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1953-09-12 第16回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月十二日(土曜日)     午後四時二十四分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 江藤 夏雄君 理事 熊谷 憲一君    理事 田渕 光一君 理事 吉田  安君    理事 滝井 義高君 理事 稲富 稜人君    理事 世耕 弘一君       武田信之助君    綱島 正興君       徳安 實藏君    仲川房次郎君       坊  秀男君    三池  信君       山中 貞則君    岡部 得三君       舘林三喜男君    中島 茂喜君       井手 以誠君    辻原 弘市君       八木 一男君    山口丈太郎君       伊瀬幸太郎君    池田 禎治君       木下  郁君    辻  文雄君       松前 重義君    中村 英男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君     ————————————— 九月十二日  委員堤ツルヨ君辞任につき、その補欠として木  下郁君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水害地対策に関する件     —————————————
  2. 村上勇

    村上委員長 これより会議を開きます。  水害地対策について議事を進めます。この際各小委員会報告を求めます。まず、農林水産関係対策小委員長代理井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 農林水産関係対策小委員会の小委員長綱島正興委員でございましたが、適用地域に関する重要打合せのため他出され、かわつて議事を進行いたしました関係から、私が小委員長代理として小委員会審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  当小委員会に付託されました案件は、農林厚生労働、通産、大蔵各省所管に属する水害地緊急対策特別措置法十八件について政府に申し入れる政令事項基準並びに運用方針でございます。  小委員会は九月十日、十一日、十二日の三日間にわたつて開会し、関係当局説明を聴取した上、慎重に検討いたしましたが、一昨日本委員会で決議されました適用地域指定基準のほか、特別立法趣旨に反して適用地域を圧縮しようとする各省政令案に対して活発なる意見が開陳された結果、特別立法精神を延長して、適用地域を全法律適用することにしたほか、次のような政令事項基準並びに適用に関する要望事項決定いたしました。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律  一、法附則第四項の農業協同組合農業協同組合連合会森林組合森林組合連合会、または水産業協同組合の町有する政令で定める施設は、農業倉庫乾繭倉庫を含む)、木炭倉庫水産倉庫、及び肥料倉庫並びに精米工場精麦工場製材所などのほかに、冒頭に事務所を加え、その他の施設はすべて製材所等共同利用施設に包括せしめること。にいたしました。  二、法附則第四項の政令で定めるものは、  (1) 農舎については、開墾作業用居住施設収納舎、作業場、堆肥舎のほかに農具舎を加えること。  (2) 畜舎については、大家畜または中家畜畜舎のほか、五十羽以上飼育の小家畜舎を加えること。  (3) 共同利用に供する施設については、生産物貯蔵及び加工処理施設、小水力、発電施設とすること。にいたしました。  三、さらに災害農地復旧査定にあたり、すでに埋没土砂排除して田植えしたものは除外されるなど、査定が厳格にすぎて常識を逸したものあり、かつ査定官によつて均衡を失している各都道府県実績が各委員から指摘されたので、これらについては地方公共団体希望があれば再査定をすみやかに行うこと。  事業費の反当最高限度の従来の方針にとらわれず、実情に即するよう引上げること。  果樹園等農地より除外せざるように係官に注意すること。等を要望することに決定いたしました。  四、なお本法において農舎畜舎農業用施設として開拓地だけに高率補助適用することになつておりますが、これは被害農家全般に及ぼすことが正当であるということに多数の意見が一致いたしました。  従つて後刻改正法律案の案文を提出いたしまするので、よろしく御賛同のほどをお願い申し上げます。  被害農林漁業者に対する資金融通に関する特別措置法政令事項につきまして、  一、法第二条第一項の被害農業者にかかわる政令で定める施設は、畜舎堆肥舎サイロのほか、農機具及び農家宅地を加えること。  二、法第二条第一項の政令で定める林産物は、立竹木木材竹材林業種苗及びしいたけ等特殊林産物とすること。  三、法第二条第一項の被害林業者にかかわる政令で定める施設は、林道、山林苗圃わさび田、しいたけほだ木、木材加工施設及び貯木場のほかに木炭倉庫を加えること。  四、法第二条第一項の政令で定める小産物は、藻類海藻製品魚かす、州ぼし、塩ぼし及び煮ぼしとすること。  五、法第二条第一項の被害漁業者にかかわる政令で定める施設は、はぜその他の漁具水産動植物養殖施設水産倉庫製氷冷凍施設及び水産物加工施設のほかに、網ほし場、海藻ほし場を加え、海草礁養殖施設に含むものとすること。  六、経営資金貸付限度額は、当該経営資金農作物林産物または水産物被害について貸し付けられる場合には、農林省案に示されました損害額の三割または六割の制限を撤廃いたしまして、市町村長が認定した損害額全額とすること。牛または馬の被害について貸し付けられる場合には、当該牛または馬について市町村長の認定する損害額から農業災害補償法に基いて支払われる家畜共済金を差引いた額とすること。  