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1953-07-24 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)     正午開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       生田 宏一君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    西村 力弥君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    松永  東君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   長野 士郎君         総理府事務官         (自治庁行政部         府県税課長)  柴田  護君         参  考  人         (日本興業組合         連合会会長)  河野 義一君         参  考  人         (歌舞伎座支配         人)      齋藤 徹雄君         参  考  人         (舞踊家)   石井みどり君         参  考  人         (全国料理飲食         喫茶業組合連盟         会長)     佐藤 甚吾君         参  考  人         (全国料理業同         盟組合中央会代         表)      三田 政吉君         参  考  人         (全国喫茶商業         協同組合協議会         会長)     春日 政男君         参  考  人         (全国旅館組合         連合会会長) 小林  毅君         参  考  人         (日本化学工業         協会技術部長) 大島 竹治君         参  考  人         (東京都主税局         総務部長)   亨   仁君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月二十三日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員伊瀬幸太郎君及び辻原弘市君辞任につき、  その補欠として中井徳次郎君及び西村力弥君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十三日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(山口六郎次紹介)(第五二六〇号)  同(福永健司紹介)(第五二六一号)  同(松永東紹介)(第五二六二号)  同(平岡忠次郎紹介)(第五二六三号)  同(川島金次紹介)(第五二六四号)  同(鍛冶良作紹介)(第五二六五号)  自動車運送事業及び通運事業に対する事業税の  外形標準課税廃止に関する請願長谷川峻君紹  介)(第五二六六号)  同(塚原俊郎紹介)(第五二六七号)  同(大石ヨシエ紹介)(第五二六八号)  同(長谷川保紹介)(第五二六九号)  同(志賀健次郎紹介)(第五二七〇号)  自動車税引上げ反対に関する請願長谷川峻君  紹介)(第五二七一号)  同(塚原俊郎紹介)(第五二七二号)  消防自動車設備費起債認可に関する請願志賀  健次郎紹介)(第五二七三号)  信用金庫に対する固定資産税等の免除に関する  請願大石ヨシエ紹介)(第五二七七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇八号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  この際小委員会の設置についてお諮りをいたします。すなわち町村合併促進に関する問題については、種々御協議を願つておる現状でありますが、これに関して調査するため、小委員会を設置いたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。つきましては、その小委員及び小委員長を選任したいと思いますが、これは投票の手続を省略いたしまして、委員長より指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中井一夫

    中井委員長 それではさよう決定をいたします。委員の各位のお名前を申し上げます。   加藤精三君  灘尾弘吉君   床次 徳二君  橋本 清吉君   北山 愛郎君  西村 力弥君   門司  亮君  中井徳次郎君   松永  東君委員長加藤精三君にお願いをいたします。     —————————————
  5. 中井一夫

    中井委員長 なお引続きお諮りをいたしたいことがございます。すなわち地方財政再建整備に関しまして、本委員会として調査を進めますために、小委員会を設置いたしたいと存じます。御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、これを置くことにいたします。つきましてはその小委員並びに小委員長を選任いたしたいと存じますが、これまた委員長に御一任をいただきたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  7. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さよう決定をいたします。ただちにその指名をいたします。すなわち   加藤 精三君  生田 宏一君   床次 徳二君  藤田 義光君   横路 節雄君  滝井 義高君   門司  亮君  大矢 省三君   三木 武吉君なお委員長には床次徳二君を煩わすことにいたします。     —————————————
  8. 中井一夫

    中井委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。藤田義光委員
  9. 藤田義光

    藤田委員 水害関連して地方税収の大幅な減少が予想されますが、今回の地方税法改正案にも関連しますので、この際どういう方策を講ぜられますか、お伺いしておきたいと思います。
  10. 後藤博

    後藤政府委員 水害による地方税減収の問題でありますが、実は第一回の九州水害は、大体五十二、三億じやないかというふうに推定いたしております。しかしその後われわれが地方から聞きますところによりますと、それ以上になりは上ないかというふうに考えております。その後の水害状況については、まだはつきりしたことはわかつておりません。しかし合せますと七、八十億を越えるのではないか、かよう考えられるのであります。これを特別平衡交付金で従来見ておる方式で見るということは、私どもとしては困難ではないか、特別な措置考える必要はないか、かように漠然と現在考えておるわけです。しかししさいに各市町村減収状況が判明いたしませんので、まだはつきりした方針を立てていないわけであります。九州状況は大体今月の終りまでには、市町村状況もある程度はつきりするのではないか、そういうものとにらみ合せて考えて行きたいと考えておる次第であります。
  11. 藤田義光

    藤田委員 そこでお伺いしたいのは、従来の特別平衡交付金のわく内ではまかない切れないということでございますが、ごもつともと思います。ことしの平衡交付金は千三百億でございまして、そのうちの八%、百四億が特別平衡交付金ということになりますると、今回の税収減だけで大体とんとんになるような惨状でございます。この点に関しましては財政部も非常な関心があるわけでございますが、国税徴収に関しましては、天災地変等に関しまして、ただちに具体的措置国税局を中心にとられるのでありますが、地方税に関しましては、かんじんな市町村長あるいは府県知事等執行機関具体的措置をとるよりどころがないために、非常に不安を覚えております。従いましてこういう天災地変等に対する大規模な地方税減収に関しましては、何かここで特別の対策を恒久的に考えておく必要があるのじやないか、毎年数百億、数千億の災害がある日本としましては、この機会に何か税法上の特別措置考えておく必要があるのじやないか、もし特別措置考えるとすれば、地方税法改正機会に何か具体化する必要はないかと思いますが、この点何か研究がありますかどうですか。
  12. 後藤博

    後藤政府委員 災害の場合に、特別な法律か何かをつくつたらどうかという御質問だと思いますが、現行制度建前では、各税の条文の中にそれぞれ災害による場合の減免規定が入つております。従つて市町村それぞれ条例でもつてやり得るようにしておるわけであります。国税にはその方式がなくて、一括してやつておるわけであります。法律上の建前からいたしますれば、さようなことになると思いますが、しかし具体的な災害の場合には、やはり具体的に条例指導をしてやらなければならぬのじやないか、さよう考えております。今回の場合もやはりもつと具体的になりますれば、もつとこまかい条例指導をいたしたいと私ども考えております。
  13. 藤田義光

    藤田委員 ぜひ条例指導はこの際考えていただきたいと思います。通牒等によりまして、至急ひとつ何か手当をしていただきたいと思います。それから減収の見込みに関しまして、地方自治体自治庁見解が、相当齟齬を来すのではないか、これは平衡交付金の配分にただちに関係します深刻な問題でありますが、そういう際におきまして、何か調整の必要はないかどうか、これは地方財政財政部との関連考えていただかなくてはならぬ問題でありますが、この点もひとつ何か具体的方法がありましたらひとつ……。非常に要求自治庁見解に大きな隔たりが出て来るような情勢もありますので、この際お伺いしておきたいと思います。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 おつしやいますことはよくわかりますが、具体的な問題、いたしまして、たとえば例をあげますと、田畑の冠水というのがありますが、この冠水の中にいろいろ問題がありまして、ほとんど流失に近い、すなわち堆土のために流失に近いものと、そうでない場合とあります。そういうものを込めて浸水とかそういう名で呼んでおります。従つてその幾分かを流失の方に入れて減免をするというふうな場合もあるかと思いまして、やはりそういう市町村災害報告自体に問題があると思つております。従つてあとで私どもが調べます場合に、そういう問題を残さないようにしたらどうか、現在研究をしておるのであります。しかし実際問題といたしましては、やはり最後市町村長及び市町村議会の裁量の問題にかかつて来るだろうと思います。従つてできるだけこまかく指導はいたしたいと思つておりますけれども、おつしやるようなケースが出て来るので、できるだけそれを県で各市町村間の平均をとるように出してもらいたい、こういう指導を現在いたしております。
  15. 藤田義光

    藤田委員 最後に一点お伺いしますが、たとえば熊本県の災害を例にとりますと、おそらく九百億を突破する被害でございます。特別立法等のいわゆる特別措置がありましても、県庁と市町村地元負担は二百億近いものが予想されるのであります。その際におきまして、税収減とそれから交付金による問題、その他勘案いたしまして、地元負担分をいかにして処理するかということが、災害県の非常に大きな差迫つた問題になつております。この点に関しましては、何か税法上特別の措置考え余地はないかどうか。たとえば災害にあわざる県に対しまして、公債を起すということが最後財源ようでございますが、国家財政も苦しい今日におきまして、災害にあわざる県に普遍的な何か税源を考えてみることも、一つ方法ではないかというふうに考えております、これは全国民の負担において災害復旧を促進しようという趣旨からしても、こういう問題をこの際考えてみる必要がないかどうか。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 非常にむずかしい問題でありますので、十分研究さしていただきたいと思います。
  17. 門司亮

    門司委員 私はこれは委員長お願いするのですが、午後から出て来るかどうかわかりませんが、私は大臣にぜひひとつ至急に出て来てもらいたいと考えておるのであります。それは閣議で夏季手当〇・二五の繰上げ支給を決定するというようなことが大体報告されております。そうするとこれは勢い地方自治体に大きな関連を持つて来ます。地方自治体としてはただちに財政措置をしなければならない。従つてこれはひとつ責任のある大臣に来てもらつて大臣がどういうお考えでおられるか、この点ひとつ確めたいと思いますので、ぜひ大臣に御出席を願いたい。このことは特に委員長からお願いをしていただきたいと思います。
  18. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。
  19. 門司亮

    門司委員 それから税法に関しては、これは昨日からの問題を再びむし返すようなわけでありますが、昨日私は大体現行法の三百十三条による法人割を百分の十八まで引上けた場合に、一体どのくらいの増収があるかということを聞いておつたのでありますが、これに対する明確な資料をお出し願いたい。それからもう一つそれと同時にこの現行法による百分の十二・五まででとめておるところがどのくらいあるのか。あるいは制限税率の百分の十五までとつておるのがどのくらいあるのか。このへんの区わけもひとつぜひおわかりでしたら知らせてもらいたい。  さらにもう一つこの機会に聞いておきたいと思いますことは、例の税の負担均衡関係でありますが、国税においては所得税勤労控除その他を設けておりまして、そして負担の公平と、さらに徴収事務の非常に能率化をはかるために、源泉徴収がされておるというようなことで、これが勢い負担の公平にならざるを得ない、いわゆる事業所得の方については、あるいは個人所得の方についてはなかなか徴収が困難である、従つて源泉徴収の分は非常に徴税が楽になるというようなことから、これが公平を期するために大体十五%程度の勤労控除を一応認めておる。従つてわれわれとしてはやはり中央で認めておるから、これが地方に認めなくてもいいというものの立て方はどうかと考える。従つて国税国税地方税地方税としてのものの考え方から来るなら、当然地方税にもそういう処置がとらるべきである、ことに最近は地方税といえども勤労者に対してはことごとくといつてもいいほど、源泉徴収が行われておるのであつて、これはまつたく国の徴税方法とかわらぬような形になつておる。こうなつて参りますと税負担の公平の点から言うと、均衡がやはり破れて来ておるということは私は事実だと思う。そうなつて参りますと、やはり国税と同じよう源泉徴収をしておる市町村民税に対しても、勤労控除というような何らかの形においてこれを是正する、均衡化する必要があるのではないかというよう考えるが、これに対する当局のお考えは一体どうであるか。
  20. 後藤博

    後藤政府委員 勤労控除の問題に関連いたしまして、地方税にも勤労控除制度を設けたらどうかという御意見であろうと思いますが、私どもといたしましては、市町村民税は特に所得税をそのまま持つて来て課税標準としておるわけであります。従つて所得税勤労控除をなされますれば、市町村税においてもその負担関係が同じよう状況にあるのだ、こういうふうに考えております。従つて市町村民税だけの基礎控除というものを考えるよりも、むしろ税額の大きい、直接の負担の大きい部分でありますところの所得税の方の勤労控除制度を拡張してもらいたい、それによつて負担均衡をはかつてもらいたい、こういう要求国税の方にいたしております。国税の方の問題をそのまま地方税に持つて来て解決するより、国税の中において解決する方が、やはり全体の税の体系から見ていいのではないか、かように私は考えておる次第であります。
  21. 門司亮

    門司委員 今の答弁は非常に重大でございますが、私は自治庁考え方として、もしそういう考え方が正しいとして——私はこれは議論をいたしませんが、正しいとして、一体責任を持つてそういうことがあなた方に言えますか。国税の方を下げてもらいたいということは、政府部内の統一された意見であるかどうかということを、私ははつきりお伺いしておきたいと思います。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 実は私ども市町村民税の話を、よく市町村方々に聞くのであります。その場合に国税の場合でありますと、給与所得者とそれから事業所得者とは、別々な方々課税をしておられますから、はつきりその比較ができないのでありますが、市町村民税の場合にははつきり比較ができるのであります。一本でもつて課税いたしております。従つて市町村で申しますと、市町村民税の番付が簡単にできるのであります。その場合にいかにも給与所得者に非常に重くなつているよう考えられます。従つてその元を洗いますと、所得税申告所得源泉所得との間の不均衡がそこに現われておる、こういうように私ども考えているわけであります。従つてその不均衡を直す方法としては、われわれの手よりもむしろ国税の方でその不均衡を直してもらいたい、国税の方に申しますと、国税の方はやはり申告所得捕捉が非常にむずかしいわけであります。むずかしいという問題と同時に、私ども勤労控除自体をもう少し高くすべきではないか、こういう問題とからんで来るのではないかというふうに考えております。従つてそういう意見をわれわれは大蔵省税制改正のとき、しばしば申し上げておるわけでありますが、国の側といたしましては事業所得捕捉を厳重にいたしまして、給与所得の方へ合せて行くということを申すのでありますが、実際問題としてそれはむずかしい面も相当あろうかと思いますので、私は現在の不均衡を直すのには、勤労所得を多くする以外に方法はないのではないか、こういう意見を持つておりますし、申し上げているのであります。
  23. 門司亮

    門司委員 あなたの方の理論としては、一応それで成り立つと思うのでありますが、それは一つ理論であつて、それが政府部内で統一された一つ意見として、そういう税制の改革の方向に向うというなら、これは別にわれわれは議論する必要はないと思う。しかし現在市町村で行われますのは、本税が不均衡であるから、その不均衡がそのまま地方に来ていいという考え方といたしますれば、これはやはりどうかと思う。できるだけ不均衡なものについては地方税なら地方税によつて、是正するのが私は正しいと思う。本税が不均衡であるから地方税が不均衡にならざるを得ない、これは自治庁責任じやない、これは大蔵省関係であるから地方の方はそれでいいのだという考え方をして、これに手をつけないということは私はいかがなものかと思う。やはり政治を実際に行う者の考え方からすれば、是正すべき余地があるとするならば、どこまでも是正するのがいいのではないか、国において不均衡であるものは、地方においてもやはり不均衡に相違ない、従つて勤労者の面からすればいろいろこういう意見が出るのであります。所得税捕捉が完全にできない——もちろん完全に直ればいいのでありますが、これができない今日においては勤労者の方といたしましては、先ほど申し上げましたように特にこのごろは源泉徴収で大部分をとられている、本税の方でも源泉徴収でどんどん仮借なくとられている。地方税の方も元がそうだからといつて仮借なくとられる、実際滞納するということがよいとは言わぬが、ふところがよかろうと悪かろうと、どんどん源泉徴収はとられる、やはり徴収方法にも多少緩漫の差はあると思う。そういうところから私どもは是正すべきものならば、これを地方税にもそういう形で是正すべきであるということが考えられるのであります。従つてもし方法がかりにとられるとするならば、今のよう答弁でなくして実際上の問題としてこれは地方税の方で多少是正するというか、いわゆる出す金は同じで、国税でとられても地方税でとられても出す方にとつては同じである、従つて一応理論は今のようなことは成り立つと思いますが、しかし実際の問題としてこれを地方に速急に実施する必要があるじやないかということを考えるのでありますが、またそれらの面についてたとえば財源措置等については、昨日私が御質問しましたように、それらの数字が大体出て来れば、そうむずかしい相談ではないじやないかということを考えられる、このことはきのうの委員会で私聞いてみましたが、どうも当局答弁が非常にあいまいであつて、ただシヤウプの言いつけを、いまだに守つているということであつて、私は何もシヤウプの言つていることを、いまだに守る必要はないと思うので、この辺で大体改むべきものは改めて、先ほど申し上げましたように、資本の蓄積があまり急であるために、実情から言えば個人の収入をできるだけ少くして、そうして当然個人負担すべきものであると考えられるものでも、やはり法人負担にして行くという弊害はたくさん出て来ていると思う。そのことは政府は気がついておられると思う。従つてそこに脱税の大きな穴があるとするならば、その脱税の穴を防ぐことのためにも、私は地方住民負担法人税負担とが、特に市町村民税であつて応益税の性格を持つものである以上は、やはり同じような率にしてかける必要があると思うが、きのうの答弁ようであるのかどうか、考え方をすつかりかえたのかどうか、この際はつきりさせておいていただきたい。
  24. 後藤博

    後藤政府委員 市町村におきまして実際の所得が、非常にアンバランスになつているということは事実でありました。しかし私ども地方税法建前では、そういう全体的にアンバランスである場合には直すことができるよう法律もつくつておるのであります。実際問題としてはあまり活用されておりませんが、三百十六条において市町村長課税標準の計算のし直しをすることができるという規定もあるのであります。従つてそこで直すという手が一つございます。しかし勤労控除制度を新しく市町村民税に入れて参りますと、非常に技術的に困難な問題がたくさんあるのではないか、実はきのう入れるといたしましてどういうことになるかという研究をしてみたのでありますが、たとえて申しますと所得税の元にさかのぼりまして、個人給与そのもの所得内容に入つて勤労控除をしなければならないかと思います。従つて一々所得内容に入つて勤労控除を一五%上げるということは、市町村の現在の課税当局の手でできるかどうか、こういう問題があるかと思います。従つて非常に煩瑣なことになりはしないか、国の方でやりますと非常に簡単でありますけれども市町村でそれに手をつけますと、非常にむずかしいのではないか、その他技術的に非常に困難な点がありまして、もう少し研究を要するのではないかという結論に、昨日帰つてからいろいろ研究した結果、到達しているのであります。
  25. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ただいま門司さんのお尋ねに対してお答えがあつたのでありますが、この問題は実際日本全国市町村が、一番困つた問題なのであります。都市周辺の町や村に行きますと、町村民税の一番高いのはサラリーマンであつて、いなかに参りますと町村民税の高いのは小学校の校長先生で、どうも一目瞭然で、あまりひどいじやないかという次第でありまして、数年前からやかましく自治庁の方にも言つておられる。従いまして自治庁の方でも現に研究されておると思うのでありますが、どうもしかし今のようお答えではいけない。もう何とかしなくちやいかぬ時期が来ておると思います。数年前であつたと思いまするが、和歌山県のある村からあなたの方に問合せをいたしまして、勤労所得に対する控除と、一般の所得に対するものとの間に区別をつけたらどうか、たとえば勤労控除については二割引とか三割引とかいうようなことをやることは、違法であるかどうかというふうな問い合せをしましたところが、あなたの方からそれはやはり違法であるというような返事を出しておられるのであります。そこで全国の市町村長は非常に困りまして、今実際ないしよでやつておるものが相当あると私は思います。皆さんのところには報告いたしておりませんが、適当にやつている。あなたは非常にむずかしいと言いましたけれども、必ずしもそうではありません。たとえば税金をのがれるために最近は非常に小さな商店も法人になつております。その法人の社長の月給などというものはきわめて安いものであつて、そういうもので行きますと非常に安いものが現われて来るわけであります。先ほど門司さんから御質問の中にもありましたように、問題は源泉徴収ができるよう勤労所得の人たちであります。これに対しては手数料として三%ぐらいまで与えることができるというふうな税制があつたように、私は記憶しておるのであります。そういうものは源泉徴収でありますから、市町村は手数が非常にかからない。たいていの市民税、町村税、村民税などというものは滞納しがちであります。従いまして、そういう源泉徴収者に対しては金利を計算いたしまして、そういう手数料の部面を入れてよろしいとか、相当幅のある修正ができると私は思う。あなたのおつしやるよう国税地方税との間に区別をつけるかつけぬかということについての御答弁は、一応筋が通つております。しかしこの問題についても基本的には私は問題があると思う。市町村地方分権をあれだけ保障されておりながら、財政についてはちつともいじるわけには行かないなどというようなことは、相当ひどいと私は思うのでありますが、まあそれはおくといたしましても、ぜひともそういう面だけでも、源泉徴収に対する手数料的なものを非常に上げるとか、金利を大きく計算してもらうとかいうふうなことは、私は簡単にできるんじやないか。また全国の市町村の中では、このようにないしよでやつておる、非常に内心気持が悪いがやつておるところがある。ときどき県や自治庁からしかられているが、また財政難で非常に弱つておる、何とかしなくちやいかぬというような状態であります。どうぞこの問題については、もつと思い切つた手を打つていただきたいと思うのであります。この点について御意見を拝聴いたしたいと思います。
  26. 後藤博

