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1953-07-27 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年七月二十七日(月曜日) 午後四時七分
開議
出席委員
委員長
中井
一夫君
理事
加藤
精三君
理事
灘尾
弘吉君
理事
床次
徳二
君
理事
西村
力弥
君
理事
門司 亮君 生田 宏一君
佐藤
親弘君 山本 友一君 吉田 重延君 橋本 清吉君 藤田 義光君 北山
愛郎
君 滝井 義高君
大石ヨシエ
君 大矢 省三君
中井徳次郎
君
出席政府委員
自治政務次官
青木 正君
自治庁次長
鈴木 俊一君
委員外
の
出席者
議 員
岡田
五郎
君 議 員
徳安
實藏
君
総理府事務官
(
自治庁行政部
公務員課長
)
山野
幸吉君 専 門 員 有松 昇君 専 門 員 長橋 茂男君 ――
―――――――――――
七月二十七日
委員三浦一雄
君辞任につき、その
補欠
として鈴
木幹雄
君が
議長
の指名で
委員
に選任された。 同日
理事富田健治
君及び山村新治郎君の
補欠
として
熊谷憲一
君及び
松永東
君が
理事
に当選した。 同日
西村力弥
君が
理事
に
補欠
当選した。 ――
―――――――――――
七月二十四日
自治
大
学校設置法案
(
内閣提出
第四七号)(参
議院送付
) 同月二十五日
クリーニング業
に対する
地方税軽減
に関する請 願(
田中彰治
君
紹介
)(第五四七〇号) 同(
三鍋義三
君
紹介
)(第五四七一号) 同(
池田清
君
紹介
)(第五四七二号) 大工、
左官等
に対する
課税方法改正等
に関する
請願
(
小林進
君
紹介
)(第五四七三号) 同(
三宅正一
君
紹介
)(第五四七四号) 同(
田中彰治
君
紹介
)(第五四七五号)
自動車税引上げ反対
に関する
請願
(
大石ヨシエ
君
紹介
)(第五四七六号) 同(
森清
君
紹介
)(第五四七七号) 同(
岡田五郎
君
紹介
)(第五四七八号) 同(
森清
君
紹介
)(第五五三三号) 同(
小山倉之助
君
紹介
)(第五七三五号) 同(
佐藤洋之助
君
紹介
)(第五七三六号)
自動車運送事業
及び
通運事業
に対する
事業税
の
外形標準課税廃止
に関する
請願外
一件(
大石ヨ
シエ君
紹介
)(第五四七九号) 同(
森清
君
紹介
)(第五四八〇号) 同(
田子一民
君
紹介
)(第五四八一号) 同(
森清
君
紹介
)(第五五三四号) 同(
佐藤洋之助
君
紹介
)(第五七三三号) 同(
小山倉之助
君
紹介
)(第五七三四号)
古書籍業
に対する
事業税免除
に関する
請願
(水
谷長三郎
君
紹介
)(第五七四一号)
駐留軍駐在
による
市町村経費国庫補助
に関する
請願
(
床次徳二
君
紹介
)(第五七六二号) 上野村の
水害復旧費起債
に関する
請願
(
森清
君
紹介
)(第五七六五号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月二十四日
自動車税引上げ反対
に関する
陳情書
(第一一八一号) 同 (第一一八二号) 同 (第一一八三号)
運送業
に対する
事業税
の
課税方式
に関する
陳情
書 (第一一八四 号) 同 (第一一八五号) 同 (第一一八六号)
中小県財政
の
緊急措置
に関する
陳情書
(第一一八七号)
自動車税引上げ反対
に関する
陳情書
(第一二九一号) 同 (第一二九二号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
理事
の互選
自治
大
学校設置法案
(
内閣提出
第四七号)(参
議院送付
)
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 一〇八号) ――
―――――――――――
中井一夫
1
○
中井委員長
これより
会議
を開きます。 それでは
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。ただ本日は
質疑
を行う前に、過日
運輸委員会
より
本案
につきまして
修正意見
の
申入れ
がございましたので、これより同
委員会
の
意見
を聴取することにいたします。
運輸委員長代理理事岡田五郎
君。
岡田五郎
2
○
岡田五郎
君 過日
運輸委員長
から
地方行政委員長あて
に
海運
に
関係
いたします
地方税法
の一部
改正
を
お願い
するの
申入れ
をいたしたのであります。まず
海運
に
関係
いたします
地方税
すなわち
地方税法
の三百四十九条の二を御
改正
いただきたい、かようなことで申し入れたのでありますが、
申入れ
の
内容
はもつ
ばら外国航路
に就航することを
目的
とする
船舶
でありまして、二千総トン以上のものに対しまして課せられる
固定資産税
の
税率
を、三百四十九条の
規定
にかかわらず、百分の〇・二を越えることができない、こういうようにしていただきたい。かような案件が
一つ
であります。 もう
一つ
は第七百四十九条の第一項中、すなわち
事業税
でございますが、そのうちの「
運送業
」とありますのを「
運送業
(
うち旅客定期航路事業
以外の
海上運送事業
を除く)」ということに改めていただきたい。こういうことを当
委員会
にお申し入れしたようなわけであります。かような
固定資産税
の
減税
につきまして
申入れ
をいたしました
理由
も、すでにお
手元
に
資料
を配付いたしたかとも存じますので、十分に御
承知おき願
つて
いると存じますがために、ごく簡単に御
説明
申し上げさせていただきたいと存ずるのでございます。 御
承知
のように
日本
の現在の
海運界
の不況の大きな
原因
は、
船舶
に対して
——造船
その他に対します非常な高金利ということと、もう
一つ
は税金が非常に高いということが大きな
原因
となりまして、
国際競争
の間に処しまして、非常に悪戦苦闘を続けておりまして、目下御
承知
おきいただいておりますように、
日本
の
外航船
はむしろ破滅の一歩手前の危機に逢着しているのであります。つきましてこの
地方税
の
船舶
に対する
固定資産税
は、あまり諸
外国
には例を見ない
わが国特有
の
固定資産税
のように存じているのであります。かようなことはともかくといたしまして、いかに
船舶
の
固定資産税
が、
海運
に大きな影響を与えておるかということにつきまして、ごく簡単に申し上げたいと思うのであります。
皆さん
御
承知
おきいただいておりますように、現在
船舶
に対しまする
固定資産税
は、
船舶
の価格の千分の十六という普通の
固定資産税
の
税率
をかけられておるのでありますが、幸いにいたしまして、
自治庁
の御配慮に基きまして、この
税率
から約六〇%の
減税
を
行つて
いただいておるような次第でございますが、かような
減税
を受けておりまするにもかかわりませず、
昭和
二十四年当時の
船舶税
に比較いたしますると、二十六年にこしらえましたいわゆる第六次の
貨物船
につきましては、七倍に当り、最近こしらえました第八次船につきましては十九倍に当る、こういうような状態でありまして、非常な高率にな
つて
おるのであります。しかもこの
船舶税
は、大体その
船員費
にも匹敵するような情勢にな
つて
おるのであります。一例を第六次船にと
つて
みますると、
固定資産税
が約八百万円、その
船員費
が約一千百万円、
船員費
とわずか三百万円しか違わない多額の金額を、いわゆる
固定資産税
として
船舶
は納めなければならない。こういうように非常に大きな
船舶
の
負担
の割合をなしておるような次第でございます。一方、この
船舶
は、
皆さん
御
承知
おきいただいておりますように、ことに
外航船
は、ほとんど
外国
の港に向
つて運航
をいたしておるような次第でございまして、
貨物船
におきましては、一年間に
日本
の港に入りますのが、わずか四十日、
輸送船
につきましては、わずか三十九日間を
日本
の港でごやつかいになり、あとは大
部分航海
中に
外国
の港に出入りをする、こういうことで、一年のわずか十分の一近くしか内地の港にごやつかいにならないにかかわらず、国内にある普通の
固定資産税
と同じように、いわゆる応益的な
思想
に基きまして
固定資産税
を課せられておる。こういうような
船舶
の
実情
、こういうように
船舶
に対する
税率
は諸
経費
に比較いたしまして、非常に重きをなしておるというような点、また
先ほど
申し上げましたように、
外航船舶
の拡充とともに、
日本海運
の振興が即
日本
の
自立経済
の達成の基盤であるということを考えますと、一年の約十分の一しかごやつかいにならない——というと言葉が悪いのでありますが、
地方自治
体の恩恵に浴しない。とすれば、現在の
税率
の十分の一なり、あるいは八分の一程度にお下げいただくことが、
海運振興
の一助になりますとともに、
固定資産税
の応益的な
思想
といいますか、あるいは間違
つて
おるかもしれませんが、かような
思想
に基く
固定資産税
という税の
思想
にも合うのではないか、かように考えまして、私この
申入れ
をいたした次第であります。詳細は、
先ほど
も申し上げましたように、お
手元
に
資料
を配付いたしたとのことでございますので、御精読を煩わしまして御
賢察
のほどを
お願い
申し上げる次第であります。 次に
事業税
の問題でございますが、
事業税
は、大体
電気
、
ガス
その他の
独占事業
と同様に、この
海運事業
につきましても、いわゆる
収入課税
にな
つて
おるのでございますが、
皆さん
御
承知
のように
外航船
は
独占企業
でもございません、まつたく
自由企業
でありまして、はげしい
国際競争
に伍しておるようなわけでありまして、かような
意味
から行きまして、むしろ
一般産業
と同様に、
収益課税
にしていただくことが理の当然ではないか、かように考えておるような次第でございます。ただ
海運事業
のうち、
認可運賃制度
に基いておりまする
国内旅客定期航路運送事業
というようなものは、あるいは
考え方
によりましては、この
事業税
を
認可運賃
の方へはね返らせるというようなことも考えられます。あるいはまた、ときによりましては、
離島航路
その他におきましても、
独占企業
というようなことも、あるいは考えれらるかもしれない。かようにも考えまして、
運送事業
中特に
定期旅客航路運送事業
は除きまして、
外国航路事業
に従事するいわゆる
運送海運事業
は、この
運送事業
の
概念
の中から除いていただきまして、いわゆる
収益課税
にしていただきまするならばと、かように実は考えたような次第でございます。 なお
運輸委員会
から当
委員会
に申し入れました
事項
は、
地方鉄道軌道
に
関係
いたしましての
事業税
の
減免
についてでございますが、これは皆様御
承知
のように、
地方鉄道軌道
の
軌道施設
その他は、たしか
昭和
二十四年以前であつたと思いますが、一応
地方鉄道
の
公益性
から御判断いただきまして、長く租税を
減免
