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1953-07-31 第16回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 柴田 義男君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 吉田 賢一君       有田 二郎君    高橋  等君       藤田 義光君    細迫 兼光君       山田 長司君    大矢 省三君       熊本 虎三君    杉村沖治郎君       山本 正一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純—君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         参  考  人         (日本交通公社         会長)     高田  寛君         参  考  人         (日本交通公社         監事)     近藤 栄一君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館社長)   加賀山之雄君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館専務取締         役)      立花 次郎君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館専務取締         役)      伊藤  滋君         参  考  人         (鉄道弘済会理         事長)     西尾 寿男君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月三十一日  委員齋藤憲三君辞任につき、その補欠として藤  田義光君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算  株式会社鉄道会館に対する鉄道用地貸付等に関  する件     —————————————
  2. 柴田義男

    柴田委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  本日は委員長がやむを得ない事情のために出席できかねますので、理事の私が委員長の委嘱を受けましてその職務を代行いたしますからよろしく御了承願います。  それでは前会に引続き国鉄鉄道会館に関する問題及び日本交通公社乗車券代売代金の問題を議題に供します。本日出席参考人としては、日本交通公社会長高田寛君、同監事近藤栄一君、株式会社鉄道会館社長加賀山之雄君、同専務取締役立花次郎君、同じく伊藤滋君、鉄道弘済会理事長西尾寿男君の以上六名でありまして、前会通り参考人に指名いたしたいのでありますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柴田義男

    柴田委員長 代理異議なしと認め、さように決定いたしました。  なお日本国有鉄道監理委員会委員長は岐阜県に出張中、また昨日出席されました佐々木委員長代理は病気、阿部委員は昨夜神戸に帰られ、その他工藤、村田両委員はいずれも所用のため出席できない旨の申出がありましたので御報告申し上げておきます。  本日御出席参考人各位に申し上げます。炎暑の折から御多忙中御出席を煩わし、かつ審議の関係上御在席時間も長かろうと存じますが、本問題の重要性にかんがみ、何とぞごしんぼうの上切に問題の解明に御協力願う次第であります。  また委員諸君におかれましては、すでに数回にわたる調査検討の結果、問題の重点は一応把握されたのではないかと考えますので、本日の調査はなるべく本論的に検討されんことを切望いたす次第であります。  それでは質疑を許します。杉村沖治郎君。
  4. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは鉄道会館立花次郎さんにお尋ねしたいのですが、きわめて簡単にただ事実関係だけを伺いますから、簡単でけつこうですからどうぞお答え願いたい。  この会社資本金は一番最初幾らでありましたか。それから、多分一億幾らと思いましたが、その次に四億四千万円ですか、それから昨日十三億云云ということを言われましたが、それはどういう額がはつきりしておるのか、その額と、それから現実に払い込まれたところの額とを具体的に答えていただきたい。
  5. 立花次郎

    立花参考人 お答え申し上げます。設立当初は一億一千万円でございます。それから第一次及び第二次の増資をいたしまして、三億四千万円にいたしました。そうしてただいまも三億四千万円の払込み資本でございます。それから授権資本は、第一回の株主総会におきまして十三億二千万円となりました。
  6. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういたしますと、三億四千万円が現実の払込み総額でございますね。
  7. 立花次郎

    立花参考人 さようでございます。
  8. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、その三億四千万円の金はどういうふうに支出されましたか。
  9. 立花次郎

    立花参考人 三億四千万円がどうなつたかという御質問は、はなはだお答えするのにむずかしいのでございますが、ただいまのところ……。
  10. 杉村沖治郎

    杉村委員 あるいは多少むずかしいかもしれません。それではこう伺つて行きましよう。建築国鉄に依頼してあるので、あなたの方からその建築資金として国鉄の方へ払い込んだ金は幾らでありますか、総額を聞きたい。
  11. 立花次郎

    立花参考人 正確なことをちよつとはつきり申し上げられませんが、大体現在までで三億くらいではないかと存じます。
  12. 杉村沖治郎

    杉村委員 その三億というのは、この払込み総額のうちの三億でございますか。そういうふうに伺つてよろしいのですか。
  13. 立花次郎

    立花参考人 ちよつともう一回伺いたいと思います。
  14. 杉村沖治郎

    杉村委員 今あなたが約三億ということを言われましたね。そこで、今あなたは払込み総額が三億四千万円であるとおつしやられたが、国鉄の方へ払い込んだ三億というのは、この払込み総額の三億四千万円のうちから三億国鉄の方へ入れた、こういうことになるのですか。
  15. 立花次郎

    立花参考人 そうお考えつてけつこうだと思います。
  16. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうお考えになつてけつこうだと言われたのでは困るのです。あなたの方はどうか、こう言つているのですよ。三億四千万円払い込んだというのだから、国鉄の方へ工事資金としてあなたの方で入れておるのじやないですか。
  17. 立花次郎

    立花参考人 会社資本金は三億四千万円でございますが、そのほかに保証金をとりましたり、前家賃をとりましたりいたしまして、そうして国鉄に切実にすでに現金として支払いましたりが三億幾ら……。
  18. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうくどくなく言つてください。それはあとで伺おうと思つたのだから、そうあまりむずかしくなるしお互いに話が複雑になつてわかりにくくなる。ですから、店を貸した金を幾らつたかということは順に聞いて行きますからぼつぼつでいいんです。要するに三億四千万円が払い込んだ額だから、このうちから国鉄の方へ幾ら入れましたかということを聞けばいいのです。
  19. 立花次郎

    立花参考人 二億数千万円、大体これは三億に近いと思います。
  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 それから次に店舗や何かを貸した金は幾らとりましたか。
  21. 立花次郎

    立花参考人 大体三億でございます。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 その三億はどういうふうになりましたか。その三億もまた工事資金として国鉄の方へ入れたのですか。
  23. 立花次郎

    立花参考人 私どもの使つております金は三つにわかれるのであります。ちよつとこれはごしんぼうして聞いていただきたいと思うのですが、第一は、国鉄に納める委託工事お金、それからその次は、私どもの方の会社が店に貸すためにつくる内部仕上げお金、それから現在二億何千万円の鉄骨提供資材を買つておりますが、その鉄骨に払いましたお金とこの三通りになります。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういう三通りに説明されないでもけつこうなんです。あなたの方で三億店の方からとつたというのだから、その中で国鉄の方へやつた金があるならば、それを伺うのです。だから、何を買つたとかなんとかいうことではなく、国鉄の方へ幾らつたかということなんです。そうすると、工事資金は二億国鉄へやつただけであとはやらないのですか。
  25. 立花次郎

    立花参考人 国鉄にお支払い申し上げます金は、国鉄に委託しました工事部分の竣工があり、その都度支払いがこつちへまわつているから、お払いします予納金は、銀行支払いその他で別に納めているわけであります。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは、工事資金幾ら契約しているのですか。国鉄鉄道会館との工事請負契約幾らですか。つまり国鉄にあなたの方では工事を委託したわけでしよう。いろいろ言わないで簡単に言つてください。
  27. 立花次郎

    立花参考人 非常に複難なことですから、そう簡単にお話申し上げられないのです。
  28. 杉村沖治郎

    杉村委員 そんなに複雑なことはないですよ。工事請負つてくれと言つて渡した額は……。
  29. 立花次郎

    立花参考人 工事と簡単におつしやいますけれども、本館につきましても、基礎の土を盛る工事、それから基礎のくいを入れる工事鉄骨を組み立てる工事、それからコンクリートを打つ工事、そういうふうにみなわかれておるのであります。そのほかに電気の工事、水道の工事、ガスの工事というようにたくさんありますから、そう簡単に幾ら契約したというようなことは絶対ないのでございます。
  30. 杉村沖治郎

    杉村委員 それだから、そういうふうに聞くとたいへんむずかしいと思うから、私はそういうふうなむずかしい答えを求めないで、要するにあなたの方から国鉄の方へこの工事に関して入れた金が幾らかと聞いているのです。だからそれを答えてもらえればいいのです。その工事部分関係がどうであろうと、そんなことは私の方であとで調べますから、要するに、あなたの方からは、工事国鉄に頼んだためにどれくらいの金を入れたかということを聞きたいのです。それだけでいいのです。
  31. 立花次郎

    立花参考人 そういう関係でございますと、大体現金としてお支払いしました金は二億数千万円、それから、鉄骨を買いまして、現物としてすでに工場に入つておりますのが二億円ばかり、それから銀行支払い保証が二億四千万円くらいだと思います。
  32. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、鉄骨買つたというのは、そういう工事材料をあなたの方で買つて提供することになつておるのでありますか。
  33. 立花次郎

    立花参考人 委託工事の場合でございますと、大体材料を提供いたすのが原則でございます。それで、二階以上の構造部分は将来会社の所有になるものでございますから、その部分の鉄材はもうすでに会社で手配いたしまして工場に入れております。
  34. 杉村沖治郎

    杉村委員 それではその方はけつこうなんですが、そうすると、要するに銀行に二億四千万円というものを支払つたというのですが、銀行支払つたというのは、どういうことですか。
  35. 立花次郎

    立花参考人 銀行支払つたのではないので、銀行支払い証明書であります
  36. 杉村沖治郎

    杉村委員 銀行支払い証明書というのは、どういうものですか。
  37. 立花次郎

    立花参考人 支払い保証であります。
  38. 杉村沖治郎

    杉村委員 どこが支払い保証をしたのですか。あなた方はお一人で一人わかりをしていても、われわれはわからないのですから……。
  39. 立花次郎

    立花参考人 私ども国鉄工事を委託いたします場合に、予納金として現金を納めるか、あるいは銀行支払い保証の証書を納めるか、どちらかするのであります。それで銀行支払い保証を、二億四千万円ばかりと思いましたが、国鉄に納めたということを申し上げたのです。
  40. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、予納金幾らであるか。支払い保証金が二億四千万円というけれども予納金幾らですか。
  41. 立花次郎

    立花参考人 現在の予納額残額幾らになるか、はつきり申し上げられませんが、二、三千万円のものだと思います。
  42. 杉村沖治郎

    杉村委員 残額を聞いているのではないですよ。あなたの方で幾ら予納したかという、予納金伺つておるのです。
  43. 立花次郎

    立花参考人 予納金と申しますのは、工事がまだ完了しません先のお金のことを言うのです。だから残額になるので、現在残つておるものは、二、三千万円だと思つております。
  44. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は残額を聞いているのではない。予納したと言うが、予納というのは、あらかじめ納めると書いてあるでしよう。だから最初幾ら予納したかということを聞いているのです。
  45. 立花次郎

    立花参考人 予納と申しましても、工事が初めから一つならば一ぺんに出してしまいますけれども、順次いろいろな工事がたくさん出る。この工事について、国鉄でやられましたものが、三十件から五十件になつています。そのつどお払いするのが多くなつて来まして、それをどんどん決済されますから、予納金から落ちてしまうわけです。
  46. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはわかつています。私は予納した額が幾らか聞いているのです。残があるというけれども予納した額があればこそ、残が出て来るのでしよう。
  47. 立花次郎

    立花参考人 ですから、現在支払いましたのが二億七、八千万円であつて、残が三千万円ぐらいあるとすれば、今まで全部やりました額は約三億であります。
  48. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういうふうに初めから答えてくださればいいのです。それから、店舗からとつた金は幾らでありますか。
  49. 立花次郎

    立花参考人 先ほど申しましたように、三億であります。
  50. 杉村沖治郎

    杉村委員 この三億というのは、あなたの方で現在専有しておる貸した人から直接とつておるのですか。それとも他の人に一手にでも貸してとつておるのですか。その点いかがですか。
  51. 立花次郎

    立花参考人 家賃の前受金は、おのおのそこに入るお店の店主から、三箇年分の将来の家賃を前借りした形において、いただいております。
  52. 杉村沖治郎

    杉村委員 前借りですか。
  53. 立花次郎

    立花参考人 さようであります。借入金であります。
  54. 杉村沖治郎

    杉村委員 賃料ではないのですか。
  55. 立花次郎

    立花参考人 これから先三年分の家賃でありますから、会計帳薄としては借入金でございます。将来の貸料を別にいただくのですから、借りている一です。これが今後三年間だんだん経過するに従つて借入金勘定から収益制定に移つて行くわけです。
  56. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、こういうふうに聞いていいのですか。あなたの方には賃料請求権がある。その請求権を担保というわけではないけれども、その請求権に基いて、賃料をとつたのではなくて、それだけの金を借りておるというのですね。それで日がたつに従つて借入金が減額して行くということになるわけですね。
  57. 立花次郎

    立花参考人 さようでございます。
  58. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは全部直接店主に対してであつて、ある人に貸して、ある人からほかに貸しておるというようなことはありませんか。
  59. 立花次郎

    立花参考人 私ども会社賃借人との関係は、完全に直接でございます。一切中は入れません。
  60. 杉村沖治郎

    杉村委員 それからこの店舗の造作などは、どんなぐあいになつておりますか。あなたの方で全部やつておりますか。店主の方でやつておりますか。
  61. 立花次郎

    立花参考人 簡単に申し上げますと、一定の仕上げ坪当り六万円なら六万円という仕上げまでは、私の方の費用でいたします。しかしながら各店は、いろいろ設備をしたい。非常に金のかかつた大理石を張るとか、床も非常に特殊なものにしたいとか、いろいろやりたい。そうすると、工事は私の方でしてやるけれども、実際にかかつた金と、坪当り平均六万円なら六万円との差額は、各お店が出すわけであります。
  62. 杉村沖治郎

    杉村委員 その店に店主がかけた費用のことは、あとでどういうようなことになるのですか。たとえばその人がそこを明け渡すというときには、どういうふうなことになるのですか。
  63. 立花次郎

    立花参考人 大体固定の施設は、鉄道会館財産になります。それから簡単に動かし得るものは、店主財産でありますから、出るときには持つて行きます。動かないものは寄付になつてしまいます。
  64. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういうような転貸になつているのですね。あなたの方では、国鉄のものを借りて、貸しておることになる。そういうことは、国鉄の方で承諾をしてやつたのですか。
  65. 立花次郎

    立花参考人 当然承諾を得てやつております。それからどういうお店に貸すかということについても、一々東京鉄道管理局長あて承諾書を出して、その同意を求めた上でやつております。
  66. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、この契約は、あなたの方では監理局長契約なさつたのですか。
  67. 立花次郎

    立花参考人 前から何べんもお話がございましたように、基本契約は、日本国有鉄道総裁とうちの加賀山総裁との間にとりかわされております。その基本契約に基いて、具体的な個々の契約がたくさんある。これは主管が東京鉄道管理局長ですから、そこでやるわけです。
  68. 杉村沖治郎

    杉村委員 その基本的なことがそういうことになつておることは、私どもも承知しておりますが、転貸するということはきわめて重要なことだけれども転貸関係のことも総裁加賀山氏との間に契約なさつておるのですか。
  69. 立花次郎

    立花参考人 基本契約がこの前から議論になつておりましたけれども、その中に完全に転貸のことが書いてございますから、基本契約にあるわけです。
  70. 杉村沖治郎

    杉村委員 東京駅のこちらの、あの下の皇族の入り口ですね。あのわきに株式会社鉄道会館という札が下つていますが、あの入り口のところの部屋を貸しておりますね。あなた方は借りているのですね。この間聞くと、あれは一坪三百五十円であつたか、四百五十円とかいうように記憶しておつたのですが、年額ですか、月額ですか。
  71. 立花次郎

    立花参考人 月額坪四百円であります。但しこういう条件はお考えになつていただきたい。あれは焼けたままのところを、私どもの方で借りて修繕して、二箇年間で明け渡す予定です。そうすると、焼けたところを修繕した費用が約八十万円であつて、それを二箇年間で割ると、坪、月四百円になるから、大体坪、月八百円で拝借していることになります。
  72. 杉村沖治郎

    杉村委員 四百円で借りるので、あなたの方で自分で修繕をしたというわけなんでしよう。それで何か八百円になるというのは、どういうわけですか。いま一ぺん説明してください。
  73. 立花次郎

    立花参考人 大体二箇年間拝借する予定になつております。それで焼けたままでは使えませんものですから、それを八十万円かけて修繕したわけであります。二箇年間たつたら明渡しするわけであります。その計算をすれば、月、坪八百円ぐらいの家賃になるということを申し上げたのであります。
  74. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはあなたの方のかつて計算であつて自分が何も幾らかけたつてそれが賃料になるということはない。ちよつとあなたの答弁ではだまされる。この契約はこちらの先ほど伺つた契約と一緒にやはり借りたのですか。
  75. 立花次郎

    立花参考人 そういう臨時的な貸借契約につきましては、東京鉄道管理局長の権限でできるのでございますから、東京鉄道局長と直接やつておりますものは契約とは関係ございません。
  76. 杉村沖治郎

    杉村委員 今まで開いた工事関係とはこれは別な賃貸借契約でございますね。
  77. 立花次郎

    立花参考人 さようでございます。
  78. 杉村沖治郎

    杉村委員 昨日佐々木監理委員に聞いたのですが、これは政令に基くところの契約であるのだということを、佐々木監理委員が言われたが、私どもはまだ契約があると見られないのだけれども、あなたの方では契約があるというのだが、この契約はどういう契約なんですか。
  79. 立花次郎

    立花参考人 私どもはあまり法律上の詳しいことは存じませんが、ただ私見を言えとおつしやるならば、私法上の契約か、公法上の契約か非常にやかましいものがあるようでございますが、私どもといたしましては、従来国鉄がなします公法上の契約じやないだろうかというふうに考えております。
  80. 杉村沖治郎

    杉村委員 それが公法上であるか、私法上であるかということは、なるほどあなたのおつしやるように、しろうとにはむずかしいことでしようが、契約に、国有鉄道法の中に政令に基くところの契約というのがあるでしよう。四十九条だつたですか、それに当るのかどうか、佐々木監理委員は昨日そういうふうに答えられたのだが、あなたはもちろん会社側だといつても、あなたも国鉄関係しておつてきわめてよく承知しておるのだろうと思うが、そのことを聞いているのです。
  81. 立花次郎

    立花参考人 私は政令に基くものじやないのじやないかと思います。しかしながら私はもう国鉄を離れて足かけ二年になりますからよくわかりませんでした。この点は日本国有鉄道の方にお聞きを願いたいと思います。
  82. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたの方と国鉄との契約賃貸借契約なのですか。
  83. 立花次郎

    立花参考人 これも私個人の考え方でございますが、包括的の契約じやないかと存じております。
  84. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは国鉄の方の方に伺いますが、この間聞いたんだが、やはりこれがはつきりしてないのですが、今の鉄道会館があそこで店舗に貸したり、あるいは工事をやつていろいろあそこを占有してやつておるのだが、あれはどういう法律関係に基いてああいうふうに鉄道会館が占有しておるのですか。その鉄道会館がやつておるところのつまり権利があるのでしようね。だからそれはどういう国鉄との関係においてああいうことをやつておるのか、その関係をひとつ答えていただきたいと思います。
  85. 天坊裕彦

    天坊説明員 この前御説明を申し上げましたが、非常に不十分であつたかと存じますので、つけ加えたいと存じます。現在鉄道会館国有鉄道総裁ととりかわしました双方の文書、こちらから条件を提示いたしまして先方から受書を出したこの契約によつて鉄道会館は場所を使つているわけであります。この契約根拠は何によるかというお話でございますが、国有鉄道法四十九条但書、同法施行令三十三条一項六号によりまして、この契約の目的なり性質は、一般公開競争入札方法に準じて契約するには適しないものと考えまして、国有鉄道の業務について長い経験と、国有鉄道公共性について理解と認識を持つている者が首脳者となつて経営している鉄道会館代表者と、随意契約をしたわけであります。
  86. 杉村沖治郎

    杉村委員 それですから、四十九条の競争入札とが、そういうことをしないでやつたわけですね。四十九条の終りの方に、「政令の定める場合においては、この限りでない」ということがありましよう。これによつたというわけではないのですね。これによつたのではなくて競争入札方法にもよらぬ。そうすると結局帰するところは、一般競争入札方法に準じてやることが不利益であるということ、これによつてつたわけですか。ここのところを聞きたい。四十九条の本文は、すべて公告をして一般競争入札方法によつてやらせろと書いてある。但書に「但し、緊急な必要のある場合」とある。これは幾度も聞かれたことですが、災害とか何かのことでしよう。二番目が「一般競争入札の場合に準じてすることが不利である場合」、三番目が「政令の定める場合においては、この限りでない。」、こういうことですが、この三つのうちで緊急災害でないことは明らかです。そうすると政令によるのか、今のように競争でやらせては不利益だから加賀山氏との間にやつたか、この二つのうちのどちらかでしよう。きのうの佐々木さんの話では、政令によつた場合だと思うということでありますが、その方法二つしかないのですから、その二つのうちのどちらか、こういうことを聞いておるのです。いろいろむずかしいことはおつしやらないでけつこうです。
  87. 天坊裕彦

