○大島参考人 ただいま御
紹介にあずかりました
日本化学工業協会の大島でございます。
電気ガス税は長いこと皆様方に御
請願申し上げまして、昨年春に全会一致という珍しい事情のもとに通過させていただきましたことは、協会の非常に感謝しておるところでございます。そこでその後どういう経過になりましたかということを御報告申し上げるわけでございますが、何分時間がございません、と申しましても、今年の正月から今日までの経過でございますから、
はつきりした傾向はわからぬわけでございますけれ
ども、一応のいわば傾向的には大体申し上げられる、こう存じますので、そういう
ような程度で御報告させていただきたいと思います。
私
ども、この電気ガス税は、できますならば全部やめていただきという理由を申し上げまして
お願いしたのでありますが、皆さんの今までの税源の
関係上それはできないでございまし
ようから、当面一番響きの多い方からやめていただきたい、こういう
ように
お願い申し上げたのであります。その限度といたしまして
お願いしました趣意は、大体におきまして電気ガス税が原価に及ぼす影響の多いものを主にしていただきたい、それから国家が国家として当然育成さるべきものと
考えられて、ことに国家としてすでにその
措置をと
つておられるものについて、これを保護する意味からひとつ見ていただきたい、こう
お願いいたすわけであります。かたがたしまして
お願いしたのでありますが、たまたまも
つて私
どもの
お願いします品目は、全部国際商品と申してもいい
ような商品でございますために、世界各国の競争場裡にわれわれが闘わなければならない性質のものでございます。言葉をかえて申し上げますならば、少し高くなると、すぐに外国から押しかけて来る。できるならば輸出で国策の線に沿うべきものと思
つておるのに、非常な脅威にさらされておるというときに、外国にございません
ようなこういう税金の足かせを持
つておるということは、非常に苦しいからひとつ御心配を願いたい、こう申し上げた。そこでそういう
ような線に沿うておるかどうかということを申し上げるわけでございますが、それについて一番わかりやすい結果から申し上げますと、それでもなお依然輸入の脅威が多いということと、端的に申し上げますと、昨年末から今日までこの値段が下つたのか上つたのかということに帰着するかと思います。これぐらいよりほかに、すぐこれに相当する
ような資料ができないと思いますので、その点から申し上げます。品目別にな
つて恐縮でございますが、おもな品目について申し上げます。これは時間がありませんで、やつと計算が間に合いました程度でございますので、恐縮ですが読ませていただきます。
第一にア法苛性ソーダ、アンモニア法の苛性ソーダというのでございますが、液体と固体がございまして、それが昨年末までは液体の方がトン当り四万六千円というのが卸売価格でありました。それが今日四万三千円、これは六・五%値段が下
つております。固型の方は五万一千円であつたものが、今日四万九千円、これは五・九%下
つております。それからソーダ灰でございますが、トン当り三万一千円、それが今日二万五千円、これは一九・四%下
つております。これは必ずしも電気ガス税のためばかりでもございません。それから電鋳耐火煉瓦でございますが、トン当り十一万円のものが今日十万円で九・一%下
つております。鹹水ヨードが九十三万円、これは九十九パーセントまで、ほとんど輸出であります。これは激甚な競争にな
つておりまして、
日本がねらい撃ちされているという結果にな
つております。これが九十三万円だつたものが八十八万円、五・三%下
つております。鹹水臭素、これが二十四万円のものが二十四万円で持合いでございます。持合いなのは非常に珍しいのでありますが、これは実は非常に量が少いために、供給不足の傾向があると同時に、これが電気を食う量が非常に多いので、過日の電気料金の値上げはかなり響いております。持合いということはかなり業者としては、前から見ると電気ガス税が下つたことに対して非常に感謝しているわけです。それからメタノールの値段は七か円が六万四千円から六万六千円、五・七%から八・六%の値下りでございます。硫酸が九八%程度のものだというのでありますが、九千円が相かわらず九千円で持合いでございます。これにはちよつと原因がございまして、非常に原料がマツシヴなものでありますために、運賃がかさむのであります。この運賃は御存じと思いますが、本年の二月から総じて一割上
つております。そのほかにいろいろな調整といいますか、合理化しましたために、ものによ
つてはそれ以上に上
つておるものがございます。これは大体前と同じなのでございまして、運賃が一割値上りしておりますので、原料とともに寄せますと、もう少しよけいになりますから、これは事実上は値下りと同じ結果にな
