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1953-07-22 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君    理事 井上 良二君 理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大上  司君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    三和 精一君       福田 繁芳君    木原津與志君       久保田鶴松君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    山村新治郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    岩動 道行君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         通商産業事務官         (軽工業局アル         コール第二課         長)      渡辺 五六君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 七月二十二日  委員飯塚定輔君辞任につき、その補欠として三  和精一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十一日  揮発油税軽減に関する請願福田赳夫紹介)  (第四八〇号)  同(武藤運十郎紹介)(第四八〇九号)  同(武田信之助紹介)(第四八一〇号)  同(田中龍夫紹介)(第四八一一号)  石油関税減免措置延期に関する請願福田赳  夫君紹介)(第四八一二号)  同(武藤運十郎紹介)(第四八一三号)  同(武田信之助紹介)(第四八一四号)  同(田中龍夫紹介)(第四八一五号)  彦根刺しゆうに対する物品税撤廃請願(今井  耕君紹介)(第四八一七号)  農業協同組合に対する法人税免除に関する請願福田赳夫紹介)(第四八一八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  所得税法の一部を改正する法律案反対陳情書  (第一〇八四  号)  給与所得に対する勤労控除引上げ等に関する陳  情書(第一〇八五  号)  寒冷地手当に対する課税の免除並びに特別控除  に関する陳情書(  第一〇八六号)  遺族国庫債券換金わく拡大に関する陳情書  (第一〇九四号)  濁酒密造防止対策に関する陳情書  (第一一二四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  有価証券取引税法案内閣提出第二七号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第三三  号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  特別減税国債法案内閣提出第九八号)  資産再評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一〇号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四三号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証  に関する法律案内閣提出第九五号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  産業投資特別会計法案内閣提出第一一三号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一五号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号)  日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五九号)  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定の実施に伴う国有財産  の管理に関する法律の一部を改正する法律案(  岡良一君外二十六名提出衆法第二〇号)  積雪寒冷単作地帯における麦類又は菜種の収穫  に因る農業所得に対する所得税臨時特例に関  する法律案竹谷源太郎君外二十四名提出、衆  法第二一号)  国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四五号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)(予)     ―――――――――――――
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  本日の日程に掲げました有価証券取引税法案外二十五法案一括議題として、質疑を続行いたします。渡辺主税局長から、昨日の答弁につきまして発言を求められております。これを許します。渡辺主税局長
  3. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 昨日井上委員の御質問に対しまして、私の御答弁申し上げました中に間違いがござましたので、訂正させていただきたいと思います。産業投資特別会計から開銀に融資する利率が幾らかという御質問に対しまして、七分五厘ないし一割だとお答え申し上げましたが、これは間違いでございまして、開銀事業会社に貸し付ける金利が七分五厘ないし一割、産業投資特別会計から開銀の方へ融資する場合の利率は、六分五厘ということを予定しております。六分五厘であるということに、御訂正願いたいと思います。
  4. 内藤友明

  5. 井上良二

    井上委員 産業投資特別会計に関する質疑を続行したいと考えますけれども、まだ政府側がそろいませんで、ただいま通産省アルコール課長が見えておるそうですから、先般の食糧管理特別会計法案の審議に関連いたしまして、食糧庁が持つております砕米または黄変米等払下げに関連して、この払下げ米によつて政府直轄アルコール工場にこれを納入するのに、同一政府機関の中において、民間業者がこれに介在をして、食糧庁の方では、払下げ代金が納入されない限りは品物は出さぬ、一方通産省の方では、現物が納入されない限りは代金の支払いができない、こういうしやくし定規にこだわつて、その間に中間業者介在をして、トン当り六千円からのマージンを、つまり手数料をとつておるということが明らかになつて参りました。そこで一体通産省アルコール原料たる黄変米その他政府払下げを受けておるものについて、何ゆえ政府倉庫まで引取りに行けぬのかどういうわけで民間業者を使わなければならぬのか、この問題であります。トン当りゆえ一体六千円もの金を中間業者に払わなければならぬのか、このことについて、ひとつ御説明を願いたい。
  6. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 昨年食糧特別会計から黄変米を売却した際、直接購入せずに中間業者を通した理由でございますが、そのおもな理由としましては、売却する食糧事務所は四箇所でありまして、さらに売却場所は三十数箇所にまたがつてつたわけであります。これに対して一々アルコール特別会計から検収官吏を派遣して検収し、さらにそれを工場まで運搬するということになりますと、人員の点から非常に困難でありますし、さらに食糧事務所払下げをする場合には、荷姿のままで売却することになつておりますので、荷姿実量との欠減の問題、また輸送途中の欠減の問題という、欠減による将来の紛糾ということも考えられる。主としてそういう理由から、中間業者を通した方がより得策的ではないかという判断のもとに、日本糧穀を通じて契約したわけであります。さらに日本糧穀との契約代金単価でございますが、食管から日本糧穀が受渡しを受ける原料代として二万八千六百三十四円、これに包装として麻袋が千九百七十一円、そのほかに中間経費として四千九百九十九円、そういうものを込めたわけでございます。二の中間経費をさらに細分しますと、検収料庫出料保管料集荷料貨物積込料、発着駅取扱料鉄道運賃、貨物取りおろし料、配達料手直し料、立会い看貫料運送保険料欠減金利手数料、こういうものを含んでおりまして、その大部分が小運送料金でありまして、これは国鉄で公定しておる料金表によつて決定されたもので、純然たる日本糧穀手数料としては、一トン当り六百九十八円、約二%弱の手数料を認めたのでありまして、特に不当に中間業者を益したというようなことは考えておりません。
  7. 井上良二

