭ないのでありまして、率直な見解として申し上げるのでありますが、私は大体においてりつぱなできばえであつたのではないかと、こういうように考えているのです。もちろん審議のいろいろな経過のことも承知いたしておりますし、また問題によりましては、非常な議論があつた点もたくさんあるように思うのでありますけれども、何にいたしましても、立場の異なりまた利害関係の相反するたくさんの方々がおいでになりますものでありますから、全部の方々が一致した意見というものは、おそらく出にくいのではないかと、私ども想像しておつたのであります。そういう問題も若干あるように思うわけであります。しかし全体として拝見いたしますときに、やはり大体当面の解決策といたしましては、この程度以上にはむずかしいのではないか。まこれまでやつていただけばたいへんけつこうではないか、こういうような考え方が盛られておるように自分としては考えられますので、全体の感じとしましては、なるべく答申の線に沿つた改革案を、自治庁といたしましても用意いたしたいと考えておるわけであります。  さらに御質問になりました二、三の点でありますが、ことに府県の性格というものと関連して、それに対する財源措置などが、少し考え方に食い違いがあるのではないかという感じをお持ちのようであります。私どもも若干そういう感じがいたさないわけではないのでありまして、同じような考え方を持つておる面も確かにあるのであります。率直に自分考え方を申し上げますならば、やはり府県の本来のあり方というものは、自治体的なあり方よりも国の出先機関としてのあり方の方が、理想的にはいいのではないかという感じを初めから持つておりまして、今も持つておるのでありますが、ただその感じで今まで沿革を持つてできて来ている今日の市町村、府県というものを、そのまますぐに今の理想的な考えにまで持つて行けるかどうかということになりますと、多分に問題がありますので、従つて答申はどこまでも当面ということになつておりますので、それは今後の考え方として、一応今実現の可能性のある解決案ということになれば、まずあの辺の線、従つてあの考え方には理想を先に置いて、当面の解決策という感じがあつて、そういう食い違いが出ておるのではないかと、自分としては了解しておるわけであります。あるいは私の感じが違つておるのかもしれませんが、私としてはそういう考えではなかろうかと思つておるわけであります。従つてそういう考え方から出て参るものでありますから、国の出先機関というものをなるべく整理して、あちらで扱つていただければ、府県の方でぜひ扱つていただきたいという気持が強く出て来るのでありまして、この考え方はやはり府県の性格を、多分に国の行政機関としての考え方で行つておられるというように思うわけであります。しかしまた一方今度現実の問題として、今一気にそういう形に持つて行けないということになりますと、やはり当面の措置としては、現実にこれからそうなるであろうという府県の姿を頭に置いて考えると、今のような財源の形では非常にむずかしいということで、ああいう考え方が財政の面において出て来たのだろうと考えておるわけであります。それからして本来地方税であるべきものが、国に取上げられたという考え方に対しても、この点もやや加藤委員と同じ考え方を持つておるのでありまして、本来の性質から考えて、入場税あるいは遊興飲食税というものは、やはり地方の税としての方が望ましいということが、理論的には考えられるのでありますが、ただこれも実際の扱いといたしまして、現在の税が実際にどう運営されておるかということも考え、それが地方財政全般の、あるいは偏在とかそういういろいろな面を考えますと、あれを国でとつて、そうしてそれにかわるものを何か考えるということであれば、絶対的に入場税、遊興飲食税を国に上げたことがけしからぬといつて、むきになつて議論するほどの問題ではないのではないか。従つてああいう考え方一つ考え方、また加藤委員の考え方一つ考え方、こういうように考えたらいいのではないかと、実は考えておるわけであります。  それから最後に地教委の問題についてでありますが、これも率直に申し上げますならば、答申案の結論として出た考え方を、自分としては賛成いたしたいと考えているわけでありまして、教育の民主化その他の観点から、いろいろな反対論がありますけれども、それはその面からもう少し直す面があれば、直して行けばいいのであり、市町村はそれ自体が大体民主的な存在なのでありまして、市長にいたしましても、議会にいたしましても、みな住民の選挙によつて成り立つているものでありますから、教育の問題だけ特に教育の委員を置かなければ、教育の民主化がうまく行かないという考え方は、多少無理なのではないかというように考え、かつそれによつていろいろ機構を簡素化しましたり、また節約できる面をあわせて考えるならば、答申案の考え方がむしろ妥当なものではないかというように考えているわけであります。
  58. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 最後に地方制度調査会の答申の具体化のための立法化その他の段取りにつきまして、どういう点は至急に立法化するのか、どういう点は至急に予算化するのか、市町村財政の金融公庫の問題とか、再建整備の問題とか、そういうことに関する御理想をひとつ伺いたい。
