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1953-07-17 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    前尾繁三郎君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    滝井 義高君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   長野 士郎君         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      稻田 耕作君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月十四日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(成田知巳紹介)(第三六一四号)  同(萩元たけ子君紹介)(第三六一五号)  同(安藤覺紹介)(第三六一六号)  同(坪川信三紹介)(第三六一七号)  同(河野密紹介)(第三六一八号)  同(小山倉之助紹介)(第三六一九号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願外  一件(石橋湛山紹介)(第三六二〇号)  地方税法の一部改正に関する請願外一件(石橋  湛山紹介)(第三六二一号)  同(小山倉之助紹介)(第三六二二号)  自動車税引上げ反対に関する請願山手滿男君  紹介)(第三六二三号)  同(小山倉之助紹介)(第三六二四号) 同月十五日  小竹町及び確井町自治体警察国家地方警察に  移管の請願大石ヨシエ紹介)(第三九四一  号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(橋本登美三郎紹介)(第三九四二号)  同(加藤精三紹介)(第三九四三号)  同(關内正一君紹介)(第三九四四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三九四五号)  同(日野吉夫紹介)(第三九四六号)  同(中原健次君外一名紹介)(第三九四七号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第三九四八号)  同(大矢省三紹介)(第三九九五号)  同(和田博雄紹介)(第三九九六号)  同(山崎始男紹介)(第三九九七号)  同(八百板正紹介)(第三九九八号)  同(池田清志紹介)(第四〇五五号)  同(加藤常太郎紹介)(第四〇五六号)  同(迫水久常紹介)(第四〇五七号)  同(庄司一郎紹介)(第四〇五八号)  同(助川良平紹介)(第四〇五九号)  同(佐藤善一郎紹介)(第四〇六〇号)  同(加藤宗平紹介)(第四〇六一号)  同(逢澤寛君紹介)(第四〇六二号)  同(犬養健紹介)(第四〇六三号)  同(星島二郎紹介)(第四〇六四号)  同(大村清一紹介)(第四〇六五号)  同(橋本龍伍紹介)(第四〇六六号)  同(小枝一雄紹介)(第四〇六七号)  同(林讓治紹介)(第四〇六八号)  同(宮原幸三郎紹介)(第四〇六九号)  同(木原津與志君紹介)(第四〇七〇号)  同(佐々木更三君紹介)(第四〇七一号)  同(前田榮之助君紹介)(第四〇七二号)  同(山崎猛紹介)(第四〇七三号)  地方自治法の一部改正に関する請願高津正道  君紹介)(第三九四九号)  地方税法の一部改正に関する請願福田赳夫君  紹介)(第三九五〇号)  同(久保田豊紹介)(第三九五一号)  同(辻寛一紹介)(第四〇五一号)  同(藤枝泉介紹介)(第四〇五二号)  同(神戸眞紹介)(第四〇五三号)  同(中村幸八君紹介)(第四〇五四号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  福田赳夫紹介)(第三九五二号)  同(久保田豊紹介)(第三九五三号)  同(中村幸八君紹介)(第四〇四七号)  同(神戸眞紹介)(第四〇四八号)  同(藤枝泉介紹介)(第四〇四九号)  同(辻寛一紹介)(第四〇五〇号)  町村合併促進法制定に関する請願高津正道君  紹介)(第三九五四号)  町村財源確保に関する請願高津正道紹介)  (第三九五五号)  議会懲罰権擁護に関する請願高津正道君紹  介)(第三九五六号)  電気税撤廃反対請願高津正道紹介)(第  三九五七号)  共同墓地並びに火葬場新設費起債認可に関する  請願淺香忠雄紹介)(第三九七三号)  めん類等に対する遊興飲食税免税点引上げに  関する請願辻寛一紹介)(第三九九二号)  同(赤松勇紹介)(第三九九三号)  平衡交付金並びに起債わく拡大に関する請願(  山中貞則紹介)(第四〇一九号)  保安隊に対する地方税課税方法に関する請願  (馬場元治君外五名紹介)(第四〇四五号) 同月十六日  教科書供給事業に対する事業税免除に関する請  願(大石ヨシエ紹介)(第四二三二号)  保安隊に対する地方税課税方法に関する請願  (山中貞則君外五名紹介)(第四二三三号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(赤路友藏紹介)(第四二三四号)  同(只野直三郎紹介)(第四二三五号)  同(池田清紹介)(第四二三六号)  同(塚原俊郎紹介)(第四三一〇号)  同(福田繁芳紹介)(第四三一一号)  同(葉梨新五郎君外四名紹介)(第四四一七号)  同(尾崎末吉紹介)(第四四一八号)  信用金庫に対する固定資産税等免除に関する請  願(岡村利右衞門紹介)(第四二三九号)  大工、左官等に対する課税方法改正等に関する  請願猪俣浩三紹介)(第四三一二号)  地方税法の一部改正に関する請願加藤鐐五郎  君紹介)(第四三一三号)  同(町村金五君紹介)(第四四一五号)  自動車運送事業及び通運事業に対する事業税の  外形標準課税廃止に関する請願岡本忠雄君紹  介)(第四四一六号)  自動車税引上げ反対に関する請願岡本忠雄君  紹介)(第四四一九号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  町村金五君紹介)(第四四二〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  市町村民税課税に対する住所の認定基準等に関  する陳情書  (第九一〇号)  消防施設強化促進法制定に関する陳情書  (第八  一八号)  消防財源確立に関する陳情書  (第八  一九号)  地方自治法第百一条第一項の改正に関する陳情  書  (第八三六号)  地方自治法第百二十二条改正に関する陳情書  (第  八三七号)  町村合併促進法制定に関する陳情書  (第八三八  号)  同  (第八三九号)  町村自治確立に関する陳情書  (第八四〇号)  町村財源確保に関する陳情書  (第八四一号)  町村議会機能拡充等に関する陳情書  (第八  四二号)  地方議会懲罰権擁護に関する陳情書  (第八四三  号)  税、財政合理的改正並びに地方債わく拡大  等による町村財政確立に関する陳情書  (第八  四六号)  電気税撤廃反対に関する陳情書  (第八六四号)  地方財政法改正に関する陳情書  (第八七九号)  地方議会権限縮小反対に関する陳情書  (第九〇九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇六号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会をいたします。  本日は地方自治法の一部を改正する法律案を議題として質疑をしていただくことにいたします。  なお質疑にお入りになる前に、御報告をいたすべきことがございます。それは、地方の赤字問題は実に重大なる問題でございまして、さきに本委員会におきましても、これが解決につき決議をもつて政府に申し入れた次第もあります。つきましては、昨日町村合併の問題につきまして、参議院において、参議院地方行政委員諸君と衆議院の委員諸君との懇談会がありました席上、この問題は現に地方制度調査会において調査を進められておるからして、この機会に一日も早くその調査の結果を発表することを促進するように、何らかの方策を講じたらばどうか、こういうような意見が出まして、そうすべきだということに満場一致で決定された次第であります。それがために、お手元に配付いたしましたような要請書を、私と参議院地方行政委員長内村清次氏の名前をもちまして、地方制度調査会長前田多門氏あて本日提出をいたしましたから、これを朗読して、御報告といたしておきます。    地方財政再建整備に関する応急対策樹立方要請の件  一、要請   現下地方財政の状況は極めて憂慮すべきものがあり、その根本的改革地方制度全般改革と合せ行うべきも、既に生じたる赤字解消については応急措置を講じ、地方財政を健全なる基盤の上に運営せしむるよう整備することは緊急の要務と認められる。  地方制度調査会は、内閣総理大臣諮問に応じ、現行地方制度に全般的な検討を加えることを目的とするものであるが、本件については至大の関心を有すべく、政府諮問に応じて速かにその対策を樹立してこれを政府に答申するとともに、右の応急具体策を本委員会に示されたい。  右要請する。以上であります。     —————————————
  3. 中井一夫

    中井委員長 西村君、質疑は……。
  4. 西村力弥

    西村(力)委員 議事進行について。この自治法の一部改正に関する法律案関係法令の整理に関する法律案については、非常に手間どるようではございますけれども、逐条にやつて行つた方が、かえつて能率的じやないか、かようなことを私は議事進行の形として提案したいのです。それに触れてその条項々々によつて一部質問したい点もございますので、さよう申し込んだわけでございます。
  5. 中井一夫

    中井委員長 御意見はまことにごもつともとも存じます。ただその問題につきましては、あらためて理事会で御相談を願いたいと思います。ついては本日ただいまは総体的な問題につき、とりあえず御質疑を願いたいと存じます。
  6. 西村力弥

    西村(力)委員 第百八十条の四第四項というところを見ますと、「市及び自治体警察を維持する町村」を「警察を維持する市町村」に改めるということがありますが、この点は公安委員会を存置することに関係するものでありますが、この改正せられた趣旨についてお伺いいたしたいのでございます。
  7. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 従来市はすべて必ず自治体警察を維持するということになつてつたわけでありますが、先般町村から新しく市になりましたものについては一定期間を限りまして、市になつて自治体警察を維持しないことができるという特例法ができました。そこで自治体警察を維持しないものは町村だけではなく市にもあり得ることになりましたので、そういうふうな字句に表現を直すということでございます。
  8. 西村力弥

    西村(力)委員 次は附則第六条教育職員免許法の問題に関する事項でございまするが、ここには教育長免許状を有する助役は当分の間教育委員会教育長兼任することができる、かようになつておりますが、しかしこのことはまつたく便宜的は措置と言わざるを得ないし、また教育委員会本来の趣旨に、もとるものであると言わざるを得ないのであります。こういう改正案を提案せられるということは、私としましてはまことに好ましくないと思うのでございまして、このようなことをしてまで維持しなければならないということは、そもそも日本町村の規模や何かにおきまして、あの教育委員会市町村ごとに義務的に置くということが無理であるということに思いをいたすべきである。また教育委員会を維持する費用というものに対して裏づけ、財源措置がさ少であつて相当部分町村負担に転嫁せられておる。こういうことに思いをいたすべきであつて、大体こういう方法を講ずるよりは、財源措置を十分に行うか、さもなくんば日本自治体実情に合うように、教育委員会義務設置から解放するというような方向に行くことこそ望ましいと思うのであります。この改正をせられた趣旨はどういうことでございますか、この点についてお伺いしたいと思います。
  9. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育行政責任をどこの団体に置くか、府県に置くか、市町村に置くかということは非常にむずかしい問題でございまして、現行制度人事権並び施設の維持に関しまする責任市町村にこれを持たせて、給与の負担府県が行うという、いわば責任を分担しているかつこうになつているわけでございますが、この点につきしても特にいろいろ議論があるわけでございまして、政府といたしましては、この教育委員会設置単位をどこに置くかということについては、地方制度調査会の結論をまつて、最終的に考えたいと思つておるのであります。しかしながら現在におきましては、各市町村ごとに昨年十月から教育委員会が置かれることになつたのでありますが、本年の三月三十一日までは助役教育長事務を兼ねることができるという暫定的便法があつたのでございます。しかしながらその後の実際の模様を見ておりますと、なかなかすべての市町村教育委員会に、専任教育長を置き得るような人的な用意も、まだできていないというような点もございまして、またかたがた従来助役等教育に関する事務を見て来たというようなこともございまするので、すべての助役教育長事務を兼ねさせるということについては、あるいはなお研究を要するにいたしましても、少くとも教育長免許状を持つておる助役がおりました場合に、その助役地方教育委員会教育長仕事を兼ねさせても、これはさしつかえないのではなかろうかというようなところから、この附則第六条におきましては、教育長免許状を有する助役限つて——本来ならば助役は他の有給の職員を兼ねることはできないのであるけれども、特に当該市町村教育委員会教育長であるならば当分の間兼ねてよろしい、こういうようにいたした次第でありまして、それがこの第六条の大体の趣旨でございます。
  10. 西村力弥

