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1953-08-07 第16回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月七日(金曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 綱島 正興君 理事 平井 義一君    理事 赤澤 正道君 理事 滝井 義高君    理事 稲富 稜人君       今村 忠助君    江藤 夏雄君       大久保武雄君    熊谷 憲一君       田渕 光一君    林  信雄君       坊  秀男君    松野 頼三君       三池  信君    岡部 得三君       舘林三喜男君    本名  武君       村瀬 宣親君    吉田  安君       井手 以誠君    田中 稔男君       辻原 弘市君    芳賀  貢君       原   茂君    八木 一男君       池田 禎治君    伊瀬幸太郎君       木下  郁君    小平  忠君       辻  文雄君    松前 重義君       世耕 弘一君    中村 英男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大野 伴睦君  出席政府委員         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         厚生事務官         (児童局長)  太宰 博邦君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         農林事務官         (官房長)   渡部 伍良君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         運輸事務官         (官房長)   壺井 玄剛君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  山内 公猷君         建設事務官         (官房長)   石破 二朗君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外出席者         参議院水害地緊         急対策特委員         長       矢嶋 三義君         参議院議員   三浦 辰雄君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      今村  譲君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      鶴田  寛君         厚生事務官         (児童局企画課         長)      中村 光三君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  菅野 周光君         運輸事務官         (大臣官房企画         課長)     梶本 保邦君         運 輸 技 官        (中央気象台長) 和達 清夫君         労働事務官         (職業安定局失         業対策課長)  渋谷 直歳君         労働事務官         (職業安定局失         業保険課長)  三治 重信君     ————————————— 八月七日  委員増田甲子七君辞任につき、その補欠として  三池信君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 八月七日  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害  を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合  の給付特例等に関する法律案参議院提出、  参法第二〇号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立  学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  参議院提出参法第一六号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害被害地域  において行う母子福祉資金貸付に関する特別  措置法案参議院提出参法第一八号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害による社会  福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法  案(参議院提出、第一七号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害における病  院及び診療所災害復旧に関する特別措置法  案(参議院提出、第一九号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害  を受けた地方公共団体起債特例に関する法  律案参議院提出、第一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害  を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合  の給付特例等に関する法律案参議院提出、  参法第二〇号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立  学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  参議院提出参法第一六号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害被害地域  において行う母子福祉資金貸付に関する特別  措置法案参議院提出参法第一八号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害による社会  福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法  案(参議院提出、第一七号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害における病  院及び診療所災害復旧に関する特別措置法  案(参議院提出、第一九号)  昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害  を受けた地方公共団体起債特例に関する法  律案参議院提出、第一五号)  水害地対策及び水害地対策に関する法律施行に  要する費用の件     —————————————
  2. 村上勇

    村上委員長 これより会議を開きます。  水害地対策について議事を進めます。この際大野国務大臣より政府水害地対策について御説明を願うことといたします。
  3. 大野伴睦

    大野国務大臣 私は、この前中間報告を申し上げましたが、引続いて先月二十一、二十二日と二日間和歌山県の水害の実際を見て参りました。九州災害地を視察した直後でありましたから、まあ九州ほどではなかろうくらいに私はたかをくくつて行つたところが、何ぞはからん、死傷者等まだつまびらかでありませんが、少くとも何千人という死傷者を出しているという話を聞いて、驚いて現地等を見てまわりました。わずか二日間でありまするから、すみずみまで見ることはできませんでしたが、有田川の上流あるいは御坊町等を一番よく見て参りました。御坊町の状況はいわゆる泥害で、それは何というても人口二万足らずの町であり、面積も狭いのでありまするから、熊本泥害と比較にはなりませんが、しかしその惨状は目も当てられぬものがあつたのであります。いろいろ資料もありまするが、まだ整理ができておりません。また有田川の流域も、大体山津波等惨状目をおおうような状況でありました。何分九州の方の跡始末を急いだので、和歌山県は一日半ほど視察したのでありますが、その後いろいろ各省からも係官が出張されたのでありまするから、詳細なことはそれらの人からお聞取りを願いたいと思います。  さて、それから私は二十五日に九州へ参りまして、今回は佐賀県、大分県、福岡県は申すに及ばず、熊本県も、朝日飛行機に便乗して、阿蘇の惨禍を飛行機から低空飛行でよく見て参つたのです。ここに専門家米田さんがおられるが、あの白川という川に臨んで阿蘇まで参りましたときに、あの雨量の多い、しかもあの流域の広い阿蘇を控えて、あの小さな白川一つでどうして今まで水をたたえて来たかということがふしぎにたえなかつた。これは大体が無理じやないかということを、私はしろうとながら痛感いたしておつた。ほとんど護岸工事も何もやつていない、手がついていない原始的の川であると私は思う。そして原始の、流れるがままにまかして、あの小さな川で今まで水害が起らなかつたことがふしぎだというくらいに感じた。それから福岡に帰りまして、建設省地方局長に尋ねたところが、ごもつともだ、今白川根本的改修の案を立てている、莫大な金がいるが、これはどうしてもなさなければならぬ仕事であろうということで、どれくらいかかるかと聞いたところが、白川改修を根本的にやるには今のところで八十億かかるという話でありました。しかし、これはどれだけかかつて国家としてはなさねばならぬことじやなかろうか、五箇年計画であろうが、十箇年計画であろうが、これはやるべきものである、そう考えて来ると、今度は筑後川を根本的に改修するということになり、これまた莫大な金を要するであろうというようなことも直感いたして参つたのであります。しかし、災害地の各地を見まして、農民が自分耕地を愛する魂というか闘魂というか、ついこの間見たばかりの川と化しておつたその自分耕地をどうやつて回復したのか、たとい一反歩の面積でも耕して植付をしている。それを見てまつたく涙ぐましく感じたのでありますが、至るところでそういう光景にぶつかつて来た。佐賀県におきまして、私はこの前たずねた嘉瀬川の破壊したところを今度も再びたずねてみましたところが、一ぺんでき上つて、また水で流されて、ようやく河岸締切りができて、消防団青年団等二千数百名が孜々営々として汗にまみれて努力を続けていた。そこで私は、マイクを通じて、感謝と激励の言葉を送つて参りましたが、いずれにしても復興に非常な熱意を持つていることをうれしく感じたのです。そして議員立法の一日も早く成立することを鶴首して相待つておりました。  幸いあの議員立法は衆議院を通過いたしたので、当局あるいは町村長等もまつたく蘇生の感を持つて喜んでおりました。承ればきよう参議院を通過するやに聞いたのですが、この法律ができ上つたならば、ほんとう災害民は救われるであろうということを私は確信いたしております。現在この立法については、皆さんも御苦労あそばされたことをはるかにお察しいたしておりました。これができて早く予算化することを、私は国家のために念願してやまないものであります。会期もきよう限りでありますから、中間報告を、前申しましたことと兼ねて、今回の水害のその後の復興状況等の御報告は印刷をもつて手元に差出したい、かように考えております。いずれにしてもこれはまつたくたいへんな災いでありましたが、災いを転じて福と相なしたい、かように考えておりますので、この上ながら皆さんのひとしおなる御努力をお願いいたしまして、私の報告を終ります。
  4. 村上勇

    村上委員長 大野国務大臣の御説明は終了いたしました。質疑の通告がありますから順次これを許します。辻原弘市君。
  5. 辻原弘市

    辻原委員 大野大臣には連日にわたつて現地を視察され、かつその後の対策につきまして種々御協議くだされておりますことを、災害県出身議員といたしまして厚く感謝をいたしております。  ただいま大臣のお言葉の中にも、こうした異常な災害を、ただ不幸ということでなしに、これを転じて福となす、こういうお話がありましたが、私はこうした災害を福となすには、どうしても、ただいままで当委員会において立法をして参りました、各種災害対策関係法律を完全に実施せしめるための予算裏づけ早期に行うことが最も緊要な手段だ、かように考えておる次第であります。私たち相当長期にわたつて現地にあつて、この惨状について持ちました感懐と同じような気持を、ただいま当委員会報告せられましたが、ただ見た感懐をお述べになるということではどうすることもできないのでありまして、これをほんとう裏づけしていただきますためには、なお今後災害関係担当大臣として、特段の御努力をいただかなければならないと思います。その手段といたしまして、先般現地におきましても大臣が発表されましたように、これは私たちも同じ見解を持つておるのでありますが、早期臨時国会を開いて、これら所要の法案に対する裏づけをなす予算を策定する、このことが目下最も緊要な措置である、かように考えたのでありますが、その点に対して、その後、予算を組んだ以後あるいは臨時国会早期に持てないのではないか、あるいは予算通過後、こうした補正予算措置等については、相当期間を置く必要があるのではないかというようないろいろな風説が飛んでおります。それに対して大臣は、閣議等においてどのように善処されようとしておるのか、この点につきまして一応承つておきたい、かように考えます。
  6. 大野伴睦

    大野国務大臣 私は一昨晩帰つて来たのでありますが、現地でも、私は、この災害復旧は、この議員立法ができれば当然ですが、その前でも、この実態を把握した上においては、早く臨時国会を開いて、これが救済のための恒久的対策予算化しなければならぬということを発表いたしました。今でもその信念かわりはありません。幸い今日この議員立法が成立いたしますれば、政府はこれに向つて予算裏づけをしなければならぬ義務と責任がここに生じて来るものと私は考えますから、当然臨時国会を開かなければならぬことに相なるであろうと確信いたします。しかし、早急に国会を開くといつても、これを予算化するにはかすに相当時日をもつてしなければならぬ。その相当時日はどれくらいかといえば、私は今後少くとも四、五十日は要するのではなかろうか、かように考えておりまして、十月の半ばごろまでにはどうしても臨時国会を召集しなければならぬということに相なることを確信いたしておりまするが、なお私も、担当大臣として極力これを主張して予算化するということに、かたい決意を持つております。必ずそうやらなければならぬ、この信念かわりはありません。
  7. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま、これらの法律裏づけとして完全な予算を編成すると現地で発表した通り臨時国会早期に開くという信念は現在においてもかわりはない、こういうお話を承つたのでありますが、その早期にというのが、大臣のただいまのお言葉では、十月の中旬までというようなことでありました。もちろんできるだけ早く開きたいというお気持はわかるのでありますが、御承知のように九州水害が起りまして以来、引続き紀州水害が突発し、それと相前後して長野地方の小水害、あるいはさらに最近におきましては北海道における水害、こういうふうに陸続として大小とりまぜての水害が頻発しておるような現況でありまして、これから十月中旬までの期間においては、九州、四国、近畿南部におきましては、例年のごとくいわゆる二百十日、二百二十日という台風の襲来時期にもなつております。こういう点を考え合せますと、現在地方におきましては、それぞれ一応応急工事その他でもつて、ある程度の臨時的な措置はいたしておりますが、これらの応急措置をできる限りすみやかに本格的なものにとりかえて行かなければ、こうした襲つて来るであろうと予想されている災害に耐え得る力は現在ないのであります。従つて、そのためにも、どうしてもこれらの予算裏づけがどの程度のものになるのであるか、さらには進んでこの予算の確定というものを早期に見て、地方におきましてはそれをめどとして本工事にかかるというような段取りをつけなければ再びより以上の災害に見舞われるという危険もなしとしないのであります。従つて私は、十月中旬に臨時国会を開くことは、そうした意味においても時期を失するということを深く考える次第でありまして、政府において何とかこれを繰上げ、十月中旬といわず九月一ぱいにもこの臨時国会開会する腹をきめて、これらの予算については大よそのめどを立てて、ある程度の構想というものを天下に明らかにして、地方公共事業その他の関係において遅疑逡巡しなくても済むような態勢をできる限りしくことが、ただいまの災害に対してきわめて重要な問題ではないか、かように考える次第でございます。大臣特段お話を承りましたけれども、なお一段、その開会の時期等については、できる限りこれを繰上げて九月中にも開くように、特に災害対策大臣としておとりはからい願えるように強く希望をいたしておきます。この九月開会ということにつきましては、以前大臣もさようなことを仰せられたこともあつたかと私記憶しておりますので、この点政府としてその公算ありやいなやにつきまして、ひとつ率直なところをお聞きいたしたいと思います。
  8. 大野伴睦

    大野国務大臣 これはまだ私だけの考えで、閣議に諮つたこともなければ、臨時国会を開くということもまだ閣議で決定いたしたわけでもなく、閣僚懇談会にもまだその話は出ておらぬのですが、この法律ができ上つた以上は、当然そこへ行かなければならぬのが政治常識である、こう私は考えるので、ぜひ早急に臨時国会を開いてこれが恒久対策をはからなければならぬのであるということは、もつとも近い機会、次の閣議あるいはその次の閣議くらいには、あらゆる資料を整えて、私から提案いたしたい、かように考えておるのであります。私が事務当局等から聞くところによると、たとえば現在建設省では、現地において災害査定をいたしておるそうであります。そういうことをにらみ合せると、九月に開けということまで私が提唱することが、はたして妥当かどうかということについて、今私自身が心構えを研究しておる、あるいは九月に開ける、大丈夫だという確信をまだ持たないので、きようの閣議でも実は沈黙を守つてつたのですが、大体のめどが、事務当局から承ると、それぐらいの時間がありさえすれば予算は組むこともできる、建設省査定も終ることができる、そういうような参考資料を持つた上において私は自分から提議したい、そのように考えておるわけであります。だからまだ九月とか、十月とか、臨時国会を開くということまで閣議の議題には一ぺんもなつておらぬのであります。私は、これはどうしてもそうあらねばならぬ、そうさせなければならぬ、こう決心をしておるということを申し上げておきます。大体私の任務は応急対策なんで、恒久対策の方は私の所管じやないことも、またここにつけ加えて申し上げておきます。
  9. 辻原弘市

    辻原委員 応急対策であつて恒久対策所管ではないとおつしやいますが、ともかく災害につきましては、応急恒久との区別は非常に判別がつけがたいのであります。さような、これは率直に申しますが、冷淡なことを申されて、(大野国務大臣「冷淡じやない」と呼ぶ)ともかく最後まで責任を持つてやるということにお考えを願いたいと思います。そこで私は、この際、応急恒久をとりまぜまして、特に大臣に対して将来にわたつて留意していただきたい点を申し上げたいと思うのでありますが、それは、本委員会におきまして数々実行いたしましたこれら各種法案、御承知通りこれこそ応急でありまして、いろいろ専門家の目でもつてながめましたならば、その間の解釈において、あるいは実際は入れなければならないものを脱漏したものもないとは断定できないような状況であると私は考えます。しかしながら、私は、これは災害に対する立法でございますので、そういう点において、ただ冷厳に、厳密にこれを解釈して、できる限り財政的な見地からその金を過小にしほるというようなことのないように、災害実情をそれぞれ関係各省においても、あるいは各大臣においてもつぶさに視察されて来ておりますので、現地要望、また現地実情ということはよくおわかりになつての上のことでありまするから、そうした点において法解釈等をなさる場合、またこれに対して予算裏づけされる場合においては、法解釈において若干むずかしいからというようなことで、それに対して緊急な措置をしなければならぬ実情にありながら、それを無視して行くというようなことが決してないように特段の御配慮を願いたいのと、同時に、法律はでき、そうして臨時国会が開催されるというところまでは行きましても、実際これを執行される場合において、またそれぞれ最終的に、いわゆる政府予算を確定する場合においては、何といつても従来の例から見ますると各省々々の、率直に言つてセクシヨナリズムと申しまするか、予算のぶんどり合いと申しまするか、そういうことにおいて現地要望するような予算組み立て方をしないということも間々起つて参りますので、そういう点については、幸い災害を総括的に担当される大臣の立場におありになるのですから、ひとつこれを総括的にながめられて、決して法がつくられたその点について手落ちのないように、そういうことを十分御配慮願いたいことを最後に申し上げまして、私の質問を終ります。
  10. 村上勇

    村上委員長 この際暫時休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  11. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  吉田安君から発言を求められております。これを許します。吉田安君。
  12. 吉田安

    吉田(安)委員 私は、今回のこの大災害に際しまして、大野国務大臣に対して、災害地特別委員を代表いたしまして、つつしんで感謝の意を表したいと思います。大臣は、一たびこの大災害が勃発いたしまするや、ただちに現地に出張されまして、今日まで昼夜寧日なく御努力をくださいましたことを、われわれ委員一同心から感謝いたしております。諸立法等もでき上つたことでございまするから、この上とも、大臣におかれましては、直接間接に、この災害救済の実が結ばれまするようにお願いいたしまして、つつしんで大臣の御苦労に対して敬意を表したいと思うのであります。(拍手
  13. 村上勇

    村上委員長 大野国務大臣より発言を求められております。これを許します。
  14. 大野伴睦

    大野国務大臣 ただいま感謝のお言葉をいただきまして、慚愧恐縮にたえません。つぶさに災害地惨状、実状を見て参りました私としては、十分の熱意を持つて罹災民各位要望にこたえたい、それがためには私は、全力を尽して、予算獲得等については命がけで努力いたしたい、かように存じております。まことにありがとうございました。(拍手
  15. 村上勇

    村上委員長 次に、当委員会が起草、提出いたしました各法律案に関しまして、その施行及び予算等に関し、順次政府当局より説明を求めます。  まず、農林省関係について説明を聴取いたします。
  16. 渡部伍良

    渡部政府委員 農業関係の水書こ村します対策としまして、当委員会でいろいろ御研究をいただき、対策を樹立されたことにつきまして、厚く感謝を申し上げます。  農林省関係といたしましては、まず昭和二十八年六月及び七月の水害による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する特別措置法、それから農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律、それから大水害による被害農家に対する米麦の売渡特例に関する法律、それから水害による被害たばこ耕作者に対する資金融通に関する特別措置法、これらが主たるものであります。そのほか災害地域内のたい積土砂の排除に関する特別措置法案及び公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法の中に、農地関係林地関係の規定が盛られております。これにつきましては、法案審議趣旨にかんがみまして、われわれ事務当局といたしましては万全の措置を講じて行きたいと考えております。なお、六月末以降の水害による被害状況並びにこれに対します予算の要求のとりまとめ等につきましては、ただいまのところ最後的な数字のまとまりがいないのであります。これは事務当局とたしましてははなはだ遺憾でありますが、御承知のように次々と災害が起りまして応接にいとまないというので、締め切つてはまた締め切り直し、こういうような状態でありますので、できるだけ最近までのデータを集めたいという趣旨からでありますので、その点は御了承願いたいと思うのであります。ただいままで私どもの手元で集めました資料に基きまして予算を組んでみたのであります。もとより、この数字につきましては、今後さらに綿密な調査によつて相当変更のあることを前提としてお聞き取り願いたいのでありますが、御説明申し上げたいと思います。  まず、施設関係の点でありますが、お手元資料が参つております。表題はちよつとまずいのでありますが、「法律改正に伴う予想増加経費」「農林省」という八月五日付の表をごらん願いたいと思います。それによりますと、まず被害額でありますが、農地関係で三百四十億、林野関係で百十六億、水産関係で七億、合計四百六十三億になつております。これに要する復旧費が、従来の計算査定のやり方で行きますと、これの七割ということに見ますので、三百二十四億六千万円というふうになつております。それに対しまして国庫補助の所要額がどうかと申しますと、従来の法律に基きますと、農地では百五十七億、林野では五十一億、水産では四億二千万、合計二百十二億ということになるのであります。改正案によりまして補助率を引上げるという条項が各所に出て参りましたので、それに基きまして——もとより推定でありますが、試算をいたしますと、さらに八十二億八千万円の増加を必要とする。さらにこのほかに、農業用施設等の補助対象を十万円から三万円まで一事業単位を下げる、こういうことによつて必要とする金額は、農地で約二十億、林野で一億八千万、水産で二千七百万、合計二十二億七百万円、これだけの増加になるのであります。そのほかに、さらにたい積土砂の排除に関する法律に基きまして必要とする金額を一応五億と推定いたします。そういたしますと復旧費の総額といたしましては三百五十数億を必要とする、こういうふうになるのであります。従いまして二十八年度の所要経費は従来の三。五・二の三箇年計画の比率で行きますと、百二十億内外のものを必要とする、こういうように推定されるのであります。施設関係の費用は大体以上の通りであります。  農作物関係の補助金でありますが、これはお手元に配付するまでに資料が整備されておりませんので、配付しておりませんが、六月末以降の農作物の関係といたしまして一番大きいのは稲のまきかえ、あるいは植えかえの費用であります。これは御承知のように水田が流失し、苗しろが流れましたので、苗しろをもう一ぺんやり直す、あるいはまた苗を他地方から輸送する、そういう費用があるのでありますが、これは大体四億程度を見込んでおります。それから災害融資営農資金の融資に対する利子補給といたしまして、法律案で百億になつておりますので、今年度の分といたしましては大体半年余りの利子を見込めばいいという計算にいたしますと二億程度の金でよい。それから、災害後の天候関係で、水田に病虫害が非常に蔓延しております。これは水害を受けた地方のみならず、全国的に雨が多かつた、そういう関係から広がつておりますので、水害地以外の分も含んでおりますが、農薬の補助とか動力噴霧器、散布器等の購入の補助等を見ますと、約七億程度の補助が必要となるように推算されるのであります。それから米麦の売渡しの特例に関する法律に基きまして、被害農家に米を、原価と申しますか、農家の売渡し価格で農家が買えるようにする、つまり玄米三等一石当り七千五百円の割合で農家が買えるということにいたしますと、これに要する食管特別会計の損失が約一億五千万円と推定されるのであります。そのほか補助の対象といたしましては、代作用の種子代でありますとか、あるいは家畜の衛生関係費でありますとか、あるいは従来の凍霜害、第二次台風等に対して講じましたこまかい補助金を一応三億余りと推定いたしますと、六月末以降の大水害による農作物関係に対する補助としましては、十七、八億の金がいるのではないか、こういうように一応推算をしておるのでありますが、非常に金額がはりますので、数字のとりまとめにつきましては慎重を期しております。  その後、北海道等におきまして、また水害が起つておりますが、それは一応しばらく期間をかりることにいたしまして、少くとも南近畿の分までは、この際同時に予備金の要求をしたい、こういうような考えから、八月十日までに資料が出ないものはもう考慮に入れないという方針でやつておりますので、最後的な数字を出すまでは、もうしばらく時間的な御猶予を願いたいと思います。そのほか農業共済金の概算払いでありますとか、あるいは米麦を被害農家に売り渡す場合の代金の延納でありますとか、あるいはそのほか、従来の施設でやれるものにつきましては、最善の努力を払つておるのであります。  なおもう一度念を入れて御了承願いたいのでありますが、数字があまりはつきりつかめておりませんので、ただいま申し上げました数字につきましては、相当の変更があることを御了承おき願いたいと思います。農林省関係は以上の通りであります。
  17. 綱島正興