    井上委員 事情を承つてみますと、一応中間業者使つた方が、原料を受取る上において都合がよい、こういう御説明のようでございますが、問題は、政府が持つておりますものを政府機関引取ることが、どういうわけでぐあいが悪いかというところに問題があるわけです。あなたの方で運送業者なら運送業者を頼んで受取れぬことはないわけであります。それに、そういうトンネル会社に一手に請負わすというところに問題があるわけであります。あなたの方に出入りしておる輸送業者があるわけです。なぜそれを利用しなかつたか。それを利用するのが非常に困難であるという理由は、どうもわれわれには理解できない点でございます。それからまた、同じ政府機関でありますから、食糧庁荷姿のまま払下げをするということには、非常な無理がある。現実欠量その他が生じておることが明らかにされなければなりませんのに、明らかにせずに、倉庫に入つた荷姿のままで払下げを受けるというところにも無理がある。庫出しによつて、初めてそこに払下げ量目を明確にきめるということが大切であるにかかわらず、それがされていない。そういうところにこの問題がいろいろ疑惑を生じ、疑いをはさまれる原因になつて来るわけであります。そこであなのた方で、かりに何十箇所に分散されて保管をされておりましようと、あなたの方の直接指揮によつてそれを受取り、そして欠量については、少くとも庫出しの現在額によるということを明確にすれば、不正は起つて来ないわけであります。どういうわけでそういうことはできませんか。
  8. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 私の方としまして、原料の運搬に対して常時契約を結んでおるという会社は特にございませんので、結局中間業者を入れるとすれば、やはり検収から運送、ずつと一貫した作業を受持つてさせた方が、手数料等も安いという判断のもとに、中間業者を通じたわけであります。  さらに直接アルコール特別会計の指揮のもとに検収その他ができないかという点でございますが、黄変米売却場所工場とはかなり離れておりますし、また売却場所は、先ほど申したように、三十数箇所にばらばらになつておりますので、それに一々アルコール特別会計から検収官吏を派遣するというのも、旅費その他の点で厖大な経費がかさみまして、人員からいつても非常に困難である。それから直接運送会社を通じてやつた場合でも、運送途中の欠減がありまして、その欠減責任所在はつきりしない。さらに将来会計検査院あたりの批難のまとになるというような点を考慮しまして、中間中間業者を入れた方が、その責任の分担がはつきりするという考慮のもとにおいて、中間業者契約をしたわけでございます。
  9. 井上良二

    井上委員 どうもはつきりいたしません。この日本糧穀というものは運送会社ではございません。これはまつた一つ中継ぎ業者でありまして、中継ぎをすることによつて営利を収めておる営利会社であります。その営利会社が、政府が持つておるものを政府機関払下げをいたします場合に、これが介在するというところに、いろいろな疑惑と、つまらない想像をたくましゆうされる原因をつくつておる。これを私は聞いておるわけであります。だからあなたの方で通運なら通運に頼んで、庫出しなら庫出しはつきりここで量目を押え、今度あなたの方のアルコール工場倉庫に入る場合に、一体幾ら入荷されたかという量目はつきり押えることができる。この際の欠量は、日本通運責任を持つておる。これは食糧庁が買入れておる食糧輸送の場合でも、そういうことになつておる。だからこういう中間業者を使わなければ米が引取れないという理由は成り立たないのであります。これが他のものならばともかく、政府から払い下げるものであり、またこれがなければ、あなた方の方でもアルコールの醸造の上に影響のある問題であります。だからあなた方は、何よりもこの原料入手については、必要以上の努力をしなければならぬ立場に置かれておる。その原料入手についての対策というものは、あなた方が積極的になればやり得る条件にあるのです。こういうことをやることによつて、かえつて検査院から文句を言われるとお考えですか。そういう中間業者を使わなければ会計検査院文句を言いますか。私は逆であろうと思う。あなたの方で原料引取つたり、または今度できた製品を売りましたりします場合は、それぞれあなた方直接で必要な方法を講じてやられておるのです。だから食糧庁の払い下げます黄変米は、今後もあることでしようから、この際そういう疑惑を生じ、いろいろ疑いの眠をもつて見られるような営利会社介在さすことはやめたらどうか。これを介在させなければそういう引取りはできないという理由が明確にされない。どうですか、これは介在させなければ引取るわけには行かぬのですか。それとも通運なら通運に頼んでやれぬ仕事ですか。やれ得るのですか。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺説明員 昨年の黄変米を購入した当時は、非常にその点が問題でもあつたし、そのときの判断では、日本糧穀を通じてやることが最も適当であると判断したわけであります。今の御指摘のような点も、今後もし食管から直接に購入する際には、十分考慮されていいと思つております。
  11. 井上良二

