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1953-07-06 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月六日(月曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       田中  元君    寺島隆太郎君       降旗 徳弥君    須磨吉郎君       山下 春江君    萩元たけ子君       柳田 秀一君    杉山元治郎君       有田 八郎君  出席政府委員         厚生政務次官  中山 マサ君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 七月四日  委員岡良一辞任につき、その補欠として西尾  末廣君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員中野四郎辞任につき、その補欠として須  磨彌吉郎君が議長指名委員に選任された。 七月四日  国立渋川病院施設整備拡充に関する請願(小峯  柳多君紹介)(第二五八九号) の審査を本委員会に付託された。  民生事業振興に関する陳情書  (第六七〇号)  児童福祉事業に関する陳情書  (第六七一号)  医療社会事業に関する陳情書  (第六七二号)  未復員者給与法にて療養中の復員患者生活費  支給の陳情書  (第六七三号)  療術師法制定反対に関する陳情書  (第六七四号)  らい予防法案に関する陳情書  (第六七五号)  戦犯刑死者及び獄死者遺族の援護に関する陳情  書  (第六八九号)  社会福祉事業金融公庫法制定に関する陳情書  (第七一四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れに関する件  健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第五〇号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第七二号)  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第八六号)  社会保険審査官及び社会保険審査会法案内閣  提出第一二七号)  医師等の免許及び試験の特例に関する法律案(  内閣提出第一四〇号)  財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸  付に関する法律案内閣提出第一四四号)     ―――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず健康保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案及び国民健康保険再建整備資金貸付の一部を改正する法律案、以上四法案を一括して議題とし、審査を進めます。この四法案は前会において質疑を終了しておりますので、ただちに討論に入ります。田中元君。
  3. 田中元

    田中(元)委員 私は自由党を代表いたしまして健康保険法外三件に賛成討論を行うものでございます。  御存じのごとく社会保障の中心は、医療問題の解決にあり、健康保険その他の問題について十二分に政府は施策を行いまして、一日も早く社会保障としての最も問題とされておりまする医療問題を解決することが、今日最も大きな急務であると思うのであります。今日出されております法律は、その意味において全体の問題とは言えないのでございますけれども、一歩前進したという点については私は認めざるを得ない。ただ御存じ通り健康保険の問題を一つ取上げて参りましても、いまだ健康保険経済と申しますか、財政と申しますかが確立されてないやに考えるのであります。御存じ通り医療を行うためには、医師歯科医師というものでなければ医療を行えないというような場合、これらの方々に対しまする保険単価の問題や、あるいはまた稼働点数の問題、あるいは保険経済の根本をなしますところの保険料率を今後どういうふうにして行くのか、政府国庫から金を出さなければならない、あるいは医師歯科医師に対して最低の料金において最高の実を上げるような医療を行わせなければならない。同時にまた被保険者であります人人が、医療性格にかんがみて保険料率という問題についても十二分に考えて、三者が一体になつて行くようなほんとうりつぱな保険制度を確立するために、政府も今後一層の努力をしていただきたいと思うわけでございます。ゆえにこの点から考えますると、今まだまだ健康保険等の問題については重要な行わなければならない問題が山積しているのではなかろうかと思う。同時にまた国民健康保険に対しましては相当な、国庫負担があるわけでございますが、政府管理健康保険等につきましても、今後においてはできるだけ国庫負担方向へ向かしむるように、政府の方でもこの点に研究と労力をされていただきたいと思うわけでございます。  そこで、いま一つ大きな問題とされておりますところの諸種健康保険というものの統合等の問題がございます。いろいろの健康保険統合して、それぞればらばらな保険制度でなくやつて行きたいという期待も、社会保障制度審議会あたりの一貫した考え方として出ているのでございますが、こういう点についても、どうか今後厚生省及び政府当局において真剣にお考えおき願いたいと思うわけでございます。  私は今日この四法案賛成すると同時に、健康保険法に対しましては次のごとき附帯決議をつけまして、この問題に対して賛成をいたしたいと思うわけでございます。私ども附帯決議としてつけまする案文を朗読いたしますると、  健康保険法第五十七条の医療期間延長に伴い、政府は此の際医療の万全を尽すため可及的速かに懸案中の諸問題の解決医療給付に対する国庫負担実現努力せられんことを望む。 この附帯決議をつけまして、健康保険法の一部改正賛成をいたしたいと思うわけでございます。この際この決議をつけられて賛成せられんことを、心からお願いを申し上げる次第であります。これをもつて討論を終ります。
  4. 小島徹三

