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1953-07-24 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 島村 一郎君       宇都宮徳馬君    大上  司君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    久保田鶴松君       春日 一幸君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二十四日  委員和精一君辞任につき、その補欠として飯  塚定輔君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二十三日  国際復興開発銀行からの外資受入について日  本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券  の利子に対する所得税免除に関する法律案(  内閣提出第一六五号) 同日  石油関税減免措置延期に関する請願長谷川  保君紹介)(第五二七八号)  同(長谷川峻紹介)(第五二七九号)  同(塚原俊郎紹介)(第五二八〇号)  同(志賀健次郎紹介)(第五二八一号)  揮発油税軽減に関する請願長谷川保紹介)  (第五二八二号)  同(長谷川峻紹介)(第五二八三号)  同(塚原俊郎紹介)(第五二八四号)  同(志賀健次郎紹介)(第五二八五号)  同(勝間田清一紹介)(第五二八六号)  転廃業者酒造免許に関する請願(齋木重一君紹  介)(第五二八七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  特別減税国債法案内閣提出第九八号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四三号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  産業投資特別会計法案内閣提出第一一三号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一五号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五九号)  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定の実施に伴う国有財産の  管理に関する法律の一部を改正する法律案(岡  良一君外二十六名提出衆法第二〇号)  積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫  に因る農業所得に対する所得税臨時特例に関  する法律案竹谷源太郎君外二十四名提出、衆  法第二一号)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第四五号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)(予)  国際復興銀行からの外資受入について日本開  発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利  子に対する所得税免除に関する法律案内閣  提出第一六五号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  昨二十三日本委員会に付託されました国際復興開発銀行からの外資受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券利子に対する所得税免除に関す法律案議題として、まず政府より提案趣旨説明を聴取いたします。渡辺主税局長。     —————————————
  3. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 ただいま議題となりました国際復興開発銀行からの外資受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券利子に対する所得税免除に関する法律案について、その提案理由説明いたします。政府は、さきに国際復興開発銀行等からの外資受入れを促進するため、国際復興開発銀行等からの外資受入に関する特別措置に関する法律案提出し、すでに成立を見たところでありますが、これに伴い、日本開発銀行または日本輸出入銀行国際復興開発銀行からの外貨資金借入れ契約に基いて発行する債券につき、本邦居住者が受ける利子に対しては、所得税課税しないこととするため、ここに本法律案提出した次第であります。  すなわち、国際復興開発銀行からの外貨資金の借入金に対して同銀行に支払う利子については、国際復興開発銀行協定に基き、所得税課税しないこととなつているのでありますが、同銀行からの外貨資金借入れ契約に基いて、日本開発銀行または日本輸出入銀行の発行する債券については、それが国際復興開発銀行以外の本邦居住者によつて所有されることとなつた場合においても、各国の例にならつて、その利子に対して所得税課税しないことといたしたのであります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 千葉三郎

  5. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、本日の日程に掲げました二十法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許しますが、なお本日の政府委員としての出席者渡辺主税局長河野銀行局長北島税関部長塩崎税制第二課長、並びに国税庁村山直税部長が出席されております。春日君。
  6. 春日一幸

    春日委員 この際大工、とび、左官屋根師、こういうような日雇い的な稼ぎによつて所得を得ておるところの諸君に対する課税方式について、御意見を承りたいと思うのであります。  まずわかりやすく申しますならば、大工の中には日雇い大工、いわゆるたたき大工、それから請負大工と二様の内容を持つておる大工があるわけであります。そこでお伺いをしたいことは、この日雇い大工純然たる勤労所得でございます。従つてこれに対しては、源泉徴収によつて給与所得として課税をされるべきであると考えるのであります。ところが現在各地方においての徴税方式は、必ずしも勤労所得によつておりません。従つてこれらの諸君は、その地方々々において区々の取扱いを受けておるのでありますが、この機会日雇い大工日雇いとび、日雇い左官——自分材料を持つてつて働かないところの純然たる勤労を提供して、それの対価を得て所得としておるという者は、やはり給与所得とみなすべきが至当であると思うのでありますが、これに対して当局意見を承りたいと思うのであります。
  7. 村山達雄

    村山説明員 お答えいたします。仰せのごとく大工、とび職、左官につきましては、請負大工と日雇に大工との別がございます。日雇いにつきましては、これはいわゆる労務者でありますが、税法上におきましても、給与所得といたしまして、現在日額でもつて源泉徴収をいたしております。但し徴収義務者の方が、使用人を使わないようた個人の場合戸には、この給与がかり勤労所得でありましても、徴収義務がないことになつております。この場合には、同じ日雇い労務者でありましても、雇われた先によりまして、一つ源泉徴収をされ、一つ源泉徴収をされないということになつております。請負大工につきましては、もちろんこれは事業所得でありますので、源泉徴収対象とはならず、翌年の二月の末に、もし申告義務があるならば、確定申告をしていただくということになつておるわけであります。ですから三様の区別のあること、それから日雇い大工については、給与所得として通常源泉課税すべきものであるということにつきましては、春日委員のおつしやる通りであります。
  8. 春日一幸

    春日委員 その点はただいま明確にされまして、日雇い大工、とび、左官屋根師こういうような純然たる勤労を提供して対価を得ている者は、これは給与所得として税の適用を受けている。こういうことで問題は明確になつたと思うのでありますが、現実には、地方によりましては、必ずしもその通り行われてはいないのであります。先般私は新潟に参りまして、その地方諸君陳情を受けたのでありましたが、純然たる日雇いではあるけれども、中にはくぎ一本、あるいは板一枚を持つて行つて請負類似行為を行う。従つてこれは事業所得営業所得とみなすべきである。こういうような税務署類推によりまして、当然勤労所得とみなさるべきものが、営業所得としての取扱いを受け、しかも実際的には、その営業所得一定額の中に、勤労所得の何パーセントかを含んでいるから、そのパーセントを引いたものを営業所得とし、しかしてそれに対しては、地方税が当然事業税としてかかつて参ります。そういう課税対象になつて苦しんでいるから、何とかしてもらいたいという陳情でございます。そこで私は、この機会に申し上げたいことは、これらの類推によつて、それらの諸君に当らざる課税が行われている現状にかんがみまして、純然たる日雇い大工左官、とび、そういう諸君に対しては、営業所得を課すべきではない。しかしながら、営業所得勤労所得との間の区分を明確にしなければならないが、これに対しては、当局は何らかのいい腹案をお持ちでないのでありましようか。もしお持ちであるならば、その企画に従つて、彼らが自主的にそういう明確な一線を画することによつて地方税務署類推の危険から回避できるわけでありますが、それに対する対策が当局にあるものならば承りたいと思うのであります。
  9. 村山達雄

    村山説明員 今の勤労なり請負なりやの区分の問題でございます。地方によりましては、事実上勤労であるにかかわらず、事業所得として課税している向きがあるというお話でございますが、われわれの方では、いまだそのことは確認しておりません。但しそういうことはないということは保しがたいと思います。ですから、その点につきましては、十分そういう誤りのないように、今後ひとつ明確な基準でも出したらいかがかと思つております。私案によりますると、私自身の経験から申しましても、日雇い大工請求書請負大工請求書内容を見ますると、まつたく違つておるわけでありまして、通常日雇い大工請求書を見ますと、材料がずつと出ておりまして、そのほかに工賃幾らというような請求書内容になつておるのが通常でございます。これに対しまして、請負大工が請求する場合には、初めきめておりまするし、あるいは最初契約はなくても、あとで言うときには、一括して総支払額を請求して来る実情でございます。ですから、おそらくはその請求書内容を見ますればわかるだろうと思いますし、また実際問題といたしましても、その大工の店舗その他の状況を見ますれば、おのずからわかるわけでございます。たとえば自分の家が悪いときに、ここを修繕してほしい、ついでに柱だけでなくて、屋根も、壁も、ガラスも直してほしい、そういつたときに、それらの職人を全部集めて参るような大工さんは、これは日雇い大工ではございません。これは要するに請負大工であります。自分の与えられた大工仕事だけしかやれない、人をかり集めることのできないというようなものは、普通は日雇い大工の形になつております。法律的な概念は別にいたしまして、そういう常識区分できるような基準でも示しまして、ただいま春日委員のおつしやいましたような点について、間違つた取扱いをするようなことがないように、今後努力いたしたい、かように考えております。
  10. 春日一幸