    後藤政府委員 お話の所得別に不均一な課税をしたらどうかというお話が、つい最近まで一、二あつたのであります。しかし所得別に不均一な課税をいたしますことを許しますと、市町村税の体系がくずれてしまいはしないかと考えまして、私ども違法であるという見解をとつておるのであります。さつきお話の手数料を出しておるという事実は私どもは実は知つておるのであります。この手数料制度を肯定するかしないかという問題がございます。それで肯定をすることになりますと、これはまた国税の問題になりますが、国税源泉徴収の場合にも、やはり手数料という問題があるわけであります。従つて政府部内の意見がなかなか一致しないのでありまして、私どもといたしましては、現実の市町村税の不均衡は認めておりまするので、その間源泉徴収をいたしておりまする給与所得につきましての手数料を出すこと自体は、ある程度黙認をしておるわけであります。しかしそれが非常に大幅になつて参りますと、やはり問題がありまするので、適正な時期にこの手数料の肯定をいたしたい、かように私ども考えておる次第であります。
  27. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 適正な時期というのは、いろいろ右顧左眄なさらぬで、はつきりおやりになつて私は大丈夫だ、こう思うのです。どうぞそうしてください。そうでありませんと、今のようなことでありますと、実際今の租税体系の中で、国民の不平不満が一番多いのはその問題だろうと思います。この問題を片づければ、——これは私は政党だ何だという立場から申し上げておるわけではないのですが、国民の納税に対する考え方は、実際重いとか軽いとかいうよりも、不公平である、その不公平の具体的な事実はこれだ、というのが今問題になつておることなのです。この問題は十分熟しておると思うのであります。どしどし自治庁の方でやつていただきたい。そういつまでも大蔵省に押えられる必要は私はないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  28. 加藤精三

    加藤(精)委員 昨日からの税務部長さんのお考えがどうも私ども委員の方で納得できないことなのでありまして、これは地方行政委員会自治庁見解を同じくして、これからすべての問題に対処して行かなければならぬときに非常に困るので、これについて少し問題を狭めてだんだん解決して行きたいと思つて御質問申し上げる次第であります。所得税勤労控除が一〇%であつたかということが、勤労所得者と事業所得者との地方税における負担均衡を阻害したということは、すでにお認めになつておるのであります。しからば今度はオプシヨン・ツーで課税し得るようになれば、地方住民税の負担額もずつとふえて来るわけであります。ふえて来ます場合におきましては、これは前に税務部長さんも肯定しておられるのですが、所得税勤労控除率が低いことのために起きるところの地方税勤労所得者と事業所得者との間の不均衡というものが、幾何級数的にその弊害の程度が高くなるということは、税務部長さんお認めになるだろうと思うのですが、この点についてまず御回答をお願いします。
  29. 後藤博

    後藤政府委員 大体市町村民税所得税の附加税的な取扱いをしておりますので、おつしやる通り不均衡があると思います。これは附加税的な性格が持つておる本質的な欠陥であろうということでありまして、私どもとしてはそういう点は認めざるを得ないと思います。完全な独立税として独自の所得計算ができるというものでありますれば、おつしやるような弊害はなくなるかと思います。
  30. 加藤精三

    加藤(精)委員 次にお尋ね申し上げますが、政府におきまして地方税制度を総括なさる担当者とされましてのお心構えを承るのでありますが、住民の税負担におきまして不均衡がある場合におきまして、それを率直に認めてこれを一日も早く是正なさるというお熱意が、地方税の税務を総括されるところの担当者には必要じやないか、こういうことを考えるのでございますが、しかる場合におきまして、たまたた地方税に選ばれているところの住民税という税が、所得税附加税的性質を有するがゆえに、現在の制度はこれは宿命的だ、弊害は幾何級数的に増大してもさしつかえないということが言えるかどうか、この問題を重ねてお尋ねします。
  31. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。附加税的な制度が、宿命的に持つておりますところの不均衡の拡大ということは、附加税制度をとる限りにおいてはあるのではないかというふうに考えます。しからばこれを独立税として、独立にやる制度に置きかえたらどうか、こういう意見も私ども承知いたしております。市町村の税務当局において、独立に所得計算をやりまして、そして十分に負担均衡がとれた税ができるかどうか、こういう問題があるわけであります。私はそういう独立税にすることによつて起る弊害がまだ出て来るだろうと思います。どちらが市町村自治体としていいかという問題は、別の問題として考慮すべきだろうと私は思うのです。最近の風潮は、御承知の通り従来の独立税主義の地方税の方向に対して、非常に批判が強くなつて参りました。従つて地方税について、あらゆる税について国税課税標準を持つて来て、国税の附加税的取扱いをしたらどうかという意見が、いろいろな団体から、また政府部内の、また国会の御意見としても私ども多く拝聴いたしております。地方制度調査会たおいて、その点を検討されておるのでありますが、方向といたしましては、独立税主義を是正して、元の附加税主義にある程度帰つて行くのではないか、こういう方向ではないかと私ども考えておるのであります。従つて市町村民税は完全な独立税主義にするよりも、やはり附加税的な取扱いをせざるを得ない。その場合に、お話の通り不均衡が出て参りますので、その問題は国税において根本的な解決をしてもらわない限りは、地方税においてはなかなかむずかしいのではないか。もちろん現在の地方税法規定におきましても、町村長は独自の所得計算をする規定があります。従つてその規定を運用すれば、負担均衡はとれることに法律上はなつておりますが、現実はなかなか思うように参らないのであります。そういうふうに私ども考えておる次第であります。
  32. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの税務部長さんの御意見によりますと、地方税の一部である住民税が、所得税附加税としての本質を持つているのである、これは動かすことができない制度であるというふうにお考えになつておられますが、これに対しまして前の質問で申し上げましたごとく、所得税勤労控除率が低いということによつて生じた事業所得者勤労所得者との税の負担の不均衡が、オプシヨン・ツーの設定によりまして、加速度的にその弊害を助長する場合に、ただいまの住民税を、所得税附加税的な本質を持つている制度として扱うしかないという建前のもとにおいても、何か別の方法で救済すべきだという御意見であります。別の方法で救済できないことは、税務部長さんも御承知の通りであります。所得内容の計算を、税務署と別に仕直すということは、これは勤労控除の率をかえることにはならぬのでして、そういう方法がない以上、現在の地方税における勤労所得者と事業所得者負担の不均衡の非常に拡大された弊害を、そのままほおつて置くしかないという御見解を、税務部長さんがとられているものであるかどうか、その点を突き詰めてお尋ねします。
  33. 後藤博

    後藤政府委員 私どもといたしましては、国におきましても、やはり国税の中で事業所得とそれから勤労所得との間の不均衡があるということでありますので、事業所得課税率の捕捉について十分努力をされて、漸次均衡はとれて参つておると思うのであります。従つて私は国税の方の課税標準がそろつてうまく平均がとれて参りますれば、地方税の方としても均衡がとれて参る、これ以上拡大するという見通しであれば、何か考える必要があるのでありますが、漸次その幅が少くなつて、不均衡が是正されつつあるよう考えておりますので、今まで手をつけていない次第であります。しかし現状は、ずつと将来にわたつて続くようでありますれば、何か特別なことを考えなければならぬじやないか、かよう考えておる次第であります。
  34. 加藤精三

    加藤(精)委員 次第に問題の焦点がはつきりして参りましたが、この勤労所得者と事業所得者との間の地方税負担の不均衡ということに対しての、認識の厚薄に問題が局限されて参つたようでありますが、この点はわれわれといたしましては、税務部長さんとよほど認識を異にするものでございまして、門司委員も始終言われておりますように、これは事業所得者負担が著しく軽い、また著しくごまかす余地がある、申告制度が完全にその目的を達し得ないということをかたく信ずるものであります。なおこの問題は他の面から見ますと、税務部長さんが大前提にされておりますところの住民税は、所得税附加税たる本質を有するということについても、かなり大きな疑問があるのであります。この住民税は、必ずしも所得に対して税率をかけて出す税額によつて定まるものではないのでありまして、そのほかに戸別割的な要素を、税額算定にあわせて用いているのであります。どうせ精密な意味において、所得税附加税的なものでないのでございますから、ある程度所得税附加税的色彩を多少削減することも、私はできることだと思うのであります。あまりめちやくちやなことを申し上げますことは、もちろんこの税制体系というものに従事する義務のある、立法の立場にある者としては、慎まなければならぬと思うのでございますが、国税の体系内においてこの不均衡が是正できないときに、国民の大多数の人が苦しんでいるこの税の不均衡を、地方税の立場で制度上是正することは、悪い事ではないと私は思うのであります。同時に当然地方税の総括者として努力すべき点だろうと思うのです。なおそれを極言すれば、これは地方自治の、地方分権の本質論にもなると思うのであります。課率は市町村条例によつて定まるのであります。市町村条例によつて勤労所得者と事業所得者との間の不均衡の是正をなし得る道だけは開いてもいいのではないか。すなわちある市町村におきまして、所得税勤労控除の率が低いことによつて生ずる弊害が、幾何級数的に増大した際において、オプシヨン・ツーによりまして、非常に高い税率になつております場合に、その非常な苦痛を受けておる給与生活者がある場合に、すなわち町村におきましては申告納税者が非常に柄が悪く、そうして申告制度の目的とするところが非常に行われにくいというような場合もあろうと思います。そういう地方税の方におきまして勤労控除の実を上げることが妥当な場合において、不均一賦課としてでなしに、この条例によつて勤労控除をなし得る制度上の根拠を地方税法の中に定めておいて、そうして勤労控除をそこまでなし得るという根拠法規を設定しておいていただけないものかどうか。この点につきましてはなお修正案のときに十分研究したいと思いますので、質問はこれで打切りますが、最後に税務部長さんのお考えを承りたいと思います。
  35. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどから申しましたように、給与所得課税が非常にきつくなつているという事実は私あると思いますが、逆に言えば申告所得の方の税が、非常に軽くなつておるということにもなるわけであります。従つてその申告所得が適正に捕捉されていなかつた場合には、その捕捉を適正にするためには、現在地方税法規定があるのであります。その上で全体の税率を下げるのが現在の立て方としては筋ではないか、かように私は考えておるのであります。申告所得比較して給与所得にでこぼこがあるから、給与所得の方を下げろという論もありまするけれども、それよりも不均衡になつておる給与所得以外の事業所得課税の方を適正にいたすことによつて、そうして全体の税率をその後に下げる、これが筋ではないかと私は思つております。地方税法は現在そういう立て方をしておるわけであります。しかしおつしやいますことにつきましても、私ども十分研究いたしたいと考えておる次第でございます。
  36. 大矢省三

    大矢委員 この地方税法改正に対してもしばしば問題になるのですが、先日新聞によりますと、地方制度調査会の中に小委員会として、鹽見先生ですか、その人が小委員長になつております。この結論はいつごろに出ますか。またその結果を漫然と待つておるのでなくして、担当者としての経験あるいは今日までのいろいろな地方からの要請による腹案があると思います。大体小委員会としての結論が出る前に、自治庁関係者として腹案を持つておられると思うが、この次の議会には必ず根本的な改正案を出すかどうか、この点でお伺いしたいと思います。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 大矢さんの御質問は、大蔵省でつくつております税制調査会と、それから地方制度調査会における財政部会と御混同されておるのではないかと思います。鹽見先生は税制調査会の会長になられたようであります。これはまだ開いておりません。それからこれは国税地方税とを通じて、国税及び地方税課税標準を合わすとか、負担均衡をはかるという趣旨のようであります。地方制度調査会におきましては、私ども財政関係の者といたしましては、行政規模の事務がある程度確定しないと、税の問題には入れないのではないか、具体的にたとえば附加価値税をどうするかという問題につきましては、また国税との課税標準を合わすとか合わさないとかというふうな問題につきまては、現在研究してある程度の結論も出ておるように私ども聞いておりますけれども、たとえば県とか市町村の行政事務がどういうふうになるかということがきまりませんと、税源配分の問題がきまらないわけであります。そういう場合に国との関係をどういうふうにするか、また地方団体間の関係はどうするかということは、一にかかつて行政関係の問題と非常に関連があるわけであります。従つてそういう問題のある程度の目安をきめた後の段階において、われわれの税をどうするかという問題をきめよう、現在は個々の税についてのいろいろな問題点を提示いたしまして、話合いをしておられるようであります。
  38. 大矢省三

    大矢委員 それからもう一つ、これは今度の予算通過の際に政府与党、改進党の間に話があつたようですが、いわゆる供出米に対する免税点、この結果は地方税に対して大きな影響があると思うが、大体どのくらい地方税に影響があるか数字的に計算されたことがあるかどうか。すなわち所得税が免税されるのですから、地方税もそれに準じて地方減収になると思います。減税すなわち減収であるが、これが幾らになるか。従つてそういう場合には今度は市町村減収になるか。もう一つは逆にいわゆる人事院の勧告によつてべース・アップがまだきまつておりませんが何とかなる、あるいは期末手当が上つて、それへ右へならえで、地方の公共団体がそれに支払つた場合に、今度は逆に国の方に所得税を納めなければならぬことになる。従つてその負担が非常にかさむ。それが一方は供出米の免税によつて収入が少くなる、一方は今度べース・アップによる給料の支払い、賞与の支払いによつて、それが逆に所得税となつて国に納まる。費用は地方負担して、税金は国に所得税として納まる。一体この計算をしたことがあるかどうか。国の施策によつて地方がいかに圧迫されておるか、どのくらいの数か、私は相当の数に上つておると思うが、これは重要なんですから、この関係者は絶えずそういう統計をとつておると思うが、今度の供出米の一八%の減税によつて地方税がどれほど減収になるかという数字を伺いたい。
  39. 後藤博

    後藤政府委員 市町村所得割は、前年の所得課税標準としておるのであります。従つて本年に特別に奨励金等が拡大されまして所得が減るというのは、来年の財政計画に影響して来るわけでございます。従つて前年にもそういう問題がございましたが、それは私ども財政計画の中には織り込んでおるつもりでおります。今年の分は来年に影響がありますので、まだはつきりした計算はいたしておりません。べース・アップにつきましてもやはり同様でありまして、前年所得をとつておりますために、今年の財政そのものにはすぐ影響はないのです。まだはつきりした数字は持ち合せておりません。
  40. 大矢省三

    大矢委員 来年度だから今年は関係ないのだ、そういうことをするから来年度になつてまた行き詰まつて来る。今のべース・アップの問題あるいは賞与の問題も幾らにするかということは、地方には大きな影響が来る問題である。赤字の苦しい財政で困つている上に来る。どんなふうに影響するかということは去年あつた。今年もまたある。今度の供出米の問題は来年はまたこれだけ減るだろうから、たとえば特別な平衡交付金にしても、あるいはそのわくをどのくらいにしなければならないということは、ただちに頭にぴんと来なければならぬ。それを来年のことだから今年は関係ありませんということでは——そのよう所得税が幾らかかつているから、それが減税になつて何ぼになる、今年はこれだけあるから来年はこれだけになる、そういうことはすぐにわかるのじやないかと私は思う。
  41. 後藤博

    後藤政府委員 実は忙がしいものですから、まだはつきりした計算をしていないのであります。べース・アップにつきましてもどの程度実際実現するかという問題もありますし、はつきりした数字の根拠がわからいのが数字を出すことのできない一番大きな問題であります。そういうことでまだ調べておりません。もしもきまりましたら簡単に数字はできると私は思います。
  42. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの住民税、市町村民税の不公平の問題は、やはり一番大きな問題だと思います。この委員会の初めにも指摘したのでございますが、たくさんの問題がこの中にございます。しかし時間もないようでありますから、その中の他の委員が申し上げた分に関連したことだけを、ちよつとお伺いします。  源泉所得申告所得の不均衡については、いろいろな救済手段が考えられるが、結局申告所得の方の捕捉を一生懸命やるのも、一つの道ではないかというようなお話がございましたけれども、しかしそれにしても、この両者の徴収見込みといいますか、徴収率というものの不均衡は現実にひどいものがある。そのことは、自治庁におきましても、今度の参考資料の中に、徴収見込みを両者区別して、その捕捉の率が、申告所得においては八五%、勤労所得の方は九五%というように、その間に一〇%も開きのあることをすでに認めておられる。でありますから、現実にそれだけの申告所得があり、源泉所得があるということを推定して、しかも徴収する場合には一〇%の差があるということも認めておられるわけです。ですから、そのことを地方税法の三百十六条なり何なりの中で、地方団体において調整し得る一つの要素を認めてもさしつかえないのじやないか、それも一つ方法じやないか、かよう考えるわけであります。その点一つ。  それから先ほどその救済手段として現行法で許されておるのに三百十五条があり、三百十六条がある、こういうふうに言われました。ところが、これが実際にはなかなか活用されておらない。その理由がどこにあるかということもお伺いしたいわけであります。またこれを活用せしめるためには、どういうふうな改正をしたらいいかということもあわせてお伺いしたいと思います。
  43. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。三百十三条の規定の中に、給与所得だけの不均一課税規定を入れるということになると、事業所得者にも、その他の所得者にも入れたらどうかという問題が出て来まして、税率の問題をめぐつて非常に争いが絶えないことになるのではないかと私は考えております。従つて、一本にしておく方がいいのではないかというふうに考えて、先ほども不均一課税方式をとることにはどうも賛成しかねるということを申し上げたわけであります。  それから三百十五条ですか、の規定事業所得の方を直す点、これは別に改正をしなくても、現在の条文で市町村長はやろうと思えばやれるのではないか、実際にやろうと思えばやれるのに、やらないのではないかというように、私ども考えておる次第であります。
  44. 北山愛郎

    北山委員 私の申し上げたいのは、この捕捉率が一〇%も違うから、そこで各市町村がやります場合に、勤労控除においてそれだけを見込んで、勤労控除を多くして行くというようなことができないかということと、それからたとえばオプシヨン・ツーのやり方でやつた場合に、本文のやり方と、控除しないような但書のやり方があると思うのですが、それを必ず勤労控除はするのだということを規定の中に入れるとか、そしてそれを捕捉率を見込んだ率でもつて、各団体が適当にきめ得るというような緩和手段方法があるのじやないかと思うので、その点について伺うわけです。源泉所得申告所得について初めから税率をかえて行くのじやなしに、所得の見方として勤労所得については捕捉の率が高いから、そこで控除をよけいして行くという幅を規定の上に、はつきりした方がいいのじやないか、そういう方法があるのじやないか、こういうことなのです。
  45. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。先ほどもちよつと申し上げましたように、どうも話を聞いておりますと、事業所得というのはよいのであつて給与所得だけが不均衡だ、こういうふうに私聞えたのでありますが、もちろん私たちは事業所得そのものにも問題があると思います。これは捕捉が十分でない、従つて給与所得控除考える場合にもやはりやり方に私はいろいろ問題があるのじやないかと思います。しかし市町村民税の中に勤労控除制度を入れて行くことにつきましては、もう少し研究を要するのではないかと私ども考えております。現在の段階では、どうも認めますと一事業所得その他の所得の方の問題が解決しないのであります。やはり問題がそちらの方に出まして、非常にめんどうなことになりは上ないか、こういうふうに考えておるのであります。
  46. 北山愛郎

    北山委員 今のは私の質問しないことに答えをされたわけで、私は現在の申告所得事業所得の内部が公平に行つておるということを申し上げておるのではない。問題は大ざつぱに言つて源泉所得申告所得の間に大きな不均衡があるということで、その点御質問申し上げておるわけであります。やはり事業所得の中においてその捕捉が適当でないという点は大きく認めておるのです。ことに事業所得者で非常に上手な手段で捕捉を免れたような人と、それから勤労所得者とを比較した場合に、非常な不均衡が出て来るのだという事実も知つておるわけです。しかしそれはそれとして、とにかく現在の問題としては源泉所得申告所得との間の不均衡ということはやはり一番大きい問題であるから、その点についての方法についてまず第一段にお伺いしておるわけであります。  どうも先ほどからお伺いしておると、現実の不公平というものが相当あるということは認めておられるが、しかし中央においてはやはり附加税主義の方が強くなつて来ておるとか、あるいは漸次これがよくなつて行くのじやないかとか、あるいは三百十五条なり三百十六条でもつて十分に救済できるのじやないかというふうに答えられるので、現実が相当にひどいものだということをよく認識しておらないのじやないかというふうにも考えられるのですが、私どもから言うと、このことが今潜在しておるところの大きな問題です。不平不満があつてもそれが表面に出ておらない。初めのころ昭和二十五年ごろには非常に騒いだのですが、それから後は、御無理ごもつともなんだ、これは税務署の決定に従うのだから、しかたがないというようなことでがまんしておるわけです。しかし問題は潜在しており解決になつておらない。これが内訂して結局地方税の滞納率が多くなつておる、あるいは納税思想が低下するというようなことの大きな原因になつておるわけです。だから私どもから言うと、やはりこれは早急に改正をしなければならない、何らかの手段を用いてこれを直さなければならない、かよう考えておるわけなのです。その点どうもまだ現行法の中でも救われ得る道があるというようなお考えように聞えるので、私どもちよつと認識が違うような気がするのでありますが、どうでしようか。
  47. 後藤博

