○
灘尾委員 私
委員長の御
指名によりまして、
地方制度調査会の
行政部会の方に属しておりますので、今日までの
地方制度に関する
審議の
経過について御説明申し上げたいと思います。
御
承知のごとく、昨年の秋に
地方制度調査会が設置せられましてから、
調査会の
委員といたしましては、今後の
地方制度の
改革につきまして、いろいろ
審議をいたしてお
つた次第であります。御
承知の通り問題がきわめて広汎であり、かつ問題によりましてはきわめて重要な性質を持つ
事項もございますので、いろいろ
審議はいたしておりましても、なかなか
結論に到達するというところまでは参
つておらないようであります。私は先般この
調査会の
委員に委嘱せられまして、
行政部会に所属いたしましたわけでありますが、その当時の
状態といたしましては、まだ
格別結論というふうなところまでは至
つておらない
状態であ
つたように思うのであります。だんだん次の
年度の
予算の編成も迫
つて参りまするし、また次の
通常国会ということもございまするので、
根本の問題につきましてかれこれ
議論をいたしておりまして、当面必要とする
改正が遅れるということもいかがであろうということも考えられますると同時に、
政府の方からも何とかひとつさしあた
つて改正を必要とせられると認めるものについては、
答申をしてほしいというような御希望の次第もありましたので、その後
根本問題につきましてはしばらくおあずけいたしまして、次の
国会に
提出せられる
法律事項というような問題につきまして、
審議を進めることにいたしました次第であります。
一体何を問題として取上げるかということから始めなければならぬという
状況でありまして、
政府からは何らの原案のお示しもないのであります。各
部会ごとにそれぞれその問題につきましていろいろ
意見を闘わせました結果、
行政部会といたしましては主として
行政に関する
事項、
財政部会におかれましては主として
財政に関する
事項につきまして、それぞれ研究すべき
問題点というものを話し合いまして、その結果に基いていろいろ
審議を進めておりました次第であります。御
承知のような
地方制度調査会の構成でありますので、各
部会ともに、
結論を山すということは実は非常にむずかしい点もあるように思うのであります。ことに
地方団体の
関係の
方々が、みなそれぞれ入
つていらつしやいますから、それぞれの
立場においてみな強いしかも有力なる
意見を発表しておられますので、甲論乙駁と申しまするか、いろいろ
立場が違いますので、共通した点を発見するということが、なかなかむずかしい
状態でもございましたので、われわれの
部会といたしましては、ともかく
一つ審議の
対象たるべき案をこしらえる、これを元にしてひとつ
審議して行こうじやないかということになりまして、相談の結果比較的自由な
立場にあると申しまするか、あるいは
中立的立場にあると申しまするか、
学術経験者として
委員を委嘱せられております方方にお願いいたしまして、
行政部会としての
答申案をひとつ書いてもらうということにいたしまして、この小
委員の
方々が数次にわたりまして熱心に
審議せられました結果、ある
程度の案がまとまりましたので、それを
部会に移しまして、去る今月の一日、二日、三日にわたりまして、
部会といたしましてこれを
審議したのであります。その結果どうやら一応の案がまとまりましたので、これを明日から開かれる
総会に
報告して、さらに
総会で
審議を願うという段取りにな
つておる次第であります。
お手元に当面
答申を要すべき
事項というのが差上げてあると思うのでございますが、これを一々御説明申し上げる必要も
皆さん方に対してはないと思うのでありまして、
ごらんを願いたいと思うのでありますが、ただこの
取扱い方につきまして、つけ加えて申し上げまするならば、この中に
少数説というふうに書いてあるのがございます。これは先般の
部会の際にいろいろ賛否それぞれ
伺つたのでありますけれ
ども、その際
少数ではありましたが、三分の一以上の数を持
つておられたというようなものにつきまして、
少数説としてここに掲げたのであります。それからまた全体のいわゆる
修正意見と申しまするか、小
委員会案に対する
