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1953-07-27 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)     午後四時七分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君    生田 宏一君       佐藤 親弘君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    大石ヨシエ君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君  委員外出席者         議     員 岡田 五郎君         議     員 徳安 實藏君         総理府事務官         (自治庁行政部         公務員課長)  山野 幸吉君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月二十七日  委員三浦一雄君辞任につき、その補欠として鈴  木幹雄君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事富田健治君及び山村新治郎君の補欠として  熊谷憲一君及び松永東君が理事に当選した。 同日  西村力弥君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 七月二十四日  自治学校設置法案内閣提出第四七号)(参  議院送付) 同月二十五日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(田中彰治紹介)(第五四七〇号)  同(三鍋義三紹介)(第五四七一号)  同(池田清紹介)(第五四七二号)  大工、左官等に対する課税方法改正等に関する  請願小林進紹介)(第五四七三号)  同(三宅正一紹介)(第五四七四号)  同(田中彰治紹介)(第五四七五号)  自動車税引上げ反対に関する請願大石ヨシエ  君紹介)(第五四七六号)  同(森清紹介)(第五四七七号)  同(岡田五郎紹介)(第五四七八号)  同(森清紹介)(第五五三三号)  同(小山倉之助紹介)(第五七三五号)  同(佐藤洋之助紹介)(第五七三六号)  自動車運送事業及び通運事業に対する事業税の  外形標準課税廃止に関する請願外一件(大石ヨ  シエ君紹介)(第五四七九号)  同(森清紹介)(第五四八〇号)  同(田子一民紹介)(第五四八一号)  同(森清紹介)(第五五三四号)  同(佐藤洋之助紹介)(第五七三三号)  同(小山倉之助紹介)(第五七三四号)  古書籍業に対する事業税免除に関する請願(水  谷長三郎紹介)(第五七四一号)  駐留軍駐在による市町村経費国庫補助に関する  請願床次徳二紹介)(第五七六二号)  上野村の水害復旧費起債に関する請願森清君  紹介)(第五七六五号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十四日  自動車税引上げ反対に関する陳情書  (第一一八一号)  同  (第一一八二号)  同  (第一一八三号)  運送業に対する事業税課税方式に関する陳情  書  (第一一八四  号)  同  (第一一八五号)  同  (第一一八六号)  中小県財政緊急措置に関する陳情書  (第一一八七号)  自動車税引上げ反対に関する陳情書  (第一二九一号)  同  (第一二九二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  自治学校設置法案内閣提出第四七号)(参  議院送付)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇八号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  それでは地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。ただ本日は質疑を行う前に、過日運輸委員会より本案につきまして修正意見申入れがございましたので、これより同委員会意見を聴取することにいたします。運輸委員長代理理事岡田五郎君。
  3. 岡田五郎

    岡田五郎君 過日運輸委員長から地方行政委員長あて海運関係いたします地方税法の一部改正お願いするの申入れをいたしたのであります。まず海運関係いたします地方税すなわち地方税法の三百四十九条の二を御改正いただきたい、かようなことで申し入れたのでありますが、申入れ内容はもつばら外国航路に就航することを目的とする船舶でありまして、二千総トン以上のものに対しまして課せられる固定資産税税率を、三百四十九条の規定にかかわらず、百分の〇・二を越えることができない、こういうようにしていただきたい。かような案件が一つであります。  もう一つは第七百四十九条の第一項中、すなわち事業税でございますが、そのうちの「運送業」とありますのを「運送業うち旅客定期航路事業以外の海上運送事業を除く)」ということに改めていただきたい。こういうことを当委員会にお申し入れしたようなわけであります。かような固定資産税減税につきまして申入れをいたしました理由も、すでにお手元資料を配付いたしたかとも存じますので、十分に御承知おき願つていると存じますがために、ごく簡単に御説明申し上げさせていただきたいと存ずるのでございます。  御承知のように日本の現在の海運界の不況の大きな原因は、船舶に対して——造船その他に対します非常な高金利ということと、もう一つは税金が非常に高いということが大きな原因となりまして、国際競争の間に処しまして、非常に悪戦苦闘を続けておりまして、目下御承知おきいただいておりますように、日本外航船はむしろ破滅の一歩手前の危機に逢着しているのであります。つきましてこの地方税船舶に対する固定資産税は、あまり諸外国には例を見ないわが国特有固定資産税のように存じているのであります。かようなことはともかくといたしまして、いかに船舶固定資産税が、海運に大きな影響を与えておるかということにつきまして、ごく簡単に申し上げたいと思うのであります。  皆さん承知おきいただいておりますように、現在船舶に対しまする固定資産税は、船舶の価格の千分の十六という普通の固定資産税税率をかけられておるのでありますが、幸いにいたしまして、自治庁の御配慮に基きまして、この税率から約六〇%の減税行つていただいておるような次第でございますが、かような減税を受けておりまするにもかかわりませず、昭和二十四年当時の船舶税に比較いたしますると、二十六年にこしらえましたいわゆる第六次の貨物船につきましては、七倍に当り、最近こしらえました第八次船につきましては十九倍に当る、こういうような状態でありまして、非常な高率になつておるのであります。しかもこの船舶税は、大体その船員費にも匹敵するような情勢になつておるのであります。一例を第六次船にとつてみますると、固定資産税が約八百万円、その船員費が約一千百万円、船員費とわずか三百万円しか違わない多額の金額を、いわゆる固定資産税として船舶は納めなければならない。こういうように非常に大きな船舶負担の割合をなしておるような次第でございます。一方、この船舶は、皆さん承知おきいただいておりますように、ことに外航船は、ほとんど外国の港に向つて運航をいたしておるような次第でございまして、貨物船におきましては、一年間に日本の港に入りますのが、わずか四十日、輸送船につきましては、わずか三十九日間を日本の港でごやつかいになり、あとは大部分航海中に外国の港に出入りをする、こういうことで、一年のわずか十分の一近くしか内地の港にごやつかいにならないにかかわらず、国内にある普通の固定資産税と同じように、いわゆる応益的な思想に基きまして固定資産税を課せられておる。こういうような船舶実情、こういうように船舶に対する税率は諸経費に比較いたしまして、非常に重きをなしておるというような点、また先ほど申し上げましたように、外航船舶の拡充とともに、日本海運の振興が即日本自立経済の達成の基盤であるということを考えますと、一年の約十分の一しかごやつかいにならない——というと言葉が悪いのでありますが、地方自治体の恩恵に浴しない。とすれば、現在の税率の十分の一なり、あるいは八分の一程度にお下げいただくことが、海運振興の一助になりますとともに、固定資産税の応益的な思想といいますか、あるいは間違つておるかもしれませんが、かような思想に基く固定資産税という税の思想にも合うのではないか、かように考えまして、私この申入れをいたした次第であります。詳細は、先ほども申し上げましたように、お手元資料を配付いたしたとのことでございますので、御精読を煩わしまして御賢察のほどをお願い申し上げる次第であります。  次に事業税の問題でございますが、事業税は、大体電気ガスその他の独占事業と同様に、この海運事業につきましても、いわゆる収入課税になつておるのでございますが、皆さん承知のように外航船独占企業でもございません、まつたく自由企業でありまして、はげしい国際競争に伍しておるようなわけでありまして、かような意味から行きまして、むしろ一般産業と同様に、収益課税にしていただくことが理の当然ではないか、かように考えておるような次第でございます。ただ海運事業のうち、認可運賃制度に基いておりまする国内旅客定期航路運送事業というようなものは、あるいは考え方によりましては、この事業税認可運賃の方へはね返らせるというようなことも考えられます。あるいはまた、ときによりましては、離島航路その他におきましても、独占企業というようなことも、あるいは考えれらるかもしれない。かようにも考えまして、運送事業中特に定期旅客航路運送事業は除きまして、外国航路事業に従事するいわゆる運送海運事業は、この運送事業概念の中から除いていただきまして、いわゆる収益課税にしていただきまするならばと、かように実は考えたような次第でございます。  なお運輸委員会から当委員会に申し入れました事項は、地方鉄道軌道関係いたしましての事業税減免についてでございますが、これは皆様御承知のように、地方鉄道軌道軌道施設その他は、たしか昭和二十四年以前であつたと思いますが、一応地方鉄道公益性から御判断いただきまして、長く租税を減免せられておつたのでありますが、二十四年以後、いわゆる固定費産税の観念に基きまして、普通の固定資産税と同様に課税をされておるのであります。地方鉄道は現在百五十社ばかりあるのでございますが、非常に収益性が少く、また一面非常に公益性が強いがために、これが運賃料金の認定にあたりましても、公共の福祉という面から相当厳格に査定をせられておるような関係でございますので、旧来通り地方鉄道軌道施設その他につきまして、無税の措置を講じていただきたい、かように考えておる次第でございます。なお地方鉄道軌道事業税でございますが、これは先ほど海運関係につきまして申し上げましたごとく、運送事業概念の中に入りまして、地方軌道関係事業税につきましても、一応収入課税になつておるのでございますが、地方鉄道軌道独占性は、御承知のように自動車運送事業その他の交通事業の発展に基きまして、その独占性は従来のような考え方をもつてしては、現在は臨まれないような実情に相なつておるような次第でございますので、この事業税につきましても、何とぞ収益課税、すなわち所得課税に御変更あらんことをお願い申し上げたような次第でございます。  なお電気ガス税でございますが、御承知のように地方鉄道の大部分は、電車運転がほとんどを占めておるような実情でございまして、会社会計上、この電気関係経費が相当部分を占めておるのであります。ことに重要産業に対しましては、この電気ガス税につきまして、減免措置を講ぜられておる実情でございますので、これら重要産業と同様に、電気使用量相当多量を占め、またこの電気電車運転といいますか、地方鉄道軌道の唯一の動力源でもございまする実情を御賢察していただきまして、他の産業同様電気ガス税減免していただきたい、かように考えまして、運輸委員会からこの委員会に、かような処置を講ぜられるよう申し入れたような次第でございます。  以上、はなはだ簡単でございますか、運輸委員会としての意思を、皆様方の前に発表いたしたような次第でございます。何とぞ御賢察の上、適宜なる処置を講ぜられんことをお願い申し上げる次第でございます。  次に自動車関係事業税につきまして、私たち申入れのほどを説明さしていただきたいと思います。先ほど海運関係地方鉄道軌道関係について申し上げましたと同様の希望を、この事業税につきまして、自動車関係についても持つている次第でございます。特に最近自動車運送事業は、他の交通機関との競争、あるいは他の交通機関との関連性その他におきまして相当不況になつておるのであります。また自動車交通事業のいわゆる独占事業としての形態が相当薄らいで来ておるのでありまして、先ほど地方鉄道軌道あるいは海運事業につきましては、説明内容、またお願いの筋の理由が多少違つておりまするが、自動車事業につきましてもいわゆる外形課税でありまする収入課税収益課税に御変更願いたい、かようにお願いを申し上げている次第でございます。  なおこの自動車税につきまして、当委員会自動車税五割引上げの案が付議せられておるかように仄聞いたしましたので、この自動車税のことにつきまして、運輸委員会から当委員会お願いを申し上げている点につきまして、一応説明さしていただきたいと思うのであります。私たちはなはだ不敏ながらこの自動車税内容をよくよく検討さしていただきますると、固定資産税的な性格と、さらに道路利用税というか、そのようなものの性格とを両方合せて、自動車税という形で課税せられておるかのように覚えられるのであります。ところが自動車につきましては、御承知のようにガソリン税というもので一応税を払つております。また従来の自動車税のほかに、道路工事受益者負担金、あるいは道路損傷負担金、あるいは道路工事寄付金というような形で、約二十数億を全国の自動車事業者が払つておるような次第であります。こういうようなことを考えますると、むしろ自動車税固定資産税的なものだけに振りかえていただく方が適切ではないか、道路利用者税的な面は、今申し上げましたようにあるいは分担金、あるいは工事費寄付金というようなことで、すでに二十数億を払つているのだから、そういう要素はむしろ自動車税から削除していただく方がいいのではないか。にかかわらず、このたびは約五割の値上げということになつておるのでありましてことにこの五割の引上げ自動車の用途だとか、あるいは年式だとか、あるいは積載トン数だとかいうことにおかまいなしに、と言つてはあるいは私研究不十分で違つているかもしれませんが、おかまいなしに、バス一両については何万円、その五割増し、あるいはトラツク一両については一万円で、その五割増上の一万五千円、こういうようなことになつておるかのようにも考えますので、特にこの点の引上げにつきましては慎重御審議の上、もしできまするならば現在の自動車税程度におとどめおき願いたい、かように実は考えまして、お申入れをいたしたような次第でございます。  以上はなはだ簡単でございますが、運輸委員会としての申入れの意図のほどを、ごひろう申し上げましたような次第であります。先ほど加藤先生がおつしやいまするように、たくさん減税あるいは免租というようなことを申し上げまして、まことに恐縮に存じますが、私たちは一にかかつて交通事業の健全なる発達が即日本の経済の発達を来すゆえんではないか、こういうようなことから実は申入れをいたしましたような次第でございますので、どうかひとつ御賢察の上、賢明なる御判断のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  4. 中井一夫

