運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-06-30 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 苫米地英俊君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君    理事 島村 一郎君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       木原津與志君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東条 猛猪君         食糧庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局火         力課長)   三田村正二郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月三十日  委員木原津與志君辞任につき、その補欠として  飛鳥田一雄君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十七日  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一四号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一五号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一七号) 同月二十九日  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二三号)  相互銀行法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)  信用保証協会法案内閣提出第一二五号) 同月二十七日  揮発油税軽減に関する請願長谷川峻紹介)  (第一八〇六号)  同外一件(藤枝泉介紹介)(第一八〇七号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第一八〇八号)  同(古井喜實紹介)(第一八〇九号)  同(高橋禎一紹介)(第一八一〇号)  同(舘林三喜男紹介)(第一八一一号)  同(迫水久常紹介)(第一八一二号)  同(中村幸八君紹介)(第一八一三号)  同(藤枝泉介紹介)(第一八一四号)  石油関税減免措置延期に関する請願鍛冶良  作君紹介)(第一八一五号)  同(中村幸八君紹介)(第一八一六号)  同(高橋禎一紹介)(第一八一七号)  同外二件(藤枝泉介紹介)(第一八一八号)  同(八木一郎紹介)(第一八一九号)  火災保険料引下げに関する請願永田良吉君紹  介)(第一八二一号) 同月二十九日  石油関税減免措置延期に関する請願外一件(  岡本忠雄紹介)(第一九四二号)  同外二件(加藤鐐造君紹介)(第一九四三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一九四四号)  同(小高熹郎君紹介)(第一九四五号)  同(内藤友明紹介)(第一九四六号)  揮発油税軽減に関する請願外一件(岡本忠雄君  紹介)(第一九四七号)  同(八木一郎紹介)(第一九四八号)  同(高橋等紹介)(第一九五〇号)  同外二件(加藤鐐造君紹介)(第一九五一号)  同(小高熹郎君紹介)(第一九五二号)  旧軍属に対し年金並びに一時金受給資格付与に  関する請願中村清紹介)(第一九六二号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  揮発油税軽減に関する陳情書  (第四二一号)  電源開発事業等に伴う補償に対する課税免除の  陳情書(第四二二  号)  揮発油税軽減に関する陳情書  (第四六二号)  同  (第四六三号)  石油関税減免措置延期に関する陳情書  (第四六四  号)  揮発油税軽減に関する陳情書  (第四九一号)  同  (第四九二号)  石油関税減免措置延期に関する陳情書  (第四九三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  有価証券取引税法案内閣提出第二七号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第三三  号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第三六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号)  国の所有に属する物品売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第一号)  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する  法律案内閣提出第一四号)(参議院送付)  一般会計歳出財源に充てるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第三四号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計借入金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第四三号)  木船再保険特別会計法案内閣提出第五四号)  社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予)  国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四五号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)(予)  金管理法案内閣提出第五五号)(参議院送  付)  国際復興開発銀行等からの外資の受  入に関する特別措置に関する法律案内閣提出  第六五号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七〇号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第七一号)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)(予)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  保険業法等の一計を改正する法律案内閣提出  第八五号)(予)  鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証  に関する法律案内閣提出第九五号)  昭和二十八年度における特別道路整備事業特別  会計歳出財源特例に関する法律案内閣  提出第九七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九九号)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇三号)  特別減税国債法案内閣提出第九八号)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一〇号)  産業投資特別会計法案内閣提出第一一三号)  設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一四号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一五号)  関税定率法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一一六号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一七号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二三号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  議案審査に入ります前に、参考人招致の件についてお諮りいたします。本委員会における国政調査の一環として、中小企業金融、及び類似金融対策について、最近の金融事情にかんがみまして関係金融機関から参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお参考人の選定、参考人招致日時等につきましては、委員長並びに理事に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 これより議案審査に入ります。去る二十四日本委員会に付託されました特別減税国債法案及び二十六日付託されました産業投資特別会計法案資産評価法の一部を改正する法律案、さらに二十七日付託されました設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する等の法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、以上七法案、それから日程に追加しまして昨二十九日付託されました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の八法案一括議題としてまず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官
  5. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました特別減税国債法案外法案について、提案理由の御説明を申し上げます。  まず特別減税国債法案でございますが、政府は、前国会本案とほぼ同様の案を提出し、御審議願つたのでありますが、審議未了となりましたので、今回施行期日の遅延に伴う必要な調整を加え、あらためて本案提出した次第であります。その内容について申し上げますと、今回設置を予定しております産業投資特別会計財源に充てるため、昭和二十八年度において、二百億円を限つて特別減税国債発行することとし、その利率は年四分、償還期限は五年以内といたしております。  しかして、特別減税国債の消化を促進するために、これを購入した者に対しては一定減税を行うこととし、個人が購入した場合には、昭和二十八年分の所得税からその税額の二〇%相当額限度として、購入額の二五%に相当する税額を軽減し、また法人が購入した場合には、昭和二十八年八月一日から昭和二十九年三月三十一日までの間に申告期限の到来する法人税から、その税額年換算額の二〇%相当額限度として、購入額の二一%に相当する税額を軽減することとしているのであります。  以上の減税措置を考慮いたしますと、特別減税国債実質利回りは、個人の場合には年一割二分、法人の場合には年一割五厘程度となるのであります。なお特別減税国債利回りをこの程度にとどめるために、法人特別減税国債譲渡した場合の損金算入について、一定制限を設ける等所要措置を講ずることとしております。  以上が本法律案大要でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに賛成せられるよう切望する次第であります。第二は産業投資特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。わが国経済の再建、産業開発及び貿易の振興に必要な資金につきましては、政府は、従来から財政資金により積極的にこれが確保をはかつてつたのでありますが、今回新たに産業投資特別会計設置し、財政投資の一層の充実強化に資することとした次第であります。この会計におきましては、米国対日援助見返資金特別会計資産並びに一般会計日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります。昭和二十八年度予算におきましては、特別減税国債収入金二百億円を含め約四百億円の財源をもつて日本開発銀行及び電源開発株式会社に対する資金供給を予定し、重要基礎産業に対する投資に特に意を用いております。  次にこの法律案概略について申し上げますと、この会計歳入は、特別減税国債発行による収入金出資貸付金からの収入金等とし、歳出は、出資金貸付金国債償還費等とすることとするほか、この会計予算及び決算に関し必要な事項を規定しております。なおこの会計設置に伴い、米国対日援助見返資金特別会計法を廃止する等関係法律について所要規定整備をはかつております。  以上が、この法律案提出理由であります。  第三に資産評価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  政府は、昭和二十五年に資産評価法を制定して、第一次資産評価を実施し、さらに昭和二十六年に資産評価法の一部を改正いたしまして、第二次資産評価を実施したのでございますが、その実施の状況をみますと、必ずしも十分に再評価が行われなかつた実情にありまするし、かつまた、その後物価もある程度上昇を示している状況でございます。従いまして、現下の急務である資本蓄積促進に資するために、今回さらに資産評価の機会を与え、現下物価水準に応じた基準によつて評価を行い得るようにすることが必要であると認められますので、ここにこの改正案提案することといたしたのであります。  次に本法律案大要を申し上げます。まず今回の再評価は、法人につきましては、昭和二十八年中に開始する事業年度開始の日のうちいずれか一の日において一回、また昭和二十九年中に開始する事業年度開始の日のうちいずれか一の目において一回、あわせて二回再評価を行い得ることといたし、また個人事業用資産につきましては、昭和二十八年一月一日において一回、また昭和二十九年一月一日において一回、合せて二回再評価し得ることといたしております。なお、譲渡所得に対する課税調整をはかるため、個人の有する家屋、土地、非事業用資産等譲渡があつた場合には、これらの資産につきましては、昭和二十八年一月一日現在で再評価が行われたものとみなすことといたしております。  次に、再評価対象となる資産は、第二次再評価を行うことができた資産と同種の資産で、昭和二十八年一月一日に有している資産としております。しかして再評価基準は、第一次及び第二次再評価基準設定基礎といたしました昭和二十四年六月以後の物価上昇を勘案して、土地については約十六割、減価償却資産につきましては約五割、非事業用資産等については約二割を、それぞれさきの再評価基準から引上げることといたしているのであります。なお第一次再評価基準日である昭和二十五年一月一日に所有していた減価償却資産のうち、昭和二十五年において定められておりました耐用年数がその後短縮されたものにつきましては、一般の再評価基準によらず、第一次再評価基準を一・五倍した金額から、昭和二十五年一月一日から再評価日までの減価償却額限度額累計額を控除した金額を再評価基準とすることも認めております。  次に、再評価税につきましては、今回の再評価が第一次及び第二次の再評価と同様の性質のものであること等を考慮いたしまして、前回と同様に、再評価差額に対して百分の六の税率といたしておりますが、再評価税納付につきましては、できるだけ再評価を十分に行い得るようにすることを考慮いたしまして、法人減価償却資産の再評価税は、従来初年度二分の一、二年度及び三年度四分の一ずつ納付することになつていたのを、五年間に均分して納付することといたしております。また減価償却資産の再評価税の延納は、前回の再評価税額と合せた総額によりまして法人については、昭和三十六年十二月三十一日を含む事業年度まで、個人につきましては昭和三十六年まで、これを認めることとしております。なお法人土地等に対する再評価税は、再評価日から五年を経過するまでの間に譲渡等が行われない場合には、さらに三年間にわたつて分納を認めることとするとともに、新たに再評価税繰上納付の道を開くこととしているのであります。  次に、個人の有する資産について再評価が行われたものとみなされる場合には、従来再評価差額から十万円を控除して再評価税課税していたのを、十五万円を控除することに改めております。なお公益法人収益事業に属する資産について再評価行つた場合には、収益事業所得法人税課税している点にかんがみ、今回の再評価による限度引上分については、再評価税課税することといたしております。  さらに、再評価申告は、法人については、再評価日を含む事業年度終了の目から二箇月以内に、また個人につきましては、再評価日を含む年の九月一日から十月三十一日までにしなければならないことといたしておりますが、再評価を行わなかつた法人は、申告書提出を要しないこととし、また再評価を行わなかつた資産についての市町村別明細書提出も要しないこととしております。  次に、再評価積立金資本組入れにつきましては、再評価積立金金額から納付すべき再評価税額を控除した金額の十分の九に相当する金額まではただちに資本に組み入れることができるようにし、また再評価税を完納した法人は、昭和三十二年一月一日以後においては、再評価積立金の全額を資本に組み入れることができることとしているのであります。なお社債の発行限度につきましては、再評価積立金の十分の九に相当する金額をただちにその発行限度に算入することとしているのであります。  以上が本法律案大要でございます。  第四は、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案でございます。その提案理由を御説明いたします。  設備輸出為替損失補償法は、設備本邦から輸出する者が外国為替相場の変更に伴つて受ける損失補償する制度を確立することによりまして、本邦経済維持及び発展に寄与する重要物資輸入確保に貢献する設備輸出促進をはかることを目的としたものでありますが、同法の適用範囲がきわめて限定されておりますため、この法律に基く補償制度は利用されておらない実情にあるものであります。  しかしながら、設備を中心とする輸出振興は、最近一段とその重要性を加えていると認められますので、今回設備輸出為替損失補償法の一部を改正し、政府輸出者に対して締結する為替損失補償契約適用範囲を拡張することといたしたのであります。  改正の要点は、政府輸出者に対して為替損失補償契約を締結することができる対象は、現行法では、重要物資輸入市場国際収支上有利な地域に開拓し、または国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合の設備輸出に限定しておりますが、この制限を撤廃いたしまして、すべての設備輸出に拡張するとともに、別途御審議をお願いいたしております日本輸出入銀行法の一部改正法案によりまして、新たに日本輸出入銀行融資対象となる設備以外の重要な物資輸出につきましても、これを適用することといたしたのでございます。  その二は、最近の設備輸出実情を見ますと、契約時から代金の回収時までの期間がきわめて長期にわたるものが多く、補償契約期間限度を延長する必要がありますので、これを現在の五年から十年に延長することといたしました。  その三は、ただいま述べました補償契約適用範囲の拡張に伴いまして、補償契約締結額が増大することが予想されますので、政府が締結する補償契約締結総額限度を現在の百億円から二百億円に引上げることといたしたのでございます。  以上がこの法案大要でございます。  第五は、厚生保険特別会計法の一部を改正する会津案でございます。その提案理由を御説明申し上げます。  今回政府は、日雇い労働者業務外の事由による疾病または負傷及びその被扶養者疾病または負傷に対して保険給付を行うことによつて、その生活の安定に寄与することを目的として、別途本国会日雇労働者健康保険法案提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、この日雇い労働者健康保険事業経理を明確にするため、厚生保険特別会計に新たに日雇い健康勘定を設けることとするために、この法律案提出した次第であります。  この法律案内容につきまして概略説明いたしますと、日雇い健康勘定におきましては、保険料一般会計及び郵政事業特別会計からの受入金借入金付属収入等をもつて歳入とし、保険給付費借入金償還金及びその他の諸費をもつて歳出としております。なお、経理上必要のあるときは、この勘定負担において、借入金または一時借入金等をなすことができることとし、さらに業務勘定におきましては、本勘定設置に伴い所要規定整備をはかつておるのでございます。  以上がこの法律案大要でございます。  第六は、関税定率法等の一部を改正する等の法律案でございます。その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、現下の情勢にかんがみ、若干の品目についてその関税率引上げるとともに、暫定的に輸入税を免除しております品目整備し、かつその免税期間を延長いたしまして、わが国における当該産業維持育成をはかることを目的とするものでありまして、その主要な点は次の三点であります。  その第一点は、セメンシナ外品目輸入税引上げ当該産業維持育成をはかろうとするものであります。すなわち、セメンシナ現行輸入税率無税を一割に、麦角の無税を一割に、サントニンの無税を二割に、群青の二割を二割五分に、カーボン・ブラツクの一割を二割に、テレビジヨン受像機の二割を三割に、及びこんにやく芋の一割五分を四割五分に引上げようとするものであります。  第二点は、児童給食用乾燥脱脂ミルク重要機械類、大豆、原油、重油等の諸品目につきましては、暫定措置として本年七月三十一日までその輸入税を免除しているのでありますが、これらの物品につきましては、諸般の事情にかんがみ、引続き昭和二十九年三月三十一日までその免税期間を延長するとともに、こうりやん及びとうもろこしにつきましては、畜産業を保護するため、飼料の製造に供せられるものに限り免税することとし、落花生については、採油産業を保護するため、採油用に供せられるものに限り免税することとし、また菜種及びからし菜の種等は、この種国内産業を保護いたしますため、船舶については国内造船業を保護するためそれぞれの免税措置を廃止し、他面、企業経営合理化促進するため、せん孔カード式統計会計機械を新たに免税品目に加えるとともに、重要機械類については若干その免税機械類範囲を広げようとするものであります。  第三点は、鉄鋼の需給及び価格の状況等にかんがみまして、その輸入税を免除する必要がないと思料されますので、特定の場合を除き、鉄鋼に対する免税措置を廃止しようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由でございます。  第七に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について提案理由を御説明申し上げます。  外国為替資金特別会計におきましては、毎会計年度決算上の剰余金があるときは、これを一般会計歳入納付することとなつておりますが、この会計においては、外国為替相場変動等に伴い損失を生ずるおそれがあり、これに備えまするため、当該剰余金のうち、必要な金額を積み立てることが適当であると考えられるのであります。  以上の理由によりまして、この会計の毎会計年度決算上の剰余金は、予算の定めるところにより一般会計納付するもののほか、この会計積立金として積み立て、決算上不足を生じたときは、まずこの会計積立金をもつて補足することといたしたのであります。  以上がこの法律案提案いたしました理由であります。  第八に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月に設立せられまして以来、その適切な融資活動によつて、プラント輸出を中心とする貿易の振興に努めて参つたのでありまするが、最近における貿易の状況及び同行の業務運営の経験等に顧みて同行の機能の拡充をはかることが適当であると認められますので、今回日本輸出入銀行法の一部を改正し、日本輸出入銀行の業務の範囲を拡張するとともに、その融資の条件等に改善を加えることといたしたいと思うのであります。  次に、今回の改正案の要点を申し上げまするならば、まず海外投資のための資金及び海外における生産事業を営みまするための設備資金を融資の対象に加えたことでございます。輸出振興をはかり、海外市場を確保するためには、国内産業と海外市場との資本によるつながりを緊密にすることが、きわめて有効適切な方法であることは申すまでもないところでございます。これがための資金は、その回収に長期間を要することが通例でありまするので、この融資期間は一年以上十年までとし、やむを得ない特別の事情がありまするときは、十五年まで認め得ることといたしたのでございます。  その二は、輸出金融業務の範囲の拡張であります。現行法では、日本輸出入銀行は、設備輸出のために必要な資金の融資を行つておりまするが、最近の国際貿易の傾向に対処し、設備以外の製品であつても、その輸出わが国輸出市場の開拓もしくは確保または輸入市場の転換に特に緊要な場合には、その輸出のための資金日本輸出入銀行融資対象に加えるようにいたしたのであります。また、輸出振興のため特に緊要な場合には、輸出契約の締結前でありましても、売りさばきの見込みが確実でありますとき及び設備等の輸出に関して入札保証金が必要であるときにも融資し得ることといたしたのであります。設備等の輸出契約の国際入札の場合における入札保証金は、金額においても、その期間においても、市中金融の対象に取上げられがたいことが多く、かねて各方面からこの点について強い要望があつたものであります。  その三は、輸入金融業務の拡張でございます。現在、日本輸出入銀行輸入金融は、わが国輸出振興をはかるために、必要な重要物資について、その輸入のために海外における当該原材料等の生産事業を拡充する必要がある場合における前払金の融資のみに限定されておつたのでありますが、今回、この制限を緩和いたしまして、経済の発展のために緊要な物資で、前払金をしなければ輸入が著しく困難でありまする場合には、その前払金について融資し得るようにいたしたのであります。  その四は、融資期限を延長するとともに、日本輸出入銀行が単独でも融資を行い得るようにした点でございます。最近の輸出契約における決済条件の長期化に対応するために、現在の最長五年に制限していた融資期限を、きわめて特別な事由のありまする場合には、十年まで延長するとともに、現在市中銀行との協調融資の方法によらなければ日本輸出入銀行が融資しない建前になつておりまするのを、特に事情やむを得ない場合には、例外的に同行が単独で融資し得ることといたしたのでございます。  その五は、日本輸出入銀行が、その業務を行うに必要な範囲内に限りまして認可を受けて外国為替業務を営み得ることといたしたのであります。  なお、以上の改正に伴いまして、この際日本輸出入銀行が設立後五年を経過した後は、新規融資を行つてはならない旨の制限を除くことといたしたのでございます。  以上が提案になりました八法律案提案理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 提案趣旨説明は終りました。     —————————————
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、本日日程に掲げました四十二法案中、ただいま説明を聴取いたしました八法案を除いた三十四法案一括議題として質疑を行います。  なお本日の政府委員としての出席者愛知政務次官、渡辺主税局長、河野銀行局長、東条為替局長、阪田管財局長の諸君であります。質疑は通告順に上つて順次これを許します。小川君。
  8. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は先ほどこの法人税の問題で質問をしたいと言つていましたが、内藤委員の方から、あれはもうすでに政府の方でも了承しているという話であるので、それなら質問する必要はないのですが、どういうことでしようか。
  9. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 お答えいたします。了承しているというつもりは、実は私はございませんですが、前回委員会内藤先生が、これはもう国会の方では直すからと御宣言になつたようでございまして、これは内藤先生の御宣言か国会の御宣言か知りませんが、国会の方でお直しになるのでしたら、私の方ではそれについてとやかく申し上げることはないということを申し上げたわけでございまして、問題のあることはよくわかつておりますが、われわれの方としましては、さらに研究させていただきたい、目下もう少し細部につきまして検討してみたい、かように考えております。
  10. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで先般も私の方でいろいろ申し上げたのですが、協同組合——特に私は自分がかつて長く仕事をそこでしていた関係から、農業協同組合のことは一番よく知つているので、農業協同組合の例で申し上げますが、この農業協同組合等はいわゆる営利法人でない、そうして今日においても、その経営が困難になつている、そういうことから、政府としても再建整備法を制定してこの育成強化をはかつて来た。さらに、それでもなお困難であるから、今回引続いて県区域上の連合会については、再建整備促進法を制定して、その整備をさらに促進強化しようとしているわけであります。こういう点から、この法案については、引続いて課税上の特例を設けて、税制上よりも側面的な援助の態勢をとられたらどうか、こういうふうに考えておるのであります。再建整備促進法の対象となつている農協は、健全な経営体として建て直つたとは言えない今日の状況であります。従つて一日も早くこの健全化を促進するためにも、税制上より一層——ある一定限度までの免税措置を講じたらどうか。善処してほしい。ことに現在地方税においては、課税上の特例措置がとられている。こういう実情から見まして法人税においても、準備金の積立額が出資総額の四分の一に達するまではこの特例を設けたらどうか、こういうふうに私は考えそのでありますけれども、そういう御意思があるかどうか。一昨日も、その前提になるものは私申し上げてありますから省略して、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  11. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 農業協同組合自体が特殊の使命を持つていることは、われわれもよくわかつておるつもりでございます。同時にまた県単位の農業協同組合連合会におきまして、経済が相当悪化しておりまして、従いまして、それのための再建整備計画がさらに必要となり、それに必要な立法が提案されているということにつきましても、われわれの方にそのための、たとえば損失金の繰越しについての特例を設けてほしいという意味の要請が農林省からございまして、その必要な規定を入れることにわれわれも納得いたしまして、そういう規定が入ることになつて提案されることになつておりますので、その間の関係も私存じておりますが、ただ同じ農業関係の協同組合と申しましても、昔の信用組合のような形のものと、それから購買組合、販売組合といいますか、事業組合の形のようなものと大分姿が違うように思つております。今度再建整備提案されることになつております県単位の連合会の再建におきましても、それの必要性を認められておりますのは、事業組合関係に限られておりまして信用組合関係のものは、幸いにしまして、そうした特殊の措置が必要でないほど一応の基礎ができておるように思います。なお協同組合に対するわれわれの方の課税実績を見て参りますと、単位協同組合におきましても、事業組合の方の関係は、剰余が出ましても、相当の部分は事業分量に応じた配当になつておりまして、この分につきましては、かつての特別法人税ができました当初から、これは法人の剰余と見て課税することはしない、こういう措置になつておりまして、現実の数字を——、私、詳細な数字を至急調べるように申しておるのです。手元にございませんが、いわゆる事業関係の組合の方は、あまり課税の方の負担は、多くはないのではないかと考えられ、同時にまたその組合について、一応特に税制上でも相当めんどうを考慮しなければならぬというような感覚は出て来るのですが、信用組合の方の問題になりますと、これに関連して信用組合におきましては、これは組合員だけの預金しかとらない。信用金庫のように、組合員外のいわゆる員外貯金はとらないというところに一つの特殊性はございますが、他の金融機関といろいろ段階は違いますが、相当共通した性格もあるわけでございまして、協同組合に対する現在の税金の負担は、主としてこういうところにかかつておるようでございます。同時にそれにおける性格というものも、いわゆる事業組合とちよつと違うような感じもありますので、地方税法におきまして、今おつしやつたような規定のあることも存じておりますが、もう少し検討して見ませんと、今おつしやつたような措置が、すぐに政府として、それはぜひとるべきだという結論になるというところまではちよつと行かぬのじやないか。私の率直な気持といたしましては、今度政府の方で税制調査会などつくりまして全体的な税制の検討をやりますから、できればその時期にこの問題を一緒に検討して見たらどうだろうかというふうに思つているのでありますが、国会の方で別な御処置をとられればこれは別でございますが、われわれの方としては、そういうような気持でおります。
  12. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは、地方自治体と政府との間の農業協同組合に対する認識の度合いという問題が出て来ると思うのでありますが、府県では協同組合——それは特に農協の問題になりますが、これを主として政策の根幹として使つて行く以外に、この育成というものを非常に重要視している。ところがその点が政府では少し欠けているのじやないか、ことにこの点をひとつ考え直してもらいたいということと、それからもう一つは、この税額は実際において、全部やつたつていくらでもないんです。いくらでもないのだから、これを免税にしても、政府としてもそう大したことはないと思う。筋が通らなければいけないだろうが、そういう点からも筋は通るのです。この昭和十五年かのあの一項を持つて来ても、支那事変が終了したならば、その翌年の十二月三十一日までにやめる、こういうことに規定してあるのだから、私は通ると思う。これはぜひそうしてもらつたらどうか。そんなに、そつちの審議会にかけるとか、こつちでどうだと言わなくても、これはできるのじやないか、こう思うので、ひとつ……。
  13. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 あまりくどく申し上げるのもどうかと思いますので、簡単に申し上げますが、税額は大して大きなものではないことは、おつしやる通りだろうと思つております。ただわれわれの方といたしましては、農業協同組合を考えた場合に、ほかの協同組合はどういう関係にあるかということもすぐ考てみなければなりませんし、全体的なバランスから見まして、全体をどういうふうに取扱つて行くべきかという点につきましては、やはり同じ農業協同組合一つとつてみましても、今申しましたように事業関係の協同組合と信用関係の協同組合との間には、これはどの程度の違いと考えるべきかは別といたしまして、相当の違いがそこにあるわけでございまして、従いまして、そういうような点をやはり一応割切つて考えてみた上で結論を出したいというのが、われわれの方の気持であるということを申し上げまして、一応の御了承を得たいと存じます。
  14. 内藤友明