修正意見として採択せられませんものにつきましても、漏れなくこれを付録といたしまして整理いたしまして、これを全部
総会に
報告いたしまして、この全部を通じてひとつ
総会でよく御
審議を
願つて結論を得たい、こういうふうにいたしておる次第でありますので、さよう御了承を願いたいと存じます。
お手許に御配付申し上げておりまする、
答申を要すべき
事項というこの順序に従いまして、大体この
答申案の心持につきまして簡単に申し上げたいと思うのであります。
ただいま申し上げましたように、この
答申案は
地方制度の
根本的改革というようなことにつきましては、なお今後も慎重な
審議にまつべきものが少くない
状況でありますので、
政府の
予算編成、
法律案の準備等の都合を考えまして、すみやかに事態の解決をはか
つた方がよかろうというものにつきまして取上げた次第でありまして、ここには
地方公共
団体の種類、性格、規模及び事務の配分に関する
事項、
行政の簡素化、合理化、能率化というようなことに関する
事項及び大
都市制度に関する
事項というふうに、主として三項目について
意見をまとめたのでございます。
まず
地方公共
団体の種類、性格及び事務の配分に関する
事項でありますが、
地方公共
団体の種類につきましては、御
承知の通りに一方においては現在の府県の制度というふうなものは廃止したらどうかというふうな
議論もございます。またこの際道州制制度を設けたらどうかというような
議論もあるのでありますが、府県の制度を廃止いたしますとか、あるいはまた道州制を実施するというようなことにつきましては、なお慎重に検討する余地がありますので、さしあたり現在の通り
市町村及び府県の二段階制をとることを適当と考えております。
それから
地方公共
団体の性格でありますが、この性格という問題につきましては、
行政事務の再配分をいたします結果、その性格が明らかになるということもございましよう。またその性格の前提として事務の配分を考慮すべき問題もありましよう。この問題は抽象的でなくて、具体的に個々の
行政事務の実際に即して、その性格が規定せられるべきものではなかろうかというふうな考えをいたしたのであります。
市町村につきましては現在の通りに基礎的な
地方公共
団体といたしまして、主として自治事務を処理する、いわゆる完全
自治体であるべきことにつきましては
議論のないところでございます。問題は府県でありますが、府県は申すまでもなく国と
市町村との中間に位しておりまして、いわゆる広域
行政、
市町村に対する補完
行政及び
市町村間の調整
行政を行うべきことが、各方面のおおむね一致した見解と考えられたのであります。これらの事務の中には自治事務に属すべきものと、それから国家的性格を有する事務に属するものとがあるように認められるのであります。そうして府県の実態を見てみますと、府県またはその機関に委任せられました国政事務は、その分量においてはいわゆる府県の自治事務よりも多いのじやないかというふうな
状態でございます。けだし府県が国と
市町村との中にある公益
団体であり、中間
団体であるという事実に基くものと考えられるのであります。この点におきまして府県は国政事務の処理の上におきましては、
市町村とは
相当異
なつた機能と性格を持
つているものであるということはいなむことができない事実であろうかと考えるのであります。これらの点にかんがみまして、府県は本来的にその自治事務を処理いたしますると同時に、国家的性格を有する事務を処理することを、その任務とするものと考えたのであります。
従つてこれに伴いまして、国家的事務の遂行に必要な限りにおきましては、国は最小限度の指揮監督権の行使その他一定の
行政関与を行うことを認めざるを得ないと思うのであります。なおこのような
取扱いをすることによ
つて、現在他の方面において検討が続けられておりますところの国の
地方出先機関の府県への統合、中央官庁の府県への権限委譲の問題も
促進せられると思うのでありまして、国政全般の処理の合理化にも資し、かつ府県の実質的権能の拡充も可能になるものと考えられるのであります。
それから
市町村のいわゆる級別制の問題でありますが、一般的制度としてはこれをとらない。ただ事務によ
つては
市町村の実力に応じて配分をすることが
地方の
