○今泉
政府委員 本
法案の一番のねらいは、今御指摘になりました通り、一人
当りの出資口数を現在より高めて、それに伴
つて発言権も若干従来よりか高める、で、時宜によ
つては六分の一を越えない範囲内で、定款等においてきめることかできる、こういうことに相な
つておりまするが、これは塩業の特殊性に基きまして、この前からも御
説明申し上げておる通り、将来、今までの平がま式の原始的な製塩
方法から、大規模な煎熬施設、真空あるいは加圧式とい
つた大規模な煎熬設備に改める必要がある。それがためには非常な資力がいるわけであります。こうい
つた資力がいるという点につきまして、
相当大企業的な性格を帯びて来る。それには、今のような組合員の出資口数の制限なり、あるいはそうい
つた熱意を持
つた、
相当資力を持
つた人の発言権をいま少し高めることによ
つて、そうい
つた自己資金をこれに誘導する必要があるんじやないかとい
つたことで、この改正をいたすことに
なつたわけであります。それによ
つて、何か大資力者が横暴になりはしないかという、今、
井上委員からの御懸念ではないかと思うのですが、それにつきましては、大企業であれば——むしろ煎熬設備をやる企業というのは、一面株式
会社的な性格を持
つて来るわけでございますが、しかし片方には、やはり塩業には採鹹という原始的な企業が残
つて参ります。
従つて採鹹と煎熬と二つを結び合せたところに、大企業になりつつありますけれども、株式
会社とい
つた式まではなり得ない点がある。もしこれを株式
会社にするならば、
一つの出資口数について
一つの発言権があるということにまでなるわけでございますが、そこまで徹底することは、この塩業組合としては適当でない。しかし単なる中小組合とは違
つた性格がある。その点で、この一人の発言権を六分の一という制限にいたしましたのは、二割程度までは一人の発言権は認めるけれども、それ以上は認めないというので、六分の一という制約を置いておるわけであります。それからさらに、そうい
つた大口出資者の横暴とい
つたようなものをもし制約する必要ができた場合の
方法といたしましては、第四十四条に役員のリコール制というものも規定してございます。さらに同じ七十一条には、組合員の方から検査を請求することができる検査請求権も規定しておる。さらに七十四条におきましては、公社においては、
監督命令を発動できるという規定もございます。それからもう
一つ、中小企業協同組合にございまして、この組合の制度としてとりましたのは、総代会の制度を削除したという点であります。この点は、中小企業協同組合におきましては、
相当重要な事項を総代会にまかして、総代会で議決できるという規定がございますが、この塩業組合については、そういう総代会で重要事項を議決するという
方法は、今言
つた民主的な運営に反するというので、組合員の員数も
割合に中小企業協同組合に比べて少いわけでございますからTそうい
つた問題については、この総代会という制度はやめて、すべてそうい
つた重要な事項については総会にはかるというために、この問題も消してあるわけであります。
従つて、多少この出資品数を誘引するために、大口出資者の議決権なり選挙権の限度は高めましたが、それをチェックする
方法として、今みたいな
方法も
考えているわけでございまして、決してこれがために大口出資者が横暴にな
つて、何か少数者の独占になるということは万ないと確信いたしておる次第でございます。