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1953-10-09 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月九日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 宇都宮徳馬君 理事 坊  秀男君    理事 久保田鶴松君 理事 春日 一幸君       有田 二郎君    大平 正芳君       黒金 泰美君    小西 寅松君       小山倉之助君    鈴木 幹雄君       小川 豊明君    井上 良二君       福田 赳夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         参  考  人         (社団法人東京         銀行協会常務理         事)      水田 直昌君         参  考  人         (全国信用金庫         協会常務理事) 安武 善藏君         参  考  人         (東京信用組         合協会会長)  佐々田三郎君         参  考  人         (中小企業連盟         理事)     遠藤九十九君         参  考  人         (茨城県相互金         融協会理事)  金塚  孝君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十月九日  委員和精一君及び齋藤憲三君辞任につき、そ  の補欠として小西寅松君及び鈴木幹雄君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業金融に関する件  参考人より意見聴取の件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日はまず金融に関する件を議題といたします。本件に関しましては、中小企業金融の問題につきまして、参考人の御意見を求めておりますので、まず参考人方々から、本問題について御意見を拝聴いたしたいと存じます。  なお本日御出席参考人方々は、お手元に配付してある印刷物の通りでありまして、参考人方々におかせられましては、本問題について忌憚のない御意見の開陳をお願いいたしたいと存じます。それから時間の関係上、御一人の発言時間は約十五分間といたしたいと存じます。なお質疑は最後に一括して行いたいと存じまするので、この点御了承を願います。  なお参考人のほかに、本日は銀行局長中小企業金融公庫坂口総裁、並びに中野理事出席しております。なお後刻中小企業庁長官もお見えになるはずであります。  それでは最初に社団法人銀行協会常務理事水田さんにお願いいたします。
  3. 水田直昌

    水田参考人 東京銀行協会会長千金良頭取は急にやむを得ないさしつかえがございまして、手前東京銀行協会常務理事といたしまして、代理出席いたした次第でございます。  先般国会を通過いたされました中小企業金融公庫の問題につきまして、その附帯決議として、都市銀行の十一並びに信託銀行六行、そのほか日本勧業銀行日本長期信用銀行、合せまして十九行が今度の金融公庫の金の代理貸しを差控えるように、こういう附帯決議でございます。いろいろ理由なり御事情のあることとは存じまするが、その点につきまして、これは中小企業者のために何らか緩和措置をおとり願うことができないものであろうかというので、先般東京銀行協会長の名におきまして通産大蔵両大臣並びに国会通産委員会大蔵委員会に対しまして、御緩和方をお願いするということを書面でお願いいたしたわけでございます。それで今日は、ただいま中小企業金融公庫扱いを遠慮するようにということの決議になりました銀行が取扱つておりまするところの中小企業に対する金融の比重、全金融機関ではどのくらい扱つておるかという点、ことにこれらはいわゆる都市銀行でありますので、代表的な大きな都市におきまして、どれくらい中小金融に対して集中的に扱つておるかというような点を、数字につきましてお話申し上げまして、もしこのお取扱い緩和されない場合には、中小企業者として不便を非常にこうむるであろうということを懸念いたす次第であるということを御了承願いたいと思うのでございます。計数にわたりまして、はなはだくだくだしくなりますが、お手元にA、Bというのを差上げております。中小企業金融融資に関する参考資料としまして、これは日本銀行でこしらえておる資料とつたのでございますが、Aにおきまして、大体資本金一千万円以下の企業、これが大体いわゆる中小企業というふうな扱いにみななつております。昨年までは三百万円未満というのがいわゆる中小企業というようなことの扱いになつておりましたが、その数字をとつてみますると、大体全国銀行で、ことしの三月末現在におきまして、資本金一千万円未満のものに対する貸出しが八千百三十七億、約八千百余億ということになつております。そのうちで都市銀行、これは十一の銀行でございまして、三菱、富士、第一、帝国、住友、三和、大和、神戸東海等、こういうような銀行十一銀行でありますが、それの扱つておりまするのが三千八百九十三億、パ—センテージにしまして四七・八%で、その他が五二・二%ということになつております。このその他のうちには、このたび除外されました勧業銀行及び信託銀行も含まれておりまするが、これは統計のとり方がそういうことになつておりまするので、その分を上の方に加えますると、およそ五〇%くらいになろうかと存じます。ところがこの都市銀行は、やはり都市に集中いたしております。これはあとで店舗数などについて御説明申し上げまするが、都市に集中いたしておりますので、東京都だけをとつてみますると、一千万円以下に対する貸出の割合が七七・三%、これに勧業銀行などを加えますると、およそ八〇%前後になるのでございます。大阪府、愛知県、こうなりますると、ますます。パーセンテージは多くなりまして、今回非常な災害のございました愛知県などは、これは東海銀行が非常に銀行の網がございまする関係もありまして、愛知県になりまするとおよそ九十二、三パーセントというのが一千万円未満業者に対する貸出しと、こういう数字に相なつておるのでございます。全体の数字協会としてまとまりませんでしたが、いわゆる三百万円——これは千万円というのは大き過ぎるじやないかというふうな観念も一面ございますので、われわれの方でとりあえず、地方はわかりませんが、中央だけで三百万円未満企業への分について調べてみました場合において、その次のページにございまするが、やはりパーセンテージとしましては、前と大した相違はないのでございます。全体で五千七百七十九億、そのうちで都市銀行が大体四十三、四パーセント、これに勧業銀行を入れますると大体四六%ぐらいになります。東京におきましては、やはり千万円の場合と同じように、割合としましては八割前後を、三百万円未満をとつて計算しましても融通をしておるということに相なつておるのでございます。これは、今除外されまする銀行は非常に都市に集中いたしておりまするので、たとえば店舗など申し上げましても、東京、横浜、名古屋、大阪神戸、福岡、この六大都市におきまして、この十一銀行勧業銀行とを合せまして、全体で店舗が本支店合せまして約九百ぐらいございますが、その他銀行全体といたしまして千百二十と、店舗数も約八割以上、九割前後というものがこの都市に集中しており、自然この都市における中小企業者に対する金融というものは、この都市銀行相当集中いたしておるというふうに考えてよかろうかと存ずるのでございます。なお今まで開発銀行で取扱つておられました資金が、今度中小企業金融公庫肩がわりになるようでございます。その開発銀行中小企業貸付につきまして、扱つておるのを見まするというと、第三表にございまするが、附帯決議によつて除外された機関取扱いが、全体としまして三四%ということに相なつておるのでありまして、これらの点から見ましても、都会地における中小企業者といつたものが今度の措置から相当除外されており、金融機関に依存しており、そちらでもつて資金の道をつけられておるということを御了解願えるかと存ずるのであります。もつともこの都市銀行は、大企業というものにどうしても事柄の性質上そちらの方に力を入れ、中心になる、これは銀行の本質としましてまぬがれないところでありまするが、しかし中小企業というものは日本産業のよつて立つ基盤であり、都市銀行といえどもこの中小企業に対しては相当にカこぶを入れなければならないことで、昭和二十五年に大蔵省の認可を得まして、中小企業だけの金融専門店舗というのを設けまして、今日七つの都会におきまして、全体で八十前後の中小企業だけに貸出しを行うということを専門に扱う店舗も設けまして、政府資金をそれらの店舗において扱わしていただいておるということに相なつておるのでございます。この中小企業金融店舗取扱いにつきましては、中小企業者からいろいろ改善方についての御要望もあり、都市銀行といたしましては、それらの改善につきまして常に意を用いているところでございます。なおこの都市銀行といたしましては、信用長期に与えることを本旨といたしておりませんで、大体預金にいたしましても、最も長い預金は一年、いわゆる定期預金の最も長い一年でございまして、建前としまして運転資金融通する、中小企業に対しましても、主として運転資金を供給することを建前といたしております。従いまして中小企業金融店舗におきましても、期限は、原則としては一年未満運転資金ということに相なつておるのでございます。従いまして、長期の金というのは、この政府から出まするところの資金というものは、これは二年、三年というふうに都市銀行としては扱います。なお、しかしながら中小企業に対しては特に心配りをする必要があるという見地から、この第三・四半期の政府資金撒布超過になる、それに応じて日本銀行高率適用をさらに強化する、市中銀行も貸出しについては十分自主的に融資規制を励行するのがいいじやないかという考えのもとに、先般、自主的に資金融通については規制をしよう、大きな企業に対する設備資金及び運転資金の出し方についても、さらに一段と引締めなければならぬということの決議銀行協会としていたしたわけでございますが、その際にも、中小企業に対する運転資金はもちろんのこと、設備資金といえども中小企業についてはやはり引締めの例外して取扱うべきであるというような決議も盛り込んでおる次第でありまして、中小企業に対しましては、都市銀行も常に関心を持ち、応分の貢献をいたしたいと考えておるところでございます。他の金融機関におかれましても、中小企業に御専念で御貢献になつております。このたびの中小企業金融公庫資金は、皆様の御配意によりまして相当巨額な資金を割当てられたと考えまするが、まだ全体としましては、これをもつて足れりとしないとわれわれは見るのでございます。それで、他の金融機関に配分になりまするのをこの都市銀行がさらにおわけをいただくということは、まことに心苦しく存ずる次第でございまするが、こういうように国家の資金を扱うことができないということになりますと、迷惑いたしまするのは主として中小企業者であります。しこうして都市銀行としても、ただいま申し上げましたように、中小企業のためにできるだけ心配りしたい、かように考えております気持を御了得いただきまして、この附帯決議の御緩和につきまして御配慮いただければ、仕合せに存ずるところでございます。  なおB表というのを差上げてございます。これも三月末現在の数字でございまするが、大体一千万円以下のいわゆる一般的に中小企業といわれておりまするものに対する貸付は、全体でもつて一兆二千二百億ということになつております。そのうちで銀行が占めておりまするのは、先ほど申し上げましたように日本全体として八千百三十七億、六六%ということになつておるのでございまして、そのうちでいわゆる都市銀行が三二%前後で、信託銀行もある程度それに加わるわけでございます。それから第三表は、都会地における銀行店舗の数を御参考までにあげたわけでございます。  よろしく御了解いただきますようにお願い申し上げます。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 ありがとうございました。  次に、全国信用金庫協会常務理事安武善藏君。
  5. 安武善藏

    安武参考人 ただいま御紹介を受けました全国信用金庫協会安武でございます。  あらためて中小企業金融公庫設立の趣旨について申し上げる必要はありませんが、衆議院におきましてこれを通過いたしました際に附帯決議がございまして、さしあたり三百万円程度貸付を実施するということに相なつておるのでございます。それから類推いたしますれば、広い意味中小企業といううちでも、さしあたつては中なり中以下のところをひとつねらつてやれという意味であるというふうに考えておるわけでございます。そういうふうに考えますと、あらためて信用金庫の対象なり、貸付を実施いたしております実情等については申し上げる必要もないのでございますが、全面的に中小企業の比較的小さい部面について金融を行つておるのでありますので、また地理的に見ましても、銀行さんあるいは相互銀行さんと比べまして、より地方の方に散在をいたしております関係から、こういう公庫のお仕事には信用金庫が一番適当しておるんではないかというふうに私ども考えております。また公庫設立につきましても、全金庫をあげてこれに協力をいたし、また大いに期待をして参つたのでございますが、しかしながら信用金庫のうちで現在代理所として指定を受けておりますのは、わずかに五十二金庫でございます。これは全国信用金庫総数五百六十一の一割にも達しないほんの一部の金庫でございまして、近く新たに追加指定の新計画が進められておるように伺つておるのでございますけれども、これらの新しくできます指定につきましても、仄聞いたしまするところでは、資金量にある程度の線が引かれまして、そうして相当の分量を持つておらなければ、なかなか代理所にはなれないというふうに伺つておるのでございます。従つてどの程度のものがこの次に指定になりますかはわかりませんが、伝えられるところでございますと、従来の五十二金庫を含めまして大体百四、五十というふうにも聞いておるのでございまして、この程度でございますれば、わずかに全金庫の二割弱というふうに相なるのでございます。もちろん公庫といたされましては、銀行なりあるいは相互銀行、あるいは商工中金等もこれが代理所にされるのでございますので、代理所としての店舗の数は相当の数に上ると考えられまして、全国的にごらんになりますと、ある程度店舗網は完成されるというふうにお考えかもしれませんけれども、この銀行なり相互銀行の主たる店舗のありますのは、どうしても大都市なり主要都市に集中されておるのでございます。もちろんその他の地方都市におきましても支店等がございまして、そこもお取扱いになることと思いますけれども、何しろ現在の公庫資本金は非常に小さいので、一代理所に割当てられました資金が末端の店舗まで及ぶということにはなかなか参らないのではないかというふうに考えるのでございます。そうなつて参りますと、地方都市におきましては、せつかく公庫ができましても、どうしてもこれが恩恵に浴することができないということが考えられるのでございまして、そういう点からいたしますれば、地方に散在いたしてその土地に本店を持つておりますところの信用金庫の場合でございますと、その代理所が直接その土地業者融通ができる、こういう利点があるのであります。こういう点から、私どもとしてはぜひとも全部の金庫代理所として活用していただきたいというふうに考えるのでございます。特にこの公庫のできますのにつきましては、業者におきましても非常に期待をいたしておりまして、信用金庫代理所ができるというふうに一般にはなつておりますので、金庫の窓口に日々公庫のことについて問合せが参つたり、あるいはいろいろ申込みをしたりするのでございますけれども、そうした金庫がまだ代理所をやらない、あるいは当分やれそうにないということに相なりますと、金庫としても非常に立場が困りまして、どうもうちの金庫信用がないから指定してくれないのじやないかということのように、逆の結果を来して困るという理事者の苦しい訴えを私どもは聞いておりますので、いろいろ公庫の方にも事情があるかと思いますが、金庫としては、金庫の持つておりますその特色を発揮いたしまして、公庫事業に遺憾なく協力でき得るというふうに思つておりますので、全面的に金庫を御活用願いたいというふうに考える次第でございます。
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、東京都の信用組合協会会長佐々田三郎君にお願いします。
  7. 佐々田三郎