    中井委員長 別に御質疑はございませんか。     〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中井一夫

    中井委員長 それでは次に移ります。     —————————————
  6. 中井一夫

    中井委員長 次に自治学校設置法案議題といたします。本案予備審査提案説明を聴取いたしましたが、去る二十四日本付託となりましたので、この点念のため申し上げておきます。この際政府より逐条説明を聴取いたします。山野自治庁公務員課長
  7. 山野幸吉

    山野説明員 自治学校設置法案につきまして、簡単に御説明申し上げます。  第一条は設置目的設置の次第を規定しておりますが、さきに長官からの提案理由説明にもありましたように、地方公務員法の本旨といたします地方公共団体行政の民主的かつ能率的な運営を企図して行くためには、まず第一番に、地方公務員の資質を向上いたしまして、勤務能率発揮増進をはかることによりまして、能率的な行政の運用を期することが必要であると思われますので、この際地方公務員に対する高度の研修初任者に対する研修は、地方公共団体研修機関にまかせることにいたしまして、主として地方公務員中堅職員に対する高度の研修を行う機関として、このたび自治庁附属機関として自治学校を置くことにしようとするものでございます。  第二条の自治学校所掌事務について申し上げます。第一号は「地方公務員でその任命権者推薦に係るものに対し、高度の研修を行うこと。」と規定してございますが、地方公務員研修は、地方公務員法の第三十九条に規定せられております通り地方公共団体のそれぞれの任命権者権限とされているのでございます。しかし地方公務員のうち初任者とか、あるいはごく初歩的な研修は、十分各地方公共団体任命権者研修を行うことができるのでございますが、先ほど申し上げましたように、中堅幹部に対する高度の研修につきましては、講師不足とか設備の不足とか等によりまして、統一的な研修ができないという困難がありますので、従来から地方公務員研修をぜひ中央の研修機関行つてくれという要望もあつたのでございます。従いましてさような地方公共団体研修困難と思われる職員に対しまして、それぞれの任命権者推薦に基いて、地方公務員法規定する高等の研修を行うということを、所掌事務としてあげた次第であります。それから第二号は「地方公務員法の三十九条に規定しておりますそれぞれの任命権者が行いまする研修方法、あるいは内容等について調査研究を行い、その結果を刊行する」ということを規定してございます。これは自治学校で行いまする研修内容あるいは方法につきまして調査研究するのは、当然のことでございますが、自治学校として、そういう地方公務員の高度の研究を行いますと同時に、この自治学校地方公共団体設置する研修機関の指導機関的な意味も含めまして、地方公共団体任命権者が行う研修方法とか、内容についても調査研究行つて便宜の供与をして行こう、あるいは技術的援助行つて行こうというために、この所掌事務を掲げたわけでございます。第二項は自治学校はさらに研修以外に、研修と表裏一体をなしておりますところの地方自治に関する制度及びその運営に関する理論、あるいはその応用について基本的な調査研究を行うこと、それから地方自治に関する制度及びその運営に関する資料を収集し、編纂し及び保存する仕事を行うことを規定したのであります。先ほど申し上げましたように、自治学校がその研修成果を十分にあげて行くためにも、この研修を行いますと同時に、その研修の基礎となります地方自治に関する諸制度運営に関しまする理論応用について研究しておくことが、ぜひとも必要でありますと同時に、内容につきまして各地方公共団体機関等委託を受けて、かような事務を行うことが、自治学校所掌事務として最もふさわしい事項である、かように存じまして、こういう第二項の所掌事務を掲げたわけであります。第三項は自治学校は、主として地方公務員幹部職員に対する高度の研修を行うのが主体でございますが、それと同時に地方公共団体行政に密接な関連のある職務に従事しておる国家公務員、たとえば地方公共団体に配属されております地方事務官、その他地方公共団体行政と非常に密接な関連のある職務に従事する国家公務員に対しても、そのそれぞれの任命権者から依頼があつた場合に、研修を行うことができるというぐあいに規定して行くことが、地方自治団体と国との円滑な運営をはかる上からも必要である、かように存じまして、第三項の規定を挿入したわけでございます。  それから第三条は、先ほども申し上げましたように、自治学校は、地方公務員に対する高度の研修を行うとともに、地方公共団体設置しております研修機関に対しまして、第二条第一項の二号に掲げております研修内容とか、方法等につきまして調査研究行つて、その成果を提供いたしましたり、あるいは講師のあつせんをいたしたり、その他研修に関しまして、一般的に技術的な援助をすることができるという建前にいたしまして、地方公共団体設置する研修機関自治学校とが、相協力して地方公務員研修成果を高めて行こうというための規定でございます。  第四条は、自治学校は、地方公共団体機関委託を受けて第二条第一項第二号の調査研究、あるいは第二項第一号に掲げております調査研究を行うことができる。これは先ほどちよつと触れましたように、地方公共団体研修機関等委託を受けまして、かような調査研究を行うことができる建前にいたしておくことが、自治学校研修機関としてあるいは調査機関として、最もふさわしい機能である、かように考えたわけでございます。第二項は、「自治学校は、関係機関との間において、第二条に規定する研修又は調査研究に関する資料成果その他の便宜交換を行うことができる。」自治学校は、地方公務員研修機関及び地方自治に関する調査研究機関といたしまして、その研修または調査研究に関する資料を、広く内外の関係緒機関地方公共団体研修とかその他の諸機関との便宜交換を広く行つて行くことが、最もその成果を発揮するゆえんである、かように存じまして、第四条の規定を設けた次第であります。  第五条は、「自治学校は、東京都に置く。」  第六条第一項は、「自治学校に、校長その他所要の職員を置く。」第二項は、「校長は、自治庁長官の命を受け校務を掌理する。」これは自治学校自治庁附属機関でございますので、当然かような規定になるわけでございます。第三項は、「前二項に定めるものの外、自治学校内部組織は、総理府令で定める。」自治学校事務部局並びに組織につきましては、総理府令で定めることといたしたわけでございます。  第七条は、自治学校運営審議会に関する規定でございますが、「自治学校運営について校長諮問に応ずるため、地方公共団体の長及び議会の議長全国的連合組織代表者並びに学識経験者組織する自治学校運営審議会を置く。」これは自治学校地方公共団体の各任命権者からの依頼によつて地方公務員研修を行うのでございます。すなわち地方公務員法に基き研修自治学校でやつて行くわけでございますので、その研修の実態は、当然地方公共団体実情に即するごとく運営して行くことが必要であるのでございまして、さような意味から校長諮問機関として、かような自治学校運営審議会を設けた次第であります。第二項は「前項に定めるものの外、自治学校運営審議会組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」かようにいたしておる次第であります。   附則第一項は「この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。」第二項は「自治庁設置法の一部を次のように改正する。」とございますが、これは自治庁設置法第四条に、自治庁権限が掲げてあるわけでございますが、その十五の二に、「地方公務員に対し、当該地方公務員任命権者依頼を受けて研修を行うこと。」という規定を挿入いたしたわけでございます。  それからその次の「第二十四条の次に次の一条を加える。」これは自治庁附属機関として地方財政審議会、中央選挙管理会、自治紛争調定委員とありますが、その次に、「(自治学校)」として、「自治庁に、自治学校を置く。」二項に「自治学校所掌事務組織その他の事項については、自治学校設置法の定めるところによる。」こういうぐあいに定めることにいたしたわけでございます。  はなはだ簡単でございますが、以上御説明申し上げた次第であります。
  8. 中井一夫