  5. 柳田秀一

    柳田委員 ただいま上程になりました健康保険法の一部を改正する法律案外三件に対しまして、われわれ日本社会党賛成するものでありますが、特に健康保険法及び厚生年金に対しては幾多の不満がありますので、その二、三を申し述べてみたいと思います。  健康保険法厚生年金保険法船員保険法等が、適用範囲拡張、あるいは療養給付期間延長、それに伴うところの廃疾認定時期の調整等のために一部改正案が出たのでありますが、われわれはかくのごとき一部の改正案でなしに、少くともこの法律にまつ向かから取組んで、法の目的とするところに、もう少し抜本的な改正を望むのであります。健康保険法におきましては、質疑の際にも申しましたように、傷病手当金待機期間のごときものは、私はむしろこれは廃止した方がよいと思う。二、三のいわゆる不正なる人のために、無用の待機期間を置く必要は毛頭ないと思つております。また実際に疾病にかかりましても、それらの手続をしておりますと、その待機期間ぐらいはすぐ済んでしまうのであります。あるいは急性の外科的疾患等によりましては、待機期間を置く何らの意味もないと思つております。さらに傷病手当金の願でありますが、これが国家公務員共済組合と異なつております。健保におきしましては十分の六であり、国家公務員におきましては十分の八になつております。このような点もはなはだ不均衡であると思う。さらに施行令第三十六条の理事長事業主側に限られておるということ、これもはなはだしく、不公平であると思う。少くとも各理事が互選するというような民主的な方法をとるべきである。さらに大きくは医療給付費の少くとも二割は国庫負担にすべきである。あるいはもつと大きく言うならば、現在問題となつております一点単価等の問題に対しても、物価水準等考えて、いつまでもすえ置きにせず、現在の物価、その他を考えあわせて、合理的な引上げが望ましい、かように考えて参りますと、なお幾多改正すべき点があろうかと私は思つております。  さらに各種社会保険統合の問題、これも質疑の際に各委員から問題になりましたが、ことに社会保障制度審議会からは答申案も出ておるのであります。この問題は非常に重要であろうと私は思う。重要でありますが、ことほどさように簡単には統合はできないと思う。それぞれ自然発生的な要因があつて、またその歴史的な背景があつて出て来たものである。しかしながら将来の方向の線としては、統合しなければならぬということになりますと、統合までの過程においては非常に紆余曲折があり、非常な難関に逢着すると思う。従つてこれを統合せんとするならば、厚生省当局はただいまからよく考えますでは追いつかぬと思う。少くとも現在これに取組んで一応の試案、第一案くらいはできていなければならぬと思う。おそらく第一案ができてもその案でまとまるとは思われない。第一案、第二案、第三案と、相当各方面から、利害が相反する面もありましようし、非常な議論が出て来ると思う。しかもいずれは統合しなければならぬ、こういう問題に対しては、もつと率直に名神の案を出して検討する必要があると思う。おそらく厚生省当局にはまだ原案はできておらぬのじやないか。簡単に原案はできないと思う。別にわれわれが考えもせぬのに木村保安庁長官は私の案か試みの一案か知らぬが出して来る、そのこと自体ははなはだけしからぬと思いますが、自分所管事項にはなはだ忠実であるというふうにはとれるのである。社会制度審議会から答申が出ていると思いますが、厚生省当局はまだ原案が出て来ないということであれば、はなはだ熱意がない。——これは脱線であります。実際にこの統合に対してはもう少し真剣に取組む必要もあるし、またこれを観念的に統合、統一ということでなしに、ほんとうに真険に検討する必要があると思うので、厚生当局においても今までのような、ただ考慮しますというような点だけでなしに、もつと真剣に統合への努力を傾けていただきたいと思います。     〔委員貝長退席青柳委員長代理着席〕  なお厚生年金におきましては、これは政府当局においても近く全面的の改正案を用意されているように聞いておりますから、ひどくは追究いたしません。先般質疑の際にも改正される方針、方向もややわかつたように存ずるのでありますし、またその質疑の際に一々あげましたので、重ねてここで申し上げませんが、しかしここで大きな問題は何といつてもこの積立金の問題であると思います。これが現在のような国家資金として資金運用部資金の中においてまかなわれているということは、われわれはどうしても納得ができない。この積立金は何としても主として労働者福祉施設に使われるべきものであるが、ひとり労働者のみでなく、事業主負担しているのでありますから、労使の側に立つたところの福利厚生施設に当然還元さるべきであると思つているのでありまして、この点に対して厚生省熱意かないように私は思います。  郵便年金簡易保険等の問題も、これを郵政省大蔵省から自分所管にもどすという運動は、一日にして始まつたものではないのでありまして、終戦直後から執拗に、あるいはそれぞれの地方自治体を通じて運動しておつたのであります。厚生年金等におきましてはこの積立金がもつと多面的に利用されてもいいと思う。現在日本では医療施設というようなものは比較的完備して来ております。ことに都市においては完備しつつあります。その都市の完備した上にさらになおりつぱなものをつくられることにもとよりけつこうでありますが、そういうものは今急にせられなくてもできるのです。最も欲しているのはやはり労働者住宅であると思う。この点に関して、住宅の方に本年度から出されましたことはわが意を得ているのでありますが、もつともつとふやす必要がある。あるいは労働者に対する小品の融資の問題もあるでありましよう。すでに先進国等においてはそういう点もやつておるようであります。われわれは何としても独立会計として厚生年金積立金は、厚生年金に対してそれを積み立てた労働者事業生に対して還元されて、そうしてその福祉施設にとして使わるべきものと思つております。なおこの厚生年金に対しては、本年の秋に炭鉱労働者年金の開始があるのでありますが、その以前に改正があるものと信じますがゆえに、ここでとやかく言わぬのでありますが、かりに現在のままで進むならば、坑内夫年金の額が千二百円くらいである。そうすると一月三百円近く納めていると思いますが、年金にすると一月が百円しか入らないというようなことになります。これは当然もう抜本的な改正があるものと信じ、かつ期待しているようなわけでありますが、どうかなるたけ早い時期にこれの根本的な改正案をお示し願いたいのであります。  船員保険法の一部を改正する法律案につきましては、特に申し述べることはございません。ただこの船員保険法のうちの年金厚生年金との相互関連の問題がございますが、これらも失業保険に出ておりますので申し上げません。  国民健康保険再興整備資金貸付法の一部を改正する法律案も、これも原案通りわれわれは賛成するものであります。  以上の各案につきましてわが党の考えを申し述べた次第であります。なお先ほど自由党側から出されました附帯決議に対しましては、わが党といたしましても賛成するものであります。
  6. 青柳一郎