七、償還期限は、当該経営資金が同項第三号の指定地域における被害農林漁業者に貸し付けられる場合または牛もしくは馬の被害について貸し付けられる場合は五年以内、開拓地における農業経営に必要な資金として貸し付けられる場合、果樹栽培に必要な資金として貸し付けられる場合または漁類、貝類もしくは藻類養殖に必要な資金として貸し付けられる場合は三年以内、その他の場合は二年以内とすること。  八、農林漁業施設は、農林漁業者生産に直結する家屋、鶏舎、堆肥舎サイロ農機具蚕具山林苗圃わさび田、しいたけほだ木、炭がま木材加工施設貯木場、漁船、漁具水産動植物養殖施設水産倉庫製氷冷凍施設水産物加工施設海藻ほし場または網ほし場とし、その災害復旧に要する費用制限は、原案には一万円以上とありましたが、これを設けないことといたしました。  九、農地、牧野などの災害復旧資金は、国または都道府県補助対象となつていない災害復旧事業にかかわるものとすること。  十、補助を受ける期間及び遅延利子については、期間原案の三箇月を六箇月とし、遅延利子利率については、農林省原案日歩三銭二厘とあるのを三銭とすることにいたしました。  次に運用にりきまして、  一、従来の実績にかんがみ、末端における農協その他の金融機関は、融資を旧債に充当させ、または零細農など、真に資金を必要とする農家には、資産関係から貸出しを渋るおそれがありますので、本法は四割の損失補償もあり、法の趣旨を十分徹底利用せしむるよう、特に運用上の注意を要望することにいたしました。  二、融資総額の百億円は少額に過ぎ、六月及び七月の大水害だけで少くとも二百億円を必要とすることに意見一致し、臨時国会においてこれが改正法律案を提出することに決定いたしました。  委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。  被害農家に対する米麦の売渡し特例に関する法律  本法については、農林当局より購入代金支払い期日は、会計法上一応明年三月三十一日とし、都道府県に売り渡すものであるとの説明並びにその言外の意を了承し、早急に実施するよう要望することにいたしました。  次は厚生省関係でございます。   公衆衛生の保持に関する特別措置法  本法について政令で定める屎尿処理施設とは、厚生省案船着場屎尿舟を承認いたしました。なお福岡、佐賀両県にまたがる筑後川流域日本住血吸虫の蔓延に関し当局説明を求めましたが、これは寄生虫に関する単独法に明記されているので、本法特別措置することはできないが、当該予算を同地に重点的に振り向けて実効を期したい旨の方針を了承いたしました。   国民健康保険事業に対する資金貸付及び補助に関する特別措置法  本法において政令にゆだねられた事項は、年賦償還期間は来年三月三十一日までとし、償還事務に関する知事委任及び償還金は、診療報酬支払いに充当する旨の当局方針を承認することにいたしました。  災害救助に関する特別措置法政令事項について、  一、救助のため必要な施設または設備は、厚生省案の自動車、自転車、荷車、リヤカー、給水車、舟艇、濾水機、天幕、通信装置仮設医療施設救助物資保管倉庫を支持することにいたしました。  要望については、  一、たき出しの費用は、さきに引上げられた四十円でもなお少額に過ぎて、栄養失調に陥るおそれがあるので、これを今次大水害より八十円に引上げるよう、重ねて強力に要望することにいたしました。  二、なお委員の質問に対し、栄養補給用薬品代、たとえばビタミン注射代などは法の対象に含まれ、応急仮設住宅は、坪四千円、五坪二万円で決定した旨の説明がありました。  三、また、畳一人一枚は本法に当然加える必要があると各委員から力説され、今後法の改正を行うべきごとに意見が一致したことをつけ加えて御報告申し上げます。   母子福祉資金貸付に関する特別   措置法  本法実施に要する貸付資金は五、六億円を見込まれますが、実施の最も難点と考えられることは適用地域でありまして、県の特別会計繰入れ額に対する貸付関係から、指定道府県地域にわたらない場合の取扱いが非常に困難を予想されますので、小委員会は二日間にわたつて研究いたしました結果、道府県指定の場合は全地域を、市町村指定のものは、指定市町村貸付金関係についてだけ国が県に貸し付ける特別措置法ひもつき運用を行う方針決定いたしました。   病院及び診療所災害復旧に関する特別措置法   本法政令事項に関し、  一、金融機関厚生省案国民金融公庫中小企業金融公庫指定を承認すること、  二、災害復旧に必要とする資金限度については、原形復旧改良復旧をめぐつて特に論議されましたが、診療器具機械の新品とりかえを認めること、やむを得ない移転建築を認めること、建物の改築は不燃建築規定上、当然行うべきものはこれを認めることとして、原形復旧を建前とする方針決定いたしました。なお、これ以上の改良工事を行うものに対しましては、厚生省資金融通をあつせんするよう要望することにいたしました。  三、また、通常より有利な貸付条件とは、最終貸付利率年五分を越えないこと、償還期限は五年すえ置き十五年とすることに決定いたしました。   社会福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法  本法に詳細規定され、政令事項がありませんので、別に問題はございません。  なお、厚生関係金融について、各委員から国民金融公庫官僚性が強く指摘され、職員が公僕たる身分をわきまえず、庶民金融の本質を顧みざる態度が著しく金融を阻害しておる実情に対して、猛省を促すべきであると強く要望されましたことを、ここに特に御報告申し上げる次第でございます。  次は商工業関係に移ります。  中小企業信用保険法特例に関する法律  政令事項保険料率は、通産省案融資保険及び代理貸し保険は百万分の五十四(年二分)、協会の保証保険百万分の三十六(年一分三厘三毛)を承認して、適用地域委員会決定した原則によらしむること。   被害小企業に対する資金融通に関する特別措置法  政令で定める事業範囲は、通産省案の屠畜業、獣医業を除く二十一業種を了承するも、業種の解釈は、立法趣旨に沿うよう、零細業者すべてに拡大活用するよう望要することに決定いたしました。  