    中井委員長 御質疑はありませんか。門司君。
  9. 門司亮

    ○門司委員 なるほど一つ研修方法として考えられたものであるということが書かれておりますが、研修とこういう地方公務員の身分というものに、非常に関連性があると思うのだが、職階制が定められております今日の状態で、その大学の研修を終つた者の身分に、一体どういう特典を与えられるのか。もし特典がなければないでいいが、どういうことになるのか。身分上の問題について聞かしていただきたい。
  10. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 この自治学校は、ただいま公務員課長から御説明申し上げましたように、地方公務員の実務の高度の研修機関、こういうことでありまするので、普通の大学等と違いまして、そこの卒業ということによつて、当然に一定の資格を得るというようなものではないわけであります。従いまして職階制の上におきましても、ここを卒業したからといつて、当然に職階上の地位が上るというものではなくして、やはり昇任とかあるいは他の職に転ずることの結果として、職階の上の地位がかわつて来ることに相なるわけでございますが、それはやはりこの自治学校卒業ということの直接の原因とは言えないということになるわけでございます。
  11. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この制度自体が、今の御説明によりますと、高度というお話があつたのでありますが、実際上の公務員の採用その他高度の職員については、大体試験制度というよりもむしろ認定をするというか、あるいは推薦をするというか、そういう制度の方がふさわしいのじやないかというような考え方があるわけであります。つまり、試験制度によつて画一的のものだけを試験されて、人間としての修養その他の面が一向わからないでおつては、非常に高度の事務職員等についてはさしつかえができて来る。従つて公務員の採用については、現在の公務員法と別にそういうことが、多分に考えられると私は思うのだが、もしそういうことを前提としてこの制度を考えて参りますると、今の説明程度では、そういう高度の職員の、人としての養成ということには、少し当てはまらぬじやないかと考えられる。そう申し上げますのは、たとえば警察であるとか消防であるとかいうものには、仕事の面にかなり多く技術的なものを含んでおりますから、ある程度の講習がしばしば行われることによつて、自分のやつておる仕事自体の進歩というものはあり得ると思うのだが、地方の公務員の仕事は、そういう技術的なものではなくて、実際は常識的なものの考え方で、地方住民の福祉を増進する人を養成することの方が、むしろ必要ではないかと考えるが、その点について自治学校設置法案の中には何も触れとおらない。ただ単にいろいろな普通の研修をするという制度を設けただけであつて、私どもには、ほんとうに自治体に必要な職員の養成には当てはまらぬじやないかというようなことが考えられるのでありますが、この点について、どの条文でどういうふうに自治体のほんとうの仕事をして行こうとされるのか、その点をもし御答弁ができるなら御答弁願いたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方公務員の採用の際におきまして、試験制度よりも選考というような面を、多く考えなければいかぬではないかという最初の御意見につきましては、私どもも大体さように考えております。ただ初任の際におきましては、一定の試験をいたすのが通常でございますけれども、それから後の昇任というようなことになりますれば、やはり選考ということが基本にならなければならぬと思うのであります。さような選考の際におきまして、中堅幹部として自治学校において研修を受けて来たいというものにつきましては、ある程度その後の実績等と勘案いたしまして、選考上その点が考えられるというような実際上の結果になると思うのであります。自治学校においての研修内容ということは、結局いかなる研修の科目をとるかということになつて来るわけでございますし、また研修の期間をどの程度にするかということとも関連して来るわけでございます。これはなお予算その他の関係を、公務員課長から詳しく御説明申し上げたいと思いますが、根本の考え方といたしましては、やはり門司さんも指摘になつたような、地方公務員として必要な基礎的な教養というものを一面に考えますとともに、また全般の社会情勢と申しますか、さようなことについての一般的な認識を深めるという意味の、いわゆる常識的な講座というようなものも、これに交えて行きたいと考えておるのであります。しかしながらやはり根本は、専門行政についての各部行政論と申しますか、さような内容のものをそれぞれ研修いたすということに考えておるのであります。またその研修の期間でございますが、これは長ければ長いほどいいわけでございますけれども、やはり実務研修機関で、現任の地方公務員に対する研修でございますから、どうしてもおのずからその間に、時間の制限を必要とするわけでございまして、大体六箇月というようなところを研修の期間と考えておるのであります。これは大体警察大学校等の研修期間と同じような程度に考えておるのであります。
  13. 門司亮

    ○門司委員 もう一つこれで聞いておきたいと思うのは、地方の自治体の行政事務というものは、きわめて重要であることは私よくわかつておりまして、要するに権力官庁でないサービス官庁としての自治体の要素というものが、同じ公務員でありましても国家公務員のあり方とは、相当異なるものがなければならぬ。それからもう一つは、地方の自治体というものがだんだん自主的に独立というまでには行かなくても自律性を高めて来る今日の段階にあつては、私はこういうものが一つ行政学上の要素の中に入りはしないかと考える。そうなつて来ると、政府はこういう大学の制度でなくして、むしろ現在の大学令によつてきめられておる大学の正科の中に、こういうものを織り込んで行つて、ほんとうに行政事務に携わる者の根本からの養成をして行く必要があるのではないか、そうした権威づけられたものが、やはり必要ではないかと考えられるのでありますが、この点に対するお考えがもしありましたら、ひとつ御答弁願つておきたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいまの大学等に、地方自治に関する専門的な講座と申しますか、そういうものを設ける、あるいは大学に地方公務員委託学生のような形で派遣するということも、確かに一つ方法としては考えられるわけでございますが、やはり理論研究と申しますよりも、実務の研修ということでございますので、現任の地方公務員を中心にして考えますと、通常の一定の課程を経まして六・三・三・四の最後の課程、あるいは大学院の課程において地方自治に関する講座に列するということになりますと、どうも実務という点から申しまして、必ずしも適切ではないのではないかと思うのであります。もちろんそのことはけつこうなことでございまして、さような理論に十分研鑽を積んだ上、地方公務員に入つて来るということは望ましいことでございますが、現任の地方公務員研修の方式としては、大学に特定の講座を設けるということではどうも足らないのではないか。また委託学生というようなことでも、十分に行かないのではないかと考えるのであります。先般シヤウプ博士が参りまして、その勧告の結果として、たしか東京大学には税に関する特別講座が設けられたということを聞いておりますが、そういうような特別講座が設けられますことは、実際の行政発達のために、理論的な研究その他のために、非常に望ましいことではあると思うのでございますが、しかしやはり実務研修という点から申しますと、それのみではうまく参らないので、かような施設がやはり必要ではないかというふうに考えるのでございます。
  15. 門司亮