  7. 杉山元治郎

    杉山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、健康保険法案外三件の保険法案につきまして、数個の希望条件を付しまして賛成の意を表するものであります。  これらの改正法案適用範囲拡大標準報酬引上げ医療給付延長等、従来のものよりは一段の進歩を示しておりますので、その点に努力された厚生当局敬意を表するのでありますが、これをよく見ますならば、まだまだ社会保障的な性格が十分でないということを見まするとともに、これらの保険法ほんとうにうまく運用して参りますためには、患者でありますところの多くの国民方々、並びにこれら医療に従事いたしますところの医師、またこれに協力いたしますところの事業家、あるいは政府当局、これらのものが一体となつて行かなければならないと存じます。特に医療の問題でございますので、医師の心からなる提携ができるようになされなければならないと思いますが、さきに田中君も仰せになりましたように、単価引上げの問題あるいは地域的な差別の問題、こういう問題について将来においてできるだけ早くそれらの改正行つて医師が心からこれに協力するような状態にせられるように希望する次第であります。  なおこの委員会を通じていろいろとすべての者が要求いたしておりましたように、国民健康保険医療給付につきましては二割の要求をいたしておつたことはすでによくわかつているのでありますが、政府の予算では一割五分ということになつております。少くともこれは二割を出すようにしていただかなければならない。これは単に国民健康保険のみならず、他の社会保険におきましても医療給付にはぜひひとつ政府が二割の負担をするように将来考えていただきたいということであります。  なお国民保険のことを考えますと同時に、農村地帯にはまだ医療の恩典に浴しないような二千万の農民がおりますので、これら多くの農民に一日も早く医療の手が心配な程度行きわたりますような施設をお考えいただきたいということであります。  それから今柳田委員も仰せられましたように、積立金運用につきましては、これを単なる大蔵省運用部にまかさないで、ぜひこれは社会福祉事業のために用いるように、ひとつ社会福祉のために還元をしてやるように、一層の厚生省努力をお願いするのであります。  なお厚生年金の問題につきましても、柳田委員のお申しになりましたように、このままで参りますとわずか月百円というような僅少なもので、これは厚生年金にもならないと存ずるのであります。従つてあの契約当初の時代と今日との変遷、物価の上昇、いろいろそういうものを考えていただいて、改正の場合にはできるだけこれはスライドして、そうして厚生年金契約人たちに与えるようにぜひ努力していただきたいということであります。  以上申し述べまして、簡単でありますが、賛意を表する次第であります。
  8. 青柳一郎