    ○綱島委員 ちよつとお尋ねをいたしますが、この表の被害総額の四百六十三億という数字は、府県の報告書に基くものでありますか、あるいは統計調査事務所の報告に基くものでありますか、それとも農林省で大体それを中和してお考えになつた報告でありますかということと、それから、この中に北海道は入つていないわけですが、これは希望でありますが、なるべく早く、この委員会に北海道のことも重ねて委託になりましたので、この数字をそろえて御報告を願いたい。それから代作面積でありますが、代作費用がこの前大体三千万円くらいと打合せをしたように伺つておりますが、この面積をどれくらいとられておりますか。それから、病虫害動力噴霧器等の予算は大体七億という御説明でございましたが、私の記憶するところによると、この前打合せを願つたときには、病虫害の五億は水害地のみの数字のように思つてつたのですが、今のお話では、全地域にわたつてそれだからというふうに伺つたのですが、これはやはり、むしろ水害地だけの北海道を除く分というふうに考えておりますが、この点はどういうふうでございましたか。この点をお聞きします。
  18. 渡部伍良

    渡部政府委員 第一点の四百六十三億の算出の基礎でありますが、これは府県の報告書をもとにいたしましたが、府県の報告の十分まとまつてないのもありますから、そのほか各方面の資料を集めまして推定を下しておるのであります。もちろん北海道の分はこの分に入つておりません。北海道の点につきましては、多分昨夜立つておると思いますが、現地に人を派しまして、至急資料をまとめさせることにいたしておりますので、御了承願います。
  19. 綱島正興

    ○綱島委員 長野県は入つておりますか。
  20. 渡部伍良

    渡部政府委員 農地の関係では、長野の分も入つておりませんが、今やつております。  それから、代作の面積でありますが、これは水田の稲の植付不能の面積あるいは蔬菜の植付不能の面積等を合せまして、約三万町歩程度になつております。  それから、病虫害の関係は、大水害の北九州、山口、和歌山等南近畿だけでなく、そのほかの水害地の分も一緒にして入つております。
  21. 綱島正興

    ○綱島委員 全国ですか、水害地の部分ですか。
  22. 渡部伍良

    渡部政府委員 ほとんど水害地になつたわけです。水害をこうむつていない地帯はほとんどありませんで、東北の一部だけですから、ほとんど全国と言つていいと思います。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、ただいま渡部官房長から御報告のありました北海道関係について、若干の質問をいたしたいと思うわけでありますが、官房長はただいま、当局から係官を派遣して現地の調査に行つているというようなお話でありますが、現在の段階において、農林当局報告を受けて知り得る範囲内の被害の状態は、どの程度の御認識を持つておるかということと、もう一つは、北海道の一つの特異性からいつて、御承知のように寒冷単作地帯であるので、一年に一度つくつた作物が災害を受けた場合においては、それの代作等を全然行うことができないのであります。そういうような場合において、災害の中において残されたもので、今後続発するところの病虫害の発生であるとか、そういうものに対する緊急の対策等は一日もおろそかにすることはできないと思うわけでありますが、これらの緊急を要するような問題に対しては、どのようなお考えを持つて適切なる処理をされる御意思であるか。とにかく北海道庁の報告が参つておると思いますけれども、北海道の地域全体にわたつて大体九万余町歩の被害があるというその現状の中において、とりあえず緊急を要する分に対してはどういうような処理をするお考えであるか、その点をまずお伺いしたいのであります。
  24. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいままで私どもの方に道庁から到達しております資料によりますと、最もひどいのは七月の終りから八月の初めにかけてのものであります。その間七月の上旬、中旬とあるのであります。上旬、中旬の分につきましては、もうすでに西日本のと一緒に考究中であつたのでありますが、七月三十一日から八月二日にかけての水害が非常に大きいようでありますし、この分を一緒に考えぬと対策は立ちませんので、実は困つておるのであります。道庁からの報告によりますと、農作物の被害が約四十三億になつております。水田の冠水面積が二千三百町歩、畑が五千三百町歩、流失は田が百二十四町歩、畑が九百八町歩、合計千三十二町歩、それから埋没が六十八町歩、畑が四百七十二町歩、合計千五百町歩余りの流失埋没になつております。そのほか農作物、家畜等の被害相当出ております。これに対しましては、もとより共済金の概算払いの問題でありますとか、あるいはつなぎ資金の問題でありますとか、あるいはまた続いて起る病虫害関係の費用等につきましては、従来のやり方に従つて早急の措置を講じて行きたいと思います。  お話のようにこの間も道庁の方に伺つたのですが、代作と申しまてもほとんど代作がきかない時期になつておるようでありますので、これに対しましては、この地方にどういうことをやればいいかということを、道庁ともよく検討いたしまして対策を講じて行きたい、こういうふうに考えます。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点簡単に御質問申し上げますが、緊急対策のうち稲熱病の発生はもちろんでありますが、ばれいしよは、官房長も御承知のように、冠水を受けたような場合には、水に対する抵抗力は非常に弱いのであります。一昼夜くらい浸水した場合においては、ほとんど枯死するような状態でありますが、まだ枯死に至らない場合においても、ただちに薬剤の散布等によつてこれの災害を食いとめることを行わなければならぬと思いますが、大体被害のうちで畑と水田の場合には七対三ぐらいになつておると思うわけであります。それで、そういうばれいしよ等に対する水稲と合した防除対策、それから特にまだばれいしよは結実期に全然入つておらないので、全滅するような地帯に対しては、明年度の種子の確保をするということが非常に心配なのでありますが、そういう点については、特殊の条件の中において、重点的にぜひ御配慮を願つておきたいと思うわけでありますが、それらの点についても安心のできるような意思表示をお願いしたいと思うわけであります。
  26. 渡部伍良

    渡部政府委員 災害に対する病虫害の防除関係でありますが、これは御承知のように防除組織ができておりますので、これに要した費用も補助金があとから来ますけれども、道の方でどんどんやつていただかなければならない、またやつているはずであります。これに要した費用につきましては、あとでわれわれの方で現在手持ちの災害の防除費、及び足りなければ今度の西日本と同じように予備金を要求する、こういうことになるのであります。これはむしろ道の方に先生方の方から督励を願いたいと思います。  それから、種等の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、内地とはかわつたやり方を講じなければいかぬ面もあるじやないかと考えておりますので、早急に考えたいと思つております。
  27. 小平忠

    ○小平(忠)委員 他の質問者が多くあるようでありますから、私は、ただいまの官房長の御答弁に対して、一言だけこの際関連してお伺いしておきたいと思います。  先ほどの御説明によりますと、大体八月十日までに提出の資料の分について、この法律改正に伴うところの処置は考えたいということをおつしやつたのでありますが、特に北海道の水害は第三期の分、七月三十一日から八月二日の分に農林省はただいま調査に行つておるという段階でありまして、もちろん、道としましてもあるいは農林省としましても、最善を期せられるでありましようが、若干一日二日の違いでこれを落すというようなことがあつては、相当支障があろうと思うのでありますが、その点について先ほど御説明のあつた八月十日を厳守されるのか、それが一点。  次に、農林省からお出しになつております「法律改正に伴う予想増加経費」という表でありますが、これによりますと、註の中に「対象県を」云々と書いてあります。これはどのようなことを基準にいたしまして、この県の名前を記載されてあるか。さらに奈良県のごときは相当被害のようになつているわけでありますが、「奈良県其他を適用すれば尚増加の見込」ということがあるのであります。これはどういう点を基礎にしていわゆる対象県を考えて行かれるのか、農林省としてのお考えをこの点お伺いいたします。
  28. 渡部伍良

    渡部政府委員 第一点の八月十日で締切ると申しましたのは、その後のものを取上げない、こういうのではないので、今まで法律の成立とにらみ合せてできるだけ早く締切りたかつたのでありますが、一応ここで区切つて予算を要求をして、あと北海道等については追加して要求する、こういう見積りでありますので、これを取上げないということは全然ありません。一応ここで整理して、正式に農林省の案として大蔵省その他に要求をする、そうしてあと調査できたものは追加してやる、こういうことでありますから御了承を願います。  それから、表の関係のものでありますが、これも先ほどちよつと触れましたように、四号台風とか、その後引続いて山陰、四国、中部等に続いて起つておるのであります。この表ができるまでには、まだこれらの集計ができてなかつたので入れてなかつたという意味でありまして、おいおい調査ができております。特に奈良等につきましては、数日前に十津川方面の交通がやつと開かれたというようなことでありますので、それによりまして、たとえば林野関係等は相当大きい被害が出て来るのではないかということもありますが、その状況がまだつかめませんので、そういうものも入れてない、こういう意味であります。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 簡潔にお伺いいたします。北海道の場合は今調査に行かれているそうですが、われわれ長野県の場合、調査はすでに済んでいるように聞いておるのですが、これが間違いかどうか。この資料の御提出が、ただ後日といと言葉だけでは非常に私どもは不安でございますので、北海道その他を合せまして、長野県などは特に調査済みでありますから、明日とか今日夕方とか、こういつたはつきりした日にちをひとつ御回答願いたいと思います。
  30. 渡部伍良

    渡部政府委員 ちよつと説明が不足でありました。この表は補助率を増高する部分の増高額がいかがになるかということを主にして大急ぎでつくつたので、全体のものよりも増高分の方を主にしてつくつたのであります。これは法律によりまして、政令で指定する地域ということになりますので、現在までいろいろ御議論を伺つておりますと、この七県はこの政令地域に入るだろうというので、この分を取上げてやつたのであります。ほかの方も補助率を高くする地域に入れるか入れないかという問題と、それから現行法によつて補助の対象にしなければならぬという問題があるのであります。いずれにしましても、私の方としては、被害のあつた全地域を全部取上げます。ただ、その補助率をよくする分は、大体現在問題にして検討しているのはこの程度である。なおそのほかの分をどの程度入れるかによつては、もう少し検討を加えなければならぬと思います。
  31. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 官房長にちよつとお尋ねいたします。大体今小平君の御質問で了承できるのですが、注の2の「奈良県其他を適用すれば」というような——和歌山、奈良が同時に水害があつて特別対策委員会から現地慰問調査にまで行つて和歌山が入つて、奈良県を入れるとすればというような、こういうことは私はどうもけしからぬと思う。ことに北海道の方も激甚な被害であるという報告は私どもも受取つておるし、農林当局あたりでもそれを知らないはずがないと思う。奈良県あたりのことは、まだ調査の報告が来ていないというような今のお言葉ですが、すでに七十七億幾らの第一回の報告以上に山林関係がふえて八十二億幾らということは、もうすでに数日前に報告済みであるのに、官房長がそれをまだ報告がわからぬというようなことは、私にはどうも納得できぬ。これは長野県も当然この特別対策委員会に入つておるし、きのうはまた北海道もこれに入られたというのに、これを入れるとすればという、こういう字句の使い方は、私はどうも納得できぬと思うのですが、どういう考えでこういう言葉を使われたのですか。
  32. 田渕光一

    ○田渕委員 関連して。今小平君の質問に対して、あなたは七月一日とこう言つた。これは速記に載つておる。これが間違いならば八月十日と訂正なさいますか。
  33. 渡部伍良

    渡部政府委員 訂正いたしました。     〔村上委員長退席、綱島委員長代理着席〕
  34. 八木一男

    ○八木(一)委員 官房長に、伊瀬委員の質問に関連して、同時に答えていただきたいと存じます。この「被害額は県の報告に依る」とありますけれども、奈良県関係被害は、十津川の交通が回復していないので、さらに増加する見込みがあつても、ある程度のものはもう報告が出ているわけでございます。そうして、それよりふえる見込みがあつても減る見込みがないので、少くとも予算の予想には、今までの最低額は載せて考えておかれるのが当然じやないかと思うのであります。  その次に、奈良県の問題は、西日本の災害と同時に和歌山県、奈良県というものを衆議院で取上げて諸法律立法するときに、参議院とも相談して、常に和歌山県、奈良県というものは対象として考えられて立法せられておるのですから、政府では政令で定めると言われましても、当然奈良県というものを予算その他において考えておかれないと、りくつに合わないと思うわけであります。特に奈良県だけを省いてこういう計算をされたのは、われわれ非常に了解に苦しむわけであります。この点について伊瀬委員に対する御答弁と同時に、はつきりと御回答を願いたいと思います。
  35. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、奈良の被害状況は山の奥で相当大きいことは予想されておるのですけれども、この表をつくるまでにつかめなかつたのであります。(「いつ、つくつたか」と呼ぶ者あり)五日です。ですから、あまり少いのを入れておくと、また困りますので、やはり表として国会にお配りするには、できるだけかわらない数字をあげたいというので、入れなかつたのであります。用語等について十分でない点はおわびしますが、そういう趣旨でありますので、決して被害が少いとかいう意味ではないのでありまして、かえつてむしろ被害が多うそうだというので入れてないのでありますので、この点は御了承願いたいと思います。
  36. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 大体報告がわかつて来れば入れるという話でありますが、この字句はいかぬと思うのです。奈良県その他を入れるとすればという、こういうようなことは、これは意識的に書いているのではないか。これはその他と切り離して計算すべきものだというような考え方から、奈良県あるいは長野県、北海道というものは、ひとつ切り離して考えようというような、そういう考えをお持ちで、こういう表現を使われたのではないかと思うのですが、これはひとつはつきりしてほしいと思う。
  37. 渡部伍良

    渡部政府委員 ちよつと意味がよくわからぬのですが、七県と奈良は別だというふうな考え方ではありません。ただ、今のところ被害状況もわかりませんし、対象をどの地域に定めるか、政令で指定する地域ということになつておりますので、もつと広げなければならないのじやないか、しかしそれはまだきまつていない、そういうものを拾えばもつと言える、こういう意味でありますので、決してそれを軽く見ているという意味でも何でもありません。
  38. 八木一男

    ○八木(一)委員 さきの官房長の答弁で、奈良県の農林関係被害が多い、多いから調査ができぬ、けれども非常に甚大であるから、将来その甚大についての処置をするという御答弁だと了解してよろしいでしようか。
  39. 渡部伍良

    渡部政府委員 私どもの考えはその通りであります。
  40. 本名武

    ○本名委員 私は、議事進行について、ちよつと委員長にお願い申し上げます。この重要な条件を今日審議いたしておりますので、どうも委員長のお許しになる発言の方法は、あまりにもお急ぎになつているようでございます。ことにただいま政府当局から予算説明がありました。予算説明いわゆる数字説明は、これはあくまでも重要なことであります。まさにかゆいところに手が届くか届かないかこの大切なときに、あまり進行をお急ぎになつてこの国会を軽視し、あるいはこの重要な議事をそのままに扱うような結果になることは、被害地の皆さんに対しましてまことに申訳ないと思います。従いまして私は、この重要な委員会が完全にその使命を果すために、むしろ会期を延長しても、これをきめるところまできめるべきであると考えます。これをまず委員長に申し上げて、御意見を承りたい。  次に、官房長に、一、二点伺います。ただいま問題になつておりますこの印刷物の註の2は、先ほど御説明の中にありました官房長の御意見とここに書いてあることと、私は違いがあると思う。むしろ率直に官房長は、この印刷は誤りであると言つて、奈良県も北海道も、災害の明らかなところはきれいに入れるように一応訂正なさるのが早いんじやないかと思います。  それから、先ほどの御説明で、昨日北海道に調査に立つたということでございますが、北海道の災害は七月の上旬から始まつております。上旬第一次、中旬第二次において、農林当局は何回北海道に調査に行かれたか、それをちよつと伺いたいと思います。
  41. 渡部伍良

    渡部政府委員 第一点の字句の悪いところはいかにも直します。趣旨は私が説明した通りでありますので、その点は御了承願いたいと思います。  それから、第二点の、北海道にゆうべ行つたというのは、先ほど申し上げましたように、最後の七月三十一日から八月二日にかけての水害が、今までの報告によると一番ひどいので、どうしても、行かなければいかぬというので行つた。そのほか、前に行つたのは、回数ははつきり覚えておりませんが、例の果樹の凍霜害等の調査以来、相当つておるのじやないかと思います。
  42. 本名武

    ○本名委員 もう一点。果樹の凍霜害はもつと前のことなんです。今日は水害の問題で私伺つたのですが、おそらく行つておられないと思います。なぜ行つておらないかというと、二十数億に余るところの第一次の災害に対して何ら手を打たれていないということ、これは率直にお認めいただけると思うであります。従いまして、今回のが一番大きいから出かけたということも、それは西日本や和歌山災害が非常に大きいために、政府の力があちらに注がれていたということは一応うなずけるのでありますが、しからば、北海道は、二十数億の災害は金額が少いから一箇月も二箇月もほつておいてよろしい、つなぎ資金や何か急を要するものは、あとまわしにしてよいということが、今の御答弁にうかがわれのです。いまさら過ぎたことを申すのは何ですが、この措置に対して、私は後ほど官房長官に財政その他を通じて全般的に御質問するつもりですが、農林当局は昨日初めて行つたというようなお考えを改められて、第一次から第三次に至る北海道災害に対して、ことに西日本以上にとは申しませんが、同様に、慎重なお取扱いを要望いたします。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいままでの官房長官の御説明で、註の2の疑義がわかつたわけですが、ただこのままですと、これは持ち帰れないわけであります。促つてこれを訂正することを提案するわけですが、対象県を福岡熊本佐賀、長崎、大分、山口、和歌山、奈良、北海道、長野とするが、このうち北海道、長野に関しては調査未了につき、本資料には算出されていないと訂正願いたいわけであります。これでよろしいかどうか。愛媛も入れなければならぬが、そういうふうに訂正願いたい。
  44. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは法律の建前から政令で指定する地域となつておりますので、そういう政令で指定するまでに、さらに再調査してきめるようにとりはからわなければならないと考えます。従いまして、この表に計上しておるのは七県の分だけであつて、そのほかに相当地域が拡大される見込みという程度のことにお直し願いたいと思うのであります。各県を具体的にどれどれとあげることは、私の方でも自信がありません。
  45. 田渕光一

    ○田渕委員 各委員は非常に頭がよくて納得が早いが、私は「七県とする」としてこれをぶち切つてしまつておる農林省の思想を承りたい。「七県とするが奈良県其他を適用すれば」となつているが、はなはだはつきりしておらぬではないか。農林省の官房長はいくらそんなことを言いのがれたつて、下つ端の人は、はつきり七県を対象にしておりませぬかと思う。あなたがそんなことを言つたつて、各県が陳情に行けば、大体私の方は七県できめておるのですと言つて、末端の官僚は陳情をけることにきまつている。そうでしよう。そんなことを簡単に承諾していいのか。それよりも「七県とするが」というような思想を改めて、六月、七月の風水害ということがはつきりしているのだから、それで行つたらどうですか。まだまだ出て来る。災害のおそいところほど資料の出るのもおそい。こかく兵庫だとか、大阪だとかいうのは早い。山奥ほど時間がかかるということはわかり切つたことです。こんなことをしておつたら、必ず見てもらわなければならぬ。各省とも、この思想で行けば——これは一体農林省だけで恥きめたわけですか、農林省その他各省会議でこういう資料ができたのか。政府の所信を承りたいと思います。
  46. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは農林省だけで、まだ関係省と相談ができておりません。なお字句は、対象県をというのを、本表はこれこれ七県の分を計上した、なおその他相当ある見込み、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  47. 田渕光一

    ○田渕委員 官房長ははつきりとそう言うが、あなたは、今度帰られて、省議にかけられてそうなさいますか。大体あなた方は、官僚独善でやつて行くところにこういうことが出て来るのだ。天から降つた災害を、あなた方官庁でそういうことがきめられるか。あまねく一般に及ぼしているような災害を、大体「するが」というように、あなた方の机の上できめられることが国会を軽視しておる。これによつて救われるか救われぬかが出て来る。末端に行けば行くほど、これできまつておると言つてつて来るから、私はそれを言うのだ。はつきり取消させまずか、この際承つておきたい。
  48. 滝井義高

    ○滝井委員 今の政令事項の問題はきわめて重大であります。従つて、これは単に農林省だけの問題ではないと推定せられるのであります。従つて、当然政府の方においても、政令事項をどこにするかということは、統一的な見解を閣議その他において決定してもらわなければならぬとともに、われわれ当委員会におきましても、当然委員会としての統一的な見解を持つべきであろうと思います。従つてこの問題は、後刻委員長において当委員会の意向をまとめ、委員長と内閣と折衝せられましてそれを決定していただくことを要望いたしまして、一応この問題は打切つてもらう、同時に官房長においても一応ここで取消していただきたい。こう思うのであります。
  49. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  50. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 速記を始めて。
  51. 田渕光一

    ○田渕委員 今後こういう思想で行くと、予算の範囲内とか政令とかいうことで官僚が思いのままに削つてしまう。たとえば、何県何郡何々村大字何まで入れなければならない、それをこの程度で切つてしまうという思想がここに現われて来るから言うのである。農林省だけではない。
  52. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 ちよつと休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後零時四十八分開議
  53. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
  54. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいま配付いたしてる表につきまして訂正をいたしたいと思いますので、表をごらんいただきたい。註といたしまして、「被害額は、六月下旬以降に発生した水害被害額の判明のしたものを計上した」こういうふうに御訂正願いたいと思います。
  55. 田渕光一

    ○田渕委員 今の官房長資料の訂正によつて大体了解いたしましたが、委員長におかれましても、農林省以外の各省からも、この水害に対しましては、官僚陣営で断定するような何々とするが、というような独断的な資料は一切出さないようにしてもらいたい。軽卒もはなはだしい。われわれは、民主政治であります。政党政治であります。この災害を見もしないで、ただ机上においてかつてに断定するようなことを将来やつたら、断じて承知しないということをはつきり申し上げておきます。
  56. 村上勇

