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1953-07-06 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十八年七月六日(月曜日) 午前十時三十五分
開議
出席委員
委員長
小島
徹三君
理事
青柳
一郎君
理事
中川
俊思君
越智 茂君
加藤鐐五郎
君
田中
元君
寺島隆太郎
君 降旗 徳弥君
須磨
彌
吉郎
君 山下 春江君 萩元たけ子君
柳田
秀一
君
杉山元治郎
君 有田 八郎君
出席政府委員
厚生政務次官
中山 マサ君
厚生事務官
(
保険局長
) 久下 勝次君
委員外
の
出席者
専 門 員 川井
章知
君 専 門 員
引地亮太郎
君 専 門 員 山本 正世君 ――
―――――――――――
七月四日
委員岡良一
君
辞任
につき、その
補欠
として西尾 末廣君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月六日
委員中野四郎
君
辞任
につき、その
補欠
として須 磨彌
吉郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 七月四日
国立渋川病院施設整備拡充
に関する請願(小峯 柳多君紹介)(第二五八九号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
民生事業振興
に関する
陳情書
(第六七〇号)
児童福祉事業
に関する
陳情書
(第六七一号)
医療社会事業
に関する
陳情書
(第六七二号) 未
復員者給与法
にて
療養
中の
復員患者
に
生活費
支給の
陳情書
(第六七三号)
療術師法制定反対
に関する
陳情書
(第六七四号)
らい予防法案
に関する
陳情書
(第六七五号)
戦犯刑死者
及び
獄死者遺族
の援護に関する
陳情
書 (第六八九号)
社会福祉事業金融公庫法制定
に関する
陳情書
(第七一四号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
連合審査会開会申入れ
に関する件
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五〇号)
厚生年金保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第五一号)
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第七二号)
国民健康保険再建整備資金貸付法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第八六号)
社会保険審査官
及び
社会保険審査会法案
(
内閣
提出
第一二七号)
医師等
の免許及び試験の特例に関する
法律案
(
内閣提出
第一四〇号)
財団法人日本遺族会
に対する
国有財産
の無償貸 付に関する
法律案
(
内閣提出
第一四四号) ――
―――――――――――
小島徹三
1
○
小島委員長
これより
会議
を開きます。 まず
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
厚生年金保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
及び
国民健康保険再建整備資金貸付
の一部を
改正
する
法律案
、以上四
法案
を一括して議題とし、
審査
を進めます。この四
法案
は前会において
質疑
を終了しておりますので、ただちに
討論
に入ります。
田中元
君。
田中元
2
○
田中
(元)
委員
私は
自由党
を代表いたしまして
健康保険法
外三件に
賛成
の
討論
を行うものでございます。
御存じ
のごとく
社会保障
の中心は、
医療
問題の
解決
にあり、
健康保険
その他の問題について十二分に
政府
は施策を行いまして、一日も早く
社会保障
としての最も問題とされておりまする
医療
問題を
解決
することが、今日最も大きな急務であると思うのであります。今日出されております
法律
は、その
意味
において全体の問題とは言えないのでございますけれ
ども
、一歩前進したという点については私は認めざるを得ない。ただ
御存じ
の
通り
、
健康保険
の問題を一つ取上げて参りましても、いまだ
健康保険
の
経済
と申しますか、
財政
と申しますかが確立されてないやに
考え
るのであります。
御存じ
の
通り医療
を行うためには、
医師
、
歯科医師
というものでなければ
医療
を行えないというような場合、これらの
方々
に対しまする
保険単価
の問題や、あるいはまた
稼働点数
の問題、あるいは
保険経済
の根本をなしますところの
保険料率
を今後どういうふうにして行くのか、
政府
も
国庫
から金を出さなければならない、あるいは
医師
、
歯科医師
に対して
最低
の料金において最高の実を上げるような
医療
を行わせなければならない。同時にまた被
保険者
であります人人が、
医療
の
性格
にかんがみて
保険料率
という問題についても十二分に
考え
て、三者が
一体
にな
つて
行くような
ほんとう
に
りつぱな保険制度
を確立するために、
政府
も今後一層の
努力
をしていただきたいと思うわけでございます。ゆえにこの点から
考え
ますると、今まだまだ
健康保険等
の問題については重要な行わなければならない問題が山積しているのではなかろうかと思う。同時にまた
国民健康保険
に対しましては相当な、
国庫負担
があるわけでございますが、
政府管理健康保険等
につきましても、今後においてはできるだけ
国庫負担
の
方向
へ向かしむるように、
政府
の方でもこの点に
研究
と労力をされていただきたいと思うわけでございます。 そこで、いま一つ大きな問題とされておりますところの
諸種健康保険
というものの
統合等
の問題がございます。いろいろの
健康保険
を
統合
して、それぞればらばらな
保険制度
でなくや
つて
行きたいという期待も、
社会保障制度審議会あたり
の一貫した
考え
方として出ているのでございますが、こういう点についても、どうか今後
厚生省
及び
政府当局
において真剣にお
考え
おき願いたいと思うわけでございます。 私は今日この四
法案
に
賛成
すると同時に、
健康保険法
に対しましては次のごとき
附帯決議
をつけまして、この問題に対して
賛成
をいたしたいと思うわけでございます。私
ども
が
附帯決議
としてつけまする案文を朗読いたしますると、
健康保険法
第五十七条の
医療期間延長
に伴い、
政府
は此の際
医療
の万全を尽すため可及的速かに
懸案
中の諸問題の
解決
と
医療給付
に対する
国庫負担
の
実現
に
努力
せられんことを望む。 この
附帯決議
をつけまして、
健康保険法