    井上委員 それではつきりわかりました。
  12. 大平正芳

    大平委員 主税局長国税庁当局がお見えになつておるようですから、徴税の問題に関連しまして、徴税のやり方について二、三伺つてみたいと思います。  最近の徴税状況を見ておりますと、徴税当局の方でもよほど民主的に御苦心はされております。特に今の長官は、御就任以来、非常に熱心に民主的な徴税の方針を相当末端まで徹底されておるようであります。その御苦労に対しましては、十分敬意を表します。ただ、何と申しましても終戦後非常にアブノーマルな社会情勢にありましたのと、徴税側要員の訓練が十分でなかつたし、年齢も低かつたし、彼らが立ち向う徴税の現況に対しては、十分にこれをこなすだけの行政能力が乏しかつたということもわかるのですが、何といたしましても官民の間の離間というか、冷却というか、徴税の問題をめぐつてそういう声がちまたにあふれていることは事実だろうと思います。私の伺いたいのは、終戦後異常な事態に処して、納税道義も弛緩している、経済の流通もこんとんとしているときに、調査査察部というものをつくられまして、徴税の徹底をやられたことは、その段階においては非常に必要であつたことだろうと思います。また相当の実績もあげられた。ところが最近の情勢では、一体調査査察部という組織を今なお持つておる必要があるのかどうかということがまず疑問になるわけ葦あります。と申しますのは、国税庁なり、特に国税局ですが、ずいぶん多数の調査要員をかかえて、そしてこの人たちが機動的に管轄をかけめぐつて調査をされておりまして、能率も上りましようが、末端税務署におきましては、いわばいいところをつまみ食いされて、——税務署長といたしましては、その管内状況をよく見まして、将来の税源の保持、それから官民の間の調和という点を十分頭に置いてやつて行かなければならぬ立場におるわけですが、調査査察部の方から直接その管内調査されて、そして困難な徴税仕事だけは税務署に与えるというような状況になつておりますことは、遺憾なことでございます。今日の情勢から申しますと、なるべく早く昔のような態勢に返つて税務署長責任を持たせて、また権力も持たせて、一定限度の重い仕事につきましては、国税局国税庁におはかりするようにして処理するというぐあいに早く返つていただきたいと思うのでございますが、大蔵省としてはどういうお考えを持つておられますか。
  13. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今の大平委員お話は、われわれとしましても十分検討してみたいと思つておりますし、事実検討中の問題であります。調査査察部のあり方につきまして、現在個人についての所得の特に大きな人、法人については資本金の大きなものを調査査察部調査課所管にしておりますが、現在の区切り方が割合にまだ低過ぎやせぬかという意味は、同じ会社でありましても、たとえば八幡製鉄とか、どの会社をあげればいいか知りませんが、東京本社こそあるが、工場は全国に散らばつている。こういうものがたまたま本社日本橋税務署管内にあるがゆえに、日本橋税務署所管にして、そこに全部の責任を持たせるということは、なかなか調査の面から言いましてぐあいが悪い面があるのではないかと思います。これはやはり国税局調査課所管のような形にしまして、そして各工場にもある程度調査官が出かけて行つて相当調査をする、こういう姿の方が望ましいのじやないかと思つておりますが、しかし現在調査課所管にしております分につきましては、それほど大きくない、対象が散らばつていない分まで調査課所管になつておるといつたようなこともありまして、今初めに申しましたような大きな会社になりますと、部分におきましても、部外の方にお話しましても、それはやむを得ないだろうといいますが、それはその方がいいと御納得いただけるのですが、現在の調査課現実所管の中にはわれわれが見ましても、どうであろうか、あるいは個人の分につきましては、そういうことが言えるわけでありまして、管内会社などにおきましても、個人の場合におきましては、全部税務署所管にした方がいいのじやないか、あるいは法人の場合におきましても、たとえば資本金一億円以上とか、そうした大きな会社だけを調査課所管にして、あとは税務署所管にする。従つて現在相当優秀なスタッフが調査課にいますので、これをむしろ税務署の方へおろした方がいいのじやないかというような議論があつたわけでありましていろいろ検討しておりますので、今大平委員お話になりましたような点につきましては、さらに十分考究した上で結論を出したい、かように考えております。
  14. 大平正芳

    大平委員 普通よく起るケースですが、こういう問題が起つておるという場合に、国税庁で調べられましたことと、あるいは国税局で調べられましたことを混同いたしまして、国税局とか国税庁というような区別が民間にもよくわかつた人はあるのですけれども、実際はよく頭に入つていないのです。こまかい会社個人にまで今度国税庁が調べておりますと言うので、国税庁というのはそんなことをしないだろうとよく聞いて調べてみると、国税局つた。税金というのは元来税務署が専門です。国税局とか国税庁というようなところは、監督をやつておられるのがほんとうだと思います。今局長が言われましたように、仕事の範囲が全国的になつておるというような場合に、一税務署がこれを押えて調べられるものではない、これはよくわかりますが、しかし一つのものの調査というのは、国税局調査部なら調査部の担当の一課が調べるというよりも、むしろ税務署に一ぺん調べさせる。そして足りないところを国税局の方でやる。内部でも内部牽制制度があつた方が物事が公正である。一つのところで絶大な権力を持つと、実際あなたがおられた東京国税局を見ましても、あれだけの調査課要員を四、五人の課長がめんどうを見ていますが、課長として責任を持つて仕事ができるのかどうか、あれほどの大法人をたくさんかかえて、しかも百人、百五十人の部下をかかえて、一体仕事が十分徹底してできるのか、また部下に対する監督が行き届き得るのかどうか、そういつた点非常に心配になりますが、でき得ることならば、なるべく早く税務署の方に仕事を返してやる、権限を返してやるというようなことを早急に取運んでいただきたい。官民の間にいろいろ疎隔がありますが、そういつた点もできるだけ早く一掃されるように、この点は特に真剣に、かつ早急に大蔵省におきましても考究されまして、ぜひ御実現をいただくように希望いたしまして、私の質問を終ります。     〔内藤委員長代理退席委員長着席
  15. 有田二郎