    佐々田参考人 ただいま御紹介を受けました佐々田でございます。私は信用組合を基本にいたしまして皆様意見を申し上げ、また希望を述べ、またお願いをしたいと思います。  中小企業金融というものを考えてみますと、これを人間のからだにたとえてみなれば、ちようど毛細管のような仕事をいたしておるものであります。従つてからだ全体の表面の末梢の毛細管に向つて血液を循環させて行くというこの仕事は、できるだけ広く窓を開いて、まんべんなくそこに血液をまいて行くということが一番大切なことであろうと考えております。その機関としては、信用組合が一番末梢的の仕事をしているのではないかと考えておるのであります。一昨年信用組合が新法律によつてできまして以来、今日まで全国にわたりましてはつきりしたデータがわかりませんが、まず大体三百くらいはできておると思います。今年の八月末には二百七十八でありますが、その後もふえて参つておりますから、おそらくは三百以上に上つておると思います。そうしてこれもこまかいデータは今わかりませんが、おそらくは預金額におきまして、総計すれば二百億以上に達し、貸金もそれに準じて相当ふえておるだろうと思います。そういうふうに最も末梢的な仕事をしておるところに、今度の中小企業金融公庫の方の代理店をなるべくたくさんに窓数を多くさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。しかるにこの中小企業金融公庫代理店指定についての附帯決議に、商工中央金庫の下に「信用協同組合融資を含む」ということをただ括弧内に入れたというだけで、意味がはなはだ不明確でありますが、これをどうか議員の皆さんのおとりはからいによつて、やはり信用組合もほかのものと同様に公庫代理店として指定するということにしていただきたい、そういうふうな解釈にしていただきたいと考えておるのであります。そこでここに常に問題になりますのは、信用金庫信用組合というものがありますが、とにかく信用金庫信用組合は全然同じ仕事をしておるといつてもいいくらいでありますのに、片一方の信用金庫の方は大蔵省管轄であり、そうして歴史も古い、しかるに信用組合歴史が比較的新しく、かつ直接の監督官庁地方庁にある。こういうようなことからして、実際の仕事の上において、とかくそういう点から摩擦の起ることが非常に多いのであります。これは私は根本的に考えれば、法律そのものを何とかかえていただかなければならぬじやないかと思うのでありますが、それはそれといたしまして、今日の場合に、金融公庫代理店をさしていただく上におきましても、もし信用金庫には許されて信用組合には許されないというようなことになりますれば、信用組合は非常に世間に対して信用を失墜するというような結果になることを非常におそれるのであります。でありますから、少くも信用金庫同等の範囲において信用組合にも代理店取扱いを許されるようにということをわれわれは切に希望いたすところであります。実は信用金庫は、員外貯金をとることができるのにかかわらず、信用組合員外貯金をとることができないのであるから、そういう信用金庫の方にはハンディキヤツプがあるのだから、信用組合の方は信用金庫よりももう少し低いところへ線を引いていただいてもよくはないか、こういうことをかねがね実は申しておるのであります。しかしこれに対しては、また反対の御説もあるようでありますから、その点はしいて強く主張するものではありませんが、少くも信用金庫並信用組合の方にも公庫代理店を取扱わせていただくようにおとりはからいを願いたい、こう考えるのであります。大体中小企業金融公庫代理店のことは以上のようでありますが、平素からわれわれが実は少し不満に考えておりますのは、先ほども申し上げましたように、直接の監督官庁信用組合地方庁にあり、信用金庫大蔵省にあるという関係でありましようか、どうかすると、大蔵省方面がわれわれ信用組合に対してはまま子扱いというような気分があるのではないかと、実はややひがみ根性かもしれまけんが、考えておるのでありまして、こういう点も、どうか議員方々の御尽力によりまして、信用組合信用金庫も同じ中小金融の道を進んで行くのでありますから、われわれから言うならば、相提携してなごやかに行きたい、こう思つておるのが、とかく摩擦が起りやすい、これをひとつ大蔵省方面からよく指導し、監督していただく、こういうふうに御尽力を願いたいと思うのであります。  なおついでではありますが、実は信用組合におきましては、業種別信用組合というもの、並びに職域つて信用組合、こういうものがあります。業種別のが東京都内だけでも十くらいあるのであります。しかしこれも非常にきゆうくつに解釈されないで、たとえば繊維業なら繊維専門信用組合と申しましても、それに関連した事業に対しても、やはり融資をするというような関連の仕事がたくさんあるのであります。またその他あるいは畜産にしましても、あるいは燃料にしましても、種類は非常に多いのでありますから、業種別であつても、やはりほかの地域的な信用組合同様に、一定の基準を越したものに対しては代理店となることを許していただきたい。またさらに進んでは職域信用組合に対しても広く御解釈願つて、やはりそういう代理店を営むことができるような道を開いていただきたい、こういうことをお願いいたすのであります。何分現在のところ、中小企業金融公庫資金もそう潤沢ではないのでありますから、いかに門戸を開こうとしてもそれはできないという点もありましようが、この前私がこの席上で申し上げました通り中小企業金融にはもつとたくさんの資金を流すようにしていただきたい。この前申しましたのは、私は国庫の歳入の一割くらいはこの方に出されてもよくはないか。というのはその反面におきまして、はね返りとして税金がやはり国庫なりあるいは地方庁に返つて来るのでありますから、これはもつとたくさんの融資をされてもさしつかえないように思つております。どうか信用組合——一昨年以来の組合でありますが、ただいま申し上げました通り、数においては三百を越え、預金額ももう月々非常に順調に増加して参つておるような、何と申しますか、今朝日の上る勢いとでも申しますか、そういうようにやつて来ておるのでありますから、この場合信用組合を、その信用を失墜することのないように、この伸びて行く芽をつまないように、どうか今度の金融公庫代理店もなるべくたくさんのものに取扱いを許していただくように御尽力のほどを切にお願い申上げて、私の公述を終ります。
  8. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、中小企業団体連盟の理事遠藤九十九君にお願いします。
  9. 遠藤九十九

    ○遠藤参考人 日本中小企業団体連盟の理事の遠藤でございます。実に感慨無量でありまして、しばらく前までは、中小企業というようなものは、ほとんど鼻もひつかけられないという状態でありました。ただ一つ中小企業庁というのがありまして、めんどうを見ている。これが危うく昨年あたり、そういうのはいらぬじやないかというので、通産省のすみの方に持つて行けというような議会の提案までありまして、ようやく懇請して残してもらつたような、こういう状態でありました。最近は中小企業金融公庫という特殊な政府資金を流す細いながらもパイプをつけていただくというようなふうになりまして、われわれ実に感激しております。特に金融機関が、十九大銀行ですか、それが中小企業金融公庫の金はおれたちの方に扱わせろ、こうおつしやつてくださる。その他信用組合信用金庫ども、ぜひわれわれの方も扱いたいとおつしやつてくださるので、まことにありがたいと思つております。ことに中小企業庁あたりは、きようは石井部長も見えておられますが、われわれとはしよつちゆう言い合いをしておりまして、そして何かあるとじきにわれわれはねじ込んで行く。それは結局親のような気持でねじ込んで参るのでありまして、先方様もさるもの、頭からやつつけるということで、実は親身になつてめんどうを見てくださいます。  きようはこの金融公庫のことについて、私たち中小企業者としての意見を申し述べたいと思います。この金庫は、一般の金融機関融通することを困難とするものを融通する、こうおつしやるのでありますが、どこまで困難とするものを融通してくださるかと聞いたところが、私たちは、大体ほかの金融機関が、こんなものをめんどうを見ても、とてもあぶなくてしようがない、これは金が返るか返らないかわからぬ、貸すわけにはいかぬ、しかし本人がこうこうこういうわけでぜひ必要で、その金があれば必ず立ち直つてみせます、こう申し上げても、金融機関は、いやどうもあぶなくて、諸般の事情から見て、お前さんはそう言うけれども貸すわけにはいかぬ、そこでその企業者は倒れてしまう。それを救つてくれるのかと思つたところが、そうではなくて、そういうことには全然触れなくて、低利長期の金を貸すのだ、その設備資金を貸すのだ、なるほど銀行では、設備資金は正面からは貸しません、しかし運転資金という名前で借りて設備することもできるわけでございます。私はこの中小企業金融公庫が、一般の金融機関は、ちよつとあぶないけれども、まああいつがやるのなら貸せられるんだが、しかし重役がみんなよせと言うものだからだめなんだ、というようなものにまで手を伸ばしてくださることを希望するのであります。   それからもう一つ、この中小金庫は、業務報告書の中に、丙種で直接貸しをすることもできるということがありますが、役人の金貸しは、今まで何回も政府がそういう機関をつくつて失敗しておりますから、役人の金貸しはやめていただきたい、そして本職の金融機関を使つていただきたい、そう思つております。これは金融公庫の総裁も、今のところ直接貸しをする準備もないし、気持もないと言つておりますが、だんだんやつおりますと、金を貸すということは非常におもしろうございます。ふだんいばつているやつも、金を借りる段になるとぺこぺこして来ますから、非常におもしろい。愉快でありますから、だんだん直接貸しをしたくなる。そういう素質を持つている。でありますから、将来いくら愉快になつても、中小企業金融公庫は直接貸しをなさらぬということにしていただきたい。こう思うのであります。  それから大分議論がありますが、十一大銀行を初め信託銀行などは、これは扱うなということを議会の方の附帯決議でおつしやつた。そのときに私たちは、実は二組あつたのです。一組は、やあうまくやつた、これはすばらしいことだ、日本議員も見上げたものだと言つて議員さんに拍手を送つたのと、もう一つの方は、ほんとうにそんなことをしていいのかいというのと二組あつた。それは大都会の連中はいいのですけれども、例をあげてみますと、東海銀行あたりは愛知県に根を張つておりまして、愛知県あたりは非常にたくさん中小企業者が散らばつていて、有力なる中小企業者がいるのです。これらがみなこの東海銀行のためにめんどう見てもらつて、東海銀行のパイプでないというとお金が吸えない。この連中は弱つたらしい。それと同時に、大には行かないけれども、まあ中の企業、この連中も、やはり大銀行のためにみな今までパイプを延ばしてもらつたんですから、この連中も困つたのです。非常に議員さんが張り切つてつてくだすつたけれども、非常に困る連中ができた。そこであの附帯決議は、非常に一時に大きな銀行にどつと資金が流れて行つてしまうのをせきをしたと、こういう者もあります。それから、大銀行は大銀行でありますから、中小からきれいに資金を吸い上げて、それを大銀行は大口の安全なところに流す。でありますから中小企業者に対しては、実はほんとうのところ、鼻をひつかけなかつたのは大銀行であります。しかし最近中小企業専門店なんというものを設けまして、親切勉強らしく始めた。行つてみると、そううまく貸してくれません。専門店を設けていることは設けている。そうして安全なところにはどんどん出してくださる。それも運転資金であります。これが設備資金を今度出す機関ができたのですから、そういうパイプができたのですから、大銀行は、まつたくそれを持つて来てひとつ設備の方を出してやろう。また大銀行としての面子がらいつても、こういうものに対してはねられたなんていうことを新聞で出されたり、議会で附帯決議なんかされたら、おそらくやりきれないと思う。われわれは先日金融委員会を開きまして、一体どうしたらいいんだ、両論あつてなかなかもう大銀行なんぞやつたらまずいぞという連中と、いやいやほんとうに困るところがあるのだ、そこで結局金融をする機関であるから、どういうことがあろうと、そこはパイプを切つちまうというのはまずいじやないか、それには一つ注文があるのだ、それは、どうか中小企業専門店、またはそういう中小企業に対して今までせいそれ親切にやつてくれたところにパイプをつないでもらいたい、それからもう一つ、そうなるというと、今度は資金が足りないから、政府の方ではもつと資金を出していただきたい、今までと同じようなものでまたパイプをふやしたら、細いパイプが一層細くなつてしまうという懸念があります。どうぞ政府資金を、中小企業金融公庫にもつとたくさん出していただきたい。それと同時に、今度は各銀行は、それからもらつたものだけでいいんだということでなく、自己資金も十分それに水増しして、ひとつ勇敢に貸し出していただきたい。こうなりますと附帯決議が生きて来まして、そして一層中小企業者は恩恵をこうむることになると思います。  それからなおそこで最も気をつけていただきたいことは、そのお金は大銀行——銀行と言うと失礼ですが、金融機関の救済の焦げついたものと入れかわらないようにしていただきたい。そういう心配は多分にあります。そうなりますと何にもなりませんから、ぜひその点御注意していただきたい。それから今大体一県一銀行ぐらい大きな銀行がありますが、そういうところでやつていただくとして、その銀行はできるだけその地方で働いてもらつて、本店では何も出なかつたけれども、その銀行の支店が東京にあつたものだから、そつちからきれいに出てしまつたというようなことになりますと、東京へ全部が集まつてしまつて、片寄つて来る、もちろん東京に支店のあるところは、東京の取引先へも相当出ると思いますが、そういう点についても十分気をつけていただきたい。それからこの金融公庫は、ただいま水害復旧資金にも出しておりますが、これは各金融機関へ出しまして、非常にわずかであります。こういうようなものは、もう政府でもわかつておるのですから、特別な資金を出していただきたい。そうして中小企業金融公庫というようなものの細い資金を削つて行くというようなことをせずにやつていただかぬと、私は大きな恩恵はない、こう思うのであります。先日も総裁から聞きましたが、ただいまでは長期低利の設備資金を出していただいておりますが、ぜひ長期運転資金も早く出していただくようにしていただきたい。実はこの運転資金というのは、定義をつけるのに困るのであります。何のために長期運転資金がいるか、運転資金というものはちよつとでいいじやないかというのでありますが、一例を申し上げますと、私は製紙屋であります。製紙会社で設備を拡張しますと、そこで金がいりますから金を貸していただきます。そうすると、今度は元の倍生産が上つたとします。いい品物が倍できたとする、その場合にはそれ相応に資金がいるのであります。今度は運転資金、その運転資金を今私たちはどこから借りて来るかというと、問屋へ行きまして先借りして来るのであります。問屋では、いい紙がたくさんできるのだから、よしきたといつて貸してくれるのでありますが、その際には、必ず値段をたたかれるのであります。そうして値段をたたかれて納める、納めると最初できたものですから、使いなれないからクレームがつきます。そうしてまたそこで値段をたたかれる。これを今度は逆に中小企業金融公庫から、こういうわけで設備を直して合理化しまして、いい品がたくさんできました、ですから運転資金がこれこれいります。運転資金を借りて来て、それでちやんと品物をつくつて、それから問屋へ持つてつて、さあできたから買つてくれといえば、向うでは最初から値段をたたくわけにいかぬです。それからこちらは十分いいものを持つてつて、どこへやつたらいいか、できた品物の使いいいところに持つて行くから、クレームが非常に少いのであります。こういうように製紙屋さんでさえも——製紙屋というのは割に商売は楽であります。それでさえも運転資金では困難しますから、設備に伴う運転資金、そういうものについては特別に御考慮を払つていただくと、せつかく出していただいたその設備資金が、今度は運転する方面へ行つて生きて来るのでありますから、この点についても、ぜひ一日も早く運転資金を出していただくようにしていただきたい。ただいま公庫には、使える金は百億あるそうであります。全銀連さんも申し上げた通り、何千億というものが中小企業者へ流れておるのですから、その中で百億ではまことに少いので、国会の方で、毎年百五十億ずつふやして行つてやろうじやないかという決議をしてくださつた。たいへんありがたいのですが、どうも今年末あたりは、さつそく中小金庫資金が足りなくて困ると思います。その他の商工中央金庫でも、資金ですぐに年末は困ると思いますから、本年末は引揚げる——二十五億中金あたりは引揚げられるようでありますが、引揚げてもようございますから、かわりにまたひとつ三十億でも四十億でも貸していただきたい。それから公庫の方へも、特に年末の点を考慮しまして、たくさんの融資をしていただきたい、こう考えております。  結局つづめて申し上げますと、中小企業金融公庫をつくつていただいて非常にありがたかつたが、まだまだやり方についてはいろいろわれわれ注文があります。そうして大銀行除外は、実情に即して解いていただきたい、こういうことを申し上げまして、いずれまた御質問でもありましたら、あとで御答弁することにいたします。
  10. 千葉三郎