実情に即するゆえんであると考えるのでありまして、その結果その権能に広狭を生ずるということも十分
予想せられるところであります。
従つて必要に応じ事務配分の基準として、たとえば大
都市であるとか、あるいは中
都市、あるいは小
都市というような段階を考慮するということも考え得られると思うのであります。
それから国の事務の機関委任あるいは
団体委任の制度、特に府県に属する国の職員としての
地方事務官等の制度につきましては、批判のあるところであります。前申しましたごとく、府県が国と
市町村との間にありまして、自治
行政と国政との調整点に立
つているということにもかんがみまして、事務の配分及び国の
出先機関の統合等を
促進するためには、これら
地方事務官あるいは
地方技官という制度を活用することが適当ではないか、かように考えたのであります。なお
地方事務官等の制度につきましては、
地方事務官たるものの身分
取扱いにつきまして、府県
知事に一定の権限を認める等、国家公務員法の特例というふうなことにつきましても考えなければなるまいかと思
つております。
それからここに、「府県
知事の
選任方法は
現行どおりとするものとすること。」ということが書いてあります。これは実は府県
知事があまり長くその職にあることはいかがであろうかというふうな
議論もございまして、あるいは府県
知事が再任になるということをやめたらどうであるか、あるいはまた府県
知事が三たび引続いて府県
知事になるということはやめたらどうであろうかというふうな
議論もございましたが、結果といたしましては、ここにあります通りに
現行通りとするということにいたしたのであります。
それから
地方団体の規模の合理化に関する
事項でありますが、
町村の問題につきましては先般
町村合併促進法が制定せられたことでありますので、この
町村合併促進法を活用いたしまして、極力
町村合併の推進をはか
つた方が適当ではないか、こういうのであります。また市につきましては、現在御
承知の通りに
地方公共
団体の
人口要件は三万以上とされておるのでありますが、市は
町村とは違いまして、
行政事務を高い
水準に置いて処理することが期待せられまするので、新しく今後設置せられるものにつきましては、その
人口要件を五万以上とするのが適当ではなかろうかというので、こういうことにな
つたのであります。これにつきましては現在のままでよろしいのじやないかという
意見があることはもちろんでございます。
それから府県の規模の合理化につきましては、その合理化の
必要性は認められるのであります。この問題はなかなかむずかしい問題でございまするし、影響するところも大きな問題でございまするので、これは道州制等の問題とあわせて今後ひとつ検討して行きたい、こういうのでございます。
次に
警察、
教育その他の事務の配分に関する
事項であります。まず
警察事務の配分に関する
事項でありますが、今回の
答申案によりますれば、
ごらんの通りに、国家
地方警察もやめ、
市町村の
自治体警察もやめ、府県単位の
自治体警察を設けよう、こういう骨子にな
つておるのであります。
警察を国家
警察に一元化するということは、
警察に対する民主的統制を欠く結果になりますし、一面において
市町村自治体警察の現状をそのまま承認することは、
警察力の強さの点におきまして不十分ではなかろうか、また
機動力を欠くような結果になるのではなかろうか、能率的な
警察事務の運営は期待し得られないものと考えられる、こういう
意見でございます。よ
つて民主的統制の基盤の上に能率的な
警察を打立てますためには、府県単位の
自治体警察の制度によることが最も適当と考えられるというのがこの
答申案の趣旨であります。しかしながら
警察相互の連絡調整、
教育、鑑識あるいは通信というような事務は、これはひとつ中央で一元的に処理することが適当であろうと思うのであります。
その次は、大
都市警察の問題でございます。これにつきましてはかなり
議論の多いところであります。
答申案といたしましては、
警察は機動的かつ一体的に活動することがぜひとも必要でありますので、大
都市と周辺の郡部との一体性にかんがみまして、大
都市についてもこの特例を認めるということは適当じやない、どこまでも府県
警察一本で行こうということに相な
つておりますが、これにつきましてはきわめて有力な大