この両法律を通じ、中小企業に対する特別措置の軽少であることが多くの委員から指摘、反省されたことをつけ加えて御報告申し上げますとともに、従来の中小企業金融が、金融機関営利方針に阻害され、金融機関取引実績ある一部に利用されて、真に資金を必要とするものがほとんど利用できず、今回の特別措置法実施においても、損失補償があるにかかわらず、同様の不安が予想されまするので、立法精神にかんがみ、特別法完全運用につき、当局に格段の留意を強く要望することに決定いたしました。また、今後の中小企業金融機関及び特別立法の場合における金融機関については、国会において考究する必要あることが強力に述べられた審議経過も、この際御報告申し上げます。   中小企業者に対する国有機械等譲渡に関する特別措置法  政令事項について、  一、中小企業者とば、資本金一千万円以下の会社、または従業員三百人以下の個人または会社事業場及び中小商工協同組合とする通産省案を承認いたしました。  また本法利用を促進するために、  一、四万数千台を見込まれる国有機械などのリストを至急関係道府県に配付して、その希望をとりまとめ、優秀機械希望に対してはどしどし譲渡交換を行うこと。  二、被害の認定は、地方庁に委任すること。  三、延納について、少額のものも金額とかかわりなくことを認めること。などを要望することにいたしました。  自転車競技法特例に関する法律  適用地域は、委員会決定した原則に従い、道府県指定の場合は道府県営を、市町村指定の場合は市町村営を、一回に限り認めることに決定いたしました。  なお、通産省関係で申し落しましたが、中小企業に対する中小企業金融公庫の貸出しのわくは、災露地には特別わくを設けられるよう強く各委員から要望され、当局はこれを大体了承いたしましたことを、この際御報告申し上げておく次第であります。  次は労働省関係、  労労働者に対する失業保険法適用特例に関する法律  本法支給手続まで規定してありますので、政令事項はなく、また実施が急を要しますので、六月上旬の分より、すでに関係府県または地区に実施してあります労働省方針を了承することにいたしました。   失業対策事業に関する特別措置法  本法は、従来の失業対策事業のほか、大水害による農林漁業中小企業者の一時離職等対象とした方法の趣旨から、事業量を増大する必要があり、既定予算九十七億円では不足し、加えて、近時の企業整理、首切りによる失業保険満期後の事態を考慮して、至急実態調査の上、必要経費補正予算に計上すべきこと、及び法の完全運用が強く要望されたのであります。  次に大蔵省関係におきまして、   タバコ耕作者に対する資金融通に関する特別措置法  本法は、専売公社金融機関は銀行及び農業協同組合連合会を、復旧に必要な資金は、乾燥案復旧に七万円まで、営農資金は、損失額の三割、五万円まで、双方にわたる場合は、十万円までをそれぞれ貸付限度とする政令案を承認し、償還期限乾燥室一年すえ置きの五年、営農資金五年、償還延滞期限は一年以上二年未満三月、二年以上三年未満六月、三年以上一年、遅延利子日歩三銭とすることに決定をいたしました。  公務員等に対する国家公務員共済組合給付特例に関する法律  大蔵当局から、被害国家公務員に対し、すでに二万四千六百九十八人に対して三億円を内渡ししているが、その総額は七億円に近い旨の説明があり、共済組合二十一のうち、組合資金難から、その二分の一を支出することのできない十六組合資金手当について種々検討されましたが、その不足金貸付等に関しては、大蔵当局の善処を要望することとし、二月の範囲内で加える月数は大蔵省案の三月を五月に、二月を三・二月に、一月を一・六月に、〇・五月を〇・八月とする組合との協定案を承認することに決定いたしました。一方、地方公務員に対しては、被害公務員数を目下調査中であるが、その二分の一の国庫負担は、補正予算に計上する予定であるとの自治庁説明を聞き、政令事項については、一月以内の特別給付金国家公務員の率に準ずるほか、給料の定義、手続などについての自治庁案を承認することにいたしました。  次に、たい積土砂排除に関する特別措置法のうち、農林水産関係あるものについて結果を申し上げます。  政令で定める事項は、  一、農地及び農業用施設にかかわるものは建設省案を改め、一団地が二十町歩以上、または一団地排除費が反当五万円以上のものとすること。  二、林業用施設にかかわるものは、排除費反当五万円以上のものとすること。  三、漁港及び漁場にかかわるものは、市町村地先水面ごと平方キロ当り二百本以上の樹木と、排除費百万円以上の土砂のものとすること。  その他のものについては、農林省原案を承認することにいたしました。すなわち、  一、農地とは耕作の目的に供される土地。  二、農業用施設とは、農地利用または保全上必要な公共用施設のうちの灌漑排水施設農業用道路農地または農作物災害を防止するため必要な施設とすること。  三、林業用施設とは、貯木場苗圃木材流送路とすること。  四、漁場とは、漁業法による漁業権の設定されている海域とすること。  五、漁港とは、漁港法第二条の漁港とすること。にいたした次第でございます。  以上をもつて農林水産関係対策小委員会の御報告を終ります。
  4. 村上勇

    村上委員長 次に、建設関係でありますが、緒方国務大臣がお見えになりましたので、政府水害地対策について綱島委員より質疑の通告があります。この際これを許します。綱島正興君。
  5. 綱島正興

    綱島委員 緒方総理臨時大蔵大臣、特に災害対策総合本部長としての地位で絶えず御努力いただきまして、まことにありがたいことに存じておるのでありますが、実は本委員会におきましても、本日で一応の審議を打切りまして、さらに、あとに残ります政令のこと、つなぎ融資のこと、それらについての御所見を伺いまして、大体の態度をきめたいと思つておるのでありますから、特にお願いを申し上げましてお尋ねを申し上げるわけであります。  実は、昨日お目にかけましたような政令基準というものを本委員会においてはつくつたのでありましたが、多少法律適用については不十分な点も気つかないわけではございません。しかし委員会の意思というものは、どこまでも大体あの政令基準に示した通りでございますので、昨日もお約束を願いましたように、大体この趣旨は尊重して、そして政令を発布していただきたいと存ずるのであります。この点は、強い意味希望をいたしておきます。特に伺いたいのは、いつごろまでにこの政令ができましようかということ。これが実は委員全部が法案をつくり、調査をいたしましたが、今までできていることは、つなぎ融資が幾分参りましたというだけで、その余のことができておりませんので、一面は非常に政府においても責任があられる。委員会においても、非常に罹災者に対して深い責任を感じておるわけでありますので、この点、大体いつごろまでにごの政令の御決定を願えるか、こういう心づもりの点が、今日まずお伺いしたい要点でございます。
