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1953-07-28 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 熊谷 憲一君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君    理事 松永  東君       生田 宏一君    河原田稼吉君       佐藤 親弘君    庄司 一郎君       前尾繁三郎君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視         (警ら交通課         長)      後藤田正晴君         総理府事務官         (自治庁行政部         公務員課長)  山野 幸吉君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     中村 俊夫君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月二十八日  委員三浦寅之助君及び三木武吉君辞任につき、  その補欠として庄司一郎君及び伊瀬幸太郎君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自治学校設置法案内閣提出第四七号)(参  議院送付)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二九号)  道路交通取締法の一部を改正する法律案門司  亮君外七名提出衆法第三八号)  道路交通取締に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を議題といたします。疑の通告がありますからこれを許します。西村君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 予算案修正が五十億、平衡交付金としてプラスになつたわけでありまして、それに伴つて予算参議院も通過して本ぎまりに成立すれば、この単位費用というものは修正するというぐあいになるわけですか。その点に対する作業なりあるいは一応の考え方、この点についてお伺いしたいと思います。
  4. 武岡憲一

    武岡政府委員 政府から提案いたしました予算に対しまして、国会において御修正がもし成立をいたしますれば、当然これに伴いまして地方財政計画を改訂いたさねばならぬわけであります。その点につきましては過般衆議院におきまして、政府提案をいたしました千二百五十億円の平衡交付金に対しまして、五十億円の追加の御決定があつたわけでございますが、もしこのよう予算成立をいたしますれば、その御修正趣旨が、今日地方財政が総体的に窮乏いたしており、特に給与費算定におきまして、財政計画財源の見方が足りないのではないかというよう意味からの御修正と、承つておりますので、財政計画修正におきましても御修正趣旨を体しまして、そのように訂正をいたすべく、ただいま折衝いたしておるのでございます。大体一両日中に財政計画修正の一応の案を得るという段階にまで、到達いたしております。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと提案の際においては、この単位費用算定した場合において、基準財政要額収入額との差額が全部埋まる、財政計画はこれで完全である、過剰もあるいは過不足もないのだ、こういうぐあいに平衡交付金法提案になにておるわけですが、国会において五十億増額なつたということであれば、そのことによつて政府もこれで満足なのだという前提が、はつきりくつがえつたというぐあいになるわけなのです。そうしますと平衡交付金法というのは、この単位費用というのは総額によつて押えられているのだ、総額がきまつて、これを適当に配分するための費用を出しておるだけだということを明瞭に示しておる、こういうぐあいに思われるのです。そういう点に対して一番最初の財政計画を示し、それに基くこの平衡交付金の一部改正を満足なものとして提案したという立場、これははつきりと平衡交付金総額から算定したものであるのであつて、その満足だということは政府側としての立場上、無理にそういうぐあいにしておるのだ、かようにお認めになりますかどうか、ひとつつておきたい。
  6. 武岡憲一

    武岡政府委員 今回政府提案をいたしております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の中で、御審議をいただいております単位費用についてのお尋ねでございますので、申し上げたいと存じます。この単位費用は御指摘のように当初に政府予定をいたしました予算もととして、作定をいたしました地方財政計画に基いて、計算をいたしたものでございます。ただこの単位費用によりまして、各行政項目ごと数値補正係数を加えまして、そうして基準財政需要額算定をし、それからまた法令の定めるところに従つて基準財政収入額算定して、その差引をしていわゆる交付基準額を出すわけでございますが、この交付基準額と実際に配分をいたします普通平衡交付金の額とは、必ずしも一致をいたさないのでございます。昨年の昭和二十七年度の実例で申し上げますと、この交付基準額の方が配分すべき普通平衡交付金の額よりも、大体五十億程度上まわつてつたよう記憶をいたしております。従いまして、実はかよう関係がございますので、先年法律改正をしていただきましたが、そのいわゆる調整率をかけまして、各団体ごと交付金の額を算定いたすことになつておるわけでございます。今回の予算修正せられるのに伴いまして、厳密に申しますならば、西村さんのおつしやいますように、この単位費用計算もそれに合せて算定し直すのが、あるいは理論上正してということに相なろうかと思います。ただしかしながら、今回の御修正も、交付金の額から申しますと大体四十%程度修正でございまして、さきに申し上げましたように、交付基準額とそれから交付金の額との間には、昨年の例で申しますと五十億程度ずれがあるのでございますから、その程度のものはかりに現在使つておる単位費用によつて算定いたしましても、全体の配分に関しましては、さほど大きな影響を来さないのではないかというように考えておるわけでございます。これを非常に厳密に申し上げますならば、単位費用算定もとにいたしておりますいわゆる標準予算、これをどの程度に考えるかということに関連いたして来るのでございまして、交付金の額というものが非常に大幅に動いて参りますならば、単位費用もとになる標準予算というものは、相当組みかえなければならぬ状況になつて参りますが、大体今予定されております程度の三%か四%程度交付金の額の動きでございまするならば、ただいまわれわれがとつておりますよう算定方法によりまして、今の単位費用をそのまま用いて算定いたしましても、結果的にはあまり大きな影響を来さないで済むのではないか、かように考えておるのであります。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 今のお話のように、現在の費用でもつて、五十億くらいは相殺できるということになりますと、それは、あまりに内部的な操作によつて補正がやられておるという自治庁のあの平衡交付金算定の際の、いろいろな内情を暴露しているように私には思えるのです。五十億の増額なつた、それを単位費用をかえないでもはじき方によつて消化できるというようなことは、平衡交付金というものの算定が、自治庁の指先一本で、あるいは陳情のいかんによつて左右されるのだということを、あなたが答弁なさつているように私には受取れる。それではまことに危険な問題であつて、また一般の地方公共団体においても、こういう答弁をお聞きしているのでは、これはゆるがせにできないことに考えられるだろうと思います。こういう点について、もう一度明瞭にお聞かせ願いたいと思う。  その次に、この五十億の修正は三派共同でなされたのですが、その趣旨というものは、その修正の場合にはつきり盛られておるわけでありますから、その修正は、院議を尊重する立場から、どうしてもその趣旨通りになつて行かなければならないと思うのですが、あなたの方で今後そういうことをなさる場合において、三派共同修正趣旨とするところがどこにあるかということを、どういうぐあいに押えていらつしやるか、この三点について伺いたい。
  8. 武岡憲一

    武岡政府委員 単位費用算定は、もちろんこれは財政計画前提といたしまして標準予算を組んで、その標準予算から単位費用算定いたしてわけでございます。ただ実際にこれを各団体ごとに当てはめて計算いたします場合には、大体試算もとに使つております前年度測定単位数値が、年度によりまして相当かわつて来るという問題が一つございますのと、それからそれを各種の補正係数によつて補正いたしませんと、具体的な算定基礎になります数値が出て参りません。そこでこれを厳密に、各団体から提出された資料によりまして、二十八年度は二十八年度の分として、各数値単位費用をかけて基準財政需用額を積み上げて参りますと、当初に予定をいたしております交付金の額と、ぴつたりこれが一致するというわけにはなかなか具体的には参らないのでありまして、若干のずれはどうしてもやむを得ないものだと考えております。ただその程度が、非常に大きな違いが生じて来るというようなことであれば、これは単位費用の定め方が適当でないというようなことに相なろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、大体全体の基準財政需要額は、府県市町村1を合せまして三千億くらいのものがあるわけでございますけれども、それに対しまして大体五十億程度の開きが出ているわけなんでございまして、割合としては大体その程度のものはやむを得ないのではないかというふうに私どもは考えております。もつとも、二十八年度計算におきまして具体的にどれだけのずれが生ずるかということは、ただいま計算をいたしておりますのでまだ正確な数字が出ておりませんが、私が先ほど申し上げましたのは、大体この程度の、普通の計算でやむを得ない程度の誤差でございますれば、今まで通りにやつても大幅な影響は全体的に来ないで、済むのではないかということを申し上げておるわけでございます。ただ、ただいま計算をいたしておりますので、その結果、これは配分相当影響があるというよう数字がもし出るようでございますれば、もちろん何とか考慮いたさねばなるまいと考えております。  それから第二点でございますが、これは、今度の予算修正の御趣旨は、一般的に地方財政赤字に苦しんでいるという問題、特に給与費算定において、相当今の財政計画に無理があるのではないかというようなお示しのようでございます。そこで今回の配分につきましても、もちろんそういつた給与費関係のものに、相当重点を置いた配分をいたさなければならぬということは当然であると考えております。ただ今用いております単位費用におきましても、給与関係経費は従前から相当単位費用上も重視をいたしておりますし、ことに義務教育費半額国庫負担制度が、今年度から実施せられるのに伴いまして、義務教育費のあとの半分の、つまり地方負担いたします部分、この地方財政需要額というものの算定の比率を、今年度は前年度よりも上げまして、大体地方財政計画の中に算定されておりますものの、ほとんど一〇〇%程度のものを算入いたしたいというふうに考えております。その関係におきましても、給与関係経費というものは、全体の財政需要額の中で占めるウエートが相当高くなつて参りますので、そういう点から見ましても、ただいまの単位費用で大体間に合うのではないかというふうに一応は考えております。ただしかしながらこれは、先ほども申し上げましたように、実際の需要額並びに収入額算定をしてみませんというと、具体的に五十億程度ずれがあるのか、あるいはもつと大きなずれが出るのかわかりませんので試算の結果によりましてさらに善処いたしたいと考えております。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 私はそうめんどうくさいことをお聞きしたいとは思いませんが、院議修正している趣旨をどう把握しているか。つまり、給与を切り下げて地方公務員給与算定したのはいいですが、そうして、それが実際に即していると言うが、われわれは即していないと思う。こういう一方的な切下げを今まで何回もやつて来たのですが、それを大蔵省、文部省、自治庁と三者で、これは実態通りである、だから切り下げざるを得ないのだということを言つて来ているのですが、それが院議によつてくつがえされたというように把握してもらえないか、それを認められないか、こういうことなんです。
  10. 武岡憲一

    武岡政府委員 それは、先ほどから申し上げておりますように、地方財政の中で、二十八年度の当初の計画をいたしましたときに、給与費を、前年度に比べてこれだけふえるということを、大体三百億程度でございますが増額計算をいたしております。その計画に、さらに今回の修正として、その給与費関係で前年度よりもふえて来るものを、相当多額に見込んで行けばよろしいと考えておるわけでございます。大体交付金として今度ふやしていただきましたのが大体五十億でございますが、一方今回の予算修正も、国の関係におきましても相当節約するというよう関係もありますので、地方団体においてもかなり節約を考えなければならないのじやないかと考えております。従つてその関係で大体四、五十億程度節約をするということになりますと、九十億ないし百億近くのものが、財政計画上の財源として出て参りますが、その九十億以上のものを給与費の増として財政計画の中で立てて行きたいと考えております。それが今度の御修正趣旨であろうと私たちは考えましてさよう措置を今とろうとしております。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 だからそれを院議でやつたからその通りやるのだというぐあいに、おつかぶされたからやむを得ないというのではなくて、今まで、やつて来た措置が誤りであつたというぐあいにはつきり納得してこの修正を受取り、これだけの作業をやつてもらいたいと私は希望するのであります。確かにその点が一方的な押付けであつたたために地方財政赤字が、この苦しい事情が累積して来るのだということを強くお考え願いたい、このことをひとつお願いいたします。
  12. 中井一夫

  13. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 二、三点原則的なことをお尋ねいたしたいと思います。まず第一に平衡交付金決定を見まして、それを全国の県や市町村に指示をされる時期でありますが、これまで大体いつごろやつておられますか。
  14. 武岡憲一

    武岡政府委員 ちよつと御質問の趣旨が、平衡交付金がふえたということ……。
  15. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 いやそうではなくて、たとえば静岡県なら静岡県に、ことしの平衡交付金幾らであるということが最後決定されて、通知されるのはいつごろになるか、毎年の例です。
  16. 武岡憲一

    武岡政府委員 普通平衡交付金につきましては、法律規定で八月三十一日までにきめなければならぬということになつておるのでございまして、ただいま八月三十一日までに、その数字が出るよう目標作業を進めております。
  17. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 少くとも八月三十一日という今のお答えでありますが、現実にはこれまで八月三十一日までにきめたことがありますか。
  18. 武岡憲一

