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1953-06-25 第16回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十五日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君 理事 堤 ツルヨ君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       助川 良平君    田中  元君       降旗 徳弥君    安井 大吉君       山口六郎次君    萩元たけ子君       柳田 秀一君    岡  良一君       杉山元治郎君    亘  四郎君  出席政府委員         厚生政務次官  中山 マサ君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 六月二十四日  助産婦の教育制度実施に関する請願(佐藤芳男  君紹介)(第一五七一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣  提出第九六号)     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず理容師美容師法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。降旗徳弥君。
  3. 降旗徳弥

    降旗委員 昨日いわゆる学校側業者側陳情をいろいろと聞いてみたのでありまして、その間におきましていろいろの事情を理解し得たことを喜ぶものであります。従つてこの改正案につきまして、今後理容師美容師たらんとする者に、公衆衛生知識及び技術をより高度に教授せんとする趣意においては、私は非常によろしいと思います。しかしながら現在におけるところの施設におきましては、必ずしも万全を期することができない。心ははやつても、その施設が未熟であるというものも決して少くないと思うのであります。さらにこの施設について修得あるいは修学せんとする者につきましても、必ずしも財政上ゆたかな者のみにあらずして、昼間においてこの施設に通学することのできる者のみでない。夜間においても何とかしてこれを学習せんとする希望を持つ者、あるいは辺陬の地においてこの資格を得んとする者、これらの事情考えてみますと、いろいろの問題を現実の問題として処理しなければならぬ必要性があるものと思います。従つて理想はかくのごときものでありましても、現実は必ずしも理想にマッチしておらない。この問題を処理することがすなわち政治である、こういう立場から申しまして、私が先ほど申しましたように、昼間の教授の問題、夜間教授の問題、あるいは通信教授問題等のことが、この法第二条及び第三条を改正せんとする趣意の中にあるかどうか、この点を明確にお伺いしておきたい。
  4. 楠本正康

    楠本政府委員 現在ここに提案いたしました改正案は、従来は学校に通学して教育を受けることのみを規定した形になつておりますが、今後の改正案におきましては、もちろん通学教育ということもございますが、同時にただいま御指摘のようなものに対する便宜を考えますために、たとえば夜学であるとかあるいは通信教育であるとかいうようなことを実施したいというのが改正案趣旨でございます。
  5. 降旗徳弥

    降旗委員 次にお伺いしたいのは、この理容師及び美容師試験内容の点についてであります。私の考えから申しますと理容師美容師技術を持つているものを、公衆衛生立場から規制せんとすることがいわゆる近代の公衆衛生立場から必要である。従つて技術を持つているけれども公衆衛生が零では困る。であるから公衆衛生学術試験をする、これが常識だと思うのであります。公衆衛生知識を持つているが、技術があるかないか試験するのであるというのは、いささか倒施逆行のきらいがあると私は思うのであります。従つてこの試験制度につきまして、昨日松永委員から申されましたごとくに、試験には合格したけれども技術者としては全然問題にならないものである、非常に迷惑をこうむつたという事例が大阪府にある。こういうようなことはそもそも試験趣旨をはき違えたものであると断じてもさしつかえない。従つてこの試験制度立場から申しますと、私どもはやはり技術試験学術試験というものをおのおの尊重して、そしてただいま私の申しました趣意にもとらないような方法をとつてつていただきたい。この試験の問題についてさようなお考えがあるかどうかお伺いしたい。
  6. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘のように、今後試験実施にあたりましては、当然公衆衛生重点を置いて、これに当つて参りたい所存でございます。
  7. 降旗徳弥

    降旗委員 重ねて申し上げますが、私は公衆衛生重点を置いてはいけないというのではありません。しかしながら理容師にしても美容師にいたしましても、これら技術なくしては理容師美容師たることもできない。ですから技術を尊重するというこの試験の息をお含み願いたい。  次に私のお伺いしたい点は、昨日質疑応答を承つておりますと、各府県においてそのやり方が大分まちまちであるようであります。これではこの法を整備する趣意にも沿わないことと思いますから、各府県においてまちまちな試験制度によるにあらずして、少くとも漸進的にはこれを統一ある試験制度によるようなお考えがあるかどうか、この点を二点あわせてお伺いしたい。
  8. 楠本正康

    楠本政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、現在各府県試験程度というものはかなりまちまちであります。そこで今後はできるだけ一つ基準のようなものを制定いたしまして、それにのつとつて府県とも大体歩調のとれた試験実施するようにいたしたいと考えております。そのためにただいま申し上げますように、一つ試験基準のようなものを定めたいと考えております。
  9. 杉山元治郎

    杉山委員 私は厚生委員が初めてでありまして、従つて本法案の過去の経過規定どもよく存じませんので、いろいろと私の質問はありふれたことになるかもわかりませんし、また昨日もちよつと用件があつて途中出ましたので、あるいは重領する点があるかもわかりませんが、どうぞその点をあらかじめ御了承の上にお答えをいただきたいと思うのであります。  まず第一に、条文の上から簡単に伺つて行きたいと思います。第二条の厚生大臣指定した養成施設、こう書いてございますのは、いただきました資料に、各府県指定養成所と書いてあります、その全国五つ指定養成所を示しているのでございましようか。
  10. 楠本正康

