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1953-07-28 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大上  司君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       久保田鶴松君    楯 兼次郎君       伊藤卯四郎君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    中川 俊思君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         国税庁長官   平田敬一郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         議     員 井上 良二君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二十七日  委員井上良二辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  伊藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 七月二十八日  委員飯塚定輔辞任につき、その補欠として三  和精一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十七日  昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金  等に対する所得税臨時特例に関する法律案(  内藤友明君外二十四名提出衆法第四三号) 同月二十五日  石油関税減免措置延期に関する請願外一件(  田子一民紹介)(第五四八七号)  同(森清紹介)(第五四八八号)  同(田子一民紹介)(第五四八九号)  同(森清紹介)(第五五三八号)  同(小山倉之助紹介)(第五七三九号)  同(佐藤洋之助紹介)(第五七四〇号)  揮発油税軽減に関する請願西村英一紹介)  (第五四九〇号)  同(田子一民紹介)(第五四九一号)  同(森清紹介)(第五四九二号)  同(森清紹介)(第五五三九号)  同(小山倉之助紹介)(第五七三七号)  同(佐藤洋之助紹介)(第五七三八号)  揮発油税軽減等に関する請願岡田五郎君紹  介)(第五四九三号)  東北興業株式会社に対する財政援助に関する請  願(小澤佐重喜紹介)(第五五一六号)  静岡県木漆工業協同組合手形取引に関する請  願(勝間田清一紹介)(第五五五七号)  所得税法の一部を改正する法律案等反対に関す  る請願大石ヨシエ紹介)(第五七四六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員選任の件  連合審査会開会申入れの件  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  特別減税国債法案内閣提出第九八号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四三号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  産業投資特別会計法案内閣提出第一一三号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号)  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定の実施に伴う国有の財産  の管理に関する法律の一部を改正する法律案(  岡良一君外二十六名提出衆法第二〇号)  積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収獲  に因る農業所得に対する所得税臨時特例に関  する法律案竹谷源太郎君外二十四名提出、衆  法第二一号)  昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金  等に対する所得税臨時特例に関する法律案(  内藤友明君外二十四名提出衆法第四三号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に掲げました十四法案中、昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案を除いた十三法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。  なお本日政府委員として出席されておるのは、愛知政務次官渡辺主税局長平田国税庁長官税関部長、また説明員として直税部長諸君であります。  春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私は、まず最初所得税法の一部を改正する法律案につきまして、渡辺主税局長にお伺いをいたしたいと思います。その第三条の二であります。これは今まで名義人に課せられておつたような場合もあつたのだが、今回この法律の改正によつて、実際の収益取得者実質的な課税を行うということが明文化されたと思うのであります。そこでお伺いをしたいのでありますが、今まで政府提案理由説明を承つておりますと、これは、今までこのように取扱つて参つたのだから、これが法律上正しいことだ、従つてこの正しいことを明文化しただけだ、こういうお話でありますが、それでは、今まで法律なくしてもそういう実質徴収ができて参つた、だからこういうような立法を今さら必要とはしないと私は思いますが、これは一体どういう必要に基いてこういう立法がなされたのであるか、まずこの一点についてお伺いをいたしたい。
  4. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 春日委員の御質問の一番最初に、今まで名義人課税したことがあるが、今度は、実質的に所得を収受した者に課税するというふうにこの法案を置いたがというように御発言になつたように思いましたが、同時にあとの方では、これは従来やつていたことそのままだというようにお話になつたように、多少私の聞き違いかもしれませんが、御質問の中で矛盾していたような御意向伺いましたが、それは、春日委員あとでお述べになりましたように、従来も、所得税課税におきましては、名義人と実際所得を得ている八が異なつていることのはつきりしている場合におきましては、実際所得を得ている人に課税する、こういう建前で、所得税の解釈なり執行をやつてつたわけでございます。従いまして、今度の三条の二の規定は、それをそのまま明文化した。それじや、一体何で明文化する必要があるかというふうに、第二段で御質問になつたと思いますが、われわれは、所得税法を全体的に見て参りますと、当然そういう結論であるべきじやないかというように思い、大体それで、世間の方も御納得が行つているように思うのでありますが、やはりそういう点は、いろいろはつきりしておく方がよかろうというように考えられますので、この条文を挿入しようとするわけであります。
  5. 春日一幸

    春日委員 その事業から上る収益を収得する当事者が、名義人であるか、あるいは名義人でなくして、他に実質収得者があるか、このことの画然たる判定はなかなか困難ではなかつたかと思うのであります。従いまして、従来の徴税方式は、実際的には今お説のように、はつきりわかつておるものは実質課税行つて来た。しかしはつきりわからないものについてはどういうふうに扱つて来られたか、この点をお伺いしたい。
  6. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 はつきりわかつておるものは、実質課税をやつて参りました。はつきりわからないもの、これはいろいろ程度の問題と思いますが、できるだけ実質課税原則に沿うような意味において扱つて来た、このようにお答え申していいのではないかと思います。
  7. 春日一幸

    春日委員 たとえば、名義へとか仮装益者というようなものがいろいろあろうと思いますが、それは、忽然として発生した仮装名義人というものではないと私は思います。     〔私語する者多し〕
  8. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  9. 春日一幸

    春日委員 これは日本の置かれておる産業経済、また社会構造によつて事業経営する過程において女房を名義人にしてみたり、自分の兄弟分などに持分を持たせてみたり、また金を出さなくても、名前を出してその面で応援しようとか、こういう面が現在の中小企業経営の中には相輻湊し合つて、非常に複雑な様相を呈しておる。こういうものが、現在相当な数に上つておるのではないかと思います。従つてこういう企業者の個々の実態に対して、画然とこれを区別しおわすということは非常に困難ではなかつたか。たとえば税務署諸君査定にいらつしやるが、その収益名義上の所得者のものとして一記録されておつたとしても、これは本物であるか、あるいは名義人であるかということを一々せんさく詮議してこれを判断するということは、現実には相当の時間を要したり、調査のためには相当の手数もかかるのであります。さらにまた、それを判断するためには、その家庭の事情、友人間の交遊の範囲、あるいは出資資金の授受の実際、こういうものを調査して、本人の異議の申立てなどいろいろ取扱つた後でなければ、実質収益者がだれであるかということを最終的に決定することは私は困難ではなかつたかと思う。従いまして、従来は今お説のように、実質収得者と、それから、あまりはつきりわからないものは、多少の疑義があるかもしれないが、とりあえずその名義人課税して行く、すなわち名義課税実質課税とは、二本建で行われて参つたのが今までの徴税行政の実際の姿ではなかつたか、私はかくのごとく考えておるのであります。また実際現地における事実をいろいろ見比べあわせて、それがほんとうの実際の姿である、実質課税仮定課税とが両建で行われて来てそれは、現在持つている徴税能力をもつてしてはその程度しかできないから、実情に即した処置として、今までそれがそういうぐあいに取扱われて来たと私は考えておるのでありますが、実際はどういうふうに取扱われて来たのであるか、この点についてお伺いしたい。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 徴税方針としまして、片方実質所得者がいることがわかつているとき、名義課税した、こういう考え方事例は、私はないと思つております。片方実質的な所得者はつきりしておりますとき、片方名義人がある、こういう場合に、その名義人に対して課税して、実質的に所得を得ている人に課税しない。これはもしあつたら間違いで、あとで直つているはずであります。方針として全体を貫いているものは、実質的な課税主義である、かように考えております。ただ具体的な場合となつて参りましたとき、さらに一歩進んで、はたしてだれが実質的な所得者で、だれが形式的な所得者か、名義人であるか、あるいは名義人である人は、はたしてほんとう意味実質的な所得者であるか、これは疑えば切りのない問題がいろいろございます。その場合につきまして、あるいはお説のように、調査の点におきましてある程度不行届きのゆえんといいますか、そういうことのゆえに、事実はもつと裏に人がいましても、それを税務署の方はようつかみ得ないで、名義人実質的な収益者として課税した、こういうことは、全然絶無だとは私も言い切るだけの自信はございませんが、私が言い得ますことは、片方実質的な所得者がある、片方名義人がある、こういうことがはつきりしておる場合には、当然実質的な所得者課税して行く、こういう方針でやつて来たと思います。
  11. 春日一幸

    春日委員 私の質問をいたしておりますのは、そういう御答弁を求めておるのではなくして、これであります。すなわち、収益実質収得者名義人との画然たる判定をすることが非常に困難ではないか、現在の日本家族制度や交友のいろいろの相互援助の形態が、名義を貸し合つたり、その他信用供与というような、いわゆる社会的な応援を含めての名義供与とか、あるいは自分の細君をその経営当事者にせしめたり、いろいろそういう問題があろうと思うのであります。それでそういうような現実の上に臨んで、これがほんとう現実利益収得者であるか、あるいはこれが仮装名義人であるか、このことを法律立法すれば、その通り行わなければならない。ところが今までは法律はなかつた。なかつたから、原則としては実質課税でなければならぬ。これは申し上げるまでもないが、しかしながら、現在政府の持つておるところの徴税能力、これをもつてしては——法律となれは、少くとも一つも間違いがあつてはならぬのであるが、そういう間違いのないような徴税を行うということは、政府が持つておる徴税能力では、これをはつきりと執行することができないから、格別の立法を行うことなくして、実質収得者がわかつておれば当然それに課税するが、そうでない、たとえば百パーセント名義人であるということがわかつておるならば、問題はございませんが、五十パーセント疑義があるとか、七十パーセント疑義があるとか、そういうような場合は、その疑義せんさくすることなく、とりあえず税金を納めればいいじやないか、こういうことで、その名義人であるとおぼしきパーセンテージを相当含有しておるところのその当事者に対して、課税行つて来ている。このことは疑いのない現実であります。すなわち現在行われておるそういう課税対象というものが、これを言つてみるならば、実質課税名義課税と二本建で行われて来ておつた。私はそういうふうに認識をいたしておりまするし、現実もそこに行われておると思う。もしそうでないとおつしやるならば、そういう実証を私は幾多申し上げることができると思います。これに対してどういうふうにお考えになつておるか、もう一点御答弁を願いたいと思います。
  12. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 実質的な収益享受をする八と名義人との間の見わけ相当困難な場合がある、これは、私も現状において御説の通りだと思つております。しかし徴税方針といいますか、主義といいますか、所得税法を貫いている原則的な考え方としまして、やはりこれは、実質的な収益享受者課税すべきものである、こういうような思想は十分貫かれていたと思いますし、現在でも貫かれていると思つております。従いまして、現実の問題にぶつかりまして、はたして、これが単なる名義人なりや、実質受益者なりや、これはずいぶん苦労のあるところであり、問題のあるところと思いますが、しかし突き詰めて、たとえば審査になり訴訟になつて来た場合においてそれが単なる名義人であるということがはつきりすれば、税務としては当然取消すべきものであり、あるいは判決で負けても当然のものだ。同時に、片方実質的な所得者があれば、それに課税する、あるいは判決においても、これは裁判所の問題ですからどうなるか 私が結論を言うのはおかしいと思いますが、われわれの考えるところは、実質的な収益享受者であるということが立証できれば、おそらくそれに対する課税は正当なものだとして判決を下されるものではないだろうか、われわれはかように考えております。
  13. 春日一幸