都市警察存続論があるということを申し添えておきます。
それから府県の
自治体警察はもちろん
公安委員のもとに置くことにするのでありますが、
公安委員会の
委員の資格制限というものは、必ずしも必要と認められない、むしろこれを緩和して各種の職歴を持
つた者によ
つて委員会が構成せられるようにするのが望ましいのではないかというのであります。また府県
自治体警察と申しましても、これは
地方事件を処理すると同時に、国家に直接利害のある事件も処理するわけでありますから、国家的な事件等に対しましては、国が府県
自治体警察を指揮、監督し得るものとすることが適当ではないか、かように考えられるのであります。さらにまた
警察事務の特殊性にかんがみまして、その処理については国も深い関心と責任を持たなければなりません。また
警察職員の人事の刷新交流をはかることが必要と考えられまするので、
警察職員の身分あるいは待遇等につきましては、特別な
取扱いをすることができるという道を開いておいたらどうであろうか、こういうふうに考えられたのであります。
それから
警察の一定の
水準を維持いたしまして、
警察職員の人事交流を
促進するためには、
警察職員の給与及び定数の基準を法律でも
つて定めることが適当であると考えました。なおその際、現在の
自治体及び国家
地方警察の一元化に伴いまして、
相当程度の
人員の整理が可能となりますので、適当にその措置を考慮すべきものであろうと考えます。それから
警察費につきましては、国が一定の
負担をすべきものであるということは、これは当然のことであろうと考えるのであります。
次に
教育事務の配分に関する
事項でございます。
義務教育学校の
施設の維持管理は、
現行通り
市町村の責任とすべきでありますけれ
ども、教職員の人事につきましては人事交流の必要その他広域的にこれを処理することが適当であるということにかんがみまして、教職員の給与支給の事務を含めまして、これら職員の身分
取扱いは府県の責任とすることが適当であると考えたのであります。なお
教育事務は
警察事務と違いまして、五大市
程度の規模を持
つておりますならば人事交流等人事管理もその大
都市限りで合理的に行い得ると思われますので、五大市はその区域内における教職員の
行政、
財政上の責任を負うものとすることが適当であるとせられたのであります。
それから
行政委員会としての
教育委員会につきましては、さきに申しましたごとく
市町村は学校
施設の維持管理のみを行うことといたしましたので、
市町村の
教育委員会はこの際廃止してしかるべきものではないか、府県及び五大市の
教育委員会につきましては、
教育行政の政治的中立性を保障するためにこれを存置すべきものと考えられたのであります。それから
教育委員会の
委員の定数は若干減らすことにいたしますと同時に、現在の公選制の方式はいたずらに厖大な経費を必要とするばかりでなく、その実際に照しまして、
教育行政を中立的にかつ公正に処理するという
委員会の建前から見まして、必ずしもこれと合致しておらないのじやないかというふうなうらみもありますので、長が議会の同意を得てこれを
選任することとし、その際
教育委員会が真に住民各層の代表者によ
つて構成されるように措置することが必要であろうということにな
つたのであります。なお
教育委員会の有する原案送付権の制度は、
地方財政の総合運営を阻害し、
地方行政を混乱に陥れるというふうにさえ思われる
実情にありますので、これを廃止いたしまして、他の
行政委員会と同様にすることが適当ではないかというふうに考えられたのであります。
それから
義務教育職員に要する経費につきましては、
国庫負担の制度が当然
予想せられるわけであります、また人事交流の必要もございますので、その給与及び定数の基準は法律でも
つて定めることが適当であろうということになりました。
次にその他の事務の配分に関する
事項でありますが、その他の事務の配分につきましては、その前提といたしまして、わが国力の現状に即して
行政の実際的効果を確保いたしますために、その成果の多くを期待し得ない
行政事務につきましては、まず思い切
つて整理していただきたい。国政全般を通じて国民
