○田邊
政府委員 私
どもの取扱いについて
説明が十分御遺族の
方々に徹底しない
関係上、病気の種類によ
つて公務かどうかを決定するかのごとき印象を与えておりますことはまことに遺憾でございます。実はそういう
やり方をと
つているかのごとき印象を与えましたおもなる原因は、昨年この
法律が
通りまして、大量に百何十万というものを短
期間のうちに
処理しますためには、一件々々を克明に
審査して行くという
やり方ではとても時間がかか
つて、三年も五年もかかるということでございますので、これを機械的に
処理するという方式をとらざるを得なか
つたわけでございます。そのために従来恩給法においてちやんと認められておるないしは過去において恩給法でこういう病気は当然公務であるというふうに限
つてありますものは無
制限に、あるいは時期と場所を限定いたしまして、その時期にこの場所でこういう病気にかか
つたものは全部公務と認めるという機械的な
やり方でどんどんさばいて行
つたわけであります。それ以外のものはわれわれの方で非公務と
考える
意味では決してないのであ
つて、そういうものは一件々々
審査いたしまして、病気にかか
つた時期及びそのときの勤務の状況、場所等を十分に総合的に
考えまして、その病気と公務との間に相当因果
関係があるかどうかという点を十分見て出すという
やり方をと
つたわけであります。
従つてずいぶん早く申請書をお出しに
なつた方におきましても、そういう
関係で個別
審査の方にまわされる
関係上、時期が遅れた方が相当おありになるわけであります。もちろん病気の種類によりましてはとうてい公務とは
考えられない病気もございます。自己の重大なる過失によ
つてなつたということが明瞭である病気もございます。たとえば脳溢血であるとか、あるいは心臓麻痺等というものは、相当これはむずかしゆうございます。一律に公務と
考えていいかどうかというむずかしい問題がございます。特に私
どもが心配いたしました点は、援護法は恩給法と不可分一体の
関係をなしておるものでありまして、公務という言葉を援護法も使
つております。
従つてこれが軍人恩給に移管する際には、当然軍人恩給においても恩給が給せられるべきものという建前にな
つておるわけであります一ところがわれわれの方で万一にも非常にルーズな扱いをし、すべてをよろしいじやないかということでどんどん公務として通して行
つて、恩給に切りかわ
つた場合に、
ちよつとこれは待
つた、それまでやたらに公務と
考えられては困るということで保留に
なつた場合には、非常に因る結果を生ずるわけであります。私の方では恩給でも公務と
考えてさしつかえなかろうというある程度の
考えを持ちながら、しかも同時にあまりきゆうくつにならぬように、遺族の御心境にも沿うように、
実情に沿うようにということで実はせつかくや
つているわけであります。もちろん極端に申しますれば、恩給局とあらかじめ打合せをして、これはオーケー、これはオーケーとい
つてサインをと
つておいてやれば万全でございますけれ
ども、なかなか数も多いし、恩給の方も忙しいので、そういうことをや
つておりません。そこで私の方は、先ほど御質問のありましたような気持をもちまして公務であるかないかの
審査に当
つておるわけであります。数字で申し上げますと、今日まで陸軍、海軍合せまして百八十五万の受付けをいたしております。これは一切のものを含んでおります。公務の方であろうと、あるいは戦沒者の遺族であろうと何であろうと、名の知れた
方々は全部含んでおります。その中ですでに裁定の終
つておるものが百七十四万でございます。約十万の未裁定があるわけでございますが、その中には目下調査を進行中のものが約半分くらいございます。つまりランニング・ストックと申しまして、
審査中のものが約半分でございます。その他調査の
資料、
判断の
資料が液いために、
判断の
資料を整えるために、いろいろ市町村なんかで
資料を整えておるものもございます。
従つて病気その他の
理由によ
つて、再
審査といいますか、各自一件一件
審査している分はそのうちの一部になるわけでございます。正確な数字は今持ち合せておりませんが、そのうちのごく一部のものになります。その一件々々を
審査いたしまして、これはどうしても公務と
考えられないものは却下いたしております。お話の
通り戦地におきまして戦死、戦病死というような公報が出ております者につきましては、御遺族の御心境もあり、
実情もございますので、われわれはできるだけ公務の
認定範囲を広げて参りたいと
考えております。これはできるだけ弾力性をも
つて運用しております。ただ問題は、内地で普通の病気でなく
なつた方であり、あるいは家に帰
つてからなく
なつた
方々、こういう
方々は
審査上非常に困難をきわめております。いろいろな
資料を集める
関係からいたしましても、また
死亡と病気の
関係を
判断する
資料を集めるという場合におきまして、いろいろ苦心しておりますが、手をまわして
資料を獲得いたしまして、できるだけ正確に、迅速にや
つて行く所存でございます。なお御
指摘の問題は、今後の恩給の問題にも関連いたしますので、恩給局ともある程度打合せを遂げまして善処して参りたいと
考えておりますが、できるだけ御希望に沿うようにとりはからいたい、かように
考えております。