    天坊説明員 結局私どもとしては、随意契約ができる根拠がどちらかででもあればよい。そうして不利な場合にも当てはまるし、適切な条項にも当てはまる、こういうふうに考えたわけです。
  88. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうも何だか逃げよう逃げようというふうに私の方から聞くととれてしまうのです。少くともここにはつきり国有鉄道法に書いてあるのですから、こういうような国有鉄道がいろいろ契約する場合においては、競争入札によつてやれ、但し緊急の場合は競争入札でなくてもよい、いま一つはそういう競争入札をやらしてはかえつて国鉄のために損だから、競争入札をやらせないで随意契約でやつでもよい、あるいは政令の定める場合、政令の定めたところの契約であればそうでなくてもよい、こういうように競争入札以外の方法三つやれる方法があるが、その三つの中で災害でないことははつきりしておるのだ。そうすると競争入札をさせたのでは国鉄不利益になるから、加賀山氏との間に随意契約をやつたというのか。それとも政令で定める契約に基いてやつたのであるか。この二つしかないのだから両者のうちのいずれであるか、これを伺うのです。簡単に答えていただきたい。そのうちのどちらかということです。それ以外にないはずでしよう。これは国有鉄道法が定めておるのですから、そこのところをあまりむずかしいことを言わぬで、もう今になつてどつちだつていいじやないですか。あなたの実際のことを答えいていただけばそれでいいんです。
  89. 柴田義男

    柴田委員長代理 ちよつと委員長から天坊さんに申し上げますが、既成事実ができ上つた上においてでなく、その当時そういう加賀山さんとの御契約をなさる根拠がどこにあるか、こういうことです。
  90. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま申し上げましたように、こういう特殊の性質のものでございますから、不利益とも考えましたし、つまり一般競争入札によることがかえつて不利益とも考えましたし、同時にこの性質が入札には適しないというふうに考えたわけであります。
  91. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは入札に適しないということは入札でやる方が不利益だと考えられたわけですね。つまり政令に基く契約でもないとすればね。それでは今度はマイナスして言いましよう。緊急天災とかそういうことでないことは明らかだろうと思う。そうするとそれは政令契約でもないということになりますか。そうするとあと残るものであなたの答えがわかるわけなんだが、三つあるのだが、災害復旧でもなし、政令でもない、こういうふうに答えられますか。マイナスの方だけ聞いて行きましよう。そうすれば残るものは一つなんだからその一つということになる。どうですか、その答えは。
  92. 天坊裕彦

    天坊説明員 私が契約の性質がと申し上げましたのは、施行令第三十三条第六号にございます「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」こういう意味で申し上げたのであります。
  93. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は今施行令の方のことを言つているのじやないんですよ。まず国有鉄道法施行令というのは、国有鉄道法のことを施行する場合の施行令であつて、これが元なんだから、この元のうちどれかと聞いているんです。あなたの方は裏の方から言うが、これが基本になつて施行令というものが出るのじやありませんか。それはわかると思うが、どうですか。
  94. 天坊裕彦

    天坊説明員 四十九条の但書に規定する政令が三十三条の施行令にあるわけです。
  95. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると政令の方ですか。そうすると政令の方ですよ。だから聞いているのです。さつきから政令に基く契約なんですかと聞いたら、あなたは返事なさらないから。今あなたは今度は政令で云々と言つているが、どうなんですか。
  96. 天坊裕彦

    天坊説明員 両方に該当するというふうに考えるわけです。
  97. 杉村沖治郎

    杉村委員 政令の方に該当するということに伺つてよろしいのですか。どうも困るのだ、あなたはぐらりぐらりして。
  98. 天坊裕彦

    天坊説明員 両方に該当するというふうに考えております。
  99. 杉村沖治郎

    杉村委員 よろしいです、それで。そういうことになりますと、政令に基くところの契約であるとするならば、その政令に基く遵守事項というものがありますが、あなたはそれをお守りになつておりますか。その遵守事項を御存じですか、御存じでございませんか。
  100. 天坊裕彦

    天坊説明員 もう少し具体的に御説明を。
  101. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは伺いましよう。条文をごらんください。国有鉄道法第三十九条の十五をごらんください。「日本国有鉄道は、政令の定める形式により、契約その他支出の原因となる行為により負担した債務の金額並びに収入し及び支出した金額を、毎月運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に報告しなければならない。」こういう規定がありますが、これを実行されておりますかいなや。それをお答え願いたい。
  102. 柴田義男

    柴田委員長代理 高井説明員。
  103. 杉村沖治郎

    杉村委員 ちよつと待つてください。私は高井説明員に聞いているのじやない。天坊総裁に聞いている。副総裁が答えられなかつたら……。
  104. 天坊裕彦

    天坊説明員 問題が経理関係の仕事でございますので、経理局長にかわつて説明させていただきたいと思います。
  105. 杉村沖治郎

    杉村委員 問題が経理関係と言いますけれども、金勘定とか帳面をつけるということであれば何ですが、これはいやしくも事運輸大臣、大蔵大臣、会計検査院に報告する事項、それをあなたが知らないのか。それをほかの者でなくちや答えができないということはあまりに無責任ではありませんか。大蔵大臣、運輸大臣に出す書類ですよ。そういうものをあなたが部下につくらせることはいい。つくらしたはいいが、総裁や副総裁が運輸大臣、大蔵大臣、会計検査院に出す書類が出すべきものであるか出すべからざるものであるか、これを政令に基いた契約であると言うのだから、このことを、あなた、ほかの者でなくちや答えができないというはずはないでしよう。
  106. 天坊裕彦

    天坊説明員 もちろん国有鉄道法の規定によりましていろいろ大蔵大臣、運輸大臣に提出しなければならぬものはそれぞれ履行いたしております。
  107. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうするとこの三十九条の十五のこれは実行いたしているという答えでありますね。間違いありませんか。
  108. 天坊裕彦

    天坊説明員 本件の……。
  109. 杉村沖治郎

    杉村委員 いやいや、そんな複雑なことでなくして、あなたは実行いたしているという答えだから——今三十九条の十五のところはそれぞれ実行しているという答えだからさらに念を押すのですよ。本件をどうとかこうとかいうことでない。あなたが先ほど政令に基く契約であるということを言われたから、しからばこの三十九条の条項は実行されているかということを聞いているのです。実行されていると言うのですから間違いがあるかないかということを念を押すのだから、間違いないなら間違いないでいいんですよ。
  110. 天坊裕彦

    天坊説明員 実行いたしております。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はきようは、従来しばしばの質疑応答によりまして大体の要点について明らかにされているものと思いますが、しかしなお重要な数個の問題につきましては質疑はあつたけれども、依然として解明しない点、あるいは当の責任の人がいないために答弁ができなかつた点などありますので、そういう問題につきまして重複を避けまして質疑したいと思います。従つてそういう趣旨でありますから、できるだけひとつ確信のあるところをお述べ願いたいと思います。  そこで、ついでですから、ただいま杉村君から質疑をしておりました点について、私からもなお疑いとなる点を明快にしてみたいと思うのであります。それは随意契約なるものは、この問題につきましてやはり根本の問題であります。従つて随意契約が適法であつたのか、もしくは不当であつたのか。こういう点につきましてこれを明らかにするのでないと、ほかの問題につきましても十分に論議ができないのであります。そこで私はやや重複しますけれども、解明せられておらぬ面をなお尋ねてみたいと思う。そこで天坊総裁のただいまの御答弁によると、国有鉄道法四十九条の但書の、つまり末段の、その他政令の定むる場合というこの除外例によつて、本件の契約株式会社鉄道会館との間にできたという御答弁、その政令とは、今も御説明になつておりましたごとくに、日本国有鉄道法施行令第三十三条第一項の第六号、こういう御説明でありました。そこで一体三十三条一項六号は、何が書いてあるかと見れば、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」とある。そこでこれはひとつほんとうに静かに真剣に考えてもらいたい。この鉄道会館のなす事業が、国鉄との間に契約をなすその目的のものが、これが一体契約の性質上またその目的上、はたして一般の公告競争入札を許さないのであろうかどうかということは、これはまことにわれわれといたしましては不可解な御見解と申すほかはない。申すまでもなく営利会社でありまするこの鉄道会館の営業報告によつてみましても、何もかわつたものはありません。ビルの経営、いわく商店街の経営、あるいはその他サービスの事業、そういつたものであります。別に何もない。一体どういうわけでこの性質がまた目的が、競争を許さないという御見解に到達したのでしよう。国鉄といたしましては相当慎重に調査研究して、結論を得なすつたと思うのですが、その点はいかがでしようか。
  112. 天坊裕彦

    天坊説明員 前々から申しました通り、鉄道会館というものは、なるほど要約してエッセンスだけを定款その他に書いてみますと、お話の通りそうむずかしくないじやないかという言い方にもなろうかと思いますが、結局それは首都の玄関口のもので、鉄道の駅というものの概念の中に入つて来るものであります。国有鉄道と共同して、首都の玄関にふさわしい東京駅の八重洲口をこしらえるということが、一つの大きな仕事であります。と同時にそれは、停車場に出入する公衆の利便を目的とする営業を営む。こういう全体の大きな問題でございまして、飲食店を許すというようなことだけではないのであります。従つてそういう大きな契約は、性質上一般競争入札にするということは適しない、かように考えるわけであります。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 念を押しておきまするが、この問題につきまして、私はしばしば論議を重ねましたが、長崎総裁並びにあなたの過去のこの委員会における、随意契約の適否の質疑に対する御答弁は、四十九条但書競争入札をすることが不利な場合、こういう一本で御答弁になつてつたのであります。そこで私が何ゆえに不利なのかと尋ねれば、それは加賀山総裁が、いわゆる熟練者であるし、経験者であるし、適当な人であるので、これを個人に委嘱しましたというのが過去の御答弁であつた。それで私も、加賀山さんはりつぱな御人格また御経験、知識などおありの方と思うが、それはそれといたしまして、なぜ伍堂卓雄その他の財界の有力者の先願があるのに、その競争を排して、この人個人にお許しになるのか、何ゆえにそうしなければ国鉄が不利なのか、こういうことをだんだん追究しておつたのであります。ところがそれはその通りである。加賀山さんを信じて、ことに昨日の佐々木監理委員委員長代理の御答弁も、やはり加賀山さんという人格を信頼しておつたということ一本でありましたが、ただいま副総裁の御答弁はしからずして、末段の政令による場合、施行令の三十三条一項六号による場合、こう転換なさつたのです。およそこういう重大な問題を当初決定する際には、四十九条の一般競争入札によるべきか、しからずして但書随意契約によるべきかということは、当初きめなくてはならぬ問題である。当初きめようとするならば、監理委員会の意見も徴さなくちやならぬ。監理委員会に諮問もしなくちやならぬ。あるいは多数の意見も、聞かれたらしいことは報告書に見えておりますけれども、それが第一の問題でなくちやならぬ。ところがこの委員会数次の開会の途中において、答弁がかわつて来たのであります。もつてそれは当初においていかに確信のない国鉄の御計画であつたかとわれわれは推測いたします。実議憾なことです。こういう根本問題の、一般競争入札にすべきか随意契約にすべきか、何ゆえに随意契約にせねばならぬかということは、国有鉄道法四十九条で厳格に国鉄に要求しているのであります。であるのに、きようはしからずして施行法の三十三条一項六号をひつぱり出されて来た。それならそれでよろしいが、施行令三十三条一項六号は、加賀山さん自身でなければならぬということは、ここからはちつとも出て来ません。加賀山さんがいかにりつばな人であろうと、豊富な経験者であろうと、うしろに財的な大きな力を持つておられようと、経営の能力がおありになろうと、がゆえにただちに、性質または目的が競争を許さないということの結論はできません。今御説明を聞くと、またそうにあらずして、あすこは鉄道の入口だ。従つて何もビルの経営とか、あるいはサービスとか、商店の経営とか、そんなものではないというような御説明でありますが、それはそうでしよう。それにいたしましても、一番大きなものは十二階のあのビルの経営でしよう。そしてまた建設でしよう。従つて私はどうも、そういうような性質または目的が競争入札を許さないということは考えられない。そこであなたは、それ以上その点について新しい御説明をわれわれにくださらぬならば、私は他の方の意見を聞きたいのですが、その点についていかがでしよう。
  114. 天坊裕彦

    天坊説明員 私どもといたしましては、一般競争入札の性格のものではないということを、初めに確信をいたしまして、その根拠をきようは決してかえたわけではございませんので、不利になる場合にも当てはまるし、政令によるという点でも解決がつくという、両方の点から確信を持つたわけであります。別にかわつたことを申し上げたということではございません。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は言葉のあげ足はとりたくないが、非常に大事な問題ですから言いますが、どの根拠によるのと私は但書二つの例をあげたときに、まん中の不利な場合とはつきりおつしやつた。きようはそうでなくて施行令三十三条一項六号というものを出して来た。そうすると両方にかかるというのですか。不利な場合と、そして施行令三十三条一項六号と両方だということですか。両方だということになると、またこれは問題が複雑になつて参ります。しかしこれは、おそらくあなたとの間でこの問答を重ねて参りましても、これは相当時間がかかるでしようから、運輸大臣もまだ見えておませんので、鉄道監督局長に伺いますが、今私が尋ねました施行令三十三条一項六号が、はたしてこの場合に妥当なのか、あるいはまた不利な場合というのは、加賀山氏に委嘱しなければ不利だという根拠はどこにあるのか、こういう点について監督の立場のあなたの御所見を伺いたい。
  116. 植田純—

    ○植田政府委員 先日来この点に関する問題が大分議論されております。運輸省といたしまして、私もその点についていろいろと検討をいたしているわけでございますが、なるほどいろいろと議論はあるかと思いますが、現在私が感じておりますところでは、この四十九条の但書の中段、施行令の第六号の双方によつて随意契約というものが根拠つけられるということか考えられるのじやないか、かように考えているわけであります。
  117. 熊本虎三

    ○熊本委員 ちよつと関連して、今の答弁を聞いておりますと、今研究されておるようですが、事前に監督庁に対するそういうような打合せ及び意見の聴取というものはなかつたのですか。
  118. 植田純—

    ○植田政府委員 この契約ができます事前におきましては、その相談はございません。これは国鉄総裁限りにおきましてこの運用はできるわけであります。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今あなたに率然として尋ねたようでありますけれども、これはかねて国会で問題になつておるのです。運輸委員会においてもあるいは御答弁になつたかもわからぬ。そこで私どもが不満なのは、国鉄に相談があつたつてなくたつて、あなたの方は監督の職責がある、監督の職責がある場合には、あなたがよしんばそれでない場合も、運輸省はなくちやならぬ。さすれば昨年の九月に契約が相互にできまするときには、一番根本の重要な問題につきまして定まつた運輸省の見解がなければならぬ。今御答弁の様子を見ると、不利の場合と、そうして性質上目的上許されない場合二つかけておられる。初めてきよう出たのです、総裁も副総裁も前は不利な場合一本だつたのです。あなたはきようこの場の問答によつて御答弁になつたかもしれませんけれども、一体この問題が性質上競争を許さないとはどういうわけか、性質上競争を許さない、そんなことがいえますか。
  120. 植田純—

    ○植田政府委員 確かにこの鉄道会館の問題の一つの中心をなしておると思います。従いましてこの点につきましては、いろいろと検討いたしました。なるほど国鉄当局の説明もございましたし、また先般は会計検査院の方から、むしろそういう政令の六号にも該当するということが適当ではないかというような御意見もあつたようにここで拝聴いたしておりました。運輸省といたしまして、いろいろそういう点を検討いたしたわけでございます。やはり、この二の条項に該当すると運輸省としては考えておる次第でございます。
  121. 柴田義男

    柴田委員長代理 ちよつとお諮りいたします。今運輸大臣が御出席でございますので、御承知のように会期末で各委員会とも非常に御繁忙だと思いますから、主として運輸大臣に対する御発言を願いたいと思います。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この間から問題になつております株式会社鉄道会館の重要な問題になつて、前回運輸大臣から私ども満足の行く答弁が得られませんでした。しかしながら幾多の論議を重ねて来ておりますので、きようは多分相当明快な御答弁を得られることと信じますので、その辺は簡明にお願い申し上げたい。真相の究明以外に目的はないのでありますから……。  そこで伺いたいのですが、非常に重大な国鉄の資産を一営利会社または一個人にその利用をまかし、重大な契約をするというようなときには、これは監理委員会が法律上規定してある。監理委員会は相当監督の責任があろうと思います。同時にまた運輸大臣も相当監督の責任があろうと思います。運輸大臣はこの問題につきまして御相談をお受けになつたのですか、ならぬのですか。
  123. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題はこの前もちよつと触れましたが、私は私自身としては、運輸大臣石井光次郎はそういうものにあずかつておりません。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 前大臣の行為としてお述べください。
  125. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 前大臣は多分相談を受けたのじやないかと思いますが、その辺……。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこれは前大臣時代からあなたへの継続であります。前大臣が何をやつたかわからぬというのでは、やはり国務大臣として、運輸大臣として御責任、御答弁いかがかと思うのです。たとい前大臣であろうとも、全然それはあなたの方で今おわかりにならないならそれはそれでもよろしい、その点どうですか。
  127. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは私の事務引継ぎには聞いておりませんでございました。それで話としては私も漫然と承知しておりましたわけでございますが、今度こういう問題が起るまでいろいろな詳しいことは承知いたしておりませんでした。
  128. 熊本虎三

    ○熊本委員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、この問題があげて国鉄の将来の信頼を回復するかせざるかの重大案件になつております。従つて契約当時の大臣ではなかつたといたしましても、この問題に関しては十分関心と責任を感じていられるはずだと思うのですが、その点はどうですか。
  129. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この間からいろいろ問題になりまして後、いろいろ報告を聞いてこれに関心をもちろん向けております。
  130. 熊本虎三

    ○熊本委員 それではお尋ねいたしますが、問題は会社の創設その他についても多くの疑惑があるのでありますが、それはそれといたしまして、その会社国鉄との契約の基本的な取引の問題の上に重大暗影があるわけであります。そこで先ほどからいろいろ質疑が行われまして、天坊総裁は、今までは四十九条の但書の中間、すなわち一般公告による競争入札では不利と考えるという立場で説明をされて来られた。それから今日ではそうではない。政令による施行令の三十三条によるということで答弁されております。これはいやしくも国家公共の事業である国鉄に直接関係のある重大な契約問題に関してでありますが、これに対して現在運輸大臣としてはどういうふうにあることが妥当であると御研究になつておりますか、その点を御答弁願いたいと思います。
  131. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 どういう形の契約かという法律上の問題はいろいろあると思いますが、私はただいま、行われましたのは競争入札ではなしに随意契約でやられましたものだというふうに承知いたしますから、この方法競争入札でかりにやる場合とどうだということを考えますと、随意契約でやつた今度の場合が、私はああいう場合においてああいう契約が適当であつたろうというふうに考えております。
  132. 熊本虎三

    ○熊本委員 どういう意味でですか。
  133. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 私の承りましたところによりますと、いろいろな希望者がたくさんありまして、単に値段その他によつてこれを入札いたしますと、あの重要な場所で仕事を運営して行くのには不適当なものも出て来るおそれがあるというような関係上、国鉄総裁が一番信頼し得るというような方法、人によつて運んだ方がよかつたのであろう、そういうふうに私は考えております。
  134. 熊本虎三

    ○熊本委員 運輸大臣、私は一応言うのでありますが、大臣の人格や人となりについては、私はある程度知つておるつもりなんです。しかしこういう重大な案件が取上げられて、天下の輿論になつているのにもかかわらず、あるいは国鉄の責任者がこれを契約したり、鉄道会館の責任者がその監督庁である運輸大臣に対して、かくかくの理由でここが問題になつているというような報告をし、指示を受けることも、現状からいつて私はないと思う。おおむね監督庁である運輸省を軽視して、単なる国鉄のある幹部と、鉄道会館の責任者とが暗躍これ努めて、一時を糊塗せんとすることに汲々として、天下の輿論の前に、最も正当にして妥当なることを隠して、さばいてもらおうとする熱意がちつともないと私は考える。従つて運輸大臣としての責任上いろいろと仰せになるのであるけれども、この重大な案件について、大臣に、かくのごときことからこういう形になつております、これについては監督庁としても、十分御検討の上御裁可を仰ぎたいということを、一ぺんでも言つて来たことがありますか。おそらく私は一ぺんもないと信ずる。
  135. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 私が申し上、げたのは、この経営に進みましたのが、入札か、随意契約か、そのよしあしの問題についてであります。現実の問題といたしまして、今日まで国鉄の運んで平だ情勢か運輸大臣として適当であるかどうかというお尋ねだと思いますが、それは私先ほど申しましたように、十分な中間報告等も承つておらないのでありまして、これだけいろいろ問題になると、特にそれがクローズ・アツプされるわけでございますが、国鉄としても十分私の方に連絡をしなかつたのであるかどうか——この間も申し上げましたように、実は毎週一ぺん集まる会があるのでございますが、昨年からずつと議会々々であつたものでありますから、それが非常に抜けまして、二、三回しかやつてない状態で、そういう期間にも聞くことができなかつたので、それははなはだ遺憾に思うのであります。
  136. 杉村沖治郎