  9. 中川俊思

    中川(俊)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提案になつております健康保険法の一部改正ほか三件に対して賛意を表するものであります。  今回のこのの四つ改正でありますが、先ほど来お話のありますように、適用範囲拡大であるとかあるいは標準報酬拡張であるとか、その他医療給付期間延長等が企図されたことについては、私も敬意を表するにやぶさかではございません。しかし先般も私は質疑のときにもお尋ねいたしましたように、また私の意見を申し述べましたように、由来役所仕事というのは場当りのやり方が多い。抜本的な思いきつた対策を講ぜられるということがきわめて少ない。今回のこの改正案を見ましても、なるほど量的には改善せられているように私どもは見受けるのでありますが、内容の問題に立ち至つてみますときわめて貧弱なものがあるのじやないか。つまら質的にどの程度改善されているかということについて、疑念を抱かざるを得ないのであります。骨組ができ上りましても、土台がぐらついておつたのでは社会保障の充実にはなりません。私は先般まだこれは質疑が続くのかと思つてうつかりしておりましたので、お尋ねすることができなかつたのでありますが、昨年も非常に問題になつたのでありますが、例の一点単価の問題であります。この引上げのて問題につい私は実は驚くべきことを聞いている。全国の医師会で最もこの問題について強硬な意見を持つておられたある県に、時の某有力閣僚が出かけて行つて、その医師会の連中を医師会館に集めて、単価の問題はなるほど安いと思う、しかしこれはどうかひとつ上げろくと言うのをやめてくれ、そのかわりこの県だけは特に所得税の面において考慮してやろう、こういうのでその県の国税局長をわざわざその医師会館へ連れて行つて、そして国税局長をここへ連れて来ておるのだから、国税局長に今そのことを言明さしてやろう、こういうので、その県の医師会長は、大臣がそんなことを言つても、地方の税務署ではなかなか税金の面において考えてくれやしないのだから、あなたが言うように、国税局長がここでそのことをはつきり言明してくれるならば、われわれは一点単価引上げ問題については今年は主張を撤回しよう、こういうことをはつきり言つておるのです。そこで国税局長はその大臣の前でこの県だけは特に考えましようということを言明しておるのですよ。こういうばかくしいことをやつて医師単価引上げについて非常に主張しておつたものを去年は押えておる事例がある。こういうことでは医師協力いたしません。先ほど来お話のありましたように、この問題をあらゆる観点から完璧なものにして行ごうというのには医師協力もなければいけない。さらにまたこれを運営しておりますところの、実務に携わつております者の協力もむろん必要なんであります。ところが笛吹けども踊らずで、厚生当局がせつかく改正をして、そしてこの問題の完璧を期そうというお気持があつても、医師もこれにおどらない、運営しておる者もこれについて行けない、こういうことでは、仏つくつて魂の入らないものとなると思うのであります。積立金の問題も先ほど来各委員からもお話がございましたが、最近何でも大蔵省資金を一元化するという悪いくせがある、大蔵フアツシヨがここ数年来続いております。簡易保険の問題でも同様であります。御案内通り簡易保険でも、これは従来郵政省に全部まかしておつて、そして郵政省は、地方から集めたものは地方にこれを還元するというやり方をしておつた。ところが大蔵省でこれを御案内通りかつさらつてしまつた。昨年でございましたか、これが問題になつて、ようやく半分だけ郵政省べ返しておりますけれども、この簡易保険積立金の問題も同様であります。でありますから、少くともこの積立金だけは、厚生省関係のものは厚生省にとるだけの政治力を発揮してもらいたいと思う。そういたしませんと、先ほど来申し上げまするように、厚生省がいかに改正をやろうと思つていろいろお骨折りになられましても、周囲がついて来ない。そういたしますと、私が申し上げますように、量的の改善をなさつても、質的の改善ができないということになるのでありますから、結局仏つくつて魂の入らない改正になるのであります。これらの点についてどうか今後十分に御研究願つて、大いに厚生省政治力を発揮して——大臣にその政治力がなければ大臣をとりかえるくらいな腹をひとつ厚生当局は持つてつてもらいたいと思うのです。厚生省事務人たち大臣をかえることはできないでしようが、とにかくそのくらいな強い要望を持つて大臣に当られたならば、私は大臣はやると思う。結核予防法のときでございましたか、私は当時大臣をしておりました林さんに対しているくこのことを申し上げ、大蔵省も遠慮してかなりあの当時は林さんの言うことを聞いたと思うのですが、そういうことは別として、とにかく厚生当局はもつと政治力を発揮してもらいたい。由来厚生大臣伴食大臣だなんと言つておるが、私はとんでもないことだと思います。厚生行政ぐらい国家を再建する上におきまして大きな問題はないと思うのでありますから、厚生省にはしつかり政治力を発揮していただいて大蔵省に当り、そして大蔵フアツシヨをぶち破るというくらいな覚悟を持つてつてもらいたいと思うのであります。  それから先ほど来各委員からもお話になつておりますが、自由党におきましても医療給付の一割五分というものは二割という条件をつけたいと思つております。二割でも私どもは満足いたしておりません。できれば三割でも五割でもつけてもらいたい。しかし財政とのにらみ合せもありましようから、そう一度にできませんが、二割というのは最低だと私は考えておりますから、二割のこの条件だけはひとつぜひ考えていただきたい。  以上はなはだ簡単でありますが、私はあまり専門家でもないし、よくわかりませんけれども、この四件に対しましては、以上の私の希望条件を付しまして賛意を表する次第であります。
  10. 青柳一郎

  11. 須磨彌吉郎

    須磨委員 改進党を代表いたしまして、健康保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案、以上四つ法案に対しまして、賛成の意を表するものでございます。
  12. 青柳一郎

    青柳委員長代理 以上で討論、は終局いたしました。  健康保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案、以上四法案を一括して採決いたします。四法案原案通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認めます。よつて法案はいずれも原案通り可決されました。  次にただいまの討論中、田中元君より、健康保険法の一部を改正する法律案につきましては附帯決議をすべきであるとの発言がありました。田中元君の発言による附帯決議と申しますのは   健康保険法第五十七条の医療期間延長に伴い、政府は此の際医療の万全を尽すため可及的速かに懸案中の諸問題の解決医療給付に対する国庫負担実現努力せられんことを望む。というのであります。これに関し御発言はありませんか。——発言もないようでありますから、お諮りいたします。田中君の御発言通り附帯決議を附することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。  なおただいま議決いたしました各案に関する委員会の報告書の作成につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  16. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に医師等の免許及び試験の特例に関する法律案及び財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。まず中山政務次官より趣旨の説明を聴取したいと存じます。中山政府委員。     —————————————
  17. 中山マサ

