○三浦
参議院議員 参議院の
特別委員長である矢嶋三義君が出まして御
説明を申し上げるべきでございますが、ただいま本
会議で、こちらの
委員から
報告をいただきました分についての
説明をする時間でございますので、私
かわりまして提案の理由を御
説明申し上げます。
ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた
公務員等に対する
国家公務員共済組合の
給付の
特例等に関する
法律案の提案理由及び
法案の概略を御
説明申し上げます。
去る六月から七月にわた
つて各地を襲いました大
水害は御
承知のように異常な規模であ
つて、その
被害もまた甚大なものがありました。この
水害のため、
国家公務員、
地方公務員等で住居または家財に損害をこうむ
つたものもまた少くないのであります。国は、この
水害による
被害の
状況にかんがみまして、各般の事項について幾多の
特別措置を講じようとしているのでありますが、
公務員等に対しましても何らかの
措置を講ずべきものと
考えまして、本
法案を提出した次第であります。
まず、
国家公務員等につきましては、
国家公務員共済組合法第五十四条の
特例を設けまして、政令で定める一定の
被害地域内にある住居または家財について損害を受けた者に対しては、同法が規定する本来の
給付額に、その者の俸給月額に二月の範囲で所属共済組合の運営規則で定める月数を乗じて得た額に
相当する金額を加えて支給することとし、また、共済組合員以外の常勤の
地方公務員につきましては、当該職員の給料の月額に一月の範囲内で政令で定める月数を乗じて得た金額に
相当する額の
特別給付金を支給することといたしたいのであります。しかして、
地方公務員に対する
特別給付金に要する費用は、国と当該
地方公共団体がそれぞれ二分の一ずつを負担し合うことといたしました。何とぞ御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害に上る
私立学校施設の
災害の
復旧に関する
特別措置法につきまして、御審議を願いまするにあたり、その提案理由を細
説明申し上げます。
私立学校が従来戦災その他によりこうむりました
災害はきわめて甚大でございましたが、その
復旧はいまだようやくその緒についた程度でございます。すなわち、
昭和二十七年三月制定
施行せられました
私立学校振興法によりまして、
私立学校は振興会より援助を受けることにな
つておりますが、
私立学校振興会に対する国の出
資金は、昨年度においては三億九千万円にすぎず、本年度
予算では十五億円が計上されておりますが、これを配分いたしますと、一校当りの金額はきわめて微々たるものと相なります。
御
承知の
通り、今次の大
水害によりまして、
私立学校のこうむりました
災害は、公立の諸学校と同様きわめて著しいものがございまして、
私立学校振興会の援助のみをも
つてしては、その
復旧をはかることは至難でございますから、次に述べますような内容の
特別立法措置をいたしまして、
私立学校のすみやかな
復旧をはかり、その教育が円滑に行われるように
措置いたしたいと存じます。
次に、本
法案の内容の概略を申し上げます。第一に、本
法案は、
昭和二十八年六月及び七月の
水害によ
つて生じた
私立学校施設の
災害復旧について、国は、当該
私立学校を設置する学校法人に対し、これに要する費用の二分の一を補助することを規定し、国の補助の対象となる
私立学校施設は、
私立学校の用に供せられる建物、建物以外の工作物、土地及び設備を含めることにいたしております。第二に、
私立学校振興会は、右の
災害復旧事業に要する費用の二分の一に
相当する額を、優先的に貸し付けなければならぬことを規定いたしております。その他に、事業費の範囲決定、成功認定、補助金の返還、都道府県知事の事務等所要の規定を設けてございます。
以上申し述べました理由と内容をもちまして、本
法案を提出いたす次第でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
続いて、ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害の
被害地域において行う
母子福祉資金の
貸付に関する
特別措置法案の提案理由を御
説明申し上げます。
災害の罹災民が再び立ち上りますためには多くの困難が伴いがちであろうことは想像にかたくなく、御同情にたえぬところでございますが、とりわけ、配偶者のない女子、子供をかかえて独力で生活しております母親が物心両面で受けます苦労は一層大きいものがあろうかと存じます。すでに、これらの母子家庭に対しましては、前
国会で成立を見ました
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律が保護の手を差延べているわけでございますが、今回の異常な大
災害に際しましてさらにこれに若干の
特例を設けまして、これら母子世帯の困窮を救いその福祉を増進することは喫緊の要務かと存じます。
本
法案は、この
趣旨に従いまして、
母子福祉資金の
貸付の条件のうち、生業
資金につきましては、そのすえ置き
期間を一年延長いたしまして二年間としまた事業継続
資金につきましては、新たに一年間のすえ置き
期間を定めまして、その返還時期を延ばすこととい犬しました。また、この福祉
資金は、県の