せられておつたのでありますが、二十四年以後、いわゆる
固定費
産税の観念に基きまして、普通の
固定資産税
と同様に
課税
をされておるのであります。
地方鉄道
は現在百五十社ばかりあるのでございますが、非常に
収益性
が少く、また一面非常に
公益性
が強いがために、これが
運賃料金
の認定にあたりましても、
公共
の福祉という面から相当厳格に査定をせられておるような
関係
でございますので、
旧来通り
、
地方鉄道
の
軌道施設
その他につきまして、無税の
措置
を講じていただきたい、かように考えておる次第でございます。なお
地方鉄道軌道
の
事業税
でございますが、これは
先ほど
海運関係
につきまして申し上げましたごとく、
運送事業
の
概念
の中に入りまして、
地方軌道関係
の
事業税
につきましても、一応
収入課税
にな
つて
おるのでございますが、
地方鉄道軌道
の
独占性
は、御
承知
のように
自動車運送事業
その他の
交通事業
の発展に基きまして、その
独占性
は従来のような
考え方
をも
つて
しては、現在は臨まれないような
実情
に相な
つて
おるような次第でございますので、この
事業税
につきましても、何とぞ
収益課税
、すなわち
所得課税
に御変更あらんことを
お願い
申し上げたような次第でございます。 なお
電気ガス税
でございますが、御
承知
のように
地方鉄道
の大
部分
は、
電車運転
がほとんどを占めておるような
実情
でございまして、
会社会計
上、この
電気関係
の
経費
が相当
部分
を占めておるのであります。ことに
重要産業
に対しましては、この
電気ガス税
につきまして、
減免
の
措置
を講ぜられておる
実情
でございますので、これら
重要産業
と同様に、
電気使用量
の
相当多量
を占め、またこの
電気
が
電車運転
といいますか、
地方鉄道軌道
の唯一の
動力源
でもございまする
実情
を御
賢察
していただきまして、他の
産業
と
同様電気ガス税
を
減免
していただきたい、かように考えまして、
運輸委員会
からこの
委員会
に、かような
処置
を講ぜられるよう申し入れたような次第でございます。 以上、はなはだ簡単でございますか、
運輸委員会
としての意思を、
皆様方
の前に発表いたしたような次第でございます。何とぞ御
賢察
の上、適宜なる
処置
を講ぜられんことを
お願い
申し上げる次第でございます。 次に
自動車関係
の
事業税
につきまして、私
たち
の
申入れ
のほどを
説明
さしていただきたいと思います。
先ほど
海運関係
、
地方鉄道
、
軌道関係
について申し上げましたと同様の希望を、この
事業税
につきまして、
自動車関係
についても持
つて
いる次第でございます。特に最近
自動車運送事業
は、他の
交通機関
との競争、あるいは他の
交通機関
との
関連性
その他におきまして
相当不況
にな
つて
おるのであります。また
自動車交通事業
のいわゆる
独占事業
としての形態が相当薄らいで来ておるのでありまして、
先ほど
の
地方鉄道
、
軌道
あるいは
海運事業
につきましては、
説明
の
内容
、また
お願い
の筋の
理由
が多少違
つて
おりまするが、
自動車事業
につきましてもいわゆる
外形課税
でありまする
収入課税
を
収益課税
に御変更願いたい、かように
お願い
を申し上げている次第でございます。 なおこの
自動車税
につきまして、当
委員会
に
自動車税
五割
引上げ
の案が付議せられておるかように仄聞いたしましたので、この
自動車税
のことにつきまして、
運輸委員会
から当
委員会
に
お願い
を申し上げている点につきまして、一応
説明
さしていただきたいと思うのであります。私
たち
はなはだ不敏ながらこの
自動車税
の
内容
をよくよく検討さしていただきますると、
固定資産税
的な
性格
と、さらに
道路利用税
というか、そのようなものの
性格
とを両方合せて、
自動車税
という形で
課税
せられておるかのように覚えられるのであります。ところが
自動車
につきましては、御
承知
のように
ガソリン税
というもので一応税を払
つて
おります。また従来の
自動車税
のほかに、
道路工事受益者負担金
、あるいは
道路損傷負担金
、あるいは
道路工事寄付金
というような形で、約二十数億を全国の
自動車事業者
が払
つて
おるような次第であります。こういうようなことを考えますると、むしろ
自動車税
を
固定資産税
的なものだけに振りかえていただく方が適切ではないか、道路利用者税的な面は、今申し上げましたようにあるいは
分担金
、あるいは
工事費
の
寄付金
というようなことで、すでに二十数億を払
つて
いるのだから、そういう要素はむしろ
自動車税
から削除していただく方がいいのではないか。にかかわらず、このたびは約五割の値上げということにな
つて
おるのでありましてことにこの五割の
引上げ
が
自動車
の用途だとか、あるいは年式だとか、あるいは
積載トン数
だとかいうことにおかまいなしに、と
言つて
はあるいは私
研究
不十分で違
つて
いるかもしれませんが、おかまいなしに、バス一両については何万円、その五割増し、あるいはトラツク一両については一万円で、その五割増上の一万五千円、こういうようなことにな
つて
おるかのようにも考えますので、特にこの点の
引上げ
につきましては慎重御
審議
の上、もしできまするならば現在の
自動車税程度
におとどめおき願いたい、かように実は考えまして、お
申入れ
をいたしたような次第でございます。 以上はなはだ簡単でございますが、
運輸委員会
としての
申入れ
の意図のほどを、ごひろう申し上げましたような次第であります。
先ほど
加藤先生
がおつしやいまするように、たくさん
減税
あるいは免租というようなことを申し上げまして、まことに恐縮に存じますが、私
たち
は一にかか
つて
交通事業
の健全なる
発達
が即
日本
の経済の
発達
を来す
ゆえん
ではないか、こういうようなことから実は
申入れ
をいたしましたような次第でございますので、どうかひとつ御
賢察
の上、賢明なる御判断のほどを
お願い
申し上げる次第でございます。
中井一夫
3
○
中井委員長
別に御
質疑
はございませんか。 〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
中井一夫
4
○
中井委員長
それでは次に移ります。 —
——
——
——
——
——
——
中井一夫
5
○
中井委員長
次に
自治
大
学校設置法案
を
議題
といたします。
本案
は
予備審査
で
提案説明
を聴取いたしましたが、去る二十四
日本付託
となりましたので、この点念のため申し上げておきます。この際
政府
より
逐条説明
を聴取いたします。
山野自治庁公務員課長
。
山野幸吉
6
○
山野説明員
自治
大
学校設置法案
につきまして、簡単に御
説明
申し上げます。 第一条は
設置
の
目的
と
設置
の次第を
規定
しておりますが、さきに
長官
からの
提案理由
の
説明
にもありましたように、
地方公務員法
の本旨といたします
地方公共団体
の
行政
の民主的かつ能率的な
運営
を企図して行くためには、まず第一番に、
地方公務員
の資質を向上いたしまして、
勤務能率
の
発揮増進
をはかることによりまして、能率的な
行政
の運用を期することが必要であると思われますので、この際
地方公務員
に対する高度の
研修
、
初任者
に対する
研修
は、
地方公共団体
の
研修機関
にまかせることにいたしまして、主として
地方公務員
の
中堅職員
に対する高度の
研修
を行う
機関
として、このたび
自治庁
の
附属機関
として
自治
大
学校
を置くことにしようとするものでございます。 第二条の
自治
大
学校
の
所掌事務
について申し上げます。第一号は「
地方公務員
でその
任命権者
の
推薦
に係るものに対し、高度の
研修
を行うこと。」と
規定
してございますが、
地方公務員
の
研修
は、
地方公務員法
の第三十九条に
規定
せられております
通り
、
地方公共団体
のそれぞれの
任命権者
の
権限
とされているのでございます。しかし
地方公務員
のうち
初任者
とか、あるいはごく初歩的な
研修
は、十分各
地方公共団体
の
任命権者
で
研修
を行うことができるのでございますが、
先ほど
申し上げましたように、
中堅幹部
に対する高度の
研修
につきましては、
講師
の
不足
とか設備の
不足
とか等によりまして、統一的な
研修
ができないという困難がありますので、従来から
地方公務員
の
研修
をぜひ中央の
研修機関
で
行つて
くれという要望もあつたのでございます。従いましてさような
地方公共団体
で
研修
困難と思われる
職員
に対しまして、それぞれの
任命権者
の
推薦
に基いて、
地方公務員法
に
規定
する高等の
研修
を行うということを、
所掌事務
としてあげた次第であります。それから第二号は「
地方公務員法
の三十九条に
規定
しておりますそれぞれの
任命権者
が行いまする
研修
の
方法
、あるいは
内容等
について
調査研究
を行い、その結果を刊行する」ということを
規定
してございます。これは
自治
大
学校
で行いまする
研修
の
内容
あるいは
方法
につきまして
調査研究
するのは、当然のことでございますが、
自治
大
学校
として、そういう
地方公務員
の高度の
研究
を行いますと同時に、この
自治
大
学校
を
地方公共団体
の
設置
する
研修機関
の指導
機関
的な
意味
も含めまして、
地方公共団体
の
任命権者
が行う
研修
の
方法
とか、
内容
についても
調査研究
を
行つて
、
便宜
の供与をして行こう、あるいは
技術的援助
を
行つて
行こうというために、この
所掌事務
を掲げたわけでございます。第二項は
自治
大
学校
はさらに
研修
以外に、
研修
と表裏一体をなしておりますところの
地方自治
に関する
制度
及びその
運営
に関する
理論
、あるいはその
応用
について基本的な
調査研究
を行うこと、それから
地方自治
に関する
制度
及びその
運営
に関する
資料
を収集し、編纂し及び保存する仕事を行うことを
規定
したのであります。
先ほど
申し上げましたように、
自治
大
学校
がその
研修
の
成果
を十分にあげて行くためにも、この
研修
を行いますと同時に、その
研修
の基礎となります
地方自治
に関する諸
制度
の
運営
に関しまする
理論
、
応用
について
研究
しておくことが、ぜひとも必要でありますと同時に、
内容
につきまして各
地方公共団体
の
機関等
の
委託
を受けて、かような
事務
を行うことが、
自治
大
学校
の
所掌事務
として最もふさわしい
事項
である、かように存じまして、こういう第二項の
所掌事務
を掲げたわけであります。第三項は
自治
大
学校
は、主として
地方公務員
の
幹部職員
に対する高度の
研修
を行うのが主体でございますが、それと同時に
地方公共団体
の
行政
に密接な
関連
のある
職務
に従事しておる
国家公務員
、たとえば
地方公共団体
に配属されております
