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1953-06-01 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月一日(月曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       河原田稼吉君    田中伊三次君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月三十日  防火水そう設置に関する請願小澤佐重喜君紹  介)(第一四三号)  消防施設強化に関する法律制定請願小澤佐  重喜紹介)(第一四四号)  消防施設に対する起債増額等に関する請願(小  澤佐重喜紹介)(第一四五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議開きます。  前会に引続きまして地方財政に関する件について調査を進めることといたします。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 この機会に前回の委員会の結果を御報告申し上げますと同時に、質疑をいたしたいと思いましてその動議を提出いたす次第であります。  一昨日の委員会におきまして、それぞれ地方財政現状に対して質疑があつたのでございます。なお特に地方財政窮乏の程度を検討するために特別な懇談会開きまして、腹蔵なき意見を十分に交換いたしました。なおその結果に基きまして理事会を開催いたしまして、この地方財政確保に関する対策検討いたしたのでありまするが、大体各委員の御意見がまとまりまして、地方財政確保に関する決議案委員会といたしまして作成をいたし、来るべき予算編成に当つて十分政府においてその意を体して善処せられたいことをこの機会に要望しようということで、次のごとき決議をいたしたいと思う次第であります。  一応その原案を朗読いたします。    地方財政確保に関する件   地方財政窮乏現状に鑑み、政府昭和二十八年度予算編成に当り次の事項につき善処せられたい。  一、現在の財政欠陥を補填する応急対策を樹立しその処置を講ずること。  一、地方財政計画実情に即し作成し財政欠陥を生ぜしめざること。 以上でありますが、簡単にその趣旨説明いたしたいと思います。  御承知通り地方財政窮迫は昨年度すでに相当これが論ぜられており、政府も前年度末におきまして一部対策を講ぜられたのでありますが、なお本年度に持ち越しております赤字が少くありません。予算委員会等質疑によりますと、八十億内外というようなことを言われておりますが、実情は決してかような数字ではなく、これを数倍上まわるものと私どもは見ておる次第であります。しかしてこの欠陥をこのままに存置しておきましたならば、本年度地方財政を著しく破壊することになるのでありまして、このために影響を受けるところが少くありません。将来の地方財政確保に関しましては、政府におきましても地方制度調査会等によりまして、その結論をまつて善処したいということを考えておられますが、これは昭和二十九年度以後の問題になると思うのでありまして、私どもはやはり現在の赤字そのものを解決しなければ、地方財政運用に著しい支障ありと認めまして、その対策をこの際講じたいと考えておる次第であります。  ここに二つ問題をあげてありますが、第一といたしまして、現在の財政欠陥を補填する応急対策を立てる必要がある。すなわち各地方団体は、一時短期の借入金あるいは事業繰延べ等によりまして何とか財政のやりくりをいたしておりますが、最近になりますと、もうその状態では地方の一般の事業に影響を来す状態に至つておると思うのでありまして、私どもはこの際その対策といたしまして、すみやかにこれを長期、低利なものに切りかえ、しかしてその利子に対しましても相当の処置を講ずるというがごとき応急対策をこの際樹立いたしまして、現在の赤字に対する対策確立しなければならない、かように考えておる次第であります。  なお第二といたしまして、本年度地方財政計画を見ますと、一応つじつまは合つておるようでありますが、その内容は決して地方財政現状に即しておるものとは認めがたいのでありまして、この点は昨年以来当委員会におきましても十分検討せられたところであります。すなわち政府が実施いたしますところの地方財政計画は、もつと実情に即するように作成いたしまして、この財政計画を実施することによつて赤字を生ぜしめないということが必要だと思います。すなわち具体的に申し上げますると、地方におけるところの職員給与のごとき問題は、地方見解と国の見解との間に著しい差があるのでありまして、今日国においてつくりました地方財政計画をそのまま実施して参りましたならば、給与の面のみにおきましても地方財政の大きな赤字を生ずるのであります。これは決して地方だけの責任ではなく、中央におきましても、十分大きな意味を持たざるを得ないものと思つております。なお、学校建築等におきましても、政府の認めておりまする単価は、まことに少く、しかも額が限られておりますために、実際面におきましては、当然地方におきましてそれ以上の支出をせざるを得ないことになつております。これまた、地方財政赤字を生ずる大きな原因となつております。かかることに関しましても、政府は今後の予算措置において十分考慮してもらわなければならないことになるのであります。幸いと申しまするか、本年度はこれから政府予算編成せられることになつておるのでありまして、今日においてこの赤字をより厖大ならしめざるごとき処置を講ずることも可能なのでありまして、どうか二十八年度予算編成に当りましては、ただいま申し上げました事項に関しましては、十分政府は留意せられまして、その財政窮迫を解決すべく努力せられんことを要望する次第であります。ただいま申し上げました決議案趣旨を、簡単でありますが、これを申し上げまして、弁明いたすことにかえたいと思います。皆さん方の御賛成を得たいと思います。
  4. 滝井義高

    滝井委員 ただいまの床次氏の地方財政確保に関する動議に対しまして、日本社会党を代表いたして賛成をいたすものであります。今簡単にその賛成理由を申し述べたいと思うのであります。  民主政治の健全な運営発展を期するためには、地方自治の円滑なる育成発展が必要であるということは、言をまたないところであります。しかるに、その健全なる発展の望まれておる地方自治というものは、その裏打ちをなす地方財政というものが現在非常に窮乏であり、不均衡であり、不安定であるために、危機の中をさまよつておるというのが現在の姿であります。この地方自治危機地方財政窮乏というものは、塚田国務大臣が指摘せられましたごとく、偶発的なものではないのであります。地方制度自体の中にあるところの根本的な矛盾の中から、根強く、根深く起つて来ているものだと思うのであります。昨年八月、政府におきまして、地方制度調査会というものを設置したのも、地方自治を全体的に考察をして、その構造、組織、地方税制財政等に再検討を加え、この根本的な矛盾を克服して、有機的な一体性を打立てて、地方自治の円滑なる発展をはかり、もつて日本民主主義確立を企図したものだ、こう思うのであります。  しかるに昭和二十八年度予算の審議に入つた現実において、地方制度調査会地方制度に関する具体的な結論がいまだ得られないという、その得られないことを理由として当面を糊塗し、荏苒日を送るとするならば、地方財政窮乏というものは、日を追つて深刻化して来るということは明らかである。しかもそういう状態が続くならば、遂には救うべからざる危機地方自治体財政が陥ることは、火を見るよりも明らかであります。なぜならば、現在すでに地方住民の税の負担の能力というものは、限界に来ておるのであります。その具体的な現われとして、年々地方税の滞納が増加しているということは、これはもう大蔵大臣においても自治庁長官においても御承知通りであります。また一方個々の地方自治体状態を見てみましても、戦後になされたところの新しい制度改革によりまして、その新しい制度運営するための費用、あるいは戦争中に放置をせられておつたところの、もろもろの施設の補修、修理等財源を捻出するために、非常に現在地方自治体というものは苦労をいたしておるのであります。いわゆる赤字に悩んでいるというのが、これが現在の地方自治体の偽らざる実情であります。その赤字のよつて来るところの原因というものは、いろいろあると思います。また見る人によつてその所見を異にすると思うのでありますが、現在地方自治団体というものが、財政的に異常の窮迫状態に置かれているということは、これは何人も認めて私は異論のないところだと思うのであります。この窮乏化しておるところの地方財政に関する抜本塞源的な対策というものは、地方制度調査会に一応譲るといたしましても、当面の二十七年度赤字背負つて気息えんえんたる姿で二十八年度地方自治運営に出発せんとしておる地方団体に、一本のリンゲル注射を与えるということは、これは必要であります。私たちが重病人に向つて根治的な外科手術を施す場合においても、手術台上つた直後において応急的に一本のリンゲルを施し、全肉体の活力を喚起して手術を行うのであります。それと同じように、地方財政のこの危機に対して、抜本的な手術を行う前に、一応のリンゲル注射を与えるということは、これは私ども喫緊の要務であると思うのであります。かかる観点から、現在提案せられた床次委員動議賛成をいたすものであります。
  5. 門司亮