    千葉委員長 最後に茨城県の相互金協会代表の金塚孝君にお願いします。
  11. 金塚孝

    ○金塚参考人 私はただいま御紹介にあずかりました金塚孝でございます。私は現在茨城県の下館町に本社を有しております茨城商工金融株式会社の社長であります。さらに茨城県株主相互協会理事をしておりまして、企業合同委員長をいたしておりますほかに、酒造業その他各会社にも関係いたしております。本日の委員会に参考人として千葉委員長より出席を求められたのでありますが、実は私昨日上京いたしまして、国会において大蔵委員会が開催される、議題として金融の問題が審議される、さらにこれに関連して株主相互の問題も審議されるということを聞き及んだのでありまして、その模様を拝聴いたしたいというので国会に参つたのでありますが、たまたましばらくぶりで千葉委員長にお目にかかりまして、茨城県の株主相互の現状をちよつぴり申し上げましたところ、委員長から、きようの委員会に出席して、茨城県の株主相互の実態を率直に述べて参考に供していただきたいというような希望でありました。私はこの会社も約三箇月以前にお引受したわけでございまして、まことにしろうとでございますので、皆さん専門家の参考になるかどうかは疑問でございますが、ただいまより茨城県の株主相互の実態を率直に申し上げてみたいと存じます。  現在茨城県には、茨城県に本社を有する株主相互金融会社と申すものが二十八ございます。さらに東京、神奈川等に本社を有しまして、茨城県に支所を持つております会社が四十ばかりあります。この一つの会社が、茨城県に現在御承知の通り水戸、日立、土浦、古河の四市がございます。さらに小都会どもございますが、ここに幾つものものを置いておりますから、茨城県ではもう山間の山村地帯にまで、現在株主相互会社の出張所が氾濫するというような状況にあるわけでございます。私の現在住んでおります所は土浦市でございますが、土浦市は人口六万五千ございますが、ここにも東邦殖産だとか、富士勧業だとかいうようなものの出先店や、あるいは茨城県内に営業するものなどは軒を並べておるという状況でございまして、土浦だけにも五十七あるというようなことでございます。そうしてその加入者は茨城県だけで約十万人あります。その資金量も約十億と私たちは勘定しておるのでございます。現在茨城県民は御承知の通り約二百万でございますから、約二十人に一人の割合で株主相互に投資しておるという勘定になるわけでございます。株主相互会社の興亡は、まさにこういう状態でありますから、茨城県経済産業の面にも大きな影響を及ぼすということは、これはいまさら私が申し上げるまでもなく自明の理でございます。  ところで、各会社の営業状況は現在どういうふうになつておるかという問題でありますが、まず私は、私の会社の営業の状態の実情を率直に申し上げて参考に供したいと存じます。私の会社は、資本金五千万円でありまして、昭和二十六年に始まりまして、約二箇年を経過いたしておるのでございます。創立当時の社長は、小島義雄と申しまして、下妻町に住む常陽銀行銀行員でありまして、私が六月に社長を引受けたのでありますが、それまでこの人が社長をしておつたのであります。経営状況は、本年六月に私が社長を引受けました当時、債務、すなわち加入者よりの投資高が四千六百七十万円、債権は貸付などが主でありますが、約二千万円でございますから、差引二千六百七十万円の赤字ということに現在なつております。赤字の内容は、投資者に対しますところの月二分の支払金と、人件費とを含む事業費などによつて赤字が出ておるわけでございます。この会社に私が関係することになりました動機は、かつて私が代議士当時、届出の一切の手続をしてやつたというわけで、実は私がこの会社の生みの親のような関係になつておつたのでございます。創立当時は、二十人くらいの外交員や社員で、約七百万円くらいを持つておつたのでございますが、逐次上昇いたしまして、一ころは一億くらいにまでなり、支所も現在二十八箇所あり、会社の社員も現在二百人ばかり擁しておるわけでございます。ところが同じ地方にあります同業者が相次いで倒産いたしたのでございます。東京の一流の支所もありますが、これは名前は遠慮して申し上げませんが、どんどん参つてしまうというようなわけでございますから、ここに輿論も沸騰して参りまして、各地方新聞も、三大新聞といわれる読売新聞なども、盛んに株主相互を批判するというような状態でございまして、このあおりを食つてしまいまして、私どもの会社も、新規加入者が急に減つてしまう、契約者も途中で解約する等、すなわち取付というような状態になりまして、現在は開店休業、整理中というような状態になつておるわけでございます。そこで私も、現在この会社を清算してしまうか、あるいは再建しなくてはならないかといろいろ苦心中でありますが、結局どうしてもやめられなくなつたというようなところに現在追い込まれてしまつておるというのが、実情でございます。というのは、私の会社に約二十万人の加入者があるのでございますが、一品五千円くらいから二十万円くらいまでの投資者があるのでございます。投資者の中にはいろいろな環境、事情の者がございまして、会社が立とうが立つまいが、会社が赤字であろうが黒字であろうが、そんなことは別問題で、何が何でも絶対に返してやらないと、きようにも生活に窮するというような悲惨な者が相当多数を占めておるような実情にございます。その一例を申し上げますと、本年八十歳になつた年寄りが、死金としてとらの子のようにして持つておつた大事な二十万円を株主相互に預けた。株主相互は二分でございますから、月四千円であります。この四千円の金でわずかに最低生活をしておるということでございますが、この株主相互が不幸にして倒産してしまうということになつたならば、この二十万円はそれこそなくなつてしまう。そうするとその老人には、死が待つておるばかりであるということであります。さらに未亡人が四万円ばかり預けておるのがありますが、この人も子供を四人かかえて、この四万円の金が返らないならば、一家心中してしまうと言つておるのがある。それからわが子が戦死して一時金を五万円ばかりもらつて、株主相互会社に預けて、幾らかでもふやして石碑を建てようとして、石碑を建てることを楽しみにしておつた年とつた親などがありますが、これなども、金が返らなかつたならばたいへんな難渋に陥るというのがあります。右のような実情でありますから、どうしても会社を立て直して、投資者の損害を償うより以外に現在のところ手はないというような現状に追い込まれておるわけであります。そこで私は、茨城県金融協会の皆さんと相談いたしまして、この際弱小会社を整理統合して、健全な会社を創立して再出発しようということになつた。あらゆる苦労は覚悟でございますが、加入者の迷惑を解消しようと、現在私は企業合同委員長として努力中のものでございます。  大体、以上現状を率直簡単に報告いたした次第でありますが、実際会社の経営に当つてみますと、いろいろ会社の整理を痛感せしめられるのでございます。結論として以下申し上げるような四つの条件にぶつかつたわけであります。  まずその第一に申し上げなければならないことは、政府、すなわち大蔵省が現在の株主相互というものを認めて、今後やらして行くようになるのか、それともつぶしてしまうのかということを私は確かめておきたいのであります。現在大蔵省の内部では、株主相互には耳をかさないで、非常にこれに対して不親切であるというようなことも聞いておりますので、以上申し述べたような心配も出て来るわけであります。もし政府並びに大蔵省がやらして行くということなら、現在のままでは、実際問題として貸金業者として法にひつかかるような、ひつかからないような、まことに法的にも限界がはつきりいたしておらないようなところがたくさんあります。でございますから、われわれはどこがひつかかつていけない、どこがどうだということも、実際一線を引いてはつきりしてほしいと思うのであります。われわれは、原則として法の保護を受けられないような、そんな暗やみの事業は絶対やりたくない、こういうふうにも考えておるわけでございます。  第二に、現在の届出制では、現実にいろいろの弊害が百出しおります。今後もえたいの知れないものがどんどんと発生して参りまして、社会に迷惑をかけるであろうというようなことは、皆さんも新聞の三面記事等によつて御案内の通りであります。でございますから、免許可制にして、私どもは厳重に当局の監督にあずかり、そうしていずれもが安心のできる状態にして営業をさせていただきたいと思うのでございます。現在酒屋をやつておりますが、酒屋は免許制になつております。免許制の理由は、酒は御承知の通り酒造税という大きな税金がかかります。この税金を取扱うものでありますから、人を選ばなければならないというので免許制度であります。これはだれもが酒はつくれないということであります。こうじ屋なども免許であります。こうじ屋はどういうわけで免許かというと、われわれの食生活につながる米をつぶしますから、これはだれにでもできないというようなことで、これも免許であります。こういうことで、酒、米を取扱う者は、厳重に大蔵省が監督して免許にするということになつております。金こそは、命の次は金だというくらいですから、これは免許にしなければならない。金のために親子げんかも兄弟げんかも友達げんがもできるというようなわけであります。こういうものを取扱わせるのに、現在のような届出制なので、前科者でも何でもやれて、今日のようなトラブルが起るのは自明の理ではないかと思うのでございます。  第三に、株主相互金融が立つて行けるのかどうかというのは、第二の問題だろうと思います。これは、生業資金として零細企業家の生業としてやつて行ける限度内のものであるかどうかということによつて、おのずから利息の程度もきまつて行くのではないか、かように考えているものでございます。  第四に、税金の問題が非常に問題になつている。株主に利益をまわしている、配当だと言つて税務署は税金をとろうとしている。業者は配当にされたならやつて行けませんから、これは優待金だと盛んに言つておりますが、こんな問題はどちらでもよい、皆さんの大勢が判断をするなら、これはどちらであるかということを大蔵当局がはつきりしてもらいたいというようなことであります。以上いろいろな条件を申し上げましたが、最後に申し上げたいと思いますことは、これによつて私が考えますことは、全国的に、しかも短期間にこういうぐあいに急激に株主相互が発展し盛んになつた原因を、私は皆さんとともに探求してみなければならないと思うのでございます。これは、大きな社会の輿論となり政治問題化しております。企業家の八〇%以上を占める零細企業家や何かに対する金融機関というものがきわめて少いということが、この因をなしている大きな問題だろうと思うのでございます。この層の悩んでおる者こそ、日本が経済的に困つている姿であると考えておる次第でございます。社会保障制度はできております。もうすでに厚生省においては、身体障害者の援助ということも盛んに実行されておるわけでございますが、私は身体障害者よりも、経済の障害者こそ全国にみなぎつておる問題ではないかと思う。こういう問題を政治的に大きく考えてもらいたいと思うのであります。この際私は、株主層がどうだとか、こうだとかいう問題よりも、大局的に、零細企業家たちへの生業資金の道については、官民合同して一段と深く考えてやるべきではないか、かように存ずる次第でございます。  以上はなはだ簡単でありますが、茨城県の株主相互の現状を率直に申し上げた次第でございます。
  12. 千葉三郎

    千葉委員長 これより質疑をお許しいたします。なお本日は、大蔵省から河野銀行局長、有吉特殊金融課長、さらに通産省から石井中小企業庁振興部長中小企業金融公庫からは坂口総裁中野理事出席しておりますから、以上お述べになつ参考人並びに御出席方々に御質問していただいてもけつこうでございます。  まず第一に福田赳夫君。
  13. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 ただいま中小企業に対して非常に御熱心なお話をいただいたのでありますが、私ちよつと中小企業金融公庫の総裁にお尋ねしたいのですが、この公庫は非常な期待を持つて生れておるのです。しかるに中小企業の方面においても、この公庫の使命について非常に理解が届かない点が多々あるように思うのであります。それからすでに公庫代理店として指定された金融機関について調べてみましても、どうも公庫の行き方、手続等について、ほとんどまだ普及徹底を欠いておるというような状態であります。これで一体公庫の使命が動くものであるかどうかということについて、非常に心配しておるのです。非常な期待をかけられておる、そこへもつてつて銀行の窓口へ行つてみますと、ほとんど動くところがない。こういうような状況が現在の率直な状況ではないかと思うのでありますが、一月になりますが、一体どんな状況になつておりますか、これをざつくばらんにお話を願いたいと思います。
  14. 坂口芳久

    坂口説明員 福田委員からのお尋ねにお答えいたします。公庫の趣旨の不徹底の点、まことに遺憾に存じます。非常な期待を持たれておりますのにかかわらず、その点は非常に遺憾に存じますが、しかし実際は、九月中に十四億何がしの申込みがありましたので、始めましたのが十一日からでありまして、金額としては予想以上に上つておるように私は考えております。しかしながら、今御指摘の通り代理店の末端まで統一してない点があることは私も承知しておりますので、なおその点につきましては、代理店地方別にでも集めまして、なおその公庫の趣旨の徹底をはかりたいと思つております。
  15. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 総裁も率直に言われる通り、特に金融機関代理店窓口において、この制度の運用について徹底していないのです。私はその大きな理由というものが、代理店指定した基準にあるのではないかというふうに思うのです。たとえば地方銀行、あるいは相互銀行、あるいはというふうに一律に指定した、その一律主義というものが非常な弊害がある。これは申すまでもなく、中小企業救済のためのほんとうに政府としてはとつておきの機関なのでありますから、中小企業金融について熱意という問題——先ほども遠藤九十九さんからお話がありましたが、熱意を持つて中小金融にあたるという点を認可基準の最大のものとして考えて行かなければならぬ。きようは、その認下基準についてのいろいろ要望が中心の話題であつたように思うのです。大銀行であろうとあるいは零細なる組合であろうと、いやしくも中小企業について熱意があるものにつきましては、これを選別いたしまして基準とする、こういう考え方が思想の上に欠けておるのじやないか、非常に平面的に考えておるのじやないか、そういうところに欠陥があるのじやないかと思いますが、この点からひとつ是正して考く考えがあるかどうか、あなたは一箇月の経験に徴してそんな感じがしないかどうか承つておきたい。
  16. 坂口芳久