地方事務官
、その他
地方公共団体
の
行政
と非常に密接な
関連
のある
職務
に従事する
国家公務員
に対しても、そのそれぞれの
任命権者
から
依頼
があつた場合に、
研修
を行うことができるというぐあいに
規定
して行くことが、
地方自治団体
と国との円滑な
運営
をはかる上からも必要である、かように存じまして、第三項の
規定
を挿入したわけでございます。 それから第三条は、
先ほど
も申し上げましたように、
自治
大
学校
は、
地方公務員
に対する高度の
研修
を行うとともに、
地方公共団体
が
設置
しております
研修機関
に対しまして、第二条第一項の二号に掲げております
研修
の
内容
とか、
方法等
につきまして
調査研究
を
行つて
、その
成果
を提供いたしましたり、あるいは
講師
のあつせんをいたしたり、その他
研修
に関しまして、一般的に技術的な
援助
をすることができるという
建前
にいたしまして、
地方公共団体
の
設置
する
研修機関
と
自治
大
学校
とが、相協力して
地方公務員
の
研修
の
成果
を高めて行こうというための
規定
でございます。 第四条は、
自治
大
学校
は、
地方公共団体
の
機関
の
委託
を受けて第二条第一項第二号の
調査研究
、あるいは第二項第一号に掲げております
調査研究
を行うことができる。これは
先ほど
ちよつと触れましたように、
地方公共団体
の
研修機関等
の
委託
を受けまして、かような
調査研究
を行うことができる
建前
にいたしておくことが、
自治
大
学校
の
研修機関
としてあるいは
調査機関
として、最もふさわしい機能である、かように考えたわけでございます。第二項は、「
自治
大
学校
は、
関係機関
との間において、第二条に
規定
する
研修
又は
調査研究
に関する
資料
、
成果
その他の
便宜
の
交換
を行うことができる。」
自治
大
学校
は、
地方公務員
の
研修機関
及び
地方自治
に関する
調査研究機関
といたしまして、その
研修
または
調査研究
に関する
資料
を、広く内外の
関係緒機関
、
地方公共団体
の
研修
とかその他の諸
機関
との
便宜
の
交換
を広く
行つて
行くことが、最もその
成果
を発揮する
ゆえん
である、かように存じまして、第四条の
規定
を設けた次第であります。 第五条は、「
自治
大
学校
は、東京都に置く。」 第六条第一項は、「
自治
大
学校
に、
校長
その他所要の
職員
を置く。」第二項は、「
校長
は、
自治庁長官
の命を受け
校務
を掌理する。」これは
自治
大
学校
が
自治庁
の
附属機関
でございますので、当然かような
規定
になるわけでございます。第三項は、「前二項に定めるものの外、
自治
大
学校
の
内部組織
は、
総理府令
で定める。」
自治
大
学校
の
事務部局
並びに
組織
につきましては、
総理府令
で定めることといたしたわけでございます。 第七条は、
自治
大
学校運営審議会
に関する
規定
でございますが、「
自治
大
学校
の
運営
について
校長
の
諮問
に応ずるため、
地方公共団体
の長及び議会の
議長
の
全国的連合組織
の
代表者
並びに
学識経験者
で
組織
する
自治
大
学校運営審議会
を置く。」これは
自治
大
学校
が
地方公共団体
の各
任命権者
からの
依頼
によ
つて
、
地方公務員
の
研修
を行うのでございます。すなわち
地方公務員法
に基き
研修
を
自治
大
学校
でや
つて
行くわけでございますので、その
研修
の実態は、当然
地方公共団体
の
実情
に即するごとく
運営
して行くことが必要であるのでございまして、さような
意味
から
校長
の
諮問機関
として、かような
自治
大
学校運営審議会
を設けた次第であります。第二項は「前項に定めるものの外、
自治
大
学校運営審議会
の
組織
及び
運営
に関し必要な
事項
は、政令で定める。」かようにいたしておる次第であります。 附則第一項は「この
法律
は、
昭和
二十八年八月一日から施行する。」第二項は「
自治庁設置法
の一部を次のように
改正
する。」とございますが、これは
自治庁設置法
第四条に、
自治庁
の
権限
が掲げてあるわけでございますが、その十五の二に、「
地方公務員
に対し、
当該地方公務員
の
任命権者
の
依頼
を受けて
研修
を行うこと。」という
規定
を挿入いたしたわけでございます。 それからその次の「第二十四条の次に次の一条を加える。」これは
自治庁
の
附属機関
として地方財政
審議
会、中央選挙管理会、
自治
紛争調定
委員
とありますが、その次に、「(
自治
大
学校
)」として、「
自治庁
に、
自治
大
学校
を置く。」二項に「
自治
大
学校
の
所掌事務
、
組織
その他の
事項
については、
自治
大
学校
設置
法の定めるところによる。」こういうぐあいに定めることにいたしたわけでございます。 はなはだ簡単でございますが、以上御
説明
申し上げた次第であります。
中井一夫
7
○
中井委員長
御
質疑
はありませんか。門司君。
門司亮
8
○門司
委員
なるほど
一つ
の
研修
の
方法
として考えられたものであるということが書かれておりますが、
研修
とこういう
地方公務員
の身分というものに、非常に
関連性
があると思うのだが、職階制が定められております今日の状態で、その大学の
研修
を終つた者の身分に、一体どういう特典を与えられるのか。もし特典がなければないでいいが、どういうことになるのか。身分上の問題について聞かしていただきたい。
鈴木俊一
9
○鈴木(俊)
政府
委員
この
自治
大
学校
は、ただいま
公務員課長
から御
説明
申し上げましたように、
地方公務員
の実務の高度の
研修機関
、こういうことでありまするので、普通の大学等と違いまして、そこの卒業ということによ
つて
、当然に一定の資格を得るというようなものではないわけであります。従いまして職階制の上におきましても、ここを卒業したからとい
つて
、当然に職階上の地位が上るというものではなくして、やはり昇任とかあるいは他の職に転ずることの結果として、職階の上の地位がかわ
つて
来ることに相なるわけでございますが、それはやはりこの
自治
大
学校
卒業ということの直接の
原因
とは言えないということになるわけでございます。
門司亮
10
○門司
委員
そうすると、この
制度
自体が、今の御
説明
によりますと、高度というお話があつたのでありますが、実際上の公務員の採用その他高度の
職員
については、大体試験
制度
というよりもむしろ認定をするというか、あるいは
推薦
をするというか、そういう
制度
の方がふさわしいのじやないかというような
考え方
があるわけであります。つまり、試験
制度
によ
つて
画一的のものだけを試験されて、人間としての修養その他の面が一向わからないでお
つて
は、非常に高度の
事務
職員
等についてはさしつかえができて来る。従
つて
公務員の採用については、現在の公務員法と別にそういうことが、多分に考えられると私は思うのだが、もしそういうことを前提としてこの
制度
を考えて参りますると、今の
説明
の
程度
では、そういう高度の
職員
の、人としての養成ということには、少し当てはまらぬじやないかと考えられる。そう申し上げますのは、たとえば警察であるとか消防であるとかいうものには、仕事の面にかなり多く技術的なものを含んでおりますから、ある
程度
の講習がしばしば行われることによ
つて
、自分のや
つて
おる仕事自体の進歩というものはあり得ると思うのだが、地方の公務員の仕事は、そういう技術的なものではなくて、実際は常識的なものの
考え方
で、地方住民の福祉を増進する人を養成することの方が、むしろ必要ではないかと考えるが、その点について
自治
大
学校設置法案
の中には何も触れとおらない。ただ単にいろいろな普通の
研修
をするという
制度
を設けただけであ
つて
、私どもには、ほんとうに
自治
体に必要な
職員
の養成には当てはまらぬじやないかというようなことが考えられるのでありますが、この点について、どの条文でどういうふうに
自治
体のほんとうの仕事をして行こうとされるのか、その点をもし御答弁ができるなら御答弁願いたいと思います。
鈴木俊一
11
○鈴木(俊)
政府
委員
地方公務員
の採用の際におきまして、試験
制度
よりも選考というような面を、多く考えなければいかぬではないかという最初の御
意見
につきましては、私どもも大体さように考えております。ただ初任の際におきましては、一定の試験をいたすのが通常でございますけれども、それから後の昇任というようなことになりますれば、やはり選考ということが基本にならなければならぬと思うのであります。さような選考の際におきまして、
中堅幹部
として
自治
大
学校
において
研修
を受けて来たいというものにつきましては、ある
程度
その後の実績等と勘案いたしまして、選考上その点が考えられるというような実際上の結果になると思うのであります。
自治
大
学校
においての
研修
の
内容
ということは、結局いかなる
研修
の科目をとるかということにな
つて
来るわけでございますし、また
研修
の期間をどの
程度
にするかということとも
関連
して来るわけでございます。これはなお予算その他の
関係
を、
公務員課長
から詳しく御
説明
申し上げたいと思いますが、根本の
考え方
といたしましては、やはり門司さんも指摘になつたような、
地方公務員
として必要な基礎的な教養というものを一面に考えますとともに、また全般の社会情勢と申しますか、さようなことについての一般的な認識を深めるという
意味
の、いわゆる常識的な講座というようなものも、これに交えて行きたいと考えておるのであります。しかしながらやはり根本は、専門
行政
についての各部
行政
論と申しますか、さような
内容
のものをそれぞれ
研修
いたすということに考えておるのであります。またその
研修
の期間でございますが、これは長ければ長いほどいいわけでございますけれども、やはり実務
研修機関
で、現任の
地方公務員
に対する
研修
でございますから、どうしてもおのずからその間に、時間の制限を必要とするわけでございまして、大体六箇月というようなところを
研修
の期間と考えておるのであります。これは大体警察大
学校
等の
研修
期間と同じような
程度
に考えておるのであります。
門司亮
12
○門司
委員
もう
一つ
これで聞いておきたいと思うのは、地方の
自治
体の
行政
事務
というものは、きわめて重要であることは私よくわか
つて
おりまして、要するに権力官庁でないサービス官庁としての
自治
体の要素というものが、同じ公務員でありましても
国家公務員
のあり方とは、相当異なるものがなければならぬ。それからもう
一つ
は、地方の
自治
体というものがだんだん自主的に独立というまでには行かなくても自律性を高めて来る今日の段階にあ
つて
は、私はこういうものが
一つ
の
行政
学上の要素の中に入りはしないかと考える。そうな
つて
来ると、
政府
はこういう大学の
制度
でなくして、むしろ現在の大学令によ
つて