    楠本政府委員 資料に差上げました全国指定養成施設百五個は、第二条によつて厚生大臣指定を受けた施設でございます。
  11. 杉山元治郎

    杉山委員 そうすると、今ございます百五つ指定されたものは、全部そのままこれを指定養成所と認めて行くおつもりでありますか。それとともにあの資料を拝見いたしますと、非常にたくさんある地方とない地方とがございます。特に御指摘にもなりました秋田、山梨、長野、滋賀、鳥取というような五つ府県ではまつたく指定所がない。こういうような場所にはまた新たに設置するおつもりでしようかどうか。そういう分布の状態について政府の御意見を伺いたい。
  12. 楠本正康

    楠本政府委員 現在法律によりまして厚生大臣指定を受けているものは百五個でございますが、これらのうちもちろん今後内容整備状況あるいは運営状況いかん等によりましては、今後は指定の取消しもあり得ることと存じます。そうなりますれば当然もう指定養成施設としての機能は発揮できなくなるわけでございます。また通信教育実施いたします場合にも、個々に指定をして参りたいと考えております。  次に現在施設のない地方におきましては、昨日も申し上げましたように、でき得れば財政的な援助あるいわ財源のあつせん等に努めまして、これら地方にすみやかに施設ができるように努力いたしたい所存であります。
  13. 杉山元治郎

    杉山委員 この養成所教育程度というのは、第二十一条の学校教育法四十七条の規定によつて新制高等学校程度だと拝見いたしますが、今言う百五つ養成所というものは、はたしてそれくらいの程度があるかどうか。あるものもありましようが、中にはそれ以下のものがずいぶんあるのではないかと思いますが、もし今もお話のように、この程度に合わないものがあつた場合には、これを整備しあるいは急速に引上げるというお考えがございましようか。
  14. 楠本正康

    楠本政府委員 現在養成施設入学する資格は御指摘のように新制中学卒業生、またはそれ以上の学力を持つ者に限られております。従いまして現在の施設に在学いたしております者はいずれも中学卒業生以上のものであります。なお今後は暫定措置といたしまして、たとえば引揚未亡人等新制中学卒業していないものも暫定的に入学資格を認めて行きたいという所存であります。
  15. 杉山元治郎

    杉山委員 学校入学する者は今言う程度で、この資格を持つている者が入る、これはよくわかりますが、先ほどお話のうちにありました通信教育の場合、そのときの資格は相かわらずそれを認めるのか、そういう資格のある者のみに通信教育をするというのか。私の伺いたい点は、御承知のように、私立大学あたり通信教育をやつておりますが、これは必ずしもそういうような資格のない者が受けている。そうしてその学校受験さえすればその資格は得られる、こういうのが普通であると思いますので、この通信教育を願い出る者の資格が、やはりどうしても中等学校以上卒業していなければならないのか、それでは他の学校通信教育とはなはだ懸隔がある、こういう点について政府の御意見を伺いたいと思います。
  16. 楠本正康

    楠本政府委員 通信教育入学資格もやはり本法におきますると、新制中学卒業を条件にいたしております。ただただいま申し上げましたように、特別な事情のある者を救済する意味で、当分の間は暫定措置といたしまして、それ以下の者も通信教育入学ができることになつております。なお他の通信教育との関係でございますが、何分にもこの理容師美容師一つ資格免許でありますので、従つてやはりそこに何らかの入学資格というものを規定する必要があろうと存じております。なお、現在これと同じように技術的な問題を取上げまして通信教育を行つておりますのに、船員関係及び電気技術者関係がございます。これらもやはり資格を取得するという関係から、入学資格等規定しております。
  17. 杉山元治郎

    杉山委員 私はきようは議論をやめておきますが、技術を取得するというわけだから、むしろ最初の通信教育のごときは、そういう学校規定がなくても、あと技術及び学術試験をするのでありますから、そういう方法が、むしろ普通の通信教育と同じようにならない方が、かえつて多くのそういう人たちを救済するという意味において適当ではないか、私はこういう考えを持つておるのですけれども、この議論はきようはやめておきます。  そこで、今それ以下の者を入れる。つまり旧制の高等科卒業の者、ただそれだけがいわゆる特別のものでございましようか。あるいはそれ以外になおもつと拡大されている部分があるのか。それから「当分の間」というのは、一体どれくらいの期間をさしておるのか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  18. 楠本正康

    楠本政府委員 旧国民学校高等科卒業生及びこれと同等の学力考えまして、旧中学校の二年修了者をこの入学資格に暫定的に定めて行きたいと思つております。  なお「当分の間」というのは、これは結局何年くらいかということでございまするが、さような該当者がなくなれば、当然法律は失効して参るというふうに考えております。
  19. 杉山元治郎

    杉山委員 この前の二十六年の改正の場合、実地練習を経た者という、そういう証明ですね。この人は一箇年実際私のうちで練習したという証明を出す者は、一体普通の経営をやつておる人でもいいのか、あるいはこの人は一箇年経験を経た人ですということを証明する特別の場所があるのか、その点はどういうふうになつておりますか。
  20. 楠本正康

    楠本政府委員 この一箇年間の実習はどこの理容所あるいは美容所においてもさしつかえないことになつております。従いまして自分が一箇年間修業をいたしました施設証明書でいいことに相なつております。
  21. 杉山元治郎

    杉山委員 それから二十六年の改正のときには、二十八年六月まででこの免許を受けることができる、こういうようになつてつたようですが、今度は二十八年十二月三十一日というふうに六箇月延長しているのですが、このわずか六箇月延長した理由はどこにあるのでありましようか。
  22. 楠本正康