  6. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 お答えを申し上げます。政令をいつごろまでに出し得るかということにつきましては、事務当局と一度一わたり検討しないと、はつきりしたことを申し上げられないのであります。この政令の問題にかかわらず、これは私が事務に通じないから、十むを得ずはつきりしたことは言えませんが、その他のこともすべてできるだけ早く国会の御趣旨に沿うようにやりますと申し上げる以外に、実は見当もつかぬので、今事務当局も参つておりませんから、もつと具体的というお話であれば、一応打合せた上で御答弁いたします。私はここですぐには申し上げかねます。
  7. 綱島正興

    綱島委員 ごもつともなように伺う点もございますが、しかしながら大きく観察してみまして、大体もはや災害が出て久しいことに相なります。だんだんに地方からの報告もそろつているはずと存じますし、ことには、この委員会で修正をいたさぬ前に、政令原案みたいなものを各省で大体つくつておられた等の事情からかんがみまして、やればそう長くかからずにできるのではないか。問題は、結局それによつて引起される予算の総わくというものに制約されるので、その点で多少ひまがいるのではなかろうかと存ずるわけでありますが、いずれにいたしましても、この法案に付属する政令というものが、法案趣旨に基いて発布されますのには、そう久しい期間でなくてじきなければならないということが、大体委員一般意向でございます。これは無理をお願いする意味ではないのですけれども、大体常識的に考えて、いろいろ委員会でも意見がございました。月末までぐらいやらなければできぬのではなかろうかというふうな——先ほどから主計局長が、どうしても月未までかかりますよというようなことを言つておつたが、そういう意見と、また、なに、やればやれぬことはないから、一週間ぐらいでできるのじやないかという意見と、二つあつたわけで、委員会では、誠意を傾けてこれをやつていただかなければいかぬ、こういう考え方が非常に強いのでありますが、この点は、ひとつ政府においても、ほんとうにできるだけ早い時間にやつていただかぬといかぬ。委員会の大多数の意向としては、二十一日までには少くとも答えを出していただきたい、こういう意見を持つておるわけでありますから、やはり当局とお打合せの上でなければ、どうしても確たる返答はできないということにおちつくのでございましようが、おおよその見込みとしてあるいは月一ばいとか、あるいはここ十日間というような副総理のお考え方を承りたいと存じます。どうかその点をひとつ伺いたい。
  8. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 今お言葉の中にもありましたが、政府といたしましても、誠意を傾けて、できるだけ早くやろうと思います。しかし十日ぐらいというのは困難ではないかと思います。と申しますのは、やはり一応将来の予算の見通しをつける必要がありはしないかと思いますので、一応のめどは、月末ということでやつてみたら大体行けるのではないかというような——これは腰だめでございますけれども、それ以上にはつきりしたことは、私事務の方になれておりませんので申し上げられません。
  9. 綱島正興

    綱島委員 大体常識的に考えて月末までに答えを出していただくということになれば(「承認しないぞ」と呼ぶ者あり)承認しがたい委員の方も相当ありましようけれども、これはやむを得ぬことと思います。これはむやみにできないところを言つてもしようかない。  そこで、さらに伺つておきたいこと、申し入れておきたいことがございますのは、こういう事情がございます。一応政令がきまりますと、ただいま政府が持つておられる六十五億の災害予備金も大体概算払いができるだろうが、政令がきまらなければ、つなぎ融資でなければできない。そうすると、やはり災害地は一銭八厘の日歩を払わなければならぬ、こういう事情がございます。政府の持つておられる金をひとつ無利息で出していただかなければ府県、町村も非常に困る。こういう点も非常に影響がありますので、早くしていただく、民心安定の上からいつても、これが非常に重要なことです。それで、もし政令決定が遅延いたすといたしますれば、少くとも、早急につなぎ資金を五十億ぐらい、さらに追加を願いたい。政令が早くできれば、相なるべくは、これは適法な概算払いでやつていただければ、なおけつこうであります。これに対する御意見をひとつ伺いたい。
  10. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 昨日申し上げた以上に具体的に申し上げかねるのでありますが、政令が遅れれば遅れるだけ、つなぎ融資が必要であることはよくわかりますので、できるだけのことをいたしたいつもりであります。
  11. 綱島正興