きめられておる大学の正科の中に、こういうものを織り込んで
行つて
、ほんとうに
行政
事務
に携わる者の根本からの養成をして行く必要があるのではないか、そうした権威づけられたものが、やはり必要ではないかと考えられるのでありますが、この点に対するお考えがもしありましたら、ひとつ御答弁願
つて
おきたいと思います。
鈴木俊一
13
○鈴木(俊)
政府
委員
ただいまの大学等に、
地方自治
に関する専門的な講座と申しますか、そういうものを設ける、あるいは大学に
地方公務員
を
委託
学生のような形で派遣するということも、確かに
一つ
の
方法
としては考えられるわけでございますが、やはり
理論
の
研究
と申しますよりも、実務の
研修
ということでございますので、現任の
地方公務員
を中心にして考えますと、通常の一定の課程を経まして六・三・三・四の最後の課程、あるいは大学院の課程において
地方自治
に関する講座に列するということになりますと、どうも実務という点から申しまして、必ずしも適切ではないのではないかと思うのであります。もちろんそのことはけつこうなことでございまして、さような
理論
に十分研鑽を積んだ上、
地方公務員
に入
つて
来るということは望ましいことでございますが、現任の
地方公務員
の
研修
の方式としては、大学に特定の講座を設けるということではどうも足らないのではないか。また
委託
学生というようなことでも、十分に行かないのではないかと考えるのであります。先般シヤウプ博士が参りまして、その勧告の結果として、たしか東京大学には税に関する特別講座が設けられたということを聞いておりますが、そういうような特別講座が設けられますことは、実際の
行政
の
発達
のために、
理論
的な
研究
その他のために、非常に望ましいことではあると思うのでございますが、しかしやはり実務
研修
という点から申しますと、それのみではうまく参らないので、かような施設がやはり必要ではないかというふうに考えるのでございます。
門司亮
14
○門司
委員
最後に、この
法律
の施行の期日でありますが、これが二十八年の八月一日からということにな
つて
いまして、すぐ実行しなければなりませんが、それに対する予算であるとか、あるいはさつきのお話のように施行細則みたいなものが必要であるようでありますが、それが大体あなたの方ではできておりますか。
山野幸吉
15
○
山野説明員
自治
大
学校
の予算について
説明
申し上げます。
自治
大
学校
の予算は、
地方自治
研修
費としまして七百九十八万七千円が計上されております。そのうち非常勤
職員
手当が六十二万四千円でありまして、これは八月から組んでございます。それから諸謝金でございますが、諸謝金といたしまして百七十万一千円でございましてこのうち専任
講師
の手当の分が二名分含まれております。その二名の
職員
費は八月から計上してございます。たとい九月
開議
になりましても、八月から準備にかからないと
開議
に間に合わない
関係
上、人件費は八月から計上してあるわけでございます。それから
職員
旅費としまして九万一千円。それから庁費が四百八十一万七千円でございます。これは諸調度調弁費、机を購入したりいろいろする備品が二百十二万三千円でございます。その他消耗品費二十三万四千円。印刷製本費が百六十万六千円。それから光熱及び水料が八万円。通信運搬費が八万三千円。雑役務費が六万一千円。
自動車
維持費が十万二千円。借料及び損料が五十二万八千円。それから項になりまして各所修繕が四万五千円。
会議
費が一万六千円。それから各所新営が六十九万三千円。以上合せまして七百九十八万七千円にな
つて
おる次第でございます。
門司亮
16
○門司
委員
もう
一つ
聞いておきたいと思いますことは、この大学の
性格
は、第一条に書いてある
通り
だと思いますが、われわれがもう
一つ
杞憂いたしますことは、これによ
つて
自治庁
が、昔でいえば内務
行政
というものに片寄る危険性はないかということであります。これは非常に重要なことだと思うのでありまして、今でも地方の都道府県の人事に対しましては、
自治庁
からのさしずとまで私は申しませんが、了解
事項
が相当多いと考えております。そういう時期に、もう一歩進んでここに
自治庁
のもとに大学が置かれて、ここで
研修
されるということにな
つて
参りますと、いたずらに地方の
自治
体の人事の自主性がなくな
つて
来て、そして何か
自治庁
に
関連
を持つ人事
行政
が行われはしないかということが考えられるのであります。これは一面から考えると、そういうことを避けるために独自のこういう
研修機関
をも
つて
やるのだという議論も、あるいは成り立つかもしれないけれども、しかし実際はそういう形式論でなくして、現在より以上に地方の
自治
体の人事
行政
が、
自治庁
の人事
行政
のような形になりはしないかと私は考える。こういう点について、むろんこの
法律
でそうは行かないというようなことをきめるわけには参らぬと思いますが、しかし実際においてそういう危険性はないかということが、われわれには心配されるのでありますが、そういう人のつながりにおいて弊害を及ぼすようなことはないかどうかということを聞いておきたいのです。
鈴木俊一
17
○鈴木(俊)
政府
委員
門司
委員
の御心配の点は、この
自治
大
学校
ができ、その卒業生が地方団体に再び帰
つて
仕事をやる、そういうことのつながりから、何か特別に
自治庁
と申しますか、中央
政府
との間の
関係
で拘束されるような結果になり、それが何か思わしくない結果を生じはしないかという点の御心配でございます。一応そういう御心配がなされますことは、あるいは無理からぬ点があろうかと思いまするけれども、しかしながら従来の旧地方
制度
におきますような
意味
の、いわゆる人事権を一手に中央が掌握をして、指揮監督をするというような
建前
の時代においてならば別でございまするけれども、今日におきましては、さような
建前
に基かないで、各地方団体がそれぞれ自主独立の
行政
運営
をいたしておるような
建前
でございまして、従
つて
むしろかようなそれぞれ本来独立にやります
地方公務員
に対して、共通の
研修
場をつくることによりまして、他の地方団体において非常に能率的に、効果的に行われておる
行政
を、相互知得する機会を得るということにもなるわけでありまするし、これがやはり
行政
の全体の水準を高めて行くことに、裨益するであろうと考えられるのであります。そういう
意味
から、これは
地方自治
の全体の面から申しまして、私どもはかようなことを通じて全体の
行政
が上
つて
行くのではないか、権力的な関与というよりも、むしろかような方式による地方
行政
の責任の向上ということが、新しい
地方自治
の姿において、国と地方との
一つ
のつながりの面ではないかというふうに考えるのでございます。
加藤精三
18
○
加藤
(精)
委員
私この条文を見まして、どうも学問がないものだからさつぱり
意味
がわからないのですが、第二条の第一項の第一号に「高度の
研修
」とある。それから二項の一号に「
制度
及びその
運営
に関する
理論
及びその
応用
」とあるのですが、これはどう違うのか。片方は各論で片方は総論だという
意味
ですか、これが
一つ
。 それから第二条の第一項の第二号は、各
任命権者
が行うところの教育をここで
研究
するということなのでありますが、これは生徒がやるのか先生がやるのかわからないのです。これはどういうことなのか。大体こういう教育
方法
論とか、教育
行政
論とかいうものは、他の場合においては師範教育でやるものなのであります。ところが
自治
大
学校
には、いわゆる師範教育に当るようなものがない。しかもそういう教育
方法
論的なものの規範を、ここで固めようというのは一体無理でないかと考えるのであります。 それから第六条ですが、私は今の
地方自治
庁というものは、非民主的な
思想
を持
つて
おる方で固ま
つて
おるようには思われない、きわめて民主的な
内容
を持
つて
おると思いますので、第六条には「
校長
その他所要の
職員
を置く。」とあるのですが、これは
自治庁
の次長をも
つて
校長
に充てた方がいいように思うのです。これはできれば御回答願いたいのですが、御回答が御無理なら速記録にとどめておいて、私の希望として申し上げておきたいと思います。 それから人事
委員会
との
関係
でありますが、
自治
大
学校
を卒業した者は、その成績を
任命権者
に通知してや
つて
、そうしてその当該団体の人事
委員会
とか、公平
委員会
が勤務成績の判定にこれを用いるように、
地方公務員法
の第四十条によ
つて
そういう連絡は当然つけるのじやないかと思うのですが、第四十条との
関連
を次長さんが御
説明
なさらなかつた
理由
は、どういうわけかということを疑問に思
つて
おりますので、それだけ御
説明
願いたい。
鈴木俊一
19
○鈴木(俊)
政府
委員
加藤先生
は教育
行政
の大家でございますので、いろいろ
研修
の
方法
との
関係
において御指摘でございますが、第一のお尋ねの「高度の
研修
」という点でございますが、これは
先ほど
公務員課長
が申しましたように、やはり初任の初度
研修
に対して、これで行うのは高度の現任公務員に対する再教育という
意味
での高度の
研修
である、大体地方において府県単位等におきましての初度
研修
が行われますが、それよりも高度という
意味
でございます。 それから第二条の第一項第二号の
地方公務員法
第三十九条に
規定
する
研修
の
内容
及び
方法
について
調査研究
を行うということと、第二項第一号の
地方自治
に関する
制度
及びその
運営
に関する
理論
及びその
応用
について基本的な調査及び
研究
とは、どう違うかということでございますが、第一項第二号の三十九条の
研修
の方は、各
任命権者
が公務員法三十九条によりまして
研修
をいたしますその
研修
の
方法
についての
調査研究
、お話のごとく師範教育の段階において考えられることでございますが、これをやはり
附属機関
である
自治
大
学校
としてその
研究
方法
を
研究
する。従
つて
これは主体はやはり
校長
なり
講師
なり、さようなところが中心にな
つて
自治
大
学校
として
研修
方法
は、いかなる
方法
がよろしいかということを
調査研究
し、その
成果
を刊行する。それを第三条の方で、地方の
研修機関
に対して提供するということになるのであります。第二項の第一号の方はさような
研修
とは離れましてやはり
自治
大
学校
にたとえば
地方自治
に関する専門図書館を置く、それはむしろ第二項の第二号に
関係
いたしますが、さような専門図書館を置き、また専門的な
自治
診断ができますような人をできるだけそろえて、そうして
自治
体の
自治
制度
全般についての
理論
的
応用
の基本的な
研究
をする、そして地方からの
委託
がございましたならば、これを地方に提供する、これは第四条との
関連
が出て来るわけであります。従いまして
自治
大
学校
の機能といたしましては、本来の
研修
事務
と、それから
研修
方法
に関する
研究
と、
