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1953-10-06 第16回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月六日(火曜日)     午後三時三十三分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 熊谷 憲一君 理事 田渕 光一君    理事 滝井 義高君 理事 稲富 稜人君       生田 宏一君    上塚  司君       大久保武雄君    綱島 正興君       富田 健治君    中村  清君       中村 幸八君    仲川房次郎君       平井 義一君    坊  秀男君       三池  信君    八木 一郎君       岡部 得三君    田中 久雄君       舘林三喜男君    中野 四郎君       橋本 清吉君    廣瀬 正雄君       吉田  安君    井手 以誠君       辻原 弘市君    原   茂君       八木 一男君    柳田 秀一君       山口丈太郎君    伊瀬幸太郎君       小平  忠君    杉村沖治郎君       堤 ツルヨ君    日野 吉夫君       三宅 正一君    佐藤虎次郎君       久保田 豊君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計官)   柏木 雄介君         文部事務官         (監理局長)  近藤 直人君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  山内 公猷君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君     ————————————— 十月六日  委員松浦周太郎君及び芳賀貢君辞任につき、そ  の補欠として吉田安君及び原茂君が議長の指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水害地対策に関する件     —————————————
  2. 村上勇

    村上委員長 これより会議を開きます。  大蔵大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。小笠原大蔵大臣
  3. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 昨日、本委員会におきまして、主計局長答弁中に不穏当と思われる言葉のありましたことを遺憾に存じます。かりそめにも国会軽視等のことなきよう十分省内を戒め、将来を注意いたしますから、さよう御了承をお願いいたします。
  4. 村上勇

    村上委員長 ただいまより水害地対策について議事を進めます。政府に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。井手以誠君
  5. 井手以誠

    井手委員 昨日の森永主計局長言明は、単なる失言ではなくして、大蔵官僚に流れる一貫した官僚独善の思想がその片鱗を現わしたものとして、私どもはその際も特に猛省を促すために追究いたしたのでありますが、ただいま大蔵大臣より、決して国会を軽視するものではない、以後十分注意するという御言明がありましたので、これ以上深くは追究いたしません。ただ一言申し上げておきたいことは、ともすれば、議員立法について、自分の腹を痛めていないという気持かしれませんが、これを軽視するような、あるいは国の最高機関たる国会が決定したことを無視するような、さらにはまた各省に対し、あるいは国民大衆陳情団に対しましての思い上つた態度につきまして、これをこの際完全に根本から一擲され、上司の約束したこと、大臣がきめたこと、あるいは委員会が決定したことについては、大蔵官僚は十分その意を体して拳々服膺されるように、大臣より御注意あらんことを特にお願い申し上げておく次第でございます。  そこで、私は、小笠原大蔵大臣に、きのうに引続きましてお尋ねをいたしたいと存じます。昨日、大臣は、私の質問に対しまして、さきに当委員会緒方総理との間に約束いたしました適用地域に関する指定基準は、私もこれを確認するという言明があつたのであります。そうでございましようね。——そこで、今何よりも水害地対策で緊急なるものは、一日も早く政令を出しまして、そうして各府県におけるあるいは罹災者災害復旧に対する目途をつけてやることが一番必要だと存じておるのであります。各府県とも府県会を開いていろいろ対策は講じておりますけれども、この政令が出ないために非常に困つておる。昨日以来この委員会においても二十数件にわたる陳情を承つたのでございますが、その陳情は口をそろえて政令の一日も早く出されんことを切望されたのであります。よた、この委員会において緒方総理は、九月二十一日に、さらには九月二十六日までには出すというお約束もあつておりましたので、さきに夜を日に継いで急ぎますというお約束もあるし、すでに大体の準備はできておろうかと考えますので、あの基準にのつとつた政令をいつまでにお出しになる御用意があるか、その点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまお尋ねの品は、これは私が責任をもつて急がせてやります。但し私は、これも率直に申し上げますが、実は私はまだ政令案を見ておりません。従いまして、至急これを調べまして、御趣旨に沿うように、一日も早く決定することにいたします。但し、よく申し上げますように、議会における御決議趣旨はよく尊重いたしており、この立法趣旨は生かして参りたいというように考えておりますことは当然のことでございますから、地域等については、昨日ここで申し上げました通りはつきりと緒方総理が申し上げましたことを確認する次第でございます。
  7. 井手以誠

    井手委員 ただいます、すみやかに出したい、委員会意思は十分尊重するという誠意のあるお言葉ではございましたけれども、普通ならば私はそれで引下つてもよろしゆうございますが、すでにこの問題は延びに延びて、もうぎりぎりのところになつているのでございます。私どもは、さきに九月十日、それから九月二十一日、さらに九月の二十六日、この三回にわたつて委員会が招集され、その都度望んでいるのであります。ほかの委員もさようでございましようが、私どもは、この委員会開会中に政府の案を承りたい。そうでなくてはどうしても地元の災害地に帰るわけに行かないような、せつぱつまつた事態に追い込まれておるのでのります。すでに一部の政令はできておるようでもございまするし、先般緒方総理が言われた、夜に日を継いでということであれば、私はここ一両日中にできないことはないと考えておりふす。もう基準はきまつておる。ただ不文に数字を入れかえる程度ではないかと私は考えております。幸いに復旧の半ば近くを占める農林省関係については、官房長もお見えになつておるようでございまするし、私は、どうしてもこの際、明日であるとか、明後日であるとか、短かい期間をぜひ示していただきたい。それは無理だとおつしやるかもしれませんけれども、今までの経過からいたしますならば、どうしてもそれを聞かなくては、私どもは帰ることができないのである。どうぞその事情をよくおくみとり願いまして、いつまでというお約束を願いたい。私どもは、もし明後日ということでありますならば明後日までここでお待ちして、そうして案を見た上で帰りたいと存じておる次第でございます。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 農林省当局大蔵省相談中であるそうでありますから、私が明日、明後日ということを、ここではつきり御返事ができぬというのを非常に遺憾に存じます。しかし私は、こういうことだけははつきり申し上げます。一週間以内には必ずやりますということを申し上げておきます。
  9. 井手以誠

    井手委員 幸い渡部官房長がおられますので、お尋ねいたします。先般あなたが、夜に日を継いでとおつしやつてから、ずいぶん日がたつようであります。私ども、その当時、二、三日でできると考えておりましたが、せつかくそういう熱意あるお言葉でございましたので、一応、それに不満足ではありましたけれども引下つたわけであります。ずいぶん日にちもたちましたので、いろいろな観点から、すでに農林委員会には復旧に関する詳細な数字も示されておるようでございまするし、従つて政令もすでにでき上つておると存じます。また一部配られたことも承つておりますので、その政令ができておりますかどうか。できておれば内容を示していただくし、できておらねば、何時間ばかりたつたらそれができ上るか、ひとつその点の見通しを承らせていただきたいと存じます。
  10. 渡部伍良

    渡部説明員 政令案は、ただいま大蔵大臣が述べられましたように、今協議中であります。今度のものはいろいろ議論になつておりますので、私の方の素案につきまして、政府部内の話がつかないのでありまして、また問題を起すことも困ると思いますので今せつかく大蔵省協議中でありますが、これが済みましたら、法制局と打合せいたしまして、出す手続になると思います。
  11. 井手以誠

    井手委員 建設省の方も見えておるようでありますので、この機会に承つておきたいと存じます。建設省でも、早くから復旧についてはいろいろ用意され、特にこの災害については、本年度六割やりたいという熱意さえ大臣は持つておられるようであります。そういうことから、多分政令についてはいろいろな場合をも考えられて成案ができておるかと考えられまするが、ひとつ建設省事情をこの際承つておきたいと存じます。
  12. 伊藤六三

    伊藤説明員 六、七月の水害に対しまするところの政令の問題につきましては、先般一試案という程度のものをつくりまして、一応決定いたした次第でございますけれどもその後におきまして、この委員会の御決議もございまして、その御決議を尊重いたしまして、いろいろと案を考え大蔵省ともお話を進めておるようなわけでございますが、この問題につきましては、先ほど大蔵大臣からも答弁がございましたように、今後早急にお話ができるかと存じておる次第でございます。
  13. 井手以誠

    井手委員 建設省の方もなかなか政治的に用心深い御答弁のようでございましたが、建設省だけでは、どのくらいあつたならばでき上るか。きよう一ぱいであるとか、あすの朝までにきまるとか、これはもうだれが考えましても、政令は簡単なものでございます。詳細を私ども法律できめておりまして、ただ適用地域と、その他若干、たとえば排土事業のごとく基準を入れる程度だと私は考えております。どの省にいたしましても、決してむずかしいものではない、これはもう、やろうといたしましたならば二、三時間ぐらいでできるしろものでございます。内容でございます。建設省だけでは、何時間ぐらいあつたらおできになるか。ほかの大蔵省関係は別にいたしまして、建設省だけのお考えを伺いたい。
  14. 伊藤六三

    伊藤説明員 お言葉をお返しして、まことに恐縮に存じますけれども、これは大蔵省とも十分御相談を申し上げて円満に成案をつくりたい、こう考えておりますので、この点御了承願いたいと存ずるわけであります。
  15. 井手以誠

    井手委員 大体腹の中はわかつたように存します。各省とも、自分の方ではきようでも出せる——省議ということでもあればあす午前中というわけにも行きますまいけれども、大体短かい時間でできる、問題は大蔵省との折衝だ、こういうふうなことに帰着するようであります。これはもう言外に現われておるようでございます。そういうふうに、簡単な政令でもございまするし、言明なさつたようにあの基準によつておやりになるならば、しごく簡単にできると存じますので、一週間もかかるとは、いかに政務御多忙であつても、私はそうかかるとは考えません。非常に急いでおります。みんな、あんなふうに熱望しております。先刻おつしやつたような、あの熟慮をこの政令にもお入れいただきまして、一週間はどうしても私どもは待ちきれないような気がいたしますので、三日とか、二日とか、もう一ぺんここで御研究の上でお答えを願いたいと存じます。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は、責任を持つて答弁するのは一週間と申したのであります。できるだけ速急にやりますが、御承知のごとくに、政令には閣議その他の手続も必要といたしますので、そういう関係で、いろいろな資料も整えなければなりません。そういうこと等で、法文に伴う予算措置はどうなるか、何がどうなるかということも、みんなやらなければならぬ関係上、一週間お待ちを願いたい。私は、責任を持つて一週間のうちにやる、こう申し上げる次第でございますので、二日とか三日とか、さらに言い直せとおつしやつても、お答えいたしかねますから、あしからず御了承を願います。
  17. 井手以誠

    井手委員 これ以上追究いたしましても、それ以上お答えできないような危惧がいたしますが、なるたけ急いでやろうという御意思はわかるような気がいたします。最大限今週一ぱいにはどうしても仕上げていただきたい。それが私どもの最大の譲歩でございます。ほかの方は御不満かしれませんが、私はこれ以上追究はいたしません。私は、ぜひ今週一ぱいには出していただきたいという希望を強く申し上げまして、この問題については打切りたいと存じます。  さらに、同じく政令について、先般、適用地域基準と同時に、私どもは、適用範囲についても政府当局といろいろと話合いました末に、いろいろとその基準をきめたのでございます。昨日の御答弁によりますと、大体水害地緊急対策委員会事情は聞いておるというお話でございましたが、適用地域でなくて、私どものきめた適用範囲についてはどういうお心組みであるか、この点も重ねてお尋ねしておきたいと存じます。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちようどお手元に、適用地域を全部やりまして三百億幾らふえておるということを資料としてお配りしておりますから、この点は御了承つておると思うのであります。それについて約千八百億近くいるのでありまして、それをどういうふうに予算で捻出し得るかということが財源関係で非常に問題なのであります。従いまして、この補正予算にどれだけ組むか、二十九年度にどれだけ見るか、三十年度にどれだけ見るか、普通は三年でやつておりますが、さらに三十一年度に若干——とにかく何は短かいものでございますから、そういうような問題もありまして、この点を財源とにらみ合せて今せつかく検討している次第なのでございます。そこで、今の割合を、たとえば、よく言われている三、五、二にするか、四、四、二にするか、あるいはまたこれについてのいろいろな意見も出ておりますが、当面の問題は、それに基いて数字の検討をしてみたり、ほかの財源等の振合いを見ておりますので、ちよつと今ここでこれについての御寺弁はいたしかねるのでございます。
  19. 井手以誠

    井手委員 もうくどくは申しませんか、今の御答弁、私の質問趣旨とは少し違つておるようでございます。私どもは、あの特別法精神にのつとりまして、いわゆる本年度工事範囲じやなくて、その特別法にうたつておる千句の解釈、それについて、私はお尋ねいたしておるわけであります。もちろん、このことについては、やはり立法した委員会がその精神にのつとつてきめたものでありますし、適用地域と同様な意味でございますので、おそらく政府は私どものきめた適用範囲に関する基準についても御尊重いただくだろうとは信じておりますけれども、念のため私はお伺いしております。尊重なさるのか、幾らかというお考えであるか、私は、おそらく別の意思はないとは存じますけれども、念のためお伺いする次第でございます。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御立法趣旨は十分尊重いたす考えであります。それは申すまでもございません。しかしながら、その財源等措置がとれるかどうかという問題につきまして、あらためてまた予算等で御相談を申し上げなければならぬ点があるのではないか、こういうことだけをお含み願つておきたいと存じます。
  21. 井手以誠