の一部
改正
に
賛成
をいたしたいと思うわけでございます。この際この
決議
をつけられて
賛成
せられんことを、心からお願いを申し上げる次第であります。これをも
つて
討論
を終ります。
小島徹三
3
○
小島委員長
柳田秀一
君。
柳田秀一
4
○
柳田委員
ただいま上程になりました
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
外三件に対しまして、われわれ
日本社会党
は
賛成
するものでありますが、特に
健康保険法
及び
厚生年金
に対しては
幾多
の不満がありますので、その二、三を申し述べてみたいと思います。
健康保険法
、
厚生年金保険法
、
船員保険法等
が、
適用範囲
の
拡張
、あるいは
療養給付期間
の
延長
、それに伴うところの
廃疾認定
時期の
調整等
のために一部
改正案
が出たのでありますが、われわれはかくのごとき一部の
改正案
でなしに、少くともこの
法律
にまつ向かから取組んで、法の目的とするところに、もう少し抜本的な
改正
を望むのであります。
健康保険法
におきましては、
質疑
の際にも申しましたように、
傷病手当金
の
待機期間
のごときものは、私はむしろこれは廃止した方がよいと思う。二、三のいわゆる不正なる人のために、無用の
待機期間
を置く必要は毛頭ないと
思つて
おります。また実際に疾病にかかりましても、それらの手続をしておりますと、その
待機期間
ぐらいはすぐ済んでしまうのであります。あるいは急性の
外科的疾患等
によりましては、
待機期間
を置く何らの
意味
もないと
思つて
おります。さらに
傷病手当金
の願でありますが、これが
国家公務員共済組合
と異な
つて
おります。健保におきしましては十分の六であり、
国家公務員
におきましては十分の八にな
つて
おります。このような点もはなはだ不均衡であると思う。さらに
施行令
第三十六条の
理事長
が
事業主側
に限られておるということ、これもはなはだしく、不公平であると思う。少くとも各
理事
が互選するというような民主的な方法をとるべきである。さらに大きくは
医療給付費
の少くとも二割は
国庫負担
にすべきである。あるいはもつと大きく言うならば、現在問題とな
つて
おります一点
単価等
の問題に対しても、
物価水準等
に
考え
て、いつまでもすえ置きにせず、現在の
物価
、その他を
考え
あわせて、合理的な
引上げ
が望ましい、かように
考え
て参りますと、なお
幾多
の
改正
すべき点があろうかと私は
思つて
おります。 さらに
各種社会保険
の
統合
の問題、これも
質疑
の際に各
委員
から問題になりましたが、ことに
社会保障制度審議会
からは
答申案
も出ておるのであります。この問題は非常に重要であろうと私は思う。重要でありますが、ことほどさように簡単には
統合
はできないと思う。それぞれ自然発生的な要因があ
つて
、またその歴史的な背景があ
つて
出て来たものである。しかしながら将来の
方向
の線としては、
統合
しなければならぬということになりますと、
統合
までの過程においては非常に紆余曲折があり、非常な難関に逢着すると思う。
従つて
これを
統合
せんとするならば、
厚生省当局
はただいまからよく
考え
ますでは追いつかぬと思う。少くとも現在これに取組んで一応の試案、第
一案
くらいはできていなければならぬと思う。おそらく第
一案
ができてもその案でまとまるとは思われない。第
一案
、第二案、第三案と、相当各方面から、利害が相反する面もありましようし、非常な議論が出て来ると思う。しかもいずれは
統合
しなければならぬ、こういう問題に対しては、もつと率直に名神の案を出して検討する必要があると思う。おそらく
厚生省当局
にはまだ
原案
はできておらぬのじやないか。簡単に
原案
はできないと思う。別にわれわれが
考え
もせぬのに
木村保安庁長官
は私の案か試みの
一案
か知らぬが出して来る、そのこと自体ははなはだけしからぬと思いますが、
自分
の
所管事項
にはなはだ忠実であるというふうにはとれるのである。
社会制度審議会
から
答申
が出ていると思いますが、
厚生省当局
はまだ
原案
が出て来ないということであれば、はなはだ
熱意
がない。
——
これは脱線であります。実際にこの
統合
に対してはもう少し真剣に取組む必要もあるし、またこれを観念的に
統合
、統一ということでなしに、
ほんとう
に真険に検討する必要があると思うので、
厚生当局
においても今までのような、ただ考慮しますというような点だけでなしに、もつと真剣に
統合
への
努力
を傾けていただきたいと思います。 〔
委員貝長退席
、
青柳委員長代理着席
〕 なお
厚生年金
におきましては、これは
政府当局
においても近く全面的の
改正案
を用意されているように聞いておりますから、ひどくは追究いたしません。先般
質疑
の際にも
改正
される方針、
方向
もややわか
つた
ように存ずるのでありますし、またその
質疑
の際に一々あげましたので、重ねてここで申し上げませんが、しかしここで大きな問題は何とい
つて
もこの
積立金
の問題であると思います。これが現在のような
国家資金
として
資金運用部資金
の中においてまかなわれているということは、われわれはどうしても納得ができない。この
積立金
は何としても主として
労働者
の
福祉施設
に使われるべきものであるが、
ひとり労働者
のみでなく、
事業主
も
負担
しているのでありますから、労使の側に立
つた
ところの
福利厚生施設
に当然還元さるべきであると
思つて
いるのでありまして、この点に対して
厚生省
に
熱意
かないように私は思います。
郵便年金
、
簡易保険等
の問題も、これを
郵政省
が
大蔵省
から
自分
の
所管
にもどすという運動は、一日にして始ま
つた
ものではないのでありまして、終戦直後から執拗に、あるいはそれぞれの
地方
自治体を通じて運動してお
つたの
であります。
厚生年金等
におきましてはこの
積立金
がもつと多面的に利用されてもいいと思う。現在
日本
では
医療施設
というようなものは比較的完備して来ております。ことに
都市
においては完備しつつあります。その
都市
の完備した上にさらになお
りつぱなものをつくられることにもとよりけつこうでありますが
、そういうものは今急にせられなくてもできるのです。最も欲しているのはやはり
労働者
の
住宅
であると思う。この点に関して、
住宅
の方に本年度から出されましたことはわが意を得ているのでありますが、もつともつとふやす必要がある。あるいは
労働者
に対する小品の融資の問題もあるでありましよう。すでに
先進国等
においてはそういう点もや
つて
おるようであります。われわれは何としても
独立会計
として
厚生年金
の
積立金
は、
厚生年金
に対してそれを積み立てた
労働者
、
事業生
に対して還元されて、そうしてその
