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1953-07-07 第16回国会 衆議院 水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 田口 長治郎君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 中村庸一郎君 理事 山中日露史君    理事 小高 熹郎君    塚原 俊郎君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    田中幾三郎君       辻  文雄君    松田 鐵藏君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一朗君         水産庁長官   清井  正君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         総務課長)   沼尻 元一君         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    大石 孝章君         農林事務官         (農地局入植課         長)      和栗  博君         農 林 技 官         (水産庁漁政部          経理課長)  高橋 泰彦君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 伊藤  茂君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 七月四日  岩手県下の漁港整備に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第二五九二号) 同月六日  厚内漁港修築に関する請願本名武紹介)(  第二七七九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為に  よる特別損失補償に関する法律案内閣提出  第四二号)  漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  ただいまより漁船損害補償法の一部を改正する法律案議題とし質疑に入ります。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 まず水産庁長官にお尋ねいたします。この法律を見るときにおいて、第一点は漁船トン数の問題であります。第二点はこれに伴う建造資金の問題であります。漁船トン数におきましては、十三国会でありましたか、漁船そのものが二十トン未満ということになつておる。その二十トン未満の小漁船となつたのは、零細な漁民の持つ漁船という意味合いからであると思う。ところが動力船全体は十四万隻ある。そのうち約二十トン以上の船が六千隻ある。こういうことからいつて、二十トン未満の船でなければならないという大蔵省意見であつたと聞いておるのであります。日本漁業実態は、零細な漁民の問題は申すに及ばず、経済そのものが、大資本漁業大型漁船でなく、中の漁船を持つておる、すなわち百トンから五十トン、三十トンという船を持つておるのが漁業中心をなしておるのでありまして、この議論水産庁においてもよく認められておることと存ずるのでありますが、今回損害補償法の一部を改正する法律案が出、またその後トン数増加ということが前々国会においても相当論議されたのであるが、水産庁大蔵当局との交渉がどのようになつておるか、この点をまず承りたいと存ずるのであります。
  4. 清井正