地方自治
の
制度
及び
理論
についての
調査研究
、さらに
資料
の収集というような図書館的な機能、大体大ざつぱに申しますと四
通り
の機能を持つというふうに考えておるのであります。 それから第六条の点に
関連
してお話がございましたが、これはやはり将来予算等が許しますならば、真に
地方自治団体
に勤務いたしておりますすべての人
たち
が渇仰するに足るようなすぐれた民間人を
校長
として迎え、
先ほど
もいろいろお話がございましたように、単に技術的な
事務
の
研修
をするというだけではなくて、やはり人間的な教養もここでおのずから何ほどかの訓練を経て帰り得るというような人が
校長
に得られることが、一番望ましいと思うのであります。ただただいま非常に予算その他につきまして、なお整備を期さなければなりませんので、逐次さような形に持
つて
参りたいと考えておるのであります。 それから
自治
大
学校
の卒業者というものが、地方の実際の
職員
の任用と申しますか、昇任、昇給、昇格といつたような人事の
行政
の上に、どういうふうに反映するかという点であります。この点は
先ほど
門司
委員
からもお尋ねがあつた点でございますが、ただ私ども考えますのは、
自治
大
学校
を卒業したからとい
つて
、それによ
つて
当然に
一つ
の特権的な昇給、昇格の資格を得るというふうに考えることは、これは適当でないと思うのであります。しかしながら
加藤先生
のおつしやいますように、
自治
大
学校
における
研修
の成績が、きわめて優秀であるというようなものは、今度実際当該の地方団体におきまして勤務をいたしますような場合におきましては、多くはこの第四十条によります勤務成績の評定におきましても、非常にすぐれた評定の結果を得る場合が多いだろうと思います。その結果として、勢い昇任とか、昇給あるいは昇格というようなことが多いというふうに考えるのであります。ただ卒業したからとい
つて
、当然に一定の特殊な扱いをするということについてはどうであろうか、それが実際の勤務に現われた上において考えられる、こういうふうになるべきものであろうと思うのであります。
加藤精三
20
○
加藤
(精)
委員
ただいまの御
説明
を聞いてびつくりしたのでありますが、大体
自治
大学の
事務
の中の四つ掲げておるうちの三つは生徒に
関係
がない。非常に
程度
が高い人があるいは教授法を
研究
したり、あるいはその
自治
診断の名人を置いて、そこであつちこつちまわらして
資料
をとつたり、専門図書館を置いたり、いろいろなことをするので、ここに第一項第二号の中に四つあるうち三つは授業というか、教育のほかのことなんですね。そうしますと、どうも第一条と合わなくなる。第一条はこれは高度の
研修
を行うために置くと書いてあるだけで、
自治
行政
の
研究
機関
ではないのですね。第一条は
学校
であ
つて
、第二条は、大
部分
は
研修
所とか
行政
研究
所みたいなものなんですね。たとえば市政調査会みたいなもの。そうすると第一条と第二条と合わなくな
つて
来るのではないかと思うのです。その点がどうもふしぎでならないのですが、どういうわけですか。 第二番目は、
校長
その他所要の
職員
を置くのだけれども、今承りますと、この前の十五国会で提案されたと同じように、次長さんが兼務なさるというふうな御予定なんですか。その点をひとつお尋ねいたします。
鈴木俊一
21
○鈴木(俊)
政府
委員
最初のお尋ねの点でございますが、
先ほど
四つの仕事があるというふうに平面的に羅列的に申し上げましたので、誤解を生じて恐縮であります。この第二条第一項の、
自治
大
学校
は左に掲げる
事務
を行う、それがやはり
自治
大
学校
の仕事の基本であります。一号はそれ自体の
研修
でございます。二号は地方の
研修機関
に対する問題でございまして、やはり
研修
という範囲の仕事であります。その第二項は、「前項に
規定
する
事務
とあわせて、」こういうふうに特に表現の上でも「あわせて」と申しておりまするのは、やはり附帯的な
事務
としてという
考え方
であります。もちろんこの第二項の一号あるいは二号のことは、
先ほど
ちよつと
自治
診断ということを申し上げましたのは、いささか言い過ぎかも存じませんが、やはり基本は第二条の第一項の高度の
研修
なり、あるいは
研修
方法
の
調査研究
というようなものとも結びついておるわけでございまして、
理論
なり
応用
についての
研究
が、同時に
研修
として反映をして参るということでございますから、やはりこれはあくまでも附帯
事務
というふうに、お考えをいただきたいと思うのであります。そういう
意味
で特に項をわけ、なお「あわせて」という表現を用いておる次第であります。 それから第六条の点につきましては、十五国会に提案をいたしましたのは、
法律
上当然に
自治庁次長
が兼任をするという
建前
でございましたけれども、今回提案いたしております案におきましては、さような
法律
上の拘束はいたさない。予算その他実際上の運用が可能でありまするならば、兼任というような方式をどらないで
処置
ができるというように考えております。
加藤精三
22
○
加藤
(精)
委員
私ただいまますますわからなくなつたのですが、第二条の第一項が本来の仕事であ
つて
、それは高度の
研修
だとおつしやるけれども、第一項のうちの第二号は、
先ほど
のお話では先生方その他偉い人だけがそういうものを
研究
して、そして地方の方へ刊行したりして知らせてやるのだというお話だつたので、いわゆる
学校
形態で教育をする
部分
は、第一項のうちの第一号だけじやないかと思われるのです。どういうことかというと、いわゆる
学校
でやるというのは、何としても不特定の多数人で、一定の時期に特定したところの人間に対して相当の期間拘束して、そして一定の学科課程を定めて継続的に教育をするところが
学校
なんです。そういう仕事の中に入るものは、四つのうち
一つ
しかないのではないか。どうも四分の三がほかの仕事であるならば、
自治
大
学校
という名前が、おかしくはないかと考えるわけであります。その点だけお尋ねいたします。
鈴木俊一
23
○鈴木(俊)
政府
委員
先ほど
も申しまするように、四つの仕事というふうに分量的に書いて、ありますることがみな同じような前提で、仰せになりますると、さようなことになろうかと思いまするけれども、第一項と第二項は書き方を異にしておりまするし、高度の
研修
を行う
機関
として、国家
行政
組織
法に基いて
自治庁
に
自治
大
学校
を置くということは第一条の根本であります。従
つて
第二条第一項の第一号にその点が出て参り、また地方の
研修
を伸張さすということか、第二号に出て参るわけでありまして、そういう
意味
でやはり
研修機関
ということが基本であります。さような
研修機関
を基本として
性格
づけましても、それに
関連
のある附帯的な
事務
を若干行わしめるということは、むしろ適当ではないかというふうに考えられるのでありまして、そういう
意味
で第二項の
事務
を附帯
事務
として掲げた次第であります。
大石ヨシエ
24
○大石
委員
鈴木次長さんにちよつとお尋ねしますが、
地方公務員
の資質を向上し、
勤務能率
の発揮及び増進をはかるとありますが、現在
地方公務員
さんというものは、こういう大学へ入らぬと
勤務能率
を増進し、そうして発揮することができないほど無能なんでしようか。それをまず私は聞きたい。
鈴木俊一
25
○鈴木(俊)
政府
委員
これは現状が適当でないというよりも、さらによりよくしようということでございます。
大石ヨシエ
26
○大石
委員
それではこの大学を卒業した人の資質が向上して、
勤務能率
が上る責任は、あなたがお持ちになるのですか。あなたが
校長
さんにおなりになるということを聞いておりますが。私は、こんなばかなことで金を使うのだつたら、もう少し意義ある方面に金を使いたいと思うのです。それから、この
資料
の中には、アメリカにもあるからということがありますが、これはアメリカのまねをなさつたんですか。世界各国どこにこういう
自治
大
学校
というようなものがありますか。それを私は知りたい。
鈴木俊一
27
○鈴木(俊)
政府
委員
この
自治
大
学校
の問題を、私個人と結びつけてお話をいただきますことは、はなはだ遺憾でございます。(大石
委員
「だれが
校長
になるんや」と呼ぶ)これは
自治
大
学校
という
制度
として考えていただきたいと思います。
自治
大
学校
といたしましては、もちろん
学校
全体の
運営
の問題は、
校長
の責任でございますけれども、この
自治
大
学校
が地方団体の実際の
実情
に遊離しないようにいたしまするために、第七条に
自治
大
学校運営審議会
を置くことにいたしておりまして、これにはそれぞれ地方団体の
代表者
が加わり、それがこれを
組織
するという
建前
にな
つて
おります。これに
諮問
をいたしまして
校長
が
運営
をいたして行くということでございまするから、これは一人の
校長
でありますとかいうような個人的な責任において、事を運びますというよりも、やはり地方団体とむしろ全体の責任において、
地方公務員
の向上あるいは地方
行政
の能率の発揮ということに、せしめようということがねらいでございまして、決してまつたく遊離したものをつくろうという考えではないのでございます。 それから諸
外国
にかような例があるかというお尋ねでございますけれども、これはかような名前のものは、私も狭い範囲でございますが、
承知
いたしておりません。しかしながら諸
外国
にあるなしにかかわりませず、かようなことが適当であると考えまして、かような提案をいたした次第でございます。
大石ヨシエ
28
○大石
委員
ただいま鈴木さんが、その
自治
大学の
運営
審議
会は
学識経験者
でも
つて
組織
してそうして
自治
大
学校
の
運営
のよろしきを得るとおつしや
つて
おられますが、一体
地方自治
というものは、そんな
学識経験者
が知
つて
おるのではありません。地方のほんとうの家庭の主婦やほんとうの勤労大衆がこれを知
つて
おるのです。
学識経験者
がこういうような
自治
体の
運営
いかんについて、いくらりくつを言つた
つて
そんなものは机上のりくつである。ほんとうは勤労大衆や、主婦がこれを知
つて
いる。大体こういうようなばかなことで金を使うことには私
たち
は反対です。だれがこの法案をきめたのですか。まず第一にそれを聞かしてほしい。一体だれがこれを立案したのですか。あなたですか、だれですか。こんなばかなことで金を使うのだつたら、もつと意義がある方に金を使う方がよろしい。国民の血税でも
つて
、こんなばかげたことをするなんて何ですか。この
学校
へ行つたら必ず
地方公務員
というものの向上をはか
つて
、
勤務能率
をよくすることができるのですか。だれがこれを立案したのですか、これを聞かしてください。
鈴木俊一
29
○鈴木(俊)
政府
委員
政府
として責任を持
つて
、国会に提案した法案でございます。
西村力弥
30
○
西村
(力)
委員
ここに今出ている
資料
を見ますと、「中央
研修
施設
設置