    杉村委員 私はこの間運輸大臣に伺つたところが、本日のように、運輸大臣は自分の就任以前のことであるのでわからない、それでは事務引継ぎはどうであつたかと言つたところが、実はそれはなかつた、こういう話であつたのだが、先ほど国鉄側から天坊総裁の答えを聞いたら、国鉄鉄道会館との契約政令に基くところの契約であるということをはつきり述べられた。そこでしからば、政令に基くところの契約であるのであれば、国有鉄道法三十九条の十五によりますと、「日本国有鉄道は、政令の定める形式により、契約その他支出の原因となる行為により負担した債務の金額並びに収入し及び支出した金額を、毎月運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に報告しなければならない。」とございます。そこでこの三十九条の十五に基いて毎月この報告を実行しておるかと尋ねたところが、実行している、こういうお答えだ。これを実行しているとすれば、今運輸大臣が言われるように、私の就任前のことであるとか、あるいは一週間に一ぺん集まるのがどうとか、そんないいかげんなものではなくして、あなたは当然これを知らなければならないのではありませんか、いかがでありますか。
  137. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この三十九条の十五によつて報告が来ていると思います。しかしこれは「契約その他の支出の原因となる行為により負担した債務の金額並びに収入し及び支出した金額」の、この確定した金額がまとまつて報告されるということを聞いておるのでございまして、そういたしますと大きく数字がまとまつておりますので、その中の小さい部分はどういうふうな数字になつておりますか、私ども承知いたしておりません。なお詳細に調べまして、お答えいたしましよう。
  138. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、あなたは今までは知らないとおつしやられたのだが、報告にあるということになれば知つておるのではありませんか。この前のあなたの答弁では、何も一切知らないとおつしやつた。私はあなたが知らないとおつしやるけれども、この国鉄の問題は本決算委員会において非常な問題となつて、日本の各大新聞がみな書いておるのであるから、いやしくも監督の地位にある運輸大臣たるあなたがここに出て来るのには相当研究しておいでくだすつたものと思うが、いかがですかと言つたところが、公務多忙のため研究ができなかつたということであつた。きようは金額がまとまつて報告されておると言うけれども、この三十九条によると、毎月報告することになつておる。金額を一ぺんにまとめてなどと書いていない。毎月報告しなければならない義務があると書いてある。昭和二十七年の十一月二十五日から昭和二十八年六月三十日までの間に、二十二、三回にわたつて国鉄は金を受取つておるのであります。そうしたならばこれについて毎月報告をしなくちやならない。それをあなたは金額がまとまればどうだとか、こんなに二十何回もの国鉄からの報告事項があるにかかわらず、今まで知らなかつたとかどうだとかいうことはあまりにもお答えに責任がないではありませんか。
  139. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 まとまつてと申しましたのは、私の言うのはそういう期間的の問題ではないのでございます。これは予算の款を単位としてまとまつた報告になつておるそうでございまして、その中で国鉄鉄道会館の問題を一つだけ取上げて見出すことはその勘定ではできないのでございます。
  140. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでしたら、先ほどの事務引継ぎがどうであつたとか、こうであつたとかいうあなたの答えはきわめて無責任な答えで、私からこの法律の条文を突きつけられ、しかも国鉄が受取つている金の回数等を言われたので、いまさら逃げられないからそういうお答えをなさるのでございましようが、しからばさらに伺うのでありますが、日本国有鉄道固定財産管理規程というのがあります。それらの第七十条の(5)に「当該固定財産を使用する権利を譲渡し、又は転貸することを禁止すること。」——よろしいか。この東京駅の建物であるとか土地であるとかいうものは国有鉄道の固定財産であります。この固定財産を譲渡したり、転貸をするようなことはしてはならぬ、こういうことが書いてあるのですが、この株式会社鉄道会館ではもうすでに転貸をして三億も金をとつておる。そうして国鉄の方には二億幾ら金が入つているけれども、それは賃料でもなければ何でもないのですよ。国鉄の方に金が入つているのは、国鉄工事を頼んだ金の一部が入つておるだけです。そういう転貸をして、契約すらもまだはつきりしないにかかわらず、株式会社鉄道会館はすでに各営業者に店舗を貸して、三億もの金をとつている。こういう転貸は禁止しているじやありませんか。そういうことをあなたが監督の地位にあつてお許しになつたのでありますか、その点伺いたい。
  141. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 日本国有鉄道固定財産管理規程は国有鉄道内の規定でございますから、これの解釈扱い方については、まず国鉄の方からお答えいたします。
  142. 柴田義男

    柴田委員長代理 御相談いたしますが、大臣もお忙しいのですから、皆さんで大臣に対する質問をおやり願いたいと思います。
  143. 杉村沖治郎

    杉村委員 わかりました。——それでは固定財産の方であなたがそういうことをおつしやるなら、これでまたほかの点をあなたにお話して、そんなことではのがれられないように質問するのですけれども、きわめて簡単に、あなたがはつきり答えられるように申し上げます。今度は日本国有鉄道会計規程というのがある。これをごらんください。これの第七十五条をごらん願いたい。これには法第四十九条により、ということが書いてある。なるほどこちらには書いてないけれども、この管理規定というものはあなたの言うように、これは国有鉄道の内部の関係であるから、あなたの方では別に関係しないというが、国有鉄道の規程であれば、これは会計の規程も固定財産の規程もともにこれに拘束をされるものではありませんか、その点はいかがでありますか。つまりこの国有鉄道会計規程並びに国有鉄道の固定財産管理規程、これには総裁は拘束を受けるのでありますか、受けないのでありますか。それを伺えればけつこうであります。
  144. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ただいまお話の中の国有鉄道会計規程の基本事項だけが運輸大臣が許可したことでございまして、あと国鉄の方でやつておるという趣旨であります。
  145. 杉村沖治郎

    杉村委員 この管理規程は大臣の方では別に認可してないのですか。
  146. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは国鉄総裁の認可によつております。
  147. 柴田義男

    柴田委員長代理 吉田賢一君。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣にお尋ねいたしますが、もし——もしというと語弊がありますが、先般来の質疑応答によりまして鉄道会館につきましては、法律上の違反とかあるいは経済社会上の非常に不当なと思われる問題が多く続出しておるとわれわれは判断しておるのであります。そこで政府の方針としまして、もしさように重大な国鉄財産の管理の不当というような事実がありましたならば、また法律違反の事実がありましたならば、ただいまの結ばれておる契約によりまして、根本的な相当な是正、もしくはやり方についての大きな改革、そういつたようなことをする御意図でもありませんでしようか。
  149. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題が起りまして、私も非常に心痛いたしておりますが、ただいま当委員会また運輸委員会等でも慎重にこれを御研究、調査していただいております、私もいろいろ聞いたりなどいたしておるのでありまして、これによりまして、何らかの方法をとるべきではないかと思うております。これは法律上の問題でありますれば、法律上の問題、そのほかの扱い上の問題とすれば、行政取扱いの問題として考究すべき問題が残つておると思います。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはただに行政取扱い上の問題もしくは運輸省内部における問題というよりも、もつと大きな影響力を持つ問題が内在しておるように思うのであります。たとえば国鉄のあり方はこれでいいだろうか。一兆億円を越えまする国鉄財産の管理の仕方については、これでいいんだろうか。昭和二十四年までは国有財産によつて国有財産法の適用を受け、財政法、会計法あるいはその他の一連の関連の法律の適用を受けて管理され、運用されて参りました。これを離脱いたしまして、公共企業体である国鉄の所有財産に移つてしまつております今日、その財産管理、その利用、使用、こういつた問題につきましては、国鉄法一条の公共福祉の増進とかいう大きな目標があるにかかわらず、ふさわしい資産の管理運用についての規定はないように思います。整備されておらぬと思います。ここにこういう問題が起りました一つの原因があると思うのであります。でありますから国鉄のあり方、国鉄の厖大なる資産の管理のいたし方、利用の仕方、こういうものを、公共の福祉増進とマッチしますように、憲法によつて国民の大きな資産とみなすべき財産の管理の上に、相当抜本的な考究を加える必要があるのじやないかと思います。そういう点につきましてひとつ御所見を伺つてみたいと思います。
  151. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国有鉄道が公共企業体として出発いたしましてあまり年限も経ちませんのに、このくらい法の改正が行われたのも少いと思うくらいでございます。それほどこれはまだ不完全な状態にあるのじやないかとも言えるわけでございます。今年の議会でも一部の改正をいたしたような状態でございまして、私どももこの問題につきましては、いろいろこういう事件が起らないにしても、いかが扱うべきかという問題については、いろいろな意見があるのであります。根本的な問題についてもいろいろ意見を私どもつております。これは十分研究をいたすべき問題だと思つております。私もそのつもりでおります。
  152. 山田長司

    ○山田(長)委員 きのう決算委員会国有鉄道の監理委員である佐々木さんを呼んで、いろいろ今度の国鉄会館の問題につきまして質した問題があるのでありますが、そのことについて一応伺いたいと思います。実は国有鉄道の問題について管理の衝に当るべき重要な職責を持つ方が、国鉄会館の株を多量に持ちまして、それで監督をすると言つておる。どう考えてみましてもこの佐々木さんの話を聞いておると非常にもうかると思う会社である。あるいはまた加賀山総裁は間違いは起さない人であるから、もし間違いを起したならば腹をかつ切つてお目にかけるというようなことを、たいへん豪語されましたけれども、監督の衝に当る人間がその会社の株を持つて平然としておるというそういう不謹慎なことを、平気で不謹慎でないときのうは豪語し切りましたけれども、一体大臣としてこういう問題をどうお考えになつておられますか、一応大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  153. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは法律上から申せば持つても一向さしつかえないものではないかと思います。道義の問題からいうとこういう問題はいろいろとこんぐらかる問題でありますが、この種、株の応募に力を合わせるという御心持で、少しでも名前を出せばその会社の株の応募等にも有利になるというような心持から、それによつての利益とか何とかを考えずに持つ場合も相当多い、と思うのであります。佐々木君の場合にどういうふうな気持かということは私測定できませんが、佐々木君としてはおそらく自分が持つてやる方が、この会社としては株式の応募等にもいくらかの力になるのであるということをもつて、好意的に持つたものだと思つております。しかしこれがいいかいなかという問題は、各人々々の心持にまかせるほかはないと思つております。私の場合だつたらおのずから私のやり方がありますが、佐々木君の場合でしたら、おのずから佐々木君の考え方があるだろうと思つております。
  154. 山田長司

    ○山田(長)委員 国民はこの暑いのに朝に夕に死にもの狂いで電車に乗つて、それぞれの場所でみんないそしんで努力をされておる。この姿を見たときに、輸送の完璧を期するために、電車や汽車の車両の数をふやしたりし、て、幾らかでも国民を安心させて目的の場所に運ぶことが国鉄の本来の使命でなければならない。そういう重要なときに、本来の輸送の仕事に真剣に取組んでやらなければならない人が、会社がもうかりそうだからといつて株を持つている。そしてその会社のことに恋々としているという監督官が、一体これでほんとうに国鉄本来の輸送の仕事に従事できると思うかどうか、もう一ぺん大臣の所見を伺いたいと思います。
  155. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 監理委員といたしまして、今おつしやつた輸送の不十分な状態をいかによくして行くかという、国鉄が絶えず考えております問題につきまして、深甚の注意を払い、指導する一員としてやつておることを私は疑わないのでございます。ただこの株を持つた問題につきまして、会社がもうかるという解釈と、自分が株を持つたという解釈とどういうふうな因果関係で言うたか存じませんが、もうかるからひとつつておいてやれという、そういう直接な考え方ではなかつたのではないか、これは私聞いておりませんがらよくわかりませんが、そういうふうに思うのであります。私は現在の監理委員の諸君が、みな国鉄総裁の諮問に答えて、委員としての職責をりつぱに今まで尽してくれているんだと信じておるのでございます。こまかい問題について一々の報告も受けておりませんから、この場合はどうだ、どうだという問題はよく存じませんが、大体においてそういう報告を受けており、またそれを信じております。
  156. 熊本虎三

    ○熊本委員 大臣もお忙しいらしいので、できるだけ簡単に聞きたいと思うのですけれども、ただいま山田君の質問によると、いやしくも国鉄の監督官の任にある者が、よしんば公社の電設たといつても、そういうことを兼務するということは、輿論が許さないと思う。良心があつたらやめたらいい。     〔柴田委員長代理退席、天野委員長代理着席〕 そういうことをやつているからこそだんだん国民の疑惑が高まつて来る。こういうことを監督、任命の任にある大臣が、どういう御関係か知りませんが、もう少し明確に言つていただいてこそあなたが紳士であり、忠実な政治家であることを輿論も納得する。この点はひとつ十分にお考えを願わなければならない。私どもがこうやつて一生懸命憎まれ口をきいておるのは、国鉄の幹部と鉄道会館の少数の者との結託による、いわゆる利権あさりの会社であるとすらわれわれは考えて、そうであるかないかをただそうとしている。そうでなければ幸いでありますが、長い間各同僚が熱心に質疑応答をやつて、証人、参考人を呼んでみても、国鉄発展のための協力に基く発意であることを、われわれは片鱗だに認めることができません。従つてそれが国鉄直接でないからという形において監督官がそういうことをやることに対しては、運輸大臣はただちに強い警告を発してやめさしてもらいたいと私は思う。そうして天下の疑惑を晴らす一助ともしていただくならばまことに幸いだと存じます。  なお私は、運輸大臣に同情と申し上げては失敬でございますが、あなたの人となりからいつて、これらの問題に関する関係者があなたをうとんじておるということを私は痛憤せざるを得ない。たとえば国鉄法の四十九条による一般公告に基く競争入札、それに適合しないと、重要な問題であるからというふうに大臣もこれに迎合しておられますが、しかしながら会社の実際の払込み資本というものは三億四千万円かと記憶いたします。この事業の総額は三十二億七千万円、しかして国鉄の負担になるというのは三億九千万円、残りの二十八億八千万円というものをこの会社がやろうというのだが金はないのである。そうして先ほど参考人の答弁によれば、金融業者の支払い保証によつてつて行くという。私はあとでどの金融機関がやつて行くかをただしたいと思うのでありますが、そういう借金に次ぐに借金をもつて、金融機関の支払い保証すらなければ手形もものを言わないというようなべらぼうな会社が、はたして随意契約、特別の利益のためにこれでなくちやならないという特例をもつてこれと契約すべき根拠がどこにあるか、まことに疑わしき限りといわなければならない。さらにお尋ねいたしたいことは、先ほどから話がありますように、この会社は三年間の前どりによる部屋代の三億円というものをもらつて、ようやくにして契約に基く工事支払金を払つて細々とやつておるという実情である。しかるにもかかわらず建設利息ということを理由にして五分の配当をしておる。前借りをして、そうして金融機関の支払いの裏づけをしてもらつて、やつとこすつとこ何かやつておるという会社が、前どりをした上に国鉄には一銭も払わないでおいて、そうしてかりに五分とはいえそういう配当をやるというような根性が、一体国鉄の将来のどこに協力し、どのように今日の困難なる国鉄の育成に協力しようという片鱗でもあるとお思いになりますか。こういうことについてはおおむね運輸大臣をつんぼさじきにしておるのではないかと思いますから、その点お含みになつて至急に御検討の上、健全なる監督庁としての態度をきめていただきたいと私は思うのでありますが、念のため御答弁を願つておきます。
  157. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 家賃の前どりをしながら地代の方の関係国鉄の収入がまだ計上されていないという問題が、今度の一つの大きな問題になつておると思うのであります。私どももこれを聞きまして、いろいろ計算上のむずかしさについての説明を承りましたが、精細なる計算ができなければ概算ででもいいのだから、向うから家賃をとつておるならば地代の方も払う。そしてそれがこの際むずかしければあとで精算をすることにしても、概算ででもやつてつたらできるのではないかということを考えまして、この間さつそくその旨申し入れました。今昼夜その計算をいたしておりまして、数日中には何とかしたいと言つておりますが、一日も早くやつてもらいたいということを申しておるわけであります。  なお、ただいま熊本さんからいろいろ御注意のありました点についてでありますが、こういう問題が国民の疑惑を招かないようにすべきことは、これは当然のことでございますし、それについてもう少し運輸省が監督の実をあげ得るようにし、そしていろいろな報告その他等もとつて大きく指導するといいますか、間違いのないように、明るみで政治が行われるような形で行くということについては、ぜひ力を入れて行きたいと思います。
  158. 柴田義男

    柴田委員 運輸大臣に先ほど同僚員が質問しまして、非常に良心的な御答弁でありまするが、ただ私どもは、たとえば既成事実がここに発生いたしまして、既成事実によつてそれを糊塗しようとするような状態が非常に深く感ぜられるのであります。それに今までこういう答弁を国鉄側もやつておるし、運輸省側もこういう答弁をやつてつたんだから、やむを得ないというようなお考えでの御答弁でなしに、私どもが運輸大臣に望みまするところは、こういう問題が国有鉄道として全体に今批判されております、たとえば今度の鉄道会館ができて、そのまた小会社には鉄道会館商事株式会社というものが生れております。あるいは交通公社にいたしましても、交通公社の小会社のようなもので、交通事業株式会社というものがあり、あるいは写真を営むところのそういう会社もできておるという話であります。こういうように国鉄を中心といたしまして、そのいろいろな関連の株式会社というものは数限りない状態であります。これらのすべての会社では、国鉄の現に相当な地位におられた方々が重要ポストを占めておる、こういう状態はほかの所管省にも多少あるでありましようけれども国鉄ほどこういう状態が繰返されているものは世の中にあまり存在いたしません。こういう状態から生れました問題が、今のこの一つの実例として論議されております国鉄会館の問題であるのであります。国鉄会館という会社ができ上りましたこの根本の状態というものは、国鉄にかつて職を奉じた方々が生活のためにやつたの最初の原田であるのか、あるいはまたりつぱな停車場を中央につくる、あの目的がほんとうのものであつたのか、これは疑わしいのであります。そういう点を私どもは大いに究明いたしまして議論をいたしておりまするが、それを既成事実があるのだから、しかもそれはすでに加賀山さんと契約を結んだんだから、加賀山さん、長崎さんとの間に契約が結ばれたことは正当であるのだということをつくり上げて、その上に立つた論拠でなしに、運輸大臣はこういう関係のものは悪かつたら悪い、是正しなければならない問題は幾多あるならある、こういう良心的な今後の御方針のことを承りたいのであります。いろいろな法律上の問題もございましようし、あるいは事務的な問題もございましようが、そういうこまかいことをわれわれは運輸大臣に伺おうとしておりません。根本的な御方針、御所見を承りたいと思います。
  159. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今のお話のようなことが、私がさつき申しました国有鉄道の今後のあり方についてもいろいろ論議があると申しました点でございます。それらにつきまして、現実の問題ももちろん頭に置かなくちやなりませんが、それを離れて、一体これから先の日本の国有鉄道はどうあるべきかという線を強く頭、に入れて、これが今よりもいい状態に運べるように、あるいはそれにつきましての皆さん方の御意見を聞く方法考えなくちやならぬと思つておりますが、それによつて何か案を立てたいと思つております。
  160. 大矢省三