    武岡政府委員 従来はいろいろ作業関係等で遅れておりまして、ことに大体毎年度補正予算によりまして、予算の額がかわつたりいたしております。そこで実際にとつて参りました措置といたしましては、二段階にわけて決定をいたしております。まず当初予算にきめられました予算額もとにいたしまして、その配分を、目標は八月三十一日でございますが、実際問題といたしましては大体ずれまして、九月ごろに一応仮決定というのをいたしております。その後予算補正によりまして、予算額がかわつて参りましたものをもとといたしまして、本決定をいたしますのが大体十二月から一月の初めにかけてというのが、従来の例であります。
  19. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私の記憶ではもう少し時期が毎年遅れておるように思つております。そんなことで一体全国自治体予算が組めるのかどうか。私どもの考えによると、昭和二十八年度予算は、ことしは国家予算が遅れましたからやむを得ないのでありますが、少くとも四月か五月までに決定をしないと、都道府県予算がいつまでたつてもきまらない。それが日本全国自治体赤字一つの大きな原因になていると私は思います。全国各地ともこの平衡交付金に依存するところは非常に多いのである。ことに貧弱な府県におきましては、七〇%近いということも聞いておる。数字は正確でないかもしれませんが、そういう状態において、毎年県会や市会は三月の終りまでに予算をきめるのであります。従つてきめられた予算はあくまで空な予算で、しかも政府から指示なさるのは、たいてい前年度の九十何パーセント何とかいうことであつて、それでやつて行けないから、みなわあわあ言うのでありまして、毎年々々この平衡交付金の問題について、日本の内政はまことに混乱を来しておると私は考えておるのであります。ぜひこの問題はもつと早く決定さるべきものである。しかも今年も内容を変更なさつた。内容の変更もけつこうでありましようが、これは私は本質的に本末転倒であると思う。法律を毎年予算によつてかえるなんということはあり得ないことです。法律によつて予算がきめられたら私はいいと思う。いまさら本日はそういうことをくどくは申しませんけれども、少くとも全国一万数百に及びまする自治体もつと安心をして、予算を組めるよう処置を講じていただきたい。このことは私はしごく簡単であろうと思う。そうして必要があるならば、年度の途中でも変更する。しかし原則は少くとも四月、五月までの間にやつてしまわないと、全国市町村自治体は、一体ことし何をやつていいかわけがわからぬというようなことであります。これが自治体混乱の根本だと思うのです。非常に簡単なようでありますけれども、こんな中央政府の単なる事務によつて全国自治体は非常に困つておる。予算はほとんど決算と同じような形になるというふうなこの法の建前こそ、大いに政府は反省をしてもらわなければならぬ、私はかように考えるのであります。その辺について率直に意見をお述べいただきたい。
  20. 武岡憲一

    武岡政府委員 まことにごもつともな御意見でざごいまして、平衡交付金の額をできるだけ早くきめるということは、もちろん今日の地方財政を安定せしめる上から申しまして、最も重要なことであると私ども考えておるのでございます。ただ今日の法律建前が、四月一日現在の地方団体状態もととして計算することに相なつておりまして、いろいろそこに処置をとりましたり、算定のための相当煩雑な手数がざごいますので、やはり法律上きめられております八月一ばいというのが、今のところ限度になつているわけであります。ただ各団体の方で、その年度に一体どの程度交付金が出るのか、全然検討がつかないことは、財政運営上非常に困難でございますので、その点はできるだけ早く改善いたさなければならぬと考えております。その一つといたしまして、実はただいまの法律によりまして二十九年度明年度からはこの平衡交付金算定基礎でございます補正係数数値の立て方並びに基準財政収入額算定方法というようなものを、いずれも法定することになつているのでございます。ただいまのところはただ大綱だけを法律によつておきめいただいておるのでございますが、明年度からいただいま申し上げましたそのほかのいろいろな要素を、法律をもつて定めることに相なつております。そこでこれが法律によつておきめをいただきますれば、いずれも相当安定をして参りますので、各団体では大体二十九年度において受くべき平衡交付金の額は、ほぼこれだけだというおよその見当を、年度当初に立てるということになろうと思うのであります。さようにな。ますれば、各団体ともその年度予算なり、また財政計画事業計画をお立てになるにつきまして、相当これはお役に立つことに相なろうと考えまして、明年度からは法律規定に従いまして、なるべくさよう措置をとりますように、準備を進めて参りたいと考えております。
  21. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 これに関連いたしまして、四月一日現在ということでありましたが、実際問題といたしまして非常に急ぐと私は思う。そうして問題は、たとえば小さな町村といたしましては、百万が百十万になろうが百二十万になるよりも、ことしの交付金幾らであるということが早くわかる方が、私は親切な政治であると思うのであります。そういう意味から言いまして、必要があれば、四月一日を固執する必要はないと思う。一月一日でもけつこうであろう。実は本日の会議あたりでは、もう昭和二十九年度平衡交付金を大いに論じていいのではありませんか。それによつて初めて全国自治体は、自主的な判断に基く行政ができると思うのであります。どうぞこの辺のところもう一段突つ込んで、もつと御研究が賜わりたいと思います。最後一つお尋ねいたします。ことしの予算が今参議院で審議されておりますが、あれが通りますと、ことしの特別交付金として、どれくらいの額をお見込みであるか承りたい。
  22. 武岡憲一

    武岡政府委員 先般本院で御決定になりました、いわゆる五十億の追加でございますが、それによりまして交付金の額が千三百億円になるわけでございます。そういたしますと、法律規定によりまして、特別平衡交付金の額は百四億円ということになります。
  23. 門司亮

    門司委員 そこではつきり聞いておきたいと思いますことは、今までずつと聞かれておりますから無理は申し上げませんが、この五十億ふえたものの使い方ですが、理論的に申し上げますと、当然単位費用の書きかえになつて来る。しかし単位費用の書きかえができておりませんので、われわれはこれがどこへ使われるかわからぬのであります。従つてこの五十億がどういうふうな形で一体支出されるのか、その点をひとつ明確にしておいていただきたい。私がこういうことを申し上げますのは、御存じのよう給与関係で、三派が共同して出しておりまする三本建給与法案が通過するということになると、結局その分がやはりこの中に当然織り込まれなければならぬ。従つてその額が一体どのくらいはつきりあるのか、そうしてそれはひもつきで出されるのか、その点をもう少し明確にしておいていただきたい。
  24. 武岡憲一

    武岡政府委員 いわゆる給与三本建によります分といたしましては、大体それに伴います地方負担は、ただいま各党の御提案になつておられますものは、来年の一月から施行ということでございますが、そういたしますと、大体地方負担が三億六千万円ぐらいになる見込みでございます。この分は今回増額いただきました五十億の中に入つておるという御趣旨ようでございますので、財政計画上もさようなふうに取扱いたいと考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 そこでこの問題になるのでありますが、三億六千万円のものが、この中に当然含まれるということになつて参りますと、これは明らかに一つひもがついておると申し上げてもさしつかえがない。むろん給与費でありまするから、当然算定基礎になるのは間違いはございませんが、しかしそうなつて参りますと、地方財政の面から申し上げて参りまして、非常に大きな単位費用計算基礎に狂いができて来はしないかと思われる。それは不交付団体交付団体とが出て来る場合に、その三億幾らというものが、当然ひもつきであるということになつて参りますと、これはそのままわれわれはのむわけには行かないようになるわけでございます。どうしてもこれはひもつきでしようとするなら、給与費の全体に対して、私はそういうひもつきが一応必要でなければならないと考える。私はこの点は非常に不可解でありまして、法律で定められたこの五十億というものは、さつき申し上げましたように、単位費用改正によつてそうしてこれがフルに使用されるべきものであるにかかわらず、三億六千万円というものが、そのことのために当然この中に含まれて来るということになりますと、これは明らかにひもつきような形が出て来るわけであります。平衡交付金趣旨並びに今日まで平衡交付金を運営いたして参りました観点から、これは将来に非常に大きな弊害を残す一つの問題ではないかと、われわれは考えられるのでありますが、この点について自治庁は、全然弊害がないというようにお考えになるかどうか、お伺いしたい。
  26. 武岡憲一

    武岡政府委員 今回増額になりました趣旨の中に、そういう意味のものもあるのだというふうに伺つておるのでございますが、平衡交付金は申すまでもなく、これは一般財源でありまして、その財源自身には何らひもはつかないわけでございます。そこで平衡交付金として配分をいたします分につきましては、別に各団体に参りますものの中の、これが高等学校の教員の給与だとか、あるいは義務教育の教員の給与だとか、そういうふうなことにはならないと思うのであります。財源としての計算におきましては、これは地方財政計画上は、さようなもし制度がしかれることになりますれば、それに伴つて地方負担がふえて来るものが財政計画上入る。従つてそれだけ歳出がふえるので、その歳出のにらみあいになる財源の方、歳入の方を見なければならぬわけですが、それは平衡交付金の今度増額する分もそれに充てられる、こういう趣旨で、財政計画改正の中におきましては、そういう取扱いになりますけれども、各団体配分をいたします平衡交付金には、もちろん何らひもがつくわけじやありません。それは何らかわりはないわけでございます。
  27. 門司亮

    門司委員 私はその点がまだ少し疑義が残るのでございますが、そうなつて参りますと、きわめて重要なことでありまして、算定基礎の狂いを生ずることになる。この原案によりましても、ちやんとそれぞれ高等学校その他の生徒数、あるいは教室数というようなことをずつと書いてあります。そこで当然私は今のような御答弁であるといたしますと、この面だけが勢い算定基礎がかわつて来なければ、ひもつきようなものになつて出せないということになると思う。全体がかわつて来るということになりますと、そこだけ余計にやるということには私は行かぬと思う。どうしても単位費用の基準をきめまするときに、高等学校の分に使われると思われる、いわゆる高等学校の生徒一人について幾ら、あるいは教室一つについて幾らというふうなことが書かれておりますが、やはり高等学校の費用の中に、それが勢い織り込まれるということが正しい行き方である。もしそれが給与の面であるから、その他の教育費というところに入つておるとすれば、これもまた算定の割出しの中に、私は非常にめんどうな問題が出て来る、こういうふうに考えられる。同時にもう一つの大きな問題は、かりにこの中にそういうことが規定されているということになつて参りますと、地方公共団体では、やはり中央と同じような形で高等学校三本建給与のために、それだけはぜひ使わなければならないということに、当然私はなつて来ると思う。従つて平衡交付金算定基礎によつて、これをふやそうといたします場合に、断じてそういうものが私は中に入つてつてはならぬということであります。特定のものだけにおいて、たとえば三億六千万円でありましようとも、これがふえるからということで、この平衡交付金がふやされたということになつて参りますと、これは非常に将来に災いを残すのであつて、どこまでも一般財源としてこれを残すべきである。従つて今回ふえて参りました平衡交付金算定基礎の中に、そういうものを入れるということはならぬと思う。今部長の答弁では、末端の支給において、そういうさしさわりはないということになつておりますが、なるほど末端においてはそういうさしさわりはないかもしれませんが、ひものついているということだけは事実だと私は考えておりますが、この点はひもがついていたいという御確信がございますか。今の答弁からすると、確かにひものついたものと考えざるを得ないのであります。
  28. 武岡憲一

    武岡政府委員 平衡交付金として各団体配分されますところのその財源の中で、これは高等学校の教員の給与費であるとか、あるいはこれは義務教育学校の教員の給与費であるとか、さようなことは全然ないわけでございます。平衡交付金の本質上、これはそういう特定の使途を指定しないところの一般財源であるということにはかわりはないわけであります。ただその算定基礎におきましては、これは土木費の財政需要額幾ら、あるいあ社会福祉の財政需要額幾ら、こういう計算はいたします。しかしながら、これはその団体の全体の財政需要額が一体どれだけいるのか、またその団体財政収入額がどれだけあるのかという算定基礎として用いるだけでございまして、それによつて出て参りました平衡交付金というものには、これは何らひもがつかないのが建前でございます。私たちはさように考えているわけであります。
  29. 門司亮

    門司委員 これは押問答になるよですが、もう一つだけ大事なことを聞いておきたいと思いますことは、もし政府がそういう考え方でやられるとするならば、たとえば閣議において〇一二五の夏季手当の増額をきめております。そういたしますと、当然地方には約百億近い財源が必要であります。これらの問題は一体どこで処理すればいいのか。それで、この五十億というものも、これは一般財源としてこれを取扱うできであつて、一般財源の中に三本建給与の……。     〔私語する者多し〕
  30. 中井一夫

    中井委員長 発言中ですから私語は禁じます。
  31. 門司亮

    門司委員 当然こういうものが出て来るからということは一応わかります。わかりますが、現在のこの三派共同による三本建修正案が通るということによつて、それだけ財政需要額がふえて来る。そのふえて来る分が平衡交付金に含まれておつたということになつて参りますと、確かにこれはひもつきである。予算編成の上において私は非常に困るのじやないかと思う。私は、たとえば予算処理の上で三本建給与のものが通ることによつて、三億六千万円がふえるということになりますと、この法案を出すときに、やはり予算修正は、それはそれとして行われるべきだつたと思う。これを平衡交付金の中に織り込んで、そしてその法案を通すということは、私は財政計画の上から申しましても、法律の出し方の上から申しましても、非常に疑義がある。一方においては御承知のように三億六千万円を当然必要とする。その経費は一体どこから出すのだということに対して、それは平衡交付金の中に織り込まれているということになると、これは明らかにひもつきであります。もしそういう意見だということになつて参りますと、先ほど申し上げましたような各委員がきめた〇・二五の財源は、一体どこからお出しになるつもりであるか。これも平衡交付金の中に織り込んでいるとは言えないでしよう。私はこの点をもう少しはつきりしておいてもらいたい。
  32. 武岡憲一

    武岡政府委員 門司さんの御質問でございますが、今度もし三派の御提案によりまして、いわゆる三本建給与体系というものが実現したと仮定いたします。そういたしますと、それによつて地方全体の歳出がふえて来るわけでございます。従つて財政計画上その歳出を立てなければなりません。一方、それの見合いになる歳入は何かということが問題になるわけであります。しかしこれは今回予定をいたしております地方財政計画修正上、地方の歳出にふえて参りますものは、今の給与三本建のほかに、まだいろいろあるわけであります。一般の給与改善の関係におきましても、先ほどいろいろお話がございましたように、従来地方財政計画の見方が足りないから、これをもつとふやせという御趣旨でございますので、給与関係の歳出というものも相当ふえて参ります。また今度食糧増産関係及び義務教育の関係で、補助金が出ます。それに伴う地方負担分というものもふえて参るわけでありまして、それに対する歳出がふえて参ります。これに対する歳入は何かと申しますと、五十億の地方平衡交付金、二十五億の地方債の増額があるわけでございます。さらに一方、先ほどちよつと申し上げましたように、節約によりまして大体四十億ないし五十億のものを立てる。これは財源でないのでございますが、一方歳出の方も押えて、歳入歳出のバランスが合うようになるわけでございます。そういうものを含めて申し上げておるのであります。そういう意味で今回五十億がふえるのでありますが、五十億のほかに二十五億の起債もふえるわけなので、歳出歳入の関係において、今度財政計画修正によつて新しく立つて来るところの歳出はそれぞれその歳入でまかなつて行く、こういう関係成立するのだと思うのです。そこで今門司さんのおつしやいますように、何も平衡交付金として地方団体に配付しました金が、ある団体にかりに一億なら一億行つたから、この中から何千万円を財源として出すというようになるものじやないし、またそういう筋合いのものではないということを、さつきから申し上げているわけであります。
  33. 門司亮