福祉施設
にとして使わるべきものと
思つて
おります。なおこの
厚生年金
に対しては、本年の秋に
炭鉱労働者
に
年金
の開始があるのでありますが、その以前に
改正
があるものと信じますがゆえに、ここでとやかく言わぬのでありますが、かりに現在のままで進むならば、
坑内夫
は
年金
の額が千二百円くらいである。そうすると一月三百円近く納めていると思いますが、
年金
にすると一月が百円しか入らないというようなことになります。これは当然もう抜本的な
改正
があるものと信じ、かつ期待しているようなわけでありますが、どうかなるたけ早い時期にこれの根本的な
改正案
をお示し願いたいのであります。
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、特に申し述べることはございません。ただこの
船員保険法
のうちの
年金
と
厚生年金
との
相互関連
の問題がございますが、これらも
失業保険
に出ておりますので申し上げません。
国民健康保険再興整備資金貸付法
の一部を
改正
する
法律案
も、これも
原案通り
われわれは
賛成
するものであります。 以上の各案につきましてわが党の
考え
を申し述べた次第であります。なお先ほど
自由党側
から出されました
附帯決議
に対しましては、わが党といたしましても
賛成
するものであります。
青柳一郎
5
○
青柳委員長代理
次に
杉山元治郎
君。
杉山元治郎
6
○
杉山委員
私は
日本社会党
を代表いたしまして、
健康保険法案外
三件の
保険法案
につきまして、数個の
希望条件
を付しまして
賛成
の意を表するものであります。 これらの
改正法案
が
適用範囲
の
拡大
、
標準報酬
の
引上げ
、
医療給付
の
延長等
、従来のものよりは一段の進歩を示しておりますので、その点に
努力
された
厚生当局
に
敬意
を表するのでありますが、これをよく見ますならば、まだまだ
社会保障
的な
性格
が十分でないということを見まするとともに、これらの
保険法
を
ほんとう
にうまく
運用
して参りますためには、
患者
でありますところの多くの
国民
の
方々
、並びにこれら
医療
に従事いたしますところの
医師
、またこれに
協力
いたしますところの
事業家
、あるいは
政府当局
、これらのものが
一体
とな
つて
行かなければならないと存じます。特に
医療
の問題でございますので、
医師
の心からなる提携ができるようになされなければならないと思いますが、さきに
田中
君も仰せになりましたように、
単価引上げ
の問題あるいは地域的な差別の問題、こういう問題について将来においてできるだけ早くそれらの
改正
を
行つて
、
医師
が心からこれに
協力
するような状態にせられるように希望する次第であります。 なおこの
委員会
を通じていろいろとすべての者が要求いたしておりましたように、
国民健康保険
の
医療給付
につきましては二割の要求をいたしてお
つた
ことはすでによくわか
つて
いるのでありますが、
政府
の予算では一割五分ということにな
つて
おります。少くともこれは二割を出すようにしていただかなければならない。これは単に
国民健康保険
のみならず、他の
社会保険
におきましても
医療給付
にはぜひひとつ
政府
が二割の
負担
をするように将来
考え
ていただきたいということであります。 なお
国民保険
のことを
考え
ますと同時に、
農村地帯
にはまだ
医療
の恩典に浴しないような二千万の
農民
がおりますので、これら多くの
農民
に一日も早く
医療
の手が心配な程度行きわたりますような
施設
をお
考え
いただきたいということであります。 それから今
柳田委員
も仰せられましたように、
積立金
の
運用
につきましては、これを単なる
大蔵省
の
運用部
にまかさないで、ぜひこれは
社会
の
福祉事業
のために用いるように、ひとつ
社会福祉
のために還元をしてやるように、一層の
厚生省
の
努力
をお願いするのであります。 なお
厚生年金
の問題につきましても、
柳田委員
のお申しになりましたように、このままで参りますとわずか月百円というような僅少なもので、これは
厚生年金
にもならないと存ずるのであります。
従つて
あの
契約
当初の時代と今日との変遷、
物価
の上昇、いろいろそういうものを
考え
ていただいて、
改正
の場合にはできるだけこれはスライドして、そうして
厚生年金
を
契約
の
人たち
に与えるようにぜひ
努力
していただきたいということであります。 以上申し述べまして、簡単でありますが、
賛意
を表する次第であります。
青柳一郎
7
○
青柳委員長代理
次に
中川俊思君
。
中川俊思
8
○
中川
(俊)
委員
私は
自由党
を代表いたしまして、ただいま提案にな
つて
おります
健康保険法
の一部
改正
ほか三件に対して
賛意
を表するものであります。 今回のこのの
四つ
の
改正
でありますが、先ほど来
お話
のありますように、
適用範囲
の
拡大
であるとかあるいは
標準報酬
の
拡張
であるとか、その他
医療給付期間
の
延長等
が企図されたことについては、私も
敬意
を表するにやぶさかではございません。しかし先般も私は
質疑
のときにもお尋ねいたしましたように、また私の
意見
を申し述べましたように、由来
役所仕事
というのは場当りの
やり方
が多い。抜本的な思いき
つた
対策を講ぜられるということがきわめて少ない。今回のこの
改正案
を見ましても、なるほど量的には
改善
せられているように私
ども
は見受けるのでありますが、内容の問題に立ち至
つて
みますときわめて貧弱なものがあるのじやないか。つまら質的にどの程度
改善
されているかということについて、疑念を抱かざるを得ないのであります。骨組ができ上りましても、土台がぐらついてお
つたの
では
社会保障
の充実にはなりません。私は先般まだこれは
質疑
が続くのかと
思つて
うつかりしておりましたので、お尋ねすることができなか
つたの
でありますが、昨年も非常に問題にな
つたの
でありますが、例の一点
単価
の問題であります。この
引上げ
のて問題につい私は実は驚くべきことを聞いている。全国の
医師会
で最もこの問題について強硬な
意見
を持
つて
おられたある県に、時の某
有力閣僚
が出かけて
行つて
、その
医師会
の連中を
医師会館
に集めて、
単価
の問題はなるほど安いと思う、しかしこれはどうかひとつ上げろくと言うのをやめてくれ、そのかわりこの県だけは特に
所得税
の面において考慮してやろう、こういうのでその県の
国税局長
をわざわざその
医師会館
へ連れて
行つて
、そして
国税局長
をここへ連れて来ておるのだから、
国税局長
に今そのことを言明さしてやろう、こういうので、その県の
医師会長
は、
大臣
がそんなことを
言つて
も、
地方
の税務署ではなかなか税金の面において
考え