つておる、こう御了承願いたいと思います。金属ソーダは二万四千円から二万五千円が今二万四千円で、やや持合いでございますが、四%ぐらい下
つております。過酸化ソーダが二十八万五千円から二十八万円に下りまして、これは一・八%であります。それから塩素酸ソーダが八万五千円から七万五千円で一一・一%下
つております。それから過塩素酸アンモンというのが十一万円が十万五千円にな
つておりまして、四・五%下
つております。過酸化水素が十七万円、これは持合いでございます。これは量のあまり多いものではございません。二硫化炭素五万四千円が四万九千円、九・二%、珪酸ソーダが二万三千円か二万一千円で八・九%下
つております。その特殊のもので三号というものがございますが、一万七千円が一万四千円で一七%下
つております。すべて大体下
つておりますが、そのほかにセメント、これは相当多いのでございますが、トン当り八千五百円が八千五百円で持合いでございます。これについて若干御説明申し上げたいと思いますが、これも先ほど申し上げました原料の石灰石が非常にマツシヴであると同時に、製品もマツシヴでありますために、運賃の値上りというものが非常に響いております。これは総じて一割でございますが、そのほかに事実上は調整といいますか、合理化されたために二割五分上つたのであります。そういたしますと、この持合いということは事実上値下りでございます。それから業界の方は、一般に現在の
状況では
比較的に恵まれている工業ではございますが、業界では非常に自粛しておりまして、電源開発のために非常に需要が多いのでございますが、それにもかかわりませんで大体自粛値段で、実は上げまいという一応の皆さんが協定といいますか、協定としますとこれはめんどうが起るわけでございますが、大体そういう気持でや
つておられます。今度の
九州の
災害につきましてはまた厖大なセメントがいるわけでございますが、これにつきましても値を上げまいということを申し合せておられます。申し合せるという言葉がこれは独禁法にさわるということになると思いますが、私はこれを善意な
一つの基準としまして、別に協定したわけではなく、大体そういう気持でや
つておられるというふうに御解釈願いたいと思います。そのほかにビニロン、アミラン、それから塩化ビニリデン及びその原料、こういう三種類ばかりのもの、これは国家として先般も皆さんに御心配願いまして、国策としてこれを保護すべきだ、羊毛その他の輸入を防止するために、ぜひとも国産品でやらなければならぬということで御賛同を得られて、国策としてこれを推進される
ような傾向にございます。そこでこれはこのたびの電気ガス税につきましても、特別御配慮をいただいたことに対して非常に感謝しておりますが、しかし持合いでございます。と申しますのはこれは今引合
つているものは
一つもございません。他日大量生産に
なつたらあるいは合理化が進んだらということでや
つて参
つておるので、これは持合いということについて御了承願いたいと思います。この点はそのほかの面、
法人税にしましても、それから運賃の値上げの際にも相当御考慮願つたわけであります。こういう
ような国家として育成すべきものについては、特別な御配慮を願つたことを非常に感謝しております。
それから最も重要なことを申し落しましたが、これらのものが何べんか、輸入業者が少しでももうかればいいという
関係から、輸入を非常に積極的に心配して参つたのですが、幸いにして今日これらのものはおおむね輸入をしなくて済む
ような
状況であります。それからこの中に鹹水ヨードの
ようにかなりその輸出が進んでおるもの、セメントのごとくなお進んでいるもの、こういうものもございます。今後もこういう
ようなものをよく勉強いたしまして、できるならばあくまで往年の
日本の
ように、どんどん輸出して参る
ようにいたしたいと存じます。
なお先ほど
委員長のお話で、将来についての希望を含めて申せと言
つてくださいましたので、そのことをおそくなりまして恐縮ですが申上述べさせていただきたいと思います。先ほどちよつと申し上げましたが、このことにつきまして二つのことを申し上げさせていただきたいと思います。その
一つは、電気ガス税というものは、事の当初から皆さんに
お願いした通りの理由でございますが、これが生産の過程において
課税されるということでございます。こういう
課税方法は
税制の体制としてどうであるか、それが
一つであります。もう
一つの点は、これをやらなければならぬものは、おもに国際商品として外国と競争しなければならぬ立場にあるということでございます。
内容につきましては、それでなくても運賃その他に相当なハンディキヤツプを持
つて、今日
日本の工業が闘わなければならぬときにあたりまして、それ以上に各国にない