    ○中山政府委員 ただいま議題となりました医師等の免許及び試験の特例に関する法律案につきまして、その提案の要点を説明いたします。  第一は、昭和二十年八月十五日以前から引続きソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州または中国本土の地域内にあつて昭和二十八年三月二十三日以降引揚げた者、すなわち今次の引揚者であつて医師法第三十六条第三項または歯科医師法第三十三条第三項の規定に該当するものについて、昭和三十年十二月三十一日まで、従一別の規定によつて医師免許または歯科医師免許を受けることができるようにしたのであります。  第二は、今次の引揚者のうち、医師法第三十六条第三項もしくは第四項または歯科医師法第三十三条第三項もしくは第四項の規定に該当するものについて、医師国家試験予備試験または歯科医師国家試験予備試験の受験資格を、昭和三十一年十二月三十一日まで認めたのであります。  第三は、今次の引揚者のうち、引揚の直前に診療エックス線技師の業務を行つていた者、または引揚一別に引続き三年以上診療エックス線技師の業務を行つていた者について、引揚げた日から三箇月以内に氏名、年齢、業務に従事していた施設の名称等の事項を届け出させ、業務の暫定的継続を認めるとともに、厚生大臣の行う試験を経て診療エックス線技師免許を受けることができるようにしたのであります。  第四は今次の引揚者のうち、ソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満洲または中国本土の地域内においていわゆる看護婦の業務を行つていた者について、昭和三十一年十二月三十一日まで、准看護婦試験の受験資格の特例を認めようとするものであります。  次にただいま提案になりました財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  御承知のように、元の軍人軍属で公務により死亡した者の遺族に対しまして、過去における戦争の犠牲者として国が援護の手を差し延べることは、元来国としての当然の責務であると考えられるにもかかわらず、終戦後においては、諸種の事情のため、十分に援護の手を差延べることができなかつたのであります。昨年、講和独立の機会に際しまして、戦傷病者戦沒者遺族等援護法が制定され、戦沒者の遺族に対しまして初めて大巾な援護が実施されたのでありますが、これらの方々の前途にはなお幾多の問題が横たわつているのであります。  この度政府は、これらの遺族援護対策の一環として、旧財団法人軍人会館が所有していた国有財産たる建物を、米駐留軍より近く我が国に返還された際に、財団法人日本遺族会に無償で貸し付け、遺族の福祉を目的とする事業の用に供することによつて、幾分たりとも遺族援護に役立たせたいと考えた次第であります。これがこの法律案提出しようとする根本的趣旨であります。  次にこの法律案の概要について説明申し上げます。  第一に、財団法人日本遺族会に対し、旧軍人軍属で公務により死亡した者の遺族の福祉をはかるため、旧財団法人軍人会館が所有していた国有財産たる建物が、米駐留軍より返還された後において、その建物をその使用に必要な敷地とともに無償で貸し付けることができるごととしたことであります。  第二に、貸付財産の用途を宿泊所、集会所等の利用、生活相談、育英事業等遺族の福祉をはかるため必要な事業の用に供することに制限したことであります。  第三に、貸付契約の解除、役員の解職等必要な監督規定を設けたことであります。  以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  18. 青柳一郎

    青柳委員長代理 なおこの両法案に関する質疑は次会に譲ることといたし、次に社会保険審査官及び社会保険審査会法案を議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。杉山元治郎君。     〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 杉山元治郎

    杉山委員 それでは質問いたしますが、まず第一に、厚生省社会保障制度審議会なりあるいは社会保険審議会というものを一体どういうように見ておるか、これは単なる参考意見を聞くにとどまるのか、あるいはそうでない、もつと権威あるものと見ておるのか、その点について伺いたいのであります。
  20. 久下勝次

    ○久下政府委員 社会保険審議会並びに社会保障制度審議会は、私どもはきわめて権威あるものと考えております。従つてその会の意見はできるだけ尊重をしたいと考えておるのであります。
  21. 杉山元治郎

    杉山委員 今できるだけ尊重したいというお話でございましたが、いただきました参考資料の中におきましても、有田会長並びに末高会長から大臣にあてて、この社会保険審議会の問題について要請いたしておりまする中に、特にいずれもうたつておりますることは、三者の利益を構成するような意味でこれを選出するように、こういうことが書かれていると思うのでありますが、もし今の局長のお話が真実であるならば、これだけ審議会が熱意を持つて要請いたしておりまするにかかわりませず、どうも今度の審査官にはそういう意味が盛られておらないように感じますが、いかがでしようか。
  22. 久下勝次

