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1953-06-24 第16回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)     午後二時九分開議  出席委員    委員長代理 理事 内藤 友明君    理事 苫米地英俊君 理事 坊  秀男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 井上 良二君    理事 島村 一郎君       宇都宮徳馬君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    福田 繁芳君       本名  武君    木原津與志君       久保田鶴松君    春日 一幸君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         日本専売公社監         理官      今泉 兼寛君  委員外出席者         検     事 安原 美穂君         日本専売公社塩         脳部長     西川 三次君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 六月二十四日  委員和精一君辞任につき、その補欠として保  利茂君が議長の指名で委員に選任された。 六月二十三日  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務保証  に関する法律案内閣提出第九五号)  保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)(予) 同日  揮発油税軽減に関する請願中澤茂一紹介)  (第一四二四号)  同(足鹿覺紹介)(第一四二五号)  同(岡田五郎紹介)(第一四二六号)  同(岸田正記紹介)(第一四二七号)  石油関税減免措置延期に関する請願足鹿覺  君紹介)(第一四二八号)  同(岸田正記紹介)(第一四二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方公共団体負担金納付特例に関する法  律案内閣提出第一一号)  塩業組合法案内閣提出第一二号)  信用金庫法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する  法律案内閣提出第一四号)(参議院送付)  有価証券取引税法案内閣提出第二七号)  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  富裕税法廃止する法律案内閣提出第三三  号)  一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第三四号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三五号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第三六号)  昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会  計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第四三号)  木船再保険特別会計法案内閣提出第五四号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六二号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する  特別措置に関する法律案内閣提出第六五号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七〇号)  昭和二十八年度における国債整理基金に充てる  べき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提  出第七一号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第九四号)  鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務保証  に関する法律案内閣提出第九五号)  国の所有に属する物品の売払代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第一号)  社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予)  国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四五号)(予)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)(予)  金管理法案内閣提出第五五号)(予)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)(予)  保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出  第八五号)(予)  道路整備費財源等に関する臨時措置法案に関  し建設委員会に対する申入れの件     —————————————
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  この際ちよつとお諮りいたします。午前中の建設委員会との連合審査会におきまして、道路整備費財源等に関する臨時措置法案に関し、建設委員会申入れをする旨の発言をいたしたのでありますが、この申入れの件について、理事各位の御協議の結果、その案文を決定いたしましたので、この際これを朗読いたします。    申入   現下の情況に鑑み、我国における道路整備の必要はこれを認め、且つ本法律案提案者の熱意はこれを諒とするも、その財源措置として揮発油税収入額相当額をこれに充当せんとする目的税的制度を創設することは、我国財政制度及税制根本をみだすおそれがあると大蔵委員会は認める。  ただいま朗読いたしました本文を建設委員会に申し入れることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤友明

    内藤委員長代理 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 内藤友明

    内藤委員長代理 次に、前会説明を聴取いたしました二十四法案一括議題といたしまして質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。ただいまお見えになつておりまする政府委員は、渡邊主税局長河野銀行局長有吉特殊金融課長日本専売公社今泉監理官日本専売公社西川塩脳部長の皆様であります。福田繁芳君。
  5. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は上程になつておりまする塩業組合法に関しまして、以下数点お伺いをいたしたいと思うのでありますが、私のこれからお伺いせんとすることに関連しまして、はなはだ失礼でありますが、西川塩脳部長さんは、いつごろ塩脳部長に御就任されましたか伺いたい。
  6. 西川三次

    西川説明員 二十六年の七月就任いたしました。
  7. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それじやわかりましたが、なお失礼でありまするが、昭和二十五年の三月ごろは、西川塩脳部長は何の職についておりましたか、一応伺いたいと思います。
  8. 西川三次

    西川説明員 札幌の国税局長です。
  9. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それなれば、昭和二十五年の三月十七日の閣議におきまして、塩業対策根本を決定せられたことは御承知あられまするかどうか、それをまず伺いたいと思います。
  10. 西川三次

    西川説明員 承知いたしております。
  11. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの御答弁では、御承知されておられると申されましたから、以下数点にわたつて御質問いたしたいと思います。  昭和二十五年三月十七日の閣議におきまして、国内塩業対策に関して四点の決議をいたしておられるはずなんです。第一番が、国内需要食料用塩については、その全量を国内確保するために、さしあたり七十万トンを目標にすること。二番が、製塩設備並びに製塩技術改善により、国内増産生産費軽減をはかること。三番が、経営の合理化をはかるため、健全な企業形態をとらしめること。四番が、右に必要な資金、資材などの確保を講ずること、こうなつておるのであります。爾来三箇年を経過しておりますが、その間において当局においては、この閣議決定であります四項目に従つていかなる対策を講じられておられるか。なおその対策によつていかような成果をあげておられるかということを、一応御説明願いたいと思うのです。同時に、今回提案されておりまするこの塩業組合法案というものが、右の根本対策とどういう関係があられるかということを、一応伺いたいと思います。
  12. 西川三次

    西川説明員 この二十五年三月の閣議決定事項を基礎にして、どういうふうな施策を進めておるかという御質問でございますが、この点につきましては、実はまだ具体的に七十万トン確保対策ができてないわけであります。この理由は、御承知の通り最近三年ばかり台風が続きまして、そのために各地塩田では相当の被害をこうむつたのでありまして、この災害復旧にいわば追われておつたような状態でございまして、そのために七十万トンという生産確保対策まで及ばなかつたというのが実情でございます。それからもう一つは、こういう増産確保対策としましては、現在の塩業実情から見まして、ある程度助成と申しますか、補助的な態勢が必要なわけでありますが、そういうふうな点については、従来のところまだ法的の整備がなかつたわけであります。この点は、昨年の製塩施設法制定によりまして、塩田改善改良を行う場合には、改良補助規定が挿入せられました。それから従来ありました規定としましては、農林漁業資金の融資でありまして、この点は長期低利資金の融通ということになつておりますが、こういう資金面の法的の態勢ができ上つていなかつた。こういうふうな点からいたしまして、かりに七十万トンの確保対策を立てるのにも態勢が整つていなかつたというのが、現状であつたのであります。そこでわれわれといたしましては、いつまでもこういう状態では、このかんじんの国内塩確保がはかれないというので、実は昨年の製塩施設法制定を機といたしまして、少くとも目先七十万トンの国内塩増産対策を具体的に立てなくてはいかぬということを考えまして、目下その計画樹立の前提としてのいろいろ作案をやつておるような状態でございます。大体各地方局から具体的の計画資料を徴しておりますので、この資料を十分検討いたしまして、実行可能な計画考えたいというふうに考えておるわけであります。従来これにつきましてやつて参りましたことは、この製塩施設法制定以降におきまして、二十七年度におきましては、改良補助金としまして四億五千万円という補助金がとれましたので、この点と、それから農林漁業資金におきましては二十六年度が六億、それから二十七年度が約十億というふうな、農林漁業資金確保ができましたために、これを使つてある程度この七十万トンの増産確保対策に充てたような次第であります。それからもう一つは、積極的な増産ということにはならないのでありますが、要するに先ほど申しましたような、両三年の災害が起きましたために、この災害復旧に今申しましたような農林漁業資金を充てる、あるいは補助金を充てる、こういうふうなことをやつて来た次第であります。  それから今回の塩業組合法案とこの七十万トン確保対策との関係でございますが、この塩業組合をつくるに至りました理由は、もうすでに御説明があつたと思うのでありますが、要するに現在塩業者は、零細業者、ことに鹹水をとつておる採鹹業者と、それから実際塩を煮つめておりますところの製塩業者とあるわけでありますが、この採鹹業者というのはきわめて零細業者でありまして、こういつたような人たちは、自力でもつて塩を煮つめるところの煎熬設備を充実するわけには行かないのでありまして、どうしてもその零細業者が集まりまして、ある程度その団体の力によつて尨大なる資金を調達して、それを元にして設備を充実して行くというふうな必要があるのであります。そういう点とか、あるいはその資金を糾合するのにつきまして、これまでのような、中小企業等協同組合では認められておりませんところの一人一票主義を出資口数従つて引上げるとか、あるいはまた全国的に塩業者組織化する、地区別虚業組合、あるいは連合会、あるいは全国一本の中央会、こういうふうな系統的な組織化をはかりまして、この組織のもとにいろいろ技術上の検討とか、あるいは協同的な施設によりまして、製塩の内容の合理化をはかる、こういうふうなことを考えているわけであります。今回の塩業組合法案は、そういう意味合いにおきまして、七十万トン確保対策の一環としまして、きわめて重要なる部門を占めるわけであります。
  13. 福田繁芳

    福田(繁)委員 御参考に伺つておきたいのでございまするが、西川塩脳部長は、大体一年間のわが国内需要塩を何トンくらいと見ておられるか。なお昨年度の生産高は、大体幾らくらい生産できたかということを参考に伺つておきたい。
  14. 西川三次

    西川説明員 塩の需給関係でございますが、大体大ざつぱに申し上げまして、食用塩が年間百万トン、それから工業塩が大体百万トン、計二百万トンでございます。これに対しまして、国内塩生産現状は約五十万トン、正確に申しますと、昨年のごときは四十五万トン、こういうふうな状態でございます。
  15. 福田繁芳

    福田(繁)委員 昭和二十五年の三月十七日に閣議決定をするときも、三、四十万トンしか生産できておらなかつた。少くとも百五十万トンくらいは確保いたしたいものだというので、こういう閣議決定を見たのであります。しかるにその間四年間もかかつておりながら、依然として生産量がふえていない。もつとも今伺えば、さような災害たとか、あるいはいろいろなる理由があつたことはわかりますが、聞くとこりによりますと、政府は、塩の増産五箇年計画なるものを最近立案されておるということを、またまた伺つたのでありまするか、さような事実はございますか。
  16. 西川三次

    西川説明員 国内塩増産五箇年計画一般にいわれておりますのは、実は公社の正式の理事会に諮つた決定版じやないのでありまして、先ほど申しましたような七十万トン確保対策を立しる上におきまして、現在作業中でごごいますが、この作業中のものがそういうふうに伝えられている次第でございます。
  17. 福田繁芳

    福田(繁)委員 国内塩増産が目下の急務であるということは、もう説明するまでもなく、お互い認識しておるのでありまするが、しかるに依然として先ほど承つたような数字でありまするが、これをいかにして七十万トンないし百万トンに向上せしめるかということの具体案がありますれば、参考にこの際承りたいと思います。
  18. 西川三次