    門司委員 私はもしそういうことが言えるとするならば、この平衡交付金法単位費用基礎数字をかえて来てもらいたい。この基礎に基いて計算されたものが現在の予算案の原案だつたと思う。五十億はふえております。ふえているとして、今言われるようにこれがひもつきでなく、公平に支給されるようになつて参りますならば、私はこの単位費用は当然かわるべきだと思う。そうでなく、来年の一月一日以降に実施されますものをこの五十億の中に含むということになつて参りますと、一体この平衡交付金法算定基礎となるものは何だかわからないことになつて参ります。そういうことになるならば、この算定単位費用改正が行われるまで、この法案はあげておいてもらいたい。私どもはこれはこのまま認めるわけに参りません。この点は一体あなたの方ではどうお考えになりますか。
  34. 武岡憲一

    武岡政府委員 ですからその点は先ほど申し上げましたように、厳密に申し上げますならば、もちろんそのようなことになると思うのでございます。  ただ単位費用標準予算から算出いたしまして、これに数値をかけて基準財政需要額を出します際に、その需要額収入額の差額が、平衡交付金として配分すべき普通平衡交付金の額と、必ずしも一致いたさないのであります。それは実際の技術上の問題として、どうしてもその間のずれというものは、やむを得ないものなのであります。現に去年におきましても五十億程度ずれがあつたというふうに私記憶いたしておるのでありますが、若干のパーセンテージのものでございますが、その程度ずれはやむを得ないものだと、われわれ考えているわけであります。そこで単位費用もとになります標準 予算を組みます場合に、五十億という のは比率にすれば四%でございますが、全体の平衡交付金にそれだけのものがふえたということの影響が、どの程度に実際の配分上来るかということが問題だろうと思うのであります。私は大体その程度のものならば、あるいは今の単位費用を用いても行けるのじやないかというふうに考えて、申し上げたのであります。しかしながらこれは具体的な数字が出ておりませんからただいま試算をしておりますが、もしその結果非常に不都合な数字が出るということであれば、——ということは、実際に各団体から報告して参ります各行政項目の単位費用数値というものはまだわかりませんから、今各団体から集計をとつておりますが、その数値もとにして二十八年度計算をいたしますから、現実に計算いたしましたものと、それをもとにして出したところの交付基準額と、普通交付金の 差額が問題になつて来ると思うのでありますが、従来もある程度の差額というものはあつたわけですから、その程 度のものならばそのままで大体行けるのではないか、こういうことを実は申し上げておるわけであります。
  35. 門司亮

    門司委員 私は事務的にはそういうことを言えるかと思います。あなた方が事務的にお取扱いになる場合それは言えると思いますが、しかし法律的に考えてみまして、三億六千万円という費用は仮定の事実です。法律が通らなければ、三億六千万円はそこに行きませんよ。仮定の事実を事実として、あなたは今御答弁なさるところに不可解なところがある。これは私はどうしてもひもつきと考えざるを得ない。これはひもつきにならざるを得ないでとよう。案が通つてつて、これだけがふえて来たということが明確になつておればわかるのですが、これが明確になつておらないときに、そういう答弁をされるということは不可解である。もし政府がそういう御意見であつたならば、向うの法案があがつて来て、事実が事実となつたときに初めてそう言われるべきである。私どもから言うと、単位費用の組みかえをしてもらいたいのだが、それがもしあたなの方で非常に困難である、そうして事務的にでもこれの配分ができるという言い分も、私はそのときなら言えると思う。しかし現在まだ法案国会にかかつてつて、通るか通らないかわからない過程のうちにそういうことがあるから、この単位費用についての書きかえができないというりくつは、私にはわからないのであります。従つて私は厳密に言うならばこれは当然書きかえられると思います。私最後に聞いておきたいと思いますことは、そういう処置をすることが将来の平衡交付金算定をする場合に大きな障害になると思う。しかしそれが障害になるかならぬかということは、いわゆるこの平衡交付金法趣旨から申し上げまするならば、すでにあなた方が御存じの通りであつて、各地方官旧体の法律で定められた財政のアンバランスを下から積み上げて行つて、そうしてこれで埋めることになつておる。しかし最近は下から積み上げて行くというような自主性のものではなくて、国の予算でこれが左右されておる、これは平衡交付金法に最初から違反しておる。法律自体に最初から違反した処置をとつておるから、こういう間違いが生ずるのである。そうしてそういう仮定の事実を事実として、それに輪をかけるよう算定のやり方をやつて参りますと、平衡交付金法自体が何だかわからなくなつて来る。これを取扱われ、法律を守られるのがあなたの方の仕事だと思うが、このよう法律趣旨とまつたく相反するよう処置をしなければならないことになつている。当局は一体これについてどういうようにお考えになつておるか、これがいいとお考えになつておるか。もしこれが認められたら将来そういうことがたくさん出て来ると思いますが、予算の範囲内でまかない切れないようなものがあるといたしましても、それは全部予算の中にこれを組み入れなければならぬことになつて来る。そうするとそのたびごとに単位費用がかえられる。私はその点をなお聞いておきたいことと、それから法律によりますと、当然この配付いたしまする金の単位費用というものは、国会提出して、これが法律にならなければならないように相なつておりますが、もし三億六千万円の費用によつて、組みかえを要求するということになつて参りまするならば、それまでの間は、私はもし施行されるとすれば、法律の違反だというふうに考えるのでありますが、一体単位費用の組みかえを必要とする場合には、いつごろ国会に出して承認を得られるおつもりであるか。
  36. 武岡憲一

    武岡政府委員 それは門司さんがおつしやいます通り給与三本建というのは既定の事実じやございません。ございませんから、ただいま御審議をいただいておりまする平衡交付金法は、従前の政府提案をしたときの財政計画前提に、今考えておるわけなんです。そこでもし今後の問題として、当初財政計画で、原案で考えておりましたようなものと、非常に異なつた事態が出て参つた場合にどうかということでありますが、それはただいまわれわれが想像し得る限りにおいては、総額として大体五十億程度のものなんだから——これは実際に計算をしてみなければわかりませんが、今度の交付基準額と、それから交付金の額との間の開きというものがどのくらいになるかということは、それらの事態が確定した上でなければわからないということを申し上げておるわけなんです。実際に計算をしてみた上で、非常にこれは支障があるということであれば、そのときにまた考えなければならぬと思うのです。その間において、この法律で定めるべき単位費用を、いつ修正するかというお話でございますが、これは国会の閉会中におきましては、政令で一応できるということになつております。事態が、ただいまの段階では八月一ぱいに交付金をきめなければならぬことになつておりますので、もしさような必要があれば、政令によつてやることをあらかじめ御了承いただきたいと思います。しかしこれは、ただ私がその規定によつて単位費用をみなかえるということを申し上げておるわけではなくて、これは事態がいずれ確定した上で、私どもも検討した上で善処いたしたい、かように考えております。
  37. 中井一夫

    中井委員長 北山君。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 私は今度増額なつた五十億の問題で確かめておきたいと思うのです。今の三億六千万のいわゆるひもつきの問題でありますが、この五十億は、例の義務教育費国庫負担の特例法、あれと関連があるかないかという問題で、あの特例法がこの国会で流れてしまうということになりますと、四十八億ですか、今年度新しい財源を要するわけです。それを別に予算補正によつて教育費の増額をしないでそのままにしておくと、その不足分が五十億の方にかかつて来るおそれがあるじやないか。しかも先ほど部長さんのお話のように、五十億の増額をしても、この単位費用に手を加えないでも済むんじやないかというお話を伺えば、なおさらその心配が増大するわけなんです。四十八億を富裕団体にやる、そうして教育費の方の不足の額をこの平衡交付金の方で、五十億で調整をするということになつては、この増額趣旨が、さつぱり意味がなくなつてしまう。そこでこの際はつきりしていただきたいのは、あの四十八億、かりに特例法が流れたといたしまして、その場合には四十八億という教育費の増額をするのだ、五十億とは関係なしに、そつちの方の増額をするのだということを、はつきり言明していただきたいということと、もう一つは、この五十億のうちで現在の作業の結果、どの程度のものが特別交付金の方に入つて来るかわかりませんが、その特別平衡交付金の方に入つた分が、間接に今度の災害の方に使われる危険があると思うのです。それで今度の水害に関する平衡交付金の増加というものは、別に補正予算でもつて新しく増額をするのだ、この五十億には関係がないということを、はつきりと言明願いたいと思うのです。  なおもう一つは、今作業をされて関係の大蔵省その他と交渉になつておるようでありますが、その結果、大体において府県に対してはどのくらい行くか、市町村に対してはどのくらい行くかという、割合でもいいのですが、その関係をお知らせを願いたい。
  39. 武岡憲一

    武岡政府委員 第一の御質問の今回の平衡交付金増額五十億円と、いわゆる特例法による四十八億との関係でございますが、これはどうも私から御説明申し上げる筋のものかどうか存じませんが、私たちの了解いたしておるところでは、もちろんこれは全然別のものでありまして、今回の五十億円は特例法云々の問題とは全然関係なくて、地方団体財政状態が相当窮乏しておるので、それを救済するという意味で、増額をしていただいたものと、かように了解いたしております。  それから今回の五十億について、それがどのくらい特別交付金の方にまわり、また今年の災害に流れるものはないかというお話でありました。法律規定によれば総額の八房が特別交付金でありますから、五十億の交付金について言えば、四億円ということになるのであります。ただこれは、北山さんもどのくらいになるかわからぬとおつしやいました意味は、先ほど申し上げたよう交付基準額と、交付金の額の関係で、かりに普通交付金額の方が交付基準額よりも多いということになりますと、その差額は特別交付金の方にまわるわけであります。ただいまのところではさようなことを予想しておるわけではありませんで、実際の計算をしてみなければわかりませんが、大体特別交付金としては四億円が法定のものであります。  それからことしの災害との関係でございますが、今年の西日本水害並びにその後起りました南近畿の水害等の状況をいろいろ聞いてみますと、これは相当ひどい災害のようでございますので、従来この特別交付金で災害復旧関係の各種の経費を見ておりました関係から申し上げますと、とてもこの百億あるいは百四億といつた程度交付金では、まかない切れないほどのものではなかろうかというのが、一般の御意見ようであります。これにつきましては、いろいろ国会あるいは政府の方におきましても、適当に別途御研究のようでありますが、従来は、たとえば二十六年度、七年度におきましては、その年度に発生をいたしました災害関係として、特別交付金からまわりましたものは大体一割五分ないし二割程度である。ただしかし、ことしはただいま申し上げましたように、非常に特殊な事態でございますので、そのうちのそれくらいのものが特別交付金からまわるだろうとは私ども考えております。  それからもう一つ府県市町村に五十億がどのくらい配分されるかという御質問のようでございましたが、まだ具体的な数字は持つておりません。ただごく見当で申し上げまするならば、この趣旨が、先ほどからお話がございましたように、給与関係経費に充てられるということでございますので、それを重点に配分をいたしますれば、府県が二で市町村が一というのが、大体常識的な割合になろうかと存じます。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 今の義務教育費との関係については、非常に私ども重要な問題だと考えておりますので、その点は青木さんの方からはつきりと御答弁を願いたい。  それから先ほどの部長さんのお話ですと、単位費用に手を入れないでもやれるような、あいまいなお話でありましたが、しかし給与関係のために五十億を使うのだという以上は、どうしても単位費用に手を入れなければ——これは政令にしろ何にしろ入れなければならないと思うのですが、その点をはつきりしていただきたいと思うのです。何か計算してみた結果、入れなくても済むんじやないかというようなことでは、先ほどから心配しておるところの、結局において、その義務教育の方の例の四十八億のしわ寄せを、こつちの方で間接にかぶつてしまうような結果にもなるんじやないか、その点をはつきりしていただきたいのであります。
  41. 青木正

    ○青木(正)政府委員 第一点につきまして、私から御答弁申し上げます。先ほど武岡さんから答弁申し上げたようでありまして、修正予算成立いたしますれば、国会の御意思を尊重いたしまして、当然政府修正提案のときにお述べになりましたよう趣旨に、五十億は使わなければならぬと思つております。また義務教育費特例法の方の関係法案がかりに不成立になり、そのために四十八億という財政上の赤字が生じますれば、これは別途に、できるだけ早い機会において補正予算なり、何なりによつてこれを措置しなければならぬ、かように存じております。
  42. 武岡憲一

