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1953-07-22 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午後三時五十八分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君    生田 宏一君       河原田稼吉君    熊谷 憲一君       佐藤 親弘君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       大石ヨシエ君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月二十一日  委員富田健治君辞任につき、その補欠として三  浦寅之助君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十一日  道路交通取締法の一部を改正する法律案門司  亮君外七名提出衆法第三八号)  地方税法の一部改正に関する請願福田赳夫君  紹介)(第四七九一号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  福田赳夫紹介)(第四七九二号)  大工左官等に対する課税方法改正等に関する  請願佐藤芳男紹介)(第四七九三号)  自動車税引上げ反対に関する請願武田信之助  君紹介)(第四七九四号)  同(田中龍夫紹介)(第四七九五号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(中川俊思君紹介)(第四七九六号)  同(椎熊三郎紹介)(第四七九七号)  同(中野四郎紹介)(第四七九八号)  同(高橋等紹介)(第四七九九号)  自動車運送事業及び通運事業に対する事業税の  外形標準課税廃止に関する請願武田信之助君  紹介)(第四八〇〇号)  同(武藤運十郎紹介)(第四八〇一号)  同(田中龍夫紹介)(第四八〇二号)  信用金庫に対する固定資産税等免除に関する請  願(福井勇紹介)(第四八一六号)  国有鉄道特殊施設に対する固定資産税課税に関  する請願福田赳夫紹介)(第四八一九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  町村合併促進法制定に関する陳情書  (第一〇七七号)  町村職員恩給組合国庫助成交付金改正に関す  る陳情書(第一〇  七八号)  信用組合に対する固定資産税等免除に関する陳  情書  (第  一〇七九号)  自治体警察制度改正に関する陳情書  (第一〇八〇号)  町村合併促進法制定に関する陳情書  (第一一一三号)  町村合併促進に関する補助金交付金平衡交  付金わく外とすることの陳情書  (第一一二四号)  町村民税賦課期日を四月一日とすることに関  する陳情書(第一  一一五号)  自転車税荷車税に対する月割課税に関する陳  情書(第一一一六  号)  火災による学校校舎復旧建設に対する起債に  関する陳情書(第  一一一七号)  起債額決定に対する町村優先陳情書  (第一一一八号)  消防財源の確立に関する陳情書  (第一一一九号)  参議院全国区議員の選挙並びに最高裁判所裁判  官の国民審査に関する陳情書  (第一一二〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇八号)  刑事訴訟法の一部を改正する法律案について法  務委員会に申入れの件     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。
  3. 藤田義光

    藤田委員 本日午前中に法務委員会と当委員会連合審査をやりました刑事訴訟法の一部改正案につきましては、警察行政を担当する当委員会としましても重大な関心事であります。その中には終戦後の新しい構想に基く警察法趣旨を没却するがごとき改正も企図されておりまして、当委員会としまして決議をまとめまして、二十五日に法務委員会が採決するようでありますから、それ以前に委員長より法務委員会決議を持つてつていただきたいと思います。決議案文に関しましては、委員長より理事にお諮り願いまして案文を決定いたしまして、早急の機会に当委員会で可決確定されんことをお願いしたいと思います。動議として提出いたします。
  4. 中井一夫

    中井委員長 お諮りいたします。ただいま藤田委員よりの御動議につき御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認めます。よつて藤田君の動議は決定されました。  動議趣旨に従いまして、委員長理事の皆さんと相談の上、これを決定し、法務委員会に申し送ることにいたします。
  6. 中井一夫

    中井委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。北山君。
  7. 北山愛郎

    北山委員 前回の委員会で、入場税の、例の経費課税について質問をし、御要望申し上げたのですが、あとでよて規定を見ますと、やはりあの規定では、この前自治庁の方から説明のあつたようには解されていないのじやないか。要するに無料でやつておるという貧観的な事態をあの規定の中で認めておりながら、しかも経費課税するここができるというような規定になつておりますから、やはり末端の徴税機関ぴあ規定についてやはり経費課税をなし得るというような解釈をする余地が、大いにあるのではないか、こういうふうに解されるわけですが、どうでしよう。
  8. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。入場税経費課税でありますが、これはこの間申し上げましたように、無料でやりまして実際は有料でやつたと同じような興行をやる場合、つまり脱法的な興行をやる場合に、この規定を働かせて入場税をとるという規定でありますけれども、これは入場税を絶対的に課すという意味ではなくて、課することができるということになつております。実際の私ども指導も、これは十分に実情を判断をして運用するように、濫用にわたらないようにというようにいたしております。現実は、この間申し上げましたようにあまり活用はされておりません。むしろ一、二問題はあるかもしれませんが、私どもの耳には、そう濫用されているいうふうには聞いてないのであります。なお矛ういう例がありましたら、私ども県当局に対して十分に指導いたしたいと髪えている次第であります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 それではその問題は無理な経費課税をしないというように御指導願うことにして、次の問題は、地方団体工場誘致というような目的のために特別な条例をつくりまして、一千万円以上とか、あるいは三千万円以上とかいうような大きな工場を設置するというような場合に、固定資産税あるいは事業税というものを減免しようというような、いわゆる工場誘致条例といつようなものをつくつておるというように聞いておりますが、この実情はどうなつておりますか、お伺いします。
  10. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。工場誘致条例の問題でありますが、私どもにこまかい資料が実はないのでありますが、この問題につきましては私どもも非常に心配しておるのであります。各町村で特に固定資産税減免をして、工場を誘致したいという希望がありまするし、またそれを利用して工場側からの働きかけがあるという実情があるのであります。私どもといたしましてはなるたけつくらないようにという指導をいたしております。しかし現実には相当あるように私も思つておりますが、その具体的な報告がなかなか集まつて参らぬのであります。もちろんそういうものをつくつておりましても、平衡交付金計算の上では課税をしているものという計算をいたしておりますけれども資料の収集が非常に困難であります。県におきましても事業税につきまして、やはりこういう問題があるのでありますが、概括的につくつている場合と、それから具体的なケースがあつて初めてつくつている場合、二色あるようであります。県の場合はたしか五、六県あると思います。市町村の場合は相当多数に上るのではないかと思いますが、実ははつきりわかりかねる次第であります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 その条例地方税法の上ではどの規定によつて許されるか。ちよつと違法じやないかという疑いがあるのですが、その点をお伺いします。
  12. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。地方税法第六条の不均一課税規定適用いたしまして、公益その他の事由によつて均一課税をしておるものと考えます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 公益その他というのですが、一体どの範囲までこれが認められるか。たとえば地方振興のための工場誘致公益その他の中に入るかどうか、私は非常に疑問に思うわけです。もしこれを拡大して行きますと、おれの町は観光事業を盛んにするという意味で、旅館の固定資産税免除する、おれの町は大工を盛んにしようというので大工さんの税金減免するというように、限界が実に漠としてわからないわけです。工場誘致というようなことを公益その他の中に入れますと、それからそれへと発展して、大きな弊害も出て来るのじやないかと痛感しているわけです。ことに一方において減免をすれば、減免をしたということだけでは済まない。というのはその地方団体の必要な経費というものは、だれかが負担するわけですから、片方で減免されたものの分は、ほかの人が負担をしなければならぬというりくつになる。そういう点で公益その他の中に、こういうものが入るかどうかということについては、私は非常に疑問を持つているわけですが、大体ある程度具体的にどの程度まで入るものであるか、またはたして現在の工場誘致条例という程度で、不均一課税対象にしてさしつかえないかという点について伺います。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。第六条の解釈の問題になると思いますが、六条は私どもは非常に狭く解釈しておりまして、もしそういう不均一課税をやらなければ公益を害するというふうに解釈しておるわけであります。従つて具体的なケース一々に当りますと、やはり六条の規定適用するのが、不適当であるという場合もあるかと思います。従つて全体的にあの規定適用して、工場誘致条例をつくること自体については、私どもは多くの場合不適当ではないか、こういうように指導しているわけであります。しかし必ずしも全部が不適当でなくて、やはり適当な場合もあり得ると思つておりますが、全体としてはあの条文をそこまで広く適用するのはいけないのじやないか、こう考えておる次第であります。
  15. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、今までにこれが違法でないかどうかということについての伺いを自治庁に出したところがあると思いますが、どういうふうに回答されておりますか。
  16. 柴田護