    有田(二)委員 関連して。主税局長村山部長と両方にお聞きしたいのですが、今大平委員からお話がありました問題でありますが、私の個人的な考え方としては、今法人が五百万円ということになつておるのを、大体一千万円程度までは税務署に返すべきものだ、もうそういう段階が来ておるのじやないか、但し税務署管内に、資本金三十万、五十万であつても、実は何千万円、あるいは何億というような内容を持つ会社なり、あるいは個人会社があるわけですけれども、こういつたものは、調査課所管に現状でもまわしつつありますが、さらに徹底してまわす。それから個人は全部税務署にまかすべきだ。但し全国的にまたがつた個人の人は、一部調査課に残しておくことはいたし方ないと思いますが、大体の個人は、調査課の域を脱して各税務署にまかしていいんじやないかと思う。全国的にまたがつておるような、いわゆる個人の大きなものについては、私は調査課にまわされることには異存はないのでありますが、とにかくすみやかにこの方法を決定されるべきである。すなわち五百万円の法人を一千万円にすること、但し管内における資本金は小さくとも内容の大きなものは、全部調査課所管にまわす。個人は全部各税務署に返すというような方向に持つて行くことが非常にいいんじやないか。さらにもう一つは、直税部査察課の問題なのですが、これは大阪一つの例をあげますと、直税部法人税課が非常な努力をして税の把握をする。その場合に、直税部法人税課、さらに所得税課意向を聞かないで、査察官が出て来て、金額だけを見て査察をやるという事態大阪にあるのであります。従つて調査査察部部長が一人であるから、割合調査課査察課の連絡は、最近は以前と違つて非常によくなつて来ておる、こういうことを痛感しておるのですが、直税部調査査察部の、特に査察課との間の連繋が今日なおうまく行つていない。従つて第一線で働く直税部法人税課なり、あるいは所得税課の課員がくさらざるを得ない。一生懸命にやつて相当税把握をして来て、相当金額を出して来た。ところが五百万円以上のものは査察課に書類を出す。そうすると査察課は、これは必ず直税部意向を聞いて、査察部対象とすべきであるかないかということを決定すべきであると思う。それを何ら直税部の方々の意向を徴さないで、かつてにやる。ところが、調査査察部の場合は、査察課調査課部長が一人であるために、うまく行つておることを私は現実見て痛感しておるのであります。こういうような査察の問題については、少くとも直税部長調査査察部長、またそれらの課長が集まつて査察対象にすべきものであるかどうかということを決定して、さらに本庁の調査査察部意向を聞くというのならいいのでありますが、現実の問題としては、調査査察部でかつてにやつて、直税部の人はあずかり知らぬというような事態大阪にあつたのであります。この点につきましても、私は十分検討していただきたい。  第三点としては、外国人の課税の問題であります。すでに日本国が独立をしまして、一年有余をけみしておるのであります。東京国税局の例をとりましても、調査第五課に外国人係ができて、ぼちぼち動きかけてはおりますが、われわれが第三者として見ました場合に、はなはだ不活発である。従いまして、独立国家になりました当初は別として、一年有余たちました現段階においては、外国人の課税が日本人の課税と同等に行われなければならないと考えておるのであります。  以上三点について、まず村山部長から御答弁を承つて、足りないところを主税局長から答弁を承りたい。
  16. 村山達雄

    村山説明員 お答えいたします。  第一点の調査課税務署所管区分の問題でございますが、部内におきましても、ただいま有田委員がおつしやつたと同じような説を唱えておるのであります。目下国税庁もその限度の引上げの問題特に個人について全部税務署に持たすべきではないかいうようなことを検討中でございます。方向としては、まことに有田委員の言う方向に参つております。  それから直税部査察の関係でありますが、われわれは、現在税務署の方に、あるいは直税の方に連絡員がございまして、これは査察対象にすべきであるというものについては、全部引継いでおります。ただ直税部が課税を決定いたしましたそのあとで、今度逆に査察がやるかやらぬかという問題については、おつしやるように、連絡のないような実情であります。ただ査察自体をどういうふうに発動するかということについては、この二、三年はかなり慎重でございまして、いろいろ内偵を進めまして、これはやれば必ず査察に値するものでなければ査察を行わないことになつております。内偵をしまして、心証を得た場合に限つて初めて行う。それからおつしやるような逆の場合の直税部との連絡についても、十分考慮いたしたいと考えております。  それから外国人課税の問題でございますが、一ころよりは、終戦直後よりは大分よくなつて来てはいると思つておりますが、あるいはおつしやるような点がないとも限りませんので、今後慎重に研究の上善処いたしたい、かように考えております。
  17. 千葉三郎

    ○千葉委員長 苫米地君。
  18. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 昨日に引続きまして、閉鎖機関令の一部改正の法律案について若干の質問をいたしたいと思います。今日終りたいと思いますので、どうか簡単に要領を得た御返事をいただきたいと思います。  第一に、閉鎖機関の引当て財産管理に関する政令第三条の二に「管理人は大蔵大臣または大蔵大臣が選任したものをもつて充てる」というように規定してありますが、これは第二会社から管理人に選任することが、実質上適当であるかと思いますが、いかがでございますか。
  19. 岩動道行

    岩動説明員 引当て財産管理については、これは善良なる管理者の注意をもつてやるということになつておりますので、その限度においては、どういう方が選任されても法規上はさしつかえないわけでございます。そこに、現実に引当て財産の運用について特に利害関係があるような場合には、十分な考慮を払つて、場合によつては引当て財産の出て来た旧閉鎖機関の関係の方を選任するということも、十分考慮されていると思います。
  20. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 本法案の十九条の十四によれば、「閉鎖機関の権利義務は、新会社に移転し、」となつておりまして、閉鎖機関の所有に属する引当て財産は、当然新会社に移転するものと解されますが、この点はいかがでしよう。
  21. 岩動道行

    岩動説明員 引当て財産は、新会社には引継がれない建前になつております。
  22. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 閉鎖機関に指定された旧機関は、その株主をもつて構成する第二会社と、株主の関与することのできない引当て財産とこの二つにわかれることになるのでありますが、これら株主の関与することのできない引当て財産というものがありますので、株主と引当て財産との法律上の関係はどういうことになるのでありましようか。
  23. 岩動道行

    岩動説明員 引当て財産は、一応在外債務と在外資産との差額について、これを留保する建前のものであります。従つて、将来在外債務と在外資産との処理が完了いたしました場合に、もしそこに引当て財産上残るものが出て参りますれば、これは当然閉鎖機関に引渡さるべき財産でございますので、この場合には旧株主がまたそれについての発言権を持つということになると思います。
  24. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 本法の第二十四条の四によりますと、法律をもつて定める処理方法というのがありますが、その中に株主と引当て財産との関係も含んでおるのかどうか、もし含んでおるとするならば、どういうことをこの法律に定めようとするものであるか、その点を伺いたい。
  25. 岩動道行