    西川説明員 われわれ事務的の考えを申し上げますと、大体新規塩田をつくるということと、既設塩田改善改良をはかりまして、一町歩当り生産をふやして行く。それから数量増産には大して効果はないのでありますが、コストを下げるという面からいたしまして、塩を煮つめますところの煎熬設備を、従来ありましたような平釜とか、蒸気とかいうふうな原始的なものではなくて、真空式というような煎熬形態に持つて行くことが考えられるわけでありまして、その塩田の新設につきましては、これも大体二つにわかれまして、従来のような入浜塩田新規につくるということと、それから最近きわめて増産効果が著しく、またコストの低いところの流下式と申しまして、一定の傾斜を設けて、粘結力の強い粘土を用いてつくりましたところの流下式塩田二つがありますが、この二つを比較いたしますと、流下式塩田というのは、粘土が大事でありますけれども、これを築造するコストについて申し上げますと、入浜塩田よりもはるかに安くつくわけであります。その理由は、入浜塩田というのは、御承知のように堤防が必要でございまして、堤防塩田と合せまして、現在の物価では一町歩当り大体五百万から六百万という厖大な資金を要するわけでありますが、流下式の方は、それに比較して堤防を設ける必要がないという点と、適当な粘土の所在地にもよりますけれども、この粘土の多い岡山付近におきましては、大体一町歩当り九十万、あるいはせいぜい百五十万といつたコストでございまして、要するに流下式塩田の方が資金が少くて済むという点が一つ。それから従来流下式塩田によつて生産実績を調べてみますと、平均五割方増産になつております。その理由としましては、従来の入浜塩田では晴雨が決定的要件になりまして、雨が降つているときには、塩田作業をやるわけにはいかぬのでありますが、流下式の方は、雨のときはできませんけれども、雨上りのときに、入浜塩田の方が、砂をさらにかきわけて広げるのにどうしても半日くらいかかるわけでありますが、流下式の方は、雨が上れば、コツクーつひねればいいという点がありまして、要するに操業度と申しますか、そういう点が高いために、生産が五割方上昇するということになつております。そういう点からいたしまして、われわれとしましては、今後生産を高めて行く方法として考えられるのは、大体原則的に流下式で行くべきである。これも従来入浜塩田で能率の悪い、生産の低いところの塩田旅下式にかえることによつて増産の実を上げて行く。また一方では、新規流下式もつくつて行く。それから入浜塩田につきましては、できるだけ新規の入浜塩田の開設は避けまして、従来廃止あるいは休止されているような塩田を復活させるというふうなことで、例外的に入浜塩田の増設を考えて行く、こういうふうなことを考えておるわけであります。もちろんこれは、国の財政事情を考慮しての関係でありまして、一町歩当り五百万、六百万かけても国内塩増産がぜひとも必要であるというふうな、そういう至上命令でありますれば、この点はまだ増産の余地はあると考えられるわけであります。しかしそういつた町歩あたり五百万から六百万もかけるということは、外国からの輸入塩関係からしまして、資金効率からいつて、こういう施策はとろべきじやないというふうな考えを持つておるわけであります。  それから真空式の場合でありますが、この点は従来そういう方針で参りましたので、あと平釜とか蒸気とかで残つているのはごくわずかでございまして、大体パーセンテージで申しますと、一割見当になつております。こういうものもできるだけ早い機会に真空式にかえて行きたい、こういう考えを持つております。  もう一つけ加えたいと思いますことは、昨年の七月から操業いたしております福島県小名浜の加圧式製塩でありますが、これは海水から直接塩をつくる設備でございまして、公社としましては、国内製塩方式一つの革命的な方法としまして、テスト・プラント式に一万トンの工場をつくつたのでありますが、この点は昨年の七月から動いておりまして、現在塩がどんどん出ておりますが、これは電力が豊富であつて低廉であれば、今後この方式にかえて行くことが最も企業的にも有利であるというふうに考えられておるわけでありまして、この加圧方式が、全国電源開発計画と並行しまして、各地に設立の要望があるようであります。鹿児島県の屋久島というのは、御承知のように電源開発地帯としてはきわめて恵まれたところのようでありまして、そこで十万トン・プラント加圧式製塩工場をつくるというふうな計画がかなり進行しているようであります。それ以外にも三、四箇所くらいある程度そういう話が進行しているようでありまして、これも要するに豊富低廉なる電力確保されますれば、そういう方式も取入れなければいけない、こういうふうには考えておりますが、現在のところでは、この増産計画の中には、具体的には計画として入れるところまでは至つておりませんけれども、そういうふうなものもいずれ具体的に計画の中に織り込まなければいけないのじやなかろうか、かように考えている次第であります。
  19. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの御答弁で、入浜塩田より流下式塩田の方が設備資金が非常に少い。それに加えて非常に大量にできるのだから、一応生産コストが非常に安いという点はよくわかることができたのでありますが、そうすると、加圧式電力関係があるから別にしまして、流下式塩田の場合には、今までの入浜塩田でもなく、また今までの、旧来と申しまするか、かつて塩田であつたところ、そういうところでもなく、まつた新規に新しいものが開発を希望するというような場合には、これをお認めになられる御方針であるかどうかということを、一応伺つておきたいと思います。
  20. 西川三次

    西川説明員 われわれの方としましては、資金効率の点を考えなければならない立場にある関係で、こういう場合には認めてもさしつかえないじやなかろうかと考えております。と申しますのは、従来入浜塩田がございましたが、廃止または休止状態にある。一方その隣接の入浜塩田が現在稼働しておつて、煎熬設備もある。その煎熬設備能力がかりに一万トンある。その煎熬設備の一万トンの能力に対して、実際のその付近の入浜塩田鹹水の量が一万トンに足らぬというような場合には、当然休止または廃止塩田を復活いたしまして、一万トンに達するようにすれば、煎熬部門では新たに金をかけなくても、入浜塩田の復活だけによつて効果を上げる、こういうことになりますので、そういうような場合には、当然取上げてもいいんじやなかろうか、かように考えておる次第であります。
  21. 福田繁芳

    福田(繁)委員 参考にもう一点伺いたいのでありますが、流下式塩田の場合と、この加圧式の場合との大体のコストがどういつた差がありますか、御参考におわかりであれば伺いたいと思います。
  22. 西川三次

    西川説明員 加圧式の場合について申し上げますと、先ほど申しましたように、昨年の八月から稼働しておるわけでありますが、電力確保が十分ではございませんでして、その意味でフル稼働をしておるわけではないのであります。そこで大体昨年の八月から最近までの稼働実績によつて考えてみますと、キヤパシテイーは一万トンでありますが、これは電力の供給が十分であれば、最高一万六千トンくらいとれるわけであります。そこで大体六千トンくらいと、それから一万トンくらい、それから一万六千トンというふうなことに一応わけて計算をしてみたわけでありますが、大体六千トン程度であれば、コストが一トンについて二万四、五千円、それから一万トンの場合には大体二万円前後、それから一万六千トン程度になりますと八千五百円、こういうふうなことになつておるようであります。それから流下式につきましては、これは既設の入浜塩田生産との比較になりますので、具体的な数字を申し上げるわけに行きませんが、先ほど申しましたように、増産パーセンテージで申しますと、大体全国平均で、既設の入浜塩田よりも数量の点で五割方の増産になつております。それから数量の点ではないのでありますが、コストの面から申しますれば、入浜塩田の場合には、一町歩当り大体所要労務者が五、六人というふうな状態でありますが、流下式の場合には、大体一町歩当りせいぜい女、子供でも一人、二人で済むというふうな状態でございますので、三分の一ないし五分の一くらいな労務で足りる、こういうことになつております。
  23. 福田繁芳

    福田(繁)委員 もう一点参考伺いたしたのですが、先ほどのお話では、加圧式の十万トン・プラントの御計画中だというお話でございましたが、この十万トン・プラント稼働を始めた場合には、この場合のコストは大体どんなお見通しでございますか。
  24. 西川三次

    西川説明員 これもいろいろ仮定のもとに申し上げるよりしかたがないと思いますが、現在われわれのところに計画書の出て参つておりますところの設計書によりますと、大体八千五百円から九千円程度計算になつておるようであります。
  25. 福田繁芳

    福田(繁)委員 よくわかりました。そこで本案に返りたいわけなんですが、この法案は、大蔵省ないし専売公社が塩に関する行政上、単独立法として塩業組合を指導監督した方が便宜であるから提案なさつたか、あるいはまた、塩業者中小企業等協同組合法では事業運営上はなはだしく不便を感ずるので、現行の協同組合塩業の実態に即せしめるために必要を感じて単独立法化するように要望されて本案を作成されたか、いずれであるかということを、これまた御参考に伺つておきたいと思います。
  26. 今泉兼寛

    今泉政府委員 目的は今おつしやつた後者の目的から出ておるわけでございます。
  27. 福田繁芳

    福田(繁)委員 さすれば、農業協同組合法などにおいては、組合は組合員の貯金の受入れをなし得ることになつております。また旧専売法に基く塩業組合でも、預金の受入れを行つていたはずでありますが、今回のこの政府提出塩業組合法を見ますと、その規定が見当らない。これはどういう理由に基くことでありますか、伺つておきたいと思います。
  28. 今泉兼寛

    今泉政府委員 この塩業組合に預金業務を取扱わしてくれないかという要望は、業界の方からはあつたわけでございまするが、大蔵省として検討いたしました結果、さしあたつてこの塩業組合に預金業務を取扱わせることは、適当でなかろうという結論を得ましたので、実はこの法案からその点を削除した次第でございます。なお詳細につきましては、ちようど銀行局長も見えておりますので、必要があれば、銀行局長の方からお答え申し上げます。
  29. 福田繁芳

    福田(繁)委員 これに関連しますので、恐縮ですが、銀行局長の御意向を伺いたいと思います。
  30. 河野通一

    河野(通)政府委員 塩業組合につきまして、預金の受入れを認めるか認めないかという問題でありますが、私ども金融制度全体として考えました場合に、預金の受入れを含む信用事業というものは、他の事業と兼営するということは適当でないという強い原則をとつておるのであります。と申しますのは、たとえば経済事業と信用事業を兼営いたしますと、おのずから経済事業によるいろいろな影響が信用事業に及ぶ、その結果預金者を保護しなければならないという信用事業本来の使命に非存に悪い影響を及ぼすおそれがあるといつた考えから、信用事業は必ず専営でやる、独立の機関で、独立の責任者によつて運営されることが必要であるという原則に立つておるのであります。ただこれにつきましては、例外がある。それは今福田さんから御指摘のように、農業協同組合等がそれであります。この点、農業協同組合につきましても、本来筋を通せば、やはり経済事業と信用事業をわけるべきものであろうと私は考えます。しかし農業というものの特殊性、特に非常に小さい限られた部落の協同性といつた点から農業というものが営まれておる。そうしますと、その地方において金融機関の便宜が十分に与えられない。しかもそれらの小さい範囲の中において、信用事業と経済事業をわけて組合事業をやつて行くということになると、人手、コスト、いろいろの点からいつて、なかなかその負担に耐えないという点もある。そういう非常な必要やむを得ない事情から、農業協同組合等につきましては、御指摘のように信用事業と経済事業を兼営させておるのが実情であります。これは私どもは、金融制度本来の趣旨から言えば、必ずしも本筋はそうあるべきではないと思いますが、農業という特殊の事情から、これはやむを得ないと考えております。なお今お話のありました事業協同組合につきましても、これは主として都市にある商工業の協同組合でありますが、かねてこれらが預金業務の取扱いを認めてもらいたいという非常に強い要望があるのでありますけれども、今申し上げました原則論に立ちまして、これらにつきましても、私どもとしては、事業協同組合に預金業務を認めることは適当でないという観点に立つて、その方針を貫いている実情にあるわけであります。
  31. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの銀行局長の御意見は、銀行局長のお立場としてしごくもつともである点は、私も了承できるのであります。そこで幸いに、ただいま愛知政務次官がお越しでございますから、愛知政務次官に伺いたいと思います。  この問題は、お聞きのような銀行局長お話でございますが、もともと専売法に基く塩業組合当時ですら預金を受入れた、同時に今お話のごとくに、農業協同組合もさようなわけです。そして前提としまして、国内塩増産は絶対的必要急務であるというので、こういう法律案を出されたのでありますから、むしろこの際、仏つくつて魂入れるという意味合いにおいて、原案を訂正されて、農協と同様に貯金の受入れをなし得られるようにすることが、とりもなおさず目下の急務であるところの国内塩増産に即応するゆえんでなかろうかと私は思うのですが、大蔵政務次官としていかようにお考えになられるか、一応伺つておきたいと思います。
  32. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 大蔵省といたしましては、一応ただいま銀行局長から御説明申し上げましたような意見で、この法律案をとりまとめたわけでございますので、現在においては、預金業務をいたすことはちよつといかがかと実は考えているわけでございますが、なお将来の問題としては、十分検討させていただきたいと思います。     —————————————
  33. 内藤友明