    井手委員 私は、予算のことではなくて、予算とは全然違いまする政令範囲、いわゆる適用地域と同じ意味の、農舎、畜舎はどういうものであるかというような、字句の解釈に関する——たとえば、排土事業については、異常の土砂とは幾ら以上のものであるというような、その範囲をきめた基準についてお尋ね申し上げておる次第でございます。予算とは関係がなくて、あの特別法を完全に生かすための範囲でございます。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今のようなことが政令にゆだねられておるように存じますので、政令制定の際、十分院議を尊重することにいたします。
  23. 井手以誠

    井手委員 尊重するとおつしやいました。私はいろいろ申し上げたいことがありますが、ただいまのお言葉、完全に尊重されるものだと私は期待をいたしまして、私は今週一ぱいと期待いたしておりまするが、その案の出ることをお待ちいたします。また公布の前には、おそらく当委員会にも御相談あるものとも私は考えまするので、それまで待つことにいたしまして、政令に関する質問はこれにて一応打切りたいと存じます。  最後に、私は、別に御答弁は求めませんが、ただ、昨日の委員会において、どうも財源がない、財源がない、増税しなければならないというような苦しいお言葉がございました。そこで、私は、一、二感じたことを申し上げまして御参考にしてもらいたい。非常にむずかしようでございますが、私はさようには考えておりません。考え方でもあると思いますが、国会にかけるとしたならば、会社の社用族あたりが使う年間八百億に上る交際貝とか、公債を出すという問題もありよしよう。あるいはまたもつと簡単に行えるならば、日銀の地下室にうなつておるダイヤの処分もございましよう。あるいは昨年の九百億に上る軍事費使い残りもございましよう。こういうことを私は大蔵大臣に御参考に申し上げまして、私の質問を終る次第であります。
  24. 村上勇

  25. 綱島正興

    綱島委員 副総理はどうしました。
  26. 村上勇

    村上委員長 副総理は今参ります。
  27. 綱島正興

    綱島委員 なるべく副総理がおいでになつてからがよろしいのですけれども、当面には大蔵大臣に主として関係ある事柄になつて参りますので、質問をいたします。  実は、はなはだ遺憾に思つておりますことは、新憲法ができましたにかかわらず、従来の旧憲法通り考え方内閣国会に臨んでおられる、国会もややもすれはそれに近い態度である、こう考えられますことのうちに、最も重大なことは立法権の問題であります。御承知通り憲法第四十一条には、国会唯一立法機関であると明記してあるのでございますし、立法行為というものは立案成案提案審議の四つからなつておる。立法というものは単に審議をするというだけのことではない、これは世界的の学説でございます。そこで、ただいま何のためにこの問題を持ち出さねばならぬかということは、根本的には日本憲法の正しき姿、毛主主義の確立のために必要でございますが、特にただいま持ち出さねばならぬゆえんのものは、ややもすれば議員立法というものはウエートが軽いものであるかのごとく考えられつつある。もしこれを許すならば民主主義はございません。民主主義というものは、立法機関国家最高機関であることを確立することによつてのみ確立する。憲法にも四十一条には「国会は、国権最高機関であつて、」という説明がついておるのであります。これは、政府等と違う、裁判所なこと違う、国会というものが一番最高のものでございますので、もし他の権限と抵触する等のことがございます場合には、一応文言上そう解釈される場合、いつでも国会の方に譲らねばならばい、こういう意味でありますことをまず御認承願わなければならぬ。そこで、この立法ということから申し上げますと、実は政府法律案を出すということは憲法違反であると私は前から考えておる。どういうところを根拠にして出しておるかというと、政府根拠にいたしておりますものは、単に三十二条の「内閣総理大臣は、内閣を代表して、議案国会に提出し、」云々とございます。この議案というのは法律案議案のうちだからということでやつておるのでございますが、七十三条に内閣がやることは全部列記しております。一般行政のほかにやることは、法律を誠実に執行すること、それから、次には、外交関係を処理するこら、条約を締結すること、それから、法律の定める基準従つて官吏に関する事務をつかさどること、その次には、予算を編成して国会に提出すること、次には、憲法の条章あるいは法律従つて政令を出すこと、その次は、特赦、大赦をする、これだけしか内閣のする役はないのであります。それでありますので、従来議案を提出するという単なる片言隻句があるということで法律案国会に出せるのだという強弁を社会党内閣のときにやつて来た。それを皆さん受継いでやつておられるのであります。これは、従来日本憲法というものは、なるべく無力になるような国会をつくりたいということで欽定憲法ができております。それであるから、立法ということに大した関係のない単なる審議ということだけを国会でやらしめる。立案提案政府の専権にする。ことに法制局行政府が持つておつで、立法府が持たないような組織を従来持つてつたことを継承いたしまして、そうして実は、世界無類なるかつて欽定憲法に馴致され、そうしてこれにむち打たれ、ならされた国会議員、ならされた政府委員、ならされた官僚等が、ことごとくこのことになれて参りまして、はては言論機関までこのことに馴致されまして、議員立法いたすことはややもすれば値打がないように考える風習を来しましたことは、日本民主主義というもののためには痛恨事でございます。このことが案はただいまのこの請負立法を軽んじ、ひいて政令について私どもが行きわだつて数日の論争をいたさねばならぬ意味になりましたので、この問題について時間を費やしたことは、日本憲法史上大切なことであると考えますので、実はこの点に対するあなたの御所見を伺つておきたいと存ずることから、これから質問を申し上げます。  そこで、憲法第四十一条と七十二条の関係、すなわち最高機関であつて唯一立法機関であるこの関係と、それから内閣が持つております議案提出権と、二つについてどういう区別をしておられるか。そこが非常に不明確であるために、実はややもすれば大蔵省官僚あたり間違つた考えをいたして、今日のようなトラブルを起した原因になつておりはせぬか。これについての大蔵大臣の御所見を伺います。
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 憲法上の諸解釈につきましては、憲法論は私がここでお答えすることはいかがかと考えまして、これは専門の方に譲りたいと存じます。ただ仰せになつた諸点、議員立法等を尊重すべしという御意見に関しては全幅的に賛成をいたします。
  29. 綱島正興

    綱島委員 これは他の機会に譲るといたしましても、このたび直接関係をいたします部分はどういうことでございますかというと、予算編成政令決定部分でございます。そこで、問題は、議員立法がただ一つの立法の方法であるという議論が私はこの憲法からは当然生れて参ることを申し上げるし、世界の実例からもそのことを申し上げるのでありますが、さらに問題を集約いたしまして、予算編成権、これは大蔵大臣が掌握されておるところであるから、この点については御答弁願えるはずだと思いますが、予算編成権立法権との交錯する場合に対する取扱いであります。つまり、現に主計局等においてトラブルを起す原因になつておる考え方は、予算編成権というものは政府に属しておるのだという考え方であります。なるほど、そのこと自体はさようでございます。しかし立法行為予算編成権とが交錯する場合の処置をどうすべきであるか。私ども考えといたしましては、当然予算を伴わねばならない立法がありました以上は、機械的に内閣予算を編成しなければならない。これがこのたびの憲法の建前である。それを侵すならば憲法を侵すものである。何となれば、憲法第四十一条には、国権最高機関であつて唯一立法機関であると国会説明いたしておるのであります。この国権最高機関であるという点から申し上げますと、その立法の中に予算を義務づける立法があります場合は、行政府は当然この範囲に制約されるものである。こういう考えを持つておるのでありますが、これに対する御所見を伺いたい。
  30. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これもあるいは専門の法制的意見にまつべきものと存じまするが、私の考えておるところでは、これは憲法上そうなつておるのでなくして、道義上、法律に基くものを予算化すべきである、これは道義上の問題であつて法律上の問題ではないように私は解しております。
  31. 綱島正興

    綱島委員 いや、そのために憲法四十一条の条章を読み上げたので、国会国権最高機関である、——国権最高機関という言葉は、これは単なる飾り語、まくら言葉ではございません。立法権内容を明確にするところの規定でございます。そこで、予算措置が含まれておる立法については当然内閣はこれに対して予算を編成しなければならぬ義務があることは、たとえば公務員法の規定において給料を組まなければならぬことと同じことでございます。内閣が、もしも道義ということであれば、公務員法の規定があり、職員給料に対する規定があつても、これは道義で組むのであつて、組まぬでも法律的にはさしつかえないということになりましたら、いかがしたものでございましようか。これは一体ふしぎなる御答弁のように考えられるのであります。
  32. 森永貞一郎

    ○森永説明員 まず初めに、昨日の私の答弁中にきわめて不穏当な言辞がございまして、非常な誤解を招きましたことを深くおわびを申し上げる次第であります。御指摘のことはつつしんで取消させていただきたいと存じます。  なお、ただいまの問題でございますが、私も法律の専門家ではないのでございますが、法律に金額が確定して支出する義務が政府に課せられておるというような場合には、これは当然予算化せらるべきものだと存じます。但し、その法律が、一定の趣旨をうたつたものでございまして、たとえば、その程度であるとか、時期であるとか、期間であるとか、そういう問題につきまして裁量の余地があります場合には、政府はもちろん政治的に極力その法律趣旨に沿うように努力すべき責任と義務を負うわけでありますが、法律的にただちにそれによつて拘束されるというわけではないように存ずるのでございます。できるだけこの法律趣旨を尊重するように努力しなければならぬ政治的な責任があるということは当然であります。なお、予算法律が非常に矛盾いたしておるというような事例が現行憲法のもとにおいては起り得るわけであります。たとえば、法律におきましてはある予算の費目を支出する義務がある法律が通らなかつた、しかし予算には載つておる、そういう場合、あるいはその反対の場合、——予算成立後に、ある議員立法ができまして、支出の義務を政府に課しておるけれども、その年度の予算はもう通過しておる、それを編成する機会がないという場合もあるわけでありまして、その場合には両方の矛盾があるわけでありますが、法律的にその矛盾を解決するという方途は、目下の現行憲法のもとにおきましてはまだついていないわけであります。政治的に内閣の運用というようなことによりまして解決せられるという、そういう面が多分にあることはもちろんでございまして、政治的には道義的な責任を負うことは当然でございます。
  33. 綱島正興

    綱島委員 ただいまの主計局長のお答えは、実は当然組まねばならぬ予算が、法律案は通つたけれども予算が済んでおるから、すでに予算審議後であつたために、予算が組み入れられない実情があつたというようなときは、その法律に特に何月何日よりこの予算を組まねばならぬという規定がない以上は、予算編成国会予算審議等のことから考慮して、その法律に対する政府予算提出義務というものがおのずからある程度猶予される。それは法律上の効果に基くことであつて、何も道義によつてどつちでもよいのだということではないのであります。その点、すべて政府が道義的にやるのだという考え方は、国会の持つておる立法による人民の主権行使の代理行為をば空虚ならしむるおそれのあるものであつて、同じように見えて決して同じでないのであります。このことは断じて争わなければならぬ事柄です。これを争うか争わぬかによつて民主主義が消滅するか成立するかの境目になるのであります。この点をよく骨身にしみてお考えにならなければ、やはりあなたは昨日の陳謝に値することになります。その点をよくお考えなさらぬと、民主主義というものがまだおわかりになつていないように思える。この点をよくひとつあなたは今後もお考えにならなくちやならない。しかし、これは法律の専門家ではないということなら、そのままにいたしておきますが、今申し上げたことは、本質的には譲るべからざることに属するのであります。  次に、政令の問題に移ります。昨日、これはやはり法律解釈の上からでしようけれども、四分の一にするか三分の一にするかすることによつてと思つてつたが、話合いができておつたならそれをやらなければならぬという大蔵大臣の話でありました。話合いの道義的責任によつて生ずる予算編成の義務ではなくて、先ほどから申し上げるように、予算の編成も当然憲法の条章上からせなければならぬ。政令もまたさようでございます。政令というものは、法律の本旨に従つて以外は決して出て参らないのであります。また憲法の本旨に従つて以外の政令は出て来ないのであります。その間において、政府考えておることと、議員考えておることと、議員の中でも十人十色で、多少の見解の相違、程度の相違こそあれ、本質的には、憲法が指さしておるもの、法律が指さしておるもの、その一線において決定されなければならぬ性質のものである。これをかつてに四分の一にするとか、三分の一にするとか、解釈が甲、乙の点において多少厚薄の差、あるいは緊急とか、あるいはそれほどでなく考える等のことはあろうと思うのですが、いやしくも、法律が指さすところ、憲法が指さすところの範囲に従つて政令は理論的に当然生れなくちやならぬものである。これは決して行政官庁が自由にする権能を持つものではない。何となれば、政令法律内容を確定するものでございます。法律は、先ほど申したように、憲法第四十一条において国権最高機関であり唯一立法機関である国会がこれを定めるものでございますから、従つて立法機関でない行政府がこの法律内容を確定する、法律の線に沿わざる線に財政的見地から政令をきめるというようなことは断じて許すべからざることである。この点をどうお考えでございますか。御意見を伺つておきます。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御趣意の通りでありますが、ただ政令に譲られておる標準がございます。その標準の立て方次第で幾らかわかれるところがあるので、さような意見が出て来ておるのでございます。基くところはもちろん法律でございますから、法律精神を生かすことにあることは申すまでもありません。ただ昨日私が申しましたのは、その法がどうこうということでなくして、その法の適用範囲が全部に及ぶ場合と、多少しぼられて二分の一に及ぶ場合とでは、こうなるということを実は申し上げたのでございます。この点誤解のないようお願いいたします。
  35. 綱島正興

