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1953-06-23 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十三日(火曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君    理事 山村新治郎君       佐藤 親弘君    山本 友一君       吉田 重延君    鈴木 幹雄君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    滝井 義高君       横路 節雄君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         国家消防本部長 滝野 好暁君         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         法務政務次官  三浦寅之助君  委員外出席者         専 門 員   有松  昇君         専 門 員   長橋 茂男君     ――――――――――――― 六月五日  委員横路節雄君及び門司亮君辞任につき、その  補欠として森三樹二君及び受田新吉君が議長の  指名で委員に選任された。 同月十三日  委員受田新吉委員辞任につき、その補欠とし  て門司亮君が議長の指名で委員に選任された。 同月十五日  委員森三樹二君委員辞任につき、その補欠とし  て横路節雄君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十三日  門司亮君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 六月十六日  消防施設強化促進法案内閣提出第二五号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第二六号) 同月十九日  自治学校設置法案内閣提出第四七号)(  予) 同月一日  浜頓別小学校災害復旧費起債認可に関する請願  (松浦周太郎紹介)(第二一四号) 同月四日  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  岡良一紹介)(第三〇二号)  地方税法の一部改正に関する請願岡良一君紹  介)(第三〇三号) 同月八日  地方税軽減に関する請願赤松勇紹介)(第  四五九号)  中川村直営製酪工場設置費起債認可に関する請  願(松浦周太郎紹介)(第四七〇号) 同月九日  地方財政確立に関する請願渡邊良夫紹介)  (第五五五号)  遊興飲食税撤廃請願高橋英吉紹介)(第  五五六号)  牧園町上水道敷設費起債認可に関する請願(池  田清志紹介)(第五五七号)  八代村役場庁舎改築費起債認可に関する請願(  伊東岩男紹介)(第五六八号) 同月十三日  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願  (金光庸夫紹介)(第七〇八号)  同(岡田五郎紹介)(第七〇九号)  地方税法の一部改正に関する請願岡田五郎君  紹介)(第七一〇号)  地方自治法の一部改正に関する請願(西尾末廣  君外一名紹介)(第七一一号)  矢田村上水道敷設費起債増額に関する請願(  杉山元治郎紹介)(第七一二号) 同月十五日  地方税法の一部改正に関する請願前田正男君  紹介)(第七七九号)  同外一件(櫻内義雄紹介)(第八二六号)  同(塚田十一郎紹介)(第八二七号)  同(舘林三喜男紹介)(第八二八号)  同(船越弘紹介)(第八二九号)  地方財政法の一部改正に関する請願山崎岩男  君紹介)(第七八〇号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  前田正男紹介)(第七八一号)  同(舘林三喜男紹介)(第八三〇号)  同外二件(櫻内義雄紹介)(第八三一号)  同(塚田十一郎紹介)(第八三二号)  同(關谷勝利紹介)(第八三三号)  昭和二十七年度赤字処理方策に関する請願(渡  邊良夫君外一名紹介)(第七八四号)  地方公共団体に関係ある国費予算に関する請願  (渡邊良夫君外一名紹介)(第七八五号)  小竹町自治体警察国家地方警察に移管の請願  (麻生太賀吉君外一名紹介)(第八三四号)  碓井町自治体警察国家地方警察に移管の請願  (麻生太賀吉君外一名紹介)(第八三五号) 同月十七日  地方議会権限縮小反対に関する請願(原茂君  紹介)(第一〇八三号)  地方税法の一部改正に関する請願河原田稼吉  君紹介)(第一〇八四号)  同(保利茂紹介)(第一〇八五号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(加藤勘十君紹介)(第一〇八六号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  河原田稼吉君紹介)(第一〇九一号)  同(齋藤憲三紹介)(第一〇九二号)  同(保利茂紹介)(第一〇九三号) 同月二十日  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願  (江藤夏雄紹介)(第一一七二号)  同(小川豊明紹介)(第一一七三号)  同(松山義雄紹介)(第一一七四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一一七五号)  同(臼井莊一君紹介)(第一一七六号)  地方税法の一部改正に関する請願小川豊明君  紹介)(第一一七七号)  同(松山義雄紹介)(第一一七八号)  同(臼井莊一君紹介)(第一一七九号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一一八〇号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(菊池義郎紹介)(第一一八一号)  消防施設強化に関する法律制定請願山崎岩  男君紹介)(第一一八二号) 同月二十二日  地方税法の一部改正に関する請願外一件  (小林かなえ紹介)(第一三二八号)  同(飯塚定輔紹介)(第一三二九号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願外  一件(小林かなえ紹介)(第一三三〇号)  同(船越弘紹介)(第一三三一号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  警察法改正案反対に関する陳情書  (第一四号)  同  (第一五号)  同  (第一六号)  同(第一七  号)  同(第一八号)  地方自治法第百一条第一項の改正に関する陳情  書(  第一九号)  町村合併促進法案に関する陳情書  (第二〇  号)  地方議会における常任委員会制度存続に関する  陳情書  (第二一号)  地方制度調査会全面的活用に関する陳情書  (第二  二号)  町村議会事務機構法制化に関する陳情書  (第二  三号)  地方公営企業起債増額に関する陳情書  (第二四号)  地方公営企業法の一部改正に関する陳情書  (第二五号)  国の予算不成立による地方財政窮迫緩和対策に  関する陳情書(  第二六号)  公職選挙における連座制強化陳情書  (第二七  号)  公職選挙法第八十九条改正に関する陳情書  (第二八号) 同月八日  地方自治運営に関する陳情書  (第一三六号)  昭和二十七年度都道府県財政補てん策並びに昭  和二十八年度政府資金短期融資増額に関する陳  情書(第一  三七号)  地方公共団体中央金庫設置法の実現に関する陳  情書(第一  三八号)  漁業信用基金協会への地方公共団体出資金の起  債許可に関する陳情書  (第一三九号)  国庫補助公営住宅建設事業起債わくの拡大に  関する陳情書  (第一五七号)  地方制度調査会審議促進とその結論の実現等  に関する陳情書  (第一七〇号)  地方議会議員解職請求権に関する陳情書  (第一七一号)  国の予算不成立による地方財政窮迫緩和対策に  関する陳情書(第  一七二号) 同月十日  洲本市の上水道工事費起債許可に関する陳情  書(第二〇  九号)  町村合併促進法制定に関する陳情書  (第二四一号)  同(第二四二号)  地方債、特に町村債わく拡大に関する陳情書  (第二四三号)  中川製酪事業費充当起債に関する陳情書  (第二四四号)  歌内小学校改築工事費充当のための起債に関す  る陳情書  (第二四五号)  地方議会の運営及び構成に関する陳情書  (第二九〇号)  町村合併促進法制定に関する陳情書  (第二九一号)  中小都市及び町村に対する公募債の割当に関す  る陳情書(第二九二  号)  府県財政窮状打開恒久対策樹立に関する陳  情書(第二九三  号)  昭和二十七年度地方財政措置に関する陳情書  (第二九四号)  市町村赤字財政に関する陳情書  (第二九五号)  地方財政制度の改革に関する陳情書  (第二九六号)  昭和二十八年度財政措置に関する陳情書  (第二九七号)  昭和二十八年度地方財政計画中府単独事業費  の増額に関する陳情書  (第二九八号) 同月二十二日  地方財政制度の改革に関する陳情書  (第三四六号)  消防施設強化促進法の制定に関する陳情書  (第三  四七号)  消防財源の確立に関する陳情書  (第三四八号)  地方議会権限縮小反対に関する陳情書  (第三四九号)  自動車税引上げ反対に関する陳情書  (第三九八号)  電気ガス税に関する陳情書  (第三九九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  消防施設強化促進法案内閣提出第二五号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第二六号)  自治学校設置法案内閣提出第四七号)(  予)  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会をいたします。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち委員異動に伴い理事が一名欠員になつておりますので、その補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長門司亮君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 中井一夫

    中井委員長 地方財政に関する件につきまして調査を進めることにいたします。本月の一日に本委員会地方財政の確保に関係しまして決議をいたしました。すなわち「地方財政窮乏の現状に鑑み、政府昭和二十八年度予算編成に当り次の事項につき善処せられたい。一、現在の財政欠陥を補填する応急対策を樹立しその処置を講ずること。一、地方財政計画実情に即し作成し、財政欠陥を生ぜしめざること。」以上のごとき決議をいたしたのであります。これは決議前文にもあります通り、本年度予算政府が編成せられるに先立ちまして、地方財政状態容易ならざることを本委員会は看取をいたしましたので、特に政府に対し格別の考慮方を要請した次第なのであります。塚田長官におかれては、本委員会決定趣旨に基いて、種々御努力に相なつたということは承りましたが、事実予算の上にいかなる形において、その御尽力が現われて参りましたか、これをまず承りたいと存じます。
  5. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 最初に予算の面に現われました数字について申し上げたいと思うのでございますが、平衡交付金が三十億と、起債わくが十五億、そのほか義務教育費半額国庫負担法案に伴う措置といたしまして、約四十億ということになつておりますけれども、これだけでは先般本委員会において御決議くだされ、私もまことに御趣旨同感であると考えておりました数字には、はるかに及ばないのでありまして、自分といたしましては、微力まことに申訳がなかつた考えております。かつ予算決定に至ります段階においては、各党の代表の委員の方々にも、並々ならぬお力添えをいただいたわけでありますけれども、何にいたしましても、今度の予算が、先般不成立に終りました予算の再提出という考え方でありますのと、従つてそういうような事情でありますので、二十八年度歳入面に対しては大体見通しがきまつており、しかもそれに対する歳出の面は、いろいろな割振りが大体きまつておりましたあとでありますので、その中に非常に大きな額を割込むということが困難であつたというような事情もあるわけであります。それから起債わくにつきましても、当初はほとんど絶望であるかと思われたのでありますが、御承知のように電信、電話料金の値上げをいたしまして、あの方面に使われる予定になつておりました資金運用部資金が十五億ありましたのを、ようやく地方財政の方にまわしていただきまして、この十五億というものができたような状態でありまして、いろいろと大蔵当局とも折衝いたしてみましたが、むしろ国費のわくよりも起債わくの方が一層きゆうくつであるというような事情説明を受け、やむを得ないというようにして今日のような結果になつたのでありまして、私としましてはまことに微力申し訳なかつた、こういうふうに考えております。一応実情以上でありますので、御報告いたします。
  6. 中井一夫