    内藤委員長代理 次に、一昨二十二日本委員会に付託されました造幣局特別会計法の一部を改正する法律案昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に渇する法律案、及び同日予備審査のため付託されました証券投資信託法の一部を改正する法律案、また昨二十三日本委員会に付託されました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案閉鎖機関令の一部を改正する法律案鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務保証に関する法律案、及び保険業法等の一部を改正する法律案の八法案一括議題として、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官
  34. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいま議題となりました造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について、提出理由を御説明申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、補助貨幣回収準備資金を置き、政府が補助貨幣を発行した場合においては、その価額に相当する金額を回収準備資金に編入し、もつて補助貨幣の回収準備に充てて来たのであります。しかして補助貨幣の製造に要する経費並びにこの会計の固定資産の拡張及び改良に要する費用については、一般会計から繰入れを行つて来たのでありますが、補助貨幣回収準備資金の状況及び一般会計財源の必要から見て、これらの一般会計からの繰入れをとりやめ、これを回収準備資金からまかなうこととするものであります。なお、右の改正に伴い、従来一般会計納付することとなつておりました同会計の決算上の利益金については、これを回収準備資金に編入することに改めようとするものであります。  以上の措置は、昭和二十八年度から適用することといたしたいと思います。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  第二は、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案でございます。  国債の元金償還につきましては、従来国債整理基金特別会計法等の規定によりまして、前年度首の国債総額の万分の百十六の三分の一を一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰入れるほか、財政法第六条の規定によりまして、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を繰入れることとなつておりますが、最近における国の財政状況並びに国債の償還状況からいたしまして、昭和二十八年度におきましては、一般会計からの繰入れは、財政法の規定による繰入れのみにとどめることとしようとするものであります。  また日本国有鉄道及び日本電信電話公社が旧特別会計当時負担していた公債及び借入金は、公社発足の際、一般会計の負担に帰属し、公社は同額の債務政府に対し負担することになつたのでありますが、公社がその債務の元金及び利子を政府に支払う場合においては、これを国債整理基金特別会計に直接納付することとしようとするものであります。  第三は、証券投資信託法の一部を改正する法律案でございます。  証券投資信託につきましては、一昨年実施以来、相当の好成績を収めて来ておりますが、その間の実施状況にかんがみまして、今後一段と公益及び投資者の保護のため積極的な措置を講ずることが必要であると存ぜられますので、証券投資信託の委託会社の監督を強化する等のため、さきに証券投資信託法の一部を改正する法律案を第十五国会に提出しましたが、審議未了となりましたので、今回若干の調整を加えてあらためて提出した次第であります。  その内容について申し上げますと、まず委託会社の免許制を採用したことであります。従来の登録制度におきましては、実質的に委託者として適格かどうかを審査し得ないうらみがありますので、免許制度を採用し、真に委託考として適格と考えられるものに限り、免許をすることとしたのであります。なお現在登録済みの委託会社につきましては、いずれも委託会社として適格と考えられますので、免許を受けたものとみなすことにしております。  また委託会社の免許制度を採用しましたことに伴い、委託会社の監督を整備強化し、委託会社の取締役が、他の会社の常務に従事し、または事業を営もうとする場合には、大蔵大臣の承認を受けなければならないものとするほか、委託会社の業務の廃止等は、大蔵大臣の認可を受けなければならないこととしたのであります。委託会社が信託財産に重大な損失を生ぜしめた場合等におきましては、大蔵大臣は、新たな信託契約の締結または元本の追加信託をしてはならない旨を命じ、または免許の取消しをすることができることとしております。  なお委託会社または受託会社が免許を取消された場合に、既存の信託契約をただちに解約することが受益者に不利となるときは、当該信託契約に関する業務を他の委託会社等に引継ぐことを命じ、または当該委託会社が暫定的に当該信託契約を存続することを承認することができることとしたのであります。  次に、委託会社は、信託財産として有する金銭をコール・ローンにさしずし得るものとして、有価証券のさしかえ等の間における金銭の運用方法の拡大をはかつております。  第四は、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案でございます。  現在小学校における児童への給食の用に供する麦等は、食糧管理法の一部を改正する法律附則第二項の規定により、農林大臣の定める特別の価格をもつて売り渡すこととなつておりますが、これによつて食糧管理特別会計に生ずる損失を補填するため、予算の定める範囲内において、当分の間、一般会計から同特別会計に繰入金をすることができることとする必要があるので、この法律案提出いたした次第であります。  なお昭和二十八年度におきましては、前述の繰入金として十五億六千六百余万円を予定いたしております。  第五は、国民金融公庫法の一部を改正する法律案でございます。  国民金融公庫は、昭和二十四年六月資本金十三億円をもつて発足して以来、国民大衆の旺盛な資金需要に応じて、その後数次にわたつて増資を行うとともに、資金運用部資金の導入に努め、昭和二十七年度末においては、資本金百三十億円、資金運用部借入金六十億円の資金量を保有するに至り、貸付額累計も約三百七十億円に達したのでありますが、昭和二十八年度におきましても、公庫に対する資金需要は相当多額に上ることが予想されますので、昭和二十八年度予算において一般会計から四十五億円を公庫に出資することとし、これに伴つて公庫法の資本金の規定を改正することにいたしたのであります。これにより昭和二十八年度においては、出資金四十五億円及び資金運用部借入金三十五億円計八十億円の新規資金のほか、既往貸付金の回収金等百七十九億円を加えて、二百五十九億円の資金のうち、約十一億円を資金運用部に返済して、なお約二百四十八億円の貸付が可能となるわけであります。  公庫の資金量の増大に伴い、公庫の業務を一層円滑に行う必要がありますので、さらに次の諸点について公庫法の改正を行うことといたしたのであります。すなわち事務所の設置に関する制限規定を削除するとともに、公庫の役職員の身分につきましては、さきに国家公務員法の適用から除外したのでありますが、今回さらにその退職手当につきましても、国家公務員の例によらないこととするとともに、国家公務員共済組合法の適用を除外し、所要の規定を設けることにいたしたのであります。  第六は、閉鎖機関令の一部を改正する法律案でございます。  閉鎖機関今に基く閉鎖機関の特殊清算につきましては、昭和二十年九月以来、鋭意その処理を進めて参りまして、戦時中外地で活動していた特殊会社、外地関係の会社、金融機関及び国内における各種の戦時統制機関など、当初総数千八十八に上る閉鎖機関のうち、現在までに約八百五十機関が特殊清算の結了を見るに至りました。先般、特に民法及び商法等いわゆる一般法に基いて清算を行うのが適当と認められる機関につきまして、その指定を解除する措置を講じ、もつて閉鎖機関の整理の促進をはかつたのでありますが、今回さらにその最終的な処理体制を整えるため、在外活動閉鎖機関につきまして、従来禁止されておりました社債の弁済及び残余財産の分配を認めるほか、閉鎖機関の指定を解除し、また株式会社である閉鎖機関については、会社の継続または新会社の設立の道を開くことを目的として、この法律案提出いたした次第であります。  次にこの法律案のおもな内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、戦時中主として外地で活動していた閉鎖機関は、現行法上、社債の弁済及び残余財産の処分が禁止され、在外債務の弁済のため、国内債務を弁済した残余の財産は、全額これを留保せしめることとなつているのでありますが、これを改正いたしまして、在外債務の総額が在外資産の総額を越える額及び将来におきまして在外債務の弁済を必要とする機関等にありましては、政令で別に定める金額との合計額を留保せしめて、社債の弁済及び残余財産の処分をなし得ることといたしました。またこれらの機関につきまして、閉鎖機関の指定の解除もできることとし、この場合におきまして、指定を解除された閉鎖機関が外国法人である場合には、清算事務を執行する機関を欠くことになりますので、裁判所に清算人の選任を求めることとし、また指定解除機関が外国に本店を持つていた日本法人である場合には、法令や定款の規定を排除して、国内において株主総会を招集し、清算人を選任して、民法及び商法による通常の清算手続に移ることができるようにしたのであります。  第二に、株式会社である閉鎖機関が指定を解除された場合におきましては、現行法では、民法及び商法の規定によりまして清算を結了するほかなかつたのでありますが、これを改正いたしまして、株主総会の決議によりまして、会社を復活させることもできることといたしました。  第三に、閉鎖機関の国内残存財産をもつて新会社を設立する道を開くことといたしました。すなわち、閉鎖機関の株主が新会社の設立を希望する場合におきましては、特殊清算人にその申立てをなし、特殊清算人は、その申立ての趣旨に従いまして、新会社の設立計画案を作成し、株主総会に諮りました上、大蔵大臣の認可を受けて新会社を設立することができることといたしたのであります。以上の手続により、閉鎖機関の新会社が成立いたしますと、閉鎖機関の特殊清算は終了することとなるのであります。さらに在外債務を有している閉鎖機関につきましても、さきに述べましたように、在外債務と在外資産の差額及び政令で定める金額との合計額を留保すれば、新会社を設立することができることといたしたのであります。  以上の改正に伴いまして、商法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、引当財産の管理に関する政令等に所要の調整を加えることといたしたのであります。  第七は、鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務保証に関する法律案でございます。  別途御審議を願つております昭和二十八年度政府関係機関予算におきましては、日本国有鉄道及び日本電信電話公社は、それぞれ鉄道債券八十五億円及び電信電話債券七十五億円を公募して、その収入をもつて改良工事その他施設工事関係の経費の財源に充当することが予定せられております。  政府といたしましては、これらの債券の募集を円滑ならしめるため、債券の元金及び利子等の支払いについて保証をすることが適当であると考え、これらの債券にかかる債務の支払いについて、政府保証規定を設けるとともに、これらのものの外貨による長期借入金についても、あわせて保証する規定を設けようとするものであります。  最後に、保険業法等の一部を改正する法律案であります。  この改正の第一点は、航空保険事業についても、海上保険事業と同じく、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律並びに事業者団体法の適用を除外することとしたことであります。  航空保険事業は、海上保険事業と同じく、国際性が強く、かつ、引受け物件の価額か巨額に上ることか多いので、料率協定、再保険プール協定等の共同行為が必要とされるのであります。このような特殊性にかんがみ、海上保険事業と同じく私的独占禁止法等の適用を除外することといたしたのであります。  次に、保険会社については、その決算の完了に特に日数を要する事情にかんがみ、定時総会の場合に限り、その株主名簿を閉鎖することができる期間を、商法の規定にかかわらず、九十日間といたしました。  その他、保険会社の責任準備金の計算に関し、必要な事項を命令で定めることとし、あわせて外国損害保険事業者の未経過保険料準備金を責任準備金に改めることとするほか、若干の規定整備をすることといたしました。  以上が八つの法律案の提案の理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  35. 内藤友明

    内藤委員長代理 ただいま説明を聴取いたしました八法案並びに前回からの二十四法案、合計三十二法案一括議題として、質疑を続行いたします。宇都宮徳馬君。
  36. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 信用金庫法の一部を改正する法律案につきまして、質問いたしたいと思います。信用金庫法の一部がこの通り改正されますと、金庫という文字を金融機関が自由に使うことができなくなる。そこですでに金庫という文字を使つている金融機関、あるいは今後金庫という文字を用いる金融機関は、非常に信用が増すことになるわけであります。従つて預金吸収なども増加するというようなことになりますか、これに対しまして、大蔵当局は、今後の監督、あるいは必要な場合には援助、救済等の処置をされる御決意があるかどうか、これを承りたいと思います。  もう一つ。この信用金庫法で、金庫という文字を金融機関に自由に使うことを許していたのは法の欠点だという御説明がございましたけれども、すでに金庫という文字を用いておる金融業者がございまして、これが漠然と金庫という文字のかもし出す信用によつて、相当金を集めている。それが最近破綻いたしまして、相当な損害を庶民大衆にかけておるのであります。非常に気の毒な零細な中小企業者、あるいはまた戦争未亡人、こういうようなものもあるわけでございますが、こういり信用金庫法の改正をなさる大蔵当局でありまするから、今まで法の欠陥によつて生じた零細な中小企業者、あるいはその他気の毒な人々に対して、特別な救済の行政措置をなさるお考えがあるかどうか、これを承りたいと存じます。以上二点でありますが、当局にお尋ねいたします。
  37. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 第一のお尋ねは、金庫という文字を他に使わせない結果、信用金庫の責任が重大になるといいますか、保護が厚くなるから、監督を強化するかどうかというふうな趣旨のお尋ねかと思いましたが、これは、信用金庫法に基きまするところの監督は、従前通りやつて参ることはもちろんでございますが、実質的にも、先日もいろいろお話が出ましたように、庶民金融機関としての信用金庫の、たとえば資金源の拡充その他につきましては、今後ともできるだけの措置を考えて参りたいと思つております。  それから第二の点は、私どもといたしましては、事情のお気の毒な方もおられることは重々お察しができるのでありますが、ただこれは非合法と申しますか、法律の根拠によつてやられた営業でないのでありますから、政府としては、その救済のために特段の措置をするということは考えておらぬわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  38. 宇都宮徳馬