    春日委員 私はこの問題は非常に重大な内容を持つておると思うのであります。ただいま渡辺局長がおつしやつたように、これが実質利益収得者であるか、あるいは利益を受けぬ名義人であるか、このことを判然と区別することは困難であつた、また困難であるということをみずから申されておる。また実際そうです。そこでこの第三条の二ができますと、今度は実質課税で行かなければならない、こういうことになると思うのであります。もし実質課税をしないで、仮装名義人がありながら、そのせんさくを行わないで、実質課税でないところの名義人課税の要素を含んだ、あいまいなものを少しでも残して執行するということになりますと、これは法律違反になります。たとえばそういうものをつくつた人は、罰則によつて処罰されなければならない。同時に税務官吏も、名義人課税をするということは、所得税法違反になりますから、これはまつたく同時に罰則の適用を考えられなければならないでしよう。法律規定したる以外の税の査定を行うということは、これは国が定めた法律違反をして税の査定行つたということになる。そうすれば、脱税者に対しての処断が行われると同時に、納税者に対してそういうことをやつた税務官吏に対しても、相当行政処分が行われなければならぬと思う。そういうことになつて来れば、税務署長の首なんというものは、一週間置きにつなぎかえなければ、これはとても法律違反しないで査定することができない、こういうような結果になりはしないかと私は考えるのであります。私がただいま申し上げるのは、日本経済機構やあるいは事業構造内容というものは、そういう実質課税名義人実質収得者との相錯綜する姿が全然なくなつてしまつて、同時にまた税務官吏の方の徴税技術、経験、知識、それから人員、こういうようなものが、一々に対して間違いなく的確な判断をし、区わけをして行くことができるような能力の段階に達したときには、私どもはこういう立法をすることもさしつかえないかもしれぬとは思うのでありますが、現在、あなたの御承知通り、特にあなたの善良な部下の中には、涜職をしたり、収賄をしたり、あるいは徴税したところの金を使い込んだりするよう非常に素質の悪い人たちも、多数の中にはまじつておられると思います。こういうような人たち国家権力を行使して、一つ一つ企業体の中に行つて、さてこれが名義人であるか、あるいは実質収得者であるかを判断してあやまちなく法律執行をして行くということについて、われわれは相当疑義をさしはさまざるを得ない。もし法律違反して、今までならば法律に別に定めがないから、実質課税であろうと、あるいははつきりわからない場合においては名義課税であろうと、別に法律によつてとがめられることには現実にはならなかつたが、法律の第三条の二によつて実質課税で行かなければならぬとはつきりきめられておれば、税務署員名義課税を行えば行政処分を受けなければならぬ、あるいは本人が架空の人をつくつて行くということになつて、この納税名義へによつて行われた場合には、これまたやはり脱税として相当処分を受けなければならぬと思う。こういうような立法は、現在の中小企業経営実態にそぐわしきものではないのみならず、新しい混乱を巻き起すおそれなしとしない。私がここで指摘したいことは、やはりものには相応の武器を持たせるということであろうと思います。たとえば、巡査には今ピストルが持たせてあります。これは、そのピストルという武器をあやまちなく管理できるという想定の上に立つておる。子供には竹棒であります。ところが重戦車とかバズーカ砲といえば保安隊原子爆弾といえば国連軍、こういうようなぐあいに、持たされた武器を善良に管理して、これをあやまちなく運営するだけの能力を、その与えられた当事者があらかじめ持つという想定がなければならぬと思う。私は、巡査ピストルを持たせることは現在さしつかえないというので、そういう処置がとられておると思うが、それでは巡査に今バズーカ砲や重戦車を持たせるということになれば、これは社会も国会も相当の批判ができると思う。それを、今税務官吏にそういうような大きなせんさく詮議権を持たせる、しかも相手は非常に複雑怪奇である。そういうものに対して一々判断しなければ、実質課税以外には課税してはならない、こういうような立法を行うということは、これはあたかも巡査に重戦車バズーカ砲を持たせるようなもので、これはかえつてけがのもとではないか。このことを私は非常に憂えるのであるが、この問題について愛知政務次官はどのようなお考えをお持ちであろうか、ちよつとお伺いをしたい。よそ事と思つてつてはいけませんぞ。
  14. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 私からまず一応お答えしまして、それから政務次官にお答え願いたいと思います。いろいろなバズーカ砲だとかピストルだとかの例をあげてお話くださいました。われわれもそのあげられた事例についてはよくわかるのですが、今おあげになつた事例とこの三条の二との関係は、私は多少違うではないかと考えております。先ほど来申しておりますように、現在の税法建前からいたしましても、片方に単なる名義人があり、片方実質的な所得享受者があるとすれば、税務官吏としては、当然真実所得享受者課税すべきものである、やはりそういう方に仕事はして行くべきものである、かように考えておりまして、この法文が入つたがゆえに、急に問題がかわつて来るものだとは考えておりません。同時に他面、片方いわゆる仮装名義人というかつこうで、特に御承知のように所得税累進税率となつているがゆえに、自分所得の一部を、たとえば女中さんの名義にしておくとかいうことがはつきりすれば、これは、やはりその意思いかんによつては、脱税の問題が当然出て来るわけでありまして、それは現行法におきましても同じであり、この法文が入つても同じである。従いまして、この法文が入りますと、税務官吏責任は非常に重くなるというふうにお話になつていらつしやると思いますが、私としては、それは従来と同じであつて税務官吏責任は、現在におきましても真実所得者課税すべきものであり、同時に、この法文ができて心同じ結果である。ただその場合に、それでは間違つた課税をしたらどうなるか、これは、そこに税務官吏における故意あるいは重大なる過失という問題が当然考えられて、そういうような点がありとすれば、その税務官吏は、当然それなりの責任を負うべきものである。しかし非常に混乱しておる事態におきまして、そこに世間的に見てもやむを得ざる間違いだということになれば、これはやはり恕されていいのではないか、かように考えます。
  15. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま主税局長のお答え申した通りであります。
  16. 春日一幸

    春日委員 愛知さん、済みませんがぼくの質問を聞いておつてくださいませんか。前にお聞きになつていないから、そういう御答弁のように逃げられたと思うのでありますが、この問題につきまして、私はあなたに良心的に訴えたいことは、全国の零細業者たちや、企業組合諸君は、北海道から九州まで、実に数回にわたつて上京をいたしております。しかも本問題は、本日あたりがあるいは山ではないか、こういうようなことから、数日前からとまりがけで参られて、そして政府に対しても各政党に対しても、実に切々たる陳情をなすつていらつしやる。そこで私どもは、その要望にこたえていろいろ質疑をいたしておるわけでありますから、あなたもいろいろ御多忙でありましようけれども、われわれも別に酔狂で質問しておるのではない、これまたわれわれ言々句々肺腑をしぼつて訴えておる。だからあなたも、落書きなんかしていないで、ひとつすなおに私の質問を聞いてもらいたい。そこで、私はもう一ぺん渡辺局長に申し述べたいが、今まで通りのことを税務官吏がやるんだから、さしつかえないではないかというようなお説でありますけれども、第三条の二項がここに新しく設定される、このことは、税務官吏に対して徴税行政執行について新しい制約を附加することになる。同時に国民に対しても、新しい義務をここで規定づけることになる。従いまして、今まで通りというわけには参りません。今までは法律規定がなかつたから、それはあなた方の上司の指令によつて、あるいは大蔵当局意向によつて、大体こういう方式でやつて行くべきである、こういう範囲において彼らは執行して参つたと思うのでありますが、今度は国民の総意によつて、こういう決定された法律の定めたところによつて、これを執行して行くということになるのでありますから、もし違反があつたならば、その行政的な責任は、その違反を犯した当事者が負わなければならぬ形になつて参ります。たとえば今までわからない問題は、まあほどくにして、だれでもいいから税金を納めてくれるならば、名義人であろうと本人であろうと、問題は国民に懲罰を科するわけではない、外国から日本にわれわれ債権を取立てに来たわけではない。たた国費を弁ずるためにこの負担をお願いするんだ、名義人であろうと本へであろうと、はつきり名義人であるということがわかつておるのはいけないけれども、わからない分は、ともかくひとつそれに課税をして、必要の財源を調達すればいいではないか、ういうような考えで、ときには軽く問題が進められて参つて、今日の均衡を保つておると私は思うのであります。ところが今度第三条の二によつてそういうことではいけない、断じて実質課税を行わなければならない、こういうことになつて参りますと、今まで五、六十パーセントの疑義はあつたが、その疑義は一応たな上げして、税の執行を先へ急いで行つた。ところが、そのことはそこでストツプしなければならぬ。たとえばテン・パーセントの疑義でもあるならば、これを法律三条の二項に基いて、名義人であるか、あるいはこれが実質収得者であるかということを徹底的に調査の結果でなければ、課税対象の決定を行うことは許されない。だから、これは税務吏員がその執行を行うにあたつては、今まで通りだなどというような軽い気持であなたがお考えになつておるならば、これは大きな間違いであると思う。どうかそういう意味において、もう少し第三条の二というものを重視願いたいと思う。さらに、私は加えて愛知政務次官に申し述べたいことは、ここにある所得税法改正法律、これは一体何のために改正されつつあるか、しかもこの改正の趣旨はどの方角をさしておるものであるか、このことを私は十分御理解を願いたいと思うのであります。このことは税の簡素化である、このことは減税である。減税と税の簡素化の方角に向つてこの所得税法の改正が行われ、さらに法へ税法その他幾多の税法の改正と相関連して、大企業においては、先般平岡右が指摘いたしましたように、多くの減税措置が講ぜられておる。同時にまた零細所得に対しましても、基礎控除の引上げ、扶養控除の引上げ、その他所得税法の改正の中に横溢いたしておるところの傾向というものは、減税へ減税へ、それから徴税機構の簡素へ、こういう方角へと向いておる。しかるにこの第三条の二項というものは、そういう方向に逆行するものであることは明らかであります。すなわちこの課税客体が、その利益をとる本人は一体だれであろうか、まずこの疑義徴税吏員は頭に置かなければならない。そうしてこれがほんとう経営当事者であるか、名義人であるかと、ことを、いろいろの書類によつてせんさくせなければならぬ。そしてもし名義人本人との間に違いがあるならば、まずそれを判定するところの目的意識がどこにあるか。少くとも税を少しでも多くとる方向へと、その判断と研究とは向いて行かなければならぬ。そうすると第三条の二項というものは、あなた方の御努力によつて、減税へ、国民の税の負担の軽減へと一般的に向いておる傾向に逆行して、少しでも税がたくさんとれるように、しかもその徴税を実施するにあたつては、多くの複雑な内容に立ち入つてあやまたざる判断をするために、幾多のせんさくの過程を経なければ決定ができない。こういうようなことに私はなると思うのでありますが、このことは、実際吉田内閣の本意であるのかどうか。このことは、国民が要望しておる方向に合致するものであるかどうか。この点について、愛知政務次官の御見解を承りたいと思います。
  17. 愛知揆一