    ○久下政府委員 社会保険関係の法律案につきましては、私ども平素の取扱いは、まず社会保険関係の法律に規定してございます社会保険審議会に付議いたしまして、さらにその後社会保障制度審議会意見を聞くというような手続で進んでおるのでございます。本法案につきましてもその順序に従いまして、まず社会保険審議会に意見を問うたのであります。これに対しまして、当初の政府原案に対しまして相当活発な議論が行われまして、会議の進行中に原案そのものも相当程度修正を見まして、結論として話の大体一致したところで、それを政府考えとして御相談をするというようなかつこうをとつたのであります。従いまして、当初の政府原案は、内容的には相当修正されましたけれども会議の進行につれて修正をいたしましたために、結果におきましては、参考資料に差上げておりますように、社会保険審議会会長からの答申によりますれば、原則的に御賛成意見になつておるようでございます。これを審議の内容に照らしましても、最後に採決いたします際に、労、使、中立の三者の委員方々のうち、賛成の起立をされなかつた方が、たしか一名だけであつたと記憶いたしておるのでありますが、大多数がこの会長の答申にございます意見賛成をされたわけでございます。この内容はこらんの通り、今杉山先生のお話のような趣旨にはなつておらないのでありまして、政府原案と違います点は、公益委員という言葉が使つてございます今度の審査委員でございますが、これを政府原案は三名になつておりましたのを、この意見では五名とすべきであるということになつております。この点は私どももいろいろ考慮もし折衝もしたのでございますが、いろいろな関係がございまして、原案通り三名で本案が出ておるのでございます。もう一つ食い違いのございます点は、「公益委員の人選については、利益代表委員意見を徴することを明文化する」という言葉がございますが、この点につきましては確かにその通り意見が出ておりました。私どもとしては、法制局等ともいろいろお話合いをいたしたのでございますが、何分にもこれは国会の承認を得て内閣総理大臣が任命をするという建前になつておる関係もありまして、そういうところにさような規定を置きますことは、制度上も適当でないということであります。明文化するということは除いてございますが、行政上の運用としては、この措置をとりますことをその審議会の席上でもお約束をいたしたような次第でございます。もつともお話の点にありました利益代表委員の問題については、「利益代表委員が果した弁護的機能はこれを存置すべきである」という御意見は、そのまま法案にもこの精神を生かしておるつもりでございます。一方その後の社会保障制度審議会意見でございますが、実はこの点は、ごく最近の社会保障制度審議会におきましても、一部の委員の方方からお話がございまして論議せられたのでございますが、別段この答申は変更する必要はないということでこのままになつてございます。この内容には、確かにお話のように「三者構成の趣旨に沿わない点があると考えられるので、慎重に考慮されたい。」という結びになつておるのであります。私自身はこの法案社会保障制度審議会で審議されます際終始立会つてもおりましたし、またいろいろな御質問にもお答え申しておりまして、審議会の空気としてはこの制度に反対であるという御意見とは受取れなかつたのであります。慎重に考慮されたいということでございました。私どもはその点は十分考えもいたしまして、いろいろな趣旨から、その後解散前の国会に提案したものに対して、いわゆる利益代表委員の権能を拡大するような措置を講じまして、今度提出をいたした次第でございます。くどくど申し上げましたけれども、要するに両審議会の意見については、私どもは少くとも反対であるという御趣旨はないし、社会保障制度審議会においては、特に積極的に原則的には賛成であるというような御意見もあつた次第でございます。そういう意味合いにおいて、一部取入れられないところはございましたけれども、建前としてはこれを尊重したという先ほどのお答えに反する点はないと思つております。
  23. 杉山元治郎

    杉山委員 今手続上のお話や、また大体において不賛成でない、こういうお言葉でございましたけれども、私もそのときにやはり出ておつたのですが、私の看取した立場からいたしますると、実はやはりこの点反対であります、けれども、あまりきつく言うことはよくない、こういう意味合いにおいてこういうふうに言葉をやわらかに書いたのであつて委員の大体の意思は、やはり三者の利益を代表するものがこれにならなければならない、こういう意見が強かつたと私は見てとつておるのであります。それは主観の問題だ、こう仰せになればやむを得ませんけれども社会保障制度審議会がこういう言葉を申し述べたことは、私が今申したような意見が強く出ておるのだということを政府はよく御了承いただきたいと思うのであります。社会保険簿議会の万は私は出ておりませんからよく存じませんけれども、しかしここに利益代表の意見も徴するようにということが出ておりますことも、やはりこれらの点が含まれておると思いますが、それならば今度の委員はなぜ三人になつたか、またその三人を選出いたします中に、はたして利益代表の者が出ているかどうか、出る資格があるか、こういう点について伺いたいのであります。
  24. 久下勝次

    ○久下政府委員 まず前段の質問は、お言葉を返すようでありますが、私の先ほど申し上げたのは、この法案そのものを審議いたします昭和二十八年三月初めの審議会の模様を申し上げたのでございます。ごく最近の社会保障制度審議会におきまして、一部の委員から御意見がありましたことは私も承知いたしております。あのときにも一部の委員の方は全然反対の御発言もあつたようでありまして、当初の正式の答申のありました審議会の空気としては、私としては先ほど申し上げた通りに受取つておるのでございます。  それから今のお尋ねの第二点でありますが、利益代表委員は、この法案の内容にございますように各保険ごとに労使双方二名ずつ指名をすることに相なつております。これは各団体の推薦に基きまして指名をいたしますが、出ました委員の方につきましては、まず審査委員審査の請求がありました場合には必ずその内容を通知いたします。同時にまた審査をいたす日時についてもその都度御通知をいたします。そして審理に参加をしていただくのでございます。同時にまた今申し上げた利益代表委員は、審理の進行につれまして、証人の喚問とか、あるいは証拠書類の調査とか、その他審査をいたしますために必要な諸種の事項につきまして審査委員に請求する権限を与えてございます。そういうようなことで、利益代表委員は最後の審査決定には参画をしないにいたしましても、審理の内容には終始参画でき、意見も述べることになつておりますので、十分に裁決の結果に対していわゆる弁護的機能というか意見の発表ができ、被保険者並びに事業主の利益の保護ができると思つておる次第であります。
  25. 杉山元治郎

    杉山委員 御説のように第三十条にはそういうふうには示されております。しかしこの法律の二十条、二十一条、二十二条のところに示されておりますようにその最後の決定をする審査委員がわずか三人で、ただ二十二条で人格の高潔な社会保障に関し識見を有する、こういうことが書かれておるので、これは十分利益代表が出ているというおつもりかもしれないが、はなはだはつきりいたしません。私どもはこの審査委員が今お話のような利益代表の者であるという見方になるわけに行かないのですが、その点についてひとつ御説明願いたい。
  26. 久下勝次