    春日委員 基準は、日雇い大工請負大工との区別は、いずれ検討の上何とか一線をというお話でございましたが、これはけつこうであります。これは私ども私案であり、さらにまた現在行われておる一つ経営体であり虫ずが、これが日雇い大工として認められるか、あるいは請負大工として認められるかは、ただに国税に関する問題ばかりではありませんで、このことは、ただちに営業所得に対しては地方税が賦課されて来るが、勤労所得に対しては地方税関係はない、こういう意味で影響するところ非常に甚大でございます。この点において、これらの諸君がこの点を明確にしてもらいたいという痛切な要望の原因も、そこに胚胎いたしておるのでありますが、そこで私の私案であり、さらにまた現在行われておる実例の一つといたしまして、たとえば愛知県あたりにおきましては、これらの日雇い大工諸君純然たる労働者である、従つて彼らは労働組合を結成いたしまして、みずからを税の対象とされる場合におけるその性格を明確にいたしております。労働組合は、やはり協約の中におきまして、われらは断じて請負を行わない、請負行為行つた場合においては労働組合から脱退してもらう、あるいはこれを除名する、こういうようなきびしい一つ協約を結ぶことによりまして、われらの団体が純然たる勤労所得にのみ依存しておるものであるという態度を明確にいたしております。従いまして、今部長の御説明によりますと、ケース・バイ・ケース調査によつて、それらの資料、すなわち営業上のいろいろな書類等によつてこれを類推して、決定を行われようということでありますけれども、このことは、先般来企業組合等において、その類推そのものが特に現地においては若い諸君によつてそのあやまちが犯される場合はなしとしないので、だからこそ、これらの諸君法律によつてこれが明確にされることを、非常に痛切に要望しておるわけであります。そういうような事態等を勘案いたしまして、私は純然たる日雇い労働者であるならば、彼らがみずから労働組合を結成し、その組合の定款の中で、労働組合法に基いて、その協約の中に請負行為を行わない、そういうことをした者は除名するとか、組合員にしないとか、こういうような立場において団体的にその組合の統制を保つて行く、こういうような場合は、できるだけひとつ勤労所得対象としてこれをお取扱い願いたいものだと思うのでありますが、これに対して部長の御見解はいかがでございましようか。
  11. 村山達雄

    村山説明員 ただいま私が、例示的にこういうことでもわかるのじやないかと申し上げた点も、要するに請負契約なりや、あるいは雇用契約なりやということを判定する常識上の一つ資料判断にすぎないわけでございます。従いまして、その点が明確になりますればそれでけつこうでございますが、もしそういう何らの証拠がないということになりますれば、もし労働組合がそういう規約をつくつており、労働組合に加入しておるということは、おのずからそれだけ相当有力なる参考資料にはなろうかと思つております。
  12. 春日一幸

    春日委員 有力なる参考資料であつて、それは最終的に決定の条件にはならない、こういうような御答弁に承つたのであります。しかしながら、この労働組合は、労働組合法の厳粛な法律制限下にあるものでございまして、私は組合労働組合品法に基いてそういうような協約を結んだ場合におきましては、これは明らかに法内活動をするものといたしまして、税務署においてもそういう組合を結成し、その組合協約の範囲内においてそういう活動をして行くものについては、当然一つケースとして、これは勤労所得であるというふうにみなしていただいてもさしつかえないと思います。それでときどき御監査を願いまして、もしそういりような組合法に違反をしたところの行動が行われておりまするならば、税務署においても、当然適当な処理がありましようが、これは労働基準局、あるいはその他の労働省関係監督機関においても当然何らかの制裁が行われるべきであろうと思うのであります。労働者がみずからの利益を擁護し、しかも当然の法律適用を受けることのために、そういう動きも現実にあるわけであります、しかもそういうような団結によつて、彼らが類推決定されたり、あるいは余分に負担をするというような面からこれが救済をされておりますので、労働組合が結成されたものは、その組合員である限り、事業所得営業所得として課税対象としない、こういうような方向へひとつお持ち願えないかどうか、この点について重ねて御見解を承りたいと思うのであります。
  13. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの私の表現があるいは少し誤解を生じたかもしれませんが、労働組合に加入しているという事実は、やはりそれが勤労所得であるということを推定する方の側の有力なる資料になろう、こういうことを申し上げておるわけであります。ですから、そうでないという具体的の反証がなければ、これは証拠の問題でございますから、大体実際の問題としてその万に行くのじやなかろうか、ただ明らかに反証があつて、どこどこの家をどの大工さんが請負つたというようなことがあれば、それにもかかわらず、その部分だけは事業所得として課税されることもあり得る、こういうことを申し上げたわけです。
  14. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、結局労働組合法に基いた労働組合に加盟し、しかもその協約の中に請負行為は断じて行わないという規定があつて、その組合組合員として活動しておる者は、これは給与所得対象として課税をしよう。しかしながら、現実に共体的に反証があつた場合はこの限りでない、こういうぐあいに了承いたしましてけつこうでありましようか。
  15. 村山達雄

    村山説明員 そういう事務方式を流すというよりも、証拠の問題といたしまして、まさにおつしやる通りの問題だろうと思います。
  16. 春日一幸

    春日委員 現実にはその通りでありますが、私がここで申し上げておりますのは、実際的に、勤労所得に対しては給与所得として取扱われることは当然でございますが、現実地方々々において、個々の取扱いを受けて彼らが非常に困つておるから、何とかひとつ事務方式として、その方針を流してもらいたい。そうすれば、この間においてもやもやしておるものが一掃されて、勤労者は当然給与所得として課税されて、事業税というものが免除されて来る、このことを申し上げておるわけであります。従いまして、純然たる勤労所得であるものが、とかく事業所得営業所得などとまぎらわしい立場にあるために困つておるから、従つてこれをあなたの方の徴収基準としてひとつ流していただきたい、こういうことを申し上げておるのでございます。私の主張は、給与所得によつて生きておる者は、当然勤労所得対象として課税されたい、こういうことであり、しかもこれを明確ならしめる一つ基準として、彼らが労働組合を結成した場合においては、一層その辺の疑惑が明確にされておるから、そういうようなことも一資料として流してもらいたいということを申し上げておるのでございます。そういう資料を流していただくことが非常に望ましいと思いますが、これに対して御見解を承りたい。
  17. 村山達雄

    村山説明員 おつしやるように、そういう勤労なり請負なりやという認定の基準につきまして、疑義を生じないための通達を流したいと思つております。その場合に、労働組合に加入しているということもまた有力なる一つ証拠である、推定資料であるというふうに流したいと思います。
  18. 春日一幸