    岩動説明員 第二十四条の四の「別に法律でこれを定める。」場合の定め方についての御質問だと思いますが、留保財産は、将来平和条約の特別とりきめの規定によつて処理される問題もあるので、今この処分を定める法律内容を具体的に申し述べるほどはつきりしておりません。このきめ方につきまして、もし、先ほど申しましたように、ある程度の財産が残るということになりますれば、これは当然従来の権利者である閉鎖機関に渡さるべきものであります。その辺のところは、公平な処分をするような内容法律を定めて行きたい考えであります。
  26. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 留保した財産は、信託することに政府考えておるようでありますが、信託するつもりであるか、またどこに信託するかということについて伺つておきたいと思います。
  27. 岩動道行

    岩動説明員 引当て財産管理方法につきましては、管理人から方法の案をつくりまして、大蔵大臣の承認を受けることになつております。従つて、その場合に管理人がどのような管理方法考えているかということによつてきまつて来るわけであります。ただいまお話になりました信託による方法一つ方法とは考えておるのでありますが、必ずしもそういう方法に限つたものとしては考えておらないわけでございます。
  28. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 本法案によれば、政令で一定の金額を定めたときはとありますので、特定の場合には、法令で一定の金額を定めないでもさしつかえないと解されますが、そう解釈して間違いありませんか。
  29. 岩動道行

    岩動説明員 この政令で定める一定金額と申しますのは、在外債務と在外資産との差額を留保しても、なお将来の支払い等にさしつかえる危険性のある場合にはこれをきめる必要があると思います。これは個々の閉鎖機関状況によつて異なりますが、今ただちにこれの一般的な規定を置くことも困難な事情でもありますので、その必要が生じた場合には、その政令を定めるということであります。
  30. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 金融機関再建整備法第三十七条に、調整勘定の利益金が制限されておりますが、これを緩和する意思があるかないかということについて伺いたい。
  31. 岩動道行

    岩動説明員 ただいま御指摘の閉鎖機関の持つております調整勘定の受益権は、現在地方銀行におきましては、相当の分配を行われつつありますので、清算の結了には大して支障はないのでございますが、都市銀行につきましては、まだ配分が決定しておりません。従つて清算の結了をいたす上において、今日まだその点で清算が進まないというのもでございますので、私どもの方といたしましては、できるだけその都市銀行の第二封鎖の分配を早くするように、いろいろ大蔵当局内としても折衝し、その努力をいたしておりますが、今日のところ、いつ分配ができるかという見通しにつきましては、ちよつと申し上げかねる段階であります。
  32. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 次に、本法案の第十九条の五第四項で、株主総会の決議につき規定してありますが、それは実行不可能と考えられます。これが株主の決議を得るに可能なぐあいに、何か考えて修正していただかないと困ると思います。これは委員会で修正しなければ通せないと思いますが、いかがでございますか。
  33. 岩動道行

    岩動説明員 この法律をつくりました当時は、この二分の一以上の議決権をもつてやることも可能と考えておりましたが、その後特定の機関等についての株主の状況を調べてみますと、多少その実行に困難性があるかもしれないということもございますが、何とかできればこの案で進んでみたい、かように考えております。
  34. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 以上で質問を打切りまして、修正の動議を出したいと思いますがよろしゆうございますか。
  35. 千葉三郎

    ○千葉委員長 どうぞ……。
  36. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 閉鎖機関令の一部を改正する法律案について修正案を出したいと思います。   閉鎖機関令の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十九条の五第四項を次のように改める。   前条第二項の株主総会の決議は、当該総会に出席した株主の議決権の三分の二以上で、且つ、発行済株式の総数の十分の一以上に当る株式を有する株主の議決権をもつてしなければならない。   第十九条の二十の次に次のように加える。   第二十条の前に次の二条を加える。  第十九条の二十六 閉鎖機関又は閉鎖機関に対して債務を有する者で命令で定めるものは、金融機関再建整備法(昭和二十一年法律第三十九号)第三十七条の九の規定にかかわらず、命令の定めるところにより、同法第三十七条の二の規定により金融機関から調整勘定の利益金の分配を受ける権利(以下調整勘定受益権という。)を譲渡することができる。  第十九条の二十七 閉鎖機関が、調整勘定受益権及び大蔵大臣の指定する債権並びに信託報酬に充てるべきその他の資産以外の資産を有しない場合において、命令の定めるところにより、その有する調整勘定受益権及び当該大蔵大臣の指定する債権のすべてを信託したときは、当該機関は、その債権者に対する債務及び残余財産を分配すべき義務を免れるものとする。  以上であります。
  37. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいまの修正案は、午後におきまして、閉鎖機関令の一部を改正する法律案の採決をいたしますときに、同時に採決いたすことにいたしますから、さよう御了承を願います。
  38. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は、この際この中途半端な時間を借用しまして、過日来問題となつております塩業組合法に対しての最後の結論を出してみたいと思うのです。きようは幸いに政務次官と今泉監理官がお越しでございますから、御両君から率直に御答弁を願いまして、その御答弁いかんによりますれば、本日中にこれを決したい、こう思うのです。  先般来、数回にわたつて塩業組合洪に対していろいろと同僚議員たちとともに質疑いたしました結果、大蔵省並びに専売公社は、この国内塩需給対策に対して非常に積極的で、七十万トンの目標達成にあらゆる努力を払つておられるということを承つて、本員といたしましても非常に心強く実は存じておるのであります。そこで率直に結論から聞きたいのでありますが、かねての閣議決定であります七十万トンの目標達成を、大体今後何年計画という目標でおられるかということを、もう一度確認いたしておきたいと思うのであります。言いかえれば、昭和何年ごろまでに七十万トンを達成いたすというところの一つの計画があるかといつたようなことを指示してもらえば、非常にけつこうと思います。
  39. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 七十万トン増産の計画は、これから今後五箇年計画ということで考えておりますから、その計画通り参りますれば、昭和三十二、三年ごろに成果があがることを目標として考えておるわけでございます。
  40. 福田繁芳

