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1953-07-27 第16回国会 衆議院 人事委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君    理事 田中  好君 理事 加賀田 進君    理事 受田 新吉君 理事 山口 好一君       田子 一民君    田中 萬逸君       原 健三郎君    本間 俊一君       池田 清志君    小山倉之助君       舘林三喜男君    古井 喜實君       町村 金五君    石山 權作君       加藤 清二君    櫻井 奎夫君       長  正路君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房人事         課長)     平野 出見君         参  考  人         (東京都台東区         立下谷小学校校         長)      小野 重内君         参  考  人         (岩手県立盛岡         第一高等学校教         諭)      軽石 喜蔵君         参  考  人         (岩手釜石市         立第一中学校教         諭)      佐々木三男君         参  考  人         (徳島県立徳島         工業高等学校教         諭)      森本 真章君         参  考  人         (東京教育大学         学長)     柴沼  直君         参  考  人         (東京大学教         授)      山之内一郎君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 七月二十七日  委員田中久雄君、三鍋義三君及び森三樹二君辞  任につき、その補欠として舘林三喜男君、石山  權作君及び加藤清二君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 七月二十五日  寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の  一部改正に関する請願中井徳次郎紹介)(  第五四六七号)  石炭手当増額に関する請願横路節雄紹介)  (第五四六八号)  公務員の夏期手当増額に関する請願小澤佐重  喜君紹介)(第五四六九号)  岩手県田老町の地域給等指定等に関する請願(  田子一民紹介)(第五五六四号)  岩手県一戸町の地域給引上げ請願田子一民  君紹介)(第五五六五号)  岩手県葛巻町の地域給指定に関する請願田子  一民君外一名紹介)(第五五六六号)  茨城県筑波町の地域給引上げ請願赤城宗徳  君紹介)(第五五六七号)  静岡県一宮村の地域給指定に関する請願(足立  篤郎君紹介)(第五五六八号)  奈良南生駒村の地域給引上げ請願仲川房  次郎紹介)(第五五六九号)  奈良県榛原町の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七〇号)  奈良県御杖村の地域給指定に関する請願仲川  房次郎紹介)(第五五七一号)  奈良伊那佐村の地域給引上げ請願仲川房  次郎紹介)(第五五七二号)  奈良県葛村の地域給引上げ請願仲川房次郎  君紹介)(第五五七三号)  奈良県忍海村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七四号)  奈良鴨公村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七五号)  奈良県高市村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七六号)  奈良県宇賀志村の地域給引上げ請願仲川房  次郎紹介)(第五五七七号)  奈良県葛城村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七八号)  奈良県天満村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五七九号)  奈良阪合村の地域給引上げ請願仲川房次  郎君紹介)(第五五八〇号)  奈良県畝傍町の地域給引上げ請願八木一男  君紹介)(第五五八一号)  長崎北串山村地域給指定に関する請願(馬  場元治紹介)(第五五八二号)  長崎県千々石町の地域給指定に関する請願(馬  場元治紹介)(第五五八三号)  長崎県南串山村の地域給指定に関する請願(馬  場元治紹介)(第五五八四号)  熊本県今津村の地域給指定に関する請願上塚  司君紹介)(第五五八五号)  熊本県松橋町外二箇村の地域給引上げ等請願  (上塚司紹介)(第五五八六号)  熊本県維和村の地域給指定に関する請願上塚  司君紹介)(第五五八七号)  兵庫県上久下村の地域給指定に関する請願(佐  々木盛雄紹介)(第五五八八号)  埼玉県倉尾村の地域給指定に関する請願荒舩  清十郎紹介)(第五五八九号)  宮城県村田町及び富岡村の寒冷地手当引上げの  請願(佐々木更三君紹介)(第五五九〇号)  宮城県根白石村の地域給指定に関する請願(佐  々木更三君紹介)(第五五九一号)  鹿児島県垂水町の地域給引上げ請願永田良  吉君紹介)(第五五九二号)  鹿児島県蒲生町の地域給指定に関する請願(冨  吉榮二紹介)(第五五九三号)  同(永田良吉紹介)(第五五九四号)  鹿児島帖佐町の地域給指定に関する請願(永  田良吉紹介)(第五五九五号)  鹿児島県内之浦町の地域給指定に関する請願(  永田良吉紹介)(第五五九六号)  鹿児島県大崎町の地域給指定に関する請願(永  田良吉紹介)(第五五九七号)  三重県宿田曽村の地域給指定に関する請願(濱  地文平紹介)(第五五九八号)  京都世屋村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五五九九号)  京都府雲原村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇〇号)  京都八雲村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇一号)  京都海部村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇二号)  京都日置村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇三号)  京都稗田野村地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六〇四号)  京都宮前町の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇五号)  京都本梅村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六〇六号)  京都曽我部村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六〇七号)  京都樫田村地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第六〇八号)  京都西別院村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六〇九号)  京都田村地域給指定に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第五六一〇  号)  京都府下宇川村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六一一号)  京都豊栄村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六一二号)  京都府上宇川村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六一三号)  京都府竹野村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六一四号)  京都畑野村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六一五号)  京都胡麻郷村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六一六号)  京都岡田下村の地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六一七号)  京都金山村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六一八号)  京都川合村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六一九号)  京都弥栄村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六二〇号)  京都岡田中村地域給指定に関する請願(大  石ヨシエ紹介)(第五六二一号)  京都府上六人部村の地域給指定に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第五六二二号)  京都三岳村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六二三号)  京都本庄村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六二四号)  京都野間村の地域給指定に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第五六二五号)  京都府網野町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六二六号)  京都府間人町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六二七号)  京都府吉原村の地域給引上げ請願田中好君  紹介))第五六二八号)  京都府佐賀村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六二九号)  京都府上川口村の地域給引上げ請願田中好  君紹介)(第五六三〇号)  京都府上夜久野村外二箇村の地域給引上げの請  願(田中好紹介)(第五六三一号)  京都府金谷村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三二号)  京都府由良村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三三号)  京都府篠村の地域給引上げ請願田中好君紹  介)(第五六三四号)  京都府保津村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三五号)  京都府亀岡町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三六号)  京都吉川村地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三七号)  京都府大井村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六三八号)  京都府河原林村の地域給引上げ請願田中好  君紹介)(第五六三九号)  京都府下和知村の地域給引上げ請願田中好  君紹介)(第五六四〇号)  京都府須知町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四一号)  京都摩気村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四二号)  京都府上和知村の地域給引上げ請願田中好  君紹介)(第五六四三号)  京都府園部町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四四号)  京都八木町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四五号)  京都岩集町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四六号)  京都府宮津町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四七号)  京都府吉津村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四八号)  京都府栗田村地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六四九号)  京都府中村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六五〇号)  京都府長岡町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六五一号)  京都府伊根村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六五二号)  京都府豊里村の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六五三号)  京都府加悦町及び三河内村の地域給引上げの請  願(田中好紹介)(第五六五四号)  京都村峰山町の地域給引上げ請願田中好君  紹介)(第五六五五号)  京都八雲村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六五六号)  京都府上宇川村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六五七号)  京都府与謝村のの地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六五八号)  京都府下宇川村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六五九号)  京都野間村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六六〇号)  京都府志賀郷村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六一号)  京都府中上林村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六二号)  京都奥上林村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六三号)  京都菟原村地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六六四号)  京都府中六人部村の地域給指定に関する請願(  田中好紹介)(第五六六五号)  京都岡田中村地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六六号)  京都岡田上村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六七号)  京都岡田下村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六六八号)  京都府周山町外十一箇村の地域給指定に関する  請願田中好紹介)(第五六六九号)  京都豊栄町の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七〇号)  京都金山村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七一号)  京都府細見村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七二号)  京都三岳村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七三号)  京都弥栄村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七四号)  京都府川上村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七五号)  京都府佐濃村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七六号)  京都府湊村の地域給指定に関する請願田中好  君紹介)(第五六七七号)  京都海部村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七八号)  京都府神野村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六七九号)  京都田村地域給指定に関する請願田中好  君紹介)(第五六八〇号)  京都府物部村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八一号)  京都府高原村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八二号)  京都府五ヶ荘村の地域給指定に関する請願(田  中好者紹介)(第五六八三号)  京都胡麻郷村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六八四号)  京都府東本梅村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六八五号)  京都府瑞穂村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八六号)  京都世木村地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八七号)  京都府桑飼村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八八号)  京都府馬路村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六八九号)  京都府千代川村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六九〇号)  京都西別院村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六九一号)  京都府東別院村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六九二号)  京都樫田村地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六九三号)  京都宮前村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六九四号)  京都畑野村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六九五号)  京都本梅村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六九六号)  京都麺田野村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六九七号)  京都府千歳村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五六九八号)  京都曽我部村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五六九九号)  京都府旭村の地域給指定に関する請願田中好  君紹介)(第五七〇〇号)  京都府山田村地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇一号)  京都府市場村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇二号)  京都石川村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇三号)  京都世屋村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇四号)  京都日ヶ谷村地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五七〇五号)  京都日置村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇六号)  京都府養老村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇七号)  京都本庄村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇八号)  京都府朝妻村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七〇九号)  京都川合村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七一〇号)  京都長善村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七一一号)  京都府五十河村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五七一二号)  京都府丹波村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七一三号)  京都府新山村の地域給指定に関する請願田中  好君紹介)(第五七一四号)  京都西本梅村の地域給指定に関する請願(田  中好紹介)(第五七一五号)  愛媛県岡田村地域給指定に関する請願武知  勇記君外一名紹介)(第五七一六号)  栃木県祖母井町の地域給指定に関する請願(佐  藤親弘紹介)(第五七一七号)  栃木県久下田町の地域給指定に関する請願(佐  藤親弘紹介)(第五七一八号)  栃木県足利市の地域給引上げ請願佐藤親弘  君紹介)(第五七一九号)  静岡県大坂村の地域給指定に関する請願舘林  三喜男紹介)(第五七二〇号)  山形県余目町の地域給指定に関する請願池田  正之輔君紹介)(第五七二一号)  山形県酒田市の地域給引上げ請願池田正之  輔君紹介)(第五七二二号)  山形西荒瀬外八箇町村地域給指定に関す  る請願池田正之輔君紹介)(第五七二三号)  山形県大山町の地域給指定に関する請願池田  正之輔君紹介)(第五七二四号)  山形県藤島町の地域給指定に関する請願池田  正之輔君紹介)(第五七二五号)  愛知県平和村の地域給引上げ請願小山倉之  助君紹介)(第五七二六号)  宮城気仙沼地区地域給引上げ等請願(小  山倉之助紹介)(第五七二七号)  鹿児島県鹿島村の地域給指定に関する請願(池  田清志紹介)(第五七二八号)  鹿児島帖佐町の地域給指定に関する請願(池  田清志紹介)(第五七二九号)  広島県原村外三箇村の地域給引上げ等請願(  佐竹新市紹介)(第五七五二号)  岡山県豊野村外三箇村の地域給指定に関する請  願(橋本龍伍紹介)(第五七六〇号)  鹿児島県串木野市の地域給引上げ請願(床次  徳二君紹介)(第五七六八号)  石川県鳥屋町の地域給指定に関する請願南好  雄君紹介)(第五七六九号)  香川県多肥村外十四箇村の地域給指定に関する  請願赤城宗徳紹介)(第五七七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会の件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案益谷秀次君外二十三名提出、衆法  第四二号)     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。本日は、本案審査参考に資するため、特に本案関係のありまする参考人おいでを願いまして、いろいろ後意見を聞くことにいたしました。御出席方々は、岩手県立盛岡第一高等学校教諭軽石喜蔵君、徳島県立徳島工業高等学校教諭森本真章君、東京大学教授山之内一郎君、東京教育大学学長柴沼直君、岩手釜石市立第一中学校教諭佐々木三男君、東京都台東区立下谷小学校校長小野重内君の六君でございます。  この際参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところを御出席を願いまして、まことにありがとうございます。本法律案は、御承知の通り、教育職員俸給表一般俸給表より分離し、特別俸給表として三表に区分した、いわゆる三本建と称するものでございます。本案の内容につきましては、すでに御承知かと存ずるのでありますが、今回の改正によりまして、待遇改善に役立つ点は、一、中学校小学校等においては、教諭最高号俸を三号俸引上げることになつたこと、校長は現在の俸給表でいいますと、十三級まで行けることとなつたことであります。第二は、高等学校等においては、教諭最高号俸が五号俸引上げなつていること、校長が三号俸引上げなつていることであります。第三は、大学等においては、教授等最高号俸が三号引上げなつておることであります。その他高等学校等においては、四級から九級まで、大学校においては四級から十級まで、中小学校等に比して俸給月額が一号俸高くなつていることであります。また新俸給表の切りかえにあたつて、大学高等学校等については、現在受けている俸給月額より一号俸高い俸給を受け得ることになつておるのであります、また初任給につきましては、学校を出たての新規採用の者の初任給は、中学校高等学校いずれも同じでありますが、すでに経験年数を有し、途中の級に格付けされる新規採用者初任給は、大学高等学校等は、一号高くなつておることでございます。本問題につきましては、院の内外を問わず、広く活発な論議が展開されております。当委員会といたしましても、重大な関心を持つております。本日は皆様の忌憚のない御意見開陳をお願い申し上げます。  皆様におかれましては、それぞれ属しておられる職域の特殊性に基き本案に対する是非あるいは御要望についての明確なる御意見開陳あらんことをお願い申し上げます。なお時間の都合もありますので、お一人大体十五分以内で一応発言を願いまして、参考人諸君の御意見が全部済んだあとで、委員各位から御質問願い、これに対して御意見の御開陳を願いたいと存じておるのであります。なお発言の順序につきましては、委員長において適宜御指名申し上げますから、さよう御了承願います。
  3. 櫻井奎夫

    櫻井委員 参考人の喚問について、ちよつと委員長にお伺いしたいのでありますが、本法律案に特に関係が多く持たれるのは、高等学校教職員であるというふうに思うのでありますが、聞くところによると、高等学校組合が二つあるというふうに聞いておるのでありますが、本日ここに喚問されておりますとよろの高等学校軽石先生及び森本先生は、どちらの組合に属しておられるのでありましようか、お伺いいたします。
  4. 川島正次郎

    川島委員長 これは櫻井君に御相談ですが、一応きようは六人の先生方おいで願いましたが、皆さんの御意見を聞いて、今のような御意見はいずれあと理事会を開いて御相談することにいたしたいと思います。
  5. 櫻井奎夫

    櫻井委員 きようおいでの六人の方の御意見を承ることは、私はひとつもさしつかえないと思う。これはぜひそうしていただきたいのですが、しかしかりに二つある場合には、両方の御意見を承ることが私どもは最も公正な判断を下す基礎になると思うのでございますので、もし片一方の組合に属しておられる高等学校先生がここにおいででないということになりますならば、それらの人を参考人としてお呼びくださいまして、私どもの公正な判断基礎に供されるように私はここで強く要望いたすものであります。
  6. 川島正次郎

    川島委員長 あとで考慮いたします。  第一に台東区立下谷小学校校長小野重内君の御意見をお願い申し上げます。
  7. 小野重内

    小野参考人 このたび教育職員の職務の特殊性にかんがみられまして、ここに一般職職員から切り離して、そうして教育職員級別俸給表なるものが、生れ出ようというような御提案のありましたことは一応、敬意を表したいと思うのであります。しかしながら、しさいにこの案を検討いたしますときに、私は小学校の立場でございますが、賛成いたしかねます。なお修正といいますか、そういう点から申しますならば、ハをロに合一すべし、すなわち二本建にすべし、イ、ロ、ハのハの小中用のこの級別俸給表をロにまつたく同じにする、ということが私の結論でございます。  しからば何ゆえにさようなことを申すかということでございますが、これは皆様つとに御研究済みだと存じますが、現在の教職員というものは、いわゆる大学のシニア・コース四年を出た者が、小中高いずれの職域に対しましても、その希望によつてその職につくというのが建前でございます。従いまして、その教養において差がないということが、はつきりいたしておるわけであります。しかもそういう根本条件であるにもかかわりませず、小中の職域に勤務するがゆえに、ただいま委員長さんからお話がありましたように、四級から九級において、高等学校に在職するがゆえに一号上るというようなことは、とうていわれわれは納得することのできないところであります。決して職域によつて差をつけべきものではない、断じてないということを強く言いたいと思う。但し新制大学と申しますか、四年シニア・コースを出る前、すなわち中堅ないしは古い方におきましては、従来の免許法におきまして、何か経験年数とスクーリングとの差が少かつたというようなところに不合理のあつたことはわれわれも認めますから、そういうものを合理化することは、あくまでけつこうでございます。合理化はよろしい。不合理があつたならば、それを是正することはよろしい。しかしながらそうした根本条件を一にする者に対して職域を異にするという理由で、そうして差をつけることは納得できないということであります。なぜさようなことを申すかといいますと、小学校の立場をことに申しますならば、御承知の通り一学級担任でございます。しかも全教科を指導するというようなことに相なつております。しかもその定員たるやまことに小さなわくのみしか与えられておりません。今度の例の最高限度を定められた政令によりますれば、最高限度さえ小学校は六分の七学級プラス学校数かける一・〇三というようなきわめて低いわくがはめられておるわけであります。しかもそのわくはあくまで最高限度でございまして、これを上まわる都道府県などはきわめて少い。ここに茨城県の最近の例を私人手いたしたのでありますが、それによりますと一学級から十二学級まで、これに学校長と担任を除いてプラスされる教員の数がわずかに一人、十三学級から二十九学級に至るこの間の学級を持つ学校に対してわずかに二人の教員しか附加されていない、三十から五十に至りましては三人、こういうようなきわめて低い率、従いまして小学校の教員にそうした全教科指導一学級担任、しかも学校給食というような仕事もやつておるわけでありまして、さらにまた小学校の特色といたしまして、これは地域社会の一つの文化のセンターでなければならないというようなことから、あるいは教科外さらにまた校外の生活あるいは青年の指導、あらゆることにタツチして、血みどろな生活、あるいは勤務をしておるのが実情でございます。従いまして非常にオーバーワークになつておりまして、こういうような点から大学を出ましても、小学校の方に進むというような人がだんだん減りつつある、敬遠すると申しますか忌避すると申しますか、こういう現象が顕著に現われております。これを義務教育、特に小学校の危機と言わなくて何と言うべきでありましようか。  ここにまた私は実例を持つて来ているわけであります。群馬県の例でございます、群馬県の大学でございます。教養学部でございましよう。本年度卒業いたしましたその四年コースの学生が志願いたしますその数によつてわけてみますと、小学校の単位を主として専攻した者はわずかに五人、中学校その他高等学校を含みましようが、こうしたものを専攻した者が百十三人というアンバランスを来しております。こういうことが小学校の非常に過重な負担、しかもまた待遇においてまことに恵まれない状況にあるというようなことから、われわれが渇望するそうした人が、小学校の職域を敬遠するという事実が現われておりますことは、日本の義務教育、ことに国民の根基をつちかう小学校の教育の将来にとりましては、まことに重大だといわなければなりません。なおいかにオーバーワークであるかという実例を持つておりますが割愛いたしますけれども、そういうような立場にあります。  従つてわれわれは声を大にして、何とかして人材をわが小学校の教育界に誘致しようと、努力しているのでありますが、遺憾ながら実情はさようにある。しかもこのたびこのような法案が通つたといたしますならば、さらにさらに中学校ないし高等学校に一層志願するものが拍車をかけて増加するというようなことになることは、火を見るより明らかであると私は思うのであります。そういたしますると、そうでなくとも助教というようなものが比較的多数を占めている小学校の教育に、ほんとうにわれわれの待ち望む優秀なる人材が、いよいよ遠のくという、この恐るべき事実を考えますときに、私どもは小中に対して高等学校が特に優遇されるということに対しては、遺憾ながら賛成はできない。なお私が修正の意見を述べましたが、しかし高等学校側がせつかく今かちとろうとしておられるこの待遇を引下げるというようなことは、われわれは望むところではありません。従つて小中は「ハ」を「口」に引上ぐべし、こういうことを申し上げたいと思うのであります。  さらに何か高等学校先生方は選ばれた生徒を専門的に御指導なさる、従つて小中に比して、より高い研修を心要とする優秀なる人物が当然要求される、従つてまた待遇に差があるべきであるというような御意見もあるようでありますが、私どもは決して小中なるがゆえに、劣れる人物ないしは研修の度合いが低くてよいというようなことはとうてい考えられない、考え方によつては高等学校は逆に選ばれた子供であり、しかも相当主体性を持つ、あるいは自主性を持ち得る年齢でございますので、自主的学習の営まれる年齢であるということが言い得ると思う。しかしながら小中学校、ことに小学校においては発育未熟の者、これは一に教師のよい指導、これがないならば、この将来選ばれたる子供を含む、全体の国民となるべきこうした学童の指導において、人格の陶冶において欠くるところができるということを考えなければなりません。そういうことを考えますときに、私どもは一層小学校の教育こそまことに重大であり、まことに骨が折れる、従つて人材をこそ小学校に誘致しなければならないというような観点からいたしましても、一段下の給与に小中学校が甘んずるというようなことは承服はできないのでございます。いろいろなお箇条はたくさんございますが、あとで御質問によつてお答えすることにいたします。  最後に私は一つの比喩を申し上げたいと思います。お医者に小児科という医者がある。これはおそらく国家試験を通つて、同じような勉強をして護得した職域に違いない。小さい子供を扱う小児科なるがゆえに、医者のうちで値打ちの低い人間である。従つて、またどんな人間でもいいんだ、治療代も安くていいんだというようなことを言つている人がどこにありますか。むしろ小児科の医者こそ、大人を扱う内科、外科、そういう人たちよりも一層の熟練と申しますか、あるいは人間的な充実さというものが必要なのではないか。これをすぐ本問題にそのまま持つて来ることはいかがかと思うのでありますが、しかしながら、その辺のデリケートなところを御了解いただく資料にはなろうかと思いまして、あえて申し上げたわけでございます。  以上で終ります。
  8. 川島正次郎