等に関する
意見
調」というところをずつと見ますと、まつたく奇跡的に近い、全部がその必要性を認めておる。こういうぐあいになりますと、
地方自治団体
の総務部長あるいは人事
委員会
の
事務
局長、そういう人々の立場、たとえば一切この法案に反対する立場でありますが、これについてとかくこういう
意見
を求める場合には、質問の文言ということが回答を左右する場合が非常に多い。その出した質問書の文章はどういう文句で、どういうぐあいに書かれたか、これをひとつお聞かせ願いたい。
山野幸吉
31
○
山野説明員
お答え申し上げます。その質問書の原文を持
つて
おりませんので、若干の相違はあるかと思いますが、中央
研修機関
を設けることの必要性の有無についてどう思うか、そうしてもし必要とするならばその
理由
はどうか、こういうような問い方であつたと記憶しております。
西村力弥
32
○
西村
(力)
委員
研修機関
の必要あるかどうかについての回答を求められたということになりまするならば、その際に、地方で各県とも
研修機関
を持ち、いろいろ足らないながらもや
つて
おる、こういうものを拡張する方式をとる、その指導
援助
は
自治庁
の公務員課なら公務員課でやる、こういう点を並行して示して質問をなされたかどうか。そういう地方団体自体がや
つて
おるそのことに一切おかまいなしに、中央でやると、これだけを示したとするならば、地方で
研修
の
組織
を持
つて
や
つて
いることが、財政的にもあるいは人的にも非常に苦労が多いために、それでは中央にまかした方がいいという
考え方
にな
つて
、必要ありという回答になつたのではないかと思われる。これをやる場合には、一面、地方が自主的にや
つて
いるものをどう育てるかという
一つ
の
考え方
を
自治庁
としても持
つて
、両方示してこの回答を求めなければならぬじやないか、かように私どもは思う。その点はなされなかつたというわけなんでございますか。
山野幸吉
33
○
山野説明員
御説の点につきましては、現在なるほど
地方公共団体
に、大体二十六くらいの府県に
研修機関
がございます。しかし
先ほど
来申し上げましたように、都道府県の
研修機関
ではどうしても
講師
が
不足
したり、設備が十分でないという
理由
でかねて六団体からぜひ中央の
研修機関
をつく
つて
くれという要望がございまして、そうしてそういう要望に基きまして、私どももこのような
研修機関
をつくることといたしたのであります。その質問の仕方につきましては、そういう
研修機関
の
事務
はどこでやるのだ、どこの
権限
としてやるのだということまで、詳細をきわめて聞いてはおりませんですが、大体私の方から照会いたしましたので、
自治庁
の
機関
としてつくるのであろうということは、想像できたと思う次第でございます。
西村力弥
34
○
西村
(力)
委員
先ほど
門司
委員
が心配なされたことは、これは実に重要な問題であります。私もその
通り
に考えておるわけなのでございますが、そういう観点に立てば、まず第一番目にはやはり地方の
研修
組織
を育成するという方向に主力が向けられることが、このような懸念というものを払拭するまず第一の道であると思うのです。そういう方向に対して
一つ
の目を開かせる、あるいは打通の道を示す、こういうぐあいにして、なおかつそれでも中央において
研修
組織
を必要とするという結論になれば、その必要性ありという回答を、全部その
通り
納得できるのですが、そうでない限りは、どうも現状が苦しいから思うようにできない、やむを得ず中央にこういう
機関
を求めるのだということに追い込まれて
行つて
、この必要性ありという回答をしたのだというふうなぐあいにも、私は考えざるを得ない。それについて、こういう
自治
大
学校
という名称をつけたところにも、いろいろそういうものと
関連
するものがあるのじやないかと思われる。これを思うとすぐ警察大
学校
を連想するのでございまするが、こういう
研修
組織
で、大学なる名称をつけておるのは、この二つだけだということを思うときに、この
自治
大
学校
と名称をつけられたその
理由
、単に大
学校
というと、何か権威のあるもののごとく受取られ、そうして人々はそれにこぞ
つて
集まるのではないか、そういう角帽をかぶつたからという自信のもとに、
研修
の効果も上るのではないか。こんなような
理由
以外の相当の
理由
があるのではないか、かように思われる。その点についてどういうお考えでございまするか。ちよつとお聞かせを願いたいのであります。
鈴木俊一
35
○鈴木(俊)
政府
委員
自治
大
学校
の将来の
運営
に関しまして御心配の点でございます。これは実はやや打明け話のようなことを申し上げまして恐縮でございますが、数年前アメリカ軍総司令部の存在しておりました時代に、地方団体
全国
六団体の
代表者
と、当時の
自治庁長官
でありました岡野大臣との間におきまして、やはり将来の
地方自治
ということになると、何か中央に
地方公務員
の教育
研修機関
、それに附帯した専門の図書館といつたようなものを設けまして、それにはアメリカがいろいろ金を
日本
につぎ込んでおるけれども、かような基本的な
研修
施設教育施設のようなものに、アメリカからも金を出してもらい、
日本
政府
もこれに金を出し、地方団体もしかるべき
程度
の額を
負担
して、そうして最も適切な、
一つ
の総合的な、たとえば
自治
大
学校
というようなものでも考えて、将来の記念的な施設に残したらどうであろうかというような話があつたのであります。それがだんだん話が具体化されまして、結局アメリカのロツクフエラー財団及びフオード財団に対しまして、かような
自治
大
学校
の
設置
という名前のもとに、しかるべき
経費
をひとつ寄付してもらいたい、こういう申出をいたしたのであります。それに対しましては司令部が非常に賛成でございましたし、地方団体全体といたしましても、みな賛成でございましたので、さようなことをいたしたのでございますが、遺憾ながらその後占領が解除になりますまでの間に、これの具体化という
措置
がなかつたのであります。岡野
自治庁長官
も、アメリカを経由して帰
つて
参ります際に、フオード財団の
関係
の方にもさらに話をして参つたのでございますし、当初総司令部側でも相当の見込みがあるという話であつたのでありますが、結局そのことなくして終つたのであります。それがかような
自治
大
学校
という名前が残
つて
参りました
一つ
の沿革上の
理由
でございまして、そういうようなことで話がずつと進んで参つたものでありますから、施設なり
講師
なり、その他の点を中央の
政府
で
負担
をし、
地方公務員
の
研修
の旅費その他の
経費
は、地方団体が
負担
をする、こういうようなことで、かような形のものを考えたのであります。この
運営
が何らか悪い
意味
の中央集権的なものに使われはしないかという御疑惧の点は、あるいはさような御心配も無理からぬ点もあるかと思うのでございますけれども、
先ほど
申し上げましたように、
全国
の都道府県、市町村の執行
機関
、及び議決
機関
の連携
組織
の
代表者
と、
学識経験者
で
組織
いたします
運営
審議
会を置いて、それと緊密な連絡をと
つて
、これを
運営
して行こうということでありまして、これはひとり
学校
の
運営
のみならず、
学校
を卒業いたしました者の将来の問題につきましても、やはりかような
機関
と緊密な連絡をと
つて
、処理されることになると思いますので、御心配のようなことは、万々あるまいというふうに考えておる次第でございます。
西村力弥
36
○
西村
(力)
委員
心配ないといえばない、あるといえばあるようなものですが、現在の国の進行状況からいいますと、こういうようなものがつくられるとすれば、結局この大学を出た者が、まあか
つて
の陸軍の天保銭組というような立場で、誇りを持
つて
地方団体に帰
つて
行くというようなことが、直接住民の利益になるかどうかということになりますと、まつたく疑問を持たざるを得ないと考えます。それでそういう点をカバーする
一つ
の
措置
として生れたのではないかと思いますが、去年の原案には次長さんが
校長
さんになられるというぐあいに出ておつた。それに対していろいろな
意見
があつたが、今度はそういう特定人を
校長
にするというふうなことではなく、原案ができておる。こういうふうに原案を練り直された根拠はどういうところにございますか。私どもとしてはこういう立場を個人と
関係
づけることで反対をするというばかりでなく、やはりそこの根本には大きく、今中央集権的な方向に行くことを懸念する、
一つ
の別の因子が作用しておるというぐあいに把握したいのでありますが、どういうわけでありますか。
鈴木俊一
37
○鈴木(俊)
政府
委員
これは予算等との
関連
がございましたのと、それから
地方公務員法
にございまするような
自治庁
の技術的な勧告、助言というような
規定
と結びつけて、第十五国会に提案をいたしました法案においては、御指摘のような
規定
があつたのでございまするけれども、しかしその後
政府
といたしましては、本国会にこの法案を提案するにあたりまして、やはりさような一定の官職にあります者をも
つて
、当然に
校長
に充てるというような方式は、
自治
大
学校
の本来の
性格
にかんがみて適当でないのではないか、やはりすべての地方団体の
地方公務員
の人
たち
が、ほんとうに仰いでも
つて
長とするに足るだけのりつぱな民間人を、その地位に得ることが最も望ましいことであろう。それをただ一定の官職上の地位にある者をも
つて
充てるというような、味のない方式は適当でないという
考え方
から、さような法的な拘束、規制をやめることにいたしたのであります。
西村力弥
38
○
西村
(力)
委員
飛び飛びになるようですが、この
学校
を
設置
するということになれば、
研修
所などとは違
つて
、そういうときには監督官庁である文部省の許可を得なければならぬことに普通な
つて
おりますが、これはそういう
学校
教育法に基かない
学校
というぐあいになるだろうと思います。そういう場合に大
学校
という名前を使用してもかまわないものであるかどうか、法的にはどうな
つて
おりますか、その点御見解をお伺いいたしたい。
鈴木俊一
39
○鈴木(俊)
政府
委員
これは
先ほど
来お話のありましたような警察大
学校
、あるいは保安大
学校
、海上保安大
学校
というような大
学校
は、
学校
教育法によります大学と違うということであります。
学校
教育法によります大学は六・三・三・四の体系のもとに門戸を一般者に開放して、機会均等でだれでも一定の資格のあるものを試験によ
つて
入学させるという
建前
に立
つて
いるわけでありますが、これは現在
地方公務員
であるということが要件でありますとともに、やはりその
地方公務員
の
任命権者
が
推薦
したということが、ここに入りますための要件であります。そういう
意味
でこれは現に実務に携わ
つて
おります者の、再教育
機関
ということでありますので、従
つて
学校
教育法によりますところの大学の
設置