    清井政府委員 ただいま松田委員より、漁船義務加入対象になるトン数限度の問題について御質問があつたのでありますが、なるほどお話通りどもといたしましては、むしろ二十トン以上の漁船が、わが国の漁業において実際に活動をいたしておりまして、漁業中心になつておる漁船であることは、実は十分了承をいたしておるわけであります。漁船保険制度の建前から申し上げまして、漁業を安定化せしめる見地、あるいはその他各般の見地からいたしまして、この漁船損害保険制度をさらに拡充いたし、制限トン数増加いたしまして、よつてつて漁業に従事する漁船の大部分をこれに包括せしめ、それに従事する漁業経営をさらに安定化せしめるという方向は、正しい方向であると私も考えております。委員会におきます各委員の熱心なお話も十分承つてつたのでございますが、しかしながら本改正案におきましては、残念ながらいろいろの関係で、トン数は二十トンということを限度といたしまして、一トン以上二十トン未満動力船義務加入対象に相なつております。その後私も大蔵省に参りました節に、この問題につきまして、いろいろ問題のあることをしばしば話をしておりますけれども、まだ本法律案においてその改訂を行うとか、あるいはその点を予算に計上するという段階に至つていないことは、はなはだ残念でございますけれども、遺憾ながらただいまはそういう現況にある次第でございます。
  5. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 水産庁長官に対してこういう議論をすることは当を得ない話でありますが、当局としてひとつ十分お考えになつて、いま一たび御努力を願いたいと思うのであります。  大蔵省に対して私は議論を進めたいのでありますが、大蔵省主計官は本日おいでになつておりませんので、非常に残念であります。およそ議会政治の上から行きまして、その政策すべて内閣総理大臣施政演説が基本をなすものだと私は心得ておるのであります。また当該大臣、つまり農林大臣も、本会議における答弁において申しております。すべての施策がこれによつてなされるのでなければ議会政治の本質がないものと私は考えておるのであります。水産庁はあらゆる角度から努力をきれましたことも聞いております。しかし内閣総理大臣施政演説とこの法案とは、ただいまのトン数限度から行きましても、非常な食い違いを生じておるのであります。まず内閣総理大臣施政演説は、漁業の振興を力説しております。農林大臣沿岸より沖合沖合より遠洋へという趣旨の言葉を述べておるのであります。しかも沿岸との漁業調整ということを主眼としておる。先日の当委員会における保利農林大臣演説の中にも、そのことが含まれておつたのであります。ですから、ただいま長官からの答弁による二十トン以上の漁船日本漁業小中心をなしておるという御意見から行きまして、漁民に対する満期保険制度をもつて漁民財産擁護または漁民の利益を確保してやり、しかして蓄積によつて建造資金に充てんとする趣旨そのものは非常にりつぱでありますが、ここに二十トン未満ということになつてこのままで推し進められることになれば、水産庁せつかく趣旨も水泡に帰してしまうことになるのであつて、現在の域を一歩も進むことのできないものになるのであります。内閣総理大臣及び農林大臣施政演説の一端から行きましても、日本漁業調整の面から行きましても、大資本漁業行つておる捕鯨船及びトロール船を除くすべての漁船が、おそらくこの制度の中へ入る。政府恩典を受けて漁民みずからの自立更生の資に供して、しかして経済の安定をはからなかつたならば、日本漁業というものはとうてい成り立たないものではないかと思うのであります。こういう点に対して、水産庁長官があらゆる努力をされたことはよく知つております。しかしわれわれといたしますならば、この点に対するただいまの段階は、とうていわれわれの意に満たないものであるという感じがするのであります。これに対して水産庁長官は、トロール船捕鯨船を除く漁船に対してこの法律を適用して、これらの漁民に対して、その財産擁護及び企業合理化を進めて行きたいという御趣旨があるかないか、この点を承つておきます。
  6. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、なるほどただいまの法律及び予算のもとにおきましては、御説明申し上げました通り、二十トン未満の船しか国庫の二分の一保険料負担対象になつていないのであります。この点は先ほども申し上げたのでありますが、確かに漁業経営の安定をさらに拡充強化するという面からいたしまして不十分であると私どもつておるのであります。しかしながら、いろいろの関係でいまだその目的を達しないのでございますが、先ほどお話のありました通り農林大臣からもはつきりと将来の漁業の方針について御説明申し上げておつたのでございますが、私どもといたしましては、さらにこの限度引上げをはかつて参りたいと思うのであります。どの程度まで引上げるかということにつきましては、私どももただいますぐに確定的なことはお答え申し上げかねますが、私といたしましては、少くとも漁船の大部分がこれに包括し得るような方向に持つて行きたいというふうに考えておるのであります。しかしこれは過去の経験からいたしましても、なかなか諸般の関係上非常に困難が伴うのではないかというふうには考えておりますけれども予算、施設等相まちまして、この問題につきましてはさらに限度引上げるという方向で、最大の努力を払つて参りたいと思います。
  7. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 長官の御意思はよくわかりました。私は委員長に申し上げますが、もはや各委員は前々国会においてこの、問題も非常に議論されたことであり、漁民要望とこの法律漁船わくトン数制限に対しては、当委員会は不満足であるという考え方を持つものだと私は推測するものであります。よつてたとい大蔵省は、この本年度の財政の点から行きましても、これがとうてい二十トン未満でなければならないという趣旨のもとに、せつかく水産庁意見をも尊重することができずして、こうしたトン数限度をきめたということであろうと存ずるものであります。よつてわれわれは国民の代表として漁業政策の上から行きまして、とうていこれでは国民要望に達するごとかでき得ない、かような考え方を持つことであろうと私は推測するものであります。この委員会において、国民要望漁業経済の確立と漁業調整の面からいつて農林大臣先ほど申し上げたような議論政策として発表されております以上、このトン数漁船のあまねくものに与えるように、委員長からしかるべく御協議をしていただくように私は要望するものであります。  次に第二点として資金の問題であります。この資金の問題につきましては、この法律から行きますと、新しい船をつくるためにその資金の半額に対しては国は一定の限度によつて補償することになつておりますが、さて現在の日本の国の漁民というものは、私の推定するところによりますと、一年間に五十億程度建造費をあらゆる部面によつてまかなつておるものであろうと考えておるのであります。それは財政難の今日、無理した自己財政によつてなされておる。こうした点から行きまして終戦後八年にはなつておりますが、漁民の意図する漁業近代化実態から見ると非常な遅れを来しておる、または古い船を改造して増トンをして、そのために非常な損害をしておるような実体も往々にして見られるのであります。しかもいろいろな制限からもしまして、思うままに行かないのが今日の実態と思います。このままで行きましても、ここ両三年の間には必ずやすべての船が旧態依然とした漁船となつて行くことであろう。三年、四年後にはすべての船がもはや腐敗、困憊して行つて、百億ないし百五十億程度造船資金が必要になることだと思うのであります。しかしてせつかくかくした法律をつくつて漁民に対して満期保険制度を設けんとしても、その資金はいずこから出るものであるか、国はどのように考えておるものであるか、この点ひとつ当局からお伺いしたいのであります。
  8. 清井正