    中井委員長 ただいま大臣からその後の経過についての御報告がございました。これにつき質疑を許します。床次君。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいま大臣から経過の御報告がありましたが、予算の表面に現われましたものは、大臣の御努力にもかかわらず、実際におけるところの地方財政緩和いたしましたのは、起債における十五億というのが現下の要望に沿つたのみでありまして、他の数字はいずれもこれは当然の処理の結果でありまして、特に地方財政緩和、あるいは地方要望に沿つて増額せられたという数字ではないと、私ども見ておるのであります。実質における事業計画の増は十五億であつて、非常に残念な気がするのでありますが、この問題に関しましては、すでに事情大臣もよく御承知であろうが、自治庁もすでにかなり詳細にわたりまして現況を見ておりますので、今までのような処理ではいけないということに対しては、大体御理解ができたと思いますが、特にこの機会大臣にお考えをいただきたいと思いますが、それは地方財政実情はつきり知つていただきたいということであります。総理大臣の御説明によりますと、地方財政が非常に窮迫しておる、この窮迫を極力調整するために、今回は平衡交付金を増し、あるいは起債を増し、あるいは義務教育費を増したのだというように御説明になつておりますが、その内容は先ほども申し上げましたように、起債で十五億がふえたにとどまるわけであります。従つて過去の地方団体窮迫状態は、依然としてそのまま残されておる。私どもが考慮いたしたいのは、二十七年度までに起きました起債がすこぶる大きい、これが本年度財政を引続き圧迫しておるのであります。これに対してやはり適当な措置を講じなければならないというのが第一点。第二点におきましては、先ほどの決議にもありますごとく、本年度地方財政計画をそのまま実行して参りますことによりまして、相当多額の赤字を本年度においても新しく生じ得る可能性が、依然として残つておるという点であります。なお根本的には、明年度以降の地方行財政改革によりまして、これは解決せらるべきものでありますが、目前の二つの問題、過去の赤字、本年度に生ずるおそれのある赤字に対しましては問題は残されておる、大臣もこの点はよく御理解をいただいたと私は思つておるのであります。その解決に対しましては、今後引続いて協力せられることと思いますが、この御意思があるかどうか。またただいま私が申し上げましたように、過去において相当赤字が残つておる、なお本年度も生ずるおそれのあるこの赤字の問題に関しましては、その見解は私どもと同じ見解を持つておるということに、これは御異存がないと思いますが、この点大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  8. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 考え方におきましては、床次委員とほとんどかわりはないのでありまして、ただ平衡交付金増額三十億が実質的には増加にはなつておらぬ、当然の措置であるというように御指摘になりました。その点もまさにその通りであるわけでありますが、ただ不成立に終りましたあの予算案が、二十八年度予算として成立をいたしておりますと、この三十億もやはり不足になつてつて、それがプラスして圧迫しておつたのだというように考えますならば、幸い今回皆さん方のお力添えによりまして、三十億でもふえるということは、幾らかその赤字緩和できたのではないか、そういう意味において申し上、げたのであります。それでもちろん今後といたしましては、どうしても御指摘のように最大の努力をして行かなければならないと思うのでありますが、ただこの機会に一言だけ申し上げて御了解を得、かつ皆様方にも一緒に御研究願いたいと思いますのは、実はこの前のときにも私が申し上げたのでありますが、二十七年度までの赤字は、二十九年度本格解決のときに考えることにしたい、二十八年度だけは赤字を出さないように財政計画をしたい、こういうように考え、そのように御答弁申し上げ、そのつもりでいろいろ検討をいたしまして、実は私としては重大なる考え方の上での矛盾と申しますか、自分考えが不十分であつたという点にぶつかつたわけであります。ということはどういうことかと申しますと、赤字を解消するという問題と、それから地方財政窮状解決するという問題は、完全には一致しないのであるということに思い当つたわけであります。赤字の額がどれだけあるかということにつきましては、皆さんと私どもとの間に、まだ意見の調整がとれておりません。また私どもとしてこれだけだということを、はつきりと確信をもつて申し上げる数字は、まだ握つておらぬのでありますが、かりにその数字が二百億ないし三百億といたしまして、この二百億ないし三百億の赤字だけを解消すれば、二十八年度財政というものにおいての、地方財政窮状というものが解決されるのであるかどうであるか。それからこの赤字の二百億もしくは三百億を解消する場合に、それでは国から地方に二百億ないし三百億だけやれば、それで問題が解決するのであるかと、非常に考えてみまして、かりに二百億ないし三百億赤字があるとしまして、国からやる金は、それだけでは地方赤字解決しないのじやないかということは、今の起債平衡交付金の配分の仕方そのものにも原因があると思うのでありますが、ここに至りました自治庁大蔵省と折衝いたしました経過について申し上げますと、この点は一層はつきりして来ると思うのでありますが、自治庁としましては交渉の経緯におきましては、なお今度の財政計画の上に、地方公務員給与が、これも冒さん方がとくと御承知のように非常に低く見積られてある。これを少くとも国家公務員平均のところまで持つて行くという考え方、これは考え方としても当然うなづける考え方でありますが、この線まで持つて行くとしたら、一体どれくらいさらに増加が必要だろうかということをいろいろ検討しましたところ、百四十億ぐらいの数字が出て来る。そこでこの百四十億という数字を頭に置いて平衡交付金増額の折衝をしたわけでありますが、かりにこれが財政上ゆとりがありましていれられたといたしましても、この二百億ないし三百億の赤字が、この百四十億で百口十億だけ解消するかどうかというと、そうは行かない。その百四十億は今申し上げるように、財政計画において給与単価引上げるという考え方で出て来た場合には、当然これは全部の自治団体に配分されることになるという結果になるのであります。そういたしますと、二百億ないし三百億の赤字を解消するということは、これはその上にさらに数百億の国からの財源を持つて行かなければ、この赤字解決しないのじやないか、そういうことはもちろんできない。さらに——これは非常に極端な表現の仕方でありまして誤解を起すかもしれませんが、物の考え方として、もし赤字だをけ解決するという考え方であるならば、今年のこの千二百五十億の平衡交付金と、それから起債わくでもつて、多少無理が伴うけれども、それだけの目的ならば解決のできる道が全然ないというわけには行かぬのじやないか、それはどういうことなのかと申しますと、二百億、三百億の赤字というものは、地方財政全般にわたつて平均に出ておるわけではないのでありまして、特殊の団体について、府県についても、市町村についても、個々の団体について出ておる赤字の集計になつておるわけでありますから、そういうものの中を十分検討いたしまして、国からめんどうを見なければならぬ性質の赤字というものが一応分別できますならば、その額を十分検討して出して、それだけを今の平衡交付金もしくは起債わくの中から天引に除いておいて、その残余の部分を他の一般地方公共団体に配分いたしまして、多少きゆうくつの起る面はごしんぼう願うということにして、そうして評をいたしましたものを赤字団体によく検討して配分するということにすれば、赤字が解消するという可能性はあるのじやないか、もちろん全部解消するとは思いませんけれども、少くとも赤字の額が今出ておる、もしくは出ると想像される数字よりは、かわつた形になつて来るのじやないかというようにも考えられます。そういうようないろいろな面を検討いたしまして、二十八年度赤字を生じないように予算を組むように、こう申し上げました私の考え方が十分でなかつたというようにも考えたのでありまして、今後解決をいたします場合には、そういう点も十分考慮に置きまして、またこの点につきまして委員各位にもよく御検討願い、また御意見伺つて解決をしたい、こういうように実は考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 この問題に関しましては、追つて次機会に十分時間をちようだいして研究いたしたいと思いますが、本日は私ども考えだけを申し上げげ、なお大臣にも大体の輪郭だけ知つておいていただきたいと思いますことは、ただいまも大臣からお話がありましたように、過去の赤字内容というものに対しては、いろいろの見方があるわけであります。町村自体運営でもつて生じた赤字というものを、世間では非常に大きく見ておる、しかし実際地方財政実情を見て参りますると、運営のルーズなために、あるいは当を得なかつたためにできた赤字というものは、地方財政全体から見て、それほど大きなものではないのであります。それに次ぐべき原因は、やはりこの給与その他のやむを得ない方法によつてむしろ国がある程度まで責任があつたと思われるような赤字が一つ、さらに学校建築その他の今日の補助事業等の執行上生ずるところの赤字というものに、大きく三分し得るのじやないか。この対策につきましては、それぞれ検討を要することは当然であります。私どもは過去の赤字に対しまして、なお今後生ずべき赤字に対しましては、さらに研究をいたすことは当然でありまするが、この赤字に対して、本年において適当な措置を講ずることが、きわめて必要だと考えております。当委員会各位におきましてもいろいろと先般来相談しておりましたが、かかる赤字に対しまして本年度において解決する方針を大体決意しておるのでありまして、この点政府当局におきましても、十分委員希望意見考えられまして御協力をいただきたい。そうしてこの地方財政窮迫というものを解決するように、ひとつ政府当局もその気持になつていただきたいと思うのであります。過去の大蔵省考えておりましたような、きわめて冷淡な考え方地方財政地方理事者の不始末等がおもな原因だというような考え方をこの際ぬぐい去られまして、実情に即したところの解決方法を今後講ずる、当委員会におきましても各位がかような御意見のようでありますので、今後そういうつもりで参りたいと思いますが、当局におかれましても、この点に対する措置に対して特別なる誠意をもつて協力をいただきたいということを、この機会に申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  10. 中井一夫

  11. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの大臣の答弁の中で、地方財政赤字の問題と、地方財政窮乏を救う問題とは、おのずから別問題であるという御意見、まつたく賛成でございますが、この地方財政窮乏を救うという問題に関しましては、地方自治体の機構の問題、あるいは財源の問題、その他大きい問題がからんで来るわけでございまして、せつかく地方財政に明るい大臣を迎えまして、この機会に私は二十八年度内に何か根本的な対策の第一歩でも確立していただきたいというふうに考えております。現在地方制度調査会におきまして、せつかく研究中のようでございまするが、大体最小限本年度内に、たとえば地方財政窮乏を救うための財源の再配分の第一歩として、税制の改正をやる何か具体的な構想が、多少まとまつておりますかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 いろいろな問題については、一応事務当局考え方をまとめまして、地方制度調査会の方に提出をいたしておりますけれども、まだそれに対して具体的な意見のまとまりというものは、ほとんどないようでございます。
  13. 藤田義光