手続とは、まつたく別個な系統に属することとなるわけであります。この点は文部省とももちろん十分了解のついている点であります。
西村力弥
40
○
西村
(力)
委員
最後にいろいろ懸念している問題のうち一番決定的なものは、やはり
運営
審議
会の構想とか、あるいは
職員
の構成とか、教科の
内容
ということが、一番決定的なものになるのではないか。かように私は思う。それで
総理府令
で定める
職員
の構成とか、政令で定める教科の
内容
というものについて、すでに計画がおありと思いますので、その
資料
があつたらお示し願いたい。
山野幸吉
41
○
山野説明員
それはあとで差上げることにいたします。
佐藤親弘
42
○
佐藤
(親)
委員
前に公務員の試験
制度
として高文制というものがあつたが、
本案
はそのうちの
行政
の最高試験に通
つて
、その
職務
をとる人を養成する趣旨においてつくられたと拝承していいのですか、どうですか。
鈴木俊一
43
○鈴木(俊)
政府
委員
高等試験の
行政
科と同じような資格を、事実上ここを卒業した者に与えるという
考え方
で立案したのかどうかというお尋ねでございますが、そういうお考えもあろうかと存じますけれども、そういう
考え方
よりも、やはり
中堅職員
の高度の
研修
ということでございまして、従来の高文
制度
はいわゆる資格試験で、その資格が一生ついてまわるというところに、いい点も悪い点もあつたわけでございますが、この
自治
大
学校
と申しますのは
中堅職員
の
研修機関
として、高度の
研修
を行うというだけであ
つて
、それが実際の
運営
においてどういうふうに反映するかは、各人事
委員会
なり、
任命権者
の
考え方
の問題であるというふうに考えているわけであります。
佐藤親弘
44
○
佐藤
(親)
委員
そうしますと司法
研修
所出身で判事、検事になるような人、そういう方の
建前
と両々相ま
つて
進んで行く、要するに
自治庁
における
職員
を養成する趣旨から、本法の立案となつたと承
つて
よいのかどうですか。
鈴木俊一
45
○鈴木(俊)
政府
委員
やはり高等試験の
行政
科の試験、ちようど今の司法試験に対応するような
意味
の試験というものと同じような資格を与えるという
意味
は、この
自治
大
学校
では全然考えておりません。やはり今御指摘のような点は、むしろ
国家公務員
の現在
行つて
いるあの試験が、いま少し改善の余地があろうと思いますけれども、そちらの方とどういう
関連
を持つかということではないかと思うのであります。これはあくまでも
地方公務員
の高度
研修
ということでございますので、御指摘の点とは直接には
関係
がないというふうに考えております。
藤田義光
46
○藤田
委員
ごく簡単にお伺いします。まず第一に
先ほど
の
公務員課長
の御
説明
によりますと、大
学校
の予算というものは実に微々たる額で、こういう予算ではわれわれの企図するようなりつぱな
研修
は不可能じやないかと考えております。警察大学の例をとられましたが、予算額において実に問題になりません。こういう点は今後どういうふうに改善されて行く予定でありますか。
鈴木俊一
47
○鈴木(俊)
政府
委員
今回の予算は平年度に直しますと、約一千万円くらいでございまして、御指摘のように貧弱なものといえば貧弱なものでございます。しかしこれが初めて発足いたすということでございますので、さような予算でございましたが、将来はできるだけ
校長
なり、あるいは専任の教授なりを充実いたし、ほんとうにしつかりした基礎に立つた
研修
が行えるようにしなければならないというように考えているわけであります。これはだんだんと予算上の
措置
その他を改善をして参りたい、かように考えております。
藤田義光
48
○藤田
委員
ただいま次長の答弁されたような一応理想的な
運営
をするのには、年間どのくらいの予算を必要とするか。当
委員会
としても、もしこの
法律案
に賛成すると重大な問題でありますので、特にこの点を、大蔵省との折衝段階におきましてても、われわれは重大な関心を持ちたいと思いますから、お伺いしたい。 それから
先ほど
大石先生あたりからも質問があつたと思いますが、民主化の点に関する懸念の質問もありましたが、教授の人選ということが非常に重大であります。これによ
つて
自治
大
学校
の効果の相当大
部分
が左右されることは当然でありますが、具体的にはまだきま
つて
おらぬと思いますが、一般抽象的な教授、
講師
の選考方針というようなものでもありましたら、お伺いしておきたい。
鈴木俊一
49
○鈴木(俊)
政府
委員
ただいまの第一の問題でございますが、理想的な施設をするのには、どのくらいの
経費
を要するか。これはなかなかむずかしい御質問でございまして、どの辺が理想的な姿であるかということにつきましては、なお将来私どもも
研究
を要すると考えております。現在たしか警察大
学校
の予算が、千五、六百万
程度
ではなかつたかと思いますので、やはりこれらが
一つ
の目途になるのではないかと考えております。 それから第二の教授、
講師
の陣容の整備の方針は、どういう考えであるかというお尋ねでございますが、この点については予算との
関係
もございますけれども、やはり実務
研修
でございますから、一面においては各省あるいは民間団体等の専門の
研究
家、
行政
実務家等を
講師
として考えておりますが、やはり基礎的な教養の学科に関しましては、大学の先生方に御出馬願いたい。それからさらに一般の常識的な講義というものも考えなければならぬと思いますが、こういうものについては、言論界その他それぞれ適当な方面の人を出したいというふうに一般的な方針としては考えております。
藤田義光
50
○藤田
委員
最後に一問。
研修
生の数の問題は、各府県大体割当になりますか。あるいは
全国
で五十人なら、一番から五十番まで成績によ
つて
採用されるつもりであるか、これは運用上の非常に小さい問題でございますが、それをお伺いしておきたいと思います。
鈴木俊一
51
○鈴木(俊)
政府
委員
大体府県別に地方団体に割当をするということになろうかと考えております。と申しますのは、定数が一応百五十人という予算の基礎で考えておりますので、何らかの客観的な基準で一応割当をして
推薦
をしてもらおうというふうに考えております。
床次徳二
52
○
床次
委員
この
自治
大学で
研修
を受けました者に対しましては、やはりある
程度
まで
地方公務員法
の立場から将来の職域におきまして待遇に
関連
させる方がいいのじやないか、あるいは
国家公務員
法等のつり合いからいいましても、ある
程度
まで考慮する必要があるのではないかと思います。その方が本人の励みになると思いますし、将来の優秀な
職員
をつくるという立場からも必要があるのではないかと思いますが、この点に対してどういうふうに考えるか承りたいのであります。それから、でき得る限り地方から進んで
研修
を受けさせるためには、やはり相当の補助等も考慮しなければいけないのじやないか、今
政府
が予定しております
経費
におきまして、どの
程度
地方の
負担
に対して
援助
し得るか承りたい。
鈴木俊一
53
○鈴木(俊)
政府
委員
この
学校
を卒業いたしました方は、
先ほど
来申し上げますように、一般的にはやはり人事
委員会
、あるいは
任命権者
の選考というような際におきまして、かようなことを
一つ
の有力なる基礎にして行うということになろうと思うのであります。それから
先ほど
も御指摘がございましたような勤務成績の評定というようなところにも現われて来ようかと思うのであります。そういうところで人事
委員会
なり、あるいは
任命権者
の人事
行政
の施行の上に反映するようにするということがやはりいいのではないか、これを何か一定の条件付をする、義務付をするというようなところまで参りますることは行き過ぎではないだろうかというふうに考えておるのであります。 それから地方から
自治
大
学校
に参りまして
研修
をいたします者の
経費
でございますが、教材その他につきましてはこちらで予算的に
負担
をいたす考えをいたしておりまするが、東京へ派遣をいたします旅費等につきましては、やはり地方団体の
負担
という
建前
に考えております。しかしながら、同時に
地方公務員
の共済組合の宿泊施設等を利用いたしまして、
経費
としてはほんとうの実費で事が済むようにいたしたいということで、今このような設備との調節
関連
を考えておりまして、設備の方を急いでおる次第であります。
北山愛郎
54
○北山
委員
基本的な問題ですが、
先ほど
の大石さんの質問とちよつと
関連
しますが、現在の
地方公務員
の素質あるいは能力が低い、これを
引上げ
てやろうというのがこの趣旨だろうと思うのですが、それでは
自治庁
では今の
地方公務員
を見てどういう点が一番欠点というか、遅れておると考えておられるかお伺いします。
鈴木俊一
55
○鈴木(俊)
政府
委員
やはりそれぞれの地方団体が独立の姿において
地方自治
を
運営
いたして行く、
地方公務員
も、そういう
意味
で
地方自治
行政
の一一の
運営
に参加しておる、こういうのが現在の
建前
でございまするから、従
つて
、やはり一番要望されますることは、他の地方団体でどういうふうに
運営
をしておるか、あるいは同様の
事務
を国ではどういうふうに
運営
をいたしておるか、あるいは
理論
的に
研究
をして能率的な
運営
ということはどういうふうにすればよろしいか、こういうような点をできるだけ知得せしめる機会を与えることが望ましいのではないかと思うのであります。そういう
意味
で、かような共通の
一つ
の
研修機関
を持ち、その
機関
を通じまして国なり他の地方団体なりの
行政
の
運営
の仕方を
理論
及び
応用
について
研修
を受けることが必要ではないかと思うのであります。
北山愛郎
56
○北山
委員
私が
地方公務員
を見て感ずるところでは、
法律
の知識が多くなればなるほど、
法律
の執行、
法律
の適用というような
法律
万能主義といいますか、そういうような傾向の欠点がひどく目立つわけであります。たとえば現在の県の
職員
の方が、いわゆる
事務
能力というような点においては、市町村の
職員
よりも一応高いのじやないかというふうに一般には常識的に考えられる。しかし、たとえば生活保護法を適用するというような場合に、従来町村でや
つて
おつたものを今度は地方の福祉
事務
所でやるようになつた。そうしますと、この生活保護の
事務
に当る者が、
法律
を適用するんだというような
考え方
が、非常に強いわけです。で
法律
適用については、
法律
の知識なりあるいはその適用の解釈なり何なりについては詳しいけれども、生活の実態に生活保護法を生かして使うという面においては、逆に遅れておるというようなことがあるように思われる。で現在の
地方公務員
の中で最も悪いのは、従来の官尊民卑あるいは独善的な職権意識で、中央の
政府
がえらくてそれに従属して第一線の仕事をや
つて
いるというような意識が残
つて
おる人ほど、
地方自治
にと
つて
は適任でないというように感ずるわけであります。そういうような点からしまして、現在の