    門司委員 今、床次さんから提案されたものにつきまして賛成をいたすものでございます。同時にこの機会に私は政府当局者によく知つておいていただきたいと思うことがあります。きようは大蔵大臣おいでになつておりませんので、文部大臣並びに自治庁長官に、特に私どもがこういう決議案賛成しなければならない理由をひとつ十分御了承願つておきたいと思うのであります。  申すまでもなく、提案者並び賛成者意見の中に申し述べられておつたのでありますが、わが国地方財政窮乏地方自治体民主化日本民主化の根本であるとして、憲法に新しく条章を設けておるにもかかわらず、依然として赤字を続けておる。しかも政府の今日までとつて参りました処置につきましては、いろいろな税制改革その他の方策を講じております。御承知のように昭和二十三年に地方財政法制定して、一応この地方財政法によつて地方赤字の出ないように、政府の施策によつて地方公共団体がその施設を行う場合においては、地方公共団体に必ず財政的の負担をかけてはならないという法律が設けられて、地方財政の一応の確立を目指して参つたのでありますが、この法律がまつたく蹂躙されておる。地方にはいろいろな仕事は言いつけるが、その裏づけになる財源を十分に与えない。さらに昭和二十四年までは、少くとも国の予算地方財政とを区分するための一つ法律として、配付税法制定を見ておつたのでありますが、これも遺憾ながら自由党昭和二十五年のシヤウプ勧告に基く税制改革のときに廃止せられた。そうして現行地方平衡交付金法制定せられたのであります。その趣旨とするところはきわめて公平である。そうしてもつともらしいことを書いておりますが、これに実行が伴わないのであります。今日のごとき財政窮乏を来しておるということは、ここに大きな原因がある。従つて現在第五次吉田内閣においては、当然これらの自由党のなした一つの罪悪といつていいほどの地方財政に対する圧迫は、自由党内閣においてこれを解消すべきである。これは単に私は感傷的に申し上げるわけではありません。少くとも地方財政国家財政との間においては、画然たる一つ財政的の規模の上に立つた予算を組むことが正しいとする従来の物の考え方によつて、あらためて昭和二十四年に地方配付税法の改正を行つて、そうして地方財政確立のために努めて参りましたが、これが先ほど申しましたように、二十五年の税制改革のときに現行平衡交付金法になつておる。しかも理論と実際とは、先ほど床次氏のお話のようにマツチいたしておりません。政府の考えております給与の問題にいたしましても、地方が非常に高いということで、少い額を支給している。学校建築その他に対しましても、単価一坪当りが、当然できないものを、政府はただ表向きの予算だけにこれを支給することになつてつて、その差額はどうしても地方負担しなければならない。その他のものは先ほど申し上げましたように、地方財政法があるから、これによつて地方のそうした間違つたことを補い得ると考えておりましたが、依然として法律だけができておつて、実際の問題としてはこれの解決がついておりません。従つて今日寄せられて参りました地方財政赤字については、おのおのの見方によつて私は違うと思うのです。ある人に言わせますればこれを六百億といい、ある人はこれを三百億といい、ある人は政府の先日の予算委員会答弁等を聞いておりますと百億にならないといつておりますが、しかしいずれにいたしましても、そうした赤字のあることは事実である。従つて政府といたしましては、これらの赤字に対しては、ぜひ十分なる検討を加えて、そうして一応赤字を解消するという建前をとらない限りにおいては、地方財政はとうてはやつて行けないということは事実であります。この点は特に私は大蔵省お願いをしておくのでありますが、大蔵省——愛知次官おいでになりましたので、一応十分聞いていただきたいと思いますが、今日までの大蔵省査定というものが、自治庁あるいは文部省査定を、ことごとく大蔵省国家予算建前の上においてこれを削除されておる、その間に何らの理由はなかつたと私は思う。もしこの自治庁あるいは文部省査定間違つておるというならば、これは間違つておるというはつきりとした根拠がなければならないが、いずれにいたしましてもこれらの問題に対しては、ほとんど満足な検討が加えられない、しかもわれわれの納得の行く検討が加えられない。大蔵省は、国家財政の都合によつて地方財政平衡交付金等が切り盛りされるというような、地方財政平衡交付金法趣旨自体に反した今日までの査定の方法をとつて来ておるのである。ここに私は今日の地方財政欠陥をもたらした大きな原因があるということは、大蔵省責任が大部分ある。従つて大蔵省といたしましてはやはり今日のこの累積された赤字を解消して、あらためて地方財政が完全に行けるような処置をさらに講じてもらいたいということが、ここに一項二項に掲げられた決議案趣旨であると私は考えますので、この案に対して私はそうした意味においてぜひ賛成をしたい、さらに第二項につきましては、今予算編成中でございますので、大蔵省としてはその辺を十分考慮してもらいたい。そして現行制度のもとに赤字の出ないような処置をしていただきたい。われわれも同様にただ単に政府当局を責めるのではありません。地方財政の中にあるいは冗漫な点があつたり、あるいはわれわれの見のがすことができないような濫費等かありましたならば、われわれはこれを仮借なく糾弾し、注意し、あるいはこれに反省を促す。そして健全なる地方財政にするということは事実であります。このことのためにはわれわれが努力するということは決してやぶさかではありませんが、当局は十分考えていただきたい。さらにこれから来る現在の政界のいろいろな波紋といいますか、腐敗というか、あるいはもつと悪い言葉で言えば汚職に近いような行為がしばしば耳にされておる。先日の委員会においてわが党の大石委員から指摘されましたように、あるいは平衡交付金をめぐつていまわしいとまで極言してもさしつかえないような事態が巷間伝えられておるというようなことは、あるいはそうした地方財政欠陥がそこにしわ寄せされてそういう結果ができておるので、これらの問題について十分ひとつ当局においては御考慮を願いまして、そして遺漏のないようにぜひしていただきたいということをこの機会に申し上げまして、本案に賛成意思を表するものであります。
  6. 中井一夫

  7. 加藤精三

    加藤(精)委員 自由党を代表いたしまして、私から本決議案に対する支持の発言をいたしたいと思います。  占領行政中におきましては、必ずしも政府の意図するごとく、また党の意図するごとく行政ができなかつたことの結果といたしまして、ただいま門司委員等よりいろいろ述べられたような行政欠陥があつたと存じますが、もはやわが国は本然の姿に立ちまして、この国家行政確保しなければならない時期になつております。しかして国家行政の能率の上ると上らざるとは、強く地方行政に依存するものでありまして、また国家行政民主主義化地方行政民主主義化より始まることは言をまたないところであります。この意味において、地方行政を守る意味におきまして、最も急を要するのは地方財政確保でありまして一先ほど床次委員その他の委員より主張せられましたことは、ことごとくその正当なものとして、政府において十分御考慮いただきたいのであります。政府、ことに大蔵省におきましては、地方団体財政というものを、地方団体意思だけで、かつて規模を縮小できるように思つておられるように思われまするが、われわれの目から見ますと、中央において企画して地方において実施する部面がある、ことに義務教育関係等におきましては、政府におきましてこれらの基準を示しているのでありまして、しかもこれに対して必要な財源を与えない、こういう問題から、特に市町村財政赤字が発生する、また義務教育中の俸給につきまして、府県財政赤字が発生する。第十五国会の参議院の予算委員会におきましては、大蔵大臣はこの数年放置し……。
  8. 中井一夫

    中井委員長 加藤ちよつと御発言中ですが、御承知通り大臣が席をお立ちにならなければならぬ時間が迫つて参りましたから、簡単に願います。
  9. 加藤精三

    加藤(精)委員 承知しました。危険校舎については、大臣責任においてこれを解決する、改築の問題は解決すると言つておられたのでありますが、文部省予算に計上された額は、まことに数分の一の需要充すにも足りない状態でありまして、市町村自治体は、住民の子供を危険校舎で傷つけるわけに行きませんので、どうしても改築しなければならぬ。これは刻下の急務であります。しかも学校を建築する際に資金運用部資金及び地方の力によつて蓄積いたしますところの簡易保険郵便年金等資金は、優先的に地方自治体需要にこれを充当していただかなければいかぬのでありますが、その起債が一部分であつたり、あるいは充当できなかつたりする場合が非常に多いのであります。そういう点が赤字発生原因になる点にかんがみまして、二十八年度予算編成に当りましては、各党の政党政派を離れたこの委員会決議を重んじていただきまして、善処してくださいますことをお願い申します。
  10. 中井一夫

    中井委員長 床次君御発議の動議についてお諮りをいたします。地方財政確保に関する件に関する決議でありますが、その内容床次君御説明通りであります。これを決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつて床次君の動議による決議案は決定せられました。この際政府から発言を求められております。塚田国務大臣
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま本委員会において御決議になりました趣旨は、私におきましても年来まつた同感であつた点でありまして、この二十八年度予算編成に当りましては、委員会の御意向を十分尊重いたしまして努力いたしたいと考えております。
  13. 中井一夫

