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1953-06-30 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君 理事 中川 俊思者       越智  茂君    加藤鐐五郎君       助川 良平君    田中  元君       山口六郎次君    萩元たけ子君       杉山元治郎君    有田 八郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山縣 勝見君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 六月二十九日  社会保険審査官及び社会保険審査会法案内閣  提出第一二七号) 同日  小佐々町東部地区簡易水道敷設請願辻文  雄君紹介)(第一九五五号)  理容師美容師法存続に関する請願安井大吉君  紹介)(第一九五六号)  同(越智茂紹介)(第一九五七号)  国立渋川病院施設整備拡充に関する請願(中  曽根康弘紹介)(第一九五八号)  理容師美容師法の一部改正に関する請願(中澤  茂一君紹介)(第一九六〇号)  遺族年金支給に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第一九六三号)  舞鶴西消費生活協同組合低利資金融資に関す  る請願大石ヨシエ紹介)(第一九六四号)  東村山町に結核療養所設置反対に関する請願(  中村高一君紹介)(第一九六五号) を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致の件  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第八六号)  社会保険審査官及び会保険審査会法案内閣提  出第一二七号)  昭和二十八年度厚生省関係予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案議題とし、前会に引続き質疑を続行することといたします。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この国民健康保険再建整備資金貸付法の一部改正は非常に時宜に適したものであると思うのでありますが、この改正によりましてなお救い得ない、立ち直り得ない組合がございましようか。あれば、どの程度でありましようか。
  4. 久下勝次

    久下政府委員 お答えを申し上げます。この貸付金法案にございまするように、徴収成績のいいところ、すなわち保険料徴収成績が七〇%以上であるものに、原則として貸付をすることになつておるのでございます。これに該当いたしますものは、全保険者の数から申しますると、比較的少いのでございます。ただ御案内のようにこの制度は、保険者の持つておりました二十六年度末あるいは二十七年度末の赤字を解消いたしますために貸付をするものでございます。ところが七〇%以上の徴収成績を収めておりますものに対しましても、この貸付金だけでは完全に過去の赤字が解消するというわけではないのでございます。昭和三十年度まで三箇年計画で貸付をいたしますが、なお全保険者赤字として残りますものを私の方で推計をしてみますると、九億三千三百万円ほどの赤字が残ることになつております。七〇%未満の徴収成績を収めておりますもの、すなわち本法による貸付の対象になりません保険者の持つております赤字は、過年度収入等で漸次補つて参るといたしましも、昭和三十年度末におきましては七億五千万円程度赤字になると予想されておるのであります。そうなりますると、双方合せて十六億八千万円ほどの赤字国民健康保険保険者の全体としては、赤字としてこの制度の終りにも残るということになるわけでございます。これは相当の問題がございまして、私どもといたしましては、この制度は一応こういうことでいろいろな条件を緩和し進んで参りましたにいたしましても、貸付資格に該当いたしません保険者、並びに貸付資格に該当いたしましても、いろいろな条件があります関係上、保険者赤字として残ります金額、以上申し上げましたような金額につきましては、実はまだ決定をいたしておるわけではございませんけれども、一応この制度で該当するものに対する赤字解消の手段をいたしまして、なおその後の状況に応じまして、今申し上げました三年後の十六億の赤字に対する対策というものは、また別途に考慮いたさなければならぬものと考えておる次第でございます。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 戦時中から戦後にかけましてまつたく壊滅をしてしまいまして、今日組合の解散をしてしまつたというようなものが相当数あると思いますが、数でどれくらいございますか。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 戦争中に国民健康保険を非常に普及いたしまして、全国市町村のほとんど全部がこの制度実施することになつたのであります。従いましてその数は現在の町村数、一万百余に匹敵する数字になつたのであります。ところが戦争末期並びに終戦後の経済混乱の時期に際会をいたしまして、その半数以上のものが休廃止の状態になりました。その後経済界の立直り、あるいはこういう制度に対する認識とともに、漸次数が増して参りまして、今日五千百余の保険者があるわけであります。従つて市町村の数から申しますと、ちようど半数くらいになつているわけでございます。その数は、ここ数年非常に緩漫な歩調ではありますけれども、ふえつつあるのであります。ことに今年は助成交付金が出ます関係上、私どもの耳に入つております情報でも、各地におきまして事業を再開する保険者が、従来に比して急速な勢いでふえて参る見込みでございます。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 最近の、前国会にこの法案が出、あるいは国民健康保険組合に対する国庫補助という線が出ましてから、私もあちこちでそういうけはいを感ずるのでありますが、具体的にどれくらいの休廃止をしております組合が、事業の再開あるいは再建をしようとしておりますか。その具体的な数が大体わかつておりましようか。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 まだその数を的確につかむまでの調査をいたしておりませんが、私ども考え方としては、地方の都道府県中心となつて、この方面に呼びかけをいたしておる面一つ、それから自発的に市町村の方で始めようとしておるものもあるようであります。この辺がどの程度数字でありますか、もう少し時期を見て調査をいたさなければならぬと思いますが、ただいまのところはお答えをする資料はございません。