てくれやしないのだから、あなたが言うように、
国税局長
がここでそのことをはつきり言明してくれるならば、われわれは一点
単価
の
引上げ
問題については今年は主張を撤回しよう、こういうことをはつきり
言つて
おるのです。そこで
国税局長
はその
大臣
の前でこの県だけは特に
考え
ましようということを言明しておるのですよ。こういうばかくしいことをや
つて
、
医師
が
単価
の
引上げ
について非常に主張してお
つた
ものを去年は押えておる事例がある。こういうことでは
医師
は
協力
いたしません。先ほど来
お話
のありましたように、この問題をあらゆる観点から完璧なものにして行ごうというのには
医師
の
協力
もなければいけない。さらにまたこれを運営しておりますところの、実務に携わ
つて
おります者の
協力
もむろん必要なんであります。ところが笛吹け
ども
踊らずで、
厚生当局
がせつかく
改正
をして、そしてこの問題の完璧を期そうというお気持があ
つて
も、
医師
もこれにおどらない、運営しておる者もこれについて行けない、こういうことでは、仏つく
つて魂
の入らないものとなると思うのであります。
積立金
の問題も先ほど来各
委員
からも
お話
がございましたが、最近何でも
大蔵省
で
資金
を一元化するという悪いくせがある、
大蔵フアツシヨ
がここ数年来続いております。
簡易保険
の問題でも同様であります。御
案内
の
通り簡易保険
でも、これは従来
郵政省
に全部まかしてお
つて
、そして
郵政省
は、
地方
から集めたものは
地方
にこれを還元するという
やり方
をしてお
つた
。ところが
大蔵省
でこれを御
案内
の
通り
かつさら
つて
しま
つた
。昨年でございましたか、これが問題にな
つて
、ようやく半分だけ
郵政省
べ返しておりますけれ
ども
、この
簡易保険
の
積立金
の問題も同様であります。でありますから、少くともこの
積立金
だけは、
厚生省関係
のものは
厚生省
にとるだけの
政治力
を発揮してもらいたいと思う。そういたしませんと、先ほど来申し上げまするように、
厚生省
がいかに
改正
をやろうと
思つて
いろいろお骨折りになられましても、周囲がついて来ない。そういたしますと、私が申し上げますように、量的の
改善
をなさ
つて
も、質的の
改善
ができないということになるのでありますから、結局仏つく
つて魂
の入らない
改正
になるのであります。これらの点についてどうか今後十分に御
研究
を
願つて
、大いに
厚生省
の
政治力
を発揮して
——大臣
にその
政治力
がなければ
大臣
をとりかえるくらいな腹をひとつ
厚生当局
は持
つて
や
つて
もらいたいと思うのです。
厚生省
の
事務
の
人たち
が
大臣
をかえることはできないでしようが、とにかくそのくらいな強い要望を持
つて
大臣
に当られたならば、私は
大臣
はやると思う。
結核予防法
のときでございましたか、私は当時
大臣
をしておりました林さんに対しているくこのことを申し上げ、
大蔵省
も遠慮してかなりあの当時は林さんの言うことを聞いたと思うのですが、そういうことは別として、とにかく
厚生当局
はもつと
政治力
を発揮してもらいたい。
由来厚生大臣
は
伴食大臣
だなんと
言つて
おるが、私はとんでもないことだと思います。
厚生行政
ぐらい
国家
を再建する上におきまして大きな問題はないと思うのでありますから、
厚生省
にはしつかり
政治力
を発揮していただいて
大蔵省
に当り、そして
大蔵フアツシヨ
をぶち破るというくらいな覚悟を持
つて
や
つて
もらいたいと思うのであります。 それから先ほど来各
委員
からも
お話
にな
つて
おりますが、
自由党
におきましても
医療給付
の一割五分というものは二割という
条件
をつけたいと
思つて
おります。二割でも私
ども
は満足いたしておりません。できれば三割でも五割でもつけてもらいたい。しかし
財政
とのにらみ合せもありましようから、そう一度にできませんが、二割というのは
最低
だと私は
考え
ておりますから、二割のこの
条件
だけはひとつぜひ
考え
ていただきたい。 以上はなはだ簡単でありますが、私はあまり
専門家
でもないし、よくわかりませんけれ
ども
、この四件に対しましては、以上の私の
希望条件
を付しまして
賛意
を表する次第であります。
青柳一郎
9
○
青柳委員長代理
次に
須磨
彌
吉郎
君。
須磨彌吉郎
10
○
須磨委員
改進党を代表いたしまして、
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
厚生年金保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
国民健康保険再建整備資金貸付法
の一部を
改正
する
法律案
、以上
四つ
の
法案
に対しまして、
賛成
の意を表するものでございます。
青柳一郎
11
○
青柳委員長代理
以上で
討論
、は終局いたしました。
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
厚生年金保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
国民健康保険再建整備資金貸付法
の一部を
改正
する
法律案
、以上四
法案
を一括して採決いたします。四
法案
を
原案
の
通り
可決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青柳一郎
12
○
青柳委員長代理
御
異議
なしと認めます。よ
つて
四
法案
はいずれも
原案
の
通り
可決されました。 次にただいまの
討論
中、
田中元
君より、
健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
につきましては
附帯決議
をすべきであるとの
発言
がありました。
田中元
君の
発言
による
附帯決議
と申しますのは
健康保険法
第五十七条の
医療期間延長
に伴い、
政府
は此の際
医療
の万全を尽すため可及的速かに
懸案
中の諸問題の
解決
と
医療給付
に対する
国庫負担
の
実現
に
努力
せられんことを望む。というのであります。これに関し御
発言
はありませんか。
——
御
発言
もないようでありますから、お諮りいたします。
田中
君の御
発言
の
通り附帯決議
を附することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青柳一郎
13
○
青柳委員長代理
御
異議
なしと認め、そのように決します。 なおただいま議決いたしました各案に関する
委員会
の報告書の作成につきましては、いずれも
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青柳一郎
14
○
青柳委員長代理
御
