○岡部得三君 本小
委員会におきましては、第十六回
国会において成立しました
水害地対策諸
法律のうちにおきまして建設、文部、運輸、
地方行政
関係の七件について
立法の
趣旨及び本
委員会におきまして決議したところの
適用地域の
指定基準に
従つて、
政令をも
つて定める
事項及び法の
運用等に関して
政府当局より
説明を聴取しまして、きわめて熱心に討議を重ねたのでありますが、ここにその
経過及び結果の概要を御
報告いたします。
まず、
建設関係でありますが、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害による公共土木
施設等についての
災害の
復旧等に関する
特別措置法
本法に基きまするところの
地域指定について、建設省より案文が出されたのであります。その案文を申し上げますると、第一に、公共土木
施設災害復旧事業費
国庫負担法の
特例を
適用する
地域、それから道路の修繕に
特別の
補助をなす
地域、それから地すべり等の防止
施設に対し
特別の
補助をなす
地域、土木
機械貸付の
特例を
適用する
地域、これにつきまして
適用地域を
指定する案といたしまして、負担法第七条の規定により
決定された
地方公共団体の
災害復旧事業費の額(河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止
施設、道路、港湾、
漁港の
災害復旧事業費の
総額とする。)こういうふうにきめております。それから(2)の分につきましては、六月及び七月の大
水害による道路の修繕に要する
費用の額、それから(3)の点につきましては、六月及び七月の大
水害により著しい
災害を生ずるおそれのある地すべり等を防止するために必要な
事業費の額、(4)六月及び七月の大
水害によ
つて堆積した
土砂等を
排除するために必要な
事業費の額、以上の額を
地方公共団体ごとに総合計した額が、当該
地方公共団体の昭和二十八年度の標準税収入に相当する額を越える区域、こうきめておるのでございます。そうしますと、本
委員会できめたものと大して差がないので、一応了承はいたしておるのでございます。
第二の水防法の
特例を
適用する
地域につきましては、第一の規定によ
つて定められた
市町村の区域内であ
つて、水防活動のために要した
費用のうち、資材に関する
費用が五万円を越える水防管理団体の区域とな
つておるのであります。この点につきまして全
委員より異論が出まして、
費用が五万円を越えるということになりますると、
適用されない
地域がございますので、これはと
つてもらう、この点については建設省の
当局も了解しておるのであります。
また第三の点でありまするが、これは公営住宅法の
特例を
適用する
地域、それから住宅
金融公庫法の
特例を
適用する
地域、これにつきましては、建設省では六月及び七月の大
水害の発生した
地域であ
つて、当該
災害によ
つて滅失した住宅の戸数が、
都道府県においては三百戸以上、こうな
つておるのであります。ところが三百戸以上に
なつたのでは困るというので、この点については標準税収入を上まわる
都道府県に
適用すること、また
市町村においても同様にすべきであるということが言われております。申し遅れましたが、この
市町村の区域は、区域内の住宅戸数の二割以上がこの
災害を受けて滅失した
地域とな
つておりますが、これについても、同様に標準税収入を上まわる
府県の滅失した住宅については、当然この法を
適用すべきだ、見てやるべきだ、こういうふうに皆さんから強く
要望されております。
なお
本法の施行につきましては、さきに
本法立案にあた
つて、本
特別委員会が決上いたしましたところの決議、すなわち、
第一、
地方公共団体の長が法第五条に規定する地すべり等により緊急避難をする必要があると認めた
地域に居住する住民に対しては、その住居移築又は、新築に要する
費用について、当該
地方公共団体は、その全額を貸し付けることができる。この場合における
貸付金の全額について
地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。
第二、法第七条に規定する第二種公営住宅の建設に要する
費用についての
事業主体の負担分に関しては
地方財政法第五条第一項第四号の規定により全額起債を認めること。
第三、
本法により建設する公営住宅及び住宅
金融公庫から
資金の
貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増額すること。
第四、昭和二十八年六月及び七月の大
水害により著しく損傷した住宅の補修に必要な
費用について、当該
地方公共団体は、その
費用の金額を貸し付けることができる。この場合における