    清井政府委員 ただいまの漁船建造資金の問題でございますが、この点は私どもといたしましても確かに重要な問題であり、またきわめて困難な問題であるということを、率直に申し上げなければならないのであります。御承知通り、大体ただいまの漁船建造につきましては、漁業協同組合関係は、これは自営漁船の範囲におきまして、農林漁業金融公庫から融資があるのであります。そのほか大型漁船につきましては、開発銀行より融資を受けておつたというような実情であります。その他漁船につきましては、主として開発銀行中小事業部あるいは農林中金の固有の資金等によつて出資を今まで受けて来ていると思うのであります。しかしながら、農林金融全体の面からこれを考えてみますと、協同組合組織経営にかかる事業につきましては、よほど金融措置がいろいろ考えられておりますが、企業者、特に中小企業者経営に対する金融というものは、残念ながら不十分であると申し上げなければならぬのであります。特にその問題は漁業について言えることでありまして、一般の農業に比較いたしまして、中小企業に対する金融という問題は、いささか制度並びに金融措置について不十分であるといわなければならぬと思うのであります。その点を今後打開いたしまして、いわゆる組合系統でないところの個々の業者に対する金融というものを、さらに発展させることをいたさなければならぬのでありまして、そのためには、金融わくの問題もむろんでございますが、さらに現在の制度改正いたしまして、現在の金融機関特に農林漁業金融公庫あるいは農林中央金庫等のような、農林漁業専門金融機関から、法制上ももつと楽に漁船建造者に対して資金融通ができるように、措置をして参らなければならぬと思うのであります。今回の漁船損害補償改正案の中には、建造資金利子補給予算が組んであるのでございますが、その背景となるところの金融につきましては、残念ながら思うようた措置か打つてないことは、はなはだ残念でございますが、この点は御指摘の通りでありまして私どもといたしましても、今後この方面の資金融通を円滑化するという方向に、努力をして参りたいと考えて力るのであります。
  9. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 現在のこの法律の面から行きますと、金融という問題はさしたる心配がないのであります。それは二十トン未満漁船ということになりまして、これは漁業協同組合の中において、系統機関から出して行けばやり得る仕事であろうと考えておるのであります。ただいまの長官お話にもありまするが、長官自体も、先ほど私が申し上げたように、その根本の精神は、トン数限度をもつと増加したいという御意見から、ただいまの御答弁もなされたと思いまして、たいへん私どもとしても意を強うするものであります。  さて飛躍した話ではありまするが、二十トンの限度をもつと打開して、漁船全体にこの法律を適用させるという考えのもとに論議を進めて行くならば、ただいまの長官の御答弁によつてどもも非常に喜びを感ずるものでありますが、実はこの建造資金というものの打開の道は、ただ一途あるのみだ。それは前国会を通過いたしました中小漁業融資補償法、すなわち基金協会によつて自己資金基金協会出資して、しかしてその出資によつて保証され、国は保険をつけて、これによつて五倍までの融資を受け得る道は講じてあるのでありまして、私どもも非常に画期的な政策と心得て、あの法律を通過させたものでありまするが、結果においては、ここに非常な難点がある。その難点は前委員会においても私は指摘いたしたのですが、一年以内の短期手形のみを基金協会において取扱い、しかして銀行融資をするに当つて日本銀行は九割まで再割引する方法が制定されておりまするが、長期資金というもの——建造資金は絶対に長期でなければならないのであります。この長期資金に対しては、現在の銀行法から行きましても、これは制度の上からいつてもとうていでき得ないことでありましよう。しからばどこにその資金が見出されるかということは、現在としたならば非常な困難に陥つているのであります。基金協会法律趣旨そのものが、非常にわれわれの意図するところとかけ離れた結果になつているのであります。これを打開しなかつたならば、とうてい建造資金融資などというものはでき得るものではないという考え方を持つておるのでありますが、先ほど長官から、金融公庫から打開の道がある、またはなし得るように努力をされようという御答弁がありましたが、今の公庫法から行きまして、これまた杜絶されておるものであります。公庫農林漁業特融によつてこれを打開せんとするには、どのような方法をもつて打開せんとすることをお考えになつておりまするか、この点を承りたいと思います。
  10. 清井正

