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田中(角)
委員 建設大臣の御答弁で、大体満足をしたわけでありますが、新しく
主計局長になられた森永さんがおいでに
なつたようでありますから、私の今の話を聞いていただいておるとよか
つたのでありますが、私の話が終
つて、
大臣の答弁のときに
ちようどおいでにな
つたので、繰返して申し上げる必要はないと思いますけれども、計数的に非常に明るいあなたでありますから、簡単に申し上げますと、戦後すでに毎年千五百億ずつの
災害を重ねておるわけでありまして、
年度予算の総額の四分の一が費え去
つておるわけであります。ただ、この
数字だけを考えてみますと、大したことはないのでありますが、国民総所得を四兆ないし五兆に押えた場合は、これは五%ではないかということが考えられるのでありますが、この山と水の問題は、私が言わないでもおわかりのように、
災害は
災害を呼ぶのでありまして、これが五、三の比率で三箇年で終らないという場合には、火は火を呼び、
災いは
災いを呼ぶという非常に古い簡単な言葉でありますが、これほどはつきりしておることはありません。お隣の支那でも、水を治める者は国を治めるという言葉がありますが、今の
日本はまさにそうであります。水を治める者は国を治めるというわけでありまして、このままで進めて
行つたならは
——これは何人でも考えられるところの問題でありますが、特に私はひとつ大蔵
委員にしてもら
つて、今度少し財政の勉強をしようと思
つておるのでありますが、戦後の
予算編成には、新しい
憲法がしかれて、特に議会
内閣制であり政党政治でありますから、やはり大衆の声も聞かなければならぬということで、結論的には総花的にな
つております。これは新
憲法下におけるこういう
制度の
一つのマイナス面の露呈であります。やはり
戦争に負けた
日本がこうして立ち上るのですから、ある
程度ある面においては窮乏も忍ばなければならぬ。ある面においては、生産的な面に対しては勇敢に投資も行わなければならぬ。特に二十八年度の
財源が枯渇をしておりまして、二十九年度の
予算編成に対しましては、財政投融資はほとんど考えられない。二十八年度補正においても同じく
財源がない。もちろん、あなた方が言われることも、私たちはそのまま受入れるわけであります。しかし、こういうふうな
予算の編成の仕方とか、しかも二十八年度においては、公共事業費で盛られておる新規事業でさえも押えなければならぬじやないか、これは確かにわかるのです。それでまたここでも
つてわずか十億か十五億のものを受けることによ
つて、来年度はそれが十倍にな
つてはたしてつけられるかという考えはわかりますが、私は釈迦に説法式でありますが、私の考えをも
つてするときには、他面においてここにどうしてもやらなければならぬ問題があるのでありますから、これはやはり二十九年度の
予算及び今年度の補正等については、時の
政府が大きな線を打
出して、その線に沿つたところの事務的な技術的な操作を進めてみるということでなければ、この二十九年度の
予算編成はできないのでないか。できなければ、こんな
治山治水十箇年
計画を二十箇年
計画にしたところで、これは問題になりません。こういうことを
明治初年から続けておるところに、相かわらずの
災害が続いておるのでございまして、先ほど
米田君の
説明の中で、たつた
一つ私の頭の中にぴんと入
つたのでありますが、
全国的な
災害は三回目である。その第一は
明治二十九年である。
ちようど三億五千万円の
日清戦争の
賠償金が入
つて来たから、そのうち一千万円だけ
災害基金として
出した。米の値段から言いますと、
ちようど五千倍でありますから、二十九年度は五百億であります。タバコや何かの一万倍という大きな
数字から言うと、これでさえも一千億という
程度でありますが、実際今の公共事業というような費目は、
予算面においては相当大きくと
つておるのでありまして、これ以上とれないというけれども、確かに実際の需要する金額に比べると非常に小さいわけです。だから、そこに金はない、ないそでは振れない。但し、やらなければならぬ、これが
財源一ぱいだというのが毎年の
予算でありますが、少くともあなた方は専門家でありますから、今度は財政インフレになるとかそういうことではなく、知恵をつけられて、インフレにならない金の
出し方もあります。私たちも、まつたくどうにもならない会社を引受けて、金をうんとつき込んで何とかなる場合もありますから、私は二十九年度の
予算編成及び二十八年度の補正に対しては、これは大蔵省の財政当局が新しい
予算編成に対して、大蔵省の財政技術屋にまかすか、新しい
制度をも
つてやらなければいかぬかという、
一つの試金石だと思います。これは財政技術屋にまかせる
段階にあるか、もしくは新しい構想のもとに編成しなければならぬか、国家的に見て私はそうなると思う。こういう難局に新しく
主計局長になられたわけでありますし、次官は特に前
主計局長でありますから、これは大蔵省として非常に大きな問題であります。またわれわれは弱小二百二名の与党しか持
つておりませんが、二百二名のときに、よくもこういう重大な難関にぶつかつた。今こそ勇敢にこういう問題に飛び込まなければならぬということを考えておるわけであります。私たちは、ただ党人であるから、政党に属するからというような簡単な問題ではなく、これはもう
予算編成という問題に対しては、
与野党いずれが
内閣をと
つても、こういう問題は今年よりも来年、来年よりも再来年ということにな
つて、どこかでも
つてこれは打切らなけければならぬ、新しい編成
方針に切りかえなければならぬ、こういうふうなときだろうと思います。特に二十八年度は、新聞に散見するところによると、まずたいへんであります。これは自由党
内閣を持
つておる与党は、たいへんだというのじやなく、特に新規事業を打ちとめる、とにかく二十八年度の補正も何もできない。二十九年度のこの種の
計画をつく
つても、金が出ないというのでありますと、これはもうだれが天下をと
つても、とてもや
つて行けません。だから、私は今こそ、ないそでは振れないというようなことではなく、打切るものは打切る、政治的な圧力に対しても、敢然として抗するものは抗する。そのかわりに、あなた方は財政技術屋として、いいと思うものは勇敢に
内閣に提示をしてもらわなければならぬ、また
内閣もこれを大幅に取入れるということでなければいかぬと考えておるのでありまして、私たちは、あなた方を呼んで何回も言おうとは考えておりません。もう右か左か、右のボタンを押すか、左のボタンを押すかという
段階でありますので、新しい局長とされては、ひとつこの
治山治水十箇年
計画というものに対とて、
ちようど大臣がおいでにならないので事務局長から答弁を煩わすわけでありますが、ひとつあなたのお気持を率直にお述べになられて、今までのようなただ財政技術上の問題でも
つて片づけられないということだけ、しつかりとお考えにな
つていただければ幸甚だ。そのかわりに、私自身も
建設委員会におるから、
建設省のことばかり
言つておると言われてはかないませんから、
財源というものはほんとうにないのかどうか。大蔵
委員にでも転向して、ほんとうにあなた方から教えを請うつもりでおります。そういうものをつくつたら、これに身を入れて
実施に移すには、どうしてもそこまで考えなければ、これはどうにもならないことであ
つて、私たちもそこまで考えて意見を伺
つておるわけでありますから、でき得れば二十八年度の補正及び二十九年度に対するこの種の問題に対する見通しをお聞かせ願いたい。