    藤田委員 大体現在の制度機構下に、そのまま二十八年度を送ろうということではなくして、ある程度の具体的な構想はあるのではないかというふうに、私たちは想像いたしておりますがこの点に関しましてはお答えがないようでございますから、きわめて切実な、しかも緊急を要する問題をお伺いしたいと思います。それは現在自治庁におきまして、単独事業を中心とした本年度起債の査定をやつております。御存じのごとく、昨年から資金運用部資金の分離運用が決定いたしまして、郵政省が約百九十億本年からは現金を出すということになりまして、大蔵省と郵政省と両方から起債の現金放出が行われることになつたわけでございます。ところが全国一万の自治体として非常に困つております問題は、どういう費目が郵政省の資金から出るか、私は当委員会で当時郵政省の保険局長に追究しましたところ、自分たちの方では現在人手が足りない、調査能力もないから、自治庁において査定したものをそのままうのみにして、それを自治体に出すというふうな言明が再三あつたのでございます。ところが昨日あたりのうわさを聞きますると、郵政省も自治庁が査定したものを再び査定して、現在大蔵省の資金運用部がやつておると同様な手続を踏みたいというような、強硬な主張が出て来ておるというように聞いております。この間の実情がどういうふうになつておりますか、そして郵政省から出されまする百九十億という金は、どういうものに出そうとされておりますか、現在の自治体の当面した非常に重要な問題でございますので、幸い郵政大臣も兼務されておりますから、お答えを願いたいと思います。
  14. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点はまことに私も解決に困難をいたしたのでありますか、昨日をもつて一応自治庁と郵政省と大蔵省との間の意見が一致を見たのであります。一致を見たと申しましても、最終的な解決に到達したのではありませんけれども、この話合いがつきませんために、郵政省がせつかく集まつておる金がいまだ使えないという状態になり、従つて地方団体にたいへん御迷惑をかけておりますから、とにかく意見がまとまつて運営がつく最小限度の段階まで、まず話合いをする。そういう考え方で今到達しております結論は、一応やはり一箇年間に国がどれだけの起債わくを許すというふうにきめました、その起債わくの範囲内で、どの府県、どの市町村にこの金額を割当てるかということは、今までは自治庁大蔵省の間でやつておりましたのですが、この点はそのままにしておいて、それできまつたものを、今度個々の割当を受けた府県なり市町村団体が、どこへ——と申しますのは、大蔵省の資金運用部へ行こうが、簡保の方へ行こうが、どちらに行こうが随意にしておいて、その間に全然制限を設けない。大蔵省の案と当初伝えられておりましたのは、大蔵省は郵政省の簡保の資金は大体公共事業などにだけ使つてほしい、こういうふうに言うておつたのでありますが、そのように人の持つておる金まで制限をするということは、考え方としてはよくないということで、これは制限をしない。従つて借りる方の自由選択にまかそう、こういうことになりました。しかしそうなりますと、また非常に混乱が起るおそれもありますので、その段階におきましては自治庁と郵政省と大蔵省が密接に連絡をとつて、ここのこういう資金は私の方に来た。またここのこういう資金があなたの方に行つたならば通知してもらいたいというふうにして、混乱が起きないように措置をする。なお今後この問題の本質的なあり方については、またよく相談をして行くことにしよう。そうして改善すべき点があるならば改善する。こういうふうにして話合いをしました。それでようやく簡保の資金も運用ができる。こういうふうになつたのであります。
  15. 藤田義光

    藤田委員 これは財政難にあえいでいる自治体として、非常に重大な関心のある問題であります。ただいま大臣の御答弁で昨日一応三者の話合いがついたということでありますが、実際に金を借ります自治体にとりましては、自由選択によつてそれを持ち出すということになりますと、郵政省がしばらくこの方面から手を引いておりました関係上、非常な混乱が起るだろうと思います。かりにある地方郵政局におきましては借り手が殺到して、手持ちの現金がなくなるというようなことがありまして、結局起債の時機を失する。特に東北地方におきましては、建築関係の起債は大体九月ごろには使い始めないと、実際上春までは金は使えない。そういう天候上の制約もありますし、いろいろと問題が起ると思います。私たちは国会で決議はしておりますが、この分離運用にはこういう問題が出て来る。従つていましばらく、地方財政の混乱が安定するまでは、統一運用しておつた方がよいのではないかという意見を吐いた一人であります。ただいまのお話では、まだ根本的な解決はできていない。結局自治体が一番心配しておるのは、わくをきめまして、大体百九十億になるような公共事業の補助金がつくものの起債を、そのまま充てるというふうな、何か線を引きませんと、借りる方の自治体では、どちらでもルートがつきやすい方に借りるようにしろというようなことになりますと、同じ政府機関たる郵政局、あるいは財務局というものが地方におきまして相当のトラブルを起すことは必至でございます。おそらく相当大きな政治問題を展開することも必至でありまして、私は問題が重大化しない前に、何とか根本的に解決すべきではないかと思う。現に昨日大体自治庁が集計を終りまして、次長、大臣あたりがただいまから見られる段階ではないかと思います。しかも大蔵省の資金運用部は別個の観点から、またこの起債の査定内容を全部見直すということをはつきり言つております。この点の混乱も分離運用したがためによけいに複雑になつておりますが、その上に現金の放出のわくの問題もはつきりしないということになりますと、私は事態は重大ではないかと思いますが、その都度話合いをつけるということでは、あまりに当面を糊塗した解決策ではないかと思いまして、いま少しく大臣のお考えを聞いて、私たちは自治体のためによくなるような方式を政府考えておられれば全面的に協力したいと考えている一人でありまして、その話合いの途中におきまして、まだいろいろいい意見が出ているのではないかと思いますから、この際でさましたら、いま少しく詳細にごひろう願いたい、かように考えます。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 今申し上げました今度のこの話合いの基本の考え方は、大蔵省が郵政省に移管なつた金の使い方まで口を出すという考え方はやめるべきである。従つてその裏を申し上げますならば、自由に郵政省は郵政省の金を使うということになるわけでありますが、もし運用の上において利用者の側が非常に不便をなさる。たとえば今まで二箇所へ行つて話をすればよかつたのが、窓口が三箇所になるというような不便も当然考えられる、そういう面は絶対に起さない。この二つを強く頭に置いて考えたわけであります。従つて今お借りになる方々の自由にしてあるということを申し上げましたけれども、その自由にしたという考え方の、主たるねらいは、大蔵省によけいなさしずをさせないという点にあるのであります。この自由にしておくという考え方と今申し上げましたように利用者の便宜という考え方を中心に考えまして、今この行き方が御指摘のように混乱が出て来て、利用者のためにうまく行かないということであれば、当然その面をどうするかという話合いは、すぐできるわけであります。またそうしなければならないと思います。従つてこの起債わくの中で、たとえば公共事業費はどこに、単独事業の中の水道はどこにというような考え方で割振りをしようかという案も、一応出ておりましたけれども、話合いの段階では今度はそこまでは行かずに、一応原則だけを立てて、あとはやつてみた上で時々に話合いをしてやつて行こう、こういうように今考えているわけであります。
  17. 藤田義光

    藤田委員 財政部長が見えておりますから、ちよつと確かめたいのでありますが、この郵政省に分離運用を決定しましたとき、郵政省と自治庁の間に覚書的なものが交換されまして、自治庁で査定しました起債に関しましては、郵政省はそのまま現金を出すというふうな、つまり自治庁大蔵省資金運用部がやつているような二重査定を省きまして、自治庁の査定が最後的なものである。郵政省は現金をただ出納するだけであるというような覚書を交換されたというふうに聞いております。もしこれが事実であればその通りに行政の実際も運営されると思いますし、またこの起債の現金の使い方に関しましても、郵政省が出すものは査定の余地がないもの、すなわち大蔵省が言うように、公共事業の起債のごとく、すでに公共事業の補助額がきまつてつて、自動式に起債わくをきめる、査定の余地がないものだけを、郵政省にまわすことも一応大蔵省の主張していることが、理論が通つているのではないか、かように考えるわけでございますが、その点覚書と申しますか、郵政省との間に実際上とりきめがありますかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  18. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 分離運用が問題になりました際も、その実際の起債の手続についての取扱いに関しまして、自治庁と郵政省との間で、事務的にいろいろ話合いをいたしたことは事実であります。その考え方はただいまいろいろ御意見もございましたように、要するに考え方としては政府資金の貸付を行いますところの窓口が、事実上大蔵省と郵政省というふうに二つになることに伴いまして、地方の方が金を借りるためにいたずらに煩瑣な思いをするようなことのないようにと、できるだけ手続は簡素化して行きたいというのが、私たちこれまで実際に事務的に扱つております者の一致した考え方でございますので、その線に沿つてできるだけ簡素化したいという考え方から、いろいろ話合いを続けておつたのであります。その一つの結論というわけでもございませんが、お互いに話合いました結果といたしまして、起債の承認と申しますか、起債の許可に関しましては、法律上も自治庁長官及び府県知事が法律的な権限を持つておるわけでありますから、その許可についてはどこまでも自治庁見解と申しますか決定を尊重する、これは当然であろうと思います。ただ今までに大蔵省との関係において起つておりますのは、実際に融資の責任者として公的融資機関としての立場から、大蔵省なり郵政省なりが、実際の起債についての調査をするというようなことはあり得ることではあるのでありますが、その問題と起債の許可自身についての実質的な協議というものを、どこまでも混同しないように、許可自身については自治庁考え通りにやつて行きたい。従つて査定をいたしたものにつきましては、その金額を融資することについては意見はない。ただ実際に融資いたしました後において、その融資機関としての責任があるものにつきましては、これは調査することもあり得るわけでありますが、その場合にもできるだけ自治庁と協議をして協力をしながら調査をして行きたい、こういうような意味の話合いをいたしたのが実情でございます。
  19. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの御答弁で、事後において調査するというふうに言われたと了解しておりますが、事前調査は全然やらないかどうか確かめておきたいと思います。  それから今の御答弁からしますると、結局現金を出す金貸しの立場からすれば、これが回収できるかどうかという心配がありまして調査したい。自治庁としましては、事業の性質を査定する、重要であるかいなか、起債に値するかどうか、何かの二本建にこの際はつきりしておいた方が、現実において郵政省においてもやはり事後の調査をやるということになれば、起債を要求して来た自治体の事業の重要度は自治庁できめる。現金を貸しても回収できるかどうかという判定は郵政省、大蔵省でするという二本建に、この際はつきり法律的にも根拠を明示した方がよろしいではないかというような声もありますが、この点どうでありますか。
  20. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 郵政省として事前の調査はやらないが、事後において調査をするというように、はつきり申し上げたわけではないのでありまして先ほど申し上げましたのは、言葉が足らなかつたかと思いますが、起債の許可については、どこまでも自治庁が権限を持つておるわけでありますから、この決定を尊重して行きたい。そういう意味において、それと競合するような調査は、もちろんやらないわけであります。ただ郵政省が実際に資金の融通をいたしました場合には、公金を取扱う責任者といたしましての立場から、ただいま藤田さんもおつしやいましたように、回収の問題、その他償還の問題等につきまして、あるいは調査をしなければならないような必要が生ずることも起り得るわけであります。そういう場合においては調査することもあり得るわけでありますが、その場合にもできるだけ混乱を避けるために、自治庁と協議をして進めて行きたい、こういうことなんであります。  なおその調査と申しますか、その事業をどういうふうに見るかということについてのやり方は、今藤田さんのおつしやる通りでありまして、起債の許可をするという許可についての調査と、融資機関としてその償還に関するその団体財政能力とかいうようなものについての調査は、おのずから別でありまして、これははつきりおのおのの持つておる責任と権限に従いまして区別すべきである、それはそのように私ども考えておりまするし、考え方としては現在大蔵省自治庁との間においても、そういうことで進めておるのでありますが、とかく実際問題としては、その二つが混同されまして、何か同じようなことを両方でやつておる。非常に二重行政の弊害が現われておるのだというふうに、とられておるのでありますけれども、また向きによりましてはそういう弊害が出ておるかと思いますが、これははつきり区別をいたしまして、どこまでも許可についての責任と、融資機関としての責任とは別にして考えて行きたい、こういう考え方であります。
  21. 藤田義光