特別会計に計上されまする
資金と、これと同額の国からの
貸付金を財源としてまかなわれておりますが、今次
水害によります
地方財政の疲弊を
考えますと、本年度及び明年度におきましては、その財源がきわめて乏しいものになるのでありましようことはきわめて見やすいところでございます。このためには、本明年度におきまして、国の県に対してする
貸付の金額は、県が
特別会計に繰り入れた額の三倍とすることが、最小限度の
措置としてぜひとも必要なことなのでございます。本
法案は以上申し上げた二点につきまして、
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律の
特例を設けようとするものでございます。
以上の
趣旨を了とせられすみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第でございます。
さらに続いて、ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
社会福祉事業施設の
災害の
復旧に関する
特別措置法案の提案の理由を御
説明申し上げます。
本年六月及び七月の
水害によりまして、保護施設、児童福祉施設及び公益質屋は
相当の
被害を受けまして、その
被害額は、保護施設において三千一百万円、児童福祉施設において、六千万円、公益質屋において一千百万円、総計一億二百万円と見込まれております。しかして、これらの施設の
復旧は収容者または利用者にとりまして一刻の猶予も許さないものでございますが、何分にもこれら施設の
復旧整備には多額の費用を要しますので、これらの施設の設置者のみの力をも
つてしましては到底不可能なことであります。そこで、本
法案によりまして、これらの施設の
復旧のために、国または
地方公共団体の負担または補助に関しまして
特例を設け、これら施設の設置者の負担の軽減をはかろうとするものでございます。
本
法案によります各施設の
災害復旧のための費用の負担区分または補助の
特例その他の
特別措置の内容を具体的に申し上げますと、第一の生活保護法の規定により設置されました保護施設におきましては、現行法の規定では、県立の施設につきましては国が二分の一、県が二分の一の負担とな
つており、市町村立の施設につきましては国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一であり、また公立以外の施設の整備費等につきましては、国が二分の一、県が四分の一、施設の設置者が四分の一の負担とな
つております。これを今回の
災害復旧につきましては、県立の施設につきましては国が三分の二、県が三分の一、市町村立の施設につきましては国が三分の二、県が六分の一、市町村が六分の一の負担区分とし、公立以外の施設の整備費等につきましては、国が三分の二、県が六分の一、施設の設置者が六分の一の負担区分といたすものであります。
第二の児童福祉施設におきましては、現行法の規定では、県立の施設につきましては国が二分の一、県が二分の一の負担とな
つており、市町村立の施設につきましては、原則として国か二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一の負担とな
つております。これを、今回の
災害復旧につきましては、県立の施設につきましては、国が三分の二、県が三分の一の負担率として、市町村立の施設につきましては、国が三分の二、県が六分の一、市町村が六分の一の負担率といたしました。次に、法人の設立にかかる施設の整備等に関しましては、現行法の規定では、国が二分の一、県が四分の一、その法人が四分の一の負担率とな
つておりますのを、今回の
特別措置といたしまして、国が三分の二、県が六分の一、当該法人が六分の一の負担率といたしたのであります。また、
社会福祉法人等以外の私人立の施設の
復旧につきましては、現行法の規定では補助または負担を行うことができませんが、今回の
特別措置といたしまして、このような私人立の施設につきましても、法人設立の施設に対すると同様の補助または負担率を適用しようとするものであります。
第三の公益質屋につきましては、現行法による国の補助率の二分の一を三分の二に高めるとともに、質物の流失き損により当該質物で担保される債権を失
つた市町村に対しまして、国はその損失額の十分の八に
相当する額の交付金を交付する旨の規定を設けたのでございます。
以上が本
法案の内容の概略でございまして、この
特別の
措置による国庫負担分は約六千八百万円となる見込みでございます。
以上をもちまして提案理由の
説明を終ることといたします。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
続いて、ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害による病院及び
診療所の
災害の
復旧に関する
特別措置法案の提案理由を御
説明いたします。
本年六月及び七月の
水害による医療施設の
災害は、早急に
復旧を必要とする病院が約百二十、
診療所が約千五百二十の多きに及んでおるのであります。
この事態をこのままに放置しておきますれば、
被害地域の住民の医療を確保することができなくなるものと特に憂慮されておるのであります。従いまして、かような医療施設に対しまして、その
水害によ
つて生じた
災害に必要な