    内藤委員 ちよつと今のことに関連してお尋ねしたいのですが、信用連合会と事業連合会と違うのだとおつしやるが、なるほど性格の違つていることはその通りであります。しかし実質はこれは一つなんです。信用連合会がほとんど事業連合会に融資しておりまして、そうしてそれを一生懸命取立てておる。そのいろいろなしわ寄せが事業連合会に来て、それが結局こういう整備促進法なんというものをこしらえなければならぬようになつて来た。だから、それは実際は二つのものではない。従来の農業会の時代はこれは一つでありますが、そのときに、多少いろいろな弊害があつたから、今度は二つにわけられた。これは私はいいと思うのですが、それが看板が二つだから、これは二つ切離して考えるべきだということにはならぬと思うのであります。私ども何としても今度の国会で、少数でもこの修正案は出したいと思いますから、主税局長はその腹つもりでひとつよろしくお願いしたいと思います。
  15. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 私も信用関係の協同組合と事業関係の協同組合とが、相互に補完し合うような連繋にあることも一応存じておるつもりでございます。同時にまた、一応事業が分業されておるだけに、やはりおのずからそこに仕事の性格がわかれ、また経済の実態もそこに違つたものがあるということも考えられるわけでありまして、これを別々なものとして別な扱いにすべきか、あるいはその共通的な性格をつかんで同一的な扱いに考えて行くべきか、こういうような点につきまして、さらにとくと検討してみたいというのが、私が先ほど申し上げました趣旨でございますので、その意味で御了承願いたいと思います。
  16. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは今度銀行局長の方にお尋ねしたいと思いますが、この間開発銀行の問題もあつたし、今またMSAの問題等が出ておりますが、そうすると、当然見返り資金の問題が登場して来ると思うのですが、見返り資金はどのぐらいの金額がどういうふうに流されておるか、これは産業別にあとで資料でお願いしたいと思います。  それからもう一つは、せんだつてから問題になつている、株主金融という言葉が使われておりましてこの間の説明を聞いてもわからなかつたのですが、その中で何か不特定多数ということをこの間おつしやつてましたね。あの文章の中に不特定多数とあるのですが、私は不特定にして、かつ多数というふうに聞いておるのですが、どつちがほんとうなんですか。
  17. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 不特定多数ということがございますが、それは不特定かつ多数というように私は解しております。
  18. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうしますと、不特定多数ということと、不特定かつ多数とはどういう違いがあるのか、違いがないのか。
  19. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 不特定多数と申しますと、普通の場合は、不特定かつ多数であろうと思います。ただ特別の場合は、不特定または多数と読む場合もあると思います。本件の場合におきましては、不特定かつ多数というふうに解釈しております。
  20. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私はこの問題は、不特定多数とあるのを、不特定にして、かつ多数とあなたの方で解釈しておるのか、それとも不特定にして、かつ多数あるのか、その点をお聞きしておるのです。
  21. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御指摘の規定は、貸金業等の取締に関する法律の七条第二項に「前項の「預り金」とは、不特定多数の者からの金銭の受入で」云々と書いてあります。この解釈は、私どもは不特定かつ多数、こういうふうに解釈いたしております。
  22. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで私お尋ねしたいのは、不特定多数ということになつておる。それをあなたの方は、不特定にしてかつ多数というように、二つのものを一つに都合よくまとめて解釈して、要するに拡大解釈をしておるのではないかと考えるのですが、不特定多数と不特定にしてかつ多数というのとは別になりはしませんか。
  23. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 不特定かつ多数の方が不特定または多数よりも非常に制限されるわけであります。拡張ではございません。むしろ制限して解釈いたしております。さように御了承願います。
  24. 千葉三郎