    ○宇都宮委員 信用金庫法の一部改正によりまして、金庫という文字を用いる金融機関の信用は、非常に増すわけであります。従つて預金の吸収も増すわけであります。監督その他もちろん法文に従つてなさるわけでありましようが、特別に救済援助の必要な場合なども予想せられますが、そういう場合に、普通銀行等の金融機関と同様にしつかり措置なさるかどうか、これを承りたい。
  39. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 その点は十分心得ておるつもりでございます。特に預金者保護の立場から、万全の措置は引続き講じて参りたいと思つております。
  40. 井上良二

    ○井上委員 きのうの私の質問に、さらに掘り下げて伺いたいのですが、きのう私は主として零細な中小企業、庶民大衆の金融をどう円滑にやるかということについていろいろ伺つたのでありますが、その場合において、私の考え方は、幸い商工中央金庫がございますので、これと国民金庫という、庶民大衆を対象とする二つの金庫が政府にあるわけであります。この商工中央金庫に対して政府資金を拡大するなり、あるいは商工債券等の発行限度を拡大するなりして、ここで相当大きな資金わくを持つて、これを末端の商工協同組合、中小企業協同組合等の組織に流すということが系統的に確立される必要があるということを、私は主張しておるのであります。これは御存じのように、農林関係におきまして農林中央金庫が、末端の農業協同組合を通して短期資金を流しておる実情から考え、またここから資金を吸い上げております実情から考えて、この系統組織は非常にうまく活用されております。それが何ゆえに商工関係ではできないかという問題であります。これは政府にその熱意があり、その方法さえよく検討すれば、私は必ずうまく行くと考えます。ところが最近問題になつておりますのは、零細な中小企業及び庶民大衆が、一口十万円とか二十万円とか、あるいは五十万円とかという小額の資金を非常にやかましく要求しております。これに対して、庶民金融公庫なり、その他の金融機関の貸付状況は、まつたくなつていないのであります。そういう実情から、私は一応この金庫の資金わくを拡大して、そうしてこれを末端の中小企業協同組合等が関係を持ちます信用協同組合とか、相互金融機関とか、または信用金庫等、そういう直接末端の庶民なり組合に関係を持つております機関に流し、しかもその資金の約三分の二くらいは、大体五十万円か百万円を単位にして——この額は非常に理論的にはむずかしいのですけれども、多くの人にできるだけ資金的恩典を与えるということから、できるだけこの額を小額にしまして、多くの人に便宜を与える。小数の人だけが利用するということでなしに、なるたけ多くの人に利用さすようなやり方に改むべきである。こういう考え方を私は持つておりますが、こういう考え方は実際は困難でありますか。そうでないと、今度中小企業等の損失保険法が出て参りますが、その場合にも、結局信用のある人がこの損失補償を受けて、かんじんの助けてやらなければならぬ、骨身を削つて働いておる人の努力に対しては、ほとんど報いられないということになりますから、この点は、私は政治の声なき声を探すという上から、必要でないかと思うのです。こういう点に対して、どういうぐあいにお考えになつておりますか、もう一度伺いたい。
  41. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 昨日私から御説明申し上げましたところで、私の方も申し上げ足りなかつた点があると思いますので、その点をもあわせてお答えをいたしたいと思います。  まず第一に、商工組合中央金庫と信用協同組合との関係でございますが、これは現在でも取引関係を結んでおりまして、いわゆる親銀行とまでは言えないかと思いますけれども、十分信用協同組合のお世話も、制度上できるようにいたしておりますし、また実際上も相当の連繋を持つてつておるはずでございます。  その次に商工組合中央金庫は、これはかつての再建整備のときからの問題であつたのでありますが、現在の建前は、これはいわゆる政府機関ではなくなつておるのでありまして、政府からの出資もほとんどないのも同様でございます。多少事務的な関係で、若干のものが残つておりますが、これはほとんど政府出資の機関でない現状になつておるのであります。そこで、政府として商工中金にどういう援助をしておるかと申しますれば、ただいま御指摘の通り、商工債券を発行いたします場合に、資金運用部資金が大量にこれを引受けるということで、資金の調達の面においては、実質上政府機関と同様の取扱いをされておるような次第でございます。  それから信用金庫と信用金庫の中央機関の問題でございますが、この方は、信用金庫の連合会一つ組織しておりまして、それが事実上中央機関としての役割を現在果せるようにできておるのでございます。  その次に申し上げたいと思いますのは、中小企業金融公庫の創設ということでございまして、これも御承知の通り、農業関係等については、ただいま御指摘の通りいろいろの機構があるわけでございますが、あらためて政府としても、この中小企業公庫の創設ということには相当の期待を実はかけておるような次第でございます。中小企業公庫ができました場合におきましても、いわゆる組合を対象とするところの商工中金に対しましては、その組合融資の進展が望ましいという考え方から、今後における中小企業公庫の業務の委託というような点については、商工中金を十分に活用して参りたいと考えておりますので、商工中金は、これを要するに組織としては現在政府機関ではないけれども、いろいろの面から政府機関と同様、あるいはそれ以上に援護して行く建前になつておりますが、それがさらにこの際一段と進展をすることになるというふうにわれわれは考えており、またその方向に育成して参りたいと思つております。  最後に、きのうのお尋ねのときに申し残したのでありますが、現在信用金庫あるいは相互銀行等をも含めまして、正規のいわゆる庶民金融機関、民間の金融機関につきまして大体調べてみましたところ、一件の貸付の金額が五万円以下というのが、全体の貸出件数の中でほとんど四割近くを占めております。正確に申しますと、三割八分何厘という程度であります。これは件数でございますが、小額のものについて信用金庫や相互銀行がやつておるということは、この数字から見てもはつきりするかと存ずるわけでございます。
  42. 内藤友明

    内藤委員長代理 井上さんに申し上げますが、先ほど御要求がありました法務省刑事局から、刑事課の安原さんという方がお見えになつておりますから、どうぞ。
  43. 井上良二

    ○井上委員 さらにもう一つ、よくわからぬから伺つておくが、この国民金融公庫というのは、これは設立当時は、確かに庶民金融機関として設立したように私どもは記憶しておりますが、その後これが中小企業の面までめんどうを見るようなことに、最近は非常に業務が拡大をされておることは非常にけつこうであります。ところでどういうわけでこういう国民金融公庫という一つの機関を設け、商工中央金庫という機関を設け、さらに新しく中小企業金融公庫というものを設けるか。それはどういうわけでそんなによけい煙突みたいに立てなければいかぬか。これを一本にまとめて、そして末端の系統さえよくやれば、政府の監督にしてもうまく行くだろうし、またいろいろの面、非常に経費の上においても助かるじやないかとわれわれは考えますが、これは何かそうせにやいかぬ特別の理由でもあつてやられておるのか。それとも、これはみなおのおの貸付先の性格が違うのですか。たとえば商工中央金庫は五百万円以上の大きなやつをねらう、今度できまする中小企業金融公庫は、それから下をねらう、国民金融公庫は、ほんとうに困つたやつをねらう、こういうふうに使いわけをするつもりでこういうことにしたのですか。一体それはどういうことです。政府機関として一応めんどうを見、監督をして行かなければならぬものに対して、どういうわけでそういう店を別々に持たせなければならぬのか、何かこれには特別に理由があるのじやないかと思うのです。その点を一応伺つておきたいと思います。
  44. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 これはいろいろな機構がございますから、そういう御意見が出るのはごもつともだと思うのでございますが、しかし、これは政治的な背景とか理由とかは全然ないのでありまして、むしろ言つてみれば沿革的、社会的背景、環境のもとにこういういろいろな特色のある機関があるのだと申し上げた方がむしろ正確かと思います。そこで一本にしないかというようなお話がございましたが、今度の中小企業金融公庫の創設などは、そのお考えに近いのではないかと思うのです。なぜかと申しますと、昨日も申し上げましたように、政府が最もお世話をしなければならぬのは、資金源の供給の問題だと思います。私どもは中小企業金融公庫というものが、むしろ特別会計的な、中小金融に対する資金源の造成ということをこれはねらつておりまして、先ほども申し上げましたように、既存の商工中金その他を利用し、またそれを通してこの金を出すのであつて、中小企業金融公庫それ自体は、直接貸付というようなことをやるさらに新しい機関として登場するというようなことは、むしろ避けて運営して行きたい、こういうふうに考えております。  それから国民金融公庫は、御指摘の通りまさに零細な庶民金融をねらつておるのでありますが、これも多少その気持を誇張して申し上げますならば、いわゆる救済的な融資という面が、ある程度考えられております。従つて承知のように、国民金融公庫の発生のときからの経過をたどつて見ますると、一番最初は、たとえば普通の生業資金の貸付のほかに、引揚者、戦災者等に対する更生資金の貸付、それから配偶者と死別いたしまして、子女を扶養しておる婦人で、生計の中心を失つておる者に対する生業資金の貸付といつたような社会政策的な面が、相当国民金融公庫というものには強いわけでございます。従つてこれは純粋の政府機関として運営しておるわけでございまして、商工中金の系統や、あるいは組合というようなものは、われわれの観念しておりますところでは、いわゆるペイイング・ベースに立つた一つの私企業である、また組合企業である、こういうふうな感じを持つておるわけであります。従つてこれを全部一本にするということは、対象が異なりまするので、私どもとしてはこういう制度の方がよろしいというふうに考えております。
  45. 井上良二