    後藤政府委員 私の説明が下手なためにいろいろ御迷惑をかけておりますが、給与所得に対して特別な控除制度を設けた場合——たとえば事業所得の中でも、非常にまじめに捕捉されておるものとそうでないものとがあると思います。非常にまじめに捕捉される者にはやはり現在の税は非常に重いのではないか。市町村の段階におきましてはなるほど市町村民税だけでありますけれども、事業者におきましては府県の段階において事業税というものがあります。給与所得者よりも多くの税を負担しておるわけであります。従つて私はまじめな事業所得者との均衡がやはり破れるのではないか、その結果全体のものにそういう控除制度が波及して行く問題がありはしないか、そういうことを申し上げたつもりであつたのであります。従つて現在のところもう少し研究を要する問題ではないか、かよう考えております。
  48. 山本友一

    ○山本(友)委員 地方税の不均衡の問題について私はこう思うのであります。これはいろいろの面に不均衡が起つて来る最大の原因はどこにあるかということになりますと、私は、端的に申しますと、地方税に独立税がないからだというように思うわけであります。弾力性のある独立税がありますれば、この均衡というものがほぼ保てるのではないかというふうに思うわけでございます。私は体験上からいたしましても、今の県の税源というものは、御承知のよう事業税、興業税あるいは飲食税というような税源に限られておつて、これが主たる収入であります以上、従いましてこれらの事業が税源でありますので始終平衡交付金に依存をしなければならぬという弊に各県とも陥る。すなわち平衡交付金に依存する原因が、よつてつて地方の大きな赤字をなしておるというまた原因にもなる。これが独立したほんとうに弾力性のある税源がありますれば、独自の創意によつて納まるものは納まつて行くというようなことも考えられるわけでありますが、かりにこの県税の面から見ましても、かかる人には極端にずつとかかつて来る。事業税の人はずつと事業税でかかつて来る。それからまたかからない人は一切かからない。端的に申しますれば農民階級にはほとんどかからない。ほとんど商工業者から出しておる。それから県政の運用なんか見ますと、農政中心でやつて行くわけなので、これも今日の情勢上やむを得ぬと思いますが、とるものはほとんど商工業者から坂上げ、行うものはすべて農業重点主義で行くというようなことから考えましても、この独立税がありますれば、みんながそれぞれの実情に応じまして、この税を負担するわけでありまするから、納税指導上にも非常によろしいし、かつまたこういうような不平も起らないのであります。われわれは出すばかりだ、営業者の方からいうと、そういうことが始終県政上にも響いて参りましたことを、私は如実に知つているわけですが、こういう点、地方分権を憲法でうたつておきながら実際には何ら分権を認めない中央集権の税のあり方になつているところが、今日非常に不公平な原因をなしていると私は思う。この事業税なんかも、たとえばかつぎ屋さんがありまして、これはどの事業にも入らないが、実質上には大きな担税力を持つている者がありながらどうすることもできない。勤労者や事業者のみに、かかるところばかりに一方的にかかつて行くという弊が、ここに温存されているということを考えたとき、県税なんかの独立税があれば、おのおの昔の戸数割的に県でやれる方法があれば、均霑して行く方法がそこに生まれて来るよう考えられるわけですが、いかなる理由で政府はこの独立税をおきらいになるか。その理由をひとつ聞かしていただきたい。
  49. 後藤博

    後藤政府委員 地方公共団体の立場からすると、独立税でなければいけないというよう考えたのでありますが、一般の輿論としては、昔の附加税制度が非常によかつたのではないか、課税標準捕捉につきまして一々独立に地方団体が調査をして決定することは、非常に煩瑣で手数がかかり、徴税費がかかつて、結局逆に負担の増高となつて現われるのではないかという声が非常に強くなつてつております。シヤウプ勧告による現在の税制は、附加税主義を一擲して、大体独立税主義に固めて来たわけであります。しかし現在のいろいろな方面の御意見は、逆に元に返したらどうかという御意見が非常に強く出ておるのであります。現在の方向は独立税主義はある程度補正いたさなければならぬのではないか、かようなふうに考えられるのでありますが、ただ県の場合においては、大分事情が違つて来るのではないかと思います。県を一体どういうふうに考えるか、完全自治体考えるか、不完全自治体考えるかということによつて、県の独立税というものの考え方がかわつて来るのではないかと考えております。現在の税制はよいと私は思いませんが、市町村ような公共団体が完全自治体であるという建前をとりながら、しかも税そのものは非常に都市偏在的な税であるというところに、現在地方自治運営上の問題があるかと思います。従つてこれは現在研究をされて結論が出ると思いますけれども、私どもは現在は制度と税とがマッチしないということが言えるかと思います。これは地方税の方が事務配分に先行してきめられたために起つた問題でありまして、国と地方団体との事務配分が、その後研究されました結果に基いて十分に行われますれば、解決したのではないかと私は思つております。それが行われなかつたために、現在非常に不均衡な姿を呈しているということになるのでありまして、調査会におきましていろいろ制度研究をされておりますので、その結果を待つてども府県税そのものを考えたい、かよう考えております。
  50. 中井一夫

    中井委員長 それでは午前中の審議はこれをもつて終了いたします。午後は二時半より再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時五十一分開議
  51. 中井一夫

    中井委員長 これより審議を開始いたします。  本日は先般委員会において御決定になりました趣旨により入場税、遊興飲食税、電気ガス税関係等の参考人の諸氏に来ていただいております。入場税関係につきましては日本興業組合連合会長河野義一君、歌舞伎座支配人齋藤徹雄君、東京都主税局総務部長亨仁君、舞踊家石井みどりさん。遊興飲食税関係につきましては全国料理飲食喫茶業組合連盟会長佐藤甚吾君、全国料理業盟組合中央会代表三田政吉君、全国旅館組合連合会会長小林毅君。なおこの関係についてはお手元に配付しました名簿に脱落をいたしておりますが、全国喫茶商業協同組合協議会会長春日政男君、この方も参考人として出頭を願つております。電気ガス税につきましては日本化学工業協会技術部長大島竹治君、以上九人の方においでを願つております。
  52. 藤田義光

    藤田委員 議事進行に関して。ただいま委員長が朗読されました各方面有力者の供述を受けるわけでございますが、シヤウプ勧告に基きまして現在施行されております地方税法の実態に関しましては、全国民が非常な関心を抱いているところであります。私たちは現在地方制度調査会におきまして、大体アメリカ製の方針のもとに実施されている現在の地方税制に関しまして、は、全面的に再検討の必要があるということを痛感する一人でありまして、現在地方制度調査会においてもこの方面の調査研究がなされております。本日議事を進行するに関しましては、過去の実績を中心に供述していただくのか、あるいは将来これらの税法の修正、再検討に対する資料を中心に供述を進めていただくのか。この点について、委員長のお考えをお伺いして供述の方も委員長のお考えの線に沿いまして、供述を進めていただきたいということをお願いしまして、この機会委員長のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  53. 中井一夫

    中井委員長 お答えいたします。ごもつともな御発議であります。本委員会において本日聞きたいと思いますことは、今の御発言の中にありました過去の実績と、それから将来の関係、この両者をあわせて聞いて参りたいと思います。ただ何分にも時間が短こうありますのを、大勢の方々に来ていただきましたから、質疑応答はきわめて簡明にお進め願いたいということだけ考えております。  それではこれより参考人諸君の陳述を開くことにいたします。まず日本興業組合連合会長河野義一さんからお話をいただきたいと思います。
  54. 河野義一

    ○河野参考人 お許しを得ましてお答え申し上げます。私は日本興業組合長として参考人としてお呼び出しにあずかつたのでございますけれども、最近その任に就きましたので、お答えするのに粗忽の点があるかもしれませんが、事務局の者が来ておりますから、もしそういう点がありましたらお尋ねくだされば、申し上げることにいたします。なお私の申し上げたいという趣旨は、今議員さんその他の方のお手元に印刷にして参つていると思いますのでごらんいただきたいと思います。  お答えする前に申し上げたいのでございますが、私どもの業界の者が十五割、十割のときから、たびたび税金が高過ぎて商売をやつて行けないということのお願いのために、国会に陳情いたしましたところ、皆さんのたいへんなお骨折りによりまして、五割に下げていただきましたことを慎んで御礼申し上げます。五割に下つたのに、すぐ入場料が下つていないじやないかということが、輿論のように大分新聞紙上なんかでも言われておるようでございますが、実際は私どもの立場から申し上げますると、下げておる形になつておるのでございますが、きわめて宣伝下手といいますか、あるいは事実を皆さんにお知らせする機会がなかつたといいますか、そういう形で、私どものやつておる仕事の内容の実情が御了察願えなかつたということで、輿論といいますか、新聞紙上なんかでも、そういう面で入場税が下つているのに入場料が下らない。興行者はずるいじやないかというような面があるようでございますけれども、この入場税の軽減運勳というものを始めましたときは、たしか、昭和二十二、三年ごろと記憶しておりますが、その当時から、私どもから言わせますと悪税と申しますが、この悪税の撤廃を叫んで、私どもは立ち上つたのでありますが、十五割が十割になり、十割を五割にしていただきました。そうしてことしの一月から五割にしていただいたのでございまするか、私どもは、その入場税が高い、入場料が高いと主張する当時の物価の指数と、今日の物価の指数とを、賢明なる委員の方あるいは政府の方は御存じと思いますが、お手元に参つておる数字によつてごらんいただけば、かなり物価指数にも差異を生じておりまして、その都度私どもは他の商売と同じような形で、大衆娯楽という意味の立場から値上げができませんので、それで今日に及んでおつたような次第でありまして、そういう建前から入場税を下げていただいたのでありまするが、ちようどその下げていただきました時期がことしの一月からという、私どもの業界から申しますと、非常に時期が悪かつたということなんであります。それが時期が悪かつたがために、大衆に影響する反響が特に悪く響いた、こういうことなんです。その理由は、御承知の通りいつも十二月二十七、八日ごろから正月興行と申しまして、普通の入場料より二割ないし三割くらいは、必ず入場料金を高くお客さんからちようだいしておるというのが今までの実情で、仕入れる製作会社、配給会社で写真を出すのも、正月写真としまして、特に費用がかかつた写真を出しております関係で、配給料金も非常に高いというよう建前で、正月は入場料をふだんの月より高くするという実情になつておるのですが、それがたまたま一月から下げていただいたということで、値下げすることはできなかつたが、上げるべきものを上げなかつたということだけでも、私どもの立場から申し上げますれば、入場料を下げたという、形になるのでございますが、そういう意味では十二月、一月興行であつたために、入場料が従前と同じすえ置きの料金でやつたことが、興行者は税金が下つたのに入場料を下げないという非難の声を聞くことの一つの原因であります。それからもう一つはそれでも封切館の例をとつて申し上げますと、大体各封切館十円方は下げておるようでございます。入場税が五割下つたのを一人頭にすると、たしか三十七円幾らだつたと思うのですが、私どもお願いする当時の考え方は、三十何円下りますと、配給業者の方に三分の一、興行者が三分の一、それから大衆に三分の一お返ししようという建前で、私どもは運動を始めたのでございますが、その意味では私どもは大体三十何円か下つたうちの十円くらいは、各館がその当時下げておるということも御記憶願いたいと思います。それからだんだん映画興行の業績が振いませんで、最近では御承知の通り、ほとんど洋画の封切館を除いては、邦画の封切館も、二番館、三番館はもちろん、二本立、三本立という形になつておりますので、従来は一本分の写真料を払えばよかつたものが、二本、三本というようにしないと、お客さんが来ないという実情でそういう形にしておるので、実質的にはそういう面でも私ども損しておる形になるということと、もう一つはそれでもなおかつ私どもの営業状況というものは非常に苦しいのです。ということはちようどお手元に参つておると思いますが、こういう席に来て、私どもの組合の貧弱さといいますか、団結力の足りないといいますか、そういうことを申し上げることは非常に慚愧にたえないのでございますが、私どもの組合の力というものが弱うございまして、どうしても配給製作業者、いわゆるフイルムをこしらえる側、売る側に負けるということで、私どもがせつかく皆さんにお骨折り願つて五割下げていただいておる税金の大部分といいますか、あるいは全部と申し上げても過言ではないくらい、映画配給料金というものは高くなつて、私どもの手元にはほとんど残つておらないというような実情にありますので、私どもの業界のものが非常に苦しくて、多少無理をしつつも、小屋の修繕であるとか、いすの修繕であるとか、お客さんのサービスであるとかいうものに全力をあげておりますが、現状ではせつかく入場税を下げていただきましたけれども、入場料は今申し上げたような次第で多少は下つておりますけれども、ほんとうの私ども考えておるようにもつと安くしなければならぬという域には達しておらぬ、その理由は製作配給業者のためにほとんど持つて行かれておる。これは二十六年あたりからの興収をごらんいただけばわかると思いますが、配給会社の配給料金はことしは二十七年のちようど倍に達しておる。倍額に達しておるということは、それだけ私どもの税金の下つた部分が、写真料に持つて行かれておるので、ほんとうにお客さんが満足するような低率な入場料金には、現状ではなし得ないのだということで、私どもは一方配給会社に向いましては、配給料金の適正化を叫んでおると同時に、今後も国会の皆さんにお願いしまして、現在でも五割の税金を払つておりまするが、こんな高い税金は世界中にどこにもないのでございまして、これもなお三割ないし二割にしていただきたいというお願いをしたいと考えておりますし、同時にこれは地方税でなくて直接税にひとつしていただきたいというお願いをしてまわつておるような次第でございますが、以上申し上げたような形で入場税は下げていただきまして、私ども建前としましてできるだけサービス本意にいたしまして、下げられるだけは下げておりますが、現状以上には下げる余地がないのだということをひとつ御了承願いたいと思います。簡単でございますがお答え申し上げます。
  55. 中井一夫

    中井委員長 それでは次に歌舞伎座の支配人齋藤徹雄さんから御陳述をいただきます。
  56. 齋藤徹雄

    ○齋藤参考人 歌舞伎座の齋藤でございます。ただいま税金に関しましては興業組合連合会長として河野先生がお話をしてくださいましたので、事情は大体御了承のことと思いますが、私は演劇の中で歌舞伎を主体とした御説明をいたしたいと思います。今委員長から冗長にわたつてはいけないということでございますが、突然出まして、私はただもう先生方と話し合いたいというだけで、御質問を受け、私もお願いしたい、こういうわけでございます。  歌舞伎座と申しますと、うんともうけているであろう、こういうのでありまして、たとえば税金が下つたということについても、一月興行は七百円であつたということに関して、各新聞社の社会部から質問を受けました。それに対して、私は自分の立場としてのお話をいたしました。歌舞伎座自体は、これをごまかしで、お正月であるからちようどいいから上げたのだというのでは絶対にないということを御説明いたしました。ともかくこの一月が七百円、二月が六百五十円、常に六百五十円という線で参りまして今日に至つておりますが、歌舞伎の興行というものは大谷竹次郎氏が経営しておる松竹が、まず唯一であると私は言いたい。これがもうかるものならば、大実業家であれば、これはやつていやしないか。歌舞伎を愛し、演劇を愛し、それのみでおられる大谷という松竹の社長の下に私たちはおりまして、社長の意を体して大いに健闘、活躍しておるわけであります。ともかく歌舞伎自体がアメリカへ行くとか行かないとかいうようなこともございますが、これはつまり仕込みというものに折合いがつかないからアメリカに行けない、アメリカの興業会社もこれを買えない。ロックフェラー財団が入るとしても、なかなかそういうわけに行かないというような実情であります。せつかく税率が下りましたが、しかし俳優さんの俸給とかお手当とか、大道具の人件費とか、小道具の人件費とかいうものが、逆に膨脹して来るというようなことで、ある意味で採算がつかないというのが現在の実情であります。数字的には、私が今御説明するよりも、各先生方に劇場に来ていただいて、そこで大道具の実情なり、小道具の実情をつぶきに見ていただいたならばよくわかると思いますが、とにかく苦しい歌舞伎である。同じ屋根の下にいる大道具なり小道具なり、小道具のうちのまき絵にしても打ひもにしても、国宝に類するものもございます。よろいをこれからつくるにしても、特殊な人がつくつておるのであります。終戦直後いろいろな小道具なり衣裳もなくなりましたが、着々とこれを整備しておりまして、やや入場税が下つたということを契機として、そこによい衣裳、よい小道具、よい大道具を使つてこれを観客にごらんに入れて、もつて世界に誇る歌舞伎にしたい、しようということを目的に持つて来ておるわけでございます。われわれといたしましては、都民劇場なり、あるいは各学校を動員したことに対して、東京都の主税局からも御理解をいただいて、いわゆる値違い、二等のお客を一等席に入れる、三階の値段のお客を二等席に入れようじやないかということをしたのは、学生なら学生が百円の予算しかない、よろしい、この百円の予算で源氏物語をごらんに入れるという方法をとつております。それで、一等が六百五十円、二等が四百五十円、三階が三百円、二百円ですが、大体当節は三階は百五十円、百円という数字を当てておりまして、学生の演劇研究の方、都民劇場からも非常に好評をいただいております。なおまた大衆席という三階は、一番音響もよいし、一番見よいということで、俳優も三階の正面を目標にして芝居をしているような実情でありまして、決してぜいたくでも何でもありません。しからば俳優がどういう生活をしているかということになりますと、十時半に出勤して十一時には舞台に出る、それから夜の十時まで活躍する、せりふを箇条書にして三百六十くらいのパートを受持つという実情でありまして、われわれ俳優さんに対してまことに申訳ない。時間をオーバーした仕事をしていただくということは、二部制をしているからだ、戦前は一部制の興行であつたが、現在は二部制である。これは経済面から出て来る関係であろうと思いますが、とにかくこうした二部制を施行しているということは、いかにわれわれが努力し、俳優も努力しているかということの御了解をいただけると思いますので、先生方に、なるほどもつともだということを見ていただくために、歌舞伎座のパート。ハートにおいで願つて研究いただければたいへんうれしいことだと思います。  数字的に御説明をいたしませんが、歌舞伎座なり新派なり、演劇というものは非常に興行がむずかしいという御説明を一応いたしまして私のお話を終ります。
  57. 中井一夫

    中井委員長 次に舞踊家石井みどりさんに御陳述を願います。
  58. 石井みどり

    ○石井参考人 日本芸術舞踊家協会の石井みどりでございます。私たちの今までの十割の税金も二割に引下げていただきまして、私たち微力ではございますが、舞踊芸術を通しまして文化運動に猛進いたしたいと思つて努力いたしておりますのでございますが、おどるたためには音楽または衣裳それに照明、いろいろなほかの芸術の協力ながければできませんのでございます。大体私たちの芸術は創作でございまして、今まであつた型のものではなくて、ほんとうに無から有を生む状態でございまして、自分の舞踊の創作ということのために、あらゆる方面に対しても十分なる打合せ、十分なる練習期間というものを持たなければなりません。その費用というものはみな個人の、大体私たちの微力なものから出ているわけでございまして、実際舞踊家全体を見ましても、二割の税金でも実は欠損というわけでございますが、二割にしていただいたということだけでも、私たちの次への一つの大きな力となるわけでございます。二割になりましたことはたいへん嬉しいことでございますが、今度はそれに引きかえまして、会場費が上つております。それからまた衣裳費とか照明とか、すべての費用が上つております。また外国からいろいろな一流の舞踊家、芸術家が参りまして、私たちを刺激しております。私たちも、微力ではございますけれども、やはり外国の大きな舞台へ出て行くという力と、それから創作をいたしたいという意欲に燃えておるわけでございます。照明にしても、音楽にしても、よりりつぱな、よいものを使いたい、今まで既成の音楽を使つたものが、今度は新しく作曲してもらつてやりたいということになりますると、つまるところ、それだけ多く費用がかかることになるわけでございます。そのために現在も二割にしていただきましたが、やはり苦しい道をたどつておるわけでございまして、大体毎年発表会をいたしておりますのは、貝谷八百子さんでありますが、きよう、ちようど貝谷さんは、二十五日から会がございますので見えられないのでございますけれども、二割から三割ぐらいの値段が安くなつていると思うのでございます。いずれ協会の方からいろいろな決算書というものはこちらへ届くと思うのでございますけれども個人一つの創作発表でありまして、その人その人によりまして経費のかかる状態も全部違いますので、それに対してまた入場料も違うわけでございまして、ここで一概に申し上げるわけにも行きませんし、私の例を見ましても、ひめゆりの塔を一昨々年の十割のときに発表いたしまして、莫大な欠損をいたしましたものですから、いまだに発表会ができないという状態でございます。でもいくらそれだからといつて、自分の発表をしないということになつてもなんですから、ことしの秋ごろには何とかしてやりたいと思つておるのでございますけれども、実際において二割にしていただいても、諸経費がいろいろかかつておる、それから芸術意欲というものが、それだけ向上して来ているということから、やはりいろいろな点でみな悪戦苦闘をやつておるわけでございますから、何分その点よろしく御了承をいただきたいと思います。
  59. 中井一夫