    柴田説明員 お答えいたします。今までありました照会は、府県では兵庫県、町村で一箇所ありましたが今覚えておりません。取調べて御報告申し上げます。県の場合の回答は、工場誘致条例をつくることは、法第六条に違反しはしないかという質問であつたのでありますが、これに対しまして公益というのはその他の事由の例示と解釈します、現行法の建前から言いましたならば、各則においていろいろ固定税率をつくつたり、あるいは制限税率をつくつたりします。そこでそれは総則との関連から考えますと、法第六条の解釈というのは制限的であるわけです。その制限的という意味は、均一課税をすることが住民の全体について非常な支障を来すというような場合に検討されるわけです。従つて工場誘致条例については、一概に概略的に言えない点がある、すなわち個々具体的に検討しなければならぬわけでありまして、おおむね非妥当と認められる場合が多い、こういう解釈をするわけです。
  17. 門司亮

    門司委員 さつきの北山君に対する答弁の中で、これは私の聞き違いかもしれないが、例の入場税の問題で、料金はとらないでも、興行を営む場合に、それにかかつた経費が大体これに該当するものとして、税金対象にしてとつておるようですが、その問題について今ちよつと例があつたらというお話でありましたが、例はそこら中にあるのです。一番さしつかえるのは、たとえば問題になつて来るのは、その項目の中に演劇というものが入れてあるが、映画が入れてない、従つて最近は、たとえば水害義捐金をつのるというようなことで、婦人団体その他が何か催しものをしようとすると、これにひつかかるのであります。それからもう一つの問題は、法文を正しく解釈して行くと、たとい演劇にいたしましてもいわゆる全部がしろうとでなければいけないように書いてある、全部が無報酬でなければならないように書いてある、それがここにひつかかつて来る。あなたの方はそういうことはないとおつしやるかもしれないが、実際にあたつて地方自治体解釈というものは非常にむずかしい解釈をしておる、従つて映画一つ入れればこの条文適用はだめなのだ、商売人を雇つて来ればだめなのだ、法文にはちやんとこういうように書いてあるじやないかというので、これが悪用ぎれるというわけじやないが現実に書いてある。この間立川に参りましたときに、立川の諸君が来まして、実は映画を入れなければしようがないのだけれども映画を入れると税金をとられて困るので、何とかならぬかというような話があつた、事実上こういうことなのです。従つてこれらに関して今の御答弁のようなことならば、いま少し明確に県に通達をしてもらつて、たといしろうとでないくろうとを入れた演劇にしても、それがすべてが無報酬でやつている場合のごときは、やはりしろうと演劇だけの考え方ではなくて、利益を全部公共団体に出すのだというところだけを利用することのできるように、指導するならひとつ指導しておいてもらいたいと思うのです。あなたの方でこんなことができますか。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 門司さんの御質問は、条文で申しますと七十六条と七十八条の問題を混同されたような御質問ではないかと思います。北山さんの御質問は、七十六条の経費課税の問題であり、門司さんのお話は、入場税課税免除の場合のお話ではないかと思います。七十六条の経費課税の問題につきましては、濫用にわたらないようにしてもらいたいという通達を出しております。しかし七十八条の入場税課税免除の問題につきましては、地方税法をつくりますときに、映画を初めから落しておるのであります。従つておつしやるような場合もあるかと思います。これは主としてアマチュアを対象にして、つまりしろうとが行う演芸その他の催しものに対して、その純益全部を学校その他の団体に寄付した場合に、しかも関係者報酬を受けなかつた場合、課税免除になるという規定でありまして、この四つの条件がそろつておらなければ課税免除にはならない、こういうような運用をいたしております。その際にしろうとの催す演芸でありますので、映画が落ちるわけであります。従つて映画を入れるか入れないか、これは立法上の問題がございますが、現行では読めないということであります。
  19. 門司亮