    千葉委員長 井上君。
  25. 井上良二

    ○井上委員 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案、これに関係した政府委員来ておりますか。
  26. 千葉三郎

    千葉委員長 来ております。
  27. 井上良二

    ○井上委員 だれだれですか。
  28. 千葉三郎

  29. 井上良二

    ○井上委員 銀行局長でわかるかな。(笑声)  私伺いたいのは、国際復興開発銀行から、わが国産業開発のために外資の導入をしようということでありますが、この開発銀行が、日本の産業の中で特に融資をしてもよいという対象になつておる産業は、一体何と何とを向うはさして来ておるか、これが第一点。そうして今までの交渉の経過から、いかなる産業が融資を受けておるか、また受けてないのか、今度が初めてであるかという点を聞きたい。  その次に伺いたいのは、今度の四千万ドルの融資の対象になりましたものは、電力設備合理化目的として、主として火力発電のボイラー、機械等を買い入れるといいますか、これを設備してやりたい、こういうのですが、この機械、ボイラーというのは、向うの品物を買うことになりはせぬかと考えられますが、そういう火力発電所用のボイラー及び機械は国産品ではだめですか。どういう、わけで国産品は使わずに外国の物を使わなければならぬかということを——これはちよつとむずかしいのじやないかと思いますが、(笑声)どうでございますか。
  30. 東条猛猪

    ○東条政府委員 お答え申し上げます。第一点の、今まで国際復興開発銀行と日本側の交渉はどういうふうになつておるかという点ですが、先般国際復興開発銀行の調査団、あるいは副総裁が日本に参りました場合に、日本側といたしましては、全般の産業開発の関係から重点的に考えておる事業計画というものには、たとえば水力、あるいは鉄道の電化、あるいは農業の灌漑排水の施設、その他いろいろの計画があるのだという日本の現在の何と申しますか、重点産業開発、あるいはそれに必要な資金の話は、全般の産業開発計画といたしまして先方に説明をいたしております。それで具体的に、その後国際復興開発銀行との間に、いわゆる外資導入の問題について具体化しておるものはどういうものがあるかという点になりますと、これはただいまお言葉のございました火力発電機械の約四千万ドル、これが具体化をいたしまして、私どもの観測をもつていたしますれば、遠からず、きわめて近い将来に話合いが成立するのじやなかろうかと考えております。  なお政府といたしましては、この火力発電機械の四千万ドルの分のほか、水力発電につきましては、日本の現在の産業資金、あるいは開発計画上、外資導入が望ましいものであるということで、約一億二千万ドルの水力発電の所要資金につきまして、先方にいろいろ説明をいたしております。しかしながら、この一億二千万ドルはまだ具体化しおりません。いろいろ先方に説明をいたしておる段階であります。それで国際復興開発銀行からの外資の導入は、今申し上げましたことでおわかりいただけますように、ただいままで成立いたしましたものはございません。今回の四千万ドルの具体化いたしておりますものがまず第一というふうにお考えを願いたいのでございます。  次に、この火力発電の機械は、米国製の機械を購入することになるのではないかという点でございますが、これはお言葉の通りでありまして米国製の火力発電機械四基を購入いたします代金が約四千万ドルでありましてこの機械の代金を、今回は国際復興開発銀行から借り入れたい、かようなことになつておるわけであります。  次に、この程度の火力発電機械であるならば、国産で間に合わないかという点でありますが、これは、今回の四基の火力発電機械の購入につきましては、政府側といたしまして民間のメーカーの意見をも相当聞きまして、もちろん慎重に検討いたした問題でございまするが、日本のただいままでの設計、あるいは技術の水準をもつていたしますと、今回予定いたしております高温高圧の発電機の製作は、この際としてはできない。そこでこの四基をいわばサンプルという意味におきまして入れる。御承知のように、最近のような電気の状況でございますので、ぜひ関西、中部、九州につきましては、発電計画の関係で早急にこの発電機械をすえたい、設備を整えたい、こういう要請がございましたので、今回は遺憾ながら——日本の現在の産業、あるいは技術水準では、この際速急につくるということはできないから、四基をサンプル輸入という意味において入れまして今後はできるだけ、この種の高温高圧のものにつきましても、国産化をはかつて参りたい、かような結論になりまして、この四千万ドルの方は、米国から火力発電機械を購入しようということに政府といたしまして決定になりまして、それぞれ三電力会社の者、あるいは日本開発銀行の当事者が向うに参りまして、現地の大使館とも連絡の上で話合いを進めているかような段階でございます。
  31. 井上良二

    ○井上委員 よくわかりました。そうすると、この四基はどこどこへすえる予定ですか。
  32. 東条猛猪

    ○東条政府委員 予定いたしております会社は、中部電力、関西電力、九州電力の三会社でございます。中部電力一基、関西電力二基、九州電力一基、合計四基でございます。
  33. 井上良二

    ○井上委員 関西、中部、九州ということですが、日本で電気料の一番安いところはどこだと思つておりますか。日本で一番電気料の安いのは中部ですぞ。一番高いのは中国、四国、九州となつている。この一番高い方面に火力発電でも増強して、電力料を引下げるということなら話はわかるけれども、一体どういうわけで安いところへそういうものをすえつけねばならぬのか、そこに一つわれわれは問題があると思う。それからこのボイラーは火力ボイラーでありますから、結局石炭なり、あるいは重油を必要とするわけであります。そうしますと、石炭と重油というものの日本の現状を考えたときに、はたしてどれだけ電力料が安くなりますか、それをはじき出してください。
  34. 東条猛猪

    ○東条政府委員 なぜこの三社に限定したかという点でございますが、これらの電力会社の火力発電設備の購入ということは、やはり関係当事者が、ぜひ自分の会社に火力発電機械を入れたいという当該会社の考え方というか、意欲と申しますか、そういうものがやはり基礎になるので、ございまして政府といたしましては、それらの三会社がぜひとも米国から機械を入れたいという非常に熱心な希望がある。また国全体の立場から見まして、そういう計画が適当であろうというときに初めて政府といたしましてもあつせんし、協力をするということになつておりまして、関係の会社におきまして、そこまでの創意と申しますか、考え方が熟しておられない会社に対しまして、ひとつお前の方で開発銀行から借入金をして、アメリカの機械の輸入をやつたらどうだということまで、全体の計画からいたすことは、さしあたりのところいかがなものであろうかという考え方をとつております。今申し上げました三電力会社の問題は、これらの会社が自分のイニシアチーヴによつて、ぜひともこの際米国の機械を入れたい、しかもそれが国全体の立場からわれわれが見ましても適当であろう。かような観点から政府といたしましても協力いたしておる次第であります。  なお井上委員のお話の、料金がこれによつてすぐに下るかという点は、私どもはこの火力発電設備を入れましても、すぐに火力発電のこの機械の輸入によつて料金が下るとは思つておりません。しかしなお御意見でございますので、通産省その他関係方面とも連絡をいたしまして、調整をいたして行きたいと思います。
  35. 井上良二

    ○井上委員 あなたは事務当局でございますから、政治的な意見は責任上なかなかはつきり述べられない立場にあると思いますから、これ以上あなたにこの問題で伺つてみても、結局事務的答弁を脱するわけには行かぬと思うのです。問題は、御承知の通り日本の電力は地域差が至るところにございまして、最もひどいのが中国、四国、九州ということになつております。この地帯に水力発電が思うように行かないから、火力発電をひとつ増強しようということならば、やはり国内資金が思うように行かないときでありますので、国際復興開発銀行から外資の導入をするということも考えられますけれども、そういう全体的な電力の増強に必要な問題を考えるごとなく中部にそういうものを増強すれば、それだけ中部の配電会社がもうかることになつてしまうだけであつてこれでどれだけ電気料金が下るということも明らかにされておらないのに、簡単に私どもはそれはいいことだとは言えません。だからこれは後ほど通産省の責任者を呼んで、もつと具体的に伺いたいと思いますから、この問題はこの程度にしておきたいと思います。  次に、食糧管理特別会計法の一部改正法案について、食糧庁長官が急ぐそうですから、先に伺つておきたいのですが、この法律によると、学童給食のために必要とする政府所有麦の払下げについて、特にこれを安く払い下げるために食管に穴があくから、一般会計からこれだけの金を出してもらいたい、こういう改正案のようでございます。これはどういうわけで、いつまで食管がこういう経費を出さなければならぬことになりますか、これは大蔵省の主計局にも伺いたい。それから払い下げる麦は外麦ですか、内麦ですか、その点を明らかにしてもらいたい。
  36. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように、わが国の主要食糧の需給といたしましては、米と麦類と総合いたしまして、必要量を確保することになつております。従来の食習慣の関係上、わが国では粒食の傾向が非常に強いわけでありますが、今後といたしましては、粉食の普及ということも、食糧需給上必要でございますので、学童から粉食にならす、こういう意味におきまして、外麦を特に政府が半額を持ちまして、直接給食の方面に払い下げて、その普及をはかつておる次第であります。
  37. 井上良二