異議
なしと認め、そのように決します。 —
——
——
——
——
——
——
青柳一郎
15
○
青柳委員長代理
次に
医師等
の免許及び試験の特例に関する
法律案
及び
財団法人日本遺族会
に対する
国有財産
の無償貸付に関する
法律案
の両案を一括して議題とし、
審査
に入ります。まず中山政務次官より趣旨の説明を聴取したいと存じます。中山
政府
委員
。 —
——
——
——
——
——
——
中山マサ
16
○中山
政府
委員
ただいま議題となりました
医師等
の免許及び試験の特例に関する
法律案
につきまして、その提案の要点を説明いたします。 第一は、昭和二十年八月十五日以前から引続きソビエト
社会
主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州または中国本土の地域内にあ
つて
昭和二十八年三月二十三日以降引揚げた者、すなわち今次の引揚者であ
つて
、
医師
法第三十六条第三項または
歯科医師
法第三十三条第三項の規定に該当するものについて、昭和三十年十二月三十一日まで、従一別の規定によ
つて
医師
免許または
歯科医師
免許を受けることができるようにしたのであります。 第二は、今次の引揚者のうち、
医師
法第三十六条第三項もしくは第四項または
歯科医師
法第三十三条第三項もしくは第四項の規定に該当するものについて、
医師
国家
試験予備試験または
歯科医師
国家
試験予備試験の受験資格を、昭和三十一年十二月三十一日まで認めたのであります。 第三は、今次の引揚者のうち、引揚の直前に診療エックス線技師の業務を
行つて
いた者、または引揚一別に引続き三年以上診療エックス線技師の業務を
行つて
いた者について、引揚げた日から三箇月以内に氏名、年齢、業務に従事していた
施設
の名称等の事項を届け出させ、業務の暫定的継続を認めるとともに、厚生
大臣
の行う試験を経て診療エックス線技師免許を受けることができるようにしたのであります。 第四は今次の引揚者のうち、ソビエト
社会
主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満洲または中国本土の地域内においていわゆる看護婦の業務を
行つて
いた者について、昭和三十一年十二月三十一日まで、准看護婦試験の受験資格の特例を認めようとするものであります。 次にただいま提案になりました
財団法人日本遺族会
に対する
国有財産
の無償貸付に関する
法律案
につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 御承知のように、元の軍人軍属で公務により死亡した者の遺族に対しまして、過去における戦争の犠牲者として国が援護の手を差し延べることは、元来国としての当然の責務であると
考え
られるにもかかわらず、終戦後においては、諸種の事情のため、十分に援護の手を差延べることができなか
つたの
であります。昨年、講和独立の機会に際しまして、戦傷病者戦沒者遺族等援護法が制定され、戦沒者の遺族に対しまして初めて大巾な援護が実施されたのでありますが、これらの
方々
の前途にはなお
幾多
の問題が横たわ
つて
いるのであります。 この度
政府
は、これらの遺族援護対策の一環として、旧財団法人軍人会館が所有していた
国有財産
たる建物を、米駐留軍より近く我が国に返還された際に、
財団法人日本遺族会
に無償で貸し付け、遺族の福祉を目的とする事業の用に供することによ
つて
、幾分たりとも遺族援護に役立たせたいと
考え
た次第であります。これがこの
法律案
を
提出
しようとする根本的趣旨であります。 次にこの
法律案
の概要について説明申し上げます。 第一に、
財団法人日本遺族会
に対し、旧軍人軍属で公務により死亡した者の遺族の福祉をはかるため、旧財団法人軍人会館が所有していた
国有財産
たる建物が、米駐留軍より返還された後において、その建物をその使用に必要な敷地とともに無償で貸し付けることができるごととしたことであります。 第二に、貸付財産の用途を宿泊所、集会所等の利用、生活相談、育英事業等遺族の福祉をはかるため必要な事業の用に供することに制限したことであります。 第三に、貸付
契約
の解除、役員の解職等必要な監督規定を設けたことであります。 以上がこの
法律案
の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げる次第であります。 —
——
——
——
——
——
——
青柳一郎
17
○
青柳委員長代理
なおこの両
法案
に関する
質疑
は次会に譲ることといたし、次に
社会保険審査官
及び
社会保険審査会法案
を議題とし、
質疑
の通告がありますので、順次これを許可いたします。
杉山元治郎
君。 〔
青柳委員長代理
退席、
委員長
着席〕
杉山元治郎
18
○
杉山委員
それでは質問いたしますが、まず第一に、
厚生省
は
社会保障制度審議会
なりあるいは
社会保険
審議会というものを
一体
どういうように見ておるか、これは単なる参考
意見
を聞くにとどまるのか、あるいはそうでない、もつと権威あるものと見ておるのか、その点について伺いたいのであります。
久下勝次
19
○久下
政府
委員
社会保険
審議会並びに
社会保障制度審議会
は、私
ども
はきわめて権威あるものと
考え
ております。
従つて
その会の
意見
はできるだけ尊重をしたいと
考え
ておるのであります。
杉山元治郎
20
○
杉山委員
今できるだけ尊重したいという
お話
でございましたが、いただきました参考資料の中におきましても、有田会長並びに末高会長から
大臣
にあてて、この
社会保険
審議会の問題について要請いたしておりまする中に、特にいずれもうた
つて
おりますることは、三者の利益を構成するような
意味
でこれを選出するように、こういうことが書かれていると思うのでありますが、もし今の局長の
お話
が真実であるならば、これだけ審議会が
熱意
を持
つて
要請いたしておりまするにかかわりませず、どうも今度の
審査
官にはそういう
意味
が盛られておらないように感じますが、いかがでしようか。
久下勝次
21
○久下
政府
委員
社会保険
関係の
法律案
につきましては、私
ども
平素の取扱いは、まず
社会保険
関係の
法律
に規定してございます
社会保険
審議会に付議いたしまして、さらにその後
社会保障制度審議会
に
意見
を聞くというような手続で進んでおるのでございます。本
法案
につきましてもその順序に従いまして、まず
社会保険
審議会に
意見
を問うたのであります。これに対しまして、当初の
政府
原案
に対しまして相当活発な議論が行われまして、
会議
の進行中に
原案
そのものも相当程度修正を見まして、結論として話の大体一致したところで、それを
政府
の
考え
として御相談をするというようなかつこうをと
つたの
であります。従いまして、当初の
政府