    綱島委員 決して昨日の言葉をとらえて責むる意味ではないのでありますが、今後の日本の民主政治の運用の上に、また国民から負託されたる立法権の完全なる行使の上に必要であるから、あえて私はこの言をいたすのでありますが、昨日伺つたところでは、どうも四分の一か、あるいは二分の一に縮めよう、そうして、深くしようとか浅くしようとかいうことができるからというお話のように伺つたのであります。さようなことは決して行政府ではできない。これは立法趣旨に沿うてだけしかできない。それ以外のことをなされば、政令をお出しになつても、その政令法律的に無効に帰する、こういうことを御承知願わねばならない。ただそれがどこまでが無効かという審判をすることに、かりに最高裁判所に訴えたときに、裁判所は骨を折るでありましようが、本質的には無効でございます。そういう点をよく腹に入れていただいて、今後の行政に当つていただかねばならない。こういうことで、特にこのたびの明後日に迫つておる政令の発布について、この点を厳重にお含みおきくだすつて政令をお出しいただかねばなりません。もしこれに反するものがあれば、やむを得ぬから最高裁判所に訴えるかもしれない。この点はほんとうに慎重にやつていただける御意思がありますかどうか、大蔵省も、特に災害対策本部長の副総理も、お二方ともに、この政令法律をほんとうに尊重してお出しになるかどうかを伺つておきます。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 昨日、私が事務引継ぎが十分でなかつたためにああいうことを申し上げたことが誤解を招いたので、本日は、そういう誤解のないように、皆様のお手元へ全額盛つた三百億円増のものをお差出ししてありますから、これにて十分法を尊重するということをおわかり願えたことと思うのであります。
  37. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 私、途中から御質問を聞いておりましたけれども、今最後の大蔵大臣答弁に全然異議はございません。
  38. 綱島正興

    綱島委員 これをもつて質問を終ります。
  39. 村上勇

    村上委員長 中野四郎君。
  40. 中野四郎

    ○中野委員 昨日来、総論についてはいろいろとお話がありまして、特に網島君から憲法上の見解についていろいろと意見が述べられ、御答弁を求められました。私は、きわめて重点的に、三つの点について伺いたいのであります。  最初に建設省。きようは建設大臣はおられませんから、従つて建設省の方から伺つておきたいと思うのですが、今度の十三号台風によりまして受けました水害あるいは災害というものは、一般水害の常識とはまつたく趣を異にしております。今回の台風によるところの水害は、十四府県下の護岸をまつたくぶち切つてしまつたのでありまして、元来水害の常識から言えば、一ぺん水が来れば跡始末をすればよろしいのですが、今回のはそうでなく、現に二十五日の台風以来きようでちようど十二日目になりまするが、十二日間毎日、一日に二回ずつ潮のさすたびに水害を受けているような実情であります。従つて、これに対して、昨日本委員会においても二十四の特別法の中に入れるように満場一致決定をいたしましたが、私は、今日さらに建設省の諸君に伺いたいのは、今回の災害は、先ほど申し上げた通りでありまするが、まつたく従来の水害の趣と違うのでありまするから、これに対しては二十四のいわゆる特例法以外に、たとえて言えば護岸保全法というのですか、あるいは海水を一旦防止し、あるいはこれを排水するというような特別の立法をしなければならぬとわれわれは考えておる一人でありまするが、建設省の方ではこれに対してはどういう考え方を持つておられるか。現在の二十四の特例法で、はたして今度の災害の処置ができるかどうか、こういう点についてまず承りたいと思います。
  41. 伊藤六三

    伊藤説明員 海岸の災害は、河川の災害と比較いたしまして、水の引くというときがないために、水害後におきましても常にまた水害を受けているということは、まことにお気の毒な点だと存じておるわけでございます。海岸の災害につきましても、現行法におきまして、この災害復旧はやり得るのでありまして、現在の海岸災害は、公共土木事業の国庫負担法によりましてもすでにやつておるわけでございます。そこで、今回の災害につきまして、この特例法を適用する昨日の委員会の御決定に基きまして、これが立法化されますれば、われわれといたしましては、一般の西日本並びに和歌山付近のあの災害と同等にこれを適用して参れる、こう存ずるのであります。  そこで、災害復旧は現に原形復旧という点にありまする関係上、現在の海岸堤防を復旧するのみではその効果をあげ得ないのではないかという問題がここに一つ残るわけでございます。この問題は、河川災害の場合におきましても同様の問題が起るのでございまして、こういう問題につきまして、ある程度の、昔から扱つておりまするいわゆる超過部分関係するものは、災害工事としてとり得る部分がありまするが、それ以上の部分につきましては、河川につきましては災害復旧助成という予算をとりまして、これと予算を合併いたしまして施行いたしておるわけであります。海洋につきましても、すでにこういうような方法を用いまして、海岸を相当強く復旧するのみならず、助成費も加えて行うているわけでございます。従つて、現在の工事におきましても、災害復旧の問題につきましては、特例法の適用ができると私は存ずるのでありますとともに、この改良を受けるものにつきましては、海岸の助成費というものをもつてこれをさらに補強するという点はできる、こう存じておるわけであります。
  42. 中野四郎

    ○中野委員 きよう戸塚建設大臣が現地を視察なすれば、おそらくその実情がよくわかつて、今の答弁とはおよそ逆の効果が現われるであろうと私は思うのであります。と申し上げるのは、西日本地方の災害の大きかつたことは論をまたぬところでありますが、今回の十三号台風による災害はそれにまさるとも決して劣るようなものではないのであります。ただ、昨日来各委員諸君がお話になりましたように、近ごろはやや災害の慢性的な気分に満たされておりまして、従つて、最初の当時は非常に政府も各方面も騒ぎましたけれども、特に今回の十三号台風に至つては、現実の実害があまりにひどいために、各現地から中央に喧伝をするいと丁がなかつたのであります。この二つがたまたまマツチして、何となく十三号台風に対しては、冷たい感じと言つては悪いが、過小評価をされておるような傾向があるのであります。私が昨日改進党の代表として御報告やいろいろのお話を聞かなかつたのは、私らは実害地の一人でありまするから、過大報告をするというふうにとられてはならないのでありまして、第三者的な見地から、北海道で最も水害にはなれておるわが党の松浦君が総裁代理として現地に行つておりまするから、その君から報告してもらう方が皆さん方に正しく認識を願えるという見地に立つて、昨日は松浦君にかわつてもらつたのであります。私が本日あえて建設省あるいは農林省大蔵省に承らなければならぬのは、ただいまのあなたの御答弁ではとうてい満足ができないからであります。なぜできないかと申しますると、今回のこの特例法によるところの二十四の法律の中の最後の一つに、熊本県の災害に対しては、災害地域内のたい積土砂の排除に関する特別措置法というものがあるわけです。つまり泥土をば排除する法律ができておるのです。今回の十三号台風による十四府県下における水害というものは、特殊の事情にあるのです。護岸はまつたく寸断されておるような状態なんです。私の県のことを申し上げては悪いが、えんえん四十五里にわたるところの海岸は、防波堤あるいは護岸が寸断をされて、今申し上げましたように一日二同ずつの水害をこの十日間受けておるのです。従つて、私は、単なる旧法によつてこれを補修するとか、あるいは新たに直す、復旧するということはなかなか困難であろうと思うのであります、従つて、二十四の特例法以外に、今回の十三号台風に限つては、別の観点に立つて、海水をまず防ぎ、さらに入つておるところの水を排水しなければならぬ。たとえて言えば、まずい言葉かもしれぬが、私の思いつきで言えば、海水排防法というようなものを新たにつくらなければならぬと私は考えておる一人であると申し上げたい。従つて建設省の方においては、当然実害地から相当な報告があるであろうと考えまするから、これに対して、われわれの考えておる気持とぴつたり来るような考え方を持つておいでになるかどうかという点を伺つたのです。ただ端的に今のようなおざなりの答弁で、はたしてこれが復修ができるかどうかということは相当重大な問題であります。戸塚建設大臣が帰つて来らるるならば、その実害の大きいのを認識されて、あなたも考え方を根本的にくつがえさなければならぬのではなかろうかと私は思うのですが、まあ大臣のいないときにあなたに責任を負わせて伺うことは悪いかもしれません。一応この点をよく腹に入れておいていただきたいということをあえて申し上げたいと存ずるのです。しかし、これ以上あなたに申し上げてもやむを得ませんから、私の申し上げることを、今度の会議の席上において大臣とよく御相談の上御答弁を願いたい。  さらに、農林省に伺いたいのですが、愛知県では、この塩害によつて海水が多く新田方面に入つております。従つて、まずこれを防ぎ、そうしてこれを排水するような施設をしなければならぬことはもちろんであります。そこで問題になるのは、この塩害による耕地は、早くて三年、おそくて五年ぐらいは、とうていもとのように耕作物ができないのであります。従つて、これに対して農林省はどういうような処理を考えておられるか、応急処置をどういうふうにし、さらに恒久施設をどういうふうにしようと考えておるかという点について伺いたいと存ずるのであります。きようは、農林大臣の保利君、来てくれると思つたら、おいでにならぬようですが、どなたか責任のある万から、このことを御説明願いたいと存ずるのであります。
  43. 渡部伍良

    渡部説明員 十三号台風におきまする一つの特性は、高潮で海岸地帯が非常な被害を受けているのが今までにない現象であります。ことにこの地方では干拓地が非常に多いのであつてお話のようにせつかく熟田にしたのに、また塩水が入つておるのであります。私どもの方としてはこれをできるだけ早くせきとめ、ちよつと大きい規模のものになりますと、早急にということにつきましては、私の方の農地局の建設部長ガ現地に参りましていろいろ研究しておりますが、まだ結論が出ておりませんが、とりあえずブルド—ザ—とかダンプ。トラックとか、そういつた復旧機械、それから泥土をとるベルト・コンベアとか、サスプンシヨン・トレツジヤー、そういつたもの、あるいはポンプ等につきまして、応急の措置を講ずるように、これに必要な費用は予備金で出しております。これは、西日本水害の場合にも、有明湾の筑後川の下流の応急措置あるいは熊本の応急措置としてやりましたけれども、これを根本的に直すのには、何と申しましても、まだ水が引いておらない。相当現地の調査並びに設計に、大規模にやられたところは、あるいはまだ時日を要すると思います。とりあえず応急的な機械を早くそこへすえつけて、少しでも復旧に努めたい、こういうふうに考えております。
  44. 中野四郎

    ○中野委員 農林省にはたくさん聞きたいことがあるのです。まず今のお話ですが、ただそれだけでは応急措置としても納得できぬ面があるのです。さらに、その恒久施設として、塩害を受けた耕作地の跡始末をどうするかということなのです。三年、五年、できないのです。これは大蔵大臣がここにおいでで、お互い国が同じで、同じような災害を受けた一人ですが、愛知県の幡豆郡方面の新田が今度はずいぶんやられました。これなんかは、実際上においてこの前の塩害で堤防が切れて約五箇年間だめであつた。五箇年目のことし、初めて新米がとれると楽しんでおつた。一体愛知県というところは、おくのところです。九割五分がおくですから、従つて、やつと七分咲きの花か咲いたと楽しんでおるときに今度の塩水なんです。従つて、失望落胆どころではない。さらにこの上五箇年間、このような道を歩いて行かなければならぬという気持になつておる。この恒久施設をどういうふうにするか。たとえて言えば、北海道でやつておりますが、堤防が切れる、この堤防をば築くには、やはり相当の機動力を使う。その機動力を利用して客土を入れる。そうして塩害地におけるところの土とコントロールする、中和するというような手も使つておるのですが、今あなたのおつしやつた小さな予算だけでは、そういうようなこの全国十四府県下にわいて受けた影響を補うには、あまりにも小さい観点に立つておりはせぬかと思う。従つて、こういう観点に立つて対策があるかということを聞いておるのです。
  45. 渡部伍良

    渡部説明員 塩水に侵された水田そり他の耕地の復旧は、お話のように客土もありますし、石灰を入れて中和する方法もいろいろあります。しかし、現在では、その被害程度はまだ調査しきれないのであります。というのは、まだ冠水しておりますから。従いまして、これがわからなければ、どの程度にやるかということを、ただいまのところ明確に申し上げることはできないのであります。当然、その被害の結果に基きまして、そういつたことをやらなければならないのであります。今の塩抜きの方法としましては、現在のところ、今までやつておる方法以外にはないのでありますから、塩抜きを要する面積が具体的にどれだけになつておるかということを確かめました上で遺憾のない措置を講じたいと思います。
  46. 中野四郎

    ○中野委員 さらに伺いたいのは、今年は、御承知のように、九州の災害、あるいは次々と水害災害日本が見舞われておることは、まことに不幸なことではありまするけれども、まあ考えようによつては、一つの飢饉の年と見てもよろしいわけなんです。現在の日本の食糧事情から参りますと、非常な食糧欠乏の状態になると思います。従つて政府は、食糧対策として、現段階においては、一般農民にいかなる供出の求め方をするかということは、全国農民の大きな関心を持つておる点であります。この点に対する見解と、さらに、不足するところの食糧をいかなる見地に立つて補うか、もし外米によつてこれを補うというなれば、現在外米はどれだけ入つてつて、今後どれだけのものを輸入する見込みであるか、また輸入でき得る見込みであるかということを明確にしていただきたいと思うのであります。
  47. 渡部伍良