    ○門司委員 最後に、この法律の施行の期日でありますが、これが二十八年の八月一日からということになつていまして、すぐ実行しなければなりませんが、それに対する予算であるとか、あるいはさつきのお話のように施行細則みたいなものが必要であるようでありますが、それが大体あなたの方ではできておりますか。
  16. 山野幸吉

    山野説明員 自治学校の予算について説明申し上げます。自治学校の予算は、地方自治研修費としまして七百九十八万七千円が計上されております。そのうち非常勤職員手当が六十二万四千円でありまして、これは八月から組んでございます。それから諸謝金でございますが、諸謝金といたしまして百七十万一千円でございましてこのうち専任講師の手当の分が二名分含まれております。その二名の職員費は八月から計上してございます。たとい九月開議になりましても、八月から準備にかからないと開議に間に合わない関係上、人件費は八月から計上してあるわけでございます。それから職員旅費としまして九万一千円。それから庁費が四百八十一万七千円でございます。これは諸調度調弁費、机を購入したりいろいろする備品が二百十二万三千円でございます。その他消耗品費二十三万四千円。印刷製本費が百六十万六千円。それから光熱及び水料が八万円。通信運搬費が八万三千円。雑役務費が六万一千円。自動車維持費が十万二千円。借料及び損料が五十二万八千円。それから項になりまして各所修繕が四万五千円。会議費が一万六千円。それから各所新営が六十九万三千円。以上合せまして七百九十八万七千円になつておる次第でございます。
  17. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この大学の性格は、第一条に書いてある通りだと思いますが、われわれがもう一つ杞憂いたしますことは、これによつて自治庁が、昔でいえば内務行政というものに片寄る危険性はないかということであります。これは非常に重要なことだと思うのでありまして、今でも地方の都道府県の人事に対しましては、自治庁からのさしずとまで私は申しませんが、了解事項が相当多いと考えております。そういう時期に、もう一歩進んでここに自治庁のもとに大学が置かれて、ここで研修されるということになつて参りますと、いたずらに地方の自治体の人事の自主性がなくなつて来て、そして何か自治庁関連を持つ人事行政が行われはしないかということが考えられるのであります。これは一面から考えると、そういうことを避けるために独自のこういう研修機関をもつてやるのだという議論も、あるいは成り立つかもしれないけれども、しかし実際はそういう形式論でなくして、現在より以上に地方の自治体の人事行政が、自治庁の人事行政のような形になりはしないかと私は考える。こういう点について、むろんこの法律でそうは行かないというようなことをきめるわけには参らぬと思いますが、しかし実際においてそういう危険性はないかということが、われわれには心配されるのでありますが、そういう人のつながりにおいて弊害を及ぼすようなことはないかどうかということを聞いておきたいのです。
  18. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 門司委員の御心配の点は、この自治学校ができ、その卒業生が地方団体に再び帰つて仕事をやる、そういうことのつながりから、何か特別に自治庁と申しますか、中央政府との間の関係で拘束されるような結果になり、それが何か思わしくない結果を生じはしないかという点の御心配でございます。一応そういう御心配がなされますことは、あるいは無理からぬ点があろうかと思いまするけれども、しかしながら従来の旧地方制度におきますような意味の、いわゆる人事権を一手に中央が掌握をして、指揮監督をするというような建前の時代においてならば別でございまするけれども、今日におきましては、さような建前に基かないで、各地方団体がそれぞれ自主独立の行政運営をいたしておるような建前でございまして、従つてむしろかようなそれぞれ本来独立にやります地方公務員に対して、共通の研修場をつくることによりまして、他の地方団体において非常に能率的に、効果的に行われておる行政を、相互知得する機会を得るということにもなるわけでありまするし、これがやはり行政の全体の水準を高めて行くことに、裨益するであろうと考えられるのであります。そういう意味から、これは地方自治の全体の面から申しまして、私どもはかようなことを通じて全体の行政が上つて行くのではないか、権力的な関与というよりも、むしろかような方式による地方行政の責任の向上ということが、新しい地方自治の姿において、国と地方との一つのつながりの面ではないかというふうに考えるのでございます。
  19. 加藤精三

    加藤(精)委員 私この条文を見まして、どうも学問がないものだからさつぱり意味がわからないのですが、第二条の第一項の第一号に「高度の研修」とある。それから二項の一号に「制度及びその運営に関する理論及びその応用」とあるのですが、これはどう違うのか。片方は各論で片方は総論だという意味ですか、これが一つ。  それから第二条の第一項の第二号は、各任命権者が行うところの教育をここで研究するということなのでありますが、これは生徒がやるのか先生がやるのかわからないのです。これはどういうことなのか。大体こういう教育方法論とか、教育行政論とかいうものは、他の場合においては師範教育でやるものなのであります。ところが自治学校には、いわゆる師範教育に当るようなものがない。しかもそういう教育方法論的なものの規範を、ここで固めようというのは一体無理でないかと考えるのであります。  それから第六条ですが、私は今の地方自治庁というものは、非民主的な思想を持つておる方で固まつておるようには思われない、きわめて民主的な内容を持つておると思いますので、第六条には「校長その他所要の職員を置く。」とあるのですが、これは自治庁の次長をもつて校長に充てた方がいいように思うのです。これはできれば御回答願いたいのですが、御回答が御無理なら速記録にとどめておいて、私の希望として申し上げておきたいと思います。  それから人事委員会との関係でありますが、自治学校を卒業した者は、その成績を任命権者に通知してやつて、そうしてその当該団体の人事委員会とか、公平委員会が勤務成績の判定にこれを用いるように、地方公務員法の第四十条によつてそういう連絡は当然つけるのじやないかと思うのですが、第四十条との関連を次長さんが御説明なさらなかつた理由は、どういうわけかということを疑問に思つておりますので、それだけ御説明願いたい。
  20. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 加藤先生は教育行政の大家でございますので、いろいろ研修方法との関係において御指摘でございますが、第一のお尋ねの「高度の研修」という点でございますが、これは先ほど公務員課長が申しましたように、やはり初任の初度研修に対して、これで行うのは高度の現任公務員に対する再教育という意味での高度の研修である、大体地方において府県単位等におきましての初度研修が行われますが、それよりも高度という意味でございます。  それから第二条の第一項第二号の地方公務員法第三十九条に規定する研修内容及び方法について調査研究を行うということと、第二項第一号の地方自治に関する制度及びその運営に関する理論及びその応用について基本的な調査及び研究とは、どう違うかということでございますが、第一項第二号の三十九条の研修の方は、各任命権者が公務員法三十九条によりまして研修をいたしますその研修方法についての調査研究、お話のごとく師範教育の段階において考えられることでございますが、これをやはり附属機関である自治学校としてその研究方法研究する。従つてこれは主体はやはり校長なり講師なり、さようなところが中心になつて自治学校として研修方法は、いかなる方法がよろしいかということを調査研究し、その成果を刊行する。それを第三条の方で、地方の研修機関に対して提供するということになるのであります。第二項の第一号の方はさような研修とは離れましてやはり自治学校にたとえば地方自治に関する専門図書館を置く、それはむしろ第二項の第二号に関係いたしますが、さような専門図書館を置き、また専門的な自治診断ができますような人をできるだけそろえて、そうして自治体の自治制度全般についての理論応用の基本的な研究をする、そして地方からの委託がございましたならば、これを地方に提供する、これは第四条との関連が出て来るわけであります。従いまして自治学校の機能といたしましては、本来の研修事務と、それから研修方法に関する研究と、地方自治制度及び理論についての調査研究、さらに資料の収集というような図書館的な機能、大体大ざつぱに申しますと四通りの機能を持つというふうに考えておるのであります。  それから第六条の点に関連してお話がございましたが、これはやはり将来予算等が許しますならば、真に地方自治団体に勤務いたしておりますすべての人たちが渇仰するに足るようなすぐれた民間人を校長として迎え、先ほどもいろいろお話がございましたように、単に技術的な事務研修をするというだけではなくて、やはり人間的な教養もここでおのずから何ほどかの訓練を経て帰り得るというような人が校長に得られることが、一番望ましいと思うのであります。ただただいま非常に予算その他につきまして、なお整備を期さなければなりませんので、逐次さような形に持つて参りたいと考えておるのであります。  それから自治学校の卒業者というものが、地方の実際の職員の任用と申しますか、昇任、昇給、昇格といつたような人事の行政の上に、どういうふうに反映するかという点であります。この点は先ほど門司委員からもお尋ねがあつた点でございますが、ただ私ども考えますのは、自治学校を卒業したからといつて、それによつて当然に一つの特権的な昇給、昇格の資格を得るというふうに考えることは、これは適当でないと思うのであります。しかしながら加藤先生のおつしやいますように、自治学校における研修の成績が、きわめて優秀であるというようなものは、今度実際当該の地方団体におきまして勤務をいたしますような場合におきましては、多くはこの第四十条によります勤務成績の評定におきましても、非常にすぐれた評定の結果を得る場合が多いだろうと思います。その結果として、勢い昇任とか、昇給あるいは昇格というようなことが多いというふうに考えるのであります。ただ卒業したからといつて、当然に一定の特殊な扱いをするということについてはどうであろうか、それが実際の勤務に現われた上において考えられる、こういうふうになるべきものであろうと思うのであります。
  21. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの御説明を聞いてびつくりしたのでありますが、大体自治大学の事務の中の四つ掲げておるうちの三つは生徒に関係がない。非常に程度が高い人があるいは教授法を研究したり、あるいはその自治診断の名人を置いて、そこであつちこつちまわらして資料をとつたり、専門図書館を置いたり、いろいろなことをするので、ここに第一項第二号の中に四つあるうち三つは授業というか、教育のほかのことなんですね。そうしますと、どうも第一条と合わなくなる。第一条はこれは高度の研修を行うために置くと書いてあるだけで、自治行政研究機関ではないのですね。第一条は学校であつて、第二条は、大部分研修所とか行政研究所みたいなものなんですね。たとえば市政調査会みたいなもの。そうすると第一条と第二条と合わなくなつて来るのではないかと思うのです。その点がどうもふしぎでならないのですが、どういうわけですか。  第二番目は、校長その他所要の職員を置くのだけれども、今承りますと、この前の十五国会で提案されたと同じように、次長さんが兼務なさるというふうな御予定なんですか。その点をひとつお尋ねいたします。
  22. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 最初のお尋ねの点でございますが、先ほど四つの仕事があるというふうに平面的に羅列的に申し上げましたので、誤解を生じて恐縮であります。この第二条第一項の、自治学校は左に掲げる事務を行う、それがやはり自治学校の仕事の基本であります。一号はそれ自体の研修でございます。二号は地方の研修機関に対する問題でございまして、やはり研修という範囲の仕事であります。その第二項は、「前項に規定する事務とあわせて、」こういうふうに特に表現の上でも「あわせて」と申しておりまするのは、やはり附帯的な事務としてという考え方であります。もちろんこの第二項の一号あるいは二号のことは、先ほどちよつと自治診断ということを申し上げましたのは、いささか言い過ぎかも存じませんが、やはり基本は第二条の第一項の高度の研修なり、あるいは研修方法調査研究というようなものとも結びついておるわけでございまして、理論なり応用についての研究が、同時に研修として反映をして参るということでございますから、やはりこれはあくまでも附帯事務というふうに、お考えをいただきたいと思うのであります。そういう意味で特に項をわけ、なお「あわせて」という表現を用いておる次第であります。  それから第六条の点につきましては、十五国会に提案をいたしましたのは、法律上当然に自治庁次長が兼任をするという建前でございましたけれども、今回提案いたしております案におきましては、さような法律上の拘束はいたさない。予算その他実際上の運用が可能でありまするならば、兼任というような方式をどらないで処置ができるというように考えております。
  23. 加藤精三