    中井委員長 入場税関係につきましては、右お三人で終りなのであります。東京都の主税局の総務部長亨さんは、その他の皆さんの陣述がありました最後にお話を願いたいと存じます。これは総括りのお話という意味で、最後お願いをしたいと思います。さしあたり、ただいまのお三人の陣述につきまして、皆さんから御質問かあるならば、この機会にお始めをいただきたいと思います。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私、歌舞伎座の支配人さんにお伺いいたしますが、歌舞伎座のいわゆる歌舞伎俳優に対して、あなたはどういうふうな料金をお支払いになつておりますか。歌舞伎俳優というものは、実に封建的なもので、非常にかわいそうなものであつて、そしてあなた方は、ほんとうに労働基準法その他いろいろな方面に関して、みな多数の一般の者がもらつているようなものを歌舞伎俳優に払つておらぬ。しかるがゆえに非常に生活困難に陥つている。そのために彼らは何を要求するか。後援会を要求している。それは何であるか。あなた方が歌舞伎俳優に対して、適正な価格をお支払いになつておらないためであると私は存じますが、それに対して私の納得の行く御説明を願いたい。
  61. 齋藤徹雄

    ○齋藤参考人 私はプロデューサーでございませんので、俳優の俸給を支払う面に当つておりません。これは演劇製作室という会社直接の部門がございましてお支払いすることになつておりまして、私は営業部門を受持つておりまするが、まさに今大石先生がおつしやられました通り、俳優は俸給が安いということが言えるのです。それはつまり戦前、私が知る範囲で、たとえば役所の課長と申しますかが二百円という俸給の時代に、名代というものは千円ぐらいの俸給をいただいておつた。あるいは一番手取りで尾上菊五郎がかりに一万円であつたということが準拠になつておりましたけれども、それが今は、物価指数に比べてみますと、非常に少い率であるということか言えましよう。私は俳優の各個の俸給を知りません。知りませんのですが、大体の仕込みというものは俳優の俸給、それから衣裳、小道具、大道具というものをひつくるめて、表の費用とバランスをとつてバランス・シートができるわけであります。そこで俳優各個の俸給というものに関係しまして、私はたとえば若手の俳優に例をとつてみましよう。尾上梅幸というのは、自分の俸給はあるいは人に隠しておる、尾上松縁も隠しておるという点も、これは封建というかどういうのでしようか、そういう部門もございますが、大体劇団としてひつくるめての俸給になつております。歌舞伎の俳優というものは、映画の俳優とかあるいは流行歌手とかいう御連中と違つて、まさに俸給が少い。今先生が後援会というもので息をついているとおつしやいましたけれども、それは後援会で、息をついておるのではございませんでしよう。あるいはそういう方もいるかもしれませんが、たとえば中村吉右衛門という人に例をとつてみますと、中村吉右衛門という人が幾らの俸給をいただいているかということは——たとえば現在中村吉右衛門の家ができたということは、御自分の家ではないでしよう。おそらく後援会が後援してくださる家でしよう。自動車は、自家用の自動車も持つていない。歌舞伎座株式会社の自動車で往復をしておる。しかも芸術院会員として非常に老境にあつてこれが第一部、たとえば文化財保護観賞狂言、夜の部門も文化財観賞狂言という部面に奮闘する。これは俳優として見ますと、舞台が戦場であります。戦場という言葉をあえて使いまするが、舞台に出た以上はほんとうに親も子もない、お葬式も冠婚も何もないということであります。この間も胃腸を害して出られて嘔吐をしたということも、見物に悪感を抱かせたけれども、逆にそれを押し通してやつたということも……
  62. 大石ヨシエ

    ○大石委員 わかりました。私はそういうことを尋ねたのではないのです。あなたは、そういう歌舞伎の俳優の給料のことは、大谷さん自身がお支払いになつているから御存じないとおつしやいますが、しからば私、大石ヨシエか、かく申しておつたということをお伝え願つて、そしてあの歌舞伎俳優の封建的なところを是正していただきたい。あなたの方で歌舞伎俳優にお支払いになる給料はどういう給料を払つておるか、現在物価は非常に高くなつておる。高くなつておるけれども、今なお非常に安い給料を支払つており、そしてみなおのおのが隠しておる。あなた方の方でお支払いになる給料は各別別にお払いになる。そうするとあの人たちは生活苦にあえいでおつても、自分の名前がかわいいから、さもたくさんもらつたように隠しておる。これを私はよく知つておるのです。われわれが入場税を安くしたということは、大衆がこの歌舞伎という演劇にひたるために安くしたのと同時に、歌舞伎俳優を封建的から抜き去つて、もつと給料をたくさんやつてほしい。そのためにわれわれは入場税を安くしたのです。それに今なお歌舞伎俳優は勞働組合をつくろうとしてもつくることができぬ。そうかといつて妻子眷族を養うことができぬ。それは一体だれが搾取するか。社長、重役が搾取しておる。これを私はよく知つておる。こんなことで俳優がどうして生きて行かれるか。しからば、よそへ行つて商売しようといつたつて、芝居というものはたくさんの者が寄らないと芝居することはできぬ。そこをあなた方大資本家はよく御存じで、そうして俳優を搾取しておる。それを私はいけないと言うのです。だから時代の要求する給料を支払つて、彼らの生活を安定させてほしいということを、あなたはお帰りになつたら大谷社長に言うてください。そうでなかつたら入場税を上げる。
  63. 山本友一

    ○山本(友)委員 参考人の方にちよつとお伺いしておきたいのですが、私の感覚違いかもしれませんが、この入場税の性格は私から見ますと収益税ではないのであつて、あなた方の経営上に何ら抵触をしない税の本質であると考える。言いかえますならば、あなた方は地方庁から切符をお預かりして、委託的にこれをお扱いになつておるのであつて、営業の収支バランスには何ら関係のない税の性格を持つておる。それがあなた方の陳述によりますと、二十二、三年ごろから税の引下げを願つてやや達成したが、その達成した時期には物価指数の方が上つてつて、こういうような経営難の際だから、今日半額に税率が下つたからといつても入場税が下らないと同じことだ、こういうふうに聞きとれるわけです。本質論から申しますと、私はそういう点にいささか疑問を持ちますわけで、かりに役所が税のついた切符を売るといたしまするならば、五割下りますれば、二十円のものが十円引かれて切符は発売になるのですから、あまねく大衆には下つたという結論が一つそこへ出るはずです。それをあなた方の方に委託しているから、下つたものが一つも下らないと社会批判を受ける理由はそこにあるのです。こういう点を考えますと、一体営業に関係のない税を下げるということは、いかなる理由から発足したものであるか、その税を掘り下げますれば、いろいろな面に流用されておるから、営業面に流用されておるから、そういうことが反面言い得られると思いますが、この点はどうですか。
  64. 河野義一

    ○河野参考人 お答え申し上げます。理論的に今おつしやられれば、そういう見方もあると思います。御承知の通り東京都から切符を預かりまして、その切符の中には税金と、私どもがとるべき部分と、さらに配給業者に渡すべき部分と三つ入つております。本来からいえば今あなたのおつしやるように、税金は税金、写真料は写真料、興行者の取得は取得というふうにわけてとれば、一番問題はないと思います。東京都自体が私どもの手を煩わさずに直接にとつていただけば、一番問題はないと思う。ところが私どもにそれをとらせる。率直に申しますと、人間というものは金があると重宝なもので、もちろん東京都のお預かりしている税金を使うことは悪いことだと私ども承知しておりますが、しかし商売をやらなければその税金を払えない。ところが一番先に持つて行かれるのは写真料でございます。写真料を払わなければ、翌週からすぐ写真がとまつてしまうのです。そうすると営業をやりたくても営業をやれない。税金を国民なり都民の義務として納めたくても、切符が売れなければ税金もとれないというのが実情でございまして、ほんとうは三つにわけてやることが一番正しいと思うのですが、現在の状況は、私どもをして一切扱わしておりますので、私どもの手に入つて来ますと、商売をやる上におきまして、一番先に写真料を持つて行かれるということになつて——私のところは洋画の封切館が一館、全部で十三館ばかり経営しておりまするが、あとはおもに邦画で、邦画の場合は封切館初め二番館、三番館ほとんど全部二本建でございます。従来は一本でありましたから、映画会社に持つて行かれるパーセンテージは五〇%ないしニュースまで入れて五五%くらいでございましたが、二本になりますと、安く買い上手に買つても、私のところなんかはかなり私は買い上手に買つているつもりでございますけれども、どうしても約七〇%、地方へ行つて安く買つている人でも、フラツトで買う場合には、おそらくお客さんからちようだいした入場料の全額を写真会社にとられているのが実情だといつてもさしつかえないくらいに高い写真料でございます。そういう意味ですから、結局税金が入つて来るのですけれども、やはり食わなければ生きて行かれない、商売をやらなければ生きて行かれないということと、写真会社が一番先に写真料を持つてつてしまうものですから、税金に手がつく。今お尋ねの税金は、県なり都なりから預かつたものだから、それを使わずにそのままそつくり払うとか、あるいはその部分だけ値上げしたらいいじやないか、値下げして行くべきじやないかとお考えになつているのですが、実情はそういう実情でございまして、おつしやる通りに行かないということは、私どもの買い方がへたなのか、商売がへたなのか、あるいは配給業者の方が商売が上手なのか。もう一つ申し上げたいのは、私どもの業界は全国に約三千何百館ございまして、それをまとめたものが日本興業組合でございますが、この組合も商売になると、なかなかうまくまとまらぬということと、もう一つは公正取引委員会がございまして、写真料が高いから買わないようにしようじやないか、あるいはこういうふうに料金の協定をしようじやないか、一本建の申合せをしようじやないかというような申合せをすると、すぐ公取に呼ばれて始末書をとられたり、裁判にまわされたりしている実情であります。もちろんこの公取の関係は配給業者にも当然関係があるのですけれども、何しろ四人か五人ですから、話せばおうおうということで簡単に片づくと思うのですが、私の方はなかなかそういうわけに行きませんので、そういう点でも拘束されております。以上でございます。
  65. 山本友一

    ○山本(友)委員 今御答弁を承りましたが、それはなかなか含みのある話で、私ども含みはおよそ了承いたします。しかしながら、税金というものは国民各層にみんな関係がありますが、足らぬから使つたということは理由としては成り立たたない。そういうことはこういう公開の席上、また国会の席上ではむしろ御遠慮願いたいと思います。私は今のそういうような腰だめは——あなた方は非公認のコミツシヨンを自分から承認しているということを、ここで陣述されたような形になつたのですが、これは本質上絶対に許すべきことではない。これをどういう点に映画経営あるいは興行経営に苦しい点があつて、こういう点を改善してもらいたいというようなところがありますれば、われわれは大いに聞くべきところでありまして、お互いに共存の道を考えなくてはならぬことはもちろんであります。足らないからあたりまえじやないかという議論は、いかなる場合でも国民の名において絶対に許すべきことではないのですから、この点は御遠慮願いたいと思います。
  66. 大矢省三

    大矢委員 先ほど委員長が申されたように、本日の委員会では——本年の一月に十割のものを五割に下げた、なかなか赤字経営で五割をそのまま下げることはむずかしいかもしれない。しかし入場料として相当値下るものだと私どもは期待しておつた。ところが実際上は値下つておらぬ。これは表を見ても経営がなかなか困難のようです。その理由を一つあげますと、写真料が非常に高いということ、この写真料の高いということには皆様に直接関係がないかもしれませんが、われわれは努めていいものを、安いものを一般の国民に鑑賞してもらうというのがこの値下げの趣旨だつた。見る人によつて違いますけれども、私ども見ますときに、二本建とか三本建とかいう質の悪いものをやつておる。これも私ども非常に遺憾に思いまして、この前の委員会のときにも、国自身がもつと補助金を出してりつぱな映画をつくつて、それを安く配給することを考えたらどうかというようなことも議論されたのです。それで私が聞きたいことは、せつかく五割に値下げをした税金が、そのまま一般の国民に還元することなくして値下らぬ理由は先ほどお聞きしますと、いろいろ経営上に困難がある、特に歌舞伎のごときはそうだ、これはよくわかります。先ほども質問があつたようですが、どうすればもつと安くいいものが見せられるか、どこに欠陥があるのか、このことを実際の経営者、経験者からお聞きしたい。  それから一つは、税金が半分になつたから地方税が非常に減収になるだろうということを心配した。私は大阪ですが、大阪では六、七億くらいの減収があるのじやないか、それでたいへんだということだつたが、その後ちつとも減収になつておらぬ、むしろ増収になつておる。この意味は、つまり入場料が下つておらない、数が多く入つた、厳重に取立てたのかどうか知りませんけれども、とにかく赤字になるということを心配しておつたところが、逆に今度は黒字になつておる。これは一体どこから来たのか。あなたたちが税金分だけ下げずに、そのまま高い料金でやつたから、税金は半分になつたけれども、数において、あるいは料金が下らないから、結局こういう数字が出て来たのだと私は思つておる。結局税金としては全体の収入が下つておらぬ、あなたたちの経営はますます困る、それから写真が高い、写真関係、映画会社の人が来ておりませんから、ここで聞くのはどうかと思いますが、新聞を見ましても、一人の映画俳優が何百万円もとつておる。これはほんとうに本人がとるのかマネージャーがとるのかわかりませんけれども、こういう高い金を出しておつては、いい映画ができるはずがない。そこらにも欠陥があるのじやないでしようか。幸いいい機会ですから、皆様からこうすればもつといいものが、もつと安くできるがということを伺いたい。それから映画会社の数が多いのじやないか。これほど住宅が困つておるときに、至るところに厖大な金をかけて映画会社が競争してやつておる。これは法的の処置を講じて制限しなければならぬと私ども考えておりますが、そういうふうに何かに欠陥があるのじやないかと思うのですが、率直に遠慮なしに皆さんどうすればいいかということをお述べ願いたい。
  67. 中井一夫

    中井委員長 河野君に申し上げますが、まだ陳述の方がたくさんですから簡明にお答えを願いたい。今の要点は、安くてよいものをどうして見せられぬか、その原因いかんということ。もう一つは、減税をしたけれども、結局税収入はかえつてよけいになつておる、そうすると減税と収入とがつじつまが合わぬが、実情はどうだ、この二つの要点につきお答えを願いたい。
  68. 河野義一

    ○河野参考人 今足りないから税金を使つたなんということは、こういう席で言うべきじやないじやないかということでありましたが、おつしやる通りであります。よく承知しております。当然そうあらねばならぬと思います。  また税金が下つておるのに税収入が減らないじやないか、これはどういうわけだというお尋ねでございましたが、こういうことも、私は率直に申し上げた方が実情をわかつていただいていいのじやないかと思いまして、前に大石さんにはお目にかかつたことがございますが、そういう意味で今日は言つていけないことかもしれないですけれども申し上げたいと思います。税金は使つていけないことはよく承知しておりますが、そうしなければ商売がやつて行かれない現状にあるということで、一口に言うと背に腹はかえられぬということでございます。それから税金が減つたのに税収が減つてない、かえつて増収しているじやないかということなのですが、そこに私どもの商売の悲しさがあるのでございます。ほんとうはガラス張りの中で商売しなければいけないものであることは、よく承知しておるのでございますが、ガラス張りの商売ができない実情がそこにある。今まで税金が高いときは、税金の取立てが多少ゆるやかであつたが、これが厳重になつて、票券交付ということになつて来たので、ゆるみが一つもなくなつたので、そういう増収になつたという面も多少あると思います。  もう一つは写真料が非常に高いのでどうにもならないということ。ここに映画配給料金の数字を調べて来ておりますが、二十六年の一月——五月が概略二百九十一億でありましたものが、二十七年の一月——五月は四百四十九億、二十八年の一月——五月には六百六億九千万円となつて、配給会社の収入が三倍にもふえておるということは、写真料にみな持つて行かれているという形で、これがために入場料も下げるのに非常に困難を来しておるというように御了承願いたいということ。  もう一つは、多少は私ども興業者自身の出血によつて犠牲を払いつつ下げておること、それはほとんど二本建になつておるということ、私のところの例を申しますと、私のところは、従来は百三十円でございましたが、今年の一月以来百二十円にしておりまして、十円下げております。私のところばかりでなく、大体どこの小屋も洋画の封切館はそういう形になつております。邦画の場合でも、そういう形になつて多少下つておるということと、二本建になつておるというために、二本分の写真料金を払つておるので、現在でも私どもは苦しくてどうにもならないんだということ、これは東京都の主税課の方がお見えになつておるようですから述べられるかと思いますが、東京興業組合だけで、この一月までの税金滞納が約九億近くありまして、一月からこの五箇月にわたつて念書をとられたり、差押えられたり、競売を食つたりして、約七割ないし八割くらいは納まつておるかもしれないが、まだまだ滞納がある実情じやないかと思います。払わなければ延滞料がつくのですし、苦しくなければどうせ払わなければならないものである。こういう当然払うべきものが払えないという実情を見ていただいて、私どもの業界が非常に苦しいのだということを御了解いただきたいと思います。
  69. 藤田義光

    藤田委員 時間がありませんから簡単に二、三伺います。まず第一点は会長のお話の中に、地方税をやるのに直接税にしてもらいたいということでしたが、その理由を簡単にお述べ願います。  第二点は今朝もどこかの新聞に出ておりましたが、外国映画に比べて、日本映画が非常に虐待されておる、占領中と同様の扱いで、外国映画がいろんな面で有利に扱われておるというような批判的な声が出ておりまして、入場税を引下げた国会としましては、国内の映画の向上、大衆に対する娯楽の教化というようなことで考えました面から見ても、非常に不愉快なニュースでありましたので、その真相を簡単にお聞かせ願いたいと思います。  それから齋藤さんから歌舞伎の経営か非常に苦しいというお話がありましたが、歌舞伎座の復興に相当莫大な負債があつたと思います。減税ということは会社の経営内容まで楽にするための減税でありませんので、大目的はあくまで健全娯楽の教化と申しますか、文化国家造成に必要な税金であるから引下げようということでございまして、会社の経営に役立つというような趣旨ではございません。負債があるから経営が困難なのであつて事業税の引下げによつて、少しも経営が楽にならぬということとはねらいが違うのではないかと思いますから、その点を申し上げておきます。  それから石井さんに、しろうとの質問で恐縮でございますが、創作舞踊と一般舞踊とどういうふうに違うか。創作舞踊は音楽その他すべてに新しいものを考えなくちやならぬ、いろいろと出費もあるでございましようし、これを一般舞踊と同様な税率にしておくことはどうかというような気もしますので、簡単でけつこうですから、その点お答え願いたいと思います。
  70. 河野義一