    ○大矢委員 各委員からいろいろ尋ねておりますから、私は最後に今後の公社の方針といいますか、運輸行政の方針について質問したいと思いますが、一体物事はすべて原因があつて結果があるものですが、こういう疑惑をもち、さらに運輸行政がうまく行かないという、しかも経営が至つて赤字であつたりして、今度また独立採算制をとる公社にするというが、結局この状態ではうまく行かぬので、その原因がどこにあるかということを真剣に検討したことがあるかどうか、これはいわゆる営利会社で、利潤を追究し、営利を本意とした民間の資本を持つた三井、三菱と同様に考えております。三井、三菱、住友という大会社は長らくその工場あるいは事務に携わつておりますと、必ずや第二会社にこれを拾う。そうして第二会社にいろいろな関係で経営させて、そこにトンネルとして利益を持ち、あるいは世間的にごまかし、あるいは同僚を救う、そういうことになる傾向を生じておる。時間がありませんし、関係がないから言いませんか、それと同じことをやつている。御承知の通り、先ほど来申しますように、前に国鉄に勤めておつた、しかも最高幹部がことごとくこの関係会社関係しておらぬことはない。またあとから問題になりましようが、池袋の問題だつてそうなんだ、今これも問題になつております。私は今そのことは言いませんが、今度の会社の設立にあたつても、現在大資本を持つている鉄道会館の重役のことごとくが政治的背景を持つている人か、もしくは金融関係とか、元鉄道に関係した人ばかりなんです。たとえば元大蔵大臣であつた渋沢さん、その次に加賀山さん、これは言うまでもなく前の国鉄総裁であります。その次は立花さん。これは前施設局長です。次に伊藤滋さんは元運輸省鉄道総局施設局建築課長。その次は竹内さん、これは元国有鉄道仙台駐在運輸支配人、また太田さんも元国鉄技師長です。その次には元日本国有鉄道経理局長の二木正さん、かようにことごとくがそうであります。これは一例を申しただけでありますが、現に国鉄に席を置いている人では、高井経理局長が交通公社の監査役になつております。     〔天野委員長代理退席、柴田委員長代理着席〕 これは報酬があるかどうかは知りません。あるいは監査役をしておつた方がいいかもしれません。少くともそういういわゆる小会社といいますか、傍系会社にことごとくが関係をしているところに疑惑の一番中心があると思う。これはむしろ関係しないようにする方がいい、そうしてもしするなら監督を十分にすることが最も必要じやないか。そのためには先ほど言つたように、株を持つたり、あるいは鉄道に関係を持つてそこらにつながりのある人は一体どちらの利益をはかるのかわかりはしない。加賀山さんが非常に人格者であるからといつて——これに対して随意契約したということをしきりに言つておりますが、これがどういう結果になるか、私どもは非常に疑つておる。これは個人がいいからといつて、この公社あるいは営利会社たる鉄道会館とどつちを重要に考えておるかというと、申すまでもなく自分の直接関係しておるこの会社の利害を考えることは当然だ。公社は特別の事情がありましよう。しかしながら坪百五十円で借りて、一方民間へは坪二万円で貸しておる。しかも十年先、までの何十万円ととつておる。ここに公社から出ておるものがありますから言いまするか、そういう地代しかとつていない。しかも何でも現金で扱つている国鉄が、この大きな金額の何億円という金の取立てができない。たつた一円足らなくても民間人を汽車に乗せない、それほどに現金で厳格に扱つている国鉄が、そういう莫大な納めない金をほうつておいて、こういう安い料金で貸している。これは単に一例でありますけれども、ことごとく関係の者はそうなんです。こういうことで一体黒字が出せますか。必ず赤字経営になることは当然だ。当然だからといつて、今度独立採算制の公社になる。公社になるときに、私どもは将来大問題が起るだろうと思う。それだけ国が監督しておつてもなおかつこういうふうな状態であるにもかかわらず、公社のようなルーズなことをすればたいへんなことだと思つていたが、案の定次々と出て来る。私が今あなたに聞きたいことは、それでいいのかどうか、よつてつて来る原因をどういうふうに取除こうとするのか、それでけつこうだと考えるのか。この原因と称するものは、あまりにも旧鉄道の上層役人がこれに関係しているということ。しかも傍系会社があまりにも多い。これは民間の営利会社とは違う特殊な事業であるということ、しかも公社に非常に不利な条件でそれぞれ取扱つているという事実、これに対して一体今後どうしようとされるのか。これはきわめて重要である。できたことは糾明しない。二度と繰返さないように改めると同時に、もつといい成績を上げるようにすることが、あなたの責任だと私は考える。この機会に一ぺん二どうということはできませんが、これをどう考えているのかという根本的なものの考え方について、この機会に私はお伺いしたいと思います。
  161. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 まことにお話の通りの線に私ども考えが進んでおります。と申しますのは、今のではどうも思わしくないということは、今の国鉄法に向うたびに感ずるのでありますが、ちよつと横道にそれまして恐れ入りますが、私この国有鉄道の規程の改正その他が問題になるたびに、一体日本の国有鉄道をこういうような公共企業体にしたのはどういうところであるかということをいつも考えたのです。そうするとこれはいろいろないきさつはありましようが、国家から離れて公共企業体、独立採算制というようなことで発達さすべきじやないかという心持でできたのだと私は了解いたしております。そのためにこの規程もこうしたらよくなるか、ああしたらよくなるかと何回もかえて今日まで来たと思つておるのであります。今も私はその線で思つておりまして、昨年あたりから運輸委員会等でたびたびこの問題について質疑応答のたびに、私はこれはなるべく公共企業体として、政府があまり干渉せずに、十分りつばに伸びて行くようにしたいというような線に、なるべく規程等も運んで行きたいという心持だということをよく申しておりました。不幸にして今度のような問題が起つて、いろいろなこと問題の種にされまして、あらためて全体のそういうような声等も、どうしたらいいか考えてみることも必要なときになつて来たと思います。皆さんの御批判を聞きましても、このままでよろしい、今までのが正しいという線より、もう少し改めなければならぬのじやないかという声が強いと私どもには聞えるのであります。いろいろな問題を取上げして、この場合はこうしたらいいか、ああしたらいいかといつて法律上、行政上各般の問題について研究を続けて行きたいと思います。
  162. 柴田義男

    柴田委員長代理 お約束の時間を大分経過しておりますからごく簡潔に願います。
  163. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは非常に大切なことで、運輸大臣はあと出られないと思うから、一言……。先ほど運輸大臣は、国有鉄道固定財産管理規程はあなたの知らないことであるからというお答えであつたのだが、これはお認めにならないということでございますか、その点いかがでありますか。
  164. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは私がそういうものを無視するという意味ではございませんで、運輸大臣が直接自分のところできめた規程でない、これは総裁のところできめた規程であるということを申し上げたわけであります。
  165. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは私もあなたからそうお答えを伺わなくてもわかつておることです。あなたのところでつくつたものではないことはわかつておる。この会計規程もあなたのところでつくつたものでないことはわかつておる。しかしながらこの固定財産管理規程というものは、国有鉄道法と最も深い関係のある非常に大事な規程ではないかと思う。国有鉄道法第四十六条には、「日本国有鉄道は、法律に定める場合の外、営業線及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供することができない。」こういうことがはつきりうたわれている。この営業線というのは線路のことでしよう。これに準ずるものといえば停車場あるいはその敷地を言つておるのでしよう。こういうような重要な規程があればこそこの固定財産の管理規程というものができて参りまして、又貸しをしたり何かしてはいけない、期限も一箇年以内転貸してはならないということが書いてある。でありますからこれはきわめて重要な規程でございます。これをあなたが自分のところでつくつたのではないなどと言うことは、きわめて無責任なお答えではないか。あなたは知らないにしても、少くとも国有鉄道総裁たるものは当然これに拘束されなければならぬのであります。そういうわけでありますから、今のような自分のところでつくつたのじやないというようなへんなつまらない答えでなく、これは当然国有鉄道が守らなければならない規程である、こう御答弁くださつて、何でもないじやありませんか。どうも皆さんのお答えは逃げよう逃げようとしている。私どもあなた方を責めるのではありません。問題をはつきりすればいいのです。それなのにいいかげんな答えではわれわれは納得できない。ことにわれわれが自分材料を持つて来てものを言うのじやない。国有鉄道の規則あるいは国有鉄道法というものによつてつておるので、空理空論を唱えておるのじやありません。どうかそこのところを誤解ないようにしていただきたい。  それからさらに、ほかの問題もたくさんありますけれども東京駅の問題だけについて、私はあなたにもう一つ所見を伺いたいと思いますが、これは政令による契約であるということで御報告があつたとするならば、もう少しあなたはこの問題について御検討なさらなければならなかつた。いまさらあなたを責めてもしかたがない。私があなたにお話をして、総裁のやつたことが適当であるかどうかということについての御所信を伺えばけつこうですから、どうかいろいろにおつしやらないで言つていただきたい。と申しますのは、この株式会社鉄道会館というのは、創立当初にはわずかに一億円の会社であります。そしてこの会社から、三十億もかかるような日本にいまだかつてないような大きなビル建築契約国鉄請負つておる。そして国有鉄道請負い業者との間にこの建築請負契約をしておる。そうしてさらに授権資本が四億四千万になりましたが、そのうちわずかに三億四千万しか払込みがない。そういう会社から三十億の莫大な工事国鉄が頼まれて、しかも今度請負い業者と三十億の建築請負をしておるということになります。とこれは莫大な債務を請負い業者に負担しておるわけでしよう。建築ができたら払つてやらなければならぬ。こういう莫大な債務を負担いたしますことは、この国有鉄道法からいつても当然運輸大臣に報告しなければならぬ。また三十九条の十四に資金計画等のことも書いてある。これは国鉄としましてもきわめて重大なる問題であります。そうしてこの鉄道会館から国鉄に入れた金はわずかに二億一千九百六十万一千円、しかもそれが二十数回にわたつて請求しまして、二十二回にこまかく分納して、わずかに一億しか入つておらない。もしこの株式会社鉄道会館が払込みができなくなつたときには、請負業者との間の請負契約に基くところの債務の支払いはどなたがなさるか。国鉄がしなければならないでしよう。かくのごときばかばかしいことを何がゆえに国有鉄道総裁長崎氏が加賀山氏との間に契約をして行つたか。これをあなたは適当だとおぼしめしになりますか。私はどう考えてみてもこんなばかばかしいことは考えられませんが、これに対してのあなたのお考えはいかがであるか。
  166. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 まず第一番のお尋ねは、私があなたのお尋ねの趣旨を違えておつたかと思いますが、もちろん国鉄総裁自分のきめた規定に従わなくてはならぬというのは御解釈の通りでございます。  それから今度の会館の契約のことでございますが、これは法律的に申しますと、国鉄がいろいろ四十九条に書いてあるような仕事をする場合の予算等につきまして、契約等について私どもが知るのでありまして、今夏の会館の会社がやつておることは、私ども今までは直接に監督していなかつたものでありますから存じておりませんが、実際上の問題としてそういうことはどうだというお尋ねでありますと、これはヒジネスの経営の行き方といたしまして、いろいろな形態が私はあるだろうと思います。資本金が非常に少くて借金が多いというのは、どうも戦後このごろのいろいろな会社の経営に現われているように、戦前から考えますと、非常に妙な経営形態がよくあるのでありますか、この場合に資本金が少くても借入金でやつて行けるという目途がつけば、これも一つ方法である。資本金がそのうちだんだんと増額して借入金の率を少くして行くというような線等は、いろいろな経営のやり方の見方でございまして、この会社の経営の行き方が正しいか、あるいはもつといい方法はなかつたかというお尋ねになりますと、どのようなのが一番いいかということは私ちよつと申し上げかねると思います。
  167. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうもその点がまだ私は納得が行かない。いま少しあなたのほんとうの率直な御意見を伺えば、何もくどく言わなくてもいいのですが、私どもが調べた範囲では、株式会社鉄道会難から国鉄がそんな請負をしなくてもいいのじやありませんか。あそこへつくる日本第一といわれるところのビルの大部分は、株式会社鉄道会館の所有となり、それが使うことになるのでありましよう。だからこういう工事を許して東京駅をりつぱにしようとか、あるいはともによくしようというのであつたならば、何も国鉄はそんな請負いをしなくてもいいではありませんか。あるいは競争入札をしたならば不利益である、加賀山氏にやらした方が利益である、それほどまでに加賀山氏を信用するのであつたならば、何も国鉄がその会社から工事を頼まれて自分でやらなくたつていいじやありませんか。それよりも、その株式会社鉄道会館請負業者と契約して建築して行つたならば、何もその関係において債務の履行行為などは国鉄には起つて来ないじやありませんか。しかるにもかかわらず、何の利益があつて、わずか一億さらに三億四千万、また昨日の話によりますれば十三億という話ですが、十三億の株金を全部払い込んでみたところで、三十億の半分にも満たないではありませんか。この工事費の総額は三十億円である。それをこちらが払わなかつたらどうなるか、保証するというけれども会社でありまして、個人ではありません。会社財産がなかつたならば、どこが保証するのでありますか。昨日私は聞いた。保険会社とか銀行が保証しているというから、その保険会社及び銀行はどこの会社でどういう保険をしているかということを聞いたのですが、これがはつきりしません。かりに保証をしても何をしても、そんなことをしてもらわぬでも、株式弧会社鉄道会館にやらせればいいのだ。側を苦しんで国鉄がやるのでしよう。しかも三億という店舗を貸した金を、工事資金の一部として二億余り入れておる。株式会社鉄道会館は十三億の払込みなんかありはしないのだ。わずか三億四千万円しか払込みがなくて、それを全部国鉄工事資金に入れたのじやありません。しかも今度は国鉄には契約上の賃料も何も払わぬでおいて、店を貸したその貸金を三年も前借りをして、これを国鉄の方に入れておる。会社の内容が、いかに渋沢さんが会長であつても、われわれはそんなものを信頼することはできない。聞くところによれば、渋沢さんはこの会長に就任当時株をひとつも引受けておりはしなかつたあとで職務株を名義にした。こんなことでは——なるほどそれは国有鉄道財産でありましても、国家の、国民の財産であります。それがこんな莫大な請負工事契約を利益会社から背負い込んで来て、そうして請負業着と契約するなんていうことは、どう考えてみても私は適当でなかつたと思う。私はいろいろとあなたがおつしやられるから、そうじやないのだ。それはあなたがお考えになつて、適当でありたと思われるならあつたと言い、なかつたらなかつたで、イエスかノーで。多くのことを言わなくてもよろしい。それだけを伺えばいいのです。
  168. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 こういう問題はなかなか簡単に言えないものでございまして、イエス、ノーで言えとおつしやいましても言いにくいのでございます。こういう問題はいろいろないきさつものり、そうして今日にまで来ているのしございまして、これは皆さん方に十分ここで御検討いただき、国鉄がどういうふうな考え方をしておつたかということ等もお聞きくださつて、現状と将来をお見通しくださいまして、どうするかということを皆さん方でひとつ研究していただきたいと思います。私ども役所の監督の立場にある方の側としてもなおこれから先いろいろ研究いたしまして、どうしたらいいかということをきめたいと思つております。
  169. 柴田義男

    柴田委員長代理 お諮りいたしますが、三十分というお約束が一時間になつていますから、簡潔にあと五分だけお願いいたします。
  170. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は、将来とか何とかいうのでなくて、今の事実についていいか悪いかということだけなんです。理由ではない。
  171. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ただいま申し上げました通りでございまして、いいとか悪いとか一存では簡単にきめられません。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣は、この鉄道会館を契機といたしまして、現在及び将来の国鉄のあり方等々について、相当大きな決心を持つてこれに対処してほしいと思います。もつとも失礼ですけれども、内閣もいつまで続くかわからぬのでございますから、そう雄大な計画を持つて望むわけにも行くまいと思いますけれども、これを契機といたしまして、ひとつつて国鉄のあり方とこの種問題の絶滅を期して、何らかの根本対策を立ててほしいと思います。つきましては、私はこの考え方の方向について提案して、御所見を伺つてみたい。一つは、この公共企業体というものは大体占領中入つて参りまして、日本の社会、経済、政治の沿革と実情にぴたつと合つて発生したものではございません。そこにやはり相当の無理があつたのではないかと思います。また公共企業体自身の性格は何ぞやということにつきましても、いろいろと説があるがごとくであります。こういうわけでありますので、私は国鉄のあり方につきましては、将来もう一度政府の直轄下に置くという方向もやはり一つ考え方じやないだろうか、こういうふうにも考えます。これは非常に根本的な問題でありますので、卒然として結論的な言い方をするのはどうかと思いますけれども、方向としてはそういう方向がいかがかと思います。もししからずして今の公共企業体を育成して行くという方向で行くとするならば、根本的に、資産の管理の仕方につきまして、なお国有財産法あり、財政法あり、またその他の各般のそれから流れる法規があるごとくに、一貫した資産管理、運営、会計、財政等に対する、また予算決算に至りますまで、財政法規がすつきりして、系統立つたものがなくちやならぬと思う。そういうことをするか。それからまた、監督機構につきましても、監理委員会がとつてつけたようにございます。これもまことに失礼な言い方でありますけれども、非常に無意味なことが昨日暴露したのであります。でありますから、この問題につきましても、何かの代案がなければならぬと思います。これは根本的な問題であります。  それからもう一つ具体的な鉄道会館の問題につきましては、これはひとつ何とか適切に抜本的に、契約に改訂を加えるというような方向へ、大臣は所信を固めて案を立てて臨むという決意は持てぬでしようか。これは私が提案を申し上げまして、あなたの所信を伺うごとにいたしたい。
  173. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 いろいろ大きな問題について示唆を受けました。これはいろいろな問題から、あなたのおつしやつたような両面から考えなくちやならぬと思います。どうしたらよくなるかという目標は一つでございます。そういう意味におきまして十分検討をいたしまして、あるいは御相談をする機会があると思つております。
  174. 細迫兼光

    細迫委員 運輸大臣にお尋ねいたします。先日副総裁にこの鉄道会館との間の契約の性質について、吉田委員からこれは公的契約であるかあるいは私的な契約であるかということについて質問がありました際に、副総裁は公的な契約という御答弁があつたのであります。私はこれはあくまでも間違いであると思いますが、そのことは後日の問題といたしまして、そういう頭が国有鉄道には種々あるのだということが認められると思います。鉄道会館との契約などにいたしましても、使用許可というような形式がいまだに用いられておる。民間相互の契約の形ではありません。これはいつでも官庁対国民間における封建的な性質の契約において使われておる形式なんです。これが万事を物語つておりまして、そういう頭が種々まだ国鉄には根底から残つておる。われわれはこの国鉄なる公社に、もう少し国民への奉仕、サービスという点についてより以上能力をあげてもらいたいということを要求すると同時に、大いにこれが企業体としてもうけてもらいたいことを要望せざるを得ないのであります。それには国家直営の手を離れました形に徹しまして、今申し上げましたような国民へのサービス、それから大いにそれ自体として、利益をあげていただくこと。単に消極的に国家に損失を及ぼさないという程度にとどまらないで、積極的に大いにもうけてもらう、そしてこれを客車の増発その他の国民へのサービスに向け、なお従業員の給与の方にも向けるというような方面に積極的にやつてもらいたい。それには根本的に今の官庁意識を払拭する必要があると私は思うのでありますが、これらの点についての御所見を承りたいと思うのであります。
  175. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは先ほどこの部屋へあなたがお入りになる前にちよつと触れました問題でございますが、私、昨年運輸大臣の職について以来、鉄道問題を考える場合に、鉄道はどういうあり方であるかというと、公共企業体、そして独立採算制ということをできるだけ強調して生かして行くべきではないか、中途半端な今の状態から、できるだけそれに近づけて行くという方針で今日まで参つておりました。今日いろいろな問題が起りまして、もし根本的な議論になると、今のあなたのお話のような線に沿うて、これがだれの前でもはつきりした経営形態であるというように、経理の系統も完備してりつぱな行き方をするか、あるいは思い切つて前の状態に返つて国でやるかというよう問題までも、いろいろ考えなくてはならぬということでございます。ただいまのお話の趣旨は、私どもが今までそう考えながら実は不十かな状態であり一少しずつそれに近づけて行つたものでございますが、さつきもお答えいたしましたように、そういういろいろの問題を十分あわせ考えまして、今のままでやつて行くのがいいか、今のままとしては当然の形でございますか、これを一日も早くどういう状態に——先にはかわるといたしましても、公共企業体の実を十分あげるように、あらゆる努力をいたさなければならぬと思つております。
  176. 山田長司

    ○山田(長)委員 一言大臣にお尋ねしたい。今のお答えで一応もつともなような感じがするのでありますが、大体国鉄をめぐる一族の綱紀紊乱という問題は、ここ一両日の論戦で十分に私らにはわかるわけですが、こういう紊乱しているままの姿をいつまでも続けて行くということは、私は国民に及ぼす影響が非常に悪いと思うのです。大いにもうけてもらうことはいいのですが、内部的に紊乱があつてもうかるということは不可能です。そういう点で、抜本的に、何か大臣はこういう目安でひとつ収益をあげて行くのだという御所信がありましたら承りたいと思います。それからあなたは紊乱と思つていないかもしれないが、社会通念上、国民は全部この事実を紊乱していると思うのです。あなたはこれらの問題についてどういうお考えであるか、一応参考に伺いたいと思います。
  177. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 お答えいたします、公共企業体、独立採算制の公社といたしまして、十分利益をあげて行くのにこういう方法があるかということでございますが、今の状態では、公共の福祉という問題を頭に入れながら、いつもそれと天びんにかけてやりますために、単純に利益ばかりを上げることができない状態にあるのであります。昨年の運賃値上げの問題につきましても、国鉄といたしましてはもう少し分を大きく上げたかつたのでありますが、これが国民全般に及ぼす影響があまりにはげしいであろう、それは国民の生活に迷惑を及ぼすものであるというようなことで、一割値上げというようなことになりましたために、思うにまかせぬ収益の状態ではあります。しかし国鉄そのものといたしましては、いろいろな購入物品を十分検討して値を安くする、あるいはそのほかの運営の面をできるだけよくいたしまして利益の部面をよくするということも当然考えなければならないと思つております。それにはいろいろサービスをよくして、貨物の輸送についても人の輸送についても、部内でも今だんだん自分の予算においてふえるだけの力によりまして収益を上げるような方向に努力して行くということを考えるより方法がない。そういうことに努力いたさしたいと思うております。  それから網紀粛正の問題であります。これはいろいろ新聞等に出まして、何か非常に伏魔殿のような観を世間に与えたことは、これは私はいなめない事実だと思います。しかしだんだんとお調べ願いまして、何だか少しもの足りないと申しますか、まだこうすればよかつた、ああすればよかつたという点はたくさんあると思いまするが、法律に違反する刑事上の問題を起すというような点は、今度の問題等にもないと私は確信いたしておるのであります。今後の問題といたしまして、国鉄に対して国民の信頼感を持たせるためには、特に綱紀問題に十分注意しなければならぬという意味のお尋ねには、私全然賛成であります。どういうふうにしてこれをやつて行くかということ等につきましては、これから先いろいろ相談もし考えもいたして、実施し得るものはどんどん実施して行きたいと思つております。
  178. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は質問じやありません。大臣はたいへんお急ぎになつているとかいうから、希望を申し上げておくのです。われわれ決算委員は、八千万国民を代表して、政府が国民の血税を取上げてそして使つておるところの状態について、内閣がこの決算委員会に承認を求めて来たことに対して、審議をしているのであります。しかもこの鉄道会館の問題は、運輸大臣が主要なる所管であります。その主管大臣が、この決算委員会に出て来られた時間というものは、きわめて短時間である。お忙しいことは認めますが、われわれから言うなれば、主管大臣であるなら、いま少しく御熱心であつていただきたい。しかもこの十六国会におけるところの問題のうちにおいて、この国鉄問題というものはきわめて大きな問題であると国民が認めておるのであります。かような問題に対して、運輸大臣は、調査研究の範囲が実にずさんであるというか、不親切であるというか、われわれ国民の代表に対しての答えは、決して十分であるとは思われない。将来この所管のことについては、いま少しく御熱心にやつていただきたいと私は思う。本日も、来る早々帰られるような話で、それはほかに用があるならやむを得ないかもしれませんが、これは内閣の当然の義務であろうと思う。自分たちが使つた金の始末について国会に承認を求めておるのであります。どうかそういう心構えでやつていただきたいと思います。別にお答はいりません。
  179. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 天坊総裁に伺います。これが賃貸しにしろ、ある包括的な無名の契約にしろ、あるいは共同の何かの事業にしろ、鉄道会館契約をなさつて、ビルについては、底地は貸地、それから高架下とか、あるいは上屋等については、あるいは設備建造物、田地の賃貸ということになるのですが、いずれにいたしましても、そういうような範疇に基いて相手方に使用さしておるのです。この賃料をきめなかつたということが本委員会で先般来問題になつております。     〔柴田委員長代理退席、松山委員長代理着席〕 そこで、あるいは鉄道会館の側も概括的なものでも払う意思があるごとく、またあなたの方でもそれをとるがごとく、さような最近の御答弁の傾向であります。しかし問題の非常に重要な要素は、やはりあなたの方としては、対価を受取るということであると思うのであります。これをきめなかつたということは、少くともこの契約といたしましては、その原因はともかくといた申しまして、非常に大きな欠陥でないか。完全な契約でないと言いまするか、この使用料、賃料をきめなかつたということは、非常に大きな欠陥でないかと思われます。それが一点であります。それからもう一つ伺いたいのは、この賃料は、あの場所では、鉄鋼ビルなんかと違つて非常によい所でありますので、だんだんと上つて来つあることは、町の人の共通した言葉であります。今後の問題としてすみやかにきめなければならぬことはもちろんでありますが、これまでの問題としまして、この大きな要素をきめなかつたということは、やはりあなたの方としては手落ちとお認めになる筋合いではないだろうか、こう思うのであります。これは問題の繰返しでありますけれども、確答を得ておかなければならぬ点でありますので、重ねてあなたに伺うのであります。
  180. 天坊裕彦