貸付金の全額について
地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。なお、当該
貸付金及び起債の償還については、三年間据置きとする。
以上の決議を
政府をして実行せしむべきものと再確認するとともに、さらに一箇所の工事の
費用が
都道府県(
都道府県が加入している
地方公共団体の
組合及び港務局であ
つて、
都道府県がその組織に加わ
つているものを含む。)にかかわるものにあ
つては、十五万円に満たないものであ
つて、十万円以上のものに、
市町村(
市町村の
組合及び
市町村のみで組織している港務局を含む。)にかかわるものにあ
つては、十万円に満たないものであ
つて、五万円以上のものについては、それぞれ公共土木
施設災害復旧事業費
国庫負担法及び昭和二十八年六月及び七月の大
水害による公共土木
施設等についての
災害の
復旧等に関する
特別措置法第二条の規定によ
つて支出される額に相当する額を平衡交付金の
特別額として交付すること、この点でございますが、この点につきましては御承知のように、この
地方災害の、いわゆる
都道府県については十五万円以下十万円以上についてこの法を
適用しろということを
言つており、また
市町村につきましては、十万円を五万円に下げて
適用せよということを
委員会できめておつたのでありますが、この
査定等について非常に煩雑になるので、全
災害額の五%くらいであるから、この点については平衡交付金の
特別の額としてこれを支給するということによ
つて、この箇条を抹消したのであります。でありますから、どうしてもこの点をもう一ぺん再確認したい。それにつきまして
自治庁、
大蔵省とも交渉したのでありますが、何とかこれを生かすということは、
自治庁も
大蔵省も
言つておるのであります。その点について
自治庁といたしましては、これは全額起債とし、そうしてその元利の償還については適当な措置を講ずる、この点についてどういうふうに適当な措置を講ずるかということは、
大蔵省ともう少し十分に折衝さしてほしいと言われておるのでありますが、私どもとしては、これが全額起債であ
つても、その元利の償還に
責任を持
つてくれるということの確認ができれば、それでよいということを
委員会では申し合せておるのであります。しかし私ども小
委員会といたしましては、ぜひともこれを実行に移していただくことを
要望する次第であります。
次に、堆積
土砂の件でありますが、昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
災害地域内の
たい積土砂の
排除に関する
特別措置法に基く
地域指定等の建設省の案文は、第一に、昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
災害地域内の
たい積土砂の
排除に関する
特別措置法を
適用する
地域、それは昭和二十八年六月及び七月の大
水害による公共土木
施設等についての
災害の
復旧等に関する
特別措置法に基いて
指定された
都道府県の区域、それから
災害地域内に堆積した
土砂等の量でございますが、これを
市町村の区域内における第三に規定する公共
施設上に堆積した
土砂等の総量が十万立方メートル程度のもの、かように考えているのであります。また第三の公共用または公用の
施設の
範囲につきましては、一に河川、道路、二に上下水道、水利
施設、三に官公署、四に公園緑地、広場、五に国立または公立学校、六に公営市場、国立または公立病院、その他国営または公営
施設というのでありますが、本小安員会におきましては、特にこの点につきましてきわめて熱心に協議を重ねました結果、
本法に基く堆積
土砂の程度については、次の通り結論を得た次第であります。
すなわち昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
災害地域内の
たい積土砂の
排除に関する
特別措置法第二条に規定する
政令で定める程度に達する異常に多量という量については、左の各号に定める
基準によ
つて定めること。
一、同法第三条第一項及び第二項に定める
施設の区域内に堆積した
土砂等の量については二千立方メートル以上。
二、同法第九条第一項中、港湾の区域内に堆積した
土砂等の量については五万立方メートル以上。以上であります。
なお住宅
関係につきましては、
法第八条に規定する第二種公営住宅の建設に要する
費用についての
事業主体の負担分に関しては、
地方財政法第五条第一項第四号の規定により、全額起債を認めること。
二、本俸により建設する公営住宅及び住宅
金融公庫から
資金の
貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増額すること。