  9. 小島徹三

    小島委員長 他に本案についての質疑はございませんか。――では暫時休憩いたします。     午前十時五十六分休憩      ――――◇―――――     午前十一時十九分開議
  10. 小島徹三

    小島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず社会保険審査官及び社会保険審査会法案議題とし審査に入ります。まず山縣厚生大臣より趣旨説明を聴取したいと存じます。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  11. 山縣勝見

    山縣国務大臣 ただいま議題となりました社会保険審査官及び社会保険審査会法案につきましてその提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  わが国社会保険は、昭和二年に健康保険法施行されましたのを初めといたしまして、逐次進歩改善を遂げましたのでございまするが、今日健康保険の被保険者は、被扶養者を含めますると約二千万人、船員保険が同じく四十万人、厚生年金保険の被保険者は約六百九十万人を算するに至つたのであります。国民生活の安定に寄与すること思うにはなはだ大でありまするが、それに伴いまして、これら保険の被保険者及び事業主権利保護の問題も著しく重要性を帯びて参つたのであります。  現行制度におきましては、健康保険法船員保険法及び厚生年金保険法に基く保険給付処分不服のある被保険者は、各都道府県に置かれておりますところの、独任制社会保険審査官審査請求ができ、その社会保険審査官決定不服のあります者は、厚生省に置かれておりますところの、社会保険審査会審査請求ができることとなつているのであります。また保険料賦課徴収滞納処分不服のある事業主は、社会保険審査会審査請求ができることとになつているのでありますが、いずれの場合におきましても、社会保険審査会決定に承服できない場合におきましては、裁判所に出訴できることと相なつておるのであります。  この制度は、健康保険法施行とともに創設せられのたでございますが、最近におきまする社会保険審査会に対する審査請求件数は逐年増加し、現行制度のもとにおいては各委員努力にもかかわらず、現在すでに百六十件の審査請求が未処理となつておるのであります。しかのみならず別途提案申上げております健康保険及び厚生年金保険適用範囲拡大並びに日雇労働者健康保険の創設、またこの法案による審査事項の拡張によりまして、審査請求件数は、ますます増加するものと予想せられるのでありまして、本制度本来の目的である簡易迅速に被保険者及び事業主権利保護求済するという実をあげることが困難となつたのであります。これが今回本法案提出するに至つた理由でありますが、これによつて審査の能率を挙げるとともに、その公正を期したい所存であります。  次に法案の要点について申し上げたいと存じます。第一に、社会保険審査会の構成でありますが、現行審査会は、公益、被保険者利益及び事業主利益を代表する非常勤の委員によつて構成されておりますが、これを内閣総理大臣国会の承認を得て任命いたしますところの、特別職たる常勤の委員長及び委員二名をもつて組織することといたしたのでありますが、他面現行制度におきまして、被保険者利益及び事業主利益を代表する委員が果して参りました弁護的機能は、利益代表者に引継ぐことといたしたのであります。  第二に、審査事項でありますが、これは従来保険給付及び保険料賦課徴収滞納処分に限られておつたのでありますが、健康保険法船員保険法及び厚生年金保険法の一部改正に伴いまして、標準報酬に関する処分につきしても、審査請求を認めることといたしたのであります。  第三に、審査手続でありますが、被保険者及び事業主権利求済に万全を期するため、この機会に若干の整備行つたのであります。  以上をもちまして、提案理由を御説明申し上げた次第でありますが、なにとぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  12. 小島徹三

    小島委員長 以上で本案説明は終りました。  なお本案質疑につきましては、本案は付託になつたばかりでありますので、これを次会以後に譲ります。     ―――――――――――――
  13. 小島徹三

    小島委員長 次に昭和二十八年度厚生省関係予算につきまして、山縣厚生大臣より御説明を聴取いたしたいと存じます。山縣国務大臣
  14. 山縣勝見

    山縣国務大臣 この際昭和二十八年度厚生省所管予算に関しまして御説明を申し上げるにあたりまして、まず厚生大臣といたしまして、厚生省所管の諸行政に関して予算の基礎をなしまする施策基本に関して、所信の一端を申し述べたいと思います。  厚生省所管行政中核をなしまするものは、あらためて申し上げるまでもないことでありまするが、社会保障に関する諸施策であります。これにつきましては、これを不断に発展充実させて行くところにこそ、国政運営の目標の一つが置かれなければならないと考えておるものでありまするが、問題は、かかる考えに立つて社会保障をいかなる順序と方法と内容によつて推進するかという点であります。この点につきましては、すで再三にわたつて申し上げて参つたのでありまするが、国の経済力との調整をはかりつつ、順次必要な拡充強化をはつかて行きたいというのが、私の基本的態度であります。また実施順序につきましては、当面国民生活を脅威することの最もはなはだしい疾病に対する社会保障をまづ確立し、次いで、老齢死亡等生活の脅威に対する社会保障充実し、整備して行きたいと考えているのであります。  