    西村(力)委員 地方公共団体の首長とかあるいは助役というものが、常勤の他の職を兼任することができないという規定をつくつた趣旨、これが優先するものと思うのでありまして、現在の苦境を何とか糊塗するためにこのような便法をつくるということに対しては、私はどうしても賛成はできないのでございまするが、しからば現在の教育長免許状を有する助役というものが市町村にどのくらいおるか、御調査がございましたらお知らせ願いたい。
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今的確な調査はございませんが、そういう資格をもつた助役がそう多くおるということは申せないと思うのであります。しかしいやしくも教育長としての資格をもつておるものがあれば、若干でもかような便法を講じまして、支障がないようにすることが適当ではないかというふうに考えたのが、立案趣旨であります。
  12. 西村力弥

    西村(力)委員 その点は文部省関係の人に来てもらつてお尋ねする以外にないと思うのでありますが、この改正案自治庁が提案されておるのでありますので、この条項については文部省関係と当然打合せをして、その了解があつたことと存じますが、どちらからこういう問題を持ち出されたか、自治庁から持ち出されたのか、文部省から持ち出されたのか、いずれからであるか伺いたいと思います。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この免許状を有する助役教育長兼任の件につきましては、自治庁といたしましては全国町村会等地方団体の要望が非常に強くありましたのと、また現在の実情から申しまして、教育長を得るに困難を感じておる町村が相当多いように見受けられましたので、若干でもかような便法を講ずる方がよろしいというように考えまして、これは自治庁から文部省の方にも了解を求めまして、かような条文を入れた次第であります。
  14. 西村力弥

    西村(力)委員 とにかくこの件に関しましては後日文部省に来ていただいて、いろいろお尋ねいたしたい思いますので、この点はこれで一応打切つておきます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 ちよつと関連して質問させていただきたいのでありますが、今のようなぐあいで助役がもし教育長を兼ねるということになりますと、教育行政というものが混淆して来ることになるわけなんです。大体教育行政とわけるために、政府教育委員会法というものをつくつて地方市町村長から教育を離した、これが教育委員会法の本来の趣旨である。ところがそれを今になつて、また助役を兼ねるというように、自治法はつきり助役がそれを兼ねていい——これは経過規定だと思うのですが、そういう形を打出すということは、教育委員会法をつくつた本来の精神が非常にぼやけたものになる。教育委員会法の四十一条においても、「教育長は、教育職員免許法の定める教育職員免許状を有する者のうちから、教育委員会が、これを任命する。」ということをはつきりうたつておるわけなんです。そういうはつきりうたつておるものを、また自治法の方で行政官である助役がそれを兼ねるということになると、元に逆もどりして教育行政との混淆をする。教育委員会法を立法した政府みずからがこれを破つて行くという形が出て来るのでございますが、そういう点自治庁はどう考えておられるか。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘のように教育委員会法には、免許状を持つている者は教育長になることができるという規定があるわけでございますが、地方自治法の方では、助役はおよそ一切の地方団体常勤職員を兼ねることができない、こういうことになつておるわけであります。そこで教育委員会法から申しまして、かりに助役教育長にいたそうといたしましても、この地方自治法規定がある限りは、これを任命することができないわけであります。そこでその兼職を禁止しておる規定をはねて、兼職ができるようにしようというのが第六条でございますが、そういうことは、一体教育一般行政とを分離する建前から申して適当でない、こういうお話のようでございますが、これももちろん根本建前から申しますならば、執行機関としての市町村長から、教育行政執行責任を離して、教育委員会を置いたのでございますから、御指摘の点はまさにその通りであろうと思うのであります。しかしながら何分昨年から全国に残されておりました市町村すべてに、教育委員会を設置したわけでありまして、先ほど来申し上げまするように、資格を有する教育長がおりますならば、一人でもそういう者を得て教育長に当てた方がよろしい。そうでなくて専任教育長も置けないで、ただ教育委員会教育長を入れない事務当局だけということでは、なかなか仕事のまとまりも困難であろうと思いますので、むしろさような場合には暫定便法として、当分の間助役の地位を持つておりましようとも、教育長仕事をやらした方が実際の実情に合うのではないか、こういうことが立法の趣旨であります。従つて将来とも市町村教育委員会を恒久的に設置して行くというはつきりとした考え方確立いたし、それに対する専任教育長を置くという態勢が整備して来れば、もちろんかような暫定便法は廃止すべきであるというふうに考えておるのでありまして、要するに当分の間という考え方でございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 少くとも日本の重大な教育をつかさどつて行く教育委員会の一番重要な助言機関である教育長というものを、教育委員会法制定するときにおいては、当然そういうものも考慮して、政府立案をしなければならなかつたはずなのでございます。ところがその一番中心になるところの教育長が、全国にまだ免許を持つておる人も寥々たる段階において、しかも全国相当な反対があつたにかかわらず、これを押し切つてつた。そして現在になつて自分責任をば、こういう教育行政とを混淆する形においてごまかそうとすることは、もつてのほかだと思うのでございます。しかもそういう主張を一歩譲つて、しからば現在助役教育長免許を持つておる人でこれが間に合うかというと、おそらく人間に合わぬのじやないかと思う。ただ私が知つておる限りにおいても、一つの市において教育長免許資格を持つておるというのは、一人か二人しかおりません。いわんやいなかの町村に参りますと、助役教育長免許を持つておる人は、おそらく非常に少いだろうと思うのです。従つてそういうところは、この法律ができても、助役教育長免許を持つということ、また講習か何か受けなければ、助役教育長を兼ねることはできないという事態が起つて来はしまいかと思う。それについてもし百歩譲つて助役教育長免許を持つておる人で、こういう自治法改正ができれば、それでもつて全国教育委員会運営が足るという自信が自治庁にはありますか。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 先刻来申し上げておりますように、これはあくまでも暫定便法考え方であつて、少しでも実際の要求を満たし得るならば、全然手を触れないでおくよりも、その方がよりよいのではないかという考え方であります。もちろん教育委員会法の中に、二十七年の十一月一日から市町村教育委員会を置くという規定が、古くから立法化されてあつたわけでありますから、それに応じててそれぞれの処置をいたしておくべきであつたかと思いますけれども、しかし実際問題といたしましては、その辺について何らか解決を要するというような声がありましたのにかかわらず、昨年の十一月一日遂に法律通り市町村教育委員会が、各市町村に置かれることになつたわけでございます。従つて事実問題としてのいろいろの支障、障害は、必ずしもすべて排除されていないわけでありますし、ことに教育長専任の者を得るということにつきましては、御指摘のように各地において事実非常な困難を感じておるということは、私どももよく承知いたしております。そういうことで、さような実際の要求をこれによつてすべて解決するということはもちろんできませんが、少しでも解決に役立つということであるならばよろしいのではないかというのが、提案の趣旨でございます。さりとて資格のない者にすべて兼任というようなことをしたらどうかということも、私ども考えなかつたのではないのでありますけれども、やはり教育長という制度を尊重いたしまする考え方から、免許状を有する者の兼任ということの方が、より穏当であろうということで、かようなことにいたした次第であります。
  19. 滝井義高

    滝井委員 一応自治庁考え方は次善の策をとつておると思います。そうしますと、問題は市町村にある——市はそうでもないと思いますが、町村では教育長資格がある人もいない、助役教育長免許を持たないという事態が、相当起つて来ると思うのです。こういう場合に政府教育委員会運営をどうしてやるつもりであるのか、この点お聞きいたしたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 教育長が欠けております教育委員会運営は、非常にむずかしいことであり、それをいかように指導して適切に運営させるかということは、文部省の所管と思いますけれども、やはり教育長が欠けておりますならば、教育委員の中のある者が、そのような仕事をある程度かわつてつて行く、あるいは事務局の者がある程度教育長に相当する仕事をかわつてつて行くことによつて、その欠を補うよりほかはないのではないかというふうに考えられる次第であります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 そういうことは、法的に教育委員会法のどの条項から可能でありますか。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どもの方からその点についての解釈を申し上げることはいかがかと思いますが……。
  23. 滝井義高

    滝井委員 参考にひとつ。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政課長からその点について御答弁申し上げます。
  25. 長野士郎

    ○長野説明員 教育長が欠けております場合に、教育委員会がどのようにして仕事ができるかというお話でございます。この点は非常に問題がございますが、一番問題になりますのは教育公務員特例法におきまして、教職員の任免その他につきまして教育長が選考いたしますとか、あるいは教員の候補者名簿をとりそろえますとか、そういう規定が実はあるわけであります。これが教育長がいない場合には、しからばそういうことができないかどうか、絶対にできないと考えなければならないかという問題でございます。教育長というのはそのような専門的な職員でありまして、教育職員の採用とか昇任につきましては、そういう技術的な助言をまつて、初めて教育委員会が動くのだということは、これは法の予定するところであろうと思いますが、ただ問題は最終的に昇任なり、選任の意思を決定するまでは、これは教育委員会にあるのであります。従いまして教育長がいない場合を考えますと、教育委員会というものが、いわば上の方が下の職務をある程度取扱うというようなことに、法律的には観念をいたさざるを得ないかと思います。そういうふうに考えますれば、教育長がいない場合に、教育委員仕事をするということは、これは本来予想していないところでありますけれども、実際にいない場合何でもできないかといえば、やつた行為そのものについては教育委員会というものの決定がある限りは、これは有効と解せざるを得ぬのじやないか、このように考えております。
  26. 滝井義高

    滝井委員 なかなか解釈が苦しいようですが、今のような見解は、全国で一つか二つ教育長が欠けておるようなときには、今のようなことで黙つておるのです。しかしこれは今度の地方自治法改正ができると全国で一つ二つじやない、少くとも一万ばかりの町村の中で、教育長のおらぬところが相当出て来る可性が十分あるのではないかと思う。そうしますと、今のようなことではちよと治まりがつかないのではないかと思うのです、それでこれはいずれ自治庁の方にも、もう少し研究していただかなければならぬと思います。これはこれ以上深く追究しませんが、お互いに研究いたしたいと思います。そこで委員長、あとで文部省のこの方の係をひとつ呼んでいただきたいと思います。この点に対する質問はこれで打切ります。
  27. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。
  28. 西村力弥