  59. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私といたしましては、答申にいただきました各項目は、大体時期を同じくして実現するならば、それはそれでそのようにしたらいいのではないか、またそれでさしつかえないのではないかと考えておりますので、事務当局にあの答申をいただいた直後、他の仕事が一段落ついたところで早急にあの線に沿うた総体的な起案の作業に入るようにということを命じておりますし、私といたしましては通常国会のおそくない時期にそれらのものをみな国会に御提出して御審議願いたい。そうして四月一日から歩調をそろえて発足いたしたいと考えております。
  60. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 今度の通常国会に歩調をそろえて、答申したものを立法化されたり、行政化されたりするものと考えてよろしゆうございますか。
  61. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 そのように考えております。
  62. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 たとえば自治庁の所管でない警察法の改正とか、教育委員会法の改正などにつきましては、どういうふうに考えておりますか。
  63. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 地方制度調査会は内閣の諮問機関という形になつてつた関係で、一応私が担当して答申を受けたという形になつているのでありますが、しかし事柄の性質によつては、それぞれ他の省に移管しなければならないものがあると考えておりまして、答申に関する扱いの問題といたしましては、教育に関する部分とか、警察に関する部分はこういう答申があつたからということを、それぞれの所管の省に移牒をいたしまして、その線に沿うて御起案願いたいということを申し上げております。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 水害及び冷害の対策として、地方の団体から特別平衡交付金なり、あるいは起債のわくを拡大してもらいたいという強い陳情があつたはずでありまして、それについて自治庁としてはどういうふうな手を打つておられるかお伺いいたしたい。
  65. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 自治庁の考え方といたしましては、特別平衡交付金のわくを拡げるということと、それから例の災害特例法による起債というものと、両方でもつてこの地方のそういう負担増、収入減というものをまかなう考え方で折衝いたしているわけでありますが、ただいまの大蔵省側の考え方といたしましては、むしろ当面の措置は全部起債の面で解決して行く、そうしてそれに対する利子の面だけをとりあえず考えて、その元利の問題は翌年度以降の問題として解決して行きたいと考えているようであります。どちらの方法によりましても大きな差はないと考えておりますので、まあどちらの方法でもよいから、とにかく必要な数字だけは出してもらうように折衝いたしているわけであります。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし今の特例法に基くいろいろな公共事業等に伴う起債を認めるとか、それから特別平衡交付金、そういうものの起債だけに限定するということになりますと、これは水害、冷害等もそうでありますが、補助事業に伴う地方団体の負担増ということを以外に、独自のいろいろなこまかい事業が出て来るわけであります。同時に半面から言いますれば、米の減収にしましても、約一千万石と言われておりますが、一万円にすれば一千億、それ以外にいろいろな大きな災害があるわけでありますから、従つて地方団体としては、府県でも市町村でも相当の税収の減収を見るだろう、そういう面から財政を圧迫するということを十分考慮に入れていただいて、そうして単に起債でもつてこれを措置しろというのではなくて、やはり平衡交付金の面でも積極的にこれを獲得するということに努力をしていただきたい、これはお願いを申し上げておきます。  それからあわせて一つお願いがあります。実はこの前の委員会で火力発電の借款の問題につきまして、質問したのでありますが、この問題は、例の二つの電力会社に火力発電の設備をアメリカから買うための四千二十万ドルの借款を、日本開発銀行が世界銀行から借りる、これに対して政府が保証する、その保証の契約の中に、地方公共団体の財産について一定の制限を付せられるという問題があるわけであります。それで、これは憲法違反あるいは地方財政法の二条の国は地方財政の自主的な運営を助長して、その自律性をそこなうようなことがあつてはならないというような規定にも違反するようになる疑いがあるのであります。そういう点をこの前の委員会でお伺いしたのでありますが、この問題は実際に十五日に調印をされておるわけでありますからして、国の重要な契約として閣議にも諮つたのではないかと、私は想像するのでありますが、これは御承知でありましようか。