    楠本政府委員 六月三十日現在までに、旧来の試験のみにより資格を得る受験対象者が、不幸にして試験に不合格になつた者を救済する意味で、試験を若干延ばしたわけであります。ところがこれら不合格になつた者の数字は実際数学的にははつきりいたしておりませんが、私どもの想像では五千人を上ることはないと考えております。従いまして、これらの者の再試験は大体六箇月程度で完了することができるだろうという見通しであります。
  23. 杉山元治郎

    杉山委員 今お話のように、試験を受けて、受からなかつた気の毒な人たちが、六箇月以内に十分受けられる資格をとれるということですと、この法律けつこうだと思いますけれども、もしそういう人が不幸にして得られない、こういう人が予想よりも案外多かつたという場合があつたら、これはもう少し延ばす必要があると思います。なお御承知のように、今までも延ばして来たと思いますが、医学の試験にしても、そのほかの試験にしても、最後の場合にはやはり次々と延ばして行つた実例があると思うのですが、そういうことを見通して、長くせよということは、法律上あるいはむずかしいかもしれませんが、しかし政府親心として、そういうようなせつかく志をして試験を受けた人たちが、わずかなことのために資格を得られなかつたということは非常に気の毒だ、その人の前途の上にも非常に困ると思うので、むしろこういうものはもう少し親心を出して、そういうわずかの人を救済するというならば、半年でなく、せめて一年なり二年なり延ばしてやる必要があると思うのですが、どうでございましようか。
  24. 楠本正康

    楠本政府委員 大体私ども見通しでは、大した数でもありませんので、六箇月程度で完了するものと思つております。しかしそのときの実情によりまして、著しく意外に多かつたというような事態が生じますれば、またあらためて率直に研究してもさしつかえないと思つております。ただこの問題は、今後通信教育を受ければ、二年以内に堂々と卒業資格を得るわけでありますから、そう何年も延ばす必要はないのでありまして、たいていのところで見切りをつけて、通信教育の方を志願すれば、二年で片づくということに相なりますので、そう長く延ばす必要はない。今のところ六箇月程度常識であろうと判断いたしております。
  25. 杉山元治郎

    杉山委員 それはこのくらいにいたしまして、内容の点についてもう少し御質問をいたしたいと思います。養成施設程度を高めて学校教育にする。こういう理想については私どもも賛成するのでありますが、先ほど同僚委員の方もお話になつておりましたように、理容師美容師はむしろ技術というものを第一義に置いて行くのです。学校の問題も非常に大切でありますが、しかし理想理想であつても、現実に沿わないことでは、理想は何の役にも立たないと思うのです。ここに多数の方もおいでになつておるのでございますが、多くの方々から私どもが手紙などをいただいた点から見ましても、この理想理想としてけつこうであるが、しかし現在の立場からは、理容師美容師についてはもうしばらく現行のままで行つてほしい、こういうのが現在の多くの経営者の心持ではないか、こう思うのです。むしろ私自身としてはそういう関係は少いか知りません。つまり学校経営方々陳情を伺つておらないのであります。要するに実際のあり方を見ますと、多くの人たちが、まだ現在の状態では今のような試験制度のままにしておいてほしい、こういうふうに希望しておると思うのですが、この多くの人たち考えのように、やはりもつと試験制度を残しておくという考え方政府の方にないのか、こういうことを一応聞きたいのです。
  26. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘のように、学校教育によることが理想であることは私どももさように信じております。そこでだれしもがその学校教育を受けられるように門戸開放の道を開きますれば、問題は解決するものと考えております。従いまして今回は通信教育その他によりまして、だれでもがいながらにして教育を受けられる機会を与えることこそ、資質の向上の点から見ましても、技術向上の点から見ましても、けつこうなことではなかろうかというふうに考えております。
  27. 杉山元治郎

    杉山委員 それでは先ほど申しますように、知識向上もでき、また技術も非常に堪能になる、これはけつこうなことですが、しかし先ほどからもお話がありましたように、理容師美容師はまず第一に腕の問題である。腕ができるということが一番大切である。そして政府の求めておる公衆衛生に関する知識だけは備える。高等学校程度知識でございましようけれども、それはいろいろと講習なり何なりで教育方法があるのではないか。従つてやはり重点的に、今までのように経営者技術の練磨をさしておいて、そうして公衆衛生に関する知識だけは、講習なり何なりで与えて行く、こういう方法による養成の道はどうか、こういうふうに考えるのです。
  28. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘のような方法で、しかも学校卒業の免状をもらいますれば、一つのプライドを与えたことにもなりまして、また自分で断片的に勉強いたしますよりも、系統的に各種の公衆衛生上の知識その他を習得できますので、私どもといたしましてはこの方が無難でしかも効果多い一ものと考えておるわけであります。
  29. 杉山元治郎