    綱島委員 数額も、五十億円まではぜひ出していただかないとどうにもならぬという実情が、大体委員会の方で諸所方々要望従つて集積された数額でありますが、もちろん災害対策総合本部にもそのことは明らかになつていると存じております。もつとも、対策本部では非常に注意深くやつていただいていることも実は存じておりますけれども、この点は、特にひとに御了承賜わりたいと存じているわけであります。そこで数額を幾ら、期日を何日という御返答がおできにならぬということになれば、これは非常に困るのでありまして、この点だけは、大体政令が遅れればつなぎで急いで出すとか、政令が早まれば概算払いで出せるというような——政令も必ずしも全地域一ぺんでなくても、早い災害地から早く出していただいて、概算払いも早い地域から出していただいてもよかろうと思います。そこで、そういう点もひとつ御考慮くださいまして、実情に合うようにひとつ御努力を願いたいと存ずるわけであります。  なお、さらに一言、これは申入れを出しておきたいと存ずるのであります。由来災害復旧につきまして、旧形をそのまま形骸を復旧するという考え方が技術員に非常に強いのであります。わずかばかりでも、ここに排水路がなかつたために大きく災害が起きた、ここへ排水路を一つつくれば災害が食いとめられた、もしくは被害が非常に少かつたと考えられるところに、あらためて排水路をつくれば、改良事業であるから災害復旧予算外であるというようなことを言つて地方ではみな困つている。これは、特に総合本部長の御資格としてお願いいたしますが、実体の効用を復旧するものであつて、形骸を復旧するものではないという効用復旧の線に深く御留意をお願いしたい、こういう考えをいたしております。特に、それらの点すべてを総合いたしまして、ほんとうに国民経済を確立する上に必要な線であること、民生安定に対して必要であること、いろいろ諸方の面から考えまして、このたびの措置は一刻も早きを要するのでありますから、この点総合対策本部では、そのおつもりでやつておいでになるようでありますが、どうも、ややもすれば末端の役所においては——末端というよりも各本省においては、もつとも予算がきまらぬからでもございましようが、ややもすれば日延べの形が多い。黙つておれば泣寝入りしはせぬかという気味に見える点がありまして、これは民心を失い、国土を失い、非常によろしくないから、この点は特に御留意をお願いしたい、こういうことを深くお願いする次第であります。
  12. 村上勇

    村上委員長 ただいまの綱島委員の御質疑に関連いたしまして、私から緒方国務大臣にお伺いしたいのでありますが、先ほどの懇談会におきまして、当委員会においては、来る二十一日に委員会を再開して、この政令地域は対する諸問題を取上げて検討したいという申合せをいたしたのであります。従いまして、政府におきましてもいろいろな御事情等もありましようが、すでに災害後数箇月を経ております。しかも各省査定もほとんど終つたかのように聞いております。従つて二十一日、この委員会の開会日までに、ひとつかような政令案決定してもらいたいという全会一致の要望であつたのであります。政府は先ほどの御答弁によりますと、月末でなければ決定しかねるという御答弁でありましたが、来る二十一日までに何とか政令案決定を見ることができないであろうか、この点をひとつもう一度私からお伺いいたし
  13. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 私が大蔵大臣といたしまして事務に通じませんのと、要請合いになることをおそれまして、とかく内輪に内輪に申しておるのでありますが、ただいま委員長からのお示しもありましたし、できるだけ委員会の御希望に沿うようにいたします。しかしこれは初めに申しましたように、ここで確約をいたすことはできませんが、以上の政府の意のあるところを御了承願いたいと思います。
  14. 村上勇

    村上委員長 確約ができないという御答弁でありますが、当委員会においての懇談会における全会一致の意思決定でありますので、いずれ後ほど各委員懇談会を開きまして、この委員会要望を再び政府に申し入れたいと思つております。
  15. 田渕光一

    ○田渕委員 ちよつと関連して……。なお政令案ができましたならば、一応各省から当委員会に提示を願いまして、そこでお互いさらに落ちがないか、その他十分なる慎重な考えをいたしまして決定願いたい、こう思うのであります。この点について特に副総理に申し上げておきたい。これは政令をつくつていただきましても、できてしまつたというので各省できめられてしまいますと、当委員会の意思と矛盾する点がありはせぬかと思うのであります。これが一点と、それから委員長は、先ほど二十一日とおつしやつておられましたが、暦をお調べになりましたか。たぶん二十一日はお彼岸のお中日になりはせぬか、旗日でありますこと、一日や二日のことはどうなりましても、委員会が開けるくらいまでやつていただければけつこうだと思います。
  16. 村上勇

    村上委員長 次に建設関係対策小委員長岡部得三君。
  17. 岡部得三

    ○岡部得三君 本小委員会におきましては、第十六回国会において成立しました水害地対策法律のうちにおきまして建設、文部、運輸、地方行政関係の七件について立法趣旨及び本委員会におきまして決議したところの適用地域指定基準従つて政令をもつて定める事項及び法の運用等に関して政府当局より説明を聴取しまして、きわめて熱心に討議を重ねたのでありますが、ここにその経過及び結果の概要を御報告いたします。  まず、建設関係でありますが、   昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法  本法に基きまするところの地域指定について、建設省より案文が出されたのであります。その案文を申し上げますると、第一に、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法の特例適用する地域、それから道路の修繕に特別補助をなす地域、それから地すべり等の防止施設に対し特別補助をなす地域、土木機械貸付特例適用する地域、これにつきまして適用地域指定する案といたしまして、負担法第七条の規定により決定された地方公共団体災害復旧事業費の額(河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、道路、港湾、漁港災害復旧事業費の総額とする。)こういうふうにきめております。