  67. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その話は私も聞きまして、何か聞いたところ非常に不合理でもあり、また実際問題としてもおかしいじやないか、そんなことになつてはたいへんじやないかというふうに考えて、そのような意見を述べておいたわけでありますが、その後の問題の解決といたしましては、もちろんどのような契約をいたしましても、これは憲法及び法律の範囲内の話である、そういうものにそむいた措置というものが行われるというわけではないのだということが一点と、それから現実にそういう事態が発生をいたしまして、地方団体にそういう負担がかかるというようなことになつた場合には、その具体的な問題について、適切な措置がとれるのだというような意見でもありますので、今のところ自治庁といたしましては、それ以上は静観をしておる、こういうふうなことになつております。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題法律論とか、いろいろな問題に関連しますので一時間もございませんから、質問としては一応打切つておきますが、すでに調印をされたことでもあるし、そういうふうな地方公共団体にも関係する問題でありますから、当委員会に対しても契約の文書というものを、資料として至急配付を願いたい。これはまだ正式に発表になつておらないので、実は何か変だと思つているのですが、大至急配付を願いたいということをお願いしておきます。     —————————————
  69. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 それでは奄美大島受入れに関する予算措置の問題並びに島根県竹島問題についての質疑を許します。床次君。
  70. 床次徳二

    ○床次委員 奄美大島の返還に関しましては、政府当局もすでに実地調査をしておられまして、なお今回の臨時国会におきましては、それぞれ必要なる予算措置がなされておるようでありまして、詳細につきましてはあと局長から伺いたいと思いますが、特に大臣に要望いたしたいし、御意見も承りたいことは、大体この移管は現地におきましては十月いつぱいをもつて終るかのように予想されておる。従つて、実際今日現地の実情を承つてみますと、十一月以降の地方行政並びに地方財政の部分は、ほとんど予算措置が少い。特に地方行政に関しましては、役場では必要な経費をほとんどもう持つていないという状態までなつておるという話であります。なお経済的に申しますと、貨幣の切りかえが行われるために、ある程度まで貨幣の流通が実情においてとどまりかけておる。従つて引継ぎの時期が遅れると、非常な困難が出て来るというような各種の問題がある。特に地方自治だけを取上げてみましても、いわゆる自治行政そのものができないという経済的な困難に瀕するということになるのでありまして、ただでさえ窮迫している同島といたしましては、この問題は非常に大きな問題だと思う。移管後の問題については政府も大体準備しておられるように承りますが、移管が多少遅れましたときの時間の空白です。これをどうするかという点に対しましては、どうもまだ考慮がないように思います。受入後の問題につきましては、昨日もそれぞれ要望書があり、かねがね陳情書もありますから、ここに繰返して申しませんが、この時間のずれによるところの応急措置だけはぜひともとつてもらわなければならないのではないか。結論から申しますと、政府の方において移管後の措置をしておられるならば、移管後の時期が遅れておつて、その間に空白ができましたならば、前に対しましてもその措置を及ぼして行政上遺憾なきを期することが必要じやないかと思うが、この点に対する大臣の御意見を承つて、なお対策等もひとつ至急お考えをいただきたいと思います。
  71. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはどういうようなお気持のお尋ねなのか、ちよつと見当がつきかねるのでありますが、私ども考え方といたしましては、具体的な見通しといたしましては、大体今度の臨時国会に必要な法律それから予算、そういうものを全部御審議願つて、受入れ態勢を整えておく、従つて十二月一日くらいまでならば受入れ態勢が十分できて、その辺を目安に引継ぎができるならば受入れたい、こういう考え方でいるわけです。ただしかし問題問題でありますから、こちらの考え方だけでは行かない。アメリカ側と意見の合つたときに、合つた日付でこれはお引受けをするということになると思うのでありますが、その場合に私どもといたしましては、移管をされますまでの部分は、今まで通りアメリカ側が琉球政府の手を通して、今までめんどうを見ておつたそのままの形が引続いて行われるじやないか。従つてどもの、つまり日本でめんどうを見るというのは、引継ぎを受けたとき以後でいいのじやないか、こういうふうに考えているわけでありますが、床次委員のお尋ねによりますと、ある時期が予定されておつて、その時期から遅れると、その時期にアメリカ側もめんどうを見ない、また日本側もめんどうを見ないという時期が起るじやないかという御想定でお尋ねになつているのじやないかと思うのですが、そういたしますと、そういうことはないのじやないかというふうに、私どもとしては考えているのであります。しかし現実の問題として、十二月一日に引継ぎを受けてみて、それで十二月一日以前の費用のめんどうもどうしても見なければならぬという面が出て来るということになれば、やはり引継ぎを受けた奄美大島全体としての財政需要と収入との関係でもつて、平衡交付金で何らかの措置ができるものだというふうに考えております。