    村上委員長 次に建設省側の説明を求めます。
  57. 石破二朗

    ○石破政府委員 お手元に一枚刷りを差上げております。題目は災害特別措置法に基く国庫負担額の増額見込の計算、この中に括弧して「西日本六県、和歌山、奈良県について」と書いてありますが、これは先ほど農林省関係の御意見をそばで聞いておりまして、われわれの不注意であります。これについては、建設省には全国のざつとした資料がありますので、六、七月に発生した災害にあの特別法を全部適用すればどういう数字が出るかというのを、本日中に各委員の方々のお手元に差上げます。その意味で私の説明をお聞き取り願いたいと思います。  第一の河川でありますが、一所左の端が総事業費、次は現行法でどうなるか、次は特別法ではどうなるか、国庫負担の増額分はどうなるかということを書いております。その右の方に二十八年度分というのを書いてあります。河川から順次申し上げますが、総事業費は三百六十二億余万円推定しておりますが、これは地方からの報告に〇・八掛けした数字であります。これはおそくも九月中には大体の数字を確定したいと考えている数字であります。現行法の国庫負担の割合は、過去の例によりまして八一%と仮定しております。その次の特別法の欄の国庫負担の割合は、これも正確にはわかりませんが、九二%負担するものと仮定いしております。それから国庫負担の増額分は三十九億余万円と相なつております。右の方の二十八年度分、これは本年度の予算が百億しかありませんので、これですぐこれだけやるるというつもりではありません。一々本年度の予算の額によるわけでございますが、一応純技術的に考えまして、予算の制約がないならば、建設省としては本年度中に六割を復旧したい、こういう仮定のもとに、六割を復旧すればどうなるかというのを試算した次第でございます。その河川の中には、都道府県なり市町村が管理しております道路の災害復旧に要する経費も含ましております。  それから、二行目の道路一億六千万とありますが、これは今度の特別法で道路が損傷した場合に二分の一の補助をやるという規定が新たに立法されますので、それを書いているわけであります。従来は単に三分の一の予算補助をしておりましたのが、特別法では二分の一に上げられておりますので、その関係を書いております。  その次は、住宅でございますが、これは一万七千戸滅失したものと仮定した数字であります。上に十二億何がし、下に括弧して二十億と書いてありますのは、上のところは、現行法では滅失の三割を災害復旧としてやるという規定になつておりますのが、今度五割に上げられるので、その事業費が二十億になるわけでございます。しかも、その現行法と特別法の違いは、復旧する総戸数が違いますのと、さらに補助する率が違いますので、その点をお含みを願いたいと思います。  その次の都市計画といいますのは、これはどろの排除に要する経費だけを計上いたしております。しかも、その中でも、先ほど西日本と和歌山、奈良に限つているというので御了解願いたいと思いましたが、同じ問題がここにもあるわけでございまして、対象都市としては熊本、門司、日田、御坊の四都市だけをここに計上しております。もちろん和歌山県奥地の小さい村、こういうものを除外する意思は毛頭持つておりません。ただ、後刻被害地の全国のを差上げると申し上げましたが、熊本、奈良両県等の山奥の村に堆積した土砂というものは、ひよつとすると県から報告が来ておらぬかもしれませんので、あるいは落ちるかもしれませんが、趣旨はこういうものを除外する意思は毛頭持つておりません。  それから、水防に要した資材の補給の関係でございますが、これはもうまつたくの推定でありまして、一億の計算の基礎を申し上げますと、被害個所の総延長を出しまして、その延長一メートルについて幾らというようなことをしておりますが、これでまことに困る点は、水防活動を一生懸命にやつて被害の起らないところもあるかもしれませんし、政令をつくるときには相当頭が痛い問題だと思つておりますが、一応被害延長二千六百五十一キロ、それの十分の四が水防をやつただろう、しかも一メートルについて百円くらいの資材を要したであろうと、すべて仮定の上に立つておりますが、これはもう過去のことでもありますし、いろいろ請求書その他を調べてなるべく正確を期して、実際に要した費用を補償する以外にはなかろう。  その次の地すべり対策でございますが、これは三十一億と書いております。この内訳は、砂防関係が大体二十五億見当、それから純粋の地すべり対策としてのが六億見当というように考えております。ここで、特に奇異な感じをお持ちになるかもしれませんが、国庫負担の増額分が非常に少いのであります。九千五百万円しかありません。これはこういう関係になつております品砂防については、現在でも三分の二の補助を出している。地すべりについては二分の一を出している。これが両方が十分の九に上るわけでありまして、その関係上、従来も砂防については相当の高率補助が出ておりますので、差額が少いわけでございます。  それからなお、備考の一番下の方に書いておりますが、このほかに法律かわりました関係上ふえます分は、直轄の災害復旧に要する地元の負担分、これがやはり地元負担が減りますので、その関係上国庫負担が五億程度ふえるであろうというように書いてあります。  以上御説明申し上げました通り、総事業費において、この法律ができたために国が増額を要すると見込まれますのが五十七億余万円、それに約五億円を足していただきますと、その総合計が今回の特別立法によつて国費がふえるだろうという推定の数字でございます。
  58. 田渕光一

    ○田渕委員 今の説明によると、河川の項目に都道府県の管理する道路が入つているというお話でありましたが、これは、たとえば川のすぐ川つぺりにかけてある県道あるいは村道というようなものも、一緒に河川費でやるというふうに伺つていいのでありますか。それが一つ。もう一点は、先ほど農林省の官房長に怒つたのはそこなんですが、実は和歌山県副知事が大蔵省に交渉に参りましたら、最初は御坊町より入らぬということをはつきり言つている。そこで農林省の資料に対して、君ら官僚陣営、官庁だけでもつてこういうことをやつたんだろうと思うから、私は聞いた。今石破政府委員は、御坊を入れてはおるけれども、その他も、と言いますが、二番目のこれなんです。これをさつき私は怒つた御坊は、御承知通り大野国務大臣あるいは農林省の篠田政務次官みな見ておりますからわかつておりましようが、たとえば御坊の付近の松原村、湯川村、矢田村、それからみかんの産地の宮原村の滝源という家などは天井までどろがかかつて、そのために十万円も使つている。しかるに和歌山県では御坊だけしか入れないということはない。この点に対して、もう一度再確認のためにはつきり御答弁願いたい。
  59. 石破二朗

    ○石破政府委員 第一点は御説の通りでございます。第二点は、もう一回はつきり申し上げますが、これだけの地域に限るとかいうような意思は絶対に持つておりません。
  60. 稲富稜人

    ○稲富委員 地方的な問題ですけれども、この際お聞きしたいと思いますが、福岡県の星野という所に鉱滓の非常に堆積したのがある。かつて帝国局在時代のものですが、地元では非常に反対がありましたけれども、監督局は、これは十分なる設計のもとにやつて危険はないのだといつて、無理にやらせたのですが、三十万トンの堆積があつた。ところがこのたびこの堆積が約二万トン流出したといいますが、その下の約百戸くらいの家が埋まりまして、人が十数人死んだ。そしてまだ約二十八万トンの堆積が山の上にあるわけです。これは当然排除しなければたらないと思うのでございますが、今地域的な問題が制限されましたが、こういう制限をされますと、ただいま申しましたようなものは区域に入らなくなりますが、この点はどういうようにお考えになつているか、この際伺つておきたいと思います。
  61. 石破二朗

    ○石破政府委員 ただいまお話の点は、今初めて伺いましたので、建設省所管かどうかもまだよくわかりませんが、堆積土砂の今度の特別措置法を拝見いたしましても、地域は政令で定めることになつておりますし、鉱津でありますと、堆積土砂ではありませんが、たしかこれは何々「等」というような字があつたのじやないかと思うので、よく実情を調査させていただきまして、要するに公平にやりたいと思います。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 一点だけお伺いいたしますが、長野県の場合、総合開発による事業で、すでにできたもの、あるいは推進中のものが、今回の水害によつて破壊されたものがあります。北海道にもそういう例があると思うのですが、総合開発関係の事業の、たとえば河川に一つ例をとりましても、この中に計上されて来ているものかどうか、その点をお伺いいたします。
  63. 石破二朗

    ○石破政府委員 私の方では、法律にはつきり書いてあります通り、災富屋負担法に定める施設で、今度の水害によつて災害が起つたものはすべて復旧する責任がある、かように考えております。
  64. 綱島正興

    ○綱島委員 建設省にちよつとお尋ねいたします。地すべりの六億というのでありますが、これは大体九〇%国庫補助の率だという御説明でございました。排土は大体一〇〇%国庫負担のようでございましたけれども、六億というのは排土を含んでおりますか。
  65. 石破二朗

    ○石破政府委員 後ほど差上げる資料のためにはつきりしたいと思いますが、御説明の際にまず落したことがあります。それはきのう補助率が十分の九に上つたのでありますが、それも実は計算いたしておりません。ただいまの崩土の関係でありますと、これは当然崩土として処理すべきものでありまして、私の申し上げましたのは、地すべりを防止する対策の経費が約六億円見当だろう、こう申し上げたので、資料はもう少し整理させていただきます。
  66. 村上勇

    村上委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後二時まで休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  67. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  綱島委員から発言を求められておりますので、この際これを許します。綱島正興君。
  68. 綱島正興

    ○綱島委員 このたびの特殊なる雨量等の事情にかんがみまして、気象業務施設の整備促進に関する決議案を動議として提出いたしたいと存じております。その決議案文を読み上げます。    気象業務施設の整備促進に関する決議案   近年相次いで起る水害は、国家的の重大問題である。この災害を防止軽減する道は、治山治水の恒久対策の樹立にあることはいうまでもないが、その基礎となるべき気象業務施設を早急に整備拡充する必要がある。   よつて政府は速かに山岳地帯の降雨雪量の観測通報施設、上高層観測並びにレーダー等の近代的施設、非常用気象無線通信網及び気象警報伝達組織等を整備するため必要なる措置を講じ、もつて災害の防止に万全を期すべきである。   右決議する。  こういう決議案でございます。どうぞ御賛成を賜わつて、御決議を得たいとお願い申し上げます。
  69. 村上勇

    村上委員長 ただいま綱島君提出の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて委員会においては決議することにいたしました。     —————————————
  71. 村上勇

    村上委員長 午前中に引続き、予算関係について説明を聴取いたします。まず厚生省関係をお願いいたします。
  72. 楠本正康

    ○楠本政府委員 お手元に差上げました資料第一ページから御説明を申し上げます。  第一ページの第一表は、伝染病予防費の経費関係でございまするが、本事業は、災害直後から活発に実施いたしましたたとえば患者の早期発見とか、清潔方法とか、消毒作業であるとか、患者の隔離といつたような緊急な作業でありまして、これらの作業はおおむねすでに終了を見ておるわけでありますが、これらの経費に関しまして、従来に増して国庫負担を増額し、逆に従来若干市町村が負担しておつた分を解消いたします。その結果、従前に比しまして約八千三百万円の国の負担増と相なるわけであります。なお、これらのうち、奈良県その他の府県分は、いまだ集計がされておりませんので、一応ここから省いてございます。第二表は伝染症隔離病舎の経費関係でございますが、現在まで判明いたした分につきまして、使用不能に陥りました病舎は約四百五十床ございますが、これを今回復旧するに際しまして、国の負担率を増加いたしまして、市町村分を極端に減少いたしました。その結果、国の負担増は約二千八百万円と相なつております。なおこれらの地域につきましても、その他の府県はいまだ詳報が入つておりませんので、的確な数字をあげておりません。     〔委員長退席、綱島委員長代理着席〕  第二ページは上水道関係でございますが、お手元に差上げた資料は、もつぱら簡易水道の施設でございます。その既設分は、要するに現在まで簡易水道の敷設されておりましたものが災害によつて破損を受け、その復旧に要する経費でございます。従来簡易水道は、国といたしましては、昨年度初めて取上げた事業であります関係上、従来はこれらの災害復旧という経験はなかつたのでありますが、今回特に二分の一の災害復旧費が補助せられることになりました。これに約一億一千万円の国の補助費を要するわけであります。なお、ここに「現行」と書いてございますのは、これは現在新設する場合に四分の一の補助を支出しているという意味でございます。新設分といたしまして第二表が書いてございますが、これは災害のために水源をまつたく失い、あるいは井戸、湧泉、河川等がまつたく使用不能に陥りました関係で、新たに何らかの方法をもつて給水施設をつくりませんと、その地方の飲料水に重大な影響を及ぼす地域につきましては、特に今回二分の一補助を支出いたしまして、これらの新設簡易水道の復旧をはかることと相なつたわけであります。なおここに書いてございます二十九箇所のほかに、さらに現在奈良県から二箇所かような必要地域があるということの申出がございます。  なお、この簡易水道に関連いたしまして、ちよつとお断りを申し上げておきたいのでありますが、一般上下水道につきましては、今回の特例法に含まれておりません。しかしながら、おそらくこの御趣旨ま、従来上水道につきましてはすでに予算措置におきまして二分の一の災害復旧の補助を認められております。また、下水道につきましては、予算措置によりまして三分の二の高率補助が災害復旧のために認められておるのでありまして、これらの経費に関しましては、すでに御審議を願いました予算書にも項を起して明記してある事業であります関係で、おそらくこの上下水道関係復旧費がとつてあると存じますが、これは、予算措置によりまして、毛頭支障なく復旧ができる見込みでございます。  次に、第三ページの屎尿汚物処理関係でありますが、これらの経費も、従来付近の農家の屎尿の自由くみとりあるいは塵芥の自由収集等が行われておつた地方災害が起きた関係で、従来のような屎尿のくみとりあるいは塵芥の処理等が不可能になつたために、さような地域に対しまして、やむを得ず応急に市町村等が屎尿処理あるいは塵芥処理等を暫定的に実施いたしました経費でございまして、これらの経費もおおむねすでに支出済みでございます。その経費は総額約千五百万円、その三分の二で約一千万円と相なるわけでありますが、なおこれについても、奈良県その他の府県がいまだ集計を見ておりません。以上でございます。
  73. 辻文雄

    ○辻(文)委員 ちよつとお尋ねしますが、ただいまの簡易水道設置のことですけれども、今おきめになつているのは二箇所ぐらいですか。
  74. 楠本正康

    ○楠本政府委員 奈良県では二箇所新設を要する地域が、この資料をつくつた以後県から申込みがございます。
  75. 辻文雄

    ○辻(文)委員 局部的なことたお尋ねして何ですけれども、私の出身の長崎県、これは北松などというところのみならず、長崎県全体でもありますけれども、特に今度北松というところは非常な水害を受けて、局部的に申し上げたら、あるいは福岡佐賀熊本県あたりにも劣らないような被害を受けたわけであります。そういう場所であり、なおかつこの簡易水道設置のこともお願いしてあるはずだと私存じますけれども、そういうお願いを文書等でお願いしておることはありませんでしようか。
  76. 楠本正康

    ○楠本政府委員 長崎県は、簡易水道の布設にきわめて御熱心でございまして、現に多数の新設要望等もいただいております。現在既存のものもかなり復旧いたしておるように承知をいたしております。しかしながら、今回の災害におきまして災害を受けた簡易水道というものは、今まで何ら報告を受けておらぬわけであります。従いまして、災害分としては一応ここには考えておりませんが、しかしながら、今後さような災害分が明らかになつて参りますれば、当然これに追加して処理せられるものと考えております。
  77. 辻文雄

    ○辻(文)委員 たいへんお話はけつこうだと思いますが、どういう手落ちかわかりませんが、私の考え方では、事実そういうことでお願いをしているからということで、ゆだんがあつたかもしれませんけれども、現実の問題として、それは非常に緊急な問題になつておりますので、さようでありますれば、遅ればせながらも、もしお願いしたならば、遅れませんようにお心がけを願つて、実現いたしますように御努力願うよう、この席でお願いを申し上げておきます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 二点ほどちよつとお伺いいたします。同じく簡易水道ですが、既設の簡易水道で今次水害に侵されたもの、こういうところは自動的にこの厚生省の簡易水道施設の既設分の中に織り込んであるのかどうか。もう一点は、必要の場合は新たに申請しなければ厚生省としてはこういうことを考えないのか。厚生省自体が、申請がなくても、自発的な調査によつて新設というものを考える地域があるのかどうか。この二点をお伺いしたい。
  79. 楠本正康

    ○楠本政府委員 私どもは、今回の法律趣旨等を府県に十分徹底せしめまして、できるだけ漏れなくかようなものを今後申請させて行く方針でございます。従いまして、かような点で大体問題は解決すると存じますが、先ほど申し上げましたように、何分にも簡易水道は昨年度以来初めて国の事業として取上げました関係で、いまだ徹底してない向きがあるかと存じますので、さような点は今後十分法律趣旨の徹底に努めたいと考えております。
  80. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 今聞いておりますと、簡易水道は奈良に二箇所申請があるというようなお話でありましたが、この表は八月何日現在の調査です小。それとも、いつ御調査なさつた資料なのですか。
  81. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これがいつまでの分の集計かは後ほどお答えをさせていただきたいと存じます。しかし、比較的新しい資料にのつとつたものでございます。
  82. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 説明を聞いておりますと、奈良県のものが漏れ落ちているのをたいへん気にしているような御説明ですが、奈良県だけではないのです。長野県とか北海道とかいうまだ報告が来ていないところに対しても、報告が来れば同様なお考えでやるというふうに了承してよろしいでしようか。
  83. 楠本正康

    ○楠本政府委員 既存の簡易水道で、今回の水害によつて被害を受けましたものの復旧につきましては、これは地域の差なしに、どこも同じように見たいと考えております。
  84. 田渕光一

    ○田渕委員 今伺つて大体わかつたのでありまするが、和歌山県で一箇所ということだけは、県の方の資料の間違いじやないかと私は思います。私の知つている範囲でも、御坊町、松原、それから志賀、寒川があります。多分これはあとで追加されるだろうと思いまするが、ここは、御承知通り昭和二十二年の南海地震による地盤沈下で非常に困つてつたところで、せつかく国の補助をいただいたのが、今度また全滅ということでございますので、なるたけここへ出て来たものは御承認願いたいのでありますが、大体この簡易水道の本年度の予算はどのくらいになつておりますか。私は、不敏にして、二十八年度の簡易水道の厚生省の予算というものが、どのくらいわくをとつておられるかわからないのですが……。
  85. 楠本正康

    ○楠本政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今後さらに新しく破損を受けた水道施設が出て参りますれば、もちろんこれは当然復旧補助の対象になるものと考えております。従つて、現在判明いたしておる部分につきましては、和歌山県については一箇所と考えて、——これは御指摘のように私もちよつとふに落ちないのでありまして、特に従来私どもも、多数の地盤沈下の関係で、水道布設の必要上ちよつとふに落ちない点がありますが、かような点につきましては後刻調査をいたしまして、また県への趣旨の徹底をはかりまして、資料の整備をはかりたいと考えます。  なお、本年度の簡易水道の補助費は、災害を離れまして、一般簡易水道につきまして四分の一で四億円、従いまして、事業費総額十六億円の事業を予定されております。それからなお、地盤沈下の関係におきましては、事業費総額約二億円、これの二分の一で約一億円ほどの簡易水道の経費を計上してございます。
  86. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで伺いたいのでありますが、厚生省にはもちろん地質学あるいはその他の技官がおられるだろうと思いますが、私の理想といたしましては、これは私個人の考えでありますが、大体その簡易水道は小さい河川を水源にとつておりますが、こういう災害のときはもちろんだめであります。そこで、大体この地帯ならばどこをボーリングすれば水が出るかというようなことも御研究願つて——簡易水道はボーリングによる湧水の施設から、ポンプで上げる方が安く行くのではないか。と申しますのは、鉄管などを引きますと非常に高くつく。それで災害のときにはこわれて、水の最も必要な夏期、あるいは冬の寒に入りますと、それらの水が渇水をする。最もいるときに水が出ない。それならば掘抜き井戸をもつてつた方が安く行くのじやないか。かような点について、地質学的な鑿泉関係というようなことを御研究されておるかどうかということを、一つ伺つておきます。
  87. 楠本正康

    ○楠本政府委員 水の問題は、きわめて私どもの生活にとりましても重大な問題であります。従いまして、厚生省関係各種の研究機関あるいは本省の専門技官等の手を通じまして、日ごろ研究いたしておる次第であります。ただ私ども、目下鑿泉の井戸で問題を個個に解決することはあるいは理想かもしれませんが、十分りつぱな井戸を鑿井いたしますには、少くとも数万円の経費が必要となつて参ります。従いまして、やはりこれはできるだけさような水源を求めまして、鑿泉あるいは適当な湧泉等を求めまして、これをパイプによつて各戸給水することが最も経済的であり、安全な道だというふうに考えておるわけであります。
  88. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 次に、厚生省の災害救助費について御説明願いたいと思います。鶴田説明員。
  89. 鶴田寛

    ○鶴田説明員 お手元に差上げました災害救助費に対する国庫補助額調という表につきまして御説明いたしたいと思います。  先般中間的な御報告を申し上げたのでございますが、その後罹災県におきまして相当被害の増加が発見されました。従いまして、求助費の増額をみたわけでございます。なお、去る三日災害救助法の一部改正法が公布されまして、それによりましてさらに増額を見たわけでございますが、先般御説明申し上げました後に、奈良県と長野県と北海道に新たに災害が発生いたしましたので、奈良県は、先般の法律改正前の関係から申しますと、国庫補助の対象にはならなかつたのでございますが、先ほども申し上げました法改正によりまして、奈良県も国庫補助の対象になるということに相なつたのでございます。長野、北海道につきましては、まだこの数字から相当ふえるものと私たちは予想しております。特に、北海道につきましては、八月一日現在の数字を基礎にいたしましたので、この数字相当かわることと予定してございます。  これを総体的に申し上げますと、救助費の総額が、現在判明している数字から申し上げますと二十五億七千百万円、これに対しまして今回改正になりました率で参りますと、二十一億二千三百万円が国庫補助額ということに相なるのでございます。さらにその後、特別措置法によりまして、三十六条の率が千分の一ということに相なつたのでございますが、その千分の一の率をとりますと、二十一億三千六百万円の補助額ということに相なるのでございます。現在私の方で判明いたしておる補助額は以上でございます。  次に、社会福祉事業施設災害復旧費国庫負担調という表がございますが、これにつきまして御説明申し上げたいと思います。この表に掲げてありますのは、山口県と熊本県と長崎県と福岡県、以上の県の分でございますが、佐賀県と和歌山県につきましては、社会福祉事業施設災害にあつたものはないという県からの報告がございまして、これから省かれておるわけでございます。奈良県と長野県、北海道につきましては、まだ県からの報告に接しておりませんので、この表から一応漏れておるわけでございます。この復旧につきまして、まず保護施設につきまして申し上げますと、総額が三千百六十五万五千円ということに相なつておるのでございます。それをかりに今回の御審議願つておりまする法案の内容によりますと、国庫負担が二千百十万三千円、これを現行法で行きますと千五百八十二万八千円、約五百二十七万円の増額に相成るかと思います。保護施設についてだけ申し上げました。
  90. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 続いて今の児童福祉のほかに公益質屋の件について御説明願います。
  91. 今村譲