    武岡政府委員 単位費用改正の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように純粋に、理論的に財政計画通り単位費用ということになりますれば、たとい一億ふえましても、それはそれだけふやせということに理論上はなるわけでございます。ただ実際問題として、単位費用算定は、先ほどから御説明申し上げておりますように、各行政費目ごとに標準規模あるいは標準予算、標準団体を想定いたしまして、かりに土木費でありますと、その土木費の中で一体どれくらいの経費がいるか、その場合に人件費は職員を十人に見るか八人に見るか、あるいはまたそのために職員構成をどれくらいに見るかということを、大体財政計画と国の予算関係でもつて標準予算というものを想定して算定いたしておるわけであります。その場合に給与関係需要額というものが相当ふえて来れば、もちろんその標準予算の中で給与費関係が、他の物件費等に対して占めるウエートというものが、それだく高くなつて行かなければならぬりくつなんです。ただそれが、総体から申しまして、積み上げて参ります全体の計画財政需要額というものは、三千億ぐらいになるわけでございますから、それに対して今度は五十億の平衡交付金をふやしたという問題が、どの程度に実際上影響して来るかというようなことを申し上げておるのでありまして、大体年々の計算から申しましても、交付基準額交付金の額の間に、五十億あるいはその程度ずれというものは今までにおいてもあるのだから、そういうことで行けば、大体今の程度単位費用の考え方から言つても、給与費の他の物件費に対するウエートが非常に不当に軽過ぎるということにはならないで、済むのじやないかということを一応申し上げておるわけです。しかしながらこれは理論上から申しますと確かにおつしやる通りなんで、もつと厳密に計算をいたさなければならぬわけでございましようが、今いろいろ各団体から参りましたところの数字もとにいたしまして計算を行つておりますのでその結果によりまして、なお十分に検討してみたいと思うのでありますが、大体私たちの見るところでは、今の程度でも給与費を軽視した単位費用にはなつておらぬのじやないだろうかということに考えております。
  43. 北山愛郎

    ○北山委員 しかしとにかく五十億というものがもしなくて、この法律の今の単位費用のまま計算する場合と、五十億がふえて、しかもそれを今お話になつたよう給与費として使う、あるいはそのうち三億六千万円は特別に何かひもつきでやるというようなことを、実際の上に現わすにはどのような方法でやるのですか。単位費用に手を加える以外に、何かちやんと合理的な方法があるのですか。私は自治庁の仕事としては、それ以外に腰だめ的に解決するというようなことはないはずだと思う。結局単位費用に手を入れなければ、自治庁が担当しておる責任ある仕事が行えないのじやないか。計算はいろいろな結果が出て来るかも知れませんが、理論上はそれを予算修正趣旨従つて使う以上は、単なる腰だめではだめなんであつて、これははつきりとした交付金法に基いた単位費用の上に現われて来なければならぬ、こう考えるのですが、それ以外に何か合理的な方法があるのですか。
  44. 武岡憲一

    武岡政府委員 合理的とおつしやいますが、理論上はおつしやる通りだということを私申し上げておるのです。理論の上から申し上げればその通りで、単位費用算定内容は御承知の通りでありますが、予算を組みます場合に、どの程度のウエートを置いて行くかという問題なんでございますから、給与費関係と他の物件費等の関係において、その場合におつしやる通り理論上から言いますならば財政計画に出ております数字そのものが、単位費用の中に一銭一厘でも入つておるものだということであれば、おつしやる通り一億かわつてもかえなければならぬと考えております。しかしながら単位費用算定というものが、大体何を標準にするかは、いわゆる標準予算の標準単価というものをどう見るかということで、大体財政計画全体と国家予算とのにらみ合せで、きめておる程度のものでございますので、その程度のものは、無視するというわけではございませんが、実際出て来た結果から見まするならば、各団体に対する財源配分上さよう趣旨は出て来ないのじやないか、私はさような考えであると申し上げたわけであります。
  45. 滝井義高

    ○滝井委員 今度われわれが審議しておりまする地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律というものは、義務教育費国庫負担のあれでは五百四十億というものが、今までの平衡交付金の中から出て行つてしまつて、そのためにここに当然平衡交付金算定に用いる単位費用の改訂を必要とするということがおもな理由になつておる。もちろんそのほか地方公務員給与経費の増加というような理由もありますがになつておる。ところが現在の客観的な情勢から、当初この法案をあなたの方で提出したときとは、非常に情勢がかわつて来たということなんです。なぜならば、五百四十億というわくの中から、東京、大阪にはやらないという前提もとに、わゆる特例法というものをつくつたわけです。ところが現在の客観情勢から行くと、政府提出している特例法の運命は、国会でにぎりつぶされる情勢が出て来ておる。と同時に千二百五十億というこの予算前提にして、こういう単位費用をつくつたわけです。ところがそれに新しく五十億というものがおつかぶされて来、しかもその五十億の中には、いわゆる教職員の給与三本建で三億六千万円というようなものがあります。どうも少し自治庁のいわゆる科学的な意図、数字を用いた中立性を阻害するような要素を含んだものが入つて来ておると思うようなニユアンスがある。こういう二つの、これを出した当時とはまつたく違つた状態が、現在出て来ておるということなのでございます。従つてこれを今まで通り状態で、われわれがのんでしまつて行くということになりますと、非常に多くの不確定な要素というものに、われわれは目をつぶつて行かなければならぬという情勢が出て来るわけなんです。従つてさいぜん門司委員からも、非常にその点を心配されて指摘されたのでございまするが、自治庁は今後そういう不確定な要素が出て来ても、ほんとうに自治庁として中立の立場で科学、技術を用いて一切のそういうひもつきを断ち切つて自治庁が本来の平衡交付金法に規正しておる精神に基いてやれるかどうかということなのです。あなた方がこれをやれるということを、ここに言明していただけるならば、われわれはこれをのんでもちつともさしつかえないと思いますが、そのことを第一にはつきりしておいていただきたい。
  46. 武岡憲一

    武岡政府委員 義務教育費国庫負担金が、ただいま提案いたしております特例法の運命によりまして、どうなるかわからぬという御趣旨でございますが、義務教育費国庫負担金がどうなるかということは、平衡交付金算定自身には別に関係のないことだと思うのであります。ただおつしやるように、かりに特例法が成立をしなくなつて、各団体に四十八億の負担金が行くのだということになりました場合には、これは地方財政の上から申しましても、それだけの財源の偏在が起るということは言えるわけでございますが、平衡交付金には何ら関係のないことだと私たちは考えております。それからいま一つ三本建云々のお話がございましたが、これは先ほど私が門司さんにも申し上げましたように、別に三億六千万円というものが平衡交付金の中のひもつきというふうには考えておりません。平衡交付金自身はひものつかない一般財源であることが本旨なのでございますから、さようなことには相ならぬと考えております。
  47. 滝井義高

    ○滝井委員 地方財政平衡交付金というものは、地方財源の偏在を直するのが本来の使命である。ところがその地方財政平衡交付金によつて地方財源に偏在が生ずるような事態が、現在客観的な情勢として、はつきりして来ておるわけです。今あなたが言われる五百四十億円の問題で、はつきりして来たわけなんです。そうしますと、当然その偏在を是正しなければならない平衡交付金というものの、そういう客観情勢がはつきり見通されておる現実において、それをそのままほおかぶりして行くということは、私は当を得ない方法だと思うのです。その点はどうですか。
  48. 武岡憲一

    武岡政府委員 義務教育費国庫負担金が、いわゆる富裕団体配分されるということによつて、この団体間の財源配分はおつしやるように、財源の偏在というような問題は起ると思うのでありますが、しかし平衡交付金算定自身はおそらくそれに結びつかないと思うのであります。これは税の関係においても同様でございまして、経済情勢の変化によりましてある団体が特殊な税収に非常に恵まれて、その団体に十分な財源が与えられるというようなことになりましても、平衡交付金算定上はいわゆる基準財政収入額だけを計算するのでありますから、その団体が非常に努力をして、かりに予定基準財政収入額のいわゆる標準税収以上のものを徴収しましても、これは平衡交付金のうち外の問題だということになるわけであります。平衡交付金はそこまでならすということを建前にしてはおらないと思います。今御指摘の特例法の運用による義務教育費国庫負担金がある団体に行くとか行かないという問題と、今の平衡交付金が考えております調整の問題とは別の問題ではないかと思うのであります。
  49. 滝井義高

    ○滝井委員 その点が別であることはよくわかるのです。ところが今までのわれわれの考え方というものは、義務教育費の五百四十億と平衡交付金とは一体のものであつたわけです。それが今度の法律でわかれて来ているわけですが、これは地方財政全般の計画からであります。なるほど平衡交付金だけをぽんととり出せば、ちつとも影響はありません。しかしわれわれが少くとも地方行政委員として考える場合に、地方財政全般を考える。その全般の中において地方財政平衡交付金をどのようなあり方にすべきかというのが、平衡交付金のあり方の考え方だと思う。ところがあなたのように平衝交付金だけをぽつんととり出して議論すればその通りです。しかし少くとも政治家としては地方財政全般を考えなければならぬ。ところが地方財政全般の中においてあるべきところの平衡交付金だけをとり出して考えるということは、非常に筋が通らないことだと私は考えるわけでありますが、その点はどうお考えですか。
  50. 武岡憲一

    武岡政府委員 ですから先ほど申し上げましたように、義務教育費国庫負担金制度によりまして、いわゆる富裕団体財源が行くということになれば、地方財政全体として財源の偏在が起るということを申し上げているわけです。そこである特定の団体にそういう事態がありますれば、つまり今の建前として政府が考えているものよりもよけいな財源が行く。その財源になるものは国が支出するわけなので、別に今地方財政計画の中で予定している他の財源を食うわけでもないわけです。それだけ国庫の持出しになるわけです。そのためにどうなるかといえば、団体の間の財政のアンバランスということが起るということにはなりますけれども、ただいま予定いたしております財政計画自身の中で、交付金の額が多いとか少ないとかいう問題、あるいはその交付金配分にどうするという問題にはならぬということを、私は申し上げているわけであります。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 その点はそのくらいにして、次に特別平衡交付金の問題に入ります。五十億増加することによつて千三百億になるわけです。そうしますと、さいぜん御指摘したように百四億の特別平衡交付金が出て行くわけです。ところが問題はこの災害の起つている西日本地区の問題に関係して来るわけでありまして、この百四億の特別平衡交付金の中から西日本地区に行くのは十億。従つて今度五十億出るものの中から概算的なものにすれば、百四億の一割の十億四千万円が大体予定されるわけです。そうすると現在五億行つておりますから、残りが五億四千万円という形になつて来るわけです。それで現在のこの平衡交付金のわくの中においては、西日本地区に行く特別平衡交付金というものはきちつときまつてしまつているわけです。大体総わくに対する八%というわくがきまつているわけです。そのわくから出て行くものが十億であつて、それ以上のものはどうにもならないというのが現実なんです。従つて現在のような客観的な情勢から見て、十億の特別平衡交付金ではどうにもならないということは、財政部長お考えの通りだと思います。ところが現在非常に不確定な給与三本建のためには三億六千万円というものが、三派の秘密協定によつてつけられている。一番大事な民生安定に重大な関係を持つ災害に対して、ここに五十億の追加予算がなされているにかかわらず、自治庁はそれに対して今までの平衡交付金のわくは、法の通りに八%であるので、もうそれはしようがないとそのまま見送るつもりなんですか。それとも何かそこにくふうをして、特に西日本あるいは和歌山の災害に特別交付金というような形ででも、あるいは何かそのほかの形ででも持つて行くというようないいくふうでもありますか。
  52. 武岡憲一

    武岡政府委員 本年の災害に関連しての災害復旧費と、特別交付金との関係についてのお話でございます。先ほども申し上げましたように、本年の災害は非常に異状な特殊な災害でございますので、それに対する財政補給の意味での特別平衡交付金が、ことし百四億円であるという関係から申しますと、それは非常にきゆうくつだろうということは私どもも考えるわけです。ただ、ただいまの法律建前からいたしますと八%ということになつておりますし、またそのうち十億というようなお話でございましたが、これは別に法律できまつているわけでもございませんので、大体従来から、せいぜい一割五分から二割くらいだということを、先ほど申し上げたのでありますが、いずれにいたしましてもこの程度のことでは、どうもことしの災害によります各団体財政収入の減とか、あるいは災害に基きます特別な財政需要をまかないますには足りないのじやないかと思いますので、それでは何とか今度の災害に関連した特別の措置を考えなければならないだろうということで、政府といたしましても検討している次第であります。
  53. 滝井義高

    ○滝井委員 実はその特別な措置というようなものを考えるという段階でなくして、もはや実施をしなければならぬ段階が来ていると私は思う。たとえば現在福岡県あたりでも三十億以上の金を出している。ところが実際には二千四、五百万円しか出していない。あとの二十九億七、八千万円というものは、とにかく何らかの国の融資あるいはそういうものをたよりにして出しているわけです。従つて早く政府がそういう措置を、こういう方針で行くのだという概括的な方針でも示していただかない限りにおきましては非常に困る。従つて現在五十億という金が議会の非常な御努力によつてつて来たわけですから、何とかここであなたの方から自由党、改進党にでも御相談になつて三本建には三億五千万円ということに御丁寧にもしてくれたんですから、災害に対してはおそらく超党派的にやられているんですから、あなたの方から御相談なされて、ああいう三億五千万円があるものなら、何とかこういう点についても修正してもらいたいという要望でもされたらどうかと思いますが、そういう点自治庁の方からお考えはありませんか。
  54. 青木正