    春日委員  了解しました。
  19. 千葉三郎

    千葉委員長 主税局長に対してほかに御質疑はありませんか。
  20. 黒金泰美

    黒金委員 このほど同僚の大平委員から、将来の税制につきましていろいろ質問があり、税の執行について特に取上げられたのであります。私も大体大平委員意見と同意見でありますが、この際政府で考えております行政整理簡素化、これはけさの新聞にも出ておりましたが、今後の税制改正、これはおそらくは実情に即するようにという問題、また同時に簡素化をはかつて行くというような問題、これを中心に取上げられて行くものだろうと思います。私どもといたしましては、実は終戦後、ことに昭和二十三、四年以後の税のやり方につきましては、何かあまりにアメリカ流になつているのではないか。いわゆる科学的、合理的というようなことに走りまして、何か日本実情というものが、税制の上からも、また税の執行の上からも、とかく欠けておるような点があるのではないか、こういうような気がいたしてしかたがないのでございます。そういう点から申しまして、このほど大平委員お話になりました、税務署を強化して、そうしてできるだけ税務署中心仕事をやつて行くようにというようなことは、私どもは非常に賛成でございます。この点につきましては、主税局長もこのほど大体同意をしましたが、その上に私どもとして特に伺いたいことは、今後の税制改正、あるいはそれによつて国税庁をお廃しになる気持はないかということであります。かつて私も税務に携わつておりました当時——現在はそれほどでもありませんが、当時第一線税務署におきましては、上から参ります調査物調査するために、月のうちたいてい五日、多いときは一週間を費しておるのが実情でございました。このようなことは、上級官庁の力が大きくなればなるほど、また人員が多ければ多いほど、頭のいい方がいろいろとお考えになるために、そのことの調査物がふえて行く。そのために実際の仕事に力が及ばなくなるというような点も、非常にあるかと思います。そこで税制改正をわれわれは非常に期待いたしておるのでありますが、そういう際に国税庁を廃して、そうしてそこにおります五、六百人の優秀なる人間を第一線におもどしになる、こういうような御計画がおありになるかどうか、それを承りたい。
  21. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在計画があるかたいかということの御質問でございますれば、実はまだその問題については、何ら話合いといいますか、計画的なものは持つておりません。ただしかしわれわれといたしましても、常に税務行政がどういう姿であるべきか、従つてそれを執行する官庁はどういう姿であるべきかということにつきましての、私としてなら私なりの考え方は、実は持つております。国税庁を廃止するか廃止しないか、この点になりますと、実はごく率直に申し上げれば、最近のように税法改正が非常に頻繁にあり、そのために相当法案が始終国会へ提案され、御審議も当然慎重にさるべきものと思つておりますが、時間がかかるということになりますと、一人の主税局長国会の方のそうした仕事もやり、同時に執行の方も十分責任を持つということが、はたしてよくやり通し得るかどうかという点は、慎重に検討さるべき問題だと思つております。あるいは適当なるスタツフが補助としてつけば、やり得ないとも言い得ませんし、しかしやはり片方に国会仕事仕事として、もつぱら行政監督指導に当り得るという、しかも相当の地位の人がそこにいるということは、かなり行政をよくして行く上において力強い支柱ではないかというふうに思つております。     〔委員長退席内藤委員長代理着席〕  そこに一利一害といいますか、一得一失があるわけでありまして、われわれとしては、慎重に考えたいと思つております。ただ少くとも私は、この点では黒金委員とある意味において意見を同じくするのではないかと思いますが、よし国税庁があるとしましても、それはできるだけ簡素な姿であるべきじやないか。同時にそれは、ほんとうに重要な事項、あるいは全国的にぜひ統一をはからなければならぬ事項というものについての仕事を、国税庁が中央にあつてしつかりつかんで行くかわりに、こまかい事項につきましては、むしろ実情に即するようにやる意味におきまして、あるいは税務署なり国税局に相当の広い権限を認める、こういつた意味におきまして、できるだけ簡素な姿であるべきじやないか。現在よりもさらにもつと簡素にでき得るような余地はないかということについて、さらに検討さるべきじやないか。かように考えておりますが、主税局と国税庁とをこの際一緒にしてしまうというところまでやるかやらないかといつたような問題については、いろいろ影響するところもありますし、まだ何ら大蔵省としてはさまつた方針を持つておりませんので、この機会にあまりはつきりしたことを申し上げることは差控えたい。しかしわれわれとしましては、常にこの問題はいろいろ研究しており、行政機構の簡素化という問題が出れば、どちらにころぶにしろ、一応検討の爼上に上げるべきものではないか、かように考えております。
  22. 大上司

