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平田政府委員 不正事件の点につきましてはまことに遺憾でございまして、これは先ほど
吉田委員のお尋ねにお答えしたのでございますが、私
ども率直に申し上げましていろいろ納税宣伝をや
つておりますが、せつかくいい宣伝をや
つて参りましても、一ぺん非常にへんな
不正事件が出て来ますとふつ飛んでしま
つて、反対の効果が出て来る。そういう
意味におきましても非常に重大であるので、特に
注意をするようにして参りたいというふうに実は
考えておるわけでございます。
それから所得の査定と申しますか方法でございますが、現在は御承知の
通り、これは戦後でございますが、所得税は申告によ
つて納める。所得を一番よく知
つているのはやはり
本人である。
本人が自分で所得を計算して納める、こういうのを根本の建前にいたしております。申告納税というのはそれでございますが、従いまして調査員をその間に入れるということはいかがであろうかと思
つておるのでございますが、しかしこの点につきましてはいろいろ議論もあるようであります。議論は議論といたしましてなお私
ども検討いたしてもいいと思いますが、現在のところは自分で所得を申告して、
責任をも
つて納める。しかしその際におきまして正しいか正しくないか、これは
税務署がよく調べまして正しい形に持
つて行く。その際にでき得る限り修正申告の形で
納税者と事前に話しまして、納得して納めてもらう。どうしても意見が合わない場合には更正決定を行いましてやるわけでありますが、更正決定をいたしました際に、さらに意見が合わぬ場合におきましては、
税務部内の機関で
国税局に所属しております機関でございます協議官——これは全国に千数百人おりますが、これは相当な、
課長、
署長等の経験のある人、それから民間におきましても
会社の
経理部長なり
課長なりをや
つた人を、戦後採用いたしましてもう三年ほどになりますが、そういう人を協議官としまして紛争を処理する役員を担当してもら
つてや
つております。ただこの制度は二十五年から設けましたので、まだよく周知方をはか
つておりませんけれ
ども、人選その他につきましても当を得ないところがございましたので、私特にこの点重視いたしまして、
納税者のよき相談相手にな
つて正しい主張は十分聞くようにということで、目下協議団制度の活用ということにつきまして非常に力を入れております。これはもちろん
税務部内の機関でございますが、立場が違いますとそれぞれいいところがございまして、その結果から申しましても相当公正な決定を下しておるようであります。そういうことによりましてでき得る限り不当なことは避ける。それでもなお意見が合わなければ裁判所ということにな
つておりますが、アメリカあたりでは納税裁判所は特別にございますが、
日本ではまだそれほどということはないので、普通の裁判所にや
つてもら
つておりますが、そういうふうにしまして片づけますのが、新しい
意味における
税務行政の民主的なやり方だ、こう見ておるのでありますが、しかし
日本の
実情からいたしまして調査
委員会的なものもいいのじやないかという意見もあるようであります。そういう問題もなお今後の問題といたしまして検討いたしてみたいと思いますが、現在のところはそうな
つております。その際におきましても結局帳面がないと水かけ論にな
つてしまう率直に申しまして神様でもなければ正しい所得を当てられない。それで私
ども青色申告に一生懸命にな
つておりまして、とにかく帳面をつけて、文句があれば帳面を調べる。帳面を調べてからでないと更正決定はできない。もちろん帳面のつけ方が一見してでたらめでどうにもならぬような場合には承認を取消しますが、そうではなくて、ちやんとつけている場合におきましては帳面を調べた上でないといいかげんな更正決定はできない税法上の仕組みにな
つておりますので、その点帳面をつけてもら
つて、帳面に基いてより合理的に話し合
つてそこで税がきま
つて行くというふうにしたいものだと思
つておりまして、相当長期な計画を立てまして実は今や
つておるわけでございます。記載方法その他につきましても複式簿記で、
最初はむずかしが
つておりましたが、これはむずかしいのでとてもやれない。今年は単式簿記の制度に改めてやりましたところが、青色申告の申請者がちようど二倍ほどふえました。それでもまだ成績は一割五分くらいでありますが、これをよく育て、今後どんどんふやしまして合理的に行くように努めたい。こういう
趣旨で今実は勉強をいたしておるところであります。