    福田(繁)委員 その点で、私も非常に意を強くするのでありまするが、御案内の通りに三、四年前の閣議決定のとき、その当時の全国の生産高が三十万トンであつたが、そのとき五箇年計画というものをつくつておやりになられて、今日依然とし十万トンしか増産ができていない。言いかえれば、四十四、五万トンが今日の現状である。そうすると、残る二十五万トンをこれから五箇年間に増産される計画を立てられるという御意思は、私たち非常に敬意を表します。さすれば、そこで伺いたいのでありますが、五箇年なり七箇年なりに残り二十五万トンの生産を確保するのに対する設備といいまするか、あるいは拡充計画といいまするか、七十万トンを確保するのにどの程度これ以上の資金がいるというお目安があるか伺いたい。
  41. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 概算いたしまして、百億円以上所要の金がかかると思います。
  42. 福田繁芳

    福田(繁)委員 百億ほどの所要資金を御計画されて、五箇年間にそれを逹成されるということになるのでありまするが、そこでひ、ろ伺いたい。は、先般も本員が御質問いたしましたように、今日塩の収納価格がああいう状態でありますので、国内の各製塩業者は、ある部門においては大きな赤字で経営難に陥つておる。卑近な一例をとつて言うならば、少くとも昨年より本年の方が、全国の国内製塩業者の借入金もすでに倍加しておるような経済状態であるから、復旧設備とか拡充計画に対し、自己資金というのは全然ないのであつて業者がそういう状態になつておるときに、大蔵省はその百億をもつて、どういうような構想のもとに業者の設備が十分にできるようなことを考えておられるかという点を伺いたいと思います。
  43. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 詳細は今泉監理官からお答えすることにいたしますが、私どもの考え方は、ただいま福田さんの御指摘の通り、一番の問題は、いかにしてその必要な資金を調達するかということであり、またその調達方法について、特別の配慮を払わなければならないと考えております。御案内の農林中央金庫からの融資などにつきましても、その額と方法相当程度拡充しなければならないというようなことも、その対策一つになろうかと思うのでありますが、それらの点につきましては、総合的な金融政策や、金融体系に支障のない限りにおいて、最大限度の考慮を払つて参りたいと考えております。
  44. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 ただいまも政務次官からお話がありましたが、五箇年計画で七十万トンを自給して参るためには、大体百億以上の資金がいるわけでございますが、これに対しまして現在農林漁業金融公庫の方からは、本年度の割当は大体十一億ないし十二億ぐらいになろうかと思います。かりに十二億と仮定いたしますと、五箇年では六十億程度にしかなりませんし、この十一億ないし十二億という割当も、昨年からこの資金が塩業関係の改良資金に使われることになつたのでございます。当初は全体の資金わくの五分という割当で出発したわけでございますが、その五分という率にも確たるものがあるわけでございませんので、明年以降のこの資金の塩業の改良関係に対する増加方については、格段の努力を払いたい。従つて、わくの拡充等については、もつと増してもらいたいと考える次第でございます。そのほか一般の金融関係は別といたしまして、自己資金の拡充という問題につきましては、ある程度こういう改良を本格的にやる時代におきまして、相当債務となつて残ることは過渡的にやむを得ない事情かとも考えられますけれども、こういつた金利金融のほかに、自己資金の充実ということが非常に大事なことだと考えております。従つて、先般来御指摘のありました塩の賠償価格を今後適正に考えて、この面からも自己資金の蓄積を増すという面について、十分今後検討して参りたいと考える次第でございます。
  45. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの監理官の御答弁で、実は非常に満足に存ずるのであります。何分先ほどから申し上げますように、自己資金の拡充をはかろうといたしましても、もう業者のわくの限界一ぱいになつておりますので、どうしてでも一刻も早く収納代金の引上げをやつてもらつて、そうして一般市中金融機関より一層積極的な支持を求められるような態勢に置くことが、言いかえれば自己資金の拡充にも一歩進行するのじやなかろうかと思いますから、どうぞ収納代金の引上げということを、一刻も早く実現でき得るようにやつてもらいたいと思うのであります。これと同時に、農林中金の十二億のわくをどうしても二十億くらいに引上げるという勇猛心を出してもらつて、二十億くらいに引上げてもらいますれば、五箇年で大体百億ぐらいに達成するわけなんですから、それもより一層の御努力を払つてもらう。こういうことはできぬかと思うのでありますか、この点をあらためて監理官に伺いたいと思うであります。ちようど本委員会に専売公社法の改正法案が出ておりますので、あの法案を一思いに国内塩業の増産計画達成のために一部変更され——なるほど農林中金のわくの拡充もけつこうですが、三年、四年先のここよりも、即刻そういつた施設ができ得るように融資をはかる方法がないものかということを、私たちは考えておるのです。また業者からも、そういう請願、陳情をしばしば全委員に受けておるのです。これに対する何らかの対策はないものかどうか、御真意を参考に伺つておきたいと思う。
  46. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 五箇年計画のための厖大な所要資金をつくるために、いろいろな対策一つとして、公社自体がこういつた塩業改良資金に融資できるような道を開いたならどうかというお話であろうと思うのでございますが、この問題につきましては、それでは、公社自体がそういつた融資関係を取扱えば、全体の融資のわくが現在よりふえるだろうかということと、もう一つは、公社自体の事業としてそうとつた融資を取扱うのが適当かどうか、こういう二つの面から検討しなくちやならぬと考える次第でございます。第一の農林漁業金融公庫でやつている仕組みを急に公社に切りかえたにいたしましても、これは国家財政全般の資金計画の問題もございますから、必ずしも取扱い場所をかえたら急にふえるというわけには参らない。その面で、公社自体が融資を取扱うことによつて、そう急激な変化はあり得ない。もう一つの、公社自体が融資関係を取扱うことが適当かどうかという観点から見ますれば、公社はやはり事業主体でございます。従つて、こういつた事業をやつているものが、融資という金融関係の事業を取扱つたらどうかという問題については、非常に慎重に検討しなくちやならぬ問題であろうと思います。検討に値する問題ではございますけれども、現在農林漁業金融公庫というものが生れたばかりでございまして、ことしから取扱つて専門的にやつている機関もあることでございますので、この問題については、今後農林漁業金融公庫等の業績その他を見た上で、どうしてもほかの機関ではできないというような場面に至つて、初めて公社自体が異例的な取扱いをするという必要性も起つて来るかと思いますが、現在においては、公社自体がそういつた金融業務を取扱うことは適当でないと考える次第でございます。それ以外の方法において、さき申し上げたような方法によりまして、資金の万全なる対策をいたしたいと考える次第であります。
  47. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常によくわかりました。それで、何分この塩業組合法は、政府提案理由にもあるように、刻下の急務であるところの国内塩増産対策には一日も早くこの審議を完了いたしたい、こういつた意味合いにおいて、本委員会でも、御承知のごとくに慎重審議で今日まで実は検討して参つたわけなんです。当局のこの国内増塩対策に対して非常に御熱心であられるという点に対して、本委員会も大体本日をもつて質疑を打切りまして、一応の結論に到達することになつたわけなんです。願わくば、どうぞ先ほど来の御答弁にありまするように、急務中の急務でありまする増産設備計画、それの前提になるべきところの資金問題、これに対してありとあらゆるところの、広範囲から御検討を願いたいと思うのです。当委員会も、今会期は間に合いませんから、来会期までにはそういつた公社の融資の面に、あるいはそれに関連して、あなた方の御答弁の材料を中心にして、真剣に取組んで検討をしてみたい、こう思いまするから、御当局も本日のお言葉を肝に銘ぜられて御検討されんことを強く私は要望して、私自身としてのこの法案に対する質疑は打切りたいと思います。
  48. 井上良二