ような税金を
——日本は貧乏に
なつたのですから、いろいろな点で批評を受けまし
ようが、それにしましてもこういうふうなものは、ともかく生産の途上において萎縮する
ような
方法をとらない方が、国家としていいことではないかということであります。そういう
ようなことからしまして、
財源の
関係がございまして、すぐというわけには参りますまいが、将来これをぜひとも外国並に、電気ガス税という
ような性質のものは根本的にはおやめを願いたいこういうことでございます。
それからもう
一つの問題は、それはすぐできないと思いますが、当面の問題としましては
——実はこの前にはほとんど全部御承認願つたわけでございますが、そのときに私
どもの手抜かりといたしまして、
一つ申し落したものがございます。それはビニールについての
課税の問題でございます。これは先般諸先生のもとに資料を差上げたと存じますが、御存じの通りに、塩化ビニールは非常に評判になりましたから、事のどういうものかは御存じでございまし
ようし、今日町の中に出ておりますのはハンド・バツグとかなんとかいうことで、すぐお目におとまりになると思いますが、実は塩化ビニールというものを本来一番たくさん使
つておりますものは電線
関係なのでございます。これを企業化した者の一番目標にしたのは、電線
関係のゴムを外国並に排除して、ゴムの輸入をとめ
ようということにあつたのでございます。これが最大の目標であつたのでございまして、これは今日もかわりません。非常に量かたくさん出ております。現在でも四〇%まで行く目標でかか
つている、というよりも、四〇%に相当する需要があるのでございますが、現在製品が足りませんで、二〇%から三〇%の間を供給しております。それからもう
一つ問題は、これは意外なことが起きたのでありまして、
日本のごとく農業生産が少くて困る国においては、非常に重大なことでありますが、二毛作のできない所において、すでにお聞き及びかもしれませんが、苗代にあらかじめこの塩化ビニールのフイルムをかけるのでありまして、それをかけますとそこの苗代が霜害その他がなくなりますために早く発育する、あるいは種まきが早くできる、そういうことからこれは全部とまでは参りますまいが、今まで二毛作ができなかつたところまで、そろそろ今年から二毛作ができるという見込みに立
つて、相当進めておるわけであります。農民の
方々はもう非常に先走つた計画をしていらつしやいまして、倍になるぞと言
つておられますが、そうはなりますまいが、少くとも近年のうちに、この利用によ
つて相当な増収をされることは予想されるのであります。現にこの方の需要が非常に急激にふえておりまして、早期栽培をする
ような場合にはこれを使う場合が多いのでありますが、これはいわばぜいたく品とでもいうふうにとれますので、私はそうは思いませんが、この稲の二毛作のことについては、非常に重大な御関心を持
つていただきたいと思います。以上申し上げました二つのことで、この塩化ビニールというものの重大性を、十分お
考えおき願うべき値打ちがあると思います。
それから、この理由のもう
一つといたしまして、申し述べておきたいと思いますことは、先ほど塩化ビニリデンのことを申し上げましたが、この塩化ビニリデンというのは、実は塩化ビニールからつくるのであります。ところが塩化ビニールだけをつくる工場と、塩化ビニリデンをつくる工場と二つございます。それで、塩化ビニリデンをつくる工場が、途中の塩化ビニールを外へ売りましても、別にどうということもないのですが、それは税金のかか
つていない電気を使
つておるわけであります。ところが、塩化ビニリデンをつくらないで、塩化ビニールだけをつくる工場は、税金のかかつた電気を使うわけであります。これはちよつと不合理でございまして、この点は、この前硫酸と硫安の
関係を申し上げましたときに、電気の量が少し少いのだけれ
ども合理化するためには、こうしないとうまく参りませんと
お願い申し上げて、御了承願つたのでありますが、それと同じ
ような理由のもとに、以上の二つのことが、国家的に非常に重大なものであるということと、もう
一つのことは、営業を対象にしました、営業の面から見た合理的な税金のとり方という
ようなお
考えのもとに、非常にお手数で恐縮でございますが、いま
一つこれをお加え願えることができましたら非常に幸いに存じます。そうしますと、私
ども産業界からいたしまして、今度の除外品目というものが、非常に合理的な外国人が見ましてもどなたが見ましても、常識から見まして、少しも欠点のない完璧なものになると、私
どもは信ずるのであります。
以上たいへん長々と申し上げましたが、御報告とともに
お願いを申し上げまして、恐縮でありますが、私の陳述を以上をも
つて終ります。