それから(2)の分につきましては、六月及び七月の大水害による道路の修繕に要する費用の額、それから(3)の点につきましては、六月及び七月の大水害により著しい災害を生ずるおそれのある地すべり等を防止するために必要な事業費の額、(4)六月及び七月の大水害によつて堆積した土砂等を排除するために必要な事業費の額、以上の額を地方公共団体ごとに総合計した額が、当該地方公共団体の昭和二十八年度の標準税収入に相当する額を越える区域、こうきめておるのでございます。そうしますと、本委員会できめたものと大して差がないので、一応了承はいたしておるのでございます。  第二の水防法の特例適用する地域につきましては、第一の規定によつて定められた市町村の区域内であつて、水防活動のために要した費用のうち、資材に関する費用が五万円を越える水防管理団体の区域となつておるのであります。この点につきまして全委員より異論が出まして、費用が五万円を越えるということになりますると、適用されない地域がございますので、これはとつてもらう、この点については建設省の当局も了解しておるのであります。  また第三の点でありまするが、これは公営住宅法の特例適用する地域、それから住宅金融公庫法の特例適用する地域、これにつきましては、建設省では六月及び七月の大水害の発生した地域であつて、当該災害によつて滅失した住宅の戸数が、都道府県においては三百戸以上、こうなつておるのであります。ところが三百戸以上になつたのでは困るというので、この点については標準税収入を上まわる都道府県適用すること、また市町村においても同様にすべきであるということが言われております。申し遅れましたが、この市町村の区域は、区域内の住宅戸数の二割以上がこの災害を受けて滅失した地域となつておりますが、これについても、同様に標準税収入を上まわる府県の滅失した住宅については、当然この法を適用すべきだ、見てやるべきだ、こういうふうに皆さんから強く要望されております。  なお本法の施行につきましては、さきに本法立案にあたつて、本特別委員会が決上いたしましたところの決議、すなわち、   第一、地方公共団体の長が法第五条に規定する地すべり等により緊急避難をする必要があると認めた地域に居住する住民に対しては、その住居移築又は、新築に要する費用について、当該地方公共団体は、その全額を貸し付けることができる。この場合における貸付金の全額について地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。  第二、法第七条に規定する第二種公営住宅の建設に要する費用についての事業主体の負担分に関しては地方財政法第五条第一項第四号の規定により全額起債を認めること。  第三、本法により建設する公営住宅及び住宅金融公庫から資金貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増額すること。  第四、昭和二十八年六月及び七月の大水害により著しく損傷した住宅の補修に必要な費用について、当該地方公共団体は、その費用の金額を貸し付けることができる。この場合における貸付金の全額について地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること。なお、当該貸付金及び起債の償還については、三年間据置きとする。  以上の決議を政府をして実行せしむべきものと再確認するとともに、さらに一箇所の工事の費用都道府県都道府県が加入している地方公共団体組合及び港務局であつて都道府県がその組織に加わつているものを含む。)にかかわるものにあつては、十五万円に満たないものであつて、十万円以上のものに、市町村市町村組合及び市町村のみで組織している港務局を含む。)にかかわるものにあつては、十万円に満たないものであつて、五万円以上のものについては、それぞれ公共土木施設災害復旧事業国庫負担法及び昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法第二条の規定によつて支出される額に相当する額を平衡交付金の特別額として交付すること、この点でございますが、この点につきましては御承知のように、この地方災害の、いわゆる都道府県については十五万円以下十万円以上についてこの法を適用しろということを言つており、また市町村につきましては、十万円を五万円に下げて適用せよということを委員会できめておつたのでありますが、この査定等について非常に煩雑になるので、全災害額の五%くらいであるから、この点については平衡交付金の特別の額としてこれを支給するということによつて、この箇条を抹消したのであります。でありますから、どうしてもこの点をもう一ぺん再確認したい。それにつきまして自治庁大蔵省とも交渉したのでありますが、何とかこれを生かすということは、自治庁大蔵省も言つておるのであります。その点について自治庁といたしましては、これは全額起債とし、そうしてその元利の償還については適当な措置を講ずる、この点についてどういうふうに適当な措置を講ずるかということは、大蔵省ともう少し十分に折衝さしてほしいと言われておるのでありますが、私どもとしては、これが全額起債であつても、その元利の償還に責任を持つてくれるということの確認ができれば、それでよいということを委員会では申し合せておるのであります。しかし私ども小委員会といたしましては、ぜひともこれを実行に移していただくことを要望する次第であります。  次に、堆積土砂の件でありますが、昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害地域内のたい積土砂排除に関する特別措置法に基く地域指定等の建設省の案文は、第一に、昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害地域内のたい積土砂排除に関する特別措置法適用する地域、それは昭和二十八年六月及び七月の大水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法に基いて指定された都道府県の区域、それから災害地域内に堆積した土砂等の量でございますが、これを市町村の区域内における第三に規定する公共施設上に堆積した土砂等の総量が十万立方メートル程度のもの、かように考えているのであります。