  72. 床次徳二

    ○床次委員 形式的にかつ論理的にお答えになれば、ただいまの通りであります。しかし実情においてすでに視察団もおいでになりましておわかりになつていると思いますが、現地におきましては大体十月一ぱいをもつて内地に移管されかのごとき態勢でもつて、今日ほとんど事業その他についても中止しておる。従つて役場その他におきましても、十一月以降の事務を行うべき財源をほとんど絶対に持たないという状態であります。新しく税金を徴取いたしますならば財源はある。しかしその分だけはまだ徴収しておらぬというために、財源を持つていない。だから、から手でもつて、実はもしも十二月から移管されることになれば、その間の処理をしなければならぬ。またあらためて税金をその期間にとつて、そうして実は事務を行わなければならぬという実情になつておるようであります。これは単なる事務費、俸給等に限らず、一般事業につきましても、すでにこの夏以来だんだん末細りになつておる。移管の時期を待つておるというために、非常に事業が縮小されておるというよりも、むしろここ数箇月行われてないという方がいいという状態になつておる。これの民生に又ぼす影響は非常にひどいものでありまして、終戦後の状態と今日の状態とはまことに異なつておる。ことに金融面におきまして、貨幣の切りかえが行われるということが予想されますので、金融の動きというものは非常に杜絶しておる。そのために物資も動かないという状態であります。ここに実際に困難しておる問題が今日現に出ておる。最近調査に行かれた方々は、その状態について大体推測されておる。もとよりこれは移管前のものでありますから、わが国で見るべきものではないかもしれない。法律上はそうだと思いますが、この状態につきましては、実際問題から申しますと、人情からいたしまして、アメリカの方がそれほど手を出さないということも予想もされ、従つてここを何とかつなぐことが、私は非常な緊急的なものとして必要だと思う。われわれ法律上は義務がないということになるかもしれませんが、これはきわめて法律的な問題である。当然内地に復帰すべきものに対しまして、何らかの措置をするということはやはり必要だと思う。この点に対しましては、これは国全般の問題だと思います。単なる自治行政だけの問題じやない。当然御考慮願わなければならぬ。むしろそういう状態に今日達しておるのではないかと思われますので、実はお尋ねした次第であります。
  73. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ね趣旨がよくわかつたのでありますが、ただ新聞報道などで伝えておるところによると、延びたら延びただけは、琉球政府において処置するというような報道も出ておるようでありますし、十一月以降の予算などについても配付する、こういうようなことを言つておるにはおるのであります。しかしそれは言つておりましても、おそらく床次委員御指摘のような現実の事態というものは出ておるだろうと、私ども想像いたされますし、もし現実にそういう事態が出ておる場合に、それが全然移管前のものであるから、日本政府としては法律的にもまた現実の問題としても、めんどうを見るべき性質のものではないというようには、やはり考えてはおりませんので、やはりこういうように移管という話が相当前から出て来ておるならば、その中間にかなり実際問題として好ましくない事態が出て、従つてそのために住民の方々が困難されておるという場合が想像されますので、それは移管後になりまして検討いたしまして、移管前の問題につきましても措置すべき必要のものがあれば措置をする。しかしその場合にただ税金をとらないでおつて、経費が足りないということであれば、あるいはまた税金はとるべきものはとる。それでもなお足りないものはめんどうを見る、こういうような結果になるのではないかと、一応考えております。
  74. 床次徳二

    ○床次委員 事柄としては、大体行政的にはそういう措置がとられるべきだと思いますが、しかし実際面におきましては、なかなか現実の生活としては、それが間に合わない時期に金をもらいましても、現在の生活は救われないという状態が出て来る。それで特に私ども政府に要望いたしたいのは、政府はどうせ引受け事務に関しまして、アメリカ政府と交渉があるはずである。その場合において移管後におきましてはどうするということをお考えになることは、けつこうでありますが、ただその移管前におけるか空白に対しまして、どういう処置かするかということは、当然その交渉の委員会におきまして、適当な措置を講ぜられてよろしい。それはアメリカは当然義務として引継ぎまでは義務があるわけでありますが、義務の履行が遅れた場合には迷惑するのは現地だ。ただでさえ窮迫しておるのに非常な迷惑をすることがあつてはいけない。これは交渉委員会におきまして、政府として対処せられるのがよろしい。その点特に要望いたす次第であります。
  75. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 ただいまの御趣旨に従いまして善処いたしたいと存じます。