    川島委員長 次に盛岡第一高等学校教諭、軽石喜蔵君から御意見のほどをお述べ願います。
  9. 軽石喜蔵

    軽石参考人 私はただいま御紹介をいただきました盛岡第一高等学校教諭をいたしております軽石と申します。今般御提案になつております一般職給与の一部を改正する法律案に対しましては、全面的な賛成をいたすものでございますが、その賛成の趣旨につきまして、ここに申し述べさせていただく機会を得ましたことを光栄に存ずるものであります。  申し上げるまでもなく、終戦以来教育に関するところの制度、あるいは機構などが、しばしば変革を見て参つておるのでありますが、その実情を顧みますとき、またさらにその間における社会の情勢を顧みますとときに、文化国化を標榜いたしまして発足したところのわが国におきまして、教育者の使命、その責任の重大さを痛切に感じておるものであります。しかるにもかかわらず、いつの時代におきましても、経済的にもあるいは社会的にも恵まれないのが教員の生活でございます。今回の立法措置によりまして、大学、高校、義務制校教員とも、従来よりもかなり優遇の道が講ぜられておることは、本立法に賛意を表する第一の理由でございます。  次に、昭和二十四年国家公務員法が制定されまして以来、四箇年にわたつて慎重なる御検討の結果、ようやく勧告されました今次の給与準則を——本国会において全面的な審議、立法が困難である現状におきまして、最も緊急を要する教育職員待遇改善並びに給与制度を、一日も早く今次国会中に立法化されることは、六十万教職員の真の希望にこたえるゆえんであろうと思うのであります。  世界の教育文化の水準よりも十数年遅れたといわれておる日本の教育界に、人材を吸収するという点においても、また現場の教職員のよりたくましい情熱を振起せしむる点におきましても、これはむしろおそきにすぎるのでありまして、今国会御提案に対しましては、心から敬意と謝意を表するものであります。この成立の一日も早からんことを念願する次第であります。  第三に、この法律案の内容についてでございますが、これは今次勧告された給与準則制定の精神に立脚いたしまして、長をとり、短を補つたものであると信ずるのであります。すなわち大学高等学校、義務制校の三表とし、それぞれ最高号俸に若干の差を認めた点は、まつたく人事院の勧告の通りでございます。ただ人事院勧告におきましては、初任給並びに昇給規定が同一でございますので、せつかく御苦心をされました三表の趣旨が、実質的にはほとんど現われておらないのでございます。そこで、この趣旨を生かし、高等学校大学において、その途中より一号俸の添加措置を講じたにすぎないのでありまして、現段階におきましては、当然の措置と存ずるのであります。この一号俸の添加が、一部におきまして宣伝されるごとく、はたして高等学校職員の大幅の優遇であり、あるいは封建的な職階制の確立でありましようか。  私はここで、何がゆえに私ども大学高等学校、義務制校の教職員三本建給与体系を主張するものであるかということを申し述べたいと思いますが、順序としてまず教職員給与の最近の実情と経過を簡単に申し上げさせていただきたいと思うのであります。戦争前の給与は、確かにあまりに封建的な組立て方でありまして、特に小学校教員の待遇が不当に低かつたことは、改めらるべきものであつたのであります。終戦後これが次第に改正されまして、大学から小学校までの教員給与の差が次第に少くなつて参つたのでありますが、昭和二十三年まではおおむね各職域において、若干の差があつたのでございます。しかるに昭和二十三年一月より施行されました二九ベースの切りかえによつて、この立場はまつたく逆転いたしたのであります。すなわち当時大学高等学校中学校小学校等四本建の給与体系を主張いたした片山内閣に対しまして、大学から小学校までの一本の給与体系を主張いたしましたる日本教員組合の交渉が強力に続けられました結果、遂に大学高等学校以下との二つの給与体系にわけられたのであります。しかも旧師範学校卒業以上の学歴差はほとんど認められず、他の職歴もきわめて不利に換算されましたので、ほとんど最終学歴以後の教職年数が主体となつて級が決定されて、切りかえられたのでございます。差上げました資料の十七ページをごらんいただきたいのでございますが、たとえば当時同じ三十六才の者でも、小中学校の教員が九級で切りかえられたときに、高等学校の教員はほとんど八級または七級で切りかえられまして、高等学校教員の方が三、四号から七、八号くらい低い現状にあつたのであります。その資料にございますように、二十七年一月一日現在で、他の職歴のない師範卒の方が四十六号の際に、専門学校を出て他の職歴のあるような方が四十一号、同じく旧大卒の方が三十九号、かようになつたのであります。高等学校におきましては、他の職歴経験を持つておる者が約七〇%を越しておるのでありすすが、いずれの府県におきましても、このようにして同年齢の者の平均と比較いたしますと、高等学校の方が小中学校よりも三、四号から五、六号低いという実情が生じたのであります。これは生活給与という当時の立場から申しましても、まことに矛盾もはなはだしい結果になつたのでありまして、何がゆえに高等学校の教員の俸給が、低くならなければならないのかという疑問が、全国至るところにほうはいとして起つて参つたのであります。従つてこの問題を根本的に研究調査いたしました結果、学歴差を認め、あるいは他の職歴の換算率を有利にするということはもちろんであるが、これには限度があるので、これだけではどうしても高等学校教員の給与の陥没を全面的に救うことができない。根本的な欠陥は、学歴や職歴の点もさることながら、ここに高等学校としての別の給与体系を設定しなければならないという結論に達したのであります。小、中学校給与の決定と同じものさしでこれを制定したときには、どうしても高等学校の方が陥没を来すということが明確になつたのであります。ここに高等学校は、昭和二十三年以来、この陥没を救うためにも、別個な給与体系を設立すべきであるという結論をもつて、当局に陳情し、運動を開始いたしたのであります。爾来五箇年、給与の改訂を叫び続けました高等学校教員のこの熱願が、今まで当局においても遂に取上げられる機会がなかつたのでございます。幸いにいたしまして、五箇年八箇月を経ました今日、ここに人事院勧告の中にその萌芽を見出し、今や国政立法の府におきまして正式にお取上げくださり、御審議くださいますことは、われわれも実に感慨無量なるものがあるのでございます。日教組の一部におきましては、昭和二十三年当時に比較しますと、われわれのこの問題に対しましても相当認識が改められまして、学歴差やあるいは経歴換算率等においては、私どもの主張を認めて参つております。しかしながら、この三本建給与体系に対しましては、今なお十分なる認識がないのではないかと存ずる次第であります。そうして、この陥没を是正するためには、一本建の給与体系で、昭和二十三年の二九べースの当時にまで、さかのぼつて是正したならばよいであろうと、こういうようなことも申しておるように聞いております。しかしながら、現実にかかることがはたして可能でありましようか。予算上におきましても、また法律上におきましても、五年半も前にさかのぼつて、いろいろの法規を越えてそれをここに施行し直すということは、とうてい不可能なことであります。のみならず、もしも二九ベース当時までさかのぼりましたならば、実質的には大幅な三本建給与体系となるのでございます。なぜかと申しますと、たとえば専門学校を卒業いたした者が、当時の中学校に就職した場合には八十円、当時の小学校に就職した場合には、代用教員として四十円ないし五十円というような給与の差があつて、その差は相対的には縮まつておりましたけれども、やはり昭和二十三年前までは若干の差があつたのであります。従つて、そこまで今さかのぼつて施行し直しましたならば、当然今回の一号俸どころか、もつともつと大幅な実質的な三本建給与体系となるのであります。  以上申し上げましたように、過去の教員に対しましては、昭和二十三年以来の陥没を救うためにも、高等学校に別個な体系が必要であるということは、明確になつたと存ずるのであります。生活給という立場においてさえ不当な待遇を受けておつたのが、高等学校教員の大部分であつたのであります。ましてや、生活状態はいまだ窮乏いたしておるとは申しながら、終戦当時よりは相当に安定して参りました今日、職務の実態に即しまして、その努力、能力、能率に応ずるごとき給与の体制を生活給の上に加味して行くことが必要なのであります。  しかして、大学から幼稚園まで職務の内容が同一であるかどうかという点でございますが、先ほどの校長先生の申された理論も一応はわかるのでございますけれども、おのおのの職域に必要とされる能力なり、学識に程度の差があると存ずるのであります。この点の詳細につきましては、時間がありせんのでさらに別の方に申し述べていただきたいと存じますが、高等学校と義務制校との間に給与の差ができますというと、人事交流を妨げて、六三制教育が破壊されるというようなことも、一部で申しておるようでございます。しかしながら、現在におきましても、大学高等学校の場合を見ますと、大幅な給与の差があるのでありますが、本人の努力研修によりまして、あるいは高等学校から大学に移る方もございますし、あるいは家庭の生活環境等の関係から、大学から高等学校の方に移る方もあるのでありまして、決してそこに高等学校教育の破壊が来されるというようなものではないと私どもは感ずるのであります。すなわち、職場においては、その能力と適性に応じまして職域が決定されるのでありまして、かぐつてこそ六・三・三制が質的に真に輪化されるものであると存ずるのであります。ことに高等学校の教員は、民間の会社あるいは官庁等との交流がきわめて多いのでありまして、それとの給与のバランスということが、非常に考慮されなけばならない点であると思うのであります。もし教育界に人材が集まらないで、六・三制が破壊されるとすれば、それは決してこの高等学校あるいは義務制校との間に、若干の給与の差を設けたからという理由によるのではなくして、それは一般の給与のベースと教員の給与のベースとの均衡がとれないために、そういう実態が生ずるのであると、私は確信するのであります。  なおいろいろ申し上げたいのでございますけれども、時間の関係もございますので、以上をもつて私の意見を終ります。
  10. 川島正次郎

    川島委員長 次に釜石第一中学校教諭佐々木三男君から御意見の御開陳を願います。
  11. 佐々木三男

    ○佐々木参考人 私は釜石第一中学校教諭でございますが、現在日本教職員組合の調査部長をしております佐々木でございます。私は、学校という立場から申し上げるのではなくて、全国の五十万の教員を代表してつくられている日本教職員組合の立場から、全日本の教員がこれに対してどのような考えを持つておるかということについて、申し上げるのが私の立場であり、私の態度であります。  結論から先に申し上げますと、私は、今回の給与法の一部改正、俗に言われるこの三本建に対しては反対でございます。あくまでも一本の給与体系によつて、われわれが持つている幾多の問題は解決できるということを、私どもは、客観的な資料によつて、また大衆の討議によつて確信しておるものでございます。時間の制限がありますので、要点だけ申し上げますというと、この給与法の一部改正は、現在の教員給与の問題について何ら抜本的な解決をしておらぬということであります。先ほど軽石さんの方から言われましたように、前歴再計算の問題、学歴と勤続年数の問題、またそれから発展して考えられるところの恩給法の問題、こういつた問題には何ら触れないでおつて、機械的な一号昇給によつてこの問題が解決できるというようなことは、どうわれわれが考えていつても、また実際に問題を当つてみてもできないのであります。これはこまかい点でありますが、しかし基本的に今教員が要求しているのは何であるか、こう考えれば、これは食えるだけの賃金をわれわれがほしい、生活の保障ができるだけのいわゆる一万八千八百円の給与改訂をしてもらいたいというのがねらいであつて、それに触れないで、こういうような小手先の給与改正をやつたところで、何ら問題が解決しないというのが、反対する第一点でございます。  第二番目は、これは提案の趣旨を見ますというと、たいへんにいいことを書いておりましたので、私も感心して見たのですが、内容を見ると、羊頭を掲げて狗肉を売るというのが、その実態ではないかと思うのであります。こういうような法がもし決定になつたならば、われわれの不利益をこうむることもさることながら、最高の機関としての国会の権威までも失墜するおそれがあるのではないかと考えるのであります。なぜかといいますと、いわゆる提案理由の中に、給与法の第十条第三項におけるこの教育職の俸給表その他については、人事院が勧告をすると、こうなつており、従つて、この建前は、勧告を受けて、議院の立場では、早く政府にこの立法化と、この立法措置のための予算化を要求するのが、基本的な立場であるのに、それをしないでおつて、一部分だけ取上げたとろで、とうていこの問題は解決しないということであります。従つて私は現在のこの種の問題を扱う国会において、まずなさなければならないことは、いろいろな議論はございますけれども、七月十八日に出された給与改訂と、給与準則に対する態度を、早急に政府の方から予算と法案とともに提出させて、それに対する審議を国会が行うべきであつて、このような一こまだけ取出しては、問題の解決にはならぬと思うのであります。  次に内容を見ますと、これで見ると優遇というのでありますが、附則の第二項、第三項、第四項を見ると、昇給する者と昇給しない者とがあります。そうすると昇給する方はいいとしても、昇給をしなくても優遇ということが、結論的には出て来るわけであります。しかもこの昇給をしないのが、全国の教員のうちの五十万以上を越えるのでありますから、結局どういうことになるのかというと、大多数の教員は一銭も上らないけれども、こういうことが優遇である、こういうことにならざるを得ないのであります。もしそうだとするならば、このまま法律改正を出さないでおいて、全教員の給与をそのままにしておいても、これが優遇だという、われわれにとつてはきわめて判断のしにくい問題が、ここに出て来るのであります。従つてもう一つの点から申し上げますと、最高号俸を引上げたことは、これが優遇であるというのでありますが、私の計算では、短期大学を卒業した教員が、あたりまえの年齢で就職しますと、四十九歳になりますと、あとは一銭も俸給が上らないというのが、この優遇の内容であります。平均で五十五、六歳まで教員をやるのでありますから、あと五年か、六年か、校長さんの場合は五十七、八歳までの方もありますから、最後の十年間くらい月給が上らないようになることが優遇であるというならば、優遇というものの内容を少しく再検討する必要があるのではないかと思うのであります。以上が第二点の反対理由であります。  第三点としては、法律的に相当な問題があるのではないかと思うのであります。つまり現行給与法の第八条の四項あるいは五項においては、普通昇給と特別昇給の規定がございます。この法律案の附則で見ますと、級をそのままにしておいて、一号上るから、その内容については昇給と判断することが正しいと思うのであります。ところが昇給についてはいろいろな意見がありますけれども、とにかく一つは経過期間を過ぎなければならぬということと、もう一つは勤務の成績というものが、その要素になつておるのでございます。さらに手続上の問題としては、学校長がそれぞれの教職員について、その期間の終了したこと、あるいは成績について内申するという手続がとられて、初めて昇給という問題が実現するのでありまして、いかに上下の関係があるとは言いながら、上級機関が手続上の権限として与えたものまでも無視してこれをやるならば、一体何のために法律がつくられており、何のために規則がつくられておるか、これをまつたく否定した形になるわけであります。この点から言うて、この法案がかりに通るといたしますならば、給与法の第八条の四項、五項という昇給に関する規定は、これは事実上死んだということになつても、やむを得ないのではないかと思うのでございます。以上が第三点でございます。  次に申し上げる点は、およそ国家公務員法、地方公務員法を通じて、公務員は給与においても、身分においても、人事においても、公平に取扱われるというのが原則でございます。ところが学校によつて、同じ国立の学校であつても、上る者あり、上らざる者あり、これに従つて給与条例がつくられるならば」地方においても同様な原則が出て来るわけであります。元来給与法は、国家公務員法に基いてつくられたものが給与法であると、私は信じております。従つてこれに抵触するような場合は、給与法そのものは無効とならざるを得ないのではないかと考えるのでございます。従つてこの点から、国家公務員法に定めておる公平の原則とは逆に、不公平の原則によつてこの給与法の一部改正がなされるという点に、法的に大いに問題がある。それでこの点からまた反対せざるを得ないのでございます。  次にこの法案がどのような影響を与えるかということは、十分検討しなければならない問題でございますので、この効果判断と言いますか、その与える影響について若干述べてみたいと思います。  いかなる人間でも利己心というものがあるので、自分の俸給が高くなるのに対して、あえて文句を言う者はないようにも考えられるわけです。しかし基本的に要求していることと、附属的といいますか、それよりも小さい問題として要求し、あるいは扱われているこういう問題は、おのずから別であると思う。従つてこの給与体系がよろしいという人たちの要求が、はたして一号俸の昇給で満足するのか、俸給表を別にしたことによつて、今すぐ生活の状況がよくなるのか、こう考えた場合には、私どもはどうしてもこの一号俸の昇給によつて、今幾多の問題を持つておられる方々の要求が通る、こういうようなことはあり得ないと思う。従つて軽々しくこれに賛成するならば、将来その道を誤るのではないか、こういうふうに考えるのであります。  第二番目は、昇給する学校、昇格しない学校ということがありますと、事実上の問題としてりくつを越えた感情というものが出て来るのは理の当然でございます。また同じ学校内において、高等学校ならば現行の七級から十二級までの教員は上るけれども、それ以外の教員は何の理由かわからないけれども上らない。大学においては現行の七級から十三級の者は上るが、それ以外は、どういう理由かわからないが、両端は切られて上らない。こういうことは、職場に不平と不満を巻き起す大きな原因になるのではないかと思うのでございます。従つていろいろな要素はございますけれども、このような法律改正によつて、職場に不平不満を起すということは、給与法の精神とは相反するのではないか、こういうふうに私は考えるものでございます。なお元来給与というものは、現行の給与においても主としてその人の学歴であるとか、資格であるとか、経験であるとか、職務がどうであるとかいうことによつて、個人に対してその条件をきめて支給するのが原則であつて、それをただ学校種別、看板の違いによつて俸給を決定して行くというようなことは、現在の日経連の労働基本政策の中に出ておる賃金の綱領にも出ておらないのでございます。これは賃金の理論といいますか、基礎としてはまつたく何ら根拠のない、きわめて無謀なるものであると言わざるを得ないと思うのでございます。  以上反対の理由を申し上げたわけでございますが、何というても私が考えるのは、給与法はどちらかというならば、公務員に対する保護的な面が非常に強い法律だと思う。ところが元来が保護法的な性格の強いものであるべき給与法を、今回このように改正したならば、どうなるかということになりますと、これは明らかに弾圧法になるのでございます。私ども給与法をもつて弾圧法とし、教育界に不平と混乱を巻き起して、日本の民主主義の教育を破壊するこの給与法一部改正案には、どの点を検討いたしましても賛成いたしかねるので、すみやかに私はこの法案が撤回されることを希望するものでございます。
  12. 川島正次郎

