○保利
国務大臣 二号台風の
対策検討の途上におきまして、六月下旬の大
水害は
お話のようにま
つたく空前の激甚な被害を起しております。農林省としましては、大野
現地対策本部長のもとに、塩見農業改良局長を主任といたしまして、各局から職員を
現地に派しまして、とりあえず、一番大事なことは、被害地域に渡る食糧をいかにして不安なからしめるかということが第一であります。第二は、田の植付時期に際会していたやさき、相当広汎な地帯にわた
つて植えつけました稲の流失、苗しろの流失があり、
従つてその処置を誤りますれば、植付不能の
状態をかもし出すということをおそれまして、まず何をおいても食糧に不安なからしめることと、植付を可能なる限りやり終えるようにというこの二つを、特に改良局長に、多少の規則や何かはあろうけれども、
現地において必要なる手段を広汎に講ずるようにという特別の旨を含めて、
大野本部長に協力をせしめました結果、
現地県知事以下の御協力と相ま
つて、食糧の面及び植付の
状態におきましては、ある県のごとき、今日の
状態でまだ五割の植付を終
つていないというような
状態にも置かれておりますけれども、この数日中にはよほど進捗をして参るのではないか。およそその
状況からいたしますれば、第一に、今回の冠水地帯が非常に広汎で、約二十万町歩からに及んでおる。流失、埋没したものがおおむね二万町歩くらいに達しておる。その二万町歩のうちに、耕地の埋没、流失等によ
つて、おそらくこの一作を犠牲にするほかないと見込まざるを得ないものが七、八千町歩あるのではないか。あるいはまた、水路破壊等の
関係で、稲の植付をすることはできないけれども、陸稲その他の作物に転換して行けるものが三、四千町歩出るのではないか。これらにつきましては、種もみ、あるいはその他の転換作物の種子の確保をはか
つております。
大体今当面しております被害実情は、むろん正確なことは申し上げられませんけれども、大まかな見込みとしてはその程度であります。
従つて、それに対して
措置を誤らないようにということは、応急
対策として講じておるところでございます。各県ともにその応急
対策はかなり円滑に進めていただいておるようでございます。しかしながら、何と申しましても、農地及び農業
施設の
復旧ということは、当面しておる問題であります。あるいはまた農業用水路の破壊等によりまして、
せつかく植えつけても今度は水がないというところは一体どうするか。むろん水路の
復旧ということも急いでおりますけれども、それでもどうしても特別の
措置をとらなければいかぬ、そういうものに対しましては、今回排水ポンプ等も相当手当しておるわけでありますし、その排水ポンプを逆に灌漑用に用いるというような臨機の処置を講じつつ、根本の
対策としましては、むろん農地を初め農業
施設の
復旧を大急ぎでやらなければならぬ。そこへ持
つて来て、二号台風で麦その他の農作物に大なる被害を受けて、その上に持
つて来て、今度の元も子もなくなるような大
災害でございますから、
従つて、営農資金の
対策、これも中央の立法
措置等を講じておればおそくなりますから、できるだけ県当局において英断をも
つて営農資金を融通しておいて、それを国の方から裏打ちをするという
措置をとるようにということでや
つておるわけであります。その他、被害
状況の次第によりまして、国会側の御協力を得て、万全を期して参りたいと
考えておる次第でございます。