負担の軽減をはかりました上、整理縮小された事務について適当な配分をなすべきではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
それから
行政事務の配分につきましては、すでに
地方行政調査委員会議の勧告の次第もあるのでありますから、この勧告がほとんど実現せられておらないような
状況でございますので、この勧告を参酌いたしまして、なおまた
地方公共
団体、特に府県の性格を考えまして、あわせてまた事務自体の能率的処理というふうな見地から、
実情に即する事務の再配分を
行つてもらいたい、こういうふうな考え方でございます。
次に
行政の簡素化、合理化及び能率化に関する
事項でございます。その第一は
行政委員会制度に関する問題でございます。各種の
行政委員会の運営の実態を見まするのに、この制度が
地方行政の総合的、統一的な運営をはばみ、
行政責任の不明確化を招き、
地方財政にさらに重い
負担を課しておるというような
実情にかんがみまして、真に
行政委員会制度を必要とされると認められるもの、すなわち政治的な中立性を強く要求せられるもの、及び準司法的性質を有するものを除いて、これを廃止することが適当ではないかというのが基本の考え方であります。なお存置するものにつきましても、その
委員数を減らします等、
委員会の構成について簡素化の措置を講じますとともに、専任の事務職員を有するような事務局につきましても、なるべくこれを簡素化いたしたいというのが、この趣旨であります。具体的に申し上げますれば、ここに書いてあります通りに選挙管理
委員会については、選挙の公正を確保する建前上、これを制度としては残す、ただ事務機構については簡素化する余地があると考えるのであります。また人事
委員会あるいは公平
委員会につきましては、
地方公務員はその職務の特殊性にかんがみまして、労働基本権を制限せられておるというような
状況でありますので、第三者的な中立機関を置いて、公正な
立場から
地方公務員の利益を保護する必要があり、また
理事機関の公選に伴ういわゆる情実人事を排除して、本人の能力の実証による公正な人事をいたしますために、中立的人事機関による人事の調整をはかることが必要と考えられるのであります。しかしながら、規模のいかんを問わず、すべての
地方公共
団体を通じて独立の機関を設置する必要があるかどうかということになりますと、かなり実際問題といたしまして、その必要がないというふうなところもあろうかと思いますので、府県の人事
委員会は存置するものといたしますが、
市町村につきましては人事
委員会または公平
委員会を置かない限りは、その事務は府県に委託したものとみなすというような便法をと
つたらどうであろうと考えたのであります。
農業
委員会、海区漁業調整
委員会は、これは特定の住民の利益を代表する機関としての性格を持
つておるものであるということにかんがみまして、多額な経費を要しまする
委員の公選制は廃止して、
団体の
実情に合した方法によることにしたらどうであろうというのがこの趣旨であります。
地方労働
委員会につきましては、これは現在通りに存置してしかるべきものと考えたのであります。
それから監査
委員でありますが、これは監査事務の重要性にかんがみまして、現在任意設置とせられている市につきましても、これを必ず置くべき機関といたしまして、監査
委員をして真にその人を得ることのできるような必要な資格要件を定めるべきものであると考えたのであります。
その他の執行機関に関する
事項でありますが、府県とかあるいは
市町村の内部組織、この部課は極力整理縮減をはかることが適当ではないか。ことに府県の部につきましては、その規模に応じまして、六部以内というくらいにとどめることにしたらどうであろうかというのであります。
それから出納長の問題でありますが、出納長の制度自体は必要であると考えますけれ
ども、事務の処理方法、事務の処理機構等につきましてはなお簡素化する余地があるのではないか、こういうふうに考えたのであります。
それから府県及び
市町村の各
行政分野ごとに設けておられますところの
出先機関は、これを整理統合する必要があり、なお労政事務所でありますとか、その他福祉に関する事務所でありますとか、府県あるいは
市町村の
出先機関の法令による強制設置の制度は、なるべくひとつこれを廃止することにしたらどうであろうかというふうに考えたのであります。