  13. 森本真章

    森本参考人 私はただいま御指名をいただきました徳島県徳島工業高等学校に籍を置いております森本真章と申す者でございます。今回の教員別表の御審議に際しまして、当委員会に御召喚をいただきまして見解発表の機会をお与えいただきましたことを、厚くお礼を申し上げるものでございます。  私はまず第一に、学校の種別によつてその職域に勤め得るに必要なる能力、すなわち職能ということについて考えてみたいと存じます。一般に小学校中学校高等学校大学と教える対象が年齢的に、知能的にだんだん高くなつて参りますと、これを教育し、指導するにはこれに比例したより高い教養、識見なり能力を必要とすることは、いまさら言うまでもない一般社会通念でございます。しかし私は教育におきましては、小学校があつて中学校あり、中学があつて高校があり、高校があつて大学があるのでありますから、小学校よりは中学、中学よりは高校、高校よりは大学が重要であると申しておるのではないのであります。それぞれの学校の職域に勤務するのに、最低必要とする能力というものを考えてみる場合に、具体的に高校を卒業した者を例にとつてみますと、その者は小中学校には臨時免許状の資格ではありますけれども、一応高校を出ただけで、教壇に立ち得るのであります。しかしながら高校を卒業しただけの力では高校生を教育指導することは不可能でありまして、ましてや大学の学生を指導するというようなことはとうてい不可能なことでございます。すなわち上級学校に行くに従つて、それぞれの学校において養成されるところの最低必要とする能力は、漸次高まつて参るのでございます。トロツトスキー氏はこのことを次のようにたとえております。百メートルを走る場合に、大学の教授に相当する人は、十秒ないし十一秒で走る能力の持主でなければならない、こういうような人はきわめて少いのでございます。高校の教員は十秒ないし十四秒で走る人であれば勤まる、小中学校の教員は十秒ないし十六秒の間の人でも勤まるということを言つておるのであります。ここに十秒で百メートルを走る能力の人があるとしまして、その人が大学に勤めた場合には、全力をあげて走らなければならない、いわば知的にはきわめて重労働になるのでございます。しかし高校に来た場合には十四秒以内で走ればよいのでありますから、大学に比べまして、知的には軽労働になるのであります。さらに小中学校に行つた場合には十六秒以内で走ればよいのでありますから、さらに知的軽労働に従事することになると言つておるのであります。同じ大学葦卒業した者でございましても、労働に対する賃金の原則から申しますれば、軽労働に従事する場合と重労働に従事する場合には、その給与なしに差異ができますのは当然でございます。このような考え方から、ソ連におきましてさえも教職員給与体系は、学校種別の典型的な三本建給与体系になつておるのでございます。それから先生方のお手元にお配りしてございます資料の十一ページ、十三ページにも書いてございますように、世界のほとんどすべての国々が三本建給与体系であり、私どもが調査いたしました範囲内では、日教組が申しておりますように小学校から大学まで一本の給与体系をとつておる国は例を見ないのでございます。  さらにわが国の現行の教職員免許法におきまして、短期大学一年を終了すれば、小中学校に奉職した場合は仮免許状が与えられるのであります。しかしその一年修了では高校に来た場合は無資格でございます。それから短期大学を卒業した場合に小中学校では二級普通免許状が与えられますが、高校に来た場合には仮免許状であります。新制大学を卒業した場合に、小中学校では最高資格であるところの一級普通免許状が与えられるのでありますけれども、高校におきましては二級普通免許状であります。高校の一級普通免許状を得るためには、高校において三年の教職経験と十五単位の研修をいたさねばならないということになつておるのであります。これはちよつと変な形でございますけれども、この免許法を制定した当時に大学院の制度がなかつたのであります。この免許法を制定された当時の文部省の責任者に聞いてみますと、これは大学院一年修了をもつて、高校の一級とするのであつたけれども大学院の制度がなかつたからこういう形に置きかえてあるのだ、こういうようなお話でございます。そのようにそれぞれの資格要件におきまして、高校の方により高い資格を要請しておりますことは、職務内容に差のあることを現わしておるのであります。私どもが調査いたしましたこの資料の十一ページ、十二ページ、十三ページにございますように、諸外国の教員資格を見ましても、このような見地から学校種別によつて異なつておるのでありまして、このような考え方は世界的に共通した通念であるかと存ずるのでございます。今回人事院が給与準則の勧告に際しまして、教職員俸給表において大学、高校、小中学校三本建に勧告いたされましたことは、小中学校教員、高等学校教員及び大学教員の資格要件に差異があるところから、国家公務員法の第二十九条及び第六十四条の関係で、それぞれの職給が別でありますから、俸給表の幅も異ならなければならないという法的根拠によつてなされたものであると考えまして、公正妥当なる結論と存ずるものであります。  次に私は工業学校の機械科の教員で機械設計を担任いたしておるのでありますが、よく小中学校は教える内容が浅い、高校や大学は専門的にはなるが、幅が狭いので教えるための研修は同じ程度のものであるということが言われておるのであります。しかし私はそのようなものでないと思うのであります。私が担任いたしておりますところの機械設計というものを例にとつて見ますと、機械を設計するためには、数学の知識が必要であります。すなわち小学校で習う加減乗除の知識から、代数学とか、幾何学、三角法、微分字、積分学の知識まで必要であります。またいかなる材料を使うかということの場合には、金属材料学、非金属材料学、あるいは材料力学というような知識を必要とするのであります。また機械にどういうような運動をさせるか、こういう場合にはやはりメカニズム、機構学の知識が必要なのであります。またある機械の部分にどういうようなロードがかかるかということを計算するためには、力学、流体力学、気体力学や弾性力学の知識まで、一応心得ておかなければならないのであります。またそのほかにどういうふうにして、それを工作するかというためには、工作法、また機械の設計には電気関係がつきものでありますから、電気工学の知識あるいは電動機の知識や、設計したものを製図するためには、製図の能力が必要なのであります。さらに文献を調べるために、高等学校においては英語やドイツ語の知識まで要請されるのであります。しかもそれらの科目が、小学校の国語や算数のように、個個に独立したものではなく、機械設計の授業のためには、それらの科目の知識のいずれが欠けても支障を来すもので、実に複雑な有機的な関係にありまして、複雑性は増大いたしておるのであります。また知識安定度というようなことがありますが、小中学校の科目は基磯的なものでありまして、この知識はきわめて安定性があるのであります。専門的に高度になつて行くに従いまして、知的安定度といつたものがだんだん薄くなるのであります。一旦覚えたものでもじきに忘れてしまうのであります。そういうようなもののために、研修努力がより以上に必要なのであります。このように上級学校に進むに従つて、職務内容は困難性、複雑性を増大いたすものでありまして、これかために世界各国におきましても、先ほど申し上げましたように、上級学校の教員ほど、より高い資格要件を要請いたしておるのであります。  次によく言われることでありますが、小中学校にもペスタロツチのようなりつぱな教員がおられる。その者の給与大学の教授と同じ俸給を与えてもよいではないかということを言われるのでございますけれども、このような人は例外でございます。法律を制定する場合には平均人の、普通の人の基準によつていたさねばなりません。例外をもつて法律をつくりそれを例外でない全体の人々に適用することは、大きな弊害を生ずるおそれがあると考えるものであります。このような例外的な人々におきましては、現行法においても特別昇級とか、わく外昇級の方法において、現行法のまま救済できるようになつておるのであります。今回の改正案は、大学、高校教職員給与の陥没を救うものであると思います。現行俸給表におきましては、高等学校教員構成上の特殊な理由から、年令で比較した場合に、大学または専門学校を出た者が、大多数を占める高等学校の教員の給与が、大部分師範学校を卒業された小中学校先生方よりも平均給が低いのであります。本改正案はこういうような陥没を救うために、四級以上の教員について平均六百円程度の昇給をするとともに、小中学の教員をも優遇するものでありまして、十分とは申しがたいのでありますけれども、当を得たものと存ずるものであります。日本が民主的文化国家の建設に向つて努力している今日、わが国の文化の最先端を行く大学教授の方々の待遇を、国家予算の許す限り改善をいたされんことを最後に希望申し上げまして、私の話を終りたいと思います。
  14. 川島正次郎

    川島委員長 次に東京教育大学学長柴沼直君にお願いいたします。
  15. 柴沼直

    柴沼参考人 私の関係いたしております大学はむろん一般の大学なのでありますが、同時に最も質のよい教員を供給するという意気込みを持つておりまして、学則の第一条にもそのことがうたつてあるのです。従いまして大学という立場と、また教員の供給元という立場から申し上げたいと思うのでありますが、一言おわび申し上げておきます。私土曜日の午後この原案を拝見いたしまして、あと詳細に具体的にどの程度待遇の改善になるかということを検討する余裕がありません。ただいままで皆さんのお話を伺つて、わずかにその知識を得た程度でありますので、自然話が多少常識的のことになるかと思うのでありますが、その点お許しを得ておきたいと思います。  最初に大学の教員につきまして、多年われわれその待遇改善——案んじて研究できるようにしてもらいたいということを念願いたしておりまして、若干の運動等もいたして参つたのでありますが、とにもかくにもこのように一般職員から切り離して扱うというお取扱いをおとりくださつたことにつきましては、非常に感謝にたえないのであります。ただこれはたいへん暴言かもしれませんが、この別表を拝見しますと、実は現在でもほぼこれに近い俸給をそれぞれ人数は少いのでありますけれども、とつているのであります。学長にいたしますれば新しい十二級に相当する旧十五級の学長というものは相当数おります。また学部長その他老年の教授には新しい十一級、旧十四級に相当する俸給をとつている者も若干あります。わずかに大学院を置く大学の教授についての特例のところが改まつたところなのかと存ずるのでありますが、もし私の申すことが誤まつておれば取消します。そういたしますと従来と若干の点においては、かわらないのではないかということになるのでありますが、ただ私どもこの特別扱いを受けますについて、非常に期待を持ちますことは、大学の教授について実は紋別の定数がきめられております。これは一般行政職でありますれば局長、課長、係長というふうに、それぞれの職務が異なつておりますので、級別ということも一応考えられるのでありますが、大学の教官はほぼ同じような内容の仕事に従事しておりながら、たまたま上級の級の定員が一ぱいであるために同じように年限を経、同じような成績をあげながら、不運にも昇級に漏れるということが出て参ります。もしこの表によつて今後の大学教授の待遇を改善されるというようならば、この原案についてぜひ大学教授、助教授等に関する限り、級別定数は採用しないということをおきめ願いたいのであります。そういたしますればこの俸給法によつて、相当程度の待遇の改善ができるかと思うのでありまして、その点を期待いたしておるのであります。  次に大学院を置く大学に限つて、若干の号の昇給を認められておるのでありまするが、この点は少しく疑問を持ちながら、一応賛成するというところでございます。たいへん申訳ない言い方なんでございますが、研究がまだ十分私自身として行かないのであります。その疑問と申します点は、現在の国立大学におきまして大学院と申しますのは、実はその学部、学科等の実力によつて置いたというわけではないのであります。旧制大学を包含するがゆえに、それを基礎としてつくつたという形であります。従つて大学院を置くりつぱな実力がありながら、なおかつ当分大学院が置けないという国立大学が相当あるのであります。そういうのをとりますと、これは俸給は個人につくものが原則でありますから、非常に気の毒な事態も生ずるし、また考えようによつては、中央的な特定の大学にのみ、人材が集中するというおそれも出て参るのであります。この点若干の疑問があるのであります。それから一応賛成すると申しますのは、これはなるほど大学院を置く大学におきましては、職務内容が一応普通の大学の学部と違つた点まで持ちます。仕事の量もふえますし、また仕事の質も高まることはもちろんであります。そういう意味におきまして、何かこれらの教官には待遇の道を講じたいという気持も十分私どもあるのでありまして、もしこの点がこういう形でなしに、大学院に関する職務俸というような形ででも、おきめくだすつておつたならば、私どもは躊躇なく賛成できたのではないかと思います。  次に先ほど申し上げました通り、私ども大学特殊性から、少しく一般の高等学校中学校小学校と違うかもしれないと思います点がございますので、そのことを申し上げます。私どもには、小学校中学校高等学校と三つの段階の附属がございます。そのほかに盲聾あるいは低能児等の特殊の教育をいたす附属もございます。これらの附属学校職員配置を考えますと、同じ大学を卒業しましても、最も老練なところが実は小学校あるいは特殊教育等に配属されるのであります。中学校高等学校の方は、同じ大学を出ましても、今が勉強の盛りという非常に専門的な野心の多い者がかなり多く配属される。むろんそういう者のみというわけではないのでありますが、そういう者が相当数それぞれの学校において、多数を占めておるということであります。それでもし私の大学だけのかつてな都合を申し上げさしていただくならば、かりに大学以外の教員の待遇を二本にわけろというなら、私ども小学校の段階と中学校高等学校の段階でわけてしまいます。これは教育の内容共通性の問題から来るのでありまして、このわけ方ですと実は職員の配置の上に若干問題が生ずることは想像できるのであります。しかし私どもはたいへん大きなことを言うようでありますが、実は附属学校をもつて全国のそれぞれの各級の学校の再教育の機関として、利用したいという念願を持つておりますので、従つて教官の配属方法が、幾分地方と違うのかもしれないのであります。その点の研究を私まだしておりませんので申し上げられませんが、そういう事情から申しますれば、この三本建は私の学校に関する限りは、相当な不便が出るであろうということが申せるのであります。  次に養成いたしました学生を就職させますのに、先ほど来いろいろなお話がございましたが、私の大学の卒業生でも、やはり高等学校中学校小学校あるいは特殊教育それぞれに、その志望によつて就職いたしております。決してこれは成績やあるいは能力によつて就職いたすのではなく、もつばらその青年らしい情熱によつて、教職のために身をささげんとして就職いたしておるのでありまして、これらの者を大学として考える場合に、違つた初任級でおとりくださるということは私どもは好まないのであります。従つてまた職務内容の困難さ等の比較をすることは、きわめてむずかしいのでありますから、その意味でも若干昇給年月に差をつけるということは、私どもとしてはできれば避けたいという希望を持つております。しかしこれもお話にありましたように、ごく常識的に申せば、小学校中学校高等学校大学というようなその各種別によつて俸給の元になるような表が異なるということは、これはいわば世間的に申せば、ごく常識的な考え方じやないかと思う。従つてそれを必ずしも私どもは否定し切れないのであります。ただもう少し進んで考えてみますと、高等学校に供給する教員の学歴、あるいは中学校に供給する教員の学歴、あるいは小学校に行く者の学歴等が、従前のようにはつきり異なつておる場合には、この異なつた表を出すことがきわめて適当だと思います。現在いずれも四年制をもつて教員養成の本則とする意見がきわめて強く、中央教育審議会におきましても、そのような原則であるということが、新聞紙によつて報ぜられております。その段階におきましては少くとも初任給は全部同じ、それから昇給の年月も同一であるべきであろうと考えるのであります。ただ最終の到達すべき最後の号俸につきましては、これはある程度考慮の余地があるであろうということは、私どもも考えるのでありまして、その点につきましてはむしろ人事院の考えに私の考えは近いわけであります。ただ先ほど小学校中学校等に優秀な教官、校長等のある場合に、これらの人が優遇されるのはけつこうだが、それは原則にはならないというお話があつたのでありますが、原則にならないとするならば、一般原則のほかに教員の待遇については、特にそのような各府県に何名というような、だれが見てもすぐれておるというような小学校先生中学校先生についてはこの新十一級はおろか、新十二級までも飛ばし得るような特例が設けられていいのではないか、かように考えるのであります。私いろいろ今まで伺つておりましたこと、あるいは本日伺いましたことに基いて二本建がいい、三本建がいいという点について、直接の意見は実はまだ立てかねております。そしてもし暴言を許していただけるならば、教員の待遇を実質的によくするという点から見れば、二本建、三本建ということは、実はあまり意味のないことであるような印象であります。それよりももつと具体的に各教員の待遇がよくなり、安んじて教職に献身できるような方策を、たとい何本建にせよ考え得るのではないか。たとえば先ほど日教組のお方のお話に、この俸給で行けば最後の十年間は昇給なしに終るではないかというお話があつたのでありますが、私はそのまつたく逆の心配をいたしております。私はこのように十一級、十二級と新しい俸給で出しておりましても、はたして全国の町人がこの恩恵に浴し得るか、おそらく私目分量ですが、順調に行けば二十六、七年で最高まで行ける勘定ではないかと思うのでありますが、実際にはおそらく四十年以上かかるであろうと思います。それは先ほど申した、々とえば級別定数とか、あるいは予算の関係等からチエツクされるからであります。従つて私としてはむしろ何とか一人でも多くの者が高級な級号に昇格し得るような、具体的方策をあわせてお考え願わなければ、本案の設定だけでは必ずしも教員の待遇の改善の解決にはなつておらないのではないか。願くは、これを基礎としてさらに百尺竿頭一歩を進められて具体的方法について御検討を願いたい、このように考えている次第であります。
  16. 川島正次郎

    川島委員長 次に、東京大学教授山之内一郎君にお願いいたします。
  17. 山之内一郎

    ○山之内参考人 私ただいま御紹介にあずかりました山之内一郎でございます。一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する私の意見を申し上げたいと思うのでございますが。私はこの点に関しまして、大局から論じてみたいと思う次第でございます。  この法御案に盛られております、教育職員一般職職員給与とは別個にいたしまして、教育職員を優遇するというその趣旨は、趣旨としてまことに賛成でございます。申すまでもなく、日本の将来を考えます場合におきまして、教育の職というものはまことに重大な職であります。従つてまたそれに従事する教職員の任もまた重大な関係を持つておるものでありますがゆえに、教育を発展、充実せしめる上においても、教職員を優遇するということは、まことに大切なことであることは申すまでもございません。そういう意味からいたしまして、この法律案の提案理由説明書を拝見いたす場合に、前半に関しましては趣旨としてまことに賛成でございますが、この法律案の内容に関しまして、この提案理由の説明書は、何らその合理的な理由とか、またかくかくであるというような点については、ほとんど触れておりません。そういたしますと、この提案理由の説明書なるものは、私率直に申し上げますが、まことにずさんきわまるものでありまして、こういうような提案理由説明書によつて、この法律案が可決いたします場合には、納税者としての国民は、何ゆえにこういう法律が制定せられたのかということについても、かいもく明確でありません。いずれ立案者にはいろいろな御理由もあると存じますが、少くともこの提案理由説明書は明確を欠いております。それはそうといたしまして、私が思いますのに、教育はそれ自体まことにとうといものであり、まことに重大なものでありまして、小中学校、または高等学校、または大学の三者において、その重要性、または意義が本質的に異なつておるものではないと確信いたします。教育というものは知識の大小によつて効果が左右されるものではないのであります。大学教員は小学職員よりも専門知識は豊富に持つておるかもしれません。しかしそれなるがゆえに教育者として優秀な者、また価値の多い者ということはできません。教育というものは、私は確信いたしますが、全人格をもつて教育に当る熱情と、そして教育の技術等を修得しておるものであり、かつそれに加えて、その学校の種類に応じた知識が伴わなければならないと考えるものでございます。そうしますと、何も微分積分ができるとか一流体力学がどうこうというのでもつて格付されるというようなことは、教育そのものから考えますと、末の末の問題ではないかと思います。こういう立場からいたしますと、大学教員、高等学校教員、中小学校教員に関しまして、給与についても、教育の面から考えまして差別をつけるべきものではなく、ことに現在の教育職員、また一般職員もそうでありましようが、給与というものは生活給として考えなければならない建前でもあり、またその給与額でもあろうと思います。しかも現在の給与額たるや、生活給として十分であるかといえば、決してそうでありません。憲法にうたわれておるところの、健康にして文化的生活を楽しめるようなこととは、およそ遠いものであります。しからば繰返して申しますが、私は本改正法律案のごとき三本建という給与体系をつくりますことは、まつたく不適当なものであろうと思います。むしろ現在の二本建をも改めて一本建とすべきことが、私をして言わしむれば当然なことであると思われるのであります。  これと関連いたしまして、しかしながら、ことに大学教員はそうでありますが、なお高等学校教員、中小学校教員においても、そういう面を無視して考えることはできない問題が、ここに一つございます。それは何かと申しますと、科学研究者としての面であります。ことに大学職員についてはそうでありますが、私は日本学術会議の科学者の生活擁護委員会委員長をしておりますので、この問題については常に思いをはせておる次第でありますが、科学研究者としての面を、この際直接この法律案関係はいたさないかもしれませんが、どうしてもこの面とのにらみ合せで、この問題を考えて行く必要があると思うのであります。申すまでもなく、日本は資源の乏しい国家でありまするがゆえに、科学研究を大いに盛んにして、この乏しい資源を補つて行かなければならぬ。また社会制度等々に関しましても、社会科学的に研究して、適切な施設をして行かなければ、日本の将来に対して非常に憂うべき問題が出て来るのではないかと思う次第でありますが、こういう科学研究者としての面を大いに尊重し、そうして科学研究費を十分に優秀な科学研究者に補助し、また科学研究機関の科学研究費を存分に与えるということを考えて行かなければならぬと思うのであります。しこうして科学研究者の科学研究の助成または研究費の給与につきましては、単に狭い意味における科学研究費、すなわち図書費とか、または実験費、そういつたような狭い意味の科学研究費のみではなく、科学研究の環境を十分にするとか、または、たとえば科学研究についての科学研究者の健康または休養というような面までも考えました上の科学研究費を、十分考えて行かなければならないと思う次第でありまして、そうしますならば、従来よく大学教員とか、高等学校教員は、小学校の教員よりも優遇しようというような議論の中に、この科学研究という面とあるいは混同されておるような議論が、ままあるやに思われますが、これを区別して考えまして教育というものはまことにとうとい、そうして大学高等学校、小、中学校の差別がなく、教育それ自体は全人格をもつて当らなければならないというような建前からいたしましても、この法律案のような三本建というものは、まことに私をして言わしむるならば、不適当なものであろうと思う次第でございます。  それからこれを直接この法律案に関連のない問題かもしれませんが、なおあわせて議員諸公のお考えおき願いたい問題は、一般の職員と別個に、教育関係の事務職員給与の優遇の方法を特に考えていただきたいと思う次第であります。教育関係の事務というものは、単なる事務ではありませんので、教育に関する事務という関係から、非常に教育というものに対する自覚を持つておりませんと、十分にその機能を発揮できない問題でありまして、かつまた同じ学校において事務系の職員と教官系の職員との待遇に、きわめて画然と差別があるということは、教育機関における教育の効果を、全体として発揮する上においても、不適当かと存ずる次第でございます。これは余談でございます。  そういうような前提から、私が今度の改正法律案を考えて見ますならば、この法律案の成立について、特に全日本高等学校教職員組合は御熱心でありまして、参考資料もいただいた次第でありますが、この御意見の中にも、私の申しましたような立場からいたしますと、まことに解せない点が多々ございます。たとえば四ページにも「これに比例したより高い教養識見能力を必要とすることは、」云々とございます。ただいま申しましたことからいたしますならば、小学校の教員よりも高い教養、識見、能力を必要とする、これが一義的には結論づけられないと存じます。もし高等学校教員より低い見識でよいということが、小学校教員に妥当いたしますとするならば、教育の基礎となりますところの、またある意味においては教育に関して土台を打ち込まなければならない、そういう子供に対して、十分な教育ができなくなり、また高等学校に参ります生徒というものは、小学校の生徒よりも数が少いのでありまして、一般の国民の義務教育の基礎をつくる意味からも、小学校教員こそまことに識見の高い、また教養の高い教員を要するであろうと思いまするがゆえに、この全日本高等学校教職員組合三本建というものについての理由書は、まことに私どもとしては解せないことでございます。  またこれは片々たることかもしれませんが、九ページの「勤続年数の短かくなる理由」として、これはこういう理由から短くなつたから、これを是正するべきだというようなことも半面に含まれておるかとも存じますが、それの第三に「過去の大学専門学校入試の為の浪人。」ということがございます。入試のための浪人、これは自己の責任において浪人になつたのでありまして、そういうような浪人になることは、試験の運もありますし、一概に言えませんが、浪人になつたような、こういう自己負担による損失というものを救済することは、法律において救済する必要はまつたくないと存じます。こういうふうに考えてみますならば、全日本高等学校教職員組合というものは、はなはだ自分の周囲のことしか、自分の身のまわりしか目が届かないまことに狭い眼界と、自己の利益のみしか考えておらない、こういうことで、教育という先ほど申しましたような責任の重大な職務が、はたして勤まるかというふうにさえ思う次第でございます。巷間よく伝えられるところによりますと、これは真偽のほどは存じませんが、この組合がある特定の政党と通謀して、日教組を分裂させる苦肉の策だとも伝えられておるのであります。もししかりといたしますならば、憲法で保障されておる基本的人権を脅かす問題でもありまして、かたがだこういうような疑惑を持たれるような行動は、慎まれた方がしかるべきだと、私は考える次第でございます。  いずれにしましても、先ほどから申しますような趣旨におきまして、今回の改正法律案というものは、私をして言わしむれば、提案理由についても、はなはだずさんでありますし、また趣旨においても、大局から見まして、とるべからざるものだと考える次第でありますがゆえに、なお十分御検討の上、さらに理想的な給与体系ないしは給与に関する法律案を御検討になつて、あらためてこの理想的な案を御提出なさることがしかるべきであつて、今回の法律案というものは御撤回になることを御勧告いたして、私の意見といたす次第でございます。
  18. 川島正次郎