地方公務員
がいろいろな欠点があるから、高度の教養を身につけさせて能力を高めてやろうと言われるのですが、それじや現在の
国家公務員
のあり方はどうか。ひよつとすると
国家公務員
の方の能力なり、あるいは素養というようなものに、
地方公務員
を
引上げ
て行くというような
考え方
がそこにあるんじやないか。そういたしますと、ほんとうに民主主義的な
地方自治
ということに役立てるためには、
自治
大学というようなものを
設置
する
考え方
は、非常に危険じやないか、たとえば元陸軍大学でも
つて
優秀な陸軍の軍人を養成した。確かに軍人の軍事能力としてはすぐれたものであつたけれども、人間という
意味
ではまことに遅れたものであつたということをあの戦争で暴露した。それと同じようなことがこの
自治
大学
設置
の場合に起り得るのじやないか、そういう点についてどういうふうに考えるか。要するに、今の
地方自治
というものを、もつともつとその本旨に沿うように発展させるために、今の
地方公務員
を
国家公務員
の方へ近づけて行くような
考え方
に立
つて
行くか、あるいは新しく地方の住民の福祉に奉仕するというような新しい形の公務員をつくり出して行くという
考え方
に立つか、そういう点についての見解をお伺いいたしたいと思います。
鈴木俊一
57
○鈴木(俊)
政府
委員
ただいまの御心配も、先刻来いろいろ
委員
さんから御指摘のございましたような御心配と、同じ御心配に出るものであろうと考えるのであります。
先ほど
来申し上げますように、やはり従来の何らかこれによ
つて
特権的な地位を得るというような
考え方
は、これを一擲いたしまして、新しい
地方自治
の態勢の基礎に立つた住民の福祉に奉仕する、サービスをする、
地方公務員
としていかに
研修
をするかということが、この
学校
における
研修
の基本でなければならないと思うのであります。これはやはり日々地方団体の執行
機関
あるいは議決
機関
の中にあ
つて
、実際の
実情
をまのあたり見ておりまする地方団体の
代表者
の
組織
する
運営
審議
会の意と、密接に結びついて行くということが必要であろうと思うのでありまして、この点
先ほど
大石先生から、もつと地方住民のほんとうの声を聞かなければならぬというような御指摘もございましたが、これはまさにその
通り
だろうと思うのであります。さような地方団体の
関係
者という者こそ、いわば地方団体の住民の意思に沿うための
行政
をするためにはどうすればいいかということを、最も詳しく知
つて
おるだろうと思うのでありまして、そういう人
たち
が
組織
する
運営
審議
会の意向によ
つて
、
運営
して行くことによ
つて
十分危険な点は防げるのではないかというふうに考えるのであります。御指摘のように、従来の教育が法学万能であつたという点は、まつたくそうであろうと思います。それゆえに
一つ
の実務
研修
ということで、従来の大学教育からむしろ離れたような
組織
で考えて行くことが、いいのではないかというふうにも考えられるのであります。
北山愛郎
58
○北山
委員
今の問題は非常に基本的な、言葉には現わしがたいような重要な要素を含んでおると思いますので、この点は十分考えていただきたいと思うのであります。たとえば現在の国の方で、当該官庁でも
つて
立案された
法律
の中にも、やはり今までの独善的な意識が、相当無意識のうちに出ておるのじやないか。たとえば
地方税法
の中でも、税金をとる方のとりやすいように、とられる方は常に悪者であるというような前提に立
つて
その悪い者が税を免れることができないように、がんじがらめにするというような
規定
がたくさんあるわけであります。かような独善的な官尊民卑の意識というものは、至るところに現われておるということを感じます。これもやはり国の方へ
地方公務員
を近づけるということでなしに、
地方公務員
の大学をつくるその前に、むしろ
国家公務員
の方の大学でもつくつた方がいいんじやないかというような感じがしますので、その点はもつと深い
意味
でお考えを願いたいと思います。 どうも
日本
人は民主主義とい
つて
も、そのほんとうの
意味
ではまだわか
つて
いないのじやないか。
地方自治
の点におきましても、一応言葉の上では
地方自治
とい
つて
も、ほんとうの
意味
の自律的な自主的な精神をまだ身につけていない。あるいは人間を尊重する意識については、まだまだいろいろな面で欠けておる面がありますので、特にその点を申し上げるわけであります。私の見解からしまして、この
自治
大学の案については、どうしても割切れないものを残しておるということを最後に申し上げまして、私の質問を打切ります。
中井徳次郎
59
○
中井
(徳)
委員
あらためて申し上げることはないのですが、
自治
大学というものは、
先ほど
からの御
説明
で、技術をおもに教えなさるのですか、それとも
地方自治
の精神をおもに教えるのですか、どつちなんですか。
鈴木俊一
60
○鈴木(俊)
政府
委員
これは
先ほど
申し上げましたように、基礎的な教養に属する科目と、いわば日常の社会常識と申しますか、その基礎的な教養を補うような科目、それから専門の各部
行政
につきましての知識を授けるという、大体三つのことを考えておりまして、たとえば
地方公務員
としてのサービスの本義ということにつきましても、やはり基本的な問題としてこれを考えておかなければならぬと考えております。
中井徳次郎
61
○
中井
(徳)
委員
そこでちよつと問題があるんですが、この法案の中には
国家公務員
が、この
自治
大学へ入ることができるということにな
つて
おるらしい。現在
日本
の
地方自治
は私どもは確立されておらぬと思
つて
おります。
法律
だけはありましても、財政的な裏打ちも何もありませんで、ほとんど絵に描いたもちのようなことが多いのであります。この
地方自治
の精神を最も体得してもらいたいのは、
地方公務員
ではなくして、むしろ
国家公務員
ではなかろうか、こういうふうな
意見
を持
つて
おるのであります。今の
政府
の各省で
地方自治
に
関係
のないのは、まあ外務省くらいなものでありまして、ほかの省はきわめて
関係
が深いのでありますが、その人
たち
が新しい憲法に基く新しい
地方自治
の精神をわきまえておられるかどうか。この点は私は
日本
の
地方自治
を推進して行くために非常に重要だと思う。ところがこの法案の第一条を見ますると、そういうものはうた
つて
おりません。ただ
地方自治団体
職員
の資質の向上というふうにな
つて
おります。その点
先ほど
も鈴木さんから伺いましたら、最初百五十名おとりになるというのでありますが、百五十名の中には少くとも五十名くらいは、
地方自治
に
関係
のある各省
——
農林省とか厚生省とか労働省とかあるいは大蔵省に至るまで、ぜひそういう人
たち
を入れてもらわないと、皮肉を申し上げるようでありまするが、せつかく
学校
はできましても、不平分子の養成
機関
になるかもしれません。私はそれを非常に憂えるのであります。今の
自治
団体では、たとえば土木
関係
は土木技術屋だ、衛生
関係
は医者を中心にして仕事をするというふうに、各省と非常な結びつきがありまして、
自治
大学をつくりましても、実際それに入るということになりますと、総務系統が中心になるのであります。そういうものだけをやりましても、その人
たち
の中の大半は、
地方自治
の精神のごときは、応苦労して大体わか
つて
おるのじやないか。大いに技術的にと言いますけれども、終戦後の最近の
自治
体のように、こう毎年
法律
がどんどんかわ
つて
、
法律
の勉強どころかまつたく読むひまもないくらいにかわ
つて
おる。この中にあ
つて
技術を養成するとい
つて
も、第一ろくな先生も得られなかろうと私は思います。
先ほど
質問の中にもそういうものに
関連
をしたことがありましたから、朝令暮改といいますか、悪口を言わしてもらいますと、そういう形でありますが、それに即応した技術ということは、なかなかむずかしいと思う。それよりも実は私はこういうものはまだ早いという
考え方
です。
政府
はまだ
地方自治
体が確立されておらぬのに、
自治
大学とは何事であるかという
考え方
が実はありますけれども、百歩を譲りましても、なかなかそういう状態でむずかしかろう。従
つて
最初はまあ
地方自治
の本旨とか、そういう精神的なものをや
つて
もらう。そのことは私は
自治庁
の
皆さん
も大いに痛感しておられるだろうと思うのであります。多少
国家公務員
の人
たち
に、大いに入
つて
いただくというようなことでなければ、あまり効果は上りやしまいというふうな
考え方
をしておりますが、率直な
意見
を聞かしていただきたいと思います。
鈴木俊一
62
○鈴木(俊)
政府
委員
ただいま御指摘の
国家公務員
についてこそ、むしろ
地方自治
についての
研修
をする必要がありはしないかという御
意見
でございますが、私どもも
国家公務員
の一員といたしまして、さようなことが指摘されるのには確かに相当
理由
があろうと考えております。いろいろ日常の
行政
事務
を私どもや
つて
おります際におきましても、さようなことを痛感いたすことがあるのでございます。しかしここの第二条で「
地方公共団体
の
行政
に密接な
関係
がある
職務
に従事する
国家公務員
」とございますのは、
先ほど
公務員課長
が申し上げました地方におります
国家公務員
、すなわち
地方事務官
等がもちろん入
つて
おりますけれども、あるいは中央の
地方自治
に
関係
する各省の
職員
の中で、
任命権者
から特に
依頼
を受けたという場合には、これもここで
研修
をするということを、具体的に考えておるわけであります。これが御指摘のような、すべての
地方自治
に
関係
のある各省の
国家公務員
の一般的な教養施設になるということは、困難であろうと思いますが、しかし第三項の活用等によりまして若干なりとも、この施設が
国家公務員
に対しましても、
地方自治
に対する認識を深める機会を与えることになるということが期待されるのであります。そういう
意味
で、御趣旨に沿うにはなはだ遠いものと存じますが、若干これは裨益することができるのではないかと思うのであります。 —
——
——
——
——
——
——
中井一夫
63
○
中井委員長
この際
理事
の
補欠
選任についてお諮りをいたします。すなわち
委員
の異動に伴い、
理事
が三名欠員とな
つて
おりますので、その
補欠
選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、
委員長
より指名するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中井一夫
64
○
中井委員長
御異議なしと認め、
委員長
より指名をいたします。すなわち 熊谷 憲一君
西村
力弥
君 松永 東君の三名を
理事
に指名いたします。 本日はこれをも
つて
散会いたします。明日は午前十時より正確に開会をいたしとうございますから、ぜひとも御参集を
お願い
いたします。 午後六時十四分散会