    愛知政府委員 春日委員の御指摘の通り、今回の税制改正は、税制の簡素化ということが第一であり、また減税ということがその本質でありますことは、御指摘の通りであります。ただそれとあわせて、課税の適正化、俗な言葉で申しますならば、課税上不公平のないようにということであり、また正直者が損をしないようにというようなことも、この改正の中の筋の一つになつておると私は解しておるのであります。そういう点から申しまして今問題の第三条の二をどういうふうに見るべきかということにつきましては、春日委員の御所見と私どもの見解とは、多少異なつておるかと思うのであります。要するに第三条の二によつて税務署員の自主的判断をますます困難にさせて、その結果は、税務署の連中が、われわれが危惧しておりますように、増税へ、増税へというふうにこれを執行して行く基礎にされる疑いがないかという御趣旨だと思うのでありますが、そういうことは、私はないと思うのであります。簡素化と申しましても、なかなか一挙に簡素化できるわけでもございませんし、できるだけ事の次第を従前よりは明確にして、税務署員のよるべき基礎というものを、少しずつでも明瞭にして行きたいと考えておるのでありまして、こういう法案が幸いにして成立をするということになりますれば、もちろん徴税当局といたしましても、今御懸念のようなことがないように、これは相当に事理をわけ、かつ詳細に、税務署員のよるべき指針というものを徹底的に訓令しなければならないと思うのであります。そういうことから考えましても、私は御懸念のようなことがないように考えわけであります。なお企業組合というものにつきましては、私個人といたしましても、従前からいろいろの角度から陳情も受けておりまするし、また自分みずからも研究もいたして参つたのでありますが、要するに、これは非常にむずかしい問題で、税務署の第一線の連中と、それから中央の考え方というものが、少しずつでも具体的に思想が統一されるようにして行くためには、どうしても第三条の二のような規定を置いていただかないと、ますます事態が複雑になる。極論すれば、先ほど申しましたように、ずるい人だけが得をするというような結果になることもおそれなければならぬのじやなかろうか。そういう点から考えても、こういう法制の修正は必要であると私は考えておるわけであります。
  18. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 私は先ほど申し上げたことを結局繰返すことになると思いますが、税務署員としましては、やはり公正なる課税ということが一番大きな責任でございます。従いまして、三条の二の規定がなくても、当然かくあるべきものであり、三条の二の規定によりまして、その責任がさらに重くなるのじやないかという御指摘がありましたが、それは重くなるといたしましても、当然負うべき責任でありまして、その線に沿つて最善を尽すべきものである、かように考えております。
  19. 春日一幸

    春日委員 ただいま次官の御答弁によると、正直者がばかを見ないように、公正な課税ができるようにというような御答弁でございました。これは、当然かくあるべきでありましよう。けれども私は、ものの本体は、やはりお互いがそのものをのみ込こんでいろいろ判断せなければならぬと思います。いろいろな税学者の理論を聞いてみましても、法へと個人との課税の対比でありますが、これは法人体にすれば二、三百万は安くなる、ちよつと操作すれば五割方も安くなるのだ、いずれにしても法人体は安くなるのだ、こういうようなことであります。従いまして私は、その名義人がその事業に参画しておるという形の中には、特に、ときに消極的ではあるが、税を少しでも軽くできるようにという作為も込められておるであろうと思います。けれどもこれは、何も陰険な方法によつて脱税をはかるというつもりで作為しているのではなく、こういう名義人の参画を得れば、利潤の分散等によつて課税率も減つて来るとかなんとかいうような意味で、法律の恩典を自分が行使しよう、こういうことであつて、あたかもそれは、個人が法人体に切りかえた場合に、税負担が軽くなるのだが、しかしながらそこまで行かなくとも、こういうので名義人課税と個人課税との間を縫つてそういうような便宜な手段も行われておるのであるが、このことは、別に脱税を目的とするのでなく、税の負担をなるべく軽くしようというきわめて素朴な納税者の希望、潜在意識が、そういうような事業経営の考慮をなさしある場合があるのであつて、これは悪党だ、こういうふうに断定してしまうことは、私は早計であろうと思うのであります。そこで私は申し述べたいのでありますけれども、国民というもの、脱税者だとか疑わしいものだという概念で事に臨まないで、いろいろとゆとりがあつてゆとりの範囲内で皆が善意の努力をしておるのだ、なかなか賢く立ちまわつているな、こういう程度に解釈して、ある程度は胸を開いてもらいたい。国民というものは敵じやない。税務署は外国から日本へ集金に来ておられるのではない。これは、国民がお互いに費用がいるので、だれかがとらねばならぬから、われわれの仲間から、ひとつあなた方税務職員になつて、とつてちようだいな、こういう程度の申合せで、あなた方は徴税に臨んでおられるのだから、国民に対して、何もそう敵視して、一概にこれは脱税を目的としておるものだとか、あるいは四角ばつて、これは負担の公平とか、正直者がばかを見ないようにとか、そういうことでなく、税が重くて経営が困難だから、あらゆる手段を合法的に講じて、なるたけその暮しと事業経営を楽にしよう、こういう考えでおるところの庶民の願いというものは、やはりそのままくんでやるべきであつて、重箱の底を楊枝でほじくるということわざがあるが、あたかも今回の第三条の二項の改正というようなものは、それをほうふつたらしめるような立法であろうと私は思うのであります。さらに私が指摘をいたしたいことは、実際この立法が行われれば、ほんとう実質課税をしなければならないことが義務づけられて来るのであります。現在の社会情勢、それから事業経営実態の上に立つては、これを画然と一つもあやまちなく区わけすることは、神わざであり、超人的な能力である。こういうものでなければ、そういうあやまちを犯すことなく、この法律執行することができないのだから、そうであるとすれば、今まで政治的な慣行、社会的な慣行ということで、あまりひどく世間の指弾を受けることなく徴税秩序というものも保たれて行き、しかもあなた方が必要とするところの財源もほぼ弁じられて来たのです。一方大企業においては、大きな減税が行われており、その名目は企業の資本椿積といわれておる。また零細所得者に対しても、生活の安定をはかるというので減税が行われておる。さすればこれらの諸君に対して、この法律の改正によつて所得するところの税額が何ほどのものであるかは知らないけれども、私はある程度こういう零細所得者に対しては、今まで長年にわたつて行われて来た社会慣行であり、しかもそのことは、徴税行政におけるいろいろな混乱というようなものを来さしては来なかつた。このことがあるがために、徴税行政が行えなかつたというような支障にぶつかつたということはない。ただ軽やかにこれをあしらつて、意見をしたり、今後そういうことをしたらいかんですよ、なるたけそういう名義人本人にかえてくださいよというような、あなたの方の行政的指導によつて、そういうような局面は大いにこれを調整することができて、今日に至つておると思うのであります。従いまして私は、全国の愛。細業者たちのこのような大きな反対の声を無視して、あくまでもこの立法をしようというようなことは、まさにこれは必要を越えたところの立法措置であろうと思う。しばしば申し上げておるように、法は三条をもつて足りるというが、これは必要にして十分という措置さえあれば、度を越えた苛斂誅求は行うべきではない。これは愛知さんは不本意でしようが、聖書の中に、なんじ収税吏、石をもてこれをぶち殺せということわざがあります。(笑声)いいですか。これは実際問題として、税務吏員が国民から愛されることのためには、その本元である立法府において、こういうような国民に怨嗟の声を巻き起すような立法をしてはならぬ。それは昔ユダヤの国において、王様が無事の国民にものすごい苛斂誅求を行つて来たから、税務吏員と見れば、石でぶち殺しにしたいというような声が国民の中にわいて来たのである。ところが今日本において、あなたは片一方においては減税をしておる、大企業においては、外国支店をつくるときには、さあ償却だというようなことで、償却の名のもとに、いろいろ減税やなんかの措置を認めたりしていらつしやる。だから大企業はわが世の春をうたつておる。自由党様々なんです。ところが零細業者たちは、これはあなたの手元にも陳情が来たでしようが、この十五国会以来何十回となく陳情しておつて、しかもその切々たる声は、全然あなた方には通じていない、一片の感動だに与えるには至つていない。こういうようなことでは、なんじ収税吏というこの聖書のことわざが、やはり国民の口をついて出るおそれなしとはしない。私がここで申し上げたいことは、あらゆる立法にあたつて、税に関与するところの公務員、このことは、あなた方とわれわれ立法府をも含めてのことであるが、なんじ収税吏、石をもてこれをぶち殺せというこのことわざこそは、座右の銘でなければならぬと思う。そういう意味合いにおきまして、民主政治は輿論政治である。輿論の声は、そういう零細所得の追求を求めてはおらぬ。のみならず、名目課税実質課税によつて社会的な混乱はいささかも起きてはいない。のみならず、今日の徴税行政の均衡を保つゆえんともなつておる。だから、本日までこれでできたことが今後できないというはずはない。従つて、どうかひとつあなたの大きな努力によつて、しかも同僚議員各位のよき理解によつて、こういう特別の条項は削除されるという方向へ努力を願いたいと思うのであるが、これに対して次官は、何とかしてひとつ誠意の限りを傾けた御答弁を願いたいと思う。
  20. 愛知揆一

    愛知政府委員 春日委員から懇々とおさとしをいただきまして、まことに同感でございます。やはり根本は、税が高いということから、何とかして法律の許し得る限界においてくふうしようと納税者考えられるその心境は、私もよくわかるのであります。しかし同時に、今収税吏のお話が出ましたが、これは言葉を返すようになりますが、私どもの気持としては、適正な法律執行する、その範囲以上に出ないで、なるたけというより、できるならば、収税官吏としては法律の適正な執行ということだけであつて、その上に判断とか、あるいは融通とかがきかないようにしてやる、その基本となるところの法制を整備してやりたいというのが、われわれの考え方でございまして、この企業組合の問題につきましても、いささか言い過ぎになるかと思いますが、実は企業組合側からも、もちろん今御指摘のように非常な陳情を受けておりますが、同時に大蔵省や国税庁に対しては、この問題の処理について、もう少し法制を明確にしてもらいたいという希望や陳情が、第一線の収税官吏の連中からは非常に出て来ておるのであります。もし一法律の上に相当疑義があるような問題でありますと、それこそ、中にはまじめ過ぎるために、自分の解釈で税金を重くするというようなことになるかもしれない。そういう場合には、われわれの態度としてもできるだけその要望にこたえまして、収税官吏としては、融通がきかないようにしなければならないということがまたもう一つの要請になると思う。先ほども申しましたように、要は権衡と申しますか、バランスをとらなければならないということもございますので、私としては、この第三条の二項を立案いたします場合には、諸般の状況をとくと考慮に考慮を重ねて、解散前の前国会におきましても、この問題については 当大蔵委員会においても非常な御議論のあつた点でございますが、それらの議論も十分に再検討の資料にいたしまして、そしてこれを立案したようなわけでございますから、私どもから申しますれば、主税局長がるる御説明申し上げておりますような政府側の見解も、十分ひとつ御理解を願いまして、この法案の御審議については、皆様方の御協力を願いたいと思うわけでございます。
  21. 春日一幸