    ○大上委員 二、三お尋ねいたします。今国会の中途から委員に入つて来たので、あるいは同僚諸君と重複する点があるかと思いますので、簡単にお尋ねします。  今日の経済事象からいたしまして、調査、査察という見地から、いわゆる調査官、査察官というものができましたが、相当経済事象、あるいは所得を把握すべき方法も以前と違つておりはしないか。従つて、それを今日早急に廃止する意思がおありかどうか。あるいは運営の方法も、相当既往とは違つておりますが、もしも存続するとするならば、従来通りの運営になさるのか、あるいは変更されるのか、まずこれをお尋ねいたします。  その次にお尋ねしたい点は、私いつも申すのですけれどもわれわれ立法府として扱つて行く税法が、実際に末端の税務署員に行く場合も、当然その法律通り施行せられ、国民もそれを納得しなければならないと思うのですが、子うでないような事象をちよいちよい聞くことがあります。もちろんその一つ一つの事案について詳しく税法と照し合せて見たわけではございませんが、その間に、いわゆる上級官庁から通達なり、あるいは通牒というか、内示というか、こういうものでこういうふうに取扱つておるのだということを漠然と聞くのです。そこで当然われわれの本委員会において、法律的に、立法的に扱わなければならないものが、末端においてはそれがなくして、いわゆる行政法で扱つておられるということをちよいちよい見受ける。そこで主税または国税庁等において、庁内において論議して得られたところのいろいろの扱い方針があるはずです。それを早急に、直間税を問わず、租税全般を通じて抜書きして見せてもらいたい。それが一つ。  もう一つは、さいぜん黒金委員からお話がありましたか。私もそれを聞きたいと思つておつたのですが、末端に入つてみますと、たとえば、徴税費におきましても、非常に予算もないとは思いますけれども、今日の地方税から見まして、税金を徴収するについては、たとえば大阪府等を見ますと、東区あたりには百人余りの国税事務所員がおる。ところが西区の税務署を見ますと、徴収にまわつているいわゆる滞納金整理員は、十二、三人が普通です。ところが黒金委員お話なつ通りに、いわゆる国税局とか庁とかいうものに対する報告事務で非常に追われている。実際第一線に出て行かなければならないところの地方税務署の次長クラスは、それに追いかけられておる。いま一つは、夏でございましたならば弁当を腰に下げて、一日二十軒から三十軒まわるとなると、当然弁当は腐つてしまう。ところがコーヒー一ぱい飲めば八十円とか五十円とかになつてしまう。だから皆さん方の現在考えておられるところの徴税費、特に私から言いますならば出張費、旅費といいますか、これの運営が十分できていない。そこで、これについて主税局長はどのようにお考えであるか伺いたい。  最後に、郵便局、郵政局あたりの現金を扱うところの出納官吏は、現金をちよいちよい計算間違い等をいたしまして、非常に事故が多いということで、特別に出納手当というものを出してやつておる。ところが一税務署におきましては、徴収に行きまして現金をもらつて来る。あるいは五万、八方の場合もある、五十万の場合もある、数え違いの場合もある。ところが、これは当然その人たちの善意で間違つた場合でも、自分の給料から差引かなければならないという悲劇が起つている。だから、そこは特に一番あぶない問題だから、出納手当を特別に考えてやりておられるかどうか、これだけをお尋ねいたします。
  23. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 第一のお尋ねの、調査査察部の問題でございますが、これは前会有田委員からもいろいろ御質問がございまして申し上げましたが、もう一ぺん繰返させていただきたいと思います。調査査察部は二つにわけまして、一つ調査課の事務、一つは査察課の事務ということになつておることは、大上委員よく御承知の通りでございます。調査課の任務につきましては、現在、資本金の大きい法人、所得の大きい個人、この二つを調査課が扱つているわけでありますが、私たちの考え方としましては、大分税務行政も昔に返つて、おちつきをとりもどして参りましたので、相当仕事税務署の方へむしろおろしていいのじやないだろうか、こういう感じを持つております。しかしたとえば八幡製鉄とか富士製鉄とか、そういう会社の例をあげるのがいいかどうか知りませんが、本社は日本橋の税務署の管内にある。しかし工場からすれば、あるいは広畑にあり、金石にあり、あるいは室蘭にある、こういつたような大きな会社がございます。こういうのは、どうも日本橋の税務署が全部責任をもつてやるにしては、仕事が少し大き過ぎるように思います。従いまして、やはりそうしたような、本社は東京にありましても、工場は全国に散らばつておる、しかも相当大きな会社であつて税務署の所管にまかしておきますと、とかく現場の調査——これは毎年やるわけではありませんが、やはり何年に一回くらいは、現場についても相当調査すべきものがあろうと思いますが、そういうような点になかなか手が及ばない。こういうようなのは、やはり調査課の所管というような意味におきまして、少くとも国税局が責任をもつて調査をして行くことが適当ではないかと思つております。しかし現在の調査課所管に属しているものの中には、必ずしもそこまで必要性を感じない分がかなりあるのではないかというふうに思います。従いまして、現在資本金五百万円以上の会社を調査課の所管にしておりますが、もつとその範囲を狭めてといいますか、資本金の願を上げまして、あるいは個人については税務署に移すとか、こういうことにしまして、ただ特別必要がある場合におきましては、引上げた限度額より小さな会社であつても、あるいは個人についても、局で必要あらば調査課でやる。こういつたような姿に持つて行つたらばどうだろうか。こういうような点について、国税庁の方でも研究しておりますし、われわれもそういう方向に漸次進んで行くべきではなかろうか、かように考えております。それから査察課の問題につきましては、なかなか税を単純に徴収するという問題と違いまして、やはり脱税事件を扱うという問題でございますから、証拠の点など、非常に訴訟になつたときの問題としてむずかしい問題がありまして、どうしてもある程度専門的に、その方面の知識教養をつけておきませんと仕事がやれない。最近は、幸いに査察の問題も対象がきまつて来たといいますか、軌道に乗つて来たように思いますが、まだまだ研究しなければならぬ点がございます。同時に、どこまでも大きな筋を追つて仕事をして、あまり末梢に走らぬという方針を持続すべきだと思いますし、そのような意味におきまして、やはりこれは少くとも国税局に所属さすべきものじやないか。こんなことで、現在の調査査察部のあり方というものについては、さらにわれわれは十分検討してみたいと考えております。  それから第二の、通牒とわれわれが呼んでおりますものについてのお話でございますが、大体税のことは、昔に比べますと、法律に規定する事項が非常に多くなつておりまして、政令に譲られておるものは少い。しかし政令も条文が相当あります。御承知のように、特に法人税とか所得税とかになりますと、課税対象が千差万別でございまして、その一々にうまく具体的に当てはまるというか、先ほどもちよつとお話が出ましたが、たとえばたたき大工請負大工の問題にしましても、一応の原則ははつきり書けますが、具体的に当てはめてみるといつたようなことを一々法律に書くのもなかなかむずかしい。現在のように、不十分でありましても、御承知のように法文が非常にふえまして、ちよつと見ただけではわかりにくい。しかもすべての人がその一々の条文を全部知つていなければならないというわけでもない。しかもやはりどなたかには必要な条文しか入つていない。こういつたような実情にあるものですから、どうしても少くとも解釈的な通牒といつたようなものがそこに必要になつて来るのじやないかと思うのでございます。終戦後におきましては、御承知のように昔と大分考え方がかわりまして、昔は、この通牒というものは、ある意味において門外不出のような感じでありましたが、現在におきましては、通牒とは申しましても、一応これを公表するような制度がとられておりまし、納税者の方にもよく納得していただくようにやつておるわけであります。従いまして、いろいろな通牒を大分公表されておりますが、しかし通牒である限りにおきましては、それはどこまでも法律の範囲にとどまるべきものであり、同時に大部分は、法律の範囲にとどまるべきもので、その解釈がどこまで権威を持つかという問題については、いろいろ議論があり、最終的には裁判所で決定してもらわなければならぬものもございますが、少くとも行政的な扱いとしてはこうだ、こういうものが通牒になるわけでございます。われわれといたしましては、どこまでもそれは法律の範囲内、与えられた権能の範囲内のものであるべきだということでやつておる次第でございまして、その通牒は、どういうものをどういうふうに今の御要求によつて差上げたらいいのか、私一応さらに別途よくお話を伺つた上で、提出すべきものがあれば提出したいと考えております。  それからその次のお話としまして、税務署における事務が、とかく人員が少いのに、局あるいは国税庁の監督的な意味からの報告とかいろいろな方面に仕事が奪われまして、かんじんかなめの本来の仕事に十分に手がまわらないということがあるのじやないか。この御批判については、われわれも確かにそういう面が考え得るのじやないか。実はこの点につきましては、前から気にしておりまして、従来から何回かそういう点について、たとえば報告の整備でありますとか、いろいろなことはずいぶんやつて来ておるのでありますが、現状において、これで十分だというようなことがなかなか言い切手い面があるんじやないかというふうに思つております。方向としましては、確かにお説のように、不必要な書類をとる必要もございませんし、できるだけ簡素にやるべきじやないか。ただいろいろやはりある程度の数字はつかんでおきませんと、監督的にも不十分な点もございますし、あるいはここで御議論を伺うときにも、その数字がやはりある程度どうしても必要な面がある。しかし、それをいかに簡素に、同時に効率的にやつて行くか、この点につきましては、今後ともわれわれ御趣旨の点も体しまして、十分研究してみたいと思つております。  それから出張旅費の点などにつきましても、いろいろ内部には実は悩みがあるのでございまして、今のようなお話を伺いますと、実はわれわれも非常にありがたいわけなんですが、何分予算の上からいいまして、予算規模をできるだけ小さくしたい。大蔵省は、御承知のように片方で主計局もあつて、予算をつかんでおる本家本元なものですから、つい遠慮しがちといいますか、主計局とずいぶん話しましても、まあこの辺でがまんしてくれと言われますと、そうかと言わざるを得ないような状態にあるわけでございます。そうかといいまして、それによつて行政か非常に支障を来し、不完全になるということは、これまたかえつて本来の趣旨に沿わないわけでありますので、今後もこの点につきましては、よく経理の方を担当しておる主計局の方とも話し合つてみたいと思つております。  それから最後にお話になりました出納手当の問題でありますが、現在税務署には、出納手当の制度はございません。これも実はずいぶん長年議論をしておるわけでございますが、最近におきましては、銀行が国税代理店になつている。この国税代理店の銀行税務署に来てもらいまして、そこで出納事務を大体やつてただくということで、できるだけ税務署の者が直接現金に手を触れる、これは間違いのもとにもなりますし、また不祥な事件を起すもとになりますので、できるだけそのことを少くしたいということでやつておりますが、しかし、と申してもやはり滯納処分とかいろいろな関係で出まして、現金を受取つて来ざるを得ない場合が幾つかあるわけでございまして、少くともそういう場合に、出納手当といつたような問題を考えるべきじやないか。ずいぶんこれは内部でも議論をしているわけでございます。他の現業官庁にはその例があるのでございますが、税務官吏が現業官庁的な仕事をしておりながら、現在御承知のように、まだ非現業職員になつているというようなことでもつて、まだなかなかうまく話がついておりませんが、今後の問題といたしましては、さらに十分検討してみたい、かように考えております。