    杉山委員 通信教育の点を高調されておりますから、私はあまり多く申しませんが、やはり町の養成所なりにいなかから来て入りますと、聞き及ぶところでは、少くとも一年に十万円あるいは十五万円の費用がいる。こういう費用がいりましては、これで道を立てたいと考えておるいなか人たちがありましても、なかなか容易にできないわけでありますので、先ほど申したように近くの営業者のところで熟練させていただき、そしてあと公衆衛生に関する部分だけは、本によりあるいは保健所によつて大いに学んで行く。こういうふうにして試験を受けることができるならば、今よりもつともつと簡単にこの人たちの道を開くことができるのではないか。また今日の場合は、こういう人たちを救済するために、いわゆる社会政策の上からも必要でないか。こういう考えを私は強く持つておるものであります。そういう意味で、厚生省こそもう少し社会政策的な見地から、それをやつてやらなければならぬ役所であると思います。いかにも学校教育は必要でありますけれども、ただ理想にのみ走つてはならない。こういう意味で私は、厚生省なるがゆえにもつと強くこういう方法をとつていただいたらどうかという考え方を持つておるのであります。
  30. 楠本正康

    楠本政府委員 私どもは、ただいまるる御説明申し上げておりますやり方によりまして、大体御趣旨に沿う教育ができるものと考えまして、決して教育の門を狭めるというようなことは考えておりません。ただ御指摘のように、現在の数多い養成施設のうちには、かなりいかがわしいもの、あるいは利益追求的なもの等もあることは、私たち十分承知いたしております。そこで問題は、さような一生懸命に家で働きながら勉強しようという者が、たとえば食いものにされたらこれはたいへんでありますから、その点は今後監督を厳にいたしまして、さようなことのないようにとりはからいを進めて参りたいと存じます。それなればこそ今回新たに厚生大臣監督権の一部をも都道府県知事に与えまして、これらの監督を厳重にいたしまして、りつぱに学校公的性格に発展いたして行きますように努力いたしたい所存でございます。
  31. 杉山元治郎

    杉山委員 それはそれにいたしまして、厚生省親心を持つて地方のそういう気の毒な人たちの道を開くために、先ほどお話通信教育というものをこしらえていただいたことは非常にけつこうだと思いますが、その通信教授をいたします場所は、これは指定教育施設のあるところはみなやれるのですか。あるいは特殊な優秀な学校でやるのか、あるいは政府自身がそういう通信教育をやる場所をつくるのか、またそのテキストはだれがつくつて、どういうように出して行くかという通信教授テキストの問題、その出す場所はどこか、こういう問題について政府はどういう標準を持つておるのか、一応聞かしていただきたいのであります。
  32. 楠本正康

    楠本政府委員 通信教育は、現在指定されております養成施設教育の一環として行うわけであります。従いまして養成施設がこの通信教育実施することになりますが、しかしながらこの場合には、やはり通信教育として新たに厚生大臣指定を受けなければならぬことに相なります。従いまして、たといやりたくても厚生大臣指定基準に沿わないようなものは実施ができません。かような点は今後十分に注意をいたしまして、まかり聞違つたよう通信教育が行われないように留意して参りたい所存であります。  なおテキスト等の発行につきましては、これは小さな施設がたくさんにかつてばらばらなテキストをつくるようなこともかえつて経費倒れになりまして、それがやがて勉強する者の負担にもなるおそれもありますので、かようなものは、できましたならば通信教育を行います学校がお互いに相協力して一つの形を定め、そして安い資料を提供して行くような考慮が必要であろうと考えております。
  33. 杉山元治郎

    杉山委員 お話のように、できるだけ費用をかけないで勉学したいという人たちがおもでありますから、そういう場合にはできるだけ安くこれをやれる方法を考慮していただくことを、まず第一にお願いいたしますとともに、もう一つの問題は、厚生大臣がこれを厳重に監督するでありましようけれども、しかし私はもつとこれを完成すると申しますか、間違いのないようにいたしますために、むしろそういう通信教授のため、特別に厚生省はいわゆる通信教授審議会と申しますか、委員会、こういうものをおつくりになつて、そうして通信教授に関する完全を期す、そうして誤りないようにする、こういうようなお考えがあるかどうか。そうしてそういう審議会をつくるならば、その委員のメンバーとして、役所の人はもちろんのこと、また学識経験のある人を入れることも当然でありますが、それとともに、やはり今やつている学校経営者も入れるでしようが、特に実際に経営している人たちも入れて民間の気持も取入れる、そういうような心構えがあるかどうか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  34. 楠本正康

    楠本政府委員 通信教育の円滑な運営あるいはその企画をはかりますために、ただいま御指摘のように私どもといたしましてもできるだけ各方面の知識、特に施設経営者、あるいは業界、あるいは学術経験者、その他文部省関係等にはすでに通信教育実施している経験者も多数おりますので、かような人たちと十分に協議をして事を進めて参りたいと思います。従いまして具体的にはどういう形になるかということは別といたしまして、おそらくただいま御指摘のような協議会的なものができて十分に研究することと考えております。
  35. 小島徹三