    今村説明員 公益質屋の関係を御説明申し上げます。  現在報告が参つておりますのは九州だけでありまして、これが十二箇所で千百五十七万一千円の総額であります。これは現行法で行きますと、二分の一の五百七十八万五千円の補助ということになつおりますが、これをこの際三分の二にしていただきますと、七百七十一万四千円というかつこうになります。  それから、資料を急いで出しましたので一つ落してありますが、公益質屋の質物が倉庫にある、それが大水で流れまして、質物の占有を失いましたときには、市町村公益質屋の方は、現品を返さないかわりに債権を棒引きにして失うという法律になつておりますので、その穴が明きました部分だけの損失填補をしてやりたい。これは今度の法案にも載つておりますけれども、そういう意味におきまして、数字をおつけ加え願いたいと思います。特別法の復旧費の総額の千百五十七万一千円、これはいわゆる建築物だけでございますけれども、在庫物の流失が増加すれば千九百五十万円であるというので、これの十分の八を国から交付するということにいたしますと、千五百六十万の国庫負担額がふえる。従いまして、七百七十一万四千円のいわゆる建築費の三分の二の補助というものと加えまして二千三百三十一万四千円である、こういう数字に相なります。それで和歌山県は、幸いにしてといいますか、御坊町その他の方面には公益質屋はございません。和歌山市と田辺市にある公益質屋は被害をこうむつておりません。それから長野県、北海道につきましては、まだ流失状況報告が参つておりませんので、今後もしありますれば、ひとつつけ加えていただきたいというふうに存じております。  以上で、九州の四県十二箇所分だけで、国庫負担額が、建築関係は七百七十一万四千円、それから損失分の填補が千五百六十万円、合計二千三百三十一万四千円、こういうふうに相なつております。山口は報告が来ておりません。
  92. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 続いて児童局長太宰政府委員からお願いします。
  93. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 今説明いたしました表のまん中に児童福祉施設という欄がございます。児童福祉施設と申しますと、御承知と存じますが保育所とか、母子寮あるいは教護院、あるいは孤児などを収容しております養護施設等でございます。ここに出ました数字は、大体先月の二十五日までに来ました分でございまして、県の数からいたしますと十四県ほどになつております。その復旧費の総額は六千万円でございますが、これはもちろんその後少しずつふえる見込みとは存じておりますが、一応六千万円としますと、現行法ではその二分の一を国が負担する。それからこの施設負担額と申しますのは、地元負担というふうに言うべきでありまして、これはおそらく間違いでございます。これは全部の施設について言えると思いますが、私どもの方で参りますれば、現行法では国が二分の一、府県が四分の一、それから地元の町村なり施設なりが残り四分の一ということになるのでございます。今般議案に載つております特例法案によりますと、国が三分の二の四千万円を持ち、地方の負担が残りの二千万円、こういうふうに相なる見込みでございます。
  94. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 続いて母子福祉法関係について御説明願います。
  95. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 その次の表でございますが、母子福祉資金貸付金という表について申し上げます。  今般議案に載つております昭和二十八年六月及び七月の大水害被害地域において行う母子福祉資金貸付に関する特別措置法案、これは、内容といたしましては、昨年の暮れに国会を通過いたしました母子福祉資金貸付等に関する法律というのがございまして、いわゆる母子世帯に対しまして、生業資金あるいは事業継続資金あるいは子供の修学資金等、約七種類の資金貸付を行うようになつてございます。その貸付の方法は、府県が特別会計を設けまして、府県の一般会計からその特別会計に貸付金を繰入れました場合におきまして、それと同額を国がその府県の特別会計え貸し付ける、こういう建前になつております。このたびの議案におきましては、その貸付資金関係において、生業資金及び事業継続資金につきましてすえ置き期間を延長いたしまして、一年ないし二年にするという措置がございますが、これはさしあたつて予算関係がないのであります。予算関係ありますのは、その次の、地方特別会計に貸付資金を繰入れました場合に、国が同額をその府県に貸し付けるということでありますが、県によりましては、この水害によつて貸付を希望する対象がふえたということから、さらに貸付額をふやさなければならないが、県の負担分はとうていふやすことができないから、国の負担分をふやしてくれという場合、あるいは、ところによりましては、今までの県の負担分がなかなか維持困難であるから、国の方でその分を身がわりに負担してほしい、こういう二色があるかと存じます。いずれにいたしましても、地方の財政が非常に疲弊して参りますので、国の方で従来一対一で貸し付けておりましたものを、一対三の割合で国の方の貸付額をふやすというのがこの議案の筋でございます。これで参りますと、この表にございますように、七県でございますが、これはやはり七月の二十五日現在と存じますが、その日までに県全体ないしは県のほとんど大部分が災害をこうむりましたために、おそらくこの母子福祉資金法律が制定されました際には要望して参るであろうと思われる分だけについて計算いたしたのでございます。現行の方によりますと、その左の方にあります地方費負担が約八千三百二十一万円でございますから、それと同額の八千三百二十一万円を国がその県に貸すことに相成つておるのでありまするが、特例法によりますれば、この地方の負担について、国が三倍の二億四千九百六十三万円を貸し付けることに相なるのであります。差引きまして、現行法に比べますれば、国庫負担の割合が一億六千六百四十二万円ほどふえる見込みでございます。もちろんこの点につきましては、はたしてどの県がどの程度の要望をいたすかということがまだつかめませんので、確実にこれだけの数字が今後ともそのまま予算要求という形で出るかどうかは、今のところは私どもも申すことができないのでありますが、大体かような見当において出て来るのではないかと予想された数字でございます。
  96. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 引続いて菅野説明員に国民健康保険の方の説明を願います。
  97. 菅野周光

    ○菅野説明員 この法案に基きまして、私どもが推定いたしました金額をまず申し上げますと、九州和歌山、奈良全体を合計いたしまして、貸付金額が大体四億円程度と見込んでおります。それから補助額が一億円程度、合計いたしまして全体で五億円程度の金額を一応推定いたしました。この推定はこの法律にありますように、保険税、保険料の減免の率によつてどうにでもかわり得る可能性を包蔵しているわけでございますが、この点につきましては、現在現地実情がまだ保険税、保険料の減免というところまで行つておりませんので、将来にまたなければならないと思います。ただ、取急ぎまして熊本県の見込みを照会いたしました。その県の報告によりますると、おそらく熊本県は、全体を平均すれば、保険税、保険料が四五%程度の減免率になるのではないかというような連絡がございました。これを緊急の計算のために一応の参考といたしましてやつた計算でございます。以上でございます。
  98. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 一応厚生省の説明は終りましたから、御質問がありましたら簡単にどうぞ。瀧井君。
  99. 滝井義高

    ○滝井委員 まず母子福祉資金ですが、これは府県に特別会計があつて、その特別会計に対して一般会計から三倍の金を繰込むということになつておるわけです。現在各県でこの特別会計を必ずしもつくつていないと思うのです。たとえば福岡県なんか一千万円ありますが、これは多分財団法人授産協会に県側が出しておるのではないかと思うのです。他の県もおそらくそういう形をとつておるのではないかと思いますが、もし一般会計から特別会計に繰込むという原則で、特別会計をつくつていない場合には、そういう授産協会のような財団法人をつくつておれば、そういうものも認めるかどうか、その点をはつきりいたしたい。
  100. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは、先ほど申し上げました母子福祉資金貸付等に関する法律の第十二条によりまして、都道府県は必ず特別会計を設けなければならない、こういうことになつております。それ以外の方法で都道府県が何か金を貸すというようなことをやつておりましても、それは私どものこの法律とは関係のないことに相なります。
  101. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、多分あの母子福祉資金は、今年の四月から実施されることになつてつたのではないかと思いますが、まだ会計年度が始まつてから間もないので、各府県とも、授産協会その他をつくつて未亡人の救済をやつてつた事業が、まだ特別会計に切りかえられてなくて、おそらく財団法人みたいな形で来ておるのではないかと思うのです。もし府県で、特別会計と同じような性質のもので、たとえば府県の民生部長あたりがその協会の理事長になるとか、あるいは知事が会長になつておるようなものは、特別会計に今後切りかえるという条件のもとにこれを認めることができるかどうか、そうでないとこの法案をちよつと修正しなければならぬと思うので、その点はつきりしていただきたいと思うのです。
  102. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいまのところ、各府県で特別会計を設けております県がすでに三十八県ほど出ております。残りのなお数県はまだ設置したという報告に接しておりませんが、これは国の予算が暫定予算になつたというようなことが、やはり地方予算の編成にも一つの影響を与えておる模様でございまして、遅れました府県も、この七戸、八月の県会におきまして、大体特別会計を設置するというふうに私どもは伺つておりますので、おそらく全府県がこれをやることに相なると思います。それで、先ほどのお話でございますが、やはりこの法律の建前からいたしますと、私どもはかりに府県等の肝いりの財団法人か何かがありまして、それが同じような事業をやつておりましても、これはやはり法律の建前上そういう方面には貸し付けることができない、こういうことに相ならざるを得ないのであります。大体各府県におきましても、そもそもこの法律の制定以前におきましては、やはり県独自でいろいろな方法で貸付をしたりしておつた模様でありますが、昨年の秋ごろからの臨時国会のときでございましたか、五億円を国民金融公庫から貸し付けるという——これは当時としては暫定的な措置であつたわけですが、この制度が開かれ、続いて昨年年末においてこの母子福祉資金貸付等に関する法律が制定せられまして、これが四月一日から適用と相なりましたので、私の見通しでは、各府県とも今後はこの法律による特別会計一本やりで貸付をやつて行くのではなかろうか、かように存じております。
  103. 滝井義高

    ○滝井委員 問題は、今三十八府県はすでに特別会計を設置せられておるということでございましたが、ここに名前の上つている和歌山福岡佐賀、長崎、熊本、大分、山口の七県は全部特別会計を設置しておりましようか、していない県があれば具体的に示していただきたい。
  104. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 すでに和歌山県、佐賀県、長崎県、大分県、山口県は特別会計を設置して事業を始めております。それから福岡県はただいま情報で設置することになつておるということです。熊本県はまだ報告が来ておりません。
  105. 滝井義高

    ○滝井委員 そういうふうで、熊本のような非常に災害を受けて、しかも一千万円も母子福祉に出しておる県がこの立法に漏れることになりますと、重大だと思います。おそらく熊本あたりでは八月ごろ臨時県会を開くだろうと思う。そのころ開いてすれば、そういうものも加えていただくようにすればいいのではないかと思います。八月ぐらいの臨時県会でやるのは認めるというくらいのところで大目に取扱つていただかぬと、熊本のような大きな被害を受けたところが落ちる。福岡は情報が入つて、近く県会でやるということになると、非常に重大だと思いますので、そこいらあたりは何とかしていただかなければならぬ。そうでなければ、この法律を改正するというと、元の法律特別会計になつておりますので、非常にぐあいの悪い点も出て来ると思いますが、児童局長の見解を承りたいと思います。
  106. 吉田安

    吉田(安)委員 関連して。今瀧井委員から質問があつたのですが、熊本はまだ報告が来ていないのですか。
  107. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 そうでございます。
  108. 吉田安

    吉田(安)委員 報告が来ておらないとすればいたし方ありませんが、おそらく何かの間違いじやないかと思います。これはぜひ入れてもらうように御了承願つておかないと、たいへんだと思いますが……。
  109. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これはこのたびの法律の第三条によりまして、国がその被害地域に貸し付ける金額は、今年度及び明二十九年度に限り三倍というふうに書いてございますので、特別会計を設置しさえすれば、当然それに適用になるかと存じます。
  110. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの御説明によりますると、臨時特例を適用される県が大体はつきりしたように見受けられるのであります。ところが、最近のが加わつて、前にありました愛媛、鳥取、島根というのが全然今までの説明にはなかつたようであります。委員が若干交代になつておりますけれども、特別対策として相当努力された方もあつたのであります。この点について、厚生省は、愛媛、鳥取、島根の諸県をどういうふうにお考えになつているか、これはさきに衆議院において併託された事実もございますので、関係地区にかわつて、私はこの点について厚生省の考えを承つておきたいと思います。
  111. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 いろいろ種類がございますので、必ずしも同じように御答弁申し上げることができないかもしれませんが、たとえば、私どもの方の児童福祉施設とか社会事業施設、公益質屋というものにつきましては、その地域が政令で指定されるようになりますれば、当然そこの分について見ることに相なると存じます。なお、私が先ほど申し上げました数字は、愛媛、鳥取、島根からの報告の分も含めた数字でお答え申し上げたはずでございます。
  112. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 次に移りまして、運輸省の補正予算と思われるものについて御説明を願います。壼井政府委員
  113. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 運輸省関係につきましては、三枚の資料をお渡ししてあるはずでございますが、簡単に御説明申上げます。  最初に運輸省関係被害総額でございますが、これは七月三十一日までの判明の分を計上したのでございまして、総額が八十九億七千七百万円、内訳は国鉄が六十二億、地方鉄道が九億七千万、自動車関係が五億七千万、港湾関係が十億四千万、造船関係が一億、海上保安関係が三千万円、その他の官署関係が一千万円となつておるのでございます。今回御提案願つております地方鉄道等に対する特別措置法施行によりましての補助予算の見込みは、次の半ぺらの紙にございますが、地方鉄道軌道で一億五千九百万円、定期路線バスで二千三百万円、定期路線トラックで一千二百万円、合計一億九千四百万円となつておるのであります。これも七月三十一日までの判明の分につきまして、自立が可能と認められる大きな鉄道については計上いたしておりません。なお補助率は損害の二割でございます。この定期路線トラツクの千二百万円のほかに、昨日御訂正に相なりました郵便車の分が若干でございますが、ただいま受けました情報によりますと、損害額が五百万円で、補助額が約百万円と聞いておるのでございます。  次は、港湾に対する特別措置法施行による補助額でございますが、長い紙にございます通り、損害の合計が八億八千八百万円でございまして、これが全額補助になるわけでございます。これは堆積土砂の排除に関する法律によつて行われる分でございます。現行法によりますと——現行法は公共土木施設災害復旧法という法律でございますが、これは三分の二の補助になつておりまして、御参考までにその次の欄に掲げております通り、五億九千二百万円が現行法による分でございます。従いまして約三億円というものが、今回の措置によつて補助が増額されることになるわけでございまして、運輸省としてはたいへん感謝しておる次第でございます。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 二点だけお伺いしたいと思います。  第一点は、ほかの省との関連も同じですけれども、今ここに御説明のあつた地区以外の水害、長野県などもあるわけですが、こういうものが入つていないようですが、これは後刻お入れになるわけですか、これを伺いたい。
  115. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 もちろんそういう被害が判明いたしましたならば、私どもとしては入れなければならないと考えております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 第二点として、この地方鉄道の軌道、定期路線のバス、トラツク、この三種類もお伺いしたいのですが、特に地方鉄道軌道の内訳を先にお伺いしたいと思います。
  117. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 大体四、五日前にお手元にお配りしてあるわけでございますが、一応簡単に申し上げますと、ただいままで省の方に連絡のありました被害額は、これは一応の概算でありまして、将来鉄道被害につきましては精細に調べませんと、被害額が判明しないと思いますが、御紹介いたしますと、熊本電気鉄道が三千八百七十万円、山鹿温泉鉄道が二千九百万円、熊本市電三億八千七百万円、島原鉄道、これは今まで三百万円と報告があつたのでございますが、第二次の九州水害被害がありまして、本日五千万円であるという訂正の連絡がございました。ですから、島原鉄道は五千三百万円でございます。数字がお手元に差上げましたのと、けさのお話で少しトータルか合わないかと思いますが、新しいニュースで申し上げます。次に、大分交通千四百万円、門築土地鉄道が五百万円、筑豊鉄道が二千五百万円、船木鉄道二百十万円、山陽電気軌道、これは山口県にあるのでございますが、これが四百六十万円、和歌山鉄道、これは被害がないという報告が参つております。野上電気鉄道が四千万円、有田鉄道一億七千万円、これはほとんど全線流されたという報告になつております。御坊臨港鉄道一億円でございまして、そのほか全被害額といたしましては、西日本鉄道の一億四千百万円、南海電気鉄道の四千万円、京阪電気鉄道の百四十万円でございますが、資料の中にはこういう大電鉄は除いてございます。
  118. 林信雄

    ○林(信)委員 ただいまの御説明に関連してちよつと聞いておきたいのですが、おそらく経営の基礎の大きなものについて、特別法の関係から必要がない関係でここに計数があげられておらないと思うのですが、しかし、被害額は、今承りましてもわかりますように、厖大であります。これは実際問題として、こういう会社はそういう希望は述べて来ておらないのでしようか。それとも何とかならないかと言つて来ておるのでありますか。実際の実情はどういうふうになつておりますか。
  119. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 具体的に申し上げますと、今申し上げました大多数の会社は、自力復旧不可能であつて国家の補助を望むという電報を役所の方に打つてつております。その中で、南海あるいは京阪というようなところには具体的にそういう申出は聞いておりませんが、西日本にはそういう申出があります。
  120. 井手以誠

    ○井手委員 お尋ねいたしますが、いろいろな条件はありますが、復旧に要する費用の二割を補助するということになつております。その場合に、運輸省としては、どういうふうな基礎で二割というものを算出されるのか。査定をなさることは当然だと思うのですが、その辺の構想を承つておきたいと思います。
  121. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 電鉄に関しましては、従来この種の補助を五割やつてつたのでございまして、一応その前例に従つてやることになろうかと思います。それによりますと、一応電鉄におきましては、各会社が鉄道財団を構成しておりますので、その鉄道財団の原簿と被害後の現状というものを照し合せますと、被害状況は明らかになりますので、その範囲において従来は補助の額を決定しておりました。
  122. 井手以誠

    ○井手委員 帳簿ではなくして、現地について復旧費を査定される御用意はないか、その点を承りたい。
  123. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 その場合におきましては、運輸省及び、従来の例でございますと、それぞれの所管の官庁と共同で、全部現地について調査した上で額を決定しております。
  124. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま御説明を承りましたが、特に国有鉄道関係につきましては、他の省の関係と違つて、ここに国有鉄道の関係が六十二億という被害総額の資料が出ておりますが、この点については、公社並びに運輸関係その他の専門的な立場における調査データに基いた被害の総額であろうと思いますが、そういたしますと、この点については、これだけはどうしても復旧しなければならぬという数字だろうと思います。そういう点について若干お伺いしておきたいのでありますが、これは公社の関係特別会計の範囲内においてどの程度が復旧費として可能であるか、その点に対してどの程度のものを補填しなければならないものであるのか、これを第一にお伺いをいたしておきたいのと、いま一つは、国鉄の場合におきましては、ある程度原形に復旧すれば大体事足りるというような前提で、おそらくこのデータも出されているのではなかろうかと私は思うのであります。しかし、水害の実際の現況をつぶさに調査視察いたしてみますと、他の公共事業関係の堤防あるいは河川、道路といつたようなものと同じように、相当技術的にも考慮しなければならない問題があつて、必ずしも原形に復するということでは不十分な箇所が相当量あるんじやないか。地方的な問題にわたつてはなはだ恐れ入りますが、一例をあげてみますと、私の和歌山地方災害におきまして、紀勢西線の和佐駅あるいは切目駅の鉄橋が落ちました。その落ちた際にピアが飛んでしまつたのでございますが、そのピアが飛んだ原因は、ピアの数が多いために、そこにたくさんの材木あるいは家屋の流失、その他いろいろなものが堆積して、その圧力で押されて飛んでいるということが一つ、それからその橋付近の氾濫状態というものは異常な状況があるのですそこで現地の方では、ピアの数が少なければ、あるいはただ水が流れている川幅だけの鉄橋を架設せずに、ある程度その対岸まで、現在普通の堤防にしているようなところを穴をすけて、いま少しピアの間隔を広げてピアの数を少くすれば、これほどの大 濫に至うなかつたのじやないかというふうな、相当技術的な問題も出て来ているわけです。そういう点も精細にあげれば、おそらくこの数字以上のものが現われて来ると思うのでありまするが、そういう点について相当技術的にも考慮され、さらに予算的にも善処するような御意思をお待ちになつているかどうか、この点を第二点として御質問申し上げたいと思います。
  125. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 この数字は、例年災害復旧を見込みまして計上いたしております予備費をはるかにオーバーしておるわけでございますので、それの財源をいかに調達するかということを、ただいま国鉄当局において鋭意研究中でございまして、おそらく財源を他に求める方法を考えなければ、これだけの莫大なる額は調達できないのではないかという様子でございます。  第二の、復旧の場合に改良も考えた額を考えておるかという点でございますが、御指摘の通り、この数字は大体において原状に回復するという数字でございまして、根本的に災害を防止するために徹底した方途を講ずるというところまでは、遺憾ながらまだ至つておりません。そしてまた、それをやりますには、やはり相当の研究と調査を進めなければなまりせんので、この数字は、ほかの場合についても同様でございますが、あくまで七月三十一日までに判明いたしました仮の数字であるということを御了承願いたい一と思います。
  126. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま、私の質問に対しまして、改良復旧等の点については、この数字では考慮されておらないということでありまするが、私は、もしそうであるとするならば、これは相当考えなければならぬ問題であると思います。というのは、今私が指摘いたしましたように、私の見ました範囲においても、現地の技術家の人たちの話をいろいろ聞きましても、先ほど私が申し上げたような点については相当肯定せられておる向きがあるわけです。そういう現地の専門技術家の人々の意向が相当反映して参りますならば、当然これは改良の面まで及ぼしてもらわなければならぬということに結果的になつて参ります。その点を今もつて考慮されておらぬということになれば——再び今後こういう異常な災害が起らぬことを願いますけれども、起りましたならば、必ず今次の災害と同じような結果が、その鉄橋なら鉄橋の周辺においてもう一回その被害をこうむらなければならぬ、こういうことになりまするので、これは私は、やはり原形復旧と兼ねて、そうした改良の点をも——他の公共土木の関係については、今度は相当考慮を払われておるのでありまするから、国鉄の場合においても、当然払うべきである。従つて、それらの点については、被害現地を再度調査されて、単に原形復旧にとどまらず、それらの改良の点についても、むしろ本省からそうした技術的な指導も行うような措置をぜひ私はおとりはからい願いたい。いずれにしても、今のお話によりますれば、公社関係予算の範囲丙においては、これはむずかしい問題でありますから、恒久的にそうした点についてもこの際加えて、そうした万全の対策を今後においてとれるような、そういう見きわめてもつてつてもらいたいということを特に希望申し上げておきたいと思います。
  127. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 御指摘の通り極力努力いたします。
  128. 原茂

    ○原(茂)委員 地方鉄道の現下の経営内容を見ますと、非常に経営が順調に行つているところと、非常に経営が困難なところと、こういう二種類が大約あると思うのでありますが、そうでなくても、苦しいところは、一部的な小さな災害復旧するのにも、微々たる二割程度の補助では、この復旧に使うだけですでにその経営自体が困難になるのではないか。公共性にかんがみてやりたいが、どうしてもできないというような会社も、相当数出て来ると想像するわけです。従つて、今次災害補助額の算定にあたつては、経営内容の富裕の度合い、あるいは困窮の度合いを考慮された上で、この補助額の算定をなさるべきだ、かように考えるわけですが、当局ではさような算定の仕方をなさるかどうかをはつきりお伺いしたい。
  129. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 法律の文面から申しますと、出て参りました、だれが見ても妥当と思われる損害額がまずきまると思いますが、それの二割とはつきり書いておりますので、その間に操作をする、つまり水増しをしたり減らしたりするという操作は、非常に困難ではなかろうかと思われますが、私どもといたしましては、法律の許される範囲内において、極力実情に即するように努力いたしたいとは思つております。なおまた、これによつてわれわれが企図いたしております復旧が困難な場合には、あらためてまた次の国会にその改正をお願いするというふうにいたしたいと存じておるのでございます。
  130. 原茂