    門司委員 それから映画の中にも県庁などに持つて来るのはくろうとでありませんから、一応入れてもよいのではないか。映画が入つていないということだけで実際に計画が立たないということで、先ほど申し上げましたように、大分立川の方ではやかましく言つております。どんな映画を持つて来るかというと、別に商売人が持つて来る映画でもなさそうな話をしておりましたが、これは県庁その他の社会教育課あたりが持つて来た映画でも映画である限りはいけないという解釈ですか。
  20. 柴田護

    柴田説明員 七十八条の一項の解釈は、このときの立案当時の経緯は、映画をわざわざ抜いておるというのが実情のようでありますが、実際に映画を除きますと、お言葉のように支障を生ずる場合があるのでございまして、現在では記録映画と文化映画的なものならばよいのじやないか、認めてやれ、こういう指導をいたしております。従いまして二項の適用につきましても、その程度ならばいいが、やはりくろうとのものが入りますから、この法文上は読めないのじやないかということで、現在は入らない取扱いをしております。  それから水害義捐の問題でございますが、現実にはこの法文ではおつしやるようないろいろの問題が起るのでございますけれども現実には水害のための興行をやつて、それだけのものを県と業者が共同して主催する、それをそれぞれ水害地に送るというふうな方法をとれば、実態上七十八条の問題と同じような成果が上るのではないかというふうにも考えられると思つております。
  21. 門司亮

    門司委員 今のお話ですが、そうすると今のようなことを具体化した法文修正はさしつかえないというふうに解釈してよろしいのですか。
  22. 青木正

    青木(正)政府委員 ただいまのお話でありますが、どの程度の条項を入れるかという問題に関連いたしまして、財政収入との関連も出て参りますので、その内容等をよく承りませんと、そういうことを事象として、ただちに賛成とか反対とかいうことは、収入の面ともにらみ合せる必要がありますので、即答はいたしがねる次第であります。
  23. 大石ヨシエ

    大石委員 きのうの続きですが、ダンスホール教習所の区別、ダンスホールは非常に高額な税金をとられておる。教習所は無税でダンス・パーテイをやつておる、そうしてこれに対しては課税しておらぬ、これは明らかな脱税方法であるが、これに対してあなたはどういうふうに思つていらつしやいますか。みなダンスホール遊びに行かぬで、教習所遊びに行く。私はその現実の姿をよく見ておる。そしたらダンスホールを経営しておる者は損が行くではありませんか。この点をはつきりしてください。
  24. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。昨日申し上げましたダンスホールダンス教習所の問題でございますが、ダンス教習所実体においてダンスホールとその利用において同じような娯楽性がある場合には、私は当然かけるべきだと思います。またそういう場合にかけなくちやならぬという指導もいたしておりますし、通達もいたしております。もしもそういうところでかけてないところがあるようでありますれば、私ども十分指導いたしましてかけるようにいたしたい、かように考えております。ダンスホールダンス教習所との名前は別にいたしまして、実体ダンスホールと同じような娯楽性がある場合には、私は入場税は課すべきである、こういう解釈をいたしたい、またそういう指導をいたしたいと考えております。
  25. 大石ヨシエ

    大石委員 その指導とはどういう方法ですか。それをここで詳細に承りたい。その指導とはどんな指導をなさるのですか。
  26. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。私どもは直接に課税をいたしておるわけじやございませんので、課税団体つまり府県でございますが、府県に対して課税するように、通達その他会議の際にも申し入れておる次第であります。そういう意味指導をしている、こういうことを申し上げたわけであります。
  27. 加藤精三