    坂口説明員 ごもつともな御意見と思いますが、開店早々でございまして、とりあえず開店を急ぎました関係上、代理店の初めの選定は、開発銀行の中小事業部の代理店をしておりました代理店のうち、附帯決議によりまして当分の間はずすという御意見のあつたものを除きましたものを、とりあえずいたしました。それからあと新規に代理店をふやすことにつきまして、ただいま政府の方と協議いたしております。その際に熱意の点というようなお話でございますが、従来の実績がございますれば、熱意の点ははつきりわかるのでございますが、ただいまほとんどの代理店から、みな非常に熱心に代理店にしてほしいという希望がございますので、新規のものを選びます際に、全部が熱意があるのじやないかと思うのでございますが、あと運営して来ました上に、福田委員のお話のように熱意を勘案いたしまして、資金のわく等も考えて行きたいというように考えております。
  17. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 それならば私は考えるのですが、これは代理店になろうというようなお考えで認めた金融機関につきましては、大体において代理店になり得るものというふうにしておいて、そうしてその中からだんだんと選別をして行くというような仕組みでも考えられるのがいいじやないかというように考えております。今までは、開発銀行代理店をそのまま継承したというお話ですが、これから新たなる公庫の構想によつてつて行くことになる段階であります。そこでひとく銀行局長や振興部長さんにあわせて伺つておきたいのでありますが、今大銀行、また金庫、また組合からいろいろ代理店の拡張に関して要請があつた、これに対してどういう方針をもつて臨むか。国会の方から要望もあつたはずです。ひとつ総裁も加えて三人から、今後どういうふうにして行くか、具体的に認可基準の方針について伺いたい。
  18. 河野通一

    ○河野説明員 中小企業公庫代理店の選定の問題でありますが、今坂ロさんからお話のありましたように、現出の公庫当局ともいろいろ打合せいたしまして、これの基本的な考え方を今とりまとめ中であります。大体現在まで考えておりますところでは、先ほど来各参考人からの御意見もありましたように、第一には大銀行と申しますか、都市銀行につきましては、許されれば私はこれは中小公庫代理店として認めるべきであるというような考え方で、今後国会の方面の御了解を得て、できるだけすみやかにそういう措置をとるようにいたしたい、かように考えております。それから信用金庫、あるいは信用協同組合等につきましても、今参考人から述べられましたような点はまた十分に参酌いたしまして、できるだけ御要望に即したい、かように考えておりますが、具体的な問題になりますと先ほど来お話のありましたように、公庫資金がやはり財政の都合その他で限りがある。これをあまり広い範囲に分散いたしますと、先ほどもお話がありましたように、パイプが非常に細くなるといつたような問題もございますので、できるだ効率ということもよく考えて行きたい。あわせて今福田委員からもお話がありましたような、中小企業金融に対する金融機関の熱意ということも考えて行きたい。これらの点を十分に考え合せまして、また今参考人からの御要望の点も十分に参酌いたしまして、今後具体的に考えて行きたい。これは具体的な問題になりますと、中小企業金融、ここに中小企業金融公庫代理店としての適格性の問題にはいろいろの問題が実はあると思うのであります。具体的に一体中小企業金融に対して熱意がありやなしやということを、各種類の金融機関の個々の市中銀行なり金庫なりについて個々に選別をするということは、実際上不可能だと思います。やはり中小企業に対する従来の実績であるとか、そういつたような一つの形式的な基準をとらなければ効力を持たない。個々の経営者なり、従業員の熱意があるかないかということを的確に判断するということは非常にむずかしい問題だと私は思います。しかしながらこのことは必要であるということはもちろんでありますので、十分あとう限りそういうことを頭に置きながら判断をして行く。なお今もお話がありましたが、もう一つは、私どもといたしましては、地域的に片寄らないように考えております。たとえばある都市には非常に多くの金融機関代理店として指定されて、ある都市にはほとんどないといつたような片寄つた指定の仕方にならないようなことも十分に考えて、できるだけ全国各地の中小企業者がこの中小企業金融公庫の機能を十分に利用できるようなチャンスを与えるように、代理店の選定にあたつては配慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。具体的には、現在先ほど申し上げましたように三者でいろいろ話し合つておりますので、まだ結論まで至つておりませんが、大体考え方は今申し上げた通りであります。
  19. 石井由太郎

    ○石井説明員 代理金融機関の選定につきましては、ただいま銀行局長からお答え申し上げました通り、同一の考え方をもつて進んでおる次第でございます。なるべく多くの金融機関代理店になりますれば、それだけ中小企業者の便益を増すわけでありますので、できるだけ拡張したいと考えておるわけでございまするが、今回の公庫の発足によりまして、従来の開銀で行つておりました金融方式に比べますと、質的にも量的にもいろいろな面で広がつておるわけであります。先ほどお話のございました運転資金の供給も一部やり得るように相なつておる点も、質的な拡張でございますが、同時に代理金融機関の数をふやすこともきわめて重要な点と考えまして、なるべく多くいたしたいと考えておるのでございまするが、一面公庫それ自身の事務の処理能力というようなものも、発足早々でございまして、しかも総裁以下五十七名というようなきわめて簡素な形で発足いたした関係もございますので、両者のにらみ合せということに相なるわけであります。しかし気持といたしましては、ただいま銀行局長がお述べになりましたように、三百二十万を数えまする中小企業者の大部分が、少くともこの公庫の制度につながり得るという態勢に持つて行きたく存じておる次第でございます。
  20. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 どうもまだ気になるので、局長に伺つておきたいのですが、そうすると、金庫については大幅に拡張するという方向で考えておるのかどうか、これが一つ。それから組合については、今全然指定がないのでありますが、これも中小企業金融の面から見ますと、きわめて重大な事柄があるのでありますが、これを加える考えであるかどうか、その点が一つ。それからもう一つは、認可基準というのが、先ほども申し上げた通り非常に平面的である。ことに著しい点は、預金の量でこれを制限するような考え方をしておりまするが、預金量というのは、都市地方で非常に違うのです。これを一律に預金を基準にするというのは無理があるのじやないか。都市地方においては区別をつける、数段階にわけて区別して考えるべきものじやないか、もし預金を基準にするならば、区別をつけて行くべきじやないかというふうに考えるのだが、この点はどうか。さらに金庫または組合代理店になり得ざるものについては、これは中小企業金融公庫としては大いに育成をして、代理店になれるように援助をしなければならぬ。そういう建前からすると、これは融資自身の対象として考えるべきではないか、こういうふうに考えるが、この四点についてひとつ局長並びに部長のお考えを承りたい。
  21. 河野通一

    ○河野説明員 総裁からお答えいたします。
  22. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいまの福田委員のお尋ねでありますが、ちようど中小企業庁及び銀行局長の方で今相談中で、今はつきりはきまつておりませんが、大体考えておりますのは、福田委員のおつしやるように、預金の量を都市、いなかについて画一に考えずに、資金量について基準をつくつて行きたい、数段階を設けてやつて行きたい。ただこれは初めの考えでございまして、それに福委員のおつしやるように、熱意とか今後の運営によつては、かげんして行くべきは当然だと思います。前の開発銀行代理店の場合にでも、一応は資金の量で初めは割当てられておつたようでありますが、その後は出方によりまして、非常に資金のわくなどもかわつているようでございまして、預金の量だけにはなつていないようでございます。そういう方向に向うベきだとは思いますが、最初は、さつき銀行局長がお話になりましたように、資金量によつてやるよりしかたがないのではないかというふうに考えております。  それから信用金庫につきましては、今度は相当大幅にふえることになるつもりであります。先ほど安武さんからも数字を、大体これくらいになりそうだというような御想像に基いての御意見がありましたが、その程度まではふえるかと存じております。  それから信用協同組合でございますが、これにつきましてはいろいろ議論もありまして、あるいは議会の附帯決議でも、商工組合中央金庫を通じてというふうにも見えるのでございまして、そうとも考えたのでございまするが、これもいろいろ御相談しましたところでは、先ほど佐々田さんがおつしやいましたように、信用金庫とほぼ同じような基準で代理店にするようにした方がいいのじやないかと、ただいまのところは考えております。なお政府の方の御認可を得てやりたいと考えております。  それからそのほかにもう一つのお尋ねは、融資の対象についてというお話でございましたが、これは、ただいまの政令の範囲では、貸金業は入つておりませんから、ただいまの法令のもとでは、公庫融資の対象には考えないようになつております。
  23. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 その政令は承知しているのです。融資の対象にはなつておりませんが、しかし中小企業金融公庫として貸し出し得べき対象として、代理店に漏れた金庫だとかあるいは組合、これは当然重要な機関でありますから、育成の対象となつてしかるべきじやないか、こういうふうに考えております。これはひとつ政令を改正して、そういうふうにすべきじやないかというふうな感じがするのでありますが、この点に対して当局はどういうふうに考えるか承りたい。
  24. 石井由太郎

    ○石井説明員 公庫代理業務を取扱いません信用組合中小企業者と見て、協同組合と見まして、それに資金を供給してはどうかという御意見でございますが、そういたしますと、これは、信用組合が経営上必要としまする長期運転資金公庫で供給するという概念になるわけでございます。従来中小企業金融政策の対象といたしまして、実は物品製造業以下信用保険法において二十四業種、公庫法におきましては十七業種指定したのでございますが、金融業は、従来考えておらなかつた業種でございまして、金融機関としての金庫信用組合、そういつたものを育成して参るという観念でおつたわけでございます。但し企業組合につきましては、全体資金公庫の貸出し対象になるわけでありまして、こういう事実の兼ね合いにおいて、信用組合育成の手段として、融資対象として、これは金融機関としてでなく、むしろ中小企業者として育成して参るのが、適当であるかどうかという問題は、若干研究の日時をかしていただいた上でお答えした方がいいかと思いますが、現在のところは、金融機関としては貸出しの対象には考えない。あくまでも信用組合公庫代理業務を扱います金融機関として、こういう基準の中に該当するものを取扱い機関として指定して参るという考えでございます。
  25. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 それは十分に検討してもらいたいと思うのです。それから、今信用金庫信用組合預金において同じ基準で考えるという総裁のお話でありますが、これは中小企業の扱う状態なんかからいいまして、大銀行、また地方銀行相互銀行金庫、いろいろ段階があるだろう思うのです。これも一率主義で、同じ基準預金量がなければならないというような考え方でなくて、中小企業育成ということが本旨なんですから、弾力性ある考え方をとるべきものではないかというように考えております。ひとつこの点もあわせて御研究願いたいことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  26. 千葉三郎

    千葉委員長 有田二郎君。
  27. 有田二郎

    ○有田(二)委員 中小企業金融公庫法案は、本委員会が主体となつてやつたものではなくて、通産委員会においておやりになつて、われわれは合同審査をいたしましたけれども、大体通産委員会が主体になつたのです。そこでできましたものは、十一大銀行には当分やらないようにという決議があつて、私は今聞きませんでしたが、全国銀行協会水田さんからお話があつたようでありますが、このことについて私は、銀行局長に御所見を承りたいのであります。今相互銀行と普通銀行とはどう違うかということが、将来やはり大きな一つの問題になつて来る。相互銀行をつくりますときには、当時小山大蔵委員が趣旨弁明に立つて、為替業務をやらないというところから、相互銀行が生れて来たのです。先般の本委員会におきまして、相互銀行が為替業務をやるという政府提案の法案が出て参りまして、これは時宜に即したいいことだろう思つて、われわれは賛成をいたしたのでありますが、この普通銀行相互銀行のあり方は、どこに線を引くべきであるかということは、お互いに検討をしなければならぬし、また銀行局としても、今日十分御検討なされつつあるというように私ども考えておるのであります。そこで私は、今十一大銀行中小企業金融公庫の金の扱いができないということに対して、公庫の方からもいろいろな御意見がおありになるようでありますし、また十一大銀行からも、あるいはそれを取巻く業者方々からも、強い御希望があると私は承つております。しかし、むしろ通産委員会方々が、そういう附帯決議をなさつたというところのねらいがわずかに百億の金である、従つて百億の金を百万円ずつ貸しても、わずかに一万件より扱えないというような点から見ても、通産委員会方々附帯決議というものは、必ずしも全面的に悪い、こう考えられないものが、金額の面からあると私は思います。従いまして、むしろ中小企業解釈のしかたでありますが、中をどの程度で線を引くかということが、一つの非常にむずかしい問題であります。しかしこの十一大銀行扱いますところの中企業者というものは、現状の百億というようなわずかな金額を扱つております中小企業金融公庫の対象としては、私は少しく大きなものではないかという解釈もできるのであります。しかも銀行局としては、日本銀行監理官という建前にありますから、日本銀行監理官としても、銀行局長としても伺いたいことは、先般本委員会において、長期信用銀行法案というものを可決した。そうして日本興業銀行並びに長期信用銀行を通じて、産業に長期にわたるものを出しておる。従つて私は、十一大銀行が扱うところの中企業者に対するこれらの長期金融は、日本銀行、あるいは長期信用銀行、あるいは日本興業銀行を通じて、これらの十一大銀行の中企業者に長期の金を流して行くというような方向の考え方をされる方が——十一大銀行を当分入れないという通産委員会の各位の趣旨は、どういう点にあるかはつきり私どもにはわからないのでありますが、しかしながら百億に対して、わずか百万円ずつ貸しても一万件より貸せないというような事態である。来年度には百五十億になりますか、二百億になりますか知りませんが、本法案を可決するにあたりまして、中小企業の中の中でも弱体な中、さらに小企業者というものへ中小企業金融公庫から金が出て行く。そうして中の中でも、十一大銀行を相手にするような中企業に対しては、興銀、長期信用銀行、あるいは日本銀行等がこのあつせんに当ることの方が、妥当ではないかと思うのであります。銀行局長の御所見を伺いたいと思います。
  28. 河野通一

    ○河野説明員 中小企業金融の線の引き方は、今のお話のように非常にむずかしい問題であります。しかし私どもは、この中小企業金融公庫法案が考えておりますように、大体千万円というところに線を引きますが、国会における御決議の趣旨も十分に尊重いたして参りまして、できるだけその中でも小さい方へ重点を置く。具体的には三百万円以下ぐらいのところに重点を置いて行くということにやつて参りたいと考えております。十一大銀行をこの代理店にすることの可否につきましては、ただいま有田委員からもいろいろお説がありまして、私どももごもつともだと思う点も多々あるのでありますが、ただ問題は、やはり十一大銀行自体の面子であるとか立場であるとかいう問題よりも、中小企業者自体がこの十一大銀行と取引をしておるものが相当にある。しかもその場合において、やはり銀行取引は御承知のように、長年のつき合いといいますか、取引で、お互いの信用がわかつて来るというようなことになるわけでありますから、そういつた取引関係のあるものは、やはりその取引関係の窓口を通じて金融をして行く。これは代理店の形であろうが、直接の取引であろうが、そういつた形で行くことが望ましいと私ども考えております。従いまして、十一大銀行がよくいわれておりますように、ややもすればどうも大企業に対する金融に片寄つて中小企業に対する熱意に欠けるところがあるという御意見をたびたび聞くのでありまして、この点は私は率直に申し上げて、そのことが当つていないとは思つておりません。今後大銀行においても、中小企業金融に対して、さらに一層の熱意を持つて進んでもらわなければならぬということは、かねがね私も申しておるところであり、皆さん方の御意見のところは十分に頭に置いて、今後の銀行行政を、やつて参りたいと思います。さればといつて、今取引関係のある中小企業について、この取引関係をほかの銀行にかえろ、ほかの金融機関にかえて行くようにするということは、代理店の業務ではありますけれども、結局窓口が一つでありますから、私は適当でない、かように考えておる次第であります。お話のように、資金量も十分でありませんので、この経済効果をできるだけ上げるというためには、無制限に代理店を広げて、結果薄くなつてしまうということにならないように配慮しなければならぬという点も頭に置いて考えなければなりませんが、今の実情、特に大都市等における中小企業者金融実情等から考えますると、十一大銀行あるいは信託銀行等を代理店から除くということは、私どもとしては適当でない、かように考えておる次第であります。
  29. 有田二郎