  76. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 大臣に一つお願いがあるのですが、今全国の各都道府県管内において、猛烈な勢いで町村合併が進行しております。それでこれについての政令は出たということを、さつき次長から承りましたが、町村合併促進法の建前がいろいろの合併の障害の排除ということのほかに一いろいろな助成その他の誘い水もあるわけでありまして、それから事務的にも非常に経費のかかることでありますし、そうした問題につきましての財政措置が確定いたしておりませんので、合併に関係いたしますところの市町村また府県が非常に困つておるようです。それでこれにつきまして、できるだけ早く大蔵省とお打合せになりまして、助成その他についての見当をつけていただきますことが、急務かと思つております。それで特に私考えますのに、今年度中に合併が行われますような場合には、役場の庁舎の経費でございますが、これはどうしても相当な増築が必要なのでございまして、年度途中に合併促進法というものができたわけでございますから、年度当初の予算計画にもないのです。これに対してはどうしても促進法による補助とか、それから起債とか、そういうことが実施面で直接必要になつて来ると思います。また吏員の規定につきましては、その全員を新しい町村に引継ぐという法律になつておりますが、何にいたしましてもそれだけを収容することは、町村の都合等でうまく行かないと思いますので、退職者も相当出るだろうと思います。そうした場合、ことに永年勤績という相当な年齢の吏員が、その機会に通勤その他の関係もあり、やめることが予想されるのでありますけれども、これらの退職金につきまして、大規模な国の行政整理と同等なものを支給するという優遇措置を講ずる必要がありますので、これらの予算はどうしても確保していただかなければならぬ、こう考えております。さきに大蔵省の鳩山主計官は、府県が町村合併について使う経費は、これは国の事務を地方団体の機関に委任したのだという建前から国が支弁するのが適当と思うがどうかとの質問に対して、それはその通り考えると答弁しております。また愛知政務次官は地方行政委員会におきまして、具体的にこの町村合併の誘い水になるところの道路、水道、保育所等の問題につきまして、必ずわく外に助成するという答弁をしながら私は国会に来て間もないので、政府答弁はその通り実施するものだと思つておりましたが、大蔵大臣は地方行政委員会におきまして、小学校の校舎の認証坪数児童一人について〇・七坪では、明らかに少過ぎるというようなことを言つておりながら、今年度も老朽校舎は別として、一般校舎は〇・七坪になつておる。そういうふうな大蔵省の無理な考え方を、事ごとにほどいて行つていただいて、町村合併の促進のしいいように、ことに愛知政務次官はあの法案の提案者でもありますので、大蔵省としては、もう少し力を入れるものだと思つておりましたが、予算の計上につきまして好意を見せたという話を、まだあまり聞いておりません。法律を実施して、そして法律で約束したことが何一つ実現できないようなことでは、これは町村合併のせつかくの機運がはばまれることにもなりますので、大臣において、特にその点を十分に予算の確保に御尽力いただきまして、町村合併をする市町村が、大体どの程度経費は助成せられるか、あるいは融通を受けたり起債をさしてもらつたりすることができるかというような点を、なるべく早く示していただきたい、こう考えるのであります。どうぞその点につきましてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 合併促進に関しましてのいろいろな必要は、ただいま加藤委員から御指摘の通りに、私ども考えておりますので、できるだけ多くの予算を、本年度中に補正予算の形で、また起債を必要とする面があれば、起債の形でという考え方で、鋭意大蔵省と折衝いたしておるのでありますが、何にいたしましても本年度は、非常に予算がきゆうくつになつておりまして、急を要する災害復旧も、なかなか十分に行かないというような状態になつておりますので、今までのところ大蔵省側が示しておりますこの問題に対する意向というものは、あまり満足できるような状態のものでないことは、新聞紙上などで御承知になつていられる通りであります。しかし私どもといたしましては、大蔵省側のそういう要求は要求として、一応はもつともな面もあるけれども、しかしまた町村合併促進問題自体の重要性というものも、十分に理由のあることでありますので、その点を強く主張いたしまして、まあかりに本年度の予算が、多少当初の希望しておりました数字——当初は御承知のように二十八年度中に三十七億程度ということを、実は強く考えて希望しておつたのでありますが、なかなかそうも行かないので逐次再検討を加えて、今のところでは最低十億くらいは確保してもらうようにということで、最低の線で折衝しておる状態でありますが、この十億に切り詰めましたのは、必要なものをもう必要ではない、支出すべきものを支出しないようにということで考えたのではなくて、いろいろと当初の三十七億計画のときに盛り込みましたものの中で、二十九年度以降に延ばせるものは延ばすというようにして、時期的に多少先へ送つて必要なものは必ず確保するという線で、交渉を進めておりますので、今後もその線に沿うように努力いたして行きたいと考えます。
  78. 西村力弥

    ○西村(力)委員長代理 本日はこの程度で散会いたします。     午後一時四分散会