    川島委員長 以上で参考人方々の御意見開陳は全部終了いたしました。質疑の通告がありますから順次これを許します。時間の関係でごく率直な簡単な御質疑に、お願いいたします。
  19. 石山權作

    石山委員 議事進行。委員長の時計をひとつ参照していただきたいと思います。時間が十二時を過ぎること十五分以上になつておりますので、一応打切りの動議を提出したいと思います。
  20. 川島正次郎

    川島委員長 参考人の方もお忙しいところをおいでなつておるのですから、なるべく午前中に参考人の方にお帰り願つた方がいいと思います。お互いに食事ぐらいがまんしようではありませんか。  田中好君。
  21. 田中好

    田中(好)委員 私は、ただいまお述べになりました山之内先生に、ちよつと簡単にお伺いしたいと考えます。非常にずさんな案だとおつしやいますが、これは見方によつていろいろな批評を受けることと思います。教育の本質につきまして、るるお述べになりました。よく了承いたしました。しかしながら、教育の本質からいたしまして、私はその教育に従事する者の給料をきめるのに、これは同一であらなければならぬとおつしやる理由が、ちよつとわれわれにはわかりかねるのであります。給料を決定いたします場合は、もちろん生活給も基本にいたしまして、職能給的給与を出すことが妥当な制度ではあるまいか、こう考えておる一人でございますが、今の、教育の本質から行くならば、一本建でよいのだというようなお考えは、現存の教育職員免許法が、すでに職能的の色彩をもつて制定されておる。そのときに、いやこれは一本建でいいのである、職能給なるものは、かまう必要はないのだ、こうおつしやることは——教育の本質はそれはおつしやる通り、しかしながらその教育に従事する人間に給料を払う場合に、教育の基本だけできめらるべきものじやなかろうと思う。その点先生からとくとお教えを願いたいと思います。
  22. 山之内一郎

    ○山之内参考人 その点に関して私の考えを申し上げます。あるいは見解の相違というようなことになるかも存じませんが、私はその点に関してこう考えております。  現在の給与というものは、先ほども申しましたように生活給としても不十分であろうと思います。それゆえにそういう立場からいたしますならば、大学教員も高等学校教員も、小学校中学校教員もまつたく同一に考えられるものだと考えております。それからまた教育に従事する人の資格による給与の差別というような点につきましては、もちろんそういうことを全然無視することはできませんが、その資格要件というものは、初任給の場合の格付によつて十分救済され、またそうあるべきだ、そう考えている次第でございます。
  23. 小山倉之助

    ○小山委員 私は山之内さんのお話を伺つたのですが、どうも前半の御議論はまことにけつこうでありまして、大分敬服したのですが、最後のお言葉に対しましては、まことにへんぱな御議論であるように思われる。あなたは科学者でありますから科学の進歩を、あるには科学の問題について援助を与えてくれとかいうようなことも言われるのです。よほど利己的な考えに陥つたというような気分がいたしまして、あなたの前半の議論に対して私は全然尊敬を失つた。あなたはここに日教組のまるで掩護をしておるような御議論でありまして、あなたがもしこの高等学校先生たちの陳情について御批判をなさるならば、同じく日教組を掩護しておる議論に対しても、あなたは最高の学府の教授として御批判あるべきだと思う。教育の根本の問題から行くと、私は今日の教師になんかちつとも信頼を置きません。子供のときから教育するのは母親の力なんです。母親の力、父親の力なんです。今日ではたよるべき教師はほとんどいないような気分がする。そういう根本的なことを言えばこれは別です。だからここでは私どもは今少くとも政治的に実際問題を取扱つているのです。だから実際問題に対する批判を伺いたい。あなたのような理想的な問題、抽象的な問題ならば、私どもはお伺いする価値がない。今日は政治問題の話です。——それじやあなたは日教組のとつておる態度はいいと思いますか。今日日教組のとつておるすわり込みだとか、あるいは乱暴な態度をとつておる、こういう方々に子供を託せられますか。ほんとうのこの子供の教育というものは母親の力なんです。その母親の力を養うのは要するに小学校の教育です。それよりも家庭の教育——この小学校の教育が非常に乱れておる。知識の問題、高等学校以上には知識の問題、人格の問題を、今日日教組の団体がとつておるようなことで、日本にりつぱな人間ができるとお思いになりますか。あなたは科学者ですから科学のことをお考えになられればよろしい。私どもは人格を考える。日本の国家の将来をどうするかということを考えておる。それに今日の日教組のとつておる態度を、あなたはよろしいとお思いになりますか。この機会において、一方のこの高等学校先生たちの主張すべき陳情を批判なさるならば、私は日教組のとつておる態度に対するあなたの御批判も伺いたい。
  24. 山之内一郎

    ○山之内参考人 ただいまの御質問ないし御意見について私の考えを申し上げます。  私の議論について前半においては尊敬したけれども、後半において尊敬を失つたという、それは主観的な御判断で、いかようとも御判断の矢面に立つてけつこうでございます。  それから日教組についてどうどうという御質問でございますが、これは今日の参考人としての意見の範囲外と存じますから、答弁の限りではございません。ただ私の議論の中のあるものは、私が正しいと思うところが、日教組の議論とたまたま一致した点がございましたならば、それは日教組の関係部分については、私は全面的に賛成する結果となる、それしか申し上げることはできないとお答えします。  それから家庭教育について、母の教育の大事な点はごもつともな次第でございます。しかしながらその点は今日の——まさか母を優遇しろというような、職員給与の一部改正法律案の中に、それを盛り込もうという御議論ではございませんでしようから、その点にも触れる必要はないと存じます。ただ私の議論が非常に抽象的である、今日の政治問題としては、それでは十分解決できないという御議論に対しましては、私のそういうような前提からいたしまして一本建にし、そうして一本建になつて教育に携わる職員は、すべて生活給を基礎といたします場合には、同一の体系となすべきだということは、何も抽象的な問題ではございませんで、現実の問題だと私は考えております。
  25. 小山倉之助

    ○小山委員 あなたの言うようなことが抽象的じやないといえば、日本にはそういう問題が湿れているのです。理想的に言えばすべてを改革して行かなければいけない、そんな問題は山積しております。教育の問題だけじやありません。あなたの一本建というようなことは、たれでも考えでいる問題であります。今現実の問題をどうするか、急場の問題をどうするか、あるいは占領中の政策をどういうふうに直して行くか、自然的にどういうふうに改良して行くかという問題に逢着しているのです。あなたのおつしやるようなことはこれはみな同じです、政治上の問題でもみな同じです。
  26. 山之内一郎

    ○山之内参考人 それじやお答えいたします。ただいまの御議論は、御議論として私承つておきます。しかしながら今日参考人として参つたのは、お教えを受けるために参つたのではございませんことを、明言しておきます。
  27. 加賀田進

    ○加賀田委員 岩手県の軽石さんにお尋ねをいたしたい。今の参考意見の中で、高等学校と中小の学校でとつている教員の職務内容が異なるということであります。当然少々異なつているだろうと思います。その異なつた対象として給与という問題が、ここに上程されているのであります。われわれの考えでは給与というものは、まず最低生活保障なのです。その上に立つて労働の質と量の対象としての給与なつて行かなければならない。ここで日本の経済の情勢の中において、最低生活が保障されてない現状で、さらに職階制的の給与体系が混同されてここに提出されているわけですが、その最低生活という問題を別といたしまして、職階制に基く労働の質と量とに基いて給与というものが決定されるという前提に立つて、この問題の内容を検討してみますと、職員給与を決定し検討する内容では、六つの問題が大体対象になつております。いわゆるその勤務の複雑性、さらにその困難性、責任制、こういうような問題を対象といたしまして、さらにその労働の強弱度、あるいは勤務時間、労働の環境、これらの問題が全部対象となつ給与というものが決定されるのであります。これらの問題を中心として職務内容というものを重点に取上げて三本建、しかも高等学校職員に対して優遇すべきであるという結論でありますから、これは特に中小の教員と高等学校に勤めている教員との職務内容を基礎として、賃金の等差をつけなくちやならないという、今申し上げました六つの点を中心として、対照的に一応御説明願いたいと思います。
  28. 軽石喜蔵

    軽石参考人 ただいまの六つの要素は、給与法の四条の中に給与を決定する要素としてうたわれております。私どもが先ほど申し上げましたように、責任の度合いあるいは強度あるいは勤務時間、環境という四つの点においては、これは小、中、高、大ともにそれぞれ大体ひとしいと見なければならないと私は思うのであります。また先ほどからいろいろの方の御意見がありましたように、教育の価値と重大性というような点においても相ひとしい、こう思うのであります。また実際の教育の面におきまして、訓育指導の面におきましても、あるいは小学校の生徒は小学校の生徒なりに、中学校の生徒は中学校の生徒なりに、あるいは高等学校の生徒は高等学校の生徒なりに、おのおの困難性がある、それは比較して推しはかることはできない。しかしながら先ほどあげられました六つの中で複雑の度合いと困難の度合いというものは、やはり差があるということを私どもは認めるのであります。その点を申し上げたいと思います。
  29. 加賀田進

    ○加賀田委員 複雑度と困難性に対して相違があるという御説明なのですが、困難性というものに対しても、内容は非常に複雑だと思うのです。今柴沼さんの御説明の中にも、小学校あるいは特殊学校に対しては、特に老練性を必要とするという説明がありました。この老練性も教育に対する困難性の大きなウエートだと思うのです。従つて困難性に対して高等学校と特に小学校、これらの問題で高等学校が困難性が高いということを、対照的に具体的にお答え願いたいと思います。
  30. 軽石喜蔵

    軽石参考人 人類の歴史が、やはり文化の発達の度合いというものを示しておる、こう思うのでありますが、そういう点からたとえば数学などで申しましても、中学校で指導する数学の範囲というものと、それからまた高等学校七指導する数学の範囲、あるいはそれに付随したいろいろの事柄、さらに大学において指導するところの範囲というものは、やはり一つの文化の段階的な蓄積を持つて来ておるというだけに、複雑性なりその指導に対する困難性がある、こういうふうに思うのであります。いろいろな面から見れば、やはり給与の決定というものは、いろいろの議論ができると思うのであります。たとえて申しますならば、あるいは国会議員の方々の複雑、困難の度合いというものと、県会議員の方々の複雑、困難の度合いで、どこがどのように異なるのかと申しましても、やはりいろいろ異なるともいえれば、あるいは同様な点が多いともいわれるのではないかとも思うのであります。そういう点から私どもとしては、六つの要件の中のこの二点は、やはり違いがあるということを申し上げたいのであります。
  31. 加賀田進

    ○加賀田委員 今賛成の方から複雑性と困難性が異なるから、特にこの職務内容の二点が、三本建にする賛成の意見だということでしたが、逆に反対の佐々木さんにお願いしたいのですが、この点に対して、どうお考えになつておるか。
  32. 佐々木三男

    ○佐々木参考人 私は複雑性、困難性というものは、二つあるいは三つの要素から考えて行かなければならないと思います。この点についてはたとえば教員個々人を見た場合に、その学歴や資格が片や旧大あるいは新大、短大ということによつて、修めたそれぞれの過程において複雑、困難なことがあつたことは認めなければならぬ、従つてその点については初任給において、学歴と勤年というものを十分調整をとつて行けば、この問題は解決できる。それでは実際に仕事をした場合の困難性、複雑性というものの議論は、今のような議論からは私は行かないと思う。これは心理学を研究すれば十分わかると思うのですが、西も東もわからない一年生の子供に字を教えるということ、一足ずつを教えるということと、それから中学校の一年生にアルフアベツトを教えるということと、高等学校の生徒に代数学や幾何学を教えることのどれがむずかしいかといえば、教育というものは対象があつて、その対象に一つの問題を持つて行つて理解させることが、教育の仕事でありますから、その学校が設定しているところの過程が、ただ縦に積み上げた場合に、困難性、複雑性があるからといつて、そのことがただちに給与を決定する際の条件になるのではない、そういうふうに考えるのであります。なお私ども今までいろいろ権威ある教育研究者の方々に、この点については研究してもらつたのでありますが、何としても現在の幼稚園から大学の間において、今言うたような教育の作用として、その複雑性、困難性を結論づけるということは現在のところは出ておらない、そう承知しておるのでございます。
  33. 川島正次郎

    川島委員長 受田新吉君。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 柴沼さんにお尋ね申し上げます。先生学校大学の課程はもちろんのこと、附属の高校、中校、小校と各系列の学校全部を網羅しているという点においては、全国の学校系統のモデルになるところであると思います。従つてそこの教職員を統括しておられるあなたの見られたところで、先ほど御意見をちよつぴり伺つたのでありますが、また学校の卒業生を附属の高校、中校、小校と配置する際における学長としての心組みもお伺いしたのでありますが、同時に先ほどお話の中にあつた聾唖教育のごとき特殊学校についても言及されておつたのでありますが、高等学校中学校小学校という学校の種別を別にしてこの学校運営、つまり教員の待遇問題が考えら力るかどうか。特に特殊教育をやつている盲聾の関係学校のごときは、まつたく小学部、中学部、高等学校部とその系列が一本になつている関係上、どれへ配置されても同様の困難性を持つて教育に当らなければならないのですが、職務の内容がまつたくそういう特殊教育においては一本化すると思うのでありますが、こういう場合に給与の区別をすることによつて弊害は起らぬか、今申し上げた二点、すなわち高等、中、小と学校種別によつて待遇を区別することが、あなたの学校において正直にいつて妥当かいなか、それと今の特殊教育における学校系列によるところの教員待遇を区別することが妥当かいなか、この点をお答え願いたいと思います。
  35. 柴沼直

    柴沼参考人 ただいまお尋ねのことは、実は先ほど相当正直に申し上げたのでありますが、私の学校特殊性かもしれないという反論がおそらく出ると思うのでありまして、それも断つて申し上げたのでありますが、私の学校の場合には一般的な教育及びそれの研究ということのほかに、いわば指導的な立場に立つような任務まで、私どもそれぞれのクラスの学校に負わしております。そういう場合には、学歴あるいは経歴等において、どの学校の教官が、どの学校の教官より劣るとかまさるとかいうことはまず言えないのであります。また教育内容の困難性ということも、一概にとうてい申せません。むしろ職務の質が違うという形で申すよりほか方法がないのであります。従つて、盲聾の特殊学校も、私の学校の附属学校なつておりますが、それらも含めて運営する場合、三本建にしない方が都合がいいということを、先ほど申し上げたつもりであります。ただ、実際問題として、そこに私は少し言葉のはしを濁しましたのは、私の大学の卒業生といえども、東京都内の高等学校には即座には採用されない実情だからであります。そういうことが、何か教員待遇の上において、あるいは高等学校職員構成において理由があるのではないかと思いますが、この点、私実は、私自身の解決法をまだ持つておらないのでありまして、私個人としては、二本建になつた場合でも、三本建なつた場合でも、むしろその問題は末節の問題のような感じがいたすのであります。教員の実質的待遇をよくするためには、そういうことではなしに、まつたく別な見地から具体的に各教員が恵まれるような方策を、この法案の中に含めてもらいたいということ、それで今申し上げた次第なのであります。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 教員養成の大学におきまして、東京の教育大学は第一の学校として、高等学校教員を養成しておられるし、広島の大学にも一部のそうした機関があるわけですけれども、目下各県の国立大学は、中小学校の教員養成に対する志望者が、はなはだ少くて因つておる。教育学部の志願者は非常に少いのだというこの現実と、わけても、その中でも、中、小とわけると、小学部の志願者が一層少いのだというこの現状を、この三本建の体系を確立することによつて、一層悪化せしめるような憂いはないか。これは現実の問題なのでありまして、東京教育大学は、この点において、志願者に苦労されない点では、非常にお気楽ではあろうと思いますけれども、現実の日本の教育に一応の理想を掲げることと、それから現実の状態と、この双方をよく考えて行かなければならぬと思うのであります。それについて、高校教組からお出しいただいておるこの資料の中にあります諸外国の給与体系でありますが、教員資格の方で、初等教員と中等教員とそれぞれ区別されております。過去の日本の教育においては、こういう段階が一応ふまれておつたのでありますが、これから先の教員養成機関の各大学においては、新制大学を基調とする一本的なスタートに立つておるわけでありまして、過去の教員の陥没を救うという問題と、新しい卒業生、これからスタートするところの、新制大学を卒業して同時にスタートに立つて、教育界に出る人々のこととを混同して考えないで、別々に考える必要はないか。これまでの学歴差あるいは前歴計算の上の不利、恩給上の不利というようなものを十分処理して、そうして教員の基本的な待遇を確立しておいて、新しく免許法に規定された新制大学の卒業生を同じスタートに立たせて、新しい教育体制を固めるというやり方、この考え方に対して柴沼さんはいかがお考えでしようか。
  37. 柴沼直

    柴沼参考人 いろいろ学生の応募のことから、また、教員の待遇の基本的なこと等についてのお尋ねなんでありますが、私十分な御返事ができるかどうかわかりませんが、学生の募集につきましては、最も典型的な形で考えますと、私の教育大学は主として、——これは主としてでありますが、高等学校の教員が出て参ります。また、東京学芸大学は、中、小学校へ行く学生が主として養成されておりまして、高等学校は、ほとんど資格をとればとれますが、養成としてはやつていない。その二つを比較した場合、従来の実績において、勢い私の大学が全国的な志願者があり、東京学芸大学が比較的地方的であることは事実でありますけれども、しかし現在においては、東京学芸大学も、相当多数の志願者を擁しております。数倍の志願者を擁しております。そうしてこれが新しい体系によつて、どれだけ影響を受けるかということは、これはまつたくの想像でありまして、それを相当的確に推定する材料は、まだ持つていないのであります。しかしこれは考えようでありまして、多くなるともいえず少くなるともいえないと私は思うのであります。現に私ども大学でも、同じ学部、同じ学科であつて、一方は相当優遇される実業界に行く者もあれば、あるいは好んで教育界に行こうという者もあるのでありまして、これは必ずしも一口には言えない。ただ一般に、国が小学校教育、中学校教育は最も軽んずるのだ、国が軽んずるのだというような、そういう態度が出た場合は、非常に恐ろしいことになると思うのでありますが、本案がはたしてそういう趣旨かどうかということについては、私は必ずしもそうは言い切れないような気がするのです。  たいへん中途半端な言い方なんでありますけれども、もしお話のように、過去の陥没の是正が、別に方法があつて確実に救済できるならば、こういう方法によらずして一応救済して、あらためて教員の待遇の立法を考究するということが、私どもも正しい方法だろうと思うのであります。しかし、先ほどのお話のように、そういう方法は言うべくして、とうてい行われないのだというならば、こういう方法による救済も、暫定方法としてやむを得ないのではないかという気がするのであります。その点私自身が非常にあいまいなんでありますが、とにもかくにも、少しでも全体の教員がよくなるということが私どもの念願でありますから、どんな方法を用いても、たとい暫定的な方法にもせよ、少しでも教員の待遇を向上せしめて行つて、その必要に応じて——おそらくこれが永久の立法でもないでありましようし、その間にもいろいろ研究が行われるでありましようから、それに基いて御改訂願うということも一つの方法かと、実は土曜日以来頭に浮べて来たのであります。
  38. 山口好一

    ○山口(好)委員 軽石さんあるいは森本さんどちらでもけつこうですが、この御提出の資料の七ページに、「高校は校長になる率が少く校長給の加算を受ける者は少い」、そうして、「校長になり得る数の割合」としまして、小学校が五人に一人、中学校が七人に一人、高校が二十九人に一人となつておりますが、この中には女の校長さんは入つておりませんか。女の校長さんについての現在の率は入つておるかどうかをまずお伺いいたします。
  39. 軽石喜蔵

    軽石参考人 この表には女教員の方は入れてありません。大体小学校では女子の方もおられるわけでございますが、ごく少数でございますので、男子の教員数に対しての割合でございます。
  40. 山口好一

    ○山口(好)委員 もう一点、柴沼先生にお伺いをいたしたい。柴沼先生は、大体今度の三本建問題については中立的な立場にあられて、割合に公平な御判断が願えるのじやないかと思いますので、ちよつとお伺いいたしますが、先生の御意見では、この三本建に必ずしも反対でもないようにお伺いいたすのでありますが、先ほどのお話では、三本建は常識的には考えられ得る。そしてただいまの御答弁では、とにかくだんだんと待遇をよくして行くという点では、必ずしも反対ではないというふうに伺つたのでありますが、さように伺つてよろしゆうございますか。
  41. 柴沼直

    柴沼参考人 私率直に申し上げますと、二本建も三本建も必ずしもいいとも言い切れず、また悪いとも言い切れない立場にあるのであります。と申しますのは、私から申せば、二本建、三本建という議論には、私はまつたく中立でありますから、実は教員の待遇改善から見れば末節の問題だという意見であります。もつと根本的な問題がほかにあるんじやないか、その点の究明が、今までもそうでありますが、今後においてもわれわれの直接の責任なのであつて、今その末節の二本建、三本建で争うよりは、より具体的に待遇のよくなることを希望する、このような意味で申し上げておる次第であります。
  42. 山口好一

    ○山口(好)委員 もう一点、この教員の俸給のみに限りませんでしようが、特にこの問題について、給与というものは純粋に生活給としてこれを立てるべきものであるか。それともあなたのおつしやるように、小、中学校においても、高等学校あるいは大学においても、特に努力するところの優秀なる教員諸君に対しては、これに対する努力賞と申しましようか、優秀者に対してやはりリペイを差上ぐべきものである、こういうふうにお考えになりますか。
  43. 柴沼直

    柴沼参考人 その点につきましては、私は生活給だけでよろしいとは考えておりません。やはりたとい現在が生活給に近い場合でも、一定の年限と一定の成績というものは常に伴うべきものである。従つて、努力というお言葉でお話になりましたけれども、私はそれを業績とか成績という言葉で言つてよろしいと思いますが、そういうものも当然加味されるべきであるし、またもし理想的に言うならば、その負担する責任の重さということも、当然加味されて行くべきである。かように考えております。
  44. 川島正次郎