    加藤(精)委員 地方税法の一部改正法案について修正を予定したいと思いますが、ただいま門司委員から、お述べになりました催しものの映画課税その他の問題がありますので、その財源につきまして自治庁の方で、いろいろ御苦心をいただきたいと思うのでありますが、それに関連いたしまして三つの事項をお尋ね申し上げます。  第一番目に道路運送法改正関連する問題でございますが、これは門司委員がなお詳細に御研究になつておられるようでございますから、私の未熟な考えを申し上げてはたいへんじやまになるような気もいたしますが、自家用トラックによりまして営業をやつておるものが全国的に相当ある、営業免許を受けておりますトラック業者の車がなかなか来ない場合におきましても、かゆいところに手が届くように——この自家用自動車営業を実質的にやつているものはサービスが至つてよろしい、それでますますその台数がふえまして全国では営業用トラツクよりも、自家用トラック営業をやつているものの台数の方がはるかに多いということを聞いております。はたしてしからばこれに対する事業税というものを——自家用の場合は運輸営業事業税はとつておらないわけでございますが、こういうのに組合でもつくらせて、そしてこれに対して、特別徴収義務者をその組合長にでもさせて、各府県ごと事業税を徴収したら、相当の増収があるのではないかというような気がいたしますが、これに対しての御見解を聞かしていただきたいと思います。  第二番目は旧漁業権補償金の積みもどしをするために、すなわちそれだけの金を国家が出したかわりに、国家の方で、各府県水産課を通じて、水産局の方で新しい漁業権免許料をとつているようでありますが、今度それが法律免除になるようでございますがそうなりますと漁業に関しまして、まだ課税余力が残るのではないか、これに対しまして相当な収益を上げている漁業もございますので、これに対しまして何らか漁業権税的なものを、地元の漁村においてとることができないか、これによりますれば従来の免許料納付金政府に行つてしまうので、地方を潤さないのでありますが、これは各海岸の漁村においてこれを徴収することにいたしますれば、それは漁村各種共同施設に、それを利用し得るわけでございまして、かなり普遍的な課税物件になるじやないかということを考えます。それからこれに対してどういういきさつになつているか、またどういう御方針であるか政務次官が御存じだろうと思いますので、それらの点も承りたいと思います。  第三番目におきましては、きようも全国町村会に参りましたとき問題になりましたが、とにかく全国の各市町村内に国有財産あるいは県有財産国有あるいは県有公用施設で、莫大な土地建物等のある市町村がありますが、こういう場合におきまして、なおこれにつきましては国鉄の各種施設が非常な大きな面積を占めているところもあるようでございます。これも準じて考えられるのでありますが、そういう部面に対しまして、現在の税法では課税が困難でございますが、何も地方税という形をとらなくも、市町村財源になるように、これらの施設があつて課税ができないことによつて受ける不利益を補つていただきますために、市町村の歳入になるような方法、すなわち国有施設所在市町村に対する交付金、あるいは県有施設所在市町村に対する交付金というような形で、市町村財源をつくつていただけば、それだけ課税の額が少くて、その市町村は済むわけになります。それらのことにつきまして、はなはだ整頓しない質問でございまして恐縮でございますけれども、それだけによけい御親切に御説明をいただきたいと思います。
  28. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。第一の問題は自家用トラックの税をもつて営業をしているものに対する事業税の問題だと思いますが、こういう脱法的な行為をしておりますものに、事業税を課するということにつきましては問題はないかと思いますけれども、実際の課税の客体を把握することが非常に困難ではないか、非常にコストの高いものにつきは上ないか。それよりも事業全体の事業税があるのでありますから、全体の事業税から捕捉すれば足りるのではないか。それを切り離してやる必要はないのではないか、かように考えております。しかしもう少し研究させていただきたいと思います。  それから第二の点で、漁業免許料廃止に伴いましてその見返りという意味か、そういう意味漁業権税を復活したらどうかという御質問だろうと思います。漁業権税廃止いたしましたいきさつは、御承知の通り漁業権対象はなくなつて参りましたので、廃止したわけであります。漁業免許料廃止に伴いまする財政需要を埋めるために、こういう税を起すのも一つ方法かと思いますが、やはり漁業権税の場合にありましたような問題が私はありは上ないかと思う。つまり課税標準を何に求めるかという問題が、漁業権税の際もあつたのでありますが、あのころは賃貸料というものをとつた、今度はそういうものがありませんので、何を課税標準にするかという問題がありますので、これは税として新しく起します場合に、前のままでそのまま復活できるのではなく、新しい形態で復活しなければなりませんので、もう少し研究を要するものではないか、これも私ども考えております。  それから国有財産課税についてでありますが、地方税法ができましたときは、使用者課税方法によつてある程度国有財産に対しても、別な形で課税いたしておつたのであります。この使用者課税廃止いたしましたので、国有財産には全然かからなくなつております。ただ一部国有財産の林野につきましては、交付金という形において、税にかわるべきものが出ております。国有財産課税するかしないかにつきましては、これはほんとうに国が直接使用し、それを営利に使つていない場合には、従来の税の建て方からいたしますと、相互主義の原則によつて、相互に国も地方団体の所有財産についてはかけない。地方団体もやはり国の所有財産についてはかけない、こういう相互主義の原則が慣習的にございますので、そういう点からこれを非課税にいたしておるのであります。もしもこういうものに課税できることになりますと、たとえば地方団体の持つております公営企業の財産を一体どうするかといつたような問題が出て参るのではないか、そういう点ともにらみ合せて、国有財産課税というものを考えなければ、簡単には解決できないのではないか。こういうふうに考えている次第であります。私は国有財産であつても、たとえば国鉄とか専売公社のような形において、全然独立の企業体になつており、しかもそれが営利に準ずるような行為をいたしておりまする場合には、やはりその所有財産の全部とは申しませんが、一部のわれわれ国民が持つておりますところの、財産と同じようなものについては、かけられるのではないか、こういうふうに考えております。
  29. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま三つの問題につきまして、丁寧な御説明をいただいてたいへんうれしく思つておりますが、これを第一段の道路運送法改正に伴うものにつきまして、ただいまの御説明によりますれば、脱法行為公認の形になるからいかぬということ、それから事業をやつているから自家用があるので、その企業自体に事業税をかければ、その中に入るのではないかというお話でございます。これに対しては二つの点でどうも私承服できないのでございます。第一番目に道路運送法で従来自家用トラツクのやみ営業を禁止することに努力して来たのでありまするが、今度はそれをもはやとうてい禁止できないということで、断念して法制をつくつているように解釈しております。そういう事態にまでなつている状態でございますから、自家用で実際営業もやつているものは、大ぴらにやり得ることになると解釈いたします。しかる場合におきましては、トラツクで運送営業をやつている者、むしろトラック会社以上の大きな分量が、あるいは課税対象から逃げてしまうおそれがあるんじやないか、あまり厳格なことを言わずに、やみ行為黙認とか何とかいうことを言わずに、自発的につくつた組合でございますれば、やみ営業の限度の捕捉も十分にできるわけでございますから、その組合長から責任納付させるようなぐあいにやつて、そうして事業税をとつてやつたらどうかというような気持がします。この問題につきましては門司さんが非常に詳しく調べておられるようですから、御意見があろうと思いますが、私は結局特別徴収者みたいなものを置いて、自発的に納入させる、自発的に協定して納入させるということにすれば、相当な収入を得られるんじやないかというような気がしますので、それが一つでございます。  第二番目は、ある工場の自家用になつておりながら、あるいはある農業協同組合の自家用になつておりながら、その本来の企業に使用したその余暇または余裕能力をもつて営業運送をやるわけですから、事業主体の方から課税物件の捕捉ができないことは当然で、それを何か誤解しておるのじやないかと思ます。  それから免許料、許可料の廃止に伴う何らかの課税の問題につきましては、これは年間総額五、六億ずつになる。これは大きな財源になると思うのであります。これは政府にとられつぱなしでございましたから、漁業者としても非常に困るだろうと思います。これは政府に納入するかわりに、これを各漁村において協同施設等に使える金になるなら喜んで納付するんじやないかと思います。漁業権のないところに漁業権税というものを起せということは、非常に困ることでございますけれども、この地方税法によりますれば、水産業に対しても軽度の事業税をとつておるようであります。この水産業に対する事業税の税率を上げるとか何とかいう方法で、同じ目的を達せられないものかと思います。  それから次に国有施設、これは国鉄専売公社その他の施設を含みますが、国有施設の所在市町村が、もしその市町村の場所に民有の土地建物があると仮定すれば、得られるところの税源を、そういうものが所在しておるために、大規模に収入減の結果を来させられているわけでございます。今、地方の公共企業その他に対しても国税を免除しておる、相互免除の原則だというお話でありまして、ばかに国家的立場に立つてお考えになるけれども国家の方ではあまり地方財政に恩恵を与えてないのですから、ばかに国家的な見地にお立ちにならないで、一方的な見地にお立ちになつて——そうして上級団体に対して十分その責務を尽させるように、専売公社の公有建物や、あるいは政府の官衙その他が火災になつても、地方団体が消防の責任を負うてサービスをするわけでございますから、あらゆる点から見ましても、またその根拠があると思いますので、これに対して積極的に地方財源を潤す交付金的なものを、創設されるような制度上のごくふうができないものかどうか。それらはおそらくは市町村においても、また府県においても熱望しているところだろうと思うのであります。それらの点について、もう一回御意見をお伺いしたいと思います。
  30. 後藤博