    春日委員 それではこの三条の二、四十六条の三、六十七条の二、こういうような一連の反動立法をして、納税者が非常に不当な取扱いを受けた場合の救済の問題であります。そういうような場合には、異議の申立てをするとか、行政訴訟を起すとかいうようなことが現在ございますけれども、私はものの理解がきわめて精密に行つていただける愛知さんに特に申し述べたいのですが、実際その税務署相手のけんかをやつてつたためしがない。たとえば、この所得税法というものだつて、こんな浩瀚なものです。われわれだつて今度初めて読んだくらいのもので、いわんや零口細業者たちは、この所得税法や国税徴収法や、あるいは税に関係する大きな法律というものは見たこともない。そういうような諸君が、国税庁を相手にして行政訴訟を起すとか、あるいは異議の申立てをするとか、あるいはその問題では通るかもしれないけれどもあとで何らかのしつぺ返しがある、本年はそれで通つても、来年度、あるいはさ来年度……。こういうことで現実にその救済は行われは上ない。しかもまた零細な業者が大きな裁判費用をかけて、そしてこの問題によつてその救済を受けるというようなことはあり得ない。そこで私はあなたに申し上げますが、ただいまの御答弁によると、税務官吏がもり少し判断しなくても、採択しなくても、そのものずばりで行ける法律をつくつてくれ。こういうことだつたからつくつたのだということですけれども、今申し上げたように、この法律ほんとうに消化できて、自分の五本の指のように行使できるという場合には、それでよろしいでありましよう。しかし数多い税務官吏の中には、知識も経験もない、あるいはまた特に悪い人もおつたり何かする。そういう人たちにこういう大きな国家権力を行使せしめることは、国民として非常に不安である。救済規定があつたところで、実質的にはその救済は行われはしまい。だから私が申し上げたいのは、法は三条をもつて足れりということ、立法は少なければ少いほどよいということであります。私は、この問題についてまだたくさん質問が残つておりますけれども、ただいま話合いというお話もあるので、もう一ぺん話し合つてみますから、一応中絶しますが、あなた方は国民の公僕にしかすぎない、われわれ国民の仲間から代表として選ばれてその任務を行つておるにすぎないのですから、どうか、ものすごい剣幕を示して、国民の正直者がばかを見ないように、不公正は相ならぬというような開き直つたことを考えないで、今まで保たれておるところの社会的な均衡、徴税行政上の均衡を破るような立法は厳に慎まれたいと思います。この問題は、何度話し合つておりましても一致点に達しないのでありまして、今後は、国会の威力をもつて、この徴税行政の問題についていろいろな力を加えて行かなければならぬと思います。私どもは、同僚議員ともう一ぺん話し合つてみますが、どうか私どものこの質問の趣意のあるところを、言葉としてではなく、天声をもつてこれを戒めるという天の声として聞いてもらいたい。
  22. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 愛知大蔵政務次官最初にお尋ねしたいのです。今春日委員からも、企業組合の問題その他中小企業に関してのいろいろな質問をされましたが、実はこの法案は、先国会においても非常に問題となりまして、最後までがんばつて審議未了になつたわけでございますが、再びこの法律が出て参りました。大蔵委員の大部分の方は、いろいろな陳情の中で、最近これほど多く陳情を受けたものはないと思つておりますが、実はこれにはいろいろな理由もあり、主税局は主税局のいろいろな立場もあるかと思いますけれども、根本的には、中小法人を育成するという立場から中小企業庁ができて、その結果、個人よりも法人の税金が安いということで、同族会社が非常にたくさんできたという事実があるのでございます。こういう問題について、中小企業庁と大蔵省との間におきまして、いろいろ具体的な話を進められたことがあるかどうかということを、まず最初にお尋ねしたいと思うのであります。
  23. 愛知揆一

    愛知政府委員 中小企業庁との間におきましては、結論としては、十分に協議をいたして参つておるのであります。ただその立場のいわばニュアンスとでもいうことになりますと、中小企業を育成したいという中小企業庁の立場と、税制を適正にやりたいという大蔵省の立場とは、ニュアンスにおいては異なるところがあると思います。これは私も是認いたしますが、しかしこの法律案それ自体についての結論としては、一致しておるわけでございます、
  24. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それでは渡辺局長にお尋ねいたしますが、戦後中小法人が非常にふえまして、今同族会社といわれておりますが、その推移について最近どのような状態になつておるか、ちよつとお知らせ願いたいと思います。
  25. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在法人の数は二十六万で、一応同族会社と見られておるものが二十二万という数字になつております。
  26. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その二十二万のものが、全体の法人中において占める税の率はどうなつておるのですか。
  27. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 同族会社の数字については、今ここにはつきりしたものを持つておりませんが、現在申し上げ得るはつきりした数字といたしましては、調査課所管の法人と税務署所管の法人とがあつて、大体資本金五百万円未満のものが税務署所管、五百万円以上のものが調査課所管ということになつております。大体税務署所管になつております法人の納めておる税額が全体の三割程度、こういうことに考えております。
  28. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほど同僚の春日委員からいろいろ御質問がありましたが、私たちがこの法律に反対をいたします大きな理由は、戦後税金が高いという問題も一つありますが、御承知のように大きな財閥は解体されたのでございますけれども、その後有力な新しい新興財閥ができまして、それらは法人の大きな組織によりましていろいろと資金の融通もあり、国家資金を使う余裕がございますけれども、中小の企業者、個人所得者は、非常に資金の融通もできないし、それから税率も高いということで、シヤウプ勧告以来、法人の税金が安くなつたという関係で、先ほど申されるように二十二万からの中小法人がたくさんできたわけであります。これは、今の法律制度のもとにおいては、自分を守る意味において、小さいのができる限り税金の安い法人に移行するのは当然でありまして、これを阻止しようというところに、この法律の大難点があるわけでございます。  それからもう一つは、企業組合は、一部では脱税組合だというような暴言を吐く人もございますけれども企業組合は決して脱税組合ではありません。企業組合は私が先ほど申しましたように、現在の事情のもとにおいて、たとえば大都市には大きなデパートがある、あるいは大きな法人は、自分の資本の力によつてますます太つて行くというようなことが現状でございます。これは現在の政府方針、自由党の方針が、大企業を助けて中小企業を捨てて行くという経済上の実態のもとにおいて、こういう制度が行われておるわけであります。そうなれば当然中小の零細の人々は、自分の個人の力でなくて、大勢の力によつて、団結の力によつて組織をつくり、企業組合をつくつて、金の面を融通し、またその結果から法人税の安くなる道を考えるのは理の当然であります。そういうような勢いをこの法律案で縛るというところに、私たちのこの法律案に反対する理由があるのでありますが、あなた方はその点をどういうふうに考えておられるのか、これはひとつ渡辺主税局長にお尋ねいたします。
  29. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 佐藤さんのお話を伺つておりますと、多少何か誤解でもあるのじやないかというふうに私感ずるのですが、実は佐藤さんとは、この問題についてはさんざん御質問を受け、また私も御答弁しておりますから、いまさら誤解なすつていらつしやることは万々ないと思いますが、しかし御質問でございますから、重複になりますが、重ねて御答弁申し上げますと、今度の三条の二の規定とか、一連の規定におきまして、特に現在相当ふえております同族会社についての課税のやり方を、これによつてどうこうしようということは毛頭考えていないということを、まず最初に申し上げておきます。一応会社法なり何なりではつきり認められておる、それに対して法への課税規定がちやんとあるのでございますから、それに対し三二条の二の規定は、そういう会社の実体を認め、同時にそれから配当とか何とかいうことで所得を得れば、それによつて課税して行くというので、三条の二の規定でもつて、そうした会社の課税方法をかえるという意思は毛頭ない。またそういう意味で、この規定をわれわれ規定したのではない。これは前にも繰返して申しておりますが、この機会にもう一ぺんお答えさしていただきたいと思います。  それからもう一つ企業組合脱税組合だという暴言を吐く。私ももしそういうことを言う人があれば、それは暴言だと思つております。企業組合脱税組合だとわれわれは全然考えておりません。ただ企業組合の中に、企業組合の本来あるべきとわれわれが考えられます実体を備えていないといいますか、結局従来の個人営業者がそのまま同じように商売をしていながら、看板だけ企業組合にしている、こういうものがありまして、これはどうも法への実体を備えていない、やはり個人として課税して行くべきではないか、こういうものが間々あるということは、これは申し上げておりますが、企業組合脱税組合だというふうには、われわれは全然考えておりません。ただそういうふうな形のものがございますので、これはやはりその個人の姿において課税して行くべきものである、そうすることが課税の公平を得るゆえんである、同時に、また正しい意味企業組合が発展して行くゆえんではないか、かように考えまして、こういう規定を挿入していただきたいと御提案申し上げた次第であります。
  30. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大蔵委員会の席上におきましては、主税局長もそこにおられ、平田国税庁長官もわれわれに対しては、まことにもつともな答弁がございます。そういう危険はないとおつしやることは、私たちもわかります。けれども、こういうような法律ができますならば、これは御承知のように、推定するということになつておりますので、四十六条の三でございますが、この「推定」というのが非常に怪しい法律でございまして、その推定が、せめて主税局長くらいの方が推定してやるのならけつこうでございますけれども、地方の若い二十三、四の税務官が帳簿を見て、これは悪いという、そういう形でやられたのではまつたく迷惑なことでございます。これは主税局長より国税庁長官にお伺いした方がよろしいかと思いますが、今税務署の職員は、戦後から見ますと大分よくなりまして、戦後のような状態でございませんけれども、しかしこの法律規定によつて、これが実際行われるような場合になつて来ると、末端におきましては相当いろいろな弊害が出て来る。私は昨日も名古屋の国税局に参りまして、二、三の例についていろいろお話をして参りますと、なるほど調査査察部長やあるいは総務部長の話を聞けば、もつともだけれども、末端の税務署員の話を聞いてみますと、そこにいろんな無理があるのであります。こういう点について、この法律ができることによりまして、地方の一般の中小企業者がこのために泣いて暮す場合が多い、こういう意味でわれわれは反対をするのでありまして、この推定の規定を、先ほど政務次官も、渡辺局長も言われましたように、何らかのはつきりとした明文にするということ、何条何項はこういうことではいかぬというはつきりした条文にする考えがあるかどうか。これはひとつ国税庁長官の平田さんに、今の税務署の職員がこの法律を使つても絶対に心配がないという確信ある御答弁をお願いしたい。
  31. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまの点につきましては、たしか前会、前々会でも申し上げたかと思いますが、この条文につきましていろいろ国会等で論議されました事項は、全部その趣旨をまず第一に地方にまわしたい。国税庁といたしましては、この運用につきまして、できるだけ一線の税務官吏が見れば判断力がつくように、比較的詳しい方針を示しまして、それに従つてよくのみ込んでやるようにさせたい。その方針をつくります場合には、もちろん国会等における御論議、あるいは皆さんの御主張の趣旨等も取入れまして流すようにいたしたいと思います。さらにそれでもなお簡単に行かぬという場合があるという御懸念でございまするが、これもたしか前会に申し上げましたが、企業組合に対しましてあの規定を発動いたしまして、個別的に個人として課税する、こういう場合におきましては、もちろん税務署は調べるわけでありますが、結論を下す際には、国税局長限りで審査させまして、そこできめる。さらにその中で複雑なものは、おそらく国税庁の本庁まで相談に来るかもしれませんが、少くとも国税局限りで結論は判断させる。そういうような手続をとりますれば、まず御懸念の点は、大部分解消できるのではないかというように感じます。先ほども申し上げましたように、私ども企業組合企業組合として経済的、実質的に活動しておりますのを妨げる意図は、決してないと思つております。そういう意味におきまして、いつか申し上げましたように、かりに税が軽くなりましても、そのことだけをもつて問題にすべきでないと思います。たた企業組合の実体を備えないで、全然形ばかりで、一定のわずかな形をとりますれば、とたんに税が軽くなつて、ほかの人たちとの間に不公平になるということでは、ほかの同業者との間のバランスがとれないと思います。私どもの言つている公平というのは、政府納税者の関係ではなく、納税者相互間の問題だろうと思います。そういう点から、現実にまじめな納税者から、あんな企業組合はほつておいては困るという声も相当あるのであります。その辺のところを考えまして、適正な実行をするようにしてもらいたい、決して行き過ぎもしない。やります場合においては、慎重にいたしまして、皆様方が考えておられます御趣旨と同じような結果になるように運用上十分注意して行きたい。それで御了承願いたいと思います。
  32. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 渡辺主税局長にお尋ねしたいのでありますが、前回の国会におきまして、二千二、三百の企業組合の処理がまだ片づかぬという問題が出ましたが、その後どういう経過になつておるかということをお知らせ願いたい。
  33. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 国税庁長官から便宜御答弁申し上げるようにします。
  34. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 二十七年度分の数字を少し申し上げますると、企業組合の総数が八千九百五十二、組合員数が八万四千人ほどおりますが、そのうち企業組合としての課税を是認して、確定いたしておりますのが五千八百四十四。八千九百の企業組合のうち、五千八百は企業組合としての実体を認めて課税しております。さらに八千九百五十二のうち千四十九は企業組合の実体を備えないものとして、個人として課税いたしております。なお二千五十九が調査と申しますか、処理未済になつておりまして、これは実体を取調べまして、御報告申し上げます。今取調ベ中でございます。
  35. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 現在の法律でそれらを取締つたりするようなことはどういう理由でできないかということを、あらためてお尋ねいたします。
  36. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 これは、前会も申し上げましたが、今の法律に不備があつたり、はつきりしない点が若干あるのでございます。はつきりしない点のうち幾つかの事項は、過去の判例等である程度はつきりしている事項もございます。しかし納税者に話す場合におきまして、なかなか簡単に納得してもらえない、規定はつきりしていない、先ほどたとえば実体課税主義お話がありましたが、あの趣旨は、大体事実上認められているのでありますが、納税者に話す場合、あるいは役所で税務官吏が頭に入れる場合におきまして、規定があるのとないのとでは非常に解決のスピードが違います。そういうことがわからないために混乱を巻き起しておる場合がある、それをはつきりさせることによりまして、事態の処理を合理的に早くできるように、それから先ほどの企業組合の点でありますが、立証するにつきまして、いろいろ問題があるわけでございます。立証措置につきましても、今まで不幸にしてこういつた例が少いために、実は裁判所で幾つか問題になつております。これを解決する際におきまして、非常な時間とやはり問題がありまして、解決にあたつても、実体的に私どもは決して無理なことはしていないと思うのですか、法律的な整備と申しますか、そういうことにつきまして、非常にいろいろな問題がありまして、解決が遷延しましたり長引いたりしております。その結果、場合によりますとなかなか妥当な結果が得られないという場合が中には出て来る、そういう状態のもとにおきまして、このような推定規定ができますと、比較的早く物事が進んで行く、結果におきましても合理的な処理が求め得られる、こういう点につきまして、私どもは、やはり現行法には著しく不備がありますので、こういう規定がぜひ必要である、こういうように考えている次第であります。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 主税局長にお尋ねしたいのですが、今平田国税庁長官に聞きますと、推定規定でうまく行くと言いますが、今企業組合の人が非常に心配しておりますのは、法律が漠としておる、あなた方の方では漠としておらぬとお思いかもしれませんけれども、これの適用を受ける人は、非常に漠然としておつて、これによつて相当ひどい被害を受けるのではないかということを心配しておるわけです。そういう点において、企業組合の方や中小法人が納得するような細目にわたつて法律を入れるなり、あるいは何らかの形で、この法律が中小法へあるいは企業組合の人を苦しめるものではないということで、反証をあげる手段をとる道がないのか、この点についての渡辺主税局長の御意見を承りたいと思います。
  38. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 先ほどいろいろ御議論のありました三条の二の規定にいたしましても、実は今国税庁長官の申しましたように、そうしたいわば漠としたといつたような問題をはつきりさせる上におきまして、やはり規定すべきものじやないか、さように考えておる次第であります。  なお今度つくろうとして提案してあります四十六条の三ですか、あれは一応の推定規定になつておるわけでありまして、納税者の方でもつて、それは個人の所得でなくて、企業組合所得であるということを立証願えば、税務当局としましては、当然その立証を尊重すべきものである、結局問題は、何ら立証もしないで、ただそれは個人じやない、企業組合だとおつしやつているところに実は問題があるわけでございまして、その辺の挙証責任についてだけは、やはり企業組合の方で、一定の条件を備えているような場合におきましては立証していただきたい。ただその場合におきましても、あまり広汎な意味においてのそうした挙証責任を転嫁することは、いろいろ弊害があろうと思いますので、前国会における御会議の次第も考えまして、一応の狭められた範囲においてそうした規定を置こう、こういう次第でございます。
  39. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の佐藤委員質問に対するお答えを聞いておつて、ちよつとふに落ちない点があるのですが、これはむしろよろしくない組合がある。政府が、八千九百五十二の企業組合があつて、その中に実質的に備わつているものが五千八百で、その他はよろしくない、あるいは疑問があるのだ、こういうことから、こういう欠点を改正しなければならないというのであればわかる。むしろ逆に、企業組合のそういう法律をかえてしまつた方があなたの方は非常にやりやすくなるじやないか、そういう御意思はないのか伺いたい。
  40. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 企業組合関係の法律であります中小企業等協同組合法自身を改正したらどうかという御意見は、前回の国会以来実はたびたび御議論に出ているわけでありますが、中小企業庁等ともいろいろ話し合つているのですが、なかなか中小企業庁の方のいろいろな都合もございまして、それはなかなか困難があるようでございます。たとえば、現在は御承知のように一種の届出主義になつておりまして、任意設立になつております。別にその設立自身につきまして、それが実体を備えていようがいまいが、これをどうこうするという規定もございませんし、従つていわば任意設立であり、一つの形体、形式を届出さえすれば、それで企業組合になつている、こういつたような事態にありますものですから、法律の改正ということが片方で行われれば、一応あるいは問題は片づくかもしれませんが、と申しまして、ただ企業組合だけについて協同組合あるいは会社、そうしたいろいろなものと違つた方針をとることなどについても、かなり議論があるようでございまして、そういつたような関係からいたしまして、中小企業庁ともいろいろ相談しましたが、中小企業庁の方として、組合法の改正によりこの問題の解決を引受けるというだけの自信がないようでございまして、中小企業庁としましても、課税の問題としては、やはりこういつたような規定によつて解決してもらうということについての意見の一致は見ている次第であります。
  41. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは、わずかな点で非常な議論が出て来るのですが、これは五千八百の優良組合というか、妥当な組合が、この法案が通ることによつて脅威にさらされるということが問題になつて来ると思うので、これはやはりそういつた点からいつて中小企業庁との打合せなり何かして行かないと、——あるいはそういう意味があるかどうか、そういうことから、課税の面でこれを規制しようとするところから問題が出て来る、これはやはり課税でやるべきでなくて、こういう企業協同組合法自体を改正して行けば問題はなくなるのじやないか、そういうようにすべきじやないかと私には考えられる。あなたの方で障害になつているというのはどういう点ですか。組合法を改正し得ない点は、届出主義になつているからできないというのなら、何かもつと認可なり許可なりの制度に持つて行つたならばさしつかえないじやないか、それはどうですか。
  42. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 結局問題になつておりますのは、企業組合の実体を備えるといいながら、形式的な企業組合になつているというところの企業組合について実はいろいろ議論があるわけでございまして、その点について、企業組合法をそれじやかえたらいいじやないか、こういう御議論が一つ出て来るのですが、中小企業庁の方といたしましては、一応他の中小企業等協同組合というものとの全体のつり合いというのがやはりあるらしいです。これは中小企業庁の方にはつきりお答え願う方がいいかもしれませんが、現在の建前は、一応任意設立によつて届出主義をとつているのでありまして、これに対する解散命令、取消し命令というような建前が全体としてとれていない。従いまして、形式だけの企業組合でありましても、これを現在の企業組合の関係の法律では何ともできていない、それを直せばいいじやないか、これは確かにごもつともな御議論だと思うのでありますが、中小企業庁といろいろ話し合つてみますと、これは向うとしては、別の観点からいろいろ他の振合いも考えなければならぬゆえんだと思いますが、どうも企業組合だけにいろいろな意味のそうした規定を置くということも、相当の検討を必要とするといつたような議論がありまして、なかなかこの問題は荏苒日を過している。税の方は税の方として、もうすでに相当の日数がたつていて、このまま放任できないから、ぜひこういう規定を置いていただかなければ問題が解決しないからということで、中小企業庁としましても、そういう中小企業庁の都合、税の都合を両方にらみ合せた結果、やはり税の方では、こういう規定を置いていただくのはやむを得ないだろう、かような結論になつたわけであります。     —————————————
  43. 千葉三郎