なおまた私は、社会保障実施にあたつては、最終の構図を的確にしなければならないという意味において、昭和二十五年に行われた社会保障制度審議会社会保障制度に関する勧告を、高く評価するものでありますが、同時にこれを、即時、かつ、全面的に実施するについては、現実に国の財政との調整をも考慮さるべきものと考えるものでありまして、この点は審議会答申書にもこれを認めているのであります。かかる見地よりして、私といたしましては、まず疾病に対する社会保障確立について努力いたしたいと存じているのでありまして、これは同時にまた社会保障推進に関する勧告趣旨にも沿うゆえんでもあると考える次第であります。もちろんその他国家扶助医療機関整備及び公衆衛生の向上並びに社会福祉増進等の面について、その施策に最善の努力をいたすとともに、遺家族及び留守家族援護その他についても万全の措置をとりたいと考えている次第でありますが、以上の考え方に基き、昨年十月厚生大臣の職を汚しまして以来、ひたすら所信の実現に努力して参つたのであります。以下、目下国会において御審議中の厚生省関係予算案及びすでに提出しまたは提出を予定しておりまする法律案中心といたしまして、当面の諸問題について申し述べたいと思います。  第一は、国民医療整備改善の問題でありますが、これが施策内容をなしまするものは社会保険充実医療機関整備及び疾病予防策強化等であります。  先づ社会保険充実につきましては、国民医療中核である国民健康保険強化確立をはかるため、昨年度以来実施しておりまする赤字保険者に対する資金貸付措置をさらに有効にするため貸付条件貸付額に関する制限を緩和いたしたいと考えまして、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部改正法案を本国会提出するとともに、昭和二十八年度予算案において、これに必要な経費四億六千八百九十余万円を計上いたしました。また国民健康保険の今後の運営難を打開するために、多年の懸案でありましたところの医療給付費に対する国庫補助を行うこととし、昭和二十八年度予算案において初めて創設計上いたしまして、医療給付費の一割五分に相当する約二十九億六千万円を国民健康保険に対する助成交付金として計上することと相なつたのであります。私は以上二つの施策を効果的に実施することにより、国保財政強化され、またおのずから国保の普及が行われるものと考えておりますので、国保強制設立等措置は目下のところ考えておりません。  次に、健康保険につきましては、その適用事業範囲拡大するとともに、療養給付期間現行の二年から三年に延長いたしたいと考えまして、健康保険法の一部改正法案提案いたしました。これによりまして、新たに約六十万人の人を被保険者に加えることとなり、また療養給付期間の延長に伴つて長期結核患者の悩みも解決できるものと思います。なお健康保険における以上の改正に対応いたしまして、当然に船員保険及び厚生年金保険においても、所要改正を必要といたしますので、これに関する法律案提案いたしておる次第であります。  また、全国で八十五万人を越えるといわれております日雇労働者につきましても、従来これに対する健康保険等措置がとられておりませんで、大部分の者がいわゆる社会保険保護を受けておりませんために、一般労働者に比して、はなはだしく脆弱な生活基盤に立つておりますから、何とかこれに対して適当な施策を講じたいと考えまして、この際昭和二十九年一月十五日から実施する予定のもとに、約五十万人を被保険者といたします日雇労働者健康保険法案提案いたしたのであります。なおその険保事業運営のための必要な事務費、あるいは保健施設費及び福祉施設費の全額を国庫において負担いたしますことといたしまして、これに必要な経費約一億八千二百六十七万円を予算案に計上いたしております。  以上の措置によつてわが国社会保険は、財政の許す範囲において、その推進が期せられると思うのであります。  次に医療機関整備につきましては、これは従来とも努力払つて参つたのでございますが、本年度におきましても、引続いてこの面についての努力を重ねたいと考えております。まず第一に結核病床一万床を増床いたしますとともに、国立病院のうちから三千床を結核療養所に転換することといたしまして、増床及び整備に必要な経費約十億八千八百万円を予算案に計上いたしておりまして、これらによつて結核対策充実を期しておる次第であります。なおこれに関連して申し上げたいのは、従来結核対策といたしましては、いわゆる療養をいたしまして回復期に向いました患者に対しての施策が欠けておりましたので、今度初めてアフター・ケア、結核回復者に対する後保護施設を設けることといたしまして、その施設設置費補助に必要な経費約二千百八十万円を計上いたしておる次第であります。  次に癩でありますが、国立らい療養所に一千床の増床を行うことといたしまして、約一億九千九百万円を計上いたしております。なお現行らい予防法は、御承知通り明治四十年につくられたものであります。もちろん癩病そのものの医学的の見地からいたします点につきましては、そうかわつた点はございませんが、なおこのらい予防法につきましては、たとえば癩患者の秘密の保持でありますとか、あるいは福祉厚生の問題でありますとか、あるいはその他の点について適当の考慮を払つて、適当の改正をいたしますことが必要と考えまして、ただいまらい予防法について検討を加えて、国会提案を予定いたしておる次第であります。  次に精神病につきましては、千二百床の増床を行うことといたしまして、約一億八千万円を計上いたしております。  その他一般医療施設整備をはかりますために、公立一般病院建設費補助金六千万円、なおまた国民健康保険直営診療所整備費補助金といたしまして四億円を計上いたしております。なお公立以外の一般病院あるいは診療所建物、あるいは設備等整備改善いたしますためには、長期にして低利資金が必要であります。いわゆる医療金融が必要でありますが、この面につきましては、従来われわれの、また一般の要望にもかかわらずその道が開かれておりませんでしたことに対して、今回国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫を通じまして、これらのために融資する道を講じまして、新たに五億円のわくを設定いたした次第であります。  