    渡部説明員 ことしの米作状况は、先般農林省で九月十五日の作柄状況を九表しましたところから見ましても、五千八百八万石であります。従いまして、昨年の六千六百万石と比べますと八百万石の減収であります。これには十三号台風による被害は含まれておりません。従いまして、お説のごとく、ことしの、今から来年の出来秋までの一年間の食糧事情は、去る一年間に比べれば、それだけの穴が日本の米の生産で明いたことは確実であります。従いまして、私の方では、供出につきましては、あらゆる処置を講じまして、外米とかそのほかにたよらないようにやるということに骨を折つておるのであります。しかし、今申しましたように、現実に日本の米の数量が落ちますので、これをいかに努力しましても、内地米だけで従来の配給率を維持することは困難でありますので、一方におきましては、供出につきまして、農家の方にも麦を食つていただいて、そうして供出を都会地に少しでも出してもらいたいということとか、あるいはまた、その値段をできるだけ低下するとか、あるいは災害地に対しては、飯用としまして、政府手持ちの米麦等を県を通じて払い渡しまして、その代金の引下げとか、あるいは延納ということをやつております。しかし、あらゆる努力をしましても、昨年度の供出二千八百万石には相当の隔たりができることを覚悟しなければならないと思いますので、これに対しましては、お話のように、外国食糧にも相当たよらなければならないと思います。そこで、これを米でやるか、麦でやるかという問題であります。これは、一食当りの単価、外貨の単価等から見ましても、世界の生産額から申しましても、麦の方が手に入れることは非常に容易なのであります。しかし、一方から、一挙に米食率を下げることは、社会、人心に及ぼす影響もありますので、できるだけ米を確保したいという方針でおります。来米穀年度の予定としましては、米を百十万トン入れる予定にしております。しかし、それ以上に幾ら入れるかということについては、まだ確たる数字を出しておりません。しかしながら、新聞紙上等でも伝えられておりますように、朝鮮は、ことしは未曾有の豊作でありまして、二十万トン以上の輸出を日本に小麦粉その他とのバーターで出してもいいという話もあります。インド等も、非常に豊作でありまして、米を今までは輸入しておつたのでありますが、輸入しない。ビルマにも相当手持ちの米があります。スペインも豊作である。日本を除いては、米作地は非常にいいようであります。従いまして、これにも相当期待を持つておりますが、しかし、先ほど申し上げましたように、できるだけ貴重な外貨を節約するという点味から、もう少し麦を食べて、災害を国民全体に分担していただきたい、こういう方針でもつて、需給の再検討及び輸入の方針等につきまして検討を加えております。  ちよつと話が前後いたしましたが、まだ割当を早場地方の北海道、青森、岩手、秋田、山形、それから石川、福井、それだけしかやつておりませんので、今後の供出量が幾らになるかということも、もう少し確かめませんと、ただいま米にどれだけよる、麦にどれだけよるという段階になつておりません。どうぞ御了承願いたいと思います。
  48. 村上勇

    村上委員長 中野君、時間が来ました。
  49. 中野四郎

    ○中野委員 聞きたいことがたくさんあるのに、時間がないと言われて、まるで選挙の演説会みたいで困るのでありまして、少し許してくれたまえ。  そこで、もう一点続いて聞いておきます。これは大蔵省にも聞かなければならぬ問題でありますが、十三号台風の被害については、いまだ不明だとおつしやつたのであります。減収額はまつたく不明なのですか、あらかたつかんでおりますか。それから、やむを得ないから、なるべく皆さん方に出してもらうというが、現在日本全国が台風の災害あるいは病虫害等の災害を受けて、全般に見て飢饉の様相を帯びているのです。従つて、非常に供出が圧縮されているときに、特に水害地と災害地等のものがしわ寄せされて来るのでありますから、これが一般の農家にしわ寄せされて供出をされますと、非常に大きな問題になる。特に日本の現在の農民においては、現段階の米価ではとうてい供出に応ずるわけには参らぬのであります。従つて、十三号台風によるところのその減収額はおよそどのくらいか。  それから、米価審議会においては一万二千円ときまりまして、政府は大体九千円というような意見を述べているようでありますが、ただいまあなたは、適当に米価を上げるとおつしやいましたが、一体幾らに米価を上げるつもりでおるか、この点。  それから、外米の点は、ここで議論しては、なかなか時間がかかりますから、申し上げませんが、あなたの言うように簡単には外米は入つて参りません。第一番に外貨の問題です。同時に外国の在庫数というものもあります。あるいは船舶が非常に逼迫しておりまして、なかなか机上プランを立てたように外米は入つて来ないのであります。従つて日本の今後の食生活というものは非常にきゆうくつになります。これに対する食糧対策というものは、官房長官がここで責任をもつて答弁するというならば、いろいろ伺いたい点もある。しかし、それをここで論じておつては、申合せの時間も過ぎますから、別の機会に譲るといたしまして、今の点だけを簡単にお答え願うことにいたします。
  50. 渡部伍良

    渡部説明員 十三号台風の被害額につきましては、まだ判明しておりませんこれは、農林省で発表いたしまするには、ある程度狂いのない数字がほしいからであります。  それから、米価を上げるということは、私、申し上げなかつたと思うのであります。麦の値段をできるだけ安くして交換をしてもらう、こういうことを申し上げたのであります。  なお、外国からの食糧について、お説のごとく、外貨の関係、そのほか、特に米を買うことによつて、かえつて元からの予定の数量について米の価格を引上げるということ等もありますので、できるだけ、この点は、先ほど申し上げましたように、麦でまかなつてつていただく。そのためには、先ほど申し上げましたように、供出の額等も、一部保有米を麦にかえても、安い麦を入れる、そうして国内には高い米を入れないように、こういう配慮をいたしておるのであります。
  51. 中野四郎

    ○中野委員 農林省にはまた別の機会お尋ねをいたします。  この際小笠原大蔵大臣に伺いたい。昨日来各委員質問に対して非常に懇切な御答弁をなすつていらつしやる。今回の予算編成にあたつて御苦心のほどはお察しするに余りがあると思うのです。従つて、昨日のどなたかの質問に対して、大蔵大臣は、財源を探すのにまつたく苦しんでおるので、従つて、こういうような日にちが、いつの幾日と切れない、もし財源があれば、何とか教えてもらえばけつこうだという意味の御答弁をなすつた。むろん、これは、お互いに国家、国民のためでありますから、政府だけをば責めて、ここで政令によつてただちに時期をきめろ、あるいはただちに財源を組めと言つて、ないものを振れ振れと言つても無理だろうと思うのです。また一面においては、アメリカのように歳入委員会と歳出委員会があつて、お互い話し合つて法律をつくつたり、あるいは財政補填をして行けばよろしいのですけれども日本のこの憲法のもとにおいては、国会立法する、あるいは政府の方ではこの財源に苦しむという点も間々あろうと思います。この点については私は了とするものでありますか、しかし、まのあたりに見ておりますこのような災害を見て、ただ財源がない、いや出せというような押問答をしていてもしかたがないと思うのです。わけて、あなたと私は、選挙区が同じであつて、いわゆる同憂の立場に直かれておるのです。従つて、私は、心から大蔵大臣に御協力を申し上げて、すみやかにこの災害復旧費をば捻出いたしたいという念願からお話を申し上げるのです。私は、ただ出せとは申しません。きめられた時間ですから簡単に申し上げますが、財源が捻出でざる可能性のものがあるなれば、これはすみやかに組んで、そうして災害予算として組む御意思があるかどうか、まずこれを伺つて、それからお話を進めたいと思います。
  52. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今御親切なお言葉と、私はまことに感謝にたえません。私どもも、いわゆる同憂の士として、今のつなぎ融資のことは速刻やり、また今週さらにやりますので、応急のことはいたします。今週さらに十億以上出すことになるのでありますから、応急の措置はいたしますが、今お話の点は、昨日来申し上げましたように、約千八百億の助成金を要する等の関係かつ、補正予算にどれだけを盛るかということで、財源に苦心しておる。その財源を与えてやろうというお話に伺えるので、この点はまことにありがたくお受けいたしたいと思うのであります。もちろん、財源がありますれば、これはでき得るだけ早く多額に出したい。これは、御承知のごとくに、同じ災害対策費でも、次々と出す出し方がありますが、それを早くできるだけ多額に出したい。かように考えておる次第であります。
  53. 中野四郎

    ○中野委員 むろん、この予算の編成にあたつては総合的見地に立つてなさるものでありますから、当面するこの補正予算に対しての御心配はごもつともだと思います。しかし、私が昨日来の委員会の御答弁を聞いておると、とにかく現在の段階では財源が見当らぬというお話なんです。そこで、私は、あえて申し上げたいのですが、ちようどここにあなたのところの部下でいらつしやる阪田君も石田君もおいでになりますから、ちようどよい折だと思うのですが、たとえば、政府が熱意をもつて大蔵省のあらゆる機能をば動員して考慮をすれば、相当な、いわゆるこれだけの財源の出る可能性のあるものがある。一例を言えば、先ほど井手君も言われましたが、日本銀行の地下室には米軍から返してもらいました、賠償に値するものではありましたけれども、相当の金、銭、白金、ダイヤモンドがあるはずであります。しかもその総額は、現在時価にいたしますれば千七、八百億になるものであります。私は、この際、純金分とかあるいは白金の分は申しません。しかし、大蔵省考え方、熱意の持ち方いかんによりますれば、銀と合金だけの処理はでき得る立場にあるのです。銀は、現在返された数額は二千三百六十五トンあります。これは貫目に直せばむろん六十三万一千四百五十五貫になります。現在時価が一匁三十八円ですから、これをば売却する裏づけにしても、二百三十億の金は出るわけであります。合金が現在二十六トンあります。この中の金、白金というのは、日本政府の手持ちのものもありましたでしようし、日本銀行の手持ちのものもありましたから、今後調査のつまびらかになつた上でなければ処理はできませんけれども、銀と合金、合金は現在二十六トンです。貫目に直せば六千九百四十二貫になります。これは合金ですから、純金分がわかりませんが、今の純金の時価の二千二百円の半分に見て、一匁千円ずつと見ても、六十九億なり七十億の金は出るのです。私は、現在の日本の逼迫しておるこの国情から見て、貧困をきわめておるところの経済力から見て、こういうような品物を遊ばせておく必要はないと思うのです。というのは、大蔵省の官吏の一部では、この所有権の問題についてとやかく言うかもしれません。しかし、行政監察委員会においても、本会議場においても、院議をもつて、ダイヤモンド等十六万千百八十五カラットというものは国に帰属する、その所有権の帰属は国にする、そうしてこれを売却したものは特別会計をもつて戦争犠牲者に払うというようなことを一応きめたのでありますから、私は、ここでダイヤの問題を申さずとも、たとえば銀とか合金だけは処理をしてもよい過程にあるものであると思うのです。これは大蔵大臣の胸に置かれて、予算編成上の財源として値あるものだと考えますが、大蔵大臣ははたしてどういうふうにお考えになつておるか。もしそれが財源に値するものであるならば、刻下まことに非常の時であります。     〔委員長退席、綱島委員長代理着席〕 全国にこのように被災者があふれておるときでありますから、こういうような金を処分して、すみやかに予算処置をなすつて、これを応急の手当とすれば、この銀と合金を合せただけでも約四百億くらいのものは出て来ると私は感じるのでありますが、大臣はどういうふうなお考えを持つていらつしやるか、この際伺いたいと思うのです。
  54. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この問題は、実は私も、今中野さんほど正確に存じませんが、ただ一応管財局の方で調べたここを聞いております。この所有者の関係はつきりしていないという点から延び延びになておるようでありますけれども、今日のような非常の場合でありますから、もしそれについて立法その他を要するならば、特別の措置を講ずるのも一案と考えますので、十分御趣意に沿つた考え方をいたしたいと存じます。
  55. 中野四郎

    ○中野委員 大蔵大臣の御答弁はたいへんよい御答弁でありまして、この所行権の問題は、事実上国民が戦争中に戦争に勝ち抜きたい一心で供出したもりであります。特に白金は強制供出をもつて命じたものであります。従つて、この所有権を大蔵官僚の一部が考えておるように、当時中間で置上げをした交易営団や中央物資活用協会のもりなりという見解を持つことは、根本的な誤りであります。このことは国民感情が許しません。おそらく国民全般がさような一部ブローカー的存在の利福を得せしめるようなことは納得しないであろうと思うのであります。このことは、賢明な大蔵大臣においておわかりになるであろうと思いますから、今の御答弁を私は了といたしまするから、どうかすみやかに——金、白金においては日本政府あるいは日本銀行等の手持品等と詳察をしなければならぬ観点が生れて来るかもしれませんけれども、合金、銀の処分は、ダイヤモンドの例にならいまして、十七国会においてはおそらくこれは議員立法として提出される過程にありますから、このことを財源の裏づけとして、すみやかに災害救済に充てられんことを切に希望いたしまして、私の質問を終ります。
  56. 綱島正興