    千葉委員長 平岡君、何か御発言ございますか。
  44. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 前会の大蔵委員会管掌の諸事項調査のための採択動議に関連しまして、再度動議を提出したいと思います。それは財政及び金融制度調査委員会をつくつて、小委員の人数を七名とする動議で、ございましてその委員の氏名は委員長に一任したいと思います。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  45. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの平岡君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議なしと認めまして、委員長においてはただちに小委員七名を指名いたします。    淺香 忠雄君  佐藤觀次郎君    平岡忠次郎君  苫米地英俊君    福田 繁芳君  島村 一郎君    福田 赳夫君以上の七七の諸君にお願いいたします。  午後二時まで休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  47. 千葉三郎

    千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  議案の審査に入ります前に、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。それはただいま外務委員会において審査中の日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約の批准について承認を求めるの件について、外務委員会に連合審査会の開会を中し入れたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。  なお連合審査会開会の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  49. 千葉三郎

    千葉委員長 これより議案の審査に入ります。昨二十七日本委員会に付託に相なりました昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案を議題といたしましてまず提出者より提案趣旨の説明を求めます。内藤君。     —————————————
  50. 内藤友明

    内藤委員 ただいま議題となつておりまする昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案の提案の理由をきわめて簡単に御説明申し上げます。  これは前年並びに前々年にも同様な趣旨の法律が出ておりますので、実は今年に限つたことではないのであります。すなわち食糧需給の現況にかんがみまして、米の供出を促進するために、超過供出奨励金その他の奨励金を出しておるのでありますが、これを所得税の対象にしない、こういう法律案でありますので、何とぞ皆様の御賛成を得たいと思うのであります。     —————————————
  51. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、本日の日程に掲げました十四法案一括議題として質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。
  52. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 産業投資特別会計法案についてお尋ねいたしますが、この法案につきまして、ただいま問題になつておりますMSAとの関係はどういうようなことになりますか、御説明を願います。
  53. 愛知揆一

    愛知政府委員 産業投資特別会計の問題につきましては、MSAの問題とは関係なく立案いたしておるわけでございますが、ただいまからの見通しといたしましても、さしあたりこれに変更を加えるような必要はない、こういうように考えております。
  54. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この資金額について、特別減税国債との関係がございますので、産業投資に対する今までの見返り資金、この問題についての見通しはどんなふうになつておりますか、御説明願えるでしようか。
  55. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまお尋ねのありました対日援助見返り資金でございますが、これは御承知のように、今回提案いたしておりまする産業投資特別会計ができまする場合においては、対日援助見返資金特別会計が従来からやつておりましたことは引続いてこれの戸こ波及をされるわけでございますから、この法律が制定できますれば、七月末日限りで、対日援助見返資金特別会計は廃止するということに考えているわけでございます。
  56. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 特別減税国債案につきましては、改進党から前回には強い反対がございましたが、今度の場合は、そういう反対は考慮される必要がないかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  57. 愛知揆一