  36. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私はきのう質問をいたしましたけれども、もう一度同じことを残念ながら部長にお確かめいたしたいのであります。ただいまの厚生大臣指定するところの養成施設卒業証書をもらつた人たちが、さらに都道府県知事試験を受けなければならない、その都道府県知事試験が現在各府県によつてまちまちであり、程度が違い、内容が違つて非常に欠陥が多い。たとえば私などのいなかの方で見せてもらつておりますと、受験者が七人ぐらいに試験官が十人も居並ぶというような場合がある。こういう場合を考えますとはなはだこつけいであります。しかもそのところによりましては、駅前のはやつておる散髪屋の弟子は落すというようなことがあつたりして、なかなかきわどい芸当が行われておることがしばしばあつて厚生省の目が届かないで非常にこれは欠陥を生んでおると思う。私がきのう強調いたしましたように、試験を受ける方の身になつてみれば、人生の最大事であつて、これで食つて行こうとする人たちが、二重に門をとざされておるということは、私ははなはだ残念でございます。私がきのう指摘いたしましたように、政府がその内容を充実し、半分以上の人たちをただで養成するような公共的な施設をつくつて来たならば、私はその内容も一貫したものができ、監督も行き届き、今日のような弊害を生まなかつたと思いますけれども卒業してもさらに免許状を受取らなければならないための試験を受けなければならないということは、はなはだ残念でございまして、きのうから部長がお答えになつておるように、養成施設というものに労働省と連絡をとり、起債のわくの中に侵入して行つて、これが保護施策をとる、それから融資の面も考えてあげるというようなことをして、いかがわしい学校はこれを征伐し、よいものを助長し、公共的なものをふやして行くという線に立つならば、都道府県の知事の試験は廃止されてしかるべきだと思う。私はこの二重にとざされている門、零細な家庭から立ち上らんとする人々のために、是が非でもこの試験制度は廃止してもらつて学校卒業証書をもつてこの人たちの最後の関所としてもらいたい、こういうことを切望するものでございますが、いついかなる時代になつても、いかに充実しても、やはり試験は二重の門をそのまま持つて行かれるつもりであるかどうか、私は二重の門であるこの最後の都道府県知事試験はこの際廃止せらるべきであるという考えを持つておりますので、ひとつこの委員会部長にはつきり言質をいただいて、この法案に対する態度をきめたいと思います。
  37. 楠本正康

    楠本政府委員 施設整備の現段階におきましては、今ただちに都道府県知事の行う試験を廃止することはできないものと考えております。なおこの試験実施にあたりまして若干の弊害も伴つておりますことは、私よく承知をいたしております。しかしこれらはいずれも試験やり方そのものが悪いからでありまして、今後できるだけ試験やり方を合理的に改善いたしまして、弊害を除去いたして行きたい所存であります。
  38. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 将来養成施設が充実されたあかつきには試験撤廃の意思を厚生省はお持ちにならないのですか。
  39. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、施設整備の現段階においては試験を撤廃することはできないということを申し上げているわけであります。
  40. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 現段階においては、私も認めるからいろいろとるる申し上げておるのであつて、そのあかつきにはこれはとるべきであるという考えをお持ちになつておられるかどうか、またとるべきであると方針をおきめになつておるかどうか、ひとつ伺いたい。
  41. 楠本正康

    楠本政府委員 私どももこの施設の充実に今後力を尽して参りたい所存であります。従いまして近い将来施設の充実状況を見まして、それによつて十分に御趣旨の点を研究いたしたいと考えております。
  42. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 多数の養成施設監督し、運営内容にまでいろいろ指示をなさる厚生省が、都道府県の知事の試験を月下行つておられる。これは暫定的なものであつて、将来これをとるというところの自信をこの際はつきり示されたいのでありますけれども部長はいろいろな関係があつて、はつきりしたお言葉が出せないならば、私はこの辺で妥協しておいてもよろしいですけれども、私はくれぐれも言つておきますが、非常に一生懸命に零細な小づかいをためて働く人々が、二つの試験の門をくぐらなければならないということは、非常に殺生なことなんです。ですから私はくれそれもやめていただきたいという希望を申し述べておきます。  それから養成施設を経た人々が都道府県知事試験を受ける、この欠陥をいろいろお認めでありますが、各都道府県において五人の受験者に七人の試験官が並ぶというような弊害を除去するためにも、将来ブロックごとに固めてやるとか、それから全国的に一つ試験問題というもののレベルをきめて、この問題によつて何点以上でなければ全国的に合格しないとか、これができればこの線で認めようとかいう画一的なものをおきめになるような、具体的な方針をお持ちになつておるかどうか、ひとつこの点をお伺いしておきたい。
  43. 楠本正康