    ○河野参考人 直接税にしていただきたいというお願いは、御承知の通り私ども徴収義務者というむずかしい名前をつけられて、税金を東京都にかわつて取立てる役目をしております。これは今仰せられたように、預つておるのだから、すぐそのまま持つて行けばいいじやないかとおつしやいますが、やはり人間でありまして、手元にあれば食わなければならぬというので、つい食いたくもなるし、手をつけたくもなるので、そういうわずらわしいことをやめていただいて、直接税にしていただいて、興業税あるいは別の名目によつて、国に直接取立てていただきたいということであります。  もう一つ徴収義務者ということについて、私どもの立場から見まして非常に苛酷だと思いますのは、今申し上げたように営業が非常に苦しいので、つい税金に手をつける。税金に手をつけると、お前のところは切符はやらないといつて交付券をくれない。そうするとその日から営業を休まなければならない、私はこんな税の取立てが世界を通じてあるかどうか、こう考えております。大石先生なんかには御理解願えると思うのですが、人間である以上は食わなければならぬ。食わなければ生きて行かれないということは人間の原則です。そういうことも考えていただいて、徴収義務者なんというめんどうくさいことをやめて、東京都に直接とつてもらいたい。税金を使い込んだら商売をやらせないというのは一つの強制処分であります。そんな生活権の強制処分なんというようなあほうなことは納得できないというのが、私ども業者の主張であります。この点ぜひ御了承願いたいと思います。  それからもう一つ、外国映画に比較して日本映画が圧迫を受けておるという点は、どなたがそういう意見をお持ちになつておるか、私どもはまだよく納得できないのでありますが、外国映画と日本映画との扱いはどういう扱いをされておりますか、私どもから申しますれば、国策上あるいは輸入の関係上ドルの制限ということはやむを得ないと考えておりますが、外国映画の本数制限ということは撤廃してもらつて、いい映画ならドルの許す範囲で取入れさせて、その中から自由選択させていただくというふうにしていただきたいということが興業者の主張でございますが、製作業者はその主張には同調しておりません。大体今私が考えております外国映画と邦画の扱いが優劣があるという点は、むしろ私は邦画が外国映画の輸入禁止によつてカバーされ、援助、助長されておるのじやないかと、私どもの立場から考えればそう考えるのでございますから、よろしくお願いいたします。
  71. 石井みどり

    ○石井参考人 同じ舞踊の中のバレーの例をとりまして、自分と同じ仕事のことで、ほかのもののことを言うのは私いやなのでございますけれども、クラシック・バレーというものは、外国に長い伝統がございます。日本で一番最初に大きなものとして発表されました白鳥の湖などは、ソヴエトで大分前、十六、七世紀ごろからやつておるものでございます。それでそれには大体一つの形もありますし、それと同時にその長さに音楽ができております。日本に参りまして日本でやる場合には、日本の技術の程度によりまして、向うと同じものをそつくり演ずるというわけには行きませんけれども、大体の筋とか運びというものは同じなのでございまして、そこに創作の苦心とかいうものは大分助けられるのじやないかと思うのでございます。ところが私たちの創作舞踊になりますと、一つの既成の音楽をか上えて使つたとしましても、白鳥の湖の音楽をかえて全然別な踊りがつくられるかもわからない。そのように大体今までシヨパンならシヨパン、ベートーヴエンならべートーヴエン、バツハならバッハとか、いろいろそういう人の音楽を使つておりましたが、やはりその時代の色とかいうのもが、その音楽の中に流れておりまして、シヨパンの音楽を使つて私たちが最も近代的なシュールな、またアブストラクティックな運動を、そこにあてはめることはできないわけでございます。やはりその時代のロマンテイツクな動きがそこから生まれて来るわけでございます。最近舞踊の創作というものが高まつて参りまして、学校方面の教育にも舞踊というものが、ただ形で習うのでなくて、いわゆる精神、自分の心の中の動きを通して表現する創作、創造の世界を生み出す、自分の生活を創造して行くというような面から、舞踊が取上げられるようになつて参りました。創作舞踊が盛んになつて参りましたから、そこに新しい音楽、いわゆる現代のセンスの流れておる、現代の私たちの心に訴えるような音楽が欲しいわけでございます。そういう音楽は既成の音楽の中にはなかなか見つけられないわけでございますから、そこで新しい音楽をつくつてもらう。それによりまして衣裳も新しいものになる。そうしますといわゆる音楽家自身にその音楽を前もつて何回も練習してもらわなければ、音楽家もすぐにはひくことはむずかしゆうございます。舞踊家自身もそのたくさんの譜面を見て、その音楽がどういうものであるかということも理解できませんから、そういう人たちを集めて、特別に演奏してもらわなければなりません。その演奏してもらうにも全部費用がかかります。レコーデイングするにもまた費用がかかつて参ります。良心的にやろうと思えば、既成音楽以上になおさら何回も練習をしてもらわなければならぬわけでございます。そういう点で費用がかかるわけでございます。
  72. 門司亮

    門司委員 これは非常に重要なことでありますから一言聞いておきたいと思いますが、興業税を直接税にした方がいい、あるいは徴収義務者が困る、こういうようなことは、地方税面では非常に重要な問題でありまして、そう簡単にこれを律するわけには参らぬと思います。しかしここで私は聞いておきたいことは、たとえば興業税を直接税といたしました場合には、現在の映画料金の中には、たとえば百円の中の五割ないし十割というものが税金になつておる。それだけの税額だけは映画料金、要するに鑑賞する者の料金が完全に下げられますか。
  73. 河野義一

    ○河野参考人 お答え申し上げます。そういう形にしていただくことが私どもお願いする筋であるわけでございまして、そういうふうになりますれば、私どもは自粛自戒しまして、組合でも申し合せまして、なるべく——なるべくというより絶対に、そういうふうにしたいと心得ております。
  74. 門司亮

    門司委員 きようおいでを願いましたのは、実は趣旨がそこにあつたのでありまして、過般減税をいたしましたが、入場料金がほとんど下つておらない。そうするとわれわれの立場から言いますれば、むろん安い映画にして、そこで多くの人にいい映画を見せたいというのがわれわれの考え方であります。しかし税金自体というものは、鑑賞する者が納める税金であつて、税の建前は、業者が納める税金ではない。そこで、鑑賞をする者から今日の文化国家というものを考えて参るとき、あまりに映画の観劇料金に対して税金が重過ぎやしないか。罰金のような税金ではないか。映画を見に行くというより、罰金をとられるようなものではないか。これは困るというので税金を下げたのであるが、実際において入場料金が下らぬということになると、だれのために下げたのかということが実際わからぬことになる。それで今日おいでを願つたのであるが、なおむし返しで、いたちごつこでは困るのであります。今のようなお話で、今日の税金の徴収を国に移管することによつて、今税金を実際に取立てられておるが、現実に映画料金が安くなるかどうかということが問題なのでありますが、これを逆に考えて参りますと、鑑賞をいたしておる税金というものが安くなつて国税で片方において取立てられる税金というものはどこがこれを負担する形になるか。これは一体だれが負担するか。この負担区分は非常に重要な問題でありまして、従つてこの問題は、きよう明確に聞いておかなければ、次の税金を考える場合に支障ができて参りますので、重ねて聞いておきますが、たとえば現在百円の映画料金の中の二十五円が税金だと仮定いたしますと、国税に移管することによつて、入場料は七十五円に下るかどうかということです。
  75. 河野義一

    ○河野参考人 私どもは、直接税になることによつて、組合で申し合せ、結束を固くいたしまして、御趣旨に沿うようにしたいと考えております。なおその点について、多少御不審をお持ちになつておられることは、私どもの業界自体の団結が弱体であつて、はたしてそういう申合せができるかどうかということも、これにからんでおると思いますが、かように皆さんにお骨折を願つて税金が下つたことによつて一つも大衆に還元しておらないというおしかりを受けるということも、写真料金が高いからということでありますが、写真料金が高い面につきましては、私は私の任期中に組合の結束をはかりまして、少くとも写真会社と厳重な交渉をいたしまして、私どもが納得のできる線まで持つてつてもらうように努力する覚悟でおります。そういう意味で、幸いにして直接税に移管された場合には、私どもは、私どもの義務として課せられた部分は、完全に果したいと心得ております。
  76. 門司亮

    門司委員 問題はそこなんでありますが、もう一つ重ねて聞いておきます。直接税になつた場合には、これは税金の形から言えばおかしいのでありますが、私が今申し上げましたのは一つの例であつて、直接税になつた場合には今の御説明のようだといたしますと、税金がたとえば二十五円入つておる。この二十五円をやめるということが、今の入場税の形であれば当然である。しかしこれは、今度はその税金の形がかわつて来るのであるから、従つて入場料金は下げられないという結論に、私は必ずなると思うのです。ただ問題になりますのは、税金を下げるということによつて、鑑賞する者のために税金をできるだけ下げて行きたいということを、私どもは第一眼目に置いていたのであるが、実際はそうではなくて、鑑賞する人は同じような料金を支払わされて、今日のような状態になつておる。なおそれがいけないというならば、操作の面において税金を合理化して行くという一つの見方は、業者としては当然だと思います。業者としてそういう考え方は当然だと思う。今の税金を下げただけはまた入場料金を下げなければならぬから、国税に移管されてそれが入場料金に含まれるということになれば、税金との関係が薄らいで行きます。これを合理化する関係は、業者としては当然だと思う。しかしあまり合理化してしまつて、結局税金を下げたことが何もならなかつたことになつてしまうと、私は一般国民に対して申訳ない。税金を下げた下げたと言いながら、一向下がらぬではないか、これでは私はどうも申訳ない。そこが一番、兼ね合いが実際むずかしいわけです。そこで私が聞いておかなければならぬのは、これを国税に移管した場合には、現在だけの料金が下げられるかどうか。下げられぬということになると、結局形は今のと同じことになる。
  77. 河野義一

    ○河野参考人 重ねての御質問ですが、私が興業組合の会長をしておる間に、もしそういうことが実現されたならば、責任を持つて私は下げるということをここで言明申し上げます。ただ私が従来の組合の関係で、十割を下げて五割に下らないからというので、お前らはうそをつくのではないかという先入観といいますか、見方がたいへん強いわけでございまして、そういう意味で、あんなことを言つても、あいつら興業者はずるいから、下つてしまうとわれわれ下げないのではないかというお考えように拝察できるのですが、決して今度は、私のおる限りそういうことをいたしませんということをここで言明申し上げて、お答えしておきます。
  78. 大石ヨシエ

    ○大石委員 河野さんに申しますが、参考人というものは、法的にこの委員会でいくらうそを言つたつて、何ら罰せられる規則がないのです。そこで今度は、ここであなたが責任を持つて、必ず大衆に安く観劇させるようにおつしやつても、何ら法的に、われわれは検察庁でないから、あなたたちを罪に落すことはできないのです。われわれが入場税を安くしたということは、大衆に、勤労無産大衆に安く観劇させたい、こういう意味において安くしたわけなんです。  それから石井さんの方も、とにかくバレーとストリツプシヨウとの区別を、しろうとはよく知らない。それでこれはクラシックなものであるからして、バレーはぜひとも入場税を軽減せねばならないと言つて私が主張したわけなんです。あなたとは懇意ですから私はあまり質問いたしませんが、要は、もつと入場税を安くしてもらおうと思うなら、あなた方のマネージヤーとの取引をもつと安くして、そうして一般大衆、勤労大衆があなた方のバレーを鑑賞するようにしていただきたい。  それから私は歌舞伎座の人に一言申し上げたい。一体歌舞伎の俳優は、いかなる悲惨な現状にあるかということを私はよく知つておる。それは大谷さんが搾取するからです。そうして労働運動、いわゆる労働結社をつくろうとすると、その者はみな首切つてしまう。それで今後その歌舞伎俳優に労働運動、すなわち一つの団結をつくることをあなた方は大谷さんに勧めて、そうして歌舞伎俳優が団結することをあなたはさしてくださいますか、どうですか。あまりに歌舞伎俳優はかわいそうです。いくらうそをついてもよく知つておる。
  79. 齋藤徹雄

    ○齋藤参考人 今そういうお話がございましたけれども、大谷は松竹株式会社の社長であります。大谷個人が搾取はしておりません。今俳優が非常に給料が安い、搾取している、かわいそうであるというお言葉でございましたけれども、終戦直後はそういう事態でありまして、これは漸次上つております。この七百円という——今は六百五十円が歌舞伎座の値段でございますが、この値段の原価計算の中にはちやんとそういうような俳優の俸給がはめられてあるのでありまして、むろん今の俳優の後援会ということにおいては、たとえば中村吉右衛門の後援会長は一萬田さんというような方がおります。(「そんなことは聞いていない、なぜ労働組合をつくらない」と呼ぶ者あり)そういう方が全部看視し、この俳優をよくしよう、文化的に向上させようという気持があるから、そういうことになるのであります。(「労働組合はどうだ」と呼ぶ者あり)松竹の傘下にある労働組合というものは全部入つております。俳優は、俳優協会は今ありませんが、俳優自体は劇団とか一座というものがあります。一座にはそういう組織を持つております。(「うそだ、うそをつけ」と呼ぶ者あり)うそじやない。そういうものがあります。
  80. 中井一夫

    中井委員長 ごくろうさまでございました。この程度でお帰りを願つてけつこうであります。  佐藤甚吾君、三田政吉君、春日政男君、小林毅君、四人の方どうぞ。  それでは全国料理飲食喫茶業組合連盟会長佐藤甚吾君から御陳述願います。
  81. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 私たち全国の遊興税を対象といたしまする五十万の業者を代表させていただきまして、不敏ではございますが最近会長に就任いたしたものでございまして、とうてい満足なお話はできませんので、三田政吉さん、春日政男きんの御両名に詳細のことをお譲りいたしまして、私は総括的な一般論を申し上げて責めをふさがしていただきます。  申し上げるまでもなくこの遊興飲食税というものは悪税であり、悪法であるということは、委員さんもすでに御承知のところでございまして、これに対して何で悪税であるか悪法であるかという釈迦に説法のようなことは申し上げにくいのでございますが、一口に申し上げますと、これは東京におきましては昭和八年ごろ歓興税という形において地方的に起り、福井その他においても地方的に発達しまして、十四年には国税に移管されまして、二十二年にさらに地方税に逆転いたしまして、今日のような状態に相なつておるのでございます。     〔委員長退席、灘尾委員長代理着席〕  遊興飲食税というものは遊興し、飲食をした人からにただちに相当税率による税金を私たち特別納税義務者というものの手を通して、地方庁へお納めしておるのが実際でございますが、悪税であり、悪法でございますために利用者であり、消費者であります一般国民大衆のお方は、御利用を願つた飲料その他に対する税額をお払いくださいません。それはお前たちの責任ではないか、いわゆる徴税義務の怠慢であるから、立てかえをしろという形において、われわれの乏しき営業費の中から、これを出血納税いたして来たのであります。たまたま昨年七月前々国会におきまして、皆様の御配慮によりまして税率は一応半減をいたしました。すなわち四割は二割、二割は一割——十割という課税はすえ置きになつたのでありますが、さような情勢にありました。現状におきまして、ただいま入場税の御討議を傍聴させていただきまして、私は入場税と遊興飲食税とが根本的に立て方が違つていると思います。私たちは本年一月一日を期して安い税率において一割、二割という線でこれをお願いいたしましたが、それより先んじてわれわれは税率通りに払つていたかどうか。また払わなければならなかつたのであるが、その実態はどうであるかと言いますと、全然私たちは払つていなかつた。払えなかつた。立てかえできなかつた。もしもこれを完全に立てかえてお払いをすれば、私たちの営業は全滅、倒産、あるいは転業、廃業であります。それでなくても全国を通じて一割か六、七分というところで一応がまんをしていただいて、過去の厖大なる税率を見送つて参つたのでありますが、たまたま本年の一月からこれが半減せられた。しかし税率は半減いたしましたが、予算措置がない名目上の半減であつたために、実態課税、実態調査というような御名目によつて、われわれの門を厳重なる監視をもつてお取調ベを願いまして、税が安くなつたんだから、二割もらう、三割もらう——今日まで七分、八分、いいところで八、九分、一割納めている者はないということを御承知でありながら、これを二割の税を強制されましたために、安くなつた半面二倍あるいは三倍というところが、全国の大都市、あるいは辺鄙な町村にもあり得る。また現在東京にもそういう面があるわけであります。ただいまの入場税は下げて業者が下げない。これがまず入場税と反対のところであります。  次に正当な入場税でお売りになつている。しかもいい芝居においてはプレミアムをつけ、あるいは一週間も十日も、二週間も前の前売券にプレミアムをつけて売つている。七百円のものが千五百円にもなつたという芝居もあります。しかしわれわれは税込みで発つていない。宴会の申込みを、しかも税金まで立てかえて——われわれはプレミアムで宴会のお申込みを受けたことは絶対にないのであります。  次に、国税移管の問題は、今申しますようにすでに国税で苦しんで来ているのでありまして、地方税ならば、その地方庁において御相談になつて、苦しいだろうから、まあこうだろうからとおつしやいまして、多少の御相談の余地がありますが、国税に移管されるようなことがありますと、もう苦い経験をなめております。十八、九歳、二十歳前後のチンピラが来て、金庫を封印し、あるいは帳簿を押収し、あるいはその他のものを封印し、そうしてわれわれを足げにされた生々しい過去を持つておりますので、これは国税移管は絶対困る。  それから今申し上げましたように、入場税は預り金であります。しかもりつぱな税込み価格、ナンバーをつけたもので領収証、いわゆる預り証が出ておりますが、私たちのいわゆる売前については一応みな懸隔がございまして、ビールを百円、あるいは原価を割つてつている店もありましよう。あるいは百三十円の店もありましよう。百五十円の店もありましよう。その他いろいろ多種多様でありますために、これをあらかじめ切符をもつて——料理代金その他定食の値段がきまつておりますが、ビールその他の飲料まで入れて、これを前もつて切符で発売することはとうてい不可能であります。  それから私たちの店舗は、衣食住、いわゆるわれわれの社会生活に絶対必要な部面であつて、最近のような情勢におきましては、お客を座敷で三人でも五人でも十人でも御招待ができるようなお宅はほとんどございません。そこで友あり遠方より来るときには、われわれの小さな店舗においでを願つて、ここでお宅の延長いわゆる応接間の延長あるいは座敷の延長として、私たちの店舗を御利用くださる。すなわちわれわれは絶対に家庭の延長であるということを自負して、今日までこの文化国家を建設するという大きな礎になつてつておるものでございます。  それから今お話のありますように、これは河野さんのお話でありますが、願わくは外国映画にわくを設けられる。今その外貨をわれわれの方から払つておる。私たちは絶対反対です。この独立日本がいわゆる経済自立をする間は、もう外国の映画は見ないというくらいの決意を持つてやる。これはまた感情に走るような形でありますが、われわれが持つておる日本の現状は、富士山と桜と、あるいは芸者といわれておりますが、かようないわゆる貿易の対象となり得るものをもつて外貨を獲得する。いわば向うからお客を呼んで、そうして日本精神をこれに加味して、桜を見るときには桜、富士を見るときには富士、また山の幸、海の幸をもつて、そうして外国の人を誘致して、私たちは逆に外貨獲得をして、日本の経済自立に役立ちをしなければならぬという大きな決意を持つておるものでございます。  実は私は小さいことをたくさん書いて参りましたが、たまたま今入場税との対決のお話を聞いておりますと、私たちの言つていることと全然反対です。これは前金でもらうよりも、あるいは即金でもらうよりも、一箇月ないし二箇月と掛売りであります。それももらえればいい方です。皆さんは御承知でしよう。飲んだり、食つたり、踊つたり、はねたりしたあとの金というものは、これはなかなか払いたくない。それをお前はいついつか締切つておるから、これだけのものは払わなければいかぬ。これはもちろんであります。しかしながらそこにわれわれ出血納税をして行かなければやつていけないというものもございます。かような意味合いでございますので、私たちはこの遊興飲食税という悪税のために非常に悩み抜いております。先日もある国務大臣にお会いしたらば、お前たちの言うことはよくわかる、悪税というものはたいがい二、三年運動すれば、雲散霧消しておるのだが、どうも遊興飲食税ばかりは雲散霧消しないのかふしぎでしようがない。ちよつと行くと壁にぶつかる。遊興という名前、飲食という名前で、あまり身近なものであるために、あまりかけ離れた外国映画を年に一ぺん二へん見ようという感じでなく、朝に夕につきまとつておりますお宅の延長でありますために、何らかこれを代議士各位が遊興飲食税を撤廃してやるというような御意見をおつしやつていただきたい。またそういうお考えがありますが、本会議あたりでこのことを発表されれば、あいつ何だか料理屋の手先のようだ、何だかへんだぞというような、これは実に痛くない腹をさぐられるようなお気持がある。これは私日本人として非常に恥ずべきことではないかと思う。正々堂々と悪いものは悪い、いいものはいいと言つて、この税というものをはつきり考えていただいて、そうしてもしも財源その他において措置をしろとおつしやるならば、われわれは申し上げてみたいこともたくさんございますが、一応総論的に私のお願いやら意見の一端を発表さしていただきます。
  82. 生田宏一

    生田委員 私は今参考人のお話を伺つて、気分を悪くしたのであります。それは今あなたのお話になるような人格と違う人間もおりますから、そのつもりで願います。
  83. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 そういうお願いは、どうも言いにくかつたという場合があつたので……。取消します。
  84. 生田宏一

    生田委員 それはどういうことですか。
  85. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 それは料理屋で食つたものは、その借金は支払いにくいという感じがあると言つたんです。
  86. 生田宏一