    加藤(精)委員 私ただいまますますわからなくなつたのですが、第二条の第一項が本来の仕事であつて、それは高度の研修だとおつしやるけれども、第一項のうちの第二号は、先ほどのお話では先生方その他偉い人だけがそういうものを研究して、そして地方の方へ刊行したりして知らせてやるのだというお話だつたので、いわゆる学校形態で教育をする部分は、第一項のうちの第一号だけじやないかと思われるのです。どういうことかというと、いわゆる学校でやるというのは、何としても不特定の多数人で、一定の時期に特定したところの人間に対して相当の期間拘束して、そして一定の学科課程を定めて継続的に教育をするところが学校なんです。そういう仕事の中に入るものは、四つのうち一つしかないのではないか。どうも四分の三がほかの仕事であるならば、自治学校という名前が、おかしくはないかと考えるわけであります。その点だけお尋ねいたします。
  24. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 先ほども申しまするように、四つの仕事というふうに分量的に書いて、ありますることがみな同じような前提で、仰せになりますると、さようなことになろうかと思いまするけれども、第一項と第二項は書き方を異にしておりまするし、高度の研修を行う機関として、国家行政組織法に基いて自治庁自治学校を置くということは第一条の根本であります。従つて第二条第一項の第一号にその点が出て参り、また地方の研修を伸張さすということか、第二号に出て参るわけでありまして、そういう意味でやはり研修機関ということが基本であります。さような研修機関を基本として性格づけましても、それに関連のある附帯的な事務を若干行わしめるということは、むしろ適当ではないかというふうに考えられるのでありまして、そういう意味で第二項の事務を附帯事務として掲げた次第であります。
  25. 大石ヨシエ

    ○大石委員 鈴木次長さんにちよつとお尋ねしますが、地方公務員の資質を向上し、勤務能率の発揮及び増進をはかるとありますが、現在地方公務員さんというものは、こういう大学へ入らぬと勤務能率を増進し、そうして発揮することができないほど無能なんでしようか。それをまず私は聞きたい。
  26. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは現状が適当でないというよりも、さらによりよくしようということでございます。
  27. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それではこの大学を卒業した人の資質が向上して、勤務能率が上る責任は、あなたがお持ちになるのですか。あなたが校長さんにおなりになるということを聞いておりますが。私は、こんなばかなことで金を使うのだつたら、もう少し意義ある方面に金を使いたいと思うのです。それから、この資料の中には、アメリカにもあるからということがありますが、これはアメリカのまねをなさつたんですか。世界各国どこにこういう自治学校というようなものがありますか。それを私は知りたい。
  28. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 この自治学校の問題を、私個人と結びつけてお話をいただきますことは、はなはだ遺憾でございます。(大石委員「だれが校長になるんや」と呼ぶ)これは自治学校という制度として考えていただきたいと思います。自治学校といたしましては、もちろん学校全体の運営の問題は、校長の責任でございますけれども、この自治学校が地方団体の実際の実情に遊離しないようにいたしまするために、第七条に自治学校運営審議会を置くことにいたしておりまして、これにはそれぞれ地方団体の代表者が加わり、それがこれを組織するという建前になつております。これに諮問をいたしまして校長運営をいたして行くということでございまするから、これは一人の校長でありますとかいうような個人的な責任において、事を運びますというよりも、やはり地方団体とむしろ全体の責任において、地方公務員の向上あるいは地方行政の能率の発揮ということに、せしめようということがねらいでございまして、決してまつたく遊離したものをつくろうという考えではないのでございます。  それから諸外国にかような例があるかというお尋ねでございますけれども、これはかような名前のものは、私も狭い範囲でございますが、承知いたしておりません。しかしながら諸外国にあるなしにかかわりませず、かようなことが適当であると考えまして、かような提案をいたした次第でございます。
  29. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいま鈴木さんが、その自治大学の運営審議会は学識経験者でもつて組織してそうして自治学校運営のよろしきを得るとおつしやつておられますが、一体地方自治というものは、そんな学識経験者が知つておるのではありません。地方のほんとうの家庭の主婦やほんとうの勤労大衆がこれを知つておるのです。学識経験者がこういうような自治体の運営いかんについて、いくらりくつを言つたつてそんなものは机上のりくつである。ほんとうは勤労大衆や、主婦がこれを知つている。大体こういうようなばかなことで金を使うことには私たちは反対です。だれがこの法案をきめたのですか。まず第一にそれを聞かしてほしい。一体だれがこれを立案したのですか。あなたですか、だれですか。こんなばかなことで金を使うのだつたら、もつと意義がある方に金を使う方がよろしい。国民の血税でもつて、こんなばかげたことをするなんて何ですか。この学校へ行つたら必ず地方公務員というものの向上をはかつて勤務能率をよくすることができるのですか。だれがこれを立案したのですか、これを聞かしてください。
  30. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 政府として責任を持つて、国会に提案した法案でございます。
  31. 西村力弥

    西村(力)委員 ここに今出ている資料を見ますと、「中央研修施設設置等に関する意見調」というところをずつと見ますと、まつたく奇跡的に近い、全部がその必要性を認めておる。こういうぐあいになりますと、地方自治団体の総務部長あるいは人事委員会事務局長、そういう人々の立場、たとえば一切この法案に反対する立場でありますが、これについてとかくこういう意見を求める場合には、質問の文言ということが回答を左右する場合が非常に多い。その出した質問書の文章はどういう文句で、どういうぐあいに書かれたか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  32. 山野幸吉