また第三の公共用または公用の施設範囲につきましては、一に河川、道路、二に上下水道、水利施設、三に官公署、四に公園緑地、広場、五に国立または公立学校、六に公営市場、国立または公立病院、その他国営または公営施設というのでありますが、本小安員会におきましては、特にこの点につきましてきわめて熱心に協議を重ねました結果、本法に基く堆積土砂の程度については、次の通り結論を得た次第であります。  すなわち昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害地域内のたい積土砂排除に関する特別措置法第二条に規定する政令で定める程度に達する異常に多量という量については、左の各号に定める基準によつて定めること。  一、同法第三条第一項及び第二項に定める施設の区域内に堆積した土砂等の量については二千立方メートル以上。  二、同法第九条第一項中、港湾の区域内に堆積した土砂等の量については五万立方メートル以上。以上であります。  なお住宅関係につきましては、  法第八条に規定する第二種公営住宅の建設に要する費用についての事業主体の負担分に関しては、地方財政法第五条第一項第四号の規定により、全額起債を認めること。  二、本俸により建設する公営住宅及び住宅金融公庫から資金貸付を受けて建設する住宅の標準建設費を現行より三割増額すること。  三、昭和二十八年六月及び七月の大水害により著しく損傷した住宅の補修に必要な費用について、当該地方公共団体は、その費用の全額を貸し付けることができる。この場合における貸付金の全額について、地方財政法第五条第一項第二号に規定する起債を認めること、  なお当該貸付金及び起債の償還については三年間すえ置きとする、  以上の措置を講ずる必要があるということを確認した次第であります。  次に文部省関係についででありますが、この件については三件あるのであります。  まず、昭和二十八年六月及び七月の大水害による公立教育施設災害復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法につきましては、その地域指定は文部省としては決定はしていないのでありますが、北海道外二十四県にわたつて災害県をすべて指定する予定だと申しておるのであります。被害校数は二千六百八十五校、国庫負担及び補助総額は三十三億四千余万円とのことであります。当局政令案によりますと、法第五条による事務費の工事費に対する割合は百分の一とし、法第六条による設備費の昇定基準については、公立学校施設の設備費の額は、当該学校の建物の破損の程度ごとに、別表の——これはあとから報告申し上げますが、別表の一、学校の種類別の児童等一人当りの基準額に災害時における当該学校の児童数を乗じ、さらに当該学校の児童数に応ずる別表の二の補正係数及び当該災害の程度ごとの被害建物面積の当該学校に対する割合、並びに当該学校の建物の破損の程度に応ずる別表三の逓減率を乗じて算定するものとし、公立の社会教育施設の設備費の額は、建物の破損の程度ごとに別表四の、施設の種類別の建物一坪当りの基準額に、当該被害の程度ごとの被災建物の面積を乘じ、さらに当該施設の建物の破損の程度に応ずる別表三の逓減率を乗じて算定するものとしておるという報告でありました。なお図書館の建物以外の場所において、図書及び視聴覚教育器材が災害をこうむつた場合においては、図書にあつては被災図書数に二百五十円を乗じて算定し、視聴覚教育器材にあつては文部大臣が大蔵大臣と協議して算定するものとしております。  都道府県の教育委員会事務費については、公立学校施設の場合は四分の三を負担し、公立の社会教育施設の場合は三分の二を補助することとしておるのであります。前に申し述べました別表一ないし四は次の通りでありまするが、これは読みましてもちよつとわかりませんと思いますので、記録に残しておくことにいたしまして省略さしていただきます。     —————————————  以上が本法に基く政令案の要点でありまするが、本小委員会におきましては、本法の施行に関して次の通り措置すべきものと結論を得た次第であります。すなわち  (イ) 木材等建築資材の高騰の実情にかんがみて、公立学校一般校舎の一坪当りの建築単価は、木造にあつては三万二千円、鉄筋コンクリートづくりにあつては七万円を下らないように予算措置を講ずること  (ロ) 公立学校施設である建物であつて、鉄筋コンクリートづくりまたは鉄骨づくりでなかつたものを鉄筋コンクリートづくりまたは鉄骨つくりのものに、鉄骨づくりのものを鉄筋コンクリートづくりのものにそれぞれ改良して、当該建物の従前の効用を復旧しようとする場合は、非防火地区についても大幅に実施できるよう予算措置を講ずること等であります。  二、昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立学校施設災害復旧に関する特別措置法本法政令案によりますと、災害地域の指定は山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県及び和歌山県とし、学校数においては百十校、これに要します経費は一億六千九百万円余であつて、その他の災害県においては本法の該当事案がないとの説明であります。  本法第四条第二項による事務費の工事費に対する割合は百分の一となつており、法第五条による設備費の算定基準については、設備費の額は別表一の学校の種類別の建物一坪当りの基準額に当該学校の建物の面積を乗じて、さらに別表二の当該学校の建物の破損の程度に応ずる逓減率を乗じて算定するものとしているのであります。  法第九条による都道府県知事の事務については、  一、国の補助金の額の算定に関すること、  二、国の補助金の交付または返還に関すること、  三、災害復旧事業の成功認定に関すること、  四、災害報告書等の整理、申請書の審査等であつて、その事務費はその年度中に施行する全国の学校法人の災害復旧事業の工事費の総額の百分の二に相当する額を基礎として、省令で定める基準従つて文部大臣が決定した額とすることとしている。  以上が本法政令案の要点でありますが、前述の別表は次の通りであります。この別表も省略させていただきます。  