  24. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 主税局長に法人税率と法人の交際費の問題につきましてお伺いしたいと思います。昭和二十五年六月に朝鮮事変が勃発いたしまして、これを契機とし、特需の収入増を見込みまして、おそらく法人税は三五%から四三%に引上げられたと思います。その引上げの反面において、事業税の軽減というようなこととコンビネーシヨンせしめた事情も知つておりますが、要するに三五%から四二%に引上げたゆえんのものは、朝鮮事変の勃発であります。ここに再び朝鮮に平和が立ち返らんとしておるときに、この法人税率を三五%程度に引下げる御意図はなかつたものかどうか。この第十六国会の開会に先だつて新聞に流布されたところは、やはり三五%説が出たわけでございますが、それが立ち消えになりまして、今回の法人税の改正法案においても、このことが出て来てないのでありますが、その点についての事情の御説明を願いたいと思います。
  25. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 法人税、所得税、そうした税につきまして、財政が許すならばできるだけ負担の軽減をはかりたい、これは少くとも主税局、特に私としては十分考えて、ぜひそうありたい、今後も実はそう考えておるわけでございます。従いまして、一応歳出の面を離れまして、たとえば所得税にしましても、いろいろ御意見がございます。勤労者であれば、月二万円くらいのものは所得税がかからぬようにしたらどうかとか、あるいは法人税につきましても、もつと税率を下げたらどうか、こういうような点を実は何回か試算してみました。その場合に、一体それによつて税収にどれだけ影響がおり、従つてもしそうすれば、本年度の租税収入は幾らになるか、ごういつた面は、実は何回か試算してはおりました。そういつたところから、われわれの方としまして試算した。それを新聞記者の方が、試算があるいはもつと実現性のあるものじやないかといつた意味一つの記事にしたんじやないかと実は思うのでございますが、その記事は私も見ております。ただしかし、日本経済か何かに出たと思いますが、表題と中に書いてあることとは大分違つておりまして、私は、実は日本経済の記者の人に、少しひやかしたような言葉を言つたことがあつたのでございます。われわれの気持としましては、税収として許すならば、できるだけ税率は下げたいと考えていたのですが、ただ御承知のように、今回の予算は大体前回のいわゆる不成立予算を踏襲したので、同時にその後の経済の情勢から見まして、急に税収がふえるということも見通しがつきませんものでございますから、やはり前回提案した程度のこと以上にあまり大きく税制を動かすわけには行かないというので、今回の提案を見た次第でございます。なお将来の問題といたしましては、国税、地方税の両方を通じまして、もう一ぺん税制そのものについていろいろ各方面の御意見も伺い、われわれも検討してみたい、かように考えておりまして、近く内閣税制調査会のようなものをつくりまして、いろいろ御審議を願いたい、こういうようなことを大蔵大臣も考えているようでございます。
  26. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 その新聞で流布し立ち消えた問題と、それから交際費につきましての制限規定がこの前は提案されたと思うのですが、今度は調査不十分とか、さような理由をもちまして、その制限規定が提案されておりません。私はすなおにものを考えればいいんですが、その点、要するに四二%を一律に全部三五%にすると、税収の点において困難がある。そこで一応四二%というものはそのまま存置しまして、ただ特例的に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を出すことによつて大法人に対して減税して行く。具体的に申しますと、この租税特別措置法改正によりまして、大体大法人だけを利すると認定せられる幾多の項目があります。たとえば特別償却適用範囲の拡張によつて十四億円、それから価格変動準備金制度の改正によつて二十九億円、貸倒れ準備金積立て限度引上げによる三十億円、貿易商社関係の恩恵的な一つ改正によりまして三億五千万円、大体七十六億円余があるのです。これは法律の建前は、どの法人にも適用さるべし、かように解釈はできますが、実際問題は、この恩恵にあずかるのは大法人だけです。それで私この点に対しまして、大蔵省の方から資料をいただきまして、計算してみたことがあります。それは、かりに一千万円未満の資本金を中小法人とし、一千万円以上の法人を一応大法人としまして、今度は二十八年度において政府が法人分から期待するところの税収を計算しましたら、一千万円未満の法人によつて徴収すべき額が大体八百億円、それから大法人において徴収される額が九百億円でございます。そうしますと、この特例による七十六億円の減収というものが、大体において大法人だけを利するとするならば、大法人は九百七十六億円を徴収さるべきが、実際においてはたつた九百億円にとどまつておるのでありますから、逆算しますと、法人税は実質的に大法人に対しましては三八%とちよつときりとつておらぬ、こういう結論が出るのであります。この点につきまして、私の試算が正しいかどうか。それから主税局長の御意見があつたらお聞かせ願いたいのであります。
  27. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 仰せのように、現在租税特別措置法で幾つかの軽減措置を講じております。それぞれの措置につきましては。一応それぞれ理由があつて制定されておる、あるいは提案されておるものと思つておりますが、考え方の全体といたしまして、そういう幾つかの措置をとることによつて、もちろんそれが資本の蓄積になるとか、輸出の振興になるとか、そういう方向に進むのがいいのか、あるいはそれはもしやるとしましても、非常に重点的に幅を狭くしまして、そうして、もしそれだけのゆとり財源があるならば、四二がよし三五にならないとしても、たとえば四〇にするとか、三八にするといつたような措置を講ずべきがいいか、これは私相当議論のあるところじやないかと思つております。今度の税制調査会の場合におきましても、その辺も実はよく計数的に出してみまして、そうしていろいろ調査会の御批判も仰ぎたいと思つておりますし、世間一般の御批判も仰いでみるべき問題じやないだろうか、かように実は思つております。今お示しになりました計数自身がはたして合つているかどうかという点は、実は私数字は持つておりませんのでわかりませんが、大体私の方で一応ここに持つております数字は、税務署所管と調査課所管とにわかれておりますが、これは資本金五百万円でもつてわけております。その数字でございますれば、大体どれくらいの計数になるかということは一応わかつておりますが、これは大体平岡先生もおわかりだと思いますから、あらためて申し上げません。そんなわけで、全体の行き方としては、特別措置法のような制度を広げて行くべきか、あるいはむしろあれは狭く限定して、あるいはある程度でやめるべきものはやめてしまつて、そうして全体の税率を下げる方向に進むべきか、これが今後の問題としてわれわれは相当慎重に考慮すべき問題じやないか、かように考えております。
  28. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ただいま、実質上大法人だけを利するところの今の恩恵的な一つの緩和が、資本蓄積、それから貿易振興、こういうふうな大義名分のもとにされています。私は大義名分でなしに、実質的にもそういう御意図があるという善意を信ずるものでありますが、しかしながら、私はその善意を信ずるためには、大法人に対して要求すべきことがあると思う、それは、政府がかような今の資本蓄積とか、あるいは貿易振興のために免税まではかつてつておるところの当のお相手の大法人が、大体二十七年度中におきまして、たこ配的にも七百億円の配当をしておることは事実であります。これに百億上まわる、少くとも八百億円というものが交際費として使われておる。かような事実を御認定になりませんか。
  29. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 交際費の八百億円を確認するかしないかという点が要点のようですが、実は、われわれも交際費の資料をずいぶんいろいろ集めているのですが、会社の経理の状況によりまして、非常に交際費の数字というものは経理の仕方が違つております。ある会社におきましては、本社における交際費というものだけを交際費に上げまして、工場とか支店にあるものは、むしろ工場費、支店費といつたような、あるいは工場であれば間接費に入れまして、生産コストに入れてしまつているというのがございますので、どうもあまり的確な数字とも——見当で幾らというほんとうの推定以外になかなか交際費の数字というのはつかみにくいのじやないだろうか。同時に、交際費というものの範囲をどの範囲に限定するかということによつても、おのずから金額も異なるわけでございまして、従いまして、今交際費幾らと言われましても、実はちよつとお答えはしにくいと思つております。前回一応ああいう数字を出しましたとき取つた数字はあるのですが、いろいろ調べて行きますと、同じような会社であつて、同時にあまりその両社の交際費の使い方が違つていないと思われるような会社の間に、実は会社の決算書の面に現われている数字から見ますと、非常に大きな差があるわけでございまして、だんだん調べて参りますと、ある会社では、末端の機関における交際費まで交際費という勘定で整理している、一方の会社では、工場等における交際費は、全部コスト計算の中に入れてしまつていて、本社の方のいわば総がかり的な交際費だけが交際費の勘定に載つている、こういうような事実が幾つかわかりまして、それだけに、どうも交際費の問題については、もつとよく調べてみないと数字が固まらないのじやないか、こういうような結論が出ているわけでして、それだけに今としまして、ちよつと何とも申し上げかねるということでお許し願いたいと思います。
  30. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 大体千二百億円説もあるのです。しかし八百億円という数字がありましたので、あなたの方の係の方に一応聞きまして、大体その程度のことは推定される、かような一応お答えを得ておるのであります。このような、八百億というような驚例すべき交際費がいわゆる社用族長夜の宴のために浪費されておる。これはもう事実です。そこでそれを追究しなければならぬ。しかるにそういつた問題を追究の手をゆるめまして、そうして、今回の法人の交際費に対しての法的規制というものを出し惜しみしておるというような点が納得いかぬのです。ほかのいろいろな、砂糖消費税をかけて行くとか、あるいは源泉利子所得課税の五〇%を四〇%に引下げるとか、それから今の有価証券の譲渡所得税をやめまして、これを流通税的な性格にして、いわゆる累進課税対象であつたものを緩和する。そこには一連の大資本、お金持ちに利するところの政策が貫かれておる。今回の税制改革案の一連の法律案のうちには、そうしたことが看取される、私はさように考えざるを得ないのであります。  また本論に返りますけれども、私がかりにこの交際費八百億円というものを前提にして計算しますと、四二%の税をかけますと三百三十六億円、非常に一八きなものであります。従いまして、今度の税法によつて大法人が九百億円を納めることが予定されておりますが、実はこの三百三十数億円をプラスし、なおかつ先ほどの七十六億円をプラスしますと、大体千三百億を徴税さるべき大法人が、結局九百億円きりその税金を払わないのですから、逆算して行けば二九%の法人税を払つて、そしてこうしたものの恩恵のない中小法人は依然として四二%、これは文字通り、名実ともに四二%であります。ですから、私はそうした点から行きまして、中小法人はやはり区別して、大法人より今の税率を下げてしかるべきものだ、さように考えております。少くともこの大法人における交際費とか、そういうものが野放しほうだいにされておる限りにおいては、そういう理論が成り立つと思うのです。実際に今の数字的な点から二九%対四二%の差一三%、話半分に見ても五%や六%違うのは当然であります。そうしますと、こうしたいわゆる税方面における中小法人に対する不当な重課、他方では、今の株主金融的な、まがい銀行機関を簇生せしめるような今の政府の中小企業に対する金融政策の貧困と両々相まつて、私は中小法人が大体経営不振に陥つておるのだと思う。今まで中小法人の経営不振は、その中小法人の持つ非合理性、経営の拙劣さについてだけ原因があるように説明されて来ました。ですが、こうした点をとらえてみましても両方の面から、中小法人はとてもえらいハンデイキヤツプを負わされておる。普通なら、大人と子供が競争するなら、少くとも子供を前の方にやつておくのがハンデイキヤツプです。ところが、少くとも日本の法人税とか、所得税もそうでありますが、むしろハンデイキヤツプが逆についておつて、幼稚園の生徒が五十メートルうしろから出発して、大人が五十メートル先に走る。そうして百メートルをゴール・インするようなハンデイキヤツプがついておる。だから、中小法人に今の合理性がないというような説は、私は成り立たぬと思う。営々努力しておる中小法人、その人たちに、少くともそのスタートにおいて同一の条件において出発させるということが必要である。私どもはこうした点から見ますと、特に中小法人に恩恵を与えてくれというのでなしに、中小法人は権利として税率を引下げてもらう根拠があるのです。むしろ、これは恩恵をお願いしているのではなしに、権利であると思うのです。こういう点におきまして、近い将来税体系をつくる場合において、その点に最大の注意を払つてただきたい、かように思うのであります。