    ○井上委員 次に、中小企業の金融の貸付の条件の問題でございます。御存じの通り、われわれ国民の血税から出されて、おります資金でございますから、できるだけまじめに返す人を対象にして貸し付けることが、その業務に携わる者の当然の任務であろうと思います。そういう公正な立場で金融業務を運営しておるかというと、そうばつかりでは現実はないのでありまして、どちらかと申しますと、貸付業務をやつておる者や、その機関の特別な人と密接な関係を結ぶことによつて、特別にこの資金を引出そうとする運動が相当活発に行われております。これは市中銀行においてもしかりであります。いわゆる金融が梗塞しておる現状から、何とか低利の資金を借り出そうとする熾烈な運動が行われる。その場合、そこの金融機関と特に密接な関係を持つということが、非常に有利な貸出しを得ることになることからしまして、えてしてボス的な存在が至るところに横行しておることは、あなた方の耳にも入つておることであろう。これを排除するということは、いろいろな面で、いろいろな不正がそこに上つておるということなら別でありますし、またそういうことがわかれば、ただちにそういう者についての出入りをさしとめるとか、あるいは貸さぬとかいうような制限、あるいはまたそれに対する取締りの方法もあろうかと思いますが、そういうことが容易にわからない現実におきましては、他の者がいかに頼んで行つたつて、なかなかその資金では事足らぬとか、また条件が悪い、また調査に数箇月を要する、こういうことで、手形の決済その他で火のつくような状況で貸出しを要求しておる、また現実に滞貨に対する支払いから資金を必要とする場合においても、担保物件その他において文句があつて、なかなか現実は貸してもらえないのです。そこで少くとも政府が責任をもつて監督をしなければならぬ機関に対しての、末端の資金の貸付については、貸付委員会というようなものをつくつたらどうか。特別の貸付業務に携わる人の独断によつて、あるいは一方的なとりきめによるにあらずして、ここに五人なり七人の専門的な委員を大蔵大臣の委嘱によりましてつくつて、一週間に一ぺんずつ開く、あるいはまた十日に一ぺん開く。そしてその間にたまつた貸付を必ず審査する。そこで一ぺん審査したものは必ず調査にすぐかける。調査したものは、すぐ次の委員会審査に付託する。こういうことにいたしますならば、しかもその委員会の任期はある一定の短期間に限つておく。長期にすると、またそこにひもがつきますから、短期間に限つて、大蔵大臣の委嘱にする。そういう民主的な委員会の運営を新しい制度として一ぺん考えてみたらどうか。そうしたら、ボス的ないろいろな存在は完全に排除されるということになり得ると私は一応考えます。もちろん委員の選任ということは、非常に重要でございまして、この点は慎重に検討しなければいけませんが、そういう新しい一つ考え方を考えてみたらどうか、こういうように考えておりますが、こういう点についてどう考えておりますか。
  46. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいまの御意見は、主として国民金融公庫についての問題かと思うのでありますが、実は私どもも、うわさとしてはボス的な存在によつて融資が行われている疑いがあるというようなことは、耳にいたしますので、さようなことが万々ないように、常時注意はいたしておるのでありまするが、ただそうかといつて委員会組織ということになりましても、結局またその委員に対していろいろと運動が起るというようなこともあろうか思いまするし、われわれとしては、国民金融公庫の場合で言えば、一件の貸出しの限界というものは二十万円であります。それから今ようやくおかげさまで、全国都道府県庁の所在地には全部支所ができたのであります。やはり末端でもつて、できるだけ早く融資を決定してあげなければならない件数が非常に多いこと、それから地方的に非常に分散しておりまするので、実際問題として、今の委員会制度というものを考えてみましても、本省に置くようではかえつて意味がないようにも思いますし、いろいろ実際上の困難性、あるいはその他を考えますと、私の意見としては、現在の制度において民主的に、明るく、かつ迅速に事務が処理できるように努めることがまず第一ではないかというように考えている次第でございまして、その関係から、先ごろ提案の理由説明いたした中にもあるのでありますが、公庫法の改正も逐次やつて参りまして、ここで働く人たちが現在非常に忙しいのでありまして、実は数日前にも、国民金融公庫の組合の代表者の話もいろいろ聞いてみたのでありますが、非常な忙しさであること。それから待遇が、従前は御承知のように国家公務員法に縛られております。これは今度その拘束がなくなつたわけでありますが、職員を働きやすくする、そうしてその上で責任感を旺盛に持つてもらう。まず手取り早いところで改善策を打出して参りたい、こういうように考えているわけであります。
  47. 井上良二

    ○井上委員 この零細な中小企業者及び庶民の金融については、政府は一段の努力を払われて、所要の対策を大胆に実行をしていただきたいのであります。この際私はこの庶民大衆の金融問題に関連いたしまして、やみ金融の問題に対して、刑事局の方の意見を伺いたい。すでに刑事局の方でも、新聞で御存じでありましようが、株主相互金融、あるいは貸金業等々の名前によりまして、庶民の金をいろいろな甘言をもつて集めて参りまして、そうしてこれをいろいろな理由で高利の金融をやつていることは事実であります。このことは、すでに一部の新聞にも報道されており、ラジオ等においても、いろいろな批判の対象になつておることは御存じの通りであります。この問題に対して、刑事局は一体いかなる見解を持つておるか、現に大蔵省の方においても、貸金業等に関する法律の第七条違反として摘発をし、これが聴問をやつた結果、不正があるということが明らかになつておりますが、この明らかになつた事件に対して、一体刑事局はいかなる態度をもつて処理せんとするか、この問題は単に法律違反とかいうような問題のみならず、実に庶民の、零細な預金者に非常に大きな打撃を与える問題でありますので、この問題に対して一体いかなる処置をとろうとするか、この点について責任のある御答弁をいただきたいと思います。
  48. 安原美穂

    ○安原説明員 ただいま井上委員が申されましたように、零細な庶民のいわゆるたんす預金等を収奪する悪質な貸金業者の違反につきましては、庶民大衆の保護という意味からいたしまして、検察方針といたしましても、厳重な検察を行うという方針は、すでに確定しております。株主相互金融等につきましても、それが貸金業法七条の預かり金禁止規定に違反するものでありますれば、これも同じく厳重に検察するという方針は決定しているところでありまして、先般当該係検事の会同におきましても、その方針は最高検察庁より厳重な検察を行うように係検事に指示しているところでございます。なおわれわれといたしましては、どこまでも金融違反の検察におきましては、当面の主管省であるところの大蔵省の金融行政をバツク・アツプするという意味におきまして、十分大蔵省当局の御方針に一致した方針で参りたい。どこまでも、刑事事件で処罰すれば金融界の秩序が保てるというような、大それた考えは持つておりませんが、できるだけ金融行政に合致するような強力な検察を行いたいということは、方針として決定しているのでございます。
  49. 井上良二

    ○井上委員 やみ金融に対する取締りの方針政府として確定し、すでに検事長等の会同にまで、その取締りに対しての方針が指令されたということでありますが、単に方針を確定し、検事に検察を一層厳重にやれと言うただけでは、今やつておりますのか、これからやるのか、もうすでにやつた結果こうなつたという事例が上つておりますのか、それを一応具体的にお示しを願いたいと思います。
  50. 安原美穂

    ○安原説明員 お答えいたします。いわゆる貸金業法の関係でも、もぐり貸金業、いわゆる高利をもつてもぐりでやつている貸金業関係の違反は、すでに相当多数検挙いたしました。本年に至りましても、一月一日から三月三十一日までに、四百八十一件の検挙を見ているわけでございます。それから相互銀行法違反、いわゆる物品の割賦販売を仮装する相互銀行法違反、これはすでに数年来検挙を励行いたしまして、われわれといたしましては、取締りの結果、相当この方面の違反は減少したという自信を持つておるのであります。ただ最近の株主相互金融その他の方式につきましては、すでに銀行局長からお話もございましたように、法律上きわめてむずかしい解釈問題が存在しており、解釈が確定いたしましても、刑事事件となりますと、証拠の関係でいろいろと困難な問題もございますので、むやみに手をつけるということについては、これによつて迷惑を受ける被害者のことも考慮しなければなりませんので、慎重に配慮をいたしまして、できるだけ大蔵省の方で検査をなさつた結果、悪質違反であるというものにつきましては、御連絡を受けますれば、決してそれを検挙することについてやぶさかではないのでございまするが、現在におきましては、株主相互金融関係では、全国で十二件ほど検挙を見ておりまして、すでにきのうも千葉の裁判所は、中央相互に関して有罪の判決がありましたように、着々と有罪の判決を受ける見込みでありますが、何分にも先ほど申し上げましたように、証拠上非常にむずかしい問題がございますので、慎重にはやつておりまするが、決してやらないという方針ではないのであります。
  51. 井上良二

    ○井上委員 あなたの今の御答弁は非常に政治的な御答弁で、何か銀行局の方が方針をきめて、特に貸金業あるいはその他金融統制に違反をした事実が上ればやろう。向うから連絡がなければこちらからあわててどうこうしない、こういう誤解を受ける御答弁ですね。そういう御答弁をしておると、あなたの方としてはちよつと変な誤解を生じますよ。あなたの方はあくまで厳正公正に、犯罪の事実があれば、どこの干渉も受けずに摘発することが必要であります。それが金融界に大きな影響を及ぼすとか、あるいは経済界に大きな影響を及ぼすからこれを上げるのをちよつと待つ、そういうばかな話なんて、現実にあるものじやない。ちようど政治津反をあげるのと一緒で、やはり犯罪の事実が明らかにあります以上は、びしびし取締つて行くというところに、法の厳正が確保されて行くのじやないかと思う。従つて大蔵省の銀行局がいかなる解釈をしようと、いかなる指示があろうと、それは銀行局としての金融行政の上からいろいろと申されることであつて、あなたの方の法を守つて行こうという立場から考えるならば、何らそういうことに会釈する必要はない。断固不正のものは不正——不正のないものをあげようということは、われわれは大いに警告をしなければいかぬけれども、現実に新聞にも出ております通り、違反の事実がはつきりあり、内金をすることならぬ。内金に類似した行為が行われておるという事実は上つておる。これを一体どういうわけで検挙しないのか、それで法の執行者としてのお守りができますか、私は何もあなたにここへ来ていただいて、どうこう言うのではないけれども、これはやはり建前上、法は公正に扱わなければならぬと思う。特に法的にこの解釈がまだ一致してないとかどうとかいうような問題じやない。規定に違反している以上は、当然罰則にひつかける必要がある。一体どういうわけで日取りを見ているか。だれかそんなことを言うて来ておるのですか。
  52. 安原美穂

    ○安原説明員 仰せの通り、検察官はいかなる犯罪といえども捜査をし、これを起訴することができるわけでありまして、決してひより見をしたり、大蔵省のそでの陰に隠れて惰眠をむさぼつておるわけではありません。犯罪の嫌疑があり、十分検証があれば、検察のメスを振うつもりでおります。ただ対象が非常に複雑でありまして、検察官は、簿記会計というような詳しいことにつきましては、まだ知識もございませんし、金融界の実情につきましては、やはり専門的な知識を持つておる銀行局の方から連絡を願つてやる方が、検察としても誤たず、能率的にやれるという意味において、銀行局の方から御連絡を願つて、どこまでも検察としては、そういう検証があればもちろん検察のメスを振うにやぶさかではないのであります。
  53. 井上良二

    ○井上委員 非常に大事なところですから、くどいようでありますが、申し上げます。あなたの御意見は、あなた方個人の勉強のために言われることであつて、こういう公の席上で、検察官としてはそんなことを言うべきではありません。少くとも銀行局がこう言うたらと、こういうお話であるが、銀行局がやめろといつたらやめますか。そういうばかなことはあるべきことではないのであつて、あくまであなた方は、財界や経済界や金融界等の入り組んだいろいろな情勢を判断をし、適正な方針を立てる上についての一つ資料としてあなた方が検討され、研究されてやられるのがけつこうなことで、それをやらなければならぬと思いますが、それを何か犯罪捜査の大きなてこに使つて、片方がちよつと待つてくれといつたら、待つておりますか。そんなむちやなことはあり得ないと思う。だからそこのところは、こういう席でそういうよけいなことを言つてもらつては、日本全国の検察の指揮をしておるあなた方としては、はなはだ不穏当な言葉です。そう思いませんか。私はそう思う。
  54. 安原美穂

    ○安原説明員 決して、銀行局が待つてくれと言つたから待つというようなことを申しておりません。銀行局の見解を資料としてやるという趣旨に御了解を願いたいと思うのであります。
  55. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、その結論は一体いつになつたら出ますか、それを伺いたい。
  56. 安原美穂

    ○安原説明員 結論と申しますと、どの……。
  57. 井上良二

    ○井上委員 どの分といつても、株式相互金融に対する違反がありとして、すでに新聞にも報道されており、警告も発せられ、聴聞会も開いて、現実に七条違反があるということを明確にされておることがあるのです。それに対して、あなた方はどうしようというのですか。
  58. 安原美穂