    清井政府委員 ただいまのお話の、昨年いろいろ御審議を願いましたところの漁業信用基金協会運用によりまして、この金融措置保証の裏づけをして、金融の円滑をはかるということにつきましては、いまだ基金協会設立段階の途中でありまして、本格的な活動はいたしておらないのでございますが、なるほどその運用の実際面としては、主として設備資金重点がかかつて来ているということは、お話通りであります。しかし問題は運転資金重点がかかつておるわけであります。問題は設備資金、ことに漁船建造資金金融の問題でございます。その方の問題が非常に措置として不十分であるということをいわざるを得ないのであります。私どもといたしましては、漁業信用基金協会保証し得るところの設備資金の債務につきまして今後さらに措置をはかつて参るということに努力をいたさなければならぬのでございまするが、問題は設備資金を貸し得る金融機関との関係でございますので、主として債券を発行し得る金融機関において設備資金融通がなし得るものと思うものでございますが、そういつた農林中央金庫とかあるいはその他の債券発行機関漁業信用基金協会との連繋をさらに緊密にいたしまして、従来の運転資金重点より設備資金へさらに重点を移すように努力して行かなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。  また農林漁業金融公庫法制的な措置の問題でございますが、これがただちになし得るということはもちろんお答えでき得ないのでございますが、考え方といたしましては、御承知通り、ただいま農林漁業金融公庫におきましても、造林その他いわゆる共同施設以外のものにつきましては、相当個人に対しても金融の道があるのであります。しかしながら共同施設というわくにただいまの水産関係は入つておりますために、共同施設以外に金融することができないということになつておる関係上、今後考えられる方法といたしましては、いわゆる共同施設以外の林道その他の農林業個人企業者に対して、貸し付け得られると同じ方法漁船建造につきましてもとつて、そうして法律農林漁業金融公庫水産以外の他の産業の個人業者に貸し付け得ると同じ方法によつて漁船建造者にも貸し付け得る、こういう方策を講じなければならぬものと考えております。しかしながらこの問題につきましては、私はそう考えて今後努力をいたしますけれども、おそらく金融体系とかいろいろな問題で、相当困難な問題にぶつかろうかと思うのであります。しかしながらわれわれといたしましては、漁船建造金融につきまして、資金及び法律体系をさらに強化する必要を痛感いたしておりますので、何とか努力しまして法制化の道を考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  11. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 長官の御趣旨はよくわかるのでありまするが、非常にめんどうなことでございまして、まず第一に金融機関から長期資金の借入れという問題は、銀行法改訂をせざる限り絶対に不可能な問題であります。この法律一つを制定するために銀行法改訂などというものはとうていでき得ないことであろうと存ずるのであります。また短期資金を、たとい漁業実態からいつて、それを基金協会保証によつて借り得るとしても、これは自由党の諸君には非常に耳ざわりになる話ではありますが、現在の吉田内閣財政計画から行きましては、もはや市中銀行はその資金がない。一流会社手形銀行に割引させんとしても、これはわずか三百万円の金であるが、それができ得ないような現在の金融業者実態であります。これを是正するには吉田内閣が退陣する以外にはない。それで私は絶対に不可能な問題だと考えている。次には長官のお考えになつておる公庫の問題でありまするが、農林特融の線から行きましても、公庫法の第十八条を改訂しなければならないのであります。公庫法の第十八条を改訂するといたしましたならば、本年は長官自体もあの特融の当初の予算の折衝に当りましてもはや農林省内において、やれ水産に対しては幾ら土地改良に対しては幾ら、ほとんどその割当が内定しておるのでありましよう。しからばこの内定しておるものを、長官の御努力によりましてこの公庫法第十八条を改訂したと仮定して、このわく内からこれを漁船建造わくに持つて来るということが、本年はたしてでき得るやいなや、この点を承りたいと考えます。
  12. 清井正

    清井政府委員 法律改正の問題につきましては、先ほど申し上げました通り、非常に困難な問題がいろいろあるとは考えるのでございますが、ただいままで御説明申し上げました、あるいはただいまお話ございました趣旨に従いまして、今後法律改正を裏打ちといたしまして、さらに資金の拡充をはかるという二つ措置によつて漁船金融の円滑をはかりたい、こういうことを考えておることを申し上げた次第であります。  なおわくその他の問題につきましてただいま御質問ございましたが、ただいまの予算におきましては、ただちに現制度におきましてわく増加をはかることは、はなはだ困難な問題ではございまするが、来年度以降の措置等によりまして漁船の方のわく増加をはかつて行く、こういうことに相なります。これは今後の問題といたしまして、法律改正の問題並びに漁船建造わくの問題につきまして努力を払つて参りたい、こう考える次第であります。
  13. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 御趣旨のほどはよくわかるのでありますが、しからば法案がかりにこの委員会で審議され、参議院において審議されて、法律となつて現われたとしても、これはその予算措置ができてなかつたならば、死文にひとしいものでありましよう。この死文にひとしい法律漁民のために一年間寝せておくということは、現在の段階から許されるものであるかどうか、私はこれは非常に重大な問題であろうと考えるのであります。われわれは法律を制定した。しからばこの法律をただちに生きたものとして、全国民に対してこの恩典施策を実行することこそ政治であり、政府のとらなければならない重大な責任であると私は考えるのであります。この責任を全うするためには、長官の御趣旨もよくわかつた。自己の職分においてあらゆる努力をすることを言明されておる。しからばこの法案われわれが通過させるとしたならば、われわれはここにおいて、政府部内においてめんどうな問題を全国民の名によつて、これをただちに改正すべき方策を講ずることが、政治であり、私どもの務めでなければならないのであります。これに対して委員長は当委員会にお諮りを願つて、この問題に対する打開の道をお考えなさるように御協議あらんことを、私は委員長要望いたしまして、私の二つ議論に対してはこれを終るものであります。
  14. 田口長治郎

    田口委員長 委員長から松田委員にお答えいたします。漁船保険対象トン数問題及び金融問題につきましては、松田委員とまつたく観を同じくするものでございます。委員諸君の御協力によつて本問題を一日も早く実現いたしたいと、かように考えておることをお答え申し上げます。
  15. 川村善八郎