復旧費について、一定の金融機関から
特別にその
貸付ができるようにするとともに、この金融機関に対して、国は通常の条件よりも有利な条件をも
つて資金を貸し付け、も
つて被害地域の医療面の早急な
復旧の促進をはかる必要があると思いまして、ここに本
法案を提出した次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
最後に、ただいま議題となりました
昭和二十八年六月及び七月の大
水害により
被害を受けた
地方公共団体の
起債の
特例に関する
法律案につきまして、その提案の理由並びにその内容の概略を御
説明申し上げます。
本年六月及び七月にわたりまして、西日本その他の地域を相次いで襲いました豪雨は実に未曽有のものでありまして、その
被害が甚大なる額に上る今回の
水害につきまして、これを
地方公共団体について見まするならば、土木、農林、文教、厚生等の公共用施設の
災害復旧及び罹災救助、防疫その他の
災害対策のために緊急に要する経費の増加、並びに
地方税、使用料等の減免のための財政収入の減少等、本年度において
地方公共団体の財政負担の増加は実に二百余億円の巨額に達するのであります。
しかるに、御
承知のごとく
地方財政の逼迫は今日よりはなはだしきはなく、戦災や
災害の
復旧、公共施設の建設事業、その他国の施策に応じて
措置しなければならない経費は年々膨脹の一途をたどり、
地方財政はひとしく赤字経済に苦吟いたしております。かかる
状況にあります際に今次の大
災害をこうむりました
地方公共巨体は、いかにするもその財政力のみをも
つてしてはとうていこの大
災害に対処することは不可能でありまして、従来の観念を放擲した抜本的施策を講ずるにあらざれば、民主政治の基盤たる
地方自治は危殆に瀕すると言
つてもあえて過言ではないと存ずるものであります。
以下本
法案の骨子について申し上げます。
この
法律案は、
昭和二十八年六月及び七月の大
水害による
災害を受けた
地方公共団体に対し、
災害によ
つて生じた財政収入の減少や諸
災害対策費等の財政需要の増加で、現在の体系では国の補助金や交付金等の支出により
救済されがたい分野の財源の不足を補うため、特に
政府資金引受による
地方債を
昭和二十八年度に限り起すことを認め、その元利補給金を国庫より支出することを規定いたしたものであります。
現在このような財源の不足に対処するものといたしましては、
特別財政平衡交付金の制度があるのでありますが、この制度の
趣旨は、平常予想さるべき
特別の財政需要に応ずる性質のものでありまして、このような異常
災害に対処することはとうてい不可能であります。従来の運用の例から見ましても、現行
予算における
特別平衡交付金百十余億円のうち、
災害に充当さるべき率はわずかに一〇%ないし二〇%程度にすぎず、しかもこれは今後起るべき
災害の分も包含されることにな
つておりますので、今次のごとき非常
災害にあたりましては、
特別な財源
措置を必要とすることは明瞭であります。今かりに現行の平衡交付金及び
特別平衡交付金のわくを拡大いたしましても、本
法案でまかなわれるべき百二十余億円と推定される財源を得ることは至難のことであり、また本年度限りの財源供与のため現行の平衡交付金制度を改正してその体系をくずすことは望ましからぬことであるのは明らかであります。
従つて、これらの財源を補うためには、本来ならば国庫の財政支出による
特別補給金を交付することが望ましいのでありますが、翻
つて国の財政を
考えますれば、かかる膨大なる額を今ただちに
予算に計上することもまた至難のことと
考えられるのであります。よ
つてここに
政府資金引受による
地方債を発行せしめ、その償還年次に応じた元利償還金を補給金として国が交付することといたしたものであります。
次に、本
法案による
地方債を起すことのできる場合としては、当該
水害によ
つて生じました財政収入の減少、すなわち
地方税、使用料、手数料その他の徴収金で、
災害の
状況に照し
相当と認められる程度の減免による財政収入の不足を補う場合及び
災害救助
対策、苗しろ
対策、病虫害駆除
対策、農機具
対策、その他種子、肥料、牧野等四十数項目にわたる
災害対策事業で、命令で定めるものの実施に通常必要と認められる費用のうち、
地方公共団体の負担となるものの財源とする場合であります。河川、土木等の
公共事業関係の経費の
地方負担につきましては、別途補助率の拡大が考慮されており、
地方負担額については
地方債を充当し得ることとな
つておりますので一応除外し、本
法案では、かかる現行の
災害復旧費の負担区分では
救済し得ない性質のもののみを考慮いたしたわけであります。しかしながら、
復旧事業に属しない緊急
工事等の経費につきましては、本
法案によ
つて処置することが妥当であると
考えますので、本
法案第一条第一項第二号の命令で定めるもののうちで考慮すべきものであると
考えている次第であります。
次に、本
法案を適用する
地方公共団体は政令で指定することといたしてございます。
以上申し述べました理由と内容をもちまして本
法案を提案をいたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上にすみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げる次第であります。(
拍手)