なお国民医療整備改善に関する第三の問題は、疾病予防及び治療に関するものであります。結核、癩その他の伝染病予防については、積年の努力が報いられまして、最近におきましては顕著な効果を収めて参つておるのであります。たとえば結核におきましては、死亡率が半減をいたしておるのであります。しかしながら結核患者そのものは減つていないのでありますから、今後ともこれらの面につきましては、予防あるいは治療に対しましても、政府は万全の措置を講じたいと考えまして、これに必要な経費をこの予算案に計上いたしておるのであります。すなわち結核予防及び治療につきましては、前に申しました増床分を含めまして百二十六億九千三百万円を計上いたしております。なおまた癩予防につきましては、先ほど申し述べました増床分を含めまして、所要経費十六億六千七百万円を計上いたしておる次第であります。  またわが国の現在の死亡率の上から見ますと、むしろ一番重要視さるべき問題はがんでありますが、このがん研究に対しましても、従来ともいたして参つたのでありますが、今後もこれを推進いたしたいと考えまして、今回提案いたしました予算案には、財団法人がん研究会附属研究所戦災建物復旧費補助といたしまして五百万円を計上いたしております。  なお伝染病予防に限らず、国民保健の上から一番大事なことは、その第一線機関であります保健所整備拡充でありますが、これに対しましては、従来とももちろん努力払つて参りましたが、本年度C級保健所二十箇所の新設と、C級からA級への格上げ十箇所の整備拡充を期して、これに必要な経費といたしまして十五億五千五百万円を計上いたしております。また国民保健の重要な基盤であります、従来ややもすれば等閑視されておりました上下水道あるいは清掃施設、これに関しましても、今後とも努力いたしたいと考えまして、必要な経費補助金といたしまして十一億二千九十万円計上いたしたのであります。特にこの際申し上げておきたいのは、清掃費に関しまして、従来予算的の措置をとることは困難でありましたが、今年は、もちろん十分ではありませんが、清掃費に関して予算を計上いたした次第であります。  これが大体、先ほど来申し上げておりますいわゆる社会保険中心にした国民医療改善整備ということでありますが、第二は母子福祉対策充実の問題であります。これは私が厚生大臣就任以来取上げております重要施策一つでありますが、もちろんこれに対しましては、従来とも母子寮あるいは保育所等整備をはかりまして、これらの面に対する施策を講じて参りましたが、今年度におきましても、その増設整備に必要な経費を計上いたしまして、約四億六千万円を計上いたしております。そのほかに、これはすでに国会において通過を見て施行されております母子福祉資金貸付等に関する法律でありますが、これの施行運営に万全を期したいと考えておる次第でありまして、母子家庭に対して生業資金あるいは修学資金等貸付を行います都道府県に対する国からの貸付金といたしまして、七億四千七百万円を計上いたしております。これと同額のものが都道府県において負担されまして、これが母子家庭に対する貸付金と相なりまして、大体これに対しては約十五億円が貸し付けられることに相なることと考えられます。なおまた母子家庭身上相談が、なかなかこれも必要なことと考えますが、その点から申しまして、母子相談員を創設いたすことにいたしまして、それに必要な経費として四千七百万円を計上いたしております。これらの措置によりまして、従来困難な境地に置かれておりました母子家庭が更生される道が開かれることを期待いたしております。なお、これまた御承知通り専売品、たとえばタバコ店等を開くに際して、これらの母子家庭に便宜を与えたいと考えて、ただいまこれらの点に対しましては日本専売公社等ともせつかく協議をいたしておる次第であります。なおまた都道府県には取扱い要領等周知徹底を期しておる次第であります。  第三は戦傷病者戦沒者遺族及び未帰還者留守家族援護強化に関する問題であります。この点に関しましては、政府といたしましては、従来ともこれに対して万全の措置をとつて参りましたが、従来戦傷病者戦沒者遺族等援護法の運用を中心にしてとつて参りました政府施策をさらに強化いたしたいと考えてまして、今国会にはその適用範囲拡大及び年金額増額をはかりました。たとえば年金額増加額につきましては、配偶者一万円その他五千円とありましたのを、先順位者に対しまして二万五千二百円、その他の遺族五千円といたしまして、年金額増額をはかつて参りたいと思いまして、必要な改正案提出いたしておる次第であります。これについて必要な経費二十八億四千万円を予算案に計上しております。  なお留守家族援護につきましては、従来特別未帰還者給与法あるいは未復員者給与法等によつて政府はその施策に万全を期して参りましたが、特に今回の予算案提出に際しましては、留守家族につきましては戦後すでに八年を経過いたしておりまするので、従来の特別未帰還者等適用範囲が現状から見ますると、あるいは現実に即さない、たとえば一般邦人等に対しても、国家のあたたかい手をさしのべる必要がありまするので、その適用範囲を広げて、従来の範囲よりも相当適用される人がふえますることに相なりまするが、いわゆる一般邦人もこの法律によつてこの援護の対象になりまするように、と同時にこれらの従来特別未帰還者給与法あるいは未復員者給与法によつて援護いたしておりましたのを、現実に即してこれを一本の法律にまとめまして、いわゆる未帰還者留守家族援護法というものによつて、ただいま申しましたような内容のもとに援護いたしたいということでもつて、この国会は未帰還者留守家族援護法提案いたし、これに伴いまする予算といたしまして、二十億九千万円を計上いたしておる次第であります。  第四は、人口政策の問題でありまするが、人口政策は、言うまでもなくきわめて重要な問題であります。年々人口はふえて参るのであります。従つて、これに対しましては、国といたしましては、いろいろな見地から総合的に人口問題の対策確立いたして、あるいは食糧問題においても、あるいは家族計画の点におきましても、あるいは産業構造の点におきましても、資源の点においても、いろいろな点から人口問題を検討いたして、国の重要問題の解決に資したいという意味で、今回人口問題審議会を設けることにいたしまして、それに必要な経費約八十万円を計上いたしておる次第であります。  