    楠本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在やつております試験は、県によつてかなりまちまちでもありますし、またそのやり方等についても十分研究しなければならぬ点がございます。むしろこれを簡素化するような必要の面も多々ございます。そこでこれらの点につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、試験一つ基準というようなものを定め、次にはその実施方法等につきましては、弊害にわたらぬように、あるいはもう少しく試験そのものが簡素になるような措置を、具体的に考えたいと存じます。
  44. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 政務次官が御出席になりましたが、昨日政務次官はおいでになりませんでしたけれども、大臣が指定するところの現在の養成施設というものを経なければ、一人前の美容師になれないということを、昭和二十二年来政府は掲げて来た、そしてこれを示して来た、その方針を局長通達でやつて来たのです。ところがその学校に行ける人たちが何人あるかということを考えてみると、現在の政府監督状視では、また施策、方針のもとでは、どうしても公共立の安上りの学校であるとか、どんな山間僻地にも便宜をはかれる学校というものができておらない。なぜかと申しますならば、政務次官も御存じのように、美容師理容師たらんとする人たちは庶民階層から多く出ておる。従つて宝塚の音楽学校卒業させるとか、女子医専を卒業させて医者にするというような階級から出ているのではない。従つて学校を出なければお前たち美容師理容師になれないという法律を国が掲げた以上は、国が責任を持つて学校にその人たちが入れるような方法を講じてやらなければならないのであります。これは端的に言えば、国の費用で、都道府県と連絡をとつて、公共立のものにしなければならない。しかも授業料の払えない者、一人前になつてから学資を返す者、未亡人などに対しましては、その窓口を広げてあげて、そして授業料の免除をしてあげるような規定がなければならなかつた。それがなかつたがゆえに、今日批判される私立の学校の何がしが出て来た。いかに法律をつくつてみても、これらの親心が示されなければ、この人たちは救われることができない。しかも今日以後におきましては、養成施設へからだを持つてつて卒業する者、大臣が指定するところの養成施設から通信教授を受ける者、また夜間通う者など、おしなべて学校卒業証書をもらわなければいけないようになつた。その際に通信教授内容は非常に充実したものであり、奉仕的なものであり、しかも安上りのものでなければならない。そうなつて来ますと、今出血のような状態学校経営をしておる内容の悪いような経営は、通信教授ども二箇月の面接期間というのがありまして、二年のうち二十二箇月までは講義録を読んで勉強しましても、残る二箇月をこういう学校に来て科学、衛生知識を学ばなければならぬというようなことが起つて参りますから、百パーセント生徒を収容しております場合に、その二箇月間の受入れができないわけです。そうすると施設を拡充上、先生の陣容を整え、中の設備を充実させて、これがために金を使わなければならないので、さなきだに赤字の学校が窮乏して行く。そうすると通信教授内容はてんでんばらばらになり、疎漏になつて、その負担が生徒にかかつて来る。だからこれを補助育成しなければ学校はやれないだろうということを強調いたしましたところ、部長は労働者と連絡をとつて、職業補導所の一つ指定にしてもらつて、安上りでやらせるとか、公共的なものをやらせるとか、それからこれからできるところの学校は公共立を目ざす、そして今日までやつて来た学校に対しては、いかがわしいものはこの際整理しなければいけませんが、しかしいいものに対しては起債のわくの中に入り込んでこれを保護する、そして中小企業でありますから、業者の方々とか、学校経営方々には融資の面から助長してあげて、業界のために、また学校充実のためにいろいろとはかつて行くということを答えておられるのであります。部長はこう良心的なことを答えておられますけれども、具体的に大蔵省と交渉なさいまして、起債のわくをどれだけもらえるとか、労働省はどこまでは協力しなければいけないとか、それからまた融資の面では、中小企業金融公庫というものができたときに、どの程度まで食い込ませてほしいというような具体的な要求が、大臣なり政務次官から与えられなければ、実現しないと、今までの例を見て私は思つておるわけでございます。  従つて、政務次官幸い御出席でございますから、部長とよく御連絡になりまして、今後働く人々のためにこの点十分確保していただきたいということを要求しておきたいと存じます。
  45. 中山マサ

    ○中山政府委員 ただいま堤委員から御発言いただきましたことはまことにごもつともであると思うのでございます。ことに私も婦人の政務次官といたしまして、今お話の通りに、庶民階級の最も生活を樹立するに近道であるこの門が、だんだんむずかしくなつて参りますことに関して、この国会が開かれまして重いろいろ御陳情を伺いまして、心を痛めて参つた次第でございます。ずつと前に掲げられました学校一本ということは、この委員会において御可決になつた結果が、六月三十日をもつて打切りということになつて、ずいぶん御心配になつていらつしやる向きもあるようであります。それでいなかにいらつしやる方あるいは学校にめつたに行かれないでお困りになつておられる方々の救済の意味で、この通信教育考えられたわけであります。あなたも師範をお出になつたと承つております。真相は知りませんが、そういう学校に入る優秀な人々に対しまして国家が責任をもつて教育をして行くのであります。そういうわけでいろいろな制度もこれからまた生れ出なければならないと私も考えております。国民の半数以上を占めております女性の生活を危うくすることは一大きく言えば国民の安定を欠くということにもなるかと思つて、いろいろと心を痛めておる次第でございますから、これからだんだんといろいろな問題がよくなるように研究いたしまして、大臣の御裁可を仰ぎ、また部長の御援助をいただきまして、いろいろな方面と交渉し、逐次改善して行きたいと考えております。
  46. 小島徹三

    小島委員長 他に本案についての御質疑はございませんか。——他に本案についての御質疑もないようでありますから、本案の質疑は終了したものと認めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小島徹三

    小島委員長 御異議ないようでありますから本案の質疑は終了したものと認めます。  次に本案の討論に入ります。松永仏骨君。
  48. 松永佛骨

    松永(佛)委員 私は自由党を代表いたしまして本改正案に賛成をいたすものであります。  昭和二十二年制定された本法が、昭和二十六年の六月に理髪師、理髪所の名称を理容師理容所に改める等、大改正が行われ、今日に至つておるのでありますが、その後の実情によりまして、今回この一部改正を行うことはきわめて適切であると存じます。特に通信教授等の道を開いて、文化の向上公衆衛生の徹底による国民大衆の福利をはかろうとするこの法に、親心を持たせた点は一歩前進であることを認めるわけであります。私は本法運営上長も肝要であると考えられる諸点を希望条件として、本案に賛成いたすものであります。  一、試験の建前を学科試験技術試験の二つとし、各別にこれを行うこと。  二、試験は各府県ばらばらにこれをなさず、統一的の方法によること。  三、通信教育については特にその充実を期すること。  四、三箇年以上補助的業務に従事しておる者については、一年以上の速成通信教授を受けることによつて受験資格を与えられること。  以上の希望条件は、手続上時間的にも本案の修正をいたしがたいので、やむなく多数委員意見によるきわめて強い要望であることを銘記されたいと存じます。
  49. 小島徹三