    天坊説明員 この前も申し上げたかと存じますが、この契約の中で、使用部分に対する賃料というものを初めに額を正確にきめて、それを受取つてやるべきであつたものを、いまだにきめずにおるということは、はなはだ遺憾でございます。速急にそういう概算額でもとりきめたいと考えております。
  181. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 はなはだ遺憾でありまするが、これのよつて来たるところは、あなたの方の御説明によると、構内営業規則によつて算定するとかいうようなことになつてつたようでありますが、構内営業規則というものは、あれを一覧いたしますると、およそ数十億円という金を投じて建設するようなビルを扱うべき規則といたしましては、これは相撲とりに対しまして、四つ身の着物を着せるような規則で、まつたく時代錯誤で合わぬものと私は考える。むしろ普通の民法とか、そういつた法律によりましてきめるべきが至当ではなかつたのか。そうするなら事は簡単にきまる。それを構内営業規則にあてはめて、料金を算定するというようなことをなさろうとするところに、つまりくつみがきとかあるいはそこらの商店とか、そういうものと同列に置かれるところの構内営業規則から来るような、そのきめ方の方針が事ここに至つておるのじやないかと思います。その原因はやはり一般の民法とか、そういつた法律からきめて行くならば、料金のきめ方は簡単ではないか、こういうのであります。
  182. 天坊裕彦

    天坊説明員 確かに構内営業規則と申しますものは発生的に、御指摘の通りに、小さな駅の待合所の弁当屋とかダバコ屋とか、こういうものを相手にしてできたものでございます。戦後大きな高層建築をこしらえまして、その中で包括的ないろいろな仕事をやるというようなものをその中に押し込めて行こうというところに非常に無理があります。これが改正をいろいろ考えて目下立案中でありますが、なかなかむずかしいものですから答えが出ていません。それで一応あれによつたという建前をとつておるのでありますが、早急にその点はあらためて考え直して行かなければならぬと私は考えます。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでもうすでに構内営業規則によつて料金算定なんかするべき問題ではないということを御自覚になつておる。そうしますと、すでにそういうものによつて律し得られないような対象が出現して、これを依然として小さななわで軍艦を縛るような、そういうようなことで時間を経過して来たわけでありますから、だからこの点は、まずひとつあなたの方といたしましては、そんなものをやろうとしたのか事態を今日まで遷延さしてしまつて、きめかねているということを率直にお認めになるかどうか。そうして翻つて普通の民法という広い世界から行くならば、これは簡単にきまるわけであります。そういうふうにするならば、普通のビルの底地の貸借をやつておるがごとくに、国鉄といたしましても自由にでき得るものと思う。今回もそんな小さな規則に縛られてこの問題を処理しようというようなことを考える必要はない。もちろんそれは今お認めになつておりますけれども、そこで元にもどつて、広い民法などから使用料、賃料をきめる、こういうことが正しいのではないか、そういうふうにお認めになりませんか。
  184. 天坊裕彦

    天坊説明員 今の構内営業規則は相当欲張つております。建前として用地使用料をとるとか、建物使用料をとるとか、構内営業料をとるとか、こういう三段構えとしてできておるのであります。私どもとしても一本にしてそういうものを含めたようなかつこうでとつたらいいか、やはり分析してそういうものを寄せ集めたかつこうでやつたらいいか、そこら辺を検討しているわけであります。
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きようはあなたらとの問答も一応結末をつける気持で私は伺つておるのであります。それを一本にするとか、三本にするとか、構内営業規則の小さなわくの中でやろうとなさつておれば、依然として時間が経過するし、根本的に誤りであつたということをお認めになつた方が事が簡明になると思います。それで私はしつこく伺つておるのです。これによつて行かぬでもよいので、新しい立法とか、さような何かをつくるということは別個にしておきまして、この際当面しているこの問題に対する処理といたしましては、賃料は民法に基いて決定するということにして行くならば、事簡明でないか、こういうふうにおやりにたりませんか、こう聞いておるのです。
  186. 天坊裕彦

    天坊説明員 一方で今申し上げたような問題を研究いたしております。この問題の処理としては、とにかく概算で一本でとりたい、こういうふうに考えております。
  187. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 概算で一本で依然として構内営業規則、あれによつて行こうという御方針という意味に了解してよろしいですか。——それであるならば、やはり人力車とか、くつみがき、そういうものが入つておるのですから、そんなものと違う世界がこれは現われておる。違う世界が現われておるのを前のものでやつて行くことをいくら努力なさつてもそれはむだであります。これはあえて申し上げる。どうしてもそれでなければいかぬというなら、理論が食い違つたままになるので、私どもはほんとうに御親切に申し上げておるつもりなんです。それでなくして民法によつてやるということであれば、公正な社会が納得する。あなたはどうお考えになつておるか知りませんけれども、この賃貸料のきめ方自体にしましても、社会は大きな関心と、そのいかんによつては反撃もあるわけです。そう思つてなされなければならぬ、面子、行きがかり、あなたのきめたものだから、規則があるのだからということにとらわれることなくして、このところは裸になつたつもりでこの問題に対処しなければならぬと思う。その意味で申し上げておるのです。依然としてあなたの方はそれでなければいかぬと言うなら、繰返すことはむだでありますから、もう一ぺん御所見を承つておきます。
  188. 津田弘孝

    ○津田説明員 今副総裁から申し上げた通りでございますが、現段階におきましては、現在の構内営業規則——先般資料として提出いたしましたものによつてやる以外にないと思います。しかしながらそのとり方が非常に時代離れがしておるというような御批評もあつたのでございますが、今回鉄道会館からとろうとしております土地の使用料につきましては、あの付近の地価の時価を想定いたしまして、それに対しまして何分というものをとりますし、また建物の使用料につきましては、建設費に対しまして資本利子の率をかけたものによつてとり、構内営業は売上げに対して、その百分の一をとる、そういつたようなことで、現在構内営業の規則によりましても、何と申しますか、妥当な線が打出せるのではないかと思います。しかしながら、先ほどお話がございましたように、非常に新しい事態が国鉄の構内営業関係につきましてもいろいろできておりますので、目下そういう事態に即応するための構内営業規則の改正を研究しておりますが、今回はそれは間に合わない。それができました上におきましては、その新しい規則に移行して参りたい、こういうふうに考えております。
  189. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 会館側に伺いますが、あなたの方は、お尋ねするまでもなく、国鉄法の第一条の鉄道事業の達成、従つてまた公共の福祉の増進という非常に高い文化的な目的に沿う、そういうお気持で御協力になつておると解しますが、いかがですか。
  190. 加賀山之雄

    加賀山参考人 おつしやる通りでございます。
  191. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さようであるならば、この賃料の問題につきましても、構内営業規則がすでに時代離れした、四つ身の着物にひとしいもので、相撲取りのような鉄道会館の大きなずうたいにはまつたく合わぬものであるということ、比喩は適当でないかもしれませんけれども、不適当なものであるということは、副総裁の今の御意見によつても大体うかがわれる。こういうものにとらわれることなくして、民法の一般原則によりまして賃料をきめるということになりましても、あなたの方としては応ずる御用意があつてしかるべきだと思うのですが、御所見いかがでしよう。
  192. 加賀山之雄

    加賀山参考人 私どもといたしましては、もともと国鉄の御指示に従つて国鉄のためになるつもりで始めた事業でございますので、国鉄の意図がそこにあるならば、私どもとしては異存のあるはずがございません。
  193. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 副総裁に重ねて伺いますが、加賀山氏のただいまの重要な御証言もあるわけであります。これはたつて御勧告という意味じやありません。私の調査によつても、秋葉原の百貨店が、きめておるにかかわらず、とかくの言を弄して二箇年も依然として賃料百六十万円ですかを払つておりません。払わないことを申し出ております、また安くしてくれということを申し出ておると私も聞き及んでおる、というようなものであります。しかし今加賀山氏が幸いにして鉄道会館代表者である。その代表者の言として、国鉄の方の意図で、もし一般の民法等によつて、すなわち自由闊達に、相当公平な価格に算定するというような行き方があるならば、それに応ずることにやぶさかでないというような意味合いの御発言であると了承するのであります。あなたの方は営業規則のくつみがきと一緒にしたようなこんな古い時代遅れのものにこだわる必要はないと思う。だからここは百尺竿頭一歩を進めまして、そしてほんとうに世の疑惑を解くために、新しい角度からおきめになつたらどうかと思う。ことに前会でありましたか、加賀山氏の御証言によると、あの辺の地価は坪十万円か十数万円であつたものが、最近は二倍ないし三倍しておるというお説であります。三十数万円、四十万円にも一応御証言になつておる。私らが聞いたところによると、坪三十万円以上であります。でありますからそういうようなことはこの小さいわくの中ではなかなか算定しにくいのです。私も一通り読んで見ましたけれども、古いあなたの御経験ならまた別な御点があるのかもしれませんが、なかなか算定しにくい。そんなことをしておつたら、すでに秋が近づき、冬が来て、来年になつて、二年間もほつたらかすということであるならば、ほんとうに国民はこの鉄道会館の事業をつぶしますよ。国民の良心はほんとうに強く燃えておるのでありますから、それにこたえるようにあなたの方は態勢を整えて、この問題の処理に当らなければいかぬが、どうですか。新しい角度からそういつた方向にお進みになつて賃料を決定するというような御決意はありましようか。
  194. 天坊裕彦

    天坊説明員 委員のお説十分よく考えまして、検討いたします。
  195. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 よく考えましてという御意向でありますから、いずれ総裁に最後の各般の最終的な答弁を伺うことをわれわれは予定しております。どうぞそういうときまでひとつ御検討しておいてもらいたいと思います。私どもは過去における事実を追究することもひとつあります。しかし同時に今日及び今後にわたる事態処理の方針について責任者の御所見をはつきりさしておくというこの第二の任務を持つております。後段の任務がただいまこれに触れておるわけであります。  そこで次に伺いたいのでありまするが、この連絡上屋の問題でございます。これも結末をつけておきたいと思います。連絡上屋の鉄骨の建物の問題についてもはつきりしないまま停滞しております。大体の点は食い違いのままになつておりますけれども、つまりあなたの方は、高架線の八、九の線を引くときにとりのけさす、また会社の方は、国鉄がのけというときにはとりのけますという御説明でありましたが、これはしごくきれいです。きれいだけれども、あなたらのこの計画が公法上の契約でないということは、これは大体異論がなかろうと思うのです。但し公法上の契約だから一方的に代執行法によつてでも執行ができるというような御見解になつたならば、これまた石垣に頭をぶつけることになりますので、そんな危険なお考え方でなしに、大体の空気は、これは私法上の契約と見るべきだと思います。そういうことを三面に考慮いたしまして、この上屋の鉄骨建物の問題の処理について、過去の契約と今後の方針についてこれ本明らかにしておかねばならぬ。これはやはり何らかあなたの方では確実な保証をとつて国鉄の八号、九号の線を建設するときの支障にならないように約束をしておくべきであつたのではないか。ところがそれができておらぬのです。漫然と、敷くときにのけますということを言わしているだけのことなんです。ところが現実は、一坪十万円もかけたものが千数百坪も建設されて行くということになると、一億円以上の投資であります。一億円以上も投資するようなことをやりましたら、加賀山さんが、それは鉄道がおつしやつたらのけますと言つても、加賀山さんは一代表者にすぎない。いつまでも社長であるかどうかわからぬ。株主総会が最終の意見を持ちます。代表取締役といえども会社の利益に反した行為は許されない。会社がもし民法的にこの法律の効果を生ずるといたしますならば、鉄骨の建物でございますから、六十年の期間があります。だから来年、さ来年にあなた方が八号、九号線を敷くといつても、それはのけられません。私の方は一億円以上投じたものでありますし、借地法によれば六十年も期間があると書いてあるじやないか。これに反する契約は無効である。また十一条に書いてあることにもしなつて来れば、代表者が出て来るならば、あと株主総会の意思がそういうふうに決定すれば、正面衝突になつて来ます。過去の件は、加賀山社長が無効なことをかつてにやつたのだから、私どもはそれに服しません、こういうことになつて来る危険があります。そこで今日この問題に対してしつかりしたあなたの方の見解を聞いておかなかつたならば、国鉄は重大な責任、義務を背負つて行かなければならぬのです。不測の損害を将来約束される危険を包蔵しているのであります。ここなんです、ここを私どもは心配するんです。そこで聞く点は、何がゆえにこういうことについてもつと明確に、たとえば代執行でもぴしやつとやられるような、あなたの方の事業に支障を来さないような、さような保障的措置をとられなかつたかということが一つ公法上の契約であるか、私法上の契約であるか、今ごろ議論しなければならないというような、あいまいな事態に今日なつておるということは、今申しましたような長期の過大な義務を、国鉄としては将来会館に対して負担しなければならぬ危険があります。従つてこれは国家、国鉄の重大な損害になると思うか、どうなりますか。これを大要わければ二つになります。過去のことと今日及び今後のこと、これをはつきり御答弁願いたい。
  196. 天坊裕彦

    天坊説明員 お答えいたします。連絡上屋の鉄骨部分が永久構造物である、これを簡単な約束で貸してしまうということは穏当でないというお話でございます。特にこの鉄道会館の問題に限らずほかでもやはり同じような問題の場合があるわけでございます。ときによると永久構造物のものかできる、それに対して撤去しなければならぬという条件をつけて貸さなければならぬ場合もあるわけであります。そういうときの慣例として、理論構成として私どもは一応それが有効だというために、公法上の契約という説を用い、ほかでもそういう例があるわけであります、従つてこの前いろいろお話がございましたが、趣旨としてそういう説を持つているということを申し上げたわけであります。従いまして今回の場合でもわれわれの趣旨として裁判上もそれを争つて行くという考え方を持つております。代執行はできませんが、強制執行その他でやつて行くという考え方をもつて、借地法、借家法の関係はないということで、裁判でも争うつもりでおります。さらに会社の方としてこれを履行するために気持がかわるというようなことも、もちろん会社資本構成について十分考えなければならぬ問題でありまして、私どもとしては少くともその二分の一を鉄道の総裁と同一人格でありますところの共済組合の責任者が持つているということも合して、それらの点を考えたわけであります。
  197. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は一応の説明にはなるようでありますけれども、例の上屋のような事実がある。それは支障なしに来ているかのごとき御説明であります。しかし先国会以来この委員会が取上げて来ましした虎ノ門のニユーエンハイヤモーター会社、それは大蔵省所管の国有土地を東京都へ無償で貸してやつて東京都は五百万円の金をとつてこれを貸し付けてやつた、木造の建物をつくりますという一書を入れさせて、使用許可という行政的措置の形式によつて、四年間という期間で貸し付けた。ところが実際は四千万円投じて鉄骨の建物をつくつた。弁護士に研究させ、法律顧問も、ちやんと用意して、政界、財界の有力者が人りまして、今日なら二億円金がいると豪語してのかない。全従業員からこの国会に陳情が来て、えらいことになつている。そうして今どうにならぬのであります。最近の参議院の本会議において不当財産管理の事例とし本会議においては決議された、いう事実があるのであります。でありますからこれは決して杞憂でも何でもない、どんな例がよそにあるか知りませんが、いやしくも国有財産に準じた国鉄の重要な財産の管理の上におきましては、これは最も危険な契約、不完全な契約をしたものと申すほかはないのであります。一番初めの点はそういう意味におきましてあなたの御答弁は御答弁にならぬと思います。  それからもう一つ公法上の契約だから代執行できませんけれども、あくまでも訴訟になるとか、そんなことをやりましたら国有鉄道の重要な、東京駅における八、九の新しい線路の建設というようなことにつきまして支障を生ずることになつたらどういたしますか。だからそういうことが絶無であるような条件のもとにこの契約を取結び、そして事業に着手し、使用せしめるなら使用せしめるというようにしなければならなかつたのです。ところがそこにおいてあなたの方はその措置に出でておらぬ、その措置当を得ておらなかてたと私は思うのです、だからこの点も天坊さん率直に、やつぱり強弁はなさらずにやつたことは何でもいいのだというようなお考え方ではなしに、やはりこれは非は非でお認めにならなくちやいけません。欠点は欠点としてお認めにならなければならぬ、危険な契約をしたとお認めにならなければいかぬ、長期の負担をなす危険があるということをお認めにならなければいかぬ、いかがです。
  198. 天坊裕彦

    天坊説明員 特に連絡小屋の土地の上を線路として使う、プラツト・ホームとして使うということは十分頭に置いて、設計上においてもそれらの点に考慮が払われておつたわけなのでありまして、使う下の部分を返すか返さぬかの問題については、先ほど申し上げた通り私はそう大きく問題にならずに解決がし得るのではないかと考えております。
  199. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしながらその所有権利者は会社ですよ、所有権を主張いたしましてその障害になることは、排除方を要求いたしました国鉄といたしましていささかの支障を生じないような措置を講じておくべきであつたのですが、それはその程度にしましよう。監督局長はこの点についてどうお思いになりますか。
  200. 植田純—

    ○植田政府委員 ただいま副総裁が話しましたように…。
  201. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 副総裁と同意見だとおつしやるんだつたら答弁してもらわなくてもかまいません。
  202. 植田純—

    ○植田政府委員 国鉄としましては、ほかの場合におきましても公法上の契約だということを主張しておることは事実でございます。それで実はこの点につきましては私ども検討いたしております。いろいろ説もあるようでございまして、なお十分なる結論に達しませんが、公的色彩が強いということは申し上げるまでもなく事実でございまして、われわれも公法上の契約であると一応考えております。
  203. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きようは結論を得たいと思うから簡単に申し上げてあなたの意見を聞くのだが、どうもはつきりしないのです。それじや検査院の当局も見えておりますからただいまの問題について、公法上の契約であるとか言うのじやなしに、私の言うのは長期の負担をし、義務を負担する危険があるじやないかということと、困難にぶつかるじやないかということ、会社なのだから代表者がかわつたらどうなるかわからない、そういう事例がある、虎ノ門という生きた例を引いてお話している。公法上の問題とかそういうものじやない。だからこの点について検査院の検査の立場からの御意見を伺つておきます。
  204. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 この問題に関しましてはかつて二回ほどここで私の意見を申し上げたのでありますが、私も実はその点がきわめて心配であると思つております。それで何とか適当の保証し得る方法はないかということを検討しているのであります。これが借地法との関係で単なる文書の交換ではたして有効かどうかわかりませんが、できれば本件に対しては借地権は決して成立しないのだというような公式の文書でもとりかわすとか何とかいうようなことで、ひとつ方法をとるとか、その他何とか将来問題を起さないような保証が必要じやないか、こういうように考えております。
  205. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 加賀山社長に伺いますか、あなたの方はやはり国鉄の大きな目的に順応するという御精神がおありであるならば、何もこの際にああいう重要な幹線の下の鉄骨の建物というものを特に所有権を保有する、確保しておくということは必ずしも必要ないじやないかと思いますが、そういうことについて全然国鉄が心配するようなことのないような新しい措置を講じて、たとえば所有権をあなたの方としては持たないという行き方で、そうして使用の問題につきましても、新しい角度からいろいろと御検討になりまして、よしんば会社が将来どういう意思を持つようになつても権利の主張ができないようなことを考究する、所有権の主張、所有権の確保をしないことと、使用権についてもそういう方法を考究する、こういうようなあなたの方の御用意は持ちませんですか。
  206. 加賀山之雄