    愛知政府委員 この点は、私が御説明することが適当であるかどうかわかりませんが、しかし昭和二十八年度予算案の修正につきましては、御承知通り、修正部分についても政府責任を持つて、なし得る限りの御説明をすることになつておりまするので、私からも簡単にお答えいたしたいと思います。  当初改進党側から御提案になりました二十八年度の予算の修正案につきましては、ただいま御指摘の通り、特別減税国債をとりやめることがその中に入つておりましたが、その後三党の協議によりまして、その点はでき上つた三党の修正案の中からはこれが省かれておるわけであります。なぜ省かれたかという点につきましては、改進党の原案に対して、その当時主張された歳出の増加の問題が、大体行政費の節約と保安庁経費の繰延べによつてまかなえるということになりましたので、結論として、三党共同の提案からはただいまの分は省かれたのである、かように了承しておる次第であります。
  58. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後にお伺いいたしますのは、産業投資特別会計法はいつまで続けて行かれる見通しがあるのか、その点をひとつ……。
  59. 愛知揆一

    愛知政府委員 産業投資特別会計は、ただいまの考え方といたしましては、将来も続ける考え方でございます。
  60. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は食糧管理特別会計法に関連してお尋ねしますが、この間から石当り八百円というのが問題になつておるのですが、これは供出米全部に対する奨励金なのか、あるいは供出完遂後に奨励金を出すのか、この点がはつきりしないと、たいへん問題が出て来ると思うのです。と申しますのは、政府の今年の供出の割当の計画は、二千五百五十五万石だとすると、供出完遂後に奨励金を出すのだとすると、各地方の知事は、この二千五百五十五万石というものをなるべく少すくることによつて有利になる、これをなるべく少く受けるような努力をしなければならぬ、そうなると、政府の計画が非常に狂つて来てしまうのであります。二千五百五十五万石という計画は根底から狂つて来やしないかと思うのです。これを供出米全部に出すというなら狂いはないと思う。この点をはつきりしておいていただかないと、将来食糧庁も困るだろうし、われわれこういう仕事に当つておる者全部が困ることになるから、この点長官から見解をお聞きしたい。
  61. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。このたびの供出完了奨励金の石当り八百円は、供出を確保するために出す分でございますから、われわれといたしましては、すべての農家が供出を完了するように努力をいたしたいと思うかけでございますが、ただ支払いの方法といたしましては、御承知のように、従来ともに免税等の関係ございまして、これにつきましては、基本の米価の支払いと別個に支払いをしておるわけでございます。ただいまのところは、大体市町村が完了いたしました場合に支払いをいたしたい、かように考えておる次第であります。
  62. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の長官の答弁では、供出完了後に出す。従つて供出を完了するということが条件だと言うのですね。もしそうだとすると、私の心配するのは、二千五百五十五万石のあなたの方の計画は狂いが来るのではないか、狂いが来た場合に、あなたの方では一体どうなさるのか、こういうことをまずお尋ねしておきます。
  63. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。供出の割当につきましては、もちろん従来におきましても生産の状況、保有の状況等によりまして、供出の割当をしておるわけでございまして、それにつきましては、各府県の御協力を得て、できる限り義務供出数量を確保いたしたいと考えわけでございます。食糧需給の面といたしましては、御承知のように昨年度におきましても、義務供出の場合と超過供出の場合、両方を合せまして食糧の需給計画を立てておりますので、われわれといたしましては、その食糧需給計画の達成に必要な全体の数量を極力確保いたしたい、かように考えておる次第であります。
  64. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あなたの方では、今の御答弁によると、全体の数量を確保いたしたいと言いますけれども、問題は、どうしてもここに八百円というものがぶら下つて来るのです。供出をした者に八百円くれるならば、別にほかの制約がないから、どんどんできて行くだろうけれども、完遂後に八百円を出すのだというあなたの御説明だとすると、いかにいくじのない百姓だつて、そろばんはとれる。無理な供出を引受けて、とうとう供出完遂ができなかつた、そのためにもらえなかつたということになると、引受量を少くしようとする。そうして村なり部落なりではこういうことになる。たとえば割当は個人々々に割当てられて、私なら私という人間は、二十俵なら二十俵の供出が今年はできた。隣の人はわずかに五俵だ、五俵に足らなかつた、そのためにこつちの分をまわしてやらなきやならぬというような個々の問題が出て来る。そういうことから、この二千五百五十五万石というあなたの計画は、おそらく今のような形をとつて行つたらば、狂いが出て来るんじやないか。供出に協力してもらうとか何とか言つても、それは協力もしましようけれども、そろばんのとれない協力はなかなかできないものなのです。そろばんがとれるようにすることによつて協力ができる。この点では、そろばんはとれないけれども協力してくれ、こういうことになつて来はせぬかと思うのですが、この点は、今年の割当にあたつて、あなた自身が非常に悩まなければならぬ問題ですから、これはこの席上ではつきりしておいていただきたい。
  65. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 小川委員も御承知のように、昨年度から超過供出奨励金、あるいはまた完遂奨励金を支出いたしております。これは先ほども御提案にございました免税等の関係がございまして、支払い時期といたしましては、従来ともに別個にいたしておるわけでございます。そうしてある一定の時期におきましてこの代金を支払う、これは従来ともに別個に支払つてつたわけでございます。ただその支払いの時期を市町村においての完遂ということを一つのめどといたしまして、支払うのが適当ではなかろうか、かように考えておるわけでございまして、仰せのように、今年の状況によりますれば、供出確保につきましては、非常に困難な点もあろうかと思いますが、まだ作柄等も十分に判明をいたしません。作柄等の判明を待ちまして、よく府県と協議をいたしまして、われわれ需給計画を受持つておる者といたしましては、総体の数量としての確保を考えて行かなきやならないというふうに考えております。
  66. 千葉三郎

    千葉委員長 委員外井上良二君から発言を求められておりますが、いかがですか。     〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 千葉三郎

    千葉委員長 では井上君。
  68. 井上良二

    井上良二君 ただいま政府の御答弁を承つておりますと、今度の予算修正で出て参りました奨励金八百円というのは完遂奨励金であることが明らかでございます。この問題については、参議院の予算委員会におきましても、この点は非常に重要に論議をされておるように承つておりますが、大蔵当局もさような考えでございますか、これを政務次官から御答弁を願いたい。
  69. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま井上委員から御指摘の通り、この問題につきましては、参議院の予算委員会においても、いろいろと質疑応答が重ねられたわけでございますが、政府側の態度は、ただいま食糧庁長官から御答えいたしました通りでございまして、供米の割当は、市町村を中心にしてやつておる、そこで市町村のところでもつて完遂をされた場合におきまして、その市町村を単位にして、完遂があつたものに対して、この奨励金を支払うものである、こういうことが政府の態度でございます。
  70. 井上良二

    井上良二君 市町村単位で、完遂になりましたときに、完遂奨励金を石当り八百円渡す、こういうのでありますが、あなたは自由党の党員であり、自由党から選ばれて閣僚の補佐官として政務次官におなりになつておると思いますが、改進党との間のこの問題に対しての了解事項というのを御存じでありますか、それをお答え願いたい。
  71. 愛知揆一

    愛知政府委員 これまた参議院の予算委員会においても御質疑がいろいろございましたが、自由党並びに政府といたしましては、改進党から詳細にわたりまして、こういうものをとりきめとして、お互いに交換をして置こうというお話の御提案がございましたことは、私も承知いたしておりまするが、その詳細な文章につきまして、自由党といたしまして、まだ判をついて交換をするというところにはなつておりません。
  72. 井上良二

    井上良二君 これはただいま小川委員からも御指摘になりました通り、改進党が修正の場合に主張いたします供出奨励金という考え方と、完遂奨励金という考え方とは、供米の上に、また供米を督促奨励いたします上に非常に重要な結果をもたらすのでありまして、法案をつくり予算をきめますわれわれとしましては、そういう不安定、不確実な状態のもとにおいて法案を通過させ、あるいはまた予算を承認するということはでき得ないのであります。改進党としても、やはり天下の公党であり、しかも堂々と供出奨励金であるということを明白に天下に声明をしており、かつこの問題に対しては、先般自由党の各首脳部と、これに農林大臣も参加をして、この了解事項に対しては了解をしたという発表を新聞にされておる。しかるに今日に至るもなおかつこれがはつきり解決されずに、依然として政府は完遂奨励金であるということで解釈を下しておる。そうなつて参りますと、改進党がせつかく苦心をして修正をいたしました部分は、まつたく性格的に抹殺されてしまうのであります。そうなりますと、改進党の面目いずこにありやとわれわれは思うのでありますが、この点に関して、先般改進党の方を代表して当委員会委員長になつております千葉委員長に対して、この間に関する政府との間の意見の調整を願いたいということを、私は本委員会を通して委員長にもお願いをしておいたのでありますが、爾来今日までまだ意思表示がございません。この際委員長に、この問題に対して大蔵委員長は一体いかなる考え政府との間に調整をされたか、いずれこの問題に関連します修正案が出て参ることと思いますから、この修正案を通過さす上にも、この問題は非常に重要な政治的意義を持つて来ますので、この際特に委員長の御答弁をお願いしたいと思います。
  73. 千葉三郎

    千葉委員長 委員長かられ答え申します前に、内藤委員がこの問題に対しまして特に詳しいのでありますから、一言お願いしたいと思います。
  74. 愛知揆一

    愛知政府委員 ちよつと、私先ほどの答弁で申し足りなかつたところがあると思いますから、補足をしてお答えいたしたいと思います。  それは、先ほど秘密協定というようなものがあるということを知つておるかというお問いに対してだけお答えをしたのでありますが、本件につきましては、参議院の予算審議におきましても、改進党を代表する方から趣旨の御説明並びに御答弁がございました。それによりますれば、政党と政党との話合いというものは、お互いの政党の立場があるというので、なかなか微妙なところもあるけれども、今私が御説明を申しましたようなことを政府側が考えておることに対しましては、大局的にいつて、改進党の主張が政府において取入れられるであろうという期待を持つて、これに対して承認をしておるのだという御趣旨の御説明がありました点を申し落しましたから、あわせて申し上げておきます。
  75. 内藤友明

    内藤委員 ただいまお尋ねでございましたから、私どもの立場をはつきり申し上げておきます。それはもうすでに問題は明らかであります。衆議院で予算修正がありましたときに、修正者から修正しました態度というものははつきりと申してあることであります。だから、その通り政府がなされば、それでいいのではないかと思うのでありますと申しますのは、これは名前は完遂奨励金ということになつておるけれども、完遂しておるといなとにかかわらず、供米全部に奨励金を出す、こういうのが修正者の考え方でありまして、これが本会議におきましても、また予算総会におきましても明確になつておりますので、井上さんがどう間違つてああいう疑いを持つておられるのか、私はそれが何だかわからぬのでありますが、そういうことになつておりますので、どうぞ御安心いただきたいと思うのであります。
  76. 井上良二