    ○井上委員 主として外麦でありますか、外麦を半額で学童給食に払い下げるということは、趣旨としてはけつこうでありますが、この問題に関連しまして、最近の食糧の需給関係を見ておりますと、政府のそういう非常な努力にもかかわらず、粉食の普及というものがそれほど徹底し、かつ拡大いたしてないということは一体どういうわけでございましようか、どこに原因があると思いますか。この問題は、国際収支の均衡の上からも、できるだけ高い外米の輸入を外麦に切りかえようという大きな要求も一部には起つておるときであり、政府みずからもそういう方針を今度明らかにされて来ておりますが、現実に、しからば粉食がそれほど普及発達しておる、それだけ外麦を多く入れて、外米が減るだけになつておるという具体的な実例がありますか。あなたの方で立てております需給計画では、ことし外米を何ぼ減らそうというのですか。そうして国内の米の買上げをどれだけ減らして、その文面麦をどれだけ多く粉食さそうというのですか。それは大体わかつておりますか。
  38. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 全国的に申し上げますると、主要食糧の需給といたしましては、半月分を米でまかないまして、その他の部分を小麦粉及び精麦でまかなうことに考えておりまして、この関係は従来とかわりはない次第でございます。今お話がございました外米につきましては、本年は九十万トンの輸入を計画いたしております。昨年度におきましても、計画は亘万トンでございましたが、実際のアライヴアルは九十一万トンであります。昨年度買付の本年度べの繰越し等も考えまして、そうしてアライヴアルにおきましては、昨年度と同様に考えまして、本年度の買付を九十万トンといたした次第であります。  麦につきましては、井上先生も御承知のように、米とは制度が違つておりまして農家の希望に応じて政府が買い入れる建前になつております。この国内の麦につきましては現在昨年度の実績とほぼ同様の程度を考えておりまするが、これは今後の推移によりませんと、その数量等は的確に把握できないかと思いますが、麦全体といたしましては、国内の出まわり数量を昨年度と同様と見まして、大麦を六十二万トン、少麦につきましては百五十七万トンを輸入する計画であります。
  39. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、本年の米穀年度と来米穀年度の米食率という問題には、あまり大きな変化はない、こういうことが大体想定されるんじやないか。問題は、どうしても米食を中心にしておりましたのでは日本の食糧問題は解決しない。どうしても粉食に移行する強力な政策がとられなければならぬ。ところがその方面の政策は至つて貧困である。現に、かりにやみの内地米が百四、五十円という見当でございましても、パン食をいたしますより、やみ米を買うた方が家計の上の負担は軽いということがいわれておる。これを一体食糧庁長官はどうお考えになりますか。やみ米を一升百四十円なり百五十円で買うか、ハン食をするかということになれば、やみ米の方が家庭の負担が軽いし、主婦の労力がそれだけ多く省かれるということがいわれておる。この問題が具体的に解決されなければ、粉食の普及はできません。現に米の場合と、パンを加工して店頭販売をいたします小売価格との上では、たしか一一五%ぐらいについていると思う。米一升の価格を一〇〇とすると、パンの方が一一五ぐらいではないかと思うておる。だからパソの加工賃をもつと引下げて、もう少し味のいいパンを一般に売るようにする、あるいはこれに付随するバターなり他の蛋白、脂肪給源の値段をもつと引下げるとかいう対策が具体的に講ぜられなければ、粉食の普及はできません。そういうものが一向積極的に国策として取上げられずに、どうして外米を少うして、外麦を多くしてやつて行くことができますか。それらについて積極的なお考えがありますか刀
  40. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいま井上委員のお話のように、粉食の普及につきましては、国民の嗜好を粉食に持つて参りますともに、その粉食が経済的に粒食の代替として均衡した形になり得ることがもちろん必要かと考えられるわけであります。もちろん御承知のように、粉食につきましては、その副食物の点が非常に問題になるわけでございまして、ただ日本の現状といたしまして、畜産物の価格を一挙に下げて参りますことは困難でございますので、漸次畜産の増産をやりまして、それによつて副食物の供給を増加せしめまして、それと相まちまして粉食の普及をやつて参りたい。しかしこれには相当の時間を要するかと存ぜられまするので、食糧需給の面といたしましてはそういうテンポとにらみ合せまして、現実にその年々の必要量というものは、国内生産とにらみ合いまして輸入をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  41. 井上良二

    ○井上委員 それから外米の輸入の問題に関連するのですけれども、タイですかビルマですか、どこからか買いますときには、必ず砕米というのが抱き合せて来ますが、あの砕米を今何ぼほど手持ちしておりますか。それから黄変米を去年一万一千トンほど買つて、食管では約一億一千万円の赤字を出しておるはずで、まつたく食管の手落ちであります。この黄変米というのは、その後向うとの間で、どういうことに一体話がつきましたか。政府の直接買入れのものでありますし、向うの方の輸出規格に黄変米はないとかいう話で当時問題になりましたが、われわれは、外務省を通して相手方に対して厳粛に抗議を申し込むとともに、黄変米等を規格に入れるべきであるということをやかましく言うておいた。同時に今度は、こちらに入つております黄変米はそのまままだありますか。それともこれは処分をしましたか。処分をしたとすれば、どこの会社へどういう方法で処分をしたか。それをひとつ明らかにしてもらいたい。
  42. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。本米穀年度の当初におきまする砕米の持越しは三万五千トンであります。御承知のように、向うの精米はもみから精米いたしまするので、当然に砕米ができて参るわけでありまして、食糧庁といたしましては、この砕米の混入率をきめまして、一般的に輸出市場の普通の規格において入り得る砕米を限度といたしまして、輸入をいたしておるわけでございます。この砕米の用途につきましては、井上先生も御承知のように、主としてみそにまわしておるわけでございます。なお黄変米の問題でございますが、これにつきましては、種々交渉をいたしたわけでございまするが、向うの国営の規格には、黄変粒の割合ということにつきまして規格がございませんので、これを虫害として交渉をいたしたわけでございまするが、まだその点につきまして交渉が妥結いたしておらないわけでございます。今後といたしましては、黄変米の発生が雨期以後の米について発生するようでございますので、買付といたしましては、雨期以後の買付を差控えたいということで措置いたしておるわけでございます。現在入つておりまする黄変米につきましては、まだ処分をいたしておりません。ただこれにつきましては、現在厚生省と協議いたしまして黄変米の内容を一%以内、一%から一〇%、一〇%以上というふうにしわけをいたしまして、そのしわけに従いまして、衛生上の面とも相談いたしまして、その用途に従つて売却いたして参りたい、かように考えておりまして、まだ現在は売却いたしておりません。
  43. 井上良二

    ○井上委員 この黄変米が発見されましたのは相当早くからでありますが、どういうわけで食べられぬものを高い倉庫料を払つてつておるのですか。そんなものはいかぬものはいかぬとして、しようちゆうでもなんでも原料になるのですから、早く処分したらいいのです。倉庫料を払つて、なぜいらぬものをじつと抱いておるのです。そういうことをしていらぬ金を使つて、そこに大きな何があるなら別だけれども、食糧にならぬということがはつきり断定されている以上は、工業用に向くのでありますから、その方へ早く処分されたらいい。  それから給食の問題ですが、単に半額で麦粉を渡しておいたらそれでいい、それで給食が済んだと思うてもらつたら困る。あのパンは、あなた方一体まともに食えるパンが給食されていると思うてまんのか。たいがいの子供は持つて帰つたり、そこらで相当そまつにしているんだが、あれがあたりまえに食えるものとあなた方は思つていますか。一ぺん長官みずから学校へ行つて見てみなはれ。実際もつと味のある、子供の喜ぶパンをつくつてやらなければ、いかに多くのもりがそまつにされているか。そういう点についてもつと検討したことがありますか、どうですか。
  44. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまのパン食の技術の向上につきましては、もちろん現在の段階が満足であるというふうには考えておりませんが、文部省とも連絡をとりまして、技術員を派遣しまして、パン食の指導にはできる限り努めておるつもりでございまして、たとえば今度の給食につきましては、ビタミンB2を入れまして、エンリツチをするということを考えておりまするし、またいろいろ技術普及の面につきましては努めておるつもりでございます。  それからもう一つの、前に仰せになりました黄変米につきましては、実は黄変米の原因でございまする菌が各種ございまして、タイ国黄変米とか、あるいはイスランデイアとかトクシユカリウムとか、いろいろな菌が黄変の原因になつておるわけでありまして、その中に毒性を有するものもあり、またそうでないものもあるわけでございまして、今まで東京と新潟と大阪の大学にも委託いたしまして試験をいたしましたし、また厚生省におきましても、食糧庁の食糧研究所におきましても、その菌の性質等を試験しておりましたために今日まで遅れたわけでありまして、現在までに判明いたしましたところでは、その菌の性質は、タイ国黄変米とイスランディアということになつておるわけでありまして、トクシユカリウム等の従来の菌よりは、その毒性は少いように聞いておるわけであります。大体の結論が出ましたので、その結論に従いまして、厚生省と連絡をとつて用途別の配分をきめたい、かように思つております。
  45. 井上良二

    ○井上委員 食糧関係はいずれまた次の機会にいたしましてこの際管財局の方に伺いたいのですが、国有財産の一部改正に関連して、先般虎ノ門の小公園の処置について、本委員会でいろいろ政府の所信を伺い、政府から、政府として決定した方針は発表されたそうでありますが、管財局の所管において、特に旧軍用施設等を民間に払下げ、あるいは貸しておる物件が相当あろうと思います。最近ではおよそどれくらいそれらのものがありますか。それから特に伺いたいのは、大阪の枚方陸軍砲兵工廠が最近小松製作所に使われることになつて、仕事が始められておりますが、この枚方工廠はいかなる物件が、いかなる条件で貸されておりますか。
  46. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 旧軍用財産につきましては、土地、建物、機械等いろいろあるわけでありますが、占領継続中からだんだんと処分して参りまして、機械等にありましては、非常に多数のものがすでに貨付、あるいは売払いになつているという状態であります。土地、建物等につきましても、大体処分可能なものは処分ができておるわけでありますが、火薬廠とか、燃料廠、その他非常に大きな施設でまだ残つておるものがございまして、こういうものについては、どういう方途で活用したら最も適当であるかということで、ただいまいろいろ検討いたしておる次第であります。それでお尋ねの枚方の工廠の跡の問題でありますが、そこにあります土地建物、それから機械は全部ではありませんが、機械のうちで必要なものを小松製作所に売り払つてこれを使用させるということで進んでおります。
  47. 井上良二

    ○井上委員 今すぐ具体的な資料をお持合せがないかとも思いますので、この小松製作所にあの広大な枚方工廠跡を売ることに決定したのですか、売つセのですか、まだ売らないのですか、それとも目下は貸しているのですか、それを一ぺん明らかにしてもらいたい。
  48. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 枚方の地区につきましては、売り払うことに大蔵省としては方針が決定しまして、契約内容等も確定いたしております。ただ手続が、まだ現地の財務局と会社との間に済んでないかと思いますが、大体もう済むばかり、あるいは済んだかもしれないという程度の状態になつておりま丸
  49. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、今売払うことに決定したのですか。それまではどうしていたのですか。
  50. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 売払いの約束が成立いたしましたので、その事前の措置といたしまして、立入りすることを認めて、現在まで使用さしております。
  51. 井上良二