    藤田委員 実は名前をあげて恐縮でございますが、たとえば青森県の夏堀源三郎元代議士のごときは、この問題で郵政局従業員の袋だたきにあいまして、結局前回の落選は郵政局従業員の反対運動の結果とすら言われております。私はこの問題が分離運用される場合においては、必ずやいろいろ問題を起すということを憂慮しまして、保険局長をこの委員会に呼びまして、再三確かめたのでございまするが、ただいまの財政部長の御答弁と相当懸隔がございます。保険局長の答弁によれば、絶対調査はしない、当時の速記録によりまして、私は近く保険局長を呼んで確認したいと思います。この点に関しましては、問題が直接自治体の約一割の財源をまかなう起債の問題でありまして、非常に真剣な重大な問題でありますから、問題の本質をつかむまで、この点に関してはあくまではつきりと究明したいと思いますが、幸い自治庁長官の塚田さんは郵政大臣をも兼務されておりますので、この点はもし当時の保険局長の言明等で御回答がありました際は、はつきりさせていただきまして、自治体の心配がないように、この際人事的に非常にやりやすい立場に大臣おられますから、この問題を根本的にひとつすつきりした姿にしていただきたい。これをお願いいたしまして、本日はこの程度で私の質問を終りたいと思います。
  22. 滝井義高

    ○滝井委員 ちよつと初めに帰りますが、地方財政確保に関する床次委員の提案に対して、私たち賛成をいたしたものでございますが、今日大臣の御答弁を聞きますと、二十九年に少くとも地方財政赤字を片づける、二十八年にはその赤字を出さないように処置するという自分考え方は、実は非常に甘かつたという御答弁があつたのであります。これは予算委員会においても、あるいは大臣みずからもそういう御答弁をなさつておりますし、大蔵大臣もまたできる限りそういう方針で進むということであつたと記憶いたしております。ところがいよいよ予算が出て、現実にわれわれが地方財政の問題を審議する段階になつて大臣がどうも見当違いだつたということになると、これははなはだもつてけしからぬことであつて、少くとも政治というものは生きものであつて、現在の地方自治体は、その大臣予算委員会における答弁その他に、重大な期待を寄せて予算も組むし、あるいはいろいろの資料を出していると思うのです。たとえば生のままで府県から出したところの赤字というものは、二十七年度の決算見込みがすでに五百七十億あるのだというような、こういう衷情を訴えて来たにもかかわらず、大臣、現在において何らそれに対する対策はない。しかも暫定予算よりも三十億程度の平衡交付金を増大し、起債は十五億だ、こういうことでは少くとも五百七十億も赤字がありますと言つて出て来たものに対して、四十五億くらいの金ではどうにもならぬということ、これはここにおられる委員の方はみんなわかつておるわけなんです。ところが大臣、それに対してひとつ皆さんも御協力になつて、何とかしてもらいたいということでなしに、少くとも地方財政を担当する大臣は、今後これをどういうぐあいにやつて行くか、私たちは少くともあの財政確保に関する件の措置をしたときには、まず二つの前提を置いて決議をしております。当面の赤字応急対策としてどうするか、それから少くとも今後の恒久的な地方財政計画をどうするかという二つの線を打出しておる。当面の応急的な対策というものは、ここではつきりどうするんだということを言つてもらわなければならぬ。ただ三十億の平衡交付金増額し、十五億の起債をしたことが応急対策というならば、ちよつと私たちは受取れないと思いますが、この点大臣はもつとはつきりした態度をとつてもらいたいと思います。
  23. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 まことに御指摘通りもつともなんでありまして、私もその考え方においては少しも違いはないのであります。そうしてそのつもりで努力をいたしたのでありますが、先ほども申し上げましたように、力及ばず、しかも今度の予算不成立予算の再提出という形になつておりまして、一応財政計画というものができておつたあとに、もう一度再考慮というものが出て着ましたので、なかなか大きな数字が期待できなかつた。  そこで赤字の解消と地方財政窮状を打開するということは別問題だという際に申し上げましたいろいろな私の考え方が誤解を起しておりますようでありますから、この機会に若干言葉を補足さしていただきたいと思うのでありますが、実は私は、二十八年は赤字を生じないような財政計画をつくると申し上げたのだけれども、それをもしほんとうにその通りに実行するとすれば、今申し上げたような考え方で、かりに二、三百億の赤字ということであれば、これはおそらく数百億のさらにその上にプラスの財源がいるということになつてつたのであつて、そういうことはとても今日の財政状態ではできなかつたのであります。従つていくら努力をしても、あの赤字の解消は当時からできない状態にあるのであり、自分の表現が十分でなかつた、こういうように考えを改めた点を申し上げたわけであります。
  24. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今の御説明で、結局いろいろ検討した結果、その赤字は莫大である、従つてこれは現在の諸制度のもとにおいては地方財政赤字の解消は不可能だ、こう理解してよろしいでしようか。
  25. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 赤字が莫大である。——まあやはり莫大であると思うのですが、どれくらいの数字になりますか。しかしかりに二、三百億の赤字ということにいたしますと、この赤字を解消するためには、今の平衡交付金制度では起債のわけ方の考え方からいたしますと、二、三百億の上に相当大きな数字というものを、国から地方へ流すということでなければ、これは解決しないようになつておる、こういうことです。
  26. 滝井義高

    ○滝井委員 なお二、三百億の上に相当の財源を国から支出しなければ、地方財政赤字は解消できない。そうしますと、現在大臣が八月までにその結論を要請をしておる地方制度調査会の結論を待つて、その結論が出たならば、そういう赤字の解消の見通しがあるような結論が出るとお考えでしようか。
  27. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は結局国の中央と地方と、全般を通じての制度のあり方などとも勘案して考えなければなりません。さらに国と中央、地方を通じての国民負担を前提とした財政の総わくというものとあわせて考えまして、そうして適正な配分が出て来ますれば、あるいは絶対額において今よりも幾らもふえませんでも、これはその範囲内においてまかなつていただかなければならぬという結論が出て来る。従つて数字がふえないでも、考え方としてはこれはやむを得ないという線が、どこかに出て来るはずであり、そうしなければ長くこの問題が未解決で残るのではないか、こういうように考えます。
  28. 滝井義高

    ○滝井委員 この地方財政赤字解消の問題は、きわめて消極的な感じがするのです。もつとこれは積極的にやつてもらわないと、現在の地方自治体の赤字は年々累積するばかりであります。従つてもつと積極的に具体的な案をひとつこの次にでも出していただいて、そうして現在の地方財政赤字がどのくらいある、従つて暫定的に地方制度調査会の結論が出るまでには、どういうぐあいに解決して行くのだ、あるいは地方制度調査会が中央、地方を通ずる財政改革案が出れば、どの程度の金を大体地方に注ぎ込まなければならぬという、もつと具体的な財政計画をひとつお示しを願いたい。さらにもう一つ、現在なお赤字が累積するような状態が、きわめて緊急な問題として出て来ておりますが、それと七大都府県に対する義務教育費半額国庫負担との問題でございます。現在すでに改進党においても、あるいは社会党の右その他においても、七大都府県には当然法律として義務教育費半額国庫負担というものが出たのであるから、従つてこれは義務教育無償の原則という憲法の条章によつて、これを実行すべきで、政令あるいは立法によつてこれを押えるべきでないという意見が、相当棒頭して来ていることは大臣承知であろうと思います。私たちの今までの考え方は、平衡交付金とそれから義務教育費半額国庫負担とは一連のものだと考えて来たものと思います。これはすでに大蔵大臣予算委員会等の答弁において、そういう説明を絶えず聞いている。流産予算よりか平衡交付金プラス義務教育費半額国庫負担というものは、今度新しく出たものは七十億ふえているという説明をしておられる。これは明らかにそれとの関連において考えていると思います。そうしますと、現在野党が強い、ここでもし野党の力によつて義務教育費半額国庫負担というものが、そのまま七大都市府県に行くという形が出た場合に、平衡交付金というものを今まで当然その関連において内閣は考えておつたんですから、これを動かすようなことを考えていたか。その点についてひとつ……。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは国会の御意見によりまして政府が企図しております義務教育費半額国庫負担法によつて、かりに富裕都府県に行きます分を削りたい。その削る額が復活いたしたといたしましても、それによつて平衡交付金の配分の方には変化は出て来ない。こういうふうに考えます。
  30. 滝井義高