第五は、生活保護及び児童保護についてでありますが、もちろんこれらの問題につきましては、従来とも政府努力をいたして参りました。現在生活保護を受けておりまする対象は、あるいは二百万人を越えるとも考えられるのでありまするが、この生活保護の基準をなしまする基準額を、この際可能な範囲において引上げたいと考え、その引上げは七日一日からにいたしたい、かように考えておる次第であります。詳細は省略いたしまするが、たとえば生活保護に関しましては、現在の東京都の標準基準額の七千三百五十四円を八千円にいたしましたこと、なおまた住宅扶助につきましては、今日までの東京都の標準世帯における七百三十円を千百円に、教育扶助につきましては、現在月平均百八十四円を百八十九円にそれぞれ引上まして、合計九千二百八十九円といたしたいと考え、これに基いて予算を計上いたしておるのであります。  なおそのほか、葬祭扶助は現行の二千八百円を三千円に引上げる予定であります。  これらに必要な経費が二百四十六億一千四百万円の昨年度に比較いたしますると、十五億五千八百七十万円の増加と相なりまするが、御承知の通り、今回政府におきましては、恩給法の復活によりまして、恩給の措置をとりたいと考えております。従つて、当然に生活保護関係においてそれの面から減少が考慮されますので、彼此考慮いたしまして、総額二百五十三億七千二百七十万円を計上いたしておる次第であります。  なおまた児童保護につきましては、児童措置費は、御承知のように従来地方財政平衡交付金によつて、その中でまかなわれて参りましたが、かような重要ないわゆる社会福祉の面を地方財政平衡交付金によつてまかなうということは、地方財政の困難な現状においては万全を期しがたいと考え、これを直接補助に直したいと思つて努力して参りましたが、幸いにして本年度は大蔵省とも了解がつきまして、直接補助金として計上いたしておる次第であります。なおこの措置の基準につきましては、生活保護の基準の引上げと同じようにその内容の引上げをいたしておりまして、これに必要な経費四十二億七千百万円を計上いたしております。もちろんこのほかに、あるいは母子寮あるいは保育所等の増設をはかり、あるいはその他の母子あるいは児童の福祉施設整備拡充をはかつて参りたいと考えておるのであります。これらに必要な経費六億七千万円と、それから児童相談所、一時保護所の運営に対します補助金、これらを全部合せまして、五十二億八千六百余万円をこれらの措置費として計上いたしております。  第六は、中共地区引揚者の援護についてでありますが、国民の多年の要望でありましたこの中共地域からの引揚げも、第三次輸送によつて約一万四千五百五十人が内地に帰還されまして、第四次がただいま配船されておるのでありますが、今回の引揚げというか、帰還される方々の事情を勘案いたしまして、特にこれらの受入れあるいはその後の援護、また定着地における援護等については万全を期したいと考えまして、あるいは住宅問題あるいは就職問題あるいは更生資金貸付等の問題に対しまして、万全を期して必要な経費を計上いたしておるのであります。この就職の問題につきましては、他の委員会等においても申し上げておりますので、重複は避けますが、大体一般の就職状況に比して万全でないにいたしましても、大体ただいまのところ三割四、五分程度の就職率になつておると思うのであります。  なおこれに関して申し上げておきたいのは、今日中共地区からたくさんの帰還者が帰つて来られた中には、中共地区等において医療事業に従事されておつた方も多いのであります。医師、歯科医師、看護婦、こういう方々の内地における免許資格の問題につきましては、今回の事情も勘案いたしまして、できるだけ事情の許す範囲においてこれらの免許資格を与えることについても、政府は考慮いたしたいと考えまして、法律案を今国会提出いたしておりますことを申し添えておきたいと考えるのであります。  なお住宅問題につきましては、当初引揚げは三万人を予定いたしておりまして、ことに住宅問題は本予算案が通過いたしてからでは間に合いませんので、暫定予算において、三万人に対する住宅対策として、三千五百戸分約四億円を計上いたしております。これらはまだ定着がどのようにされるかという事情もわかりませんので、それらの事情も勘案いたして、都道府県とも連絡いたしまして、万全を期してこれらの建設をし、これらの住宅に引揚者に支障なく入つていただくように考えておるのであります。供給率は縁故者等の関係もありますが、大体三世帯に一戸ぐらいの割当に相なつておると思うのであります。なお更生資金の点に触れますが、これは二億円の範囲で、当初は三万円と考えておりましたが、それでは足りないであろうとも考えまして、五万円に引上げまして、これらの方々の更生されることに資したいと考えております。なお金利は六分にいたしておりますが、現在許される範囲の低い率を適用いたしたいと考えております。  以上が本二十八年度予算案提出をいたしました際における厚生保護基盤といたしまする厚生大臣としての所信の一端でありますが、これらに基いて予算の編成をいたしました次第でございます。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたす次第でございます。
  15. 小島徹三

    小島委員長 次にただいまの大臣の説明に補足して、官房会計課長より説明を聴取いたしたいと存じます。堀岡政府委員