    井上良二君 これは、非常に政治的な取引の問題で事が済む問題と違います。石当り八百円もらえるかもらえぬかという問題は、生産農民にとつてたいへんな問題であります。またこれが消費者の負担になつて参るということを考えた上からも、この問題は、法的にも予算的措置の上で明確にしておかなければなりません。従つて私がこれについて特に事を明確にしようとする点は、政府が出しております予算書を見ますと、食糧管理特別会計の中の食糧買入れ費の中に、その内訳がございまして、その内訳の下の方に早期供出奨励金、超過供出奨励金、供出完遂奨励金、価格差追払金、包装資材費、こういうふうにわかれておりまして、価格差追払金と包装資材費は予算には出ておりませんけれども、奨励金は早期と超過と完遂と三つに区分されておりまして、供出奨励金とはどこの項目にも出ておりません。項目にない金を政府がもし他に流用しました場合は、会計検査院のおとがめになることは当然であります。われわれがまた承認しないことも当然であります。従つてもし内藤さんのおつしやる、供出奨励金は本筋だろうというならば、この供出完遂奨励金と書いてあるうちで、完遂というのは誤植だ、こう解釈してよろしゆうございますか、それならば、この予算通りの金が使えます。そうしてまたこれに新しく追加される分は使えますけれども、款項目にない、予算費目にないものをいかなる形において使おうといたしましても、使えないのでございます。財政法その他の法規の規定するところによつて使えない。もし政府が、かつてに改進党さんの主張するところを腹構えで金を使つたとするならば、それは違法であります。違法をやることはいけません。だから、ここで改進党さんの主張を生かそうということになりますならば、供出完遂奨励金とありますのを、完遂という言葉を誤植でとつてしまう、誤植届を今お出しになつたらどうや、こう思いますが、そういう意思は政府にありませんか、これを伺いたい。政府が誤植願いを出せば、予算組みかえも何もありませんから、予算組みかえとかなんとかいうことになると、これはやつかいな問題になりますが、誤植の申出をするということになるならば、これはお互い注意しておつても、うつかりしておつたということになりますから、多少そこは含みで相通ずるところがありましようから、そういう点で、あまりこの問題は、あなたの方も大義名分というか、党意識にとらわれないで、真に本年の天候その他諸般の事情を考えて、——今年の秋の供米というものは容易ならぬということをわれわれが想定する場合、この際思い切つて供出奨励金ということにした方が、ほんとうにいいでないか。これをこだわつておりますと、この秋になりますと、末端の割当において非常に重大な問題が起つて政府は苦境に立つ事態に立ち至りますぞ、そういう点を考えますならば、単なる誤植ということでこの際済ますようにした方が最も円満でないか、こう思いますが、政府にその意思がありますかどうか伺いたい。
  77. 愛知揆一

    愛知政府委員 いろいろと御注意をいただきまして、まことにありがたいのでありますが、私どもは、先ほど来由しておりまするような態度でおりまするので、これは誤植ではございませんで、完遂奨励金でございます。しかしながらそのやり方については、先ほども改進党の代表者の方の言葉を引用さしていただいたのでありまするが、そのやり方については、改進党の御主張が、それによつて完遂されることを期待することができると、こう言われておるのでありまするから、私は誤植として取消す、訂正をする必要はないものと思います。なお従つて、そうやることが財政法に違反するというふうには考えません。
  78. 井上良二

    井上良二君 これは非常に大事な問題です。特に改進党の方に伺いたいのですけれども、——前谷さん、あなたに関連した法案を審議しておるのに、長官がおらぬとは何事ですか。——この点は、改進党の特に農政通であります内藤さんにおいても、完遂という場合と、供出という場合の意味が、いかに農民に違つて響くかということはよく御存じのことであります。ところが政府答弁は、依然として完遂で貫こうとしておるのであります。それでは、まつたく農民をごまかす結果になりませんか。あなたの方は、あれは供出奨励金だから、一石でも出したら八百円もらえるんだ、こういうことを農民に大いに宣伝しましよう。ところが政府は、当該市町村の完遂ができない限りは、奨励金を出さぬ、こういう建前をとりましよう。これはまた当然あたりまえのことです。そうなると、改進党の宣伝したことはうそじやないか、こうなつた場合一体どうなります。それで改進党はいいとはいえませんぞ。そこは改進党の方としても、この際しつかりしてもらいたい。その食い違いを明確に説明を願いたい。そうしなければ話がつきません。
  79. 内藤友明

    内藤委員 これはいくら井上さんに申し上げても、すでに事態がはつきりしておりますので……。予算修正をいたしましたときに、修正者はどういう言葉を使つたか、これさえ見ていただけばいいと思います。それに応じまして、政府が適当なる処置を講ずればよい。処置を講じなければ、講じない政府が怠慢だと私は思います。ことに先ほど食糧庁長官の話を聞きますと、村の完遂が単位だ、こうおつしやるのだが、それでは完遂しない村へは、完遂した農家がおつてもやらぬのか、こういう問題も出て来るのであります。つまりこれは県の完遂か、村の完遂か、個人の完遂か、これ問題が非常に重要なのでありまして、しかし私どもの方は、供出した者全部に出すという腹なんでありますから、そのような腹でひとつ作業をやつていただきた。ことに今年は、例年にない凶作型であります。この難局を切り抜けるには、そんな小さなことにこだわつてつては、この食糧問題は乗り切れぬと私は思うのであります。この際食糧庁長官は、何の遠慮をする必要もない。大蔵省とかけ合つて、堂々とおやりになつたらいいではないか。この国をしつかりするために、私はこれこそ食糧庁長官が腹をすえてやることだと思うのであります。これは天下の三千万農民があなたを支持いたします。どうかぜひそういうふうにやつていただきたい。そうしますれば、もう誤植届も何もいりません。
  80. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。内藤委員お話のように、本年度の供米につきましては、作柄等の関連に驚きまして、非常に重要な問題があろうと存ずるわけであります。従いましてわれわれといたしましては、この供出を確保するために、あらゆる努力をいたさなければならないことは当然でございまして、御趣旨の点を十分体して善処いたしたい、かように考えております。
  81. 本名武

    ○本名委員 長官にちよつとお伺いいたします。善処を、なさるということですが、今内藤委員からお話がありましたが、町村単位で、完遂した時期をもつて支払いの時期とするという御意見りようでありましたが、これは私はどうもふに落ちない。改進党の基本的な考え方並びにこの間の予算折衝におきましては、すでにもう明確な、極端にいえば基本米価と考えて、この代金の支払いをいたすというのがわれわれの本質的な考えであります。同時にまた、自由党との折衝においても、そのようにわれわれの代表は折衝したはずであります。  特にここで一言したいのは、自由党の本質的な性格から申しまして、供米制度そのものの考え方、あるいは基本米価の考え方というものが、われわれと本質的に違つております。従つて、われわれの主張を党にお帰りになつて了解を得るときに、いろいろな表現の上にゼスチュアが必要であつたために、完遂という文字をつけられたのではないかと考えられますが、今日迷惑するのは、四面楚歌、あちらこちらから改進党がどうだこうだという声がございますが、私はそれよりも、むしろ供出農民が非常に迷惑するのではないか。その意味におきまして、今日参議院にばかりでなく、この委員会でこの問題が取上げられましたのを機会に、長官は町村内において完遂した者があつた場合、町村の全体の割当が完遂されていなくても、個々の農家に対して支払いをするということをはつきりいたされなければ、改進党と自由党とのいわゆる予算折衝における本質を誤つておることになりますので、そのはつきりしたお言葉をちようだいしたい。  もう一つは、先ほど密約があるのではないかという井上委員の御質問がありましたが、(井上委員「密約とは言わぬ、了解事項と言つたのだ」と呼ぶ)了解事項があつたということでありますか、これは、おそらく運営の上においていろいろな打合せがあつたことと思うのであります。従いまして、われわれの考える本質的な基本米価という線には、一歩も触れていないことを私ども改進党として確信いたしております。従いまして、長官もその意思をくみとつて必ずこの趣旨に沿うて代金を支払うということを、この際はつきり言明していただきたいと思います。
  82. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御趣旨の点は十分了解いたしました。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほど小川委員が言われましたように、今年の供出問題は非常に重大な問題でございまして、もうすでに今日この不作のところにもつて来て、九州、和歌山県の災害がございまして、今年の災害というものは、非常に重大な問題になつて来ておるわけです。ところがこの予算措置におきまして、政府自由党の考え方と改進党の考え方とが、われわれとしてはまことに納得のできないような二つの案がございますが、すでに昨年におきましても、わずか二百円の供出奨励の金で非常にもめました。今年度は、一石八百円ということになつておりますので、われわれ農村に地盤を持つております者は、この点について、一体政府の言うことがほんとうか、改進党さんの言われるのがほんとうかということで、迷うわけであります。そういう点について第三者の社会党は、これが確実だということをはつきり答弁できるだけの発言をしていただかないと、われわれ地方へ帰りまして、国会報告をやるときにおきましても、これは政府考え方だ、これは改進党の考え方だということは、非常に農家を迷わせることになりますので、はつきりした御答弁を願いたい。  もう一つは、今年度は非常に不作の関係上、政府におきましては、外米を昨年度より二百万トンよけい買い入れるというようなうわさがございますが、はたしてほんとうかどうかということが第二点。  もう一点は、ことしの供出が——これは食糧庁長官は初めてやられるわけでありますが、はたして昨年通りうまく行くかどうか、これは日本の大問題でございまして、われわれ農家などに供出問題を問われるときに、非常に迷うわけでありますが、この答弁だけははつきりしていただきませんと、この法案を通すわけに行きませんので、ぜひとも明確な御答弁をお願いしたい。
  84. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話のように、今年度の食糧の点におきましては、作柄等によりまして困難な問題が生ずるということは、われわれも十分承知いたしておるわけでありまして、われわれといたしましては、ただいま政府が集荷の目標といたしておりますものを集荷するために全力をあげたい、またそれに必要なるあらゆることをやつて参りたいということを考えておるわけでありまして、供出完遂奨励金につきましては、ただいま申し上げたようなことによりましてやつて参りたいということで、考えておるわけでございます。その点はさよう御了承願いたいと思います。ただ輸入の点につきましては、御承知のように、目下作柄につきましても、今までの作況は思わしくありませんでしたが、最近の状況におきましては、今後次第に回復するという見込みもありますので、作況の確定を待ちまして、二十九米穀年度におきます需給計画を立てて、そうして外米の輸入計画を決定いたしたい、かように考えております。
  85. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今年は、私ども想像するのに、非常に米の収穫は憂うべき状態だ、こういうことを私ども考える。そうして、その中から政府が二千五百万石の買入れの計画を立てている。これすら私どもはかなり困難ではないか、こういうように考えざるを得ない。そこでこの石当り八百円という奨励金は、措置としては、たいへんいいと思うのですけれども、それを完遂後に出すということと供米に出すということでは、これは月とすつぽんほど違つているのです。それで、米の割当というものは個人々々にされるのです。個人々々にその作付面積と収穫量を見て割当てられている。あなたの方では町村が単位でやつて行くとすると、今度は町村は非常に難儀する、町村が難儀すると同時に、郡が難儀し、県が難儀をして来る。これは長い間食糧の供出の問題を取扱つて来た者はよく御承知と思う。この点は非常に割当が難儀する。ところがこういう措置をとると、非常に難儀する上に、さらにもつともつと混乱させるような措置になつて来る。この点はよほどはつきりしておいてもらわないとやれない。だから私は、この点をひとつぜひはつきりしておいてもらいたい。先ほど御趣旨を体してということでしたが、そういうことではいけない。こういうふうにやるんだということを、ひとつくどいようだが、これはやはりはつきりしておいてもらわなければならない。  それからいま一つ、私どもは改進党の主張される八百円というのは、すでに基本米価の精神に立つているということは了解できるけれども、そこで問題は、今の井上さんの指摘された款項目にないものを御趣旨を体してやるということは、それはどういうふうにやられますか、その点は、やつてもらうことは反対ではなく、ぜひやつてもらいたいが、どうしておやりになるということが一つ
  86. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。小川委員お話のように、最終的には個人に割当てて行くことは当然でございますが、現在の割当の方式といたしましては、御承知のように政府が県に割当て、県が市町村に割当て、市町村がさらに個人に割当てるという形をとつておりますが、ただいま御指摘のように、今年度の供出事情というものは、われわれもなまやさしいものではないと考えておりますので、この供出を確保すべくどうこういたすことは当然でございまして、御趣旨の点は了承いたす次第でございます。
  87. 井上良二