    加賀山参考人 これは前の委員会においても申し上げたと思つておりますが、私どもお返しするとこれを確約をしておりまして、代表取締役社長たる私の名前でなされておりますけれども、これは会社国鉄の重大なる契約の条項になつておるわけであります。特に私ども国鉄におりました関係で、今までも苦い経験を積んでおりまして、そういうことについては会社といたしましては、これは非常に重要なポイントであるということは十分承知しておるのでありまして、従いまして一応所有は会社のものになつておりますが、これは永久構造物とはいいながら、いわば半永久的な考え方で設備をしており、そして会社のもくろみといたしましても、当初の企業もくろみにあたつては、すでにこれはあるいは何年後になるかもしれなしが、取払われることにもなるかもしれないという想定のもとに計算をいたしまして、それが会社の不当な損失にならない計画も立てております。またそこを貸す店舗につきましても、その場合に問題を起さないということを十分念を押した上に約束をいたしておるのでありまして、現在のただいまのままでも、全然私はそういつたいろいろ御心心配いただいておりますような心配はないと存じますが、なおこれでも心配たということでありますならば、国鉄の予算等のぐあいを見て私は所有権を国鉄に移すということも考えるのであります。
  207. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたの、国鉄が必要なときに取除ける、これは例の策定要綱にも書いてあつたと思います。それは御承認になつておるのだからそれはいいといたしまして、私の主張するところは、もし私法上の契約設定に立ちましたならば、これはどうしても借地権関係が生ずると思うのであります。虎ノ門の事件は借地法の借地権を主張しておるのでありますが、そうするとまたあなたは今日、誠意をもつて国鉄に向つて返しますというような意思を表示なさつても、会社会社不利益なる、法律上無効のことをかつてに社長が認めるということは、後日取消すことはできるのでありますから、そういう事態が生ずることも考えられまするので、従つてまあ予算等のこととにらみ合せて、所有権を国鉄に移すようなことがあつてもいいというようにおつしやいまするならば、それはそういうふうな考慮のもとに何か方法を策定してもらうということになりましたならば、せめてこの問題のありどころにつきまして、国民のいろいろと考えておるところに沿う一端にもなるかと思います。幸いそういう御発言があつたのですから、それならばそういう線に沿つてせつかく善処されんことを私は希望申し上げておきます。  それから今の店舗問題でありますが、これは高架線下あるいは今の上屋の下の店舗の問題でありますが、この問題につきましては、あなたの方では概算の支払いでもしたらという御意思があつたのですか。概算というのはそのビルの底地の賃料の意味か、どうにでもとれるような御発言でありましたが、いずれにいたしましても、三億円の金を前払いで受けて、そうして全然払つておらぬということが大きな疑惑になつておるのです。この点も天坊総裁に重ねてひとつ確認をしてもらいたいのですが、これはあなたの方としては重大な手落ちであつた。手落ちとか不当だとかいうことをあなたはおきらいかもしれぬけれども、やはりこれはなすべきことをしなかつた重大な点の一つであつたことには間違いなかろうと思うのです。私も繰返すことをしませんけれども、いずれにしましても三億円の金を使用者が使つて、そうして使用さしておる方がとかくの規則とかのことに手間どつてしまつて、約一年もたつのにいまだ受取つておらぬということが実情でございますので、この点は明らかに非をお認めにならねばいかぬと思います。そうして今後これをすみやかにおとりになるということをしなければ、だんだんと疑惑が生じます。あなたの方と会社とがぐるになつて第三者に利益を与えさせるようなことをやつておるのだといわれても、これはしかたがないのであります。でありますから非をお認めになり、そしてただちにこれを精算してしまうということをする御意思があるかどうか伺います。
  208. 天坊裕彦

    天坊説明員 使用料について決定をしないでおりましたことは、明らかに手落ちであると考えております。但し一文も払つてないじやないかというお話に対しまして、ごらんになりましたすでにでき上つた部分のコンコース、待合室、あの廊下になつておる部分でありますが、あそこの仕上げには相当の金がかかつておる。その費用の半分は、寄付といいますか鉄道会館が出しておるわけであります。その点は全然出さないというかつこうではない。これは使用料とは別個でありますが、寄付として半分は出して、おそらく一億近い金が出ておるのではないかと思います。
  209. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういう点はやはり会計は峻別しなければいかぬと思います。寄付と賃料を混淆したら経理はできません。百万円であろうが、一億田であろうが、寄付を受くべきか受くべからざるかは別個の問題であります。現に会社の方では払つておらぬということを言い、あなたの方でも答弁で明らかにそう認めておる。だから受けざりしことは明らかに措置よろしきを得なかつたということは率直にお認めにならなければいけないと思います。
  210. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま使用料をきめておらぬことは手落ちだと申し上げたのであります。早急に概算ででも何とか処理してとりたいと思つております。
  211. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから固定財産管理規程の十四条によりますれば、転貸しは禁止されております。そこで事実上会社はあの有名店五十三軒に対しましては、これは常識から考え転貸上であろうと考えるのであります。でありますので、転貸しの禁止の規定に度して転貸しをしておることを、あなたの方は黙認しておるというのが現状であります。これもきわめて遺憾な、不当なことでありますが、その点はどうでありますか。
  212. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道会館の事業をやらせますについて、この会社自身が転貸しをしなければできないようなかつこうでできておる、そういう意味において管理規程とは別個に許した、こういうふうに考えております。
  213. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、やはりこの管理規程にかかわらず別個に契約をしたといたしますと、問題は元へもどるようでありますけれども、管理規程、構内営業規則、そういつたものにこだわりなしに総裁は何でもやれるような見解に立つ、こういうことになるのであります。しからばやはり賃料を定めるという問題につきましても、そういうことにとらわれることなく、当初から広い視野に立つて何でもできたのではないか。この問題だけ別個にこの規則にとらわれることなくやるのだというのでは、何ゆえに構内営業規則にだけがんじがらめに拘束を受けねばならぬか、こういうふうな矛盾がわれわれには感じられるのでありますが、その点どうですか。
  214. 松山義雄

    ○松山委員長代理 ちよつと委員の方々に申し上げます。加賀山参考人はあちらの議運の方から呼び出しを受けておられまして、そちらへおいでになるそうですから、もし加賀山参考人に御質問がございましたら先にお願いしたいのですが、いかがでしようか。——今の答弁だけは先に天坊説明員にお願いいたします。
  215. 天坊裕彦

    天坊説明員 どうもお気持の中に、構内営業規則による料金というものは常識はずれの非常に安いものであるのが建前だというようなお考えがあるように伺えるのでありますけれども、これは今まで統制令なんかの関係でそういうことになつておりますが、大体民法の基準によつたようなかつこうで、構内営業規則というものの中にある使用料なり営業料なりひつくるめて大体普通の観念による総額になる方式でとるべきものだと私は考えております。ただ第三者に貸すという問題につきましては、料金の問題とは別個でございますので、管理規程で転貸しはできないというのを、特にその事業の性質上できるというかつこうにしたわけであります。
  216. 柴田義男

    柴田委員 加賀山参考人にお伺いいたします。この設立の趣意書の劈頭の、目的のようなところに、「当会社は主として不動産事業を堅実に経営し、将来は順次各地の国鉄施設の建物整備を、」云々、こういうふうにうたわれておりますが、不動産事業というものの範囲は、どういうようなものをお考えでございましようか、伺いたいと思います。
  217. 加賀山之雄

    加賀山参考人 今回の鉄道会館の建設のようなものでありまして、これを建てていわゆる賃貸しするということを主とする事業であります。
  218. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、普通にあるところの不動産会社と性格が同じようなものだ、こういうことでございますか。
  219. 加賀山之雄

    加賀山参考人 その通りでございます。
  220. 柴田義男

    柴田委員 それに関連して、このあと国鉄当局からも伺いますが、加賀山さんはお急ぎのようでございますので、もう一つ伺いたいのです。鉄道会館の子会社鉄道会館商事株式会社というものが生れておるようでございますが、これと加賀山社長とはどういう関係にございましようか。
  221. 加賀山之雄

    加賀山参考人 その鉄道会館商事株式会社は、鉄道会館が本来不動産事業を営むということでありまして、ただ今回できました高架下におきまして、一部直営の部分があるわけです。こういつた直営の部分を経営するのに、本来の不動産会社がこれを経営することは適当であるまいと考えて、別に会社をつくりました次第でありますが、私はその相談役という資格になつております。
  222. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、私どもが常識で判断いたしますのには、鉄道会館というものは定款等によりまして、どういう範囲の仕事でもできなければならぬわけだと思うのであります。それを別個にまたこういう小会社をつくつているということは、何か特別な根拠があるのかどうか。
  223. 加賀山之雄

    加賀山参考人 不動産会社と、たとえば喫茶なら喫茶というものを経営するのとでは、経営の性質が非常に違う点がありますし、また帳簿その他につきましても、わけて置いた方が、金の収支計算等について便利ではあるまいかという考慮に基いておるのでもります。
  224. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ伺いますが、八重洲口から、現在の中央降車場かどこかにわたつておるホーム下の通路のようなところは、国鉄鉄道会館に貸付けておるのかどうかということを国鉄側に伺いまするし、同時にこれを借受けておるような形を、われわれはこの間の調査で見受けたのです。しかも両面にずつと広告のようなものが出ておりますが、これに対する収入が莫大だということを伺つて参りましたが、この収入は幾らぐらいあつて、そのうち幾らぐらい国有鉄道に納めておるのか。おとりになつた方の国有鉄道の側からと、お払いになつておる会館側からお答えを願いたいと思います。
  225. 加賀山之雄

    加賀山参考人 先に私からちよつとお答えいたしますが、あの工事鉄道会館側で引受けまして、実はその工事費の中で完成をいたしました。先ほど寄附というお話が出ましたが、寄附といえば寄附という形になつておりますし、広告料金につきましては、国鉄の構内営業規則に基きまして、国鉄がこの広告を扱うというかつこうになつておるわけであります。
  226. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと加賀山さんに伺いますが、その広告料という収入は、会館には一銭も入つておりませんでしようか。
  227. 加賀山之雄

    加賀山参考人 大体の収入は、広告収入として八百万円程度のものであります。そのうち百五十万円程度を国鉄に払い、それから広告を扱う業者に払いますものが二百五十万円程度であります。その残りが会社の収入ということになつております。
  228. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、先ほどの加賀山さんの御答弁と食い違いが出たように聞こえるのですが、先ほどは鉄道の営業規則によつて広告は鉄道の方の関係である。あらためてわれわれが調査をしますと、あれが一こま一箇年何万円かをとつておるという調査ができておりますので、重ねて伺いますと、そのうちに、八百万円の収入があつて百五十万円は国鉄に払い、あと広告業者に二百五十万円払うという、こういうようなお言葉にかわつて来ておりますが、率直にどれだけおとりになつて国鉄にはまだ払わぬなら払わぬ、お払いになつておるのならお払いになつておる、こうはつきり御答弁願いたいと思います。
  229. 加賀山之雄

    加賀山参考人 ただいま申し上げたことは、率直に申し上げたので、国鉄にも支払いをいたしております。
  230. 柴田義男

    柴田委員 では国鉄経理局長に伺いますが、あれからの収入がはたしてございますか。
  231. 津田弘孝

    ○津田説明員 国鉄といたしましては、構内広告に関する規定がございまして、ああいう場合には広告の大きさと申しますか、縦、横の長さをかけ合せまして面積が出るわけでありますが、その面積に従いまして所定の広告料をとつております。但しこの徴収の事務は、東京鉄道局でやつておりますので、私今いつ、幾らつたということは申し上げかねます。
  232. 柴田義男

    柴田委員 国鉄は公共的な企業であることは議論の余地がないので、列車の中にも広告があることは知つておりますし、あるいは列車の中に、客の利便をはかるために食堂を持つておることも知つておりますが、こうしたように、たとえば広告の一つの例を見ましても、百五十万円も国鉄が収入があれば、一般需要者に対して求めに応じ得る。それを何を好んであのホームの広告に至るまで、莫大なものを会館に支払わなければならぬか。あれに対する改築をする仕事を会館がやつたから、その代償としやつたとは、りくつの上では成り立つでありましようか、そういうりくつであつたならば、国鉄自体がやればいい。何も好んで——百五十万円も収入があれば足りる、いわゆる営業規則による収入が百五十万であればいいのを、八百万もの収入をとらせるために、中には広告業者もそこにはあるでありましようが、広告業者二百五十万といたしましても約倍額になつておる。こういうようなことを、国民大衆のために奉仕しなければならぬ国鉄がやらなければならぬかという理由はどこにあるか、これを天坊総裁に伺いたいと思います。
  233. 天坊裕彦

    天坊説明員 広告の場所、あるいはどういう広告を入れるかということは、いろいろ、と専門家でないとわからぬ問題もございますが、こうした広告の場所的な利用価値を考えて、申出があつた場合に受けるようなかつこうにしております。そうしてその契約は、監理局長がそれを判断して許可しておる建前になつております。ほかの競争者とどういう関係にございましたか私詳しく存じておりませんが、建前として鉄道で、自分でやるということは、必ずしもいい結果ばかりが出るというふうにも考えておりませんので、広告は広告業者にやらせるという建前をとつておるのであります。
  234. 柴田義男

    柴田委員 そういうりくつはわれわれには十分わかりますが、現実にああいう大きな、しかも面積の広い場所、しかも東京駅の最も重要な地点である、こういうようなことは、少くも国鉄が直営にして、一般大衆の求めに応ずる、こういう体制の方が正しいのではないかとわれわれは考えるのであります。先ほど来申し上げておるのですが、既成事実がここに生れてしまつて、これがこうなつておるのだから、そのりくつを今度はあらゆる角度からお考えになつて、率直にああいう場合には国鉄が直接やつて、そうして業者の求めに応ずる、こういう態度の方がいいのではないか、こういうことを申し上げておるのですが、もう一度天坊さんの御所見を伺いたいと思います。
  235. 天坊裕彦

    天坊説明員 広告を鉄道で自分でやると、いろいろとそのために収益があり得るかとも思いますが、実際問題としてセンスの問題が非常に大きな関係になつておる。ああいうふうな広告を利用して、初めてなるほどこれは大きな効果になるというようなことがいえるのでありまして、一番初めそれを考え出すということを鉄道の今の組織で、それを建前としてやるということは、私は非常に困難であると思います。従いましてこれは広告業者にやらせる建前にしております。
  236. 柴田義男

    柴田委員 私の質問に対して、ちよつとお考えが相違があるようでありますが、私どもは広告によつて、鉄道がもうけなければならぬから、もうけろと申し上げるのではないのです。安くできるものであつたならば、大衆の求めに応じて安くそれを提供した方がいいではないか。ことさらに鉄道会館というトンネルをつくつて、それに半分以上ももうけさせなくても、百五十万であの広告が上るものであつたならば、百五十万で商店街に対して奉仕したらいいじやないか、こういうことを言つておるのです。また広告業者もございましようから、その業者を利用なすつた方が非常にスムーズに行く場合は、もちろんそれもいいでありましようが、広告と鉄道の収入を合せまして四百万、そして実際に鉄道会館に入つておる収入は八百万、これではまるでぼろ過ぎる。だから、鉄道が自分のところのひもつきの子会社をたくさんつくつて、その会社にインチキをやらせているのだという印象を深からしめているのじやないかということを申し上げておるのです。
  237. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいまおあげになりました数字だけから判断いたしますと、会社に対してぼろもうけをさしておるのではないかということに相なるわけでございますが、鉄道会館といたしましては、あの連絡通路を整備すると同時に、広告関係のいろいろな設備あるいは電気関係というものに対して相当の費用をかけまして、それの減価償却もして行かなければならぬという観点から考えまして、ある程度の高い料金を直接の広告主からとつておるわけでございます。しかしながら、広告業も、御承知のように、非常な競争がある事業でございますので、最初は八百万とれましても、はたして今後そういつたことが続き得るかどうかという点につきましては、私としては相当の疑問を持つております。
  238. 柴田義男

    柴田委員 そういうことは、私ども政治家としては、経済人でありますから十分わかるのでありますが、あれに対する費用あるいはまた広告の設備というものは、一つの固定財産になつてしまいます。収入は経済界の変遷とともに高くもなつて行くでしようし、低くもなつて行くでしよう。そういう状態から見ました場合にも、現在の計算からいつて、四百万が八百万になるということは、妥当なそろばんであるかどうかということを考えたから申し上げておるのです。それは費用を全然抜きにした、全然考えない上に立つての議論ではございません。そういうことを考えて、国鉄が奉仕をなさるということであつたならば、もつと安く広告主にサービスすべきではないかということを申し上げたのでありますが、その議論はこれ以上は申しません。ただそういつたような形のものが今後たくさんあつては困る。われわれが聞いておる範囲ではたくさんあるから、そういうことでなしに、もつと明朗な方法をとつていただきたいということが大きな主眼点であるのであります。ただ例をあの地下道に引いただけであります。そういう点は今後十分御賢察あつてしかるべきだ、こう思うのです。  それから昨日佐々木監理委員から、鉄道会館ができ上つた当初に株式を持つたというお答えがございましたが、私が当初の一億一千万の株主の名簿を拝見いたしましたのには、佐々木さんは載つていないように記憶しておりましたが、私の間違いか、佐々木さんが増資の場合に株を持たれたのがほんとうであるか、承りたい。
  239. 加賀山之雄

    加賀山参考人 はつきりと設立当初から、こちらからお願いして株式を持つてもらつた次第であります。
  240. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 加賀山社長はお急ぎのようですから、ちよつと一点だけ伺つておきます。これは非常に重要な根本問題でありますので、私は総裁とあなたと会長の三者がおられるところで聞きたいと思つたのですが、私の持つている一つの結論といたしましては、この鉄道会館ビルを、あなたの会社の独占的な利用に資することなしに——ともかく日本で一番中心の、東京で一番重要な交通の要衝の箇所にあるビルでありますので、申すまでもなく経済的利用価値はきわめて高いと思いますから、これをあなたの方だけが独占するということは、いろいろな経緯から考えて、国民が納得できぬだろうと思うのです。そこでこれを何とか公共的福祉増進といつたような目標の線に沿うて、あなたの方と共同に利用する、そうして国鉄と提携して行く、こういう腹をあなたの方としては持つ準備はできぬでしようか、こういう点を伺つてみたいのであります。
  241. 加賀山之雄

    加賀山参考人 今のお問いがちよつと私には理解しかねるのでありますが、たとえばそれを、株式会社組織ではいけないから財団法人とかいうようなものにしたらどうかということでありますか。
  242. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは具体的になりますと、私も率然とよい名案が浮ばないのでありますが、先般来もしばしばその問題で私自身頭の中で積んだりくずしたりしてみたのでありますが、どうしてもこれはあなたの会社の独占ということになりまして、数十年間独占されて行くということになると、これはうまく行くまい、やはり何とか公益優先の線に沿うた利用の道がないものだろうか、そしてでき得べくんばみなそれをともにやるというような方法がないものだろうかというふうに、かなり今の段階は抽象的であります。従つて抽象的なこと、具体性を持たないことについてお答え願うことも無理だと思うのですが、少くとも世論の趨向にかんがみまして、やはり一つの根本的な考え方を新たに立てる必要があると思いますので、それについての着想は、公益優先、福祉増進というような線で、ともにこれを使うとか——これはその方にのみまかせてしまうことは至難と思いますが、共同でも何とかそういう線に沿うて対策を打立てるという方向に持つて行くことについて考えを改められるお考えがあるか、抽象的なことで答えを求めることは恐縮ですが、伺いたいと思います。
  243. 加賀山之雄

    加賀山参考人 確かに非常に示唆に富むお話でございますが、これをどういう形でやつたらよいかということになると、非常に新しいケースだと私ども考えて実は出発しましたので、営利会社ではあるがきわめて公益性の強い面がある、一方においては国鉄の利益、また利用される方々の利便を極度に生かさなければならないと同時に、また営利会社でありますがために、株主の利益ということも社長として十分考えなければならない、そこに営利の観念が出て来るわけでありますが、この営利はまつたく株主のための利益ということになるのでありまして、他の会社には比較すべきものがないほど私ども会社の株主は多数であり、また少額の株主が多いと信じておりますので、非常に大衆的にできておると私は考えております。一部の財閥の資本に奉任しておるのではないということを確信しておりますが、今のお言葉で、それでもまだ足りない、もつと国民全般的なものということになりますと、株式会社として八千万国民全部に株を持つてもらうということはナンセンスであることは申すまでもありません。あるいはこれを財団法人にして、それから上る利益を国家的なものに寄付するとか、公共的なものに寄付するとかいうような方法はあるかと思います。あるいはまた、もし許せるならばこれを国鉄の予算で建てて、いわゆる国鉄の所有にし直営にすることによつてその利益を国鉄の経営にまわすということも、これは国鉄を利する人を通じてその利益が入るわけでありますから、これも一つ方法であろうと考えます。今回の措置といたしましては、そういうことがなかなか困難でありましたために、その中間的な考え方、株式会社の形をとりながらきわめて公益性の強い、しかもその資本構成としては大衆的な構造を持つた会社として出発いたした次第であります。
  244. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまの問題につきましては、これは私自身も十分に考え方が熟しておりません。ただその方向をそういうふうな方向へ、新しい何らかの対案を立てるということへの御努力が、関係者においてなされることによつて、私は国民が相当納得し得ると思いますが、依然としてこのままで行くということになりますことは、どうも国民の最終的納得への困難性を感じますが、これはこの程度にしまして、いずれ次の機会には総裁にも最終的なことを聞き、それからまたあなたの方の会長とあなたとみんな御一緒で、やはり私どもとしましては最終的な質疑応答で、何とか結末をつけるようにしたいと思いますので、申し上げましたことを一つの提案として、あなたの方も何とかそういつた方へ考え方としまして御協議願えましたら、たいへんけつこうだと思います。
  245. 細迫兼光