    生田委員 一体そういうことは全部なのか。
  87. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 全部ではございません。一部にはあります。
  88. 生田宏一

    生田委員 そういう言葉は慎んでもらいたい。
  89. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 申訳ありません。
  90. 門司亮

    門司委員 あとで質問してよく聞きただしたいと思いますが、今の発言の中に、代議士が良心的にそういうことを言うのは、本会議場などでは料理屋のちようちん持ちをするというように思われ、心ではそう考えておりながら、はつきり言うことができないということは、一般感情から代議士を侮辱したことである。  それから大臣というのは、どの大臣か、名前を言つてもらいたい。
  91. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 大臣が言つたんではありません。
  92. 門司亮

    門司委員 大臣にお会いになつたと言つておりますから、どの大臣であるか。  それから議員に対するあの言葉は、これが公開の席上で、速記録にも載つております。私はこの点についてはあとで聞きただしたい点もございますので、一応私はこの点の取消しを要求しておきたいと思います。委員長しかるべくおとりはからい願います。
  93. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 私の発言は、これは私の観点のあやまりでございまして、お願いをすることがお願いしにくい。それをお願いしても、何かそれを正々堂堂とお願いしにくいというのであります。われわれが非常に不利な立場にある営業をしているからということを申し上げたんです。
  94. 門司亮

    門司委員 違います。私はそういうことを聞いておるのではない。それは、遊興飲食税は悪税であるからやめた方がいいと思つても、そういうことを本会議場等で発言した場合に、いかにも料理屋のちようちんを持つとか、お先棒をかつぐというふうに見られるのがいやだから、代議士は発言しないんだという。われわれそういうことを聞くのは、それほど代議士を侮辱した言葉はない。侮辱でなかつたら、だれがそんなことを言つたんだ。委員長から要求してもらいたい。どの代議士がそういう態度をとつたか。
  95. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 そういう気持で申し上げたのではありません。言いにくい上、お願いしにくい。それを言つてあげたいといつても、何だかそういう気持がおありだ、われわれ運動がしにくいということを申し上げたんですから、取消します。
  96. 門司亮

    門司委員 私の言つていることと、今の話は多少食い違つている。言いにくいとか、言いやすいということではありません。本会議におけるわれわれの態度というものは、少くとも党において意思を決定した態度でございます。個人意見ではありません。その態度が世間からこういうふうに見られる、ああいうふうに見られるということがいやだから、本人の意思を曲げて、お前たちは言つているじやないかという印象を受けることは、はなはだ不愉快だ。それは代議士に対する大きな侮辱である。決して今のようなことで言いにくいとか、どうのこうのと言つておるのではございません。われわれは言いにくかろうと言いやすかろうと、言うべきことは必ず言うことがわれわれの仕事であつて、いかにもわれわれが十分良心的に了承しておりながら、これの実現しないのは、代議士の態度がきわめてふまじめであるか、あるいは社会に迎合してなし得ないというような侮辱的な言葉は、慎んでもらいたいと思う。
  97. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 その点は全面的に取消します。私の考え方が間違つておりました。あしからず。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 三田政吉君。
  99. 三田政吉

    ○三田参考人 私ただいま御紹介にあずかりました全国料理業同盟組合中央会の三田でございます。  昨年の七月に委員の皆様方のお骨折りで遊興飲食税の四割が二割、二割が一割に税率の引下げをしていただいたのでございます。ところが実態はどういうことになつておるかというと、その当時四割、二割というような税金はお客様からちようだいしておらなかつた、わずか二分か三分あるいは五分程度の税金をちようだいしておつたというのが事実でございます。そこで昨年の改正によつて本年の一月一日から二割、一割ということに相なつたのでございますが、実際においては、税率は引下げたが、予算措置が伴わなかつたということなのであります。これについては各都道府県のいわゆる財政収入見込額というようなものは、前年より上まわつておるというような状態になつておりますので、結果はむしろ昨年よりも増税というようなことに相なつておるのでございます。それからその増税というような形の反面、私たちの今の商売の状況はどういうふうだということを申し上げてみたいと思うのであります。御承知のように朝鮮事変の解決というような点、それから新聞紙上でも御承知の通り各法人ともバランスを拝見しても非常に不況でございます。かような不況なときに向つて、私どもの商売だけが非常に殷賑をきわめるということはあり得ないのであります。すべての企業が不況である。従つてどもの営業も大きな制約をされておる。売上げ等についても、物価は一方において上昇しながらも、実際自分たちの売るものは極力下げてやらなければならない。生鮮食品その他が二割とか三割とか上るような情勢にありましても、現在全国に何十万という業者があるのでございますが、その競争は非常に激甚でございまして、皆さん町をごらんくださいましても、安いビールなら百二、三十円の値段を張つてあるというようなダンピングをして、おのおのが商売をしておる。かようなときに飲食税あるいは遊興税を、法定通りとるということになりましたならば、業者はそれこそ破産、倒産というものができて参るのでございます。現在も自治庁の財政収入見込額というようなものによつて、各都道府県は業者に強力に圧力をかけております。御承知の通り先般福岡、広島において大きなトラブルが起きたというようなことも、それが一つの原因でございます。ただいま申し上げました通り私ども徴収義務者としてこの税金を取扱いはしておるのでございますが、実際お客様からちようだいしにくい。だんだん不況になつて来れば、ますます売上げが下り、自分たちの収入も減つて来る、また税金もとりにくいというのが現状なのでございます。かかるときに、ただいま申し上げましたように、予算措置が伴わなかつたために実質的な増税だということで、現在各地においてトラブルが起きているのが実態であります。とりにくい税金で、かりにお客様に御請求申しましても、法的には何らの請求権がないという税金でありますし、また業者の立場は非常に弱いのでありまして、ただいまの遊興飲食税というものがちようだいしにくいのでございます。つきましては、私ども昨年も委員会に資料を提出したのでございますが、でき得べくんば遊興飲食税を撤廃していただきたい。そしてビール一本に対して十円、あるいは特級酒、一級酒に対して百円というような酒類の消費税のようなものを創設していただいて、トラブルの多い、しかも徴税当局からいうとこんな捕捉しにくい税金はない、また業者からいわせると、いただきにくい税金であるというような公平の原則に欠けるようなこういう税金を廃止していただいて、消費税に肩がわりをしていただく、こういうことを私はお願い申し上げたいと思うのであります。  それから法第百十五条の一号の花代の点について一言申し上げてみたいと思うのであります。花代の課税は、昨年の委員会において六割に改訂し。いただいたのでございますが、これが参議院に参りました結果がまた元の十割にすえ置かれて、そのまま今日に来ております。戦争中における禁止的罰金的な意味の含まれているこの税率でございます。今日の芸者というものは戦前と大分異なつております。芸者そのものもやはり児童福祉法であるとか、職業安定法であるとか、さようなものに制約されて、なかなか思うようにできないのであります。そこで、芸妓の税金については、これは芸者というレツテルに対して税金をかけているので、行為に対して実際はかけておらない。(「芸者にかけているのじやない、芸者を買う者にかけているのだ」と呼ぶ者あり)芸者が今日なら今日までで廃業して、明日から女中さんということになつたら税金はかからない。同じ行為をやつてもかからない。一方において同じような行為をやる者が出ているにもかかわらず、その税金の捕捉ができない。一方的にただ芸妓という名目があつたために、税金がかけられておるということである。今門司先生がおつしやいましたが、これは芸者が払う税金じやないのだ、呼ぶ客が払うのだということはよくわかるのであります。しかし、結局基本的な芸者の収入というものは、やはりこの税金が障害をなして、大きな影響が与えられている。  それからもう一つ申し上げておきたいと思いますことは、実は先ほど入場税のお話も承つておつたのでありますが、私ども業者には全部現金でちようだいしておる業者はむしろ少いのでありまして、貸売りも相当行われておるのです。ところが売掛金がありましても——取引高税の場合を考えてみましても、取引高税は取引が行われて代金の回収、決済がついたときにその翌月申告して納税することになつておつた。ところが遊興飲食税の方は、代金を決済していただかなくても売上げが行われれば、すぐ翌月これを納税しなければならない。私どもとしてはこの点非常に不平等、不法なものであろうと思います。どうかこの点についても十分なる御配慮をちようだいしたいと思います。     〔灘尾委員長代理退席、委員長着席〕 それから貸倒れ等がありましても、なかなかこれに対する請求もできませんので、結局は業者の出血納税になつてしまう。業者負担という形になるのでございます。  それから、今門司先生からいろいろお話がございましたが、私どもの商売も決してただ単に遊興的な意義だけを持つているものではございません。やはり営業上の取引とか、その他日本の家庭で行えないような、結果において要するに一つのサービス業でありまして、その点も御曲解をなさらないように、お願い申し上げたいと思うのであります。いろいろ見解もございましようし、でき得べくんば、ただいまも申し上げました財源措置によりまして、遊興飲食税の撤廃をお願い申し上げたいと存じます。  はなはだ簡単でありますが、以上をもちまして終ります。
  100. 中井一夫

  101. 春日政男

    ○春日参考人 私は今御紹介をいただきました喫茶の方の全国の会長をいたしております。しかしながら喫茶ばかりでなくて、食堂関係の方も、私ども責任上加味してひとつ申し上げたいと存ずるのであります。  昨年この議会にいろいろとお願いをいたしまして衆議院におきまして百円の免税点をこさえていただいたのであります。ところがこれが参議院にまわりまして、一品五十円、一回が百円ということに修正に相なつたのであります。その節にはたいへん御尽力をいただきまして、ありがたく存じました。物価指数等のことについては喋々申し上げるまでもないと思うのですが、戦前におきましては一円五十銭以下のものには遊興飲食税をかけない、一円五十銭以上のものにかける、こういうのであつたので、物価指数の点から申しますれば、戦前から見ると三百五十倍というのが、もう通例になつておりますが、少く見積つて百倍にいたしましても、百五十円くらいの免税点は今日至当ではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。何とぞこの点につきまして——昨年百円の免税点を衆議院で御決定に相なつてまことにありがたかつたんですが、参議院で変更になつたということでがつかりいたしておるのであります。それから範囲におきましても、どんぶりを一つ食べても、またそばを一ぱい食べても、また私ども一日の勤労をいたしまして、帰りがけにしようちゆう一ぱい飲んでも、これに遊興飲食税がかかるというようなことは、まことに嘆かわしい次第であります。どうかほんとうに、そうした勤労者が一日働いてのしようちゆう一ぱい、あるいは百五十円くらいまでのものはぜひひとつ本年は御考慮を願いまして、何とか免税点をつくつていただきたい。但しこれは昨年度においてそう決定いたしましたけれども財源措置がないと、日本料理屋とか方々にしわ寄せが行きますので、この点他業態の人たちは、さらに昨年より二割上つた、三割上つたということを聞きますと、まことはお気の毒に存ずるのであります。それがために他の業種が上るというようなこともひとつ十分に御考慮の上、何とぞ大衆面の、どんぶり一ぱいにも、しようちゆう一ぱいにも税金がかかるということだけは、本年はぜひお考えを願いまして、これの非課税お願いいたしたい、かく存ずる次第であります。さらに最後に申し上げましたしわ寄せのないように、何分お願いいたしまして、ごあいさつにかえます。
  102. 中井一夫

    中井委員長 次に全国旅館組合連合会会長小林毅さん。
  103. 小林毅

    ○小林参考人 ただいま御紹介をいただきました全国の旅館組合連合会の副会長の小林でございます。本日は当委員会におかれまして、地方税法改正について、お前たちの実情はどうかというようなお尋ねをいただくことにお呼び出しを願つたそうでございまして、そういう機会をつくつていただきました当委員会の皆さんに対して、厚くお礼を申し上げます。そういう御趣旨でお呼び出しを願つておりますので、私どもの実情を申し上げまして、御参考にお願いいたしとうございます。御承知の通り私は旅館でございますから、旅館の立場からだけ申し上げます。  旅館は家庭の延長だといわれておりますので、私どももそういうつもりで商売をして参つております。そういう考えでございますので、この飲食税そのものは、もちろん私たちが納める税金ではなくて、おとまりなさるお客さんの納める税金でございますから、お客様から法の命ぜられた通りいただけばよろしいのでございます。私ども業者は、先ほど来申し上げておりますように接客業者で、立場としては非常に弱い立場にございますので、宿泊料の一割をお客様からちようだいして納めろということにつきまして、飲食税そのものについて、これは私見でございますけれども、実は課税の理由が、はなはだ薄弱だというようなぐあいに考えられております。私ども自身もそうでございますけれども、皆さんがいろいろ公用や私用で旅行をなすつて、旅先で宿へおとまりなさるときに、宿へ税金を納めなければとまれない、税金を納めなければ旅先では御飯が食べられないというようなことは、どう考えてみましても、税金をとる対象としてはあまりりくつのないことじやないかということを、私たち徴収義務者といわれておる立場におるもの自身が、強くしよつちゆう感じておる点でございます。もちろん営業の基礎のしつかりした大きい旅館、ホテルなどは、当然宿泊料のほかに一割くらいチツプを出します。そういうところへおとまりなさるお客さんは一割を出すことに、それほど苦痛ではないかもしれませんけれども、二食食べて六、七百円のところへとまるお客さんの立場から考えまして、そこで一割とられる、税金を納めなければいけないということになると、非常につらく感ぜられるということが、私ども業者としては想像されますので、自然とある程度までその税金は、二食付七百円、八百円という宿料の中に含ませていただいておる。そういうような料金の安い業者、いわゆる大勢のお客さんがとまる旅館は、そういうような状態で、実際のことを言うと、飲食税を納めておるというのが実情でございます。それで税金を納めており、またいただいておる関係はそんなぐあいでございますけれども、去年二割を一割に法定税率を下げていただいて、その後どうかということにつきましては、先ほど来私ども代表から申し上げましたように、旅館におきましても、実情は前年度よりも全国総額は下つておりません。先ほど申し上げました通り、ある程度まで法定税率を下げたならば、予算措置をしていただかなければ、結局同じように各府県では税金を取立てるというような結果、事実は二十七年度より二十八年度の方が法定税率は半分に下つたにもかかわらず、実際に私ども業者が納める税金の総額は、一、二割二十七年度よりよけいに納めなければならないというような実情になつております。それはもちろん業者の数がふえたとか、営業成績が上つたからということも理由になるかもしれませんけれども、法定税率が二割から一割に下つておりますので、少くとも多少下るんじやないかといつて、私ども業者はみんな喜んでおつたんですけれども、実際はそういうような状態でございます。  私が大体申し上げることは以上でございますので、何かまた詳しい点につきまして、実際問題についてお尋ねがございますれば、御参考に御返事申し上げたいと存じております。何とぞよろしくお願いいたします。
  104. 中井一夫

    中井委員長 遊興飲食税関係の皆さんの陳述はこれで終つたわけであります。委員の方から御質問がございましたら、この際お始めを願います。
  105. 門司亮

    門司委員 どなたでもよろしゆうございますが、はつきり答弁していただきたいのです。それは昭和二十五年の税制改革のときに、あなた方の業者からいただいた私の記憶によりますると、当時の総売上高は一千五百六十億であつたと思います。従つて今日どの辺まで売上高がふえておるかということを御答弁願いたい。
  106. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 恐縮ですが、今数字を手持ちいたしておりませんので、調査して正確なところを御返事申し上げます。
  107. 門司亮

    門司委員 私がそれを聞きましたのは、税金が高いか安いかということの基礎資料を知りたいからであります。その当時の税金と今日の税金との比較検討をいたしまするには、一応そうしたあの当時の資料というものは、業者の方から出していただいた資料でありますので、私は間違いがないと思う。現在私の手元にありまする資料は所得税を基本にした資料であります。従つて昨年度の総売上高は約千八百三十億になつておる。これに対して税率をかけておりますが、旧税法によりますとこれは四八%しか捕捉しておらない。この点はよく聞いておいてください。四八%の捕捉率です。四八%の捕捉率ということは結局それ以外は悪く言えば脱税ですよ。課税する場合にはそういう手心が加えられているのである。さらにわれわれは本年度これが約八〇%ぐらいに捕捉率をふやして見積つておりますが、そのかわりこれについては実績から非常にかけ離れた所得税を中心とし、さらに非課税を差引いた千三百億ぐらいのものに大体課税しているのではないかと思う。そういたしますと、税のかけ方が非常に苛酷であるというお話でありますが、昭和二十五年のときに約千六百億あつたものは、本年度は物価指数から考えますと二千四、五百億ぐらいになつていなければならぬはずです。千三百億の売上高と見てこれに八〇%の捕捉率を計算しておりますので、なおかつ二〇%というものは抜けておる。全体を捕捉することが建前であるにもかかわらず、これは非常に捕捉が困難な税金であるということで、落せるだけこれを落して行くという物の考え方が一応とられておる。われわれは決してあなた方が言つているようなむちやくちやに仕事をしているわけでも何でもないということである。従つてわれわれは、あなた方の方から出して来る売上高というものはどんなものか知りたいのである、おそらく昭和二十五年の税制改革のときにあなた方から出された資料が正しいものとするならば、ことしは二千四、五百億なければならぬ。所得税の算出基礎から逆算して参りますと千三百億にすぎない。こうなつて参りますと、所得税自体に脱税があることになつて来る。私はこの点明確にひとつ調べてもらえれば、一体税金がどれだけ苛酷であるかないかということの想像もつくと思われる。この数字をひとつ十分にあなた方の方で調査してもらいたい。それがまずわからなければ、私はこの問題について十分なる討論をするわけには参らぬと思つております。税のよしあしは別といたしまして、できるだけ実情に沿うように、きわめてつかみにくい税金であることのために、でき得るだけ実態に沿うような処置が今まで行われておると思う。にもかかわらず先ほどからの陳述を聞いておりますと、まるつきりむちやくちやの税金をかけておるように言われるが、所得税と売上高との関係をもう少し明確にすれば、ほかに波及する問題が出て来ると思う。そういうことをひとつできるだけ早い機会に知らしてもらいたい。  それから先ほどの問題でありますが、芸者の税金をかけるとかかけないとか言つておるが、芸者には税金をかけておりません。芸者買いをする人には税金がかかるのは当然であります。芸者が芸者でなくなれば、税金はかからない。ここでその議論を聞こうとは考えておらないが、商売がかわれば税金はかけないのは当然であります。
  108. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 しかし先生、同じ行為があつた場合には………。
  109. 門司亮