  16. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げました二十八年度予算につきまして、細部にわたつて補足申し上げます。すでにお手元へ御配布したと思いまするが、横刷りのガリ版の昭和二十八年度一般会計歳出予算要求額という書類がございますので、それで便宜御説明を申し上げたいと思います。  おもな事項だけを御説明申し上げますが、第一ページの番号一の事項としまして人口問題審議会、これは新規に本年度計上いたしましたもので、先ほど大臣から御説明申し上げました人口問題審議会を新たに設けまして、これを運営するための経費であります。  それから番号二の科学試験研究費のうち、摘要欄の2に薬業合理化研究補助六百万円を計上しておりますのは新規でございまして、これは企業合理化促進法の第三条に基きまして、新しい薬業技術を薬業事業会社において採用し、これを振興せしめるための補助金でございます。  三の国際会議諸費中、内訳1のWHO西太平洋地域委員会開催の経費五百三十四万四千円とございますのは、本年九月初旬東京におきましてこの地域委員会が約一週間開催される予定でありますので、それに要する経費であります。同じく摘要欄の2のWHO精神衛生専門委員招聘に伴う経費として六十二万円計上しておりますのは、この種の専門委員、たしか二名と思いますが、すでに参つておりますが、その専門委員を招聘するに要する経費であります。この事項では以上の点だけを御説明申し上げておきたいと思います。  次に、一ページの裏でございますが、五の国立公園等運営費中、内訳摘要欄の一の国立公園施設整備補助、これは各方面から切なる要求がありますけれども予算の都合上前年度の約三倍、五千万円を本年増額計上いたした次第でございます。  次に、飛びまして、七の精神衛生対策、その一の精神病院療養整備費、ここでは特別申し上げることはありませんが、病床増が一千二百床、国立において二百床、公立において一千床、前年度は両方合せて五百床ありましたが、一千二百床増を見込んでおるということだけをつけ加えて御説明申し上げておく次第であります。  それから次の二ページでありますが、一番下の九、事項の受胎調節の欄でございます。ここでちよつと御説明を加えておきたいと思いまするが、受胎調節のための優生保護相談所というものを地方の保健所に設けておりますが、本年度は既設の三百二十九箇所に新しく四百二十三箇所の保健所にこの優生保護相談所を設置いたしました。合計七百五十二箇所の全部の既設保健所に優生保護相談所を設けるという予定で予算を計上しております。  次に二ページの裏の番号一〇の栄養改善の事項でございますが、これの摘要欄の3に集団給食指導補助八十五万円とありますのは、お医者さんが管理しております以外の集団給食のいろいろの事故もありますので、これの管理者を衛生上の見地、栄養改善の見地から講習して、適当の指導をして行きたいということのために、そういう経費を八十五万円計上いたした次第であります。  次に番号一一の結核対策について申し上げます。結核対策の一の結核療養所整備費でございます。特別申し上げることはございませんが、一万ベッドの病床の増は二十七年度と同様であります。ただ内訳が若干かわつております。内訳の昨年度、今年度の比較は、国立、公立、法人立、保険、こういうふうにわけてそれぞれ記載いたしておきましたので、便宜ごらんをいただきたいと思います。一万ベッドの総数はかわつておりません。  次のページに参りまして、結核対策の2結核回復老後保護施設設置費でございますが、これは先刻大臣から御説明申しました、医学的管理のもとに回復した患者に、新しく社会において活動するための職業補導等を与えるための施設を設置するための経費でございます。本年度二十八年度においては二箇所初めてやつてみようという新規の計画でございます。  次は3の結核療養所の経営費でございますが、ここで特別に申し上げておきますことは、国立六万三千五十床ございますうち、三千床は公立病院から結核療養所に転換したものを含んでいるということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。四月一日からでございますが、その分を含めまして、国立は六万三千五十床であります。その他公立、法人等の運営費でございます。  次にただいまの三ページの裏の4結核予防費については特別に申し上げることはございません。  5その他中、摘要欄にごちやごちや書いてございますが、その二行目、結核患者実態調査費とございますのは、先ほど大臣からも御説明申し上げましたが、結核が社会病としての死亡原因第一ということから、すでにそういう事態は去りましたけれども結核がいろいろな問題を起しているというような諸般の観点から、この種の問題について新しく別個の観点から調査したいということのために、本年度新規計上いたしたのでございます。金額として八十万円ばかりでございます。  次に番号一二の癩対策については特別に申し上げることはございません。  今の四ページのずつと下へ行きまして5その他でございますが、その備考に藤楓協会委託費百万円とございますが、これは藤楓協会に療養所内の文化活動をお願いする、あるいは未収容患者の収容勧誘のパンフレットをつくるということをお願いする費用でございます。  次に四ページの裏の1保健所整備費、これは先ほど大臣が申し上げました数字をこまかくそこへ書いておきました。新設は幾つある、格上げが幾つある、現在はどうだ、二十八年度はどうなる、ABC級別にそれぞれ記載いたしておきましたので、ごらんおき願えれば幸いでございます。  次に一四伝染病予防費でございますが、1の伝染病院隔離病舎整備の費用として二千四百床、前年度より五百床増をこの経費に見込んでおります。  同じくその内訳の3赤痢対策費、これは赤痢が猖獗をきわめる度合いが毎年毎年高くなつております。これの原因については各方面から検討されておりますが、いまだ的確なる原因が見つかりません。そこで本年度におきまして、この方面の権威の方々にお集まり願つて、この原因をつきたいということのための費用でございます。  次に5の地方病予防施設費、例の住血吸虫のための予防措置としての溝渠コンクリート化でございますが、前年度の一万間を本年は三万間支出ということの予算を計上いたしております。  次に一五の性病予防、これについては特別申し上げることはございません。  次の一六は、水道施設整備でありますが、ここで特に申し上げておきたいことは、そのうちの2の下水道施設につきまして、二億三千九百万円本年度計上しておりますが、このうち五千万円は新規に屎尿消化槽を設置するための補助金を計上いたしたのであります。この五千万円が新規のものでございます。  それから6簡易水道に四億円を計上しております。これは御承知の通り各方面からの御要求がございますので、今年度は、昨年度の一億何がしの三倍強を計上いたして御要望にこたえるというので、かような計上をいたした次第であります。  