    ○有田(二)委員 今の銀行局長の御所見に私は賛成であります。賛成でありますけれども、私はその考え方とまた違つた考え方を持つております。この大銀行の扱うところの中企業者に対しては、今私がお尋ね申し上げました長銀なり興銀なり日本銀行において十分これについて考慮をしてもらわなければならぬ。たとえば私たちの一番心配しておるのは、将来日本銀行との取引のある銀行、また相互銀行も今度は資金量三十五億から日本銀行との取引が将来始まるというような道も開けて参りましたが、それ以下の相互銀行なり、あるいは信用金庫なり、あるいは信用組合、これらが将来日本の経済の一つのパニツクのために問題が起されましたときに、これを擁護する機関として日本銀行がそこまで一体手がまわるかどうか。私はこれらの信用組合なり、あるいは信用金庫なり、相互銀行なり、日本銀行と取引していないところの店鋪に対して、中小企業金融公庫が将来日本銀行と同じような役割をして、それらのパニツクを防ぐということも、将来考えられないことはないのであります。今日大銀行は、日本銀行との取引という一つの線があるのであります。また興銀債なり長期信用銀行債なりをお買いになりまして、相当この間密接なる関係があるのでございます。従つてこの大銀行が扱う中企業者に対しては、これらの金融はどうなつてもよいという筋合いのものでは断じてないと思う。やはり日本の一番大切なものは、零細企業も大切であるけれども、有力なる中企業もまたこれは非常に大切なるものであると考えるのであります。従つて私は、今日通産委員会がこの法案をおつくりになつた当時において、十一大銀行の取引は当分見合せろというような御趣旨に対して、これが本国会附帯決議となつてしまつた今日の段階において、むしろ私はこの十一大銀行と興銀、長銀、あるいは日本銀行並びに銀行局との間に十分な話合いをつけていただいて、中企業者の中のうちでも大きな方の部類に属する中企業者の金融は、興銀なり長銀を利用する、特に長期信用銀行法を本委員会において審議しました際においても、中の企業者にも長期信用銀行は金をまわすのだということが、当時銀行局長の説明の中から出ておつたのであります。私は本公庫が本年わずかに百億、来年ふえましたところで私は二百億を越すということはむずかしかろう。従つて私は、中のうちでも非常な力のない中企業者、並びに零細なる小企業者にそれらの金をまわす、中企業者の中でも、少くとも十一大銀行と取引し得る力のあるものは、長銀、興銀並びに日本銀行においてこれらの心配をさるべきだと思うのでありますが、銀行局長の御所見を伺いたい。
  30. 河野通一

    ○河野説明員 中小企業金融に対する日本銀行の役割の問題であります。これは有田さんよく御承知の通り日本銀行というものは、中央銀行としての使命なり、機能なりというところから当然出て来ると思います。中小企業金融に対して日本銀行がまつたく冷淡であり、あるいはこれを取上げないというような態度は、もちろん許さるべきではないけれども日本銀行というものは、御承知のように結局銀行銀行であつて、直接中小企業金融にひもつきでつながるというようなことはないわけであります。先ほど来パニツクというようなお話がありましたが、有田さんどういう意味で言われたのか、私もよく御真意がわからなかつたのでありますが、かりにもしそれが金融上のいろいろな不始末といつたような観点から、取付とか、そういつた事態が起つた場合に、日本銀行と取引のないものはどうなるかというお話でありといたしますれば、この点については、全然御心配はいらない。私はそういうことは起るとは思いませんし、かりに万一そういうことが起つた場合におきましては、日本銀行はそういう銀行と取引があるなしにかかわらず、適当な方法によつて、この経済界の混乱を防ぐだけの努力はいたすと思います。またそういうふうな措置は、現に今までもあつたわけであります。従いまして、そういつた問題については、もし私が了解したような意味に有田さんの御質問があつたとすれば、御心配はないと思うのでありますが、ただ長期信用銀行、あるいは興業銀行等、新しい長期信用銀行法に基いてできましたこれらの金融機関中小企業に対する設備資金長期金融を十分に行つて行くということは、先般の国会で私から御答弁申し上げた通りであります。現在そういう方向へ進ませておりますが、ただ問題は各金融機関——中小金融と申しますと、御承知のように非常に範囲が広いものでありますから、やはりいろいろな機関がこの金融のめんどうを見るということがどうしても必要になつて来る。そのために、たとえば相互銀行等をとつてみますと、これは中小企業専門機関である。中小金融だけやればよい機関である。それでは、それだけが中小金融をやればよいかというと、それではいけない、やはり普通銀行も特殊銀行においても、中小金融をやつて行かなければならぬ。やはりおのおのの特色を生かしながら、中小金融というものはこの各機関がこの方面に努力を傾けて行くという態勢をとるべきであろうと私は考えておるのであります。これらの点につきましても、資金量の点で確かに十分でないという問題はありますけれども、これは財政上の問題その他で、今後私どもはできるだけ努力はいたしたいと思います。さればといつて資金量が十分でないから、大銀行を除くということは、まじめな意味中小企業者のためにはならないというふうに私は考えております。  それからなお今お話もありましたが、実はいろいろ金融の実情を見てますと、零細な資金に困つておられる方もありますが、実は五百万円から千万円の程度金融を対象とする企業家への金融というものはなかなかついていない。これは有田さんは御承知かと思いますが、百万円とか二百万円とかいう金融が主になつてつて、それから少し上のところはだんだんゆるやかになつておるかというと、むしろそうでないような実情が出て来ておるわけであります。従つてどもは、この中小企業金融公庫金融の対象を三百万円といつたような小さいものに押えてしまつて、それから上千万円までの間は絶対にやらないということにいたしますと、金融上大きな支障を起すおそれがある。千万円まではできるような道を開いておきたい。しかし重点はできるだけ今お話のような零細金融と申しますか、小さいものに重点を置いてやつて参りたいと思つております。これを締め出すということは、今の金融の実情から見て適当でないと私は考えておる次第であります。
  31. 有田二郎

    ○有田(二)委員 今度は水田さんにお伺いしたいのでありますが、私は今の銀行局長の御意見には根本的に賛成であります。賛成でありますが、三百万円という金額に押えられておりますから、かりに十一大銀行から五百万円、一千万円の話を持つて行かれたところで、現実の問題として、坂口さんのところで受入れかねるのではないか。また通産委員会でいろいろ審議した結果、わずかの金額では、零細な方へできるだけよけい持つて行きたいという通産委員会方々の御趣旨はわからないことはない。しかしこれは、本国会附帯決議としてすでに採択している問題でありますから、私は将来それは、今銀行局長が言われた通りに、十一大銀行へも当然中小企業金融公庫から資金を仰ぐ道を開くべきが当然である。しかしながら現実の問題として、今日われわれはこの問題についても、通産委員会と本委員会とが合同審査をして、十一大銀行を除くことが妥当であるか、妥当でないかということも十分検討してみる必要があると思うのでありますが、今日の現実の問題として、今銀行局長が言われたように、五百万から一千万の設備資金に困つておる有力な中企業者の金融に対しては、私はこれは銀行局もこの際ひとつ協力していただいて、興銀、長銀の方面からこれらに十分金の流れるように——わずかに今日、中小企業金融公庫から百億ほど流れておる、将来これが五百億になり、一千億になるというような状態になることは、そう遠い将来ではないのでありまして、そのときには、でき得る限りすみやかに十一大銀行との取引が開始されることが私は望ましいのであります。今日の段階において、五百万から一千万までぐらいのいわゆる中企業者の必要とする長期資金金融については、興銀と長銀と十分ひとつ話合いをしていただく、そうしてその道を切り開いていただくことができないかどうか、この点に対する御所見をひとつ承りたいと思います。
  32. 水田直昌

    水田参考人 有田さんの御質問にお答え申し上げます。実は附帯決議を拝見いたしましたときに、これはやはり資金量の問題もあろう。こういうふうにわれわれ考えた次第でございまして、もつとよけいに資金のあることを、当然これは望むべき次第である。それで附帯決議緩和についてのお願いをいたしますことを、実は暫時躊躇いたしておりましたわけでございます。ところが現実の問題になりますと、ただちに開発銀行から中小企業金融公庫に引継がれると思いまするが、これらの金が扱えないことになりますと、都市銀行を通じて開発銀行資金の取引をしておられます中小企業者都市銀行の窓口に見えても、すぐお断りをしなければならないというような実情にありまして、これはやはり資金量は少くとも、どれだけでもいただきまして、従来の取引業者に不便をかけないということは、これは都市銀行としての中小企業者に対する使命であると、かように考えまして、緩和方についてお願いをいたしました次第でございます。先ほどからもこの金はわずかである、これに対して都市銀行は水増しをして、みずからの資金ももちろん加えて出すようにというようなことのお話もございました。これはもう当然なことでございます。先般も数字について申し上げましたが、大体都市銀行中小企業と称せられるものに貸出しておりまするのは、この三月末現在で約四千億近くになつておりまするが、これは大部分がほとんど都市限行の運転資金でございます。開発銀行の方からの代理貸しとして扱つておりますのは、全体としまして約十億程度かと思いまするが、要するにこの政府資金は、原則として設備資金ということでありまして、中小企業者都市銀行でその設備資金を貸しますと、それに応じまして、必要な運転資金というものを相当自己資金を加えて貸す、こういうふうな事情に相なるのでございます。この際百億という金に割込みますことははなはだ心苦しい次第でありますが、中小企業者への金融についての都市銀行の熱意と申しますか、ぜひ中小企業者について、われわれも従来通り、貸出しについて御協力申し上げたい、こういうふうな気持でもつてお願いをいたしたわけでございます。しこうして大体中小企業者に対する貸出しと申しまするか、今三百万、五百万というふうなことでございまするが、計数について見ますると、都市における専門店の貸出しの一件平均が百万円ということに相なつておるのでございまして、案外小さいと申しまするか、そういうことになつておるのでございます。  もう一つの御質問の長期信用銀行なり興業銀行なりのことにつきましては、これはやはり銀行局長の御趣旨の通りにわれわれといたしまして理解いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 有田二郎

    ○有田(二)委員 委員長にお願いしたいのは、この十一大銀行の問題について、通産委員会附帯決議国会において可決されましたが、やはり今銀行局長の御所見のある通り、これは私は、十一大銀行がやつてはいかぬということは妥当でないようにも考えられる。臨時国会も近く開かれるわけでありますから、本委員会の態度を理事会で一応あらかじめ御相談願つて、本委員会に諮つていただいて、通産委員会と合同してこの問題を審議して、臨時国会でこれらの是正をすべきものであるかどうか、この附帯決議に対してどういうように改めるべきであるかどうかというようなことも、委員長においておとりはからいを願いたい。
  34. 千葉三郎

    千葉委員長 お答えいたします。今の問題につきましては、過般の委員会におきまして、緩和方について一応委員会の結論を出して、その措置について委員長一任ということになつております。そこで十三日に通産委員会が開かれるそうですから、その通産委員会の開かれるのを機会といたしまして、通産委員長並びに理事の諸君と御協議を申し上げたいと思います。  なお次に春日一幸さんに質問をお許しいたしますけれども主計局長が午後は参議院の水害対策の方に出るごとになつております。そこで主計局長に御質問の方が今日二、三お見えになつておりますから、春日さんの御質疑をもつてこの金融に関する質問は終りといたしたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
  35. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 今十一大銀行のことで、通産委員長と相談されるそうでありますが、その際、やはりきよう見えておられるが、信用金庫の拡張の問題と、それから信用組合について若干疑義がある。その疑義についても、これは代理店としてかくあるという解釈についてお打合せをいただいたらどうか、こう思うのであります。この大銀行の事柄について賛成でありますが、しかしそれだけだということは片手落ちであります、両方やつていただきたい。
  36. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの福田赳男さんの提案に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さようにとりはかららいたいと思つております。
  38. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 関連して。今有田君もいろいろ市中銀行のことについてお話しておられましたが、また各委員の方からも御意見がありましたが、刊この金融関係の問題について、まず今の金融は、これはどこでどう解決してやるべきかという点等をお互い考えたければならぬと思う。そこで設けられております金融機関の金利の問題、これらにつきましても、今非常に困つている。市中銀行に対して取扱わせる場合でも担保物件、これらのわく等においてもここではうまいことをおつしやいますが、なかなかそうは行きません。その担保物権等に対しても、なかなか金融業者の方では厳重なことをおつしやいます。これらの問題等もわれわれは考えなければならぬ。いろいろ話してみますと、ほんとうにこれは中題で、今銀行局長も申しておられますが、市中銀行に取扱わせるというようなことになりましたら、これは零細企業家はこの金を借りることはできません。私はもつと真剣にこの問題を考えてやつてもらいたい。あなたは中以上の大きな業者の問題ばかり考えている。こういう点で、私はいろいろこれに対する意見がありますが、春日さんも意見を持たれて、いろいろ質問されるそうでありますから、これは理事の方が通産委員会等の理事会等で、これらの点は中心に考えてもらいたい。そこで信用金庫信用組合、零細な企業の人たちを中心にこの問題を考えて行かなければならぬということをお願いいたしておきます。
  39. 千葉三郎