    門司委員 同じ行為があつてもなくても芸者を買う人の納める税金であります。芸者を買う人が税金を納める。そういう違う行為の人を自分のそばにおいておしやくをさせるのはけつこうであります。そういうものもあるのであります。実態はそうなつておりましよう。この料理屋には芸者はいなくて女中さんだけでやつている、この料理屋には女中が少しいて芸者がおるということは、そこに行く人は知つている。こんなことは本人自身の納める税金だから、本人自身の御意思にまかせておけばよいと思う。それがあるからといつて芸者に税金をかけておるとは思わない。従つてそういう認識の間違つた物の考え方で議論をされることは迷惑する。今の遊興飲食税は、税金の実態の姿からいつて、決してあなた方がお払いになる税金ではなく、飲食をする人が払う税金であることになつて参りますので、飲食する人には物の消費価値がきわめて重大である。私が消費価値と申し上げておるのは、一つの物で、たとえば百円のものを消費するとすれば、これが百円の価値があるかないとかいう問題であります。そこでたとえば千円の料理なら料理を買うとすると、それに四割税金がついている。そうすると実際はその千円払うことにおいて、実際の品物は概算すれば六百円でなければならぬ。千円の物を千円に売ることはできない。緻密にすればもう少し違います。その六百円の中からあなた方の生活費が引かれなければならぬ。そうするとほんとうの品物の価値は一体幾らになるか。四百円か五百円にすぎない。この物を千円に売ることは消費価値の面から見てきわめて不合理である。そこで売りにくいのだ。ここに論点がなされるならば納得が行く。売りにくいから税金はとりにくいのだ、しかも消費価値に対して苛酷な税金を払うことは払いにくいことになる、こういうあなた方の方の議論であるならば正しいと思う。従つてとりにくい税金であるから、われわれの負担が増して来るのである。これをカバーしようとすれば、勢い自腹を切らなければならぬことになる、そういう議論なら正しいと思う。税金を払う者の身になつて考えてくださればわかるが、あなた方はいかにも自分たちが税金を払つているようなことを言つて議論をするから間違いが起るのである。税金を払う方が払いにくい、払いにくいからとりにくい、とりにくいから納めようとすれば無理があるということになる。先ほどからの陳述によると、われわれからぎゆうゆうしぼつてつておるようなことになつておるが、数字から行くと先ほど申し上げた通りであります。その点には現行法でも一応の線は引いてある。この点は間違いのないようにお考えおきを願いたい。  次にこれだけはひとつ答弁をしていただきたいのであります。この税金の一番大きな問題の焦点になるのは、遊興と飲食の境であります。今日のように一方において生活に困つている人がたくさんある場合に、遊興する人に対しては税金をかけてもよいと思う。芸者買いをする人には税金をかけることはさしつかえないと思う。一晩に三千円も五千円も遊興する人に税金をかけるのは間違いではないと思う。しかし単なる飲食、これも今の食糧管理法の面からいえば問題である。お互いが配給を受けているときに、金があるからといつて外で食べられることはどうかと思うが、それは一応伏せておいて、どの辺からが遊興であり、どの辺からが飲食であるかという線が引けるならば、あなた方のお考えをこの際承つておきたい。
  110. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 先刻はいろいろと暴言をはきまして申訳ありませんが、今お教えいただきましたところのすべてには御答弁できませんが、よくおわかりのことで、遊興飲食税というものが、不合理であるということを御承知の門司先生に申し上げにくいのですが、実際はとりにくいのです。ところがとりにくいといつて、そのままとらずにはおけない。とれば自滅するという、その板ばさみの中にあります。一面とりいいようにしてもらいまするには、税率を引下げて、それには予算的措置を伴つた面でお教え願いたい。これは最高一割あるいは六、七分どまりまでということを、かつて申し上げたことを覚えております。千五百何十億の時代に百五十億ならお払いができるということを陳述いたしたのであります。実際その当時はそうであつたが、今は二千七、八百億ぐらいは総売上げはあるだろうとおつしやる。これはわれわれが数字を調べても、業者ではよくわかりません、諸官庁においてお調べを願つて、それを教えていただきますればわかると思います。ところがその数字の出て来ます原因は物価高です。仕入高、給金が高くなつている。家賃地代が高くなつている。事業税所得税も高くなつている。また遊興飲食税もおのずから高くなつておるのです。その当時の千四、五百は今日の二千五、六百ぐらい、倍にはならなくても、そのくらいが匹敵する数字ではなかろうかと思うのです。ですから不当にお前たちはもうけているのではないか、しかもとりにくいというのに便乗して——そこまではおつしやいませんが、結局それは税の組み方自体が悪いのです。遊興と飲食というような面はこれは議論の余地があると思いますが、われわれは一ぱいのビールを飲んであすの増産へということを言つておりますが、一ぱいのビールを飲んで遊興になりましようか。こういうことは反論はいたしませんが、一ぱいのビールを飲んであすへの増産をする人もあれば、芸者をあげてやる人もある。おのずから自分の私経済の程度によつていろいろとあります。われわれ自体はそういうことは申し上げません。しかしながら少くとも今の入場税と同じように、高かろう、安かろうにしても、納得づくの税込みの価格で、かりに売れるなら売れるようにしていただきたい。かくして今お話がありました広島における、あるいは福岡におけるような、官庁とまつたく血みどろの闘いをし、そうしてわれわれは特別徴収義務者を返上する、飲食代だけはいただきます。その税金はこの箱に入れてくれ、入れられなければお客様の納めてくれないような無謀な税金を今日なお残しておかれることが、国家としてはどうかというようなことを実は申し上げてみたいのです。先生はその点どうでしようか。
  111. 中井一夫

    中井委員長 門司委員に申し上げますが、あなたも御承知の通り、大蔵省自治庁の問題で、大蔵委員長との間に、五時から懇談をすることになつておりますので、この問題は、なるべく簡単に願います。
  112. 門司亮

    門司委員 あまり長くは申しません。今私が質問いたしましたのは、そういう答弁をいただくつもりで質問したのではありません。これはわれわれも十分考えなければなりませんが、たとえば百円未満のものに税金をかけるというようなこと、つまりさつきのお話のように一ぱいのしようちゆうにも税金をかけることは不都合だ。一ぱいの天どんに税金をかけることは不都合だ、まだそのほかにも清涼飲料水の問題があります。ラムネ一本今日六円幾らというものに税金をかけておる、こういうばかばかしい、子供の飲むようなものに税金をかけておることは、不都合だということは、われわれよく知つております。しかしそれをよくするためには、あなた方の理由のような、ただ自分たちの立場だけからこの税金をやめるわけには行きません。これには社会的に客観的に納得の行く線でなければわれわれも処理できません。従つて私がさつき聞いたのは、あなた方の立場から見て、どの辺を遊興と見ることができるか、どの辺から大体普通の飲食とみなすことができるのか。いわゆる一般の社会常識としてこの辺くらいはやれるだろう、この辺からは一般社会人よりはいぜたくだという線を、どの辺に引くかということが、やはりこの税金を合理化する一つの目安だと思う。従つて私はこのことを聞いている。あなた方は非常に言いにくいのかもしれませんが、しかしわれわれが線を引くにはそういうことが一つの目安になるのである。そのことに対して一体どの辺までが遊興であるか、飲食であるかということの線を、どの辺に引けばいいとお考えになりますか。
  113. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 まあ一般に私たちは今申し上げたように、一夜に千円を使つて遊興にならない人もあれば、一夜に五百円で遊興をしたような気持になる人もあれば、あるいは一夜に万金を投じても、なおこれが遊興でなかつたというような感じを持つ人もあると思います。これは万金とは言いませんけれども、その人のいわゆる……。
  114. 門司亮

    門司委員 私はそんなことを聞いているわけではない。さつき言いましたように社会通念上、常識上ものの考え方を聞いているのでありまして、本人が一人々々遊興になると心得ているかどうか、それはなるほどしようちゆう一ぱいでいい気持になつて、たこ踊りをしている人もある。芸者買いをしてもにが虫をかんだような顔をしている人もあるが、そんなことを聞いているのではない。社会通念としてあなた方の立場から見て、これは言いにくいことではあろうが、一応私がさつき申しましたように、今日非常に食べるに困つている人がたくさんあるのである。にもかかわらず夜の夜中までも芸者をあげてどんちやん騒ぎをやつている者を、はたしてこのままの社会環境の中で見のがすことができるかどうかということであります。私どもはこういうものは考えなければならないと思う。そこには何らか社会的の一つ負担をしてもらつてもさしつかえないのではないかというようなことが考えられる。そこでそれの目安にするのに、先ほど私が申し上げましたように百円までは一応処置をしよう、この辺までは遊興とは言えぬのではないかという措置をとつたが、それでもなおかつ不平があるというならば、どの辺で線を引けばいいかというわれわれの審議の目安の参考にする資料を、ひとつ教えていただきたい。
  115. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 そうすると免税点をかりに遊興の境にするとおつしやるのですね。それならば現在の物価指数から見て三百円ないし五百円です。今の百円でははなはだ申しにくいのですが、これは遊興には該当いたしません。三百円以上五百円未満をはつきりとした線にひとつお引きを願います。   (委員長退席、灘尾委員長代理着   席〕
  116. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 これは佐藤さんか、三田さんか、小林さんか、どつちの管轄かわかりませんが、一言ちよつとお伺いいたします。  たとえば東京には温泉マークのついた旅館がたくさんあつて、そこへ男と女がそろつてつて一時間か二時間か場所を使つているらしいのです。その場合に一々課税の対象になるほどの料金に上つているかどうか疑問があると思うのです。そういう場合にはどういう課税の対象にされているかということをお伺いいたします。
  117. 小林毅

    ○小林参考人 お答え申し上げますが、わ話の通り今東京都は温泉マークの旅館が非常に多いのであります。今のお話の課税の対象としてどういうふうに扱つているかというお話でありますけれども、おそらくこれはそういう原則がございませんので何でございますが、ただお休みで三百円とか、五百円とかいただいて、そうしてそのうちから飲食税を払つておるのだろうと想像しております。おそらく税を一割なら一割きちつと書いて出すような温泉マークの業態は、成り立たないと思います。
  118. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 それからもう一つ、これはあちらの人からたくさん金をとる商売らしいのですが、芸者でなくて、立川に多くいらつしやる連中らしいのですが、この場合において、要するに収入を得た者に対する課税の標準は入つたのと課税標準のレベルが大分違つておるというような話を聞くのですが、さよう状況がありますか。
  119. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 これは私らの専門外ですが、それはないとは言われません。それはあり得ることです。ですけれどもたたきわけとか、部屋料とかあるいは食事代とかいう形で、経営者も不当とは言いませんが、相当割前を受けておりますから、本人のふところに入るものが幾らかということは、これは契約によつて違うようです。それは衣食を全部まかなうということもありますので、ひとつその辺はどうか……。
  120. 大石ヨシエ

    ○大石委員 佐藤さんにちよつとお伺いしますが、ああいうキヤバレーにおる御婦人は、月給ですか。あれはどういうふうな契約ですか。歩合ですか。
  121. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 最近は一日出勤すれば定額を一月払つておるところもあります。一万円なら一万円というものをですね。なおお店の盛りぐあいによつて、その日最低三百円から五百円くらい出勤の都度払つております。ですから一年契約とかあるいは一月契約というのをいたしておるところもございますが、一日々々で来ておるところもある。それは一日来れば日割計算でお払いしておるところもあります。
  122. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいまあなたは契約とおつしやいましたが、その契約とは一年何ぼで前貸しすることですか。契約とは何を意味するのですか。
  123. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 雇用契約ですね。
  124. 大石ヨシエ

    ○大石委員 雇用契約であるなれば、一年二年という年限を切らずして、かつてに勤めさしたらよろしいでしよう。今ごろ基本的人権を認めて非常に労働時間のやかましいときに、そういう何年何ぼという契約がもしあるとしたら、私たちはちよつと婦人の立場からお聞きしたいのです。
  125. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 現在はチツプ制度なんですが、実は最近私が理事長として東京社交料飲健康保険組合というものをつくつております。そうするとその組合に入つてもらいますれば、長い間病気されても、これなら二年までくらいは保障ができます。どんな病気でもわずか一人月に八十円、店主で百二十円の掛金です。それで現在は一万四、五千円あつて、そういう組合もありますから、昔のようにチツプさえもらえば転々、あすから甲から乙へ、乙から丙へ行くというよう考え方は、持つてもらいたくないというのです。どうしても経営者と一緒の合体をつくつて、そうして強固な生活の組織をつくつて行く。病魔からも安心してのがれる、こういうことです。
  126. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから私旅館の方にお聞きしたいのですが、さつき門司先生が、芸者というものは、お客が金を払うものであつて、いわゆる営業者が金を払うものではないということをおつしやいました。それはその通りでございます。けれども、男の人が酒に乗じて芸者買いをなさることは自由でございますが、ずいぶん貸倒れがあつて、あなた方が出血しておるということは私よく知つております。それからもう一つ私不審に思うのは、わが京都府では芸者でなくしてやとなというものがある、それから女中というものがある。そしてその人々から遊興飲食税をとつておる。しかれば、基本的人権を尊重せよといつて、今憲法に描き出されておるが、公娼制度というものは今はないけれども、ちようど公娼と同じようなことをして、そしてそれに遊興飲食税を課しておる。この点について、これはあなたにお聞きするのでございませんが、日本の国の公娼制度というものは全廃になつた、そして京都では女中という名前になつておる、名前をかえて芸者が女中となつたら、それでいいじやないかとおつしやつても、それに現在税金がかかつておる。しかれば日本政府というものは、公娼を認めるものであるか、もし公娼を認めておつて、それに対して課税をするなれば、日本の国は元の封建的な公娼制度が存置するわけです。それはあなたに言うてもしかたがない。それで女中というものに対して課税をしておるということは、日本の国が婦人の権利を無視して公娼制度を認めておると言つても、私は過言でないと思う。私はそれをあなたに申し上げるのでありませんが、あなたの御意見はいかがでございます。
  127. 三田政吉

    ○三田参考人 今先生からいろいろ御意見があつたのでございますが、事実先ほど門司先生もおつしやいましたが、芸者から税金をとるわけではない、業者からとるわけでもない、客からとるのだ、こういうお話です。それは御説の通り芸者や料理店から税金を払うのでなくして、客が払うのでありますが、しかし私の申し上げたいと思いますことは、少くとも十割という税金の率というものは現在の世相、あるいは一般の社会情勢とか経済情勢から見て、妥当な税率かどうかということをお伺いしたいのであります。先生の今おつしやいました女中にまでかける、これもやはり女中さんが税金を払うという意味でなく、女中さんがはべつたことに対する税金がかかるという先生の御意見なんでしようか。いわゆる接客税というようなものの税金でしようか、どつちなんでしようか、先生のお尋ねは……。
  128. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私は婦人の立場から、日本の国には公娼制度というものがなくなつた、それに今日遊興税といつて、そうした接客婦と、そして京都府では女中といつて、それに人頭割をかけておる。しからば日本の国は公娼制度を認めておるか、一体どうであるか。公娼制度を認めておらないにもかかわらず、その女中に遊興飲食税をとるということは一体何であるか、私は婦人の立場からこれを実に不思議に思うのです。それはあなたに言うのではない、いずれ政府当局に申し上げますが、その点あなたはどういうふうにお考えになつていますか。
  129. 三田政吉

    ○三田参考人 私は接客婦税というものには非常に反対です。一般の普通のサービス業の婦人というものは、何らこれを対象とする税金を払つていないのですから、私はこの接客婦に対する特別税というものは反対です。パンパン、パンパンといわれますけれども、いわゆる街路婦です。街路婦はパンパンと称して、自分たちが実際に金をもうけておつても、彼には遊興飲食税がかからない、ところが吉原、洲崎、あの方面にいる人には遊興飲食税がかかる、一体政府はどうであるか。とりよい場所でとつて、そうしてパンパンは街頭に出ておるからしてとらない。しからば脱税方法は幾らでもある。この点はあなたに言うても何もならぬですが、とにかくそういうような点も——私は女でございまして、パンパンを買いに行つたことはございませんから、どういうふうなことであるか、教えていただきたい。
  130. 北山愛郎

    北山委員 先ほどからお伺いしていると、やはり旅館なり料理店の方々は、この税金を自分たちが払つておるような錯覚を起すわけです。その原因というのは、この税金のとり方自体にもあるのじやないか。聞くところによると、これは割当で申告納付ということになつておりますが、割当をして、そうしてそれを組合か何かで各業者に割当てる、そのやり方がどういうふうになつておるか、申告というものが尊重されておるか、あるいは五千万円なら五千万円だというて、それを組合におろして、組合がまた組合員におろして行く、その過程が民主的に行われておるかどうかということも問題だと思うのです。高いか安いかというようなことも、結局料理店でも何でもピンからキリまである。その際にその割当が案外楽な人もあるでしようし、非常に苛酷な人もあるというようなことが起つて来るだろうと思うのです。それである人にとつては、これは非常に高いからやめてもらいたいというような、ほんとうに生活権に関係する問題もあろうと思う。そこでその納税あるいは徴収のやり方が実際にどうなつておるかということを、これは徴収当局の方と業者の方々にお伺いしたい。
  131. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 今のお話は実はありがたいお話であります。大体この国税時代は、屋根裏課税といわれたほど悪税であつたことを、御当局がよく御承知を願いまして、一応御相談を願つて、お前の方にはこれだけ引受けてくれ、こうしてくれというようなお話がありました。とにかく地方税になつてシヤウプ勧告の線から、われわれの税が一指も染められなかつたというので、団体折衝が一応認められなかつた、個人折衝ということになりまして、これも一部の業者はお話合いを受けておるのもありますが、大体は天くだり予算でこれで行けと言われておるのが現状であります。全部が団体折衝を受けていないし、また受けているところもありますが、大体はほとんど一方的な天くだり数字をのませられておるのが現状であります。
  132. 北山愛郎

    北山委員 東京の場合に実際どうでしよう
  133. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 東京の場合がそうです。
  134. 亨仁

    ○亨参考人 ただいま割当課税をやつておるかどうかということについてのお話でございますが、業者の方のお話もございましたように、割当課税というようなことはやつておりません。御承知の通りこれは申告納入の制度であるのであります。申し上げるまでもなく、ごく民主的な方法でございまして、業者の方が自主的に自分の売上げに対する税額を計算して納める、こういう制度でございます。それをできる限り尊重をして参りたいと思います。しかしおのずから予算もございますから、そういう予算に満つることがぜひ必要でございます。これは業者の方の自主的な申告をまちまして、なおそれが実際に調査をいたしましたところと異なる場合には、やむなく更正をする、あるいはまた申告のない場合には決定もするという方法で行つております。実情は大体全体の納税額のうちの八十四、五パーセントというものは申告是認になつております。その他のものが決定もしくは更正を受ける、こういう事情でございます。できるだけ民主的な線に沿つて運営をいたして参りたい、かように思つております。
  135. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 遊興飲食税に関する御質問はまだおありのことと思うのでありますが、亨さんには最後に皆さんから全体に通じて承らなければならぬ点もあるかと思いますので、この際電気ガス税関係につきまして、日本化学工業協会技術部長の大島竹治君から一応お話を伺いまして、そのあとで、また残りの問題につきましては、全体について御発言を願いたいと思います。大島君。
  136. 大島竹治