    綱島委員長代理 堤ツルヨ君。
  57. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、大蔵大臣が、きのうの主計局長のお言葉に対して、大臣みずから陳謝の意を表されておりまするし、また局長自体も非常にいんぎんにあやまつておられますから、追討ちはかけたくないと実は思つてつたのでございます。そして委員会は非常によい空気の中に進行されているかのごとくに見えますけれども、私は、この二日の委員会を通じて、現在のような結果ではどうも満足することができないのでございます。調弁大臣の多い中で、今の大蔵大臣は雄弁でありまするから、口の先でごまかされやすいのでありますけれども、先ほどの答弁を開いておりますると、まだ大臣政令案を見ておらないとおつしやる。あなたが飛行機からおりて羽田にお帰りになつたのが、たしか九月の三十日だと思うのでありまするが、この大切な水害対策、御存じのように国会は何をしておるかという声さへ起りつつある。従つて国会が特別委員会を開いて政府に示したところの法律従つて政令案に目を通して、基準の案をおきめにならなければならないのが、アメリカからお帰りになつたあなたの緊急事でなければならぬ。ところが、それに目を通しておられない。私は、どうやら主計局長のきのうの横柄な態度と符節を合せるものがここにあると思うのであります。政令案に目を通して、そうして大臣みずからがもう少し主計局のか々あたりと詳しく御打合せをなさるこいうことを、ここ一週間ありましたのに、なぜやつておいでにならないか。私は、誠意を持つておるとお答えになつておりますし、いんぎんなお書架でございましたから、信用したいのとはございますけれども、十億のつなざ資金をもつて満足することはできない。しかも、これは超党派的な委員会とございまするから、政党的な言葉は吐きたくないと思いますけれども、臨時国会水害対策のためにだけにでもこれは早く開かなければならぬというのは国民の常識なんです。知事会、あらゆる民間団体は、すでにその声をもつて中央に集まつておるはずなのです。その臨時国会が、九月の末はおろか、十月の末もおろか、この調子で行きますならば、私たちが推測いたしますと、ひよつとすれば吉田総理がアメリカ並びに欧州にお行きになるかもしれない、そうすると、お帰りになるのを一箇月と見ても、これはもう十一月の半ば過ぎなければ議会を開かない腹でいらつしやるのではないか。それなるがゆえにこそ、議会という店を開かなかつたならば、国会閉会中に委員会が少々うそぶいておつたつて政令案に目を通しておらなくつたつて、暮れて行くというような考えなお持ちになつておるのじやなかろうか、私はこう思うのであります。十億のつなぎ資金をきのうの閣議でおきめになつたというのでありますけれども、つなぎ資金は、私たちの手元にいただきましたこの参考資料を見ましても、北海道を除いて二十九県、北海道から九州、鹿児島まで見渡しますと三十都道府県、ほとんど各都道府県がやられておる。その三十都道府県の要する見込額は千七百九十億何がしで、ほとんど千八百億だということをおつしやつておる。その千八百億のちようど一制にしかすぎないところのつなぎ資金しか出ておらない。これを、府県を通じて市町村に渡されたところのつなぎ資金というものを見てみますと、私たちが歩いた範囲内では、肌着のかえがない、家は山の下にくずれておる、先祖伝来の美田を一町も八反も失つたというところの農民が、わずかに千五百円や二千円のつなぎ資金を市町村長を通じてもらつておるだけなのです。寒さは加わつて来る、食もなく、泣いているところの罹災民を私たちは救わなくてはならない。でありまするのに、このすずめの涙ほどの、一割にしか満たないところの百八十億のつなぎ資金をもつて、わずかきのう十億足されて、これで臨時国会を十一月の中ごろまでごまかされるとしたら、私たちは、まつたくこれは輿論通り国会は何をしておるかと言われてもしかたがない。しかも、私は、きようこの委員会において発言するのは初めてであります。私は、滋賀県選出であるから、地方的な言葉を吐きたくないと思つてきようまで黙つてつたのです。つまり、ここに考えなくてはならないことは、六月、七月の災害の九州、和歌山の方々が、何らの手当をしてもらわないで、この委員会でがんばつていらつしやる。私たちの八月十五日、九月一日、十三号台風の罹災民を救つてもらおうとするならば、まず順序がある。従つて、九州、和歌山を先に助けたい。そうして私たちは発言したいと思つて、きようまで黙つてつたのです。ところが、この調子で行きますならば、八月十五日、九月一日の二百十日の災害、それから十三号台風の災害に対して、おそらく正月が過ぎてもすずめの涙のようなつなぎ資金で泣寝入りをしなければならない罹災民の姿を思うときに、黙つておられないのであります。真に誠意があるとおつしやるならば、臨時国会を早急にお開きになることであり、大臣みずからが政令案に目を通されて、一週間と言わずに、もつと早く、昼夜兼行でおやりにならなければならない。今目をつぶつておられますが、緒方総理は、この間の二十二日の委員会で何とおつしやつたか。責任を持つてお答え申し上げる、二十五、六日には政令基準案をつくる自信があるとおつしやつた。それぬけぬけおつしやつたのに、結果が出ないで、またあなたがきよう一週間とおつしやる。こういうふうにして国会が引きずられて行つて、あなたはお人よしで、にこにこ笑つておられるが、私たちは罹災民を代表するところの選良でありまするから、この点を徹底的に伺つておかないと、どうもごまかしがあると思う。いかがでございますか。
  58. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 堤さんのお言葉に対してお答え申し上げますと、私が、政令案を見ない、こう申しましたことについてのおしかり、まことにごもつともであります。私は、実は帰つて参りまして、ちようど十三号台風等の問題がありましたので、即日十億のつなぎ資金を出し、また今週も出すことになつておりまするが、そのほか、全般的な予算関係等の問題について、特に補正予算を急いでおる事情と、補正予算を組むためには予算とからみ合つておるところの今の二十匹の立法、すなわち特例法、そういうようなもの等の関係がありまして、それで昨日私はここでまつたく正直に申し上げたがために、間違つたかと思うのでありまするが、実は引継ぎを一応受けたけれども、十分受けなかつたがために、それで、今の予算政令案との結びつきについての問題が、いや実は半分の分ならばこうなるのだというような御説明をして、実はおしかりを受けたのですが、そういうようなことをやつたので、今実は、政令案については、これは御承知のごとくに、この政令を施行するときにはどういうような数字が出て来てどうなるかということは、これは私が閣議に責任を持つて説明した上で、閣議決定を見る次第であります。それではお前は災害に対して冷淡ではないかというおしかりを受けるのはごもつともでありますが、帰つて参りまして、私自身も決して遊んでおるわけではありません。政務に追われておりまして、この点は漏れておりまするが、しかし、つなぎ資金をそういうふうにやつておるだけでは、これは実は微々たるものであると考えております。そこで、先刻申し上げました通りに、私はどういう政令案があるか、政令案内容はどうだということを言われたときに、一応聞いておりますが、正直に申し上げまして、実は見ておらぬので、そういうふうに申し上げたのでありまして、これはすみやかに見て、事務的に処理するようにして閣議決定をしたい、それには責任を持つてやりますからということで、一週間と申し上げた次第でございますので、この点は御了承願いたいと存じます。  それから、この災害の問題につきましては、私どももできるだけこれを多額に予算化いたしたいと思つております。予算化するというのは、先ほど申し上げた約千八百億に近いものは全部予算化しなければなりません。しかしながら、これをたとえば二十八年度の補正予算でどれだけやるか、二十九年度へどれだけ盛るか、あるいは三十年度、三十一年度にわたるものもございましよう。それはやはり財源関係その他ともにらみ合してあんばいをしなければなりませんので、その点で実は苦慮しておる次第なのでございます。それで、しからば、もし災害対策だけの臨時議会を開けということでございますならば、これは私は割合に容易ではないかと考えますが、しかし、いつも伴うものが財源なのであります。たとえば、今度の補正予算にいたしましても、米の供出に関するものもございます。あるいは義務教育のあの不成立に帰した関係のものもございます。あるいは今度の凶作の関係が起つて来たもの、この冷害等を見ますと、私は百五十億円くらいに達するのではないかと見ております。これはどうしても今度の補正予算に組まなければなりません。そういうこと等もありますので、決して怠けているわけではありませんので、この点、私は御了承願いたいと存じます。
  59. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 了承をしろという声も多いようでございますから、同僚間のエチケットとして、私はこれくらいで——納得はいたしません。なまけていらつしやるという現実は少しもかわりはないと思います。かわりはありませんけれども、一応それはそういたしまして、ただいま大臣がおつしやいましたように、私たちはこういうことを申したこともあるのです。MSAの問題、吉田さんのやみ軍隊の問題、こういう問題ではつつつがないことにして、災害問題だけで一週間なり十日間の臨時国会を開くということだけでも折り合えないかというような話も実は持ち出したこともあるのです。はたのことではつつつかない、めつた吉田内閣の打倒まで持つて行かないから、何とか一週間か十日間でも——なぜならば、知事が地方を歩いてごらんなさい。われわれが地方ヘ行つてごらんなさい。どろ沼に布の端を洗いながら、仏壇を洗いながら、女が手を合しておるのです。この実情をわれわれ国会議員として無視しておれますか。私たちは、この間から、体裁やはつたりでこれをあなたに申し上げているのではないのです。ですから、これはもし話ができれば、あなたもお安い御用だとおつしやいましたから、補正予算とも、二十九年度の予算とも私どもは十分情状酌量いたしますから、もし水害のためだけの議会を、紳士協約をいたしまして、七日間なり十日間なり開くということができるなら、ひとつこの委員会でおとりはからい願いたいということを私はここで提案しておきたいと思います。  それから、もう一つ、再確認をここでしてもらいたいのは、幸い衆参両院のこの委員会では、八月十五日、九月一日、十三号台風というものの罹災者も、九州、和歌山なみに特別措置法の対象にしなければならぬということを決議しておりますけれども、御承知通り、議会を正式に開いて、院議をもつてでなければ、正式に罹災民はわれわれを通してものを言うことができない。でありますから、委員会決議してくれておるけれども政府がどう出るやら不安でしかたがないというのが、実際八月十五日、九月一日、それから十三号台風の罹災民のほんとうの心持なんです。でありますから、私たちは、正式議会を七日なり十日なりお開きになるということが、第一。ところが、どうしてもこれに応じられないとするならば、八月十五日、九月一日、十三号台風も、九州、和歌山なみに必ず政府は特別措置法の対象として措置するものであるということをここで御明言願いたい。これは羅災民に大きな安心を与えますから、ここで再確認をしていただきたいと思います。大臣みずからここで御答弁願います。
  60. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま仰せの点は、私どもは、おつしやつた通りに確認いたします。八月の水害、十三号台風等も同様に政府は取扱う考えでございますので、従つて、お手元へ、今日、十月五日としてお配りいたしましたものは、全部特例法に基いたもので数字を出して差上げております。これは仰せの通りにいたしますから、さよう政府を代表してはつきり申し上げておきます。
  61. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 今、はつきりと御答弁をいただいたわけでございまして、これに関しましてはありがとうございます。そこで、もう一つ私が申し上げておかなければならないのは、九月一日が無視されております。範囲が狭くても傷は深いということがある。たとえば、兵庫県の川辺郡の天瀬村のごときは、村の平均税収三百万円に対して、罹災総額十六億、従つて、村のごときぶち込んで二百年かかつても立ち上れないだろうというような深い傷を受けた。こういうものは、いかに対象が狭くても、当然特別措置法の対象として九月一日も考えられなければならぬと思いますので、せつかくいいお答えをいただきましたから、九月一日の大阪、兵庫の一部もこれに入れてあげるということを、もう一度お答えしていただきたい。
  62. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は、それについては、今お話を伺うまで、私よく承知いたしておりません。はなはだうかつで、おしかりを受けてもやむを得ません。実情をよく調べまして、その通りであれば、政府の方針をさようなふうに決定いたします。法案のことでございますから、いずれ議会の御審議を経ることとなると思います。
  63. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 もう一つ、私たちが市町村の被害地をまわつてみまして、非常に考えさせられますのは、せつかくお出しになつたつなぎ資金が府県の手元に残されて、ごく一部分しか市町村に届いていないということが非常に多い。あなたの方は、渡されました各都道府県の知事から、県のふところに何ぼ持つてつて、市町村へ何ぼわけたというところのトータルを私は多分おとりになつておると思うが、比率はおわかりでございましようか。
  64. 森永貞一郎

    ○森永説明員 県と市町村の配分は、県が中心になりまして協議いたしまして、それに私どもの方の財務局長なり財務部長が入りまして、御相談の上きめておるわけでございます。理財局の方にはそれがわかつておるはずでございます。私、本日手元に資料を持つておりませんので、後刻申し上げたいと思います。
  65. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 これは、希望としてお願い申し上げておきたいのは、罹災民につなぎ資金はできるだけ現金として渡してほしい。もちろん県の立場もありましよう。県がこれもやつてやる、あれもやつてやるというので引受けておりますから、今日に見えない事業がたくさんころがつておりますけれども、先の百より今五十というのがほんとうの罹災民の声である。従つて、できるならば、ひとつ大蔵省において指導されまして、市町村の手元へ金がなるべく多く行くようにしてもらいたい。なぜならば、つなぎ資金が来ても、府県はあまりくれない。そうすると、市町村長とか区長だとかいうものは無力でございますから、これくらいなつなぎ資金が県に来ても、これくらいしか村に来ないのだから、もう復旧はそこそこにしておいてというので投げておる。京都府の非常に深い傷を受けました区長のごときは、少し気違いじみておるというような区長が四人ほどおるというようなことさえも私たちは却つておるのでありますが、これは一にも二にも金がないからである。私たちは、罹災民の方々を激励いたしまして、借金を質に置いても、個人で借金ができなければ村長が責任を持つて借主をしてでも、何とかして家をこしらんて立ち上つてくださいということを申しておるのですけれども、実際に金が行かないとなると、不安がられますから、その点は、もう少し各都道府県に対して、細心の注意をお払いになる必要があるのではないか、かように私は存じますので、ひとつ大蔵大臣に御配慮願いたいと思います。
  66. 森永貞一郎