  14. 大達茂雄

    大達国務大臣 ただいま御決議になりました地方財政確保に関する件につきましては、私まつた同感でありまして、ことにその内容におきまして義務教育、また教育に関する事柄が相当重点になつております点にかんがみまして、できるだけ御決議趣旨に沿いまするように、今後十分努力いたしたいと存じております。
  15. 愛知揆一

    愛知政府委員 本日は小笠原大蔵大臣ちよつとからだを悪くいたしまして、出席できませんでまことに申訳がございません。私からかわりまして、ただいま御決議地方財政確保に関する件につきまして、大蔵省所見を申し上げたいと思います。先ほど来御説明のございまするように、地方財政窮乏現状につきましての大蔵省といたしましての認識については、私ども足りないところが過去にあつたかもしれないということを遺憾に存ずるのでございますが、ただいま御決議趣旨をとくと考慮いたしまして、大蔵省といたしましてもできるだけ御協力を申し上げたいと考える次第でございます。
  16. 中井一夫

    中井委員長 ほかに御発言はございませんか。
  17. 門司亮

    門司委員 もう決議が終りましたから大したことはないと思いますが、私はこの際——自治庁からでいいと思いますが、あるいは委員長からひとつ文部省お願いをしていただいて、ぜひ資料を出していただきたいと思います。それは大体私ども手元にも従来のものがないわけではありませんが、文部省調査で、危険校舎に要するほんとう費用は一体どのくらいかかるか。自治庁でも同じ問題について調査をしていただきたい。さらに職員給与の問題について、ひとつ的確な数字をこの際出していただきたい。そうして中央大蔵省の見ております給与と、地方給与との開きほんとうにどのくらいあるか。私は今までのような水かけ論の調査であつてはならないと思う。ひとつはつきりした調査を次の機会までに出していただきたい。これらの資料をぜひ委員長からお願いしていただきまして、この委員会で明確にするようにしていただきたいと思います。私どもはその資料に基いて、今決議されましたことが完全に実行せられておるかどうかについても一応検討をいたしたいと思います。  さらにもう一つこの機会お願いをしておきたいと思いますことは、大蔵省で考えておりまする地方財政規模についての数字を、単に数字だけではありませんで、その数字を求められた根拠が十分にわかるような資料を出してもらいたい。この問題で愛知さんに特にお願いをいたしますのは、今までいろいろ私ども手元にあるのでありますが、この前の資料などは、大蔵省だけで抽出された数字自治庁の持つて参りました数字に大きな開きがある。そうしてここでいくら議論しておりましても、どつちがほんとうのことを言つておるのかわからない。結局きんちやくの元締めをやつておる大蔵省の言い分が通るということであつて、非常に財政上困つておりますので、大蔵省地方課におきましては特にこの点を注意してほしい。ほんとう大蔵省でやるのと自治庁あるいは文部省がやるのと、同じ官庁が調査して、同じ地方自治体から資料を集めて違うわけはないと思う。もし違うということがあるならば、その調査をしたことに、先ほど申しましたようにどういう資料に基いてこういう違いが出たのかということを、十分私どもにわかるようにお示しいただくような資料を、この機会お願いしておきたいと思います。
  18. 中井一夫

    中井委員長 お尋ねいたしますが、文部省政府委員の方におかれては、ただいま門司君からの御要求の資料は御提出になることができるでありましようね。どなたが御所管でですか。
  19. 近藤直人

    ○近藤政府委員 ただいまの資料の御要求でございますが、危険校舎の坪数並びに所要金額につきましては、次会までに資料を提出いたします。
  20. 中井一夫

    中井委員長 大蔵省の方はいかがでございましようか。
  21. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま門司さんのお話の資料はできるだけすみやかに、かつ具体的に提出いたしたいと思います。
  22. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいま決議がありましたが、政府側の答弁というか、見解の表明は、相もかわらず善処するというようなお話なんでございますが、このたびの決議は年中行事のようなぐあいに単なる決議をして要望するというような、そういう簡単な決議ではない。この委員会の全体の空気をとくと御察知願いたい、これをひとつ強く申し上げたいのでございます。ただいま愛知大蔵次官のお話では、従来の地方財政窮乏についての認識は不足であつたということを申されましたが、この不足を今御了解になつたというならば、こういう財政窮乏は単に地方責任に帰するというようなぐあいに押しかぶせておつた今までの見解を放棄して、はつきりと中央の方で責任を自覚してこのように次官のお考えがかわられたということについて、はつきりした御答弁をお願いしたいと思うのでございます。
  23. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど来、たとえば、自治庁見解大蔵省見解が違つてつたというような点についての御指摘もございましたのでありますが、それらの点については、従来大蔵省としては大蔵省の立場において調査をいたしまするのみならず、私の了解いたしておりまする限りにおいては、自治庁はもちろんでございますし、関係の方面と十分の打合せをやつてつたつもりなのであります。しかしそれらの点について不十分あるいは認識の足りないところがあつたように考えまするので、その点についてはきわめて謙虚に、かつ誠実に今後やつて参りたいと思つておるわけでございます。それから抽象的なことだけを申し上げては恐縮でございますが、ただこの際特に私から申し上げたいと思いますことが一つあるのであります。それは、実は資金運用部の問題でございます。これは終戦後引続き地方財政窮乏がはなはだしかつたために、たとえば占領下におきましては資金運用部の資金を、できるだけ当時の司令部の当局に適当に、何と申しますか、知らしめないでしかられないように、しかられないようにという線を守りながら、実は起債の前貸しというような形で短期融通をずつとやつて参りました。そうしてかろうじて、わずかずつでもその窮乏の打開に役立たせるように配意をして参つたわけでありますが、たまたま二十八年度予算編成を通じ、あるいは二十九年度の状況を見通しますると、資金運用部の原資はもちろんでありますが、過去の蓄積もほとんどなくなつて参りました。御承知のごとく二十八年度の不成立予算におきましては、資金運用部の所有しておりまする公債を相当処分して、そのかわり金で地方債の消化に充当しようというような、実は資金運用部自体としては、その運用上いかがかと思うような点まで割切つて御協力をするように考えて参つたわけでありまして、今度あらためて提案をいたしまする二十八年度予算案におきましても、もちろんそういつたような考え得る最大限度までやつて参るつもりでございます。ただそうやりました場合に、二十九年度以降になりますると、従来の程度の資金運用部のお手伝いすらも非常に困難になる。今度こそは資金運用部がほんとうにないそでは振れないというような状態にもなるように見通されまするので、この際大蔵省といたしましても、地方財政の今後のやり方につきましては、政府の内外各方面の御協力を求めまして、中央地方を通じまする抜本的な対策を至急に考えなければならない、こういうような段階に追い詰められておるように考えるわけでございまして、実は昨日も今度の予算の提出につきまして、その問題についてはずいぶんと頭を悩まし、また見通しについても困難を感じておるようなわけでございますので、大蔵省全体としても、あらためてこの問題については、今度こそほんとうに本気で各方面に御相談をして参り、また御協力を求めたいと考えておるわけでございます。
  24. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵政務次官にお尋ねしたいのですが、きようの新聞ですか、六月十五日に出されます二十八年度予算は、この前流れました予算よりは大体百億ぐらい圧縮されるような記事でございまして、そういうことから考えてみますと、どうもきようの決議の弟一番目の「現在の財政欠陥を補填する応急対策を樹立しその処置を講ずること。」というのは、皆さんからお話がございましたように、赤字の問題なのです。そこで、九千六百億からの国家財政を百億でも圧縮するということになりますと、当初義務教育費と平衡交付金と合せた千七百二十億というわくは、この本決議案趣旨から行けば、われわれとしては四百億か五百億は伸ばしてもらいたい、こういう希望が、実際には国の財政規模が圧縮されるのだから、千七百二十億についてはさらに縮小しなければならぬなどということになると、非常に困るわけで、ちようど今予算編成の重大な時期に当つておりますので、その点は大蔵当局としては、この決議趣旨からどうなさるのか、その点が第一でございます。  それとあわせて第二の点は、先ほど次官からもお話がございましたように、実際にこの赤字になりました一つには、大蔵当局が私たちからすれば一方的だと思うのですが、これは大蔵当局自治庁の方に話をして、地方公務員、教職員を入れて約百五十万人について、それぞれ現在八百円高いという基礎に立つて平衡交付金をさつぴいているところに、大きな問題があるのでありまして、この点の解決がなければ、二十八年度にまた赤字が出るわけでございます。従つて先ほど次官からは、大蔵当局としてはどうもそういう点等について考慮が足りなかつたというようなお話もございましたが、今後とうなさるのか。われわれとしてはせつかく、この決議案が上つておるのだけれども、新聞等に出ている政府見解等からすると、憂慮にたえないものかありますので、その点ひとつお話をお願いしたいと思います。
  25. 愛知揆一