  31. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 中小法人を大法人以上に税金をとるというようなことはけしからぬ、そういうようなことがもしあつたら、それは私も、不当だというのは当然だと思います。ただ、今の平岡委員お話、よくわからないのであります。と申しますのは、交際費の八百億とおつしやいますが、これは確かに、現在のいわゆる社用族的な意味相当むだな経費が全然ないとは言えないと思いますが、しかしもし私の方の係の者が八百億という数字を申し上げたとすれば、実は私自身も係のつくつた数字は一応見ておりますが、これは先ほど言いましたように、非常に検討を要する数字だという判決を下しているわけであります。そこでその中には、たとえば会議費のようなものだとか、そういうようなものまで全部入つているわけであります。同時に、これはあえて大法人だけでございませんで、中小法人にも当然ある例でございますが、仕事をして行く上において、たとえば盆暮れのいろいろな贈答ですか、これも過分な贈答になると問題かありますが、ある程度の贈答が行われるのは現在の実情でございますから、八百億という数字全部がいらぬ金だというふうになる結論はちよつとおかしいのではないか。この八百億円の中には、中小法人の交際費も入つております。それと同時に、会社全体の交際費としまして、常識的にある程度許される交際費もあるはずですから、これが全部いらない、むだな経費だというふうな判決をお下しになるのは、私としてはちよつといただきかねがねからもう一つ、そのほかに配当の分として三百何十億ですか、そういう数字をお出しになりまして、この両方を合せて千何百億という数字がある、従つてその四割二分云々とおつしやいましたが、現在は御承知のように、配当は税金を課した残りでやつているわけでございまして、これをお加えになつて、もう一ペンそこに四二%の税率を適用することによつて、差引二九%の負担しか負つていないのだという結論をお出しなさることは、すでに法人税を課税してあるものに、もう一度法人税を課税しろという御意見のように伺えまして、二重課税というふうに考えられますので、私としてはちよつと納得できない。そういつた意味におきまして、今の御意見少しよくわかりませんが、しかしわれわれとしましては結論的に、中小法人は大法人に比べて大きな負担を与えてはいかぬ、これは当然のことでございまして、将来の問題におきまして、その点については十分検討してみたいと思つております。
  32. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今の配当金が非常に多いということは客観的事実なんです。七百億円、それに上まわるような交際費というものは異常なんです。中小法人がその率でやつたらつぶれる、だからそういうことはやれつこない、だからその今の税率を計算する上の多少のそういう点はあるにしても、むだに使われる莫大な交際費があるとお認めにならざるを得ないと思う。私はそれをしも——その交際費の必要な一つのものがあるというあなたの御説には賛成いたします。しかしそれを拡張的に解釈して、すべて今の不法な支出をカバーする理由にはならぬと思う。いわんやこうした大法人が対象になつて、そうして特別措置法のような恩恵的な減税措置が講ぜられておる。それは蓄積のためだ、日本経済建直しのための今の貿易振興、かような大きな観点からこの恩恵的な措置がなされておる、そういう点を考慮するならば、今の大法人がむだな金は一文も使えないはずだ、こういう点の道義的な問題であります。私は、そういう点を、少くとも主税局長がこれを是認的な方向において考えるということは、きわめて遺憾でございます。こういう点に対しまして、もう一度主税局長のお考えを承りたいと思う。
  33. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 私は大法人がむだ便いを全然していないとも思つておりません。同時に、それは少くとも道義的な考えでは非常に遺憾なことだと思つております。ただ八百億円の交際費という数字自体につきましては、先ほども申したことを繰返すことになりますが、これは中小法人の交際費もこの数字に入つているということ、それから同時に、この中には当然是認さるべき交際費が入つている。同時に中小法人の例を見ましても、私は中小法人においてむだ硬いはないと思つていますが、交際費の額は、中小法人においてこそ、所得とか何とかと見比べますと割合に多いようでございます。従いまして、前回われわれが考えておりましたときも、同じ率を使うのは無理で、むしろ中小法人には、もし認容すべき率をつくるとすれば、その率は甘くしなければならぬのじやないかと実は考えたわけでございまして、決して中小法人がむだをやつているとは思いませんが、しかし交際費という名前で出ている金は、割合に所得の額とか資本の額に比べれば大きい、また大きいのもやむを得ない結果じやないか、かように考えております。ただ要するに結論的に言いまして、先ほどのお話のように、大法人に相当むだがありやせぬか、同時に、それは片方で資本蓄積とかいろいろな面において、少くともわれわれの関する限りにおきましても、税法上の相当恩典的なものを得ておりながら、そういうことをしているのは非常に遺憾であり、大いに自粛を希望したいところであるというところは、私ども全然同意見でございます。従いまして、そのためにこそ、実は前回は、税法の上においてもある程度の措置を講じてもいいのじやないか、また講ずべきじやないかと考えた次第でございますが、本委員会でもいろいろな御批判かありましたり、それから一番大きな理由としましては、実行の面におきましてまだわれわれもう少し研究してみたい点が多々あるものでございますから、今回の案には提案しなかつたわけでございます。なお租税措置として大法人のための恩恵、これは結論的に、大法人に恩恵が多く行くことはあると思いますが、ねらいとしましては、どこまでも資本蓄積なり輸出の振興というところにあるわけでありまして、決して中小法人を無視した云々という気持はないわけでございます。なお大法人、中小法人等の負担の権衡問題につきましては、やはり残された大きな問題として、今後検討を続けて行くべきものだと思つております。
  34. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 結論的には、主税局長は、企業組合とか、そういうふうな中小法人に対しては非常に熱心に追究いたしますが、どうも大きい方は見のがしがちである。だからそういう点で、われわれに何か割切れないものを抱かせるようなことは避けてほしい。出すなら同時に出していただきたい。そういうふうな中小企業関係を、そうでたくとも弱いものを被告の席に乗つけるような、少くとも今の法文の第三条の二、四十六条の三、六十七条の三、こういうものは、やはりこの際均衡を保つ上から撤回してほしいと思うのです。それは主税局長に対する罰金です。その点につきまして虚心に撤回してほしいと思うのです。
  35. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 三条の二、四十六条の三、それから六十七条の第三項ですか、それぞれの条項につきましては、さらに御質問があればお答えしますが、私といたしましては、それぞれ相当の理由かあり、ぜひとも必要な規定であると考えまして御提案申し上げた次第でございますので、その御決定国会にお願いするほかありませんが、政府といたしましてこれを撤回するという気持はございません。なお初めにお話がございました大法人にだけ有利な措置をとつて、中小法人を非常にいじめているじやないか、われわれはそういう趣旨の法案をつくつているとは毛頭思つておりませんが、もしそういう御批判があるとしますれば、さらにわれわれとしても十分反省をして、検討はしてみたいと思います。  現在租税特別措置法に規定しておりまする規定は、それぞれ緊急性のある必要のもとにできているものだと思つておりまして、従つて結果においてどういうことになるかということは別としまして、まわりまわればやはり日本経済全体がそれによつて利益するというところに、直接の利益がよし大法人に行きましても、下請会社がそれによつてやはり恩恵を受けるという面もございまして、結局、それによつて日本経済全体の発展なり、あるいは再建が期せられるというところにねらいがあるものだというふうに思つておりますので、特に中小法人は無視して、大法人だけにフエヴアーを与えるのだというふうにはわれわれは考えておりません。
  36. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 日本経済のためにと、すべてのもののジヤステイフイケーシヨンをそこに求めて行く、そのマンネリズムをひとつ打破してほしい。そうでないと、たとえばわれわれの担税能力というものを基準にして、それによつて税をとつて、その税金の集積がこれたけあるから、財政支出でこれだけ使うというのでなしに、今のは、憲法の禁止するところの武力保持にもかかわらず、その税金の集積をそういう非生産的経済費に使つて行く。そういう政府の意図と今の租税体系をつくつて行く立場は、やはりこれは密接不可離な関係を持つておる。その意味で、主税局長だけを責めてもこれは何にもならぬと思う。ですけれども主税局長がやはり衆生済度の不退転の決意を示すならば、むしろ、日本の財政規模に合うようないろいろな方策を考えて行く必要がある。いつも与えられたものを権威として、それにすべてを当てはめようとすることだけに汲々とせずに、ひとつ局長ともあれば、そうした点に対して、むしろ政府自身の施政を批判するぐらいの強い立場をとつてほしい。あなた方に大衆は期待しておる。百年河清を待つように、しびれを切らすようなことは、もうこの辺で打切つてほしい。われわれは、今回の政府税制改革案を見ましても、主税局長とか、担当の官僚諸君がそうした点に思いをいたしまして、マンネリズムから脱却することをぜひとも要望してやまないものであります。言葉がはなはだエチケツトを欠いた点もあらうと思いますが、私の言わんとする趣旨を了とせられて、今後の税制改革の上にも、少しでも多くわれわれの主張が取入れられるように御協力願いたいと思います。これをもちまして私の質疑を終ります。
  37. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 いろいろおしかりやら御鞭撻をいただきまして、恐縮でございますが、われわれ税務当局といたしましては、やはり税制の一番基本的なところは負担の公平であり、担税能力のあるところに負担をしていただくという姿の税制でなければならぬということは、ぜひ考えて行くべきであり、強く持続して行くべき問題だと思つております。ただ当面しております問題といたしましては、片方に産業政策的な、あるいは貿易政策的ないろいろな要請がございますので、その面と今税制の持つております負担の公平性というものとをいかに調和して行くかというところに、実はわれわれの、あるいは政府としての大きな苦心があるわけでございまして、結局税の本来のあり方というものはどこまでも持つて行くべきじやないか、ただ、しかしそれを理論一本で、他の要請は全然頭に置かないという税のあり方というものも、やはり現実の姿としては、ちよつとありにくい税制じやないだろうか、こういうふうに考えております。といつて今度はまた逆に、そちらの方だけに重点を置いて、負担の公平という税の本来持つている性格を失つてしまうならば、これはもう税というものが国民怨嗟の的になる以外にないのでありますから、その意味におきまして、われわれもそうした心がけにおきまして、大筋をどこまでもしつかり握つて行きたいというふうな気持は十分持つております。ただ主税局長遺憾ながら微力でありまして、なかなか思うように行かぬ点があるのでございますが、その辺は、今後の御鞭撻と御支援をぜひお願いしたいと思います。
  38. 内藤友明

