○愛知
政府委員 ただいま議題となりました
造幣局特別会計法の一部を改正する
法律案について、
提出の
理由を御
説明申し上げます。
造幣局特別会計におきましては、補助貨幣回収準備
資金を置き、
政府が補助貨幣を発行した場合においては、その価額に相当する金額を回収準備
資金に編入し、も
つて補助貨幣の回収準備に充てて来たのであります。しかして補助貨幣の製造に要する経費並びにこの会計の固定資産の拡張及び
改良に要する費用については、
一般会計から繰入れを行
つて来たのでありますが、補助貨幣回収準備
資金の状況及び
一般会計の
財源の必要から見て、これらの
一般会計からの繰入れをとりやめ、これを回収準備
資金からまかなうこととするものであります。なお、右の改正に伴い、従来
一般会計に
納付することとな
つておりました同会計の決算上の利益金については、これを回収準備
資金に編入することに改めようとするものであります。
以上の措置は、
昭和二十八年度から適用することといたしたいと思います。
以上がこの
法律案を
提出いたしました
理由であります。
第二は、
昭和二十八年度における
国債整理基金に充てるべき
資金の繰入の
特例に関する
法律案でございます。
国債の元金償還につきましては、従来
国債整理基金特別会計法等の
規定によりまして、前年度首の国債総額の万分の百十六の三分の一を
一般会計または特別会計から
国債整理基金特別会計に繰入れるほか、財政法第六条の
規定によりまして、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を繰入れることとな
つておりますが、最近における国の財政状況並びに国債の償還状況からいたしまして、
昭和二十八年度におきましては、
一般会計からの繰入れは、財政法の
規定による繰入れのみにとどめることとしようとするものであります。
また日本国有鉄道及び日本電信電話
公社が旧特別会計当時負担していた公債及び借入金は、
公社発足の際、
一般会計の負担に帰属し、
公社は同額の
債務を
政府に対し負担することにな
つたのでありますが、
公社がその
債務の元金及び利子を
政府に支払う場合においては、これを
国債整理基金特別会計に直接
納付することとしようとするものであります。
第三は、
証券投資信託法の一部を改正する
法律案でございます。
証券投資信託につきましては、一昨年実施以来、相当の好成績を収めて来ておりますが、その間の実施状況にかんがみまして、今後一段と公益及び投資者の保護のため積極的な措置を講ずることが必要であると存ぜられますので、証券投資信託の委託会社の監督を強化する等のため、さきに
証券投資信託法の一部を改正する
法律案を第十五国会に
提出しましたが、審議未了となりましたので、今回若干の調整を加えてあらためて
提出した次第であります。
その内容について申し上げますと、まず委託会社の免許制を採用したことであります。従来の登録制度におきましては、実質的に委託者として適格かどうかを
審査し得ないうらみがありますので、免許制度を採用し、真に委託考として適格と
考えられるものに限り、免許をすることとしたのであります。なお現在登録済みの委託会社につきましては、いずれも委託会社として適格と
考えられますので、免許を受けたものとみなすことにしております。
また委託会社の免許制度を採用しましたことに伴い、委託会社の監督を
整備強化し、委託会社の取締役が、他の会社の常務に従事し、または事業を営もうとする場合には、大蔵大臣の承認を受けなければならないものとするほか、委託会社の業務の
廃止等は、大蔵大臣の認可を受けなければならないこととしたのであります。委託会社が信託財産に重大な損失を生ぜしめた場合等におきましては、大蔵大臣は、新たな信託契約の締結または元本の追加信託をしてはならない旨を命じ、または免許の取消しをすることができることとしております。
なお委託会社または受託会社が免許を取消された場合に、既存の信託契約をただちに解約することが受益者に不利となるときは、当該信託契約に関する業務を他の委託会社等に引継ぐことを命じ、または当該委託会社が暫定的に当該信託契約を存続することを承認することができることとしたのであります。
次に、委託会社は、信託財産として有する金銭をコール・ローンにさしずし得るものとして、有価証券のさしかえ等の間における金銭の運用
方法の拡大をはか
つております。
第四は、
食糧管理特別会計法の一部を改正する
法律案でございます。
現在小学校における児童への給食の用に供する麦等は、食糧管理法の一部を改正する
法律附則第二項の
規定により、農林大臣の定める特別の価格をも
つて売り渡すこととな
つておりますが、これによ
つて食糧管理特別会計に生ずる損失を補填するため、予算の定める範囲内において、当分の間、
一般会計から同特別会計に繰入金をすることができることとする必要があるので、この
法律案を
提出いたした次第であります。
なお
昭和二十八年度におきましては、前述の繰入金として十五億六千六百余万円を予定いたしております。
第五は、
国民金融公庫法の一部を改正する
法律案でございます。
国民金融公庫は、
昭和二十四年六月資本金十三億円をも
つて発足して以来、国民大衆の旺盛な
資金需要に応じて、その後数次にわた
つて増資を行うとともに、
資金運用部
資金の導入に努め、
昭和二十七年度末においては、資本金百三十億円、
資金運用部借入金六十億円の
資金量を保有するに至り、貸付額累計も約三百七十億円に達したのでありますが、
昭和二十八年度におきましても、公庫に対する
資金需要は相当多額に上ることが予想されますので、
昭和二十八年度予算において
一般会計から四十五億円を公庫に出資することとし、これに伴
つて公庫法の資本金の
規定を改正することにいたしたのであります。これにより
昭和二十八年度においては、出
資金四十五億円及び
資金運用部借入金三十五億円計八十億円の
新規資金のほか、既往貸付金の回収金等百七十九億円を加えて、二百五十九億円の
資金のうち、約十一億円を