    ○滝井委員 平衡交付金については、大臣は千二百五十億を死守するということの御確約をしていただけますね。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 そのように考え、かつそのように実行するつもりでおります。
  32. 門司亮

    門司委員 さつきの藤田君の質問に対する自治庁のものの考え方について、率直に聞いておきますが、起債の問題が重複しておつて、窓口が二つになるということは、あの法律ができるときから指摘されたことであつて従つて郵政省が強引にとつてしまえば、そんな問題は起らなかつた大蔵省からひもをつけられて、単に郵政省の顔を立てたというだけの結果が、複雑な手続問題になつているということはわかりきつているのであります。しかし今お話を聞いておりまして、私の納得の行かないのは、起債の認可に対する責任はむろん自治庁長官にあることは間違いない。その事前の調査は郵政省はしないが、事後において調査をするかもしれないというようなあいまいな答弁である。私は率直に聞いておきたいが、起債に対して自治庁長官の査定したものについて、郵政省側がそれを否定することがあるかどうかということです。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 そういうことは絶対にございません。
  34. 門司亮

    門司委員 そうだとすると、今藤田君からのいろいろな質疑を聞いておりますと、何だかはつきりしないんで、あるいは大蔵省は文句を言いはしないかというようなお話のように聞えたのであります。従つて郵政省で出す分については、自治庁の長官が出したものに、郵政省側ではこれを拒否しないということになつて参りますと、大蔵省と郵政省との間にもそれがそのまま行われる。従つて郵政省はもし大蔵省から何らかのさしずを受けて、それをさらに動かすというようなことはありませんね。郵政省自身はしないとしても、大蔵省から何か文句を言つて来やしないかということになりますが、そういう懸念はございませんか。
  35. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは実際になりますと、どんなぐあいになりますか、まだよくその先までの十分な見通しがつかぬのでありますが、私のものの考え方としては、自治庁大蔵省が相談をいたしますのは、総体のわくの中に府県なり市町村なりからいろいろ要求がございますのをはめ込んで、そしてどこの府県にどれだけ、どこの市町村にどれだけ、またどういう目的にはどれだけという話合いをする段階において、従つてその自治庁大蔵省との話合いか済みまして、自治庁意見が最終的にきまりました分で、郵政省の方に、つまり簡保の方にまわりますものは、郵政省としては、もう自治庁の意向をそのまま資金の融通をする、こういうように自分は了解しております。
  36. 門司亮

    門司委員 これはくどく私は念を押すようですけれども大臣が同じだから大体拒否するはずはないと思うのですが、大臣がかわつて拒否されると困る、その点はどうなんですか。そういう懸念は全然ない、大臣がかわつてもそういう拒否権というようなものはないということに、確認しておいてよろしゆうございますね。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それは私が今兼ねておるから安心だがということでありますれば、これは両省もう一度話合いさせて、何か協定のような形で書面に残しておいてもいいと考えております。
  38. 門司亮

    門司委員 それから次に今聞いておきたいと思いますことは、先ほどの決意の問題ですが、大臣のお話を私よく伺つておりませんので、それについての質問ではございませんが、いずれにいたしましても二十七年度までの赤字、大体四、五百億くらいのどうにもならぬものがあるであろうということは大臣も御承知だと思う。従つてまずこれに対して、いかなる処置をとるかということが大きな問題でございますが、これについては政府としては何か立法化されるような御意思がございますか。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは実は昨日参議院の地方行政委員会で、私がほんの一私案という考え方で申し上げたのでありますが、結局私はものの考え方としましては、今までの分は赤字が出ておるものは出ておりましよう。何らかの形でこれは解決しなければなりませんのですから、よく赤字の出て来た原因検討いたしまして、たまたま当然国が責任を負うべき理由によつて赤字の生じたものはあるいは一時に、もしくは一時に行かなければ、ごく短期間のうちにこれは解消する、また当然地方団体自体の負担において、将来先長くかかつて赤字を解消すればいいという赤字の性質のものであれば、これを長期債か何かの形に振りかえて、これが長期間に解消できるような計画をして、これを解消するようにしたい、その場合に法律措置が何か必要であれば、そういう法律措置考えて行けばいいのではないか、こういうふうに考えております。
  40. 門司亮

    門司委員 これは大臣がお考えになつているだけではまずいのです。さし迫つた問題で何とかしなければどうにもならないのですが、そういう御意思なら各地方に対して、それらの調査を大体進められておることになつておるのでございますが、ただ大臣も今は考え方だけでありますのか、この点をひとつはつきりさしておいていただきたいと思います。
  41. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはもちろん必要な調査は、どんどん進めて行かなければならないと思いますけれども、具体的な解決方法などは、やはり地方制度調査会の答申と一緒に、この二十九年度の根本的な解決と一緒に、その一環としてやればいいのじやないか、こういうように考えております。
  42. 門司亮

    門司委員 その点ですが、地方制度調査会政府にとつては、きわめて便利な隠れみので、何でもそこに逃げ込んでおれば、一応答弁は立つのですけれども、私どもの心配しておりますのは、たとい二十九年度であろうとも、二十八年度でございましようとも、赤字原因というものが十分究明されないで、赤字をなくすると言つてみたところで私はなくならぬと思う。従つて赤字をなくそうとするなら、まず赤字原因を究明することである、これが先決問題でなければならない。ところがこれを考えずにおいて、また政府の方の調査も今のところ満足にしないでおいて、赤字を解消しろと言つても、これはいつまでたつても水かけ論で、地方自治体の赤字は何百億ある、自治庁はこれぐらい、大蔵省はこのくらいじやないかと、三者が三様のことを言つて、いつまで議論しておつてもこれは始まらぬ、従つて私は政府といいますか、当局にぜひ至急にやつていただきたいことは、赤字原因が一体どこにあるかということをひとつ究明してもらいたい。われわれの方からいいますると、赤字原因というものはいろいろあると思う。たとえば補助金でありますとか、あるいはいろいろな事業起債、その他についても現実にいるだけの額というものが、政府から交付されておらないことは事実であります。従つてそれから来るものは必ず地方赤字になるにきまつておる。それからもう一つの大きな赤字原因というのは、事務の分担はしたが、それに伴うだけの財政が必ずしもそのときに処置されない。さらに地方と中央との予算決定その他に、いろいろな問題で多少のずれが出て来ている。ことに本年度赤字のごときは政府の責任において、いわゆる暫定予算赤字の一つの原因になつているじやないかと思う。こういうふうに一つ一つずつと区別して参りますと、かなり赤字原因がある。従つてその赤字原因を一応政府は究明して、これから来る正しい観点に立つた政府赤字解消の究明がなされなければ、いつまでたつても私は赤字がなくならないと思う。もし政府がそういう資料がないというならば、私は偽らないはつきりしたものを出していただきたい。学校の建築においても、小笠原大蔵大臣自身が、そう申しているのでありますから間違いないだろうと思うが、一人当り〇・七坪であるということは間違いであつた、これでは学校の建つはずはないのだと言う。ところが政府はやはりその割合で補助金を出している。地方はそれに対してあと負担しなければならないということであつて、法律では半額負担するということになつておりますが、実際は半額負担ができてなく、かなり私は地方に——強制赤字というと語弊がありますが、赤字が出なければならない原因をつくつて政府が押しつけて赤字が出る。そういうものの原因を至急に、われわれもむろん研究もし、資料も集めておるが、政府も一体赤字原因はどういうものであるかということを、率直に調査をして、私どもに示してもらいたいと思う。
  43. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは私もいろいろ考えてみて、自分でもあとになつて気がついて、ひやりとするのでありますが、今門司委員が御指摘になりましたような地方財政全体についての考え方の上から、こういう原因があり、こういうものの考え方があり、そういう考え方地方財政計画を立てて、従つて平衡交付金の額や起債の額をきめるのでありますから、従つて地方赤字になるのだ、その考え方から来る赤字従つてその赤字原因というものと、現実に地方団体赤字が出ている原因と少し違うのだと思う。それはそういうような考え方でやりましても、赤字を出さずに何とか繰りまわしをやつていただいている団体もある。私がさつき申した赤字に対する調査というのは、現実に生じている赤字団体の、その赤字がどこから出たのだろうか、これは検討して政府措置すべきものは措置をして、またそうでないものは何か長くそれぞれの自治団体措置できるように考慮して行く。考え方の上から来る地方財政をそれで圧迫しているのだという赤字原因というものは、これはもういろいろと御検討になつているものと私ども考えている。今御指摘になつているように大体意見は尽きていると思う。これはどうしても制度そのものをかえるという考え方、そのときでないと解決しにくいのではないかと実は考えているわけであります。そういう意味におきまして、もちろん赤字の生ずる原因調査というものは同様にいたしますし、またできますれば御報告も資料も提出いたしまして、御研究願うことにいたしますが、そのように御了解願いたい。
  44. 門司亮