    ○安原説明員 明確な違法性の限界につきましては、すでに銀行局と打合せをいたしまして、銀行局長から大蔵委員会で御説明があつた線にのつとつて、われわれは違反か、違反でないかということをきめるということについては、結論が出ておるわけであります。
  59. 井上良二

    ○井上委員 ちよつとおかしいね、あなたの言うことは。私の言つておるのは、銀行局は金融行政その他でいろいろ解釈しなければならぬから、いろいろ政治的にも考慮しましよう。ところが刑事局としては、犯罪事実がはつきりしておれば、当然検挙の方針を立てなければならぬ、私はそう思う。それをやらないというのは、どういうわけですか。
  60. 安原美穂

    ○安原説明員 結論というのは、すでに銀行局で研究されて、違反ありとされたものを、やるか、やらぬかという結論が出ておるかということでありますか、これはやるという結論が出ておるのであります。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 金融問題でいろいろ大蔵委員会がやつているわけですが、金融秩序維持のために、信用金庫法を出されるというわけでありますが、どうもこの法律をいろいろ考えましても、蛇足ではないかというように考えるわけであります。それはなぜかというと、昨日も相互金融について、銀行局で大体日本で千くらいあるというお話でございました。そこで金庫とつく名前のものが二十六、七ある。そのほかのやつは、たとえば勧業会社とか、あるいは殖産会社というようなものはどういう方法でこれを取締られるか。あるいは何々経済会というものがありますが、そういうものはどういうふうな方法で取締られるか、その点について政務次官なり、あるいは銀行局長から御説明願いたい。
  62. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 銀行局長から……。
  63. 河野通一

    河野(通)政府委員 第一点の何々勧業会社といつたようなものはどう取扱うかということでありますが、金庫という名前を使つておりませんでも、広くは貸金業全体に対する取締りなり、あるいはこれに対する監督の方式につきましては、先般来申し上げておるラインで行くのでありまして、単に金庫という名称を使つておるかいなかによつて、この点は区別するつもりはございません。それから何々経済会といわれますものは、おそらく匿名組合方式でやつております資金の集め方についての問題だと思うのでありますが、この点も、去る三月当大蔵委員会で、私から政府としての考え方を申し上げたときに、はつきり御説明申し上げたのでありますが、匿名組合方式によつて多数の人から金を集めるという仕組みは、それ自体としては預金ではない。預金とは断じがたい、それは出資であるという考え方のもとに立つております。しかしそれを個々に見ますと、やはりやり方は非常に千差万別にわたつていると思います。従いまして、場合によつては匿名組合方式をとつておりながら、実はやはり預金を預かつておると断定いたさなければならぬ分野があり得ると思います。ここから先は非常に事務的な答弁になつて恐縮でありますが、実は貸金業をやつております者ならば、大蔵省は検査ができるのであります。しかし貸金業をやつておりません匿名組合でありますと、私ども検査の権限が実はない。従つてこれらの行為が、銀行法その他で、要するに免許を受けた正式の金融機関でなければ預金を預かつてはいけないという原則に反しているかどうかにつきましては、私どもとしては、これを的確につかむ方途が実はないという実情になつておるのであります。従いまして、残念ではありますが、実情について、詳しく私が責任を持つたお答えがここでできない次第であります。なお三月四日に申し上げましたのは、現行法の解釈及び貸金業者についての立法論について、私はいろいろ申し上げたのでありますが、貸金業者でない、これらの匿名組合方式によつて金を集めているものに対する一般論としては、実は私どもの所管でもございませんし、それについてかれこれ申し上げることは、非常にむずかしいと思います。ただ私個人の考え方から言えば、商法が認めておりました本来の匿名組合という制度は、おそらく今行われている匿名組合のような実情を、実は想定しておらなかつた規定ではないか。私しろうとでありまして、はなはだ責任のあることを申し上げられませんが、何方、何十万という人が出資者になるような形における匿名組合というような仕組みは、おそらくあの商法ができた当時は、予測していなかつたことではないか。従つてそういうことを前提にして考えますならば、現在行われておる匿名組合方式による資金の集め方というものを、現在の法律のままでほうつておいていいかどうかという問題は、確かに私個人としてはあると思います。しかしこれは立法論の問題もありますし、金融行政の立場からの問題では実はないのであります。この辺は必要がございましたら、担当の法務省の関係、おそらくこれは民事局長になるのではないかと思いますが、そちらの方からの御意見を聞いていただきたい、かように考えます。
  64. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それからもう一つ銀行局長にお尋ねいたしたいのですが、商法の規定では、名称を使うときは大体自由ということになつておりまして、その自由の方式があるから、たとえば銀行という言葉は、別に規定がありますからいけませんけれども、そういうような考え一般にあるから使われているのだろうと思います。そういつ点から考えますと、わざわざ金庫という字だけをいまさらつけ加えて法律にするということは、何か特別な意図があるのではないか。金庫という字は、それほどまだ銀行のように普及されていないという立場から、わざわざこの法律までつくつてわずか五十足らずのものを縛るのは、少し大げさでありはせぬか、こういうふうに考えるわけですが、この点についてどういうお考えを持つておりますか。
  65. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は昨日も申し上げましたように、名称というものは原則として自由であるということは、御指摘の通りであります。しかしこれが現実に相当弊害をかもしておるという事実を認めますので、この際どうしても金庫という名称は、正規の金融機関、つまり預金を預かれる金融機関としての資格を持つておるような誤解を起すことが非常に多いということにかんがみまして、正規の金融機関以外のものについては、金庫という名称を使うことは適当でない、かように考えておる次第でありますが、御意見はいろいろあろうかと思います。  なおきのうお話がありましたので、御参考までに申し上げますが、去る三月西村委員からこの問題について、たとえば金庫という名称を、正規の金融機関以外には禁止するという方法をとつたらどうかという御質問に対して、私がそういう必要はないということを答弁したように佐藤さんから伺つて、念のため速記を見ましたが、そういうことは申しておりません。技術的にはいろいろ問題があるが、ぜひ弊害のないように考えなければならぬと申しておるのでありまして、その点は御了承願います。
  66. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そのことについては、いろいろ議論がありますから、また他日において質問したいと思いますが、もし金庫以外の勧業とか殖産とかいうまぎらわしい言葉に対して、今後この法律が使えるかどうか、この点について銀行局長の御答弁を願いたいと思います。
  67. 河野通一

    河野(通)政府委員 きのうも政務次官からお答えしたと思うのでありますが、勧業とか興業とかいうのは、やや固有名詞に類すると思うのであります、固有名詞までこの法律で縛つて行くというのは、これはやはり商号自由の原則といいますか、そういうものから見て適当であるかどうか。とりあえずのところで、金庫という名称を正規の金融機関以外に使つていただかないということにしておけば、今言われておりまする弊害の大半は、少くとも除去できるのではないかというふうに考えております。今後さらに進んで参りますれば、きのうも申し上げたように、金庫に近い他の名称を使うというようなことも、いろいろ出て来るかもしれません。そういつた事態が出て参りました場合に、その弊害が非常に顕著であるということにでも相なりますれば、その節は、また別に考えなければならぬと思いますが、そこまではまだ考えなくてもいいのではないかというように考えております。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 昨日の継続になりますが、労働金庫法が成立しなかつた場合、これをどうするかという問題について、一応御答弁を伺つておきたいと思います。  次は、この商号に関する規定でありますが、少くとも商法は商事基本法であるわけです。従つて成規の手続をもつて合法的に登記をしておる諸君が、勢い登記がえを行わなければならぬ。あなたが御指摘された中には、これらの諸君が不法行為、要するに金庫類似行為を行つて、社会に弊害を与えておるという断定の上に立つて法律案が出されておるが、数ある中には、そういう人ばかりではないと思う。すでに商行為を行いつつあるもの、その名称を使用しつつある諸君があるだろうし、こういうような諸君は、この法律が通れば相当な被害を受けて、従つて広告によつて名称変更だとかいろいろなことをしなければならぬと思うが、こういうようなものに対する救済規定は何か考慮されておるかどうか。  それからもう一つは、ただいま井上さんの御質問の中にありました、たとえば貸金業法第七条に違反しての預金行為というような問題がありますが、これは検察当局においても、また大蔵当局においても、そういう事態があるであろうということはいろいろ推測されておつたところであり、しかもこの事態は、ここ数年来ずつと継続されて行われていることなんです。従いましてある時期においては、これは黙認されておつたのではないかという誤解を、それらの諸君並びに社会に与えておつた。この事実はまた疑う余地がないと思う。このことは、黙認は肯定というようなこともあるが、従つて当然あなた方は、監督官庁としてその責任を果さなければならないし、あるいは検察当局も、違反行為があれば摘発してそれを処断するの義務と責任があるのだが、三箇年間にわたつてそういう義務の行使を怠つて来たわけで、職責を尽すことを怠つて来た。その責任はやはりあなた方自体が負わねばならぬ。そこで私が申し上げたいのは、先般来われわれは、平明な気持でこれらの業界からの陳情書を受取つて読んでみたのであります。しかるところ、今先輩諸君によつて指摘されたように、銀行並びにその他の金融機関が、三万とか二万とか、特に五千とかいうような零細融資の申込みに対しては、ほとんど応諾をしていない。従つてこれらの庶民が、何となくどこかにすがりたいという気持でおつたところへ、こういうような金融機関が自然発生的に生れて来て、しかも監督官庁あるいは検察当局は、これを数箇年にわたつて見のがして来た。今やこれが大きな力になつて成長して参り、聞けば百数十万人の預金者がある。しかもその蓄積された預金が三百数十億ということになつて来ておる。そうしてすべてこれらの者は刑事の違反者である、あるいは貸金業法違反によつてその閉鎖を命じ、営業停止を命じて行くということであるならば、よつて及ぼすところの社会的な影響というものは、非常に甚大であろうと私は思う。法律というものは、申すまでもなく公共の福祉を守るためにあるのであつて従つてその功罪両方面からこれを厳粛に批判、解剖をして、悪質の者はもとより処断をせなければならないけれども、政府はいわば寛大な方針とか、あるいは成行きを見て、その上処理しようというような考えであつたか、われわれはあなた方の考え方を捕捉することはできないけれども、いずれにしても、ここ数箇年にわたつて千数百にわたるところの営業体が、とにもかくにも、その営業を許されて来たというこの事実の上に立つて問題の収拾の道をはかつて行かなければならぬと思います。従つて、現在そういう金を借りて生きておる人たちの立場、そうして、そういうところへとにかく金を預けておる人々の血のにじむような金が、いかにしてそれらの諸君の手元にもどり得るかというその方途に対する見通し、そういうようなものを十分見きわめて、ひとつ収拾の道をはかつてもらいたいということを、私は強く要望するものであります。  さらにもう一つ、時間がありませんので継続的に伺つておきますが、国有財産処分に関して、大蔵当局の意見をちよつと伺つておきたいと思うのであります。今回中小商工業者が、賠償機械を自分の古いのと新旧取替える形において、政府の払下げを受けることができております。しかるところ、その差額金が中には五十万、百万、二百万というような相当巨額に上るものがある。しかるところ、中小企業者は今金融梗塞、あるいは重税、あるいは営業不振等のために、そういう現金を一挙に醵出することが困難なる状況に置かれております。そうした場合、これらの諸君は、政府の親切なる配慮によつて、中小企業を合理化するとか、あるいはいろいろな生産を高度化するという意味で、せつかくそういう賠償機械を払い下げてもらつたのだが、しかしその金を払うことのために、高利な金を借りるとか、あるいはその経営が不健全なる状況に陥るというような面が現実に発生しつつあります。従つて業者は、これに対して、年賦でひとつその代金を払わせてもらいたいという陳情を当局にいたしておると思うのでありますが、中小企業を助長、育成するための施策として考慮されたこの賠償機械の中小企業者への交換という、その趣旨から考えまして、その陳情は当然かなえてやるべき性格のものだと思うのでありますが、これに対して政府はどういうような方途を講ぜんとしておるか、なお講じつあるか、この点について、政務次官から御答弁を承りたい。以上とりまとめて四点御質問をいたしました。  なお申し上げておきたいのは、ここに刑事局長もお見えになつておるようだが、先般大蔵省で、何か相互金融関係を検査したその当事者が、どこかの相互銀行の重役に就任したというようなこともあります。これは明らかに公務員の就職制限に関する法律に抵触すると私は思う。のみならず、私どもがその後これに対していろいろ調査をしておるところによりますと、かつて保険事業について、東京海上の長崎何とかいう方が、その業界代表として大蔵省の保険課長に就任をして、その就任期間を通じて、保険料金算定に対する法律とか、保険事業界に有利な幾多の法律を立法して、その事なるや再び帰つて、東京海上の社員に復職しておるという事実もある。少くとも大蔵省は、金融行政、あるいはいろいろなそういう行政の監督者である。しかもその監督者で、いろいろなそういう商事会社との人事交流がまことに顕著に行われておる。そういうような事実は、これは国民の信望を得るゆえんではない。私はこの機会に申し上げたいが、とにもかくにも業界の代表者を大蔵省の責任者に迎え入れて、当事者として立法せしめて、しこうしてそれをまたその会社に入れるとか、あるいはまたその監督しておつた男が、その同一業界において、他の競争会社の重役に就任するとか、こういうような監督行政をやつている大蔵当局は、とかくの論議をする前に、もう少し自分の立場から明徴にして行かなければならぬと思うが、これらの問題について、刑事局長は何か検察上のメスを加える意思はないか、この点をひとつ伺つておきたい。以上数点にわたつて答弁伺います。
  69. 河野通一