    小島委員長 古屋菊男君。
  50. 古屋菊男

    ○古屋(菊)委員 私は改進党を代表いたしまして、若干の希望意見を述べ本案に対し賛成の意を表するものであります。そもそも理容師美容師法が高く掲げておりますものは、理容師美容師技術向上をはかるとともに、修業過程における古い徒弟制度を廃して、企業の近代化をはかろうとするものでありまして、真にけつこうなものと考えられますが、ただ終戦後における諸般の制度改革と同様、理想を追求するに急のあまり現実に即し得ないという面も否定し得ないと思います。かかる意味におきまして、従前もしばしば改正されて参つたのでありますが、現在における業界の現実も、まだ法の規定に即し得ない状態にありますので、いましばらく法の完全施行を延期して、業界の混乱を防ごうとすることは時宜を得たものであると同時に、新たに通信教育その他によつて免許取得のための受験資格を与える道を開きましたことは、都市偏重の弊を是正して、中小都市及び農村における就業希望者に門戸を開放し、大きな便を与えたものでありまして、これは適当の措置と考え、希望を付して本案に賛成の意を表するものであります。  一、従前各都道府県実施しておりました免許取得のための試験内容が必ずしも適正なものではなく、きわめてずさんなものであつたというそしりは免がれなかつたのでありますが、こういうような状態を是正し、適切な統一せるところの試験実施するよう、関係当局の積極的な指導、監督をお願いいたします。  二、本案の通信教育その他によつて、働きながら資格を取得する道が開かれたのでありますが、この通信教育は完備せる養成施設において、十分なる監督のもとに実施することを、特に要望するものであります。  三、他の企業より見て比較的投資少額で開業できるため、設備の不完全な営業所の出現が多いようでありますが、公衆衛生の面からまことに遺憾にたえないところであります。これが防止措置を積極的にはかつていただきたいと思います。  以上であります。
  51. 小島徹三

    小島委員長 長谷川保君。
  52. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本改正案に賛成せんとするものであります。  本法案の改正にあたりまして、われわれが強く主張いたしました通信教育の問題、あるいは夜学、あるいは国民学校令によりまする高等小学の卒業生等に受験の道を開かれることを明確にせられましたことを、私は深く喜びとするものであります。さらにまた受験者に対しまして、今年末までその期間を延長せられ、いまだ合格いたしません五千人の人々に対して、これを救済する道を開きましたことについても、私は深く喜びとする次第であります。しかしながら今後この法の運営にあたりまして、私は次の諸点について、当局の十分な御配慮を要請せんとするものであります。すなわちまず通信教育の点でございますが、その通信教育をいたします学校指定基準、あるいは先ほども同僚議員からお話のありました教科書の選定等につきまして、業者代表、学校経営者代表等々を含めました協議会、あるいは審議会というようなものをつくられまして、これによつて民主的な基準の設定、あるいは教科書の選定等がなされまして、この通信教育運営に遺憾なからんようにせうれるように希望するものであります。さらにまた今日学校の未設立の県、地方等におきましては、財源の問題が大きな問題となつております。これにつきましては政府当局で答弁せられましたところの起債、あるいは融資補助等等の点が、どうか今回のこの委員会におけるかう答弁でなしに、実質においてこれが確実になされますように、政府当局の十分なる御配慮をお願いしたいのであります。  さらにまたいまひとつ、この通信教育を行うにあたりまして、いまだ学校等の十分な設備のない地方に対しましては、政府当局が委員会において言明せられました通り、保健所その他適当なる業者の店舗設備等を十分に利用せられまして、この通信教育学校教育運営に遺憾なきを期せられますよう、切に要望いたしまして本案に賛成するものでございます。
  53. 小島徹三