    西村(力)委員 その考え方は、やはり都道府県教育委員会においても、副知事が教育長を兼ねられるというのと一連のものでございますが、こういうぐあいに広げて考えると、単に便宜的な経過措置だというぐあいには、とても考えられないと思うのでございます。しかしその点に関しましては、そういうことは全然ないだろうと仰せられるだろうと思うのですが、いずれにしましても助役が臨時に兼務できるということになつてつたのを、教育長免許状を有するというわくをはめたわけですが、しかもその数は不明確で、はつきりしないということでございます。これを考えてみますと、結局助役は将来兼任ができるというような方向をとつておるというふうに思われるのでございます。そこで私がお聞きしたのは、現在教育長免許状を有する助役以外は絶対に認めない、こういう将来的なものを見通しての改正であるかどうかという点なのでございます。その点をお伺いいたします。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねの点についてお答え申し上げます。  結局助役教育長兼任を認めるということは便宜の問題でございますから、その便宜の問題と実際の運営上の忍に応ずるという問題と、教育制度と申しますか、あるいは教育委員会制度というものとの妥協点をどこに求めるかというところにあると思うのであります。この原案の考え方といたしましては、やはり実際の便宜に応ずるということも考えなければならぬ。それが相当重い要素ではあるが、同時に教育又というものは免許状を持つておるというところに本質の問題があるわけでございますから、やはり免許状を持つておる助役についてだけ、兼職の禁止を排除するというのが適当ではないかという考え方に立つたのでございます。しかしながらもつと便宜の点を強く考えて、ことにこれが当分の間の暫定措置であるということでありますならば、この点をたとえば免許状を持つていない助役でも、一時さような便宜兼任をするというようなことができないだろうかということは、われわれも研究の過程においては考えたことがあるのであります。しかしながら今までのわれわれの結論といたしましては、政府としては、やはりかような免許状を持つという制限を置いた方がよくはないかということで、いわば大事をとりまして、かような案を用意いたした次第でございます。
  30. 西村力弥

    西村(力)委員 私が、お聞きしたいのは、現在教育長免許状を有する助役が何人あるかわからない。しかしこれを入れれば、将来相当これによつて補い得るという次善の策ということを力ほど申されました。この次善の策としてとられるのだと言いましても、こういう改正ができれば、あと助役に適当な方法でもつて教育長免許状を与える——これは講習などによつて与え句わけですが、その資格を与える講習はども、ときが経つに従つて厳密な行ご方をとらずに相当短縮し、簡易にして、そうして免許状を与えるという行と方が今までとられておる。こういう不在をやれば、結局そういうぐあいに初役に相当多く免許状を与えて、そうして現在おる免許状を有する助役ではほんの少ししかできないから、その他はどうもしようがない、そういう方法でやろう、こういうぐあいになつて行くのだ、そういう危険性を持つと私は考える。それでこの改正をやるのは、今おる人に兼任させても、これは次善の策としてやむを得ないというふうに簡単には考えられないわけで、その改正案趣旨とするところは、現在教育長免許状を有する助役に限る。あるいは将来便宜措置でもつて助役教育長免許状を与えて、そうして穴を埋めて行くというようなことは考えていないかどうか、こういうことをはつきりしていただきたい。これをお尋ねしているわけです。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはあくまでも便法措置でございますから、かりにこの期間におきまして教育長免許状を持つております者が、将来助役に就任をいたしたという場合におきましては、やはりその者が教育長を兼ねるということは、これはさしつかえないのではないか。今日まで教育長資格を持つておる者についてのみ兼任を認めまして、今日以後教育長資格を得た者について兼任を認めないということは、これはやはりかような制度を認める以上は、不公平のそしりをまぬがれないと思うのでありまして、やはり教育長資格を有する限りは、今日以後において得る者でありましても、これを兼任せしむるという便法を講ずるのが、実際の必要にも応ずることであり、また公平という観念から申しましても適当であろうというふうに考えます。
  32. 西村力弥

    西村(力)委員 今日以後においても教育長免許状を得た者ということになりますと、私が懸念した通りである、かように私は言わざるを得ない。今日以後においても教育長免許状を有しておつた者が助役なつた場合においては、これは当然兼任ができる、こういうぐあいになるとこれは実に危険であると思う。そこでそれは得たものであるか、持つてつたものであるか、その点はどうであるかということをはつきりしてもらいたい。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは本年度の予算に伴います地方財政計画におきましては、市には専任教育長を置くという建前で計画をいたしておりますが、町村につきましてはやはり実際の人員等の関係で、すべてに教育長を置くことは困難であるという考えのもとに、町村の半数について専任教育長を置くという考え方でおるのでありまして、残りの半数についてはやはり何らか専任教育長が置けないという事態が生ずるであろうという考え方で考えておるわけでございますから、さような欠を補う暫定の便法としては、今まで教育長資格を持つてつたからそれはいいが、今日以後教育長資格をとる者については、かりに教育長が欠員であつてもそれを兼任させることはやらないのだということは、これはやはり当該町村実情に即しない考え方があると思いますので、いやしくもかような暫定便法が妥当であるというふうに認められますならば、教育長免許をこの法施行の前に得たと、あとに得たとを問わないというふうにするのがやはり適当ではないかと思うのであります。
  34. 西村力弥

    西村(力)委員 はつきりいたしましたが、そうしますと、これは決して暫定的な便宜的な問題ではなくて、現在教育長免許状を有する助役兼任せしめたというのは、ごく少ししか埋め合せができないのでありまして、相当多くはこの助役教育長免許状を何らかの方法によつて与えて、そうしてやつて行かなければならない。そうすることによつて教育委員会の費用も少い点が補われるという考え方に、実情はなつておると思いますので、そうすると決してこれは便宜的な経過措置ではなくて、ほとんど全部の町村限つて助役教育長を兼務するという方法をとる。このように考えていると了解せざるを得ない。それでよろしゆうございますか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 助役が、かような制度ができましたからといつて免許状を持つていないので、そこで何か認定講習でも受けて、急速免許状をとるというようなことに必ずしもなるとは私考えないのでありまして、今日以後免許状を持つという者は、たとえば助役が任期が来てかわつた、今までの助役免許状を持つていなかつた従つて教育長を兼ねていなかつたけれども、新助役の時代になつても、なお教育長が穴が明いておる、その新助役は学校を卒業しておるから教育長資格があるという場合に、その者に教育長を兼ねさせてもいいではないかということで、先ほど来時期のいかんを問わず兼任を認めた方がよろしいということを申したのでありますが、さりとて助役資格を持つていないからといつて、すべて認定講習を受けろとか、あるいはすべてまたそういうことが実際の可能性の問題としてあり得るであろうかということは、ちよつと私さようには考えないのでありまして、わざわざこのために資格のない助役がみんな認定講習を受けて、すべて兼任をするのだというようなことは助役事務の多忙その他その地位等から考えまして、二箇日もそういうような講習を受けることはまず困難であろう、こういうふうに思うのであります。
  36. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、先ほど言いました将来に今後教育長免許状を得るに至つたという言い方は逆でございまして、新しく助役がかわつた、ところが教育長免許状を持つてつた、そういう者は兼務されてもいいのだ、こういう意味の答弁であります。先ほどの答弁と食い違うと私は見るのでございますが、確かに助役が激務になつておるから、教育長免許状をとる正規の講習など受けるということは、ほとんど不可能だろうと思うのでありますが、しかし苦しまぎれに何らかの便法をとつて、そうして週に何日かずつ何回とかいうような方法でもつて、簡易な方法でやるという措置がとられる危険性を持つものでございまして、それだけでは助役が激務だから、そういうことの心配はないということには考えられないのであります。それで先ほど将来において教育長免許状を得るに至つたという御答弁と、今の御答弁との相違点についてのはつきりしたことを伺いたい。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私先ほど来答えておりましたことが、あるいは言葉が足りなかつたかと存じます。それでさような誤解を受けたとすれば、はなはだ遺憾でありますが、新たに助役がかわつて、かわつた助役免許状を持つてつたというような場合が予想せられるということを、一例として申したのであります。さりとて助役がすべて認定講習を受けてというようなことは、助役の職務並びに性格から申して、まずあり得ないということを申し上げたわけでございます。しかし中には、助役でさようなことをやるというような者があつて、その結果免許状を得たというようなことがありますならば、その者について兼任を否定する理由はないだろうと思います。ただ実際問題としてさようなことはあまり起り得ないであろうということを申し上げたわけであります。
  38. 中井一夫

    中井委員長 西村君、ちよつとお諮りいたします。この委員室は昼からは他の委員会に譲らなければならぬことになつております。そこで大切な一時間でありますから、最も有効に使いたいと思います。ただいま文部省から田中局長が見えました。それであなたの御質問がもしよろしければ、田中局長になさることを早くおやりになつたらいかがかと思います。これは滝井委員からも御要求がありますが、その御相談です。
  39. 西村力弥

    西村(力)委員 では滝井さんに…。
  40. 中井一夫

  41. 滝井義高

    滝井委員 ちよつと文部省の方にお尋ねいたします。教育委員会法建前から行けば、教育長教育職員免許法の定める教育職員免許状を有する者の中から教育委員会がこれを任命することになつているわけです。ところが今度のこの自治法建前を見てみますと、助役教育長免許を持つている人がかねてもよいのだということになるわけです。そうしますと、市町村行政から教育行政を切り離して政治というものを教育に介入させない、ほんとうにすつきりとした民主的な教育をやるためには、教育というものが政治の介入を許してはいけないということで教育委員会ができて、その下に助言機関としてのれつきとした教育長ができて来たのが、この法律建前だと思う。ところがそれが今になつて地方行政をやる、いわゆる政治家的な要素を非常に持つている助役が兼ねて来るということになれば、教育委員会法の本来の建前と非常に違つたような状態が出て来るおそれがあると思いますが、文部省は、そういうおそれはないと思いますか。そういうことでかまわないのですか。
  42. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 教育委員会が設置されました本旨は、ただいまお話の通りでございます。従つて教育長教育委員会の特別なスタッフとして、これを設置することをはつきり法律で明記をいたしておるわけでございます。従つて教育委員会に特に専任教育長をことごとく設置すべきでございますけれども、御承知のように、現在わが国の市町村実情によりますと、なかなか法律規定いたし、なお期待をいたしておりますような設置が、事実上困難でございまして、ただいままではなはだ遺憾でございますけれども、相当事務取扱いあるいは兼務等で、事を済ませておるような町村も相当ございます。従つてこの際やはりしばらくの間、特に教育長資格を持つておるような助役につきましては、その兼務を認めるということも、現在の状態からいたしますと、まことにやむを得ない処置と考えておるのでございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 当分教育長資格を持つておる助役に兼務させなければならぬと言うが、しからばこの法律の本来の趣旨を貫くために、全国市町村教育長専任ができるのには、何年かかれば可能だと文部省は見ておるのですか。
  44. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 一万の町村専任教育長の設置を見るということは、なかなか実情財政の事情その他から困難であると考えられる点も相当ございますので、何年ぐらいしたらという見通しも私持ちませんけれども、ことごとくに専任教育長の設置を見るということは、相当年月を要するのじやないかと実は考えております。
  45. 滝井義高