    山野説明員 お答え申し上げます。その質問書の原文を持つておりませんので、若干の相違はあるかと思いますが、中央研修機関を設けることの必要性の有無についてどう思うか、そうしてもし必要とするならばその理由はどうか、こういうような問い方であつたと記憶しております。
  33. 西村力弥

    西村(力)委員 研修機関の必要あるかどうかについての回答を求められたということになりまするならば、その際に、地方で各県とも研修機関を持ち、いろいろ足らないながらもやつておる、こういうものを拡張する方式をとる、その指導援助自治庁の公務員課なら公務員課でやる、こういう点を並行して示して質問をなされたかどうか。そういう地方団体自体がやつておるそのことに一切おかまいなしに、中央でやると、これだけを示したとするならば、地方で研修組織を持つてつていることが、財政的にもあるいは人的にも非常に苦労が多いために、それでは中央にまかした方がいいという考え方になつて、必要ありという回答になつたのではないかと思われる。これをやる場合には、一面、地方が自主的にやつているものをどう育てるかという一つ考え方自治庁としても持つて、両方示してこの回答を求めなければならぬじやないか、かように私どもは思う。その点はなされなかつたというわけなんでございますか。
  34. 山野幸吉

    山野説明員 御説の点につきましては、現在なるほど地方公共団体に、大体二十六くらいの府県に研修機関がございます。しかし先ほど来申し上げましたように、都道府県の研修機関ではどうしても講師不足したり、設備が十分でないという理由でかねて六団体からぜひ中央の研修機関をつくつてくれという要望がございまして、そうしてそういう要望に基きまして、私どももこのような研修機関をつくることといたしたのであります。その質問の仕方につきましては、そういう研修機関事務はどこでやるのだ、どこの権限としてやるのだということまで、詳細をきわめて聞いてはおりませんですが、大体私の方から照会いたしましたので、自治庁機関としてつくるのであろうということは、想像できたと思う次第でございます。
  35. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど門司委員が心配なされたことは、これは実に重要な問題であります。私もその通りに考えておるわけなのでございますが、そういう観点に立てば、まず第一番目にはやはり地方の研修組織を育成するという方向に主力が向けられることが、このような懸念というものを払拭するまず第一の道であると思うのです。そういう方向に対して一つの目を開かせる、あるいは打通の道を示す、こういうぐあいにして、なおかつそれでも中央において研修組織を必要とするという結論になれば、その必要性ありという回答を、全部その通り納得できるのですが、そうでない限りは、どうも現状が苦しいから思うようにできない、やむを得ず中央にこういう機関を求めるのだということに追い込まれて行つて、この必要性ありという回答をしたのだというふうなぐあいにも、私は考えざるを得ない。それについて、こういう自治学校という名称をつけたところにも、いろいろそういうものと関連するものがあるのじやないかと思われる。これを思うとすぐ警察大学校を連想するのでございまするが、こういう研修組織で、大学なる名称をつけておるのは、この二つだけだということを思うときに、この自治学校と名称をつけられたその理由、単に大学校というと、何か権威のあるもののごとく受取られ、そうして人々はそれにこぞつて集まるのではないか、そういう角帽をかぶつたからという自信のもとに、研修の効果も上るのではないか。こんなような理由以外の相当の理由があるのではないか、かように思われる。その点についてどういうお考えでございまするか。ちよつとお聞かせを願いたいのであります。
  36. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 自治学校の将来の運営に関しまして御心配の点でございます。これは実はやや打明け話のようなことを申し上げまして恐縮でございますが、数年前アメリカ軍総司令部の存在しておりました時代に、地方団体全国六団体の代表者と、当時の自治庁長官でありました岡野大臣との間におきまして、やはり将来の地方自治ということになると、何か中央に地方公務員の教育研修機関、それに附帯した専門の図書館といつたようなものを設けまして、それにはアメリカがいろいろ金を日本につぎ込んでおるけれども、かような基本的な研修施設教育施設のようなものに、アメリカからも金を出してもらい、日本政府もこれに金を出し、地方団体もしかるべき程度の額を負担して、そうして最も適切な、一つの総合的な、たとえば自治学校というようなものでも考えて、将来の記念的な施設に残したらどうであろうかというような話があつたのであります。それがだんだん話が具体化されまして、結局アメリカのロツクフエラー財団及びフオード財団に対しまして、かような自治学校設置という名前のもとに、しかるべき経費をひとつ寄付してもらいたい、こういう申出をいたしたのであります。それに対しましては司令部が非常に賛成でございましたし、地方団体全体といたしましても、みな賛成でございましたので、さようなことをいたしたのでございますが、遺憾ながらその後占領が解除になりますまでの間に、これの具体化という措置がなかつたのであります。岡野自治庁長官も、アメリカを経由して帰つて参ります際に、フオード財団の関係の方にもさらに話をして参つたのでございますし、当初総司令部側でも相当の見込みがあるという話であつたのでありますが、結局そのことなくして終つたのであります。それがかような自治学校という名前が残つて参りました一つの沿革上の理由でございまして、そういうようなことで話がずつと進んで参つたものでありますから、施設なり講師なり、その他の点を中央の政府負担をし、地方公務員研修の旅費その他の経費は、地方団体が負担をする、こういうようなことで、かような形のものを考えたのであります。この運営が何らか悪い意味の中央集権的なものに使われはしないかという御疑惧の点は、あるいはさような御心配も無理からぬ点もあるかと思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、全国の都道府県、市町村の執行機関、及び議決機関の連携組織代表者と、学識経験者組織いたします運営審議会を置いて、それと緊密な連絡をとつて、これを運営して行こうということでありまして、これはひとり学校運営のみならず、学校を卒業いたしました者の将来の問題につきましても、やはりかような機関と緊密な連絡をとつて、処理されることになると思いますので、御心配のようなことは、万々あるまいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 西村力弥

    西村(力)委員 心配ないといえばない、あるといえばあるようなものですが、現在の国の進行状況からいいますと、こういうようなものがつくられるとすれば、結局この大学を出た者が、まあかつての陸軍の天保銭組というような立場で、誇りを持つて地方団体に帰つて行くというようなことが、直接住民の利益になるかどうかということになりますと、まつたく疑問を持たざるを得ないと考えます。それでそういう点をカバーする一つ措置として生れたのではないかと思いますが、去年の原案には次長さんが校長さんになられるというぐあいに出ておつた。それに対していろいろな意見があつたが、今度はそういう特定人を校長にするというふうなことではなく、原案ができておる。こういうふうに原案を練り直された根拠はどういうところにございますか。私どもとしてはこういう立場を個人と関係づけることで反対をするというばかりでなく、やはりそこの根本には大きく、今中央集権的な方向に行くことを懸念する、一つの別の因子が作用しておるというぐあいに把握したいのでありますが、どういうわけでありますか。
  38. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは予算等との関連がございましたのと、それから地方公務員法にございまするような自治庁の技術的な勧告、助言というような規定と結びつけて、第十五国会に提案をいたしました法案においては、御指摘のような規定があつたのでございまするけれども、しかしその後政府といたしましては、本国会にこの法案を提案するにあたりまして、やはりさような一定の官職にあります者をもつて、当然に校長に充てるというような方式は、自治学校の本来の性格にかんがみて適当でないのではないか、やはりすべての地方団体の地方公務員の人たちが、ほんとうに仰いでもつて長とするに足るだけのりつぱな民間人を、その地位に得ることが最も望ましいことであろう。それをただ一定の官職上の地位にある者をもつて充てるというような、味のない方式は適当でないという考え方から、さような法的な拘束、規制をやめることにいたしたのであります。
  39. 西村力弥

    西村(力)委員 飛び飛びになるようですが、この学校設置するということになれば、研修所などとは違つて、そういうときには監督官庁である文部省の許可を得なければならぬことに普通なつておりますが、これはそういう学校教育法に基かない学校というぐあいになるだろうと思います。そういう場合に大学校という名前を使用してもかまわないものであるかどうか、法的にはどうなつておりますか、その点御見解をお伺いいたしたい。
  40. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは先ほど来お話のありましたような警察大学校、あるいは保安大学校、海上保安大学校というような大学校は、学校教育法によります大学と違うということであります。学校教育法によります大学は六・三・三・四の体系のもとに門戸を一般者に開放して、機会均等でだれでも一定の資格のあるものを試験によつて入学させるという建前に立つているわけでありますが、これは現在地方公務員であるということが要件でありますとともに、やはりその地方公務員任命権者推薦したということが、ここに入りますための要件であります。そういう意味でこれは現に実務に携わつております者の、再教育機関ということでありますので、従つて学校教育法によりますところの大学の設置手続とは、まつたく別個な系統に属することとなるわけであります。この点は文部省とももちろん十分了解のついている点であります。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 最後にいろいろ懸念している問題のうち一番決定的なものは、やはり運営審議会の構想とか、あるいは職員の構成とか、教科の内容ということが、一番決定的なものになるのではないか。かように私は思う。それで総理府令で定める職員の構成とか、政令で定める教科の内容というものについて、すでに計画がおありと思いますので、その資料があつたらお示し願いたい。
  42. 山野幸吉