同様に、また法令によ
つて強制設置せられております各種の
審議会あるいは特定の職というようなものも、なるべくひとつこの際整理統合するものとした方がよろしいのではないか。
さらにこういうような機構の簡素合理化に伴いまして、
地方公務員の数につきましても合理的な整理を行うべきものではなかろうかというのが、この
答申案の趣旨であります。
次に議会の組織及び運営に関する
事項でございます。
まず第一に議員の定数の問題でございます。これにつきましてもいろいろな
議論がございます。
地方行政調査委員会議の勧告の次第もあり、現在の議会の議員数は、あるいは多きに失するのではなかろうか、真に住民の多数を代表すべき議員を選出いたしまして議会の運営を能率的に行い、あわせて経費を節約するために、
現行議員数の三分の二
程度としてはいかがであろうかというのが、この
答申案の趣旨であります。これにつきましては、きわめて強い反対があ
つたことは申し上げるまでもございません。
また議員の地位につきましては、それ自体一つの職業と言うよりも、住民を代表し住民のために行動すべき名誉職であるというふうな趣意を明らかにするのがよろしいのではないか。この意味は、私はきわめて精神的な要素を強調したいという意味合いにおいて、これが出ておるものであると考えるのであります。この点につきましても、こういうふうなことを特に書き上げる必要がないという
議論がございました。
それから常任
委員制度につきましては、いろいろと
議論がございましたが、現在の常任
委員会につきましては、その実際に徴しまするのにかなり改善をする余地があるのではないかというので、この常任
委員制度を廃止すべしという
議論も、ここに書いてあります通りにあ
つたのでありますけれ
ども、多数の
意見としてはこれは残して、その運営方法等について
相当な改善をしたらよろしいのではないかという
意見とな
つたのであります。
それから次に議員の兼職の問題であります。
市町村を包括いたしておりまする府県が、
市町村の複合体というような形を持
つておることにかんがみまして、府県と
市町村との間に円滑な
関係を確保するために、府県議会の議員と
市町村の議会の議員及び
市町村長との兼職を認めることが適当ではないか、こういうのがこの
答申案の大体の趣旨であります。また議員につきましても長と同じく、一定の職業
関係につきましては、あるいは議員たる職を兼ねることが適当でないというものもあろうかと考えまするので、これらにつきましても再検討をしたらどうであろうかというのであります。
それから議会が長に対して行う不信任決議の問題であります。これにつきましては過半数議決でも
つてやることができることにしたらどうかという
議論があ
つたのでありますが、
部会といたしましては、この点は
現行通りにしたらよかろうというのが多数とな
つたのであります。
それから任用制度その他
地方公務員制度に関する
事項でありますが、まず
地方公共
団体の人事の停滞を防ぎ、
行政の能率化を期するために、条例で停年制を設け得る道を開くことが適当ではないか。
それから府県及び
市町村の職員の現在の共済制度はきわめて区々でありまして、その間不均衡な点も少くありませんので、すみやかに統一的な共済制度を確立し、吏員の身分を安定する必要があるのではないか。
さらに
地方公共
団体に人材を確保いたしまするとともに、その人事の停滞を排除し、も
つて行政の能率向上をはかりまするために、人事の交流を
促進する必要があるのではないか。そこで恩給年限を通算し得るようにするとともに、その他の身分
取扱いについても、適当な措置をその趣旨をも
つて講ずる必要があるのではないかというのであります。
それから
地方公共
団体の事務の運営の能率化に関する
事項であります。別に具体的のことを書いておるわけではございませんが、現在国においても
行政運営
法案が検討せられておるように聞くのであります。これらの趣旨をも勘案いたしまして、
地方公共
団体の
行政運営の能率化のための一般的制度の樹立または共同研究の推進等、適切な措置を講ずべきであろうというのであります。
それから監査機構に関する
事項でありますが、監査