    ○原(茂)委員 法律の建前から当然だ、やむを得ないと思いますが、いやしくも鉄道事業の公共性を考えましたときには、今御説明のあつたような精神ばかりでなくて、当然そのことが起きて来るはずでありますから、ひとつ早期に、必ず次の国会あたりに出しまして、これに対する補助を新たに起すくらいの決意をお持ち願いたいと強く、希望しておきます。
  131. 田渕光一

    ○田渕委員 ただいまの辻原委員の質問に関連してでありますが、これからも台風が来ますので、現地報告に対してこういうふうな指令をしていただきたいと思うのであります。たとえば、この御坊の鉄橋でありまするが、これらはもちろん鉄道のピアの大きかつたことも大いに原因でありますし、さらに、奥地森林を輸送の計画の立たないのに切つておいたために流されて来た、こういう二者相まつておりまするが、こういう場合には、今度の災害では、原木が山くずれで流れておりますから、木材ばかりとは言えませんけれども、ともあれこれだけやられた。これを回復するのにはすぐいるというふうな報告でなく、よつて来るところの原因を考えて、その体験からしてこうしなければならぬというような見込みも兼ねた報告をするようにしていただかぬと、またこういう問題が起きて来るかと思うのであります。これを、辻原委員の御質問に関連して、ひとつ希望としてお願いしておきます。  それから、私は、この機会に、今回の海上保安庁関係で運輸省に深甚の感謝を心からささげなければならぬ。ということは、和歌山水害に対しまして、神戸の海上保安本部のあれは第五管区ですか、あげて総動員をして、機敏な処置で、人員輸送、救援物資の輸送に対して、昼夜をわかたず、本部長並びに各担当官が県庁に詰めかけて、非常に熱心にやつてくれた。この点に対しては、県民はあげて感謝をいたしておるのであります。この機会に厚くお礼を申し上げておきます。  そこで、この海上保安庁関係の損害でありますが、たとえば流木等で航行不能の状態にあつたときにやつておられるために、船が相当いたんでいやせぬかということも私たち考えております。あれだけの長い間非常に救援に御協力くだすつたのですから、その損害もこの中に入つておるのかどうか。たとえば、私と辻原委員が、特に緊急を要するために、連絡がつきませんからお願いをいたしまして、由良港から下津港へ特に行つていただきまして、救急の場合の連絡をつけたということもあるのであります。たとえば由良港に碇泊するよりも、下津港、和歌浦港に碇泊して次の物資を運んでいただきたいと言つて、無電で指令を受けてやつていただいたこともありますので、そういう損害が入つておるかどうかということを承りたいのが一点であります。もしこれになければ、これは見てやらなければならぬと思います。  それから、港湾関係でありますが、従来日高の御坊港は御坊町にあつたのでありまするけれども、近距離の松原村と向いの塩屋村の堤防によつて運営をやつてつた。ところが、今度の天田橋のあの決壊によりまして、一瀉一面になつてしまつた。こういうような御坊港をやる場合には、御坊町長のみならず、付近の松原村長あるいは塩屋村長と自治体が、三つ関連して御坊港の修築をやらなければならぬ、こういう場合に、港湾関係ではどういう構想を持つておられるか。以上の三点を伺いたい。
  132. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 海上保安庁の隠れたる努力に対して、いろいろ思いやりの言葉をちようだいいたしまして、非常に感謝いたしております。現地に働いておりまする一同によくその趣旨を伝えたいと思つております。  ここにあげました数字は施設周域等の被害だけでございまして、ただいま御質問のようなものは含んでおりません。  それから、港湾の二村以上にわたります修復につきましては、実際問題といたしましては、連合でもつて処理いたしております。実例に従つて処理されるものと存ずるのであります。
  133. 世耕弘一

    世耕委員 私は国鉄関係についてお尋ねいたしたいと思うのであります。紀勢西線が水害のために破壊されてから、これを復旧するのにどうしても二箇月かかる。九月の半ば過ぎにならないと、鉄道の連絡がつかぬというようなことを聞いておるのでありまするが、昔ならいざ知らず、最近における科学技術の進歩した時代に、工事進捗が少し長過ぎはしないか、この点は、どういう支障でそういうふうに長くかかるかということを聞いておきたいと思う。  なおまた、もう一つは、最近の水害にあわせて一つの例を申し上げますと、岩出町の事件であります。岩出町の町長の取扱いが非常に機敏であつたがために、わすか数十俵の士嚢で町の水害を防いだという事実もあります。だが、日高川その他が氾濫してピアが飛ぶだろうというようなことは、鉄道関係では当然予知しなくてはならないと思う。それを防止がなぜできなかつたのか、できなかつたなら、そのできなかつた理由——私は、他の河川にかかつておる鉄道のピアと比較いたしまして、きわめて貧弱なピアが設置されたように考えるが、この点について説明が願いたい。  なお、時間を省略する意味においてもう一点申し上げたいことは、御坊町の臨港鉄道に対する損害が、ある程度補償せられるであろうということは想像できます。あの御坊町の臨港鉄道の路線を歩いてみますと、あの路線があつたために、かえつて御坊町の浸水を片一方の方に押しやつたというふうにわれわれには考えられる。それが、もし復旧しようという意味で、依然として同じような路線をあそこにつくるということになりますと、御坊町の将来の水害の予防ということは改められないんじやないかと思う。また、有田鉄道の路線を見ましても、ほとんど新たに路線をつけると同様なくらいに荒廃状態になつておる。だから、将来は水害があることを予想して、これに対応すべき新線を考えて、それにある程度の補助なり御指導があつてしかるべきだと思うが、そういう問題に対してはどういう御方針であるか伺つておきたいと思う。
  134. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 国鉄職員といたしましては、災害が発生いたしました際に、全力をあげてこの防止に努力すべきことは当然でございますが、今御質疑になりました箇所につきましては、はたしてそういう処置をとつたかどうかは、ただいま資料がございませんのでお答え申しかねますが、御必要であれば、後ほど先生のところまで御通知申し上げたいと思います。  御坊臨港の今後のことにつきましては、国鉄部長からお答え申し上げます。
  135. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 御指摘のように、御坊臨港鉄道及び有田鉄道につきましては、ほとんど致命的打撃でありまして、この復旧作業は新線の敷設にも比すべき作業ではないかと私の方では考えております。それで、ただいま路線のあり方が将来の水害に対して害をなすのではないかという御指摘でございますが、実はその点にまで役所といたしまして十分調査をいたしておりませんので、その件に関しまして確定的なお話をいたしかねるわけでございますが、もしもそういうことで、会社自身が新しい線路をまげてつくりたいということでございますれば、現行法のもとにおきましても、そのほかの線を認めるということは可能でございます。但し、その際に、たとえばこの件案にありますものは、原形に復旧する費用に対して補助をするわけでございまして、新しい線路を敷く場合には、土地の買収その他がかかりますが、そういうものに対する費用は、この法案からは出にくいということをつけ加えまして、御説明といたす次第であります。
  136. 世耕弘一

    世耕委員 この関のような、ああいう水害ばかりではなしに、台風等による被害が頻発する場合には、当然橋梁その他の方面に鉄道の警備員が配置されておつたと思うが、この間は配置されておつたかどうか。御承知通り、紀州は、大水害があつたら、必ず材木あるいは原木が流れて来るということは、言うまでもないことなのであります。そうすると、第一番に鉄橋を襲われるということは、だれでも常識的に考えられることである。そうすれば、水害に対して鉄道の鉄橋を守る警備員の配置というものがあつて、しかるべきものだと思うが、そういう点が十分監視されておつたであろうか。これは昨日も運輸委員会でお尋ねしたのでありますが、施設局長は、あれはやむを得なかつたんだというように言つておりますけれども、私どもの調査するところによると、やむを得ないのではない。あれは十分の注意が足りなかつたんだという結論がどうやら出そうなのであります。このように重大な国鉄の損害が、数名の警備員によつて保護されるというようなことは、過去において鉄道警備員によるところの功績がたくさんあると思う。私はかつて、旭川の氾濫のときの視察をいたしましたときに、鉄道警備員が非常な犠牲を払つて真剣に警備に当つたがために、あの大きな鉄橋が当然落ちるであろうというのを、落さないで守つた例がある。こういうような点からしまして、紀州沿岸の橋の落ちるというようなことは、どうも不審でならない。警備員が足りなかつたのではないかということが考えられる。但し、こういう言訳ならできる。それは、電話の連絡がなかつた、電話が切れてしまつたという説明を受けておりますが、御坊町の奥地から電話があつて、大水害になるぞ堤防が決壊するぞということを知らして来たのであるけれども、これはただ個人的な警報であつて、十分に警戒ができなかつた。もしサイレンがないなら、なぜ半鐘を打たなかつたかということを質問したところ、実は半鐘はなくなつたのだということです。これはあまりに科学にたより過ぎた結果、そういうような不自然な結果を生み出すのではないかと思います。     〔綱島委員長代理退席、委員長着席〕 わずかの努力によつて大きな損害が食いとめられるという幾多の例があげられられると私は思うのであります。この点に対して、鉄道はどう考えておるか、今後の心組みもありますから、念のためにお尋ねし申上げる次第であります。
  137. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 私、ただいまの御質問に対しましては、紀勢西線に対しまして十分伺つておりません。私は実は西日本水害対策本部に入つておりまして、九州水害につきまして輸送関係を担当しておりました経験をお話し申上げまして、少しピントがはずれているというおしかりを受けるかもしれませんが、御説明申し上げたいと思うのであります。  ただいまと同じような例が、西日本鉄道の筑後川の橋梁に起つたわけであります。御存じのように、西日本鉄道の鳥栖と久留米をつなぎます筑後川の橋梁には、ほとんど一万石になんなんとする木材が七メートルにわたりましてたまりまして、その関係上スパンを突き上げまして、三メートルほどスパンが横にずれたという例がありまして、いろいろその調査いたしたわけでございますが、まず第一に、なぜそういうことになつたかと申しますことは、西鉄の路線がありまして、その上に国道、県道の橋があるわけでございます。そうして、大体鉄道線路と国道あるいは県道というものは、橋が割合に近接して並んでおるということが大体の通常の例でございまして、その場合にどうして鉄道の橋が落ちたのであろうかと見ますと、われわれの目で見れば西鉄の橋梁の方が頑丈にできておるのに、上流が助かつて下流が流れた。鉄道の鉄橋というものがそういう場合に一番被害を受けますのは、まず第一に木材の流れで、それをピアにぶつからないように流すということが、その場合に警備員のなすべき仕事なのであります。ところが、地方の住民の方、これは非難するわけではないのでありますが、何と申しましてもああいう場合にはねこの手も借りたいようなわけでありまして、そのときに動員するだけの十分の警備員も持ちませんので、どうしても小人数になりまして、五人とか六人とかそれを各所に配置しておるのであります。そういうわけで地方の住民の方がみんな木材を流してしまう。そうしてだんだん西鉄の橋にたまつて参ります。もう一つ鉄道の場合には、そのいう作業をするのに非常に不向きでございます。なかなか足場が悪いので、結局最後までやつてみたけれども、だんだんみりみりいつて参りまして、自分の命があぶなくなつてしりぞいて、しばらくしてみりみりといつてしまつたというような状態になるようなわけでありまして、国鉄はもちろんでしようが、会社といたしましても、そういう場合の非常警備体制というものはどこでも持つております。またそういう場合には、各地区からの応援も出すことになつております。ところが、私も初めて各地をまわりまして経験したのでありますが、大体水害はほとんど三十分とかあるいは一時間というように、あつという間に起るわけであります。手配をしている間にもう間に合わないということも多いのでございます。それでも、もつと対策を迅速にやるべきだと考えておりますが、いろいろ御指摘になつたような点につきましては、今後とも鉄道としましても十分研究しなければならないと思うのでございますが、私の経験しましたところでは、いかにもやむを得なかつたのでないかというような印象を得て帰つて来たわけでございます。世耕先生の御指摘の点につきましては、将来ともそういう場合が非常に多いと思いますので、さらに、いかにして安全に鉄路を守るかというとうとい御教訓は鉄道方面に伝えまして、十分科学的に検討して今後に処したい、かように考えております。
  138. 世耕弘一

    世耕委員 今のお話で大体了承はいたしましたが、やむを得なかつたということは知恵がないということなのです。実は紀州の水害は夜明けから起つたのであつて、しかも盛んなときは昼間の八時、九時です。だから連絡は幾らでもつく。ことに突然津波が起つたのではない。奥の方で降つているならば、奥の方の鉄道からは連絡がおのずからつかなければならぬ。そういういわゆる組織的な連絡がなかつたということを私は申し上げることができる。研究の余地が十分あるということを実は私は考えて、今後さような手抜かりのないようにしていただきたい。関門鉄道の問題でもそうです。あれも敏捷な頭の持ち主であつて、きのうは入口にハツパをかけたらいいじやないかといつたのですが、ハツパをかけるまでもなしに、どろを積みさえすればあのくらいを食いとめるのは何でもありません。結局災害に対するふだんの訓練が不十分である。ことに紀州のごときは、年がら年中と申し上げてもいいくらい台風の襲来するところであります。私は特殊性のある警備とその方法が必要ではないかと思うのです。新宮地方の調査をしますると、御承知通り新宮地方では、金高にして約一億ばかりの材木を貨車に積んだまま動かない。今業者は材木百万石ばかり流したが、そのあとでさらに貨車に積んだ材木はどつちへも持つて行くことができず、そのまま積んでおるというような実情であります。一つの頭の働きいかんによつて鉄橋を守ることができる。あるいはまた急速に復旧することによつて、いかに地方の産業あるいは国営企業を復元するかということが、重大な問題だと思うのです。ただ橋一個の問題じやない。そのことに付随するいろいろな経済動脈が切られておるのだということを十分御認識くださいまして、至急の機会に、今後さような場合に対応のできるような御用意をしていただきたいということを、特に地元民としてお願いしてやまないのであります。
  139. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま部長の方から災害の予防に対しての御見解がありましたが、その問題に対してはるる世耕委員の方からお話がありましたので申し上げませんが、今世耕委員からもお語いたしましたように、ともかく紀州には国道は一本、鉄道は一本でございます。これによつて地方の産業の遅滞することはもちろんでございますが、先刻来からもいろいろ討議されている緊急な災害復興にいたしましても、この鉄道の復旧が遅延することによつてまことに致命的な影響を受けております。従つて、先ほども承りますれば、紀勢西線につきましての御認識はあまりないようであります。ともかく現在のところ二、三箇所の橋が復興いたしますならばこれは漸次全通という運びに相なりますので、かような問題は先ほど私が指摘いたしました点もありますから、この点は十分御検討いただきたいと思います。ともかく、これは来月ないしは再来月一ばいかかるなどという悠長なことではとても問題になりません。これはいろいろ技術的なくふうをやれば相当早く通ずるという話も聞いておりますので、早急にこの点を厳命していただきたきまして、ここしばらくの間に、かりにでも通すような方東を至急に講じていただきたいということを、特に申し上げたいと思うのであります。  第二は、これまた先ほど田淵委員の方からお話がありました海上保安庁の問題につきましてであります。私たち現地においていろいろ考えさせられたのであります。一つは、先ほどのように、ともかく緊急な場合——陸上におけるあらゆる交通機関、あらゆる連絡機関というものは全部杜絶してしまう。残されておるのはわずかに海上の輸送あるいは海上の連絡だけであつたわけでありますが、その場合、一般の漁船、帆船その他のものは流木その他で動けない。最後は、幸い鉄船を持つている海上保安庁のみが唯一のものであつた。私どもが、災害直後に現地に参りまして、現地の事情を見ると、全然地方における対策本部の把握とは異なつている。そうしたときに、急いでその実情を伝えなければならぬし、また緊急の対策の手を打たなければならぬので、私と田淵代議士が相当強引に海上保安庁の船の移動方を要請した。それが現地においてそのまま受入れられて、適宜な措置をとつていただきましたことについて、われわれは非常な感謝をしております。この点については、私たちが会いました船長並びに第五管区の人々は非常にそうした認識が深かつたために、幸いその事情もつぶさに伝えることができましたし、輸送関係においても万遺憾なきを得ましたけれども、もし中央の指令を待つとか、あるいは適宜処置はなかなか独断ではやれぬといつたような、通り一ぺん、型通りのことを申されておつたならば、非常な支障となつて、緊急災害対策について重大な問題が発生書したと思つております。そこで、第五管区の人々並びに現地の海上保安庁の船の人々に対して、深甚なる感謝を申し上げるとともに、今後でき得る限りそういつた臨機の処置をとり得るように、そういう手配をこの際特にお考えおきを願いたいということを申し添えておきたいと思います。  それから、最後に一点、これもまた考慮願いたいのでありますが、実は現地の国鉄関係対策本部に参りまして、駐在運輸長と申しますか、そうした人々に会つて種々懇請したのでありますが、受入れられなかつた問題がございます。というのは、緊急な事態の場合に各方面からいろいろな形でいわゆる奉仕隊が派遣されます。また自主的にも出て参ります。ところが、その奉仕隊が出るについての輸送の資金というものは、緊急の場合なかなか持合せておりません。またそれを町村ないしは県から出そうとしても、緊急の場合これはなかなか至難の問題でございます。そこで、国鉄関係以外のトラツクあるいはオート三輪等は、各方面の協力を得て無賃の奉仕を願つたところもたくさんございました。その場合、幸いにその救援に行きますところの手前までは国鉄が続いておるので、そこで国鉄がある隊を限つてその輸送に無賃の協力をしてくれたならば、陸続と奉仕隊が編成できたわけでありますが、その点どうしても現地においてはそういうとりはからいができないというお話であつたので、非常に困りまして、せつかく編成した奉仕隊も、金の面で相当やめなければならぬという問題が発生したのであります。こういう点について、国鉄公社の経理状況もありますし、困難な問題でありますが、期間を区切つてでもよろしい、またそれを種にして便乗する者が出るのではないかという心配も確におありになると思いますが、当該対策本部長並びに市町村長等の厳密な証明によつて、適宜な乗車をせしめることができるような方法をお講じ願えれば、今後こういう異常な災害が起つた場合におきましては、その不幸に対して周辺から奉仕隊が陸続と繰り出して、ただちに現地においてのある程度の助け合い運動と申しますか、そうしたものが可能になると思うのでありますが、こういう点も現在の場合においてはできないのであるか。またそれは、国鉄がいわゆる公社なるがゆえに、経理的な問題が発生して全然不可能であるのか。その辺のところを承つておきたいのと、もしできないとなれば、そうした点については今後何らかの便法をおとり願うような方法を——これは今つくつている災害立法と同じ程度に、救援についての非常に重要な問題であると私は思いますから、何らかの措置をお構じ願えるかどうかをお答え願いたい。
  140. 壺井玄剛

    ○壺井政府委員 紀勢西線を早く通しますことについては、重ねて私どもの方から国鉄公社の方に要請することにいたします。また保安庁の努力に対する感謝を重ねてちようだいいたしまして、ありがたく現地の者に伝えることにいたしたいと思います。国鉄が災害の場合に無賃で一切サービスしたらどうかという御質疑の点は、現行法の範囲内におきましては、罹災者の輸送であるとか、あるいは緊急な物資の輸送でありますとかいうものにつきましては、相当思い切つた制度がございますが、今御指摘のように、これをさらに広くして、奉仕団の緊急輸送というようなものを全面的に投入するだけの余裕があるかどうかということにつきましては、さらに研究いたしまして、極力善処するようにいたしたいと思つております。
  141. 大久保武雄

    ○大久保委員 私は、鉄道と関連いたしまして、これは建設省関係になるかもしれませんが、鉄道と並んだ非常に大土木であるところのダムの問題について、ちよつとお尋ねいたします。  先般一度この委員会でダムの問題について河川局長の御答弁を得たのでありますが、今回の水害にかんがみて、治山治水問題を解決するためには、どうしても将来ダムの建設を方々でいたさなければならぬ。阿蘇にいたしましても、各方面においてこういう問題が検討されているだろうと思つております。しかるに、今回の災害におきまして、大分県の夜明に起つたダム問題につきましては、先般河川局長から若干御説明いただきましたけれども、それまではきわめて不明確であつたように私は考える。そこで、洪水対策としてダムの建設はきわめて必要である。またこれはなさなければならぬ。しかるに、夜明では、ダムを建設したがために被害があつたということになりますと、今後、熊本県にいたしましても、あるいは佐賀県にいたしましても、あるいは和歌山県にいたしましても、各県の治山治水上ダム問題をいかに取扱うかということは、きわめて重要な問題になつて参りますから、この際河川局長から、今までにわかりました資料に基いて、できるだけ明確にこの問題についての調査の結果の御所見をこの際公表願つておきたい、かように考える次第であります。
  142. 米田正文