  45. 舘林三喜男

    舘林委員 私は小野さんにちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、あなたの意見では、教員の給与体系は一本建が理想である。あるいは小、中学校高等学校大学という二本建が理想的である。御趣旨はよくわかりましたが、ただその中で一本建とかあるいは二本建が理想的ではあるけれども、現在高等学校先生においては、学歴年数とか経験年数等の換算において明らかにこれは不合理だ。従つてこれは合理化させなくちやいけないということを言われましたですね。それでどんな点をあなたは不合理だと思つていられるのですか。あるいはこれを是正するためには、どうしたらいいかということを承りたいと思います。
  46. 小野重内

    小野参考人 お答え申し上げます。例の経験年数とスクーリングとの対比と申しますか比率と申しますか、これが従来ほとんどタイで行われておるというところに非常な不合理な点があつたと思います。私どもはやはりスクーリング・プラス・アルフア、経験年数一に対してスクーリング・プラス・アルフア、こうすることによつて勉強したために損をしたという言いぐさは、われわれの職域においては使いたくない言葉でありますが、そういうことをよく耳にいたしますので、やはり勉強した人には勉強しただけのことがあるというような是正の措置は当然行わるべきである。そういうことによつてまた高等学校側がお考えになつておられる陥没というようなことも救われるのではないか、救わなければいけない、かように考えております。
  47. 舘林三喜男

    舘林委員 そうしますと、あなたも多分先ほどの山之内さんという大学教授と大体同じ意見だろうと思いますが、純粋に生活給を貫くということと、あなたの意見とはどうなりますか。
  48. 小野重内

    小野参考人 やはり小山先生のおつしやつたように、現在は国の財政から見まして生活給に足りているなどと言えない待遇だと思います。従つて生活給をまず与えていただくということが急務ではありますけれども、さらにそれにプラスして今のような考えが当然入つて行くことが望ましい、かように考えております。
  49. 舘林三喜男

    舘林委員 そうすると今日では、先ほどこちらの同僚委員の小山さんも言われたのですが、現実の政治問題、財政問題になつてしまう。そうしますとあなたの方ではあくまでも生活給という建前を貫く、あるいはまた現実にスターリングの問題と、それから経験年数の不合理の是正ということは、そのどちらをあなたは大事にされるのか、この点をひとつ聞きたいる
  50. 小野重内

    小野参考人 これは両方併行すべきものだと思います。法的に不備であつたものを是正すべし、それを改めることによつてやはりスクーリングというものに、もう少しウエートをかける、そうすればおそらく高等学校側のおつしやつておることも通るのではないか、かように考えておるわけであります。しかしスクーリングにプラス・アルフアしたことが、生活給の趣旨に反するかどうかというようなお考えでありますれば、私どもはその程度のものならば、別に生活給を混乱するものではない、かように考えております。
  51. 舘林三喜男

    舘林委員 その程度のものではと言われますけれども、現在高等学校について、この法律案が上げようとするものは、そうべらぼうなものでないということはよく御了解でしよう。従いまして、あなたの言われるあくまでも生活給を徹底させようということと、学歴年数とか経験年数とかを加味するということとは、非常に矛盾があるのではないでしようか。
  52. 小野重内

    小野参考人 これは両方併行して行くべきものだということを申し上げておるのであります。生活給でさえも十分でないのに、生活給一本で行けなどとは申しておらないのでありまして、あわせて両者をたくみに生かして行くところに、政治的な解決があるというふうに見ております。
  53. 舘林三喜男

    舘林委員 その点は、これ以上議論しても切りがありませんから、わかつたことにしまして、ただ最後に一点お伺いしたいのは、この不合理が発生したのは、いわば二九ベースの二十三年ですね。先ほど軽石さんから、なぜそのときから不合理になつたかということについては、実は日教組の非常に強い圧力があつたからだというお話でしたが、あなたも日教組の一員としてこの点いかにお考えになりますか。
  54. 小野重内

    小野参考人 私は今日教組に入つておりません。従つて今の圧力があつたかどうかについては関知いたしておりません。
  55. 舘林三喜男

    舘林委員 佐々木さんは日教組の調査部長か何かですね。あなたはどう思われますか。
  56. 佐々木三男

    ○佐々木参考人 私は圧力とは反対に、やはりその当時において、先ほども言つたように全体の要求として解決することを基本的に要求したのであつて、日教組は当時は現在のように分裂していなかつたので、小学校から大学に至る全教員の組織でありまして、ある特定の学校の教員の利益が侵害されるような措置をとつたというようなことは決してありません。もしあつたならば、私どもは客観的にそれを見なければならないと思うのですが、私ども承知しておる範囲では、絶対にそのようなことはないと私は思つております。
  57. 舘林三喜男

    舘林委員 それで御趣旨はわかりました。あなたは日教組の幹部であられるそうでありますから——実は小野さんが日教組の幹部だと思つて質問したのでありますが、先ほど私が小野さんに質問したような趣旨、いわば経験年数とか、あるいは学歴年数等について、現在不合理があるということは認められますか。
  58. 佐々木三男

    ○佐々木参考人 先ほど申した通りで、認めております。
  59. 櫻井奎夫

    櫻井委員 森本さんにお尋ねいたします。先ほどどなたかの質問に対しまして、軽石参考人から、給与法の第四条による六つの給与決定の要件のうち、四つまでは学校差はない。ただその中の職務の複雑の度合い、困難性、こういうものが小中学校と高校と異なると言つておられる。これがいわゆる小中学校高等学校給与に差をつけるという重大なる要素というふうに、解釈してよろしいかどうか。
  60. 森本真章

    森本参考人 お答えいたします。私どもの考え方では、たとえば小学校の子供の心身の発達状況がこの程度であるとすれば、それを教育し指導するには、これを完全に包むだけの最低限度の教員の資格が必要である。それからまた高等学校は、大分心身が発達して来る。従つて高等学校の生徒を指導するには、これを包み得るこれより少し大きい、これだけの能力が最低必要である。それから大学はさらに大きくなりますから、さらに大きい、こういうふうな考え方が、やはり教育は全体でありますけれども、全体にわたつて、やはりある程度その内容において差異がある。しかし諸外国の、先生方のお手元に配付してありますが、教員の資格におきましても、教育のすべてが、大学まで、小学校の教員の資格と、大学の教員の資格と同じだというころはないのであります。こういう点から見ましても、世界の人々の考え方が、私どもの考え方とまつたく同じではないか、こういうふうに私は考えるのであります。もちろん小学校先生方にも、大学の教授以上の人ばかり集まるということは、できれば理想として最もいいのでありますけれども、やはり政治は現実ということを全然無視することができないために、そういつた点があるのじやないかと思うのであります。
  61. 櫻井奎夫

    櫻井委員 御趣旨よく了解いたしました。私はもちろん考え方は違いますが、あなたの言つておられる趣旨を了解したということです。  しからば今の学校教育における二つの度合いが非常に違うとおつしやいましたが、現在の日本の教育体系の中における六・三・三の三・三というのは、これは元の中学です。これは新学制によつて、いわゆるジュニア・コースとシニア・コースにわかれた。小学校中学校を一緒にするのが学制の上からおかしいので、義務教育という建前からそういうふうになつておりますが、コースから考えれば、小学校と中、高というのは、これは別個の体系になるというふうに考える。中等教育の中の初等、いわゆるジュニアとシニア——ただいまあなたのおつしやるように、小学校の生徒の心理過程がこれだけで、それを包むにはこれだけ、こういうことになりますと、中学校はこれくらいで、またこうなつて来る。それではどうして三本建にしないで四本建にしなかつたということを、教育の大きな体系の上から見まして、そこのところをひとつお聞かせ願いたいと思います。いわゆる小、中、高、大学というふうに持つて行かれるわけですか。
  62. 森本真章

    森本参考人 お答えいたします。学制が六・三・三にかわりまして、高等学校の三年生は、旧制の高等学校の一年生に相当するわけであります。旧来のような考え方から考えますと、こ上は先生のようなお考えであろうかと思いますが、現在の新制高校は、決して旧制の中等学校であつてはならないのであります。現在の高等学校というものは、少くとも旧制高等学校の一年出を終了しただけの実力をつける、こういうものでなくちやならぬと考えておるのであります。世界は六・三制がすべてではないのであります。たとえばソビエトの給与体系が、先生のお手元にある資料をごらんになつていただきますが、四・四までは同じ俸給をいただいております。その次の四が大体小、中学校の二倍程度になつております。さらに大学はその倍程度、こういうようなことになつておるのであります。先生の御質問の点は、これはちようど学制がかわりましたので、現在の新制高校を、旧制の中等学校として考えるべきであるという御見解である。私どものように、旧制中等学校だけであつてはいけない、そういう考え方の相違点が一点と、もう一つは、現在の国家公務員法の第二十九条と六十四条の関係から申しますと、職級というものがございます。職級というものを決定するものは資格要件であります。職級が同じであれば、俸給の幅を同じにしなければならないという規定があるのであります。教職員の場合に、資格要件を決定するものは免許法であります。たまたまこの学校教育法からできたところの教育職員免許法におきまして、小中学校におきましては、同じ資格要件を要請して高等学校は別の資格要件を要請しておる。こういうところを法的根拠に基いて、こういうふうにわけられてあるのだと思うのであります。
  63. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は現在の六・三制における三・三の過程が、昔の中学校と同じである、そういうことを言つておるのではありません。これはあくまでも新しい学制でありまして、中学校中学校の、高等学校高等学校の独自の使命を持つておるのでありますが、これは当然教育基本法の精神によつて、これは運営されて行くべきだ。またあなた方のこのいわゆる直近上位に切りかえられて行くという考えの基本をなすものが、その職域における職務の複雑の度合い及び困難性ということを言つておられる。これが唯一の原因であるというふうに、あなた方の今までの答弁から私は判断するわけです。そういうことになれば、この論拠は中学にも当然当てはめて行くべきものであつて、中小と高校というふうにわけるという考え方は、あなた方の趣意から出て来ない、こういうことを言つておるのであります。  それから次に、人事院が裁定を勧告しております、新給与準則の改訂において、形式的には一応三本建の形がとられておりますが、しかしこれはあくまでも同一学歴、同一給与の大きな前提、根底というものを持つております。その点については、私はしばしば浅井人事院総裁にも質問をいたしまして確認をいたしております。人事院の勧告の三本建の原則、このことについては確認をしておりますが、しかしこのたび出されました法案が施行された場合には、この同一学歴、同一給与という原則が、全面的にずれて行くのでありますが、これはやはりそのようなあなた方の建前から、同じ大学を出ても職域が違えば給与が違うのは当然である、こういうお考えでありますか、お伺いいたします。
  64. 森本真章

    森本参考人 お答えいたしたいと思います。一応私どもの理論といたしましては、賃金論の原則から、労働に対する賃金というものは、労働の質と量とを考慮した上で決定すべきである、こういう点から、私どもの考え方では、ある程度小中学校高等学校におきましては、この職務内容に差があるのでありますから、給与に差があるのは当然である、こういう考え方を持つておるのでありますけれども、現行の給与法におきまして、この資料にも書いてございますように、小中学校先生方は、大多数は師範学校を出まして、ずつと教員をやつておるのであります。ところが高等学校の教員は、六八%までが他職の経歴を持つております。ところがこの他職の経歴を持つておる者が、教職換算、経験年数に直した場合に、年数が短くなるのであります。その結果平均しますと、現在におきましては、小中学校先生よりも、高等学校の教員の方が、同年齢において比較した場合に低いのであります。これは高等学校の教員の構成の内容というものと、小中学校の教員の構成内容が大分違うのであります。そういう構成の内容までも十分研究の上で、この給与体系というものが検討されてあつたのならば、こんなことにはなつておらなかつたと思うのであります。そういう検討が十分なされなかつたために、こういうような生活給的な面から見ましても、ずいぶん不合理な点が生じて参つたのであります。こういう面から、私どもとしては同年齢でせめて同じ俸給ぐらいにしてもらいたい。ところが他の一般公務員との関係もありまして、前歴をすべて十割にするということはできないのであります。そういう結果、高等学校には、せめて同年齢で同じ俸給にするためには、何らかの措置をしなければ同年齢で同じにならないのであります。たとえば校長になりますと、大体昭和二十四年までは一号俸の添加措置があつたのであります。ところが小中学校では、私どもの資料にございますように小学校では五人に一人、中学では七人に一人、高等学校においては二十九人に一人という率が出ておるのであります。しかもそれぞれの学校におけるところの大学出の人員構成を見てみますと、小学校では約一%、中学校では一七%、高等学校では約九五%という割合を示しておるのであります。ところが同一学歴で同一勤続年数であれば、同号俸ということになりますと、大学を出ておる者が、現在の教員の構成におきまして小中学校に行つた場合には、大体三十五、六歳ぐらいで校長になるのであります。ところが高等学校の方では、同じように大学を出て来た者が参りましても、二十九人に一人しかなれない。そういう結果、同一年齢におきまして三十五、六歳ぐらいから上のところは、大学を出て小中学校へ行つた人の方が、俸給が一号高いという結果になるのであります。それからまた現在の免許法におきまして高等学校の一級をとるためには、新制大学を出た場合、小中学校は一級でありますけれども高等学校は新制大学を卒業して三年の教職経験の上に、さらに十五単位を修得せねばならぬ、高い資格をとらなければ一級になれないのであります。昔は高い資格をとつた場合には、俸給は倍ぐらいになつたわけであります。私どもが申しておりますのは、現在一万五、六千円ベースの場合、五、六百円程度上げてもらいたい。これが上りましても、まだ私どもの調査したところでは、同年齢で比べた場合に、小中学校先生よりも高等学校先生の方が、俸給が低いというのが、実態であろうかと存ずるのであります。
  65. 櫻井奎夫

    櫻井委員 まだたくさんあるのですが、簡単に……。大体あなたのおつしやることはわかります。それから今までの高等学校先生方が、そういうふうに不利に扱われておるということも、一つの事実としていろいろなデータが出ているわけであります。しかしそれは、先ほどから小野校長さんあたりも言つておられますように、それを是正する道はスクーリングとか、経験年数とかいうものの計算の基準を改める、あるいは前歴計算を大幅に改める、こういうことで解決がつくのでありまして、今回のように大きな給与の前提条件となる同一学歴の同一給与というものを無視するようなことは、将来に禍根を残して行くのではないかというふうにわれわれは考える。現在の教員構成は、あなたのお話の通り高等学校の教員構成と小中学校の教員構成とに、いろいろ差異があるでしよう。しかし将来は、新制大学を卒業した者が日本の教員の資格を付与されることになつておる。そういう点に立つならば、いやしくも学校の種別によつて、給与を異にするというようなことは、将来の日本の教育系統そのものに影響するところ、きわめて大きな問題であるというふうに考えるのであります。従つて私は、その高等学校先生方給与を是正するということに、決して反対しておるものではない。これは大いに大幅に修正いたしまして、適正な高等学校先生方の待遇が得られるということは、私どもも念願しているわけでありますが、その従来の陥没を是正するに急なあまり、そういう大きな問題を残すような今回の法律というものは、十分反省された方がいいと思うのです。なお今回のこの法律案がかりに通過した場合において、しからば高等学校において混乱がなくなるか、たとえばこの中にありますように、——詳しいデータは申し上げませんが、高等学校の中においても直近上位に切りかえられる人と切りかえられない人がある、こういう差別、いわゆる不公平な取扱いが出て来る。大学においてもしかりであります。その場合において、はたしてあなたの言つておられるような高等学校内の不満が解消するかどうか、そうしてそのことが、またあなた方はこの切りかえの際の抜本的解決策であるというふうに考えていられるかどうか、この点をお伺いします。
  66. 森本真章

    森本参考人 先生の、高校の給与が不利であり、これを是正してやろうというお気持に対しては、私感謝するものでありますが、先生のお考えでは、教員給与というものは、同一学歴のものが同一勤続年数であつたら、あくまで同じ俸給でやつたらいいというお考えでありますが、公務員の給与を決定しておる現行法におきましては、学歴と経験年数によつて給与をきめようというようなことは、給与法の第四条に書いてないのであります。先ほど先年がおつしやつたように、その職務内容の困難さとか複雑さとかいうようなものによつて決定するのでありまして、およそ労働に対する賃金というものが、世界のいずれの国においても、わが国の民間会社においても、その人の能力とか職能とかそういつたものを全然無視して、学歴と勤続年数で、とにかく大学を出て十五年して働き盛りの人よりも、大学を卒業して三十年会社におつてもうその人の力が衰えている人、会社の中心人物からはずれているような人が三十年勤続年数があるから、俸給が倍であるというようなお考え方では、いかんじやないか、私はこういうふうに思います。今度の問題は、私どもとしては、高校は初めから上げてもらいたいのであります。しかしながら第四級から以上というところは、ちようど免許法に裏面的な裏づけがありまして、三年たつて一級がもらえる、こういうところにちようど合せてございまするので、高校内部におきまして混乱は起らないわけであります。法的な根拠もありますので、そういうふうに考えます。
  67. 軽石喜蔵

    軽石参考人 ただいまのことを補足さしていただきたいと思います。先ほどの御質問は、一つは今までの不合理の是正ということは、学歴なり経歴を是正することによつて十分是正できる。その是正をせんがために、この給与体系というものを三本にするということは、将来に禍根を残すのではないか、こういうような御質問であつたと思いますが、その点について、二つの点を特に申し上げたいと思うのであります。  それは先ほど私が申し上げましたものでありますが、この二十三年以来の陥没を是正するのに二つの方法があります。学歴を二倍ぐらいにすること、それから他の経歴を十割にする、それくらいにしたら、高等学校の教員の平均と、小中学校の平均はひとしくなりましよう。しかし他の経歴は、全部十割にすることは当然できないでしようし、また学歴も、ことに小学校なり中学校におきましては、師範学校の卒業の方が大部分でありまして、専門学校を出た方と大学を出た方と、同じ職域におる方々を、さらに差を非常に大きくしたならば、かえつて職場の教育能率というものを増進するゆえんではないと思うのであります。そういう点からこれを是正するためには、しかも高等学校では九五%、あるいは中学校においては二〇%ぐらい、こういうような学歴をただいま占めておるものを是正して、九五%を全般的に高い学歴の者が占めておる高等学校の職域の体系には、何らかの別途な措置が講ぜられない限りは、同じような是正措置では、とうてい高等学校の陥没を是正することができないという点が一つ。  もう一つは、新制大学を卒業した者が、小学校中学校高等学校のすべてに行くようにシステムができているのではないかというお話でございますが、免許法においても、明らかに高等学校の一級については、新制大学院の一年を修了した者を目途としておるわけであります。従つて現在の高等学校が、かつての中学校と旧制高等学校との少くとも中間以上を行くような強力な教育体制をしくためには、どうしても高等学校教員の資格は、現在の新制大学院の一年終了というような立場において、職務内容を充実する必要があると思うのであります。そういう建前からも、現在の免許法においてもそういうシステムになつているのでありまして、当然そこに若干の差が設けられても、決して将来の教育体制を破壊するものではないと、私どもは考えております。
  68. 川島正次郎

  69. 石山權作

    石山委員 いろいろなお話を伺つておりますと、高校の先生方の言い分は、やはり不公平から始まつているというように私は見ております。この不公平の是正を大きな目から考えた場合には、今回の人事院が勧告した全般から先生方を見るのが、私は至当ではないかと一応考えております。今回の人事院の勧告に対して、われわれもいろいろ意見がありますけれども、人事院が過去一箇年間にわたつて累積し、分析し、集計した案に対しては、われわれは敬意を表しておるし、参考になる部分があります。これをよく参考にして、全般から見た視野において、教員の方々給与を算定したいという一つの原則を持つておるわけなんです。こういうふうに突発的に、こういう法令で議員提出にされなければならないほど、教員の方々がにつちもさつちも行かなくなつているのか。生活状態においても、身分的にも、いろいろな作業においても、そういうふうな追い詰められた段階にいられるのかどうかということを、ひとつお聞きしたいと思います。できるならば、私はもう少し待つていただきたいというふうに思つているのでございます。  それからもう一つは、過去の陥没の件でありますが、この過去の陥没の是正は、今回の人事院の勧告の中にもわれわれは入つていると思うし、人事院の勧告の中から是正を探し出すことも困難でないというふうに考えているわけです。この点は、どういうふうに人事院の勧告を検討されているか。この二点をお伺いしたい。
  70. 軽石喜蔵

    軽石参考人 ただいま先生のお話のように、全般的な観点から教員の給与体系というものを見渡して、根本的な優遇措置を講じたいというお説に対しては、まことに賛成をいたすものであります。しかしながら高等学校給与の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和二十三年以来、五箇年八箇月にわたつて放擲されておる問題であります。従つて各県におきましても、県の教育委員会等、ほとんどすべての県はこの問題について盛んに要求いたしました。しかしながら、中央の法律の制定がない以上は、どうにもならないというような立場で、ここ数年来参つておる現状であります。しかもこの国会がもう間近に閉会になるというような状態でございまして、全国的な給与の改訂も相当大きな問題であり、教員の問題そのものですら、相当な内容の研究を要する問題であろうと思うのであります。そういう立場から、この教員の問題だけが最も重要であり、相当前から問題になつて来ておつたので、少しでも解決されようという今回の提案に対しましては、私どもは賛意を表して、一日も早くこれを達成していただきたいと念願するものであります。  それから第二に、今回の人事院案において、この高等学校の陥没が是正できるのではないかというお話でございます。今回の人事院案につきましては、是正措置はどのようにやられるのかということについては、いまだ明確になつておりませんけれども、おそらく初任級の引上げに伴つて、今まで不利になつていた者を、三号以下是正をするというようなことを漏れ聞いておるのであります。従つて私どもは、これだけで高等学校の学歴の高い者の全般的な是正措置ができるとは、決して考えておりません。先ほどの資料でも申し上げましたように、一級違えば三、四号違う。二級低く格付されたために、五、六号以上も低くなつておつたのでありますから、一応それを是正するのには、小、中、高、平等な是正措置のほかに、九五%を占めておる高等学校の職域の者に対して、何らかの措置が必要である。私どもは人事院案に対しては、予算措置も一ぺんでは困難でありましようから、せめて高等学校においては昇給規定を早めて、漸次にこの不利を是正するような措置をとつていただきたいということを、数年前からお願いしておつたのであります。しかしその点は、今回の人事院案には現われておりませんので、この陥没は、一部分は今回の人事院の勧告に伴う是正措置によつて、できると思いますけれども、これで決して全面的にできるものではございません。
  71. 石山權作

    石山委員 もう一つ軽石さんにお聞きします。私の憂えていることは、教育者の心理状態だと思います。非常に自負心のある、熱情を持つた者に教育されるのと、二つの劣等感を持つて子弟を教育するのとでは、おのずから違つて来ると思います。今回高校の方々の望んでいられることは、先ほど山之内先生のお話の中にも指摘されたように、自分の範囲だけを見ているような感がなきにしもあらずというふうに、心配されるところもあります。そのために、たとえば今回皆さんの御希望を入れて改正するとするならば、人事院が勧告された案件の中から見て、小中学校方々が格下げをされた、身分的な差別を受けたというような見解が、生れやしないかというふうに懸念されます。
  72. 軽石喜蔵

    軽石参考人 この点は、私どもとしても非常に重要に感じております。この点につきましては、日教組の給対部においても、十分にこの問題を研究していただきたい。確かに給与に対する根本的な理論の研究として、あるいは統一的な給与の組立て方としての一つの理論はわかりますけれども、実態に即した教員給与の過去の経緯から、いかにすればほんとうにこれができるかということを御研究の上で、決して一方的な宣伝を植えつけないようにしていただきたいということを、私は念願しておるのであります。幹部の方々の宣伝を、過去において御無理ごもつともというように聞いた傾向が、まだまだ日本の労働組合の中にはあるのであります。そういう点から、もつと真実を真にいろいろな観点から先生方に示したならば、私は必ずや小学校中学校先生方も、この高等学校の昭和二十三年以来陥没しておつたところのこの窮状を同情もし、理解もして、決し七これに反対をあえてするものではないと、私は確信をいたしております。
  73. 石山權作

    石山委員 森本さんに能率給の点でお尋ね申し上げたいと思います。この能率給というものは、小学校先生よりも中学校先生中学校先生よりも高等学校先生高等学校先生よりも大学の教授というふうに、先生が教育者としてのあるものを具備することが、優越することであるように言つておられますが、そういう点はどこから割出してそういうふうなことを言われておるか、そういうふうな判定基礎は、明らかにだれにも明示されるようなことになつておるのかどうか、先生の場合には特になつているかどうかということをお聞きしたい。
  74. 森本真章

    森本参考人 能率給の問題に関しましては、現行法でもできるようになつておるのであり、勤務成績が優秀な者には昇給期間を短縮したり、一回に二号俸も昇給したりするようなことが、先生方がおつくりになつ法律の中にあるのでありますが、能率というようなものをいかにして判定するか、こういうような問題は非常にむずかしい問題でありますけれども、現在勤務成績評定制度といいますか、そういうようなものができておりまして、科学的にいろいろな項目にわけまして、各方面からそういつた項目に従つて検討する、現在におきましては各県の高等学校の場合には、校長とか学校内で公選したところのそういつた委員の会議によりまして、民主的にそういつた判定を下しているところもあるように聞いております。
  75. 石山權作

    石山委員 森本さんの御意見は私納得できかねますが、能率給を身分的な給与だというように考えているのではありませんか。それから能率給そのものの判定が非常に不安定な場合、それをどうしても固執しなければならないという理由は、今回の皆さんの希望の中にはないのではないか。もつと別な給与全般を上げるというふうなところに向つたら、より以上の効果があるのではないか。私は自分の範囲だけを考えて日本の全体の給与の一つのあり方と、その中にある教員組合のあり方というものと、それから高校の先生方のあり方というふうなものになりますと、もう少し先生方にはこの能率給というものが、身分給に変化しがちなものと思われて、もう少し全般の給与の昇給運動に、その勢力をば転換されるような気持はございませんかどうかということをお伺いしたい。
  76. 森本真章

    森本参考人 先生は私の先ほどからの話を、ちよつと混同しておられるのではないかと思いますが、私が朝来申し上げておりますのは、能率給というようなことはあまり申し上げておらないのであります。職能給ということについて申し上げておるのであります。能率給というのは、同じ学歴の人で同じ職場にある人が、どちらが能率を上げるか、こういうより能率を上げる者に能率給をやろう、この能率給というものと、先生の身分給——身分給というのは、たとえば大学を出たら俸給を何ぼにするというので、一生学位がついてまわるのでありますから、これはいわゆる身分給であります。その能率給というものと身分給というものとは全然違うものであります。学歴給のようなものがつまり身分給であります。先生は私が朝来申し上げておる職能給という言葉と、能率給という言葉を混同されておる結果、そういう御質問が出たのじやないかと思うのであります。
  77. 川島正次郎

    川島委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。参考人の皆さんにおかれましては、長時間にわたり熱心に御意見の御開陳をいただきまして厚くお礼を申し上げます。  午後二時半まで休憩をいたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時十五分開議
  78. 川島正次郎

    川島委員長 休憩前に引続き会議か開きます。石山權作君
  79. 石山權作

    石山委員 文部省の人事課長が出席されていますので、一応文部省の人事課長からお聞きしたいと思います。  このたび議員立法として提出された教員給与三本建の体系と、それから書る十八日に人事院より勧告されたところの一般給与体系との比較をなしてみたかどうか、その点をひとつお聞きしたい。
  80. 平野出見

    ○平野説明員 お答えいたします。先般提案になりました議員立法につきましては、一応人事院から出されました給与準則をわれわれはよく存じておりますので、今回の立法がどういう精神でできておるか、給与準則とどのくらい違つておるかというような面を、一応われわれがこの法案だけ見た限りにおきまして、研究してみました。
  81. 石山權作

    石山委員 私たちの見解に従うと、人事院の勧告と今回の議員立法との建前は、その金額に見積ればささいなように考えられますけれども、その底に流れるものに対する考え方には、相当な相違があると見ております。今回、もしこの案が何らの検討も加えられないで安易に通過をなし、これが給与体系に加わるとするならば、これは教員組合あるいは高校の組合、一般の教職員その他の官公員に対しても、相当な影響があるものというふうに、私は考えているわけなのであります。そういう点から見まして、この利害得失というものを一応考えてみたかどうか。それから教員間の利害得失のみを大目に考え過ぎまして、一般の官公員の給与体系というものと、にらみ合せて物事を考えたかどうか、比較検討したかどうかということもお尋ねしたい。
  82. 平野出見

    ○平野説明員 こまかいところにつきましては、われわれは立法の精神とか具体的な措置を存じませんので、批評というようなことは差控えたいと思いますが、われわれは一応人事院の出しましたものを了承いたしておるのでございまして、新しい立法措置として出ました法律案につきましては、一応われわれは表面的にごく大ざつぱに見まして、立法の精神の方には職域差というものがはつきり出ているように思えるのでございますが、こまかい点につきましてはよくわからないのであります。
  83. 石山權作

    石山委員 人事課長では無理もないと思います。あまりはつきり言い切れない面もあるかと思いますので、赤城委員にひとつお聞きしたいと思います。  人事課長に聞いたようなことをお尋ねしたいと思うのですが、教員間の言うところの不平、不合理と申しますか、そういうことを是正するのに急なあまり、人事院がせつかく一年間も営営として体系をつくり上げた人事院勧告が、このために乱れやしないか。乱れやしないかということは、全官公全般から見て、教員の特殊な人たちを救うために、その体系が乱れやしないかということですが、こういう点を勘案されて体系をつくられたかどうか伺いた。
  84. 赤城宗徳

    赤城委員 教員の特別俸給表をつくるべきだということは、御承知の通り今に始まつたことではなくて、給与法の中にも勧告しろというようなことが書いてあるわけでございます。そういう関係でありますので、今急に研究をして、人事院の給与準則の勧告が出たから、それをとつさの間につくり上げようというわけでつくつたわけではありませんので、今まであらゆる方面から研究した結果が、この議員提出の法律案として出て来たわけであります。ところで、人事院の給与準則と違うところは、人事院の給与準則はベース・アツプを含めての給与準則でありますし、それからまた体系の点でも違つておりますが、このわれわれが提出いたしましたのは、現行法のもとにおける改正案であります。そういう改正案でありますので、現行法のもとにおける一般公務員との比較及び勤務学校間における比較、この二つの方面から研究いたしましてつくつたのであります。一般公務員との関係は、御承知のようにこの案によりますと、高等学校において四級から九級まで、大学において四級から十級まで、これが一号俸だけ上つておるということであります。この関係は従来ともに実は不遇になつておつたというような関係を直したということでありますので、このために特にこの分だけが高くなつたというわけにはなりませんので、一般公務員との関係から見ましても、混乱を来すというような形にはならないと思うのであります。それから人事院の給与準則と同じなのは、最高俸はそれぞれ、給与準則を今の俸給に直してみますと、この改正案と大体同じであります。途中において一号上るというところが、人事院の給与準則といささか違つておるかと考えられるのでありますが、この点は人事院におきましても、相当研究すれば、給与準則そのものか、あるいは給与準則に基く細則といいますか、措置によつて調節ができるんじやないか、こういうことから考えますと、一般公務員との関係及び人事院給与準則の体系を乱すか乱さないかという問題につきましても、私どもといたしましては、乱すようなことにはならぬだろう、こういう見解を持つておる次第でございます。
  85. 石山權作

    石山委員 私は普通の世間の話を取上げて問題を提出するのではないのでありますけれども給与の体系という問題に関する限りは、最も学術的に、科学的に、合理的に整理をしなければならぬというふうに考えております。給与額とか、国家の総体の財政のわくというふうになりますと、そこに一応の政治力とか、時の客観情勢というようなものが作用される場合もあり得るでしよう。しかし体系の問題になつた場合には、政治力はむだな効果だけ果して役に立たないものだ、むしろじやまになるものだというふうに私は解釈しておるのでありますけれども、そういう点から見ますと、人事院の持つ一つの機動能力あるいは科学的な根拠、長い間の修練された連中によつて分類される給与体系というものを、私は相当高く評価しているものであります。そうした場合においていささか唐突の感あるようなこの議員立法においては、どう考えても——新聞などには書いてあるが、それを信じたくないけれども、何か言うところの意図したものがありまして、無理をしてでもこれをやつてみせなければならない。これは実際的に役に立たなくても、何かの意図をもつて将来は役に立つものであるというふうな一つの観点のもとに、こういう案をば急いで、そして法文上から見ても疑義のあるような体系で、二十九年の一月一日から施行すればいいものを、今国会にどうしても間に合せなければならぬというような出し方には、いささか納得が行かぬのでありますが、その間の事情を、もう少し提案者から説明していただけるとよろしいと思います。
  86. 赤城宗徳

    赤城委員 石山さんのお話のように、給与体系は本質をきわめた上は、あとは非常に技術的な問題であると同時に、良心的に扱わなければならないと仰せられる通り、私どもも考えておるわけであります。ところで施行期日も一月一日というふうにきめておるが、何か政治的な関係でもありやしないかというお尋ねでありましたが、私どもといたしましても、こういう給与の問題を政治の問題とからましてやつて行くということになつて、給与体系を乱すというようなことがあつてはならない。これは大事なことでありますので、いろいろ新聞等でもありますけれども、これを政治的に取扱うとか、政治的意図を持つて、給与体系の一部をかえようという意図は持つておらないのであります。ただ先ほども申し上げました通り、二千九百円べースに切りかえられた当時から、一方は相当健遇されておつたが、一方は優遇が足らなかつたというようなことが、だんだん重なつて来ておりましたので、そういうことが法律によつて幾分でも救われることになるならば、体系を乱さすして給与の均衡が得られるんじやなかということから、実はこの法律案を出したわけであります。それから一月一日というようなことにつきましては、この間予算の修正がありまして、その修正の際にこういう体系をつくるために予算を修正されておるのであつて、その修正された予算額は一月からこれを使うということになつておりますので、それと合せて来年の一月一日から施行したらどうだろう、こういうことで一月一日という施行期日を一応きめた次第でございます。
  87. 石山權作

    石山委員 提案者の政治的な意図を含んだものではないという説明を信じまして、そういうことのないようにやつていただきたい。特に給与体系の場合は、毎々申し上げるように、ここに変な意図をつけて体系をくずすならば、たいへんな問題になると思いますので、その言を信じまして質問を打切ります。  もう一ぺんもどりまして文部省の人事課長にお尋ねしたいのでありますが、この議員立法の法案が通過した場合に、おのおののボジシヨンに個人個人の人を当てはめてみた場合に、著しく得をしたとか、損をしたとかいう現象が起りやしないか、こういう比較検討をしたことがありますか。
  88. 平野出見

    ○平野説明員 まだございません。
  89. 石山權作

    石山委員 では人事院の給与局長がおいででございますので、人事院ではこれを一応引きはめて見てみたかどうか。
  90. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 御質問の趣旨が十分了解できがたいのでありますが、要するにいわゆる議員提案になりました件律案の内容を検討したかということでございますね。
  91. 石山權作

    石山委員 そうです。
  92. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 一応見てみました。われわれの提案と違いますところを検討いたしてみたのであります。まずわれわれの勧告におきましては、この給与準則というものは、職階制に基いておるわけ広あります。現在の議員提案されました法律案は、現行給与法に基いておる。この点はたいへんな違いがあろうかというふうに考えます。それから現行給与法に基いて別表もつくられておるのでありますが、しばしば提案者の方からも御指摘がございましたように、たとえば四級から九級まででございましたか、これが一号高い数字になつておる。もつとも調整号俸まで入れますれば、形の上では二号高くなつておるのでありますが、そこのところはおそらくは調整号俸ということを考えておられるのであろうから、実質的には違いはないだろうと思います。ただ四級から九級までというものが一号違う。この点は現行給与法における教育職員の扱いとも違つておりまするし、また給与準則における人事院が考えております教職員の待遇の問題とも違つておる、この点ははつきり申し上げ得ると思います。
  93. 石山權作

    石山委員 人事院が勧告された案件そのものが、まだわれわれとしては不勉強だといえば下勉強ですが、この厖大な資料のほかに、まだまだこれに数倍する資料をわれわれは要求しなければ、人事院の勧告というものの内容がよくわからないというふうに、私たちは考えておるわけなんです。それほど人事院の今回の勧告は相当抜本的な意味も含めて、新しい給与体系をつくつているというふうに、われわれは考えております。もしかりに教員の方々特殊性を主張されるとするならば、その給与体系の中から教員の特殊性が主張されなければ、全般的に見て私は無意味だと思つておりますが、人事院ではこういう点ではどういうふうに考えられるか。
  94. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 われわれが国家公務員法に基きまして、公務員の給与制度を確立するということは、人事院に課せられた立案の義務でございまして、そのことに関しましてわれわれは今回給与準則の勧告をいたした次第でございます。教員の問題はもちろん重大でございまするが、それと同様に公務員の各職域における問題でございまするので、そういう問題を全部含めまして、根本的な給与体系の確立をいたしたい、こういうことで人事院の勧告をいたした次第でございます。
  95. 石山權作

    石山委員 これは非常に端的な話で、比較検討の決議を出せと皆さんに申し上げますと、官吏の方々は非常に苦痛を感ずるのでございますけれども、こういう点ではやはり踏み切つて答弁をしてもらえると、たいへんよろしいと思いますし、体系に関する限りは私は踏み切つて答弁できる可能性があるというふうに信じております。政治的な配慮なくしても、給与体系は組まなければならぬことと私は考えておりますので、そういう点では人事院では、人事院の勧告と、今回議員立法として提出された案件の比較検討をした場合の、感じでもよろしい、どつちが体系上よろしいかというふうな意見を、吐露できるならば吐露していただきたい。
  96. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院は、現在の事情のもとにおきましては、人事院が勧告いたしました給与準則の給与体系というものが、教職員のみならず、あらゆる職域において最もよろしいということを確信いたしまして、勧告いたした次第であります。
  97. 石山權作

    石山委員 私は残念でございますが、もう一点文部省の人事課長にお願いしたいと思います。人事課長がまだ比較検討をなさつておらないとおつしやるのは、私ははなはだ不得要領ではないかと思う次第であります。ということは、あなたが一番教員の行政をなさる当面の方でありまして、いつでも教員の方々の利害得失というものを第一番に考えて、それは実際の場合にはどういうふうになるかという変化をも考える立場にある方だというふうに私は考えているのでございますが、前々からやかましくいわれているこの給与三本建の問題がかりに公式に発表されて、公式に上長から命令をされなければ作業にかかり得ないという場合ではなかつたはずです。そうした場合に、あなたは個人的であれ、あるいは何かの機関において、この点は相当前々から研究されていなければならないのであるから研究していただろうと思う一その結果の発表はできないというのは、はなはだ不可解だ。発表をでき得るものと認めまして、答弁を願いたいと思います。
  98. 平野出見

    ○平野説明員 ただいまの御質問は、今度の議員立法と給与準則との比較を研究したろうから言えとおつしやるのでございますか——それではお答えいたしますが先ほども申し上げましたように、立案のこまかい精神とか、具体的な実施の措置は、われわれにはまだよくわかつておりませんが、先ほども申し上げましたように、少くとも人事院の勧告におきましては、教員の給与は同一学歴、同一勤務年限の者については原則的に給与は同一であるという建前をとつておるようでありますが、今回の立法の精神の中では、そこははつきりと職域差を認めておるようにうかがわれる。その点は少くとも研究の結果わかるのであります。
  99. 石山權作

    石山委員 これは給与の原則論になりますが、大体において同一作業の場合には、同一賃金というような原則が打立てられて、特殊な場合でなければこれを認めないというふうな点であると思いますが、教育の場合には、特殊性というようなものは、相当なウエートがなければ認め得ないのじやないか、特に午前中の公聴会の場合にも参考人の御意見を聞きましても、教育そのものは人格と熱情にあるというふうに規定されておるのでありまして、特定の数学を覚えておるとか、特定の作業ができることによつて、特殊性が強調されるものではないというふうな意見が強いのでございます。そうした場合において、簡単にその職域の差を認めるということは、文部省としましてどういうふうに考えられておるか。利害得失というものを考えてみたことがありますか。
  100. 平野出見

    ○平野説明員 大体文部省におきましては、給与準則の精神をよろしいものと考えておるのでございます。
  101. 赤城宗徳

    赤城委員 ただいまの文部省の答弁につけ加えて、関連して答弁いたします。今度の給与法で、今課長が同一学歴、同一勤続年数をこの法律は違えた、こういうことでございます。同一学校を出まして中学校へ就職しようと、高等学校へ就職しようと、その学歴において、本法案においては差は認めておりません。ただ四級以上で入つた場合には差ができます。しかし一応これは経歴一経験年数とか就業年数とか、いろいろな要素によつて差ができるのでありまして、同一学校を出たからといつての差ではないと考えておるのであります。同一学歴としては差は認めておりません。それから同一勤続年数ですが、これにつきましては資格基準表にもありますように、実は現行法のもとにおきましても、大学高等学校及び中小学校とは格付によつて、勤続年数によつて昇給する期間が違つておることは御承知の通りであります。基準表によつても、中学校小学校、幼稚園と高等学校をはつきりわけておりませんが、その中に幾分の違いはあるように考えておるわけであります。
  102. 川島正次郎

    川島委員長 お諮りしますが、実は本会議の方の採決があるようですから、一応ここで休憩しまして、四時半に再開することにいたしますから、御了承願います。一応休憩いたします。     午後三時三十九分休憩      ————◇—————     午後五時五分開議
  103. 川島正次郎

    川島委員長 人事委員会を再開いたします。加藤清二君。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 第一にお尋ねしたいのは、この三派共同になるところの法律案、俗称三本建と、人事院から同じように三本建の案が提出されておるようでございますが、この相違点をまず赤城さんから、私はしろうとでございましてよくわかりませんから、親切にお教えを願いたいと思います。
  105. 赤城宗徳

    赤城委員 そういうお言葉では恐縮でございますが、御答弁いたします。  第一は人事院給与準則はベース・アツプを含んでおりますので、俸給の立て方が違つております。     〔委員長退席、田中(好)委員長代理着席〕 提案の方は、現行のものの改正案でありますから、ベース・アツプを含まないで、現在の給号に当てはめて提案をしております。  第二は、通し号俸で伸びておる点は、人事院の勧告と提案とは、最高号俸の点で一致しておると思います。  第三には三表にわけまして、中学校小学校高等学校との間で、高等学校の分が、この表で見まして、四級から九級まで一号上げてある。それはちようどこの間が基準表で校長になる時期の間であります。中小学校では校長になる率も少いので、この間を一号上げておこうということ、また今までの不均衡をこの号の間で直しておいた方がいいのではないかということ、その他もありますけれども、そういう関係で四級から九級まで、中小学校より一号上げてあるわけであります。さらに大学におきましては、四級から十級まで一号上げてある。これが人事院の給与準則とあるいは違つておるかと思うのでありますが、人事院の給与準則のことにつきまして詳しい説明も聞いておりませんので、準則の勧告か何かの操作によつてどういうふうになるのか、その点はまだ私どもといたしましても、よく承知しておりませんので、ここではつきり違つておるかどうか言い切れるほどでもございませんけれども、一応その点が違つておるわけであります。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 同じ質問でございますが、さつきの石山君の質問でしたかに、人事院の給与局長の方は、自分のところから提出している案の方が合法的である旨の答弁があつたのでございまするが、具体的に簡単に今の三派合同の案との違う点、どこがどのように合法的であるかという点をちよつとお教えを願いたいと思います。
  107. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 私は先ほどの委員会で、人事院が勧告いたしました給与準則における問題といたしまして、人事院が勧告したからには一番いいと思つて勧告したのである、こういうことを申し上げた次第であります。それでいろいろ違つておる点を指摘しろということでございますが、今赤城委員から御指摘がございました点あたりが違う点ではなかろうかというふうに考えております。それでさらに利害得失を言えとおつしやるのでありますが、これは先ほど赤城委員からおつしやられたように、まだ三派合同の御提案につきましては、意図されるところをわれわれ十分に承知いたしておりませんので、従いましてなかなか批判ということはむずかしいというふうに思うわけであります。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 つまり三派合同提案によつて提出された案は、よく研究してないから、比較検討しての利害長短は言うことができない、こういうことなんでございますね。——わかりました。  それではもう一つお尋ねいたします。別なことでございまするが、今度衆議院を通過いたしました予算でございますが、改進党との共同修正によつて修正された予算は、いずれが通る予定で修正されているのか。ないしはそういうことには関係なく予算は通つているのか。その点について赤城さんにちよつと……。
  109. 赤城宗徳