    ○青木(正)政府委員 災害に関連する地方財政の問題は、まことにごもつともでございます。ただしかし五十億の問題につきましては、これは修正を提議なさつた三派の意向と申しますか、それが成立いたしますれば、その国会の意思を尊重しなければなりませんので、その金を災害の方に政府として使うということはどうかと思うのであります。これは国会の意思をあくまでも尊重しなければならぬと思うのであります。そこで災害関係の方の金は、しからばどうするかという問題になるわけでありますが、それを三派の方に対してこの際五十億の中から使うことを、御承認願いたいというふうに申込むことも、すでに衆議院におきましては意思を決定したことでありますので、今さら政府からそういうことをお願いするのもどうかと考えるのであります。ただしかし災害関係先ほど財政部長も申し上げましたように、特別平衡交付金のわく内ではとうていまかないきれないのじやないか。そこで特別平衡交付金でなしに、補給金というようなことをここで考えて行かなければならないのじやないか。しからば早く政府はそうしたことを提案すればいいじやないかということはごもつともでありますが、実際の内情を申し上げますと、災害による府県負担増、または減収の見込高、この数字が先般御承知のように福岡県からも参つておりますが、負担分につきましては、県側の数字もまとまつたようであります。しかしまた減収の面につきましては、まだ市町村等の数字もまとまらぬというようなことで、はつきりした数字が出ておりませんので、どの程度にどうやつていいか、これは当然政府として考えなければなりません問題でありますが、具体的にそれを提案する段階に至つていない、その数字がわかり次第、当然補正予算なり何なりにおいて考えなければいかぬ、かように存じております。その間の問題につきましては、たとえば平衡交付金の繰上げ配分をするとかいうようなことで、当座の問題は解決するほかないのじやないかと考えております。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 滝井委員の質問内容は非常に重大でありまして、この点に関しましてはもう少し具体的に将来の構想を話してもらいたいと思います。あるいは平衡交付金増額予算補正によつて行うか、あるいは起債の問題、とにかく国庫補助に対しましては、水害特別委員会がありまして特例法をいろいろ考えております。国の補助金の点は大筋によつてどうにか具体化すると思いますが、問題は地元負担の問題であります。災害費からしましても、たとえば熊本県だけを例にとりましても、地元負担が約二百億と想定されております。その際において、単年度で処理を終らぬとしましても、相当大きな地方財政の穴が明くことは必至でありますが、この際政務次官から起債の面か、あるいは交付金の面で予算措置を将来考えるとかなんとか、もう少し具体的なお考えを率直にお聞きしたいと思います。
  56. 青木正

    ○青木(正)政府委員 藤田さんのお話まことにごもつともでありまして、自治庁といたしましても、災害による府県負担につきましては、何とかして考えなければならぬということを機会あるごとに相談もいたしておるのであります。ただしかしその負担を国家においてめんどうを見るかという問題になりますと、たとえば税収入の問題につきましても、はつきりした減税の問題、これは交付金的な考え方、あるいは補給金的な考え方で見なければいかぬのじやないかと思いますが、その収入が時期的に遅れて来るということになりますと、これは起債で救済するというようなことも考えなければならない。また市町村なり府県なりの負担につきましても、それを補助金で見る問題、あるいは交付金で見る問題、またものによつたら起債によつて見る問題もあると思うのであります。こうした問題につきまして、まだはつきりした数字がつかめませんので、起債のわく、補給金のわく、また補助率といつたようないろいろな相関関係がありますので、具体的に今どうするという案が出て来ないわけであります。しかしながら、政府の考えとして起債のわくの問題、それから平衡交付金にかわるべき補給金の問題、それから国会側でいろいろ検討なすつております補助率の問題をあわせまして、政府としては災害による地方財政負担を何とか解決して行きたい、かように考えておるわけであります。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの政務次官の御答弁、非常に重大な事実でございまして、私も力強く思つておるのであります。それは平衡交付金にかわる補給金、たしか昭和十一年ごろは臨時財政調整補給金というのがありまして、地方財政に非常に大きな役割を果しておりましたが、今回一般交付金特別交付金のほかに、特殊な地区に特定の範囲内で配付される補給金というような名前のものを考えておられるのかどうか。そうすれば、地方自治体にとりまして非常に朗報になると思いますので、もう一回念のためにお聞きしておきたいと思います。
  58. 青木正

    ○青木(正)政府委員 政府といたしまして具体的に提案するまでには、なお関係方面と折衝の必要があると思います。しかし自治庁といたしましては、そうした構想を持つておることだけは、はつきりと申し上げます。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 財政部長にお尋ねしますが、三月十四日、解散直前に年末の地方公務員の〇・二五に関して支給するように閣議決定をしてやつたわけです。これは前に同僚の西村委員から質問がありまして、あなたから答弁があつたように聞いておりますけれども、私としては、そのときの実際の状態から、あなたから西村委員に対する答弁は非常に遺憾にたえない。三月十四日に、地方起債、資金運用部資金の問題並びに公募公債でやりました都道府県の公務員二十八億、市町村の公務員十二億、合計四十億については、これは何といつても〇・二五に措置する分としてやつたわけなんです。しかもその点については、われわれ委員会としては、平衡交付金増額してもらうように、たしか三月の二日、三日、四日と、当時の自治庁長官並びに当時の大蔵大臣も当委員会に出席をいただいて、ついに三月十四日に閣議の決定を見てやつたわけです。  まず私が質問したい第一点は、この〇・二五については、いまだに都道府県においては地方債あるいは公募公債の形で残つておるが、それと今日附帯決議でもしようという先般の予算委員会、本会議において修正になりました五十億の増額の分との関連はどうなるか、全然関係がないのか、もしも五十億と〇・二五を措置した四十億とは全然関係ないとすれば、地方債、公募公債の四十億については、この二十八年度の年間の予算の中で、たとえば次の臨時国会等において増額修正をするというのか、それとも〇・二五については全然ほつたらかしにして見ないというのか、その点をまず第一番目にお尋ねいたします。
  60. 武岡憲一

    武岡政府委員 御指摘の通り、昨年度末に、政府といたしましては地方債の五十億の特別融資措置を講じたわけであります。その措置の経過については御承知の通りでございますが、大体年末から地方公務員給与改善問題に関しまして、いろいろ国会の御意見等がございましたので、政府職員につきましては、予算は現行の予算のままでやるんだ、予算の範囲内において超過勤務手当の繰上げ支給というような特別措置を行つたという経緯もございますので、地方公務員につきましても、大体それに準じたよう措置地方がかりにするといたしました場合に、その財源をどうするかということが問題になつたわけでございます。で政府といたしましては、政府職員自身につきましても、別段そのために予算増額というよう措置はいたさないのでございますので、地方公務員につきましても、特にそのために交付金増額するというよう措置はとり得なかつたので    ございますが、かりに各団体が、国が政府職員にやつたのに準じてやるといたしましたならば、大体できるであろうと思われる財源措置という一つの考え方でもつて、こういう緊急措置がとられたわけであります。ただ申し上げるまでもなく、各団体としてそういう手当の支給をするとかしないとかいうことは、各地方団体が任意にきめるべき問題でありますので、政府といたしましては、各団体に対しては、さよう措置をとれとかとるなとかいうような指示はいたしておらないのでございます。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 自治庁としては、各地方自治体にそういう予算措置をせいとかすなとかいう指示はしていないということはわかるのです。しかし実際に当地方行政委員会において審議した過程においては、年末の〇・二五については、地方公共団体は実際赤字に悩んでおるので、今言いましたように、実際に地方債三十億、公募公債二十億、合計五十億、この内訳は、〇・二五に関して都道府県二十八億、市町村が十二億、合計四十億、その内訳は、三十億を地方債、十億を公募公債、残り十億の公募公債は一般公共事業に関するもの、公営企業については別途三十億、これは公募公債だ、こういうようにしたわけです。あなたの方では、実際に指示するしないということは、それはもちろん指示する建前ではないでしよう。しかし実際に当地方行政委員会で討議し、閣議の決定を見た内容は、今あなたがお話のように、地方公共団体において〇・二五を措置するのに、これだけの金では足りないという形において四十億の地方債、公募債を含めてやつたわけです。そこで私は、この点については自治庁としてもできれば平衡交付金増額してもらうということが一番よかつただろうと思う。それができないからそういう措置をしたのですが、今私が聞いておるのは、この点について、一体これだけに見合う金として別途四十億に相当する金は平衡交付金増額する考えがあるかどうかということを聞いておるのです。なければないでけつこうです。
  62. 武岡憲一

    武岡政府委員 ただいま御指摘の問題については、二十七年度の問題として先ほど申し上げましたよう措置政府とつたわけでございますが、そのほか特にこのための財源としてさらに四十億の交付金増額するよう措置は、政府としては考えておりません。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 これはほんとうは床次さんに質問した方がいいのかしれません。あるいは場合によつたら床次さんにお聞きしたいのですが実は五十億の内容について、私は予算委員会で改進党の河本君が説明しておることも聞いたわけです。私たちとして非常な関心を持たざるを得ないのは、先ほど門司委員からお話があつたと思いますが、公立の高等学校の職員に関する給与改善費として五十億の中に、三億六千万円含まれておると説明をし、あわせて五十億は昨二十七年において算定した地方職員の給与費について実態に即さないものである、すなわち二十六年十月のときに当時の算定三百四十八円、三百四十九円を差引いたその後に起る不当な点について、給与の実態にそぐわないものがあるから、それらに見合うものとして五十億をここで出すのだ、こういう説明をした。この点については、今まで各委員からお話があつたと思うのですが、自治庁としてはどういうふうにお考えになつておるのか、ひとつ簡単に御答弁願いたい。
  64. 武岡憲一

    武岡政府委員 先ほど申し上げた通りでございますが、今回の増額の御趣旨は、地方財政が総体的に窮乏しており、ことに給与費関係は、二十八年度財政計画を見ますと、その点が不足ではないか、それを補填する意味で考えろ、こういう御趣旨に承つておりますので、さように考えております。
  65. 横路節雄

    ○横路委員 今回きまりました十二月十五日支給の年末手当〇・五の中から繰上げ〇・二五分は、地方公務員にも当然支給されるわけですが、この点についての支給はどういうふうになりますか。
  66. 武岡憲一

    武岡政府委員 国家公務員についての繰上げ支給ということが決定すれば、その旨自治庁としては各地方団体に連絡をするつもりでございます。そういたしますと各地方団体も、あるいはそれに準じて繰上げ支給というよう措置をとるかと思います。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 その点の財源措置自治庁として、どういうように考えておりますか。
  68. 武岡憲一

    武岡政府委員 ただいまの段階においては、これは年末手当の繰上げ支給ということになつておりますので、別にそのため今回繰上げ分として特段の財政措置というものは考えておりません。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 私がお尋ねしたいのは、平衡交付金配分を、たとえばこの前お話がございましたように、四月には四分の一、六月には四分の一、こういうよう配分の方法があろうと思う。今さしあたり三十一日に参議院の本会議を通過したということになれば、それらを見込んでどういうふうに配分なさるのか。その点簡単にといつても、実際に地方公務員に渡るような点について、具体的にお話していただかなければ困ります。その点どうなりますか。
  70. 武岡憲一

    武岡政府委員 ただいま御審議中の法律案成立して、かりに八月にその繰上げ支給をすることに相なりますれば、各地方団体もそれを八月に繰上げてやることになろうと思います。問題はその財源というよりも、資金の関係であろうと思います。ただいま地方の資金の状況等を調査しておりますが、資金の状況が八月にただちにその支給をするのに間に合わないという状況でございますれば、そのために政府としては臨時的な短期融資をするか、あるいはもしただいま御審議中の予算成立したならば、九月に概算すべき交付金の一部を八月に繰上げて概算交付するよう措置も、あるいはとり得るのではなかろうかと考えて、ただいま大蔵省と折衝いたしております。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 今の点ですが、八月四日ないし五日には国家公務員に支給する、そうすると今のお話で、九月に平衡交付金を各都道府県配分する、それについては、繰上げて概算払いをする、こういうわけですね。
  72. 武岡憲一

    武岡政府委員 さような方法も考えられるというふうに考えておるのです。実は法律規定によると、九月が概算交付の時期になつておるわけです。しかしながら今回は八月にさような特別な事情によつて地方団体として資金がいるわけでございますので、団体の資金の状況から見て、八月にただちに支給するのに非常に支障があるというようなことであれば、それに対する措置が二つ考えられる。それで、一つはとりあえず国の金を一時融資するという方法ですが、しかしこれも政府資金の関係もございますので、もしそれができないとすれば、その方法のほか九月に概算交付すべきもののうちの一部を繰上げて、八月に支給する方法はないものであろうか、これは私たちのところだけできまりませんで、国の金の関係もございますので、ただいま大蔵省と打合せ中でございます。
  73. 西村力弥

    西村(力)委員 青木政務次官にちよつとお尋ねしますが、結局五十億の平衡交付金増額をした趣旨は、給与の切下げが不当であつたという趣旨に基いてなされておるのだ、それを政府側としては受けなければならないということになるのですが、それについて事務的な立場からでなく、政府立場から、そういう立場国会において不当と認められたのだから、今後そういう不当な切下げ措置をやるようなことはしない、こういう立場を鮮明にしていただきたいと思います。
  74. 青木正

    ○青木(正)政府委員 私は修正提案者の御意向も政府の切下げが不当だというふうに承知しておるのではないのであります。給与関係等において赤字を生ずる原因があるというふうに聞いておりますので、その趣旨を体して、給与関係の面にその費用を充当される、こう考えております。
  75. 西村力弥