    愛知政府委員 まず第一の国家予算規模の問題でございますが、私どもは昨日大蔵省内で、いわゆる予算省議の第一回をやりました。そのことが正式の発表でも何でもありませんが、いろいろな観点から新聞の方で取材をされたと思うのであります。九千六百五倍円の不成立予算規模がふえるか減るかということにつきましては、まだ利ども結論が出ておらぬのでございまして、非常に大きな問題でございますから、一日ぐらいの省議ではとうてい結論は出ないのでございますが、私どもの見るところでは、大体不成立予算よりも規模が小さくなるということはないと思います。  同時に第二の問題でございますが、かりにこの規模が減るといたしましても、地方財政の関係の平衡交付金や、あるいは起債のわくに対しまして、その全体の減つたものをかぶせて行くということは、絶対にございません。ただどれくらいこれがふやせるか、あるいは単にこれは予算数字上ふやすというだけの問題ではございませんで、いろいろの方策があると思いますが、それをあわせてこの御趣旨に沿うようにいたしたいと思うのでありまして、くどいようでございますが、かりに全体のわくはどうなろうとも、前回の不成立予算の当時考えられたものよりも減るというようなことは万々ない、こういうことだけははつきり申し上げられると思います。
  26. 横路節雄

    ○横路委員 今の次官のお話で、減ることがないということがわかつたのですが、もう一つ心配な点は、減りはしないけれども現状維持のままだ、不成立予算のままで行くのでないかという点が、われわれ非常に心配していることなんです。そうなりますと、この間地方自治団体の方から、町村分を除いても五百七十億、町村分を合せればおそらく七百五十億くらいの赤字——これは地方自治団体がそのまま言つて来たものですが、しかしだれが考えても、三百億ないし五百億ぐらいの赤字が出ているだろうということは、想像にかたくないわけであります。そこで、減りはしないけれども不成立予算現状のままだということになりますと、この赤字についての補填の問題は出ませんので、その点はどうなさるのか。大体のところでよろしいですから、ひとつお話をしていただきたいと思います。
  27. 愛知揆一

    愛知政府委員 昨日からたつた今までの経過を申しましても、実は率直に申しますが、地方財政の問題は、今度の予算案の上で一番大きな問題の一つでございます。大体二つか三つの大きな問題があるように私思うのでありますが、その中の特に重大な問題でございます。この点については、ただいまの御決議もたつた今あつたわけでございますから、これをひとつこの新しい情勢にさらに対応いたしまして、できるだけの措置を講じたいと思います。ただ現在のところ、金額についてはつきり何で幾らというところまでは、ちよつとまだ案が私の頭の中にもできておりませんので、ごかんべんを願いたと思います。
  28. 滝井義高

    滝井委員 大蔵省にお伺いしたいと思います。参議院の予算委員会で、自治庁長官が、二十八年度の本予算では地方自治体赤字がないようにして提出するという答弁をされておるようでありますが、大蔵省においても大体そういうつもりでやられる意図があるかどうか、これが一つ。  いま一つは、昨日の省議で、新聞報道では、義務教育費半額国庫負担によつて、四箇月間に不用支出が三十五億程度出たということを言われておりますが、その三十五億というものは、東京、大阪にいわゆる半額負担法が実施されたために出た額が、三十五億というのか。と同時に、東京、大阪に半額負担を実施した場合に、どの程度の金をやることになるのか。この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  29. 愛知揆一

    愛知政府委員 第一の過去に累積して参りました赤字の処理でございますが、私どもとしては、塚田自治庁長官の御意見通りにやりたいと考えております。ただこれは、これから先は少し言い過ぎるかもしれませんが、私は正直に申し上げるのでありますが、一挙にこの年度に解決し得るやいなやということまで、はつきり自信をもつてお答えすることはできないと思います。できるだけその御趣旨に沿うようにしなければならぬと思います。  それから第二の三十五億云々の数字でございますが、これは先ほども申し上げましたように、最近の新聞記者諸君は非常に勉強しておられるので、何も言いませんでも、方々から数字をいろいろと積み上げられて、三十五億というようなことも書かれたのだろうと思いますので、これは私どもから少くとも正式に出た数字では、ございません。しかし、第三の点に関連いたしますが、義務教育費の半額、国庫負担を、現行の法律通りに一年度間実行いたして参りました場合においては、いわゆる東京、大阪等の富裕府県に対してやらなければならないというか、大蔵省からいえば、これはひとつ何とかとりもどしたいと思いますものの、金額の合計は百二億円と勘定いたしております。
  30. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵政務次官にお尋ねしたいのですが、今の義務教育費の問題ですが、私も不交付団体並びに富裕府県に対して義務教育費の半額国庫負担をどうするかということはいろいろ考えなければならぬと思いますが、それを除いた他の府県に対しまして、御承知のようにあの第二条の最後のところに、実際の支出額の二分の一を支給するとなつているのですが、但し政令でもつてその府県の最高は定めることができるということになつていて、私は今後の義務教育費国庫負担の問題を定める場合に、政令いかんによつてはかえつて昭和二十七年度以前よりは圧縮されるのではないかと思う。従つて不交付団体並びに富裕府県等の問題については、これは十分考える心要があるが、そうでなしに他の府県については、この政令で最高を定めることができるという点はやはり法の精神からいつて、実際の支出額の二分の一という点であくまでも貫いていただきたいのですが、この点どうでございましようか。
  31. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点はおつしやることはよくわかるのでありますが、現在あの政令は今後半額負担にせよ、あるいは全額負担にせよ、いたしますことがはつきりきまつた場合には当然改正をするなり、あるいは所要の部分は法律に移さなければならぬものだと思うのであります。あの政令制定趣旨は、基準の財政需要を上まわる歳入があるような県について、これこれの場合は最高限を定めるというような趣旨が書かれてあつたかと記憶いたすのでありますが、ただいまおつしやいましたように、ある客観的の基準によつて二分の一の額が出ますが、それをさらに押えつけるというふうに読めますけれども、そこまで考えておるものやらどうやら、私にはちよつとわからないのでありますが、なおその点は十分研究させていただきたいと思います。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 今の点に関連するんですが、実は二十八年度地方財政を審議した場合に、不成立になりました義務教育学校職員法案、内容は全額国庫負担という打出し方でしたけれども、実際には都道府県に相当迷惑をかけることは明らかであつた。これは政府もたびたび地方制度調査会あるいは中央教育審議会等の意見を待つているのですから、この点については政府自体としても、少くとも昭和二十八年度の次期国会等においては、地方財政が混乱するようなああいう法案は提出しないだろうとは私たちも思つてはいるのでございますが、地方財政はあのために都道府県においては非常に教育費の組み方を混乱いたしまして、そのために今都道府県においては、学校職員の定員問題がどこでも非常に問題になつておるのであります。従つてこれは私もお聞きしておきたいのですが、ああいう形の法案はお出しにならないだろうと思いますが、その点はどんなぐあいでございましようか。
  33. 愛知揆一

    愛知政府委員 このお尋ねはちよつと政務次官からお答えすることはいかがかと思いますから、差控えさせていただきたいと思います。
  34. 大石ヨシエ

    大石委員 私はちよつときのうの速記録を訂正していただきたい。それは、北海道選出の私の横にいらつしやいます横路先生が、京都は非常に富裕のところであつて平衡交付金がいらないように発言なさいました。ところがわが京都府は平衡交付金が少くて、赤字財政で非常に困つているのでございます。それでこの際、横路さんは自分の選挙区の北海道ばかりをおつしやいましたが、それでは京都府を代表して出ている私は、京都府民に申訳ございません。京都府は現在舞鶴市その他において二箇月分の地方公務員の給料も払えなくて非常に困つているような状態でございますが、この際に横路さんはきのうの速記録をいかになさいますか、ここで訂正してください、そうしてきのうはつきりと京都府とおつしやつたのを取消してください、いかがですか。私は京都府を代表して出ているのですから、あなたが北海道を大事に思うように私は京都府を愛します。自分のところだけおつしやつていますが、京都府は平衡交付金が少いので、赤字財政で今破産一歩手前になつております。それを訂正してください。
  35. 横路節雄