三、昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた学校給食用の小麦粉等の損失補償に関する特別措置法  本法政令案によれば、まず災害地域の指定については、和歌山県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県としている。  次に損失補償基準につきましては、次に記載する小麦粉等であつて、当該各県の学校給食用の物資をあつせんする団体が、政府または財団法人日本学校給食会から買い受けたもの、及び学校の設置者が当該団体から買い受けたものとして、その補償の額は次に記載した当該各号に定める額としている。すなわち本法適用を受ける小麦粉等は  一、流失した小麦粉等であつて、その数量を確認できるもの、それからその補償額は、当該小麦粉等を買い入れるのに要した経費の額に相当する額、  また二に、埋没したため、学校給食の用に供することができなくなつたところの小麦粉等であつて、その数量を確認できるもの、この点につきましてはその補償額は当該小麦粉を買い入れるのに要した経費の額に相当する額、  三に、腐敗し、変質し、または凝固したために、学校給食の用に供することができなくなつたもの等でありますが、これについては、当該小麦粉等を買い入れるのに要した額から、補償のときにおけるその地方の当該小麦粉等の時価に相当する額(補償のときまでにすでに当該小麦粉等を処分したときは、その処分によつて得た対価の額)を差引いた額ということになつております。  以上であります。  次に、運輸関係でありますが、これは一件であります。  一、昭和二十八年六月及び七月における大水害による地方鉄道等の災害復旧のための特別措置に関する法律  右に基く政令案によりますと、法第一条の地域指定は、福岡県、大分県、長崎県、佐賀県、熊本県、山口県、島根県、福井県、和歌山県、奈良県、滋賀県、岐阜県、静岡県及び北海道としている。鉄道の特殊性にかんがみて、その地域指定につきましては、府県を単位とすることが必要である。従つて地域指定を定める政令は、本法のみについては別個に定める必要があるであろうということを委員会で申しておるのであります。当局説明によりますと、今次の水害による地方鉄道の被害総額は約十億円でありまして、会社数は二十九社でありますが、この法適用基準は、当該会村の経営状況と被害額を考慮いたしまして、益金一割程度以下の会社であつて被害額が年間収入の二割五分程度以上のものとし、法を適用します会社数は十二社で、これによります補助額に約一億六千万円であります。自動車運送事業につきましては、西日本において十一社、近畿におきまして九社が該当するとのことであります。  なお、補助金の額の計算その他補助金の交付につきましては、運輸省令で定めることになつているが、補助金については、当該会社の申請によつて当局において査定することとしている。  以上が政令案の要旨でありまするが、本小委員会においては、本法の施行に関しましては、政府は、被害総額の三分の一程度を融資あつせんのために、その地方関係金融機関に預託することが必要であるということを当委員会で認めた次第であります。  この点につきましては、御承知のように、その地方の住民が非常に強く要望し、また生活に直接の関係を持つていますので、ぜひとも地方私鉄の復旧を促進する意味をもちまして、かように確認した次第であります。  次に、地方行政関係でありますが、これは昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律本法についての自治庁当局説明によりますと、現在大蔵当局との折衝の段階にありまして、政令案は提示されなかつた次第であります。本委員会においては、右につき協議の結果、法律趣旨にかんがみまして、必要経費の起債は全額これを認めるとともに、地方債の元利補給金の交付について、忠実に法律を実行すべきことを強調しておく次第であります。  以上が建設関係対策小委員会におきますところの審査の概要でありますが、本特別委員会におきまして、小委員会において各般の法施行上の措置をするを必要と認めた事項を御採択の上、政府をして必ず実行あらしめるよう御処置あらんことを強く希望する次第であります。  以上をもちまして、私の報告を終ります。(拍手)
  18. 村上勇

    村上委員長 これにて各小委員会報告は終りました。  この際お諮りいたします。各小委員長報告は、いずれもこれを了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。  この際井手委員より発言を求められておりますから、これを許します。井手以誠君
  20. 井手以誠

    井手委員 政令案基準については、ただいま委員会決定を見ましたので、この際動議を提出いたしたいと思います。すなわち、政令は、特別立法趣旨にかんがみ、また今日まで副総理との質疑応答のいきさつにかんがみまして、政府委員会決定した基準に基くとともに、小委員会報告趣旨に従い、各法律政令の成案を、来る九月二十一日の本委員会再開までに本委員会に提出すること、また臨時国会遅延によるつなぎ資金は、とりあえず五十億円の支出を必要とすることを、本委員会で決議として御決定を願い、委員長はこの決定政府に申し入れ、あくまでその実現を期するようとりはからいを願いたいと存じます。(拍手)
  21. 村上勇

    村上委員長 ただいまの井手君の動議についてお諮りいたします。本動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  ただいまの動議は、委員長より、文書をもつて政府に申し入れることといたします。  なおこの際、本日の委員会会議録につきましては、各小委員長報告等、重要な議事があり、各委員より特にすみやかに印刷配付されたいとの要望がありますので、特別の措置を講じ、可及的すみやかにお手元に届くよう手配をいたしますから、御承知を願います。(拍手)本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十九分散会