    千葉委員長 春日君。
  40. 春日一幸

    ○春日委員 私もこの公庫代理所、これの設定のあり方について疑義がありますので、この点について二、三御質問申し上げたいと思います。もとよりこれは国会附帯決議の示すところでありますので、私ども当然それに対して一半の責任を負うものでありますが、しかしながらこの問題は、ただいま有田君も御指摘ございましたように、相当問題があろうと考えられて、後日これが修正のために、通産委員会との連合審査が行われる様子でありますので、そこにおいて適切な処理が件われるのではないかと期待しております。ただ問題がこういうふうに混乱して参りましたところの多くの原因は、この公庫法をめぐつて政府の態度、これは通産大蔵を含めて首尾一貫せざるものがある。従つて本日こういうような混乱を生じて参つたのではないかと私は思うのであります。たとえば私どもがかつて連合審査においてこれを河野さんに質問しましたときに、一体どれを代理店にするんだと言つたら、あなたは確かに従来の中小企業金融をしておつた一切の金融機関代理店にするつもりである、こういうぐあいに御答弁になつておつた。私どもは、政府の代表としてのあなたの答弁をしかくあるものと信じて、それに対して了承いたしまして、これを通産参員会にもどしたということは、あなたの御記憶の通りであります。そこで現実の問題として、あなたが政府委員として大蔵委員会において答弁されたことと相反するような附帯決議がもし通産委員会で行われたとすれば、あなたは当然大蔵委員会に、責任を担当するところの政府委員として、こういうことが通産委員会でまさに附帯決議に付されようとしておるが、大蔵委員会は連合審査をした責任上、それでいいかどうかということを、当然委員長なりわれら委員会なりに連絡あつてしかるべきものである。私は、そういうような問題も、実際あなた方がほんとうに形式的におざなり的にこの問題を取扱つているのであつて、現実に全国の中小商工業者が多年久しきにわたつて待望しておつた中小企業金融公庫法がここにできようとしているこの問題に対して、ほんとうにもつと骨身を入れた問題の取扱い方がなかつたところの証左ではないかと思うのであります。  さらにまたここに振興部長もおられるが、この附帯決議は、ただいま福田君の指摘されておりましたように、法律上幾多の疑義がある。あなた方は、現在これは坂口総裁も含めての問題でありますが、国会の意思を尊重して、十一大銀行を除いておると言つておられるならば、附帯決議はそのままあなた方がこれを尊重しておられるかどうか、これは全然その一部分だけしか尊重しておられない。たとえばここに相互銀行信用金庫などというものを代理所の窓口にすると書いてあるが、その中には、別に開発銀行代理店を従来やつておつたものに限るということは附帯決議に書いてない。従つてあなた方が、信用金庫やあるいは相互銀行代理店にするとうならば、それは資格のある全銀行代理店としてこれを指定されることが、国会附帯決議を尊重するゆえんであろうと思う。ところがあなた方の方は、通産委員会においてそういう指定をしたにしても、その後かつてにこれをかえて、そうして従来開発銀行代理店をやつておつたものだけを一時的に云々というようなことが、本日これに漏れた多くの業者が陳情をしておるという原因をなしております。さらにまた第一項の、商工組合中央金庫を通じて信用協同組合融資をするといつておるが、現在の法律建前でそういうことができるかできないか、中小企業庁はこういう附帯決議に対してどういう考えを持つておられるか。たとえば現在この信用協同組合、これは事業協同組合法の適用を受けてはいない。しかも商工組合中央金庫法によると、その業務規定の中に、これは事業協同組合を対象とするということになつておる。従つて事業協同組合の中に含まれていないところの信用協同組合は、中金の事業範囲のらち外に置かれておる。そういうものをやはり第一項の中へ加えたとしても、現在の中金法を改正することなくしては、こういう附帯決議は実際的に実行することができないのではないか。あるいはまた他の金融機関へ余裕金を預託することができるという特別の条令を適用するとしても、それは明らかに短期融資に限定されておる。従つて三年、五年を越えたところの公庫長期設備資金には、こういう中金の金を利用することはできない。そういう法律上できないことがわかつておりながら、その附帯決議を黙つて承認しておるということなんかは、これは中小企業庁自体もこの公庫に対する熱意が足らざることを示すものでなければならぬと私は思います。先般来いろいろ論議が行われておるが、少くとも公庫の運営は、銀行の面子や、あるいは銀行の業務の便利、不便、そんなことは問題ではない。このことは実際問題として、中小企業者の立場において論じられなければならぬ、河野さんはそういう説をなしておられたけれども、はたしてそういうふうな実際的の運営がされておるかどうか、このことはまつたく現実に照して大きな疑義を持たざるを得ません。これは銀行政策として処理さるべきものではなくして、あくまでも中小企業政策としてこの代理店というものが選択されなければならぬ。あなた方政府にしてこの法律の自的並びに精神、これを十分に把握になれば、この附帯決議というものがこの金融公庫法を適用するにあたつて、はたして中小企業者のためになるかならないか、彼らが困るか困らないか、このことはあなた方がこの附帯決議が審議される過程において、政府の意向並びにその政府責任者としての考え方を十分この法律の中に反映せしめる機会があつたと私は思います。現実にここにいろいろ資料禁されているが、愛知県のごときは、この一〇〇%の中小企業金融の中で、都市銀行が九二%、残されたものが七%という資料が出ている。愛知県の中小企業者融資を受けようとするならば、この七%の中に他の全部のものが殺到して来なければならぬが、そういうふうな審査能力が現在の金融機関にあるかどうかということも、私どもは十分に考えてもらいたい。このことは、金融政策として中小企業金融機関をあなた方が助長される考えであるならば、これは預託金を大銀行から引揚げ、そうしてそれを中小企業金融機関へ預託して資金源を増強するとか、何らかの方法によつて中小企業金融機関を保護育成する政策は、他にあるはずである。かくのごとき金融公庫法によつて零細金融機関を育成するということは、これは金融政策の邪道でなければならぬ。法律の本則をふみ間違えたはなはだしきものであると私は考えざるを得ないのであります。先般来有田君も他の諸君も、ことに強調されておりましたが、現実の問題としてその審査能力、さらにこの財源が国民の税金によるものである以上、これは救済資金ではない。従つて長期の三年、五年にわたつてそれが回収されることのための管理能力も必至であろう。さらに設備資金で設備されたところで、運転資金がなければならぬ。さらにその骨格に盛るところの、血肉となる運転資金の注入ということもやはりその金融機関によつて並行的にめんどうを見なければならぬ立場にあろうと思います。私は中小企業に熱意を持つところの金融機関は、当然代理所として活用さるべきものであると思うが、これに対して河野銀行局長はどういう責任を感じておられるか。あなたが最初すべての金融機関は全部代理店になるのだ、こう言うておいて、それに反するような決定がされて、しかもこれを二箇月問にわたつてその状態のままに放置しておくということは、あなたはこの大蔵委員会を詐術をもつて瞞着したような感じがする。しかしながら、当然一半の責任は感じておられるだろうと思うが、これに対してその後どういう対策を講じておられるか、これをひとつお伺いをいたしたい。  それから振興部長にお伺いをしたいが、この附帯決議の一項にある商工組合中央金庫を通じて、信用協同組合融資をする、こんな附帯決議が現在の商工組合中央金庫法並びに事業協同組合法のこの二つの法律の範囲においてやり得るかどうか、やり得るならばよろしい、やり得ないならば、やり得ないような附帯決議をどうしてあなた方はそのまま了承しておるか、この点についてまず御答弁を願いたい。
  41. 河野通一

    ○河野説明員 おしかりを受けてはなはだ申訳ないのですが、本件に関する附帯決議ができますまでの経過は、今春日さんがおつしやつた通りであります。私は当初から、十一大銀行を含めて、中小金融に携わつておる金融機関はすべて代理店として、もちろん資格その他はありますが、適当なものは、種類を限らずに代理店として認めて件くことが適当であろうという一貫した考え方であります。爾来通産委員会が主としてこの問題を取上げて参つたのでありますが、この方は、私いろいろ所用もありましたために、主として通産省の方で受持つていただいたのであります。決議ができますように大体承知をいたしました当時、政府部内では関係の者が集まつていろいろ打合せをいたしました。そうしてそういう決議が、少くともその一部が、私どもとしては適当ではないと思われるということで、累次にわたつて通産委員会の方へは申し上げたのであります。しかしながら、今春日さんも御指摘のように、私どもの熱意が足りませんか、あるいは力が足りませんでしたか存じませんが——私はどちらかとえば力が足らなかつたので、熱意が足らなかつたとは考えておりませんが、そういうことで、結局私ども考え方、あるいは希望がいれられないで、ああいう決議案ができた、こういうような次第であります。その際、今春日さん御指摘のように、もう少し大蔵委員会の方へも十分な御連絡をとることをいたしませんでしたことは非常に申訳ないということが、かねがね考えておつたのであります。この席でおわびを申し上げる次第でありますが、いずれにいたしましても、私の手落ち、あるいは責任の問題はされておいて、要するに今春日さんからお話のありましたように、中小企業金融の円滑化を目的とした公庫の使命を達成するのにいやしくも支障があると思われることは、せつかくの御決議ではありますけれども、すみやかに解除いたされて、そういつた問題について支障が起らないように御尽力願いたいということを、皆さんに私からお願い申し上げる次第でございます。非常に弁解がましいことを申し上げて恐縮でございますが、一応経過を申し上げます。
  42. 石井由太郎

    ○石井説明員 信用組合に対しまして、中金を通じて公庫の金を出すことができるかという問題につきましては、法律的にいろいろ疑義があると思います。中金固有の資金でございますれば、商工組合中央金庫は、協同組合に対する資金の供給機関になつておりますので、これは法律上疑義がございません。現に中金から、約六、七十の協同組合に対しまして、契約を結びまして資金を供給いたしておるのであります。ただ公庫資金を中金を通じて出すということになると、相当問題がございます。まず第一に流す形式ででありますが、これは業務の再委託という形式をとらなければならぬことに相なると思います。ところが、公庫の業務を委託することができることは法律に書いてございますが、はたして再委託することができるものかどうかということになりますと、公庫法の建前からいたしまして、大いに疑義があるのでございまして、ことに受託機関が公法上の責任を負うというような見地から考えますると、再委託形式によつて公庫資金信用組合に出すことは、法律上多分に疑義があることとわれわれは考えておるのでございます。従いまして、公庫の強行法規に反しまする御決議でありますれば、これは従うわけに参らぬと存ずるのでありまして、私どもといたしましては、信用組合に対しまする公庫業務の委託は、ただいま申し上げましたような点もございますので、これは直接の委託ということにならざるを得ない。信用組合公庫代理店として使う限りは、どうしても直接委託をするのほかはないのだというように理解せざるを得ないと考えている次第でございます。従いまして、その点で公庫なり政府のやりまするやり方は、国会の御決議の趣旨に形式的には抵触するやのきらいがあるわけでございますけれども、私ども考えますところは、信用協同組合公庫代理業務に参与させて、それにつながつておる中小企業者にも資金を流せというのが、主たる御趣旨であろうかと存じまして、その点は法律解釈の許す範囲では、附帯決議を尊重しつつ、実際の必要に適合するように運用して参りたいと考えている次第でございます。なお附帯決議のつきまする経過につきまして、私ども政府委員の手落ちを御指摘でございましたが、この点はただいま銀行局長のお話がありましたように、非常に無理と申しますか、実情等につきまして問題のある御決議であつたわけでございますが、われわれといたしましても、努力の不十分でありました点は率直に認めまして、まことに申訳ないことと存じております。
  43. 春日一幸

    ○春日委員 それでは問題は、信用協同組合にも融資をする、こういう法律の趣旨であり、附帯決議の趣旨もそこにあります。ところが現実的にあなたの方の政令によると、金融機関は、金融業はこれを対象にしないということになつており、さらに中金との関連において大きく疑義がその中に含まれておる、こういうことでもやもやしてるんですね。だからあなた方が、実際的にこの問題を真剣に取上げて、これができないならばできない、できない附帯決議をつくつてもらつたつてだめだということを、十二分に通産委員会において強調されれば、むちやなことをお互いに国会がするはずがない。だからこれは、河野さんは熱意が足らなかつたのではなくて、力が足らなかつたのだと言われたが、熱意も力も両方ともちやらんぽらんではなかつたかと考えるわけです。足らないところはすみやかに直してもらいたい。これは重ねて河野さんに申し上げますが、そういう関係で、愛知県は全国に冠たる中小企業県ですが、これらの中小企業家は、新聞並びにラジオの報道で、さつと殺到してもだめだ、やがて銀行国会の意思によつて加えられることがあろうということで、申込みをほとんど大部分のものが手控えておる。この事情を十分御参酌くださいまして、可及的すみやかに修正をしていただきたいということを強く申し述べるものであります。  それから次に、ただいま河野さんは、法律は一千万円を限度としておるけれども、三百万円にウエートを置く、こういうお話であります。これは考えようによつては、しかくあつてもよろしいとは思いますけれども、ただいま有田君の所論の中にもありましたように、これは単なる救済融資ではない、これはまず中小企業の設備を合理化することによつて生産コストを下げるということが、この法律の目的の第一項であろうと私は思います。従いまして、日本の産業の大体の胴体をなしておるところの代表的な中小企業、これが生産を合理化するということのためには、私は三百万円を越えるところの資金を必要とするような場合が少くはないと考えるのであります。従いまして、法律の限度額も一千万円ということになつておる。あなた方はやはり法律ができた以上は、法律の条文の通りこれを実施されるべきであつて、観念的に、あるいは感情的に、三百万円程度にウエートを置くというような選択権は、あなた方に許されていない。従いまして、一千万円という法律があつたならば、三百万円以上のものはどうのこうのということでなくして、実情に応じて、真実にその業態が三百万円を越えるところの合理化資金を必要とする場合においては、これはやはり法律によつて規定されておる限度内の貸出しに躊躇されることのないように、私は強く要望したいと思います。あなた方が三百万円ということをかつて考えるということは、これは法律の規定しておるところではありませんので、この点を強く要望いたしておきます。  それから資金量が少いから云々ということが、附帯決議の中にも述べられており、さらにあなた方自体が、どうせ資金量が少いのだから、こんなわずがな金をもつて中小企業の合理化とか、あるいは金融梗塞の打開とかいう大きな財政策は解決できないのだからというような投げやりな気持から、姑息的な施策に流れて行かれるような傾向が少くないと思います。これはもつてのほかである。少くとも本日ここに新しい公庫法ができた。農林漁業の公庫法におきましても、最初百億か百五十億であつたが、今や五百五十億という厖大な資金政府が出資いたしております。われわれは、年次計画によつてやはりこれは日本の生産コストを低めるための資金として、国会政府とが協力をして、五百億、六百億の資金量を確保する必要は遠くであつてはならぬと思うのであります。従いまして資金が少いからといつて、あなた方の対策がずさんなものであつたり、姑息なものであつたりすることは許されない。だから資金量の増額を期する努力をされると同時に、その運営にあたつては、やはりその法律の精神と目的を逸脱されることのないように強く要望いたします。  それから次は、水田君にお伺いをしたいと思うのでありますが、この資料によりますと、あなたの方は中小企業に対して八千百三十七億八千百万円の融資をこの十一大銀行によつてなされているとのことであります。ところが一方あなた方は、中小企業関係からこれに見返るものとしてどの程度預金量を吸集されているか、この機会にお示しを願いたいと思うのであります。現在通産委員会なり、あるいは他のいろいろな機関において、大銀行が大企業に偏重して、中小企業金融を等閑に付しているという声が非常に高まつております。そのことのためには、一層この公庫のような問題にとどまらずして、ときには政府の預託金も十一大銀行から引上げて、他の銀行にまわすべしというような輿論も起きていることを知つております。やはりこれは、大銀行が大企業に情実融資、一辺倒融資に傾いて、中小企業の方面に対する貸出がだんだんと等閑に付せられていることの現われであると思うのでありますが、この機会に承知いたしておきたいことは、八千百億貸しているそうですが、じや一体中小企業者の金はどの程度預金として預かつているか、お示し願いたいと思う。
  44. 水田直昌