    門司委員 今の大臣の答弁ですが、少しおかしいと思うのです。赤字がそういうことになつてつて赤字のない団体があるし、赤字のできる団体もあるというのは、これは当然であります。しかし政府が十分でない処置をしておいて、そうしてしかも是認しておいて、赤字があるところは赤字がある、赤字のないところもあるから、それはあえて政府の責任じやないということは私どもには受取れない。やはり政府はあてがうものは十分あてがつておくべきである。地方自治体の考え方は、長官の考え方から行けば違いやしないかと思う。地方自治体は少くとも政府の指示のもとに、政府の言うようなものの考え方で今日動いている。今日の自治体は、やはり地方自治体として自主的財源を持つていればいるだけ、やはり地方自治体は住民のために、いろいろ大事な仕事をして行くことは当然と思う。それを何か画一の自治体のようなものの考え方をして、そうして仕事はこれ以上やらせないのだというようなものの考え方なら、今の大臣のお言葉は出て来ると私は思う。しかしおのおのの自治体にはおのおのの性格もあれば、すべき仕事もある。ことに今日の戦災後の自治体というものは、自治体によつてはたくさん金のかかる自治体があります。これは政府の予想していないほど金のかかる仕事を持つているところがある。事業を繰延べたところ、それから破壊されたところ、それはおのおのそのときの自治体の行き方によつてつていると思う。それらの自主的に当然行わなければならない幾多の自治体の仕事があるにもかかわらず、どうも国からは、そうしてやつたんだが、しかしその範囲内でまかなつている自治体もあればまかなつていない自治体もあるというようなものの考え方大臣がなつたのでは、これは地方自治体はどうにもならないと私は思う。もう少し大臣の認識を新たにしていただいて、国の責任は国の責任で果す、そうしてなおかつ地方赤字が出たりするような問題が起れば、やはり地方自治体の財政の上のやりくりが悪いということに一つの原因があるでしよう。あるいは冗費があるかもしれないし、あるいは極端に財源が少いかもしれないが、それらの問題がおのずから出て来ると思います。しかし私としては、できるだけやはり国が尽すべきことは、十分自治体に尽すという考え方大臣がなつていただかぬと、今のままでいいんじやないかという今の答弁を聞いていると、大蔵大臣より少し弱いような気がするのです。そういうことではしようが、ないと思いますが、もう少しはつきりしておいてもらいたいと思います。
  45. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは、責任を負わない、あるいはまた努力しないというような考え方ではもちろんないのでありまして、何とかして現実に生じている赤字を解消したい、また地方財政が非常に窮乏しておられるという事態も解決したい、こういうように考えておるわけであります。そこで、その全体の窮乏というものを解決する意味の、これは広い意味の赤字だと思うのですが、そういう意味の赤字は、制度改革を全体にしまして、さらに事務の配分を国と地方との間で検討し直す、また財源の配分も国と地方との間で検討し直す、こういうような形で解決すべきであるし、従つてそれはその時期でなければ、ちよつとむずかしいのではないか、現実に生じている赤字は、それとは別個の問題として考えなければならぬ、こういうふうに考えております。先ほど門司委員がお見えにならないときにちよつと申し上げたのでありますが、そういうように二つにわけて考え考え方をいたしましたのは、現実に生じている赤字を解消するためには、その現実に生じている赤字の額以上に、相当大幅な財源を付与しないとこれは片づかないのではないか。二百億の赤字が現実に生じておるならば、おそらくその上に、二百億でありますとか三百億とか、そういうぐあいにしないと、この赤字解決しないのではないか。もちろんその場合には、その赤字解決すると同時に、一般の地方団体窮乏というものは若干程度緩和される、こういうことになると思うのですが、今の平衡交付金の配分や、地方起債わくの配分の仕方を、そのまま踏襲して行くとそういう結果になる。そこで今私は、根本の問題はなかなか二十八年度では片づかないのではないだろうか、こういうふうに考えて、これは二十九年度の本質解決のときに持つて行きたいというふうに申し上げたわけであります。
  46. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと私からお尋ねしたいのは、今大臣の御答弁のうちに、現在ある赤字を解消するためには、現在ある赤字の金額以上の金がいると仰せになりましたが、その点はどういう意味でありますか。現在ある赤字を解消するのには、現在の赤字の金額だけを何とか措置してやれば、現在の赤字は解消するのではないかというふうに思われるのでありますが、これに対して大臣は、それ以上の金がいると仰せになりましたが、その点はどういう意味でありますか、ちよつと御説明願います。
  47. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御承知のように、平衡交付金の総額を算出いたします場合には、平衡交付金法が規定しているいろいろな基準によつて算出いたしております。従つて、あの平衡交付金の額をただそういうぐあいに算出した上に、赤字団体がこれだけあつてこれだけの赤字が出ているから、それをのつけるというような形では、平衡交付金の総額はきまらないのであります。そこで具体的な例で申し上げますと、さつきもちようと申し上げましたように、この上に平衡交付金増額するとすれば、自治庁側として大蔵省側に主張できる理由は、今の地方公務員給与を理論的な数字でもつて今算出いたしておりましても、国家公務員は理論的な数字では算出していないのだから、国家公務員の現実の平均額までは出していいのじやないか、こういう考え方で算出をいたしますと、百四十億ばかりさらに平衡交付金増額できる理由というものを自治庁として大蔵省に対して主張できるわけであります。そこでその百四十億というものを、さらにこの千二百五十億の上に追加して、平衡交付金増額なつた場合には、当然そういう考え方でこれは増額されたのでありますから、配分の仕方というものは、今度は基準財政需要の給与を上げるという形で配分をしなければならない。そうすると、今まで赤字が生じていない団体にもおのずから配分されることになるわけでありますから、そういう団体財政の困難は幾らか緩和されるけれども、そのかわり、そういう団体に行つた分だけ赤字団体赤字は解消されないというふうになる、そういうように今申し上げたわけであります。
  48. 北山愛郎

    ○北山委員 今の御質問と関連するのですが、結局、地方赤字財政に対する大臣考え方がかわつたり、あるいは今度の赤字対策が成功しなかつた、思うようにならなかつたということの真の原因は、赤字の実態をつかんでおらないからです。交渉する場合でも、何百何十億の赤字があるという数字はつきりつかんでいないから、大蔵省に対しても強いことが言えない。また自分たち委員でもそうなんです。あの資料の中には町村赤字が入つていない。府県や市の赤字の推定額が入つてつて、しかも町村赤字が出ておらぬ。現在に至つて二十七年度の決算の赤字の見込みが出ておらぬというような、そんな資料をもつてしては、赤字対策は具体的に立たないのです。そういうところに、今回のようにそういうものの考え方がかわつたり、あるいはこの赤字対策が具体的に強力に出ないという原因があるのだと思う。また逆説的に言うと、そういうように地方の行財政の実態を自治庁がつかんでおらぬ。従つてその上に立つて今までずるずると地方財政計画を立てておつた。そういうふうだから結局赤字というものが生じておるということも言えるわけなんです。ですから、先ほど地方の行政なり財政の実態をよく調査してもらいたい、しかもすみやかに調査してもらいたいという要望がありましたが、私もそれには大賛成で、この点が自治庁にとつて最も大事な当面の仕事だと思うのであります。そういう点について、ひとつ思い切つて、この地方財政赤字を解消し、そうしてほんとうの健全な財政確立する意気込みでもつて、あらゆる角度から急速に調査をやつてもらいたい。その中にはいろいろな問題があると思うのです。たとえば、政府地方に命じているところの住民登録法の仕事であるとか、あるいは地方教育委員会の仕事であるとか、あるいは公平委員会であるとか、そういうものがさつぱり役に立つておらない。しかも地方財政は逼迫している。こういうような問題もあるわけです。あるいはまた、今地方市町村あるいは府県において、ことに市町村がそうでありますが、非常に困つているのは、法令によつて命ぜられた義務負担といいますか、そういう支出以外の寄付金とか負担金、そういうものが非常に予想外に多いということであります。ある府県では何億にも達するというような調査もあるそうでありますが、それは調査が可能なことでありますから、そういうこともひとつはつきりと早急に調査していただきたい。そうして、こういうことによつて初めてわれわれが地方財政赤字原因をつかめるのだ、そうして対策が立てられるのだ、こういうふうに思うのでありますが、その点についてのお考え自治庁長官にお伺いいたしたい。
  49. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは委員会においていろいろと御検討くださる上に、絶対必要なことであると考えますので、そのようにいたしたいと存じます。なお、今までに調査のできているもので、まとめてお手元に差上げられるものもあるのじやないかと思いますので、そういうものは逐次差上げて御検討を願う、こういうふうにいたしたいと思います。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 決議の執行に関連する問題でありますが、昨年度の年末手当のプラス〇・二五の問題ですが、この点地方公務員にも同様に適用すべきであるというわけで財源措置がなされたわけなんです。ところが実際に支給にならないで、そのままになつておるところがあるのです。これに対してどこどこが支給になつていないか、御調査したものがございましたら教えていただきたいと思います。
  51. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 いわゆる〇・二五の問題につきましては、御指摘のように全然措置をしていないというところもあるように聞いておりますが、これは御承知のようにいろいろな形で、たとえば貸付金というような形で処置をしておるところもあるように聞いておりますし、あるいは手当というような、それに類したような措置をしておりましても、その程度等につきましては、団体によりまして必ずしも一様でないと思いますが、具体的な調査はただいまのところ自治庁としては持つておりません。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 どんな形でも、全然措置されていないのが私のところに報告になつて来ておるのですが、この問題は御承知通り去年の十二月この委員会決議をし、二月になつては本会議の決議になり、解散の寸前の三月十四日に財源措置自治庁の次長から、政府の代表として地方行政委員会理事会に了解を求められた。理事会としてはこれを了承した、こういういきさつになつているわけなんでございますが、全然なつていない。奈良県にこの間、今月の十二日でしたか行つて、知事にお会いしたのです。その際のお話では、起債をもらう場合に、自治庁の方から地方公務員の〇・二五に充当する財源としてやるんだというようなことは何も言われていないのです。こういうことを言つておるのです。そういうことになりますと、こつちの方で決議をし、また最後的には政府代表としてこうこうするんだと了解を求めたことが、全然執行されていない、こういうことになるわけなんです。その点について私がお聞きしたいのは、知事が言う何も聞いていないということがほんとうなのか。自治庁はつきり地方公務員の〇・二五に充当するのだと、あのとき説明したように、知事なりあるいは総務部長なり、そういう人に言つてあるのかどうかということについてお聞きしたい。
  53. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 給与改善につきまして、いわゆる〇・二五に該当いたしますような手当的なものを、公務員に支給するかどうかということは、これは今日の法律の建前からいたしまして、地方団体が自主的に決定をすることになつておるわけでございます。従いまして政府としてあの措置をとりました際に、これを財源として〇・二五だけの手当を出せというようなことは指示すべき筋合いでもございませんし、さようなことは申しておりません。ただしかしながら二十七年度の年末に際しまして、こういう追加措置をとりました経緯につきましては、これは通牒にも書いてございますし、またすでに昨年末に国家公務員につきまして、この措置がとられました際に、当時の自治庁長官が、国会等におきまして答弁せられました趣旨、すなわち国家公務員についてこういう措置がとられたのに準じて、地方において同様な措置をとる場合の財源措置については、この年度における地方財政の状況の推移にかんがみて、しかるべき措置をするんだというように、政府見解として御答弁があつたのでありますが、その趣旨も各地方団体の方には通知をしてあつたわけであります。そういう意味で、谷地方団体の方としては、年度末に行われたいわゆる五十億の追加措置というものの趣旨は了解されておるものと私は考えております。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、知事が申したのは一時のがれのわれわれに対する答弁だと、こういうことになるわけですが、それを強制することはできないにしても、あのような経過でなされたものであるから、実際に実施されないということに対しては、自治庁側としては、どういう見解を持つか、それに対してどういう考えを持つておられるか、これは違法だとは言えないにしても、国会でああいう決議をし、また誠意をもつて自治庁長官も努力したということになつておるのであります。それに対する考え方をお聞かせ願いたい。
  55. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 ただいまも申し上げましたように、地方公務員に対しましての給与の問題は、各地方団体が自主的におきめになることでございます。また実際とられる措置については、その団体給与政策と申しますか、給与に対する考え方の問題もございましようし、またその団体財政状態等もございますので、一律にこれを出さぬのがいかぬとか、あるいは出すのが当然だというふうには、団体事情もございますので、申し上げかねると思います。
  56. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それはその通りだと思うのですが、強制はせられないにしても、好ましいことか好ましくないことか、あるいはまたそういう措置をやれば、これは結局知事の考えとしては、〇・二五支給させるために財源措置をやつた、それはほかに流用されるならば、今後も起債とかあるいはその他の考え方において、その点は相当に考慮しなければならぬ、こういうように自治庁側は考慮されたかどうか、他の県においてはそういう国会の意思、地方公務員国家公務員も平等だという考え方のもとに出しておる、それをほとんど出さないで、ほかへ流用するという財政措置をした場合において、自治庁としては相当その点を考慮するかどうか、こういうことなのです。これに対してどうお考えになつておるか。
  57. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 二十七年度年度末に行いましたいわゆる追加財源措置の問題でございますが、これは先ほども申し上げておりますように〇・二五の措置をするようにという直接的な結びつきでもつて、こういう措置をやつておるのじやございませんで、国においてもそういうような措置がたまたまとられましたし、地方団体としてもそういう措置をとりたいという場合に、全然財源がないというのでも困るであろうと考えまして、大体それができるであろうと考えられますような財源措置をいたしたわけであります。その措置の範囲内でもつて、具体的に各団体が支給をするかどうかということは、これは各団体の判定にまつべきものでございますので、それ以上に政府といたしまして、それを強制するというようなことはいかがかと考えます。
  58. 大石ヨシエ