三、昭和二十八年六月及び七月の大
水害により著しく損傷した住宅の補修に必要な
費用について、当該
地方公共団体は、その
費用の全額を貸し付けることができる。この場合における
貸付金の全額について、
地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること、
なお当該
貸付金及び起債の償還については三年間すえ置きとする、
以上の措置を講ずる必要があるということを確認した次第であります。
次に文部省
関係についででありますが、この件については三件あるのであります。
まず、昭和二十八年六月及び七月の大
水害による公立教育
施設の
災害の
復旧事業についての国の
費用負担及び
補助に関する
特別措置法につきましては、その
地域指定は文部省としては
決定はしていないのでありますが、北海道外二十四県にわた
つて、
災害県をすべて
指定する予定だと申しておるのであります。
被害校数は二千六百八十五校、
国庫負担及び
補助の
総額は三十三億四千余万円とのことであります。
当局の
政令案によりますと、法第五条による
事務費の工事費に対する割合は百分の一とし、法第六条による設備費の昇定
基準については、公立学校
施設の設備費の額は、当該学校の建物の破損の程度ごとに、別表の
——これはあとから
報告申し上げますが、別表の一、学校の種類別の児童等一人当りの
基準額に
災害時における当該学校の児童数を乗じ、さらに当該学校の児童数に応ずる別表の二の補正係数及び当該
災害の程度ごとの
被害建物面積の当該学校に対する割合、並びに当該学校の建物の破損の程度に応ずる別表三の逓減率を乗じて算定するものとし、公立の社会教育
施設の設備費の額は、建物の破損の程度ごとに別表四の、
施設の種類別の建物一坪当りの
基準額に、当該
被害の程度ごとの被災建物の面積を乘じ、さらに当該
施設の建物の破損の程度に応ずる別表三の逓減率を乗じて算定するものとしておるという
報告でありました。なお図書館の建物以外の場所において、図書及び視聴覚教育器材が
災害をこうむつた場合においては、図書にあ
つては被災図書数に二百五十円を乗じて算定し、視聴覚教育器材にあ
つては文部大臣が
大蔵大臣と協議して算定するものとしております。
都道府県の教育
委員会の
事務費については、公立学校
施設の場合は四分の三を負担し、公立の社会教育
施設の場合は三分の二を
補助することとしておるのであります。前に申し述べました別表一ないし四は次の通りでありまするが、これは読みましてもちよつとわかりませんと思いますので、記録に残しておくことにいたしまして省略さしていただきます。
—————————————
以上が
本法に基く
政令案の要点でありまするが、本小
委員会におきましては、
本法の施行に関して次の通り措置すべきものと結論を得た次第であります。すなわち
(イ)
木材等建築資材の高騰の
実情にかんがみて、公立学校一般校舎の一坪当りの建築単価は、木造にあ
つては三万二千円、鉄筋コンクリートづくりにあ
つては七万円を下らないように
予算措置を講ずること
(ロ) 公立学校
施設である建物であ
つて、鉄筋コンクリートづくりまたは鉄骨づくりでなかつたものを鉄筋コンクリートづくりまたは鉄骨つくりのものに、鉄骨づくりのものを鉄筋コンクリートづくりのものにそれぞれ改良して、当該建物の従前の効用を
復旧しようとする場合は、非防火地区についても大幅に
実施できるよう
予算措置を講ずること等であります。
二、昭和二十八年六月及び七月の大
水害による私立学校
施設の
災害の
復旧に関する
特別措置法、
本法の
政令案によりますと、
災害地域の
指定は山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県及び和歌山県とし、学校数においては百十校、これに要します経費は一億六千九百万円余であ
つて、その他の
災害県においては
本法の該当事案がないとの
説明であります。
本法第四条第二項による
事務費の工事費に対する割合は百分の一とな
つており、法第五条による設備費の算定
基準については、設備費の額は別表一の学校の種類別の建物一坪当りの
基準額に当該学校の建物の面積を乗じて、さらに別表二の当該学校の建物の破損の程度に応ずる逓減率を乗じて算定するものとしているのであります。
法第九条による
都道府県知事の
事務については、
一、国の
補助金の額の算定に関すること、
二、国の
補助金の交付または返還に関すること、
三、
災害復旧事業の成功認定に関すること、
四、
災害報告書等の整理、申請書の審査等であ
つて、その
事務費はその年度中に施行する全国の学校法人の
災害復旧事業の工事費の
総額の百分の二に相当する額を基礎として、省令で定める