    細迫委員 私は、この国有鉄道には商売気を出してもらいたいという線の考えを持つておるのでありまして、柴田委員あるいは吉田委員のお考えとあるいは線が違う点もあるのであります。営業局長さんに具体的なことからお尋ねしたいのでありますが、あの通路の広告などに関しましても、規則によれば百五十万とつておればそれで済むんだ、会館の力で八百万円とろうと千万円とろうと、おれは規則できまつただけをとつておるのだから、われ関せずだという、こういうことはお役人の考え方なのですね。それを払拭してもらいたい。千万円会館で入るものならば、それほどの価値があるものなら、せめて半分ぐらいはあるいは七分ぐらいは国鉄の方でとるようにそういう方針が国鉄にほしいと旬日来私は主張しておるのです。これはあなたの権限によつてすべてできるわけではございませんから、あなたへの質問ではありませんが、ちよつと計数のことで次に聞くのです。  あなたはさつきの御答弁では、あの通路は会館につくつてもらつたんだから、そのお礼心からして会館が五百万円もうけられようと、こつちは百五十万円とつていればいいのだというような意味に聞えるような答弁をなさいました。すなわちあの通路は非常に会館に迷惑を及ぼしておるのである、国鉄は非常にそれがためにおかげをこうむつておるのだというような意味にとれる御答弁でありましたが、私の考え違いであつたかもしれないが、それをお聞きするのです。昔はあの構内をこちらの乗車口から八重洲口へ抜けるには、通行入場料か何かそういうものを五円か十円かとつておられたのではないかと思う。しかるにあの通路ができればそれがなくなるのじやないか。あの通路ができることは、一般人がまた自由に通行できることは、これは一面私はいいことだと思うのです。会館によつてすべて恩恵をこうむつておるんだということにもならないので、今の通行入場料ですか、それは損をなさつているという結果にもなつていると思いますが、そういう事実があるかどうか。進んで承るならば、一体通行入場料一月幾らくらい元あつたものが現在なくなつたか。数額の点まで伺えれば伺いたいと思います。
  246. 津田弘孝

    ○津田説明員 先ほどの私の申し上げた御説明が、あるいは言葉が足らなかつたかもしれませんが、実はあの連絡通路は、もともとあの大部分の通路が東京駅の手小荷物の荷物車の運搬通路であつたわけです。従いまして非常に薄暗い。そうして天井にはたくさんのパイプがあつた場所でございます。東京駅は、御承知のように、非常に長細い地積を占めております。従つて八重洲口側と丸の内側との間の連絡にはぐるつと人々はまわつて行かなければならぬ。非常に不便であるので、かねてからこの連絡通路の要望は熾烈なるものがあつたのであります。今回鉄道会館の方で、今までありました手小荷物の運搬車の通路は、実は手小荷物の設備が全部新しくできましたのでそこを使う必要がなくなりまして、現在ではその用途には使つていない場所でありますので、これを整備したい、そうして国鉄に寄付したいというような申出がありました。かたがたその両側に広告をやつて、広告主から会館がとるそのうちの所定の額を国鉄に払うというような申出がありましたので、それでよかろうというふうに申して現在やつているわけであります。もし国鉄が直接にああいつた広告を募集し掲示をすることに相なりますれば、これは国鉄本来の業務ではありませんし、輸送力増強にも直接の関係がないというようなことからいたしまして、現在ありますように、全部企画統一され、また電照関係の設備も整備されたものが、おそらく往々にして中間駅なんかで見られる非常にぶざまな統一のないものになつたであろうというような関係からいたしまして、一つは会館の収入にもなりますし、また国鉄の増収にもなるというような関係から申しまして、ああいつたようなかつこうに現在相なつているわけであります。今細迫先生がおつしやいましたように、入場料が今までならばとれたのに、連絡通路ができたためにとれなくなつたのではないかということはまことにその通りでございますが、しかしながらこれは今まで汽車に乗らない、ホームに行かれないお客に対して入場料をとつていたという点に多少酷な点もありまして、今回はそういつたような方々のためには非常な利便が提供されたというふうに私ども考えている次第でございます。なお金額は今ちよつと手元に資料がございません。
  247. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの細迫委員の御質問の趣旨につきましては私どもつたく賛成でありまして、一般に広告等につきましても、もつと広告を出す方がスライドして鉄道の収入にもなるという方向に考えて行かなければならぬと考えております。ただいままで鉄道会館というものがいろいろと論議されておりますが、全体として非常にボロいのだという考えの上に立つてお話になつておりますが、いろいろ中味をこれからの工事その他一緒に考えて参りますと、まだまだ資金的には非常に困難もあります。その辺で、筋の通つた話で、収入確保の面ができるならばという点も、気持の上ではあつたことは事実であります。
  248. 松山義雄

    ○松山委員長 代理柴田君。
  249. 柴田義男

    柴田委員 交通公社の問題を大体きようで簡単に済ましたい、こう私ども考えているのですが、いつでも国鉄の問題というと、交通公社の方にもたくさんおいでを願つて御迷惑をかけておりますが、交通公社の問題を少しお伺いしたいと思います。大正十四年四月から昭和二十四年五月三十一日までは手数料があつて、無手数料の時代になつたの昭和二十四年六月一日から二十六年一月三十一日までだと伺つてつたのでありますが、そういたしますと、これが間違いがないといたしまするならば間違いがないとお答えを願いたいし、二十六年の二月から三分の手数料が復活し、次の時代に五分に復活したということも伺いましたが、それはただ仄聞でございますので、はつきりと何年何月から五分の手数料が復活しておるのか、この点をひとつ承りたい。  もう一つは第二点といたしまして、交通公社の子会社のようなもので、株式会社日本交通事業寸、こういうものがあるように聞いておりますが、こういう子会社のようなものをどういう必要があつておつくりになつたのか、第二点。  それから第三点といたしまして、これも仄聞で、われわれの間違いであれば幸いでありまするが、何か大きな雑誌社か出版社へ多額の投資をされて、それが大きな損失を来した、それが鉄道に未納金を莫大にためた原因であつた。根本的にはこの手数料がなくなつたということも原因ではありましようが、そういう経験のない出版業に手を出して、莫大な投下資本が回収不可能になつた、それが大きな原因であつたということも聞いておりますが、そういう事実があつたかどうか、これを高田会長さんに承りたいと思います。
  250. 高田寛

    高田参考人 お答え申し上げます。第一段の御質問の手数料の問題は、これは始まりましたのは非常に古く、大正三年から国鉄の乗車券を売りますについて手数料という制度が始まつたのでございます。その後昭和二十四年六月一日から一般の乗車券の手数料というものが停止になつたのでございます。復活しましたのは昭和二十六年の二月から、それが半ば、つまり三分の手数料をもらうことになりました。その後昭和二十八年一月十五日からもとに復活しまして、一般に五分という手数料をもらうことになりましたのであります。  それから第二段のお尋ねの日本交通事業社というような子会社をどういうわけでつくつておるかというお尋ねでございますが、実はこの日本交通公社は手数料のなくなりました時代に、交通公社が食いつないで行くために一時いろいろな事業いたしました。しかしこれは交通公社の本来の姿ではないと存じますので、この仕事を切離すことはぜひ必要であると考えたのであります。それで二十六年ちようど半ば手数料が復汚いたしましたこの機会に、いろいろな附帯的の事業、本来の交通公社の使命と緑の遠いような事業を切離す決意をいたしたのでございます。その仕事の中で特に今後存続して行つてもさしつかえないと思われるものを集めまして、一つの日本交通事業社という会社をつくりまして、この会社で今日まで事業を続けて参つております。その事業の内容はいろいろあり、広い意味の旅行に関係いたしました事業でありまして、観光、みやげ品あるいは旅行具の販売あるいはまた占領下の特殊事情で起つたのでございますが、進駐軍の宿舎などの音楽のバンドの供給の事業あるいはまた傷害保険に関連して、また普通の損害保険の代理店などもいたしましたが、この事業あるいは広告の取次の事業、このようなものを一時交通公社自体で経営いたしましたのを、切離して、日本交通事業社という形態でいたしておるのでございます。  それからいま一つの三番目のお尋ねの手数料が切られたこの時代に、雑誌社に投資したことがあるかというお尋ねでございますが、これは投資したことはございません。ちようど二十四年に手数料が切られまして、そのときに現在の社員をもつて何とか食いつないでこの事業の本体を続けて行かなければならぬと考えて、いろいろな仕事を考えましたが、その中の一つといたしまして、雑誌の取次の販売の仕事をいたしたのでございます。それで多くの雑誌社から雑誌を仕入れて参りまして、全国に二百数十ありますその営業事務所にこれを送つて、そこから本屋に卸す、この雑誌の取次販売の仕事をいたしたのであります。その点につきまして遺憾ながらこの商売の道にたけず、ある程度の損害があつたことも事実でございます。しかしこれはどういう損害かと申しますと、取次販売の雑誌類を仕入れるときに一定の率の金を引きかえに払う、その雑誌が爾後におきまして売れ行きが非常に悪くなつて、返本が多くなつて来るとしますと、雑誌と引きかえに払いました代金が過払いになり、この過払いの代金が車なつて来ました点と、いま一つは小売店に対する売掛金の回収がなかなか困難でたまつて来た、この二つの問題であつたわけでございます。
  251. 柴田義男

    柴田委員 私どもは交通公社にどうごうというような指導権も何もございませんし、何でもないのでございまするけれども国鉄の一環として、国鉄のつながりが非常に深いのであるから伺うのでございまするが、たとえば損益計算書という書類を拝見いたしましても、この中には三千万円の利息が支払われております。あるいは交際費が二千五百万円以上が払われている。こうした状態を見ました場合に、経済人として考えましても、何かしら非常にむだがあるのではないか、こういう経営状態であつたならば、国鉄の乗車券の販売代金がたまるのは無理はない、こういうように見られるのでありますが、この莫大な交際費というようなものが——交通公社という制度からいいまして多少の交際費がかかることもわれわれは想像されますが、少くとも二十五百万円という交際費、一月二百万円以上に当りますが、こういう交際費がどうしてもかかるのであるか、どうか。それから利息の三千万円、これは国鉄には未納代金がたくさんありながら、何か大きな別個な事業をやつておられるために負債が莫大にあるのか、この二点を伺いたい。
  252. 高田寛

    高田参考人 初めのお尋ねの交際費の点でございますが、交際費はずつと各年度が続きまして、この表にございます通り相当な金額が出ております。しかしこの交際費は私どもの仕事、旅行のあつせん、それからまたいろいろ観光宣伝、それから対外観光宣伝というような仕事からいたしまして、この仕度の交際費はどう切り詰めましても計業遂行上必要なものと私は考えておりのでございます。それから相当の利息の支払いがあるじやないかというお尋ねでございますが、これはこの当時におきましていろいろな事業をいたしまして、銀行の借入れということもやはり必要でありましたので、この点利息の支払いが相当出ておりますが、これは二十五、六、七年と順次減つてつておる次第であります。
  253. 柴田義男

    柴田委員 先ほど出版業者に対しては投資等はないというお話でございますが、われわれが聞いておる範囲では、雑誌ロマンス社というものに莫大な投資という形であるか、あるいはそれを販売しようというお考え方から前金等をお貸しになつたのか、いずれにいたしましてもそういう非常な失敗があつたというふうに聞いておるのでございますが、そういうことがありますか。
  254. 高田寛

    高田参考人 今御説明申し上げました雑誌の取次ぎ販売は、ずいぶん多くの雑誌の出版社と契約いたしましたが、その中で一番扱い量の多かつたのが、今御指摘のロマンス出版社であつたのであります。それでロマンス出版社に対する債権というものは、その過払金とわれわれ申しおりますが、つまり雑誌を五十万なら五十万仕入れますときに、その七掛とか、五分とか、それと引きかえに雑誌社に金を払うのであります。それで二箇月後になりましてその雑誌の売れ行きの精算、つまり小売店で売れ残つたものが、私ども取次ぎ業者にもどつて来る。これをまた出版社にもどすのであります。最初払いました金、つまり最初返本を予想した率よりも非常に売れ行きが悪くて、返本の方が多くなりますと、雑誌を返本したときに雑誌社の方から私どもが金をとりもどすわけになりますが、それが当時におきまして、雑誌社の経営が悪くなつたために、とりもどすことができなくて、貸越しになつた、かような性質の金額でございます。
  255. 柴田義男

    柴田委員 それはそういう例が一つロマンスであがつたのでありますが、そういうようなことで結局経営全体にわたつてそういう何か失敗という種類の帳簿上における、出版事業関係あるいはその他の関係で、莫大な固定があるように見受けられますが概算でけつこうでありますが、どれくらいありますか。
  256. 高田寛

    高田参考人 お答え申し上げます。当時私どもといたしましては国鉄の手数料がなくなりましたために、この事業をどうしてもつぶしてはならぬということで、つなぎのためにいろいろな仕事をいたしましたのですが、この方面の商売につきましては、どうも私どもまことに遺憾ながら商才に乏しく、このような商売がうまく行かなかつたということは事実でございます。それで幸いその後順次こういう仕事も整理し、切り離して、今日におきましては本来の旅行あつせんという仕事に終始することになつたのであります。ただいまお尋ねの当時のいろいろのそういう仕事がうまく行かなかつたということについての、今日のこげつきという種類のものはどれくらいあるかというお尋ねでございますが、順次これは売掛金というようなものも長年かかりまして、根気よく回収に努めて来ておりますが、今日の概算にいたしましてまだ一億少しくらいかと思つております。もつともこの中には今後回収できるものも、もちろんございます。
  257. 柴田義男

    柴田委員 もうこれで私は交通公社に対する質問を終りまするが、私どもはこの貸借対照表を拝見いたしましても、もしこれをやりますならば、一日かかつても足りないぐらい伺いたい点があるのですが、概略的に交通公社は国鉄の機構の中の一環であつて、しかも旅行者の便益をはかる一機関である。こういうことに対しましては私どもは何ら異議はないのです。非常にいい機関であると考えております。ただそういう考え方から手数料をもらつて経営費が足りなければ払わないでおけばよいという観念があつては困る。ことに実際の経営状態をいろいろと調査いたしてみましたところが非常にむだがある。どう考えてもわれわれはむだがあると思う。第一線に立つて旅行のあつせんをなさる従業員諸君は、朝から晩まで電話を耳に当てて、一生懸命汗だくだくで国民のために旅行案内に務めてくれている、これは非常にありがたいのです。その反面幹部は部屋の中にふんぞり返つて、いりもしない電話を三本も四本もそこへ入れておく、あるいは鉄道電話もそこへ引いておく、最も便利に国民大衆の旅行案内をしなければならない従業員は汗だくで、しかも電話が足りないというような実情をわれわれは地方におつても常に見受けるのであります。そうした反面本社におられる会長さんは、りつぱな方だからそういうことはないでしようが、課長や部長諸君がまつたくだらしのない状態を続けているということも、われわれは聞いているのであります。こういうことではうるわしい看板をかけておつても、美しい看板をかけておつても、国民大衆は納得しない、交通公社というものはいらない機関だという国民大衆のそしりを免がれない時代が来るのではないかと思います。だからそういう点を徹底的に直していただいて、あるいは国有鉄道に対しまして未払いがありましたならば、それに対する完全な見通しと計画を持つていただいていつまでにこれをお払いする、こういう御方針があれば最後に承りたいと思います。
  258. 高田寛

    高田参考人 ただいまはいろいろ御批判をいただきまして、私どもも傾聴いたした次第でございます。私ども日本交通公社はもとより営利会社ではございません。財団法人で社会に対して奉仕する機関であると私どもはらわたの底から考えております。そこで一般の旅行者の御便宜をはかるという上において社会に奉仕する、一般の旅行者、観光客という面もありますが、一面また修学旅行という面のお世話を十分にいたさねばならぬということを、昨年以来私自身が陣頭に立つて、やかましく主張しているところであります。このためにお聞き及びかと思いますが、交通公社が相当苦しい財政の中から費用を負担いたしまして、修学旅行協会というものを昨年つくりましたのもその意味であります。私どものねらいますのは、修学旅行、これにつきましては十分に学生がせつかくの修学旅行を有効に楽しくやれるように、そのためには無統制にやつてはいかぬ。やはり交通機関の状態を見、また宿泊機関の情勢もにらみ合せまして、計画的に学校の方に修学旅行の期間を分散してやつていただけば生徒としても楽しい愉快な旅行ができる、交通機関も無理をしないで済む、こういうようなことから修学旅行の面にも努めております。また最近は一般の勤労大衆の旅行のごあつせんということに積極的に乗り出しているつもりであります。また一面におきましては、外貨獲得の意味から外国から来ます観光旅行者のあつせんということにも万全の策を講じている次第でございます。今いろいろ御指摘をいただきました通りへ現場の第一線、二百の案内所に働いている者はまことに忙しく働いております。またこの管理部門と申しますか、この方面の人間を順次割いて現場の方に年々まわして来ているのでありますが、今後もなお一層、一般の国民のサービスに対するのは現場の者でありますので、この意味で私どもといたしましては現場の人間を充実する一面、管理部門はできるだけ人間の数も減らして行く、ほんとうに心から社会大衆の旅行のためにサービスを考えなければならぬということは、私も痛切に感じておりますところで、ただいまの御批判もありがたく承つた次第であります。それから国鉄に対する切符の売上代金の支払いの問題でありますが、昭和二十五年の六月末において、前々回の委員会でお話のありましたような、未納分のありましたことも事実であります。しかしその当時手数料がなくなりまして、どうして四十年の歴史のある交通公社を存続させるか、これにつきまして国鉄の方で、その方法として東京鉄道局管内の分に限つてその納期を一箇月間延期して、それで交通公社も側とか生き延びて行く方法を講ずるというおはからいを受けたのでありますか、この東鉄管内だけについて二箇月遅らすということはもちろん私どもとしても本心ではございません。一日も早くこの金額を通常の状態の通り今月売りましたものは清算の上翌月にきちつと納入するという姿に返さねばならないということで、極力努力して参つたのであります。この点は私ども断言いたします。誠心誠意努力して参つたのであります。はかばかしくは参りませんでしたが、幸い昨年度から二箇月遅れを半月縮めて一箇月半遅れになつております。それからこの年度二十八年の四月からはまたこれを半月縮めまして、ただいまは二箇月遅れを一箇月遅れまでに縮まつているのでありますが、ことしからすでに手数料も復活いたしまして、財政的の余裕もやりくりもつくようになりましたので、私どもただいまこれを一日も早く今月売つた切符は清算の上翌月末までにびしつと納める。こういうふうに持つて行く目標を今年度一ぱいに立てまして、これについてはすでに資金計画もちやんと立てております。私は交通公社の責任者といたしまして、皆様の前におきましてこの年度中には本来の姿、つまり今月売りました切符は清算の上来月末日には一銭の滞りなくぴしつと納めるように必ずいたす確信を持つております。こういうことを申し述べる次第であります。
  259. 有田二郎

    ○有田(二)委員 昨日の佐々木監理委員委員の方からの御答弁の中には、鉄道会館の株を持つているというお話を承つた。それに対して他の委員からも質問がありまして、それは自分としてははずかしくないと思つている。こういうような意味の御答弁がありましたが、私が運輸委員長として日本国有鉄道法案をつくりました当時には、監理委員会の委員というものは非常な権限がある、こういう権限を持たせるということはどうかということで、当職の委員会でも非常に問題になつた。しかしながらこの監理委員会の委員については、当時占領下でありましてわれわれには修正が許されなかつたのでありますが、非常な権限が持たされた。従つてそのパブリック・コーポレーシヨンとしての国有鉄道の監理委員会の委員がこういつた株々持つということは、法律的な制限はなくとも私は自粛せらるべきものである。法律的には恥ずるところはなくとも、道義的には自粛していただくのが最も立法の精神に沿うものではないか。かように私はきのうの質疑応答の中で、当時の国有鉄道法案を審議しました者としまして、痛感したのであります。従つて私はこれらの監理委員会の委員の方が株を持つてはいけないとは申しませんが、日本国有鉄道法の立法の精神に照らして監理委員会の委員諸君はみずからの意思において私は遠慮さるべきものだという考えを持つているのであります。この私の意見は天坊総裁から答弁を得ることは私はできないと思うのでありますが、私のかような精神、しかも日本国有鉄道法を衆議院において運輸委員長として当時立法いたしました私が、かような気持を持つているということをこれらの委員の諸君にお伝えを願いたい。この点に対する天坊総裁の御答弁を承りたい。
  260. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど大臣がおられましたときに、大臣もその問題に触れて御説明があつたのでありますが、結局大臣のお気持も私はその通りだと思うのですが、結局あの株を持つことの法律的な問題でなくて、道義的にそれをどう考えるかということの問題として、それが非常に株を持つて大いに利権に参画するのだ、こういうようなことになるのか、あるいはこの鉄道会館なら鉄道会館というものは鉄道と非常に密接な関係に立つて育てて行くべきもので、これに協力し後援してやるのだ、こういうふうに考えるべきか、こういう意味に大臣はおつしやつたのでありますが、その当時佐々木監理委員が株をお持ちになることについて、加賀山さんあたりからもいろいろ協力方を願われて、佐々木委員が株をお持ちになることはどうかということを監理委員会においても取上げて議論をされまして、後援する意味において株を少し持とう、こういう話できまつたように聞いております。
  261. 有田二郎