    米田政府委員 ただいまの御質問について、現在までに判明をいたしております実情お話申し上げます。  実はこの問題は、災害の発生当初から、地元における非常に重大な問題として取上げて参つて、調査を続けて来ておるのでございますが、また一面関係福岡県及び大分県においても、調査を進めておるのでございます。現実には、福岡県では、九州大学の工学部長を委員長とする調査委員会をつくつて発足をいたしておるのでございます。主として土木教室の教授をメンバーにいたしまして、なおそのほかに建設省九州地方建設局長及び気象台の所長をメンバーに加えておるのでございます。会社及び県庁等の当事者はその委員会に入つていなくて、純粋の科学的な調査をするという意味がそういう人選をいたしておるのでございます。大分県側においても、同時に同じメンバーの委員会を別個の立場で設置する予定で、現在進めておるのでございます。まだ設置いたしたということは聞いておりませんが、さように現地においても委員会をつくつて現地の水位、水量の関係、その被害関係について詳細に資料を検討中でございます。われわれの方にもいろいろな資料が出て参つておるのですけれども、ああいう当時の資料でありますので、いろいろと資料そのものが必ずしも適切でないようなものも出て参るので、その取捨選択、検討というようなことで相当今時間をとつておるのでございますが、現地におけるさしあたつての処置としては、私どもの受けております報告によりますと、福岡県及び大分県の知事の名前で、九州電力株式会社に対して、それぞれ別個に通牒を出して、ダムの新設工事の中止方を申し入れておるのでございます。但し、その趣旨は、完全な堰堤工事の中止という意味ではなくて、工事中の工事危険を防除するという意味の処置でございます。たとえば内容を申し上げますと、現在施工中の門扉は、中央三門を七月二十五日までに全開するように——全開というのは、できるだけ早く上につり上げてしまえ、こういう意味でございます。残りの未完成の門扉は、これを引上げるか、または引上げが困難ならば撤去をしろというようなことを書いた通牒を出しております。これは福岡県知事が九州電力の社長にあてて七月二十日に書類を出しております。なお、大分県知事の職務代理者として、副知事名で九州電力の社長にあてて、そのちよつと前の七月十五日付で通牒を出しおります。これはいろいろ口頭で堰堤工事の洪水に対する処置を指示しておるが、その後会社のとつた処置を詳細に至急に知らせろというような内容になつておりまして、その処置に従つて今後の工事の指示をするというのが趣旨になつております。なお、今後の設計の変更等を協議をしたいという意味を持つております。そうしてこういう指示ができるまでは、工事を一時中止することというようになつております。現地状況は、こういう趣旨を体して、会社側は門扉三門は現在すでに引上げを完了しております。主部上まで引上げておるのでございます。その他災害復旧に属する工事は極力進めておる現状であります。そういうような処置が現在とられておりまして、その報告建設省として受けておるのでございます。また洪水の危険があり、今後出水の危険ありということに対する処置としては、やむを得ざる処置であるが、なるべく早くその洪水対策の処置を具体的に指示するようにに、建設省としては両県に申しておるのでございます。  今度夜明のダムで一番水位が高くなつた水位は、ダム地点における目盛りで読みますと、六十二メートル三十センチということになつております。これは非常に高い水位になつております。というのはこれは目盛りの基準が海抜になつておりますために、こういう非常に高い水位が出ております。そこの川底から申しますと、十六メートル八十センチということになるのでございます。そこでこのとき水量が一体幾らあつたかということでございますが、私どもは一応一秒間に八千六百立方メートル流れたというように仮定しております。これはまだいろいろな資料が整備いたしておりませんので、なお検討の余地があるのでございまして、今後修正をいたすことになるかもしれませんのでお含みおきを願いたいと存するので、あります。それで一応八千六百と仮定をいたしてみました。ところがこのダムは、計画の当初、許可を出すときに指示をいたしましたのは、計画洪水量は七千でよろしい、これは筑後川の改修計画全体が七千として今後やるから、計画上はこのダムも七千でよろしいという指示をいたしたのでございます。そこで七千まででこの洪水がとまつておれば問題はなかつたのですが、非常に異常な豪雨のために、それが八千六百流れた、われわれはこういうふうに今のところ解釈をいたしておるのであります。すなわち千六百立方メートルという水の量だけが計画より多かつたのであります。今七千立方メートルと申し上げましたが、この一秒間に七千立方メートルの水量は、ダムが完成しておつて計画通り門扉を全部一番上まで引上げておつたという状態になつたときの水位というものは、計画上は五十八メートル八十五センチであります。川底から申しますと、大体十三メートル三十五センチでございます。これが計画でありましたので、上流側はこの五十八メートル八十五センチという高さを基準にして、それよりちよつと余裕を見て、六十メートルまで上流は全部買収をいたしておつたのでございます。そこで、われわれの計算としては、この一番高い水位として計画してあつた五十八メートル八十五センチというものは、今度の水位では六十二メートル三十センチになつたのでございます。結局三メートル四十五センチだけ計画の水位より上つたのでございます。この三メートル四十五センチだけ上つたということが問題でございますが、しかしこの三メートル四十五センチだけ上つたという理由は、今申し上げましたように二つの理由からなつておるのでございまして、一つは水の量が計画より多く出たということと、それから門扉が上に上らずに下の方に沈んでおつたという理由であります。この二つが重なつて三メートル四十五センチという水位が計画より上つた解釈をいたしておる。それでは、その割合はどうかと申しますと、われわれの方の計算では、そのうちの二メートル分だけは水の量が多かつたために上つた水位だ、一メートル四十五センチが門扉がとじておつたために上つた水位である、それで合計三メートル四十五センチが今度の洪水において計画よりも上つた水位であるというように、計算をいたしておるのでございます。これも、先ほど申し上げましたように、基礎的な数字がまだ不明確な点がありますので、一応のわれわれの仮定としての計算でございます。  そこで、こういうように洪水のために三メートル四十五センチの水位が上つたのでありますが、ではそれが上流にどういう影響を与えたかと申しますと、ゲートがしまつてつたために上つた水位がどこまで影響したかという点でございます。これは非常にむずかしい問題でありますけれども、一応水利的に計算をしてみますと、大体ゲートから上流二キロ程度までであろうというように考えております。あそこに大肥川という支川が右側から流れ込んでおりますが、その下流数百米のところまで逆流が影響をしたであろうというように考えております。従いまして、ダムから上流地帯では、その二千メートル前後の区域における水害については、このダムがとじておつたがために影響を及ぼしたであろうというように考えられるのでございます。なおしからば、下流にはどうかという点については、まだ結論が出ておりませんが、下流については日田の地区における時間と流量の関係、すなわち二十六日の初めから二十六日一ぱい、二十七日にかけて毎時間の流量の関係が必要であり、それから夜明のダムにおけるそれが必要であり、下流の杷木町における資料が必要になつて参ります。一応資料はございますけれども、ああいう洪水であつたために、観測等が正確にとれておらぬといううらみがありまして、正確な計算ができないために、われわれの調査も遅れておるのであります。しかしながら、そのゲートが上らなかつたために水位が上つて、両岸から水が溢水し始めたのは、二十六日の午前三時ごろからでございます。そうして水位がだんだん上つて来て、次第々々に決壊が大きくなつたのでございます。それで一時にあの決壊が起きたものであれば、下流に対して非常な影響があつたであろうということは想像されます。しかし午前三時ごろから十五時ごろにわたつて、すなわち十二時間にわたつて次第々々に決壊品が拡大をされたのでございます。そういう状態にありましたから、結局上流から来るところの水が一時にダム・アップされて、それが急激に下流に流れたというような状態ではなかつたように、今日のところ考えられるのであります。従いまして、われわれとしては、下流については、上流の夜明のダムが下流の水害について非常な影響を及ぼしたというようには考えられないのでございます。すなわち著しい影響があつたとは考えられないと思つておるのであります。なぜなら、先ほども申し上げましたように、二十六日の午前三時と申しますと、まだ小さな洪水が来たときでありまして、当時の水の出方をながめますと、三十六日の十二時から十五時に至る間に一番水位が高くなつて現われておるのでありますが、その前に午前三時ごろ小さい洪水が一ぺん現われて、そしてそれが下つて、また水位が上つたのであります。そういう状態でありましたから、一時洪水を貯留さしておいて、そして両岸を決壊して急激に水を流したという状態ではなかつたように思います。現在のところそういう調書が出て来ておりますが、これらについても、先ほど申し上げました現地の調査委員会が詳細に今後研究をいたすようでございますから、それらの結果をまつてなお詳細に御報告を申し上げたいと思います。概要は以上の通りであります。
  143. 大久保武雄

    ○大久保委員 ちよつと念を押しておきたいと思いますが、今の御説明で、決壊は午前三時から午後三時にわたりまして順次起つて来た。そこで、下流に対しては自然に増水して来たから、決壊による下流流域に対する洪水被害というものは非常に大きいというようには考えられない、こういう意味だと解してよろしゆうございますか。
  144. 米田正文

    米田政府委員 大体そういう趣旨で私もお話申し上げたつもりでございますが、あの両岸が決壊したときに、両岸にありました家屋等に相当な影響を与えておりますので、それらのダム付近の災害については相当影響したと思いますけれども、それからずつと下流に至るところの影響は、ただいまお話のような趣旨で私はお話申し上げたのであります。
  145. 大久保武雄

    ○大久保委員 この点は今後の治水問題についてきわめて重大でありまして、ダムをつくつたがゆえに、流域地帯が洪水の際にかなり脅威にさらされるということになりますと、今後の治水上きわめて重大な問題として検討されなければならぬ。私はダムは治水の一つの重大な政策であると考えます。ダムはむしろ流量を調節するものである。そこでダムは治水対策のためにつくるべきものである、かように考えております。今の河川局長の御説明によると、下流地帯に対しては、ダムを建設したがために起つた被害は認められない。ただ上流に対して雨量が計画よりもきわめて多かつた、そのために浸水区域が出て来た、かように考えているし、またさような御説明であつた考えております。さように了解してよろしいかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  146. 米田正文

    米田政府委員 さような趣旨でございます。
  147. 林信雄

    ○林(信)委員 夜明ダムはまだ未完成のものであり、日時の経過が浅いので、これは別といたしまして、私のお尋ねせんといたしますのは、相当年月を経過いたしました営利会社なりあるいは公共団体の所有いたしますダムの管理、これはそれぞれ所有いたしますものが管理いたしておるのでありますから、直接国家として管理をやつたと言えないのかもしれませんが、いずれにいたしましても、国家相当の監督をなさる必要があるのじやないかと思う。現在においてもその監督はなされているか。なすべき権限を有しておつたものでございましようか。そうでございますならば、あらましどういう監督がなされておつたかということが一点と、今度の水害問題で、実はその管理上の問題から、具体的に申しますと、非常に洪水量の多いときに水門を開いたために、氾濫寸前、もしくはそのために氾濫いたしまして、下流の損害が非常に著しいものがある。すなわち、護岸を流し、堤防を流し、橋梁を流し、邸宅を流しているのであります。そして今度の被害がその水門を急に予告なしに開いたことによつてつたのだときめてしまつて地方問題になつておるところもある。そういたしますと、そういうことはあらかじめ管理の面に周到なる監督がなされたならば、将来ともその被害をまことに少くし得るじやないか。もつとも私の愚鈍な頭で考えまするに、これは私有財産なんだから、この際に水門を開かなくてはならぬと考え、あるいは暫時よろしいと考え、いろいろ考え方もあろうし、あるいは時期を誤つたと思つても、今開かなければ堤防は決壊してしまうということになりますと、司法上の関係から参りますれば一種の緊急避難行為である、自己の生命財産についてやむを得ない行為であるというならば、これは何人も異論が言えないことにもなろうかと思います。損害を別にいたしまして、これを未然に防ぎますることは、管理の適正ということがまず考えられなければならぬと思いますが、それらの点に関しまする在来の関係とあるいは今後の方針とございましたら伺いたい。
  148. 米田正文

    米田政府委員 ダムの管理は非常に重大な問題でございまして、実はわれわれといたしましても、今後ダムを築造する計画が非常にたくさんございます。のみならず、その他の県営あるいは会社営のダムも非常にたくさん計画を今日持つておるのでございます。ダム管理の問題は今後の重要問題としてただいま研究をいたしております。ただ、現行法はどうなつておるかと申しますと、河川法によつて、水利権の許可及び工作物の設置許可をいたすときに、その許可条件として洪水処置を公益上の見地から付しておきまして、その実際上の取扱いは各府県知事をして監督の実施に当らしておるのでございますが、従来はそれでも大体行けたのでございます。というのは、ダムの数がさほど多くなかつたので、最近のように非常に多くなり、かつその個々の間にまた関係を持つというようになつて参りますと、必ずしも府県知事にのみゆだねておくことが適切なりやいなや、非常な疑問を持つて来ておるところもございます。そういう点は、今後国が直接管理をするというような地点が出て参ることを予想いたしまして、そういう関係立法もいたしたいというので、現在実は研究をいたしておる途中でございます。たとえば今度できました北上川の上流の胆沢川のダムの管理は、国が建設省直轄で管理をいたすことになり、なお古くからやつておりますのに淀川の上流に南郷の洗堰というダムがございますが、その管理は明治の末期以来建設省の直轄で管理をいたしておるわけであります。そういうように、今後重要なところにおける管理は直接国がやるというような態勢も、ある部分では必要になつて来るという点について今研究中でございます。
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 実は私は、夜明ダムの問題について調査して発表していただくように、ずいぶん前から本部長に要望しておりますけれども、まだ出ません。本日幸いに夜明ダムの中間報告がありましたので、その機会に一、二点関連いたしまして質問いたしたいと思います。まず河川局長に聞きたいのは、夜明ダムの認可はいつあつたかということをお聞きしたい。
  150. 米田正文

    米田政府委員 建設省から認可をいたしました日付は、ことしの五月の十八日でございます。それを受けて、県が会社に対して許可をいたしたのが六月の一日付になつております。
  151. 稲富稜人

    ○稲富委員 夜明ダムの工事はいつから始まつたか御存じでございますか。
  152. 米田正文

    米田政府委員 これは私ども実は何日かということを正確に承知いたしておりませんが、大体向うの許可以前に相当前から着手いたしておつたという事実を承知いたしております。
  153. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、夜明ダムは認可のある前にすでに工事を始めておつたということはお認めになつておりますか。
  154. 米田正文

    米田政府委員 認めております。
  155. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、こういうものは、認可をする前に工事をやるということはどういう結果になるのでありますか、それに対する政府の見解を承りたい。
  156. 米田正文

    米田政府委員 これは建前として、許可があつて、許可が完了して実施に移るのが当然でございますが、ただ、最近の実情は、会社が許可申請書を県に出すのでありますが、県に出してから、その許可申請書をさらに建設省に対して認可申請をして参り、その認可申請をするまでに、現地の承諾書と申しますか、現地関係町村部落の同意書をつけて参るのであります。その折衝を現地と始めるわけですが、だんだんその折衝に時間をとり、もう提出したのはずいぶん前になるというようなことで、会社側としてはぜひ許可前に着手をさしてもらいたいということを、事実問題としては県に要請をしておつたのであります。県としても許可前に実施することはいけないという建前でおりながらも、今日また一面電力開発を促進するという面があつて、そういう面からも、大体の現地の情勢の見通しがつけば、黙認をしておるという実情であつたろうと私は解釈をいたしております。
  157. 稲富稜人

    ○稲富委員 実に意外な見解を承りまして、もしも、ただいまの局長の御弁のごとく、認可する前に仕事にとりかかられておる——認可というものはそんなにいいかげんなものであるかどうか。今の局長の話によりますと、認可より前に仕事にとりかかつておるという事実は認められておるのでありますが、そういう事実を認めて、なぜ中止を命じなかつたのか白いかなる事情でそれを容認したかというその見解を承りたい。
  158. 米田正文

    米田政府委員 実際上工事に着手をしておつた間に、県はいかなる処置をとつてつたか、まだ十分調べておりませんけれども、多くの場合は、そういう場合には土木工事取締規則によつて一応処置をするというようなことが多いのでありますが、その点についてはさらに調べてお答えをいたします。
  159. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは過去のことでございますが、もしも認可が五月十八日あるいは六月一日にあつたとしますならば、認可があつた後に工事にとりかかつたとするならば、このたびのような問題も起つていないと思う。もちろんこれは結果から論ずる問題でありますけれども、認可前に仕事にとりかかることを認容する、しかもこういう問題が、起つて実に意外と思うのでございますが、これはいずれ建設大臣にその責任をあらためてお聞きしたいと思うのであります。さらにしからば、この工事は認可があつたとするならば、認可のない前に工事をやつた。あなた方が認可をせられたときはすでに工事を始めておられた。その設計ははたして認可通りの設計が行われておるかどうかという事実を承りたいと思います。
  160. 米田正文

    米田政府委員 認可書の通りに現在の工事が行われておるかどうかというお話でございますが、これは私どもとしては、第一次監督として知事が見ておりますので、われわれとしては厳重にさようにとりはからつておると信じております。
  161. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではただ知事のそれだけをお認めになつて、内容に対しては調査しないで認可なされておるのですか。
  162. 米田正文

    米田政府委員 もちろんこういう調書が出参りますと、いろいろ技術的に問題がありますので、いろいろ検討いたして、必要によつて現地に視察に参つて計画を見ておるのでございます。しかし、今のお話工事に着手して、それが設計通りに行つておるかどうかという点についての毎日の監督については、各府県が担当いたしておるということを申し上げたいと思います。
  163. 稲富稜人

    ○稲富委員 私たちがしろうとで見ましても、あの夜明ダムをつくるのに、あれだけの川をせきとめてダムをつくるのに、放水路の設備がない。実に危険な設計だと思うのでございますが、こういうことに対してあなたの方ではお気づきにならなかつたのであるか、それともそうする必要はないというようなお考えであつたか、その点を承りたい。
  164. 米田正文

    米田政府委員 設計自身としては、計画の流量は、あのダムを完成すれば流れ得る設計になつておるのでございます。しかし、工事の途中において異常な豪雨があつたというところに、今回の原因があつた考えております。
  165. 稲富稜人

    ○稲富委員 工事の途上であつたから、こういう結果になつたのだということでありますが、そういうことによつてこれが責任がないとおつしやるのは、われわれ実に遺憾に思うのでありまして、少くともあれほどの大きな工事をやる場合におきましては、工事の途上にいかなる事態が発生するかもわからないということは、一応認可をする場合には考えておかなければいけないと思うのであります。たとえば、先刻の御報告の中に、門扉が開かなかつたのだ、これが一つの原因であると言われたが、門扉があるいは電気のために開かなかつたとすれば、その間にもしもああいうような問題が起つた場合には、別に電気以外のエンジンか何かの設備をしてこの門扉を開けるというような、最悪の場合も検討しておくことも当然であると思うのでありますが、ただこれをもつて、進行途上であつたがゆえに、ああいう問題が起つたのはやむを得ないとして、これを見のがすということは、許すことのできない事態であると思うのであります。そういうことでは私たちは承服できないのでありますが、それに対して、依然として、進行途上であるから、そうなつたのだ、進行しておればそういうことは起らなかつたのだ、これはさしつかえない、あなたの方には責任はないものだとお考えになつているか、その点をさらに重ねて承りたいと思う。
  166. 米田正文

    米田政府委員 私は、今の工事中のために起した災害であつて、事実上その工事被害を与えたという事実については、それはダム工事者が持つべき責任だと思います。ただ、その工事の監督について遺憾はなかつたかというお話については、われわれといたしましては極力、洪水期中には、ひとりダムのみならず、あらゆる工事について最善の処置を講ずるように、それぞれの現地に指示はいたしているのでございます。現地については所管の庁がありまして、土木部、あるいは地建の建設局、それぞれの機関がございまして、それぞれからもちろん洪水中の手当について指示をいたしていることと思います。またそういうふうに組織上もなつているわけであります。
  167. 稲富稜人

    ○稲富委員 あとで聞くところによりますと、あの設計は放水路を設備するようになつてつたとも聞くのでございますが、そういう点は局長は御存じないのでありますか。
  168. 米田正文

    米田政府委員 これもあとで聞いたことでありますが、どうも不安だ、放水路をつくれという上流側の意見があつて、当時会社の方においてもこのことは考慮するという話合いになつてつたということは、承知いたしております。
  169. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは、局長に聞くよりも、さらに大臣の出席を求めまして、大臣に尋ねることにいたしまして、私の質問は留保しておきます。
  170. 村上勇

    村上委員長 次に労働省の説明を求めます。渋谷説明員。
  171. 渋谷直歳

    ○渋谷説明員 失業対策法の特例に関して御説明を申し上げます。  政令による適用地域につきましては、まだ結論も出ていないのでございますが、一応、今次の水害によりまして、災害救助法の適用のありました地域につきまして、現在実施しております失業対策事業の就労人員を基礎といたしまして、従来の国庫補助率と、今度の特例によります国庫補助額との差額をここに計算してみたのが、お配りした資料でございまして、その結果によりますと、今年七月から来年の三月まで、会計年度一ぱい九箇月間の所要額といたしまして、一億八千五百五十三万四千百八十七円、一応こういう見積りでございます。
  172. 村上勇

    村上委員長 次に失業保険の件に関しまして、三治説明員より説明聴取をいたします。
  173. 三治重信

    ○三治説明員 お配りしました資料によりて簡単に御説明をいたします。  休廃止事業所の関係は、われわれいろいろな資料を集めたのでありますが、どうも正確な数字がわからない。保険の関係では今までこういうふうなことについてやつたことはございませんので、現地の方にいろいろ問い合してもなかなか数字が集まらないので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。  大体西日本地区で石炭山関係の方が六万六千二百十人、その他の事業所関係で二千九十人、それから和歌山地区で二千五百四十人という関係で、合計七万八百四十人。これは直接災害を受けて事業の休廃止した——休廃止と申しますか、廃止されるかもわからないし、また休業中とも区別がつかない場合がございますので、一応休廃止ということにしておりますが、この資料に労働者の八〇%と書きましたのは、適用事業所が大体五人以上でございますので、これも推定で八〇%としたわけでございます。それから賃金でございますが、これは大体失業保険料の徴収対象となる賃金で、大体われわれの方で目算でやつたのでありますが、そうかわりはないものと考えております。従つて、この数字は一応の目安でございますが、われわれの方の関係なりますと、やはり現実に出て来る方にはその場でやります関係上、事実問題といたしまして、われわれの方として支障なくできるように対策をして行きたい、かように考えております。
  174. 村上勇

    村上委員長 労働省関係に別に御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、次に通商産業省側の説明を求めます。石井政府委員
  175. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業関係法律に付属いたしまする経費あるいは予算関係につきまして、御説明申し上げます。  第一は、昭和二十八年六月及び七月における大水害による被害小企業者に対する資金融通に関する特別措置法、これによりまする予算必要額を想定いたしてみましたものが、お手元にお配りいたしました資料の一の方であります。利子補給の対象となりまする貸付金額は、参議院の修正案によりますると二十億円を限度といたすことになつておりますので、一応この金額をベースとして計算いたしておるのでございます。貸付期間は半年以上三年以内と相なつておりまするので、いろいろの期間が想定されるのでございまするけれども、二十万円という比較的少額の資金でありますこと、並びに、通常の金融の常識に従いますると、私ども中小金融をいろいろやりました体験から、平均期間は、長いものもあり短かいものもありましようが、大体一年見当と相なるのではないかと思われます。そういたしますると、利子補給の総額は年五分でありますので、一億円を想定いたされるのでございます。従つて、その半額を国庫が負担するということになつておりしますので、一応五千万円が国庫負担のめどではなかろうかと存ずるのであります。しこうして、二十八年度におきまして補給いたしまする期間は、大体この法律によりまする運用が九月からの貸付について行われることを想定いたしまして、七箇月間の平均でありますから、大体三千万円が地方庁並びに国庫による利子補給の総額でありまして、国庫負担はその半額、一千五百万円と想定いたしております。従いまして、二十九年度以降におきまする補給金の総額は七千万円、国家予算に計上すべきもの三千五百万円、このような想定をいたしておる次第でございます。  次に、昭和二十八年六月及び七月における大水害に伴う中小企業信用保険法の特例に関する法律施行に伴う国庫負担額でございますが、まず、この保険におきましては、保険料を金融機関の貸付の都度徴収いたしまして、保険金の支払いは、相当期間たちましてから信用保険特別会計から支払う関係がありますので、少くとも二十八年度におきましては、今度制定されまする法律の第四条に従いまして、一般会計から信用保険特別会計に繰入れを行う必要はないものと想定されるのでございます。しかしながら、昭和二十九年以降になりますると、この信用保険の結果といたしまして、信用保険特別会計が相当の負担をいたすことが想定されますので、これは制定法律の第四条に従いまして、一般会計から信用保険特別会計に繰入れをせねばならぬのでございます。これにつきましては一応融資保険、保証保険等いろいろ保険の種類がございますが、総じて保険料収入が七千四百六十三万三千円、これに対しまして二十九、三十、三十一年の大体三箇年度にわたりまして信用保険特別会計が支払うでございましようところの支払い保険金額、これが四億六十四万円と想定されるのでございます。申しかえますると中小企業信用保険の保証いたしまする金融機関の貸出し総額は、融資保険におきまして三十三億四千万円、それから保証保険におきまして信用保険協会を相手方としまするものが二十二億九千二百万円、それから国民金融公庫、中小企業金融公庫等、政府関係機関の金融機関を相手方といたしますものが四億八千万円、これらの政府の補填いたしまする融資の支払い保険金総額を四億九千四百六十四万円と想定いたしたのでございます。これらの金額は二十九、三十、三十一年にわたりまして信用保険特別会計から各金融機関に支払うことと相なりまする予定でございますので、先ほど申し上げました七千四百六十三万三千円の収入保険料とこの保険金の差額、約四億二千万円を、向う三箇年にわたりまして一般会計から繰入れを受ける必要があるものと想定される次第でございます。
  176. 村上勇