    井上委員 ただいま福田さんの御質問に関連をいたしまして、この塩業組合の第一の質問は、資力ある組合員の出資の余地を広げまして、資金の獲得を容易にするために、組合員一人当りの出資口数の最高限を百分の三十五に引上げた、そうしておいて、今度は議決権及び役員の選挙権の数は、原則として一人一個ということにしたが、定款でこの出資口数を加味して定めることができるという抜け道を別項に認めておるわけなんです。こうなりますと、これは完全に資本の力の強い者がその組合を独占して、力の弱い組合員の利害というものが非常に脅かされる結果が現われて来る最も非民主的な組合の考え方であります。そういうことについて、どう一体考えになつておりますか。
  49. 今泉兼寛

    ○今泉政府委員 本法案の一番のねらいは、今御指摘になりました通り、一人当りの出資口数を現在より高めて、それに伴つて発言権も若干従来よりか高める、で、時宜によつては六分の一を越えない範囲内で、定款等においてきめることかできる、こういうことに相なつておりまするが、これは塩業の特殊性に基きまして、この前からも御説明申し上げておる通り、将来、今までの平がま式の原始的な製塩方法から、大規模な煎熬施設、真空あるいは加圧式といつた大規模な煎熬設備に改める必要がある。それがためには非常な資力がいるわけであります。こういつた資力がいるという点につきまして、相当大企業的な性格を帯びて来る。それには、今のような組合員の出資口数の制限なり、あるいはそういつた熱意を持つた相当資力を持つた人の発言権をいま少し高めることによつて、そういつた自己資金をこれに誘導する必要があるんじやないかといつたことで、この改正をいたすことになつたわけであります。それによつて、何か大資力者が横暴になりはしないかという、今、井上委員からの御懸念ではないかと思うのですが、それにつきましては、大企業であれば——むしろ煎熬設備をやる企業というのは、一面株式会社的な性格を持つて来るわけでございますが、しかし片方には、やはり塩業には採鹹という原始的な企業が残つて参ります。従つて採鹹と煎熬と二つを結び合せたところに、大企業になりつつありますけれども、株式会社といつた式まではなり得ない点がある。もしこれを株式会社にするならば、一つの出資口数について一つの発言権があるということにまでなるわけでございますが、そこまで徹底することは、この塩業組合としては適当でない。しかし単なる中小組合とは違つた性格がある。その点で、この一人の発言権を六分の一という制限にいたしましたのは、二割程度までは一人の発言権は認めるけれども、それ以上は認めないというので、六分の一という制約を置いておるわけであります。それからさらに、そういつた大口出資者の横暴といつたようなものをもし制約する必要ができた場合の方法といたしましては、第四十四条に役員のリコール制というものも規定してございます。さらに同じ七十一条には、組合員の方から検査を請求することができる検査請求権も規定しておる。さらに七十四条におきましては、公社においては、監督命令を発動できるという規定もございます。それからもう一つ、中小企業協同組合にございまして、この組合の制度としてとりましたのは、総代会の制度を削除したという点であります。この点は、中小企業協同組合におきましては、相当重要な事項を総代会にまかして、総代会で議決できるという規定がございますが、この塩業組合については、そういう総代会で重要事項を議決するという方法は、今言つた民主的な運営に反するというので、組合員の員数も割合に中小企業協同組合に比べて少いわけでございますからTそういつた問題については、この総代会という制度はやめて、すべてそういつた重要な事項については総会にはかるというために、この問題も消してあるわけであります。従つて、多少この出資品数を誘引するために、大口出資者の議決権なり選挙権の限度は高めましたが、それをチェックする方法として、今みたいな方法考えているわけでございまして、決してこれがために大口出資者が横暴になつて、何か少数者の独占になるということは万ないと確信いたしておる次第でございます。
  50. 井上良二