原案
は、内容的には相当修正されましたけれ
ども
、
会議
の進行につれて修正をいたしましたために、結果におきましては、参考資料に差上げておりますように、
社会保険
審議会会長からの
答申
によりますれば、原則的に御
賛成
の
意見
にな
つて
おるようでございます。これを審議の内容に照らしましても、最後に採決いたします際に、労、使、中立の三者の
委員
の
方々
のうち、
賛成
の起立をされなか
つた
方が、たしか一名だけであ
つた
と記憶いたしておるのでありますが、大多数がこの会長の
答申
にございます
意見
に
賛成
をされたわけでございます。この内容はこらんの
通り
、今杉山先生の
お話
のような趣旨にはな
つて
おらないのでありまして、
政府
原案
と違います点は、公益
委員
という言葉が使
つて
ございます今度の
審査
委員
でございますが、これを
政府
原案
は三名にな
つて
おりましたのを、この
意見
では五名とすべきであるということにな
つて
おります。この点は私
ども
もいろいろ考慮もし折衝もしたのでございますが、いろいろな関係がございまして、
原案
の
通り
三名で本案が出ておるのでございます。もう一つ食い違いのございます点は、「公益
委員
の人選については、利益代表
委員
の
意見
を徴することを明文化する」という言葉がございますが、この点につきましては確かにその
通り
の
意見
が出ておりました。私
ども
としては、法制局等ともいろいろ
お話
合いをいたしたのでございますが、何分にもこれは国会の承認を得て
内閣
総理
大臣
が任命をするという建前にな
つて
おる関係もありまして、そういうところにさような規定を置きますことは、制度上も適当でないということであります。明文化するということは除いてございますが、行政上の
運用
としては、この措置をとりますことをその審議会の席上でもお約束をいたしたような次第でございます。もつとも
お話
の点にありました利益代表
委員
の問題については、「利益代表
委員
が果した弁護的機能はこれを存置すべきである」という御
意見
は、そのまま
法案
にもこの精神を生かしておるつもりでございます。一方その後の
社会保障制度審議会
の
意見
でございますが、実はこの点は、ごく最近の
社会保障制度審議会
におきましても、一部の
委員
の方方から
お話
がございまして論議せられたのでございますが、別段この
答申
は変更する必要はないということでこのままにな
つて
ございます。この内容には、確かに
お話
のように「三者構成の趣旨に沿わない点があると
考え
られるので、慎重に考慮されたい。」という結びにな
つて
おるのであります。私自身はこの
法案
が
社会保障制度審議会
で審議されます際終始立会
つて
もおりましたし、またいろいろな御質問にもお答え申しておりまして、審議会の空気としてはこの制度に反対であるという御
意見
とは受取れなか
つたの
であります。慎重に考慮されたいということでございました。私
ども
はその点は十分
考え
もいたしまして、いろいろな趣旨から、その後解散前の国会に提案したものに対して、いわゆる利益代表
委員
の権能を
拡大
するような措置を講じまして、今度
提出
をいたした次第でございます。くどくど申し上げましたけれ
ども
、要するに両審議会の
意見
については、私
ども
は少くとも反対であるという御趣旨はないし、
社会保障制度審議会
においては、特に積極的に原則的には
賛成
であるというような御
意見
もあ
つた
次第でございます。そういう
意味
合いにおいて、一部取入れられないところはございましたけれ
ども
、建前としてはこれを尊重したという先ほどのお答えに反する点はないと
思つて
おります。
杉山元治郎
22
○
杉山委員
今手続上の
お話
や、また大体において不
賛成
でない、こういうお言葉でございましたけれ
ども
、私もそのときにやはり出てお
つたの
ですが、私の看取した立場からいたしますると、実はやはりこの点反対であります、けれ
ども
、あまりきつく言うことはよくない、こういう
意味
合いにおいてこういうふうに言葉をやわらかに書いたのであ
つて
、
委員
の大体の意思は、やはり三者の利益を代表するものがこれにならなければならない、こういう
意見
が強か
つた
と私は見てと
つて
おるのであります。それは主観の問題だ、こう仰せになればやむを得ませんけれ
ども
、
社会保障制度審議会
がこういう言葉を申し述べたことは、私が今申したような
意見
が強く出ておるのだということを
政府
はよく御了承いただきたいと思うのであります。
社会保険
簿議会の万は私は出ておりませんからよく存じませんけれ
ども
、しかしここに利益代表の
意見
も徴するようにということが出ておりますことも、やはりこれらの点が含まれておると思いますが、それならば今度の
委員
はなぜ三人に
なつ
たか、またその三人を選出いたします中に、はたして利益代表の者が出ているかどうか、出る資格があるか、こういう点について伺いたいのであります。
久下勝次
23
○久下
政府
委員
まず前段の質問は、お言葉を返すようでありますが、私の先ほど申し上げたのは、この
法案
そのものを審議いたします昭和二十八年三月初めの審議会の模様を申し上げたのでございます。ごく最近の
社会保障制度審議会
におきまして、一部の
委員
から御
意見
がありましたことは私も承知いたしております。あのときにも一部の
委員
の方は全然反対の御
発言
もあ
つた
ようでありまして、当初の正式の
答申
のありました審議会の空気としては、私としては先ほど申し上げた
通り
に受取
つて
おるのでございます。 それから今のお尋ねの第二点でありますが、利益代表
委員
は、この
法案
の内容にございますように各保険ごとに労使双方二名ずつ
指名
をすることに相な
つて
おります。これは各団体の推薦に基きまして
指名
をいたしますが、出ました
委員
の方につきましては、まず
審査
委員
は
審査
の請求がありました場合には必ずその内容を通知いたします。同時にまた
審査
をいたす日時についてもその都度御通知をいたします。そして審理に参加をしていただくのでございます。同時にまた今申し上げた利益代表
委員
は、審理の進行につれまして、証人の喚問とか、あるいは証拠書類の調査とか、その他
審査
をいたしますために必要な諸種の事項につきまして
審査
委員
に請求する権限を与えてございます。そういうようなことで、利益代表
委員
は最後の
審査
決定には参画をしないにいたしましても、審理の内容には終始参画でき、
意見
も述べることにな
つて
おりますので、十分に裁決の結果に対していわゆる弁護的機能というか
意見
の発表ができ、被
保険者
並びに
事業主
の利益の保護ができると
思つて
おる次第であります。
杉山元治郎
24
○
杉山委員
御説のように第三十条にはそういうふうには示されております。しかしこの
法律