    水田参考人 御指摘の資本金千万円以下の人から、どの程度預金を預かつているか、これは今手元資料を持つておりませんので、はなはだ残念でありますが、後刻調べまして、お手元に差出すことにいたします。  なお中小企業に対して熱意がはなはだ足りないと、常にそのおしかりを都市銀行としては受けておるのでございますが、これは都市銀行はその性質上、大企業及び中企業というものに金融をするという、一面使命を持つておりますので、その面からごらんになりますと、御指摘のような御感想をお持ちになることは、まことにごもつともな、やむを得ない点と存じますが、都市銀行としましてできる限り——やはりこれは大企業といいましても、中小企業が成り立たなければ、大企業というものも空中楼になりますので、やはり大企業というものを育成して行くということは、必然的に中小企業の育成ということが欠くべからざることでありますので、その面についての努力は、先般申し上げたようにいたしておるわけであります。何分大中企業の方が都市銀行としての一面の使命でもありますので、そういうような印象を与えるということにつきましては、都市銀行側としましても、なお一層この点の改善をすることについては行わなければならぬ、かように考えている次第でございます。
  45. 千葉三郎

    千葉委員長 中小企業金融問題につきましては、この程度で終りたいと思います。  本日、参考人の皆さんにおかれましては、御多忙のところわざわざ御出席くださいまして、有益なる御意見を開陳していただきましてありがとうございました。     —————————————
  46. 千葉三郎

    千葉委員長 それでは森永主計局長に対する質疑を許します。井上君。
  47. 井上良二

    ○井上委員 時間も迫つておりますので、簡単に要点だけ伺います。  先般本委員会の小委員会におきまして、二十八年度補正予算並びに二十九年度の予算の骨格について、政府の作業いたしております内容を一応伺つたのでありますが、その後御承知の通り台風第十三号が発生いたし、また冷害が東北地方相当ひどく起つておるというようなことからいたしまして、補正予算の編成の上にも、また二十九年度の予算の骨格の上にも、非常に大きな問題が投げかけられておるのであります。その後政府は、昨日緒方副総理は、すでに補正予算は緊急にできる、従つて今月末には国会を開く、さらにまた災害対策に対しても、大蔵大臣はここ一週間以内に原案をつくる、こういうことを国会の他の委員会で発言をされておるのであるが、さような手続に進んでおりましようか。この点をまず主計局長から、実際の事務当局の作業の面から明瞭に御答弁を願いたいと存じます。  なお第二の質問は、当局は、およそ災害復旧にどのくらいの予算が見込まれており、それが実際に二十八年度補正予算にどうなつており、二十九年度以降に持ち越されるものがどうなるかという見通しがこの際つきますならば、それもあわせて御説明を願いたい。なおまた、さらに予算が明確になりますまでは、一応つなぎ資金によつて当面の応急対策を進めて行かなければならぬ必要に迫られておりますので、つなぎ資金に対する対策、これを一体どういう方針で進めておりますか、現在まで支出されまして資金量、それから今後予定されておりますものをお示しを願いたいと思います。
  48. 森永貞一郎

    ○森永説明員 二十八年度の補正予算と二十九年度の予算の編成につきまして、問題点につきましては、先般小委員会において御説明申し上げたのでございますが、計数の方は実はまだまとまつていないのでございます。ことに二十九年度予算は、目下各省から出して参りましたものを、連日連夜審議して査定をいたしておる段階でございますので、ちよつと見当がつかないのでございます。二十八年度の補正予算につきましては、補正の項目として考えられます事項は、ただいまお話のございました災害復旧費の問題、これが一番大きな問題でございます。そのほかに公務員の給与改喜をいかに実施するか、それから農業共済関係資金が不足するのでございますが、それをいかにして充足するか、あるいは食管会計への繰入れがどうなつておるか、そういつた問題点があるわけでございまして、いろいろ検討いたしおりますが、何分にも財政需要の方が非常に尨大でございまして、財源の方がこれに伴わない点非常に苦慮いたしておる現状でございます。従いまして、まだ災害復旧費をどの程度計上できるかということをここで申し上げる段階に至つていないことを遺憾といたしますが、一今考え得られまする財源ではとうてい不足でございますので、既定経費等につきましても、この際思い切つた節約をすべきである、そういう論議が出て参りまして、その問題につきましても、目下政府部内において慎重に検討を遂げておる次第でございます。かんじんの災害復旧費として本年度どのくらいを盛り得るかということにつきましては、さような次第で、いろんな要素がからみ合つて、まだきまつておりません点が非常に多い関係上、ここで申し上げることができないことを御了承いただきたいと思います。  しからば、その間のつなぎ融資についてどう考えるかというお尋ねでございますが、今日までに融資いたしましたつなぎ融資の総額は、十三号台風を含めまして九十六億五千万に達しております。今後これにどのくらい追加できるかというお尋ねでございますが、さしあたり台風十三号関係は取急ぎ出しましたために、所要額のごく一部しか実は出しておりません。十二億二千万出しておりますが、これは台風直後の被害報告に基きまして、とりあえずわかつただけを出しましたために、非常に足りないことは当初からわかつておつたのでございます。この分は今明日中にさしあたり第一回で出しました十二億程度のものを追加し、要すればさらにもう一回くらいは追加する必要があろうかと存じております。  そのあとどうなるかという問題でございますが、これは臨時国会がいつ開かれるかということとも関連いたしまして、それが延びればさらに資金も必要であるという御事情はよくわかるのでございますが、一方資金運用部の金繰りも考えなくてはなりません。本年度の災害関係以外の地方債の許可もどしどし進行しておるわけでございますし、その方の資金需要もかさんで参ります。また災害地の地方団体の税収入が減少する、そういつたもののめんどうを見る必要も起つて参りましようし、そういつた資金繰りの面から幾らでも出し得るという事態にはないのでございまして、いろいろ五十億とか百億とかいう御要望もあるのでございますが、資金面の需要から申しましても、それはちよつと困難ではないか。さしあたりは今明日中に出します十二億円、そのほかにもう一回くらい出すことはもちろん考えておりますが、そのあとの分につきましては、幾ら出し得るという見当はまだついていないことを御了承いただきたいと思います。
  49. 井上良二

    ○井上委員 大体了承いたしました。ただここでお考えを願わなければなりませんのは、実際被災地の国民大衆は、この災害復旧なり、また凶作対策に対して政府がどういう手を打つてくれるであろうということを、一日千秋り思いで待つておるわけです。それにまだ今日に至つても、これに対するはつきりした対策が具体化されておらぬということでは、まことに私ども、罹災民に対して国の方針を述べることができ得ない事情にあるわけです。これは非常に困る。これは政治的には、たとえばべ—ス・アップをどうするかとか、あるいはまた二重米価の問題をどう一体政治的に片づけるか、また全体の大きな災害復旧費をどの程度にこなすかという大きな政治問題が横たわつておるでしようけれども、事務当局として、これはこういうことで行かなければいかぬという作業の一応の見通しがつけられなければ、実際どうにもならぬのじやないかとわれわれ考えられ得るのであります。そこでまた現実のつなぎ資金も、百億を突破しようとしておる。その後出しても、もう一回くらいしか出せないであろう、資金的な面でなかなかそうは簡単に行かぬ、こういうことになつて来ますと、この年末を控えて一体どうするかという問題に対する大きな問題が、私は現実に起りはせぬかと、こう考えますので、事務当局におかれてこういう大きな政治的の問題を処理せよとは申しませんが、問題は、やはり事務当局で一応の算定というものがされて行かなければなりませんので、これらについても、十分ひとつ御考慮願いたいと思います。  なお銀行局長に伺うのでありますが、災害地並びに今度の問題になつております冷害地帯等に対しまして、金融対策として政府がおもに打つておる手はどういうことをやつておるのでありますか。そうしてまた実際上農村側におきましては、営農資金を貸し出してもらいたいということが非常にやかましく主張されておりますけれども、これがなかなか思うように行かないで困つておる。また一般中小企業者においても、運転資金がほしいといろいろ言つておるけれども、なかなかそれもうまく行かない。こういう点についても、もつと具体的に金融面において打開し得る措置を何とか政府として打てないものでありましようか。それらについて一体どういうお考えをお持ちですか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  50. 河野通一

    ○河野説明員 災害地の金融問題につきましては、問題が非常に多岐にわたりまして、範囲が非常に広くなるのでありますが、おもな問題点について申し上げてみたいと思います。  まず第一は、いわゆる営農資金と申しますか、農業関係の災害及びそれに伴う農業生産資金、あるいは一部は生活資金ということになるかもしれませんが、そういつたものに対する金融は、従来九州等におきまして起りました災害について行いましたところに準じて、災害の状況その他を見て、主として農林中金を通じて金融をいたす方途を、今度の場合の災害についても適用いたして参りたいと考えております。金額その他については、まだはつきりした見通しがつきませんので、今農林中金をして、これらの問題につい具体的いろいろ資料等を調べさせておる段階であります。  それから指定預金等につきましては、指定預金の引揚げを災害地においては延期する措置をすでにとつたのであります。なお今後の状況を見まして、必要がありますならば、さらに指定預金を追加することも考えなければならぬ事態が起るかと思います。これらの問題も、今出先機関をして調査をさせておる段階であります。  それから中小企業あるいは国民金融等につきましては、北九州の場合の前例に従いまして、国民金融公庫につきましても、また中小企業金融公庫につきましても、ある程度のわく別の——わく別という言葉は非常に悪いのでありますが、ある程度資金量を予定いたしまして、これをもつぱら災害地の、特に災害がきつかつたところに重点的に流して行く措置をとりたいと思います。なお金利等につきましても、北九州の場合の例もありますので、でき得れば特別の安い金利ということを考えて参りたいと思いますが、この点はまだ内部で検討をいたしておる段階であります。そのほか北九州の場合にとりました応急措置と同じように、その実情に適応するような措置をとつて参りたいと考えておりますが、現在までのところでは、特に手形の延期とか、そういつた強い措置の必要はないように私どもは見ております。なおこの点は、はなはだ私どもも現地の実情にうとい点もございますので、もし私どもの認識が足りないようなことがありますれば、御指摘をいただきますれば、またあらためて必要なる措置をとりたい、かように考えておる次第であります。
  51. 坊秀男

    ○坊委員 井上委員の御質問に関連して、銀行局長に一点お聞きしておきたいと思います。ただいま災害地の金融等につきまして、中小企業の面において、国民金融公庫に対しては、災害に関して別わく等の措置をとつておられるというお話を承つておるのでございますが、承るところによりますと、国民金融公庫資金が非常にきゆうくつになつておる。ただ一部におきましては、ある方面からは、出した金がからまわりして、公庫の方にもどつて来ておるというようなお話もあつたのでありますが、全般的に見まして非常にきゆうくつである。六月、七月の災害以来引続いて災害が起つて来ておる。ことに十三号台風というようなものは、非常に中小企業に対して打撃を与えておる。そこでこういうような実情に即しまして、今後中小企業に対する金融は、何といつても国民金融公庫が一番早いし、それからまたフルに金を使つてくれておるというようなことから考えてみまして、私はこの十三号台風を含むいろいろな災害に関して、中小企業に対する金融として、今銀行局長が申された別わくをさらに拡大するということも必要だろうと思います。またこの年末における中小企業金融が非常に逼迫して来るだろう、これに対してはどうしても国民金融公庫の使命が非常に拡大して来るのじやないか、かように思うのであります。今度の補正予算におきましては、なかなか国民金融公庫資金を増額するというような手配もむずかしいやに私は承つているのでありますが、でき得べくんばそういう措置もとつていただきたい。なおまたそのほかに、資金運用部資金公庫の方にまわしてもらうというようなこともやつていただきたいのであります。そういうことについて、主計局長及び銀行局長はどういうお考えを持つているか。そういうことはいけないのだ、できないのだというようなことでなしに、今さようなお考えを持つているとするならば、これをひとつあらためて何とかこの際そういう措置をとつていただきたい。それについてまず銀行局長から伺いたいと思います。
  52. 河野通一

    ○河野説明員 御指摘のように、これは実は中小企業金融公庫も同じ問題があるわけであります。当初国民金融公庫中小企業金融公庫の趣旨、あるいは融資の計画を立てます当時には、こういつた災害関係の特別の資金の需要ということは考えないで立てたことは間違いのないところであります。北九州と今度の問題を入れますと、国民金融公庫でもやはり本数億、あるいは二十億近くが特別に出ておるのじやないか。もちろんこの点については、今坊さんがおつしやつたように、ある程度のものは返つて来ておることは私も聞いております。そういう点において、必ずしも臨時的な支出が、ネットにおいてはふえたとは思いませんが、いずれにしても非常に大きな金が臨時に出た。しからばこれをどういうふうにして埋めるといいますか、穴を埋めるかという問題であります。お話のように、その方法としては、資金運用部から借りるということもありましようし、また一般会計から出すということもありましよう。これらの問題につきましては、かねかね部内ではいろいろな観点から研究はいたして参りました。私どもといたしましては、国家財政の都合がつけば、どういう形でもよろしゆうございます、資金運用部でもよろしいし、一般会計でもよろしいし、どちらでもよいから、この資金の充実ということについてできないものだろうかということで、部内で打合せはいたしておりますけれども、現在聞いておりますところでは、財政の状況は、資金運用部の資金繰りも含めて非常に苦しい状況であります。詳しいことは主計局長からお聞きになつていただきたいと思います。私どもは何とかできぬものかということで、今話しておる最中であります。
  53. 森永貞一郎