    河野(通)政府委員 お尋ねが大分たくさんあるのでありますが、第一の労働金庫とこの法律案との関係であります。これは昨日申しました後、いろいろ研究をいたしてみましたが、労働金庫は、現在信用協同組合でできておりますが、この問題につきましては、労働金庫法が近い将来に通過し、成立することを期待いたしまして、私どもは、この問題については特段の例外的措置を講ずることは考えておりません。なおこれは御参考までに申し上げたいと思うのでありますが、現在できております信用協同組合でありますが、この労働金庫という名前を使つておりますものにつきまして、——これは実は府県の監督に属している信用協同組合でありますが、これが労働金庫という名称を使いたいというお話がございましたときに、私どもの方で、これはいろいろ複雑な関係があるから金庫という名称はできるだけ使わない方が適当であろうということを、実は申し上げておいたのであります。しかし現実には、そういう金庫という名前を使つておられるのでありますが、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、労働金庫法案というものができて、法律に基いてその金庫という名称が使えるということになることを、私どもは期待するよりほかないという結論であります。  それから第二点は、株主相互金融その他の預金の取扱いについて、三年間ほつておいたじやないかということであります。この点は、おしかりを受けても私どもまことに申訳ないと言わざるを得ないのであります。しかし弁解がましくなりますが、実は先ほども、刑事局の方からもお話がありましたように、この問題は法律的に非常にむずかしい。言葉は非常に語弊がありますが、いわば紙一重の問題であつたのであります。従いまして、私どもはこの問題の研究に一年有半を実はかけたのであります。その過程におきましては、むしろ議論は逆な意味において強かつた。たとえば、株主相互金融という本来の形でやつているのも、それは実は預金じやないかという議論が出ておつた従つて形式は株式という形でやつてつても、それは預かり金を受けていると断定しなければいかぬのじやないかという議論さえあつたのであります。これらのために、責任のある関係当局といろいろ相談をいたして参つたのでありますが、なかなかむずかしい法律問題でありまして、それがために一年有余を要したわけであります。その間に実はほうつておいたつもりはないのでありますけれども、これらの結論がようやくにしてことしの初めに出た。その結果ことしの三月に、私から大蔵委員会において御答弁申し上げたような事情にあるのであります。昨年以来大蔵委員会におきましては、たびたびこの問題につきまして、政府の態度が非常にあいまいである、あるいは煮え切らないということで、おしかりを受けて参つておるのでありますが、そういう事情で結論を出すのに非常に手間取つたということを、これは非常に弁解がましくなりますが、御了承をいただきたいと思うのであります。  それから第三点は、零細な金融について正規の金融機関はなかなか金融しないじやないか、従つてこういう種類の金融がどうしても必要であるという御議論であります。この点は、私どもは全然軽視しておらなかつたのであります。先般三月に私から御答弁申し上げたときにも、そのことは十分に認めておるのでありまして、正規の金融機関、大衆から預金を預かる金融機関におきましては、やはり預金者保護という観点から、どうしてもその金融についてはある限界がある。しかしそれだけでは、社会の金融に対する需要に十分応じ切れないという事情ももちろんあり得る。これは昔から実はあるわけであつて、戦後に初めて起つた問題ではない。私はその意味において、貸金業者というものは、社会的必要があると考えております。ただ問題は、社会的必要があるからといつて、貸金業者がいかなる行為でもつて資金を集めてもいいということにはならない。そこにははつきりした限界がある。自己資金でやるならば、これは貸金業者を私どもは弾圧しようとも、それを取締ろうとも、そんなことは全然考えてない。法規に違反しない範囲で貸金業をおやりになることについては、毛頭私どもはそれを押えようという考えはない。のみならず、その社会的必要は十分に認めておる。その点は、私どもは割切つて考えておるのであります。  なおあとの点は、ちよつと私の所管でもございませんし、ことに人事の問題等につきましては、政務次官がおられますから、政務次官の方からお答え願いたいと思います。
  70. 内藤友明

    内藤委員長代理 春日さん、刑事局長にお尋ねのようでありますが、刑事局長はあすにでもおいで願つて、また御質問願つて答弁願いましようか。これは愛知さんからお答え願つてもどうかと思うのですが……。
  71. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 まず賠償機械の問題からお答えいたしますが、これは、少しでも中小企業の振興のために役立てばということで考えたことは御指摘の通りであります。それから代金の分割払いという点については、追つて至急研究をいたしまして、お答えをいたします。  それから金融の問題は、これはケース・バイ・ケースで、政府が今金融のあつせんということを建前としてやらないのでありますが、問題が問題でございますから、その買取りの代金のために必要でありますような場合には、事実上政府が仲介あつせんの労をとりたいというように考えております。  それからその次のお尋ねの点でございますが、横浜の相互銀行へ人が入つたという問題については、昨日銀行局長から一応御答弁申し上げた次第であります。なお保険会社の人の問題でありますが、これは私の知つております限り、詳細に御説明いたしたいと思うのでありますが、お尋ねの人は学校に在学中から保険関係の専門の研究をした人で、大学を出ましてから、たしか大学院におきましても、特に保険関係の勉強をした人であります。その後東京海上に入社したのでありますが、御承知のように、大蔵省では特に保険関係の業務に明るい人が比較的少かつたために、特に懇請して大蔵省に入つてもらつたわけであります。入りましてからも、長いこと大蔵省におつて、保険課の事務官として業績を上げ、その後保険課長に就任したのでありまして、先ほどおあげになりましたようないろいろの立法等についても、非常によく働いてくれた人でございます。本来が会社に入つたくらいの人でありますから、かねがね会社側からも非常に望まれ、自己の希望もありましたので、このような場合におきましては、人事院あるいは国家公務員法等の関係におきましても、特例を認められておるようなケースでございますから、大蔵省の方は円満に退職して、元おりました会社に復帰したような次第であります。しかし大蔵省に在職年間も相当長くて、その間においては、もちろん公務員として、私も存じておりますが、非の打ちどころのないような優良な人物でもあり、また業績も上げた人でございます。大蔵省からまた会社に返つたという点について御意見のありましたことは、私もよく承りますが、それ以上にわたつて、業界の代弁のためにわざわざ入つて来たとか、そういう意識のもとに働いたとかいうことは、絶対にないと私は確信をいたしておるような次第でございます。  それから将来何でもどんどん売り込むかというお尋ねは、昨日もございましたが、これは昨日銀行局長からはつきり御答弁申し上げましたように、そういうようなことは、原則としていたすべきではない。また国家公務員法の建前から申しましても、できるだけさようなことはいたしたくない。ただ新しく横浜に相互銀行設立の議が起つて、どうしても専門的な知識の人が必要であるということで、たまたま昨日御指摘の人がその線に当つたわけでございます。これは非常な異例の場合であるというふうに私は考えておりまして、今後はそういうことのないようにいたしたいと思つております。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 横浜の問題は小さい問題のようだが、これは人事院の承認を得ておられますか。
  73. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 これは昨日銀行局長からも申し上げましたように、役員ではないのだそうでありまして、職員として入りましたものですから、人事院に対しては、所定の手続を経て承認を得ております。
  74. 春日一幸

    ○春日委員 それから保険課長の問題について御答弁がありましたが、大蔵当局は、法律違反をするとか、あるいはカンニングを助長するという意味では、そういう人事行政を行われてないと思いますが、そうは世間の人は受取らない。少くとも火災保険業界から出て、そして保険課長になつて、保険立法を行つて、そして元の会社に返つて行く、こういうような人事行政は、厳に慎むべきだと思う。少くとも保険立法を行うには、大蔵省はそういう人を求むべきではないと思う。監督するものと監督されるものとの一線というものは、もう少しすがすがしく画せられなければならぬと指摘したい。こういうことをさしつかえないと言わるるのは、国民の疑惑がさらに加えられるものだと思うので、そういう言動は大いに慎んでもらいたいと思う。  それから話はかわりますが、ただいまのやみ金融の問題であります。それはやみ金融であるかどうかは別といたしまして、必要がそういうようなものを発生せしめて来た。しかも監督当局がこれを数箇年にわたつて見のがして来て、事態はまことに収拾すべからざる事態になつて来たということについては、これはそういう業者とともに、一半の責任を監督当局がとにかく負わざるを得ないような状態に私は来ておると思う。そこで私が申し上げたいのは、けがの功名とでも申しましようか、こういうような諸君があるいは非合法であるかもしれないが、そういうような状況において、とにもかくにも五千、一万、その資料によりますと三万二千円が平均の融資単位であるそうでありますが、そういうような融資が現実に行われて、一面それが庶民階級から喜ばれておるような面もないわけではない。そうだとしますならば、現在そういうような事態の収拾策いかんというところへ行政の焦点を合して参りましたとき、これをそのままにしてパニツクを与えて、何もかも法律に違反するからだめだ、そういうものに携わつた者は逮捕投獄するんだ、こういうようなことでは、問題の解決にならぬと私は思う。これは私の即興的な着想でありますから、御批判を願いたいと思うのであります。私自体もなお研究を要する問題でありますが、こういうような法律的にいろいろの疑義のある形態において営まれておる貸金業、こういうようなものを合法活動へ移して指導助長して行く。たとえば信用協同組合形態に、あるいは相互銀行の形の中に、あるいは信用金庫の形の中にそれを組織がえして行くことのために、当局が一定の期間を設けてこれを補導して行く。そうして今まで、ある一面において非合法ながらそういう零細庶民に貢献をした人々に対する功罪を、そこでよくはかつて行く。幸いにけがの功名とはいえ、そこに相当の零細融資ができ得る資金源がプールされておる。この価値を認めて、そうして一定の期間の余裕を置いて、そういう組織がえを助長するような意思はないかどうか、この点について河野さんの御意見を承ります。
  75. 河野通一