    後藤政府委員 自家用トラツクの営業につきましては、いろいろ御意見もあろうかと思います。これは自動車運送事業法との関係がございますので、そちらの方の禁止の規定がどういうふうに動くかによつて、もう少し研究して行きたいと考えております。できれば何か課税の範囲も研究いたしたいと考えております。  それから第二の漁業権税の復活の問題でありまするが、これは御承知の通り以前の漁業権税は、約一億くらいであります。これは賃貸価格を標準にいたしまして、貸しておつたわけであります。今度の新しい財政需要と申しますか、そういうものは大体六億くらいではないかと聞いております。漁業証券の償還財源に充てた六億というのが、大体この程度のものはとらなければいかぬのじやないか、そうしますと非常に高いものになりはしないかと考えております。先ほど申しましたように、課税標準を何にとるかということが、やはり重要な問題でありまして、それと漁業証券の問題とが、うまく合うかどうかというところに問題があります。一応私ども漁業証券の償還財源といたしまして、漁業権税を起すということは、少し筋が違うのではないかというふうに申しておるのであります。  それから第三の問題の、国有財産の問題でありますが、私は国有財産の問題については、全部の国有財産につきまして、総合主義をとるつもりはないのでありまして、営利的な財産につきましては、やはり地方団体課税すべしという意見であります。国鉄とか専売公社は、そういつたものを所有いたしておりまして、しかも直接事業の用に供してないものについては、私は課税すべきものである。この問題につきましては、一昨年から昨年にかけてと思いますが、いろいろ折衝いたしまして、一応話合いをいたしたのであります。一応の線を出しまして、事務的には運輸省との間に話はまとまつたのでありますが、国会において残念ながらつぶれましたので、今度の改正のときには差控えたわけでありますが、私ども課税いたしたいという気持は、依然としてかわりはございません。以上であります。
  31. 加藤精三

    加藤(精)委員 第一段の問題につきましては、陸上運送ですか道路運送法だと思いますが、それの改正について詳しくお調べくださるということですから、この次の地方行政委員会のときまでにお調べになつて、そうして国の政治の中で、まさに課税すべくして課税されないでいるところの大きな分野があるなら、地方財政の寄与のために施設をしていただきたい。  それから第二段の問題でございますが、これは金額につきましては、まだ従来の一億の漁業の特別課税が急に五億になるなどということはとんでもない話で、これにつきましては全国的の漁業の不振の状況におきまして、無理が伴うのでありますが、われわれといたしましては免許料、許可料の廃止の際に、政府は何らかの形で、国税地方税を通ずる一つの税の体系の中に、これにかわるものを収入として貢献させたい、入れ組むことによつて漁業権補償の財源政府が徴収するのを免除したことの、かわりの処置にしたいということを考えているようでございますから、大所高所に立つて、理論だけをもとにして拒絶する必要はないじやないか、地方財政はまことに財源に枯渇しておるのでございますから、漁業者にそれだけの担税の余裕が生じたならば、何とかその半分でも、三分の一でも別の形において徴収して、十分な施設ができない漁港その他漁業共同施設財源にしたらどうか、こういう考えでございますので、その点御了解いただきたいと思うのであります。水産業の中にも、ことに許可漁業などの中には、一般の沿岸漁業が非常に不振であつても、相当収益を上げておる漁業があるわけでございまして、特に遠洋漁業等におきましては、非常に収益を上げておる、莫大なる収益を上げておる一面、それが非常な生糸に次ぐ貿易の花形になつておる産物もあるわけでございますから、これは課税の仕方によつては、ばかにできない地方財政の収入になるということを、まじめに考えていただきたい、そういう点から見まして、一律の課税でなくとも、大規模漁業は、事業税の税率の高い方に組み入れるとか、何かそういうふうなこともお考えになつていただけないかというふうに思うのでございます。  それから第三番目の問題につきましては、国鉄との関係だけを念頭において、御答弁いただいておるようでございますけれども、そうでなしに、国有施設県有施設が莫大なる面積を、国鉄、専売公社を含めて、占めておる、そこでたくさんの町村住民が仕事に従事するような場合には、それに対する市町村のサービスが、相当その市町村の負担になつておるような実情から見まして、何らか大きな目から、そういうものの所在しておる市町村の財政にプラスになるような交付金制度か何かを、統一的に組織的に案出できないかということを申しておるのでございまして、その点につきまして十分御研究いただきますことをお願いいたしたいのであります。  たびたび質問答弁となりますと、御迷惑でございますから、ただいまの分は私の意見としてお聞きおきいただくのでもけつこうでございます。
  32. 青木正