    ○有田(二)委員 ですから私は監理委員の諸君が株を持つことは法律的には悪いとは思いません。しかし日本国有鉄道法を立法しました際の立法の方針が——監理委員というものに非常な権限を与えている、これは法律をお読みになつたらわかるわけですが、従つてその監理委員が株を持つことは道義的におもしろくない。これに対して天坊さんから、いいとか悪いとかいうお話を私は承ろうとは思つてない。当時参議院では板谷順助君が委員長、衆議院では私が委員長で法案をやつたわけです。そのときのいろいろな質疑応答の中に、監理委員というものは非常な権限がある。しかも国民を代表して国鉄の経営に当る責任ある立場にあるパブリツク・コーポレーシヨンになりました以上は、国会といえども国鉄にはそうそうこまかい点まではできないことになつたのでありますから、監理委員会の運営によつて国鉄の運営というものがこまかく見られるというような建前から行きまして、私はぜひこれは道義的に何とか御反省を願いたい。こういう気持を持つているということを天坊さんからお伝え願いたいと思います。伝えていただけますかどうか。この点をひとつ……。     〔松山委員長代理退席。柴田委員長代理着席〕
  262. 天坊裕彦

    天坊説明員 有田さんのお気持は十分監理委員に伝えます。
  263. 有田二郎

    ○有田(二)委員 さらに高田交通公社会長にお尋ねしたいのですが、今柴田委員からもお話がありましたが、このロマンス社の問題は約二年前に本院の大蔵委員会で問題になりました。事情やむを得なかたようでありますけれども、しかしながらロマンス社の問題については交通公社にもいろいろな手落ちがあるということは、当時交通公社みずからもお認めになり、また国鉄の監督不行届きという点も当時籔谷営業局長が質疑応答の中にも、これから十分注意いたします、という御答弁があつたのであります。従つてその後におきまして交通公社としては鋭意これの挽回に努力をされた。これは今高田会長が言われた通り、私もその後の状態を見まして、大体非常な努力をなさつておられるということを認めるものであります。しかし今の柴田委員がおつしやいましたように、でき得る限りむだを廃し、そうしてこれは十分おやりになつておられると私は思いますが、もつと十二分にやつていただきたいという柴田委員のお言葉に私も賛成であります。従いまして今の点私は交通公社の経営その他が非常に円滑に行つて、そうして過去の古傷が漸次いえつつあるということは私も認めますが、一日も早くやりたいという会長の御意思を承りましたが、さらにもう一段の御努力を願つて、再びこういうことがないようにいたしますと同時に、いわゆる国鉄への支払いを一日も早く返していただきたい。先般の委員会にも御答弁がありましたが、国鉄の特に東京管内の遅れているやつがあと一箇月くらいになるというお話でありますが、大体今の見当でどのくらいで全部なくなりますか承りたい。
  264. 高田寛

    高田参考人 ただいまの前段の御注意はありがたく拝聴いたします。私どもといたしましても、もちろん営業会社ではございませんので、極力むだを省きまして、そのあげました収入を、あらゆる面で旅行者に対するサービスを提供するという面に、全部これをつぎ込むつもりでおります。ただいまやつております、たとえば東京駅、大阪駅、京都駅、上野駅というような所に、交通公社の制服を着まして、ラナーと称しておりますが、あつせん人を派遣しております。これは旅行になれない人に対していろいろお世話をする。無料サービスのために交通公社で出しているものであります。旅行の計画についていろいろな御相談に乗り、計画を無料でして差上げるというような面につきましても、一層の充実をいたすつもりでございます。  それからただいまお尋ねの、東京鉄道局管内の分が遅れているのを、これを取返す見通しを、今数字を具体的にあげまして、重ねて御説明申し上げますと、先ほど申しましたように、二十七年度において二箇月遅れをすでに半月取返しておりますが、本年の四月からはさらに半箇月取返しまして、一箇月遅れの状態になつております。それで五月末の納入状態におきましては、東鉄以外の四月の売上げの七億と、それから東鉄の三月の売上げの三億四千百万を納めまして、本来の姿であれば、前月の四月分の東鉄の売上げを五月末に納めるのを一箇月延ばした額が、五億三十五万円でありました。それから六月末になりますと、東鉄の五月の売上げの分だけが六月に払い切れないで、翌月に延ばしましたのが、四億三千七百二十五万円であります。それから七月末、今日午前中にすでに東鉄以外の六月の売上げ分全額四億六千八百四十七万円を納入し、あわせて東鉄の四億三千七百万を納めたのであります。七月末において東鉄の分が一月遅れておると申しましたが、その金額は三億三千七百九十五万円でございます。このように月々その遅れを取返して、金額は少くなつておりまして、この年度一ぱいには、必ず翌月末に全部前月分の売上げを納めるという本来の姿に持つて行きますことを、私は確信をもつて申し上げられると思います。
  265. 有田二郎

    ○有田(二)委員 最後にもう一点だけ。昨日本委員会におきまして、長崎総裁の解任決議案がわれわれの反対によつて否決になりましたけれども、これはたまたま野党の諸君から、解任決議案という形で出て参りましたから、われわれとしては本委員参解任決議案を出すことが妥当であるか妥当でないかということをよく考えなければならぬということで、やむを得ず反対せざるを得なかつたのであります。しかしながらわれわれは、国鉄のくさいところをふたをするという意味では決してないのであります。やはり国鉄の悪いところは悪いところとして、国鉄みずから反省して直していただきたい。これだけの、世界にもまれに見る厖大な機構でありますから、ほじくり出せば私は少々のものはこれはやむを得ぬと考えますが、しかしとにかくわれわれは国民の代表として、この日本国有鉄道というものが、少しでもそういうもののないようにやつていただけることを、われわれとしては党派を超越して念願するところであります。それで、四年前にも大蔵委員会で問題になりましたときも、やはりそういつた点がありましたし、また今回の鉄道会館の問題にしましても、いろいろ議論はあるといたしましても、やはり国民はこれに対して大きな疑惑の目を投げている。その他全国的に探し出せば、皆無とは私は言えないと思うのであります。従いまして、当然国鉄当局におかれましても、ぜひとも全国的にごういつた問題について十分御調査願いまして、大義親を滅して、ひとつこれらの処置に十分当られて、そしてわれわれが安心できるように御協力賜わりたいと思うのでありますが、天坊総裁の御所見を承りたいと思います。
  266. 天坊裕彦

    天坊説明員 今回の鉄道会館の問題につきましては、私どもとしては特に慎重に扱つたつもりでありましたが、非常に異例なかつこうで考えて行つたために、いろいろ皆さん方にお騒がせと申しますか、御迷惑をおかけいたしまして、私どももこの新しい取上げ方が、個々の場合に不備な、不行届きの点が多々あつたことも事実でありまして、またこれを通じまして、私どもが国民から信託されております鉄道の運営におきまして、ことに財産管理というような点について、従来の型通りと申しますか、あるいはまた戦後の、いろいろこんとんとしたときの気持のままで処理に当つているような点も少くないのでありまして、その点いろいろと、この大事業をあずかつている鉄道の真意を、国民が疑われるようなことになつてしまつては、ゆゆしき大事でありまして、私どもといたしましても、十分その点は反省いたしまして、今後大いに気をつけてやりたいと存じております。
  267. 植田純—

    ○植田政府委員 ただいま有田委員から、国鉄の今後の管理、運営につきまして、非常に身にしみて参考になります御意見を承りました。実は先ほど大臣も、今後の国鉄の管理、運営ということにつきましては、十分検討する問題がたくさんある。ことに根本問題といたしまして、どういうふうなかつこうで、どういうふうに持つて行くべきかということにつきましても、十分検討を必要とするという意見もお述べになつたのであります。私も今回の問題をいろいろ考えてみますと、財産の管理、あるいはまた監督上の問題につきましても、いろいろ法規的にも十分検討しなければならない問題があろうと思います。そういう点につきまして、今後十分ひとつ検討いたして参りますことはもちろんのこと、国鉄当局に対しましても十分督励いたしまして、この国鉄が公共の福祉の増進ということに、さらにりつぱな役割を果すということを念願し、また私たちも努力をいたして参りたいと、ここにお誓い申し上げる次第であります。
  268. 大矢省三

    ○大矢委員 交通公社の高田さんに、二、三お尋ねしたいと思います。公社の監事に、国鉄公社の経理局長の高井さんがなつておられるのは事実でございますか。
  269. 高田寛

    高田参考人 先般のお尋ねで御説明申し上げました通り、三人の監事の中に、現職の国鉄経理局長が入つております。これは特に国鉄の方から、会計上十分に監督していただくという意味で入られているのであります。もちろんこれは名誉職でありまして、まつたく無報酬であります。
  270. 大矢省三

    ○大矢委員 この鉄道会館の株主に、報告によりますと、交通公社が二千株、これは払込みは幾らあるか知りませんが、財団法人がこういう株式を持つような定款になつているのかどうか。私は定款はよく知りませんが、しかし定款によしあつても、先ほど来しばしば経営の内容について、あるいはまた国鉄公社に対する支払いが遅れているような、経営の困難な実情をるる述べられたのでありますが、一体そういう会社が、二千株というこういう株を持つことがどうか。特に財団法人がこういう会社の株を持つということは、私は定款はよく知りませんが、定款にあるなしにかかわらず、どうかと思うが、監事はこれを承知したのか。  それから、私は交通公社の信用にもかかわると思うから、公然とやりたくないけれども、この機会に明らかにしてもらいたいことは、公社が現金の浮貸しをやつている、これは私は至るところで聞いている。そこでこの際ないならないでほじくり出して言おうとはしませんが、そういうことも会社は知らずに地元がやる。ガス会社でガス料金を集める人が納期までやることだが、そういうことをあなたが幹部としてお聞きになつているかどうか。この会社の株を持つて、そういつた世上にあるところの浮貸しをやつているかどうか、この二点を簡単でけつこうですが伺いたい。
  271. 高田寛

    高田参考人  第一点につきましては、今度の鉄道会館の株を交通公社は二千株持つております。これは寄付行為から申しますと、交通公社の仕事は一般の旅行者の利便をはかる、並びにこれに利便をはかるために必要とする事業を行うということになつておるのでありますが、東京駅がお客に便利に利用できるように完成するということは、国民の一人としてのみならず、交通公社の立場といたしましてもぜひともこれは念願するところでございます。その意味におきまして、やはり旅行者の利便をはかるという意味で、この、鉄道会館の事業に協力いたしますことは寄付行為違反でない、かように考えておつたのであります。それでこの金は国鉄の乗車券の売上げの金とは全然関係ございません。この前も御説明申し上げました通り、昭和二十五年の六月以来国鉄の売上金は特別の預金にいたしまして、ほかに全然流用いたしておりませんので、この資金はそのほかの事業によつて得た資金をもつて充当したのでございます。  それからいま一つのお尋ねの浮貸しをしておつたというような事実は全然ございません。
  272. 大矢省三

    ○大矢委員 これはあるとはちよつと言えぬだろうし、またあとから聞いている限りでこれ以上ここで申し上げませんが、この国鉄が交通公社に向つて相当な利便を与えた、これはもちろんあなたの方が国鉄に対して協力されているのですから、私は多少の利便ということは当然だと思います。しかし物には程度がある。そこで公社に駅の構内の重要な箇所を貸し付けておりますが、今私の手元にある資料には、いつこういう決定をしたという年月が書いてない。ごく最近のものだと思いますが、前に五分の手数料が廃止されたというようないろいろの仕事の性質——協力者であるがためにそうしたのでありますが、特に監査役が国鉄から参つておりますし、それからまたここに会計検査院の人がおりますが、駅の構内——これはいろいろありますけれども、まず第一に、広島の分室、審査室というものは二百五十四坪ある、それに対して一年間三万円ですから一箇月にして約二千八百円かそこらのものを——しかも二百五十四坪という建物です。それから大阪の梅田の構内に百十五坪、これが約二十万円、先ほどぼくの言つた坪数をずつと月に換算しますと坪百五十円、それからもう一つ、天王寺に二十四坪、七千二百円、これは一年です。こういうように、今まで問題になつたこの新しい八重洲の駅の賃料から行きますと、もちろん差等のあることは当然であります。しかしあまりにも安い料金です。そこでこういう料金が安いということは、特に便宜をはかつているのですから、万々迷惑をかけないという建前のもとに——相当いろいろな問題で指摘されたように、国鉄が迷惑をこうむつておる、国鉄の方からも監査役が来てこのことはよく知つておられるのでありましようが、この料金というものは協力者であるから多少の便利は別として、社会通念として第三者が見て、はたしてこれが公平妥当な料金であるかどうか、これは批判の的になる。検査院はこれを妥当と考えるかどうかちよつとあとから開きたい。  こういうふうなことで非常に場所柄もいい——それも国鉄が非常に黒字で経営が非常によくて、そしてできるだけサービスしよう、できるだけ協力者には便宜をはかろうという立場にあるなら私はこれを言うのではない。国鉄が非常に行き詰まつた原因をこの公社に持つてつて、今度の新しいところにかえたということ、経営の方針、経営の独立採算制をとりたい、もつとうまく行こうということのために、そういう原因の一つはここにある。そういうことで非常に赤字で経営困難な国鉄の、こういうふうな取扱いというものがはたして妥当かということを一応お聞きしたい。
  273. 高田寛

    高田参考人 ただいまのお尋ねの使用料の問題は、私どもとして国鉄指定の使用料を払つておりますので、あるいは国鉄からお答えがあるかと思いますが、ただ事情を申し上げますと、交通公社のできましたのはちようど四十一年前でございます。それでいろいろ駅の中を使用させてもらつておりますのは、当時から引続きいたしております。それで使用いたしますにつきまして無料のところもございます。それから使用料を払つておるところもあります。なぜそういうものがあるかと申しますと、ただ国鉄の方の旅行の案内係というものは駅におりますが、この案内係では十分にお客に対する御案内ができない。そこで交通公社の方からひとつサービスの人を出して旅行者に対する御案内をしてくれ、こういう御要望に応じ、私どもとしてもこの駅では案内をもつと十分にする必要があると思いますところは、私の方からも数人の人を出していたしております。こういう場所では別に国鉄の乗車券の委託販売はやつておりません、こんなような場所はもちろん無料で使用しております。それからまた所によりますと、この案内をするのと並びまして、国鉄以外のいろいろの団体の募集の手続、あるいは旅行関係の図書販売とかやつているところで、料金を払つているところもあるのでございます。申し上げたいことは、これはずつと長い四十年から長くやつておりますことと、今のような駅の中の私の方の出しております案内所が、性格がさようなものでありますために、無料のところもありますし、料金の安くなつておりますところもあります。この点をひとつ御了承願いたいと思います。
  274. 大矢省三

    ○大矢委員 それで天坊さんにひとつお尋ねいたしますが、これはむしろ長崎総裁が共済会の会長でありますから、しかも六割からの払込み株を持つておりますから、これは非常に大きな株主でもありましようし、私ども聞くところによりますと立花さんが去年退職されたときに、その退職された職員の人たちの退職金をこの株にも充てているということで今度問題が起きて非常に心配されている。はたしてこの退職された人の退職金が今度の持つているところの二十万株のうちの何パーセントに当るか、今度払込金の中のどのくらいに当るか、あるいはまたさらに人数としてどのくらいの人が退職金の中で株を持つことに協力しているかこのことを伺いたい。
  275. 天坊裕彦

    天坊説明員 昨年の四月、年度末に退職手当が特別に八割増しというようなかつこうで出るということで、鉄道の古い現場の人たちを初めいろいろな人たちが、相当まとまつて職をやめたのであります。そのときにもらつた退職手当を目当にしていろいろと世上でうわさが出まして、ほかからもおれのところの事業に金を出したらうんと一割にまわしてやる、二割にまわしてやるとかいろいろな話がありまして、事実私どもの退職者の中にそうした世の中を知らぬ連中が多いのでありますが、そういうことにだまされて、元も子もなくしたという職員が非常に多かつたのであります。まとめて相当額の退職手当の総額が出るわけでありますから、できるならば何とか指導して、そういうものを考えてあげるのがほんとうじやないかということを私ども考えたのでありますが、事実退職した人が、どれだけこの鉄道会館の株主になつたかと申しますと、鉄道会館の株主全体の中で、国鉄の現職者が持つております株が、九五・〇六%、それから国鉄退職者のもつております分が四五九%、一般の法人となつておりますものが〇・三五%、こういう数字でございまして、退職者の頭数ではどのくらいになつておるか、ちよつと数字を今持つておりません。
  276. 大矢省三

    ○大矢委員 これは財団法人としてそういう株を持つことがどうか。定款はどうか知りませんが、財団法人の会社の組織法人として、その会社の目的として生れた事業形態からいつても、どうかということを、私は法的に疑問を持つのであります。あとから定款を見たいし、専門家にもいろいろ聞きたいのですが、国鉄の職員は公務員に準じておる。その国鉄の共済組合が、こうした配当を目的とした株を持つということはどうなんですか、これはちつとも違法じやないのですか。何か法的根拠はないのですか。しかも三十二万株のうちの二十万株というと六割以上を占めている。この六割以上を占めているところの株を公務員に準じている人が持つということはどうなんですか。そういうことをやつていいのだつたら、配当を目当てに株をどんどん買うこともできることになる。これはもつと専門的に法律を調べなければわかりませんが、会計検査院はそういうことまでやる権限があるかどうかわかりませんが、注意事項にはなると思う。それはちつともさしつかえないということになるのかどうか。しかもこういう厖大な株を買うほどの金を積立てて、株はすぐ売るわけには参りませんから、万一の場合にどうするのか、それがはたして妥当なる取扱いかどうか。それから今言う通り、公務員に準じたこうした者が株を持つことはどうか。この点は私はほかのあらゆる公社にも影響して参りますから、この際に両方からお聞きをしておきたいと思います。
  277. 天坊裕彦

    天坊説明員 御承知の通り、国鉄の共済組合は、組合員の掛金と経営者である鉄道側から金を出しまして、大体資産百億近くを持つておるわけでありますが、この組合の資金の一部を運用することは認められておりまして、これが有価証券信託というようなものに投資されることも、一定の率においては許されておるわけでありまして、手続上は、共済組合の執行部の措置、それと同時に大蔵大臣の承認を得るというようなことで運用されておるのであります。その点は共済組合の基礎を危うくせぬ程度において許されておるものと考えます。
  278. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 大矢委員の御質問に対しまして、まず先にこの前の交通公社の建物の件をお答えいたします。実はただいまお引きになつた建物を幾らで貸しておるということは、私ただいままで存じておりませんでしたか、御指摘のところを見ますと、なるほど少し安過ぎるのじやないかと思います。これはその場所を見なければわかりませんが、なるべく早い機会においてその当否を決したいと思つております。  次の共済組合の問題でありますが、国鉄共済組合自身は現在会計検査院の検査対象になつておりません。国鉄共済組合は、たしか国鉄法の五十七条だつたと思いますが、国家公務員共済組合の一つとして認められておるわけであります。それは大蔵大臣の認可によりまして、たしか資産の二割までは資産の運用としましていろいろそうした不動産投資とかあるいは投資ということはできることになつております。ただそれが二割になつておるかどうかは資産内容を検査しておりませんので申し上げかねる次第であります。
  279. 大矢省三

    ○大矢委員 今大沢さんが申されたように、二割というのはその二十万株を手に入れるときに、大蔵省の承認なり、そういうような会議を経て決定されておるのか、そうしてそれは二割以内になつておりますか。
  280. 天坊裕彦

    天坊説明員 当時大蔵省と十分協議をいたしましたし、もちろんその制限が、二割でありましたか、私も忘れておりますが、その範囲内であります。
  281. 大矢省三

    ○大矢委員 株はそれ以外には持つていないのですか。
  282. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道会館の株以外にも株を持つております。
  283. 柴田義男

    柴田委員長代理 本問題について、本日はこの程度にいたしまして、会期延長が本会議で決定いたしますれば、次会は明八月一日午後一時に、特に二十五年度決算検査報告書三百七十三ページ以下公団を一括議題として、審議いたす予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十八分散会