    井上良二君 関連して。それは長官、あなた、われわれをなめたらいけませんよ。あなたはどれだけ偉い人か知らぬけれども、少くとも款項目にない金をどうして出す権限が与えられているか、これを御答弁願いたい。款項目にきめて、これこれに予算を使いますといつて、われわれの審議にかけておいて、それにないものをどうしてあなたは出すというのですか。
  88. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど私のお答えしたところで尽きておると思うのでございますが、完遂奨励金という項目で御賛成を得たわけでございますから、それによつて、将来会計検査院等で問題が起らないように、その範囲内において、なし得る限り御趣旨に即するようにいたしたい、こういうように考えております。
  89. 井上良二

    井上良二君 それは、あなたとわれわれのここの審議の場合は、そういうことで了解するかもしれません。ところが食糧庁から末端へ流れます指令や、またあなたの方から金を出します場合においても、現実にこれは完遂奨励金として出すのです。そうして受取る方は、今食糧庁長官説明された通り、当該市町村が、完遂しなかつたならば、石当り八百円もらえないことになるわけです。問題はそこなんです。だから、あなたの方が供出奨励金で出してよろしいということを明確に答弁されるならば、その答弁はつきり速記に残りますから、それならそれによつてこちらの方も、国会としては、これは完遂奨励金というものは政府の都合でつけた名前であつて、実際は供出に対してもらえることになるということが、国会の審議を通して明らかになつたということを末端へ明確に知らす必要がある。そういうことでもしなければ、あなたの方も、いまさら予算を直すというわけにも行くまいだろうし、事実上問題はやつかいになつて来ておりますから、あなたの方は供出奨励金にこれは使つてもさしつかえない、供出完遂のための金たらやむを得ない、これはあとで問題にならぬように、会計検査院等に了解を求める、こういうことで、はつきりしておけば、これは改進党の主張も通ることであるし、また末端も安心すると思うわけであります。この点どうです。そこまではつきり言えますか。
  90. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど来申しておりますように、政党と政党の間の了解が成立いたしまして、両者ともその言い分は十分に了解し合つておるわけであります。しかしながら、これが現実に施行される場合におきましては、これは政府責任でございますから、この申合せに参画をしたところの政党が、そのやり方が違つておるかどうか、自分たちの趣旨通りつておるかどうかということの監視をしていただくのが、政党のお立場だと思うのであります。また行政府としては、その御了解になつたととろの趣旨が貫徹できるように、われわれとしては最善の努力をするということが、われわれの申し上げ得る限度だと思います。
  91. 井上良二

    井上良二君 それはあなたとしては、非常に行き届いたようなお言葉のようですが、それが実は、末端に行くと非常に誤解され、いろいろ解釈をされまして、混乱をするのです。だから政党間の話は、お互いが守ろうが守るまいが、政党の信義の問題だけでいいが、事国会にかけられまして、法案となり、予算となりました場合は、これは明確にしておきませんと、末端の取扱いが非常にやつかいになつて参ります。そこであなた方の方も時期が迫り、実際諸般の事情から、そこまでなかなか手続が困難であるということなら、ただ一つここで、供出奨励金に対してこの金を使つてもいい、それは供出完遂を意味しておる、こういうことを明確にされるならば、下はそのつもりでお扱いになると思いますから、その点はつきりされておきましたならば、この問題は解消いたします。そう解釈してさしつかえありませんか。もう一度はつきり願いたい。
  92. 愛知揆一

    愛知政府委員 現実の末端に対しまして、どういうふうに流して行くか、また実際にどう行うかということは、私の答弁の限りでありません。これは食糧庁でやつていただくごとでございますが、先ほど来申し上げておりますところの趣旨をおくみとりくださいますれば、これは完遂奨励金という言葉が使つてあるということで、ひとつ御了解をお願いしたいのであります。
  93. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 政務次官の苦心のほどはよくわかる。また長官の苦労もわかるのですけれども、そういう言葉は困る。これは政党と政党の話合いで、すでに腹では了解しておるのだから、供出奨励金であるのだ、ただ言葉というか、文章の上で完遂奨励金になつておるけれでも、供出奨励金ということに間違いないのだというふうに、私の方で解釈してよろしゆうございますか。この点もう一回お聞きしたい。こう解釈してよろしいとか、よろしくないとか、簡単におつしやつていただきたい。私は頭が悪いから、長々とやられるとわからぬ。
  94. 愛知揆一

    愛知政府委員 簡単にお答えいたします。完遂奨励金という言葉でございますから、完遂のための奨励金という意味も入つておると私は解釈します。
  95. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もちろん完遂すれば出るのは当り前です。完遂しなかつた者にも出るかどうか。それを出せると言つてくだされば、それでいいのです。
  96. 愛知揆一

    愛知政府委員 私はそれに対しましては、前言を繰返すだけでありまして、完遂奨励金という言葉は、完遂後でなければ絶対に出せない金という意味もございましようが、完遂のための奨励金という意味も、その中に当然入つておると思います。これによつてどもの気持をおくみとりを願いたい。
  97. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 たいへんはつきりして来ました。そうすると、完遂した者に出すことは当然である、それから完遂するために努力した者にも出すのである、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  98. 愛知揆一

    愛知政府委員 その後段のお尋ねに対しましては、そういう解釈も成り立ち得ると思います。
  99. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そういう解釈も成り立ち得るとか、そういうややこしいことでない方がいい。あなたの気持もよく私ども了解しておるのですが、それは完遂のために努力した者にも出す、こう言つてくれた方がはつきりしていいのです。あなたの方もわかつておるのだから、これをはつきり言つてもらつた方がいい。
  100. 愛知揆一

    愛知政府委員 どうもそこまで私に肯わせようとなさるのはやぼではなかろうかと思います。まことに失礼でございますが、これでごかんべん願います。
  101. 淺香忠雄

    ○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつておりまする十四法案中、特別減税国債法案関税定率法等の一部を改正する等の法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案産業投資特別会計法案及び昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案の六法案につきましては、大体質疑も尽されたと思われますので、この際右六法案については、以上をもつて質疑を打切られんことを望みます。
  102. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、ただいまの六法案につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これより順次討論、採決に入ります。まず特別減税国債法案産業投資特別会計法案国民金融公庫法の一部を改正する法律案昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案、以上四法案一括議題として討論に入ります。
  104. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となりました特別減税国債法案国民金融公庫法の一部を改正する法律案産業投資特別会計法案及び昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案の四法案につきましては、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  105. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、右四法案につきましては、討論を省略して、ただちに採決に入ります。  まず国民金融公庫法の一部を改正する法律案昭和二十八年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税臨時特例に関する法律案の両案を一括議題として、採決いたします。右両案をいずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  107. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて右両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、特別減税国債法案産業投資特別会計法案の両案を一括議題として、採決いたします。右両案をいずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  108. 千葉三郎

    千葉委員長 起立多数。よつて右両案はいずれも原案の通り可決せられました。     —————————————
  109. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、関税定率法等の一部を改正する等の法律案を議題として、討論採決に入りたいと存じます。  本法案に関しましては、修正案が提出されておりますので、まず提案者より修正案の趣旨弁明を求めます。内藤君。     —————————————
  110. 内藤友明

    内藤委員 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案について、その修正の趣旨を説明いたします。  修正案は別紙お配りいたしましたもので、これを朗読することを便宜省略さしていただきますが、案文の中に誤謬がありますので、まずそれの訂正をいたします。七一九、カーボンブラツクの下に「のうちコンタクトブラツク」の「のうち」以下の言葉は削ります。これは誤植であります。それから一番終りの「附則第六項中」というのがありますが、それはこういうふうなことの誤植であります。「附則第六項中」第千四百五号に掲げる」の下に「棒のうち鋼矢板及び」を加え、「九月三十日」を「十二月三十一日」に改める。」であります。  まず修正点の第一に、こんにやくいもの輸入税率は、政府原案におきましては、一割五分から四割五分に引上げられているのでありますが、一般大衆の食生活の負担に及ぼす影響をも勘案いたしまして、これを四割に引上げることに修正いたしました。  第二に、新聞用紙の現行輸入税率は、現在一割となつているのでありますが、国内森林資源の保持育成の必要と、新聞用紙の需給の現状等にかんがみまして、新聞用紙の必要なストツクを確保いたしますため、来年三月末までこれを七分五厘に軽減することといたしました。  第三に、四エチル鉛は、現在二割の輸入税を課せられているのでありますが、これは揮発油に必要欠くことのできない重要原料でありまして、戦時中のストツクも枯渇し、現在国内生産の見込みもありませんので、来年三月末までこれを免税とすることにいたしました。  第四に、カーボンブラツクは、今回一割から二割に輸入税率の引上げがはかられているのでありますが、なお輸入を確保する必要がありますので、このものに限りまして、来年三月末まで現行一割の税率をすえ置くことといたしました。  第五に、みぞレールの輸入税は、本年九月末までの輸入につきましては、これを免税することになつているのでありますが、地方公共団体向けの既契約品の船積みが遅れた関係もありますので、その免税期間を本年十二月末まで延長することといたしました。  最後に、鋼矢板(シートパイル)は、港湾、河川等の土木工事用として必要不可欠のものでありまして、輸入品の需要先はもつぱら官公署でありますが、現在国産品では、とうてい品質、規格等の点でその需要を満足させることはできませんので、本年十二月末まで引続きこれを免税とすることにいたしたのであります。  以上をもつて修正理由の説明を終りますが、何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  111. 千葉三郎

    千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。  これより原案及び修正案を一括議題として討論に入ります。
  112. 淺香忠雄

    ○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する等の法律案につきましては、原案及び修正案ともに討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  113. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、本案につきましては、原案及び修正案ともに、討論を省略して、これよりただちに採決場に入ります。  まず内藤君提案にかかる修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  115. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本修正案は可決されました。  次に、本修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  116. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。     —————————————
  117. 千葉三郎

    千葉委員長 次に 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として、採決に入りたいと思いますが、本案につきましては、内藤君より修正案が提出されておりますので、この際提案者より修正案の趣旨弁明を求めます。内藤友明君。     —————————————
  118. 内藤友明

    内藤委員 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その修正の趣旨を弁明いたします。  修正案の案文は、お配りいたしました通りきわめて簡単でありますので、朗読を省略させていただきます。  今回、昭和二十八年度予算案につきまして、修正が行われまして、昭和二十八年産米につきましては、供出が完遂せるといなとにかかわらず、供出した全部にこの奨励金石当り八百円を支出しまして、共出を確保することとなつたのであります。従いまして、ピーク時における買入米累計を二千五百万石と押えまして、これに要する供出完遂奨励金二百億円をまかないますため、現在の食糧証券発行限度額二千二百億円を二千四百億円に拡張する必要がありますので、本修正案を提出する次第であります。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
  119. 千葉三郎

    千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
  120. 淺香忠雄

    ○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、討論、採決を次会に延期されんことを望みます。
  121. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。     —————————————
  123. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、お諮りいたします。目下通商産業委員会において審査中の中小企業等協同組合法の一部を改政する法律案について、通商産業委員会に連合審査会開催の申入れをいたしにいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時二十一分散会      ————◇—————