の二十条、二十一条、二十二条のところに示されておりますようにその最後の決定をする
審査
委員
がわずか三人で、ただ二十二条で人格の高潔な
社会保障
に関し識見を有する、こういうことが書かれておるので、これは十分利益代表が出ているというおつもりかもしれないが、はなはだはつきりいたしません。私
ども
はこの
審査
委員
が今
お話
のような利益代表の者であるという見方になるわけに行かないのですが、その点についてひとつ御説明願いたい。
久下勝次
25
○久下
政府
委員
その点は
法律
の明文の上からは確かに
お話
の
通り
の結論が出るようにも解されると存じます。ただ先ほどちよつと申し上げましたように、この法文の上の形ではないのでありますが、
社会保険
審議会におきまして、
審査
委員
を任命いたします前に、前も
つて
利益代表
委員
の
意見
を聞くようにしてくれという強い要望がございました。なおさらにそれを
法律
の明文の上に表わしてもらいたいという要望があ
つたの
でございます。これは
社会保険
審議会長の
答申
の内容にもございますように、全
委員
の希望でございます。私
ども
といたしましては、その際、先ほど申し上げたように、そういう実質につきましては了承をいたし、またそのお約束をいたすことができるということを申し上げたのであります。しかしながら法文の上に明文化するということになりますと、いろいろ私
ども
だけでも決定されない点がございますので、法制局等とも打合せしたいということを申し上げたのであります。その結果、結論としてはさつき申し上げたような事由で、明文化することはできませんでしたけれ
ども
、私
ども
としてはお約束いたしました以上、厚生
大臣
が実際の手続をいたします際、あらかじめ利益代表
委員
の
意見
を聞いて、その
賛成
の方を
内閣
総理
大臣
に推薦をするというような措置をとる所存でございます。そうなりますれば、この
審査
委員
というものは、利益を代表する直接の関係ではないといたしましても、その後の審理なり、あるいは採決の上におきまして、十分利益代表
委員
から、心理的なと申しますか、制肘を受けるだろうと思いますし、また任期が三年ずつにな
つて
おりますので、三年た
つて
再任する場合、もしも利益代表
委員
の意向に反するような措置に出ますれば、再び承認を得ることができないというような
意味
で、そのほか平素の仕事をして行きます上にも、さつき申しましたような関係がありまして、表向き、あるいは制度的には利益を代表する
委員
ではありませんでも、実質的にはそれと同じような結果が期待できるということを
考え
ておるのであります。
杉山元治郎
26
○
杉山委員
ただいまのお言葉と、またその心持を信じたいのでありますが、今日までわれわれは、
法律
をつくりますときに、そのときの関係者がおりますときには、あるいはその誠意が行われましたけれ
ども
、法文にないときにはそのときの関係者がいないとい
つて
もこれを間違
つて
と申しますか、違
つた
方向
に
運用
される
幾多
の経験を私
ども
は持
つて
おるのであります。そういうような念珠において、私がこの法文の中に多数のものを入れよと要求いたしましたように、入れることが当然でないか、こういう
考え
方を持
つて
おるのでありまして、ぜひその点をよく御了承いただきたいと思うのであります。 なおその
委員
を三名にいたしましたのは、ただその仕事を簡単に、早くする、こういうわけで三名にしたのですか、どういう関係ですか。
久下勝次
27
○久下
政府
委員
三名にいたしました理由は、そう深い理由はございません。ただ
会議
体でありますので、少くとも三名というものは必要であると
考え
たのであります。それ以上は、五名にするか七名にするかという問題になるのでありますが、現在の
審査
請求の件数の状態から申しまして、常勤でこれを取扱
つて
行きますことを
考え
ますと、三名で十分目的を達し得るのではないだろうか。将来いろいろ
審査
の件数もふえ、あるいは
審査
請求事件も範囲を
拡大
して参る、さようなあかつきにおきましては、三名ではとうてい仕事がまわらないことになろうと思います。その場合には
社会保険
審議会の
意見
によります五角というような六合がございますが、これは現在この
審査
会の対象になります
保険制度
が
四つ
ございます。この
四つ
のほかに、
委員長
一名ということで五人という御
意見
でございました。私
ども
一応筋の立つ議論ではあると思いましたけれ
ども
、要するにあらゆる事件を公正に判断をして行くということでありますから、必ずしも各保険に一人いなければならぬという議論も出て参りません。問題は
会議
体であるということと、それからもう一面の、
審査
件数なりあるいは審理の能力というようなことも
考え
あわせまして、とりあえずこの程度でよろしいのではないかと
考え
た次第であります。
杉山元治郎
28
○
杉山委員
私は三省であ
つた
ら、やはり
運用
の上にさしつかえが起るのではないか、こういう心配をいたしますことは、法の二十七条「
審査
会は、
委員長
及び一人以上の
委員
の出席がなければ、
会議
を開き、議決をすることができない。」こう書いておりまして、
委員長
が出て来なか
つた
ら審議は開かれないし、一人の
委員
も出て来なか
つた
ら
会議
を開くことができない、こういう建前であ
つた
ら、三人分うちには必ず何か事故が起るとか、病気が起るとか起
つて
来ると思う。そうすると一人が出て来なか
つた
ら、二人の者がお
つて
も
会議
を開くことができぬという、この条文からいたしますと、早く仕事を完結するんだ、これでできるのだという
意味
が、私にはどうもよく受取れない。これではむしろ渋滞するのではないか。その人は国会を経て選ばれた
審査
委員
でありますから、簡単にとりかえることができない。不幸にしてもし長い病気が起
つた
とか、何かそういうような欠席をしなければならぬ事故が起りますと、仕事は渋滞するということにはならないでしようか。私はそういう心配を持つのですが、これに対する御
意見
を伺いたいと思います。
久下勝次
29
○久下
政府
委員
二十七条に規定してございます
会議
と申しますものは、
会議
制の、案件についての採決をいたします場合のことでございます。この場合には
会議
体の性質上、
委員長
のほかに
委員
は一名は出なければならない、こういうふうにいたしたのでありますが、そういう問題につきまして最も大事なことは、むしろその前の事件の審理であろうと思います。事件の審理につきましては、別に
会議
体をも
つて
やる必要はないのでございまして、それぞれ
審査
官がおそらくは実際問題として分担をいたしまして、証人を喚問したりあるいはその他の証拠調べをするというようなことが前も
つて
行われまして、一定の心証を得ました場合、利益代表の
意見
等も伺いまして、大体結論についての心証を得ました場合に、この合制制の
