○岸本
政府委員 公社職員の待遇の問題でございますが、お尋ねの第一点の給与ベースの問題でございます。現在におきましては、昨年国鉄につきましては一万三千四百円ベースで仲裁裁定が出まして、それをそのまま実施いたしております。これに対しまして公務員は現行一万二千八百円ベースで、大体六百円ほど下まわつたところを実施せられております。(「地域給はないぞ」と呼ぶ者あり)その分は本俸にまわ
つております。基本給全体のベースとしては、六百円ほど国鉄が高いのであります。
現実の国鉄と公務員との人員構成を比較いたしますと、それほどベースとしての差があ
つてはならないのでございます。たとえば男女の割合でありますとか、事務、労務の割合、あるいは学歴、そうした構成から見ますと、大体似たような数字であ
つていいわけであります。ただ職務内容が何分にも重労働で、六百円の差を参酌されて、それだけ高い給与ベースに相な
つておるわけでございます。
現実の個々人の割振りについて見ましても、同じような人間を国鉄と公務員と比較いたしますると、やはり
相当国鉄の方が高いわけでございます。
第二点の、それ以外の実質上の待遇の問題でございますが、これにつきましてはいろいろございます。
表面に現われないものといたしましても、たとえば国鉄の職員の乗車賃は無料である、
一般の職員でありますと、どうしても五、六百円、CPSを見ましても
相当負担いたしておるわけでございます。そういう点が無料でございます。また宿舎施設、被服、そうしたものも
相当完備いたしております。宿舎は業務上の必要もございますが、それにいたしましても、実質
生活の面に潤いを与えるという点では、非常に貢献があるわけでございます。
第三点の医療施設の面でございますが、これは官の施設で
——官と申しますか、公社
負担でどんどん病院をつく
つております。その経営費というものは全部公社がまかなう。全部組合員の
負担にはしないで、組合員からはせいぜい食費と薬代ぐらいをとり、
従つて保険の診療報酬の基準にしております一点単価は、四円ぐらいで済んでおります。ところが
一般公務員、特に非現業公務員におきましては、国が全然見ておりません。組合員が積み立てた共済組合の積立てで病院をや
つて行く、経営費も全部それでまかな
つて行くという建前にな
つております。
従つて一点単価は十円近く、国鉄の二倍近く払
つておる、こういう待遇差があるわけであります。これがひいては共済組合の掛金の率が、非現業の方が高いという結果とな
つて現われております。これは医療施設の面でございますが、そのほか共済組合
制度といたしまして、御承知のような共済組合で積み立てました
資金を組合に貸付をいたしております。この
資金限度額も、
一般公務員に比較して国鉄は二倍ぐらいの金を借りられる
余裕がある。さらに公社の金を利用して、あそこには物資部という日用品の配給組織がございます。年間百何十億という金を動かしまして、廉価な日用品の配給をいたしておるという面もございます。そのほかいろいろございますが、そうした面の、
——これを金に換算いたしますと、正確なことはもちろん申し上げられませんが、少くとも
相当程度の物質上の、金銭に現われないベース・アツプがあるのだということは、われわれ
一般の公務員に比較いたしまして、言えるわけであります。もちろんこうした国鉄とか、あるいは公社の待遇のいいことを決して悪いと申すのではないのでありまして、それは現業業務の特殊性からやむを得ないことであろうと思います。むしろ遅れている
一般の非現業の方の医療施設を、将来できるだけ改善するように努力いたしたいというのが筋であろうかとは存じます。しかしながら、現在これだけ離れている待遇差、それを是認いたしまして、さらにその上に退職後においてもいい
生活ができる、いいというよりも、
一般よりはいい基準で行くのだということになりますと、やはり同じ予算
制度の中にある人間といたしまして、いろいろ問題があるわけでございます。こうした点を
考えまして、せめて退職後の給与については、一応歩調を合せていただきたいという気持から、こういうことを提案いたした次第であります。