    内藤委員長代理 一時半まで休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後三時八分開議
  39. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に掲げました二十法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。浅香君。
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております二十法案中、国際復興開発銀行からの外資受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券利子に対する所得税免除に関する法律案日本専売公社法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案及び閉鎖機関令の一部を改正する法律案の五法案につきましては、大体質疑も尽されたと思われますので、この際右五葉につきましては、質疑を打切られんことを望みます。
  41. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの浅香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「提議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、ただいまの五法案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、これより順次討論採決に入ります。まず国際復興開発銀行からの外資受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券利子に対する所得税免除に関する法律案日本専売公社法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案の四法案一括議題といたし討論に入ります。
  43. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となつております四法案につき度しては、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  44. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの浅香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、右四法案につきましては、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  まず日本専売公社法の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案の三案につき、採決いたします。右三案をいずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  46. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて右三案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、国際復興開発銀行からの外資受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券利子に対する所得税免除に関する法律案について、採決いたします。本案を原案の通り可決するに御賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  47. 千葉三郎

    千葉委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  48. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案議題といたしまして、これより討論採決に入りたいと存じますが、本案に関しましては、苫米地委員より修立案が提出されておりますので、まず趣旨弁明を求めます。苫米地委員。     —————————————
  49. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 ただいま議題となりました閉鎖機関令の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提出の趣旨を弁明いたします。  修正案の案文につきましては、この際朗読を省略させていただきまして、ただちに修正理由の御説明に入ることといたします。  まず修正の第二点は、第十九条の二十六及び第十九条の二十七の二箇条の規定の追加を行いたいと思うのであります。すなわち第一に、閉鎖機関のほとんどすべては金融機関の調整勘定受益権を持つているのであります。また閉鎖機関の債務者のうちにも、この受益権を持つているものがありますが、この受益権につきましては、投機的売買による弊害を除く趣旨から、金融機関再建整備法の規定によつて、その譲渡が禁止されておりますがために、当該閉鎖機関の清算の結了が困難となつているのであります。従いまして、これら閉鎖機関の清算の促進をはかる必要からいたしまして、特定の場合におきましては、その受益権の譲渡を認める改正規定を追加することにいたしたのであります。  第二に、右の調整勘定受益権のほか、閉鎖機関が有する交易営団、横浜正金銀行等に対する債権、残余財産分配請求権等につきましても、同じく清算の促進をはかる必要からいたしまして、これらの財産権以外に、債務の弁済に充てるべき金銭等の資産がない場合に限りまして、これらの財産権のすべてを信託することによりまして、閉鎖機関は、その債務及び残余財産を分配すべき義務を免れるものといたしたのであります。  次に、修正の第二点は、第十九条の五第四項の修正をいたしたことであります。閉鎖機関が新会社を設立する場合におきまして、その計画案についての株主総会の議決は、政府原案におきましては、発行済み株式の総数の二分の一以上の株式を有する株主の賛成を要求しているのでありますが、外地にあつた閉鎖機関の株式の中には、外国人がある場合もあり、ことに引揚げ等の事情によつて居所不明の者もあり、このような要件を満たすことは著しく困難であると認められますので、この要件を緩和いたしまして、出席した株主の議決権の三分の二以上で、かつ総株主の議決権の十分の一以上の賛成をもつて足りることに改めたのであります。  以上が修正の趣旨でありますが、何とぞ満場の御賛成あらんことを希望いたします。
  50. 千葉三郎