    川村委員 本日議題になつております漁船損害補償法の問題でございますが、この補償法は、第十三回国会を通過いたしまして、爾来水産庁努力によりまして、一部の漁船とはいいながら、満期保険まで持つて行かれたというこことについて、われわれは水産庁に感謝するものでございます。私の質問は、松田君の質問されましたのと大体同様でございますが、ただ長官の御答弁の中にはつきり言えなかつた点がありましたので、これについて私さらに質問をいたしたいと思うのであります。  長官は、松田君の漁船保険対象になる船のトン数引上げる意思がないかという質問について、その意思はある、しかし現段階においては容易でない。二十トン以上の船は、日本漁業中心をなしておる船であるから、これらもやはりこの恩典に浴させたいという気持はあるけれども、今の段階においては容易でない、こう御答弁されております。要は、長官大蔵省に交渉いたしたでありましようけれども、財源の問題でなかろうか、財源がないから、予算として計上して二十トン以上の船を恩典に浴させることができないということに尽きておると思います。それをはつきり言えないのが長官の非常に苦しい点であると思いますけれども、私は財源はりつぱにあると思います。漁業法で、かつてわれわれ漁民が好むと好まざるとにかかわらず、とにかく漁業権を全部買い上げて、そうして一応百八十一億という漁業権証一歩を出しております。民間の取引であるならば、物を買つてただちに支払いをするというのが慣習になつております。その当時現金で全部払えなければ、書証を入れて利息をつけて全部払つて、すみやかにこの貸借の問題を決済するというのが、通常の商取引でございます。ところが今度の漁業制度改革に盛られました漁業権の買上げには、現金を払えないから漁業権証券を百八十一億出す、これもただちに資金化することはできないから、五年間五分五厘の利息をつけて払うという、このところまでは私は承服できますけれども、その利息も加算して二百三十億を漁民から吸い上げるということになつておりますので、われわれはこれには承服できません。このことについて、漁謹製の蒔われわれはずいぶんがんばつたのでありますけれども、遺憾ながら占領政策政治を行われた場合でありましたので、われわれは、率直に言うと、アメリカに押しつけられてやむを得ず承服したという実情であつたのであります。そこで今日、われわれが独者書き蚕上は、やはり国の政策としてやつたこの問題を、押しつけられたということがわかつておるのであるから、ただちに解消して、免許料、許可料をとらなくするか、もしくはとつたとすれば、漁業者にこれを還元するのが当然でございます。そこで今財源がないなら、二十トン以上の船に対しても、今度法律改正して漁船損害補償法恩典に浴さしめようとするならば、これは吐き出さしたらよい。二百三十億を大体二十五年間に支払うということになりますと、一年平均して九億二千万円ほどになります。しこうして今度漁船損害補償法に伴う満期保険その他の保険で、国家の負担はどのくらいかというと、たつた一億、まだ八億足らぬ。この八億を国家が出すとすれば、二十トン以上の船が全部その恩典に浴することができるという計算が一応出るのでございます。そこで長官として、この漁業制度改革により、元利ともに二十五年間で二百三十億を吸い上げるというこの財源がりつぱにあることを知つておられたかどうか。おそらく知つておられたでしよう。知つておられたとすればこの財源があるではないか。漁業には免許漁業、許可漁業、その他自由漁業もありますけれども、これらの漁業を営んでおる漁船に対して、全部この二百三十億を吐き出して、満期保険あるいはその他の保険に使えという交渉をしたかどうか、この一点だけお伺いいたします。
  16. 清井正

    清井政府委員 ただいま川村委員から免許料、許可料との関係について、その方面の財源があるからさらに交渉すればできるじやないか、こういうお話でありましたが、私どもといたしましても、その点は十分了承をいたしております。ただこの問題につきまして、免許可料の財源そのものがただちにこのトン数引上げる財源と見合いに話合いができるかどうかという問題があるのではないか。あるいはこの問題に対しまして、当不当は別といたしまして水産全体の問題との見合いで議論されるではないかという問題もあるのではないかと思つております。ただいまの経過といたしましては、加入トゾ数引上げの財源と免許可料との見合いにおいて、直接の話合いで大蔵省と交渉したことは今までございません。今後免許可の問題がどうなりますかわかりませんが、今後の問題といたしまして、私ども大蔵省と折衝する際には、漁業関係の収入を、この程度あるものであるから、この方面の予算をさらに増加してもらいたいというようなことは、今までも話しておつたわけでございまするが、今後もそういう意味合いの交渉はいたして参りたい、こう考えております。
  17. 川村善八郎