    ○大島参考人 ただいま御紹介にあずかりました日本化学工業協会の大島でございます。  電気ガス税は長いこと皆様方に御請願申し上げまして、昨年春に全会一致という珍しい事情のもとに通過させていただきましたことは、協会の非常に感謝しておるところでございます。そこでその後どういう経過になりましたかということを御報告申し上げるわけでございますが、何分時間がございません、と申しましても、今年の正月から今日までの経過でございますから、はつきりした傾向はわからぬわけでございますけれども、一応のいわば傾向的には大体申し上げられる、こう存じますので、そういうような程度で御報告させていただきたいと思います。  私ども、この電気ガス税は、できますならば全部やめていただきという理由を申し上げましてお願いしたのでありますが、皆さんの今までの税源の関係上それはできないでございましようから、当面一番響きの多い方からやめていただきたい、こういうようお願い申し上げたのであります。その限度といたしましてお願いしました趣意は、大体におきまして電気ガス税が原価に及ぼす影響の多いものを主にしていただきたい、それから国家が国家として当然育成さるべきものと考えられて、ことに国家としてすでにその措置をとつておられるものについて、これを保護する意味からひとつ見ていただきたい、こうお願いいたすわけであります。かたがたしましてお願いしたのでありますが、たまたまもつてどもお願いします品目は、全部国際商品と申してもいいような商品でございますために、世界各国の競争場裡にわれわれが闘わなければならない性質のものでございます。言葉をかえて申し上げますならば、少し高くなると、すぐに外国から押しかけて来る。できるならば輸出で国策の線に沿うべきものと思つておるのに、非常な脅威にさらされておるというときに、外国にございませんようなこういう税金の足かせを持つておるということは、非常に苦しいからひとつ御心配を願いたい、こう申し上げた。そこでそういうような線に沿うておるかどうかということを申し上げるわけでございますが、それについて一番わかりやすい結果から申し上げますと、それでもなお依然輸入の脅威が多いということと、端的に申し上げますと、昨年末から今日までこの値段が下つたのか上つたのかということに帰着するかと思います。これぐらいよりほかに、すぐこれに相当するような資料ができないと思いますので、その点から申し上げます。品目別になつて恐縮でございますが、おもな品目について申し上げます。これは時間がありませんで、やつと計算が間に合いました程度でございますので、恐縮ですが読ませていただきます。  第一にア法苛性ソーダ、アンモニア法の苛性ソーダというのでございますが、液体と固体がございまして、それが昨年末までは液体の方がトン当り四万六千円というのが卸売価格でありました。それが今日四万三千円、これは六・五%値段が下つております。固型の方は五万一千円であつたものが、今日四万九千円、これは五・九%下つております。それからソーダ灰でございますが、トン当り三万一千円、それが今日二万五千円、これは一九・四%下つております。これは必ずしも電気ガス税のためばかりでもございません。それから電鋳耐火煉瓦でございますが、トン当り十一万円のものが今日十万円で九・一%下つております。鹹水ヨードが九十三万円、これは九十九パーセントまで、ほとんど輸出であります。これは激甚な競争になつておりまして、日本がねらい撃ちされているという結果になつております。これが九十三万円だつたものが八十八万円、五・三%下つております。鹹水臭素、これが二十四万円のものが二十四万円で持合いでございます。持合いなのは非常に珍しいのでありますが、これは実は非常に量が少いために、供給不足の傾向があると同時に、これが電気を食う量が非常に多いので、過日の電気料金の値上げはかなり響いております。持合いということはかなり業者としては、前から見ると電気ガス税が下つたことに対して非常に感謝しているわけです。それからメタノールの値段は七か円が六万四千円から六万六千円、五・七%から八・六%の値下りでございます。硫酸が九八%程度のものだというのでありますが、九千円が相かわらず九千円で持合いでございます。これにはちよつと原因がございまして、非常に原料がマツシヴなものでありますために、運賃がかさむのであります。この運賃は御存じと思いますが、本年の二月から総じて一割上つております。そのほかにいろいろな調整といいますか、合理化しましたために、ものによつてはそれ以上に上つておるものがございます。これは大体前と同じなのでございまして、運賃が一割値上りしておりますので、原料とともに寄せますと、もう少しよけいになりますから、これは事実上は値下りと同じ結果になつておる、こう御了承願いたいと思います。金属ソーダは二万四千円から二万五千円が今二万四千円で、やや持合いでございますが、四%ぐらい下つております。過酸化ソーダが二十八万五千円から二十八万円に下りまして、これは一・八%であります。それから塩素酸ソーダが八万五千円から七万五千円で一一・一%下つております。それから過塩素酸アンモンというのが十一万円が十万五千円になつておりまして、四・五%下つております。過酸化水素が十七万円、これは持合いでございます。これは量のあまり多いものではございません。二硫化炭素五万四千円が四万九千円、九・二%、珪酸ソーダが二万三千円か二万一千円で八・九%下つております。その特殊のもので三号というものがございますが、一万七千円が一万四千円で一七%下つております。すべて大体下つておりますが、そのほかにセメント、これは相当多いのでございますが、トン当り八千五百円が八千五百円で持合いでございます。これについて若干御説明申し上げたいと思いますが、これも先ほど申し上げました原料の石灰石が非常にマツシヴであると同時に、製品もマツシヴでありますために、運賃の値上りというものが非常に響いております。これは総じて一割でございますが、そのほかに事実上は調整といいますか、合理化されたために二割五分上つたのであります。そういたしますと、この持合いということは事実上値下りでございます。それから業界の方は、一般に現在の状況では比較的に恵まれている工業ではございますが、業界では非常に自粛しておりまして、電源開発のために非常に需要が多いのでございますが、それにもかかわりませんで大体自粛値段で、実は上げまいという一応の皆さんが協定といいますか、協定としますとこれはめんどうが起るわけでございますが、大体そういう気持でやつておられます。今度の九州災害につきましてはまた厖大なセメントがいるわけでございますが、これにつきましても値を上げまいということを申し合せておられます。申し合せるという言葉がこれは独禁法にさわるということになると思いますが、私はこれを善意な一つの基準としまして、別に協定したわけではなく、大体そういう気持でやつておられるというふうに御解釈願いたいと思います。そのほかにビニロン、アミラン、それから塩化ビニリデン及びその原料、こういう三種類ばかりのもの、これは国家として先般も皆さんに御心配願いまして、国策としてこれを保護すべきだ、羊毛その他の輸入を防止するために、ぜひとも国産品でやらなければならぬということで御賛同を得られて、国策としてこれを推進されるような傾向にございます。そこでこれはこのたびの電気ガス税につきましても、特別御配慮をいただいたことに対して非常に感謝しておりますが、しかし持合いでございます。と申しますのはこれは今引合つているものは一つもございません。他日大量生産になつたらあるいは合理化が進んだらということでやつてつておるので、これは持合いということについて御了承願いたいと思います。この点はそのほかの面、法人税にしましても、それから運賃の値上げの際にも相当御考慮願つたわけであります。こういうような国家として育成すべきものについては、特別な御配慮を願つたことを非常に感謝しております。  それから最も重要なことを申し落しましたが、これらのものが何べんか、輸入業者が少しでももうかればいいという関係から、輸入を非常に積極的に心配して参つたのですが、幸いにして今日これらのものはおおむね輸入をしなくて済むよう状況であります。それからこの中に鹹水ヨードのようにかなりその輸出が進んでおるもの、セメントのごとくなお進んでいるもの、こういうものもございます。今後もこういうようなものをよく勉強いたしまして、できるならばあくまで往年の日本ように、どんどん輸出して参るようにいたしたいと存じます。  なお先ほど委員長のお話で、将来についての希望を含めて申せと言つてくださいましたので、そのことをおそくなりまして恐縮ですが申上述べさせていただきたいと思います。先ほどちよつと申し上げましたが、このことにつきまして二つのことを申し上げさせていただきたいと思います。その一つは、電気ガス税というものは、事の当初から皆さんにお願いした通りの理由でございますが、これが生産の過程において課税されるということでございます。こういう課税方法税制の体制としてどうであるか、それが一つであります。もう一つの点は、これをやらなければならぬものは、おもに国際商品として外国と競争しなければならぬ立場にあるということでございます。内容につきましては、それでなくても運賃その他に相当なハンディキヤツプを持つて、今日日本の工業が闘わなければならぬときにあたりまして、それ以上に各国にないような税金を——日本は貧乏になつたのですから、いろいろな点で批評を受けましようが、それにしましてもこういうふうなものは、ともかく生産の途上において萎縮するよう方法をとらない方が、国家としていいことではないかということであります。そういうようなことからしまして、財源関係がございまして、すぐというわけには参りますまいが、将来これをぜひとも外国並に、電気ガス税というような性質のものは根本的にはおやめを願いたいこういうことでございます。  それからもう一つの問題は、それはすぐできないと思いますが、当面の問題としましては——実はこの前にはほとんど全部御承認願つたわけでございますが、そのときに私どもの手抜かりといたしまして、一つ申し落したものがございます。それはビニールについての課税の問題でございます。これは先般諸先生のもとに資料を差上げたと存じますが、御存じの通りに、塩化ビニールは非常に評判になりましたから、事のどういうものかは御存じでございましようし、今日町の中に出ておりますのはハンド・バツグとかなんとかいうことで、すぐお目におとまりになると思いますが、実は塩化ビニールというものを本来一番たくさん使つておりますものは電線関係なのでございます。これを企業化した者の一番目標にしたのは、電線関係のゴムを外国並に排除して、ゴムの輸入をとめようということにあつたのでございます。これが最大の目標であつたのでございまして、これは今日もかわりません。非常に量かたくさん出ております。現在でも四〇%まで行く目標でかかつている、というよりも、四〇%に相当する需要があるのでございますが、現在製品が足りませんで、二〇%から三〇%の間を供給しております。それからもう一つ問題は、これは意外なことが起きたのでありまして、日本のごとく農業生産が少くて困る国においては、非常に重大なことでありますが、二毛作のできない所において、すでにお聞き及びかもしれませんが、苗代にあらかじめこの塩化ビニールのフイルムをかけるのでありまして、それをかけますとそこの苗代が霜害その他がなくなりますために早く発育する、あるいは種まきが早くできる、そういうことからこれは全部とまでは参りますまいが、今まで二毛作ができなかつたところまで、そろそろ今年から二毛作ができるという見込みに立つて、相当進めておるわけであります。農民の方々はもう非常に先走つた計画をしていらつしやいまして、倍になるぞと言つておられますが、そうはなりますまいが、少くとも近年のうちに、この利用によつて相当な増収をされることは予想されるのであります。現にこの方の需要が非常に急激にふえておりまして、早期栽培をするような場合にはこれを使う場合が多いのでありますが、これはいわばぜいたく品とでもいうふうにとれますので、私はそうは思いませんが、この稲の二毛作のことについては、非常に重大な御関心を持つていただきたいと思います。以上申し上げました二つのことで、この塩化ビニールというものの重大性を、十分お考えおき願うべき値打ちがあると思います。  それから、この理由のもう一つといたしまして、申し述べておきたいと思いますことは、先ほど塩化ビニリデンのことを申し上げましたが、この塩化ビニリデンというのは、実は塩化ビニールからつくるのであります。ところが塩化ビニールだけをつくる工場と、塩化ビニリデンをつくる工場と二つございます。それで、塩化ビニリデンをつくる工場が、途中の塩化ビニールを外へ売りましても、別にどうということもないのですが、それは税金のかかつていない電気を使つておるわけであります。ところが、塩化ビニリデンをつくらないで、塩化ビニールだけをつくる工場は、税金のかかつた電気を使うわけであります。これはちよつと不合理でございまして、この点は、この前硫酸と硫安の関係を申し上げましたときに、電気の量が少し少いのだけれども合理化するためには、こうしないとうまく参りませんとお願い申し上げて、御了承願つたのでありますが、それと同じような理由のもとに、以上の二つのことが、国家的に非常に重大なものであるということと、もう一つのことは、営業を対象にしました、営業の面から見た合理的な税金のとり方というようなお考えのもとに、非常にお手数で恐縮でございますが、いま一つこれをお加え願えることができましたら非常に幸いに存じます。そうしますと、私ども産業界からいたしまして、今度の除外品目というものが、非常に合理的な外国人が見ましてもどなたが見ましても、常識から見まして、少しも欠点のない完璧なものになると、私どもは信ずるのであります。  以上たいへん長々と申し上げましたが、御報告とともにお願いを申し上げまして、恐縮でありますが、私の陳述を以上をもつて終ります。
  137. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 大島さんに御質疑はありませんか。——それでは大島さんどうもありがとうございました。
  138. 大矢省三

    大矢委員 総務部長にちよつとお尋ねしますが、ことしの一月からですから、まだはつきり統計が出ておらないと思いますが、例の入場税を半額にした結果として減収になるということを、非常に心配しておつたのであります。私先ほど申しましたように、大都市ではそう減収にならぬいうことですが、東京の実情はどうかということを伺いたいと思います。     〔灘尾委員長代理退席、佐藤(親)   委員長代理着席〕
  139. 亨仁

    ○亨参考人 お尋ねでございますが、先ほども私伺つておつたのでございますが、東京の場合はそうではございませんで、減収にならざるを得ない。と申しますのは、実は昨年度の入場税は、五十七億ほど東京は得ております。ところが今年は、御案内の通りの減税措置がとられまして、せいぜい見込んで四十五億というようなことになつております。もちろんこれには、減税とあわせて、料金自体は、今までお話がございましたように、必ずしも下らないという見方も織り込み、それからお客さんの数も相当ふえるだろうということも、織り込みまして計算いたしましても、せいぜい四十五億程度でございます。そういたしますと、十五、六億というものは減収になるのではないかというように、見込んでおる次第でございます。
  140. 藤田義光

    藤田委員 せつかく長時間お待ち願つて、何も発言してもらわないのも恐縮でございますが、大体もう質問もないようでございますから、ちよつとお願い申し上げておきます。  先ほど来の数人の方の公述によりましても発見いたしましたが、現在の都道府県の税源として、事業税とともに三税源であります遊興飲食税、入場税というものが、徴税の立場から非常に困難であるということが、われわれはよくわかりました。この問題については、今回の地方税改正においては、具体化することはできないと思いますが、将来当委員会として十分考えたいと思いますので、本日公述も省略されましたから、第一線の徴税事務を担当される部長の方から、本日の公述に対抗すると申しますか、照応するような資料を、至急当委員会に出していただいて、われわれの勉強資料にさしていただきたいということをお願いしまして、私の質問を省略いたします。
  141. 灘尾弘吉

    灘尾委員 先ほど来いろいろ御説明も伺いましたが、私は佐藤さんにちよつと伺いたいのであります。他の委員からの質疑もありましたので、大体質問も尽きているのでありますが、ただいま藤田君も申されましたごとく、この遊興飲食税につきましては、いろいろ見方、考え方で論ずる人の論じ方も違つておるように思うのでありますけれども、たとえばぜいたくをどうするとか、奢侈がどうであるとかいうような点を離れまして、これをただ単純に徴税上の技術的な面から考えてみますというと、だんだんのお話にもありましたごとく、総務部長さんのお立場から言えば、まことにとりにくい税である。また業者の方から言えば納めにくい税のように承知するのであります。私は、この問題を考えるにあたりましては、とりにくい、納めにくいという事実を、よほど重大視する必要があるのではなかろうかと考えておる一人であります。たとえば先ほどもお話がありましたが、税率は下つたが実際の税金は少しも下らないというようなことは、およそ税といたしましては、まことに不可解千万のことであるといわなければならぬと思うのでありますが、現実はその通りになつている。このことは、考えてみますというと、従来の税のかけ方が、門司君のお話にもありましたけれども、よほど親心をもつてかけられておつたということにもなりましようが、同時に、きわめて不正確なる税のとり方をしておつたのではなかろうかという疑いもあるのでありますが、これが従来どうでありましたか、あるいはまた今日は、どういうふうになつておりますか。総務部長さんの実際の体験からのお話を、ひとつ伺いたいと思います。
  142. 亨仁

    ○亨参考人 遊興飲食税は、お話の通り非常にやりにくい点がございます。従来必ずしも捕捉が万全ではなかつたために、売上げの捕捉は百パーセントなされていなかつたのではないかというお尋ねでございますが、まことに遺憾ではありますがその通りであります。御承知の通りこういう業態の方々は、法人はともかくといたしましても、個人の場合はなかなか売上げそのものがつかみにくうございます。いろいろな方法を用いまして実際の調査あるいは検査等をいたしますが、なかなか正確にはつかみがたい。従来業者の方々が、きようも陳述がございましたように、お客さんから実際上とつていない面も幾分あるというようなことがいろいろとからみ合いまして、なかなか徴収しにくいのでございます。これからはそういうことのないように十分に調査をいたしまして、万全の努力をいたして参りたいと思いますけれども、百パーセント徴収することはなかなかむずかしい次第でございまして、できる限り努力を払うようにいたしたいと思つております。
  143. 灘尾弘吉

    灘尾委員 まことにうかつなことをお尋ねするようで恐縮でありますが、私しろうとでありますので質問させていただきたい。現在地方財政計画というようなものがあつて地方の収入等についても中央でいろいろ算定していりつしやる。たとえば遊興飲食税というようなものにつきまして、中央の方から東京都の方に向つて、東京都においては大よそこのくらいな遊興飲食税が上ることを期待するというようなお話でも何かあつたのでしようか、なかつたのでしようか。
  144. 亨仁

    ○亨参考人 御承知の通り、平衡交付金の算定基準になりますところの基準財政収入額がございます。それの数字は、二十七年度において東京は遊興飲食税の場合三十三億、それの七分の十のものが四十七億ということになつておりまして、いわばそれがとれるであろうところの政府の皮算用といいますか、そういうものがとれると存じますが遺憾ながらこの数字までは行つておりませんので、東京都の場合、本年度におきましても、二十一億四千万円ほど計上いたしております。昨年度は二十億でございましたが、そういう程度の税収額をあげておる実情でございます。
  145. 灘尾弘吉

    灘尾委員 そうしますと、東京都で二十何億計上していらつしやるというのは、何かそこに多少の手かげんでも加えて、その算定をしていらつしやるのでしようか。それともそれがぎりぎりのところであるということで算定していらつしやるのでしようか、どちらでしようか。
  146. 亨仁

    ○亨参考人 特に手かげんということはございませんが、一応売上げを推定いたしまして、それからおのずから生ずるであろうところの捕捉漏れ、これはやむを得ないと思いますが、実は税込みの売上げを二百七十億と推定いたしております。税を引きましたものが二百四十四億。先ほど全国的な数字を門司さんからお話でしたが、はたしてそれに当るかどうかは問題でしようが、一応二百七十億ぐらいは上るのではないか。そのうち捕捉できるものが七〇%というふうに考えて、実は計算をいたして参りました。
  147. 灘尾弘吉

    灘尾委員 中央のとらぬたぬきの皮算用かもしれませんけれども、本省の方でお考えになつておる数字と、現実の東京都における数字とでは、よほど開きがあるようであります。しかも今のお話では、捕捉率は七割程度ではないかということでありますと、私どもしろうとから考えてみても、東京都はよほどさじかげんがゆるいのではなかろうかという気持もいたします。これは私のただ推量にすぎませんので、佐藤会長にお伺いしたいのでありますが、この遊興飲食税の徴収の仕方と申しますか、とり方において、ただいま私が東京都に対して申しましたことは、あるいは当らないかもしれませんが、地方々々によつてよほど取扱い方が違うのではなかろうか。ある県はきわめて寛大であり、ある県はきわめてきびしいといつたような事実があるのではないかと想像いたすのでありますが、あなたは全国的な立場におかれまして、この辺をどういうふうに見ていらつしやいましようか。その点ひとつ伺いたい。
  148. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 これは私、責任を持つてお答えはできませんが、確かに灘尾先生のおつしやるような事実はあります。九州の福岡、中国の広島その他二、三ございます。これは業者の方に言い分があると思うのです。それはなぜかと申しますと、半減をするのだが、実態課税をして必ず予算を上まわるものをとつてみせるというような形が、実は一月一日前後に現われて来たのです。ですから地方でもそうですが、東京でもこれはたいへんだ、税率は下つたがこれ以上とられるぞ、向うは実態調査をし、実態課税をすれば一割確保は大丈夫とれるんだからという。これは東京都においてもそうだし、地方においても手ぐすね引いて待つておられたことがある。それですからわれわれ業者としては、これは名目だけの半減であつて、羊頭狗肉であるというので強い構えをした。これは東京もそうですが、地方において特にそうです。それから地方的に申しますと、はなはだ変な話ですが、東京は安い安いとわれわれ業者からも言われておりますが、安くはない。われわれから言いますれば、業者の数が多いものですから、地方ようにいびき一つかいてもすぐ様子がわかるというようなことはありません。特に福岡さんでも広島さんでも非常に苛酷な取扱いを受けておられますだけに、そのパーセンテージからいつて業者に何割かかかるよう徴税吏を置いて、まるで監視までつけておるような状態なんです。ですから地方の業者の各位は安心して話ができないのです。そこに大きな裁判ざたにまでなつて来るような現実がある。これは悪税であるということがはつきりわかつておりますから、そこまで来たわけであります。ですから御心配のような点はあります。そしてまたこれが全国的に強くなつて来ることは、明々白々の事実であります。それからいま一つは、われわれは昨年の三月六日の大会において、これは時の自由党絶対多数内閣のもとに、党議をもつて廃止することに可決された決定事項であるのだ、時の国務大臣の岡野さんも、幹事長も政調会長も、口をそろえてそのことは言われたということを、われわれはこの大会を通して業者に全部申し上げてあるのです。ですからわれわれの立場が非常に苦しくなりまして、いわゆる幹部のやつは何をやつてるんだというようなことがいろいろあつて、自然に構えも強くなつて来たことは事実であります。
  149. 灘尾弘吉

    灘尾委員 これもまたきわめてうかつなことをお尋ねするのですが、総務部長さんに伺つた方がいいか、佐藤会長に伺つた方がいいかよくわかりませんが、東京都においてはその一割とか二割の税金を税法通りに加算して徴収したことがあるのでありましようか。つまり飲食なら飲食に対して二割あるいは一割という正確な計算によつて、加算金をおとりになつておるのでしようか。その点いかがでしようか。
  150. 亨仁

    ○亨参考人 それは税法通りやつております。
  151. 灘尾弘吉

    灘尾委員 もう一つつておきます。販売品というとおかしいのですけれども、飲食物なら飲食物というものにかかつて、これは税込み価格になつておるというような事実がざいますか。いかがでございましようか。
  152. 亨仁

    ○亨参考人 料理店における価格というものは特に税を表示いたしませんから、税込み価格になつております。特別の場合だけ税を表示するようになつております。たとえば免税点指定店舗というところにあつては、税率をはつきり明記させておきますが、そうでないところは税込みの価格であります。
  153. 灘尾弘吉

    灘尾委員 これも世上のうわさを申し上げるので、まことに恐縮でありますが、今日どういうふうになつておるか存じませんけれども、業者の方が徴収せられた税金そのままのものを、東京都の方へはたして納めていらつしやるのかどうかということに疑いがある、と申しますのは東京都と業者の方方との間において、何と申しますか一つの協定と申しますか、あるいは請負契約と申しますか、一定の率によつて納めることになつておる、従つて税金としてとつたものは、全部が全部税金として納まつておらないのじやないか、こういうようなうわさをする人もあります。この際その辺について世間の誤解を解いていただければ幸いであります。
  154. 亨仁

    ○亨参考人 そういうことがあつてはならないことでございますし、また当然ないことでございます。業者が徴収いたしましたものは即税として納めることになつております。  (佐藤(親)委員長代理退席、委員長   着席〕
  155. 灘尾弘吉

    灘尾委員 その点については、まことに恐縮でありますが、佐藤さんの御意見も伺いたい。
  156. 佐藤甚吾

    佐藤参考人 それは現在においてはありませんが、元歓興税というものが東京で初めてできたときに、私が委員に選ばれまして、若干含みの数字があつたことはあります。それは確かにありました。今からずつと昔のことであります。その話がどこかに伝え聞かされて、東京はもうけておるのじないかと、誤伝されておつたのであります。それは現在においては絶対にございません。
  157. 中井一夫

    中井委員長 参考人の皆さん、本日はまことに長時間ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三分散会