    ○森永説明員 つなぎ融資として百億余りを出しましたのですが、これは災害復旧資金のつなぎでございまして、四川の緊急締切りでありますとか、堤防の応急的な修理であるとか、そういう費途に使われる金でございます。従いまして、この金が直接罹災者に流れるということは、ちよつとむずかしいかと思うのでありますが、罹災者に対しましては、別に災害救助法による救助資金を約二十億ぐらい別途予備費から支出しております。そのほかに、金融の方で、たとえば国民金融公庫の貸出しであるとか、あるいは中小企業金融公庫の貸出しであるとか、あるいは営農資金の貸出しであるとか、そういつたような方途によりまして罹災者を救済する、そういう仕組みになろうかと思うのでございまして、それらの問題につきましては、大蔵省といたしましても善処するつもりでございます。
  67. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 そこで、つなぎ資金の問題でございますが、私たちが羅災色をまわりまして、各都道府県の知事から非常にやかましく言われますことは、六分五厘の利子がついておることです。日歩一銭八厘、六分五厘七毛という利子は、罹災地にとつてはほんとうに痛い。でありますから、この前、二十一日の委員会におきましても、何とか早く査定をして、そうして概算払いにできないかという要求がなされたのでありますが、いまだになされておりません。十三号台風の査定はまだ終つてないであろうということは了承いたしまするが、もう先月の二十一日からすでに半箇月たつておる。従つて、この辺で概算払いにお切りかえになつてもいいのではないかと思うのでありますが、それはいかがでありますか。
  68. 森永貞一郎

    ○森永説明員 利子の負担が相当つらいことは、私どももよく承知いたしております。従いまして、概算払い等の方法もできるだけ早く講じなければならないわけでございますが、それには補助額を確定しなければならないのと、それから予算の問題があるわけであります。そこで、臨時国会を早く開いていただいて災害予算を出すという必要も起つて来るわけでございますか、別途予備費が相当残つておりますれば、その中からでも確定したものは出せるわけでございますけれども、本日お手元にお配りいたしましたように、残額約二十億円の僅少な額になつておりますので、これでは幾らも概算払いができないというような実情にございまして、資金面の方から概算払いかできにくいという実情にあることを御了承いただきたいと思います。
  69. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それでは、概算払いのできるように、何はさておいても、やはり水害のための臨時国会を開かなければならぬという順序になつて参りますから、大蔵大臣、よく御承知願いたい。  それから、もう一つ私が大蔵省に申し上げておきたいのは、ただいま建設省の御答弁の中に、大蔵省と円満な話合いをして何とかかんとかという言葉がありました。私は言葉じりをとらえるのではありませんけれども大蔵省を怒らしてしまうと将来建設省が困ることがあるから、この際円満に話をして、円満裏に金を一文でもよけいもらつてその対策を講じたいという、従来の伝統と歴史を考えて御発言になつ言葉だと思いまするが、この方の言葉通り、現地に行きますと、奔走官に大蔵省がついてまわつている。そして特別措置法ができても、これを骨抜きにするようなきびしい査定をして、実際は特別措置法の対象にしてやつてもしてやらなくても同じような結果しか出ないようなきびしい査定を大蔵省が要求していらつしやる。これは現に私たちは見て来た。従つて、これでは建設省農林省がいかに概算払いの面から査定を急がれましても、大蔵省のこういう圧力がかかつておりますと、非常にやりにくいだろうと思う。大蔵大臣、こういうことを御存じでありますか。
  70. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大蔵省といたしまして査定を厳重にしておることは、私も承知しておりまするが、度を過ぎてならぬことは、また私もよく承知しておりますので、この点、注意いたします。お手元に差上げてあるかどうか存じませんが、報告の金額と大蔵省が査定した金額とに差がありますることは、報告された金額は二千七百何十億になつておりますのを、査定したものはそれを苦手減じておることは御承知通りでありまして、そうひどく苛酷な査定をしたものであるとは考えておりませんが、もしさようなことがございますれば、十分注意いたします。
  71. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それでは、次にもう一つ、しつこいようでありまするが、つなぎ資金の問題について、これは後ほど理事会で御相談になると思いますけれども水害のためだけの臨時国会を早急に開くことができて、つなぎ資金のさらに追加の必要がなくなれば問題は別でありますけれども、やはり非常に懸念されますので、大蔵大臣の腹ではどのくらいつなぎ融資をお出しになる自信があるか、それをひとつはつきり聞かしていただきたい。概算払いでは財政法違反にもなりますし、順序がありますから、一応了承いたしますが、つなぎ資金をもうどれくらい追加なさる自信があるか、率直にお答え願いたい。
  72. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは資金部資金等ともにらみ合せなければなりませんが、これは堤さんも御承知のごとく、つなぎ資金は人夫賃に払われるか材料費に払われるものでありまして、そう多額につなぎ資金は速急にいるものではありません。しかし、必要な場合に出すので、今週も少くとも十億以上出す予定をしております。さらに必要が起つて参りますれば、引続き同額以上を出したいと考えておる。そのうちには臨時国会も開かれますので、それまではそういつた必要な金額はぜひつなぎ資金として出したいと考えておる次第であります。
  73. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 一週間に十億ずつちびりちびりお出しになることが二、三週間続けておできになるらしいくらいの大蔵大臣の御返事だと私は了承しますが、率直に申しまして、百億はすぐお出しになれませんか。百億要求したいのでありますが、しつこいようでありますが、百億のお約束はできませんか。
  74. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 資金部の手元の関係もありまして、現在のところそれだけの余裕はないように存じます。災害に対するつなぎ融資の性質から見まして、ぜひ必要であれば、必要額を出しまするが、金額でもう百億出すかというお問いに対しては、どうもただいまのところ確答いたしかねますので、あしからず御了承願いたい。
  75. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それでは、私はこれくらいで質問をとどめたいと思いますが、大臣はごらんになつたかどうか知りませんが、十三号台風の愛知県、三重県、京都府、静岡県などの県政ニュースもきよう議会に来ておりまして、私たち拝見いたしました。まつたく私たち一家があの罹災民になつたならということを考えさせられて、非常に責任の重大なことを痛感しておるわけであります。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕 六月、七月の水害対策さえもできておらないという現状を何とか打開したいと思つて国会は休会中といえども、一生懸命になつて、皆さん遠い所からお出ましになつてつておるのでありますから、非常に憎いことばかり申し上げましたが、どうぞ一刻も早く政令案にも目を通されまして、一週間と言わず三日ぐらいでお出しになつて委員会が再開いたしましたあかつきには早急に新しい道を打開して被災民の御要望にこたえられるように、慎重に願いたいということを要求いたしまして、私の質問を終ります。
  76. 村上勇

    村上委員長 辻原弘市君。
  77. 辻原弘市

    ○辻原委員 時間がないようでありますので、簡単に要点を御質問いたしたいと思います。ただいまの堤委員の五刑に関連いたしまして、第一はつなぎ融資の問題であります。今堤委員大蔵大臣のやりとりを拝聴いたしまして、大蔵大臣の言われたことを集約してここでまとめ上げると、臨時国会災害だけの関係ならば開いてもよろしいというような口吻を漏らされましたけれども、これは先般来からの緒方総理お話によつて、早期に開くという御意思政府の方でお持ちになつておらないということは明瞭である。同時に、その間予算化の時期が遅れると、当然その間の手当としてやらなければならぬつなぎ融資の問題については、またつなぎ融資にかわる概算交付の問題についても、ただいまの大蔵大臣答弁によつては、これにそう多額のものを用意しておるようにも考えられない。まれ概算交付の問題につきましても、主計局長答弁によれば、これはいわゆる原資がないといつたようなことと、それから、やはり予算化をしたという前提を持たなければできないというようなことで、これまたほとんど考えておらないということになつている。そういたしますと、ここに九州災害から数えてみれば約半歳、紀州の災害からは五箇月、少くともこの半歳に上る長い間というものは、地方においては、それこそ先ほどからすずめの涙と言われているけれども、ありの涙ほどのつなぎ融資でもつて、どうにかこうにか今日まで——おそらく政府はこの間早期に国会を召集して予算化するであろうという希望を持つて、罹災各地においては非常な努力でもつてこの災害復旧に当つている。このつなぎによる努力はもうそろそろ限界に来ておるのではないか。しかも、早く開いてくれるのではないかという淡い希望でもつて、それが精神的な支柱となつて働いて来ておる者も、その希望が切れて、これからの災害復旧ということは、時期的には冬季に向うし、精神的にはそういう事情で、これが大きな障害になつて現われて来るのではないか、こういうふうに考えるわけです。この間の空白に対する政府措置が、今さつき大蔵大臣の方から答弁のあつたようなことで糊塗するならば、これは一体政治というものは何であるか、政府というものは何のために存在しているものであるか、国会は国民の総意をどう処理して行つたかということに対して、国民が大きな疑問を抱いて来ることは当然のことだと思う。そういう意味合いで私は質問を申し上げるのでありますが、単に事務的に、これは予算化ができないから概算交付ができないのだということではなくして、私は先般も申し上げたのであるが、法律的にも解釈の余地があると思うし、いわゆる概算交付といつた問題についても、相当な政治的あ判断を下すならば、私は可能であると思う。まずこの点に対して、大蔵大臣が、単なる事務的な見解によらず、これを大きく処理して行こうというふうな決断を持つてこの概算交付の問題を考えて行くという御所存がないかどうかという点を、できれば、私は、これは政府当局責任者として副総理からもお伺いいたしたいと思うのであります。  同時に、つなぎ融資の問題について、これは、今までのようなやり方で行くならば、先ほど堤さんも言われたが、一割はおろか、災害復旧総額のいわゆる査定額に比しても五分に満たないようなつなぎ融資でもつてこれを引きつけて行くというような政府考え方に立つておるのではないかと私は考える。そうするならば、これは、今まで災害を受けたところで、さらに今度の十三号台風によつて被害を受けたような、二度の災害をこうむつたところにおいては、せつかく応急復旧に投じたものも、これは荒廃に帰してしまう。あとはなお遅々としてつなぎ融資が来ないというようなことでは、どうにもこうにも立ち上るすべがない。従つて、私は、どうしても政府は臨時国会を早期に開くことができないならば、何とかここにつなぎ融資としていま少し実際の予算化にかわるだけのものをあてがう責任があるのではないかと思う。もしかりに地方議会であれば、そんなのんきなことを言つておられるか。災害の現場を見ておれば、これはともかく、ほかの問題もあるから議会は今ただちに開けないなんていうことは言えない。おそらく市町村の議会であつても、都道府県の議会であつても、私はそんな悠長なことはしておらぬと思う。現に私の県においても、ない金であるけれども何とかしようということで、特にこの県の財政としては古今未曾有の百三十億に上る追加予算を可決しておる。それを、国会なるがゆえに、いわゆる国なるがゆえにそのことができないなどということは、絶対にあり得ないことだと思う。これを逆にひつくり返すならば、今回の災害の実相はよくわかつておるとおつしやるけれども、それは皆様の口先でおつしやるだけのことであつて、ほんとうは単なる精神的同情を寄せておるだけにすぎないのではないか。少くとも私は、被害地の一人として、そういうひがみを持つて見る。ほんとうにわれわれの気持、災害地の気持になつて皆さんがごらんになるならば、ここに国会が早期に開けない責任にかわつて、何とかつなぎ融資なり概算交付をやるという言明がなければならぬ。それがなければ、これは断じて引下れない問題である。それだけに、この二つの問題については、数字は言えない、概算交付もできないというような事務的な冷淡な言葉を吐かずに、当委員会において、もう少し打割つた話をしてもらいたいと思う。第一の私の質問はその点にある。
  78. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのお話の点はよくわかりましたが、これは、実は災害だけならあれですが、なかなかほかにも関係がございます。災害予算等につきますだけでも、たとえば、さつきも申しました通り、これをすぐに出すのではなくれことし、あるいは来年、補正予算幾ら、何で幾ら、こういうふうに年割等の問題もあり、次の予算にも関係がございますので、その点で補正予算を組むのにも今月一ぱいはかかるだろうということは、そういうような点で申し上げたのであります。それから、つなぎ融資の問題につきましては、これは私は必要に応じて出しておるのでありますが、要するに、その年度の予算というものは、おのずからそこに標準がございまして、従いまして、その予算のないときにそのつなぎ融資というものを出せるものでないこと御承知かと存じます。しかし、つなぎ融資はずつと出して来ておりまして、相当の金額をお出ししてお役に立つておることはよくおわかりを願えると思うのであります。概算払いをなぜせぬかということは、概算払いの方は、予算がございませんと概算払いはできません。予算通りますと、その予算の査定したものについて概算払いができますが、予算のないところに概算払いはできませんので、その点、非常に御不満になつておる点はよくわかるのでありますが、現在のところは、さきに申したような、予備費としては災害対策費はもう二十億ぐらいしか残つておりませんので、多額に上る概算払いはできません。しかしながら、十三号台風等におきましてすでに十二億二千万円つなぎ融資を出しましたが、さらに今週同額ぐらい出す予定でおります。必要に応じてこれを出して行く考えでおりますので、その点からは十分のことをいたしたいと思つておるわけであります。さらにまた、臨時国会等にもできるだけこの災害対策費をよけい出したいということから、実は財源等関係がありますので、これは昨日次官会議でも総理から話をしていただき、きよう私が、閣議の席上でも、各省に、すでにきまつておる予算でも、この際災害のために忍んでもらいたい、こういう異常な災害が起つて来たのであるから、その費用を出すために各省できるだけ節減してもらいたいということを頼んで、その具体案を出してもらうことにいたしておるような次第であります。従いまして、私どもは、今の災害対策に対しては、不十分ではございますが、力の限りは尽しておると思つております。しかし、なお足らぬところは、御鞭撻を得て、できるだけのことをいたしたいと存じておる次第でございます。
  79. 辻原弘市