    ○大石委員 委員長にちよつとお伺いいたしたいのですが、先日われわれは地方赤字財源について非常に心配して、ここで決議をいたしましたが、あの決議案はどちらへあなたはお世話してくださいましたでしようか。その行方を私は知りませんと、ちよつと納得が行きませんですが、責任をもつてどうしてくださいましたでしようか。決議ばかりして決議倒れになつておる。そうして何の意味もなくして——この地方行政委員会の権威に関するのですから、その経過をちよつと御報告願います。
  59. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。今月一日に本委員会において決議になりました地方自治体の財政に関する件につきましては、内閣総理大臣、大蔵大臣、文部大臣及び自治庁長官あてこれを送付し、特段なる考慮を要請いたしておきました。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうしたら、われわれが決議したことを送付だけしてくださつたのですか。あなたはお使いですか。どうなんです。その返事を何も聞いて来てくださらなかつたのですか。
  61. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。これにつきましては、各党を代表して出ていただいております理事の方々と、数たび理事会を開きました。ことに当時は国会は休会になつたのでありまして、他の委員会はすべて閉鎖をいたしておられたにかかわらず、特にこの委員会におきましては、理事の方々にたびたびお集まりをいただきまして、理事の方々と委員長も同伴をいたしまして、ただいま申し上げましたような政府の各当局に面談をし、それぞれ委員会趣旨のあるところを申し述べて、格別なる考慮を要求いたしておいた次第であります。
  62. 大石ヨシエ

    ○大石委員 格別なる考慮をお願いして来た、そんなことでは、まるで子供の使いのようなものです。われわれがここで決議をしたということは、地方赤字財源を補填する意味と、そしてもつと実質的に考慮のあるようにお願いしたわけです。そんな使いだけだつたら、子供でもします。もつととことんまで当つて数字の点から、あらゆる面からお願いして、われわれは休会前に帰つたのです。そんなばかな使いだつたら、だれでも行きます。予算委員長にもよくお願いしてください。実は私の町は舞鶴ですが、まだ二箇月ぐらい給与を払つておりません。家族の者は非常に困つております。私たちがここで決議をしましたことは、全委員会の名において決議をしたのでございます。決議だけするのだつたら、いつでもします。決議倒れになるような決議つたら、せぬ方がましです。私はもう一度あなたにお願いしますが、予算委員長にも、どうぞあなたが全責任をもつてお願いしてください。そんな陳情するだけだつたら、何にもなりませんから、もう一回予算委員長、その他大蔵大臣に当つていただいて、もつと確実なる返答を私は望みます。
  63. 中井一夫

    中井委員長 大石さんにお答えをいたします。お心持は私どももきわめて同感に存じます。御趣旨に沿うよう、この委員会といたしましては、できるだけの尽力を進めて行きたいと存じます。それがためには、必要に応じ各大臣政府当局を呼び出して、皆様方から、また私どもより、強くその要請をいたしたいと考えております。
  64. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私はここに八年おりますが、今まで何回決議したかわかりませんが、一回もその決議が実行せられたことはないということは、われわれ地方行政委員会を無視したことです。これはどうしてもせんだつて決議を有意義ならしむべく、あなたは全責任を持つていただけますか、どうでございましようか。責任を持つてください。あなたは委員長なんですから……。
  65. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。実は大石委員が御出席になります前に、この決議につき、自治庁としてはいかなる尽力とその結果を得られたかということを、国務大臣塚田十一郎氏にお尋ねをいたしまして、それについて長官から、平衡交付金起債等のわくをふやすことができた、但しそれは十分でなかつたことを認めるという趣旨の御陳述がるるありましたから、何とぞ詳細は速記録によつてごらんをいただきたいと存じます。
  66. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま大石委員から非常に御不満な御感情の表現がございましたが、その点につきましては、われわれ委員会から今回の決議の取扱いについて一任されました理事委員長の責任であるというふうにも考えますので、そのいきさつを申し上げておきます。  長く申しませんが、委員の大部分の方が、郷里にお帰りになつた自然休会中におきまして、委員長と各派代表の理事とが一致団結して行動しました。その諸般の努力につきましては、われわれといたしましては、かなり委員会の御期待に沿うように努力したというほどまでに考えております。その一例を申し上げますれば、それは最後の委員会でございましたけれども、愛知大蔵政務次官は、ここで二十八年度の本予算編成にあたつては、将来赤字を出さないように処置するという言質を与えてくれたのであります。また先ほど門司委員から御発表がありましたように、地方行政委員会理事会に特においでを願いました大蔵大臣からは、義務教育学校施設の児童一人当り〇・七坪というものは、確かに大蔵省の従来の査定が無理であつたという、はつきりした御言明も得ております。逐次大蔵省考え方もかわられつつあるものだろうということを想像する根拠があります。なお地方自治庁大臣を初め、委員会努力と活動に対して、ある程度政党内閣の政府の一部局というらちを越えたくらいに見えるほど、一心同体になつて努力をいただいたのでございまして、その点におきましては、これは地方行政の現段階が、政党政派を超越した見地に立つて、政治家も国民も努力しなければならない段階に立つているということ、この現実の認識に基いてこういうことができたのだ、こう考えておるくらいなのであります。特に自由党の前尾委員が、たまたま与党の政調の副会長である関係から、特に御尽力を願つて心を砕いていただきましたことを、非常に感謝申し上げております。大臣も就任御早々、他省兼務であるにかかわらず、非常な御努力をいただいたことも感謝いたしております。ただ先ほどから大臣からるる御説明がございましたが、委員会考え方と、大臣考えておられる考え方との間に、若干のずれがあるということを考えます。そのもとは一地方財政窮迫の程度に関しての両者の間の認識の厚薄によることが一つあるのであります。また技術問題になりますが、地方財政計画平衡交付金制度というようなものに対しての大臣の御理解委員会理解とが、若干違うのじやないかという点もございます。いろいろなことを申し上げたいのでありますが、この際全部省略いたしまして、ただ一言、もし今国会中に決議第一項に書かれますところの旧来の赤字の債務欠陥の整理に関しまして、政府の方で地方財政法改正または単独立法というようなものの提案によつて措置をとつていただかないとすると、委員会の方ではこれに対してどうしても二十八年度中に、何らかの処置をやりたいという趣旨でございますので、委員会として超党派的にそういう立法の方面に進まざるを得ないことがあるかもわからないということを感ずるものでございます。また二十八年度赤字原因を除去する面につきましても、その方法は別段といたしまして、政府の方におきましても、地方行政委員会と同様な熱情を持つて、善処方を特にお願いする必要があろうかと考えております。以上委員会の方のほとんど全部の方の気持を代表して申し上げるようなつもりで申し上げましたので、さよう御了承を願いたいと思います。
  67. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとこの際皆さんに御報告をいたしたいと存じます。参議院におきましては、町村合併に関する法律案を出すというようなことが伝えられておりましたので、それならばその以前に衆議院との関係において、できるだけ緊密な連絡をとつてもらいたい、その趣旨委員長もしくはその当局の方を当委員会に出席せしめられて、一応構想等をお述べをくださるようにということを、先ほど理事会の申合せによりまして、衆議院へ申し入れたのであります。その予定を本日午後といたしておりましたところ、参議院におきましては、いまだその結論に達していないので、せつかくただいま相談中だということでございます。願わくは一両日猶予をいただきたいという趣旨でありますので、この段御報告をいたしておきます。     —————————————
  68. 中井一夫