    ○森永説明員 ただいまお示しのような国民金融公庫資金繰りは、私もよく伺つております。そしてまた、その需要が非常に切実なるものであるということも、よく承知いたしておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな財政需要、しかもその一つ一つが非常に厖大な財政需要がかち合つてつておりまして、一方それに見合う財源は非常に乏しいという現状でございます。一般会計の補正予算の際には、まとまつた資金をさらに追加して支出するということは、おそらくは困難ではないかと考えておるところでございます。資金運用部の方も、ただいま銀行局長からお話がありましたように、楽ではございません。ことに地方債等におきまして、今度の災害関係等でまた新たな需要も起つて来るわけでございまして、そちらもなかなか楽ではないようでございます。非常に切実なる資金需要のことはよくわかるのでございますが、なかなく簡単に参らない、非常にむずかしいということを御了承いただきたいと思います。なおよく検討いたすつもりでございます。
  54. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 時間がありませんからごく簡単に伺いますが、今年の凍霜害あるいは風水害等で農手の回収が非常に困難になつておると思うのであります。農手の貸付が四百億からあるということを聞いておりますが、これは特段の措置を講じないと、農中の資金が非常に圧迫されて来るのじやないか、こう思うのでありますが、これに対してどういうふうな考えを持つておられますか、そういう点をひとつ銀行局部に伺いたいと思います。  それから供米状況が非常に悪い。今の市中の価格と供出価格との差から来る問題でありますが、そこでこの供米の促進をするためにも、供出米価格に対する所得税の減免等を考えてみたらどうか、今年に限つてこういうふうな特例を考えてみたらどうかというようなふうにも考えられるのでありますが、それに対してあなたの方では、これをやつた場合に、たとえば供出米価に対する今の所得税の減免をやつた場合にどのくらいの歳入の差が出て来るか、この点を伺いたいと思います。  それから二十八年度の補正予算、あるいは二十九年度予算に、今後食生活の改善運動というものが非常に大きく展開して来なければならぬと思うのでありますが、そういう予算を計上する意思があるかどうか、この三点を伺います。
  55. 河野通一

    ○河野説明員 農手の問題だけは、私からお答え申し上げます。農手は御承知のように大体三百数十億の残高ということになつております。農中の方では、いろいろ今度の災害に関連いたしまして、農手は一体金がうまくまわるかどうかつまり回収がうまく行くかどうかということをかねがね調査いたしておるわけであります。今聞きましたところでは、今度の米作の不作等の関係もまだはつきりせず、金融上の回収の困難性もまだはつきり出ていないようでありますけれども、そういう問題も織り込んでみますと、いろいろ問題はあると思うけれども、現在のところ、特に農手の回収方について特別の措置をしなければならぬという必要は認められないのじやないか。それよりもやはり正面から、いろいろ災害関係に対してそういうような資金を出すことによつて、これらの点がちやんとまわるようにしたらよいのじやないか、そういうような考え方でおるようでありますが、なおこの点は私どもももう少し十分に調査をいたさなければ責任を持つた御答弁もできませんので、さらにこれらの問題について十分調査をいたしました上で、必要によつてまたお答えいたしたいと思います。
  56. 森永貞一郎

    ○森永説明員 第二点の供出米の価格に対する所得税の免税のお話でありますが、これは主税局長の所管でございまして、いささか私がお答え申し上げるのは僭越でございますけれども、現在超過供出奨励金は、臨時措置で免税になつております。それから完遂奨励金として本年度八百円に増額されました部分につきましても、免税でございます。これらは臨時に、供出を促進するという観点から特に免税の措置がとられたわけでございますが、さらにその元の基本米価につきまして免税するということは、これは所得税法の精神、租税負担の体系から申しましていかがかと存ずるのでございます。なおもう一つは、現在農家の大部分は、実は所得税を払つていないのでございまして、その基本の部分につきましても所得税を免税するということが、今実施いたしております減税以上にさらにどの程度供出を促進する効果があるかどうかという問題につきましても、疑問があるとも思うのでございまして、私どもといたしましては、賛成いたしかねるのであります。  なお金額がどの程度になるか、これは今申しましたように、農家の大部心が所得税を払つていないという現状から申しますれば、あるいは大したことはないかもしれません。しかし、数字の点につきましては専門外でございまして、把握いたしておりませんので、御答弁ができないのでございますが、ただいま申し上げましたような筋の上から、また効果の上からいつて、私どもといたしましては、遺憾ながら賛成ができないということを御了承いただきたいと存じます。  第三点、はなはだ恐縮でございますが、ちよつと聞き漏らしたのでございますが……。
  57. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 第三点は、食生活の改善運動というものは相当強力に展開されなければならぬだろうと思つておるが、そういう予算を計上する——今でも何ぼか計上しておるが、これをもつと計上する意思があるかどうか、こういうことであります。
  58. 森永貞一郎

    ○森永説明員 ことしのような作柄になつて参りますと、食糧需給上どうしても粉食を奨励するというような必要がより一層痛感されるわけでございまして、現在以上に何らかの奨励措置を講ずるごとにつきましても、農林省の方からいろいろ私どもの方に案が参つております。慎重に検討いたしたいと存じております。
  59. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはほんとうは農林省の方からの答弁を求めたいのですが、あなたの方にも関連して来るのでお尋ねしたいと思います。今農村等に対して非常は補助とか助成の政策をとつておる。ほとんどが助成政策であり、補助政策であるように感ぜられるが、これはやはり価格政策と、それから補償制度、共済制度、金融制度のこの三つを確立して、補助政策というのはなるべくやめて行くようにしないと、農村のほんとうの立上りというものはぼくは困難じやないかというふうに思うので、これは農林当局に聞かなければならぬ問題でありますが、そういう観点から、あなたの方では今私が申し上げたことについてどういうふうにお考えになつていますか。
  60. 森永貞一郎

    ○森永説明員 御趣旨につきましては、根本的には私どもといたしましても全然異存ございません。御指摘のように、今日実に種々雑多な、しかも全額のわずかな補助金がばらまかれておるのでありまして、それらの補助金がはだして所期の効果をあげておるかどといたしましては、この際根本的に再検討しなければならぬのではないかと考えておるところでございます。しからば米価をどの程度上げていいか、補助金が全然なくなるくらいにするのには相当上げなくてはならぬというような議論もあるかもしれませんが、これはまた別な観点から考えなくてはならぬ問題でございまして、消費者の負担、財政負担、そういつたようなものを総合して、妥当な価格政策をとつて行かなければならぬわけでございまして、幾らでも上げていいというわけにはもちろん参らないと思いますが、御趣旨には根本的には異存はございません。
  61. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺つておきます。それはたしかこの間の衆議院の水害対策委員会でも、かつまた昨日の参議院の水害対策委員会でも多分答弁されておると思いますが、例の六月、七月災害に対する諸立法の適用の問題において、まだ政令ができないので、予算化するための作業がなかなかうまく行つておらぬという事実らしいのです。この六月、七月の災害復旧についての予算化の問題にからんで、その後起りました今度の八月、九月の災害も、これにならつてとつ予算化してもらいたい、こういう要求が被害地の方から相当やかましく主張されておるのであります。これがまた国会にも反映しまして、六月、七月の災害と同等の取扱いを、その以後に起つたものにもしてもらいたい。これは法律を直さなければなりませんので、来るべき国会では当然修正されると思いますが、ただあなた方がこれから予算を組まれます場合に、六月、七月の今成立しております法律によつて予算化をするか、それとも当然これは修正されるものという一つの見通しの上に立つて、その後起りました災害も補正予算なわ来年度予算の上に計上をやるかやらぬかという問題が一つ起つて来ますね。あなたとしては、これは非常にぐあいが悪いというお考えで大分問題になつておるようでございますが、まあそれはともかくといたしまして、そんな差別待遇は現実にできない事実から考えまして、これは事務当局として予算作業をいたします上において、その後起りました災害も、やはりこの法律は当然適用されるものという上に立つて作業をやられておるかやられておらぬか、このことは非常に大事な問題でありますので、一応この際承つておきます。
  62. 森永貞一郎

    ○森永説明員 六、七月の災害の特別立法の適用地域をどうするかということにつきまして、いろいろ問題があつたのでございますが、政府の方でも方針がきまりまして、近く政令案が出される予定でございます。この政令は、もちろん法律に基くものでございますので、一応六、七月ということになるわけでございますが、予算化の場合には、六、七月だけに限るというわけには参らぬと私ども考えております。八月、九月の同様な災害につきましては、やはり同じような取扱いにしなくてはならないと考えておつたのでございまして、その点につきまして反対をしておつたというようなことは全然ございません。
  63. 井上良二

    ○井上委員 わかりました。
  64. 千葉三郎

    千葉委員長 織物消費税の問題につきまして、小西鈴木両君から御意見があります。この問題につきましては、来る十二、十三の両日税制小委員会がございますので、その際これは取上げたいと思うのです。しかしせつかくお見えになつておりますから、この際御意見を拝聴したいと思いますが、いかがいたしましようか。——散会後にした方がよろしいかと思いますので、そのようにいたします。  なお、先ほどの中小企業金融の問題につきまして、十三日の午前十時に理事会を開催したいと思います。それで十三日の午後一時に、通産委員会の方でこの問題で委員会が開かれるようでありますから、当方といたしましては、その日の午前中に理事会を開きたいと思いますから、さよう御了承を願います。
  65. 井上良二

    ○井上委員 委員長、ちよつとその取扱いについて——私はこの中小企業金融の実施にあたりまして、いろいろ末端に問題があるということは伺つております。そのことが国会にも反映いたしまして、十一大銀行の方にもこれを取扱わす道を講じたらどうかという意見が出ておるようであります。少くとも国会として、この法律施行に当つて一つの附帯決議をいたしました場合は、それは当然国会決議として附帯決議がされておるのであつて通産委員会独自でやつておるものではありません。それが本会議に一応報告され、本会議で決定された以上は、お互い本会議決議に参加する者の当然の共同責任であります。従つて、もし附帯決議に異議がある場合は、その決議をいたす前に、それぞれそれに賛成反対の態度をきめて臨めばよいことであつて決議が通つてしまつて、実施まだわずか一月か二月の後において、ただちに自分がやつた決議に異議がある、そういう行き方ははなはだどうも私は納得が行かぬのです。だから私としては、さきに有田さんの申しておつたように、やはり十一大銀行が扱う中小企業長期資金という問題は、別個に政府の方からこの面についての必要な措置を講じて、公庫の金は、零細な中小企業者を対象にして貸し付けて行く当初の方針を推し進めて行くことが、零細な中小企業を生かして行くことになりはしないかと私は確信しておる。だから私は、国会決議に相反するがごとき行動は、私自身国会議員として、また大蔵委員会理事でありますけれども、その交渉ならちよつと私はごめんをこうむりたい。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 せつかく井上先輩の御意見ですけれども、これは過ぐる九月十日の委員会において、すでに満場一致で本委員会決定の線は出ております。さらにただいま、これは動議ではありませんでしたけれども、すでに有田君から御意見があつて、それに対して委員長から、その扱い方についての御意見が述べられて、本委員会はこれに了承を与えておると思うのです。もとより私ども大蔵委員会としては、あの処置に対して一半の責任を負うものであることは当然のことてありますけれども、現実にその運営面に相当の障害があるということでありますならば、その障害、欠陥を修正するための努力が、われわれ国会議員共通の責任においてなされることは当然のことであろうと考えます。そこで私は、井上先輩に抗弁するわけではありせんけれども、すでに累次の委員会においてそれぞれ熱心に皆所見を述べられ、大体その方針も一決しておるところでありますから、今ここでそれはやめるということになりましても、これはまたさかのぼつて根本的に審議をやらなければなりません。すでに三回にわたつてこの問題を審議し、その方向もほぼ決定したことでございますから、ひとつ井上先輩にはこの点を御了承願つて委員会が決定した線によつて一致協力してやられることをお願い申し上げたいと思います。
  67. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 今春日君からああいう意見が出ておりますが、私も大蔵委員会理事の一員として、この取扱いをば、国会決議に反したことについて相談するのだということなら反対でございます。さようなことは私は承服できません。そこで春日君の御意見もございましようが、その点委員長上く考えてやつてもらいたい。今各県で中小企業金融保証協会というものもできております。これらもやはり十一大銀行を通してそうした機関が保証している。その保証に対して、銀行と両方で利子をとられている。利子で倒れかかりつつある、零細企業家はみな金利で倒れてしまう、こういう問題等も考えてやらなければならぬ問題である。そういう意味において、決議されたものに反する取扱いをもう一応相談するのだという理事会なら私は反対です。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 これは異様なことを申される。去る九月十日の委員会においては、私ども意見を申し述べ、委員長はしごく同感だと思いますから、各位の御賛成を得ますならば、委員長は、これに対して必要な処置を講じたいと思うのでありますが、異議ありませんか、満場異議なし、こういうことで、この取扱い委員長に御一任を申し上げております。従つて、私は一事不再議の原則は尊重されねばならないと思いますし、多くの疑義があるということは、それぞれ陳情者たちが陳情した通りであり、さらに全国中小企業者そのものからも、陳情書が国会に届けられております。現実に彼らが融資が受けられなくて困つておるのだから、中小企業者融資を受けられるところの方途いかん、こういう問題を取上げておる。そこの中の問題として中小企業の問題があり、相互銀行の問題があり、あるいはまた十一大銀行のこういう問題があつて、法の精神と目的とが公庫法を通じて十分実現される、ように、こういうことであります。またそういう御意見のあるところは、法理論としては、十分われわれも理解たしますが、せつかく九月十日の本委員会において決定した決定事項でありますから、やはりこれはお互いにひとつ了承いただくことにして、委員長において善処をお願いしたいと思います。そうでなければ、この間うちやつて来た委員会は何をやつておつたのかわけのわからぬことになりますし、委員長委員会に対して十分お諮りを願つておる問題ですから、一旦決定したことはひとつ御了承願うのでなければ、審議が根底からこわれてしまつて委員会の権威が保たれません。この点よく御了承願います。
  69. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 困つていらつしやる零細企業家の人たちに対する金融等についてどうするかということは、委員会で取上げてやつていらつしやるのでありまして、私どももその点は同感です。けれども委員会が決議されたその決議に反する、十一大銀行にこの問題を取扱いさせるがごときことの相談をされるということについては、私は反対だと申しておるのであります。
  70. 千葉三郎

    千葉委員長 久保田さんに申し上げますが、この問題につきましては、佐藤理事から、愛和県の実情に照して何とか緩和してほしいという提案がありまして、それでやつたわけであります。従つて党内で十分思想調整をおはかりくださいまして、来る十三日の理事会に御出席をいただいて、ひとつ慎重に御善処方をお願いしたいと思うのです。これは大銀行を助けるのではない、中小企業の一部で非常にお困りになつておる方があるから、それらを実際的に助けなければならぬという趣旨でありまして、決して大銀行を助ける方向には持つて参りませんから、さよう御了承願います。そうして今春日委員の言うように、ここは通産委員会においても十分慎重に、ほんように将来を見通してやつたかということは、多少疑問はあるのです。だから十分話し合つて行きたいと思いますから、その点は御了承おき願います。
  71. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 それは委員長の御意見もありますけれども、三百万円から一千万円というような金ですと、これは中小以上ですよ。もつとこまい零細企業家の問題をわれわれ真剣に考えなければならぬ。私たちがいろいろ申しております点は、零細企業家の金融問題をどうして解決してやるかということを委員会において取上げてきめるべき問題である、こう思つております。そういう意味から私は反対しておるのです。
  72. 千葉三郎

    千葉委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後一時四十一分散会