    ○横路委員 私がきのうの委員会でお話申し上げましたのは、ただいま義務教育費国庫負担にからみまして、不交付団体並びに減額をすべき団体と、こういうふうに言いまして、不交付団体が二つ、減額を要する団体が六つ、それの合計が二百五十四億、こういうお話をいたしましたので、決して私も京都が平衡交付金は不交付の県であるというようなことは毛頭考えていない、ただそういう意味でございましたので、もしも私の説明に言い足りない点がございましたら、私はそういう意味で申し上げておつたのでありますから御了承願いたいと思います。
  36. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  37. 中井一夫

    中井委員長 速記を始めて。地方財政の問題について、さらに政府当局の意向を徹底して確かめるために本委員会を午後に続行し、正一時半より開きます。  なおこの委員会には、ぜひ愛知政務次官または小笠原大蔵大臣の出席を要求したいと思いますから、この旨を政府に通告しておきます。  それでは休憩いたします。     午後零時十一分休憩     —————————————     午後二時四十分開議
  38. 中井一夫

    中井委員長 午前に引続いて開会をいたします。  ただいま政府は、予算編成の最中であると信じましたので、本委員会は、わが国行政上の最大問題でありまする地方自治体赤字等の問題につき、この際政府に善処を要求いたしたく、本日は特にその決議を全員一致をもつていたしたのであります。従いまして午後の委員会におきましては、ぜひ大蔵大臣、少くとも大蔵政務次官の出席を必要といたすのでありますが、いまだにこれら二人とも出席がないことははなはだ遺憾に存じます。やむを得ませんから、この際大蔵省理財局長の石田正君が御出席でありますから、理財局に関する程度において質問を進められんことを望みます。門司君。
  39. 門司亮

    門司委員 まず最初に聞いておきたいと思いますことは、愛知政務次官の話の中に、政府の持つておる資金運用部資金についてはこれの利用、活用はほとんどし尽されておるので、そういう方面を運用することは割合困難であるかのような話を承つたのでありますが、その実情についてひとつ御説明していただきたいと思います。
  40. 石田正

    ○石田政府委員 最近におきます資金運用部の資金の状況につきまして、私から率直に数字的に御説明申し上げたいと思うのであります。この間二十八年度の本予算案が出ましたとき、資金運用部におきましては二十七年度から二十八年度に持ち越しますところの余裕金を二百四十八億円と見込んでおつたのであります。ところが実際二十七年度の末、すなわち三月三十日の現況を申し上げますると、繰越しました現金は二百八十九億でございました。しかしながらこれは二十七年度に予定いたしておりました地方債の引受け七百七十億円のうち、手続その他の関係で四月に持ち越されましたものが九十億ございます。従いましてこれを差引きますると、百九十九億円ということに相なるわけでございます。従いましてその間におきまして、二百四十八億と百九十九億でありまするので四十九億という差が生ずるわけでございます。四十九億という誤差ができたにつきましては、この前当委員会におきまして二十八年度資金運用部の予算の計画を申し上げたときに、二十八年度末に、二十八年度から二十九年度に持ち越します余裕金の見積りを百二十億円と申し上げたのでございますが、その後年度末におきまして公債を五十億ふやす、そのうち三十億は資金運用部で引受けるように、二十億は公募で行くというお話でございました。その結果三十億減るということが起つたわけでありまして、従つてそれを差引いたしますると、なお差額として二十億円近いものがある。かような状況でありまして、資金運用部の原資の面から言いまして、融資するのはそれだけ二十八年度において影響を受けざるを得ない、かような状況に相なつてつたわけであります。  次に二十八年度の原資の問題につきまして、私たちは今その計数整理をやつておりまするが、この面から申しまして、厚生保険の収入等が初めに予定いたしましたよりもどうも少くなるのじやないかというふうに心配されるのでありまして、その数字を一応五十億円くらいと考えておるわけであります。さらにそれに対しまして回収金の運用その他の資金の見積り等につきまして、大体初めの見積りよりも十五億円くらいふえるという部面も考えられますので、彼此勘案いたしますと、原資の部におきまして三十五億円くらい見込みも減ることに改めざるを得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。そこで二十八年度におきましては、資金運用部のほかに、簡易保険その他の会計におきまして運用するものと二口にわかれて来るわけでありますが、便宜両者を合して申し上げますと、御承知のように八百七十億というものを地方債の引受けに予定いたしておつたわけであります。この内訳も、簡保は百八十五億、資金運用部としては七百七十億と考えておりましたが、その後簡保の関係で若干入れかえがございまして、簡保の方が百九十億、資金運用部の方が七百九十五億というような内部のやりくりは起るかと思います。そりほかの資金等に考えまして、今申しましたように二十億くらいのものが二十七年度から繰越しで減つておる。それからまた二十八年度の見込みといたしまして三十五億の資金がどうも集まらない。かように考えますと、両者を合して五十億円を越えますものが少くなつて来る。いわゆる運用できる金が少くなつて来る、かような状況が危惧せられるわけであります。  それから二十八年度におきましていろいろ運用計画を立てるにつきまして、二十八年度の初めの予算案の考え方といたしましては、先ほど申しました余裕金約百二十八億をこの年度中に食うということを考えておつたわけであります。それからその持つておりまする国債を売り払いますものが百八十一億予定せられておつたわけであります。すなわちこの二つを合せますと大体三百億を越えるのでございます。そのほかに、持つている国債で二十八年度中に償還期限が到来しまして、その償還せられた資金をさらに国債に投資することなく、そのまま使つてしまうという数字が二十一億ほどございます。従つてかれこれ申しまして三百三十億くらいの資金を食つて行く、こういうことでいろいろな計画を立てているわけであります。  こういうふうな状況で推移いたしますると、資金運用部といたしましては、原資が思う通りつて来ないという面、それから過去の蓄積を食つて参りますけれども、その過去の蓄積の大部分は本年食つてしまうという状況でありますので、これから先どういうふうにこの運営をして行くかということにつきまして、私たちといたしては非常に心配いたしておるわけでございます。  なお地方財政に関連いたしまして、二十八年度の初期、すなわち、年度の初めにおきましては、資金運用部といたしましては、ほかには何も金を使つておりませんけれども、御承知のように、地方団体手元が苦しいものでありますから、一時的に苦しいところをカバーするために、短期融資というものをいたしておるのでございます。この額は、大体この四月、五月におきまして百五十億近いものをすでに出しておるわけでございます。六月におきましても十億ほど出すことを予定いたしております。他方におきまして、地方債の起債前貸しという形におきまして、三十億出しまして、大体これらで六月までに二百億見当の金が、地方に短期資金とし、あるいは地方債前貸しという形で出そう、かような計画を持つておるわけであります。そこで、問題になりまするのは、今までの計画通り参りますと、二十八年度末におきまして繰越されるところの原資は、この前ここでお話がありまして、九十億ということに一応減らされたわけでありますが、この九十億というもので推移いたしました場合に、二十九年度の初めにおきまして、地方団体の要求するところの短期融資をいかにしてまかなうか、かような問題もあるのでありまして、資金運用部資金を預つております者といたしましては、それをどう調整するかにつきまして、目下非常に頭を悩ましている、かようなことが、率直に申し上げまして、その事情であります。おわかりにくい点があつたかと思いますけれども、率直に、かつできるだけ簡単に申し上げますると、資金運用部の実情はさように相なつておる次第でございます。
  41. 門司亮

    門司委員 今の最後のお話の短期融資と、それから前貸しと、六月分に予定されているものを合せると、大体二百億くらいの数字ですが、これを今度の二十八年度の本予算の計画、起債の増額の中に織り込まれるものと解釈してよろしゆうございますか。
  42. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 ただいま御指摘の二百億ばかり、厳密に申しますと百九十億になるわけでありますが、先般提出いたしました四月、五月、六月の地方財政収支計画によりますると、三十億が長期債ということになつております。百六十億がいわゆる短期融資であります。この三十億の分は、年間を通じての全体計画をつくります際には、もちろんその中に全部入つて行く、こういう見込みであります。
  43. 門司亮