    ○辻原委員 気持は十分わかるのでありますが、実際、およその目途が立たなければ、市町村なり都道府県復旧に対する計画が全然立たないということもよく考えていただきたい。時間がございませんので、私はその問題で多くを申し上げるいとまはありませんが、大蔵省として、金額は言えないでも、今後のつなぎ融資を出すにあたつて、現在つなぎ融資の対象となつておる災害復旧の査定額にどのくらいの割合で出して行こうという考えであるか、それくらいは、もうすでに考えられていなければならぬと思うのでありますが、従来のような考え方に基いてやるのか、あるいはそれを改訂して、今後は時期的に見て相当困難な時期に入るわけですが、そういう点も考慮してやるのか、これらもひとつ参考に承つておきたい。
  80. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 在来は、大体、その災害に対して、その年に予算に計上すべきもの、または計上すべき見込みのものの五割くらいをお出しすることになつておりますが、しかし、もしそれが実情に沿わぬということであれば、実情に沿うように五割以上出したところもあると存じます。大体五割ということを目安にしてつなぎ融資を出しておるのであります。従いまして、かりに災害復旧費として本年度の予算にそれが二百億——どれだけになるかわかりません。これは例を申すのでありますが、かりに府県が五十億なら五十億を見込まれると仮定いたしますれば、二十五億はその府県に行く、こういうふうなことに相なるのであります。
  81. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は、個々の府県を申し上げたのではないので、全体としてどの程度になるかということを思し上げたのでありまするが、ともかく、従来よりもそれは実情に適合したようにしてやつて行きたいということは、若干大臣の腹も読めましたので、この点については以上でとめたいと思います。  いま一つの問題は、つなぎ融資の、各都道府県に対する配分の問題でありまするが、増額の問題とともに、やはりこれは、今も大臣のお言葉にありましたが、地方の実情に適するということと、それから、これは、できれば公平に与えて行くという原則が確立されてなければならぬと思うのでありますが、これに対して、一体今までの配分は何の基準に基いてやられておつたのか、どういう割合でもつて出されたのか、これをひとつ承りたいと思います。
  82. 森永貞一郎

    ○森永説明員 つなぎ融資の出し方の基準の問題でございますが、各県から参りました被害報告——これはもちろん公共施設あるいは農地等に関する補助金の対象となるものだけであります。その被害報告だけを基礎にいたしまして、各県とも大体従来の実績による査定率がございますが、その査定率で事業費の総額を算定し、それを基準にいたしまして、たとえば初年度に何割出すか、それから、そのうち国庫負担が何割くらいになるか、そうすると補助金の内輪な見積りが出るわけであります。補助金として交付されるべき内輪な見積りでございますが、その金額に対して五、六割見当のものをつなぎ融資として融資する、大体各県ともそういう基準によりまして配分を決定いたしております。
  83. 辻原弘市

    ○辻原委員 大体算定の方法はわかつたように思いまするが、先般大蔵省から配付された資料を見てみますると、それによるいわゆる査定復旧費額と、それからつなぎ融資との関係においては、ある県においては一〇%、ある県においては五%、ある県においては一七%、もちろんこれは全部の復旧費額を含んでおりまするから、対象とならない分を除けば率はかわつて来ると思うのでありますが、しかし、大よその目途はそれによつて立つ。その間、その開きがあまり極端であります。本日配付されたこの資料を見て、十三号台風以前のものをとつてみましても、これと各県別に出ている資料復旧費額との比率を考えてみますと、どうもお話のようなぐあいにはなつてなさそうに私は思う。で、この問題はもう済んだことでございまするから、今言つてもしかたがないのでありまするが、そのような事実が現にあるとするならば、先ほどお話なつた五割なら五割という基準でもつてやるということであれば、これは今後いわゆる査定の含み額がさらにふえて来るのもあるでありましよう。続いて災害が起つて来れば、それも加わるでありましよう。だから、そのときにおいてこれを修正して行くというふうなことは、ぜひやつてもらわなければならぬと思うが、さようなことを現にやられておるか、また今後においてこれを是正して行く方針を大蔵省は持つておるかどうか、この点を私はただしておきたい。
  84. 森永貞一郎

    ○森永説明員 機会あるごとに是正して参りたいつもりでおります。特に台風十三号につきましては、台風の起りました後三日間くらいの間に、当時わかつておりました被害額を基礎にして出しましたために、非常に各県ばらばらであります。その後におきまして被害報告がふえて参りました県も少くないのでございまして、それらにつきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、今週中にでも追加いたしまして、バランスをはかりたい、かように考えております。
  85. 辻原弘市

    ○辻原委員 最後に一問だけ、これは別の問題でありまするが、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。それは、先般から当委員会において、建設関係の小災害の取扱いについて、建設大臣も、それから大蔵省の当局者も、この席上において述べられたのでありまするが、小災害は約七万ないし九万件です。この取扱いが地方にとつては非常に重要な問題です。しかもその復旧費総額は、その適用の範囲を引下げることによつて、約二十億ある。当時この問題についての取扱いは、平衡交付金のいわゆる特別交付金というような形で処理したいという言明があつたわけであります。ところが、それは若干技術的にも法的にも問題があるので、その後これを自治庁なりあるいは大蔵省、それから建設省三者の間において協議してこれを定めたいというふうな、この委員会に対する答弁があつたわけでありますが、相当時日も経過いたしておりますし、地方においてはこれがどうなつたかということを非常に心配して見守つておりますので、ここらでひとつその取扱いに対する最終決定を大臣から御言明願いたい。
  86. 森永貞一郎

    ○森永説明員 大臣にまだ御報告が済んでおりませんので、便宜私からお答えいたします。  ただいま御指摘の問題につきましては、その後自治庁当局とも二、三度話合いをいたしております。私どもといたしましては、特別平衡交付金でできるだけのものを見ていただきたい。但し、特別平衡交付金で見切れない部分が出て来るわけでございまして、その部分は、これは地方財政計画全体の問題として、地方財政需要の中に入れていいのじやないか。そうすることによりまして、現在の地方交付金制度のもとにおきましては、全額が何らかの形で見られるということになるわけでございますので、地方財政計画の中に入れるということによつて解決はつくのじやないか。そういうような話合いを自治庁の方にはいたしております。自治庁の方は、それに対しまして必ずしも満足いたしておりません。たとえば、議員立法がございました。あの法律による元利補給の対象としてくれないかというような話もありましたが、私どもの方は、地方財政法第三条等の解釈からいたしまして、これは当然起債でまかなえる性質のものであるのだし、他の財政需要と同様に、地方財政計画の中に入れて十分めんどうを見ればいい、そういう問題ではないかということで話合いをいたしておるところであります。まだ両者の間で最終的な見解はまとまつておりません。
  87. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいまの問題は相当疑問な点がありますが、時間がございませんので、これはこちらでも研究いたしまして、私の質問はこれで終ります。
  88. 村上勇

    村上委員長 八木一男君。
  89. 八木一男

    八木(一)委員 緒方総理小笠原大蔵大臣に御質問申し上げたいと思います。昨日の井手委員質問に対する森永説明員の不穏当な言辞につきまして、本日大蔵大臣から陳謝の意があり、またそれについて厳重なる措置をするという御答弁がありましたので、委員会としては一応了承したわけでございます。しかしながら、私は、委員会の全員は、この了承の中に、必ず政府において、大蔵大臣において、また副総理において、このような傾向を根絶していただけるという期待のもとに、その人の行動のあやまちをとがめずして、その全体の悪い傾向を収めるという大きな見地において了承したものを信じておるものでございます。そしてまた、ひとり不穏当な言葉を吐いた一人のみでなく、その傾向が、その所属している部局全体に蔓延しているので、一人だけこれを追究することは控えておこうという親心から、この問題をこのままで収めたことと私は信じておるものであります。でありますから、この問題に関しましては、大蔵大臣はあのような御答弁をいたされましたが、それにつきまして重大なる覚悟をもつてこの問題を徹底的にやり抜いていただきたいと思うわけであります。このいわゆる官僚横暴の傾向は、明治以来ずつと続いておることは、皆様方がすでに御承知通りでございまして、藩閥政治あるいは政党政治の時代、あるいは軍人の政治の時代、あるいはその後の時代も、すべて非常に有能な人物がありますために、その有能な人物が自分の才能におぼれて、自分が政治を左右するというような間違つた雰囲気に包まれて、世の中の政治の方向にブレーキをかけ、あるいは間違つた方向に向けておつた事実は、疑いもいれないのでございます。新憲法ができまして、占領状態が解除された後におきましても、この傾向は断じて減つてはおりません。昨日来の、あるいは二十一日の懇談会における主計局の意見に現われました態度は、この氷山の一角でありまして、大蔵省には特に多いのでありますが、すべての官庁にこのような傾向があることは疑いもいれない事実でございます。これを根絶することは、日本の政治のために必要であり、また小さくはその事務官僚の人々のためにも必要でございます。そういうことに関しましては、非常に困難を伴いますので、緒方総理並びに小笠原大蔵大臣は異常なる決心でもつてこれをやつていただきたいと存じます。主権者たる国民は、自分の欲する政治をやらせるために投票をもつて意思表示をしております。その意思は各政党の得票数をもつて現わされております。でありますから、各政党の中の多数のものが内閣を組織し、政治をやつているわけでございまするが、その場合に、小数党に投票した国民は、自分意見に反する政治が行われて歯ぎしりしたいような立場にありながら、しかしながら日本の民主政治、民主的ルールを守ることが日本の千載へのよき道を確保することであるというので、反対党の意見、反対党の政治に対しても服しておるわけであります。このような状態を考えますときに、その民主的なルールに従わない一部の、みずから特権を持つていると考えているような人たちによつて国民の意思が曲げられることは、非常に重大な問題でございます。このような状態が引続き行われますならば、おそらく国民は、国会に対し、内閣に対し、不信の念を現わしまして、その傾向はフアツシヨ化への傾向をたどるでございましよう。そしてまた、具体的には政府あるいは国会も無視して、自分にすぐ関係のある官庁に陳情、請願、あるいは世に言われております賄賂を使うかようなことにすべてのことが走りまして、すべて民主的のルールに従つてつくられました日本のこの政治体系がくずれるおそれすら、ないとは言えないわけでございます。でありますから、この問題は非常に重大な問題でございまするが、このような問題を今までよい方向に向け得なかつたことにつきましては、官僚の人々だけではなく、われわれにも責任があると思うわけでございます。今までにおきましては、その積弊をおのおのわかつておりながら、おのおの内閣をとつた政党、みずからの政治をするために使う官僚をかばう傾向がございました。そのために、官僚の人々は、その温床に育つて、そのような雰囲気に陥つたわけでございまして、これはその官僚の人々の罪とも言えないのでございます。ですから、全部がこれを直すための努力をしなければならぬと思うわけでございます。幸いにして、この異常なる水害に対する国民的な要望に基いたこの水害対策特別委員会におきまして、至上の要望のために、偶然にも、この問題を超党派的問題として、官僚の横暴を是正する空気が生れたわけでございます。日本の政治の百年、五百年、千年先までの正しい道を確立するために、この偶然の機会に、水害対策特別委員会に列席われわれ委員全員、またそこにおいでになつ緒方さん、小笠原さんの責務は、日本の国家にとつて非常に重大だと思わざるを得ないわけでございます。でございますので、緒方総理といたされましても、小笠原大蔵大臣といたされましても、これをただきのうの問題の処理だけのための言葉とされすにあくまでも徹底的に、このような国会無視あるいは政府無視のような傾向を根絶するように、とことんまでやつていただく御覚悟があるかどうか。そして緒方総理は、この問題を閣議に持ち込まれまして、大蔵省だけでなくて、すべての官庁にそういう傾向がありとすれば、それを根絶するために最善の努力を払う御覚悟があるかどうか。はつきりと承りたいと思う次第でございます。
  90. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 お答えをいたします。ただいま御発言の趣旨は、十分に了承いたしました。その趣旨を今後各省官僚の間に徹底いたしますように、できるだけの努力をいたします。
  91. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 仰せになりましたことはよく了承いたしました。私も、誓つて省内の者を統率し、そうして国会を尊重し、公僕精神に徹底するよう指導いたす所存でございます。
  92. 八木一男