資金運用部に返済して、なお約二百四十八億円の貸付が可能となるわけであります。
公庫の
資金量の増大に伴い、公庫の業務を一層円滑に行う必要がありますので、さらに次の諸点について公庫法の改正を行うことといたしたのであります。すなわち事務所の設置に関する制限
規定を削除するとともに、公庫の役職員の身分につきましては、さきに国家公務員法の適用から除外したのでありますが、今回さらにその退職手当につきましても、国家公務員の例によらないこととするとともに、国家公務員共済組合法の適用を除外し、所要の
規定を設けることにいたしたのであります。
第六は、
閉鎖機関令の一部を改正する
法律案でございます。
閉鎖機関今に基く閉鎖機関の特殊清算につきましては、
昭和二十年九月以来、鋭意その処理を進めて参りまして、戦時中外地で活動していた特殊会社、外地
関係の会社、金融機関及び
国内における各種の戦時統制機関など、当初総数千八十八に上る閉鎖機関のうち、現在までに約八百五十機関が特殊清算の結了を見るに至りました。先般、特に民法及び商法等いわゆる
一般法に基いて清算を行うのが適当と認められる機関につきまして、その指定を解除する措置を講じ、も
つて閉鎖機関の
整理の促進をはか
つたのでありますが、今回さらにその最終的な処理体制を整えるため、在外活動閉鎖機関につきまして、従来禁止されておりました社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖機関の指定を解除し、また株式会社である閉鎖機関については、会社の継続または新会社の設立の道を開くことを目的として、この
法律案を
提出いたした次第であります。
次にこの
法律案のおもな内容につきまして、その概要を御
説明申し上げます。
まず第一に、戦時中主として外地で活動していた閉鎖機関は、現行法上、社債の弁済及び残余財産の処分が禁止され、在外
債務の弁済のため、
国内債務を弁済した残余の財産は、全額これを留保せしめることとな
つているのでありますが、これを改正いたしまして、在外
債務の総額が在外資産の総額を越える額及び将来におきまして在外
債務の弁済を必要とする機関等にありましては、政令で別に定める金額との合計額を留保せしめて、社債の弁済及び残余財産の処分をなし得ることといたしました。またこれらの機関につきまして、閉鎖機関の指定の解除もできることとし、この場合におきまして、指定を解除された閉鎖機関が外国法人である場合には、清算事務を執行する機関を欠くことになりますので、裁判所に清算人の選任を求めることとし、また指定解除機関が外国に本店を持
つていた日本法人である場合には、法令や定款の
規定を排除して、
国内において株主総会を招集し、清算人を選任して、民法及び商法による通常の清算手続に移ることができるようにしたのであります。
第二に、株式会社である閉鎖機関が指定を解除された場合におきましては、現行法では、民法及び商法の
規定によりまして清算を結了するほかなか
つたのでありますが、これを改正いたしまして、株主総会の決議によりまして、会社を復活させることもできることといたしました。
第三に、閉鎖機関の
国内残存財産をも
つて新会社を設立する道を開くことといたしました。すなわち、閉鎖機関の株主が新会社の設立を希望する場合におきましては、特殊清算人にその申立てをなし、特殊清算人は、その申立ての趣旨に従いまして、新会社の設立
計画案を作成し、株主総会に諮りました上、大蔵大臣の認可を受けて新会社を設立することができることといたしたのであります。以上の手続により、閉鎖機関の新会社が成立いたしますと、閉鎖機関の特殊清算は終了することとなるのであります。さらに在外
債務を有している閉鎖機関につきましても、さきに述べましたように、在外
債務と在外資産の差額及び政令で定める金額との合計額を留保すれば、新会社を設立することができることといたしたのであります。
以上の改正に伴いまして、商法、私的独占の禁止及び公正取引の
確保に関する
法律、引当財産の管理に関する政令等に所要の調整を加えることといたしたのであります。
第七は、
鉄道債券及び
電信電話債券等に係る
債務の
保証に関する
法律案でございます。
別途御審議を願
つております
昭和二十八年度
政府関係機関予算におきましては、日本国有鉄道及び日本電信電話
公社は、それぞれ
鉄道債券八十五億円及び電信電話債券七十五億円を公募して、その収入をも
つて改良工事その他
施設工事
関係の経費の
財源に充当することが予定せられております。
政府といたしましては、これらの債券の募集を円滑ならしめるため、債券の元金及び利子等の支払いについて
保証をすることが適当であると
考え、これらの債券にかかる
債務の支払いについて、
政府保証の
規定を設けるとともに、これらのものの外貨による長期借入金についても、あわせて
保証する
規定を設けようとするものであります。
最後に、
保険業法等の一部を改正する
法律案であります。
この改正の第一点は、航空保険事業についても、海上保険事業と同じく、私的独占の禁止及び公正取引の
確保に関する
法律並びに事業者
団体法の適用を除外することとしたことであります。
航空保険事業は、海上保険事業と同じく、国際性が強く、かつ、引受け物件の価額か巨額に上ることか多いので、料率協定、再保険プール協定等の共同行為が必要とされるのであります。このような特殊性にかんがみ、海上保険事業と同じく私的独占禁止法等の適用を除外することといたしたのであります。
次に、保険会社については、その決算の完了に特に日数を要する事情にかんがみ、定時総会の場合に限り、その株主名簿を閉鎖することができる期間を、商法の
規定にかかわらず、九十日間といたしました。
その他、保険会社の責任準備金の
計算に関し、必要な事項を命令で定めることとし、あわせて外国損害保険事業者の未経過保険料準備金を責任準備金に改めることとするほか、若干の
規定の
整備をすることといたしました。
以上が八つの
法律案の提案の
理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。