    滝井委員 文部省教育行政に当つておる専門家が、しかもこういう教育委員会法というような大事な法律を国会を通しておつて地方財政実情が現在困難である。従つて現在教育委員会運営の上において一番中枢をなす教育長専任で置くのに、何年かかればそれが充足できるという見通もないということでは、政府のこの法律をつくつた責任は重大だと思うのです。そういう法律ならば政府はすべからく当分の間この法律をやめるべきだと思う。そうして全国教育委員会の中枢の運営主体である教育長ができたならば、この法律をやるべきである。何もあわててあんなに反対があつたのにこの法律を通す必要はなかつた。もちろんこれは国会において通したのであるけれども、この必要はなかつた。私はすべからくこれは廃止すべきだと思うのですが、文部省の意向はどうですか。
  46. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 これは見通しでございますから、いつということははつきり申し上げかねますけれども、しかしそういうふうに何年たてばただちに行けるということについての見通しは、ただいまはつきり申し上げかねます。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 関連して……。見通しが立たないと言われますが、町村の中で正式の資格を持つておる教育長をどの程度充足されておるか。それから学校長の兼任はどの程度なされておるか。教育長を置かずにやつておるところはどのくらいあるか。それから教育長資格を有する助役で、この改正案が成立すれば教育長兼任させることができる助役がどのくらいか。これらについて概数をお知らせ願いたい。
  48. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 ただいま教育長専任で置いておりますのは約半数でございまして、その他は事務取扱いないし兼務となつております。  それから助役の中の有資格者の数でございますが、これはただいままでにまだ的確な統計はとつておりませんけれども、約二割ぐらいの有資格者がいるのではないかという予想をいたしております。
  49. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま滝井委員及び西村委員から地方教育委員会教育長の問題につきまして、重要な御質問があつたのでございますが、要するに文部省の御努力によりまして、各地方教育委員会に有資格教育長が設置されまして、西村委員及び滝井委員がその設置を非常に必要としておられるところの地方教育委員会の充実をはかられ、地方自治というものの基礎を磐石の安きに置くことが、西村委員及び滝井委員の御希望であります。そうした意味におきまして文部省は明二十九年度予算以後におきまして、平衡交付金の算定にあたりまして、各町村教育委員会に必ず有資格専任教育長を置かれるように、大蔵省に御折衝になる御意思があるかどうか、この点につきましてお伺いいたします。
  50. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 お話のように現在平衡交付金の方におきまする財政措置は、半数教育長専任となつておるのでございまして、全市町村に設置いたしますためには、当然その前提として財政措置等をも伴うべきだと考えますので、私どもとしては全国市町村専任教育長の設置を見ますために、来年度以降において、それらの財政措置をいたしたいと考えておるのでございます。
  51. 門司亮

    ○門司委員 今ちよつと席をはずしておりましたので、はつきり聞かなかつたのでありますが、今聞いていると、来年度の予算でとるというようなお話もございますし、それからさらにこの半分くらいというお話がありますけれども、これは局長さんの方が数字はよく知つているでしよう。半分くらいだと言いますけれども、大体全国で約九千ある中で、まつた資格のない、事務だけをとつている者が三千八百幾つある。この数字はもつと私は越えると思います。さらに資格のある教育長が実際やつているのが千七百くらいある。その他は兼任あるいは兼業、こういう数字になつている。いずれも千七、八百くらいで、残りの約三千九百というものが無資格者である。そういう状態になつております。今の局長の答弁は、半分くらいは出しているというお話でございますが、実際は半分出していない。もし局長が今の御答弁のように二十九年度に教育長を全部置こうという御意思があるならば、これは何も助役兼任させなくてもいいのであつて、あるいはこれは経過的の処置として、二十九年度だけは助役兼任させていいが、その次には全部置かなければならぬことになつている。そうなつて参りますと、問題は一体文部省は全部の町村専任教育長を置き、さらに教育長の置けないところは兼任でもよろしうございます、あるいは兼業でもいいということになつて参りますが、現在の実情から言いますと、兼業には相当金がかかつております。さらに兼任といつても、そのままの姿で進んでいるのではないと思います。五箇年以上の校長の経歴を持つた人が兼任というか、兼業をやつているという場合には、片方が特別職であり、非常勤でありませんが、教育委員会制度から言えば、これは常勤になる形を持つております関係から、すべてあてがい扶持の手当では済まされないと思う。そうなつて参りますと、予算的処置というものは、きわめて莫大なものが必要になつて来るのである。これに対して文部省は来年度はというお話でありますが、責任を持つてその予算がとれるという確信が一体ありますか。その点をひとつ明確にしていただきたい。
  52. 西村力弥

    西村(力)委員 田中局長に私は言いたいのですが、先ほどは教育長の充足の見通しが立たないと言い、今度は来年度から完全に予算の裏づけをする、こういう矛盾することを言つておる。また専任教育長は半数充足しておると言つておりますが、ただいま門司委員から千七百だ、こういうことになつておる。いやしくも専門に扱つておる文部省においては、いいかげんな調査ではないはずだ。そこで門司委員の言うことを認めるならば、はつきりと先ほどの答弁は虚偽を言つたのだ、教育長の充足の問題については前後矛盾しておる、こう言わざるを得ない。この点についてはつきりと答弁を願いたい。
  53. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 予算の点について確信があるかというお話でございますが、私どもとしてはできるだけその達成のために努力いたすという以上には、申し上げかねる次第でございます。  それから数字の点でございますが、教育長として現在おります者は、私は兼務をも含めて半数と記憶をいたしておるのでございます。ただお話のように無資格者等が事務取扱いその他でやつておりますのが、あとの半数近くになつておる、かように記憶しておりますから、それを申し上げたのでございまして、そう食い違いはないのじやないかと思うのでございます。
  54. 門司亮

    ○門司委員 今の数字の点ですが、私の申し上げましたのは、はつきり言つておきますが、これはあなたの方の資料なんですよ。よろしゆうございますか。あなたの方から出た資料にはこう書いてあります。教育委員会の数は市町村、組合全部を合せて八千七百五十七、これが全体であります。その中で欠けておるのが、山形、神奈川、山梨、それから兵庫がまだ未決定であります。それで今この三つの県を除いて、総数は大体八千七百五十七、その中でAの専任がおりますのは二千七十、兼任が千六百九十二、兼業が千百七、小計四千八百六十九、それで事務取扱いというのが三千八百八十八、大体こういう数字であります。そうしてなお補充の十分でないところが、数字の上では多少あるようであります。従つて専任の置かれておりますのは、実際は八千七百五十七のうちの二千七十であつて、これは大体四分の一にならない数字であります。それに兼任を入れて約三千七百になる、さらに兼業を入れて、初めて四千八百という数字で約半数に達するということである、実際の状況というものはこういうことでございます一従いましてわれわれの言う専任というものは、これは決して半分にはなりません。ただ兼任、あるいは兼業の形で置かれておるものが、全部合算して半分である、これは私は正しい意味の半分ではないと思います。同時に事務取扱いという何らの資格を持たない人と思いますが、これが三千八百八十八もある、これはあなたの方から出た数字でございますから、間違いがないと思う。こういうことはもう少し明確にしておかないと、委員会の審議の上において、半分だ、三分の一だということになると困りますから、資料がありましたら、各委員に出しておいてもらいたい。
  55. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 至急出すようにいたします。
  56. 中井一夫

    中井委員長 田中局長は資料をお出しできますか。
  57. 田中義男

    ○田中(義)政府委員  出します。
  58. 中井一夫

    中井委員長 それでは急いで御提出を願います。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほどから各委員の質問に対する田中局長の答弁を聞いておりますと、どうも私は地方教育委員会制度の存続に対して局長は熱意がない、この制度の本質的なものに対する何か不満があるのではないか、長続きさせるという熱意に欠けるのではないかと思いますが、どうですか。この制度をあくまで今後維持されて行く決意がありますかどうか、これは根本の問題でありますので、お伺いしておきたい。
  60. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 文部省といたしましては、教育委員会は健全に育てて行こう、こういう考え方でただいままでも進んで参つておりますし、そのつもりでやつて来ておるのでございます。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 そういう考えでおられるにもかかわりませず、文部省の具体的な施策が非常に弱い。たとえば町村教育長の執務の実際を見られたことがありますかどうですか。役場の片すみに小使と並んで執務しておる、こういうことで町村教育という重大問題が完遂できるこということは、絶対にありません。どの村に行きましても、町村長にあごで使われておるというのが実情であります。この点に関しまして、何か実情を調べられたことがありますか、どうですか。
  62. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 私自身僻村まで行つて実際を見たことは、まだ残念ながらございませんけれども、いろいろ統計等、調査はむろんいたしておるのでございます。
  63. 藤田義光

    ○藤田委員 国会においてあれほど重大問題でありましたこの制度執行する責任者が、統計とか資料で調べておるというような情ない答弁をされるということは、教育という重大問題を担当される初等中等教育局長としては不穏当である。私は真にこの制度を存続される熱意があるならば、なぜ飛び込んで行つて、この制度の真の姿をとらえてもらわぬかということを言いたいのであります。そういう局長の態度であるからこそ、自治庁財政措置を全然考えないわけでありまして、この点に関しましては、来る二十二日に全国町村長大会がこの問題をとらえまして、廃止の決議をしようとしておるのであります。町村長会の動きというものは、大体輿論の相当有力な部分を反映しておるとわれわれは解釈しますが、そういう動きがあることを御存じでありますか、どうかをお伺いしたい。
  64. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 市町村側におきましてお話のような動きは、よく承知いたしております。
  65. 藤田義光

    ○藤田委員 よく承知されておるならば、どうしてそういう動きが出ておるかということを知つておられますかどうかお伺いしたい。そういう動きのある原因をひとつお知らせ願いたい。
  66. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 それにはいろいろ理由もあることと存ずるのでございますけれども、それにつきましては、市町村行政当事者の立場になりますれば、またあるいは地方における行政の総合的な点から、あるいはまた財政の点からいたしまして、さような御意見等も出ることと考えておるのであります。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 そういう原因を知つておられて、そういう動きを阻止するために、その原因を究明して、そういう問題を解決するために、何か過去におきまして自治庁その他と交渉されたことがありますか、どうですか、お伺いしたい。
  68. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 その動きのための直接の、具体的な措置等についてのお打合せをしたということはございませんが、ただやはりそういつたような声が出ますのも、市町村教育委員会運営がよほど円滑に行かないようなことも、一つの原因になるわけでございますから、私どもとしては、市町村教育委員会運営が、すべての関係市町村との間においても円滑に参りますように心を配りまして、いろいろ指導助言をいたして参つておるのでございます。
  69. 藤田義光