    ○井上委員 売払いの決定はいつです。
  52. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまはつきりした時期を、手元に資料がありませんので、記憶しておりませんが、昨年の末だつたか、本年の初めであつたかと覚えております。
  53. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、売払う前に、すでに向うにたくさんの職工が入り、仕事が始められ、準備が進められておりますが、それは単なる設備の調査というようなことで人を入れたのですか、看板をかけ出したのですか。どういうことですそれは一体。ちよつとそこがおかしいぜ、あれだけ大きなものを処分するのに、局長がいつやつたやらはつきり今覚えておりまへんといつたようなこつちや、それはちつとややこしいぜ。ものすごいもんですよ。それを、今よくおわかりでなければ、一体あの敷地総坪は何ぼで、建坪がどれだけあつて、坪何ぼで売り、建物の評価はどれで、機械は、どういうものがどれだけあつて、どうしているということを至急にひとつ資料として提出を願いたい。  なお、これは私どもはよくわかりませんけれども、国有財産の処分に関して、金額がさほど大きなものでない場合は、大して世間もそう問題にしませんけれども、相当大きなものが、まつたく事務的にやみからやみへ取引された結果が、いろいろな非難と不平が起り、問題を起します。だから、こういう大きな物件は、できるだけやつぱり公正に扱う特別な委員会を設けるなり、またはできるだけ国会の方にもその経過を一応報告するなりしてだ、そうして公正にやつて行くという新しい一つの行き方を私はとるべきではないかと思いますが、そういう点に対してどうお考えです、局長は。
  54. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 枚方工廠の使用の関係でありますが、処分の時期等を、あまり不正確なことを申し上げてもいかがかと思いましたので、先ほどのような御返事を申し上げたわけでありますが、枚方工廠を小松製作所に売払うという話につきましては、昨年早くからもう話が進んでおりまして、いろいろとその間の経過がありましたので、最後に形式的に、事務的に本省の決定がされたという日は、明確にその日を記憶しておりませんので、さつきのように申し上げたわけであります。どうも日もわからぬくらいにおろそかにしておつたと、こういうふうに言われますと、ちよつと恐縮に存ずるわけであります。それから契約の話がきまりまして、あの工廠を小松製作所が買つて使うことになりました際には、やはり小松製作所としても、あらかじめその中に立ち入つて、いろいろと調査をいたす必要があろうと思います。機械等は、非常に多数の機械がありまして、これは会社側としても調査しなければなりませんし、私たちの方としましても、正式に売払うということになれば、これを一々調べて特に機械等についてはいろいろむずかしいことになりますが、欠品等もありますし、詳細に現物について調べるような段階があるわけでございます。そういう手続を経るので、ひまもかかりますし、相手方も立ち入らせねばならぬという問題が起つて参るわけであります。それから立ち入らせる次の段階になつて、先ほどちよつと御指摘がありましたように、話が済みましてから、いろいろとそういうことのために、全体の調査が終了して本契約が結べるというときまで、ひまがかかりますので、その間につきましては、一部について、これを動かしてみるということも起るわけであります。さような場合には、もちろんただで会社に使わせるということをいたしているのではありませんで、貸付料を徴収して使用させて行く、売払いの事前の段階として貸付料を徴収して使用させるというようなことをいたしているわけであります。その辺のところは、理由なく会社に国有財産をただ使用させるというような処置はとつておりませんから、さよう御了承願いたいと思います。なおこういう大きな国有財産の処分方につきまして、いろいろ関係方面の意見も聞くようなことを考えたらどうかというようなお話もございまして、まことにごもつともな点もあるように思います。現に今四日市燃料廠等につきまして、これは通産省の方でありますが、そういうような機構が設けられたような例があるわけでございます。正式なものではありませんが、設けられたような例もあるわけでありますが、まあ非常に重要なる施設、問題のあるもの等につきましては、さようなことを考慮するのも、確かに一つの方法であろうというふうには私どもとしても考えております。ただ実際に、具体的に、ああいう大きな日本のいろいろの産業上にも重要な影響があるというような施設を処分いたしますにつきましては、われわれとしても、単に事務的にこれを売却するとか貸付するとか、国有財産としての収入を上げればいいといつたような観点から事務的に処理しているわけではありませんので、やはり関係する各省方面に、それぞれの行政上の立場からの意見を求めまして、そういう意見等も総合勘案した上で、最終的な処置を決定いたしている。かような手続を今でもとつているわけでございますが、その辺のところも、御了承願いたいと思います。
  55. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、売払いを決定するまでに、あの一部を動かすために貸した。もちろん貸付料をとつたというのですが、どれくらいとりましたか。それから売り払つたと言われると、総額でどれくらの金額になつておりますか。それは大よそわかつているでしよう。
  56. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 貸付料の徴収につきましては、貸付料の算定につきまして、基準といいますか、内規というようなものがございまして、大体機械なら機械を貸します場合には、その機械の評価額から換算して、毎年の貸付料をきめるというような方法で算定したものをとつておるわけであります。具体的に今回の場合にどれくらいの機械を貸して、どれくらいの使用料を収入したかということは、ちよつとただいま資料がないのでわかりかねますから、御了承願います。  それから小松製作所に売り払いました土地、建物、家屋は、あそこの枚方地区のうちの——全部ではありません、一部でありますが、その金は、これも正確な数字をちよつと申し上げかねますが、大体十億足らず、九億何千万円といつたような金額でなかつたかと記憶いたしております。
  57. 井上良二

    ○井上委員 今お話を承りますと、局長の方でも、まだ十分具体的に資料をお持ちでないように思いますが、この問題は非常に重要な問題であります。特に予算関係においては、わずか千円、二千円、一万円という、予算も、国会審議をされて承認を得なければ、政府は一銭も使うことはできません。それによつて設営いたしました国の財産が一局の、一つのものの考え方で処分をされるということについては、これは国会としても、国民の血税によつてできたものでありますから、その処分が正当に行われているやいなやということについては、当然われわれはそれに十分な監察を加えて行かなければなりません。そういう必要から、今あなたのお話になりました売渡しを決定する以前において小松製作所に貸し付けました機械の台数、種類、それから評価額による貸付料、土地、建物、そういうものをいかなる条件において貸し付けて、いかなる貸付料を徴収したか、その徴収したときの受取り、それからこれを九億円に大体評価をしたというが、その評価の根拠という詳細なる資料を至急に提出を願いたい。それによつて、私はさらにこの問題について質問いたします。今は質問を保留しておきます。
  58. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私も国有財産の処分の問題これはちよつと小さい問題ですけれども、やはり私の県の方にも、ついせんだつて千七百坪ばかりの地所を、二十五年か六年に坪当り二十円ぐらいで管財局で払い下げている。そして払い下げられた人は、それを坪当り四千円くらいで売つてしまつた。しかもその払い下げられたものは条件がついている。昭和三十四年か五年までは郵便局の局舎に使うという条件でこれは払い下げられた。ところがその人はもうかるから、郵便局の方はやめてそれをよそヘ売つてしまつたというような話を聞いて、たいへん郵便局自体が困つているということを聞いているのですが、そういうふうに、昭和三十四年か五年まではこれを局舎に使わなければいけないのだという条件がついているにかかわらず、そういう条件が無視せられて、高く売られてしまつているということを聞いているのですけれども、こういうことは、もつと厳重にすべきではないかと思うが——三十四年までは郵便局の局舎に使わなければならないものを売つてしまつてる、それを管財局の方で認めているかどうか、その辺をちよつとお伺いいたします。
  59. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 お話の問題、初めて伺うことでありまして、どこの、どのいう場所の、どういう場合の問題であるかちよつとわかりかねるわけでありますが、ただ御質問のように特定の用途に使う、こういうような条件を付して売り払います場合には、その条件に定められた目的外に使用した、転売したというような場合には、これは国の側で契約を解除する、なお解除したについて国が損害をこうむつたような場合には損害も請求する、こういつたような約束といいますか、契約条項も当然入つているわけであります。お話の通りでありますれば、そういうような条項を援用して、国として当然はつきりした措置をすべきものであろう、かように考えております。
  60. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから、これは千葉県の銚子の方に干潟というところがあります。あそこに飛行場がありますが、あそこに郵便局ができている。あそこの郵便局は、やはり三十四年という条件つけて払い下げたものを、ついせんだつて坪三千円か四千円で売られて、局は立ちのかなければならない、こういうような話を聞いているのを、あわせて調べておいてください。
  61. 井上良二

    ○井上委員 さきに質問を保留しておきました国際復興開発銀行の融資の問題ですが、ちよつとお伺いをいたしたい。  さいぜん大蔵当局の方からの御説明によると、四千万ドルの外資の導入は中部電力、九州電力、関西電力、この三つの火力の発電に必要なボイラー、機械等をアメリカのものを買うということらしいですが、私の聞いておりますのは、あなたの方は、電力の全国的な不均衡の上に立つて、たとえば中国、四国、九州というふうに非常に電力料の高いところ、水力電源が十分でないために非常に電力料が高い、この高いところをできるだけ安く引下げるということのために、外資を導入するということならば話がわかる。ところが私ども十分よくわかりませんけれども、全国の九配電の中で、一番電力料金の安いのは中部電力である。この中部電力に一台三十六億も七億もするような機械をすえつけるということは、一体どういうことからそういうことになつたのか、そういうようなものがあるならば、四国においても、四国の電力会社の社長は奈半利川を中心にした電力の開発が絶対必要であり、その開発によつて、非常に電力は安くなるということが国会に訴えられて来ている。現にその電源を、住友の財閥が横取りしようという策動があるとまでいわれている。国内において、そういう大きな資本を動員して開発が可能なりというところがあるのに、そういうところに一向力を入れずに、火力による発電力を増強するというのは、どういうことから来ているのですか。火力でやります場合の結論は、結局は石炭と重油という問題になつて来るが、一体今日石炭と重油を使うことによつてどれだけ電気料金が下るという見通しがありますか、これを明らかにしてもらいたいのです。
  62. 千葉三郎

    千葉委員長 説明員といたしまして、通産省公益事業局火力課長三田村正二郎君が出席中でありますから、発言を許します。三田村説明員。
  63. 三田村正二郎

    ○三田村説明員 私公益事業局の火力課長の三田村でございます。ただいまの御質問に対しまして、私の知つている範囲におきましてお答えいたしたいと思います。  現在のわが国の電力事情から見まして、比較的短時日にでき、建設資金も水力に比べまして安いところの火力発電所が、最近相当落成、あるいは工事中であることは御承知だと思います。ただいまお話にありましたところの九州電力、関西電力、中部電力の三電力会社が、外資導入によつて向うの機械を入れる件につきましては、御承知のようにわが国の電力会社のうちでも、九州、関西、中部と申しますと、相当火力のウエートの重たい地区でございまして、従いまして、火力発電所の建設に対する意欲というものはかなり強いのでございます。御承知のように向うから入れます機械は、現在日本が持つている設備の蒸気の条件よりもいわゆる圧力の高い、蒸気温度の高い設備を入れまして、熱効率の非常によい発電所にするわけでございます。従いまして、むろんその発電コストというものは、既設のものの発電コストに比べますと相当低下するわけでございます。つまり使う石炭の量が少くて、一定のキロワツト・アワーを出すわけでございます。従いまして、話が重複しますけれども、いわゆる水力地点、あるいは火力地点と申しますか、その会社の開発計画からにらみまして、非常に火力のウエートの重い会社、しかも非常に建設の意欲の強かつたところがああいうふうに申し出まして、きまつたようなわけでございます。  それから電気料金の問題につきましても、実は私直接関係しておりませんのですけれども、今度の火力発電設備が完成しますと、既設の火力発電設備よりも、電力単価は決して上らないということは事実でございます。
  64. 井上良二

    ○井上委員 これだけの大きな外資を導入して、しかもその外資が火力発電に主力を注がれるというのですが、日本の電源の開発というものが大きな国策として取上げられて、そのうちの特に水力の電源開発というものに将来日本が主力を注がなければならぬ、石炭というものには一定限度が来ておる、またこれを電源に使うことは非常にコストが高くつく、石炭にかわるに重油、こういうことになれば、外貨ということが、ここに問題になつて来る。そういうことから、少々金はかかるけれども、将来のわが国の動力源としては、水力の方面に主力を注がなければならぬという一定の国策というものがそこにあると私は思うのです。単に地元の電力会社が非常に熱意が高いということだけで——この機械をすえればよけいもうかるだろうから、それはそう言うて来るでしよう。言うて来るでしようけれども、それを一々聞いておつたら、国の大方針は貫かれません。だから、現実にあなた方が長い目で見まして、火力による発電のキロワットに対する施設費と、水力による発電のキロワットに対する施設費というものが一体将来どういうことになつて行くかということについて、もつと検討を加えてもらわぬといかぬのではないか。なるほど現実は、火力の方が手取り早いから、出力の割合にはその施設費というものが安くつくでしよう。しかし長い目で将来を考えれば、どうしても、火力は水力を補う一つの暫定的な施設にすぎないということを、われわれは考えて行かなければならぬと思うのでありますが、あなたはそう考えませんか。あなたは火力の方の仕事をしておつて、何ゆえに地域差の問題を考えないのですか。関東、中部が非常に安くて、四国、九州、中国が非常に高いというあの声は、あなた方にはわかりませんか。かりにそういうことを地元が要求して来ても、それは四国へつくつてやるのがほんとうだ、中国へつくつてやるのがほんとうだ。そういう貴重な外資こそその方面に注ぐべきではないかと思うが、あなたはそういうことをやる仕事をしておるのではないのですか。下から言うて来たら、何でもオーケーと言つてやるのですか。そんなだらしのないことでは国の政治は乱れてしまいますよ。それから上は、もうあなたには答えられぬということになれば、これ以上言うてもしようがないが、私らにはよくはわからないけれども、私はそう思うのです。その点どうですか。
  65. 三田村正二郎

    ○三田村説明員 ただいまの御質問でございますけれども、私は、ただいま申されましたような、下からどうだからどうという考えでは決してないのでございます。非常に長い目で将来を見ますれば、むろん水主火従で行くのが当然でありましよう。むろんそういうふうに行くと私は信じております。ところが、御承知のように、最近の火力発電所の建設状況と申しますか、ただいまのわが国の発電所の建設状況、あるいは今後の重状況をいろいろながめてみますると——水力発電所はむろん重要でございましてこれはやはり第一に取上げて行くべき性質のものでございます、いろいろな関係で、そう簡単に来年、さ来年と大きく出力はふえないのでございます。先ほども申しましたように、火力発電は非常に建設期間も短かいし、しかも最近の日本の火力発電技術はかなり進んでおります。ただいまわが国では、六十気圧級がまず第一線級でございまして、現在一箇所ございますが、ただいま建設中のもので、六十気圧級のものはかなりあります。そこへ持つて来て、今度アメリカから来ますのは約八十八気圧、こういつたような設備が参りまして、この設備によりまして日本の技術をすみやかに上げると同時に、いわゆる発電原価の低減と申しますか、あるいはもう少し大きく考えまして石灰量を極力減らすというねらいでもつてつておりまして、非常にいいんじやないか、こういうふうに考えております。
  66. 井上良二