    井上委員 はなはだ詭弁きわまる答弁であります。大体出資という問題と議決権、役員の選挙権というものは、別個に考えておきたい。出資を多くしたから議決権及び役員選挙権が非常に大きく取上げられるということは、民主的なやり方じやありません。何かリコールをすることができる規定があるからという話だが、一体こんなリコールをやつたところで、議決権と役員の選挙権がいわゆる出資口数によつて動かされる定款がつくられて来れば、何にもならんじやないか。現実に、あなたがおつしやるように、出資を多くせなければならぬ、煎熬施設を完備せなければいかぬという事業については別途の方式を考えるべきであつて、組合としてものを考えます場合には、やはり少くとも同一の資格と権利を行使できる規定にすべきである。それでなかつたら、組合の意義はありません。その点は、全然度外視されることを私どもは非常に遺憾に思います。同時に、塩は非常に特殊な産業であり、生産であるからということで民主主義の方向とは逆もどりしておる。封建的な方向へ持つて行こうという動きが露骨にこの法案の中には出ておる。そういうことは、少くとも民主的な組合の運営の立場から考えると、逆行する行き方でありまして、この点に関しては、私はもつと検討を要すると考えております。時間もありませんから、私はこの程度にいたしておきますが、今後の運営について、政府としては具体的にどういう運営をやつて行くか。実際、この少数意見が十分取入れられて行くような新たなる運営の方法というものを検討すべきでないかとわれわれは考えております。
  51. 大平正芳

    大平委員 私は塩業組合法案に対して、修正案を提出したいと思います。食糧塩の自給態勢を一日も早く確立して行こうということは、喫緊の問題であります。これは当委員会において確認されたことでありますが、政府でも、昭和二十五年以来七十万トンの国内塩の自給計画を立てられて、鋭意努力せられておりますが、この計画を有効に、かつ円滑に推進して参りますためには、塩業者自体がこれに対応するような強い態勢を整えなければならないということは、申すまでもないことでございますし、塩業者が進んでこの計画に参画し、かつそれに精進して参ることが絶対の要件であると思います。今回塩業組合法を政府から御提案になりました趣旨も、その辺にあると思うのでございますが、この法案を検討してみますと、第八条におきまして、塩業組合は組合員に対しまして、事業資金の貸付を行うことができるということになつておりますが、組合員の預金を受入れる二とはできないことになつております。旧法の塩業組合法におきましては、組合員の預金の受入れということが認められておつたのでありますが……。(「何をやつておるのだ」と呼ぶ者あり)塩業組合法の修正案の趣旨説明です。     〔「早く修正案を読め」と呼び、その他発言する者多し〕
  52. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御静粛に願います。
  53. 大平正芳

    大平委員 この塩業組合法におきましては、これが考慮されておりませんことは、片手落ちのうらみがあろうと思います。もちろん金融情勢立場から申しまして、組合員の預金を受入れるということにつきましても慎重な態度を堅持し、かつ場合によつては、神経質になることもやむを得ないと思いますが、これは員外預金でなくて、組合員自身の預金の受入れでございまして、これらの組合は、自発的に自分らの経済的地位を協同して向上して行こう、いわば事業的の運命を組合に託して行こうという意味合いで加入して参るわけでございます。よほど強い反対の理由がない限り、政府におきましても、そういつた点はお認めになつてしかるべきであると思います。先日の小委員会におきましても、この点はぜひ実現いたしたいという決議がなされたのであります。私はその決議の趣旨に沿いまして、塩業組合法案に対する修正動議を提出いたしたいと思います。修正案を読み上げます。塩業組合法案の一部を次のように修正する。   第八条第一項中第三号を第四号とし、以下一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。   三 組合員の貯金の受入   第八条第四項から第六項までのうち「第一項第八号」を「第一項第九号」に改める。   第二十五条第七項中『、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「塩業組合法第五十六条」と』を削る。   第六十条第四項中「第八条第一項第六号若しくは第七号」を「第八条第一項第七号若しくは第八号」に改める。   第七十二条に次の一項を加える。3 公社は、第八条第一項第三号の   事業を行う組合の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査をしなければならない。第七十四条中「若しくは第七十二条第二項」を、「、第七十二条第二項若しくは第三項」に改める。第七十七条中「第七十二条第二項」  の下に「若しくは第三項を」加える。  以上が修正案でございますが、もう一つ申し落しましたが、この修正案は、組合員の預金の受入れの能力を塩業組合に与えてもらいたいという趣旨でございますが、そのほかにもう一点、商法の規定と塩業組合法の規定とに関連いたしまして、総会の決議に関して、商法の第三百四十三条と塩業組合法第五十六条は一応実質的には同じ規定でありますのを、読みかえるというように、原案が間違つて提出されておりますので、そのあやまちを、この修正案から見まして、関連はいたしておりませんが、修正案と同時に御修正願いたい、そういう趣旨でございます。何とぞすみやかに御審議の上、御賛成をいただきますようにお願いいたします。
  54. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいま大平委員より塩業組合法案に対しまして、修正の動議が提出されておりますが、本動議の採決は、午後本案と同時にいたす予定でありますので、この点御了承をお願いいたします。  午後一時半まで休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた