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1953-07-27 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 古屋 菊男君 理事 堤 ツルヨ君       越智  茂君    倉石 忠雄君       助川 良平君    田中  元君       寺島隆太郎君    永田 良吉君       夏堀源三郎君    中野 四郎君       山下 春江君    福田 昌子君       八木 一男君    柳田 秀一君       杉山元治郎君  出席政府委員         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 七月二十五日  委員岡良一君及び中川俊思君辞任につき、その  補欠として淺沼稻次郎君及び山村新治郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員松永佛骨君、高橋等君、山口六郎次君、長  谷川保君、萩元たけ子君及び伊瀬幸太郎君辞任  につき、その補欠として永田良吉君、夏堀源三  郎君、倉石忠雄君、八木一男君、福田昌子君及  び杉山元治郎君が議長の指名委員に選任され  た。     ————————————— 七月二十五日  韓国人戦犯者並びに遺家族援護に関する請願(  池田清君外二十二名紹介)(第五四八四号)  健康保険療養期間延長等に関する請願(楯兼  次郎紹介)(第五五〇六号)  同(岡村利右衞門紹介)(第五五〇七号)  同(川上貫一紹介)(第五七五五号)  国民健康保険事業に対する国庫補助増額に関す  る請願中村英男紹介)(第五五〇八号)  生活保護法最低生活基準額引上げ等に関する  請願横路節雄紹介)(第五五〇九条)  国立志布志療養所病床増設に関する請願(山  中貞則紹介)(第五五一〇号)  国立らい療養所職員定員増加並びに待遇改善  に関する請願山花秀雄紹介)(第五七四四  号)  国立療養所給食費増額請願永井勝次郎君  紹介)(第五七四七号)  戦傷病者に対する終身医療保障に関する請願(  山下春江紹介)(第五七四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日雇労働者健康保険法案内閣提出第六〇号)     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 す。これより会議を開きます。  内閣提出日雇労働者健康保険法案及び八木一男君外十名提出日雇労働者健康保険法案の両案を一括して議題として、審査を進めます。両案の審査につきましては前会において質疑を終了しておりまするので、両案を一括してただちに討論に付します。青柳一郎君。
  3. 青柳一郎

    青柳委員 私は自由党を代表いたしまして、政府提案にかかる日雇労働者健康保険法案賛成し、社会党両派提案にかかる同名法案反対せんとするものであります。  今回政府におきまして日雇い労務者にも健康保険を適用せんとするこの本案趣旨につきましては十分これを了承いたすものであります。日雇い労務者の、ごとき気の毒な方々に対し、せめて短期医療給付について貧乏から守る制度ができることは、われわれの年来の主張であります。さきの選挙に際しまして、自由党の公約にもこれを明記しておるところであります。しかしながら本案内容をつぶさに検討いたしますのに、療養給付内容がなお貧弱であるという点につきましてはまことに遺憾であります。これに対しましては、その保険料の引下げあるいは給付条件の緩和、給付内容をある程度一般の健康保険並に引上げるべきであるとは存ずるのであります。しかしながらすでに御存じのように、国民健康保険につきまして、本年の四月より国庫はその医療給付に対して二割の助成を行うことになつたのであります。このことはひいて日本全国における各市町村に国民健康保険実施せられ、日雇い労務者諸君は、あるいは保険料の納付なくして、現在の国民健康保険程度給付が受けられる状態に相なるとも考えられるのでありまして、われわれはこの際、政府法案の施行にあたつて国民健康保険生活保護制度との間に各種の調整を講ぜられ、同時に一般的な事務を簡素化して、実情に即する運営をはかられたいのでありまして、この際はしばらく、日雇い労務者を助けるためにこの程度法律を発足せしめ、その後において国民健康保険並びに生活保護制度との関係実情に即して勘案し、それによつてなお日雇い労務者に対する制度の進歩、発達、充実を期せんとするものであります。  社会党両派提案にかかる法案を拝見いたしまするのに、非常に広い範囲の被保険者を認め、さらに国庫助成五割を認めんといたしますことは、この際なお相当考慮を要する点があるのでありまして、ここに私は政府提案にかかる法案賛成し、社会党両派提案にかかる法案反対の意を表する次第であります。
  4. 小島徹三

  5. 古屋菊男

    古屋(菊)委員 私は改進党を代表して内閣案賛成し、議員案反対の意を表するものであります。現在健康保険法適用外に置かれておりますところの日雇い労働者及びこれに近い人々は、勤労者としての生活保障あるいは身分保障という点においてはまことに不安定な状態にある人々でありまして、従つて社会保障制度という観点から最もこれが徹底をはからなければならない階層であるのでありまして、今回日雇労働者健康保険法を制定して、これらの人々に対する健康保険制度を新たに設けるということは、まことに適切なる措置と存ずるのであります。しかしながら原案内容と見ますと、社会保障制度審議会社会保険審議会あるいは失業対策審議会等諮問機関の答申の内容に照してみましても、隔たるところ遠く、貧弱な感があるのでありまして、この点におきましては、もちろん保険内容といたしましては、議員提案に盛られておるような内容実施せられることが望ましいのでありますが、国家財政現状ないし保険財政の運営上から見ましても、あるいは政府における実施準備現状等から見ましても、現在ただちに議員案実施いたしますことは必ずしも適当ではないと思いますので、ともかくも政府が申しますように、将来その内容改善して行くということを信じまして、政府案賛成いたしたと思うのであります。但し政府当局に対して将来の改善を強く希望しておくものであります。
  6. 小島徹三

  7. 柳田秀一

    柳田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、われわれ両派社会党提案日雇労働者健康保険法賛成いたし、政府提案同名法案には反対せんとするものであります。  本法案に関しましては、先国会におきましても、わが党は法案提出趣旨弁明をし、さらに討論をいたし、本国会におきましても、八木一男君より趣旨弁明をいたしましたので、本法案に関するところの内容等にはあえて触れません。しかしながら社会保険立法といたしましてこの両案を比較いたしますのに、適用範囲におきましても、あるいは給付内容におきましても、どちらが真に社会保険立法としてすぐれておるかは、喋々申し上げるまでもなく一目瞭然であります。現に昨年の国会討論におきましても、自由党並びに改進党から、原則論的には左右両派社会党案がすぐれておるということは率直に認めておられるのであります。これをもつてすべてを言い尽しておるのであつて、これ呈あえてわれわれは付言いたしませんが、しかし現実の政治が、これを立法化せんとする際に、自由党並びに改進党の皆様方の御同調が得られなかつたことはまことに残念であります。われわれの厚生委員会におきましては、常々申しますように、イデオロギーの対立によるところの大きな法律というものは少いのであります。厚生行政そのものが、いわば涙の行政であります。世の中の恵まれざる、下積みになつた不幸な方々に対して、愛の手を差延べるのが厚生行政であり、それを立法するのがこの厚生委員会であるからには、われわれはどの法案もできる限り超党派的にまとめ、そうしてこれを立法化したいというのが、われわれ両派社会党委員が他の委員会諸君と異なつた、この委員会に臨む態度であります。従いまして前国会に起きましては、われわれ両派社会党案が葬られましたので、今国会におきましては、われわれは何としてもこの法案を成立せしめたい、それにはこの法案が目下の隘路になつておるならば、皆さんの間で虚心坦懐にお話合い願つて、われわれの方から見るならば当然と思いまするが、保守党の皆様から見られて、調子が高いと見られるならば線を下げましよう、そうして皆さんの御納得の行くところまで調子を下げて参りましよう、あるいはまた予算案関係予算措置がむずかしいならば、あえて本年度とは言いませんから、来年度から実施してもらつてもよろしゆうございますと言つて、謙虚にわれわれは改進党並びに分自党に呼びかけたのでありますが、分自党におきましては快く御賛成いただきまして、むしろ両派社会党とともに改進党との交渉に当つていただいたのでありまするが、まことに奇々怪々なることには、社会保障をもつて党是とされておる改進党が——改進党は御存じの通り非常に複雑多岐議員構成分子を持つておりまするが、本厚生委員会に御出席委員会のメンバーである改進党の方々はもとより進歩的であり、われわれのこの提唱に対して御同調願つたのでありまするけれども、悲しきかな党議として認められるわけに参りません。しかもその言い分が、現在国民健康保険があるから、それ一本やりで行つたらよかろうじやないかというのも一つの言い分であると思います。私はそれに賛成であります。できるならば社会保険というものは、一本に統合すべきだと思つております。しかし現実においては、まだできておらない。そういうことに持つて行くことにはわれわれは賛成いたしまするが、現実現実でありますから、ことに政府提案提案理由にも書いてありまするこの日雇い労働者特殊事情にかんがみて、現状においては単独立法することは私はやむを得ぬと思つております。あるいはまた現在の国保よりも条件のよいものをつくることは将来の国保マイナスになる、こういうような御意見も聞いたのであります。これはいささか私にはふに落ちませんが、われわれは何としても政府原案ではなしに、両派社会党案を通したいがために、それならば現在の国民健康保険と大体同様のレベルまで下げてもよろしい、かように折れたのでありまするが、これまたはなはだ残念な結果になりました。  そこで、こういうような政府の案で参りますると、せつかく政府の親心がおそらくこの日雇い健保に入らずして、むしろ生活保護法の、いわゆる乙号患者の方に流れる危険が非常に多いとわれわれは思うのであります。せつかく勤労意慾、さらにその勤労に基くところの当然の権利としてのこういうような社会保障制度を確立することが必要であるのに、現在のような防貧に対するところの多くの措置が欠けておつて、最後の救貧においてのみ汲々としておる。  さらに現在生活保護法の二百何十億のうちの大半が医療給付であります。しかも政府原案の三億何がしの予算というものは、従来日雇い労働者が、生活保護法のいわゆる医療給付によつてまかなわれておつたのが四億以上に上つておる。従つてこの予算案というものは、結局厚生省全体の予算案から言うならば、生活保護費の方を一億ほど減らされて、そうして日雇い健保の今の政府案が顔を出した、完全にこういうような結果になつております。これは厚生当局大蔵当局との予算折衝において一本とられた形でありまして、われわれの承知するところに関する限りでは、厚生当局原案は二十九億、むしろわが党案に近いのであります。われわれ両派社会党案に近いのであります。もしもこの際このときに、改進党並びに分自党の方においてわれわれに同調されて、そうしてわれわれもまた同調して、そこ町一本の修正案がまとまるとするならば、おそらくそれは厚生当局最初大蔵省予算要求をされたその原案と大体似た線のものが出たんじやなかろうか、私はそう思います。かように考えまして、返す返すも残念であります。ただこういう議論があります。そうならば、それでも現在はないのだから一応こしらえて、それから出発したらどうか、だからそれにお前のところも賛成をしたらどうか、こういう議論もありますが、われわれはそういうふうにとりません。少くともプラスから出発するならばわれわれもあるいは考え直しましようが、このように生活保護法のはね返りよりも、予算が少い、そういうようなものは私は社会保険立法としてプラスと見ておりません。マイナスと見ておる。マイナスから出発するならば、私はここで一年延びようが、プラスから出発した方が、はるかに今後のこういうような社会保障制度、その根幹をなすところの社会保険立法の向上になるものと思います。従いましてわれわれは、ここにおきましてわれわれ両派社会党原案が認められるならば、政府原案には敢然として反対し、こういうようなごまかし日雇い健保ごまかしをもつて、羊頭をもつて狗肉を売らんとするがごときこの政府原案には、われわれは反対するのであります。そうして先ほど青柳委員討論されましたが、いささか私も他党のことに論及し過ぎて失礼のきらいもありまするけれども、しかし今われわれ討論いたしておりますが、結果におきましてはわれわれ両派社会党案は破れるでありましよう。しかしながら将来厚生当局がさらに大蔵当局予算折衝もされ、それが成功のあかつきには、おそらく今私の言つているような大体の修正にまとまると思うのであります。その際にはどうかひとつ虚心坦懐に御賛成願つて、かりに出発が多少遅れることがあつても、私はこの日雇い健保が少くとも現在生活に困つておる日雇い労働者のほんとうに助けになる、そういうような社会立法に早く切りかえられんことを切望いたしまして、討論を終りたいと思います。(拍手
  8. 小島徹三

    小島委員長 柳田君の発言中、改進党に対し多少不穏当と思われる点がありますから、これは後日委員長において修正することをお許し願います。杉山元治郎君。
  9. 杉山元治郎