    小島委員長 堤ツルヨ君。
  54. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私はわが党を代表いたしまして本法案に賛成の意を表するものでございます。  本法案の改正は、現段階に即応した当を得た改正案であると存じて、御同慶にたえないのでございますが各委員との質疑応答を承つておりましても、政府におきましては幾多の問題を残していると存ずるのでございます。いわゆる部長が目下研究中、よろしく考慮して、慎重を期す、というような言葉を羅列されましたが、ただいま長谷川委員の御指摘のように、これが単なる抽象的なお答えでなくして、今までとは違うところの誠意ある施策を切に願つておかなければ、この法律は百パーセント生きないものであるということを御忠告申し上げたいのでございます。  特にわが党から要求いたしたいのは、養成施設に対するところの今までの監督不十分、さらに政府の怠慢の点でございます。いかがわしいと批判されるところの学校が出て来た私立問題に対しては、新たなる検討を加えられまして、門をくぐる人々のためにこれが悪いものはなくし、いいものは助長されて行くことを私は切望すると同時に、起債の件、融資の件についても、お答えになりましたように、保護政策をとられんことを要望するのでございます。  なおいまだ養成施設を持たないところの山間僻地を多く持つている地方府県に対しましては、できるだけこれを公共立とし、これに補助金を与えて、ぜひ近いうちに、全国都道府県至るところに施設なきものなしとして、いただきたいということを要望するのでございます。  次に通信教育内容でございますが、通信教育は官民一体となつてこれに協力するの態勢が整えられなければ、はなはだいかがわしいものになると私は存ずるのでございます。松永委員から御指摘がありましたように、できるならば全国的に画一的なものとされ、そして同時に行われますところのこれら卒業者の試験につきましても、全国画一制をとられて、今までの不公平を何とかして是正されたいと存ずるのでございます。なお通信教育によつてその負担が重きに失し、門をくぐらんとする人々がその目的を達し得ないのでは、私たちの意図した目的に沿いませんので、どうか安くしかも完全な通信教育がお互いの協力によつて、道を開かんとする人々のために、ひとつ強力に押し進められるように特に厚生省令をおつくりになり、これらの施策を具体的にお進めになるときには、この委員会の意図も了とせられて、ひとつ委員会にもお諮りになつておきめ願いたいということを要求いたしておきたいのでございます。  第三点に要求いたしたいのは、試験制度の件でございます。わが党といたしましては、二重の門になりつつあるところの試験制度は、将来施設が充実しましたあかつきには、廃止せらるべきものでなければならないことを強調いたしました。但し現段階においては、どうしても試験制度というものを無視することはできないという政府当局の見解でもあり、私たちにおいても、それをある程度認めますので、これを認めたいと存じますけれども、大臣の指定した養成施設を出た人々が、さらに都道府県知事試験を受けるのに、今日いかに戦々きようきようとしておるか、しかもこれが幾多の弊害を生んでおるという現実を見まして、私はこの二重の門である都道府県試験制度は、一日も早くこれを廃止できるように養成施設の充実をお願いいたしたいと存ずるのであります。  この法律の目的は、学校にからだを持つてつて、月々何がしかの授業料と生活費をみずから償いながら、この目的を達し得ない零細な子弟への道を開いたものでございまして、ことにわが党といたしましては、この零細な道を切り開かんとするところの、しかもこれを生涯の仕事として、これで食つて行かんとする人々に対しましては、政府は将来私立のものに対しましても、なお公共立のものに対しましても、できるならば何人までは授業料を免除するとか、特定の恩典を与えるとかいうような受入れ態勢をつくるようにされまして、どうしてもこの学校に行きたいけれども行けない、また講義録が読みたいけれども読めない人の道を開いてもらわなければ、私は要保護世帯の子弟を救うことができないということを特に政府に御忠告申し上げておきたいと存ずるのであります。  本制度は、私たちはその志さんとするところの国民層をよく検討いたしまして、何とかしてできるだけ多くの人たちの希望を生かしたいと念願するものでございますから、要するところ、養成施設の充実も、講義録の内容の問題も、試験制度の撤廃の問題も、また授業料を免除してあげる方々、零細な人々への特定の道も、すべて食つて行かんとするところの大衆への奉仕であるということをお忘れなく、政府におかれましては、今日までのような怠慢ずさんな施策を御反省になつて、今日以後努力されたいということを切に要望いたして、賛成の意を表するものでございます。
  55. 小島徹三

    小島委員長 亘四郎君。
  56. 亘四郎

    ○亘委員 私は自由党を代表いたしまして、本一部改正案に賛成の意を表するものでございます。  本月末から実施されるにあたりまして、全日本の業者が真二つに意見がわかれまして、そうしてお互いの立場において、養成施設だけを利用するこの法律案実施に対して、強い反対をされて参つた一部があるわけでありますが、この賛成と反対の両者の御意見を承りまするに、その両方の御意見が、私ども委員立場としてこれを拝聴いたしますときに、まつたく傾聴に値するごもつともの御意見が両者からあつたわけであります。その両者の御意見を調和いたしまして、そうしてここに一部改正案ができたわけでありますが、これは今日の段階におきまして、これ以上やむを得ない改正案ではなかろうかと、かように考えるわけであります。要するにこうしたいろいろ大きな意見の相違のできます原因はどこにあるかと申しまするならば、その法律の目的は、こういう業者の資質の向上、それから公衆衛生の確保という観点に立つてつくられてはおりますが、これが実施にあたりまする養成施設の各地方における不十分、また内容等につきましても非常に不健康である、こうした点からいろいろ御意見があつたわけだと思うのでありますが、こういう点を私は十分考慮に入れられまして、できるだけこういう施設の各分布状態につきましても、なるべく地方の実情に沿うように考慮を払い、また内容につきましても、申すまでもなく十分本来の目的に沿うような内容に育成して行くという努力をこれから強くやつていただかなければならないと思うのであります。幸いにいたしまして、通信教育あるいはまた夜間学校等の授業等によりまして、幾分の目的が達成されるわけでありますが、しかしながらこの通信教育にいたしましても、なお本法案だけをもつてしては、これを強制するところの強さがないということでございまして、この点私は憂慮にたえないのでございますが、できるだけ実情に即しまして、この通信教育等もある程度の強制力を持つたと同じ効果が上るように、これはぜひしていただかなければならないと思うのであります。どうぞ当局におかれまして、こうしたいろいろの不十分な点がある現在のこの法律案ではありますが、現段階におきまして、これ以上の処置としてとることができなかつたという点も私どもは了承するわけでありますから、一段と今後とも十分な誠意をもつて御努力を払われんことを希望いたしまして、本案に賛成の意見を表明するものであります。
  57. 小島徹三

    小島委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  58. 小島徹三

    小島委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。次会は明後二十七日土曜日午前十時より開会いたします。     午前十一時四十八分散会