    青木(正)政府委員 ただいま加藤さんのお話でありますが、お話のごとく地方財政が非常に枯渇しておりますので、全般的にこれを何とかしなければならぬという問題と関連いたしまして、御承知のごとく地方制度調査会においても、根本的に検討することになつております。それはそれといたしまして、先ほど門司委員からも御指摘になりましたような、さしあたつて減税の処置を講じなければならぬというような問題もあろうと思うのであります。従いまして地方制度調査会の決定をまつまでもなく、早急に何らかその減税に見合う財源ということも考える、こういう問題も当然起つて来ると思うのであります。そうした場合におきまして、御指摘の三つの問題等は、確かに十分検討を要すべき課題と思うのであります。ただ先ほど税務部長から申し上げました通り、他の法律との関連がありますので、自治庁といたしましても、はたしてそうした措置がとり得るかどうか、またその限度はどの程度が可能である、そういうことも十分御趣旨を体しまして検討いたしたいと思つております。
  33. 中井一夫

  34. 藤田義光

    藤田委員 直接この法案審議に関係ありませんが、累次の災害によりまして、特に市町村固定資産税を中心として、本年度税収は大減収を予想されるのであります。これに対しまして自治庁としては何か具体的な指導をされておりますかどうですか、お伺いしたいと思います。この減収に伴う各市町村減免措置を、ただちに実施すべきでありますが、実施した場合の、たとえば平衡交付金とのつながり等は、直接申告の関係がありますので、なるべく詳細にお伺いしたいと思います。
  35. 青木正

    青木(正)政府委員 一応私から概略のことを申し述べまして、さらに税務部長から詳細説明いたさせます。お話のごとく、今回の災害によりまして、地方財政におきまして、非常な負担を増加する、一面におきましては収入が減少する、あるいは収入が予定の期日に入らないという問題が、起つて参りますので、これを何とかしなければならぬということは、私どもも災害発生と同時に痛感いたしておる次第であります。しかし、今回の災害によつて、どの程度地方財政の一方における負担増、また収入減を来すかという問題につきまして、的確な資料をまずつかむ必要があると思いますので、先般自治庁から調査課長を現地に派遣いたしまして、目下詳細にその内容を検討いたしております。その結果を待ちまして、その程度に応じて対策を講じなければならぬと存ずる次第であります。大ざつぱに考えまして、平衡交付金の関係におきましては、災害の関係は、当然特別平衡交付金で、まかなわなければならぬという問題に、なつて来ると思うのであります。しかし減収の程度あるいは負担の程度が重い場合には、特別平衡交付金でまかない切れないのではないか。こういうことも一応考えなければならぬ。しからばその場合に、特別平衡交付金を増額するかと申しますと、御承知のごとく特別平衡交付金は百分の八という制限になつておりますので、自然、特別平衡交付金だけを増すということもできないことになるわけであります。その場合にはしからばいかにするか。あるいは補給金というような制度を考える必要も出て来るのではないかということを、おぼろげながら考えております。しかしまだ災害の数字がはつきりしませんので、具体的に補給金制度について、立法措置を講ずるという程度までには至つておりませんが、何とかしなければならぬということは、私どもも考えておる次第であります。
  36. 藤田義光

    藤田委員 罹災地の町村長としましては、たとえばある村のごときは、損害三十五億と言われております。村の毎年の計上予算が大体一、二千万というところに、こういう深刻なる水害を受けましては、当分村税の収入というものは絶望でありまして、この際、累年起る災害に対しまして、何が恒久的な一つ法律なり、あるいは措置を考えることが、絶対必要ではないかというふうに考えておるのでありますが、ただいま政務次官から、補給金的なものも研究の題目に上つておるということを聞きまして、一応了承いたします。おそらく本国会も延長になると思いますので、調査の結果がわかりましたならば、本国会中に自治庁が施策を具体化しやすいように、なるべく本国会に働きかけていただきたいというように考えております。この問題につきましては、水害地緊急対策特別委員会におきましても、特別立法を考究しておるようでございますから、それの関連において解決されてもいいのではないかというふうに考えております。それからこの法律改正案に関しまして、は、塚田国務大臣の説明もありましたし、先般柴田府県税課長の逐条説明もありましたが、結論的に、大体今回の改正案には、一つの方針というものがないのではないか。大体現在施行されている規定の整備を中心にやられたと言われなからも、いろいろと増税あるいは減税措置が講ぜられております。それで増税と減税の項目を簡単に要約して、ひとつ税務部長からお答えを願いたいと思います。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。今回の改正案につきまして、一貫した方針がないではないかと言われますけれども、私ども税法の全面的な検討は、調査会の意見を聞きましていたしたいと考えておりますので、ごく部分的な、非常に不均衡なものについてのみ改正をいたしたいと考えて、先般の議会に提出した次第でございます。その後の要請によりまして、多少研究をいたしまして補正をいたして、今回提出したのであります。簡単に増減の数字を申し上げますと、お手元の資料の中にあるのでございますが、まず第一は、事業税及び特別所得税につきまして、四十九億一千八百万円の減収を見込んでおります。その内容は、法人税法改正に伴いまして、地方税法の施行令等を改正いたしますと、これは第三次評価、貿易商社の特別償却、その他そういう一連の法人税の改正に伴います改正によりまして、二十一億七千六百万円の減収になります。それから第二は、基礎控除の引上げでありますが、基礎控除の三万八千円を五万円に上げますために、二十四億三千万円の減収になります。それから第三は、健康保険関係の療養給付の範囲を拡張いたしますために、三億一千二百万円の減収になるわけであります。大体それを合せまして、事業税関係は四十九億一千八百万円の減収になります。自動車税につきましては、大臣の説明の中にありましたように、税率が二十四年の物価を基準にいたしておりますので、その税率の調整をはかつたのでありまして、そのために十三億三千七百万円の増収を期待しております。それから鉱区税でありますが、鉱区税の徴収強化によつて九千九百万円の増収を見込んでおります。     〔委員長退席、灘尾委員長代理着席〕  以上県税全部で、差引いたしまして三十四億八千二百万円の減収に相なるわけであります。市町村関係におきましては、規定の整理は相当いたしましたが、税収の上での変動は、入場税の税率変動だけであります。これが九千二百万円の増収を見込んでおります。合せまして、三十三億九千万円の減収になるわけであります。
  38. 藤田義光