次に、一七の公衆衛生関係施設整備費、1が癌研究施設整備費、先ほど大臣が申し上げました癌研究所の戦災復旧の経費がこれでございます。  次に、一八の医療機関整備、これは一千万円増をいたしまして六千万円の計上で、そのほかベッド、先ほど大臣から申しました融資のわく五億円、これは民間病院を対象といたしまして中小企業金融公庫、国民金融公庫等から貸出しをする予定であります。  次の一大の国家試験は特別申し上げることはありません。  次に、二〇の保健婦助産婦看護婦指導費も特別申し上げることはございません。  次に、二一の国立病院特別会計への繰入れでございますが、不成立になりました予算案、二十七年度予算案と異なつております骨子の点だけ申し上げておきます。国立病院特別会計のうち各種の国立病院を地方へ委譲するというので、当初予定は二十七年度十、二十八年度十一箇所を地方へ委譲するという予定で進んで参つたのであります。ところで現実には昭和二十七年度中秋田、山形の二つの国立病院が地方庁と話合いがまとまりまして委譲が決定いたしました。これはすでに委譲済みでございます。それから若松、飯坂の二つが六月一日からこれまた地方庁と話合いが進みましてこれも委譲を完了いたしました。最近話合いを進めてほぼ確実と思われますのが徳島、岐阜、下呂で、この三箇所が大体八月一日から行くものと考えております。なお結核療養所の際に申し上げましたごとく、結核療養所国立病院を転換いたしましたのが三千床、数にいたしまして十五の病院を転換いたしました。今後の国立病院特別会計の予算の組み方は、以上の確定的なものだけを落す、つまり秋田、山形を落し、若松、飯坂を落し、それから徳島、岐阜、下呂につきましては、八月以降委譲されるものという見込みで計上する。それから結核療養所に移す十五箇所は八月一日から移すということで、移す移さぬの問題はすでに既定方針でございますので、話合いがつき次第移して行きたい。しかし予算面上におきましては落すということはいたさない。事実上話合いがつきました際には、その方面の予算は執行しないで済むというふうなことにいたしております。つまり予算面から圧力を加えることはやめたい、そういう予算の方針として組かえをいたしましたことをこの際御説明申し上げておきたいと思います。  次に、二二の医薬分業調査費は、昭和三十年度よりこれを法律の規定に基きまして実施しますので、分布の状況の調査を地方庁に委託する経費でございます。  次に二三の麻薬取締りの関係は、摘要欄の内訳に、麻薬登録事務等委託費とございますのは、前国会法律改正によりまして登録事務が地方庁に委託されましたので、都道府県に対する委託事務費として三千百十八万円を計上いたしたのであります。  次の二四の薬用植物栽培助成六十三万二千円とございますのは、サントニンの強い原種をパキスタンから入れまして、これを普及したいというための採種圃設置補助金でございます。  二五は特別申し上げることはありません。  次に、二六生活保護費でございますが、大臣から御説明申し上げました単価の改正等は、それぞれ事項別に、補助の種類別に、摘要欄に記載いたしておきましたので、ごらんおきを願えれば幸いと存じます。大きな数字で申し上げておきますと、3教育扶助で十一億七千五百六十一万円の減になつております。これは二十七年度予算でやつてみました結果、一部給食が予想以外に一週間の回数が少いということが大きな原因でございます。一部給食が、週五回やることはほとんどございませんで、せいぜい一回もしくは二回というので、そういう数字が非常に大きかつたというところに大部分の原因がございます。もう一つは、パンの単価が、これは農林省の単価からはじいたのですが、若干上つております。教科書の値上り等も見込みながら、なおかつ差引き十一億七千五百六十一万円の減にいたしたのでございます。  ついでに申しますが、4医療扶助につきましては、逐年増加の傾向をたどつておりまして、二十八年度予算案におきましても二十七年度より八億二千万何がしを増額計上いたしてございます。  8、9は事務費でございますが、10の二十七年度精算不足分一億五千万円、これは地方庁におきますところの生活保護費の赤字の精算を大体二億五千万円とふみまして、それを本年度において精算いたしたいというので計上しました。  それから先ほど大臣から申し上げましたが、11の恩給の復活、日雇い保険実施されるということのために、在来生活保護にたよつておつた方々のこの種費用が一億三千何がし減るだろうという予想のもとに、差引き合計、生活保護費二百五十三億何がしという経費を計上いたした次第でございます。  それから二七身体障害者保護費については特別申し上げることは、ございません。  それから二八も特別に申し上げることはございません。  二九、地方改善事業費、これは新規でございまして、在来はこの種事業は、憲法の建前といいますか、特別の措置をとらぬ方がいいだろうというふうな考え方で参つたのでありますが、事態の実情からしまして、この種の協議会を開き、実態を調査し、この特殊地域の改善のためのセンターとして隣保館を四つつくりたいという経費を本年新しく計上いたしたのでございます。  三〇、消費生活協同組合貸付金二千五百万円、これは前国会法律が通過いたしまして、そのことによつて優良なる消費生活協同組合の協同施設に対して貸付をするということのための貸付金を計上いたしたのであります。  三一、公益質屋、これは特別申し上げることはございません。  それから十一ページを裏にめくつていただきまして、社会事業関係のいろいろな施設がございますが、そのうち特に申し上げておきますことは、7の浮浪者収容施設五千万円を新規に計上いたしております。これは御承知のように、大都会の浮浪者の収容について、国会等でも非常にやかましい御議論の対象になりましたので、今年度としては、とりあえず百人収容十箇所を大都会につくりたいということのために新規に五千万円を計上いたしたのであります。  次に三四の日赤設備整備費でございますが、これは新規に計上いたしましたもので、日本赤十字社が災害等の際に、諸般の活動をいたします。それらの病院車とかその他を日本赤十字社として整備せしめておく。そしていざという場合にこの日本赤十字社を活動せしめる、こういうための整備費であります。  三五の児童保護費につきましては、建前は生活保護費と同様に、生活に困る児童に対する保護費でありまして、なお単価改定は七月分よりこれを行うということになつております。