    赤城委員 あの予算は、給与三本建にする場合の地方公務員がそれで上るというような場合を予想しておるのと、それからもう一つは、今までのいわゆる陥没といいますか、不利になつておつたのを是正しよう、こういう二つの要素を含んでの修正予算というふうに承知しておるわけであります。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうするとさつき赤城さんが御答弁になつた折には、三本建の予算が組んであるという旨の御答弁がございましたが、それは人事院の方の三本建でございますか、それとも三派合同提案の方の予算を意味しているものですか、いずれでございますか。
  111. 赤城宗徳

    赤城委員 先ほど申し上げましたように、人事院の方の予算が通るといたしますれば、これは一般の給与のベース・アツプと一緒になつての予算を要求するという形になると思うのでありまして、この修正はやはり私どもが提案した三本建による予算の措置が含まれておる、こう承知しております。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 それについて私は専門家ではございませんので、また予算場の方の委員でもございませんから、よくわかりませんが、ずつと各党の意見を聞いてみたのです。改進党の意見も聞いてみたのです。そうしたら改進党の方のお答えでは、少し今の赤城さんのお答えと違つているように承つたのです。予算を修正するときには、まだこのことは考えられていなかつた。従つて人事院の勧告もそのあとで行われている。しかし大体はそれがわかつておつた。だから人事院の三本建の方を大体基礎にしておるものであつて、新しく三派合同で出された方の案によつておるものではない旨のお答えがございましたが、それはいずれと受取つてよろしゆうございますか。そういうことは赤城さんに聞いても無理かもしれませんけれども……。
  113. 赤城宗徳

    赤城委員 これは正式に私が改進党の諸君と交渉したわけではありませんけれども、人事院の方々や改進党を代表してこの法案をつくる際に話し合つた人々との話合いでは、予算があるから法律をつくらぬでも予算で出せるのじやないか、こういう話合いも実は内輪話ですがあつたわけです。しかし結局予算があつただけで、法律ができなければ予算の支出ができないのじやないか、こういうことで法律をつくり上げようということにもなつたのでありまするから、正式の党と党との交渉じやありませんが、われわれ人事委員として法律を出すときに、改進党の諸君との話合いで、やはり三本建に要する費用というものも含めてあるということに話し合つておるわけであります。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではこれは正式な話合いというか、もつと具体的にいえば、証文をとつたというような正確なものではない。私が改進党の方から聞いて来たのが正しいのか、今赤城先生がおつしやつたのが正しいのか。これは今日のところでは断定しかねる、こう解釈してもよろしゆうございますか。     〔田中(好)委員長代理退席、川島  委員長着席〕
  115. 赤城宗徳

    赤城委員 私は三本建の予算というようなものが含まれておると、こういうふうに交渉したのですが、どうも党の最高首脳部でもありませんし、政府の修正した内容、修正をいれた真意がどこにあるか、ちよつと私には的確の答弁はできかねる次第であります。
  116. 加藤清二

    加藤(清)委員 いずれが正しいとかどうとかいうことを、私は聞きたいわけではないのでありまして、またあなたのおつしやつた答えが間違いであるということを断定しようとして言うておるのでもありません。ただ答えが二つ出ておりますので、いずれが正しいか、こう思つてお尋ねしただけのことでございます。そこでもしその意見を取上げて、赤城さんの意見が正しいとしましよう。そうした場合と、人事院の方から提出されておる場合とを比較して、予算面にどれほどの相違が生じて参りましようか。
  117. 赤城宗徳

    赤城委員 人事院の方では、臆測ですが、特に教職員給与だけの予算を立つておるのではなくて、全部のベース・アツプの予算として立つておると思います。私の方では現行のもとでの、ベース・アツプを含めない、現行での増額予算というものを予定しておる。大体私の方で計算しておりますものによりますと、これは国家公務員は非常に少いのでありますが、地方公務員におきまして約二億円くらいの予定を持つております。二億円くらいが、この法律が通れば必要とされる予算であります。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 教員給だけですね。わかりました。私もこの点については、質問をする以上はと思いまして調べてみました。両方比較検討して見たわけであります。そこで今ここに手元に持つております。ところでこれが間違いであつてはいけないので、恐れ入りますが比較対象の資料を政府側の方から御提出願いたい。それの方が正しいでしようから、私の方の調べがもし間違つているといけません。赤城さんの方の御研究が、これは教員だけで二億とおつしやれば、この点今の人事院側の方はほかを含むということであれば、人事院側の案から教員だけを取出してみれば、こんなものはすぐにそろばんをはじけると思います。恐れ入りますがちよつとそれを、予算に関連して来る問題でございますから資料として御提出方をお願いしたい、こう思うわけです。しからばお前の研究はいかんとお尋ねになれば、ここですぐ答えてもよろしゆうございます。大体私の計算したところによりますと、あなたのおつしやつたのと合つております。大体一億二千万から一億四千万くらいになると思います。これを予算と比較検討してみたいと思いますから、その点を委員長さんの方にお願いしておきます。  次にもう一つ別な角度からお尋ねいたしますが、この三派共同の提案になるところの法律が通つた場合に、四級以上のことはさつきちよつと承つておつたわけなんでございますが、このわくがあつてはまらない上の面と、わくのあてはまらない下の面があるわけですね、この点についてはどのようにお考えでございましようか。現在何とかならなければ、将来どのようになさろうと考えていらつしやいますか、その点をちよつと……。
  119. 赤城宗徳

    赤城委員 この法案が通過することによつて上る者は、現行法において措置されて上るわけであります。あとの分につきましては、これが御承知の通りに給与準則が出ておりまして、これがどういう結果になるか知りませんが、ベース・アツプになれば、従つてそれに比例してのベース・アツプになると思います。それからこの上らない部分で、いわゆる不利な状況にある者もあるわけであります。この点につきましては、切りかえの際等において、この法案の趣旨をよく考えてもらつて、人事院の方で適当な措置をとられる余地があるんじやないか、こういうふうに考えております。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 その案によりますと、四級から九級まではたいへん潤います。ところが三級以下と十級以上の点では、せつかくの三派合同の皆さんのその恩恵に浴することができない、こういう方々が出て来るわけなんです。しかもその三級以下というところは、現在教職に奉じている方々の員数から行きますと、非常に多いように承つておるわけでございますが、この点を、もしこの法案が通つたとして、今赤城さんのおつしやいましたように、何らかの方策によつて補う意思がありやいなや、補うことができるやいなや、もし補うとするならば、それは一体いつの時期にそれを実行に移されようとするのか、あるいはそういう意思は、全然そちら様のことで、わしや知らぬとおつしやるのか、その点を局長さんにお願いしたい。
  121. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 かりに三派共同の法律案が通つたといたしますと、この法律の文面に盛つてあります事柄から、おのずからその後において人事院規則なり細則なりでやります部分というものは、これを逸脱してやることはできないわけです。従いましてそれにはやはり限界がある。ただしかし私ども通つた先におきまして、これがどういう影響があるかという詳細のところまで研究いたしておりませんから、具体的詳細のことは申されませんが、しかし人事院規則なり細則なりでやる余地、範囲と申しますか、それはおのずから限界があるものであろう。それ以上のことはまた法律でおきめ願わなければならぬことであろうと考えます。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 従つて私はこの予算ともにらみ合せて資料の提出方をお願いしたいと言うたわけでございます。この法律が通ることによつて潤う方は、それはけつこうでございましよう。これで潤うことのできない、その恵みを垂れてもらえなかつた方々に対して放任されておかれるのか。今おつしやる通り法から逸脱してまでも手当をすることはできない。これはその通りでございます。そうなつた場合に、せつかくおつくりになりまして、せつかく通つた法案が、一部の人には喜ばれたけれども、大多数の人から怨嗟の的になるという結果を招来しては、これは問題があとに残る、こう思いましたのでその点をお尋ねしたわけでございます。この点は、参考人の招喚もあつたようでございますから、すでにおわかりのことであると存じますし、とくと御留意の上おやりになつたことと存じますので、赤城さんに、その跡始末、同じ教職に奉じておりながら、この法の網に漏れた人と漏れない人とができて来るという、こういう法律をあえて通さなければならないところのゆえんのものと、それからそれじや漏れたものは切つて、切捨て御免でよろしいか、ないしは何とかしてやろうというあつたかいお心が、別に何らかの形で用意されておりますのか、その点ちよつとお尋ねします。
  123. 赤城宗徳

    赤城委員 御承知の通りこの法案はベース・アツプを意図したものではないのであります。たまたまこの職域の差を認めて、俸給の上でそれを表わして行こうという結果において、四級から、高等学校においては九級まで、大学においては十級まで、これが一号上るという結果になるのであります。そういう関係でありますから、これはベース・アツプということを意図しておるものであれば、ほかのことも十分考えなければなりませんが、そういうことはどうも議員立法としてそこまで入るということになりますと、給与体系をこわして行く、一般公務員の給与体系をこわして行く、こういうこともおそれますので、ベース・アツプという意味ではなくして、三つに職域の差をわけて行くのが適当じやないか、こういう考え方から出発しておりますので、そこを御了承願いたいと思います。  先ほど加藤さんから三級あたりまでが、一番該当者が多いじやないかということでありますが、大体今の初任給で行きますと、この表でいつて三級の八千百五十円、これが初任給に大体なつております。でありますから該当者の多いのは四級あたりからの方が該当者が多いじやないか、こういうふうに考えます。
  124. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは比較対照の問題でございまして、どの職域にどういう人が多いかという問題になつて来ると思います。私は今理論闘争をやろうとしているのではございません。ただひたすらに御研究の結果を御指導していただく、こういうつもりでやつておるのですが、その点はいずれまた別な機会に譲ります。そうなりますと、今の赤城さんのお話から行きましても、ベースの問題をなるべくこわさないようにという御意図で職域差を認めて行こう、こういうお話でございましたが、この法案が通ることによつて、すでに今までのベースの改善と申しましようか、あるいは改良と申しましようか、とにかく破壊が行われるわけです。これは事実です。そこで私がお尋ねしたいのは、それではその改善なりあるいは破壊なりによつて助かつた人はいいでしよう。それは喜ばれるでしよう。ところが、ここに助からない人が出て来たとしたら、その人は必ず不満を持つようになるだろうと思う。そこでその不満を持つ方々に対しては、これはやはり同じ国家に職を奉じ、同じ教育に職を奉ずるものであるならば、議員立法といえどもその立法をなさるからには、それぞれの対策を御研究あそばされてのことだと存じまするが、そういうことは切つて切捨てごめんでございまするか。それとも片一方だけよくしておけば、漏れた方はやむを得ぬというふうにお考えでございますか。その点をどうなさろうとしていらつしやるか、今日いけなければ将来はどうしようとしていらつしやるかということを、第二点としてお尋ねしておつたわけです。
  125. 赤城宗徳

    赤城委員 たいへん有利にするという見方からすれば、そういうお考えになるかと思いますが、今までに非常に不利な状況にあつたところを直して均衡をとつて行こう。均衡をとつた結果、一号だけ上る、こういうことになつておりますので、先般それから漏れたものに対して、それでは何か給与を上げる方法を持つているか、こういうことになりますと、実はそれにつきましては、やはり給与準則に含まれたべース・アツプのことがきまつてからと、こういうふうに考えておるわけであります。
  126. 加藤清二

    加藤(清)委員 二段階として、そういうことは考えられているとおつしやるのですか。その漏れたものに対する手だてが、あなたの方で考えられている、こうおつしやるのですか、それとも考えてないとおつしやるのですか、それはいずれでございますか。
  127. 赤城宗徳

    赤城委員 第二段として今給与準則の勧告もありましたし、ベース・アツプの点も含まれておりますので、これが国会を通過すると、どういう形で政府から出されるかわかりませんが、その結果を待つて、ほかの方はベース・アツプという形になる、こういう見通しでございまして、そういうふうに考えておるわけであります。
  128. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはたいへんありがたいことでございまして、それを聞いたら、今不利な条件に置かれている人もある程度納得するのではないかと思いまするが、ここにひとつぜひお尋ねしなければならぬ点は、四級から九級までの点が、今まで不利な条件に置かれたから、それを補う意味において、これをするというただいまの御答弁でございましたが、どのように不利があつたかという点については、専門の人事院の方がよく御研究あそばされておると存じます。そこで専門の人事院の方から、どのように不利であつたかという、そのデータをこの際恐れ入りますけれども御提出方を願いたい。これもこの法案を通すのには重要な基礎資料となりますから、あつたらそれをぜひ出していただきたい。そこでその前に赤城さんの方でその概略でけつこうでございますから、御説明をお願いいたします。
  129. 赤城宗徳

    赤城委員 不利な点も補われる結果にはなりますが、将来もこういうふうな体系で行きたい、こういう二つを含んでおりますから御承知おき願いたい。不利な点は二千九百円ベースに切りかえた際に、中小学校の方は非常によかつたけれども高等学校の方は従来の観点から見ると、それほど待遇改善なつておらなかつた。それでこれによつて別に中小学校を悪くするというわけではない。そういうときにまずかつたことが一応少しく直つて行くのではないか、こういう観点に立つておるわけであります。
  130. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 ただいま不利な資料を出せとおつしやいましたが、われわれとしては不利だとは一体いかなることであるかということがよくわからないのであります。従いまして、人事院にこのことをお求めになりましても無理であろう、こういうふうに考えます。
  131. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは三派合同で提出なさいましたその責任者の方が、よく御存じのようでございまするから、その方々にこの資料の提出方を委員長に要求いたします。その点がこの法案を人事院が片一方で出して、それに追討をかけて、あえて出さなければならぬという理由の根本のようでございまするから、ぜひひとつ、その資料の提出方を委員長に要求するわけであります。
  132. 川島正次郎

    川島委員長 その点は、大体午前中の参考人の陳述をもつてわかつているわけですが、あなたは御出席がなかつんたんです。
  133. 加藤清二

    加藤(清)委員 みなさんわかつていらつしやるですか。
  134. 川島正次郎

    川島委員長 大体はわかつておるわけです。なお必要ならば……。
  135. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは委員長にお尋ねいたしますが、委員長さんからしろうとの私に、わかるような御説明をこの際承りたいと思います。と申しますることは、なぜそういうことをするかというと、これはどこでもそうでございましようけれども、たとえばこの国会においてもそうでしよう。あるいはさる官庁においてもそうでございましようが、給与改訂が一斉に行われたという場合ならば、これは問題は起らないでございましよう。ところが一部分にのみ改訂が行われたとなりますると、そちらには問題が起きないでしようけれども、上らなかつた方にいつも問題が起きるのが例でございます。そうして追つかけ、その不利な点を何とかしてもらいたいという要望が出るのが当然の理でございます。過去において、委員長さんも御承知の通りでございましようが、地域給がその一番いい例でございます。そのおかげで大体人事院の陳情といえば、地域給の陳情といつてもさしつかえないほど給与を受けるそれ自体の人のみならず、管理者や地方庁であるとか、市の当局の方々が、わんさと来ておられる。こういう状況にかんがみまして、潤わなかつた方々に、端的にわかるような材料をひとつ数字的に、これこれだということがわかるようにしておいていただかないと、おそらくこの問題はまた後で人事院への陳情と相なるでございましよう。その折に人事院の当面の責任者であらせられます給与局長さんもよく御存じないということに相なりますると、これは問題がかもし出されるもとになる。せつかく間違つたベースを改訂しようとしたことが、また間違いを起すもとに相なつては、これはよい政治とは考えられませんので、そういうことを解消する意味において、ぜひこれは御提出が願いたい、こうお願いするわけでございます。
  136. 川島正次郎

    川島委員長 午前中の参考人意見は速記録で、ひとつごらんを願いたいと思います。なお提案者としての意見があるでしようから、それは赤城君から御答弁を願いたいと思います。
  137. 赤城宗徳

    赤城委員 実は数字的に基礎を持つたグラフは持つておるのでございますが、そのグラフに対するそのもとの数字というものを、今手元に持つておりません。ですからなるたけ御趣旨に沿うような資料をそろえて提出したいと思います。
  138. 加藤清二

    加藤(清)委員 ところで私がもう一つ心配いたしまするのは、今赤城さんがおつしやつた意見に私も賛成でございまして、過去の給与ベースというものが、必ずしも均等には行つていないということは認めるものでございます。そこで四級から九級に至る間のベースが非常に不利であつたということは、言葉だけはわかりましたが、それ以外の点で、でこぼこがあるかないか、もしあるとするならば、それについてはどのようになさろうとしていらつしやるのか、その量が少なければよろしゆうございますが、もし多くあつたとするならば、これの資料の提出を今度は人事院の方にお願いしたい。それを局長さんにお伺いいたします。
  139. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 おつしやる趣旨がよくわれわれとして理解できがたい点がございますので、御必要がありますれば、われわれが従来考えておりますことについて、御説明申し上げることはできますけれども、的確なる資料ということになりますると、これは主として地方公務員の問題でございます関係上、われわれ国家公務員を管掌しております人事院といたしましては、なかなか資料の収集が困難であるという部面がございまして、若干の御説明ならできるかと考えております。
  140. 加藤清二

    加藤(清)委員 皆さんおそくまでお疲れでございましようから、もうあと二、三点でおしまいにしたいと思います。それで給与のおうとつを是正するために行おうとしたこの法案が通つて、実行に移された結果、一層その給与のおうとつが生じて来たとしたならば、これは思わざるもはなはだしいことでございましようが、私の聞いた範囲においては、そういうことがすでに予見され、思考し得る範囲内においても、なおそのことがあると聞いておりまするが、その具体的実例をたくさん持つておりますが、このことについて提案者はどのようにお考えあそばされていらつしやいますか、お尋ねをいたします。
  141. 赤城宗徳

    赤城委員 いろいろ聞いてはおつたのでありまするけれども、そういう混乱は起きないという見通しで提案をしておりまして、なおそういうことがありますので、皆さんの衆知を集めて御研究を願つておる次第でございます。なおいろいろ改正しなくてはならぬ点もあるかと思いますが、何しろ給与の問題でありまして、給与法の改正というものは非常に重大であると同時に、御承知の通り今あの改正は十五級に分類されて、その分類の範囲内で、いろいろ改正をしなければならぬという一つの大きな制約があります。その制約の範囲内でのことでありますので、そう無理な改正ということは法自体からしてもできません。従つて混乱を相当巻き起すという見通しは、全然持つておらないのであります。その点御了承願います。
  142. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは私の材料のうちの一つだけひろういたしまして、御批判を仰ぎたい。いや、それは加藤の言うことは間違つておるのだということならば、それでけつこうでございます。具体的に申し上げますと、今日の学芸大学の卒業生は小学校中学校高等学校へも勤めることができるのでございます。同じ卒業生が資格によつてその場所をかえて勤めることができる。こまかい資格はあるようでございますけれども、同じ卒業生がこの二つの職域にわかれて行つておる。この場合に当初においてはいざ知らず、四級と九級の間だけが潤うということになつて参りますと、これが一番よく当てはめられるのは高等学校ではないかと存じます。その際その考え方の出発が誤りであればけつこうでありますが、もしそれが当らずといえども遠からずということに相なりますと、同じ学校を卒業して、普通であつても、だれしもそうではございましようけれども、名誉を重んずるように教育づけられておりますこの学芸大学では、おそらく小学校よりも中学校中学校よりも高等学校へと進みたいというのがやまやまだろうと思います。さればこそ、今日どういうことが行われているかと申しますと、赤城先生の選挙区のことをお考えいただいたら一番よくわかると思いますが、その教育委員や、そこの出身の県会議員や、各代議士の方が、いよいよ学芸大学の卒業まぎわになりますと、いろいろ頼まれます。そのお陰でいろいろな問題をかもし出しておりますが、そのもといというものは全部卒業生の意図と、せつかくの卒業生を県下にバランスをとつて配ろうとしている方々との間の食い違いから生じて来るものであるということを、おそらく身をもつて体験していらつしやるだろうと思います。私もそういうことを体験しておればこそ、この問題を提起したわけでございます。そうなりました場合に、一体どういう支障を来し、どういう結果を招来して来るかということは、私が申し上げるまでもなく、赤城さんの方がよくおわかりだと思います。こういう問題に対しましてどのように処置をなさろうとしていらつしやるのか、ぜひ詳細に承りたいと存じます。
  143. 赤城宗徳