    杉山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府原案日雇労働者健康保険法反対し、両派社会党法案賛成の意を表するものであります。  御承知のように日雇い労働者は非常に気の毒な階層に属しておりまして、一歩誤まれば生活保護に落ちるべき人であります。しかしこの人たちは自分の人格を考え、また他から援助を受けることを拒んで、そうしてその日日の労働に従事しておる方であります。こういう人たちにこそ最もあたたかい手を伸ばすべきであつて社会保険がこの人たちに今日まで手が伸びていなかつたということは、非常な怠慢であると申し上げてもいいと思うのであります。幸いにこの人たちに対しまする健康保険が出て参つたことはたいへん幸いでありますが、政府原案を見ますときに、いろいろと多くの方々が申し述べておりまするように、また自由党の方自身も非常に貧弱であると申されておるような状態で、実は最初にこの原案を見ましたときに、いわゆるきよう賛成せられておる方々ですらも、あるいはこれはない方がよいのではないかと言われたくらいであります。そういうような実に貧弱なものであつて、たとえばいわゆる保険目的にいたしましても、単なる疾病障害だけに終つておるのでありますが、私はむしろこういう人たちにこそ、先ほど申し上げたように最もよりよい社会保険実施すべきであると思う。にもかかわらず単なる疾病障害だけということは、健康保険としてもはなはだ薄いものといわなければならぬ。やはりこれに伴うところの疾病もあれば、また御承知のように日雇労働者の方には婦人たち相当に多いことは御承知のはずであります。婦人がその日雇い労働者の大部分とは申しませんけれども、少くとも五割に近い人たちがおることを考えておりますならば、当然分娩というような問題などもつて来る。他の健康保険にあるものであつて、この法案で除外されるということを考えてみても、私たちはふに落ちないのである。なおそのほか日数の問題、あるいはそのほかいろいろ、な給付の問題、そういう点は私ども法案趣旨弁明の際にも詳しく申し上げておりますので、私は繰返して申し上げませんが、こういうような実に内容が最も悪い健康保険である。たとえば他の保険には、いわゆる国民健康保険のごときは二割の国庫負担をようやく可決されたときに、この最も気の毒な人たち健康保険国家がただ事務費だけ出して、いわゆるこの人たち保険援助をせないということなども非常な片手落ちと私は申さなければならぬと思うのであります。私はそういうような意奪いにおいて、われわれは政府原案は不満足で、少くともわれわれ両派提出いたしました法案あるいはそれが理想に近いと仰せになるならば、永田委員も申しましたように、これは少々譲歩してもよい、こういう考え方を持つてつたのでありますが、私ども法案が無視されて政府原案がとられるということでありますならば、私どもはこれに対して全面的な反対を唱えざるを得ないと思うのであります。  簡単でありますが、以上申し上げまして、私ども政府原案反対両派社会党法案賛成の意を表するものであります。(拍手
  10. 小島徹三

    小島委員長 以上で討論は終局いたしました。  まず内閣提出日雇労働者健康保険法案原案の通り可決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 小島徹三

    小島委員長 起立多数。よつて本案原案の通り可決いたされました。  なおただいま内閣提出日雇労働者健康保険法案が可決いたされました結果、八木一男君外十名提出日雇労働者健康保険法案は議決不要となりました。  次にただいま可決いたしました内閣提出日雇労働者健康保険法案附帯決議を付すべきであるとの動議提出されております。これの趣旨弁明を求めます。山下春江君。
  12. 山下春江

    山下(春)委員 ただいま多数をもつて可決いたしました政府提出日雇労働者健康保険法案は、本委員会審議の過程に見ましても全委員において必ずしも満足なものでないということになつております。  そこで私は委員会の空気を強く反映させるために、附帯決議を付したいと思います。  附帯決議案を朗読いたします。   政府原案日雇労働者保護に必ずしも満足の効果を与えるものとは思われぬから、その実施に当つて政府は、次の事項に充分留意することを要望する。  一、本法案がその所期の目的を達成し得るため、政府は全責任を以て、その運用に遺憾なきよう十全の努力を払うこと。  二、本案実施に関しては、政府は将来、社会保険制度体系確立上支障を生ぜざるよう、充分指導すること。  右決議する。 というのでございます。何とぞ皆さん賛成たまわらんことをお願いいたします。
  13. 小島徹三

    小島委員長 ただいまの決議についての御発言はございませんか——なければ採決いたします。ただいまの動議通り附帯決議を付するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 小島徹三

    小島委員長 起立多数。よつて本案附帯決議を付することに決しました。  なお両案に関する委員報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつて通知いたします。     午前十一時三十七分散会