    川村委員 御承知通り、免許料、許可料については、近く全国の漁民運動によつて廃止するということが現われそうでありますが、どうなりますかはわれわれまだ予測できません。おそらく政府とすれば、やはりどこまでもこの百八十一億に五十億の利息をつけて、二十五年間に二百三十億という趣旨だけは容易にまげまいと考えております。そこでわれわれが漁港問題とももからんで考えました時分に、これを漁港の修築財源にするか、もしくはこの漁船損害補償法による国家負担に使え、こういうことを大蔵大臣にも折衝いたしましたり、彌見長官時代に本委員会でその問題を非常に強く取上げたのでございます。彌見長官の当時、漁港予算の問題について、この補償法の問題には触れないで、予算折衝で全面的に行つた方がよいんだ、漁船損害補償法、将来トン数引上げその他満期保険等の問題については、この漁業の免許料、許可料等を引当てにして交渉する方が有利だ、大蔵省も大、体その意思であつたというようなことをわれわれに話されておるのでございます。当時はそうでございましたが、清井長官はちようど彌見長官とおかわりになつてあなたが水産庁長官になられたのでありますから、彌見長官にもよく御相談され、さらに水産庁内部におかれましても相談されて、水産庁がその腹になりますならば、本委員会においても、免許料、許可料を今後とるのであつたならば、漁船損害補償法保険料に充当させろ、しかも二十トン以上の漁船であづてもその恩典に浴させるべきであるということを主張して交渉するということもできますので、どうか水産庁長官におかれましては、この委員会の空気は、おそらくみなさんがそうお考えになつていらつしやると思いますから、水産庁長官の方で庁内の意見をまとめてそうしてわれわれ委員会とともに強力に交渉をして、実現したいと思いますから、この点の希望を申し上げまして私の質問を終らしていただきます。
  18. 田口長治郎

    田口委員長 漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する質疑はこの程度にとどめます。
  19. 田口長治郎

    田口委員長 次に日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失補償に関する法律案議題として、質疑を継続します。小高熹郎君。
  20. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま議題となつております特別損失補償法につきまして、特別調達庁と水産庁長官にその態度を伺いたいのであります。  まず最初に調達庁の長官がお見えにならぬようでありますから、不動産部長からお答えを願いたいのでありますが、去る土曜日、当委員会におきまして愛知大蔵政務次官か出席されました際、たまたま特別損失補償法か通過した際に、水産関係補償額はどの程度に支給されるものであるかということを私から質問いたしましたところ、大体四億数千万円と見積つておりますという愛知政務次官からの答弁があつたのであります。私は先般この席におきましてこの額の見積りはどの程度になつておるかということを不動産部長にお尋ねいたしましたところ、大体六、七億であろうということでございました。また同僚の中村委員からもこの点の質問があつて、やはりあなた方がそうお答えになつておるのであります。しかるに愛知大蔵政務次官の答弁によりますと四億数千万円でありますが、その差が二億もかりにありとするならば、この調整をどうするか。この特別損失補償法による補償は実損の補償でありまして、一定の額をきめられた補助金のわくがきまつてから割振るのとは性質が違つて、実損をあくまでも正しく補償するという法の精神からいつて水産庁と特別調達庁の意見が合致してその数字を出したものを、何も大蔵省か押える必要はないではないか、かような見解を持つておるのでございまするが、かような食い違いは私どもはあくまでも了承ができないのであります。それについてどういうような見解と態度を持つておられるか。巷間伝えられるような弱腰であつて漁民が納得できませんので、どういう強腰の態度で大蔵省とただいま話合いをしているか、その点をまず第一点に伺いたいのであります。
  21. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。ただいま小高委員からの御質問でございまするが、土曜日に大蔵政務次官の愛知さんのお話になりました四億数千万円という数字が、これを引当にされたものであるとすれば、予算編成当時のかかる事故補償に対する一つの目安であつたかと思うのであります。私が先般来当委員会の御質問に対しまして、今まで各地方の調達局あるいは府県、あるいは損害を受けられた方々の陳情と申しますか、抗議と申しますか、そういう点からある程度われわれ押えた数字、一応予想したものが大体七億ないし八億になる、こういうお答えをしたことを私は十分記憶しております。この間の調整をどうするつもりかという御質問でございまするが、御承知のように、ただいまお話にもなりましたように、補助金その他の財政わくからそれぞれの政策的な箇所づけをして行くというものではなくて、われわれも小高委員の御意見と同様でございまして、補償額をはじき出す場合の損害の実額については、かれこれといろいろ御意見もあると思うのでありますが、これを積み上げて行つたものが補償の全額になる、こういうように考えております。従いまして、現在これだけの金がいる、これによつて予算措置が全部できるということは、私たちとして現在一銭一厘違わぬような額は申し上げかねます。しかしながらいる金は、予算の編成時代のわくの有無にかかわらず、これを全額的に年度内に支払うべきものであるということについては、現在もその所信にかわりはないわけであります。従いまして四億になりますか、五億になりますか、あるいはわれわれが現在想定しておりますところの七億ないし八億になりますか、この辺については実態的な数字ははつきり申し上げかねますが、補償をやる、従いましてそれに対する予算を所管しております大蔵大臣と折衝する点おいて、われわれは実額ついての具体的な計数を十分説明して、これが基準通りの完全補償に持つて行きたい、こういうように考えております。
  22. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま不動産部長の答弁によりますると、まだはつきり話がついておらないようなことでありまするが、私の了承して、おる範囲においては、かなりこの折衝が進んでおるように聞いておるのであります。一銭一厘もなんていうそんな小さい数字を言つているのではございません。二億も三億も食い違いがあるのはどういうわけか、ここをついておるのであります。  そこでさらに重ねてお尋ねいたしまするが、あなたの分はあとまわしといたしまして水産庁長官にお尋ねいたします。水産庁と特別調達庁とは十分に話合いをつけて、一定の数字をつくり上げて大蔵省に要求したものと私は思つておるのでありまするが、それに対して水産庁は、そういうような態度であつたかどうかという点を、これは今後において重大な意義を有しますので、念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  23. 清井正