    千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。苫米地君。
  51. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 閉鎖機関令は、元来個人について言えば、個人の追放と同じものであります。個人の追放が平和とともに解除されたのにかかわらず、閉鎖機関のみが残されているというのは、まことに遺憾なことでありますが、まだ清算途上におきまして、これを一気に廃止することができないのであります。これはなるべく早く閉鎖機関令というものを廃止し得るようにすることが適当であると私は考えているのであります。しかし、今度政府の提案されました法律を見ますと、社債の弁済及び残余財産の処分、新会社の設置、指定解除というようなことを眼目といたしておりまして、もしこの法案通りますれば、それによつて新会社を設立し、日本の再建のために十分貢献し得る人材も資産もあります上に、またこれらの機関の関係者で失業している者もありますので、これらの救済にもなることと思うので、ぜひこの法案を一時も早く通過させたいと念願している者であります。この政府提出法案でわ、この眼目を達成する上にまだ支障となる点がありますので、今回の修正を加えた次第でございます。  以上、この修正をもつて原案を通しますことに賛成をいたす次第であります。
  52. 千葉三郎

    千葉委員長 淺香忠雄君。
  53. 淺香忠雄

    ○淺香委員 私は、本案に対しまして賛成の意を表しますとともに、本案に附帯決議を付して議決されることを提議いたすものであります。
  54. 千葉三郎

    千葉委員長 これより採決に入ります。まず苫米地英俊提出にかかる修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  55. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて、本修正案は、可決せられました。  次に、本修正案の修正部分を除いた原案について採決をいたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  56. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。  次に、ただいま淺香委員より提出されました附帯決議を議題として、まず提出者より提案趣旨説明を聴取することといたします。
  57. 淺香忠雄

    ○淺香委員 まず附帯決議の案文を朗読いたします。    附帯決議案   本委員会は、事実上閉鎖機関を終止せしめるよう、ことに閉鎖機関の株主が会社設立案を具して申請したときで、当該閉鎖機関の実情に照らしその必要があると認められるものについては、政府においてただちに特殊清算人をその機関の旧関係者より選任し、新会社の設立を促進せしめる措置をとられるよう決議する。  以上であります。
  58. 千葉三郎

    千葉委員長 淺香委員より提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御通立を願います。     〔総員起立〕
  59. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。     —————————————
  60. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はこの際、実は大蔵大臣の御出席を願いまして、一応御参考に大蔵大臣の所信を率直に伺いたいと思うておつたのでありますが、参議院の方の予算委員会のためにどうしても出られない、かわつて、この私が伺わんとすることを、愛知政務次官から責任ある答弁をさせるから、こういうお言葉でありましたので、幸いに愛知政務次官の御出席がありますので、一応御参考に伺つておきたいと思うのであります。  ほかでもありませんが、この国会を開きまして以来、当大蔵委員会は、御承知の通り他の常任委員会の何倍と申しましても語弊なきがごとくに、毎日毎日かくのごとく蓄積いたした重要法案を今日まで審議いたして参つたのであります。その審議完了法案すでに四十数件、いまなお十数件残つておるわけでありまするが、審議始まつて以来、今日までのその過程をおもむろに考えてみますのに、大蔵当局の全般の所管事項に対して、いろいろ慎重審議をいたして参つたのでありまするが、どうもここ数年、なかんずく占領解除になつた後の独立国家の議会の運営といたしまして、非常に私たちはあきたらない感じを抱いており、現にこれは他の委員会にもありますが、立法府がともすれば行政府に干渉するような傾向が見える。そうかと思うと、同じ行政府でありましても、各省が一つの事柄で相争うて、争奪せんとするような傾向が見える、実にこれは困つたものだと思う。これはひとり大蔵委員会のみならず、通産委員会、厚生委員会、あるいはその他の委員会にも早くからその傾向が見えましたので、それをいかにして三権分立の本来の立場に置くか、こういうような意味合いを各常任委員会政府当局とすべての角度からお打合せした結果、最近御承知のごとく、当該委員会がいわゆる先進国べ当該委員を派遣させまして、実情をしかと調査をして、その三権分立を本然の姿に返し、ひいては立法府をして行政府に正しく監督と協力をせしめるような傾向が見えておる。そういう点にないて、その前例は非常に収護が多かつたと私は考えるのであります。そこで大蔵委員会は、かつて国会以来、占領下もそうでありますが、独立国家になりましても、一向その傾向が見えぬのでございますので、傾向が見えぬ上いうことは、勢い大蔵委員会が非常に熱心のあまりに、ともすれば逸脱をする傾向があり、また昨日の懇談会でもあ。たごとくに、大蔵省と地方財政委員会のああいつた問題もありますので、そこで私は、今後のために、せつかくの独立後の第一回の国会でございまして、この会期も余すところ十日あるいは一週間ぐらいで済むのでございますから、来議会までの間に幸いに二箇月余りありますので、この機会に、当大蔵委員会委員諸君は、他の委員会委員のごとくに、欧米各国に、一応この大蔵委員会のあり方、あるいは各行政府と立法府の関係、ことにこの大蔵委員会には関税、租税、あるいは金融だとか閉鎖機関というようなやつかいきわまる問題があるので、西ドイツだとか、イタリア、こういう方面をしかと見聞して来てもらいたいと、こう思うのですが、これに対して、大蔵大臣にかわつて御答弁に来られました愛知政務次官は、どうお考えになりますか、これを一応伺いたいと思います。
  61. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまお話がございましたごとく、私どもも、実は先般来行政権の問題で、国会、特に当委員会に非常に御迷惑をかけております点は、まことに申訳ないと思つておるのでありますが、さらにそのほかにも予算の提出権が内閣にある、議員の方からは、法律案の提案権がある、その両者の関係がまことに複雑でございまして、いろいろの問題が倉の前にございますことは、私から申し上げるまでもないことでございます。そういう点にもかんがみまして、ただいま御提案のようなことが国会の御発意で、国会の御意思によつて決定せられるということであれば、われわれ行政府の者といたしましても、まことにけつこうなことだと存じます。まだ十分大蔵大臣とも打合せてはおりませんが、とりあえずの私どもの考え方を御返事申し上げた次第であります。
  62. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ただいまの政府の御答弁は、満足すべきものがございます。この御答弁に関連しまして、私はここに動議を提出いたしたいのでございます。  本委員長は、本委員会の名におきまして、衆議院議長に対して、本問題実現のために、すみやかに諸準備を進めらるるよう要請されたし。追つて、日程、人員等につきましては、委員長並びに理事に一任すること。右動議を提出いたします。
  63. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの平岡君の動議のごとく決定するに賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  64. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。ただいまの動議のごとく決定いたしました。  本日はこの程度で散会いたします。     午後三時三十二分散会      ————◇—————