    中井委員長 なお本日は大分時間が過ぎまして、まことに皆さん御迷惑と存じまするが、昼からはスト規制に関する法案が本会議に出されるというので、ただいま議運は何かと論議中のように承ります。つきましては、この際十六日に本委員会に付託されました消防施設強化促進法案地方財政法の一部を改正する法律案、この両案を一括して議題となし、政府より両案について順次その提案理由の説明を聴取いたしたいと存じます。まことに申しかねますが、しばらくごしんぼうを願います。三浦法務政務次官。     —————————————
  69. 三浦寅之助

    ○三浦政府委員 ただいま提案いたしました消防施設強化促進法案の提案の理由並びにその内容につきまして御説明申し上げます。  この法律案を提案いたしました理由は、消防施設を購入し、または設置しようとする市町村に対し、その費用の一部を国において補助する道を開きまして、消防施設の強化促進をはかるためであります。  御承知のごとく、昭和二十二年消防組織法が制定され、消防は市町村の責任において管理されることになつたのでありますが、同法は、その制定の当初から第二十五条におきまして「市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては法律でこれを定める」旨の規定を設け、補助金法定の道を開いていたのでありますが、現在までいまだそのはこびに至らなかつたのであります。  一方消防の財源措置につきましては、必ずしも十分ではなく、あまつさえ市町村財政状態窮迫いたしております関係上、消防施設は整備強化されるすべもなくしてきわめて劣弱な状態のまま今日に及んでいるような次第であります。  ひるがえつて火災による損害の状況を見ますに、逐年増加の一途をたどり、昭和二十七年の年間統計によりますと、火災件数二万二千余件、焼失坪数約七十二万坪、損害見積額は、実に三百八十六億円の多きに及んでいるのであります。  右のような事情にありますので、この際すみやかなる消防施設の強化をはかる必要がありまして、今回国庫から補助金を市町村に交付する措置を講じ、その消防施設の整備を促進し、火災による損害の軽減に万全を期するため、本法案提出した次第であります。  次にこの法律案内容について御説明申し上げます。  この法案は、本文七条及び附則一項からなつております。  先ず第一条においてこの法律の目的について定め、第二条におきましては消防施設を購入しまたは設置しようとする市町村に対し、国はその費用の一部を補助することができる旨を定めております。  次に第三条におきましては、補助すべき対象を消防の用に供する機械器具及び設備とし、政令で定めることとしたのであります。  第四条は、補助基本額及び補助率について定めております。すなわち消防施設の種類及び規格ごとに内閣総理大臣が基準額を定め、予算の範囲内でその三分の一以内を補助することといたしました。  次に第五条は、補助の申請について規定してあります。すなわち、市町村長は、都道府県知事を経由して内閣総理大臣に申請書を提出することとし、申請書の様式、添付書類等は、総理府令で定めることとしたのであります。この場合都道府県知事は必要な意見をつけることができることといたしました。  次に第六条でありますが、これは、補助金の使途を適正ならしめるために、正当な理由がなくて施設の購入または設置の全部または一部を行わないこととなつたとき、補助の目的以外に使用したとき、または内閣総理大臣の参指示に違反したと認められるときのいずれかに該当しますときは、内閣総理大臣は一補助金の交付を取消し一停止しまたは交付した補助金を返還させることができる旨を規定しました。この場合、市町村長に事前に釈明の意見を述べ、証拠を提出する機会を与えることとしております。  次に第七条におきましては、さらに一層補助金を有効適切に使用するため、内閣総理大臣が目的達成のため必要な限度において、市町村長に対し必要な指示を行い、報告書の提出を命じ、または職員に実地検査させることができるように定めたのであります。  最後に、附則においてこの法律は、公布の日から施行することといたしました。  以上がこの法律案提出の理由及びその内容の大要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申しあげます。
  70. 中井一夫

    中井委員長 塚田国務大臣。     —————————————
  71. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま提出いたしました地方財政法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  終戦後インフレーシヨンの抑制と経済の安定に寄与いたしますため、地方財政の面においても極度に健全財政の方針を貫き、地方公共団体地方債をもつて財源とすることができる場合を強く制限して参つたのであります。  しかしながら、近来ようやく経済も安定の段階に入つて参りましたし、他面規模の小さい団体の多い地方財政の面においては、公用施設といえども臨時に多額を要する経費を一般財源でまかなうことを一律に強制することは困難でありますので、一面には地方債をもつて財源とすることができる場合を拡張し、他面には地方債の分量を増加するとともに公募債によつても、相当の資金を集めることができるようにする必要があるのであります。これがこの法律案提出する理由であります。  以下内容の概要を御説明申し上げます。  改正の第一は、地方公共団体は公用施設の建設事業費の財源とする場合においても、地方債を起すことができるものとすることであります。地方財政法制定せられました昭和二十三年のころは、なお悪性インフレーシヨンの進行しているさ中でありまして、その経済情勢を背景として、健全財政を確保いたして参りますためには、住民一般の使用する公共施設の建設については、地方債をもつてその財源とすることを認めても、行政全体の直接の用に供する公用施設は、地方債をもつてその建設費に充てることは認めないのも、やむを得ないとされたのであります。しかしながら、これらの規定が実施されて四年有余を経た今日、経済情勢も大いに異なつて参りましたので、臨時に多額を要する経費について、年度間の調整をはかろうとする地方債の本来の機能を発揮せしめて、公共施設のみでなく、公用施設の建設についても、地方債をもつてその財源とすることを認めるのが適当ではないかと考えられるに至つたのであります。  改正の第二は、公募債を中心として地方債に関する規定を整備しようとするものであります。地方債は従来そのほとんど全部を政府資金によつてまかなわれ、民間資金を募集するいわゆる公募は、ほとんど行われなかつたのでありますが、昭和二十八年度においては、地方財政計画上百八十億円の公募資金を予定しているのであります。これらの地方債を育成し、その信用を高めるためには規定を整える必要があるのであります。  その一は、公共施設または公用施設を建設するために起した地方債の償還年限は、当該施設の耐用年数を越えないようにしなければならないものとすることであります。償還年限を耐用年数以上に延長いたしますと、当該地方債によつて建設した施設が老朽し、再建のため再び資金を借り入れなければならない際、いまだ旧債が償還されていないということになつて、いたずらに債務が加重して参るのであります。その結果は、財政を健全な基盤の上で運営することができなくなつて地方債償還についての信用をも損するに至るおそれがあるからであります。その二は、証券発行の方法による地方債の発行及び償還について、技術的な事項を政令で規定するものとするほか、この種の地方債について割引発行及び抽籤償還をすることができる旨の規定を設けることであります。その三は、証券発行による地方債について商法の社債に関する規定の一部を準用することであります。証券による地方債について、公衆の保護をはかる必要がありますため、募集の委託を又けた、いわゆる受託会社の権限及び義務について、商法の規定の一部を準用し、一面には、地方債権者のために、地方債の償還を受けるに必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を保障することにより、受託会社が、地方債権者にかわつて適切な行為を行うことができるものとし、他面には受託会社が地方債の償還を受けた場合は、遅滞なくその旨を公告するものとするほか、受託会社が二以上あるときは、地方債権者に対し、連帯して償還額の支払いをなす義務を負うものとしたのであります。  その四は、資金調達を容易ならしめるために、地方公共団体が一部事務組合を設けて起す地方債については、当該組合と当該組合を組織する地方公共団体とが連帯してその償還及び利息の支払いをなす責に任ずるものとすることであります。  その他に、個人に対する市町村民税の所得割について、標準税率とみなすべき場合の税率の算定方法を規定し、地方公営企業法の施行により、不必要となつた規定を削除する等必要な規定の整備を行つております。  以上地方財政法の一部を改正する法律案の概要を御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたす次第であります。     —————————————
  72. 中井一夫

    中井委員長 次に去る十九日予備審査のため本委員会に付託されました自治学校設置法案を議題といたし、まず政府よりその提案理由の説明を聴取いたします。塚田国務大臣。     —————————————
  73. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま本委員会に付託されました自治学校設置法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申上げます。  地方公務員制度の本旨とする地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営を期しますためには、地方公務員の資質の向上と勤務能率の発揮増進にまつところがきわめて大きいのでありまして、この意味において、地方公務員に対して適切な研修の機会をできるだけ多く与え、その教養に努めることは、きわめて肝要と存ぜられるのであります。地方公務員法におきましても「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。」と規定しており、谷地方公共団体においてもそれぞれ研修に力をいたしでいる次第であります。しかしながら地方では、初任者その他一般職に対する研修は格別として、中堅職員に対する高度の研修については、その実施に種々支障があり、事実上困難な場合が多いのでありまして、かねてから中央に対し高度の研修機関の設置を要望する声が強かつたのであります。  申すまでもなく、地方公共団体処理しております事務の大半は、国と密接な利害関係にあるものであり、国としてもその適正かつ円滑な執行については深い関心を持たざるを得ないわけでありまして、地方公務員の能力を向上し、勤務能率を発揮するため、その研修を行うことの必要なるゆえんは、この意味においても痛感せられていたのであります。以上の趣旨により政府は本法案を提案したのであります。次に法案内容の概要について申し上げます。自治大学校は、自治庁の付属機関として東京都に置くことといたし、任命権者の推薦にかかる地方公務員に対して高度の研修を行い、これにあわせて地方自治に関する制度等についての基本的な調査研究を行うとともに、地方公共団体の研修機関に対して、研修に関する技術的助言をすることができることといたしたのであります。自治大学校の講師には各方面の有識者を委嘱いたしまして、その内容を充実し、設置の目的を達成いたしたいと考えておりますが、自治大学校の性格にかんがみ、地方事情に即した運営をする必要がありますので、地方公共団体の長及び議会の議長の全国的連合組織の代表者並びに学識経験者で組織する自治大学校運営審議会を自治大学校に置き、自治大学校の運営について校長の諮問に応ぜしめることといたしたのであります。  以上自治学校設置法案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  74. 中井一夫

    中井委員長 本日はこの程度をもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時二十九分散会