御参考までに申し上げますと、児童措置費は、二十七年度平衡交付金の中に計上されておりました金額は三十六億三百五十四万四千円という金額であります。ゼロとありますが、平衡交付金の中に計上された計算の基礎は、今申し上げた通り三十六億三百五十四万四千円、こういう数字でございます。今回児童措置費として四十二億何がしの計上をしたのは、主として単価の改定でございます。  次の4、事後補導補助、これはいわゆる職親に対する若干の手当でございますが、それを新規に計上いたしたのでございます。  それから5の季節保育所は、本年度新しく五千箇所、三分の一として三千万円を計上いたしたのでございます。その他このページには取上げて申すことはありません。  次の十三ページの裏、三六の母子福祉対策でございます。これは御案内の通り母子福祉資金貸付等に関する法律が前国会で成立いたしましたので、これに基くところの母子福祉貸付金と、府県が同額これに計上いたすわけでありますが、母子相談員社会福祉事務所に一人ずつ設置するに要する費用、それら合計七億九千何がしを計上いたしたのでございます。なおこの母子福祉貸付金のどの部門に幾らという内訳は、別途摘要欄に記載してありますので、それをごらんを願えばおわかりと思います。  なお、三七児童福祉施設整備については取立てて申し上げることはありません。  次に、飛ばしていただきまして、三八の厚生保険国庫負担金について申し上げておきます。このうち国庫負担金と直接の関係は出て来ませんけれども健康保険及び厚生年金保険について範囲を拡張して、被保険者約六十万の新規加入を見る。それから健康保険については療養給付期間二年を三年に延長する。それから標準報酬の最高最低をそれぞれ引上げる。この三つをおもなる改正点として法律改正をいたしております。従つて人数等の増による取扱い事務の増がございますので、これらはいずれも特別会計において取扱いますが、それらの事務費全額を国庫負担金より特別会計に繰入れるわけでございます。  それから6に日雇健康保険とございまして、事務費一億四千六百四万七千円、保健及び福祉施設費三千六百万何がし、この事務費は他の保険と同様に金額国庫負担は当然の建前と存じますが、保健施設及び福祉施設については、他の保険においてはそれぞれ保険料をもつてまかなつておるのでありますが、日雇健康保険においてのみ、この保険料によらずして一般会計の負担においてこれを運営し施設するという建前で計上しておることを、特別に御説明申し上げたいと思います。  三九は特別に申し上げることはございません。  四〇も申し上げることはありません。  四一、国民健康保険補助金でございますが、この中の摘要欄をごらん願いたいと思います。1、2、3とありますが、3の助成交付金は、先ほど大臣から申し上げました例の給付で、一五%相当額を交付するということであります。二十九億何がし、これは前国会で流れました予算と同額を計上してございます。  6の災害特別貸付金は、新規のように計上しておりますが、実は二十七年度におきましては大蔵省と協議をして流用で実際に施行いたしました。さような手続をとるのがめんどうでございますので、今回は別途五百万円だけ計上いたした次第であります。  四二は申し上げることはありません。  四三の引揚げ関係経費でございますが、ここで問題になりますのは、先ほど来大臣から申し上げましたごとく、中共からの引揚げ三万人のうち五千人は二十七年度において計上し、残り二万五千人は二十八年度予算において計上する、こういう建前であります。帰還手当につきましては、一律におとな一万円、子供五千円を計上した点がかわつておりますが、その他のプリンシプルは在来のものと同様でございます。それから引揚げ見込人員二万五千三百八人、この端数は個別引揚げの予定でございます。  四四の留守家族援護は、法律等につきましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたが、支給される給与がどういうふうにかわるかは摘要欄に記載いたしておきましたので、ごらんおきを願いたいと思います。つまり範囲の拡張とべース・アツプによつて三億一千八百八十五万三千円がふえるということでございます。  四五の戦傷病者戦沒者遺族等援助、これは御承知のように恩給に移行すること等で百四十億ばかり減額になる予定でございます。一方C船員をこれに加えますと、C船員の総体の数は、積算の基礎としては一万九千一百五十一人という数字を本予算の積算の基礎に取入れております。それやこれやでこういう金額になつております。それからベースにつきましては、恩給と前段の留守家族援護等とをにらみ合せました金額を計上いたしております。  ただいま問題になつております在日華僑の中国引揚げの問題、これの経費につきましては、六月暫定予算の予備費をもつて支出するということに当時閣議決定がございました。在日華僑が一千人帰りまして千九十七万八千円という金額を予備費より支出するということで閣議決定をし、これはすでに実行に移しております。  あとまだ各付属機関等のことがありますが、これは特別に申し上げることはございません。  以上をもつて二十八年度予算案の御説明にかえたいと思います。総計七百五億三千四百三万八千円というのが二十八年度厚生省所管一般会計予算のト一夕ルでございます。
  17. 小島徹三

    小島委員長 これをもつて厚生大臣及び政府委員厚生省昭和二十八年度予算に関する説明は終了いたしました。この説明に対する質疑次会以後に譲ります。     ―――――――――――――
  18. 小島徹三

    小島委員長 次に、参考人選定の件についてお諮りいたします。社会福祉事業金融対策の諸問題について意見を聴取するため、全国社会福祉事業協議会の代表者に参考人として出席願い、社会福祉事業金融対策に関する小委員会において意見を聴取したいとの要望が該小委員長より申し出られております。以上の申出の通り参考人を選定して出席を願うこととし、その選定に関しましては委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は明後七月二日午前十時より開会いたします。     午後零時二十一分散会