    ○井上委員 私の一番聞きたいところは、今あなたのおつしやる、そういう能率の上るいい機械をすえつけて、石炭を節約すれば、現実に電力料金は何ぼ下るか。下らなければ、そういうものを使う必要はない。結局それだけコストが安くなるから、下げなければならぬ。下げる見通しを立てておるのかどうか。それがはつきりしなければならぬ。下らぬということになると、会社がもうかるだけだ。会社がもうかる仕事は、国会は困る。その点だけ明らかにしてください。今わからぬならば、相談して来てください。
  67. 内藤友明

    内藤委員 関連して……。私どもはしろうとなんでございますが、四基で幾らほどの電力量が出るのですか。
  68. 三田村正二郎

    ○三田村説明員 九州が七万五千キロワツト、関西が十五万、それから中部が六万六千でございます。
  69. 内藤友明

    内藤委員 それでお尋ねしたいのでございますが、これによつて関西が十五万キロ出るのでございますね。実は北陸方面から関西に電力をたくさんただお送り申し上げて、それによる災害はすべて北陸の人が負つておるのでありますが、こういうことによりまして、北陸から送つておるのが、送らなくてもいいことになるのでございましようね。料金を下げることも下げなければならぬでありましようが、そのほかに、北陸方面から持つてつておるのも、持つて行かないようになるのでございましようね。それをひとつはつきりお聞かせいただきたいと思います。電気はこつちへとつてつて水の害はみんな富山なり石川なり福井なりの者が引受けておるのでありますが、まことに世の中にこれほどふしぎな、ばかなことはないと思うのであります。それがこういうことで救済されるならば、われわれは全力をあげて御賛成申し上げるのであります。それができないと、どうもちよつとおもしろくないのでありますが……。
  70. 三田村正二郎

    ○三田村説明員 ただいまの御質問でございますけれども、電力料金が下るか上るかという問題でございます。いろいろ電力会社の出しておる資料、これは将来できてみないことには——(笑声)私の申し上げますのは、大体熱効率が三十一、二パーセントになると思います。これは蒸気の条件から判断しまして、そういうことになります。現在日本の火力発電所は、最高の熱効率が二五%、これは九州の築上発電所であります。それから見ますと、電力の発電原価というものは、必ず安くなつても高くはならないと私は思います。  それから北陸からの融通の問題でありますけれども、御承知のように関西電力としても、極力自分の方の発電力をふやすべく努力をしておりますので、これらの発電力の落成から見ましても、できるだけ向うからもらう電気は減らすと申しますか、むろんそういうことは十分考えてのことでございます。
  71. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今問題になつております進駐軍の電力量は、どれくらい全体のパーセンテージからいつて使つておるかということを教えてもらいたい。あなたにはわかりませんか。
  72. 三田村正二郎

    ○三田村説明員 実は私はそつちの方の担当ではございませんので、詳しい数字だとか、あるいは値段の内容とか、そういうことについては、はつきり申し上げられません。
  73. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいまの問題は、非常に私は重大だと思うのです。というのは、私どもが考えておる電源の開発、これは大いにやらなければならぬと思いますが、それは水力の開発がおもなんです。そこへ政府保証までして外資を導入してやる、それが火力であるという点は、ただいま説明員の説明によりますと、どうも私どもは納得が行かないのでございます。これはもう少し政府の方においても検討されて納得の行くような説明をしてもらいたい。これはひとつ委員長にお願い申し上げます。それからもう一つ、これに関連して大蔵当局から御説明を承りたいのでありますが、外資を開発銀行から借りて使う中部電力外二社と政府との関係を聞きたいと思います。これはどうなるのでありましようか。
  74. 東条猛猪

    ○東条政府委員 外資の導入につきましては、水力発電の問題に重点を置くべきではないかということは、お説の通りであります。先ほども御説明申し上げましたように、四千万ドルの外資導入のほかに、一億二千万ドル程度の水力発電の導入につきまして、今世界復興開発銀行との間にいろいろと話合いを進めておるのであります。ただ先方とのいろいろな話合いの関係上、さしあたり話が熟しました火力発電の機械の四千万ドルの分につきまして、話のまとまつたものから外資の導入をはかつて参りたいということでありまして、政府といたしまして、決して火力発電を主に考え、水力発電を従に考えておるということではございません。むしろ全体の計画からいたしますれば、先ほど通産省からも御説明がありました通り、われわれは日本の将来の電源開発の計画としては、水力を主にして考えるべきだ。従いましてできますれば、外資導入の問題についても、一億二千万ドルの方が先に具体化すれば十分御趣旨に合つたわけでありますが、何分相手のある問題でありまして、御承知の通り、外資導入は相手との話合いの問題でございますので、火力発電の方が先にまとまる見込みが強くなりましたので、とりあえずこの七月分の暫定予算についても、火力発電の分を認めた、かような状況になつておりますので、この点は御了承いただきたいと思います。  それから政府保証の点でございます。政府保証いたしますのは、御承知のように、日本開発銀行に対する保証でございまして、政府が関西、九州、中部、それらの三電力会社に対する支払い保証をするということではありません。あくまで政府といたしましては、出資の形態、あるいはその性格上政府関係機関と申すべき開発銀行に対しましては、その支払いの保証をいたしまするけれども、民間のこれら電力会社に対しましては、政府保証をするという趣旨ではございません。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると、法律を見ますと、政府開発銀行に対して保証をする際には、予算の定めるところによつて保証をする、こういうふうに書いてあるが、予算ではどういうふうになつておりますか。
  76. 東条猛猪

    ○東条政府委員 それは御承知のように、目下御審議を願つておりまするところの本予算と七月分の暫定予算とにわかれるわけでございますが、本予算におきましては、水力発電の約一億二千万ドルと、火力発電の四千ドルを合せまして、予算総則に金額を入れまして、保証規定を置いてございます。七月分の暫定予算につきましては、差向き成立の見込みが相当強うございますところの火力発電の四千万ドルの分を、予算総則に出しておる、かようなことでございます。
  77. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは開発銀行と借入先の関係は、債権者、債務者というだけの関係というのか、または何か特殊な関係があるのですか。
  78. 東条猛猪

    ○東条政府委員 申し上げるまでもなく、世界復興開発銀行が債権者になりまして、こちらの開発銀行が債務者になる、対外的にはさような法律関係になつております。
  79. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうではなくて、開発銀行と、借入れをする電力会社との関係は、普通の債権債務の関係であるのか、またはほかに特別な関係ができるのですか。
  80. 東条猛猪

    ○東条政府委員 開発銀行と内地の電力会社の間は、やはり米貨建の債権債務関係が発生する、さようなことに相なると予定いたしております。
  81. 福田赳夫

    福田(赳)委員 その普通の債権債務のほかと申しますのは、政府にかわつて何か会社に対して発言力をとるのか、あるいはさような関係が出て来るのか、それをお伺いしたい。
  82. 東条猛猪

    ○東条政府委員 今福田委員のおつしやいましたような、政府にかわつて特別の権利を増すということはございません。
  83. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから世界銀行と開発銀行との間には、この借款契約の条件に書かれることと思うが、これは普通の貸借関係のほかに、何か特別な関係がありますか。
  84. 東条猛猪

    ○東条政府委員 御承知のように、ただいま開発銀行の当事者、それから三電力会社の当事者が、先方で世界復興開発銀行と、大使館と連絡していろいろ相談しております。従いまして借入れの条件その他は、実はこれからの問題でありますが、私どもの感じといたしましては、一般の債権債務のほかに、特段の負担とかいうようなことはなかろう、こう見ております。
  85. 千葉三郎

    千葉委員長 私からちよつと一言、これに関連しない問題ですが、大蔵当局にお尋ね申し上げたい。それは九州地方のこのたびの水害状況なんですが、非常に被害が大きいようですが、その結果金融状態がどうなつておるか、あるいは手形決済、その他相当不円滑になつておるのではないかということも考えられる。これらに対して特別の措置政府はおとりになるつもりか。とるとすればどういうふうにするかということにつきまして、午後の会でもけつこうですが、政府から御説明願いたい。
  86. 愛知揆一

    愛知政府委員 こまかい点につきましては、あとで補足して申し上げる分があるかと思いますが、ちよつと簡単に。大蔵省としてとりあえずとりました措置を申し上げますと、まず災害復旧の予備費の関係でございますが、本日の閣議で、とりあえず遠賀川その他の堤防決壊、その他に対するほんとうの応急措置として六億円の支出をすることに決定したはずであります。それから金融の関係は、手形の決済につきましては、現地側からの希望もいろいろございますので、手形決済の期限を一般的に延長するということになりますと所要の立法がいることになりますが、最近における鳥取市の大火、あるいは大阪の水害等の場合に、たとえば銀行協会の申合せというような事実上のことによりまして延期をした実例もありますので、とりあえず緊急の措置としては、さようなことでやることはいかがかと考えておりますが、なおきよう午前十一時、飛行機で関係各担当の局から課長級の係官を派遣いたしました。三井政策委員をその長にいたしまして、できる限り現地におきましても処置が講ぜるような、応急の手配をいたしたような次第であります。  なお詳細は午後説明することにいたします。
  87. 千葉三郎

    千葉委員長 大分時間も経過いたしましたが、午前中はこの程度にとどめまして午後二時まで休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後二時二十八分開議
  88. 千葉三郎

    千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。井上君。
  89. 井上良二

    ○井上委員 国際復興開発銀行に日本からどれだけ投資をしておりますか。
  90. 東条猛猪

    ○東条政府委員 名目的には、資本金といたしましては、二億五千万ドルを申し込んでおります。
  91. 井上良二

    ○井上委員 二億五千万ドルを日本側から投資しておりますのに、どういうわけでこの法律によつて、これと契約しました資金に対して政府保証をしなければなりませんか。
  92. 東条猛猪

    ○東条政府委員 名目的に二億五千万ドルを申し込んでおりますが、そのうち実際のドル払込みに必要なものは、これの二%見当になつております。それから前会にもこの点に触れて申し上げたかと思うのでありますが、国際復興開発銀行は、各国あるいは関係者と話合いが済みまして、現実の借入れ契約、貸借契約が行われる場合におきましては、各国とも一定率の保証を要求するというのが通常の事例になつております。今回の場合におきましても、まだ現実の借入れ契約の具体的条件まで定まつたわけではございませんので、できることでございますれば、政府保証は避けたいと存じますが、各国のおよその例を見ましても、政府保証を要求することが通常の事例になつておりますので、そういう場合に備えまして、法律規定をつくりまして御審議をいただいておるわけであります。
  93. 井上良二

    ○井上委員 二億五千万ドルを投資するということになりまして、その二%というと、今度の借入金に匹敵する金額になると大体想定をしていいですか。
  94. 東条猛猪

    ○東条政府委員 あるいは誤解があると申訳ないのでありますが、大体二%は五百万ドル見当に当るわけであります。今回交渉しておりますのは、けさほども申し上げましたように、一億二千万ドルの水力の分と、約四千万ドルの火力の分でございまして、差向き交渉の経緯から見まして実現の可能性のきわめて濃いのが右の火力の四千万ドル、かようなことに相なつておるわけであります。
  95. 井上良二

    ○井上委員 次に通産省の政府当局からお答えを願いたいのですが、午前中にもちよつと伺つたのですが、今電力関係で、常に電力の危機が一番高まつております地域は、どこでございますか。
  96. 中島征帆

    ○中島政府委員 これは時期により、そのときの気候によつて違いますが、一番今問題を起しますのは関西、中部、関東でございます。
  97. 井上良二

    ○井上委員 私ども電力の方の専門家ではないですから、よくわかりませんけれども、通常常識的に、常に電力の一番危機の地帯は中国、四国、九州である、この地帯が、水力の電源においても非常に開発が遅れておるし、そのほかの関係もあつて、電力分断後における電力料金というものもこの地帯は他の地方に比べて非常に高い。何かこの地域差を早くなくさなければならぬ。こういうことがいわれておりますが、この地域差をなくすということからしてこの地帯の電源の開発、または水力電源の開発に伴う火力電源の造成といいますか、そういうことについて積極的な対策を立てておりますか。
  98. 中島征帆