    村上委員長 通産省関係についての御質疑はございませんか。
  177. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 ちよつとお尋ねいたしますが、この信用保険において百分の九十を政府が持つ。それに対する損失の度合いは……。
  178. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 中小企業信用保険におきましては、一般には八〇%が信用保険特別会計の補填いたしまする限界になつておるわけであります。これを十%上げまして、九〇%をこの特別会計が負担いたすわけであります。こういたしますると、率が相当つて参りまして、従来八〇%補填の場合に大体損害率が五彩と相なつてつたのでございますが、九〇%にいたしますれば、これが一〇%まで上昇するものではないかと思うのでございます。従いまして、先ほど申し上げました四億九千四百万円の支払い保険金額と申しますものは、以上の約一〇%程度のロスがあるということを想定しての計算でございます。
  179. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 予算面で見ると非常に少額であります。この法律制定の目的は、できるだけ金を貸しやすくするということでありますが、この中小企業の資金需要というものはどういうふうに見込んでおりますか。これに対して私どもは、相当政府資金の預託をしていただきたいと思いますが、企業庁におかれての資金に対する考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  180. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 災害復旧関係資金の所要額につきましては、いろいろの計算がなし得るのでありまして、これは、当委員会でも、かねて他の政府委員から御説明申し上げたと存ずるのでございますが、とりあえず、開発銀行から政府資金十億五千万円をまず供給する。なおその後は、中小企業金融公庫の発足に伴いまして、事態の緩急に応じました融資をいたすのみならず、商工中金その他の金融機関にも協力を求めつつあります。九州方面の水害によつて受けました被害総額は、中小企業で約二百三十億と想定されておりますが、応急復旧の所要資金額は約百七十億、このうちには自己資金等でまかなわれます復旧相当あるわけでありますので、大体全額として約百億見当ではなかろうか。和歌山方面の水害につきましては目下調査中でありますが、県庁等の報告を中心として私どもの推定いたしましたところでは、二十五、六億程度の融資額が必要であるという報告を受けております。しかして、ただいま申し上げました信用保険制度ないしは利子補給制度との関連でございますが、信用保険制度におきましては、ただいま申し上げましたように百億、あるいは和歌山県方面を含めますれば百二、三十億に上ります融資のうち、金融機関と被害者のいわゆる直取引で、何ら保険等につけなくても融資し得るものが相当あるのでございます。これらを除きまして、金融機関からの手を通りまして保険に入るものが三十三億四千万円、それから、信用保証協会の保証を得て金融がつきますものが二十二億九千二百万円、それから国民金融公庫、今度発足いたします中小企業金融公庫等の手から出るもので、信用保証協会に入つて参りますものが四億八千万円、総額約六十億というものが信用保険制度によりまして融資される総額であります。それから、比較的少額の融資で利子補給の対象となるものは——そのうちには、信用保険にかけるものもあり、かけないものもあると存ずるのでありますが、約二十億程度が、これは法律の規定額ではございますが、あるものというふうに了承いたしておるわけであります。
  181. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 ただいままで政府特別に預託をやつている三十五億五千万円では、ただいまの御説明によるとまだ足りない面が相当ある。今後の預託や何かのことにつきまして、大蔵省との話合いの見通はどうでしようか。需要だけの金が借りられるような準備ができるという見込みですか。
  182. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 災害地におきます金融の実態を考えてみますと、こわれた家を直す問題、あるいは流した商品を補充する問題等いろいろございますけれども、金融事情はやや複雑になるように思うのでございます。たとえばすでに出しております手形を落します金融の問題が、まず一番先に中小企業者でありますと起つて来る問題でありますし、次には、それを片づけておきまして、店のつくろいないしは機械の修理、新規の材料の仕入れといつたようなことに相なるのでございまして、時期的には相当ずれまして、逐次新需要が起つて来ると思うのであります。ただいままで財政方面で援助いたしておりますのは、指定預金等は、多くの場合、これは新たなる貸出しになるものももちろんありますけれども、金融機関の預金払いもどしの手元の充実というような方面にも相当まわつておることが想定されるのでございまして、今後の見通しといたしましては、日本銀行その他関係方面とも相談をいたしておるのでありますけれども、長短の資金需要をとりまぜて、復旧に要する資金には事を欠かさないように、万全の策を講じておる次第であります。
  183. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 水害直後においては、銀行から金を借りることがむずかしいというわけで、私どもも大分心配しておりましたが、先般の大蔵省から提出された資料によりますと、大分貸出しが円滑になつて来たようにも見受けますが、最近の事情をひとつお話願いたいのと、それから、われわれの参考のために、銀行別に申込み件数が何ぼあるか、金額が幾らであるか、それに対して決定されたのは幾ら、減つたのは幾ら、また決定保留になつたのは幾らという報告を、月一回でもいいから出していただきたい。それによつて、私どもは、資金の流れが円滑に行つているかどうかということを見たいと思います。その点お願いします。
  184. 大久保武雄

    ○大久保委員 関連してごく簡単に一つだけ。私が今日手に入れました資料で、中小企業者の非常に熱心な要望を聞きますと、今の熊谷委員の御質問に対する御答弁では、まだ不十分のように聞いております。国民金融公庫においては一億八千万円のうちわずかに二千万円くらいである。商工中金も一億九千万円しかない。むしろ貸出しが災害前より少い。これはきわめて重大な問題でありまして、これでは、ちよつとの迎え水が行けば立ち上る事業を、みすみす見殺しにすることになる。なるほど災害前よりも個人信用は落ちておりますから、銀行は貸したくないと思いますが、それではわれわれがこの法律をつくつたかいがない。災害を救うということのねらいも、この実情から見るとはなはだ遺憾にたえないのであります。これはぜひ御督勧を願いたいと考えます。
  185. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 災害後におきます融資は、ただいまも熊谷先生の御質問に対して申し上げましたように、実は新たな貸増しとともに、前から出しております手形を落す金融、こういういわば旧債の引延ばしと申しますか、延期あるいはたな上げといつたような、目に見えない金融が金融機関によつて行われておるわけでありまして、この関係をも考慮いたして考えなければならぬのであります。今お話がありましたが、熊本方面の特にひどい被害地につきましては、私ども特に憂慮しておるわけでありまして、ことに手形関係の決済などにつきましては、この信用保険の特例等通りますれば、ただちに現地に飛びまして、よくこの趣旨を徹底させ、なるほど被害でいたんではおるけれども、ここで銀行が貸増しをすることによつて、必ず立直りができるんだ、そういうものには積極的に貸してもらいたい。そのかわり政府も、前例のないことでありますが、九〇%まで元利保証をするということで、よく金融機関にも徹底させて、中小企業者は案外こういう制度を知らないでおる者も多いのでありますから、金融機関、被害中小企業者、両々相まつて、この制度に乗せて、なるべくこの復旧を早からしめるように指導して参りたいと思います。
  186. 村上勇

    村上委員長 次に文部省側の説明を求めます。近藤政府委員
  187. 近藤直人

    ○近藤政府委員 文部関係災害復旧所要経費につきましては、前会御説明申し上げました通りでございますが、ただいまは立法関係を主にいたしまして御説明申し上げたいと思います。  すでに本委員会から御決議をいただいております私立学校の学校校舎の復旧に対しましては、予算的に政府は二分の一の補助をしろ、なお、残余につきましては、私学振興会から二分の一の貸付をせよという御決議をいただいておりますが、この点につきましては、すでに立法化が御考慮いただけまして、御審議を願つておるところでございます。これによりまして国は二分の一の補助をいたしまして、なお残余につきましては、御決議の通りに、私学振興会から二分の一の貸付をするということに相なつておるのでございます。  次に、第二の立法といたしましては、これはすでに御決定をいただいておりますが、公立学校の学校施設に対する立法化でございます。これにつきましては、ただいま公立学校施設費国庫負担法におきましては、補助率が三分の二でございますが、今回の特別措置におきましては、これを四分の三に引上げることになつております。なお、学校の建物のみならず、校地及び設備、工作物につきましても、今回補助の対象にいたすことになつております。  それからなお、社会教育施設につきましては、これは従来はわずかに予算措置のみによつてつたのでありますが、このたび特別措置立法によりまして、社会教育施設に対しましては三分の二の補助をするこに相なつております。  それから、第三といたしまして、これは学校給食用の物資、つまり学校給食用に用いますところの小麦粉並びに脱脂ミルクに対しまして、その損失補償に関する特別措置でございます。これは御審議をいただいておりますが、大体今回の災害によりまして流失、滅失いたしました給食用物資に対して、国が全額を損失補償するということでございます。  以上の三つの法律によりまして、今後災害復旧の仕事が非常に促進されることとなりますので、まことにけつこうなことと考えております。  なお、爾余の予算措置につきましては、前回御報告申し上げたところでありますが、その後計数が多少異動がございます。なお、今後とも多少計数の異動があると思いますが、ただいま差上げました資料には、追加分といたしまして、和歌山、奈良関係分をここに計上してございます。  以上、簡単でございますが、文部関係予算につきまして御説明申し上げました。
  188. 村上勇

    村上委員長 文部関係に別に御質疑はございませんか。——なければ、この際、先刻決定いたしました気象業務施設の整備促進に関する決議案に関しまして、中央気象台台長和達清夫君より発言を求められておりますので、これを許します。和達清夫君。
  189. 和達清夫

    和達説明員 先ほど気象業務の施設強化に対して、本委員会におきまして決議していただきました。まことにありがたく御礼申し上げます。  わが国において、近年相次いで起つておる水害は重大問題でありますが、これが根本対策の治山治水が、わが国においてはなお不完全な状態にありますときに、この豪雨を予想して一刻も早く適切な注意報とか警報を出すことは非常に必要であります。これにつきましては気象台が責任を持つておりまして、今回の水害の場合にも、われわれといたしましてはまず適切にそれを出したのでありますけれども、これを世の水害対策要望に照しますと、まだまだ、時間的にも正確度につきましても、不十分であるということを痛感しておる次第であります。今日の気象台では、その定員と予算の不足のために、また施設が不十分でありますので、その成果を上げることがなかなか困難になつております。今後もしこういう気象業務の強化を許される場合におきましては、次に申し上げますようにいたしたいと存じておる次第であります。  第一には、治山治水のもとになります諸資料を整備するということであります。このことは、たとえば河川改修をいたしますにも、その根本になる雨がどれくらい降つたかということは、現在におきましては、平地の部分では相当に綿密に観測されておりますが、これが山地におきましては、はなはだ乏しい状態であるということは遺憾な次第であります。これが正確に観測されておらなければ、すべての治山治水の対策の基礎ができないというわけでございますので、これを急速に強化したいと思つておる次第であります。なお、こういうようにして山地の雨量とか雪の量を正確にはかりまして、そのうちの重要なものは即刻気象台に速報しまして、これをもとにいたしまして、洪水予報あるいは洪水警報を出したい、その速報の施設も整えたいと存じております。  第二の問題は、いかに予報とか警報とかを正確に出すかという問題でございますが、この予報の正確さというものは、大気の状態を正確に把握することによることは申し上げるまでもありません。そのことにつきましては、上高層、すなわち大気の高いところの観測を十分に行う必要があります。現在それはいたしておりますが、この箇所も少く、回数も少いので、大雨が降りますときにはそれを予想するのに不十分でございますので、ぜひとも上高層観測を強化したいと願つておる次第であります。なお、近年には気象用のレーダーというものを活用いたしますと、一箇所におきましてかなりの範囲の大雨の降つておる状況を知ることができますので、この設置もあわせて考えてみたいと思います。  なお、第三の問題として、これらの気象の業務におきましては、通信が非常に大切でありますが、現在の気象通信はおもに有線電信を使つております。ところが、実際の非常時には、この有線電信というものは障害を起すことは御存じの通りでありまして、これを補うのには、無線の通信もあわせ用いなければならないのであります。現在この有線と無線を併用しておる箇所というのは、全気象官署のうちきわめてわずかでございまして、このために、非常の場合におきまして気象業務は非常に妨げられるのでございます。今後は中央気象台、地方の気象台、また地方の測候所との間には、ぜひとも無線の通信網を十分整備いたしまして、こういう非常時におきましても通信に遺憾なきを期したいと存じておるのであります。  最後に、気象台の仕事は、単に気象台だけで適切なる予報や警報を出して済む問題ではございません。これが一般に早く伝わり、そして利用され活用されることによつて効果が上るのでございます。これは気象台だけの問題ではございませんが、気象業務法によつても規定されておりますし、また洪水予報組織とかいうようなものもございまして、他の機関とも連絡しまして、十分に災害防止の実を上げるように努力いたしておりますが、今日これが十分達しておるかどうかという点の細部においては、まだ改善を要する点があると存ずるのであります。たとえば、非常時におきまして、電燈が切れた場合にもなおラジオは受信できるというために、電池式のラジオを重要な箇所は備えなければならないというようなことも前々から申されておるのでございますが、なお十分に行き渡つておらない状態でございます。  以上述べましたように、水害対策といたしまして、その応急的処置に気象業務というのは非常に大切でございまして、われわれもその責任も全うすべく日夜努力いたしておる次第でございますが、何分にも現在までの予算、人員、施設が不十分でございましたために、世の要望にも十分に沿いがたかつたということは非常に残念でございますが、今後とも皆様の御理解によりまして、この点につきましても十分に努力いたしまして御要望に沿いたいと考えております。
  190. 赤澤正道

    赤澤委員 せつかく気象台の台長さんがお見えになつておりますので、御意見を承ります。ただいまお話を伺つておりますと、治山治水であるとか、これは主として建設省の仕事であります。さらに通信の面が非常に大事だとおつしやれば、これは電通関係だと思います。その他運輸省とか、こういつた局あるいは省に非常に関係の深い仕事でございますが、もうすでに学問の域を脱して、気象観測等が、こういつた治山治水の面、さらに洪水の予報等の面に非常に大きな役割をすることを私たちは今回特に痛切に感じ、まつ先に気象台の所属を探したところ、当時調査に出かけました代議士諸君のうちでぱつと言い当てた者が実はなかつたのです。よくよく聞いてみたら、文部省の所管だ。これは私どもどうにも今日解せぬ気持を持つているのです。今日こういつた災害等の面においてまず第一線に押し出さるべき気象台が、何がゆえに今日文部省の一角に巣食つておらなければならないのか。私どもは、ひよつとしたらこれは総理府の一部局としてあるのかぐらいに思つていたのですが、こういつた点について気象台の方々にもいろいろ御希望があると思うのですが、ひとつ台長さんの腹蔵のない御意見を承つておきたいと思います。
  191. 和達清夫

    和達説明員 気象台は以前に文部省に属しておりまして、戦争のときに運輸省に移りました。それは主として航空が気象と密接な関係がある点でございまして、今日におきましても、航空は気象と離すべからざる関係上、運輸省にある次第であります。気象のおもなる利用方面は、ただいまの航空と、それから治山治水の建設と、農業、その他各省関係しておりますが、この三者が最も大きな関係にあります。従つて、一般の気象の利用ということからいたしますと、一つの省でなくして、一般の内閣というようなところに属することも非常にけつこうと思われますが、現在までは航空の関係から運輸省にございまして、格別の不便もいたしておりませんので、移る理由がはつきりございませんから……。
  192. 熊谷憲一

    ○熊谷委員 ちよつとお尋ねいたしますが、日本の天候は大陸の気象に相当影響される。ところが中共、ソ連からは気象の情報というものは入つて来ていないだろうと思うのですが、これがためになかなか日本の気象というものは判定できないんじやないかと思います。そういう外国の気象の情報を得ることについては、外務省でやつているのか、あなたの方でやつておられるのか、どういうことになつておりますか、ちよつとお聞きしたい。
  193. 和達清夫

    和達説明員 今回の水害におきましても、中共の材料が入らないということは、西日本の気象を把握するのに、われわれとしては非常に致命的の痛手でございます。そういうものが一刻も早く入手できるように願うのであります。わが国が世界気象機関に加入いたしますことは、それらの関連として非常に重要なことでございますが、これが先ごろ国会を通過いたしまして、もはや加入は間近に迫つております。そうしますと、世界的に情報の交換に対してもわれわれの意見、希望は申せるわけでありますが、遺憾ながら中共は世界気象機関にまだ入つておりません。そのためにそこを通じて正式には申すことができないのでございますが、その機関を通じてできるだけわれわれの方にも気象情報を送つてもらうように頼んだことは、過去においてもございます。
  194. 大久保武雄

    ○大久保委員 私この前、戦後の気象予報が改善されているかどうかという御質問をしましたところ、格段の改善をされておるという御答弁でございましたが、そうじやないだろうと私は思う。今熊谷委員がおつしやつたようたいろいろな制約、予算その他の面からして、他の科学の進歩に追随していたいのが気象業務じやないかと私は考えております。これが改善のためには、台長を初め、国といたしましてももつと気象業務に理解をして、航空に対しては非常な力点が置かれて、航空決議案まで出される。こういう場合には、当然それに即応して気象業務が振興されなければ、航空は決して発達するものでない。航空というものは気象に乗つかつて行くのですから、こういう意味からいつて——そのときは気象台長は旅行で御不在でしたが、私は、情勢認識が全然違つておりましたから、こういう点についてあらためて気象台長の御意見を承りたい。
  195. 和達清夫

    和達説明員 まことに御理解のあるお言葉を伺いましてありがとうございます。わが国の気象というものは、私が気象台の者として申すのは少しはばかりますが、質と組織においては世界において決してそん色があるものではないと思つております。ただ施設その他の問題が立ち遅れておる。戦後におきまして新しい気象の観測設備並びに気象学というものが入つて参りまして、頭を使いましてやります方面では相当までに戦前よりは進んでおると私は思つております。ここで申し上げるのも何でございますが、たとえばことしのつゆにおきましても、こういうように長引いて行くつゆというものを、相当前からわれわれは察知し、長期予報において申したところでありまして、戦前におきましては、こういうことは至難であつたと私は思うのです。しかし、また一方、これを施設と実際の部面に当てはめてみますと、ただいまの仰せのように、どこが進歩したかというようにおつしやられても、いたし方ないような部分もないとは言えないのでございますが、これはわれわれが今後に残された問題、戦争によつて遅れましたところの進歩というものは、努力して大いに追いつき、しかも、ものによつては外国よりはるかに抜きん出て行かなければいけないと考えておる次第でございます。また申し上げますが、結局は施設、予算の問題になるようでございます。
  196. 世耕弘一

    世耕委員 私は実を言うに気象台に文句が言いたいと思うのです。それはなぜかというと、この間熊野川奥を視察してみましたが、これは気象台から報告されたものだと思いますが、ときどき晴れ、しう雨ありという報告であつたがために、熊野川奥の人たちはそれを当てにしておつて、とうとう家を流されてしまつた。その二時川間ほど前に、奈良県から電話があつて、奥が非常に降つているから危いぞ、気をつけろということが伝えられたが、結局気象台、すなわちラジオを信用したために家が流された、こういうことになつている。そういうことを考えてみますと、あまりあなた方は電波を信用し過ぎるのではないか。電波の故障ということも考えなければならない。私は、こう意味から見て、ときどき比較してみるのですが、私の家の小さい池に金魚を飼つている。よくラジオ放送と比較してみると、夕立なんか金魚の方が正確なんです。あるいはまた、私は紀州の山の奥で育ち台風の中で育つたような男ですが、石垣にはえている「まお」の葉に住んでいる毛虫があります。その毛虫は台風の三日前にはちやんと逃げて石垣の中に入り込む。台風の去る時分にはちやんと出て来て「まお」の葉の上をはつている。これは大自然の原理を会得しておると思う。私は科学を排斥するのではないが、科学にあまりにたより過ぎて、大自然の原理を軽視していると思う。この意味において、私は今あなたが機械の設備を非常に主張されたことも、これはごもつともだと思います。しかしながら、人を養成することに御注意になつていただきたい。気象観測にはやはり天才的の人を必要とする。その人が科学的な機械と取組んだときに、初めてりつぱな観測ができるのじやないかと思うのですが、この点いかがですか。私は、実ははなはだ失礼な言葉でありますけれども、二箇月前でしたか、三箇月前でしたか、実はヨーロツパの水害を見まして、紀州に水害が近く来るぞということを熊野川筋の人たちに予告した。これは、私は多年の経験からそういうことが言えるのです。どうしても気象方面に特殊な性格といいますか、知能を持つたたちを養成するということが、機械と同様に、科学と同様に必要じやないか。この点について御考慮が払われておるかどうかお聞きしたいと思います。
  197. 和達清夫

    和達説明員 まことに適切なお言葉で、ありがとうございました。もちろん仕事は根本は人でございます。優秀なる気象技術者を養成するということは、気象台がずつと前から心がけまして、現在でも相当の技術者はそろえておると存じておりますが、今後ともますますその点は努力いたしたいと思います。なお、われわれ科学的に自然を相手にしておる者は科学に立脚いたしておりますが、決して大自然を蔑視するというように思い上つた考えは持つておりません。しかしながら、われわれのとるべき道はあくまでも科学的なのでございまして、たとえば生物が天気を予知するということは、それを分析いたしまして、やはり生物も気圧なり、気温なり、湿度なり、風速なり、そういう物理的要素のもとにそうい現象が行われることを突きとめて、そうしてそれが突きとめられましたあかつきは、もはや金魚も何も御用済みとして、そうしてあくまで科学に立脚する、感覚から離れた客観的の機械的の科学によろうというような方針で進んでおります。お心持は十分に、私たちの思い上つたところを反省する点においては、まことにその通りにいたしたいと思います。
  198. 世耕弘一