    ○藤田委員 学年末の中小学校教員の定期異動に関しましては、新しい教育委員会制度が施行されたために、非常に隘路ができております。各町村ごとの人事の交流ということが非情に困難になつてつておりまして、教育の刷新には、まず人事の問題が非常に重大でありますが、この隘路に関しまして、何か研究されておりますかどうですか、お伺いしておきたい。
  70. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 市町村教育委員会を置きました場合に、一番私どもで心配をいたしましたのは、お話の人事交流の点でございまして、各市町村個々にこれが立てこもりますと、その運営上非常に沈滞を来すことになりますので、従つて市町村間において、あるいは協議会を設けて協議をいたしますとか、さらには少くとも府県単位に考える必要がありますので、府県教育委員会もそれに参加をいたしまして、そうして協議等によつて、できるだけ円滑にその人事の運営が参りますように配慮いたし、なおそれぞれ指導等もいたしておるのであります。
  71. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお伺いしたいのは、この教育委員会執行機関であります町村長と並立せる相当強力な行政運営する重大な機関であります。ところが今回の地方自治法改正では、助役をもつて当てようという改正案が出ておるわけであります。助役町村長の下に立つ役場の三役の一人でありまして、こういうことでは、国民の教育という重大な責務を担う教育長のポストとして適当じやないのじやないかという意見もあるのであります。むしろそういう人的資源が不足している市町村において、こういう制度をあくまで維持するというような煩を避けまして、府県単位に強力な教育機関を設置して、現在の教育長拡大強化するという方向に行つた方が、文教行政の将来としては非常に有利ではないか、国家的にもそれが有益ではないかというふうに考えます。これは現在の制度があるから、これを支持して行くということは、局長としては普通の答弁でありまして、私は、方向としては県単位の教育機構を強化して行く方が、教育の本来の趣旨からいいましても、また国家的見地からいいましても有益であるというふうに考えますが、局長の率直な御意見をお伺いしておきたいと思います。
  72. 田中義男

    ○田中(義)政府委員 私どもとしては、現在の市町村教育委員会に対する態度として、先ほど申しましたようなことを考えておりますので、私それ以上申し上げかねるのでございますが、確かに御説のようなことも意見としては相当私どもも聞いております。
  73. 加藤精三

    加藤(精)委員 先ほどからいろいろ御論議がありまして教育長の問題につきまして、文部省の方から資料の提出をお願いしたいのでありますが、全国市町村において、有資格専任教育長を置いておる市町村と、それから有資格助役をもつて教育長を兼務せしめておる市町村と、それから他の学校長その他教育者を兼務せしめている市町村につきまして、その総数及び府県別の表を御提出いただきたいと思います。なお本件に関しましては、現在の地方財政の状況におきましては、助役の兼務もやむを得ないのじやないかというような気持もいたしますので、その判断のために、資料をできるだけ早く、この次の地方行政委員会の際に御提出いただきたいと思います。
  74. 中井一夫

    中井委員長 皆さんの御要求によりまして、大蔵省の理材局長が出席せられました。この際理財局長に対し質問を開始いたしたいと思います。床次君。
  75. 床次徳二

    ○床次委員 理財局長にお尋ねしたいのですが、現在の地方における起債に関しましては、自治法の二百五十条によりまして、政令の定めるところにより自治庁長官または都道府県知事が所管しておるのでありますが、その実際の取扱いを見ますると、政令の定めるところによりまして、自治庁、大蔵省が中央において事務が二重になり、さらに地方におきましては、県あるいは財務局等におきまして、非常に複雑な手数を要しておるのであります。もとより起債に関しましては、かかる大蔵省の関与が少いことが望ましいのでありますが、現在場のごとく金融の立場からある程度まで大蔵省が起債のわくに制限を加えるということもやむを得ない状態かとお思いますが、しかしその手続はあまりにも煩雑ではないかと思うのであります。すでに自治庁並びに府県知事が十分に当該市町村の実態を調査し、希望額に対しまして査定を加えました以上は、一定のわく内におきまして府県知事あるいは自治庁長官が、単独に処置いたしましても支障ないはずじやないか、同じ政府部内でありますので、この間の手続が十分円滑に行い得るものと信じておるのでありますが、現状はあまりにも煩雑過ぎるということを、関係者あるいはわれわれも痛感する次第であります。これに対しましてわれわれは筒素化の意見を持つておりますが、当局として現状の取扱いに対しまして、いかなる御所見を有しておるか、またその手続を簡素化するについて、いかなる対案をお持ちになつておるか、この機会に承りたいと思います。
  76. 石田正

    ○石田政府委員 現在の法制のもとにおきまして、地方自治法の第二百五十条に基きまして、お話のような手続が行われておりますことは、その通りでございます。二百五十条につきまして大蔵省の考え方を申し上げますと、大蔵省は、地方債の起債及びそれに対する融資につきまして、二重の立場を持つておるわけであります。一つは、国の財政、金融全般を見ておりますところの大蔵省の立場といたしまして、地方の資金需要というものが相当大きいのでございまして、全般の上から申しまして、どういうふうにそれが推移して参るかということについて、多大の関心を持つておる次第でございます。もう一つの側面は、大蔵省は資金運用部資金を管理いたして、平たく申しますれば、貸す方の立場というものを持つておるわけでありまして、全体の資金がどういうふうになるかという問題と、また貸す立場といたしまして、個々の事業なり金額なり、またその全体の自治体財政状態なりにつきまして関心を持つことは、当然であろうと考えておるわけでございます。従いまして大蔵省といたしましては、地方債がどこに行くかということを二つの立場から見るわけでございますが、これを二つにわけまして、まず地方債の許可についてどうする、第二に金を貸す立場としてどうする、こういうように二段にわけてやりますことは、手続が煩瑣になりますので、この点につきましては、二百五十条に基きまして、政令の定めるところによりまして、自治庁の方から大蔵省の方に御協議がございました場合に、今申しました二つの立場をあわせて決定をいたすということをいたしておるのが実情でございます。
  77. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御答弁がありましたが、自治庁調査と大蔵省の調査が、あまりにも重複しておるのじやないか。借りる方の立場、能力その他に関しましては、大体地方自治庁は、同じ政府部門でありますから、大蔵省の意向というものはわかり得るはずです。これに対しまして、実際において大蔵省が調査されるということは、非常に重複した事務をそのまま行つておるように思うのであります。借りる立場から申しますと、このためによけいな時間と手間をかけておる次第でございまして、これを簡素化する余地はないかということを申し上げたいのであります。大蔵省といたしましては、財政金融の立場におきましては、ある程度までの御意見があることはもつともであります。これに対しましても、やはり同じ部門でありますから、自治庁に対してあらかじめ御連絡がありますならば、一定のわく内におきまして、自治庁に権限を与える、さらに府県知事にも権限を与えるということが可能ではないかと思うのであります。借りる方の立場と申しますと、地方財政の内容がはたしていいか悪いかという点でありますので、これは何も大蔵省自体がなさらなくても、自治庁におきまして、ある程度まで調べ得ることだと思うのであります。現在は自治庁あるいは府県で調べましたものを重ねて大蔵省当局において調べられておりますために、非常に煩雑が生じておると思うのであります。この点を省略することができないかということが私ども意見であります。これに対しまして重ねてお答えをいただきたいと思います。
  78. 石田正

    ○石田政府委員 金を貸す場合とそれから借りる場合とございまして、これは借りる立場からものを見ます場合と、貸す場合でものを見ますと、これはやはりその間に相違が出て来るのは私はやむを得ないのではないかと思うのでございます。そういう点から申しますと、金を貸す方の立場というものは、借りる方の立場さえ考えればよろしいのであつて、借りる方の立場でもつてきめたものについて、自動的に出すべきだというところまで話が行くということは、いかがかと存ずるのでございます。大蔵省といたしましてはできるだけ事務を簡素化しなければならぬという点は、御趣旨通りだと思いますので、現状におきましては一般的な意味におきまして国の財政全体の立場を見まして、金融全体の立場を見るという面と、それから今申すような貸す方の立場というものと一緒にしてやつて行くというような心構えでおるわけであります。もしこれをかりにわけまして借りる方の立場としての手続は一つ、貸も方の立場としては一つというようなことに相なりますればその両者が食い違いを来しまして、そして片方で許可したものが片方で金を貸さない、しかもそれは同じ政府のやることであるということでは、まことにぐあいが悪いというふうに考えておるのでありまして、現在のやり方というものは、その点におきましてその両者を調和するところの方法で、適当なものであろうというふうに考えますのが、大蔵省の考え方なのでございます。
  79. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま大蔵省の立場は貸す方の立場においてお考えになつておられるようでありますが、借りる方の立場だけに私どもこだわつて申しておるのではないのではありまして、借りる方の立場に立ちまして府県知事がいろいろと調査もできるのでありまして、これが必ずしも預金部自体が調べられなくても、大蔵省自体が直接調べられなくても借りる立場は十分にわかり得る、ただその要望に対しまして幾らくらいを貸し付けるかということは、大蔵省としては関心をお持ちになつておると思うのです。従つてその大蔵省の御意見というものは、同じ政府部内でありますところの自治庁の方へ、ある程度まで通じられますならば、その範囲内において事務は著しく簡素化されるだろうというのが私どもの考えであります。大蔵省が二つの立場をお持ちになりますことはもちろんわかりますが、おのずから最後までこれを講じなければならないということは考えられないのであります。その点局長のお考えを一層深められる必要があるのではないかと思うのでありますが、やはり同じようにお考えになつておりますか。もう一歩踏み込んでこの点は考え得ると思うのですが、重ねて御答弁願いたいと思います。
  80. 石田正

    ○石田政府委員 これはいろいろむずかしい問題だと私は思うのでございますが、大蔵省の立場というのは政府の中におきましても、多少ほかの省とはいろいろ違つた面があり得るのではないだろうかと思うのでございます。地方債の許可の問題につきましてもこれは自治庁でお考えになつておりますところと、それから大蔵省で考えておりますところの問題といたしましても、やはり考え方につきまして調整をしなければならない部面があるのではないだろうか、一般の大蔵省以外の各省におきまして資金需要その他につきましてお考えになつておりますことと、それから大蔵省が財政金融全般を見まして考えますこととは、必ずしも全部が全部一致をするものではない、そういう面の調整も私は必要であると思うのでございます。今地方債の問題につきましても、私はいわゆる借りる方の立場に立つて申しましたが、借りる方の関係におきましても、今申しましたような場合があると思うのであります。それから貸す方につきましては先ほど述べたようなところでございまして、そこらのところを全部一つにして一本で行こうというのが、現在の制度でございまして、そういう点におきまして私はこのやり方というのは簡素化を考えたやり方であろう、ただその運営等につきましてなかなか実際問題としてうまく行つていないという点につきましては、これは大いに改めなければならぬと考えておりますが、制度自体としては現行法のやり方というのが、できるだけ簡素化をはかるといういろいろな立場を考えながらやつておるところの方法であろう、かように私は考えている次第でございます。
  81. 床次徳二

    ○床次委員 二百五十条の文字は、なるほど局長の言われるように簡素化するために受口を一本に書いた、形式上はそういうふうになつている。しかし実際の取扱いがこの政令の定めるところによりまして、非常に簡素化の精神とは遠いのが原則だと思う。ただいま実際の取扱い等におきましてなお考慮をする、研究をしたいというお考えのように思いますが、実際の取扱い等におきまして、これをかえる必要があるじやないか。あるいはその点に対しまして実際の取扱いをどういうふうにかえ得るか御意見を承りたいと思います。文章はこのままに残しておいた場合に、実際の取扱いにおいて従来やつておられましたことに対する改善方法と申しますか、簡素化の方法につきまして、この際御意見がありましたならば承りたい。
  82. 石田正