    西村(力)委員 それは私が承知している範囲、あるいは今日の産経に出た記事の内容、これはまた平衡交付金を今通そうとしているが、通したあと出る附帯決議は、実際のところは、床次さんが起案をされたのでありますけれども、そういうぐあいに、承知してないということは重大な問題であろうと思います。それをひもつきとするかしないかということは、平衡交付金の本質論から問題がありますが、そういう趣旨修正されたのだ、増額されたのだということは率直に受取つて院議はそういうふうに断定されたのだから、不当な切下げはしないで、財政措置をやるのだというふうに確言を願いたい。
  76. 青木正

    ○青木(正)政府委員 現在の教育職員給与関係が実態に即しないという点については、修正提案者の御指摘の通りでありまして、見方によつて政府決定した基準額——これは全般的に見ると、政府が立てた考え方も、私ども理論的には必ずしもそれが不当であるかどうかということはいえないと思うのであります。しかし、実際に即しない点が現われておるという点は、私どもも率直に認めまして、そうして提案者の御趣旨を体してこの五十億を使いたい、かように考えるわけであります。
  77. 西村力弥

    西村(力)委員 武岡財政部長にひとつお伺いいたしますが、全国には軍事基地が七百以上もあるのですが、その軍事基地においては、目に見えない支出がよけいある。たとえば学校の問題にしましても、児童たちがある一点に集中して、変な方に行かないようにするためには、その文化的な情操をゆたかにするような施設を村民によけいやるとか、あるいは運動競技の用具をたくさん備えて、そこに集中させて行くとか、あるいは変なものが出入りしないように、普通だつたら必要でないところにも柵をめぐらすとか、そういうたくさんの支出があるのです。そういう点について、特別に指数補正的なことを今までやつておるかどうか。やつておるとすればどういうぐあいにつておるか、それを一つだけ。
  78. 武岡憲一

    武岡政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、従来からも特別交付金で考慮しております。特別交付金算定の際に、いわば渉外的な経費が多額に上る、こういう理由で、各団体がそのために特に支出した金額を報告していただきまして、それを元に特別交付金配分しております。
  79. 中井一夫

    中井委員長 それでは御質疑はありませんか。——これをもつて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がありますから、順次これを許します。床次徳二君。
  80. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま提案になつておりますところの地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に関しましては、改進党といたしましては賛成の意を表するものであります。  しかしながら、すでに委員会の審議におきましても、問題となつておりましたごとく、平衡交付金算定に関しましては、実情に対しましていささか予算が少な過ぎるということが、従来の大きな欠点でありました。やはりこれはできる限り実情に沿うべく、平衡交付金増額を今後政府も努力されたいということを、強お要望するものであります。  なおこの機会におきまして、過般の予算修正いたしました自由党、改進党並びに自由党の三派を代表いたしまして、本法の改正法案に対しまして、附帯決議を付することを提案いたしたいと思います。まず案文を朗読いたしたいと思います。    地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の附帯決議案  一、政府の策定した昭和二十八年度地方財政計画はこれに算入された地方職員給与費につき実態に即しないものがあり、ためは地方財政を圧迫していると認められるのでさきに行われた予算修正趣旨にのつとりこれを修正すること。  一、地方財政平衡交付金予算計上額増額を機会に単位費用その他同制度の全般にわたつてさらに必要な検討を加え、一段と運営の適正化を期するとともにその結果については、政府は次の国会において必要なる措置を講ずること。  右決議する。  ただいま朗読いたしました通りでありますが、この附帯決議を提案いたしました趣旨は、先ほど以来本委員会において、政府委員との間にしばしば応答が繰返されましたごとく、今回予算修正が行われましたに対しまして、政府はいかに措置をするかという点でありまして、第一点は地方財政計画におきまして、この予算修正趣旨にのつとつて修正を必要と認める。これに対しまして、政府も善処する旨を答えておりましたが、附帯決議において明らかにこれを要望しておきたいと思うのであります。  第二点は、平衡交付金法単位費用の問題でありまして、すでに繰返し質疑が行われましたが、その処置に関しましては、ここに書いてありますごとく、政府は次の国会において必要なる措置を講ずる、十分検討せられました結果、運営の適正化のために、政府としては善処せられたいことを要望しておく次第であります。すでにこれも政府の答弁によつて明らかにはなつておりますが、特に事柄が重大でありまするので、附帯決議を付しまして、もつと本案の政府原案に賛成いたしたいと思う次第であります。どうか各位の御賛成を望む次第であります。
  81. 中井一夫

    中井委員長 加藤精三君。
  82. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 自由党を代表いたしまして、原案に賛成し、なお床次委員から提案されました附帯決議案に賛成いたします。  原案は義務教育費国庫負担法、児童保護措置費並びに教材費等の法令の改廃による改正並びにベース・アツプ、その他産業統制撤廃、それらによる諸般の適当な改正を加えましたほかに、義務教育費その他の府県の施設の経常費をより十分に保障しようという適当なる改正案と解釈いたしております。なおこの法案の審議中に、五十億の平衡交付金増額がございましたことは、この地方行政委員会としても大きな喜びとするところでございます。この五十億の増額を有意義ならしめるために、三派共同提案いたしております附帯決議案が、実効を表わしますことを期待いたしまして、喜んでこの附帯決議案にも賛成いたすような次第でございます。
  83. 中井一夫

    中井委員長 北山愛郎君。
  84. 北山愛郎

    ○北山委員 私は日本社会党を代表しまして、平衡交付金法改正の原案に反対をし、かつ附帯決議にも反対をするものでございます。この平衡交付金法の制度がしかれましてから、すでに数年経つておりますが、この制度の本来の趣旨でありますのは、地方団体のほんとうにあるべき姿の地方自治の活動、これをやるための必要な経費、これを基礎にいたしまして、歳入と差引いたあとの不足分について、政府がこれを交付金として交付する、これがこの制度の本則であります。ところが現在までの質疑でもわかりますように、いまだに平衡交付金の制度の原則が実現されておらないということは、私どもが非常に残念に思うところでありまして、政府の方でかつてに非常に低い基準によつて地方財政需要というものを計算しておる。その結果いろいろ地方にはまずいことが出ておるわけであります。たとえば自治体警察の維持費にいたしましても、この財政需要額の基準が低いために、それで算定された交付金その他の財源が少いために、せつかくの自治体警察も次から次へと財政上の負担に耐えかねて、地方団体がこれを交付せざるを得ないというような事実となつて現われておるのであります。今度の改正案におきましても、この点についての欠点は一向除去されておらない。なお今年度交付金ら五十億増加されたということは、もちろん私ども地方財政のためにわずかではあるけれども、そのゆとりを与えたという趣旨においては非常に喜んでおる次第であります。しかしながらこの五十億を理論的に、ほんとうにその増額趣旨に沿うよう配分するためには、今度の改正案にその趣旨が盛られておるのが本則でありまして、そうでなくて、今出されました附帯決議のような、文章は非常にりつぱでございますが、抽象的な条件でもつてその施行を自治庁に、政府にまかせるというようなことには、私どもはそこにいろいろな危険を感ずるのであります。たとえば今度予想される義務教育費負担法の特例、これが流れました場合に、新しく生ずる四十八億の教育費の増額、これが間接に平衡交付金の方にしわ寄せになつてつて、せつかく五十億ふやしたのが、結局富裕団体の方に交付をして、実質上は教育費のために使われてしまいはせぬかという危険も、そこに感ずるのであります。そういう趣旨からしまして、当然予算修正増額をいたしますならば、同時に交付金法の単位費用というものを改正して、正式にこの国会決定をすべきものである。かような漠然とした附帯決議によつて、その措置政府に委任してしまうということには、私どもはいろいろな見地からしまして、非常な危険をそこに感ずるのであります。しかも今まで申し上げましたように、平衡交付金が理論的に算定されて地方財政を潤すというよう趣旨ではなくて、むしろ毎年度政府予算のわく、平衡交付金予算というものをまずもつてきめて、そのわく内で単位費用を逆に算定しておくというように、実際に運営されておる。そういうようなまずい結果といたしまして、第十四条の二項においてとられました、府県の基準財政収入を計算します場合に、府県税は今まで百分の七十を見ておつたのを、百分の八十を見るよう改正された。この結果として、貧弱な府県には比較的有利になるという点においては、あるいは喜ぶべきものがあると思います。しかし考え方によりますと、政府は当然貧弱府県に対する交付額を増加して措置すべきものを、そうしないで、基準財政収入の計算を百分の八十に上げることによつて、富裕府県の方から横にならして行くというような、自分の予算をふやさないで、比較的富裕な団体の犠牲によつて、これを補おうという趣旨が現われておるのでありまして、この点に、私どもはいろいろな疑問の点があるのであります。  以上申し上げました通り、主として五十億の措置につきまして、はつきりとこの改正案によつて措置をされておらない。そこにいろいろな危険を藏しておるというよう意味、あるいはまた平衡交付金法の本来の目的としておるところが、いまだにこの改正案によつても実現されておらないというような諸点におきまして、私どもはこれに反対をするものであります。
  85. 中井一夫

  86. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ただいま上程になつております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、私ども日本社会党は、次に申し上げるような理由によつて、はなはだ残念ではありますが、反対せざるを得ないのであります。  先ほども北山委員からお話がありましたので、多少重複はしますけれども、シヤウプ勧告によりまして、平衡交付金の制度ができました。そのときには、全国自治体は実は非常に喜んだ。公正なる基準によりまして収支を計算し、その差額は優先的に国家が予算に盛るというよう趣旨でありました。当然それは盛らるべきものであるというよう趣旨が貫かれておつたわけであります。その根本の原則がぐらぐらするならば、シヤウプ勧告そのものが、実は全然意味がないのであります。このことにつきましては、自治庁事務当局の皆さんにおかれては、十分御案内の通りだと思います。しかるに毎年々々平衡交付金の金額を見ますと、この制度が少しも認められていない。逆に国が金をくれまして、それに押しつける、毎年々々平衡交付金法修正するというふうな、まことに本末転倒の醜態を繰返しておる次第であります。すでにこれは数年に及ぶのであります。そして歴代の吉田内閣は、健全財政である、国家が黒字財政である、竹馬の足を切つて黒字財政が確立された、日本の経済界も逐次安定をしておる、こう言うのでありますが、日本全体の予算といたしましては、単に国の予算だけではありません。国の予算とほとんど同額に及ぶような、いわゆる自治体予算があるのでありまして、その自治体は毎年々々赤字で大弱りである。天下でこれほど大うそはないと私は考えております。地方財政には、軍事予算はございません。地方財政が扱つておりますのは、民生安定に対するものであります。歴代の吉田内閣は、民生安定を言つておりますが、その実は何にもない。こういうひどいことをやつていることが、この平衡交付金の問題一つを取上げてみても、私どもはつきり言えると思うのであります。そして地方自治体はずいぶん膨脹をしておる、国家公務員よりも給与は高いということを言いまして、それを全国の新聞なんかに流すのであります。それは全国には一万数百の自治体がありますから、百や二百は国家公務員よりも多いところはありましよう。あるいは千や二千はあるかもしれません。しかし大方の自治体の連中は非常に赤字で、歯を食いしばつてこの数年をやつて来ております。そのうちのきわめて一部のものを取上げまして、大きく宣伝しておる。そして地方財政もつ節約しろと言うのであります。じようだんじやありません。節約の必要なものは、私はまず国家財政だと思います。現に昭和二十七年の決算を見ましても、保安隊の経費は二百億近く余つておる、そしてあれだけ騒いで、今度自由党と改進党でお話合いをなさつて、鬼の首でもとつたようにしてまいたのが、五十億であります。なつてないと思う。われわれはもつとまじめな内政をやつてもらいたいと思うのであります。このよう状態でありますと、そのうちに、内政はでたらめである、何かひとつ機構をつくらなければいかぬ、また内務省を復活しようかという話が、私は必ず出るのではないかと思うのであります。よく御存じでありながら、こういう状態をそのままほうつてあるというような、国民生活の上にあぐらをかいておるようなこういう財政については、国民の名においてここに憤懣にたえない。そういう意味において、この制度を根本的に改正されるか、あるいはシャウプのすなおな意見をそのまま推し進めて行くか、どちらかをとらなければいかぬ段階に来ておると考えております。そのよう意味において、小細工的な修正は問題でない、かように考えるのであります。これが反対の第一点であります。  第二点は金額の点であります。現状のままとして、とうてい五十億ばかりで、全国自治体が十分やれるとは思いません。今全国の知事のほとんどが、一年のうち半分東京に駐在しておる。全国府県の代表の縮舎が、全部東京にある。そして憲法は何と言つておるか。地方自治の確立である。昭和二十年以前のあの地方自治体と、新しい憲法に基きます地方自治体と、本質がまつたくかわつておるにもかかわりませず、逆に知事や市長は、一年のうち半分、東京に駐在するというような、ばかげた地方自治制度が世界にありますか。ありましたらひとつ出してもらいたい。このようないわゆる絵に描いたもちの地方自治体、その最もひどい例は平衡交付金なんであります。従いまして全国自治体の長は平衡交付金、特に特別交付金をもらおうということになれば、たいへんなことであります。自治庁の前の廊下は一、二箇月の間、人で満員であります。それでいけなければ今度は農林省に行つて補助をもらつて来る。それ厚生省へ行くとか、建設省へ行くとか、たとえば県においてはわずか十五万円程度の災害でも国の補助をもらおうという、これは昔の五百円程度であります。この程度のことまでやつておるが、それは全部財政難から来ておる。地方自治のあり方なんというものはどこかへ行つてしまいまして、実にひどい現内閣の内政問題に対するやり方であると私は思います。本年度予算におきまして、とにかく現状で行くとするならば、少くとも私ども左右両派から出しました二百億程度増額がありませんと、とうていこの難局を切り抜けて行くわけには行くまい、かように私は考えております。  第三に、以上のように根本的な非常な欠陥を内閣は知つておりながらやつておるのでありまするが、せめて私が先ほど御質問いたしましたように、その範囲内においても、年度の当初に全国一万の県や市町村に、相当はつきりした程度まで金額をお示しができるようにしなさい。全国一万の村会、町会、市会、県会は今何をしに来ているのですか。予算審議において一番大きな平衡交付金、それはこれから奮闘いたしまして、せいぜんよけいとるようにいたします、はいそうですか、というようなことでありまして、はつきりいえば全国地方自治体予算は組んでない。予算と決算とほとんど同じようなかつこうになつております。これほど内政をばかにしたやり方は私はないと思うのであります。  その他いろいろ私はこの制度につきまして意見はありまするが、きようはもう最後の仕上げでありまするので、もう申しません。従いましてこれに対してまあ少しはいいだろう、あるいはまた何か附帯決議をつけておこうぜというふうなことでは、とうていわれわれは満足ができない、こう思うのであります。またこの附帯決議の第一でありますが、これは本法の第三条四項に、平衡交付金をやりまするときには、条件をつけてはいけないということになつております。地方自治体の自己の権利、意思を尊重するためにそういう条件をつけてはいけないという一項があつたように、私は記憶いたしておるのでありますが、これは多少それに反するような決議ではなかろうかというふうな疑いを実は持つております。しかしこれは決議のことでありまするからとやかくは申しませんが、とにかくこの決議の中にも現われておりまするように、あまり地方自治体内容までこまかく立ち入つて、それが政府の親切であるというふうな考え方よりも、素朴に、もつと金額をふやして、大いに自治の本義を発揮していただく、このことがこの法案改正に対する私どもの率直な見解であります。  以上はなはだ簡単でありまするが、反対の理由を申し述べました。
  87. 中井一夫