    山野説明員 それはあとで差上げることにいたします。
  43. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 前に公務員の試験制度として高文制というものがあつたが、本案はそのうちの行政の最高試験に通つて、その職務をとる人を養成する趣旨においてつくられたと拝承していいのですか、どうですか。
  44. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 高等試験の行政科と同じような資格を、事実上ここを卒業した者に与えるという考え方で立案したのかどうかというお尋ねでございますが、そういうお考えもあろうかと存じますけれども、そういう考え方よりも、やはり中堅職員の高度の研修ということでございまして、従来の高文制度はいわゆる資格試験で、その資格が一生ついてまわるというところに、いい点も悪い点もあつたわけでございますが、この自治学校と申しますのは中堅職員研修機関として、高度の研修を行うというだけであつて、それが実際の運営においてどういうふうに反映するかは、各人事委員会なり、任命権者考え方の問題であるというふうに考えているわけであります。
  45. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 そうしますと司法研修所出身で判事、検事になるような人、そういう方の建前と両々相まつて進んで行く、要するに自治庁における職員を養成する趣旨から、本法の立案となつたと承つてよいのかどうですか。
  46. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 やはり高等試験の行政科の試験、ちようど今の司法試験に対応するような意味の試験というものと同じような資格を与えるという意味は、この自治学校では全然考えておりません。やはり今御指摘のような点は、むしろ国家公務員の現在行つているあの試験が、いま少し改善の余地があろうと思いますけれども、そちらの方とどういう関連を持つかということではないかと思うのであります。これはあくまでも地方公務員の高度研修ということでございますので、御指摘の点とは直接には関係がないというふうに考えております。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 ごく簡単にお伺いします。まず第一に先ほど公務員課長の御説明によりますと、大学校の予算というものは実に微々たる額で、こういう予算ではわれわれの企図するようなりつぱな研修は不可能じやないかと考えております。警察大学の例をとられましたが、予算額において実に問題になりません。こういう点は今後どういうふうに改善されて行く予定でありますか。
  48. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 今回の予算は平年度に直しますと、約一千万円くらいでございまして、御指摘のように貧弱なものといえば貧弱なものでございます。しかしこれが初めて発足いたすということでございますので、さような予算でございましたが、将来はできるだけ校長なり、あるいは専任の教授なりを充実いたし、ほんとうにしつかりした基礎に立つた研修が行えるようにしなければならないというように考えているわけであります。これはだんだんと予算上の措置その他を改善をして参りたい、かように考えております。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま次長の答弁されたような一応理想的な運営をするのには、年間どのくらいの予算を必要とするか。当委員会としても、もしこの法律案に賛成すると重大な問題でありますので、特にこの点を、大蔵省との折衝段階におきましてても、われわれは重大な関心を持ちたいと思いますから、お伺いしたい。  それから先ほど大石先生あたりからも質問があつたと思いますが、民主化の点に関する懸念の質問もありましたが、教授の人選ということが非常に重大であります。これによつて自治学校の効果の相当大部分が左右されることは当然でありますが、具体的にはまだきまつておらぬと思いますが、一般抽象的な教授、講師の選考方針というようなものでもありましたら、お伺いしておきたい。
  50. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいまの第一の問題でございますが、理想的な施設をするのには、どのくらいの経費を要するか。これはなかなかむずかしい御質問でございまして、どの辺が理想的な姿であるかということにつきましては、なお将来私どもも研究を要すると考えております。現在たしか警察大学校の予算が、千五、六百万程度ではなかつたかと思いますので、やはりこれらが一つの目途になるのではないかと考えております。  それから第二の教授、講師の陣容の整備の方針は、どういう考えであるかというお尋ねでございますが、この点については予算との関係もございますけれども、やはり実務研修でございますから、一面においては各省あるいは民間団体等の専門の研究家、行政実務家等を講師として考えておりますが、やはり基礎的な教養の学科に関しましては、大学の先生方に御出馬願いたい。それからさらに一般の常識的な講義というものも考えなければならぬと思いますが、こういうものについては、言論界その他それぞれ適当な方面の人を出したいというふうに一般的な方針としては考えております。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 最後に一問。研修生の数の問題は、各府県大体割当になりますか。あるいは全国で五十人なら、一番から五十番まで成績によつて採用されるつもりであるか、これは運用上の非常に小さい問題でございますが、それをお伺いしておきたいと思います。
  52. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 大体府県別に地方団体に割当をするということになろうかと考えております。と申しますのは、定数が一応百五十人という予算の基礎で考えておりますので、何らかの客観的な基準で一応割当をして推薦をしてもらおうというふうに考えております。
  53. 床次徳二

    床次委員 この自治大学で研修を受けました者に対しましては、やはりある程度まで地方公務員法の立場から将来の職域におきまして待遇に関連させる方がいいのじやないか、あるいは国家公務員法等のつり合いからいいましても、ある程度まで考慮する必要があるのではないかと思います。その方が本人の励みになると思いますし、将来の優秀な職員をつくるという立場からも必要があるのではないかと思いますが、この点に対してどういうふうに考えるか承りたいのであります。それから、でき得る限り地方から進んで研修を受けさせるためには、やはり相当の補助等も考慮しなければいけないのじやないか、今政府が予定しております経費におきまして、どの程度地方の負担に対して援助し得るか承りたい。
  54. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 この学校を卒業いたしました方は、先ほど来申し上げますように、一般的にはやはり人事委員会、あるいは任命権者の選考というような際におきまして、かようなことを一つの有力なる基礎にして行うということになろうと思うのであります。それから先ほども御指摘がございましたような勤務成績の評定というようなところにも現われて来ようかと思うのであります。そういうところで人事委員会なり、あるいは任命権者の人事行政の施行の上に反映するようにするということがやはりいいのではないか、これを何か一定の条件付をする、義務付をするというようなところまで参りますることは行き過ぎではないだろうかというふうに考えておるのであります。  それから地方から自治学校に参りまして研修をいたします者の経費でございますが、教材その他につきましてはこちらで予算的に負担をいたす考えをいたしておりまするが、東京へ派遣をいたします旅費等につきましては、やはり地方団体の負担という建前に考えております。しかしながら、同時に地方公務員の共済組合の宿泊施設等を利用いたしまして、経費としてはほんとうの実費で事が済むようにいたしたいということで、今このような設備との調節関連を考えておりまして、設備の方を急いでおる次第であります。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 基本的な問題ですが、先ほどの大石さんの質問とちよつと関連しますが、現在の地方公務員の素質あるいは能力が低い、これを引上げてやろうというのがこの趣旨だろうと思うのですが、それでは自治庁では今の地方公務員を見てどういう点が一番欠点というか、遅れておると考えておられるかお伺いします。
  56. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 やはりそれぞれの地方団体が独立の姿において地方自治運営いたして行く、地方公務員も、そういう意味地方自治行政の一一の運営に参加しておる、こういうのが現在の建前でございまするから、従つて、やはり一番要望されますることは、他の地方団体でどういうふうに運営をしておるか、あるいは同様の事務を国ではどういうふうに運営をいたしておるか、あるいは理論的に研究をして能率的な運営ということはどういうふうにすればよろしいか、こういうような点をできるだけ知得せしめる機会を与えることが望ましいのではないかと思うのであります。そういう意味で、かような共通の一つ研修機関を持ち、その機関を通じまして国なり他の地方団体なりの行政運営の仕方を理論及び応用について研修を受けることが必要ではないかと思うのであります。
  57. 北山愛郎