    清井政府委員 ただいま小高委員から御質問でございますが、御承知通りども水産庁の立場といたしましては、やむを得ず事情によりまして漁業の操業が制限される場合におきましては、それによつて生ずるところの損害は、実質的な損害を全部補償してやらなければならぬという立場にあるのであります。従いまして過去のいろいろな実績に対しましても、つとめて漁業者の実損を測定いたしまして、よつて生ずるところの損害を完全に補償してあげたいという立場でおるわけであります。従いまして私ども従来損害補償の直接の責任の立場にあられるところの特別調達庁とも十分連絡を保つております。従いまして大蔵省方面と相談をいたします場合の損害額の計算あるいは数字等につきましても、常に緊密な連絡を保つておりますので、私どもといたしましては、調達庁と今後も十分連絡をとりまして大蔵省当局と十分相談を続けて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。  なお蛇足ではありますが、ただいま調達庁に御質問になりました点でございます。この点は私もすべての点につきましては、十分あずかり知らないのでございますが、なお目下せつかく折衝中である段階であることは承知いたしております。まだ最後決定には至つてないのであります。政務次官のおつしやつた数字は、あるいは内部における補償の数字であつたかもしれません。この点は私ども存知いたしておりませんけれども段階は目下なお折衝中であるというふうに私どもは聞いておる次第であります。
  24. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま水産庁長官の御答弁で、漁民のために完全補償すべく十分努力しておつて、特別調達庁とも十分な連絡をとつておるということを聞きまして、その点は了承いたしましたが、かような損失補償に対する支出責任官庁は特別調達庁であります。そういたしますと、水産庁意見と特調の意見が合致した、しかるにもかかわらず大蔵省が、これに対してどういう基礎資料を持つておるか知らないけれども、やたらにぶち削るということであるならば、同じ政府部内であつて支離滅裂ではないか、こういうことを国民は非常に憂えるのであります。それならば全部大蔵省にまかして、水産庁も特調もいらないじやないか、こういう議論が当然生ずると思うのでありますが、今後の参考にもなることでありますから、これらの点についてあなた方の、これは場合によつて大蔵省設置法の一部改正とか、あるいは特調設置法の一部改正まで及ばなくちやいかぬことと思いますので、責任支出官庁が提示したものがぶち削られるならば——体責任者はどこなのか、この点の見解を承つておきたいのであります。
  25. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。ただいま小高委員からの所管いかんという、その所管を申し述べます前に、蛇足かとも思いますが、一言お断りいたしておきますことは、ただいままで大蔵省と具体的に折衝しておるじやないか、現に愛知政務次官はおととい四億数千万円と言つているじやないか、と言われた四億数千万円が、現在御審議願つております特損法の予算の一応の概算であるのか、あるいは現在すでに施行されておりますところの法律二百四十三号の漁船の操業制限に伴う現存交渉しておる数字であるのか、この点私まだ十分政務次官なり、あるいはその当時随行して来ておりました谷川計官に聞いておりませんので、ここで確答できませんが、ただいままで折御して一—はなはだ被害者の方には申訳ないのですが相当遅れておる。この間も小高委員から、大蔵省と調達庁に意見の場相違があるんじやないかと言われて御質問になりまして、私は意見の相違というところまではまだ行つておりません、こう言つてお答えしたことを覚えておるのであります。これは先ほど申しましたように、現在漁船の操業制限に関する法律に伴うところの損害補償の計数を整理しているわけであります。それを大蔵省は四億数千万円と言うたのじやなかろうかと私は想像しておるのであります。従いまして、ただいま御審議願つておりますところの特別損失補償に関する法律案、この方はわれわれとしては、先ほど申申しましたようないろいろ計数から、一応七億ないし八億の想定はしておるが、現在まだ確認したところまで行かない、その作業につきましては、大蔵省予算編成当時には何らかの交渉をしたかと思いますが、実損額の査定につきましては、私の関知している限りにおいては、いまだ具体的には折衝はいたしておらないのであります。その点ひとつ、私の方に誤解があるのかもわかりませんが御了承願いたい、こういうふうに考えております。  それから、こういう損失補償についての責任官庁はどこかという今のお話でございますが、確かにこの点は、調達庁が責任官庁であるということをここにはつきり明言してはばからないと思います。従いましてわれわれといたしましては、水産関係の担当官庁であるところの水産庁とも十分連絡をとりまして、また地方の調達庁あるいは府県とも実体的な損害の把握につきまして、万遺憾ないようにして作業を進めて行く。その作業の結果につきましてあるいは先ほども申しましたように、実数計数についているくとそれぞれのソースから数字を把握しておるところは、それぞれまた意見があると思いますが、この点については相互に納得の行くような説明をし合つて真実に近いあるいは損害に近いものを完全に把握して、これに基てわれわれがその補償業務をやつて行くというように考えております。
  26. 小高熹郎