    赤城委員 むずかしい問題でありますので、詳細といつても、どうも詳細にはお答えできないのですが、学芸大学を出ましても、形式的になりますが、初任給においてはどこへ行つても同じ、こういうような形に出ております。それから入つてから少し過ぎてから違つて来るという形になりますが、とにかく将来そういうことがあるならば、高等学校へ希望する者が多くなるのじやないか、教育委員会等においては、配分の問題もあるからそうは行かないということで、食い違いができはしないか、こういうお尋ねのようでございます。これはやはり適材適所という、言葉はどうか知りませんが、ことに学芸大学を出られる方なんかには、単に給与の点ばかりでなく地理的関係もあり、また自分の小学校あたりで子供をよく育てて行きたい、あるいは中等学校あたりでやつてみたいとか、あるいは高等学校、こういうようなことは、ほかよりも芸術的な気分がありまするから、よほど違つておるんじやないかと思います。結論的に言えば、やはり需要供給といいますか、給与法以外に需要供給の関係で、幾分偏在の志望や志願はあり得ると思います。それに対して私にどういう方策をもつて、これを解決して行くかというお尋ねを受けましても、なかなか一刀両断でこうこういうふうにすればいいという明確な案を残念ながら持つておらぬ、こういうことで御了承願います。
  144. 加藤清二

    加藤(清)委員 明確な案がない、なおしかしそれでもこの案を通そうということでありますると、私少し別な角度から御質問しなければならないことになりまするが、何せきようはおそいことでありますし、その問題はまたあとに残しまして、何ですが、皆さんがこの法案を提出して通しなさつたその方々自体が、お困りになつていらつしやる今日、なおそれに輪をかけるようなことが、将来起り得ると完全に首肯できまするから申し上げることでございまするが、その点についてお考えをぜひお教え願いたい。私自身が体験して苦しんでいます。と申しまするのは、この提案者の中に私の知つている人がたくさんおられます。ところがこの人たちが困つておることを申し上げます。どなたこなたという名前をあげろと言われたら、すぐあげますけれども、こういうことでございます。地域給の多くついているところは、大体大都会てあり、ついていないところは農村であり、山村であるわけでございます。高等学校から大学の多いのも、これまた大都会であり、それの少いのは農村であり、山村であるわけでございます。そこで今日すでに地域給という職域によるところの給料の差があるのみで、ことし新しく卒業する人でさえも、それは山村よりも都会、いなかの小都会よりも大都会、大都会よりも東京、こういうことを考えています。それはお宅の子供さんのことをお考えになつたら一番よくわかる。いかに道徳的に教育をされた人であつたとしても、あえて月給の安い、あえて不便なところへ行つてやろうという人は、孔子様かペスタロツチくらいしかいない。そういう人を今日求めようといつたつて、それは無理なんです。宗教家にそういうことを求めるのならいざしらず、政治家としては、そういうことをなるべく均分化してやるということが、政治家としての親心であり、ほんとうに農村、山村いなかの小都会の教育を守ろうとする者の心得でなければならない道ではないか、こう思つておるわけでございます。私の考え方が間違つておる、おれは君とは意見の相違がある、考え方がまるつきり違うとおつしやれば何をか言わんやでありますが、少くとも私のこの考え方に対しては、何にも知らぬ人でも賛成するのでございましようが、特に地域給の問題で苦労した人ならば、みんなわかつていただけると思います。すでに卒業のときにそういう苦労があり、トラブルがあり、疑獄が起きますが、その後一体どういうことになるかというと、いなかに送られた先生たち、いなかの山奥の小学校へ送られた学芸大学の卒業生は、ほんとうに自分の運命をかこちつつやつてはおりますけれども、二、三年たちますと、あの手この手を使つてまた都会へ都会へと出てしまう。なぜなれば、それは第一番に、俸給に大きな差があるからです。一番高いところと低いところでは二割五分の相違があり、年間何万円と違う。これではとてもしんぼうがしきれぬというこの状態を私はいくつも聞いておる。現在でもなおそういう状態下にあるにもかかわりませず、ここに地域差に加うるに職域差を加えたならば、一層それに拍車をかけることに相なるだろうということを私は憂えるものであります。これに対して一体提案者としてはどのような措置を考えていらつしやるか。道徳家とか宗教家としての立場でなくして、政治家として、あえてそれを倍加するような法案を通す方々としてはどう考えていらつしやつたのか。あるいはそういうことはそろばん勘定に入つていないとおつしやるのか、その点をお教え願いたいと思います。
  145. 赤城宗徳

    赤城委員 現在でもその傾向にあるのに、その傾向を助長しはせぬか、こういう御説のようでありますけれども、やはりおのずからきまつて行く点もあるのじやないかと思うのです。たとえば高等学校へ行くと給料は高いけれども、実は高等学校の専門教育はおれはちよつと好まないというようなことで、それを避ける人もありましようし、あるいは地域給その他給与がちよつとよいけれども、しかし自分の村から通える、遠くまで出ると下宿代や何かで、費用がかかるというようないろいろの事情があつて、一律にそのために高等学校へ密集して行くということになるとも考えられないわけであります。あるいはまた免許法その他もありますし、いろいろな点で、希望としては俸給の多いところへ行きたいという希望もありましようけれども、需要供給の関係もありますし、高等学校の数が事実少いのでありまして、それで希望を全部満すわけにも行きませんので、提案者といたしましては、お気持はよくわかるのですけれども、それに対して高等学校の方へばかり行くというふうにも考えられない。またお気持の点はよくわかつておるのでありますが、そういうことで提案した次第であります。
  146. 加藤清二

    加藤(清)委員 赤城さんのおつしやつたことも一理あると思います。そういう道徳的な良心に訴えておいただけで、なお家庭の事情とかいろいろなことで、あえていなかを希望する人もあるでございましようが、そういうのは少い。私は雨夜の星だと思うのです。寥々として暁天の星のことしで、そういうものを今日の若い人に求めて全部求め得るかといつたら、それはちよつと困難だと思います。具体的事実からいつて。さればこそこの法案が提出されるにあたつては、一体どこのどなた、どういう方々から強い要請があつたかということを、御反省いただいてみても大体おわかりいただけるのじやないか、こう思うわけでございまするが、私はこの問題はまだあとに残しますけれども、よろしくこの点に御留意をいただかないと、教育を破壊してしまう。ほんとうに今あなたのおつしやいましたような道徳的良心に訴えて、山村僻地へ行つて、自分は都会の大学の教授をやり得る力は持ちつつも、なお教育的良心に燃えてペスタロツチの気持になつて、あるいは伝道者の気持になつて、山村僻地へ行つてやるという人がかりにあつたとするならば、それはむしろ表彰ものであつても、その人にこそ政府としてはもつと何らかのことを考えるというのが、ほんとうの政治家のあり方ではないか、このように考えます。事実そういうことがなくても、なおしんぼうしてやつている人の内心を考えてみてください。ほんとうに満足しているのか。自分の友達がどんどん昇給して行くのに、自分だけがいなかで安い月給で頭打をされて、そうして喜んで教育に熱を打込むことが、はたしてできるかできないか。この人が授業半分にして、自分のたんぼや畑をいじつた方がいい、こういう世捨人の気持になつてしまつたならば、必ずや農村山村の教育というものは将来非常に大きな被害をこうむらなければならない、こういうことになると思うわけでございます。幸い給与局長が見えまするので、私は申し上げることでございまするが、地域給というようなことも、これは一日も早く平等な立場において解消し得るような方法に持つて行つていただきたいものだ、かように考えているのでございまするが、この点御参考に一言半句でよろしいですから……。
  147. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 地域給の問題につきましては、漸次廃止の方向に持つて行きたいということで研究をいたしております。
  148. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に今日の給与体系でございまするが、生活給が基礎なつておりまするのか、それとも能率給がその基礎なつておりまするのか、いやそういうものではない、それ以外の何物かであるとおつしやるのか、この点を給与局長にお願いします。
  149. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 現在の給与法におきましては、形の上では十五の職務の級を設けておるわけでございます。しかしながらその運営はおおむね生活給的な面が強調されておる、こういうふうに申し上げなければならないと思います。ただしかしそうはいいながら、予算上の制約やいろいろなことがございますので、たとえば職務給というようなものを設けましても、必ずしも生活給的にのみ運営されておるというふうには、申し上げがたいのでございます。われわれが準則におきまして考えておることは、やはり給与というものが、公務員法でも要求されておりまするように、その職務と責任に応じてなされるということが、第一義的なものであろうというふうに考えるのであります。ただその前提といたしましては、生活が確保されているということが、その前提要件であろうというふうに考えまして、そういう考慮を入れまして給与準則を作成いたしておるような次第でございます。
  150. 加藤清二

    加藤(清)委員 今日の予算から勘案いたしまして、今日及び近き将来において、その基礎的な考え方、つまり生活給が基本であるというところの考え方をかえる意思がありやいなや、また予算面からいつてかえることが可能でありやいなや、この点について給与局長にお願いします。
  151. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院は予算のことを所管いたしておりませんので、予算に関しまする面は、お答え申し上げにくいのであります。
  152. 加藤清二

    加藤(清)委員 与えられた予算でけつこうです。
  153. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 この生活給といい、能率給といい、職務給といい、私は截然とわけて言うのはむずかしいであろうというように考えるのであります。また将来の見通しといたしましても、これは全体の、たとえば民間の給与水準なりの問題と関連いたしまするから、これはなかなか申し上げがたい。しかし少くとも職務給制度を取入れる前提といたしまして、まず生活の面の考慮が十分なされておるということは必要であろう、このように考えます。
  154. 加藤清二

    加藤(清)委員 同じ問題について赤城さんにお尋ねいたします。
  155. 赤城宗徳

    赤城委員 今の給与の建前は生活給を基本としておると考えます。ことに加藤さんなどの常に主張されている健康にして文化的な生活ということで、最低生活の保障が生活給の一番の基本だろうと思うのであります。しかしこれが確立されていないから、生活給だけで行かなければならぬということは、現実の面からは行かぬと思うのです。そういう関係で、生活給はあくまで基本でありますけれども、これに対してやはり能率給とか、その他の要素も入れて行つてさしつかえないのじやないか。この面でいいますれば、戦後の混乱時代においては、何をおいても食わせる、食わなければならぬということが緊急なことでありますから、生活給を百パーセントというか、九十パーセント重んじなければならないと思いますけれども、少しでもそういう面がよくなつて来ているということになれば、やはり能率給というか、職域にある程度差をつけて行こうというような考え方も、まんざら捨てたものではない。しかしあくまで生活給というものが基本である、それに対してほかの要素が加わつて行くべきものではないか、こういうふうに考えております。
  156. 加藤清二

    加藤(清)委員 ごもつともな御意見でございまして、生活給が基本ではあるけれども、将来だんだん能率給にして行かなければならないというそのお考えはとうといものだ、私も賛成の意を表したいのでございます。ところでそういう予算が、はたして今日のこの予算状態で組めるものでございましようか、組めないものでございましようか、その点を提案者の赤城さんにお願いいたします。
  157. 赤城宗徳

    赤城委員 どうも私大蔵大臣でもないので、予算の編成に対しての方針は、私からお答えするのは適当ではありませんけれども、現在の段階では生活給だけでも、十二分には組んでおられないような状態ではないか、こういうように見ておりますけれども、しかし生活給だけをもつて予算を組まなければならぬということでもないので、やはり能率給とかいろいろな要素が含まれて、ウエートが幾分違うようなこともあり得るのではないか、実は財政当局でありませんので、予算の組み方のお尋ねを受けても、ちよつと困るのでありますが、そういう考えを私としては持つておるのであります。
  158. 加藤清二

    加藤(清)委員 目下のところではこれは尋ねるまでもなく、生活給さえも十分にまかなうことができないような予算措置であり、能率給を云々するということは、能率給を大きく取上げることはできないということは、だれしもうなずけるところだろうと思うわけでございますが、将来において万一能率給を加えるとしたならば、まずどの点から手始めにやつたらいいとお考えになつていらつしやいますか、その点を専門家の局長さんにお願いいたします。そういうことは考えていないとおつしやれば、それでもけつこうであります。
  159. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 御質問の趣旨が十分了解しかねますので、なかなかお答えしにくいのですが、もう一ぺんはつきりと……。
  160. 加藤清二

    加藤(清)委員 つまり今日の予算状態では生活給すらも十分にまかなえないような状態下にあつて、能率給を考えることは困難であろうが、能率給ということは悪いことではないので、生活の安定が給料によつてできるようになつたら、徐々に能率給は加えらるべき筋合いのものであると考えております。そういう意味のことを、今赤城さんからもお答えをいただいたわけです。それに私も賛成でございます。そこでもし将来そうなつたとするならば、そういうことにするとするならば、手始めに能率給はどこから始めたらよろしいとお考えになるかということでございます。そういうことは考えていない、いまだその余裕がないということでもけつこうです。
  161. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 御質問のようなものの考え方はしておらぬのであります。われわれの考えるところによりますと、現在の給与法におきましても、通し号俸というものを採用いたしております。このカーブのかつこうは、民間におきまする同種の職務内容を有する同じ程度の責任のものを比較いたしまして、このカーブを引くわけでございます。このカーブの形で、民間における給与の状態というものが現われて参るわけであります。それを基礎にいたしまして、われわれは俸給表を構成している。この原則は、給与準則でもわれわれは考えておるところであります。従いまして、われわれが俸給表の幅を相当長くしておるということと、また一方におきまして、直接結びつけておるわけではございませんが、二人世帯、三人世帯当りの標準生計費というものを、一応は算定して見比べておるというような面から、また俸給表の幅を伸ばしておるという面から、これは生活給に即応し得るというふうに考えております。それで一般行政職俸給表等におきましては、七段階にしておりますが、それがその通し号俸の状況によりまして、これは職務給的要素が多く現われて参りますれば、その段階の幅がぐつと広がつて参るでありましようし、また少ければしわがある。そういうことでわれわれが特に意図して、いつから加えるというようなことでなくして、自然の結果として現われて参る。このように考えております。
  162. 加藤清二

    加藤(清)委員 まことにけつこうなお考えでございまして、徐々に自然に生活給が加えられて行く、このお考え方には敬意を表するものでございます。そこで赤城さんに、この法案によるところの、この給与体系は能率給であるのか、ないしは考え方によつてほかのものであるのか、あえてこれもやはり生活給とおつしやりたいのか、その点をお尋ねします。
  163. 赤城宗徳

    赤城委員 あくまで生活給は基本でありまするけれども、能率給という一つの言葉の中に当てはまるかどうかしれませんが、教えて行く上においての負担、こういう点を考えまして、差が生じてもいいんじやないか、これは能率給という言葉で当てはまるかどうかわかりませんが、そういう差を見出して、こういう案を出したわけでございます。
  164. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、これは教えて行く上の負担によるところの能率給である、こういうことなんですね。簡単に言うと……。それでお尋ねするわけなんですが、教えて行く上の負担は、この四級から九級までに至る間だけが非常に多い。こういうことをしてやらないというと、不合理であるという材料がございましようか。はたして高等学校関係だけが、教育の上に過重な負担を背負わされているということが、具体的に比較検討して、言えるでございましようか。その点をお聞きいたします。
  165. 赤城宗徳

    赤城委員 これは見方によつていろいろ違うと思いますが、具体的という話の前に、ちよつと申し上げておきたいことは、教育職員法などによりましても、何条か、見ればわかりますが、小学校においては、初等普通教育、中等学校では中等普通教育、高等学校では高等普通教育とともに、専門教育をして行かなくちやならないということになりますると、やはり専門教育に対する負担と言いますか、それだけよけいになるのじやないか。これは小さい子供のめんどうを見る方が、はなをたらしておるような人のめんどうを見る方が、骨が折れると見れば、そういう見方もあります。あるいはまた青春期で、思春期で、心中する者もあれば、家出をする者もある。ことに女の思春期などは相当重大だということになれば、また高等学校として、その方が重大だ。こういう見方もいろいろあろうと思いますが、教育職員法などによりましても、三つの中で専門の教育を相当加味されているということになれば、小学校中学校では教えられるけれども高等学校ではちよつと教えられない。自分のことを例を言つては恐縮ですが、私が中学校先生をやれば、中学校先生は勤まりそうですが、高等学校へ行くというと、なかなかいじめられて、どうも私には勤まりそうもない、こういうような差がある。こういうように見て、しかし大きな差ではないが、いささかの差はある。こういうことで職域差というものを認めて、こういう案を出したわけでありますが、その中で四級から九級までが非常に能率給的な負担が重いんだ、こういうわけではありませんので、四級から九級を上げた理由は、職域差を認める点から見て、どの辺を少し一号くらい上げなくちやいけないかということを研究しました結果、これは現実の問題として、中学校なら中学校小学校なら小学校におきましては、校長になる率も少いのではないか。同じく学校に行つておれば、校長になりたいという気持もあるのだが、校長になる率が非常に少いということであれば、今の基準表によつて校長になる時期を当てはめてみると、ちようど四級から九級あたりになつておる。あるいはまたちようど学校へ行きまして、高等学校等においては、経験年数が多い者で、ほかから入つて来た人がありません。そういう人がどの辺の級に当てはまつておるか、しかも教育界の経験年数というものは、相当高く換算されておりませんので、そういう点も考えたり、あるいはまた初任給は同じといたしましても、昇給する時期などを勘案して、いろいろな点から、この辺で一号上げた方が適当だ、こういうことで、この表をつくつたのでありまして、この表に当てはめて、一号上げるものだけが非常に負担が重かつたり、能率を要求されておる、こういう意味ではございませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  166. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、大体大ざつぱにこういうことをやつたと、こういうことになるわけですか。科学的データがあつたわけではない。もつと言葉をかえて言えば、あなたの最初の意見でございますると、四級から九級までの間が給与の上に今まで非常に不利であつた、だからこうするのだ、こういう話でございますが、次に今度は能率給か、生活給かとお尋ねしましたら、そこはある程度の負担が重い、だからこういうことを考えた。こうおつしやる。そうするとこれは能率給だ、こういうことになるんですね。そこに私はプラスをされたのか、あるいはそこに矛盾はないのか、ちよつとわからなくなつて来たのですが、この問題はまたあとに譲るといたしまして、私がこの点、ふしぎでかなわないことは、負担が重い、相違があるとおつしやいましたが、職域が違えば負担は違つて来るでございましよう。その点は私も認めますが、高等学校の子供を教えるがゆえに、小学校の子供を教える先生と比較して負担が多いとは、一体だれが保障できるでございましようか。具体的なデータがどうしたら出るでございましようか。これはまさに封建的な考えと言わざるを得ない。同じ家庭において父親と母親の負担のいずれが重いか軽いか、父親の方が重いのだと言い切り得る人が、はたして何人あるでございましよう。それにも相似た考え方でございまして、この点はよほど慎重に考えていただかないといけないと思うのです。それは高等学校先生になるまでには、経済的に言えば炭質はたくさんしたでしよう。小学校先生だつたならば、何も学芸大学を出なくつたつてなれるという過去の実例があるのですから、投資の点から言えば、年齢において、あるいは親のすねをかじつたすねかじり料において、それは違うでございましようけれども、負担においていずれが重い、いずれが軽いということを、はつきりとデータの上に出せと言つたつて、これはできないだろうと思う。それは見解の相違ではなくして、これは勘だろうと思う。そういうことによつて法律基礎が築かれて行くということは、危険な行き方ではないか。むしろ今日の人事院の考え方の方がもつと実質に合い、現実に近い道を歩いているのではないかと私は考えるわけでございます。そこでこれはぜひこの次の機会において、双方がお互いに準備をして——私は準備して持つております。今でもやれとおつしやればやりますが、お互いに準備をいたしまして、いずれの職域に働く者がはたして精神的な労働なり、あるいは国体的な労働なりが多いのか、今日の給与の準則に合い得る材料は、いずれが多いかということを、ぜひ御研究していただきまして、そうしてここでよく討議をする、こういうことにぜひお願いいたしたいと思います。そうすることによつて、ほんとうに高等学校に勤める先生の方が、精神的にも肉体的にも、すべての点において非常に過重労働であり、過重な高価な叡知と技術を負担しなければならないということになれば、この法律から脱落して行つた人も必ずや納得すると思うのです。やむを得ぬというわけで、いなかの小学校へ勤めに行く人もできるだろうと思うので、この法律を生かす意味において、ぜひひとつ御研究願いたいと思うわけであります。あまり長くなり過ぎてもいけませんので、すでに今まで長くなりましたが、この程度にとどめますが、私は最後に、ほんとうにこういう法律、特に人間の価値を判断するところの法律や、人間の首を切るところの法律は、よほど慎重に考えていただかないと、あとでトラブルがあり、天につばを吐くという結果が生じて来るのではないか。さればこそ、今日まで政府が行政整理を何度も口にしながらも、それが延び延びになつて来るという結果が生じて来るのではないか。とにかく人の価値を評価するということは、非常にむずかしいのであります。もし学歴によつて人の価値判断をしたり、職場によつて価値判断をするということが可能であるとするならば、われわれ代議士がまずみずからもつて反省すべきであつて、小学校の卒業生の代議士と大学の卒業生の代議士とは、ここに当然差別が設けられなければならないし、かくのごとく参議院と衆議院において、当然職域が違い労力が違うからということによりまして、これまた給与の問題がかもし出されて来ても、やむを得ないのではないかと思うわけです。そこでこういう問題は、恐れ入りますけれども、慎重に御審議いただきまして、この法律が施行せられることによつて、ほんとうにこの法律の恵みを受ける方々が喜んで職域に働けると同時に、それ以外のすぐ隣りの方々が、うなぎのにおいだけをかがされて終るということのないように、うらみが再び返つて来ないような法律を、ここで生み出していただきたいものである、かように考えますがゆえに、以上のことを御質問したわけでございますが、いずれ次の機会に、今度はそういう抽象的なことでなくして、具体的な数字によつてお尋ねをしたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  167. 川島正次郎

    川島委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます     —————————————
  168. 川島正次郎

    川島委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます
  169. 川島正次郎

    川島委員長 この際お諮りいたしますが、文部委員会より法案審査に関し、連合審査会の開会を申出ております。当委員会としましてこの申出に応ずるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 川島正次郎

    川島委員長 御異議なしと認め、よつてさように決定いたします。連合審査会開会の日時は、明二十八日午前十時からの予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十八分散会