    河野(通)政府委員 私どもといたしましては、こつ問題については、いろいろ御議論はかねがねあるのでありますが、正規の金融機関としてそういつた種類のものを認めて行くことがいいか悪いかは、正規の金融機関として新しくそういうものをつくる必要があるかないかという観点から考えて行かなければならない。つまり貸金業としてならば、それが正式に適法にやつております場合は、それは社会的必要があつてつたと思いますが、それを新しい正規の金融機関として認めるか認めないかにつきましては、そこは正規の金融機関の分布の状況とか、社会的、経済的な必要という面から十分考えて行かなければなりません。それを申入れがあつたならば、すべてを——もちろん一定の基準があるわけでありますけれども、相互銀行にして行くということは、なかなかむずかしいと思います。ただ問題は、さらに実質的には現在のこれらの貸金業者の金利の状況は、御承知の通り非常に高いわけです。集められておる資金のいわゆる預金者利まわりと申しますか、これは言葉が悪いのでありますが、預金者あるいは加入者に払つておられる配当、利息といつたものが、月二分ないし三分程度であろうと思います。そういたしますと、年に直して三割以上のものになる。これらのものを預金あるいは掛金として、あれだけの利まわりを払うということは、とてもできつこないと私は思う。一方において貸出金は、現在いろいろありますけれども、大体おしなべて日歩三十銭ないし三十五銭程度が普通でないかと思う。相互銀行は、普通の銀行等に比べますと若干高いのでありますけれども、現在大体日歩三銭五厘程度でやつております。そういつた高い金利でもつて金を集め、そうした高い金利でもつて貸付をいたしておるという一つ状態が、そのまま今申し上げましたような形態の正規の金融機関にはたしてなり得るかどうかという点も、実際問題として十分考えなければならぬ点がある。この点につきましては、せつかくの春日さんの御意見ではありますけれども、私はにわかに賛成できない、こういうことを申し上げざるを得ないのであります。
  76. 春日一幸

    ○春日委員 そこで私が申し上げるのは、大体金融公庫が平均二十万円、それから信用金庫とか協同組合というのでも、大体十万円くらいが平均単位になるのではないかと思うのでありますが、そうした場合、この庶民金融、特に零細金融のための機関ということを考えますとき、融資の最高額をたとえば三万円におくとか、あるいは五万円におくとか、しかもその返済方法を毎日集金するような方法によつて貸倒れを防いで、平易に貸出しの道を開いて行くとか、こういうことがあるいは必要でないかと私どもは想定されます。そういうことが必要であるので、全国的に三百億近くの預金が集まつて来て、百八十万という人々がそういう機関もとに集結して来たんじやないかと思う。この問題はむろんここで可否の決定ができる問題でありませんので、当局においても諸般の事情をよく御検討願いたい。これに対して非常に手きびしい処置が行われると、百八十万の諸君がきつと大きな迷惑を受けるだろうと思う。しかも今まで金融機関から相手にされなかつたところの諸君が、何となく手がかりを得ておつた、その手がかりがなくなつてしまう。こういうような点等を考え合せて、金融上万全の措置を講じていただきたいということを強く要望いたします。  なお私いろいろ関連事項がありますが、時間も過ぎているという御注意もありますので、この辺で打切りますが、特に中小企業者に対する工作機械の交換、これの差額金の納付方法についての分割払いの要請の陳情書が、当局に全国から出ているわけでありますから、十分御検討願いまして、中小企業者の窮情が少くともしんしやくされるように要望いたしておきます。
  77. 内藤友明

    内藤委員長代理 大平正芳君。
  78. 大平正芳

    ○大平委員 ちよつとお話は違いますけれども、小額通貨整理に関する法律案に関連しまして一点承りたいと思います。予算委員会の劈頭、同僚の本間委員から大蔵大臣に対しまして、この法律案に関連して、デノミネーシヨンというような見方が世間にあるが、どうかというような質問があつたようです。私は速記録を調べておりませんので、正確なことは申し上げられませんが、大蔵大臣はこれに対して、デノミネーシヨンというようなことは考えていないというような答弁があつたかのようであります。デノミネーシヨンということは、私この際これを取上げようという気持は毛頭ないのです。またその自信もありません。自信がないという意味は、これはやつたがいいのだという自信もなければ、またやらないがいいのだという自信もない。いわば相当まじめに検討せねばいけない問題ではないかというような気持がするわけです。いろいろ文献を調べてみましても、デノミネーシヨンというようなものは、歴史上どういう場合に、どのような形でとられ、その効果、影響はどうであつたかというようなことは、今寡聞にして私存じないのでございますが、成必を離れて、社会並びに経済の実態を見ておりますと、どうもあしだをはいて歩いているような、きわめてエネルギーのロスを招くような事態が多うございます。会社、団体等の経理にいたしましても、また公共団体の予算にいたしましても、零を二つどうしてもつけなければならぬというようなことは、これはきわめて非能率なことでございますし、かつて千円札を出すか出さぬかという議論があつたときに、千円札を出せばインフレを招くのだというようなことで、しばらく慎重に構えておりましたが、出してみると、非常によくて、金融機関もよほど冗費が省けたというようなことも伺つているわけであります。ともかく貨幣行政上、円の取扱いということは非常に大事なことで、かような呼称をそうやたらにかえるべきものでないと思いますが、一体この問題を、大蔵当局におきまして今まで慎重に御検討されたことがあるのかどうか。また大蔵大臣は考えていないとおつしやつたのですけれども、考えていないということを言明される場合には、どれだけの御用意があつておつしやられたのか。また第二次世界大戦が終りまして以来、各国においてこういうデノミネーシヨンをやつた国があつたのかどうか、その状況はどうか、そういつた点につきまして、手元に資料がございませんので、大蔵当局の御用意のほどを伺つておきたいと思います。
  79. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 小額通貨整理に伴つて、この際デノミネーシヨンをやる意思があるかどうかということは、予算委員会の冒頭の質疑にございまして、それに対して大蔵大臣としては、さような意思は絶対にございませんということをお答えしておるわけでありまして、大蔵省としては、そういう態度を、慎重に研究の上で決定をしておるというふうに御了承を願いたいと思います。  これから先は、申し上げるまでもない蛇足かと思いますが、千円札のお話が出ましたが、千円札を出したらインフレになるかどうかということを論議された、その場合と多少この場合は違うのではないかと思うのでありまして、何といつてもデノミネーシヨンということは、たとえば千円をもつて、某日某時刻を期して一元とするとか一両とするとかいうような趣旨に、私どもはこれを理解してお話をしたいと思うのでありますが、そういう場合におきましては、何といつてもやはり通貨価値それ自体に対して、従来なれておる日本人の考え方からすれば、単純なデノミネーシヨンであるつもりで当局はやつたにしても、やはり通貨価値の変動だというふうに国民には理解されるおそれが多分にあるのだと思うのでありまして、現在の日本の情勢におきましては、多少記帳上その他まるが二つか三つよけいになるというような不便の点はございましても、通貨価値の基礎について、多少でも心理的な動揺や不安を来すようなことは、絶対避けなければならないということが、私どもの研究の結果の結論でございます。申し上げるまでもございませんが、たとえば世界的に見ても、フランの平価が大体日本と同じ程度でございますが、もうフランス人としても、すつかりこれに習熟しきつておる。三百六十円を一ドルとするという考え方にも、漸次日本人は習熟して来ると思いますので、今これに手をつける意図は毛頭ないということを、はつきり申し上げておきたいと思います。なおもう一つ、国際通貨基金との関係におきましても、御承知のように一円につき純金〇〇〇二四六八五三グラムということが決定されておる。これは一ドルが三百六十円ということを基礎にしてやつておるわけでございますから、その関係におきましても、私はこの際とるべき方策ではないというふうに考えるわけであります。
  80. 大平正芳

    ○大平委員 もう一つ。先ほどから俗にやみ金融といわれておる問題につきまして、同僚委員から御質問がありまして、その中で一点ちよつと疑問に思う点がございますので、銀行局長にお伺いしたいと思います。正規の金融機関という言葉をお使いになつておりますが、大蔵省の設置法を読んでみますと、日本銀行とか、あるいは特別法でできておる機関をずつと列記いたしまして、九のところで、「その他金融業務を営む者を監督する」というように書いてあり、あるいは検査部の項で「金融機関の業務及び財産の検査」——金融機関という言葉を使つてあるのですが、ここに言う金融機関というのはどういうものを言うのか、組織令を見てみますと、貸金業者だとか、無尽業とか、類似無尽とか、いろいろ出ておるようですが、われわれは、一体この大蔵省設置法の建前から、金融機関というものをどのようにとつたらいいのか。それがはつきりしないと、先ほど春日委員からもありましたように、大蔵省がこの問題につきまして怠慢であつたとかなんとかいう責任とも関連いたしまして、はつきりすると思うのです。当局のいろいろ苦悶されたあとは、われわれも非常に同情いたすわけでございますが、今言つた点、ちよつと解せない点がありますので、お尋ねいたします。
  81. 河野通一

    河野(通)政府委員 正規の金融機関というのは、俗な言葉で申し上げたのでありまして、金融機関というのは、御承知のように普通の場合におきましては、資金を——預金、あるいは貯金、あるいは掛金、そういつた不特定多数の人から一種の預かり金に類するものを一方で預かつて、公衆から金を集めて、そうして貸出しをするというのが、普通にいわれておる金融機関だと思います。それで、貸金業者は金融機関ではないかというと、金融業ではあると私は思います。資金の融通をいたしますから、これは金融業だとは思いますが、しかし私どもが普通いつておる金融機関というのは、やはり預金者を持つてつて、預金を集めて金を貸すというのが、本来の金融機関の姿であります。非常に失礼な言い分でありますが、授ける方の信と、受ける方の信と、両方やるのが金融機関の普通の場合である、そういう意味で実は申し上げておつたのであります。貸金業者も金融をいたしますから、金融業といつてもいいと思いますけれども、私どもが普通いうております金融機関の中には、入つておらぬわけであります。しからば、貸金業者に対して大蔵省はどういう立場に立つておるかと申しますと、これは、貸金業者に対しては貸金業の取締りの法律がありまして、届出制でやつておるわけであります。届出制がいるかいらぬかということは、立法論としていろいろ問題があると思いますけれども、現在としましては、自分の金で貸し付けたり、資金の融通をしたり、手形の割引をすることは、本来自由なものでありますが、それが弱者保護の立場から、非常に暴利をとつたり、あるいは金融業法に違反して預金を受けたり、そういうことだけを取締る。それ以外は、本来貸金業者というものは自由なものである。ただ、それに今申し上げましたような二つの制約がついておるというふうな考え方で、私どもの立場からいいますと——広い意味では一種の金融機関ではありますけれども、私どもがいつておる金融機関の立場の中には、入つておらないのであります。非常に説明がはつきりいたしませんでしたが……。
  82. 大平正芳

    ○大平委員 そういたしますと、金融の業務を営む者という表現と金融機関というのは、違うわけですな。それからその点が、もし金融業務を営む者という中に、授信受信業務をあわせ行わない者も入る、あるいは多少あいまいな者もそういつた表現の中に含めて考えられておるというのであれば、これは確かに春日君の言う論説が正しいことになるわけですけれども、今いう授信と受信両方をはつきりとやるものでなければ、金融機関といわない、あるいは金融業務を営む者といわない建前であれば、そういつた金融機関の行政を御担当なんですから、そうでないものは、監督上責任を問われないはずでありますが、その点はいかがでありますか。
  83. 河野通一

    河野(通)政府委員 いろいろ議論はあると思いますが、金融機関と申しますのは、今私が申し上げましたような、授信と受信両方をやるのを大体金融機関と考えております。従つてその他の——いわゆる金融業といつておりますが、私どもはこれをわけて、貸金業という言葉をわざわざ使つておるわけであります。正規の——正規というと言葉は非常に悪いのですけれども、金融機関とはいえないのじやないかと考えております。
  84. 内藤友明

    内藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時から開会いたします。     午後四時四十一分散会