    藤田委員 今御説明のうち、自動車税に関しましては、御存じの通り、ガソリン税あるいは道路負担金、その他税の形式を整えたもの、及び整えざる面から、相当物価に即応せる実際上の支出がなされております。先ほど加藤委員からもお話がありまして、この問題に関しましては、戦前の自動車総数が二十五万台弱であつたのが、現在七十二万台に増加して参つております。昨今の自動車の台数の増加及びそのほかの地方税以外の自動車業者に対する徴税ないしは負担金の強化によりまして、大体業界の負担は限度に来ているのじやないかというふうに想像するのであります。加藤委員から言われました通り、たとえば県販連あるいは農業協同組合の名目のもとに、個人が自家用車を買い入れまして、それでどんどんレッテルをもらつて営業しておるという台数は、莫大な数に上つておるのであります。この調査の困難について、先ほど税務部長が言われておりましたが、私はこれを容易に発見する方法はあるのじやないかと思います。こういうことによりまして実際上の税収の増加を期待することの方が、自動車業界の現状と将来の発展のために適当であるのではないか。自動車の増税という名目によりまして、一般大衆に対して負担が転嫁ざれることは必至であります。この五割という大増税によりまして、おそらく相当ほかの物価に影響を来すのではないか。特にトラツク業のごときは、現在国鉄以上の実績を上げつつあるという情勢からしましても、この自動車税の増税というものが、一般物価の値上りの原因になるのじやないか。こういう意味で非常に増税案を注目しておる一人でありますが、この点何か科学的な根拠があるのか、物価の高騰ということだけで、増税をされるのかどうか、お伺いしたいと思います
  39. 柴田護

    柴田説明員 自動車税の税率の引上げにつきましては、基本的には定額制の税金は一定額で、きめておるわけであります。これは物価が変動いたして参りましたならば、それに従つて調整をすべきものだというように考えております。定率制の場合で申し上げますと、何パーセントという率できまつておるものですから、物価の変動によりまして、自然にそれに相応した負担がかかるわけでありますが、定額制の場合におきましては、さようなことがないわけであります。地方税の場合に定額制をとつておりますのは、課税の簡素化という観点から、定額制をとつておる場合が多いのでありますが、自動車税の場合につきましては、昭和十五年から自動車税が法定されておりまして、昭和十五年の税率を一〇〇にいたしまして、それを物価指数で伸ばして参りますと、物価指数が昭和二十七年には二二一になるわけであります。これで伸ばして参りますと、営業用の普通の乗用車が一万六千九百六十円、乗合いが二万五千四百四十円、自家用の乗用車が四万二千四百円、貨物自動車、トラックでありますが、トラックが一方六千九百六十円、小型四輪車が六千三百六十円、三輪車が五千八十八円、二輪車が六千三百六十円というような計数になつて参ります。かりにこれを自動車の価格という観点から考えますと、昭和二十四年の平均価格を一〇〇にいたしまして、昭和二十七年十二月現在の価格をとりますと、トラツクで申し上げますと、日産の一八〇刑のトラックが三〇九%、トヨタのBMのトラックが二一八%、いすずのTX八〇型のトラツクが二二五%、日産ダットサンが二四五%、乗用車で申しますとトヨペツトが一八三%、ダツトサンが二〇〇%ということになりますので、大体以上の計数を勘案いたしまして、昭和二十四年から二十七年までの物価の値上りを約五割と見まして、それに合せて税率を調整した次第であります。
  40. 藤田義光

    藤田委員 物価の値上りに即応して増税されたという趣旨は了承しましたが、実はこれが交通事業であるだけに、ほかの物価へはね返るという危険を私は憂慮するのでありまして、この点に関しては、現在各府県においては条例をつくりまして、トラックにおいてはトン数による差等をつけ、バスには定員による差等をつけまして、現実に増税をやつておるのであります。現在旅行中の地方税法の意図する税収以上の実績を上げておる事例がだくさんあります。そういう現実の運営からいたしましても、この際物価の値上りと正比例して引上げるということは、ほかの物価に対するはね返りということもあり、あるいは、現在の条例によつて運営されておることによつて、不便は感じていないが、一方自動車数が激増しつつある今日において、その方面の税収もふえており、また半面戦後経営者がふえました関係上、お互い競争激甚のために、現在自然淘汰されつつある営業不振の現況、こういうものを考えますと、この際この税収に限つて五割増税ということは一般常識から言つて、どうだろうかというふうに考えるのでありますが、もう一度御答弁を伺いまして、私の質問を終ります。
  41. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。先ほど柴田さんからお話申し上げましたように、定額制でありますと、物価の変動によつて多少その点を考えなければならないわけでありますが、五割引上げをいたしますと、もちろん負担が重くなつて参りますので、多少物価に影響があると思います。しかし一日の売上高を基礎にいたしますと、その中で占める。パーセンテージは非常に低いのではないか、一日に割りますと、二十円ないし三十円程度のものになると思うのでありますがうそうすると全体の売上げから見ますと、そのパーセンテージは非常に低いので、物価にはさしたる影響がないのじやないか、かように考えて五割の税率を決定した次第であります。  それからもう一つ、トン数その他によつて条例でもつて差等をつけておるというお話でございますが、現在標準税率制度になつておりますし、自動車と申しましても、いろいろなものがございますので、負担の合理化の意味から、トン数その他キャパシティによつてつけるとか、あるいは乗客の収容能力によつてつけるということが、より負担を合理化するゆえんではないか、かように私ども考えておるのであります。多少その間府県によつて違いはありましようが、それは府県実情におまかせいたしておるのであります。私は負担の合理化の点から申しまして、さような措置の方がより合理的ではないか、かように考えておる次第であります。
  42. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちよつと話は違いますが、十六条の七の改正についてお尋ねしたいのです。ここでは入場税、遊興飲食税の徴収を保全するために、相当の担保の提供を命ずることができるということになつておりますが、どうもこの条項を見ますと、憲法二十九条の財産権の問題のあの規定に、抵触するように思われてならないのです。それでその点はつきりと憲法の財産権に抵触しない、かような見解を示していただきたい。前の十何条でしたかには税の徴収を猶予した場合には、担保をとることができる。このようになつているようですが、その場合ですと、確かにこれは財産権の侵害とはならないのですが、この十六条の七についてはどうもそういうぐあいに私には考えられる。その点について御答弁をお願いします。
  43. 柴田護