    門司委員 そういたしますと、ことしの二十八年度予算の中で、すでにここに三十億だけを差引きまして、あとの短期融資の四月、五月分の百五十億と、六月の千億、百六十億の金は当然今度計画の中に入るわけですね。もしこれが入るということになつて参りますと、現在の地方赤字状態と、さらに二十八年度財政計画の中に、私は非常に大きなギヤツプがまたできて来はしないかと考えるのであります。それはもしこの百六十億の金を入れて来るということになつて参りますと、これは表面から見ますと、当然四月、五月、六月分のものでありますから、これは地方から出ない。中央で本予算が組まれていないので、それらのいろいろなものをカバーするために出ししたと、こういうことになると思いますが、実際上の問題としては、本予算の組まれないことのために、地方では十分の予算編成ができなかつたのではないかというように考えられる。従つて予算編成の困難であつた場合に、政府責任おいでこれを何とか始末しなければならないと考えておりますが、そういたしますと、この百六十億というものを、大蔵省の方としては、これを長期の起債に切りかえることができるかどうか。
  44. 石田正

    ○石田政府委員 短期債の問題でございますが、大蔵省資金運用部といたしましては、地方財政の実際の収支の問題が、年度初めにおきますところの支出をまかなうために、年度初めには収入が少いものでありますので、その間にギヤツプを生ずる。年度間を通じましてはかりにバランスするにいたしましても、年度の初めにおきましては、収入の方が支出よりも少いというのが、従来の慣例でございますので、それをカバーするという意味で、資金運用部は短期融資をいたしておるわけであります。この短期融資といいますのは、大体三箇月でございまして、切りかえもございますけれども年度が終りますまでには、必ず回収するということで資金運用部としてはいたしておるわけであります。従いまして、これはいわゆる短期のつなぎ資金でございまして、地方債の八百七十億とか七百七十億とかいう数字資金運用部といたしまして先ほど申し上げましたが、それに入るのではなくて年度が終るまでには返済していただかないと、資金運用部としては運用ができなくなるというような性質のものでございます。
  45. 門司亮

    門司委員 理財局としてはそういう解釈であると私は思いますが、しかしさつき申し上げましたように、今度のこの短期債というものは、私は必ずしも従来の観念で物を考えているようなことがあつてはならないと思います。従来からこういうことはしばしばあるわけでありまして、何も事新しいわけではありませんが、今度の問題は、やはり短期債で間に合せるということが、従来の短期債で間に合せることとは、少しわけの違つた関係を地方に持つて参りはしないかということであります。これは御承知のように地方自治体が何も仕事をしなければそれでいいのでありますが、当然長期の起債で仕事をなし得る、いろいろな学校の建築とかなんとかいうことがあると思う。それらの問題につきましても、ちようど予算が組まれているなら、これは一応予算面からだけ申しますならば、長期債その他で十分まかなえるのであるが、実際の問題としては予算が不成立に終つておりますので、この金は出すわけにはいかない。そうすると、どうしても地方としてはつなぎ資金がよけいいるという関係ができて来ていると思う。そうでなければ地方の三箇月、あるいはこの次は七月になるでしようが、七月までの四箇月分の資金のやり繰りが困難になつて来る。やはり必然的に今度の百九十億というものがかりに出されておるといたしましても、これは大蔵省としては従来の観念で単なるつなぎ資金という考え方では、地方としては困ると思う。やはり当然これには本予算が組まれておればいいのであるが、組まれないことのために特にやはり地方々々の公共団体で、いわゆる立てかえのような形で支出をするようなものになりはしないか。立てかえる金があればいいのであるが、立てかえる金がなければ、やはりこれを短期債か何かで補つて行くということで、従来のつなぎ資金の性質とは私は多少異なつたものがありはしないかと考える。従つてさつきのような質問をしたのでありますが、この点について理財局としてはどうお考えになりますか。
  46. 石田正

    ○石田政府委員 私説明申し上げました点は、二つの側面がございまして、あるいは私の申し上げます趣旨がよく徹底しなかつたかと思われる点がございますので、多少繰返しになるかと思いますが、その点御了承願いたいと思うのであります。資金運用部といたしましては、本年度は例年と違いまして、国の予算も組まれず、従つてまた地方財政といたしましても、年度計画をお立てになるのに、非常に御苦心があつたかと思うのであります。と同時に、今もお話がございましたように、普通の都市以上に短期融資をしなければやれないであろう、こういうような面もあつたかと思うのであります。それらを勘案いたしまして、私たちはできるだけ資金運用部の資金の許します限りにおいて、短期融資をよけい実行いたしたい。例年よりもよけい実行いたしたい、こういうような心構えで実行に当るわけでございます。なお四、五月分の暫定予算を出しましたときに、これは御承知かと思いますが、調整資金として百六十七億というような数字になつてつたのであります。大体資金運用部といたしましては、相当額の手持ちの資金を持つていなければならないのでございますが、地方の本年の実情にかんがみまして、できるだけよけい短期債を、先ほど申しましたようなぐあいに百五十億近いものを四、五月分といたしまして出したわけでございます。もう一つの観点は、今年の例外的な事情でなく、地方財政がちやんと行つておりましても、年度の初めにおきましてある程度短期融資をしなければならないということは、これは大体例年続く現象ではないかと思います。たとえて申しますると、昭和二十七年度におきましても、四月には七十二億ほどの短期融資を実行いたしております。五月になりましてさらに六十七億いたしまして、大体百四十億くらいの短期融資を実行いたしたわけでございます。今年はでき得るならばもう少しよけいやりたいような気持も、実は率直に申しましてあつたわけでございますが、資金実情は先ほど御説明申しました通りでございますので、一応百五十億、六月になりましてさらに十億をいたしたい、かように考えておる次第でございます。なおもう一つの点は、二十八年度におきましても、やはりそういうことを頭におきまして、二十八年度の計画自体をやりませんと、二十九年度の初めになりまして非常に困つた事態が起るのではないか、それを心配するということを申し上げたかつたわけでございます。
  47. 門司亮

    門司委員 次に聞いておきたいと思いますことは、例の郵政省に渡しました簡易保険ですが、今百八十五億ですか、これは大体全額でございますか。
  48. 石田正

    ○石田政府委員 これは御承知通りに、今の法律におきましては、二十七年度の簡易保険の積立金になりました分の半額だけを簡保の方に運用するようになつている。これは大体一番初めの予想では三百七十億というふうに予想しておりましたので、その三百七十億円の半分でございますので百八十五億という数字が出たわけです。簡保の方におきましてその百八十五億をもつて行つて資金運用部から金を出してお使いになると、それだけのものが資金運用部の方の金がなくなるので、三百七十億からそれだけ引いたものしか運用できない、かように考えております。
  49. 門司亮

    門司委員 今のお話でありますが、これは両方にわける場合にも非常に問題になつた点でありますが、簡易保険の問題について大蔵省は百八十五億円、半額だけについて責任を持つのでありますが、残りの半額については大蔵省は全然タツチしないで、郵政省の任意にほんとうにまかしたのですか。
  50. 石田正

    ○石田政府委員 大体従来の例から申しまして、各年度におきますところの積立金、これが手続上、行政上確定いたしますのは五月末に行う予定になつてつたわけでございます。従いまして私どもの方といたしましては五月末になりますので、ちよつと六月は無理ではないだろうか、従つて七月以降についてよく御相談をいたしたい、かように思つてつたわけでございます。ところがこれは何も五月末にしなければならないのではなくて、実際問題として五月末に例年やつてつたわけでございまして、四月の末に簡易保険の方といたしましては積立金の計算を確定いたしまして、従いまして早く運用いたしたいというようなお申出がございます。この問題につきましてはできるだけ早い機会に両者協議をいたしまして、地方団体に御迷惑がかからないように話をつけまして出したい、かように考えておる次第でございます。
  51. 門司亮

    門司委員 今のお話は迷惑をかけないというお話でありましたが、私率直に聞いておきますが、大蔵省としてはこういうものの地方に対すること等については、郵政省に対してもあまり干渉しない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  52. 石田正

    ○石田政府委員 これは郵政省におきまして運用されているものでございますが、しかし資金運用部におきましてもやはり地方団体を相手に融資をしなければならないわけであります。それらのものが競合いたしましてまずい結果になつて、ダブつて出すとか、あるいは両方でめんどうを見ないということが起りましても困りますので、その点は干渉といいますると語弊がありまするけれども、よく話合いを大蔵省としてつけまして、円滑に進ませたい、かように考えているわけであります。
  53. 門司亮