    ○中島政府委員 中国、四国、九州は御承知の通り火力地帯でありましてそういう意味で経営が比較的むずかしいという点はございます。ただ火力地帯でありますがゆえに、かつまた石炭の生産地帯に近いために、いわゆる危機というものは、先ほど申し上げました関西、中部、関東に比べまして、見舞われ方が割合に少いという状況にあることであります。それからそういうような火力地帯でありますために、九分割で自主性をとるという方針に基きますと、どうしてもこの地帯の電力料金は他地区に比べて高くなつております。将来これを九分割のままで全国一本化するような形にできるかどうかということにつきましては、相当問題もございますけれども、できるだけこれは電力原価を引下げて、他地区に比べて高いものを使わないというふうに持つて行くのが当然の政策でございますが、実際の地形、気候その他の関係からいいまして、この三地区に今の火力にかわるほどの大きな水力を開発するということは、簡単に参らないわけでございます。ただ四国だけには相当大きな水力電源がございますので、中国、四国、九州を一環といたします水力の総合開発という計画を立てるべきだということで、これは電源開発会社で調査に着手いたしております。また予備調査といたしましては、すでに三地区の通産局におきまして、連絡をとりながらやつております。かりにこの構想が実現いたしますと、主として四国の豊富な電源を開発いたしまして、これを中国ないし九州の方面に送つて、この地帯をできるだけ火力から解放することができると思いますが、これも程度がございまして、やはりある程度この三地帯は将来にわたつても火力地帯としての性質を持つて行くだろう、こういうふうに考えるのであります。
  99. 井上良二

    ○井上委員 そういうふうに、当局の方でもこの地帯の電源の総合的開発ということを考えられておるが、その総合的開発の具体化までには相当ここに時間的な余裕があるわけです。そうなりますと、その水力の電源開発が実現をいたしますまでの暫定的といいますか、またこの地方の電源を確保するという上から、火力の発電力を拡充して行くということが考えられると思います。そういう同じ日本に住んでおりながら、その地域差によつて、一方では非常に高い電気を使わなければならぬ、一方では非常に安い電気を使うというようなことから、われわれは勇の国家管理を主張しているものでございますけれども、現実にわれわれがその事態を考え、その地方の不平不満をなくする場合に、この地帯における電源の充実ということが必要である。しかるに今度貴重な外資の導入を仰ぎましてやろうとする第一着手の仕事が、火力電源の増設だということになつております。このことは、今申した地域に、ただ一つ九州に一基が増設されるだけである。そういう点を考えた場合、単にその会社が非常はやかましく要求して来るからということだけで、現実に非常に低廉な電力が他の地方に比べて供給されている地帯に、さらによけい投資をされるということは、ちよつとわれわれには考えられない。もしあなた方がその仕事の責任者であるといたしますれば、そういう地域差をできるだけなくして行くことにまず努力されることが必要ではないか、またこの外資も、そういう方面にまず使つて行くことが必要ではないかと思いますが、そうお考えになりませんか。
  100. 中島征帆

    ○中島政府委員 今の三地区の中で、中国と四国には現在の計画に入つておりませんが、四国につきましては、現在でもかなり水力の開発計画が進んでおります。さらに特に火力を四国について大規模に増強する必要はなさそうであります。それから中国に関しましては、当初あそこの宇部炭を使つて火力設備をつくるという計画もありましたが、あの低品位炭を使つて火力設備を増強するということがはたして有利であるかどうかという点に問題が起きて そのままになつております。将来の問題といたしましては、火力は、かりに今度の輸入機械でありましても、いかなる優秀な設備でありましても、やはり水力に比べるとコストは高くなりますので、できれば水力の開発を優先すべきであるという考えを持つているわけであります。従つて今度の外資誘致の問題につきましても、火力は別途三社から出ておりましたが、政府としては、まず開発会社を中心とした水力開発資金の要請を世界銀行に出しておつたような状態であります。たまたま火力の方が、従来予定しておりました輸出入銀行から、世界銀行の方に肩がわりされつつあるような事情で、今までのところは、先に世界銀行としてきまりそうだという経緯でありますが、政府の気持としては、水力の方もできるだけ早く外資を導入して開発したい。こういうふうに考えております。
  101. 井上良二

    ○井上委員 そこが一番問題であろうと思うのであります。われわれの考え方もそうでありますが、また現在の政府の方においても、国をあげての電源開発の方向は、九州が火力で、水力は中国、四国の方に開発してくれ、こういうことであります。しかも外資の導入は、今お話がありましたように、全額を国が保証をしなければならぬということことになつておる。国が保証するという建前にさせられます以上は、当然その設置場所の実際について、あなた方がここは困る、ここはやるべきだというようなことが言えるはずであります。もしあなた方の言うことを聞かなければ、保証を打切ればよいのだ。保証しないということになれば、外資の導入は現実に成り立たない。だから火力増強かどの地域に最も必要であるかということから検討されるのと、一方には、やはり有利な条件を求めるということで、その有利な条件を国の財力でカバーして行くという方向に持つて行くべきだ。そういう意味で、あなた方の方で、もう少しこの電力問題については強い発言をすれば、相当国の意図しておる方向に電力の構成なり配分というものが具体化して行くのではないかと私どもは考えております。そういう点についてもつと積極的でなければならないのではないかと思います。  その次に伺いたいのは、午前中も聞いたのでありますけれども、この大きな資金を入れて、新しい火力発電を四箇所に増設いたしまして、現実にどれだけ電気料金が下るか。問題はそこにあろうと思う。単に渇水期の電力を補給するのだというだけでは、国民は納得しないと思う。だから、これだけの大きな資金を入れて、これだけの発電をすれば、これだけ電力料金が全体として下る。これだけ関係区域の電力会社の電力料金が下るということが、具体的に現わされなければならないと思う。それがあなたの方ではどうなつておるのですか。
  102. 中島征帆

    ○中島政府委員 この新鋭火力を導入いたしまして火力発電をいたしますと、当然ここに発電原価が下ります。下りますが、電力料金は元来原価主義をとつておりますので、下つた場合は当然料金も下りますから、下つたために会社だけが利得するという結果にはならないのであります。それではどの程度下るかということになりますと、この設備だけを考えます場合こま、おそらく彗在の火大発露のコストに比べて、二、三割は安くつくと思います。しかしたとえば九州電力でありますとか、関西電力でありますとか、中部電力とか、電力会社全体として考えます場合には、電力料金のベースになります電力料というものは、既設の水力発電、既設の火力、さらに今後新設される水力、それから今度の新鋭火力というものを全部合せました原価を計算いたします。従つてその中に占める今度の火力設備の原価の率というものは、割合に小さくなるかと思います。それから全体として下るか上るかという点につきましては、その設備だけ比べますと、現在の設備に比べて有利であるとは申し上げられますけれども、将来の地区別の会社全体としての料金の問題を考えます場合には、当然に目下建設中であります新しい水力発電の設備というものは、相当多く建設費を要しておりますので、全体的に電力料金がある程度値上りするということはやむを得ないのでありまして、その場合におきまして、日本の比較的能率の悪い設備を使うよりも、新しい火力設備を使つた方が、火力の発電費の面での値上りをそれだけ阻止することができろ。この程度にとどまるだけでありまして、積極的にこれを入れたために現在の料金が値下りするというだけのところまでは、行き得ないと思います。
  103. 井上良二

    ○井上委員 どうも私ども、経済的な採算の根拠についての説明が非常に理解しにくいのです。たとえば現在の既設水力、火力の発電をもつて一キロワツト何ぼという電力料金を出しているわけでしよう。その上に、たとえば関西電力でいいますと、十五万キロワツトの火力発電がニつかりに完成をするといたします。そうすると、それだけ多く出力をいたしますから、それだけ電力料金が安くならなければならぬとわれわれは考えるのです。そうなりませんか。
  104. 中島征帆

    ○中島政府委員 そこがちよつと違うのでありまして、古い設備はすでに償却もしておりますし、もともとコストが安いわけでありますから、非常に発電費が安いのであります。新しく設備をいたしますと、水力にしても火力にしても、かなり高い原価になるのでありまして、かりに新鋭設備といいましても、新設することによつて、これを全体の原価にぶち込みますと、全体の原価が上るということになるのはやむを得ないのであります。
  105. 井上良二

    ○井上委員 そんなむちやくちやな話はありませんな。大体一つの設備に何ぼの金がかかる、そうすると、これをかりに十箇年なら十箇年で償却する。そうすると、年間何ぼにつくということが予定されて建設される。新しくつくつたから、よけい金がかかつたから電力料金はよけいもらわなければならぬ。そんなことをやられたらたまつたものではない。だからおよそこの償却年限というものはきまつておりますから、そうしたら年度割によつて電力料金ははつきりと現われて来る。だから一定量の需用量がきまつてつて、その上によけい発電をすれば、新しい需用量をふやして行くわけですから、それだけ会社は利益になるわけです、そうなりませんか。またそうならなければこんなものを使う必要はない。
  106. 中島征帆

    ○中島政府委員 現在の設備は、非常に建設費が安いために、割合に安い電力が供給されているということであります。従つて今後新しく建設されるものは、建設費の増高によつて変化ができる。御参考までに申し上げますと、五箇年計画によつて水火力合計で五百四十六万キロの新しい設備をつくるわけでありますが、その完成後におきましては、現在の原価よりも全体として約二割ないし二割五分上るという計算がなされております。
  107. 井上良二

    ○井上委員 私はこの方のことがよくわかりませんから、えらくしつこいようですけれども、たとえば、そういう電力が百万キロワットあるところを大体想定をされておりまして、それをまかなうのにそれだけの発電があつた場合、電力料金はこれだけにつく。しかしそれがいろいろな関係で、石炭が上つたり、あるいは発電資材や設備にものすごいお金がかかるというようなことから、年度割の何が高くなつているという話なら話がわかるのです。ところがその一定量の需用に対して、一定量以上の設備をいたしますならば、当然新しい需用がそれだけふえて来ますから、そうしたら会社全体の経理は、それだけゆたかにならなければならぬと思うのです。それがゆたかにならぬという理由はどこにあるのですか。
  108. 中島征帆

    ○中島政府委員 現在の設備だけで原価計算をいたしますと、現実の料金が出て来るわけでありますが、今後つくる設備は、水力設備につきましても、非常に建設費が高いわけであります。たとえば水力だけ考えますが、火力の場合には、石炭の問題もありますけれども、建設費が大体電力料金を左右する結果になるのでありまして、その建設費が過去のものよりは将来は上るということになりますと、当然新規設備によつて発電する場合に、需用がそれに相当するものがふえましても、一単位あたりのコストというものは上ることになるわけであります。
  109. 井上良二

    ○井上委員 現在既設の電力で大よそ需用家をまかなつておつた。しかし需用家が非常に多いし、電力の供給を望むものが多いということでありますから、新設の電力を開発しなければいかぬということで、開発するということに私はなろうと思うのです。だから新しく増設する部分は、非常にコストは高いのであるから、電気料金は下らぬのやというような、そんなりくつは成り立ちませんよ。そんなめちやくちやなこと言うても話にならぬ。現在まかなつているもののほかに、新しくつくつた電力をどこへ持つて行くのか。
  110. 中島征帆

    ○中島政府委員 新しくつくるということは、結局現実の設備では足りないという関係からつくるわけでありまして、従つて現在の設備がフル運転して、さらにまたもう少し稼働力をふやしまして、新しい超過需用に応ずるということができましたならば、当然その分だけは電力料金が安くなるということは言えますけれども、現在ではこれ以上働かせられない。従つて新規の設備によつて新しい需用に応じなければならぬということになるわけです。そうしますと、新規の設備のコストというものが高ければ、それだけ高くなるよりほかはないのであります。
  111. 福田繁芳

    福田(繁)委員 井上委員の質問に関連しまして、中島公益事業局長に一、二点伺いたいと思います。ただいまの井上委員の問題の電気のコストのことですが、これはもう少し慎重に次会まで御研究を願いたいと思うのであります。私たちが聞くところによりますと、なるほど水力でも火力でも、相当な設備資金が新しくかかつて来るのでありますけれども、それに関連して大量生産ができるわけだから、勢い一割なり二割というものは安くできるのではないかということを専門家に聞いているわけであります。これを私たちがしつこく言うのは、ほかでもないのですが、本委員会に付託されております塩田事業の法案に非常に密接な関係がある。というのは、塩は御承知のように、最近真空式から流下式になり、流下式から加圧式になる。その加圧式になることをわれわれは望んでいるわけです。さればといつてこの加圧式は非常に電力を食うわけです。今日のような原価でもとうていコストが高くて困るわけです。相当電力料が安くなればこそ、加圧式の塩の増産に期待をかけられるわけです。そんなわけで、今度の電源開発ということに対しても非常に大きな興味と期待を持つているわけでありまして勢い本案に基いての火力、あるいは水力等の電源開発について正確にこの程度下るものだという資料を次会までにいただきたい。なおまたあなたの局においてもう少し綿密に御調査を願つて、資料をいただきたいと思うのです。  それともう一つ伺いたいのは、先ほどあなたのお話を聞いておりますと、日本の中で中国、四国、九州といつた方面が一番電力が不足であつて、同時にコストが高い。そこで中国と九州は今言つたように今度二基ほどすえるわけだが、四国の場合は、水力に相当計画があるので、その必要はないとおつしやつた。おそらく四国で水力の計画といえば、吉野川の開発とか、あるいは高知の奈半利川の開発だろうと私は思うのです。そこで問題はこの奈半利川の開発に対しては、あなた方も御承知のように、地元の電力会社と住友との間で非常に大きな争奪戦が起つている。これを一体どうすればよいのかということが四国四県の電力消費者の大きな問題になつているわけであります。そこできようばいい機会でございますから、一番公平にお扱いになされるところの公益事業局長として、この奈半利川の電源開発は電力会社にやらせる方がよいのか、それとも住友の要望に従つて、住友にやらせるのがいいかということを、忌憚ないところを一応御参考に伺つておきたい。
  112. 中島征帆