委員制度とともに長その他の執行機関が独自に行う内部監査機構、あるいは自己監査機構と申しますが、これもあわせて充実すべきではないか、かように考えたのであります。
それから国の
地方公共
団体に対する監査権の行使につきましては、現在すこぶる多種多様であり、またすこぶる頻繁であります。
地方公共
団体といたしましては、これが応接にいとまがないというような
状況でもありますので、国の監査権の行使は重複を避け、統一することが必要ではないか、かように考えたのであります。
その次は、
地方公共
団体と
地方における国の
出先機関との
関係に関する
事項であります。国の
地方出先機関の整理につきましては別に検討が続けられておるようでありますが、国政全般にわたる
行政の簡素化、合理化の実をあげまするために、また
地方公共
団体、特に府県の性格にもかんがみまして機関委任、
団体委任の制度及び
地方事務官の制度等を活用することによりまして、国の
出先機関を大幅に整理し得るものと認められるのであります。ここにいろいろ書いてございますが、こういうふうな諸機関につきまして十分検討をいたしまして、できるだけこれか
地方の
団体の方に統合するようにいたしたいという趣旨であります。
それから
地方公共
団体と公共的
団体及び住民組織との
関係に関する
事項であります。町内会等の住民組織につきましては、奨励するとかあるいは禁止するとかのいずれにつきましても、画一的な法制的な措置をとらず、しばらく自然の推移を見るということが適当であろうという考えをいたしたのであります。また
地方公共
団体の区域内における
行政権能の行使は、あげて
地方公共
団体に帰一せしめるものといたしまして、これがため特別の
地方公共
団体を設けるというようなことは原則としてとらない。また協同組合等の公共的
団体をしてかかる権能を行使せしめることは将来ともに避けることを適当とする。すべてこれを
地方公共
団体に帰一せしめるのがよかろうという趣旨であります。
次に大
都市制度に関する
事項であります。大
都市につきまして、この際何らかの措置を講ずるということにつきましては、格別異論のないところでありましたが、特別市制の実施は、残
つた郡部の処理について、かなりむずかしい問題を生じまするし、都制もまた特別区の制度その他なお検討を要すべきものが多いのであります。従いましてこの際は、最初に述べました趣旨によりまして、事務及び財源の配分を行うことによりまして、大
都市行政の運営の合理化をはかるものといたしまして、大
都市制度の
根本的解決は府県の規模あるいは道州制等の問題というふうな大きな問題と関連するものとして、将来の検討にまつということにいたしたのであります。
それから四のその他の
事項であります。都及び道につきましては申すまでもなく、おおむね府県の場合に準じて措置することが適当であろうと考えます。
それから最後に中央
行政官庁の問題でございます。中央
政府及びその
出先機関や
地方公共
団体との間に、適正な機能と権限の配分をはかりまして、相互の合理的
関係を確立する。
地方公共
団体に重過ぎる事務処理義務を負わせ、ために
地方財政を圧迫するとかないしは
地方公共
団体の権能を不当に圧縮することのないように、かつまた国政全般の
立場から、
地方における
行政の合理的運営を確保いたしまするために、中央各庁と
地方公共
団体及び
地方公共
団体相互間の事務運営の総合調整を行うということは、きわめて必要なことと思うのであります。この中央
行政機構の設置につきましては、新聞紙上等でもかなりどぎつい表現を用いられたものがだんだん出て来まして、各方面に多くの誤解を生じたかと思うのでありますが、
部会といたしましては、そこに書いてあります通りに
地方自治の健全な発達をはかりまするために、すなわち
地方自治の味方と申しまするか、親元と申しまするか、そうい
つた意味合いにおきまして、
相当な中央機構を必要とするのではないか。すなわち現在の
自治庁でありますとか、あるいは
関係行政機関を整理統合するものによりまして、もつとしつかりした
地方自治のお世話をやくような役所をつく
つたらどうかというのが、今回ここに取上げました趣旨でございます。
はなはだ粗漏なことを申し上げ、かつ不十分なことを申し上げたと思うのでありますが、一応この辺で、私の御説明を終らせていただきたいと存じます。