    門司委員 その問題ですが、これは例の郵政省にこれを渡す渡さぬのときにも非常に問題が起つた一つ原因ですが、今のお話のようにダブつてつたり、あるいはへんぱなことがあつては困るから、話合いだというのならば話はわかりいいのですが、大蔵省はある程度やかましいことを言つているのではないかという気がするのですが、ほんとうにそういうことはないのですか。ただ事務上の連絡だけであつて大蔵省財政の関係から、向うにまかしているとは言つておるのが、実際そういうものについてこうしてもらいたい、ああしてもらいたいというような注文等をつけているようなことはほんとうにないのですか。
  54. 石田正

    ○石田政府委員 これは大蔵省と郵政省におきましているいう性格の違う点もございますし、実際の面におきまして職分等も違いますので、そのような点をよく考えまして、そうしてこれは郵政省の方から百八十五億出すということは法律できまつていることでありますから、ただその実行上において性質上できるだけ能率的に行きまして、しかも地方団体に対して御米惑を及ぼさぬように処置したい、かように考えておる次第であります。
  55. 門司亮

    門司委員 もう一つここに聞いておきたいことがあります。話はそういうことですが、地方公共団体といたしましては、問題は、二本建になつていることのために、一応郵政省に伺いを立てる。さらにそれが両方の話合いだということで、大蔵省にも一応そういう伺いを立てる。もう一つは、一方に出してさらに一方の郵政省にかりに申請をする。そうすると郵政省の方ではその問題についていろいろなことで十分のまかないができなかつた。さらにこれを大蔵省に出した場合に、一本であれば、地方公共団体としては一箇所で済むものが、現状では大体二箇所に、大蔵省と郵政省の両方に何か了解を得なければほんとうに求められないというような不便があるということを聞いているのですが、実際そういうことをやつておりますか。
  56. 石田正

    ○石田政府委員 その問題につきましては、先ほど申し上げましたようなぐあいで、まだ本格的に実行してないわけであります。これからそういう問題が起つて来るのではないかと心配するのでありまして、今お話がありましたように二つの省の間を角逐されて、そのために地方団体が御迷惑をこうむるということはできるだけ避けたいのです。そういうことについて事務的にどういうふうにしたらうまく行くだろうかということについてとくと御相談して、御迷惑のかからないようにいたしたい、かように考えている次第であります。
  57. 門司亮

    門司委員 それでは私どもの希望といたしましては、そういう問題については、やはりこの前のときにお話をいたしましたように、大蔵省はタツチしないで、この事業は本来簡易保険のできましたときの性質にもどつて、当然郵政省なら郵政省が一本でこれを取扱うことが望ましい形だと思つておりまするが、これについてこの前の議会でしたか問題になりまして、大蔵省がなかなかこれを放すことをきらつてつて、とうとう折衷案にたようなものが出て、今のように両方に迷惑をかけはしないかというようなことになつているのでありますが、そういたしますと、最後に私聞いておきたいと思いますことは、現在の運用部の資金の貸し出されておりまする全体の状態がどうなつているかということがおわかりになりますか。
  58. 石田正

    ○石田政府委員 今ここに手元にありますのは、四月三十日現在の数字で、五月末日はまだ計数が出ておりませんので、四月末日現在の数字をもつて運用の状況を申し上げます。大体四月末口におきますところの数字は、長期国頂が四百四十三億円、短期証券が百四十八億円、一般会計及び特別会計に対します貸付が二百六億円、政府関係機関に対します貸付が八百三十一億円、それから地方団体関係の貸付金でございますが、これが二千四百二十二億円、それから金融債が八百六十八億円、その他いろいろなこまかい数字がございますが、大きなものはそういうふうになつておる次第でございます。なおつけ加えまして申し上げますが短期国債と申しまするのは、これは短期証券でありまして、一時の余裕金を運用しておりまして、いわゆる現金に準ずるものと御了承を願いたいと思います。
  59. 門司亮

    門司委員 それから問題になりますのは最後の八百六十八億の金融債でありますが、これは主としてどういう方面に出ておりますか。
  60. 石田正

    ○石田政府委員 金融債は、従来勧業銀行が長期資金を取扱つておりまする場合は、勧銀の債券を引受けております。これは現在では、これから先は行わないわけでありまして、これはあとで申しまするところの日本長期信用銀行の方へかわつて来るわけであります。それから興業銀行債券、北海道拓殖銀行の債券、それから農林中央金庫の出しますところの債券、それから商工中金の出しまするところの債券、それから長期信用銀行の出しまするところの債券というふうなぐあいになつておるわけであります。この中で大きなものといたしましては、さきの八百三十一億円の中におきまして、勧業銀行の債券が二百十三億円、これは多少、今申しました八百六十八億円との間には一月のずれがあります。今のは三月の末として御了承を願いたいと思うのでありますが、勧業債券が二百十三億円、それから興業債券の四百十億円、それから農林中央金庫が約八十億円、それから商工債券は六十七億円というようなぐあいになつておるわけであります。なお申し落しましたが、北海道拓殖債券は二十億円でございます。
  61. 門司亮

    門司委員 それでわれわれが考えますのは、今の地方財政においては起債その他の問題で非常に困つておりまして、独立の起債を許すといいましても、今のような地方財政状態では、独自の起債というものはなかなか困難であります。銀行は言うことを聞いてくれない。はなはだしい場合になりますと、——これは名前を言つてもいいのでありますが、市の名誉のために名前は言わない方がいいと思いますが、ある市になりますと金がないので、短期を借りるのだが、市長さんの個人保証でなければ借りられないということになつておりまして、地方自治体の信用がまつたくなくなつておる。そういうふうに、かりに自治体起債を許すといいましても、大都市は多少ゆとりはあるものと思いますが、小さな都市に至つては、都市自体の単独の起債は、なんといつてもなかなか困難と思います。従つてどうしても政府のこうした資金部の運用資金等が流用されることが私はいいと思いますが、それについて約八百六十八億といいますか、金融債のようなものについては、政府がこれを大体地方債に振りかえて行くというような御意思はないものですか。
  62. 石田正

    ○石田政府委員 この金融債の問題につきましては、これは今お話がございましたように、地方団体がなかなか資金調達ができないということはその通りであろうと思います。またこれらの金融債は、御承知通り、電源開発でありますとか、あるいは造船でありますとか、そういうふうな資金を供給するために発行いたしてあります。その発行いたしますのに、資金運用部に持たせまする分と、一般市中からの調達する分と両方あるわけであります。ここであげました数字資金運用部の引受けました分でございますが、このほかに銀行方面におきましてそういうものを引受けておる。そういうふうな金融機関の分をどんどんふやしまして、そうして資金運用部としてはこういうものは引受けないという方に行つたらどうか、こういう御趣旨ではないかと思います。金融債につきましても現在銀行方面におきまして、なかなか引受けがうまく行われないというような事情でありまして、これにつきましては、いろいろ折衝しつつやつ薫るというのが実情でございます。その方面にも難関があるのでございまして、資金運用部か引受けておるから銀行方面も引受けるという部面も相当多いわけであります。もし資金運用部でこれを引受けないという場合になりますと、実際問題として銀行の方面も出さないというような場面も起つて来るという問題もありまして、今の実情といたしまして、ただちに金融債の方をやめて、そうして地方債の方を引受けるということは、電源開発なり造船なりの方面が進まないということになりますので、なかなか困難ではないか患う次第であります。
  63. 門司亮

    門司委員 そのほかの国債その他の関係でありますが、これはついでだから申し上げておきますが、資金運用部資金の構成をなしておるものを費目別に、たとえば簡易保険が一体どうなつておるか、郵便貯金、厚生年金がどうなつておるかということを、あとでひとつ知らせてもらいたいと思います。と同時に申し上げておきたいと思いますことは、これらのものはいずれも国民のきわめて零細なものが蓄積されたものでありまして、これらがやはり金融債その他の形で産業資金にまわるということは、私はあまりいい考え方ではないと考える。少くとも国民大衆の持つておりますそうした一つの経済力というものは、やはり地方自治体その他にこれが還元されて、住民の生活を幸福にすることのために、直接これか使用される形をとつて行くことが望ましいのではないか、やはり今日の資本主義の社会の制度のもとにおいて、これらの金が産業資金にまわつて行くということについては、私は広い意味での公益という点からいえば、電源開発その他について言えるかもしれませんが、しかしこれは一つの営利事業であることには間違いありません。それらのものにこれらの金が使われるということは、実際はあまり感心したものではないようにわれわれにも考えられるのであります。従つてただいま申しましたような質問をしたのでありますが、当局意見がそうであれば、私それ以上追究はいたしませんが、さつき申し上げましたようにひとつ厚生年金あるいは郵便貯金あるいは簡易保険その他のものの内訳を、この際できればお示し願いたい。
  64. 石田正