    ○石田政府委員 これは先ほどもお話がございましたことに関連するのでありますが、要するに私は実際問題をどういうふうに円滑にやつて行くかということが、大切であると思うのであります。非常に煩雑であるという立場でございますが、地方におきましてたとえば市町村なら市町村の問題につきまして、県知事の方が市町村の起債をどうするかということをごらんになるのでありますが、それと同時に財務局といたしましても貸す方の立場として、どういうように考えるかというふうなことを、これは府県できめたのだから、もうこれでよろしいのだというわけには私は参らないと思う。そこのところをどういうふうにしてうまくやつて行くかという現実の問題でありまして、これは私は財務局長と、それから各府県知事の間において、地方団体がやつていると同じようにやるべきものだ、さらに都道府県が大きなものは自治庁と大蔵省がよく打合せをしてやつて行くべきものである、かように考えている次第であります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 今床次委員から大体は聞かれましたので、私は率直に聞いて置きたいと思います。例の昭和二十二年の内務省と大蔵省との合同の省令五号、これに基いてやられている、これの基本的のものは例の政令であつて、そうしてさらにこれは法律の二百五十条に基いて、こういう政令が出ております。大蔵省と内務省の両方の省令で出ておりますその省令の五号を読んでみますと、内務大臣は前項の規定により許可を必要とするときはあらかじめ大蔵大臣と協議する、但し起債目的年額が五百万円未満のものについてはこの限りでないというように書いてあります。ここが結局今論議されてひつかかた問題であると考えますが、この場合はあらかじめ許可するということになつている。それが現在は両方に手続をして、そうして大蔵省の意見というものが非常に強く反映して来ている。私はこの法律のできましたときは実際上の問題として、大蔵省にここまで権限を与えるということで、こしらえたということはなかつたと思う。そう考えて参りますのは、起債のわくがすでにきまつております。そうして起債のわく以上には出ないのであります。従つて金をお出しになる大蔵省といたしましては、自治庁責任においてこれをお出しになればいいじやないかと考える。昭和二十二年の当時の財政というものは、今の財政よりももう少し実は地方財政にはゆとりがありまして、今ほど苦しくなかつたのであります。ところがだんだん地方財政が苦しくなつて来て、そうして赤字が非常にふえて来る、従つて地方から出て参ります起債の要求額は年々ふえて来る。大蔵省はこれに対してかなり大きな削減をずつと続けておられる。こういうふうになつて参りますと、感情的といえば少し言い過ぎますが、実際上の問題としては大蔵省も何とか起債を押えなければならないという気分が多分にあるじやないかと思う。そこにこの法律のできたときと少し形のかわつた認可を自治庁がしようとしても、実際問題としては大蔵省がこれに横やりを入れるというと言い過ぎるかもしれませんが、許可を与えないというようなことがある。実際は許可の権限というものは法律に基いてはどこまでも大蔵省にあるわけでありませんで、ただこの二百二十六条に書いてあります中で、地方の起債は大体地方議会で議決すればいい、但し三項で二百五十条の規定の適用はあるものとするということ。ここでただ押えておるだけでありまして、実情から申しますと、さつき言つたような実態である。実際の法の運用というものはやはり自治庁を信用して、自治庁長官の大体の査定に基いて、大蔵省は協議の立場であつて、これを許可するという立場には私はないと思う。今のお話もやはり協議だというようなお話でありましたが、実際の問題としてはほとんど大蔵省が許可権を握つているような形がしよつちゆう出ているのです。ここに私は問題があると思う。従つて地方といたしましてはそういうことを簡素化するといわれておるが、実際の問題としては簡素化になつておらない、この実情はよく大蔵省は御存じだと私は思う。そこで私はあなたに率直にお聞きをしておきたいと思いますが、二十七年度の起債について自治庁と協議された、すなわち自治庁から申達されたものが、どういう形で一体許可されておるか、その実態をひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  84. 石田正

    ○石田政府委員 御指摘のありました政令につきましては、起債の許可をいたします場合に自治庁におきまして、あらかじめ大蔵省に協議する、そういうことになつております。このあらかじめということはどういう趣旨かと申しますと、先ほど床次先生からお話がありましたときにお答えいたしましたように、これは貸す方の立場、借りる方の立場、いろいろの立場を考えまして、同じように行く方が政府行政部内としてよろしいであろう、許可してしまつてあと金が行かないということでありましてはぐあいが悪いと思いますので、そういうような趣旨で、これはできておるものと私は了解いたします。それから最後の何か大蔵省だけできめてしまうという実態であるというふうなことでありますが、これはいろいろなこともございますが、たとえばかりに大蔵省のわくがきまつたら、その中におきまして資金運用部なら資金運用部で、これだけの金を、どこどこならどこどこと、いろいろ調べてあるから出したいと思うということが先に参りまして、地方自治庁の方におきましてこれにまた府県市町村の立場があるから、そこでこれはこちらの方へまわしてくれ、あちらの方へまわしてくれというようなお話がありまして、かりにきめるといたします。そういう場合になりますれば、あるいはこれは自治庁が決定権を持つておるのだというふうな印象を与える点もありはしないだろうかということを、私実は考えるのでありまして、今の状態におきましてはあらかじめこちらが協議を受けてやつております。それがいいことだと思いますので、そこでいろいろ話合いをしながら最後にきまりますので、最後の決定権を大蔵省が持つているんだというような感じを、一般にお持ちになるかもしれませんが、私たちはあくまでも先ほど来申し上げておりますように、自治庁、大蔵省、よく相談をいたしましてきめて参りたい、こういうのが本旨でございます。  それからもう一つ、これは私この政令ができたときと比べまして、地方自治体はそのときには財政に余裕があつたのだ、今は非常に苦しくなつておるにかかわらず、大蔵省は責めることばかりを考えておつて、ちつとも自治体考え方というものは尊重しておらぬじやないかというような、言い誤りがあるかもしれませんが、そういう御趣旨のお話がありましたが、これは大蔵省といたしましても、地方自治体のやるものであれば何でも削つてしまう、たるたけ金額は少い方がいいということを考えておるわけでは、毛頭ないことを御了承願いたいと思います。大蔵省といたしまして考えておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、国全体の財政なり、金融なりを見てやつておるのでございます。国の財政金融の能力と申しますか、政府のやりますところのものが、いろいろ事情がございまして、その調整に悩んでおるというのが大蔵省の実態でございます。いろいろな方面におきまして、なかなか利用するものがうまく行かないというのがあらゆる面でありますのが、悲しいかな今の日本実情でございまして、その点におきましてやはり地方自治体の需要につきましても、必ずしも希望通りに参らぬ点があるということは、全般から参りまして遺憾ながらやむを得ないところもあるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 私が今言いましたのは、この実態を知らしてもらいたいということなのです。自治庁で協議をされたものの中で、大蔵省がそれを拒否したというと、言い過ぎかもしれませんが、削減したり、あるいは拒否したりしたものがどのくらいあるのか、これをひとつはつきり答えてもらいたい。私がそういうことを聞きますのは、二百五十条の規定がありましても、政令を読んでみましても、自治庁あるいは大蔵省両方から出ております指令を見てみましても、許可権はどこまでも自治庁長官にあるように書いてあります。自治庁長官が許可せんとする場合に、あるいは自治庁長官の許可するときにはと書いてある。許可権はどこまでも自治庁長官にある。そう考えて参りますと、もし大蔵省がこれをとやこう言つて自治庁長官の権限を押えるようなことが実際においてはありはしないかと考える。なかつたといえばそれでよろしいのでありますが、これについて自治庁長官の考えておる考え方と違う許可がなされておるというような件数が、一体どのくらいあつたのか、もしあつたとすれば、それをひとつはつきりしておいていただきたい。
  86. 石田正

    ○石田政府委員 この問題につきましては、地方自治庁の方がこういうふうな考え方を持つている、府県別につきましても、市町村別につきましても、こういうふうなことでやつて行こうと思うがどうかということで、これは話合いでやつておるのが実情でございます。これは向うの原案が、一番初めにお考えになつたものが通るか通らぬかというような御質問じやないかと思うのでありますが、私は協議がありました場合に、いつも相談してやつておりますので、初めの通りの案がどれくらいかわつたかということは、今手元にその資料を持ち合せておりませんし、一々調べてもおりませんので、今ここでそのまま申し上げることは遺憾ながらできないのでございます。
  87. 門司亮

    ○門司委員 私はそういう事実があつたかどうかというのです。許可権というものは明らかに自治庁長官が持つている。その許可権を持つておる自治庁長官の申請について、大蔵省がそういうことを認可するわけに行かぬということで、これを拒否したような事実があつたかなかつたかということです。件数でなくて、あつたかなかつたかということぐらいはわかるでしよう。
  88. 石田正

    ○石田政府委員 先ほど申し上げましたような事情でございますので、自治庁の方で許可するときに、それは許可をしてはいけない、許可をしてもおれは知らぬぞというふうなことを、公に言つたことは私は記憶にございません。要するに許可をした場合に、すぐ金が出て来るためにはよく話し合つて行けばいいのではないかという趣旨で、今までやつて参りまして、許可してしまつて、私の方は貸さぬからかまわぬ、しかたがなしに許可を取消したというようなやりとりをいたしたことは記憶にございません。
  89. 門司亮

    ○門司委員 実際上の問題から申し上げますと、今地方自治体が困つておりますのは、自治庁の長官に一応のお伺いを立て、さらに大蔵省の了解を得なければ起債なかなか認可にならない。ここに二重の手続がかかり、二重の陳情をしなければならないという煩雑さが実は出ておるのであります。そうして大蔵省が金を貸す立場であるからといつて、必要度を越えたとは私は申しませんが、ある程度のあなたの今のお言葉から参りますと、金を貸す方だから身元調査をするのはあたりまえだということで、大蔵省がいかにも監督官庁のごとき感じを与えておるというのが事実だと思う。こういうことが自治体というものの考え方からいたしますと、大蔵省の行き過ぎじやないかと考える。そこでもし大蔵省の今のお考えのようでしたら、ただ単に協議をするだけだということになりますならば、何らそれに干渉もしない、あるいは身分の調査もしない、あるいはそれをどうこうしない、自治庁長官の言つて来られたものについて干渉がましいことをしたことがないのだ、あるいは削除もしたことがないのだというなら、何も二重の手続はいらぬと思う。自治庁長官が厳密に自分のところで見る方が、大蔵省で見るより私はよくわかると思う。同時にこの起債の問題について大蔵省が考えなければならぬのは、今日までこういう問題が起つて来るということは、地方自治体にはおのおの大蔵省が見ているような財産上の健全性と、それから財産上の健全性は多少少くても、仕事はぜひしなければならないという実情が私はあると思う。この実情のかね合いというものは非常に自治体ではむずかしいのでありまして、自治庁はその点を十分しんしやくして、許可すべきものは許可し、あるいは許可できないものは許可できないということにすべきである。ことに自治庁としては、やはりこの財産上の状態というものを、十分見ることも必要でありますが、私は、自治庁の立場あるいは各地方自治体の立場からいいますると、それよりも大事なものはやはり地方の事業の実態であると思う。たとえばきわめて貧弱な町村で、あるいはこれだけの仕事はぜひしなければならないというところには、少しく無理があつて自治庁としてはやはり起債を認可せざるを得ない状態が出て来ると思う。それを大蔵省の方では、単なる財政的計画の見地からだけこれを見て、これではいけないということになりますと、地方自治体運営というものは非常に支障を来します。この点は大蔵省の見方と自治庁の見方とは大分開きがあると思う。何といつても大蔵省が金庫のかぎを握つているので、大蔵省が認可しなければ自治庁でやかましく言つても、どうしても金は出て来ないのであります。ここに地方自治体は二重の手続、二重の了解を必要とする。さらに自治庁の方よりも大蔵省の方の了解を得なければならないということで、今日自治庁よりも大蔵省にお百度を踏んでいることは事実だと思う。こういう変則的なことであつて、さらに地方住民の要望にこたえるため、自治体の健全な発展のために支障があるから、こういうことを私は聞いておるのでありまして、もし今のあなたのお考えのようでしたら、この政令は廃してもさしつかえないと、われわれは解釈することができますが、そう解釈してよろしゆうございますか。
  90. 石田正