    八木(一)委員 緒方総理並びに小笠原大蔵大臣の御答弁に私は心から感謝をいたします。両大臣のみでなく、われわれも、この点につきまして、ともに力を合せて、昔からの弊害を根絶するために御協力を申し上げることをお誓い申し上げたいと思うわけでございます。  時間がございませんので、もう一点だけ御質問を申し上げたいと存じます。この問題につきましては、先ほど井手委員の御質問に対しまして農林省官房長は、大蔵省相談をしてという御一答弁をなさつたわけでございます。また建設省におきましても同じような意向がございました。農林省並びに建設省におきましては、政令案の具体的な準備が完了しておるものと私は信するのでございます。ところが、大蔵省との折衝において、この政令案の出るのが今まで遅れておつたわけでございます。大蔵大臣は、一週間後には責任を持つてこの問題を処理するという御答弁をなされましたけれども、この水害対策は一刻もゆるがせにすべき問題ではございません。各地に、たとえば、山の中で、道を断たれて山林の仕事が全部とまつて、全員が失業者に陥つて食うに困つているような現状もございます。また、災害対策が遅れたために、だぶつて同じようなところに災害があつたところでは、防ぎ得る災害も防ぎ得なかつたような事実もあるのではないかと想像するわけでございます。かく考えますと、もし大蔵省の方々が今われわれの申し上げたことを率直に受入れていただくならば、今までの時間が遅延した責任を痛感されるだろうと思うわけでございます。しかして、政令基準につきましては衆議院の水害対策特別委員会で出し、また緒方総理並びに小笠原大蔵大臣がその通りに従うという言明をなされ、各省の用意ができ上つておりますならば、ただ一つ大蔵省の努力によつてこの一週間をつづめ得る余地が十分にあるわけでございます。その点で、小笠原大蔵大臣は、おそらく大蔵省の国家公務員の方々の今までのあやまちを十分にためられまして、全力をあげて御協力をされることと信じまするがゆえに、小笠原さんの一週間という期限はおそい、必ずほんとうにやる気であれは二日間あるいは三日間でなし得ると言えるわけでございますが、その点につきましての小笠原さんの御見解を伺つておきたいと思います。
  93. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 先ほども申し上げました通り、これは閣議決定の都合もございまして、またいろいろな資料等もいりまするので、一週間というのは、私が責任を負い得る程度を申したのでございますが、でき得るだけ取急ぐことにいたしたいと思います。
  94. 八木一男

    八木(一)委員 私は、閣議決定の別にその案を示していただくのがほんとうではないかと思うわけでございます。もしこちらに不満があつたときに、決定後にかえていただけますか。それができないとすれば、決定の二日くらい前に出していただいて、そうして閣議にかけられるのが至当ではないかと思います。
  95. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点はよく調べてみます。そういう素案をごらんに入れることになるのかどうか、ちよつと私、自分の判断だけではできかねます。また政令案は、他の例もございますし、政令というものは行政府に譲られておるものではないかと考えますので、行政府に譲られておるものでありますならば、ごらんに入れないものではないかと考えます。従いまして、この点は、私、調べた上でお答えしたいと思います。
  96. 八木一男

    八木(一)委員 この問題につきましては、私も、今小笠原さんの言われたようないろいろな疑義があると存じます。しかしながら、閣議で決定して一歩もかえることができないということでありましたならば、今まで水害対策特別委員会のやつて来たことが空になるわけでございます。でございますから、これにつきましては、おそらく各党の水害対策委員の方々が御協議になると存じますので、この問題は私は保留いたしまして、質問を打切ります
  97. 村上勇

  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は、堤委員質問に関連して、時間がありませんから、私の意見はごく内輪にしまして、簡単に要点を御質問申し上げたいと思います。政令が今日までまだ出ていないのでありますが、今までの堤委員のお答えに対しましても、非常に早く融資をして、この危急を救いたいという御答弁がございました。私もそれに対しましては非常に喜んでおるわけでございますが、しかし実際の災害は、六月、七月以降、八月の十四日、及び九月の一日にはまたまた集中豪雨がありまして、堤委員の言われました通り非常に大きな災害を伴いました。実際には、その一部落などは、村のすべての財産を売り払いましてもとうてい旧に復することのできないような深い傷を負うておるところもございます。私は、和歌山から北九州、それから兵庫、奈良、三重、滋賀、京都などの各府県を全部まわつて参りました。そのときに痛感いたしましたことは、堤委員が申されまするように、一刻も早く緊急に応急の処置ができる資材だけでも購入し得るような融資を急ぐということが最も大切なことだということを痛感して参つたのでございます。けれども、なかなか事務的には、申されるように、査定の問題であるとか、あるいは仮査定の問題にいたしましても、そういう事務手続の問題でつなぎ融資が非常に遅れる場合があることも私は了承はいたしまするが、しかし、このような非常に災害が大きく、そうして緊急を要する、しかも非常に災害地方の思想状態も動揺を来しておるようなときには、そのような従来からのただ単なる事務的な手続にのみたよつているということは、この緊急対策については不適当ではないかというふうに考えるのであります。そういう意味から申しますと、これは緊急に対策をしなければならぬと思いますが、一体その事務手続のみにたよつておられるのか、それとも、推定額をまず出して、ただちにそれに見合う応急融資をしようとしておられるのか、その点を一度お伺いいたしたいと存じます。
  99. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御承知のように、実は、大づかみに出すわけには参りませんので、一応査定をいたしまして、査定に基いて出すということに相なつております。査定がもしも遅れている点があれば、まことに恐縮千万でありますが、査定なしということには行きませんので、この点は、できるだけ早く査定をして、それに基いて出す、こういうことに御了承願いたいと存じます。
  100. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私の申し上げましたのは、全然ノー査定で出せるかということではないのでございます。現地の調査なり、あるいは市なり都道府県なり、これはただちに一応の損害額は集計をいたしますが、それは確定した査定の上の損害ではないのでございます。けれども、ほぼそれに近い損害のあつたことは事実でありますから、その事実に基いて、たといあすからでも、その一部分でも応急復旧のできるように、資材だけでも手に入れる金の内渡しの中の内渡しということになるでしようが、そういうふうな措置も、私は、こういう場合にはとつていただかないと、災害地をまわつてみますというと、非常にはつきり申しまして、朝鮮人連盟であるとか、あるいは共産党の諸君であるとか、このような人々が、実際にはその地方の何ら復旧には効力のない活動をはげしくして参りまして、純朴な農村等におきまして、非常にその地方の為政者も困つておるような状況が現出されつつあることを私は見て参つたのでございます。これに対する対策といたしましても、ぜひともこれは急を要する問題であるから、せめてこの応急復旧に必要な資材を買う金だけもらえば、私どもは私ともの村つくりをする覚悟で、労力は提供してでもやります、このように非常な熱意を見せておるのでございます。何さま資材を買うということは金がなければできませんので、そういう点で非常に各災害地は憂えているのであります。これは、私の調査団では田淵団長と私ども一行参つたのでありますが、これが調査団の一致した見方であつたと私は思うのでありますが、そういう意味から申しまして、ひとつ大勇断を振われるべきではないかと思いますが、そういう点についても関心があるのかないのか、私はお伺いしたいと存じます。
  101. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのお話、よくわかります。実は、つなぎ融資の方は、大体の推計をしまして——過去のいろいろのものがありますから、それで推定したもので出しておりますので、そう時間的には遅れているとは思いません。思いませんが、今のお話のごとく、資材を買う方について特別の措置がとれるかどうか、こういうことについては、やはり会計法か何かにめんどうな規定があるかもしれませんが、あれば何らか直すようなことも必要でございましよう。あるいはあとで事務の方から御答弁があるかもしれませんが、もしそういうことのために遅れるとたいへんなことですから、十分その点私の方では研究してみます。ただ、申し上げた通り、つなぎ融資は、一々過去の査定で、推定をしましたもので出しております。これは、御承知のごとく災害が起つてから、もう三日か四日目には出しておりますので、もつとも、先に行くのには少しひまどるかもわかりませんが、機宜の措置はとつているつもりでございますけれども、あるいはその点不十分の点がないとも限りませんので、十分ひとつ研究してみます。
  102. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その次にお伺いいたしたい点は、今まで政令はまだ出されておりませんが、この前に、私は懇談会の席でも申したのでございますが、当局は、政令によつて予算をきめられるのか、あるいは予算を組んで政令を足りようとされるのか。どうもその点が政令が非常に遅れているおもなる原因ではないかと私は思うのでございます。もちろん予算を無視して国政は行うことはできません。そのことはよく了承いたしますが、しかしながら、この政令をまずきめて、そして予算が総額幾らいるかということを割出して、それをどのように計画をして、その総額を割当てて行くかという手続をふまれることが正当だと思うのですけれども、今まで堤委員に対する答弁、あるいはその他の各委員に対する答弁によりましても、私の納得の行かないのは、どうも大蔵省は、まず支出予算額をきめた上で政令を定めようとなさるので、今日まで政令が遅れるのではないか。それでは、まつたく今八木委員が申されましたように、事務官僚と言うと非常に悪く聞えますが、悪くとらないでいただきたいのですが、事務当局が政治をしているようなものでありまして、法律がまつた事務当局によつて左右されるという結果も生じて来ると思われるのであります。そういう点から申しまして、私は、やはり政令をきめた上で幾ら予算かいるかということをさめられろのが正当だと思いますが、一体、今の政令をつくるにあたつて、どういう手続をふもうとされているのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  103. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは、仰せの通り政令があつて初めて法律に基いて予算をつくる。その政令は、法律精神を生かすものでございます。それに基いて予算が存する。これは私は当然のことだと存じます。ただ、一応その政令ができた場合にどう予算になるか、その多少兼ね合いを従来見ておつたつもりでございますけれども、御趣旨としては当然でございまして、これは政令をまずつくるべきである、さように措置して参りたいと考えております。
  104. 村上勇

    村上委員長 山口君、お時間が参りましたから……。
  105. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の大臣の御答弁と私の考えとはまつたく一致しているのですが、その手続によれば一周間で政令は必ずできるだろうという大臣言明をいただきましたが、もう少し早く政令を出していただくようにお願いをしたいと思います。  それから、もう一つは、復興計画の問題で私は納得の行かない点がありますが、それは、今の政令と同じように、可能支出予算範囲内において復興計画を立てようとされるか、あるいは、復興計画を一応立てて、これに見合う予算を組む手続にされるのか。どうも、今まで見ておりますと、ただ予算々々——なるほど厖大な損害をこうむつたのでありますから、国の財政を預かつておられる大蔵省といたしましては、その数字に非常にこだわられることは、私はもつともだと存じます。その点はわかりますが、しかし、それだけにこだわつていて、そしてその復興計画というものが遅れるということは、許されない問題だと思うのでございまして、まず復興計画を立てて、それに見合う予算がどれだけいる、だかりこの見合う費用はどういうふうにして行くか、そのことが私は予算だと思うのであります。そういう点、どうも私の考えとは違うように思うし、そういう点が非常に復旧を遅らせる原因、あるいはこれだけの罹災者を非常な不安に陥れつつある原因ではないかと思いますが、一体どういうふうに思われますか、ひとつお考えを伺いたいと存じます。
  106. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 原状に回復するだけのことでございますならば、お話通りだと存じます。しかし、それだけではいけないので、どうしても新規にいろいろなものを盛り込んで、将来に備えるという復興計画を立てる場合が昨今多いことは御承知通りであります。さような場合におきまして、その費用等の問題で、やはりそれだけの資金かあるかどうかということもございまするので、その場合には、たとえば、これはちよつと例が悪いかもしれませんが、コンクリートでやりたいと思つても、そこはある程度木造で忍んでもらいたいというものが起つて来る、こういうことはあろうと思います。けれども、もとになるのはあくまでも計画であることは申すまでもございません。
  107. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 さらに、もう一点は、今配付されておりまするこのつなぎ融資放出資金の内訳でございますが、今まで出したつなぎ融資は、この内訳で出したという報告だと思いますが、今大蔵大臣は、これから後も引続いて出して行くということで、ちよつと数字をお示しになつたようでありますが、その財源内容等については、まだ一向聞いていないのでございます。その財源内容について、ひとつお伺いしたいと存じます。
  108. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 つなぎ資金は、主として資金部資金でありまして、簡保資金等をまわす場合もあります。簡保の資金は、ごらんくださつたかと思いますが、これはごくわずかであります。大部分は資金運用部の資金でございます。これは、百億出すかとおつしやいましたが、今のところ、ちよつとそれだけの余裕はございません。しかし、今週中、あるいは十四日前の十二億二千万円くらいとなりますか、そういうぐあいのことでありますならば、もちろんそれだけの資金の手当はございます。なお百億入用であれば、またその次に出すものも用意がございます。但し、それでは百億あるかと仰せになると、現在のところ、それだけの余裕はちよつとないということを申し上げておきます。
  109. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 大蔵大臣は、先ほどは、十億ずつ出して今後三十億程度のものは出し得るだろうということでございましたが、それは資金運用部資金から融資して行くという考えであるのかどうかということと、今後さらにこれが百億という数字——それは大き過ぎるきらいもあるかもしれませんが、それでもつて十分とも言えないような状態にあるわけでありますから、今後のつなぎ融資の額の増大して参りますことは当然であろうと思いますが、それについて、ただ、今のところでは運用部資金だけにたよられるのか、あるいは簡保資金もそれに併用されるつもりか、もう一点その点をお伺いしたいと思います。
  110. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大体資金部資金、あるいは都合によつて簡保資金を使うかもわかりませんが、資金部資金で出ると存じます。但し、今のように、たとえば三十億ぐらいのところは、今のところめどがついておりますが、さらに大きなものがいります場合には、その間には、さつき申した通り国会が開けまして、予算化されますから、これは予算の方で出し得るということになります。そうすれば、早く概算払い等もできることになりますので、それまでのいわゆるつなぎ資金でございますから、大体それで行ける、かように存じております。
  111. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 御懇切な答弁でありましたので、私ども今の答弁通りに、ひとつ最大限に実行をしていただくようにお願いをいたします。ただ、もう一点お願いをしておきたいのは、九月一日の災害でございますが、いまだにその分についてのつなき融資は一銭もその町村には渡つていないようでございます。非常に困つておりますので、大蔵省におきましても、これらの災害については十分に御考慮をいただきまして、至急につなぎ融資がその町村に渡るようにお手配をいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  112. 村上勇

    村上委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  113. 村上勇

    村上委員長 速記を始めてください。  本日はこの程度にとどめまして、次会は来る十日、土曜日午前十時より開会することといたします。  これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会