    ○北山委員 私が地方公務員を見て感ずるところでは、法律の知識が多くなればなるほど、法律の執行、法律の適用というような法律万能主義といいますか、そういうような傾向の欠点がひどく目立つわけであります。たとえば現在の県の職員の方が、いわゆる事務能力というような点においては、市町村の職員よりも一応高いのじやないかというふうに一般には常識的に考えられる。しかし、たとえば生活保護法を適用するというような場合に、従来町村でやつておつたものを今度は地方の福祉事務所でやるようになつた。そうしますと、この生活保護の事務に当る者が、法律を適用するんだというような考え方が、非常に強いわけです。で法律適用については、法律の知識なりあるいはその適用の解釈なり何なりについては詳しいけれども、生活の実態に生活保護法を生かして使うという面においては、逆に遅れておるというようなことがあるように思われる。で現在の地方公務員の中で最も悪いのは、従来の官尊民卑あるいは独善的な職権意識で、中央の政府がえらくてそれに従属して第一線の仕事をやつているというような意識が残つておる人ほど、地方自治にとつては適任でないというように感ずるわけであります。そういうような点からしまして、現在の地方公務員がいろいろな欠点があるから、高度の教養を身につけさせて能力を高めてやろうと言われるのですが、それじや現在の国家公務員のあり方はどうか。ひよつとすると国家公務員の方の能力なり、あるいは素養というようなものに、地方公務員引上げて行くというような考え方がそこにあるんじやないか。そういたしますと、ほんとうに民主主義的な地方自治ということに役立てるためには、自治大学というようなものを設置する考え方は、非常に危険じやないか、たとえば元陸軍大学でもつて優秀な陸軍の軍人を養成した。確かに軍人の軍事能力としてはすぐれたものであつたけれども、人間という意味ではまことに遅れたものであつたということをあの戦争で暴露した。それと同じようなことがこの自治大学設置の場合に起り得るのじやないか、そういう点についてどういうふうに考えるか。要するに、今の地方自治というものを、もつともつとその本旨に沿うように発展させるために、今の地方公務員国家公務員の方へ近づけて行くような考え方に立つて行くか、あるいは新しく地方の住民の福祉に奉仕するというような新しい形の公務員をつくり出して行くという考え方に立つか、そういう点についての見解をお伺いいたしたいと思います。
  58. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいまの御心配も、先刻来いろいろ委員さんから御指摘のございましたような御心配と、同じ御心配に出るものであろうと考えるのであります。先ほど来申し上げますように、やはり従来の何らかこれによつて特権的な地位を得るというような考え方は、これを一擲いたしまして、新しい地方自治の態勢の基礎に立つた住民の福祉に奉仕する、サービスをする、地方公務員としていかに研修をするかということが、この学校における研修の基本でなければならないと思うのであります。これはやはり日々地方団体の執行機関あるいは議決機関の中にあつて、実際の実情をまのあたり見ておりまする地方団体の代表者組織する運営審議会の意と、密接に結びついて行くということが必要であろうと思うのでありまして、この点先ほど大石先生から、もつと地方住民のほんとうの声を聞かなければならぬというような御指摘もございましたが、これはまさにその通りだろうと思うのであります。さような地方団体の関係者という者こそ、いわば地方団体の住民の意思に沿うための行政をするためにはどうすればいいかということを、最も詳しく知つておるだろうと思うのでありまして、そういう人たち組織する運営審議会の意向によつて運営して行くことによつて十分危険な点は防げるのではないかというふうに考えるのであります。御指摘のように、従来の教育が法学万能であつたという点は、まつたくそうであろうと思います。それゆえに一つの実務研修ということで、従来の大学教育からむしろ離れたような組織で考えて行くことが、いいのではないかというふうにも考えられるのであります。
  59. 北山愛郎

    ○北山委員 今の問題は非常に基本的な、言葉には現わしがたいような重要な要素を含んでおると思いますので、この点は十分考えていただきたいと思うのであります。たとえば現在の国の方で、当該官庁でもつて立案された法律の中にも、やはり今までの独善的な意識が、相当無意識のうちに出ておるのじやないか。たとえば地方税法の中でも、税金をとる方のとりやすいように、とられる方は常に悪者であるというような前提に立つてその悪い者が税を免れることができないように、がんじがらめにするというような規定がたくさんあるわけであります。かような独善的な官尊民卑の意識というものは、至るところに現われておるということを感じます。これもやはり国の方へ地方公務員を近づけるということでなしに、地方公務員の大学をつくるその前に、むしろ国家公務員の方の大学でもつくつた方がいいんじやないかというような感じがしますので、その点はもつと深い意味でお考えを願いたいと思います。  どうも日本人は民主主義といつても、そのほんとうの意味ではまだわかつていないのじやないか。地方自治の点におきましても、一応言葉の上では地方自治といつても、ほんとうの意味の自律的な自主的な精神をまだ身につけていない。あるいは人間を尊重する意識については、まだまだいろいろな面で欠けておる面がありますので、特にその点を申し上げるわけであります。私の見解からしまして、この自治大学の案については、どうしても割切れないものを残しておるということを最後に申し上げまして、私の質問を打切ります。
  60. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 あらためて申し上げることはないのですが、自治大学というものは、先ほどからの御説明で、技術をおもに教えなさるのですか、それとも地方自治の精神をおもに教えるのですか、どつちなんですか。
  61. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、基礎的な教養に属する科目と、いわば日常の社会常識と申しますか、その基礎的な教養を補うような科目、それから専門の各部行政につきましての知識を授けるという、大体三つのことを考えておりまして、たとえば地方公務員としてのサービスの本義ということにつきましても、やはり基本的な問題としてこれを考えておかなければならぬと考えております。
  62. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そこでちよつと問題があるんですが、この法案の中には国家公務員が、この自治大学へ入ることができるということになつておるらしい。現在日本地方自治は私どもは確立されておらぬと思つております。法律だけはありましても、財政的な裏打ちも何もありませんで、ほとんど絵に描いたもちのようなことが多いのであります。この地方自治の精神を最も体得してもらいたいのは、地方公務員ではなくして、むしろ国家公務員ではなかろうか、こういうふうな意見を持つておるのであります。今の政府の各省で地方自治関係のないのは、まあ外務省くらいなものでありまして、ほかの省はきわめて関係が深いのでありますが、その人たちが新しい憲法に基く新しい地方自治の精神をわきまえておられるかどうか。この点は私は日本地方自治を推進して行くために非常に重要だと思う。ところがこの法案の第一条を見ますると、そういうものはうたつておりません。ただ地方自治団体職員の資質の向上というふうになつております。その点先ほども鈴木さんから伺いましたら、最初百五十名おとりになるというのでありますが、百五十名の中には少くとも五十名くらいは、地方自治関係のある各省——農林省とか厚生省とか労働省とかあるいは大蔵省に至るまで、ぜひそういう人たちを入れてもらわないと、皮肉を申し上げるようでありまするが、せつかく学校はできましても、不平分子の養成機関になるかもしれません。私はそれを非常に憂えるのであります。今の自治団体では、たとえば土木関係は土木技術屋だ、衛生関係は医者を中心にして仕事をするというふうに、各省と非常な結びつきがありまして、自治大学をつくりましても、実際それに入るということになりますと、総務系統が中心になるのであります。そういうものだけをやりましても、その人たちの中の大半は、地方自治の精神のごときは、応苦労して大体わかつておるのじやないか。大いに技術的にと言いますけれども、終戦後の最近の自治体のように、こう毎年法律がどんどんかわつて法律の勉強どころかまつたく読むひまもないくらいにかわつておる。この中にあつて技術を養成するといつても、第一ろくな先生も得られなかろうと私は思います。先ほど質問の中にもそういうものに関連をしたことがありましたから、朝令暮改といいますか、悪口を言わしてもらいますと、そういう形でありますが、それに即応した技術ということは、なかなかむずかしいと思う。それよりも実は私はこういうものはまだ早いという考え方です。政府はまだ地方自治体が確立されておらぬのに、自治大学とは何事であるかという考え方が実はありますけれども、百歩を譲りましても、なかなかそういう状態でむずかしかろう。従つて最初はまあ地方自治の本旨とか、そういう精神的なものをやつてもらう。そのことは私は自治庁皆さんも大いに痛感しておられるだろうと思うのであります。多少国家公務員の人たちに、大いに入つていただくというようなことでなければ、あまり効果は上りやしまいというふうな考え方をしておりますが、率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
  63. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘の国家公務員についてこそ、むしろ地方自治についての研修をする必要がありはしないかという御意見でございますが、私どもも国家公務員の一員といたしまして、さようなことが指摘されるのには確かに相当理由があろうと考えております。いろいろ日常の行政事務を私どもやつております際におきましても、さようなことを痛感いたすことがあるのでございます。しかしここの第二条で「地方公共団体行政に密接な関係がある職務に従事する国家公務員」とございますのは、先ほど公務員課長が申し上げました地方におります国家公務員、すなわち地方事務官等がもちろん入つておりますけれども、あるいは中央の地方自治関係する各省の職員の中で、任命権者から特に依頼を受けたという場合には、これもここで研修をするということを、具体的に考えておるわけであります。これが御指摘のような、すべての地方自治関係のある各省の国家公務員の一般的な教養施設になるということは、困難であろうと思いますが、しかし第三項の活用等によりまして若干なりとも、この施設が国家公務員に対しましても、地方自治に対する認識を深める機会を与えることになるということが期待されるのであります。そういう意味で、御趣旨に沿うにはなはだ遠いものと存じますが、若干これは裨益することができるのではないかと思うのであります。     —————————————
  64. 中井一夫

    中井委員長 この際理事補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち委員の異動に伴い、理事が三名欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、委員長より指名をいたします。すなわち   熊谷 憲一君  西村 力弥君   松永  東君の三名を理事に指名いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時より正確に開会をいたしとうございますから、ぜひとも御参集をお願いいたします。     午後六時十四分散会