    ○石田政府委員 この資金運用部の資金を運用いたして参ります場合には、これは一般財政資金を出すのとは私は性質が違うと思います。
  91. 門司亮

    ○門司委員 産業投資にも出しているではないですか。
  92. 石田正

    ○石田政府委員 産業投資と同じことで……。
  93. 門司亮

    ○門司委員 金融債にも出している。
  94. 石田正

    ○石田政府委員 出しております。
  95. 門司亮

    ○門司委員 一般の私人に出して公人に出せないという理由はない。
  96. 石田正

    ○石田政府委員 それはいろいろ言われますけれども、貸す者としては貸す者としての立場を考えてやらなければならぬと私は考えるのでざいます。早い話が、金融機関としてこれはやつているのだと思います。金融機関としての性格で、財政資金でありますけれども、これは一般財政支出ではなくして、金融的な資金として運用しているのだと私は思うのであります。この財政的なかね合いでありますが、金融的なものとして運用するにおきましては、その性質に従いましたところのことをいたしますことは当然ではないかと思うのであります。お言葉を返しましてはなはだ恐縮でございますけれども、この性質というものは相当重要でございまして、かりに地方債の許可というもの、地方団体につきましての起債権というものについて、国は何も関与しないということに相なりましても、やはり資金を貸すということに相なりますならば、資金を貸すときの立場というものを残しておかなければならない。今の現状におきましては、国といたしまして地方債の許可もいたし、融資もするということでございまするので、そういうところでできるだけ簡素化をはかつて参りたいというふうに考えておるのが、私の申し上げているところなのでございます。
  97. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると私は聞かなければなりませんが、たとえばこの間のあなたの答弁を、そのままここで復唱して参りますと、大体預金部の資金というものは五千億、四千九百八十二億と言われておる。その中で地方債に充てられているものが二千二百億と少しばかりである。そうして金融または産業投資並びに国債に充てられておりますものは、国債が四百二、三十億ある、金融投資が六百幾らかある、その他のものは私は産業資金の方にまわつているのだと思うが、大体こういう資金運用部資金というものの使い方をされておる。その場合あなたは、金を貸す方の立場からその資産内容というものを、やはり考えなければならないというお考えのようでありますが、私は公人を先にするか私人を先にするかということを考えなければならぬと思う。公人は信用ができないから金を貸さないで、私人にはこの金を貸してもいいということは私は納得できない。しかもこのお金は、資金運用部のものといつておりますけれども、これは零細な金であることは間違いない。これは郵便貯金、あるいは郵便年金、あるいは簡易保険というような、零細な地方住民から吸い上げた金であることは間違いない。その金が大きな産業をやつております産業資金にまわる、あるいはこれが金融債にまわる、あるいはこれが国債にまわつておるというようなことは、私は必ずしもこの資金の運用の面については正しいものではないと思う。大体私はここでその議論をしようとは考えておりませんが、しかしこういう性質を持つておりまするものである以上は、やはり地方自治体がほんとうに困る状態であるときに、起債の申請をして来たときは、大蔵省はこれを私企業と同じようなものの考え方で査定されるということは行き過ぎだと思う。しかもそういう中にもこれは無制限ではございません。起債のわくがちやんと入つておる。これ以上貸し出してはならないという大蔵省のわくをはめている。もしこれがあなたの御意見のようならば、私はこのわくをはずしてもらいたいと思う。そうして地方債は、二百二十六条ないし二百二十七条に規定しておりまするように、地方議会の議決によつてこれが行われるようにして、そうして地方債のわくがはずれてしまえば、あるいはあなたの言われるようなことが他面言えるかもしれない。責任があるのだから、取立てることができないものにむやみやたらに貸すということはできないという議論は他面出るかもしれないが、運用部資金の性質が、先ほど申し上げました性質を持つており、しかも起債にはわくがはまつている。その上になおかつ大蔵省がこれを査定して、地方の起債にいろいろな意見をつけるということになつて参りますので、地方の公共団体というものは、実際問題として非常に困つているのであります。従つて、そういうように、おれの方は管理しているのだからとか、金を貸しているのだからとかいつた市中銀行の頭取か責任者みたいな考え方でなく、やはり公共性のある金を集めて、しかも零細なる金を集めておりますものならば、そうやかましいことを言わないで、公共性のあるものにはぜひ出すという方法が望ましいのではないかと私は考える。従つてこれは、討論になつて恐れ入りますが、もし御答弁が願えますならば、私の意見が間違つておるかどうか、この際あなたのはつきりした御答弁を聞いておきたいと思います。
  98. 石田正

    ○石田政府委員 資金運用部の資金につきまして、その全体の運用計画がいいか悪いかということにつきましては、これは、理財局長としてけつこうであるとかなんとかと言う筋合いではございませんので、ごかんべんを願いたいと思うのであります。しかしながら、そういうことのために自然とわくというものができて来るということも、これは実情ではないかと思うのでございますが、わくができてしまえば、もうあとはどうなつてもいいのだというわけには参りません。やはりその金というものは郵便貯金等でできたものでございます。ですからそれは、地方債の方へこれだけまわす方がいいじやないか、もつとよけいまわすべきだという議論でございますが、そういう全体としての議論はございます。しかし、そのわくがきまつたら、もうただ黙つて金を出せばよろしいというわけには行かないのではないかというようなことを私は先ほど来申し上げてある次第でございます。
  99. 門司亮

    ○門司委員 金を貸すと言われておりますが許可権というものはちやんと自治庁が持つており、責任者は自治庁であります。従つて、そうやつて自治庁が厳密な査定をしたからには、自治庁を信用してもらつていいと私は思うが、それほどあなたの方は自治庁長官を信用できませんか。そこで、地方自治体が非常に困つているのは、二重の手続をして二重のお百度を踏まなければならなぬということである。行政の簡素化が叫ばれ、さらに今度は、予算がはつきり出ていないから私はわかりませんが、信正予算を見てみると、百億くらいの行政費を削るといつております。一方においては百億の行政費を削つておいて、行政事務の上では依然として煩雑なものが残つておる。これでは行政費の節約などできようはずがありません。そういうものが出て来ますので、私はこの際大蔵省は自治庁長官を信用されたいと申し上げると同時に、自治長官で大体ものの片づくような処置が一体とれないものであるかどうかということを、重ねてひとつ聞いておきます。
  100. 石田正

    ○石田政府委員 私は、先ほども申したのでございますが、自治庁長官を信用するとかなんとかいうことは申し上げたくないのでございまして、要するにそれぞれの立場がございまするので、それぞれの立場によりましてよく考え方をまとめて一体として、結果においてまとまつた額が行きますように努力したいということが、私の申し上げている趣旨でございます。
  101. 藤田義光

    ○藤田委員 大蔵大臣を中心に資金運用部の資金運用審議会というものが開かれるように了解しておりますが、これらの大体の構成メンバーを、簡単でけつこうですからお聞かせ願いたい。それと、どのくらいの間隔を置いて開かれているかということをお聞きしたいと思います。
  102. 石田正

    ○石田政府委員 これは民間委員が三人ございまして、あとは大蔵省、郵政省、自治庁、それから法制局もございます。それからそういうふうな関係各省の大臣をもつて委員会ができておるわけでございます。それからこの審議会におきましては、審議の主体となりますところは、要するに資金運用部といたしまして、どのくらい原資が集まつて、それをどういうふうに運用することが適当であるかということを審議いたすのがこの審議会でございます。これは、大体予算のときにおきまして、こういうふうに資金運用部は運用したいというところの政府の額を出しまして、審議会の審議を経まして決定になりますれば、それによつてやる。かようなことになつておるわけでございます。
  103. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来、門司委員が、いろいろ質問いたしましたが、私は終戦後特に混乱した国家財政金融の現状におきまして、なかなかこの問題は微妙な問題で、単に行政の簡素化ということでこの問題の結論を出すことは、非常に危険ではないかと私は考えております。従いまして、国家財政金融の全般を握つております大蔵省が、全然このわくをきめつぱなしで、あと自治庁にその配分に対しまして、全責任を持たしてしまうということは、国家財政金融全般を握る大蔵省として無責任である。ある程度の跡始末を続けて行くということが、特に今日は必要でないか。私は、実際地方債発行の現実を毎年見ておりまして、そう考えております。一昨年神戸博士の委員会が、国会、政府に勧告いたしております。それに基いて閣議決定があつたように了解しておりますが、要するに地方債の発行に関しましては、あまり制約を加えるなという勧告をしております。これは理想でありまして、国家財政金融の今日の状態においては、不可能のことであります。将来の目標を神戸勧告が指示したというふうに了解しておりますが、自治庁と資金運用部がチェック・アンド・バランスの原則で、この零細な資金を最も有効に使うということが、地方債発行の現状においては、最も国家的に有効なことではないかと思うのであります。私は毎年の地方債発行の現実を知つております。その現実にタッチしない委員からいろいろと発言もありますが、たとえば公益事業のうち、交通事業の起債ひとつを見ましても、大都市がほとんど全部を取つてしまう。大都市の背景には、全部自治庁関係の市長ないし知事がおられます。現に府県分と、市町村分の地方債の割当を見ましても、どうしても府県優先になつてしまつております。これは平衡交付金の配分にいたしましても、私ども意見を持つておる一人でありますが、そういう観点からしまして、地方自治体の人事その他に関係のない資金運用部というものが、ある程度の権限を持つておることは絶対必要ではないかというふうに考えておりますが、この現状の政令のもとにおきまして、事務を簡素化する。なるべく早く地方債発行を希望する町村に現金を流すということに対しまして、それに伴つて新しいくふうをする必要はないかということを考えております。たとえば二十八年度の単独事業の起債の査定は、四月から出ておりますが、三箇月間にわたり、結論が出ないというようなこともあつたのであります。こういうことに対しまして、自治庁、大蔵省、特に理財局長がおられますから、大蔵省方面のことを聞きたいのでありますが、大蔵省の関係の規則とか政令等によつて、何かくふう改善する余地がないか、こういう点をお伺いしておきたいと思います。
  104. 石田正