    ○久下政府委員 その点は法律の明文の上からは確かにお話通りの結論が出るようにも解されると存じます。ただ先ほどちよつと申し上げましたように、この法文の上の形ではないのでありますが、社会保険審議会におきまして、審査委員を任命いたします前に、前もつて利益代表委員意見を聞くようにしてくれという強い要望がございました。なおさらにそれを法律の明文の上に表わしてもらいたいという要望があつたのでございます。これは社会保険審議会長の答申の内容にもございますように、全委員の希望でございます。私どもといたしましては、その際、先ほど申し上げたように、そういう実質につきましては了承をいたし、またそのお約束をいたすことができるということを申し上げたのであります。しかしながら法文の上に明文化するということになりますと、いろいろ私どもだけでも決定されない点がございますので、法制局等とも打合せしたいということを申し上げたのであります。その結果、結論としてはさつき申し上げたような事由で、明文化することはできませんでしたけれども、私どもとしてはお約束いたしました以上、厚生大臣が実際の手続をいたします際、あらかじめ利益代表委員意見を聞いて、その賛成の方を内閣総理大臣に推薦をするというような措置をとる所存でございます。そうなりますれば、この審査委員というものは、利益を代表する直接の関係ではないといたしましても、その後の審理なり、あるいは採決の上におきまして、十分利益代表委員から、心理的なと申しますか、制肘を受けるだろうと思いますし、また任期が三年ずつになつておりますので、三年たつて再任する場合、もしも利益代表委員の意向に反するような措置に出ますれば、再び承認を得ることができないというような意味で、そのほか平素の仕事をして行きます上にも、さつき申しましたような関係がありまして、表向き、あるいは制度的には利益を代表する委員ではありませんでも、実質的にはそれと同じような結果が期待できるということを考えておるのであります。
  27. 杉山元治郎

    杉山委員 ただいまのお言葉と、またその心持を信じたいのでありますが、今日までわれわれは、法律をつくりますときに、そのときの関係者がおりますときには、あるいはその誠意が行われましたけれども、法文にないときにはそのときの関係者がいないといつてもこれを間違つてと申しますか、違つた方向運用される幾多の経験を私どもは持つておるのであります。そういうような念珠において、私がこの法文の中に多数のものを入れよと要求いたしましたように、入れることが当然でないか、こういう考え方を持つておるのでありまして、ぜひその点をよく御了承いただきたいと思うのであります。  なおその委員を三名にいたしましたのは、ただその仕事を簡単に、早くする、こういうわけで三名にしたのですか、どういう関係ですか。
  28. 久下勝次

    ○久下政府委員 三名にいたしました理由は、そう深い理由はございません。ただ会議体でありますので、少くとも三名というものは必要であると考えたのであります。それ以上は、五名にするか七名にするかという問題になるのでありますが、現在の審査請求の件数の状態から申しまして、常勤でこれを取扱つて行きますことを考えますと、三名で十分目的を達し得るのではないだろうか。将来いろいろ審査の件数もふえ、あるいは審査請求事件も範囲を拡大して参る、さようなあかつきにおきましては、三名ではとうてい仕事がまわらないことになろうと思います。その場合には社会保険審議会の意見によります五角というような六合がございますが、これは現在この審査会の対象になります保険制度四つございます。この四つのほかに、委員長一名ということで五人という御意見でございました。私ども一応筋の立つ議論ではあると思いましたけれども、要するにあらゆる事件を公正に判断をして行くということでありますから、必ずしも各保険に一人いなければならぬという議論も出て参りません。問題は会議体であるということと、それからもう一面の、審査件数なりあるいは審理の能力というようなことも考えあわせまして、とりあえずこの程度でよろしいのではないかと考えた次第であります。
  29. 杉山元治郎

    杉山委員 私は三省であつたら、やはり運用の上にさしつかえが起るのではないか、こういう心配をいたしますことは、法の二十七条「審査会は、委員長及び一人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」こう書いておりまして、委員長が出て来なかつたら審議は開かれないし、一人の委員も出て来なかつた会議を開くことができない、こういう建前であつたら、三人分うちには必ず何か事故が起るとか、病気が起るとか起つて来ると思う。そうすると一人が出て来なかつたら、二人の者がおつて会議を開くことができぬという、この条文からいたしますと、早く仕事を完結するんだ、これでできるのだという意味が、私にはどうもよく受取れない。これではむしろ渋滞するのではないか。その人は国会を経て選ばれた審査委員でありますから、簡単にとりかえることができない。不幸にしてもし長い病気が起つたとか、何かそういうような欠席をしなければならぬ事故が起りますと、仕事は渋滞するということにはならないでしようか。私はそういう心配を持つのですが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  30. 久下勝次

    ○久下政府委員 二十七条に規定してございます会議と申しますものは、会議制の、案件についての採決をいたします場合のことでございます。この場合には会議体の性質上、委員長のほかに委員は一名は出なければならない、こういうふうにいたしたのでありますが、そういう問題につきまして最も大事なことは、むしろその前の事件の審理であろうと思います。事件の審理につきましては、別に会議体をもつてやる必要はないのでございまして、それぞれ審査官がおそらくは実際問題として分担をいたしまして、証人を喚問したりあるいはその他の証拠調べをするというようなことが前もつて行われまして、一定の心証を得ました場合、利益代表の意見等も伺いまして、大体結論についての心証を得ました場合に、この合制制の会議にかけまして、決定をするということでまろうと思います。従いましてこれは審査、審理を進めまして、一定の段階に達しましたときに会議を開いて行くということになりますので、それほど仕事の上にこの規定は支障を来すものとは考えないのでございます。またこの規定が、こういうことがありますことが、ただちに五人でなければならない、七人でなければならないというようなことにもならないのじやないかと思うのでございます。
  31. 杉山元治郎