会議
にかけまして、決定をするということでまろうと思います。従いましてこれは
審査
、審理を進めまして、一定の段階に達しましたときに
会議
を開いて行くということになりますので、それほど仕事の上にこの規定は支障を来すものとは
考え
ないのでございます。またこの規定が、こういうことがありますことが、ただちに五人でなければならない、七人でなければならないというようなことにもならないのじやないかと思うのでございます。
杉山元治郎
30
○
杉山委員
審理を進めて行くのには、
お話
のように利益代表なりそれぞれによ
つて
審査
して行きますが、しかしこの
法案
が出された
意味
は、できるだけこれを急速に議決をして行く、こういうところからこの
法案
が出されたのでありまして、その
意味
から申しますときに、これはためておいて決裁すべきものではなしに、時々刻々に決裁をして行かなければならない、こう思うのです。また決裁を要求しておるものは、一日も早く望んでおるわけでありますから、そういうような
意味
合いにおいては、これをためておいてやるということなら、今
お話
のことも多少
考え
られますけれ
ども
、時々刻々これを決裁して行かなければならぬ、こういうことからいたしますと、この
法案
ではどうも故障が起るのではないか、こういう
考え
を持
つて
おるのであります。これについて御
意見
を伺います。
久下勝次
31
○久下
政府
委員
第二十七条の解釈から申しますと、
委員長
のほかに一人
委員
が出ればよろしいのでありますから、その一人が、今御心配になられますところは、病気等のために長期にわた
つて
仕事ができないというような御心配の上での
お話
であろうと思います。確かにさような点は
考え
られますけれ
ども
、その点につきましては、第二十四条の第三号の規定がございまして、
委員
が二人も病気にな
つて
しま
つた
というような場合には、特別の措置ができるように相な
つて
おります。もちろん事件を三月も四月もためておいて、一回にばたばたと決裁をするというようなことは適当でないことは当然でありますが、私が先ほど申し上げましたのは、
委員長
及び二人の
委員
が、それぞれ事件を分担をいたしまして、常勤で審理を進めて行きます。そうすれば少くとも三件は同時に結論が出るというようなことになろうかと思います。もちろん事件の難易にもよりまして、そう機械的に参らないといたしましても、三人の
審査
委員
がそれぞれ分担して審理を進めて、最後の結論を出します場合に、三人相集ま
つて
相談をするという建前であります。常勤で毎日々々採決をしなければならぬようになるとも
考え
られませんので、先ほどのようなことを申し上げた次第であります。いずれにいたしましても、
委員長
と
委員
が一人、一人は故障もあることを予想して、かような規定にな
つて
おりますので、実際問題としてはそう心配はないのではないかと
思つて
おります。
杉山元治郎
32
○
杉山委員
どうもまだ納得ができませんが、この二十七条だと、三人必ず出なければいかぬ、こういうことになるわけなんです。
委員長
はもちろんであるが、
委員
も一人が出なか
つた
ならば一人以上というのですから、二人出なければならぬことになる。二人しか
委員
がない。それでなければ開けないというのですが、どうも私は今の点について、どうしても故障が起ると思う。長い病気だとかなんとかいうので欠席ならば、今
お話
の二十四条の三号の規定によ
つて
処分することができるけれ
ども
、そうでない、何かのことでどうも出て来られない、こういうことでありますと、ここに故障が起るということを私は心配するので、強くこのことを思うわけであります。
久下勝次
33
○久下
政府
委員
重ねての御
意見
でございますが、二十七条の解釈につきましては、前も
つて
実はこれをつくる初めにおきましても、いろいろ検討をいたし、法制局と特に打合せをいたした次第であります。法制局といたしましても、この条文によりまして、三名のうち一名欠席しましても
会議
は開ける、こういう解釈になるということで、はつきりいたしましたので、さように
考え
ております。それであえて申し上げたのであります。
杉山元治郎
34
○
杉山委員
この条文から見て、今
お話
のようにとれるでしようか、どうでしようか。私はこの条文をどう
考え
てみても、どうしても今の
お話
のようにはとれない。条文がかわ
つて
来れば別問題ですけれ
ども
、今の条文の上から見ると、どうも説明の
通り
には受取れない。これはもつと法制上の解釈を願わなければならぬから、議論してもしかたがないのですが、私は、これでは二人ではできない、こういう
考え
方を持
つて
おります。
久下勝次
35
○久下
政府
委員
重ねてのお尋ねで、これはあるいは
意見
の相違になるかもしれませんが、一人以上というのは、一人で済むということでございます。従いまして、
委員長
と
委員
が一人出ればよろしい、こういう解釈になるというのが、私
ども
の解釈でもございますし、また特に確かめました法制局の
意見
でもございます。
杉山元治郎
36
○
杉山委員
その点については論議いたしません。私はまだこの
法案
について詳しく読んでおりません。なおいろいろの疑義が出て来ると思いますが、私の本日の質問はこれで終
つて
おきたいと思います。
小島徹三
37
○
小島委員長
杉山君に申し上げますが、次会の質問の際には法制局の人を呼ぶ必要がありますか。
杉山元治郎
38
○
杉山委員
どうぞ呼んで来ていただきたい。
小島徹三
39
○
小島委員長
了承いたしました。本案について他に御
質疑
ございませんか。
——
では本案に対する
質疑
は他日に続行することにいたします。 —
——
——
——
——
——
——
小島徹三
40
○
小島委員長
次に、ただいま
内閣
委員会
において
審査
いたしております恩給法の一部を
改正
する
法律案
について、連合
審査
会申入れの件についてお諮りいたします。同
法案
は軍人恩給復活に関する
法案
でありまして、本
委員会
において
審査
いたしております戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を
改正
する
法律案
と密接なる関連がありますので、
内閣
委員会
に連合
審査
会開会の申入れをいたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小島徹三
41
○
小島委員長
御
異議
なしと認め、申し入れることに決します。 なお連合
審査
会開会の日時等については、両
委員長
協議して決することといたしますから、御了承をお願いいたします。 本日はこれをも
つて
散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。 午前十一時五十四分散会