    中井委員長 これにて討論は終局いたしました。これにより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  88. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。本案は原案通り可決されました。  次に床次君の附帯決議を付すべしとの動議について採決をいたします。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  89. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて床次君の動議は可決されました。  この際お諮りをいたしますが、本案に関する衆議院規則第八十六条による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。さよう決定をいたします。なおできまするなら、引続きまして自治学校設置法案、それから道路交通取締法の一部を改正する法律案につき審議を進めたいと思います。どうぞしばらく御勉強をいただきたく存じます。     —————————————
  91. 中井一夫

    中井委員長 きのうに引続き、自治学校設置法案を議題といたします。質疑を行います。
  92. 西村力弥

    西村(力)委員 きのうこの法案を審議した際に、われわれが懸念する点が払拭されるのに重要な問題である審議会の構成内容、あるいはその自治大学校の職員の構成内容、それから自治大学校の教科課程、こういうものを示してもらなければならぬ、こういうことを申しあつたはずなんであります。それを印刷物にして配付することになつておりますので、それをまず配付願いたい。——この配付された資料は私がお願いしたものの前の部分が欠けておる。すなわち審議会のメンバーとしてとういう人を予定されておるかということ、それから職員の構成、この点二つ抜けておる。これは教科内容ですか、研修科目ですか、こういうものしか出ていないので、ちよつと困ると思うのです。その点について伺いたい。
  93. 山野幸吉

    ○山野説明員 審議会の委員といたしましては、六団体の連合組織の代表者各一名ずつ、そのほかに学識経験者のお方から四名でざごいまして、その構成は大体今自治庁にございます参与と大体同じ構成になることと思います。事務局の組織につきましては、現在この構成を検討中でございまして、大体庶務を担当する係と、それから研修の具体的ないろいろの講師のあつせん等を掌理します教養係と申しますか、そういうのと、さらに調査研究の関係の係、こういう三つの係にわけて事務局を組織したい、その上に主管の責任者を一人置きたい、かように考える次第でございます。
  94. 西村力弥

    西村(力)委員 事務局の構成はそれでいいですが、講師の大体の顔ぶれはどういうぐあいですか。
  95. 山野幸吉

    ○山野説明員 お答えいたします。ただいま配付をいたしました資料に出ておりますその学科に従いまして、一応現在考えております考え方を申し述べますと、大体基礎学に該当します諸科目につきましては、一般の大学の教授、講師のお方々、あるいは民間の学識経験者のお方々を中心にして講師をお願いしたい、かように考えております。それから地方行政の一般につきましては、これはできますならば、地方行政の経験を持つておられる方で、なおかつ理論にも通じておられる方の中から専任講師をお願いして、この科目の大部分をやつていただく、かように考えております。第三番目の各部行政論、これはあまりそう重点を置いてはいないのでございますが、各省庁の官房長その他責任者の方に、行政内容について講義を願つたら、かように現在考えております。それから最後の管理論でございますが、人事管理、事務管理、その他の管理論等、監督者あるいは幹部要員として必要な諸科目につきましては、現在のところ専任講師を置きまして、その人にその大部分を担当していただくというような考え方でございます。もちろんこの半年間研修をいたします場合には、時間のずれその他いろいろな事態が起りますので、彼此相融通して講義を進めて行くような場合もございますが、大体の考え方はさような考え方で今進めております。
  96. 西村力弥

    西村(力)委員 地方行政論、一般論、ここのところは、できるならば専任講師というのですが、これはできないならば自治庁の官吏各位でなさるというぐあいにも考えていらつしやるわけですか。
  97. 山野幸吉

    ○山野説明員 お答えいたします。私の言い方がまずかつたのですが、専任の講師でやつて行きたい、かように考えております。
  98. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは基礎学とかうつとありますが、この時間の割当をごうなさいますか。  それから宿舎なんかをあつせんして、共同的な一つの生活環境というものをつくるのだろうが、そういう点について伺いたい。
  99. 山野幸吉

    ○山野説明員 各学科につきまして、町間を何時間にして行くかということにつきましては、大体私のところで一応の案はできておりますが、まだ若干検討を要するものがございますので、まだお手元に配付いたすまでには至つておらないわけでございます。ただこの資料にございますように、重点の置き方は、本科におきましては各部行政と管理論に重点を置きますし、普通科におきましては基礎学と地方行政一般に大体重点を置いて行きたい、かように考えております。  なお、この研修生の宿舎の問題でございますが、将来できますならば寄宿舎も建設して行きたいと考えておるのでございますが、さしあたりましては、各府県の宿泊所等に宿泊していただく、そういうぐあいに暫定的には考えておる次第であります。
  100. 滝井義高

    ○滝井委員 まず、自治大学というように、なぜこれを大学としなければならないか、それを第一にお伺いいたします。
  101. 山野幸吉

    ○山野説明員 自治大学校の名称につきましては、昨日も同様な御質問がありまして、次長からお答え申し上げたのでございますが、当初六団体等が協力いたしまして、アメリカのロックフェラーあるいはフオードの財団から資金を仰いで、地方自治の研修の道場をつくつたらというような構想があつたのでございます。その後、アメリカの方の資金の援助ということは不可能になつたのでございますが、そういうよう地方公共団体の当初の発足の当時における構想が、自治大学校であつたというような点と、それからこの大学校は、各府県に置かれておりますところのいわゆる研修所よりも、さらに高度な研修を行うのだというよう建前から、こういう自治大学という名称をつけたのであります。
  102. 滝井義高

    ○滝井委員 資料としてここに出されておりますこの研修の科目、こういうものは、基礎的な科目は主として大学の先生方で、そのほかの地方行政の実務的なもの、いわゆる各部行政というのは官房長等がやられるということであります。そうしますと、御存じのように、新しい学制によつて、現在日本には四百二十六の大学が各地方にあるのでございまして、ほとんどの県庁の所在地に大学があり、しかも短期大学というものもあります。占領中に、内務省というものが地方に対して強い統制権を握つておつたが、こういうものがあつては兼び軍国主義の復活があるというので廃止されておる、これがいわば民主主義における非常に重要な思想をなしておつたと思います。ところがこういう自治大学というものができますと、今まで自治庁になかつたところの地方公務員の研修に関する権限というものが、新しく自治庁に付与せられるということが一つ出て来るわけなのでございます。これは当然出て来る。そうしますと、現在地方には四百二十六も短期も含めて大学があるのであるが、こういう大学の先生を講師に雇つて基礎的な学科をやつてもらおうとするならば、何も東京までみんなを寄せなくとも、その地域々々の大学でもつてつてもらえば、講義も早く片づきます。この案によれば、課長補佐、係長というような者を普通科百名、本科五十名も集めるようになつておるが、そういう必要もなくなる。同時に現在通信教育という制度がありますので、行政のひまなときに、たとえばスクーリングのような形で東京に実務だけは官房長等に習いに来ればよい、あるいは官房長が地方の研修所に行けばよいのであつて基礎的な講義ならばその地区で、午後に早退をさせるなり、土曜日だけでもやるという形で十分できるわけです。従つて何もこういうことで莫大な国の経費を千二百万円も使つてやらなくとも、地方に研修所があるわけでありますから、十分目的は達成できると思います。そういう研修の仕方について、重大な隘路があつてできないのだ。だからひとつアメリカ流につくらなければならないという、具体的な切実な理由があれば、それをひとつ御説明願いたい。
  103. 山野幸吉

    ○山野説明員 ただいまの御説でもつもと思いますが、当初私どもこの大学校の構想を考えますときに、実は大学の講座でやつたらどうだろうかという、相当強い意見もありましたのでございますが、実はこの研修所と申しますのは、大学における学理、単なる理論だけを教えるのではなくて、あくまで地方の現在おる職員を、現任教育として実務と結びつけて研修さして行きたい、かような考え方に立つておるわけでございます。従いまして各講義の内容にいたしましても、理論を説くと同時に、現在そういう事務がどういうぐあいに遂行されており、またどういうぐあいに遂行して行くべきであるかという、あくまで理論と実務を結びつけて教えて行きたい。かような要請は、現在の大学の学部ではまだ現在のところそういう講義ができる。特に地方自治に関しましては、そういうところまで行つていない。私どもは将来そういう学科なり、学部ができればそういうことも考えて行きたい、かように考えておる次第でございます。なお最後の点の現在地方公共団体に研修機関もありますが、そういう研修機関で十分研修できるじやないか、あるいはまた通信講座で十分研修ができるじやないかという御意見に対しましては、一応そういう御意見もごもつもと思いますが、実は各府県で研修を行つております内容を、いろいろお聞かせ願つてみますと、非常に系統的でない研修でございまして、各地方公共団体の研修機関あるいは団体から、絶えずそのような機関の設置の要望があつたのでございます。
  104. 滝井義高

    ○滝井委員 今の御説明のように、地方の公共団体のやつておる内容が、非常に適切でないというような御意見も出ましたが、そういうよう地方の公共団体というものは、公共団体の自主性を持つて実情に即した講義でやつておるわけだ。ところがここに自治大学校というものをつくつて、そうして中央で、刑事訴訟法の改正ではないけれども、一般的な準則というものをつくつて、そうしてその地方自治体の特殊性を無視しながら、こういうことをやれ——実際あなた方から出ておるものは、これは地方の研修所の状態を調査、研究して、いろいろ助言を与えるというような形にはなつております。しかしこれは実際に、助言ということにはなつておるけれども平衡交付金の制度を握り、起債のわくを握つておる自治庁が、自分の教育の一般準則というようなものを示して、これに従わない地方自治体というものは、これはわれわれは考えるぞということを言うて、伝家の宝刀をうしろにひらめかしながら、研修をやるというような思想が出ないとも限らない。現在こういうものをやつているのには警察大学があります。それから外務省の研修所があります。司法研修所があります。それぞれ各省にこういうものを今度はつくるということになる。自治庁がつくつたから郵政省もつくろう、運輸省もつくろう、どこもここも公務員の資質向上のために研修所をつくるのだ、こういうことに私はなると思うのです。荒ならば、ばらばらにできておるものならば、ひとつ全部集めて、国家公務員の研修所でもつくつた方が気がきいておるし、事務費等も倹約になるわけです。そういう点から考えても、どうもこれは昔の陸軍大学というようなもので、天保銭をつけた人が偉いのだというような事大主義思想を、地方公務員に植えつける可能性が十分あると同時に、現在の地方自治体財政の苦しい中で、定員というものは非常に切詰のられておる、その中から最も優秀な中堅級である課長補佐、係長級を引上げてしまうということになりますれば、それは自治体の運営にも重大な支障を来す面が出て来る。しかも六箇月にもわたつて東京にひつぱつておくということになれば、そういう点も考えばければならない。そういうものに対してはかわりの人間の余地を与える、こういうような考えを持つておるのか、この点について御答弁を伺いたい。
  105. 山野幸吉

    ○山野説明員 私は地方公共団体において設置しておられる研修機関なり、研修ではまずいんだということを考えておるのではありません。それはそれとして十分機能を発揮していただき、それの及ばないところを大学校でやる、こういうことを今度の研修を行う建前にしておるのであります。それからあとの点の、いわゆる昔の内務省云々というそういう県念に対しましては、実は大学校に運営審議会をつくりまして、六団体の代表者がそれぞれ御発言になつて、その運営に対して御相談になつてきめて行くという建前をとつておりますので、さような御県念はないものと考えております。
  106. 滝井義高