    ○石田政府委員 今も御指摘がありましたように、府県の数も多うございますし、また市町村となりますれば、さらに非常に数も多いことでございます。また事業の数も非常に多いのでありまして、私たちこういうことに携わつておるものといたしましては、相当複雑な仕事であります。できるだけ早く、しかもただいま御指摘がありましたように、能率的に運営をすべきものと考えるのであります。そういう点につきましては、われわれはできるだけの努力をいたしております。本年度のごとき、御承知のように暫定予算が続きましたり、あるいは本予算もまだきまつておらぬというような状況のもとにおきましては、非常に困難しておるわけでありますが、資金運用部といたしましては、従来できるだけそういう問題につきまして、なるべく能率的に早くやるということに努めております。これはほんとうから申しますと、事業がきまらないうちは、先ほどの話にも関運いたしますが、資金運用部としては金を出すというのはおかしいではないかというお話も出るかと思いますけれども、しかし金が出るということが大体見当がつきますならば、短期融資をやるということも考え、いろいろなことをやつておるのであります。問題は、私はこの点は、地方自治庁とそれから私の方が、実際問題として至らない点とか、いろいろな点があることは否定できない思いますが、そういうことをお互いに直し合つて行くことが、この問題を処理する一番いいことであろうと考えておるのでありまして、大蔵省といたしましては、そういう考えでおりますし、今後もそういう考えで努力して行きたい。そうして皆さんからなるべくおしかりを受けることのないようにすることが、望ましいと考えておる次第であります。
  105. 藤田義光

    ○藤田委員 一昨年の閣議決定に基きまして、配分額の範囲における起債事業の選択は、許可方針に関する限りは、大体府県知事が自主的に選択いたしております。ところが御承知の通り、最近の府県知事は、全部公選であります。従いまして、市長を県庁に呼びつけまして、ある知事のごときは、三百万の額の起債を許可することを決定しながら、バナナのたたき売りみたいなことを盛んにやり、選挙運動をやつております。お前のところは百五十万だが、運動によつては三百万にするというようなことは、日常茶飯事になつております。私は、こういう現実もよく注意しなくてはならぬと思うのであります。従いまして、府県市町村が、同列の自治体である以上は、あまりに府県知事に強力な起債の発行に関する権限を与えるということは妥当でない。そこで私は知事が順序をつけて、単独事業や公共事業の査定を自治庁に持つて参ります。自治庁は、大体それに基いて査定をいたしておる。これは当然のことであります。ところが県庁がつけて参ります起債の順序というものが、往々にして地元の実情に沿わぬということが毎年各郡にあります。従いまして、こういう点に関しましては、私は、せつかく大蔵省は地方財務局を持つておられるのでありますから、公正な立場からこういう点の是正ができるのじやないか。越権であるという声もありましようが、現実に公選された知事制度のもとにおきましては、そういう弊害が続出しております。まして元知事をしたような有力な市長でも、県庁の地方課に行つて、頭を下げないと、その心証によつて起債の額が左右されるというのが現状であります。こういう弊害を打破するためには、私は、門司委員が言いましたように、必ずしも現在の表面から見た二重許可制度の弊害を説くということは軽率ではないか。よほど行政の実態をつかんでこの問題を処理しないと、府県知事の勢力伸長のために制度をかえたというような結果に陥ることを憂慮する一人であります。従いまして、この問題に関しましては、私は現状のもとにおいて改善発展を期することも、一つの有力な案ではないかと考えておるのでありますが、現在地方財務局に駐在されております融資課長のごときは、実際上理財局長が直接人事を持つておられます。非常におもしろいいい制度だろうと思います。そういう観点からしまして、地方にある融資課長は何ものにも拘束されずに、厳然たる態度で、現金を持てる強みから、冷静な判断を地方債の発行に下すという一つの有力な機関でもあるように考えております。零細な資金を投資いたしました預金者の気持を考えれば、自分たちの郵便貯金が、どういうふうに使われるかということは、まことに重大な問題でありまして、もしこれが政略によつてへんぱな配分をされるというような危険な状態を、今後続出するというようなことになりますと、ひいては零細資金の国庫に対する預金状況も左右されるという重大な結果になると思いますので、この点を注意しておく次第でありますが、先ほどの局長の答弁でも、まだしつくりしませんので、何とか早くこれは大蔵省も大体自治庁の許可方針に即応するような結論を出すという、事務のスピード化をはかる何らかのくふうはないかどうか。この点いま一度お聞しておきたいと思います。
  106. 石田正

    ○石田政府委員 率直なことを申し上げますが、お話のように地方財務局を通じまして大蔵省といたしましても、一応きまつたわくの中でどういう需要があり、どういうところへ貸すことが大蔵省なり財務局の立場として適当であるかという資料等はとつておけるわけです。ただこれにつきましては、実は自治庁建前もありますので、まず自治庁の方で大体こういうことにしたいということを言つていただきましてから、こちらの考え方というものを合せまして、協議をいしておるわけでありますが、多少その点におきまして大蔵省の方でそういうことが遅くなつたり、あるいは最後の決定権を持つておるのではないかというような御懸念も生じておるのではないかと思うのでありまして、これは場合によりましては大蔵省の考え方はこうである、とにかく両方どちらか早くきまつたところで、結局こちらの考え方は一応こういうところであると言いましてやりますのも、一つの方法かと思うのでありますが、ただそういうことをやりました場合に、今以上かえつて混乱を来すということでは趣旨が徹底しませんので、今のところでは大体自治庁の方できめてもらつたものに対して、私どもの手元の資料はこうなつておる、そこで仲よく会議いたしまして、おのおのの立場がありますが、それを調整して行くことが適当であろうと考え、その点で事務を能率化することは、さらにやつて行きたいと思つておる次第でございます。
  107. 藤田義光

    ○藤田委員 昭和二十七年度の単独事業の起債要求額は八百八十四億であります。これに対する許可額は一〇%の八十八億であります。この教字を見ましても単独事業の起債というのは絶望の状態でありまして、毎年度初めて起債許可方針が決定されますが、この決定は自治庁と大蔵省と協議の上きめられるようになつておると思うのですが、その点をお伺いいたします。
  108. 石田正

    ○石田政府委員 これは相談したしましてきめておるわけでございます。
  109. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで単独事業の起債に関しましては、許可方針で一点のわくをきめないで、全然わくをはずしてしまつて、そのうちから真に有意義な単独事業だけに起債を許可するというここと、現在方針をきめて大体のわくをきめておりましても十倍の競争であります。ところがこういうわくがあるために、有意義な事業が村議会の議決等でつまずきまして、なかなか出て来ておらぬという事例がたくさんあります。まあ公共事業とか公益事業に関しましては、おのずから従来の方針でいいと思いますが、単独事業に関しましてはどうせ要求額の一〇%前後が許可になる程度ならば、何が新らしいくふうをしまして、真に有意義な事業をどんどん出させて、そのうちから拾い上げるということが一つの方法ではないかと思いますが、この点どういうふうに考えられますか。
  110. 石田正

    ○石田政府委員 率直にお答えいたします。資金運用部で出しますところの地方債につきましては、これは大きく申しまして二つあると思うのでございまして、一つは国が財政補助をいたしますところの事業に伴いまして自治体において負担する分を、融資するという部面が多いわけでございます。こういう資金に資金運用部の資金が大部分行くということ自体が、そもそもどうであろうかということを、われわれ理財局としては心配いたしておるのでありますが、理財局長が資金運用部を管理して、やるべきところは単独事業の方にやる、しかもその採算がはつきりしておるというところに、よけい出すべきであるということが、私たちの考え方でございますけれども、国全般の状況、特に昨今の状況からいたしまして、何と言いますか、補助事業の方のわくが先にきまつてしまつて、そのあとで配分するというようなことのために、お話のような問題が起つておる、これは私も非常に遺憾に思つております。私も個人的にはできるだけその点単独事業にまわすように努力いたしておりますが、これは国会でいろいろ予算等もおきめになることでありまして、皆様方におかれましても、そういうことにだんだん御改正を願いまして、単独事業の方によけいわくが行くようにということは、私といたしましてむしろ希望しておるということだけは申し上げておきます。
  111. 藤田義光

    ○藤田委員 自治体の事業の妙味を発揮させるためには、どうしても単独事業のわくを大きくすることが必要であるというふうに考えております。  次に機構の問題でありますが、従来は預金部長官というものがおりまして、相当強力な機構のもとにこれらの問題を処理しておつたのであります。ところが現在におきましては理財局の一資金課が、この重要な案件を背負つておりまして、問題が山積をいたしております。私は、国定財政の現状におきまして分離運用をしたということは、国家的見地から大失敗であると思う。これは非常な混乱を来しております。現に熊本郵政局管内におきましても幾多の事件を起しておる。そういう状況でありまして、資金課で資金運用部資金の全責任を負つておるような現在の形式は、あまりよろしくないというふうに考えております。しかし行政簡素化ということが叫ばれておりまして、この議論はややとつぴでありますが、もし円滑にこれらの問題を処理しようとするならば、機構的にも一応考えてみる必要があるのではないかというふうに考えておりますが、局長はどういう御意見でございますか。将来にわたつて現在の機構でどうにかやつて行けるかどうですか、お伺いしておく次第であります。
  112. 石田正

    ○石田政府委員 過去におきまして資金運用部資金の運用につきましては、相当大きな組織がございましたことは御指摘通りでございます。現在では行政簡素化のために理財局の一つの課においてこれを扱つております。これによつて一体やつて行けるのかどうか、もつと大きな機構に考えたらどうかということでございますが、機構問題について申し上げますことは私の職分としてはいささか越権であろうと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。ただ私は、資金課というものができるだけその効率を上げて行くということに、努力いたしたいと思つておるのであります。これは皆さんも御承知の通り、簡保その他の問題がございましたが、そういう問題につきましても、なるべく問題を残さないように仲よくやつて行くということで、そういうことに頭を煩わされずに本来の任務に邁進することが、一番大切なことであると思うのでありまして、自治庁の関係におきましても自治庁とよく話し合つて、なるべくいざこざを起さぬようにやつて行くことが、役人として努むべきことでもあり、またそれが与えられたところの組織の中におきまして、最も能率を上げるところであろうと思うのであります。その意味において今後も努力いたしたいと存じておる次第でございます。
  113. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいままでいろいろ論議がございましたが、理財局長さんの本日の御答弁は、まことに誠意があつて好感が持てたのでございますが、いろいろお立場があつて、御答弁のための御答弁である部分がございまして、内心は二重行政の弊害を痛感しておられるように私は推察いたします。これにつきましては大蔵省内におかれても十分御相談くださいまして、次の地方行政委員会のときまでに具体案をひつさげて、お考えを発表していただきたいと思います。つきましては、本日の会議において非常に遺憾でございますのは、大蔵省の理財局の有力なる課長である資金課長さんが、この説明員席におかれまして、ほおづえをつき、すねを現わし、そうして居眠りをしておられる。この前は、資金課長さんが、かなりの点におきまして十分な御説明ができず、しかもその後銀行局長さんとともにおいでになつて、この地方行政委員会が、都市の連合する公益団体において保険業を経営することの可否について、御回答を要求しておるにもかかわりませず、いまだに回答がない。地方行政委員会をばかにしておる。そのほか種々の遺憾な点があるのでありまして、大蔵省御当局は、国会をもう少し御尊重になられまして、まじめに考えていただきたい。これを希望として申し上げます。
  114. 中井一夫

    中井委員長 次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十二分散会