    杉山委員 審理を進めて行くのには、お話のように利益代表なりそれぞれによつて審査して行きますが、しかしこの法案が出された意味は、できるだけこれを急速に議決をして行く、こういうところからこの法案が出されたのでありまして、その意味から申しますときに、これはためておいて決裁すべきものではなしに、時々刻々に決裁をして行かなければならない、こう思うのです。また決裁を要求しておるものは、一日も早く望んでおるわけでありますから、そういうような意味合いにおいては、これをためておいてやるということなら、今お話のことも多少考えられますけれども、時々刻々これを決裁して行かなければならぬ、こういうことからいたしますと、この法案ではどうも故障が起るのではないか、こういう考えを持つておるのであります。これについて御意見を伺います。
  32. 久下勝次

    ○久下政府委員 第二十七条の解釈から申しますと、委員長のほかに一人委員が出ればよろしいのでありますから、その一人が、今御心配になられますところは、病気等のために長期にわたつて仕事ができないというような御心配の上でのお話であろうと思います。確かにさような点は考えられますけれども、その点につきましては、第二十四条の第三号の規定がございまして、委員が二人も病気になつてしまつたというような場合には、特別の措置ができるように相なつております。もちろん事件を三月も四月もためておいて、一回にばたばたと決裁をするというようなことは適当でないことは当然でありますが、私が先ほど申し上げましたのは、委員長及び二人の委員が、それぞれ事件を分担をいたしまして、常勤で審理を進めて行きます。そうすれば少くとも三件は同時に結論が出るというようなことになろうかと思います。もちろん事件の難易にもよりまして、そう機械的に参らないといたしましても、三人の審査委員がそれぞれ分担して審理を進めて、最後の結論を出します場合に、三人相集まつて相談をするという建前であります。常勤で毎日々々採決をしなければならぬようになるとも考えられませんので、先ほどのようなことを申し上げた次第であります。いずれにいたしましても、委員長委員が一人、一人は故障もあることを予想して、かような規定になつておりますので、実際問題としてはそう心配はないのではないかと思つております。
  33. 杉山元治郎

    杉山委員 どうもまだ納得ができませんが、この二十七条だと、三人必ず出なければいかぬ、こういうことになるわけなんです。委員長はもちろんであるが、委員も一人が出なかつたならば一人以上というのですから、二人出なければならぬことになる。二人しか委員がない。それでなければ開けないというのですが、どうも私は今の点について、どうしても故障が起ると思う。長い病気だとかなんとかいうので欠席ならば、今お話の二十四条の三号の規定によつて処分することができるけれども、そうでない、何かのことでどうも出て来られない、こういうことでありますと、ここに故障が起るということを私は心配するので、強くこのことを思うわけであります。
  34. 久下勝次

    ○久下政府委員 重ねての御意見でございますが、二十七条の解釈につきましては、前もつて実はこれをつくる初めにおきましても、いろいろ検討をいたし、法制局と特に打合せをいたした次第であります。法制局といたしましても、この条文によりまして、三名のうち一名欠席しましても会議は開ける、こういう解釈になるということで、はつきりいたしましたので、さように考えております。それであえて申し上げたのであります。
  35. 杉山元治郎

    杉山委員 この条文から見て、今お話のようにとれるでしようか、どうでしようか。私はこの条文をどう考えてみても、どうしても今のお話のようにはとれない。条文がかわつて来れば別問題ですけれども、今の条文の上から見ると、どうも説明の通りには受取れない。これはもつと法制上の解釈を願わなければならぬから、議論してもしかたがないのですが、私は、これでは二人ではできない、こういう考え方を持つております。
  36. 久下勝次

    ○久下政府委員 重ねてのお尋ねで、これはあるいは意見の相違になるかもしれませんが、一人以上というのは、一人で済むということでございます。従いまして、委員長委員が一人出ればよろしい、こういう解釈になるというのが、私どもの解釈でもございますし、また特に確かめました法制局の意見でもございます。
  37. 杉山元治郎

    杉山委員 その点については論議いたしません。私はまだこの法案について詳しく読んでおりません。なおいろいろの疑義が出て来ると思いますが、私の本日の質問はこれで終つておきたいと思います。
  38. 小島徹三

    小島委員長 杉山君に申し上げますが、次会の質問の際には法制局の人を呼ぶ必要がありますか。
  39. 杉山元治郎

    杉山委員 どうぞ呼んで来ていただきたい。
  40. 小島徹三

    小島委員長 了承いたしました。本案について他に御質疑ございませんか。——では本案に対する質疑は他日に続行することにいたします。     —————————————
  41. 小島徹三

    小島委員長 次に、ただいま内閣委員会において審査いたしております恩給法の一部を改正する法律案について、連合審査会申入れの件についてお諮りいたします。同法案は軍人恩給復活に関する法案でありまして、本委員会において審査いたしております戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する法律案と密接なる関連がありますので、内閣委員会に連合審査会開会の申入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、申し入れることに決します。  なお連合審査会開会の日時等については、両委員長協議して決することといたしますから、御了承をお願いいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午前十一時五十四分散会