    ○滝井委員 どうも今の御説明では、大学を絶対つくらなければならないという切実な理論的基礎は了解ができません。私は現在の地方自治体のそういう定員のわくに縛られておる実情から考えて、むしろそこの短期大学にやつて基礎的な学科を研修せしめ、そうして行政上の具体的な問題については、これは中央からそれぞれの官房長がひまを見て出て行つて、六箇月かかつてやるものをたとえば一年、一年半かけてゆつくりやる。それからわれわれの常識で言つて、この程度のことは通信教育で十分理解できると思うのです。私なんか独学で全部こういうものを勉強しましたが、大体わかる。何も東京にみんな集めて、あなた方が口をきいて恩師のような顔をするようなものをつくらなくても、勉強する人は、実務をしておれば、その実務の中から学びとることができるのであつて、連れて来ようとするところの百五十人の優秀な人ならば、習わなくても私はできると思う。わからぬときは官房長その他が通信教育で教えてやるという制度。これは具体的なことは、基礎さえしつかりしておけば問題は片づく。基礎がしつかりしていないところに実務にわからない点が出て来ると私は思う。だから基礎的なところは、文部省が短期大学を四百二十六もつつてくれておるのだから、これを最大限に利用しても、警察大学、司法研修所のまねをせずに、現在の財政の苦しい地方自治体に対して、できるだけその苦しさを防いでやるという方向に——人間を連れて来るのではなくて、自治庁の方から出向いて行くということにする方がもつと合理的である。従つてあなたの今の御説明からは、これを絶対つくらなければならぬという納得できる理論を引き出すことができない、こう思うのです。
  107. 中井一夫

    中井委員長 質疑は終了をいたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がございません。よつて本案の採決に入りますが、本案に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  108. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて本案は原案通り決定をいたしました。     —————————————
  109. 中井一夫

    中井委員長 次に道路交通取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましてはすでに質疑も終了いたしております。ただいま委員長の手元に加藤精三君より修正案が提出されております。まず同君よりその趣旨について説明を聴取いたします。加藤精三君。
  110. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 ただいま提案いたしました道路交通取締法の一部を改正する法律案の一部を修正する案の提案の理由を御説明申し上げます。  原案は、自動車運転免許の取消または公安委員会の定める期間以上の停止をしようとする場合には、公開による聴聞を行わなければならないこととし、その際、当該処分にかかる者またはその代理人をして、当該事案につき意見を述べ及び証拠を提出して事案の公正なる判断の資料とし、また必要と認めるときは、その道の専門的知識を有する者の参考意見を聞き、公正を期することとなつておりますが、交通事故及び交通法令違反が激増している際に、加害者側のみを一方的に擁護しようとする法的措置は、結果として公共の利益保護の観点から立法されている道路交通取締法趣旨に反するような結果を招来するおそれがあるので、事案のより公正な判断と、事案処理の円滑等の観点から次の三点の修正を加える必要があると存じます。これがこの修正案を提出した理由であります。  修正案の第一点は、原案は、「処分に係る者またはその代理人」または「専門的知識を有する」参考人の意見を聞くこととしておりますが、修正案は、被害者側の事情をも聞くことができることといたしました。これは、処分事案の原因となる場合が多いところの交通事故は、運転者の過失と被害者の過失が競合して発生する場合が多いのでありまして、被害者、目撃者等の関係人の事情も聞かなければ、公正な判断ができないからであります。  第二点は、運転者の多くは、その業務の性質上、自己の利益となる聴聞会に際しても出頭しない場合があることが予想されますので、当事者が正当な理由がなく聴聞期日に出頭しないときは、聴聞を経ないでも処分をすることができることとしたのであります。これは、事案を迅速に処理して、道路交通の安全を確保しようとするものであります。  第三点は、改正法案の施行期日を十二月一日としました。これは、本改正案が成立し、施行された場合、公安委員会が聴聞を行う停止期間を定める準備や、聴聞会開催に要する参考人または関係人の旅費その他の経費について、都道府県または市町村議会の議決を経て、予算を定める必要があり、このためには、最小限度四箇月を要することが見込まれるからであります。  その他修正に伴う条文の整理をいたしました。  以上が 修正案の趣旨及び内容であります。御審議のほど御願いいたします。
  111. 中井一夫

    中井委員長 この際本修正案について御質疑があればこれを進めます。御質疑はありませんか1御質疑はないと認めます。よつて本案の修正に対する質疑は終了をいたしました。  これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。  討論の御通告がありませんから、本案につきまして採決をいたします。まず加藤精三君提出修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  112. 中井一夫

    中井委員長 起立総員。よつて修正案は満場一致可決されました。  次にただいま可決されました修正部分を除く原案について採決をいたします。賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  113. 中井一夫

    中井委員長 起立総員。よつて修正案は修正議決されました。  この際お諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条による報告書の作成に関しましては委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
  115. 西村力弥

    西村(力)委員 本法に関連してお伺いしますが、自動車の免許証の切りかえが、以前五年であつたものが、二年になつた、その理由は住居が不安定だとか何とかの理由でそうなつたのですが、その後住居も相当安定して来ましたので、三年ぐらいに延ばすように、取締法を改正してもらいたい。そのように御努力願えませんか。
  116. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 直接お答え申し上げます。  ただいま御質問の点につきましては、当初より道路交通取締法立案当時には、一年という意見が非常に強かつたのであります。しかしながら従来の実績にかんがみまして、それはあまりに運転者にとつて酷になりはせぬかということで、二年にしたようないきさつがあるのでございまして、これをさらに三年にするかどうかということにつきましては、私どもとしてはただいま研究はいたしておりますけれども、現在までのいろいろなデータによりますと、これを延長することについては、ただちに賛成しがたいというのが現状であります。と申しますのは、最近の状況を見ますると、違反者の取締り状況等から見ましても、非常に身体障害者が多いのであります。二年間のうちに、たとえば視力を失つておるとか、耳の聞えが悪くなつておるという、そういう身体障害が非常に多い実例が出ております。そういう意味で今ただちに三年にするということは、現在の状況においてはいたしかねるのであります。ただ研究はいたしております。
  117. 西村力弥

    西村(力)委員 身体障害者が非常に多いというのは、免許証下付後に肉体的な障害が発生したというのですが、免許証を下付する際における身体検査なり何なりが、まるでルーズに行われた結果起るのではないか、どうなんですか。
  118. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 ただいま御質問になりました両者の競合した点が原因になつております。二つあります。
  119. 西村力弥

    西村(力)委員 両者が競合してということになると、その反面は免許証を下付した当事者、権利を与える方にも責任があるわけですね。それはどういうぐあいで、交通事故などで人命をそこなうところまで行く重要な免許証を、そう簡単になさつたのか、その間の事情を伺いたい。
  120. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 試験の際は現在相当厳重な試験をいたしておりますが、最近は非常に受験者の数が多いという原因もあるのであります。ただ試験そのものについては現在当局におきましては、できるだけ身体検査の状況をやかましくいたしております。この視力、聴力等については、免許証交付後悪くなつているという実例が相当多いのであります。
  121. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは御研究願うことにいたしまして、この問題と関連する、しないにかかわらず、やはり免許証交付というものは、もう少し厳重になさるべきではないかと思いますし、そういう責任の一端を負う国警側におきましても、運転者の事情をよくお考え願つて、なるべく三年間に延期されるような研究をお願い申し上げまして終りといたします。
  122. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私が心配するのは泥酔、いわゆる人の命を預かつて運転する人が、少しでも酒を飲んで運転するということは、こうした交通の煩雑なときに、何かそういう規則というものはあるのでしようか、それを知りたいのです。それが第一点と、それから道路は右側通行と言うておつて、各駅は左側になつておる。これを全部一つに改めることはできないものであるか、その点お尋ねします。
  123. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 ただいまの酩酊運転の点につきましては、御質問の通りに酩酊運転による重大な事故の発生件数が相当多いのでございます。これに対しては酩酊運転は無謀操縦として罰則規定がございます。
  124. 大石ヨシエ

    ○大石委員 その罰則規定知らぬから教えてちようだい。
  125. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 今ちよつと調べます。それから駅の構内等の右側交通につきましては、現在の道路交通取締法が文字通り道路の取締りになつておりまして、駅の関係は私の方としては、これもやはり右の力に改めていただきたいという希望は持つておりますが、法的な関係が私どもの所管になつておりませんので、ここでお答えは残念ながらできないのでございます。
  126. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そこに運輸省の人が来ていらつしやるよう。運輸省の人答えてください。
  127. 中村俊夫

    ○中村説明員 ただいま御質問のことは、実は鉄道監督局が主管しておりますので、私ども自動車交通の関係では、はつきり御答弁申し上げる筋ではないのでございますが、ただ同じ役所におりますので、常識的にも駅の中は全部左側通行とか右側通行ではございませんで、普通は右側通行をやつておると思います。従つて左側通行のところはここは左側通行してくださいという札が出ておるところが多いのであります。道路を歩く方は右側通行に直りましたが、鉄道というものは施設が全部左側通行にできておりますので、やはり駅の構内でも左側通行にならざるを得ないところが多いのではないか、かように考えます。
  128. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから交叉点に右小まわり、左大まわりとあるでしよう。あれがはつきりとわからないのです。これはもつ道路交通取締法を根本的に改正する必要があると思う。あなたはこの点どうお思いになりますか。
  129. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 ただいまのまわり方の問題でありますが、これは実は道路交通取締法自体の問題ではないのであります。それに基きます総理府令の問題でございますので、ただいま自治法の改正に対応いたしまして、九月の一日から従来の総理府令を政令と総理府令の二本に、どうしてもわけなければならぬ段階に参つておるのであります。そういう観点がありまするので、今御質疑のありました点につきましても、現在主として六大都市及び私の方の管区等から、意見を八月五日までにとつて実は検討を進めておる段階でございます。その結果が出ますれば、それに従つて改める必要があれば改めて行きたい、かように考えております。これは法律の問題ではございません。
  130. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それからさつきのこと、どういう規則があるか知らせてください。
  131. 後藤田正晴

    ○後藤田説明員 泥酔運転は、道交法第七条の二項第三号にあるのでございます。それに従いまして罰則が二十八条にあるわけであります。読んでみますと、「左の各号の一に該当する者は、これを三箇月以下の懲役、五千円以下の罰金又は科料に処する。」、それの第一号に、第七条の規定に違反した者。こういうふうになつております。
  132. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 運輸省の人に簡単にお伺ひします。地方において国営のバスを通してもらいたい、こういう陳情をされておる最中に、これは民営を圧迫するからいけないとして、民間では国営バスの通過を願つておるのに、あえて民営の方に許す必要がどうしてあるのだろうか、こういうことを御質問したい。
  133. 中村俊夫

    ○中村説明員 国有鉄道が経営しておりますいわゆる国鉄バスといわれますものは、法律に基きまして国有鉄道に関連するバスを運行する、民営のバスは一般的に、従いましてただいま御承知のよう地方で国鉄バスをしけしけという声も大きいし、またそれがために道路も直したり運動もされておりますから、賛成の方もございますが、また反面国鉄バスをしかないで、民間バスを発達させたらどうかという議論も非常に強いのであります。初めに申し上げましたように、国鉄バスにはその性格上かなり大きな制約が付されておりますので、どこでも国鉄バスをしくというわけには参りません。こういう事情でございます。
  134. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 民営のバスの発達を妨げることになるから国営バスを通してはいけないという特に条文があるのでしたらひとつ……。
  135. 中村俊夫

    ○中村説明員 特に具体的の実例につきましてはよく存じませんけれども、一般的の原則としましては、これは運輸大臣も前に運輸委員会その他のところで答弁いたしておると思いますが、民営バスをもつて十分やつて行けるところは、必ずしも国鉄バスを新しくしくということをしないでもいい、こういう方針であります。また具体的にとんでもない事例がありましたならばお教えを願いまして、よく相談いたしたいと思います。
  136. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 実は具体的な例を示せば、栃木県の宇都宮に出るところの芳賀郡、そこは国鉄バスが一部通つておる。ところが中間が通つていない。それがためにどうかして国鉄バスを通してもらいたいというので学校の敷地まで削減して、学校の校庭を小さくして、そして村民全部が出張つて、人夫がただ奉仕で出て、そしてその所轄の村長は村会の決議を受けて、バスの通過のための道路改修費用を多大に投じて、改修したのであります。そしてそれに従つて国鉄バスの通過を長い間お願いしておるのにかかわらず、民営事業の反対があるので——民営事業の反対とは、要するに自己の利益のために民営のバスの事業者が反対するので、今日まで多数の民衆が不便を感じつつあるのみならず、学生が学校の校庭を小さくつめてまでも、ハスの通過に便ならしめる道路をつくつた。そして国営のバスの通過を願つておるという事情であるのであります。さような事情であるのに、民営の業者に遠慮と申すのですか、遠慮をして今日まで施行していただけない事情で陳情を重ねつつある、こういうのが具体的の事情であります。先般その陳情に参りますと、ただちに民営の方では、国鉄のバスを通過さしてはまずい、自分らの商売が上つたりになるからというので反対されて、公聴会にかければ二年もしくは三年かかるというので、学生はもちろんのこと、また多大の費用をかけた民衆が不便この上もなく、ぐちをこぼしておる、こういうような事情であるということを一応申し上げて、そして民営事業に何ゆえに遠慮をするのだろうかという民衆の声があることを、国鉄のお方のおいでの席上で申し上げておくのである、これが質問の要旨であります。
  137. 中村俊夫

    ○中村説明員 ただいまお示しの件につきましては、よく調査いたしまして、正確を期して追つてお答え申し上げることにお許し願いたいと思います。
  138. 中井一夫

    中井委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時五分散会