    ○小高委員 せんだつて土曜日の日の愛知大蔵政務次官の答弁は、この補償法の現在審議しておる予算とは別なことを間違えて、四億数千万円と答弁したのではなかろうかというふうに思いますが、大蔵省のエキス。ハートともあるべき愛知次官にしてはなはだ軽率きわまると言わざるを得ないのでありますが、今さような責任を追究するものではございません。往々にして人間には失言もありあるいは考え違いもあるわけでありまして、早々の際の質問であるから、あるいは誤つておつたかも知れない、むしろ誤つておるのが当然とかように解釈いたします。そこでただいま不動産部長の答弁にございましたが、七億ないし八億という数字が再びここへ現われて参つたのでありますが、農業関係あるいは農地関係その他と、水産補償が大分せり合つて来たかのごとき感じがするのでありまして、あらためてここで確認したいと思いますが、この法案が通過いたしますと、とりあえず補償さるべき水産関係は何箇所になつておるか、農業関係とせり合つて来たためにしわ寄せがどこへ行くかということも一応懸念されますので、その箇所をあらためてもう一度伺いたいのであります。
  27. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。この法案によりますところの補償対象となりますものは、ただいまもお話のように、いろいろございますが、先般来も申し上げておりますように、現在各関係省と折衝し、研究中でございます。先般も概括的に申し上げましたように、漁業関係については大体七、八箇所のように記憶いたしております。
  28. 小高熹郎

    ○小高委員 そうしますと、この漁業関係の七、八箇所に対して七、八億全部来るものであるか、またこのうち他へ幾分か削られるものであるか、この点をお尋ねいたします。
  29. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。七、八億というのはこの前にも申し上げましたように、この法律施行のあかつきにはどれくらいのものを一応予定しておるかと言われたことに対する答弁だと私は覚えております。従いましてその中には防風施設とか砂防施設の問題とかその他多々あると思います。
  30. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま農業関係はいろいろな問題が続々出て来ておりまして、この七億とか八億とかいうような天井を一応きめるということになりますと、新事実がどんどん出て来て、それをあとまわしにして来年度ということならともかく、本年度の予算中において適当に勘案しなくてはいけないということになりますと、水産関係が勢い押され押されて来るような懸念を生ずるのであります。この漁民の持つ不安は、どのように解決するお考えであるか、承りたいのであります。
  31. 山中一朗

    山中政府委員 お答えいたします。この前に金額を聞かれましたときにも、あるいは先ほど申し上げましたときにも申し上げて、まだ十分意を尽きないのかもしれませんが、この補償金額というものは、実損の補償であり、過去の実績に応じてやらなければならぬ。しかも相手の行為というのが、法律で最初予定した行為ではなくて、政令あたりで逐次追加されるかもわからない。あるいはまた減少するかもしれない。従いましてこの七億ないし八億というのも、われわれの一応の目安であるという考え方で進んでおりますと、こういうことは申し上げたつもりでおるのであります。従いまして、これだけでもつてあらゆるものを完全にやれと財政当局が言われても、私が絶えず関係財政当局にも申し上げておりますように、これはやれるかどうかわからない。あるいはこれで余るかもしれない。あるいは足らないかもしれない。そういう点につきましては、全体の防衛支出金の弾力性があるわくの中で、適当に所管省である大蔵省と相談してやつて参らなければならない、こういうことは申し上げております。従いまして、そういう意味で、ただいま小高委員の御質問にございましたように、七億あるいは八億で、農林あるいは漁業あるいはその他交通業——交通業が入るかどうかわかりませんが、一応政令で定めたものと取合いになつてどうこうということは、私は万々ないと思つております、
  32. 小高熹郎

    ○小高委員 この問題は、いくら押問答しておつてもはてしがないようでありますが、調達庁の不動産部長の意思は、あくまでも実損を補償する、そのためには七億あるいは八億という言葉が出たが、それ以上になるかもしれないというようなお考えがはつきりいたしましたので、それがはつきりしさえすれば問題はないのでありますから、これ以上押しての質問はいたしません、但しこの際委員長に要求しておきますのは、本問題は九十九里その他の損失補償にもやはり関連があるのでありまして、これらの九十九里等の補償金を出す場合にただいま決定直前にあるやに見受けておるのでありますが、事務が政治を指導するか、あるいは政治が事務を指導するか、この微妙な事柄に至りますと、内灘問題等どのにらみ合せもありまして、事務官のみでは解決できない面があると思いますので、次の委員会には大蔵大臣を必ず出席ざせるように、ひとつ委員長におとりはからいを願いまして、その席において事務担当官の言いにくい面を解決したいと思いますので、次会に大蔵大臣の出席を求めまして、質問を打切つておきます。
  33. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて、御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会