    柴田説明員 お答えをいたします。十六条の七を設けました趣旨は、この間御説明申し上げましたように、最近入場税及び遊興飲食税について、経営者の交代がひんぴんとあるわけでございまして、名義だけを同じ看板を使いまして、実際の特別徴収義務者が一定期間姿をくらまし、それからまた帰つて来るいうような、経営者の交代という手段が、脱税の目的に使われておる場合が非常に多くなつて参りました。従いましてほかの方法ではこの種の脱税を封ずる方法がないのでありまして、そういう意味から酒税法の三十一条の二の規定と同じ趣旨規定を置いたのであります。財産権の問題でございますが、特別徴収義務者制度につきましては、いろいろ理論上も、実際上も問題が多いのでございますが、大体徴収すべき税金をとつて、それを翌月納めるというのが実情であります。税法には明文を置いておりませんけれども、この徴収の実際は大体平均百分の一前後の特別徴収交付金を交付いたしておりますのが実情でございます。そこでこの場合担保と申しますのも、何も金銭に限りません。有価証券その他保証人でもいいということに政令ではいたすつもりでございますが、一定の確実な担保を提供してもらいまして、そのような場合には一定の期間まで——徴収金の期間であります。大体通常は一月でありますが、いわゆる一月間に徴収するであろうと思われる額に見合う担保を徴しまして、納税の確保をはかつて行きたいということであります。別段財産権に対しまして、大きな侵害があるといつたようなことはないのじやないかと考えております。同じような規定は、やや趣旨は違いますが、臨時仮設興行の場合に予納金という制度が設けられております。たしか法律の八十八条であるかと思いますが、この予納金の制度も同じように、仮設興行をした場合に、税金を納めずにすぐ逃げてしまうというものが多いので、それを捕える方法がないため予納金という制度を設けて、予納金を徴収することができるという規定でありまして、これも実際の問題として何でもかんでも予納金をとつてしまうということではございませんで、予納金をとらなければあぶない、逃げてしまうというようなものに限つて予納金をとるし、または指導もいたしておるような次第でございます。本条によりまして担保を徴する、保全する必要があると認められるときというところの解釈に対しましては、通常過去におきまして滞納が非常にあつた、あるいは過去において脱税事犯があつた、あるいは短期の営業であるといつたようなことを予想しておるのであります。またその期間というものは、大体一月ないしはそれ以内というようなところを目途としておるのであります。御質問のような御心配は、私はないのじやないかと考えております。
  44. 西村力弥

    ○西村(力)委員 とにかく経営者の側にしましても、それが脱税の目的でひんぴんとして使われることは確かに困る。しかしそういう事情によらない場合もたくさんありましようし、徴収金を保全する場合に必要と認めるときというのは、そういう予感だけで、あるいは実際に従来滞納や脱税が行われておつたから、またやるだろうというような予測とか、そういうものによつて、これは必要がある場合だと、都道府県知事が一方的に判断して、事前に担保の提供を命ずるというようなことは、どんなことをしましてもこれはやはり憲法違反の疑義を生ずるものじやないか、納入すべき期間に到達してしかも納入しないときですと、これはこちらにおいて徴税する権利が発生するのでありますから、担保の提供を命ずることも可能でありますが、それ以前において予備的な措置としてやるというようなことについてはこれはどうしても憲法に違反するというぐあいに、私としては考えられるわけであります。従つて先ほどの御説明実情まことにその通りであるように思われるのでありまするが、徴税額を確保するに急のあまり、そういうような方途に出られることにつきましては、なかなか了承しがたいところがあると思つております。なおもう一度御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  45. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。この規定を設けました趣旨につきましては、ただいま柴田課長から説明申し上げた通りでありますが、濫用にわたるような危険もあるのではないかというお話のようでありますが、先ほど申し上げましたように、かつて脱税の事実があつた場合に限つて適用するように、私ども指導いたしたいと考えております。もちろん普通の状態におきましては、こういう規定を発動する必要はないのでありまして、経営者が非常にひんぴんと交代して、責任の所在が不明確な場合が間々あるのであります。そういうような場合にだけしぼつて適用したいと考えております。苛酷にわたりませんようにいたしたいと考えておる次第であります。
  46. 西村力弥

    ○西村(力)委員 過去に実績があつたものに対してのみ適用するように指導したい、こう言いましても、やはりこれは徴税に急なあまり、憲法に対するはつきりした違反を犯すことになるのではないか、こういうぐあいに思われて来る。経営者が交代してしまえば、新しい経営者にその責任と義務が移る、またかわれば新しいものに移るわけだと思うのでありまして、そこには煩瑣な問題もありましようが、しかしこういう規定を設けずに解決するような努力こそ一憲法の条文に対して忠実なる道である、かように考えるわけであります。ただいまの御答弁については、あまりに便宜的に財産権の問題を考えられているのではないか、かように私たちは考えられるのであります。その辺もつと確信ある御答弁を起案者に望みたいと思います。
  47. 青木正

    青木(正)政府委員 御趣旨の点まことにごもつともと存じますので、この期間、担保の難、その他のいろいろ手続のことを政令に譲つておりますので、政令をきめるにあたりまして、御趣旨の点を十分尊重いたしまして、そうしたことのないように最善の注意を払つて、政令を出したいと思つております。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾委員長代理 本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後五時十九分散会