    ○石田政府委員 これも先ほど申しましたようなぐあいに、四月三十日の現在におきますところの数字といたしまして申し上げます。郵便貯金及び郵便振替貯金が二千七百三億でございます。それから簡易生命及び郵便年金の預託金が千二十億円と相なつております。厚生保険関係の預託金が六百六十三億と相なつております。なお資金運用部には、他の特別会計におきまして余裕金がありました場合に預託するのでございますが、これは四百三十七億円というふうな数字になつております。あとたくさんございますが、こまかい数字でございますので、大体のところは、全体のトータルといたしまして四千九百八十二億円のうち、おもな項目は今申し上げました数字になつておる次第でございます。
  65. 門司亮

    門司委員 理財局長にこれ以上私は聞くことはどうかと思います。これはぜひ大臣か次官に聞きたいと思いますが、ただ理財局長に気持だけを聞いておきたいと思います。今まで私の聞きましたことで、大体様子は一応わかつたのでありますが、今地方公共団体赤字を解消しようとすれば、結局やはり五百億ぐらいの金が私はいると思う。それらの問題を解決しないでおりますと、これはいつまでたつて地方公共団体というものは、実際の財政の自立は困難になつて来る。それはたとい二十八年度以降において赤字が出ないような予算を組むということが仮定いたされましても、従来の借金をそれだけ背負つておりますので、なかなか地方公共団体というものは困難であろう。政府がこの借金の利子だけでもめんどうを見てくれる、あるいはあとは長期債に切りかえてくれるということなら別でありますが、なかなかそういうことは政府はやらぬでしようから非常に困難でございます。そういう状態地方赤字を解消することのために、どのくらいの預金部資金運営ができるか。そういう一つの見通しでありますが、もしあなたの方で御答弁ができるならお願いしておきたいと思います。
  66. 石田正

    ○石田政府委員 これは一番劈頭に申し上げましたようなぐあいに、資金運用部の実情からいたしますると、今のお話の資金を調達するということは、ほとんど不可能に近いという事情になつておると申し上げるより、私の立場としては遺憾ながらお答えのできないような実情になつておる次第でございます。
  67. 大石ヨシエ

    大石委員 ちよつと大蔵省の方にお伺いしたいのでございます。私はなはだ身がつてなことを申し上げますが、四大軍港の人から陳情を受けたのです。それは今利用しておる倉庫、いわゆる元の軍の倉庫です。その他軍のもので会社が今使用しておる値段が約三倍方上る、それを払わなかつたらただちに強制執行をするということを言つていらつしやいますので、非常に困つておるという陳情を受けたのでございますが、あなたがその点についてお知りの点を、ちよつと私に知らせていただきたいと思うのでございます。
  68. 石田正

    ○石田政府委員 今お話のありました点は、軍用倉庫でございますか。それが現在といたしまして国有財産になつておりますその国有財産の貸料の問題でございますか。
  69. 大石ヨシエ

    大石委員 そうです。
  70. 石田正

    ○石田政府委員 この問題につきましては、実は大蔵省の中に管財局という別の局がありまして、そちらの方でやつておりまして、私そういうことを存じませんので、ここで御答弁できないのですが、御了承を願いたいと思います。必要に応じまして所管の方に連絡しておきます。
  71. 大石ヨシエ

    大石委員 それでは相済みませんけれども、十五日までにその材料を私に提供していただきたいと思います。いかがなものでございましよう。
  72. 石田正

    ○石田政府委員 管財局の方に御希望の点を伝えておきます。
  73. 北山愛郎

    ○北山委員 公募地方債に百八十億予定されておつたはずですが、このことについていろいろなことを聞くのですが、やはりその計画の通りに公募地方債を許すという方針でおるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  74. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 さきの国会に提出して御審議を願いました二十八年度財政計画におきましては、御指摘の通り百八十億の公募債を予定いたしておつたのでございますが、その計画がこれから作成をいたします本予算を中心とする計画におきましてどのようになりますか、ただいま検討中でございますので、数字的には申し上げかねます。
  75. 門司亮

    門司委員 この際委員長お願いしておきますが、今資金運用部資金について理財局長説明で大体内容は概略だけはわかつた気がするのです。この中で地方債それから赤字の解消等について、全然見込みがないという話のように聞こえますが、これではちよつとぐあいが悪いのであつて、われわれはこの中を検討いたしますと、たとえば長期国債に切りかえられておる、あるいは短期国債に切りかえられているようなものについては、何かなるのではないかと思いますが、この辺についてはやはり大蔵大臣か次官のような責任のある人に来てもらつて、よく打合せをしたいと思うのであります。こういうような場合に、数字のつじつまだけで答弁されてもなかなか話は進まず、政治問題の解決にはならぬと思います。具体的のたとえば百四十八億にするか——この短期国債というようなものについてもこれはどうしても片方が困るということになれば、あるいは運用ができるのではないかというようなことが考えられる、その点についてひとつ委員長に御配慮を願いたいと思います。
  76. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま門司委員からおつしやいましたごとく、資金運用部資金、これは郵政省の所管を加えまして総額が相当大きいのでありまして、先ほど理財局長は、地方団体に融資する八百億内外の資金の分について主として論ぜられまして、それで明年度はこれ以上ふやすことはできないという言明でございますけれども、何がゆえに郵便貯金とか簡易保険とか、その他の地方の零細な資金を吸収したその資金地方に還元できないのか。大企業等の資金にそれを優先的に使わなければならぬということがさつぱり納得できない。地方団体が機能を停止してしまえば国政の運用はできなくなる。今や地方団体財政難のために機能を停止する直前にあるのが実情であります。大蔵省としてはそれに対する認識が、非常に不十分だということを感ずるのであります。そういう点につきまして法律か何かがあつて、もう地方債優先ということができない実情にあるのか、また政府の方針として特に地方債充当資金を冷遇しなければならない理由があるのか、そういうところを率直にこの際局長からお話を願つて納得させていただきたいと思います。
  77. 石田正

    ○石田政府委員 お話の前段でございますが、資金運用部資金地方団体にこれ以上出すについて、法律上制限があるかという点につきましては、法律上の制限はないと私は思います。  それから第二の点でございますが、これは政府予算編成いたします場合に財政投融資と申しますか、そういうことを考える。これは一般会計におきまして、総額としてどのくらい出すか。それからまた今までは見返り資金というのがありましたが、この間の二十八年度予算通りましたならば、おそらく投資特別会計というものができたと思うのでございますが、その方面においてどれだけの資金が出せるということが出て来る。それで資金運用部といたしましては、全体としてどのくらいの資金を、財政投融資に出すか、かような数字が出るわけであります。それを閣議等におきまして、どういうふうに配分するか、これにはいろいろたくさんの需要先があるわけでありますが、それによつてきまるというのが実情であります。そのようなことによつて御了承を願います。
  78. 加藤精三

    加藤(精)委員 まつたくこの法律的の制限も資金の割当についてなくて、閣議の裁量だということがわかりましたので、それならばなおのこと、ただいま門司さんの出されました御意見賛成でございますので、大蔵省の首脳部を入れて、その席には理財局長さんもその方面の資料を握つている専門家としてお立会いいただいて、十分御相談をさせていただきたい。場合によつては速記を停止して懇談会で、十分心行くまでわれわれの主張も聞いていただき、また大蔵省のお立場も伺いたいと思います。できればその席には地方自治庁の長官もお立会い願いたいと思います。
  79. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。  ついては議事の進行について、ちよつと懇談をいたしたいと思います。ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  80. 中井一夫

    中井委員長 それでは速記を始めてください。  大蔵当局との折衝につきましては、委員会全体の御趣旨に従いまして理事の諸君全部と委員長が加わり、適当な機会に折衝を開始することにいたしたい、かように考えますが、御異議ございませんか。
  81. 大石ヨシエ

    大石委員 異議あります。そこに政務次官を入れてちようだい。
  82. 中井一夫

    中井委員長 わかりましたが、政務次官は政府の役人で、委員会ではございませんから……。
  83. 大石ヨシエ

    大石委員 それでも入れてちようだい。
  84. 中井一夫

    中井委員長 そういう趣旨におきまして、大石さんの御趣旨も参酌してぜひ加わつてもらうことにいたしましよう。それではそういうことに決定して別に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 中井一夫

    中井委員長 さよう決定いたします。  それでは委員会はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつて申し上げることにいたします。     午後三時五十三分散会