    ○中島政府委員 初めの料金に関する資料でございますが、これはいずれ調製いたしますけれども、ただ私お断りいたしておきますが、この問題は非常にむずかしい計算になりますので、一応私は手元には持つておりますけれども、あまり正確な数字はとうていつくり得ませんから、そういう程度で御了承願いたい。  それから四国の開発の問題でありますが、特に奈半利の問題につきましては、なるほど意見があるようでございますが、これはさしあたり最近の電源開発審議会におきまして電源開発会社で調査するということに決定いたしました。従つて今後開発方式につきまして、今両者から本流案、分流案が出ておりますが、それぞれ調査いたしまして、どういうふうな案が技術的に最も適当であるかというそこまでの調査をいたさせます。その上で、どこに企業体としてはやらせる方がいいかという判断をするわけでありますが、現在においては、従つてどちらがいいということは申し上げられないのでありまして結局その時期までに、先ほど申し上げたような四国、中国、九州を全体一環として電力計画というものを考えて、その開発計画自体がどのようなものであつたらいいかということをきめざるを得ないと思います。
  113. 福田繁芳

    福田(繁)委員 いずれ奈半利川の問題に対しては、次会に詳細にもう少し御質疑いたしたいと思いますが、願わくは四国四県の市民の声を御尊重願いまして、そして最近巷間伝えられておりますようなとかくの話題を今後残さないように、電力増産のために、地元民のために、消費者のためにという点におきまして、あなたの局においては御公正に御判断と御研究をされんことを私は切に希望しておきます。
  114. 春日一幸

    ○春日委員 井上さんから御質問になつたかもしれませんが、なつていれば御答弁はいりませんが、実はいろいろ話されております通り、電力の発電コストは、安い水力発電を対象とする外資導入を得るならば、日本の資材なり労働力なりが非常に活用できるわけであり、しかも豊富に低廉な電力がこれによつて起し得るわけです。ところが今回水力発電に対する外資導入の申請に先んじて、特に火力発電が許されたというその経緯について、御説明を願いたい。
  115. 中島征帆

    ○中島政府委員 外資の導入につきましては、先ほど申し上げましたが、水力発電のものと火力発電のものと両方要請しておつたわけであります。水力については、開発会社の計画を中心にいたしまして世界銀行に話を進めております。それから火力につきましては、もともと九州電力、関西電力、中部電力がそれぞれアメリカの電気会社に話をいたしまして、その線で輸出入銀行から借りるというような話で出て来たわけであります。ところが途中におきまして、輸出入銀行の機能に対して、アメリカ国内で多少修正が加えられまして、結局火力発電に対する融資も世界銀行が取扱うということになつて、世界銀行に移されたわけです。ところが前から申し出ておりました水力の開発資金に対しましては、世界銀行の才の調査が十分また進展いたしておりませんので、しかも金額も相当厖大でありますので慎重に向うでは検討しているようでありますが、たまたま火力の点につきましては、話が早かつたのと、ある程度輸出入銀行におきまして固めて来たという関係から、火力の方につきましてまず早目にきめようという計画になりまして、現在におきましては、まず火力の方の融資が世界銀行から出されそうな形勢にございます。水力につきましては、引続きこちら側からの要請によりまして今後火力の決定後にいずれ決定するのではないかというように考えております。
  116. 春日一幸

    ○春日委員 電源を開発するためには、火力といい、水力といい、両方並行的にそれぞれ処置が講じられなければならないと考えますけれども、水力に対するものは、なお相当時間がかかるようなお話でございます。そうだといたしますならば、二者択一ということになれば、これは当然コストが安くつくであろうところの水力に重点を置いて政府が交渉すべきであろうと思う。これは火力ならそれだけの機械をもらつて来て、それで決済が済んでしまいます。ところが水力ならば、同一の金額をもつて、しかも多岐にわたるところの経済効果があり、それに要するところの電力量が、材料が、あるいはまた労働力がこちらは豊富である、こういうような観点から物事を判断しますとき、当然水力発電に対する外資導入が優先的に政府交渉を通して取上げらるべきものである。特に火力発電に重点を置かれて、この問題が切り離されて妥結を得たということは、いわば石炭業者たちが自分の石炭を消化せしめることのために、政府とのやみ結託によつてこういうことが行われた嫌疑が非常に濃厚であります。従いまして私が問題として指摘したいことは、同一金額ならば、当然常識的に見て水力発電の用途、目的に充てるための外資が導入されるべきであるにかかわらず、品物をそのまま持つて来て日本の労働力がそれに対して何ら役立たない、そういうような火力発電に重点を置かれたということは、私は非常に遺憾に思います。従いまして、この点についてはいずれ本会議等でもわれわれは言及する場合があるでありましようが、とにもかくにも、これに続くところの水力発電に対する外資導入についても、すみやかに問題が解決できるような措置を講じられたいと思う。それから今伺いますと、これは関西電力、中部電力、中国電力等がアメリカに対して直接交渉をしておつた。そしてこれがこういうような結果に立ち至つたという話でありますが、もしそうであるならば、先般データーによつて示されたものによると、本日まで金額は少いけれども、相当の外資導入が行われており、しかもこれに対しては国家保証が行われていないと思います。ところが今回のこの外資に対してのみ特別に国家の保証をしなければならなくなつ理由等についても、もう一ぺん御説明願いたいと思います。
  117. 中島征帆

    ○中島政府委員 お説のように、水力と火力と両方とも融資ができて、しかもそのいずれをとるかという場合には、これは当然水力を選択すべきだと思います。ただたまたまこの場合におきましては、水力をこちらでは優先するのだということを言つておりますと、火力につきましての融資が行われず、さらにまた水力ははたして確実にもらえるかどうかということにつきましても、十分の見通しが得られませんので、まず火力について外資を導入いたしまして水力につきましては今後交渉する、こういう態度をとつております。  それからもう一つ申し上げたいことは、今度の火力の設備というものは、非常に画期的な設備でありまして、現在日本でつくつております一番優秀な設備をさらに相当程度かけ離した能率のいい設備であります。従つてこれを入れるということは、単に電力会社が優秀な設備を持つというだけでなく、この技術を見習つて、将来日本の電気機器のメーカーが現在よりさらに優秀な設備をつくる技術を体得できるというような意味を持つておるのでありまして、さような意味におきまして、水力に比べましても決して劣らないだけの効果があるわけであります。
  118. 春日一幸

    ○春日委員 両方申請して、火力の方ならば向うが先に応諾するが、水力ならば応諾できない、こういうことは、アメリカの製造業者たちのその品物を売りたいという考え方と、それから日本の炭鉱業者たちが、三十万キロの火力発電の設備ができると、自分たちの石炭がそれだけ消化できる、こういう二つの利害に結ばれたものであろうと思います。しかもアメリカの商人の利益と日本の炭鉱業者たちに利益を与えることのために、われわれがこの百何十億の彼らの負債の保証人になるということは、相当の理由がなければならぬ。問題は、電源開発のために外資を導入するならば、向うがそういう機械を売りたかろうが、売りたくなかろうが、われわれは、とりあえず水力発電に充てるために金を貸してくれ、これが借りられてからあとで火力発電の問題も並行的に処理して行くんだ、こういう毅然たる態度によつて、われわれが金を借りる場合においても、保証人になる場合においても、当然筋を通した取扱いがなされなければならぬと思う。向うが火力なら貸してやるからと言つたら、それじやそれでよろしいということで、便宜に、安易にそういう処置をするということは、国民が百億の負債を負うという意味合いにおいて、われわれとしてはそのまま納得できないと思います。同時に申請しておるものを、片方は許可して片方は応諾していないというこの現実、しかも伺うところによると、一億二千万ドルの申請が行われておるということであるが、これはその都度国会の承認を得なければなりません。そうすれば、このことは相当先にずれて行く。あるいは次の国会か、来年になるか、弥勒菩薩の出世を待つかということで、何年先になるかわからない。そういうような仮定の上に立つて、われわれはこの問題を切り離して承認を与えるということについては、慎重にもう一ぺん検討を加えなければならぬと思います。これらの問題について、もう少し国民を納得せしめるに足るだけの御答弁を願いたいと思います。
  119. 中島征帆

    ○中島政府委員 火力の設備につきましては、先ほどから申し上げますように、今度の設備は優秀な設備でありまして、日本といたしましては、日本の電気機器の製造技術の向上のためにも入れたいという強い希望を持つておるものであります。それから水力を優先することはあたりまえでありますけれども、ただ遺憾ながら、日本の電力事情といたしましては、水力だけではピークをとり得ませんので、どうしても水力の補給用といたしましてある程度の火力は必要なのであります。そういたしますと、そういう必要な火力設備で発電されます電気のコストをできるだけ安くすることが必要なのでありますが、そのためには、やはり優秀な設備を入れ、さらにこれにならつて今後優秀な設備を国内でつくりまして、古い能率の悪い機械に置きかえることが必要なのであります。そういう意味におきましても、こういうふうな高能率の設備を入れることは、将来電力料金の値上りを防止する意味におきましても、非常に役に立つと信じております。
  120. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 外資導入につきましては、相当重大でありますから、大蔵大臣からいろいろと説明も聞き、この電力問題についても伺うべきでありますけれども、この法案は急がれておる点もありますし、それから関西の電力事情が非常に悪いということと、この設備が非常に優秀で、将来の日本のこういう火力電力の問題についてのいろいろな資料になるということを考えますので、非常に急がれておる法案である立場上、不十分な点はありますけれども、われわれはこれくらいのところで一応話を打切ろう。同時に委員会の希望の条件があるそうでありますから、その希望条件を付して、われわれは賛成するものであります。
  121. 井上良二

    ○井上委員 この際私は、本案に対しまして、附帯決議を付して議決せられんことを提議いたします。
  122. 千葉三郎

    千葉委員長 只今井上委員より、本案に対しまして、附帯決議を附するの動議が提出されましたので、提出者よりその趣旨弁明を求めることといたします。
  123. 井上良二

    ○井上委員 まず案文を明読いたします。     附帯決議  一、今後の外資導入による電源の開発は、水力に主力を注ぐべきである。  二、電源の開発に伴つて政府は、電気料金の引下げに努力すること。  以上であります。  なお、附帯決議の趣旨を簡単に説明いたします。  外資をもつてわが国産業開発する、その産業の動力であります電源の開発ということは、これは国をあげての大きな要望であろうと思います。ところが現実、いろいろ理由はあるにしましても、水力の電源の開発があとまわしになつて、火力施設の拡充になつておるわけであります。そこで、今後外資を導入いたしまして電源の開発をいたします場合は、水力の電源の開発に絶対的な努力を払うように政府は各段の努力をしてもらいたいし、同時にまた関係の各電力会社も、さような考え方に立つて、この国策を遂行することに協力を願うように、政府の指導を要求いたしたいと思います。  次に、多額の開発資金を打込みながら、電力料金が依然として下らず、逆にこれを値上げするような意図が電力会社間において最近起りつつあるということをわれわれは伺うのでありまして、今日わが国の自立経済の上から、貿易の振興が唱えられておるときに、そのコストの引下げが大きな問題になつておりますときに、公共企業体の料金、運賃等を値上げするということは、日本全体の物価をつり上げることになつて国の方向とはまつたく逆な結果を生んでおります関係から、この際政府は、新しい電源の開発が完成をいたしますのを機会に、電力料金の引下げに対して一段の努力を尽すように、私は附帯条件をつけたいと思います。
  124. 坊秀男

    ○坊委員 ただいま議題となつております国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案につきましては、質疑も大体尽されたと思われますので、この際質疑を打切り、討論を省略してただちに採決に入られんことを望みます。
  125. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの坊秀男君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようですから、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  127. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に、ただいま社会党井上委員より提議されました本案に関する附帯決議について採決いたします。  本附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  128. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十三分散会