基準に
従つて文部大臣が
決定した額とすることとしている。
以上が
本法の
政令案の要点でありますが、前述の別表は次の通りであります。この別表も省略させていただきます。
三、昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた学校給食用の小麦粉等の
損失補償に関する
特別措置法
本法政令案によれば、まず
災害地域の
指定については、和歌山県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県としている。
次に
損失補償の
基準につきましては、次に記載する小麦粉等であ
つて、当該各県の学校給食用の物資をあつせんする団体が、
政府または財団法人日本学校給食会から買い受けたもの、及び学校の設置者が当該団体から買い受けたものとして、その補償の額は次に記載した当該各号に定める額としている。すなわち
本法の
適用を受ける小麦粉等は
一、流失した小麦粉等であ
つて、その数量を確認できるもの、それからその補償額は、当該小麦粉等を買い入れるのに要した経費の額に相当する額、
また二に、埋没したため、学校給食の用に供することができなく
なつたところの小麦粉等であ
つて、その数量を確認できるもの、この点につきましてはその補償額は当該小麦粉を買い入れるのに要した経費の額に相当する額、
三に、腐敗し、変質し、または凝固したために、学校給食の用に供することができなく
なつたもの等でありますが、これについては、当該小麦粉等を買い入れるのに要した額から、補償のときにおけるその
地方の当該小麦粉等の時価に相当する額(補償のときまでにすでに当該小麦粉等を処分したときは、その処分によ
つて得た対価の額)を差引いた額ということにな
つております。
以上であります。
次に、運輸
関係でありますが、これは一件であります。
一、昭和二十八年六月及び七月における大
水害による
地方鉄道等の
災害復旧のための
特別措置に関する
法律
右に基く
政令案によりますと、法第一条の
地域の
指定は、福岡県、大分県、長崎県、佐賀県、熊本県、山口県、島根県、福井県、和歌山県、奈良県、滋賀県、岐阜県、静岡県及び北海道としている。鉄道の特殊性にかんがみて、その
地域の
指定につきましては、
府県を単位とすることが必要である。
従つて、
地域の
指定を定める
政令は、
本法のみについては別個に定める必要があるであろうということを
委員会で申しておるのであります。
当局の
説明によりますと、今次の
水害による
地方鉄道の
被害総額は約十億円でありまして、
会社数は二十九社でありますが、この法
適用の
基準は、当該会村の経営状況と
被害額を考慮いたしまして、益金一割程度以下の
会社であ
つて、
被害額が年間収入の二割五分程度以上のものとし、法を
適用します
会社数は十二社で、これによります
補助額に約一億六千万円であります。自動車運送
事業につきましては、西日本において十一社、近畿におきまして九社が該当するとのことであります。
なお、
補助金の額の計算その他
補助金の交付につきましては、運輸省令で定めることにな
つているが、
補助金については、当該
会社の申請によ
つて、
当局において
査定することとしている。
以上が
政令案の要旨でありまするが、本小
委員会においては、
本法の施行に関しましては、
政府は、
被害総額の三分の一程度を
融資あつせんのために、その
地方の
関係金融機関に預託することが必要であるということを当
委員会で認めた次第であります。
この点につきましては、御承知のように、その
地方の住民が非常に強く
要望し、また生活に直接の
関係を持
つていますので、ぜひとも
地方私鉄の
復旧を促進する
意味をもちまして、かように確認した次第であります。
次に、
地方行政
関係でありますが、これは昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた
地方公共団体の起債の
特例に関する
法律、
本法についての
自治庁当局の
説明によりますと、現在
大蔵省
当局との折衝の段階にありまして、
政令案は提示されなかつた次第であります。本
委員会においては、右につき協議の結果、
法律の
趣旨にかんがみまして、
必要経費の起債は全額これを認めるとともに、
地方債の元利補給金の交付について、忠実に
法律を実行すべきことを強調しておく次第であります。
以上が
建設関係対策小
委員会におきますところの審査の概要でありますが、本
特別委員会におきまして、小
委員会において各般の法施行上の措置をするを必要と認めた
事項を御採択の上、
政府をして必ず実行あらしめるよう御処置あらんことを強く
希望する次第であります。
以上をもちまして、私の
報告を終ります。(拍手)