    世耕委員 御努力とお考えについて反対するわけではございません。しかしながら、私は、地震の予知はあるいは現代の科学においてはむずかしいかもしれない。けれども大水害、台風の襲来がもつと正確に——なるほど中国から、あるいはシベリアからの無電が入らない不自由さはあるだろうが、それはあなた方の多年の経験一を生かして、風速並びに気圧関係等に思いをいたせば、もつと私は大きな水害を予知できたのではないかと、かように考える。実ははなはだ申しにくいことでありますが、信州方面の被害のある数日前、私は雲の色を見て、自分の運転手と話しながら、近く信州方面にも相当被害が起るぞということを予知して話をしていた。私のようなしろうとですから、これくらいのことを考える。あなた方科学の知識をもつて、なおその上に多年の経験をもつてされたら、そのらいのことはできそうだと思うのでありますが、これはしろうと考えでおしかりを受けるかもしれない。天候が、われわれの生命を幸不幸に導く上に、いかにも重大な関連を持つがゆえに、特につけ加えて申し上げておきます。
  199. 綱島正興

    ○綱島委員 委員方からたくさんいろいろな御意見が出ましたし、また政府委員からも気象に関する御説明がありまして、非常によくわかりましたが、伺いたいことは、大体皆さんは一定の計画を持つておられるのでしようが、それを実現するのには、一体どのくらいな設備をして、それにはどのくらいの予算がいるのか、今までお話のあつたものを実現するための物的整備を金で表わしたことを、ひとつ説明していただきたいと思います。
  200. 村上勇

    村上委員長 今法案が六つばかり付託されましたので、なるたけ簡単に願います。
  201. 和達清夫

    和達説明員 簡単に申し上げますと、先ほど申しました全体を三年計画でやつて、全体が約十五億円あればと思つております。
  202. 綱島正興

    ○綱島委員 それは本年度は幾らとか、大体のことを簡単に言つていただきたい。
  203. 和達清夫

    和達説明員 三年にやつて、第一年度は重点的にやつて少し多くなりますが、大体五、六億円と思つております。
  204. 綱島正興

    ○綱島委員 そのおもな費用はどういうものですか。
  205. 和達清夫

    和達説明員 おもなものは、山地の雨量を観測すること、上層の気象を観測すること、それから気象通信の無線有線の二本建をやる、こういうことです。
  206. 綱島正興

    ○綱島委員 それに対する設備はどういうことですか。人件費、設備費等ごく簡単に、しろうとわかりするようにお願いします。
  207. 和達清夫

    和達説明員 設備は、山地に自記雨量計といつて、そこへ置いておけば雨量の変化がわかるもの、それから長い間人が行かなくても、由一の奥で一箇月でも二箇月でもはかつてやるもの、あるいは自分ではかつて自分で自動的に通報するような雨量計、あるいは雪の量が全体においての量がわかる、そういう機械を置くのが第一。第二番は、ラジオゾンデと申す上層をはかる機械を風船につけて揚げるのでございますが、これが一回一万円以上かかるのでございます。現在内地で約八箇所で一日二回飛ばしておりますが、これがもつと場所を多くし、そうしてほしいときにもつと頻繁に揚げられるようにいたしたいと思います。なお、有線無線の整備強化は、その無線の交信設備をいたす。少くとも一県に一つの代表的の気象観測所は、その両方の有線、無線の設備を持つようにいたしたいと思つております。
  208. 吉田安

    吉田(安)委員 ごく簡単です。しかもはなはだしろうとめいたお尋ねになりますが、私は阿蘇のふもとに住まつておるのです。あとあと月でありましたか、日にちは忘れましたが、阿蘇にたくさんの登山者があつて、そして阿蘇が大荒れに荒れて二十名以上の人命を傷つけたということを、気象台長はよく御承知のことだろうと思います。ああいうのも、御承知のように阿蘇山は活火山ですが、しよつちゆうごうごうやつておる。ですから、ああした大異変があるときには、二、三日前でも四、五日前でも、そういうことは予知することができないのでしようか。あまりにもしろうとらしいことですが、それに対して……。
  209. 和達清夫

    和達説明員 火山の噴火の位置というものは、適当なる場所に適当な観測所がありまして、施設がありますれば、現在のところでは七、八十パーセントぐらいの正確さをもつて予想することができるのでございます。現在阿蘇は遺憾ながら設備が不十分でありますし、観測所の位置も適当でございませんので、この前のときも、その活動状態ということはわかつておりましたが、またその注意もいたしておりましたが、断然禁止するということまでの確信に至らなかつた点ははなはだ残念に思つております。今後十分にその点も考えまして設備を整えて、もつと災害防止の役に立てたいと思つております。
  210. 吉田安

    吉田(安)委員 阿蘇はあそこに観測所、研究所があるのですが、そうすると、今の所長のお言葉によると、そこは場所も悪いし不十分だというのですが、そういうのは場所も悪いし不十分だということがわかつておりますれば、これはやはり早く適当なところにひとつ何していただいて、そうしてほんとうに完全を期していただきたいと思います。世耕さんは、さいぜん、地震の方はわからぬかもしれないが、風水害の方はわからなければいかぬとおつしやいましたが、地震のこともわからなければいかぬと思う。阿蘇の中腹に研究所があるから、あれに依存しておる、あそこにあるから大丈夫だということでやつておりますから、ああいう結果になるのです。だから、これなんかは、よくお考えくだすつて、適当なことをやつていただかなければいかぬと私は思う。風水害も同じことなんです。予算はどうしても出します。それともう一つは、やはり国民もいかぬと思うのです。当らぬのが気象台である、こういうことを言うのです。だから、こういうことを言われないで、国民もそういうことが発表になつたときにはすぐに信頼されるように、そこまで持つて行かなければならぬと思います。
  211. 村上勇

    村上委員長 この際稲富稜人君より発言を求められておりますので、これを許します。稲富稜人君
  212. 稲富稜人

    ○稲富委員 先般本委員会で配りました米麦の売渡しの特例に関する法律に対して、次の決議を行いたいという動議を提出いたします。     決議    今次大水害による被害農家に対する米麦の売渡特例に関する件   「昭和二十八年六月及び七月の大水害による被害農家に対する米麦の売渡特例に関する法律」の目的とする水害による被災農家に対する米麦の特別価格による売却措置は、国の水害地に対する諸政策の一環として行うものであるので、この措置による損失を、食糧管理特別会計の負担とすることは、当該会計の性質として不適当であるから、政府において、なるべく早い機会において一般会計からの繰入によつてこの損失を補てんする措置を講ずべきである。   右決議する。 以上であります。
  213. 村上勇

    村上委員長 ただいまの稻富君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて稲富君の動議のごとく、当委員会において決議をすることに決しました。
  215. 田渕光一

    ○田渕委員 議事の進行。この決議と同じでありますが、決議を提出いたします。  今回の六月、七月の大水害によつて被害地の道路、橋梁の流失、決壊、山くずれ等によりまして、電話連絡の不能、電燈の消滅等によつてその地域がまつたく孤立状態となり、文化生活より一瞬にして自然生活に入つた罹災民の緊急救助等の経験によりまして、その対策として人命の救出、食糧の投下等、緊急欠くべからざる施設設備の必要上、欠くべからざる施設設備の必要上、決議案を提出いたしたいと思いまするので、動議を提出いたします。  まず決議案を朗読いたします。     決議    災害防止並びに救助関係施設に関する件   本年の六月及び七月の大水害にかんがみ、都道府県がその地方の実態に即し、超短波無電施設、備蓄倉庫、救助用のトラツク、ヘリコプター及び救助艇等、災害防止並びに救助用関係施設を設備せんとするときは、政府は、国庫補助及び地方債をもつて、これらの施設に対し助成をなし、もつて災害の防止並びに救助連絡に万全を期すべきである。   右決議する。  何とぞこの決議案を、委員各位の御賛同を得まして、御決定を願いたいのであります。と申しまするのは、当委員会で決議し、法律となつておりまする災害救助法特別措置法の第二条の第三号に、「第一号及び災害救助法第二十三条に規定するもの以外の救助のための必要な施設又は設備で政令で定めるものに要する費用」こうなつておりますゆえに、ひとつこの決議を御採択願つて、これを政令できめる場合に、決議によつてこのわれわれの要望を強化して行きたい、こういうのでございます。何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
  216. 村上勇

    村上委員長 ただいまの田淵君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  217. 村上勇

    村上委員長 それでは御異議なしと認めます。よつて田淵君の動議のごとく当委員会において決議をすることに決しました。  この際暫時休憩いたします。     午後六時三十三分休憩      ————◇—————     午後六時五十二分開議
  218. 村上勇

    村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  先刻、院議によりまして、参議院提出昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案昭和二十八年六月及び七月の大水害による私立学校施設災害復旧に関する特別措置法案昭和二十八年六月及び七月の大水雷による社会福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法案昭和二十八年六月及び七月の大水害被害地域において行う母子福祉資金貸付に関する特別措置法案昭和二十八年六月及び七月における大水害による病院及び診療所災害復旧に関する特別措置法案昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合給付特例等に関する法律案、以上六案が本委員会に付託になりました。  ただいまより六案を一括議題として審査を進めます。まず、国会法第六十条によりまして、参議院の発議者より各案について順、次提案理由の説明を願います。参議院水害地緊対策特委員会理事三浦辰雄君。      ————◇—————
  219. 三浦辰雄

    ○三浦参議院議員 参議院特別委員長である矢嶋三義君が出まして御説明を申し上げるべきでございますが、ただいま本会議で、こちらの委員から報告をいただきました分についての説明をする時間でございますので、私かわりまして提案の理由を御説明申し上げます。  ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた公務員等に対する国家公務員共済組合給付特例等に関する法律案の提案理由及び法案の概略を御説明申し上げます。  去る六月から七月にわたつて各地を襲いました大水害は御承知のように異常な規模であつて、その被害もまた甚大なものがありました。この水害のため、国家公務員、地方公務員等で住居または家財に損害をこうむつたものもまた少くないのであります。国は、この水害による被害状況にかんがみまして、各般の事項について幾多の特別措置を講じようとしているのでありますが、公務員等に対しましても何らかの措置を講ずべきものと考えまして、本法案を提出した次第であります。  まず、国家公務員等につきましては、国家公務員共済組合法第五十四条の特例を設けまして、政令で定める一定の被害地域内にある住居または家財について損害を受けた者に対しては、同法が規定する本来の給付額に、その者の俸給月額に二月の範囲で所属共済組合の運営規則で定める月数を乗じて得た額に相当する金額を加えて支給することとし、また、共済組合員以外の常勤の地方公務員につきましては、当該職員の給料の月額に一月の範囲内で政令で定める月数を乗じて得た金額に相当する額の特別給付金を支給することといたしたいのであります。しかして、地方公務員に対する特別給付金に要する費用は、国と当該地方公共団体がそれぞれ二分の一ずつを負担し合うことといたしました。何とぞ御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害に上る私立学校施設災害復旧に関する特別措置法につきまして、御審議を願いまするにあたり、その提案理由を細説明申し上げます。  私立学校が従来戦災その他によりこうむりました災害はきわめて甚大でございましたが、その復旧はいまだようやくその緒についた程度でございます。すなわち、昭和二十七年三月制定施行せられました私立学校振興法によりまして、私立学校は振興会より援助を受けることになつておりますが、私立学校振興会に対する国の出資金は、昨年度においては三億九千万円にすぎず、本年度予算では十五億円が計上されておりますが、これを配分いたしますと、一校当りの金額はきわめて微々たるものと相なります。  御承知通り、今次の大水害によりまして、私立学校のこうむりました災害は、公立の諸学校と同様きわめて著しいものがございまして、私立学校振興会の援助のみをもつてしては、その復旧をはかることは至難でございますから、次に述べますような内容の特別立法措置をいたしまして、私立学校のすみやかな復旧をはかり、その教育が円滑に行われるように措置いたしたいと存じます。  次に、本法案の内容の概略を申し上げます。第一に、本法案は、昭和二十八年六月及び七月の水害によつて生じた私立学校施設災害復旧について、国は、当該私立学校を設置する学校法人に対し、これに要する費用の二分の一を補助することを規定し、国の補助の対象となる私立学校施設は、私立学校の用に供せられる建物、建物以外の工作物、土地及び設備を含めることにいたしております。第二に、私立学校振興会は、右の災害復旧事業に要する費用の二分の一に相当する額を、優先的に貸し付けなければならぬことを規定いたしております。その他に、事業費の範囲決定、成功認定、補助金の返還、都道府県知事の事務等所要の規定を設けてございます。  以上申し述べました理由と内容をもちまして、本法案を提出いたす次第でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続いて、ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害被害地域において行う母子福祉資金貸付に関する特別措置法案の提案理由を御説明申し上げます。  災害の罹災民が再び立ち上りますためには多くの困難が伴いがちであろうことは想像にかたくなく、御同情にたえぬところでございますが、とりわけ、配偶者のない女子、子供をかかえて独力で生活しております母親が物心両面で受けます苦労は一層大きいものがあろうかと存じます。すでに、これらの母子家庭に対しましては、前国会で成立を見ました母子福祉資金貸付等に関する法律が保護の手を差延べているわけでございますが、今回の異常な大災害に際しましてさらにこれに若干の特例を設けまして、これら母子世帯の困窮を救いその福祉を増進することは喫緊の要務かと存じます。  本法案は、この趣旨に従いまして、母子福祉資金貸付の条件のうち、生業資金につきましては、そのすえ置き期間を一年延長いたしまして二年間としまた事業継続資金につきましては、新たに一年間のすえ置き期間を定めまして、その返還時期を延ばすこととい犬しました。また、この福祉資金は、県の特別会計に計上されまする資金と、これと同額の国からの貸付金を財源としてまかなわれておりますが、今次水害によります地方財政の疲弊を考えますと、本年度及び明年度におきましては、その財源がきわめて乏しいものになるのでありましようことはきわめて見やすいところでございます。このためには、本明年度におきまして、国の県に対してする貸付の金額は、県が特別会計に繰り入れた額の三倍とすることが、最小限度の措置としてぜひとも必要なことなのでございます。本法案は以上申し上げた二点につきまして、母子福祉資金貸付等に関する法律特例を設けようとするものでございます。  以上の趣旨を了とせられすみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第でございます。  さらに続いて、ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害による社会福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。  本年六月及び七月の水害によりまして、保護施設、児童福祉施設及び公益質屋は相当被害を受けまして、その被害額は、保護施設において三千一百万円、児童福祉施設において、六千万円、公益質屋において一千百万円、総計一億二百万円と見込まれております。しかして、これらの施設の復旧は収容者または利用者にとりまして一刻の猶予も許さないものでございますが、何分にもこれら施設の復旧整備には多額の費用を要しますので、これらの施設の設置者のみの力をもつてしましては到底不可能なことであります。そこで、本法案によりまして、これらの施設の復旧のために、国または地方公共団体の負担または補助に関しまして特例を設け、これら施設の設置者の負担の軽減をはかろうとするものでございます。  本法案によります各施設の災害復旧のための費用の負担区分または補助の特例その他の特別措置の内容を具体的に申し上げますと、第一の生活保護法の規定により設置されました保護施設におきましては、現行法の規定では、県立の施設につきましては国が二分の一、県が二分の一の負担となつており、市町村立の施設につきましては国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一であり、また公立以外の施設の整備費等につきましては、国が二分の一、県が四分の一、施設の設置者が四分の一の負担となつております。これを今回の災害復旧につきましては、県立の施設につきましては国が三分の二、県が三分の一、市町村立の施設につきましては国が三分の二、県が六分の一、市町村が六分の一の負担区分とし、公立以外の施設の整備費等につきましては、国が三分の二、県が六分の一、施設の設置者が六分の一の負担区分といたすものであります。  第二の児童福祉施設におきましては、現行法の規定では、県立の施設につきましては国が二分の一、県が二分の一の負担となつており、市町村立の施設につきましては、原則として国か二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一の負担となつております。これを、今回の災害復旧につきましては、県立の施設につきましては、国が三分の二、県が三分の一の負担率として、市町村立の施設につきましては、国が三分の二、県が六分の一、市町村が六分の一の負担率といたしました。次に、法人の設立にかかる施設の整備等に関しましては、現行法の規定では、国が二分の一、県が四分の一、その法人が四分の一の負担率となつておりますのを、今回の特別措置といたしまして、国が三分の二、県が六分の一、当該法人が六分の一の負担率といたしたのであります。また、社会福祉法人等以外の私人立の施設の復旧につきましては、現行法の規定では補助または負担を行うことができませんが、今回の特別措置といたしまして、このような私人立の施設につきましても、法人設立の施設に対すると同様の補助または負担率を適用しようとするものであります。  第三の公益質屋につきましては、現行法による国の補助率の二分の一を三分の二に高めるとともに、質物の流失き損により当該質物で担保される債権を失つた市町村に対しまして、国はその損失額の十分の八に相当する額の交付金を交付する旨の規定を設けたのでございます。  以上が本法案の内容の概略でございまして、この特別措置による国庫負担分は約六千八百万円となる見込みでございます。  以上をもちまして提案理由の説明を終ることといたします。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。  続いて、ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害による病院及び診療所災害復旧に関する特別措置法案の提案理由を御説明いたします。  本年六月及び七月の水害による医療施設の災害は、早急に復旧を必要とする病院が約百二十、診療所が約千五百二十の多きに及んでおるのであります。  この事態をこのままに放置しておきますれば、被害地域の住民の医療を確保することができなくなるものと特に憂慮されておるのであります。従いまして、かような医療施設に対しまして、その水害によつて生じた災害に必要な復旧費について、一定の金融機関から特別にその貸付ができるようにするとともに、この金融機関に対して、国は通常の条件よりも有利な条件をもつて資金を貸し付け、もつて被害地域の医療面の早急な復旧の促進をはかる必要があると思いまして、ここに本法案を提出した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  最後に、ただいま議題となりました昭和二十八年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案につきまして、その提案の理由並びにその内容の概略を御説明申し上げます。  本年六月及び七月にわたりまして、西日本その他の地域を相次いで襲いました豪雨は実に未曽有のものでありまして、その被害が甚大なる額に上る今回の水害につきまして、これを地方公共団体について見まするならば、土木、農林、文教、厚生等の公共用施設の災害復旧及び罹災救助、防疫その他の災害対策のために緊急に要する経費の増加、並びに地方税、使用料等の減免のための財政収入の減少等、本年度において地方公共団体の財政負担の増加は実に二百余億円の巨額に達するのであります。  しかるに、御承知のごとく地方財政の逼迫は今日よりはなはだしきはなく、戦災や災害復旧、公共施設の建設事業、その他国の施策に応じて措置しなければならない経費は年々膨脹の一途をたどり、地方財政はひとしく赤字経済に苦吟いたしております。かかる状況にあります際に今次の大災害をこうむりました地方公共巨体は、いかにするもその財政力のみをもつてしてはとうていこの大災害に対処することは不可能でありまして、従来の観念を放擲した抜本的施策を講ずるにあらざれば、民主政治の基盤たる地方自治は危殆に瀕すると言つてもあえて過言ではないと存ずるものであります。  以下本法案の骨子について申し上げます。  この法律案は、昭和二十八年六月及び七月の大水害による災害を受けた地方公共団体に対し、災害によつて生じた財政収入の減少や諸災害対策費等の財政需要の増加で、現在の体系では国の補助金や交付金等の支出により救済されがたい分野の財源の不足を補うため、特に政府資金引受による地方債を昭和二十八年度に限り起すことを認め、その元利補給金を国庫より支出することを規定いたしたものであります。  現在このような財源の不足に対処するものといたしましては、特別財政平衡交付金の制度があるのでありますが、この制度の趣旨は、平常予想さるべき特別の財政需要に応ずる性質のものでありまして、このような異常災害に対処することはとうてい不可能であります。従来の運用の例から見ましても、現行予算における特別平衡交付金百十余億円のうち、災害に充当さるべき率はわずかに一〇%ないし二〇%程度にすぎず、しかもこれは今後起るべき災害の分も包含されることになつておりますので、今次のごとき非常災害にあたりましては、特別な財源措置を必要とすることは明瞭であります。今かりに現行の平衡交付金及び特別平衡交付金のわくを拡大いたしましても、本法案でまかなわれるべき百二十余億円と推定される財源を得ることは至難のことであり、また本年度限りの財源供与のため現行の平衡交付金制度を改正してその体系をくずすことは望ましからぬことであるのは明らかであります。従つて、これらの財源を補うためには、本来ならば国庫の財政支出による特別補給金を交付することが望ましいのでありますが、翻つて国の財政を考えますれば、かかる膨大なる額を今ただちに予算に計上することもまた至難のことと考えられるのであります。よつてここに政府資金引受による地方債を発行せしめ、その償還年次に応じた元利償還金を補給金として国が交付することといたしたものであります。  次に、本法案による地方債を起すことのできる場合としては、当該水害によつて生じました財政収入の減少、すなわち地方税、使用料、手数料その他の徴収金で、災害状況に照し相当と認められる程度の減免による財政収入の不足を補う場合及び災害救助対策、苗しろ対策、病虫害駆除対策、農機具対策、その他種子、肥料、牧野等四十数項目にわたる災害対策事業で、命令で定めるものの実施に通常必要と認められる費用のうち、地方公共団体の負担となるものの財源とする場合であります。河川、土木等の公共事業関係の経費の地方負担につきましては、別途補助率の拡大が考慮されており、地方負担額については地方債を充当し得ることとなつておりますので一応除外し、本法案では、かかる現行の災害復旧費の負担区分では救済し得ない性質のもののみを考慮いたしたわけであります。しかしながら、復旧事業に属しない緊急工事等の経費につきましては、本法案によつて処置することが妥当であると考えますので、本法案第一条第一項第二号の命令で定めるもののうちで考慮すべきものであると考えている次第であります。  次に、本法案を適用する地方公共団体は政令で指定することといたしてございます。  以上申し述べました理由と内容をもちまして本法案を提案をいたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上にすみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げる次第であります。(拍手
  220. 村上勇

    村上委員長 これにて各案についての提案理由の説明を終りました。  この際各案の取扱いについてお諮りいたします。各派の申合せによりまして、各案に対する質疑及び討論は省略して、ただちに採決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてただちに採決することといたします。採決は、ただいま議題といたしております六案全部を一括して行います。  それではお諮りいたします。六案はいずれも原案の通り決するに御異議ありませんか。     〔「御異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつて六案は全会一致をもつていずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  この際ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 村上勇

    村上委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように決しました。  この際暫時休憩いたします。     午後七時十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた